1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年五月十九日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 谷川 寛三君
理 事
出口 廣光君
松浦 功君
佐藤 三吾君
抜山 映子君
委 員
加藤 武徳君
海江田鶴造君
金丸 三郎君
久世 公堯君
佐藤謙一郎君
坂野 重信君
沢田 一精君
増岡 康治君
吉川 博君
糸久八重子君
山口 哲夫君
片上 公人君
神谷信之助君
秋山 肇君
国務大臣
自 治 大 臣 梶山 静六君
政府委員
自治大臣官房長 持永 堯民君
自治大臣官房総
務審議官 小林 実君
自治大臣官房審
議官 柿本 善也君
自治省行政局公
務員部長 芦尾 長司君
自治省税務局長 渡辺 功君
事務局側
常任委員会専門
員 竹村 晟君
説明員
厚生省年金局年
金課長
兼内閣審議官 松本 省藏君
大蔵省主計局共
済課長 山口 公生君
大蔵省主税局税
制第一課長 杉崎 重光君
社会保険庁年金
保険部厚生年金
保険課長 松尾 正人君
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本日の会議に付した案件
○昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・谷川寛三
○委員長(谷川寛三君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。梶山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/1
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002・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) ただいま議題となりました昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
この法律案は、地方公務員等共済組合法に基づく退職共済年金等につきまして、別途本国会において御審議をお願いしております児童扶養手当法等の一部を改正する法律案における厚生年金及び国民年金の改定措置に倣い、年金の額の改定の措置を講じようとするものであります。
その内容といたしましては、地方公務員等共済組合法に基づく退職共済年金等につきまして、昭和六十一年の消費者物価指数に対する昭和六十二年の消費者物価指数の比率を基準として、昭和六十三年四月分以後の年金の額を改定することとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその内容であります。
なお、この法律案につきましては、衆議院において、施行期日について、「昭和六十三年四月一日」を「公布の日」に改める修正が行われております。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/2
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003・谷川寛三
○委員長(谷川寛三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより直ちに質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/3
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004・糸久八重子
○糸久八重子君 財源問題についてお伺いをいたしますが、昭和六十五年から六十九年までの年金の財源率再計算期が迫っておりますけれども、これに対する準備状況がどうなっておりますか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/4
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005・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 御指摘いただきましたように、地方公務員共済年金の次期の財政再計算すなわち財源率の再計算につきましては法令の規定に基づきまして少なくとも五年ごとに再計算することとされておりまして、次回は昭和六十四年十二月に予定をされておるわけでございます。その準備につきましては、現在その財政単位となります地方公務員共済組合連合会、公立学校共済組合、警察共済組合におきまして、昭和六十年の制度改正によりまして基礎年金制度の導入が図られるなど共済年金制度の大改革が行われておりますので、まずこれらの新しい共済年金制度に適合する再計算システムにつきまして共同開発を行っております。それから財政再計算にかかわる基礎資料の収集でございますとか組合員等の現況調査などを現在行っておるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/5
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006・糸久八重子
○糸久八重子君 厚生省さんは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/6
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007・松本省藏
○説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。
先生御承知のとおり、国民年金それから厚生年金保険におきましては少なくとも五年ごとに将来にわたります保険料の再計算というものを行うことが法律上義務づけられているわけでございまして、従来からこの財政再計算の機会に制度の各般の見直しを行うということになっておるわけでございますが、国民年金及び厚生年金保険の次期財政再計算期は来年昭和六十四年四月でございます。このために厚生省におきましては昨年の九月から年金審議会で広範な制度改正の内容につきまして御審議をいただいているところでございまして、本年の秋ごろを目途に御意見をいただくようにお願いを申し上げているというような状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/7
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008・糸久八重子
○糸久八重子君 続いて厚生省にお伺いいたしますけれども、基礎年金の財源の見通しについてはどういうふうになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/8
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009・松本省藏
○説明員(松本省藏君) 基礎年金の財源の見通しでございますが、具体的な金額で申し上げますと、五十九年、前回の財政再計算の結果によりますと基礎年金の拠出金は、五十九年度価格で申しますと、昭和六十五年度時点で七兆円、七十五年度で十兆五千億円、八十五年度で十二兆八千億円、こういうような形で将来が見通されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/9
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010・糸久八重子
○糸久八重子君 次に、五十七年から六十年度の間に行革特例法によって公的負担分の四分の一がカットされていますけれども、これらの元利合計の累計は幾らになっておりますか、厚生年金、そ
れから地公共済、国公共済について教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/10
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011・松尾正人
○説明員(松尾正人君) 厚生年金保険の国庫負担の繰り延べの額でございますが、昭和五十七年度予算から昭和六十年度までは行革特例法によりまして、それ以降は厚生保険特別会計法の改正によりまして繰り延べを行っているわけでございますが、五十七年度予算から六十三年度予算までの累計を申し上げますと一兆九千七百十億円となってございます。また、この繰り延べ額につきまして一定の前提を置きまして運用収入相当分を試算いたしますと六十三年度末で四千六百三十三億円となりまして、元利合計は二兆四千三百四十三億円と相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/11
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012・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 地方公務員共済組合に対する影響額でございますけれども、昭和六十一年度末で運用利息等も含めまして二千三百四十二億円と見込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/12
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013・山口公生
○説明員(山口公生君) 国共済について同じベースで申し上げますと、六十一年度末で四百四十三億円となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/13
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014・糸久八重子
○糸久八重子君 これにつきましては自治大臣も適切に間違いなく早急に処理したい旨国会でも答弁されていらっしゃいますけれども、九年を経た今でも返済時期が不明確なわけでございます。この返済時期と方法を明らかにしていただきたいと思うのですけれども、大臣のお考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/14
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015・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) この減額の返済につきましては行革特例法により、将来にわたる地方公務員共済組合の長期給付に関する事業の財政の安定が損なわれることのないよう、国または地方公共団体は特例適用期間経過後において、国家公務員共済組合に対して国が講ずる措置に準じて減額分の払い込みその他の適切な措置を講ずることとされております。
現在のところ国家公務員共済組合に対して国が講ずる返済等の措置については、国の財政再建の見通しの関連等からその取り扱いが明らかにされていない現況でございます。地方公務員共済組合については今後とも国の状況を見ながら適切に対応して遺憾のないように取り計らってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/15
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016・糸久八重子
○糸久八重子君 次に支給回数についてお伺いをさせていただきますが、厚生年金、国民年金はどのような扱いになっておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/16
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017・松尾正人
○説明員(松尾正人君) 支払い期日についての現在の状況でございますけれども、旧法国民年金の老齢年金につきましては昭和六十三年二月から二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の年六回払いとなっておりまして、旧法国民年金の障害年金等につきましては昨日成立をいたしました児童扶養手当法の一部を改正する法律によりまして、現行の三月、六月、九月及び十二月の年四回支払いの形を昭和六十四年二月から二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の年六回支払いに改めることとなっているわけでございます。また残る厚生年金それから国民年金の基礎年金等につきましては、現在二月、五月、八月及び十一月の年四回支払いとなっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/17
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018・糸久八重子
○糸久八重子君 私は年金については毎月支給にすべきだと考えておりますけれども、この地公共済につきましても老齢、障害年金並みに少なくとも年六回支給ということに早急に移行すべきだと考えておるわけでございます。自治省のお考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/18
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019・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 地公共済につきましては二月、五月、八月、十一月ということで四回支給になっておりますが、この支給回数を増加することにつきましては、ただいまお話がありましたように旧国民年金の老齢年金が六十三年二月分から年六回支給とされたことや、旧国民年金の障害年金などが六十四年二月分から年六回支給ということになりますので、その取り扱いについては今後検討していかなければならない課題であるというふうに考えております。
それにつきましては共済組合の事務処理の問題も片一方ではあるわけでございまして、かつまた全公的年金制度共通の問題ということで足並みもそろえていかなければならぬということがございます。関係省庁間で事務処理体制の実態も十分に勘案しながらできるだけ早期に支給する月を増加するということにつきまして努力していきたいと思いますが、当面お話がございましたように年六回支給ができるように検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/19
