1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月二十日(水曜日)
午前十一時五十一分開議
出席委員
委員長 中村 靖君
理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君
理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君
理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君
理事 鍛冶 清君 理事 林 保夫君
逢沢 一郎君 青木 正久君
井出 正一君 石破 茂君
石渡 照久君 工藤 巌君
古賀 正浩君 佐藤 静雄君
佐藤 敬夫君 斉藤斗志二君
杉浦 正健君 園田 博之君
谷川 和穗君 玉沢徳一郎君
渡海紀三朗君 松田 岩夫君
松田 九郎君 江田 五月君
嶋崎 譲君 中西 績介君
馬場 昇君 有島 重武君
市川 雄一君 滝沢 幸助君
石井 郁子君 山原健二郎君
田川 誠一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中島源太郎君
出席政府委員
文部政務次官 船田 元君
文部大臣官房長 古村 澄一君
文部大臣官房総
務審議官 川村 恒明君
文部大臣官房会
計課長 野崎 弘君
文部省初等中等
教育局長 西崎 清久君
文部省教育助成
局長 加戸 守行君
文部省高等教育
局長 阿部 充夫君
文部省高等教育
局私学部長 坂元 弘直君
文部省学術国際
局長 植木 浩君
文化庁次長 横瀬 庄次君
委員外の出席者
法務省民事局第
二課長 南 敏文君
大蔵省銀行局中
小金融課長 鏡味 徳房君
文教委員会調査
室長 高木 高明君
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委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
青木 正久君 玉沢徳一郎君
工藤 巌君 松田 九郎君
佐藤 敬夫君 園田 博之君
杉浦 正健君 佐藤 静雄君
綿貫 民輔君 石渡 照久君
北橋 健治君 滝沢 幸助君
同日
辞任 補欠選任
石渡 照久君 綿貫 民輔君
佐藤 静雄君 杉浦 正健君
園田 博之君 佐藤 敬夫君
玉沢徳一郎君 古賀 正浩君
松田 九郎君 石破 茂君
滝沢 幸助君 北橋 健治君
同日
辞任 補欠選任
石破 茂君 工藤 巌君
古賀 正浩君 青木 正久君
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四月十九日
教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
同月十八日
大学・高等専門学校関係予算の大幅増額等に関する請願(石井郁子君紹介)(第一五六三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/0
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001・中村靖
○中村委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、昭和六十二年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/1
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002・中西績介
○中西(績)委員 私学共済短期経理について、まず質問を申し上げたいと思います。
短期経理を見ますと、医療給付の割合が年々減少して、六十一年六六%、六十二年は六三%になっており、四十五年に九二%あったものと比べますと三分の二程度に落ち込んでおります。しかし、六十一年老人保健拠出金の加入者按分率の改定によって八〇%・二カ月、その結果は二億七千万円増加になり、これがそのまま六十一年度は単年度の不足金になっておるわけです。六十二年は九〇%、これは六十二年度から六十四年度までになるわけでありますが、十二カ月按分率になるわけですから三〇・六%の増になり四十四億四千万円、収入増が四十三億一千万円ですから、四十四億四千万円ということになると、これを超えるということになるわけです。したがって、単年度の赤字というのを見ますと、最大の原因がここにあるとしか言いようがないわけであります。この点については担当者はそのように認めることができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/2
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003・川村恒明
○川村政府委員 私学共済の短期経理でございますけれども、御指摘がございましたように、従来この経理は黒字でございました。たしか昭和四十五年以降黒字が続いておったわけですけれども、それが赤字に転じた、おっしゃるとおりでございまして、内容的には最盛期に医療給付の占める割合が全支出の九三%でございましたが、今は多分六〇%ぐらい。結局それは、御指摘がございましたように、老健法の施行に伴います老健拠出金の増、それからつけ加えれば退職者医療給付拠出金ということでございます。一番額が多いのが老健の拠出金でございまして、しかもただいま御指摘がございましたように、六十一年の制度改正で、この加入者按分率というものが引き上げられ八〇%になる。さらにそれが九〇%になり、六十五年度以降は一〇〇%ということでございますから、この短期経理の収支を悪化させている最大の原因が老健法に基づく拠出金であるという御指摘は、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/3
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004・中西績介
○中西(績)委員 そこで、この六十三年から四年にかけましても、同様にこれが引き続いて単年度赤字になる原因となることは必至だろうと思うのですね。したがって、老人保健拠出金は、将来、六十五年度からは一〇〇%になりますからこれはさらに増大するわけですが、六十三年、六十四年、この二年間は推計額はどのようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/4
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005・川村恒明
○川村政府委員 老健の拠出金自体の推計額はちょっと手元に今ございませんけれども、それを含めて六十三年度にこの短期経理全体の収支の差が大体八十億円ぐらいに達するのではないか。これは短期経理全体の収支でございますけれども、収入と支出の差が六十三年度の推計額では約八十億円ぐらいにはなろうかというふうに推計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/5
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006・中西績介
○中西(績)委員 そうしますと、六十一年と六十二年が累計差が六十五億八千三百六十七万円ということになっておるわけですから、これがさらに拡大をされていくということは必至ですね。それが八十億という金額を推計するということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/6
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007・川村恒明
○川村政府委員 私どもの今手持ちの資料でございますけれども、これは六十一年度の決算額で、この短期経理の収支差額は二億四千七百万ございます。六十二年度の決算額はまだ出ておりませんので、六十二年度につきましては予算ベースで収支差額をはじきますと、約六十一億でございます。でございますから、今御指摘のように六十一年度と二年度を足しますと約六十四億ぐらいの赤字になる。ですから、六十一年度に二億、六十二年度に約六十一億、六十三年度に八十一億という単年度の赤字が累積をしてくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/7
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008・中西績介
○中西(績)委員 そうなりますと、これとほとんど同様に収支悪化の大きな原因になっておるものとして退職者給付拠出金、これがあるのではないかと思うわけであります。六十一年度が三十九億三千三百五十八万円、六十二年度が大体五十四億五千三百五十六万円という程度になるわけであろうと思うのです。これはあくまでも一割自己負担によって医療給付が減少枠の枠を超えてこういう結果を生じておるわけでありますけれども、六十一年度が二八・六%の伸びであるし、六十二年度が三八・六%の伸びになっておりますね。
〔委員長退席、町村委員長代理着席〕
そうすると、結果的には六十一年と六十二年の差十五億一千九百九十八万、こう出るわけでありますけれども、これはまさに先ほどの老人保健拠出金とあわせまして単年度赤字に拍車をかけることになりはしないかと思うのです。そうしますと、これも同じように六十三年あるいは六十四年はどう推計されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/8
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009・川村恒明
○川村政府委員 先ほど来申し上げております収支の差は、ただいま御指摘の退職者医療給付拠出金を含めての赤字でございますが、ただいま御指摘がございましたように、その内訳で申し上げますと、六十三年度予算では、まず老健法の方の老人保健拠出金の方は予算額としては二百億、それから退職者給付拠出金の方は約六十一億という数字を計上いたしております。
ただいま御指摘のございました退職者給付拠出金でございますけれども、これは御案内のとおりに七十歳以下の退職者の方に対する給付でございますけれども、その六十二年度の決算見込みでは五十四億、六十一年度の決算では三十九億でございますから、三十九億が五十四億になり、それがさらに六十一億にふえている、今こういう状況になっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/9
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010・中西績介
○中西(績)委員 いずれにしましても、これはもう増額の一途をたどるということは必至ですね。こうなってまいりますと、単年度赤字の最大の原因というものが何であったかということは、結局両拠出金によってその大部分が占められておるということになっておるわけです。
したがって、この赤字総額は、この表を見ますと、六十二年度におきましては六十五億八千三百六十七万円という結果になりますが、これは大体総トータルしますと、今言うように、八十億なりあるいはそれより以上に拡大をしていくのではないかと思うのですけれども、その点六十三、六十四年度あたりはどうですか。わかる範囲で答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/10
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011・川村恒明
○川村政府委員 これからの医療費の増に伴います老健拠出金の増がどこまでいくのかということにつきまして、正確な数字は持ち合わせておりません。現在私どもとしては、先ほど申し上げましたように、六十三年度予算で老健拠出金が二百億、それから退職者給付拠出金が六十一億という計上をいたしておりますから、そういうものを含めると、これは短期経理全体でございますけれども「短期経理全体で六十三年度は収入が九百億、それから支出が九百八十一億ということでございます。でございますから、その収支の差が八十一億ということでございます。先ほど申しましたように、六十二年度の収支差が六十一億でございましたから、この一年間で、さらに単年度分で二十億の赤字がふえていくという状況でございます。これは今後の六十四年度以後の正確な数字は持ち合わせておりません。推計値は持ち合わせておりませんけれども、さらにこのままの状態で進めば、これは赤字幅が増大せざるを得ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/11
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012・中西績介
○中西(績)委員 そこで、私たちが一番懸念をいたしますのが、累計額が急激に減少していきますので、赤字になれば当然のように出てくるのが掛金率の引き上げにつながるのではないかということを大変心配するわけです。私はこれは何としても、按分率の見直しなり何なりをすることによって、組合員の負担に一定の歯どめをかける必要があるのではないか、均衡のとれた適正な負担となるような措置を講ずべきではないかと思うのですけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/12
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013・川村恒明
○川村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この短期給付は全体として御指摘のようなことで、六十一年以来単年度の収支がマイナスに転じたわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、その前約十五年間というものは黒字でございましたから、毎年度の収支の差は逆に六十年以前は黒字でございましたので、この間それが累積利益金として計上されておるわけでございます。でございますので、現在のところ、六十一年、六十二年、六十三年、単年度はそれぞれ赤字でございますけれども、この累積利益金を取り崩すということでその収支のバランスをとっているというのが現在の状況でございまして、六十三年度の予算ベースにおきましては、その累積利益金の取り崩しをいたしまして、かつ、差額の累積利益金が百十六億ほど計上してございます。ですから、六十三年度現在で百十六億ほどの黒字積立金があるということでございますので、これはこれからの拠出金の増にもよりますけれども、当面はこの累積利益金の取り崩しでもって対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/13
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014・中西績介
○中西(績)委員 そうしますと、六十二年で今言われましたように百九十二億六千六百四十万円というのが累積の黒字になっていますね。そうすると、先ほどから論議されておりますように、六十三年度が八十一億の赤字になるのではないかということですが、この伸び率、一応何も変化ないと見て六十三年度ペースなりで見ていっても、六十四年を過ぎると、今度はもう耐え得なくなってくる、こういう状況になってまいるわけですね。そうすると、今私が言ったように、当然のように掛金率の引き上げだとかなんとかというようなことが出てこないとも限らないわけですね。これをやらないでどうするかということを考えないと、このことは組合員が大変な被害を受けることになるわけですから、この点ひとつ十分考えておられるかどうか。その点についての、今取り崩しで何とか埋めていくということですから、そうでなくて、何らかの措置をとるべきではないかと思うのですけれども、何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/14
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015・川村恒明
○川村政府委員 御指摘のとおりでございまして、現在は過去の利益金の取り崩しで賄っておる。六十三年度ベースで積立金がまだ百十億程度ございますから、六十三年度、六十四年度というのは何とかいけるだろう。それから先は、ただいまのベースで行けば御指摘のとおりにこの利益金を取り崩してしまうことになるわけでございます。
その場合どうするかということでございますけれども、短期給付というものがその事柄の性格上賦課方式になっておりまして、毎年度の所要額を掛金で賄うということでございますから、その利益金を取り崩した後のやり方としては、これはこのままの状態で推移するとすれば、掛金率の改定ということも考えざるを得ないのではないかというふうに思っております。
ただ、先生先ほど来御指摘いただいておりますように、これだけ急激に悪化したのは、老健拠出金という仕組みの問題がございまして、この老健拠出金の制度、加入者按分率を引き上げた六十一年の制度改正の際に、老健法の附則自体に、こういう仕組みがいいのかどうか考えるべきという附則をつけていただいたということもございます。でございますから、我々の私学共済という立場から見れば、ほかの条件が何も変わらなければ、これはやはり先生御指摘のとおりに掛金率の検討をせざるを得ないであろう。しかし、そういう一方において、老健法の仕組み自体の問題もございますし、さらに言えば、その根っこになっております医療費自体のあり方の問題、その辺の検討もあるいはあるであろう。でございますから、現在の時点で、積立金がなくなったらすぐ掛金を引き上げするんだというところまで私どもまだ申し上げる自信はございませんで、そういう全体の情勢というものを見ながら短期給付が機能するように考えていかなくちゃならないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/15
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016・中西績介
○中西(績)委員 私がこのことにこだわるのは、六十五年から一〇〇%になるんだ。そうすると一挙にまたその矛盾というのは激しく金額になって出てくるわけですね。ですから、それが来年までは何とか累積黒字の中で持ちこたえるとしても、その次の年には今度は一〇〇%という額になる。こうなってきたときに慌てても、これは処理できない額になってくると思いますね。そうすると、何もやってなかったら、たやすい方法ということになってくると、今言うように、では掛金でいこうか、あるいは極端な言い方をするなら、今一割の負担を強いていますからお互いみんなでもう少し分け合いましょうなどといって二割負担どうだ、こういうふうな話だって出てこぬとは限らぬですよ、今まで一割が出てきたときの経過からいいますと。だから、そういう形にならないための措置はどうしたらいいのかということを今から担当者として検討しておかないと、厚生省なり何なりが一定の方針を出すとそれに従わざるを得ません、こうなっちゃうと困るわけですよ。ですから今改めて、まだ一年半あるけれども、この時期にどうするのかということをある程度討論をしておく必要があるんじゃないかということを私は考えたわけであります。
したがって、これにこだわって今質問をしておるわけでありますけれども、いずれにしてもこの点についてある程度の見解を持つことが必要であろうと私は考えるのですが、私の言っていることは間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/16
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017・川村恒明
○川村政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、そういう掛金の取り扱いについて今から考えなくちゃならないんじゃないか、そのとおりだと思います。おっしゃるとおりでございます。
ただ、先ほどのにつけ加えることがあるとすれば、一つは、現在の老健法の仕組み自体の問題でございます。これは先ほど申し上げました六十一年の法改正で附則がつけられて、そのときに、政府としてそういうお金の動きを見ながら「六十五年度までの間に保険者の拠出金の算定方法その他この法律による改正に係る事項に関し検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」という附則がつけられておる。でございますから、こういう加入者按分率という形で各保険者に負担を課していくことがいいのか、かつてはこれは医療費按分でやっておりましたから、医療費按分と加入者按分率では、私学共済で言えばそれは医療費按分をやっていただく方がありがたいということもあります。そういう老健法の仕組み自体の問題がございます。
それからもう一つは、現在二十兆円になんなんとする医療費自体の問題、基本的には医療費が高騰していくことが全体に保険者に負担をかけておるわけでございますから、やはりその医療費の問題も考えなくちゃならない。
それから、もう一つさらに問題点があるとすれば、第一番目の問題に関連するわけですけれども、結局この医療費というのは国民全体の医療費でも特に高齢者の医療費が多いわけですから、高齢者の医療費を国民全体がどういう形で負担を分かち合うのかという問題でございます。制度を所管する私どもの立場からいえば、それは私学共済組合の負担は少ない方がいいということは申し上げますけれども、同時に、全体として医療費の負担の仕組みというものを議論していただいて、そういう中でこの私学共済の適正な負担というものを考えていただきたい。
でございますから、そういういろいろな要素をこれから考えていくという意味におきまして、先生御指摘のように、早く今から検討すべしというのはそのとおりであろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/17
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018・中西績介
○中西(績)委員 大臣に、今討論したわけですけれども、特にこの点は将来的に大きな問題となって噴出をすることは必至ですね。それはないということは考えられないわけですから、その点を今までのように受益者負担一点張りでこうやられますと、絶えず一割を二割負担にするとか、先ほど申し上げたように九〇%を今度は一〇〇%にする、これはもう決まっているわけです。これがどんどん進行していきますと、その赤字額というものは膨大なものになることは必至ですね。それを埋め合わせる手だてというのは何に求めていくか。ここいらは基本的に医療制度そのものについて、これはもう何度も受益者負担ということで、それからまた共済年金の場合だって同じですね。この前指摘をされておりましたように、保険制度が全く——あの討論のときにも出てまいっておりましたように、この基本年金の部分については、むしろ民間の生命保険なり損保にそれだけの定額を掛け、そして引き上げ額があるなら、掛金が高くなるなら、その分を加えてどんどん積み立てていけばその方が有利だという考え方だって、この前指摘して、そのことに対して厚生省は答弁ができない状況だったでしょう。ということになってくると、保険制度が全部しかも悪い状況になっていくというのがもう目に見えているから、それをさせないための手だてというのは、どこで歯どめをかけていくかということを考えなくてはならぬと思うのですね。ですから、この点はどこで歯どめをかけるかについての検討を直ちに担当のところでもつくって、今からでもどのように提言をしていくかということを明らかにしておく必要があるのではないかと私は考えますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/18
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019・中島源太郎
○中島国務大臣 中西委員御指摘のように、短期経理をずっと見ていきますと、今六十三年、六十四年は累積黒字の積み立てを取り崩しということで、その間が与えられたアローアンスだと思いますので、六十五年以降来るべき云々の御指摘は、やはり真剣に考える必要があろうと思います。
政府委員からお答えをいたしましたように、これは一つは老健法の仕組み、この見直しもありましょうし、あるいは医療制度そのものの検討もありましょうし、また六十五年までにその見直し、検討の宿題もございます。この点も踏まえまして、御指摘は重要なことだと思いますので、内部とも、また関係省庁ともよく勉強してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/19
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020・中西績介
○中西(績)委員 ですから、宿題がだんだん多くなってくるわけですけれども、やはりこちら側が積極的に提案なり何なりしていかないと、どうしても厚生省ペースで押し切られていくという結果が出てくるわけです。この点についての政策なり何なりを提言できるような体制をいち早くつくっておく必要が私はあるのではないか、こう考えるわけです。ですから、今言われましたようにぜひそれを、ここだけで終わらないわけですから、必ずもう一度こういう問題についての提起をしてまいりますので、ぜひ検討してください。
それから、長期給付関係の問題でありますけれども、六十五年に向けまして、見直しの時期と合わせまして、必ず多くの問題が出てくると思うのですね。給付水準の問題だとか財源の問題だとか、いろいろ挙げるとあるでしょう。こうした問題等について何か担当の方では検討しておる内容はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/20
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021・川村恒明
○川村政府委員 長期給付についてのお尋ねでございますけれども、長期給付の方は、ただいまの短期と違いまして、現在のところ収支の状況は極めて良好である。つまり六十一年度の決算で申し上げますと、収入は約二千七十五億でございます。それに対して支出が約九百三十八億でございますから、収支差額が約千百三十七億ございます。この収支差額は当然将来の年金給付の財源として積み立てるということでございますから、これを積み立てておるという状況でございまして、現在そういう意味で、その積立金、保有資産として積み立てております金が約一兆一千五百四十四億でございます。一兆一千億程度の保有資産を持っておるという状況でございます。これは、私学共済組合が年金制度としては成熟度がかなり低いということもございます。現在そういうまだ若い制度でございますからこれだけの積立金があるということで、長期の見通しということも当然しなければいけないわけでございますけれども、ここしばらくは、先ほどの短期と違って長期給付の方は安定的に推移するのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/21
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022・中西績介
○中西(績)委員 ですから、この問題はこの前も細かくは同僚の嶋崎委員の方からある程度やりましたので深くは突っ込みませんけれども、そのように、まだ一千百億を超える収支黒字があるからこれを積み立てているので云々ということで私は安心しておれないのではないかと思っています。したがって、この前もちょっと問題になりましたけれども、例えば国鉄共済あたりが、今は鉄道共済ですか、これなんかにつきましても、六十四年までは財源措置はしてありますけれども、六十五年以降はいよいよ国の責任でしなくてはならぬのに、また再びたやすくどこかにその帳じりを負担させる、こうしたものが出てくる。この前大臣はオール・ジャパンだとかというふうな言葉を使っておりましたけれども、このときにこそ安易な方法によってやってはいけないという、総反撃の体制をつくっておかぬとやられるのではないかということを私は懸念をしておるわけですね。これは何も我々の責任ではないわけですね。ですから、この点をひとつ十分検討しておくべきではないかと思うのです。
特に、六十五年から六十九年までで一兆五千億くらい必要経費が赤字になるということが既に言われておるわけでしょう。ということになってまいりますと、例えばここに一千億を超える黒字があるからと言って、ここは未成熟だし黒字だからということでもって、全部こちらに持ってこられるという責任転嫁をされたらかなわぬわけですから、そういうことにならぬための措置というのは考えられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/22
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023・川村恒明
○川村政府委員 先ほど申し上げましたように、現在のところ、この長期給付事業は保有資産が一兆円を超えるということでございますけれども、長期の見通しを立てると、これもなかなか厳しい状況でございます。六十一年の暮れに財源率の再計算をいたしました際に、長期経理の将来の収支見通しをやったわけでございますけれども、これだけの保有資産を持っておったとしても、これから仮に毎年ベースアップが五%、資産の利回りが七%というふうな前提を置いてその資産運用をするということで推移するとしても、現在の保険料のままで、掛金率が千分の百二というままで参りますと、昭和八十三年度には単年度収支がもう赤字になるし、九十三年度には現在の一兆円の積立金もなくなってしまう、こういう状況でございます。そういうふうな将来見通しもあるわけでございますから、一兆円あるからといって私ども安心しておるということは毛頭ないわけでございます。
ただいま御指摘ございましたように、国鉄の、日本鉄道共済の六十五年以降の収支見通しを拝見させていただきますと、年間大体三千億からの赤字が出ると言われておる。私学共済は非常に組合員の少ない、小さな組合でございますから、一兆円あったとしても、仮に日本鉄道共済の赤字を転嫁されれば一発でつぶれてしまうのは目に見えているわけで、そういうことには多分ならないであろうと思いますけれども、ただいま私学共済の将来の収支見通しを申し上げましたような事情でございますから、私どもも、全体の中で私学共済としての納得のいく適正な負担ということで進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/23
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024・中西績介
○中西(績)委員 いずれにしても大臣、その問題とあわせて、こちら側に案を持たないと、これは一挙に押し込まれてしまうわけですから、そうした案をぜひ打ち出していくというのが一番大事ではないか、こう思います。そうした点でぜひ早急に論議を起こしておいてもらいたいと思うのですが、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/24
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025・中島源太郎
○中島国務大臣 おっしゃる点はよくわかります。この間、オール・ジャパンと申し上げましたのは、もう御存じのとおり、私どもとしては五十九年の閣議決定で、一応最終目標は七十年を目途、こういうことになっておるわけでございますが、その前に、給付と負担の両面において制度間調整を進めつつというのがございますですね、そのあたりと、それからまた六十年の関係閣僚懇談会においても、六十四年に地ならしするものは地ならしすると申しますが、そのあたりで、先生の御指摘のように、我々としては私学共済の適正な給付と負担を前提として、ディフェンスと申しますか、その方の検討はやはりよくしておく必要がある。十分考えまして、勉強をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/25
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026・中西績介
○中西(績)委員 ぜひやっておいてください。
同じ私学問題で、助成金の問題が一つ大きな問題として残っていますね。こうしたものに対して、共済問題等についての助成金の問題とあわせまして、予算という問題を私学の問題ではもうちょっと深く考えておかないとうまくいかないのじゃないかと私は思うので、その関連としてお尋ねしておきます。
私立大学の経常費の補助金を見ますと、五十六年、五十七年ごろをピークにしましてだんだん減少して、当時は一番最高で三〇%くらいだと言われておったのですけれども、現在では一八・二%。これは六十一年だけれども、経常費の中に占める割合は落ち込んでしまっていますね。特にこのことがどういう結果を生むかといいますと、例えば学生が東京で下宿をした場合には百九十六万必要だと言われています。全国平均で百八十九万五千円だと言われていますが、学生の必要経費の平均は十年間で約二倍になっておるわけです。それから、学費の方だけを見ますと二・四五倍になっていますね。十年間で二倍を超えていますりそうすると、百九十六万ということで平均収入世帯を考えますと、今私立大学への進学は不可能になっておるのじゃないか、こう考えるわけです。機会均等ということから考えますと、私立も含めてやはりある程度考えなくてはならぬ。ですからこの点、正常な状況に戻すためにはある程度この部分を、財政審だとかいろいろなところからこれを削れ削れということを言われていますね、そのときに、私学問題について政府が、文部省が、財政審の答申なりあるいは行革審の答申なり、こういうところの言い分を受け入れれば受け入れるほどその不均衡は拡大をしていくわけですから、この点、正常な状況に返すという決意があるかどうかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/26
