1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年三月二十二日(火曜日)
午前十時三分開会
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委員の異動
一月十八日
辞任 補欠選任
原田 立君 田代富士男君
一月二十五日
委員田代富士男君は議員を辞職した。
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出席者は左のとおり。
委員長 上野 雄文君
理 事
添田増太郎君
宮田 輝君
守住 有信君
大森 昭君
委 員
岡野 裕君
長田 裕二君
志村 愛子君
成相 善十君
西村 尚治君
山内 一郎君
及川 一夫君
大木 正吾君
鶴岡 洋君
山中 郁子君
橋本孝一郎君
青島 幸男君
平野 清君
国務大臣
郵 政 大 臣 中山 正暉君
政府委員
郵政政務次官 白川 勝彦君
郵政大臣官房長 森本 哲夫君
郵政大臣官房人
事部長 白井 太君
郵政大臣官房経
理部長 山口 武雄君
郵政省郵務局長 田代 功君
郵政省貯金局長 中村 泰三君
郵政省簡易保険
局長 相良 兼助君
郵政省通信政策
局長 塩谷 稔君
郵政省電気通信
局長 奥山 雄材君
郵政省放送行政
局長 成川 富彦君
労働省労政局長 白井晋太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 大野 敏行君
説明員
公正取引委員会
事務局経済部調
査官 梶山 省照君
大蔵大臣官房参
事官 中井 省君
通商産業省機械
情報産業局電子
政策課長 新 欣樹君
郵政大臣官房首
席監察官 加宮 由登君
会計検査院事務
総局第五局郵政
検査課長 東島 重義君
参考人
国際電信電話株
式会社常務取締
役 大山 昇君
日本電信電話株
式会社代表取締
役副社長 児島 仁君
日本電信電話株
式会社常務取締
役高度通信サー
ビス事業本部長 鴨光 一郎君
日本電信電話株
式会社常務取締
役電話事業サ
ポート本部長 高橋 節治君
日本電信電話株
式会社常務取締
役経営企画本部
長 草加 英資君
日本電信電話株
式会社取締役
ネットワーク事
業本部長 宮津純一郎君
日本電信電話株
式会社理事・労
働部長 朝原 雅邦君
日本電信電話株
式会社経理部次
長 加島 修君
日本電信電話株
式会社電話事業
サポート本部営
業推進部長 西脇 達也君
日本電信電話株
式会社電話事業
サポート本部設
備推進部長 村田 忠明君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査
(派遣委員の報告)
(郵政行政の基本施策に関する件)
(郵便局の土曜閉庁の在り方に関する件)
(国際電気通信事業料金の値下げ問題に関する件)
(NTT職員の争議行為規制規定の見直しに関する件)
(小口預貯金金利の自由化への対応に関する件)
(電気通信事業法の見直しに関する件)
(郵政事業における内部監察に関する件)
(郵政事業の活性化計画に関する件)
(電気通信事業におけるプライバシー保護対策に関する件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/0
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001・上野雄文
○委員長(上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のため、本日の委員会に国際電信電話株式会社常務取締役大山昇君、日本電信電話株式会社常務取締役経営企画本部長草加英資君、同じく理事、労働部長朝原雅邦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/1
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002・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/2
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003・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題といたします。
まず、派遣委員の報告を聴取いたします。大森昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/3
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004・大森昭
○大森昭君 私は上野委員長、添田、守住両理事、鶴岡、橋本両委員とともに、去る一月十九日から二十日の二日間福島県を訪問し、東北地方における逓信関係業務の実情調査を行いました。
以下調査の概要を報告いたします。
当管内は、広大な土地と豊かな労働力を有し、社会経済的な発展可能性の極めて高い地域と言われます。近年、高速度交通網が整備され、住民の定
住化、工業発展等明るい兆候が顕著になっております。しかしながら、東北地方は南北の地域格差が大きく、北東北の産業基盤整備が今後の課題とされております。このように社会経済的にはまだ発展に努力をする東北においては、郵政事業、電気通信、放送事業とも厳しい経営環境に置かれていると言えます。
まず郵政事業について申し上げます。
物流面では、全国的な傾向と同様に民間宅配事業の進出が著しく、金融、保険業の面でも当管内の特徴として農協のシェアが大きいことが特色であります。こうした厳しい環境の中で、東北郵政局が昨年開催された「未来の東北博覧会」に単独パビリオンとして参加するなど、地域に密着した郵政サービスの展開に努めており、郵政事業の活力を育てる積極的な営業姿勢がうかがわれます。特に郵便事業については「さくらんぼ小包」に見られるような小包市場の開拓、また、東北郵政局独自の郵趣商品の開発など、全国に先駆けた事業展開を図っております。
次に電気通信事業について申し上げます。
電気通信事業は地域の産業、生活に不可欠なものであり、第一種電気通信事業、一般第二種電気通信事業とも新規参入の動きが見られます。しかし、電話の普及率は全国でも低い水準であり、今後東北の地域特性を生かした中長期的な経営基盤の確立が必要であります。
なお、当管内は、地域特性に応じたニューメディアの導入に熱心であります。六十一年には東北ニューメディア懇談会を設立し、産・学・官による協力体制を整備し、高度情報社会の基盤整備を進めております。さらに、四全総のナショナルプロジェクトの一つである、未来型地域づくり構想の東北インテリジェントコスモス構想が実施されることとなっており、郵政省も情報化基盤整備施策の推進などにより、これを積極的に支援していくこととしております。
電波利用については、東北の産業構造に即し、土木、漁業関係の利用が多い反面、公衆通信等の利用が少ないのが特徴であります。
最後に放送事業について申し上げます。
当管内ではNHKと民放二十一社が放送を実施しております。NHKにおいては、受信料収納の口座利用率が低く、その利用促進が今後の営業の課題となっております。民放各社の経営環境はいずれも厳しいものがありますが、各社の企業努力により、事業開始間もないFM局等を除いて利益を計上し得る状況にあります。
また、中継局の設置、衛星放送の実施により辺地難視は解消の方向に向かいつつありますが、都市型の受信障害は増加傾向にあり、有線テレビによる解消が進められております。
以上で派遣の口頭報告を終ります。
なお、委員長の手元に詳細な調査報告書を提出しておりますので、本日の会議録に掲載していただくよう委員長において取り計らいをお願い申し上げます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/4
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005・上野雄文
○委員長(上野雄文君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
なお、ただいま大森君から要請のありました報告書につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/5
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006・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/6
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007・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 次に、郵政行政の基本施策について所信を聴取いたします。中山郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/7
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008・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) おはようございます。大変御苦労さまでございます。
第百十二回の通常国会の逓信委員会における郵政大臣の所信表明を朗読いたしたいと存じます。
逓信委員会の皆様には、平素から郵政行政の適切な運営につきまして格別の御指導をいただき、厚く御礼を申し上げます。
この機会に、所管業務の当面する諸問題等について所信の一端を申し上げ、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
まず、郵便事業について申し上げます。
今日、郵便は、年間約百八十一億通の利用があり、国民の基本的な通信手段として、将来にわたって重要な役割を果たしていくものと考えております。
現在、業務運行は、おおむね順調に推移しており、今期年末年始においても、元旦に約二十五億通もの年賀郵便物を配達するなど、円滑に運行することができました。
また、最近における郵便小包は、サービス改善や職員一丸となっての営業努力の結果、昨年末現在で、前年に比べ二〇%にも及ぶ伸びを示しております。
さらに、昨年の通常国会では、郵便法及びお年玉等付郵便葉書及び寄附金付郵便葉書等の発売並びに寄附金の処理に関する法律の一部を改正する法律を成立させていただき、これにより広告郵便物の料金を最高三〇%まで割り引くこと等各郵便サービスの改善を行い、大変好評を得たところであります。
今後とも利用者のニーズに即応した付加価値の高い郵便サービスを提供していくとともに、事業の効率化を推進し、国民の皆様の期待にこたえるよう努力してまいる所存であります。
このため、第一種及び第二種郵便物の料金の決定の特例制度を整備すること、切手類等の給付を受けることができるカードを販売できるようにすることなどを内容とする郵便法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
次に、為替貯金事業について申し上げます。
為替貯金事業は、国営事業として百十余年にわたり、貯蓄、送金決済等の国民生活に密着したサービスを提供し、広く国民の皆様に利用されてまいりました。その結果、郵便貯金資金は百十七兆円に達し、社会資本の充実や国民の福祉の増進に大きく貢献しております。
長年親しまれてきた郵便貯金利子非課税制度が本年四月から改定されることになりますが、昨年の通常国会で成立させていただきました郵便貯金法の一部を改正する法律等により、郵便貯金の自主運用が昨年六月から開始され、着実な運用を行っているところであり、また本年四月からは、郵便貯金の預入限度額の引き上げ、郵便局での国債の販売が実施されることになりました。
今後は、これらの制度改善を積極的に活用するとともに、国民のニーズに的確に対応した多様な金融商品の開発に努め、郵便貯金に寄せられる国民の皆様の期待にこたえてまいりたいと考えております。
特に、小口預貯金金利の自由化はまさしく間近に迫っており、預金者の利益を守り社会的公正の確保等を図る観点から、まず、小口預貯金金利の完全自由化への過渡期の商品として、市場金利連動型郵便貯金を早急に導入できるよう鋭意努力してまいる所存であります。
また、来年度におきましては、住宅積立郵便貯金及び進学積立郵便貯金の改善を図りたいと考えております。
さらに、業務の総合機械化の進展等に対応して、郵便為替及び郵便振替の利用者に対するサービスを改善すること等を内容とする郵便為替法及び郵便振替法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
次に、簡易保険・郵便年金事業について申し上げます。
簡易保険・郵便年金事業は、創業以来、簡易に利用できる生命保険・個人年金を全国の郵便局を通じて、あまねく普及することに努めてまいりました。その結果、簡易保険の契約件数は六千万件を超え、保険金額は百兆円を突破するなど国民の皆様に広く利用されており、郵便年金の保有契約も順調に増加しております。このように簡易保険・郵便年金事業は、国民の皆様の経済生活の安定と福祉の増進に大きく寄与しております。
また、その資金は三十五兆円に達し、その多くが学校、道路、住宅の建設などに活用され、社会資本の充実等に大きな役割を果たしております。
現在、我が国は、人口の高齢化が急速に進んでおり、老後の経済生活の安定を図る自助努力の手段として、非営利で全国あまねくサービスを提供している簡易保険・郵便年金の役割は、ますます大きくなってきております。
事業に寄せる国民の皆様の期待と事業としての使命を深く認識し、その一層の普及を図るとともに、時宜にかなった新商品の開発と加入者サービスの向上に努め、豊かで活力ある長寿社会建設の一翼を担ってまいりたいと考えております。そのための施策の一端として、今国会に、加入者の皆様から強い要望のある郵便年金制度の改善を実現するための郵便年金法の一部を改正する法律案を提出いたしましたので、これまたよろしくお願いを申し上げます。
ところで、郵政事業は、三十万人余りの職員に支えられており、人力に依存する度合いが極めて高い事業でありますので、その円滑な運営を図るため、人材育成や能力開発を推進し、明るく活力に満ちた職場をつくるとともに、信頼感に裏打ちされた正しい安定した労使関係を確立、維持していくために、さらに努力を払ってまいる所存であります。
さらに、郵政犯罪の防止については、従来から省を挙げて努力してまいりましたが、郵政事業に寄せる国民の皆様の期待と信頼にこたえるため、今後とも防犯意識の高揚と防犯体制の一層の充実に努めてまいる所存であります。
次に、電気通信行政について申し上げます。
電気通信に対する需要の一段の高度化、多様化に対応し、ニューメディアや先端技術の開発、振興を初め、電気通信の一層の高度化を推進するための諸施策を適切かつ着実に進めていくことが肝要と考えます。四全総の中でも、多極分散型の国土形成を図り、均衡ある国土の発展を促進する上で、高度な情報通信体系や地域における情報通信、基盤の整備の必要性が指摘されているところであります。このため、郵政省で現在取り組んでいるテレトピア計画や、いわゆる民活法に基づく施設整備事業等の地域情報化施策をより一層積極的に推進する必要があると考えており、きめ細かく、かつ適切な支援を行ってまいる所存であります。
その具体策として、テレトピア計画につきましては、来年度から指定地域内事業として、無利子融資対象事業に、地域共同利用無線ネットワーク整備事業及び地域ISDN整備事業を追加したいと考えております。
また、民活法施設につきましては、これまでのテレコムリサーチパーク、テレコムプラザ及びテレポートに加え、マルチメディアタワー及び特定電気通信基盤施策を民活法の特定施設に追加したいと考えており、これを内容とする民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を関係省庁と共同して今国会に提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
次に、電気通信技術開発についてでありますが、電気通信分野は技術先導性が極めて高く、技術開発の推進、とりわけ長期的には基礎的分野の研究の強化を図ることが重要であると考えます。このため、来年度から新たに、新通信メディアの開拓や通信への知的処理の適用等を対象に、基礎的・先端的なフロンティア研究開発を強力に推進したいと考えております。また、基盤技術研究促進センターの活用によって、民間における基礎的・先端的な研究開発の促進を図ってまいる所存であります。
次に、宇宙通信については、通信衛星二号に続く第二世代の実用通信衛星として、通信衛星三号aを過日打ち上げたところでありますが、同三号bを本年夏に打ち上げる予定であり、その諸準備に万全を期してまいる所存であります。
また、放送衛星三号を昭和六十五年度と昭和六十六年度に一つずつ打ち上げることとし、所要の準備を進めるほか、ハイビジョン衛星放送の早期普及を図るため、産業投資特別会計からの出資を得て、通信・放送衛星機構が放送衛星三号の一部を所有し、ハイビジョン衛星放送を行う放送事業者に利用させる事業を進めてまいりたいと考えており、この実現措置として通信・放送衛星機構法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、よろしくお願い申し上げます。
〔委員長退席、理事大森昭君着席〕
さらに、放送衛星三号に続く次世代放送衛星に必要な高度衛星放送技術の確立と、通信及び測位を一体的に行う移動体衛星通信に必要な技術の確立を目指す放送及び通信の複合型衛星の研究等を行ってまいりたいと考えております。
ところで、我が国が今日の繁栄を確保し、相互に依存している国際社会に適切に対応していくためには諸外国との相互理解を深め、協力、協調関係を構築していくことが重要であります。このため、電気通信分野においても、米国、EC諸国等先進各国との二国間定期政策協議を初め、国際電気通信連合等各種国際会議への積極的な参加を通じて、標準化など国際協調を図るとともに、国際社会への貢献を果たしてまいる所存であります。
また、先進諸国においては急速な高度情報化が進展している一方で、多くの開発途上国では基本的な電気通信サービスすら十分に受けられないという状況にあることから、世界のトップレベルの電気通信技術を持つ我が国としては、その技術を生かして、開発途上国の電気通信の整備に積極的に協力してまいる所存であります。
次に、電気通信事業についてでありますが、第一種及び第二種電気通信事業の各分野において活発な新規参入が行われるとともに、電気通信端末機器市場もいよいよ活況を呈するなど、電気通信制度改革の実が徐々に上がり始めたと考えているところであります。
しかしながら、新規参入事業者のサービス提供はいまだ部分的であり、早期に実質的な意味での競争状態が創出され、改革の成果がさらに広く利用者に還元されるよう、十分な配慮が必要であると考えます。引き続き新規参入事業者の支援、ネットワーク化の円滑な推進、電気通信システムの安全性、信頼性の確保等々活力ある電気通信市場の形成のための環境整備を図りつつ、適切な法の運用に当たってまいる所存であります。