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020・糸久八重子
○糸久八重子君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/20
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021・山口哲夫
○山口哲夫君 今回の年金のアップ率はわずかに〇・一%、恩給の方は一・二五%、ちなみに公務員給与のアップ率は一・四六%ということで、いろいろ事情はあるんでしょうけれども余りにもこれは格差が大き過ぎるのでないだろうか、そんなふうに思いますので、その辺の考え方について述べていただきたいと思います。
なお持ち時間が三十分以内なものですからなるべく簡単明瞭にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/21
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022・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 御承知のように地方公務員の共済年金は共済制度の中で運営されておりまして、恩給等と異なる取り扱いになっておるということでございます。共済年金が他の公的年金と同様に物価スライド措置をこの前の改正で取り入れたということもございまして、今回物価スライドといたしまして〇・一%ではございますけれども改定したということでございますので、御理解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/22
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023・山口哲夫
○山口哲夫君 今回のこの〇・一%というまことに少ないアップということを考えてみますと、どうも現役の公務員とそれから年金生活者との生活レベルというのを将来だんだんだんだん拡大させていこう、自治省はそんなふうに考えているのじゃないかなというふうに思うんですけれども、そんな考え方があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/23
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024・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 共済年金といたしましてはやはり現役の公務員の掛金ということで賄われておるということも考えながら年金改定ということも行っていかなければならないということを配慮いたした結果でございまして、そういうことから年金制度といたしましては物価スライド制を現在とっておるわけでございますが、そういうことで御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/24
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025・山口哲夫
○山口哲夫君 そういうことでなくて自治省の考え方の中に、現役の公務員と年金生活者との生活レベルというのはだんだん差が開いていっても仕方がないんだ、それでいいんだ、そういう考え方が基本的におありなんですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/25
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026・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 年金生活者と現役の公務員の格差が開いていいというわけではないとは思いますけれども、しかし現在の制度の中で現実にその負担をする方々との調和、つり合いというものもとっていかなければならないのではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/26
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027・山口哲夫
○山口哲夫君 それでは格差が将来とも開いていってもいいんだというそんな基本的な考え方でやっているのではないということだけは確認できますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/27
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028・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 共済法の中にも一条の二という規定がございまして、五年ごとに財政の再計算を行う、その際に標準報酬につきましても見直しが行われる。厚生年金の方でもそういう制度をとられ国家公務員の共済でもそういう制度がこれからとられるというその一環として、地方共済につきましてもそういう考え方が出てくると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/28
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029・山口哲夫
○山口哲夫君 今のような物価スライド制をとっておりますと、将来公務員とそれから退職された年金生活者との間の生活レベルの格差というのはだんだん開いていくんですよ。それはなぜかと申しますと、公務員の賃金というのは民間の賃金を基礎にして人事院が勧告するわけでしょう。例えばことしの民間の賃金というのは大体四・五%くらいのアップですね。ところが四・五%の賃金アップを調べてみますと、物価の値上がり分というのは〇・一しかないわけでしょう、今回〇・一は物価の値上がりだと言っているんですから〇・一
しかない。そうすると四・五%アップしているうちの〇・一%は物価の値上がりでそのほかは何なのか。これは生活レベルを向上させるということです。
そうすると、公務員の賃金は民間の賃金アップを基準にして人事院が勧告するわけですから、当然それには春闘で決まったある程度の相場というものが出てくると思うんです。ところが年金生活者の方は物価の値上がり分しか考えないんですから、そうすると片方は生活レベルを上げるために毎年毎年賃金が上がっていく、片方は全然それを考えないで物価の値上がりだけしか考えない。ということになると毎年毎年生活レベルの格差というのは広がる一方じゃないんでしょうか。そういうことになりますでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/29
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030・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 何度もお答えを申し上げておりますように、地方公務員共済制度は消費者物価上昇率を基準とした自動改定方式が原則とされておるわけでございまして、それは法律的には五%を超えたら自動改定が行われるということになっておるわけでございますが、今回は物価上昇が〇・一ではございましたけれどもいろいろな判断をいたしまして、今回も特に法律をお願いいたしまして改定を行おうというふうにしておるところでございまして、その点は御理解を願いたいと思います。
なお先ほども申し上げましたように地共済法の一条の二によりまして、国民の生活水準、賃金その他の諸事情に著しい変動が生じた場合にはその改定の措置が講じられなければならないとされておるわけでございまして、これにつきましては少なくとも五年に一回の再計算期で検討がなされるということでございますので御了承いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/30
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031・山口哲夫
○山口哲夫君 五年に一回の改定は別にしまして、その五年の間でだんだん生活レベルの格差は広がっていく一方でしょうと言っているんです。私の理屈が合っているのか合っていないのか聞いているわけです。間違いないと思うんですよ、理屈からいけばそういうふうになるんですから。
だからそういうことを考えると、やっぱり年金額のアップというものを物価水準だけを対象にしているのは私は間違いだと思うんです。少なくとも公務員のベースアップの率というものをそのまま持ってこなければ、年金生活者の生活というのはこれ以上よくならなくてもいいんだ、ほかの労働者はどんどん生活レベルが高くなっていくのに年金生活者だけは現状どおりでいいんだ、極端に言えば低くてもいいんだ、そういうことにつながっていくと思うんです。そういうことからいくと公務員の年金というものはやっぱり賃金スライドでアップするというのが理屈からいっても正しいと思うんですけれども、大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/31
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032・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 委員御指摘のように、賃金の算定はいわば物価の上昇率プラスアルファというか生活レベルの向上というものが言われるわけでありますが、その背景というか中身は何かというと、やはり賃金を決める際には生産性の向上、経済の上昇率、こういうものにスライドをして決定をされているわけであります。それは現実にお働きになっている方々の果実、これが実は経済成長につながるわけでございますから、それは現役で今働いている方がその向上分の分配にあずかることは当然であります。
ただ年金者が少なくていいという論拠には私は立たないわけでございますが、結果として年金者が経済成長を支えているのかどうなのか、この観点がこの決定の一番大きな要因ではなかったのかなという感じがするわけであります。そういうことゆえに公的年金はいわば物価スライドという方式をとっておりますし、公務員の賃金は物価プラスアルファというか生産性の向上分をそれに加味をして決められている。それがどちらがいいかということは言いがたい問題でございますけれども、背景を探ってみるとそういう感じがいたします。
ですから、賃金が上がることは私は物価以上のものがとれることは当然だと思いますが、結果として年金生活者がいわば生産性の向上に寄与をしていないと言うと言葉は悪いんですがいわゆる現役の方と比較をしてみるとそういう差がある、それが年金と賃金の差になっているのかしらというふうに今ここで話を聞きながら考えていたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/32
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033・山口哲夫
○山口哲夫君 大臣のお考えを年金生活者が聞いたらきっと頭にくると思うんですよ。日本経済に今日これだけの繁栄をもたらしたのはそれじゃだれなんだ、年金生活者に言わせたら、おれたちが一番苦労をして日本経済の復興のために役立ってきたじゃないかということになると思うんですよ。復興してきたらその果実は現役がみんな取ってしまっておれたちは全然要らないんだということには私はならないと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/33
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034・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) これが現役の公務員の方々の御理解をいただいてその果実を平等に分配をするということになればこれはまた別な問題が出てくると思うんですが、賃金と同じにスライドをするためには、掛金その他によって運営をされているんですからその分何らかの公的な補助を出さない限り成り立たないわけであります。補助を出すということは一見単純なようでございますが、国の責任というけれどもそれは財源となるものは税その他でございまして、結果として現役で働いている方々から税金を取ってそこに補てんをするということですから、現実には現役の方々のいわば利益分配、生産性の向上分の分配をお互いにやろうではないかという合意と結果としては同じになってしまう。
その辺のところを勘案をしながらやらなければいけないんですが、過去とにかく日本の成長を支えてきた方々でございます。私ども同年配の人間はすぐ年金受給者でございますから身につまされる思いでございますけれども、今すぐにそれじゃ現役の方々からその取り分を取って分配をしようとかあるいは公的な補助を高めることによってやろうということは、結局それは原資になるものは税金でございますから、結果として、あらゆるものが適法に出されていればその分増税につながる、こういうことでもございますので、ぜひひとつこれからの検討課題にしてまいりたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/34
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035・山口哲夫
○山口哲夫君 日本の社会保障に対する国費の支出の率というものが非常に低いということなんですよ。今詳しい数字を持っておりませんけれども、スウェーデンとかヨーロッパの諸国に比べますと国民一人当たりの社会保障費というのはまず何分の一、たしか私の記憶ではスウェーデンが一人当たり九十万円くらいで日本は二十三万何千円かだと思います。その間に六つくらいの国が入っています。結局日本の社会保障に対する国費の支出の率が非常に低いというそこのところに原因があると思うんです。ここらは根本的に考え直してもらわなければいけないと思うんですね。
それでILOの百二十八号条約それから百三十一号勧告、これは障害、老齢及び遺族給付に関する条約と勧告ですが、これを読んでみますと、年金額というのは従前の、つまり退職したときの年間給与、手当を含めたものの五五%以上ということになっているんですが、残念ながらまだ日本は批准していないんです。これは厚生省に後ほどお聞きしたいと思うんですが、私はこの条約の五五%という数字を共済組合の加入者の一人に当てはめてちょっと計算してみたんです。
