1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年五月十二日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
商工委員会
委員長 大木 浩君
理 事
下条進一郎君
前田 勲男君
福間 知之君
市川 正一君
委 員
小島 静馬君
平井 卓志君
松浦 孝治君
松尾 官平君
向山 一人君
梶原 敬義君
伏見 康治君
井上 計君
木本平八郎君
環境特別委員会
委員長 松尾 官平君
理 事
石井 道子君
曽根田郁夫君
田渕 勲二君
高桑 栄松君
委 員
青木 幹雄君
石本 茂君
梶木 又三君
佐藤謙一郎君
関口 恵造君
原 文兵衛君
宮崎 秀樹君
渡辺 四郎君
沓脱タケ子君
近藤 忠孝君
山田 勇君
国務大臣
通商産業大臣 田村 元君
国 務 大 臣
(環境庁長官) 堀内 俊夫君
政府委員
環境庁長官官房
長 安原 正君
環境庁大気保全
局長 長谷川慧重君
通商産業大臣官
房審議官 安藤 勝良君
通商産業大臣官
房審議官 野口 昌吾君
通商産業省立地
公害局長 安楽 隆二君
通商産業省基礎
産業局長 鈴木 直道君
事務局側
第二特別調査室
長 菊池 守君
常任委員会専門
員 野村 静二君
説明員
外務省国際連合
局社会協力課長 金子 義和君
厚生大臣官房ラ
イフサイエンス
室長 澤 宏紀君
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本日の会議に付した案件
○特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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〔商工委員長大木浩君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/0
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001・大木浩
○委員長(大木浩君) ただいまから商工委員会、環境特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料のとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。
これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/1
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002・田渕勲二
○田渕勲二君 それでは、オゾン法案についての質問をいたしますが、このオゾン層保護に関する法律案の審議をするに先立って、これまでの国際的なオゾン層保護への日本の対応といいますか、非常にこれ、私なりに判断しますに、極めて消極的だったと思っております。しかし、ここに来ましてようやくウィーン条約あるいはモントリオール議定書の批准、そしてこの法案の提出をされたということは、それなりに評価をするわけであります。
そこでお聞きをしたいのでありますけれども、本法案は、単に国際的な約束ができたから仕方なく日本が従う、こういう条約施行法なのか、それとも、我が国が率先してオゾン層を保護しなければならぬという使命感に基づいてつくられた環境保護法なのか、こういう両面があるわけであります。恐らく環境保護法であると御主張になると思うのでありますけれども、しからば、環境保護法であるというならば、その趣旨はこの法案の中のどこにあらわれているのか。また、生産規制等は通産省が行うことになっているわけでありますけれども、環境保護法としての機能を十分にこの法案で果たし得るとお考えなのか。ひとつこれに対する環境庁長官のお考えをしかとまず聞いておきたい。時間が少ないものですからできるだけ簡明にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/2
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003・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 御指摘のように、私は環境立法だと思っております。
この問題は、今先生がおっしゃったようにモントリオールの議定書に基づいて行うわけでございますけれども、本来私ども人類の生命にもかかわる重要問題でございますから、やはり私たちの生活、あるいは地球規模の環境を守るということが本来の性格でありますので、当然、言いわけじゃなしに、環境立法としてこれを積極的にやっていかなきゃならぬ。しかもその原因となっている物質の多くをつくっている国ですし、私どもはその約一割以上の生産国でもございますから、国際的な責任は十分あるものでございますから、その責任を果たすという立場でしなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/3
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004・田渕勲二
○田渕勲二君 もう少し、環境保護法の中にどれほど具体的なものが出ているかということをお聞きしているんですが、例えばこの法案というのはフロンとハロンの規制でありますね。しかし、今の地球の汚染状況というのは、単にそうした物質だけがこうした成層圏に影響をもたらしているというようには考えられないわけで、私はもっと深く、この法案をせっかくつくられるならば、いろいろ議定書なり条約がありますけれども、それを超えた、規制を超えた地球全体の問題として、いろいろな化学物質の規制というものをこの法案の中に取り入れられてよかったと思うのでありますけれども、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/4
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005・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) この法案自体、モントリオール議定書の約束事を実際にまとめたものでございますから、当然今おっしゃっている問題は、もっと違った意味においてもいろいろござい
ます。特に二酸化炭素において暖かくなり過ぎるというような問題、たくさんございますから、私どもとしてはいわゆる地球環境規模の懇談会というものがございますので、そこで特別委員会をつくっていただいて、これらの地球環境の問題について六十四年に大体答えを出してもらう、それによって対応していくという現在の状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/5
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006・田渕勲二
○田渕勲二君 重ねてお聞きしますけれども、アメリカのオゾン層保護の取り扱いといいますか、アメリカは世界で最も進んでいると聞いておるわけですけれども、アメリカの法案と我が国の法案とを比較して特にどこが顕著に違うところですか。それはおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/6
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007・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) 現在、日本が実は一番先行してこういう法案の作成を進めているわけでございますが、アメリカもECも検討していることは私ども聞いております。
アメリカで現在進めております法案の内容は、ほぼその議定書で定められた内容でございまして、それと私ども今回お願いしております法案との非常に大きな違いは、排出抑制あるいは使用合理化という規定を設けまして、特に使用者に対します対策を盛り込んでいるということが非常に大きな特色だと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/7
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008・田渕勲二
○田渕勲二君 先般、アメリカの環境保護局の専門家が我が国に来て、環境庁を訪問されて、このオゾン層について最近の観測結果を何か説明したように聞いておるんですが、漏れ聞くところによると、かなり、その議定書なんかでいろいろ規制を加えている以上にオゾン層の破壊が進んでいるやに聞いておるんですが、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/8
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009・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 御指摘の、アメリカの専門家が環境庁を訪れまして、観測の結果でございますけれども、NASAが調べた調査でございますけれども、いわゆるオゾントレンドパネルの報告と言われているものでございますが、この内容は、北緯三十度から六十度におきましていわゆる自然要因による変動、例えば太陽活動の周期変化によります影響を差し引きましても、一九六九年から一九八六年の十七年間でオゾン全量が一・七から三%減少していたということでございます。その要因としてはフロンガスによるものではないかというようなことを言っておるわけでございます。この結果を従来の予測モデルといいますものと比較いたしますと、夏季におきましては、ほぼ予測モデルとこのオゾントレンドパネルの結果というものは一致しているわけでございますけれども、冬季につきましてはトレンドパネルの方が減少率が高いということが指摘されているところでございます。
このNASAの報告につきましてもなお詳細な検討が必要というぐあいに考えているところでございまして、環境庁といたしましては日本の専門家の意見を十分間きながらその内容を検討し、適切な評価を行ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
なお、モントリオール議定書で、先生御案内のとおり、一九九〇年を初年度にいたしまして少なくとも四年置きに、最新の科学的知見に基づきまして規制等のスケジュールの見直しを行うことになっているわけでございますので、このオゾントレンドパネルの報告の内容もこうした知見の一つということで十分検討されるものというぐあいに理解いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/9
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010・田渕勲二
○田渕勲二君 それでは通産大臣にお伺いしますけれども、まず、この法律施行の姿勢の問題についてお伺いしたいわけであります。
モントリオールの議定書を採択するに当たって、オゾン層保護のためにアメリカなどは非常に厳しい対策を主張したと聞いております。それに対して日本の場合は、ECも含めてでございますけれども、非常に消極的であった。こういう経過を踏まえた上でこの法案が出されておるわけでありますけれども、しからばこのフロンとオゾン層破壊の因果関係というものを我が国としても十分に認めた上でこのオゾン層保護対策を積極的に進めていくんだと、こういう姿勢でこの法案が出されたものかどうか。これが一つ。
そして、なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、締約国は、このモントリオール議定書の第二条第十一号ですか、これに「締約国は、この条の規定にかかわらず、」、いわゆるこの規制措置にかかわらず、「この条の定める措置よりも厳しい措置をとることができる。」、こういうようになされておるわけでありますけれども、そういう議定書よりも厳しい措置を取り決めた内容があるのかどうか。これについて、ひとつ通産大臣からお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/10
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011・田村元
○国務大臣(田村元君) モントリオール議定書は、現在の科学的知見をもとにしまして、起こり得るオゾン層の破壊を予防的に防止するために必要な、特定のフロンなどの生産量それから消費量の限度を定めているものであることは御承知のところでございます。
例えば、米国のEPAの最新の調査結果によりますと、フロンなどを規制しなかった場合にはオゾンの量は二〇五〇年には一二・四%減少する。フロンなどを国際的に協調して規制すれば、つまり先進国の九四%、それから開発途上国の六五%が議定書に参加するものとしての推定値でございますけれども、オゾン層の減少は食いとめることが可能と推定されております。したがいまして、通産省としましても、各国が協調してモントリオール議定書に従って特定のフロンなどの生産量及び消費量を規制すれば、オゾン層の保護を図ることが可能であると認識しておりまして、こういう認識のもとに法案を出したわけでございます。
国際社会の重要な一員でございます我が国といたしましては、かけがえのない地球を守るために、世界に先駆けて率先して国際的貢献を果たす必要があると認識しております。今般、今申し上げましたように、条約及び議定書を受けた本法案を世界に先駆けて国会にお出し申し上げ、そして御審議いただくことになったわけでございますが、それも、かけがえのない地球を守るということとオゾン層破壊という科学的知見というものの重要性の認識のあらわれでございます。
さらに、今後我が国としましては、回収・再利用型設備の導入や代替品の開発を積極的に推進しまして、オゾン層に関する科学的な知見の集積に努めるとともに、これらの成果を踏まえながら国際的な規制水準の見直しに関する会議に積極的に参加していくというふうに決意をいたしておりまして、オゾン層保護問題に対しまして、世界のどの国よりも率先して取り組んでまいりたいというふうに心に決めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/11
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012・田渕勲二
