1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年三月二十五日(金曜日)
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議事日程 第八号
昭和六十三年三月二十五日
正午開議
第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件
第四 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)
第五 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案(内閣提出)
第六 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第七 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第八 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
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○本日の会議に付した案件
日程第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件
日程第四 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)
日程第五 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案(内閣提出)
日程第六 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第七 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第八 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)
昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/0
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001・原健三郎
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/1
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002・原健三郎
○議長(原健三郎君) 日程第一、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。法務委員長戸沢政方君。
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裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔戸沢政方君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/2
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003・戸沢政方
○戸沢政方君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、簡易裁判所判事の員数を五人、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十五人増加しようとするものであります。
委員会においては、去る二十二日提案理由の説明を聴取した後、審査を行い、これを終了し、直ちに採決を行ったところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/3
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004・原健三郎
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/4
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005・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/5
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006・原健三郎
○議長(原健三郎君) 日程第二及び第三の両件とともに、日程第四は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略し、三件を一括して議題とするに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/6
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007・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。
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日程第二 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件
日程第四 漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/7
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008・原健三郎
○議長(原健三郎君) 日程第二、漁港法の一部を改正する法律案、日程第三、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件、日程第四、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案、右三件を一括して議題といたします。
委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。農林水産委員長菊池福治郎君。
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漁港法の一部を改正する法律案及び同報告書
漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件及び同報告書
漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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〔菊池福治郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/8
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009・菊池福治郎
○菊池福治郎君 ただいま議題となりました三案件について申し上げます。
初めに、内閣提出の二案件につきまして、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、漁港法の一部を改正する法律案は、最近における水産業をめぐる情勢の変化を踏まえ、漁港の整備促進を図るため、漁港施設の追加等を行うとともに、国は、当分の間、水産業協同組合に対し日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入の活用による資金の貸し付けを行うことができることとするものであります。
また、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件は、昭和五十七年第九十六回国会において承認した漁港整備計画の計画期間が本年度をもって終了するため、水産業をめぐる情勢の変化に即応するよう、その全部を変更して国会の承認を求めようとするものであります。
両案件は、去る二月十二日本委員会に付託となり、三月二十二日佐藤農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、翌二十三日質疑に入り、同日質疑を終局いたしましたところ、漁港法の一部を改正する法律案について日本共産党・革新共同から、日本電信電話株式会社の株式の売り払い収入の活用による資金の貸し付けに係る事項を削除することを内容とする修正案が提出され、討論の後、採決いたしました結果、修正案は少数をもって否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。また、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
なお、両案件に対し附帯決議が付されました。
次に、漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
