1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月二十七日(水曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 菊池福治郎君
理事 笹山 登生君 理事 鈴木 宗男君
理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君
理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君
理事 水谷 弘君 理事 神田 厚君
阿部 文男君 衛藤征士郎君
大石 千八着 川崎 二郎君
小坂善太郎君 杉浦 正健君
田邊 國男君 武部 勤君
中島 衛君 長谷川 峻君
柳沢 伯夫君 沢藤礼次郎君
田中 恒利君 竹内 猛君
前島 秀行君 安井 吉典君
武田 一夫君 藤原 房雄君
吉浦 忠治君 藤田 スミ君
委員外の出席者
農林水産省構造
改善局農政部長 安橋 隆雄君
参 考 人
(新潟県六日町
町長) 大谷 欣一君
参 考 人
(全国農業会議
所専務理事) 池田 齊君
参 考 人
(社団法人日本
倉庫協会専務理
事) 廣瀬 好宏君
参 考 人
(財団法人日本
立地センター常
務理事) 飯島 貞一君
農林水産委員会
調査室長 羽多 實君
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本日の会議に付した案件
農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/0
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001・菊池福治郎
○菊池委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
これより質疑に入ります。
本日は、本案審査のため、参考人として新潟県六日町町長大谷欣一君、全国農業会議所専務理事池田齊君、社団法人日本倉庫協会専務理事鹿瀬好宏君、財団法人日本立地センター常務理事飯島貞一君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。大谷参考人、池田参考人、廣瀬参考人、飯島参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので御了承願います。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
それでは、大谷参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/1
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002・大谷欣一
○大谷参考人 皆様おはようございます。御審議、大変御苦労さまでございます。
参考人として出頭を命じられました新潟県六日町町長の大谷でございます。本日は、参考人として御意見を述べる機会をちょうだいいたしまして、大変感謝申し上げておる次第でございます。ありがとうございました。
日ごろ、後進地域の振興に御配慮をいただきまして、心から厚く感謝申し上げます。
私は、本改正案は適切なものと考えます。その点に立って六日町の現況並びに御意見を若干申し上げさせていただきたいと存じます。
当町は、新潟県の南端に位置をしておりまして、三国山脈を隔てまして群馬県に接する全国有数の特別豪雪地帯にございます。人口は二万八千四百人でございます。産業構造としましては、就業者規模で第一次産業が一二%、第二次産業が四二%、第三次産業が四六%でございます。
特別豪雪地帯で米単作、それに若干の酪農、養豚、養蚕等がございますので、昭和三十年代半ばまでは冬季間の百二十日間、三カ月間は関東地方に出稼ぎをいたしまして生活を維持してきたところでございます。したがいまして、昭和三十一年には人口は二万七千七百三十人であったのですが、高度経済成長の最盛期であります昭和四十五年には人口が二万六千三百一人まで減少いたしました。その後、国の特別豪雪地帯対策が進みましたことと、首都圏とを結ぶ交通施設であります国道十七号線の改良整備あるいは国鉄上越線の複線、電化に伴いまして関東圏から弱電関係工業の進出等労働市場が拡大されましたことによりまして、地元就労が伸びまして人口の流出が減少いたしあるいはUターン現象から人口の増加傾向に転じてまいりました。これは四十七年からでございます。
一方、農業部門も基盤整備が進みまして機械化作業体系による省力営農体系が進みまして、労働力は余剰が生まれてまいりました。また、交通網におきましても、五十七年十一月に新幹線が開通いたしましたし、また高速道は五十九年に全通いたしましたが、いわゆる高速交通ネットワーク構想が当時打ち立てられたわけでありまして、当地方に上越新幹線、関越自動車道の建設が予定されることになりまして大きな変革期を迎えることになりました。これを踏まえまして、さらに昭和四十六年農村地域工業導入促進法、昭和四十七年工業再配置促進法の施行を機にいたしまして、昭和四十八年に農村地域工業導入実施計画を立てた次第でございます。
第一次の計画といたしましては、三団地二十ヘクタールを土地開発公社によりまして先行取得造成を実施いたしました。昭和五十三年から工場立地が始まりまして、昭和六十年までに九つの工場が立地をいたしまして、約九百人の新規雇用の場ができました。若い諸君が将来を託して一生懸命に働いておる現況であります。その後、さらに五ヘクタールほどの団地の拡張をいたし、これも完全に売り払いができました。目下、三工場が建設中でございます。
このように工業導入が比較的順調に進んだことと、農業部門の構造改善も進みまして、中核農家を中心とする機械化の一貫作業体系によります営農集団化が進展をいたしております。その一方、また、不安定な兼業農家が導入工業に働き場所を求めることによりまして安定化し、農家経済の向上を図ってまいりました。
工業導入が順調に進んだ背景といたしましては、昭和五十七年上越新幹線の開通、同じく昭和六十年関越自動車道の全通によって首都圏との時間距離が一時間十分ないし二時間三十分という条件整備もございますが、国の適切な施策がありましたことに大きな要因があるものでございます。後進地帯の自治体の責任者として、その実態を御報告申し上げ、改めて感謝申し上げる次第であります。なお、当町では、農工導入センターから格別積極的な御紹介を賜りまして、立地が実現をいたしております。あわせて感謝を申し上げるわけでございます。
しかし、農山村地帯にとりまして、農業部門の国際化時代に対応するには、零細規模で、しかも米作単作農業、それにわずかな小規模の酪農、畜産という悪条件の中では、農業による自立は極めて困難であると考えます。ここで一気に安い外国の農産物が入ってきましたら、まさに肌にアワを生ずる感がする次第でございます。したがいまして、今後さらに農業部門の構造改善を進め、経営の集約化を図りながら、かつ農業を基幹産業に据えつつ、工業部門の拡大も図り、農工一体的な産業構造を確立していく必要があると存じております。
しかも、最近の若い者のニーズは職業の選択の面からも大変多様化しております。単に製造工場就労だけでなく、いわゆる一・五次産業あるいは二・五次産業と言われるものの組み合わせも考えて、バラエティーに富んだ就労の場がないと魅力を感じてくれません。したがって、大都市に流出することになります。その意味で、今回の農村地域工業導入促進法の一部改正は、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業及びこん包業まで適用業種を拡大されるものでございまして、極めて適切なものと評価いたしているものでございます。
なお、このことに関連をいたしまして、技術革新並びに情報化の波は農村地域にも及んでおります。今回、法改正に伴いまして拡大される業種関連の研究機関等、いわゆるソフト部門でございますが、この農村地域への導入につきましても今後御研究をいただきますことをお願いする次第でございます。
当町のこれまでの事案として、実は設定いたしました工業団地に工場が立地いたしまして、その工場の原材料から製造品までの輸送を担当する関連企業が同じく立地したわけですが、製造業の方は農工導入法の適用を受けますので、税制上あるいは金融制度の上で便宜供与が付与されますが、関連立地をした輸送業等には団地内の立地もさせられませんし、かつ便宜供与も与えられませんという矛盾がございました。また、労働者を雇用する面においても、若干のトラブルが起きた問題がございました。
製造業にありましても、最も効率的な生産活動をするには、関連する業種が一体となって立地していることが最も望ましいものでございますし、受け入れをいたします当方といたしましても、多様な職場ができることとなりますし、かつ同様な奨励措置をすることができますので、極めて好ましいものと考えております。
特に、農山村地帯の小都市における産業構造は単純業種であります。ですから、若者のニーズに対応し切れません。したがって、新規学卒者の地元の就労率は大変低うございます。依然として大都市に流出する結果を生んでいるところでございます。
高速交通のネットワークが形成された今ですので、過密過疎の解消あるいは国土の均衡ある活用を図るためにも、また、産業の地方分散を積極的に進めるためにも、今回の法改正は一日も早く実現されたいと願うものでございます。
また、税制上の措置につきましても、適用業種の拡大とともに農村地域工業導入実施計画に基づき取得する工業団地用地に係る譲渡所得特別控除額が、現行は五百万円でございますが、同一団地に大面積を提供する地主にとってはちょっと少のうございますので、少なくとも一千五百万円から二千万円程度に引き上げの措置をお願いいたしませんと、今後新しくこの目的を達成するための工業用地取得が困難な情勢になるかと存じます。ぜひとも格別の御配慮をお願いいたします。
以上簡単ですが、私のお願い、御意見を申し上げました。まことにありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/2
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003・菊池福治郎
○菊池委員長 ありがとうございました。
次に、池田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/3
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004・池田齊
○池田参考人 全国農業会議所の池田でございます。
本日は、当委員会におきまして、農村工業導入促進法の改正法案の御審議に際しまして、農業団体の立場から意見を申し上げる機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
言うまでもなく、今一番大事なものは農業の構造改善を進めるということだと思いますが、その問題との関連を含めながら、今回の改正法案は結論的にはぜひ必要な改正であるというふうに考えるものでございます。以下、これが必要とされる農業、農村の事情と理由を申し上げたいと存じます。
御案内のように、ここ一、二年の急激な円高、農産物の貿易摩擦の激化等のために、農業、農村は今激動の中にございます。大きな転換期を迎えようとしておるわけでございます。円高のために農産物の内外価格差が拡大し、世界各国から大量の農産物が輸入され、ちまたにあふれているのが現状だと思われます。そういう中で、さらにアメリカからは、御案内のように現在、牛肉、オレンジの輸入の完全自由化が強硬に迫られておるわけでございます。
農業者は御案内のように、現在、全水田面積の約三分の一、七十七万ヘクタール、実質的には約八十万ヘクタールの転作を、強いられているという言葉は悪いのですが、行わざるを得ないという立場にあるわけでございます。先ほど申しましたように、輸入農産物に押されまして米にかわる作物がなかなか見つからないというのが現状ではないかと思います。また、東京一極集中と申しますかそういう姿が進展をしておりまして、このために過密過疎の状況がさらに進んでおるのが現状でございます。そういうことで、農村地域は農業が停滞し、地場産業の不振等に基づきまして活気を失っているのが現状ではないかと思います。これらを反映いたしまして、農業会議所の調査に基づきましても、北海道、東北、九州など、これらは将来の食糧基地として一番大事な地域だと思うわけでございますが、そういう地帯で農地価格が下落する傾向が今進んでおります。そういうようなことでございますので、特に農業の担い手が年々減少し、高齢化が進んでいるということは御案内のとおりでございます。