北海道のある市ですけれども、ことしの三月三十一日に在職四十年で退職した人で、年金額が三百五万八千百円、退職時の年間収入は七百三十三万二千三百七十円ですから、率を計算してみますと四一・七%にしかなっていない。国際条約では最低五五%、五五%以上ということになっているのにはるかに及ばないんですね。だから日本の年金というのがいかに少ないかということはこの例からいってもわかるんですけれども、どうですか、自治省、これを五五%まで上げるような努力をする必要があるのじゃないですか。
それと厚生省にお聞きしたいんですけれども、
やっぱり日本も百二十八号条約それから百三十一号勧告、これは当然批准する時期に来ているのじゃないかなというふうに思うんですが、お考えをぜひ聞かせてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/35
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036・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) ILOの百二十八号条約におきましては老齢給付は従前の所得の四五%に達するものでなければならないとされまして、おっしゃいましたようにその百三十一号勧告で基準が一〇%引き上げられているということでございます。そこで年金の考え方でございますが、対象者や従前の勤労所得のとらえ方などにもよりますけれども、いずれにいたしましても我が国の共済年金の水準につきましては、将来にわたる現役と退職者との給付水準のバランス、給付と負担のバランスを図る、こういう観点から決定をしておるものでございます。
そういうことを踏まえながら今回も、何度も申し上げるようでございますがお年寄りや障害者などに対して適切に配慮いたしまして、年金の実質的価値を維持するという観点から低率ではございますけれども消費者物価指数の上昇率を基準とする年金改定を行おうというふうにいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、現役と退職者との給付水準のバランスをとっていこう、そういう観点で私どもは見ておるところでございますので、御理解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/36
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037・松本省藏
○説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。
突然の御質問でちょっと準備があれでございますが、先生御指摘のとおり、現在ILO関係では百二号条約は批准をしているわけでございますが百二十八号条約ないし百三十一号勧告はまだ批准していないということでございます。障害給付その他まだ個別の問題についてなお問題が残っているという状況でございますので、今後の検討課題ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/37
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038・山口哲夫
○山口哲夫君 これは後で大臣にも所見をお聞きしてみたいと思うんですけれども、その前に、六十二年の七月二十三日に厚生年金基金の育成普及方策のあり方についての中間報告というのが出ています。これは企業年金等研究会が当時の斎藤厚生大臣に出した研究報告ですが、読んでみますと、「安定した老後生活を送るためには、平均的な被用者の退職前年間所得の少なくとも六割以上を厚生年金給付と厚生年金基金給付とで賄いうるようにすることが望ましい。この給付水準は、被用者の退職後の消費の実態等からみて決して過大なものではなく、また、安定したゆとりのある老後の暮らしを送る上で適切な費用である。」
これが企業年金等研究会が厚生大臣に出した中間報告なんです。ここで大事なことは、六割以上だと、やっぱり退職前給与の六割以上の年金というのを確保することが必要なんだ、これは安定したゆとりのある老後の暮らしを送る上で適切な費用なんだ、決して過大なものではない、こう言っているんです。厚生省は恐らくこれを受けられてこれからの年金の方針というものをつくっていくと思うんです。そうしますと厚生省でさえ退職前給与の六割くらいは確保しなければならないという方針が出てくるんですよ。一方国際条約では五五%というものが出ている。
共済年金は、私が例にとったのは四一・七%ですが、これは決して極端に低い数字ではないと思うんです。むしろ高いのじゃないかなと私は思っているくらいで、そういうことからいけば、やっぱり共済年金の対象者も早く六〇%までに近づけるようなことを考えるべきだと思うんです。そうすればまず当面は賃金スライドに戻さなければ到底ことには追いつかないと思うんですけれども、大臣の所見がありましたらお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/38
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039・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) ただいま数字を挙げてお述べになりましたが、私どもの方でも若干の試算もしてみてはおるわけでございますけれども、給与年額のとり方でございますとかそういうことで差はあるかとも思うわけでございますが、四十年勤務で見てみた場合に、例えば給料三十万円の方で見てみますと六割を超えておるといったような数字も出ることは出るわけでございます。
また先生のデータも拝見させていただきたいと思うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたように、もちろんそういう考え方も大切であるわけでございますが、私どもといたしましては現役の方と退職した方との給付水準のバランスをとっていこうではないかという考え方のもとに年金そのもの全体が考えられておるわけでございますから、そういうことで御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/39
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040・山口哲夫
○山口哲夫君 六割を超えているなんというのは、それこそ私その数字をぜひ示してほしいと思うんです。まず異例でしょうね。そう思いますよ。
それで私は大臣にお願いしておきたいことは、共済年金の対象者というのは非常に今生活レベルが低い、このままでいくと年々現役の人との生活レベルの差というものはだんだんだんだん広がっていく。少なくとも日本は経済大国と言われて、もっといい生活をしていこうということで労働者の賃金は年々上がっていくわけですから、やっぱり年金生活者がこれでいいということにはならないと思うんです。現状がものすごくいい生活をしているのなら別ですけれどもそれほどの生活をしていないのであれば、やはり賃金労働者と同じように少しずつ生活レベルを上げていかなければ経済大国日本の中で暮らしている意味がないと思うんですね。ぜひ大臣にこの条約の批准に対してもお考えいただきたいし、これからの年金改定の中では公務員の共済年金についてはもとの賃金スライドに戻すようにぜひ取り計らっていただきたいなと思います。
次は固定資産税と年金関係で質問したいんですが、私三月三十日の地方税の改正のときに質問いたしまして、アメリカではサーキットブレーカーというものがある。これは固定資産税の負担緩和措置ですが、世帯の所得の六%以上の固定資産税を納めるというのはこれはもう非常に多過ぎるから緩和措置をとるべきだということで相当の州でこのサーキットブレーカーという制度を実現している。したがって日本でもぜひこういう考え方を取り入れてはいかがですかということに対しまして渡辺税務局長が、いろいろと反対の理由も述べられましたけれどもしかし最終的には、私の言っているそういった事情も否定はできないな、したがってよく考えてみたい、こんなふうにおっしゃっておりました。
それでことしは三年に一度の固定資産の評価がえのときですが、物すごく土地が上がったんですね。平均しますと東京二十三区で一五・七%、都心部では四〇%も上がっています。それで一体これが固定資産税、都市計画税含めてどのぐらいふえるのかなということで計算してもらいました。
例えばこれは東京二十三区にお住まいの方ですけれども、五十坪の土地に二十八坪の家屋で、昭和六十二年の固定資産税、都市計画税は十一万五千三百円、それに比べまして六十三年度は十二万四千二百円、八千九百円ふえるということになりました。ところが東京都は財政的に豊かなものですから、これではやっぱり小規模住宅に入っている人たちの負担が余りにもひど過ぎるということで緩和措置をとって都市計画税を半分にして、したがって昨年の固定資産税、都市計画税合わせたものよりことしの支払い額を少なくするという政策をとりました。これは東京都の場合には今度は土地の値上がりによって物すごい固定資産税が入ってきますから、小規模住宅に住んでいらっしゃる方々の負担緩和をするのはもう当然だと思うんです。
次に札幌市に例をとって調べてみました。土地は二百平米、そこに百平米の家屋が建っているんですが、六十二年度の固定資産税、都市計画税が七万四千二百四十円、そして六十三年度は七万五千八百四十円、千六百円超過負担、昨年よりも多く払わなければならないということでした。それから仙台は、土地二百平米、家屋七十二平米で昨年に比べて千七百六十三円超過負担、多く払わなければならないということです。こう見ますと、
東京都以外の都市計画税を減額していないようなところでは昨年に比べますとほとんど固定資産税と都市計画税を合わせた支払い額というのは上回っていることは間違いない、そう思います。三年後にまた評価がえがあるでしょうけれども、このときはもっとこれは大変なことになると思うんです。
そうすると、今度共済年金のアップの金額が二千二百円ですが、この二千二百円のほとんどと言っていいくらいのものが固定資産税、都市計画税で取られてしまうわけですね。だから物価の値上がりのために〇・一%組んだのだと言うんですけれども、これは物価の値上がり分をここでは全然見ていないということに結果的にはなるのでないでしょうか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/40
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041・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 共済年金は地方公務員が退職後の生活を維持していく上での中核的な役割を果たすものであるのは間違いございませんが、しかしながら老後の生活のすべてを賄い得るものではなくて、老後生活の基礎的な部分を支えるものだというふうに考えられるところでございます。
確かに全国の消費者物価指数の算定基礎に固定資産税を初めとした公租公課は含まれてございません。ことしは三年に一度の評価がえの年でございますけれども、年金受給者の中には固定資産を保有している方、保有していない方、双方があります。また今おっしゃいましたように地価の上昇につきましても地域的な差異があるわけでございまして、このような事情を年金額にきめ細かく反映させるということは技術的にも困難でございます。また他の公的年金制度においても同様でございます。今回は消費者物価上昇率〇・一%と五%を超えるには至らなかったけれども、しかしそれでも実質価値を維持するということで改定を行おうということでございますので、その趣旨を御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/41
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042・山口哲夫
○山口哲夫君 年金生活者で御自分の土地や家を持っていらっしゃる方がどのぐらいおられるか私まだ調べていないので、これは調べたものがあれば教えてほしいと思うんですけれども、相当率は高いと思いますよ。退職した後のことを考えて在職中に家を建てているという方は相当多いと思いますね。そういうことからいきますと、年金受給者のうちの大部分の方々が今度の固定資産税のアップのために、せっかく〇・一%上げてくれるんだけれどもそれをみんな持っていかれてしまうということになると思うんです。
だからそうなりますと物価のスライドだということで〇・一%上げた意味というのは全然ないわけでしょう。この〇・一%の中に固定資産税の上がった分が入っているんならいいですけれども入っていないんですから、そういうことからいけば物価スライド分〇・一%はどこへ行ってしまったのかという矛盾が出てきませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/42
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043・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) この物価の中には御承知のように家賃部分は入っておるわけでございます。そういう意味では家賃を払っていない場合もおる場合もこれは物価の中でカウントしていくということにもなるわけでございますから、そういうものも勘案していただきまして御理解いただきたいわけでございます。いずれにいたしましても、年金の中でそういうものを全部解消してしまうということはなかなか難しい問題ではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/43
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044・山口哲夫
○山口哲夫君 家賃分は入っていますけれども、固定資産税のアップ分は入っていませんよ。入っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/44
