1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年三月二十三日(水曜日)
午前九時四分開議
出席委員
委員長 菊池福治郎君
理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君
理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君
理事 水谷 弘君 理事 神田 厚君
阿部 文男君 石破 茂君
衛藤征士郎君 遠藤 武彦君
大石 千八君 川崎 二郎君
熊谷 弘君 小坂善太郎君
佐藤 敬夫君 笹川 堯君
杉補 正健君 田邉 國男君
武部 勤君 谷垣 禎一君
玉沢徳一郎君 中島 衛君
二田 孝治君 宮里 松正君
保岡 興治君 柳沢 伯夫君
石橋 大吉君 沢藤礼次郎君
新盛 辰雄君 田中 恒利君
竹内 猛君 前島 秀行君
安井 吉典君 玉城 栄一君
藤原 房雄君 古川 雅司君
吉浦 忠治君 小渕 正義君
藤田 スミ君 山原健二郎君
出席国務大臣
農林水産大臣 佐藤 隆君
出席政府委員
外務省経済局次
長 内田 勝久君
農林水産政務次
官 北口 博君
農林水産大臣官
房長 浜口 義曠君
農林水産大臣官
房審議官 伊藤 礼史君
農林水産省経済
局長 眞木 秀郎君
農林水産省構造
改善局長 松山 光治君
農林水産省構造
改善局次長 内藤 克美君
農林水産省農蚕
園芸局長 吉國 隆君
農林水産省食品
流通局長 谷野 陽君
農林水産技術会
議事務局長 畑中 孝晴君
水産庁長官 田中 宏尚君
委員外の出席者
防衛庁教育訓練
局訓練課長 柳澤 協二君
厚生省生活衛生
局乳肉衛生課長 難波 江君
農林水産大臣官
房審議官 濱田幸一郎君
運輸省海上技術
安全局総務課長 野間 耕二君
海上保安庁警備
救難部警備第一
課長 中島 健三君
海上保安庁灯台
部監理課長 山下 哲郎君
農林水産委員会
調査室長 羽多 實君
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
熊谷 弘君 谷垣 禎一君
小坂善太郎君 笹川 堯君
近藤 元次君 二田 孝治君
長谷川 峻君 宮里 松正君
山崎平八郎君 佐藤 敬夫君
沢藤礼次郎君 新盛 辰雄君
武田 一夫君 古川 雅司君
佐々木良作君 小渕 正義君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 敬夫君 山崎平八郎君
笹川 堯君 小坂善太郎君
谷垣 禎一君 熊谷 弘君
二田 孝治君 近藤 元次君
宮里 松正君 長谷川 峻君
新盛 辰雄君 沢藤礼次郎君
古川 雅司君 武田 一夫君
小渕 正義君 佐々木良作君
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本日の会議に付した案件
漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件
農林水産業の振興に関する件(畜産問題等)
畜産物価格等に関する件
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/0
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001・菊池福治郎
○菊池委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件の両案件を議題とし、審査を進めます。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋大吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/1
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002・石橋大吉
○石橋(大)委員 おはようございます。非常にさわやかな朝でございますので、ぜひひとつ水産庁の方もさわやかに懇切丁寧に御答弁をいただきたい、こういうことを最初にお願いしまして、質問に入りたいと思います。
まず初めに、漁港整備の関係と我が国漁業の長期展望に関連をして質問をいたしたいと思います。
御承知のように、今度の法律改正は、漁船の停泊、出入港のための航行、係留など漁港の持つ機能のうち最も基本的な機能を果たす施設に対して、漁船の出漁前の準備または漁船、漁具の保全、漁獲物の処理、保蔵など漁業根拠地としての機能を果たす上で必要ないわゆる機能的施設について最近における増養殖漁業の進展等による漁業形態の変化、流通、輸送形態の変化等漁港をめぐる諸情勢の変化に対応して見直しを行うものであります。増殖及び養殖用施設、廃船処理施設、漁港環境整備施設などの諸事項の全面的な追加、活魚に対する需要増に対応しての蓄養施設の追加など、情勢の変化に対応した適切な法律改正であると思いますが、しかし問題は、これらの施設をどういう漁港に最も効果的に配置し、整備をするかだと思うわけであります。
そういう観点で最近の漁業情勢を考えてみますと、昭和五十二年の米ソの二百海里水域の設定、そして二百海里体制への移行、これが我が国沖合遠洋漁業に重大な影響をもたらしたわけでありますが、特に北洋ではソ連水域を中心に大幅な漁場を失い、多数の漁船が転廃業を余儀なくされ、深刻な離職者問題も起こったわけであります。このため五十二年、五十三年にはサケ・マス漁業、北転船を中心に一千隻を超える大幅な減船が実施をされました。最近でも、六十一年には漁獲割り当て量の大幅な削減、操業規則の強化などにより沖合底びき網漁業、サケ・マス漁業等を中心に五百隻にも及ぶ大幅な減船を余儀なくされたわけであります。減船離職者もこの年だけで六千人に達していると言われているわけでありますが、すさまじい情勢の変化だと思うわけであります。仮にこれらの膨大な数の減船や離職者を一まとめにしてみれば幾つかの漁港や港町が消滅したも同然だ、立派な施設をつくっても遊休化してしまった、こういう事例もかなりあるのではないかと推測をされるわけであります。そういう意味で、今後の漁港整備はこういう経験に照らしまして、せっかく貴重な投資をするわけでありますから、これがむだにならないような慎重な配慮が必要ではないかと思うわけであります。そういう意味で、こういう変化が二度、三度あってはかないませんけれども、我が国漁業の長期展望を踏まえながらこれからの漁港の整備のあり方についてまず最初に政府の見解をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/2
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003・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま先生から今回の漁港法改正の趣旨なりあるいは具体的内容につきましてそれなりの評価をちょうだいし、詳しく御紹介いただいたわけでございます。
ただいま先生からお話がありましたように、ここ十数年間我が国漁業の激変というものは本当にはかり知れない厳しいものがあったわけでございます。昭和五十五年に漁業生産高でも一千一百万トン台というものを超えまして、その後幸いにいたしまして漁獲生産高そのものといたしましてはそういう水準を維持してきているわけでございますけれども、ただいまもお話がありましたような国際漁業規制の毎年毎年厳しくなってまいります強化あるいは漁業経営の悪化でございますとか、漁村に後継者がいなくなってくるとか、いろいろと厳しい環境というものもあるわけでございます。しかし、一方で海に囲まれ海産王国日本という形で養殖漁業なりあるいは栽培漁業、こういうつくり育てる漁業というものもすっかり定着し進展してきておるわけでございますし、それからさらに水産物に対する需要という面でも、これだけ成熟化してきた社会の中でいろいろ新しい需要なり高度化した需要というものが出てきておりますし、こういう需要の中には、例えば活魚の流通でございますとか、非常に今までにはなかった形での流通形態というものも出てきておるわけでございます。
こういう内外の厳しさとあるいは将来にかかわります一つの明るい兆し、こういう両方を踏まえまして、この際、漁港の整備をもう一度見直してみたいということで、先生からもただいま御紹介ございましたように、増養殖施設でございますとか新しい流通形態に対応したいろいろな施設、それからさらには、漁村の労働環境を改善するということも含めまして、今回機能施設の拡充をさせていただこうと思っておるわけでございます。せっかく評価されておりますこういう改正というものが、しかも多額の国費というものを必要とする事業でございますので、何とか情勢の変化に対応して所期の効果が十全に発揮できますよう、我々行政側としても最善の努力を尽くしてまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/3
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004・石橋大吉
○石橋(大)委員 次に、御承知のように、今度の漁港整備計画の策定に向けて、全国漁港協会から要望が出ておるわけであります。
要望事項を簡単に申し上げますと、一つは「漁港に関する施策の一層の充実」ということで、「水産業の基盤づくりのために」「(一) 漁港のより高い安全性、機能性および快適性の追求」「(二)つくり育てる漁業のための拠点機能の集積」「(三) 変貌する水産物流通・加工に対応しうる拠点機能の強化」、それから、二つ目の大きな柱として「地域社会の核づくりのために」、こういうことで、「(一) 地方定住環境条件の整備向上」「(二) 海洋性レクリエーションのための調和ある場づくり」「(三) 地域の活性化に係る施策の展開の場づくり」、こういうことを骨子とした要望書が出されておることは御承知のとおりだと思います。後の漁港整備計画の変更とも密接な関係があるわけでありますが、今回の法改正による機能施設の見直しは、今後の漁港に対するニーズをどのように見通して漁港施設の見直しを行ったのか、また漁港利用者の要望等に十分こたえたものであるのかどうか、ただいまの要望書に照らして、ひとつ御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/4
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005・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今回、漁港法の改正の検討に入るに当たりまして、漁港関係者の意見、これを何といいましてもきめ細やかに吸い上げるということで、再三協議を重ねてまいりましたし、それから、ただいま先生から御紹介ございました漁港協会全体としての要望書というものも我々に提出されまして、我々といたしましても熟読玩味させていただいたわけでございます。この要望書の中には、水産行政全体にかかわる部分とあるいは水産行政全体でなければ対応できない部分というものも若干ございますけれども、ほとんどは漁港法の改正ということで受け皿をつくり得る部分が多うございます。
例えば第一の「漁港に関する施策の一層の充実」、こういうところでは、先ほど来申しております新しい流通形態に応じました対応でございますとか、それから漁港の環境整備事業でございますとか、こういうもので具体的におこたえしております。それから「水産業の基盤づくり」、これも沿整でございますとか沿構でございますとか、こういう一般の施策に加えまして、漁港法改正という面では、増養殖施設の追加でございますとか蓄養施設の追加、それからさらには、流通の高度化に対応いたしまして、ヘリポートなり駐車場というものを追加するという形で対応をしております。それから、地域社会づくりということで定住条件というものも出ておりますけれども、こういうものにつきましては、労働環境というものを整備する、漁村の場合に一番立ちおくれていると言われております生活なりあるいは集落環境というものの一つの核として、漁港の環境整備というものも今回取り上げているわけでございます。それから、レクリエーションとの調和ある発展ということにつきましても、NTT資金のAタイプを活用するというようなことで対応を考えているわけでございます。
いずれにいたしましても、漁港協会等漁港管理者を初めといたします関係者とは十分事前に調整をとりまして、納得のいく改正案が今回提出できたというふうに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/5
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006・石橋大吉
○石橋(大)委員 次に、NTT株式売却収入の無利子貸付制度の創設に関連して伺いたいと思います。
今回の法改正の大きな問題点の一つは、NTT株式の売却収入を財源として、昭和六十三年度予算に漁港施設整備のための無利子貸付枠として新たにAタイプ、すなわち収益回収型と称する、当該事業もしくはこれと密接に関連する他の事業により生ずる利益をもって費用を支弁することができる地方公共団体以外の者が行う公共事業分六億七千八百万円が計上されたことに伴い、その貸し付けのための規定を整備しようとするものであります。漁港施設整備のAタイプ事業の考え方につきましては長くなりますから省きますが、問題は、一つは、どのような施設整備を貸し付けの対象事業とするのか。二つ目に、漁港修築事業として採択されていない施設整備をこの貸付対象事業とする理由及びその政策的な効果の問題。三つ目に、事業主体を水産業協同組合とする理由及び具体的にどのような水産業協同組合を事業主体として考えられているのか。四つ目に、無利子貸付金のほか事業資金の調達の方途及び返済資金の確保の方途などについてどういうふうに考えられておるのか。五つ目に、計画どおり収益が得られなかった場合、あるいは施設完成前に災害が生じた場合等における資金返済に対する事業主体等の責任の範囲、漁港整備に係るAタイプ事業の場合には当該水産業協同組合及びその会員または組合員等の責任はどうなるのか。こういう点について承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/6
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007・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今回お願いいたしておりますNTT・Aタイプ事業の基本にかかわる大体網羅的な御質問があったわけでございますが、まず第一点の、どういう施設整備を対象とするかということでございます。これはただいま先生からもありましたように、Aタイプ事業というものは漁港施設を整備し、これらの施設の整備に関連して行われます土地の造成なり遊漁船等の利用施設の整備等から生ずる収益、こういうものを償還財源に充てるということがそもそもの仕組みでございます。したがいまして、そういう仕組みの中から貸付対象となる施設といたしましては、具体的には係留施設でございますとか臨港道路あるいは漁港施設用地というようなものを貸付対象として考えているわけでございます。したがいまして、いずれもこの貸付対象となる施設は、現在の補助体系で補助対象施設となっているものというものについて無利子の融資を行うということに相なっているわけでございます。
それから実施主体でございますけれども、実施主体につきましては水産業協同組合というものを予定しているわけでございます。御承知のとおり水産業協同組合は、漁業者の自主的な組織ということでつくられておりまして、漁業者のための各種の共同利用事業あるいは共同利用施設というものを現に行っておりまして、それなりの実績も上げておりますし、そういう意味からいいますと、漁港というものはまさしく漁業者のための共同施設、基礎的な共同利用施設であるという性格を持っておりますし、それから水産業協同組合でございますと、その構成員がいろいろと強い関心を運営について持っており、しかも法律上国としても各種の監督権能というものを持っているということからいいまして、水産業協同組合がこういう無利子の資金の借り受け主体として最も適しているという判断のもとに、水産業協同組合というものを貸し付け対象というふうに位置づけたわけでございます。
この水産業協同組合の中には、もちろんいわゆる単協、連合会両方含んでいるわけでございますけれども、これはそれぞれの地域のこれからの事業に対する要望、ニーズ、そういうものを具体的に積み重ねてまいりましてどれをやるかということが決まってまいろうかと思っております。
それから、本事業を行った際にいろいろこういう長期にわたる、無利子とはいえども借り受け金でございまして、これを円滑に返せるのかどうか、あるいは災害対応をどうするんだというような問題もただいまあったわけでございますけれども、この事業、こういう無利子で長期、しかも一面では公的な機関でございます水産業協同組合が事業主体になるということからいいまして、この事業計画の承認の際に、水産庁といたしましてはその事業の必要性なり、あるいは資金計画、返済計画の具体性、それから関係者の熱意というようなものをすべて綿密に調べ上げまして、確実に返済可能なものに限って承認を与えていくということで、事前チェックというものを十二分にして万遺漏なきを期したいと思っている次第でございます。
しかし、不幸にして災害ということも最後に先生からあったわけでございますけれども、例えば工事途中の災害、こういうものにつきましては、一般の国で行っております災害復旧というものができませんが、これにつきましては通常の建設工事と同様に建設請負業者は保険に入っていただく、そして保険にかかる経費につきましては、工事単価の積算上見るというようなことで、一般の建設工事同様対応できると思っておりますし、それからでき上がった後の災害につきましては、いわゆる災害関係の暫定措置法、こういうものを適用いたしまして復旧に相努めたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/7
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008・石橋大吉
○石橋(大)委員 水産業協同組合といいましても、経営状態の非常に悪いところもあるしいいところもあるし、無利子とはいいながら収益回収型、こういう貸付金の性格からいっても、どんな水産業協同組合であっても申請さえあれば貸し付ける、こういうことでもないと思うのであります。その辺の縛りは、今長官言われるように事業計画承認の際にいろいろな角度から検討したい、こういうことのようでありますが、そういう意味で水産業協同組合といえども事業計画の面で取捨選択をする、こういうように理解をしていいかどうかということを念のために聞いておきたいと思います。
それから、次に漁港整備計画の変更について少しお尋ねをしたいと思いますが、今度の水産庁の一般会計予算が三千二百九十三億円、五六%の千八百六十億円が漁港関係の予算、こうなっておるわけであります。漁港整備を求める声も非常に大きいわけでありますが、先ほどもちょっと言いましたように、二百海里体制から遠洋漁業が非常に漁場が狭められてくる、廃船やら離職者が非常にたくさん出ている、こういうような我が国漁業をめぐる今日の厳しい情勢からいえば、漁港整備以外にもっとこういう深刻な問題に対処してほしいとか、あるいはソ連海域やアメリカ海域で失われた漁場のかわりに、もっと豊かな漁場を近海につくるとかあるいは探すとか、いろいろな要望がたくさんあろうかと思うのですが、そういう意味で水産行政の現状、一体何が一番求められているのか、こういうようなことをひとつ漁港整備に関連をしてこの際承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/8
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009・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいまお話がありましたように、漁港整備もさることながら、水産行政一般としていろいろとしなければならない問題というものが山積しているわけでございます。
先ほどもお話しいたしましたように、二百海里体制の定着に伴いまして国際規制というものが一層強まってきているわけでございます。そして、こういう中で漁業経営あるいは漁村というものも各種の問題を抱えているわけでございます。
こういう中で、水産庁といたしましては、何といいましても漁業経営の安定と体質強化ということを基本的に図ってまいりたいと思っているわけでございますけれども、その際に、大別いたしまして三つのジャンルでの施策があろうかと思っております。
一つは、我が国自身が広大な二百海里を持つているわけでございますので、我が国自身のこの二百海里水域というものをどうやって高度に開発利用するかということでございます。その一環として、漁港を初めといたします生産、流通基盤の整備を推進するということもございますし、それから漁場の整備開発、あるいは栽培漁業の振興、資源の合理的な利用、管理というような水産の基本にかかわる点につきまして検討し、いろいろな対策を出しているわけでございまして、いわゆる我が国二百海里での管理し、つくり育てる漁業ということを推進していくというのが一つのジャンルでございます。
それからもう一つは、世界的な二百海里体制の定着ということと絡みまして、何といいましても粘り強い漁業外交、漁業交渉というものを展開いたしまして、今まで我々が活躍してまいりました海外漁場をできるだけ確保するということと同時に、新漁場なり新資源、こういうものを開発する。それからさらには、やはり新しいといいますか、定着してまいりました二百海里体制というものに対応いたしまして、中長期的な視点に立っての漁業の再編成そのものについても今後検討を深めていく必要があろうかと考えております。
それから、もう一つのジャンルといたしましては、生産だけではなくて流通、加工、とってから後の対策というものも最近の消費者のいろいろな動きとも関連いたしまして消費者のためにもあるいは漁民のためにも必要になってきているわけでございます。そういう点からいいまして流通、加工、消費に至ります総合的な供給体制を整備しまして、何とか消費者のニーズに合った水産物を供給すると同時は、漁業者の付加価値の増大に努めたいということを考えておるわけでございます。
こういう三つのジャンルの仕事につきまして、水産庁といたしましてはそれぞれいろいろな行政手段を持っているわけでございますけれども、これからも何とかそういう方向で全力を挙げてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/9
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010・石橋大吉
○石橋(大)委員 続いて、マリノベーション構想と漁港整備計画との関係について、この際ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
水産庁では、水産業を核とする沿岸、沖合域の総合的な整備開発構想、いわゆるマリノベーション構想を推進することとして、海域と陸域の一体的な整備開発を行うという方針を立てられておるわけであります。このため、昭和六十年度から六十二年度まで全国各地で沿岸・沖合域総合整備開発条件調査検討事業を行い、また、昭和六十三年度にも漁港等の漁業生産基盤の整備を初め各種水産関係事業を総合的、計画的に実施するための基本計画を策定することとして、必要な予算を計上されているわけであります。今回の漁港整備計画の策定に当たってこのマリノベーション構想との関係をどういうふうに関連づけておられるのか、この際水産庁の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/10
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011・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 マリノベーション構想は、名のとおりまだ構想段階でございまして、具体的プロジェクトの中身は各地域でまだ設定されてないわけでございますけれども、先生からもただいま御紹介あったような新しい水産都市づくりといいますか新しい水産の村おこしという壮大な計画を、それぞれの地域の実情に応じまして現在調査、設計を深めているところでございます。そういう新しい水産都市づくりにとりまして何といいましても基本になるものは漁港であり、あるいは流通加工施設でございます。そういう点から言いますと、今回の漁港法の改正なり漁港整備計画というものも、マリノベーション構想が次第に具体化されるにしたがいましてそれとの整合性のあるといいますか、むしろそれを推進する一つのてことして有力な手段となってくるわけでございます。
いずれにいたしましても、これから計画が具体化するにつれまして、我々といたしましても漁港整備を初め沿岸構造改善事業でございますとか各種の施策を総合的に活用いたしまして、マリノベーション構想の具体化に相努めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/11
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012・石橋大吉
○石橋(大)委員 引き続いてもう一つマリノベーション構想に関連をして伺っておきたいと思いますが、今長官がお答えになりましたようにマリノベーション構想は現在構想の段階だ、こういうことであります。今度の漁港法の改正や整備計画の中で増養殖施設をつくったり蓄養施設をつくったりするということになるわけでありますが、こういう事業に関連をしては民間の大企業の参入あるいは民間活力の利用というようなことで、そういう大企業が参入をしてくるようなことも考えられるわけであります。こういうことを考えたときに、マリノベーション構想全体の計画の責任者あるいは管理の責任者、そういうことを一体だれがやるのか、そろそろある程度そういうことをはっきりさせておかないと、構想だ、構想だと言って、これが長引けば長引くほどそういうこととの関連で混乱が起こるというようなことも考えられるのではなかろうかと心配をするわけであります。そういう意味でこの点をどういうふうにお考えになっておるのか、あるいはいつごろまでにそういう問題については具体的にはっきりさせるような考え方を、今ないとすれば、持っておられるのか、お聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/12
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013・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 マリノベーション構想のような先ほど言いましたようにいわば新しい水産都市づくり、新しい村おこし、こういうものは、画一的に上からどういう方向というよりは、むしろそれぞれの地域での知恵出し合戦という点にこういう構想の具体化なり発展というものがあろうかとは思っております。しかし、その基本的な事項、基本的な枠組みにつきましては行政としても指針を示していくということも当然一方で必要かと思っております。これがどれだけの広がりで行われるかということは現在模索中でございますけれども、少なくとも相当広域にわたっての地域開発、一体開発ということに相なりますので、地方公共団体であるとか漁協、こういうようなものが多くは主体になろうかと思っておりますが、仕事の中身によりましては、ただいまも先生からありましたように民間の活力を活用して推進することがベターであるというものも多かろうと思います。地域によってはそういうものを含めた第三セクターというものも恐らく今後検討対象になっていこうかと思っております。いずれにいたしましても、それぞれの地域に応じた動きと、それから国からの指針、こういうものを相マッチさせまして何とか発展性のある事業というものに結びつけていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/13
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014・石橋大吉
○石橋(大)委員 次に、この第八次漁港整備長期計画の達成に関連をして、予算確保の見通しについて大臣の所見を伺いたいと思います。
御承知のように、第八次漁港整備長期計画は、昭和六十三年度、ことしから六十八年度の六年間に総額二兆四千百億円の事業費をもって漁港を整備しようとするものであります。このうち、修築、改修、局部改良の三事業の事業費合計で二兆三百億円となっておるわけであります。
第七次計画の進捗率は六年間で名目七八%にとどまっているわけでありますが、第八次計画における三事業の事業費総額二兆三百億円を完全達成するためには、毎年度平均約六%の漁港整備関係予算の伸びが必要である。第八次計画の完全達成に向けてそういう意味では予算確保の問題が非常に大きいと思いますが、大臣の決意と見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/14
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015・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 委員御承知のように、漁港は漁業の生産基盤の中で最も基礎的なものでありまして、我が国漁業の振興のためその整備を積極的に推進をしていく必要があると考えております。
お尋ねの六十三年度予算の確保について決意のほどをということでございますが、昨年の概算要求時点、昨年末の政府原案決定時点、私の就任早早でございましたが、水産庁長官以下熱心に努力をしてくれまして、おかげさまで前年対比一八・六%増の予算を確保したところでございます。漁港整備計画の完全達成、このためには、財政再建期間中で厳しい局面の中にあるわけでございますけれども、予算確保のためには最大限の努力を今後とも払っていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/15
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016・石橋大吉
○石橋(大)委員 次に、漁協の合併の関係についてこの際幾つか伺っておきたいと思います。
まず、漁脇の合併が今日までなぜ遅々として進まなかったのかということについてお尋ねをしたいと思います。
今度漁協合併助成法の延長が行われるわけでありますけれども、この法律は昭和四十二年に政府提案により制定をされまして、以後、議員立法によって昭和四十六年に第一次延長、昭和五十一年に第二次延長、そして昭和五十五年に第三次延長と延長を積み重ねて、今回、第四次の延長を行おうとするものであります。
全漁連の資料によりますと、昭和四十二年の法制定以来今日まで約二十年の歳月を経ているわけでありますが、この間の漁協合併の実績は、合併件数百六十五件、合併参加組合数四百五十五組合、四十二年三月末組合数二千四百六十一組合、六十年三月末組合数二千百五十組合、合併進捗率は一二%という非常に厳しい結果が出ておるわけであります。法制定以来二十年、漁協合併がある意味ではかくも惨たんたる結果に終わった原因は何なのか。第四次延長以後の漁協合併を実効あるものとしていくために、この二十年間の問題点をきちっと押さえることが非常に大事だと思っておるわけでありますが、この点について水産庁の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/16
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017・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま御指摘ありましたように、昭和四十二年に最初の法律ができましてから、残念ながら実数におきましても、ほかの同種の農協あるいは森林組合というものの合併実績に比べましても、必ずしも十分でなかったということは事実として認めざるを得ない点かと思っております。
この合併がほかに比べ進捗が遅かったという要因といたしましては、いろいろあろうかと思いますけれども、何といいましても一つは自然的、地理的要因、森林組合の場合にも山の中で隔絶されているという問題も一部あろうかと思いますが、漁村という非常に横の切れぐあいの多い立地条件の中で事業をやっているということのほかに、隣接漁協で地先沖合関係で漁場が競合しているということで、協力関係というよりはむしろ漁民感情の対立が残念ながらある地域もあったということがございます。
さらに、これは一般的な問題かと思いますけれども、こういう立地条件なり漁民感情の対立という漁業特有の話に加えまして、残念ながら漁協役職員の合併に対する認識というものが薄かった。ここのところ金融の自由化でございますとか水産物の流通、消費の多様化ということでじっとしていられない事態になってきておるわけでございますけれども、従来は小ぢんまりであっても何とかやっていける、苦しくてもやっていけるということで、経営基盤の拡充に対する熱意というものにつきまして、役職員がどうも認識が薄かったのではないかという問題もあろうかと思います。
それから、残念ながら上部系統組織の合併推進なり、あるいは指導体制というものも十分には確立していなかった。そういうことに比べまして、前提なり客観情勢がそういうものでございますから、役所側の指導体制なり助言につきましても必ずしも十分でなかったという点は、我々自身としても反省すべき点ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/17
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018・石橋大吉
○石橋(大)委員 長官御承知だと思いますけれども、全漁連の「新たな観点にたつ漁協の合併推進基本対策」という二月二十六日付の文書によりますと、これまで漁協の合併が進まなかったいわゆる阻害要因として、一つは今長官も言われたように「組合員の合併に対する意欲の弱さ」、二つ目は「漁業権行使についての利害の対立」、三番目には「財務内容の格差」、四番目には「組合間の漁民感情の対立」、この四つを最大の問題点として挙げられておるわけであります。今水産庁の見解として長官が触れられたことともかなりダブっておる面もありますが、問題は、こういう問題をどういう手だてによって克服をするかということが重要だと思うわけであります。この点について、水産庁の見解がありましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/18
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019・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 全漁連が示されております合併が進まなかった問題点、こういうものはそれぞれが真剣に話し合う、それぞれが相互に理解し合うということで解消する問題も多いわけでございますけれども、そのほかに、例えば今ありました財務内容の格差というような問題は、話し合いだけではなかなか解決しない問題でございます。そういうものにつきましては、当方といたしましても不振漁協対策として長期低利の融資ということでできるだけ背丈を並べる、あるいは合併を契機としてそういう長期低利の融資をして財務の改善に資するということも加えてまいりたいと思っておりますけれども、何といいましても、これだけ激しく変わってまいりました漁業なり漁村情勢に対するシビアな認識というものをどうやってお互い深めていくかということが肝要かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/19
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020・石橋大吉
○石橋(大)委員 さっきもちょっと言いましたが、一体五年間の合併助成法の延長で目標達成が可能かどうか、こういうことについて次に少し承っておきたいと思います。
昭和六十八年三月三十一日までの合併助成法の延長によって、原則一市町村一漁協、五年間で二百件、七百組合を合併するという目標が立てられているわけであります。この目標は、今まで二十年間の実績に照らして率直に言って非常に困難な目標ではないかと思うわけであります。さっき長官も、役所側の指導体制も必ずしも十分でなかったということを言われたわけでありますが、そういう意味で水産庁を頂点とした都道府県、市町村などの行政側、全漁協をトップとする系統組織のよほどの決意と強力な推進対策がないと目標を達成することはできないのではないか、あるいはそういう強力な運動を展開するための財政的な裏づけも相当必要ではないか、こういうふうに考えられるわけであります。その点についての水産庁の見解、それから五年間で二百件、七百組合を合併すれば大体全国的には一市町村一漁協ということになるのかどうか、念のために聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/20
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021・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁民の自主的な協同組織体である漁協でございます。これの合併をどう持っていくかということは、第一義的には漁業者自身の運動なり意識にかかわっている点があるわけでございますし、いろいろな困難な問題がございますけれども、幸いにしてここ二年間ほど、合併助成法が期限切れになっておるにもかかわらず合併実績が非常にふえてきておるわけでございます。これも恐らく関係者の金融の自由化とか流通、消費の変化あるいは国際漁業情勢に対する認識の深まりかと思っておりますし、それから今回の合併助成法の再延長、これ自体も御承知のとおり政府提案という形ではなくて漁協系統組織みずからの熱意の集積として立法府にお願いし、議員提案という形で延長を図るというところまで熱意が高まってきているということでございます。したがいまして、いろいろと現実的な難しい問題が多くございますが、こういう系統組織の本当に真摯な取り組みの積み重ねというものがございますので、今回議員立法によります改正案が通過し、法律がまた適用になるということになりますれば、ここ数年上向いてまいりました合併の勢いと必要性の認識というものが一気に加速されて、系統みずからが立てました二百件、七百組合という目標についても達成可能ではないかというふうに認識いたしております。そして、この二百件、七百組合が達成されますと、今御質疑ございました一市町村一組合というものがおおむね全国的に確立するという形に相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/21
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022・石橋大吉
○石橋(大)委員 もう一つ、漁協合併に関連をして伺っておきたいと思いますが、私の出身の島根県内の漁協の実態などを見ますと、旧町村単位に非常に小さな漁協が分立をしまして、事務所では年輩の参事さんのもとに、少し遠くへ行ってパートで稼ぐよりはというような感じの婦人の職員が二、三人おる。こういう意味で、地域の振興の核を担う漁協にしては残念ながら活気に非常に乏しい、こういう感じの漁協が多いわけであります。だからこそ合併の必要があるということにもなるわけでありますが、問題は、合併をすると同時に、漁協に本当に漁業の将来を担い得る男の若い職員を、優秀な職員を確保することが非常に大事じゃないか、私はこう思っておるわけであります。そういう意味で、合併と同時に、合併した漁協には新しい若い人材の確保、こういうことをもう一つ大きな目標にすることなしには合併も画竜点睛を欠くことになるのではないか、こういう心配があるわけであります。そういう意味でこの人材確保策についてどう考えておるのかということと、今、水産改良普及員なんかがどの程度の国費でもって人件費を見て配置されているのかわかりませんが、あの商工会議所にもかなりの国費の裏づけを持って指導員なども配置をされておるわけでございまして、こういうことが今日の漁協なんかの関係ではどういうふうにされているのか。あるいはもしないとすればそういうことも必要なんじゃないか、私はこう思ったりもしているのですが、この点について最後に漁協合併に関連してひとつ承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/22
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023・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁協組織も人あっての組織でございます。人が先か財務基盤の強化が先かというような問題もあるわけでございますけれども、何といいましても優秀な若いマネージャー、こういう者に来ていただかなきゃだめだ。そのための不可欠の要素といたしまして、やはり財的基盤が充実して安心して就労できる漁協であるということが優秀なマネージャーに来ていただける一番の要素かと思っております。そのためには、こういう合併を通じまして優良な人材を確保する、若干迂遠かとも思いますけれども、長期的にはやはりそれに最重点を絞ってまいりたいと思っております。それと同時に、やはり現にいる職員なりこれから職員になる方々の研修等、資質の向上というものも不可欠でございますので、こういうものにつきましては幸いにして系統でも教育機関等も持っておりますので、そういうところでもいろんな人材の養成をしておりますし、我々といたしましてもいろんな形でこれを側面から応援してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/23
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024・石橋大吉
○石橋(大)委員 以上で合併助成法に関連する質問はおきまして、次に、この際、我が国漁業の振興策に関連をして二つ、三つ伺いたいと思います。
恐らくこれは全国かなり共通をしていることではないかと思いますが、私の地元の島根県などの漁業者の意見をいろいろ聞いてみますと、最近は大体共通して三つのことがどこでも言われるわけであります。一つは魚の値段が非常に安いこと。それから二つ目は、漁業資源の枯渇をどうするかということ。そして三つ目には、後継者の不足の問題であります。ため息まじりに一体どうしたらいいのかということで、非常にそういう意味では深刻な課題になっておるわけであります。そこで、この際、この三つの問題について時間の範囲内でお聞きしたいと思います。
まず最初の魚価安の問題でありますが、この魚の値段が安いという問題は二つの側面がありまして、一つは、漁獲の大部分が御承知のようにイワシなどの多獲性魚の問題でありますから、そういう意味ではたくさんとれる魚が非常に安い、この問題をどうするか、こういうことが一つと、もう一つは、値段の高い高級魚の漁獲が激減をしている、こういう意味で魚の値段が非常に安いということが問題になっておると思うわけであります。高級魚の漁獲の減少の問題については後でお尋ねをいたしますが、この際、いわば日本の海面漁業の漁獲の半分を占めるイワシなどの多獲性魚の利用の拡大の問題について伺いたいと思うわけであります。
御承知のように二百海里体制。日本近海でとれる魚にこれからの日本の国民の魚介類を依存をするとすれば、やはりそういう意味では多獲性魚の利用をどうするか、こういうことはますますこれから重要になっていくのではないか、こういうふうに考えるわけでありますし、同時に、最近よく言われておりますように欧米でも日本型食生活が非常に見直されておる。健康食として非常に優秀だ、こういうわけでありますが、その日本型食生活の三本柱の一つが魚食の伝統、魚を食べる、こういう食生活だと思います。しかも、この健康食としての魚食の中心はイワシ、サバ、アジなどのいわゆる赤身の魚だ、こういうふうに思うわけでありまして、そういう意味で健康食としての日本型食生活の普及拡大をする、こういう観点でもこの消費をいかにして拡大するかということは非常に重要であります。
漁民の皆さんの立場からすれば、できるだけ付加価値を高めながら消費を拡大してほしい、こういうことが切望されておるわけであります。しかし残念ながら、御承知のようにこれらの魚については鮮度の限界が非常に遠いことなど、流通上の弱点を幾つか持っておるわけであります。それだけにまた技術的にも新たな商品としての開発が切望される、こういうことにもなっておるわけであります。
そこで伺っておきたいと思いますのは、水産庁としてこういう多獲性魚の消費の拡大について今技術的にどういう研究や対応が行われておるのか、このことをまず一つは伺いたいと思います。
それから二つ目の問題は、魚離れということが言われるわけですけれども、魚離れはイコール今言ったイワシなど多獲性魚からの魚離れ、こういうことになるわけであります。同時に、学校給食が普及しまして、学校給食でほとんど魚の利用がされない。肉二に対して魚は一ぐらいだと言われておるわけですが、どっちにしましても子供のときの食習慣というのは一生を左右するというふうに言われるぐらい重大な影響を及ぼすわけであります。それだけに、日本型食生活を拡大するということを考えたときに、学校給食にいかにしてこういう魚をもっと積極的に導入、拡大していくか、こういうことが大きな課題になっておると思うわけであります。そういう意味で、学校給食にこういう魚を導入、拡大していくためにどういう検討がされておるのか、お考えがあるのか、この点を二つ目に伺っておきたいと思います。
それから三番目に、さっきも申し上げましたように、これらの魚につきましては鮮度が落ちるのが非常に速いわけであります。そういう意味では、白身の魚と同じような流通経路でさばこうと思っても非常にそういう弱点があるためにさばけない。たくさんとれる、さばけない、値段が落ちる、とれればとれるほど豊漁貧乏、こういうことにもなっておるわけですが、そういう意味で流通のあり方についても、最近はやりの産直だとか地場流通だとか、こういうことをもっと考えていかないといけないんじゃないか、こういう問題点もあろうと思っておりますが、これらにつきまして水産庁の最近の検討の状況やお考えをこの際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/24
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025・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 多獲性魚を中心といたしまして魚の消費あるいは価格問題についていろいろと御質問があったわけでございますけれども、我々といたしましても、四百五十万トンに上るイワシ、これをどう食べていただくか、どういう価格形成をさせるかということが、ある意味では水産行政の一つのかなめ、基本であろうかと思っております。残念ながら、イワシが四百五十万トンからとれていながら、このうち生で食べられているのはわずか二%、加工を含めましても全体四百五十万トンの一九%しか魚が人間様に食べられていないわけでございます。
そして、これの消費拡大という点からいいますと、一つはやはりもう少し流通パイプを短縮化し生食で消費者の手の届くところで売れないかどうか。今まで、非常に単価が安いということで魚屋自体が売りたがらなかったという問題もございますし、先生からもお話ありましたように、一度にとれ、しかも鮮度の低下が速いということがあって、なかなか通常の流通ルートに乗らないという問題もあったわけでございますが、ここのところ流通なりあるいは保管システムというものがこれだけ技術革新が激しいわけでございます。例えば、ことしあたりも熊本のある漁協が全国の宅急便を使いまして地元でとれたイワシの全国宅配を始めた、これが非常に好評でございます。銚子等でこれだけたくさんイワシが揚がっていながら東京に熊本の宅配便が入ってきているというような形になっておるわけでございますので、これは知恵の出しようでまだいろいろな消費拡大の道があろうかと思っております。
そして、こういう生食に加えまして、加工、これがただいまお話ありました学校給食等ともいろいろ関連するわけでございますけれども、一つは、すり身原料のスケトウダラがいろいろな関係で低減してきたということに対しまして、イワシの活用、多獲性魚の活用というものが技術的にも経済的にも大きな課題になってきておるわけでございます。今までは、においがするとか、あるいはどうしても色が残るとか、いろいろ魚特有の問題があったわけでございますけれども、これにつきましても各種の技術開発がされてきております。そういうものを対象といたしまして、今国会でも例えば水産加工資金でそういう新しい技術の導入等も資金対象として入れまして、そういう加工技術のせっかく開発されたものを現実のものにしていくということにも努めておるわけでございます。
それから、先生からも御指摘ありましたように、やはり子供のころといいますか、学校給食ということがいろいろな味覚を植えつけていくということで緊要でございまして、今言いました加工の新しい技術体系に即応して集団的に消費していただく分野にもこれから入っていける。これは何といいましても調理の簡便化ということが集団給食、学校給食の場合には望まれますので、そういう方向で、現場で使いやすい形での水産加工製品の供給についてこれからも我々としていろいろな技術開発なり援助を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/25
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026・石橋大吉
○石橋(大)委員 私の質問の趣旨に沿って水産庁としても鋭意努力をされておるようですから、全国の漁民の皆さんの要望にこたえて一日も早くそういう利用ができるように、ぜひひとつ努力をお願いをしておきたいと思います。
次に、高級魚の資源枯渇の問題に関連をして一、二同っておきたいと思います。
一つは、山陰沖のズワイガニの雌ガニの全面禁漁の問題です。これは、去年の十二月二十一日の朝日新聞によりますと、日本海のズワイガニの水揚げは、ピーク時の昭和三十八、九年ごろには一万五千トン以上あった。四十八年に一万トンを割って、ここ数年は三千トン台に落ち込んでいる。富山県沖以西の水域では北陸、山陰七府県の底びき網漁業団体が漁期や採捕の大きさなどを自主規制してきたにもかかわらず、ピーク時の七分の一にまで減少している。漁船、漁具の大型化、近代化が資源枯渇を招いた最大の原因だ。そのため高値を呼び、それが一層乱獲に拍車をかける、そういう悪循環に陥っている。これではズワイガニの資源は完全に枯渇をしてしまうわけですから、水産庁としては六十四年度から雌ガニの全面禁漁を実施する方針を固めた。しかし地元の関係漁民は、死活問題だ、こういうことで反発をしているという新聞記事があるわけであります。
私は、遅かれ早かれズワイガニを全滅させるよりも、やはり水産庁のように一定の保護政策をやった方がいいと思うのですが、その後関係漁民との話はどうなっているのか、あるいはこの決意について水産庁として変わりないのかどうか、この機会に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/26
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027・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 日本海のズワイガニにつきましては、先生からも御指摘ありましたように資源的に非常に低水準にございまして、例えば近年の漁獲量を最近時点で申し上げますと、昭和四十五年当時に比べまして実に約一五%まで減少してきております。このまま放置しておきますと、現状のままでは枯渇するおそれも技術者の間では強く指摘されているわけです。こういう中で、資源保護を図るという観点から、従来も甲長でございますとか採取時期、場所、こういうものにつきましてはいろいろな規制を行ってきておるわけでございますけれども、何とかもう一つ規制を強化したいということの関連といたしまして、雌ガニについての全面採捕禁止ということも現在検討しているわけでございますが、ただいま先生からも御指摘ありましたように、関係者の調整が現在まだついていないわけでございます。我々といたしましては、やはり漁場を永続させることが長期的に見て漁業者の得にもなるということでございますので、何とか関係者間で十分な調整が行われるよう見守っているわけでございますし、それから我々としてもいろいろな相談に応じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/27
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028・石橋大吉
○石橋(大)委員 ひとつ地元の関係者とも鋭意話をして善処をしていただくように、この機会にお願いをしておきまして、次に進みます。
もう一つ、これも三月六日の朝日新聞の記事ですが、日本海の資源の問題に関連をして、富山湾の本ブリの水揚げが激減をしている、原因はモジャコの乱獲、こういうことで、水産庁としてはモジャコ漁の制限を十年ぶりに強化をする、こういう報道があるわけであります。
それよりにますと、富山湾内の本ブリの水揚げは十年ほど前までは百トンを超えていた。ところが五十五年の七十七トン以来激減、去年の冬はわずか八トン、ことしは〇・七トン、計八十四匹しかとれなかった。北陸から山陰にかけての定置網漁業ほどこも大体同じ状況になっている、こういうことであります。これは今も申し上げましたように養殖ハマチ用のモジャコの採捕が原因。この関係は、五十三年以降、水産庁が全国で年間四千二百五十万匹と制限をして、関係各県に割り当ててきている。しかし、養殖業者から農水省へ報告される養殖一年魚の数は例年五千万から六千万匹に上っており、実際にはモジャコが採捕許可数以上にとられている疑いが濃厚だ。富山県漁達の推定では、許可数の二・五倍、一億匹以上が採捕をされているのではないか、こういうようなことも書かれているわけでございます。そして一方では、山陰沖でまき網漁業による漁獲が、四十年に五百トンだったのが六十年には六千トンにふえている。また、刺し網漁による漁獲も、四十年に一千トンだったのが六十年には三千五百トンに急増している。まき網漁は網の目が非常に小さいために、本ブリ、若年ブリの区別なく根こそぎにとっている。こういうことから富山湾などの本ブリの漁獲が激減をしている。こうなっておる。
したがって、モジャコの採捕について水産庁としては十年ぶりに強化をしたい、こういうことのようでありますが、ただ単に採捕の数を制限するだけでは余り効果がないのじゃないか、こういうような感じもするわけであります。実効ある措置をとるためにどうするのか、こういうことについて、この際水産庁の見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/28
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029・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 寒ブリの資源問題につきましては、生態学的にもまだ必ずしも解明されていない点もあるようでございますけれども、大方ただいま先生から御指摘されたような問題というものもあることも認識しているわけでございます。
これを抜本的にどうするか。一つはモジャコの採取規制ということをやっておるわけでございますけれども、ただいま先生からお話ありました底びきでございますとかあるいはまき網、こういうものとの関係というものも一つあるわけでございまして、ただこういうまき網でございますとか底びきというものは、ある意味では効率的な漁業ということでそれなりの経営効率を追求した一つの形になっているわけでございます。そるいう点に着目して、こういう漁業形態につきましては農林水産大臣の許可ということになっておりますので、この許可に当たりましていろいろな調整なり資源保護のための禁止区域あるいは禁止区間の設定ということをいろいろと許可の条件なり運用として行っておりますので、こういう面の活用なり適切な運用というものに今後とも努めまして、資源の動向に十分留意して資源の保護というものに努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/29
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030・石橋大吉
○石橋(大)委員 時間が来ましたので、予定をした質問を少しはしょって、最後にもう一つだけ伺っておきたいと思います。
今申し上げましたように、どこでも天然資源が急速に枯渇をしていく。そこで、日本漁業の将来を担うものとして栽培漁業だとか養殖漁業などが非常に大々的は取り上げられておるわけでありますが、御承知のように栽培漁業が果たして日本の漁業の将来を担う中心的な柱になり得るのかどうか、こういうことについては放流効果を的確につかむことができないことなどもあって、今日段階で必ずしもそういうふうには言い切れない、こういう状況ではないかと思っておるわけであります。
同時に養殖漁業につきましても、今申し上げましたように、例えばハマチの養殖などで言えばモジャコの大量採捕によって天然資源が絶滅をしてしまう、こういう問題であるとか、あるいはイワシなどえになる多獲性魚を大量に投入する、養殖ブリを十トン増産するためには百トンのえになるイワシなどを消費をしなければいけない、こういうことが二百海里体制や近海の漁業資源を大事にするという観点からいっていつまでも続く話かどうか、こういう問題点もあります。また、給餌養殖によって環境の汚染、水質の汚染だとか魚病の発生あるいは薬害の発生、こういうような深刻な問題も出てきているわけですから、そういう意味で養殖漁業に長期的に見て将来をかけることも非常に難しいのじゃないか、こういうふうに考えていきますと、結局は自然の生産力を大事にしながら漁業資源を確保し、漁業の発展を図っていく、こういうことに基本を置かざるを得ないのじゃないか、こういうふうは思っておるわけであります。これらの点を含めまして、日本の漁業の将来像についてどう考えておられるのか、水産庁長官でも大臣でも結構ですが承りたい。
あわせて後継者問題について実は少しお尋ねしたかったわけですが、時間がありませんので一つだけ申し上げますが、昭和六十一年の中学校、高校新規学卒者の水産業への就職者数を見ますと、全国でたったの千三百四人、男が千百五十三人、女が百五十一人、こうなっておるわけであります。こういう若手の漁業への就業者数を見ますと、まことにもって将来寒々とした感じに襲われる、こういう気がしてならないわけであります。
なぜそういうふうに若い人たちが漁業に積極的に参加をしないかといえば、結局は資源の枯渇や輸入によって魚の需要を賄っていく、こういう水産行政のあり方に根本的に問題があるのではないか。やはり我が国の食糧産業として漁業をしっかり位置づけをしながら将来展望を切り開いていく、こういう観点に立つことによって初めて若い人たちに積極的に漁業に従事していただく、こういうこともできるのではないかと思っているわけであります。現状は逆に、漁業は衰退の一途をたどっていくばかり、こういうところに問題があろうと思っているわけであります。できれば、この点については大臣の決意と所信をちょっと承りまして、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/30
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031・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 いろいろ御見識を述べられたわけでございます。ごもっともな意見であると拝聴いたしました。
いずれにいたしましても、このたび提案をいたしております漁港法の改正あるいは漁港整備計画の御承認をいただきたいということも、今おっしゃるような観点から、一口で言えば対外的ないろいろな問題が起きておる、二百海里体制の定着に伴う沿岸漁業、つくり育てる栽培漁業、こういうものの重要性が加わっておる、それだけで行けるのか、そういうことと両々相まって資源枯渇にならないように食糧政策の重要な一つの柱として我我は努力をしていかなければならない、そのために漁港の持つ機能というものを十二分に発揮できるような考え方で実は法改正をお願い申し上げておるということでございまして、どうかひとつそういう観点から、私どもも後継者づくりの問題等につきましても大きな関心を持っていかなければならぬと思っております。私の考え方を率直に申し上げて答弁といたしておきます。残余は長官からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/31
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032・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま大臣から基本的な点に関しましてお話があったわけでございますけれども、これからの水産業の持っていき方として栽培でございますとかあるいは養殖、これだけじゃなくて自然の力、自然の輪廻を使っての在来の形での漁業ということにも力を入れるべきじゃないかというお話があったわけでございますけれども、それは全くそのとおりでございまして、基本的にはやはり水産物という自然を相手にしている仕事でございますので、自然の輪廻ということが一番将来的に永続する形でございます。そのためには、限られた漁場という中での自然でございますので、何とか魚がすみやすく育ちやすいという漁場に変えていくという努力が必要でございます。それから、それで足りない点につきましては、いろいろな新しい技術体系というものも確立できてきておりまして、幸いにして、栽培にいたしましてもガザミでございますとかクルマエビでございますとか、それからマダイでございますとか、こういうものにつきましては技術的にもきちんとしてまいりましたので、そういうものにつきましてはそういう方向で育ててまいりますし、養殖につきましても、ただいま御指摘あった環境なり薬との関係、こういうものにつきましても十分な意を用いながらやってまいりたいと思っております。
したがいまして、日本の二百海里内では自然の力と養殖と栽培、こういう三つの車輪の上に立ちまして、何とか資源状態をよくし、消費者に安定的な魚の供給というものを水産関係者として何とか実現できるよう前進したいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/32
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033・石橋大吉
○石橋(大)委員 時間が参りましたので、大臣並びに水産庁長官を初めとして水産庁の皆さんの我が国漁業の振興に対する一層の御努力を切にお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/33
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034・菊池福治郎
○菊池委員長 新盛辰雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/34
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035・新盛辰雄
○新盛委員 今御議論になりました漁港法の一部を改正する法律案、第八次漁港整備計画承認及び漁協合併助成法一部改正案起草にかかわる問題で若干質問をしたいと存じます。
佐藤農林水産大臣、御苦労さんです。とりわけ、牛肉、オレンジのもう大変な天王山にきているようで、今や日本の国内の目がすべて集中している大事な時期でございますが、それだけに、魚の問題でまた関心を深くしていただくこともまた一つの任務ではないかと思いますので、これからの論議に対して積極的な御協力をいただきたいと存じます。
第七次漁港整備計画の期間が昭和五十七年から六十二年度まで続いてまいりました。その間の日本の漁業というのは大きなさま変わりをしているわけであります。御承知のように、本格的な二百海里の定着、米ソの漁業規制、日本近海での増殖、養殖の発展、こんな状況から、最近の漁港の利用及びそのニーズというのは大きな変化を来していると思うのでありますが、水産庁長官はどういう認識をしておられるか。
さらに、この漁港にかかわる問題として、北洋漁業の関係で利用漁船が少なくなったわけです。減船をさせられておるわけですから、それだけに、漁港の持つ整備計画の内容も大きく変わってくるわけであります。こうした箇所での部分的な、ある意味では環境変化ですが、そういう面のとらえ方はどういうふうに理解をしておられるかお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/35
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036・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま先生からお話ありましたように、我が国の漁業をめぐります国際情勢及び国内情勢というものは著しく変化してきているわけでございます。特に二百海里体制というものが本格的に定着してまいりまして、いろいろと国際規制が強まってきた、こういう中で増養殖事業が著しく進んできておりますし、それから一方で、消費者ニーズが多様化してまいりまして、活魚に対する需要がふえるとか、いろいろな形で輸送条件なり加工条件というものも変わってきているわけでございます。それからさらには、漁港そのものの環境をどうするか、働く場として働きやすい清らかな環境をどうするかというような問題も出てきているわけでございます。こういうものに対応しようというのが今回の漁港法の改正の考え方でございます。
一方で、先生からも御指摘ありましたように、国際関係で締め出されてきている中での漁港の整備の必要性があるのかどうか、相当変質しているんじゃないかという話も確かにあるわけでございます。しかし、ここのところ幸いにいたしまして、昭和五十五年に一千一百万トンという漁獲高に達しまして、その後横ばいなり若干ふえるという形で漁獲高そのものにつきましてはトータルとして動いてきておりませんし、それから、国際的に規制が厳しくなればなるほど効率的な陸揚げなり、あるいは効率的な加工、輸送体系というものが必要になってまいるわけでございます。そういうことも反映いたしまして、ここのところ全体の水揚げそのものはそうふえてない中で漁港での水揚げというものが全国的にふえてきているということからいいまして、全体のパイは一つあるいは横ばいでございましても、近代的な整備された漁港に対する要望というものはこれからふえこそすれ減ることはないというふうに、トータルとしては考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/36
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037・新盛辰雄
○新盛委員 その観点に立って、第八次計画の策定に当たって日本の漁業は一体どういうふうに変質をし、また展望が開かれるのか、策定に当たってお考えがあるはずですが、お聞かせをください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/37
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038・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 国際関係からいいますと、やはり二百海里体制というものが昭和五十二年以来本格化いたしまして、すっかり定着してまいりました。それぞれの国におきまして、自国内の二百海里でとれた魚は自分でとり、自分で加工して付加価値を高めるという動きに出ることは、ある意味では当然でございますし、これからますますそういう動きが、好むと好まざるとにかかわらず強まってくるという認識のもとで、これからの水産というものを残念ながら考えていかざるを得ない。そうなりますと、一つは外国との関係では粘り強い水産交渉ということで、従来の漁場をできるだけ安定的に確保していくという努力も積み上げますし、それと並行して、新漁場でございますとかあるいは新資源の開発についても心すべきと考えております。しかし、それ以上に、我が国自身が持っている二百海里、これだけの島国で、これだけ広大な、しかも歴史と伝統のある水産の漁場としての二百海里を我々持っておるわけでございます。これの再開発、再整備というものも緊要でございまして、そのために沿整事業でございますとか沿構事業でございますとかいう各種の事業を行いまして、つくり育てる漁業という方向に、一つは我が国二百海里自体の海域を持っていかなければならないと思っております。
それに加えまして、やはり第一次産業で心すべきことは、とるだけじゃなくてとったあとの対策、消費、流通、加工、こういうところにつきましても、今まで必ずしも十分な行政の光が当たっていなかった点もあろうかと思いますけれども、限られた資源を有効に、安定的に消費者に消費していただく、そのためにはとったあとの消費、流通、加工部門につきましてもいろいろな手だてをしていくことが水産行政の大きな柱になってきているという認識に立ちまして、これから各般の水産行政を展開してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/38
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039・新盛辰雄
○新盛委員 一問一答でまいります。
北洋漁業はどうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/39
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040・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 北洋漁業はいろいろな形態があるわけでございますけれども、一つは、アメリカとの関係で申し上げますと、アメリカの二百海里内での割当というものが毎年低減してきたわけでございますが、残念ながら、ことしの一月下旬に行われた決定では対日割当ゼロという形で、現時点ではアメリカの二百海里から締め出されたという形になっているわけでございます。これにつきましては、アメリカ側にとりまして自国内の漁業者の枠が相当ふえたわけでございますけれども、この自国内の漁業者の漁獲努力を重ねてみて、その結果、空枠といいますか、十分な成果が出なければ対外割当することはあるべしという留保はついておりますけれども、非常に厳しい状況にあるわけでございます。
それから、ソビエトとの関係では、サケ・マスにつきましては現在交渉が中断いたしておりまして、ソビエト側はサケ・マスの公海沖取り全面禁止、一九九二年までの全面禁止という基本的なスタンスを表明いたしまして、今年度の漁獲割当なり操業条件につきましても、我々と相当隔たった提案なり考え方を示されているわけでございまして、先週の月曜日に中断し、できるだけ早い機会に再開して、何とか漁期に間に合うように成約にこぎつけたいというふうに思っておるのが、総体的な現時点での北洋関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/40
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041・新盛辰雄
○新盛委員 日本の漁獲総量というのは約一千百万と先ほど水産庁長官言いましたね。その四割以上を占めておりますイワシ、約四百五十万トンなんですが、これから一体どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/41
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042・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 イワシにつきましては、ここのところ非常な良好な資源状態というものが続いておりまして、今数字の御提示がございましたように四百五十万トンという非常な高水準の漁獲になっておるわけでございます。これにつきましては、生食、加工を含めまして人間様の口に入っておるのがわずか一九%で、残りにつきましては肥料であるとかえさ、こういうものに相なっておるわけでございます。したがいましてせっかくとれているイワシ、これをどうやって人間が消化するかということは、単に水産問題としてだけではなくて、動物性たんぱくなり健康のためという食生活全体としても心すべき重要な課題なわけでございます。
したがいまして、我々といたしましては、生食用としての流通のパイプの短縮、広範化ということにいろいろな知恵を出さなければなりませんし、それに加えまして、やはり大量に消費するには加工ということが、こういう一時期に大量にとれ、しかも鮮度の低下が激しいという魚の性格からいいましてもどうしても必要でございます。そのためにいろいろな加工技術の開発を国の試験場、研究所みずからも行っておるわけでございますけれども、特にここのところ外国との関係で原材料的に問題になってきておりますスケトウすり身、こういうものの代替としてもかなり技術的に活用できるという方向が出てきておりますので、こういうものにつきまして低利、長期の資金の融通でございますとか、こういうことを通じてできるだけそういう加工がふえていく、成熟していくことについての応援を行ってまいりたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/42