本案は、三月二十三日の農林水産委員会において全会一致をもってこれを成案とし、委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
御承知のとおり、漁業協同組合合併助成法は、昭和四十二年に制定され、以来三回にわたり延長措置を講じてきたところであります。その間、本制度をてこに漁業協同組合の合併が進められてまいったのでありますが、最近における漁協の経営状況とこれを取り巻く経済情勢の急速な変化等に対応して、零細な漁協の経営基盤を強化し適正な事業運営を行うことができる漁協を育成することが緊急の課題となっております。
本案は、こうした課題にこたえるため、昭和六十年三月末日をもって期限切れとなっている同法に基づく合併及び事業経営計画の認定制度の適用期間を、この法律の施行の日から昭和六十八年三月三十一日まで復活延長することとし、この合併及び事業経営計画の認定を受けて合併する漁業協同組合に対し、従前と同様、法人税、登録免許税、事業税等の軽減措置並びに漁業権行使規則の変更または廃止についての特例措置を講じ、合併促進の一助にしようとするものであります。
なお、本法案を決定するに際しまして内閣の意見を聴取いたしましたところ、佐藤農林水産大臣よリ、本法案について、やむを得ないものと考える、可決された暁には、その趣旨を体し、その適正な運用に努める旨の意見が述べられました。
以上が提案の趣旨及びその主な内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/9
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010・原健三郎
○議長(原健三郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第二につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/10
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011・原健三郎
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、日程第三につき採決いたします。
本件は委員長報告のとおり承認するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/11
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012・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
次に、日程第四につき採決いたします。
本案を可決するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/12
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013・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
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日程第五 産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/13
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014・原健三郎
○議長(原健三郎君) 日程第五、産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。商工委員長渡辺秀央君。
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産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案及び同報告
〔本号末尾に掲載〕
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〔渡辺秀央君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/14
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015・渡辺秀央
○渡辺秀央君 ただいま議題となりました産業技術に関する研究開発体制の整備に関する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、技術革新の急速な進展に伴う産業技術をめぐる内外の諸情勢にかんがみ、我が国経済の一層の発展に資するとともに、技術開発を通じた国際社会への積極的貢献を図るため、先導的分野における創造的な技術開発を推進する産業技術に関する研究開発体制の整備を図ろうとするものであります。
その主な内容は、
第一に、新エネルギー総合開発機構を新エネルギー・産業技術総合開発機構に改め、同機構の業務に、産業技術に関する研究開発、研究基盤施設の整備及び研究基盤施設整備に必要な資金の供給、外国の研究者が参加する研究開発に対する助成等の業務を追加すること、
第二に、通商産業大臣は、機構にこれら新規業務を行わせるための基本方針を定め、これを機構に指示するとともに、公表するものとすること、
第三に、産業基盤整備基金の業務に、機構の出資を受けた者が行う研究基盤施設の整備に必要な資金の借り入れに係る債務保証の業務を追加すること、
第四に、新エネルギー総合開発機構の根拠法である石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律について、所要の改正を行うこと
等であります。
本案は、去る三月二日当委員会に付託され、三月二十二日田村通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、翌二十三日参考人を招致して審査を行い、同日質疑を終了し、討論、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/15
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016・原健三郎
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/16
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017・原健三郎
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/17
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018・自見庄三郎
○自見庄三郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
日程第六とともに、内閣提出、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を追加して、三案を一括議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/18
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019・原健三郎
○議長(原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/19
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020・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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日程第六 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/20
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021・原健三郎
○議長(原健三郎君) 日程第六、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。建設委員長中村喜四郎君。
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道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔中村喜四郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/21
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022・中村喜四郎
○中村喜四郎君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、道路を緊急かつ計画的に整備して道路交通の安全の確保とその円滑化を図るとともに、生活環境の改善に資するため、道路整備緊急措置法について、昭和六十三年度を初年度とする第十次道路整備五カ年計画の作成、地方道路整備臨時交付金制度の拡充等の措置を講ずるとともに、奥地等産業開発道路整備臨時措置法について、その有効期限を昭和六十八年三月三十一日まで延長しようとするものであります。