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027・坂元弘直
○坂元政府委員 確かに先生御指摘のとおり、昭和五十一年度から法律補助で、予算補助は四十五年度から私学助成をやっておるわけですが、昭和五十六年度までは年々何百億のオーダーで私学助成がふえてきたわけでございます。しかしながら五十六年度からスタートいたしました例の臨時行政調査会の、私学助成は総額を抑制し云々という答申が出された以後、五十七年度から臨調答申に基づく予算編成が始まり、同時に五十七年度ごろから、国の財政状況も非常に厳しいということも反映いたしまして、シーリングの段階、概算要求基準の段階からいわゆるマイナスシーリング、ゼロシーリングというのが始まったわけでございます。私どもその中でも、私学助成については文部省の概算要求あるいは予算編成の中で最重点事項の一つとして今日まで努力をしてまいったところでございます。先生も御承知のとおりに五十七年度が前年同額、五十八年度、五十九年度は前年度より減をさせられた。六十年度、六十一年度は前年度と全く同額、六十二年度、昨年度に至りまして五年ぶりに大学についてはわずかでありますが五億円、経常費助成の増ができた。それから、本年度は幸いに五億を倍の十億増というふうな増額が認められたということでございます。国の財政が大変厳しいということは私どもも十分承知はいたしておりますが、私学助成の拡充につきましては今後とも文部省として最重要事項の一つとして取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/27
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028・中西績介
○中西(績)委員 取り組んでいくといいますけれども、先ほども部長言われましたように、五億あるいは十億円程度上積みをするだけですから横ばいだと考えていいわけです。そうしますと、経常費の方はこの額で、経常費の中に占める割合からいたしますとますます率は下がっていくわけですね。そうなると、私はこの前の論議の過程の中でも申し上げましたように、例えば来年度、六十四年度予算を論議する際に、ほかに幾つもそうしたものを加えなければならぬという必要経費というのが文部省予算の中にたくさんあるわけです。この前ざっと計算しただけで二千億近くになったわけでしょう。そうすると、ますます行革審なり財政審のそうした声があればあるほど、これが横ばいであるからというところを私たちは今安心して見ておれません。ですから、全体的な額というものを拡大をする、大枠をとるということになれば別でしょう。しかし、これがとれない、シーリングなり何なりで規制をされておったら完全にここはまた再びマイナス予算しか出てこないのではないか、私はこう考えるわけなんです。ですから、大学だけではなしに高等学校におきましても同じことが言えるわけです。交付税の問題とあわせて考えていかなければなりませんけれども、これがわずか十億程度増加されたといってもこのことが大きな影響を与えるわけじゃありませんし、そしてその占める割合というのはさらに低下していっているわけですから、この点を考えると何としてもここで総反撃というのか、この前も私言ったように、しりをまくってこれからいろいろなところで気遣いすることなくやりっ放しでやらなければならぬ、こういう状況になっておるのではないかと思うのですけれども、私学部長、その辺についての決意はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/28
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029・坂元弘直
○坂元政府委員 私ども、私学予算を確保するという意味での決意は人後に落ちないつもりでございます。ただ、全体の枠組みの中で今の概算要求制度という国の予算要求の制度、それから一定の限られた財源の中で暮れの予算編成を行う、そういう国全体の財政の仕組みの中で一体どういうようなやり方ができるのかというのは、私どもも大変頭の痛いところでございます。ただ、とにかくも私学助成を確保することに最大限の努力をするというその決意は持っているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/29
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030・中西績介
○中西(績)委員 それで、そのように少なくなってきている、あるいは経常費の中に占める割合が少なくなってきているのに、六十三年度予算の特徴、私学問題を見ますと六十二年度はプラスわずか十億であったわけでありますけれども、一般補助金を二十億削って特別補助金を三十億増額した。したがって、この増額分と合わせてこういう結果になっておるわけでありますけれども、私はぜひ問題にしなければならぬと思うのは、こうなってくるとますます一般補助は減額される可能性が強まってくる。この傾向を強めていく。ですから、特別補助というものが多くの皆さんの中で合意を得ないと、私は、一般補助だけで今対応されておる私立学校の場合にいろいろ多くの問題が出るのではないかと思いますね。ですから、今特別補助として挙げておるいろいろなこの項目を見ますと確かにあります。しかし、そのことが多くのそういうところで合意されておるかどうか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/30
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031・坂元弘直
○坂元政府委員 私ども、予算要求をする段階あるいは予算編成で大蔵省と折衝している過程の段階で、全私学連合の方々とは十分やりとりをいたしまして、現在のところこういう段階である、それから特別補助の問題、あるいは一般補助と特別補助のシェア、割り振りの問題等についても逐一御報告をし、事実上の御了承を全私学連合の代表者からいただいておるということで、予算編成を進めてきておるわけでございます。そういう意味で、でき上がった予算のつくり方については一応私学の関係者にも御同意をいただいておるというふうに考えております。
ただ、今先生おっしゃったように、私どもとしては全体として経常費助成の枠をふやす、ふやした中で特別補助のふやし方を少し余計にする、一般補助のふやし方が特別補助のふやし方よりも若干少ないというようなやり方が最も理想的で好ましいやり方ではないかというふうに考えておりますが、先生御指摘のようにわずか十億しかふえない、その中で私学の独自性、建学の精神に基づいて特別な特色ある教育研究をやっておる、そういう私学の努力をエンカレッジするという意味で、一般補助を若干削って特別補助の伸びを大きくするということをせざるを得ないわけでございますが、今後は特別補助も一般補助もともに伸ばすということに努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/31
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032・中西績介
○中西(績)委員 そこで、特別補助というのは、このように全般的には抑制されておる中でここだけは拡大されていっているということになるわけです、このことが私学全般である程度了解をされておるというのならいいのだけれども。
そこでもう一つ、この中で特に一番終わりの方にあるのですけれども、地方における高等教育機関の整備、二十九校、これは六十一年度ですけれども、私は、この点がやはり、小規模で地方における大学の場合などにおきましては授業料などを引き上げるということはほとんどできないわけです。そういう中で営々として経営に努力しておるまじめな人たちがおるのですね。大規模校で物すごい補助金をもらっておるようなところに比べて、大変な努力をしておるところがあるのです。私たちが知っている九州のある大学などは、学生数も少ない、しかし三〇%程度の助成金があれば本当に理想的な学校運営ができるんだということを言っているのですね。ところが残念なことに一八%にも落ち込んでいるものですから、物すごく四苦八苦しているのです。こういうふうなところにこうした補助というもの、特別補助が地方における高等教育機関の整備という中に入っておるのだろうか、こう考えています。この点は少しずつ、六十年に比べますと六十一年は拡大されています。六十二年の資料を私今ちょっと持っていませんので明確に指摘することはできませんけれども、この点どうですか。私が言うような方向へ向けて努力し、拡大されておると言っていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/32
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033・坂元弘直
○坂元政府委員 確かに先生御指摘のように、大規模校にはそれなりのスケールメリットがあるだろうという点も十分考えられるわけでございまして、今先生が御指摘のような方向で地方における小さな大学、短大について特別な手当てをするというふうに従来から努力をしてきております。ちなみに六十二年度につきましては、前年度二十九校でございましたが、六十校採択いたしまして倍強の特別な措置をしているところでございます。ここの部分につきましては、今後とも私ども厚い手当てをする方向で努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/33
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034・中西績介
○中西(績)委員 私学のこうした予算面の問題ですけれども、大臣も、こういう実際の具体的に努力をなさっているようなところをぜひ資料なりを取り寄せていただいて、私学の本当にあるべき方向性というものを、これからますます重要視されていかなくちゃならぬわけですから、ぜひこの点について十分な検討をしていただきたいし、この特別補助の交付状況等につきましても目を通していただいて、さらにそうした面についての拡大、そして多くの皆さんに理解いただけるように努めていただければと思うのですが、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/34
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035・中島源太郎
○中島国務大臣 私も、私学につきましては教育の中で最も重要な部分だというふうに認識をいたしておりますので、規模その他いろいろな多様な経営上の観点がありましょうが、そういう点をよく見ながら、今私学部長がお答えしましたように、そういう面の重点配分その他についてよく見きわめてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/35
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036・中西績介
○中西(績)委員 そういう大変予算が絞られた中でいろいろ起こった問題で、今まで補助金をカットされた私学等もあるわけですね。そのように、私学といえども、まじめにやっているところあるいは大きな問題を起こしておるところ、いろいろなものがあるという御認識は大臣、いただいていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/36
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037・中島源太郎
○中島国務大臣 ちょっと聞き漏らしましたけれども、私学の中でいろいろな経営状態がある、その中でそれぞれが私学の建学の精神に基づきまして大変な御努力をいただいておると思います。そういう中で、よき点はさらに伸ばし、改めるべきは着実に改め、そして建学の精神に基づいて健全な学校運営ができ、教育が充足していきますように私どもは努めてまいっておりますし、これからもその点で努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/37
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038・中西績介
○中西(績)委員 ところが、これは五年前にさかのぼるのですけれども、五十八年に国士舘大学と九州産業大学事件がございました。片一方は人殺し、片一方は暴力、そして大変な経営状況になり、しかも補助金をごまかすとかいろいろなことがございまして、したがって文部省からは次官通達などが出ました。と同時に、この二大学については補助金の打ち切りがされたわけです。
そのときの論議ですけれども、国士舘大学の場合は三年前に警告をしておったにもかかわらず措置をしなかったのです。そのために学内で人殺しが起こったのです。これは私は指摘をしておったのですよ。それから、九州産業大学の場合も大変な状況になるよと言っておったところが、案の定、補助金のごまかしなどが表面に出た。そしてもう部内における事務は全部うそからうそ、そういう状況になってしまっておりましたので、この両大学については、本来ならばしてはならない特別立法措置をして対応しようというところをこの委員会で確認したわけです。私たちももちろんこのことは正しいとは思っておりません。しかしそうせざるを得ないという中から提案をし、そして文部省もそれに乗らざるを得ないというところになったわけです。それくらい多くの問題がこの中には含まれておりました。
ところが、ことしに入りまして、九州産業大学は、指導五項目が示されておったのですが、審議会でカットを解除するという状況が出てきたようであります。二五%、二億一千四百万円の補助金をということになったようであります。これはもう間違いないと思います。
そこで、きょうはこういう状況だったものですから私学財団を呼ぶことはできませんでしたので、部長にちょっとお聞きしますけれども、私学財団は、そういう問題について補助金力ットを解除すべきだという意見を持つ、五項目指導に対するそういう確信に満ちた内容が出てきた。私たちとの約束の中では、現地に行って調査までしますということを言っておりましたけれども、その点どうだったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/38
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039・坂元弘直
○坂元政府委員 私学振興財団が現地に行って調査をするというようなことを先生におっしゃった、あるいは約束をしたというような点については私ども承知はいたしておりませんが、最終的には、私学振興財団は、現地に行かないで向こうから関係者に来ていただいて詳しく説明を聞いて、もちろん私どもにも相談がございましたが、それに基づいて補助金の制裁措置を解除して二五%の補助金を出すことにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/39
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040・中西績介
○中西(績)委員 そこなんですね。この問題に私がこだわるのは、私自身がやってはならないと思うようなことまでしてこれに対応し、そして全私学の問題として、正常な形にして多くの皆さんのコンセンサスの中で補助金が交付される体制をつくるべきだというのが私たちの願いです。そのことはまた、ああいう状況があって私たちの近くにおった学生、その父母が大変な迷惑をこうむったし、就職できないという状況だって出てきたわけです。それを乗り切ってやるとするならば、提案をした我々も含めてそういう者が納得できるような条件が出てこないとこれは問題だと私は思っておったのです。現地に行くというのも、行っていないでしょう、書類によって本人たちに来てもらっている。ところが、これはどんなことだってできる今までの状況があったわけですね。
そこで、お聞きします。第一の運営体制の刷新と確立を見た場合に、では人事の面ではどうなんですかと私は聞きたいのですよ。そうなってまいりますと、名前をここでは挙げませんけれども、当時の部長であった人たちが、部長という制度をなくして次長制度にして、次長になってちゃんと残っておるのです。しかも、その人たちによっていろいろな書類がごまかされ、告発はしたけれども起訴猶予あるいは不起訴になったのは、悪いことをした理事者側からそれが告発をされれば事件になるけれども、その他の人からやったってこれは事件にはなりません、こうなって、その当時全部不起訴、起訴猶予になってしまったのです。ですから、当然、悪いことをしたのは理事者側ですから理事者が告発するわけないのです。それで全部見過ごされたのですが、そのときにやったメンバーの人たちが依然として残っておるのですね。あるいはそのほかの役員報酬の問題についても賃金形態にしても、いろいろなものを全部挙げていきますと、あるいは組織、機構そのものを考えてまいりましても、例えば教務部・学生部・事務部長制を廃止したので、その教務部長、学生部長というのは権限が全然ない、そして次長が依然としてこの権限を握って動かしておるという状況なんですね。それにはその当時問題になった人がちゃんと残っておる。言いかえますと、鶴岡体制がこの五年間残っておるという状況なんです。そういうものが払拭をされて一定の方向というのが出るべきで、それが当然だと私は思いますよ。これぐらい私学の問題として大きな問題はないのですから。この点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/40
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041・坂元弘直
○坂元政府委員 当時の部長で既にやめた方もかなりおりますし、それから当時担当課長であった者が現在部の次長になっておるとか、あるいは課長になっておるということで、残っていることは事実でございます。
これらの人たちについて、当然のこととして当時の理事長なり担当理事の命令によって動いたということもございまして、直ちに全部免職にするというのもなかなか難しかったのではないか。これは当然のこととして、私どもが免職権を持っているわけではありませんが、当該大学として直ちにすべての者を免職にする、理事の命令に基づいて動いた事務職員について全部免職にするということもなかなかできなかったのではないかというような、いろいろな経緯があったのだと思っております。
私どもとしましては、これらの職員が残っておるからといって直ちに鶴岡体制がそのまま温存されておるというふうには理解いたしておりません。今の理事会の理事長、理事会の体制のもとで、今の理事なり担当理事の命を受けて整然とした職務を行っておるというふうに私ども考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/41
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042・中西績介
○中西(績)委員 私は何もその人たちを免職にするとかなんとかでなくて、やはり枢要な地位にある人たちをそこから変更するということはどこだって当然ですよ。例えばあなただって懲戒免職にならぬ場合にはどこかの課の端の方にでも置かれるということだってあるわけですから、それはあるのです。だから、枢要なと思われる課長、それを今度またもとの、そういうことを扱った部長がいて課長がいて、そこで一緒に悪いことをしておった連中が今度部長でなくて、部長職はなくなったものですから、今度は次長制になったらその次長になっておるわけです。こんなばかなことがありますか。昇格しておるのですよ。それでもって一定の効果があったなどという見方を文部省がしたということになれば、これから文部省の人事などというのはそういうふうにやるのですか。何か間違ったことをしたときに、その人を昇格させますか。それはさせられぬです。常識です。しかも体制がかわったというのならなおさらのことでしょう。だから私は、昇格するということは体制がかわっていない、こういうふうに言っているのです。こういうふうに挙げていきますと、全部がそうです。
時間がありませんから、では役員報酬はどれくらいになっているか知っていますか。報告がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/42
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043・坂元弘直
○坂元政府委員 六十一年度でございますが、理事長が千六百十六万。常務理事が三人おりまして、三人とも千二百四十万。そういうように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/43
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044・中西績介
○中西(績)委員 ですから、こういうように補助金をもらってないような学校というのは、本当は自粛自戒をすべきなんですよ。この学校は役員の報酬が高いといって随分問題になっておったところですし、そうしたことから今のことを考えると、なぜかというと、そこで働いておる教員などは依然としてその賃金体系も公開されておらないし、今まであった六段階の給与表—従来では考えられませんよ、一つの中に六段階つくるのだから。一号なら一号の中に全部六段階をつくるのです。普通のところでは到底考えられぬようなことをやって、それを押しつけてやる。しかもこれは二年間公開されていません。こういうことを考えると大体想像つくのじゃないですか。ですから、これはおきますが、ではもう一つ、経理の公開はされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/44
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045・坂元弘直
○坂元政府委員 経理問題についてもこの法人は大変問題がございまして、私どもとしましては、当時の私どもの指導の内容ですが、学校法人に帰属すべき収入は正規の手続に従って適正かつ速やかに学校法人会計に繰り入れること、それから収入支出の裏づけとなる証拠書類は必ず一定期間保存するなど、経理の適正処理に努めるべきであるという指導を行ったところでございます。
その後、この指導を受けて、収入の学校法人会計への適正迅速な繰り入れ、それから収入支出の証拠書類の整理保存に努めるというようなことで、適正に処理をしているというふうに私ども承知しております。
なお、経理の公開につきましては六十二年度の決算、これはこれから五月に行われるわけですが、六十二年度の決算からは経理を学内に公開するというふうに大学側は言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/45
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046・中西績介
○中西(績)委員 九州のやつをずっと見ますと、まず第一に経理公開というのは常識なんですよ。こういうことをやったところでは当然でしょう。それがなければ解く必要はないのです。公機関だってちゃんとやっておるでしょう。あるいはあなたたちが今カットをしておる福原学園だって、これを見ると全部やっていますよ。経理公開で問題になるのは、資金収支計算書、消費収支計算書、貸借対照表、財産目録、固定資産明細表、借入金明細表、基本金明細表、人件費支出内訳表、こういうような項目があるわけですけれども、例えば今カットされておる福原におきましても、どういうようになっておるかといいますと、公開されておらないのはこの項目の中においてたった一つだけです。他は全部公開をしておるのです。ですから、こうしたものを考えてみますと、この点については本当に大変な問題ですよ。ここはまだ依然としてやられていませんから。しかも、佐藤前学長代理は、使途不明金が大きいので経理公開できない、時効を待つしかない、こう言っておるのです。それともう一つは、経理関係の書類を鶴岡が持ち出して、青木理事会ではそれが把握できぬというようなことまでも取りざたされ、流されております。だから、中身がどうなっておるのかということは全くわからぬのです。
今言うように、使途不明金が大きいので経理の公開ができぬ、時効を待つしかないというようなことを前学長代理が言ったということになれば、ここは本当に経理がちゃんとできるところであるかどうか、そういうことも調べたんですか、お聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/46
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047・坂元弘直
○坂元政府委員 佐藤学長代理の言については私どもちょっと承知いたしておりませんけれども、経理の公開というのは前年度の決算に基づいて毎年度公開するものでございます。鶴岡体制のときの証拠書類を鶴岡が持ち出したというのは私はあり得ると思います。まさに当時の鶴岡はやりたいほうだいのことをやって、交際費に七千万も使い、自分は六千万円という年俸をもらっていたときでございますので、まさに乱脈をきわめた経理をやっておったことは想像することは容易でございます。しかしながら、青木体制になってからの経理については、学校法人会計基準に従って適正に処理しているというふうに私ども承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/47
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048・中西績介
○中西(績)委員 いずれにしましても、その年度ごとのものをやってないことは事実でしょう。これからやろうかというのだ。やって、中身がどうだということを調べた上で、これについては適正だという判断をしてやったというのならいいけれども、問題はそこなんです。しかも、今度は国の金である助成金を出すというのですから、これはまさに政治的なものとしか考えられません。今までは出してはいけない、いけないと言っておったのに、これが一挙に、しかも現地調査をするという約束をしておるのに現地調査もせずにそれをやらせるということになると、何かがあってこういうものがなされたとしか考えられません。これは大変な内容だろうと思います。
これ以外に、私が指摘をしたいと思ったのは、入学選抜方法、これが二つ目です。三つ目が教員組織、四つ目がさっきの問題等を含めて経理適正の処理、そして五つ目に、冒頭で出ておりましたように鶴岡色の排除をするためのいろいろなものがあったわけです。こういうものが一挙に通ってしまうなんということは到底常識としては考えられません。大臣、この点をぜひあなたは知っておかないと、これから後、いろいろ政治的な力が加わるとそういうものがどんどん出てくる可能性がある。この点はぜひ大臣、肝に銘じておいてください。
〔町村委員長代理退席、委員長着席〕
そこで最後に、これは三月二十二日夜六時、九州のRKB毎日ニュースワイドで放映された中身ですが、キャスターいわく、「次の衆議院議員選挙で福岡三区から文部省事務次官高石邦男氏が出馬の意向を明らかにした。三区は自民現職の山崎平八郎氏が病気入院中で進退に注目が集まっているほか、建設省官僚、地元市長も出馬に意欲的と言われ、前回の選挙に次いで保守同士の争いが厳しくなりそうです。」これから後が問題です。「文部省の高石事務次官はきょう、福岡県粕屋郡志免町で行われた選抜高校庭球大会の開会式に出席した後、RKBのインタビューに応じました。高石氏はこの中で、近く退官する予定だが、現在は役所の仕事を一生懸命やる立場にある。しかし、地元で勝手運のように担ぎ上げようという動きが高まっていることは感謝していると、国政選挙への意欲を示した。さらに続けて、政治的発言の力となるには衆議院と参議院を比較した場合衆議院です、地元の盛り上げを考えていかなければならない、このように高石氏は初めて衆議院選挙への出馬の意思を明らかにした上で、自民党安倍派や中曽根派から誘いがあることを明らかにしました。」こうなっておる。
今このように皆さんが目の色を変えて審議をしようというときに、こうした問題を平気で地元に帰って言う。ですから私は、さっきの政治的な問題というのも、こういうところに起因するのではないかということを懸念しておりますからこれについて言ったわけです。政治的中立だとか何だとか言う人たちが、まだ政府高官で在職しておるのに、こういうことを平気で言っておるということになりますとこれは大変問題です。大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/48
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049・中島源太郎
○中島国務大臣 せっかくの御質問でございますので、私は今の九州での発言はつぶさに伺っておりませんが、私が二点申し上げたいのは、今御指摘の人物は文部省の中枢の役でございます。そこで、文部行政、教育改革本格実施の年を迎えまして特に重要なときでございますが、そうでなくても、その役職に全身全霊を傾けて打ち込んでもらうことが当然でございまして、それだけは私からも機会があれば強く申し上げますし、また、役職に上下はございませんから、文部行政にあります職員、私もその一員として襟を正して職務遂行に全力を挙げたい、こう思っておるわけでございます。そういうことでありますから、私は直接当人から相談を受けておりません。また私が相談を受けるべき立場でもございませんで、今相談を受けるとすれば、文部行政をいかにつつがなく進めるべきであるかということについては日々相談もし、お互いに研さんをし合う、そういう点で全力を尽くしているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/49
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050・中西績介
○中西(績)委員 今大臣は、この人は中枢にいる人と言いましたね。とにかく事務関係でいいますならば最高にいる人ですね、事務次官は。ところが、この人が衆議院、参議院を比較して参議院軽視の発言をしているのです。こういうことまで触れながら自分は推されておるということを言うことは、これはいろいろ考えて発言したでしょう。しかしその中身は、あくまでも今いる人が立候補表明をしたと同じような内容でやられておるわけですから、このことを直ちに受けて、大臣がこの高石事務次官に対してこの点についての責任を明確にとってもらうということをしてもらわない限り、私はこれは許すことはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/50
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051・中島源太郎
○中島国務大臣 個人名を出しての御指摘でございますから、私もその趣旨を解しまして、私が責任ということになりますと、先ほど申しましたように、私は少なくとも文部職員にいるときに文部行政に全身全霊をささげる、これが責任だと思いますので、私は、もしそういうことがあれば、その余のことは考える余地があるわけがないだろう、そういうことは頭の中から払拭して、そして文部行政に全霊を打ち込みなさい、それがあなたの責任だ、このように申したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/51
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052・中西績介
○中西(績)委員 もうやめますが、「ご本人は「衆院に文部省出身者はゼロ。俺が突破口を開くんだ」とヤル気満々—。」これは文芸春秋五月号に出ているのですよ。ですから、私はまさに高官である者が職を利用してそういうことを発言しておるとしか思えぬですよ。この責任は本人がとるべきだし、むしろ積極的に対応すべきだと私は思うのです。そうしなければこの問題は解決しませんよ。だから、大臣のこの点についてのちゃんとした監督とあなたのこれからの指導なり何なりがどうなるかということによって決まっていくと私は思うのです。この点について大臣は、ぜひ責任を持ってやるということを言いなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/52
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053・中島源太郎
○中島国務大臣 私は、せっかくの御指摘でございますから、よく事実関係は調べてみます。現在まで当人から私に対して身の振り方に対して相談を受けたことはございませんし、また受けるべき立場でもない。そして、もし私が真剣に考えるのであれば、よく事実関係を調べ、そして現在職にある身であるならば、文教行政に全霊を尽くすべきであるということを申し伝えるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/53
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054・中西績介
