1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月十二日(火曜日)
午後三時四十九分開議
出席委員
委員長 小此木彦三郎君
理事 石川 要三君 理事 大塚 雄司君
理事 西田 司君 理事 野田 毅君
理事 羽田 孜君 理事 井上 普方君
理事 坂井 弘一君 理事 西村 章三君
粟屋 敏信君 衛藤征士郎君
加藤 六月君 金子原二郎君
北川 石松君 小杉 隆君
佐藤 守良君 椎名 素夫君
谷 洋一君 中川 秀直君
野呂田芳成君 若林 正俊君
小川 国彦君 小野 信一君
菅 直人君 沢田 広君
中村 茂君 草川 昭三君
中村 巖君 森田 景一君
辻 第一君
出席国務大臣
国 務 大 臣 奥野 誠亮君
出席政府委員
国土政務次官 大原 一三君
国土庁長官官房
長 清水 達雄君
国土庁計画・調
整局長 長沢 哲夫君
国土庁土地局長 片桐 久雄君
国土庁大都市圏
整備局長 北村廣太郎君
国土庁地方振興
局長 森 繁一君
委員外の出席者
土地問題等に関
する特別委員会
調査室長 高戸 純夫君
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四月十二日
多極分散型国土形成促進法案(内閣提出第七八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
多極分散型国土形成促進法案(内閣提出第七八号)
土地問題及び国土の利用に関する件
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204854X00219880412/0
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001・小此木彦三郎
○小此木委員長 これより会議を開きます。
まず、土地問題及び国土の利用に関する件について調査を進めます。
この際、奥野国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。奥野国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204854X00219880412/1
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002・奥野誠亮
○奥野国務大臣 土地対策の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し上げます。
土地は、国民の生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であり、人口、産業の動向、国土構造のあり方等を踏まえつつ、地価の安定と土地の適正かつ合理的な利用を実現することが、我が国の土地政策の基本的方向であります。
今回の東京都心部に端を発した地価高騰は、基本的には、東京の国際化、情報化等に伴う旺盛な事務所需要に供給が対応できなかったことにより生じ、これが買いかえ需要等により周辺住宅地に波及したものでありますが、さらには、金融の緩和状況のもと、これらの実需を当て込んだ不動産業者等による手当て買いや投機的な取引が活発化したことが地価上昇を増幅させたものであります。
当面の地価高騰の抑制については、臨時行政改革推進審議会の答申等を踏まえ、昨年十月閣議決定した緊急土地対策要綱に基づき、現在、土地対策関係閣僚会議を中心として政府一体となって、土地取引の適正化、住宅宅地供給の促進などこの対策の着実な推進に努めているところであります。さらに、臨時行政改革推進審議会において、土地問題等に関し、基本的かつ広範な検討を行っていただいているところであります。また、国会におかれても、当委員会等において精力的に御審議いただいているところであります。
地価は、最近に至って、都区部等においては一部下落も見られる等鎮静化の傾向を強めておりますが、現下の経済、金融情勢にかんがみ、周辺の各県さらには地方主要都市も含め、引き続き適切な対策を講ずる必要があります。
私は、次に述べる諸施策を積極的に推進し、地価の安定を図りつつ、二十一世紀を見通した長期的な展望のもとに国土の均衡ある発展を図り、住みよい国づくり、地域づくりを進めてまいる所存であります。
第一は、土地取引の適正化であります。
本来、地価問題は、需給バランスの確保により解決すべきものであります。しかし、さきに述べたように、今回の地価高騰を増幅させたのは実需を当て込んだ投機的な土地取引等であり、これに適切な対策を講じることが当面重要であります。
このため、昨年来、国土利用計画法に基づく監視区域制度の機動的運用に努めてきたところであります。現在、大都市圏を中心に広範に監視区域が指定されておりますが、特に首都圏においては、届け出対象面積が百平方メートルにまで引き下げられており、地価高騰抑制に寄与しているものと考えております。また、地価上昇のおそれがある地方都市及び大規模開発、リゾート整備等が予定されている地域等においても、今後とも地価の上昇を防止するため、機を逸することなく監視区域を指定するよう関係地方公共団体を指導してまいります。規制区域につきましても、監視区域制度の的確な運用を踏まえ、状況に応じ遅滞なくこれの指定を行うことができるよう所要の準備を進めてまいります。