本案は、去る二月五日本委員会に付託され、三月二十三日越智建設大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十四日質疑を終了、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対しましては、地方公共団体の長の意見の参酌等七項目の附帯決議が付されました。
次に、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、良質な賃貸住宅の供給促進等のため、農地の所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅の建設等に要する資金の融通について、政府が利子補給金を支給する旨の契約を結ぶことができる期限を、昭和六十六年三月三十一日まで延長しようとするものであります。
本案は、去る二月五日本委員会に付託され、三月二十三日越智建設大臣から提案理由の説明を聴取し、本二十五日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
次に、特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、特定市街化区域農地の宅地化を促進するため、特定市街化区域農地の所有者等が市に対して土地区画整理事業の施行の要請をすることができる期限及び特定市街化区域農地の所有者等が当該農地を転用して賃貸住宅または分譲住宅を建設する場合等における住宅金融公庫の貸し付けの特例を適用する期限を、昭和六十六年三月三十一日まで延長する等の措置を講じようとするものであります。
本案は、去る二月五日本委員会に付託され、三月二十三日越智建設大臣から提案理由の説明を聴取し、本二十五日質疑を終了、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/22
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023・原健三郎
○議長(原健三郎君) これより採決に入ります。
まず、日程第六及び特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/23
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024・原健三郎
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
次に、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案は委員長報告のとおり決するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/24
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025・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第七 農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/25
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026・原健三郎
○議長(原健三郎君) 日程第七、農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員会理事戸塚進也君。
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農林水産省設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔戸塚進也君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/26
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027・戸塚進也
○戸塚進也君 ただいま議題となりました農林水産省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、農林水産省の所管行政に属する重要な政策の企画立案及び実施に関する事務を総括整理する農林水産審議官一人を設置しようとするものであります。
本案は、一月二十九日本委員会に付託され、三月八日佐藤農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十四日質疑に入り、農林水産審議官の設置理由、牛肉・オレンジ等の輸入自由化問題、食糧の自給力の強化、捕鯨禁止問題に対する対応等、広範多岐にわたって質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて、同日質疑を終了し、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/27
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028・原健三郎
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/28
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029・原健三郎
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第八 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/29
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030・原健三郎
○議長(原健三郎君) 日程第八、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
委員長の報告を求めます。逓信委員長塚原俊平君。
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放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔塚原俊平君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/30
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031・塚原俊平
○塚原俊平君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、逓信委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本件は、日本放送協会の昭和六十三年度収支予算、事業計画及び資金計画について、国会の承認を求めるものであります。
まず、収支予算について申し上げます。
受信料の月額は前年度どおりでありまして、事業収支においては、百二十四億四千万円の不足額が生じ、昭和六十二年度以前からの繰越金をもって補てんすることとしております。
資本収支については、収入は七百四億九千万円、支出は五百八十億五千万円となっており、このうち、建設費として衛星放送の継続に必要な設備の整備、老朽の著しい放送機器の更新整備等のために四百四十億円を計上しております。
次に、事業計画について、その主なものを申し上げますと、
全国あまねく受信できるよう、衛星放送の継続に必要な設備の整備を取り進めるなど、テレビジョン、ラジオ放送網の整備を進めること、
視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな放送番組を提供すること、
受信料負担の公平を期するため、受信料制度の周知徹底を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること
等としております。
これらの実施に当たっては、経営全般にわたり、極力業務の合理的、効率的運営を徹底することとしております。
最後に、資金計画については、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てております。
なお、本件には、「おおむね適当なものと認める。」との郵政大臣の意見が付されております。
本件は、去る三月一日逓信委員会に付託され、委員会においては、二十四日中山郵政大臣から提案理由の説明を、また、川原日本放送協会会長から補足説明を聴取した後、質疑を行い、討論の後、採決の結果、本件は賛成多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。
なお、本件に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/31