○中西(績)委員 委員長、私は不満です。今のようなあれでは、本当に文教行政を、こうして強行しようとまでやっているわけですから、それなのに……(発言する者あり)今まであなたのところは大学審議会だって何だって強行したじゃないですか。そういう前例があるのだから、それを私たちは見逃すわけにはいかないのですよ。見逃すことはできません。ぜひあなたは、こうした点について、もしあなたができぬと言うなら、あなたの責任ですよ、それを見過ごすということになるとあなたも同じだということになるのだから、この点について明確な答弁をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/54
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055・中島源太郎
○中島国務大臣 まさに大変な御審議をいただきつつ、私どもは国会の御審議をいただいて、それにのっとって、そして文教行政よるしきを得るために全身全霊をささげる、こういう立場にございます。したがって、責任を遂行するということは、その遂行に支障があるようなことは排除しつつ、そして文教行政に万遺漏なきを期す、これが私に課せられた責任でもあり、文教行政に身を置く職員全員の責任でもある、このように私は考えますので、お答えをいたしておるわけでございまして、それが責任のとり方の一つであろうと私ははっきり申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/55
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056・中西績介
○中西(績)委員 最後に、私は、ぜひあなたが最後の責任を負うということを確認しておきたいと思います。しないときには、この次の委員会なり何なりでもう一遍この点についてはやります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/56
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057・中村靖
○中村委員長 山原健二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/57
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058・山原健二郎
○山原委員 私立高校の生徒急減対策について伺います。
実は私学共済の理事長さんなりに出ていただいて意見を聞きたかったわけですが、そのような時間がありませんので文部省の方に伺います。
この問題は、単に私学の経営のみならず私学共済組合員の減を生み出しまして、共済組合員の年金にも大きな影響を与える深刻な問題でございます。したがって、先日も石井議員がお尋ねしましたが、引き続いてお伺いしておきたいのですけれども、生徒減がどのようになるか文部省として把握をしておられるか、具体的な生徒の減とそれに伴う教員の減がどのような形で進行するのか、この点最初に伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/58
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059・坂元弘直
○坂元政府委員 申し上げます。
十五歳人口が、これは全国平均でございますが、都道府県によっては六十三年にピークが来るところもございますし六十五年にピークが来るところもございますけれども、六十四年に二百五万、翌年百九十八万、その次が百八十六万、百七十七万、百七十二万、百六十七万、百六十一万、その後百五十万台になりまして、以後ずっと百五十万台で推移するというふうに私ども考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/59
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060・山原健二郎
○山原委員 それに伴う教員の減の問題でありますが、前にひのえうまのときに重大な問題として世間を騒がせましたけれども、今度の場合はさらにそれを上回る落ち込みとなろうとしております。全日本私立中学校高等学校連盟の調査結果では、最高時の年が昭和六十四年で、来年がピーク、これが二百四万八千四百人、それが七十九年になりますと百三十九万六千人、こういう数字が出ておりまして、実に対六十年度比で七四・一%にまで落ち込んでしまうわけです。そればかりでありません。中学校卒業者がそれ以降回復していくか、増員に向かうかというと、そうではない県がありまして、深刻な事態を迎えようとしております。回復しないところが青森、岩手、秋田、山形など十五県、回復の兆しがあるのが北海道など七県という状態です。さらに再来年には急減に移行するという事態を迎えているわけで、今抜本的な対策を立てなければならないことはもう御承知のところです。
先日の答弁では、生徒の減員が生じても教員の首を切らないで教員を置く場合、教員に対して補助を出すということを言っておられましたが、それだけでは間に合わない事態になろうとしております。対策についてまず第一に考えなければならないのは、教員の身分の安定確保ということでございます。現在の教員の首を切らないで安定した授業を行うためにはどうしたらいいかという問題が起こってくるわけですが、これを解決する道は学級の定員を低くするということが一番重大な問題ではないかと思いますが、この点をどういうふうにお考えになっておるのか、伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/60
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061・坂元弘直
○坂元政府委員 この十五歳人口の動向というのは十五年前にわかるわけでございます。したがって、長期的な計画を持って私学が十五歳の急増に対応するようにという指導を私ども前々からしておりますし、その指導に基づいて各都道府県においては公私立高等学校協力協議会を設けまして、急増期にはどういうようなシェアで公立と私立が分担するか、それから急減期に向かってはどういうようなシェアでそれに対応していくかというような長期的な計画を持って、今日まで見通しを立てて対応してきているところでございます。したがって、私どもはその見通し、長期的な公私立の役割分担、シェア分担に基づく計画に沿って対応していけるのじゃないかというふうに考えているところでございます。
それから、先生も御指摘のとおりに、現在の高等学校以下の経常費助成は、教員数あるいは学生数に着目いたしまして、その数に応じて給与費あるいは生徒経費を計算して支給しているわけでございます。したがって、各高等学校が、先生が余裕ができたので学級編制を少し縮めるというような対応をした場合にも、先生に対する補助金については従来と同じような算定の仕方で計上し、補助が行われるはずでございます。
それから、今いる先生を絶対そのまま残しておくとか残さないとかいう、それは個々の高等学校の身分取り扱い、人事の問題でございまして、それは個々の高等学校がどういうような経営方針あるいは財政状況かということを十分総合的に勘案して取り扱う問題ではないかと思っております。ただし、私ども一般的には、そういうような場合も含めまして、教員の身分取り扱いあるいは教職員の身分取り扱いあるいは人事については、学内規定あるいは労基法等の一般的な法律はもとよりでありますが、学内規定等に基づいて適正に行うようにという一般的な指導はしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/61
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062・山原健二郎
○山原委員 この問題を本当に解決するということになりますと、私は学級定員を低くするということであると思います。調査の結果がありますが、今の四十五人学級を四十人にしても間に合わないのですね。四十人学級でたえられるのは滋賀県と沖縄県だけです。あとは三十五人学級にまで持っていかなければだめなのですね。公立高校も含めて三十五人学級に移行するということを直ちに検討すべきだと思うのです。高校は諸外国では二十五人から三十人学級ですから、そういう意味からいいますと、高等学校についても三十五人学級に移行することを本気で考えなければだめだというところへ来ておると思うのです。私はこの点については中島文部大臣も同じお気持ちだと思うのですが、この生徒急減というものが、さっき言いましたように、単に私学の経営のみならず私学共済の年金に関係してくるということを考えますと、この点は深刻な問題として受けとめていただきたいのですが、大臣の御見解を伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/62
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063・中島源太郎
○中島国務大臣 おっしゃるように、生徒の急激な減少期に入ってまいります。これに対して三つは考えておかなければいかぬ。
その一つは、政府委員からお答えいたしましたように、これは所轄の各都道府県が生徒数その他を基礎として配分方法を定めておるところでございますけれども、私どもとしては、従前から私学の置かれた立場の重要性を十分認識しておりますので、大学、高校を含めまして私学助成の面では、ようやく私学高校につきましても十億円増の私学助成を計上いたしておるところでございますし、また一方で交付金などの手当ても含めまして前年を百五十億ぐらい上回るというような手当てはいたしておるところでございますが、なおかつ、これから生徒急減期に対しまして私学そのものが経営上の相当な努力をしていただかないといかぬであろう。この三者が一体となりまして、そして今先生おっしゃいますように、急減期に向かって、私どもは当面四十人学級というものを六十六年目標に到達するように的確に努力いたしておりますし、とりあえず四十人学級を達成するということを前提に努力をいたしておるところでございますから、今後、今申した三点を総合的に考えてその対策に努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/63
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064・山原健二郎
○山原委員 私学共済の健全な運営のためにも、この問題は本当に重大な問題だということを重ねて申し上げたいと思うのです。御認識はされておると思いますけれども、今おっしゃいました私学の経営努力も限界がありますから、例えば生徒の学費に頼っていては大変なことで、現在高等学校の場合大体百五十万という数字が出る時世を迎えたわけです。私立大学の場合は二百万博代と言われることで、これは教育の機会均等にとっても重大な中身を持っているわけでございます。この学費軽減のための助成と経常費に対する助成の検討をしなければなりません。また、公立と私立の格差をこの際なくしていくということの検討もしなければならぬと思います。こういう意味で、生徒の急減少という時期を迎えまして私学助成の抜本的検討を行わなければ大変な事態になる。その意味では、これはしばしば使われてきたわけですけれども、私は臨教審の第三次答申もここへ持ってきましたが、事実関係において、臨教審の答申あるいは審議経過の概要の中で、ここだけは私どもと考え方が一致するのです。日本の高等教育に対する公費支出の問題、これはアメリカ、イギリス、西ドイツ等と比べましても、この指摘は事実なものですから、臨教審の答申の中で一番ここが一致するところなのです。ところが、こういう問題については一致はするけれども、さて、今度の国会を見ますと、率直に言うと、こういう問題についての政府側の法案といいますか、財政支出の問題は極度に絞られておる。そして出てきたのが、臨教審答申の中の、今の国会で問題になっておる六法案が出てくる。ここのところが、臨教審の答申の中でいわばつまみ食いの六つが今出てきて、この委員会も大変な苦悩をしているわけでありますけれども、この点の指摘をしておきたいと思います。私学助成についても本当に抜本的検討が必要であるということは、異論がないと思います。
もう一つは、私学助成の問題につきまして特別補助について伺いたいのですが、我々はかつて私学助成法をつくりましたときに、附帯決議の中で経常費の二分の一を早期に実現するという国会側の決議をしておるわけですが、経常費助成が全体として抑制されている中で、特別補助だけは五十八年の三・五%から六十三年の七・五%と倍以上に伸びております。この補助基準は具体的にどういう内容なのかということをお聞きしたいのです。経常費助成は教職員の福利厚生費、教育研究経常費、研究旅費などが対象でございますが、特別補助というのはどういう性格のものなのか、これを伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/64
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065・坂元弘直
○坂元政府委員 確かに先生御指摘のとおり、特別補助は年々拡充してきております。これは臨調答申でも特別補助を重視していけという指摘もございましたし、先生がただいまお褒めいただきました臨教審答申におきましても、一般補助を維持充実することはもとより、特別補助を飛躍的に拡大せよという指摘をいただいているところでございます。それから特別補助も経常費助成の一環でございます。経常費助成の一環の中で、各私学が建学の精神に基づいて特色ある教育あるいは社会的に需要の高い教育研究を行っている場合に、そこの経常費助成を上乗せするという仕組みでございます。
中身についての御質問でございましたが、まず特別補助がどういう項目について出されておるかを申し上げますと、夜間学部等の教育あるいは特定分野の人材養成、大学院教育、研究所等における教育研究、教育研究の国際交流、身体障害者の受け入れ、それから大学教育の開放、それから先ほど来中西先生からも御質問がございました地方における高等教育機関の整備、それからさらに個々の細かい特色ある教育研究というような項目に着目して特別補助を出しているわけでございますが、ちなみに夜間学部等の教育に対してはどういうような基準で出しておるかということでございますが、昼間と夜間との授業料格差の状況、例えば昼間と夜間とほとんど同じ授業料を取っておるというようなところについては、調整額をぐっと掛けまして金額が少なくなります。むしろ昼間と比べて夜間は非常に授業料を低くしておるというような大学、それから夜間といいましても昼間に落ちて夜間に行くという者もおります関係上、学生のうち勤労学生がどのくらいの割合であるかというような点に着目して、学生数に一定の単価を掛けて算定しているわけでございます。それから特定分野の人材養成、これは社会福祉教育、看護婦養成、養護学校教員等の養成でございますが、これは関連施設への就職の割合に着目いたしまして、例えば社会福祉関係の学部を出ましても社会福祉関連施設にはほとんど行かない、半分も行かないというような状況の学部もございます。したがって、関連施設へどのくらい就職しておるかというその割合をもとにいたしまして傾斜配分するわけですけれども、学生数に一定の単価を掛けて補助金を出しているところでございます。それから大学院教育でございますが、これはつい最近大学院を設置したというところではまだ教育研究が十分できていないということで、開設年度と教員と学生数を算定基準といたしまして一定の単価を掛けて補助金を算定しているところでございます。それから研究所等においては—そういうことでかなり細かく、私ども最終的には学生数あるいは教員数あるいはかかった経費等に着目して経費を算定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/65
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066・山原健二郎
○山原委員 いわゆる経常費は横ばい状態ですね。その中でこの特別補助が倍に膨れ上がる。これが膨れ上がることによって、我々が経常費と言ってきたものが縮まるのは、私は今おっしゃることが悪いと言っておるのじゃないですよ。そのことによって、いわゆる経常費としての性格を持っておるものが次第に縮まっていく。国会の決議は二分の一に早期に近づくということですが、現在は一八・二%ですね。あの法律ができましたときには二〇・六%、それからずっと上がって、ピークの時期には二九%近くまでいって、それがまたずっと下がるという格好で、国会決議の二分の一を目指すという考え方が変わったのではないかということさえ考えられる情勢があるわけですね。それから、国立大学も十分ではありませんけれども、私学はなお教育研究条件の整備がおくれていることは、教員一人当たりの学生数では国立が八・三、私学が二四・一、これは今までしばしば指摘をされてきたところでございます。そういう意味で、私学助成の目的を堅持して前進をする必要があるということを申し上げまして、これは大臣の決意を伺いたいと思います。
また、私学共済が充実していくためには、何といっても私学経営と教育研究条件の安定が不可欠でございまして、その意味で文部省は学費値上げの悪循環を、当然というふうにもちろん思わないで、これをどこかで解決していくという真剣な検討を要求したいと思っております。
時間が参りましたのでこれでおきますが、最後に大臣の御見解を伺って、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/66
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067・中島源太郎
○中島国務大臣 特別補助と一般補助の問題でございますが、確かに私どもは特別補助も経常費助成の一環であると考えてはおります。ただし、かといって一般助成の比率が減ることのないように、これはまた私学助成全般の中で私ども心していかなければならぬと思っております。
それから後段で、私学共済との関連でございますが、私はまさに私学共済そのものが、そこに勤めておられます職員の方々をはじめ、安定した基盤の上で十分にその職責を果たしていただくという、精神的なまた実態的な生活安定の基盤でありますからこそ、私学共済の充実が必要であり、また私学共済充実のためには教育の安定、その他給付と負担の適正化に対しても十分配慮していくべきことであろうと考えまして、御指摘の点は心に置いて努力をいたしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/67
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068・山原健二郎
○山原委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/68
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069・中村靖
○中村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
この際、暫時休憩いたします。
午後一時三十八分休憩
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午後二時四十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/69
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070・中村靖
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。(発言する者、離席する者あり)
議事進行に関し北川正恭君から発言を求められておりますので、これを許します。北川正恭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/70
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071・北川正恭
○北川(正)委員 動議を提出いたします。
すなわち、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案並びに教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題とし、順次趣旨の説明を求められることを望みます。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/71
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072・中村靖
○中村委員長 北川君の動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/72
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073・中村靖
○中村委員長 起立多数。よって、さよう決しました。(発言する者あり)
内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案並びに教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
順次趣旨の説明を求めます。中島文部大臣。
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学校教育法の一部を改正する法律案
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案
教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/73
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074・中島源太郎
○中島国務大臣 このたび、政府から提出いたしました学校教育法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、高等学校の定時制の課程及び通信制の課程の修業年限を弾力化すること並びにそれらの課程と連携できる技能教育施設の指定を都道府県の教育委員会において行うことについて規定しているものであります。
これは、臨時教育審議会の答申を受け、高等学校教育の多様化、弾力化等を図るためのものであり、以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一は、技能教育施設の指定を都道府県において行うことであります。
現在、高等学校の定時制の課程または通信制の課程に在学する生徒については、文部大臣の指定する専修学校、職業訓練校等の技能教育施設においてあわせて教育を受けている場合、一定の範囲内で技能教育施設における学習を高等学校での学習とみなすことができることとなっています。これは、昭和三十六年の学校教育法の一部改正によって設けられた制度であり、その当時においては、新しい制度であることなどから文部大臣が個別に指定することといたしましたが、制度発足以来既に二十五年以上経過し、今日では定着したものとなっております。そこで、指定の基準は従来どおり文部大臣が定めることとして教育水準を確保しつつ、指定自体については都道府県の教育委員会において行うこととしようとするものであります。
第二は、高等学校の定時制の課程及び通信制の課程の修業年限の弾力化であります。
現在、これらの課程の修業年限は四年以上とされていますが、現行制度を定めてから約四十年を経過した今日では、生徒の勤労形態が多様化するとともに、定通併修、技能連携等によって履修形態の弾力化が図られてきております。これらのことから、定時制の課程及び通信制の課程の生徒であっても、三年間で高等学校を卒業するために必要な単位を履修できる実情が生じています。そこで、修業年限を三年以上に改めることにより、生徒の実態に応じて三年でも卒業できる道を開こうとするものであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
次に、このたび、政府から提出いたしました地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容について御説明申し上げます。
今日、教育委員会は、制度本来の目的と精神に沿って、その役割と機能を発揮するとともに、社会の変化や新たな行政需要に対応して、効率的かつ総合的な地方教育行政を推進していくことが一層強く期待されております。
教育委員会が、今後このような期待される役割、機能を十分に果たし、その使命を遂行するためには、教育委員会の組織及び運営に関し所要の改善を加え、活性化を図ることが肝要であります。
そのためには、教育委員会が適切な機能を果たす上で極めて重要な権限と責任を有する職である教育長に適材を求め、その事務処理体制の充実強化を図ることが特に必要であります。
今回の改正は、臨時教育審議会の答申を受けて、このような観点から、教育長に適材を得るための措置を講ずることを内容とするものであります。
以下、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、市町村教育委員会の教育長を専任とすることであります。
これは、市町村教育委員会の教育長は当該市町村教育委員会の委員の中から任命することとされている現行制度を改め、教育長の任命に当たっては、こうした限定を設けずに、広く適任者を選任し得ることとするとともに、教育委員と教育長とが、それぞれ職務を適切に分担し、教育長がその職務に専念することができるよう、市町村教育委員会に専任の教育長を置くこととするものであります。ただし、市町村教育委員会は、必要があると認める場合には、教育委員である者を教育長に兼ねて任命することができることとしております。
第二は、教育長の職を任期制とすることであります。
これは、教育長が一定期間その職に在職し、計画的、継続的に職務を遂行することができるよう、教育長に任期制を導入するものであります。この場合、その任期は四年とし、再任されることができることとしております。
この法律は、公布の日から施行することとしております。また、以上の制度改正に伴う所要の経過措置を講ずることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いします。
次に、このたび、政府から提出いたしました教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容について御説明申し上げます。
学校教育の成否は、これを担当する教員の資質能力に負うところが極めて大きく、今後の社会の進展や学校教育の内容の変化等に応じた教育を展開していくに当たり、教員みずからがその自覚を高め、教育力の向上を図ることが必要不可欠であります。
現下の教育課題を解決し、また教育の質的向上を図るため、教員には、従来にも増して教育者としての使命感、幼児、児童生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、そしてこれらを基盤とした実践的指導力などが求められております。
このような教員としての資質能力は、教員の養成教育のみならず、教職生活を通じて次第に形成されていくものであります。その場合、教員自身が研さんを重ねることによってその資質能力を高めていくことが基本となることはもとよりでありますが、これとともに、教員の任命権者が教職生活の全体にわたって適切な研修の機会を提供することが必要であります。
とりわけ、初任者の時期は、教職への自覚を高めるとともに、円滑に教育活動に入り、可能な限り自立して教育活動を展開していく素地をつくる上で極めて大切な時期であります。この時期に、現職研修の第一段階として、組織的、計画的な研修を実施し、実践的指導力や教員としての使命感を深めさせ、また幅広い知見を得させることは、この時期における初任者にとって、また、その後の教員としての職能成長にとっても、欠くことのできないものであります。
そのため、今般、臨時教育審議会の答申及び教育職員養成審議会の答申を受けて、教員の初任者研修を制度化することを内容とする法律案を提案するものであります。
以下、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、初任者研修を制度化することについてであります。
まず、任命権者に対し、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教諭、助教諭及び講師に対する採用の日から一年間の初任者研修の実施を義務づけることとしております。この場合、初任者研修は、教職経験に応じて実施する体系的な研修の一環をなすものとして位置づけることとし、初任者に対して、一年間にわたり、教諭の職務を遂行する上で必要な事項について実践的な研修を実施するものであります。
初任者研修は、教育現場における実践的な研修であり、初任者は、学校において学級や教科・科目の担当その他の教育活動に従事しながら、学校内における研修と学校外における研修を受けるものであります。このような初任者は、日常の実務に即してその立場に立った系統的な研修を受けるものですから、校内における研修について、指導者を特定することとしております。任命権者は、初任者が所属する学校の教頭、教諭または講師のうちから指導教員を命じることとし、指導教員は、初任者に対して具体的な指導及び助言を行うこととしております。
初任者研修の実施に伴い、また、教員の職務の特殊性にかんがみ、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教諭、助教諭及び講師の条件つき採用期間を一年とすることとしております。
第二は、初任者研修制度の円滑な実施を図るための措置であります。
これは、市町村立の小学校・中学校等において初任者研修が行われ、各学校に指導教員等として非常勤講師を配置する必要がある場合には、市町村教育委員会が、都道府県教育委員会に、非常勤講師の派遣を求めることができることとするものであります。また、その場合の非常勤講師の報酬等については、都道府県の負担とすることとしております。これは、市町村立小学校・中学校等の教員に対する研修については、都道府県教育委員会が実施者であることから、非常勤講師について、都道府県が責任をもって対処することとするものであります。
第三は、初任者研修の制度化についての経過的な措置であります。
幼稚園の教諭、助教諭及び講師に対する初任者研修については、幼稚園の実態等を考慮し、当分の間、これを実施しないこととし、初任者研修とは異なる研修を行うこととしております。
また、幼稚園を除く学校の教諭等に対する初任者研修については、教員の採用者数の推移その他の事情を考慮し、昭和六十四年度から段階的に実施することとし、昭和六十七年度までにはすべての校種についてこれを実施することとしております。そこで、昭和六十六年度までの間は、初任者研修を実施しない学校種を政令で指定することができることとしております。
このような初任者研修の実施に当たっての経過的な措置に伴い、初任者研修の対象とならない教員については、その条件つき採用期間は、従前の六月とすることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/74
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075・中村靖
○中村委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
この際、暫時休憩いたします。
午後三時二分休憩
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午後四時十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/75
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076・中村靖
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
ただいま日本社会党・護憲共同、日本共産党・革新共同所属委員の御出席がありません。出席を要請いたしますので、しばらくお待ち願います。
速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/76
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077・中村靖
○中村委員長 速記を起こしてください。
日本社会党・護憲共同所属委員に出席を要請いたしましたが、いまだに御出席がありませんのでやむを得ず議事を進めます。(発言する者あり)
議事進行に関しまして、北川正恭君から発言を求められておりますので、これを許します。北川君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/77
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078・北川正恭
○北川(正)委員 動議を提出いたします。
すなわち、内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/78
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079・中村靖
○中村委員長 北川正恭君の動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/79