このような農業、農村の危機的状況を打開いたしまして、国際化がさらに進展する中で生き残るというような体質を築くためには、どうしても国際的に見て極めて零細な土地利用型農業の規模拡大を何とか実現をして、農業を産業として確立するという構造政策を一刻も早く進めることが現在最も重要なことではないかと思うわけでございます。そういう中で経営能力の高い農業者を育成して、そしてこれらの人々によりまして我が国の農業をつくり上げなければ、農業の将来はいよいよ危ないということになるのではないかと心配をいたしておるわけでございます。
そういうことのために、全国農業会議所では二十数年前から土地と人ということを農政の柱に据えまして、農地の流動化の促進による担い手への土地の集積、産業として自立できる農業経営者の育成に全力を挙げて今日まで来ております。
構造政策の中心は何と申しましても農業生産の基盤の整備ということが基本でありますが、そういう条件とあわせながら経営規模の拡大をどう図るかということではないかと思うわけでございます。農業規模の拡大のためには農地の流動化を図らなければならないわけでございますけれども、これは農地を売ったり、貸したり、そういう人がその後地元で安定した雇用の機会、これが大事でございますが、これが少ないというような問題が流動化を妨げる大きな原因の一つになっておると思います。農業会議所が全国三千三百の農業委員会を対象に、五十九年に「担い手農家の育成確保と地域農業の振興方策について」という調査を行いましたが、この調査を見ますと、農地の流動化の進まない理由として、農地を貸した人が他産業に就業する機会が少ない、こういうことを挙げた農業委員会が、北海道では一三%、東北では二二・二%、九州では一三・七%という数字が出ておるわけでございます。御案内のように、これらの地域はいずれも今後土地利用型農業によっていわゆる日本の食糧基地の役割を担当する重要な地域でございます。
このような意味におきまして、昭和四十六年に制定されました税制、金融の特別措置に支えられておる農村地域工業導入促進法によりまして、現在までに約四千二百の企業が農村地域に導入されております。そして、そのことを通じまして二十六万八千人の雇用が創出をされておる。しかもその創出された雇用の約八割が地元の市町村または周辺市町村からのものでございまして、言うなれば地元雇用であったというのが八割あるというような数字が出ておるわけでございます。このことは農村地域の今までの導入法の効果であると同時に、一応農村地域の活性化、農業の構造改革のためにも相当大きな意味があったというふうに言えるのではないかと考えるわけでございます。しかし、前段で申し上げました日本の国の農業の情勢を考えますと、さらにこれを積極的に進めるということが、今後の構造政策の推進、農村地域の活性化にとっていよいよ大切になってきたのではないかというふうに考えるわけでございます。
ここで、私、ある町村の例を一つ申し上げたいと思うわけでございます。この町は熊本県の南部にありまして、鹿児島県との県境にある町でございます。そこの町長とお会いをいたしましていろいろ話を聞く機会があったわけでございます。この町は従来から工業導入に熱心でございましたけれども、この法律ができまして本格的に工業導入を――何とかその町に誘致をするという熱心な動きが前段にあったわけでございます。その前に、構造改善事業を十分に活用いたしまして、九六%の基盤整備が完了されておるわけでございます。この町は文字どおり鹿児島県との県境に接しておるところでございまして、過疎の町であり、人口が毎年流出をするということを悩んでおったということを町長から聞いたわけでございます。そこで本格的に工業導入を行うというような考え方の中で、いろいろ導入の工場関係と接触をとりながらやったようでございますが、一つは電気関係の先端技術をやるNECの企業をここに誘致する。これは女子を中心とした企業でございます。もう一つは本田技研の流れをくむ自動車の部品の大きな工場の誘致、この二つをこの法律に基づいて導入しようといたしたわけでございますが、このことが成功いたしまして、村が一変して、非常に変わってきておるという話を聞いておるわけでございます。
なお、これは余談でございますけれども、こういう企業を導入する場合に、その企業がそこに定着をするというためには、言うなれば一つの娯楽施設と申しますか、そういう環境も整えなければならぬというようなことを町長も気づきまして、実はそこにゴルフ場を設置したという話を聞いておるわけでございます。そういう受け入れ態勢を含めながら、この二つの大きな工場の導入に成功した、そして千二百人ぐらいの雇用がそこに生まれた。そのうち一つは完全に女子雇用型の企業である。これが五、六百人の雇用の場をその町あるいはその周辺の町村に対しまして提供した。こういうことから、従来どんどんと人口が減っておりましたこの過疎町が、過疎化が防止できまして、最近では人口が少しずつではあるけれどもふえているという現象が起こっているようでございます。
また、このことが農地の流動化の進展にもつながってきておる。農業委員会が中心でこのあっせん事業をやっておるようでございますけれども、これが非常に大きく進んでまいりまして、いわゆる経営規模の拡大が進みながら専業農家がこの町ではふえてきた、こういうお話を聞いております。そういうことのために後継者の確保が非常にうまくいくようになってきた。その村に落ちついておる。一つは女子を五、六百人雇用している大企業がそこに入ってきたというようなことで、婦女子、娘さんがその町から逃げ出すというような問題がなくなってきたというようなことで、男子の青年も極めて落ちついた形で村でいろいろな仕事に従事できる。よく世の中で言います嫁飢饉の問題が具体的に解決をしたというような話を聞いて、私はこの工業導入促進法に基づく基本的な目的に該当しておる一つの町村の例ではないかというふうに考え、非常に感銘をいたしておるわけでございます。具体的な企業の名前や町の名前は申し上げませんでしたが、そういう町が、熊本と鹿児島の県境の過疎地域で本当にこの工業導入法を活用して、そして二つの大きな工場を導入した、しかも一つは女子雇用型の工場である、こういうことがいろいろな問題に波及をして非常に村が活性化をし、この周辺の四十カ町村の中で人口がふえておるのはこの町だけであるという話を聞いて非常に感銘をいたしておりますので、この機会に御紹介をしておきたいと思います。
この委員会におきまして、今農林省など四省の提案によりまして促進法の一部改正が出されておるわけでございますが、この基本的な問題は、対象業種を新たにふやしていこう、こういう問題が一点あるようでございます。第三次産業的なものを四業種ふやすというようなことであり、また数カ町村にまたがる広域な地域指定もできるようにするということになっておるわけでございます。我々農業会議所におきましては、三月十四日の全国の農業会議の会長会議におきまして、この問題は構造改善のための一翼を担当する重要な法案であるという意味合いから、これの早期成立の要望を既に先生方のところに提出をしてあることは御案内のとおりでございます。
現在、日本全体では全体の就業者に対する第三次産業の就業者の比率が年々高まっておるわけでございまして、農村地帯、郡部におきましても、都市部ほどではございませんが同様の傾向がございます。一方、従来の工業導入法のねらいであった第二次産業の問題は、円高であるというようなことも含めまして海外立地がふえようとしておるということは御案内のとおりでございますが、そういう意味で日本全体でも二次産業の就業者の比率が落ちてくる、そして三次産業がふえてくる。この際農村におきましても、第三次産業を農村地域にどういうふうに導入するかということは、雇用機会の確保の上からも極めて大事な問題であるというふうに考えておるわけでございます。
また最近は、農村部でも交通網が発達してまいりましたので、今度の追加される道路貨物運送業、倉庫業、卸売業、こん包業などの流通拠点的な業種は誘致しやすいというふうに考えますし、このような業種が農村に立地することによりまして、工業サイドもこれを利用できるメリットを感じ、進出に魅力を見出せることと思います。
近ごろ、手づくりハムでありますとか各種漬物など農業者の自主的な農産加工、販売への意欲が各地で芽生えつつありますけれども、これが新たに指定される今度の改正によります業種とうまく提携し、発展する可能性もあるというふうに考えるわけでございます。
いずれにいたしましても、農業、農村を取り巻く情勢は加速度的に厳しくなっておりますので、貿易対策、農業振興対策、地域振興対策などあらゆる面で現在できる対策を早急に実施していくことが、日本農業を生き残らせるための必要な条件ではないかというふうに考えるわけでございます。このような意味におきまして、その有力な施策の一つとして今回の法改正が速やかに国会で成立いたしまして、この恩典が農村地域に均てんをするということを強く要望いたしまして、私の意見開陳を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/4
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005・菊池福治郎
○菊池委員長 ありがとうございました。
次に、廣瀬参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/5
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006・廣瀬好宏
○廣瀬参考人 ただいま御指名がございました日本倉庫協会専務理事の廣瀨でございます。
本日は、農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案の審議に際しまして参考人としてお招きいただき、意見を陳述する機会を賜りましたこと、まことに光栄に存ずる次第でございます。
意見の陳述に先立ちまして、まず、衆議院農林水産委員会の諸先生方には、日ごろ倉庫業につき深い御理解と御高配を賜っておりますこと、この席をかりまして厚く御礼申し上げる次第でございます。
最初に、倉庫業の概要について御説明させていただきます。
皆様方御存じのとおり、倉庫業は、国民生活と産業活動に必要な多種多様な品物を大量に、また安全かつ確実に保管することを主たる目的とした事業でございます。倉庫業が取り扱っている品物は、ありとあらゆるものがございます。例えば農畜水産関係では、米、麦などの生産物のみならず、これらの事業の経営に必要な化学肥料やメーズ、マイロなどの家畜の飼料、工業関係では、テレビ、冷蔵庫などの工業製品のみならず、これらを製造するために必要な鉄、銅、ゴムなどの工業用原材料、国民生活の関係では、インスタントラーメン、ジュース、洗剤、衣料など日常生活において必要かつ欠くことのできないさまざまな品物を保管し、これらを円滑に供給しているわけでございます。国民生活、経済生活の中での物の流れを仮に自然界における水の流れに例えますと、倉庫の役割は広大な大地の各地にばらばらと点在する貯水池に当たるとお考えいただければよろしいかと存じます。このように倉庫は、その保管機能を通じまして流通機構における物資の需要と供給の調整、物価の安定、物資の円滑な流れに寄与し、極めて公益的な機能を果たしているわけでございます。
倉庫業を経営する者は現在約四千事業者がおりますが、そのうち二千七百が普通倉庫業、残りの千三百が冷蔵倉庫業を経営しております。これらの者は、倉庫業の運営の適否が、単に物品寄託者などの利用者の利益を左右するばかりでなく、国民生活や産業活動にとって欠くことのできない重要な物資を大量に取り扱うということから、一般公共の利益に重大な影響を及ぼすものでありますので、倉庫業法によって規制をされておりまして、その施設が倉庫業法で定めます一定の施設基準に合致する場合に限り運輸大臣の許可を受けまして事業を行っているわけでございます。その事業者のうち約九五%が中小企業者となっております。
倉庫業は、その原価構成を見ますと、人件費が五三%を占めます労働集約的な産業でございます。しかし一方、倉庫業を開始するに際しましては、用地の取得を含めて施設を整備するためにかなり膨大な資金が必要であるという点から見ますと施設産業でもあると申し上げてよろしいかと存じます。この点におきまして倉庫は、経済の動向に伴う保管需要の変化に応じまして短期間に倉庫スペースの供給量を調整することが難しいという特性を持っているわけでございます。
倉庫業は、これまで、産業構造や流通機構の変化の中で、その時代時代の要請に対応しながら施設の整備やサービスの近代化を進めてまいりましたが、最近では経済社会のサービス化、情報化、国際化に伴い、倉庫を取り巻く環境は大きく変化をしてきております。消費者ニーズの多様化、高度化は、入庫貨物の少量化、多品種化を進めており、荷主の物流合理化への意欲は出庫貨物の小口化、高頻度化を求めるのみならず、保管貨物のきめ細やかな管理のほか、保管とあわせて流通加工、例えば商品の包装、値札つけなどの作業でございますが、など、多様な要望となって出ており、これらの荷主のニーズにいかにこたえるかが倉庫業者の当面の課題となっております。
以上が最近における倉庫業の概要でございますが、続きまして倉庫業の農村地域への進出、立地につきまして話を進めさせていただきます。
