1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月十九日(火曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 関口 恵造君
理 事
佐々木 満君
曽根田郁夫君
山本 正和君
中西 珠子君
委 員
石本 茂君
遠藤 政夫君
斎藤 十朗君
田代由紀男君
田中 正巳君
前島英三郎君
宮崎 秀樹君
対馬 孝且君
浜本 万三君
沓脱タケ子君
内藤 功君
藤井 恒男君
国務大臣
厚 生 大 臣 藤本 孝雄君
政府委員
厚生大臣官房総
務審議官 黒木 武弘君
厚生省健康政策
局長 仲村 英一君
厚生省保健医療
局老人保健部長 岸本 正裕君
厚生省社会局長 小林 功典君
厚生省保険局長 下村 健君
事務局側
常任委員会専門
員 此村 友一君
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本日の会議に付した案件
○国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/0
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001・関口恵造
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
国民健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。藤本厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/1
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002・藤本孝雄
○国務大臣(藤本孝雄君) ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
国民健康保険制度は、我が国の国民皆保険体制の基盤となる制度として重要な役割を果たしておりますが、制度を取り巻く社会経済が大きく変化し、人口の高齢化等を背景に医療費が増高する中で、運営上さまざまな問題を抱えるに至っており、その解決を図ることが重大な課題となっております。
そこで、保険料負担能力の低い被保険者の加入割合が高いという問題や医療費の地域差問題等、国民健康保険制度が当面している不安定要因に対して、国、都道府県及び市町村が共同して取り組む仕組みをつくることにより、国民健康保険事業の運営の安定化を図ることを目的として、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、指定市町村における国民健康保険事業の運営の安定化の推進であります。厚生大臣が指定する医療給付費等が著しく多額な市町村は、安定化計画を作成し、国及び都道府県の指導及び援助のもとに、給付費等の適正化等運営の安定化のための措置を講ずることとしています。
この計画の実施状況を踏まえ、指定市町村の給付費等が特別の事情を勘案してもなお被保険者の年齢構成等をもとに定める基準を超える場合、その基準を超える著しく高い給付費等の一定部分について、国、都道府県、市町村が六分の一ずつ共同で負担するものとしています。
第二は、保険財政基盤の安定化措置であります。市町村の国民健康保険の財政基盤の安定のため、市町村は、保険料負担能力の低い被保険者の保険料軽減相当額を基礎として算定した額を一般会計から国民健康保険特別会計に繰り入れることとし、国はその二分の一を、都道府県はその四分の一をそれぞれ負担することとしております。
第三は、高額医療費共同事業の強化充実であります。高額な医療給付が市町村の国民健康保険の財政に与える影響を緩和するため、国及び都道府県は、国民健康保険団体連合会が行う高額医療費共同事業に対してその費用の一部を補助することができることとし、これにより同事業の強化充実を図ることとしております。
第四は、老人保健医療費拠出金の国庫負担の見直しであります。保険財政基盤の安定化措置等を通じ、国民健康保険の運営の安定化が図られることから、その財政運営への影響に配慮しつつ、特例的に高くなっている老人保健医療費拠出金に係る国庫負担率を調整することとしております。
こうした改正のほか、被保険者資格証明書の交付を受けている場合の療養について社会保険診療の扱いとするなどその他所要の改正を行うこととしております。
以上申し上げた制度改正のうち、保険財政基盤の安定化措置、高額医療費共同事業に対する補助及び老人保健医療費拠出金に対する国庫負担の見直しの措置は昭和六十三年度及び六十四年度における措置としております。
最後に施行期日でありますが、本年四月一日から施行することとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要でありますが、この法律案につきましては、衆議院においてこの法律の施行期日を公布の日とする修正が行われたところであります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/2
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003・関口恵造
○委員長(関口恵造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/3
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004・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 大臣、御苦労さまでございます。
それでは、今回の国民健康保険法の一部を改正する法律案に関しまして、むしろその周辺と申しますか、こういう法律の改正だけで日本の公的医療保険制度というものが安定するかどうかという観点から、御質問をさせていただきます。
まず第一点でございますが、負担と給付の平等ということがよく言われております。御承知のように、公的医療保険制度には何種類かの保険者がございます。各保険者によりまして保険料率、いわゆる掛金率が異なっておりまして、また加入者の年齢構成、それから保険料を算出いたします基準となります平均賃金というものに大変大きな格差があるということがこの負担の公平と給付の平等というものを大きく阻害しているのではないかと私は思うわけでございます。
そういう意味で一つの例を挙げますれば、例えば国家公務員の共済組合の保険がございます。こ
れは、被保険者の掛金率は三八・六%、事業主も同じく三八・六%でございまして、トータルで七七・二%でございます。また、この保険者の中でも、参議院が実はこの保険に入っておるわけです。また外務省等各省庁も入っておりますが、それぞれ、中でまた異なる。それで、参議院では、先般、何か変なと申すと語弊がありますけれども、民間薬の詰め合わせみたいなものを配ったり、各保険者間でいろんなことをやっていらっしゃる。
また、政管健保では、被保険者の掛金率は四二%、事業主分が四二%で八四%でございます。また、ボーナスは一〇%で半分は被保険者が負担する。
組合健保に至っては、約千八百組合がございますが、平均事業主分は四六・二%で、被保険者分は三五・一%、トータルで平均が八一・三%ということになっております。ボーナスから保険料を徴収しているのはその中で約百七十組合だけでございます。
国民健康保険は、老人の加入者割合が一二・四%となっております。また、他の職域に比べ被扶養者を含めた高齢者が最も多い私学共済健保というのがございます。これでも老人の加入者割合は四%でございます。そうしますと、国保はこれの約三倍でございます。
このような状況で、まさにばらばらでございます。こういうことが現実ございますので、私は、これは一元化と申すよりも一本化、いわゆる公的医療保険制度の一本化というものを早く図らないといつまでもこのいわゆる負担と給付の平等ということはなし得ないと思うわけでございます。