電気通信事業法の施行状況の検討問題につきましては、関係各位の御意見、御要望等を聴取しつつ、電気通信審議会に諮問してきたところでありますが、去る三月十八日、同審議会から、現時点において法改正は必要ないが、今後の市場実態、内外の社会経済動向等を踏まえ、利用者の利便の向上、電気通信産業全体の発展に資するため、デジタル化の促進などの適切な措置を講ずる必要がある旨の答申を得たところであります。今後、答申において指摘されている、社会資本である電気通信の一層の発展のための諸課題に鋭意取り組んでまいる所存であります。
また、電波利用に対する急激な需要の増大に適切に対応するため、地域における電波利用基盤の整備、簡易陸上移動無線電話、テレターミナルシステム等の新システムの開発、実用化、周波数資源の開発等を推進するなど、電波の有効利用策を講じてまいる所存であり、電波利用秩序の維持に努め、さらに、新しい問題である不要電波問題につきましても鋭意検討を進めてまいる所存であります。
次に、放送行政について申し上げます。
放送は、即時に、広範囲に、かつ経済的に情報伝達ができる代表的なマスメディアとして、国民の日常生活に不可欠な役割を果たし、大きな影響力を有するものであります。今後、進展する高度情報社会においても、放送は情報伝達の基幹的役割を果たしていくものであり、その健全な発達と最大限の普及が重要な課題であると考えます。
近年の急速な技術革新により、衛星放送、多重放送、都市型CATV、ハイビジョン等の放送ニューメディアが実用に供されつつあり、これと相まって、国民の放送に対する需要も多様化しております。このため、技術革新と国民のニーズに
即応した適切な放送行政を推進してまいる所存であります。
その一端として放送法制の整備を図りたいと考えており、日本放送協会と一般放送事業者の併存体制を反映した法構成とすること、メディア特性に応じた放送番組規律とすること、有料放送に関する制度を整備すること等を内容とする放送法及び電波法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしましたので、これまたよろしくお願いを申し上げます。
また、国際放送につきましては、その重要性にかんがみ、充実、強化に取り組んでおりますが、本年度末には、かねてから進めていた国内送信所の整備が完了し、来年度からは北米向け中継放送をカナダとの相互交換中継により行うこととしております。
以上、所管業務について、所信の一端を申し述べましたが、その裏づけとなります郵政省所管各会計の昭和六十三年度予算案について御説明申し上げます。
まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十八億円で、前年度当初予算額に対し三億円の増加となっております。この歳出予定額には、電気通信フロンティア技術の研究開発、放送及び通信の複合型衛星の研究など、多様化する情報社会と増加の著しい通信需要に対応した施策のほか、国際放送の充実を含む放送行政、活力ある地域社会の情報化の推進等に必要な経費を計上しております。
次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入、歳出とも予定額は五兆五千百七十二億円で、前年度当初予算額に対し、三千七百九十億円の増加となっております。
この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便の需要拡大と郵便ネットワークの拡充に必要な経費を初め、金融自由化と長寿社会への郵便貯金の積極的対応に必要な経費、長寿社会に向けての簡易保険・郵便年金の改善充実に必要な経費、郵便局舎等施設の整備及び事業運営効率化のための機械化の推進に必要な経費、その他所要の人件費等を計上しております。
以上が、予算案の概略であります。
委員各位におかれましては、郵政省所管業務の円滑な運営のために、一層の御支援を賜りますよう切にお願いを申し上げる次第であります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/8
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009・大森昭
○理事(大森昭君) 以上で所信の聴取は終わりました。
それでは、これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/9
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010・及川一夫
○及川一夫君 まず最初に、事務局にちょっとお尋ねしておきますが、今大臣から所信表明をいただいたわけですが、私ども所信表明を検討さしていただくということだったというふうに思うんですが、あらかじめ所信表明原案なるものが配られております。お聞きいたしますと、何か何カ所か違うような感じがするんですが、違っているところはどこなんでしょうか。おわかりいただけますでしょうか、答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/10
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011・塩谷稔
○政府委員(塩谷稔君) とりあえず私の方からお答えしておきますが、今大臣がお読みになっていただいたのと、恐らく先生の手元に渡っているのはちょっと時間的な経過がございまして、九ページ、あるいはそのページ数も違っているかもしれませんが、電気通信事業法関係の検討状況の報告について、あるいは若干その後の具体的な状況の進展を御報告申し上げましたので、その点について変わっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/11
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012・及川一夫
○及川一夫君 わかりました。
六ページの方も若干違うようですが、文脈からいってさして違いはないようですからこのまま進めさしていただきます。よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/12
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013・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 恐縮でございます。衆議院の所信表明をいたしました際と、その間何かずれがあるようで、今私は、三月十八日の電気通信審議会の答申のところだけが違っているのでというので、先生方のお手元にも私と同一のものが配付されておるかと思いましたが、手違いでございまして、おわびを申し上げたい。私はその部分だけが違っていると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/13
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014・及川一夫
○及川一夫君 わかりました。
それでは、私は大臣の所信表明と、これを執行するに当たっての郵政大臣としての政治姿勢を中心にお伺いをしたいというふうに思います。
まず第一に、所信表明の中で、国際社会に具体的に適応する内容として、アメリカないしはEC二国間協議の推進、国際会議への積極的参加、開発途上国への技術協力ということを挙げられております。これは国際化という問題に我が国がどう対応するかという点では必要欠くべからざるものというふうに思っておりますから、極めて当然というふうに受けとめるわけであります。
したがって、これ自体には別に反対などという意見はないんですが、問題は、中山郵政大臣も若手政治家大臣として、これから我が国の政治全体をも背負っていかれるんであろうというふうに思うんですが、電気通信事業とか郵便事業、こういった面で、いわば世界を相手にいい意味で新機軸を打ち出すような御発想というのはないのでしょうか。例えば、C&Wという英国の通信会社がございます。ここなどは何かいろんなことをおっしゃられておるわけでありまして、その中には、世界戦略という言葉が出てくるような内容をもって論じられておるし、また我が国もそれでかなり揺さぶられているんじゃないかという感じがいたすものですから、我が国を代表する郵政大臣として、新機軸を打ち出す御発想はないかどうか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/14
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015・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 大変適切な御指導をいただく上での温かいお言葉をいただきまして、大変感謝をしております。
私は三木内閣のときに、サミットがランブイエで始まります際でございましたので、私は、サミットというのは自由主義国だけが集まっておっていいのか、ソ連や中国にも招待状を出して、日本が世界じゅうの本当のサミットが開催されるようなことを考えたらいかがでございますかということを、私は三木総理のときに提案をしたことがございます。
そんな意味で、戦争を避けるという我々人類の大きな目標から言いますと、いかに思想の違う国が提携を保って情報を交換していくかということが大変重要なことになるんではないか。最近、CNNがポーランドに今度は放送を始めるということで、私は画期的なことだと注目をいたしておりますし、この間もアクショーノフというソビエトの放送テレビの会議議長が、NHKが昨年招待されたその逆に、招待をその返礼としてお受けになってお越しになりましたときに、私も会談をさせていただきまして、そんな問題を話し合いました。両方が自由にひとつ取材をするようなことにしてはいかがでございましょうかと。今のところ番組の交換というようなものになっております。それでも大変私は大きな効果があると思いますが、私はソビエトにも何度か行ったことがございますし、党内的に申しますと、自由民主党の私が青年局長をいたしておりますときに、六十名ばかりの初めてのソビエト訪ソ団というものを編成いたしまして、これはシベリアのイルクーツク、ブラーツク、ノボシビルスク、ハバロフスクという四つの都市を訪問したことがある話をアクショーノフさんにもしておいたことがあります。
それから、大阪万博のときには、これはナスリジノワというソ連の民族会議の議長を、私議運をやっておりましたので三日間、大阪万博を御案内をしたことがございまして、ソビエトの国会議員十五名の方々と三日間、寝起きをともにしたことがありました。一にかかって情報のそごが世界の紛争のもとになる。かつてのハワイ真珠湾攻撃が、アメリカの日曜日に攻撃をし、そしてその宣戦布告が後になったということは、日本の長い歴史の中でも最大の恥辱でございます。
そんなことを考えますと、いかに情報を交換し合うかということが、これからの世界の平和に貢献するであろうと思いますので、今先生の御指摘のありましたC&W、英国はBTとマーキュリー
社しかございませんが、その中で今度は自由化の方向に進んでいるということを先般、BTの社長など来られまして、バランスさんとおっしゃいますが、文字どおりバランスのとれた政策を実行していこうというようなお話がございましたので、日本からも英国に乗り入れるようなことを考えながら、もちろんお近くの中国には、天津とかそれから上海とか広州とか電気通信網の拡充計画、それから北京郵電訓練センター等に関して、技術協力の面で全面的に協力を展開するというようなこともやっておるようでございます。
その意味で、日本が世界に情報を伝達するその大きな技術力と、それから中継基地としての地理的な、太平洋に発展途上国をたくさん抱えている、東南アジアその他の発展途上国の中核的な存在として、私は役割を果たすのが我々の責務ではないかと。それによって世界の平和を達成する。国内的な情報の公開よりも、国際的な情報の公開を日本が果たすのが私は日本の役割ではないか、そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/15
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016・及川一夫
○及川一夫君 そのためにどうするかということが大きな課題なんでしょうが、今C&Wという通信会社の話も出ましたが、これはKDD問題と兼ね合わせて後で触れることにしたいと思うんですが、いずれにしても我が国の電気通信事業なり郵電事業というものを国際的なという立場にとらえるときには国際化というだけではだめだ。やはり今大臣もおっしゃられたような平和の視点も必要でしょう。それを確立するために情報の公開というものが極めて大きい要素だということも私も賛成ではあります。
しかし、まあどうするかということですから、これは少し後ほど質問を続けていきたいというふうに思うんですが、その前にもう一つお伺いしておきたいのは、ソ連の話が出ました。中山郵政大臣には著書はないというふうに新聞紙上で言われておったものですから、どんなお考えの方なのかようわかりませんでしたけれども、国会図書館に行きましたら先生の著書がございました。「わかりやすいソ連史」ということで、恐らく政治家としては若い時代の、外務委員長か何か務めておられたときのお話しになったものだというふうに思います。拝見させていただきました。若いだけになかなか手厳しい。若いときはお互いにそうだというふうに思いますから、特別にそれ自体については私は反論も何も持たないんですが、ただどうしても迎える方も資本主義国の政府の代表、与党の代表、こういう受けとめ方でしょうし、私らが行きますと労働者の代表ということになりまして、ちょっと皆さんとはニュアンスが違うかもしれません。そういう立場の違いもあるんですが、やや物の見方、考え方、受けとめ方、北方領土問題を中心にして大変なやりとりをおやりになったようですが、若干物の考え方として硬直してないかという感じを受けました。しかし、これは感じの問題ですから、これ自体議論してみなきゃわかりません。しかし、この場にはなじみません。
そこで、お願いをし、また御意見も聞きたいと思うのは、社会主義国と言われるのは別にソ連だけではないわけでありまして、とりわけ隣国と言われる中国との関係がございます。中国との関係については、政府レベルではどの程度の関係になっているのか、通信技術がですね。あるいは郵電関係、全体を総じてどういう関係になっているのか、私は必ずしも知りませんけれども、しかし、民間レベルということになりますと、かなり技術援助の問題もありますし、それから具体的に交流というものを通じて呼んだり行ったりして、とりわけ電気通信の問題についていろんな訓練も実践もしている、あるいは教育研修もしている、こういう事情にあるわけであります。
中山大臣も五十歳を超えておるんですから、まさかこんなことはあるまいというふうに思うんですが、現実にこの中国との関係でいろんなことが行われている民間レベルの問題について、少なくとも郵政省がぶち壊すようなことはないだろうと。いかに社会主義国嫌いであっても、そんなことはあり得ないことだというふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/16
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017・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 御指摘になりました「わかりやすいソ連史」というのは、私が昭和五十七年に衆議院の外務委員長をやっておりますときに書け書けとおだてられて書いたものでございまして、私も中学校一年生のときに終戦を迎えましたので、そのときのソ連参戦の日、八月九日のむなしい思いみたいなものがずっと後を引いておりました。そんなことで、私は、あの本にも私のソビエト観みたいなものを書いたものでございまして、今になってみると何となく恥をかいたような、もっとちゃんといろいろな面で言葉を尽くしておけばよかったなという思いがいたしますが、これはもう今さら頭の中へもう一度しまい込むわけにもまいりませんので……。
御承知のように、それぞれ政治的、思想、哲学、信条というようなものは、これはもうお互い政党人としてあるわけでございますが、私は、そういうものの指摘を私の著書の中でいたしましたのは、それなりにそういう疑問を一つ一つ解いていって、そしてお互いが交流を深めていくという、反対の立場の者がお互いに接近をしていくことこそ私は重要なことではないか。
クレムリン宮殿にシティコフという当時の議長にお招きをいただいたこともありますし、私はその後、イワノフという友好協会の副議長さんにもお話をしたことがございますが、私は、「大疑は大進に通じ、小疑は小進に通ず 疑わざるは進まず」という言葉がある。大きく疑えば大きく進み、小さく疑えば小さくしか進まない、疑わないということは全然進まないことだという日本にことわざがございますので、そんなつもりで私は自分の政治信条をいつも吐露しております。しかし、何としてもこのソビエトという日本の六十六倍ある国家と日本、そして日本の二十六倍もあるアメリカとの間に、我々は軍事力を放棄した国家としてどうしてもその両国間の協調をしていきたいと、かように考えておりますということを申しましたので、先生の御懸念の、私が郵政省の大臣として、今一番大切なお隣りの国、中国との問題というものを私がぶち壊すなんということは全くありませんで、大いに建設的に進めてまいりたい。
私は、周恩来さんから久野忠治先生を通じて御招待状をいただいたことすらあります。政治的立場がはっきりしておるので、ぜひお招きをしてお話を聞きたいとまでおっしゃっていただいたことがあります。御存命中に伺えなかったことを大変残念に思っておりますが、新しい中国にも私も期待をいたしておりますし、その意味で先生の御懸念は全くございませんので、大いに進めてまいりたい。今、中国の逓信部長官からも御招待状をいただいておりますので、機会を見てぜひひとつ早い目に伺って、先生の今のお話のような、私に対する政治的信条によって、郵政省との良好な関係を促進してまいるという、自分のこれからの立場を鮮明にしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/17
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018・及川一夫
○及川一夫君 わかりました。
それならば次の問題に進めたいと思うんですが、実は所信表明全体をお読みいたしたんですが、どこをどう見ても国際電気通信事業という問題については一言も触れられておりません。触れないということは問題がないというふうに読みかえてしまえばそれまでということに実はなるんですが、果たしてそうなんでしょうか。
この逓信委員会でも、昨年一連の流れを見ましても、KDD問題をめぐって、第二KDD問題というのは大変な私は議題だったというふうに思うし、逓信委員会でこのように方針を持ってきたが、かくかくしかじかの理由でこのように方針を変えたい、変えましたと。だから第二KDDについては、今のKDDと一社の第二KDDではなくて二社の第二KDD、つまり三社で競争体制に入りますということを表明をしていただいた、あるいは逓信委員会で論議をしたという記憶が実はございません。幾ら論議をしても、郵政大臣からいろんなことを言われるんですけれども、言うてることと結論が常に逆になってしまっている、その理由も定かでない、こういう気持ちで私は現状を受け