倉庫業が保管需要の変化に応じて短期間に倉庫スペースを調整することが難しいことはさきに述べたとおりでございますが、倉庫の貨物の取扱量はこれまで年々徐々に増加し、六十一年度の入庫量は二億四百万トンと、この五年間で二二%、年平均四%の伸びを示しました。こういうふうに伸びてはきているわけですが、先ほど申しました庫腹調整、倉庫スペースの調整がすぐできないというような倉庫の特性にかんがみまして、倉庫の整備は中長期的な見通しに基づき計画的に実施する必要があるという判断から、運輸省は六十一年度から六十五年度を対象にして第六次倉庫整備五カ年計画を策定されました。
この五カ年計画で認められているとおり、倉庫増設の必要性は日本経済の動向から見ましてここ当分続くものと思われます。この倉庫増設に関しましては、最も大きな問題の一つに用地の確保という問題がございます。これまでは倉庫事業者がみずからの努力によって用地を取得してきたものもございますが、かなり大規模な物流施設の整備の一環として倉庫を整備する場合には、港湾管理者や地方公共団体などの公的機関にお願いをいたしまして、港湾における埠頭用地や流通業務団地、卸売市場、工業団地などの造成地に入居させていただいております。
一方、運輸省は、都市部における倉庫用地の取得は非常に困難であるという認識のもとに、これらの公的機関が港湾計画や都市計画を策定する際に倉庫立地の必要性を十分考慮していただきたいという旨を常々要請しておりまして、倉庫適地の有効活用を図るためには倉庫の高度化、高層化を一層推進するよう行政指導をされているところでございます。
最近、運輸省の要請を受けまして、建設省では、一昨年八月、市街化調整区域における開発許可制度の運用を改正されました。これにより、四車線以上の国道などの沿道または高速自動車国道等のインターチェンジ周辺において大規模な流通業務施設の設置が認められることとなったのでございますが、改正後現在まで約一年半の間に、早くも八件の倉庫施設が市街化調整区域に増設されております。
農工団地への入居について、若干の倉庫業者と話をいたしましたところ、入居を希望する者に二つのタイプが見られました。第一のタイプは、取引相手の荷主が現に進出しているので入れるものなら今からでも入りたいとか、今後荷主が入居するのであればぜひ入りたいというものでございます。第二のタイプは、荷主の要望に応ずるため倉庫業をベースとして配送センター的な業務を行ったり、仕事を流通加工まで広めたいと考えているけれども都市内では適切な土地の入手が困難である、したがって交通条件がよく合理的な価格の土地が入手でき、必要な労働力の確保ができるなら農工団地に進出したいというものでございます。
倉庫に関連する労働力の問題につきましては、現在のところ都市部では各倉庫業者は何とかそれを確保しているようでございますが、将来的には倉庫内の現場作業や流通加工に必要な作業につきましては若干の不安を感じているのが現状ではないかと存じます。
ここで、倉庫内労働につきまして補足的に若干の説明をいたしますと、最近極力機械化を進めてはいるものの、倉庫管理の業務、貨物の入出庫、フォークリフトなどによる荷役関係の業務、倉庫の警備といった面でなお相当数の現場職員が必要となっております。また、流通加工は、こん包、品ぞろえ、ラベル張り、検品、値札づけなど、機械化ができず手作業に頼らざるを得ないものが主体となっております。しかも、これらの作業につきましても荷主の要望はますますきめ細かくなっており、これらにどう対処するか、苦慮しているのが現状でございます。
倉庫業者は、現在多様化、高度化する荷主ニーズ、消費者ニーズにこたえるため、倉庫施設の整備を含めて新しい対応を迫られておりますが、都市部とその周辺地区においては地価の高騰や交通混雑、単純作業労働力の確保の困難性など多数の難問に当面しております。したがいまして、倉庫の市街地における立地が困難なため、道路交通網が整備され、土地の価格が合理的であって、倉庫内の作業や流通加工に適する労働力が十分確保されるという条件を満たす農村地域は物流拠点として十分魅力ある地域である、ぜひ進出したいという事業者がかなりいると推測しております。
最後になりましたが、今般、農村地域工業導入促進法を改正し、法律に基づく導入対象事業に道路貨物運送業、こん包業、卸売業とともに倉庫業をお加えいただき、税制、金融上の優遇措置を適用いただけるということは、我々倉庫業者といたしましてこの上ない喜びであり、心から感謝申し上げる次第でございます。また、今回の法改正によりまして、共同流通業務施設の整備について国と地方公共団体の努力義務が新たに加えられることとなっております。共同流通業務施設とは、いわゆるトラックターミナルや配送センター、集団化倉庫の共同荷さばき施設などを意味するものと思われますが、これらの施設につき何とぞ国も一層の御配慮を御検討くださるよう要望いたしたいと存じます。
最後に、この法律が一日でも早く可決、成立し、実施されますことを心から希望しまして、参考人としての意見の陳述を終わらせていただきます。
長時間にわたりつたない意見をお聞きいただき、まことに恐縮に存じます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/6
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007・菊池福治郎
○菊池委員長 ありがとうございました。
次に、飯島参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/7
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008・飯島貞一
○飯島参考人 私、財団法人日本立地センターで常務理事を務めております飯島でございます。ただいまの委員長の御指名によりまして、お三人の参考人に引き続きまして意見を申し述べたいと思っております。
私どもの財団法人は、国の立地政策にいろいろ御協力を申し上げ、それから地域へ企業を導入するお手伝いをいたしておるわけでございます。昭和四十六年にこの農村地域工業導入促進法が成立、施行されまして約十三年経過をいたしたわけでございますが、この法律の制定された当時の状況は、公害問題で大変日本じゅうが沸いておるときでございました。で、幾つか議論がございましたが、第一は、農村へ工業を導入した場合に公害も導入するのではないか、こういうことがございました。それから第二は、まだこういうことが考えられた当初でございまして、農業と工業との調和といっているけれども、本当にそれはできるのだろうかということでございます。それから第三は、農村の、僻地の非常に立地条件の悪いところに本当に工業というのは来るのかという点も議論になったと思います。それから第四番目でございますが、工業団地の役割というのは何だろうか、その中の機能はどうあるべきなんだろうか、こういうことがいろいろ議論をされておりました。
幸い、公害問題も国を挙げて公害対策に取り組んでおられましたし、その努力が実りまして最近産業公害というのは非常に下火になってまいりました。現在はどちらかというと生活公害とか交通公害に移っておるわけですが、これは産業側がそれなりの対応をしたわけでございまして、農村地域の水田の中でメッキ工場をやっておる工場が全然排水を外へ出さないクローズドシステム、こういうのも進んできておるわけでございます。
第二の果たして農工との調和ができるのかということでございますが、最近工場立地法とか、それから工場緑化というのが非常に進んでまいりまして、工場に対する規制、それから積極的に緑地を取り入れる、こういうことも進んでまいった結果、さらに工業側が地域と融和をするのにどうしたらいいか、いろいろな対策を考えておりまして、当時に比べれば格段の進歩があったのではないかと思います。
それから第三の、農村地域へ工場が進出するかどうかという問題でございますが、当時、法制定から十年以上たちまして全国的に高速交通体系が大変進んでまいりました。先ほど大谷参考人も申しておられましたように、こういう整備が進んだ結果非常に企業立地が進展をしております。ただ、残念なことに高速交通体系が未整備のところがまだたくさん残っておりまして、第四次全国総合開発計画で言われております一日行動圏、これにはまだまだ時間がかかるかと思いますが、こういう計画が早く実現されればさらに順次地方へも工場が進出するだろうというふうに考えておるわけでございます。
第四番目の工業団地のあり方については、後でちょっと関連しますので申し上げたいと思いますが、先ほど池田参考人がおっしゃいましたように、雇用の面でも二十六万人もあり、地元でほとんど雇用している。さらに農家世帯からも九万五千人、十万人近く雇用している、こういうことでこの制度が非常に効果があったというふうに考えられるわけでございます。
今回、私、この農村地域工業導入促進法の一部を改正する法律案で参考人として意見を述べるよう御依頼がございましたが、実は昭和四十六年五月十九日、この法律の審議をされておりますときに同じく私、参考人としてここで意見を述べさせていただいておるわけでございます。今回の法律改正の要点の一つは、工業以外の業種を追加する。工業立地に関連をしてこれを支援する業種、この業種は先ほどから何度も出ておりますが、この業種の追加ということに対して私の意見としては大変賛成をいたすわけでございます。
その理由といたしまして、この委員会へ出るに当たりましてお役所の方にお願いをいたしまして前回の私が述べました議事録をいただいたわけでございますが、ここで私が先ほど申し上げました工業団地のあり方、機能はどうかということについて私がちょっと意見を申し上げておるわけでございます。これはいろいろな世界的に工業団地のあり方を勉強する者として、今の日本の工業団地というのは製造業が入ったものを言っている。しかし、だんだん製造業だけで工業団地を埋めても大変問題が出てくるだろう。そこで流通施設であるとかトラックターミナルであるとかストックヤードであるとか、こういうものが必要になってくるということをこの四十六年の委員会で私が述べておるわけでございます。今回の法律の改正を見ますと、私が当時述べたことそのとおりを今度改正の中で取り入れようということでございますので、実は我が意を得たりという感じがいたしておるわけでございます。
それから、第二点の広域的に物を考えて計画をもっと実効あらしめていこうという改正が入っております。この問題でも広域市町村計画とか全総計画で言う定住圏、こういった地域づくりの方向を見ましても当然これは考えられなければならない問題かと思っております。広域的に物を考えていくときに、その地域で中心になる都市、そういうものと周辺の都市というのをどうしても考えていかなければいかぬ、こういうことで広域的に物を考えていく点については非常に賛成であり、計画がさらに進んでいくのではないかと思っております。
先ほど申し上げましたように、最近全国の高速交通体系というのを一生懸命やっておりますが、私、地元として大事なのは、域内の交通体系がもっと整備されないとせっかくいい高速道路ができてもそれをおりてから域内で動くのに大変不便である。域内の交通体系のいいところというのは、現在でも農村地域まで工業の導入が非常に促進されております。例えば鹿児島とか富山とか飛行場をおりてその後高速道路が近い、こういうところは行動範囲が非常に広がるわけでございまして、私、この広域的な計画をつくるときに一番重要なのは、全国の高速交通体系と同時に、域内の交通体系を整備していく、これが非常に重要な点かと思います。
既に三人の先生方がいろいろおっしゃいましたので重複するところを避けまして申し上げたので簡単でございますが、最後に少しお願いといいますか要望事項を申し上げてみたいと思います。
先ほどの六日町のように高速交通体系が整備をされて、いいところもございますが、まだそれに取り残されたところがたくさんございます。そういうところを重点に今後の農村工業導入計画をつくって促進をしていく、これにお役所の方でも格段の努力をしていただきたい。
それから第二点はお願いでございますが、団地をおつくりになるときに工業サイドから申しますと、やはり工業は工業の持っている立地条件というのがございまして、それをよく御理解をいただいて、この辺余っているからここを使えというのではなくて、やはり地域計画の中で農業、工業、都市それぞれが調和のあるような土地利用になるようぜひ今後努力をしていただきたいと思っております。
それから三番目は、先ほどの広域行政でございますが、既に地方では中心都市を核といたしまして、広域的に協議会をつくったりして大変よくやっておられるところもたくさんございます。しかし、なかなか長年の歴史からいいましてお互いに余りうまくいっていない地域もございますので、そういうところはぜひ国のお力、県のお力で何とかうまくいくような御指導をいただきたいと思っております。今後、高速交通体系もどんどん進むと思いますし、順次この法律に基づく企業導入も進むと思います。それから、先ほどちょっと出ておりました海外立地という問題につきましても、一時円高で非常に産業が外へ行くということで空洞化を心配をいたしましたが、やはり円高のデメリットもありますがメリットもございまして、同時に国が進めておられる内需振興、これの効果が出てまいりまして海外立地もやや落ちつきを見せておる、こういう情勢の中で内需が振興され、最近国内での土地も相当また上向きになってきております。ぜひこういう産業がこの法に基づいて地方へ進出をしていく、これは国土の均衡ある発展上からも大変必要だというふうに考えておるわけでございます。