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045・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 固定資産部分は入っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/45
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046・山口哲夫
○山口哲夫君 入ってないでしょう。固定資産税のアップというのはことしの六十三年度からなんですから入るはずがないんです。だから入らないで〇・一%上がったんですから〇・一%年金を上げようというわけでしょう。ところがはっきりしているのは六十三年度から固定資産税の分は今言ったように相当上がるんですから、そうするとその分というのはこれは全く別枠になるわけで、その人たちのことを考えたら何らかの方法を考えなきゃいけないのじゃないでしょうか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/46
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047・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 毎年物価上昇部分につきましてはこうしたスライドをしてきておるわけでございます。一方で固定資産税は三年に一回でございますから、そういう理屈を言えば、固定資産税が上がらないときにも物価の中には家賃分の上昇分が入ってくるといったようなことで年金改定も行われてきておりますので、その辺はいろいろ理屈もあるところかとも思いますが、いずれにいたしましても年金の中でこの上昇部分を全部カバーするということはなかなか難しいのではないか、それは率直に思います。しかしそういう意味で私どもといたしましてはできるだけ物価の上昇のわずかなものでも改定していこうという努力をしておるということは御理解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/47
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048・山口哲夫
○山口哲夫君 時間ですからこれでやめますけれども、今まで述べましたように、理屈からいってどうしてもこれはおかしいと思います。あくまでも年金生活者が賃金労働者並みまでいかなくても少しでも生活レベルを上げていくためにはこれは賃金スライドに戻さなければ理屈が合わない、そう思います。そしてもう一つは、今回のような固定資産税の急激なアップのときには何らかの方策を配慮するのがやはり政府の政策としては必要なことでないか、そういうふうに思いますので、その面も十分配慮するように強く要望いたしまして、終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/48
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049・片上公人
○片上公人君 今回の法律案ですが、わざわざ特例として引き上げるということにした理由と必要性についてまず述べてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/49
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050・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 今回の地方公務員共済年金法の年金の額の改定につきましては、昭和六十年の法改正によりまして消費者物価変動率が五%を超える場合にはその変動した比率を基準として政令で改定を行うこととする自動改定規定が置かれ厚生年金や国民年金と同様の取り扱いとされたところでございますが、六十二年の消費者物価上昇率はただいま申し上げましたように〇・一%でございまして、五%を超えるに至らなかったために今回この自動改定規定は働かないということになるわけでございます。しかしお年寄りや障害者などに対しまして適切な配慮をして年金額の実質的な価値を維持していきたい、そういう観点から今回も基礎年金、厚生年金及び国家公務員共済年金と同じように特例法を設けただいま御審議をいただいておりますが、そのことによりまして物価上昇率を基準として年金の改定を行おうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/50
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051・片上公人
○片上公人君 公的年金の一元化につきましては、昭和七十年に一元化するという大問題があるわけでございますが、目下のところの進捗状況、方向性等についてお伺いしたい。
なお、一元化におきましては制度の完全な統合を図るものか財政調整的なものになるのか、これは定かでないようでございますけれども、今まで各大臣の答弁では、地方公務員共済につきましては公務員制度の一環という性格などから制度は存続する、こういう方向の答弁でございましたが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/51
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052・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 昭和六十年には地方公務員共済組合制度を含む各公的年金制度において基礎年金の導入等かなり徹底した制度改正が行われており、自治省としてはこれにより所期の一元化の目的、言いかえれば給付と負担の公平化は相当程度達せられたものというふうに考えております。
昭和六十一年度以降にはこの改革の成果を踏まえ公的年金制度の一元化に向けてさらに制度間調整を進めることとしており、現在公的年金制度に関する関係閣僚懇談会等において検討を進めているところでございます。検討に当たっては、昭和七十年に公的年金を一元化するという政府の方針を再確認するとともに、一元化に向けての課題、手順等を明らかにしながら、昭和六十四年度の次
期財政再計算時に地ならしできるものは地ならしをするということで申し合わせをいたしております。
一元化の意味については、今委員御指摘のとおり、統合と言わず一元化と言っているところでもあり、制度の沿革の違いなども重要な問題として認識しなければならないところから、自治省としては一元化の過程において地方公務員共済組合制度は堅持し得る方向で対処をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/52
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053・片上公人
○片上公人君 六十四年十二月には次回の財政再計算が行われるわけでございますが、その際、本法一条の二の国民の生活水準、賃金その他の諸事情に対応する改定措置が講じられましてこれまでのベースアップ分を含めました現役の給与との格差が是正されると思いますけれども、これはどのように行うのか。また厚生年金、国民年金とのバランスということも考慮されることになると思いますけれども、いつどのように見直すのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/53
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054・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) ただいま先生の御質問がございましたように、一条の二は、国民の生活水準、賃金その他の事情に著しい変動が生じた場合には変動後の諸事情に応ずるため速やかに改定の措置が講じられなければならないとされておるわけでございますが、この規定はもともと厚生年金保険法にあった規定と基本的には同じものでございまして、昭和六十年の年金制度改革におきまして公的年金制度に共通の規定として導入されたものでございます。
厚生年金制度におきましては従来から原則として五年ごとの財政再計算の際に年金額の算定の基礎となっております平均報酬月額を再評価することによりまして賃金の動向を年金額に反映してきたところでございまして、今後の対応については今後次期財政再計算期において検討することとなっておると聞いております。また国民年金につきましては昭和六十四年四月までに、国家公務員共済年金については六十四年十月までにそれぞれ財政再計算が行われる予定であると聞いております。
地方公務員共済年金につきましては遅くとも六十四年十二月までに財政再計算を行わなければならないということになっておりまして、地共済年金においても財政再計算の際には厚生年金や国家公務員共済年金等の取り扱いを見ながら、国民の生活水準、賃金その他の諸事情を総合勘案して給料の再評価について今後検討しなければならないものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/54
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055・片上公人
○片上公人君 地方公務員共済年金資金運用検討会の中間報告によりますと各組合の資金を一本化して運用することとしておりますが、その中で将来は株式、債券の直接運用も検討するということでございますけれども、これは大変慎重な運用が大事だと思うわけで、この辺の心配はないのかということを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/55
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056・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) さきの地方公務員共済年金資金運用検討会の中間報告の御質問でございますが、その提言におきましては、共済年金資金の運用の基本原則はやはり今先生おっしゃいましたように第一に安全性の確保が大切だというふうにしておりまして、これを大前提にいたしまして、同時にその収益性にも十分留意すべきであるというふうな提言をいただいておるわけでございます。また金融市場におけるいろいろな金融商品の中には御指摘のようなハイリスク・ハイリターン、危険は高いけれどももうけも大きい、そういうものも多いわけでございますが、近年低金利の時代になってきておりますので、共済年金資金の運用対象といたしましては、これらの中でもリスク回避の手段が講じられるものがありそれが可能な商品についてはできるだけ運用対象を広げて総合的な利益による収益性を増進していったらどうかといった提言がなされておるわけでございます。
これに関連いたしまして株式による運用につきましては、適切な投資方針のもとに長期的に運用すれば安定的な高成長の期待できる資産であるというふうに御示唆いただいております。ただそういうような運用方法をとる場合でもやはり民間の専門機関を活用して運用することが適切であるというふうに言われております。また債券の運用につきましても共済組合の保有債券の流動化を図るべきであるとしておりますが、この場合においてもリスクに十分留意しなければいけないと御指摘をいただいております。
いずれにいたしましてもこの中間報告の趣旨を各共済組合や連合会に紹介いたしますとともに、御指摘のように共済組合等における年金資金の運用が慎重に安定的運用を基本とし、また専門機関の活用等も含めまして効率的な運用が図られるように指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/56
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057・片上公人
○片上公人君 地方共済連合会への警察共済、公立学校共済の参加につきましては昨年もただしたわけでございますが、その後の進捗状況について説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/57
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058・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 私どもといたしましては地方公務員共済連合会が設立された趣旨からいいまして、今御質問がございました警察共済、公立学校共済両共済組合もできるだけ早期にこの連合会へ加入していただくことが望ましいと考えておりまして、さきの昭和六十年の制度改革の際にもその旨関係省庁等に申し入れを行っておるわけでございますが、この時点で両共済の加入を見るに至らなかったわけでございます。
しかし第百三回国会での地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に関する審議の中で文部大臣からは、公立学校共済組合も連合会に加入する必要がある、精力的に関係者を説得して協議をしてこの連合会加入に向けて努力をしていきたいといった御答弁をいただいております。また警察共済についても、警察庁としても早期に加入することが望ましいということで御答弁いただいておりまして、今後とも関係機関との協議を尽くしてまいりたい、そういうことでの答弁がなされております。
この両共済組合につきましてはこれらの趣旨に沿って連合会への早期加入に向けて鋭意関係者の協議検討が今進められておると思うわけでございますが、自治省といたしましても文部省、警察庁との間で昨年以降も引き続き協議を行っておるところであり、できる限り速やかに加入が実現されるように今後とも努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。一つのめどといたしましては、今もお話がありました次期の財政再計算期が一つのポイントであるというふうには考えておるわけでございまして、このことを十分念頭に置いた上で私どもも努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/58
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059・片上公人
○片上公人君 これは地方共済全体の長期的安定を考える上では大変重大だと思いますので、何とか検討を進めてほしいと思います。