とめているんですが、KDDが三社体制になったのは十一月の三十日、まさに中山郵政大臣が御就任されてから公布されているわけでありまして、前任者の唐沢郵政大臣のこの問題に対する基本方針というのがあるはずなんですが、一体それとの関係などを含めて、二社体制でいくというのがなぜ三社体制でいくようになったのか、この点明確にしていただきたいなというふうに思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/18
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019・奥山雄材
○政府委員(奥山雄材君) まず、大臣の所信に国際電気通信についての言及がないという御指摘でございますが、先ほど大臣が申し述べられましたくだりの中に、「第一種及び第二種電気通信事業の各分野において活発な新規参入が行われるとともに、」とございますが、この「各分野」という中には、当然のことながら、私ども国際電気通信事業をも大きく意識しているところでございます。第二KDDもそうでございますし、それにとどまらず、国際VANの発展をもこれに意味を込めたつもりでございます。
また、電気通信事業関係の締めくくりで、「電気通信の一層の発展のための諸課題に鋭意取り組んでまいる所存であります。」という中にも、これは当然のことでございますが、国際についても私どもは諸問題に積極的に取り組んでいこうという姿勢であることは変わりございませんので、御理解を賜りたいと思います。
ところで、今御指摘ございました第二KDDに対しまして、昨年の十一月三十日に二社に対して許可を与えたことについての経緯並びにその背景でございますが、当委員会におきましても、第二KDD問題につきましては、大変たびたび諸先生からも御指摘あるいは御議論をいただいたことは、私どもも十分念頭に置いてこの問題は処理さしていただいたところでございます。
結論的に申し上げまして、その過程では、委員会でも申し上げましたように、既存のKDDという強大な国際電気通信事業者に対して、強力で有効な競争を行うためには一社がベターではないかという考え方を持ったことは事実でございますし、民間の方々におかれましても、できることならば一社で第二KDDを誕生させたいという強い御意向があったことも事実でございます。しかしながら、民間における自主的な話し合いが最終的に不調に終わりまして、二社の申請が出てまいりました。もし二社の許可を認めるとすれば私どもはどういう問題があるかということをつぶさに検討いたしました結果、やはりこれは日本の国益を損なってはならないということが大前提でございます。
もう一点は、日本が二社体制を認めるからにはそれとの相互依存関係、相互関係において、イギリス側においても、通信の相互性からいって将来国際電気通信事業における二社体制、新規の二社体制を認めてもらう必要があるという、その二点から私どもさまざまな検討を行いました。
その結果、前者の国益を損なうことにつきましては、現行の電気通信事業法十条、そのほか関係規定に照らしまして詳細な検討を行った結果、その心配はないという結論に至ったわけでございます。さらに加えまして、十一月三十日に許可を与える際に、許可の条件を加えまして、新しい会社がITU条約その他電気通信に係る国際的な取り決めを誠実に遵守することという条件を付しておりますし、さらに行政指導におきまして、日本のユーザーの利益を損なうことがないようにという指導もしているところでございます。
また、後段の外国との通信の相互性の問題につきましては、十月の末に英国と精力的な折衝を重ねました結果、英国側におきましても、現行のBT、マーキュリーの二社体制は一九九〇年までは政府の方針として決めているけれども、一九九〇年にはその二社体制を見直す用意がある、万一、この二社体制を見直して、将来的により開放的な体制をとる場合には、日本の企業に対して公平な取り扱いをするという旨の決定的な宣明をいただきました。それを両大臣のレターとしても確認してございます。そのような諸手続が完了いたしましたので、昨年の十一月三十日付をもちまして、二社に対して許可を与えたところでございます。よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/19
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020・及川一夫
○及川一夫君 まず、前段の所信表明の中に「各分野」という言葉が入っているから述べたんだという、そういう答弁は、私から言えば立派な官僚答弁であるということになるのでありまして、そんなことは私は理由にならない。むしろ後段で述べたようなことが大臣の口から、態度として述べられて、論議をしてもらいたい、論議をしてもどうこうならないでしょうが、いずれにしても了承してもらいたいという、そういうことがあって初めて逓信委員会としてのこの問題に対応してきた一つのけじめになるんじゃないでしょうか。そんなこと一切どこにもないでしょう、後段であなたが申されたようなことは。一切ないんです。だから余計わからなくなってしまう。
そこで、私はわからないという前提でお聞きをするんですけれども、唐沢郵政大臣がおると大変都合がいいんですけれども、おいでになりませんから仕方がないんですが、まず通信主権の問題などを含めまして、他国が国際通信事業に参加することは反対だということで四つの理由を記者会見でわざわざ挙げられておるわけです。
その一つは何かということになるわけですが、一つは、国際通信事業というのは、広く公平に友好というものを阻害しない、そのことを基礎としているので、特定の外国のみ有利な扱いはできない、こうおっしゃられている。二つ目には、国際通信事業は相手国と共同事業である。したがって、我が国のパートナーが、我が国の通信事業者が別の国の経営者を参加さして相手国に影響力を行使するというのは公平な取引を損なう、こうもおっしゃられておる。三つ目として、国益の保護はその国の権利であり、奥山局長も触れたITU条約でこれは許容されています。そして四つ目には、先進各国では、国際通信には外国の事業者が参加しないのが長い歴史の慣行になっていると、こういうふうに言われている。もちろん、昭和十八年までは我が国の国際電気通信事業は外国資本というか、外国の手によって維持されてきたという事実はありますけれども、これは技術力と資金力、そういったものは我が国は持っていなかったという立場に立って、何というんですか、名前は大北というんですか、そういう会社が長崎に本社があってやられておったという事実はあるんですが、しかし戦前はともかく戦後一貫して、恐らく唐沢大臣も国際通信の発展ということを前提にして、もう外国の事業者は参加しないのが長い歴史の慣行だと、この四つの理由からまかりならぬということを前提にして、しかし、だからといって、全く閉鎖するわけにいかないという意味があったのかどうか私はわかりませんが、我が国もどこかに参加するような動きが少し見られたんでありますけれども、いずれにしろこの四つが基本的な態度でありまして、そして競争関係は、したがって我が国の中で競争者を参入さしてやろう、こういうことなんですね。
そうすると、奥山局長がお答えになったことで、すべてこの四つの問題が解明されたということになるんでしょうか。つまり、相互主義というものを貫いたとでもおっしゃりたいんだろうと思う。とりわけ英国の場合には、現状は排除の論理ですからね。BTとマーキュリーの二社を抱えながら、サッチャー首相自体がもう英国政府として外国の通信業者は入れない。確かに奥山局長も言われたように、今後の問題として、果たして二年後に具体的にじゃ我が国のKDDが、我が国の資本を持った人がロンドンで打ち上げたときに本当に認めてくれるのかどうか、非常に私は問題があるように思うんですが、まず我々からいえば、先ほどの答弁ではこの四つの条件、英国が排除しているという事実に立つと納得のいくどうもお答えにはならない、解明されたとは思えないというふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/20
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021・奥山雄材
○政府委員(奥山雄材君) 及川先生が御指摘になりましたような数点を唐沢前大臣が当委員会で述べられたことは私もよく認識をしております。
ただいま御提起のございました通信主権という
概念が、国際電気通信条約の前文の中で、各国は通信を規律する主権を十分に尊重しておることもよく承知をしております。いわゆるこの通信主権と言われるものは、各国が各国の主権の発露としてその電気通信事業の形態、例えば独占にするか競争にするか、あるいは国営にするか公営にするか、民営にするかといったようなことは、各国の主権独自で判断することができるということでございますし、また外資を入れるか入れないか、入れるとした場合にどの程度入れるべきかといったようなこともまさしく主権として判断していいということが認められているところでございます。
そうしたことを前提にいたしまして、この第二KDD問題も私ども精査をしたところでございますが、先生が御指摘になりました幾つかの点のうち、確かに特定のものだけを日本側が一方的に有利に扱うことは好ましくないということで、先ほど申し上げましたように、私も直接イギリスに飛びまして、イギリスの関係者と話し合いをした結果、通信に基づく相互主義をお互いに確認した、さらに大臣のレターでもそれを確認したところでございますし、それから次の共同事業であるということもまさしくそのとおりでございますので、これも十一月三十日に許可を与えました際に、特に郵政省からの指導事項といたしまして、我が国が国際協調及び国際協力を増進し、国際社会において期待される役割を十分果たし得るようにということで、特に事業者に対しては、共同事業としての性格を大臣の方からも述べていただいて、これを今後の指導の指針にしたところでございます。
また、果たしてそうしたことが実際に担保されるのかという御懸念が三点目かと思いますけれども、これは現在、二社とも外国の通信事業者と鋭意運用協定、業務協定、あるいは保守、建設協定等のアグリーメントを結ぶべく折衝をしております。まだ余りはかばかしく両社とも進んでいないようでございますが、いずれこれらが運用協定という形で出てまいりますので、その際には郵政省は、外国との間の協定につきましては国益を損なうことがないかどうかということは厳重に私どもとしては審査をさせていただくつもりでございます。
また、最後にお述べになりました、長い国際電気通信事業の歴史の中で、そういう外国の国際通信事業者が参加している例はないではないかという点もまさしくそのとおりでございますが、この点につきましては、日本が国内、国際を問わず、電気通信を最も進んだ形で開放した、その延長線として世界に先駆けて国際電気通信事業についても外資に門戸を与えることは、むしろこれからの国際電気通信事業における世界的な健全な発達のために資するのではないかという結論に達したわけでございます。
あれこれ確かに問題は非常に複雑多岐にわたりましたけれども、それらを全部私どもとしては個別に十分審査をした上で、二社が許可が適当であるという結論に至りましたので、ひとつ御了解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/21
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022・及川一夫
○及川一夫君 郵政大臣、この問題非常に私は大事だと思っています。大臣がおっしゃられた新機軸とまではいかないまでも、今後本当にどうするんだと。我が国の国際通信、国内通信を結びつけられて、しかも情報化社会、情報通信、一体ネットワークというものがその国にとってどれだけ権限を持つのかというような問題を含めまして、私は別途の機会にかなり問題を突き詰めるべきではないかという気持ちでいっぱいなんであります。
きょうは時間が限られていますから、したがって申し上げません。これはここで打ち切りますけれども、ただ、ぜひ郵政大臣にも知っていただきたい。恐らくもうご存じなんだろうと思うんですけれども、とにかく世界戦略という言葉を使って、ロンドン、ニューヨーク、東京、香港、そして香港を基点にして韓国、中国、そして東南アジア、いずれにしても世界の経済、財政、金融、こういったものがここを基軸にして動いていくだろうという前提に立ちまして、それでネットワークをそのために光ファイバーでもって築き上げて、そしてそれの主導権を握ろうという、そういう発想、いい悪いは別ですよ、極めて意欲的な内容になっているんでありまして、だれの目から見ても新しいケーブルをアメリカと日本の間に引くということ自体大変な負担になるじゃないか、プラスマイナスはマイナスになるんだ、こう言っても強引にとにかくあの第二KDD問題ではC&Wの関係会社が推進をしたわけでありまして、しかもお忘れなくしていただきたいのは、中曽根総理がサミットへ行かれて、そこから逆転現象が実は起きているわけでありまして、それまではそんなでなかったように思うんですが、ですから私は、何かそこでやったとかやらないとかいうことを断定する気持ちはありませんけれども、政治は絡むでしょう。でも現状をきれいにひっくり返せなどと言ってもそうはいかないでしょう。しかし、我が国の一体立場はどうなるのか。アメリカだって外国の資本が、その会社の資本に投資をするにしても、五%以上超えるときにはFCCの承認をもらわないとできないというやり方になっているんでありまして、我が国は三三%までいいんでしょう、これ。三三%という歯どめはあるけれども、三分の一ですよ、これ。そういう問題などを含め、これは通信でありますからいろんな意味がありますが、安全保障とか経済問題にも大きな影響があるだけに、これを取り上げてやらなければいけないというふうに思うんです。
そこで、郵政大臣にお願いをしたいのは、きょうでなくともよろしいんですけれども、第二KDD、三社にした理由ですよ。前から発言されているわけですから、それとの兼ね合いで、かくかくしかじかの理由で認めたと、だから矛盾しないというのか、矛盾はあるけれども政治の問題だからやむを得ないというのか、とにかくそういう立場を私はメモでもって明らかにしてもらいたい、こういう気持ちでいっぱいなんです。そういうことを前提にしながら、お互い知恵を絞り合って今後の問題についての論議をしたいというふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/22
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023・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 先生の危惧されておられることと私の国務大臣としての考え方は全く一致をいたしております。
私は昨年サミットに国会議員団の団長でついてまいりまして、それ以後変わったという御指摘ありましたが、向こうでつぶさに総理、それから閣僚の動きを見せていただいておりましたが、その中でそんな動きがあったようには思いませんが、いずれにしても、この間のBTの社長のおっしゃることを聞いておりましても、英国も自由化に踏み切るつもりだと。大きな自由化の方向というのは私は世界的な流れではないかと思いますが、お話しのように、かつて小村寿太郎が日露戦争のときにいろいろな外交交渉をしたのは、全部我々ヨーロッパの電信機構を使っておりましたから、事前に全部察知されていたという話を何かで読んだことがございますし、それから、御指摘になりました戦争中四年の間の昭和十八年、二年を外国のグレート・ノーザン・テレグラフの通信網を使っておったというのが、それが本当に電気通信関係の独立国であったのかな、そんな状態でよく戦争に突入していったものだなという、当時の指導者の、今お話しのような国益の問題に関する点に、私は何ということだろうという大きな疑問を感じております。
その意味で、これから自由化をすることによって世界が一つになる、ワンワールド、ワンネットワークという意味からしますと、自由化の方向にあるとは思いますけれども、国力というのは、領土と人口に足す経済力足す軍事力掛ける国家政策、またプラスそれを継続する意思というのが国力をはかる方程式のようでございますので、我々は国策と、それからそれを継続する意思というものを、こういう情報関係、電気通信に関しても私は確立をする必要を先生のお話を伺いながら痛感をした次第でございますので、今御指摘になりました、どうして三社になったのかというお話に関しましても事務当局の者と協議をいたしまして、
いずれ何らかの御報告を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/23
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024・及川一夫
○及川一夫君 KDDの話が出ましたので、関連をしてKDDの当局にお伺いしたいと思います。
まだ具体的に三社競争体制に、NTTと同じような状況にはなってない段階ですから、なかなか難しい問題があろうというふうに思うんですけれども、ただKDDの場合にも、今までは第三ルートでもって大体市場としてもリミットと、こういう御判断でこられたんですが、今度何か第四ルートをおつくりになるようなお話があるし、それと競争市場との関係において新たな事態にどう対応されようとしているのか、それについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/24
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025・大山昇
○参考人(大山昇君) 新規参入のITJあるいはIDCの二社がいよいよ来年からサービスを開始いたしまして国際通信も競争の時代に入ることになりました。申し上げるまでもなく、近年我が国が環太平洋地域においても、また世界においても枢要な地位を占めて国際社会で重要な役割を果たすようになったことから、政治、経済、社会のあらゆる分野で国際化、情報化が急速に進んでおります。私どももこの点を十分に認識いたしまして、国際国家日本の発展並びにこれを担う主要な都市等の情報化に寄与すべく新規参入の二社とは時には競争もございますけれども、時には協力して、国際通信サービスの向上に努力してまいる所存でございます。
さて、この二社体制という当初の予想が三社体制に変わったことによって、KDDとしてはどういう影響を受けるかという趣旨の御質問でございますが、ただいまのところ、先生御指摘のように、まだ競争が始まっておりませんので、私どもは従来の独占体制から来るべき競争体制への変革に備えまして、経営体質の改善と営業活動の強化、この両面から各種の施策を推進して、いわば基礎体力づくりを行っている段階でございます。
したがいまして、これまでは競争相手が一社か二社かといった違いを特に意識はしておりません。もちろん実際に競争が始まりますれば、相手が一社の場合と二社の場合とでは競争の対応上大きな違いはあろうかとも存じますが、今の段階ではまだそこまでまいっておりませんので、何とも申し上げられない。