簡単でございますが、私のつたない意見の開陳をこれで終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/8
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009・菊池福治郎
○菊池委員長 ありがとうございました。
以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/9
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010・菊池福治郎
○菊池委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/10
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011・杉浦正健
○杉浦委員 杉浦でございます。
本日は、四人の参考人の方、お忙しいところを御出席いただきまして大変貴重な御意見を賜りまして本当にありがとうございました。
お四方とも基本的には賛成の立場で、またいろいろと御意見を賜ったわけでございますが、導入する工業等の中にソフト等第三次産業的なものをもっと加えなければいけないのじゃないかとか、あるいは道路等インフラの整備が必要ではないかとか貴重な御意見を賜りました。これらの点は我が党の総合農政調査会でも相当議論されたところでございまして、貴重な御意見をもとにしてこれからも研究、検討してまいらなければならないと思っております。
以下、参考人の方々に若干御質問させていただきますが、時間の関係もございますので、要領よくお答え願えれば大変ありがたいと存じます。
まず、大谷参考人にお伺いいたしますが、大変豪雪地帯で私もスキー場には何回かお伺いしたことがございますが、厳しい条件の中で九つもの工場を立地、定着させられたということで、いろいろ御苦労もあったと思います。詳しくお伺いしたいところでありますが、どういう点に工夫をされ、あるいは注意を払われて成功されたのか、苦労話をお聞かせ願えればありがたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/11
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012・大谷欣一
○大谷参考人 杉浦委員から御質問ございました点につきまして若干御説明申し上げたいと思っております。
私どものところは大変な積雪地帯で、役場の屋根の上で多いときは三メーターくらい積もるというので、よくこんなところに人間が住んでいるなあなんて時々言われることがあるのでございますが、どっこい生きておりますというのが実情でございます。そんな中で、ごく最初は新潟鉄工の六日町工場さんが昭和十六年ごろ立地をしておりましたたった一つの工場でございました。私もそこへ勤めた覚えがございますが、当時農業だけでございませんで、工業の促進ということがその地域の経済力をつける唯一の方法だった。そのとおりに進んできたんじゃないかと思っております。
そんな雪の中で、私どもはまず第一にPRをしていこうと、もう雪の心配はないのです、国道も県道も町道も建設大臣から知事から町長から責任持って除雪をいたします、交通の支障は全くありませんというPRテープをつくって社長さんにごらんをいただきました。余り長いのは困りますので、十分くらいに短縮してテープをつくりました。
次には、八つくらいうちの魅力をひとつ打ち出そうということで、実は魅力を八つ、工場立地の八つの魅力ということで出しました。
まず第一は、製品を安全に確実に東京や必要なところに高速で輸送できますよということ。二番目には、安い値段で工業団地の取得ができますよ。平米五千円から八千六百円で売り出しました。畳の値段と相談してくださいなんということも申し上げたのですが、平米五千円から八千六百円というところで勝負をいたしました。次に三番目が、企業の進出後もサービスをということで、せっかくお越しいただいたわけですから、町の工場であるという観点でサービスをさせていただきました。次に、各種の優遇措置といたしまして、固定資産税の三年間の免除あるいは工場を建てていただいた場合に建物一平米五千円の補助を差し上げまして御優遇申し上げました。それから越後人の特質であります大変質のいい労働力を売り物にさせていただきました。それから自然環境が、東京からいらっしゃいますとここはスイスと同じようだなというお褒めの言葉で、お世辞も大分あるかと思うのですけれども、そういう点を大いにひとつ売り出しをさせていただきました。自然環境が抜群であるというところ。それからそれだけじゃ足りませんので、教育も進学校がちゃんとある。立派に東京の大学にも、一流の大学にも入れる進学校もあります。それから福祉、病院、そういった医療施設、生活の上にも支障のないようにということで、高等学校四校ほど地域内にありますので、そういう点のPRをいたしました。
次に、企業はテンポが大変速うございますので、質問が電話でありましたら、すぐにファックスで六日町の状況をお送り申し上げるというような機動性を役場の組織の中につくり込みましてお答えをいたしました。そして翌日は東京へ来まして社長に御面接がいただけた、それが進出に結びついたというような実例がございます。それから報道機関とのタイアップというような点で、特に農工センターさん、新潟県の東京事務所との関連、こういったものを大切にしながら進めてまいりました。
そんな点で、要はとにかく私どもの地域が、新潟県が人口輸出県に今までずっとなっておりましたので、これを何としてもひとつ食いとめたい、地域の自立をしたいという強力な希望で進めさしていただきました。
以上、簡単でございますが、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/12
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013・杉浦正健
○杉浦委員 大変御苦労さまでございました。もっといろいろ伺いたいんですが、時間がございませんので、順不同ですが進めさしていただきます。
次に、廣瀬参考人にお伺いしたいのですけれども、今度の改正で対象業種に倉庫業が入るということで、地元もみんな大変期待しておるわけですが、倉庫業は生産とか消費が行われております都市部に立地してこそ事業としてうまみがあるといいますか、そういうことがあると思います。また、最近は合理化が進んで相当機械化も進んでおるので従業員は余り要らないというような意見も聞くわけでありますけれども、本法で対象としている工業地域は、相当僻地といいますか過疎地域が多うございますので、都市から離れた農村に地元の期待しているように果たして来てくれるかどうかということを心配しておりますし、また来ていただいても地元の方を雇ってもらえないのではないかという心配もあるわけですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/13
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014・廣瀬好宏
○廣瀬参考人 先ほどもちょっと御説明させていただいたのでございますけれども、私どもすべてについて余り調査したわけではございませんが、皆さん方とお話をしておりますと、農工団地に出たいというのには二つのタイプがございます。
一つは、先ほど一部話がございました関連進出型といいましょうか荷主依存型、こういうことで、荷主さんであるメーカーが工業団地に出ておる、または出たいと言っている、そういうことで一緒に出ていきたい、こういうタイプでございます。もう一つのタイプというのが、流通消費型と申し上げましょうか、事業を拡張していきたい、こういう形のものでございます。
倉庫業にもいろいろなものがございまして、貯蔵専門のようなものもございますが、それとは違いまして、最近荷主の要望というものが非常に厳しくなってきておるわけです。例えばコンビニエンスストアなどではストックをほとんど持たないで、ジャスト・イン・タイムで洗剤を数本持ってこいとかいうようなケースがございまして、そういう荷主の要望にこたえるということと、それからまた、荷主さん自体が流通加工志向型、こういうようなものもございます。先ほどもちょっと御説明申し上げたのですが、例えば衣料品でございますと、スーパーマーケットに出すものにはAというスーパーマーケットの値札をつけまして、それを包装します。デパートにはまたデパート向けの値札をつけまして、それを包装して言われたとおりに配送する、今までこれは卸業がやっていたわけですが、こういうような仕事まで倉庫業に求められるようになってきたわけでございます。
そうしますと、現在都市内にございますのは確かにお話のようにすぐれているとは思うのですが、そういうふうに流通加工型の事業に切りかえていきますためには今までのスペースでは不十分でございまして、したがって土地、建物を確保しなければならない。としますと、土地が非常に高騰しているためにそのスペースを確保することが非常に困難であるというのが一つの問題ではないかと思います。それからもう一つ、都市内の交通混雑というものがございまして、予定された時刻に相手方に到着しない、こういう問題もございます。また、荷主の要望によりまして品物を出すのが多頻度化しておりまして、何度もトラックが出入りする、こういうことで近隣の方から異議が出てきたり文句が来るわけでございます。一方、流通加工型に必要な作業は労働力がかなり必要でございます。手作業以外にやりようがないものですから、現在のところとりあえず近隣の女性の方々などに頼ってやっているわけですが、そのことも、将来的に見てこのままいけるかどうかという点について不安感を持っているのが現状ではないかと思います。したがいまして、今度の農工法でつくっていただきます団地が交通網の整備によりまして非常に便利であるということ、それから労働力も十分に確保されるということがありまして、しかも土地価格が合理的な価格である、こういうことになり、かつ地元の方々からぜひ来てほしい、こういう要望がございますのであればかなりの事業者にとりまして魅力のあるものであり、出たいという気持ちがあるかと存じます。
長くなりまして失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/14
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015・杉浦正健
○杉浦委員 もう一点だけ廣瀬参考人にお伺いします。
お聞き及びかと思いますが、運輸省にフレートビラ構想というのがあって、貨物の別荘といいましょうか、過疎地に倉庫を設けてそこへ貨物をストックする。過疎地活性化対策の一つとして考えられているようですが、それとの関係で皆様方がお考えになっていることはございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/15
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016・廣瀬好宏
○廣瀬参考人 ただいま御質問ございましたフレートビラでございますが、最近の新聞等に若干載っておるわけでございますが、フレートビラといいまして貨物の別荘ということでございます。この考え方の基本といいますのは、都市内生活におきますいわゆる不要不急の品物を積み分けいたしまして、現在の自分の住宅以外のところに預けまして、必要なときにこれを宅急便等の方法によって手に入れる、こういう考え方でございます。
この基本といいますのは、東京の都市内の一住宅当たり平均が五十八平方メーター程度でございまして、全国は八十五といいますから東京都内の住宅事情というのはかなり悪い、こういうことがあり、一般の調査をいたしますと、東京都内の方の五〇%の方々が収納スペースに悩みを持っておられる、こういうことを背景といたしまして、実は運輸省におきましてフレイトビラ構想研究会というのを発足させて勉強しているところでございます。どのような問題があるか、こういうような問題もありましたものですから、現在三カ所で実験事業を行っております。福島県と茨城県、静岡県、こういうところでやっているのですが、これは、現在倉庫事業者の持っております倉庫を利用しての実験でございます。