さらに、土地関連融資の適正化に係る金融機関に対する指導、不動産業者等に対する指導の徹底等所要の措置を講じてまいる所存であります。
また、昭和六十三年度税制改正において、居住用財産の買いかえ特例の原則廃止を初めとする土地譲渡益課税の見直し等を行うことにより、地価高騰の波及を防止し、また、土地供給の促進を図るなど地価対策に資することとしております。
国公有地等の処分についても、緊急土地対策要綱に示した方針に従って適切に措置してまいります。
第二は住宅宅地の供給の促進であります。
現下の土地問題に対処するためには、ただいま述べました土地取引の適正化により地価を安定させるとともに、基本的には東京への一極集中という国土構造そのものの是正が必要でありますが、これとあわせて、東京圏における住宅宅地、事務所床の需給バランスを確保する必要があります。
このため、都市再開発、住宅宅地開発の促進等により住宅宅地供給の計画的推進を図ることとし、所要の準備を進めているところであります。特に、都心部、東京湾臨海部の開発等の大型プロジェクトの推進、都市再開発、宅地開発及び住宅建設の促進並びに工場跡地等の活用及び市街化区域内農地の宅地化の促進等に積極的に取り組み、良好な都市環境に恵まれた住宅の建設に配慮しつつ、宅地、事務所用地等の供給に努めてまいります。
第三は、諸機能の地方分散の推進であります。
昨年、二十一世紀への国土づくりの指針として、多極分散型国土形成を基本的目標とする第四次全国総合開発計画を策定したところであります。地域の創意と工夫を基軸とした地域づくりを基本とし、そのための基盤となる交通、情報通信体系の整備等を目指す交流ネットワーク構想の推進により、多極分散型の国土の形成を図り、住民が誇りと愛着の持てる、豊かで住みよい地域社会の実現に寄与してまいりたいと考えております。また、これらの施策を推進することにより、東京を中心とする地価の高騰等、現下の土地問題の解決にも資するものと考えております。
本年は、この四全総推進の一年目に当たり、国はもとより地方公共団体や民間団体など多様な主体の参加、協力を得ながら、四全総で示された諸施策を総合的かつ強力に推進してまいります。
また、都市、産業機能の地方分散を積極的に図ることによって東京への過剰な依存からの脱却を図ることとしており、この一環として、さきに国の機関等の移転について方針を決定したところであり、この方針に基づいて、着実にその推進を図ってまいります。
さらに、四全総の基本的目標とする多極分散型国土の形成を促進するための法案を本国会に提出し、御審議をお願いしているところであります。
以上、土地対策に関する所信を申し述べましたが、これらの施策の強力な推進に全力を挙げて取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204854X00219880412/2
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003・小此木彦三郎
○小此木委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、多極分散型国土形成促進法案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。奥野国務大臣。
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多極分散型国土形成促進法案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204854X00219880412/3
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004・奥野誠亮
○奥野国務大臣 ただいま議題となりました多極分散型国土形成促進法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
近年、我が国経済の国際的地位が急速に高まり、金融、情報等の分野において世界の重要なセンターとしての役割が増大するに伴い、東京圏への業務機能、中枢管理機能等の集中が一層促進され、東京圏においては地価の高騰を生じ、他方、地方圏においては急速な産業構造の転換の過程で構造的不況に陥り、雇用問題が深刻化した地域が多く見られ、人口減少を生じている地域も少なくなく、国土政策の観点から多くの弊害を生じております。
本法律案は、このような状況のもと、人口及び行政、経済、文化等に関する機能が過度に集中している地域からこれらの機能の分散を図り、地方の振興開発と大都市地域の秩序ある整備を推進し、並びに住宅等の供給と地域間の交流を促進することにより、さきに策定しました第四次全国総合開発計画の基本的目標である多極分散型国土の形成を促進し、もって国土のそれぞれの地域がそこに住む人々にとって誇りと愛着を持つことができるような豊かで住みよいところとなるようその実現に寄与することを目的としております。