ただ一般的に申しますれば、競争の導入によりましてシェアの減少が起こるという反面で、国際通信サービスの充実と需要の喚起が図られることで市場規模もおのずから拡大するということは考えられます。したがいまして、競争の早期実現に向けまして新たに参入する二社に対し、これまでも協力を行ってまいりましたけれども、これからも必要な協力を行い、競争と協力のもとで国際通信事業の一層の発展を図る所存でございますので、今後ともよろしく御指導をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/25
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026・及川一夫
○及川一夫君 いずれにしても現実は否定できないわけですから、それなりの準備はお進めになるんでしょうが、今出ている市場の問題としては、経団連が五千三百十五億から一兆二千八百六十四億という市場を判断しておられるようですし、KDDは五千億から六千億という、大体一九九五年ですから昭和七十年ということになりますか。それに向ければ大体そうなるだろうという、各社ともそういう判断のようであります。さらに、IDCでは六千億、ITJでは六千七百億、産業構造審議会では七千八百億というような数字も出ているわけでありまして、おおむねどうも五千億は下るまい、六千億にはなるんじゃないかということは常態として言われている状況ですね。したがって、競争をすれば、これまで二千五百億から三千億であったものが膨らんでいく、パイが大きくなっていく。NTT自体の実態でもそんなように見受けられるようなんですが、いずれにしてもKDDとしてやっぱり万全の体制を今からとっておく必要があるだろうという立場で御要請を申し上げておきたいと思います。
次に申し上げたいのは、国民の間にKDDの料金問題が取り上げられているわけであります。つまり、円高である。したがって差益があるはずだから、料金は安くて当然ではないか。アメリカ、ヨーロッパからかけると安いが、日本からかけると、同じところにかけても高いというふうに言われているわけでありまして、一体これはなぜかということと、その問題解決のためにどのような対応をKDDとしてされているか、その二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/26
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027・大山昇
○参考人(大山昇君) 方向別格差の問題と今後の対応についての御質問でございますが、最初に為替問題について若干御説明を申し上げたいと思います。
国際電話料金におきます為替差損益という問題が常に円高に伴って出てまいっておるわけでありますけれども、外国事業者との国際決済において発生をいたしますこの差損益の問題は決済との関係がございますので、やや詳細に御説明申し上げたいと思います。
現在、決済の方法は、決済に用いる料金をあらかじめ協定によって定めまして、発信に伴います支払い分と着信に伴います受け取り分を相殺した上でその差額、発信の多い国はその差額の二分の一を相手側に支払うことになっております。実際の決済はドル建てが大半でございますので、外国からの着信が、現在私どもの方では受け取り分が多いわけでございます。したがいまして、円高によりまして、簡単に申し上げれば差損が生ずるという現状になっております。実態は、六十一年度の実績で、売上高二千二百億円に対しまして、差損額は一千九億円でございます。
引き続きまして、その差損益に絡んでの方向別の格差であります。世間では、米国からかければ安いけれども、日本からかけるというと高いではないかという御批判をいただいておりますが、これは急激な円高によりまして、日本からの料金が、円換算した米国からの料金に比較いたしまして割高になったということによるわけでございます。私どもは昭和五十四年から八回にわたって値下げを実施してまいりました。例えば、対米の通話の五分間の料金は、昭和五十四年当時の五千四百円から現在では千九百八十円に値下げになっております。これに対しまして米国の料金は、五十四年を一〇〇といたしますと現在は七四、若干の値上げはございますけれども、約七割程度という値下げにとどまっております。米国の料金を一ドル、例えば昨今の為替レートに近い百三十円ということで換算いたしますと千百七十三円でございまして、KDDの料金千九百八十円よりも八百七円安いということになりますが、仮に為替レートがかつてのような一ドル二百二十円であったとすれば、むしろKDDの料金が安いというわけでございまして、ひとえに為替変動によってこの割高料金というものが発生しているということを御理解いただけるかと思います。
しかしながら、こういった国民、御利用各位の御意見に決して耳をふさいでおるわけではございませんで、六十二年度の決算の状況を見ながら、六十三年度中にはさらに値下げを行って、できるだけ方向別格差の解消に努めたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/27
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028・及川一夫
○及川一夫君 郵政大臣、おわかりになりましたか、今の御説明。僕はもう少し答えの仕方を考えていただかなきゃいかぬと思うんです。私も質問するからには、どこが問題かというやつは事前に勉強しなきゃいけませんから、その限りじゃ、聞いている限り、ああこういうこと言っているんだなとわかるんですよ。しかしこれを、皆さん問題意識しておられるけれども、あらかじめ調べてないという方にとってはちょっと難解じゃないですかね。私から言うと、端的に言って、KDDという事業体は為替レートの位置によって、あるときには輸入業者になり、あるときには輸出業者になってしまう。つまり差益と差損の両者いずれかになるんですが、もう今のレートでは差損会社だということが、私は言いたいことの一つだと思うんですね。おおむね七百万ぐらいというから微々たるものですけれども、だからどうしようもないと、こう言うんです。
それから、料金の値下げは一生懸命やってきましたと。アメリカと言われるが、アメリカと対照したら、五十四年を一〇〇にして、アメリカは三〇%ぐらいしか下げていません。その間上がったり下がったりしています。日本の場合にはどんどん下げてきました、七〇%も下げてきましたと、こういう説明だと思うんですよ。それでもなおかつ二百円ぐらいのアメリカと日本の間には差が、要するに日本が高いんですよね。大変おかしな理屈になっちゃうんですね。なかなかわかりにくいんですよ。ですから、この点はひとつ、余り時間とるわけにいきませんから、ぜひKDDの側にもお願いをしたいんですが、やっぱりああいう国民的な疑問が出たときに国民に直接話しかける、そして、こういうことですということで呼びかけるというか宣伝をするというか、そういうものを僕はなさるべきじゃないか。
どうもテレビなんかでKDDとよく出てくるけれども、その中でそんなのは一つもないわけですね。売らんかな売らんかなという、買ってくれ買ってくれというコマーシャルはあるけれども、こういうことについては、こんなことになっておりますから御理解をなんというのは一つもない。また、コマーシャルとしても、そういうものを撮るか撮らないかということもありますから一概に言えませんが、しかし郵便という方法もあるわけでして、やっぱり国際電話かけているのは企業であり、同時にまた個人もかけていますが、国内電話に比べれば、市外通話に比べればかなり小さいわけですね、量的には。それだけに少なくとも国際電話を利用されている方にそういう疑問に答えるとか、何らかの方法でやはり話をしていかにゃいかぬじゃないか。国会で問題にしなければそういうことが解明できないということでは問題があるというふうに思いますから、ぜひKDD側、また郵政省の御指導の中にもそういう御配慮をひとつお願いをしたいということを申し上げて、この点終わります。
所信表明に対してあと幾つかあるんですけれども、とにかく大事な問題で触れてほしいという問題が触れられていないという点では、スト権の問題があるんですね、NTTの事業法に絡んでスト権の問題。これは後ほど私どもの先輩議員である大木さんの方からお話があろうかと思いますが、こういう問題は一体どうなんだろうと。確かに郵政省の三十万という話は触れておられるし、労使関係をもっともっといいものにしていきたい、こう言われるんだが、直接確かに郵政は関係はないんですけれども、しかし法律の制定過程からいうと、スト権問題というのは、これはもう労使関係そのものじゃないでしょうか。そういう問題についての見解がないというような問題、あるいは放送衛星、通信衛星に関連をして非常に立派にやっておられるように書いてあるんだけれども、この前打ち上げた通信衛星そのものがまたトラブルを起こしていると、予備機に切りかえたというお話、こういう点はもう一切お触れにならない。論議をすればいいじゃないかと言えばそれまでですけれども、やっぱり大事なところはきちっと押さえていただきたい。もう法律が出ておることはみんなわかっておるんですから、そんなものは束ねてよろしくお願いしますと言えばいいわけで、むしろ具体的に問題になっている点を解明をする、所信表明をするということが私は大事じゃないかと、こういうふうに思いますから、次回からそんなことでよかったら御配慮をいただけないかということを申し上げて、この点終わりたいと思います。
そこで、個別問題に入りたいと思うんですが、まず郵政事業全体の問題でございますが、大臣も所信表明されましたように、大変業績が向上されて非常に結構なことだというふうに思いますし、郵政当局はもとよりですが、職場で働いている労働者の皆さんにも深く敬意を表したいというふうに思います。特にこの中で競争の原理というものを意識をされて、いろいろと知恵を出し合っているということは見上げたものだなあというふうに思うんでありますけれども、問題は果たしてそれですらすらといくのかいかないのかというのが非常に心配であります。
つまり、郵便事業というものを見ますと、いずれにしても官業でありますね。したがって民間企業との競争というものを意識していろいろやろうとするんでしょうけれども、必ずそれが民間企業から行き過ぎているとか、おれのエリアに入ってきたとか、損をしたとかということになると、民需圧迫という言葉が要するに出てくるわけでありまして、そういった点で、私は別に民営を希望していたのではないんですけれども、郵政省という行政の指導部にありましては、やはり制度上の問題というものを職場の従業員に先立って、少なくとも下でそういう意味のトラブルが起きないように常に前へ前へと要するに開拓していくような、そういう発想あるいは制度の改革というのが必要ではないかということと、同時にまた、競争への意識というものを助長されるからには、やっただけのものは見返りとして考えるということが必要なんですが、これまた賃金制度の問題があることは百も承知なんです。それだけに一生懸命やろうとすることはいいんだが、それに対応した体制なり条件というものが果たして整うことができるのかどうか、このことでもってまた労使関係が紛争になっては大変だと、こんな感じがするんですが、その辺いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/28
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029・森本哲夫
○政府委員(森本哲夫君) 先生の御指摘の郵政事業、郵便事業を例に引かれたお話ではございますけれども、貯金、保険を含めて郵政事業全体としての問題かと思うんでございますが、確かに競争条件がだんだんに厳しくなっております。そうした中で郵政事業として今後どう事業を展開していくかという、この基本的視点の問題でございますけれども、これはあくまでも郵政事業はいわば国民の共有財産でございまして、あまねく公平に、民間では採算が及ばない地域にもサービスを提供する。そして、国民のいわばシビルミニマム的な、基本的なサービスの提供というのが第一でございますが、その進め方については今お話のございましたとおり、何が国民の利益になるか、どうすれば最も国民のニーズにフィットするか、こういう点を第一に進めていかなきゃならぬわけでございますが、これには民間との競争ということも大変重要な契機になると考えておるわけでございまして、その有効な競争の中から真に利用者の利益にはね返るようなサービスの提供をしてまいるということが何よりも肝要だと考えておるわけでございます。
もちろん郵政事業の範囲につきましては、どこまでかという点については法律でもって各事業の提供すべき内容、サービス内容については十分な法定をしてございます。これの改正については毎回国会に御審議を願って、国会の御同意を得てから具体的なサービスに入るという仕掛けになってございます。当然おのずから範囲のあることでございますが、こうした制約の中で精いっぱい民間との競争の実を上げながら、利用者にサービスの向上のメリットを還元してまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/29
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030・白井太
○政府委員(白井太君) 先生のお話の後半の部分でございますが、国営事業としての性格から、やはり勤務条件等については一定の限界があるということはやむを得ないと思っておりますが、ただ、それにいたしましても、ただいま先生御指摘のように、できるだけ業績とか、あるいは職員の努力というのを反映させるような処遇上の制度というのをもう少し考えるべきではないかというふうに私どもも思っておりまして、この点は労働組合との間の団体交渉で決めていくということになっておりますので、これからも労働組合の方とも精力的に話を詰めてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/30
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031・及川一夫
○及川一夫君 いずれにしても、民間から見れば、官業というのは、民間企業にサービスをしてくれることはあっても阻害することはないんだという前提に立たれると思いますね。したがって、いろんな障害が出てくると思うんですけれども、その点を少なくとも本省とか、あるいは郵政局ですか、職場に変な意味で負担がかからないようにぜひ
やっていただきたいということと、具体的な問題として、新聞を大変にぎわしました保険、貯金の閉庁という言葉が使われておりますが、週休二日制の問題と私は受けとめたいと思うんです。この点、国家公務員という枠の中で考えますと大変時宜に適したというか、大胆に踏み切ってくれたという点は大きく評価できるんじゃないかと私も思います。そういった点で大いに推進をしていただきたいと思うんですが、二つだけ聞いておきたい。
閉庁という言葉は、どこの言葉かというと、日本語に違いないんですが、余りなじみがないわけでして、郵便局自体が閉庁というのは、庁というのはどうもなじまないんじゃないかと思うんですが、どうしてこんな言葉が使われるのか。要するに平易に言えば営業時間でして、窓口時間ということになるんでしょうが、そういう言葉にむしろ直した方がいい。そういう意味では余計なことだけれども、逓信委員会という逓信という言葉も、歴史の大きな重みがあるから勝手に変えるようなことを言うなと私は先輩の先生方に怒られるかもしれませんけれども、もう現実に逓信省が電気通信省と郵政省に変わって、片一方は公社になって民間になっている、それで郵政省が残っておられると。郵政省という問題と、電気通信と放送などを含めて逓信というのはどうも余りなじまなくなってきたんじゃないか、大きな意義はあるんですけれどもね。その点郵政大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/31
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032・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) お答え申し上げます。
以前から何か郵政省という名前が適当な、新しい開けゆく電気通信時代に不適切ではないかと。私もちょっと調べてみましたら、逓信省の逓という字は、次から次へと物を運ぶという意味で、郵政省の郵という字は、公のものを大事に次から次へ運ぶというような意味があって、大変私は、どなたがおつけになったのか知りませんけれども、いい名前がついているなと思っておりますし、厚生省は生という字がついていますけれども、これは生きる、厚く生きると書いてある。
政治を大事に運ぶという意味で郵政というのはなかなか、各省の中でも政治の政と書いてあるのは郵政省しかありませんので、いわゆるニューメディアとそれからオールドメディアをひっつけるものと、それからウエットコミュニケーションとドライコミュニケーションというのがまた必要だと思います。ファクシミリで肉筆が送られてくるのもいいですし、肉筆で年賀状を送るのも、これはウエットコミュニケーションだと思います。そんな意味で、どういう名前をつけたらいいのかなと。
一枚のきれでも、ぴっと裂きまして、片一方にぞうきん、片一方にふきんと分けると、片一方は下ばかりふきますし、片一方は、ふきんとついた方は上をふきますから、名前が大事だなと。名は体をあらわすと申しますから、先生のお話を私も、やっぱり先生も同じような気持ちでいてくださるんだなと。どんな名前をつけたらいいかというアイデア、まだ浮かびませんけれども、例えば今お話のございました、今度土曜閉庁というやつ、これは私も変に思いまして、郵便局なのに閉庁、閉局と言うならまだぴんとくるんですけれども、その辺もおかしいなという話は、先ほども我々内々でも寄って話をしておったところでございまして、その辺は先ほどのコマーシャルの話等、わかりやすい言葉で皆さんにわかってもらうのが郵政事業ではないかと思いますから、その辺はひとつ言葉遣いというものにも気をつけてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/32
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033・及川一夫
○及川一夫君 次に移らしてもらいまして、簡保の自主運用の問題について。
昨年の十一月の二十五日、検査院の報告というような見出しで一部新聞に上がりましたけれども、三千億の差損が出たというお話であります。特にこの点、検査院が注書きとはいいながら指摘をしているということと、新聞紙上では「郵政省反発」と、こう書いてあるものですから、しかも郵政大臣も何かコメントされている。その内容を見ると、問題ないと、こうなっている。そうすると、それだけ見てますと、要するに対立ですよね、それだけ見てたら。しかし、貯金の方では二兆円から四兆円、五年後には十五兆と、これだけの自主運用をされるというのに、対立という形で残っておっていいのかどうか。これはやっぱり真偽のほどを明確に私はすべきだということと、検査院が注書きであれ書かれたことというものは、やっぱり何か問題意識があるから出されたんでしょうから、そのことについて郵政省としても素直に認めるべきだ、あるいは対応すべきだ、こんな感じがするんですけれども、いずれにしても一体あれは何なんですか、どういうことなんですか。ごく簡単でいいですから、それと同時に、検査院が注でコメントされた意味についてお答えをいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/33