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080・中村靖
○中村委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/80
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081・中村靖
○中村委員長 内閣提出、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/81
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082・町村信孝
○町村委員 いよいよ本日から教育改革に関する関連諸法案の審議に入るわけでございます。私どもこの教育改革というのは、まさにこれは天の声であり地の声であり、また国政上の最重要課題の一つだ、こんなふうに考えておりまして、我々自民党は教育改革に向けて全力を傾けていく、こういう決意であることを表明したいと思います。また、そのような意味から、本日のこの委員長の御決断に対しても心から敬意を表するものでございます。また、教育改革について公明党、民社党の皆さん方の熱意、情熱というものに対しても、自民党を代表いたしまして心から敬意を表する次第でございます。
まず第一に、教育改革全般についてお伺いをいたしたいと存じます。
先般の所信表明その他、大臣からはその御熱意のほどを種々承っておりますけれども、今回の国立学校設置法の改正を含めて、この教育改革の進捗状況をまず伺いたい。それとあわせまして、その達成に向けての文部大臣の御決意を改めて伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/82
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083・川村恒明
○川村政府委員 前段の方のお尋ねの教育改革の進捗状況でございますけれども、御案内のとおりに臨教審が三年にわたり御審議をいただきまして、四次にわたる答申を出していただいたわけでございます。その答申は大変に膨大な答申でございまして、これは数え方によりますけれども、百五十項目であるとか五百項目であるとか、非常に多くの数え方があるわけでございます。それらの答申につきましては、既に第一次答申が出されて以来、着手できるものからするということで、その具体化に取り組んでまいったわけでございます。
そこで、これまでにも既に、例えば先国会で御審議をいただきました大学審議会の設置というような法律事項でこれを処理したということもございますし、それ以外に例えば関連の予算を計上する、文部省の予算全体がそういう意味ではすべて教育改革に関連をする予算でございますけれども、その中でも特に教育改革に関連の深い事項を取り上げてみますと例えば六十三年度予算では七千六百六十八億、対前年度七・二%の増というようなことで計上させていただいておりますが、こういうことで、例えばそういう法律等の制度改正にかかわるものを進める、予算を計上する、行政運営上の工夫でこれを進める、あるいは臨教審では一般的あるいは抽象的な提言にとどまったものの具体化のために、文部省の関係の審議会でそれぞれ御審議をいただくというふうな多角的な取り組みを進めさせていただいているわけでございます。
そんなことで若干の法律改正その他を進めてまいっておりますけれども、先ほど申し上げました五百項目というふうな数多い答申から見ればまだまだその実行は緒についたばかりでございまして、そんなこともあって、この国会で関連の六法案をお願いしているという状況でございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/83
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084・中島源太郎
○中島国務大臣 町村委員御指摘のように、教育改革はまさに国政の重要な課題でございます。臨教審三年間の答申を受けまして、昨年決定をされました教育改革推進大綱に基づいて着実にこれを進めてまいることが私どもに課せられた責務である、このように感じておりまして、特に初等、中等におきます教育内容の充実、高等教育の活性化、さらには教職にある方々の資質の向上その他を含めまして、着実に教育改革を進めてまいりたい。
今政府委員からも答弁いたしましたように、まさに教育改革は緒についたところでございまして、これから各位の御賛同を得まして、国会審議よろしさを得まして着実に進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/84
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085・町村信孝
○町村委員 教育改革はこれから大変息の長い取り組みというものが必要であろう、このように考えるわけでございますが、本法の改正も含めまして、やはり大学改革というものが一つの大きな課題であるということは言えると思います。大学というのは、ややもすれば非常に閉鎖的であり、また大学の自治という名のもとに、外から何をやっているのか全然わからないといったような問題も実はあるのです。ジャーナリスチックなことを言ってもしようがないかもしれませんが、つい先般も東大の西部教授がやめざるを得なかった、こんなようなことが出てくるというのは、今の大学のあり方というのはいろいろ問題があるんじゃないだろうか、こう思うわけでありますが、文部省としてこの大学改革についてどういう問題意識で取り組もうとしているのか、特にこの関係では、昨年大学審議会が発足を見たわけでございますけれども、これまでの審議状況、経緯等について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/85
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086・阿部充夫
○阿部政府委員 大学改革についてのお尋ねでございますが、現在の我が国の大学につきましては、それなりに戦後新しい形の大学として発足して充実をし、発展をし、それから普及度にかけては世界でも有数の水準まで来ておるわけでございますが、ただ内容的には、今の段階で、特に今後の二十一世紀を見通しながら今の大学はこれでいいのかと考えますと、多々問題があることは否めないところであろうと思うわけでございまして、御指摘にもございましたように、大学も学問や社会の進展あるいは国民の多様な要請というものに的確にこたえながら進めていく、充実していくことが必要であろうと思うわけでございます。
昨年の九月、国会でお認めをいただきまして大学審議会が発足したわけでございますが、昨年の十月には早速文部大臣から諮問をいたしました。諮問の中身は、大学等における教育研究の、一つは高度化、それから個性化、それから活性化、まあ活性化と申しますのは大学がまさに生き生きとした教育研究活動を進めていただく、そのため象牙の塔に閉じこもるということでなくて、そういう方策をどうすればいいかという先生御指摘の課題にもかかわる問題でございますけれども、そういう問題につきまして文部大臣から諮問をいたしまして、早速鋭意御検討をいただいている最中でございます。
大学審議会では、大学関係のさまざまな問題点について一わたり議論をいたしました後、まず真っ先に大学院の充実と改革というのが最大の取り組むべき課題であるということで、本年の三月には大学院部会を発足させまして、大学院問題を鋭意その部会で御検討いただいている最中でございまして、できればこの夏ごろまでにある方向を出していただいて、世間一般の御批判にもさらすことができればというような方向で御努力をいただいておるわけでございます。なお、大学審議会の総会の方におきましては、さらに学部レベルの改革の問題ということで、大学設置基準のあり方、一般教育のあり方等々について現在既に審議に入っているという段階にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/86
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087・町村信孝
○町村委員 ちょうど私どもが大学におります卒業間近のころ、昭和四十二年、三年、四年、五年ごろに各地で大学紛争がございまして、私のおりました大学もその例外ではなかったわけでございます。当時から、開かれた大学が必要だとか、もっと個性的な大学が必要だとか、あるいは講座制に縛られて学問活動、研究活動そのものが非常に停滞している、こういう問題提起もあの大学紛争のさなかにはあったのです。ところが、当時、昭和四十三年ごろ、今から二十年前でありますが、この間の西部先生の事件などを見ておりますと、この二十年、何も変わってなかったなという率直な感じがいたすわけでございまして、この大学審議会の活発な御審議を通じまして、開かれた、新しい時代に合った大学をつくるために文部当局もひとつ大いに御努力をいただきたい、このように期待をしておりますし、また大学関係者にもそのことを大きく期待をしたいと思っております。
続きまして、本法案の内容について幾つかお伺いをいたしたいと思います。
今大学院部会というお話もございましたけれども、本法案の中でも総合研究大学院大学という提案がなされているわけでございまして、国立大学では初めて学部を置かない大学院を設置するということでございまして、このことは臨教審第二次答申の中でも触れられているわけでございます。次の世代の我が国の発展を支える重要な人材を育てるという意味では、この施策は非常に積極的であり、かつまた、重要であると考えておりますけれども、総合研究大学院大学についての基本的な考えにつきまして、文部大臣の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/87
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088・中島源太郎
○中島国務大臣 前段で町村委員がおっしゃったように、大学そのものの活性化、国際化あるいは情報化と同時に、大学あるいは高等教育そのものが社会との連携を促進していかなければならない。同時にまた、生涯学習の一環としての機能を持たなければならない。そういう中で、今回御審議をいただいております総合研究大学院大学というものは、既設の大学の大学院の整備、これはもちろん一方にございます。その一方で、国立大学共同利用機関というすぐれた研究機能があるわけでございますので、そのすぐれた研究機能を活用する総合研究大学院大学を設置することによりまして、まさに学術研究、その中での特に技術及び基礎研究の充実が急がれておりますときに、その新しい流れに先導的に対応できるすぐれた研究者を養成いたしたい、そういうことが大目的でありまして、その趣旨でこの総合大学院大学を設置させていただくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/88
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089・町村信孝
○町村委員 今大臣お話しのように、特に基礎研究を中心にしてやっていこう、国立大学の共同利用機関の施設とか設備あるいはスタッフを活用して基礎研究をやっていこう、こういうことでございますが、例えばこれまでの大学院と比べてどのような面で教育研究上の特色が出てくると思うか、また卒業した修了者の進路などはどういうことになると予想されておられるか、その辺をやや具体的に伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/89
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090・阿部充夫
○阿部政府委員 この総合研究大学院大学でございますけれども、大臣からもお答えいたしましたように、国立大学共同利用機関ということで筑波の高エネルギー物理学研究所でございますとか、あるいは岡崎の総合共同研究機構でございますとか、先端的な分野についての非常にすぐれた研究をしている機関があるわけでございますが、こういった分野につきましては既設の大学では必ずしも対応できない、やはりその最高水準のところはそれぞれの共同利用機関がやっているという状況にあるわけでございますので、これを活用して、こういった分野の研究者あるいはすぐれた職業人を養成していくということをねらいとするわけでございます。
この大学におきましては、後期三年の博士課程の大学院大学ということにしておりますので、既設の大学の学部で修士課程を修了した者が入ってくるという意味では余り例の多くないケースでございますし、それから、やります研究の中身がそういう非常に最先端の分野についての研究指導を行うという点がございます。また、具体の学生の教育に当たりましては、その共同利用機関の研究のスタッフの一員として参加しながらみずからの力を高めていくというような、共同研究に参加するという形での教育指導もやっていきたいと思っておるわけでございます。
また、大変狭い分野ではないかというような御指摘もあるわけでございますが、そういった御批判にもこたえるという意味で、この大学院大学におきましては、その専門の分野だけでなくて、関連する分野の専攻あるいは研究科の学生たちと一緒に共同でトレーニングするというような機会等もできるだけ設けて、基盤のしっかりした、しかも先端的な分野についてのすぐれた研究者等の養成を図りたい、こう思っておるわけでございます。
修了者の進路の問題というのがあるわけでございます。現在でも既に、既設の大学からこの共同利用研究所に何人か研究指導を頼まれて、引き受けて指導しているというケースがあるわけでございます。そういった人たちの進路を見ましても、大学とか共同利用機関等の研究者になっていくという方々のほかに、例えば民間の企業の研究者になられるという方も、これまでも四分の一程度はそういう分野に進出をしているというような実態もあるわけでございます。これから、こういった分野の研究は民間の各種の研究機関あるいは企業等においてもかなり真剣に取り上げられてくる分野であろうということもございまして、そういった分野への進出ということも予想いたしておりますので、一般の大学院でよく指摘されます、オーバードクターで全部残ってしまうというような心配はないもの、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/90
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091・町村信孝
○町村委員 今国際的にも、日米間の研究摩擦といったようなことすらも言われている昨今でございまして、また特に二十一世紀を考えたときに、基礎研究の重要性というものは盛んに言われておりますけれども、現実に民間企業で基礎研究にお金を割くということもなかなか難しい。そんなことを考えますと、私はこの大学院大学の創設というものに非常に大きな期待と夢を持っているわけでございます。
また、特に国際交流なんというのも、言うべくして、こちらから行く一方で、なかなか外国から来ない、アメリカからも来ない、アジアからも来ない、こんな問題もございますので、この総合研究大学院大学の将来の姿といいましょうか、将来どのような発展のビジョンというものをお持ちか、このことを一言伺っておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/91
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092・阿部充夫
○阿部政府委員 御指摘のようなことは大変大事なことだと思っておりまして、この総合研究大学院大学の今後の運営につきましても、特に国際的に開かれた大学院大学になろう、そのためには外国からの留学生も積極的に受け入れる、あるいは研究者の交流等も積極的にやっていきたい、いろいろな夢を描きながらこの準備を進めているところでございます。
現在は数物科学、生命科学、文化科学という研究科をつくっていく予定になっておりますけれども、さらに今後は、現在総合科学研究科ということで仮称で言っておりますけれども、今後新しいいろいろな分野が出てきました場合に、これをこの大学院大学の研究科として加えていくという余地を現在の段階から考えてとっておこうというようなことも考えておりますし、あるいはまた教育研究の交流センター、あるいは教育研究の資料センターというようなものも将来計画としてこの大学院大学に設けまして、国内の各大学との交流、それから世界の各大学との交流というようなことに大いに努力をしていきたい、こういうような将来計画を描いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/92
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093・町村信孝
○町村委員 次に、法案の二番目の中身であります三重大学医療技術短期大学部の創設、この点をお伺いいたしたいと存じます。
これは従来まで医学部の附属の看護学校というのがあって、これを廃止する、そして短大を設置する、こういう内容だと承っておりますが、これを短大に転換するメリットというのは一体どこにあるのか。また、他の看護学校などの医学部附属の専修学校のこれまでの転換状況はどうなっていたか、また今後の整備方針についても御所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/93
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094・阿部充夫
○阿部政府委員 御質問にもございましたように、看護婦等のいわゆる医療技術者の養成につきましては、従来から専修学校あるいは昔は各種学校と言っておりました、そういう形で行われておったわけでございますけれども、医療技術面のいろいろな進歩等踏まえますと、やはりこういう分野の専門家の養成も、より高いレベルでこれを行っていくべきであるというようなことが関係者の強い要望となってまいりまして、昭和四十二年以来、国立大学の附置のこういった看護学校等につきましては、逐次短期大学に昇格をさせるということで進めてまいったわけでございまして、これまでに二十の医療技術短期大学を設置いたしておりまして、今回の三重大学の関係が二十一番目ということに相なるわけでございます。
なお、全国的に数校が残っておりますけれども、これらについても内容、体制が整い次第、逐次短期大学レベルに昇格をさせていきたい、こう思っておる次第でございます。
そこで、短期大学にいたしますメリットでございますけれども、これは何と申しましても短期大学と専修学校、短期大学の場合には技術ばかりではなくて学問、理論あるいは一般的教養等に裏づけられた教育をすることによって、その教育を受けた看護婦さんたちの資質を高めると同時に、将来へ向けての研さんにさらに励んで、より高い水準に進んでいけるような基礎を培うようにしたい、こういうようなことをねらいとするものでございまして、一般教育面での特別の配慮でございますとか、あるいは専門教育科目につきましても高齢化社会に対応し得るような新しいカリキュラムをさらに加えるとか、医用電子工学といったような新しい医学の分野についての知識も加えるとかいったようなことで、教官につきましてももちろん大学の教官にふさわしい人をお願いするというようなことで、全体的に質的な水準の向上というものを目指し、また、その実現を図りつつあるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/94
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095・町村信孝
○町村委員 よくわかりました。医療技術者のニーズの高まりというのは、これから高齢化社会、また医療の高度化等々の事情からまます強まるだろう、あと数校残っているということですので、各看護学校その他にも働きかけをいたしまして、鋭意その作業を進めていただくことを要望しておきたいと思います。
次に、大学入試の問題について伺いたいと思います。
これは本法案の三つ目の内容とでも言うべき、要するに入試センターの改組という問題があるわけでございます。
大学入試の問題は、これまで当委員会を初めとしていろいろなところで議論をされております。先般の臨教審発足の一つのきっかけも、言うならばこの入試改革、偏差値偏重の入試改革をせよ、あるいは学力偏重の状況を何とかしろ、こういうような議論が一つの大きなきっかけになったというふうに私どもは認識をしております。
しかし、なかなか大学入試の制度というのはこれが完璧だというものは実際問題としてないのだろうと私は思うのですね、極端なことを言ってしまうようですが。なぜならば、すべての人が入りたい大学に入れるという状況はあり得ないわけでございますから、すべての人が満足し、納得するという入試の体制をつくるのは正直言ってなかなか難しいと思います。ただ、できるだけ改善をしていくということも、これまた必要だろうと思います。
特に受験生の個性、非常にいろいろな個性があります。また、いろいろな能力があります。そうしたものを多面的に適切に評価することが基本であるべきだろうと思います。言葉で言うべくしてなかなか難しいから、どうしても点数主義になってしまうのでしょうけれども、やはりそういう改善努力というものが必要だろうというふうに考えるわけでございます。
大臣は、この大学入試のあり方についてどのような御所見を持っておられるのか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/95
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096・中島源太郎
○中島国務大臣 まさに教育改革の基本方針は、画一化から個性重視の教育、こういうことでありまして、多様化、個性化に即応できるような教育体制をとっていくということが根本であろうと思います。
したがって教育そのもの、また入試そのものが多様化、個性化を目指していかなければならない。その一環として新テストが考えられておるわけでございまして、町村委員がおっしゃいますように、まさに受験者の方々の個性、人間性、能力を幅広く判定をする方法をそれぞれ国公私立を通じまして創意工夫をして、多様な利活用をいただきながら受験生の個性、能力、適性等に応じた進学の機会を確保していただこうということが目的でございます。
そのために、入試改革協議会の方々にもお諮りをいたしまして、そして入試の個性化、多様化をいたすためにこの新テストはぜひ必要なものであるというおまとめをいただいております。既にこの方向は昭和六十一年にお示しをしたところでございますが、入試改革協議会のおまとめにも沿いまして、昭和六十五年から新テストを導入し実施をいたしたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/96
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097・町村信孝
○町村委員 先般たまたまテレビを見ておりましたらば、社会党の土井委員長がこの大学入試問題について言っておられまして、入るのは易しく出るのは難しくというのが一番いいと思います、こういう議論が確かにあるのですね。これも聞いてみると、なるほどそうかなと思う面もあるのですが、これを実行しようと思うとなかなか難しい。
先般ある方に伺いますと、韓国でそういうようなことを試みたところ、現実には全くうまくワークしなかった。また、アメリカのような非常に移動性の高い社会風土と、日本のように、大分移動性が高くなったとはいうけれども、基本的には終身雇用制のもとで余りあちこちに動くことを好まないといいましょうか、動くと何となくあいつはおかしいのではないかと言われかねないような社会的雰囲気のある状況で、入るは易く出るは難しい、要するに落第するということですね、あるいはよその学校に移るということですね、これはなかなか難しいだろうなと思うのですが、こういう点について局長あるいは大臣、もし御感想があれば承らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/97
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098・阿部充夫
○阿部政府委員 確かに御指摘の点はそういう御議論がしばしばございまして、特に戦前には物理学校がそうだったというような特別な例があったわけでございますが、そういう形での非常にいい例もあったではないかという御指摘をいただくわけでございます。
ただ、町村先生おっしゃいましたように、現実の問題として、特に最近のように有名校、特定の固有名詞を挙げて適当かどうかは別ですけれども、東大、京都あるいは早稲田、慶応、そういったたぐいの学校へどうしても行きたいという人たちがどっと集まってくるという情勢の中では、入るに易しくというのが非常にやりにくいということになるわけでございますし、入った後で今度は厳しく落としていくというのが、また日本の学校の風土の中ではなかなかうまく根づかないという傾向もあるわけでございます。
ただ、それにいたしましても、趣旨としてはそういう趣旨が何か生きる方向というのはないだろうか。そのためにはやはり各大学で、大学の中での教育というのを、入ったらところてん式に必ず卒業できるということでなくて、単位の認定試験等を非常に厳しく行つて、卒業できない者も出てくるということはあり得べしというような形の教育が逐次行われていくようになれば、おっしゃっている線にかなり近い状況ができてくるのではないかと思うわけでございます。これは風土の問題等も絡みますので実現するのが難しいことでございますけれども、私どもとしては声を大にして、大学の中での教育を厳しくやってくださいということは大学の関係者に日ごろからお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/98
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099・町村信孝
○町村委員 先ほどの大臣の御答弁の中にも、新テスト六十五年導入というお話がございました。これは昭和五十四年の入試から共通一次試験が行われて十年余を経て、それを改めていこう、こういうことだろうと思うのです。この一次テスト、新テストですね。名称がどう決まるのか、これもまだ必ずしも最終的に確定をしていないようでございますが、この新テストについての検討の経緯といいましょうか、どういう考え方でこれができてきたのか。共通一次については非常にいい問題、良質の問題がそこから出るようになった。それまで難問奇問というのが非常にひどかったけれども、良質のテストが行えるようになった等々メリットといいましょうか、積極的な評価も一面ではあるわけですね。他方、さっき言ったような偏差値による輪切りとか序列というような問題も出てきた。
したがいまして、共通一次のよかった点、悪かった点を踏まえながら今度の新テストというものが出てきたのではなかろうかと思いますが、この新テストが生まれてきた検討の経緯、考え方についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/99
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100・中島源太郎
○中島国務大臣 具体には政府委員からお答えさせますが、基本的には先ほどの町村委員のおっしゃったことに関連をいたしますのですが、入るのは易しく出るのは難しく、それも一つの方法でございます。ただ、大学、高等教育というのは社会人としての登竜門と申しますか、逆に言えば生涯学習の中の一環ということからすれば、社会が新しい社会人を受け入れるときに、やはり学歴偏重の社会風潮を打破していくというものも必要でありましょうし、またこれが逆にいって、学歴偏重を打破するきっかけになっていただけるものと私は考えておるわけです。
それは、それぞれの持っておる個性あるいは特性というものは、大学に入るときに既に選定をされまして、そして大学あるいは大学院を通じてその個性、特性がさらに伸ばされる。それによって幅広い資質と特殊分野のさらに能力というものをつけた者が新しい分野の社会人として登用され、出ていく。したがって、一部の有名校に入り卒業することが社会人として八十年の生涯を保障されるものではない。その八十年の生涯を保障するものは自分の能力と努力である、こういうことを知っていただくことが本来の基本的な精神ではないかと思うわけでございます。
したがって、おっしゃったような共通一次の評価につきましても、いい面悪い面ございます。おっしゃるように良質な出題ができたということも一つでありますし、その一方ではまた、入試の方法が開かれた入試として社会人が大学にまた学ぶことのできる道が開けた、あるいは帰国子女に対しても道が開けた、そういう面で喜ばれる面があるわけでございます。一方で、輪切りあるいは序列化の顕在化というものは、これは今申し上げたようなことがもう少し定着をすれば、定着をすることによってその部分は自然に修正されていくものであろうと思いますが、そういう面を含めて、いい面を伸ばし悪い面を改正しということも含めて、ここで国公立にさらに私大も含め、その場合には高校の方々の御意見も十分入れてこの新テストを実施してまいりたい、基本的にはそのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/100
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101・町村信孝
○町村委員 今大臣のおっしゃったことは私は大変賛同する部分が多いわけであります。特に新テストについて私大の関係者、やはり何といっても日本の大学の七割以上が私大でございますから、これが新しいテストにどのような形で参加をしてくるであろうかというところが一つのポイント、かぎになってくるだろうと思うのです。
皆さん方、いろいろな形でお話をしておられると思いますし、もともとこの新テストについては私大の有力な学長さんも非常に御熱心であったような経過もあるわけでございますが、現状で漏れ伝わってくるところによりますと、また非常に慎重なスタンスというのも見られているやに承っております。この私大の参加について大臣のお考えと、それから実際にどのくらい参加してくるだろうか、現時点ではまだわからないかもしれませんが、その見込みなどについてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/101
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102・中島源太郎
○中島国務大臣 この私大につきましては新しいテストの意味、今申し上げたような意味をよく理解をいただくということがまず第一だと思うわけでございます。そして、これはあくまでも各国公私大を通じまして、自由な発想、自由な利活用によりまして受験者の能力を判定し、引き出していただくということに意味があるわけでございますので、そのために、私大の参加につきましても、あくまでもこれは御自分の多様なそして独創的なテストを実施をしていただくというのが主であって、そのためにこの新テストを利活用いただくものである、これをまず理解をしていただくことによって参加が自然に多くなるということを望んでおるわけでございまして、私どもは私学の方々にもできるだけ接触をし、御理解をいただくようにいたしておりますが、これは義務づけをお願いをしておるのではなくして、その基本精神をあくまでも国公私大を通じて御理解をいただきたいということを専一にお願いをしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/102
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103・町村信孝
○町村委員 今大臣の方から、その新テストの利活用というお話がございました。これは、国民一般には新テストを利活用するといってもどういう中身なのかなかなかわからない部分がいろいろあろうかと思うので、もう少し具体的に局長の方から、この利活用の具体的なパターンについて御説明をいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/103
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104・阿部充夫
○阿部政府委員 御案内のように、共通一次試験の場合には、当初は五教科・六ないし七科目ということを決めまして、受験生がそれを全部受けなければいけない、各大学はそれを画一的に利用するという形で動いてまいっておったわけでございます。今回の新テストにつきましては、そこのところを、要するに利活用の仕方は自由であるという仕組みにいたしましたので、つまりそれを使う、使わないの自由ということから始まるわけでございますが、それを利用なり活用なりする場合にも、例えば五科目なら五科目を受験してもらってそれを使うというやり方もございますし、二科目、三科目あるいは一科目だけというようなやり方もあり得るだろう。それから、この新テストを利用しました場合に、その新テストの成績によっていわば第一次選抜をやってしまうというやり方もございましょうし、あるいはその新テストの成績とそれから各大学で行います独自の試験との成績をミックスして判定をするというやり方もあるであろう。いろいろなやり方があり得るだろうということでございまして、そこは各大学の状況によっていろいろ自由に工夫をして使い方を考えてください、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