そういう意味で、まず、こういうばらばらな状況に対しまして、この格差をどうお考えになっていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/4
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005・下村健
○政府委員(下村健君) 各制度あるいはその各制度に基づいてできております保険者によりまして、年齢構成の相違とかあるいはそれに伴う医療費の相違あるいは所得の差、いろんな原因がございまして不均衡が存在しているというのは御指摘のとおりでございます。
もともとはかなりの程度に各保険者の自主的な運営ということを大幅に認めてきた時期があったと思うわけでございます。しかし、高齢化の進展につれて、やはりそれではよくないということで、給付と負担の公平という観点から逐次その調整の度合いを強めてきているというのが五十年代の末から今日にかけての状況ではないかというふうに考えておるわけでございます。
私どもとしては、老人保健制度の創設あるいは退職者医療制度の創設といった形でこれまでもいろいろな調整によりまして公平化を図ってきたわけでございますが、今後もやはりそういった公平化の方向というものはますます強めていかざるを得ないだろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/5
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006・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 それはその方向でひとつ大いに努力をしてもらうということが一つでございます。
先般、今月の十四日でございますが、衆議院で社会労働委員会がございまして、そのときに、昭和五十九年の八月に、三師会と申しまして日本医師会、歯科医師会、薬剤師会と自由民主党との間の覚書を実は交わしてございます。それには五年後にこの統合一本化を図るということをうたっておるわけでございますが、厚生省としては、厚生省との約束ではないからこれには拘束されないという御返事がたしかあったやに承っておりますが、私は、そういう方向の中でこれはなるべく可及的速やかに統合一本化なり制度の抜本改正をしていただくことをお願いするわけでございます。
大臣、これについて御決意をちょっと承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/6
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007・藤本孝雄
○国務大臣(藤本孝雄君) 党と医師会で結ばれました申し合わせでございますので直接的には厚生省はこれに拘束されないわけでございますけれども、政府・与党の関係でございますのでこの内容につきましては念頭に置きながら進めていかなければならぬと思います。
それから、今後の医療保険制度の運営を考えますときに、高齢化の本格化に伴いまして社会保障関係の経費はふえるわけでございまして、そういう中で基本的に考えなければならない問題は制度の長期安定と給付と負担の公正と公平であるわけでございます。
したがって、私どももできるだけ早い時期に医療保険制度の各制度を通じました給付と負担の公平を図っていく。その場合に、おっしゃるような一本化また一元化、道はやや異なりますけれどもねらいは同じでございまして、このことにつきましては、私どもとしては今までの国会等の議論また審議会等の御意見等も踏まえまして、現実的には、各制度を前提にしてその制度間の給付と負担の公平を図っていくという一元化が極めて現実的な進め方であろうと考えておるわけでございます。
しかし、いずれにいたしましても、今後さらに各方面の御意見を承りまして、可能な限りできるだけ早い時期に各制度間を通じての給付と負担の公平化を図る決意であることは申し上げるまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/7
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008・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 ぜひひとつその方向でお願いしたいと存じます。
次に、組合健保は単一組合を形成するには被保険者千人以上というのがかつての規約でございました。これを最近、七百人以上でもよろしいからこれをつくりなさいという、むしろ奨励しているようなふうに私は思えるのでございますが、このように組合健保をどんどんつくりなさいとおっしゃる根底は一元化ということをおっしゃる中でむしろ多元化を進めているんではないかというふうに思うわけでございますが、これに関してはどういう意味で組合健保の創設ということを御推奨なさっているか、お伺いしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/8
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009・下村健
○政府委員(下村健君) もともと、現行の健康保険法の上では、組合設立の基準というのは低いと申しますか、かなり小さな規模でも認め得るような形になっているわけでございます。ただ、現在の状況からいたしますと、医療の高度化とかいうふうな事情もありますので、実際の運用はそれより厳しい水準でやっている。従来はそれを千人でやっていたものを七百人にしたということでございます。
私どもとしては、保険の運営の効率化という問題が一つある。それからもう一つは、予防あるいは健康管理というふうな面での対策も進めていくということになると小規模のメリットも認められる側面があると、こんなふうに考えているわけでございます。
ただ、全体といたしましては、先ほど申しましたように、給付と負担の公平ということでございますので、個々の組合の安定的な運営が認められる限りは組合の設立を認めるわけでございますけれども、設立された健康保険組合が、いずれも、老人保健制度、退職者医療制度を通じて全体の皆保険体制に協力していくものであり一元化に反するものではないと、このように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/9
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010・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 私は、どんどんこういう不均衡、格差というものを推奨するような方向でいくよりは、むしろ大同団結して大きな皆さんの拠出金というものを集めた中で負担の公平と平等を図るということが一番最良な方策ではないかと考えるわけでございますので、最初御意見がございましたように、私はそういう方向でひとつ進めていただきたいと思うわけでございます。
それから、次に移りますが、地域総合健康保険組合という構想があるということが毎日新聞の四月の十三日でございますか、それに載っております。
これまでの健康保険組合は、単一組合は先ほど言ったように被保険者七百人以上でございます。同一業種が共同して設立する総合組合は三千人以上という二つの型がございます。
今回、高齢者対策本部の中間報告の中で触れられております、職域のみならず地域にも着目した
ような地域総合健康保険組合が、早ければ六月には認可されるようであると。これは先ほど言った四月十三日の毎日新聞に載っていたことでございます。