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034・相良兼助
○政府委員(相良兼助君) 簡易保険の現在の総資産は三十五兆数千億円ということでございますけれども、内外の各種債券あるいは財投機関等、いろいろできるだけ広く分散をして資金の効率的運用を図っておるわけでございます。
外債につきまして投資を始めましたのは昭和五十六年度からでありまして、自来逐年投資額をふやしてまいったわけでありますけれども、一部の新聞において報道されました点について申し上げますと、五十六年以降運用いたしております外国債について昭和六十二年三月三十一日、つまり昭和六十一年度末で、その当時の為替レートで評価差額を出したという点についての報道でございました。私ども、五十六年の外債運用以来毎年度末に、三月三十一日におけるところの為替レートによりまして、総投資金額との間の比較を行いまして、その評価差額につきましては国会、会計検査院、さらには資金運用審議会に対しまして、決算報告の中で、これらを貸借対照表の欄外に注記をするという形で御報告を申し上げてまいってきたわけでございます。この方式は、対外債権債務を長期的に保有しております日本輸出入銀行等で当時採用していたものでありまして、昭和五十六年に私どもも外債運用を始めるに当たりまして、同様に処理をするということで現在まで参っておるわけでございます。
その六十一年度末の差額が三千億にほぼ達しておるということでございまして、このことにつきましても私ども既に報告をしていたわけでございまして、ただ、これはあくまである時点におけるところの為替相場で、そのときの状況を計算してみるとこういう形になるというわけでございまして、それが実損を生じておるということとは全く違うわけでございます。
したがいまして、これを注記をして御報告申し上げておるという点は、私どもといたしましても十分その意味というものは理解しながらも、実際における運用において損失を生じていないということについても私どもとしては申し上げたい、このように思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/34
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035・東島重義
○説明員(東島重義君) お答え申し上げます。
「簡易生命保険及郵便年金特別会計」におきまして、積立金の運用のために保有している外貨債券があるわけでございますが、これを仮に六十一年度の末の実勢為替相場で換算いたしますと、それらの取得価額約一兆三千五十六億円あるわけでございますが、約三千二十六億円それを下回ることになりますので、そのことを昭和六十一年度決算検査報告におきまして、「歳入歳出決算その他検査対象の概要」というところがございますが、その中の「簡易生命保険及郵便年金特別会計」の概要を記述している部分に注書きをいたしました。
この三千二十六億円は、いわゆる評価損でございますけれども、積立金の運用上このようなかなり多額の評価損があるということにつきましては、やはり今後にわたって注意していく必要があるのではないかという意味で、ただいま申し上げましたような形で検査報告に注記をいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/35
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036・及川一夫
○及川一夫君 郵政大臣、やっぱりお聞きしていると、どうも検査院が注書きをされたことのとらえ方として、まあ実損があるとは確かに検査院も言っておられない、また簡保局長も実損と見るの
はおかしいと、こういう言い方なんですよ。じゃ、それでいいのかということなんですね。やっぱりある意味の投資ですからね、これは。上がるときも下がるときもありますよ、それは。だけれども、やはり三十年物とか二十年物とか十年物という、もう長期のものでしょう、これは恐らく外債ですから。そうしますと、しかも金利が一三・九%とかいいまして、アメリカを例にとりますと、日本は国債で七・七%とか、そんな程度のものですから、倍近いと、これはいいものだと。同時にアメリカ経済の摩擦の問題もいろいろあったんだろうと思いますけれども、どっちにしても一三・九%の金利とそのときの為替レートというのがあって、まあ損しても得しても大体このぐらいはというのがあって、初めて外債なども買っていくんだろうと思うんですね。
したがって、その的が外れるということになると一体どうなるんだろう。もちろん責任とれとか、そんなことは言いませんけれども、やはり今後のあり方として、もう少し慎重にやろうかとか、もう少し割合を減らそうとか、あるいは別のものにしようとか、何かそういうことをやって、少なくとも検査院が関心を持てというんですか、注意をしろというんですか、そういうものにこたえていくという気持ちは私はどうしても必要だと。そうしませんと、いいですよ、簡保は八兆か六兆か知りませんけれども、その程度だから。しかし、貯金の方は十五兆いくと。何か内々の議論としては、少なくとも財投の三〇%ぐらいは郵政省にやらせるみたいな話があるということも聞いていますよ。大変な額になりますよ、信用の問題。だから私は、この新聞を見たときに、今まさに貯金が自主運用を始めようというしょっぱなに、バンとたたいたような感じすらするんです。何か意図があるんじゃないかと、これは。そんなふうにもとられかねない。一面トップですからね、どっちにしたって大新聞の。これはもう印象としては、ものすごく落ち込んだ。民間なら恐らく賠償請求するんじゃないでしょうかというふうに僕は感じますよ。ですから、ぜひとも今後の問題として、検査院が注書きにしたという意味、確かに指摘事項じゃないでしょうけれども、今後のあり方の問題としては考えなきゃいかぬというぐらいはやっぱりとらえていただくべきじゃないか。それが利用者のお金を預かっている者の立場ではないかというふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/36
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037・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 会計検査院の方で毎年やられます中に御指摘をいただいたわけでございますが、長期保有でございますので、今売ったら三千億の損ということでございますが、これは売らないわけでございますから損はないという御答弁を本会議でも申し上げたことがあるわけでございます。高利で回して利用者の方々に対するサービスに徹するということで我々考えておりますわけでございますけれども、御指摘のように、そうは申しましても一九七一年、ニクソン・ショックで、金とドルとの兌換を停止して、そしてマネーサプライというのが、一二%になってくるくらい通貨の供給量が大きい。それからカードなんというのがどんどん出ております。貨幣に代替価値のあるものがどんどん出ている。これは大変マネーサプライというのが多くなるとインフレの懸念があるということでございますが、とにかくそれにしても基軸通貨はドルでございます。アメリカがこけたらそれこそ日本の円なんというのは、毎日アメリカのドルによって日本の円の値段が決まっているという薄気味の悪い世界情勢でございます。もし何かアメリカにありましたら、明くる日は一ドル二千円、三千円、四千円、五千円、これはどんなことになるかもわかりませんから、そういう多国籍化する世界的な企業の中で円が強いと申しましても、私も一遍イタリアの商店街で靴を買うのに試しに円を出してみましたら怒られました、おまえの国でリラを出して靴を売ってくれるかと言って。やっぱり円は円なんだなという気がしたことがございます。
そんなことでございますから、アメリカ経済に対して日本がどういう――アメリカ経済といいますのは世界経済のことでございますが、それに対して日本はどう貢献するかというのは、私どもの持っております大きな、そういう意味での国際協調のお金をどういうふうに運用していって、しかも利用者の方々には御迷惑をかけないという知恵は大変難しいものがあると思いますので、その辺は担当の相良局長やら皆さんが大変努力をしておられます。
カーターボンドというのを出しまして、それをずっとレーガン政権は外国のお金の外債を出すことを国の屈辱のように思っておりますし、レーガンボンドというのは出ないのでございます。中曽根前総理がこの間ヨーロッパで講演をなさっております中に、円建て債ならば買ってもいいというような話が出ておりましたけれども、そういうものでございません限りは、相手の基軸通貨とはいえ他国の貨幣価値をもって運用をしますものに対しましてはそれなりの細心の注意が要ると思いますので、もう御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/37
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038・及川一夫
○及川一夫君 局長、あなたが言おうとしているのはわかっているからいいです。そこでポイントがあるんじゃない。ですから簡保局長、きょう僕がお尋ねしてはっきりさせておきたいと思っているのは、要するに郵政省と会計検査院が対立して、一方は差損が出て大変だと言うし、一方はそうじゃないと言って、そのままの形で自主運用というのはまずいですよと。だから私は、検査院の方の言われていることを素直に受けとめれば、今後のあり方の問題として注意を換起したということですから、そういう意味でもう対立はないものという前提で私は見詰めたいと思うんですよ。それでしっかりやっていただきたいと、こうなるわけですから、お答えはそれには要りませんということでございます。
それで、次の問題として事業法の見直しの問題を所信としてお触れになりました。三年という期間は長いようで非常に短い、短いようで長いというふうに思うのでありますけれども、しかし現実には、確かにお触れになりましたように、競争を一〇〇%展開をされているという状況ではなさそうでありますから、それなりに事業法の見直しの時期については私も了としますけれども、大体そういうものが必要になったときには間髪を入れず手を入れていこうじゃないか、こういう意味を含めて現状、事業法の見直しというのは時期ではない、こういうふうに言われたというふうに受けとめてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/38
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039・奥山雄材
○政府委員(奥山雄材君) 電気通信事業法のいわゆる見直し問題、つまり電気通信事業法附則二条に基づく法施行後の検討状況につきましては、及川委員も御承知のとおり、昨年以来精力的に検討を続けてきたところでございますが、結論的に申し上げまして、今日の時点では法改正は必要がないという電気通信審議会の答申も去る三月十八日にいただきましたので、省としても同様な態度を決定さしていただきました。しかしながら、審議会の御答申の中にもございますが、電気通信事業の世界というのは、大変目まぐるしく動いている世界でございますので、今後とも社会経済の動向あるいは市場の実態、技術革新の進展の状況等にかんがみて、法の施行状況の検討については適時適切に行うべきであるという御指摘をいただいておりますので、私どもといたしましても同様の態度で臨むことにしております。
なお、あえて言わしていただきますと、既に昨年法施行後二年目にいたしまして、三年目を待たないで、その後の国際電気通信事業界における国際VANの急速な成熟状況にかんがみて電気通信事業法の一部改正を提案さしていただきまして、当委員会でも御審議をいただきました上で成立さしていただいたところでございます。今後とも同様な態度で臨みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/39
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040・及川一夫
○及川一夫君 私も、各企業といいますか団体といいますか、五百三社の要望意見というものについて一応一読さしていただきました。同時にまた、先週ですか出ました答申についても一読さしていただいたわけですが、大体奥山局長、この答申とか各団体、企業の意見というのを要約すると、次
のように私は受けとめたんですけれども、一つは、独占性というのは変わらない、本格的競争は始まっていないという要するに見解ですな。まだそこに至ってない、しかし着実に競争は進んでいるという意見が非常に多いというわけです。
それから、NTTの経営の成績は極めて良好、それは巨大企業の位置が変わらないということを言い、技術面で、企業規模において、それから資産の蓄積において有利な立場にあるというような意見、それで、さらには情報のデータ公開は電電公社時代から見ると後退している、要するにやらない、みんな囲っていると、こういう意味合いのことも出されている。あるいは役務別の会計整理も不明確ではないかと、こんなふうにも言われているし、一種と二種の関係も厳しい関係になってきているが、ある意味では過当競争というような意見、端末機についても同様な意見というものが出ている。法の見直しについては時期尚早で、やれば混乱をすると、こういうことですね。
したがって、そこで現在の法律のようなものは、じゃ必要か必要でないかということになると、見直しは必要ですね。見直しは必要でないかということになると、見直しは必要だと、こういうことを前提にして、さまざまな意見が存在をしているということであります。しかも、NTTの料金引き下げについては慎重にしろという意見が見られたこと、ちょっとびっくりしているんですがね。さらにはわかりやすい料金制度にしなさいと、こういう意見もある。道交法あるいは電気事業法、こういったものまで含めて大変範囲の広いお話が出ているというふうに受けとめているんですが、おおむね私からこれを見ますと、公正競争とは何かという問題に関連をして言えば、どうも企業間の競争というものを意識されて出されているような要望、意見の方が多いというふうに見るんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/40
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041・奥山雄材
○政府委員(奥山雄材君) 私どもが事業法附則二条に基づく施行状況の検討を行うに当たりまして、関係方面からできるだけ広く御意見、要望、実態を聴取した方がいいと思って幅広い私どもそういう調査を行いました。その中で、ただいま及川先生がおっしゃいましたような多様な意見が出てきております。その中で、今先生からお話しございました企業間の競争ということが非常に意識されているということでございますが、もちろん競争というものは、競争が目的ではございませんので、事業法の目的どおり、やはり多様で、できるだけ低廉なサービスと料金で電気通信の役務を行っていく。国民に、ユーザーに利益を与えるということが目的でございますので、そういう見地から私どもも問いかけを行ったところでございます。
しかしながら、やはり実際の実情におきましては、新しい事業者では、これはいわゆる新電電三社と言われる中継系三社にとどまらず、自動車電話会社にしても、それから先ほどお話しございました第二KDDにしても、ポケットベルにしても、すべて新規参入者というのは、NTTとの接続なしには存立しないということで、NTTとの関係を非常に意識した意見が出てまいっております。そうした見地から先ほど、先生がごらんになりますと、むしろ事業法の見直しといいますか、事業法にかかわる問題以外のものもいろいろ出てきているではないかということでございます。これはやはり三年前に現行の体制で、NTTは全国一本で基本的な通信事業者として存続をさせ、新規事業者はそれ以外の方法で存立をさせる、誕生させるという方法、方針をとったことからくる企業間のやはりやむを得ざる一つの意見であろうというふうに私どもとしては認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/41
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042・及川一夫
○及川一夫君 そこで、これからの議論になるんでしょうけれども、NTTの方にちょっとお伺いしたいんですが、要望とかNTTが出された意見はちょっと横へ置きまして、三年間、実際にNTTとしては官営から民営に切りかえていかなきゃいかぬ。これは競争相手があろうがなかろうが、第一義的にもやらなきゃならぬことですね。やってこられたと思う。したがって、この三年間をごく総括して、民営化ということに突き進んだんだが、一体どういう結果が出たのか、よかったのか悪かったのか、あるいはこれから先のことを考えると、一体問題点は何だろうということも出てくると思うんですが、その辺について極めて簡潔で結構でございますから御意見をお伺いしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/42
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043・草加英資
○参考人(草加英資君) お答えいたします。
民営化いたしましてからちょうど今月末で三年が経過する予定でございます。その間、ただいまいろいろ御議論がありましたように、電話専用線、移動体通信等の第一種電気通信事業、さらにVAN等の第二種電気通信事業、全分野で競争が開始されました。
このような状況の中で私どもといたしましては、お客様の利用に支えられた通信事業が堅調に推移しているということのほかに、私どもといたしましても通話利用促進キャンペーンや新商品の積極的な販売活動並びに業務運営全般における効率化に全社を挙げて取り組んでまいりました結果、良好な経常利益を計上できたと考えております。また、六十一年七月の土曜割引、六十三年二月の遠距離通話料金の一割値下げ並びに離島通話料金の改善を実施してまいりました。
このような状況で、三年間の経営成績は比較的順調に推移したと私どもは考えておりますが、しかし、今後中期的な視点で経営を概観いたしますと、電気通信市場の競争はこれから本格化してまいります。また、遠距離通話料金の値下げ等により営業収入の伸びが鈍化してくるということも想定されます。一方、ディジタル化の促進等による設備投資の増大に伴う償却負担増などが見込まれますので、経営は厳しいものがあると予想しております。
そこで、私どもといたしましては、今後新規参入事業者との公正競争を確保しつつ、業界全体の市場の拡大を図り、同時に営業面では従来以上に新規サービスの積極的導入等による増収に努めるとともに、人員の適正配置、効率的組織の実現、業務遂行方法等の抜本的見直しによるトータルコスト削減等合理化努力を行って、業績の向上に向けて一層の経営努力を重ねるつもりでございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/43
