1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月十九日(火曜日)
午前十時三分開議
出席委員
委員長 松本 十郎君
理事 岡島 正之君 理事 片岡 武司君
理事 渡海紀三朗君 理事 西田 司君
理事 山下八洲夫君 理事 草野 威君
理事 岡田 正勝君
石橋 一弥君 金子 一義君
北村 直人君 鈴木 恒夫君
高橋 一郎君 谷 洋一君
友納 武人君 平林 鴻三君
松田 岩夫君 渡辺 省一君
石橋 大吉君 加藤 万吉君
佐藤 敬治君 中沢 健次君
細谷 治嘉君 前島 秀行君
安田 修三君 小谷 輝二君
柴田 弘君 森田 景一君
経塚 幸夫君 寺前 巖君
出席国務大臣
自 治 大 臣 梶山 静六君
出席政府委員
自治大臣官房長 持永 堯民君
自治大臣官房総
務審議官 小林 実君
自治大臣官房審
議官 湯浅 利夫君
自治大臣官房審
議官 柿本 善也君
自治省行政局公
務員部長 芦尾 長司君
委員外の出席者
国土庁計画・調
整局特別調整課
長 河手 悦夫君
国土庁地方振興
局総務課長 吉原 孝司君
農林水産省構造
改善局農政部農
政課長 野田 哲也君
運輸大臣官房国
有鉄道改革推進
部清算業務指導
課長 宮崎 達彦君
建設省建設経済
局調整課長 角地 徳久君
建設省都市局都
市再開発課長 福田 秀文君
地方行政委員会
調査室長 大嶋 孝君
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委員の異動
四月十九日
辞任 補欠選任
中山 利生君 平林 鴻三君
加藤 万吉君 前島 秀行君
安田 修三君 石橋 大吉君
柴田 弘君 森田 景一君
同日
辞任 補欠選任
平林 鴻三君 中山 利生君
石橋 大吉君 安田 修三君
前島 秀行君 加藤 万吉君
森田 景一君 柴田 弘君
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四月十八日
留置施設法案の廃案に関する請願外一件(江田五月君紹介)(第一五四九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/0
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001・松本十郎
○松本委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/1
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002・加藤万吉
○加藤(万)委員 最初に大臣にちょっとお聞きをいたしますが、今回の公有地の拡大に関する法律案、この改正を意図するねらいといいましょうかあるいは意図といいましょうか、那辺にあるのでしょうか。と申しますのは、この法案そのものは率直に申し上げましてそれほど大きな法案ではございませんけれども、この法案のバックグラウンドにあるものが大変大きなものですから、ぜひお聞きをしたいと思うのです。
一つは、大臣がかねがね提唱をされ、また今回の予算でも背景にありますふるさとづくりの問題、これが一つこの法案の対象になる案件だろうと私は思うのです。それからいま一つは、従来の土地開発公社の持っている業務範囲の拡大という課題は、単なる一つの、例えばふるさとづくりを対象とする事業計画だけではなくして、今さまざま持っている多極分散型の構想に対して、そういうものまで土地開発公社が役割を果たす、あるいはそういう面まで含めてこの法案の業務量の拡大を含めた展望を持つのか。それからいま一つは、いわゆる多極分散型と言われる四全総に象徴される日本の国土形成、こういうものとのかかわり合いというものはこの中に求められているのだろうか。そういうものの一部として開発公社の業務量の拡大をする、こういう背景があるのだろうか。もしあるとすれば大変大きな法案になるわけなので、一体この法案の提出のねらいあるいは意図というものはどこにあるのか、それをお聞きしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/2
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003・梶山静六
○梶山国務大臣 最近の地方公共団体等における土地需要に即応をいたしまして、土地の秩序ある整備を推進し、計画的な土地利用と秩序ある町づくりを積極的に進める必要があることは御案内のとおりであります。このため、地域振興、町づくりの観点から、地方公共団体が民間活力を活用して市街地開発事業や観光リゾート施設のような面的整備事業を積極的に推進するため、事業の実施に必要な用地の取得に土地開発公社を活用すべく、土地開発公社の業務範囲を拡大する等の所要の措置を講じようとするのがまず大きなねらいでございます。
このように、今回の改正は、他省の施策とともに地域の活性化を図ることを通じて多極分散型国土の形成を目指す四全総の基本的方向に沿うものであるというふうに考えて、今回の業務範囲の拡大というものを位置づけて考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/3
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004・加藤万吉
○加藤(万)委員 当面対象になる事業計画それから国土庁が提起をしています四全総、そういうバックグラウンドを持つということはわかりました。
そこで国土庁の方に今度はお聞きをいたしますが、今各省さまざまなプロジェクト計画がございますね。例えばテクノポリス計画であるとかあるいは農水省のグリーントピア計画ですか、さまざまな計画が今あるわけです。今度多極分散型の国土形成法という法律がございまして、今特別委員会で審議中でありますが、このいわゆる国土形成法という法律は四全総、あるいはその発端になったものは土地の高騰、人口集中の排除、こういう背景があるわけですが、各省が持っているさまざまな事業計画を調整し、あるいは全体を多極分散型の国土形成に持っていくための配置、位置づけ、そういうものを調整する機能が法律として今審議されています多極分散型国土形成促進法の中に提起されているのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/4
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005・河手悦夫
○河手説明員 多極分散型国土形成促進法案でございますが、その中に振興拠点地域基本構想というものがございます。これにつきましては、四全総の目指します多極分散型国土を形成するというために都道府県または政令指定都市がその区域内の特定地域につきまして全総計画を初めとする他の各種計画との調和、調整を図りつつ作成するというふうに考えておりまして、我々といたしましては、そういった地域振興に関する計画との調和というものは十分に図られていくものであるというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/5
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006・加藤万吉
○加藤(万)委員 そうなってまいりますと、このさまざまな計画を調整あるいは計画上の整合性を持つという条件が生まれてくるわけであります。
さてそこで、これは小林さんにお聞きしていいと思うのですが、この法案の対象になる開発公社、それは都道府県、政令都市に限られますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/6
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007・小林実
○小林(実)政府委員 当面、都道府県と政令市に限って認めようかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/7
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008・加藤万吉
○加藤(万)委員 今大臣の答弁は、各地方団体が持つ事業計画と、それから四全総が目指す多極分散型国土形成というものをも含めてバックグラウンドとしてはある。それから、今国土庁の方からは、そういう各省が持っておるプロジェクト計画も含めて四全総計画、いわば言うところの一極構造をなくそう、こういうお話なんですね。こうなってきますと、この法案の対象になるのが都道府県あるいは政令都市に限定されるというのはどうなんでしょうか。
と申しますのは、テクノポリス計画にいたしましてもあるいはさまざまな計画にいたしましても、地方団体の相当広範囲にわたるわけですね。こうなってまいりますと、この法案が、後で法案の内容のさまざまな課題を御質問申し上げますけれども、政令都市、都道府県に限定するということはどういうことでしょうか。そういう市町村まで含めて事業計画があるとするならば、そういう地方団体は地方団体によって、例えば土地開発公社によって先行的な取得をする、後で出てきます民間活力を活用する、こういうことになりますと、この法の適用というものはもっと広い範囲に拡大をするべきじゃないか、私はこういう意見を持っているわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/8
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009・小林実
○小林(実)政府委員 今回の改正によりまして土地開発公社は、実は民間がその事業主体となる市街地開発事業、それから観光施設の地域の整備事業につきまして、それらの区域の土地を買えるようにしようということでございます。これは現行地方財政法でいいますと、地方公共団体そのものが地方債を起こして行うということはできない分野の仕事でございます。また、リゾート地域等を考えてみますと、相当規模の土地を一括購入するということも考えられるわけでございます。したがいまして、新たに加える業務につきましては、現時点において直ちにこの土地開発公社のすべてに行わせるということにつきましては、個々の地方開発公社にとりましては組織上あるいは財政的にもその業務能力を超える場合も考えられるわけでございます。
そこで、このようなことから、当分の間新しい業務を行う地方団体の範囲を都道府県、政令指定都市に限ることといたしたわけでございますが、今後の土地開発公社の経理あるいは人的基盤の整備の状況等も勘案いたしまして、場合によっては指定拡大もあり得る、こういうことにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/9
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010・加藤万吉
○加藤(万)委員 法律案の内容には都道府県、こう書いてありますね。そのほかは主務大臣が定めること、主務大臣が指定をするのは政令都市を対象にする、こうなっているわけですが、要するに今のお答えですと、政令都市の分野をさらに拡大する、そういう要素も今後は当然検討される、ないしは問題によっては本法案の成立を通して対象地方団体になる、こう理解してよろしいでしょうか。
といいますのは、昨日も実は土地特別委員会、小林さんおいでだったと思いますけれども、あそこでも議論になりましたように、一体一極の極とは何だという議論が実は我が党から提起をされました。これはきのう大臣お聞きになったと思うのですが、いわゆる経済圏としての大阪あるいは名古屋という極というものと、都道府県段階における県庁所在地、これも一つの極、さらにその極を中心にして地方分散型の都市をつくるとすれば、地方都市もその極の一端を担う、こういう我が国の都市構造というものを今度は百八十度転回して、新しい国土形成をしようというわけですから、その極が拡大しなければならぬですね。
雑談ではありましたけれども、私たちの仲間では、そうなってくるとやはり地方分権というものは道州制という制度まで考えていく必要があるのだろうかなということが、実は裏では議論が、あるいはその雑談では出ておったんです。私は、道州制ということについては余り賛成ではありませんけれども、しかし、経済機能として政治機能としてあるいは行政機能としてそういう構造を持っていくということになりますと、政令都市以外の地方都市というもの、たとえば仙台をとってみても政令都市じゃないんですから、そういう都市まで含めて新しい多極分散型の都市構造、あるいは産業構造でもいいんですが、そういうものをつくっていくとなれば、当然対象にしなければおかしいんじゃないですか。
さらに申し上げれば、特に過疎の都市、例えば北海道のそれぞれの都市があります。新しいリゾート計画をつくって地域の活性化をしよう、この場合に、おっしゃいましたように地方団体は民間団体の資金を導入するための先行的な土地の取得ができない、こういうわけですね。そうなってまいりますと、そこには民間活力を利用しよう、したがって土地開発公社の先行的な取得と同時に民間資金の活用の導入を図る、こういうことになれば、今度はこの法案自身が必要になるんじゃないですか。適用団体にならなければ、おっしゃられるような状況をつくるようにはなっていかないと私は思いますよ。これは大臣、どうですか。
この法案には都道府県しか書いてないでしょう。主務大臣によって政令都市もある、こうなっているんです。しかし、多極分散型の国土形成をするといえば、私は率直に申し上げますけれども、例えば相模原なんていうのは人口五十万ですよ、五十万で新しい大学、学園都市をつくろうといった場合に、例えば慶応大学は藤沢に入ってしまいましたけれども、そういう都市構造にする場合に、民間活力の資金導入がこの法案ではできなくなりますよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/10
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011・梶山静六
○梶山国務大臣 完全主義をねらえば、当然各市町村、どんな過疎の地帯でもということが原則でございますけれども、現実の問題として考えることは、今この一極集中から多極分散、分散という言葉がいいかどうかは別といたしまして、そういう状態をつくる第一の段階は、むしろ各ブロック圏と申しますかその地域圏。ですから、幾ら細分化をしても一都道府県、こういうものに拠点開発を行おうと思うのが、恐らく私は第一の手法ではないかと思います。
それから、これからねらってまいる事業、まず地域に活力を与えるならば、小さい隅々の町の振興ももちろん大切でございますが、第一次的な刺激策と申しますか誘導策と申しますか、こういうものを考えれば、相当広範囲な大規模なものを考慮に入れたい。そうしないとインセンティブを与えることができないということになりますと、私はやはり一市町村という範囲ではなくて、県が指導し得る一つの広域的な行政範囲、こういう段階でこの第一次的な目的が果たされる、こういうことを考えなければならないと思います。
初めから全部に移行いたしますと、かつてやったように、この土地開発公社それぞれが工業立地ということになりますと、工業団地の造成はどんどん各市町村どんな小さいところでも導入してやったという経緯もございまして、残念ながらその結果はペンペン草を生やしてそこの活用が図られてないという現実もございますから、少なくとも都道府県が一つの大きな統一的な施策というか誘導策を持って、そういうものに責任を負い得る範囲内でまずやっていこうというのが、過去のわだちを踏まない第一の手法ではないかと思いますので、当面この方法で進めていき、さらにそれが具体化して成果を得るならば、さらに次の段階に及ぼしていきたい。これが今回の公有地の拡大のための業務上の範囲の拡大というささやかな法律案ではございますが、大きな流れで見ますと、そういうことを過去の経験に徴し、それから、これから一極集中からいわばブロック圏に力点を分けていこうという、いわば曲がりっぱなと申しますか転換期でございますので、それの効率的な運用と成果を期待をしたいと思いますので、こういうことにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/11
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012・加藤万吉
○加藤(万)委員 前段の大臣の議論はわかりました。問題は、例えば今度提起されているふるさと町づくりの問題、これなんかを見ますと、大臣、例えば炭鉱地帯であるとかあるいは重厚長大と言われた城下町を新しく活性化しようというわけでしょう。これに民間資金を導入するということになれば、これは大臣がおっしゃったように大きな県の事業計画の中でというよりも、ある部分的なものに対してそこで地域的な活力というものも生まれるわけですから、今直ちに法律上の云々ということは申し上げませんが、しかし運用上は十分配慮していただきたいと私は思います。
国土庁にいま一度お尋ねをいたしますが、今多極分散型、そして今度の新しい、私は国土形成法という名前で言いますが、この法律で、国土庁長官がしばしば言っておりますように、今度は地域の独自性あるいは地域の創造性、その中からの新しい国土づくりを考えるのだ、こういうことになっているわけですね。そして、それを今おっしゃいました促進法の中では調整的な機能を設けた法律案を提起している。
さて建設省関係、私法案を見せていただきました。海に関する法案、土地に関する法案、山に関する法案、湖に関する法案、さまざま百何十本ぐらいありそうですね。私は細かくは検討できませんでしたが、基本的な法律案、例えば土地利用基本計画あるいは国土利用法、こういう基本的な法案と、国土庁長官がおっしゃっている百八十度転換の中で独自性、創造性を持った地域開発というものとの法律上の整合性というのが私は少し問われてくるような気がするのです。
例えば国土法によりますと、全国計画、いわゆる国が持っている全国計画を基本として、それぞれの地域がつくる事業計画あるいはその開発計画を、国土計画の中の範疇で言ってはおかしいですが、その中での事業計画として各都道府県や事業団体は計画をしなさい、こうなっているわけですね。あるいは土地利用基本計画によりますと、第九条の二項では土地利用に対するさまざまな制約がありますね。例えば都市地域、農業地域あるいは森林地域、自然公園地域、そういういわば土地に関する基本的な法律案と、今度の多極分散型国土形成法の中で求めていく新しい創造的な、独自的なものと法律上のそごが起きはしないか。いわば国土基本法あるいは土地利用基本計画などについても一定の新しい発想に基づく法改正の必要性というものを感じてならぬのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/12
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013・河手悦夫
○河手説明員 四全総でございますが、四全総は長期的視点から国土総合開発の基本的方向を明らかにする基礎計画としての性格を有するものでございます。したがいまして、各省庁所管の計画あるいは地方公共団体独自の計画というものは、四全総をベースとして踏まえつつ、その基本目標とする多極分散型国土の形成のための具体的施策の展開の方策というものが盛り込まれるものであると認識しておりまして、国土庁といたしましても、四全総と各地方計画あるいは各省庁の公共事業関係長期計画というものとの調和が図られるように必要な調整を図ってまいる所存でございます。
また、先ほど申し上げましたように、多極分散型国土形成促進法案の中におきましても、振興拠点地域基本構想等につきましても、これは四全総の目指す多極分散型国土を形成するために、都道府県または政令指定都市がその区域内の特定の地域について全総計画を初めとする他の各種計画との調和、調整を図りつつ作成するものであると考えておりますので、そこら辺の地域振興に関する種々の計画との調整というものは十分に図られていくものではないかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/13
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014・加藤万吉
○加藤(万)委員 私の心配するのは、事業計画が提起をされて、その事業内容について、例えばここは自然公園地域であるからこの部分はカットする、あるいはこの部分を含めても例えばそこがリゾートゾーンとしてすばらしい状況がつくり上げられるならそれはよろしいだろう、こういう調整が行われると思うのです。恐らく実際の段階では当然のこと調整機能というものは発揮されてくると思うのですが、問題は、基本法がある一定の枠内で地方団体を縛っておきますと、それをはみ出してみずからの創造性に基づく事業計画をつくるということは、率直に言ってなかなか困難だ。仮につくっても、これは土地利用基本計画にひっかかるから地方団体としてはひとつ考えよう、ちょっと外そう、こういう計画になってしまうおそれが多分にあると思うのです。
私は、率直に言ってこれは法の運用だと思っているのです。大臣も土地委員会に出ていらっしゃいますからおわかりだと思うのですが、地方団体がそれぞれ事業計画をつくるときに、どうしても上を見るのですよ。上を見たときに、今言った国土利用計画法にいたしましても土地利用基本計画にいたしましても、一つの枠組みというのがありますと、その枠組みの外へ出たら、地方債でいえば起債ができないのじゃないか、あるいは交付税の対象にならないのじゃないかというさまざまな思惑が働いて、結局のところ創造性あるいは独自性という計画が生かされない。問題は、そこを今の法律の中で運用でやるのか。今おっしゃられるのは事業計画で調整する、こういうわけですね。しかし私は、事業計画と法律との間ぐらいのところまで持っていきませんと、法律の改正というのが一番いいと思うのですが、そこまで行かないとするならばそこの調整運用機能というものを相当強めなければいかぬ、こう思うのです。
そこで大臣、これから四全総を展開する。今これからというお話がありましたが、財政的な基盤でいけば六十三年度から出てくるわけですから、ふるさとづくりも一つのその方向でしょうし、各省が持っている事業計画も六十二年度、六十一年度あたりから進んでいますけれども、さてそこで、そういう調整機能というものを官庁間ベースの中で調整する、いわゆる実務者の中で調整するというよりも、内閣の中にそういう調整機能を持たれる必要があるのじゃないかと思うのです。国土促進法もそうですし、これから行われる四全総の展開にいたしましてもそうだと思うのですが、関係閣僚間の調整というものがどうしても必要になる。
そこで関係閣僚としては、国土庁長官これは当然入りますが、建設大臣、自治大臣、大蔵大臣、産業構造の新しい展開という関係であえて入れれば通産大臣、そういう大臣間、直接その任に当たる大臣の会合、会議、連絡会議といいますか、先ほど言った事業計画の実務者としての調整と政治的な調整と法律改正、言うならば政治的な解決を求める、そういう機関が内閣にあってよろしいのじゃないか、こう私は思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/14
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015・梶山静六
○梶山国務大臣 先ほどもお答えいたしましたように、まず第一次的に都道府県ないしは政令都市、ですから政令都市に限りなく近い大都市あるいは大規模の自治団体、きわまをどうするかという問題がございましょうけれども、まず第一段階、こういう能力があると言うと大変語弊がございますけれども、小さいところはないという意味じゃございませんが、それぞれが個々ばらばらに府県的な中での統一性がないところで相反する開発が行われて果たしていいのかどうかという問題もございます。ですから、一次的にはまず都道府県と政令都市、そして県というものが、例えば私の茨城県を見ましてもそういう動きが既にございます。何市かにまたがった広域のリゾートゾーンをつくろう。しかし、その中で県が直接手を出すのはある一部の市町村であるかもしれません。しかし、それは大きい全体の流れでまず第一にそこに手をつけるのだということで、本当ならばそこの市町村単独の事業であってしかるべきだと思うようなことまで県が参画することによってむしろ対外的な信用度を高めるとか、そういう問題がございますので、一次的には都道府県と政令都市に限定すると言うとあれなのですが、それが着実に進展した際にさらに限りなく近いものをどうしていくか、あるいは各都道府県をどうするか、そういうことに至りますと、今委員御指摘のように、関係閣僚会議のいわば政治的な判断、その時期をいつに求めるか、こういうものもおいおい必要が生まれてこようかと思いますし、この具体的な運用についてはさらに詰めていかなければなりません。今の段階、こういう一極集中から多極分散という中で、その流れを定着させるために、大変枠をはめたような感じになりますけれども、私はここでそれぞれが百家斉唱というかおのおのの知恵を出し合って、すばらしい活力であろうかもしれませんが、その整合性がとられない場合の失敗というのを考えますと、一つの方向づけをすることがまず第一に大切だ。そして、その弊害ないしは希望が大きく出る場合はその調整、反省をどうするか、この問題には真剣に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/15
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016・加藤万吉
○加藤(万)委員 国土庁の方、いわゆる業務核都市などということになりますと、これは相当いわゆる政令都市以外の都市にも波及しますね。私が言いたいことは、実務者間の計画調整もさることながら、政治的な調整というものが必要だろう。さらに、その政治的な調整の上に立って、今のさまざまな建設関係の法律の修正ないしは改正をする部面があれば国土庁から積極的に出してもらいたいと思うのです。でないと、四全総というものは、私もこの前議論いたしましたけれども、四全総はやはり地方中核都市をつくる、県庁所在地都市をつくる、そして経済圏の中核都市をつくる、そして中央へというピラミッド型、ピラミッドを幾つかつくってその集積で国土をつくるのではなくて、ピラミッド型の一端としての行政機能としてできてきてしまう。やはりこれは一極集中になってしまうわけですね。そこを直そうというのが今度の土地高騰の問題から出ました多極分散型の国土づくりという意味ですから、そういうところをぜひ実務者の中で御検討いただきたい。
それから、先ほど言いました、大臣もあそこでうなずいておりましたが、地方都市は相当財政的に基盤がなければいかぬと思うのです。それから、面的なものもあるでしょう。しかし、そういうところで、この土地開発公社の資力なり先行取得の中で生かしたいという面があれば、これは積極的に運用上範囲を拡大する方向でさまざまな指導をしていただきたい、こう思います。大臣の方もひとつよろしくお願いをいたしたいと思うのです。それでは国土庁の方、結構です。
開発公社そのものについてお伺いをいたしますが、今土地開発公社が全国的に持っている保有面積というのはどのくらいあるのでしょうか。わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/16
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017・小林実
○小林(実)政府委員 六十一年度末の調査しかございませんが、二万五千四百三十六ヘクタール。これは公用地の先行取得で行っているものと、それから開発公社みずからが公営企業に相当する事業につきまして行っているものがございまして、それに分けますと、先行取得の方は一万九千百九ヘクタール、それから公営企業に相当する事業の方は六千三百二十七ヘクタールでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/17
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018・加藤万吉
○加藤(万)委員 約二万五千ヘクタールですね。大変な保有面積ですね。
今度の開発公社の業務の拡大という中では、民間の資金を導入するための、活力を利用するための土地先行取得までできる。開発公社が保有している土地に対する事業計画はできませんでしょうか。例えば、土地というのは、公共用に確保したわけですけれども、相当保有時間というか期間がありますね。所によっては十五年とか二十年とかという保有期間があるわけですね。これ自身を開発公社が活用するなんということは考えられないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/18
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019・小林実
○小林(実)政府委員 今回の改正によりまして、そもそも今までの公用地の先行取得で取得いたしました土地につきましてはそれぞれ目的があるわけでございますが、改正を認めていただければ、今回事業拡大をしようとしている分野につきましても設立団体等と協議をいたしまして利用できるようにしたいというふうに考えて、法案もそういうふうにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/19
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020・加藤万吉
○加藤(万)委員 もうちょっとそこを詳しく言っていただけませんか。例えばそういう保有地を外部に管理委託をして駐車場にするとか民間のイベントを組む場合の会場施設に提供するとか、そういうことまでこの業務量の拡大の中に含まれている、こういうふうに理解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/20
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021・小林実
○小林(実)政府委員 今御質問がございました駐車場に利用するとかイベントに使うというのは暫定的な使用かと思うのです。それは今回の法律改正に関係なく、今までも売却できるまでの間ある程度活用できるということでございまして、私どもこの改正に先立ちまして土地開発公社活性化委員会というのを開きまして御意見を聞いたわけでございますが、この事業計画がございまして買収した土地が遊んでいるというものにつきましてなるべく広く保有期間中活用できるようにという御指摘もございまして、実は昨年通達を出しましてそういうこともできるようにいたしておりますから、御指摘の暫定的に売れるまでの間利用する、民間に貸すこともできるということにいたしておるわけでございます。
さらに、先ほど私がお答えいたしましたのは、さきに買いました公有地目的の土地につきましても、リゾート地域でリゾートの用地に利用したいとか、あるいはたまたま市街地開発事業の区域内にあるという場合にその用途に使うこともできるようにしよう。その場合には開発公社のもとの団体であります設立団体と協議をして、目的を変更してそちらに利用できるようにしたい、そういうふうにできるように改正をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/21
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022・加藤万吉
○加藤(万)委員 開発公社の方に聞きますと、今公有地の先行取得をする場合に一番問題なのは代替地だ、こう言っているのですね。なかなか代替地の確保ができない。代替地確保の場合には農地転用の関係があって、公有地でしたら農地転用は御案内のようにできるわけです。しかし、代替地として土地開発公社が農地を確保する場合には、農地転用はそれぞれの各地方団体の委員会にかけて云々とこうなってきますから、事実上なかなかできない。しかし、大都市などにおいてはもう率直に言って市街化区域内の代替地はありませんとなれば、農地を転用させてもらって云々という以外はないのですが、その方向については今のところ農業委員会に申請をして許可をいただかない限り不可能で、事実上なかなか土地収用に対して障害がそこであります、こう言うのですが、この辺はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/22
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023・小林実
○小林(実)政府委員 御承知のように、農地の所有権の移転を行う場合には農地法第三条に基づく許可が必要でございまして、この土地開発公社が代替地とすることを目的として農地を取得することは許可されないということになっておるわけでございます。農地法では農業生産法人以外は認めないというような感覚でございます。
現実問題としてどうやっているかということでございますが、土地開発公社におきましてこの代替地といたしまして農地を取得する場合には、開発公社が直接にその取引の当事者というふうにはならないで、農地の所有者と所有者の間、それから土地開発公社が入りまして三者で契約を結ぶことによりまして農地法の許可を取得しているというケースが多いと聞いておるわけでございます。実際の農地法の運用につきましては、私ども農水省の方にも特段の配慮をお願いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/23
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024・加藤万吉