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032・原健三郎
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/32
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033・原健三郎
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/33
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034・自見庄三郎
○自見庄三郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
内閣提出、公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、委員長の報告を求め、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/34
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035・原健三郎
○議長(原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/35
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036・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/36
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037・原健三郎
○議長(原健三郎君) 公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。環境委員長吹田愰君。
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公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔吹田愰君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/37
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038・吹田愰
○吹田愰君 ただいま議題となりました公害健康被害の補償等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案の主な内容は、
第一に、大気汚染の影響による健康被害を予防するために必要な事業の財源に関し、公害健康被害補償予防協会に対し政府が出資を行い、出資された金額は協会の基金に充てること、
第二に、既に認定された患者に関する補償給付の支給等に要する費用の一部に充てるため、昭和六十三年度から昭和六十七年度までの五年間、引き続き自動車重量税からの財源措置を延長するものであります。
本案は、去る二月二十九日本委員会に付託され、三月二十二日堀内環境庁長官から提案理由の説明を聴取した後、審査に入り、同日質疑を終了し、本日討論、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/38
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039・原健三郎
○議長(原健三郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/39
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040・原健三郎
○議長(原健三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/40
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041・自見庄三郎
○自見庄三郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
議院運営委員長提出、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案及び衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案の両案は、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/41
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042・原健三郎
○議長(原健三郎君) 自見庄三郎君の動議に御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/42
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043・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。
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国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案(議院運営委員長提出)
衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案(議院運営委員長提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/43
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044・原健三郎
○議長(原健三郎君) 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案、右両案を一括して議題といたします。
委員長の趣旨弁明を許します。議院運営委員長三塚博君。
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国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案
衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案
〔本号末尾に掲載〕
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〔三塚博君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/44
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045・三塚博
○三塚博君 ただいま議題となりました国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案及び衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案でありますが、これは、本年四月から文書通信交通費の月額六十五万円を七十五万円に引き上げようとすること、並びに国会議員の選択により、旅客会社六社の特殊乗車券または航空三社の航空券引換証のいずれかを交付しようとすること等であります。
次に、衆議院事務局職員定員規程の一部を改正する規程案でありますが、これは、本年四月から事務局職員の定員千七百十五人を千七百十六人とするものであります。
以上両案は、いずれも議院運営委員会において起草提出いたしたものであります。
何とぞ、御賛同賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/45
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046・原健三郎
○議長(原健三郎君) 両案を一括して採決いたします。
両案を可決するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/46
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047・原健三郎
○議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも可決いたしました。
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昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/47
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048・原健三郎
○議長(原健三郎君) この際、内閣提出、昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣宮澤喜一君。