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043・新盛辰雄
○新盛委員 増殖、養殖、栽培漁業を今進められておりますが、これから先どの程度発展をしていくと認識しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/43
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044・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 数量的にそれぞれ全体の中でどれだけのウエートになるかということは、残念ながら必ずしも明確に把握しておりませんけれども、栽培漁業につきましても、ガザミでございますとかクルマエビあるいはマダイあるいはホタテでございますとか、いろいろな形で技術が定着してきて相当なウエートになってきているものもございますし、養殖につきましても、ハマチを初めその技術が完全に確立したものもできてきておるわけでございます。こういうものが今まではある意味では伸び盛ってきたわけでございますけれども、これからはそれなりに定着をするということと同時に、栽培漁業につきましては新しい魚種なり貝、こういうものについての新技術開発というものを並行して力を入れてまいりますので、現在よりはウエートはかなり高められるとは思いますけれども、これが具体的に消費量としてどの程度になるかというところまでは、現時点では残念ながら見通してないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/44
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045・新盛辰雄
○新盛委員 そこで大臣にお聞きしますが、水産庁の昭和六十三年度一般会計予算は三千二百九十三億であり、そのうち五六%、千八百六十億が漁港予算であるわけであります。漁港整備をどうするかというそのあり方を含めて、水産行政には何が求められているかということにもつながるわけでありますが、日本漁業の将来像というものについて大臣はどういう認識をお持ちになり、これから先どう展望を切り開かれていくかをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/45
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046・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 今前段のやりとりをお聞きいたしておりまして、それを頭に置きながらなるべく重複を避けてお答えをいたしたいと思います。
漁業関係の研究会の報告を昨年十一月に受けまして、そしてあるべき姿、今後の展望等々についていろいろ我が省内で議論をしてきた経緯がございます。
大別すれば、二百海里体制の定着の中で制約を受ける対外的ないろいろな漁業外交交渉ということも考えれば、当然のことながら沿岸漁業というものを考えていかなければならない。同時に漁港の整備もしなければならない。栽培漁業、つくり育てる漁業も考えていかなければならない。第一点としてこういう点が二百海里体制定着に関連して当然のことながら言われるわけでございます。遠洋漁業につきましては粘り強くやらねばならぬ、こう考えております。三番目には、やはり消費者ニーズに合わせた消費の拡大。このことを申し上げますときには必ず日本型食生活、その柱として魚の問題が出てくるわけでございます。高級魚、大衆魚という区別もいろいろ漁業の将来を語るときに出てくる話でございますけれども、大衆魚と言われるイワシだとかサバ等におきましても、私は医者ではございませんので決して学問的な説明はできないし、またしようとも思っておりませんけれども、エイコサペンタエン酸というものが健康に非常にいい、動脈硬化を防ぐんだという話も聞いて、なるほどな、こういう意見というものが学問的にも裏打ちされるものであれば、魚の大好きな私がもっともっとPRをして消費拡大に努めなければならぬな。以上、要約して大体三点をもととして今後の漁業の将来というものを考えていかなければなりません。
もう一つ、時の話題としてつけ加えますならば、昨年策定をいたしました第四次全国総合開発計画の中の農山漁村の活性化、均衡発展、これを忘れてはならない。その農山漁村の中での漁村、これが国民経済的にどうであるか。また現場における雇用という問題もあわせ考えると、漁業というものが海に関連をしたものだけではなくて、水産加工等、工場等の雇用の場ということも考えながら均衡発展していかなければならぬのだなという認識を持っておるわけでございます。
その他予算措置等厳しい状況にございますけれども、やはり展望は開けていく。今私が列挙いたしましたことを着実に実践をしていくものならば展望は必ず開けてくる。だから生きがいを持って漁業、水産業関係に携わることができるように行政は責任を果たしていかねばならぬものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/46
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047・新盛辰雄
○新盛委員 非常に心強い、力強い大臣の表明がございました。確かに農業の華やかな活動舞台の裏で、どちらかというと漁業は運動としても全国的な形成がなり得ない。あるいは農産物輸入自由化の問題でも、水産というのは、日本はもう既に大変な量を輸入しているのですが、漁獲に当たっている水産漁業者が非常に喜ぶお話をされたのですけれども、これから先、第八次計画は、第三次の沿岸漁場整備開発計画、さらには新沿岸漁業構造改善事業、後期の部分を含めまして、同時は発足していくわけですから、今大臣がおっしゃった内容の問題も含まれていると思うのであります。
そこで、確かに生産から漁業の後継者、そして消費の段階は至るまで極めて明快にお答えいただきましたが、最近の海洋に対する国民のニーズが非常に高い。漁業にもいろいろな影響が出てきていることは御案内のとおりであります。まず遊漁、いわゆる釣り人、海洋レジャー、いろいろな面で、そういう遊んでというのは語弊がございますけれども、確かに漁業者には大きな影響がありますね。この遊漁者ももう三千万人を超えている状況であります。無視できませんので、これは漁業資源の利用という面から見ましても問題がございますし、また競合する場面がいろいろございますが、今度は生活するという面で漁業者の中にもそれを大きく取り入れまして、瀬渡し船、海の案内をする船頭であったり、釣り舟を出したり、そんな面で生計を立てておられる方もあるわけですね。一概に遊漁、遊漁だと言って否定はできないのでありまして、漁業者との調和、共存共栄、こうした面が図られているようでありますが、大臣はこの遊漁と漁業の基本的な関係をどういうふうに理解しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/47
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048・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 予算委員会でも若干の議論をした経緯がございますけれども、今委員おっしゃるように、健康的なレジャーとしての分野、この現実にある姿は率直に私も認め、ある面では漁村の活性化を考えれば、民宿等いろいろなことから考えてもそれが有効に評価をされておることもわかります。わかりますが、今おっしゃられるように漁業との――もともとそこに漁業ありき、だから魚が先かヨットが先かと言えば、魚が先にすんでおったのだという意味での漁業者の生活権あるいは漁業権というものをちゃんと頭に置きながら、そして先ほど私が概略申し上げた水産業の行方、展望というものも、また日本型食生活の柱としての漁業ということも意識しながら、まず相互理解に始まって相互依存、相互協力、国連用語のような表現になりますけれども、今こそ第一線の漁村におきましても、そのような考え方で調和を図りながら健康的なレジャーと漁業の生産活動というものが両々相まっていかなければならぬ、実効を上げていかなければならぬと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/48
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049・新盛辰雄
○新盛委員 私は、三月二日に石原運輸大臣とこの問題で少し議論した経緯がございます。内容については省略いたしますが、小網代湾におけるヨットハーバー。前からそこで生活している漁民の方々が定置網を設置しておられる。それにときどきボートがぶち当たってけが人が出るということについては、行政指導としては神奈川県が悪いのだ、もう少ししゃんとしなければいけない。運輸大臣は、私がいるときにそれを排除してみせる。これは週刊誌が書いていたので内容を聞いてみたら、あれは週刊誌が書いたので、私はそうは言っていません、こういう話もありました。
この議事録にはこう言っております。
確かに、漁民はレジャーボートよりも先に海を使ってある意味で仕事をし、既得権があるかもしれませんが、といって、海は漁民のためだけではなくて、国民のために開かれたものであり、そこで運輸省の行政の眼目にものっとって新しいウオーターフロントをつくり、レジャーを開発し、そして内需拡大でとにかく日本人の新しいライフスタイルをつくろうということを前川リポートも言っておるわけでありまして、それで海へ出ていって、海へ出ていくのは結構だけれども、そこで勝手に死ねみたいな行政では、これはもう片手落ちと言わざるを得ない。現に事故が頻発しております。
これは運輸大臣のお答えです。
最後は生活なのか遊びなのか。漁民は漁業で生活をしている。一方は、海洋開発か知りませんが、レジャーで遊んで、ヨットハーバーその他を利用している。どちらを調和させ、調整していくか、行政機関としては非常に悩みのあるところですね。そこのけ、そこのけ、馬が通るじゃないのです、もうそんな生活の基盤――我々が遊ぶ場所はちゃんと確保してくれ、これが新しい時代じゃないか。飽食と餓死の時代、そういう状況の中でございますね。それと同じような形に、金を持っている方々は遊ぶ。しかしそこの場所だけでしか生活ができない人たちがいる。一体どうなのだ。海洋開発あるいは漁港を初めとして利用開発を広げよう、こうおっしゃっているわけですから、この辺のところは非常に難しいところだと思うのです。今おっしゃいましたように大臣とすれば漁業者を守る立場だろうと思いますが、小網代湾の漁業協同組合の皆さんはそれこそ大変な憤激を持っていらっしゃいますよ。だからこうしたことについて、余りよくないことですけれども、一体これからの開発、漁業権を維持し得ることについてどういう行政指導をしていけばよいのか、いい知恵があったら出してみてください、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/49
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050・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 石原運輸大臣と新盛委員との二人の間でやりとりがあったという議事録は、私、今初めて拝聴いたしました。私もあるときに運輸大臣からそれに似た趣旨の話を聞いたことがございますし、またかたく言えば要請を受けたこともございます。
例えば、漁民の定置網等について、夜間、ボートがレジャーの関係で通航するときの海上交通の安全、こういうことも考えなければならないし、またせっかく漁民が施設した網をめちゃめちゃにしても困る。それじゃ、照明をどうするのか、電気をどうつけるのかというような話等もあるけれども、なかなか進まない、こういう話を承ったことがございます。
私、これは先ほど申し上げるように、共存しなければならない現実の今日でございますから、そういう意味で神奈川県を水産庁から督励していただいて、早くつけなさい。私、素人でよくわかりませんけれども、そういう照明は定置網のところに一つつけたらだめなので、やはり二つちゃんとつけなければだめなのだ、こういうことも私、教わりました。そういうことで、それを早くやりなさい。そして、日本列島長うございますからいろいろな場所がありますけれども、少なくとも暖かくなる前あるいは五月の連休前にちゃんとそういうものを施設することが必要ではないか、こういうことで督励をいたしたところでございます。
いずれにいたしましても、共存できるように話し合わなければならぬ。一方的に、今委員おっしゃるようにそこのけ、そこのけ――週刊誌にどう書いてあったか、その週刊誌も私読んでおりませんけれども、国務大臣たる者が、いかにレジャーに関心を持っておっても、そこのけそこのけ、網さえなければいいんだ、取っ払っていいんだというようなことは言うはずがないがな、こう私は想像をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/50
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051・新盛辰雄
○新盛委員 大臣、これからこうした問題が沿岸整備を含めましてたびたび出てくるだろうと思いますが、結論は共存できるベターな政策、いわゆる漁業者を守るという立場に立ってぜひとも御配慮いただきますように要望しておきたいと存じます。
そこで、この漁港法改正の機能施設の追加として、このたびは船舶保管施設というのが入りました。それこそ今出ましたレジャーボートの保管のためにわざわざ金をかけて、少ない水産庁の予算の中で漁港整備を図っていくわけですから、そういう面で、どういうことでこの船舶の保管施設の条項が入ったのかをお聞かせいただきたい。私はまた、別途運輸委員会でも船舶問題では随分議論をしてきておりますから、その辺の状況をひとつ踏まえまして、漁港予算でなぜそう見なきゃならないのか、その辺ちょっとお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/51
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052・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今般機能施設としてお願いしております船舶保管施設、これは港内に放置されっ放しになっておりまして、漁港機能でございますとか利用を阻害する船舶、こういうものを漁港管理上陸上に収容する施設ということで考えておるわけでございまして、特に遊漁船を中心といたしまして、漁船以外の船というものがここのところ漁港内に放置されてそのままほうってあるというようなものが散見されますので、こういうものは漁業活動として非常にマイナスでございますので、こういうものを陸上に収容する施設をつくり、海を整然として漁業利用上も円滑に進めたいということでこの施設をお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/52
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053・新盛辰雄
○新盛委員 そういう立場だろうとは思いましたけれども、今度はNTTのAタイプの配慮もございまして、これから漁港を中心にした新しい施策をされるわけですが、今回の場合、駐車場にしてもヘリポートにしましても、あるいは漁船保管施設とか、あるいは漁業関係者の宿泊その他の福利厚生施設とか、こうしたものも当然新しくその周辺に十分なものとしてこれからの新時代に対応しよう、その心構えはいいんですけれども、こうした面で若干この問題は今後の取り扱いいかんによってはもめごとになるんじゃないかという心配があるんですよ。その点、私の不安でしょうかね。お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/53
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054・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ここのところ漁港に対するいろいろなニーズが多様化してまいりまして、今までにない機能施設というものをお願いしておるわけでございますけれども、これらにつきましては、いずれも漁港という性格と密接不可分であり、しかも漁業経営というものとの関連に応じましてこういう機能施設をお願いしておるわけでございます。
それからさらに、今回といいますか、ただいま御議論のございましたヘリポートでございますとか、あるいは船舶保管施設、こういうものにつきましては漁港と一体的に管理するということで、機能施設の対象としてお認めいただきたいと思っておるわけでございますけれども、当面の問題といたしましては、補助対象として水産庁の予算という形でこれを直接取り上げるということにつきましては、まだほかのいろいろな基本的な施設についての国の助成というものの立ちおくれておる点がございますので、そちらの方を優先するということもございまして、現時点ではただいま御指摘ありました機能施設につきましては水産庁みずからが補助をするということは念頭にないこともつけ加えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/54
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055・新盛辰雄
○新盛委員 次に、進捗状況についてお聞きしますが、第七次計画の進捗率は七八%でございました。第八次計画を完全に達成するためには、千七百二十七億円の六十三年度予算を基礎にして毎年六%ずつの予算の伸びがなければならないことになります。六十三年度はたまたまNTTの資金があったので、前年度対比として一八・五%という伸びが確保されているわけですね。完全達成に向かっての予算確保について、また漁港整備の重要性をどのように認識しているのか、あわせてお答えをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/55
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056・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 確かに国の財政状況全体が非常に苦しい状況にございまして、財政再建という形の中で毎年予算を組んでいるわけでございますけれども、漁港整備につきましては、その緊要性、必要性ということにつきましては財政当局にもかなりの理解をちょうだいしておりまして、こういう長期計画物の進捗率といたしましては、ほかと比較するのもなんでございますけれども、ほかの事業よりは若干でございますけれども上に来ていたわけでございます。
今後の問題といたしましては、相変わらず厳しい財政というものが続こうかと思いますけれども、せっかくこういう形で新しい計画をつくり、法律まで改正さしていただくということでございますので、我々といたしましては全力を挙げて所期の計画の十全な達成というものにこれから毎年毎年の予算編成で努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
それと同時に、漁港整備の重要性でございますけれども、これは先ほど来若干触れておりますけれども、ここのところのいろいろな国際関係に伴いまして漁業情勢が変化してきた、それから特に水産物の流通、加工というようなものに非常に大きな変化が見られるわけでございます。そういう点からいいますと、やはり漁業生産活動の拠点である漁港というものをどういうふうに近代的、効率的なものにしていくかということが漁業経営にとりましても、それから流通、加工、消費にとりましても欠くことのできない緊要事であるというふうに基本的に認識している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/56
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057・新盛辰雄
○新盛委員 次に、補助率の問題ですが、五十七年にこの論議をします際に、第七次計画をする際に、附帯決議として、地方交付税の確保等万全を期せられたいと衆参の農林水産委員会で決議をしました。この漁港整備事業の補助率はこのところ毎年引き下げられていく、地方の負担がふえている。このような状況は早急に解消すべきだと思うのですが、地方交付税対策、いわゆる地方財政対策を含めて今後どう対処されるか。補助率というのは、第四種の場合を例に引きますと七五%が六〇%になっている、このような状況ですから、附帯決議に、きょうもまたこの後されると思いますけれども、特別に決議をする条項なんですよ。配慮願いたい、地方財政に余り負担をかけないようにと、こうなっているのですが、年々逆の方向に来ていることはどういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/57
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058・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁港に対する補助率、それから地方負担率、こういうものにつきましては残念ながらここのところ一般の財政運営の一環といたしまして引き下げということが昭和六十三年度までの措置として講じられているわけでございます。しかし、六十三年度におきましても六十二年度と同様に建設地方債の起債により補助率引き下げによる地方の負担増については対応することになっておりますし、それからその元利償還費、こういうものにつきましては地方交付税の算定を通じまして適正な財政措置が講ぜられるということで、事業の執行なり地方財政の運営には支障を生じない形で全体的は対応できているというふうに考えておるわけでございますけれども、今後とも補助率問題につきましては、ただいま先生からもお話ありましたように、前にも本院からも御指摘いただいておりますので、我々といたしましては適切に対応すべく財政当局とも接触を深めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/58
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059・新盛辰雄
○新盛委員 水産長官、大変苦しい答弁をしておられるが、まああなたも今度赴任されたわけですから過去のことについてとやかく申し上げるわけじゃないのですが、年々補助率を下げられるという財政当局との関係もございますけれども、我々がここで決議をすることはひとつ生かしていただかなければ、最大限の配慮をすると言いながら、補助率がどんどん下がってしまうのでは決議のしようもないのですよ。これは非常に問題があると思いますが、あなたをこれ以上責めたってしようもございませんから、今後十分ひとつ御配慮いただきたいと存じます。
続いて、漁港整備のあり方でお聞きしていくのですが、全国の二千九百四十六カ所の漁港に今この予算がつくわけであります。総花的にとよく言われておるのですけれども、最近道路が非常に整備されてまいりまして、漁港と漁港の区間が一キロ未満のところでも漁港がある、いわゆる村落があればそこに港をつくりたい、これはもう欲望ですね。漁業者はできるだけ近いところから船を出したい、だからそこに港湾を、いわゆる漁港をつくってくれという要請がある。つくらざるを得ない。一種から四種、そして特定三種まで漁港の形態はございますけれども、ほとんど一種の漁港にこういうことが見られるわけですね。後ほど合併法の問題で触れますけれども、こういうのをつくった方がいいのか、それとも道路網が発達をしておりますから中核漁港に力を入れて、そこに予算の集中化を図るとか、漁民感情もありますし、地域的な漁業権の問題もございますからいろいろ難しい面はありましょうけれども、これは一体漁港整備という役割から見ましてどうお考えになっておられるか。このことが実は漁協の合併問題にもいささかなりかかわり合いがあるのではないかと思うのでありまして、水産庁としてはどういう指導をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/59
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060・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 予算の箇所づけなり金額の配分に当たりましては、我々といたしましてはそれぞれの地域の水産業の実態というものも十分配慮いたしまして、抽象的ではございますけれども、整備の緊急性、それから整備の重要度、こういうものに応じて箇所づけ、それから金額の配分というものを行っておるわけでございまして、その結果といたしまして、いわゆる中核的漁港も中小あるいは零細な漁港も整備の対象に相なっておるわけでございます。
従来から、今先生から御指摘ありましたように、中核漁港を優先すべきかあるいは小さいものを分散的に優先すべきかということが、限られた予算の範囲内の問題としていろいろあるわけでございますけれども、これまた抽象的なお答えで恐縮でございますけれども、我々といたしましては、何といいましても長期的に見ましても効率的かつ効果的な整備ということを心がけて、その年その年なりあるいはこういう長期計画の変わり目に応じて全国の漁港というものを総洗いしてそれぞれ適切に対応しているつもりでございますし、これからもそういう方向で運用してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/60
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061・新盛辰雄
○新盛委員 次に、NTT資金のAタイプ事業、収益回収型の今回の措置については受け皿が問題になってくるわけでありますけれども、この後の合併法との関係もございますので、端的にひとつお答えいただきたいと思います。
これは水産業協同組合が受け皿になるわけですが、単協あるいは連合会、こういうものでやるということなんですが、単協でできるのでしょうかね。そしてこの連合会、全国連をつくると言われているのですが、これはどういうつくり方をされるのかわかりませんけれども、どうお考えになっているのか。それで、全国連とか、これは私はそういうふうに言うのですけれども、全漁連など現在あるのですけれども、こういうところではだめなのか。
それと、このNTT資金で港湾施設の整備をやるわけですが、埋め立てなどをやって、それをまた売却をする場合にどういうふうな取り扱いになるのだろうか。港湾の整備で係留施設あるいはその背景にある宿泊施設あるいは漁具の倉庫、いろんなのをつくりますね。その先をまた埋め立てて、パチンコ屋だとかレジャーだとか、使い方はいろいろあると思いますよ。埋め立てて、それの売却責任をどこでだれが負うのか。NTT資金の償還の形から見ましても、埋立地などを勝手に処分するようなことにはならないだろうなと、それは一つの例ですが、そういうことについてお考えを聞かせていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/61
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062・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 NTT資金の実施主体の問題でございますけれども、法律上の仕組みといたしましては、単協も連合会も両方事業能力が付与されております。しかし、現場の対応といたしましては、今先生からもお話がありましたように、あれだけの事業でございますので、小さな単協でございますとか財的基盤の脆弱な単協というものはなかなかこれには対応できませんで、具体的にあの事業を活用して大きな事業を行いたいという地域では、むしろ単協が数単協広域的に集まりまして連合会をつくろうかという動きがあるやに聞いておりますので、この推移というものを我我も見守ってまいりたいというふうに考えております。
それから、この事業に関連いたしまして造成されました他目的に使われる土地の売却等でございますけれども、水産加工施設用地等漁業経営なり漁協経営というものと関係の深いあるいは漁協の事業能力として十分あるものにつきましては漁協みずから造成するというような問題になるわけでございますけれども、全く他目的の、例えば住宅用地でございますとか、こういうものにつきましてはそもそも漁協自体がそういう住宅用地を造成し分譲するというようなことにつきましては事業能力上いかがなものかとも思われますので、こういうものにつきましては恐らく第三セクター的なものができまして、そこが造成し、そこが買い受けるなり売り払うというような形で、そしてそういう売り払い代金等を結果的に漁協に支払う、そして支払われたものが償還財源の一部といいますかそういう渡協経営としての全体を潤しまして、結果的に償還に寄与してくるという形に相なろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/62
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063・新盛辰雄
○新盛委員 この問題はこれからの具体的実施の中で出てくると思いますが、その際にまた議論をしたいと存じます。
合併法の問題ですが、この合併助成法による農協とか森林組合、漁協の合併の状況をある資料で見ますと、農協が六四・三%、森林組合四九・一%、漁協はわずか一一・七%。漁協の合併が極めておくれているわけであります。そのおくれている理由については先ほどの議論で十分承知しました。合併のメリットほどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/63
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064・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 合併のメリットは、何といいましても組合規模が大きくなることによりまして構成員及び事業範囲あるいは事業量というものが拡大をする、そういう経営の基盤ということが拡大することによりまして財務的に経営が改善されあるいは向上するということが一番のメリットと考えておりますが、特にここのところの金融の自由化でございますとかあるいは流通消費の広域化、多様化ということから申しますと相当大きな経営基盤なりあるいは財的基盤、こういうものを持っておりませんと現実に対応ができないという悩みがあるわけでございまして、そういう新しい動きに対応するためにも何とか基盤そのものを強化してもらいたいというのが合併に託す我々の願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/64
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065・新盛辰雄
○新盛委員 制度の枠組みができて、そしてそれが組織を挙げて実践に乗り出してはいるんですが、実際のところは力不足。そして漁業権行使をめぐる既得権への執着、さらには地域感情などの阻害、財務内容の格差、こうした原因によって、合併がどんどん進められるのですが、全国的には今まで一一%ちょっと出ているくらいだ、今おっしゃった理想像がなかなか思うようにいかぬわけですよ。これはどうも何かが欠落しているような気がします。それは何だとお考えになりますか。私は行政だと思う。行政がもっと必死になって後ろ盾をしてやらない限りこれはどうにもならぬ。漁協合併というのは言うはやすく行うはかたしというところに今なっていると思います。助成とか支援とか、これは議員立法なものですから、委員長提案ですから、したがってどうも金がついていない。だからこの際、政府が本来、それほど熱意を持っておられるなら提案をしてそれに基づく何らかの方策を、ここで申し上げるまでもないことでありますが補助とか助成とか、そういうような形も含めて後ろ盾をしっかりしなければどうしようもないんじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/65
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066・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 農協が比較的といいますか合併件数としては一番多かったわけでございますが、例えば農協にしましても、うちにしましても、当初合併助成法は政府提案という形で、政府の立法ということでやったわけでございますけれども、率直に申し上げまして、やはり生き物である組織、しかも関係者の共同組織、こういう自主的な組織体につきまして行政が上から強烈に指導するということでは、正直申し上げまして本物の合併になかなかなりがたい。みずからの共同組織体を合併ということで生まれ変わらさせる、このためにはその組合を構成している、うちで言いますと漁民が本当に徹底的に話し合い、徹底的に理解した上で初めて本当の合併になるというような感じが我々としてはいたしておるわけでございます。
しかしそれだけで済まないのはもちろんでございまして、やはり行政側がいろいろな側面からの応援なり御相談に応ずるあるいはムードを盛り上げるということも当然我々としての責務でございますので、そういう自主的な運動に加えまして我我の手だて、これが加わって初めて合併の所期の効果が出ょうかと思っておりますので、今後ともそういう方向で最善の努力は行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/66
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067・新盛辰雄
○新盛委員 一言でいいのですよ。行政側としてあなたが熱心におっしゃっているのですから実あるものにしなければいけません。当初は政府提案であったわけですし、農協はそれなりに助成しなくたってやったじゃないか、漁業の方が進まないのは何か理由があるわけですね。自然を相手にして漁業権の問題もある、既得権の問題もあるわけです。だからそれだけの違いは違いとして認めていただいて、何としても合併促進は図るのだという後ろ盾をしっかりやってほしい。やるならやる、やらないならやらないでいいんですから、ひとつお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/67
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068・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 いろいろと現実問題としてただいま先生からもお話がありましたように、漁業権であるとか既得権であるとか、こういう問題が絡んでおりますし、こういう既得権、漁業権という問題はこれこそ当事者間の話し合いということがなければなかなか前進しない問題でございます。したがいまして、第一義的には当事者間の話し合いというものに大きな期待を寄せますけれども、我々といたしましても最大限の後ろ盾は行ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/68
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069・新盛辰雄
○新盛委員 最後に、捕鯨の問題でぜひひとつ政府の決意を聞かせていただきたいのです。
五月にIWCが開かれます。問題はこれまで議論をし本委員会等でも特別決議をしておりますように、調査捕鯨を断行するということで既に三百頭捕鯨の調査船が今出航中であります。沿岸小型の捕鯨を生存捕鯨として存続できるのかどうかということが私どもの当面の課題でありますが、調査捕鯨は当然続けていただけるもの、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/69
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070・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今後の調査捕鯨につきましては、現在実施いたしております調査の結果、それからことしの五月にIWCの年次会議というものが行われますので、その審議の経緯というものを総合的に判断いたしまして、その時点で検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/70
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071・新盛辰雄
○新盛委員 外務委員会でも外務大臣には特にこの問題で後に引かないようにということで強調しておきましたし、また超党派で私ども衆参でつくっております捕鯨問題懇談会においても、場合によってはIWCを脱退してもいいから我々の食文化を守ろうじゃないか、捕鯨を継続させようじゃないか、こういう決意でいるわけでありますから、この五月のIWCに向けて佐藤農林水産大臣は、これは牛肉、オレンジの問題も同じパターンに近いわけであります、どういう決意で臨まれるかを一言お聞かせいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/71
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072・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 実は昨年末調査捕鯨を出航させるにつきましても、対外的なあつれきがどのように出てくるであろうか、いやいやそれは余り気にするな、いろいろな意見がございました。しかし我が方といたしましては、今委員おっしゃるように超党派の議連のお話もあり、ここの場での議論もいろいろ経緯がございますし、私どもの考え方もそれと一致をしておりますので、そういう意味で調査捕鯨に踏み切って一つの足跡、実績を上げることができるのではないか。まだ帰ってきておりませんからあれでございますけれども、そうするとその実績を頭に置きながら五月のIWCの年次総会には今までの実績をもととしたまた議論の展開をしなければならない。私どもは捕鯨問題については重大な関心を持っておりますし、米国を初めとする各国に理解を求めつつ我が方の主張を通していきたい、粘り強く進めていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/72
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073・新盛辰雄
○新盛委員 質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/73
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074・菊池福治郎
○菊池委員長 吉浦忠治君。
〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/74
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075・吉浦忠治
○吉浦委員 第八次漁港整備計画についてお尋ねをいたしたいと思います。
漁港整備長期計画は昭和二十六年度から始まっておりまして、現在第七次を数えるに至っておりますが、当初第一次、第二次の戦後復興期という計画目的から、そのときどきの我が国の水産業を取り巻く諸情勢に適応して計画目的を変更してきておるわけであります。現在の第七次においては、一つは水産物の安定供給を図る、二には魅力ある漁業の確立を図る、三には漁村社会の基盤強化を図る、こういうふうに目的がされておりますけれども、我が国水産業は、昭和二十七年、マッカーサー・ライン撤廃を一つの節目にして、沿岸から沖合へ、あるいは沖合から遠洋へというふうに発展した経緯については既に御案内のとおりでございますけれども、昭和四十八年の第一次石油ショック以来、第三次国連海洋法会議を契機にいたしまして日本の漁業は大きく変わってきているわけであります。いわゆる遠洋から沖合、沖合から沿岸へというふうに、一時期とは全く逆の、撤退の方向と言っていいと思いますけれども、こういう方向に変わってきているわけです。いわば、第六次と第七次の漁港整備計画はこうした流れの中の計画であったと言っても言い過ぎではなかろうというふうに思うのです。
そこで、二百海里時代が定着した段階でありますから、漁港の役割、あるいは質的な変化をしなければならぬというふうに私は考えているわけですが、第八次漁港整備計画においてはその点をどのように判断してその計画に盛り込んだのか、この点を最初にお尋ねをいたしたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/75
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076・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま先生からお話がありましたように、二百海里体制の本格的な定着ということで国際規制が強化されてまいりまして、今までの外へ外へ、遠くへ遠くへという流れが、逆にUターンといいますかブーメランといいますか、そういう形で沿岸に戻り、沿岸の再活用、再開発というものが希求されてきているわけでございます。
そういう形で、増養殖漁業等つくり育てる漁業というものが一つ著しく進展してきているということが、今次計画なり今回の漁港法改正の一つの大きな前提の違いでございますし、それからもう一つ、流通なり輸送形態、こういうものも非常に変わってきているというのが二つ目のここのところの大きな変わりかと思います。それからもう一つは、漁港におきます労働条件の改善、こういうものにつきましても、漁港で働く者からの要望というものも強まってきたという点が漁港に関するここ数年間の大きな移り変わりでございます。
こういうものを前提といたしまして、今回の整備計画の事業量なり箇所の設定につきましてはそれぞれの地区の必要性というものを積み上げて計算しお願いしておりますので、それぞれのこういうニーズの変化というものが今回の長期計画にも反映されているというふうに御理解いただきたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/76
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077・吉浦忠治
○吉浦委員 最近は海に対する国民のニーズというものが増大してきている、今までのように漁民だけの海という考え方から、部会の住民とのかかわりを含んだ海に変わりつつあるのではないかというふうに言えるのではないかと思うのです。すなわち海の利用については、それは漁業者がリードすることはもちろんでありますけれども、国民のニーズとの調整をこれから考えていかなければならないのではないかというふうに考えるわけです。これは地域、地域によってさまざまな変わった姿があるわけでありますけれども、今後国民の海に対するニーズは、余暇時間の増加とともに、増大こそすれ減少することはなかろうというふうに思うわけですが、このような状況に対して、漁港施設の整備のあり方についてどのような見解を政府は持っておられるのか、これが第一点。
第二点は、私の地元千葉県におきましては、第八次漁港整備計画で、調べてみますと、新しい二つの港を含めまして二十五港あります。金額に直しますと五百七億七千三百万円を要望いたしているところであります。千葉県は水産県千葉というふうにも言われておりまして、一日も早い漁港整備を目指しているところでもあるわけですが、今後の漁港整備のあり方、こういう点にも触れて答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/77
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078・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 海洋なり港というものが、漁業だけではなくて国民のものという色彩がかなり強まってきておりまして、そういう一般国民の余暇の増大等に伴います海洋利用あるいは漁港利用、こういうものとの我々漁業との調整ということにつきまして、それぞれの地域でいろいろな問題も出てき、それなりの対応というものをしてきているわけでございます。
我々といたしましては、基本的には何とか調和のとれた形で国民一般の要望にもこたえてまいりたい。そして、その中で漁業にマイナスになること、あるいは漁業に被害が及ぶことは少なくとも防ぎ、むしろ漁業が効率的に育ちながらそういう一般国民のニーズと調整がとれないかということで、今回の漁港の整備につきましても、まず漁港そのものをできるだけ立派にするということが漁業者にとりましても一般にとりましても必要なことでございますし、それから、例えば今回の改正で機能施設として加えている中の船舶保管施設でございますとか、海面に放置されております遊漁船等を保管するような施設もわざわざ漁港の機能施設としてつくっていくということで、一体として共存共栄の道というものを探っているわけでございますし、それから、今回のNTTでございますとか、あるいはAタイプだけではなくて、既にお認めいただいておりますCタイプでございますとか、こういうようなものでもレジャーというものを念頭に置きながらの漁港の一体的な整備というものをこれから推進してまいらなければならないというふうに考えているわけでございます。
それと同時に、具体的に千葉県、ここは東京からあれだけの距離のところでございまして、漁業も盗んであると同時に東京都民を中心とする首都圏の住民のレジャーニーズというものも相当強まっているわけでございます。したがいまして、ある意味では全国のそういう両方のニーズ、必要性を調整するモデル的な県と言えるわけでございまして、我々といたしましても、今回の長期計画におきましてもそれぞれの地域の要望というものを十分吸収いたしまして全体の箇所数なり所要の金額というものを計上したつもりでございますので、これからも地域の方々と十分相談しながら、円滑な実施に努めてまいりたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/78
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079・吉浦忠治
○吉浦委員 漁港施設の追加等についてお尋ねをしておきたいのです。
漁港施設というのは基本施設と機能施設から成っておるわけですけれども、機能施設の方について、昭和三十一年野積み場が加えられておりますし、四十六年には漁港浄化施設が加えられ、四十八年には廃油処理施設が加えられている。その後、御承知のように増養殖漁業の進展等に伴いまして漁港に求められているところの役割なりが変化、多様化、高度化というふうになってきておるわけでございますけれども、このような状況を踏まえまして、機能施設の基本的な、根本的な見直しをしなければならぬのじゃないか、追加、追加ということだけではならぬのじゃないかというふうに考えますけれども、この点どのようにお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/79
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080・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁港に対します一般のニーズというものが非常に年とともに変化してきておりますので、やはりある時点で切ってみて見直すということが不可欠かと思っております。
今回、昭和六十年代に入りましてから第二次二百海里時代と言われるくらい外国からの規制というものが非常に厳しくなってきた、それから流通、消費の状況も高度成長が終わり国民生活が成熟するに従いまして相当質的に変わってきた、そういう社会経済情勢一般の大きな変化の節目にあるということに着目いたしまして、今般我々といたしましては機能施設についての総洗いをやってみたつもりでございます。したがいまして、例えば鉄道、輸送事情の変化に伴いまして不必要になってきた軌道でございますとかあるいはいろいろな機具の発展によりまして不必要になってまいりました監視所、こういうものについては削除し、それから現時点で大きく要望の出ている、あるいはこれから中長期的に見ましても必要となるような機能施設、こういうものにつきましては思い切って取り入れまして機能施設の拡充というものを行ったつもりでございまして、今回はいわば今までの機能施設を総ざらいした結果としてこういう御提案を申し上げているというふうは御理解いただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/80
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081・吉浦忠治
○吉浦委員 遊漁船やプレジャーボートの秩序化の問題について伺っておきたいのですが、遊漁船やプレジャーボートの増加に伴って漁業操業に支障を来しておるわけです。あるいは漁港を占拠し、あるいは海難事故の発生が増加するなど、既に放置できない状態はあると言わなければならぬと思うのです。
遊漁船の場合ほぼとんどそれが漁船でありまして、これは漁船法に基づく漁船登録によってその実態が把握されているわけです。漁業との調整あるいは漁港の利用についても問題の把握は比較的に行いやすいのではないかと思うのです。ところが、プレジャーボートの大半を占める総トン数五トン未満の船舶は、船舶法に基づく現行の登録制度の対象外であります。その所有者さえも特定できないのが現状であろうと思うのです。このようなことから、例えば漁港に放値されておりますプレジャーボートを船主は通報して適切に管理を要請しようとしてもそれができないという状況にあるわけであります。
昭和五十九年の我が国のプレジャーボートの保有隻数は約二十一万隻、こう推定されております。その中でマリーナに保管されているものが約三万隻で、残りは一般の漁港や港湾あるいは河川あるいは海岸等に放置されていると言われているわけです。このような問題の解決のためにも、また漁業調整上の必要からも、全プレジャーボートの登録制度の整備が必要じゃないかというふうに思うわけですけれども、これはどちらに答えていただきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/81
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082・野間耕二
○野間説明員 ただいま御指摘のありました船舶法上の観点でございますけれども、船舶の登録制度といいますものは、国際航海に従事する船、日本船舶の国籍を公証するというのがその大きな目的でございまして、このような制度の目的に照らしますると、国際航海に従事することが想定しがたい総トン数五トン未満の小型船舶につきましては、船舶法上の観点からこういった制度を導入するという必要性は薄いのではないかというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/82
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083・吉浦忠治
○吉浦委員 水産庁の方はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/83
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084・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 水産庁といたしましては、今先生からお話のありましたように漁港に相当プレジャーボートというものが入ってきている、そしてこれが漁業経営上もいろいろと現地でトラブルなり問題が出てきておりますので、何とか全容の把握と調和のとれた形での運航というものが不可欠と思っておりますけれども、漁船以外の一般の船舶の登録につきましてはただいま答弁がありましたように運輸省の所管でもございますので、運輸省とも協議いたしまして、どういう道があるのか、できるのか、そういう点につきましても、我々としましても重大な関心がございますので、今後適切に対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/84
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085・吉浦忠治
○吉浦委員 私は、この登録制度がない方がいいとも思うし、また、漁業との調整上、港湾の整備等から見れば何らかの把握が必要じゃないか、こう思うし、法的に取り締まることがいいかどうかは別としても掌握できるような形にはしておかないと、正規の方々が大変迷惑をこうむるようなことで後でまた大きな問題になりはしないか。今でも問題になっておりますけれども、運輸省の方は登録はしない方が好ましいという考え方のようです。その調整をどこでなさるのか。長官、どういうふうにお考えなのか。そのあたりの今後の対応ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/85
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086・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいまお話ししましたように漁船以外の船につきましては、役所間の縄張りを言うわけじゃありませんけれども、運輸省の一体的な所管に属しておりますので運輸省の意向に我々としても従わざるを得ないと思っております。
ただ、ただいま先生からもお話ありましたように全体の把握というものは、我々水産行政で漁港をつくったり何かする際にもその漁港にどういう船が常時どういう形で滞在しているかというようなことも把握する必要がございます。そういう点では漁港を利用している他の船舶というものも統計処理としてはいろいろな数値なりを把握しているわけでございますけれども、個々について具体的に、規制がいいか悪いかという問題、先生自身御提示になりましたけれども、そういうものにつながるつながらないは別にいたしまして、把握するのは残念ながら当方の仕事ではございませんので、運輸省がそういう方向に行くかどうか我々といたしましては関心を持って見守っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/86
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087・吉浦忠治
○吉浦委員 縄張りというのがあって水産庁と運輸省の間でなかなかうまくいかない点は私もわからないわけじゃないけれども、事故なり苦情が出て、港がふくそうしてきている時代に、港湾の見直しのときには毅然とした態度で、どういう方向で臨むかは政府は考えておいていただかないといけないのじゃないか、こういうふうに思っているのです。
次に進みます。運輸省、結構でございます。ありがとうございました。
同じ漁船の安全を確保するということで共通しますのでお尋ねをいたしておきたいのですが、漁船の航行の安全を援助する施設として使用されております電波標識システム、ロランCというのがありますが、これはアメリカの沿岸警備隊が管理運営をしておりまして、艦船や航空機の航行支援に当たっているところであります。このロランCのシステムを専用受信機を積載して利用している我が国の漁船は、五十年以降増加して現在三万隻に達している、こういうふうに言われているのです。ところが、昨年二月から三月にかけて四十七日間、ロランC、いわゆる九九七〇チェーンというのでありますが、その中の主局の硫黄島局が鉄塔保守工事のために電波の発射を停止することに対して応急対策として、同じロランCの五九七〇チェーンの利用等を初めとする対策が講じられたわけです。このときも私、海上保安庁にお願いをした経緯がありますが、講じられたために漁業者の混乱を一応は避け得たというふうに聞いております。ありがたいことでありますが、昨年も十月に、アメリカは運営費節減のために五年後あるいは七年後とも言われておりますが、日本近海でのそれを廃止して、これにかえて十八個の衛星を使って航行援助システム、GPSといいますが、これを利用する方針であるというふうに言われているわけです。さきのロランC欠射は他のチェーンを利用するという応急対策で一応事なきを得ましたけれども、今度五年後なり七年後にロランCそのものを日本近海で廃止をする、こうなりますと、もしもそれが現実に廃止されることになりますと、沿岸、沖合漁業に壊滅的な打撃を受けることは間違いないという心配をいたしておるわけです。五年なり七年という時間的余裕がありますけれども、今からその対策を考えておかなければならぬのじゃないかというふうに考えております。今の漁船はもう無線なくしては機能しないようになっている構造でありますから、事の重大性はおわかりだろうと思いますが、これは海上保安庁ですか、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/87
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088・山下哲郎
○山下説明員 今先生御指摘のとおり、アメリカが現在日本の周辺海域で運用しておりますロランC局を一九九四年末で廃止するという予定であるというふうに聞いております。
御指摘のとおりに、このロランCのシステムにつきましては非常に利用者が多いということで、私どももこういう事態を非常に深刻に受けとめておりまして、ただいま検討しておるわけでございますけれども、技術の面でも費用の面でも多々検討すべき事項がございますので、そういう面につきまして目下検討を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/88
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089・吉浦忠治
○吉浦委員 水産庁、これは私、昨年も相談を受けて海上保安庁にお願いをして、その枠内での代替をしていただいて事なきを得ましたけれども、急にこれが五年後、七年後というふうにも言われてどちらになるかわかりませんが、その対策を講じておかないと、漁船の方々、急に切りかえができませんで、大変な莫大な費用もかかりますし、それに対応できるかどうか。生産が今上がっているわけでもありません。ですから硫黄島が廃止されますと、それ以外に、かわるものがどういう形でやるのか。宇宙のシステムを利用できるような形であれば、それは言葉上は簡単で済みますけれども、切りかえにしても大変な経費がかかる、こう思うのです。水産庁としてもどういう考えを持っておられるのかどうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/89
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090・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ロランCの五年後の問題につきまして、関係漁業者からも私のところにも深刻な御要請、陳情というものが参っておるわけでございます。船舶全体にかかわります問題、しかも至って高度の技術を要する問題でございまして、これはただいま海上保安庁の方からお話しありましたように、運輸省でその全体の船舶対策としてどういうふうに持っていくかということを御検討いただかなければならないかと思いますけれども、我々といたしましても、何とか漁船が、ただいまも先生からお話しありましたように、ああいう情報を受けて初めて円滑な運営ができるという形にますますなってきておりますので、何とか切れ目のない形で円滑に情報収集というものができるようにいろいろな相談なり知恵というものをこれから工夫してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/90
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091・吉浦忠治
○吉浦委員 結構です。ありがとうございました。
NTT・Aタイプの利用について、時間もございませんけれども、一、二点お尋ねをいたしたいと思いますが、今回の漁港法改正で国はNTT株式売却収入の一部を漁港施設整備のために水産業協同組合に対して無利子で貸し付けることができるようになるわけでありますが、事業主体であるところの水産業協同組合というのは具体的にどこを指しておるのか。全漁運なのか、他の全国団体なのか、あるいは県漁連も対象なのか、あるいは単脇を含めるのか、この点が明確になっていない、こう思うのです。また、一説によりますと、Aタイプ事業のための全国団体を新たにつくってそこにやらせようという話もあるやにも聞いておりますけれども、明確にしておいていただきたいと思うのです。この点、お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/91
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092・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 Aタイプ事業というのは、それぞれの地域の特性に応じまして地域の熱意の積み上げということで、これからその具体的な中身が詰まっていくわけでございます。現在も何カ所かの地域から、こういう事業をやりたいという御要請は来ておりますけれども、まだ残念ながらコンクリートになっておりませんので、具体的にどの組織がやるかということは現時点では定かでございませんが、法律上は単協、連合会、いずれも権利能力という形では与えられておりまして、現在、この事業を行いたいと要望している漁協の多くの方々の中には、単脇みずからじゃなくて連合会をつくって、その連合会段階で国からの融資を受け、それで事業を執行していきたいという動きがかなり濃厚でございますので、そういう方向に行く可能性が大きゅうございますけれども、現時点ではまだどこの地域でどういう事業を具体的にだれがするかということはセットできておりませんので、残念ながら中途半端な答弁に相なりますけれども、現時点ではそういう情勢に相なっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/92
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093・吉浦忠治
○吉浦委員 提案も含めてちょっと私の見解を申し上げたいのですけれども、水産庁として具体的にAタイプを利用した事業についてどのような構図を描いておられるのか、明確でない感じがするわけですね。これは、こちらからお願いしてできた事業でなくて大蔵省から逆にお願いされてできた事業だからというふうに私は思うのです。そうじゃないかもしれませんが、この点私は若干の地方自治体に問い合わせてみましたけれども、六十三年度はおろか六十四年度も手を挙げる希望がないということで、千葉県のごときも全然ないようでございまして、Aタイプ事業について不明確なゆえにこのような現象が起きているのではないか、こういうふうに思うのです。タイプ事業は、収益を見込める事業を含んだ国の漁港整備計画に採択されていない漁港の整備を進めるものであるわけでありますから、ヨットハーバーの設置とかあるいは堤防を構築した後の後背地利用といったことが考えられるのではないか、こう私は思うのです。どういうものから利用料を取るのかという段階になると、大変難しいのではないか、こういうふうに思います。漁船が漁港に係船をする場合とプレジャーボートがその漁港に停泊する場合には、その利用料について高低がつくようになるだろう、バランスを欠くようなことにはならないかどうかというような心配をしておりますが、その場合にどのような処理をすべきなのかどうか。あるいは後背地利用の場合に利用に制限があるのかどうか。例えば最近では、駐車場を大きくとった郊外型のパチンコ屋等が街道筋に多く見かけるわけでありますけれども、手っ取り早い収益回収が期待されるのではないか、こういうふうにも思うわけです。こうした例にも利用され得るのかどうか、またその基準はどうたっているのか、こういう点を明確にしておかないとこの事業は進まないのじゃないか、こう思うのですが、ちょっと余りユニーク過ぎてお答えになれないかもしれませんけれども、御答弁いただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/93
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094・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 本事業は、それぞれの地域の創意工夫ということでやっていただくことに相なろうかと思いますけれども、我々といたしまして、現在想定しているモデルタイプ、モデルといいますか、こういう事業が比較的現場から出てくるんじゃないかと思っているものは、一つは遊漁船等の利用施設整備というものを漁港整備と一体的にやるというもの、それから一つは、ただいま先生からもお話がありました後背地を活用するという形で漁村再開発施設、例えば水産加工施設でございますとか販売施設用地、こういうものをああいう狭隘な漁村地帯で新しく造成していくというものが密接に関連する事業として対象になってこようかと思っております。
ただ、融資対象となりますのは、先生からもお話がありましたように基本的な施設でございまして、係留施設でございますとか臨港道路あるいは漁港施設用地というものに限定されておりますけれども、こういうものと密接不可分といいますか、関連するものとしていろいろな遊漁船の係留施設をつくるとか販売、加工施設をつくる、こういうものにつきましては十分収益性も期待できますので、こういうものについては施設を売り渡すなり、あるいは継続して持っている場合にはそれから利用料を取るという形で償還金に充てていくということを予定しているわけでございます。その際の利用料等につきましては、これはその施設の規模なり内容につきまして関係者間での協議という話になりますので、我々として、例えば平米当たり幾らの利用料というような形には簡単にならぬわけでございますけれども、全体の事業計画を当方が審査し承認する際にはどういう利用料が適正であるかということについて十分目を配りたいと思っております。
それから、漁村再開発といいますか、後背地をつくった際の活用でございますけれども、これが漁業協同組合が事業主体になるということからいいまして、みずからやれる事業といたしましては漁協の権利能力、事業能力というものの範囲内に限定されているわけでございますけれども、そのほかに一般の漁村地域全体を活性化していくということで、いろいろな施設、漁協の事業範囲には必ずしも含まれていませんけれども、地域の活性化のためには必要な施設用地等につきましては、これは恐らく第三セクターでございますとかこういうものをつくってやっていくという形になろうかと思っております。そういうことからいいますと、パチンコ屋というものがどういう社会的評価になっているかはともかくといたしまして、ラブホテルなんというのは恐らく問題があろうかと思いますけれども、多少のこういう遊興的なレクリエーション施設というものは、当然地域全体の活性化という観点から、地域によっては対象に上ってくるところがあるのじゃないかという感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/94
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095・吉浦忠治
○吉浦委員 ありがとうございました。時間になりましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/95
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096・笹山登生
○笹山委員長代理 藤原房雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/96
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097・藤原房雄
○藤原(房)委員 漁港法の一部を改正する法律案並びに関連する諸問題についてお伺いをいたします。
過日の委員会におきまして、漁業を取り巻く諸情勢の非常に厳しい状況について、特に日米、日ソそれぞれの交渉があるわけでありますが、これらの進展等を見ましても、膠着状態といいますか、非常に難しい局面にある、こういうことを過日の委員会でもいろいろ指摘したわけでございますけれども、このたび漁港法の一部を改正する法律案が提案されまして、これに伴いまして第八次の漁港整備計画を策定することになるわけでございますが、五十二年のあの二百海里時代の到来というときには、一年繰り上げまして第六次計画を立てられて推進したと記憶いたしております。しかしながら、確かに五十二年のときには、交渉事でありますから日米、日ソそれぞれいろいろな問題を抱えておりましたが、新しい時代に入ったという認識の上に立ってのいろいろな施策が講ぜられたわけであります。しかしながら、五十二年以降、特にここ数年は漁獲割り当てといいますか漁獲量が非常に狭められているというこのスピードというのは、あの五十二年当時に比しても決して劣るものではない、こういう状況であろうかと思うわけであります。
今日まで減船に減船を重ね、そして再編成といいますか、そういう体制を整えたとはいいながら、ここへ参りまして漁業従事者を初めとしまして水産加工関連業界の方々にとりましても、ここ数年というのは非常に厳しい状況の中で対処しなければならない、こういう中にあったわけであります。
そこでお伺いするわけでありますが、このたびのこの漁港法、それからまた第八次漁港整備計画をつくるに当たりまして、こういう大詰めといいますか、日ソも日米も非常に日本の漁船が漁獲する量というものが本当に限られたという、こういう中でありまして、一層国内の、日本の二百海里内の漁業振興というものに相当力を入れていかなければならない。ただ観念としてではなく、いよいよ実際そういう取り組みが迫られておる。今日までもやってきてはおるのですけれども、さらにそういうことが目の前に押し迫っておるという現状と私は認識をいたしておるわけでありますが、このたびの八次計画を計画するに当たりまして、まず大臣のこの計画をつくりますに当たっての御認識と今後の取り組み、基本的なことについてお伺いしておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/97
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098・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 このたび提案を申し上げておりますことは、今藤原委員おっしゃいますように、水産業を取り巻く情勢が大きく変化をしてきておることは事実でございまして、そういう中にあって二百海里体制の定着、これがまた一段と日ソあるいは日米漁業交渉を見てもおわかりのように厳しい環境で、だんだん我が国の漁場というものが狭められているという中にあって、沿岸漁業をどう振興させていくか、そういう中にあってまた沖合、遠洋等々、漁港の果たす役割、その機能の充実、こういうことを考えながら漁港法の改正をお願いしたところでございますし、また、第八次漁港整備計画につきましては、中長期にわたるこの計画をもととして、今二百海里体制の定着化云々と申し上げましたが、さらに消費者のニーズにこたえるためにも、また水産業全体を考える中で漁港の整備というものも積極的に取り組んでいかなければならない。特に第四次全国総合開発計画にありますように農山漁村、特にまた漁村の活性化、均衡発展、こういうことも考えますれば、当然のことながら今まで以上に力を入れていかなければならない、こういうことで御提案を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/98
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099・藤原房雄
○藤原(房)委員 長官にお伺いしますが、今までの経緯を見ますと、この第七次の進捗率、六年間で名目年率七八%という状況でございますが、これは国の立てます長期計画、そのときそのときの経済情勢やなんかもございますから数字だけで端的には言えませんが、この名目七八%というのは、水産庁としては経済情勢を踏まえましてどういうふうに評価をいたしておるのか。さらに昭和六十三年度からは、すなわち第八次漁港整備計画と沿岸漁場整備開発計画、それから構造改善事業、これらの三つの事業が発足するわけでありますが、この第八次漁港整備長期計画の事業費総額は二兆三百億、これは毎年度を平均しますと六%という進捗、伸び率でなければ達成できない。今の大臣の御答弁の中にもありましたように、日本の二百海里内の漁場というものを整備する、そのためには漁港の重要性、こういうことからいいまして非常に望ましい、ぜひ達成してもらいたい金額ではありますが、少ないぐらいな感じもするのでありますが、しかしこれは年平均では六%ということになりますと、この進捗率で着実にそういう計画が進められるかどうか。今はNTT株式の売却益、こういうもの等である程度伸び率は保証されるとしましても、その先につきましてはいろいろ危惧される面もあるわけでありますが、それらのことも含めまして御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/99