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044・及川一夫
○及川一夫君 さらに、ここで公取委の方にお伺いしておきたいんですが、公取委で研究報告という形のものが一つ出ておりまして、料金とかそれから新規事業ですか、そういったものを始める場合の許認可制度の問題でより規制を緩和しろという意味の報告が出ているように思うんですが、この辺ちょっと公取委の方にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/44
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045・梶山省照
○説明員(梶山省照君) 公正取引委員会では、規制の問題についてかねてからいろいろ取り組んでいるわけでございますが、電気通信分野につきましては、先生から御指摘がありましたように、学識経験者による研究会において検討を依頼し、いろいろな意見をいただいております。
その意見でも述べられている点でございますが、競争政策から見た場合、競争原理導入の趣旨を生かすためには、事業者が創意工夫を最大限に発揮できるように規制は最小限でなければならないと考えられます。例えば具体的には参入規制における需給調整条項というものは、競争政策から見ますれば優良な新規参入を妨げないか、あるいは既存事業者の自己責任を損ないかねる面があるんじゃないかといった点が指摘されるわけでございます。
また、料金等にかかわる契約約款の認可制というものにつきましては、こういった認可制によりまして迅速な新サービスの提供や料金の設定、こういったものが大なり小なり妨げがちとなる側面があるのではないかという点が言えると思います。消費者保護等の観点からある程度の規制が必要であるとしましても、その対象範囲の妥当性などにつきまして検討が続けられることが望ましい。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/45
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046・及川一夫
○及川一夫君 同じ立場に立ちますが、通産の方で産業構造審議会小委員会報告ですか、この中で
も同じように電気通信事業全体をとらえての規制の論議があるようですが、その点おっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/46
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047・新欣樹
○説明員(新欣樹君) 先生御指摘のように私ども産業構造審議会情報産業部会基本政策小委員会におきまして、この三年見直し問題につきまして御検討をいただいたところでございますが、主として電気通信のユーザーの立場から二月の十七日に御提言をいただいた次第でございます。
この提言のポイントといたしましては、有効な競争環境を創出する必要があるだろう。そのためには、一方で新規参入者個々がNTTに対して競争するということもさることながら、むしろ新規参入者相互間でフレキシブルな協調関係を構築する必要があるのではないかということ、また他方、NTTに対しましては、ネットワーク情報の開示等新規参入者の育成を含め業界全体の発展に配慮をすべきではないかという基本的な考えに立った上で、こうした状態を実現するために参入許可制、あるいは料金認可制の弾力化等事業の実態に応じた一層の規制緩和が必要なんではないかということを骨子とする提言となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/47
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048・及川一夫
○及川一夫君 郵政大臣、今お聞きのとおりで、極めて圧縮されておりますから、細かく読んでいけばまた別の見解も出てくるのかもしれませんけれども、やはり共通して言われていることは、業界全体としてという言葉ですね。それからそのためには規制というものを緩和しろということと、それから業者間同士でいがみ合いをやるような観点でこの問題をとらえてはならないということ、そういった大体三つぐらいが私は共通して出てきていると見るわけです。これからいずれにしても見直しをする時期が来るんでしょうが、そのときの論議にはなりますけれども、ぜひとも考えてほしいと思うのは、一つには、例えば料金というのは、一番このサービス論議で直截的に響いてくるわけですね。ところが今の料金制度というものを見ると、これはもうNCCもNTTも全部同じですけれども、どっちにしても電信電話通信に関する限り八種類あって、それで八十一項目の料金というものがおおむねあるわけですね。そのうち認可事項になっているのが、いずれにしろ六十一項目と私は見ておるわけです、洗い直しますと。そうして、認可しなくとも勝手にやれというのが二十項目しかないわけです。これでもって経営の自主性とか、あるいは大いに競争やれと、こう言ってみても、公正競争から出てくる低廉で良質のサービスというところにどうしても結びついていかないと私は思うんですね。しかも、認可申請というと非常に格好はいいんですが、申請するまでの間が長いと私は見ているんです。申請をしてからは半年とか一年でぽっと答えが出るようだけれども、申請するまでが大変なんですね、どうも見ていると。これはどうも郵政省に限ったことではない、官業全部含めての話のようですよ。
それでは、一体民間企業というのはどのぐらい能動的に対応できるのかというようなことも含め、さらに公正競争という場合には、先ほど共通点があるというふうに私は申し上げたんだけれども、とにかく企業間というものを意識して、何かもう企業規模も技術力も資金面も、それが差があったらもういずれにしても競争ができないんだ、だからそれを縮めろ、縮められないなら大きいところはどんどん規制をかけろというような意見に発展をするような立場で、この公正競争という問題をとらえたのではもう完全にいびつになってしまうというような気がしてしようがないんですね。
だから私は、俗な言い方だけれども、お互いに共存共栄をするんだと、この一点に合わせて制度的にも、あるいは許認可の問題も考えていくという工夫が必要ではないか、そういう立場に立たないと、企業間対立だけが浮き彫りになってくる、そしていいの悪いのということで競争を、それこそむしろ抹殺するようなやり方に私は発展をしていくんじゃないかと思うんですね。もちろんNTT、きょうは時間ありませんからお聞きするわけにもいかないわけですけれども、NTT自体は民間企業に比べると、従来の民間企業に比べると二重三重のやっぱり努力をしないといかぬわけでしょう。まず官業からの脱皮ですからね、意識を変えなきゃいかぬですよ。しかし、百年の歴史あるものが、ここから上は変わるかもしらぬけれども、ここから下まで全部ついてこいと言ったって、一年や二年で私はできないだろうと思いますよ。
NTTだって、本当の民間人というのは真藤社長しかいないんですからね。あとは、以下全部プロパーの人たちですよ、電電公社の。口では意識革命、革命と言っているけれども、本社よりも現場の方は新しい労働者が入ってきますから、どんどんどんどん改革されていっているんですよ。むしろ一番改革されないのは本社であり、その次の段階あたりじゃないかというふうに言い切ってもいいくらい非常に難しい問題、努力を必要とする問題、こういう兼ね合いがあるわけですから、それだって公正競争の原則からいえば、そのぐらいの差をどうやって埋めるか、だからもっと時間かせなんというようなことの論理が出てこないとも限らぬと私は思うんです。
ですから、この問題非常に難しいけれども、やりおおさねばならない問題ですから、ぜひとも公正競争の意味を法律が成立する段階で、経過の中で固められて、いずれにしても利用者、ユーザーに良質のサービスを返していくんだ、それが公正競争の大きなねらいですと、そのための競争条件をどうつくっていくかということは一つの課題としてあるけれども、ねらいはそこにあるんですよという立場を忘れずにひとつ問題を進めていくようにしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/48
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049・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) もう先生のお話の中にほとんど私どもの思いも含まれているような感じがいたしますが、六十年の四月から民業になりまして、五兆七千億の売り上げのあるNTTと、それから新規参入、もう三十三社になっておりまして、第一種が三十三社、第二種業者はもう五百社を超えております。
その中で、収益逓減の法則と私よく言いますのですが、五人で田んぼを耕していたら食っていけるけれども、七人になるとみんなが困ってくるというような、その限界みたいなものがあると思います。その実力の違う大きな会社と、それから新規参入の会社が公正競争ができるような下地をつくるのが私どもの努めであると思いまして、先般のNTTの遠距離通話の三百二十キロ以上の料金値下げの際にも、私は、後ろから走ってきている、まあ自動車に例えるならば、バックミラーでひとつ車間距離をとってくださいと。前で余り料金値下げという急ブレーキをかけられると、後ろから来るのが追突しますので、その辺は前を走っている、立派な車に乗っている方が、バックミラーを見ながら後ろの車との車間距離をとってくださいという言い方をしました。できるだけ新規参入に迷惑をかけないようにというので、遠距離通話の料金値下げ、特にもう沖縄に対して特別な配慮をしてほしいということをお願いをしたわけでございまして、その辺はそれに倣った新規参入の会社も料金の値下げをしていただいたようで、そういうふうな調整を私どもがいかにとっていくか。
二十九万五千という多くの職員を抱えていらっしゃる中で、どんどん今お話しのような新しく入ってこられた労働者の方々の育成を待ちながら、幹部の方々にも意識革命をしていただく。電気通信事業はもうどんどん伸びております。新しい仕事を得る方々、伸びていく情報通信産業というものの中で、どういうところに落ちつけるかということをこれからの見直しの中でも私ども考えてまいりたいと考えております。よろしくひとつ、先生もかつての電通のもう大変な大物でいらっしゃいますので、もう中のことはよく御承知のことでございますので、ひとつ適切な御指導をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/49
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050・及川一夫
○及川一夫君 褒められたところで大体やめたいと思いますが、どちらにしてもこの問題、大きいから、技術力があるから、ネットワークが整って
いるからあれもだめこれもだめともう言われたんじゃ、恐らく簡単に改革はできないと思うんですよね。ですから、国民のためという、利用者、ユーザーのためということをかなりやっぱり観点として持たないといかぬと思うんですね。
だから、確かに中山郵政大臣言われたように、自動車に例えられて、急にとまったら追突するというお話をされたけれども、これなんかでも国民の側から見れば、料金の値下げをNTTがこうやりたいというのに、いや、おまえ、それやると追突するからもっととどめると、こういう話でしょう。本来安くなるものが安くならないという話じゃないかということになれば、国民という利用者とかユーザーという視点が失われるわけですよ。だから、この辺のことをやっぱり見失ったのでは、本来この電気通信事業の民営化という問題の目的を達成しないということになりますから、まあ議論の尽きないところでございますけれども、褒められたところで一応私の持ち時間終わったようでございますから、これで終わっておきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/50
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051・大木正吾
○大木正吾君 少し角度を変えまして、私、NTTが初めて会社になりました当時、前の逓信委員長等もいたした経過もございまして、これに絡んで当時積み残しました大きな問題が一つございますから、この問題についてのみお伺いしたいと考えております。
それは労使関係の問題でございまして、労働関係調整法の適用という問題が問題となりました。これについて、言えばNTTあるいは全電通自身が、労働界の中でも割合に右という方もおられますし、同時に、ストライキの効果自身がその当時でも、やってみても事務要員の方々が少し集会をする。しかし、電話は全然とまらないですね、全部自動化ですから。そういったことも含めまして、随分と、中山さんのところには行かなかったけれども、森山欽司さんとかたくさんの方のところに行ったんですが、まあついに労調法のところを抜けなかったわけなんですが、ただ、法案が上がりました五十九年の十二月国会におきまして、当時の片山委員の質問に対しまして、中曽根総理がほぼ四点にわたって答えておられます。
これは、まあ一つは、新会社の果たす役割の問題でありますとか、あるいは国民の利便の問題でございますとか、同時に労使関係の安定性、将来性ですね。さらに国民世論の動向と、こういった問題がございますが、これについて、労働省もきょうは来ていただいておるはずでございますが、労働省とまず郵政省のお考え方を同わしていただきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/51
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052・白井晋太郎
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
特例調停制度につきましては、今先生御指摘のことで、民営化されたときに労調法の附則で出ていたわけでございますが、なお労調法の附則四条で、「施行の日から三年後に、その施行後の諸事情の変化を勘案して、」「見直しを行うものとする。」、こうされておりまして、労働省では七月一日がちょうど三年後になるわけでございますが、見直しに向けまして関係者のヒアリング等を行い、内部で鋭意作業を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/52
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053・奥山雄材
○政府委員(奥山雄材君) ただいま労働省の方から御答弁がございましたように、労調法附則に基づく措置につきましては、現在同法を所管しておられます労働省において御検討をいただいておられるようでございますので、私どもとしましても労働省の御判断をお待ちしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/53
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054・大木正吾
○大木正吾君 労働省の御判断をお待ちしたいということだけではちょっと困るんでございまして、いずれにいたしましても四点の問題を指摘をされまして、そして見直しの際には廃止の方向で検討してみたい、こういうふうに中曽根さん答えておられるわけですね。具体的にこれをやったらまた時間かかりますからなるべく重点的にいたしますが、例えば現在、要するにJR、国鉄ですね。当時は新しい後発の会社、民間会社ですけれども、スト権があるんですよね。そうして、スト規制法はないんですよ。そういった問題でございますとか、同時に、ここに参考書持ってきましたが、ちょっと古いんですが、これ全電通がつくっている労働協約ですよ。六法全書くらいの厚さなんですね。この中にあります中で、例えば計画の協議とかね、あるいは合理化の進展に伴って基本的了解事項でもって首切りをしないとか、大きな問題から細目にわたりまして全部これの中に、解釈まで含めて書いてあるわけですよ。中山さんも相当専門家で労働問題はわかっているはずですからね。これで私はやっぱり綿密に労使が約束をしましたと、労働協約を結びましたと、それで実際にやっぱりこれをしっかり守っていこうと。私はこの信頼関係がなかったら労使関係はないと思うんですね。ですから、六十年四月一日のNTT発足以後、全電通は九十何%の組合員のスト権の投票をやりますよね。やるけれども、ストライキやらないと。そして、みずから自分の権利は縛られているんですけれども、投票しながら、組合員の気持ちを凝集しながら、それを背景にして交渉を真剣にやって、昨年の場合には、春闘の賃金の際にもリーダーシップを相当発揮しているわけですね。
ですから、この四点の問題の第二問の際の中曽根答弁の中に出てくるわけでありますが、こういう言葉が出てくるんですね。労使関係というものが中心で、政府はその廃止の方向で協力をすると、むしろ労使関係を尊重して、政府はそれを見定めてから協力をするんだ、そういうことなんですね。問題の中心は労使関係だと、こういうことなんですよ。ですから、そういう観点からもう一歩突っ込んだ答弁を労働省と中山大臣から賜りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/54
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055・白井晋太郎
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
労使関係の中曽根総理御指摘の四点と申しますと、経営状態等いろいろあったわけでございますけれども、労使関係そのものにつきましては、我々としましては、安定的に推移しているというように理解いたしておりますし、民営化後も安定的な推移が図られているというふうに理解している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/55
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056・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 三公社五現業時代のスト規制の問題からその後大きく労働界の情勢も変わっておりまして、私、郵政大臣に就任しましてからいろいろと現場の方々とお話し合いをしましても、大変協調の時代が来ているなという感じがして非常にうれしく思っております。私自身も、昭和四十九年に大久保武雄労働大臣と、それから長谷川峻労働大臣に労働政務次官としてお仕えをいたしまして、スト規制の問題、そのときに大きな話題となっておりました問題でございます。
今先生の御指摘がありましたように、今そこに労働協約、そんなに分厚いものがあるというのを今見せていただきましたが、皆さんの良識に期待をする感じで、私は中曽根総理が御答弁を前向きな形でなさったのではないかと、かような気がいたしますので、労働省が第一義的には判断をするものでございますが、私どもいろいろとこれから協議をして、中曽根総理大臣の御発言の方向に向かって、いろいろと現場の方々の良識に期待をしながら、この問題の推移を見守ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/56