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/48
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049・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には依然として厳しいものがあり、我が国経済の着実な発展と国民生活の安定、向上を図るためには、引き続き財政の改革を強力に推進し、その対応力の回復を図ることが緊要であります。
このため、政府は、昭和六十三年度予算におきまして、歳出の徹底した見直し、合理化等に取り組むことにより、昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質から脱却し、公債依存度を引き下げるという努力目標達成に向けて着実に前進することといたしております。
まず、歳出面におきましては、国民健康保険制度の改革を初めとする既存の制度、施策の見直しを行い、特に経常経費について一層の節減合理化を行うとともに、内需拡大の要請に配意し、一般公共事業費についてNTT株式の売り払い収入を活用すること等により前年度当初予算に対し二〇%増という極めて高い水準を確保するほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしております。
他方、歳入面におきましては、税制につきまして、税制の抜本的改革との関連に留意しつつ、最近の社会経済情勢等に即応して、当面早急に実施すべき措置を講ずるとともに、税外収入につきましては、可能な限りその確保を図ることとしております。しかしながら、昭和六十三年度におきましては、なお財源が不足するため、特例公債の発行を行うこととするほか、国債費定率繰り入れの停止などの措置をとらざるを得ない状況にあります。
本法律案は、以上申し述べましたうち、昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置として、同年度における特例公債の発行、国債費定率繰り入れ等の停止、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例について定めるものであります。
以上、昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
────◇─────
昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/49
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050・原健三郎
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。野田幸一君。
〔野口幸一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/50
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051・野口幸一
○野口幸一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十三年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に関連いたしまして、総理並びに大蔵大臣に若干の質問をいたします。
まず、質問に先立ちまして、昨日、中国におきまして修学旅行中の高知県学芸高校の生徒諸君が列車事故に遭遇され、まことに痛ましい事件が発生いたしました。お亡くなりになりました方々に心から哀悼の意を表するものでございますとともに、負傷されました方々の一日も早い御回復をお祈りするものでございます。また、政府といたしましても、緊急に適切な対応をおとりになるよう要請するものでございます。
さて、今我が国は政治的にも、経済的にもまことに重要な局面を迎えております。また、竹下内閣といたしましても、初めての予算の編成であり、竹下総理としては五期、四年六カ月にわたる大蔵大臣を担当されました経緯から考えましても、経済通として知られる総理の発想の転換と新しい感覚に基づく予算が示されることをひそかに期待していたのであります。しかし、残念ながら本法案にも見られるごとく、また、さきに本院を通過いたしました租税特別措置法の一部改正にいたしましても、旧態依然としてその場逃れの場当たり式な組み立てに終始しておりますことは、期待を大きく裏切られた感、ひとしおのものがあるのでございます。
総理、総理の発想される「ふるさと創生論」なるものは、国民とのコンセンサスを中心に実行するものと言われております。今国民は、経済の竹下としてのわかりやすい論理のもと、財政再建への道を求めているのであります。しかしながら、初めにも申しましたように、竹下内閣としての予算編成に当たり、財政経済の中長期的展望と財政再建にかかる戦略を国民に示し、内外の構造変化に対応した強力的かつ弾力的な構成によるものとは裏腹に、その進路も戦略も不明確のまま終始しておりますことはまことに残念であります。総理は、予想外の歳入増にあぐらをかき、いわゆるなし崩し予算を組むにとどまり、そこには明るい展望はおろか国民に不安と焦燥を与えているのであります。
昨年一年間の財政をめぐる諸条件の変化は、国際的不均衡と円高による内需拡大の強化を緊急的課題とされ、これまでの抑制的財政はもはや保持することは困難となりました。また、税収の増加やNTT株の予想外の高額な売却収入などにより、この内需拡大政策と公債発行の減額が両面的に可能となり、政府は財政改革と再建の展望が切り開かれたとして悦に入った説明がなされているのであります。しかし、財政再建の道は総理の言われるほど明るいものではなく、税収の予想以上の増加は所得税減税がいかに少額であったかという証拠であり、いわゆる自然増という名の増税によるものであります。所得税は、今さら言うまでもなく累進課税であり、名目所得の上昇はたちまち自動的増税につながり、今までどおりの所得税の重圧感を一層強めているのであります。
政府は常に「増税なき財政再建」という言葉を使われてまいりましたが、増税とは新たな税目を設けることによる税収を言うとの論理を展開されてまいりました。しからば、税率の変化等による減収の場合は、減税と言うのではなく減収を図ったと言うべきでありますが、減らしたときだけは減税をしたとおっしゃいます。増加したときは増税ではなく増収だと言われておりますが、一体増税とは、また減税とは何をもって根拠とするか、明確に改めてお示しいただきたいのであります。私は、国民の懐から税という名のつくお金が出ていく額が一円でも多ければ増税であり、一円でも少なければ減税であると理解しておりますが、いかがでしょうか。となりますならば、今日まで「増税なき財政再建」という言葉は全く空虚で、大うそであったと言えるのでありますが、いかがでしょうか。総理の明快なる答弁を求めるものであります。(拍手)
また、今回の景気回復と言われるものの中には、土地価格の高騰、株式の一時的とも思われるブームも含まれていることをゆめゆめ忘れてはならないのであります。いずれにいたしましても、国民の汗の結晶であることを考えれば、国民にまず還元を図るべきであるということであります。しかし、公債発行の抑止減額に使用され、一定の効果を示したとも思われますが、同時にまた、公債発行を減らしたいためにそのしわ寄せがすべて社会資本の整備の遅滞や福祉、年金、医療などに大きな障害となって、国民生活に不安を増大させているのであります。また、あらゆる補助金行政も改善されず、さらに、これまでの歳出抑制の犠牲となってきた地方交付税特別会計の国庫負担分の借り入れ、社会保険会計の国庫負担分棚上げ等に見られるように、小手先の細工がまだ使われておりまして、その額もまた巨大になっておるのであります。かつ、防衛費関係の国庫債務負担行為によるものなど、過去の粉飾予算のツケであるものはどのようにして処理をされるのか、お伺いいたしたいのであります。たとえ六十五年度特例公債脱却が可能といえども、この処理を忘れてはなりませんが、総理大臣としての御所見を承りたいのでございます。
次に、国民に明確にお示しいただきたいのは、膨大なる累積債務の償還についてであります。
建設公債といえども永久的社会資本の投資ではありません。当然耐用年数もあり、建設公債の発行もまた重要な考察を加える時期を迎えています。一体この累積する債務をどのように処理をされるお考えなのか、大蔵大臣に伺いたいのであります。
さらにまた、公社公団の民営化に徹し、その株式の売却益による大幅な埋め込みは考えられませんか。今日、公社公団の資本金合計六兆七千億を仮に二十倍の株価として仮定勘定をいたしますと、約百三十兆円に達すると言われております。十カ年計画ぐらいで実行に移してはどうだという声もあるのでありますが、いかがお考えでしょうか。このような措置がとられるとするならば、現在既に国債費を除く実質歳出は、税収、税外収入により賄われており、財政再建の一つのめどが明らかになると思うのでありますが、いかがなものでありましょうか。この際、積極的な御答弁をいただきたいと思うのであります。
次に、税制改正についてお伺いをいたします。