関連しまして、旧国鉄いわゆる鉄道共済問題について少しお聞きしておきたいんですが、国鉄共済につきましては国共済グループの財政調整措置が切れる昭和六十四年度中にその先の救済方法を立法措置しなくてはならない、こういうわけですから、その救済問題の検討状況を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/59
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060・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 昭和六十五年以降国鉄共済年金は年平均三千億円以上の不足が生ずるものと見込まれておりますが、この昭和六十五年度以降の問題につきましては昭和六十年十一月の政府統一見解の趣旨に沿いまして現在日本鉄道共済年金問題関係閣僚懇談会におきまして各界の有識者の意見を聞きながら検討が進められておると承知をいたしております。
国鉄共済年金問題は極めて大きな問題でございまして、単に共済年金制度だけではなくて公的年金制度全体とのかかわりの中でとらえていく必要があるというふうに考えております。このような観点から、検討を進める場合におきまして自治省といたしましては、国の責任分担を明確にすることが先決であるという地方公務員共済組合審議会の答申も六十年四月八日にいただいておりますの
で、そういう趣旨を踏まえて対処していく必要があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/60
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061・片上公人
○片上公人君 次に、地方行政を取り巻く重要な問題のうちの中から何点か自治省の見解を伺いたいと思います。
初めに公営企業関係につきましてお尋ねしますけれども、公営企業の全体の経営状況はどうなっているのか、また事業別の特色はどうなのかについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/61
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062・柿本善也
○政府委員(柿本善也君) 地方公営企業の全体的な経営状況でございますが、至近の六十一年度決算で見ますと前年度に比べまして若干黒字が増大するという全体としての傾向がございます。これは最近の給与改定の水準が低いとか円高その他で諸経費が安くなったということに助けられて黒字基調が続いておるわけでございます。ただそれは全体を足した話でございまして、公営企業七千余りのうち七分の一程度はやはり相変わらず赤字の決算になっているという状況でございます。
さらに事業別に見ますと、例えば公営企業の中でも比較的良好とされる水道事業につきましても約六分の一の事業体が赤字を有し、あるいは一九%程度の事業体が累積欠損金を有するというような状況でございます。それから下水道事業につきましても、一応黒字基調でございますが内容を見ますと、本来使用料で賄うべき汚水処理費の経常的な経費をかなり繰り入れで対応しているというような状況が見られます。あるいは交通事業のような場合は、バス事業ではかなり乗客数が横ばいないし減少である、あるいは地下鉄については資本費の負担が相変わらず大変高い。工業用水等におきましては未売水を抱えている。こういうような構造的な要素については基本的には変わってない、こういうことではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/62
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063・片上公人
○片上公人君 次に、一般会計との経費の負担区分の考え方はどうなのか、実際の繰り出しの状況はどうなっているか、具体的に例示してその考え方及び評価をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/63
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064・柿本善也
○政府委員(柿本善也君) 御存じのように公営企業は原則として料金等の負担で賄うのが基本でございますが、性質上そうはいかないものとかそういう経費につきましては一般会計から負担あるいは補助をする制度になっております。繰り出しの状況を全体で眺めますと、六十一年度決算におきましては公営企業に対する繰り出しは一兆七千八百億程度になっております。その主な内訳として一番大きいのは下水道でございまして一兆円余りでございます。そのほか病院関係三千二百億程度、交通事業千七百億程度ということになっております。
具体的なということでございまして例えば一番大きい下水道を例にとりますと、下水道の場合は建設費あるいは運営費のうちの、下水道でございますので雨水と汚水と両方処理いたしますが、その雨水部分については公費で負担する、汚水部分については私費といいまして料金等で賄う、一応こういう原則に立っております。そういう考え方で操出基準も設定いたしまして、あるいは地方財政計画上もそれに応じた金額を計上しておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように下水道等におきましてはその経常的な汚水処理費をすべて使用料で徴収するというところまで全体としてはいきませんで、かなりの金額、おおむね三分の一程度はやはり一般会計の負担で賄われているような全体としての状況でございまして、それが繰出額をふやしている要因にもなっている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/64
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065・片上公人
○片上公人君 地方公営企業研究会を設置して提言がなされていると聞いておりますけれども、その設置の趣旨は何なのか。
なお、公営企業の意義と役割につきまして、また時代の変化とともに公営企業を取り巻く状況もどんどん変わってくるわけでございますが、これに対しましてどのように対応し変わってきたかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/65
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066・柿本善也
○政府委員(柿本善也君) 地方公営企業研究会は六十一年度六十二年度と二年間にわたって設置したわけでございますが、その設置した趣旨は、簡単に申し上げますと、地方公営企業制度の大きな改正を行いましたのが四十一年でございますがその当時から二十年余りたちまして相当社会経済情勢も変化してまいりました。そういたしますとそれに対応したより趣旨に沿った制度なり運用を総括的に検討する必要がある、こういうことで研究会を設置したわけでございます。
公営企業をめぐる問題につきましては、例えば水道等をとりますと、建設段階がかなり熟度を増しましてどちらかというと維持管理のような段階に入った、下水道について申し上げますとかなり小都市あるいは農村部にも下水道が普及するような時代に入ってきた、そういうふうないろいろな情勢変化がございます。それに対応した形で経営面あるいはその主体のあり方とかそういうことを総合的に研究していって、それにふさわしい形で経営の基盤を強化していこう、こういうような考え方で幾つかの提言がなされているところでございまして、いろいろな経営の主体を流動的に考えるとかあるいは資産の運用を弾力的に措置するとか、そういう幾つかの提言が研究会でなされている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/66
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067・片上公人
○片上公人君 第三セクターの適正な運営を確保するためにどのような方策があるのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/67
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068・柿本善也
○政府委員(柿本善也君) ただいまお答えいたしました地方公営企業研究会でも第三セクターの点について触れられているわけでございますが、いろいろ行政サービスの多様化等に伴いまして行政サービスの提供の仕方にも幅が出てきているわけでございます。その中で第三セクターというものもかなり設置され大きな役割を果たしつつあるわけでございますが、ただこれにつきましては地方行財政上の位置づけが必ずしも明確でございませんし、その運用について統一的といいますか総括的な考え方も必ずしもはっきりしない面もございます。そうして第三セクターの運営のいかんによりましては地方団体の行財政にかなりの影響を与える心配がある、こういうことで、むしろ今後のあり方をよく検討してはどうかというような提言がございます。
我々としてもそれなりの問題意識等を持っておるわけでございますが、本年度におきましてこれに対して別途研究会を設けまして、その適切な運営を図るためにどうあるべきか、そういう弾力的な運用が十分健全な形でなされるように方策を検討したい、そういうように考えている段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/68
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069・片上公人
○片上公人君 企業用資産につきましては有効に活用されるべきと指摘されておるわけでございますが、具体的にはどのような提言がなされたのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/69
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070・柿本善也
○政府委員(柿本善也君) 現在地方公営企業の行政財産は普通会計の行政財産と基本的に取り扱いは同じでございます。ただ現実には公営企業というのは経済性を発揮しながら公共の福祉を実現するというような考え方をより徹底する必要がございますし、あるいはそういう考え方からいたしますと普通会計の財産と必ずしも同じでなければならないということもないではないか。あるいは土地等の有効活用を図る必要性がますます高まっている、こういう観点から弾力的な運用も考えるべきである。ただし、やはり公有財産でございますのでそれに対して一定の公共性なり本来の業務への影響に支障のないような形の条件づけも考えなければならない。そういうことを考えながら柔軟な取り扱いを検討すべきであるという提言がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/70
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071・片上公人
○片上公人君 次に地方団体の定員の推移についてどのようになっているのか、またその特徴についてちょっと説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/71
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072・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 地方公共団体の定員でございますが、総職員数は昭和五十八年の三百二十三万一千六百五十人、これをピークといたしまして五十九年以降四年連続の減少を続けておりまして、四年間で一万四千七百二十人、〇・五%の減少となっております。
中で地方公共団体が自主的に定員管理の適正化を進めることができます一般行政部門の職員数でございますが、昭和五十六年の百十六万三千四百三十人をピークといたしまして五十七年以降年々減少を続け、この六年間で三万一千二百二十人減少いたしておりまして、地方自治体の努力が実ってきておるというふうに存じております。なお、特別行政部門といいますか、警察、消防等は増加いたしておりますが、教育部門が近年生徒数の減等もありまして減少してきております。それからまた公営企業会計部門でも、病院を除く公営企業等が経営努力によりまして減少しておる、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/72
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073・片上公人
○片上公人君 週休二日制に向けての地方団体の取り組み状況について説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/73
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074・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 地方公務員の週休二日制についてでございますが、昨年の十一月二十七日に次官通知を出しまして四週六休制の実施について検討を進めるように地方団体に指導を行っておるところでございますが、各団体においてはこの通知に基づきまして四週六休制の実施に向けて取り組んでおるところでございます。
現在地方公共団体におきますその進捗状況でございますけれども、本年五月一日現在で速報で調べてみましたところ、四週六休制を実施または試行している団体は全団体の六三・七%、都道府県はもう一〇〇%でございますが、となってきております。四週六休制の導入を図っておる団体は月ごとに増加をしてきておりまして、自治省といたしましても今後とも四週六休制の一層の促進を図ってまいりたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/74
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075・片上公人
○片上公人君 またその際閉庁方式につきましては各地方団体はどういった課題があってどのように対処していくのかということもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/75