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100・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 第七次計画の進捗率が七八%という水準で終わったわけでありますけれども、我々といたしましては、漁港整備の必要性それから計画的処理の必要性、そういうことからいいまして、七八で終わったということにつきましては非常に残念に思っている次第でございます。そういう第七次の反省も含めまして、第八次計画で立てました金額につきましては何とか着実に計画どおり実施したいということで、いろいろと厳しい財政状況というものはもちろん続いておるわけでございますけれども、先ほど大臣からもお話ありましたように、漁港整備というものの置かれている現在の重要性、そういうものにかんがみまして何とか実現すべく財政当局とこれから接触を深め、実現を目指したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/100
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101・藤原房雄
○藤原(房)委員 今長官の答弁の中にもございましたように、大臣、この三つの事業を推進するに当たりましては、相当な財源確保のために大臣も積極的にひとつ御努力を賜りたい。今漁業に求められているのは外へ外へと広がるということじゃなくて、日本の近海に重点的に力を入れていかなければならぬということであります。せっかく立てられた計画でありますし、この計画遂行のために裏づけになる財源につきましてはひとつ大臣の積極的なお取り組みをお願いをしておきたいと思います。
それから、水産庁の長官にお伺いしますが、一般会計の水産庁予算三千二百九十三億ですか、このうち漁港に関係する予算がおよそ五六%、一千八百六十億と言われておりますが、これは水産庁の予算の五六%を漁港関連というかそういうものに充てるということですから、漁港を大事にする、漁港を整備をする、それが日本近海の漁業振興、最優先だ、そういう意気込みは感じられるのであります。が、何せ今取り組まなければならない問題も山積いたしておりまして、漁港だけができて、それですべてでは決してないわけでありまして、こういうことから考えますと、水産庁予算というものも、ここのところ農林予算の圧縮傾向の中にありまして、伸び率といいますか、どちらかというと余り進捗していない現況の中にあるわけでありますが、これらもあわせて今一つの大きな転換点にあるという時点で、水産庁予算とかそれから漁港整備に対する御努力、今年度の予算は今予算案としていろいろ審議をされているわけでありますけれども、できるだけ御努力を賜りたい。そうでなければあの二百海里に比すべきここ数年の大変な状況に対処できないのではないかと私は思うのですが、長官の御意見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/101
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102・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 予算の確保方につきましては先生の御指摘のとおりでございます。幸いにいたしまして、水産関係につきましては財政当局も多くの理解を示していただいておりまして、例えば今年度の予算で見てみますと、トータルといたしましては先ほど先生からお話ありましたように三千二百九十三億という形でございますが、これは対前年で一一一・四%ということで、過去最高でございました五十七年度の予算、これを上回る予算もおかげさまで現在国会で審議をさせていただいている次第でございます。これからも何とかこういう形で、何といいましても水産庁予算全体のパイを大きくしなければ、その中で漁港だ、一般非公だという相対のシェアだけを問題にしていても前進がございませんので、できるだけトータルとしての水産予算をふやすということにまず全力を尽くし、そしてその中でそれぞれバランスがとれ、水産行政の前進のために役立てるような配分というものにつきまして今後とも心がけてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/102
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103・藤原房雄
○藤原(房)委員 積極的にお取り組みを賜りたいと思います。
それから、私の地元を見ますと、漁港に附帯する道路の問題やそれから新規着工や早期完成、先ほど来同僚委員からもいろいろお話ございましたように、こういう最近の漁港のニーズといいますか漁港の利用状況、また船の大型化それからまた増養殖、いろいろなことで様相が変わっております。さらにまた、先ほどお話ありましたように遊漁者の問題等もございます。多様化するそういう中で、地元としてはいろいろな取り組みを迫られておるわけであります。
そういうことで、新規にこのたびの整備計画の中に入ったところはいいのですが、入っていないところも何カ所かあるようであります。このたびの第八次の漁港整備計画の策定に当たりまして、計画の中に入る基準になる物差しというのは一体どういうところに当てて決められたのか。これは地元にとりましては、いろいろな計画がございまして非常に要望が強いわけであります。
それから、これは財源等の絡みがありますが、早期にやってもらいたい。ちょっとした大きな漁港ですと、完成するまでに船の大型化とか、いろいろな漁港に求められているものが果たせないうちに時代が変わってしまうということもしばしば見受けられるわけでありますが、それらのことについてお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/103
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104・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 限られた予算の中でどこをどういう形で整備していくかということは、我我実務側としても本当に頭の痛い問題でございます。典型的には、新規着工かスピードアップかというような問題がそれぞれの地域にあるわけでございまして、そういうものを全体として眺めまして、できるだけバランスがとれた形で毎年の予算なり、今回の長期計画というものも策定したつもりでございます。
今回の長期計画は、従来と同じように漁船の港での状況でございますとかあるいは整備実績というものを総合的に勘案いたしまして、修築対象漁港数なり箇所というものを決めてきたわけでございますが、修築対象にならないものでも改良でございますとかあるいは局部改良というような形でほかの手段でも整備できる道がございますし、そういうものを、全体としてできるだけ地元の御要望に沿うような形で運営してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/104
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105・藤原房雄
○藤原(房)委員 それから、災害の問題ですが、去年北海道の日本海沿岸に災害がございましたが、熊石港とか神恵内、こちらの漁港は災害が非常にひどかったのですけれども、いつも災害のときに言われておりますが、原形復旧ということじゃなくて改良復旧、こういう形で修築すべきだということがよく言われるわけであります。
時間もありませんから、改良、復旧、事業、こういう形で、言葉だけではなくて、こういう形のものに最近はいろいろ工夫していらっしゃるのだと思いますが、去年の災害への対処はどのようになっておりますか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/105
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106・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 昨年、台風十二号によりまして北海道の特に日本海側で漁港施設なりあるいは共同利用施設、こういうものに相当甚大な被害があったわけでございます。これらにつきましては、一日も早く復旧したいということで現地査定というものを緊急に行いまして、直ちに復旧工事に着工しておりまして、六十二年度中で大体全体の所要額の八五%の復旧ができようかと思っております。
それから、復旧に当たりましては、その施設の重要性なり被害の状況というものを考慮いたしまして、災害復旧を御承知のとおりやっているわけでございますけれども、そういう災害復旧プロパーに合わせまして、より安全性を向上させるということを念頭に置いて、その修築事業でございますとかあるいは改修事業、こういういろいろなほかの事業も活用して、その漁港の整備改良というものを実質上図っている点は、先生ただいまお話のあったとおりでございますので、これからもそういう方針で進んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/106
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107・藤原房雄
○藤原(房)委員 それから、漁業の集落環境整備事業において漁業集落排水施設についても起債の対象にすべきでないか、これは地元からよく言われることですが、農業の集落排水施設については下水道事業債の対象となっておるわけでありますが、漁業の集落排水施設についてはないので、これは当然農業と同じように排水事業は起債の対象にすべきではないか、こういう声が非常に強いわけであります。これは自治省との関係もございますけれども、水産庁としましても、集落環境整備事業を推進するに当たりましての大事なことではございますので、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/107
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108・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいまのような要望が各地からございまして、現在準公営企業債の対象にするということで、自治省等関係省庁に対しまして要望しておるところでございますので、何とかその実現を図りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/108
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109・藤原房雄
○藤原(房)委員 先ほど来、外へ外へと漁業が広がって、父祖以来今日まで開拓しました北洋を初めとしまして、だんだん漁業水域が狭められている現状の中で、日本近海は大事にしなければならぬ、そういうことについての大臣のお話もございました。
〔笹山委員長代理退席、月原委員長代理着席〕
特に日本海につきましては最近はいろいろな試みが盛られておるわけでありますが、どうも資源の状況が十分に把握されていない、こういうことで、最近は日本海の海域の総合調査をぜひひとつやってみなければならないのじゃないか。これは、道とかどこの県とかということじゃなくて、総合的にこれはやはり国としてぜひお考えいただきたい。かつてはニシンの漁で沸き立ちました日本海も、三十年以来一匹も来なくなった、最近また戻ってきたようでありますが、これらについては北海道もその調査をしなければならぬというようなことも言われております。
それから、過日の委員会のときにも申し上げましたが、トドがやってくるということです。これは鳥獣保護とかいろいろな関係があるかもしれませんが、最近はにおいで誘導できないかとかいろいろなことについてやっておりますが、この生態というのは研究しておる方も非常に少ないようでありますし、この生態をもとにして駆除の方法とかいろいろなことについては、地元としては、非常に多額の調査のための費用等かかりまして手をつけることができないような現状にあるようであります。
それから、磯焼けとかいろいろな問題がございまして、日本海の海域の総合調査、それとともに日本海に国営の栽培漁業センターのようなものを設置をしまして、日本海というのをもう少し有機的に機能的に活用する方向性というものを見出さなければいけないのじゃないか。各地域では、それなりにいろいろな増養殖を初めとしまして努力はしておるわけであります。しかし、もっと基礎的なことについて国としての取り組みが必要である、こういうことが言われておるわけであります。
また、寿都とか蘭越を中心にしまして尻別川におけるサクラマスの増養殖ふ化場、サケのふ化をやっておるわけでありますが、サクラマスを増養殖することによりまして、地域としましては非常に携わる方々への影響力の大きい、そしてまた付加価値の高いものができる、こういうことでいろいろ取り組んでおるわけであります。いずれにしましても、各地にそれぞれあるんですけれども、特に日本海で一つの湾を形成しております寿都等につきましては総合的な計画をやろうということで、開発庁、道と一緒になっていろいろ計画を立てておるようであります。
いずれにしましても、基礎的な調査が十分はなされておりませんと、個々の問題ではなくして海流全体とか水温の変化とかいろいろなことを中心にしまして方向性を見出すということが非常に重要ではないか。これは真剣に討議されておるわけであります。こういう総合調査また栽培漁業センターのようなものを置いて、基礎的調査をもととしまして日本の海をしっかり守り育てていく、そういう必要性があると思うのです。
今まではどちらかというと、北洋を初めとしまして外の海でどんどん、沖合でまた外洋で漁業を営んでおったわけでありまして、魚というのは黙っていてもどんどん寄ってきたものです。そういう時代から、そうじゃなくて守り育てなければならぬということを言われておるわけであります。今までは北海道はどちらかというと魚は豊富であったわけでありますが、今そういう時代ではなくなってきたという時代背景の中で、総合的な調査というもので日本海をもっと有効な漁業資源の地域として見ていかなければならないという時代に来たのではないかと思うわけであります。これは、瀬戸内を初めとして南の方ではいろいろなことがなされておりますけれども、北海道にとりましては一つの大きな転機、北洋から締め出され、またアメリカ、ソ連から締め出された今日におきましては、もつと近くの海を大事にしなければならぬときが来たということであろうと思うのでありますが、これらのことについてのお考えを御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/109
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110・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 調査の必要性につきましては全く御指摘のとおりでございまして、まずその海域がどういうふうになっているか、資源状況がどうなっておるかということを総体的に把握して、初めていろいろな行政というものがその上に乗っていけるわけでございます。
御承知のとおり、水産庁にもいろいろな水産研究所がございまして、それぞれの段階で行っているわけでございますが、特に北海道につきましては、北海道区水産研究所が主体になりまして各種の調査を行っている次第でございます。ただいまお話がありました、例えばニシンにつきましても、昭和三十年代の後半から資源調査という形で北海道区研究所が取り組んできている次第でございます。
それから、あといろいろとございましたが、一括してあれいたしますと、トドの問題につきましては、従来道なり市町村がトドの駆除ということを行ってまいりましたが、水産庁といたしましても、このトドのいろいろ地域に及ぼす影響等にかんがみまして、昭和五十五年からトド駆除の事業費につきまして国庫補助を行っているという形になっておる次第でございます。
それから、栽培漁業センターあるいはサクラマスの話もあったわけでございますが、栽培漁業センターにつきましては、本年度完工いたします南伊豆の事業場を含めまして、現在全国で十四カ所できておりまして、御承知のとおり、北海道にも厚岸に国営栽培漁業センターがつくられておるわけでございます。
それから、このほかに、国の助成のもとに道自体が既に鹿部町に設置済みでございますし、日本海側の熊石町に第二センターを道のセンターとして設置するということでございますので、これにつきましても助成を行っているという形でございます。
それから、道だけではなくて国自体が北海道の日本海側で栽培センターをつくるべきじゃないかという御要望が地元からあるわけでございますけれども、特に北海道の日本海側の栽培漁業の推進方向というものを今後どういうふうに持っていくかということにつきまして、北海道におきまして現在その検討会が設置され、いろいろと検討が深められていると聞いておりますので、この検討の成果も見守りながら対応してまいりたいと思っております。
それから、サクラマスにつきましても、尻別水系に国営ふ化場があるわけでございますが、ここではシロサケのふ化、放流事業とともにサクラマスの重要な餌料供給センターとしてこれまでもサクラマス幼魚の放流事業に取り組んでいるわけでございますけれども、この水系につきましては水の問題とかいろいろあるようでございますので、現在ここでの用水等の調査を実施しておりまして、今後のサクラマスの放流のあり方なり見通しについて検討を深めてまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/110
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111・藤原房雄
○藤原(房)委員 もう時間もありませんので最後になりますが、季節風の厳しい日本海、そしてまた今お話がございましたように栄枯盛衰、今日までいろいろな変化のある中で日本海の状況は総合的な調査がぜひ必要であろうと思います。かつては北海道の試験研究は日本海に集中しておったわけでありますが、最近はそうじゃなくて釧路の方に試験研究も移られたということも考えあわせまして、そして非常に海域の長いところでありますので一部分の調査ではなくて全体像を把握した上での推進が大事じゃないか、こういうことを申し上げて終わりたいと思います。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/111
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112・月原茂皓
○月原委員長代理 玉城栄一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/112
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113・玉城栄一
○玉城委員 漁港法の一部改正並びに漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について、若干御質疑を行いたいと思います。
水産庁長官にお伺いしたいのですが、沖縄が本土復帰した四十七年からちょうど十五年を経過しておりますが、沖縄の漁港の整備状況について、一般的な本土水準に比較しましてどういうふうな整備がされたのか、まず最初にその点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/113
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114・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 昭和四十七年に沖縄が本土復帰いたしましてから、沖縄振興開発計画に基づきまして漁業生産基盤整備の一環として漁港整備というものに力を注いできたわけでございます。
この結果、沖縄県の漁港につきましては、昭和六十年には必要な係船岸の延長で申し上げまして五〇%が確保されたということで、これは全国の三八%というものに対しますと高い水準になっているわけでございますけれども、ああいう特殊な立地条件のところでございますのでこれで決して十分というわけでございませんので、沖縄の漁港整備につきましては今後とも力を注いでまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/114
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115・玉城栄一
○玉城委員 我が国がそうでありますが、沖縄県の場合特に周囲を海に囲まれて、今後水産振興ということにぜひ力を入れていただきたいと思いますし、新年度から始まります八次漁港整備計画においても沖縄関係についていろいろ計画があるようでございますが、ぜひその実現のために御努力をお願いしたい、このように思います。
そこで、私、この漁港法の一部改正並びに漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に関連しまして、いい機会でありますので、漁船の安全操業の確保という点でぜひお伺いをいたしたいわけであります。
これは昨年七月に、ちょうどあの直後私この問題をこの委員会で取り上げたわけですが、沖縄の南東百三十キロの海上でマグロはえ縄漁船が被弾するという事件が起きました。漁業関係者はもとより、県民に大変大きなショックを与えてきたわけでありますが、以来今日まで八カ月、つい最近の新聞によりますと、海上保安庁は、当時、同時刻に同空域でミサイルの発射訓練をしていた航空自衛隊を容疑者として検察庁に書類送検したという報道がされているわけでありますが、その点について海上保安庁の方からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/115
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116・中島健三
○中島説明員 先生御指摘の第一一徳丸の事件でございますが、昨年七月二十三日発生して以来、那覇にございます第十一管区海上保安本部におきまして、約八カ月にわたりまして鋭意捜査を実施してきたわけでございますけれども、当時沖縄南部訓練空域におきまして空対空ミサイル射撃訓練を実施しておりました航空自衛隊南西航空混成団所属の自衛隊員一名を去る三月十四日、過失往来妨害罪で那覇地方検察庁へ書類送致したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/116
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117・玉城栄一
○玉城委員 過失往来妨害罪で航空自衛隊員を書類送検したということですが、防衛庁の方にお伺いしたいのです。
このことについて、今度の事件で、今回海上保安庁がそういう書類送検したということについて、たとえ容疑の段階であったにしても、沖縄の場合、漁業関係者はもとより、県民感情としてこれは当然のことだ、当たり前のことだ、こういう県民世論と申しますか、これは地元の沖縄県議会においても二回にわたって全会一致で決議をしているわけですね。そういういわゆる県民感情について防衛庁としてはどのように受けとめているのか、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/117
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118・柳澤協二
○柳澤説明員 お答えいたします。
海上保安庁の方で去年の七月二十三日の事件につきまして捜査をされ、私どもといたしましては、やはり地元との関係におきましても、私どもほぼ同時刻に射撃訓練をやっておったことは事実でございますから、その辺の事実関係をできるだけ早急に明らかにしていただきたいという観点で御協力をしてきたところでございます。海上保安庁の方で送致されたその内容について、私ども承知しているわけではございませんで、その事実関係の判断がどうかということについては、特にコメントをすべき立場にはないわけでございますが、私ども独自の調査もいろいろやっておりますが、その中でこれは今後刑事事件として検察庁の方でもお調べが進むわけでございます。私どもとしては、できるだけ早急に事実関係がさらに検察庁の段階でもはっきりするように協力をしていきたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/118
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119・玉城栄一
○玉城委員 いやいや、私があなたにお伺いしているのはそういうことではなくて、防衛庁、自衛隊の皆さん方が沖縄において何とか同化しようとして一生懸命努力しておられることは認めるわけです。ところが、今回こういう事件が起きますと、県民感情としてはやはり自衛隊、ああ当然だ、当たり前だ、そういういわゆる県民感情ですね、県民世論について、あなたはどう受けとめているかということをお伺いしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/119
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120・柳澤協二
○柳澤説明員 ただいまの点につきましては、これはひとり沖縄県民の方々だけではございません、私ども全国各地でいろいろ訓練をやらせていただいているわけでございますけれども、不幸にして事故その他ございますたびに、地元の方々にいろいろ不安を与え、あるいは御迷惑をおかけしていることも遺憾ながら間々あるわけでございます。そういう意味からも、私どもは原因をできるだけ早急に明らかにし、とるべき措置というものを考えていかなければならぬわけでございますが、本件につきましては、特に隊員を容疑者あるいは被疑者とする刑事事件ということで取り上げられております。私どもの今までの調査の過程で、どうもこれが当方の隊員の関連するものだと防衛庁として断言するに至っておりません段階でございますので、被疑者である隊員の立場ということもございます。県民の方々の感情というものも私ども訓練の上で最大限配慮していかなければいかぬことも事実でございますけれども、事は刑事事件にかかわる事実関係の問題でございますので、それはそれとしてきっちり明らかにしていかなければならないものではないかと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/120
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121・玉城栄一
○玉城委員 私はそういうことを伺っているのじゃないのです。これ以上続けてもあなたの答えはもう出てこないと思いますが。ただ、今確かに容疑の段階ですが、海上保安庁が航空自衛隊員をいわゆる容疑者として書類送検したことは、これは決していいことではないですね。名誉なことでもないですね。ある意味で不名誉なことですね。極めて残念なことですね。遺憾なことですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/121
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122・柳澤協二
○柳澤説明員 こういう事件に関するコメントということで、大変難しい面はあるわけでございますが、おっしゃるとおり、送致されたということ自体は、組織としては大変残念なことであるとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/122
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123・玉城栄一
○玉城委員 決して名誉なことではありません、たとえ容疑の段階であったにしても。
それで、今度は水産庁にお伺いしたいのですが、問題は漁船の安全操業の確保ということ、これを前回、去年の場合もお伺いしたわけです。私、これをいろいろ調べてみますと、防衛庁の訓練をする場合の通知の仕方なのですが、防衛庁は官報に告示します。さらに正式に文書で水産庁に出しますね。これはむしろ漁業の安全確保という立場から水産庁が責任者ですが、そういうことだけであなた方水産庁としては漁船の安全確保が可能と思いますか。責任持てますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/123
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124・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 非常に不幸な事件が起きたわけでございますけれども、あの不幸な事件の経験にも徴しまして、特にあの事件といいますか、あの案件のように告示された期間が長期にわたる訓練というような場合には、もう少し具体的できめ細やかな通報をちょうだいした方が我々としても末端への情報提供、安全確保という点では助かるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/124
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125・玉城栄一
○玉城委員 全く今長官がおっしゃったとおりでして、例えば沖縄の南部訓練空域での演習をするという正式文書を防衛庁が水産庁に出すわけです。官報にも出すのですね。官報なんてだれも読む人いません。何月何日の官報に出したかととっさに聞かれましても、官報もわからないし、ましてや漁業関係者がそれを読む機会なんてほとんどないわけです。そのかわり防衛庁としては水産庁に正式な文書を出す。その文書の中身を見ますと、六十二年五月六日から六十三年三月三十一日まで、約一年近く、日曜日と祭日を除いて射撃演習を行います、これだけの通報なんです。水産庁はそれをまた全国無線局ですか、そこに委託して、六十二年五月六日から六十三年三月三十一日までの期間、朝七時から晩は七時半まで自衛隊は訓練しますという内容だけなんですよ。何月何日にどういう訓練をやるというのは何もないわけです。ですから、長官がおっしゃったように、もっと具体的な通報が欲しい、全くそのとおりなんです。米軍は演習をやる場合には少なくとも一週間前にちゃんと防衛施設庁に通報しますよ。防衛施設庁が責任を持って関係者に知らせます。何月何日に何時から何時までこういう訓練を行うと一週間前にやるのです。あなた方は一年間のべつやるわけでしょう。これで漁業の安全を守れと水産庁に言う。防衛庁はとんでもないことだと思うのですよ。ですから、今長官がおっしゃったように、もっと具体的なことが欲しいということですから、長官としては今後防衛庁と御相談されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/125
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126・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 現在、あの事件の経験にかんがみまして相談をしているところのようでございますので、これからもそういう姿勢で臨みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/126
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127・玉城栄一
○玉城委員 防衛庁、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/127
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128・柳澤協二
○柳澤説明員 私どもとしましては、非常に使用頻度が高いということで一年間通じてというような形になっておりますが、要はそこをそういう区域として使わせていただいておりますということを知っていただこうという趣旨の告示をしておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、それでも実際の射撃日数、特に空対空ミサイルなどの射撃の日数は大変短うございます。これはその訓練の日程が決まりましたところでさらに具体的な通報はできることと思いますので、そういう方向で今後の機会に御相談をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/128
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129・玉城栄一
○玉城委員 それはぜひやっていただかないと、例えば前回の去年の七月二十三日にそういう自衛隊があの空域で訓練するということはあなた方だけしか知らないわけです。漁業関係者も知らない。去年の五月六日からことしの三月三十一日までやるんだと言う。一回七月二十三日にやりましたね。三月三十一日はもう間もなくで、約一年近いが、あと何回訓練をやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/129
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130・柳澤協二
○柳澤説明員 告示、それから告示の内容を水産庁の方にも御通知したわけでございますが、その内容は、空対空の射撃訓練を行いますという内容でございまして、これには非常に小規模なガンと申しますか機銃等も含まれておりまして、そういうものを含めますと相当な回数に上っておるわけでございますが、空対空ミサイルにつきましては、これは非常に予算上認められておる弾数もわずかでございまして今年度の分につきましては七月二十三日の射撃をもって終了しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/130
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131・玉城栄一
○玉城委員 あなた方が通報したのは一回だけ、七月二十三日やってそれきり、これから新しい段階に入る、こういうことだと思うのですが、さっきも申し上げましたようにこれは日米共同委員会でちゃんと合意事項で演習一週間前には米軍はちゃんと通知しているわけですから、なぜ皆さん方がそれができないかということなんです。それは非常に問題だと思うのです。
そこで、その官報を見ましても、また水産庁に出したあなた方の正式文書を見ましても、船舶等の所在を確認した上でやる、こうなっていますね。どういう方法で船舶の確認をやっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/131
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132・柳澤協二
○柳澤説明員 これはあらかじめ射撃に必要な海面の広さ、海面といいますか空域といいますか、その広さがございます。これは射撃いたします火器の種類によりましてその最大のレンジにさらに余裕を見た数マイルから数十マイル程度の正方形になるわけでございますが、この範囲の中に船舶その他航空機等が存在しないということを確認するわけでございますが、その方法といたしましては、射場を監視する航空機をあらかじめ飛ばしてその状況を見てまいります。さらに射撃実施の航空機と申しますか、これは通常複数機でやるわけでございます。さらに標的を曳航する航空機もございます。これらが実際の射撃海面に到達したときにもう一度それぞれの目で、あるいはレーダーを持っておるものはレーダー等で確認をしながら実施するということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/132
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133・玉城栄一
○玉城委員 その方法であなた方がおっしゃる船舶の確認ということは一〇〇%可能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/133
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134・柳澤協二
○柳澤説明員 全く一〇〇%ということは、これは物事の性格にもよりまして心ず一〇〇%ということはなかなか申しづらいわけでございますが、基本的には海面の状況が見えないような天候の場合には私どもは射撃をいたしません。海面が十分に見える状態で、かつ、先ほど申しましたような一度だけではない方法で確認をした結果で判断をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/134
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135・玉城栄一
○玉城委員 私は素人でそういう技術的なことはよくわかりませんが、ジェットF4ファントムですか戦闘機が音速の強烈なスピートで訓練するわけでしょう。しかも、例えばこの事件の場合十八トンという小さな漁船ですね。我々素人の考えで、猛烈な勢いでスピードを出しながらそういうものが果たして確認できるのかどうかという問題があるのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/135
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136・柳澤協二
○柳澤説明員 これは私どもも実際にパイロットではございませんので現場の問題はあれでございますけれども、現場のパイロットその他の話も十分聞いておりますが、基本的には確認できるものだというふうに聞いております。特に先生おっしゃいましたような高速で見た場合は別でございますが、確認をするときあるいは射撃を実施するとき等は音速を超えるような速度は用いませんし、高度も、確認する場合の高度は十分海上が見えるような高度で飛ぶような形で確認しておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/136
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137・玉城栄一
○玉城委員 私、常識的な感じでは、あなた方が官報やいろいろなものに船舶の安定を確認した上で射撃訓練をする、この船舶の所在の確認は再検討しないとこういう事故が今後も起こらないという保証はないと思うのですね。ですから、その辺もどうですか、訓練の仕方を検討してみる必要があるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/137
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138・柳澤協二
○柳澤説明員 安全確認の方法につきましては実は私ども絶えず検討しておるわけでございます。これまでのところ、先ほど申し上げましたような方法が最善のものであるということでやってきたわけでございますが、私ども必ずしも今回の事件の問題とどの程度結びつくかということについては、またおのずと別の判断があろうかと思うのですけれども、先生おっしゃいましたような意味で私どもも、より安全が確保されることは重要なことでございますので、さらにどのようなやり方があるか、内部で研究はしてみたいとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/138
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139・玉城栄一
○玉城委員 最後に大臣にこの問題でお伺いしたいわけですが、漁業の安全確保ということで、これは去年の例を引いて申し上げました。あの空域、海域は沖縄の漁船に限らず日本の各地域から漁船が操業している地域なんです。それで不幸にして去年ああいう事件が起きたわけです。幸いにして人身事故はなかったわけですが、地元の方としてはこの問題について非常に関心が高いわけです。例えば、沖縄県の地域だからといってこれは県だけで対応できる問題ではない。いろいろなところの漁船が操業している。しかし、お聞きになられたように防衛庁の通知の仕方は何月何日に行うという演習の通知はしないわけです。米軍は少なくとも一週間前に何月何日何時から何時までこういう訓練を行いますとちゃんと通報を防衛施設庁が責任を持って関係方面にするわけです。ところが、お聞きになったように防衛庁はその通知の仕方に問題がある。それは軍事機密なのかあるいは安全が大事か、その辺もお伺いする時間がありませんので、そういう通知の仕方についてもぜひ大臣とされても検討されて安全を、二度とこういう事件が起こらないように対処していただきたい、防衛庁とも話し合いをしていただきたい、このように思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/139
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140・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 今やりとりを聞いておりまして感ずることは、安全、人命の尊厳ということは何にも増して考えられるべき問題でございます。そういう立場に立って、水産庁におきましては防衛庁と昨年の事故にかんがみいろいろ話を進めておるようでございますけれども、今防衛庁側の御意見を聞いておりまして、もう少し工夫をする必要があるのではないかな。しかし、縦割り行政と言われないようにということをあらゆる部分で私も見解を述べておる経緯にかんがみまして、防衛庁の所管することであっても、私自身国務大臣といたしましていかがあるべきかということに踏み込んだ御答弁を申し上げなければならない、こういうふうに感じた次第でございます。訓練課長がいろいろ答弁をいたしておりますが、さらに防衛庁事務方のしかるべき責任者に水産庁長官から本日の議論、やりとりを伝えていただいて、私自身が米軍と米軍のスケジュール公表、こういうもの等をどの程度あわせて行い得るのか、丁寧な親切な沖縄県民に対する通報、これは一工夫あってしかるべきである、このように考えておりますので、その旨水産庁長官より防衛庁のしかるべき事務方責任者に伝えるよう、今ここで耳打ちをした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/140
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141・玉城栄一
○玉城委員 以上でございます。どうぞよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/141
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142・月原茂皓
○月原委員長代理 小渕正義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/142
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143・小渕正義
○小渕(正)委員 我が国の漁業を取り巻く環境は二百海里問題また大きくは捕鯨問題、いろいろと大きく変容しつつあるわけでありまして、そういう観点から見ますならば、それぞれの漁港の置かれている状況もまた、それぞれの地域ごとによりますが非常に厳しい環境の中に置かれていると言えるわけでありますが、そういう中で漁港の機能施設を見直すということで今回の一部改正が出されているわけであります。漁港環境整備施設についてのこういった問題を拡大解釈をして、漁港法の目的に逸脱するようなことが場合によってはあり得るのじゃないかという懸念も持たざるを得ないわけでありますが、こういう問題に対してはいかなる考え方の中で対応しようとされておるのか、まずそこらあたりの考え方をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/143
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144・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今回の漁港法の改正をお願いいたしておりますゆえんのものは、ただいま先生から御指摘ありましたように厳しい国際漁業情勢あるいは国内情勢というものに対応いたしまして、漁港に課せられておる任務を十全に発揮するために現時点で必要な機能施設というものを加えるという形に相なっておるわけでございます。
〔月原委員長代理退席、委員長着席〕
その中で、具体的に御提示ありました漁港環境整備施設、これが漁港法の目的なり範囲から逸脱するおそれがあるんじゃないかという御指摘があったわけでございますが、我々といたしまして考えております漁港環境整備施設と申しますのは、広場なり植栽あるいは休憩所、こういうものを内容としておりまして、そこで働いております漁業従事者、こういう方々の労働環境を改善して、それで作業の効率を高めるあるいは作業の安全性を確保するということを目的としているものでございまして、これはあくまでも漁業根拠地としての漁港というものに必要不可欠な施設と考えておりまして、これが漁港法から逸脱するというようなことはないと思っておりますし、運用上もそういう趣旨なり目的、範囲ということで今回設定しておりますので、そういう方向で対処してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/144
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145・小渕正義
○小渕(正)委員 ぜひその点はひとつきちっとした中で、今後行政としては対応していただきたいと思います。ちょっと余分なことを言っては申しわけないのでやめますが、ほかに農業の方では結果的には今日大変な問題を起こすような状態になっておりますから、それとの兼ね合いも考えてこういった疑問も出たわけであります。
次に、今回の施設整備の漁港法改正の中で新たにヘリポート等を考えているということも盛られておるわけでありますが、確かにヘリポートを考えるということはアイデアとしては非常にすばらしいことでありますが、具体的に考えますならば、これはまたかなり別の問題もいろいろあろうかと思うのであります。実はヘリポート基地構想はいろいろなところから提唱されておりまして、まさに百家争鳴の感じがしているわけでありますが、結果的にそれらの具体化になりますとすべてがしりすぼみになってしまっているという各地方自治体の実情もございます。そういうことをいろいろ考えますならば、この漁港法の中でヘリポートを活用していこうというのは具体的には大体どういった地域等を対象にして考えられておるのか、その辺に対するお考え等がありましたらひとつお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/145
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146・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ここのところ高鮮度の魚に対する需要が増大しておりまして、ヘリ等高速輸送に対する期待も高まっているわけでございます。しかし、ただいま先生からもお話ありましたようにアイデア倒れになっては大変でございますし、相当な投資も必要なわけでございますので、場所的には相当限定して構えざるを得ないという感じがいたしております。
基本的には、周辺水域で好漁場、特に生鮮で高級な魚のとれるところあるいは貝類のとれるところ、こういうところでありながら輸送条件が非常におくれているあるいはハンディキャップを背負っているというようなところで工夫されるべき性格の施設でございまして、そういう点からいいますと非常にいい漁場であるところの離島なり僻地において立地の可能性があろうかと思っておりますけれども、いずれにいたしましても投資も相当莫大になる話でございますので、先ほど申し上げましたように計画倒れにならないような現実的な対応を心がけていかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/146
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147・小渕正義
○小渕(正)委員 その点でお尋ねいたしますが、結果的にはこれはかなり投資も必要でございますから、そういう点ではいろいろ大変な仕事になります。しかし、ただアイデアだけの問題提起ではないと思いますので、別にどこがどうだということはお尋ねすることではございませんが、一応水産庁としては当面、例えば全国にとりあえず二カ所なら二カ所、三カ所なら三カ所ぐらい、費用としてはこういったヘリポート基地建設には大体これくらいはかかるのではないかとか、そういった何らかのめどというか目標、計画といいますか、そういう何らかの想定があってこれが進められておるのか。ただただ今のところすべて白紙で、こういうことがこれからは必要になってくるのではないかという今申されたような理由からの単なる一つの着想、アイデアとして出されておるのか。その辺もう少し具体的なものがあればお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/147
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148・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 先ほどの趣旨でヘリポートというものを機能施設に加えたわけでございますけれども、各地から、二十カ所ほど軽い意味で手を挙げてきているというのはございますが、これの計画なり実現性の成熟度合いというものは残念ながらまだ十分じゃございません。ただいま先生からもお話ありましたように投資も莫大になるということもございまして、計画段階でも慎重に慎重を重ねた方がよろしいと考えているわけでございます。したがいまして、現時点では何カ所についてどういう金目でつくっていくという計画は当方も持ち合わせておりませんけれども、今回の漁港法改正は、現時点で実態なり要望に適した施設を総洗いした結果こういうものがこれからの一つの大きな可能性として出てくるということに着目いたしまして今回の改正をお願いしている次第でございまして、これからの話といいますか、そういう手を挙げてきている中でどれだけ地元との調整なりあるいは資金なり、それから将来の運営方針が確定していくかということを待っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/148
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149・小渕正義
○小渕(正)委員 わかりました。
次にお尋ねいたしますが、特に今回の漁港法改正の中で触れられておりますが、漁港は近年どのように変容していると考えるのか。特に近年、漁港の性格といいますか位置づけといいますか、そういうものが非常に変わってきているということが言われているわけでありますが、そういう中で、新時代という言葉が出ておりますが、そういった新しい時代に対応した漁港というものは一体どのようなものが想定されるのか、こういったこれからの漁港のあり方といいますか近代化といいますか、言葉はいろいろありますが、これからの漁港のあり方についての水産庁としての基本的な認識、考え方、そういったものをお示しいただければ、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/149
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150・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁港のあり方につきましてはその都度見直してきているわけでございますけれども、ここのところ特に二百海里体制の定着ということもございまして、国内といいますか日本自身の二百海里を活用する、そのための増養殖事業というものが活発化してきているわけでございます。それと同時に、魚の消費、流通形態も大きく変わってきているわけでございます。
従来の漁港は、どちらかというと水揚げということが主体でありまして、それにいろいろな機能をそのときどき付加してきたわけでございますけれども、最近のただいま言いましたような大きなうねり、こういうものに対応いたしまして単に船を着け、船から魚を揚げるということに加えて、増養殖の基地であるとかあるいは流通加工施設をもっと充実させるとか、さらには従来までなかった活魚の蓄養施設、こういうものも含めまして新しい流通対応をしていくということも漁港に求められております。
それに加えまして、漁港なり漁村というものは、生活環境なり景観が著しく劣っていたわけでございますけれども、こういう成熟した社会になってまいりまして、漁港で働く労働者の方々も、みずからの働く場の環境というものももっとクリーンでなければなかなか居つかないという問題も出てきておりますので、そういうこととの関連で先ほども御質問ございました環境整備ということも漁港の整備の一つの基本方向として必要性が高まってきているわけでございます。
そういう現時点でのいろいろな必要性、要望、そういうものにこたえまして、今回の漁港法の改正を今回お願いしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/150
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151・小渕正義
○小渕(正)委員 今もお話ありましたが、今までの漁港の中で一番立ちおくれておるというか、境環整備の中ではそこに働いておる人たちの施設というのがどうしても一番後回しになるというような形の中でおくれておったのじゃないかという感じがします。漁港のほかの近代化のいろいろな施設の中でも、やはりどうしてもそういった、そこで働く人たちに対するいろいろな職場環境といいますか、そういったいろいろな環境がおくれておったことは否めないと思いますので、そういう意味では、これは意見になりますが、これからの漁港の環境施設の整備の中で特に重点的にこの種問題をひとつぜひ頭の中に置いておって、取り上げていただきたいということを、これは要望として申し上げておきたいと思います。
次に、これは先ほどのどなたかの質問に出ておりましたが、水産庁の六十三年度の一般会計予算は三千二百九十三億円、それのうち千八百六十億円、約五六%が漁港に関係する予算であるというふうに見ているわけでありますが、漁港整備という問題と漁業の経営という問題と考えた場合におけるバランスはいかにあるべきか、これは非常に難しい問題かもしれませんが、今、六十三年度の予算の中で見た場合には、五六%ですから約半々ちょっとですが、そういう形で考えられているような感じもするわけでありますが、この点については、果たしてこれがバランスある漁港の整備という問題と漁業経営という問題との中における何らかの考え方の中で,こういったものになったのか、結果的にこういった形でバランスがとれて、果たして半々が、五〇%五〇%がバランスがあるというように思うかどうかという問題もありますが、そこらあたりに対しての御見解をひとつお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/151
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152・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁港整備の必要性というものは、いろいろな漁業情勢の変化に対応いたしまして非常に高まってきているわけでございますし、現実にもそれぞれの地区から漁港整備に関する予算の獲得の要望というものは相当強いわけでございます。
一方で、水産漁業経営対策といいますか、一般水産行政、これも着実に要望もふえ、それから必要性も増してきているわけでございますけれども、こういう五六対四四という比率、これも比率先にありきということではございませんで、それぞれの性格に応じた仕事の積み上げの結果たまたまこういう数字になっているわけでございます。
いろいろ厳しい財政事情の中ではございますけれども、幸いにいたしまして水産関係予算につきましては比較的財政当局にも御理解いただきまして、それぞれの積み上げも円滑にできておりますので、現時点ではこういうことでバランスがとれているというふうに我々は認識しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/152
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153・小渕正義
○小渕(正)委員 結果的にこういう形になったということのようでありますが、大体ここ前後というか、過去三年ぐらいの経過としては、私きょうはちょっと勉強不足で資料を調べてこなかったのですが、そこらあたりのバランスはどうなっていますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/153
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154・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ここ数年間はいわゆるシーリングという形で、公共、非公共別に前年度予算と比べまして一〇〇%とかあるいはマイナス何%という形でシーリング枠がはまっておりますので、ここ数年は大体同じような傾向の数値で推移しておりますけれども、今年度といいますか六十三年度につきましては、いわゆるNTT関係の公共事業費というものが相対的にかなりふえておりますので、公共事業のウエートが水産関係予算全体の中では相対的に比率がふえたという結果に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/154
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155・小渕正義
○小渕(正)委員 わかりました。
では次に移りますが、これは質問項目にちょっと漏れておったと思いますが、難しい問題ではないのでお尋ねいたします。
「整備漁港の選定に当たりましては、指定漁港のうち漁業振興上及び地域振興上重要であり、かつ、漁港施設の不足度の高いもの、事業効果の大きいもので緊急に整備する必要があるものを採択いたしました。その結果、昭和六十三年度以降六年間に、四百九十港の漁港について漁港修築事業を実施することとしております。」というのがあるわけですね。これの中で指定の考え方として、ここに漁業振興上及び地域振興上の問題、漁港施設の不足度の問題、事業効果が大きいかどうかの問題というようなことでいろいろ考え方が出ておりますが、これは今私が読み上げたこれだけのもの全部がそろわないと指定としての扱いをしなかったのか、そのうちのどれか一つがこの対象になれば今回の四百九十港の指定の中に入ったのか。この四百九十港の漁港の、指定というと悪いですが、修築事業を行うことに決まったその考え方、指定の考え方等についてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/155
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156・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいまお話ありましたように、幾つかの選択基準というものを用意して個々の漁港につきまして精査させていただいたわけでございますけれども、その際には、必ずしも全項目に該当してなくとも幾つかの項目に該当していて緊要性があるものにつきましては今回は四百九十の対象の中に含めておりますし、過去もそうやってきたという経緯に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/156
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157・小渕正義
○小渕(正)委員 そのような考え方で四百九十が出てきておるわけでありますが、これはそれぞれの地域ごとにいろいろ要望、申請が出されておったと思いますが、そういった全体の中でのこの四百九十という数字はどのような割合といいますか意味がありますか。全体の中でこれだけがもうほとんど、各地域から出された中での七割、八割になるのか、そういう意味ではほとんど満たしたような状況なのか。そういう全体の中における四百九十という数字的な意味合いをもう少し御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/157
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158・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 整備対象漁港の選定に当たりまして、あらかじめ全国から募集するというと妙でございますけれども、どれだけ要望があるかということを挙手を願いましてそれについて審査したという形ではございませんで、第七次を樹立し仕事をやっている中で、それぞれの地方と我我接触しながらその必要度合いというものを常日ごろの仕事の上で積み重ねてき、それから最終的に総体を見直して設定したという形になっておりますので、心の中で思っていた要望がどれだけあるか、それに対してどういう比率かということは数字的にはないわけでございますが、少なくとも今回の四百九十港につきましては、各都道府県と十分協議の上、これでそれぞれ御納得いただける数値として我々はお示し申し上げているという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/158
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159・小渕正義
○小渕(正)委員 要するに、皆さん日常的な行政の中で接触なさって、大体それぞれの実態を承知の上で今回こういった形で出されたという意味ではほぼ満足に近いようなものである、こういうふうに理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/159
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160・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/160
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161・小渕正義
○小渕(正)委員 次に、漁港問題で、特に漁業関係で無視できないのは、韓国からの漁業の侵犯が特に長崎県は行われているわけであります。それとあと一つは、国内における密漁が優良な漁場、いろいろなところへ実は発生して、その対策に、これは大体県当局を中心に行われるわけでありますが、手を焼いていると言っても過言でないような状況があるわけであります。水産庁としては密漁者対策については何か具体的な対策がおありかどうか。これは県当局の仕事だからということですべて県に任せておるのかどうか、その辺についての水産庁のお考えをこの際お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/161
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162・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 密漁問題につきましては、それぞれの地域で、局地的ではございますけれどもかなり深刻な問題というのもあるわけでございまして、当方といたしましても、従来から、海上保安部でございますとかあるいは警察等と連携をとりながらその取り締まりに努めてきているわけでございます。特に五十八年に関係の罰金額を引き上げたことを契機といたしまして、我々といたしましては、関係機関とより一層連携を深めると同時に、漁協系統組織の密漁防止のためのいろいろな啓蒙普及活動に対して助成を始めております。それからさらに、六十三年度の現在御審議いただいております予算の中で六十三年からスタートいたします新沿岸漁業構造改善事業、この中で密漁の監視レーダーでございますとか監視船というものにつきましても国の助成対象にするということで、予算面でも地方の働きをバックアップして、何とか密漁の根絶に努めたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/162
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163・小渕正義
○小渕(正)委員 密漁のやり方、中身といいますか、もう多種多様でございますからなかなか難しい面がありますが、どちらかというと個人というか特定のグループ単位で特定の地域に潜水を中心にしたような密漁といった、広域的なといえばあれですけれども、ちょっと名前を言うわけにいきませんので申し上げませんが、山陰地方のあちらの方からまでやってきて密漁していく、こういう広域的な密漁がしばしば行われておるわけであります。そういう広域的な形で密漁をやられている、そこの、何といいますか発生というか、出身といえば悪いですけれども、そういうところにも、発生した場合にはもう少し何らかの形での規制を行うようなことも、それが結果的にはお互いの自己規律の役割を果たすのではないかと思うわけでありますので、そういう意味でもう少し何らかの水産庁としてのそういう広域的な密漁対策についての強力な行政指導ができないものだろうかという期待もあるわけでありますが、その点はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/163
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164・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 密漁というひそかなものでございますから行政指導というのもなかなか難しい点があるわけでございますけれども、やはり何といいましても取り締まりという点から申し上げましてその道の専門でもございます海上保安部なり警察、特に広域的で悪質な犯罪的な密漁というものにつきましては、こういう関係官庁の協力なり権力の発動というものをお願いしなければなりませんので、そういう方面とも今後とも十分に連携をとってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/164
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165・小渕正義
○小渕(正)委員 公式の場では特定のことは申し上げませんので、次に移ります。
あと一つ現在漁業の中で困っているのは、遊漁者といいますか、要するに一般の人たちが趣味で魚をとりに行く、それが近ごろ非常に大型化してきておるわけでありますが、これは今後の漁港行政の中でも無視できない一つの問題じゃないかと思われているわけであります。この辺について、遊漁者対策については漁港行政の中ではどのような位置づけで考えられておるのか。いろいろな問題を出しておりますので、これまた非常に難しい問題ではありますけれども、しかし何らかのこれに対する行政指導というものは行われるべきだという感じもいたします。この点についての水産庁の御見解があればお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/165
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166・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 海面なり漁港に対する一般国民のレクリエーション需要というものも相当高まってきておりますし、これからの漁村なり漁港を考えていく際には、そういう国民の方々の新しいニーズというものと共存しながら漁業も生きていかなければならない局面になっているわけでございます。しかし、残念ながら地域によりましては両者の間のトラブルというものが発生しているわけでございまして、漁業生産上支障を巻き起こしているという地点も見えてきているわけでございます。
こういうことに対応いたしまして、今回の漁港法改正におきましても、例えば船舶の管理施設というようなものを機能施設の中に加えておりますし、それから今回お願いしておりますNTT・A型事業でも、漁港そのものの基本施設の整備と同時に、遊漁の係船施設、こういうものも整備していくというようなことも考えているわけでございます。
ソフトの面といたしましては、遊漁船等の漁港利用につきまして漁港管理規程、こういうものをも活用いたしまして調整を図っていきたいと思っておりますし、それから昭和六十二年度から、漁船と遊漁船等との漁港利用の調整を図るという目的で、遊漁船等を分離収容する外郭施設であるとか水域施設、こういうものにつきましても漁港利用調整事業という形で補助を行うという仕組みもつくっておりますので、そういういろいろな行政なり仕組みというものを活用いたしまして何とかこの調整を図り、お互いの将来に備えたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/166
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167・小渕正義
○小渕(正)委員 わかりました。
次に移ります。先ほどもちょっと質問に出ておりましたが、今回、NTT資金のAタイプの貸付事業が行われることになるわけでありますけれども、先ほどの水産庁当局の御答弁をお伺いしておりますと、これからどのような姿の中でどういうものが対象になって、どういう形で行われるかも今まだ全然未知数というような感じがいたしておりますが、ただ私どもが懸念いたしますのは、これらの事業と漁港整備計画とがバランスある中で行われていくのだろうかどうだろうかというのが非常に懸念されているわけでありますが、ここらあたりについてはどのようなお考えをお持ちなのか、その点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/167
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168・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今回御承認を得べくお願いいたしております漁港整備計画、これは御承知のとおり漁港修築事業というものを対象といたしまして対象漁港数なり金額というものをはじいているわけでございまして、今回別途お願いしておりますいわゆるAタイプ事業というものは直接的にはこの修築事業の範囲外でございますので、これには含まれてないわけでございます。しかし、全体としての漁港の整備という点につきましては考え方なり方向性としては軌を一にしておりますので、その両者の調整なりを十分これからも念頭に置きながら、それぞれの事業の実施に取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/168
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169・小渕正義
○小渕(正)委員 いろいろ疑問点があるわけでありますが、まだまだこれからの問題でございますのでこれ以上は深く突っ込むことだけは省略して、きょうは終わりたいと思います。
次に、今回の第八次漁港整備長期計画の事業費、これがはっきり出されておりますが、これの算出根拠は大体どのような形の中でこれだけの事業費が見積もられたのか、その状況について、算出根拠といいますか考え方、そういったものについての状況をひとつお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/169
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170・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 先ほども御議論ありましたような選択基準で対象漁港を四百九十港選びまして、そしてその中でそれぞれの漁港の将来の漁業情勢、それから地方公共団体の財政事情、こういうものも全部総合的に勘案いたしまして、整備すべき施設、規模というものを個々具体的に積み上げまして、今回総事業費というものを積算させていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/170
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171・小渕正義
○小渕(正)委員 わかりました。
それで、これは大臣にもひとつお尋ねいたしますが、要するに今回の第八次長期計画の完全達成といいますか、完全という言葉はちょっと適当かどうかわかりませんが、達成の見通し等についてはどのような決意でおられるのか。少なくとも第七次が結果的には七八%程度で達成率としては終わるわけでありますが、第八次としては、やはりこれだけのものを達成するためには、問題は予算をいかに確保するかがすべて前提になるわけでありまして、そういう点で第七次のそういった状況にならぬように、第八次のこの長期達成ということをこの第七次の実績から見ていかにお考えなのかどうか、そこらあたりの大臣の所見をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/171