この結果、こういうフレートビラ構想なるものにどういう問題点があるか、こういうことについて検討が行われておりまして、結果が出ましたらそれを拡大していくかどうか、こういう問題になると思います。したがいまして、御質問の工業団地に関連しましては、その成果を見まして、その需要がありかつどういうような問題があるか、こういうことが究明された段階で、過疎地と考えられます工業団地等への進出も考えられるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/16
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017・杉浦正健
○杉浦委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/17
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018・菊池福治郎
○菊池委員長 竹内猛君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/18
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019・竹内猛
○竹内(猛)委員 農村工業導入法の審議に当たりまして、参考人の皆さんにはお忙しいところ貴重な御意見をありがとうございました。時間の関係から四人の参考人に何点かずつ御質問申し上げますから、ひとつ時間の範囲内でお答えをいただきたい、こう思います。
まず、全体として、この法律ができてから十数年たっておりますけれども、百万人の雇用というものを考えておきながら、この間に二十八万人という段階にとどまっておる。いろいろな事情があったにしても、目標からしてみれば四分の一強というところにとどまり、かつ近畿が六三・七%の段階で北海道が四四・四%、全国平均が五四・一%ということからしてみて、最も大事にしなければならない農村地帯の北海道が低いということについてはやはり問題ではないかと思うのです。このことについて、これは池田参考人が適当かと思いますが、お願いいたします。
第二の点については、きのうのジェトロの報告によりますと、新興工業国、アジアNICSからの輸入が四四%ふえているということでありまして、先ほどの参考人の御意見を聞くとそうではないというような御意見ですが、実態はどうも違うような感じがしますね。そういう点で、地価が安いこと、労働力が比較的安いこと、そして技術を持っていけばかなりの仕事ができて、逆に日本に輸入されるという事実というものは否定できない、ますますこれは拡大をするであろう。農村工業導入法には皆さん全部賛成のようだけれども、私は別にこれは異議を唱えるわけじゃありませんが、非常に心配するものの一人でありますから、その点もぜひわかるようにお答えをいただきたい。
さて、六日町の町長さんにお伺いいたしますが、六日町の近くは交通がよくなって非常に前進したということは大変結構なことだと思います。そういう点では、一体地価というものはその辺ではどれくらいになっているのか、土地の価格、値段ですね。それから、工場が来た場合に固定資産税というものはどれくらい見込まれているのか。本社が東京にあり工場があった場合に、確かに固定資産税の何割かが還元をされるということになっていますが、その辺の問題はどうか。それから、労働者の賃金というもの、雇用状況というものは一体どういうふうになっているのか。それから、男女の関係はどうなのかということをお伺いいたします。
それから池田参考人には、先ほどのお話のほかに、自立経営、土地利用型といいますけれども、食糧の自給率がちゃんと決まっていて、土地利用というものをしてそれが農家の所得に返ってくるようなそういう利用の仕方でなければ、幾ら構造改善をやって拡大をしても、アメリカから、何十倍かの土地を持っているところからどんどん米まで輸入しようという段階、それから東南アジアのように、生活がかなり低いわけでありまして、そういうところから入ってきたときには、日本のような農業はなかなか難しい。こういうようなことで、この土地利用の前に、政治が責任を持って食糧自給率というものを高めてそれをまじめに守る。五十五年の国会の決議が今日守られておりません。だから、そういうように国会で決議したことが守られないような状況では、何を決めてもこれはだめだと思うのですね。そういう点については、農業会議所の理事としてしっかりひとつお答えをいただきたい。
次に、自由化の段階で規模拡大をしても、外国から入ってくると一番たたかれるのは専業農家ですね。兼業農家は総合所得ですから逃げる道がある。専業農家は逃げられない。だから、規模拡大、規模拡大という夢のようなことばかり余り言わないで、農家の所得を確保するためにはどうしたらいいか。規模拡大というのは所得を拡大するための一つの手段でしょう。だから、手段と目的を間違わないようにひとつしてもらいたい。
それから廣瀬参考人には、国鉄が民間に移って荷物、大体貨物は廃止をする。貨物の置き場をみんな売り払っていますね。そのためは倉庫業というものが忙しくなったと思うのです。そういう点で、倉庫業をやるためには土地の取得が大事だ。一体、土地の取得というものはどれくらいのものが合理的な価格になるのか、そのことについて一点だけお伺いします。
それから飯島参考人には、これも先ほどから、もう二回目だそうでありますけれども、当初理想とされたようにこの農村工業導入というものが進み得なかったということについて何が問題かということをお聞きします。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/19
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020・菊池福治郎
○菊池委員長 それでは順次お願いしますが、先に池田参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/20
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021・池田齊
○池田参考人 竹内先生の御質問の中で、北海道、先ほどは東北、九州に触れましたけれども、特に北海道がなかなか工業導入が進んでいない。これは事実でございます。こういう地帯は地価が、特に農地価格が下がってきているという現象、しかも負債を非常にたくさん持って苦しんでいる。これは農場的な性格ですから、こういうところこそ何か工業導入がしっかりできて、そして新規の参入等含めたそういうものが農業の活性化につながるということが基本的に大事な地帯であるというふうに私も考えます。
ただ、工業導入法ができまして、今お話ございましたように、どうも企業側は企業の論理が、経営の問題があるわけで、何となく都会に近いところからスタートを切るというような形で、どうも辺境のところまでいくことにちゅうちょされるというような問題が確かにあったようでございます。したがいまして、何か別の政策を含めながら、本当に必要な地帯に工業導入が行われるというような施策がもう少しきめ細かにできてこなければ北海道の今の状態はそう簡単に解決ができないというようなことで、何とかその辺は、やはり一番大事な地域に工業導入がなかなかうまく進まないという問題をどういうふうに考え、今後対策をどうするかというような問題が重要ではないかと思います。
それから、工業導入は一面、雇用問題を解決しながら構造政策にこれが寄与するということが基本であると思います。先ほど熊本の例を申し上げたのは、そういうことが現実に動き出したという例を申し上げたわけでございまして、それが本当の工業導入促進法を制定した当初の目標であったというふうに考えます。ただ、これはそれだけではだめでございまして、いろいろな政策が整合性を持たなければならないことはそのとおりだと思います。
土地利用型農業が何といっても農業の基本でございますので、これをどうやって立派な経営に育てるか、こういうことですが、それは所得を伴わなければだめだ、まさにそのとおりだと思います。今日、価格政策も非常に大事でございます。しかし、それは今日のような内外価格差の問題等が国民の世論になっている場合に一つの限界があると思いますので、やはり規模拡大を通して所得の確保というような問題、また立派な経営をどうやって育てるかというのが基本的な態度ではないか。
ただ、それにいたしましても、先生お話しのように、食糧の自給というものを国がどう考えるか、この基本的なラインが崩れてくれば、これはもう何をか言わんということになるわけで、国会におきまして食糧自給力の強化の決議が全党一致で行われていることはそのとおりでありますけれども、農政審の今度の報告等見ますと、そういう問題が影が薄れているということは私も極めて遺憾に存じておる一人でございます。今日五〇%のカロリーベースの自給量しかない。それがさらに後退をするというようなことは絶対に避けなければならぬし、できれば、もう少し自給力を上げるという努力をすべきではないか。総理府の調査でも、七割の国民はそれを期待しているというような問題でございますので、やはりそこに食糧安保的な一つのかんぬきがなければならないというのが私の基本的な考え方でございます。国会全体を通して、そういう問題をしっかりと踏まえてひとつやっていただきたい。そうでなければ、いかに構造改善をし規模の拡大をいたしましても、裸でほかのところと競争をするというような問題は、なかなかこれはできない相談であるというふうに考えておるわけでございます。
また、今度の法案に関連いたしまして先ほどちょっと私も触れましたけれども、やはり工業が円高等の関係で流出をするという問題につきまして、一面反省が日本の工業にも起こってきておることは私もいろいろ聞いております。しかし、基本的にはやはり流れる要素があるということになりますと、せっかく農村に立地した工業がそこで崩れ去るというようなことがあってはならないわけで、そんなことを含めながら、やはり三次産業をしっかりと農村にさらに導入するというふうなことで、初期の工業導入促進法のねらった問題の体制を整えるというようなことが今度の法案の趣旨ではないかというふうに考えております。
以上、簡単でございますが、御答弁申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/21
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022・菊池福治郎
○菊池委員長 ありがとうございました。
次に、大谷参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/22
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023・大谷欣一
○大谷参考人 御質問にお答えをいたします。
第一点の地価は、私どもが現在工業団地を大体売り切ったわけでございますが、さらに拡大をしたいということでその隣接地域の購入の計画を進めておるところでございます。大体坪当たりで一万五千円から一万六千円ぐらいの見当で今進めておるところでございます。そんなに安いのかとお考えになるかもしれませんが、そんなところで進めておるところでございます。
それから固定資産税の問題でございますが、今固定資産税の方は評価額の大体千分の十四が標準税率で、六日町にあります工場の敷地の評価額の千分の十四を三年間減免をするということになっております。この減免した実額は、総額がちょっと計算が出ませんが、実額につきましては地方交付税で一〇〇%措置をしていただいております。一〇〇%交付税で需要額としていただけるということになっておりますので実損はない、そのようになっておりますが、そんな点で御理解いただきたいと思います。
それから賃金水準でございます。この賃金水準なかなか難しいので、私ども役場だけでの調査は困難でございますが、六十一年にNHKさんで調査をしたところによりますと、新潟県の平均の賃金水準が全国を一〇〇としまして大体七九・九、まあ八〇%というのが新潟県の賃金の全国レベルに対する比率のようでございます。私どものところはそれよりか若干落ちているかと思っておりますが、そんなような水準でございます。そんな点でお願いしたいと思っております。
次に、男女の差別があるかということでございますが、私どもの耳には男女の差別はないと、そのように存じております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/23
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024・菊池福治郎
○菊池委員長 ありがとうございました。
次に、廣瀬参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/24
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025・廣瀬好宏