政府税調は早々と間接税等の課題を初めとする具体案を示されました。国民は一層のいら立ちと不安をかこっております。このような時期に政府税調をして公表されるものは、たとえ案であるとはいえ、昨年の売上税同様、税改革の正しい議論を妨げるものでありまして、まことに残念であります。
さて、大蔵大臣は、税制の改革はまず増税ありきではなく、あくまでも制度の改革であり、増減税はプラス・マイナス・ゼロ、直間比率はその後自然的に改められていくもので、あらかじめ五対五とか六対四とかが望ましいとして考えているものではないと言われておりますが、しかし一方では、資産、所得、消費の三部門において均衡のとれたものが望ましいとも言われているのであります。その望ましいと言われる比率は一体どのくらいだとお考えなのか。これもまた明確にお聞きいたしたいのであります。
仮に、改定時、いわゆる税収としてプラス・マイナス・ゼロということが実現いたしましたといたしましても、それは全く一時的なものにすぎず、老齢化社会の到来による対策としての恒久財源が必要とも言われているのでありまするから、それは裏返せば全くの詭弁にすぎないものと思うのであります。税制改革の言うニュートラル方式とは、将来を展望すれば必ず増税となさざるを得ない仕組みであるということをなぜ堂々と言われないのでありましょう。それとも、あくまでも国民負担率現在三七・五%は絶対に堅持するということでありましょうか、お伺いいたしたいのであります。しからば、その様相をでき得る限り的確に把握し、しかも平均寿命の延び、医療の進展と負担の構造、家庭環境や年金など、あらゆる面からの二十一世紀に向けての考察を国民とともに考え、知恵を絞って、その未来図を描き、国民の理解と協力を得られるプロセスを踏んでいただきたいのであります。さらに、今日既に産業構造の調整に伴う雇用不安についても重大な課題を抱えております。対外的、対内的不均衡是正とともに、この課題についてもぜひお伺いをいたしておきたいと存ずるものであります。
最後に、私は、大蔵委員会の任務について、さらにまた、国会審議のあり方について申し上げたいと存じます。
本来、大蔵委員会は、重要な国の財源にかかわる法案、課題を抱えている委員会であります。既に本年度予算は本院において成立いたしておりますが、その財源にかかわる法案をさておき、予算が先に成立するということはいかがなものかと思考するのであります。税制問題にいたしましても、これまた大蔵委員会の担当議案であり、国会の民主的運営から考えましても本来大蔵委員会で論議すべきものであり、その協議を別途行われることはさておき、大蔵委員会における審議を並行し、大蔵委員会による公聴会、または参考人招致など、国民の目の前で堂々と議論を展開すべきものと思いますが、総理並びに大蔵大臣は、この実態を知りつつ、知らぬ顔の半兵衛を決めつけておられますが、総理からの御意見をぜひちょうだいいたしたいのであります。また、本院運営の責任者でもあります議長も、この事態を十分御承知おきいただきたいと思うのでございます。
この法案も既に予算には歳入財源として計上され、既に成立させた後、財源の特例措置の部分のみの上程であり、全く形骸化しているのであります。まさに本末転倒と言わざるを得ません。法案の審議のあり方について再考すべきであります。
この点を一言つけ加えまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/51
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052・竹下登
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、最初にお触れになりました高知学芸高校の中国修学旅行中の不慮の事故に対しましては、心からお悔やみを申し上げます。とともに、御指摘のように、政府としても早速外務政務次官を現地へ派遣したところでございますが、善後策等につきましては万全を期する所存でございます。
さて、次の財確法に対する御質疑でございます。
まず、新しい感覚に基づく財政再建構想を示せ、こういう御趣旨でございました。
財政改革の目的は、これは次の世代に過剰な負担を残さないよう、利払い費を含む国債費の重圧によって政策経費が圧迫されておる現在の財政構造を改善していく、このことは言うまでもないことでございますが、やはり今日まで長い間御議論を申し上げてまいりました。まずは、六十五年度特例公債依存体質脱却という努力目標達成に向けて、これからも引き続き努力を重ねていく所存であります。そうして、さらには公債依存度の引き下げに努める、かくして財政体質の改善を図る、このような基本的な認識を今日も持っております。
次に、増税、減税の定義の御議論でございました。
増税、増収、減税、減収、こういう言葉は広く社会一般に便宜的に使われております用語でありまして、厳密な定義はなかなか困難であろうと思います。ただ、御意見の中にもございましたが、「増税なき財政再建」この「増税なき」の定義につきましては、これもたびたび議論をいたしましたが、臨調答申で述べられておりますように「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない」これをまず基本として理解をしております。次には、やはり六十一年の六月、行革審最終答申におきまして「増税なき財政再建」は「租税負担率を上げない範囲内で税制改革の一環としての税目や税率の新設改廃や見直しまで否定しているものではないことは当然である。また、税の自然増収、不公平の是正等の結果、租税負担率が上昇することも否定されるものではない。」こういう確認をいただいておるところであります。
次の問題は、長い間の予算編成に当たりましていろいろなツケ回しというような御批判がございました。各種施策は、大変厳しい財政事情のもとで、経費の節減効率化を図っていくためそれぞれ行ったものでありますが、これに伴います後年度負担の問題につきましては、その制度、施策をめぐる状況を十分検討し、その運営に支障をもたらすことのないよう適切に対処してまいる考えであります。
そして、今後の高齢化社会への展望等の御意見もございました。
政府は一昨年六月、活力ある長寿社会、包容力ある長寿社会、豊かな長寿社会、これを基本方針とする長寿社会対策大綱を策定して、これに従って各分野にわたる政策を進めてまいりましたが、昨年十月、長寿社会対策の実施状況をフォローアップして、これを明らかにしてまいりました。したがって、今後とも適切にフォローアップして、その結果を広く公表しながら、国民の理解と協力を得ながら施策の実現に当たっていこうという基本的考え方であります。
そうして、円高等に伴う産業構造調整、それに伴うところの雇用問題、この認識は全く私もひとしくいたしております。こうした雇用問題の対処に当たりましては、内需主導型の経済成長を図りますとともに、新たなる技術革新、情報化の成果を生かすなどによって新たな発展分野への開拓を図ってまいりたい。地域経済の活性化のための施策とともに、まさに産業・地域・高齢者雇用プロジェクト、これらの実施等の雇用対策を積極的に進めていきたいと考えております。
それから、税制は大蔵委員会、こういう御議論でございました。従来ともいわゆる歳入委員会として機能されてきたことは十分承知いたしております。その運営そのものについては、国会自体の問題でございますので、行政府の立場からの批判は差し控えるべきではなかろうか、このように考えております。
以上でお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/52
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053・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般会計のうち国債費が二〇%をなお占めておりますので、これはいかにも政策経費が圧迫をされておるということでございまして、これから世の中がいろいろ変化してまいりますときに、財政の弾力性というものが大変に失われている、これは財政エゴという意味ではなくて何とかこの負担は軽くしていきたいものと考えております。したがいまして、さしずめ、新規の特例公債の発行を六十五年度には何とかやめられないものか、特例公債依存の体質から脱却したいと考えておりまして、現実の政策課題になってまいりましたので、何とか全力を挙げて達成をいたしたいと考えております。
それにいたしましても、ただいま総理も言われましたように、この財政再建の過程におきまして各種の特別会計等々にいろいろな一般会計が借り入れをしておる、あるいは繰り入れるべきものを停止しておるということは御指摘のとおりでございまして、十兆円を上回る金額かと存じます。これは、やはり特例公債発行をやめました後取りかからなければならない問題でございまして、そういう意味では、財政再建、仮に特例公債の新規発行をやめましてもなお道半ばと申さなければならないと存じます。
なお、それに関連いたしまして、公社公団等々あるいは国営企業等でいわゆる民営化をして財源を得る方法はというお尋ねは、まことにごもっともなことであります。もともと我が国は民間主体の経済運営でございますから、このような半政府的なものはできれば民間に移すことが望ましいのでございます。したがって、それは常に検討すべき課題でございますが、ただいま具体的に日程に上っておるものはございません。