具体的に対象となるような地域はどんなところをお考えになっているのか、被保険者は大体何人ぐらいを見込んでいらっしゃるのか、また保険財政の確保のためには全国でどの程度の数を見込んでいるのか、また政管健保から組合に変わるためどの程度の国庫負担の削減を見込んでいらっしゃるのか。そのような具体的なものがあればお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/10
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011・下村健
○政府委員(下村健君) 被用者につきましては、従来から、一定の連帯意識のある集団について職域ごとあるいは同種の産業ごとと申しますかそういった形で健康保険組合を認めてきたわけでございます。
ただ、実は、これに対しては、従来から、地域的に特別な非常に強固な団体が存在しているとかそういった結びつきのあるような地域については組合の設立を認めてほしいあるいは認めるべきではないかというふうな議論がありまして、これについてはこれまでいろいろ検討してきたわけでございますが、一定の地域については認めてもいいんではなかろうかというふうに方針を決めたということでございます。
したがって、地域の組合といいましても、私どもとしては従来あります総合健康保険組合の一種だというふうに考えております。したがいまして、当然、設立要件等につきましても、従来の総合健保の基準に準ずるものだというふうに考えております。
したがって、具体的な条件といたしましては、一つは、やはり組合がつくられる母体と申しますか、母体になるような共同連帯意識の強い設立母体が存在しているということがまず条件になってまいります。
それから二番目は、標準報酬とか医療費等の状況から見まして、少なくとも政管健保並みの保険料率で、国庫補助を受けないでも安定的な財政運営が可能だ、こういう見通しが立つということが第二の条件になってまいります。
それから、規模の問題でございますが、規模の問題につきましては、これは総合健保と同様三千人以上というふうな条件で考えてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
実は、かなり希望がいろいろありましたので、こういった方向で認めていくということはなりますといろいろ設立の具体的な計画が出てくるのかというふうに考えていたわけでございますが、検討の過程でいろいろ具体的な条件を適用してみますと、なかなか実際の組合の設立に結びつくものは余り多くないというのが今の状況でございます。
さしあたりの状況で見ますと、新聞報道等でも出ておりましたけれども、二つばかりの組合がこれはまずできそうだということでございますが、その他のところでいろいろ研究をしておられるところがありますが、具体的な設立に結びついてくるかどうかというのは、今のところ私どもとしては明確な判断がつかないというふうな状況でございます。
したがって、全体的な規模がどの程度のものになっていくのかはっきり私どもとしてめどは立ちませんが、今回の事例で見ますと、今回の二つの組合というのはいずれも商業団地でございます。団地の規模等にもよると思いますが、これまでにある団地等のそういった商業団地、工業団地が存在している地域について条件が整うところは出てくるだろう、こんなふうに思っておりますが、正確な数あるいは加入人員等については、全体的な見通しは今の段階ではっきり申し上げられない、こんな状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/11
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012・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 わかりました。これは、そういう加入者の個人個人の意思もございますので、やはりそういう面も尊重してひとつおやりいただきたいと思うわけでございます。
それから、時間がないのでちょっと次の問題は飛ばしまして、あったらまた後で御質問いたしますが、四月一日に診療報酬の改正が実はございました。今回の改正は、国民医療総合対策本部の中間報告をバックボーンにした大改革であると言われておりますが、考え方を施策の上で実行することについて、それがよいものであればそれでいいわけでございますが、この中で法律の根幹に触れるような問題が一つございますので、それをちょっとお聞きしたいと思います。
それは、医療法で規制されておりまする問題につきまして、診療報酬体系の健康保険法の中でいわゆるペナルティーをかけるという問題が一つございます。それは、御承知のようにオーバーベッドの問題でございます。
診療所のベッド数それから病院のベッド数というものは、これは届け出・許可制でございまして、それをオーバーして入院なり収容したときにこれに関しまして診療報酬体系の中でペナルティーをかける。私は、むしろ医療法の中でこれははっきり明確に処罰するなら処罰するということなら話はわかるんですが、全然違うところへ転嫁して持っていくということについては、これは基本的に間違っているんじゃないかと思うわけでございます。
その点、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/12
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013・下村健
○政府委員(下村健君) 今回の改定におきまして、オーバーベッドの対策の強化と医療法と診療報酬上の取り扱いの連携を図ったわけでございます。
オーバーベッドにつきましては、既に昭和六十一年の改定の際に、許可病床数を二〇%上回る患者を収容している医療機関につきましては室料を減額するという措置をとっているわけでございますが、今回はこれを一五%というふうに少し厳しくしたということでございます。
私どもとしては、医療法の人員配置あるいは許可病床というふうな基準の問題については、これは医療法の体系で十分御検討いただかなければならない問題だ、こう思っているわけでございますが、保険の立場から申しますと、同一のサービスについて同じ料金を支払うというふうな考え方で整理をしてはどうか。したがって、オーバーベッドの場合にはどうしても実態上サービスの低下はやむを得ない、低下しているということが考えられる、またオーバーベッドによってコスト面が逆にそれだけ安くなっているということも考えられるわけでございます。そういったことで保険の対応を図ったということでございまして、ペナルティーというふうなことを言われることもあるわけでございますが、私どもとしては、そういうことではなくてサービスの実質に着目をいたしまして、それに相応した料金と申しますか、報酬体系に変えていきたい、このように考えたわけでございます。
なお、医療の現場としてはオーバーベッドについてもやむを得ないというふうな事情も現実にはあり得るわけでございますから、そのようなやむを得ないオーバーベッドについては所要の配慮をするということで考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/13
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014・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 今お話がございましたが、私、これはケース・バイ・ケースだと思うのでございまして、例えば、地方へ行きますと、救急車が来てオーバーベッドになってもどうしても収容しなきゃならない、そういうような状況もございますので、ひとつ実態を踏まえた中で、これは機械的にペナルティーをかけるということはぜひおやめいただきたい。
それから、やはり筋としては、医療法の方できちっとこれも指導なさるならなさるということは私はもう結構でございますので、その辺のところはよく御勘案いただくことを要望するわけでございます。