○加藤(万)委員 私が先ほど言った各省のプロジェクト計画、あるいは自治省サイドでいえばふるさとづくり、それから大きくいえば四全総、そういう中で地方団体、なかんずく都道府県、例えば神奈川県でいえば、なぎさプランであるとかあるいは何とかプランというそれぞれのプランを持っていますね。そのときに、開発公社に対して土地の先行的な取得を要請をする、要請をするけれども実は代替地がなくてという話がここでしばしば聞かれるのですね。各省間の法律の整合性といいましょうか、あるいは改正部分も含めてというのは、細かい部分まで言えばそこまであるのですね。
小林さん、どうなんでしょう。先ほど大臣がおっしゃったように、土地開発公社が今後日本の国土形成の中で果たす役割というのは、今過疎の県においては若干休眠的な要素もありますね、いわゆる土地のキャピタルゲインというのが余りありませんから。ところが、都市においては土地開発公社の仕事、業務量、それから期待というものは非常に多くなっていると思うのですよ。そうなってきますと、特に土地の高騰という問題と相関連して、農地の転用という問題についてはやはり法律上の制限条項を相当緩和する必要があるのじゃないかと思うのです。
今おっしゃったように、農地は一遍農家の人に買っていただいて、実は私のところはそれをやったのです。私のところは公用地に出したのですが、農地と一緒に買ってもらって云々、こうなってまいりますと大変なんですよ。例えば、国道が拡幅になりまして、ある家が立ち退かされました。代替地が欲しい、代替地を出しました。代替地を出したけれども、例えば農家の家から、これは具体的には私の家なんですが、私の家からその人に代替地を出すのです。今度、代替地を買った人は税金上安くなるのですよ。いわゆる減税されるのですね。しかし、この農家の人が土地を売った場合には、結果的にはこの人に売ったのですから、代替地の代替地ではありますけれども、これには税がかかるのですよね。こういう矛盾がありまして、土地開発公社が先行的に農地を取得することによって代替地がその間でできる、二重の代替用地を必要としないという状況なども生まれてくるのですね。この場合には、この農家の人は、Cという農家は、財産処分上の法的な、公共施設への第三次段階の提供ですから、これも法的な擁護を受けるわけですね。
こういう面から見ると、開発公社の農地の取得、いわゆる農地転換という問題については、おっしゃったように農水省との間で話し合いをしながら事業計画に基づいて、政治的にと言ってはおかしいですけれども、取引の中で話をするより、むしろ立法上きちっとされるということが必要になってくるのじゃないでしょうか。そういう検討をされる必要があるのじゃないでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/24
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025・小林実
○小林(実)政府委員 基本的には御指摘のとおりとは私ども考えておるわけでございますが、農業上の要請ということも全く無視はできないわけでございまして、農地法を所管する農水省には農水省の論理があるわけでございまして、現時点におきましては、農業をやる方について農地を売るということにつきまして最優先という感じでございまして、なるべく弾力的に運用されるようにお願いをせざるを得ないという状況でございます。御指摘の点につきましては、今後とも大きな課題として承った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/25
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026・加藤万吉
○加藤(万)委員 ちょっと答弁には不満ですけれども、今後の課題ではなくて、ひとつ検討してみてくださいよ。確かに農地保存という問題が側面にあるわけですから、私は何が何でもという意味ではなくして、いわゆる公共的用地として必要なものを第三次的に農地を転用していくという場合には、私は一般国民の中でも許容される限度だと思いますから、ひとつその面で法改正上の検討もしていただきたいと思います。
さて、土地開発公社が今土地を先行取得するために長期借入金を行っていますね。長期借入金の状況はどうなっているのでしょうか。できれば公的な金、それから一般市中銀行あるいは信用金庫、農協等、そういう分類があったらちょっと教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/26
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027・小林実
○小林(実)政府委員 六十一年度末でございますが、長期借入金の状況は、総額で二兆八千六百七億でございます。このうち、銀行からは一兆七千七百九十八億、約一兆八千億でございます。それから、相互銀行が八百億、信用金庫等が三千三百十五億、地方団体から借りているものが二千四百九十三億、その他が三千九百四十九億、公営企業金融公庫、政府関係金融機関からは約二百五十億ほどの金を借りております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/27
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028・加藤万吉
○加藤(万)委員 今の数字を多少精査してみますと、二兆八千六百七億のうち、都銀、信用金庫等の合計額は二兆一千九百十三億ですね。全体の借入額の七六%がいわば縁故資金といいましょうか、市中資金と見てよろしいと思うのです。金利はどのくらいになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/28
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029・小林実
○小林(実)政府委員 これもちょっと古い資料で申しわけないのですが、六十二年の一月から三月までで調べてみますと、五%から六%の間のものがほとんどでございます。それから、特に都道府県の開発公社の場合におきましては、設立団体の債務保証を受けますので、その金利につきましては、その都道府県が例えば公社債を発行している場合にはその金利に合わせるように努力されておるようでございまして、地方団体が借りるものと同じか若干高いという状況ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/29
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030・加藤万吉
○加藤(万)委員 最近、金利が下がっていますから、地方団体の借り入れの金利とそう差はないとおっしゃいますが、金利が下がっている今は全体として資金がだぶついている状況ですから現状ではいいと思うのですが、これからこれだけの業務量の拡大をしていくということになりますと、私は必ずしも金利が地方団体の金利とおおむね似通っているというわけにはいかないと思うのですね。むしろ高目になる可能性があると思うのです。
そこで、今地方団体が地方団体独自で土地の取得をする場合には土地の先行取得債が発行できますね。しかし、これは五年の限度で、極めて地方債発行が厳しいですね。先ほど土地開発公社が業務量の拡大、これからもそのニーズは伸びるだろう、私はそういう話をしました。そうなってきますと、だんだん土地開発公社を含めた民間活力を利用したその部分が非常に第三セクター的な要素になってしまって、本来地方団体が行うべき公共的な施設、こういうものがおろそかにされるのではないかという懸念を実は持つわけです。
そこで問題なのが、地方団体自身が例えば地方債による先行取得によってどのようにその土地の確保ができるものだろうか。五年という限度でしか地方債、土地取得債は発行できない。そのことが制限になっているとするならば、それ自身を少し改正する必要があるのではなかろうか。国鉄の場合には十年ですか十五年ですか。いずれにしてもそういう地方団体自身が本来やるべき事業計画というものを第三セクターに移行しよう、そのためには土地開発公社に先行的な土地の取得をさせてそこに民間活力を入れて云々ということになると、本来あるべき地方団体の先行取得としての公共用地の確保、同時に公共施設の設置というものがおろそかになる可能性というのはあるのではないか。しかも、加えて先ほど言いましたように地方団体の場合には政府資金が活用できますから、金利の面でも今度は住民の側にその負担がかぶってくるというものを排除することができるのではないか、こう思うのですがいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/30
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031・小林実
○小林(実)政府委員 地方団体が普通会計におきまして用地費にどのくらいお金を払っているかということを調べてみたわけでございますが、六十一年度決算におきまして投資的経費が約十七兆五千億ございまして、その中での用地取得費の占める割合が二兆七千八百三十八億、約二兆八千億あるわけでございます。地方団体が仕事をします場合に、学校その他につきまして当該年度に事業ができる場合にはそれぞれ起債がございますのでそれで買っていただく。それから、御指摘がございましたように先行取得をする場合には先行取得債がございまして、これは現実には最近の例で言いますと約三千億ぐらいあると思うわけでございます。これはおおむね縁故債でございます。そのほかに四十年代に交付税措置をいたしまして土地開発基金というのを地方団体はそれぞれ持っていまして、これが九千五百億ほどございます。それらをいろいろ活用されましてこの需要に対応しておる、こういうことであろうと思います。
一方、資金を容易に調達できる、あるいは話があったときにすぐ土地を買うことができるということで土地開発公社のメリットがあるわけでございまして、これも毎年一兆円ぐらいの土地買いがあるわけでございます。
地方団体はそれぞれ借金が非常に大きくなってまいっておるものですから、金利につきましては非常に敏感でございまして、それぞれのシステムの中から最も有利な条件の資金を運用されておるわけでございます。私どもそれぞれいろいろ制度がございますので、またその運用に当たりましてはなるべく有利な条件で資金を借り入れて土地を買うような方向に努力をいたしたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/31
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032・加藤万吉
○加藤(万)委員 土地開発公社が土地を先行取得する地方団体のメリットは、おっしゃられたことも一つありますね。ほかにはありませんか。例えば地方団体が地方債、先行取得債によって土地を取得した場合、この場合に補助金の対象にはなりませんね。土地開発公社が土地を買っておきまして、そこで地方団体がある事業計画をつくる、土地開発公社から土地を買う、この場合には補助金の対象になりますね。このメリットはあるのではないですか。この辺はどうお考えでしょうか。
というのは、今言ったように例えば補助金の対象として先行的に地方団体が地方債で取得したものもなるならば、これは交付税がリンクしていますが、ある地方団体が行うべき事業まで開発公社に土地の先行取得を求める必要はないわけです。いわゆる五年間という期間があります。それといま一つは補助金の対象になるかならないかという問題もあります。それから、あなたがおっしゃったように先行的に取得するのは開発公社が早く先行的な取得もできるし、メリットもある、これもあるでしょう。しかし、前段の二つの問題は、地方団体自身が土地の取得をする条件のところを緩和することによって実は可能ではないか、私はこう思っているのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/32
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033・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社につきまして補助金のお話がございまして、開発公社につきましてそのメリットがあることは御指摘のとおりでございます。
それから地方団体におきましても土地開発基金で買った場合、あるいは先行取得で買った場合でも、会計を別にしておきまして、事業を実施するときに補助金はいただける、こういうことにはなっておるわけでございますが、何と申しましても資金調達あるいは土地の売買の話というのは話がまとまったときにすぐお金を払って買うというところが重要でございまして、それに対応するものといたしましては土地開発公社が何といってもメリットがある。地方団体の場合におきましても、それは早く見通しを立てておきまして予算を組むとかいうことをしておけば同じことはできるわけでございます。本来であれば、やはりそれは地方団体それぞれが本来の仕事としてまず土地取得をすべきであるということは御指摘のとおりでございまして、その点は地方におきましてもまず自分で買えるのならそれで行う、それが直ちにできないということで土地開発公社を利用する、こういうことになっているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/33
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034・加藤万吉
○加藤(万)委員 私が言いましたように、それは土地積立基金ですか土地基金ですか、それを使う場合もあるでしょうが、地方債、先行取得債で買い入れて補助金の対象にならない。これは地方団体としては相当メリットのようですよ、土地開発公社なり基金によって買い入れられればそれなりの補助金の対象になる。したがって、先ほどの第三セクターの問題と連動するわけですが、地方団体が本来やるべき仕事がそういう面でもし排除されたとするならば、その基本的ないわゆる地方団体がやるべき方も手厚くしていかないと、ますます第三セクターによる方向に地方団体の事業は流れてしまう、こういう可能性が非常に強いと私は思うのです。
これは今度の土地開発公社の業務の拡大と非常に関連のある問題です。ですから、私はリゾートゾーンをつくったり民間活力をそこに活用して地域の活性化を図ろうということについてはやぶさかではございません。だがしかし、本来あるべき地方団体が提供すべきサービスあるいは福祉あるいは道路その他含めて事業計画というものが、それによってネグレクトされていくということは決して好ましいことではないですから、したがって、そういう面での今言った開発公社へ流れていくものを、本来あるべき姿に戻していくというところに歯どめをかけながら、この開発公社の今度の事業量の拡大という問題については相当慎重を期さなければならぬ、私はこう思うのです。
そこで、今度は開発公社の事業内容が今言いましたような民間活力を利用すると同時に、周辺整備まで入るようになりましたね。土地開発公社がいわゆる周辺整備事業まで含めての仕事ができるようになった。後で資金運用の問題も出ています。いわゆる財政的にこれからは公社債まで含めて他の事業団体と同じように資金活用をしてもよろしい、こういう話が出ていますが、これは少しおきます。周辺整備事業というとどういうことが含まれますか。例えば今度のふるさとづくりという事業計画があります。その事業の中で今度箱物はやらないことになるわけです。たまたまそのふるさと町づくりの中で箱物を民間でつくるといった場合に、その周辺整備事業というのは、土地開発公社が先行取得をする民間の土地の周辺整備事業まで含まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/34
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035・小林実
○小林(実)政府委員 今度拡大いたします事業に関連いたしまして設立をいたしました地方団体から委託を受けまして公共施設あるいは公用施設の整備を行うことができるということにいたしております。これは特に今回の改正によって拡大したというわけではございませんで、従来もこの十七条の一項によりまして、公用地の先行取得をした際に道路とか公園とかいう関連する事業につきまして地方団体の委託を受けまして整備を行うことができるということになっておりまして、今度拡大した部分につきましても同様に地方団体の委託があった場合には公共施設、公用施設の整備を行うことができる、こういうことにしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/35
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036・加藤万吉
○加藤(万)委員 私が言ったでしょう。民間の土地取得まで今度はやるわけでしょう。その周辺整備までやるわけでしょう。そうじゃないのですか。今度は民間活力を利用するために土地開発公社がその土地を先行的に取得してもよろしい、そしてその民間のものを含めた、あるいはその周りに地方団体自身の事業計画があるかもしれませんね、これを含めて周辺整備の事業ができるわけですね。ですから、法律上は周辺整備事業ということは変わってないかもしれませんが、民間の事業団体をそこに含めたということは内容的に随分違ってくるんですよ。そうでしょう。まあ思い出すのは、例えば秋田の例の魁新報ですよ。あのときに擁壁は本来魁新報、何とかというゴルフ場がやるべきものを県の資金を使ってやったから、あれは問題が起きたわけでしょう。そういうことが起きませんか。そういうことを私は懸念をしているわけです。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/36
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037・小林実
○小林(実)政府委員 今度の事業につきましては、地方団体からの要請を受けて行うことができる、こういうことにいたしておりまして、地方団体が要請を行う場合には、例えば観光リゾート地域につきまして整備をする場合には、やはり立派な観光地域にしたいという観点から、ポイントとなる民有地等をまず土地開発公社に頼んで買っていこうというようなことであろうと思うわけです。それから市街地開発事業でございますと、やはりポイントとなる種地を買っておく必要があるであろう、こういうことでございまして、地方団体が要請をする場合には、何でも要請するということではなしに、主体的に考えて土地開発公社が本当にやる必要があるかどうかを慎重に検討されて委嘱をして買ってもらう、こういうことになると思います。
あわせて、公共事業につきまして土地開発公社にやってもらった方がいいという場合には、別条にはなるわけでございますが、今申し上げましたように民間主体の開発事業につきまして道路あるいはその他の公共施設、公用施設の整備もお願いする、こういうことになるわけでございまして、今度の拡大部分につきましての委託につきましては相当慎重に行う必要があると考えておりますが、同様に関連する事業につきましてもいたずらに民間に単に利するということだけであってはならないと考えておりまして、あくまでも秩序のある町づくりあるいは観光開発づくりのため、そういう観点から行われるべきものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/37
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038・加藤万吉
○加藤(万)委員 小林さん、あなたの答弁はそれでいいのです。別に私は不服を言っているんじゃないのです。私が言いたいのは、今までの土地開発公社と地方団体の関係はそれでいいのです。
ところが、先ほどからずっと言っておりますように、各省さまざまなプロジェクト計画があるわけでしょう。そこへもってきて今度は国土形成促進法で多極分散型の都市構造をつくろうというわけでしょう。そこに民間活力を導入しよう、こういうわけですね。そうなってきますと、土地開発公社の任務、業務量というものは地方によって違うと私は思うのです。土地が余り値上がりしていないところは、土地開発公社が買うよりも地方団体が買った方がいいところもあるのですから。しかし、大都市並びに土地価格が非常に高騰しているところは、開発公社に依存する事業自身が非常に多くなるんですよ。こうなってまいりますと、あなたがおっしゃったようにそれは地方団体から委託を受けたものですから云々というだけでは済まなくなるのですよ。
例えば、この部分は提供します、この部分は地方団体としてサービスしますからぜひここに民間活力を導入してもらいたい、リゾートゾーンの中でここには箱物をつくってもらいたい、ここにはスキー場ならスキー場をつくってもらいたい等々の意見が出てくると思うのです。その場合に土地開発公社は、その民間事業計画の中の周辺整備、道路とか下水とかあるいは排水関係、そういうものは一般的に言えばいいでしょう。しかし、先ほど言いましたようにゴルフ場をつくってゴルフ場の擁壁までということになると、これは開発公社がやる事業内容としては少し適当ではない、私はこう思うのです。それだけにそこを実は心配するわけです。ぜひひとつ留意をしていただきたいと思うわけです。
それからいま一つ。従来は地方団体がここは種地に欲しいとか、ここは住宅地域あるいは工業造成地域で欲しい等々あるでしょう。民間の活力を導入するということになりますと、民間からは土地の先行取得をぜひここにもやってほしいという地方団体への要請が出てきます。要請に沿って地方団体は、買ってほしい。ところが、民間のことですから、これはもう採算を度外視しては先行取得はしませんね。近隣整備ができなければ、中の入れ物とか、いわゆる収支が合わなければ民間は事業を開始しません。その事業を開始するまでに、その土地の値上がりが起きると思うのです。よく言うところの、民間の場合には仮需要をもって土地の先行取得を土地開発公社に行わせる、こういう事態さえ起きかねないと私は思います。
どうでしょうか。もし私があるリゾート会社の社長だったら、ここのリゾートはすばらしいぞ、これからどんどん発展すると思って、土地開発公社にひとつ買っておいてくれないか、地方団体は坪十万円ぐらいで買うけれども、おれのところは十五万円で買うから、どうだ買ってくれないか。こういう状況が仮需要として起きる可能性がある。そうしますと、あそこの土地は民間の人は十五万円で買うのに地方団体は十万円だ、したがってそれはもっとつり上げてしかるべきじゃないか、地方団体も十三万円ぐらいで買ってくれないか、こういう形で、土地の騰貴をこの条件の中で引き起こす可能性が若干考えられるのです。いわゆる民間の仮需要をどこで抑え、同時に今起きている人口過密地域の開発計画の中における土地高騰の問題を、もしこの法案によって拡大することによって一つでも火をつけるということになれば、この法案は害あって益なしということになってくるわけですね。この辺についてはどういう指導をされようとしているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/38
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039・小林実
○小林(実)政府委員 前段お話がございました点につきましては、一番最初に申し上げましたように民間が事業主体となる事業分野にまで業務を拡大するわけでございまして、そういう観点から法律上も地方団体の要請を待って行うことができる、こういうことにいたしておるわけでございまして、御指摘の懸念が生じないように努力をいたしたいと思います。
それから、現実にこの民間の仮需要に応じて地価の上昇を招くおそれがあるのではないか、こういうお話でございます。要請をする際には、先ほどお話ししたように、繰り返しになりますけれども、全体の整備計画を恐らく県等はしっかり握っておると思いますから、その中で開発公社が乗り出すのが整備のために本当に資するかどうか、それから事業の円滑のために開発公社によって用地取得することが本当に必要かどうかということをきちっと見きわめる必要があるわけでございます。仮にも地価上昇を招くような運用がなされてはいけないわけでございまして、私どもはむしろ地価の上昇を事前防止するといいますか、極力抑制をするという方向で運用されるように指導してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/39
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040・加藤万吉
○加藤(万)委員 それでは最後に、大臣、今度の開発公社の土地の先行取得という課題は、先ほど言いましたように、自治省で言えばふるさとづくりのための地方団体が計画する事業のための先行取得、あるいは先ほどの各省が持っておるプロジェクト計画の先行取得、さらには四全総という立場から見て地方都市の分散化、例えばそれに官庁の移動等も含めて、私は相当大規模なものが各省の集積をされたものとして地方団体が受けとめるという状況が起きると思うのです。ということは、一つの事業計画があるところに一点ぽつんとあるだけではなくて、その周りにテレトピア計画があり、グリーン何とか計画があり、ふるさとづくりの計画があり、同時にまた周りにリゾートゾーンができる、そういう事業計画になると思う。また、そうなっていかなければ本当の意味の地域分散型にならないと思うのですね。そうしますと、そこにおける政治的な調整というものが非常に大事になります。
同時に、今具体的な行政指導の面では、土地開発公社の業務量が、そういう意味では期待されるものが非常に大きくなってくると思うのです。私は、なってもいいと思うのです。そのかわりに、なった以上は地方団体が余り第三セクター的なものに移行すること、そこを抑えていくということと、いま一つは、それ自身が何か次の、その地域における土地の高騰の問題だとか土地活用の問題について障害にならないように、そういうことを考えていきますと、先ほどの話ではございませんが、大臣間の政治的な調整が非常に重要になってくる。
大臣、ここはひとつ閣議でもあるいは関係大臣間でもいいですから話をしていただいて、この開発公社をこれからどう活用するかという問題も含めて、その位置づけあるいはその役割、さらにはその地域の開発に対する政治的な調整、こういうものをぜひ閣議あるいは関係閣僚間でお話をしていただいて、この法案ができましても心配がない、同時にまた地方開発公社も、そういう国家的な任務をおれたちは背負っているのかという生きがいを感じながら仕事ができる道をぜひつくっていただきたい、私はこうお願いをいたしたいと思うのですが、大臣の決意をお聞きしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/40
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041・梶山静六
○梶山国務大臣 大変ありがたい御提言をちょうだいをいたしまして、まことにありがとうございます。
まず第一点でございますが、土地開発公社、これが第三セクターというか、それぞれの自治体の意向から離れてひとり歩きをしないように、これは何よりも大切なことでございますし、各都道府県や政令都市、市町村、それぞれの地方理事者がその役職員になっているという現実からも、この問題は防圧ができると思います。
ただ、この土地開発公社の利益と申しますか、これは法律や条例にある程度拘束性が薄いことと、資金調達が楽なことと、それから先ほど言われたような幾つかのメリットがあるわけでございますから、長期の計画を組むためには、今の地方自治体の弱点をカバーする意味で、極めて大切な分野である。そして今までの反省をひっくるめて、土地事業というか公有地の拡大、こういう問題が、いわば民間の開発の周辺にまでというか、そのサイドをフォローすることによってこれからの地域開発がうまくいくということがあれば、この拡充強化をすることは当然であります。
それから、先ほどお話のありました第二点、これに仮需要が起きて土地の高騰につながっていいのかどうなのかという問題でございますが、私はさほど心配をいたしません。と申しますのは、確かに大都市の地価高騰、目に余るものがございますが、現実にそういう地方のリゾート志向地域なりそういうものを考えますと、例えば時価が十万円だとしても、現実にそういう売買が、需要が起きていないわけでありますから行われておりません。例えば、今買えば十万円であろうという推定でございます。それが民間企業が行けば必ず、商売からいうと十五万で買ってもいいんだということになりますと、そこにそういう仮需要が起きますから十三万ということになりますと、私は地価高騰を歓迎するという意味ではございませんが、その土地の価格が上昇することでありますから、その地域の価値が高まることになるわけでございますから、現実にそれによって採算が合うならば十三万で開発公社が買って、そしてその周辺全部の開発し得る地域をフォローすることができれば、それがやがて十五万になることも可能でございましょうし、それがその周辺に悪影響を及ぼすかどうかというと、私はむしろそうではない、その地方の活力を増すゆえんにもつながるのではないかと思います。地価の異常な高騰は拒否すべきであるし、またさせてはいけませんけれども、大都市と地方のいわば土地価格に余りにも落差が大きいことをむしろ私は心配をする一人でございますから、地方に活力がない価値がないということではなくて、地方に活力なり価値が出る体制を組むことの方が必要だと思います。
そういうことで、今加藤委員御指摘のように、最終的にはそういうものを行う地方の意欲が極めて大切でございますが、中央からのいろいろな仕事やその他を総合調整をしなければならない段階が必ず出てまいると思います。私は、一義的には地方団体、特にそのパイロット的な役割を果たす都道府県あるいは政令都市が、その精力を注入をして独自性、創意工夫性、こういうものを生かしてやる、それを我々自治省側が、地方の意見や苦悩を酌み取って各省庁間の総合調整をやっていかなければならない段階が必ず来ることを予測をいたしますし、その際は敢然と総合調整の役割の主唱者になって、これからの進展に備えてまいりたいと考えております。
〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/41
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042・加藤万吉
○加藤(万)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/42
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043・岡島正之
○岡島委員長 代理 安田修三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/43
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044・安田修三
○安田委員 続きまして、加藤委員の残余は私の方でいただいておりますので、質問を私の方から続行いたします。
そこで、土地開発公社は地方自治体と一体のものという位置づけで今日までなされておりますし、将来もそうでございましょうが、そこでそういう関係から、その職員も、出向者、中に退職してそこに出ていらっしゃるという出向の形式、兼任というような形、いろいろな形態があるようでございますが、そういう府県職員との、私からすれば兼任者が多いようでございます。
そこで、私はもっと多いかなと思ったのですが、自治省からいただいた資料によれば、全体、常勤、役職員、プロパーの比率を出していただきたい、こう言ったところが、職員で四五・九%。そのうち本法の、直接今拡大適用するための対象となる都道府県、政令都市、そのうち都道府県の場合にはプロパーの職員が六二・六というので、もうちょっと少ないかなと思ったのです。しかし、プロパーといっても、あるいは形式上は退職してそしてプロパーの職員になっておる、しかしそれをまた退職を解いて本務に復帰するという形式もございますから、この数字で、本来の土地開発公社の職員でもう都道府県の本庁には全然入らない、こういう人だけかどうかというのは私もちょっと疑問なんですが、審議官の方でわかればそれも言ってもらいたいと思いますが、段差が非常にあると私は思うのです。
いろいろと私の知っておるところでも、大きいところはこれは理事長から、既に立派な例えば都道府県で言えば副知事クラスの人を専任の理事長にして運営していらっしゃるところ、それから小さいところの方は、これは小さいというよりもそういう先行取得その他の需要の余りないようなところ、そんなところは三役クラスの人を理事長ということで、これはほかにお任せというようなところ、いろいろな形態がございますので、そこら辺がちょっとどういうことになっておりますか、お聞きしておきたいところでございます。
そこで、まず職員を兼務者、出向あるいは退職をしてそこに出しておる、いろいろな形態ありますが、いずれにしても土地開発公社に都道府県から職員を出している場合に、さて本体の方の職員定数はどういうことになるのだろうか。これを私ちょっと疑問に思っておるのですが、例えばどこどこの県は五千名の定員である、ところが土地開発公社に五十名今出向で出しておる。その場合にそこの県は五千名の定員から五十名分を引いて、そしてその分だけ職員を補充して業務をやってもいいのかどうか。ところが実態はそうではなさそうなので、そこら辺をちょっと聞きたいのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/44
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045・芦尾長司
○芦尾政府委員 土地開発公社等外郭団体への出向者の定数条例上の扱いでございますけれども、おっしゃいましたように地方公共団体によって異なるところもあるわけで、一概に言うことはできませんが、都道府県、指定都市等は一般的に休職扱いといたしまして、また条例と別枠ということで規定いたしまして、定数外というふうにいたしております。