大臣からもお答えしましたように、そういうことによって問題が難問奇問等が出ないようにするということも一つございますけれども、それによって各大学が自分のところでそういうテストをやる場合に比べまして余力が生ずる、その余力を、何と申しますか、より丁寧な入試の方に、面接をするとか論文を書かせるとか、そういったたぐいの方にぜひ活用していただくということによって個性的な入試を目指してほしい、こういうことをお願いをしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/104
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105・町村信孝
○町村委員 一次試験についてはそういうことだと思いますが、今度はやはり一次と二次とあるわけですね。二次についてもこれまでいろいろな改善が図られてきたと思うのです。特に最近になってから、受験機会の複数化でありますとか、これも六十二年はA、B日程の連続方式から、六十三年は今度は連続方式と分離・分割方式の併用とか、話を聞いておりますと、非常に何か頭が痛くなるような変化といいましょうか、今受験生を抱えております父兄あるいは受験生本人が、あえて批判をするならば、猫の目のごとく毎年制度が変わる、六十二年が変わり、六十三年が変わり、そしてまた六十五年新テストで、これは一次と二次と違いがあるのですけれども、非常に戸惑いがあるのです。もっとも、それはよかれと思ってやっている努力でしょうから、もちろんそれを一概にいけないと言うつもりはございませんが、ちょっところころ変わり過ぎるなというような率直な感じは正直言ってあるだろうと思うのですが、これまでの受験機会の複数化も含めまして、このこ次試験の改善努力とでもいいましょうか、これについてどんなことが行われてきたか、ごく簡単にひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/105
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106・阿部充夫
○阿部政府委員 各大学で行います国公立の場合の二次試験につきましては、かねてから、共通一次をせっかくやるのだからそれとダブったような試験をするということでは意味がないので、そこはぜひ考えてほしいということを私どももお願いを申し上げてきたわけでございまして、各大学で、この共通一次が始まります前は平均的に五教科の試験が行われておりましたけれども、現在ではかなり減らされまして、平均的に申しますと二教科という状況になっております。また、二次試験で全然学力検査を課さないところ、あるいは一教科だけしかやっていないところというのが全体の三分の一はそういう状況になっているというような形での改善も行われております。また、ユニークな選抜方式等もいろいろ行われておりまして、記述式、論述式の問題等もかなりふえてまいりましたし、面接を行うところも随分ふえてまいったというようなことで、全体としてはかなり改善がなされておるわけでございますが、中に、特に有名校等で必ずしも従来と余り変わっていないというようなところ等がございますために、改善の努力が必ずしも一般的に評価されていない面があるわけでございます。これらの点につきましては、引き続き関係の大学にはお願いを申し上げまして改善の努力をしていただき、せっかくのこういう仕組みが生きて使われるようにしてほしいということで指導等を行ってまいりたいと思っている次第でございます。
それから、受験機会の複数化の問題につきましては、これは事柄といたしましては、複数化という方向をとったということについてかなり高く一般的には評価をされていると思うわけでございますが、具体の実施の段階におきましては、従来と違った新しい方法を取り入れたというようなことから、当初六十二年度入試については相当の混乱等も遺憾ながらあったわけでございまして、現在、それをどうすればよりよいものとして定着していくかというための努力を国立大学協会等において行っておる最中でございまして、そういう意味で、来年もまた変わるのかというような御批判もいただくわけでございますが、よりよいものに定着させていくための努力の現在経過段階にあるということで、これは御理解もいただきたいと思うわけでございます。
ただ、今回の分離・分割方式と連続方式の併存というような仕組みというのは、確かに御指摘いただきますように非常にわかりにくいような形にもなっております。こういったことにつきまして、私どもとしてはより一層わかりやすい、しかもすっきりとした形で、しかも複数化の趣旨が生かされるような形のものをということで、国立大学関係者にもいろいろお話をし、現在もなお引き続き検討をしていただいておるわけでございまして、よりよいものとしてこれが定着していくということに鋭意努力を重ねたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/106
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107・町村信孝
○町村委員 時間もなくなってまいりましたが、今度、大学入試センターで新しい事業として情報提供事業、大学にどういう講座があり、どういう先生がどういう内容を教えているかとか、あるいは入試そのものについての情報提供、こういうこともやろうということのようであります。この新しい事業が追加されることは大変結構だと思いますので、ひとつこの充実についても、法案が通った段階には大いに努力をしていただきたいと思います。
最後に一点だけ。これは実は私の地元の北海道の問題でございまして、直接この法案とは関係ないのでございますけれども、大変に大きな問題がありますので、簡単にちょっと問題点だけを指摘しておきたいと思うのですが、去る四月六日に北海道の教職員組合と北海道の教育委員会との間で、五十一年以来ずっともめ続けておりました主任制の問題がございますが、これについて一つの合意ができて、新聞などを見ると、やれやれ不毛の対立が終わってよかった、よかった、こういう極めて表面的な単純な論調がなされているわけでございますけれども、その中身を見ると、例えば同じ学校にいる間に三年に一回は全員がこれを経験させなさいというような中身があったり、これをやれば学校長の任命権限というものが、言うならば自動的に束縛をされてしまっているといったような問題、あるいはこれは道教委のメモの中にこういうのが書いてあるのですが、「学校管理規則に明定する主任等に教育業務連絡指導手当を支給し、給与改善に資するものであること。」あたかも主任に任命されて、ただ給与が上がることだけが目的で、組合員の皆さん、これでいいのでしょうと言わんばかりの、本来の主任のあり方、適格のある人に主任を担ってもらって学校運営全体に協力をしてもらおうという趣旨から相当外れた合意内容であるように私は見ておりますし、事実これをただ単によかったと言って済まされない問題であると指摘する向きも北海道の中では大変多いのですが、局長の方から、この問題についてどういうお考えであるのか、一点だけ伺って、私の質問を終えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/107
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108・加戸守行
○加戸政府委員 北海道におきましては、昭和五十一年の主任制の実施並びに昭和五十三年からの主任手当の支給に対しまして、それぞれ主任制反対闘争あるいは主任手当反対闘争等の反対行動が行われまして十年を越しているわけでございます。そういった事態が今回の合意によって解消されたこと自体は、私どもも北海道の教育界に平和がよみがえってくるという意味での評価はいたしておるわけでございます。
しかしながら、今回の合意に基づきます主任手当反対闘争の解除自体は、当然法令に基づく措置でございますし、それに対する違法あるいは不当な行動等が終息することは当然のことでございます。
また、今回の合意に至ります過程を見てみますと、水面下で行われた話し合いでございましょうけれども、主任制と申しますのは、主任をどのように配置するか、あるいはどのように運用するか、これはすべて学校の管理運営事項でございまして、本来ならば教育委員会と教職員組合とが交渉により合意に達すべき事項ではございませんで、そういった法令上の観点から見ていかがかという問題意識は持っておるわけでございます。
好意的に評価すれば、関係方面の意見を聞いた上で教育委員会が自主的な判断のもとにこういった考え方を示し、それを受けて教職員組合が反対闘争を終結するというような理解の仕方はできなくはございませんけれども、先ほど先生がおっしゃいましたように、今回の合意事項の中でも、例えば同一学校勤務期間中三カ年に一度主任を経験させるものとすることという基本的な合意事項がございます。本来ならば、主任というのは制度の趣旨からして固定するものではございませんから、専門的な能力を持つ適格者がおります場合にはできる限り多くの経験を積ますことが望ましいというのは文部省の指導でもございますが、これは主任制を単に持ち回りすることを意味するわけではございませんで、機械的に三年に一度ということになりますと、能力があるかないかを問わず全員がそれぞれ主任になるということは、本来の主任制度の趣旨を逸脱するものでございますし、学校管理運営のかなめとなります主任であります以上は、適格者を登用していただくことが必要だと私どもは考えております。
そういった視点で、今回の合意事項に基づいて今後の運用がどのようになるかということは極めて大きな関心を持っているわけでございまして、同教育委員会に対しましては、主任制度の趣旨にのっとり、教育委員会あるいは校長の権限のもとに、適正に制度が運用されるように指導してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/108
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109・町村信孝
○町村委員 以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/109
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110・中村靖
○中村委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/110
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111・中村靖
○中村委員長 速記を起こしてください。
この際、五分間休憩いたします。
午後五時三十一分休憩
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午後五時三十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/111
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112・中村靖
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。有島重武君。(「委員長、委員長……」と呼ぶ者あり)有島重武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/112
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113・有島重武
○有島委員 先ほど来委員会の運営、多少不正常の感がなきにしもあらずということで残念な思いもございますけれども、理事会の御決定に従いまして私も質疑をさせていただきます。
議題となっております国立学校設置法の一部を改正する法律案の審査に当たりまして、初めに概論的に、次に二、三関連の時事問題につきまして、それから法案について、こんなふうにやらせていただきたいと思います。
きょうは問題が高等教育の問題でございまするからこれを含めまして、まず教育改革の一般的なことについて認識を確認しておきたい。せんだっても大臣の所信に対して質問の機会を与えていただきまして三十分ほど時間をいただいたわけですけれども、きょうは多少時間がありそうですから質問させていただきます。
教育改革ということになりますと、時代がどんどん変わっていく、習慣、制度を変更しなければならぬということが起こってくる。小さな変更、いろいろ手直しがあるでしょう。だけれども、法律まで変えなければならぬ、あるいは行政のやり方を改善する、改革する、こういうことが起こってくる。そうすると幾つか問題が起こってくる。一つは改革に対しての抵抗ですね。既得権を持っておる者が抵抗するということはありますでしょう。それから将来の、特に受益者からの働きかけもある。こういったことが起こりますね。それから第二番目には、この改革に便乗してもうけよう、こういう働きもあるわけですね。それからもう一つの問題は、改革の効果というものをどこで測定していくのかということ、これが時々問題になろうかと思うのですね。そして、教育の問題の改革をしてその効果が本当に出てくるのは、相当長い時間かからないと本当のところわからないということも言われておりますね。大体三十年けたでわかる、こういうことがありますね。しかしこれがそんなに長く待っていられない、時代が進んでいく、いろいろなことがいろいろなところから話し合いも起こってくる。それも次々と猫の目のように朝令暮改と言われるような変わり方をしなければならぬということも起こってくるかもしれない。きょうのこの法案は改革の一つの中身になりますから、こうしたようなことに目配りをきちんとしていくということが大切じゃないかと私は痛感するわけですね。
中島大臣も、これまで人並みならないいろいろな御経験を経て、御苦労もなすって、それを乗り越えて今日までおいでになって、それで今は教育改革の先頭に立っていらっしゃるというわけですね。そういった時点での今申し上げた改革に当たっての目配りについて、それから何よりも、何のための改革なんだろうか、だれのための改革なんだろうかという点、そういったことを、非常に概括的になりますけれども最初に話し合って、同じ認識の上に立って、それで話を進めていきたい、そのように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/113
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114・中島源太郎
○中島国務大臣 大変幅広い御指摘でございました。教育改革がなぜ必要なんだろうか、それからそれはどういうサイクルでウォッチすべきなのであろうか、こういうことでありますが、これは二つの波があろうと思うのです。
大きい波を申せば、明治以来先進国に追いつき追い越せと来て、それを目標に我が国が歩んできた。その根本もやはり教育でありますが、その教育を見直してみると、画一的ではないかと言われればそれを否定できないという面が一つございます。もう少しサイクルを短く見れば、戦後四十年を経まして、戦後の新しい教育が四十年間で一応ここで見直す時期が来ておるかもしらぬ。そういうサイクルの二つの合わせ目でみますと、ここで社会も多様化、個性化をしておる。それは社会が成熟度を増しつつあるということの証拠でもありましょうから、そういう流れに対応できるような人間をつくっていこう。ただ、その対応できるような人間をつくるには、その対応できるような教育をまずつくっていくべきである。したがって、大綱を申せば、今までの画一性から個性重視の教育に変えていきましょう、これが教育改革の一つの大きなテーマであろうと私は思うわけです。
その大きなテーマを幾つかに分ければ、それは生涯教育の問題もありましょうし、初等、中等教育の充実もありましょうし、あるいは高等教育をもう少し活性化していこうということもございましょうし、また、そのそれぞれの教職にある方々の資質を向上させていくことも必要だ、こういうことを含めて教育改革を着実に進めていく、こういうことが必要であろうと思うのですね。
そして、それはだれのためかと申しますと、やはり社会と、社会を構成する人間、個人の資質と能力、それから個性を伸び伸びと生かすということによって社会を活性化する。そしてまた国際交流、文化、学術の国際化というものを含めまして、人物の交流もあれば学術の交流もある。そういう中から国際的な視野で、そして憲法が定めているような民主的な国際社会の一員として育つようなものをつくり上げていこう、これが大きく言って総合的なテーマではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/114
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115・有島重武
○有島委員 教育をめぐって相当大きなお金が動いておる。数え方がいろいろだと思うのですけれども、現在どのくらいのお金が教育をめぐって動いているであろうか。そういった点について御認識を承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/115
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116・中島源太郎
○中島国務大臣 我が国の文教行政として計上しております金額、これをまず申し上げるべきであろうと思いますが、これは御存じのように昭和六十三年度で四兆五千七百六十六億円、こういう計上をいたしております。これが文教予算と称せられるものでございますが、なお先生がおっしゃっております大きなお金が動いておるということは、文教、それを取り巻くものについても御指摘であればまた別でございますけれども、私どもが文教行政としてお答えいたしますものは、昨年よりも二十九億円増の四兆五千七百六十六億円である、こうお答えを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/116
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117・有島重武
○有島委員 もう少し正確にお調べいただいているでしょうか。正確というか、全体としてお金がどのくらいかかっているか、そういったことも文部省としてはお調べになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/117
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118・川村恒明
○川村政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨が私ども理解できなくて恐縮でございますけれども、例えばただいま大臣が申し上げましたように、公財政として、国家財政として支出している規模が四兆七千億ございますし、そのほかにいわゆる地方財政で支出する経費がございます。それから、教育費の分類としてはあとそれ以外のいわゆる保護者と申しましょうか、父兄の負担する教育費というようなものが教育費の大きな流れではないかというふうに考えております。ちょっと大変恐縮でございますけれども、今手元にその父兄の負担した教育費、数字を持ち合わしておりませんが、地方財政で申し上げれば大体年間十三兆円くらいの予算が地方における公財政として支出されているというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/118
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119・有島重武
○有島委員 大臣も御存じかもしれないんだけれども、ある研究所で一つ試算をしてみた。これは古いんですけれども、昭和五十七年が二十六兆七千億というふうな数字であったと覚えております。そうすると、当時のGNPは大体二百六十兆円でございますね。二百七十兆円くらいでしょう。大体一〇%程度。だけれども、今御指摘があったように教育費の中身が問題だ。これは行政として中央ではこう、地方ではこう、それから父母負担がこう、そういうことはあるわけですけれども、それ以外に教育ということを名前としていろいろなお金が動いておるが、そういったことは、通産省に聞いたらわかるのか文部省に聞いたらわかるのか、どうも余りよくわからないらしいのですね。だけれども、一つの研究所で一つのデータを提出した。そうすると、今は昭和六十三年ですから、大ざっぱに考えてその当時からふえているだろうか、減っているだろうか、恐らくふえているのではないですかね。それは、GNPが三百五十兆というようなことになっておりますと、どのぐらいのお金が動いておるか。こういったことについての総額ですね。一つの改革をするといろいろな波紋が起こるのです。その波紋の起こっていく可能性のあるところでそれだけのお金がうごめいているのだということを改革に当たって知っておかなければいけないのではないだろうかと私は思うのだけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/119
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120・中島源太郎
○中島国務大臣 それは、おっしゃる意味は、視野を広く持って、一つの改革をするときにはいろいろなところに新しい波紋が起きる、それはいい波紋もありましょうし、またそれに便乗する波紋もあるのだから、一つの改革を進めるときにはよく心して全体を見失わないようにしろ、こういう御指摘と受けとめさせていただければ、これはよき御指摘だと思います。
ただ、御質問の意図が、具体的にはこれから御質疑があるのかと思うのですが、今のは全体としてそのように受けとめさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/120
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121・有島重武
○有島委員 ひとつこれは御研究いただいた方がいいと思うのだけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/121
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122・川村恒明
○川村政府委員 先生お尋ねの教育をめぐる経費の問題でございますけれども、私ども財政支出の点から先ほどからお答えを申し上げておったわけでございますが、先生御質問の趣旨は、多分そうではなくて、社会的な経費として、社会的に全体的な経費として教育にどういう経費があり、それをどういうふうにつかまえ、どういうものとして理解すべきかということではなかろうかと思っております。
ですから、先ほどの先生のお尋ねに即して言えば、民間の研究機関でやっている調査というのは、いわゆる教育産業という、教育を社会的に見た場合に一つのサービス業としてとらえて、このサービス業にどのぐらいのお金がかかっているのか、それがその調査によれば二十二兆円というお金が計上されておるということだと思います。その二十二兆円という、教育というものをサービス業としてとらえること自体は間違いではないので、ただ、そのサービスというものは完全な民間ベースのサービスと考えるのか、これはやはり公教育として、国が国民に対するあるいは次の世代をつくるための必要経費として投資をしているというふうに思うのかということでございまして、この二十二兆円という数え方には、多分その両方の経費が入っているのだろうと思います。私どもとしては、その民間の方でそういう三次産業的なサービスというとらえ方をして多くのお金が動くということは、それ自体は決して間違いではないと思いますけれども、まずその以前の問題として、やはり国の基幹的な責務としての公教育を維持し、発展させるという機能としての公財政支出の充実ということをまず一番念頭に置かなければならないのではないかと思っております。
ただ、先生おっしゃいましたように、ただそれだけのとらまえ方ではなくて、もう少し幅広く教育の社会的な機能あるいはそれに伴う教育のサービス的な機能というものに着目をした金の流れというものをきちんと押さえるべきという御指摘は、そのとおり私どももこれから気をつけていかなければならない課題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/122
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123・有島重武
○有島委員 また、法案の中身に入試センターの問題もございます。これも問題になっていいわけだけれども、入試の仕方が変わる、その変わる理由はいろいろあるわけですよね。先ほど質疑を伺っておりましたが、いろいろ高邁な理想のもとに変わっていく、しかし混乱が起こっているわけですね。それに乗じて、教育産業というか受験産業というのはばかにならぬわけでして、受験産業というものがかなり根を張って、大きくなるという力を今持っているわけですね。何か変化があればぐっと伸びていくわけですね。だれがそれを払っていくのかということが考慮の中に入れられていないと、理想主義はいいのだけれども、何かひっかき回して迷惑をかけるということがあっては、一生懸命やっている人にとっては悲しいことだと思うのですね。今までの教育改革は割合と理想論でもって来たけれども、理想論ではなかなかうまくいかなかった点がございましたよね。経済の、金の動きというものをよく踏まえた上でもって進んで行くという要素がちょっと欠落していたのではないかなという感じがするわけですよ。
これは予算委員会でもって前に聞いたことがあるのですけれども、国の中でもってどこも捕捉していない、捕捉なさったらどうと言ったのだけれども、今伺ってみると随分勉強していらっしゃるらしいのですが、これをひとつお考えいただきたいと思うわけです。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/123
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124・中島源太郎
○中島国務大臣 御指摘の点はよくわかります。先生のおっしゃるのは、理想を掲げて改革をするのもいいけれども、その改革の余波がどのように伝わり、どのようなリアクションがあるか、それも十分考えていくべきである、こういう御忠告であろうと思いますので、したがって、その御忠告として受け取らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/124
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125・有島重武
○有島委員 高等教育に限っての一つの認識といいますか、高等教育改革と申しますか、それを確認をさせていただきたい。
制度改革にはそれぞれ手順というものがあると思うのですね。全体像の中でもって、全部わあっと進めるわけにはいかないから、どこから始めていってどういうふうにしていこうかという手順がある。そこで、学校制度というのは一つの系列がある。小学校、中学校、高校、大学、大学院あるいは幼稚園とありますよね。仮に小学校の方を入口に近い方、それから大学の方が出口に近い方、入口と出口、言い方がいいか悪いか知りませんけれども、制度改革の順序としては出口の方からしっかり工事をしておかないと、入口を一生懸命やっても、小学校でもって何か改革をしようと思っても中学校の教育に制限されてしまいますからね。中学校を改革しようと思っても高校入試で困るからといって全然受けつけないわけですよね。高校の問題もいろいろあるんだけれども、結局受験問題にぶつかる。今受験問題でもって一生懸命御苦労なさっているのはわかります。それは大学が一体どういうことなのだろうか、そういうことで大学審議会をおつくりいただいた、これも大変いいことだと思うのですね。それで大学院の方から始める。これもそういった全体像の中での手順として僕は評価したいと思うのです。
じゃ大学だけ取り上げて考えますと、大学は入学と卒業、こうある。昔は、大学卒というのは学士様といって明治時代には偉かったものだ。いや、我々の世代でもどちらかというと、大学卒業というのが何かあると、それが学歴、学歴というふうに言われていたかもしれない。だけれども、今日ないしは将来はこれは様子が変わってくるのじゃないでしょうか。というのは、先ほども大臣もおっしゃったけれども、人生五十年時代の設計における学校教育、履修とか卒業とかという問題と、人生八十年の生涯学習社会における学校教育の位置づけ、これは変わってくるわけでしょう。そういう中において、卒業という概念は一体どんなふうにお考えになるのか。
それで、私の考えといいますか、これはうちの公明党の政策の立て方と言ってもいいわけなのですけれども、単位の累積証明、そういう方向にだんだん持っていくべきなのじゃないだろうかと思うのですね。これは丸抱えで、どこどこ卒業でございますということじゃとてもできない。一つの学校に籍を置きながらほかのところに、外国に留学したり、あるいは今度のように別な研究所に行くというようなことが起こってくるわけでしょう。それはむしろ望ましいことなのであって、非常に多様化している中にあって、学生の進路といったって、私はこの道に進みたいというものばかり来ればいいけれども、そうじゃないのが来て、またわけがわからずに入ってくるのもあるわけだ。それが、やっている間にいろいろなことを言い出すわけだ。昔流に考えれば大変わがままな若者だと思うかもしれないけれども、そういう人たちが次の時代を担っていくわけですから、それにこたえていく。それには、一つのところに籍を置きながらあっちこっち行き来ができるようなやわらかい構造にもしましょうという、今もそういう行き方でしょう。そうなりますと、大学に関しての改革、入り口のところをいじるのもいいけれども、出口のところをしっかりしておかないと、これは橋の欄干をきれいに磨いたけれども、渡ってみたらば余り大したことなかったということになってはしようがないから、単位の累積証明という方向に移すべきじゃなかろうか、こう御提言申し上げたいのですけれども、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/125
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126・中島源太郎
○中島国務大臣 まさに先生御指摘なさいましたように、かつては人生五十年、今人生八十年と申しますと、大学学部の卒業時期はちょうど人生の四分の一の段階でございます。あとの四分の三を含めましてどのように意義ある社会人として全うするかというのがこれまた人間の一つの目標であろうと思いますので、先生のおっしゃっていることが単位の累積でという一つの御提言でございますし、その意味では高校におきましても単位制高校をつくっていこう、こういうこともございます。先生のおっしゃるものを敷衍しますと、生涯単位制と申しますか、社会に出ましても常に前を向いて歩みつつ単位を積み重ねていく、こういうことにもなろうと思うわけでございます。私は、精神的には非常にわかりますし、その考え方というのは有意義だと思っております。
ただ、具体の面でそれをどう取り扱っていくかということについてもしお尋ねがあれば、政府委員から御答弁させたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/126
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127・阿部充夫
○阿部政府委員 先ほど来お話にも出ておりましたけれども、日本の社会、終身雇用制というようなことが根強くあるわけでございますので、大学を出た段階で就職をする、それが終身雇用だというようなことになりますと、大学を出る段階での卒業資格の問題というのは、日本の社会の中ではやはり大きなウエートを現段階では持っていると言わざるを得ないと思います。ただ、もちろん社会もかなり流動化しつつあるわけでございますし、先般つくらせていただいて現在学年進行中の放送大学などにおきましては、大学を卒業するということをねらいとしている人たちばかりではなくて、ある特定の科目のグループ、例えば子供を育てる関係で心理学や教育学を勉強したいという人たちがまとめてその勉強をするというような仕組み等もつくりまして、これにかなりの希望者が入学して現実に学んでおるというような事態も出てまいっております。いろいろな形で少しずつ新しい動きが出てきておるように思うわけでございます。
また、臨教審の先般の答申におきましても、先生のおっしゃっているのとぴったりかどうかは別でございますけれども、大学の卒業資格を与えるについても、幾つかの大学で取ってきた単位を累積加算して、一定の量、水準に達したならば大学卒業並みの資格として与えていいのじゃないかというような問題意識も持って、例えば学位授与機関というようなものを検討してはどうかというような御提言も現実に出ております。そういった点等も踏まえまして、現在大学審議会でせっかく大学改革の御議論をいただいておりますので、そういった中での一つの検討課題として私どもの方から提案もいたしておるわけでございまして、何らかの適切な御方針が出てくれば逐次これを実現に移したいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/127
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128・有島重武