それから次に、もう一つ、今度初めて特三類という看護が認められたわけでございます。しかし、これは二十日間を限度で切るわけですね。そうしますと、これは考え方によっては、急性のときはそれを認めましょう、慢性になったらこれはだめですよということで、これの基準を病院に許
可を与えるということになりますと、将来の急性病院とか慢性病院とかそういうような一つの区分けをしていこうという一つの思想と申しますか、そういうことが今からその布石としてお考えいただいた中でこういうことをなさったのかどうか、ちょっとその辺のところを、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/14
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015・下村健
○政府委員(下村健君) 今回の改定におきまして新たに特三類看護を設けたわけでございます。
これは、特二類の承認を受けている病院の中により看護力の充実したところが実態として出てきている、それから関係者の要望も特三類というふうなことについて強いということがございました。また、患者の病状によってはこうしたより高密度の看護に対して診療報酬上の対応が必要なこともあるというふうに考えたわけでございます。
なお、特三類看護につきまして病棟単位で承認することにいたしておりますが、これは一つの病院の中で慢性疾患の患者も急性疾患の患者も治療を受けているという現在の医療の現場の実態を勘案したものでございます。
病院の体系を慢性疾患の治療を中心とする慢性病院と急性疾患の治療を中心とする一般病院とに区分することにつきましては、国民医療総合対策本部の中間報告でも今後の課題ということとされておりまして、さらに医療の現場の実態や関係者の意見も踏まえながら十分に検討していくべき課題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/15
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016・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 私は、急性とか慢性を一日をもって区切る、きょうから慢性になった、きのうまでは急性だということはないと思うんです。ですから、そういう辺も医学の現場の御意見をよく徴した中でこういう問題は将来御検討願いたいと思うわけでございます。
それから、いろいろこういうものがどんどんふえてきますと、看護婦のマンパワーというものはこれは当然必要でございます。特にまた、最近、老健法で訪問看護、在宅ケア等の施策がなされることになっております。また、老人保健施設ができます。それから、今、駆け込み増床というのがございまして、各都道府県におきまして地域医療計画が策定されております。ある県なんかは六千床以上のベッドが既にオーバーになっているという県もございます。何かやめられる前の衛生部長さんが判こをばかばかかついて出ていっちゃったというようなことで、その部長さんは出世して偉くなったというのはおかしな話ですが、そういうような実態もあるようでございます。
看護婦さんが足りないというのは、これは私データを持っておりますが、きょうも看護婦さんが一番多いという県に電話しました。けさも聞いたら、足りませんと。きょうはこのデータを出してくださいときのう私言っておいたんですが、きょうは用意されておりますですか。全国の充足のデータをきょうお示しくださいというふうにきのうお願いしておいたんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/16
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017・仲村英一
○政府委員(仲村英一君) 看護婦が足りないという声があるということは私ども承知しておるわけでございまして、各県に実は問い合わせをしておりますが、調査の中身が、実際と必要数というものの、何というんでしょうか、格差と申しますか、非常に調べにくい部分もありますので、実は、純粋な統計的な調べ方でなくてヒアリングのような格好で問い合わせをしておりまして、現在なお細部について各県に聞いておる部分もございますのでまだ御報告申し上げる段階に至っておらないというのが実情でございます。
私どもとしてもいろいろ問い合わせをしておる最中ということで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/17
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018・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 全国統計は実は私持っておりますし、またそうやって私の方でもヒアリングをして実態を調べてみますと、一番多いというデータの県でも、足りないと。これは県当局とそれから医師会と両方に聞きました。
私は、こういう中でどんどんベッドがふえてくるということで足りないということがわかるんですが、昨日実は担当官の方、これは名前を言いません。局長、課長さんは非常にこの認識があるんですが、その方は、まずはそれを認めない。足りているような顔をしているんですね。この実態、足りないということがわかっていて厚生省の担当官がそんなことじゃ、私大変なことだと思うんですね。ですから、そういう認識が今あるということは私はまことにけしからぬと思うんです。私は腹は優しい男ですけれども、きのうは腹が立ったんです。そんなことはわかり切っているのに、看護婦が余っているみたいな顔をしているからとんでもないと。
私は、行政は一刻も早くこういうことに着手してほしい。それで、国や県並びに地方自治体が看護学校をつくってどんどん養成してくださるのなら私は何も申し上げません。今民間が医療費の中から看護婦さんを養成している。しかも、養成基準が非常にうるさい。重箱の隅をほじくるようなことを言っている。私に言わせりゃ、まあ意地悪ですな。そういう実態がございます。それではこれはやっていけないですね。国民医療を守るとか体裁のいいことをおっしゃっているけれども、実際、じゃやれといってもやれるはずがない。マンパワーがないんですから。
そういう意味で、現在ある養成所、これの定員も非常にうるさいことを言うんです。それで、医師の方の養成定員を削減しろ削減しろというのに、去年は六十何人余計にとっているんですね。そっちの方は甘くて、どんどんつくらなきゃいけないところだけは逆にうるさく言っている。まさに私は逆だと思うんですね。
だから、その辺をひとつ踏まえて、仕方がないからじゃ今定員二割だけど三割ぐらいは認めましょうと。例えば、生徒一人にお産の数がこれだけなきゃいけない。お産というのは一人が一つ見なくたっていいんですよ。あれは両側から見られるんですね。だから、一つのお産を二人で見たっていいんですよ。
そういうような基準の緩和というものをいろいろなことから御検討なさって、そういう意味で、看護婦さんの養成というものに対してどうお考えか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/18
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019・仲村英一
○政府委員(仲村英一君) 先ほどもお触れになりましたけれども、医療が高度化するあるいは先ほどお尋ねのありました特三類ということで病院におきます現場の医療の内容が変化するに従って看護婦が必要になるということも事実でございますし、老人保健施設というのもどんどんこれからつくられてまいりますればまたそこで看護婦さんの需要が生まれるわけですし、在宅看護もこれからもっと伸ばしていかなくちゃいけないということで考えますれば在宅看護に従事する看護婦さんも必要になるということで、私どもとしては、今後看護婦の需要というのはさらにふえるであろうという認識を持っております。