ただ、地方団体の中には定数内に含めて運用しておるというところもあるわけでございますが、この場合、出向者の数につきましてはその必要性を十分に慎重に検討の上決定をしていると思います。また、これを念頭に置いて定数条例の運用もなされておるものと考えておりますし、またそうでなければならないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/45
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046・安田修三
○安田委員 公務員部長、さばさばとおっしゃっておられたけれども、ちょっとよくわからないのです。政令都市の場合は定数外ということで扱っている、これは極めて明確な話で結構でございます。
さてそこで、そこら辺をよく見きわめてというのですが、自治省としては一体どういう方向が望ましいのですか。これは自治省から押しつけをしようという意味ではなくて、地方自治団体の場合に、皆さんからすれば定数と給与というのはここ地方行革以来随分厳しかったのですね。地方にすれば、もう今や御存じのように職員定数一名ふやすのさえ皆さんの顔色を見てぴりぴりしております。また、事実一生懸命我慢してふやさないようにしております。
ところが、土地開発公社に何十名か出ておる。今度は業務が拡大してくるという場合に、さてどうなんだろうか。従来は、例えば登記職員なんか、これは去年登記事務のことでは自治省の方は通達で削除をされたようでありますが、いろいろとごたごたを起こしておった自治体も実はございました。そこの自治体職員でない、嘱託登記職員という形にして土地開発公社の臨時なりそういう人を使っておるということで、いろいろと問題を起こしておったところもございます。
定数問題が絡むからそういうようなこともできるのだろうと私は思いますが、そこら辺は公務員部としてはどうあるべきか。例えば、そういう場合は本務の定数はきちっと確保しなさい、土地開発公社の場合は定数外としてそれをやりなさい、これが正しいのだ、だがその間いろいろとその事情については勘案して弾力的にやれとか、そこら辺はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/46
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047・芦尾長司
○芦尾政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、地方団体によりましては、外郭団体に出向する形式でございますとか、業務の内容でございますとかまたその期間でございますとか、そういうことでいろいろ千差万別であろうと思います。しかし私どもといたしましては、定数条例を定めておるということからも、またそういうことで議会ひいては住民にもそういうことを明らかにしていくということからも、定数を外に置くか中に置くかはともかくといたしましても、対象外となる職員の範囲というものは何らかの意味で明らかにしておかなければならないというふうに考えておりますし、それが適切であろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/47
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048・安田修三
○安田委員 そうしますと、本庁、出先合わせた、外郭団体以外の職員が仮に五千名だった。そこで、たまたまそこの自治体が外郭団体関係に出向させる職員が百名いた。そういう位置づけを明らかにして定数条例として五千百名、こういう場合はいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/48
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049・芦尾長司
○芦尾政府委員 もう一度申し上げますと、県によりましては、本庁の定数はこれだけでございます、しかしこの中には休職とかそれから出向先のところが団体で経費を持つということでその部分は別にしてありますというように明記した条例をつくっておるところもあります。
それからまた場合によっては、本庁の定数はこれだけです、しかしそれ以外の出向している団体の定数はこれだけですというふうな書き方で明確にしておるところもあるわけでございますが、いずれにしても私どもとしてはそういうような形で明らかにしておくことが望ましいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/49
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050・安田修三
○安田委員 そういうぐあいになっておった場合、地方交付税の関係の算入はどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/50
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051・小林実
○小林(実)政府委員 地方交付税におきましては、職員数を測定単位にしておるものはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/51
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052・安田修三
○安田委員 職員定数を測定単位にしていない、そんなことはないでしょう。職員定数は測定単位にみんな入っていますから。だから、その定数がどの部門に入るかによって交付税の測定単位が違ってきますから、私はそれを聞いておるのですよ。もしわからなければ専門の方で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/52
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053・小林実
○小林(実)政府委員 警察官とか教員につきましてははっきりその測定単位で使っておりますが、一般職員につきまして、現実におるかおらないか、それを測定単位にしているものは余りないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/53
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054・安田修三
○安田委員 そうしたら、仮に今の場合は土地開発公社はどういう部門に入るのか、あるいは全然別個の――とにかく入らない、こういうことですね。わかりました。
さてそこで、土地開発公社というのはこういうぐあいに業務の位置づけというのがだんだん広くなってくるものですから、そこで職務に専念し得るプロパーの職員というのは極めて大切でないだろうかと考えてみますと、理事長さんが府県の三役クラスで大方は非常勤、職員は大体二年か三年で本庁との間を行ったり来たりで、言うなれば腰かけ茶屋みたいなと言うとちょっと変ですが、そういうことになりがちで、本庁の職務と違ってこの場合は、こういう土地取得だとかその他今度は管理部面でも拡大されますので、どちらかというと経営的な要素も入ってくる。今のようなやり方ですと、土地開発公社の機構そのものの中に運営上も緊張関係がございませんので、業務運営上きちんとした方針とか効率的運営という面については欠ける嫌いがあるのではないだろうか。
これも多少規模の大小によります。例えば土地需要、いろいろな先行取得をばりばりやって、そこに一つのプランが流れているから先行取得があるということなんでしょうが、絶えず運営に活の入っているところという場合はそれなりの行き方があるのでしょうが、そうでないところはいろいろと問題が出ているところもあるように私また見ているわけでございます。そういう点で、土地開発公社の場合には、プロパーの職員を置いて、そしてそれなりに専門的な知識を取得しながら運営に当たらせるということがいいのではなかろうかと思うのですけれども、どうでしょうか。
〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/54
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055・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社の仕事は土地の取得でございますから、仕事が臨時的にふえる場合がございます。それから余り仕事がないという場合もあるわけでございます。先ほどプロパーの職員の比率についてのお話がございましたが、府県がつくっております土地開発公社の場合は、恒常的に仕事があるものですからプロパーが比較的多い。市町村の場合には比較的少ないということになっておるわけでございます。
一方開発公社は地方団体の分身的な性格がございまして、仕事の内容が設立団体と緊密な関係がございます。その面で円滑な業務運営が必要でございまして、地方団体の方から人も来ていただくことが必要でございます。基本的には、事業量を勘案して過大な職員を抱えてしまうということのないようにすることが大切であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/55
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056・安田修三
○安田委員 こんなところで過大な職員を抱えてしまってはにっちもさっちもいかなくなるので、それはまあ当然そうでございますが、ただ府県職員との兼任者が大方というようなところもあるわけですから、そういうのはどうもいただけないのじゃなかろうか。やはり小さくとも何十人かおる土地開発公社でございますから、それなりの専門の人というのが必要なのではないだろうか、こう思うので、そういう点は皆さんの方でも検討しておかれた方がいいのではなかろうかと私は思います。
さて、今度の改正による土地開発公社の経理基準要綱に定める土地開発公社の業務上の取り扱いでございます。
今、土地開発公社の業務というのは一つに公有地取得の事業、それから二つ目には土地造成事業、三つ目には受託等事業、こういう三つの事業分類、業務分類になっておりますね。さらに、土地開発公社の取り扱う土地の業務の分類ということで、土地分類の場合には一つは公有用地及び代行用地、二つ目には完成土地及び未成土地、こういうぐあいに分類してあります。皆さんがせっかく土地開発公社経理基準要綱というのをまとめ上げて一定の経理の基準の枠をつくってきておるわけでありますので、今度施設整備の関係も入ってきますし、そういう点では今度の改正によりましてここら辺はどういうぐあいに変わってくるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/56
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057・小林実
○小林(実)政府委員 具体的に経理基準要綱をどのように改正するかはまだ決めておらないわけでございますが、新しく拡大いたします業務と既存の業務につきましては、経理上はっきり明確に区分できるように措置をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/57
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058・安田修三
○安田委員 そこで、今度の改正によって業務の量というのはふえてくるのじゃないだろうか。これは都会地はもちろんのこと、それから地方の場合でも、言うなれば皆さんの場合も、今度はリゾート区域の先行取得ということもこの中の目玉に入っておりますから、そういう点では競って各地から、地域政策づくりをしながら、そして今度の総合保養地域の問題ではそれぞれみんなアドバルーンを上げておりますので、こういう仕事の量はふえるのではなかろうかと思うのです。
そこで、先行取得の必要な用地面積というものも従来よりもスケールが大きくなってくるのではないだろうか。スケールが大きくなればこそ皆さんもこの種の改正が必要になってきたのではなかろうかとは思うのでございますが、さて、そういう点相当スケールが大きくなるなと考えていいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/58
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059・小林実
○小林(実)政府委員 今度の拡大によりまして具体的にどの程度の規模のものが買われるかというのは特段推計はしておらないわけでございます。しかし、一般的には観光リゾート地域の場合には面積が大きいところ、それから市街地開発事業のところにつきましては、面積は小さいでしょうけれども事業費といたしましては金額はかさばるというものが出てくるであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/59
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060・安田修三
○安田委員 というのは、例えば従来の、道路をつけるために先行取得をしたとか、あるいは宅地造成をするために一地域の開発をして取得をしたとかという場合と違って、リゾート地域やあるいはまた今度の市街地の開発整備ということになってまいりますと、面積はかなり広大なものでなければ到底間に合わないということになりますし、私はそういう点を予測して言っておるわけです。それがいいとか悪いとかという問題じゃないのです。それくらいのスケールの大きいものを土地開発公社はやり得るのだろうかということを実は私は聞きたくて言っているわけなんです。
例えば今までだったら何へクタール、何十ヘクタールというものが、今度の場合は場合によったらそれのさらに何倍もスケールの大きいものをどんと取得するということも、これはもちろん皆さんがやれという意味じゃなくして、今度の場合は地方の場合にそういうことをやってもいいんだ。今の場合は宅地とか道路とかあるいは河川敷地とか、そんなものは従来限られておるものですから、幾ら取得しても、もうわかり切った面積ですね。今までは面的なものはせいぜい宅地造成くらいで、線的なものが多かった。ところが、今度の場合は面的なものが取得でき得るというように法改正でねらいを変えた。そういう点からすると非常に大きいものも取得できるのじゃないか。だから皆さんの方では、いや自治体はもう思い切ってそういう点では大きい取得もしていいのですよということになるのですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/60
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061・小林実
○小林(実)政府委員 今度の事業は民間事業主体のものですから、開発公社が買いましたものはやはり民間に売るということが主体になり得るわけでございまして、その辺のところを見きわめながら対応しなければいけないわけでございます。やはり開発公社の人的あるいは経理的能力を超えてはならないというふうに考えますし、ひいてはその設立団体におきましても、要請する場合につきましては、ある程度リスクを伴う事業でございますので、その面からする制約というものはあろうかと思うのです。ですから、物すごく大きなものというのは果たして出てくるかどうかまだ何とも言えないわけでございますけれども、そうした面からの制約がありますので、余り御心配いただくことはないという感じは持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/61
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062・安田修三
○安田委員 さてそこで、関連公共・公用施設という言葉が出ておるわけです。これは皆さんの場合もいろいろ項によって定義が若干違ってくるようでございますので、この関連公共・公用施設、これはどういうものが含まれるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/62
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063・小林実
○小林(実)政府委員 代表的なものといたしましては、道路、河川とか、都市公園とか、上下水道等ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/63
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064・安田修三
○安田委員 皆さんの場合には、関連公用施設、まあ公用施設の場合は公共団体が使用する施設でございますからはっきりしておりますが、関連公共というのは、まあ公共施設という場合は土地収用法の第三条に書いておる各号の施設を参考にせいという通達などからいたしますと、私数えてみましたら三十五やら書いてあります。とにかく随分あります。
私なぜこんなことを聞いておるかといいますと、関連公共、その場合に今度はリゾート区域からいろいろなものにそういうぐあいに範囲が広がるために、ここらあたりのことで後からいろいろとまたトラブルが出てくる、あるいは出てくる懸念があればあらかじめ議論していった方がいいということでお聞きしたわけですが、極めて簡単な本当の公共施設しか今おっしゃらないので、道路とか河川程度でしたら極めてわかり切ったことでございますから、皆さんの方もまだまだいろいろな思いはあるのでしょうけれども。
それはそれとして、私はそういうことから次のことに関連して言いますと、そこで、民間に土地処分等した場合に、今の関連公共、まあ公用施設の場合はこれは別にして、そういう関係の施設整備をした、そういうものの開発関係費用というものは原価計算の中に含まれていくのかどうか、こういう点ひとつお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/64
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065・小林実
○小林(実)政府委員 新規業務として先行取得した土地につきましては、原則として取得原価で処分することになります。これは地方団体の要請を受けて行うわけでございます。
一方、御質問の関連公共・公用施設、この範囲も、地方団体の委託を受けて行うわけでございまして、本来地方団体が行うべき仕事の範囲に限られておるわけでございますので、どんどん広がるという心配はないと思います。その経費につきましては、地方団体の委託に基づいて行われるものでございますから、その費用はやはり原則として地方団体によって支払われる、こういうことになるわけでございます。
そこで、新しい業務として取得した土地を処分する場合の価格につきましては、関連公共・公用施設の経費につきましては、これもやはり原則として含まれない、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/65
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066・安田修三
○安田委員 そうすると、私そこら辺がちょっとわからないのですけれども、例えばどこかの業者が一定地域を大規模に何百ヘクタールを開発許可を受けて開発したということになれば、そこにつけた道路それから用水路というような、いわゆるその土地が活用できるためのいろんな施設経費等、全部売却代金の中に入れて原価計算して、そして売るわけですね。それから、仮に住宅供給公社が土地開発をして宅地をつくった場合も、取りつけの公共道路というものはこれはもちろん都道府県なりあるいはそこの当該市町村が公共事業でつけるというケースはありますが、しかし中の公園用地とかその他も全体の中にかかっているわけですね。
ところが今度の場合は、例えばその地域が山村であった。リゾート地域に変貌して、そしていろんな施設ができて、そのたびに土地価格も将来上がるでしょう、交通の便もよくなるということもあるでしょう。そこで、開発された土地がその取得した原価に造成費をつけたもので売られたとする。そこにつけられた道路、河川その他のものは、理屈の上では今審議官おっしゃるように、そこの自治体が土地開発公社に取得させて、自治体が公共事業なんかでやったということになるものだから、全部別に分かれるわけですが、これは全然開発費には入ってこない。ちょっと私割り切れぬところがあるのです。
普通の住宅供給公社その他あるいは民間業者がやる場合に、そういうものは全部かかっていく。ところが、この方式でいきますと、土地開発公社、おまえのところは土地の先行取得だけだ、これは道路の先行取得だけやれ。道路の方は、そこの県なら県に、はい先行しましたからと言ってお渡しする、県は道路をつくる。公社はその区域の用地だけを整備する、そしてその用地造成費だけをつけて売り渡す。そうしますと、そこがさっきの値上がり問答、大臣もやっておられましたが、坪二、三千円のところが一躍十万円ほどの単価に売られるようなところになっているものが、造成費合わせて大体二倍になりますから、二千円のものが四千円ほどで売られていく、住民としてはどうも割り切れぬ、こうなるものですから、私は、このあたりの処理というのは、これはどういうのが適当なんだろうかな、こう思うのです。ちょっと審議官、どうでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/66
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067・小林実
○小林(実)政府委員 建前といいますか原則は先ほど申し上げたとおりでございます。ケースケースによって変わってくると思います。今お話しのようなことで、リゾート地で土地がよく売れる見込みがあるという場合には、むしろ事業主体で道路とか公園とかを整備していただく、それの負担に応じてやっていただいて売っていただく、こういうことになろうかと思うのです。
地方団体がそういう事業を委託するというものにつきましては、そういうケースは、むしろそういうものを地方団体の委託によりましてやらせないと土地も売れないというようなケースではなかろうかと思うわけです。現実には従来も、例えば区画整理事業で申し上げますと組合施行というのがございます。その場合にも、道路部分につきましては補助金ももらい、それから道路部分につきましては地方団体からも負担をいただいて行っておるというケースもございまして、そこには税負担というものが入っているわけでございます。原則は最初に申し上げたとおりでございまして、ケースケースによって地方団体の対応が変わってくるのではなかろうか、それで適切に対応されるのではなかろうか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/67
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068・安田修三
○安田委員 そこら辺は私、何も高く取れというつもりじゃございませんけれども、住民感情と税負担している人たちとの関係がございますので、ぜひそこら辺はだれが見てもそうだなと。そうしないと、またあれはうまいことやっておって、どこかに資金でも流れておるんじゃなかろうかといううわさの種になりがちでございますし、そういうことのないように、やはり今おっしゃったケース・バイ・ケースでやられるんでしたら、皆さんも通達その他出されるのでございましょうから、そこらあたりはぜひひとつきっちりやっていただきたい、こう思います。
さて、五十一年度以前幾ら土地開発公社で持っておるかという面積は先ほど加藤委員が質問されたとおりでございますが、そのうち近いところのものは、いろいろな計画の変更やらあるいはまた多少経済の変動もございましたものですから、やむを得ない。これはしようがないと思うのですが、五十一年度以前、言うなれば今から十二年前に取得されたもので、そして皆さんのアンケート調査によれば、これから処分したいという土地が二千三百九十ヘクタールもあるわけですね。
さて、どうしてこのようにたくさん五十一年度以前の、十数年というともう一昔以上たっている、その間寝させてある土地というのがあるんだろうか。これは自治省の方で何かわかりますか、どうしてこんなにたくさん昔のものがあるか。最近のはいいですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/68
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069・小林実
○小林(実)政府委員 古いものと新しいものの区分けをしての原因調査はしていないのですけれども、アンケート調査によりますと、長期にわたって保有いたしております原因といたしましては、一番大きいのは事業計画の延期によるものでございまして全体の四七・三%、それから類似のものといたしまして、事業計画の変更または廃止をしたものというのが一〇%程度あるわけでございます。それから事業計画で期待した需要が発生しなかったことによるものというのが二六・六%というようなことになっておりまして、事業計画の延期、変更等で約三分の二、その他需要が発生しなかったものというので四分の一ぐらいというのが原因になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/69
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070・安田修三
○安田委員 さてそこで、皆さんの方で今度は土地の外部管理委託もやっていい、こういうことにした。これはプロジェクトがつくられたところの建議に基づいて、去年十月二十二日付で建設、自治省から「土地開発公社の業務について」の通達を出して、そして土地の外部管理委託をやってもいい、こういうことにやられたわけです。外部管理委託も悪くはないですが、先ほどからいろいろ議論しておりますように、土地開発公社の今の経営組織のあり方というものが非常に微弱であるという今日においては、どうも問題が起きやすいんじゃないだろうか、はらみやすいんじゃないだろうか、私はこういう気がするのでございますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/70
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071・小林実
○小林(実)政府委員 従来も開発公社の保有地につきましては、保有コストの低減を図る上で用途に供するまでの間有効利用を図るように指導をしてまいっておるわけでございます。
今回、通達によりまして外部への管理委託も述べておるわけでございますけれども、管理に要する要員の確保が公社としては不要となるわけでございまして、そういう意味で有効利用促進の対策の一つとして位置づけておるわけでございます。ただ、その場合にも賃貸等の内容、期間によりましては、土地の最終的な利用の妨げになることがあり得るわけでございまして、そういうことのないように注意していただく、あるいは賃貸の目的につきましても、いたずらに社会的批判を招くものにならないよう配慮してもらいたいと考えておるわけでございまして、この辺はその運用の適切を期しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/71
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072・安田修三
○安田委員 そこで、今審議官おっしゃった「いたずらに社会的批判を招くものにならないよう配慮すること。」こういうぐあいに皆さんの方で細かく通達を出していらっしゃるわけですが、「賃貸等の目的は、必ずしも公共的なものに限定する必要はないが、土地開発公社の保有地の活用方策として、いたずらに社会的批判を招くものにならないよう配慮すること。」それで、「公共的なものに限定する必要はないが、」この場合の公共的の範囲、それから「いたずらに社会的批判を招く」という、この範疇。役所の方では案外細かくいろいろと考えていらっしゃるものだから、皆さんの考えていらっしゃるのは大体どんなことなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/72
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073・小林実
○小林(実)政府委員 公共的というのは、公園、広場等当該施設が不特定多数の住民の用に供し得るものという趣旨でございまして、この通達の趣旨は、賃貸等の目的については必ずしもそのような施設に限定する必要はない、こういう趣旨で出したわけでございます。
それから、いたずらに社会的批判を招くことのないようというのはどういう意味かということでございますが、公社が取得した土地でありますから、それである以上それにふさわしくない用途に使ってもらっては困るわけでございまして、例えば公序良俗に反するような利用法は行ってはならないという意味でございます。
〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/73
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074・安田修三
○安田委員 そこで、皆さんの政策課の方から出ている別通達では「他の法令や公序良俗に反しないこと。」こういうことになっているわけですね。そして前段は「極力住民の福祉の向上に役立つものとなるよう努める」、初めからクロならクロということをやればこれはだめだぞ、こうなるものですから、だれにでも悪いとずばりわかってしまうものだから問題は起きないのです。ところが、悪いことをしようという人に限って、先日も知能犯とかなんとかという話が出ておりましたが、そういう極めて知恵の回ったずるいことをやる人はシロかクロかわからぬすれすれのことをやるものですから、後から問題を起こすわけです。初めからわかっておれば問題は起きないわけです。
そこで、余りいい例でないかもしれませんが、たまたま遊休用地があった。周辺に農村があって、工場の方にも勤めて、働く一方のまじめなところであった。たまたまその遊休用地を福祉向上のためということでゴルフ場にした。今では国民みんなゴルフをするのじゃなかろうかと言われるような世の中ですから、福祉向上、体位向上でいいのじゃないかと思ったところ、そういうまじめな気風のところでは、わしらが昼、仕事をしておるときにゴルフをやるような施設をつくったということは、公序良俗とまでは言わぬでも、これはおかしいじゃないかといって土地開発公社にかみつくという現象が起きた。さて、どちらが正しいか。ゴルフが悪いか悪くないかという議論をやるようなことになったら変なことになってしまうのですが、今の世の中にそれはおかしいじゃないか、そんなことを言うやつがどこにあるかということで議論が発展しないことになる。では、だれかが借りてそこにモーテルでも建てるということになれば、それは一発で皆さんの方が、おかしい、そんなものに貸すことはできぬ、こうなるのですが、スポーツ施設をつくりますということでたまたまそういうぐあいに転用していったという場合に、さてそういう場合はどうなのだろうか。そういうことが農村部その他まじめなところに間々起きやすい。
皆さん御存じのように、最近はモーテルと言わなくて、みんなビジネスホテルから転化しまして、あっちこっちで問題が起きているのは、ビジネスホテルを建てますと言うものだから、そうかなといって土地を売ったところ、つくりを見ているとどうもビジネスホテルではなさそうだ。しかし、許可はみんなビジネスホテル、普通のホテルで取っていらっしゃる。住民は、それはビジネスホテルではないじゃないか、実際の目的はラブホテルじゃないかといって建設反対をやる。ところが、規制の枠がないものですから、住民と施工の主体で解決しているケースが結構あるのです。これなんかは、売った人も後から、あれなら土地を売らぬ方がよかった、しかしホテルだと言うものだから。いや、ホテルには間違いない、ちゃんと普通のホテルの許可を取っているのですから。ところが、随分変なところに建ったと思ったら、何だ、こんなことだったかというようなケースがあっちこっちにあるのでございます。知恵の回る人というのはそういうことがあるのですね。
そこで皆さんに、公共だとか、いたずらに社会的批判だとかということをお聞きしておるわけです。自治省政策課の方では「他の法令や公序良俗に反しないこと。」ということでさらに具体的に書いていらっしゃるけれども、今言ったような場合もあるので、皆さんはどういう点を例示されるのだろうか。これは別に自治体に押しつける必要はないけれども、そういう点はどのようにやられるのだろうかということで、お聞きしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/74
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075・小林実
○小林(実)政府委員 この問題は、現在保有している土地を売るまでの間の利用の問題でございますから、内容と期間両方から制約が出てくると思うわけです。
いろいろ御指摘がございましたが、これは社会通念上判断していただく以外にないと思います。昔であればゴルフ練習場はぐあいが悪いということだったかもしれませんが、今日ではむしろ歓迎されるかもしれませんし、そこは期間と内容で制約されてまいりますので、そうおかしな利用にはならないのじゃないか。そういうふうに利用されてはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/75