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172・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 漁港は漁業の水産基盤の中でも最も基礎的なものでありまして、我が国漁業の振興のためその整備を積極的に推進していく必要があることはもうお互い承知のところでございます。このようなことから、六十三年度予算案におきましても対前年度比一八・六%増の予算を確保いたしたところでございます。漁港整備計画の完全達成というお言葉がございましたが、そのために、財政再建という期間中ではございますけれども、これは厳しい一つの枠組みはございますけれども、その中にあっても予算確保のために最大限の努力を払ってまいりたい、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/172
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173・小渕正義
○小渕(正)委員 第七次がこういう結果になったその原因等はいろいろ十分御承知でしょうから、ぜひそれを参考にしていただいて、ひとつ第八次だけは完全達成という言葉はあれですが、達成されるように御努力をお願いしたいと思います。期待するところでございます。
それから、最後になりますが、実は長崎の場合は新長崎漁港建設が第五次計画の中でスタートしまして、昭和四十八年ですか着工。当時の計画では六カ年間で五十七年度に完成予定ということでスタートして、着工されて今日まで行われているわけでありますが、現在までの事業費が約六百五十六億円ぐらいですね。結果的には、五十七年度完成がまだ現在のところ――県当局等はことしじゅうに何とかめどをつけたいということを言っておるようでありますが、このように当初の計画よりかなりずれているわけでありますが、その要因はいろいろありますが、水産庁当局としてはこれをどのように見ておられるのか、これだけずれた要因等をどのようにお考えなのか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/173
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174・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 長崎漁港の整備につきましては、我々といたしましても昭和四十八年から着手いたしまして、以来、第六次、第七次という整備長期計画を踏まえまして行ってきたわけでございまして、今年度で落成したいというふうに思っていたわけでございますけれども、残念ながら去年の十二号台風ということで大きな被害を受けておりまして、現在その被害の復旧ということに鋭意全力を挙げているわけでございますけれども、あれだけ立地条件なりいろいろな過去の歴史の積み上げというものがある新長崎漁港でございますので、一日も早い完成ということを心がけてこれからも対応を深めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/174
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175・小渕正義
○小渕(正)委員 一般論としてはその説明がわかるわけですが、この建設に当たって国はどの程度の関与をしてきたのか。最終的な主体は長崎県ということになるかと思いますが、そういう意味での国としてのかかわり合いはどの程度の中でこれが進められてきたのか。ただお金の、そういう資金的な面での分担だけなのか。この計画工事推進等についてどの程度のかかわり合いを持ちながらやってこられたのか。そこらあたりはいかがになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/175
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176・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 新長崎漁港は先生も御承知のとおり特定第三種漁港という形になっておりますので、こういう特定第三種漁港につきましては修築計画そのものが農林水産大臣が定めるという形になっておりまして、まさしく農林水産大臣主導型で漁港の整備についての方向性なり具体的計画というものを今までも県との相談の上でつくってきている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/176
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177・小渕正義
○小渕(正)委員 こういった大きなプロジェクトは、結果的にはずれることはある程度やむを得ないわけですが、余りにも当初の計画より大きくずれているわけですね。そういう意味では、やはり国としてのかかわり合いでもその点については一つの責任も感じていただかなければいかぬのじゃないかという気もするわけでありますが、今お話がありましたように、何とかやっと完成にこぎつけたところ、昨年の七月ですか十二号台風で、突堤といいますか台風被害が約百三十九億。約百四十億近くの台風被害を受けて、また土木工事やり直しという事態が発生しているわけでありますが、この点については、かかわり合いをしている国としてはこれは不可抗力だと見ておられますかどうか。ともかくも何年も来なかった初めての台風だなんといって不可抗力的なことで言われておるようなところもありますが、国としてのこれに対する御見解をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/177
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178・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 新長崎漁港の設計は過去の台風資料から求め得る最大の波というものを対象として設計したわけでございますけれども、不幸にいたしまして、昨年の台風十二号というものはこの設計時でとりました資料の予想をはるかに超える異常な波というものがございまして、そういう点からいいますと、残念ながら不可抗力といいますか、我々の技術を駆使いたしましても予見できなかった自然の力というふうに考えざるを得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/178
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179・小渕正義
○小渕(正)委員 これは技術論になりますからとやかく議論しても始まらぬわけでありますが、少なくとも十二号台風の状況からいって、これが今までになかったような大型台風ということではないのですよ。これははっきりしているのです。ただ、ああいう形の中で何もないところでまともに風を食らってそういった大きな波浪が発生したということで、かつてなかったようなものだったと言われておりますが、少なくとも台風の規模、中身、いろいろなものを見ますと、かつてなかったような、日本に初めて来たような、そんな台風というような代物ではないのですから、そういう点を考えますならば、やはりこれは土木技術上にも若干の問題があったのではないかという見方もできるわけです。これは技術論、専門的になりますので申し上げませんが、これに似たようなことで、北九州の響灘の洋上備蓄基地建設の白島の突堤がその前にやはり風でやられて被害を受けておるわけであります。NHK特集等いろいろあちこちマスコミをにぎわしておりましたが、これも本当に初めて来るような風でああいう被害を受けたということでもないわけですね。そういう意味では、結果的には土木工事というものについては、最後はこれは今までなかった予想外の数値でこういうことになったのだというようなことに、全部そこに逃げ込んでいってしまうような感じがしてどうしてもならないわけでありますが、今回のこの台風十二号の不可抗力的な根拠については、どこかの権威あるところで、第三者的なところでひとつそういったものについての御検討をなさったのかどうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/179
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180・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 確かに台風第十二号の台風としての規模自体はあるいは史上最高であるとか特異であったという形ではございませんけれども、台風十二号によって引き起こされました波浪の大きさ、高さというものは、過去我々が収集しておりました資料を超えるという形であったわけでございます。我々といたしましては、せっかくつくる漁港の安全性ということは何といいましても必要でございますので、学術機関を含めましていろいろな機関から情報なり技術なりを吸収しながら、長い間水産庁の蓄積というもので漁港を建設してきておるわけでございまして、今回の長崎漁港のあの災害を復旧するに当たりましても、今回のそういう経験というものを十分踏まえて適切な施工管理を行ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/180
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181・小渕正義
○小渕(正)委員 貴重な国費を浪費したことになるわけですから、そういう意味では、こういういろいろな問題については慎重の上にも慎重を期してひとつ取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、時間が参りましたので私の質問をこれで終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/181
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182・菊池福治郎
○菊池委員長 山原健二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/182
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183・山原健二郎
○山原委員 漁港法及び漁港整備計画について質問をいたしますが、ちょっと最初に私の立場を申し上げます。
今回の漁港法一部改正案の一つの柱である漁港施設の追加については、漁業、漁港を取り巻く情勢の変化に対応するものとして賛成するものでございます。ただ、もう一つの柱である日本電信電話株式会社、いわゆるNTTの株式売却益を活用した開発利益償還型のAタイプ無利子融資制度の導入については反対をする立場をとっております。私どもはNTTを公共企業形態に戻すことを現在主張しております。NTTの政府持ち株の順次放出は特殊会社を純民間会社化する民営化促進の過程そのものであり、国民共有の貴重な財産を財界に売り渡すものになるからだと考えております。しかも政府は、NTT株式売却益を国債償還の財源に充てる法律を成立させたばかりであるわけですが、早くもそれを放棄し、本法案で他に流用する道を広げ、財政再建をおくらせるものであるということを考えますと、到底容認できないという立場をとっております。
以上の基本的な立場を明らかにした上で、幾つかの点について質問をいたしたいと思います。
その第一は、開発利益償還型のAタイプ資金を漁港整備事業に導入することは、これまで補助金で整備が図られてきた漁港整備という公共事業の一部変質をもたらすことになりはしないかという疑念があるわけでございますが、この点についてお答えをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/183
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184・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今回のAタイプ事業につきましては、漁港整備ということをもちろん行うわけでございますけれども、これと密接に関係する事業とあわせて行いまして、その漁港の整備に要します費用をこの密接関連事業からの収益で回収するという事業でございます。したがいまして、このAタイプ事業というものは、あくまでもそういう収益で回収し得る別途の密接関連事業を持っている漁港整備というものに限定されるわけでございまして、Aタイプ事業が導入されましたからといって漁港整備がすべて収益化するとか収益性につながるという問題では当然ございませんで、漁港の公益性なり漁港整備の低収益性、コストとしての難しさということからいいまして、従来どおり公共事業としてこの整備というものを推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/184
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185・山原健二郎
○山原委員 開発利益をもって償還するといういわゆるAタイプ資金が、従来なら国費や自治体の負担金で進められていた施設の整備にまで浸透していくという懸念が全くないというふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/185
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186・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 少なくとも今回の漁港整備計画でお願いしております修築事業というものにつきましては、Aタイプ事業とは全く違うジャンルのものとして積み上げ計算を行っておりますし、それから今回Aタイプ事業で行われますものも、そういう密接関連事業がたまたまあってそれで返せるというものが手を挙げてくるという形でございまして、収益性を伴わない一般の漁港につきましては従来と同じ体系で助成してまいりますので、今先生が御懸念なさいましたような心配というものは十分に回避できると我々は考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/186
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187・山原健二郎
○山原委員 この問題でもう一点。漁港整備計画、これは漁港の修築事業ですが、及び漁港整備長期計画、これは修築に加えて改修、局部改良事業を含む計画でありますが、これにはAタイプ資金は入ってこないというふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/187
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188・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいまも申し上げましたように、漁港整備計画で行われます漁港修築事業の中にはAタイプは当然対象から外されております。しかし一方でAタイプ事業というものは、その密接関連事業とあわせて生ずる収益により事業費の支弁が行われるものではございますけれども、係留施設でございますとか、そういう漁港の基本施設に当たりますものを整備するということは事実でございまして、これは漁港整備計画じゃなくて漁港整備長期計画、ここに局部改良事業という箇所数の特定してない、一般の要望といいますか、これからの需要に応じて採択していく少額の事業があるわけでございますけれども、この中では整理をされているというふうに理解している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/188
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189・山原健二郎
○山原委員 今回の法改正で追加される漁業施設の整備が主にAタイプ資金の投入対象となるということはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/189
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190・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今回追加させていただきたいと思っております機能施設につきましては、最近の漁業情勢なり、あるいは漁村情勢、こういうものの変化に対応いたしましてお願いしているわけでございまして、若干今回のAタイプの対象にたまたま該当しているというものはございますけれども、Aタイプ事業を創設することに絡んで機能施設を拡充したという経緯は全くございませんし、そういう考え方も持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/190
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191・山原健二郎
○山原委員 従来、漁港の周辺整備として、例えば今度法改正で追加されております駐車場とかヘリポート、それから養殖、今まではどういうふうにやってきたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/191
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192・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 今回追加します機能施設につきましても、ただいまお話ありましたヘリポート等につきましては直接国費を充ててこれを整備するということは現段階では考えておりません。
それから、養殖施設なり増殖施設につきましては、従来からは沿整事業でございますとか、あるいは構造改善事業でございますとか、そういう各種の事業で施設整備を行ってきたわけでございまして、今回この法律の対象にしたからといって、金を支出してこれを整備するということではございませんで、敷地につきましては敷地ということで助成対象になりますけれども、上物につきましては、従来のいろいろな補助体系というものを総合勘案いたしまして、連携のとれた形でこれから運用してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/192
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193・山原健二郎
○山原委員 今回提案されています漁港整備計画の中の漁港名ごとの整備を必要とする主な施設の欄を見ますと、今度の法改正で新たに追加された増殖及び養殖用施設や廃船処理施設等の記入が全くありませんが、これら新たに追加された施設の整備は新漁港整備計画の対象とならないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/193
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194・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま申し上げましたように、そういう機能施設の上物等につきましては、漁港整備事業なり、あるいは漁港整備計画で直接扱っております修築事業そのものの対象になっておりませんので、積算の中からは外れているという次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/194
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195・山原健二郎
○山原委員 きのうちょっと農水省の方に来ていただいてお聞きしたのですが、いわゆる今度の法改正で新たに追加されたものの記入が全くないということは、これは主なものしか書き込んでいないという説明で、今度法改正で出たものはこの中に今後入っていくんだ、表現の上にはありませんけれども、そういうふうに聞いたんですが、それは間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/195
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196・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 あるいは私の説明が少し舌足らずだったかと思いますけれども、今回入れました機能施設につきましても施設用地、これは対象になっておるわけで、修築事業なりの対象になってくるわけでございます。こういうものにつきましては、先生から先ほどお話ありました一覧表上は漁港施設用地ということで一括して計上されてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/196
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197・山原健二郎
○山原委員 現行の漁港整備計画の進捗率を見ますと、事業費ベースで七四・六%にとどまっておりますが、国費ベースではもっと悪く七〇・九%となっているんですが、この原因はどこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/197
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198・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁港整備計画の進捗率というものは、当初予定しておりました施設の整備状況を示す指標でございまして、事業費トータルについて算定されております。したがいまして、国費についての進捗率という意識は我々特っていないわけでございますけれども、国費というものはそれぞれの補助対象によりまして補助率も違っているわけでございます。そういうことからいいますと、国費率というものを固定してかかれないということがございます。しかし、ただいま先生から御指摘ありましたように、結果として見てみますと、計画がスタートしたときに比べますと国費の支出がおくれているということは事実かと思っております。これにつきましては、そういう補助対象の補助率の違いの差し繰りと出入りというものがあったことに加えまして、ここのところの財政事情からの国費一般の抑制ということもあったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/198
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199・山原健二郎
○山原委員 行革における補助率のカットとかゼロシーリングというものが影響してきておると思うのですが、この進捗率は、補助金力ットの措置等によって国の負担が軽く、結局地方自治体等の負担が重くなっていることを示しているのではないかと思いますが、この補助金カットによる影響額は年度ごと及び累計でどの程度になっているのか、お答えできますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/199
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200・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ただいま手持ちの資料といたしましては年度別のをちょっと持ち合わせておりませんで、昭和五十七年から六十二年度までの補助率カットによります国費削減額というものはトータルで五百十五億円というふうに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/200
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201・山原健二郎
○山原委員 いわゆる国民生活に密着しているこういう重要な資金がカットされることによって、私がいただいている資料を見ますと、六十年当初から六十二年の補正まで含めますと五百二十四億五千七百万と影響額が出ておりまして、これは財政上の問題はもちろんありますけれども、やはりこういうものはもとへ戻す努力をする必要があると思うのです。先ほども大臣お答えになっておられたと思いますけれども、その点いかがですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/201
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202・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 いわゆる一括法によります補助率の引き下げ、これは昭和六十三年度までの措置としてとられておるわけでございますので、我々といたしましては当然昭和六十四年度にはこれが復元するというふうに思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/202
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203・山原健二郎
○山原委員 次に、漁協の合併問題ですが、これは議員立法ですから政府の方にお尋ねする筋合いでないかもしれませんけれども、参考までにお尋ねしたいのです。
漁協の合併助成法が昭和六十年三月三十一日をもって期限切れとなった、この理由について水産庁としてはどういうふうに把握されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/203
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204・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 一たん合併助成法が期限切れになったわけでございますけれども、当時も水産情勢というものが目まぐるしく変わっておりまして、漁協自体も規模を大きくしなければならないということは識者の間では多く認識されていたわけでございますけれども、一般的な、系統を挙げての認識といたしまして合併を推進するという機運にあの当時はまだ至っていなかったということで、非常に残念な出来事ではございましたけれども、合併助成法が幕切れになり、空白期間ができてしまったというふうに理解している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/204
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205・山原健二郎
○山原委員 その点について、今回再度適用期限を延長することにつきまして、水産庁も積極的な姿勢をとっておられると思いますが、水産庁として法延長の必要性についてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/205
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206・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁協につきましては、非常に規模が小さい漁協が多い。市町村未満の区域を占めますのが八割という形になっておるわけでございまして、本来でも何とかこの規模を大きくしなければならないという感じを持ってきたわけでございますけれども、ここのところ特に金融の自由化でございますとかあるいは水産物の流通消費というものが非常に広域化、多様化してきたというような、漁協の経営なり漁業そのものを取り巻きます情勢が大きく変わってきたということからいいまして、従来以上に規模の大きなしっかりした漁協というものが関係者の間でも、さらには行政側からも望まれるようになったということで今回の合併助成法再延長の機運につながっていき、当方としてもそれを支援してまいりたいという段階に至ったかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/206
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207・山原健二郎
○山原委員 情勢とそれから金融自由化の問題ということでございますが、ところで水産庁も、実施主体である全漁連も法延長の五年間の合併目標を二百件、七百組合としておりますが、過去十八年間に百六十五件、四百五十五組合であった実績などに照らして、これが過大な目標ではないかというふうに思われますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/207
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208・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 ここのところの漁業情勢の変化に対応いたしまして、漁協の幹部を初め漁協関係者一同がこのままではなかなか立ち行かない、何とかしなければならないという気持ちを多く持ってきているわけでございますし、そのあらわれとしてここ二年間ほど、合併助成法が期限切れになっていたにもかかわらず合併件数というものが過去に比べますとかなりふえてきたということで非常に機運というものも醸成されてきているわけでございます。こういう中で合併助成法の再延長ということが国会の議員提案で成立いたしますと、そういう機運につきまして加速できるというふうに当方は考えておりまして、系統みずからの目標として掲げております二百件、七百組合というものも、最近の情勢から見ますと努力次第によりましては十分達成可能な数字である。そのためにはお互い相当な努力の積み上げが必要かと思いますけれども、何とかせっかく掲げた努力目標の実現というものに向けて双方とも頑張ってみたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/208
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209・山原健二郎
○山原委員 その点につきまして、例えば過大な目標を立てて、場合によっては合併が上から押しつけ的になってはならないというのは当然でございますが、昨年十一月にまとめられました漁業問題研究会中間報告書でも「その推進に当たっては、都道府県、市町村等行政機関の協力を得つつも、漁連、信漁連等系統上部団体の指導の下は、漁協系統組織の自主的運動として行われる必要がある。」こう指摘しておりまして、自主性に基づく合併が当然だというふうに思うわけですが、その点は十分配慮され、保障されるものと考えてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/209
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210・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 本来自主的な共同組織体である漁協の合併というものはあくまでも関係漁業者の創意工夫なり発意ということで行うべきでございまして、それに対して行政が横からあるいは裏からいろいろな手を差し伸べるということで、あくまでも漁協みずからの主体性、自主性に我々期待しているわけでございます。それから今回の法律の再延長の具体的趣旨といたしましても、そういうこともございまして政府提案という形じゃなくて、漁協系統全体が一丸となって議員提案としうことをお願いした経緯もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/210
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211・山原健二郎
○山原委員 合併促進を図る理由として今、金融自由化への対応ということがあったわけですね。競争の激化する金融事業分野ばかりに目が奪われるというような経営主義に陥ってはならないわけでございますが、これは当然だと思います。この点についてはどういう配慮がなされるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/211
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212・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 現在の漁協の経営というものを見てみますと、ただいま先生からも御指摘がありましたような営漁指導でありますとかあるいは漁場の管理、こういう経営としては余り採算性なり利益の上がらない仕事ということにつきましては必ずしも十全な努力をしてなかったわけでございます。しかし、今後こういう形で合併が促進され組合の経営基盤そのものが強化されるということになってまいりますと、今までしたくてもできなかったあるいは必要性がありながらやれなかったこういういろいろな事業につきましても対応が可能になると思っておりますし、我々といたしましても単に金融でございますとかそういう事業のための合併ではございませんで、そういう漁場の管理あるいは営漁指導、それから一般の経済事業、こういうことを総体として協同組合らしい機能を十全に発揮できるための基盤づくりという方向で合併を見守ってまいりたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/212
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213・山原健二郎
○山原委員 合併に際しての漁協の職員の処遇の問題について簡単に触れたいと思います。
農協合併の場合も職員の整理問題あるいは合理化問題など非常に大きな問題になったことがありますが、漁協の職員の処遇の問題は大事な問題だと思います。合理化のためなら解雇もやむなしといった対応ではいけないと思いますし、この点について十分な考慮をするよう水産庁としても指導することを要請したいのですが、その点はどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/213
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214・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 合併によりまして今まで漁協で働かれた方々の職が失われるということがあっては大変でございますので、関係組合が十分にそういう手当てなり手段、態勢を組むということは当然でございますし、それからさらに最近の情勢で申し上げますと、小さいがゆえに職員の人数さえ足りないというところもかなりあるわけでございまして、こういうところにつきましてはむしろ合併によりましてそういうマネージャーでございますとか人的経営組織というものが拡充されるということでございますし、そういう方向も地域によっては相当出てこようかと思っておりますので、ぜひそういうことで基盤が充実し、それから働く人がふえるような形で持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/214
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215・山原健二郎
○山原委員 この問題の最後に、合併を促進するためにも組合員がその置かれている厳しい現状を打開しようとする意欲と展望が持てる条件整備、例えば負債対策の抜本的強化などがあわせて進められることが必要だと思いますが、この点についてお伺いするのです。
例えばちょっと具体的にお話を申し上げますと、負債対策というのはまさに緊急の課題だと思います。多くの漁業者が年間収入より負債額が上回る実情にあるということを各地で聞くわけです。今ある長期低利の融資でも解決つかないという実情にございます。それから負債償還の一時棚上げあるいは先延ばしあるいは一層の金利負担の軽減等の抜本的対策が求められていると思うのです。
先般も、これは山形県の庄内海岸の漁民の方がお見えになりましてその負債額を聞いたのですけれども、ハタハタがとれなくなりどうにもならないという実情を聞かされたわけでございます。確かに自助努力というものが必要ですけれども、自助努力をしても漁民の手には負えない、思うようにいかないものがあるわけです。例えば二百海里の問題などという情勢の変化というのは漁民の責任には所属しないものでございますから、そういった問題。
それから、国際協定による減船に伴う漁業離職者の就職促進を図る臨時措置法、漁臨法ですが、この適用期限が本年六月三十日まででございます。現在も、アメリカの二百海里内における漁獲ゼロということはこの間も御質問申し上げましたが、海外漁場での規則も強まっておりますし、離職が余儀なくされるというような問題も起こっておりまして、そういう意味では適用延長等の措置についても考えるべきだと思いますが、この二つの点についてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/215
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216・田中宏尚
○田中(宏尚)政府委員 漁業者につきましては、昭和五十二年以来の二百海里体制の定着等々で多額の負債を抱えているということは事実でございます。そしてこの負債対策ということで、漁業者の負債対策整理資金といたしまして、例えば漁業経営再建資金、これは償還期間十年でしかも末端金利二%という、一般の制度金融なりあるいは行政金融、こういう中では一番、優遇と言うとおかしゅうございますけれども、有利な資金制度というものも現につくりまして我々は対応しているわけでございます。ただいま先生からお話がありましたような自助努力に加えまして、こういう有利な長期低利の資金というものを活用していただき、何とか経営の再建というものを目指していただきたいというふうに考えているわけでございます。
それから、第二点目の減船に伴う離職者に対しますいわゆる漁臨法の適用期間の延長の問題でございますけれども、これは六月三十日をもって切れるということで、これを昭和六十八年の六月三十日まで延長するということを内容といたします法律の改正案というものを今国会に提出いたしておりますので、私の方からもぜひ審議方の促進ということを先生にもお願いしたい次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/216
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217・山原健二郎
○山原委員 ちょっと漁港法とそれて申しわけないのですが、お許しいただきたいと思います。緊急な問題として養鶏問題、これを一問だけお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
いわゆる大規模なやみ増羽を展開してきた阪神鶏卵グループ会社の相次ぐ倒産、これに端を発した養鶏業界の連鎖的危機は深刻な様相を帯びております。大規模やみ増羽を放置すれば、早晩こうした事態を招くことは容易に想定されていたにもかかわらず、これをやめさせる有効な行政指導が貫かれなかったというところに一つの問題があるのではないでしょうか。農水省としてその責任をどう考えておるか、これが第一点です。
第二点は、阪神鶏卵グループ会社倒産の後を受けまして、飼料会社がやみ増羽の養鶏を継続、援助する動きが出ております。やみ増羽に基づくこれらの養鶏事業の継続はやらせないという強力な行政指導が求められておると思いますが、その点はどうでしょうか。
それから、昨年来の卵価の暴落、低迷に続く今回の事態で養鶏農家の経営は深刻さを増しておりまして、こうした中で、卵価基金の基準価格が百五十円では、掛金を払う分損するだけであり、最低でも現行価格水準の百六十九円に引き上げてもらわなければやっていけないという悲痛な訴えが起こっておりますが、これは農水省としても十分御承知のことと思います。したがって、補助金支出の拡大などによって基準価格引き上げが実現できるよう緊急に対策を講ずる必要があると思いますが、この点につきましてどういう御認識をされておるか、伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/217
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218・濱田幸一郎
○濱田説明員 畜産局の兼務をしております濱田でございます。
まず、第一点並びに第二点につきまして御説明をさせていただきます。
御質問の関西の鶏卵販売業者につきましては、五十八年ごろから殻の赤い卵、いわゆる赤玉の生産、流通を計画いたしまして、六十一年ごろから各地で大規模養鶏場の建設、鶏卵の増産、販売等を系列企業を中心とした阪神鶏卵グループにより進めてまいったわけでございます。
赤玉か白玉かというようなことにつきましては、これは生産者及び消費者の選択の問題でございますが、鶏卵の計画生産の秩序を乱して増産計画を推進することには問題がありますので、国におきましても当該グループの生産者等に何回か指導を行ってきたところであります。
今回の阪神鶏卵グループの倒産の状況等の詳細につきましてはまだ承知しておりませんが、民間調査機関の情報によりますれば、昨年から養鶏業界挙げて低卵価をもたらしている過剰生産の抑制に努めている中で、過大な事業拡大を性急に進めてきたことが今回の事態を招いた原因というふうに聞いております。現在、倒産の実態及びその後の動向につきまして情報収集に努めているところでございますが、実態把握の上、いずれにいたしましても計画生産の推進を図る見地から、必要な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
それから、基金の問題でございますが、鶏卵の補てん基準価格につきましては卵価安定基金が定めることとなっておりますが、その決定に際しまして畜産局長の承認を要するというふうになっております。
補てん基準価格は、鶏卵の生産条件及び需給事情を考慮いたしまして、最近の生産動向、市況動向等を要素とする一定の算定方式に基づく算定結果を基本として決定することになっております。
六十三年度につきましては、六十二年一月以降鶏卵の供給過剰によりまして卵価が低落している実情を十分踏まえ、基金財源の健全化を図ることを考慮して決定するよう卵価安定基金に指導してまいったところでございますが、二つあります基金の、全国鶏卵価格安定基金、これは全農系でございますが、これが三月十七日に、それからもう一つの全日本卵価安定基金、これは商系のものでございますが、この基金が三月二十二日、昨日に、いずれもキログラム当たり百五十円で機関決定をいたしまして、畜産局に対し承認手続に着手したというふうに聞いております。まだ承認申請を受け取っておりませんが、卵価の動向なり基金財源の健全性等を総合的に勘案いたしまして、私どもは、もし承認申請があれば基金の自主的な意思を尊重したいというふうに考えている次第でございます。
なお、補助金でございますが、補助金につきましては補てん基準価格の水準のいかんにかかわりませず一定額、今年度は十三億を予定しておりますが、一定額の助成をするというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/218
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219・山原健二郎
○山原委員 倒産の後を受けまして飼料会社がやみ増羽の養鶏を継続、援助する動きが出ておりまして、これには農家経営の味方であるべきはずの全農まで加担しているという話がございます。これはやはり農水省としても指導すべき問題ではないかということをきょうは指摘しておきまして、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/219
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220・菊池福治郎
○菊池委員長 これにて両案件に対する質疑は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/220
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221・菊池福治郎
○菊池委員長 ただいま議題となっております両案件中、まず、漁港法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
この際、本案に対し、藤田スミ君外一名から修正案が提出されております。
修正案の提出者から趣旨の説明を求めます。藤田スミ君。
─────────────
漁港法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/221
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222・藤田スミ
○藤田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、漁港法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
案文はお手元に配付してございますので、朗読は省略させていただきます。
今、日本の漁業を取り巻く状況は、二百海里漁業規制による漁業構造の変化、アメリカの漁業規制による漁獲高の激減など極めて深刻な状況にあります。このようなとき、漁港整備についても新たに増養殖施設などを対象とすることは、現在の漁港を取り巻く状況の中で賛成できるものであります。
漁港は、生産と流通の結節点であり、漁港及び関連施設の整備は、漁業者の経営安定、地域経済の発展や資源の有効利用などにとって決定的な役割を果たしています。我が党は、漁港予算をふやし、国の負担率、補助率を高め、自治体や漁業者の負担をなるべく少なくして漁港の整備を進めることを一貫して要求してまいりました。
しかしながら、今回の漁港法の一部改正案は、漁港の整備の施設の追加だけではなくNTT・Aタイプ事業を新たに導入する法改正を盛り込んでおります。NTTプロジェクトは、日本電信電話公社の民営化を固定するばかりか、本来国債償還財源にすべきものを他に流用するなど反国民的性格を持っています。
さらに、今回のNTT・Aタイプ事業は、第一に、本来国が負担あるいは補助すべき事業に融資という方式を持ち込むものであり、漁港整備の制度的改悪と言えます。第二に、返済を要するために、公共事業の収益化・営利化を促進し、その性格をますますゆがめるものと言えます。
以上の点から、今回の漁港法の一部改正案からNTT・Aタイプ事業の改正部分を削除することが漁港整備事業の健全な発展にとって欠かせないものであります。
我が党の修正案は、今回の改正案の重大な欠陥を正し、漁港の健全な発展を図るためのものであります。
修正案の概要は、漁港法一部改正案からNTT・Aタイプの事業の改正部分を削除するものです。
以上が修正案の概要でございます。
委員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案理由説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/222
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223・菊池福治郎
○菊池委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/223
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224・菊池福治郎
○菊池委員長 これより内閣提出、漁港法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/224
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225・藤田スミ
○藤田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の漁港法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
反対の理由は、今回の漁港法の一部改正案に、漁港の整備の施設の追加だけでなく、NTT・Aタイプ事業を新たに導入する法改正を盛り込んでいる点であります。
NTTプロジェクトは、日本電信電話公社の民営化を固定するばかりか、本来国債償還財源にすべきものを他に流用するなど反国民的性格を持っています。さらに、今回のNTT・Aタイプ事業は、本来国が負担あるいは補助すべき事業に融資という方式を持ち込むものであり、漁港整備の制度的改悪と言え、さらに、返済を要するために、公共事業の収益化・営利化を促進し、その性格をますますゆがめるものと言わなければなりません。
真に漁港の健全な発展を目指すためなら、漁港予算の大幅増額と国の負担率、補助率を高め、自治体や漁業者の負担を極力軽減し、漁港の整備を進めることが重要であり、今回のNTT・Aタイプ事業を導入することは漁港の健全な発展を損なうもので、認めることはできません。
以上が、今回の漁港法の一部改正案に反対する理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/225
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226・菊池福治郎
○菊池委員長 これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/226
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227・菊池福治郎
○菊池委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、漁港法の一部を改正する法律案及びこれに対する藤田スミ君外一名提出の修正案について採決いたします。
まず、藤田スミ君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/227
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228・菊池福治郎
○菊池委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/228
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229・菊池福治郎
○菊池委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/229
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230・菊池福治郎
○菊池委員長 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について議事を進めます。
これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件について採決いたします。
本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/230
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231・菊池福治郎
○菊池委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/231
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232・菊池福治郎
○菊池委員長 この際、両案件に対し、月原茂皓君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。石橋大吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/232
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233・石橋大吉
○石橋(大)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
漁港法の一部を改正する法律案及び漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
漁港は漁業生産の基盤、水産物流通・加工の拠点、さらには、地域社会生活の中心として極めて重要な役割を果たしているところであるが、漁港をめぐる諸情勢が大きく変化する中で、漁港の機能の高度化、多様化が求められている。
よって政府は、漁港の整備に当たっては、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 漁港整備の現状と新たな漁港整備計画の規模等にかんがみ、その完全達成のために必要な予算の確保等に最大限の努力を尽くすこと。
二 漁港法で定める漁港施設については、漁港の機能が十分に発揮されるよう、漁港をめぐる環境の変化に即応して適宜見直しを図ること。
三 新たな計画に基づく漁港整備事業の実施に当たっては、水産業を核とした沿岸・沖合域の総合的な整備開発に資する等のため、期を同じくして策定される第三次沿岸漁場整備開発計画及び新沿岸漁業構造改善事業(後期対策)と密接な関連をもって有機的・効率的に進めること。
四 漁港整備に係る国庫補助・負担率の削減に伴う地方公共団体の財政支出増については、漁港整備事業の円滑な実施に支障を来さないよう地方交付税の確保等に万全を期すること。
右決議する。
以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/233
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234・菊池福治郎
○菊池委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決をいたします。
月原茂皓君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/234
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235・菊池福治郎
○菊池委員長 起立総員。よって、両案件に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/235
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236・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後、極力努力をいたしてまいります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/236
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237・菊池福治郎
○菊池委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両案件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/237
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238・菊池福治郎
○菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/238
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239・菊池福治郎
○菊池委員長 次に、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
この際、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、本日、その協議が調い、お手元に配付いたしてありますとおりの起草案を作成した次第であります。
その内容につきまして、便宜、委員長から御説明申し上げます。
本案は、昭和六十年三月末日をもって期限切れとなっている漁業協同組合合併助成法に基づく合併及び事業経営計画の認定制度の適用期間を、この法律の施行の日から、昭和六十八年三月三十一日まで復活延長することとし、この合併及び事業経営計画の認定を受けて合併する漁業協同組合に対し、従前と同様、法人税、登録免許税、事業税等の軽減措置並びに漁業権行使規則の変更または廃止についての特例措置を講じようとするものであります。
以上がその内容でありますが、その詳細につきましては、お手元に配付してあります案文により御承知願いたいと存じます。
─────────────
漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/239
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240・菊池福治郎
○菊池委員長 この際、本件について、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があればお述べ願いたいと存じます。佐藤農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/240
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241・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 本法律案につきましては、政府としては、やむを得ないものと考えます。御可決された暁には、その趣旨を体し、その適切な運用に努めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/241
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242・菊池福治郎
○菊池委員長 お諮りいたします。
お手元に配付いたしてあります漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/242
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243・菊池福治郎
○菊池委員長 起立総員。ょって、本案は委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。
なお、ただいま決定いたしました本案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/243
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244・菊池福治郎
○菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/244
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245・菊池福治郎
○菊池委員長 引き続き、農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/245
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246・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 大臣、連日牛肉の自由化問題について大変深刻なこととして報道されておりますけれども、私が考えますに、自由化しないと交渉のテーブルに着かないというアメリカ側の言い方というのは大変身勝手でないかと思うのです。同時に、米国内での消費も、牛肉を見た場合、一九七八年、今から十年前ですか、一人当たり約五十五キロありました。ところが、昨年なんかはもう四十七キロに減っているのですね。国内で減った分をアメリカは日本に買えだとか、あるいはうちのものは安いんだから買って当たり前だ、こういう態度は許されないと私は思うのですけれども、大臣はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/246
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247・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 鈴木委員おっしゃいますように、今交渉のテーブルに着くか着かぬか、テーブルづくりができるかどうか、ぎりぎりの時期が迫っておるわけでございます。友好国としてその今日までの歴史的経緯を阻害しないように、平和的に話し合いができるように、一日も早くテーブルづくりができるように念願をいたしておるわけでございますが、いろいろな報道が出てまいります。いろいろなことをアメリカでも言っておられるようでありますが、ここはこらえて冷静に対応いたしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/247
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248・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 大臣、アメリカの身勝手な態度、自由化を明示しないと交渉に着かないというこのことについてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/248
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249・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 例えば、ガット擁護を持ち出しまして、テーブルに着かないまま代償措置云々という言葉が出てきたり、かつては報復という言葉が出てきたり、平和裏に話し合いを進めようとする我々の姿勢を阻害するようなことが真意であるとするならば、甚だ遺憾である、私は先般も、不愉快なことである、こう申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/249
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250・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 けさの報道を聞きますと、リン農務長官とヤイター通商代表は記者会見で、詳細については私も聞いておりませんけれども、何か、自由化を明示しない場合はガットに提訴する、こういうデモンストレーションといいますか、記者会見があったように聞きます。しからば、提訴するならばどうぞ提訴してくださいよ、堂々とガットの場で議論すべきでないか、こう私は考えているのです。ですから、一部には農林水産大臣が訪米して決着をつけるべきだというやの声もありますけれども、頭を下げにわざわざアメリカまで行くことない、牛肉を買ってくれというならば向こうから来いというのが私の考えなんですけれども、大臣は訪米をする気があるのかないのか、ちょっとお聞きしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/250
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251・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 私は、この問題の責任者といたしまして、訪米をすることはやぶさかではありませんが、本問題のこれまでの経緯をも踏まえ、現在、期限切れがぎりぎりに差し迫った状況の推移を見守っておるところでございます。いずれにしても、必要な場合にはきちんと決断をする所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/251
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252・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 その必要な場合の決断というのは、大臣、もう一つ突っ込んで僕は伺いたいのですけれども、アメリカが提訴するというのですから、それは受けて立つのも一つの判断だと僕は思うのです。違いますか。ですから、頭を下げて、ここで、さあ交渉しましょう、さあ何とか妥協しましょうという次元でないと僕は思うのです。そんなことをやっていると、農民は、何だ自民党は腰が弱い、政府は何をやっているんだ、こうなってくるのですよ。しかも、こういうときに限って、お政治家と称する余り役に立たない、力もない政治家あたりが物を言う、名前は言わない、政党の名前も言わないけれども。責任政党が、自由民主党だって、政府・与党一体とするならば、もっと毅然たる態度をとるべきだと思うのです。その点、大臣どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/252
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253・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 生々しい御質問でございますが、私といたしましては、ぎりぎりの段階を目前に控えておるときに冷静にも冷静、そしてその上で決断をする、その意気盛んである、さよう御承知おきをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/253
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254・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 農政通の大臣でありますから、そこいら辺は大臣を信頼しますけれども、どうか大臣、とにかく農民の側に立って、農民は見殺しにすることはできない。日本には日本の歴史や文化や伝統があるんだということをきちっと筋だけは通してもらいたい、こう私は思います。
ところで、ひとつ外務省にお聞きしますけれども、この自由化の交渉を見ておりますと、ややもすると外務省は、米国は友好国だ、最高のパートナーだから何とかここらはうまく妥協して仲よくやってもらいたい、こういうような動きがあるやに聞きますけれども、外務省はその点の姿勢はどうなのか、明確にここでお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/254
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255・内田勝久
○内田(勝)政府委員 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、米国は我が国の第一の友好国でございますが、事この牛肉、かんきつの問題につきましては、政府といたしましては、米側に正式の話し合いのテーブルに着くよう繰り返し申し入れているところでございまして、これに対して、先生御案内のとおり、米側としては、我が方からの自由化の時期の明示がされない限り交渉に応じ得ないとして、これも先生御指摘のとおり、ガット提訴の話を出してきているという次第でございますが、外務省といたしましては、今後とも米国が交渉のテーブルに着くよう重ねて最大の努力を払いたいと考えておりまして、一刻も早く二国間による円満な解決が図られるよう努力したいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/255
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256・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 外務省、もう一度言いますけれども、外務省はここで言う答弁と実際やっておる答弁、私なんかも昨年の十一月アメリカに行って、いわゆる大使館の人の動きなんか見ておっても、何かしっくりいかぬことが感じられるのですよ。ですから、あえて言っておきますけれども、国益を守るんだ、今度の自由化の問題の場合は、国益というのは農家を守るんだということで、きちっと対応してもらいたい、こう思います。その点もう一回外務省に答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/256
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257・内田勝久
○内田(勝)政府委員 外務省といたしましては、農水省とも緊密な連絡をとりつつ、日本国の国益を守るために最大限の努力を払いたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/257
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258・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 あと、きょう僕はニュースを見てちょっとおかしいなと思ったのは、あの松永大使がアメリカのべリティ商務長官に会いに行くとき、にこにこ笑って手なんか振って建物に入っていったな。そんな生易しい例の公共事業参入問題でもないと思うよ。そういった面、もう少し、さも一生懸命やっているんだとポーズをとってもいいぐらいなのに、にこにこ笑って行くこと自身が、そういう外務省の姿勢が僕にとってはけしからぬ。そういう点、きょうは内田次長によく言っておきますけれども、ちゃんと官房長なり事務次官を通じて松永大使に、もっとしっかりと日本男児らしく交渉に当たれということは、これは注意しておきます。
時間がないものですから、六十三年度の生産者保証乳価の質問にここらで移らせてもらいますけれども、三月一日の当委員会でも、ことしの保証乳価は据え置くのが適正な価格でないか、私はこういう質問をしましたけれども、大臣の考えておられる適正というのはどういった価格でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/258
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259・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 六十三年度の加工原料乳の保証価格につきましては、明日二十四日に予定されておる畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決定することとしておりまして、現段階において具体的な水準について申し述べるのは差し控えさせていただきたいと思っております。いずれにしても、六十三年度の加工原料乳の保証価格につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づき、生乳の生産条件や需給事情、酪農経営の状況等各種の要素を総合的に考慮しつつ、かつ二月に策定した酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針で示した酪農振興の方向等にも配慮しながら、畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決定してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/259
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260・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 大臣、それは今のは大臣の答弁としたら結構ですけれども、政治家佐藤隆として政治家の側に立って考えた場合、ことしの乳価は引き下げるべきか、さらには据え置くべきか、政治家佐藤隆としての考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/260
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261・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 政治家佐藤と農林水産大臣と使い分けをするほど私も器用ではございません。しかし、おっしゃる意味はよくわかります。私は、責任者といたしましてあす答えを出してもらおうという前日のきょうでございますので差し控えさせていただきたいと申し上げておるのは、こうしたことに裏も表も中身も御存じの鈴木理事は理解をしてくださるものと推察をいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/261