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057・大木正吾
○大木正吾君 前向きのお話をいただいてありがたく思いますが、この際念を押して、さらにお話を承っておきたいと思いますが、ここでもってこういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、自民党の中にも労働関係調査会というものがございまして、言えば自民党の労調の中がはっきり方向が決まりませんと、なかなか動けないと、こういう話もささやかれてきておりまして、結果的には当時の森山さんにもお会いしましたし、同時に、現在はかわっておられますけれども、現在の幹部の方々とも私も非公式にお会いしているわけですが、ほぼ三年たちまして、大体中曽根答弁の四項目、これについてはほぼ問題がないと。こういうような御認識をその中でもってちょうだいしているわけでございますが、きょうは中村労働大臣がおりませんから、本当はこの問題について
は、これ逓信委員会の記録なんでありますけれども、社会労働委員会におきまして当時並行審議してやればよかったんですけれども、当時向こうの方にいかないでこっちでやったものですから、そういった手落ちがあったかもしれません。
いずれにいたしましてもそういった経過等踏まえていきますと、私は、やはり中曽根答弁の四項目については、ほぼ満たされている、こういうふうな感じを持っておりまして、ぜひ労働省、中村大臣にまたお会いすることもありましょうが、そういう点を含めて、少なくとも四月一日が境ですからね、これは。三月三十一日から四月一日、この記録がですね、私の方の記録では三月三十一日までぐらいに思っておったんですけれども、労働省側の記録ですと何か四月一日以降と、こうなっておりまして、一日の時差が実はあるわけなんですが、いずれにいたしましても今国会中には少なくとも一定の方向が、スト規制解除の方向が出ることについて、労働省と大臣からもう一遍期待ある答えをいただきたい。こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/57
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058・白井晋太郎
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
労働省としましては四月一日にこだわっているわけではございませんで、ただ、先生を初め非常に経緯に詳しい方々がおられるわけでございますが、そういう経緯等も十分に承知しながら、しかし法律自体におきましては、やや形式的なことを申し上げますが、事業所法の方は三年以内、それからこちらの方は三年後と、こういうふうになってきたわけでございますので、それらを見まして、事業所法の検討等も見ながら四月一日から検討を開始したいと、こういうふうに事務的には考えていたわけでございます。しかし、先生を初めとしまして、組合その他の要望も非常に強い要望がありまして、早急に結論を出すようにということでございますので、鋭意検討を進めながら、できるだけ早く結論を得るように、また郵政省その他とも御協力をいただきながら進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/58
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059・奥山雄材
○政府委員(奥山雄材君) ただいま労働省の方からお話がございましたとおりでございますので、郵政省といたしましても、総理答弁があることも十分念頭に置きながら労働省と必要な意思疎通を図り、相談をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/59
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060・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 今回の郵便局の土曜閉庁の問題でも労働大臣から大変に喜んでいただいておりまして、労働省との協調で、現場で働く人、ほかの郵便事業にかかわる人等の労働問題というのはどうなるのかという、国民へのサービスの問題と兼ね合わせでこれからまた新しい事態に対応していく必要があると思いますけれども、とにかく労働省の大臣から、閣議の後の席でも大変喜んでいただきましたので、現場で働かれる、今日まで御努力いただきました方々のお立場にどういうふうにお報いをするかということを労働省とひとつ相談をしていきたいと思っておりますので、今のところそういうことでお許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/60
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061・大木正吾
○大木正吾君 これはもうこれ以上あれしませんが、とにかく私の方では、当時の三年前のいろんな表向きの議論から、同時に、当時の自民党労調との関係なり、幹部の方々との関係とかすべて私のメモにはございますが、そういった中で、当然の問題として、今国会中には法律案そのものが出口からしっかり出ていけば申し分ないんですけれども、しかし、法律案自身が通るか通らないかということは、時間的な問題もございましょうからこれは別にいたしまして、少なくともスト規制解除、こういった問題が労働省側から何らかの方法でもって明らかにされる、こういうふうに現在の両省の答弁について、私なりに承った形でもって終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/61
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062・大森昭
○理事(大森昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十三分休憩
─────・─────
午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/62
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063・上野雄文
○委員長(上野雄文君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のため、本日の委員会に日本電信電話株式会社代表取締役副社長児島仁君、同じく常務取締役高度通信サービス事業本部長鴨光一郎君、同じく常務取締役電話事業サポート本部長高橋節治君、同じく取締役ネットワーク事業本部長宮津純一郎君、同じく経理部次長加島修君、同じく電話事業サポート本部設備推進部長村田忠明君、同じく電話事業サポート本部営業推進部長西脇達也君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/63
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064・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/64
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065・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 休憩前に引き続き、郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/65
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066・大森昭
○大森昭君 大臣、ある対談で、あなたは大臣というのは指揮者でありますという話をしておった対談がありましたけれども、さっき及川さんからも話がありましたけれども、土曜閉庁の問題で決意したことは、まさに指揮者として御立派であると思うんですが、実は及川さんの別に質問に答えるわけじゃないんだけれども、閉庁という言葉は、こういう意味なんですよ。
実は十三年前に土曜閉庁の会議を結成したんですよ、私。そのときに、郵政省も郵政局も郵便局も市役所も全部とにかく土曜日を休みにしようじゃないか。そうすると、何という言葉がいいかなということまでいろいろ相談していたら、やはり民間は庁じゃおかしいから、閉店というのをつける、ですから閉店なんですよね。庁というのは、市役所も庁舎と呼ぶだろうと、郵便局も庁舎と呼ぶだろう、郵政局も庁舎、そういうふうに、ちょっと古いけれども庁舎と呼ぶんじゃないかと。だから今度は郵便局だけですけれどもね、これ貯金と保険ですけれども、もう本省もやっぱり土曜日はみんな休み、郵政局も休み。そういうようにやってもらうと、まさに効果は抜群でありまして、郵便局の貯金、保険も偉大なことですけれども、それだけにとどまらずひとつ大臣が前進をしてやっていただきたいし、とりわけこの問題というのは週休二日制に向かっての決断ですから、そういう意味でまた労使でいろいろ相談をするんでありましょうけれども、早いところひとつ土曜、土曜というか、もう週休二日制ですね、それにひとつ邁進をしていただきたいと思うんです。
それから、さっき大木先生からスト権の問題があって終わったわけですけれども、きょうここに成相先生もおられますが、実はその法案の審議をする際に、衆議院が終わりまして参議院に持ってきて、実は参議院で修正をしまして、それで六十年の四月に間に合うか間に合わないかという段階まで来まして、それでいろいろ実は修正問題を話し合った中で、スト権の問題もあって、総体的に我々ちょっと法案には反対だけれどもということなどについても成相先生らも大分御努力していただいて、一括して実はその法案が通ったのでありまして、ですから何か法案が通っちゃうと後、スト権の問題は全然別な問題のように理解されては困りますので、先ほど大臣から表明がありましたから、お答えが要るわけじゃないんですけれども、どうかひとつ参議院段階であの法案が極めて難航して通過をしたという経過がありますので、どうかひとつスト権の問題についてもぜひひとつ御努力をしていただきたいと思います。
日曜配達の廃止の問題も、これは最初やるときには、我が国の事情からいって日曜配達なんかとてもできないという状況であったんですが、たしかあれは徳安さんだと思ったですけれども、日曜配達廃止を段階的に進めて今日に至っているわけ
ですけれども、何でもやるときは大変難しいんてすけれども、やはり大臣が指揮者であるということを言われたように、役所の人はみんな優秀でもやはり物事できることとできないことがありまして、大臣がよほど頑張っていただかないとできないことがたくさんありますので、初めにひとつ、大臣が今度郵便局の貯金、保険の窓口を閉めるという、その決断に敬意を表するわけですが、さらに今後の進め方について、これは大臣でなくてもいいんですが、具体的に時間短縮の問題などについての構想ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/66
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067・白井太
○政府委員(白井太君) 週休二日制とか勤務時間短縮の問題というのは、現今の我が国の経済問題の中でもかなり重要な課題という位置づけをなされておるというふうに承知いたしておりますが、政府の方も経済運営の方針として、一応その方向を打ち出しておりますし、また昨年秋には、一週四十時間を勤務時間の基本とする労働基準法の改正なども行われた経緯があるわけでございまして、そうした事情を踏まえまして、今般私どもといたしましては、郵便局の仕事のうち、特に郵便貯金とかあるいは保険などの仕事をいたしております窓口業務を全部の土曜日について閉めるということについての具体的な検討に入った次第でございます。
ところで、週休二日制とか勤務時間短縮の問題でございますが、この辺につきましては、やはり一般の公務員の方との横並びというのも多少は配慮しなければならないというようなこともございますし、それから私ども郵政省におきましては、郵便貯金、簡易保険だけでなく、郵便の仕事もあわせ行っておるというような事情もございますので、そちらの方の取り扱いについてもいろいろ配慮をしていかなきゃならぬというようなこともございまして、その点について、できるだけ国民の皆様に迷惑のかからないようなやり方でこれを実施する方法がないかどうかというのを労働組合などとも協議をしながら詰めていくということをしていかなきゃならぬと思っておりまして、したがいまして、窓口を閉めるということが即そのまま週休二日制を拡大するとか、即その日から勤務時間を短縮するというわけにもまいらない事情がございますが、できるだけ世の中の流れがそちらの方向にあるということをよく頭に入れておきまして、精力的に関係方面との折衝を続けてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/67
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068・大森昭
○大森昭君 郵便事業も大分順調だというお話がありますが、年賀の引き受けなんか見ておりますと、郵政省が言うように、早く年賀を出してもらいたいという周知は大分熱心にしておりますが、なかなかそういうぐあいにいかないで、年末ぎりぎりに郵便物が差し出されるというような状況でありまして、そういう意味では職場に働く労働者というのは大変な思いをするわけでありますが、特にことしの年賀、大変うまくいったというお話でありますが、今後にどのような課題を残したのか、同時にまた、大変郵便事業が好調だと言われていますが、その主な原因は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/68
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069・田代功
○政府委員(田代功君) 昨年の年末の年賀でありますが、年賀の中で、まず小包につきましては例年になく取り扱い量がふえまして、これは郵便局の努力だけではなくて経済状態が上向いてきたことの反映かもしれませんが、十二月の十日間とか二週間をとりますと、前年度に比べて三〇%もふえた郵便局があるというようなことで、久しぶりに郵便局が小包で埋まる状態になりました。特にその中で、生ものとか壊れ物といった郵袋の中に入れられない小包が大変多うございまして、そのために現場の郵便局では取り扱いに大変な苦労をいたしました。
また、年賀状も私どもできるだけ早くお出しいただくようお願いしておりますが、なかなかそうはいきませんで、二十八日から三十日にかけてことしはピークが参りました。そういったことで、昨年の十二月は年末ぎりぎりまで郵便局は大変忙しい思いをいたしましたが、大きな混乱もなく無事に年賀状を届けることができました。
これからの課題といたしましては、お客の動向が、例えば生ものとか壊れ物もたくさん出していただくようになりましたし、年賀状も私どもが幾ら呼びかけましてもやはり遅く遅くとなる傾向にございますので、これに対応した私どもの仕事の流れを組み立てていく必要があろうかと思います。こういったことについて、来年に向けていろいろ今研究をしているところであります。
なぜ好調であったかということでございますが、これはもういろいろ考えられますが、何はさておいて、うちの職員が労使一体となって、それこそ不眠不休の努力をした成果であると考えられます。そのほか私どもいろいろサービス改善、その他もいたしましたが、扱う人間がまともに仕事をしない限り、お客様の信頼を得られないという意味からいきますと、この点が中心だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/69
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070・大森昭
○大森昭君 本当に局長が言うように、現場じゃもう大変な騒ぎなんですね、とにかくぎりぎりで来るわけですから。そうなってくると必ずしも一月元旦―一月元旦ということはない、元旦は一月一日だ。元旦配達にこだわる、まあこだわって、できる限りそれはいいんですけどね。やはり遅く出した人には少し遅くなりますよということにしませんと、別に周知することもないんだろうと思うんですが、余り遅くしても元旦に着くということになると、遅く出す習慣になっちゃいますから、その辺もひとつ検討してもらいたいし、それからこれは最高の年賀でしょう、去年の年賀は。そうすると、これは寄附金つきのはがきというのは何ぼ出して、どういうふうに寄附金は使用しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/70
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071・田代功
○政府委員(田代功君) まず第一点の年賀でございますが、手続的だけなことを言いますと、二十八日までに出したものが元旦配達ということになっておりますが、私ども長年できるだけ、ぎりぎりのものまで元旦にまとめて配達できるようにということで、郵便局員一同張り切っておりますので、できるだけのことはいたしたいと思いますが、なおやはり早く出してもらうというお願いをこれからも積極的にしたいと思います。
それから寄附金の話でございますが、昨年は三億二千七百万枚の寄附金つきのはがきを出しました。これは、全部絵をつけた四十五円で売っている年賀状のことでございます。一通につき三円の寄附金をつけておりますので、手数料やら事務費を引きますと、八億何がしかの寄附金になります。九億近い寄附金が集まっております。これは法律によりまして配分対象その他は厳格に決まっておりまして、例えば社会福祉を行う事業ですとか、がんやらの治療のための団体ですとか、あるいは文化財保護のための団体ですとか、青少年の健全な育成のための事業を行う団体ですとか、いろいろと制限がございます。私どもこの法律に従いまして、昨年の十月に告示をいたしまして希望を募りました。その募った結果、昨年じゅうに百八十五団体から希望が出てまいりましたので、現在それについて、この法律の規定に合っているかどうか審査をしておるところでございます。近日中に郵政審議会に諮問した上、それぞれの団体に配分することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/71
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072・大森昭
○大森昭君 郵便事業も貯金と違ってやはり営業などについて今やっているわけでしょう。そうすると、保険の金なんかで出して橋をかけたとか、あるいは何か物を建てたとか、ちゃんと保険の資金運用部資金が使われていますというのが出ているんだよね、建物の前に。そうすると、ああそうか、保険入っているけれども、保険の金などもそういうふうに使われているのかというふうになるように、実は寄附金の今お話聞いて、僕らも寄附金のお金でもって何かができたというのは余り知らないよね、正直言うと。結局寄附金もそうなんだけれども、今までのやつでいいのかどうなのか。これだけいっぱい出すのだから、年々。それじゃ寄附金の方を少し多く出して世の中のためにやろうじゃないかと。あなた方が出す文書を見ていると、これから地域活性化しなければいけないわ、高齢者がふえてくるわ、老人対策しなければいけないわと言ったって、書いてあることは立派なん