○廣瀬参考人 倉庫業におきます土地の合理的価格、こういう御質問でございますが、非常に難しくてちょっとお答えしかねるのですが、考え方によりますと、個別的に決まらざるを得ないのじゃないか、こう思う以外にないと思います。ちょっと個人的に考えてみますと、多分荷主との関係におけるコストというのがやはりあると思います。いわゆる利便性というものでございましょうか、その事業を経営していくためには道路交通の条件がかち合っておりますし、そういうことを含めまして全体として経営していけるかどうか、こういうことによって決まるものだと思いますので、個別的に決まるものであって一律には決まり得ないものだろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/25
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026・菊池福治郎
○菊池委員長 ありがとうございました。
次に、飯島参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/26
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027・飯島貞一
○飯島参考人 私、第一回で意見を申し上げた結果、その後計画が進んでいないのではないかという御意見でございます。
これは幾つか理由があるかと思いますが、狭い意味で農工地区ではそういう数字になっておりますけれども、法の対象の農工地区をもう少し広げて農村地域ということになりますと、役所が出しておられます数字でも挙がっておりますし、そういう点で数字上なかなかうまくいかない、この点は実は国の財政が非常に悪くて公共投資が長年据え置かれて、私どもが非常に期待をしておる高速交通体系が余り投資が進まなかった。新幹線につきましても、整備新幹線について現在まだまだどうしようかということで、こういう体系が相当おくれているということがあるかと思います。しかしやっと今回三兆円もふえたり、来年度も景気が続くとすれば、やはり公共投資に私どもは依存せざるを得ない面が相当あるのではないかと思っております。
実は北海道でも、千歳空港の周辺の千歳市なんというのは、自分の町で工業団地をつくって、それが第一、第二、第三と全部売れていく。恵庭でもそういう形になっている。これはやはり空港と高速交通体系が一体になっているということで、現在私ども産炭地の方を非常に気にしていろいろなことを考えておるわけでございますが、札幌から岩見沢、空知と高速道路が延びてまいりますし、片一方には北海道で二番目の旭川という大都市がある。こういうのが高速交通体系で結ばれていけば、決して我々は悲観しないでもいいのではないかということがあるかと思います。さらにテクノポリスで指定された北海道は、案外現在企業立地の意向がございます。したがいまして、我我、今後の全国的な工業が求めている立地条件の整備に期待をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/27
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028・竹内猛
○竹内(猛)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/28
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029・菊池福治郎
○菊池委員長 水谷弘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/29
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030・水谷弘
○水谷委員 大変お忙しいところ、四人の参考人の皆様、きょうは大変貴重な御意見を賜りまして、御礼を申し上げます。限られた時間でございますので、伺いたいことがたくさんございますが、何点か御質問をさせていただきたいと存じます。
最初に、六日町町長の大谷町長にお尋ねをいたします。
既に操業されている企業が九社と私承っておりますが、この法によって導入された企業、この企業のうちいわゆる内発、地元から起きた企業、いわゆる地元ではないよそからお迎えになったのではなく、六日町の中から工業団地に、農工団地にお入りになってお仕事をしておられる内発の企業はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/30
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031・大谷欣一
○大谷参考人 現在私どものところに進出していただいた企業は全部主として関東方面の工場でございまして、内発で工業団地に入った工場はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/31
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032・水谷弘
○水谷委員 もう一点、大谷参考人にお尋ねをいたしますが、いわゆる新規学卒者の方たちを町に定着をさせるためには、今いろいろな地域でいわゆるソフト、業種でもこういうサービス業、今回四業種が入りますけれども、工業とこの四業種以外の業種にいろいろな形で今新規学卒者が流れていく傾向が強いわけでございます。そういう意味では町長としてこれから積極的に誘致をしたい企業が今回のこの法改正によって満たされるかどうか。もう少しいろいろなことを考えてほしいという御意見がもしあれば、おっしゃっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/32
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033・大谷欣一
○大谷参考人 今私はここに六日町の女子高等学校のことしの卒業生の就職先一覧表を持ってきておりますが、親御さんも子供さんもやはりブルーカラーというのは志向なさらぬで、ホワイトカラーあるいはサービス産業のところに志向するということが進路の中に相当出ております。ところが、私どもが今誘致しております工場はやはり製造工場でございますので、若干そこに合わない点がある。現在のところは県外に就職する生徒が大体二、それから域内が一ぐらいでございます。したがって、そこから先は嫁が不足になってしまうという結果になるわけなんでございますが、そういう意味で女子がもっと就労されるようないわゆるサービス産業でございますか、ソフト面での充実、これをお願いしたい、それには今提案になっているようなところでぜひ進めていただきたいものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/33
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034・水谷弘
○水谷委員 池田参考人にお尋ねをいたします。
農村地域に工業を導入する、いろいろな企業を導入することによって、一面ではいわゆる安定兼業といいますか、兼業の定着化ということが考えられるな、私はこう思っているわけでございます。それは反面、農地の流動化とはまた逆の条件ができ上がっていくのではないか、こう思うわけです。すぐそばに安定的ないわゆる就労の先ができ上がっていく、これはそういう方向には向かわないのかというのが一つ。もう一つは、これは今回の改正のみではございませんが、今国の政策全体は規模の拡大、いわゆる担い手の育成、こういうことが私もこれからの農業を考えれば一番大事なことかな、こう思います。しかし、なかなかそれが進みません。その本当のネックになっているところはどこにあるのか、お考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/34
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035・池田齊
○池田参考人 安定兼業が工業導入との関係でさらに安定してくる、そうすると農業をやめないでそれを並行しながらやっていく、これは流動化に逆行するのではないか、こういうお話でございますが、私はそういうふうには考えません。
先ほど熊本の例を申し上げましたが、これは初め工場で働きながら、なるほど両々相まつような姿をとっておりますが、極めて安定してまいりますと、また一方において農業で流動化を期待し専業農家としてやりたい、こういうところに貸し借りの関係等を含めて流動化施策がそれと重ならなければならぬわけです。そういう形で、全部農業をやめるということではございませんが、縮小をしてそしてその規模拡大の方に土地を提供する、こういう動きが出てきて専業農家がふえたというのが熊本の例であります。
そういう姿が出ることがこの法案が考えている基本的な目的だと私は思いますが、ただ、現在の段階におきましては必ずしもそこがセットされてきておるとは十分に言えないのじゃないか。工業導入が行われまして、いわゆる純農村地帯の過疎地域では出稼ぎがなくなった、それをさらに超えて構造改善につながるというような問題はまだ十分あらわれていない。しかし、究極的なねらいはそういう問題ではなくて、規模拡大にこれがつながるということであると思いますので、一方におきまして基盤整備をしっかりやるとか、そして流動化施策を推進するとか、そして兼業として完全に安定する、これは農業はほとんどやめてもよろしい、こういう考え方が村の中の空気として出てくる、こういうことを醸成をしていくことがまた一面において非常に大事なことであるというふうに考えるわけでございます。
規模の拡大、担い手の育成、これはやはり基本的な農政のこれからのねらいになるわけでございまして、先ほども竹内委員のお話にございましたが、そういうことをやりながらもやはり一定の農業に対する保護と申しますか支え、これは基本的にはそれが並行しなければ今の国際化の中で十分な対応をすることはできないというふうに考えておるわけでございます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/35
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036・水谷弘
○水谷委員 廣瀬参考人にお尋ねをいたします。
これからのいわゆる倉庫業の拡大ということで、土地、交通それから人ということを先ほど申されました。そういう面ではいわゆる国が農工法について基本方針を立てておりますけれども、その方針を立てているところは非常に過疎化が進行しておる、いろいろな面でこれから雇用面で開発をしなければならない、そういう意味では先ほどおっしゃった高速交通体系が全く整っていない、そういう地域にいろいろなこの法の目的が実はあるわけでございますが、正直言いましてそういうところには、なかなかこれは参考人のお仕事の関係の企業においでいただくというのは難しいのではないのかな、こんなふうに考えるわけでございます。その辺については先ほど、いろいろ大丈夫だ、どんどんそういうところも進出しますよというお話でございましたけれども、実際のところいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/36
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037・廣瀬好宏
○廣瀬参考人 先ほど御説明しました形のうちの第一のタイプと申しましょうか、荷主依存型とか関連企業が進出している、こういうようなケースでございますと、非常に荷主に弱いといいますか、荷主に密着している企業でございますから、先ほどのお話のような非常な過疎地でありましても、荷主さんでありますメーカーなど、そこにメーカーとか今度新しく入れていただきます卸売業、こういう方々が進出されるとなりましたら、一緒に進出する可能性も決してないということはないと思われます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/37
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038・水谷弘
○水谷委員 飯島参考人にお尋ねをいたします。
よく言われるのは、要するに企業が求めるのは人でございます。この人づくりといいますか、通産ベースで進めておられるテクノポリス構想とかこういうものは、いわゆる産官学一体の開発といいますか、それを明確にしております。しかしこの農村工業導入促進法、その点では確かに労働省にも本年度予算がついておりまして、農業者転換対策推進とか職業訓練制度及び職業転換給付金の支給とか、こういうことは予算化されております、この人づくりについて。
それからもう一点は、先ほど私が大谷参考人にお尋ねをいたしましたけれども、今回、私は一歩前進だと思っております。四業種が新たに導入ということは大変なことだと思います。しかしながら、もう少しこの業種の拡大といいますか、今いわゆる最もニーズとされているものは、これよりももう少し進んだいろいろな情報産業とかそういうものがかなり求められているわけですね。各県においても積極的に、東京で仕事しなくても我が県のこういう立派な建物の中でお仕事をされれば東京と全部つながりますよということで、最近のテレビでもそんなことが報道されておりますように、そういう意味ではこの際もっと業種の拡大が必要ではなかったのかな、こう思っております。その二点についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/38