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262・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 大臣に重ねてお願いしておきますけれども、今農家はこう思っているのですよ。もう農林水産省の言うとおりやってきた、国の言うとおり、指導のとおりしてきた、そして今自由化の問題これありだ、このままで果たして将来どうなるのか、そういう不安感でいっぱいなのです。ですから私が大臣にお願いしたいのは、しかも農政通の、中川一郎先生以来のすごい、すばらしい大臣だと私は思いますので、どうか農民が、政治があったな、政治家がいたな、しかも佐藤大臣はよくやってくれたな、こう言われる結論を出してもらいたいと思いますけれども、大臣の決意をいま一度お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/262
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263・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておることを繰り返そうとは思いませんが、ただいまの御意見、胸に秘めておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/263
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264・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 保証価格の方も大事でありますけれども、大臣、今農家が困っておりますのは長期の負債であります。この負債対策についてまた取り組んでもらいたい、私はこう思っているのです。あれは昭和五十六年から六十年まで五百九十億かけて五カ年で負債対策をやりました。ここで相当立ち上がった農家もあります。さらに六十年から六十二年までは畜産の負債対策もやってもらいました。これは三百四十億ぐらいだったかと思いますけれども、今度大臣、ことしの保証乳価の価格決定の際には新たな負債対策もやる、しかもその負債対策は千億以上ぐらいの規模で取り組むというぐらいの思い切った施策を講じてもらいたいと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/264
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265・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 個々の経営者それぞれにいろいろな場合が想定をされます。しかし、その中に負債で苦しんでおられる経営者がおられることは事実でございます。そういう中にあって、金融措置について数字的に申し上げられる状況にはございませんけれども、そうした方々を救う手だては何か、今までより増してひとつ細かい配慮をしなければならない。一括指導で薄く広くという意見もあろうかと思いますが、個別指導で、特におっしゃるような金融措置については個別指導で温かい手を差し伸べる、これは絶対にやらねばならぬと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/265
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266・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 価格の問題、負債対策の問題、あともう一つ大事なのは限度数量の問題であります。二百十万トンの枠はあるわけです、これは予算で上げているわけですから。しかし、もっとふやしてもらいたい、そういう状況をつくってほしい、これも大きな声としてあるのです。この限度数量の枠拡大についてのお考えも尋ねておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/266
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267・濱田幸一郎
○濱田説明員 六十三年度の加工原料乳の限度数量につきましては、いわゆる暫定措置法に基づきまして生産者補給金を交付しても確保すべき加工原料乳の最高限度という考え方を基本といたしまして、生乳の生産事情、飲用牛乳及び乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮して畜産振興審議会の意見を聞いて適正に決定してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/267
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268・鈴木宗男
○鈴木(宗)委員 時間ですからこれで終わりますけれども、とにかく大臣、保証価格、現状維持、これを目標に頑張ってもらいたいし、限度数量も二百十万トンは最低でも十万トンぐらいはふやしてもらいたい、そして負債対策も千億以上の規模でやる、こういう方針でことしの乳価は決定してもらいたい、このことをお願いして私の質問は終えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/268
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269・菊池福治郎
○菊池委員長 柳沢伯夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/269
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270・柳沢伯夫
○柳沢委員 大臣、ただいまの質問にもございましたように、現下の広く国民、なかんずく農家、農民の最大の関心事項というのは牛肉、かんきつの貿易交渉にあると言って過言でないと私は思うわけであります。
私の地元にも肉牛の肥育農家はたくさんございまして、そういうところを回りましても、実は大変動揺しておる。交渉の成り行きを心配しつつも、マスコミの報道等を見まして、一部にもう子牛を飼うのをやめようか、控えようかというような、私なんかちょっと先走り過ぎるのではないかというようなことも言うのですけれども、そのくらいの心配した態度が見受けられる、こういう状況です。農林水産大臣もこの問題については本当に御苦労されておりまして、その点本当に多とするわけでありますけれども、私ども一連のこの農産物の貿易交渉を見ておりまして、少し考えないといけないのじゃないかというところを感ずるわけであります。
それはどういうことかと申しますと、外交交渉ですからいろいろな面があるわけですけれども、やはり相手方交渉当事国の意図というものを向こうがどう酌み取るか、こういうことは非常に大きな要素だと思うのです。現在の状況を見ておりますと、アメリカの意図については、だれもかれもが、帰ってきては、アメリカは大変固いぞ固いぞ、こう言うわけですね。他方、日本側のこの問題に対する態度については、どうもマスコミの報道あるいは先ほど来取り上げられておるような一部閣僚クラスの与党の政治家の発言等々に見るように、何かこちら側の意図が一枚岩でぴしゃっと伝わってない、私はこういう感じが大変するわけであります。
そういうことを考えますと、実は今回の十二品目から牛肉、オレンジの問題、この一連の貿易交渉にかけて、この前、とにかくアメリカ側はガットの裁定を牛肉、オレンジ問題が始まる前に出させて牛肉、オレンジ問題に備えた、そういう側面があっただろうと、これは確認はできませんが、我々はそう思っている。日本側はそれを、十二品目の裁定を受けました。それで二品目につきましては、ガットのそういう裁定があるにもかかわらず我々は断固自由化をしない、こういう態度をとっていただいた。私は、これは例の乳製品それからでん粉、この二品目についてまさしく自由化のできない理由があったと思うのですが、それと同時に、これは明らかに牛肉、オレンジの問題に対する前哨戦の意味もあった、こういうような位置づけをしておったんですよ。そのくらい我々は十二品目、それから牛肉、オレンジ、さらには将来問題にされることを予想される米の問題、こういう一連の流れの中で、日本の国も、できないことはできないのだ、ハードコアということについてはこれは譲るわけにいかないのだ、こういうことをきちっといわばサインの形で相手方に知らしめた。これが前回の十二品目交渉における二品目の扱いではなかったか、私はこういうように思うのですね。
そういう意味合いで見ておりますと、きょうは畜産の問題ですから牛肉だけに限ってみますと、牛肉についてのハードコア性、我が国日本の農業のこれからの展開に当たって、これは本当の戦略的な部門であるというようなことが何がゆえに相手にぴしっと印象づけ得ていないのか、大変私は不満に思っているのですね。そういう意味合いで、私はここで大臣に、先般の乳製品あるいはでん粉、そういうものに比べて牛肉あるいは牛肉生産というものが我が国農業にとって本当にハードコアの部分であるのだということを明言していただきたい、そのように思うのです。そういうことを繰り返すことによって相手方にはっきりした我我の国の意思というものを知らしめなければならない、そういうことを私は考えるわけであります。大臣の御所見を伺います。
〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/270
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271・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 今おっしゃいますように、牛肉、かんきつと、牛肉だけでもいいですが、とにかく乳製品、ガットの場で議論されたそのことと目方にかけて、どっちが大きい、どっちが小さい、軽い重いを私は言いたくはございません。私が申し上げたいことは、乳製品並びにでん粉については、ガットの総会あるいはガットの理事会、この一連の経緯の中で友好国として円満裏に理解をしていただいておるものと私は解釈をいたしております。当初より、この二つは自由化は困難であるという主張を繰り返してまいりました。
牛肉、かんきつにつきましても、円満裏に話し合いを進めるためにまずはテーブルに着いてということで、そのテーブルづくりを一生懸命進めてきておるけれども、いまだにでき上がっていない。こういう中にあってテーブルづくりができますれば、我が国の現状を説明し、理解を得、そして円満裏に解決したいものだ、こういう願望を強く持っておるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/271
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272・柳沢伯夫
○柳沢委員 私が申し上げたいのは、牛肉生産のハードコア性というものについて断固たる明言をしていただきたい、こういうことを申し上げたわけであります。しかし大臣、事大臣の御発言については微動だもしてないということは我々も承知しておりますから、それはそれで結構でございまして、先に進めさせていただきます。
それで、肉牛の生産、そういうことで自由化を我々は断固拒否したい、こういうように思うのでありますけれども、自由化の拒否が仮にできたといたしましても、国際的に内外価格比を現在のままでほっておいていい、こういうようには我々当然思っていないわけでございます。そういう意味で、肉牛のコストというようなものを考えて、農林省からも資料をいろいろいただいて勉強するわけでありますけれども、少なくとも現状においては、素牛の価格がコスト全体に対して大変大きなウエートを占めておる。一方、素牛については非常に数が少ない。特に和牛は数が少ないというようなことが事実としてございまして、こういう数が少ない、需給関係が非常に緊張するというような中では、素牛の繁殖経営農家なんかも余りコストパフォーマンスを改善しようというようなインセンティブも働かないのではないか、こんなふうに思うのですね。
そこで、私はこの関連で三つばかり申し上げたいのですが、一つは日本のバイオテクノロジー、これは御承知のとおり人工受精卵を移植するという技術が当面一番関心があるわけでございますけれども、これもまだ試験場の段階で、農家に行き渡るというような技術には到底なっていないわけですね。これはもう本当に農林省なんかもいつまでも試験場やなんかに任せているのではなくて、もっと国家的に集中的に、人的な、あるいは技術的な、あるいは資金的な、そういう資源を総動員して一定の期間にこれを断固実現するんだ、そしてこれを一般農家にも普及するんだというようなことがあってしかるべきではないか、こういうように思うのであります。これは、第二次産業で普通の一般の品物をつくっているところの技術部門なんというのは必ずそういうことをやっているんですよ。それをぜひやってもらいたい。
それからもう一つ、しかし、そうはいってもなかなかこの一年やそこらでそのことができるとも思わない。我々の地域では、実はこの間も素牛が少ないというので韓国の牛を輸入してきたんですよ。これは農協の職員が行きまして、向こうである程度回りまして、それで買い付けをするわけでございます。これはなかなかいい牛で、品質的にも和牛と同じような評価を市場で受けたということがある。子供のうちに、そんなことを言っちゃ申しわけないのですが、粗食というか粗飼料ばかり食べておるものですから、胃も十分大きくなって骨格は立派だ。そういうようなことで輸入してきて、濃厚飼料やなんかを与えるとすごい増体率を示す、こういうようなこともありまして韓国牛に対する需要が強いのですが、大臣御承知のとおり、動物検疫でなかなかこれがうまく事が運ばないという事情があるわけであります。行革その他私としてもいろいろ事情を承知しておりますけれども、先ほど言ったバイオテクノロジーで人工受精卵を移植するということが実現する間の措置として、韓国の牛を出張検疫でもして何とか円滑に輸入するということを考えていただけないだろうか、こういうように思うのです。韓国と日本の間は貿易もインバランスがすごいですから、少なくとも韓国はこういうことに対しては理解を示すのではないかと私は思うわけでありまして、この点、二つ目としてお伺いをいたします。
それから三つ目は、和牛の問題にもう一回返るのですけれども、和牛の生産農家の話を聞いてみますと、やはり和牛は当たり外れが多いな、こういうことを言うのですね。確かに遺伝的あるいは本質的にはいい牛なんでしょうけれども、まだまだ当たり外れが多い、中級品になってしまうものもある、こういうことですね。この点も、もっと品質を斉一性にするためにぜひ農林省は政策的な手だてを講じてもらいたい、私はこういうように思うのです。
以上三点、御答弁をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/272
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273・濱田幸一郎
○濱田説明員 御説明を申し上げます。
素牛の価格が畜産肥育牛の経営に非常に大きなウエートを占めておる、その価格をいかにして下げるかというのが極めて重大な課題である、全く先生御指摘のとおりでございます。私どももいろいろな方策を考えているわけでございますが、技術面におきましては、例えば受精卵移植等のいろいろな新技術があるわけでございまして、そういう技術を通じまして家畜の改良増殖を図り、素畜の増産及び低コストの生産に資していこうということで、予算措置も講じながら努力をしているところでございます。
若干くだいて申し上げますと、国の畜産試験場、畜産局が所管しております種畜牧場におきまして基礎技術の開発をしております。さらに、技術普及のための実用化技術の開発も行っております。それから、技術そのもののほかに必要な器具器材の開発等もこういう機関で行ってきております。さようなわけで、受精卵移植技術について申し上げますと、実施状況は、昭和六十年で実施機関は百二十六カ所に及んでまいっております。本技術によります産子、子供の数が今や約千四百頭ということになっておりまして、着実に進展をしております。
そのほかに、これに関連いたします新技術といたしまして、例えば凍結受精卵移植技術とか双子生産技術につきましても今日実用化の段階に入ったことになっておりまして、さらに、卵分割技術あるいは体外受精技術を利用した子牛生産等も実験面では成功したというようなことで、さまざまな面で進展を見せておる段階でございます。私ども今後とも、畜産局所管の種畜牧場はもちろんのこと、国あるいは都道府県、民間の試験研究機関等が一体となりまして、こういう新技術の開発、普及に努めまして、子牛の低コスト生産の増産に資していこう、こういうふうに考えておる次第でございます。
それから第二点の韓国牛の問題でございますが、素牛の価格が国内で上がっていること、それとまた円高等が相まちまして、素牛の外国からの導入がかなりふえておりますが、韓国からも、御案内のとおり特にここ一、二年急激にふえてまいっております。ただ、これも先生御指摘のように動物検疫の施設のネックがありますのが実態でございまして、私ども厳しい行財政の中で施設の整備あるいは定員の確保、各方面の御協力を得ながら努力をしているという段階でございます。
具体的に御提案のございましたいわゆる出張検疫の点でございますが、私どももそういうことを検討しないわけではございませんけれども、家畜衛生につきましては、家畜の伝染病につきまして潜伏期間等の技術的な問題がございまして、輸出国で行いました検査成績は、仮にその輸出国検査が我が国の検疫機関が出張して行ったものということでありましても、輸入検疫にそのまま適用できるというような科学的な根拠がないわけでございます。したがいまして、改めて我が国で係留期間を設けまして、輸入国における十分な検査をしなければならないというのが実態でございます。これは我が国のみならず、いわゆる二重検疫制ということで世界各国でとられているシステムでございます。現に、韓国を含めまして外国で検疫をされて我が国の国内の輸入検疫におきまして病気が発見されたということもございまして、家畜防疫は注意に注意を重ねなければならぬということでございますので、現段階では、せっかくの御提案でございますけれども、なかなか難しかろうというふうに考えておる次第でございます。
それから第三点の家畜の整合性でございますが、これはまさにおっしゃるとおり、例えば和牛につきましても、規模の拡大を進めていくに当たりましては、斉一性の高い牛群を確保するということが極めて重要になってくるわけでございます。このため、先般、二月に七十年度を目標といたします肉用牛の家畜改良増殖目標を設定したわけでございますけれども、その中におきましても、斉一性の向上というのを重要な柱の一つとして掲げておるところでございます。今後とも、優良で産子のばらつきの小さい種雄牛の作出と雌牛群の整備を中心とした改良対策を強力に推進しまして、和牛に限らず各品種とも斉一性の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/273
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274・柳沢伯夫
○柳沢委員 最後に一問だけお願い申し上げます。
韓国牛の問題は、事情よくわかりました。しかし、実際の生産農家というのは現実には今ちょっと割当みたいになっていまして、大変何というか鶴首してその割当を待つというような状況でございますので、なるべく円滑に事を運ぶように努めていただきたい、こういうように思う次第でございます。
最後に、酪農関係で一問だけちょっと申し上げておきたいんです。実は、乳牛の生涯乳量というんですか、そういうものも大変向上してきまして、今はもう私のところでは乳牛を飼う頭数が少なくなったものですから、子がとれなくて肥育農家は困るよというくらいむしろ頭数が少なくなっているというような状況が見られるわけであります。そのくらいたくさん乳を出す牛をどんどん生産をしておる、こういう状況ですね。しかしまた反面、余り近親交配をやるものですから、少し体質的に問題になるというような状況も出ております。
私の地域の非常な篤農家でございますけれども、いろいろ統計を見ておったら、イスラエルの牛が大変生涯乳量が多い、八千キロリットルも一頭で出すんだというような統計を見出しまして、イスラエルの牛が輸入できないかな、そうしたら交配すればいい牛ができるのじゃないかということを言っております。統計の見方もまだ私自身も確認してなくて質問するようで大変恐縮なんですけれども、そろそろそういったことに配慮する段階に来ているという意味で、私はこの話題をここで提供させていただくわけであります。この考え方、少し近親交配が過ぎておるから、他種の牛の導入を考えるというようなことについてどんなお考えを持っているか、これを最後にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/274
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275・濱田幸一郎
○濱田説明員 近親交配の程度が高まりますと、乳量、発育あるいは繁殖能力等の面におきまして能力が低下するということは、先生御指摘のとおりでございます。このために、我が国におきましては、近親交配とならないように、血統を踏まえました計画的な交配というのを現在では行っておるわけでございます。
それから、海外からの優良な遺伝資源につきましては、我々もそれは考えておるわけでございますが、今例示で挙げられましたイスラエルにつきましては、確かに統計上見ますと非常に高い乳量を示しております、検定を受けたものが。そういう事実はございます。ただ、このイスラエルの乳牛は、もともとアメリカ、カナダから輸入されたものでございます。もう一つ、イスラエル自体に口蹄疫の問題があるわけでございます。そのイスラエルのもとの国であります北米に優良な母集団がたくさんあるわけでございますので、さらに加えまして我が国のホルスタインが北米系のホルスタインであるというようなことから、現在は米国、カナダから導入をしておる、こういう実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/275
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276・柳沢伯夫
○柳沢委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/276
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277・笹山登生
○笹山委員長代理 安井吉典君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/277
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278・安井吉典
○安井委員 まず大臣に伺いますけれども、眞木経済局長が行って帰ってきてのいろいろな情報が入ってきているようです。オレンジ、牛肉ですが、新聞によれば最終決着は四月にずれ込む、あるいは自由化がおくれた場合には代償措置の要求をするかもしれないというような言い方をアメリカがしたと伝えられておりますが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/278
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279・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 私自身はそれをまだ確認はいたしておりません。けさほどの情報等もいろいろあるようでございますが、今おっしゃるように、代償であるとかガットに持ち込むという話は以前より流れておった話であると理解いたしております。しかし、けさほどの報道またテレビニュース等を見ますと、また新しい局面というかさらにアクセントをつけているように思いますけれども、私がそういう一部の報道によって、それをもとにして答弁するのはいかがなものか、今日までの経緯を考えますと、そういうことでの答弁は差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/279
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280・安井吉典
○安井委員 アメリカが自由化するぞ、自由化するぞと言っているのは、牛肉とオレンジ両方なのですか、それとも牛肉だけなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/280
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281・眞木秀郎
○眞木政府委員 アメリカ側が我々に要求しておりますのは、牛肉、フレッシュオレンジ、オレンジジュース、その三つでございます。これはこれまで四年の間、両国間の合意により一定の枠の中で輸入が行われてきたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/281
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282・安井吉典
○安井委員 時間がないから内容に入ったお尋ねができないのは残念でありますけれども、きのうの夜政府と自民党の、農林族と新聞に書いてありましたが、それから全中の堀内会長との三者協議が行われて、自由化にはもちろん反対はするけれども、米側に再考を求めるとかそういうふうな決定があるとの報道もありますし、それからまた、安倍自民党幹事長の方は決断のときというふうに言っている。竹下首相の方はまだ慎重な態度だというような報道についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/282
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283・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 昨晩、今安井委員の言われるとおりの表現にすれば農林族、私も農林族の一人でございまして、いろいろな局面を迎えるたびに関係者と懇談する、意見の交換をするということは常日ごろのことであると心得ております。なお、安倍幹事長が決断のときだと言った、これも報道で承知しております。あるいは総理に農林大臣の派米を要請したということもこの間、何日か前でありますけれども報道で承知しております。いずれにしても、どなたがどのように言われようとも、またどなたがどのように交渉されようとも、我が農林水産省が責任を持って対応しなければならぬことには変わりがないのでございますので、さような考え方でおる次第でございます。今、安倍幹事長からどう言われたとか、総理からどう言われたとかということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/283
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284・安井吉典
○安井委員 今の日本の農政は霞が関の農林省の役所の中でスタートするのか、それとも官邸なのか平河町の自民党本部なのか、みんな迷っているのですよ。歴史ある伝統の中に立つ農林水産省ですから、農林水産大臣がしっかりイニシアチブを持って、あなたは繰り返し繰り返し自由化反対を唱えている唯一の人なのですから、そういう意味合いでもっとはっきりイニシアをおとりになったらどうなのですか。そして、絶対自由化をしないという方向へのリーダーシップをおとりください。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/284
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285・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 安井委員が見ておられる限りにおいて私の主体性がないのではないか、こういうような御主張かもしれませんが、見える部分もあるし、見えない部分もあると思います。私は私なりに最善を尽くしつつある、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/285
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286・安井吉典
○安井委員 時間だそうでありますからお帰りになってからにいたしますけれども、私は、さっきもお話がありましたけれども、十二品目でああいう態度をおとりになってこれで牛肉、オレンジということになれば、あとは最後の国家貿易品目の米に行き着かざるを得ない、そういう重大な危機に今立っている、こういうことだと思うのですよ。その決意をそのままやってほしいし、自民党の方も、先ほど来の御質問を聞いていると、かなり強い言い方で自由化反対ということを言っておられるようでありますから歩調を合わせてほしいが、ただ自民党の方は本当かなという心配もあるのですよ。どうですか。本気なのですか。――それなら、きょうこれから我々も提案いたしますけれども、オレンジ、牛肉の自由化反対の決議案を、自民党も賛成して通してください。それは政府側の責任もあるでしょうけれども、国会は国会の立場で政府の手を縛るぐらいの、そういう重大な決意で臨まない限りは問題は解決しませんよ。これは、委員長の方に決議の方の問題は御処理を願っておきます。大臣、結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/286
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287・笹山登生
○笹山委員長代理 ただいま安井委員御提案の件につきましては、後日理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/287
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288・安井吉典
○安井委員 かつて、ガットの十二品目の決議は何とかかんとか満場一致でこの委員会で決めていただきました。しかし、本会議で決めようというと、自民党の本部はこれを絶対に許さないということで抵抗された。今度は牛肉、オレンジですから、問題はもっとコンパクトになっているわけですから、この委員会で野党全部がそうするという決意の中にあるわけですから、自民党が賛成してくれればこれで国会の意思というのははっきりするわけです。そういう意味合いであと一つ、これにあれだけ大きな言い方を、絶対反対だということを強くおっしゃっている以上は当然決議を成立させることに御努力いただけるものだと思うのですけれども、その辺重ねて後での理事会の御相談に要望しておきたいと思います。
きょうは限られた時間の中の質問でございますが、この間私は仲間の議員の皆さんと北海道の調査に行ってまいりました。したがいまして、それが非常に強烈に頭に残っているという立場で乳価の問題等について若干伺っていきたいと思います。さっきもお触れになったわけでありますけれども、加工原料乳の限度数量の問題から始めたいと思います。
昨年からことしにかけて飲用乳向けが増加して、乳製品向けの処理量が減少したという事実があります。このため、乳製品の在庫が非常に減っているわけです。適正在庫を大幅に下回るというふうな状況だと言われておりますが、現在の一番新しい在庫状況はどうなっているか、いわゆる適正在庫に対してどんな状況なのか、まずこれから伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/288
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289・濱田幸一郎
○濱田説明員 乳製品の在庫量でございますが、バター、脱脂粉乳につきまして申し上げますと、六十三年一月末の数字でございますが、バターが一万三千トン、これはほぼ二カ月分に相当いたします。脱脂粉乳が二万四千トンでほぼ一・七カ月分に相当する、こういう実態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/289
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290・安井吉典
○安井委員 そういたしますと、特に脱脂粉乳は適正在庫というところよりもずっと落ち込んでいるというふうに言わざるを得ないわけであります。
乳製品価格が安定指標価格に比べて四%以上高くなれば、法律上事業団の在庫を放出したり、緊急輸入で相場冷やしをしなければならないということになるわけでありますけれども、この点はどういうふうに御判断されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/290
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291・濱田幸一郎
○濱田説明員 まず、その適正在庫量の概念について申し上げておきたいわけでありますが、適正な在庫水準という考え方につきましては、生産、消費の動向、製品の流通上必要とされるメーカー等の在庫水準あるいは生産、消費の季節変動、こういうような要素を総合的に勘案いたしまして、消費者への安定的供給を確保するという観点から各時点において判断さるべきものというふうに思っておりますが、従来から一応の目安としては、前年度の消費量の一・五から二カ月程度分というふうに考えているわけでございます。しかし、これもあくまでも需給の動向に対処して、消費者への安定的供給を確保するために、安全を見込んだ上で平時において蓄えておくことが望ましいと考えられる水準でございまして、一時的に在庫がこの水準を下回ったからと申しまして、直ちに当該乳製品の供給に支障が生ずるというような性格のものではないというふうに考えております。
なお、乳業メーカーの側におきましては、従来から、営業活動を円滑に行うために、製品の流通、回転上必要と考えられます在庫水準という観点から、一・五カ月程度が適正であるというふうに言われているところでございます。
それから、六十三年度末の在庫水準でございますが、これは現段階ではまだ見通しが難しいわけでございますが、特段脱粉の供給に支障が生ずるというふうには考えておりません。それから、安指比との関係につきましては、現在発動の状況に直ちにはないというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/291
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292・安井吉典
○安井委員 この間も北海道で乳製品のメーカーの工場を見てまいりましたけれども、脱粉にしても、事業団の在庫といったって事業団のどこか、東京に倉庫があってそれに詰まっているわけじゃないわけですよ。結局各メーカーのところにあるのを集計したら在庫だ、こういうことでしかないわけですよ。これはいつの時代もここでいろいろ議論をして、そういうことなのかと言わざるを得ないわけです。だからメーカーの報告なんですよ、早い話。農林水産省が全部きちっと一々お調べになったわけじゃないでしょう。こういう状況でたとえ放出しろと言ったってできるわけがないのですよ。在庫が足りないから放出しろと言ったってできるわけがありません。緊急輸入が必要だと言ったって、ECは減産しているし、豪州やアメリカだってそう余力があるわけはないわけであります。ですから私は、この際加工原料乳の限度数量を上げてこの問題を解決せざるを得ないと思うのですね。それしか道はないのじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/292
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293・濱田幸一郎
○濱田説明員 六十三年度の加工原料乳の限度数量をどうするかということでございますが、六十三年度の限度数量につきましては、不足払い法、暫定措置法に基づきまして生産者交付金の交付をしても確保すべき加工原料乳の最高限度ということで、生産事情なり飲用牛乳、乳製品の需給事情その他の経済事情を考慮いたしまして、審議会の御意見を賜って適切に決定をしてまいるということでございまして、本日この席で私どもが予断をもって申し上げるような時点にはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/293
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294・安井吉典
○安井委員 ずっと調べてみますと、牛乳生産計画の中に特定乳製品需要量というのが計上されているわけです。ずっと今までの傾向から見ますと、その需要量が大体限度数量と等しくなっているというふうな事態があります。ですから、今度の需要量の見通しは二百三十万トンですから、今の二百十万トンから二十万トンぐらい上げたって、従来からのバランスからいって大丈夫なんじゃないか。さっき十万トンというお話もありましたけれども、私は数字は言いませんけれども、そういう推理で物を言う人もいるのですが、どうなんですか。ふやすような方向で検討されているのかどうか、その点伺います。
〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/294
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295・濱田幸一郎
○濱田説明員 ただいま各種のデータを慎重に精査をして作業しているということでございまして、この席でその方向性につきまして申し上げる立場にないわけでございます。甚だ残念ながら、ふやす方向で検討しているということにつきましてお答えを申し上げる立場でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/295
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296・安井吉典
○安井委員 これは去年もおととしも下げられたような格好できているわけです。それだけ酪農民は努力をしているわけですから、三年目のことしは限度数量の引き上げというような格好でその努力に報いる、そういうことをひとつお願いしておきたいと思います。これは今のところはそれ以上やりとりしても前へ進まないと思いますから、最後は酪農民のそういう努力にこたえなさいということにして、次の保証価格の問題に移ります。
現在の酪農状況は、この間もよく見てまいりましたけれども、自由化の問題もあって極めて不安の極にあるというふうなことでありますが、そういう状況にある酪農経営の安定と展望ということを、先行き非常に心配しているわけです。そういうものに配慮した価格決定ということでなければならぬと私は思います。八・何%も生産費が落ちているから、もうそれだけで押し切ってしまうというふうな姿勢では私は困ると思うのですよ。ことしこそ酪農民の経営の実態に配慮というその言葉が痛切に言い得る年はないと思うわけです。北海道の牛乳の状況も、経営規模は拡大して一頭当たりの搾乳量もふえています。粗収益は大体前年並みなんですけれども、今申し上げましたように、生産費は生産資材が下がったとかいうようなことで下がっていることは間違いありません。しかし、私が今申し上げましたようなそういう方向で価格の諮問をやるべきではないかと思うのであります。あすいよいよ酪農部会ですが、どのような諮問をなさるおつもりか、お答えできる限りお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/296
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297・濱田幸一郎
○濱田説明員 六十三年度の加工原料乳の保証価格につきましては、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきまして、生乳の生産条件や需給事情、酪農経営の状況等各種の要素を総合的に考慮しつつ、また二月に策定いたしました新しい「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」で示されております酪農振興の方向等にも配慮しながら審議会の御意見を賜りたく諮問いたしたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/297
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298・安井吉典
○安井委員 特にこの際、乳製品の安定指標価格だとか基準取引価格の問題もあわせて触れたいと思うのですが、需要の拡大が図られるような適正な設定が必要だと思います。昨年の場合は、保証価格を十円近く下げて乳業メーカーのコストダウンにメリットを与えた、これが去年の状況ではなかったかと思います。今度の乳価決定というのは、メーカーと生産者との間の乳価の配分も同時に行われる形になるわけです。去年の場合はそういう作業もあって、乳業メーカーの経常利益が非常に好転しているわけです。ここに私の調べてきた数字がありますけれども、もうおわかりのように、売り上げに対しまして三・四%もアップしているということであります。この二つのメーカーは対する部分について去年はかなり大きな変動を与えたわけでありますけれども、ことしはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/298
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299・濱田幸一郎
○濱田説明員 安定指標価格と基準取引価格の問題にかかわるわけでございますが、この二つの価格につきましても不足払い法に基づきまして所定の要素を勘案しつつ、かつまた消費の安定に資することを旨として定めるわけでございますが、我我といたしましては、内外価格差の縮小や円高差益の消費者への還元といった点にも留意いたしまして審議会の御意見を伺いたいと考えておるわけでございます。特に六十三年度のこの二つの価格の決定に当たりましては、乳製品価格の内外価格差のできるだけの解消、それから昨年度、価格が引き下げられたわけでございまして、国内生乳価格、つまり原料乳価格の引き下げの消費者への還元、こういうようなファクターを十分に考慮して乳製品価格の安定に資し、国民の納得し得るような価格での消費拡大が図れるような方向で検討させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/299
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300・安井吉典
○安井委員 ここで伺っておきたいと思いますけれども、今度の価格決定で現在の当初予算で間に合わない場合も出てくると思うのですよ。例えば限度数量がふえる、価格は今のとおりなら当然補正予算を組まざるを得ない、こういうことになるわけです。しかし、この基準取引価格や指標価格をいじることによってそれを逃れることもできないわけではないわけであります。そういう意味も含めて、今度の価格決定で、予算があるからその予算の中でやるためには限度数量を上げたら単価を下げなければいけない、単価を上げたら限度数量を上げるわけにはいかない、そういういいかげんな考え方で問題を処理さるべきではないと思うのですよ。補正予算も恐れず、そういう決意で今度の価格決定に臨むべきだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/300
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301・濱田幸一郎
○濱田説明員 不足払いの予算の計上のいたし方といたしましては、これは通例でございますが、前年度の数量、単価を基準といたしまして前年度の予算額を計上しているということになっております。ただ私どもは、あくまでもその内容は審議会の答申をいただいた内容で実際上決定をするということになりますので、それはその答申の後の問題ということで処理をさせていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/301
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302・安井吉典
○安井委員 繰り返しまずけれども、何も予算の範囲内で決めなければいけないとか予算を余さなければいけないとかそういうようなこそくな考え方で臨むのではなしに、今日ある牛乳、酪農その他畜産農家、そういうような実態の中できちっと価格が決められるべきである、そういうことを特に強調しておきたいと思います。
次に、子牛の価格の問題なんですけれども、最近の子牛の価格は非常な値上がりを示しているのは御承知のとおりであります。これは去年からことしにかけて異常とも言うべき高騰ぶりで、例えばぬれ子が四万円くらいしたのが十四、五万円になっているという実態があります。しかし、この間の生産費調査を見ますと、これが副収入の大幅な増大になって、乳代のほかにこれだけ余計入るんだからということで、生産費を非常にダウンさせている大きな要素になっていることをあの統計の中で私どもは見ることができるわけであります。しかし、これは異常な状態なんです。今の上がり方を、副収入をそのまま計算の基礎の中に入れていくということになったらこれは大変なことになるわけで、やはり高いときもあれば物すごく安いときもあります。ですから、安定的な要素で算定をする、激変緩和とでもいいますか、そういうふうな配慮が必要だと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/302
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303・濱田幸一郎
○濱田説明員 乳用子牛価格につきましては、配合飼料価格の低下あるいは堅調な枝肉価格の推移を背景といたしまして、肥育経営農家の旺盛な素畜需要を受けて六十年末ころから高騰し始めまして、六十年度に入ってもその傾向は続いているというのは御指摘のとおりでございます。六十三年度の保証価格の算定に当たりましては、このような子牛価格の動向をも十分に考慮しつつ、先ほど来申し上げておりますようないろいろな要素を総合的に考慮して審議会の御意見を伺うことになるわけでございます。
激変緩和措置というふうに申されますが、例えば昨年度そういうような措置もあったわけでございますが、激変緩和措置というのは恒常的に許されるものじゃございませんので、六十三年度につきましては、ただいま申し上げましたような諸ファクターを十分に考慮して慎重に検討させていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/303
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304・安井吉典
○安井委員 次に、飼料の問題です。
ことしの生産費調査等で見ましても、流通飼料費は価格変動が非常に激しいというふうな状況のようであります。これについてもさっき子牛のことで申し上げたと同じように、もう少しこれが安定したような価格に計算し直して計上していくというふうなことでなければこれから次の発展に結びついていかないのではないかと思うわけであります。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/304
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305・濱田幸一郎
○濱田説明員 配合飼料価格が酪農の経営にとりましてはかなり大きなウエートを持っておるのは事実でございますが、その配合飼料価格は、飼料穀物の国際価格の低下、円高等によりまして、五十九年七月以降八回にわたりまして合計三一%引き下げられ、現在に至っておるわけでございます。かなりの低水準になっておるわけでございまして、私どもは価格算定の方式に従いましてこういうファクターを織り込んでいかざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/305
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306・安井吉典
○安井委員 私今までいろいろ挙げてきたのは、黙っておれば乳価を大きく引き下げる要素になる問題点をずっと挙げながら、それへの対応を質問という格好で提起をしているわけです。そのままでいいかげんに計算されますと乳価は物すごく下がってしまう、こういう決定になってしまうからであります。ですから、飼料の問題も、なるほど下げ傾向で来たという現実はありますけれども、これから先の見通しも計算基礎の中に入れて安定的な要素と、私はそういう言い方をしたわけでありますけれども、そういう計算をぜひしていただきたいと思います。
そこで、これはことしの乳価の問題ではないかもしれませんけれども、自給飼料のコストの引き下げあるいは飼料自給率の向上ということがこれからの酪農、国際化を要求されている酪農にとって非常に重大な問題ではないかと思うわけであります。そのためにはどういう問題があるのか、そういう点からひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/306
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307・濱田幸一郎
○濱田説明員 大家畜畜産経営におきまして生産性の向上を図り経営体質を強化するという目的のために、低コスト生産によります飼料基盤の確立をしていくこと、飼料基盤に立脚した経営を育成するということは非常に重要なことだというふうに私どもも認識をしておるわけでございます。そのため飼料自給率の向上に特段の配慮を払っていかなければならぬということで、私どももこれまでそれなりの努力をしてまいっておる所存でございます。
具体的に申しますと、既耕地におきます作付の拡大、草地開発の計画的な推進あるいは里山、林野等の未利用、低利用地の活用を促進することによりまして、飼料生産の増強のための生産基盤の確保とその高度利用を推進しているわけでございますが、そういうこととあわせまして、機械の共同利用体制の整備、公共牧場の効率的な利用、それから耕種農家との連携を通じまして粗飼料の低コスト生産を推進して、より有利な飼料生産あるいは利用の効率化を図っていくということを実施してまいっております。ただ、最近の問題といたしましては円高でかなり外国物が入りやすくなっているということがございますが、我々の計算によりましても、なお大家畜畜産におきまして粗飼料を自給をしていくということは有利であるということでございますので、先ほど申し上げましたような方向で今後とも粗飼料の供給確保につきまして努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/307
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308・安井吉典
○安井委員 優等生の作文みたいな御答弁でありますけれども、本当にそのとおりきちっとやってもらわなければいかぬわけで、それに伴う財政措置がなければいかぬわけですね。これは将来へ向けての問題ですから、後でさらに議論したいと思います。
ところで、私が特に自給飼料という問題を持ち出してきたのは、これまでの農林水産省の乳価計算では、搾乳の方の労賃は製造労賃を基礎にしているが、自給飼料の関係の労働費は農業労賃で計算している。非常に大きな差をつけて無理やり乳価を下げるというふうなやり方を今日までやってきているわけであります。今おっしゃったように、自給飼料をしっかりやってもらうということが非常に重大だということをおっしゃっている以上、私は、労賃におけるそういう問題も、自給飼料を一生懸命にやればそれに報いるような道が労賃の計算の中でも出てくるんだ、そういうふうに進めていただかなければならないと思うわけであります。同じ農家のおやじさんが搾乳した手でまたトラクターを運転していく、こういうことでありますから、もっとも変わりないのに二つを区分するというやり方が非常におかしいのではないかと思いますが、この点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/308
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309・濱田幸一郎
○濱田説明員 保証価格の算定上、労賃につきまして差があることは先生御指摘のとおりでございまして、飼料作物労働につきましては農村雇用労賃で評価がえして物価修正をしているということでございます。この飼料作物労働の評価に採用しております農村雇用労賃の中には、製造業、建設業、運輸通信業等、他産業をも加味いたしました当該農村地域における標準的な労賃水準というものが含まれておるわけでございまして、そういうような労賃水準になっているわけでございます。したがいまして、飼料作物労働の評価基準といたしましては、これを使うことは妥当なものであろうと考えております。
なお、飼育労働につきましては、従来から主要加工原料乳地域におきます製造業労賃をもって、これは規模五人以上でございますが、その製造業労賃をもって評価がえをしておるわけでございますが、これは酪農におきます飼育管理労働が年中無休であり、非常に拘束的なものであるという特殊性に着目をいたしまして、特に製造業労賃をもって評価がえをするというふうにしておるわけでございまして、飼料作物労働とこれとを同様に取り扱わなければならないというふうには我々は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/309
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310・安井吉典
○安井委員 それがおかしいのです。酪農家へ行ってお聞きになればわかりますけれども、乳を搾るのもそれから耕運機で耕作を進めていくのも同じ手でやっているのです。同じ人がやり、同じ手なんですよ。それが両方違った形で評価されることについて非常に大きな不満を持っていますから、私は、これはあしたの乳価算定の際に何らかの形で新しい考え方をあらわしてもらいたいということを要望しておきたいと思います。
ところで、加工原料乳の労賃は、これは北海道が大部分でありますから北海道の資料で計算されるわけでありますけれども、北海道の去年の製造労賃というものは鉄鋼、炭鉱、造船、もう軒並みの不況によって統計的には極めて低く出ているわけです。全国よりもずっと低く出ています。それをそのまま計算基礎に入れて新しい年の乳価の決定の資料に当てていくということは問題ではないかと私は思うわけであります。全国的にも景気の回復が出ていますけれども、北海道も内需の拡大で労賃もアップに転じています。ですから、去年低かったからことしも去年の数字をそのままというのでは間違いになるわけで、これから搾る乳はこれから投入する労賃によって搾られるわけでありますから、それを十分に考えていただかなければいかぬ。あるいは全国労賃を当てはめてみるとか、そこで一つ工夫が要ると思うのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/310
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311・濱田幸一郎
○濱田説明員 加工原料乳の保証価格の算定に当たりまして、労賃につきましては、やや細かくなりますけれども、従来から基準期間の労賃を直近三カ月、これは六十三年度で申しますと去年の十一月からことしの一月までの労賃水準により算定をしておるわけでございまして、私どもといたしましては価格決定の時点までに入手可能な数字でもって修正をしておるという形になっておるわけでございます。したがいまして、労賃の動向につきましては的確に保証価格の中に反映をされているというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/311
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312・安井吉典
○安井委員 今の時代といいますか、去年とことしの大きな景気変動の中に労賃があらわれているという事実をしっかり見きわめた決定で臨んでいただかなければならぬということを一つ申し上げておきたいと思います。
そこで、労賃がコスト計算の中では減少しておるわけであります。それはもう一つには生産性の向上にもよるわけです。機械化や合理化が進んだ結果労働時間が短縮されているということから出ているわけであります。その労賃の減少という形であらわれてくれば、そっくりそのままで計算すれば何のことはない酪農家の手取りが減るだけで、一生懸命に設備投資をして生産性を上げていったら手取りがたんだん減る一方、これではおかしいわけなんで、その部分を農民にも還元する、そういう考え方が乳価決定の中でも必要だと思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/312
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313・濱田幸一郎
○濱田説明員 不足払い制度におきましては、生産されます生乳の相当部分が加工原料乳地帯であるということになるわけでございます。具体的には北海道ということになりますが、その地域での生乳の再生産を確保することを目的とするということになっているわけでございます。そのような意味におきまして、保証価格につきましてもそういうような現実の生産コストに見合ったものになっているという仕組みでございます。なお、農家所得の確保という観点から申し上げますと、労賃につきましては、先ほども申しましたけれども、他産業労賃で評価がえをするというようなことによりまして一定の配慮が払われているというふうに考えております。
いずれにいたしましても、現在の保証価格算定方式につきましては、長年にわたりまして専門家の御意見も取り入れて確立された方式でございまして、乳価算定方式としては最適なものと考えております。また、酪農経営は現在どちらかといいますと極めて好調な状況にあるということもございますし、片や十二品目問題を初め内外価格差の縮小を求める消費者の声があるということも認識をしなければなりませんで、保証価格の引き上げにつながるような算定要素をこの際新たに導入するということにつきましては国民への理解が得られるような状況にはないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/313
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314・安井吉典
○安井委員 そこはもう基本的に私どもと意見が違うのですけれども、それよりも私たちが言いたいのは、特にこの間北海道を見て酪農家の牛舎にも足を入れてきたその印象からいっても、北海道の酪農経営は日本でも一番生産性の高さを誇るわけであります。あれによってはECよりも統計的には高いわけです。まさに世界の一、二というか、十指の中に十分入るだけの生産性を持つように今なってきているわけです。ですから、これは高度の計画性、技術水準、今日までそういうものの結果があらわれてきているわけです。労働の質の向上ということを十分に理解しなければいかぬと思うのです。
だからこれは、大臣お戻りでございますけれども、私は、何か百姓といえばばか、チョンというふうなものではなしに、とりわけ酪農というのは極めて高度な水準の労働で行われている一つの産業だ、こういう見方で考えていただかなければいかぬし、したがって、そういう状況をつくるには一生懸命に勉強していますよ、そういう研修費もコストの中に算入してあげるという努力も必要ではないか。そういうところまで農林大臣が考えてくれたというとさらに励みを持って酪農の発展に努力するということになると思うわけであります。ですから、そういう中で生産性を引き下げるということによって生じた部分を酪農民に還元してあげる、こういうことをもっと積極的に乳価の上にもあらわすべきではないか、そう思うのですが、大臣どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/314
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315・濱田幸一郎
○濱田説明員 安井先生お話しの労働の種類、質ということでございますが、恐らく企画管理労働的なものを頭に置いてのお話ではないかというふうに私は受けとめたわけでございますが、酪農に関します例えば研修会への出席、共同作業の打ち合わせあるいは簿記の記帳、資金の調達等に要する労働でございますが、この労働の算定要素への取り入れにつきましては、この種の労働がその内容、態様が極めてさまざまでございまして、しかもそれぞれの時間を適正に把握することが困難であるというような問題がございまして、なかなかそれを取り入れがたいということでございます。なお、先ほども申しましたけれども、現在の保証価格算定方式につきましては、長年の間の専門家の意見を取り入れて確立された手法でございまして、乳価算定方式としては、今考えられるものの中で最適のものであろうというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/315
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316・安井吉典
○安井委員 大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/316
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317・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 今安井委員のおっしゃるには、酪農家は非常に勉強もしておるし、経営そのものについて採算性の追求もしておるというような意味に受け取られる、非常に一生懸命にやっておるんだ、こういうことであります。であるから、そういうことを頭に置いていろいろ考えなさい、こういう御意見だったろうと思うわけでございます。
私もそのとおりに思いますけれども、畜産農家におきましても水産関係者におきましても、あるいは稲作畑作農民におきましても、今日は非常に昔と違って今おっしゃるようなスタンスで経営努力をしておられる、私はそう思っております。それだけに広い意味の食糧供給の責務を負って一生懸命にやっておられる方々に対して、私自身は丁寧な運びが必要である、殊のほか理解を示すべきである、こういうふうに考えておることを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/317
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318・安井吉典
○安井委員 大臣が出たり入ったりされるものだからこちらの質問もどういうふうに組み立てていいのか困っているわけでありますけれども、もうあとわずかしかなくなりましたので、最後に、外圧の中でこれからの酪農なり畜産を進めていくためには、飼料だとか肥料、農薬だとか農機具だとかそういう関係産業もコストダウンに努力してもらわなければいかぬわけです。農民だけがみんな頑張ればできる、それは間違いなので、財界は農業は過保護でけしからぬなんて言うけれども、えさの産業、肥料は化学産業でしょう、農薬も化学産業ですね、農機具は重工業でしょう。そういう工業の分野で、財界の方もその偉い人が組織をしているわけでありますから、それらの人たちが本気になって日本の農業のコストを下げていくんだ、こういうことになってくれなければ、農民が幾ら努力しても円高でぱっとやられてしまう、こういうだけなんです。
ですから、そういう状況の中でもう少し具体的に、言葉では言うんですよ。そう言いますと、いや、そういう努力をしてますとか何とか言葉で出てくるわけでありますけれども、具体的に外国のこういうものと日本のこれらとの価格差だとか、何か資料をきちっとぶ出しになったらどうでしょうか。そういう中で、それに対する具体的な答えを経済界、産業界からもらってください。そういう手順をしっかりやっていただくということをひとつお願いしたいのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/318
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319・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 財界筋において責任ある立場の方々がこう言われた、ああ言われたという報道によって私自身も困惑することがしばしばでございます。例えば名前を挙げて恐縮かと存じますが、経団連会長はたまたま私の郷土の先輩でもある。いろんな食糧政策を頭に置いて生産をしておられる方々について、みんな今のままではいけない、何とかひとつもう少し考え直しながら将来の展望を切り開いていこうと自覚をしておるときに不用意な発言は困りますと直接申し上げたこともございます。
もちろん私は生産者の立場にも立つし、同時に今日手を入れなければならない流通機構、流通関係者の方々に対しても私ども申し上げねばなりませんし、もちろん消費者ニーズにこたえるという姿勢が必要でございますし、そういうことによってひとつ食糧政策の遂行を万全なものに果たしていこう、こういうことでございますので、私は二度ならず三度財界首脳にそのようなことを、立ち話ではありますけれども申し上げた経緯がございます。再生産資機材、それぞれの企業においてもっと考えるべきだ、私もそのように思っておりますし、またそうした業界に対して農林水産省が適切に行政指導を申し上げていく、そして何か具体的なことがあれば、それほどこからどうして出てきたのかという数字等についての見きわめも、農林水産省実務の専門家からはそういう詰めは当然しなければならぬものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/319
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320・安井吉典
○安井委員 もう時間がないのでこれで終わりますが、立ち話ではなしに具体的なきっちりした資料をつくってください。アメリカから買ってきたトラクターとこちらの国内のトラクターとの差、同じ肥料でも輸出の方は安いのですから、そういう具体的な資料でやはり渡り合ってください。
それで、この御答弁はあればいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、肉畜から牛乳の問題の最終的な段階に今入っておりますから、若い農民が将来に展望を持って頑張れるような方向で、きちっとした適正な価格を決めていただきたい、そのことを強く要望して終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/320
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321・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 一言だけつけ加えさせていただきたいと思いますが、わかりやすく言おうと思って経団連首脳の話をちょっと出したんで、正直に立ち話は三回ほどしておりますから申し上げたんですが、経済界あるいは農協中央会、全農等農業会議所主催による朝食会等もございまして、一時間ほど私の食糧政策に対する考え方をただされ、質疑応答もいたしたところでございます。大臣就任早々のことでございます。その際も明確な私の所見を申し述べておりますし、いろいろそういうことがあります。しかしこんな話をしていると切りがございませんから、私もあなたが考えておられるように財界側の不用意な発言というものは、報道が確かなものであるとするならば、それは差し控えてもらいたい、こういうことを明言いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/321
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322・菊池福治郎
○菊池委員長 田中恒利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/322
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323・田中恒利
○田中(恒)委員 私は、大臣に質問して、その流れの線に沿って外務省の見解も聞きたいと思っておったが、大臣はちょっと中座をされますので途中から入るわけですけれども、外務省からお尋ねします。
ガットですが、これは正確には関税及び貿易に関する一般協定ということなんですね。世界銀行とかIMFとか、こういう機関と一緒に戦後の世界経済の復興に果たした役割は大きいと言われておるのですが、このガット、つまり一般協定に基づくといってできたガットと我が国の国内法との関係はどういうふうに理解したらいいのか。正直申し上げまして、私ども農林水産業に関係して国政に携わっている者は、最近ともかくガットヘガットへ、過般の十品目、今度のオレンジ、牛肉もガット裁定、こういうことが言われておる。この間カナダの方から木材もガットヘガットへと、世界はガットへ言えば何でも解決すると言われておるんだが、このガットと称するものと我が国の国内法との関係をどういうふうに理解したらいいのか。外務省が担当だそうですから、外務省の方からまず御見解をお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/323
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324・内田勝久
○内田(勝)政府委員 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりガットは戦後数十年にわたりまして適用されております多数国間条約でございます。したがいまして、先生の御質問は多数国間の国際条約と国内法との関係が一般的にどうなるかという御質問と承りますが、日本国といたしましては、当然のことながらガット等の国際約束というものを誠実に守っていく義務があると考えております。例えば、ガットでの紛争処理手続に従いましていわゆるパネル勧告というものが出された場合には、この勧告はガットの全加盟国、紛争当事国まで含めた全加盟国のコンセンサスによって採択されることになっておるわけでございますからこのようなコンセンサス、手続によって採択された一つの勧告に対しましては、我が国といたしましてそこで示された判断を否定するような立場はとり得ないというように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/324
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325・田中恒利
○田中(恒)委員 そういたしますと、過般ガットの問題で幾つかの品目についての裁定が下され、我が国はこれを一括受諾したという形になっておるわけですが、それが国内法との関係で仮に国内法の改正などが必要だという場合には国内法改正をやらなければいけない、こういうことですか。つまりガットというものは我が国の既存の国内法の上の方に存在をしていく、こういうふうに理解をすべきなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/325
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326・内田勝久
○内田(勝)政府委員 ガットの裁定が出まして、それが国内法に違反しているという状況が生じました場合に、そのままガットの裁定あるいはガットの判断が国内に適用されるということはございませんけれども、当然にガットの裁定に従いまして、国内法の規定がガットの勧告に明白に背馳しているという状況のもとでは、我が国といたしましては国内法を変えなければならないという義務が生ずると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/326
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327・田中恒利
○田中(恒)委員 私は、実はきょうは、この問題はあなたのところじゃなくて法制局を呼んで法制局から聞いたらと思ったのですけれども、何かあなたのところが担当だからと言うからあなたのところに急に変えていただいたわけだが、外務省というのは世界のどの国とも仲よくする、国としてはそうでしょうが、しかし、法理論的にはいろいろな意見があるのじゃないのでしょうか。私ども、アメリカの学者の中でも、ガットは州法を上回るけれども合衆国の連邦法等は必ずしも上回るという状況ではない、こういう学説を言う学者もおる、こういうふうに聞き及んでおりますし、この問題については法理論上からいろいろ問題がある。つまり、多数国の協定である、条約である、こういうところに、ガット自体も全加盟国が一括賛成をしなければという前提がついておりますね。
そういう問題から、法理論的にはいろいろ意見のあるところだ、私は、この議論をきょうする暇もありませんが、そういうふうに承っております。外務省という立場では今おっしゃられたようなことが言えるのでしょうが、この問題については若干の問題が残っておるというように私は理解しておるのですが、間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/327