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076・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 地方公共団体におきます閉庁方式の導入についてでございますけれども、御承知のように地方公共団体は窓口業務など住民と密着した業務を多く抱えておりますことから、閉庁の範囲とか閉庁する場合の行政サービスのあり方でございますとか、またそういうことを行う周知方法等をどういうふうにしてやっていくか、そういった閉庁に伴います実際上の問題のほか、週休二日制の進捗状況に団体間で差がある状況の中で閉庁方式の導入をどのように進めていくのかといったような問題がございます。
そこでこれらの問題につきましては、基本的には国において閉庁方式導入についても具体的な検討が進んでおりますのでその状況を見つつ、地方団体についての検討も進めていくというところでございますけれども、行政サービスのあり方等につきましては、本年四月から地方公共団体の土曜閉庁に関する研究会というものも持たしていただきましてそれを開催しているところでございまして、その御意見も踏まえながら検討を進めてまいりたいというふうに存じております。また閉庁方式導入に向けて各地方公共団体に対しましても四週六休制の促進について一層の指導を行い、地域住民の理解と協力が得られるように種々指導を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/76
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077・片上公人
○片上公人君 では最後に、五月七日に自治省が発表しました地方公務員のメンタルヘルス調査研究報告書では、地方自治体の大半に心の病いを持つ地方公務員がいる、こういうことのようでございますが、この実態について、そしてこのような心の病いが出る原因、理由について調査分析の結果はどうなのか、また年代別、職種別、団体別に見てどうなのかということをお伺いして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/77
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078・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 地方公務員メンタルヘルス研究会というのがございましてそこから出された調査研究報告書でございますが、これによりますと、心の不健康者について調査いたしました地方公共団体の約九割で該当者がおるというふうな答えが出てきておりまして、そういう意味ではほとんどすべての団体が心の健康対策の必要性を感じておるということでございます。心の不健康者がいるという回答をいたしました団体のうち全体的な増減傾向につきましては、横ばいの傾向にあるというふうに回答した団体が四五・五%、ふえる傾向にあると回答した団体が三割ということでございますので、とにかくふえておるということになるわけでございます。
その原因等でございますけれども、この報告書によりますと、心の不健康者を年齢層別に見てみますと、具体的に回答のあった団体の中では比較的中年層に多いという傾向があらわれております。この要因といたしましては、団塊の世代間の競争でございますとか人間関係の複雑化、中間管理職という職のもたらすストレス、家族、家庭の問題等が考えられておるところでございます。また心の不健康者を職層別に見てみますと比較的非管理者層に多いという傾向があらわれておりまして、これは地方公共団体の職階制においては課長は相当上位の職であり、むしろ課長級までは達していない課長補佐級、係長級がいわゆる板挟みになる場合が多いのではないかなというふうにも見ておるところでございます。
いずれにいたしましても地方公務員のメンタルヘルスの問題につきましては非常に重要であると考えておりまして、今後ともこの研究会を続け、またその成果を地方団体に伝えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/78
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079・片上公人
○片上公人君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/79
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080・神谷信之助
○神谷信之助君 時間がありませんから問題提起に終わる部分もありますが幾つかの問題をお尋ねしていきたいと思います。
最初の問題は、先ほども同僚議員からお話がありましたが、恩給が一・二五%アップに対して公的年金の方が〇・一にしかなっていない、非常に大きな差が生まれてきているという問題です。これは前回年金一元化に伴う改正の際に私どもがその点を強く指摘していたところがやはりそのまま出てきているわけですね。それまでは言うならば恩給にスライドする、そういうことであったのが、今度は逆に厚生年金や国民年金にスライドするといいますかそちらに引っ張られていくということによって起こってくる問題が現実に出てきたというように思うんです。
わずか〇・一%、平均すると二千九十七円程度のアップだというんですけれども、ところがそのわずか〇・一%のアップにしても、受給資格者百二十一万人のうち実際に〇・一%アップする対象者は六十八万人、したがって残りの五十三万人、約四三・八%はこのわずか〇・一%のアップもない。いわゆる従前額保障ということでストップされている人たちが半分近く、四三・八%もいる、そういう状況であるということですね。これは先ほどもありましたように、年金生活者の生活を保障するという建前からいってもべらぼうな話だというように思うんです。
先ほどの答弁を聞いていますと、現役の掛金負担者といいますか、それとそれから退職者、年金受給者との調和ということを一生懸命おっしゃる。考えてみたら、年金受給者も勤めているときはちゃんと払っていた、負担していたわけです。そして年金受給者を支えていたわけです。それで今度は現役の人の負担が大きくなるから辛抱せいと言われてしまう。何でそんなことを言われなきゃならぬのか。年金受給者がだんだんふえてくると現役の負担が大きくなると、今度はそういう理屈ができてしまう。それであれば、今度は長生きするのがけしからぬ、早く死んでしまえという理屈になっちまうでしょう。こんな矛盾はない。
だからそういう矛盾を解消するという点では、公的扶助の割合について当委員会でも一八%あるいは二〇%まで引き上げろ、わずか一五%ではないかと。その後一%ですか上がりましたが、実際は一六%までいかぬところでとまって今の現行制度に変わってしまったわけですよ。だからそういう状況が一番根本問題としてあるということを私は指摘をしておきたいと思うんです。
もう一つは、先ほどからも出ていますが、一条の二で賃金その他の著しい状況に応じて検討することになって、来年の末にはいわゆる財源率の検討が行われるという状況になるんですけれども、
何でこういう問題が起こるかというと、先ほどからもありました七十四条の二で、アップの根拠を総務庁において作成する年平均の全国消費者物価指数に置いているわけですね。これが物価上昇を示す唯一の指数というように言われている。ところがこの総務庁が出している指数自身が実際に物価水準を示すものであるのかどうか。これが極めておかしいのじゃないか。
例えば総務庁の統計局統計調査部の消費統計課の担当者自身が、消費者物価指数は個々の世帯の実態を反映するものではない、こう言っていますよね。例えば高校生や大学生の子供がいる世帯は授業料の値上げが強く響くけれどもそんなものは指数になっていません、平均化するから。だから個々の国民の生活実態というのは反映をしていない、それとは関係がないんだ、こういうように言っています。それから先ほどからもありました税金とか社会保険料とかいうのはカウントされていない、こういうように言っています。しかし片一方では、それなら全く税金はカウントされていないのかといったら、たばこや酒にかけている税金は全部入っている、カウントしているんですよ。だからカウントする税金もあればカウントしない税金もある。この点でも本当に物価の上昇状態を示す指数と言えるのかどうか、こういうことが言えます。
ところがこれにかわるそういう物価の上昇を示す指数はなくて、労使間の賃金交渉なんかでは今度はこれをもとに賃金の引き上げを抑える材料に使われる。それから年金のアップでもこれをもとにして〇・一しか上げない、こういうのには使われる。そういうのがこの指数だと思うんですよ。だからその指数について国民は一体どう見ているのかというと、総理府自身がやった六十一年末の調査によりますと、そんな指数は意識していないという人が五一%、過半数を占めていますよね。それで意識している層の中で一体どうかというと、指数は実感に合わないというのが全体の二八%を占めています。だから国民の過半数は関心を持っていない、見向きもしない。見向きをしている人のうちの三割からの人が信用もしていない。
そういうあいまいなものを基準にして年金を決めること自身に私は問題がある。賃金の状況というものをカウントしない、あるいはそれを考えない。これははっきり実態がわかりますよ、賃金がどれだけ年々上がっているかということは事実ですから。片一方物価が実際上がっているのかどうかというのは、対象品目をどうするのか、これによってもころころ変わるんです。事実、対象を二、三年前でしたか変えましたね。それで物価指数のアップが余り出ない状態につくられたわけです。そういうものを土台にして年金の引き上げ、年金額が適正かどうかという根拠にするということ自身が私は大問題だというように思うんですが、その辺についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/80
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081・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 先生のお話を拝聴いたしましたが、厚生年金その他の公的年金制度におきましても物価スライドをやっており、その物価スライドのもとになるのは総務庁から出ております消費者物価指数であるということになっておるわけでございます。我が国のすぐれた統計手法で全国的に調査してその物価指数を出しておる、私どもといたしましてはそれを信用してその物価指数を基準として使っていくということはこれは当然のことではなかろうかなというふうに考える次第でございますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/81
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082・神谷信之助
○神谷信之助君 いや、今の現行法はそうなっているけれどもあなた方はそれで矛盾を感じませんかと言っているんですよ、そんな頼りない指数をもとにして。だってあなた、担当している総務庁の統計局統計調査部の消費統計課の人たちが、これは物価の実態を反映しているものではない、こう言っているわけです。家のローンの問題とか、先ほども家賃は入っているというけれども固定資産税は入っていないという問題が指摘をされていますが、テレビなどの家電製品を買うことは消費であって、そして家や土地のローンが支払われるのは消費ではない、それは資産形成だ、こういうことでしょう。
しかしそれが上がっているのは事実だし、それが生活を圧迫しているのだから物価とは関係ないというわけにいかぬ、その上で生活しているんですからね。それは資産形成だとおっしゃったって資産の中身が違う。最低自分たちの毎日の日常生活を営んでいくのに必要なそういう家屋なり土地なり、それをローンで払っているものはカウントしない。家賃はカウントする。何でそんな区別が起こるのか、こういった問題があるんですよ。
だから私はそういう点ではこの法律自身を、先ほどからもありましたが国際的な均衡からいっても、それから日本が経済大国とはいいながらそういった矛盾が起こっているんですから、法律自身の年金アップの基準をもっと根拠のある、説得力のあるそういうものに変えるべきではないのかという意見を持っております。現行の法律どおりですと今おっしゃったように〇・一しか上がらぬということですよ。もともとはそういう考え方じゃなかったんですからね。賃金も含めてやったのを下げるためにしたんだから。下げるためにやるというのは、一体年金をどう考えているのかという先ほどの同僚議員の質問にもあったように、私も同じ意見を持っています。
だから現行の法律そのものを変える必要が現に今度の問題ではもう明らかになっているではないかということを提起しているんですから、この辺公務員部長なりあるいは大臣なりの御意見を聞きたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/82
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083・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) おっしゃいますように、確かに今回の六十年の公的年金制度の改革において基礎年金制度が導入されたことによりまして、これまで恩給に準じた方式から基礎年金、厚生年金の年金額の改定に準じた物価スライド方式を基本とすることになったわけでございます。これは共済年金は御承知のように恩給と異なりまして社会保険方式で運用されておりまして公的年金制度の一環として位置づけられている、そういう観点からなされたものでございまして、そういう意味ではこの物価スライド方式を取り入れたということは公的年金制度全体の整合性を図るという観点からのことでありますので、御理解を願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/83
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084・神谷信之助