○田渕勲二君 非常に積極的な姿勢を示されたわけで、非常に私も、それなりの大臣の決意について評価をするものでありますが、実は、先般、新聞にこんなことが出ておりました。文化人二百二十人余がフロンガスの規制の強化に立ち上がるというようなことで、しかも、これは内閣総理大臣に要望書を出された。これによりますと、一九八六年レベルの生産量に凍結することは上限設定となり事実上汚染を放任する恐れがあるということ。さらに、規制対象となるガスはフロン五種類とハロンの三種類だけれども、半導体の洗浄剤として使用量がふえておるトリクロロエタンなどもオゾン層を破壊しており、こうした破壊するすべての化学物質を規制すべきじゃないか。また、法律の主管は通産省ではなくて環境庁だ、こういう申し入れをされたように新聞で拝見しました。
しかも、現在のオゾン層を壊しておるのは一九七五年、今から十三年ぐらい前に使用されたフロンが成層圏に届いて壊している、こういうようなことでありますだけに、今日ただいまのフロンの使用量は十三年前から比べますと非常にふえていると思うんですが、今こういうような状況があらわれておるわけでありますから、文化人が立ち上がってこうした危機を訴えておるわけでありますけれども、こうした御主張に対して両大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/12
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013・田村元
○国務大臣(田村元君) 先ほども申し上げましたように、国際的な規制水準の見直しに関する締約
国会議があればそれに積極的に参加していくという姿勢でございますから、これは当然学者の知識に対して耳を傾け行動するということになると思います。
それから、所管問題でございますけれども、私は率直に言って、政治家として、どちらでもいい、こんなことで余り目くじらを立てることもあるまいというぐらいの気持ちはあります。生産、消費という問題で、通産省の所管といいますか通産省が窓口になったようでございますが、それにしても、基礎的なといいますか、基本的なといいますか、環境問題に関する専門庁であります環境庁の意見というものには十分耳を傾けなければならぬし、また、僕は医学のことはわかりませんが、環境庁が基礎医学とするなら通産省は臨床医学みたいなものでございます。ですから、十分その意見に耳を傾けながら万遺憾なきを期する。
こういう地球を守るという崇高な精神のもとにつくられる法律に対して、まさか縄張り争いでもありますまい。私は、両省庁が完全な提携、緊密な連絡体制をとることを希望しておりますし、そのようにいたさせるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/13
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014・田渕勲二
○田渕勲二君 そういう御答弁があるわけでございますけれども、その辺のところ、この法案について少し具体的に、通産省、環境庁の関係なども含めてお聞きしておきます。
まず一つは広報啓発活動についてでございます。
このフロンというのは、冷蔵庫、殺虫剤、ヘアスプレー、クリーニング、もう国民生活の隅々に非常に深くかかわっておるわけですね。オゾン層保護対策を進める上でやっぱり大事なことは、これをできるだけ排出をしない、あるいは使用の合理化、こういうことを進めなきゃならぬわけであります。そういう国民に対する広報啓発活動、これは非常に大事なことじゃないかと思うんですね。
そこで、法案の第三条に規定する基本的事項の二号、三号で、知識の普及やオゾン層保護施策の重要事項を定めることにしている、こういうようになっておるんですが、どのような内容を定められるのか。環境庁として、この辺の国民に対する広報啓発活動を含めたそうした保護施策について具体的にどのようなお考えをお持ちなのか、これをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/14
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015・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) まず、法第三条の第二号の関係から御説明申し上げたいと思います。
第二号関係といたしましては、オゾン層の保護の意義ということで、先生方も御案内のとおりに、オゾン層がいろいろ地球環境の保全の上に重要な役割を果たしていること、あるいはクロロフルオロカーボン類がオゾン層を破壊するおそれがあることが認められるというようなこと、あるいは予想される被害が人の健康なり生態系等、あるいは気候等に及ぶものであること、それから、こういうものであるから国民の健康や我が国の生活環境を保護するためには国際協調のもとにオゾン層の保護を図ることが重要であり、我が国もオゾン層の保護に向けて貢献することに重大な意義があるというような、オゾン層の保護の意義につきまして十分説明をしてまいりたいというぐあいに考えているわけでございます。
また、その知識の普及の方法といたしましては、環境庁といたしましては環境週間というのがあるわけでございますので、環境週間を初めといたしましてあらゆる機会を通じてオゾン層の保護の必要性等に対する啓発の普及に努めるべきこと、あるいは、それ以外には、例えばオゾン層を破壊するおそれのより少ない製品の普及等につきましても配慮し、国民の円滑な協力を得られるための基盤を整備すべきこと、そういうようなことにつきましての知識の普及に努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
それから第三号の関係につきましては、各種のオゾン層保護施策の進め方などに関します重要な事項を掲げることというふうになっているわけでございますが、こうした事項といたしましては、当面といたしましては、例えば排出抑制装置などの設置促進に重点を置きますほか、長期的には代替品の開発と利用の拡大を図るなどの対策スケジュールを明らかにしたいというようなことを考えているわけでございます。
いずれにいたしましても、こういう第二号、第三号におきましてこれからの方策の進め方につきましての基本的な考え方を明らかにいたしまして、国民に十分理解をしていただきまして、こういう面での御協力をいただきたいというぐあいに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/15
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016・田渕勲二
○田渕勲二君 それに関連をして、排出抑制ですね、これについて、環境庁長官の関与の事項がございます。法案の二十三条二項では、フロン使用業者に対する排出抑制・使用合理化に係る指導、助言は主務大臣が行うことになっておって、環境庁長官は法律上直接これに関与できないことになっている。そういう法律の中身なんですけれども、これは同条三項の、「指導及び助言の実施に関し、主務大臣に意見を述べることができる。」というようなことだけでいいのかどうかですね。そういうようなことで果たして排出抑制の実が上がるかということを非常に国民は懸念をするわけです。例えばフロン使用業者の届け出制を導入するとか、環境庁長官の関与を極めて強化するというようなことでこの法案の補強をしていく必要があるんじゃないかというようなことを私はこの法案を読んでいて感ずるんですけれども、その点、環境庁長官はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/16
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017・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) この問題は、国民の権利義務に属する問題だと思います。したがって、フロンをつくっている会社は五つぐらいだけれどもユーザーに至っては三万三千というような多いものでございますから、それを主管しているところがそれを監督するということがもっと適切じゃないか。ただ、法律というものが一たびできれば、これはどこが取りまとめようとも政府の責任になるわけでございますから、政府挙げてこの問題と取り組む。そういうときに環境庁としては、関係のところに全部協議ができるようになっておるんですから、そういう懸念は私はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/17
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018・田渕勲二
○田渕勲二君 それぞれの所管官庁が努力をすればいいということになるんですけれども、しかし事は環境問題ですから、それぞれの主務官庁が取り扱う姿勢というものよりやはり環境庁が関与していく方が、これはもう随分姿勢が違うと思う。そういう意味で、この法案は法案として、環境庁のこれからこの問題に対する十分な関与といいますか、そごを来さないようにひとつお願いをしておきたいと思います。
そこで、通産省、環境庁両方にお聞きいたしますけれども、廃棄過程での排出抑制策という問題なんです。
これは、フロンの排出抑制について、本法案ではフロンを使用する事業者に対して義務を課しているだけですけれども、むしろ冷蔵庫やカークーラーというものがどんどん廃棄される過程にあるわけです。これでフロンが大気中に放出されるということになるのでありまして、環境庁として廃棄されるものの中から回収・再利用、こういう社会システム、これをどのように整備していくお考えなのか。これは当然通産省、厚生省など関係省庁にも働きかけていかれるべきだと思うのでありますけれども、そういった回収・再利用の社会システムという面で、環境庁は廃棄過程の取り扱いをどのようにされようとしておるのかということが一つ。
それから、通産省は水銀乾電池の回収など今行っておられます。これは家電メーカーを指導しておられますけれども、フロンの場合にもこういった乾電池並みに各メーカーを指導して回収に当たらせるとか、そういうようなことを考えておられるのか。この辺についてひとつ両省のお考えをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/18
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019・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 先生のお言葉にもございましたけれども、オゾン層の保護を図る上からは、排出抑制・使用の合理化といいますものは生産規制と並びます重要な対策の柱というぐあい
に考えているところでございます。
このような意味から、法律の中におきましてもいろいろ「排出抑制・使用合理化指針」、あるいはただいま御議論ございましたように、主務大臣の指導等々があるわけでございますけれども、先生のお尋ねの、廃棄物処理過程におきますフロン等の回収・再利用につきましては、先生のお話にございましたように、回収・再利用のための社会システムを整備することが重要であるというぐあいに考えているところでございまして、関係省庁と十分連携をとりまして、その実現可能性について十分検討して行う必要があるというぐあいに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/19
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020・安藤勝良
○政府委員(安藤勝良君) 通産省といたしましても、フロンの排出の抑制と同時にこれを回収するということについても重要な課題と考えておるわけでございまして、私の方も早速ことし予算措置をいたしまして、フロン回収のシステムについて経済的あるいは技術的な面からいろいろなフィージビリティー調査をやろうということで、早速情報収集を開始したところでございます。また、あわせまして、構造的に回収が容易なものが考えられないか、例えばカートリッジシステムとかそんなようなことも検討の課題として考えてみたい、こう思っております。
確かに水銀は大変立派な社会システムができたわけでございますが、そういったものができればいいなと、こう考えておりますので、冷媒だとかいろんな面で多岐に使用されているということもございまして大変難しい問題だと思いますが、真剣に取り組んでいきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/20
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021・田渕勲二
○田渕勲二君 そして、このフロンというのは国民生活に非常に多くかかわっておる問題でありますだけに、やはりこれが規制されるということになりますと何かと不便になるわけなんですが、代替品の開発ということについてちょっとお聞きをしたいんですけれども、代替品の開発のめどというのは立っているんですか。それとも、仮に代替品が開発されないとすれば、排出抑制であるとか使用合理化というような問題についてもっともっと規制を強めなければ我々の望んでいる環境基準に達しないんじゃないかと思うんですが、代替品の関係についてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/21
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022・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) お話しのように、フロンの用途は非常に千差万別でございます。冷媒で使われましたり、発泡剤で使われましたり、洗浄剤として使われる。さらにはその使われる際の形状も、気体でございましたり、液体でございましたり、いろいろでございますので、私どもはそのようないろいろな使われ方に応じました対策を講じなくちゃいけないというふうに考えておるわけでございます。
したがいまして、代替品の開発につきましても、それぞれのフロンの形態に応じましてあるわけでございますが、現在既にございます代替品もございますが、しかし、そうでない、非常に代替品が難しい分野もございます。フロン11、12といいますいわゆる発泡剤あるいは冷媒に使われる分野につきましては、既に有望な代替品があるわけでございます。これは、具体的にはフロン123あるいはフロン134aと言われる物質でございまして、これは日本の有力な製造業者も開発途上にございますが、アメリカの有力メーカーも既に開発途上にあると聞いております。