第二次五カ年計画は六十年に終わっておりまして、その後、実は第三次と申しますか、その後の需給計画が策定されておりませんのは、医療法改正がありましたり今お尋ねの地域医療計画で駆け込みがあったりということで非常に変動するという要因もありますので実はまだ策定に至っておらないんですけれども、御指摘のように、緊急につくるべき内容だと考えておるわけでございます。
一方、御指摘のような指定基準の問題もあるわけでございますが、医療の現場に合致していない部分もあるように私も理解しておりますので、これは早急に見直さなくちゃいけないと考えておりますが、一方においてはますます質のいい看護婦さんをつくっていくということも重要なことでございますので、その兼ね合いで私どもとして難しい面もありますけれども、実習のあり方につきましても非常に問題がございますので、教育内容の見直しを中心にいたしまして再検討することを、これからすぐ着手をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/19
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020・宮崎秀樹
○宮崎秀樹君 時間が来ましたので私これでやめますけれども、残余の質問を二つばかり残しましたけれども、これはまた次の機会にやらせていただきます。
それでは、ぜひその方向でひとつやっていただくことを心からお願い申し上げまして終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/20
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021・前島英三郎
○前島英三郎君 いつでしたか、本委員会における厚生大臣の所信表明を聞きまして、私は大変感動いたしました。別にこれはお世辞でも何でもございませんで、本当に共感をいたしました。
大臣は、その冒頭で世界に例を見ない我が国の人口の高齢化に触れまして、
これからの厚生行政の一大目標は、人類が達成した偉大な財産である長寿を、いかに活用して、だれもが喜べる長寿社会を建設していくかにあります。
特に、長寿社会を財政負担の増大の面のみ強調した暗いイメージでとらえることなく、お年寄りの豊富な人生経験が社会の財産であるとの認識を持って、国民の一人一人が明るく健康で生きがいを持って暮らせるような活力ある社会づくりに努めていかなければならないと考えます。
こう力強く述べられておるわけであります。
私は、こんなふうにいろんなところで質問するときによく言うんですが、昔から不老長寿は人間の夢なんですけれども、今日、長寿はかなりのところまで達成はされているんですが、不老という部分が達成されていない。不老という部分ですね。そこから問題がいろいろと発生をしているんだ、こういうことだろうと思うんです。寝たきり老人六十万とか百万とかいろんな言われ方がありますけれども、大臣が所信で強調されたことは、言葉をかえて言うならば、つまり不老の実現にほかならないと私は思うんです。私はそう理解しております。
本日議題となっております国民健康保険制度も、一面では不老を支えるための制度でありながら、反面では不老が十分に達成されていないためにその運営が危機にさらされている、こういうのが実態であろうと考えるわけです。
このような観点から、急速なスピードで進む高齢化社会に対して今後どのようにしてまたどのような形で明るい活力ある社会を築こうと考えておられるのか、大臣のお考えをもっとかみ砕いてお聞かせいただければと思うんですが、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/21
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022・藤本孝雄
○国務大臣(藤本孝雄君) 御指摘のように、大変なスピードでしかも経験のない超高齢化社会にこれから入っていくわけでございます。戦後四十年で平均寿命も三十歳延びた、人生五十年型の社会を人生八十年型、むしろ率直に申しますと九十年型ぐらいの社会につくり直していかなきゃならぬというふうに思うわけでございまして、そのためにはやはりそういうことが可能になる活力のある経済社会というものを築いていかなきゃならぬわけでございまして、そういうことがまず第一に最も重要な課題だと思っております。
その活力ある経済社会を人生九十年型に耐えられるように再構築していくためには、これは、厚生省所管の医療・年金・福祉だけではなくて雇用の問題であるとか、それから住宅、環境の問題であるとか、それからまた教育の問題であるとか、総合的に取り組まなければならない、そういう問題であると思っております。
そういう考え方で政府におきましては「長寿社会対策大綱」というものをつくっておるわけでございまして、政府全体でそういう課題に取り組んでおりますし、またこれからも取り組んでいかなきゃならないと思っております。
厚生省に関しましては、医療・年金・福祉の分野が所管であるわけでございまして、それぞれ精いっぱい努力をしていかなければなりませんが、特に御指摘のように健康づくりというものが極めていろんな面でベースになるわけでございますので、病気にならないための予防検査であるとか、それからまたその前の積極的に健康づくりを充実させていきまして、ヘルスプランであるとかヘルス事業であるとかまた健康づくりのための諸施策、またそういうものを背景にして高齢者が社会参加できるようないろいろな仕組み、またそれに対しての援助というようなものも積極的に展開してまいりまして、だれもが喜ぶ長寿社会、そういうものを築いていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/22
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023・前島英三郎
○前島英三郎君 確かに、結果においてその対策というのにはいろいろ財政的な負担が伴ってきますし、そうならないまでの対策というのが縦割り行政の中でまた一つの難しい面もあろうかと思いますが、まさしく健康な長寿社会というのはだれしも願っていることだろうと思うんですね。
そういう意味で、中長期的な展望あるいは未来のイメージを国民が描くことができるだけでも極めてこれは大切なことだと思うんです。展望やイメージを示してもらえばいろいろな利点もまた出てまいりますし、将来に希望が持てる、あるいは将来のために今どのような努力が必要か、あるいは財政の問題であればその財政をどのように国民が負担していったらいいのかということが、おのずと国民の中にもコンセンサスを得られていくプロセスになっていくだろうと私は思うんです。
それに対しまして資料も材料もない状態ではこれは知恵も議論もできないわけでありますが、その点、二年前の昭和六十一年の四月に出されました厚生省の高齢者対策企画推進本部報告は、これは極めて注目すべき点があると私も思うんです。国民健康保険制度に関しましても、今回の改正案の原型とも言うべきものがこの報告の中に私は示されているような気がするんですね。別々の政策の具体的な展開方法は別にしまして、全体としてどのような方向になぜ進んでいくのか、進んでいくべきなのかという点でも割合まとめがよくできているように思います。そして今後の指針もしくは議論の土台になるものであると評価するんです。
そこで、この報告について公表に至った意図、目的、さらにまたこの報告の性格などにつきましてちょっと御説明いただけれはと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/23
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024・黒木武弘
○政府委員(黒木武弘君) 六十一年四月の高齢者対策企画推進本部報告についてのお尋ねでございます。