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076・安田修三
○安田委員 そこで、土地開発公社活性化委員会報告書には、活用方法として「公益的なものに限定する必要は無いが、」として以下同じような指摘をしておるわけでありますが、この中に「具体的手続きとしては、事前に設立団体の意見を聴くほか、必要に応じて、旧地権者の理解を得るよう努めること。」こういうぐあいに載せておるわけであります。「旧地権者の理解を得るよう努める」というのが報告書にあるのですが、皆さんの通達の場合には別段そういうことは言っていらっしゃらないわけですけれども、どうなのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/76
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077・小林実
○小林(実)政府委員 通達におきましては、基本的な問題点を特記いたしまして指導しようということでお知らせしたわけでございます。
報告書の中におきましても、必要に応じて旧地権者の意見を聞く云々、こういうふうに書いてございまして、土地開発公社の方で、当該用地買収の際の経緯等がありますから、旧地権者の意向を尊重しなければいけないというときには恐らく御意見も聞くであろうし、その辺のところは公社の方で対応してくれるであろうということで、通達の方では基本的な部分だけを書いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/77
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078・安田修三
○安田委員 せっかく皆さんが片方では社会的批判を招くことのないように、さらにそれを具体的に「他の法令や公序良俗に反しないこと。」といって枠をつけたりしておるのですから、そうすれば役所のおっしゃることというのは、地方団体にしますと一つ一つ条文解釈をやるようなもので、どこがどうかということをいろいろ気をつけておるわけですから、そういう土地がしばらくずばり本来の目的に使われないで他に活用しておるという場合には、やはり旧地権者の理解を得るように協議をした方がいいと私は思うのですよ、そうしないと不信感が出ますので。せっかくの農地あるいは畑、あるいは山林でもいいですが、それを手放して、そしてそれが別のところにしばらくでも使われるという場合にいろいろと問題が起きるわけですから、やはり旧地権者の理解を得るような、そういうことは通達で出した方がいいと私は思います。
そして皆さんの場合にも、別にテクニックでいろいろやられたわけじゃないでしょうけれども、例えば「信託する場合には、その性質に鑑み、予め当局と十分協議されたいこと。」とか、あるいは先買い以外の土地の処分、公共施設についても、「事業の実施にあたっては、設立団体と十分協議のうえ行うこと。」とか、いろいろとこういうぐあいに設立団体と協議せい、当局と協議せいという枠組みなり、くい打ちというのはちゃんとあるのです。
今の場合は、別に意図的に旧地権者との協議を取られたとは私は思いませんけれども、こういうぐあいに一つ一つ細かく入ってみますと、嫌なもので、じゃこの場合はそうでないのか、どうしてもそうなるわけですよね。ですから、この場合は当局と協議せい、これはしなくてもいいのか、この場合は設立団体と十分協議せい、これは書いてないからまあまあ、お伺いは立てるにしても協議しなくてもいいな、やはりこういう判断になりがちでございます。これほどまでに細かく、それぞれの通達を幾つか見ますとそう出ておりますので、そうすればやはり旧地権者の理解を得るというようなことは極めて大切、しかも報告書にもそういう点の指摘があるわけですから、私はそういうぐあいの取り扱いをしてもらいたいと思います。これは大臣にもひとつお聞きしたいと思います。
〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/78
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079・小林実
○小林(実)政府委員 これは先ほども申し上げましたように、土地開発公社自身がこの土地の取得に際しまして、その目的その他を十分に旧地権者にお話ししながらやっておることでございますから、それを別の使い方をするという際には、当然にお話をするとか、適切に対処することを想定しておるものでございまして、開発公社におきまして十分御指摘のようなことも踏まえて処理されるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/79
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080・梶山静六
○梶山国務大臣 目的変更があった場合は、当然もとの地権者にしかるべき了解を取りつけなければなりませんし、場合によっては返還すらあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/80
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081・安田修三
○安田委員 加藤委員が、代替地として農地取得ができるようにすべきでないかということで先ほど質問しておったわけであります。そこで、私は答弁を聞いておりまして、農業上の要請というものもあって、農林省の方もいろいろとガードがあるのじゃないかというようなお話、答弁が出ておりました。確かに優良農用地を確保するために振興地域その他の指定も随分ございますし、そういう点で農地の転換、それから取得、売買等については厳しい制約があるのは当然でございます。
その代替地問題というのは、以前は道路等の代替地というのはなかったのですね。悪い言葉で言えば取られっ放しと言うと変ですが。というのは、大体市町村道は、道路の新設の場合は別として、拡幅等の場合は土地をただで寄付さえもした。それから県道等の場合は、時価の二割程度で二十年ほど前は出した。それがだんだん、それでは困るというような時代になってきて半分になる。大体十年前くらいからやっと時価相場くらいになってきて、そのうち今度は代替地もくれという時代になってきた。
そこで特に街道筋、一本の道にずっと商店街が並んでおるようなところに十字路ができたり、あるいは道路を拡幅する、以前の八メーターか六メーターくらいの道路をどんと二十メーターくらいの道路にする、こういうことになりますと、結局は住宅なり店がどこかにかわらなければならない。そうしますと、その周辺で代替地をくれ、そうしなければ移転に応じませんということから代替地問題というのは今では盛んになってまいりましたが、都道府県では代替地を出すことを必ずしも初めから目的にはしておりません。しかし、代替地というのは随分盛んになってきましたし、そういうケースがあっちこっち随分出ました。河川等の場合には、これはもうずばり田んぼの真ん中に入っておるケースがありますから、その辺をいろいろ区画整理したり圃場整備したり、あるいは基盤整備をやり直したりしながら代替地をひねり出すということ等をやっておりますが、道路等の場合はどうもそうでないケースが多いようです。
そこで、その場合に、土地を先行取得する場合の農地の取得について、土地開発公社の場合には、ずばり自治体でないからこういう障害があってどうも都合が悪い。これは目的の限定されたものについて取得できるように法改正があっていいのじゃないか、時代が変わったのだから。今民間の人でもちゃんと、農業振興地域でも市町村長の許可を取れば解除等はできる、そしてまた開発行為等で、申請してちゃんとやっている。ただ手続の問題では、先行取得の場合は先、先と進んでいかなければならぬ、こういう宿命を持っておりますので、直ちにすぐ取得をして準備に入るということについてはやはり農地法の改正等の関係が必要なのじゃないか。
これは自治省が幾らそれが必要だからと言ってもしようがない。当然建設省が絡む問題でありますし、大もとは農林省が絡む問題でありますから、各省間でこの問題について協議をして最善の方法をひとつ考える。それこそ住民の公共の福祉になるわけですから、そういうことを考えるということが必要であって、その省庁調整というのは、自治体を抱えているところの自治省が当然提起すべきではないかと私は思います。これは審議官にも大臣にも答弁いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/81
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082・小林実
○小林(実)政府委員 農地法の問題は非常に大きな問題でございまして、各種の法案ができるたびにそのことが議論になるわけでございますが、原則、農地法というものがございまして、やはり農水省といたしましては農業上の要請ということでなかなか改正まで至らないのが現状でございます。代替地としての農地取得につきましては、現実には、先ほどもちょっとお話をいたしたのですけれども、農地の所有者、売り買いする方々、それから開発公社が入りまして、三者で契約を結びまして許可を得ているという状況でございます。公用地の拡大そのものにつきましての必要性につきましては農水省でも御理解をいただいておりまして、現時点におきましては、農地転用制度の運用上十分配慮していただく、こういうことで了解しておるところでございまして、この趣旨に沿ってこの制度も運用されておるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/82
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083・梶山静六
○梶山国務大臣 審議官からお答えしたとおりでございますが、確かに理想と現実、この間のギャップがあることは肯定せざるを得ません。ですから、農水省が日本の国土、特に農地のあり方はどうあるべきか、これを国の中で一元的に取り扱うべきだというその理想と、それから現実には、各都道府県、市町村が、こんな農地法ぐらいは、この分野では早く私の方に現実に渡してくれ、そうすれば今の減反政策やその他から見ても決して農政を曲げるものではないということで、今度も、内輪話でございますが、多極分散の促進法の中でそういうものをうたうべく懸命の努力をしたようでございますけれども、なかなか各省のそれぞれの理念と現実のあれが違います。
私は、その意味では選択的分権論と言うわけでございますけれども、ひとつそういうところで、農業の推進をしようとするところ、あるいは転換をしようとするところが、限定して何年間かはそういうものを地方に移譲してもらえばその中でやってみる、そしてそれが未来永劫につながるものではないけれども、そういうことができればもっと現実進むのではないかという提言をしているわけでありますが、その点でまだ農地法やその他の問題がうまく作動していないという現実は認めなければなりませんし、その改正に向かって努力を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/83
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084・安田修三
○安田委員 やはり農地の保護ということは一番大切な問題でございます。ただ、こういうぐあいに住民の権利関係の、代替地という希望が非常に強くなったという時代要請にこたえることでございますので、大臣おっしゃったように、ひとつぜひ御尽力を願いたいと思います。
時間が大体来ておるようでございますので、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/84
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085・松本十郎
○松本委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時十二分休憩
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午後三時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/85
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086・松本十郎
○松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小谷輝二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/86
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087・小谷輝二
○小谷委員 最初に、今回の公拡法の改正の主たる目的、この御説明をいただいて確認しておきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/87
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088・小林実
○小林(実)政府委員 最近の地方公共団体における土地需要に即応いたしまして、地域の秩序ある整備を推進するということから、計画的な土地利用と秩序ある町づくりを積極的に進める必要がございます。このため地域振興とか町づくりの観点から、地方公共団体が民間活力を活用しながら市街地開発事業あるいは観光リゾート施設のような面的整備事業を積極的に推進するために、土地開発公社の業務範囲の拡大を図ろうとするものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/88
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089・小谷輝二
○小谷委員 今度は自治省からふるさとづくり財団の御提唱があるわけでございますけれども、自治省はこの財団とのかかわりをどのように考えていらっしゃるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/89
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090・小林実
○小林(実)政府委員 今回の改正は直接ふるさとづくり財団とは関係があるわけではございませんが、土地開発公社がねらいとしておりますのは、従来は行っておりませんでした民間の事業主体である事業につきまして先行取得ができるようにしようというものでございまして、これらに関連して、地域開発が行われる場合に、ふるさとづくり財団というものが各省とのお話し合いがつきましてできるということになりますれば、民間がそこで仕事をする場合に財団を活用していただくということもあるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/90
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091・小谷輝二
○小谷委員 その際、ふるさとづくり財団が地域の発展のために一般民間企業に対して低利の融資制度を導入するとします。そうした場合に、この公拡法に基づいた土地開発公社はそれによるところの用地の先行取得等々も受けてやる、こういうことになるわけですか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/91
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092・小林実
○小林(実)政府委員 ふるさとづくり財団を前提に今度の改正を考えているわけではございませんけれども、御承知のように多極分散型国土形成促進法というのができまして、地方に振興拠点の整備を進めようというお話がございます。一方、リゾート法も既にでき上がっておりまして、リゾート地域の開発が行われるわけでございまして、そういうこともあるものですから、民間主体の事業につきまして円滑に事業が進められるように、土地開発公社につきましてその地方団体の要請を受けて用地を先行取得できるようにしたいということでございます。これによりまして民間主体の事業も円滑に推進されるのではないか、こういう期待を込めて改正をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/92
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093・小谷輝二
○小谷委員 今回の改正案で、土地区画整理事業、都市再開発事業、法律に基づくこれらの事業に、さらに市街地開発事業に必要な用地の先行取得、さらに観光リゾート施設の整備に必要な用地の先行取得、これを積極的に行っていくために業務範囲を拡大することが改正の目的の一つであろうと思います。ただし、今回の改正におきましても、政令で定められた事業に限る、こういうふうになっておるようでありますが、これらの観光リゾート施設等の整備につきましては、自治体と関連企業が協議して、地方の自主性を尊重しながら、事業の性格や規模、また地域の実情、特殊性等によって土地開発公社の先行取得の対象として自治体が判断をした上で行うべきものではなかろうか、こう思うわけです。したがって、それぞれ地方には、特に観光リゾート施設等の考え方によりましても、歴史、文化、風俗、気候、環境等々非常に特異なものがあるわけでございまして、特に自治体独自の判断とか独自の考え方でいいのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/93
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094・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社は地方団体全額出資の団体でございまして、いわば地方団体の分身とも言えるものでございます。したがいまして、その業務内容は行政目的に寄与する公共性とか公益性を有することが必要でございます。こういう性格にかんがみまして、税制面での優遇とかあるいは地方団体が債務保証もできるような規定があるわけでございます。そういうことから、法律では公社の業務内容等につきましては一定のルールを定めておるわけでございます。
従来の業務の範囲は、大ざっぱに申し上げますと、一つは公共施設用地の先行取得、もう一つは公営企業に相当する事業を行っておるわけでございます。今回はそれをさらに広めようということでございますが、御承知のように市街地開発事業、それから観光施設事業につきましては民間の活力を活用することが必要でございまして、それが事業主体となるものにつきまして範囲を広めようというものでございます。そこで、法律では地方団体の要請を条件にいたしております。現行法では、地方団体そのものが民間主体の市街地開発事業とかあるいはリゾート開発事業につきましては起債をして土地を買うというようなことはできないわけでございまして、そういうこともございまして、法律それから政令で定める、こういうことにいたしておるわけでございます。公拡法の目的とか、土地開発公社の本来の目的ということを考えながら法令で定めておるということでございます。
具体的な事業の範囲につきましては、法令には既に市街地開発事業を書いてございますけれども、政令では観光施設事業を予定しておるわけでございます。これらにつきましては、政令の段階でまた関係省庁との協議も必要になってくるわけでございます。でき得る限り地方団体の御要請を受けて、その御要望に沿えるような範囲の規定をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/94
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095・小谷輝二
○小谷委員 今説明のありましたように、土地開発公社は全額地方自治体の出資で、しかも地方自治体そのものの分身として先行取得を行う機関でございますから、資金にしても銀行、農協等からの融資を受けて行っておる事業がほとんどでございますし、そのような特殊法人でありますから、自治体でみずから事業を決めるという裁量でいいのではなかろうかと思えてならぬわけです。あえて政令で定めなければならない、政令で定められたものからはみ出るものはだめなんだというふうな一つの壁がまた中央集権の弊害として起こってくるおそれはないのかというふうにも考えられるわけです。
そこで、一応それは政令にゆだねるとして、では今考えておられる政令で定める対象事業、それは個々に決めるのか、それとも大ざっぱにこのような事業ということで決めるのか、その決める基準はどのように考えておられるのか、この点御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/95
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096・小林実
○小林(実)政府委員 自治省といたしましては、政令では観光施設事業ということで書きたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/96
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097・小谷輝二
○小谷委員 あとの細部については、自治体の計画、自治体のいわば選択にゆだねるという幅広い解釈でいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/97
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098・小林実
○小林(実)政府委員 政令で定めるわけでございまして、関係省庁との協議が必要でございますが、私どもといたしましては、他の法令にも観光施設事業というものがございまして、その範囲での事業を行えるようにしたい、こういうふうに考えております。その範囲であれば幅広く認めるような方向で考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/98
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099・小谷輝二
○小谷委員 今回の事業拡大については、これは各自治体の土地開発公社すべてを対象にしているのですか。そうではない、制限しているわけでしょう。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/99
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100・小林実
○小林(実)政府委員 当分の間、都道府県と政令指定都市の設置する土地開発公社に限って新しい業務の拡大を認めようかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/100
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101・小谷輝二
○小谷委員 それは当分の間ということですから、その状況を見ながら、将来は各市町村等にまでも事業の拡大は図っていく、こういう考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/101
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102・小林実
○小林(実)政府委員 この改正を行うのに先立ちまして、土地開発公社の活性化委員会というのをつくりまして、これは東京女子大学の伊藤先生が座長だったかと思いますが、そこでいろいろ御議論をいただきました。その報告の中におきましても、新しい業務につきましては、今回お願いしておるのとほぼ同じようなものの業務を拡大をしたらどうか、こういう報告が出ているわけでございます。
その中で、新しい業務につきましては、約千五百開発公社があるわけでございますけれども、すべて認めるというわけでなくて、やはり組織的に、あるいは財政的に可能なものにといいますか、その能力を超えるようなところまですべて認めるのはいかがなものかという趣旨の規定がございまして、当面は都道府県、政令指定都市に限るということにしておりまして、今後の推移を見まして、場合によっては指定拡大もあり得るということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/102
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103・小谷輝二
○小谷委員 それぞれ地方の活性化ということにつきまして、この市街地の再開発事業、また観光事業等につきましては、それぞれ都道府県、政令都市以外の中小都市でありましても同様に必要な事業として考えていかなければならぬ。それには当然用地の先行取得等整備が必要になってくるわけでありますけれども、これは他の自治体も対象外にせずに、将来は幅広く事業が拡張できるように自治省側では図るべきではないか、このように思っておりますが、この点はどうですか、改めて聞くのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/103
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104・小林実
○小林(実)政府委員 この範囲の拡大につきましては、その方向で進めるべきである、こういう御意見も伺っておりますので、当面はこの都道府県、政令市というふうに限らせていただきたいと思いますが、第二次段階で十分検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/104
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105・小谷輝二
○小谷委員 土地開発公社の事業に関連する公共施設の維持管理についてちょっとお尋ねします。
公共用地の先行取得と住宅用地の造成業務と施設整備、これは地方公共団体の委託に基づくものに限って今まで認められてきたわけですね。ところが、今回の改正等によりましてその他の維持管理、運営等はどのような範囲で広げられたのですか、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/105
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106・小林実
○小林(実)政府委員 現行制度におきましても、公共・公用施設につきましては、先行取得業務あるいは造成業務とあわせて整備されるものにつきましては、地方団体の委託を受けて行うことができるわけでございます。
一部の土地開発公社からは、経営安定のために公共施設の設置あるいは維持管理につきまして、それをできるようにしてほしいということもあるわけでございますが、一方、土地開発公社は土地取得の専門機関でございますので、そこまでいくのはいかがなものか、こういう御意見もあるわけでございます。
御指摘の点につきましては、今後の検討課題ということにさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/106
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107・小谷輝二
○小谷委員 土地開発公社の方からは、地方団体の委託を受けてスポーツ、レクリエーション施設、また観光施設の設置、管理運営等も公社の活性化のために、また経営の安定化のために行いたい、こういう強い要望がかなりあるようでありますが、今この点についても将来前向きに検討する、こういうことでいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/107
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108・小林実
○小林(実)政府委員 やはり主力は土地の先行取得でございますから、通常の業務につきまして公共施設の維持管理まで広げるということは今考えておらないわけでございまして、前向きというわけにはまいらぬと思いますが、やはり土地の先行取得、それからその保有している間におきます管理が主力、そこに全力を注ぐというのが土地開発公社に与えられた使命ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/108
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109・小谷輝二
○小谷委員 今回の改正等によりまして、土地開発公社の公有地の先行取得はかなり大幅に全国的に伸びるものではなかろうかと思われるわけですけれども、問題は資金ですね。かなりの資金が必要であろうかと思いますし、銀行、農協等の借入金等が今は主体となっておるわけでございますけれども、金利面でさらに割安になる公営公庫資金とか、その他これに準ずるような機関において資金が融資できるような、拡大を図るような方法は何か講じられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/109
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110・小林実
○小林(実)政府委員 幸い民間の金利は、大分資金がだぶついておりまして現在は低いわけでございます。土地開発公社につきましては法律上地方団体が債務保証できることになっておりまして、特に都道府県の土地開発公社という場合には、その土地開発公社の設立元であります都道府県が直接借りる場合に縁故債を借りる場合があるわけでございますが、それと同じになるように努力をされているところもあるわけでございまして、地方団体の債務保証つきということで、縁故資金が原資でございますけれども、その地方団体が独自に借りる場合と同等ないしは若干高いかもしれませんが、通常の民間ベースよりは低い条件で借りることができておるというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/110
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111・小谷輝二
○小谷委員 特に港湾の整備事業また臨海工業用地等の先行取得資金に限られた公営公庫資金の融資対象ということになっておるようでありますが、この資金の金利は市中のものと比べてどのくらい低利なのか、またこれらの低利融資資金を今後、要するに公営公庫資金の活用範囲がかなり増枠できるのかどうか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/111
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112・柿本善也
○柿本政府委員 公営企業金融公庫は地方団体の主として公営企業に対して資金を融通することを目的としてつくられているものでございます。したがいまして、土地開発公社に関して申し上げますと、土地開発公社が土地の取得をいたしまして、それを港湾の埋め立てとか臨海の埋め立てとか、そういう公営企業と同じような事業をやるときに公営企業金融公庫から資金をお貸しする、今こういう制度になっておるわけでございます。
資金枠の問題でございますが、従来から相当所要額を確保しているわけでございまして、今後とも必要な資金の確保に努めてまいりたいと考えておりますが、現実の金利が割合最近低金利で推移しておりまして、公庫で用意できる金利より縁故でお借りした方が最近の情勢としては場合によっては有利であるという面もございますので、もともと土地開発公社の性格からいたしましても縁故資金を多分に利用しておりますので、最近はそちらの方を利用される場合が多い。ただ、いろいろ金利情勢も変わることもあると思いますので、そういう貸し付け条件等につきましてはその需要に対応できるようにいろいろ改善について努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/112
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113・小谷輝二
○小谷委員 過去に国会で衆議院、参議院ともに地方行政委員会で附帯決議があったと思います、第七十一国会ですか。この内容は御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/113
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114・柿本善也
○柿本政府委員 お尋ねのものは四十八年の公有地拡大法に対する附帯決議のことかと思いますが、読み上げますと、そこでは資金に関しましては、「地方公共団体および土地開発公社が積極的に公有地の先行取得を行ないうるようにするため、公営企業金融公庫の貸付枠の拡大をはじめとして、十分な資金の確保に努めること。」こういう附帯決議がついております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/114
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115・小谷輝二
○小谷委員 各委員会の附帯決議に関しましては、毎回附帯決議直後に大臣の決意がその都度ずっと述べられてきているわけでございますけれども、この資金について、今はそう不自由ではない、金融情勢全般的な状況から見て。しかし、将来どういう事態が起こるかもわかりませんし、常に膨大な資金を用地取得でありますので必要とします。特に、大都市圏での土地開発公社の土地の先行取得というものは地方では考えられぬほどの膨大な資金を要するわけでございまして、金利面についても非常に神経質にならざるを得ない状況にあるわけでございますので、こういう点十分今後も配慮していただきたい、このように思うわけであります。