○有島委員 この問題に限って言えば、単位の累積の認証、そういったことを卒業というものの本当の中身にしていくというような方向を大学審議会で審議していただく、それはしていただけますね。これは学部とか専門、専門によるのですよ。従来どおりで進んでいいような、ワンパックでやらなければならぬところもあるし、そうではないところもあるわけでございますから、いろいろだと思うのですけれども、その方向性を確認してそれで進んでいくべきじゃなかろうかと思うわけなのです。それをお願いします。いいですね。
それから、そっちの方向になるとすれば大学は一体何をするところかということだけれども、簡単に言えば、高校や中学と大学はどこが違うのだろうか。専門学校もございますね。大学という名前にみんなしなければならぬということになるわけだ。これも私の考えを先に言ってしまえば、大学の教育研究に関してこれだけは欠いてもらっては困るなと思うのは、小人数における、小さなグループにおける研究、小さなグループにおける教育、普通ゼミなんというのはそういうふうになっていることも多いでしょう。それから、工学部や医学部だと実習のときはみんなそういうふうになります。だけれども、人文学部ないしは経済とか法律なんか、小人数ということに私は非常にこだわるだけだ。ということは、人間の一生涯の学習だ、成長だと言いますけれども、ちょうど二十歳前後の年代というのは非常に重要な時代である。その重要さというのは、人間の創造性というか自主性というか個性というか、そういうものが本当にそこから触発されていくか、あるいはそれが癖とか性癖の状態でもって個性、個性と言っているんだけれども、癖だらけでもって使い物にならぬというふうになってはこれは困るわけですよね。使い物になるけれども、模範生で、模範的にすべてやったんだけれども、生きがいがなくなって自殺しちゃった、これも困るわけですよね。これはやはり人と人、人格と人格のぶつかり合いといいますか、触発ということのチャンスを得るということが非常に大切なんじゃないかと思うわけです。そんなことはもう大臣に向かっては釈迦に説法みたいなものかもしれないけれども、そのチャンスを欠かせないためには、受講形態というものを多少分類いたしまして、それで、さっきの単位の証明にいたしましても、この科目については小人数教育で、もうマン・ツー・マンでやってきたんだということもあるでしょうし、これは大教室でやってきたんだ、あるいはこれは通信ないしは放送大学でやってきたんだ、そういったこともやはり必要になってくるんじゃないですかね。それから、小人数での単位数を、大体百二十八単位やらなければならぬとしたら、大体二〇%ぐらいは確保してやろうじゃないか、これをもって大学教育としようじゃないかというような、何かそういうような、これは別に余り細かいことを言う必要はないかもしれないけれども、方向性といいますか枠といいますか、そういうものをひとつ御研究いただきたい。これは大学審議会でも結構です。こう提言申し上げたいわけだ。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/128
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129・阿部充夫
○阿部政府委員 大学における教育の場合に、できるだけ小人数教育を取り入れて、そして教官と学生の間の意思の疎通が十分通るような形で指導が行われていくということは、確かに先生がおっしゃるとおり望ましいことだと思っております。
最近、いろいろ小人数教育がどんな格好で行われているかというような調査等も行っておりますけれども、いろいろ形態は違うわけでございますが、ゼミを全学生にやらせているところとか、卒論指導というような格好で小人数の指導をやっているところでございますとか、外国語の科目などについてやっているところ、あるいは実験・実習などを小人数で指導している、いろいろなケースがあるわけでございますけれども、かなりの数のところでそういう教育が行われるようになってきているというふうに思っております。また、私どもでこういう指導と申しますか、実態を調査をするということ自体が、やはり小人数教育というのは必要かという気持ちを大学側にも植えつける一つのきっかけにもなっておるのかもしれないとも思っておるわけでございます。
いずれにいたしましても、現在の大学設置基準等につきまして細かいところまで決め過ぎているという反対の御意見もあるわけでございますので、制度的にこういったことを規制するというよりは、各大学にそういう意識を持っていただいて、自主的にそういうことをやっていっていただくということが大事なことではなかろうかと思っている次第でございまして、前からも先生からこの御指摘はいただいておりますので、私どもの方も機会あるごとに大学の教務関係者の会議等でそういうようなことを申し上げまして、留意をしていただくようにお願いをしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/129
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130・有島重武
○有島委員 大臣、私は全部を小人数にしろと言っているわけじゃないのですよね。確かにマッシブな一つの受講形態ということの中でやっていく、それも必要な場合があるんですよね。本会議みたいなものがあってもいいし、こういった委員会みたいなものがあったり、理事会もあったり、それはやはり全部のことを経てみる、それが大学を経てきたという一つのキャリアになっていくということがやはり大切なんじゃなかろうか。そこで、今のそういう状態をつくるためにと思って、私は単位の互換という制度を開いていただくということをやってきたし、それから、その一つの先端として放送大学というようなことも進めてもいいんじゃないだろうかと思ってきたわけなんです。
ここで阿部局長さんに伺っておきますけれども、単位の互換についてはどうでしょうか、その進捗 ぐあいというか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/130
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131・阿部充夫
○阿部政府委員 先生の御質問は、放送大学の場合の単位の互換の話でございましょうか、それとも一般的に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/131
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132・有島重武
○有島委員 それも含めて、一般のものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/132
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133・阿部充夫
○阿部政府委員 単位互換制度につきましては、もう既にかなり長い年月を経ておるわけでございまして、国内で大学同士の単位の互換をするケース、それから大学と短大の間の単位互換のケース、外国の大学との間の単位互換、いろいろな仕組みが行われておるわけでございまして、現在のあれで申しますと、かなりのところ、例えば国公私立の大学全部合わせますと四百六十一校あるわけでございますけれども、その中で、大学で単位の互換という規定を設けて実施をしておるところが百八校ということで、四分の一ぐらいの大学では既にそれが実現に移されているというような状況にあるわけでございます。ただ、大学院レベルなんかですともっと、例えば国立大学の大学院の場合には八十八校のうち八十四校までが単位互換制度をつくって動かしているという状況にありますので、ほとんどがそういうふうに行われているわけでございますが、学部レベルとなりますと、やはりそれぞれの大学でかなりの部分が間に合っているというケースが多いのかと思います。そういう意味では、大学院に比べて学部の場合にはまだ単位互換は非常に進んでいるとは言いがたい状況にあるというような状況でございます。
それから、放送大学も単位互換制度をつくったわけでございますが、放送大学の場合には現在までに十五の大学、四年制大学あるいは短期大学等と既に単位互換の協定を結んでおりまして、ある程度の、人数にいたしまして、例えば六十三年度の場合には約二百名の学生がその単位互換制度にのっとって単位互換の恩恵を受けていると申しますか、そういうような状況にあるわけでございまして、放送大学側もこれは大事なことだということで、逐次個々の大学に呼びかけをして、その範囲をふやしていっているという状況にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/133
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134・有島重武
○有島委員 大体、以上でもって概括的な問題を終わろうと思いますけれども、大臣、今までのやりとりの中で何か御所感があれば御発言ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/134
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135・中島源太郎
○中島国務大臣 教育改革を進める上での幾つかの御指摘をいただきました。
教育改革は幅広い影響があるものでございますから、それを認識していくようにということと、それからまた、社会に出る出口論と申しますか、そこからの改革が高校、中学、小学校あるいは幼稚園というふうに、上の改革が下に伝わるべきものである。したがって、大学の活性化、改革について賛意をもって御認識いただいておるということは、大変うれしく存じました。
また、今単位の互換を含めまして、幅広い学びの場所を得つつ新しい社会人として巣立っていく一つの方法論を御提示いただきまして、私としては大変有益な御指摘をいただいた、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/135
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136・有島重武
○有島委員 では、これで概括的なものは終わるけれども、ちょっとつけ加えて言えば、単位の互換が進んでいけばいくほど、今度は一つの学校、一つの講義については、個性豊かな、多少癖のあることが起こってもいいというふうになっていくべきだと思いますね。それがそういうふうに進めることにもなるし、あるいは進んでいくに従ってさらに学問の自由というのですか、そういったものの幅が広くなっていく、こういったことが望まれるべきじゃないだろうかと思うわけです。
それでは次に、多少時事問題的なことを、多少次元が違うのだけれども、御意見を承っておきたい。
これは国立大学の授業料の払い方の問題なんですよ。これも昔の行き方だと、大学の事務室のところへ現金を持っていくわけですよね。年に二回ですか、そして数える。それで大きな金庫が置いてある。それでかなり膨大な金額を、これは年々学生さんがふえなくたって、扱う金額というものは膨大になる。
それで、私立の場合はほとんどみんな銀行の口座に払い込んでいる。銀行との間にいろいろそれぞれ約束を結んでやっておられるわけです。国立大学の方もそういうふうになさったらいいんじゃないのかなと思うのですけれども、何かうまくいかぬ問題もあるやに聞いておるのですよ。細かいことはよくわからないけれども、そういうことがあるとすれば、ささいなことだけれども、これも今までの運用でもっていくことなのか、多少どこか手直ししなければならぬことなのか。これは御研究いただくなり大蔵省の方ともちょっと相談をしてあげた方がいいんじゃなかろうかと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/136
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137・野崎弘
○野崎(弘)政府委員 先生御指摘ございましたように、国立大学の授業料は、学生が大学の会計の収納窓口に来まして現金を収納するという形になっておるわけですが、この方法ですと、確かに今ございましたように納入時期が集中しまして大変混雑をするとか、現金を途中でなくすおそれがあるというようなことで、私ども大変問題意識を持っておりまして、何か改善方法がないかということでいろいろ検討は重ねてまいったわけですが、一つの方法としまして代行納付制度、今先生おっしゃった振替というのはちょっと今制度的にはなかなかあれなものですから、代行納付制度というのがいいのではないかということで、実はそれも順次進めていきたい、こう思っておるわけです。
その中身は、学生と銀行の間で授業料の代行納付の委託契約を締結する、学生にかわって銀行に払ってくださいという委託契約を学生と銀行の間で締結する、それで銀行が学生にかわって授業料を大学に納付する、こういうことなわけでございます。これは実はそういうことでございますので、銀行の御協力を大変必要とすることでございますので、今各大学にこういう方法があるのじゃないかということで私どもももう既に指導を始めております。それで、大学の方も現在その努力を重ねておるわけですが、銀行側の協力を得まして、そういう授業料の代行納付制度というものの実施ができるようにこれからも努力をしてまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/137
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138・有島重武
○有島委員 大臣、方向としてはこれは時代の流れ、そっちの方向に行くんじゃないかと思います。ただ、それを一斉に右へ倣えとやると大変かもしれません。だから、その土地土地の事情もあるでしょう。ですから、国立大学だから一律に何かしなければならないというようなことがあるかどうか知らないけれども、そういうのを柔軟にその方向に進めていくということも必要なのじゃないかと思うのです。
大体、その方向性は望ましいとお思いになりますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/138
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139・中島源太郎
○中島国務大臣 大体、今の社会の慣習と申しますかはその方向に向かっていくのでございましょうから、これは一律というのが義務的過ぎるとすれば、自然にその方向に向かうのに知恵を出し合うということでございましょうけれども、先生のおっしゃるように、方向はどうかとおっしゃられれば、大体その方向に漸次進んでいかれるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/139
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140・有島重武
○有島委員 次に、全国に約六十校ある高等専門学校が、高専、高専と言っておりますが、各種学校、専修学校などの専門学校とその名称が紛らわしくなってきたため、専科大学という名前をつけたいという動きがあるそうですが、そういった要望を受けていらっしゃいますか。
それで、こんなことについて僕も二、三聞いているのですけれども、どういうものなんだろうか。大学という名前がついた方がいいんだ、こういうこともあるのか。それとも、今定められている大学レベルのところまで内容を高めるということなのか。あるいはもう一つ、今まで言っているような大学の概念というのは、それこそ図書がどのくらいなければいかぬとか、スペースがどのくらいとか、これはとてもとても大変なんですね。ただ、さっき言ったように、大学の概念、卒業の概念ということが少し変わってくると、こういうものを一概に、そんな格好ばかり言っていたってしようがない、そういうことを言うのなら出直してこいとぴしゃっとはねればはねられるけれども、大臣、さっきおっしゃった大きな一つの懐がおありになるわけだから、そうなると、そういうものも専門、専門によっては一つのユニットとして考えていかなければならないような時代が来ているのだろうか、その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/140
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141・阿部充夫
○阿部政府委員 高等専門学校につきましては、臨時教育審議会においてもこのあり方についての御検討が行われまして、二点の指摘が出されておるわけでございます。
一つは、高等専門学校は現在工業と商船、この分野に限られておるわけでございますが、場合によってもっと違う分野についても高等専門学校がつくれるようにしてはどうかというのが一点。それからもう一つは、先生の御指摘にもございました名称の問題として、高等専門学校というのが専修学校等と紛らわしい点もあるので専科大学と改めてはどうかという、この二つの点の御提言があるわけでございます。私どももこういう御提言を受けまして、今度の改革でなくなりましたけれども、従来大学設置審議会の中に高等専門学校分科会というのがございましたので、そこの専門家の先生方に御議論をいただいてきたわけでございますが、その段階における結論といたしましては、分野の拡大の問題については検討して実施をしていくべきであろう、ただ名称の問題につきましては法律論がございまして、要すれば学校教育法上の大学と違う高等専門学校という制度を前提にしながら同じように大学という名称をつけることについては、法律制度論として問題があるということで、にわかに結論が得られないという状況であったわけでございます。私ども、この問題につきましては、現在大学審議会が発足をいたしまして高等専門学校分科会もなくなりましたので、これから大学審議会で御議論いただくことであろうと思っておりますが、単に高専の名称の問題だけということでなくて、先生のお話にもございましたけれども、高等専門学校が大学等と肩を並べる高等教育の機関として今後どういう位置づけにしていったらいいのだろうか、あるいは役割をどうするかというようなことをも踏まえての少し総合的な検討をしてみたい、そんなような構えでおるわけでございまして、これまた今後大学審議会に適当な時期に御議論をいただくことにしたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/141
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142・有島重武
○有島委員 大臣、後先になって恐縮だけれども、今の問題で御発言があれば……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/142
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143・中島源太郎
○中島国務大臣 今の高等専門学校につきましては、政府委員からお答えいたしましたように、まさにこれから大学審議会で御検討をいただき、その結果を待ちたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/143
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144・有島重武
○有島委員 寄附講座という話題があるのですね。例えば東京大学、それから九州大学。東京大学の方は先端科学技術研究センターというのがあって、日本電気が「コンピューター通信(NEC)寄附研究部門」こういうのがあるそうですね。このほかにも新日鉄、NTT、CSK、こういった講座も開かれておるわけです。九州大学の場合には安田火災が「保険講座」というのを開いておる。現在もっとふえているかもしれませんけれども、私が知っているのはそのくらい。そういうような問題も一つの新しい流れなんですね。それで、私立大学では、私どもの出身校なんかも本当にいろいろなところから寄附を受けてそういうこともやってきた。だけれども、日本の国立大学においてそういうことが出てきた。形式的に申せばこれは教授会が決めることでございますから、教授会が決めたのだからまあいいでしょう、いけないといったって始まらぬということかもしれません。しかし、一定の原則を考えておかなくてはいけないのじゃないでしょうか。その点について大臣、何か御見解がおありになったらば言っておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/144
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145・阿部充夫
○阿部政府委員 寄附講座につきましては、これも臨時教育審議会の答申の中におきまして、大学と社会との連携の充実を図る、あるいは民間資金の円滑適切な導入を図るという見地からこういうことができるようにしたらどうかという御提言がございまして、早速文部省といたしましても、これにつきまして制度の整備をいたしまして実施できるようにいたしたわけでございまして、現在筑波大学、東京大学、九州大学の三大学で七つの寄附講座、あるいは研究所に置かれる場合には寄附研究部門と言っておりますけれども、寄附講座あるいは寄附研究部門が設けられているという状況にあるわけでございます。
この受け入れにつきましては、まさに各大学の教育研究の基本にかかわることでもございますので、それぞれの大学において自主的に判断をして寄附の受け入れの是非を決め、あるいはまたその運営について、教官の採用等についても各大学の判断で実施をしていくことがいいのではなかろうかということで、各大学の御判断に基本的にはお任せをするという仕組みをとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/145
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146・有島重武
○有島委員 形式の上では確かにそうなんですけれども、一つの何か原則を考えていくということが大切なんじゃないか、こう思うわけだけれども、大臣、お考えがあったらおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/146
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147・阿部充夫
○阿部政府委員 これは寄附講座ということでございますけれども、実質的には学生の教育に当たりあるいはそこで研究を実施するという講座でございますから、各大学に具体に置かれる一般の講座等の場合と同様に、やはり各大学の自主的な判断を尊重すべきであろうと思っておる次第でございます。先生おっしゃっている基準という趣旨がちょっと私もわかりかねて、そういうお答えをさせていただいている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/147
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148・有島重武
○有島委員 ここでもってすぐにこういう原則だというのはないにしても、行く行くそういったことを考えていかなければならない問題だなというふうに私も思っているわけです。また、意見の交換の場があればそのときにしましょう。
それでは、今度はだんだん法案に近づいてまいりまして、大学院の問題です。我が国の大学並びに大学院は諸外国に比べてちょっとレベルが低いというようなことを言われている面もある。いろいろな基礎的なものをよその国にやってもらって食い逃げしているんじゃないか、そんなことも言われている。そんなことを言われないようにしたいということもあるわけだけれども、独立の大学院をつくるということですね。そのほかにも大学院についていろいろな試みがあるようでございます。昼も夜もやれるような大学院の昼夜開講制であるとか、あるいは先ほど話に出ましたけれども放送大学でもって大学院を創設するだとか、あるいは東京大学は大学ごと一つの大学院大学という方向をつくっていこうというふうなことを言っている。こういうことについて総括的な見解ということもあるわけだけれども、ここにおいても入り口と出口、大学院に入るにはこういった資格で入ってきてもらいたいということがありますね。大学院に来たならば修士とか博士とかいうけれども、博士というのがこれまた随分戦前と戦後、あるいは戦後でも現在とは違ってきているのですね。やはりこれは考え直さなければならない面がたくさんあるのじゃなかろうか。それから、ドクターということになると、これは国際的に通用するレベルということが非常にありますでしょうね。そういったことから、大学院の修士それから博士、こういったものというのは一体どういうものなのかということを一遍考え直してかかっていかないと、形はいろいろどんどん出てまいります。出てくれば出てくるほどそれも一つ大きな課題になるのではなかろうかと思うわけですけれども、大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/148
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149・中島源太郎
○中島国務大臣 特に大学院につきましては臨教審答申の第二次答申でも飛躍的な充実と改革が必要である、こういうふうな答申をいただいておるところでございます。特に大学院につきまして、今大学審議会で大学の活性化、高度化、個性化を御審議をいただいておるところでありますけれども、その中で特に大学院の制度の改革と、それから今先生申された学位の問題、これを取り上げていただいておるところでございまして、大学審議会の中でも大学院のプロジェクトと申しますか、これをおつくりいただきまして今これを審議をいただいておるところでございます。
ただ、総体的に日本がもうこれだけの経済大国と言われるようになりまして、これから学術の関係での掘り下げと申しますか、研究の高度化が迫られております。特にそういう中で独創的な学術研究ですとか、あるいは先導的分野の開拓の重要性が叫ばれております。そういう中で学術研究の国際化ですとか、あるいは学際領域、複合領域の研究の発展に伴いまして、そこでさらに幅広い視野を持った独創性豊かな研究者、こういうものを育てていき、また生まれていただき、それが社会の先導的役割を果たしていただく、そういう社会に来ておると思いますので、私どももまさに大学、大学院の充実、活性化に心しておりますけれども、その具体化につきましては大学審の精力的な御検討を待ちましてさらにそれに沿って進めてまいりたい、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/149
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150・有島重武
○有島委員 高等教育に関する機関というものはいろいろなものがあってよろしいというふうに私なんか思っている一人なんです。そこでもって余り一つに閉じこもらないで、お互いに風通しよく、何といいますか協力関係も持つし、あるいは競争もできる、そんなふうになっていった方がいいのだろうと思います。そうなってくれば、なるほど修士とか博士とかいう学位というものは大切だ、——一種の権威づけみたいなものだけれども、それは通用する一つの基準だから、今円高だ、ドル安だ、いろいろやっているけれども、どういうふうにそれが通用していくか、それが余り下落しないでもらいたいなという気持ちが僕としてはあるわけです。だけれども、それはいろいろな考えがあるのでしょうから、ただ、そういう一つの新しい時代に向かってのそういった意識を相当強く持っていなければならないのではないかと思うわけです。
それでは、もう時間が詰まってきたので、この法案の総合研究大学院大学という名前のことでございますけれども、総合研究大学院ではどうしていけないのか、素人にはわかりにくいと思うので、ここは呼びっ放しでもいいようにできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/150
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151・阿部充夫
○阿部政府委員 この点はいろいろ議論のあったところでございまして、総合研究大学院というところで切ってそれを固有名詞としてはどうかというような考え方も、創設準備に当たられた先生方の中ではかなり有力にあったわけでございます。ただ、具体にこの大学の名称を考えますに当たりまして、この大学院大学は要すれば大学、学校教育法の第一条に定める大学の一つであるというようなことから申しますと、これまで現に存在しております大学もすべて大学ということでその固有名詞をつけているということ等もございますので、大学院というところで切りますと、要すれば大学院というのは制度的には大学の中の一部局でございますので、そういうことから、その一部局の段階で固有名詞が切れてしまうというのは適切でないという法律制度論がございまして、実態的な希望と法律制度論のはざまに悩んだわけでございますけれども、やはり現行の法令制度に従った名前にせざるを得まいというようなことで、この大学院大学という名前でお願いをした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/151
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152・有島重武
○有島委員 したがって学長さんというのですか、院長さんじゃないわけですね。プレジデントなんだろうけれども、総長かもしれないが、こういったこともおいおい余りかたくなでなしに考えていってもいい問題じゃなかろうかと思います。
それから、今度は共同利用研究機関の事務局、これが東京工業大学の中に置かれるということですね。この事務局員は何人必要なのかというと四十人なんだそうですね。それで研究生の定員の枠は四十八人ということですね。今まで各研究所ともそれぞれ事務局を持って、それでそれぞれの機能を果たしていたわけですね。それで、それの連絡協議をする場所が、何でしょうか、これだけでまた事務局を持つというのは、何だか余り仰々しいんじゃないかと私なんかは思いますけれども、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/152
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153・阿部充夫
○阿部政府委員 この大学は事務局に総務課、学務課という二課を置きまして、それぞれに必要な係を置き、人員として事務局職員が全体で三十一人ということを予定いたしておるわけでございます。学生の数からいきますとあるいは多過ぎるというような先生の御判断もあるのかとは思いますけれども、ただ、一つ独立した大学院大学として組織をし、運営をしていかなければならないということで、業務の内容も非常に多岐にわたるわけでございますし、また各地に、全国四カ所、四県ぐらいに学生が分かれて教官も分かれて存在をするというようなことにもなるわけでございますので、その間の各種の連絡調整等の仕事もかなり出てくるであろうというようなことを考えまして、一般の大学をつくるのに比べますと非常に限られた人数ではありますけれども、必要最小限のものとして三十一人程度の者を置きたいということを計画している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/153
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154・有島重武
○有島委員 御説明を聞けばそんなものかなと思うけれども、外から見ると何だか仰々しいななんて思いますね。
それで、今度は、大学院の管理運営についてはどうも重要な部分を部外者の参加するような審議会が握るとか、研究の自由や人事について自治の保障がないとか、そういうようなことが言われています。それから、担当教員の身分保障が不安定じゃないか、そういうことが言われておる。それについては、そうじゃないのだ、学部自治と同じように教授会の自治でやっていくのだから御安心ください、こうおっしゃるらしい。身分保障についても、これはちゃんと教育公務員の特例法のとおりだ、こういうお答えです。お答えはお答えかもしれないけれども、教授会といって教授会を開くと、あちこちから教授会のために集まってくるわけです。その集まってこられる教授の方々というのは、ちゃんと自分の研究所を持っていてそっちでもやっているわけです。これは二重のロードになるわけです。場合によると研究所を持っていて、その研究所と関係の大学に所属していらっしゃる場合もあるわけなのです。研究者というのは、親分肌の研究者というのがあって、そういった管理運営ということについて御堪能な方もいらっしゃる場合もあります、それは非常に貴重ですけれども。しかし学究肌の教授などというのはそんなものに行ってはいられないという場合もあるのじゃないですか。そうすると、やはり管理運営について再び疑問が起こらざるを得ない。大学の自治と同じでございます、ああ、そうでございますか、というわけには実際はいかないのじゃないだろうか。こういう心配はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/154
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155・阿部充夫
○阿部政府委員 総合研究大学院大学の管理運営につきましては、先生御質問の中で既に仰せになっておられましたけれども、仕組みとしてはまさに学校教育法上の大学でございます。したがって、学校教育法の教授会等の規定あるいは教育公務員特例法の各種の規定が適用になるという性格のものでございますので、一般の大学と基本的に運営の仕組みは同じだということでございます。ただ、幾つかの地区に教官たちが分かれているということはございますから、そういう意味では確かに、全員集まった教授会等をしばしば開くというようなことについてはある程度の工夫が必要だろうというケースは出てくるだろうと思います。