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328・内田勝久
○内田(勝)政府委員 国際法と国内法の関係につきましては私も必ずしも専門家でございませんので、正確な答弁ができないかもしれませんですが、各国におきまして国際法の国内法への受容性について幾つかの異なる意見があることは事実かと思います。
ただ、我が国の場合におきましては、日本国の憲法に従いまして、憲法上国際法と国内法が矛盾する場合には国際法が優先するという明文の規定を置いております。もちろん、それは先ほど申しましたとおり国際法がそのまま国内に適用されるということではなくて、国内法がある以上国内法が国内で適用されることはもとよりでございますけれども、国際法と国内法が矛盾する場合には、そこに矛盾する国内法が適用されている限りにおきまして国際約束、国際法上の義務が履行されてないという状況が国内で生じている、これは何らかの形で措置される必要があると考えるのが私どもの考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/328
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329・田中恒利
○田中(恒)委員 この問題はこれでおいておきます。
そこで、農林省にお尋ねいたしますが、牛肉は一昨年、我が国はガットに対して国家貿易品目である、こういう通告をいたしましたね。この通告で牛肉は今後国家貿易品目という立場で国際的に認められた、こういうふうな理解を我が国政府はとる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/329
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330・濱田幸一郎
○濱田説明員 我が国の牛肉輸入につきましては、御案内のとおり、昭和五十年の畜産物の価格安定等に関する法律の一部改正によりまして、牛肉の輸入については畜産振興事業団が一元的な運営機能を有効に発揮することができるよう措置する旨規定がなされたわけでございます。その後、ほぼ十年間にわたりましてこの新規定に基づきまして牛肉の輸入を行ったわけでございますが、その牛肉輸入の実績から、畜産振興事業団による国家貿易の実態が定着してきた、こういうふうな理解に立ちまして、このような実態を踏まえまして、ガットの規定に基づきまして昭和六十一年十一月にガットに対しまして牛肉の国家貿易通報を行ったところであります。現段階まで我が国の牛肉の国家貿易については、この通報を行ったことに対しましてガット加盟国から異議の申し立てはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/330
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331・田中恒利
○田中(恒)委員 ですから、牛肉は国家貿易品目である、ガット十一条二項ですかの、いわゆる輸入制限に関する例外規定に属する農産品であるという認識に立って当面の牛肉、オレンジの交渉に臨む、こういうことになるんだと思うのですよ。二年前にそのことを想定してちゃんと通告をしたわけですからね。私、そういうふうに理解しておるのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/331
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332・濱田幸一郎
○濱田説明員 お答えいたします。
私どもは、今申し上げましたような経緯を踏まえまして牛肉は国家貿易であるというふうな認識に立っております。今後牛肉交渉につきましてどういうふうに臨んでいくかということにつきましては、そのことも含めまして諸般の情勢を総合的に判断して、目下政府部内で慎重に検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/332
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333・田中恒利
○田中(恒)委員 オレンジ、牛肉の当面の自由化の問題の幾つかの問題点をこの委員会で若干議論をして、総合的に大臣に御意見もお聞きしたいと私は思っておるのです。
次に果汁の問題ですが、これは農蚕園芸局ですが、この前もちょっと言いかけたのですけれども時間がなくて詰められておりません。つまり、果振法の第五条、六十年四月の同法改正時にこれは議員修正として加えられた条項ですね。この条文を政府はどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。
これには、外国産果実の輸入で価格が低落したとの判断がなされた場合に政府は措置をするということなんですが、価格が低落したという判断とは一体何を基準にして行政府としては――これは我々実はこの条文の策定に当たっていろいろ意見を闘わせた一人でありますから我々の方の意思もありますが、政府はこの条項の判断の基準をどうするかということについてのその基準が不明確であります。この点は一体どういうように考えているのか、あるいは「相当と認められる措置」をしなければいけないということになっておりますね。この「相当と認められる措置」とは一体どういうものが考えられていくのか、あるいは大臣がよくおっしゃるこの条項が適用される手順というものが必要ですね、その手順はどういうものがあるのか、こういう点が実は議員修正でありましたから公には不明確なままにこの条文は発足をしております。
私は、これらの点についてきょうここであなたの方からずばりお答えが出るとは思っていないけれども、これは早急に検討して、既にこれは制定以来三年有半たっておる。ただ条文をつくっただけでは意味がないんだよ。私どもは、ことしのミカンの異常な大暴落というのは、まさに外側は外国の異常な競合果実の輸入というものがバックにある。役所と話すと、それは直接ないというようなことを言うのだけれども、国内のイチゴがどうだとか言うのだけれども、実質的に、後で統計を出してみればわかるが、果汁を入れれば恐らく二百万トンを超す異常な円高下の生鮮果実の輸入というものがやはりバックになっていることは事実ですよ。そんなことなども考えると、今ミカンの生産地などでは、私の県などでは県会で知事がこの第五条発動を政府に要請する、こういう答弁もしておるわけでありますが、いずれにせよ、この運用に当たる農林水産省として、この条文についての考え方をこの際お示しをいただきたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/333
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334・吉國隆
○吉國政府委員 果振法五条の制定の経過につきましては、ただいま先生がお触れになりたとおりでございますし、またその内容が、果実の輸入によりまして価格が著しく低落しまたはそのおそれがあるという場合であって、かつ生産、出荷の安定に関する措置によって事態を克服し得ない場合に「相当と認められる措置」を講ずる、こういう規定のしぶりになっているところでございます。
ただいま先生の方から、具体的にどういう場合にどういう措置ということでやるのか、その準備をまたしておかなければならないのではないかという御趣旨のお尋ねでございますが、この条項の発動が、先ほど先生お触れになりましたけれども、例えば価格についてどの程度であればこれを発動するに相当するかというところは、なかなか機械的、一義的には決めがたいのではなかろうか。この条文の趣旨、また国際条約との関係もあるわけでございますので、そういったところを総合的に判断し、そのときどきの状況によりましてどういう措置を講ずるかということも含めて発動される場合はされるべきものというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/334
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335・田中恒利
○田中(恒)委員 発動されるべきときには発動するというのじゃわからぬので、もっと具体的に聞きますが、この第五条の条文に基づいて、政府として例えば政令なり省令なりあるいは通達という方法もあるのでしょうが、そういう問題を通して考え方を明らかにしなければいけない、特に政省令という問題は関係ございませんか。その辺でこの条項についての具体的な考え方、基準というものを明らかにしていく必要はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/335
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336・吉國隆
○吉國政府委員 この条項は特定果実に関する条項でございますが、私ども現在特定果実として指定をいたしまして需給安定措置が必要であるということでやっておりますものは、御存じのとおり温州ミカンでございます。現在の温州ミカンの問題は、ことしの作柄、いろいろと生産調整努力が行われたにもかかわりませず、天候等の事情もありまして、また需要面の問題、そういったことから現在の状況が発生をいたしておるわけでございます。私ども、機械的、一般的にどういう場合にこの条項を発動すべきものになり、またそういう場合にどういう措置を講ずべきかということは、そのときどきの事情というものをやはり踏まえてやる必要があるというふうに思っておりますし、先ほども申し上げましたように国際条約との関係もございますので、そういった総合的な判断のもとに決定されるべき問題であろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/336
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337・田中恒利
○田中(恒)委員 さっぱりわからぬです。さっぱりわかりませんが、これは大分順序立ててはおるのですよね。第四条の何項以降のいろいろな措置をやってもなおそういうものが歯どめがきかない場合にはこれをやっていくという手順になっておるので、需給調整をやったり、ミカンでいえば摘果をやったり調整保管をやったり、いろいろな施策を講じてもなお影響が出ておるという場合にはやはりこの条項で必要な措置をする。必要な措置とは何だということになれば、外国輸入果実によって影響を受けるのでありますから、外国輸入果実についての何らかの規制措置をするということだと思うのですよ。私どもはそういうつもりでこの条文を策定した経過があるわけですが、そういう認識を持ってもらわないと、そのときそのときの情勢で、どういう情勢なのか、それを明らかにしてもらわないと正確なこの条項が――それはわかりますよ、今言いにくいということは。だから私ども、この条文については極めて安易な議会の審議で通したということはありますよ。今もなお続いているということはわかりますよ。わかりますが、日本の畜産も果樹も米も外国からいろいろな形で言われておるのですから、我々は我々で守らなければいかぬのですよ。
そういう意味では、私どもの方も国内法の中できちんとした城づくりをしておかなかったら、簡単にこの荒波を防ぐことはできぬですよ。それを言うたら、あっちを刺激してどうだこうだというような心配があるということも私はわかるけれども、私なんかも比較的おとなしい人間だからそういう気がないことはないけれども、しかしここまで来るとやはりきちんとして、我が城はこういうふうにして国内的にも対外的にもやっていくんだというものがないとこの事態は乗り切れないと私は思います。だから、あえて果振法第五条というものが、農業諸立法の中では外国の競合品との関係についての規定をしておるのでありますから、ここのところについて明確な方針をぜひ農林水産省は出していただいて、これは果樹だけじゃありません。今当面する畜産の問題、あるいは予想される米の問題を含めて深い検討をしていただく必要がある、こういうふうに私は考えます。
大臣は途中からお見えになりましたから十分な議論の経過をお聞きでありませんが、今の範囲で御意見がございましたら承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/337
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338・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 申しわけありません、今ちょっと頭の整理ができておりませんのでお答えしにくいのでありますけれども、しかし要は、アメリカに対して、日米間の話し合いの際に十分我が方の進め方、我が方の政策というものがよくわかるようにいろいろな準備をしておくべきだ、こういうお説ではないかと思ったわけでございますけれども――違いますか、それはどうも済みません、それじゃちょっと差し控えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/338
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339・田中恒利
○田中(恒)委員 それじゃ大臣、実は私の方もちょっと困っておったのですけれども、改めてお聞きをいたします。
牛肉、オレンジの問題ですが、きのうもこの問題で相当意見が出た、きょうも出た。大臣の御答弁は何遍もお聞きしましたからほぼ暗記しましたが、テーブルに着くか着かぬかというところであります。テーブルに着くか着かぬかの問題はやり方の問題で、テーブルに臨んだ場合にどういう中身、どういう意見を日本側が持つかといったようなことは、今は三月末になっておるからなかなかこういう場では言いにくいということのようでありますが、ただ私どもは、これまでの佐藤農林大臣が御就任になってからのこの場での御意見も聞いておる。つまり牛肉、オレンジは極めて困難である、こういう表現であったと思いますね。前の歴代の農林大臣は、できない、こう言い切ったと思うんだが、困難であると言うとこっちはちょっと気にかかっておるところもありますけれども、しかし極めて困難である、こういう立場で、よく皆さんおっしゃられる百姓代議士ですから、私は頑張ってもらおうと思っております。
そういう意味ではこれは全く同じだと思うが、外国から食料を輸入するということは、我が国でできないもの、生産が極めて困難なもの、あるいは我が国で需要が高くて国内の生産だけでは追っつかないもの、こういうものについて輸入を考えるのだというのが、これまで歴代の農林大臣と私も大分いろいろやってきたが、一貫して流れておった農林水産大臣の基本的な基調であると私は思うのですね。この基調は、佐藤さんですからさらにしっかりと持っていただいてこの交渉に臨んでいただくと思っておりますが、その点は間違いないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/339
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340・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私が就任以来申し上げておるのも、実は国民に食糧を安定的に供給をする、基幹食糧、主要食糧は自給率を高めていく、また、自給力を強めていくということで努力をしていかなければならない。そういう中にあって、やはり足りないものもある。その足りないものは安定的な輸入体制、そのもとで供給をしていく、あわせて国民に安定供給体制をつくり上げて供給をしていくんだ、こういうことを重ね重ね申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/340
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341・田中恒利
○田中(恒)委員 そこで、畜産の問題に移らせてもらいます。
先ほど来いろいろ限度数量の問題が議論されておりましたが、六十二年の限度数量は二百十万トンですね。需要量二百二十六万トン、そして要調整量というのは十六万トン。これは当時三十二万トンの過剰在庫があるから、二年間で十六万トンずつなくしていくということで十六万トン引いて二百十万トンにしたという経過があります。そういう説明を私ども受けたと思うのです。ところが、今はっきりしておるのは、この過剰在庫がなくなっておるということは事実ですね。そうでしょう。むしろ足らないということが心配をされておる。細かいことは言いませんけれども、これは業界、あなたなんか知っておるように、乳製品というのは七〇%程度は事業団在庫に依存しておりますが、三〇%がスポット買いですね。外資なんかはほとんど全部スポットでやっておるのですね。いろいろな菓子業者からいろいろな業界の諸君に会って話すと、もう足らぬ、だから輸入になるかもしれませんという声が出ておるわけなんですね。それほど窮迫しておることは事実ですよ。
だから、私どもはどう考えたって、昨年の六十二年のこの十六万トンと称するものはもうないんだから、いずれにせよ二百十万トンという限度数量は、これは最低でありますが、これに今のままでいけば不足分などを加えて、既に北海道などでは前倒しの生産計画の変更をやっておるでしょう。全国的にも、中央酪農会議は昨年六・六万トンの追加というかあれをやってどうやらこれを乗り切っておるが、これからの見通しとしてはあなたら一番御承知だが、五月の連休に向けていろいろな業界が動くわけですね、アイスクリームを中心にして。脱粉中心にこれは足らなくなるんだ、それははっきりしておるのですよ。ですから、そういう意味ではどう考えたって、あなた方が言う諸般の要素、計算をはじき出していく諸般の要素というものは、限度数量については昨年を上回るという状況は大まかに言いますとならざるを得ない、こういう判断が常識じゃないのですか。審議会の意見を聞くといっても、審議会だって同じような意見を言いますよ、数字で現実に出ておるのだから。そういうことは間違ってないと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/341
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342・濱田幸一郎
○濱田説明員 六十三年度の限度数量の決定をめぐりまして乳製品の在庫の問題があるわけでございますが、先ほども申しましたように、六十二年度は予想外の飲用向けの需要増大によりまして在庫がかなり減ったというのは事実でございまして、ほぼ適正水準の在庫レベルになりかけておる、こういうふうな理解をしているわけでございます。しかし、今後再び過剰を招来しないような慎重な配慮が必要であろうというふうに我々は考えておるわけでございます。それからさらに、六十二年度における飲用牛乳等の大幅な消費拡大が、果たして六十三年度にも引き続くものかどうかについて慎重に見きわめる必要があるというふうにも考えております。
それから加えまして、ガットパネルでの議論の経緯にかんがみまして、限度数量を増大させるということが我が国の立場から見て有利なのかどうかという問題もございます。こういうもろもろの要件を総合的に判断をして、慎重に対処すべきであろうというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/342
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343・田中恒利
○田中(恒)委員 慎重に対処してもらいたいし、いろいろな意見も聞いてもらいたいと思うが、これは具体的に客観的ないろいろなあなたのところで持っておる数字で出てくるはずですから、ただ限度数量をふやせばまた金が要るし、どうだこうだという心配が先にならないようにあらかじめくぎを刺しておきたいと思います。
二番目は乳価ですが、乳価というものは、私は乳価の取引価格というものは、単なる収量取引ではないと思うのです。本質的にはこれは成分でしょう、乳がどういう内容か、これが基本的な乳価取引の原則だと思うのですよ。だから、今高品質の牛をつくり乳をつくっていく、こういう形でさまざまな個別政策をあなた方の方も組み立てられて、次第にその効果を上げておる、昨年は、とうとう乳脂肪三・二%を三・五%という相当これは思い切った改正をせられた、こういうことですね。そういう意味では乳の取引というものは、いわゆる乳質というか、乳の中を構成している成分を基準にして取引が行われるんだという方向に乳業界も向いておるし、価格決定もそういう視点をとらなければいけない、こういうように私は思います。
そういう意味で、いわゆる脂肪スライドといったようなもの、現実に三・五を〇・一%上回るとキロ一円とかというような奨励金がつくようなスライド制もとってきておりますからそういう方向に向かいつつあると思いますが、問題は、今問題になっております無脂固形分に対する問題ですね。この無脂固形分というものについては取り上げられていない。しかし最近の乳製品市場の動向というものは、これについて次第に関心が高まってきているということも事実であります。この無脂乳固形分というものについてあなた方の方で今後どういう取り扱いをされていくお考えか、まずその点からお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/343
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344・濱田幸一郎
○濱田説明員 基準取引価格の算定に用いられております無脂乳固形分の率につきましては、六十年度から過去五年間の実績に基づきまして従来の八・三六%から八・四五%に引き上げられたところでございます。この無脂乳固形分率の八・四五%という水準は、財団法人日本乳業技術協会の調査に基づきまして全国の地域別過去五カ年間、これは五十四年から五十八年でございますが、この五カ年間の無脂乳固形分率を地域別の加工原料乳の認定数量割合によりまして加重平均をして算出されたものでございます。したがいまして、加工原料乳のウエートが高い地域の成分率をより強く反映したものというふうになっておりまして、我我は当面これは適正な率として使用していくべきものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/344
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345・田中恒利
○田中(恒)委員 基準取引価格を決定する場合に、この無脂固形分はどの程度見ておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/345
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346・濱田幸一郎
○濱田説明員 ただいまも申しました引き上げられました結果の数字八・四五%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/346
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347・田中恒利
○田中(恒)委員 これは全国平均ですね。しかしこの問題は、生産費は北海道中心で、北海道は高いでしょう。これは八・七とか八とか、そういう数字が出ておるんじゃないですか、多少個々によって違いますけれども。だから八・四五という数字、これは私どもが持っておる資料ではEC、例えば北海道はEC水準に達しておりますね。このECと比較してみてもまだ日本の方が開きが大きいですね。これは直す必要があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/347
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348・濱田幸一郎
○濱田説明員 引き上げの根拠になりました財団法人日本乳業技術協会の調査というのが、全国の地域別過去五年間の無脂乳固形分率の地域別の加工原料乳の認定数量割合により加重平均をして算出したものであるということを先ほども申し上げたわけでございますが、そのような算出方法でございますので、加工原料乳のウエートが高い地域の成分率がより強く反映されている性格を有しているものでございます。
それで、北海道の現在の数字、たまたま手元にございますが、今引き上げられました結果は八・四五でございますが、六十一年で八・五八という数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/348
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349・田中恒利
○田中(恒)委員 その何とか協会というのがいいかどうか、私、もう少し正確にこの問題を検討してもらいたいと思うのです。
というのは、ことしのメーカーの決算を見ると、先ほどもお話がありましたが、史上空前のもうけだ、こう言われているのですね。雪印が経常利益二七・七%、明治が一六・六%、森永が八・〇%、いずれも過去最高の経常利益を見ております。これは不足払いで基準取引価格、つまり販売価格から費用を引いて、そして乳価というものをキロ当たり出しておりますね。この出しておる乳、この取り扱いをめぐって、これは複雑な分離機などで脂肪分を分けていくわけですからなかなかわかりにくいという面はありますけれども、そこで原料に対する面が生産農民に返されていない、こういう問題が、最近全国的に脂肪率を上げたということなども関係しておりますけれども起きておりますね。そしてこれについて正確な調査データ、客観的な資料を出してもらってやっていけば基準価格が下がる。つまり今度の場合はメーカーが相当もうけておるわけでありますから、これは大変な異常な状況ですよ。これをメーカーが負担して、不足払い制度の総額というものが、あなた方の一番心配しておる限度数量を上げてもやれるという操作がここでできるはずです。
そういうことを考えるという意味もあると思うが、それよりも成分取引であるという性格を前に出すためには、私は今お示しになった資料については一定の権威のあるところだと思いますけれども、我々が現場でいろいろ聞いておる範囲でいくともっとある。だから差があるし、外国との比較をしてみても、細かい数字まで言いませんが、ECなどとはともかくまだ開いておりますから、これを縮めていただければ基準取引価格に連動していくし、限度数量につながっていくと私は思うのです。そういう方法が考えられると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/349
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350・濱田幸一郎
○濱田説明員 無脂乳固形率につきましては、改定をいたしましてからまだ年数がたっていない、それから我々が把握しております実態から見ましても、直ちにこれを再度改定するという必要性はまだ感じていないわけでございます。今後もう少し実情を勉強いたしまして研究してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/350
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351・田中恒利
○田中(恒)委員 実際に無脂固形分というのは、もっといろいろな調査があると思うから正確に数字として把握をしてお示しをいただきたいと思うのですが、そういうことはやれるでしょう。今あなたは八・四五だと言われたが、現実に全国の平均が八・四五なのかどうか。この問題についてもう少し突っ込んで検討してもらいたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/351
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352・濱田幸一郎
○濱田説明員 我々の手持ちの資料によりますと、地域的な数字もございますが、場所によりましてはかなり低い数字になっているところもございます。したがいまして、この数字についてどう評価し、その影響がどう出るかということは、もうしばらく研究をしてみませんと最終的な結論はなかなか得られないものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/352
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353・田中恒利
○田中(恒)委員 いま一つ乳製品で心配しておりますのは輸入の問題でありますが、特に最近の数字を見るとココア調製品というものが非常にたくさん入っております。今度関税の改定がありますけれども、その改定があったとしても、輸入されたものとの競争の差は非常に大きい。このままいくとココア調製品はどんどん入ってくるという心配があるわけですが、これについてどのような行政指導というか対策をお考えになっておるか、その点もちょっとお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/353
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354・濱田幸一郎
○濱田説明員 調製品につきましては、これは自由化をされたものでございまして、従来から我が国の乳製品との競合をいかに調整するかというのが問題になっている品目でございます。これまでも調製品の中で食用脂については輸出国と自主的な調整をやっていただくということで協力をお願いしておりますし、またいわゆるココ調につきましては、我が国の関係業界に対して自主的に秩序ある輸入をやっていただくということで、国内乳製品との摩擦が極力小さくなるように相努めているわけでございます。この方針につきましては今後とも引き続き継続してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/354
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355・田中恒利
○田中(恒)委員 いずれにせょ昨年対比で三五%から輸入がふえておるという状況ですから、これは特に目を向けてもらってないとしり抜けになりますよ。今度の八品目などの問題を通してみんなが心配しておるのは、自由化をされた場合にさまざまな形で、実質的には牛肉なり生乳なりというものに大きな打撃を与えるような輸入が行われてくるんだという心配もあるわけでありますから、そういう意味ではココア調製品などははっきりとした数字が出ておるわけですから、特別に対策を立てていただきたいと思います。
〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
そこで豚の問題であります。豚の輸入も円高で大変ふえておりますが、最近、食品衛生法で残留が日本では認められていないスルファジミジンというものが、米国と台湾から輸入された肉の中にあることが検査の結果明らかにされたということで、食肉業界、特に消費者に非常に大きな反響を起こしていることは御承知のとおりであります。これについて厚生省は現在どういう取り扱い、取り組みをせられておるのか、一応その概況をお知らせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/355
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356・難波江
○難波説明員 お答えいたします。
先生御指摘の件でございますが、初めに米国産の豚肉でございますけれども、本年二月に米国において自国産豚肉のスルファジミジンに係る違反が多いという情報を私ども入手したわけでございます。このため、私ども厚生省といたしましては直ちに在京米大使館を通じて事実関係の調査を依頼するとともに、二月十九日から米国産豚肉について輸入時、検疫所において全ロット、スルファジミジンの検査を行う一方、既に輸入されている豚肉の在庫分につきましては都道府県にその検査の実施を依頼したところでございます。その結果、現在まで、輸入時の検査において三つのロットからスルファジミジンが検出されたため、当該貨物につきまして廃棄または積み戻しの措置を命じたところでございます。なお、既に輸入されたものにつきましては、現在都道府県等において検査が実施されているところでございますが、現在までのところ米国産豚肉からスルファジミジンが検出されたという報告は受けておりません。
次に、台湾産の豚肉についてでございますが、台湾産豚肉を含めて輸入豚肉につきましては、輸入時にスルファジミジンを含め抗菌性物質、農薬等の残留につきましてサンプリング検査を行っているところでございます。
一方、今回の米国産豚肉のスルファジミジン残留問題にかんがみまして、都道府県に対しまして、既に輸入された米国産及び米国産以外の輸入肉、それから国内産の豚肉についての検査の実施を依頼してきたところでございますが、三月十四日に東京都におきまして台湾産豚肉からスルファジミジンが検出されたということで、台湾産豚肉についても輸入時に全ロット検査を行うこととしたところでございます。その後三月十七日に埼玉県において、さらに十八日には輸入時の検査において、それぞれスルファジミジンの残留する豚肉が一件ずつ検出されたところでございます。輸入時に発見されたものにつきましては積み戻し、廃棄等の措置、それから都道府県において発見されたものについては販売の停止等必要な措置を講じられたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/356
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357・田中恒利
○田中(恒)委員 米国と台湾の豚肉について一〇〇%の検査をするというまことに異常な取り組みを厚生省はしていらっしゃるということであります。ところが、最近厚生省と米国農務省との合意で、米国政府が検査をやった場合にはそれを認める、これは米国が証明書をつけて日本側は検査しない、あるいはプログラム以前に加工された分は、米国が検査し当薬品が検出されなかったものについて日本側は検査しない、あるいはこれまで違反事例のない処理場で出荷された分は日本側は検査しない、こういうような合意がアメリカとなされて、アメリカの豚肉については厚生省は検査をしないということで、消費者の間ではこれは一体どういうことだ、日本の衛生上害ありと認定されたものを出した国の証明なり、あるいは向こう側が必要な検査をやればこちらはノー検査で通していくということについてはちょっと理解しがたいという意見なども実は私どもに伝えられておるわけであります。一方台湾の方は、国交がないという関係などもあるのでしょうか、大混乱をして、食品業界は自主的に輸入しないということで全面ストップになって、台湾の方では大変躍起になっておるということも聞くのであります。
いずれにせよそういう状況になっておるということについて、厚生省の方はこの対策をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/357
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358・難波江
○難波説明員 お答えいたします。
今回の米国産豚肉の件につきましては、米国の農務省から話し合いの申し入れがございまして、過日農務省の担当官と打ち合わせを行ったところでございます。この打ち合わせにおきまして米国側から、米国農務省が米国において豚肉のスルファジミジンの検査を行い日本の基準に合致する旨の証明書を添付した貨物については、日本における検査を省略できないかという提案がございました。本件は食品衛生上の見地から科学的に判断すべき問題であることから、提案は基本的に評価できるということで、現在証明方法等具体的な点について事務レベルで話し合いを進めている最中でございます。
なお、輸入食品一般についてでございますが、従来から、輸出国の公的検査機関が発給する証明書が添付されている貨物については、原則として日本において当該証明されている事項については再検査を行わないという扱いをしているところでございます。
なお、台湾につきましては現在事務レベルで協議中でございまして、米国と同じような申し入れがあれば同様に取り扱いたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/358
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359・田中恒利
○田中(恒)委員 いずれにせよ、食品の安全性に対する国民の期待あるいは関心は非常に高いということを、私どもは先般の総理府の世論調査の中からもうかがい知ることができるわけでありまして、輸出国が安全だということで出したものでも日本の中で有害であった、こういうものがありましたね、今までに何回か。そういう事例もこれあることでありますから、やはり基本的に国民の食糧を預かる、特に輸入食料については農水省も多少関係しておりますが、食品衛生法の管轄である厚生省は、責任を持ってみずからこれは安全であるという認定ができるような状況をつくる必要があると私は思います。アメリカ、台湾との間は今お話し中のようですが、巷間相手国の検査でノンストップで入ってくるというようなことがうわさされておるようなことでありますから、厳重に日本の規定に基づいて相手国との話し合いをしていただきたい、こういうことを要望しておきますし、特に厚生省の食品の安全体制については一層万全の対策を立てていただきたい、このことを要望して私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/359
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360・保利耕輔
○保利委員長代理 竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/360
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361・竹内猛
○竹内(猛)委員 私は、現在の農政の問題について現地調査の立場から、農村の生の声を直接に聞いてもらいたいということで幾つか質問をいたします。
まず最初に、私たち社会党の議員団が北海道を、十八、十九の両日に十一名の国会議員と十名を超える道会議員が参加をして、横路知事から道の農業の実情について聞き、さらにその足で自由化に反対をしている北海道の農業を守るための全道労農総決起大会に出席をし、さらに農業団体二十一団体との懇談、そして畑作農業の代表地である十勝地区で酪農工場、でん粉工場、これらを見学し、二つの農業協同組合及び町村長との懇談、それから酪農家を訪問、さらに十勝地区の農業諸団体との話し合いをしました。従来と違って、建前の議論ではなしに本音の話し合いをしたことをまず最初に申し上げておきます。
その結果は一部の新聞にも出ていると思いますけれども、本委員会において日本の食糧生産の重要な基地であり、土地利用型農業の特に畑作、酪農の典型的な代表地区としての北海道の農業のこれからについて、農林水産省の見解をまず率直にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/361
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362・浜口義曠
○浜口政府委員 北海道農業につきまして私からお答えを申し上げたいと思います。
北海道農業は、恵まれた土地資源を有していることから、都府県に比べましても一戸当たりの耕地面積は約十一倍というふうに大きく、生産性が高いこと、専業農家の割合が四六%と高いこと、都府県は一四%でありまして、それに比べて大きく高いわけであります。農業就業者の平均年齢が若いこと等すぐれた面を有しておりまして、ただいま先生お話しのとおり、我が国の食糧の主要な生産基地として重要な役割を担っているというふうに考えているものでございます。
この北海道におきます最近の問題として自由化の問題等々ございますが、先生、現地をつぶさに御視察なさったわけでございますが、北海道の輪作体系の基幹的作物であります雑豆につきましてはガット違反とはされなかったところでもございます。粉乳等の乳製品及びでん粉等については、これらが北海道農業の主要な位置を占めていること等にも配慮いたしまして、輸入数量制限の撤廃を行わないという方針を政府全体で定めたところでございます。今後とも北海道農業がそのすぐれた特性を生かしつつ一層の発展が図られますよう、需要の動向に即した各種の生産振興対策を推進するとともに、農業生産基盤の整備、農地の流動化等による経営規模の拡大、あるいは技術の開発普及等による生産性の向上とコストの低減、さらには流通加工体制の整備等を総合的に推進してまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/362
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363・竹内猛
○竹内(猛)委員 今の官房長の答弁は北海道農業についての一つの面ではあるけれども、まだまだ北海道には問題があります。これは次々に率直に質問をしていきますが、私はこの際、建前論ではなしに本音で話をし、あぜ道の農民の声を率直に聞いたわけでありますから、これは現在都府県で我々が想像している以上に北海道は深刻であります。
既に報じられているように、一月の元旦から農産物の自由化を阻止する農民の総決起大会が畑作地帯を中心に開かれ、二月の末で百三十五回以上、三月に入るとその数はさらにさらにふえておりますし、特に、アメリカの飼料を買うのをやめようという声、また政府は安易に妥協するなという強い要求、そういうことをいやというほど聞かされてまいりました。きょう農協中央会の堀内会長が訪米をしておりますけれども、会長もアメリカに行って、現在までアメリカの飼料をたくさん日本は買っておるのにこれ以上買えというのであれば、やはりえさの輸入ソースを変えなければならない、こういうことを発表していかれました。このことは大変いろいろなことで混乱をすると思いますけれども、その気持ちは十分に理解ができます。また、ジャガイモの有名な産地である倶知安の町においては、レーガンの人形を形づくってこれを焼き払う、あるいはアメリカ製のトラクターをたたき壊す、こういうような気持ちが各地であらわれております。
こういうことは従来の集会と違って、単に十万農家が集まっただけでなしに、各地においては地域ぐるみの集会が開かれて、北海道の経済やその他雇用が大混乱をする、そういう状態の中で、農林水産省の今の答弁だけでなしに、やはり北海道というものが今後受ける影響というものを考えたときに、どのような所感を持つかということについてもう一度述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/363
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364・浜口義曠
○浜口政府委員 ただいま先生のお話しの点でございますが、まず私ども、日本列島の中で日本農業の位置づけといたしまして、北海道の畑作等々を中心にいたします農業の重要な位置づけというものを肝に銘じているわけでございます。特に、北海道の大地に依拠した農民の方々が展開されました北海道の農業におきましては、日本全体のそれぞれの地域でいろいろな農業が営まれておりますが、いわゆる北海道農業といたしまして規模の大きく生産性の高い農業が展開をされておりまして、酪農あるいはその他のものにつきましてECを超えるといわれているところでございます。
また、先生が御指摘のように、この成長の表の姿と合わせまして、北海道の農業に出てまいっておりますいろいろな問題点というものも、私どもいろいろな視察とかあるいは御陳情とか、そういったものからも厳しく受けとめておるわけでございます。我が国全体の直面しております国際化の問題、自由化の問題というものにおきまして、北海道のそういった農家の方々の苦悩の問題というものも受けとめた上で先ほどのような対応措置をとらしていただいた、とっていきたい、こういう考えでいるわけでございます。今後とも北海道農業の問題を農業問題の基軸として考えながら、我が国農業の発展の中で位置づけをしていきたい、また振興策を挙げて検討していきたいというふうに考えるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/364
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365・竹内猛
○竹内(猛)委員 北海道の農業を大事にするということはよく理解ができるけれども、しかし現在の農業に寄せられている外圧、すなわちアメリカからの強い攻勢、アメリカだけじゃない、他の国からもそういう要請がある。それから国内においては、やはり何といっても行革を中心として、米あるいは農業に対する過保護という形で今非常に農業が攻められているということはまがいもないことでありまして、この二つの大きな変革というものは戦後の農地改革、三十六年の農業基本法、それを上回るような市場開放論、つまり国際化、自由化、貿易摩擦、裸で海外の農業と競争しろということと同じような状況になっている、そういう厳しい状況だと思う。大臣、この点についてどうだろう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/365
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366・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 北海道農業の位置づけとして、重要な役割を果たしておるといることについては官房長からお答え申し上げたとおりでございます。しかし、そういう中にあって、今日の事態は余りにも厳しい、こういう認識はあなたと一緒の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/366
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367・竹内猛
○竹内(猛)委員 それだけでなしに、現在のこの外圧というかそういうものは農業に対する大きな変革をもたらすものではないか、こういうことを聞いておるわけです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/367
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368・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 そういう厳しい状況の中で、私自身は、毎々申し上げておりますように急速な国際化にも対応をしなければならない。孤立をしたのでは日本全体として国益を守ることになるのかどうか。しかし、それはそれといたしまして、国内の食糧政策に禍根を残してはならない、また、もっと細かく言えば地域農業、それぞれの地域の特性を生かし、特に特徴的な北海道農業等を考えますときに、それは禍根を残すようなことがあってはならぬ。だから、外交交渉は慎重にも慎重、全体の動向を見きわめながら、辛抱は辛抱を重ねながら、先ほどもあなたがおっしゃいますようにいらだちは確かにわかります。わかりますけれども、何としてもこの厳しい状況を克服していく、そして平和的に解決をしていく、そして食糧政策を遂行していく、この基本は変えてはならぬ、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/368
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369・竹内猛
○竹内(猛)委員 北海道の農業の構造等については先ほど官房長からもお話がありましたが、全国の耕地面積の二二%以上、それから専業と兼業が約八割、農業粗生産においては一兆九百十一億ということでありますから九・四%と、まさに土地利用型の畑作と牧野を結合した代表的な農業の形態であり、それは粗生産によるところの経営形態だと言わざるを得ない。原料供給型の農業だということになります。そういうところに米で言えば四八%の減反、全国の平均が二五%でありますから倍近い減反が強いられ、土地改良の負担もしなければならない。
しかも農家の収入というのは米価の引き下げ等によってだんだん圧力が加わってくるし、そういう中で今度は自由化の波が――十品目中脱脂粉乳、これは原料は牛乳であります。でん粉はジャガイモであります。こういう北海道の基幹作目が今度は大きな波に洗われるという形になると、例えば牛乳の場合には二百六十六万トンが八六年の生産であります。全国の三五%、その八割が加工原料に回されている。チーズ、練乳、脱脂粉乳。ジャガイモの場合には百七十二万トン、これは全国の三分の二であり、粗生産の中でも牛乳は二千二百五十億、でん粉は三百十億というように、この二つだけでも北海道の粗生産の四分の一を占める。こういう事実の上に立って現在の自由化の問題の中で、つまり脱粉とでん粉は頑張るということを言っておられるけれども、本当に頑張り抜けるかどうか、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/369
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370・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 今、日米間で交渉しております問題もなかなか牛肉等の問題についてはテーブルづくりができない状況にあり、ぎりぎりの今日の時点で苦悩を続けておるところございますが、粘り強くやっている。しかし、今いろいろお話の中にも、北海道農業に関連をしましてでん粉の問題あるいは酪農の問題等々ございますが、自由化は困難であるということを主張しながら大方の理解を求め、そしていわゆる数量制限撤廃の八品目とは区別をした経緯にあることは御承知のとおりでございます。
そういう中にあって、例えば酪農一つとらえてみましても、足腰の強い酪農の生産体制が相整っておるかということになりますと、歴史的に見ましてもまだまだ歴史は浅い、その経験の中で足腰が強いとは言えない、そういうことで、これを一生懸命に育てていかなければならぬという農林水産省としての行政の立場があるわけでございまして、そういうことを忘れてはならない。テーブルづくりができますれば、私どもは牛肉等についてはこうした事情というものを十分説明する、そして守るべきは守っていくということ、今委員がおっしゃるにはそれができるか、こういうことでございますが、それが成功するように最善の努力をしなければならない、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/370
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371・竹内猛
○竹内(猛)委員 重ねて、しつこいようだけれどもなお質問をしなければならないことは、北海道の場合には二十二の脱粉の工場があります。この二十二の脱粉の工場が、もし今大臣が言われたようにこれを食いとめることができるとすれば問題はないけれども、もしこれが食いとめられない場合には壊滅のおそれがある、こういうふうに心配をしておる。小麦、ビート、豆類とともに畑作の輪作体系というものができ上がっておるこの北海道の畑作地帯においての極めて重要な営農体系というものが崩れることになる。そこで地元では、政府の行政の手法というものが常に後手後手になっているのではないか。脱脂粉乳が、ガットに提訴された品目が明らかになったのは、提訴から一年以上たった昨年の十月の末にわかった。北海道の酪農家一万六千戸にしてみるとそれは全く唐突のことであり、言い逃れのきかない政府の政治指導の誤りだというふうに理解をしている。
ことしの二月に自由化品目から脱粉とでん粉の二品目を国が拒否をした。大臣もこれは絶対許せないというふうに言っておられますが、しかし現地の声は、自由化はけしからぬというよりガットの裁定を受諾してしまった、そういうこと自体を既に深刻な問題として受けとっているわけです。これについてもう一度大臣から、先ほど力強いお答えがあったけれども、決意を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/371
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372・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 私が就任以前のことについても冒頭触れられたわけでございますが、私は政策の整合性あるいは政府・与党の継続性、そういうことから考えて、前からのことをここで批判しようとは思いません。ただいま現在私が責任者として措置したことはついて、十二月早々ガットにおける総会、あるいはことしの二月二日の理事会、そういう場におきまして我が方が苦渋に満ちた判断をしたことについて批判を批判として率直に受けとめる、私はそのように考えております。
いずれにしても、そうした品目ごとに私どもが考えますることは、それで一つの、北海道であれば輪作体系というものが整ってきた、それがどんどん崩れていくというようなことが絶対あってはならぬ、そこにまた国内措置もあれば国境措置ということもあわせて考えていかねばならぬ、そういうことも従来申し上げてきたところでございまして、私は御心配されるようなことが絶対にないように取り組んでまいらなければならない、こう思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/372
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373・竹内猛
○竹内(猛)委員 土から出発して土に帰るという大臣だから、なかなか決意はかたいと私は信じております。
さてここで、あぜ道の農家の声というものと行政の責任と信頼ということについて質問をします。ときにはちょっと気分の悪いような言葉が出るかもしれませんが、これはお許しをいただきたい。私の声じゃない、地元の声なんです。
私たちは、北海道のみならず岩手県や島根県や鳥取や多くの地域に、現地のあぜ道の声を聞きながらいろいろ話をしています。もちろん与党の皆さんもそれぞれの話を聞いていることは知っておりますけれども、やはり与党に言いにくいことは野党に主張してくれというのは人情だと思う。これはわかりますね。そこで率直に、行政の政治責任とあぜ道の農民のその政治及び行政に対する信頼ということが政治の大事なことです。その点についてたださなければならない。
その第一は補助金と農政に関する問題であります。今日の農政は、行政機関と農業諸団体並びに自治体等々を含めて、土地改良や営農施設やその他の諸事業がやられてきました。しかも、それには長期の見通しを立てて、それに沿ってやっているわけです。既に故人となられた東畑精一先生の有名な言葉に、農林省というのは補助金の配分機関なんだ、こう言われたことがありますけれども、私は補助金は別に悪いとは思っていない。やはり補助金はいい補助金とよろしくない補助金があると思います。そういう中で補助金の受け入れのために外郭団体が生まれ、多くの高官が定年でおやめになるとそこにいすを求め、そこで仕事をし、霞ケ関の本省とその関係とが一緒になって霞ケ関農政というものをやっているというように地域では見ております。この霞ケ関農政というものと地域あぜ道の間隔が最近ぐらい遠くなったことはない、こういうことであります。
ガットの受け入れ、米の減反、農畜産物の押しなべての値下げ、土地改良の期日の繰り延べ、負担の増加、農業必需品、農機具、肥料、農薬、諸資材が依然として原価もわからないままに相手方の商社の生産費所得補償で売り込まれている。そして、その間にある中間機関においては、例えば畜産振興事業団のように農民からも指摘をされ、消費者からもこれはどうしているんだと言われるぐらいになっているところもある。そして農家には負債が累積をして後継者がおらない、嫁も来手がない、こういう事態が避けられない状態になっている、この点についての感想を率直に聞かせてもらいたいというのが一つであります。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/373
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374・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 見識ある専門的立場におられる竹内委員の所信表明ともいえる広範にわたる――決して私は冷やかしで言っているのではないのです。まじめに言っているのです。本当にそういう広範にわたる所信表明にも似た感じの今お話がございました。これに一々全部答えていくとまた容易ではないな、こうも思って今承っておりました。その中で、今お聞きをしながら率直に私の感想を申し述べろと言われれば、官僚農政というお言葉は使われませんでしたけれども霞ケ関農政、こういう言葉がございました。そして行政の立場にある者、いろいろな立場にある者の信頼関係を強く主張された、こういうふうに私受けとめたのでございます。私も政治家としての、いい悪いは別として私の個性もございます。私の考え方もいささかございます。そういうものを受けとめて、そして農林水産省のお役人と一緒になって風通しのいい環境の中で農林水産行政を進めていくに足る信頼関係は我が省にはある、ただいま現在、そういう意味においては私はその点は自信を持ってそう申し上げておきたい。
さて、そういう基盤の上に立って、生産、流通、消費、各般にわたるいろいろな御批判、そういう中にあって一つ一つ処理していかなければならない、特にまた外交案件もある、こういうことでございまして、批判は批判として率直に受けとめながら、今風通しのいい、手前よがりだと言われるかもしれませんけれども、私はいいと思っております。そういう中にあってひとつ真剣に、まずこの我が家の信頼関係を崩さないようにしながら、北海道農業はどうだ、日本農政はどうだということでその信頼にこたえて、信頼を基盤にして、また生産者の信頼にもこたえていかなければならぬ、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/374
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375・竹内猛
○竹内(猛)委員 大臣の誠意のあるお答えを聞いて、それは風通しをよくしてもらいたいし、あぜ道との間の距離を縮めてもらいたい、こういう希望を持ちながらさらにもう一つ言わなければならない、ぜひこのことは言ってくれということでありますから、また申し上げます。
農家というのは一遍補助金をもらい、指導を受けると動くことができないのです。そのときの金利で金を借りて、そのときの指導によって豚舎をつくり畜舎をつくり、いろいろな施設をつくる。しかし、それを指導したところのそれぞれのポストにいらっしゃる方々はいつの間にか別なところに移る、時代が変わっても農家は移るわけにはいかない。そしてそれはあのときやったからだ、こうおっしゃって、その金利なりなんなりを返さなければならない。ところが、そのとき計画したように米の値も牛乳も牛肉も豚の肉も、これが発展をしていけばいいけれども、どんどん切り下げられてしまって今度は負債だけが残ってくるという形になるとその責任というのはどうなるのかということが問われている。だから、こういう言葉が出てくるのですね。
最近まで事務次官の立場にあった官僚が農水省を代表して次期参議院選挙に出るという、また構造改善局次長にあった者も同じ行動に入っている。出るのは自由だけれども、農政の不信感を募るばかりじゃないか。何の反省もない。畜産振興事業団の問題でも、やはり高官がその中にいて汚職者を出して世間から批判を受けて、消費者からも不信を買っている。こういうことについて、あぜ道で借金で悩んでいる人たちの気持ちはさっぱり理解をしていない、これが一つの声です。これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/375
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376・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 非常に答えにくい御意見がございました。お役人の任務を終えられてそして選挙に立つ、これはいかがなものかというような意味に受けとめましたが、このことについて被選挙権者としての一つの権利、これに私が言及するのはいかがなものかと思いますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
現実問題として政策を進めていく中に、政策の継続性というものを先ほども私の口から言っておるわけでございまして、その継続性を考えれば、これはもう事なかれ主義で自分のときこうたったので後は知らぬぞということは許されないわけでございます。そういう意味で長期融資の問題が負債として残っているとするならば、そうした個別案件については丁寧に扱うべきである、これも先ほどここで発言のあった方々にお答えをしておるところでございます。
しかし、そうは言いながらも、なおいろいろこれでいいのかという声が上がってきておるというその現実は率直に認めたいと思います。そして時代が変わって、それを意識しておってもハンドルをなかなか切りにくい、そういう状況も私はわからぬではございません。農協に対する批判もそういう意味ではございます。ございますが、一方において七月ごろ何か一つの新しい方向を集約するための素材ができ上がるのではないかと私も期待しております。それがこの秋、九月になるか十月になるかその辺はよくわかりませんけれども、新たな取り組み、新たな農業団体、生産者団体としての一つの方向づけをある程度具体的に打ち出そうという自覚症状、意欲に燃えておることも私なりに承知をいたしておりますので、時代は変わってきたけれども、しかし一つ一つ新しい環境の中に生き抜いていこうというその意欲が生かされていくように行政もいよいよ真剣でなければならない、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/376
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377・竹内猛
○竹内(猛)委員 私もそういう声を反映してきたわけでありますから、この点については慎重に受けとめて、それで霞ケ関とあぜ道との間の距離を縮めてもらいたいと思うし、そのことは、これから霞ケ関の農政というものが本当に農家の皆さんに対して誠意を持って今問題になっていることにこたえることだろうと思うのです。
私が北海道へ行って知事からの話を聞いた中でもあるいは農業団体の中でも、どこへ行っても一番問題になっているのは借金であります。農家をABCに分けて、Aは何とかいける、Bもまあまあだ、CDはどうしてくれるのだということを強く言われる。そこで、前々から社会党としても農林水産省に向かって、金融課だけではなくて、畜産も畑作もその他も借金をしているのだからひとつ農家負債というものについて窓口をつくってもらいたい、農家負債対策室というものをつくってもらいたい。今度は自由化に対応して何か事務次官と同じくらいの地位の窓口を、いすを一つつくるそうですけれども、そういうものをつくるのは結構だが、それなら何で一体あれだけの負債で悩んでいるこういうものについて窓口をつくってこれに対して本気になって取り組まないんだ、それが愛情ではないか。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/377
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378・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 お話を聞いていると、何かだんだんこちらが愛情がないみたいな話になっていきますが、この金融問題一つとらえてみても、そういう問題は経済局の金融課において窓口は開いております。私は、そういう組織の中でやはり個別にいろいろなケースが予想される、いろいろな実態があるということを承知しておりますだけに丁寧に個別案件として扱わなければならぬのだ、こう申し上げておるのでございまして、それはせっかく地方を回られまして、そして率直にそういう声を受けとめてこられた、そのことを御披露いただいた、私もまたそれなりに素材を提供していただいてその意見をかみしめておるところでございます。しかし愛情を持って取り組むというその心は変わらぬのでございますから、立場は変わってもその心は変わらないということで、ひとついろいろまたこの上とも叱咜激励を賜れば幸いである、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/378
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379・竹内猛
○竹内(猛)委員 この問題はもうきのうやきょうの話ではない。なぜ一体対策室というものをつくってもっと――金融課というのは前からあったのです。だからそれは別に珍しいことではない。こういう事態があちこちで起こっておる。しかも自由化はある意味ではやむを得ない面があるでしょう。そうすればますます農家が脱落をし、借金が残っていくし、借金で取り上げた、担保になった土地の始末もできない。そういうことを考えると、これはやはり特別の対策をする、そのくらいのことは責任の一つのとり方じゃないか。社会党としても国会対策委員会に持ち出して、法案の一つや二つは葬ってもこれをやらない限り引かない、これくらいの強い決意でいるのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/379
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380・伊藤礼史
○伊藤(礼)政府委員 竹内委員おっしゃいましたとおり農家の負債対策につきましては、個々の農家の実情に応じて速やかな経営再建が可能となるように自作農維持資金の援助等の金融措置等とあわせまして、これらの農家に対する経営管理とか技術向上というような種々の指導を行ってきているところでございます。負債対策室の設置ということになりますが、農林水産省といたしましては、従来から経済局におきまして営農指導や改良普及事業等を担当する関係部局と連携を図りながら、必要な金融措置を活用して全省的な課題として取り組んできておるところでございます。今後ともこのような体制で対処してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/380
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381・竹内猛
○竹内(猛)委員 従来と同じ姿勢だから、これでは我々引くわけにはいかない。これは別のときにまたやるけれども、そのままでは引けませんね。あぜ道の皆さんに申しわけがない。責任の問題でもあり、愛情の問題でもある。だからこの点は今のような答弁ではとても我慢をするわけにはいかないということだけはっきりしておきます。
次に、その責任の問題とメンツの問題だ。この点についてはきょうの読売新聞の論説をごらんになりましたか。宍道湖の問題ですよ。はっきりしているじゃないですか。北海道で畑作がだめになるというのに飼料をつくる、酪農をやる、何を言っているのですか。今の行政改革の中で九百九十億の予算を使って、あとことしも六十億ですよ。まだ二百何十億という金を使わなければできないでしょう。現にできているものだってもらい手がない。こういうことに対して何でそんなにメンツを張らなければならないのか。もう自民党の中にだってあれをやめてくれという人がいるのだ。地元もそうですよ。何であんなところにメンツを張るのだ。だから、役所のメンツなんというのは世論の中で変えていったらいいじゃないですか。農業負債もそうなんだ。そういうことをやることが行政でしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/381
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382・松山光治
○松山政府委員 中海干拓事業の扱いの話でございますが、これは委員御案内のように鳥取、島根両県あるいは関係者からの強い要望に基づきましてそもそも始まった、一つこういう経緯があるわけでございます。もちろん本事業着工後かなりの年数を経ておりますから、当然それに対応して計画内容の見直しを行って今日に至っておるわけでございますが、現段階におきましても、とにかくあの辺は経営規模が小そうございますし平たんな農地も少ないといったようなことで、平たんな干拓地を使った高生産性農業を可能にするという側面が一つ。それから、あの事業は単に干拓だけをやっているわけではございませんで、周辺にかなり広大な水の不安定な農地がございまして、その農地に対しますかんがい用水を安定的に供給する、そういうもう一つの役割もあるわけでございます。そういう意義を持つものとしてこれまで進めてきた、こういうことでございますし、そういう意味での意義は失われておらないというふうに私ども今考えております。
ただ、本事業につきましては、そういう意味でその促進方を要望する声がある一方で、この二つの湖の水質悪化を懸念する、そういう声があることも十分承知いたしておるところでございます。私ども、こういう経緯、状況を踏まえまして、昨年の九月に御案内のような限定的な淡水化試行を行ってはどうかという案を両県にお示しいたしまして、現在御検討を願っておるところでございます。私どもといたしましては、これから両県の考え方を十分聞きまして本件の取り進めを考えていきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/382
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383・竹内猛
○竹内(猛)委員 今の中海・宍道湖の問題について、これを進めろなんという声は世の中にはどこにもない。ただ、二、三の町から確かに水が欲しいというのはある。だけれども、読売新聞のような、朝日新聞のような、日本経済もそうです、そういう新聞、もうそろそろあれは計画を変更しておしまいにしたらいいじゃないか、これはだれが見たってそうです。我々がこれから干拓問題や土地改良の問題をいろいろ調査してまたここで何遍もやりますよ。そして本当に国民にわかりやすい、理解のできるような行政をやってもらわなければ、メンツだけで、今の読売新聞じゃないがメンツというものがあるとすれば、そんなことで頑固に頑張るなんということはよろしくない、こういうふうにまず申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/383
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384・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 竹内委員の御質問に私からは率直な答えを申し上げておきたいと思います。
私のことですからメンツにこだわろうなんということは少しも考えておりません。この場におきましても、予算委員会分科会、あるいは先ほども席を外して参議院の予算委員会で私は答弁をいたしてまいりました。メンツにこだわっていると受け取られるならば、それはもう少し御理解を賜りたい。手順を踏んでおる。昨年九月に云々ということを今局長から説明いたしましたが、三月末までには回答してくれ、しましょう、現在こういうことになっておる。その三月末、このごろ三月末がはやりのようでございますけれども、事実この問題も三月末の両県の見解を求めておる、そのことを待っておるわけでございます。手順を踏んでおるというふうに御理解を賜りたい。決してメンツにこだわりません。一般論としてむだにむだを重ねるような批判を仰ぐ結果になってはならぬと私は申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/384
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385・竹内猛
○竹内(猛)委員 メンツと言ったのは読売新聞の論説でメンツと言っているわけで、そうかな、これはいい言葉だな、なるほどということで、大臣がメンツじゃないと言うなら、それじゃ手順でいいから、世論というものがありますから、世論というのは民主主義の基礎だから、総理大臣の足元だけれども、世論、「ふるさと創生論」の崩れるようなことのないように、ヤマトシジミが食えなくなるようなことのないように、よく注意をしておきます。
さて、時間がありませんから、鶏卵の問題について質問します。
先ほども阪神鶏卵の倒産の問題について質疑がありましたから、それとやや重複するかもしれませんが、私は前々からやみ養鶏というものはいかぬということで、タケクマやイセやあるいはダイドー、それから阪神鶏卵のことについても本委員会で警告を発してきた。ところが、ここでまずタケクマが百十億、ダイドーが五百億、さらに阪神鶏卵は一千二百億とも言われるほどの負債をつくって倒産をし、これは北海道においてもその影響は非常に大きいものがあります。全国に大変な影響を持っている。