それから、資産、所得、消費のこの三部門の問題についてお尋ねがございましたが、今日のように経済社会が複雑になってまいりますと、一つの税目に依存をして歳入を賄う、しかも税の公平感を満たすということは非常に困難なことになってまいりまして、やはり幾つかの税にそれを分けまして歳入を賄い、また公平感を実現するということが現実的な選択であるというふうに考えております。そういう観点から見まして、我が国が国際社会に入りまして、しかも石油危機等に遭遇した、したがって、そのころから大量の公債発行が行われるわけですが、昭和五十年代ころから今日までの推移を見ますと、源泉所得税のウエートは非常に大きくなっております。その反面、間接税のウエート、消費税のウエートは非常に小さくなっておるという傾向がずっと今日まで続いておりますので、これはやはり一つのゆがみ、不公平感、重税感が生ずるゆえんではないかと考えております。
それならばどのようなバランスが適正かということは、一義的に申しにくうございますし、そのときの経済社会の状況にもよることでございますが、今税制調査会において御検討願っておりまして、結果として出てくる組み合わせというものが公平感も満たし、また歳入を賄うということになっていくのではないかというふうに考えております。
それから、将来の租税及び社会保障合計の負担の問題でございますが、これはどのような給付、公共支出を国民が期待されるかによりまして負担の水準も変わってくる、そういう関係にございますが、政府はどのぐらいの負担を目指すかということを公式に決定したことはございません。しかし、例えば行革審などでは、今後、租税負担と社会保障負担を合わせた意味での国民負担というのは長期的にある程度上昇することはやむを得ないであろう、しかし、極力抑制すべきではないかということを述べておられまして、大体政府部内でも暗黙にはそのような共通の理解があると存じておりますが、具体的に決定をいたしたことはございません。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/53
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054・原健三郎
○議長(原健三郎君) 橋本文彦君。
〔橋本文彦君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/54
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055・橋本文彦
○橋本文彦君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる財確法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問いたします。
質問に先立ちまして、昨日上海市郊外で起きました列車の正面衝突事故におきまして、高知学芸高校の若き命がたくさん失われました。心から衷悼の意を表します。と同時に、負傷された方々の一日も早い回復を祈っております。先ほど総理大臣から、既に外務政務次官を派遣して善後策を講じておるという話がございましたけれども、異国の地でございます、関係者の気持ちをおもんぱかって、さらに適切なる措置を要請するものでございます。
さて、政府は、昭和六十三年度における国の財政収支が著しく不均衡な状況にあるとして、同年度の財政運営に必要な財源を確保せんがために、特例公債の発行並びに国債費定率繰り入れ等の停止などの特例を定めようとしております。
ところで、我が国の財政が経常的支出を経常的収入で賄うことができなくなった昭和五十年度に特例公債、いわゆる赤字国債を発行して以来、十有余年が経過しております。その間、昭和五十四年の財政再建に関する国会決議もありましたが、依然財政状況は改善されることなく、今日まで毎年のように多額の公債が発行され続けてまいりました。公債依存度も一時は最大約四〇%の高さを示した年度もありました。が、その後低下し、昨年六十二年度の公債依存度はようやく二〇%を切り、一九・四%を示すに至りました。しかし、当然のことながら、公債残高は年々増大の一途をたどらざるを得ず、昭和六十三年度末には百五十九兆円が見込まれております。そのために、昭和六十年度以降は利払い費だけで歳出全体の二割を超え、歳出項目としては最大のものとなっております。したがって、財政が本来期待されている役割を十分に果たし得ないという異常な状況が続いております。
財政再建は喫緊の問題であることは当然であります。主要諸外国におきましても、財政再建の努力を重ねているところであります。例えばイギリスは、小さな政府実現という方針のもとで、公債依存度は五%程度に引き下げられております。西ドイツ、フランスにおいても、歳出抑制及び財政赤字削減に関する目標が強化されております。財政赤字が増大し続けてきたアメリカは、財政収支均衡法の制定により一九九三年度までにすべての公債依存から脱却するという目標を掲げ、財政再建を行っていくとされております。諸外国に比べ財政状況が厳しい我が国において、真に必要な政府の役割はどうあるべきなのか、これを前提として質問に入ります。
第一に、六十五年度特例公債依存体質脱却目標及び後年度負担の問題であります。
六十三年度予算では、好調な税収、NTT株式売却収入を受けて、赤字国債発行額を限度三兆一千五百十億円としておりますが、これを対前年度予算と比較すると、一兆八千三百億円減額になるようです。建設国債を含む新規国債発行額は八兆八千四百十億円となり、そのため政府は、十年ぶりに新規国債発行額が十兆円台を切る、そして国債依存度も一九・四%から一五・六%に低下するとして、六十五年度赤字国債脱却の自信を深めているように見受けられます。確かに数字の上では財政状況は改善しているように見えますが、実態はマイナスシーリングのもとに福祉、文教予算の伸びを圧縮した上でのことであります。また、依然として後年度負担への繰り延べ、特別会計への移換等が行われております。事実、五十七年度以降の後年度負担の繰り延べは約十三兆円に上っております。言うまでもなく、本来的な財政再建は、単に機械的な財政赤字の削減ではなく、資源配分、所得再配分、経済の安定など、その機能を十分果たせるような財政システムにすることであります。財政赤字の削減を自己目的化して財政の帳じり合わせをしても、それは財政再建と似て非なるものであると言わなければなりません。総理は、赤字国債脱却後、特例公債については早期償還に努めていかなければならないと言っておられますが、その償還の中期長期的展望を示していただきたいのであります。六十五年度赤字国債依存体質脱却が可能と考えられているのか、もし可能なら、さらに膨れ上がった後年度へのツケ回し約十三兆円をどうされるのか、御答弁をいただきたいのであります。
第二は、減債制度に対する政府の考え方であります。
六十三年度においても国債償還のための繰り入れを停止しようとしております。減債制度は、公債政策に関し政府が節度ある姿勢を示すためのものとしてこの繰り入れ制度を確立したものであります。この制度により、償還金の確保と国債発行に対する歯どめがなされているとされております。しかるに、昭和五十七年から昨年までの特例措置に引き続き、本年も停止措置を講じようとしております。その累積金額は十二兆九千六百五十三億円に上ります。これは制度の破壊であり、健全財政の否定であると言わざるを得ません。この繰り入れ停止については、政府は、支障がなければよいとしているようですが、NTT株式の売却収入にはおのずと限度があります。政府は、減債制度についてどのようにお考えになられているのか、見解を示していただきたいのであります。
第三は、今後の財政運営と行政改革についてお伺いいたします。
政府・自民党がとってきた硬直的な緊縮型の財政運営のもとでは、六十五年度赤字国債脱却目標は困難な状況に陥っておりました。本年度の赤字国債の大幅減額が可能となったのは、おくればせながら円高克服のための財政出動以後の景気のてこ入れで、税収が大きく伸びた結果であります。したがって、厳しい財政状況であっても、財政の持つ機能を十分に生かして柔軟な財政運営を行わなければならないと思います。しかしながら、六十三年度予算の一般公共事業費は六十二年度補正後予算に比べると減額されていますが、景気動向によっては、今後、財政出動の用意があるのかどうか、御所見をお伺いいたします。
また、今日までの財政赤字削減は、国民の実質負担増、つまり、自然増収と経済情勢を無視したマイナスシーリングのような短絡的な歳出削減方式に依存しております。政府は、こうしたやり方を改め、仕事減らし、機構減らし等の行政改革を徹底的に推進すべきであります。その際、中央省庁の統廃合、地方出先機関の整理など、根本的な行政組織の見直しを行うべきであります。総理は一省庁一局を地方移転させようと考えておられるようでありますが、行政改革という面から見ても、小手先の改革ではなく、思い切った措置をとるべきであると考えます。地方へ権限、税源を大幅移譲すれば、行政の簡素化とともに、地方分散も進むと思います。御見解をお伺いいたします。
行政改革と地方分散が進まない原因は、中央省庁に権限、税源が集中しているからであり、国土の均衡ある発展、地方の活性化を図るためには、地方が持つ独創性、特殊性を生かすべきであります。地方自治体が個性的な都市、町づくり、地域に合った事業を行えるよう、重ねて権限、税源の大幅移譲を主張するものであります。