問題は、そのような有望な代替品が実際問題として有効に使われるかどうか。特に安全性の問題がございます。これにつきましては、この一月に発表されておりましたけれども、世界の有力化学メーカー十四社が共同して毒性試験をやるということをスタートしております。総額十億円かけるようでございますけれども、この結果を私どもは期待したいと思っております。
ただ、今お話にございましたように、このように有望な代替品がない分野、すなわちフロン113、これは洗浄用でございますけれども、これにつきましては現在のところ有望なものはございません。しかし、私どもは、我が国におきましては、実はエタノール、これはアルコールでございますが、これを洗浄剤として有効に使えないかということを考えておりまして、私どもの予算で、本年度からでございますが、エタノールの持っております副作用といいますか、容易に腐るとかいろんな問題がございますので、それがどのように対応ができるかということを考えたいと思っております。
しかし、当面の課題といたしましては、なかなか難しゅうございますので、フロン113に関しましては、先ほどお話ございました回収・再利用設備、技術の開発というところに当面は重点を置きたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/22
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023・田渕勲二
○田渕勲二君 確かに、代替品というのは今のところ開発のめどが立っていないような状況ですから、今も局長が最後に言われたように、そういうことであれば、やっぱり回収・再生装置というようなことが急がれなきゃならぬと思うんですが、先日、衆議院の審議の中で通産省当局が、破壊施設の届け出制、立入検査の導入が必要だと答弁されておるようでありますけれども、これは今後法改正をして法律に書き込んでいくと、こういうように理解していいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/23
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024・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) 破壊の方法につきましては、具体的には今後その締約国会議で合意ができた上で決めることになっております。したがいまして、この法律におきましては、破壊の方法につきまして省令で定めるという形で法案を御審議いただいておるわけでございます。
省令で決めます破壊の方法につきまして、今後私どもも検討するわけでございますが、その際に、御議論いただいた一つとして、例えば焼却という問題があるわけでございます。焼却をする場合に、例えば焼却前の過程で気化をしてしまう。そうしますと放出されてしまいますので、仮に焼却が破壊の方法として国際的に認められるとすれば、当然ながらどのような設備で破壊をしていくかとか、あるいはいかなる条件で焼却をしていくかということは当然議論になると私ども想定しております。
その場合に、それを当然ながら我々は確認をしなくちゃいけないと考えておりますので、そのような前提で、仮にその方法が国際的に認められるとすれば、我々はその破壊の設備というものを報告をいただいて、かつまた、それを現場で確認をするというのにも立入検査が必要ではないか、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/24
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025・田渕勲二
○田渕勲二君 ひとつよろしくお願いしたいと思っております。
それから、フロンの規制でまず心配することは、時間がありませんから急ぎますが、生産規制ということに関してお尋ねをするんですけれども、これをメーカー任せにした場合一番心配になるのは、社会的な重要な分野に必要とされるフロンが供給されない。例えばぜんそく患者などに使われるスプレー、これは医薬品ですね、こういうようなものが規制をされたために非常に価格が高騰するとかいうようなことが単純に心配されるんです。そういう意味で、この必要量を確保させる何らかの生産規制なり管理なり、こういったことについて通産省としてはどのようなお考えをお持ちなのか、これもお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/25
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026・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) お話のように、生産規制、製造規制をする場合に、どのような規制が望ましいかというのは私どもも大変関心もございまして、この法案を御提案いただく前の化学品審議会にお諮りした際にも御議論をいただいたわけでございます。
例えば、製造許可をする場合に用途別あるいは品目別に細かくやった方がいいかどうかと、こういう議論でございます。その際の御議論は、やはり技術の進歩がございますし、需要も変化をしていくという、そのような弾力的に変化をするものに対しまして一体柔軟に対応できるかどうかということにつきまして非常に疑問がございましたし、端的に言いまして、お役所仕事というものがそれほど立派にうまくいくとも限らないという議論もございまして、やはり市場メカニズムに任せる。
用途別あるいは品目別の具体的な数字は実際の市場に任せる方がよりうまくいくのではないか。このような結論でございまして、フロンならフロン全体をまとめて数量について許可をするという方法が望ましいというふうに一応結論が出たわけでございます。
ただ、お話しのように、それはそれといたしましても、規制は段階的に強化されてまいります。その過程におきまして、特に必要とされる分野、お話にございましたように、特に人の健康に非常に重要な分野につきまして行き届かないという問題がありますと適当ではございませんので、この辺につきましては、私どもは事前に十分の見通しを立てて対処したいと考えておりますが、仮にそのような事態が予見される場合には、当然でございますが、機動的に行政指導をしてまいる覚悟はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/26
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027・田渕勲二
○田渕勲二君 今度は国際協力の問題なんです。
今回の法案は、ウィーン条約等の的確かつ円滑な実施のためということで法案がつくられていますけれども、ウィーン条約やモントリオール議定書に盛り込まれておる国際協力、こういったものは実は法案に盛り込まれておらないわけで、国際協力ということは別に法律がなくても取り組めると思うのでありますけれども、この辺について、環境庁の見解をひとつ聞きたいということ。
それから、特にアジア地域での問題について、この条約に日本がイニシアをとって参加を呼びかけることが必要なんじゃないか。今NICSと言われて、非常に先進国の仲間入り近い国々がアジアの諸国にあるわけでありますけれども、こういった国々というのは非常に人口の多い国々でありまして、そういうところでやはりこういうオゾン破壊のフロンがどんどん使用されるということも懸念されるわけでありますから、外務省としてはこのオゾン層保護条約の議定書に参加するというようなことでアジア各国に呼びかけて、例えば東京でシンポジウムを開くとかというようなことをお考えになっていないかどうか、この辺についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/27
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028・金子義和
○説明員(金子義和君) お答えいたします。
先生御指摘のように、オゾン層の保護のような地球的規模の環境保全という問題は、できる限り多くの国が参加して規制を実施していくことが肝要であると考えておりまして、もちろん我が国としても、御指摘のアジア諸国を初め多くの国に参加を呼びかけていくべきであると考えておりますし、御指摘のオゾン層保護に関するセミナーの開催等の可能性も含めまして、前向きに検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/28
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029・田渕勲二
○田渕勲二君 環境庁どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/29
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030・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 国際協力につきましては、環境庁は従前から、公害対策で日本の国はいろんな経験をし、いろんなそのための知識なり体験を持っておるわけでございますから、そういう面で、東南アジア諸国等を対象といたしましていろんな面での公害にかかわる技術協力を行ってまいっておるわけでございます。このフロンの問題等につきましても、日本におきましては排出抑制技術あるいは再利用技術が非常に進んでおるわけでございますので、そういう面におきまして必要があれば十分に国際協力をやってまいりたい。
それから、ただいま外務省からお話ございましたように、いろんな機会等を通じましてこのフロン対策につきましての国際協力が進められるように、私どもも努力してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/30
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031・田渕勲二
○田渕勲二君 それでは、時間が来ましたので、最後に環境庁長官にお聞きしたいと思います。
今、私の質問を通じ、御答弁を通じまして、世界は今までにない規模の大気汚染、水質汚濁あるいは自然破壊、こういう環境問題が地球規模、全世界的に非常に大きな問題になっておるわけです。そういう意味で、我が国が最大の債権国として、また一方では、過去に大変大きな公害問題を経験した国として、当然やはり積極的に国際的な環境問題への貢献を果たすべきじゃないか、そういう国際社会に対する寄与をやっていく必要があるんじゃないかと私は思うんです。そういう意味で、こうした国境を越えた地球全体としての環境問題に対する日本の果たす役割ですね、こういうものが今私は問われていると思うのであります。
こうした地球規模の環境問題に対する日本の環境庁として何か具体的な対策、援助、あるいはそれらの推進方法、こういったものについて、長官として、この法案ができ上がる過程を通じて、どういう決意をお持ちになっておられるのか、この点を最後にお聞きをして私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/31
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032・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 今委員御指摘のとおりだと私は思います。したがって、現在我が国の世界における立場ということを考えると、また、かつて深刻な環境問題に悩んでそれを克服した経験を持つ立場から考えましても、地球規模の環境問題は十分考えなきゃならないということで、私の諮問機関であります地球的規模の環境問題に関する懇談会の中で特別な委員会をつくって、ここへこれらのすべての問題についての我が国の対応についての諮問をしておるところでございます。先ほどちょっと思い違いをしたのですが、この諮問結果はこの夏、七月過ぎに答申があるようでございます。したがって、具体的にこの答申をもとに展開をしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/32
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033・田渕勲二
○田渕勲二君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/33
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034・高桑栄松
○高桑栄松君 ただいま問題になっておりますオゾン層保護に関する法律案に関連してですが、問題点は、フロンガスがオゾン層を破壊する。オゾン層を破壊すると、太陽からやってくる紫外線が、オゾン層に吸収される部分が減るので紫外線が増加してくる。増加すると、それによって生物影響がある。人間ですと皮膚がんというのが一番問題になっているようでありますが、DNAを破壊するエネルギーを持っているというように記載してあるわけですが、そういったことが一つあります。もう一つは、何か先ほど環境庁長官が言われたのでありますが、温室効果に対しても、また炭酸ガスとは別に非常に大きな温室効果を持っているというようなことが言われて、フロンガスによるオゾン破壊が非常に大きな人類生存にかかわる問題点になるのではないか、こういう疑問が出されているわけです。
私は、法律そのものは、もう外国から議定書ということで我が国もこれを受け入れるという態勢だと思いますので、これに対してあえて異論があるわけではございませんが、ただ無条件にと言っては言い方は甚だ失礼でありますが、受け入れるというよりは、やはりその科学的根拠といったものを少し詰めていただいて、私たちもそれを納得をした上で賛成するか——「か」というのがあるかと思いますけれども、さしてもらいたいものだと思うわけです。しかし、公害防止の視点というのは疑わしきは罰するということが非常に大切な視点でありますので、フロンガスが疑わしいという点においては私も異存はありませんので、これはやっぱりフロンガスは罰しなければいけないのではないか、こんなふうに思います。