次に、非常に公共性の強い電気、ガス、鉄道事業、これらの土地収用法に定められた収用対象事業、これについては地方団体等からの受託のみならず、他のこのような事業を行う団体、法人等からの受託も得られるような受託先の拡大、これは考えられないのか、こういう意見があるが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/115
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116・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社が取得した公共施設のための用地の処分先といたしましては、土地収用法第三条各号に掲げられている施設を参考にして地域の実情を踏まえて決められてきているわけでございまして、必ずしも国、地方公共団体、公団に限られるわけではございません。電気事業の用に供する電気工作物あるいはガス工作物の設置者等、公共性、公益性のある事業主体も認められてきたところでございます。
ただ、具体的な業務の実施に当たりましては、その仕事が土地開発公社の設立目的に照らしてふさわしいものであるかどうか、それから本来業務の妨げになることがないかどうか、それからさらにいいますと、電気とかガスということになりますと、会社そのものが相当能力がございますものですから、わざわざ開発公社までお願いしなくてもできるということもあるわけでございまして、そういうことを十分検討した上で行う必要があるというふうに考えております。法律的には、取得したものの処分先として、今言われましたものにつきましては処分をすることはできるということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/116
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117・小谷輝二
○小谷委員 だから、この種の公共性の強い用地の先行取得や受託事業の選択は、もっと幅広く実情に即応して自主性にゆだねるべきではないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/117
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118・小林実
○小林(実)政府委員 法全体の主たる目的が、地方団体が本来設置すべき公共施設の用地を先行取得するというのが主体でございまして、その妨げにならない範囲でというその範囲での運用ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/118
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119・小谷輝二
○小谷委員 ちょっと今わかりにくかったのですけれども、現在は政令で定めることになっているが、公共性の強い電気、ガス、鉄道事業等の土地収用法に定められた土地収用対象事業に対しては政令で定める、そうしてこの事業の拡大は政令で定める、こういう判断でいいわけですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/119
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120・小林実
○小林(実)政府委員 今回の政令で業務を拡大する範囲の中に含めることは今考えておりませんが、現行法で既に取得したものの処分先としてはそういうものも可能ですよ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/120
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121・小谷輝二
○小谷委員 いや、私が聞いているのは、取得したものの処分先ではなしに、先行取得の話を言っているのです。これはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/121
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122・小林実
○小林(実)政府委員 御指摘の点につきましては昨年通達を出しまして、従来は公共施設というものを非常に狭く解釈をしておりましたけれども、公益事業体のものにつきましても公共施設の中に含めてできるということを通知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/122
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123・小谷輝二
○小谷委員 用地取得を伴う造成工事、また用地取得を伴わない土地の造成工事、これもともに地方公共団体からの依頼があった場合には事業の実施はできると判断をしておるわけでございますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/123
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124・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社は、用地を先行取得する、それが主たる業務でございますから、それに伴いまして管理行為として造成その他の管理を行うということでございます。用地取得を伴わないで造成工事のみを行うということは、現行法律上認められておりません。ただ、従来造成につきましても非常に狭い解釈でございまして、先行取得した用地についての造成も粗造成ぐらい、そこまでできるぐらいのことで来たわけでございますが、そう窮屈に考える必要はなかろうということで、これも昨年の通達によりましてある程度の造成はできるように通達いたしておるわけでございます。
しかし、造成工事だけ行うということは現行法上考えておりませんし、私どももそれを認めるという考えはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/124
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125・小谷輝二
○小谷委員 現行といいますか今まではおおむね粗造成ということだけであった、こういうふうな状況の中で、公園とか道路、この整備は大きな整備ということではございません。したがって、公社機能の活用を図る範囲内で十分可能な整備であろうと思われますし、また用地の取得から造成工事を一貫して行うということは、その事業の促進が図られる面から見ても非常に意義があるのではないか、こういうふうな意見があるわけですけれども、今回の改正ではその点は改めることができなかったわけですか。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/125
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126・小林実
○小林(実)政府委員 今度の新たな業務に関連いたしまして、取得した土地について別途地方団体から委託を受けまして公共用施設をつくるとかあるいは公用施設をつくるということは従来からもできておるわけでございますが、今度の新規業務の分野のものにつきましてもできるということにしております。しかし、先行取得した土地につきまして道路の築造工事とかあるいは公園を完全につくるという本格的な工事までは考えておらないわけでございまして、そこまでいかないところ、粗造成ではないけれども本格的な工事まではいかないところ、これは処分相手先の意向を尊重してある程度までは弾力的にできるという通達を出しておるわけでございまして、その範囲で行っていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/126
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127・小谷輝二
○小谷委員 公拡法の第三条に、「土地開発公社は、その設立の目的に従い、農林漁業との健全な調和に配慮しつつ公有地となるべき土地を確保し、」云々、こういうことがあるわけでございまして、大切なことは、地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に寄与するということが必要でありまして、公共用地の先行取得は土地開発公社の設立趣旨である、大きな目的の一つである、このように考えられるわけでございます。公共の福祉の増進に寄与する、こういう基本的な大きな目的で先行取得が行われなければならない、こういうふうに第三条にも言われておるわけですけれども、この基本線については今も自治省としても当然認識しておられるものと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/127
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128・小林実
○小林(実)政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/128
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129・小谷輝二
○小谷委員 農林漁業との健全な調和に配慮することが必要である、これはもう当然なことでありますが、特にそれに沿った地域の健全な福祉の増進、これにも十分配慮しなければならぬ、こういう性格があるわけでございます。
そこで、農地にかかわる問題を二、三尋ねておきたいと思います。
今までの実績からいいまして先行取得の割合、これは大まかに見て林野から農地、宅地、その他あるようでございますけれども、この割合はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/129
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130・小林実
○小林(実)政府委員 そういう目的別といいますか、分野別の実績は調査しておらないわけです。農地取得の実績につきましては、詳細を把握していないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/130
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131・小谷輝二
○小谷委員 農林省はお見えになっておると思いますが、土地開発公社連絡協議会などの資料によりますと、おおむね三分の二が林野、山林関係、あとの三分の一の半分が宅地、あとの半分が農地、そのように私は思っておるわけでございます。
そこで、農地法について少々お尋ねをしておきたいと思います。
まず、農地の権利移動及び転用の制限、これは農地法第二章の第一節にありますが、一般論として、第三条は農地をそのまま権利移転をする、また第四条は農地の転用の制限、第五条は農地の転用権利移転、こういうふうに概略我々は認識しておるわけでございますけれども、一般論として農地法によるところの制限、ここを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/131
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132・野田哲也
○野田説明員 お答えいたします。
ただいま先生御指摘ありましたように、農地法におきましては、三条におきまして農地が農地として権利移動されるときの許可制を定めております。それからまた、農地がほかのものに転用される場合にその権利者が転用する場合について四条で許可制、それから他の方に権利譲渡して譲渡された方が転用する場合に五条の許可制、こういうこととしております。
それで、三条の農地が農地として移動される場合でございますけれども、これは農地の投機目的あるいは資産保有目的での取得は排除しまして、農地あるいは採草放牧地が意欲と能力のある農業者によって効率的に利用されるよう誘導するというのが趣旨でございます。
また、四条、五条の転用の制限につきましては、これは農業以外の土地利用との調整を図りつつ優良な農用地を確保し、またあわせて計画的な土地利用を進めていこう、こういう趣旨に立って規制を行っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/132
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133・小谷輝二
○小谷委員 一般的に、都市計画法によるところの無指定地域とかまた市街化区域内の農地を買い取って宅地にするとか家を建てるとかいうときには、農地法の第五条の申請によって農業委員会の審議を経て許可になれば売買ができる、こういう認識でいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/133
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134・野田哲也
○野田説明員 都市計画法に基づきまして市街化区域というのが定められるわけでございますけれども、その市街化区域内につきましては、届け出のみで農地の転用なりあるいは転用目的の権利移動ができることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/134
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135・小谷輝二
○小谷委員 要するに市街化区域以外、調整区域ですね、この場合はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/135
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136・野田哲也
○野田説明員 市街化区域以外につきましては、許可を得ていただくのが原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/136
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137・小谷輝二
○小谷委員 農地を農地として買い取る場合、これは三条申請ということになると思いますが、このときは買う人の資格が問題になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/137
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138・野田哲也
○野田説明員 お答えいたします。
いろいろな要件がございますけれども、基本的考えとして農業に精進する方に効率的に使っていただくということで、そういう農業者が取得するのが原則でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/138
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139・小谷輝二
○小谷委員 原則は原則として、条件はどんな条件がついているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/139
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140・野田哲也
○野田説明員 例えば農業に精進する見込みが確実であること、あるいは取得後の経営面積が一定の面積以上であることというような条件が課せられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/140
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141・小谷輝二
○小谷委員 国や地方自治体が公共用地として農地を買い取る場合は、農地法による申請は不必要とされておるのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/141
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142・野田哲也
○野田説明員 国と都道府県の場合につきましては、農地法の許可は要しないこととなっておりますが、地方公共団体といいましても都道府県以外につきましては、一定の場合以外は許可を要するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/142
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143・小谷輝二
○小谷委員 その場合に調整区域とか農業振興地域とかいろいろな、詳しいことはわかりませんが、農地として保存すべき農地であるというふうな地域指定がいろいろあろうかと思いますけれども、そのような地域指定に関係なく都道府県の場合は農地法の制限は受けない、こういう判断でいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/143
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144・野田哲也
○野田説明員 都道府県につきましては、都道府県知事が農地法上の許可権者ということになっていることもございまして、許可は要しないということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/144
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145・小谷輝二
○小谷委員 地方自治体の委任を受けて公共用地の先行取得を土地開発公社が行っておるわけでございます。農地を買い取る場合、これはまたちょっと問題が変わってきますね。これはどうなりますか、都道府県知事の委託を受けて、そうして土地開発公社が農地を先行取得する場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/145
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146・野田哲也
○野田説明員 お答えいたします。
都道府県の委託を受けた場合でございましても、基本的に土地開発公社は都道府県とは別の法人でございますので、許可を受けていただくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/146
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147・小谷輝二
○小谷委員 土地開発公社は事業主体者ではございません。したがって、それを直ちに土地開発公社そのものが使用するわけじゃございませんから、これに対することは、農地法では土地開発公社が土地の先行取得をするのに、所有権移転としてそのまま、例えば五条申請でいけるのかどうか、ここのところはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/147
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148・野田哲也
○野田説明員 土地開発公社が土地を取得されるときに許可申請されまして、それが私どもの許可基準に合致すれば許可を受けて取得できる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/148
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149・小谷輝二
○小谷委員 一般論として、農地を五条申請をして売るのは、それを宅地に変更して住宅を建てるとかそういうことでなければ許可にはなりませんね。ただし土地開発公社はそういう利用はやりませんな、今の段階ではとりあえず先行取得の段階ですから。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/149
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150・野田哲也
○野田説明員 土地開発公社が土地を取得されるのも転用する目的で取得されるということだと思いますので、その目的がはっきり確実であれば許可になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/150
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151・小谷輝二
○小谷委員 農地法では、土地開発公社が用地を先行取得するために所有権の移転をするということはちょっと問題があるということで、五十五年に農水省の事務次官通達で転用を目的とした所有権の取得ができるように措置をした、こういうことになっておるわけですよ。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/151
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152・野田哲也
○野田説明員 農地の転用の許可に当たりましては、その転用目的の妥当性と、それからそれが確実に転用されるということが一つ判断の基準になっておりまして、土地開発公社につきまして先生御指摘のありました五十五年の通達でございますけれども、土地開発公社が土地収用法第三条各号に掲げる施設の設置者から委託を受けまして、その施設の敷地の用に供するために農地の取得を行う場合には、その用地の造成を遅滞なく行う等一定の要件を満たすものにつきましては転用許可できるように措置しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/152
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153・小谷輝二
○小谷委員 都市計画法に基づくところの調整区域内の農地の取得の場合は、要するにどんな手続を土地開発公社はとるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/153
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154・野田哲也
○野田説明員 調整区域につきましては、通常の農地でありますれば農地転用の許可をとっていただく、こういうことになろうと思います。市街化区域の農地につきましては、例えば一般であれば届け出でいいということになっておりますけれども、それ以外の区域につきましては特に差別を設けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/154
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155・小谷輝二
○小谷委員 ところが、先ほど申し上げました土地開発公社連絡協議会等の意見では、確かにこの通達によって土地開発公社が使用目的、また公共の用に供する土地の先行取得という理由が明確であれば農地の転用が許可になるという制度は次官通達で与えられたといえども、余りにも複雑で余りにも時間がかかるので、この措置は我々はとっておりません、したがって実際に使用される自治体がそこに仲介をして直接買ってもらっているのです、このように言われておりますけれども、自治省どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/155
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156・小林実
○小林(実)政府委員 農地に絡む問題につきまして、土地開発公社が取得する場合に、その手続につきましては今お答えがあったとおりかと思います。多くの場合、例えば国とか都道府県の場合は許可が要らないということでございますが、土地開発公社が絡んで土地を買う場合に中に入りますけれども、所有権につきましては国または地方公共団体に直接移転するという方法が多くとられておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/156
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157・小谷輝二
○小谷委員 農林省、この実態をよく御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/157
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158・野田哲也
○野田説明員 そのように土地開発公社が仲立ちをして県なり市町村なりに買っていただくというケースもあるやに聞いておりますけれども、土地開発公社が取得されているケースも私ども存じております。
手続の面でございますけれども、土地の取得目的がはっきりしておりまして、確実であるということを確認させていただくには、今通達でお示ししている基準、例えば区域がはっきりしているとかあるいは市町村議会で予算措置がとられているとか、そういうのは許可の可否を判断する上で必要最小限の事項だと考えております。ただ、手続につきまして時間がかかる等の御指摘がありましたけれども、これは農地転用許可手続一般につきまして、今迅速化、簡素化を累次図っておるところでございますので、迅速に対応できるようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/158
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159・小谷輝二
○小谷委員 土地開発公社が農地を先行取得する場合に、その先行取得の対象になる農地の所有主が同様の近隣の農地の代替地を求めた場合は、土地開発公社は代替の農地を買うことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/159
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160・野田哲也
○野田説明員 お答えいたします。
土地開発公社は、本来的に公共用地等に充てる土地を取得される機関だと承っておりまして、農地を農地として取得する機関ではないと思いますので、代替地向けといいましても、農地を農地として取得することは認めておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/160
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161・小谷輝二
○小谷委員 都市周辺の道路用地にしましても公共施設の用地にしましても、ほとんど七、八〇%が代替地を要求されておるわけです。農地等の買収費のできるだけ安いところへそういう施設を持っていく等々の配慮はなされておるわけでありますけれども、対象になるのはほとんど農地でありまして、農地はほとんど代替地を要求される。それは地主側の立場になれば当然のことであろうと思いますけれども、土地開発公社は農地の代替地の先行取得はできない、結論的にそうですね。農地法ではできない。その点何かありますか。できないという判断でいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/161
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162・野田哲也
○野田説明員 土地開発公社の役割からいいまして、農地を農地の状態で取得されるということは、農地法上の不耕作目的の取得を排除するということから見まして、できないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/162
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163・小谷輝二
○小谷委員 土地開発公社が農地を買うということは、農地法の基本的な趣旨から言うても、土地開発公社は農業をやらない、耕作をしないのですから、また農業をやる資格も持っていない、五十アールの農耕地も所有していない、当然なことであります。その場合に、仮にやむを得ないので、農地を持っている人、代替地を要求している人をあっせんして、この人にこの農地を代替地として求めているので売ってやってください、それなら売りましょうという話ができたときに、公共用地に買収されるこの人に条件はつきませんか、つきますか。どうですか。買う資格があるかないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/163
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164・野田哲也
○野田説明員 お答えいたします。
そこは、農地一般の取得者の基準によることになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/164
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165・小谷輝二
○小谷委員 要するに、農業者でなく、自分の近くに菜園なり、自分のところで食べるくらいなわずかな農園的なものを持っておる、その農地を買収された場合、そういうものが欲しいのだ、だからこれに等しいものを近くで欲しいといった場合、農地法がある以上これは無理ですか、できないのですか。どうですか、はっきり答えてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/165
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166・野田哲也
○野田説明員 農地法で、農地の取得につきましては農業経営として成り立っていくということを本旨としておりまして、新たに農地を取得した後においても、原則として内地で五十アールに満たないような零細経営の農家の場合は農業として成り立っていかない場合が多いと考えられるわけでございまして、限りある農地の効率的な活用という観点から、農業者としての意欲もあり能力もある方にまず農地を利用させていくということでございまして、原則として取得後五十アールに満たないものについては許可しないことになっております。
ただ、これにつきましては特例もございまして、その地域の農業の状況が経営規模が小さい、あるいは小さい規模でも花とか野菜とか、そういうものを集約的になさるというような場合には認める道も開かれております。
〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/166
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167・小谷輝二
○小谷委員 大都市周辺だけではなくして、これから全国的に大きな、四全総に基づく道路の建設計画等もあるわけでありますし、また観光リゾート構想等もあって、かなりこういうふうな用地の買収を行わなければならぬ。ところが、現行の農地法できちっと歯どめがある以上、前に進まない。これが今公拡法に基づく土地開発公社の業務の最大の支障ということになっておるわけです。この点は農林省は自覚していますか、知っていますか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/167
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168・野田哲也
○野田説明員 例えばいろいろ御要望を伺うことはありますけれども、農地を効率よく使っていくということが農地法の基本でございますし、また農地がいたずらに細分化されず農地目的で保全されているということは、農地のいたずらな価格高騰を防ぐという効果もございますので、回り回ってそれが公共用地に必要になる場合にもお役に立っている面もあるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/168
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169・小谷輝二
○小谷委員 公拡法には、農林漁業の健全な調和を図りつつ公有地の確保をすべきものである、また地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進、これに寄与するものでなければならぬというふうな大前提があるわけですよ。ところが、今大阪で、関西国際空港が導入する大動脈ですけれども、八十メートルからの大幅な道路用地がかなり長い距離にわたって必要とされ、買収が、先行取得が始まっているわけですけれども、依然として前へ進まない。全部、今申し上げた農業者としての五十アール以上の農地は持っていない。農地を買う資格のないわずかな農地を持っておる人、これが代替地を要求しておる。代替地を買おうと思っても買う資格がない。地方公共団体は当然買えない。土地開発公社も当然買えない。どうにもならないわけですよ。行き詰まってしまっておるわけですよ。大臣、この点、事情はわかりますか。――説明、あるの。ちょっと言ってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/169