例えば、現在ございますもので言えば、北海道教育大学というのは、北海道の各地に何百キロと離れたところに分校があって、その全体の教授会というのはなかなか難しいから代表者の会議で比較的細かいことは決めていくことにしようとか、いろいろな仕組みのやり方はあるわけでございます。教授会の議題につきましても、非常に細かい細目にわたるようなことはむしろ代表者にお任せをして、基本的なことだけ教授会で集まって決めようという仕組みもあり得ることだと思いますので、それは、この大学が新しくスタートをして、中の教官の方々が相談をして、どういう運営にしようかという運営上のいろいろな工夫をしていただければ実施可能なことであろう、こう思っておる次第でございます。基本的なルールとしては、もちろん大学の自治にのっとった基本的なルールで行われる。その範囲内で運営上の工夫はそれぞれその大学で考えてほしい、こういうふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/155
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156・有島重武
○有島委員 これは大切なところでございまして、代表者の方ではいいと言うのだけれども、結局これは、事務局がしっかりしてみんな運営していくという部分が多くなるに決まっているのじゃないかと思うので、そうすると、これは今でも、各大学においていろいろな新しいことをやろうとしても、大学の事務当局において理解が得られないと、教授会では決まったのだけれどもお金が実質的には出なかったりするというので、平たく言えば官僚統制ですね、これは文部省から来ている人が全部握っておるというような極論も聞くわけですから、少なくともその方向をはらんでいるのだということは認識しておかないと、すべて大丈夫ですといって安心して出発するわけにはいかない。だから、何かここで開き直って、このことが納得いくまではこれはおれは賛成できぬと言って頑張ってもいいくらい大切な問題ではなかろうかと思います。
ですから、ここでは本当に創造的な、学問的な、基本的なことをやりましょう、こういうことですから、これはよほど注意して運営をしていく。初めのうちはいいかもしれないけれども、これはこういうふうにしなさいということを私は具体的に持っていないけれども、これも一つの大きな課題としてしょったままでもって、そうかといってそれを解決するまで動き出せないということになりますと、僕もそう一々言っていては何事も進まないなと思うから、だから目をつぶってスタートしちゃうというのではなくて、目を開いたままでもってゴーをしなければいけないのじゃないか。くどいようだけれどもその点を申し上げておきたいのです。
その次に、大学の改組の問題がこの法案の中にございます。ここで出ているのは三重大学と京都の工芸繊維大学、この二つだけでございますけれども、これも時代がどんどん変わってまいります。大学の改組ということについては、いろいろな大学が今それぞれ工夫をし苦労をして、文部省の方にも持ち込んでいるのじゃないかと思うのです。私も二、三聞いておる。この前も滋賀大学でもっていろいろ苦労をしていらっしゃる話なんかも聞いていますけれども、そういったことについて、これはタイミングの問題ですから、昔ながらのゆっくりテンポでもってやっていくのでなしに、多少早めて審査をどんどん運んでいかなければならないのじゃなかろうかというふうに私は感じるのだけれども、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/156
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157・阿部充夫
○阿部政府委員 国立大学の改組の問題でございますけれども、御指摘のように、最近いろいろな社会的な情勢の変化あるいは教育研究上の変化というようなものを踏まえまして、新しい学部・学科というものが必要だというようなケースがしばしばあるわけでございますが、こういったものについて、最近の行財政の事情等もございますし、また、本来的に新しいものだけつけ加えていけばいいというものではないだろうというふうに考えている次第でございまして、既設の学部・学科等を再検討して、可能なものについては現代的なものに切りかえていくというようなことも改革として必要だろうと思っております。
こういった関係で、私どももかなりのものについて各大学の要望を受けながら改革を行っておるわけでございまして、先般成立を見ました六十三年度の予算におきましても、国立大学工学部と農学部の分野を中心に、十三大学で八十の学科の内容の改組・転換をやっておるというようなことでございまして、今後ともこういうことについてはできるだけやってまいりたいと思っております。
なお、先生が御指摘の中に出てまいりました滋賀大学の問題につきましても、改組をして情報科学部をつくりたいというようなことがあるわけでございますが、このケースの場合には学部を新しく一つつくり出すような格好になるというようなこともございまして、現状で非常に難しい問題であると言わざるを得ない面があるわけでございますけれども、せっかく滋賀大学での御検討が行われておりますので、私どもも、さらに、詰めた議論としてどんなものになってくるか、これを見守っていきたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/157
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158・有島重武
○有島委員 入試センターの問題、「大学入試改革について」の報告というのを拝見いたしますと、これは先ほども問題がございましたけれども、大変立派なことを書いてあるわけなんですけれども、学歴偏重、それから受験戦争の過熱、こういったものの悪影響を是正したいというわけですね。だから、今度の大学入試の改革で、学歴偏重や受験戦争の過熱というのをこれは何か緩和できるのでしょうかね。できると思ってやっていらっしゃるのか。そんなことを言って申しわけない、失礼かもしれぬけれども、それはちょっと余りかみ合っていないんじゃないかなと思うのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/158
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159・阿部充夫
○阿部政府委員 大学入試の、現在例えば入試地獄と言われておりますような事態というのは、内容を分けてみますと二つあると思っております。
一つは、いわゆる有名校等に学生の志望が集中をする、それによって非常に過酷な競争が行われるということでございまして、これは入試の仕組みをどう変えてもそう簡単に解決するような問題ではなくて、もっと基本的に、社会的な風潮の是正でございますとか、あるいは各大学がそれぞれ肩を並べるような充実した大学になっていくことであるとか、いろいろなことがあわせて行われませんと、入試方法だけではどうにもならないであろうと思うわけでございます。
ただ、もう一つは、今の入試地獄云々と言われることにつきまして我々考えておりますのは、入試の中身が学力検査一辺倒であって、しかも難問奇問が出てくるというようなことを、何かもっと受験生の能力、適性等を多角的に判定をして合否を決めるというような方式に変えていくことによって、むだなと申しますか受験のためだけの勉強をするというようなことでない、もっと全人格的な伸びを高校時代に期待することができるようにしたい、そういう意味での入試改革という意味では、私ども現在検討を進めております新テストを含めました入試改革というのは役立つ部分がかなりあるだろう、こういうふうに思っておるわけでございます。
最初の繰り返しになりますけれども、受験生が集中して激烈な競争があるということが、この入試方法をとることによってすぐ解決するというふうなことは毛頭考えていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/159
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160・有島重武
○有島委員 これは先ほど教育産業のところでもって少し申し上げました。時間が来ましたから、これは議論は後日にチャンスがあったらということにして終わりますけれども、何かいじればいじるほど受験産業がもうけていく。もうけるだけならいいけれども、受験戦争が盛んになった方がいいんだというそういう勢力が強いんだということ、これはばかにならないと思うのですよ。だから、それに対してどういうふうに手を打っていかなければならないのかということをやらなかったら、それが裏目に出るということは重々わかるんじゃないだろうか。そのことをこれは僕たちも一緒になって考えていく、食いとめてというかやっていかなければならないと思っていることなんですけれども、こういうふうにやったんだからこれでいいんだというわけにはいかない。相当これは心してやってもらいたい。
それから最後に、大学センターがこれからのいろいろな情報を提供するということを承りました。これは海外の大学のこともやらなきゃならない。だから、海外の大学の情報というのは、今の駒場の留学情報センター、そこの小さな部屋で整理されてやっているんですよ。お金が足りないんですね。けれども、そこには一つのそういう芽がある。そういったこともひとつ配慮いただきたい。
では、質問はこれで終わります。大臣から何か一言所信があれば伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/160
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161・中島源太郎
○中島国務大臣 教育万般について御指摘をいただきましたが、最後に大学入試の問題でございますが、これは私どもも心してまいりますし、また一言。つけ加えさしていただければ、大学を改革することによって高中小と改革されていくであろう、また大学を改革するためにはやはり社会の受け入れ態勢が徐々に変わっていくことも想定しなければいかぬと思います。つまり社会の構造が変わっていく。長くなりますから簡単に申せば、例えば一次産業は売上高でいけば五%だ、二次産業も三〇%だ、あとの六五%は第三次産業だ。その中でまた大きな部門は、頭脳サービスというものがだんだん多くなっていく。そういうように社会の仕組みというか構造というかシェアが変わっていきますと、それなりに社会が求める人材も変わってくるであろうと思うのですね。そういう意味では、その面から学歴偏重が崩れていく兆候は十分あるんではないかと思うのです。そのときに社会が要望する人物というのは、やはり学歴の上に立っている人物ではなくて、その一人一人の創造性、独創性というものが求められていくであろう。とするならば、社会の方が既に変わっておって、しかも学校の体制の方がそれにおくれている面があるかもしれない。それならば、それに即応するようなことをしていくことによって、両々相まって学歴偏重社会というものは是正できるきっかけがあるはずだと私は思っておりまして、そういう面で、社会に送り出す大学の使命からして、その大学で受験生を探るときに、個性化、多様化を重点的に受験生の資質を見ていくということが、大学の入り口と出口で学歴偏重を変えていく一つのきっかけになり得るとも思っておりますし、そういう面で大学入試センターの一つの事務として、海外のあり方も広く収集し、情報としてそれを伝えようということも確かに大切なことと思って拝聴しておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/161
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162・有島重武
○有島委員 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/162
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163・中村靖
○中村委員長 滝沢幸助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/163
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164・滝沢幸助
○滝沢委員 委員長遅くまで御苦労さまです。各委員の先生御苦労さまです。大臣御苦労さまです。政府委員の皆さん御苦労さまです。
さて、きょうは朝からいろいろと委員会の運営、疎漏もあり、御苦労もあったようでありますが、私は久々に文教委員会におきまして質問の時を与えられまして、まことにありがたいこと、また責任を感じているわけであります。
ところで、議案となりました国立学校の設置法の一部改正に関する法律言うなれば総合研究大学院創設にかかわる議案等についてでありまするが、今いろいろと各党の御意見等も承っておりまして、私が抱いておりました例えば名称について、ないしは広く地域にまたがって教場が幾つかになりまするための運営の難しさというようなことにつきましては、触れていただきましたので割愛さしていただきますが、私が大臣にここでお尋ねをいたしたいことは、大変難しい時代に文部大臣をお引き受けいただきまして御苦労をおかけいたしまするけれども、しかし考えてみれば、これは人類が地上におりて以来、さらにはアダムとイブ、伊邪那美、伊邪那岐以来のあらゆる時代において、あらゆる国において、あらゆる御家庭において、子女の教育のことは一番難しい課題、したがって人生のすべて、言うなれば国家運営のすべてと言っても過言ではなかろうと思うものでありますから、殊さらに今が難しいということでもありまするが、考えようによってはいつの日も難しかったと言えるわけでございます。
そこで、戦後の教育一般、特に大学、高校、いわゆる高等教育の面におきましていかなる反省を持っておいでか。あるときは校内暴力が、あるときはそれこそまことに道徳の廃退が憂えられた時代もございました。今日の時点においてどのような御反省を持っておられ、それに立ち返っての今回のいわゆる提案であるかというあたりを、趣旨説明を承りましたが、さらにその奥なるものをばひとつ一言において承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/164
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165・中島源太郎
○中島国務大臣 教育改革全般についてでございますけれども、特に、今大学が置かれた問題、その大学の改革の趣旨はどこにあるか、こういうことでございますが、概して日本の教育の水準は高いと言われてまいりましたけれども、初等、中等教育におきましては確かにその評価は当てはまる面があろうと思いますが、しかし、高等教育というのは、まさに社会自体が成熟度を増しますと多様化、個性化してまいりますし、そして初等、中等の場合には教育全般の水準というものがある程度保たれます。その初等、中等とそれから社会に出るちょうど中間の高等教育というものは、一方では基礎学力というものがあり、一方では社会の多様化に即応しなければならない、そういう面でおくれをとらないように、そして社会の変化に対応でき、また日本という国力を考えれば、日本が基礎科学その他の学術面でさらに世界に貢献していく時代でありますから、それも含めまして幅広い学術の問題と、それから個々にすれば個々の個性化、多様化を伸ばす、その二つの大命題を与えられました高等教育そのものが、そういう与えられた地位から見ればやや活性化に欠けておるんではないか、高度化に欠けておるんではないか、そういう指摘がなされておりますので、その点を改革をしてまいろう。
では、どのように改革したらいいかということでございますが、その点については私どもも考え、そして、今大学審をおつくりいただきまして、大学審議会の中でまさに御検討いただいておるわけでございますので、そういう面で高等教育の活性化、高度化、個性化を含めましてともに考え、そのおまとめに従ってさらに進んでまいりたい、このように考えております。
〔委員長退席、鳩山(邦)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/165
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166・滝沢幸助
○滝沢委員 まことにごもっともな御見解で敬意を表します。
そこで大臣、今行政官庁等のいわゆる疎開、遷都という言葉は私は好みませんでおりますが、そういうことが言われているわけであります。ところが、私は、教育の場においてこそ、この大東京のスモッグと誘惑と犯罪との中に青少年時代を送ることはまことに愚なるものである、山・川・緑の豊なるところにおいてこそ真の教育が行われる、また教育のそもそもの発祥の原点はそこにあったと思うのでありますが、今の御見解の中には触れられておりませんが、教育の力点が、そのような意味で、この大東京を中心とした都市部より、僻地という言葉はいかがでありましょうが、地方に移ることについての御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/166
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167・中島源太郎
○中島国務大臣 初等、中等におきましては、まさにその地域地域に密着した教育の体制が整えられておりますが、高等教育となりますと、えてして先生おっしゃるように、要するに首都圏あるいは都市圏に集中をしてまいったにはそれなりの理由があると思いますが、しかし、これからの研究機関のあり方を見ますと、むしろ地方都市で心行くまで研究の環境を整えることが必要ではないか、こういう御意思も承っております。
ただ、一つの学校のキャンパスのあり方というものは、前提を申せば、もちろん御存じのように学校そのものの自主的な判断によるものであることは事実でございますけれども、今の中からしかるべき地域に適正な地域を求めつつ、これを多極分散の一環として考えてもらえないかということは、文部省の中にも検討委員会を設けましたし、そして東京都内にあります各機関にもその御検討を促しておるところでございまして、先生おっしゃることはわかりますが、これから徐々に、そういう適正な行き先またキャンパスのあり方もございますから、即座にということはそれぞれ無理がありましても、今現在さらに検討をお願いをしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/167
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168・滝沢幸助
○滝沢委員 東大がまず出ろ、こう私は申しているのであります。東大が出れば、したがってその他の私立大学等においてもどんどん出ていくというふうに私は思うのでありますが、そのことをも含めて、いささか我田引水の嫌いはありますが、日本じゅう至るところの地方が大学を初め高等教育機関を望んでいるのです。ところが、私立大学においてはこれをいいことにして膨大なる財政負担を要求したりしているわけでありますが。
そこで、実は福島大学におきましては、先般行政社会学部というようなことで大学院の一部をようやく開設いたしたわけでありますが、その一年間の成果、我々がそばで見ておりますとそれなりのものがあった、よかったというふうに評価しておりますが、これはいかがなことであろうかという点をあわせまして伺いたい。
実は私は、本来、福島県のごときが大学を二つも三つも持つことそのものが無理だ、大学はすべて国の責任でやれ、こういうふうに言っているわけでありまして、いわばこれを国に寄附しろという論を展開したわけでありますが、そういう方向にはなかなか行きませんで、福島県立の会津短大がそのままの姿で四年制に昇格したいということが、これは地方の態勢は整うているわけでありますが、これについて地方の態勢が整うたならば国はいかなる態度に出られるものであるか、この地方の声にこたえていただけるものかどうか。いささか我田引水の嫌いはありますが、大学よ地方に、教育はすべからく地方からというような意味において、お伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/168
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169・阿部充夫
○阿部政府委員 御質問が二つあったかと思いますが、福島大学の行政社会学部、地元の御要望等を踏まえまして今年度から発足をしたわけでございますけれども、一般の既存の大学の学部とかなり性格を異にしておりまして、地方行政と地域社会との関連ということに重点を置いて、地方公共団体や地場産業の人材の育成ということにかなり焦点をぎりっと絞った学部でございます。そういう新しいタイプの学部としてスタートしたわけでございますけれども、今年度の入学志望者もたいへんたくさんあって、いい学生がとれたというようなことも聞いておるわけでございます。せっかくつくりましたこういう大学学部が今後大いに成長してくれることを私どもとしても心から期待をいたしております。
それから会津短大の問題でございますけれども、これを四年制に昇格ということについて福島県において御検討が進められつつあるという情報は私どもも承知をいたしております。先ほどの先生のお話にもございましたけれども、大学というものが、特に新しくできる場合には地域的に見て適正配置という格好でつくられているということは大変望ましいことであると思っておるわけでございますので、この件につきまして、具体に構想が固まって文部省に申請が出てくるという段階になりませんと、今のままで何とも申し上げかねるわけでございますけれども、地域配置という観点等から見れば適切な構想ではないかと思っておる次第でございまして、これからの構想の詰まり方を見守っていきたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/169
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170・滝沢幸助
○滝沢委員 ところで、話が発展いたしまするが、と申しまするのは、大学も幼稚園も要するに教育の原点は一つだという意味において申し上げるわけでありますが、先般、社会科の教育等についての反省の中でこれを手直しをしようということも文部省はお考えのようであります。原則、私は賛成であります。評価するわけでありますが、そうした中で、高等学校の歴史の教科書の中の新編日本史というものが、いろいろと経過がありましたが、これが原書房より出まして、正規に検定が合格をいたしました。これが採用をいたしました学校は昨年において三十一校でございました。そしてことしもやはり三十一校。しかし、丹念にこれを見れば、十八校が新しく採用をいたし、同じ数が採用を取りやめたということになっているわけであります。
問題は、自然に、自主的に、スムーズにこれが行われたならば議論の余地はないわけでありますが、先般予算委員会でお伺いしたときも、その事実を認め、かつ、これに対する適正なる善処、指導をひとつ約束してちょうだいしたわけでありますが、月刊「諸君!」の二月号に明星大学の高橋助教授が書いておりまするとおり、全国の至るところの学校におきまして、文言に尽くしがたい圧力、妨害、中傷、攻撃があったわけでありました。ゆえに涙をのんでこれを採用を中止した学校もあれば、トラブルを乗り越えて採用した学校もあるわけでありますけれども、しかし、いやしくも検定が合格している教科書の採用についてそのようなことはあってはならない。これは教育の世界においてはあるまじきことでありまするので、私は厳しくこれを追及しなければなりませんし、文部省におかれては、このようなことが再び起こりませんように、適正なる処置をお願いしなくてはならぬというふうに思うのでありますが、その後の経過と文部省の決意をひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/170
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171・西崎清久
○西崎政府委員 御指摘の教科書につきまして、採択に関するいろいろな経緯があったことは先生御指摘のとおりでございます。
私ども教科書採択につきましては、これは厳正、公正な立場で採択の権限を有する者がこれを行うということが必要なことでございまして、そのため、やはり不当な圧力というふうなものがあってはならないわけでございます。
その後の文部省の指導の経緯といたしましては、一月の主管課長会議で採択の公正確保について指導したことは既に申し上げたところでございますが、その後の経緯といたしまして、日時といたしましては、本年の三月三十日付で初等中等局長名義で各都道府県教育長あてに通知を出しまして、「昭和六十四年度使用教科書の採択について」、こういう通知でございます。その中で、特に項目といたしまして採択についての厳正確保ということで、「教科書の採択は、採択権を有する者の責任において、適正かつ公正に行われる必要があり、いやしくも外部からの不当な影響により採択結果が左右されることのないよう適切な対応がなされなければならない。各都道府県教育委員会においては、このことを踏まえ、貴管下の採択関係者に対して指導を徹底すること。」という通達を出しておるわけでございます。私どもはこの通知を今年度特に出したということを踏まえまして、採択の公正さの確保ということについてはなお努力してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/171
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172・滝沢幸助
○滝沢委員 局長、これは今の通牒一片をもってして、これが今後に向かってそのような事態が再び起きないということが保証できるのでありましょうか。そのような安易な問題ではない。
要するに、教職にある者ないしはそれにかかわる者どもの教育というものに対する基本的な理解の違いからこれは成り立っていることでありまするから、思想を教育の現場に持ち込む、そのことにあるわけでありまして、極めて根深いものがありまするから、私は一片の通牒をもってこれは解決しがたきものであるというふうに思うわけであります。
そこで、具体的な対処というものがないものかどうか、どのようにお考えか承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/172
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173・西崎清久
○西崎政府委員 私どもは、教科書につきましては検定、供給、採択とあらゆる面につきまして現在いろいろな見直しを行っておるところでございます。その中に先生御指摘の採択の問題が入ってまいるわけでございまして、近々採択のあり方につきまして文部省の内部、局の内部で協力者会議を設けまして、今後の採択のいろいろなあり方についても検討を進めたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
端的に、先生御指摘のいかにして採択の公正さを担保するかにつきましては、通達を出すことだけでとどまるわけではございませんで、具体に都道府県の教育委員会、市町村の教育委員会、校長の方々が、教科書の採択に当たってそれぞれの決意とそれから実行をもって担保していただかなければならない、こういうことがございますので、私どもは、この通知の後のフォロー措置としましていろいろな機会、指導部課長会議等ございますが、そういう機会にそれぞれについての徹底を図りたいと思うことが一つと、それからまた、具体のケースが今後起きてまいることも考えられますので、全国的な問題として採択の公正の問題がいろいろ問題として取り上げられているところにつきましては、それぞれ具体の問題として対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/173
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174・滝沢幸助
○滝沢委員 福岡県立門司高校のことは御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/174
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175・西崎清久
○西崎政府委員 現在詳細には承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/175
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176・滝沢幸助
○滝沢委員 一々時間がないからでありますが、これは最たる状況であったと聞いております。
さらに、これは主に私立高等学校が採用に踏み切り、したがって事件も多かったわけでありますが、福島県の緑が丘高校、あるいはまた同じく福島の成蹊女子高校、同じく福島県の郡山におきます安積商業高校、会津若松におきまする第一高等学校というあたりにおきまして大変な事件、トラブルがあったわけであり、したがって、そこの校長ないしは教務主任等がげっそりやせる思いでこのことに対処をしてくれたわけであります。
そうなれば、学校の自治か学問の自由か知りませんけれども、私はやはり、ここでそれを申し上げるのはいかがかとは思うけれど、場合によっては警察力を頼っても教育の中立と厳正は保たなければならない。逆にこれが、右のグループが、いわば今の教科書は気に入らぬ、そこでそれを採用する学校等は圧力をかけてきたならば、いかなる世論の反撃を受けるであろうかというふうに考えますれば、私は文部省がきれいごとでこのことを見過ごすわけにはいかぬと思うのでありますが、重ねて、具体的にいろいろと対処をするとおっしゃることの、具体とは何であるかを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/176
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177・西崎清久
○西崎政府委員 ただいま先生がお挙げになりました福島県のケースにつきましては、緑が丘高校のケースは私どもちょっと承知いたしております。
そこで私どもとしては、福島県教委の指導部課の担当官に対して、この件についてのそれぞれの対処については指導したところでございますが、私は二つ問題があろうかと思っております。
一つは、やはり採択権者が不当な圧力に屈することなく毅然として、みずからの選定をした教科書を、採択した教科書を貫く、この問題が一つでございます。
それから第二点は、今先生御指摘のように、仮に教職員の方々がその組織としての行動をもって教科書の採択についてインフルーエンスを及ぼすというふうな行動があるとすれば、教職員の服務なり職務執行についての監督機関はそういうことについての指導の責任があるわけでございますから、立場にない教科書の採択について不当な圧力を及ぼすような行動を慎むべしということについて厳正な指導をする必要がある。これが第二点でございます。
両々相まって教科書の採択についての公正を担保する、こういうふうなことが必要だと思うものでございますから、この点につきましては今後の問題として、私どもも十分指導に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/177
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178・滝沢幸助
○滝沢委員 初心を貫いて、いいと思った教科書の採用を貫く、ここであなたのおっしゃるのはそのようなことでありますが、しかし、朝から夜まで自宅に、学校に、旅先に圧力をかけられ、電話をかけられることにおいては、身の危険をも感ぜざるを得ないのでありまするから、それは逆の立場になって、あなたが現場の校長であったという立場に立って物を考えていただかなければ困るのであります。
そこで、私は場合によっては警察力をお願いしても、こう申し上げたのでありますが、そのようなことは可能でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/178
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179・西崎清久
○西崎政府委員 先生御指摘の警察力の行使という問題は、やはり警察力行使の前提条件があろうかと思うわけでございまして、物理的な身体的、精神的、急迫不正な侵害というふうなことであろうかと思いますが、そういうふうな構成要件が該当する場合、あるいは不採択が物理的に行われる場合、そういうふうな点において教科書に関する事件が発生した場合には、それは当然警察力の行使を要請するということは考えられようかと思うわけでございます。それも程度の問題があるわけでございまして、まだ私どもは、その点についての要請があった、あるいは行使があったということは聞いておらないわけでございますが、要はそういうことの事態に立ち至らないように、やはり教育行政関係において努力するべく、私どもも県教委等と一緒になってこの点についての担保を考えてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/179