まさに、この報告をまとめた背景といたしましては、ただいま大臣から答弁がありましたように、今後の社会経済ないしはもろもろの我が国の構造を人生五十年の構造から人生八十年、大臣は九十年と申されましたけれども、そういったライフスタイルに合わしたものに変えていかなければならないというのが考え方の出発でございました。
特に社会保障につきましては、これを長期的に安定させること、そして有効に機能していくことが今後の活力ある長寿社会を実現するために不可欠の要件だというふうに厚生省は考えたわけでございます。
このような問題意識に立ちまして、来るべき二十一世紀を豊かな活力ある社会とするために、厚生省として今後どのような基本的な原則で高齢者対策をやっていくかあるいは基本的な原則に沿ってどのような各種施策を展開してまいるかと、そういった方向を明らかにしたものがこの本部報告だというふうに承知をいたしております。
私どもの考え方は、このような基本的な考え方あるいは各種の施策の方向につきまして、今後我が国の大きな政策課題でございますから国民各層の御意見をちょうだいいたしながら、そして国民の合意を得ながら着実に施策を展開してまいりたい、このような考え方で報告という形に取りまとめて公表さしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/24
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025・前島英三郎
○前島英三郎君 この報告書においては、高齢者が人里離れた施設や病院で暮らすのではなく地域社会や家族とのきずなを保ちながら暮らせること、すなわち在宅サービス、在宅福祉の充実の重要性が提唱されているわけですね。この考え方は私も基本的には同意するんですが、ともすれば、行政の責任を回避しようとするものだといった、私に言わせれば見当違いの批判の声が聞こえないでもないんです。
厚生省として今後どのような考え方に立って在宅福祉を推進していくつもりなのか、ひとつ明快
な御答弁をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/25
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026・小林功典
○政府委員(小林功典君) 本格的な高齢化社会を迎えまして、よく言われることでございますが、老後も住みなれた地域社会で家族や隣人とともに暮らしていけるということが大変重要であるというふうに思っておりまして、そのために各種の在宅福祉施策の充実を図ることが我々の急務であるという認識を持っておるわけでございます。
そういった考え方に立ちまして昭和六十三年度予算におきましては家庭奉仕員派遣事業、デイサービス事業あるいはショートステイ事業といった既存の在宅福祉施策を大幅に拡充をしたわけでございます。
ちなみに数字を申しますと、家庭奉仕員で申しますと二万五千三百五人から二万七千百五人つまり千八百人の増、それからデイサービス事業につきましては四百十所から六百三十所という二百二十所の大幅拡充、それからショートステイ事業につきましては四万六百四人から四万九千七百九十五人と九千百九十一人の増を図っておるわけでございます。
こういった既存の在宅施策の拡充とともに、六十三年度は新たにホームケア促進事業を創設するといった新規事業も盛り込んでいるわけでございまして、今後ともこういう方向でさらに在宅施策の充実を図ってまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/26
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027・前島英三郎
○前島英三郎君 在宅福祉の充実を推進する上で行政の責任といっても、何でも公費や公務員にゆだねるような物の考え方というのは、現実的でないばかりかサービスの質の向上という観点からもプラスとは思われません。
そこで、民間活力、マンパワーあるいは向こう三軒両隣パワーといいますか家族パワー、こうしたものが一つのかぎというか大きなポイントになるとさえ言える面もあるんじゃないかというような気がするんです。そういうためには、障害者自身もそういう方向ですし、あるいは老人たちもただ死を待つだけというようなそういうわびしい気ではなくて、地域の中にどのように貢献していき、メンタルな部分でどのように補っていくかということが、これからのいわばメンタルな活用あるいはパワーの重要なポイントだろうと思うんですが、この民間活力の活用という点ではどういう施策をこれから進めていくのか、また考えているのか伺いたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/27
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028・小林功典
○政府委員(小林功典君) 福祉を充実していく際に、公的な施策の一層の推進が必要であるというようなこと、これは言うまでもございませんけれども、それとともに、今お話ございましたように民間による多様なサービス、これを健全に育成していくということが必要であろうと思っております。
一つは、法案を先般お願いしましたシルバーサービス関係の仕事も今おっしゃったような民間の活力を使うといった意味の施策でございますけれども、要するに、高齢者に配慮された適切なサービスが提供されるようにそういった民間の企業に対する国、地方が連携したところの指導、これが一つ必要であろうということ。
それから、先般お願いしましたようなホームヘルプや入浴サービスといったいわゆる在宅介護サービスに対します公的な低利融資制度、こういうことも創設いたしまして健全な企業を育成していくということでございます。
それから、あわせて民間事業者の集まりであります社団法人のシルバーサービス振興会というのがございますが、そこに対しまして倫理綱領の策定等のいわば自主的な取り組みをお願いしているということでございます。
これらをあわせまして、民間の企業が在宅福祉の分野で大いに活力を発揮してもらうようなそういう施策をこれからも進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/28
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029・前島英三郎
○前島英三郎君 在宅サービスの充実といいますと、高齢者の場合は特に医療面における在宅サービスあるいは在宅医療の充実も大変重要だと思います。国民健保におきましても入院による医療費が大きなウエートを占めている実態もあるわけですから、在宅利用に対するニーズに的確にこたえていくことが結果的には財政的にもプラスになって返ってくるという関係にもなると思うんですね。
また、予防対策の充実の必要性が強調されています。これは、予防というのはいわば不老というものに共通点があるわけですが、予防といいますと保健、つまり健康を保つ方の分野ということになりますが、こちらにとっても在宅医療の充実ということが結果的には大きに寄与できるものと考えられます。
在宅医療の充実に関しまして、厚生省はどのように推進を考えておられるのか、伺っておきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/29
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030・仲村英一
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、医療費の適正化という観点からも在宅医療できるものはそちらで伸ばすということは非常に必要だと思うわけでございまして、私ども六十二年度から在宅医療環境整備のためのモデル事業というのを七所で実施をしております。二年計画でございまして現在実施中でございますが、これはどういうふうにすれば在宅医療あるいは訪問看護等を含めてそういうことができるかということでのモデル事業でございまして、同時に検討会でもその事例等を検討していただくということで、今後さらに在宅医療を伸ばしていきたいということで検討を進めております。