○神谷信之助君 それでは歴史的経過は抜きになってしまうわけでしょう。三十七年の改正以降、恩給受給資格はいわゆる文官の場合十七年以上ですか、そしてそれに達しない人、これが今の地共済に含まれて残ってきておりますね。だからそういう過程を含めて今までの年金のアップというのは考慮されてきた。今度は年金一元化ということで切り離して、恩給とは違いまして年金ですという方向へ行っちゃって、厚生年金、国民年金、そっちへ寄っていったわけでしょう。高い方に寄っていくならいいですよ、悪い条件の方へ、低い方へ寄らしていくそういう年金の一元化そのものが私は一つ問題だと思うんです。
だから年金の一元化というのを低い方に低い方にならしていくという考え方自身が、社会保障制度をより前進をさしていくことを目標にして進めていく政治の方向からいってどうなのか。これは大臣の問題だと思うんですが、できるだけ年金は低い方がいいというそういう方向に進めていくのか、少しでも年金をよくしていかなければいかぬという方向へ進めていくのか、こういう問題です。
おとといの委員会で国保問題をやったときに、大体年金が低過ぎるから困るんだと言わぬばかりの話が出ておりましたね、財政局長から。あのときも私は、年金を幾ら上げようと何をしようと国保制度は国保制度としての本来の基本的ななにがありますからそれだけでは解決しないと言っておったんですけれども、年金を上げてもらえればもうちょっと滞納者がふえるということでなく保険料負担能力がふえるのでいいかのような話がされる。今度年金の話が菜たちできるだけ年金は少ない方がいいとこう言う。首尾一貫しておらぬです
ね。私はそう思うんだけれども、この辺について大臣はどういうようにお考えですか、年金制度そのものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/84
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085・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) 確かに物価スライドでございますから、人によってはことし〇・一%、ばかにするなという声があることもよく承知をいたしておりますが、委員御指摘のように年金も、私は特に老後というのは豊かでなければならないという基本的な観念を持っております。ですからこの社会保障の中でも、特に働ける時期に懸命に働き抜いた人が老後健康の問題やあるいは生活の問題でそう苦渋を受けなくていい方がよりいいことでございますから高い方がいいということになりますけれども、それはやはり拠出または公の支出を伴うものでございますから、果たしてその拠出をさらに多くすることあるいは公の負担を多くすること、公の負担を多くするということは税が重くなるということにつながるわけでございますから、その辺のバランスをとっていかなければならない。
ただ、委員がおっしゃるようにどんどんどんどん年金が少なくなるということではなくて、年々歳々本体の計算をさるべき給与は上がっているわけでございますから、ことしのよりは来年の人、来年の人よりは再来年の人、これが年金として上がっていくというこの現実はお認めを願いたいと思いますし、私も年金は物価プラス何物かがあることにこしたことはない、そういう感じは持っておるわけでございますが、前段申し上げましたように、拠出の問題あるいは公の支出の問題、これとどういう関連、位置づけを考えるのか、その辺の問題を最後には詰めていかなきゃならないことがございますので、一概に今、高いことは私も大賛成なんですが、その高くするための手段方式がどういうものがいいのかどうなのかということをこれから研究をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/85
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086・神谷信之助
○神谷信之助君 片一方は時速十キロで走っておって、時速十キロでも走っておるんだから前に行っておるじゃないか。しかし片一方の方は時速百キロで走っておるんだからますます差は広がるという問題があるということです。これは先ほど同僚議員からも指摘されておる問題で、だからこの点はひとつ法律を変えなければならぬということを指摘しておきたいと思うんです。
もう一つ私はお聞きしたいのは遺族年金の最低保障額、これを受給している人が一体どれぐらいあるのかということを自治省の方に聞いたんだけれどもわからないというんですね、つかんでない。京都市の市町村共済で調べてもらったら大体四三・七%の人が遺族年金の最低保障額なんですね。現実に幾らかというと、いわゆる旧遺族年金の三十七年十二月以前の人で六十二万七千二百円、以降の人で六十三万七千六百円。まあほとんど変わらぬ、六十二、三万というところです。だから月五万円ぐらいになっちゃうわけですよ。それからこの対象者は四三・七%。だから最低保障額自身が低過ぎるというのが現実に強い要求です。この問題についてはもう時間がありませんから詳しくは言いませんが、最低保障額の引き上げについての考え方だけは聞いておきたい、こういうように思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/86
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087・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 既裁定の退職年金それから遺族年金の最低保障額でございますが、厚生年金における最低支給額との均衡を考慮して定められておるところでございまして、退職年金、遺族年金の最低保障額につきましては昭和六十年の年金制度改革の際それから昭和六十二年度の年金改定によりましてその改善が図られてきておるところでございます。さらに遺族年金の受給者に遺族である子がある場合に加算されます扶養加算額につきましてもその際に二万四千円から十八万七千九百円とこういうことで大幅に上げてきておりまして遺族の生活の安定に配慮してきておるところでございます。
今回の年金改定におきましてはこれらの最低保障額につきましても厚生年金、国民年金と同様に物価スライドというものはかかっていく、そうしてこの法案を通していただきますならば四月一日から引き上げるということで予定をいたしておるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/87
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088・神谷信之助
○神谷信之助君 それからきょうはもう時間がありませんから問題提起だけしておきますが、これは昨年の当委員会でも年金問題をやったときに指摘をしましたいわゆる既給一時金の問題です。既給一時金をもらっている人が二十年間の利子までつけて返済をしたら、もとの給料に戻るんじゃなしに控除された額の給料にしか戻らない、抑えられるという不合理を去年は指摘をしました。きょうはやっておる時間がありませんのでそういう問題があるということだけを指摘しておきます。
それで報告をしてもらいたいと思うのは、共済の資金運用の問題で四月二十二日に検討会の方から中間報告が出ていますね。財テクをやって資金を効率的に運用しようというそういう考えのようなんですけれども、これについて自治省の方では今現在どういう考えを持っておられるのか、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/88
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089・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 共済年金の資金運用の問題でございますけれども、長期的な低金利の状況のもとになってきておりまして運用実績が低下する傾向にございます。こうした中で資金運用、資金管理をどうしていけばいいのかということでこの中間報告を検討会の方からいただいたわけでございますが、私どもはむやみに財テクに走るべきであるといったような考え方は毛頭持っていないわけでございまして、低金利でかつまた金融の多様化自由化の時代におきます共済年金資金の運用のあり方について金融、経済の専門家に御意見をお聞きし御報告をいただいたところでございます。
この中間報告の内容もそういうことでございまして、要旨は、共済年金資金の運用の基本原則は安全性の確保を大前提にするということとされておりまして、そして同時に収益性にも十分留意すべきであるということになっておるわけでございます。その運用のあり方につきましては、全体の共済組合等が余裕資金を強制するわけではありませんが任意の預託によりまして合同運用することによって規模のメリットの増進が図られる方策を考慮したらどうか。また近年の低金利、金融商品の多様化の時代におきましてリスク回避の手段が講じられることが可能な商品についてはできるだけ運用対象範囲を広げて総合利益による収益性の増進を目指す必要があるのではないか。それからまた、より効率的な運用を図るためには民間の運用専門機関等の活用とか、また共済組合や連合会においてもいろいろなそういう知識経験というものを蓄積していく必要があるだろう、こういったような趣旨の提言がなされておるわけでございます。
この報告によりまして提言されておることにつきましてはいずれも専門家の貴重な御提言と受けとめておりまして、こういう趣旨を各共済組合、連合会に紹介するとともに、共済組合等における年金資金の運用が安全性を確保しながらより効率的な運用が図られるように指導をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/89
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090・神谷信之助
○神谷信之助君 厚生年金やその他の資金の運用なんかも含めまして今政府の方ではそういう財テクの方式を取り入れていこうということで、その場合リスクを回避するために生命保険なりなんなりというところに委託をするとかいうような方法なんかが研究されているんですけれども、例えばアメリカの国債、今度二、三日前のでは日本が四割から半分ぐらい買って支えている。アメリカの軍事費を中心にした財政赤字を支える国債を、そういう形でそれを買い支える資金をつくっていくという方向が一つは非常に我々としては許せないというように思います。
同時に今度は純金融経済的に見ても、三和総研の分析が最近出ていますけれども、企業の財テクブームが金融市場の不安定要因になっている、そういう分析も出てきています。景気がずっと拡大をしてくると一般的にはずっと収縮していくんだけれども、現在それがずっと伸びていますね。そういう状況でこれから金融市場に不安定要因をつ
くっていって去年起こったようなああいう株の暴落のような現象になりかねない、そういう指摘もあります。
そうするとリスクを回避することができるようにというたら、これは国際金融資本全体を握ってそういう中での損害補償をするような保険制度、再保険の仕組みなりなんなりを運用するでかいところにやらなければできない。しかしそういうでかいところの金融市場というのは逆に言うと、先ほど言いましたようなまさに政策的な操作というものが生まれてくるわけですね。そういう点から言うと私はこれは非常に慎重にせにゃいかぬというように思うんです。そうしなかったら日本の国内の金融市場でもいろんな問題を起こしてくるということになってきますし、財テクによって収益を上げることが主になってくるとリスクを避けることはできなくなっていくし、逆にそういう不労所得に支えられるということ自身が労働の質を低下させるまた遠因にもなりますから、これは極めて慎重にやってもらいたいというように申し上げて、一応時間ですから終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/90
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091・抜山映子
○抜山映子君 同僚議員がもう既に質問されましたので私の質問はかなり絞りたいと思います。
七十年を目途とする公的年金の一元化につきまして年金支給開始年齢問題は避けられないという方針のようですけれども、この点について老齢基礎年金の六十五歳にそろえるのではないかということが言われておりますが、そのように理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/91
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092・松本省藏
○説明員(松本省藏君) お答えを申し上げます。
先生の御質問の中に二つ要素が入っているように理解をさせていただきました。一つは公的年金一元化の関係でございますが、これは被用者保険制度が各省庁にまたがりますので内閣審議官の立場でまずその辺の経過について御報告をさせていただきたいと思います。
先般の年金制度の大改革によりまして基礎年金制度というのが導入されまして、いわゆる年金制度の一階部分については給付と負担の公平化というものが図られたわけでございます。またいわゆる二階部分という部分につきましても、被用者年金の給付水準というのを将来にわたりましては厚生年金に合わせていくというような方向で改革がされたものでございますから、将来に向かっては二階部分の給付面についても公平化が図られた。したがいまして今後の一元化の課題というのは、いわゆる被用者年金各制度の二階部分の負担面の公平化をどういうふうに図っていくかというのが課題になっているわけでございます。
そういうような課題を踏まえまして、現在政府の中では公的年金制度に関する関係閣僚懇談会というものが設けられておりまして、昨年九月の時点で、昭和七十年の公的年金制度の一元化に向かってそのちょうど中間点と申しましょうか、来年がちょうど次期財政再計算期に当たるものですからその時点で、七十年一元化に向けて地ならしできるものについては地ならしをしていこうという申し合わせがなされたわけでございます。これを受けまして現在、政府関係各省庁の局長クラスで構成されます公的年金制度調整連絡会議というのがございますが、そこでどのようなものがとりあえず地ならしできるものかという検討作業を進めているという状況でございます。
一方支給開始年齢の問題があるわけでございますが、支給開始年齢の問題自体がその一元化の中で具体的にどういうふうに取り扱われるかはまだ明らかになっていないわけでございます。