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180・滝沢幸助
○滝沢委員 どうですか、このことについて文部省は、それら問題があったとされる学校に人を遣わして実態を調査されるお考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/180
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181・西崎清久
○西崎政府委員 先ほどちょっと触れさせていただきましたが、私どもは検定、供給、採択に関連いたしまして、現在全体の制度の見直しを始めておるところでございます。その一環として採択制度についての検討に入るわけでございますが、その採択制度の検討に入る前提といたしましては、採択の現状がどうか、そしてどこに問題があるかということの調査が必要でございます。したがいまして、先生がおっしゃいます書物についての個々具体のケースの調査といいますよりは、もう少し広く、採択の手続なり、採択の問題点の所在なり、個々具体の問題ケースが仮にあるとすればその問題ケースなりについて、私どもは近い機会に広く調査をしてみたい、こういうふうに考えております。恐らくその一環として、先生御指摘のようなケースがあるとすれば報告に上がってまいりますので、そういう点について私どもも調査検討の一つの素材として、対処についての検討をしてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/181
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182・滝沢幸助
○滝沢委員 そういうことで、文部省がよほどの決意を持ってこれに臨まなければ教育はその現場、現場においてゆがめられるというふうに私は思いますよ。
そこで、先ほどたびたび採用制度についての制度の検討をとおっしゃっているわけでありますが、私はやっぱり検定制度そのものからこれは練り直さなくちゃならぬ課題だと思いますが、どうですか。この検定制度についての再検討、続いて採用の手順についての再検討ということを着手される用意がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/182
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183・西崎清久
○西崎政府委員 教科書制度につきましては、先生御案内のとおり、臨時教育審議会の答申にもいろいろ盛り込まれておるわけでございまして、私ども、まず検定制度につきましては昨年七月から教科書検定審議会で検討していただいておるわけでございます。もう既に五回の総括部会を開きまして、検定の基準の問題、合否判定の手順の問題、検定手続の問題、これらにつきまして検定審議会としての意見の取りまとめをお願いしておるところでございます。
学習指導要領が恐らく今年末に大体でき上がる予定でございますが、指導要領ができ上がりました後、若干の時間を経て検定審議会の答申と申しますかまとめをいただく、こういう考え方に立っておりますので、教科書の検定に関する基準なり手続なり合否判定の方法等につきましては、よりよい教科書を実現するための一つの課題として私ども現在真剣に取り組んでおる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/183
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184・滝沢幸助
○滝沢委員 大臣、いささか矛先が急変して大変恐縮でありますが、今お聞き及びのとおりであります。そこで私は、戦後教育にそもそも過ちありとするならば、先ほどからの大学院大学の構想もこれまことに結構であります、大きな試みとして評価をしたいと思いまするが、しかし制度だけではどうにもならぬ、戦後四十年の教育の奥の奥の奥に問題点ありと言わざるを得ないと思うのですよ。そういうふうに思う立場からすれば、憲法はいかんということが一つ問われましょう、さらには教育基本法というものは今のままでいいものかどうか、不磨の大典という言葉もありましたが、この世に万代不易なものがあろうはずがありません。戦後四十年、このように社会状況、経済状況、人心ともどもに変わってきた今日において、教育基本法はあのままでいいかどうか、検討の余地があるかどうか、一言いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/184
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185・中島源太郎
○中島国務大臣 教育基本法というのは、私の考えでは日本国憲法を受けております。日本国憲法で描かれたその社会をつくる根本は教育である、社会をつくっていく根本は教育にある、教育をそこに位置づけるということは重要な視点でございまして、その意味では私は賛成でございます。
で、教育基本法も、今できております基本法が日本国憲法にのっとって、教育が根本であると前文に書かれてございます。それから各条に分かれておるわけでございますけれども、私はこれはやはり守っていくべきものであろうと思います。
ただその中に、紙背を通してやはり貫かなければならぬのは、日本の伝承されるべきものがありましょうし、今私どもが生を受けております八十年の限られた生命というものは、やはり代々受け継がれてきた祖先からの魂の哀歓というものを現在受けておりますものでございますので、その意味でその伝承を忘れずに、そしてこれから二十一世紀に向けて、さらに将来に向けてそういう平和国家を形づくっていく、その根本に教育を据えて考えるということにおいては、私は教育基本法は守っていくべきことである、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/185
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186・滝沢幸助
○滝沢委員 お答えが立派過ぎてちょっとわからぬような感じもします。まさに教育基本法そのままのお答えでありました。
教育基本法の問題点、欠点がありとすれば、今大臣の御答弁のように、まことに結構な言葉ずくめなんだけれども、わからぬというところにあるわけです。具体的に私が言うならば、あの教育基本法に加えるべきものがあるとすれば、個人の尊厳、個人を強調した先に、いきなり世界・国家の平和、これに貢献することが書いてあるわけです。中に肝心な、おっしゃった古い伝承のものがない、民族がない、国家がない。個人あって国家なし、そして世界ありというところに問題点があると私は思いますよ。もしも私が文部大臣であったならば、教育基本法の見直しについて意欲的に取り組みます、こういう答えをするんだけれども、私は大臣やったことないからそれはわからぬけれども、いかがなものですか。遠慮しないでひとつおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/186
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187・中島源太郎
○中島国務大臣 私は、そこのところをこういう言い回しで申しました。教育基本法は守るべきものである。しかし、その紙背にあるものを感じ取ってこれを進めるとするならば、今私どもが将来に向かって立っておる、そこに来った伝承、歴史、そして風土と申しますか、そういうものを体して、そしてそこから出発すべきものである。私は、そういうように基本法の中から読み取りつつ進めるべきことである、こう申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/187
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188・滝沢幸助
○滝沢委員 気持ちはわかるが言葉がわからぬ、言葉はわかるが気持ちがわからぬ、そこら辺のところですよね。そこで私は、教育基本法の足らざる点を補完する、修正する何らかの営みなくして、日本の教育は再生できないというふうに断言してはばからないということでありまして、ここで短時間にして結論を得るに至らずとも、大臣、このような声が少なくとも相当の立場、相当の広がりを持って今日日本に満ち満ちつつあるということを御理解を賜りたいと思います。
さて、話がまた一転いたしまするが、私はかねがね、これは国語課長さんに見えていていただくわけでありますが、文化庁におきましても、そろそろ国語を役人がいじり回すことをおやめになった方がよろしい。先般私は変な句集の出版記念会をいたしましたら、音楽家の黛敏郎先生が見えてくださいまして、政治が文化を支配すればその国は大きな過ちを犯す、このことは世界史の中にその例をあまた挙げられるところである、むしろ政治は文化に奉仕をすべきものであるというふうにおっしゃっていただきました。まことに至言であると承ったわけであります。例えば文学、文字、音楽、絵画、こういうものが、これは書いてはいかぬ、これは書けというのは間違いです。そういう政治は間違いですよ。仮に政府が志しているような文化、文学、芸術に対する理想像があるならば、そういうものが生まれるような土壌の政治を行えばいいわけです。戦争中、私たちはもう目が覚めると戦争ごっこですよ。それは大人が戦争をしていたから子供は戦争ごっこをするわけです。今の子供のやっている、何ごっこか知りませんが、それは大人の表現ですよ。そういう意味で、もしも文部省ないしは文化庁が国語はこうありたいと思っているのならば、そういうことが行われるような政治を政府がすればいい。日本じゅうが砂漠になったら砂遊びになるわけだ。日本じゅうが緑になれば緑の中で花を摘んで遊びますよね。そういうことですよ。
そこで、文部省ないしは文化庁は国語に対するいろいろの営みをおやめなさい。どういう文字が使われるか。例えば戦争になれば「爆撃」とか「突撃」という言葉がどんどん使われるわけです。そういうことですよ。お相撲の時間になれば「押し出し」とかまたそういう言葉が流行するわけですから、そういう意味で結論から言って、文化庁は国語から手を引きなさい。特に先般の、あれは国立国語研究所も朝日新聞にすっぱ抜かれましてちょっと気の毒であったようではありますが、要するに外人が日本に来たときのガイドブックをつくるというのなら話はわかりますよ。私たちだって外遊するときに、一晩勉強してもどうもわからぬ、苦労するけれども、要するに、サンキューベリーマッチというのを覚えていけばそれでよろしい。逆に言うならば、日本に行かされる外国人は「済みません」「どうぞ」という言葉を覚えればよろしい。それも覚える能力のない者は、「どうも、どうも」という日本語を覚えればそれで通るというようなものでありますから、外人のためのガイドブックをつくるのはよろしい、しかし、外国から来られる人のために日本語を改正してお待ちしているみたいにこの前の報道があったものですから、これは総反撃でしょう。ですから、そういうことを一切おやめなさい。もったいない人件費を使って、もったいない会議費を使って、ああいうことはやめた方がよろしい。むしろフランスのアカデミー・フランセーズのように、四十年、五十年に一回、日本語の標準辞典はこれだ、そういう字引を出してやっていることの方がむしろよろしいというふうに思うのであります。
今、国語審議会が外来語の表記についていろいろと議論していらっしゃるというのでありますが、表記よりも、むしろ外来語がこのようにはんらんしている。日本語を知らないことは全然恥ずかしくないけれども、ちょっとした片仮名文字が何のことかわからぬときは真っ赤な顔をしてわかったようなふりをしているというようなことは、これはもう全く亡国の民ですよ。国語に対する自信と愛情を失ったところに、我が日本の国は既に占領後四十年、いまだ占領は終わってないということでありますから、どうかひとつ勇気を持って、文部省が国語から手を引いてちょうだいするように思うのでありますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/188
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189・横瀬庄次
○横瀬政府委員 ただいまの御意見は、戦後に行われました一連の国語施策、「常用漢字表」であるとか「現代かなづかい」であるとか、そういうようなものについての御意見だと思いますけれども、これらの国語施策は国語表記の平明化を図るということで、教育上の負担を軽減したり、あるいは社会生活上の能率を増進するというようなことによりまして、文化水準の向上に役立てようということでございます。それはそれなりに、相応に実現しているんじゃないかと私どもは考えているところでございます。
ただ、先生がおっしゃったように、それが漢字の制限的な取り扱いに過ぎるのではないかというような、国民に対してそういう印象といいますか、そういう傾向を与えたというようなこともございまして、昭和四十一年から国語審議会で戦後の国語施策の見直しというのをやっておりまして、御承知のように現在は「常用漢字表」とか「現代かなづかい」につきましては目安とか、よりどころというような非常に緩やかな性格のものになっておりまして、そうしたことで一般社会の生活に寄与しているというふうに考えるわけでございまして、これらは、専門的な分野でありますとか個々人の表記まで縛ろうというものではありませんので、私どもとしては国民一般の広い支持を受けているというふうに思っているところでございまして、どうか御理解をいただきたいわけでございます。
それから、国立国語研究所で計画しております外国人用の日本語教育に関する研究についてお触れになりました。これは「簡約日本語」ということで報道されているわけでございますが、これは国語研究所で本年度から調査研究に着手する予定のものでございまして、先生もお触れになりましたように、日本語を学ぶ外国人が日本語を覚えやすく、習いやすいものにするということの一つの教材づくりの研究でございます。先般、新聞に報道されましたのはそのほんの一部で、かなり誤解を与えやすいような引用でございますが、第一段階の導入部分について示したものでございます。これをさらに第二段階、第三段階というふうに文法的な項目を段階的に加味をいたしまして、最終段階では日常の日本語に近づけていくという、そういう教え方の方式の研究であるというふうに国語研究所では申しておりまして、このような日本語の学習を容易に進めるための研究ということでございますので、ひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。
もちろん、先生から御注意がございましたように、日本語と余りかけ離れたようなものであっては当然ならないわけでございまして、その辺のところはこの研究所におきましても十分承知をして、注意をしてやっていこうというふうに申しておりますので、これはどうか御理解いただきたいわけでございます。
それから最後に、外来語の表記について現在国語審議会は審議しております。表記ということがもちろん中心でございますけれども、あわせまして外来語のはんらんということについても、これを検討すべきかどうかいろいろ論議もしているところでございますので、そうした論議を見守っていただきたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/189
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190・滝沢幸助
○滝沢委員 「町内に知らぬは亭主ばかりなり」なんというのがありました。知らぬは文部省ばかりなりですよ。すぐに、これはもう国民一般に定着しているとかなんとかおっしゃるんだけれども、全然定着していはしない。大体、今日本人の幾パーセントが完全に、文部省の言う現代仮名遣いを間違いなく、そして今の文部省が標準とされている、目安か何か知りませんけれども、その漢字を使って文章を書ける人が何パーセントいますか。ほとんどいませんよ。専門家だってまぜこぜのものを書いているんですから。逆に一方、旧仮名遣いといいますか、歴史的仮名遣いと私たちは言っております、そして古い文字、正統漢字と私たち言っております、それに徹して書ける者もほとんどいない。もう日本人は両方ごちゃごちゃしてしまっているんですよ。大体、日本語を簡明にするとか平易にする必要なし。そこが間違っているんですよ。平易でないところにいいところがあるんですよ。豊かなる思想と豊かなる感情があればこそ、言葉がたくさんあるんじゃありませんか。今の若い人たちは語彙が少ない。語彙が少ないということは思想が単純だということですよ。感情が粗いということですよ。
そして、この平易な外国人のための日本語、なぜそんな必要があるんですか。旅行する日本人のために、どこの国が自分の国の国語を直してお迎えをしますか。日本人は、外国へ行くときはそれなりの苦労をして、片言まじりの向こうの言葉を使うなり、通訳を頼むなり苦労をしているわけだ。よその国の人が日本に来たら、日本の言葉で苦労すればいい。そのくらいの襟度がなくて、どうして我が国が独立国家であり、かつ、世界に冠たる経済大国でありますか。経済大国であっても精神的には五等国、ここが問題なんだから、国語は豊かなる方がいい。言葉は複雑なる方がいい。簡明にすると言うが、簡明にするんだったらワンワンでいい。あれはワンワンだけで、遊びに行ったり、いやよ、いやよというような表現をしているわけですから。赤ちゃんだってバアバアと言えば、みんなお母さんがわかってくれる。これは思想が単純だからです。
ですから、豊かなる言葉こそ我が国の誇りじゃありませんか。その誇りを文部省が持たないならば、これはもう亡国の兆であるというふうに私は申し上げさせていただきまして、文部省が大いに自信を持って、豊かなる日本語を回復していただきまするようにお願いしたいと思います。
続きまして、その漢字の制限につきまして、今文部省は反省をされまして、制限から目安に直したと言うんだけれども、どうして法務省は二千百十一字以外の文字を戸籍に受け付けないのです。子供の幸せを願って両親が幾日も相談した結果、あるいはまたふるさとのお父さん、お母さんに相談していい名前を決めて持っていったけれども、役所で受け付けない。最近、私は、サンケイ新聞にそのことの論文を書きました。そうしましたら、おびただしい数の賛成賛成という意見が殺到していますよ。どうして定着しているんですか。あれはあきらめてつけなかっただけです。何か、せんだって、少し緩和するような方向で、今要求されている文字はどのようなものか調査してみたいというようなことをおっしゃいましたけれども、いかがな作業が進んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/190
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191・南敏文
○南説明員 昭和六十三年の三月二十二日に、衆議院の法務委員会におきまして法務大臣が答弁いたしましたとおり、現在各法務局、地方法務局を通じまして、昭和五十六年に常用漢字、人名漢字が制定された以降におきます各市町村の窓口に、子の名に制限外の漢字を使用して出生届が出されたことがあるか、あるいはまた出されている場合にはその漢字の字種はどのようなものであるか、これらについて調査するよう準備をしているところであります。おそくとも、連休明けには具体的な調査に取りかかりたいというふうに考えております。
この調査の結果、相当数の字種が出てきた場合には、全国連合戸籍事務協議会の意見も聞いた上、必要があれば民事行政審議会で検討して、その制限の枠を幾らかでも緩和していくかということを考えております。
制限を全廃することについてはどうかというお尋ねもございましたが、これは昭和二十二年に全面改正されました現行の戸籍法におきまして、名に難解な文字を用いることによって生じます本人及び社会一般の不便を避けるため、子の名に用いる文字の制限に関しまして規定が設けられていたものでありますので、これにつきましては制限を全廃する考えはございません。
ただ、昭和二十六年あるいは昭和五十一年、五十六年におきまして、この制限に関しまして字種を追加してきたところでありまして、今後とも国民の要望把握に努めまして、社会情勢の変化に応じ、必要に応じまして、子の名に用いることができる漢字の見直しを図っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/191
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192・滝沢幸助
○滝沢委員 あなた、お若いようだから、幾人のお子さんがおられるか知りませんが、あなたたちの思いつきで日本じゅうの子供のお名前が、この字がだめだったり、きょうからこの字いいよ、そうなったら、先月来た人はこの字にもう一回つけ直してもいいんですか。そうじゃないでしょう。あなたたちの通牒一本で、あの法律のなにが一本で、きのうまでだめだった字がきょうから使ってよくなるわけだ。そういうことはおやめなさい。
〔鳩山(邦)委員長代理退席、委員長着席〕
今すべてが自由と言われている世の中に、せめて子供の名前ぐらいは自由につけさしたらいかがですか。難解な名前をつけさせられたために一生涯本人も社会一般も迷惑をするなんということはほとんどあり得ない。そんなことありますか。どこの世界に、自分の子供が名前のことで苦労するようにといって名前を選ぶ人がありますか。一見難解に見えても、それはそれなりの親の願いと、よって来る理由があるのです。そして、仮に万が一そういうことがありましても、これは、あの赤軍の子供がそうであったように、家庭裁判所に申し出れば直すことができるのです。そういう救済の道があるわけですから。
人間の名前を制限したって、あなた、株式会社法によれば、会社にはどんな難しい漢字を使ったっていいことになっているのですよ。そして、大体名字を直すことができないでしょう。ですから「滝沢」は直せない。「幸助」だけをどうかしてみたって、そして歴史上の人物に対してだって、五代前のおじいちゃんに対してだって私たちはつき合っていくわけですよ。これは直せないでしょう。全然効果のないことです。こういうことはやめた方がよろしいのですよ。名字を直すことができなくて、名前の分だけ。そして、戦後に生まれた子供に対してだけであって、戦前の者、今の我々もそうだけれども、生きている者、亡くなった人々、それこそさっきも言ったように伊邪那実命、伊邪那岐命とも私たちはつき合うわけだ。そのときに、この文字、直すことができますか。どこの世界に、もちろんよその国は文字も簡単な国が多いけれども、名前を制限している国がありますか。
逆に、国民の良心、良識を信じなさい。信ずる上に立って法律はできているのですよ。つまり、今の法律からいうと、あなたたちのつくりましたあの法規によりますれば、字を百個書いて「たろう」と読ませたって受け付けざるを得ないのですよ。これはちょっと字数が多いじゃありませんか、いや、これは全部法務省が言っている字の範囲ですと言われては仕方がないのですよ。しかしそういう人はいないことになっているんだ。良識を信じているわけですよ。ですから、全部ああいうものは開放したって、そんなばかな名前をつけて一生涯子供を不幸にしよう、この子供の名前を通じて社会一般に迷惑をかけようなんという人は日本にいないということを信じなくちゃいけません。あなたが、撤廃する意思がありませんなんと言うほどの立場において日本の政治が動いておるのかどうか知りませんが、そういう不見識なことを言わずに。
そして、もう一つ言いたいことは、役人のやることはだめなんです。警察もそうです。何かというと、自分の部下を調べるわけですよ。ですから市役所を調べたって、市役所では、いや、そういうのはございませんでした。ございませんはずですよ、その前にちゃんとそこでマスターしているわけですからね。ですから、それは市役所に聞いたってわかりませんよ。もう名前をつけるときに、窓口であるいは窓口に行く以前に、名前のつけ方百科事典を見て、問題のないようにやっているのですから。私の息子だって名前をつけるときに、お父さん、こういう名前をつけたい、それはないからだめだよ。こういうふうに、そこでもうやっているわけです。だから、意見広告を出して、そういう例があった人は申し出てくださいとしたら、おびただしくこれは来ますよ。サンケイに私がわずか百字書いただけで五十通も来ているわけですからね。市役所へ聞いてもわかりません。意見広告を新聞に出してごらんなさいテレビに出してごらんなさい、おびただしい数の、これはやめてくださいというのが来ますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/192
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193・南敏文
○南説明員 先生のお尋ねは、結局私どもがしようとする調査についての方法だと思いますが、市町村の窓口といいますのは一番市民と接しているところでありますので、そこを通じて調査をしていきたいというふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/193
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194・滝沢幸助
○滝沢委員 何というかたくなな頭の持ち主ですか。市役所に聞かないで市民に直接聞きなさいと私は言っているわけだ。そんなところは政府の言いなりになるのは当たり前でしょう、補助金をもらって役場をやっているのですから。市役所に聞かないで、窓口に聞かないで、窓の外の市民、国民に聞きなさいと言っているわけだ。そうでなくちゃだめじゃないですか。事ほどさように頭のかたい役人を相手に、私たちは日本の国の政治を論じなくてはならないのです。これをしも不幸と言わずして何ぞやと申し上げたいのであります。
大臣、お聞きのようなことです。文部省が、あの漢字の制限を思い出して、そして当用漢字というものをつくって、これ以外の字は使うなということだったのですよ。そのときの精神を今も法務省はかたくなに守っているわけですから、文部省が、これは一つの目標です、このほかの文字も使っていただいて結構ですとなったのを、壁一つ向こう、いやビル一つ向こうの法務省は知らないわけですから。私は、竹下内閣の各省庁の整合性を問うという気持ちで、どうかひとつ両省相談をされて、国民にせめて子供の名前ぐらいは自由につけさせてあげる温かい政治を竹下内閣に望むのですが、望む方が無理でしょうか。自民党の諸君、いかがでしょうか。どうかひとつ、賢明なる御判断をお願いしたいと思います。
最後に、大臣から一言ロコメントをいただきまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/194
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195・中島源太郎
○中島国務大臣 滝沢先生の熱烈な御指摘は、よく心に置いて対処いたしたいと思います。
半分おしかりを受け、半分お褒めいただいたのは文部省の当用漢字表、これは昭和二十一年にできたものでございまして、そのときの事情もございましょうけれども、これは今はよりどころと申しますか目安と申しますか、それぞれの分野や個々人の表記にまで及ぼすものではない、こういうことにしておりますので、この点で幅広く御活用いただくということになることを望んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/195
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196・滝沢幸助
○滝沢委員 いろいろとありがとうございました。とにかく文部、法務両省におきましてひとつ御相談をいただきたい。
ただ、最後に確認いたしますが、既に講和条約は発効して占領は終わったのです。マッカーサー以下進駐軍はいないのです。そのことを日本の政治が自覚しなければ、これは日本の民族、将来の大きなる不幸の入り口だ。そろそろ占領から目覚めなさいと申し上げざるを得ない、こういう状況であります。
大変長い間ありがとうございました。委員長、御苦労さまでした。大臣以下各位、御苦労さまでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/196
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197・中村靖
○中村委員長 この際、日本社会党・護憲共同、日本共産党・革新共同所属委員に再度出席を要請いたしますので、暫時休憩いたします。
午後八時四分休憩
────◇─────
午後八時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/197
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198・中村靖
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
日本社会党・護憲共同、日本共産党・革新共同所属委員に出席を要請いたしましたが、御出席がありませんので、やむを得ず議事を進めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/198
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199・北川正恭
○北川(正)委員 動議を提出いたします。
本案に対する質疑は、これにて終局されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/199
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200・中村靖
○中村委員長 北川正恭君の動議について採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/200
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201・中村靖
○中村委員長 起立総員。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/201
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202・中村靖
○中村委員長 この際、本案に対し、町村信孝君から修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。町村信孝君。 ─────────────
国立学校設置法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/202
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203・町村信孝
○町村委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案の施行期日は、本年「四月一日」としておりますが、既にその期日が経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。
何とぞ、委員各位の御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/203
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204・中村靖
○中村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/204
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205・中村靖
○中村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに国立学校設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決に入ります。
まず、町村信孝君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/205
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206・中村靖
○中村委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/206
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207・中村靖
○中村委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/207
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208・中村靖
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
─────────────
〔報告書は附録に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/208
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209・中村靖
○中村委員長 次回は、来る二十二日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205077X00719880420/209
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