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170・野田哲也
○野田説明員 先ほど申し上げましたように、原則五十アール、五反でございますけれども、取得後最低そのくらいはなければ農業経営としては成り立たないのではないかという基準ができているわけでございますけれども、地域の農業事情に応じまして、都道府県知事が農林水産大臣の承認を受けて特例面積を定めておりまして、例えば大阪府についていいますれば、二十アールの特例面積になっているところ、あるいは三十アールの特例面積になっているところがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/170
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171・小谷輝二
○小谷委員 そういうふうに地域の実情に応じて幾分の緩和はあります。幾分の緩和があることは承知をしておりますけれども、それでもなおかつ用地を取得する、代替地の農地を買う資格のない人がいっぱいいるのですよ。第一、都会の周辺ではそんな大きな百姓はありません。だからそこらは大臣、これから公拡法に基づいて地域の秩序ある整備を推進するためには非常に大きな問題であろう。また四全総、東京の一極集中排除のために地方にそれぞれの機関を移転する等の問題におきましても、用地の問題で農地法の問題がネックになってスムーズにいかない、こういう状況が各所で起こってくると思います。今直面しておる問題がそういうところでもかなり歯どめになってしまっているという状況ですので、この点一遍よく閣議でも練っていただいて、スムーズに当初の目的、今回の事業の拡大を図った趣旨が十分生かされるように努めていただきたい、このように思うわけですけれども、大臣、ひとつよろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/171
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172・梶山静六
○梶山国務大臣 今やりとりを聞いておりまして、確かにそういう現実の問題があろうかと思います。ですから、いわゆる農地法のうたう農業の基本政策、それから現実にその土地その土地のいわば開発行為やその他によって地元の受ける利益、こういうものの現実との整合をしなければならないわけでございますから、農地法の弾力運用ができればいいなという気がいたします。
さりとて今回も、多極分散促進法においてもそういうことが議論をされた経過はございますけれども、結果としてそういうものを盛り込むことができなかったという現実、こういうことを考えますと、これからさらにそういう問題を閣議やあるいは農林大臣と相ともに詰めながら、何のためにこういう制度があるのかどうなのか、そういうものをいろいろ考え合わせながら打開のために努めてまいらなければならないと思います。
いずれにしても、対象者が農地をさらに代替地として求めることができない場合、現実に、恐らく土地開発公社は第三者の善意の資格のある農業者を仲介に立てて何らかの便法措置を講じなければこういうことがなせないという、いわば変則的な行為をなさなくて済むようなことを考えなければならないというふうに痛感をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/172
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173・小谷輝二
○小谷委員 大臣、それもできません。それもできぬわけですよ、法律で。農地を買う資格のある人がたとえ買ってみたところで、その人に渡せない。がんじがらめなのです。大臣、それは今後一遍よく検討していただいて、何とかスムーズにこの事業が趣旨に基づいて促進できるようにお願いしたいと思います。
あと、午前中にもいろいろ質疑がありましたけれども、開発公社の保有資産の問題についてです。
現在、保有資産の利用状況はどうなっておりますか。
〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/173
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174・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社が保有している土地は大分あるわけでございます。全部について全国的な調査を行ったことはございませんが、保有している間の有効利用を促進するようにということで指導いたしております。運動場とか公園としての利用、駐車場あるいは事務所としての貸し付け等が行われているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/174
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175・小谷輝二
○小谷委員 確かに応急措置的な資産の利用といいますか、地域の要望なども受けながら駐車場とか子供の運動場、また野球場、公園等々に利用されているのが現在の状況でございます。それによって、地域ではかなり喜ばれたりしているわけでございますし、それなりのメリットもあるわけですけれども、採算性から見れば、これはまるっきりメリットがないわけです。したがって、業務範囲を拡大して、資産の利用について、例えばかなり長期に持たなければならぬような用地なら、パブリックのゴルフ場とか観光・レジャー施設、これら保有地の採算性のある活用は認められませんか。どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/175
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176・小林実
○小林(実)政府委員 保有地につきましては、暫定的な利用方法といたしましては、外部への管理委託とか賃貸、時には信託等も行っても差し支えないということを昨年の通達で出しておるわけでございます。御指摘のような利用というのは、永久、恒久的な利用でございますが、今回の改正によりまして観光施設事業を行うことができるようにするわけでございます。したがいまして、現在保有している土地につきまして、設立団体と十分協議をしていただいて、そういう御指摘のような観光・レジャー用地に活用することも可能となるようにお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/176
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177・小谷輝二
○小谷委員 次に、五十七年度以降の道路公団等の受託事業が大幅に赤字になっておる。その赤字分を道府県からの受託事業とか自主事業の収益で埋めておる、何とかそれで採算を保つようにしておる、こういうふうな実態の報告がありますが、この点について自治省はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/177
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178・小林実
○小林(実)政府委員 公団等からの受託事業につきまして、多くの場合は県を通して受託を受けるというのが多いようでございます。その間の関係につきましては、まず公団、それから設立団体、公社の間で十分協議をしていただくことが必要であるというふうに考えております。私どもといたしましては、必要があれば、建設省など関係省とともに所要の指導をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/178
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179・小谷輝二
○小谷委員 建設省、お見えになっておりますか。この実態は掌握されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/179
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180・角地徳久
○角地説明員 御説明申し上げます。
昭和六十年七月に、公社業務の改善・検討のための研究組織といたしまして都道府県土地開発公社業務検討委員会というものが発足いたしまして、六十二年三月に土地開発公社業務検討結果報告書を取りまとめてございます。その報告書の中で、公団からの受託業務が昭和五十七年度以降赤字となっているという問題提起がなされていることにつきましては、承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/180
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181・小谷輝二
○小谷委員 公団の高速道路用地の買収事務、特にこれは高速道路というのは道路のすぐ横手の人には何の利益もないわけで、ただ騒音が残されるだけで全く被害者的な立場になる人が多いわけでございますけれども、先ほど申し上げました地権者の権利意識の高揚とか、また代替地の要求とか、種々困難が増してきておる状況であります。したがって建設省はそのような、要するに赤字で受託料金よりも実際の管理費の方が大きい、こういう実態が明らかな現段階でどのように対応しようと考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/181
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182・角地徳久
○角地説明員 お話にございましたように、高速道路の用地の取得につきましていろいろと難しい問題が起きているということでございます。
高速道路につきましては、地域の活性化に対して大変大きな効果があるということから、地方公共団体を初めといたしまして地元の方々からは強い要望もいただいているわけでございますが、個別の地権者の方々にとりましてはまたいろいろな御事情もございますし、その受ける効果なり影響なりそれぞれ違った御事情がございますので、関係者の方々からは必ずしももろ手を挙げて賛成していただくというようなわけにはいかないということでございまして、その辺の御理解をいただくために担当している部局はいろいろと努力をしているわけでございますが、あわせまして地元公共団体の方々の協力もいただきながら、理解をいただく努力をしているところでございます。
それから代替地対策につきましては、昭和五十八年三月の第二次臨時行政調査会第五次答申の中でも、公共用地の取得に伴いまして講ぜられている生活再建措置について、その合理的な範囲なり費用負担のあり方等に関する基準を策定する必要があるという御指摘をいただきまして、その中でも特に重要な代替地対策につきましては、建設省の直轄の公共事業を対象とする代替地対策事務処理要領というものを六十二年八月に取りまとめまして、円滑な代替地対策の推進に努めているところでございます。
それから騒音等環境問題につきましては、都市部におきまして環境影響評価を実施し、環境施設帯、遮音壁を設置する等の措置を講じているところでございます。
土地開発公社の赤字の問題ということについてでございますが、先ほどの報告書の中では全国から二十社の実例を集めましてデータを分析しているわけでございます。そのデータにつきましては、それぞれにいろいろな状況の中で最善の処理がなされているものと思われますけれども、いろいろな仮定計算がなされているということでございますので、その辺につきましては、まず直接の当事者同士でその事実関係を含めましてよく話し合いをして対応を考えるということが必要ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/182
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183・小谷輝二
○小谷委員 要するに公団からの受託事業によるところの開発公社の事業費収入、それが管理費よりもはるかに少ないわけですね。したがって赤字が出ているわけでしょう。だから管理費に見合う額にしてくれ、これは順当な話なんですけれども、それに対する考え方、改善はどうするのか、こう聞いているわけです。
これは建設省、どう考えておりますか。自治省、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/183
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184・角地徳久
○角地説明員 報告書の中で引用されている数値でございますが、収入、管理費は職員一人当たりに換算した額であるということで、例えば公社の受託収入につきまして、国からの受託事業あるいは公団からの受託事業それから都道府県からの受託事業、それぞれにつきまして事務費収入とそれから管理費をはじいているわけでございますが、それにつきましてはいずれも職員一人当たりに換算した額という数字に直して計算しているわけでございます。例えば管理費につきましては、それぞれ国からの受託事業につきましても公団からの受託事業につきましても都道府県からの受託事業につきましても同じ数値が使われているというようなことがございましたり、その辺の事情がどうなっているかということは私どもの方は詳しくは聞いておらないわけでございますが、そういう数値につきましては私ども直接伺いましても十分判断できない部分もございます。直接の当事者の間でその辺の事実関係を十分詰めていただくことがまず必要ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/184
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185・小林実
○小林(実)政府委員 私も詳しくは承知はしておらないわけでございますが、公社側の計算につきましても、今のお話ですと仮定の計算があるようでございまして、その辺に問題があるのかないのか。この問題につきましては、まずは公団と開発公社あるいは設立団体との間で協議をしていただくのが第一かと考えますが、なお大きな問題であるということでございますれば建設省とも御相談をいたしてまいりたい、建設省とともに所要の指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/185
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186・小谷輝二
○小谷委員 今おっしゃったように、都道府県土地開発公社連絡協議会から出た資料を見ましたら、公団からの受託事業の収支で、これは今おっしゃったように収入、管理費は職員一人当たりに換算した額ということで一覧表を出しておるわけですけれども、公団からの受託事業費の収支は五十九年度で百三十二万九千円、これだけは赤字だ、こういうことになっておるわけです。都道府県からの受託事業費の収支は二百五十四万三千円の黒字、こういうふうに資料として出ておるわけですけれども、こういうふうな形で今後かなり大きな事業をお互いにやっていかなければならないのじゃないかと思うわけです。公団の方としましても、四全総で一万四千キロに及ぶ高速道路網の建設もあるようでございますし、これらの用地取得等で、しかも土地開発公社の事業量の三〇%が公団の用地の先行取得という量を抱えながら、今後それが大幅にまた伸びていくということになれば、これは業務は拡大したけれども経営が行き詰まってしまう、大きな赤字を出してしまうということになりはせぬかという心配が起こってまいります。
それから国からの受託事業におきましても、これは国からの分はやっと何とか赤字だけはしのげるという状況のようでありますけれども、検討を要するのではなかろうか。したがって、国、公団もあわせて、事務執行に要するところの経費、管理費は、これは見合う額に改善すべきではないか。これはひとつ自治大臣も本法案の課題として取り組んでいただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/186
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187・梶山静六
○梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、土地開発公社、もちろん収益事業を行うわけではございませんから、過大な利益は――多少の出入りはあるとしても過不足があっていいものではございません。それが恒久的に国ないしは公団の受託事業が赤字になるというようなことであれば、公社のよって立つ基盤が揺るぐわけでございますから、特に大きな事業、公団側あるいは国側、こういうものは時期を見て適正な価格に、冒頭の契約にできるかどうかは別といたしまして、最終的な締めくくりの補正ができるような形をとらなければ成り立つわけでございませんので、ぜひこれはそういうものの協議の場をつくってやっていきたいと思います。
それは公団や国が用地買収をして、土地カンがないところでできるはずがございません。一番効率的にできるのが地元の土地開発公社でございますので、その辺の利点との兼ね合いも考えながら適正な、赤字にならない保障ができるような制度をこれから交渉しながら検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/187
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188・小谷輝二
○小谷委員 時間も参りましたが、土地開発公社が本来の目的を十分達成することができるように、かなりの問題がまだ残されておるのではなかろうかと思います。これは自治省として、今後の方向性として土地収用、土地の先行取得という非常に難しい、関心の高い、現場においては大変な苦労を重ねる仕事であります。昼間は仕事ができない、ほとんどが夜の仕事というふうな勤務実態の中で、いろいろな難しい問題に取り組んで用地の買収交渉に臨む、こういうふうなことでございますので、専門家集団としてのノーハウ、力を各府県は大いに活用すべきであると思いますので、例えばすべての公共用地の総合的な計画等について一元的に土地開発公社が用地の先行取得に当たるというのが最も効率的ではなかろうかというふうにも考えられます。
それからもう一つは、これから新しい大規模開発が進められるということになろうかと思いますし、地域開発が行われるわけでございますが、それに伴って開発の利益というものを考えたときに、事業用地だけではなくして幅広く周辺の用地を取得する、こういうふうな総合的な一体的な先行取得を行う必要があるのではないか、こういうような面もございます。
なおかつ、先ほどから問題になりました代替地等の問題もありますけれども、かなり有望な代替地を前もって確保する必要が出てきつつあるのではないか。さらに、土地開発公社が行う諸事業について、これは地域の活性化、振興を積極的に図るために、自治体のより力強い自主性を生かしながら、この法律改正の趣旨に沿った指導監督をしていくべきではないか、このように思うわけでございますが、大臣お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/188
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189・梶山静六
○梶山国務大臣 まさに御指摘のとおり、これから多極分散型の国土形成をする上においても、その土地の手当てないし買収が終われば仕事の大体八、・九割は終わったも同然であるとすら言われているわけでありますから、この土地開発公社自身はまさに地方公共団体の分身として用地の先行取得を行う専門機関でございます。今後とも一層の活用が望まれ、その重要性は増大するものと考えておりますので、このような公社の重要性にかんがみ、御指摘の要望等を踏まえまして、今後とも引き続き法律を適切に運用し、皆さんの御期待にこたえる体制を整えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/189
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190・小谷輝二
○小谷委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/190
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191・松本十郎
○松本委員長 岡田正勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/191
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192・岡田正勝
○岡田(正)委員 まず冒頭に、今回は土地開発公社の業務の拡大ということをうたってあるのでありますが、その業務を拡大するねらいは一体何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/192
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193・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社は、従来、公共施設の用地の先行取得、それから土地開発公社自身が公営企業に相当する事業を行ってきておるところでございますが、新たな要請といたしまして、地域振興あるいは町づくりの観点から、地方団体が民間活力を活用して市街地開発事業とかあるいは観光施設事業というような面的整備事業を積極的に進める必要が出てまいりました。そこで、その際に土地開発公社の業務を拡大いたしまして、その活用によりまして事業の円滑化を進めようということで、今回改正をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/193
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194・岡田正勝
○岡田(正)委員 その公社の業務範囲を拡大する事業の用に供する土地を利用する事業主体というのは一体何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/194
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195・小林実
○小林(実)政府委員 市街地開発事業で申し上げますと、例えば区画整理事業の組合とかあるいは再開発事業におきましても組合が実施する場合がございます。あるいは公団等が実施する場合があるかと思います。観光リゾート地域におきましては民間が事業を行う場合がありまして、それに対する用地を提供する場合も出てくるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/195
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196・岡田正勝
○岡田(正)委員 そういたしますと、この土地を利用する事業主体は、事業施行組合、第三セクター、それから民間企業、この三つに大体集約して考えられると思いますが、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/196
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197・小林実
○小林(実)政府委員 主としてはそのようなことになろうかと思います。あるいはまれにではございますけれども、事業の内容いかんによりましては、地方団体そのものに対して用地をさらに開発公社が売るということも出てくるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/197
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198・岡田正勝
○岡田(正)委員 地方公共団体の分身とも言えるような土地開発公社が、民間企業の用地を企業にかわって先行取得するということは問題ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/198
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199・小林実
○小林(実)政府委員 市街地開発事業とかあるいは観光リゾート地の開発につきまして、すべて土地開発公社に先行取得をさせようというわけではございませんで、多くの場合、そういう事業を進める場合に、市街地開発事業でいいますと、やはりある程度種地的なものがあると事業がスムーズに展開できるわけでございます。それから、観光リゾート地域の場合でいいますと、そのポイントとなる土地につきまして前もって公的団体といいますか、土地開発公社におきましてその土地を確保しておくということが、後々のリゾート開発のためによいという場合が多いわけでございます。
今回の業務拡大を図っております分野につきましては、そういう観点から、この土地開発公社をつくっております設立団体の要請を受けて行うというふうにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/199
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200・岡田正勝
○岡田(正)委員 今、企業にかわって先行取得することは問題ではありませんかとお尋ねをしましたら、それはすべてではない、こういう意味のことをおっしゃったと思いますね。すべてではないという意味は、どういうことなのでしょうか。例えば百万坪の土地を買ってもらいたいといった場合に百万坪を買って差し上げるということはすべてになりますね。そういう意味ではなくて、百万坪要求されたら、例えばそのうちの八十万坪を買うのですという意味なのか。百万坪要求されたら百二十万坪買って、二十万坪は残して百万坪だけ差し上げる、こういう意味なのでありましょうか。
それから、要請によって前もってリゾート用地を購入しておくことがベターだと思う、こういうふうにおっしゃいましたが、その要請とはどこの要請ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/200
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201・小林実
○小林(実)政府委員 設立団体がリゾート地域の開発をしよう、あるいは既成市街地でいいますと市街地再開発事業が計画されているその中におきまして、その事業実施に当たりまして事業主体に任しておいて構わないという場合は何も乗り出す必要はないわけでございます。
事業全体につきまして判断いたしまして、これは枢要なポイントにつきましては開発公社を利用して土地を買わせておいた方がきれいな計画ができるというような事業が出てくるわけでございます。そういうものを、設立団体ですね、土地開発公社をつくりましたもとの団体が判断をいたしまして、必要があれば土地開発公社に要請をして買ってもらう、先行取得をしてもらう、その道を開こう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/201
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202・岡田正勝
○岡田(正)委員 そうすると、今の御説明によれば、設立団体の要請に基づいて買うのである、こういうことでありますが、その設立団体とは地方公共団体のことを指しておるのですか。それともほかの団体を指しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/202
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203・小林実
○小林(実)政府委員 地方公共団体のことでございます。都道府県とか市町村ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/203
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204・岡田正勝
○岡田(正)委員 そうすると都道府県、この場合では都道府県、政令指定都市が当面対象でありますが、都道府県や政令指定都市の御要求によって、民間企業一〇〇%利用の土地でも、その地方公共団体が一〇〇%出資の開発公社でありますから、要請があればその要求にこたえるのであるということですね。何もわなを張ってはおりませんから、そのつもりで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/204
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205・梶山静六
○梶山国務大臣 委員御指摘の点で、問題点が二つあろうかと思います。
一つは、用地買収、取得をする場合、民間業者を圧迫するのではないかという一つの懸念。それからもう一つは、民間企業にストレートに公的な援助を与えていいのかどうなのかという問題の二点があろうかと思います。
そういうものを背景に考えますと、恐らく現実的な運用の問題で都道府県ないしは政令指定都市が土地開発公社のいわば元取りというか、その分身でございますから、その事業計画を組み、開発計画を組んださなかで、この土地にはホテル業務がいい、ここにはレクリエーションセンターがいい、恐らく複数の民間業者ないしはその他の公共的なものもひっくるめての複合体という意味での地域形成が、これから考えられると私は思います。
ですから、一企業、一団体だけでそれを全部フォローするわけにはまいりませんから、こういう土地開発公社的なものが一元的に用地の取得を行うことによって事業のスムーズな進展を図ってまいる、これが恐らく具体的な問題としての進め方だと私は思いますので、そういう意味を考えに入れてこういう制度ができたというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/205
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206・岡田正勝
○岡田(正)委員 一応わかったことにさせていただきますが、この新たな業務というのは当面都道府県及び政令指定都市に限定をするということでありますが、これらの地域こそ最も民活を利用できる地域ではないのでしょうか、大きな意味で。そういうことになってくると、本来の民活ということに反するおそれが出てきはしないかなというふうに思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/206
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207・梶山静六
○梶山国務大臣 政令指定都市の場合を考えますと、確かにこれは相当大規模な投資でございますから、その中にはおのずから民活になじむものが幾つかあろうかと思います。しかし、主体になるのは都道府県でございます。都道府県の県庁所在地というものに限定をして考えるべきものではなくて、その地域の、例えば茨城県で言いますと北茨城も、高萩も、十王も、かく申す私の住む常陸太田市も、広範な意味でリゾートゾーンを形成しようとする場合は、市町村の基盤が大変弱い地域でございます。
ですから、県がそういうものの行政的な広域開発をするためには、どうしても県がこういう機関の元取りをやってやらなければむしろ開発ができませんし、そこにはストレートに民活がなじむ地域ではないという認識をいたしますので、そういう誘導策をむしろ行っていくというふうに御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/207
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208・岡田正勝
○岡田(正)委員 大臣、これは例えの話ですが、観光・レジャー施設といいますか基地といいますか、そういうものを莫大な面積を購入をしてつくり上げていこうかというような企画力、そういう力が果たして都道府県にあるでしょうか。これは全然業務が違いますね。言うならば全く頭を切りかえなければわからぬようなことが物すごくあり過ぎるわけです。そうすると、都道府県のお役人さんの頭の中でそんなことがよもや考えられると思われぬのですよ、武士の商法ですから。
そうすると、そんなところで立てた計画によって土地開発公社に、おい、買えよとやりまして、土地開発公社はとにかく買えばいいんでしょうというので買うことばかり一生懸命やっているということをやっていくと、当然債務保証しますから、将来には財政破綻というのが起こる可能性が莫大にあるわけです。そうすると、お役人さんだけでそんな計画をするわけないです。必ずそこには知恵者がおって、知恵者というのは民間人ですね、民間のそういう専門業者が理事者と話し合いをして、こういう企画でいかがでしょうとだんだん絵ができ上がって、うん、それならひとつやってみようか、こういうことになって、おい開発公社、土地を買え、恐らくこういうふうなことになるんじゃないかと私は思うのですよ。
そうすると、その企画をするのも、絵をかくのも、そして資金計画をつくるのも、全部民間団体だと私は思うのです。それを県の理事者がオーケー、それでいきましょうというので土地を買うことだけを命ずるということになりまして、一民間業者が買うよりは公の立場で買う方が非常にきれいですからね。民間の者がうかつに買うと、下手をすると地上げ屋だ何だといって悪口を言われることもありますので、そういう悪口を言われぬように土地開発公社でやってもらう、こういうこともないとは言えないと思うのです。