そこで第一番目に、フロンによるオゾン破壊説というのが一九七四年ですか、アメリカのローランド博士によって提唱された。それから十数年たったわけですけれども、にわかにクローズアップされたのは、ニンバス7試験衛星が打ち上げられて、新聞報道によりますと一九八五年九月にそのデータが発表されて、それがいわゆる南極のオゾンホールということのようでありますが、この衛星観測によるデータをわかりやすくひとつ説明してもらいたい。これは環境庁でしょうか、通産省でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/34
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035・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 南極のオゾンホールのお話でございますが、先生お話にございましたように、一九八五年ニンバス七号衛星がオゾン全量の観測の結果を解析いたしましたところ、いわゆる南極におきましてオゾンの量が減っておるということが明らかになったということでございます。その前に、南極の春にオゾン全量が減少するということをはっきり示しましたのは、実は日本の国立極地研究所の研究者によります昭和基地の
一九八二年二月から一九八三年一月の観測の結果でございまして、この一年間を通じまして南極の春、十月にオゾン全量が減っておるということがはっきりわかったわけでございます。その成果は八四年に発表されているところでございます。
なお、一九八五年にはイギリスの研究者が、一九五七年から一九八四年までのハリーベー基地の十月のオゾン全量を調べたところ、南極の春のオゾン減少に長期的な減少傾向がございまして、一九七〇年代後半から急速に減少しているということを見出したという発表をいたしておるわけでございます。
これらの発表を契機といたしまして、先ほど先生からお話しございましたアメリカのニンバス七号の衛星によります観測の結果を解析いたしましたところ、昭和基地なりハリーベー基地だけでなく南極全体にオゾン減少が明らかになっておるということでございまして、それ以降毎年のように調べているわけでございますが、ますますオゾンホールと言われておるところのものがだんだん拡大しておるということが明らかになっておるというぐあいに理解いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/35
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036・高桑栄松
○高桑栄松君 そのオゾンホール発生のメカニズムですが、「サイエンス」によりますと二つの説が記載されておりまして、汚染物質によってオゾンが減っていくということが南極ではオゾンホールという形で出てきているという人為説。もう一つは自然発生説というのがあるようでありますが、このフロンガスによるオゾン層破壊がどうして南極というところに特に特有な現象として出てきたかということも簡単に説明していただければいいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/36
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037・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 先生お話しございましたように、このオゾンホールの原因には、フロンによります人為原因説と自然原因説があります。御指摘のとおりでございます。これにつきまして、アメリカの研究者を中心といたしまして国連環境計画、UNEPから、米国科学財団等によりまして、一九八六年、八七年と続けて航空機観測によります詳細なオゾンホールの観測が行われているところでございます。特に八七年の観測の結果によりますれば、オゾンが減少いたしております高度域で、フロンが分解した結果生じると思われております塩素原子の濃度が他の場所に比べて非常に高いということがわかりまして、フロンによるオゾン層の破壊の説が一層有力になったと理解いたしているところでございます。
なお、南極の空でなぜこういう形になるのかというお尋ねでございますけれども、私の理解といたしましては、いわゆる赤道からの大循環、成層圏におきます大循環が、南極の冬季間におきましては極端に南極の上空は冷たいといいますか、寒い状態でありますので、大循環が及ばない形になっておりまして、そういう面で南極の上空がいわゆるオゾンなりフロンなりが一種凍結みたいな形になっておる。それが春の時期になりましたときに解けまして、オゾンとフロンの反応が起こりまして、先ほど申し上げましたフロンの分解の結果生ずる塩素原子が多く見つかるわけでございますが、そういうことで、南極の春になりますと凍結されておりましたオゾンとフロンの反応が進みまして、その結果、その進むこととあわせまして赤道下で生じますオゾンの供給が南極の上空まで及ばないという状態になるわけでございますので、そういう面でオゾンの供給がないところでフロンとオゾンの反応が起こるということから、特に南極の上空におきましてオゾンの減少が顕著にあらわれるというぐあいに理解いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/37
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038・高桑栄松
○高桑栄松君 今説明されたのは、私もそういうふうに物の本で読んでいたわけで、だから南極におけるオゾンホールがやはりフロンガスによるというか、塩素によるオゾン層の破壊ということと密接に関連しているように私も理解しておったんですが、新聞ですと、ことしの四月三十日の記事だったんですけれども、ソ連の科学者が、南極のホールというのは異常というよりは南極における特有な気象現象であろう。つまり、大気エネルギーの流れとか、電離層の状態と関連して起きているのではないかと自然現象説を唱えているのが新聞に出ておりました。
それで、私もオゾンホールがぐらりと揺れたような気がしたわけでありますが、もう一つ、南極オゾンホールというのは南極特有の極渦というのが出ておりましたね。極にある空気の渦で、その渦によってちょうどそこがホールになっていって、そこへ今局長が言われたような反応があることでオゾンが減ってきているんだと、こういうふうにあったわけで、説得力があると思っていたんですが、ことしのやっぱり三月に、アメリカのNASAで発表したニンバス7の同じ観測結果として、北半球の日本のちょうど上空のあたり、北緯三十度から六十度あたりにもオゾンホールに匹敵するような、要するにオゾン層の破壊、そういうものが見られた。こういうことになると、南極のオゾンホールという説はそれでもやっぱり有力なのかなという気がするんです。
これ、学説論争じゃありませんので、感想があれば聞きたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/38
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039・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 私もいろいろ外国の文献等を読ませていただきまして、この南極のオゾンホールの原因としては、今世界の主たる意見が先ほど申し上げましたような形のものであるというぐあいに理解いたしております。
ただ、先生がお話しございましたように、ソ連の学者なりあるいは新しいNASAあるいはその他の先生方の御意見がいろいろあるわけでございますが、これは非常に大きなといいますか、地上において実験をするとかいう形にはなかなかならない問題でございますので、いろんなデータを組み合わせてそれを推理でつないでいくと、こういう形のものと考えられるということになるのじゃなかろうかと思います。そういう面では、私は、これからどういう新しいデータ等が出まして変わるかどうかよくわかりませんけれども、現在の時点におきましては、先ほど申し上げましたような形で南極にもオゾンホールができる、それはフロンがオゾンを破壊するという理論を証明しておる一つのあかしだろうというぐあいに理解いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/39
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040・高桑栄松
○高桑栄松君 北半球の北緯三十度から六十度のあたり、ちょうど日本の上のところで、それがもちろん北半球全部にベルトになっていると思うんですが、今の先進諸国がちょうどそこに全部入ってくるわけで、もしそうだとすると、相当な健康影響があるのではないか、こう思うわけです。
きょう厚生省にも来ていただいておりますので、健康影響の問題を伺いたいと思いますけれども、皮膚がんですね。紫外線による皮膚がんの発生ということは私ももう学生時代から聞いておるわけで、非常に昔から言われているのは、メラニン色素の少ない白人に多くて、メラニン色素の多い人種には皮膚がんの発生率が少ないということが言われているわけで、そうすると、ホワイトとイエローとブラックとで発生率が違うか。
もう一つは、フロンガスが使われて六十年たつわけですね。それが、もし文献等にあらわれているようにフロンガスによるオゾン層の破壊が進んでいるとすれば、この六十年間のデータがあるかないか知りませんが、やはりそれに匹敵するようなデータが、あるいはそれを推測させるようなデータが出ているのかどうか、ちょっと伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/40
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041・澤宏紀
○説明員(澤宏紀君) 紫外線が皮膚がんの発生に関与する因子の一つであることは定説となっておるわけでございますが、人種差につきましても先生御指摘のとおり、国際がん研究機関の報告によりますと、皮膚がんの発生率には人種差により相当の差があるとされております。例えば、皮膚にできる悪性腫瘍の代表例であります黒色腫、メラノーマでございますけれども、アメリカ白人の発生率は日本人の二十倍以上であると報告されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/41
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042・高桑栄松
○高桑栄松君 いや、今私が申し上げたのは、それは人種的な差なのかというのが一つあるわけ
で、実際に紫外線がふえていたら皮膚がんの発生率がふえているというようなデータはお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/42
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043・澤宏紀
○説明員(澤宏紀君) 皮膚がん、皮膚の悪性腫瘍の増加傾向は世界的なものであるという報告もございまして、日本の統計では、最近十五年間で二倍以上の増加が見られているという報告もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/43
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044・高桑栄松
○高桑栄松君 クロロフルオロカーボン、つまりフロンガスはそのまま分解が非常にされにくいので七十五年くらい存続する。それからフロン12、これは百年も存続をするということで非常に分解されにくい。これはしかし空気よりはるかに重いわけですから、本当は地上に非常に多くあって次第に対流によって上に上がっていく。しかも成層圏の下部層では分解されない。それは紫外線が余り通ってこないからだ。一番上に上がったとき問題になるというふうに書いてあるわけです。そうすると、上に上がるのにかなり年数がかかるということで、しかもクロロフルオロカーボンというようなものが紫外線によって分解をされてClの塩素原子になることがオゾン層を破壊する。確かに方程式を読んでみると、それは破壊しながら再びもとのClに戻る。つまり触媒的な作用があるので、一個あると十万個のオゾンを破壊するというんですから、ほとんど比較ができないぐらい非常に多いということで、もしそうであるとすると、これは大変な話ではないかなと思っているわけです。
それで、先ほど説明ございましたが、これも私は文献で調べたわけじゃないんで新聞報道ですから、確固たる自信があって申し上げるわけではありませんが、オゾンが二・五%減ればその分ふえた紫外線で、毎年一万五千人の皮膚がん患者がふえていく。これは大変なことなわけで、メラニン色素がホワイトよりも多い我々にしても、やはりその分だけふえていくのではないか。殊に北緯三十度から六十度というのは問題になるわけです。そこで、そういうことを踏まえますと、やはりこれは、疑わしきは罰するということでありますが、今のフロンガスがオゾンを破壊するという実験的なものは我が国でも実験的データは持っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/44
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045・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 日本での実験室データといいますものにつきましては、私、寡聞にして知らないところでございます。世界的に有名なものとしては、ローランド教授あるいはその他世界の学者などによりまして実験室内におきまして、このフロンと紫外線、オゾンの破壊の関係といいますのが認められ、それに基づきます反応速度の乗数なり、そういうものが実験で確かめられた上で現在の予測モデルが組み立てられておるというぐあいに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/45
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046・高桑栄松
○高桑栄松君 今の文献的な意味で百年とか七十五年とか、出てしまって上へ上がっているのはもうどうしようもないわけで、自然に分解をしてなくなるのを待つというのは、これは大変なことじゃないかなと思います。