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039・飯島貞一
○飯島参考人 人づくりの点、おっしゃるとおりでございまして、今地域で人材を育成しよう、人材育成をしよう、この声が大変上がってきております。特に情報化時代ということで、コンピューターを使える若い人を育てるとか新しいニーズに合った人を育てる、これは今の日本の工学部、文学部の分担でありますと、非常に将来求めている業種とミスマッチが出てくる。これをどうするかということは大変なことでございまして、やはり高校を出たり大学を出ても、もう一度新しいそういう世の中のニーズに合った職業教育とか新しい情報教育をしていく、これが非常に問われているところでございまして、人の問題というのは一番地域にとっても大事なわけでございます。
ただ、次に御質問いただきました情報産業とか頭脳産業というものにこれも結びつくと考えておる次第でございまして、例えば今全国的に情報産業とかソフト産業を何とか地方へ持っていきたい、これは国も考えておりますし私どもも考えておる次第でございますが、製造業以上にまだ大都市周辺への立地意向が強い。
そこで、こういう産業を農工地区にもぜひ私どもも入れたいと思っておりますが、順序といたしましては、今全国でテクノポリスを進めておりますが、そういう母都市にでも何とか行ってもらえないだろうか、こういう順序がある次第でございまして、私ども一生懸命それをやっている。それが成功した後には、私が十年前にここで流通業のことを申し上げましたように、これから五年ないし十年たってテクノポリス地域にそういうソフト産業、情報産業がうまく入ってくれれば、次にはそういうことが当然考えられるだろう。ただ、これは今回というよりも長期的に私ども考えたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/39
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040・水谷弘
○水谷委員 大変ありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/40
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041・菊池福治郎
○菊池委員長 神田厚君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/41
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042・神田厚
○神田委員 参考人の皆さん方には、大変貴重な意見をありがとうございます。重複を避けまして二、三御質問をさせていただきます。
最初に池田参考人に御質問を申し上げますが、農村の活性化というのが非常に今求められているわけでありますけれども、そういう点からいいますと、今度の自由化問題というのは農家の皆さんにとって大変深刻な問題になるというふうに考えております。こういう影響がどんなふうに出てくるのかという点では、農村の活性化に反するという形で大変心配をしておりますが、その点の考え方をいただきたいと思うのであります。
また、担い手問題は、現実に私どもの地元の農業高校などは三百名卒業生が出てもわずか十八名しか自分の農業に従事をしない、その十八名も高等教育を受けたりしてすぐには農薬に従事をしないという非常に深刻な問題になっております。これらについて、何か具体的なよい方策があるのかどうかというようなことも含めてお願いをします。
そして、さらに先ほど水谷委員からも話がございましたが、兼業農家の位置づけというのが私は非常に難しいと思っております。過疎を何とか支えているのは、現時点ではやはり兼業農家の人たちの地方における頑張りというようなものがあって、極端に過疎になる状況、一極集中といいますか、地方におきましても大都市に集中をしていく、そういうものを何とか防いでいるということから考えますれば、やはり兼業農家というのを今後どういうふうに位置づけていったらいいのかというような問題もかなり深刻な問題になってくると思っていますから、その点につきましてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/42
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043・池田齊
○池田参考人 農政の基本的な問題に関連した御質問になるわけで、このような国際化の進展というのは国際化社会で避けられないといたしましても、余りにもそれが急激に参りますと、いわゆる農村の活性化には確かにこれは完全にマイナスになるということはもう間違いのない姿だと思います。そういう意味で、若干時を稼ぐ時間を持ちながら自由化の問題に国は対応してもらう、そしてそのために農村の活性化に対応する施策を相当積極的にやってもらう、こういうことが大事ではないか。農業会議所が農林大臣から諮問を受けておりますが、まさに農村の活性化の問題をどうしたらいいかという諮問でございます。幅広い形で検討して、今のような国際的な環境の中の日本農業を考えながらこの活性化に対応する具体的な提案を答申の形でいたしたいというので、今一生懸命勉強いたしておりますが、お話のとおり自由化の波というものはよほどしっかりした姿の中で国が対応しないと、ますます農村は過疎化しまた高齢化社会で活力を失うという問題、これが今度の導入法でどれだけの手当てになるかということは大事な一つの問題でございますけれども、それだけでは十分なことはできないのではないかというのが私の考え方でございます。
担い手の問題は、何と申しましてもこれは農業の活性化と関連して一番大きな問題であり、今新規就農が学卒では四千人というような形で、将来を考えますと大変な事態になるわけで、担い手を農村はどうやって確保するかというような問題は、いろいろな総合施策を含めながらやらなければなりませんが、私は、一つはやはり教育の問題が大事ではないかというふうに考えております。
私が理事長をしております鯉渕学園のことを申し上げて恐縮でございますが、これはまさに自営者の養成というようなことで、高校を出て三年、さらに一年の専攻料も入れて四年、大学と同じような形の教育をいたしております。そこは何とか新しい技術を実践する能力を持つというようなことで自営者養成が基本でございますけれども、残念ながらやはり二割程度、あとの八割はなかなか農村へ戻って自分の親の跡を継いでやるというような問題に対応してない。しかし、二割出るということは、今先生がおっしゃった地元で三百人のうち十八名ということでございますが、なお歩どまりはよろしいのではないかというふうに考えますけれども、教育の問題を、各県に農業者大学校がございますが、そういう問題ももっと整備強化をして、やる気のある農業の跡取りがそういう教育を通しながら出てくる、それもまた一面農業の受け入れ側の対応というものが一応整ってくる、こういうようなことが両々相まちながらやっていくようなことではないかと思います。
先ほど触れました熊本の例はまさに担い手の確保が、これは工業導入を契機として確保ができて、しかも専業農家がふえた、女子雇用型の大きな工場が出てきたということで農村から女子が流出することがとまった、そういうようなことで、非常に男の若い青年がその村に安心しておるというような姿の中で嫁の問題も解決した、しかもいわゆる構造政策も前進した、こういうような事例があるわけでございますので、そういうことを参考にしながらきめの細かな総合的な農村政策、構造政策をどうやってやっていくかという中から解決していかなければならないのではないかというふうに考えます。
また、兼業農家の問題は、私は兼業農家を育成するという言葉は余り好ましくないと思うのですが、兼業農家は農村の安定的な地域社会を担う姿として当然今後もあってしかるべきでございます。しかしそれは企業の中で、そちらの方で家計を賄う、あとは先祖代々の土地の一部を使って自分の食糧を生産する、こういう程度にして、ひとつできるだけ規模を拡大して立派な農業をやろうというようなところに農地の貸し借りを行うというような形を含めながら、やはり相対としての過疎の問題をその地域、地域でいろいろな工夫をしてやっていく、こういうことではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/43
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044・神田厚
○神田委員 それでは次に、飯島参考人にお尋ねをしますが、昭和六十二年三月末現在、農工法の対象となる市町村が二千五百四、そのうち千五十一市町村しか計画が立てられていないというような状況があるわけであります。そこで、こういう原因は一体どこにあるのかということを考えますれば、当然税制とか金融とか、そういうものに対する特別な優遇措置というようなものを考えていかなければ進展しないのではないかというふうに考えておりますが、その点について簡単にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/44
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045・飯島貞一
○飯島参考人 計画をつくっております市町村が少ないではないかということでございますが、これはやはり地元の事情等あるかと思います。私、豪雪地帯、過疎地帯の国土庁の委員もしておりますが、まだまだ非常にそういう可能性がないというようなあきらめがどうもあるのではないかという点が一つあります。
税制とか優遇措置で勧めるということが一つあるかと思いますが、もう一つは、私ども今非常に期待をしておりますのは、日本で縦貫道路といいますか、東北縦貫道、中国縦貫道、縦貫道路の整備が大体済みまして、今横断道というのを一生懸命進めております。この横断道は過疎地域、豪雪地域を通ってまいります。私ども非常にこれを期待しておりまして、東北、中部、中国それから九州も、そういう横断道ができることによって、やはり我々のところも何とかできるのだという力をつけてやらなければいけないのではないか。ですから、将来こういう構想でいくのだということ自体でも、そういう元気づけといいますか、そういうものが出てくるのではないかというふうに私ども思えまして、ぜひこういう計画が全部できることを私どもも前から期待をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/45
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046・神田厚
○神田委員 それから、立地後の企業の定着という問題があるわけですが、私ども知っているところでも、せっかく誘致をしながら最終的に、いろいろな事情がたくさんございますが、撤退をしてしまうというようなことがあるわけであります。
大谷参考人にお尋ねをしますが、立地後の企業の定着というようなことについては、何か特別に企業との話し合いやそういうようなものをお持ちでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/46
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047・大谷欣一
○大谷参考人 先生御指摘のように、立地後が一番問題でございまして、立地することは非常にありがたいのですが、撤退になるとこれは大変なことでございますので、立地したらそれをいかに育てるか、これが私どもの生命線だというふうに理解をしております。そのためははやはりコミュニケーションをうんと図る。全くよそからいらっしゃっているわけですから、どうコミュニケーションを図っていくかということで、例年この立地企業の社長クラスの皆様あるいは工場長クラスの皆様と懇談会を持ちながら、絶えず連絡をとりながら定着に努力をしているという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/47
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048・神田厚
○神田委員 どうもありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/48
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049・菊池福治郎