一方厚生年金制度ないしは国民年金制度につきましてはこれは厚生省の所管でございますので、恐縮でございますけれども年金課長の立場で御報告を申しますと、厚生年金、国民年金の制度が来年六十四年四月が次期財政再計算期でございますので、従来より保険料の見直しに合わせましていろいろな制度改正を検討するということで現在年金審議会でいろいろと御検討いただいているという状況でございます。秋までにそれなりの御意見を賜ることにいたしているわけでございますが、その検討のテーマの一つとして支給開始年齢問題というのが入っているわけでございますので、その支給開始年齢問題につきましての年金審議会の御意見を賜ってから具体的な判断をしていく、こういうことになろうかと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/92
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093・抜山映子
○抜山映子君 国民としては、もし年金支給の開始時期が六十五歳になるというのであればむしろこの際はっきりその方針を示しておいていただいた方が老後設計の計画を今から立てることができると思うのですね。ですからもう決まっているのであればむしろはっきり開示していただきたいということを切望しておきます。しょせんこの年金の支給開始時期が六十五歳になることはもうファンドの面から見ても明らかでございます。そうしますとやはり自助努力を国民に促すということになると思うのです。
秋に税制改革をやるということで今大変テンポを速めておられますけれども、その中において、任意年金の保険料を納めるときの入り口の優遇策と年金を受け取るときの出口の優遇策、その両万をぜひ考えていただきたいと思いますが、この点について御回答をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/93
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094・杉崎重光
○説明員(杉崎重光君) 個人年金につきましては、一般の生命保険料控除の対象とされていることに加えまして昭和五十九年以後別枠で五千円まで所得控除をすることができるということになっておりまして、生命保険料控除五万円と両方をお使いになる場合には五万五千円まで掛金のいわば入り口の段階で控除が認められているわけでございます。これにつきましては、個人年金にはそういう老後の生活安定のための自助努力の奨励という観点もありましょうが、また他方におきましては、そうした観点あるいは相互扶助の観点とともに基本的にはこれは私的年金だということからしますと貯蓄ということになります。そういうことになりますと今度はほかの貯蓄商品との関係ということも考え合わせていかなければならないわけでございまして、入り口のところはそういうことで掛金の一部についての所得控除を認めるということになっております。
また出口のところではどうかと申しますと、この年金につきましては雑所得の課税になるわけでございますが、その際掛金は控除できることになっておるわけでございまして、したがいましてその段階での掛金についての課税はないわけでございます。そういうふうに考えますと、当初生命保険料控除という形で非課税にしたものは出口の段階においてもまた非課税になるという、いわば二重に非課税の取り扱いをしているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/94
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095・抜山映子
○抜山映子君 私今の回答に大変不満です。私は、今度の税制改革でどのようにこれを前向きにやっていただけますかと、現在どうなっていますかとお尋ねしたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/95
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096・杉崎重光
○説明員(杉崎重光君) この生命保険料控除本体につきましては政府税制調査会の答申におきまして、この制度が長年にわたって存在すること、それから既にこの適用を受けていらっしゃる方が非常にかなりの率に達しているということから見て政策的な奨励ということの必要性について議論がございまして、またかたがた、最近におけるマル優を中心とした利子課税の見直しでございますとかあるいは有価証券の譲渡益課税の見直しといったようなこととあわせて、そこらの点も考えながら制度の見直しを行っていくことが適当であるというふうに税制調査会では答申をされているわけでございまして、そうしたことも踏まえながら政府としては今後引き続き検討をさせていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/96
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097・抜山映子
○抜山映子君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
労働省の勤労者の老後生活安定対策研究会では、老後の希望生計費は二十五万円だ、このように言われておりますが、それぞれの年金のレベルがこれに達していないことは明らかです。先ほどこれは私的年金で貯蓄と同じだというような乱暴な言い方をなさいました。しかし年金として掛けている場合には、貯蓄のようにいつでも損をしな
いでおろすことができるかというとそうはまいりません。一たん掛けますとこれは固定するわけでございます。
そして今の入り口と出口の優遇策が諸外国に比して格段に我が国が見劣りしていることもこれは明らかでございますので、そのような消極的な答弁に終始されずに、おたくだけで決めるわけにはいきませんけれども、ひとつこの点は諸外国並みに自助自立を助けるような政策をとっていただきたいことを切望をして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/97
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098・秋山肇
○秋山肇君 地方公務員等共済組合法第七十四条の二においては消費者物価指数が五%を超えて変動した場合に年金額を改定することとされているわけですが、先ほど来論議がされていますけれども、今回は消費者物価指数が対前年上昇率〇・一%である。五%を下回っているにもかかわらず年金改定等を行うのであるとすればこの公務員等共済組合法の本則を改めるべきだというふうに私も思うんですけれども、先ほどからお答えが出ていますからなかなか変えられないのだと思うんですが、ちょっと違った観点からもう一つお伺いをしたいと思います。
先ほど同僚委員の方から質問がありましたけれども、退職後年金によって生活をしていけるというのが年金制度の基本だろうというふうに思うんですが、この年金受給者、退職をされた人が再就職をするという率といいますか人数はおわかりになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/98
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099・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) まず最初の問題でございますけれども、今回五%以内の率、〇・一%でございましたけれども諸般の事情を考慮いたしましてスライドをすることにさせていただいたわけでございます。この規定は厚生年金保険において物価スライド制が導入された際から設けられておるわけでございまして、その数字についていろいろな御論議もあったように聞いておるわけでございますが、昭和六十年の公的年金制度全体の改革において、すべての公的年金制度について共通の基準とされたものでございました。なおこの基準のあり方につきましては、今後における物価の動向とか年金改定措置等を踏まえ、なお他の公的年金制度との関係も勘案して検討してまいらなければならぬだろうというふうに考えております。
それから年金生活者の再就職の数字でございますが、今手元に持っていないわけでございまして、ちょっと調べてわかるかどうか、恐縮でございますが調べさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/99
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100・秋山肇
○秋山肇君 そうしますと、正確な数はともかくとして、民間に再就職をされるとかという例はかなりの数あるのじゃないかなというふうに私は思うんですね。これも先ほど論議をされましたけれども、ほかの年金が年六回支給でこの地方公務員等共済年金は年四回だと、先ほどのお答えの中でこれを六回にしていきたいということでしたが、四回から六回に変えるのであれば、月給的に年十二回にしていくということに一挙に変えるべきだと思うんですね。
というのはなぜかというと、どうもその再就職をしている人たちが勘違いをしているのじゃないかなというふうに思うんですよ。というのは、再就職をしてその会社から給料をいただくことになるわけですが、年金が年間総所得の中に入らないというふうに思ってかなり気張った再就職の賃金を要求するというか決めるんですね。そうすると後で源泉で取られ確定申告で払うということで、実際に自分の考えていたよりはグロスを大きくした割にネットが少ない、手取りが少ないというような例があると思うんです。
というようなこと等を考えますと、やはりこの十二回制というのは、それは技術的に難しいということじゃなくて事務量がふえるというようなことは、コンピューターを入れ機械化合理化をしている今の事務所のレベルとすれば一度組み込んでしまえばそう難しいことではないと思うので、この点等を含めて御回答をいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/100
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101・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 年金の支給回数の問題でございますが、御質問がございましたようにこれは多ければ多いほど受給者にとりましては非常に便利だろうということはそのとおりだと思うわけでございますが、今お話がございましたように事務処理の問題がございます。それからまた全部の公的年金制度共通の問題として取り上げていかなければならないというようなことがございまして、関係省庁間で現在相談をいたしておるわけでございますけれども、当面早期に何とか年六回の支給ができるようにまずそこから検討していきたいというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/101
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102・秋山肇
○秋山肇君 今私が言った民間に再就職した場合のことですけれども、先日私が尼崎の退職金の問題を言いましたね。あれで市の退職者に対して一般の人たちに説明する以上に市が二月、三月に講習会を開いているという例がありましたが、これはやはり、そう言ったらあれですけれども、公的なところに勤めていた人が民間企業に行くというのはなかなかなじめないということもあるし、またそういう月収で生活をしていた人が年四回、六回の年金の支給ということになじめないことが、先ほどもどなたかの質問にあった公務員のノイローゼの問題等も含めてあると思うので、せっかく大臣のより楽しい老後が送れるようにということからしても、その辺の制度的な問題等を改善していく、そしてまた最後によく再教育をしてあげるということが大事だろうと思うんです。その辺についてお答えをいただいて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/102
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103・芦尾長司
○政府委員(芦尾長司君) 今御質問がございましたが、公務員の退職後のことを考えて生涯の設計プランを立てるということは最近非常に重要になってきておる問題でございまして、私どもも研究をいたしておるわけでございます。退職される前にその退職後の準備をするためにそういうプログラムというものをこれからつくっていかなければならない。一部の地方団体で既に始めておるところもありますし、民間ではもう既に相当始まっておるようでございます。私どももそういう重要性というものを念頭に置いて研究してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/103
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104・谷川寛三
○委員長(谷川寛三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/104
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105・谷川寛三
○委員長(谷川寛三君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、討論はないものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
昭和六十二年度における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/105
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106・谷川寛三
○委員長(谷川寛三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/106
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107・谷川寛三
○委員長(谷川寛三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214720X01119880519/107
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