それから、末期医療に関するケアの在り方の検討会でも、やっぱりがんの患者さんが末期に自宅で療養できるようなことを考えたらどうかということでの検討会もお願いしておるところでございます。
それから、今年度からは訪問看護と在宅ケアの総合推進モデル事業という名前でございますけれども、保健・医療・福祉の連携のとれた総合的な在宅施策を推進するためのモデル事業を実施して、これをさらに全国的に伸ばしていく方向で検討を進めておるところでございます。
一方、診療報酬の方でも、保険局にお願いをいたしまして在宅寝たきり老人に対する訪問診療料でございますとか訪問看護料の回数の拡大でございますとか点数の引き上げ等を行って、まあ誘導と申しますか、そういう方面でも在宅医療を伸ばす方向で私どもいろんな角度から検討を進め、さらにそれを伸ばしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/30
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031・前島英三郎
○前島英三郎君 在宅サービスがなぜ重要視されるようになってきたのか、そこには重要な発想の切りかえが潜んでいると思うんですね。すなわち、サービスの提供者の都合ではなくサービスを必要とする側の都合、つまり高齢者のニーズに沿って物を考えることがいわば在宅サービスの発想の原点のように私は思うんです。
とかく規格にはめられてしまうということには人間の本来の姿からはなかなか抵抗もあるように思うんですが、福祉・医療・保健、これらは行政的にはそれぞれ別々の部門によって運営されてまいりました。しかし、これらのサービスを必要とする高齢者は一人一人生身の人間でありますから、その内部には部門別の仕切りなどはないわけであります。ですから、高齢者、これは障害者も同じなんですが、そうしたニーズに応じて各部門が連携して必要なサービスを的確に提供していけるようにすることが大切だと思うんです。
厚生省でもこのような見地からだと思うんですが、本年度組織の改革を行うと聞いておりますが、その考え方、ねらいといった点をお聞きしたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/31
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032・岸本正裕
○政府委員(岸本正裕君) 厚生省では本年七月に高齢者に関する保健・医療施策を担当する老人保健部とそれから福祉施策を担当いたします社会局の老人福祉課を統合いたしまして、今これは仮称でございますけれども、老人保健福祉部というようなものを設置することを考えているわけでございます。
御指摘のように、今後増大する高齢者の多様なニードに的確に対応していくためには、高齢者一人一人のニードを把握するとともに、保健・医療・福祉の各部門が連携のとれた形で適切なサービ
スを提供していくことがどうしても必要だというふうに考えるわけでございます。
今回の組織再編につきましては、このような認識のもとに立ちまして高齢者に対する保健・医療・福祉施策を総合的に推進する体制を整備するという見地からこれらの施策を一元的に担当する部局を設置する、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/32
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033・前島英三郎
○前島英三郎君 大きく言えば、老人福祉省なんという特別な省庁があってもいいようなこれからの高齢化時代になろうと思うんですが、さて厚生省の連携はできた、しかしそれだけではだめですね。
これからはやっぱり地方自治体との連携がないと。向こう三軒から地方自治へ、それから国の政治へという形が望ましいわけですが、そういう連携というのはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/33
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034・小林功典
○政府委員(小林功典君) 先ほど先生からお話ありましたように、いろんな分野があります中で行政の側から見るのではなくてむしろ住民の側から見ろという点は大変重要で、我々も心しなきゃいかぬと思っております。
確かに、高齢者とかあるいはその家族の立場に立って見ますと、保健・医療・福祉の各分野にわたるニードというものに適切に対応しまして、個個の高齢者に最も適したサービスが提供されるということが大変重要なことであります。そしてそのためには、高齢者の悩み事に対する総合的な相談体制の確立あるいは保健・医療・福祉各種サービスの総合的な推進ということが必要であろうと思っております。
このような考え方に立ちまして、実は、六十二年度から各都道府県に高齢者総合相談センター、俗にシルバー一一〇番と言っておりますが、それの設置を進めるとともに、都道府県に高齢者サービス総合推進会議を、そして市町村には高齢者サービス調整チームというものを設置いたしたわけでございます。また、保健所におきましても、保健・福祉サービスの調整のための会議を設置いたしましたりしまして、これらの施策を通じまして各段階におけるサービスのいわば総合的な推進というものを進めているところでございます。
さらに、六十三年度におきましては、訪問看護をモデル実施するとともに、訪問看護と在宅福祉・保健サービスとの連携のあり方を探ることを目的としまして、新たに訪問看護等在宅ケア総合推進モデル事業というものを実施することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/34
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035・前島英三郎
○前島英三郎君 そこで、あと十分ぐらいしかありませんから、これまで触れてきた高齢者対策企画推進本部報告や昨年からことしにかけてのいろいろな関係機関などの動きを拝見しておりますと、今回の改正の趣旨、眼目というのもおのずと浮き上がってくるわけですね。また、昭和六十五年ごろにも予定されていると見られる医療保険制度一元化に向けての大きな流れの中でどのような位置づけがなされるべきなのか、かなりはっきりとイメージというものがわき上がるような気がするんですけれども、参議院の当委員会におきましては本日が審査の始まりでありますので、今回の改正案の趣旨及び一元化への流れの中での位置づけについて、これも明確に御説明をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/35
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036・下村健
○政府委員(下村健君) 今回の国民健康保険の改革でございますが、国民健康保険問題懇談会の報告等を踏まえ、低所得者の問題あるいは医療費の地域差問題といった国保の不安定要因になっております構造問題に国、都道府県及び市町村が一体となって取り組む仕組みをつくることによりまして社会保険としての国保の機能を十分に発揮できるようにしたいというのが基本的な趣旨でございます。
医療保険制度の一元化につきましては、これまでも給付と負担の公平化に向けて逐次改革を実施してきたわけではありますが、今回の改革案は国保制度の安定化を図り一元化に向けての条件整備をしようとするものでありまして、給付と負担の公平化に向けての改革の一環として位置づけられるものと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/36