ですから、疑わしきを罰するという意味でいうとこれは緊急な地球的規模での大テーマではないか。ですから、これは何とかしなければならないと思うわけですが、このグローバルな緊急課題に取り組む、これをどのように規制していくかという細かい項目は後で伺いますが、最初に、取り組む根本姿勢につきまして、田村大臣にひとつ御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/46
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047・田村元
○国務大臣(田村元君) 先生は特に大気公害の専門家であられるし、今実は環境庁長官が私に、政府側より質問者の方が詳しいんだと言ってちょっと耳打ちをしてくれましたが、私何回も申し上げておりますように、我が国は国際社会の重要な一員であるという認識をまず持つこと、そうしてそれだけに、かけがえのない地球を守るためには大変な大きな責任がある。経済大国としての責任、工業国としての責任がありますから、やはり世界に率先して国際的貢献を果たす義務があるというふうに考えております。
今般、条約及び議定書を受けた法案でございますから、これを世界に先駆けて御提案申し上げて御審議いただいて成立をせしめていただきたい、こういうふうに考えておりますのも、今申したような認識のあらわれとしてお受けとめをいただきたいと思います。
今後でございますけれども、日本としては、回収・再利用型設備の導入や代替品の開発を積極的に推進して、そしてオゾン層に関する科学的知見の集積に努めるということは大切なことでございましょうし、これらの成果を踏まえながら国際的な規制水準の見直しに関する締約国会議に大いに、それこそ積極的に参加協力をしていく。そしてオゾン層保護問題に対して大いなる貢献をする必要があろう。それにはやはり、先ほどいみじくも鈴木君が申したのでございますが、単なるお役所仕事であってはならぬ。それこそかけがえのない地球の問題、グローバルな問題であるという認識を強く持つべきであると思っておりますし、また事実持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/47
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048・高桑栄松
○高桑栄松君 時間の都合もありますので、フロンガス規制について通産省の方にお伺いしようと思って三つばかりテーマを出してありますけれども、一つにしたいと思います。
それは、生産制限とか代替品のことはもうかなり田渕さんの質問に対してのお答えもございましたので、私は、もう一つの問題としては、ハイテクだとか半導体あるいは精密機械等々の工場で洗浄剤として使われているもののガス化、あるいはそのまま放出されるのをやはり緊急に抑える必要がある。生産制限はその後にやってくると思いますけれども、これのクローズドシステムという意味での工場の何か考え方があるはずだと思うんですが、これについてのお考えを通産省にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/48
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049・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) 御指摘のとおり、非常に重要なポイントだと考えております。我が国の場合はややほかの国と違いまして、フロンの用途別の配分でございますと、おっしゃいました洗浄剤が非常に多うございます。ほかの国とちょっと違うわけでございますので、その点も考慮して我が国は対策を立てなくちゃならないと考えております。
その場合に、洗浄に使われておりますのはフロン113でございまして、これの最も難しい問題は、有効な代替品が当面ないということでございますので、それに対する最大の対策は御指摘のとおりクローズドシステムだと思います。私どもは回収・再利用設備と申し上げておりますけれども、現在、洗浄用には、密閉をするやり方と、おっしゃいますように工場内等に出ましたものを吸着をして回収するというような方法が考えられておるわけでございまして、一部ではもちろん実施されておりますが、いずれもこれからの課題でございますし、お気づきのように、ことしに入りまして我が国におきましても新しい技術開発が民間ベースでどんどん進められて発表されておりますので、我々はそれに大いに期待をしたいと思っております。
当面、来年度規制をスタートする段階で、実態面で申し上げますと、六十一年の水準に凍結すると言っておりますが、実態は大幅削減でございまして、恐らく三割ないし四割洗浄分野では削減をしなくてはいけない、かように思っておりますが、その場合には、おっしゃいましたクローズドシステムの導入というのを意欲的にやらなくてはならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/49
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050・高桑栄松
○高桑栄松君 それでは環境庁長官にひとつお尋ねしたいのでありますが、ちょうど通産大臣がおられるので、私の日ごろの考えでございますのでもう一度申し上げますと、我が国は貿易黒字と言われていつも何か非難めいたことを言われておるわけで、アメリカと日本を比べますと、さっき通産大臣が環境庁は基礎医学だとおっしゃったわけですが、アメリカはその基礎医学に対する研究投資というのはもう日本の何十倍なんですね。それはサイエンス全体です。それはみんな国内消費に充てられているわけで、だからアメリカが赤字だ赤字だと言っても、それは赤字をもとにして非常
に基礎医学が発展をしている。それがそのまま臨床医学に結びついているわけですね。応用の方にですね。我が国はそうでなくて、研究に投資するのをけちけちして、アメリカから買えばいいと思っているのではないか。私はもうこれ甚だ残念に思っておりますので、その点はちょうど両大臣、基礎医学と臨床医学の大教授がおられますので、これ申し上げておきたいと思います。
それで、環境庁長官にお伺いしたいのは、これも新聞でございますけれども、東大の富永教授のグループでしたか、東京都内の地上のフロンガスと、北海道の、どこだかわからないんですが、非常にクリアなところという意味で、つまり機械工場が少ないという、ハイテクなんかが少ないという意味だったのかなと思いますが、北海道と比べて、一番大きな差で四十四倍も東京都の地上にあったと。それは、フロンガスは分子式を見ても非常に空気よりも重いわけでありますから、当然これはもう下にあるわけで、それがだんだん上へ上がるわけで、やはり生産活動にどれくらい密接に関係しているか、これは大きいと思うんですね。これは特別なレーザーレーダーがなくたって見られるわけで、我が国にはそういう継続観測が必要であるということですね、地上とそれから今の生産活動のあるところないところ、比較になるわけですから。
それから、レーザーレーダーがようやく国公研に入りましたが、これは五十キロまで届くわけですから、そうすると五十キロ以上ぐらいのところでフロンガスがオゾン層を破壊するという状況ですから、これはやはりもうフル活動して観測をする必要がある。やっと動いたばかりだったかと思います。そういう地上と成層圏の間を埋めるのが気球でありますね。観測するというのはみんな金がかかりますね。それに分析の機械が要るわけです。人が要るわけです。これは環境庁だけじゃなくて通産大臣にも応援をいただきまして、こういうところに力を入れて、やはりお金は惜しんではいけないんではないか、こんなふうに思います。
そして、それに対する国際協力というのは、グローバルであるという意味では、我が国はいつもアメリカまたはヨーロッパからデータをもらうだけじゃなくて、我が国独自の解析をしたデータも差し上げる必要がある。それから、先進国、欧米と日本を埋める中間の途上国の人たちにも、地域的な観測をする必要がありますから、これに対しては機器とそれから技術を提供する意味の国際協力が要ると思うんです。
継続観測と国際協力について環境庁長官のお考えを承って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/50
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051・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 先生の話をだんだんに聞くほどに、現在の地球環境に対する知見をほとんど御存じというのか、正確に的確に把握しておられるように思います。私もそのとおりだと思います。
したがって、幸いに国公研でオゾンレーザーレーダーも設置いたしましたし、もう六月には情報も入ってまいりますから、今世界でちょうど五カ所になるわけでございますから、フランス、西ドイツ、アメリカ等と十分連絡を密にし、情報を密に交換することによって、地球環境問題と真剣に取り組む責務を果たさなければならないと思います。
幸いに、こういう問題が起きたこの時期でございますから、これを契機に、国会の方々の議論が一番国民にすぐに伝わる、極端に言うと国会で議論されたことで初めて国民が信用してくるわけでございますから、一番速い情報の伝わり方だと思いますし、これはもう国民的な課題としてやっていかないと大きな成果も上がらないし、そういう意味で、人類の健康、そういうことを守るという立場で私どもも積極的に貢献していきたい、これをことしの一つのテーマとして進めていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/51
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052・高桑栄松
○高桑栄松君 継続観測の件。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/52
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053・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 先生のお話しございました東京大学の研究の成果でございますが、東大におきましてかねてから北海道において大気中におきますフロン等の微量ガスの測定をやっておったところでございますけれども、東京におきましての成績も先般発表されたところでございまして、環境庁といたしましても、先生の御指摘のとおり、そういう面での大気中におきます微量ガスの継続的な観測が必要であるというぐあいに考えているところでございます。
そういう面で、法律の中におきましても第二十五条の二項に、環境庁の中で、オゾン層の、成層圏の観測と大気中におきます特定物質の濃度変化の状況を監視するということで、法律に根拠を置きまして、私どもこれから継続的な恒常的な大気中の微量ガスの監視もやってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/53
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054・高桑栄松
○高桑栄松君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/54
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055・近藤忠孝
○近藤忠孝君 今回、ウィーン条約とモントリオール議定書に基づいて、フロン、ハロンガスの規制を実施するということは一歩前進であるということで評価をいたします。
問題の一つは、仮にモントリオール議定書どおりに削減できたとして、どれだけの効果が上がるかという問題であります。
まず西暦二〇〇〇年までの推移について考えてみたいと思いますが、現在、地球全体の大気中に既に放出された分として、これは環境庁からもらった資料で、八百万トンが蓄積されておりますね。これを前提として議論したいと思うんです。
このモントリオール議定書の規制スケジュール、何年かごとといってずっとありますけれども、これに沿ってフロン消費量の削減をしていくとすると、二〇〇〇年までにどういうことになるのか、まず御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/55
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056・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) 今回のモントリオール議定書を策定する際に、各国が議論いたしました、おっしゃいます科学的知見のベースになりました資料でございますけれども、これは、最初に発表されましたのが一九八七年四月に出されました報告でございまして、生産量がこのまま年率二ないし四%の割合で伸び続けますとオゾン層の破懐が進む。しかし、生産量を国際的に協調して規制すれば保護はできるというのを、いろいろなモデルを使いまして発表しているわけでございます。
今回議定書で最終的に決めました数字をベースに、アメリカのEPA、環境保護局が試算したものが発表されております。これも五つのモデルでやっているわけでございますけれども、仮に規制を行わない場合には、西暦二〇〇〇年におきましてのオゾン層の減少量は〇・九%、ただ二〇五〇年になりますと一二・四%、二〇七五年になりますと三九・九%減少すると、こういう数字を第一のモデルにいたしまして、いろいろバリエーションがありますが、最終的の第五のモデルで今回お願いしておりますような内容の規制をし、かつまた、先ほど大臣がちょっと触れましたように、先進国の九四%がこれに参加し、発展途上国も六五%が参加したという前提でまいりますと、二〇〇〇年でのオゾン層減少率は〇・八%、二〇五〇年でも一・六%、すなわち二%以下、このような効果が期待できるということが発表されておりまして、国際的にはこれが共通の認識になっていると私ども存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/56
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057・近藤忠孝