そこで問題は、その倒産後の処理が問題なんです。阪神鶏卵の倒産の裏側には飼料メーカーがあって、その飼料のうちの三分の一は残念ながら全農が関与している。次いで住商飼料、住友資本です。その次が三井系の共同飼料が関与している。これは全部大商社が後ろに関与していて、倒産と同時に債権保全ということで、その羽数を今度はそれが管理をし、飼育する、こういう形になっている。タケクマやダイドーファームの場合においてもその数を引き受けている。こういうように大商社が後を引き取るようなことになったらまさに農家養鶏はもう破壊ですね。だから、そういう点についてのこれからの指導をどうするか、こういう問題ですね。しかももう金融がきかなくなっているから末端の被害者というものは立ち上がれない。その対策についてはどうか、この点をまず伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/385
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386・濱田幸一郎
○濱田説明員 阪神鶏卵グループの倒産の状況につきましては、私どもまだ詳細は率直に申し上げまして把握をしてないわけでございます。ただ、聞くところによりますと、同グループに係る赤玉系が二百五十万羽程度と伝えられておるわけでございますが、その中に例えば農家養鶏が巻き込まれているか、巻き込まれている場合にどのくらいであるかというのはまだ私ども情報収集に努めている段階でございます。いずれにいたしましても、都道府県等とも連携をいたしまして、今後特に農家養鶏との関連がどういうふうになっていくかということを的確に把握いたしまして、必要な指導を行ってまいりたいと思うわけでございます。
それから、仮はその後の継続といいますか、引き受けのような形の中で、阪神グループがこれまで計画生産を守ってなかったという点につきましてこれが是認されるような形で引き継がれるようなことがないように十分に気をつけて、実態把握の後に適宜対応をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/386
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387・竹内猛
○竹内(猛)委員 こういうように大商社がつぶれていくということについて、これは基金にも加盟しない、それから系統資金も借りない、市中銀行から金を借りている、しかもえさ屋と直接につながっているというところに問題があるのだから、こういうことをそのまま野放しにしておいたら一体まじめに生産調整しているのはどうなるか。このまじめな農家がばかを見ないように救済していかなければいけない。そのために、やはり全農といえども善人ばかりじゃないんだから、それはいい指導もしているけれども、ここに加盟をしているのは問題じゃないかということで、それについてもひとつ指導してもらいたいと思います。
それから、卵価安定基金が枯渇をした、そのために今度は卵価を下げる。六十二年に百九十九円のものが百六十九円と三十円下げた。ことしは、既に予想されるのはさらに十九円下げて百五十円になろうとしている。これでは農家はたまらない。値下げによって安定基金を確保し、そして大商社が後ろで好きなことをやるのではどうしようもないじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/387
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388・濱田幸一郎
○濱田説明員 卵価安定基金の基準価格につきましては、両基金の決定を受けまして畜産局におきまして審査をして承認をする、こういう形になるわけでございますが、昨年度の補てんの結果によります基金の財政事情、これはまた今年度におきます基金の有効な機能ということも考えなければなりません。したがいまして、今後の鶏卵の動向の見通し、それから基金の財政の健全化というような諸点を総合的に判断いたしまして、両基金に対しまして適正な価格でもって決定をするように指導してまいったわけでございます。両基金とも組織としての、機関としての意思決定をやったようでございまして、百五十円ということになったようでございます。私どもまだその申請を受理するに至っておりませんが、私どもからの判断といたしますれば、先ほど申しましたような諸要素を勘案いたしますと、これは両基金の意思として尊重してしかるべきではないかというふうに考えている次第でございます。
とにかく基金の存在というのが卵価、養鶏農家にとりまして重要な意味を持つわけでございますので、この基金の財政の健全化ということもこの際は十分に考えておかなければならないというふうに私どもは思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/388
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389・竹内猛
○竹内(猛)委員 もう時間が来たからこれで終わりますけれども、あぜ道の声はこれからますます日を増すごとに続きます。そして大臣が言われたように地域農政というものを私たちは考えている。物をたくさんつくって貧乏して赤字になるよりも、地域の特徴を生かしながら土地利用型の農業、それから頭羽数を適当にしてやっていく、あるいは総合経営をやる、山なら山でも、そこで所得を発生させるようにする。地域の農政、農家が参加をして納得してやれるような農政に切りかえていかなければ、もはや上、霞が関だけの発声ではうまくいかない、そういう声が強いですからそれを申し上げているのです。だから、もうこれでおしまいにしますが、そのことをさらにつけ加えておくと同時に、養鶏については、後の問題、大商社とのつながり合いの問題については、これは許せないですね。だからこの点についてはなお調査をして、畜産局のいい指導を待ちます。
以上をもって終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/389
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390・保利耕輔
○保利委員長代理 藤原房雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/390
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391・藤原房雄
○藤原(房)委員 私は、今一番当面の問題となっております自由化攻勢の矢面に立っております牛肉、オレンジ、また、今畜産価格の決定を目前にいたしておりまして、これらの諸問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
先ほど来同僚委員からもいろいろ質疑がございましたが、十二品目、そしてまたガット提訴をめぐります問題、農家の方々の経営ということから対処ということについて、昨年の暮れから今年当初にかけまして議論をしてきたわけであります。
牛肉、オレンジにつきましては、三年前いろいろな約束事をいたしたわけでありますが、その期限が三月いっぱいで切れる、あと一週間そこそこというところであります。この一週間の間にどういう進展が見られるのか、農家の方々はかたずをのんで見守っておるところだろうと思います。社会党さんも調査団を派遣したようでございますが、二月の初め、ガットで揺れ動く中で、私ども公明党も現地に参りまして農家の方々とのお話し合いをいたしました。政府は政府として毅然とこの交渉に当たっているといつもおっしゃっておりますが、その行く末は自分たちに直接関係するだけに、非常に強い関心を持って見守っておったわけであります。
眞木経済局長が現地へ行って、事務レベルでのいろいろなお話し合いをしてまいりましたが、まだテーブルをつくるところまでに至らずして、自由化以外は話にならぬということでお帰りになったというふうに報じられておるわけであります。残された一週間の間に外務省を通じてのいろいろな外交交渉もあるのだろうと思いますが、農水省としましては、現在のこの日米の交渉につきましてはアメリカの出方を待つという現況の中にあるのか。何かいろいろ報じられているところによりますと、大臣もまた時によってはということも報じられております。あと一週間ということでありますから、非常に関係の方々については胃の痛くなるような状況の中にありまして、状況の局面というのは想像することは非常に難しいことでありますけれども、これからの手順といいますか推移といいますか、ここら辺についてはどういう手の打ち方で推移するのか、この辺ちょっとお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/391
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392・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 非常に緊迫した事態であるという認識を今ほど伺いました。私自身も実は全くそれと似た形の深刻な状況の中で、もう厳しいを通り越して深刻な事態の中で真剣、慎重そのものでございまして、従来の答弁を繰り返さざるを得ないということをひとつ御理解を賜りたいと思っております。ぎりぎりの時期を迎えておるだけに御理解を賜りたいと思うわけでございます。
従来とも牛肉、かんきつ、これは自由化は困難であるということを申し上げてきたわけでございますし、二国間による現実的な解決、テーブルに着けば現実的な解決に向けて話し合いをいたしたい、こういうことでございます。
それじゃ、ただ単に待っているだけなのかと言われますけれども、その内容は外交交渉でございますので、ここで言ったことがもう直ちにワシントンに通ずる、そしてまた、私どもの考えておること、手順、それがまた増幅されて、いら立ちにいら立ちを重ねるような結果に増幅をされていく。それではやはり困るということでございまして、とにかく何としてもテーブルに着いてもらって話し合いをしていかなければならぬ、理解をしてもらわなければならぬ。全く従来の答弁と同じでございますけれども、この時点になりますと、冒頭申し上げたように厳しい状況、それ以上のまた厳しさを感じながらも、しかしわが方の主張は主張として正式のテーブルに着いて話し合いをせねばならぬ、こういうことについて慎重、真剣である、こういうことを率直に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/392
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393・藤原房雄
○藤原(房)委員 慎重の中にも糸口を見出し、交渉に当たったときには、同僚委員にも何度も言っておりますが、毅然たる態度で日本の国情をしっかり訴えていくという先ほどからお話がございましたが、これはぜひひとつ日本の農業を守るという上から、この交渉につきましては安易な妥協をせずに、厳しく日本の国情、国益を守るということで貫き通していただきたいものと思う次第であります。大変に難しい中での交渉だと思いますが、お願いをいたしておく次第であります。
さて、加工原料乳の保証価格や畜産物の価格、牛肉価格の価格決定がもう目前に追っておるわけでありますが、ここ一年、二年、国際価格との比較の中で価格引き下げの傾向といいますか、そういう方向に進んでいるようであります。このたび農林省が「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」をおつくりになりましたね。これは今までも計画をつくっておりましたものを、さらにまたことしから向こう九年ですか十年間の計画をおつくりになったようでありますが、これを見ますと、牛肉の需要が非常に伸びるんだということが随分主張されておるわけであります。
確かに、ここ数年の需要は伸びておるわけでありますけれども、一方では日本型食生活ということが言われております。こういうことで学校給食を初めとしましていろいろな形で日本型の食生活、それは日本古来の魚とか野菜を中心とします。一時期は非常に洋風型の肉食というものが人人の心をとらえた時期もあったかもしれません、現在もその途上にあるだろうと思いますが。よく地方の方とお話ししますと、関東、関西それぞれの地域によりまして、安くなったら牛肉をたくさん食べるのかというと、必ずしも地域によってはそういうことではないという方もおるようであります。この需要の動向等につきましては非常に過大見積もりといいますか、要するに需要が多過ぎる気がするのですけれども、ここらあたりはどのように推定してお決めになられたのか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/393
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394・濱田幸一郎
○濱田説明員 最近の畜産をめぐります諸情勢の変化に対応いたしまして、今後の畜産のあるべき姿を描くということで本年の二月に新しい、いわゆる酪肉基本方針というのを策定したわけでございます。
その場合、ただいまお尋ねのベースとなっております今後のいろいろな物の見方でございますが、牛肉の消費量につきましては、食生活の高度化、多様化等に支えられまして年々安定的に増加をしている、こういう傾向を踏まえておるわけでございます。今後におきます牛肉の消費は、食料摂取における全体の栄養水準との関係、日本型食生活の定着等の今後の食生活の方向等を総合的に考慮いたしますと、長期的には鈍化傾向をたどると考えられるわけでございますが、当面は牛肉消費水準が欧米諸国に比してまだ極めて少ない。例えて申しますと米国は日本の約八倍、ECは約四倍という形になっているわけでございます。それから、食生活におきます牛肉に対する根強い嗜好の存在という点もございます。さらに外食需要の増加、消費支出における安定的な伸びというようなことがございます。このようなファクターを考慮いたしまして、これまでとほぼ同水準の需要を見込んで牛肉の今後の生産の基礎となります需要の見通しを行っているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/394
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395・藤原房雄
○藤原(房)委員 いろいろなファクターを考えて試算なさったと思うのでありますが、アメリカでも消費が減少傾向にありますね。それはアメリカの最近の食生活やいろいろな教育によりまして変わりつつあるというようなこともあります。今日本の八倍も消費しているということですから、そういういろいろな条件があるのかもしれません。しかし、日本人の日本型食生活の中でそんな大きな伸びがあるだろうかということを心配する方もおるわけであります。確かに現在は牛肉に対しての非常な傾向性というのが強いのですが、これは今後ずっとこの伸び率が続いていくというのではなくて一時的な現象ではないのかというようなお考えの方もいらっしゃるようでございます。
そういうことからしますと、ここ数年は上昇傾向にあるとしましても、長期にわたります計画であるだけに、国内対策等、また輸入ということとの数字合わせといいますか、こういうことからいいますと、過大に消費傾向を試算したということになりますと輸入が非常に多くなるといいますか、生き物を飼うわけでありますから、国内対策といってもそう二年や三年で基盤確立というのは非常に難しい一面もあるわけでございます。こういうことからいいまして、今度の計画というのは現実に即したものなのか、今輸入牛肉の圧力の中での、それを十分に念頭に置いた計画ではないのか、こういうことも言われておりますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/395
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396・濱田幸一郎
○濱田説明員 藤原委員の冒頭のお話にございましたように、アメリカにおきまして牛肉の一人当たりの消費量が最近若干減少ぎみになっているという事実はあるようでございます。特に、鳥との競合によりまして、健康志向といいますか、従来の脂よりも鳥に向かっているということもございまして、従来ほどの牛肉の消費量の数字にはなっていないという点がございます。ただ日本の場合には、先ほど申しましたように、アメリカとの関係で非常に大きな一人当たりの消費量のギャップがまだあるわけでございまして、私どもはこの消費量の伸びを見た場合に、過去のトレンドで延ばしまして、言うなれば自然体で今後どういうふうに伸びていくだろうかという形でやったものでございます。
そこで、この見通しは七十年度を目標としているわけでございますが、伸びは結局一・三%から一・七%の幅ぐらいで伸びていくだろうと積算をしておりまして、決して無理に需要を伸ばしているというような手法はとっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/396
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397・藤原房雄
○藤原(房)委員 畜産それから酪農をめぐる問題については多岐にわたり、きょう与えられたわずかな時間でこれらの問題についてここで議論することはとてもできないのでありますが、農業全般で私が非常に危惧するのは、一つは専業農家の方、一番農業にいそしむ、農業だけで生活しようという方が非常に追い詰められている。一番安定しているのは兼業農家という図式、これは非常に悲しい現実でして、そのために今日まで農林省もいろいろな対策を講じてきたことは私ども十分に存じております。
特に先ほど来議論のございましたように北海道のような多頭化飼育、大規模の経営をいたしております酪農、畜産、こういうところでも今非常に大きな負債を抱えて経営が困難である、こういうことが現実の姿であります。こういう専業農家、農業で本当に生きようという人たちが生きられる方途というか、これをやはり農業の中に確立しなければならないのではないか。それは、規模がまだ十分でないところもあったりいろいろな条件もあろうかと思いますけれども、やる気があって、またその土地条件が備わっているところで一生懸命努力しても農業がなかなか安定経営ができないという、どこにその原因があるのか。
かつては農業経営ということに対しての経営能力とかいろいろなことが言われた時代もございます。私もことし我が党の調査で参りましたが、根釧とか十勝ですと相当高学歴の方々が非常に勉強して努力している。そういう異常な姿に私どももびっくりしたのですが、五十頭、百頭という多くの肉牛の経営を一生懸命努力していらっしゃる。それらの方々のいろいろな状況を見ますと、入植時点に大きな問題があるようです。親代々なさって負債の少ない経営状況の中で規模を拡大してきたような方々、それから三十年代、四十年代に入植なさって比較的負債が少ないといいますか大きな負債が覆いかぶさっていない方々、入植時点が五十年、四十年の後半からオイルショック後入植なさった方々がちょうど返済期間にかかって一番苦しんでいる。これらの方々は、遅い方ほど高学歴といいますか、それなりの意欲を持ってお入りになっている方々です。
ですから、押しなべて酪農とか畜産とかということで物を見るというよりも、北海道の場合ですと、特にそういう専業で若い人が一生懸命やっておるという状況で問題なのは、最初の入植時点での負債総額、当時は、入植したときには乳価が年年上がるとか、またいろいろな諸条件を加味しまして返済計画というのが立てられて、それで返済することができるようになっておったはずでありますけれども、経済の大きな変動の中でそれが計画どおりにいかない、このことのために今大変にその負債額が大きなおもしになって計画どおり進まない、こういう問題が一番指摘される点だろうと思います。そういうことからいいまして、この負債の問題についていろいろ対策を講じてもらいたい。先ほども同僚委員からいろいろございましたが、入植して十年、十五年という方々で、一番努力しながらも大変な状況の中にある方々に対します施策が急務である、こう思うわけであります。
〔保利委員長代理退席、月原委員長代理着席〕
今度の「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」、この中の三番目、「経営体質の強化と生産性の向上」、この中の括弧の二番目ですが、「経営能力に優れ、革新的な技術の導入にも積極的に対応し得る意欲的な農業者及びこれらの者を中心とした効率的な生産組織を育成し、これにより生産の大宗が担われるような生産構造の実現に努める。また、経営実態に即した機械・施設の適切な導入、その共同利用、飼料給与方法の改善等により、過剰な資本投下を抑制し、経営の効率化を図る。」とありますが、五十年前後から入植なさった方々の実態を見ますと、「過剰な資本投下」、この文字がぴったりする現実なんですね。この時点でこういうことをしてはいかぬといっても、今まで国の指導が、そういう畜舎及びサイロを初めとしましてこういう資本投下型の指導が中心であった。そういうことからしますと、今そういう過剰投資はいかぬぞということですが、入植時点におきましてはそういう指導をした時代があり、そしてまた、それもまじめに一生懸命やれば必ず返済計画に乗るという指導がなされた時点がある。今日までも統計的な数字というのは農林省も相当細かくいろいろなところをやっておるようでありますけれども、もう少し実態の把握をしてやはり適切な対処をいたしませんと、十年、二十年一生懸命意欲を持ってやってきた人たちの意欲をそぐようなことではいかぬだろう。
現在、負債総額が幾らというこれが一番大事なことだと思いますけれども、それは何に起因するのか、そしてまた、どういう状況のときにこの負債が起きたのかということとあわせて、ただABCDのランクづけだけではなくして、もう少しきめ細かな実態調査の上に立って、酪農及び畜産の規模拡大、しかもそれに命をかけてやっておる農家の方々の対策というものを講じてもらいたい。そうでなければ、今まで一生懸命やってきた方々は、一体何のために努力してきたのかということになってしまうのじゃないか。負債が大きくてにっちもさっちもいかないから離農しなきゃならない、こんなことでは日本の農業が先行き本当に暗いものになってしまうのではないか。ぜひ温かいそういう実態の把握とともに諸対策を講じてもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/397
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398・濱田幸一郎
○濱田説明員 お答えいたします前に、先ほどの私が申し上げました数字につきまして訂正させていただきます。
牛肉の需要量、年率一・三から一・七と申し上げましたが、これは正しくは四・〇から五・〇でございます。大変失礼いたしました。欄の見違えをいたしました。
それで、今お話しの負債の問題でございますが、確かに酪農におきまして特にその傾向が大きいわけでございます。平均的に見ますれば、えさの価格の値下がり等によりまして経営改善は見られる面がございますが、高度成長期あるいは規模拡大を急速に借金に依存をした経営の一部には、多額の負債が残っているというような面があるわけでございます。その後、牛乳について申しますと需給の失調というようなこともございまして、当初の計画どおりなかなか事が運ばないというような面もございまして、経営体によりましては負債に悩んでいるというところがあるというのは先生御指摘のとおりでございます。
私ども、このような畜産経営に対しましては、五十六年度から六十年度までの五カ年計画で酪農経営負債整理資金を融通いたしまして、返済不能な毎年の償還金につきまして借りかえをさせるとともに、農協等関係機関によります濃密な経営指導を実施しておるわけでございます。また肉用牛の経営につきましても、六十年度から六十二年度までの三カ年計画で肉用牛経営合理化資金を融通いたしまして、濃密な経営指導をやってきております。さらに経営の再建につきましては、生産コストの引き下げ等的確な経営、財務管理が重要でありますので、このため、六十二年度から指導対策といたしまして、畜産経営体質強化緊急対策事業を実施しております。
今後、固定化負債を抱えております個々のケースにつきましては、近代化資金、公庫資金等の既貸付制度資金の貸付条件の緩和、あるいは自作農維持資金、これは債権整理資金でございますが、自作農維持資金の融通に加えまして、六十三年度から新たに公団事業参加農家に対します農用地整備公団、これは法律で名称が変わる予定でございますが、その新しい名称で、農用地整備公団事業償還円滑化特別対策事業によります低利資金の融通を行うことにいたしまして、これらの措置とあわせまして個別指導によります経営改善に努めておるところでございます。
基本方針の中にも確かに適切な設備投資ということをうたっておりまして、過去のように、とにかくつくれば売れるというような時代ではございません。最近の需給情勢に対応した合理的な身繕いの経営体をつくっていって、負債に悩むような経営がこれ以上ふえないように、そういう経営を救済していくようにということで、いろんな施策を講じてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/398
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399・藤原房雄
○藤原(房)委員 農水省が二月二十九日ですか、六十二年の四月から十二月期の「農家経済収支」これを公表なさいましたね。最近、他産業におきましては景気が上向いているとか経済が拡大方向にある、こういうふうに言われておるわけでありますが、農家経済だけは非常に厳しい。農家経済だけではない、厳しい産業もございますけれども、それはいろんな情勢のあることは私もわかります。しかし農業所得が前年の同期に比べて一二・二%も減少しているという。農業の体質として、二けたの減少を何とか吸収できるような産業であるかどうか。これは米を初めとしまして価格がずっと下がったということが大きな要因であることは間違いありません。農外収入が三・一%の増ということでありますけれども、稲作、養蚕、製乳、それぞれの部門ごとにいろいろ農業の場合には違うわけですけれども、しかし押しなべて農業全体として二けた、全部をひっくるめて統計いたしますと一二・二%の減少というのは、農家にとっては平均値であるかもしれませんけれども、これ以上の影響を受けているところもありますしまた少ないところもあるかもしれません。押しなべて価格の引き下がったところについては、畑作を初めとしまして酪農、こういうところについては影響が大きいのじゃないのか。
こういう農家経済の厳しい現実を踏まえまして、今度のこの畜産物の価格決定に当たりましては、いろいろな飼料も下がったのはわかりますけれども、その下がりぐあいと全体の農家の経済の厳しい現実、そのほか全体を計算いたしまして、何としても合理化の努力をしなければならないことはわかりますが、こう急激に二けた台の減少が続くようなことになりますと、農家としてはこれに耐えるということは非常に困難ではないでしょか。この農家経済の現状、農外収入である程度補っております兼業農家につきましては農外収入がプラスになっておりますからいいのかもしれませんが、先ほども申し上げておりますように、専業の農家ほど生産物が引き下がるということで大変に苦境に立たされる。国際化のこういう中で上げるということは難しいことかもしれません。しかしながら、これは農家の努力と生産費を補い得るような価格決定というものがなければ一生懸命努力している方々の汗が報いられないということになるのではないか、こういうことでぜひひとつこの畜産価格の決定につきまして、現在の農家の経済の現実もしっかり見定めていただきたいと思うのです。
それからもう一つは、コスト引き下げの要因として農林省としては何をお考えになっていらっしゃるのか。これは差益還元ということで現実にえさ等については下がっておりますけれども、農機具のいろいろな比較、それから物財費ですね、こういうものもございますが、農家の方々にすぐといいますか、そう差益還元がなされているという現実ではないと思います。こういう物財費等につきましても行政上指導できることについてはひとつしっかり指導していただきたいし、また他省庁にわたるものについては協議をして差益還元の早急な実施を図るということ等についてもしっかりしていただきたいと思うわけであります。このコスト引き下げについて今日まではしてきたことや、またこれから考えておりますこと等ございましたらひとつお述べいただきたい。農家経済の現実の厳しさ、こういう問題について、これは農林省の発表にあるわけでありますから、それも踏まえましてひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/399
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400・吉國隆
○吉國政府委員 資材価格、農業機械、肥料、農薬等について私からお話を申し上げたいと思います。
農業生産資材の価格は、先生御承知のとおり、全農と製造業者との間で交渉して決めるということがベースになっておりまして、これを目安にいたしまして商系も含めた価格が形成されている、こういう状況にあるわけでございます。先生もお話しになりましたような円高等の状況を背景といたしまして、肥料につきましては六十一肥料年度に一一・四%の引き下げ、また六十二肥料年度には引き続きまして五・六%の引き下げというふうに引き下げが行われているところでございます。
農業機械につきましては、輸入機械につきましての引き下げがここ二年間行われておりますし、また安全フレームを装着した一定の機械についての引き下げというようなこともしております。また製造業者において機械をシンプル化してコストを下げるといったような取り組みも行われているところでございます。
農薬につきましては、肥料ほどではございませんが、やはりここ両年度引き下げが行われているところでございます。お話がございましたように、コストを下げていくということはいろいろな意味で、また農家収益という面でも非常に大切な課題でございますので、私ども関係省庁とも連携をしながら競争関係を働かして適正な価格が形成されるように関係業界、団体の指導に努めてまいりたいと考えているところでございます。
なお、機械等につきましては利用面での効率化ということも非常に重要でございますので、六十三年度の予算でもリース方式の導入でございますとか農協による集中管理方式とか、そういった試みも取り入れてまいりたいと考えておりますし、また肥料につきましてはバラ流通の実証化のための事業も進めていきたいと考えている次第でございます。
〔月原委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/400
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401・藤原房雄
○藤原(房)委員 時間もありませんので、最後にまとめてひとつ。
大臣、今機械の共用化とは何かいろいろなことを言われていますが、私のおじさんは秋田にいるのだけれども、四町ぐらいですから隣近所みんなで共同したらどうかなんという話をするのですけれども、なかなか難しいことのようですね。ところが根釧のように何十町というところで、部落の三軒、四軒で共同で使っておるということで非常に努力しているのですね、あれだけの大きなところで。まあそれは機械にもよるのだと思います。同じものではないかもしれません。トラクターを買いますともう機械全部を一式買わなきゃならぬ、自分のところで全部そろえなければならないというのではなくて、共用できるものは共用するというような形で。それから若いですし、またいろいろな発想を持ってやっていたり、えさが下がったので二百万浮いて何とか赤字を埋めることができたとか、大きいだけにここで議論する一円、二円という金額が何百万という金額になるわけですね。
そういうことからいうと、飼料が二百万ぐらい価格が下がったとすればトラクターというのはたかだか五十万そこそこぐらいか。物によって随分差益還元というものは違うみたいで、ぜひひとつ大臣も、ひところ大分前にはいらっしゃったかもしれませんけれども、最近は本当に意欲的にやっていらっしゃいますし、頑張っておる現実、根釧、十勝、天北、こういう大きなところで本当に真剣になってやっていらっしゃる方の実情というのを見ていただきたいと思うのです。本当にトラクターを十五年、二十年近く大事に大事に使っている、そういう農家もございまして、我々は何か新しいものをどんどん入れて機械貧乏みたいな感じが頭の片隅にあったのですが、そういう方もいるかもしれませんが、最近は機械一台買うにも大変慎重に十分に検討しながらやっておるというのが現状であります。コスト引き下げの要因として役所としてできること、他省庁と連絡すること、ぜひひとつそういうことで効果のある努力を賜りたい。
それから、何といっても午前中同僚委員からお話がございましたが、品種改良というのは大事なことだろうというように思います。これは、北海道では小樽、千歳、エアカーゴとかなんとか言われておるのですけれども、ここに検疫の施設がないものですから、本当は繁殖雌牛、これが計画では千五百頭入れたいということですが実績は三百七十二頭、肥育素牛が一万頭ということですが五千二百頭ということで、非常に動物検疫が思うように進まない。手かせ足かせの中で、そら、国際競争力だ、頭張れということであってはならないので、行革という厳しい中にありますけれども、スタートラインを同じにして一緒に走るのならいいのですが、初めからハンディをつけられてやらされたのではかなわぬというのが素朴な農民の方々の声です。借りたものは返さなければならぬ、その努力はします。また、同じ条件でやるならば我々も他国に負けないだけの努力はします。しかし、こういういろいろな身近な問題が積み重なって、結局なかなか思うようにならない諸条件、これは行政上何とか努力すればできることでありますから、ぜひひとつこの現状を御調査の上に特段の御配慮を賜りたい。そういうコスト引き下げの要因、そして今ECに負けないぐらいの状況になりつつあるわけでありますが、何とか勝ち抜いていく素地をつくる、そういう心温かい農林省であっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/401
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402・濱田幸一郎
○濱田説明員 先生から農家経済につきましての数字の御指摘もございました。私どもの持っております生産費調査によりますと、例えば六十二年度におきますと、去勢若齢の肥育経営におきましては一頭当たり所得が二十一万一千円というふうになっておりますし、また、搾乳牛の一頭当たりの所得が同じく六十二年度二十六万九千六百三十五円という形になっておりまして、これは近年で見ますと最高の数字になっているわけでございます、いろいろえさ代が下がったというようなこともあるわけでございますが。いずれにいたしましても、私どもは今回乳価なり食肉の価格を決定するに当たりましては、制度の趣旨に照らしまして畜産農家の経営状況に十分配慮いたしまして、審議会の御意見を十分に聞いて適正に対処いたしたいというふうに考えております。
それから、北海道の検疫施設の問題が指摘されたわけでございますが、確かに最近円高等もございまして、素畜あるいは種畜あるいは屠場に直行いたします牛につきまして輸入が急増している状態でございます。動物検疫所、全国に幾つかございますが、なかなか希望を全部かなえられないという点がございまして、私ども厳しい行財政の中ではございますが優先的に予算、定員の配分をお願いしているわけでございます。一言つけ加えさせていただきたいのは、品種改良等に必要な種畜のための検疫につきましては、この厳しい施設のやりくりの中でもかなり優先度を置きまして利用していただいているということがございますので、限られた施設ではございますが、今後とも私どもそういうような方向で少しでも御期待に沿っていきたいというふうに考える次第でございます。
それからなお、コストの低減の問題でございますが、基本方針の中でも当面二、三割のコスト減ということを目標に掲げておるわけでございます。今後そのために官民一体となりまして取り組んでいく必要があるわけでございますが、まず基本的には農家段階で自給飼料生産の拡大や単収の向上、飼養管理の合理化によります労働時間の短縮、乳量の向上や肥育期間の短縮等によりまして生産性の向上に取り組んでいただきたいというふうに考えておるわけでございますが、国といたしましてもこのような農家段階での取り組みを支援いたしまして、さらにそれを一層促進するという観点に立って農地の流動化、草地開発等による飼料基盤の拡充、それから配合飼料等の生産資材価格の安定と製造、流通コストの低減、飼養規模の拡大、それから先生もお話しございましたように施設、機械の共同利用等によります経営基盤の拡充、経営技術指導による飼養管理技術の改善、さらには乳牛及び肉用牛改良の推進、受精卵移植等によります新技術の開発普及等々各般にわたる施策を積極的に進めていかなければならないというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/402
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403・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 藤原委員が農家経済について極めて関心を持たれまして先ほど来いろいろ御議論をされておりました。ABCDランクのことについても触れられておりました。六十一年の五月公表された北海道農家七千戸に対しまして稲作、畑作、酪農、畜産それぞれの分野における分析をしてどの程度の負債に対しての対応力が、償還に対する対応力があるかというのを実は私もさっきここで御質問を聞きながらその統計を見ておりました。三十年代後半、開拓農家に対する、戦後入植した開拓農家に対する一丁上がり資金四十万円を配付して、そして離農する者、山をおりる者、また残る者、そのときもそういうABCDランクがございました。そのことをつくづく思い出しながら、六十一年五月に公表された分析は当時のものとは、私が関係金融機関におって携わったときよりは随分濃密な調査であるな、こう思いました。私どもはそういう細かい点についても、決して細かくないのであって実態として知るべきである。
また、締めくくりの意味も込めまして藤原委員からそういう現地というもの、機械化貧乏と言われる中でというお話もございました。私の承知しておる事例を見ると、分家が新しい農機具を持てば本家も持たなければメンツが立たないというような話もよく聞く話でございます。しかしそうあってはならない。効率的に機械化をどう推進していくかということも今御質問を聞きながらつくづく感じ入っておったところでございます。
私は、就任以来、実を申し上げますと現場の声を聞く必要がある、形式にこだわらずにという意味でこの間沖縄のパイン畑に足を入れた経緯もございますけれども、何せ今とても現場に出かけていくような余裕のある身ではございません。今懸案のものを処理しつつ、ひとつ余裕を見つけて北海道にも、けさから北海道、北海道でいろいろ議論をされておる、その合間にもまた北海道の陳情も受けるというような状況の中で、私も一応落ちついたら、私の任期中にはそういう特殊な現場、そこにはぜひ足を踏み入れて形式にこだわらない形でその実態に触れてみたい、こう思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/403
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404・藤原房雄
○藤原(房)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/404
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405・菊池福治郎
○菊池委員長 水谷弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/405
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406・水谷弘
○水谷委員 大臣、きょうの夕刊の報道について、リン農務長官、ヤイター通商代表が三月末までに自由化の結論、問題が解決できない場合はガットの理事会に提訴することになる。公式ではないけれどもほぼ公式の発言として、二十二日、記者会見をいたしている記事が報道されているわけでございます。先ほど来から、従来の政府が一貫してとってこられた牛肉、オレンジの自由化は困難である、このような今日までの態度、たとえアメリカがガットに提訴しようと断固たる、毅然たる態度で我が政府は臨むべきであるという議論が交わされてきたわけでございますけれども、もう既に、具体的にパネルの設置についてまでその構えをしているようでございます。
この動きについては、こういうことをしながら何とか日本から自由化に向けてのいろいろな話を引き出そう、こういうふうな考え方もありありとうかがえるわけでございますけれども、我が国の国民、特に畜産農家の皆さん方、またミカン栽培をしておられる皆さん方は、決して政府は自由化は容認しないだろう、こういうことで政府を信頼し、特に佐藤農林水産大臣については大変な期待を持って見守っておられるわけであります。ひとつ改めての御質問で恐縮でありますけれども、大臣、この報道を踏まえた上でのお考えを冒頭お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/406
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407・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 今、夕刊をざっと斜めに見ましたけれども、大きな見出しでガット提訴、これを正式に決めたわけではないけれどもということで、その腹の内をアメリカ側で示しておられる。このことについて、私はこのぎりぎりの時期を迎えて言いたいことはいろいろありますが、いよいよひとつ冷静に実効の上がる、そして我が国の食糧政策に禍根を残さないように、地域農政に禍根を残さないように折衝をしなければならない、交渉をしなければならない、こう思います。しかし、いつ出かけるかと言われても、今私から答えることは差し控えさせていただきたい。というのは、決まっているけれども言えないということではなしに、まだ決めておりません。しかし、ぎりぎりの時期に来ておるということは、もうこの委員会の委員の皆さんが全部といっていいぐらい承知をしておられるはずでございます。
そういう意味で、私はけさほどの鈴木理事に始まる質問にも答えておりますように、私が訪米するのはやぶさかではございませんと申し上げているのは、逃げたと言われたのでは私の今まで歩んできた道に、私自体政治生活の上においてまさに大きな禍根を残す、こういうことになりますので、私はそういう意味では逃げない。しかし適当な時期を選んでおるということも事実でございまして、そういう意味において総合的な判断をしながらぎりぎりの時期に対応してまいりたい、信頼を損ねるようなことがあってはならぬ、お互いが今までやってきたことによって何としても生きていけるようなことでなければならない、こういうことで、しかも同盟国としてその姿勢を正すべきは正さなければならないという気持ちは率直に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/407
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408・水谷弘
○水谷委員 大変厳しい状況であることはもちろんであります。日米首脳会談の折でも、レーガン大統領は牛肉を挙げて竹下総理に話をされるという状況がございました。また、今大統領選挙の真っ最中、さらには経済的に見ればアメリカの我が国に対する対日赤字の問題、日本がますます国際競争力を持ってくる、それに対するいら立ち。もう総合的に、アメリカの代表が我が国に対して自由化を要請するという環境が余りにも整い過ぎている中での我が国農業を守れるか守れないかというぎりぎりの交渉でありますから、これは並み大抵の交渉ではないことは十分承知しているわけであります。今大臣がおっしゃいましたお気持ちで、どうかひとつ最後まで基本方針をしっかり守って、我が国の農業が二十一世紀において大きな禍根を残したと言われないように、全力で取り組んでいただきたいと思います。
改めて私が申し上げるまでもございませんが、今生産者の中、また自由化のいろいろな議論の中で言われていることは、アメリカみずからが食肉輸入法といういわゆる実質的な輸入数量制限措置を持っていながら、我が国に対する一方的な自由化要請というのは全く理不尽である、筋が通らぬ、こういう怒りの声というのはもう生産者だけではなくて、今消費者団体とかいろいろな方々もそのことをおっしゃっているわけであります。これから先のことですからどういう形になっていくかわかりません。ガットの理事会にそれが提訴されパネルが設置されそこでいろいろな議論が行われるということがあったとしても、このアメリカの三〇一条項をかざしながら、非常に一方的に自由化を迫ってくるこの手法を許すということは、本来のガットの精神から完全に外れる。いわゆる公平な自由貿易、国際秩序を保つ上からも、これは許されてはならないことであるはずなのです。
そういう意味では、加盟国また理事国各国に対する本当のあるべき姿というものを、この前の十二品目の問題ではいろいろ反省もなさっている上に、農水省だけではなく外務省も政府ももっともっと努力をすべき点はあったはずであります。しかし、努力をしなかったと申し上げているのでは決してございません。一生懸命努力をされたのでしょうがああいう形になりました。今回のこの牛肉、オレンジについては、仮定の論理でありますが、そのような場合には、政府・与党一体というふうに常におっしゃっているわけでありますから、各省庁総力を挙げてこれは取り組み、国際世論を形成するぐらいな闘いをしていただかなければ国民の皆様方に御納得をしていただくことはできない、このように思うわけであります。
ECの世論調査結果が二月に出ております。十二カ国で一万五千人、うち農業者が約四分の一、これを対象にして行ったECの世論調査の中では、十人に七人は世界第二位の農産物輸出国たる地位を守るべきだ、このように指摘をし、そのうちの半分は、たとえ消費者負担が幾らかふえても輸入農産物から域内農業を保護すべきだ、いわゆるEC全体の世論がそれを支持をしている。御存じのとおり、EC予算の六七%を農業に費やしている。それにもかかわらず農業を支持すべきだ、こういう世論形成が行われている。また、欧州農業団体委員会のハリスカ事務局長も、永久の友はあり得ない、食糧を外に依存するのは危険だ、このようにも明確に言っておられる。どんなに国際化という状況の中でも、完全なる単一国家になっているわけではございません。確かに、経済は国際化の中で一国だけが孤立はできない。完全に連動して経済は動きます。しかしながら、将来の人類の人口増の問題やら異常気象の問題やらいろいろ考えて、FAOであれ、すべてが自国において少しでも食糧の自給率を高めるべきである、そのような方向を各国にいわば義務規定のようにして打ち出してきているわけであります。
そういう中にあって、この間行われた我が国における総理府の世論調査でも、どんなに高い農産物でも構わないというお声では決してございません。コストの低減を図り、生産性の向上を実現し、本当に納得できる価格で、その上で国内自給を高めるべきである、安易な輸入は避けるべきであるというのが、この間の総理府の我が国における世論調査の結果でもあるわけであります。この牛肉、オレンジは、前の十二品目と同様、本当に今日まで我が国の基幹として据えられてきた大切なものであります。どうか、再三申し上げるわけでございますけれども、もちろん国際化された社会の中で我が国が孤立をすることはできない。孤立はできないけれども、国民経済並びに国民生活を犠牲にしてまでその道を選ぶ必要は決してない、ここを一つ明確に認識し、守っていただかなければならない大事なところであろうと思うわけ、であります。眞木経済局長、現場で何度も何度も本当に一方的なその問題の中で大変御苦労してこられましたが、これからもいろいろな形で交渉の場にお出になると思いますけれども、私が今申し上げましたことを踏まえて御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/408
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409・眞木秀郎
○眞木政府委員 ただいま委員御指摘のように、大変今きつい状況にあるわけでございますけれども、大臣も申し上げましたとおり、あくまで我が方の基本姿勢を守りまして、最後まで粘り強く交渉に当たってまいりたいと考えております。その中で、我が方の農政の哲学と申しますか、食糧の安全保障なりそういうものにつきましては、今回こういうようないろいろな経緯はございましたけれども、ニューラウンドの日本提案の中にはそういうこれまでの経験、反省、そういうものも込めまして提案をしておるわけでございます。こういう一連の懸案、これもきちっと処理する中で、将来に向かってきちっと我が国の立場というものを主張し、理解を求めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/409
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410・水谷弘
○水谷委員 どうか繰り返し繰り返し、やはり大事な主張は何度も何度も繰り返して主張し抜いて、貫き通していただきたい、お願いを申し上げておきます。
大臣、きょうは食肉、あすは酪農、この前は飼料と審議会に諮問をなさってきたわけでございます。きょうの諮問の内容を拝見いたしましても、どうもただいま申し上げたこういう非常に厳しい農業また畜産をめぐる環境の中で、現場で御苦労しておられる皆さん方にとってはちっとも元気の出ない、何かわかってもらえないのかなという素朴なお気持ちを持たれるような内容ではなかったのか、私はそう思えてならないわけであります。ことし乳価が引き下げになれば三年連続。去年から、米に始まって農産物価格の引き下げ、これが一連に続いているわけであります。私は、生産コストの引き下げ努力、これはもう当然飽くなき探求を続けなければならぬと思うわけであります。これは当然努力をしていくべきものであります。しかし、その生産コストの低減がそのまま実質的ないわゆる所得減につながるような政策は、一体それでよろしいものなのかどうなのか、ここのところを申し上げておかなければならない。
もう一つは、農産物価格の引き下げというこの一連の政策。生産費調査をなさる、確かに生産費は下がってきている。その生産費調査の背景全体について私は細かくここで指摘はできませんけれども、農業機械の機械費の問題やら、それ以外の数々の物財費の問題、いろいろなものを見てみますと、本当に生産者が御努力をしておられるほど果たして努力をしてみえておるのかな、そういうところがまだまだ甘い切り込みの中で農産物価格だけが先行して下げられていく、こういう点についてきょうはどうしても申し上げておかなければならないな、こう思っているわけであります。
一貫して、農政審の報告に基づいて農産物価格についてはそれを引き下げるという方向を大臣も所信表明の中で明確におっしゃっております。農産物価格引き下げは、その背景に明確なる生産コストの引き下げというものがあるならば、これは確かに生産者も御納得をしていただけるものと思います。しかし、大変に厳しい為替レートの変動やまた海外市況の変動、そういうものによって影響を受ける輸入飼料また燃料、そういうものを特に多く経営の中で消費をするような不安定な畜産、酪農経営、こういう中でいわゆる過去の経過、確かに飼料価格は押しなべて下がってきております。しかしながら、それが即こういう形での諮問価格として諮問されていいものなのかどうなのか、ここに私大きな疑問を持つわけでございます。大臣、その点について御所見を承っておきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/410
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411・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 一連の価格決定について総括的に申し上げますれば、審議会の議を経て適切に決めていく、こういう一語に尽きます。しかし、それが厳しい部分もあればそうでない部分もある。結果としてどうなるにしても、やはりお互いが汗をかいたことによって将来はちゃんと償われるんだということを感じてもらえるようなことにならなければ何が農政か、こういうことになろうかと思います。そこらは十二分に考えて取り進めさせていただきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/411
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412・水谷弘
○水谷委員 例として肉用牛の肥育、この飼料の八〇%以上は輸入穀類を主とする濃厚配合飼料に頼っているわけであります。この農家の庭先価格を見てみますと、五十九年の夏を一〇〇とした場合、六十二年の夏の価格は六五、大口購入のケースでは五五、この価格低下はその時期の円レートの上昇にほぼ対応して円高差益は還元されているように見えます。しかし、実はその間にトウモロコシや大豆かすの市況、シカゴ市場、ここではそれが四五%に低下しているわけであります。その部分が国内価格に全く反映されていない、これは一つの例であります。確かに八回にわたる飼料価格の引き下げが続いてきた。しかしながら、それを分析してみますと円レートの引き下げに連動しているだけであって、いわゆる市況が反映されていなかった、こう指摘をされている方はたくさんおられるわけであります。
また、農業機械の問題についても、輸出の農業機械とそれから国内で販売されている農業機械、この問題についてもいつも指摘をされております。もちろんそこに装着されている部品とか、さらには裸の価格とか船積みの価格とかいろいろな理由はおありになるようでありますが、私も精査した上で申し上げているわけで、やはり輸出用は安く出ておる。これは農機具だけではない、ほかの工業製品もそのような傾向を持っていると指摘をされているとおり、同じくそういうものがあるのでございます。そういう意味で、今大臣が申された生産者も汗を流し御苦労する、そこに使われている生産資材の価格や、またそれを支える大勢の人たちも一緒にともに汗を流して努力をした結果生産コストが引き下げられ、そして農産物価格が下がり、消費者に喜ばれると同時に生産者も納得をしていただける、やはりここまでいきませんと片手落ちになるな、今大臣もそういう御見解を述べられておりましたので重ねて申し上げたわけでございます。
ただいまもちょっと申し上げましたが、穀物相場がことしに入りまして従来の状況と若干様相が変わってきている、こういうことが指摘をされているわけであります。全般的に今までは過剰基調でございましたけれども、その内容が、需給の改善が進んでまいりまして、特にシカゴの穀物市場では大豆、トウモロコシともに昨年末に比べて約一〇%上昇をしておる。また、アメリカの農務省が発表した昨年十二月一日現在の全米穀物在庫で、大豆が前年比で約二億ブッシェル、それからトウモロコシが前年比で二億七千万ブッシェル減った。相場は非常に堅調に推移してきている。これは堅調に推移しているだけではなくて、さらに新しいファクターとして中国、ソ連の輸入拡大が行われてきておる。さらには、輸送の船積み運賃の値上がりの問題が出てきておる。こういうようないわゆる穀物そのものの市況、それから輸入穀物の価格、この先行きに若干不安が出てきているわけであります。そうなってほしくないわけでありますが、現実はそういう傾向が出てきているわけであります。
そういうことを受けて、もう既に配合飼料メーカーやいろんな国内の加工業者は販売価格の引き上げの検討が始まってきた、このように伝えられているわけでありますが、このことについて畜産局はどういうふうに承知をされておられますか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/412
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413・濱田幸一郎
○濱田説明員 ただいまのお話の前に、先ほどのお話につきましてもお許しを得ましてちょっと触れさせていただきたいと思います。
円高等、あるいは原料コストの低下によります配合飼料価格の値下がりでございますが、配合飼料につきましては、御案内のとおり全農あるいはメーカー等によります自由な競争のもとにかなり激しいマーケット争いがあるわけでございまして、飼料穀物の国際価格、為替相場、あるいは海上運賃でございますが、フレートの動向等が反映されまして価格設定が行われるわけでございます。特に最近、配合飼料需要の伸び悩みがございますので、末端では相当激しい販売競争が行われておりまして、こういうような状況の結果、円高の進展等によります原料コストの低下につきましては、これは私どもから見ればほとんど値下げに向けられているというふうに考えているわけでございます。
それから、今お話のございました最近のシカゴ相場あるいはその他のフレートの要因等の問題でございますが、配合飼料価格は、近年の飼料穀物の国際価格の低下に加えまして円高効果もございまして原料コストが下がりましたために、五十九年七月以降六十一年の十月まで連続いたしまして八回、合計で二万四千円・トン、パーセントでいたしますと三一%、大幅な値下げが行われているわけでございます。引き続き低水準で動いております。
その相場の動向でございますが、主原料でございますトウモロコシのシカゴ相場は、お話もございましたようにアメリカの減反等がございましてやや回復の兆しがございます。それから海上運賃につきましても、ソ連の買い付けの動きがございまして上昇傾向に入っているように見えます。しかし、為替相場はこれらの輸入コスト高を緩和する方向に同時に動いておりまして、国際需給というのは依然過剰基調にあろうかと思っております。と申しますのは、八七年、八八年の予想期末在庫率は依然二五%ということになっておりまして、これはレベルとして低い方ではないということでございます。したがって、我々といたしましては配合飼料価格は当面大きな変動はしないのではないかというふうに考えておりますが、いずれにいたしましてもいろんな変動要因につきまして注意深く見守っていく必要があろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/413
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414・水谷弘
○水谷委員 ぜひ注意深く見守ってください。過去の飼料高騰という苦い経験を我々は持っているわけでありますので、その辺も注意深く対応をしていただきたいと思います。
それから、時間がありませんので簡明にお答えをいただきたいと思いますが、六十三年、本年の二月十六日に「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」を発表されたわけでありますけれども、なぜ自給率の低下を容認する発表をされたのか、これはひとつぜひ明確に伺っておかなければならないと思うわけでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/414
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415・濱田幸一郎
○濱田説明員 基本方針におきますその問題、需要と供給の見通しのファクターになるわけでございます。今回は次のような考え方に立って設定をしております。
まず、牛肉の需要でございますが、その見通しにつきましては、近年の消費動向、食生活全体の動向、今後の経済動向等総合的に勘案いたしまして、過去の趨勢値から知見されます見通しとして作成をいたしました。他方、生産の目標でございますが、これは近年の生産動向、乳牛の頭数、繁殖雌頭数の輸入動向、あるいは土地利用型農業の基軸としての位置づけ、食生活に占めます牛肉の地位等総合的に勘案いたしまして、新技術の普及も見込みまして目標を設定しているわけでございます。したがいまして、一言で言いますと、需要の見通しにつきましては基本的には単純見通し、言うならば自然体の見通しでございます。
それから、生産につきましてはかなり意欲を織り込んだ目標となっております。その自然の見通しの需要は前回よりもかなり高くなっているということがございまして、自給率が若干下がってきているということでございますが、これは何も輸入量を増大させるような意図を持ってそうしたのではなくて、むしろ生産につきましてはかなり政策的努力を可能な限り織り込んで設定した結果で、なおそういうふうになっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/415
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416・水谷弘
○水谷委員 了解です。私もそうでなければならぬと思っておりますので、それでよろしいです。
次に、牛肉の価格安定帯の一元化をこの四月からスタートさせるわけであります。私もここのところの牛肉の価格推移をずっと見てまいりました。確かに和牛の価格が上位の価格をずっと超えて推移をしてきております。もちろん牛肉の輸入自由化の問題はしっかり対応せねばなりません。しかし同時に、どんなに高くても国産の牛肉を食べてください、これでは消費者は決して納得はしません。消費者により安い、そしておいしい牛肉が提供されるようなあらゆる手だてを打っていかなければ、生産者の側にある、行政を推進していく畜産局としては非常にいろいろなことで批判を受けることになるわけであります。そういう意味で、今回一元化をされたことはついてはそれなりに私は評価をいたします。しかし市場の取引が混乱するようなことのないように、そこのところについてはどういうふうに配慮されるのか、その点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/416
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417・濱田幸一郎
○濱田説明員 手短に今回の一元化と申しますか一本化につきまして御説明をしておかなければならないわけでございますが、簡単に申しますと、従来の六区分を十五区分、歩どまりと肉質につきまして十五区分、掛け合わせますと十五区分になったわけでございますが、その中で、先行指標性のございます、新しい規格名称で言いますとB3、B2について規格を設定いたしますれば牛肉価格の動向がわかりやすくなる、しかもそれは一本の価格で示されるという特徴がございます。したがって、新しい規格に応じまして今回の食肉の価格設定もこの新規格のB3、B2で行おう、こういうふうにしたわけでございます。したがいまして、新しい規格で今後動くわけでございますが、これは一本化されましても、和牛、乳用種の雄、雌ごとに各十五区分の価格は公表されることになります。同時に、今回の新規格、それから安定価格の一本化の趣旨につきましても、その趣旨を関係者に十分に浸透するようにいたしますので、混乱が生ずることはないと私どもは確信をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/417
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418・水谷弘
○水谷委員 しっかり対応してください。
豚肉についてお伺いをいたします。
生産費の資料にございますが、収益性のところで、肥育豚一頭当たりの粗収益は三万二千七百六十一円で、前年に比べて三千百六十八円減少した。これは豚肉市況の低迷により価格が低下したことによるということで、いわゆる粗収益というのは相当ダウンをしております。私も、この畜産価格決定について質問するに当たり、約一千頭の養豚農家を二軒訪問をいたしましていろいろ実態を調べてまいりました。両方とも共通して言えることは、粗収益が非常に落ちている。豚肉価格が低迷をしておる原因の中には、いわゆる卸売価格が市場によって、主流を占める卸売業者によってどうも価格操作が常に行われているような気がしてならない。というのは、小売価格がちっとも動いてこない。卸売価格は常にどんどん引き下げられてきておるけれども、小売価格がもっとも下がってこない。そういう点から、現場の生産者の皆さん方はストレートにそういうふうにお感じになるわけでございます。
私も、畜産に関する資料の中にその価格の推移について載っておりますのでちょっと調べてみましたが、最近の例を申し上げますと、六十一年度の卸売価格、東京市場でありますが、五百三十八円でございます。平均でしょう。豚肉の枝肉卸売価格が五百三十八円。今のはキログラム当たりですね。そのときの百グラム当たりの東京都区部の小売価格が百四十九円、六十三年一月、卸売価格はキログラム当たり四百十二円になっております。この差、百二十六円も価格が下がっているわけであります。ところが小売価格の方は百四十六円で、百グラム当たりでわずか三円しか動いておりません。市場におけるそういう指導といいますか、一番中心になってくる卸売価格の推移についてはやはり政府は明確に目を通す。それが小売価格がちっとも動かない。生産者はそれこそたたかれるような価格で買われていく。しかしながら、実際消費者の方はちっともメリットを受けない。これは牛肉もそうですけれども、豚肉もそう。これでは消費者にはとても生産者を理解する立場には立っていただけない。この点についてしっかりとお取り組みをいただきたいわけでありますが、これからどうされるかお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/418
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419・濱田幸一郎
○濱田説明員 豚肉の卸売価格と小売価格の関係につきましては、小売価格の変動が卸の方の価格とのタイムラグがある、また小売段階におきます固定的な経費、人件費なり保管費等があるわけでございますが、そういうようなことから卸売価格ほど振幅が大きくないというのが現状でございます。しかしおっしゃるように、これはできるだけ連動をさせていくというのが私どもの考え方でございまして、そういうような一つの方法といたしまして、特に、例年豚肉の卸売価格が低落をいたします秋口から初冬にかけまして、卸売価格の低落が小売価格により反映しますように、こういうときをねらって豚肉の消費拡大対策をいろいろとやっていくというようなこともやっております。とにかくいろいろな方法を講じながら、小売価格の連動がより強くなるように努力してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/419
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420・水谷弘
○水谷委員 次に、先ほどの同僚議員から指摘がございましたけれども、肉用子牛価格の動向について政府の資料にございますけれども、最近の保証基準価格、これは肉専用子牛価格でございますけれども、二十九万二千円であるわけでありますが、これを相当上回る、六十三年一月で四十三万七千円という価格になっている。肉用雄子牛価格は、保証基準価格が十三万四千円、しかしながら現状の価格は六十三年一月で二十一万一千円。この子牛供給の安定というのがやはり肉牛生産にとっては非常に大切であります。
先ほど来、この子牛価格の安定を図るために積極的に輸入をというお話も出ております。しかし、動物検疫の問題でなかなかそれがうまくいかないというようなお話でありますが、私が申し上げたいのは、やはりこれは繁殖、いわゆる国内におけるこの供給を早急に確立すること、これは今足りないからといって海外からいろいろなものを入れて、それは困っているときだけ入れてくれ、あとは要りませんよではいかぬのであって、基本的には不足しているものはもちろん海外から入れなければいけません。しかしながら、原則としては国内で、先ほど来審議官がおっしゃっておられるように、あらゆる新技術の開発を通じながらこの供給を安定していけるような対策をしっかり組んでいっていただきたい。子牛価格がこんなに高くては、どんなに努力をしても、とてもじゃないが国際価格の価格差との太刀打ちなどはできるはずがない。こちらのスタートはアメリカやオーストラリアのもうゴールであります。向こうのゴールがこっちのスタートですから、それから先のすべてのものはその上に乗っかっちゃうわけです。それではもうどうにもならぬ。この子牛の価格の安定対策は急務であります。どうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/420
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421・濱田幸一郎
○濱田説明員 お話しのように、肉牛産業におきまして、子牛の価格というのが競争力の非常に大きなファクターになるというのは事実でございます。最近の子牛価格の高騰は、雌牛の屠殺数の増という数年前の歴史から来ているわけでございますが、現在の高水準の推移では肥育経営に過度の負担を招くことがあるというふうに我々も懸念をしておりまして、とりあえず輸入で対応できる分は対応しようということで、六十二年度には前年度の一万頭の関割の子牛、素牛の枠を二万五千頭にふやしたということもございます。
しかし、おっしゃるとおりでございまして、私どもも一義的には子牛の国内生産の拡大によることが基本的対策だというふうに考えておりまして、繁殖農家の経営基盤の拡大強化、子牛価格安定制度の拡充整備等、各般にわたる施策を推進いたしましてこれを進めていこう、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/421
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422・水谷弘
○水谷委員 それは一番大事ですから、しっかり取り組んでください。
次に、飼料のことでございますけれども、やはり肉牛のコストを引き下げるためには今申し上げた子牛価格、それとえさです。このえさは、ここのところは非常に安くなってきておりますから短期的には私はよろしいと思いますけれども、飼料作物の生産の推移をいただいた資料で見てみますと、昭和五十七年に作付面積が百四万二千ヘクタール、六十二年の見込みは百五万四千ヘクタール、わずか一方二千ヘクタールしか過去五年間で伸びていません。生産量は五十七年が四千三百九万五千トン、六十二年見込みが四千三百八十八万トン、TDN換算では五十七年が四百二十九万二千トン、六十二年見込みが四百三十七万トン、五年間かかって飼料作物の生産はほとんど全く伸びていない。ところが、いろいろなものを見ますと、やはり自給飼料生産対策をしっかり立てていくのだ、飼料生産基盤を拡充整備していくのだ、このようにおっしゃっておりますが、おっしゃっていることと実態が全然伴わない。これでは国内の畜産対策を総合的に進めておりますと言われても、私は納得するわけにはいかぬわけであります。
特に草地開発については、この後、法改正を伴ういわゆる農用地開発公団が農用地整備公団にということで、従来の畜産を中心にしておりました草地開発は、この事業についてはほぼ打ち切り、新たな事業に着手するという方向でこの問題についても今後出てくるわけでございますが、草地開発事業の推移を見ておりますと、草地開発可能地面積が約百四十万ヘクタールあるとされておりますが、今日まで累計で四十九万へクタールに草地造成が達しているにすぎません。最近ではその実績は年間六千ヘクタール台で推移をしておりまして、最も多かった四十五年ころに比べると五分の一程度になっております。
私は、今まで行われてきた草地開発すべてよしとは思いません。指摘をしたい問題点はいっぱいあります。その開発の仕方、さらにはそこに参加するいわゆる生産農家の人たちが事前に計画に参加をしながらタイアップをしてこれない、また、ただ規模を拡大すればいいという形だけでそれが進められてきた。いろいろな問題でこれが重大な問題を持っているということはわかっております。しかしながら、畜産を振興する一つの大事な柱として自給飼料を確保するというこの政策は、やはり大事な目玉であります。そういう意味で、今御指摘を申し上げたことを踏まえて、今後具体的にどういうふうに取り組んでいかれるか、時間がございませんので簡明にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/422
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423・濱田幸一郎
○濱田説明員 草地開発を行います場合に、適地がなければならないわけでございますが、その場合の適地につきましては、地価が安いあるいはその面積がまとまっている、あるいは傾斜度等の自然的条件等いろいろの制約があるわけでございます。さようなことから、六十年度までの草地造成面積は累計で約五十万ヘクタールに達していたわけでございますが、最近の開発の実績は年平均六千ヘクタールということで、四十五年ごろに比べますと五分の一ぐらいのペースに落ちているわけでございます。これは、畜産自体の需給情勢あるいは円高によります購入飼料価格の低下によります優位性の相対的な低下というようなこともあるわけでございますし、それから水田転作等の既耕地による飼料作物面積の増加、あるいは開発奥地化とか環境問題とか、いろいろな要素が絡んでくるわけでございます。
そこで私どもは、大家畜畜産経営の安定発展を期するために、自給飼料を安定的に低コストで生産するということをねらいまして、まず既存の飼料基盤を最大限に活用するということでございます。なお、既耕地につきましては種々の制約、条件がある場合もございますので、未利用地等につきましても確保が可能な地域をまず優先する、それから経営につきましても造成コストに配慮いたしまして、できるだけ安く面積規模あるいは作業性、形状なり地形等に配慮しながらすぐれた草地を確保していくということで、いろいろな地元の要望あるいは権利調整等実際の可能性の中から具体的な現実的な事業開発を進めていこうということで最近は動いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/423