さて、総理は、五十四年の「財政再建に関する決議」について、税制改革は財政再建の決議の趣旨にも沿うとの考えを示されております。しかし、この認識は決議の精神を踏みにじるものと言わざるを得ません。この決議は、一般消費税の導入を否定し、安易な増税を行おうとすることへの歯どめともいうべき性格を持ったものであり、決議の趣旨は、まず行政改革、既存の税制の見直し、すなわち、現行税制の中にある不公平税制の是正を行うことにあります。この国会決議は生きているというのであれば、大型間接税の導入を断念するのが筋であります。総理の御見解をお伺いいたします。
あわせて、政府税制調査会がたたき台として示した二類型三方式、累積排除型の帳簿上の記録に基づいて控除を行う方式は、明らかに一般消費税であり、これは国会決議で否定されたものであると思います。また、税制改革については、既存の税制の不公平税制是正が先決であり、その具体策を明確にすべきであると思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
行政改革はまだ道半ば、不公平税制の是正もなされないまま大型間接税を導入しようとすることは、行政改革をあいまいにするものであり、容認することはできません。政府は、行財政を預かる立場として、水膨れの行政、肥大化する行政に陥るおそれのある安易な財源対策はとらないとみずからを戒めるべきであります。五十四年の総選挙では、国民は一般消費税の導入を明らかに拒否しました。また、昨年の第百八国会では売上税法案が国民の反対により廃案となりました。政府はこの厳粛な事実を謙虚に受けとめるべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。
最後に、内需拡大を着実に進めるために与野党間で合意した六十三年度の所得税減税を速やかに実施するよう要求し、決意を伺うとともに、行政改革を不十分にしたまま国民に負担を押しつけようとする大型間接税を画策するなど、財源あさりともいうべき政府の姿勢は断じて許せないことを申し述べまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/55
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056・竹下登
○内閣総理大臣(竹下登君) 最初に御指摘になりました高知学芸高校の修学旅行中の事故の問題につきましては、御指摘の趣旨を踏まえて今後とも努力をいたします。
さて、財確法に関する御質疑でございますが、六十五年度特例公債脱却の努力目標の達成は決して容易なものではないと思っております。NTT株式売却収入の活用など財政運営上の工夫を図りながら、引き続き御指摘のように経常経費の節減合理化、歳出削減の努力を続けるならば、それが前提にあって初めて実現の可能性はこれまでと比べるとより大きなものとなってきた、こういうことではないかというふうに思うわけでございます。したがって、今後ともこの目標に向けて最大限の努力をしてまいります。
それから、特例公債脱却後の展望でございます。
六十五年度特例公債依存体質脱却という努力目標の達成に向けて、ただいま申しましたように精いっぱいの努力をいたしますが、さてその後の償還方法につきましては、やむを得ず建設国債と同様のいわゆる六十年償還ルール、これをとらしていただいておるわけであります。今後の財政事情の中でできる限り早期償還に努めてまいりたい、この気持ちは十分に持っておりますが、現在、直ちに具体的な展望を示せということは、残念ながら今持っていないことを御理解をいただきたい、このように思います。
それから定率繰り入れの問題につきましても、減債制度の件についての御質疑がございました。
今、さらに繰り入れを行うとすれば、財源はまた特例公債に依存せざるを得ない、こういうことから五十七年度以降停止されて今日来ておるわけでございます。六十三年度においてもこの考え方をとらしていただいておる。これからやはり大事なことは国債政策に対する国民の信頼の保持ということでございますので、これには万全を期したいと考えます。
それから景気動向に応じました財政出動についての御意見がございました。
今、内需拡大に十分に資することができるという予算を参議院において審議されている段階でございます。したがって、今、今後における財政出動について考えを持っておるかと言われれば、持っておりません、こうお答えすべきであろうと思います。
それから、財政赤字削減は行革によるべきだ、仕事減らし、機構減らし、賛成でございます。立派な考え方であると思います。だからこそ今日までそれに努力をしてまいりました。今後ともこの点につきましては、さらに行政機構の簡素効率化を初め、引き続き行政改革を強力に推進していかなきゃならぬ、このように考えております。
それから、権限の地方移譲の問題もございました。
もとより多極分散型国土の形成等の観点からいたしましても、住民に身近な事務は住民に身近な場所で、こういう考え方に立ってこれからさらに検討してまいる所存でございます。機関委任事務の整理合理化等を引き続き推進してまいることは事実でございます。
そうなると、また地方との税源配分の問題が出てくるということもおっしゃるとおりでございます。これにつきましては、いろいろな税源というものがへんぱになっておりますので、それこそ地方交付税とか国庫支出金のあり方とか、そして行政事務配分のあり方とか総合的な検討を要する課題だと思います。
それから、国会決議問題についてお触れになりました。
私は、この国会決議に書いてありますとおり、今日まで行政改革による経費の節減、歳出の節減合理化、税負担公平の確保、既存税制の見直し等を抜本的に推進することによって財源の充実を図れ、こういう決議でございますので、この決議の趣旨に沿って、歳出歳入両面にわたり最大限の努力を重ねてまいりました。他方、抜本的税制改正の問題は、国民の皆様方の税に対する不公平感、これをなくすとともに、それこそたびたび申し上げるようですが、所得、消費、資産の間で均衡のとれた税体系を構築しようということで、今皆様方の意見を聞きながら鋭意努力をしておるところであります。
さてそこで、政府税調のたたき台の問題がございました。
二類型三方式、こういう御指摘でございましたが、この素案、本日の総会にかけられるということでございますので、総会に先立って現段階で見解を申し上げることは差し控えさせていただきたい、このように思っております。
さて、いわゆるこれからの税制改正につきましては、今謙虚に過去の事例を反省しろ、冷厳にその事実を認めよ、こういうお話でございました。
厳粛にこれらの反省の上に立って、さて、合意を得られるのはどのようなものであるかということをこれから相談していこう、こういうことでございます。
以上でお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/56
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057・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 大部分総理がお答えになられましたので、二点だけ申し上げます。
定率繰り入れのことでございますが、NTT等のこともございまして国債整理基金の円滑な運営が何とかやっていけるということでございますので、やむを得ず定率繰り入れを行わないことに今年もさせていただきたいと考えておるわけでございます。片方で特例公債を発行いたしておりますものですから、利子のつく金で減債基金を積むということは制度の本来の趣旨でもあるまいということでございますが、したがいまして、特例公債の発行がなくなりました段階で、この減債基金の問題は、新たに定率繰り入れの問題は考えていかなければならないと思います。
それからもう一つ、財政出動は景気動向いかんによって考えているかということでございまして、内需の振興あるいは社会資本の整備というのは内外の要請でございますから、このたびは、当初予算で前年度に比べて二〇%増という公共事業費を組んでおりますし、おかげさまで経済の動きは順調になってまいりました。もちろん、常に経済の動向には注意を払っていくことは怠らないつもりでございますが、ただいまの状況で申しますと、追加の財政出動は必要がないのではないかと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/57
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058・原健三郎
○議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/58
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059・原健三郎
○議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111205254X01019880325/59
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