○近藤忠孝君 この規制スケジュールどおりやっていっても、生産量、消費量があるから、やはり残存がありますよね。既に八百万トン。そして今後これは二〇〇〇年で計算して、それまでに九百三十五万トンあるんじゃないかと思うんですが、そうすると合わせて千七百三十五万トン。これはやっぱり相当長期間にわたって対流しますから、影響がありますね。大体六十年から二百年の長期にわたって影響する。そうなりますと、やはりこのとおりやっていってもそうなんだから、もっともっと、特に一九九〇年ごろにはこの議定書の見直しを行うと、こういう予定のようですね。だからその際には、やはり成層圏オゾン層が減少しないレベルにまでフロンの放出量を削減するように、我が国はもとよりそうですけれども、国際分野でもそういう点で積極的な努力をすべきだと思
うんですが、これは大臣から御答弁いただいた方がいいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/57
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058・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) おっしゃるように、私専門家じゃないけれども、今のモントリオール議定書の条文どおりやっていて、大体二%ぐらいの二〇〇〇年の減少があるような感じですね。このまま無政策でやった場合に一割ぐらい、一〇%ぐらいの影響があると私は聞いておるんですけれども、そういう状態でございますから、現在の科学的知見、世界じゅうのいろんな学者の知見があろうと思います。その知見に基づいてやるのが一番妥当な方法じゃないだろうか。
しかし、御指摘のように一九九七年ですか、その見通しのときにはばさっと切らなきゃならぬ予測もあるようでございます。現在のところ、そういう予測も踏まえて私どもは対処していかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/58
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059・近藤忠孝
○近藤忠孝君 先ほど局長の答弁をもらわなかったけれども、私が言った今後二〇〇〇年までの分も含めて千七百三十五万トンという、この数字はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/59
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060・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) 恐らく、先生御試算なさいましたのは、UNEPに出されました五年ごとの資料でございますが、それをベースに計算なさっているのだろうと思います。これはその間どのような数字になるかによりましていろいろあると思いますが、概数といたしましては恐らくそんな感じになるのかもしれません。
ただ、基本的には、その辺の今後のいわゆるフロン、あるいはオゾン層の減少量のモデル、先ほど申し上げましたEPAのモデルも当然今後の削減計画、これをすべてベースといたしましてその数字を使って計算していると存じますので、一応それは含んだ上でのオゾン層への影響のモデル計算だと私ども理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/60
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061・近藤忠孝
○近藤忠孝君 別の計算によると二千五百万トンにもなるんだけれども、遠慮して千七百三十五万トンにしておいたんですがね。大体そんなものだろうと思うんですね。だから、やはり次の見直しのときには、これはもっともっと真剣に取り組むべきだと思います。
それからもう一つの問題は、今回の議定書の理論的根拠になったモデル計算の問題があります。
それに関して、国立公害研究所の大気環境部長の秋元肇さんという方の論文があります。その関係でちょっといろいろ検討をしてみますと、フロン11、12の放出を一九九二年以降一九八六年レベルに凍結することを先進国の八〇%が合意したときの将来のオゾン全量について、いろいろのモデルによる予測した結果が比較されておるんです。これでは、「二〇五〇年におけるオゾン層の減少予測の幅は六・一〜一〇・二%の間に収まっており、予測値については±三〇%の誤差で科学者の合意が得られている」というんです。私は、その数字そのものは、その計算そのものはそれはそれで是認をするんですが、ただ問題は、この六・一から一〇・二%のオゾン層の減少は、地表から成層圏までの垂直分布をあらわすものじゃなくて平均的なものなんですね。
これは環境庁からもらった資料によりましても、この成層圏の上の方、高さ四十キロメートルのところでこういうぐあいに減少する部分、これは平均すると二〇から三〇%、多いところは四〇%ぐらいマイナスになりますね。ところが、これは対流圏、下の方です。キロで申しますと高さ二十キロメートル以下のところですね、そこで逆にふえているんです。オゾンがふえる。これをプラスマイナスするから、さっき言った六から一〇%限度におさまって比較的低い水準なんだけれども、大事なことは、上の方でこんなに、ところによっては四〇%も減少するという、そこが問題なんです。
片やこのふえる部分、これは何かと申しますと、まさしく人体に有害な光化学スモッグの原因になるこの物質ですよね。だからこれは当然減ってしかるべきです。こんな危険な、まさしく人体に、人間がばたばた倒れるようなそういうものを減らして、平均して六から一〇なんという計算が果たして妥当なんだろうか。この下の方の危険なものはこれは減ってしかるべきですね。
となりますとこういうこの計算、これこのままではいけないので、これは私の提案でありますが、結局、環境庁としては、このことを大いに問題にして対処すべきではないのか。これを前提として対策を講ずべきじゃないのか。この点、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/61
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062・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 先生の御指摘の国公研の秋元先生の論文でございますが、六・一から一〇・二%の減少というお話でございますが、これは少し古いシナリオに基づきました推計でございまして、昨年四月以降の最近におきましては、先ほど通産省の方からもお話しございましたように、全体としては二%以内の範囲でオゾン全量の変化があるというぐあいに理解いたしております。
しかしながら、先生のお話にございましたように、いずれにしましても対流圏におきますオゾンが若干ふえるということは見込まれるわけでございまして、対流圏、特に光化学スモッグの関与する大気の境界層内におきますオゾンの増加の問題があるわけでございますが、この増加の程度といいますのも、全体で見ました場合には二%以内の範囲内におさまるということでございますので、そう大きな増加のファクターでもないわけでございますし、また、他の光化学スモッグの要因、先生御案内の光化学スモッグの要因がいろいろあるわけでございますが、この要因等にも比べまして、そう大きな問題はないのじゃなかろうかというぐあいに考えているところでございます。
いずれにしましても、対流圏内のオゾンの増加といいますのはフロン以外の要因等もございまして、さらに科学的知見の進展を待ちまして精密なモデル設定が必要であるというぐあいに思うわけでございますので、引き続き科学的知見の集積に努めてまいりたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/62
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063・近藤忠孝
○近藤忠孝君 この数字の問題はいろんな計算もあるし、また科学的知見の進展に従っていろいろ変わってくるので、きょうはそれはあえて問いません。
ただ、今の長谷川さんの答弁によりますと、成層圏オゾン層が減ってそこを通過する紫外線の量はふえても、しかし、この地表に達するまで光化学オキシダントなどによって吸い取られるから、だから大丈夫だという、この考えが私は問題だと思うんですよ。平均値なんだから、さっきの。そういう平均値が六から一〇%が二、三%に減ったとしましても、それはいいんだけれども、平均値ですからね。しかし、さっき私が示したとおり、上の方は減って下の方でふえる。下の方でふえて吸い取るというのは、これは光化学オキシダントが吸い取るんですね。極言しますと、もっとNOxや炭化水素の汚染をふやせば紫外線は遮られるからいいんじゃないかという、こういう議論になるんじゃないですか。だから、光化学オキシダントの生成による相殺効果は当てにすべきじゃないと私は思うんですね。むしろ光化学オキシダントを大幅に減らす方向を追求する。
だから、それ減ったら、今度はオゾンが上の方で減るだけになってしまうので、だから、私は低い方で吸い取るのを当てにするんじゃなくて、むしろ上の方の減少そのものを防止する、こういう考えが必要だと思うんですよ。さっきの答弁はちょっと環境庁らしくない答弁なんで、もう一度ひとつやり直してほしいと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/63
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064・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) むしろ補足いたしまして御紹介したいと思いますが、UNEPにおきまして、おっしゃいましたように、オゾン層の破壊の状況、成層圏、対流圏の状況、特に高度別の問題は、まさに先生御指摘のとおりに非常に問題視して議論しております。
八六年に出ました報告書の中でも、例えば、総量についての有意な変化は認められないが、四十キロレベルでの減少傾向があるということをむしろ問題にして、やはり規制が必要だと、こういう議論をしておりますので、当然高度別の議論は明
らかにUNEPでもしていると存じます。
かつまた、対流圏と成層圏とのオゾンの比率でございますけれども、ちょっと専門家でなくて申しわけございませんが、読んだ本によりますと、大体成層圏が九で対流圏が一だということでございますので、総量論を議論する際に、おおむねその九の方の議論になりますので、やはり総量の議論は意味がある。一対一でございますと、おっしゃるような問題がありますが、相当部分が成層圏の方にオゾンはある、こういう議論でございます。
それから、対流圏の方のオゾンの増加要因は、むしろフロン等ではございませんで、御指摘のように別の物質の問題でございますが、それはそれとして、別途従来政府内部での対策は、例の光化学スモッグ対策という面でやっていると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/64
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065・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) ちょっと表現がまずくて、先生誤解を招いて申しわけございませんでした。
このモントリオール議定書に定められましたああいう規制が予定どおり実施されますれば、オゾン層の減少が最大二%以下にとどまるということが言われているわけでございます。したがって、オゾン全量の変化が二%以下であるならば、モデルによります対流圏におきますオゾンの量の若干の増加は見込まれるということでございます。
ただ、今通産省の方からお話しございましたように、成層圏と対流圏におけるオゾン量の割合の問題もありますし、それから対流圏におきましてはオゾンの量も、いわゆる大気境界層内というところと、それから大気境界層から上の成層圏までの間のところというものにおきますオゾンの割合というものもあるわけでございますけれども、いずれにしましても、それをひっくるめましても、モデルによります対流圏におきますオゾンの量の若干の増加は見込まれますものの、対流圏、特に光化学スモッグの関与するような下の層におきましては、オゾンの増加も他の光化学スモッグの要因に比べまして問題にされるほど大きくはないというぐあいに考えているところでございます。
先生お話しの光化学スモッグ対策といいますものが、これによって緩くなるとかやらなくていいという意味では全くございません。光化学スモッグ対策は対策ということで、それはきちっとやっていかなきゃならないわけでございますけれども、特にフロンとオゾン層の関係によりまして、光化学スモッグがふえるとかふえないとかということについては、余り大きなファクターにはならないんじゃないかなというぐあいに思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/65
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066・近藤忠孝
○近藤忠孝君 余りそう思わずに、もうちょっと問題視してもらいたいということを申し上げて、次に入ります。
それから、二次元モデルでは、赤道付近より緯度が上がるにつれて成層圏オゾン層の減少率が飛躍的に大きくなるということが知られています。ここには白人種が多くて、紫外線照射にも弱い人が生活しておりますね。その地域がオゾン層の減少率が大きくて、紫外線量も多くなるということはやっぱり大問題だと思います。
高緯度地帯の特殊性も十分念頭に置いて、これまた一九九〇年の見直しに当たっては削減率の見直しを私は行うべきだと、こう思いますが、これは御答弁いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/66
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067・長谷川慧重
○政府委員(長谷川慧重君) 先生御指摘のとおり、一九九〇年を初めといたしまして、四年ごとに新しい科学的知見に基づきましての見直しをやるということが議定書等で決まっておるわけでございますので、そういう面では、先生御指摘のとおり、いろいろな科学的知見を集めまして、その都度国際的な場においての会議が進められるものと、日本もそれに対してできるだけの協力といいますか、推進を図ってまいりたいというぐあいに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/67