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424・水谷弘
○水谷委員 水田農業確立対策の中で他の作物に転作をしていく面積が、これは残念なことでありますけれども、七十七万ヘクタールを超え八十五万ヘクタールになんなんとしているわけであります。やはり米にかわる土地利用型農業の中心になりてくる一つとして飼料作物というのは重要になってくるだろうと思います。さらに私も何度か申し上げましたが、稲のホールクロップサイレージの積極的な活用、そういうものも含めて自給飼料の確立はしっかりとひとつお取り組みをいただきたいと思います。
先ほども同僚の委員から指摘がございましたが、阪神鶏卵グループの相続く倒産。今まで計画生産に行政指導を発揮してしっかり対応してまいります、これらのやみ増羽の問題については常にそういう姿勢で畜産局は取り組んでこられたわけでありますが、結果から見ると何もしておみえにならなかった、こういうふうに申し上げざるを得ない。それがこういう形で、大変な債務を負ってこのグループが倒産に至った。二十五社で負債五百二十八億円、こういうことが起きてまいりますと、まじめに真剣に取り組んでおられるいわゆる養鶏、鶏卵の生産者の皆さん方に対してまで、例えば金融機関からもいろいろな形での悪影響というものが出てくる。この問題について実際に行政指導が果たされてこなかった、このことについては一体どう反省をなさるのか。
さらに、先ほどもお話がございましたけれども、この債権の大半を全農がお持ちになっていらっしゃる。これを完全につぶすわけにはいきませんから、経営に乗り出してみえるという方向が出てきているわけです。ということになれば、全農さんのような大きな企業が、現在計画生産を進めているこの中にいわば暗黙の了解をいただいたような形で入っておみえになるようなことになってしまったならば、計画生産に真剣に取り組んでおられる方々に対する影響は甚大なものがあります。その二点についてお伺いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/424
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425・濱田幸一郎
○濱田説明員 鶏卵の計画生産につきましては、私どもは規模の大小問わず指導を行っているわけでございますが、遺憾ながら大規模生産、企業的生産を行っております企業体の中には必ずしも行政指導に素直に従わないというものもないわけじゃないわけでございます。率直に言いまして、阪神鶏卵さんともいろいろなトラブルがあちこちであったわけでございますが、非常に性急に規模拡大をしたということのある意味ではとがが出ているのではないかというふうに見ているわけでございます。ただ、我々別な機会にも申しましたように、まだこの倒産の実態、その後の動向について詳細は把握しておりませんので、先生お話のようなことも踏まえまして、早急に実態を把握をいたしまして養鶏農家への影響等がないように、また計画生産推進に支障がないような、それに逆行するような動きが起こらないような指導を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/425
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426・水谷弘
○水谷委員 時間が限られておりますのでこれ以上申し上げませんけれども、よく調査をし報告をしてください。
次に、たびたび指摘をされる問題でございますけれども、畜産農家の負債対策でございます。
負債の実態をしっかり踏まえて経営改善を図るために必要な万全の措置を講じていただきたい。この間我が党が北海道へ調査に参りました折にも、一戸当たりの負債総額が七千万を超えておりました。その返済のために働いても返済ができない、こういう中で御苦労をしておられる生々しいお訴えを聞いてまいったわけであります。我が栃木県においても、昨年でございますけれども、その一部が地元の新聞を通じて報道をされております。「借金苦目立つ県内畜産農家、一戸平均は七千三百万円」ということで一面のトップで報道されたことがございます。そういう実態、これはいろいろ指摘をされておりますけれども、放漫経営とかそんな言葉で片づけられるようなものはほんのわずかでありまして、一番大きな問題はいわゆる急激な経済基調の変動また政策の転換、そういうものがやはり一番大きな固定化負債をつくり上げてきている要因であろうと私は思います。そういう意味では、政府はこのことについては、先ほど来答弁がございましたように、六十年まで一回酪農に対する対策、また、肉牛に対しては六十年から六十二年まで、またこれからも対策を講じてまいるという積極的な姿勢を示しておられますけれども、竹内委員も御指摘をされましたように、これはどうか本格的に取り組みをいただきまして、この負債農家の救済に新たな措置を講じていかなければどうにもならない部分が余りにも多くございます。それにしっかりお取り組みをいただきたいと思います。
もう一つは、伺いますと、しばらく前にいわゆる近代化資金とか制度融資の政府のお金をお借りいたしました。いよいよ返済の時期が参りまして返済に入っておるのですけれども、金利が全く高くてどうにもならぬ、市中の銀行の金利の方がよほど安い、何とかならぬかねというお訴えは切実なものがございます。こういう経済変動で起きてきた、いわゆる努力をして償えるものではないものに対してこの制度金融が制度的に機敏に対応できるような対策をやはり考えておかなければならないだろう、こう思うわけでございます。現在では制度融資の金利は相当下がっておりますけれども、以前のものについては高い金利のまま支払いをしている実態があるわけでありまして、その点ひとつどういうふうにお取り組みをいただけるか、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/426
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427・濱田幸一郎
○濱田説明員 前段の方につきましてお答えをさせていただきます。
私ども過去の負債につきまして、酪農、肉牛あるいは制度資金あるいは六十三年度からの新規の対策は既に御説明いたしましたので繰り返しません。なお、その負債の実態につきましては、農家経済調査等によりまして経済的に把握するよう努めておりますし、また、各県の調査等も通じまして実態把握に努めているところでございます。このような調査の成果等も踏まえまして真剣に検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/427
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428・伊藤礼史
○伊藤(礼)政府委員 制度資金の金利などの貸付条件についてでございますが、農業の特質を踏まえまして、一般的には長期かつ低利になっております。これらの制度資金の金利につきましては、一部法律で低位に固定しているもの、例えば三・五%の金利のものもございますが、こういうものを除きまして、公定歩合や財投金利の動向等に即応いたしまして、他の政府関係金融機関との金利とのバランスを考慮しながら所要の改定を行ってきているところでございます。今後とも制度資金の金利につきましては、その特質にかんがみ、金融情勢、他の制度資金の金利の動向を見ながら適切に対処してまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/428
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429・水谷弘
○水谷委員 時間でございますのでこれで終わりますが、今僕が申し上げましたのは、現行の、その都度その都度のものではなくて、古いものに対する対策をしっかり考えていただきたい、こういう意味でございます。
それから、まことに恐縮でございます。厚生省の難波課長、おいでいただいておりますが、先ほど同僚の委員が質問をいたしまして、私それを伺っておりましたので、それだけじゃございません、時間の関係で恐縮でございます。では終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/429
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430・菊池福治郎
○菊池委員長 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/430
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431・神田厚
○神田委員 畜産物問題を中心に御質問申し上げます。
まず最初に、先ほど水谷議員の方からもお取り上げがありましたが、アメリカのヤイター通商代表とリン農務長官が記者会見をして、そして日本の消費者にパネルを使ってアピールをする、宣伝をしているわけです。こういうことは、今、日米でこの問題についてどういう形でテーブルに着くかという非常に大事な時期に一方的に日本国民に向かって呼びかけをしているというようなことは、私はこれはルール違反ではないかというふうに思うわけであります。しかし、現実にそういう問題が出されまして、本日の夕刊各紙は第一面ですべて非常に大きく報道しております。この点について今まで眞木局長が行っていろいろと交渉をしてきたのであろうと思うのでありますが、その結果がこのような形で日本国民に対しまして宣伝、アピールされているような状況は私は甚だ遺憾であるというふうに思うのでありますが、農林水産大臣のそのことについての感想をまずひとつお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/431
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432・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 先般、幾日でございましたか、日にちをちょっと失念いたしましたが、代償を求める云々のアメリカ筋からの報道、このことは、テーブルに着かないうちにそういうことを言うのは不愉快なことであると率直な私の気持ちを申し上げた経緯がございます。
けさほど来報道されておる、夕刊は全部一字一句読んだわけじゃございませんけれども、さっと斜めに先ほど見ました。ガット提訴を前提とする、あるいはまた消費者に呼びかけておるというのが、ちょっとさっき斜めに新聞を見たときには私は感じなかったものですからなにでございますけれども、私は今ここへ来て、ぎりぎりの時期に来て、ここで腹を立ててはならぬと実は自分に言い聞かせておるわけでございます。何としてもテーブルをつくって、そこで一連の主張をして、そして米側の理解を求めたい、こういうことで、今私がまたここでそのことに答弁を具体的にいたしますれば、直ちにこれがまたワシントンに報道をされる。その結果がいい結果になるかどうか、いささか懸念もあるとするならば、私自身の言葉は慎重にしなければならない。神田委員のおっしゃる意味はもう痛いほどわかります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/432
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433・神田厚
○神田委員 私がやはり問題にしておりますのは、消費者に訴えているという部分について大臣ちょっと見ることがなかったようであります。これは朝日新聞の記事でありますが、
リン長官は、「米国は四年前の交渉で、輸入割当制度を認めるのは、これが最後であることを表明しており、今年四月からは、割当制度が撤廃されるものと思っている」と、米国の基本的な立場を説明した。
同長官はさらに、今月一日にワシントンと東京とで調べた牛肉、オレンジ、グレープフルーツの価格の比較をパネルを使って説明した。ステーキ肉はワシントンが百グラム当たり百四十三円なのに対して東京は五百九十円、オレンジはワシントンが一個当たり四十三円なのに対して東京は八十五円、グレープフルーツはワシントンが一個当たり四十三円なのに対して東京は九十五円、となっている。同長官は、こうした数字を示しながら、「日本の消費者は、割当制度の撤廃によって、もっと適切な価格の牛肉やオレンジを選ぶ機会を得るべきだ」と述べた。
具体的にこう言っているわけですね。
これは、一方的なアメリカの調査によって発表された問題であって、しかもそのことで政府間交渉が全然進展していない中で、日本の消費者に直接こういう呼びかけをしているというところに問題がある。したがって農林水産大臣は、このことについて日本の農林水産大臣としての立場からやはりコメントをしておく必要があると私は思っております。日本の消費者に対するいわゆるアメリカ側からの一方的なそういう呼びかけに対しまして、農林水産省としての考え方、さらに日本に駐在している外国の特派員等に対しても農林省の立場を明確に説明をすべきだ、このように考えますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/433
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434・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 今、一連の消費者に対する価格の比較を例示しての報道についてでありますが、先ほど申し上げましたように、私自身は言いたいことはたくさんございます。しかし、このぎりぎりの時期にじっとこらえておる。決して逃げるのではない、こらえておる。しかるべき時期には当然のことながら我が方の主張をしなければなりませんし、そのときに私自身今の報道についても触れる時期が必ず来るであろう、こう思います。私は、自分自身に冷静に冷静にと言い聞かせておるわけでございます。と申し上げますのも、話し合いによってということでまずテーブルづくりをやろう、そしてさらにテーブルづくりを困難にならせている問題は何であろうか、とにかくテーブルについて話しましょうやと呼びかけておるところでございますから、そういう意味でもここでは歯には歯、目には目というような態度は私としては差し控えておきたい。
なお、一連の価格につきまして、その価格のとり方が果たして適切なものであるかどうか、事務方から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/434
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435・濱田幸一郎
○濱田説明員 日本に来ましたときにもリン農務長官はいろいろパネルを使って説明をされたわけでございますが、私、細かな数字は覚えておりませんけれども、部位とか規格とかいうのが共通でございませんので、単純に比較して四倍とか三倍とかいうことは非常にミスリーディングな面がございます。そういうことはそのときにも米側に申し入れております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/435
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436・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 かんきつのことにつきましても、実はここで実務者の答弁をさせたいのでございますが、ちょっと担当がおりませんので申しわけございません。後で数値をお届けさせるようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/436
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437・神田厚
○神田委員 ですから、やはりアメリカの方の考え方といいますか調査自体も非常に問題がある。しかも日本の消費者に、直接自由化をすればあなたたちはこれだけメリットがあるのですよ、したがって、日本の消費者は市場自由化、アメリカのやっております政策を支持しなさい、こんなふうなことが言われておるわけです。昨日も大臣にいろいろ申し上げましたが、私は、自由化の時期を明示しないというならば交渉に入らないということは、言ってみれば宣戦布告みたいなものだ、こう言いました。しかし、事態はさらに一層エスカレートしてきたわけですね。そのときにただざんごうに入って敵の攻撃が過ぎるのを避けるというようなことでは、きのうも申し上げましたけれども、それではもう事態が解決しないのだ。
したがって向こうからこういう形で、しかもこれだけすべての有力紙が全部トップで報道をしているということに対して、農林省はすべからくこの問題についての考え方を明らかにすべきだ。何にも言わなければ今度は二弾、三弾、さらにエスカレートした形でいろいろとやられてしまう。外交交渉の中で今から交渉に入ろうというのに、それを全然無視して一方的に日本の報道機関に対して直接アピールするというようなことをこのまま農林水産省があるいは日本政府が黙認をすれば、交渉というもの自体の形が成立しないことになる。したがって、こういうものについて何らかの形で農林水産省は厳然としてアメリカ政府に対して厳重抗議をすべきだ、私はこのように考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/437
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438・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 重ね重ねの御質問ではございますが、今の私とあなたのやりとりをそのまま報道していただけばアメリカに対するコメントになると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/438
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439・神田厚
○神田委員 大変遺憾な事態だと思っております。このようなことを我々が容認をしてしまうということは、一方的にこういう形での自由化の要求で日本がねじ伏せられてしまうということでありますから、大臣の立場もわかりますけれども、毅然とした態度をとるべきだということを私は重ねて要望したいと思っております。
さて、畜産問題でございますが、非常に限られた時間で質問をさせていただきます。
まず最初は、今後の酪農経営の方向づけ、規模拡大その他いろいろ課題があるわけでありますが、これについてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/439
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440・濱田幸一郎
○濱田説明員 二月十六日に発表いたしました酪肉基本方針におきまして、先ほども御説明申し上げましたが、将来の見通し、国内の生産量等の数量的な見通しを行っておりますとともに、基本方針の中におきまして、七十年度を目標といたしました一応のあるべき経営指標というのを掲載いたしまして、例えば飼育頭数がどのくらいであればどうなるというようなことも示しておりまして、今後そういうような形に向かって経営を誘導していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/440
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441・神田厚
○神田委員 それから、先ほども質問に触れられておりましたが、負債の実態の把握状況、さらにはこれらの軽減の方策または酪農負債整理資金は昭和六十年度に終了しておりますが、特別の金融措置等の必要性があると考えますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/441
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442・濱田幸一郎
○濱田説明員 これまでの負債に対する対策につきましては、たびたび御説明いたしましたので詳細は省略させていただきますが、私どもは、このような負債問題に対しまして、先ほど申しましたようないろいろな実態調査も行っております。今後そういう調査の結果も見ながら検討させていただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/442
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443・神田厚
○神田委員 時間がありませんので余り突っ込んだ論議ではなく、今問題になっておりますことを逐条的に聞くような形になって恐縮でございますが、今回の酪肉基本方針の特徴、つまり、前回の基本方針の達成状況などを踏まえてどういうふうにつくり上げているのか、あるいは枝肉取引価格改定のねらいと価格安定帯一本化の実際の取引への影響がかなり懸念されているわけであります。この点につきまして、例えば六区分を十五区分にすることによる事務作業、格付の実際の業務への影響はどうなっておるのか。さらに和乳牛の取引、和牛農家への影響はどういうふうになるのか、これについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/443
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444・濱田幸一郎
○濱田説明員 御質問がかなり広範でございますが、簡単に御説明させていただきます。
新しい酪肉基本方針につきましては新しい見通しの数字を示したということのほかに、酪農及び肉用牛生産振興の基本方向といたしまして、国際化にも対応し得る酪農なり肉用牛生産の確立を目指すという目標を明確に示しているわけでございます。さらに、そのために生産性の向上等により合理的な価格の形成を図るということにいたしまして、具体的は当面、二、三割のコストダウンを目指していこということも示しております。
さらに、経営指標といたしまして、先ほど申しました乳肉複合経営、肉用牛肥育経営に関します指標につきましてもさらに内容を拡充したり、あるいは消費者ニーズに即しましたチーズの製造開発、牛肉の新規格の設定の普及等につきましても新たに書き込みを加えたというようなこと、さらにもう一つは、新技術につきましてもかなり力を入れて書いておるというところが特徴であろうかと思います。
それから、達成目標でございますが、前回の基本方針は六十五年度を目標といたしまして五十八年十月に策定されたわけでございますが、その中にございました一つのポイントでございますいわゆるEC並み価格の実現という点につきましては、一九八〇年以降におきます我が国と西洋諸国の生乳の生産者価格あるいは牛の枝肉卸価格につきまして、これはレートのとり方はございますが、一九八〇年度のレートで円換算して比較いたしますと、かなりいいレベルになっておりまして、着実に生産性の向上が図られてきているというふうに考えております。
それから、需要なり生産の見通しでございますが、概して言いますと、おおむね見通しの線で推移してきているということでございます。幾つかございますが、時間の関係がございますので省略させていただきます。
それから、枝肉の取引価格でございますが、これは先ほど申しましたように、まず枝肉の規格そのものが従来のサシ偏重の規格から歩どまりなり肉質なりという側面につきまして、いわゆる分離評価で格付けをしていこうということがございます。この結果、生産性との関係で申しますと、サシ偏重の余り長期間肥育をして脂をつける、そのために余分なコストがかかるというようなことがなくなって、先ほどの基本方針に即した合理的な生産という線にも見合ってくるというようなメリットがございますし、さらに格付そのものが、今度の食肉規格の対象といたしておりますB2、B3の規格について指定食肉の価格を決めるということによりまして、このB2、B3が先行指標性を持っているというようなことがございますので、より牛肉の価格、需給操作が的確にかつ迅速にやりやすくなるのではないかというようなメリットもあるというふうに我々は考えております。
それから、これが牛肉なり和牛の取引にどういう影響を及ぼすかということでございますが、和牛との関連で申しますと、冒頭に申しましたようにサシ偏重の肥育から、より国民になじみやすいものについての規格、評価がより的確に行われるというようなことで、合理的な生産に誘導されやすいのではないかというような面がございます。
それから、この規格を変えたからと申しまして、その格付なり規格の事務自体につきまして著しい変動なり事務量の増加があって格付事務に混乱を来すというようなことはないと我々は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/444
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445・神田厚
○神田委員 生産農家はやはりその方針によってコストダウンが図られるということについてかなり不安を持っておりますね。そういう中で、ひとつ運用に当たっては生産農家の不安のないようにきちんとした指導と対応をしてもらいたいということを要望しておきたいと思うのであります。
それから肉用牛の生産振興の具体的な推進の方策、これについてお聞きしたいのでありますが、将来にわたりまして肉用牛の需要の増加が見込まれているわけでありますが、具体的に国産のいわゆる肉用牛の生産振興をどうするのか。これは先ほど話しました市場開放と非常に密接に絡んでくる問題でありますが、日本側としての対応。市場開放の中でのいわゆる国内対策問題について方針を出すというふうな方向が農林省で検討されておりますから、この時期にやはり農林水産委員会のそういう現地に対する現地調査等々が必要ではないかというふうに思っております。それで、やはりその現地に行ってそこの状況を把握し、そこで生活をしている人たちの生の声を聞いて対策を立てていかなければならないという問題もありますから、これは委員長に、委員派遣その他の問題がございますので、その点につきましてもひとつ御考慮をいただきたいと申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/445
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446・菊池福治郎
○菊池委員長 わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/446
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447・濱田幸一郎
○濱田説明員 基本的には、今後肉用牛の生産振興は新しい基本方針の方向に即して進められていくということになるわけでございますが、具体的に申し上げますと、何と申しましても飼料基盤の拡充と、それに応じました飼養規模の拡大が基本となりまして肉牛生産基盤の強化が進められるのではないかというふうに考えられるわけでございます。このため国といたしましては、放牧あるいは農地流動化の促進、草地の開発整備等によります国内飼料基盤の充実、それから家畜導入なり自家保留の促進によります繁殖基盤、これは雌牛をふやしていかなければならないわけでございますから、繁殖基盤の強化あるいは肥育経営の規模拡大、それから施設、機械の整備あるいは共同利用等によります有効利用というようなことも進められなければいかぬのではないか。それからさらに、乳肉複合経営あるいは繁殖と肥育の一貫生産の推進等によりまして、これから今まで以上に生産基盤の強化とあわせまして牛肉及び子牛価格の安定、それから経営技術指導の普及等の施策と相まちまして、肉用牛生産の安定的発展あるいは牛肉生産の量的拡大が図られていくようにしなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/447
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448・神田厚
○神田委員 それから穀物の問題、えさでありますが、穀物相場がかなり上がってきている、さらに海上の運賃の上昇が顕著でありますが、これが飼料代の値上がりという問題につながっていく懸念はあるのかどうか、その辺の見通しはいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/448
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449・濱田幸一郎
○濱田説明員 シカゴ相場がひところよりも若干上がっておりまして、ブッシェル二ドル前後のところを推移しているという状況になっております。また、片やフレートも、ソ連の穀物買い付け等によりまして従来よりも若干上がりぎみという点はございます。しかし基調といたしましてなお世界の穀物につきましては、在庫率等見ましても、緩和基調というのは変わっておりませんので、今後大幅に穀物の価格が上がっていくというふうに見る必要はないのではないかというふうに考えております。また同時に円高、為替のレートにつきましても、穀物の相場が若干上がっておりますのとは逆の方向でその期間円高が若干また作用していることもございますので、当面そのためにえさの値段が上がるということは、いましばらくは考える必要がないのではないかというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/449
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450・神田厚
○神田委員 輸入食品の安全性については昨日も御質問申し上げましたが、具体的に輸入豚肉の食品安全対策、これは本来厚生省の方からも答弁をいただくわけでありますが、この問題について新聞等でも大きく報道されております。これらについて農林管ではどういうふうに対策をおとりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/450
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451・濱田幸一郎
○濱田説明員 食品安全そのものは厚生省の所管でございますが、私ども農林水産省といたしましても、安全な食料を国民に供給するというのは使命でございます。したがいまして、厚生省と十分に連絡をとりながら、今回の豚肉のサルファ剤残留の問題等につきましては厚生省さんの御指導に従いまして、汚染された肉が国内マーケットに流入しないように、厚生省さんと御相談しながら適切な措置をとっております。今後も遺漏なきようにやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/451
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452・神田厚
○神田委員 畜産の政策価格の決定に当たりましては、大変自由化等も迫られている状況の中でありまして、また畜産経営そのものもなかなか困難な状況でありますが、聞き及びますところによりますとかなりの値下げというような報道が既にちらほらしている、こういうことであります。
私はここに大臣にお願いするわけでありますが、ひとつこういう状況であり、日本の畜産農家が頑張って何とか国際的にも対応するような、そういうものを日指して頑張れるような政策価格の決定をお願いをしたいというふうに考えておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/452
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453・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 やはり将来を目した形でこのたびの政策価格決定がなされることを、私自身もそういうふうに思っておるわけでございます。将来につながらないということになってはこれは大変なことだな、こういう認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/453
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454・神田厚
○神田委員 最後に、時間が来ましたのでこれで質問をやめますが、先ほど申しましたように、沈黙は金であるという格言があります。しかし現時点におきましては、農林水産大臣が沈黙を通すというようなことでは問題の解決はない。惻隠の情という言葉がありますけれども、今のアメリカ政府の、あるいは通商代表部やあるいは農務長官等等周辺のいろいろな言動は、もう既にそういう惻隠の情なんというものは全くない。二人で共同で記者会見をして、これだけの証拠を集めて、我々が言っていることはどうなんだ、してやったりというような、そういう感じすら私どもは受け取れるわけであります。ですから私は、ここで農林省がこのままこの報道を否定も肯定もしないでやり過ごすということはできない相談だというふうに思っております。
どうかそういう意味で、先ほどくどいように御質問をいたしましたが、私の気持ちといたしましては、やはり農林水産省は、相手の取り扱っているデータが間違っている、あるいは交渉の過程で一方的に自分たちの主張を、しかも交渉相手の日本政府ではなくて日本の消費者にアピールをしている、こういうことについては極めて遺憾である、こういう毅然とした農林水産省の態度を期待いたしまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/454
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455・菊池福治郎
○菊池委員長 藤田スミ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/455
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456・藤田スミ
○藤田委員 私に与えられました時間は四十九分であります。朝九時から延々と、いよいよこれが最後ですのでどうか頑張ってください。
それでは、私は最初に畜産物価格の問題についてお伺いをいたします。
私は先日、全国農民懇の代表の皆さんと御一緒に農林水産省交渉に立ち会いました。そのときの酪農家の訴えというのはまことに切実でありまして、乳を搾れば搾るほど赤字がふえ、負債が大きくなり深刻な事態になっている、もう切々と訴えられたその言葉は今も私の胸を締めつけております。実際酪農業は、相手が生き物ですから、いわば二十四時間、それこそ盆も正月もありません。そういう非常に厳しい仕事をしておられる生産者の皆さんがそれに見合った価格を保証され、再生産の保証があるかというとそうではありません。近代化だとか生産性向上だとかいわれて努力をしていっても、その努力は毎年引き下げていかれる価格のために一向に報いられない、これが実態であります。
私は加工原料乳の保証価格は再生産と所得の確保が図られるよう決定するべきであると考えています。しかも、加工原料乳の限度数量は在庫を二年間で解消するためにと昨年減らされました。生産者は血を流す思いでこの計画に従ってきたわけですが、何と半年もたたない間に乳質改善で限度数量を超える需要がふえてきた。不足をしたからもっとふやしてほしい、こういうことを言い出したそうですが、一度減らしてしまったものをおいそれとこたえるわけにはいかない、一層負債がふえるだけだと農家の皆さんはおっしゃる。一体政府は何を考えているのか、政府の言うことを聞いていたら大変だと怒るのは当然のことだと思います。私は、限度数量は需要に見合う量で決定をするべきだということを要求しておきます。
また、乳質を三・二度から三・五度に改善したから、これまで六、七年間搾乳できた牛は三、四年で廃牛せざるを得ないという実情がますます生産者の負担をふやしてきています。その上に、今回価格の引き下げということになりましたら、これは酪農家に大きな打撃を与えることは必至であります。豚、牛肉の安定価格も再生産の確保と国内生産の振興が図られるように決定をするべきだということを申し上げて、この酪農家の声にどうこたえようとしておられるのかを私はお伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/456
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457・濱田幸一郎
○濱田説明員 まず需給計画について申し上げますと、六十二年度の計画生産につきましては、生産者団体は、近年の需給動向から飲用需要は前年度並み、それから乳製品需要は微増というような見通しでいったわけでございまして、過剰乳製品の解消を図るために、ナチュラルチーズの原料乳部分を除きますと、六十一年度に引き続き減産目標を設定いたしまして生産を行ってきたわけでございます。しかし、その後飲用等向けの生乳需要が見通しを大幅に上回りまして、近年にない高い伸びを示しましたために、乳製品向けの生乳需要量は当初見通しを大幅に下回って推移し、過剰在庫はほぼ解消されつつあるという状況にあるわけでございます。このため、この計画生産を推進しております中央酪農会議は、予想外の飲用需要の伸び等によります生乳不足を避けるため、当初は出荷を予定していませんでした全乳哺育用の生乳等を出荷向けに切りかえるなどの措置をとっておるわけでございまして、本年度当初の計画生産数量が近年の牛乳、乳製品の需要動向及び乳製品の在庫を考慮した場合必ずしも厳し過ぎるというようなものであったというふうには考えておりません。
それから、明日審議会にお諮りすることになるわけでございますが、限度数量等につきましては、制度の趣旨に従いまして適正な数量を設定いたしまして御意見を伺いたいというふうに考えております。
〔委員長退席、保利委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/457
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458・藤田スミ
○藤田委員 私は大臣のコメントを求めたわけですが、次の質問とあわせてお願いをいたします。
政府は、自由化を認めた牛肉・豚肉調製品については国内対策を進める、こういうふうに言われているわけですが、生産者の皆さんは、どんな国境措置あるいは国内対策をとろうと、我々酪農業に与える影響は決して避けることはできない、そんなことはもう大豆やレモンを語るまでもないことだ、牛肉・豚肉調製品の自由化を撤回するべきだというふうに強く求めておられますが、大臣、先ほどの生産者の声と、そしてこの声にあわせてお答えをいただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/458
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459・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 前段につきましては審議官からお答え申し上げましたとおりでございます。後段につきましてはプロジェクトチームにおいて検討をいたしておるのでございますから、いましばらく時間をかしていただきたい、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/459
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460・藤田スミ
○藤田委員 プロジェクトチームでどんな検討をしても、そういうものでは打撃を避けることはできないということだけは申し上げておきましょう。
けさからずっと問題になりました牛肉、オレンジの自由化問題について私もまた質問をしていきたいわけですが、いろいろこれまでの経緯それから政府の首脳発言と言われるような記事、それから大臣のけさほど来の答弁を聞いておりまして、私はこんなふうに考えざるを得ないのです。三月末までの日米間の話し合いが決着ということになれば、それはすなわら我が国からの自由化時期の明示、話し合いがつかないとしてもガットに提訴されて一定の手続を経て自由化をのまされる。どのみちアメリカの自由化要求を断れない対応に尽きると見受けられますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/460
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461・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 おっしゃる意味がちょっと私には理解しにくいのでありますが、さすれば話し合いはするなということでございましょうか。私はあなたに質問する立場ではなくて答弁をする立場でございますから大変失礼とは存じますが、私は、先刻来申し上げておりますように平和裏に話し合いによって円満な解決を図りたい、そのために今手順を踏んでおる、言いたいことはたくさんあるけれども今こらえておるんだ、こう申し上げておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/461
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462・藤田スミ
○藤田委員 その円満な解決の腹の中をちっとも話されないからさっぱりわからないわけですよ。
きょうのお昼のニュースで、ヤイター通商代表とリン農務長官が、日本が自由化を受け入れなければガットに提訴するということで、改めて態度を表明したということが伝えられています。我が国が自由化を表明しないとテーブルに着かないあるいはガット提訴だというアメリカの態度は、これは極めて一方的なものですが、この一方的なアメリカを勢いづかせたのが二月の十二品目の農産物のガット裁定一括受け入れ、そうではなかったでしょうか。日本の農業を守るとかアメリカは不公正だとか言いながら、結論は国際的に孤立しないようにと自由化を受け入れられた。しかも、あれだけ国家貿易品目は別だ、輸入制限はできるのだと言っておられたものも含めて認めていかれた。だから、牛肉、オレンジについてもアメリカは輸入制限はガット違反だとか、三月を過ぎると完全自由化あるのみだとか、日本との交渉の余地はないのだとかいたけだかになっているのじゃありをせんか。大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/462
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463・眞木秀郎
○眞木政府委員 先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、我々はやはり二国間による話し合いによる解決、その中で我々は自由化は困難であるという立場で最後まで努力をするところでございます。そういう先のいろいろな結果の予断についてはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/463
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464・藤田スミ
○藤田委員 同じ質問を重ねて言って恐縮ですが、大臣余り短気を出さないでください。
牛肉の自由化の具体的な問題点について農水省自身がこう言っておられます。「我が国の肉用牛生産は二十九万戸の肉用牛農家と八万戸の酪農家の重要な収入源となっている。これら農家は他産業への就業機会の少ない北海道、東北、九州の山岳地帯に多く、地域の基幹産業である。牛肉の自由化は国内生産を著しく縮小あるいは壊滅し、ひとり肉用牛生産農家のみならず酪農、飼料産業、屠畜業さらには豚肉、鶏肉業界等にも重大な影響を及ぼし、国民経済、国土の利用管理上多大の問題を生じ、社会的、政治的混乱を引き起こすものである。」私はまことにそのとおりだと思います。大臣、ガットに提訴されたとしても、私は、牛肉、オレンジ、これはもう絶対に受け入れることはできない、毅然とした態度を貫かなければならないと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/464
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465・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 短気を起こしているわけではございません。一度御丁寧に申し上げたことを私からまた重ねて答弁をする必要はないのではないかということをあなたであればわかってもらえるだろうな、こう思って私は答弁を経済局長にさせたわけでございます。
今いろいろ言われましたが、壊滅的な打撃は受けないように、そのためにも平和裏に円満な話し合いの決着をつけたい、この願望一筋でテーブルづくりも、ぎりぎりの今日においても最後まで粘り強く努力しよう、この気持ちはわかっていただけるのではないかな、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/465
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466・藤田スミ
○藤田委員 私は、そうだからこそ今大臣にいろいろお伺いをしているわけです。
リン農務長官はきょうのニュースでも、市場開放が日本の消費者の利益となるとしきりに消費者を引き合いに出してきています。日本の消費者の声は、これはもう何度も言われておりますので改めて言うまでもありませんが、総理府の世論調査でも、安いものを輸入した方がよいという人が一九・九%に対し、外国産よりも高くても食糧は国内でつくった方がよいと答えた人が七一・二%ありました。
私は消費者問題に非常にこだわりまして、農産物の輸入自由化、枠拡大について一体政府にどれほどの請願等が来ているか、こういうことを実は農水省にも調べましたし、総理大臣あてのものについても調査をいたしました。例えば内閣総理大臣あての農産物輸入自由化、枠拡大についての請願等処理件数は、昨年、地方議会からの意見書が千八百一件、そして地方議会等からの決議、要望書は二百七十一件、民間団体、個人からの請願等は二百三十五件、合計二千三百七件ございました。ところが、その中で枠拡大も自自化も賛成だとしたのはゼロであります。農水省に来ておりますのももちろんゼロであります。ところが、せんだってボーカス上院議員が訪日され、「日本の消費者も、電通の世論調査によると、八割まで自由化を求めている。」こういうふうに述べておられるわけですが、農水省はこの世論調査の内容を取り寄せて検討されましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/466
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467・濱田幸一郎
○濱田説明員 幾つかそういう情報がございますが、今御指摘の世論調査について私ども手に入れてチェックしたという記憶はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/467
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468・藤田スミ
○藤田委員 それは大変不熱心だ。少なくとも新聞を見たときに、私も非常に大きなショックを受けました。だから、私は電通に対して、この調査はどういうものかということをいろいろ調べさせてもらいました。そして、きょう実は私のところにこの調査の依頼主であるフィリップ・M・セングさんという米国の食肉輸出連合会の副会長が来てくださいました。そしてこの調査がどういうものであるかということを答えてくださったのです。依頼主であるこの米国食肉連合会は、都内の主婦二百人への電話による聞き取り、そういう調査をお願いしたということです。そしてフィリップさんは、もともと販売促進の内部資料にすぎなかったものなのだということを言っておられます。二百人ですから、規模からしてもそういうことだろうなと思うのです。したがって、設問も牛肉をどれぐらい買うか、何回、どこで、そして何に使うかなどの中で、安い肉が輸入制限で入ってこない、そこでこの制限を外して輸入牛肉がたくさん手に入るようになったらいいと思うか、こういう質問をしているというのです。
私は、個人的なことで恐縮ですが、実はこういう世論調査の仕事に携わってきたことがあります。だから世論調査の仕方、特にこういう小規模の、こういう食肉連合会というような一つの目的を持った団体の調査というのはどういうふうに進められるかというのをよく知っているつもりですが、まさにこれは販売促進のための一つの誘導設問であったのだろうなというふうに思うのです。それをボーカスさんは何を思ったか、日本の消費者の八割は輸入を望んでいるのだ、こう言って、国と国との大変な政策決定をこういう世論調査を力にして論じようというようなことは、私は本当に問題だというふうに思いますが、農水省の方も、こういうような記事になったのですから、すぐに調査をするくらいの意欲を見せてくださいよ。その姿勢もまた大変問題だということを私は申し上げておきたいわけです。
これはあえてコメントを求めませんが、私は、輸入自由化問題で今譲歩はないのだ、アメリカに譲歩することはできないのだという姿勢さえ貫いていけばガット提訴を恐れる必要はないと思います。ガットの紛争処理手続は、当事者間の和解を促す調停的性格を持っています。つまり、日本がいやなものはいやだと言えば強制できないわけです。例え提訴されても、クロの裁定案が出されても拒否すれば、全会一致方式をとるガットでは採択されない、そうじゃありませんか。しかも、理不尽なアメリカの姿勢に同調する国ばかりではありません。そのことは十二品目問題で採択に至る経緯でも明らかであります。まして牛肉、オレンジとなれば前回以上に利害の絡む国も多くなり、アメリカのやり方に抵抗する勢力は決して少なくないはずであります。要するに、この問題では日本は一切譲歩できないという立場を今日ただいまでも明言していけば、それは結局ガット提訴は決して恐れることはない、こう私は考えます。十二品目の自由化で外掘りを埋め、牛肉、オレンジで内掘りを埋め、本丸の米をねらうアメリカに、日本の農業、食糧を守るために政府が毅然とした姿勢を貫かれることを私は再度要求いたします。もう一度御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/468
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469・眞木秀郎
○眞木政府委員 先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、現在我々は米国と話し合いによって解決すべく、またその中で自由化は困難という方針のもとに努力を続けておるところでございます。したがいまして、本件がガットに行った場合どうなるかという一種の想定に立った発言なりコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/469
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470・藤田スミ
○藤田委員 それでは次の問題に移ります。
二月五日の畜産振興審議会に政府が提出いたしました「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」を見ますと、牛肉の七十年度の需要見通しは百十四万トンから百二十六万トン、生産見通しは六十九万トンとなっており、この差は輸入になっていくわけですが、この輸入量は、計算をしてみますと四十五万トンから五十七万トンということになります。この輸入量は、六十一年度の輸入数量が十八万七千トンですから、三倍前後の大きな数字になっているわけです。この輸入数量がどういう意味を持つものか。
私は今手元にアメリカの農務省の報告書を持っています。これを見ますと、日本の牛肉とミカンの自由化についての表の四のところでこう書いてあるのです。どの程度の牛肉が輸入されるか、その試算を表で載せています。この表には、速水試算で二十七万トンから三十八万トン、サンダーソン試算で三十万トンから四十二万トン、アンダーソン試算で三十八万三千トンから五十八万一千トン、ユイゼ試算が三十五万六千トン、コイル試算が八十四万二千トン、こうなっていまして、その数値よりもむしろ政府のこの近代化を図るための基本方針で示された輸入数量の方がまだ大きな数字はなっているわけです。これはどういうことでしょうか。これでは、片方で幾ら輸入自由化は困難だといっても、実際の輸入見通しでは輸入の自由化と同じ輸入数量をはじいている。アメリカに足元を見られるのじゃないかと考えますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/470
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471・濱田幸一郎
○濱田説明員 需要につきましては、この基本方針の中では一人当たりの伸び率の動向から将来を展望したわけでございます。また、生産量につきましては、基準年次におきます家畜の頭数を基本的なべースとして置いてその後の生産量をはじいた、こういうことになるわけでございます。したがいまして、これは輸入量をどうするということから出発したのでは全くございませんで、あくまでも需要と国内生産とのギャップがそこに存在するということでございます。
それから、お話がございました数字につきましては、確かに七十年の見通し段階における需要量と生産量との差額はそういうことでございますが、我々が牛肉の輸入について議論をする場合には部分肉の形で申し上げるわけでございまして、この見通しの中においても、部分肉のベースで生産と需要とのギャップを見ますと七十年におきまして三十二万から四十万トンが不足分だ、こういう形になるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/471
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472・藤田スミ
○藤田委員 私たちだけがこの数量を完全自由化とほぼ同量の輸入量の想定じゃないかと言っているのじゃないのです。自民党の渡辺政調会長もそういうふうに言われているわけですよ。部分肉、これはもう私は弁解としか思えません。それに私が提示した資料の方も合わせておりますので、そういう点では私が言っていることは決して妙な話ではないわけです。一層矛盾が大きくなるだけのことです。私は、このような基本方針はもう一度撤回して見直しをするべきだ、余りあいまいなことを言わないでほしいと思うわけです。大臣御自身が、国際問題につきましてもこの基本方針を踏まえ適切に対処してまいる所存でございます、こういうふうに三月十五日の審議会のあいさつで演説されておられるわけです。そうなりますと、幾らか幅を持ったとかいろいろ弁解されても、この数字はそれこそひとり歩きしてアメリカまで行ってしまいます。だから言っているわけです。
しかも、この基本方針で自由化と同等な輸入拡大を見込んだ結果、国内生産はこれまでの伸びを抑制する計画になっているというところが非常に重大だと思うのです。つまり、「八〇年代の農政の基本方向」のときの長期見通しでは、平均の伸び率は、五十三年から六十五年ですが、傾きで見ますと年一・八%、今回の基本方針では六十年から七十年までの傾きは年一・三%と引き下げられているわけです。その結果、牛肉の自給率は五十三年七三%、六十年七二%、そして六十五年の見通しでは七四から六八%たったのに、基本方針では七十年佐六〇から五五%というふうに落ちていっているわけです。食糧はみずからの国で生産するという立場で自給率を高める、国内生産をふやすという立場に立つべきだと考えますが、どう説明されますか。
〔保利委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/472
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473・濱田幸一郎
○濱田説明員 需要量につきましては過去のトレンドからの推計と先ほど申し上げたわけでございます。
それから、生産量につきましては、基本的には基準年における家畜の頭数をベースにいたしましてそれがどのくらいふえていくか、いわゆる転がし計算でやっていくわけでございますが、その際もかなり新技術の導入等によります頭数の増を織り込んでおりまして、生産につきましてはかなり政策的、意欲的な面がございます。
したがいまして、この需要と供給とのギャップにつきましては、むしろ輸入量がどちらかといいますと、同じ自然体で比べた場合よりも少し頑張って努力しているわけでございますので小さくなっているわけでございます。それから、従来の基本方針でいいますと需要量の年率、五十三年から六十五年までの年平均伸び率は三・六から四・三ということになっております。今回の基本方針の六十年度から目標年次七十年度への見通しにつきましては、需要量は四・〇から五・〇という形になります。片や生産量につきましては同じく前回の基本方針の平均伸び率は三・七、生産量は二・二、こういう形になっておりまして、こういう両者のギャップが自給率の変更ということにつながっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/473
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474・藤田スミ
○藤田委員 いろいろ弁解されても結局自給率が落ちたということを認めておられるじゃありませんか。私はやはりこの基本方針はもう一度撤回を求めて、次の問題に入っていきたいと思います。
先ほど来もいろいろ問題になりました、二月八日にアメリカ産の豚肉に合成抗菌剤として使用されているスルファジミジン、これはアメリカで発がん性がある、こういうことで疑いがあると問題になっているものなんです。その残留値がアメリカの基準の〇・一ppmを超えているのではないかという指摘がAP電で伝えられたそうなんですが、その後の経緯及び事実関係をお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/474
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475・難波江
○難波説明員 お答えをいたします。
ただいま先生御指摘のように、二月八日、米国においては自国産の豚肉にスルファジミジンにかかわる違反が多いという情報を私ども入手をしたわけでございます。直ちに在京米大使館を通じまして事実関係の確認を依頼するとともに、二月十九日から米国産豚肉について輸入時の検査を検疫所において全ロット行うというような処置を講じ、さらに既に輸入されている豚肉の在庫分につきましては都道府県にその検査の実施を依頼したところでございます。
その結果、現在まで輸入時の検査において三ロットからスルファジミジンが検出されたために、当該貨物につきましては廃棄または積み戻し等の処置を命じたところでございます。なお、既に輸入されたものにつきましては都道府県等はおいて検査が実施されているところでございますが、現在までのところ、米国産豚肉からスルファジミジンが検出されたという報告は受けていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/475
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476・藤田スミ
○藤田委員 輸入豚肉のスルファジミジンの残留状況を答えておられません。答えてください。輸入時の検査結果、国内における検査結果、これは台湾物もあわせて御答弁をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/476
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477・難波江
○難波説明員 お答えいたします。
三月四日に最初に検出いたしましたのが〇・四ppmでございます。それから、三月十日〇・一二ppm、三日十六日〇・三一ppm、これはいずれも米国分でございます。それから、台湾分につきましては、三月十四日、東京都におきましてスルファジミジン一・二ppm検出でございます。それから三月十七日、埼玉県において同じくスルファジミジン〇・一ppmでございます。三月十八日になりまして、これは検疫所、輸入時点の検査でございますが、〇・一三ppmを検出しております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/477
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478・藤田スミ
○藤田委員 私は、最初アメリカの残留基準は〇・一ppmなんだと言いましたが、そうすると今お示しの数値、検出値は結局台湾物で一・二ppmといったら十二倍の濃度です。アメリカの〇・四四ppm、これで四倍の数値になるわけです。こういった高い数値が出るのはスルファジミジンを飼料添加物として使っていたとしか思えないわけですが、それも台湾物では相当ずさんな使われ方がしていたのではないか、この点はどうなんでしょうか。
あわせて、なぜ以前からスルファジミジンの残留検査をしてこなかったのか、この点はついてもお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/478
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479・難波江
○難波説明員 お答えをいたします。
飼料添加物の使用状況につきましては、大使館等を通じて情報収集に努めているところでございますが、アメリカにおきましては、飼料は添加をして使用しているというような状況でございます。それから、台湾につきましても飼料にまぜて使っているというような情報を得ております。
それから、現在までどういう検査をしてきたかということでございますが、私ども輸入食品の安全確保を図るために医薬品等の残留物質につきましては、例年諸外国の情報等をできる限り入手をし、チェックをしながら残留の疑いの強い物質について優先的にやるというような形でやってきておるわけでございますが、スルファジミジンにつきましては、今年度から新たに検査対象物質に加えて検査を行っているというような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/479
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480・藤田スミ
○藤田委員 大体諸外国の状況から残留の強いものを優先している、それで結局AP電で情報が流れてきたらわっということで追いかけていって、スルファジミジンもこの問題が出てから追加をしたんですよ。こんな物騒な話は本当に大変な問題です。従来日本はスルファジミジンの残留検査もしてこなかった。そうして飼料添加物として大量投与されていた、知らないのはこちらばかりです。まさにスルファジミジンの残留のいいかげんな検査体制の中で今回こういうふうな問題が出てきたわけです。大臣、話を聞いていただいておわかりだと思いますが、どういうふうに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/480
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481・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 どうもおくれまして済みません。
食糧についてその安全性を確保することは重要な問題であると認識しております。食糧の安全性については、食品衛生法、薬事法等において所要の措置が定められ、関係省庁において対処しているところであり、今後とも十分連携を保って食料品の安全性の確保に努めてまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/481
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482・藤田スミ
○藤田委員 大臣、日ごろ余りなれてない問題ですからそういうふうに言われたのだと思いますが、実際にこういう問題が起こるたびに、本当に国民は不安になるのですよ。自分の台所でこれは大丈夫かどうか調べられないでしょう。ところが、新聞に報道されて、その後の検出でこういうふうな高濃度のものがどんどん出てくるということになったら、これは本当に大きな不安です。しかも台湾物は、テーブルミート用といいまして、すぐに我々が食卓で使う、つまり加工しない、そういうものとして使われているわけです。そういう点では、国産物と非常に競合が強くて、生産者の方も、需給の失調あるいは価格低迷の要因になっているなんて全中も指摘をしておりますが、まさにそういうわけなんです。
それが安全性の面でも、残留基準の十二倍の濃度のものが日本に入ってきていて、もうちょっとで我々の口に入る、もう上陸して日本で在庫されているものの中から出てきたというわけですから、私は、このような安全性に不安のある豚肉を無秩序に輸入すること自身が問題であって、行政指導を通じて輸入抑制の措置を早速に強化していただきたいということを申し上げますとともに、まして、日米間で進めている検査所での規制緩和、つまり、その輸出国の公的検査機関が検査済みのものは再検をしない、日本でもう再び検査をしない、こういうようなことを今、日米間で具体的に話を事務レベルで詰めていっているということですが、もってのほかであります。直ちにこのようなやり方は中止をして、本当に国民の食の安全の立場に立ち切ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/482
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483・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 質問をしておるあなたより私の方は、今のおっしゃる点については知識がないと私も思っております。あなたはお調べになってみんなやってこられたわけですから、こっちは準備がないわけでありますから、申しわけありません。
しかし、私が食糧の安全性について大きな関心を持っておる点は、先般の予算委員会でも極めてわかりやすく一言答えましたとおり、安全でないものは食糧と言わない、こう申し上げておるところでございます。なお、厚生省が所管でございますが、密接な連絡をとってやっていくことは当然でございますし、厚生省からは今担当が来ておられますが、大臣にもよく言っておいてください。この場であなたに申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/483
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484・藤田スミ
○藤田委員 もう一点お願いいたします。
アメリカと今協議をしている、アメリカが公的機関で検査をしたものは我が国ではもうノンチェックで入れていく、そういうことで今話を詰めているということなんですが、これは本当に食の安全上から、もし大臣が言われるように、安全でないものは食ではないという立場に立つならば、食でないものを入れないために、その撤回を私は求めているところなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/484
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485・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 そういう先ほどの御質問でもございましたから、それも含めて、担当が来ておられますが、厚生大臣によろしくお伝えおきをいただきたいと、あなたの前でこうして私は同僚大臣に申し上げておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/485
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486・藤田スミ
○藤田委員 日本の検疫は厳し過ぎる、アメリカはこういう面でもしょっちゅうそういう言い方をして、日本の、それこそアメリカが引き合いに出す消費者が何よりも心配をしているこういう問題でも規制の緩和をしつこく要求し、一方で輸入をふやせ、門戸を開放せよ、こういうことであります。しかしそれは、日本の農業にとっても、日本の食糧にとっても、本当に許すことのできない横暴な態度であります。
私は、今日本じゅうに、安全な食糧は日本の大地から、そういう合い言葉が広がり、生産者も消費者も、まさに国民が一体になって、このアメリカの理不尽な、米までねらった牛肉、オレンジの輸入自由化に対しては断固許さないという声が野火のように広がっているんだ、そのことを大臣は確信を持って、日本の農林水産大臣として御奮闘いただきたい、そのことを最後に申し上げて、時間が参りましたので、終わらせていただきます。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/486
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487・菊池福治郎
○菊池委員長 この際、鈴木宗男君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による畜産物価格等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。串原義直君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/487
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488・串原義直
○串原委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合及び日本共産党・革新共同を代表して、畜産物価格等に関する件(案)の趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
畜産物価格等に関する件(案)
我が国農業をめぐる内外の厳しい現状を踏まえ、政府は昭和六十三年度畜産物行政価格等の決定に当たっては、左記事項の実現に努め畜産業の安定的発展に万遺憾なきを期すべきである。
記
一 加工原料乳保証価格については、九年間に及ぶ計画生産の実情、酪農家の経営実態等に配慮し、再生産の確保が図られる水準に決定すること。
また、加工原料乳限度数量については、近年における乳製品の需要の動向を反映した数量とすること。
二 豚肉、牛肉の安定基準価格等については、再生産の確保が図られる水準に決定すること。
なお、牛肉の価格安定帯の一本化に関しては、取引の実態に悪影響を及ぼすことのないよう十分配慮すること。
三 牛肉の供給については、安易に海外依存することなく、国内生産を基本とすること。
四 畜産農家の経営の実態を踏まえ、経営改善を図るために必要な措置を講ずるとともに、経営体質の強化のための指導を強化すること。
五 生乳をはじめとする畜産物の計画生産が円滑に推進されるよう、これに必要な助成措置を確保するとともに、価格安定制度の適時、適切な運用に努めること。
六 国民の要請する良質で安全な畜産物需要の高まりに対応した生産・流通体制を整備するとともに、消費拡大のための新製品の開発・普及を図り需要の増進に努めること。
右決議する。
以上の決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/488
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489・菊池福治郎
○菊池委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
鈴木宗男君外四名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/489
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490・菊池福治郎
○菊池委員長 起立総員。よって、本動議のごとく決しました。
この際、ただいまの決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/490
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491・佐藤敬夫
○佐藤国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従い、最近の畜産業をめぐる厳しい情勢を踏まえつつ十分検討してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/491
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492・菊池福治郎
○菊池委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/492
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493・菊池福治郎
○菊池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
次回は、来る二十九日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X00419880323/493