ですから、民間企業がやるというような場合は民間にそのまま任せておくべきであって、地方公共団体というものは側面的な支援ですね。側面的な支援というのは、資金融資の関係とかあるいは情報の提供というようなことに対して側面的に援助をするということで、あとは手を染めない方がいいのではないかというふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/208
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209・小林実
○小林(実)政府委員 まさしく地方地方によりまして、また地域地域によりましていろいろなケースが出てくると思うわけでございます。
先生が御指摘のあったようなケースで心配があるところは、地方団体はその要請を控えるでありましょうし、地方団体がイニシアチブをとらないとなかなか観光開発も進まない、あるいは全部を買い占めるというのではなくて一部分だけポイントとなる地域を先に買っておいた方が、後でまた地価が暴騰するなんということも出てくる可能性もございますから、それを事前防止の意味で買うということもあると思うのです。それはケースケースによりまして地方団体が判断されて要請するかしないか、こういうふうになるわけでございまして、そういう道を開こうということで業務拡大をお願いしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/209
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210・岡田正勝
○岡田(正)委員 ここで大臣、ちょっと気に入らぬことを言うのですが、こういう一部の声があります。まさかそんなことはないだろうと思うのですよ。思うのですが、こういう声もあるのです。
公社の中では、いわゆる保有地は莫大に持っておりますけれども、もうこれ以上地方公共団体としても資金の債務負担ということもやりかねる、とにかく力が及ばない、もうこれ以上のことは債務保証はようしない、そうするとこれ以上土地もよう買わない、仕事もないというようなことで、事実上休眠状態に陥っておる。片や行政改革で職員の数を減らせ減らせという声が強い。したがって、職員を開発公社の方にそっと横滑りをさせるというようなことでもって、これはどこの市ということは名誉に関しますから言いません。例えての数字で、数字もごまかして言います。例えての数字ですが、四年間で五百人数を減らしました、職員定数を減らしました、喜んでくださいと言って、そこの市が市民に発表しました。ところが、その五百人はそっくり開発公社に行っているのです。一つも減ってはおらぬのです。
開発公社は莫大な土地を持っております。それは年がたつたびに金利がかさばっていきます。その金利にもちろん人件費がかさばっていきます。ずっと雪だるまのように太っていくわけですね。それは借金ですから将来どういうことになるのか。恐ろしい状態が起きはしないかと思うのでありますが、そういう休眠状態の公社があちらこちらにあるので何とかしてください、このままほっておくと抱えておるプロパーやそして職員もいつかは縁を切らざるを得なくなってくるときが来るのではないか、だから休眠公社の仕事を探しのためにぜひともこういうことをやっていただきたい、業務の拡大というのをやっていただきたいというような御要求があったのではないかなという声が聞かれます。
いま一つは、そういうふうに業務を拡大いたしますと、民間企業の仕事もやってあげるのでございますから、仕事がとぎれることはほとんどないと言ってもいいぐらいですね。すなわち、開発公社にとっては安定した仕事先が見つかったということになるわけであります。
もう一つ口が滑ったように言わせていただくならば、天下り先もふえた、しかも安定した勤務先だというようなことになるのではないかなということを言う意見があります。
まさかと思いますけれども、この点については大臣のお答えを聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/210
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211・梶山静六
○梶山国務大臣 再三説明がなされているように、公有地の拡大、特に民活の活用という意味をひっくるめて今回の業務拡大が行われるわけでございます。ですから、公式にお答えをいたせば、事業活動を停止した土地開発公社があるとするならば、将来とも事業の実施が見込まれないような場合には、行政改革の観点からも、解散等をひっくるめて適正な措置をとらなければならないという返事を申し上げるべきでございます。
私もよく夢の中で見るのは、一時期工場誘致、企業誘致ということで、たくさんの土地開発公社が工業用地、工業団地の造成を行って、残念ながら日本の中でそれほど企業が誘致できるはずもない。それぞれの市町村ないしは都道府県はそういうものをねらってやったわけでありますが、結果としてそれだけの企業誘致がないわけでございますから、未来永劫に向かって私はそれが遊休地だとは考えておりませんが、当分の間、一挙に予定どおりの工場が入ってまいらない。そういうことになると、金利が金利を生み、さらに極端な悪口を言えば、粉飾決算ともいわれるようなもので簿価形成がなされておりますから、帳簿上は資金調達さえできればその土地はその土地なりの実勢よりは高い評価をして、そのまま転ばせておけば、いわば粉飾決算、それで建前は済むわけであります。
私は、いつかも個人的な見解で私の地元なんかにも言っているのですが、いわゆる工業団地を造成したのは高く売るためにやったのではない、そこに企業を定着をさせ、雇用の場をつくり上げ、その地の活力をつくるためであるから、今例えば造成をして何年かたって、その簿価が現在の実情の金よりも極端なことを言って倍も高かったとしても、それはそのときの政策判断、市町村なり県が時の政策の判断を誤ったのであるから、いわゆる土地開発公社の責任においてそれを補完すべきものではないし、またできるはずもない。ですから私は、そこに企業誘致ができるならば、それが一番大きなねらいであるのだから、簿価の半分であっても処分をすべきだ。そして処分をしたその赤字は都道府県あるいは市町村が受けなければならない。これに向かって我々自治省側がどれだけ救済の措置がとれるものか。こういうものを、私的ではございますが検討し合いながら現実の対応をしていかなければならないという気持ちがいたすわけであります。
そういうものが現実にあるという認定を私はするわけではございませんが、そういう可能性もあるのではないかということで今検討いたしておりますので、そういうための業務拡大をして安定的な仕事の場所あるいは天下り場所をと言うと、これはそういうことは全くさらさらないというふうに答えなければなりませんし、官業の民業圧迫になってはなりませんから、最小限度、公の使命の達成される範囲内でこういうものの仕事の限定をすべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/211
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212・岡田正勝
○岡田(正)委員 よくわかりました。
次に民間のことですが、市街地開発事業や観光開発等における民間企業の参加のあり方、これを確立することがまず先決ではないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/212
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213・小林実
○小林(実)政府委員 民間活力ということにつきましてはいろいろ問題があるかと思います。これは、民間にやっていただく範囲の仕事は、役所が入るとその辺は余り得意ではございませんから、民間に任せた方がよほどいいわけでございます。今回の新しい業務もそういう基本的な考え方は変わりないわけでございます。あくまでも民間が行っている事業について円滑にできるように、あるいはその結果できた町とかリゾート地域が理想に近いというか少しでも近い形で実現できるように、そのためにはある程度用地が先行取得されておる方がいいという場合が多いと思いますので、そのための道を開くということで改正をお願いしておることを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/213
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214・岡田正勝
○岡田(正)委員 そこで、いま一つ懸念がありますのでお尋ねをいたしますが、都道府県からこういうレジャー基地をつくりたいと思うので先行取得をしてもらいたいと開発公社に依頼がありますね。それをそのまま忠実に実行をするということですが、都道府県がこういうレジャー基地をつくりたいからということのアクションを起こすときに、だれからアクションが起きてくるのだろうかということになると、恐らくその用地を全面的に払い下げを受けようとする民間業者の方からのアクションがあると思うのですね。それがなければ計画もできぬし、絵図もかけないわけです。
そうすると、そういう場合にAの業者も売る、Bの業者も売る、Cの業者も売るということになってくると、これは開発公社そのものの問題ではございませんが、その一つ手前の、いわゆる都道府県そのものが相当大揺れに揺れる問題が起きてくると思うのですね。うちだったらこういうふうにやる、うちだったらこういうふうにやると、恐らくいろいろな案を取り寄せるでしょうから。そうすると、その案をどこを採用するかということについて県の内部において相当の問題が起きてくるおそれがあると思うのです。
それはこれとは関係ありませんから、どうぞ質問は抜きにしてくださいとおっしゃるかもわかりませんが、私どもはそういう心配をしておるのです。それがまた新たな何かの温床になりはしないかという心配があるのですよ。これはでかいですよ、何億のようなけちな金額じゃありませんよ。恐らく一カ所何十億どころじゃない、何百億というけたの仕事になると思いますので、これだけの大きな仕事が動くということになると、都道府県で今度は開発公社に指令がおりるときは、もうそのころには相当の問題をはらんでいるんじゃないかなという心配がありますが、今ありもせぬことを疑ってはいけませんので、そういう心配はしておりませんというのを一丁かましてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/214
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215・梶山静六
○梶山国務大臣 大変時宜を得た先制パンチでございますから、ありがたくちょうだいをいたしますが、先ほども審議官から答弁をいたしましたけれども、まさに民活だけでやれる地域は民活オンリーでやるはずでございます。それはどうしても大都市、特に東京に集中しがちでございます。その一極集中の弊害をどうして除去するかといいますと、まさに民活の対象になる、資金も、あるいは需要もノウハウも、ありとあらゆるものがあるのが東京でございます。それ以外の地域に民活が行くかというと、なかなか参りません。その誘導策として、ちょびっとでも何か公的な関与度があれば、そういうものに一つのインセンティブを与えることができるのではないかというのが今回の発想でもございます。
ですから、やはりその地域地域で、例えばリゾートとか、今はやりでございますが、その地域で、あるホテルがある場所一角を持ってやろうといえば、それはそれなりの小規模なものである、それによって地価が上がればなかなか後の開発ができなくなるということになりますと、片やホテルがあっていい、片やレクリエーションゾーンがあっていい、そういうもろもろの計画を複合の民間と打ち合わせをしながら、そういう事業計画が盛り込まれるものというふうに私は理解をいたします。
現実に私どもの方でもそういうことで、県や市町村が、それぞれの業界、私のところにこんなものをやりたいよ、そういうもろもろの話し合いを持ち寄りながら一番いいものをねらってやるわけでございますから、一企業単独でできるわけではございません。それから、一企業単独で、道路や何からかにまでの全部を、大都市のように整備をされておりません地域でやろうと思っても、公的な介入、道路の一本も入らないところでどうしてそこができるかということになりますと、民間業者だけではできませんから、どうしても公の力の介入を必要とするわけでありますが、そこにこういう需要が生まれてくるわけであります。
もちろん、岡田委員御指摘のとおり、こういう仕事には往々にして過去にもいろいろな嫌なうわさがつきまといがちであります。事いやしくもこういう開発行為の許認可その他に当たってそういうことがないように、事前に注意をし、そういうことをなさせないように、そしてまた、そういうものを恐れて地方の開発がおくれるならば、それはその土地の理事者として、あるいは時にその土地に住む人の責任において、ひきょうであった、そう言われるそしりがあると私は思いますので、胸を張って、このことはぜひ正々堂々と進んでもらいたい、こういう念願でいっぱいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/215
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216・岡田正勝
○岡田(正)委員 よくわかりました。
そこで、今回新たに土地開発公社の用地の先行取得の対象となる事業は、市街地開発事業についてのみ法律に書いてありますね。それで、その他の事業というのは政令で定めることとされておりますが、その中に、大体今ではいわゆるレジャー基地なんかは入る、こういうので、頭から二本並べて説明をしていらっしゃるようでございますが、そういう政令で定めるという対象事業というのは、事が事でありますので、やはり法律で決めておくべきではないのでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/216
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217・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社が行う事業で、公営企業に相当する事業というのがございまして、それにつきましても法律では住宅用地の造成事業というのが代表的に掲げてございまして、そのほかにつきましては政令で定める、こういうことになっております。そういう先例がございまして、政令で港湾の埋立事業とかあるいは内陸工業用地の造成事業とか流通業務団地の造成事業というのを掲げておるわけでございます。
今回におきましては、まず市街地開発事業につきまして掲げておりまして、政令につきましては、今の段階で私どもとして観光施設事業も定めたいと思っておるということで申し上げておるわけでございます。関係省庁と調整して書いていくものでございますから、そこで御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/217
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218・岡田正勝
○岡田(正)委員 これは大臣も誤解しないで聞いておいていただきたいと思いますが、今言うように、我々がこれを論議しておるのでも、実際には対象事業というのは一個なんですよね。市街地開発事業を一つ追加するのですよ。追加事業です。それで観光・レジャー基地というのは法律には全然言葉にはなっていないのですよ。政令で、もう入れるつもりですからというので、事前説明があるから、これはもう法律に書いてあるとばかりみんな思い込んで、一生懸命二本の柱で話をしているのでしょう。
私は決して政府を信用しないわけではありませんけれども、やはりこういう事業の拡大を認めるということについては、こういうもの、こういうもの、こういうものを法律として定めたいということを議会に、委員会へ法律案として諮るべきじゃないのか。政令にゆだねるということは政府の一存ですから、政府を信用しないのではありませんよ。だけれども政令に一任、こうなったら、どこまで広がっていくのかなというような心配もまたあるのですよ。ですから、そういう点で私は、とにかく政令にゆだねるのではなくて、法律に書き上げるべきだというふうに思っていますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/218
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219・小林実
○小林(実)政府委員 そういう御意見もあるかと思いますけれども、現在時点におきまして地方におきましては地域の活性化というのが一番大きな話題になっておりまして、それに資するものといたしましては市街地開発事業、それから代表的にはリゾート地域等が、法律もできたりしておりますので、それも予定をしたいということで考えたわけでございます。
法律には書いてございませんが、政令におきましても、例えば土地開発公社につきましても当面は都道府県、政令指定都市に限って考えていきたい、事業につきましても当面はそうむやみやたらに広げるという気持ちはございませんので、その程度で御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/219
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220・岡田正勝
○岡田(正)委員 それでは話をかえますが、追加業務が特定の、特定のといえば都道府県及び政令指定都市というような地方公共団体の土地開発公社に限定される。その理由は先ほど御説明がありましたが、もう一回繰り返してくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/220
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221・小林実
○小林(実)政府委員 先ほど来、新しく拡大します分野につきましての懸念を先生いろいろ御指摘をいただきました。
今度の新しい業務につきましては、これは地方団体自身が、民間が主体となって行う、例えば組合で区画整理事業を行う、あるいは再開発事業を行うという場合に、地方団体が起債を起こして買うということは現行法ではできないわけでございまして、現行地方財政法ではできない分野のものまで地方団体の要請を受けて開発公社ができるというふうにしようとするものでございますし、先ほど来のお話で、事業規模その他につきましても大きくなることも予想されるわけでございます。当面はそういうことでございまして、組織的にもあるいは財政的にも能力のあるのは都道府県、政令指定都市の土地開発公社であろうかと思いますので、そこに限っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/221
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222・岡田正勝
○岡田(正)委員 そこで、地域活性化のため民間企業等と協力して実施する市街地再開発事業や観光事業というのは、都道府県や政令指定都市だけではないと私は思うのですよ。これらの事業について土地開発公社の活用というものは、地方公共団体のそれぞれの判断にゆだねて地方の自主性を尊重すべきではないかと私は思いますが、もう一度答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/222
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223・小林実
○小林(実)政府委員 民間主体の事業についてまで範囲を広げようということでございまして、いろいろ御懸念もございますとおりでございます。そういうことで、この範囲につきましては慎重になっておるわけでございます。そういう観点から限定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/223
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224・岡田正勝
○岡田(正)委員 私がちょっと不思議に思いますのは、都道府県並びに政令指定都市以外にはこの二つの業務の拡大は認めない方針である、これは何回も繰り返しておっしゃったのでありますが、現在全国にあるいわゆる地方の公社ですね、これをながめてみますると、現実に市街地再開発事業や観光・レジャー関係の公社が既に幾つかありますね。これらの公社との調整は一体どうなるのですか。そのやっておる分は、あなたのところは都道府県でないからだめ、あなたのところは政令指定都市でないからだめということで、この法律でぴしゃっと抑えるのですか。この調整はどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/224
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225・小林実
○小林(実)政府委員 既に類似のいわゆる地方公社があることは御指摘のとおりでございまして、それは民法上の公益法人でございますから、恐らくその仕事につきましては決められておりますから、土地取得もあるいは観光事業も開発事業もやっていただいて結構なわけでございます。
今回、土地開発公社につきましてある一定の分野で業務拡大しておるわけでございますが、事業によりましてこの土地開発公社を使った方がベターだという場合にお使いをいただければ結構でございまして、それは地域地域によって御判断をいただければいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/225
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226・岡田正勝
○岡田(正)委員 それじゃ再確認のためにいま一度聞きますが、都道府県や政令指定都市以外の地方公共団体は、新たに地方公社を設立したり既存の地方公社を活用せざるを得なくなってきますね、必要性が生じたときに。それは、公有地拡大法の上から地方公共団体の監督規定が働きませんので、地方公社の業務の上で健全性が十分に確保されないというおそれが生じてくるのではありませんか。抜け穴になるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/226
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227・小林実
○小林(実)政府委員 今までもいわゆる地方公社につきましては、自治法上の監査委員の監督権限とか、あるいはそれをつくりました団体の長の監督権限、さらにはそれを通じてまた議会の監督権限が及ぶわけでございます。
今度新しく業務拡大したわけでございますが、それが引き金になりまして小さな市町村でどんどんまた公社ができるというふうには考えられないわけでございまして、本来であれば民間でやれることに手を突っ込もうということでございます。これにつきましては御指摘のように相当リスクもあるわけでございまして、各地方団体に相当慎重に対応していただけるものというふうに思っております。
設立団体につきましては都道府県と政令市に限定をいたしておりますけれども、その後の運用、経緯等を見まして、さらに市町村、どの程度の市町村になるかわかりませんが、拡大することにつきましては今後の課題とさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/227
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228・岡田正勝
○岡田(正)委員 時間が少なくなってまいりましたので、各委員との質疑応答の中で疑問に思っておりますところを最後にお尋ねをしたいと思うのであります。
あらましの説明というのが、土地開発公社というのは用地の先行取得が主たる任務である、だが管理行為として造成もできます、しかしながらそれは粗造成であります、本格的な工事はできませんという説明が何遍も繰り返されたと思いますが、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/228
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229・小林実
○小林(実)政府委員 土地開発公社は土地の先行取得が主たる業務でございまして、公共施設を管理したりあるいはつくったりするのは業務ではございません。それは地方団体に行ってもらえばいいわけでございまして、そういう趣旨からいろいろ申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/229
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230・岡田正勝
○岡田(正)委員 それでは、自治省がお出しになったこの説明書、これをお持ちになっていますね。「公有地の拡大の推進に関する法律等の改正について 自治省」と大きな字で書いてあります。その真ん中辺のところに、具体的な改正内容は次のとおりというので、「業務範囲の拡大(第十七条関係)」といたしまして、現行の業務の範囲というのは「(公共・公用施設用地等の先行取得及び住宅・工業用地等の造成事業)」こうなっておりますね。造成事業と日本語で書いてありますな。この造成事業というのはやっちゃいかぬのですね。本来やってはならぬ行為ですね。それを何でここへ書いたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/230
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231・小林実
○小林(実)政府委員 言葉足らずで申しわけないのでございますが、土地開発公社の業務は大きく分けまして、公共用地の先行取得の業務とそれから住宅・工業用地等の造成事業、いわゆる公営企業に相当する事業の大きな二つの事業があるわけでございます。そういうことで、公営企業に相当する事業につきましては、住宅あるいは工業用地につきましては造成まで行える、こういうことでございます。これは地方団体が行う公営企業と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/231
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232・岡田正勝
○岡田(正)委員 私があくまでも言っているのは、公共用地の先行取得ですよ、それといわゆる公共的な造成事業のことですよ。それはできる、できるからここへ活字で書いた、こういうことですね。造成事業というのはできるということになっておるのに、説明の中では、できるが粗造成しかできぬというのはどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/232
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233・小林実
○小林(実)政府委員 先ほど来お話ししておりますのは前段の及びの前のことを言っておるわけでございまして、公共・公用施設用地等の先行取得によって取得した土地につきましては、従来は粗造成まで、今回はそれを頼んだ団体との関係で、ある程度まで行ってもいいんではないか、こういうことを通知で流しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/233
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234・岡田正勝
○岡田(正)委員 及びという字がついておろうがおるまいが、とにかく「(公共・公用施設用地等の先行取得及び住宅・工業用地等の造成事業)」こうなっていますね。そうなりますと、これは造成事業はできると読んでいいんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/234
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235・小林実
○小林(実)政府委員 書き方が不十分だったと思いますが、これは先行取得事業というふうにここを読んでいただきたいと思います。(岡田(正)委員「造成は」と呼ぶ)ですから、先行取得事業によって取得した用地につきましてはある程度の造成まで可能ですよ、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/235
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236・岡田正勝
○岡田(正)委員 そこがわからぬのです。先行取得で買った用地、それ以外に造成工事ができるわけはないじゃないですか。他人の土地まで開発公社が行って造成するのですか、そんなあほなことを今私は論じているのじゃないのですよ。開発公社が先行取得をしたその用地にしか開発公社は手をつけられぬ、そんなことは当たり前です。人の懐へ手を突っ込んだら泥棒です。侵略者です。だから自分が買ったその土地を造成するに決まっておる。造成事業と書いてあるのに粗造成しか認めないというのは一体どういう意味の説明なのかと聞いておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/236
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237・小林実
○小林(実)政府委員 どうも説明が不十分で申しわけないと思いますが、ここで書いています後段の「住宅・工業用地等の造成事業」というのは、まさしく公営企業に相当する事業でございまして、土地開発公社がみずからの責任におきまして土地を取得し、造成し、処分する事業でございます。そのことをここで「住宅・工業用地等の造成事業」と言っておるわけでございまして、これは十七条の二項の事業でございます。
その前に公共用地の先行取得事業というのがございまして、その関係の部分の取得しました用地につきましてはある程度の造成まで行ってよろしい、それは先行取得しました用地の管理権限としてそこまで行える、こういうことできておるわけでございます。公共用地で先行取得したものにつきましては大体道路とか公園になるわけでございまして、私どもが言っていますのは、道路の築造工事とか公園の建設工事まで開発公社ができるというわけにはいかぬ、こう言っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/237
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238・岡田正勝
○岡田(正)委員 これで終わりますが、今言うように、私の質問しておることは決してむちゃな意見とは思っていないのです。今の公有地を先行取得した、その先行取得したところが公園なら公園あるいはリゾート基地ならリゾート基地だったら、そこに対しての道路をつけたり溝をつけたりあるいは砂防堰堤をつけたり、そういうことなどについては当然開発公社がある程度のことはやりませんと、造成工事をやらないと、その土地は本当の値打ちは出てこない。取りつけ道路の関係も当然要るわけですし、そういう関係が出てこないのじゃないか。だから、開発公社はただ土地を買うだけのいわゆる地面師としてこき使われるだけということに終わったのでは、開発公社の存在意義が薄れるということを心配している一人でありますから、その点を十分御勘考いただきたいというふうに希望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/238
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239・松本十郎
○松本委員長 寺前巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/239
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240・寺前巖
○寺前委員 今お話がございましたが、私も懸念しておるところは同じところでありますので、事実を通じて幾つかお聞きをしたいと思います。
この間ほかの用事がございまして島根県へ行きましたら、こんなチラシが出ておったのです。
島根県では、工業構造の高度化を眼目とする中海新産都建設を推進、七千二百億円を投じた。重化学工業の比重はところが逆に低下をして、三百人以上の企業も十五から十に減少、工業従事者も減りました。新産都地区以外で工業従事者が増加しているのに比べ、この事業の失敗は明らかです。工業開発優先政策によって進めた工業用地造成は、造成並びに造成中の約三百ヘクタールのうち売れたのは六十四ヘクタール、二一%で、広大な面積が遊休して雑草が生い茂り、事業の失敗を象徴しています。大型開発事業が借金によって進められ、県債の残高は二千六百億円に膨れ上がっている。六十一年度の県債元利償還額は四百四十億円で、予算に占める割合は一七・三%だ。
チラシの中にこう書いてあったのを見ると、列島改造で大騒ぎをしてきて我も我もと各県が新産都市づくりの指定を受けてやったという状況が生まれましたが、我も我もとリゾート、リゾートでやっていったときに、また似たようなことになるのと違うかという心配はだれもが最初に感ずるところなんですね。
今度の法改正で、市街地開発事業、観光施設事業等の用に供する土地の先行取得ができるようになりますね。新しくリゾートとか鉄道の駅周辺の土地を売って開発する、そういうところに力を入れてくる法案になるなということはだれでも思うわけです。我も我もとやったときに果たして大丈夫かいな、あの二の舞はせぬかいな、これは正直な心配なんですね。