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068・近藤忠孝
○近藤忠孝君 それから次は、フロンガスは、オゾン層の破壊だけでなくて温室効果も問題になっておりますね。この温室効果については、それ以上にCO2、それからメタン、亜酸化窒素など、それとあわせてフロンガス、こういうものがあるわけで、これは今まさしく野放しですね。
温室効果が高まっていきますと、これは今まさしく地球規模で大問題になっておりますが、地球規模で大変な環境の変化、例えば水面が上がって、仮に一メートル上がっても世界じゅうの大都市が全部水没するところが多くなるわけです。仮に六メートルなんということになりますと大半は海の底へいってしまうという、こういうことになるんだと思うんです。となりますと、このCO2の観測、それからその他の温室効果のある物質もこれはやっぱり観測をすべきだ、こう思います。
それ自身が有害でないものがあるものだからなかなか難しいかもしれません。しかし、まず観測を始め、そしてやっぱりそんな水面の地球規模の上昇なんていうことをこれは未然に防ぐ、そういう観点からこれらの物質の削減に向けての努力を国際舞台でひとつ積極的に行うべきではないかということを提言いたしますが、これは大臣から御答弁いただいた方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/68
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069・安楽隆二
○政府委員(安楽隆二君) 先生御指摘の、微量成分ガスの温室効果の問題でございますけれども、私どももこの問題の重要性というのは十分認識しております。ただ、こうしたものの大気中濃度の増加の原因とかあるいはその濃度の増加と地球全体の温度上昇との関係とか、あるいは被害の可能性の問題、そういうものについての知見がまだ現在では十分判断するというところまではいっていないので、ともかく調査研究を早くやる必要があるということで、通産省といたしましてもそういう認識のもとに、例えば酸性雨等の問題とともに基礎的な調査研究を実施していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/69
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070・近藤忠孝
○近藤忠孝君 大臣の答弁の前に。
知見が得られて、それで因果関係が証明されたときには、世界じゅうの大都市はみんな海の底になってしまう可能性があるんですね。だから、そうならないためにも、今観測の点の一応の前進的な答弁があったけれども、観測し、かつ結論が完璧に立証されなくても、その可能性がもう既に指摘されているんですから、これはやっぱり大臣として、国際舞台で大いに御活躍いただきたいというのが質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/70
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071・田村元
○国務大臣(田村元君) もちろん、全地球的な問題でございますから、各国ともに研究しなきゃならぬ、あるいは調査しなきゃならぬことは当然のことでございますし、その調査結果に基づいて速やかに対応していくこともまた当然のことと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/71
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072・近藤忠孝
○近藤忠孝君 最後に、トリクロロエチレンなどの物質が地下水汚染の原因になって、具体的事例としましては、熊本市でこれが検出されましたね。熊本市というのは御承知のとおり阿蘇のあの水で、実際それが今水道水などになっておりますから深刻な問題になっておるわけであります。
問題は、これらの物質が地下水汚染の原因物質として問題になったことから、フロン系などにそれを転換するということになっております。例えば市内最大の規模であるNECの熊本工場の場合、トリクロロエチレンなど三物質の使用量が年間四十六万五千キログラム、これをフロン系に転換していく。それから、規模は小さいですが荒尾鉄工の場合も同機であります。こういう半導体産業のフロン系への転換の動きは、これは別の代替物質に変更しないと、せっかく今ここでこういう規制をしても、その効果がこれはもう半減してしまいはしないか。そういう点の強力な対策を講ずべきだと思いますが、その御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/72
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073・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) トリクロロエチレンにつきましては、環境汚染の問題ということを私ども認識しておりまして、昨年でございますけれども、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、いわゆる化審法と言っておりますが、それに基づきます指定化学物質に指定いたしまして、現在、業界に対しまして適正利用マニュアルという
ことの遵守、表示等を指導しているというのが現状でございます。したがいまして、トリクロロエチレンを洗浄剤として使用する数量は漸減をしているというのが実態で、それは御指摘のとおりでございます。
一方、フロンにつきましては、フロンそのものが持っております非常に商品としてのよさというものが別途ございますものですから、一部におきまして使用量がふえているという側面があると思いますが、今回のこの法律によります対策の一環といたしまして、当然でございますが、私ども所要の措置を講じなくてはいけないと考えております。特にフロン113を洗浄用として使っておりまして、これは代替品がございませんので、先ほどから御説明しております回収・再利用設備の設置の促進を図るということが当面の最大の対策だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/73
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074・近藤忠孝
○近藤忠孝君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/74
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075・山田勇
○山田勇君 先ほど来各先生方の御質疑、また、政府側の御答弁を聞いておりまして、大変勉強になりますし、私、科学ということは余りよくわかりませんので、質疑をしながらともに勉強させていただきたいと思います。
まず、オゾン層は、太陽からの強過ぎる紫外線を吸収して地上の生物を保護してくれる大事な働きをしているわけですが、このオゾン層を保護するためには、フロンガスが排出される段階で抑制することが最も有効と考えられるのです。
まず、環境庁長官にお尋ねをします。
今回の法案提出に当たっては、生産抑制ということで、通産行政の観点からという印象をぬぐえない感じもするわけですが、環境行政の推進という点から見て、他国と比べておくれており、オゾン層を保護する熱意が薄いのではないかなという、ちょっと心配をするんですが、オゾン層の保護、環境保護に取り組む長官の決意からまず伺っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/75
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076・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 私も、今御指摘のとおりだと思います。ただ、今度のオゾン層を破壊すると言われている物質の生産規制がモントリオール条約の議定書の内容になっております。そういう面から見まして、政府の仕組みからいうと、国民の権利義務になりますので、いわゆるフロンの生産会社が大きなものが大体五カ所ございますが、ユーザーが三万三千もある。そういうことになると、その主務官庁の通産省がこれの権利義務をちゃんとやるためには一番しやすい段階にあるために、こういう仕組みになったと思います。
しかしながら、法制化しますとこれは政府の仕事になってくるわけですから、環境庁としては、いわゆる関係ある各省庁に——これの規制あるいは排出の抑制も今度は加わったわけでございますし、また観測とか研究とかそういうものまでやっていくわけでございますから、当然環境庁が中心になって、いわゆるオゾン層を守るという地球規模の環境をよくするという立場は、当然環境立法という立場で私どもは運営していくという決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/76
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077・山田勇
○山田勇君 今度は通産省にお伺いをしたいんですが、今後、過去においてもそうであったと思うんですが、環境保護と産業の発展ということは両立しにくい面が多々あると考えられるんですが、この矛盾について、通産省としては今回のこの法律等々を含めてどのような御見解をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/77
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078・安楽隆二
○政府委員(安楽隆二君) 環境問題一般と産業活動の問題でございますけれども、やはり国としては国民の健康を保護する、生活環境を保全するというのが重要な使命でございますので、官民一体となって産業公害を防止するということが極めて重要で、懸命に今までも取り組んできたわけでございます。もちろん産業の発展も我が国経済の発展にとって重要ではあるわけですけれども、その過程で環境問題を引き起こすということはまずいわけでございますので、そういうことがないよう、今後とも政府として万全を期していくということではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/78
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079・山田勇
○山田勇君 産業界の対応によっては、フロンガスの需要量が減少し、生産を下回る場合が出てくることも予想されます。このような際には、生産許可の合計量を、議定書の上限にこだわることなく、実態に合わせて弾力的に対応してもよいのではないかと思うんですが、その点、通産省はどうお考えになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/79
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080・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) 実態の方を申し上げますと、我が国におきましてはフロンの需要量がふえております。法律を適していただきまして、来年規制がスタートいたしますと、来年は六十一年の水準にカットするわけですが、恐らく三〇%ぐらいのカットになると思います。非常に厳しい生産削減でございますが、これをぜひ有効に実施しなければいけないということでございます。
御指摘のように、今後の技術の展開に応じまして、先ほど御説明しました、例えば有効な回収・再利用設備ができてくる、あるいは特に代替品のいいものが開発されてくる、こういう事態になりますと、お説のとおり確かにより有効な対策が進められるかと存じます。そのような段階におきましては、今後その見直しの段階で、当然ですが、さらなる対策の強化ということは考えられると思いますけれども、当面私どもは、来年あるいはその次の規制のさらなる削減というものをいかに円滑に実施するかという非常に苦しい問題に対処しなければいけない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/80
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081・山田勇
○山田勇君 オゾン層の保護のためには、さきにも述べましたように、排出抑制が大切であり、生産削減はそのための重要なステップであると考えます。
実際の事業者また国民の排出抑制を実効あるものとしなければ絵にかいたもちになってしまいますが、環境庁としての取り組む姿勢と決意を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/81
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082・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 御指摘のとおりでございます。私どもは、生産規制という問題と同時に排出規制ということが非常に大切と考えております。
したがって、排出規制という問題について我が国は非常にぐあいのいい立場にあると思うのですが、現在、フロンガスの使用の内容を見ますと、先ほど来説明しておりますけれども、我が国ではICの洗浄なんかに一番多く使われておる。そういうことになりますと、一つの工場内で外へ出さないで管理しやすい状況の問題が非常に多い。そしてその中で、今新しい問題でフロンを回収するような機械もつくられておるというような現状でございますから、税制等の優遇策も考えて排出規制が非常にしやすい環境にあるから、我が国ではそれを特に強調してやるべきだ。そして、国民への影響をできるだけ少なくしながら実際の効果を非常に高く上げるという方向がめどがつきやすいんじゃないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/82
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083・山田勇
○山田勇君 フロンにもいろいろあるようでございますが、規制の対象となっている難分解性のフロンがオゾン層の破壊、ひいては地球上の生態系に悪影響を与え、人類の生存にもかかわることになるわけで、重大な問題であります。