○菊池委員長 藤田スミ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/49
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050・藤田スミ
○藤田委員 本日は、参考人の皆さん本当にありがとうございます。いろいろと勉強させていただきまして、私が最後の質問者になりますので、もう少し御協力をお願いいたします。
まず最初に、池田参考人にお伺いをいたします。
何度も出されていた問題かと思いますが、私どもは、今回のこの改正で農村雇用が進むことを期待しているわけですが、今、日米間で交渉が進められております牛肉、オレンジの輸入自由化が進めば、先ほど大谷参考人は肌にアワが生ずるという表現をされましたが、農村は大きな打撃を受け、多くの農業離職者を生むと思われますが、この点についてどうお考えか。
もう一点ですが、この農村地域工業導入促進法では、市町村が工業の導入と相まって促進すべき農業構造の改善に関する目標をつくることになっております。農政審報告では「生産性の高い水田農業の確立」ということで規模拡大、担い手の育成を打ち出しておりまして、この中で、「なお、経営規模を拡大していく過程において、現に農業に従事している者が農外へ流出することに伴う雇用、所得の確保を図ることが極めて重要であることは論をまたないが、この場合各地域ごとに社会、経済全体の十分な協力の下に、他産業分野への就業機会の確保が図られることが不可欠である。」としております。私どもは構造政策を一概に否定するものではありませんが、これが零細農民の強引な切り捨てになってはならないと考えておりますが、この二点についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/50
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051・池田齊
○池田参考人 今、牛肉、オレンジにつきまして、農水大臣がアメリカに行って最終的な交渉をしておるさなかでございます。十二品目の問題に続きましていよいよ牛肉、オレンジ、次には、この結果によりましては米にまで入ってくるのではないかと非常に心配をいたしております。
結論的には、私どもは何とか自由化を阻止してもらいたいというのが一般的な念願でありますけれども、一面におきまして、やはり我が国が国際化の対応をある程度しなければならぬ国柄であるということも事実でございます。ひとつその接点を十分踏まえて我が国の農業に重大な影響がないような形でこの問題の決着を図ってもらいたいというのが私どもの念願でございます。反対、反対で最後まで貫けるかどうかという問題はやはり問題がございます。その辺が本当に農村、農業にどれだけの影響を与えるか、これは最小限に食いとめるというような形での決着を念願いたしておるのがただいまの私の心境でございます。
それ以上は、これは非常に難しい問題でございますのでその程度にしたいと思うのですが、これが農村の雇用問題に直結して農村ががたがたになる、これは内容によってはそういう問題もございますが、その辺も含めながら、農村対策と農業政策を一体どうするかというような問題で対応しなければならない問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
水田農業確立対策の問題が出ておりますが、先ほども触れましたように、七十七万ヘクタール、実質的に八十万ヘクタールというような転作を余儀なくされておるという形の中で、しかも複合経営その他を含めながら水田農業を確立し、さらにやる気のある農家が水田農業として経営を発展させていくという非常に難しい問題が今農政の課題としてあるわけでございまして、この辺の問題が、やはり今回の工業導入促進法との絡みの中でいわゆる雇用問題をどういうふうに定着させ安定化させていくかというような形を含めながら、総合的な構造政策の一環としていろいろな問題を考えなければならぬ、こういう段階ではないかというふうに考えておるわけでございます。政府はもとよりでございますが、国会におきましてもその辺の問題を誤りなく政策として展開していただきたいということを念願しております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/51
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052・藤田スミ
○藤田委員 飯島参考人にお願いをいたします。
政府による産業構造転換政策に基づく昭和六十年秋以降の急激な円高とその後の円高定着、進行によって、輸出依存型企業が立地している地域は大変な状況になっているわけです。その上企業の海外立地、言われる空洞化の問題も重なって大変な状況になっていると思っています。それは農工制度に基づく工業導入地区でも当然出ていると思われますが、先ほど若干楽観的なお話もございましたが、その点についての状況をもう少し詳しくお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/52
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053・飯島貞一
○飯島参考人 円高で大変な影響が出た、これはそのとおりでございまして、円高によって、せっかく地方へ立地を決めたのを取りやめるとか縮小するとか、こういう話も実は聞いております。しかしオイルショック、円高、いろいろな面に対応して、日本の産業というのは非常に弾力性に富んで何とかそれを生き抜いてきた。こういう実績を私どもは非常に信頼しておるわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども海外へ行って生産をする、単に労働力が安いから行くというだけで安易に行った企業というのは非常に苦労をして、そのうち例えば韓国なんかでは今撤退を始めている。それはなぜかといいますと、やはり円高のデメリットもあるけれどもメリットもございまして、それが順次浸透してきて、現在国内で日本企業はもう百二十円でも耐えていくというだけのしたたかさを持ってきております。
歴史的に申し上げますと、大正の初め、日本が工業化をするときに世界の国々からダンピングで痛めつけられたわけでございます。そういう泥沼の中からはい上がってきた日本の工業というのは強さを持っている。私どもはそれを非常に期待しておって、事実、今ニューハードという言葉を使われておりますが、これからもそういうソフトをうまく組み込んだ生産というのが日本で生きていく道ではないかということを東大の石井威望先生、東海大の唐津先生なんかが言っておられますけれども、私どももそのとおりだと思います。
農工地区について実際にそういう撤退したとかやめた数字、これはなかなか地元も出しませんので数字は押さえておりませんけれども、そういうのも新しい内需拡大によって今大変なブームになっております。現在、有効求人倍率というのがじりじり上がってきておりまして、御承知のように全国で〇・八、栃木県は一・七七という大変な労働不足が今出てきております。こういう状況の中で新しく企業立地がどんどんふえている、これは当然地方へ行かざるを得ないと私どもは見ております。このことが地方進出を今一番に期待する一つの条件かと私は思っております。そういうことで、そういう地域についても再び活気が戻ってくることを私どもは期待をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/53
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054・藤田スミ
○藤田委員 それでは、大谷参考人に続いてお伺いをいたします。
農村工業導入のために、例えば工業団地造成事業に対する自治体の負担、それから先ほどゴルフ場を娯楽場として建設されているというような、いろいろ関連したものはやはり御苦労があるんだなというふうに聞いておりましたけれども、こういうものに対する財政的な負担でこの際国に要望されることがあれば聞かせていただきたい。
それから、実施計画を出されてこれだけの雇用を確保しようということに対する――実際に九工場が来られて九百人新規採用ということでございましたけれども、この点ではギャップがなかったのか、あるいはあればそれに対する御努力というのはどういうふうに進められ効果を見てきたのか。
それから三点目に、農業の一・五次産業化というものの意欲が高まっていると先ほど池田参考人の方からも御発言がございました。私もこれは大事な農村雇用という面でも重視しなければならないと思っておりますが、この点について御意見をお聞かせいただきたいと思います。
恐縮ですが最後に廣瀬参考人に、今回対象業種になったこの倉庫業というのは、今倉庫の自動化、コンピューター化の中で、今後倉庫業の雇用吸収力がどれだけあるのかという点では協会として農業従事者の就業をどういうふうに見込んでいらっしゃるのか、そこまで検討していらっしゃるかどうかわかりませんが、もしそういうことがあればお聞かせをいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/54
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055・大谷欣一
○大谷参考人 藤田先生にお答えをいたします。
私どもは工業団地をつくっておるわけでございますが、地域の雪という特性を生かしましてスキー場の造成、それから今リゾート法の適用をこれからいよいよ本格的に受けるという段階まで進んでおります。六日町もその範疇に入っておりますので、その点で今最大の努力を払っているところでございます。そのための国のというところまでは現在望んではおりません。
それから雇用の問題でありますが、働く場所がないから人がいない、人がいないから働く場所がないというぐるぐる回りするような形になっておりますので、具体的な例でございますけれども成人式のときには、八月にやっているのですが、お墓参りに二十歳の方々がいらっしゃいますので、あなたは東京で何しているんだ、隣の県では何しているんだということで、うちにどういう工場が来たらあなたはどこで働けるんだ、そんなアンケートをいただいてひとつUターンを大いに促進していこう。そうでもいたしませんと人材の確保はできませんし、工場が来てもだめですし、家は守れませんし、結果として村が守っていけないという結果になりますので、そんな非常手段も立てながら雇用のギャップを埋めていきます。幸いなことに東京方面あるいは関東方面で立派な資格を取って活躍されておる方がありますので、それは当然長男であり長女であれば帰ってもらわなければならない、帰りたいという要望とマッチする場合もあるということでございます。
それから一・五次産業の問題でありますが、一番おいしいコシヒカリを二〇%も新潟県でつくらぬで何をつくっているかといいますと、ソバをつくっているわけです。そのソバを粉で売れるかといいますとなかなか売れないわけです。売れても物すごく安い値段です。ですからそれを何とかしなければ、では、製品にして売ったらどうかということでございます。それならスキーのお客様がおいでになって本当の手打ちのそばを召し上がっていただければすべての面でうまく進んでいけるのではないか。農村の所得にもまたは就労の場にも、または御利用いただく方にもという意味で、そんな点を実際進めておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/55
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056・廣瀬好宏
○廣瀬参考人 ただいま御質問ございました倉庫の農村雇用の供給量といいますかその点につきましては、私ども協会でございますので立場上そういう推測をしておりませんが、政府の方で推測したものがあるやに聞いております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/56
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057・藤田スミ
○藤田委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/57
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058・菊池福治郎
○菊池委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。
参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)
次回は、来る五月十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205007X01019880427/58
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