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037・前島英三郎
○前島英三郎君 この改正案は各方面の意見や論調を読んだり聞いたりしてみましても比較的評価が高いように思います。かなり知恵を絞ったものと認められますし、その中でも特に都道府県の参画というのが大変注目されると思うんですね。
そこで、都道府県が参画することの意味、さらには期待される効能としてどのようなことが見込まれるかあるいは見込んでいるのか、その辺も伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/37
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038・下村健
○政府委員(下村健君) 国民健康保険制度は地域保険ということで地域住民の健康を確保するための社会保険制度であります。
ただ、その特色といたしましては、高齢者、低所得者が多く加入しているあるいはその運営には地域における保健・医療・福祉といった関連施策と密接な関連があるということから、国、市町村はもとよりでございますが、都道府県にも積極的に参加していただくということによりまして国保運営の安定化あるいは地域住民の福祉の増進につなげていきたいというふうに考えているわけでございます。
で、今回の改革では、低所得者対策等につきまして都道府県の負担をお願いするとともに、医療費適正化対策につきましても都道府県の役割を期待しているわけでございますが、医療費の適正化ということにつきましては、先ほど来お話が出ておりますように、例えば老人を例にとりますと、老人について適切な処遇を確保する、そのためには総合的な観点から取り組んでいくということが必要だというふうに考えているわけでございます。そういった意味で、地方において総合的な行政をやっております都道府県の役割というものを大きく期待しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/38
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039・前島英三郎
○前島英三郎君 医療費の適正化というのは、響きはいいんですけれども実質的には医療費の抑制にほかならないと思うんですけれども、しかしこれは必要な医療費を削ることであってはならぬと思うんですね。そうなったらこれは命を削ると同じになってしまうからだと思うんです。すなわち、適正でない医療費をいかにしてなくしていくかということに尽きると私は思うんです。
古くて新しいこの重要課題に対して本改正案では、医療費の高額な指定市町村に安定化計画を作成させて、国や都道府県の指導と援助のもと、適正化など運営の安定化のための措置を講ずる、こうなっているわけですが、この成否は非常に重要でありますので、具体的な展開方式などについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/39
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040・下村健
○政府委員(下村健君) 安定化計画の具体的な展開方式ということでございますが、厚生大臣は毎年度医療費が著しく多額になると見込まれる市町村であって医療費の適正化その他国保事業の運営の安定化のための措置を特に講ずる必要があると認められる市町村を指定市町村として指定をするというのがまず第一段階でございます。
指定された市町村は、厚生大臣の定める指針に従いまして、まず第一に、医療費が高いということの要因の分析をお願いしようと思っております。要因の分析を通じまして地域ごとの、例えばどういうふうな疾病が多いために医療費が高いのかとかいろいろな原因が出てくると思いますが、その原因に応じたヘルス事業の推進でありますとかあるいは保健・福祉施策等の具体的な展開でありますとかそういった幅広い対策を盛り込んだ安定化計画をつくって、これを国及び都道府県との協力のもとに推進をしていくということを考えているわけでございます。
この計画の実施結果を踏まえまして、なおかつ残る著しく高い医療費の一定部分につきまして、二年後から保険料二分の一のほかに国、都道府県、市町村がそれぞれ六分の一ずつ共同負担をするという仕組みを発動させるということでございます。
御指摘がありましたように、以上のプロセスを通じまして国、都道府県、市町村が一体となりました取り組みによりまして医療費の適正化、内容として適切な医療が確保されるあるいは必要とされる適切なサービスが確保される、その結果とし
て医療費の適正化に結びつくといった形で私どもとしては最大限の努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/40
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041・前島英三郎
○前島英三郎君 最後になりますが、結局、市町村民は国民であり国民もまた市町村民であるという点では、どこからどこまでは市町村でどこからどこまでが国だとかというような形あるいはまた厚生省はここまでで労働省はここまでだという線引きというのは、おのずと過去の踏襲の中にも限界があるようにも思うんです。国民健保の改革といいましても、健康保険制度そのものの枠組みの中でできるものはおのずと限界があることもこれは認めないわけにはいかないと思うんですね。かといって、国保の枠の中での努力の手を緩めてもらっちゃ困るわけです。
この両面をわきまえつつ制度のあり方を論じまた制度の運用に当たらなければならないと思いますけれども、今回の改正内容に加えて健康づくりなどに地道な努力を積み重ねていただきたいと思います。
最後に、大臣の御決意を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/41
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042・藤本孝雄
○国務大臣(藤本孝雄君) 今回の国保改革につきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、国保が抱えております構造上の問題をぜひとも解決をいたしまして、それによりまして国保の財政の安定を図ってまいる、さらには将来の各制度間を通じての給付と負担の公平化を図るための条件の整備にいたしたい、こういうことでございまして、ぜひとも早期に法案の成立をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
また、健康の問題につきましては、御指摘のように、私は、医療には三つあると思っております。
治療と予防健診と最後は健康づくり、これは三つとも極めて重要でございまして、特に予防健診のためのヘルス事業さらには健康づくり——健康づくりにつきましては、運動、栄養、休養と三つの要素があるわけでございますが、特にこれからはその中で運動をより積極的に取り上げてまいりたい、かように考えております。
そのために、ことし、初めての全国健康福祉祭りを開催することにもいたしておりまして、私といたしましては、特に国民の皆さんの健康づくりに従来以上は熱意を燃やして力を入れてまいりたい、かように考えておりますのでよろしくお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/42
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043・関口恵造
○委員長(関口恵造君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214410X00919880419/43
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