しかしながら、この種のフロンを全く使わないようにするのには現状から見て不可能とも言われております。そこで、できるだけ大気中に放出をしない、回収・再利用、先ほど言われました再利用すること、また安全性の強いフロンやフロンの代替品の開発などに早急に取り組まなければならないと考えます。
そこで、先ほど高桑先生がおっしゃいましたとおり、これほどちらに申し上げたらいいのかわかりませんが、どうしても日本は研究費というものになかなか予算が執行されにくいということになろうかと思います。ぜひこれは、今こそ研究費を、予算をとっていただいて、何とか早く研究をしていただきたいと思います。
私大変不勉強で、知らぬのはおまえだけだと言われましょうが、このフロンという言葉も、本当につい最近耳にした言葉です。つい最近というのはことしの正月にアメリカにおります子供から、海水浴でハワイへ行ったときに、おい、日に焼けに行こうかという形で言うと、今まであれだけ日
に焼くことを好んでいた若者が、いや、だめだ。何でだめなんだ。アメリカのニュースで今このフロンの問題が出て、皮膚の炎症を起こす、皮膚がんなんかができるということを物すごくPRしている。それは「サイエンス」なんかにも出ているのかと聞くと、いや、若者の読む一般雑誌の中にこのフロンの害を扱って、そういう紫外線の問題が扱われている、だから焼かないんだと。事実、私は連休を利用してハワイに行ったんですが、アメリカ人はほとんどプールサイドでは焼きません。そのぐらいこのフロンガスの影響というものをアメリカはかなりPRしているんですね。
だから、日本もそういう形の中で、黄色人種ですから紫外線に強いとか言っているんですが、やはり先ほどの御報告を受けますと、やっぱり白色人種は二〇%ぐらい日本より多い、そういうようなことも言われておりますが、ぜひその研究と、それと国民に科学をわかりやすく、これは先ほど来高桑先生のお話を伺いますと、これはもう人類の存亡にかかわる重大な私は問題だと思うんで、ぜひひとつその研究と国民にわかりやすいPRをしていただきたい、その決意を伺いまして私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/83
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084・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 私の認識も同じでございますが、皮膚がんという話が出ているけれども、本当は、その次に目がもうだめになってしまうんじゃないか、その危険が非常に高いように私は認識しております。そういう意味からいうと、研究費をうんと出してもらってもそれだけの値打ちはあるものと私も考えます。幸いにいわゆる企業と学者等の話し合いもこの七月ごろを予定しておりますので、私どももこれを支援して、より高い効果を上げられるように努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/84
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085・山田勇
○山田勇君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/85
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086・木本平八郎
○木本平八郎君 まず、環境庁長官にお伺いしたいんですが、長官、四月の二十二日ごろですか、何か関西のフロンのメーカーを視察されましたですね。それについての御所見をまずお伺いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/86
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087・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 現在、世界の規模でフロンをつくっておるのが百十万トンと言われておるんですが、その中で我が国で十七万トン生産しておると言われておる。その中で、七万トンまでつくっておるのが大阪にありますダイキン工業であります。ここは生産工場であると同時にユーザーの部面も持っておりますので、一番いいだろうということでお邪魔したわけでございます。
実に手際よく説明を受けました。ただ、私が行くまでの認識と、行ってあれっと思った認識を中心に御説明する方がわかっていただきやすいと思うんですが、まず、もう代替品なんというのはちょっと不可能じゃないかという気持ちで行きました。フロンというこの物質自体が今世紀最大の発明とか発見とか言われておるんですからこれは難しいだろうと。ところが、これはもう今は常識になっておりますけれども、いわゆるオゾン層を破壊する物質とそうでない物質とがあるようです。ただ、そこで私の思ったことだけを申し上げますと、代替品の方が本体よりも値段が高くかかるんですね。ほんまものを買う方が安うて、代替の方が高いという問題、これをこれからどう克服しなきゃならぬのかという問題が一つ。
もう一つは、フロンガスを回収する機械が非常に進んでおる、思ったよりも非常に進んでおる。もうすぐにでも実用化に向かうというようなことが、私もその場で見ました、そのものも。そうして値段も思ったより安い。私ちょっと記憶にないですが、百万円単位とか二百万円単位、そういうようなもので、回収できるようでございます。だから、フロンを一番使うのはICの洗浄に、油を分解するんですから使うわけですから、こいつが一番しやすいんじゃないか。だから、これは非常にいい方向に向かっているなということ。
もう一つは、さすが日本の企業だと思ったのは、もうアメリカ企業と皆連絡がついておるんですね、世界じゅうの企業が。だから私ども以上に情報が、もちろん向こうは死活の問題でございますから、非常に行き届いておる。だから、審議していただいておるこの法律案を出すことによってもうすぐに日本はこれに対応できる。むしろドイツの大臣と会っていろいろ情報を聞いてみると、日本はおくれておる、こう皆言われておるけれども、そのとおりだと思うけれども、対応は日本が一番早いんじゃないか、そういう自信を向こうで抱いたことが一番大きな印象でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/87
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088・木本平八郎
○木本平八郎君 そこで鈴木局長にお伺いしたいんですが、メーカーというのは四社か五社ですね。この辺は国際的な認識もあるし、自覚もあるんで、ちゃんとこういう法律があったら対応していくと思うんですね。問題は、数万社になるんですか、そのユーザーのメーカーですね。こういうメーカーがうまくちゃんとやってくれるかどうかなんですね。
日本の場合に非常に外国から信用がないのは、日本は約束してもすぐ裏で何かごそごそやるとか、制限をやっても抜け駆けやるやつがおるとか、そういうなにがあるんですね。この辺をどういうふうにやっていくかということなんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/88
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089・鈴木直道
○政府委員(鈴木直道君) 確かに、今後の対策の中で、回収・再利用設備の普及というのが当面非常に大きな政策でございますが、ユーザーの中に占めます中小企業比率が大変高うございます。今IC用に使われている洗浄剤というお話でございましたけれども、もちろん大手の方もおられますが、実はほとんどが中小企業の方々で、これは精密機械関係の中小企業の方が一番おられるわけです。その方々に対していかにこの回収・再利用をやってもらうかということが、これは非常に手はかかりますが、どうしてもやらなくちゃならない問題だと思っております。
これは、実はこの法案を出す際に化学品審議会という審議会で御議論いただいたわけですけれども、そこにそういう中小企業関係の分野の業界の代表者に全部参加していただきまして、その方方にこの問題の重要性を認識してもらうと同時に、今後の規制の強化の手順すべてを御理解いただいておりますので、そのようないろんな努力の上できめ細かくやらなくちゃいけないし、財政面あるいは税制面での援助というのは非常に重要でございます。今回お認めいただいた予算の中にもそれは含まれておりますけれども、今後の展開に応じましてはそれをまた強化もしなくちゃならないのかなと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/89
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090・木本平八郎
○木本平八郎君 実は私十分しか持ち時間がありませんので、いろいろ用意はしてあるんですけれども、ちょっと重要な方から先にやっていきたいんですがね。
それで、結論から申し上げまして、環境庁にぜひお願いしたいのは、これは通産省もそうなんですけれども、今まで日本のやり方というのは、こういう法律をつくってお上から取り締まるというスタンスで来たわけですね。ところが、やっぱり性悪説でやるのには限界もあるし、コストが高くついちゃうわけですね。したがって、業界みんなが国際的な重要性を考え、自覚して、みずからそれじゃやっていこうと、世界のためにやっていこうというふうな雰囲気づくりというか、こういう指導が一番大事だと思うんですね。
特に環境庁の場合は、こういう健康問題というものが、我々日本人だけじゃなくて人類にとっても大事だということをやっぱり国民は自覚させるというのは一番大事なことだと思うんですよ。今後ともそれをやっていただきたいと思うんです。
そこで、ちょっとこじつけるようで申しわけないんですけれども、総理府で橋本室長が政府広報の汚職の問題でなにされていますね。環境庁だけじゃなく、これはもう政府全部の問題なんですけれども、環境庁も相当PRなさっていると思うんですね。どのぐらいの予算を毎年使っておられるかわかりませんけれども、今申し上げたように、今後ともそういう国民の意識を高めるために積極的にやっていただかなきゃいかぬ。それに対してこういうものがあって環境庁も巻き込まれる。環境庁というのはクリーンというイメージですからね。クリーンがこういうダーティーにひっかけら
れたんじゃ迷惑な話だと思いますけれども、そういった点についてどういうふうにお考えになっているか、御所見があれば承りたいと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/90
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091・安原正
○政府委員(安原正君) 先生御指摘のように、環境行政を円滑に進めていく上で国民に対する啓発の問題は極めて重要であると考えております。私たちもそういう認識に立ちまして積極的に広報活動を進めておるところでございます。みずから環境庁の予算で執行します分と総理府の広報経費をお願いいたしましてやる分とがございます。いずれにしましても、限られた予算を効率的に運用すべく全力を挙げているわけでございます。
御指摘の、そのような問題が報道されておるわけでございますが、私どもとしましても、そういう広報予算の執行に当たりまして、厳正に適正に執行すべく、従来も努力してまいりましたし、今後もそのことを心がけてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/91
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092・木本平八郎
○木本平八郎君 時間がなくなりましたので、最後に一つだけ環境庁にお願いしたいんです。
どうも最近、環境庁のこの問題だけじゃなくて、全般的に国際問題というのは日本はどうも受け身受け身になっていく、後手後手になって、せっかくやっているのに余り国際的には評価されないということが多いわけですね。
それからもう一つは、環境問題、先ほどからも議論がありましたように、このフロンだけじゃなくて、炭酸ガスにしても、私はしつこく言っておりますけれども、ディーゼルエンジンの問題ですね。あれが杉花粉症と非常に密接な関係があるという、怪しきはやっぱり罰するというふうな考え方で積極的に取り組んでいただきたい。そして、これからは私は、生産中心じゃなくて、あるいは経済中心じゃなくて、国民の生活とか健康というのをまず第一に考えなきゃいかぬ。そういう面でぜひ環境庁がこれから先頭に立っていただきたいと思うわけです。
その辺の感想を大臣から承りまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/92
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093・堀内俊夫
○国務大臣(堀内俊夫君) 先生が花粉問題とディーゼル車の関係に非常に関心を持っておられるのは私もよく知っております。私どもは、地球規模の環境懇談会という、大来佐武郎先生が座長ですが、その中で特別委員会を特につくってもらいました。そうして今おっしゃっている御指摘、全部の問題について、できるだけ早くということでこの七月にその答申が出ますので、それが科学的に一番知見になりますから、これをもとに環境行政を強化していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/93
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094・大木浩
○委員長(大木浩君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/94
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095・大木浩
○委員長(大木浩君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
これにて散会いたします。
午後零時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214470X00119880512/95
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