そこで、私は、まず最初にリゾート問題について聞きたいと思うのです。
この間ある新聞を読んでおりましたら、宮崎県でリゾートの推進、宮崎・日南海岸リゾート構想推進協議会というところの内容を見ました。こういうことが書いてあるのですね。「宮崎太陽海岸都市の創出」こういうキャッチフレーズで、宮崎市、日南市など日南海岸沿いの三市五町十三万三千ヘクタールにリゾートホテルをつくり、国際会議場、海洋レジャー施設、ゴルフ場、マリーナなどを整備していく。だれがそういうものをやっていくかというと西武鉄道グループだ、宮崎交通だ、フェニックス国際観光などなど、こういうふうにずっと出てくる。県、関係市町は民間の開発に合わせて公共施設を整備したり、そうして値打ちを上げさせて、官民合同の第三セクターを組織したり開発に一生懸命だ。これは地元の新聞を見てもあるいはパンフレットを見ても、そういうことがずっと書いてありますよ。
ところが、新聞社も気になると見えて、こういうリゾート構想は大規模開発計画や西武鉄道グループの県南部でのホテル、水族館建設など民間開発が柱だと言われておるけれども、結局それに巻き込まれていくだけの話と違うのか、大丈夫かと書くのです。
そこで私はこの機会に、リゾート建設というものが今一体どんなふうに期待を持って申請をしてきているのか、どれだけ申請が出てきて、この建設によってどんなふうに観光客がふえるような計画になっておるのか。新産都市の二の舞になると困るので、国土庁ちょっと説明してもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/240
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241・吉原孝司
○吉原説明員 リゾートの申請状況という御質問でございますが、申請はまだ出ておりません。私どもいわゆるリゾート法に基づきますリゾートの手続を進めているわけでありますが、それに先立ちまして、基本構想をつくるに当たっての準備作業として基礎調査をやっていただきましょうということで、基礎調査を見ながら順次基本構想の策定に入っていただくというような手続を今進めているわけであります。そういう中で基礎調査が終了したということで御報告を受けているのが九件でございます。したがいまして、ただいまの基本構想の申請という段階ではゼロでございますが、基礎調査が終了したという段階では今九件ほどであるというように御理解をいただきたいと思います。
それから、どんな内容になっているかということでございますが、それぞれの府県はいずれもそれぞれ地域性を持っておりまして、それぞれの地域の地域性をできるだけ加味したような格好で構想をまとめようといたしております。
今も御指摘のありましたように、宮崎県の場合は、美しい海岸線あるいは太陽というようなものを中心に置きまして、宮崎太陽海岸都市というようなものをつくりたいということで、「ふれあい・交流の場の形成」というようなものをコンセプトに置いて整備をしたい、こう言っているわけであります。その結果、ではどれくらい宿泊客がふえるかということでありますが、これは私ども基本的には約十年程度の構想をつくってくださいということを前提に基礎調査をしていただいておりますので、その間の事情というのはいろいろ変わってくるでしょうし、特に法律の制定の目的でもあります滞在型のリゾート基地をつくるという観点からいきますと、今のリゾートといいましょうか観光の実態というのは、一泊、二泊とかいう大変短期的な通過型の状況でございます。それが今後十年間でどのように滞在型、長期化していくかということによって随分変わってまいります。
特に、観光統計のとり方は、人泊といいましょうか、一人の人が一泊泊まりますと一人と数えます。そうしますと、一週間泊まりますと七人というふうに数字が出ますので、必ずしもその数字自体を見てどうこうと批判することは難しいわけでございますが、一応宮崎県の場合は、宿泊客は人泊で申しまして十年後には約倍になるだろうというような数字でいろいろ計画を立てております。
〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/241
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242・寺前巖
○寺前委員 それで、私も各県それぞれやっておるところをちょっと聞いてみますと、宮崎県は現在四百六十万前後なのが七百万ぐらい、今倍という話がありました。三重県のを聞いてみると、今千四百万ぐらいが二千四百万ぐらいだ。福島県を見ると、九百万ぐらいが千四百五十万だ。どこでも一・五倍から二倍、全部数字を出してきます。それはわざわざやるんだからお客さんが来てもらわなんだら、こうなるのです。新産都市のときに工場に来てもらうということで準備するのと非常によう似た傾向が出てくる。各県がそれをやり出したら、結局どういうことになるんだろう。私の京都でも丹後リゾート開発、今四百五十万ぐらいだ、これを一千万人にするんだとやはり同じようなことを言っているんです。こんなことをやって、果たしてそれじゃ人間みんな余裕を持ってそこらじゅうに行くようになるんだろうか。
この間、衆議院の建設委員会の記録を読んでおりましたら、労働省の人がこのリゾート問題についてこう言っていますね。
連続休暇につきましては、夏休み等を普及するということでやっておるわけでございます。それにあわせまして労働条件の最低基準を定めております労働基準法、これが四十時間という目標値を掲げまして段階的に短縮をしていこうということにしております。そのほか年休のとり方につきましても、最低基準を現在の六日から十日に引き上げますし、計画取得もできるような格好に法案としてなっております。
そういう点で何とか早い機会に欧米並みの週休二日制あるいは連続休暇をとれるように考えてございますが、我が国ではやはり中小企業と大企業、その辺の格差は非常に大きいわけでございます。一挙にそこにいくというのはなかなか難しいものでございますので、何とか全般的に無理なく引き上げるようにということでやっておりまして、いつからそういうようになるかというのはなかなかお答え申し上げかねるところでございます。結局やれぬということを、休暇の制度をいろいろやるけれども、そうみんな遊びに行くようにはなりませんと片方の労働省の雇用の関係者は言うんですよ。ところが片方では、各県各県我も我もとリゾートで来てくれる。
私が心配なのは、こういうようなことをやっておって、さて、今度の法案で、さあやりなと言って都道府県にまた金をやったら同じことになるのと違うか。大臣、その心配はないとおっしゃるのかどうか。そこのところどうですか。どうされるつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/242
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243・梶山静六
○梶山国務大臣 委員御指摘ではございますが、長寿余暇時代の方向に向かっているという現実だけは、これはお認めを願いたいと思います。これからさらに短命になり、余暇がもっと今より減るという時代ではない。ですから、その方向であることには間違いがございませんし、その意味で余暇利用の施設や長寿のあり方についての施設、そういうものを民間や国が建設をしていくことは一つの大きい趨勢だと思います。
それから、先ほど民間事業に巻き込まれる心配があると言いましたけれども、まさに民間のために公があるわけでありますから、民間の事業に巻き込まれることは民主社会では当然であります。このことに関しては、私は民間のために公が奉仕をするというのは行政の基本でなければならないという気がいたします。
それから、過去の事例を引かれまして、反省でございます。ですから、我も我もと工業団地を造成して、残念ながらペンペン草が生えたという事例、これは大変大きな教訓でございます。
一つ考えますと、工業団地の造成というのは、あらかじめ工業の立地を見込んでやる場合と、工業団地をつくれば企業が来るであろうという、その二つの選択の仕方があったわけであります。例えば私の茨城県でやった鹿島の開発は、企業と話し合いのもとに鹿島の開発を行いましたから、大半の土地は埋まったわけであります、基幹的なものは。そして、その後の第二次工業団地にややあきがございますけれども、これも時間を経て埋まることができた幸いな地域でございますが、確かに一市町村が、貧弱と言うと大変言葉が悪いわけでございますが、国全般の趨勢を見ることができなくて、期待、願望のみで工業団地をつくったところにそういう欠陥があらわれたという現実は否めないことであろうと思います。
ですから、今回のいわば土地開発公社の業務拡大に伴うもの、あるいは民間の市街地再開発、あるいはそういう観光、レクリエーションゾーン的なものを考えますと、市街地開発というのは何人かの方々が行うわけですから、土地を取得すればこの採算はもちろん当然の帰結として合うと思います。今、民間だけですらできるわけでありますから、それを地方都市にということになればこれは可能だという気がいたします。
それから、その後の大きいリゾート、これは各都道府県ともにその地域選定をして、ここはこうすればこういう絵になるだろうというデッサンを描く。その専門家なりあるいは企業なりというものとの意見を闘わせないで、ただ単にやみくもに用地取得を行うかというと、そういうことは、前車の轍を踏むことはございません。恐らくそういうものと相まってこういうことが行われる。ですから、委員御指摘のように、民間事業に巻き込まれると言われるかもしれませんが、まさに民間事業と一体になってこういう事業が推進をされる、そういうことを期待するわけでございますし、そういう方向に恐らくこれから参ろうと思いますし、指導していかなければならないというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/243
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244・寺前巖
○寺前委員 私、ここに日経新聞を持っていますが、日経新聞にはこれについてこう書いてありますよ。見出しだけを見ても、「乱立すれば共倒れ余暇市場は未熟 海外と客の奪い合いも期待のリゾート開発」こういうふうに書かれているのです。だから心配なんですよ。
しかも、このリゾート開発を一定の地域の中においていろいろやっていくというのは、中心地は全部大手の企業を中心にして開発していくのですから、その大手の企業に利用されていく、そして利用されて赤字だけを持っていくようなことになってしまったらえらいことだと思うのです。その点は念頭に置いて活動しなければ僕はいかぬと思うのです。この法律の持っている最大の問題点はここだろうというふうに指摘せざるを得ない。
次に、市街地開発事業が今度新しく加わってくるわけですが、直接これに関係ありませんけれども、市街地開発事業の中曽根民活第一号と言われておった錦糸町駅北口再開発事業をめぐっての問題というのは、やはり検討しておく必要があると私は思うのです。
昭和五十九年九月当時の案では、錦糸町の北口の再開発といったって、持っている土地は九〇%から旧国鉄だ。都営住宅が二十戸ほどあり、それからポンプ場などの土地も若干はありますけれども、圧倒的に旧国鉄ですね。今清算事業団が管理するのですか。四・四ヘクタールの土地を再開発して四百五十戸の住宅、それから区立の経済文化会館などをつくって十四階建ての建物を建てる、こういう計画であそこでやっておったというのです。
ところが、道路際に一〇%ほど民有地があるわけです。民間の人がお持ちになっている。ここへ大手の会社が入り込んできたのです。清水建設、竹中工務店、フジタ工業、戸田建設、大成建設、鹿島建設、熊谷組、青木建設等々が入ってきているのですね。持っている土地というのは、わずか四・四ヘクタールの中の一〇%ほどの土地の中に入り込んでくるのですから。フジタ工業が持っている土地というのは三十三・〇六平米、十坪ほどなんです。それから大成建設はその倍の六十六・一一平米、青木建設は六十六・一二平米。みんな十坪とか二十坪とかわずかな土地を持って、そして地権者としてそこの組合の中に発言権を持ち出した。発言権を持ち出したら、初めはそこに参加しておった組合員というのは二十九人であったものが、法人も入ってきて四十人になって、そしてそれらの諸君たちの発言が強くなってどんどん土地の値打ちが上がったというのか、土地の値段をうんとつり上げる役割をしているのです。二年ほど前には坪当たり四、五百万円であったものが、去年は千五百万になり、今では五千万までになってしまった。物すごいつり上げになった。
清算事業団の方は、九〇%持っておって、さあわずかな土地のところに大手がだっと入ることによって値打ちを上げてくれて、高く売れて結構だな、あと清算事業団の土地が高く売れるかと思っておられるのか。冗談じゃない、あいつら入り込んできて、こんなことにされて、社会的使命感を旧国鉄としては果たせぬことになる、えらいことやとお感じになっているのか。私は、これはえらい問題だなということをつくづく、民活でこれから開発していこうという方向の第一号としてきた問題だけに、どういうふうにこの問題を見ておられるのかお聞きしたいと思うのです。
計画も四百五十戸建てるという計画になっていたものがころっと変わってしまうのです。百七十戸に減らされてしまう。そして後はホテルが入ってくるわ、百貨店がぱっとできてくるわ、全然性格が違うものになっている。結局都心に住むところの人がそこを離れて遠くへ行かなければならない。そこにできる住宅も何ぼの値段になるのか知らぬけれども、月二十万円だといううわさが出ているくらいなんですよ。そういうものの再開発に変えられてしまった。九〇%旧国鉄が土地を持っておって、若干都や区が金を持っておって、それがそんなものにされていく。そんな開発があっていいのかいな。これに協力するような、また今度の法律が市街化区域になるようなことになってくると、一体法律はだれのためにあるんだろうかということを言わざるを得ないことになるのです。
そこで、まず運輸省おられますか。ちょっと運輸省から説明してくれますか。旧国鉄用地、九〇%を占めておるんだけれども、こんな調子でどんどん土地の値打ちが上がっていって、私の方は結構でございます、こうおっしゃるのかどうか。清算事業団が管理をやっておられるのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/244
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245・宮崎達彦
○宮崎説明員 お答えいたします。
先生御承知のとおり、国鉄清算事業団が持っております用地と申しますのは、国鉄が持ちました膨大な長期債務、そのうちの一部、と申しましても二十五兆に上る膨大な債務でございますが、これを国民に直接負担をかけずに返すための財源として引き継いだものでございます。そういった観点からだけ申し上げれば、高く売れれば売れるほどいいということになるわけでございますけれども、ただそういった事業団という公的な立場、もとは国有鉄道の財産、国民の共通の財産というような立場から、地域のいろいろな開発整備にも配慮しなければならないということもございます。ただ、そういった地域整備に配慮した上で土地の効用が高まる、例えば今回の錦糸町のような開発整備計画に協力しながら効用が高まるということ自身は我々喜んで協力して、そういった意味で高く売れれば非常にありがたい話だというふうに考えておりますが、ただ先生御指摘のようなことで地価が上がったようなことだとすれば、それは我々といたしましてはこれによってただ単に喜んでおるということではございませんで、再開発事業による適正な評価のもとで売却させていただければ非常に結構な話だと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/245
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246・寺前巖
○寺前委員 建設省、これにかんでいるわけでしょう。それで建設省は、街区事業の再開発で容積率を七〇〇とか八〇〇とかだっと上げていったわけでしょう。丸の内の場合は二〇〇〇まで容積率を上げるとか、そんなことも言われておりましたね。そういうことによって超高層ビルをここの地域につくるという方向に変えてしまっている。二年前に当初考えておったことと全然違う方向になっていって、青空が消えていくということをここの住民が言っている。こんな方向に再開発というのを変えていっている。住民のための土地ではなくなってしまっている。
建設省もこれは相談に乗ってやってきているのだと思うのだけれども、そんな緩和をやって当初計画がこういうことになってきて、そして大手の会社が主導権を握ってそういう開発をやっていくという方向について、あなたたちはどう思っておられるのか。建設省お見えですか。ちょっと説明してください。
〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/246
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247・福田秀文
○福田説明員 JR錦糸町駅北口の再開発でございますけれども、おっしゃるとおり再開発の計画案についてはいろいろ検討がなされてまいりまして、去る一月十四日に都市計画決定がなされております。それまでの間にその構想案について変更がなされてまいりましたが、その変更の検討と申しますのは、この地区が東京都におきます東の副都心というような位置づけがございますので、そのような位置づけにふさわしい開発のあり方というものを検討する過程で計画の変更が出てきたものでございまして、先生御指摘されました一部建設業者の土地取得がこれに直接結びついているというふうには考えにくいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/247
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248・寺前巖
○寺前委員 結びつかないというふうに思っておる方がどうかしているのであって、ここの墨田区の区議会でも大問題になっておるのだ。業者が入ってきて、九割から旧国鉄の土地で左右することができると思っていたところが、この新しく入ってきたものが超高層ビル、容積率をだっと高めてやることによって全然違うものになってきて、構想まで変えさせられてしまった。こんなことを許しておいていいのかといって区議会で問題になっておるのだ。
大臣、たった二年の間に性格を変えられて、住民が不在になっていく方向が打ち出されてきているのです。そこでついに区議会で区長さんも言わざるを得ぬようになってきた。これは大手企業に撤退をしてもらわなければぐあいが悪いな。区で買えるものだったら、お金で買って、そこのところを買わしてもらおうか、高くなってきたけれどもやむを得ぬ、それは住民のためにはこんなことにしてしまったらえらいことだという声が出てきているぐらいです。
僕は、この再開発事業に対して都道府県が乗り出すことを許していくという法律前に、まずこういう事態が起こっていることに対して国がどういう役割をしたか、自治体がどういう役割をしたかということを見ながら、この法律ができたときにはどうなるだろうかという問題をみんなは見ていると思うのです。どういうふうに思われますか。この区議会がもとへ戻そうじゃないかということを言っている態度がおわかりになりますか。建設省はやむを得ないという態度をとっています。国鉄清算事業団、運輸省の方は高い方が結構で処理ができますけれども、住民との間には矛盾ですねという話を今やっておられました。私は、自治体のあるべき姿はこうだということをこの際明らかにしてもらわぬことには、積極的に開発公社を使って云々するという法律ができてきたときには大変だなという感じを持ちますので、大臣の御見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/248
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249・梶山静六
○梶山国務大臣 不勉強にして実態を知りませんので、早急に研究をしてみたいと思います。
ただ、この問題と異なるところは、そういう民間の方々のみに左右をされるという今の委員の御指摘でございますけれども、土地開発公社がその親である市町村あるいは都道府県、そういうものの意向を反映して用地の取得に当たることができるとするならば公的な介入がもっと深まることであろうということでは、委員の御指摘の懸念の点を解消する方向に行くのではないかという気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/249
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250・寺前巖
○寺前委員 それはさっきのリゾートの話と同じで、さきの質問のときにもありました。民間の知恵者の諸君たちが出てきて知恵をつけて巻き込まれるというのが大体落ちになっているのですね。だからそういうことを十分に考えて、こういうものが抑えられなくしてあの法律ができては大変なことになるという感の方が強いわけです。
そこで、時間の都合がございますので最後の質問になるかと思いますが、今度の法改正によると自治省の監督権限が強まることになりますね。この監督権限が強まると土地開発公社そのものの自主性を侵害するのじゃないか。土地開発公社のやることを実質的にチェックできるという問題をもっと考える必要があるな、地方議会がチェックできるということをもっと考える必要があるのじゃないだろうかなということを一つの例からお聞きをしたいと思うのです。
最近私の耳に入ったことでございますが、千葉県の習志野市です。市の開発公社と民間不動産屋や地上げ屋との間で十五年間に五回も土地転がしが行われていたということが明らかになって、そして百条委員会がこの市にできてきているという問題なんです。これもちょっと驚いたんですね。市開発公社は十五年前に農地を坪十七万円で農家から買ったものの、その後民間不動産会社に売却し、その不動産会社は別の不動産会社に転売しました。ところが、昨年一月に市開発公社が老人ホーム建設の用地取得を名目に不動産会社から一坪八十五万円で買い戻したものの、ことし二月に、前年に土地を買い取ったその不動産会社に一坪百二十二万円で売り渡している。全部土地開発公社を使って不動産屋と結託してごろごろと土地転がしをやっておるのですね。もうばかにするのにもほどがある。
さて、議会の方はこういう問題についてこの間どうだったんだといえば、十五年の間に三回にわたって市に百条委員会ができているのです。昭和五十五年に土地転がしの件で百条委員会、昭和五十九年に不良債務で百条委員会、昭和六十三年ですか、土地転がしでまた百条委員会、こうなるわけですけれども、そもそも土地開発公社というのは、議会との関係でいうたら、損失保険のお金を議会の予算の中で掛けてやる。それによって銀行が土地開発公社に金を貸して保証してやっているだけであって、土地開発公社に対して議会が直接監査をするということにはなっていない。結局、監査できるのは市長だ。市長が土地開発公社のメンバーと兼ねている役割をしていますから、結局だれもチェックしないということになっている。この土地開発公社そのものに対して地方議会がチェックすることができるということをやらないと、自浄作用が発動しないことになるのではないだろうか。
この習志野の問題について、自治省はどういうふうにお考えになっておられるのか。十五年間に何回も何回もこういうことがやられておって、これはどこに欠陥があったのか。もちろん市長自身の姿にあるでしょう。だけれども、もっとメスを入れてみる必要がある。制度的にも土地開発公社というのはメスを入れなければいかぬのと違うのか。そこらについてどういうふうな御見解をお持ちなのか聞きたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/250
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251・小林実
○小林(実)政府委員 習志野の件についてでございますが、詳細は私ども承知はしておらないわけでございます。
問題になっております開発公社というのは、公拡法による土地開発公社の問題ではないわけでございますが、現行法では、いわゆる地方公社につきましては予算、事業計画、資金計画につきましては設立団体の長の承認を得ることになっております。また、毎事業年度終了後には財産目録その他の関係書類を作成して地方公社の方から地方団体の長に提出をすることになっております。地方団体の長は、事業の計画あるいは決算に関する書類を議会に提出しなければならないことになっておりまして、私どもといたしましては、こういった規定がございますし、また監査委員の監査もできるわけでございまして、現行地方自治法の規定によりまして地方団体が努力をしていただくのが本筋ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/251
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252・寺前巖
○寺前委員 自治体の出資法人の定住構想の推進に果たす役割とその組織・運営の実態に関する調査、自治省が出した昭和五十七年度のものを見ておりますと、地方自治法百九十九条第六項の規定により、資本金等の四分の一以上が地方公共団体により出資されている法人は監査の対象になるが、その地方公共団体からの監査が全然行われない法人が全体の二割もあったという報告が出ておりましたね。自治省の指導としては、監査をもっと大切にするという指導を強めてもらう必要があると思うのです。
まして今度の習志野の姿などというのはちょっと驚くべき姿なんです。自治省は知らないとおっしゃっていたのですが、これは知らぬでは済まない、ちょっとひど過ぎる話だと思うのです。私はこれは制度的にもメスを入れてもらう何か方法があるのじゃないだろうかなということをちょっと感ずるのですが、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/252
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253・梶山静六
○梶山国務大臣 御指摘をされた習志野の件、私も残念ながら承知をいたしておりませんが、非常に数少ない事例ではないかと思います。この例外的な悪を除去する努力はもちろん払わなければなりませんけれども、例外的な悪があったからといって、地方自治のためにあるいは地方振興のために全般的に大きな利益をもたらすこの制度を改廃をしていいものかどうかというのは、これはまた別な観点でございます。
土地開発公社というものの監督は、基本的には設立団体である都道府県、市町村が行うこととなっておるわけでございますので、我々はむしろ地方自治体の自主的な権限、能力、こういうものの開発をしていかなければならない立場にあるわけでございますから、例外的な悪があったからといって、これを厳しい目で見るだけで果たして地方自治の伸長があるのかどうかということもひとつ御勘考を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/253
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254・寺前巖
○寺前委員 せっかくの機会だから、習志野の問題は教訓として調べる必要があると僕は思うわ。知らぬではあかんですよ、これは新聞に載っておったんだから。僕の目に映るくらいの新聞ですからね。僕ら関西人に千葉県の問題がぱっと映ってくるくらいだから。余りにも私も唖然としたので、これは大臣、ちょっと調べてもらわないといかぬな。教訓を引き出してもらわないといかぬと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/254
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255・梶山静六
○梶山国務大臣 せっかく貴重な御意見、事例でもございますから、早急に調査をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/255
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256・寺前巖
○寺前委員 時間のようでございますので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/256
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257・松本十郎
○松本委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/257
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258・松本十郎
○松本委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。経塚幸夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/258
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259・経塚幸夫
○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の公有地の拡大の推進に関する法律の改正案に反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、住民の秩序ある公共施設整備のための土地の先行取得を目的とする土地開発公社を、公共より企業の利潤追求を優先する機関に変質させるものだからであります。
政府は、民間活力を導入するため規制緩和による市街地再開発の促進及び国公有地等の有効活用を積極的に進めていますが、赤坂・六本木地区市街地再開発事業、横浜みなとみらい21の土地区画整理事業の例を見ても、住民の要望や地元商店街の思惑とは異なった大企業のための基盤整備に活用されているのであります。
こうしたものに土地開発公社を動員することは、経営基盤を悪化させている土地開発公社が、企業が負わなければならない事業リスクをも肩がわりし、経営基盤をさらに悪化させることにもなり、結果として設立団体の出資増、地方公共団体への処分価格の上昇などにつながり、住民に負担を回すことになるのであります。
第二の理由は、国による監督規定が拡大され、国の指導が一層強化されることであります。
本来、公社はそれぞれの設立団体の実情に即して活動することが期待されているのであります。もし問題があれば、設立団体が監査を強めるとか、さらに住民の代表で構成される議会の関与を強めるとか、自治体の自主性を尊重する方向での解決策をとるべきであります。
第三の理由は、今でさえおくれております生活基盤整備を一層おくらせることになるからであります。
新たに市街地開発事業、観光施設事業等の用に供する土地の取得が業務の対象に追加されることによって、厳しい地方財政及び臨調行革の中で行政投資額が年々減らされている中で、公社の用地が開発事業優先に振り向けられ、後退している生活基盤整備は一層後回しになるのは目に見えているのであります。
以上が政府案に反対する理由であります。
最後に、土地開発公社の活性化を図るとするなら、緊急に地価の引き下げと凍結、国有地の自治体以外への売却中止、大型再開発計画の凍結などを行い、先買いの協議が成立する基盤をつくることであります。
また、公社の自主的業務運営を拡大して、生活用地確保のための先買いの強化や保有地の生活基盤整備への積極的活用を図るべきであることを指摘いたしまして、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/259
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260・松本十郎
○松本委員長 これにて討論は終局いたしました。 ─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/260
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261・松本十郎
○松本委員長 これより採決に入ります。
公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/261
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262・松本十郎
○松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/262
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263・松本十郎
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
─────────────
〔報告書は附録に掲載
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/263
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264・松本十郎
○松本委員長 次回は、明二十日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204720X00819880419/264
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