また、多極分散型国土の形成は、現下の土地問題に対する基本的な解決策の一つにほかなりません。すなわち、近年の東京等の地価高騰については、基本的には諸機能の東京への一極集中に伴う土地の需給の不均衡により生じたものであり、多極分散型国土の形成により、東京を中心とする土地の需給の緩和を図ることが求められております。そのためには、本法律案に基づく諸施策を積極的に実施する必要があります。
次に、本法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一は、国の行政機関等の移転等についてであります。
国は、行政機関及び特殊法人の新設等に当たっては、多極分散型国土の形成に配慮するものとし、東京都区部に立地する行政機関等について、移転基本方針に基づき、その東京都区部からの移転に努めるとともに、内閣総理大臣は、行政機関等の東京都区部への立地等に際し、関係大臣に意見を述べることができることとしております。また、国及び地方公共団体は、民間の工場、事務所等が適正に配置されるよう、必要な措置を講ずるよう努めることとしております。
第二は、地方の振興開発についてであります。
国及び地方公共団体は、地方の振興開発を推進するため、地方都市における都市機能の増進、農山漁村における生活環境、産業基盤等の整備、人口の著しい減少等によりその基礎条件が著しく変化した集落の再編整備等の推進に努めることとしております。
また、都道府県は、地域の特性に即した産業、文化、学術、研究、交流等に関する特色ある機能を集積させるため、地域における創意工夫を生かしつつ、振興の拠点となる地域の開発整備に関する基本構想を作成し、主務大臣の承認を申請することができることとしております。基本構想の実施に当たっては、税制上の特別措置、固定資産税等の不均一課税に伴う地方交付税補てん措置、地方債の特例、資金の確保、公共施設の整備の促進、農地法等による処分についての配慮、国土利用計画法に基づく監視区域の活用等の措置を講ずるほか、必要に応じ、関係する省庁と都道府県が集まり、本地域の開発整備に必要な事業や法令による処分が円滑かつ整合的に行われるよう協議するための促進協議会を組織することができることとしております。
第三は、大都市地域の秩序ある整備についてであります。
国及び地方公共団体は、大都市地域の秩序ある整備を推進するため、防災上必要な措置を講じつつ、大都市の機能の改善に資する施策の推進に努めることとしております。
また、内閣総理大臣は、東京圏について東京都区部への一極依存構造を是正し、その周辺地域に職住の近接した自立都市圏を形成するため、業務核都市の整備に関する基本方針を定めるものとし、都県は、これに基づき、業務核都市基本構想を作成し、主務大臣の承認を申請することができることとしております。基本構想の実施に当たっては、第二の場合と同様、税制上の特別措置、地方債の特例資金の確保、公共施設の整備の促進、国土利用計画法に基づく監視区域の活用等の措置を講ずることとしております。
第四は、住宅等の供給についてであります。
国及び地方公共団体は、地域の特性に応じつつ、住宅及び宅地の供給の促進に関する施策を総合的に実施するものとし、著しい住宅地需要が存する大都市地域において、優良な宅地開発の促進及び宅地開発と鉄道新線建設の一体的な推進のために必要な措置を講ずるとともに、市街地における住宅等の供給を促進するため、土地の合理的かつ健全な高度利用が図られるよう努めることとしております。
第五は、地域間の交流の促進についてであります。
国は、地域間の交通の利便性と情報の流通に関する地域格差の是正等に配慮しつつ、高速交通施設の総合的な体系の整備と情報通信基盤の整備の促進に努めるとともに、地域間の経済、文化等に係る多様な交流の機会の増大等に努めることとしております。
以上のほか、国は、多極分散型国土の形成に資するため、国の権限を地方公共団体またはその長等に委任すること等に努めるとともに、公共事業の実施に関し適切な配慮をすることとしております。また、内閣総理大臣は、総合的かつ計画的に実施すべき多極分散型国土の形成の促進に関する事業について、関係行政機関、関係地方公共団体及び関係事業者相互間の連絡調整を行うこと等により、その円滑な実施に努めることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204854X00219880412/4
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005・小此木彦三郎
○小此木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。次回は、来る十八日月曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111204854X00219880412/5
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