だけれども、例えば年賀はがきでもって、寄附金を取ったやつで高齢者にどういう役割を担うということをもう少し抜本的に―きょう何とは言えないですけれども、少し検討し直さないと、従来のようなやり方だと、やはり郵便労働者が営業するにしても、営業がしづらいとは言いませんがね、ぴんとこないから、もうちょっと寄附金の配分の仕方、それから出し方については、さらにまた恐らく来年の年賀はよりふえると思いますからね、少し寄附金を余分に取るなどについても検討をする必要があるんじゃないかというふうに思うんです。これは私の意見ですから、答弁要りません。
それから貯金でありますが、残念なことでありますが、とにかく四月からマル優が廃止されるということになりまして、最近どうも成績が上がらないというようなこと。それから四月一日以降も大変現場なんかじゃ努力しまして、せんだっても私のところの集配局の貯金課長が来ていましたけれども、一体これ、貯金事業の今日の現状の中で、郵貯のあり方についての特に経営方針、重点施策といいますか、何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/72
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073・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 郵便貯金をめぐります環境というのは、いわゆる金融の自由化が進展してくる中で非常に厳しい、いわば戦国時代を迎えているというような状況にあるわけであります。
特に、この四月から従来の郵便貯金のいわば表看板でありました利子非課税制度が改定されるというようなことで、各民間の金融機関も郵便貯金に標的を合わせたような形で、預金獲得競争的な実情になってきているわけです。しかし私ども、郵便貯金の役割というものは、利子非課税制度の改定によっていささも変わることはございませんで、やはり国営の事業として、集められた資金が公的な資金として大変大きな役割も果たしておりますし、また郵便局というネットワークを利用して、広くお客様に簡便な貯蓄手段あるいは送金、決済手段を提供していくためには、常に社会経済の変化、お客様のニーズに合わせた商品開発なりサービスなりというものを心がけていかなければならぬだろうというふうに考えております。
そういう意味で新しい非常に厳しい状況を迎えますけれども、従来以上にお客様の要望にこたえられるようなサービス改善に努めることによって、今後ともお客様の期待されている郵便貯金の役割を果たしていきたいというようなことで、職員の研修にしましても、あるいは商品開発等にしましても積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/73
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074・大森昭
○大森昭君 保険の方は大分業績がいいと言われておりますが、これも民間企業のやつと比べますと必ずしも今後の問題としてはそう楽観できないと思うんですが、貯金は今局長が言われたとおり、郵便も今日非常に成績がいいといっても、必ずしもこれが持続できるかどうかということについて大変懸念をいたします。しかし、いずれにしても非常に事業がいいわけでありますから、さらにそれを持続してもらいたいんでありますが、ただ、さっきも答弁ちょっと聞いておりまして、友好的な競争相手という言葉をだれかさっき使っておったんですけれども、競争相手に友好な競争相手というのはないんですね、これ。
それから、国営事業であるからというお言葉がありましたけれども、今これ逓信委員会だから友好な競争相手とか国営事業だからと言っていますが、職場の人たちにはそうは言ってないんですよ。民間ともう競争しているんだから、激しく。とにかく営業活動はしっかりやって、とにかく民間に負けるなとやっているんですね。これ委員会だからそういうお言葉だったろうと思うんですが、競争相手に友好性があってみたり、国営事業なんかの枠を守っておったんじゃ、これだけの成績上がってこないんですよ。今日三事業ともいろいろありますけれども、事業がいいというのは、そういうことじゃないという意味合いからいきますと、恐らく私は、国営事業であるがゆえに国家公務員法の制約、あるいは人事院規則の制約、あるいは今日、郵政予算というのは一年単位の予算総則に基づいての制約でしょう。
そうすると、こうやって見ますと、これ今営業を重点にして業績を上げていこうという考え方に立つと、公務員法での制約は外してもらわなきゃいかぬ、あるいは人事院規則を多少曲げなきゃいかぬということが本省段階で検討されておらなければ、現場は従前の形で、一生懸命とにかく営業成績を上げるということに専念するだけではこれはちょっと問題があるんで、何かいわゆる今日三事業とも民間と激しい競争をしているという条件下の中で、そういう問題について検討していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/74
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075・白井太
○政府委員(白井太君) ただいままさに先生が御指摘になりましたように、実は郵政事業に働いております私ども職員の身分というのは国家公務員という身分を有しておりますし、それからまた事業を運営してまいります上でのいろいろな財政の問題というのは、まさに財政民主主義ということで、国会の御審議をいただく予算によっていろいろ制約があるというのは、もうまさに先生おっしゃるとおりでございます。
ただ、また別の面から見ますと、いわゆる現業官庁ということで事業を営んでおるという側面から、また一般の官庁の場合、あるいは一般の公務員との場合とは違った取り扱いも幾つかなされていたりもいたしておるわけでございまして、私どもとしては、基本的に国が経営する企業だという立場は、これはなくすわけにはいかないと思いますけれども、しかし、そうした立場は立場としても、なお現業に従事するというか、あるいは事業を営むという観点に立ちまして、できるだけの弾力的な扱いができるようにしていかなきゃならぬというふうに考えておりまして、職員の処遇の面などにおきましても、できるだけ現行の制度の中で弾力的な運営ができるような方途を考えてまいりたいということで、いろいろと内々検討をいたしておるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/75
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076・大森昭
○大森昭君 きょうは時間がないから余りあれですが、実は三局長から営業方針についてちょっと伺おうと思ったんですけれども、時間があれですから、例えば私、ここに民間生保、民間ということはないわ、銀行の組織図持っているんですよ。それを見ますと、営業本部長なんというのは重役ですね、大体。営業というのは今みたいに、郵政省みたいに郵務局に営業課をつくらなくちゃまずいと言ってつくってみたり、今まで保険だったら外務課があったけれども、外務課というのはどうもうまくないから営業課にしてみようじゃないかとか、貯金局は奨励課で、奨励課というのはどうもうまくないから営業課と言って、役所の全体の構図は何にも変わらないで、営業課という課ができただけなんだ、これ。だから依然として、例えば郵政局の営業課長が二年たてば郵便局長にいくんだ。それはなぜかというと、ほかの課長と同じ位置づけだから。だから今日の事業運営の中で営業が最も必要だということになれば、組織的にも営業というものについてどうあるかという検討をしなきゃ、単に各局に営業課があるから、非常に職場では営業に協力してくれるなんというものじゃないんですね。
それはなぜかといったら、御案内のように銀行でも生命保険会社でも、営業がまずければその会社つぶれちゃうわけでしょう。今日私が言っているのは、さっきもちょっと質問しましたけれども、営業の位置づけというのは一体何か。だからそれぞれの事業が今日、例えば保険の場合でも、保険がなぜ成績がいいかというと、まず窓口で断らない、入り口で。こんにちはと行くでしょう。そうすると、郵便局の制服着ているじゃない。ああ書留でも来たかな、あるいはいろんなことで郵便局の人には世話になっているから、どうぞお上がりなさいと言って、お茶入れる。いや実は保険のきょう募集に来たんですよと言って、まさか入った人出ていってくれと言うわけにいかないからね。しかし民間保険の場合には、ガラガラっとあけて、保険会社ですと言ったら、もう初めからパシャっと閉まっちゃうからね。そういうように結局、保険についても営業しやすいんですよね、民間から比べると。ですからそんなに、これは議事録削除
してもらわなきゃいかぬかわからぬけれども、そんなに郵政省の保険が有利であるかどうかというのはちょっと疑問がある。まあ保険局長さん、それに反論があるかもわからぬけれどもね。ですから営業をもっと重点にということなら、組織のあり方についても、それから施策についても十分検討しなきゃいけないと思うんです。
そこで、これは部外不公表になっているからどの程度あれか知らぬけれども、例の活性化計画、人事部長も大分苦労してつくったんでしょう。しかし、これ正直言いますと、昔どっかで見たような文章を何か集めてきて継ぎ張りしたような文章ですよ、僕に言わせると。だから例えば活性化計画をつくるときに、郵政局の人を何人か入れる、それから東京にはちゃんと現場の課長で苦労した人がいるんだから何人か入れて、それで活性化計画をつくったら、本省の人が幾ら集まったって、悪いけれども、それは優秀な人だから文章は全部うまくできても、職場の実態が把握できなきゃ活性化しないでしょう。僕はそう思っているんです、常々。
だから現場の人たちが何を考えて何を望んでいるかということをね、ちょっとこれ見ただけだからあれだけれども、例えば主任なんか他局部に任用した方がいいと書いてあるんだな、これ。しかし、言っておきますがね、例えば保険の主任はあっちこっちに勤続が長いわけだから、いろんな知り合いがある。民間と違って自分だけ行くんじゃないんですよ、保険でも貯金でも。自分が行ってたくさん稼いで、手当を余分にもらって成績上げるというんじゃないんです。郵便局に来て、二年か三年貯金やっていて、どうも余り成績がよくない、そいつを行かして、自分はもう話をつけておいて、大口行ってこいと、おまえが行けば少し入ってくれる。そういうように結局、主任、主事だという人の役割というのは、そういうようにそこに働いている人たちの面倒を見ながら主任だとか主事やっているんでしょう。民間みたいに、自分だけとれれば、自分だけ行ってやるようなシステムじゃないの。それを主任にするときには他局にやった方がいいと書いてある。それはそういう手法もないとは言いません。しかし、これは現場の管理者というのは余り頭よくないからね、僕に言わせると、はっきり言うと。これを読むと、すぐああこれはいけない、主任発令するときは、うちの局で発令するよりかもほかへやった方がいい。いや何でだ、なぜかといったら、郵政省の監査がいるでしょう、監査。監査の中に、おたくは主任にするときに他局に出したか出さないかという監査をしているんだよ。そうなってくると、今人事部でつくったこの活性化の問題についても、全く本省のお役人というのは、例えばその人が主任になったんじゃどうも職場が締まらないと、どうせするならほかのところでやってもらった方がいいだろうという意図なんだろうけれども、それこそ何でもそうした方がいいということになるんだよ、この活性化計画の読みようによっては。
だから、せっかくここまで活性化計画をつくったんだけれども、正直言って、この活性化計画の中に、四月一日から新しい年度を迎えて、何かこの中の何項目かでも実施できるというのは部長ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/76
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077・白井太
○政府委員(白井太君) 一番後半の部分からちょっとお答えをさせていただきたいと思いますが、活性化計画ということで労働組合にも示しました内容のものというのは実はまだ骨格の段階でございまして、具体的な実施内容というのは、これから詰めていくものが大変多いわけでございます。
ただ、いみじくも具体的な問題として出てまいりましたのは、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、全部の土曜日について、貯金、保険などの窓口を閉めることについて具体的な検討に入るということとの関連で、実は週休二日制あるいは勤務時間短縮の問題が当然出てまいるわけでございますけれども、これも先ほどの繰り返しになりますが、できるだけ利用者である国民の皆様の負担の増加にならないようにしなきゃいかぬとか、あるいはサービスダウンを極力少なくするようにしなきゃいかぬというようなこともあったりしましていろいろな、一口に言えば効率化などをすることによって週休をふやすとか、あるいは勤務時間を短くするために必要な要員を生み出すということをやっていかなきゃならぬわけでございますが、それらはすべて、いわば活性化計画そのものを具体化していくということにほかならないわけでございまして、私どもといたしましては、窓口を閉めることについての検討を進めると同時に、あわせて週休二日制等の問題についてもいろいろ詰めていかなきゃならぬ。これについては先ほど申し上げましたように、これをどうやって取り入れていくか、効率化をどういうふうに進めていくかということをやっていかなきゃならぬわけでありまして、早速活性化計画の中身に盛られていることについて、いろいろまさに具体的な内容について詰めを行っていかなきゃならぬということになってきておるわけでございます。
それから、特にいろいろ御指摘がございましたけれども、人事の任用なんかについてのお話もございましたので、その点一つだけ触れさせていただきたいと思いますが、主任の任用につきましても、できるだけほかの局にもどんどん任用をするという道を開いていこうということを確かに活性化計画の中ではうたっておるわけでございますが、この辺は、実は先生は何もかも御存じの上で御質問されておられるのでお答えがしにくいわけでございますが、郵便局たくさんございますけれども、これは当然年齢とか、あるいは経験年数等によっても、職員構成がもう本当に郵便局によってまちまちでございまして、私どもの本心というのは、まさに適材適所というのがこの基本にありまして、他局に転勤をすることによっても主任に昇任をさせるということをどんどんやっていこうじゃないかということを打ち出した次第でありまして、先生の御指摘になりましたようなことも含めてすべて、まさにそのポストにふさわしい人にそのポストについていただくということをやっていこうということにほかならないわけでございまして、その辺で、できるだけ運用に間違いのないようにやっていきたいというふうには考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/77
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078・大森昭
○大森昭君 大臣、誤解のないようにしてもらいたいのは、それぞれいろいろ御苦労していただいていますので、何も苦労しないという意味でこれを言っているんじゃないんですが、ただ私は正直に申し上げますと、部長も大分努力はしているんだけれども、その適材適所というのはだれが判断するかというところが違うんですね、僕と。だから言葉は、適材適所というところは一致しているんですよ。しかし、職場で、この人間を主任にした方が職場ではうまくいくというふうに職場で考えているのと職場の長が考えているのは違う。いわんやこれをまた郵政局がチェックするわけでしょう。そうすると、そこが違うわけだから、だから私は、正しい安定した労使関係を確立したいというのは、これは大臣の所信表明にあるんだけれども、じゃ一体、その信頼性があって、正しくて安定性のある労使関係とは一体何か。さっき大木先生が持ってきたけれども、全電通にはあれだけ労使でもって協議した内容があるんだって言われたでしょう。ところがあんたの方は、組合の方から何だかんだ言われたんじゃ現場の管理者は大変だから、なるたけ接触しない方がいいと、なるたけ組合の意見を聞かない方が、自分たちがやりたいことをやりゃいいんだからというのがあるんだよ。
これはなぜいけないかというと、適材適所だとか、あるいは能力主義だとかいろんな立派なことを言っているけれども、一体だれが能力を判定するのか、だれが適材適所なのかということをどこの基盤に置くか。だから、やっぱり労働組合に対しての意見を十二分に聞く。もちろん労働組合ですから、経営者としてすぐそのことを、意見を聞いて、できることとできないこととあるでしょうけれども、聞くということは、絶えず聞いてやればこそそこに信頼感があり、労使関係が安定するのであって、だから本当にそういう意味じゃ、こう並んでいる方々と私と少し意見が違うのは、も
う少し現場の実情を把握をしてから……。もう時間がないから言うときりがないんだけれども、昔、ある次官が三十年表彰をするときに、もうどうだい、一日ぐらい局長にしてやろうじゃないかと、一日局長。そうすると、お父さんは郵便局に勤めていたんだよと孫に言ったときに、そう、長い勤めをしたんだけれども、最後は一日課長でやめてったんだよと。
今、三十年勤続したって主任になれないんだよ。なれるわけないじゃないですか。今、部長が言うように、何歳にならないと本省の係長になれないとか、何歳にならないと主任になれないとか、どこの営業を中心にして業務の運営をするのか。年齢が幾つになっても主任になれない。三十年も勤めて主任になれないんですよ。だから一つの段階、主任制度、どういう条件をつけて主任にするか。あなた方は何の条件もないんで、ぱっと本省の局長になるんだよ。ぱっとなったんじゃないでしょうけれども、まあ逐次なったんでしょうけれどもね。
だから、一日課長にしてやろうというのも、話は少しオーバーな話かもわからぬけれども、例えば定数にしたって、五人に一人の主任じゃなくたっていいんですよ、率直に言えば。ある職場でそれぞれの業務がうまくいって、営業がうまくいって、みんなが仲間同士が一緒に愉快にやれるというのなら、主任を二人つくったっていいじゃないですか。そうでしょう。そういう発想がなくて、やっぱり依然として本省段階における運営は、国営事業の従来の悪いところをそのままにしてやるから、職場へ行くと一生懸命やっているんだけれども、さっきの郵務局長の話じゃないけれども、まさに年賀がうまくいったのは、もう職場で働いている皆さんのおかげだと言っているわけだけれども、本当に一生懸命やっても、考えてもごらんなさいよあなた、三十年たって主任もできない人がいる現状じゃ、これはいずれ破綻を来しますよ、破綻を。ですからどうかひとつ、大変事業がいいわけですから、いいときに言わないとね。これは悪いときに言うと嫌味になるからさ。いいときに言っているんだ。御苦労しているわけだけれども、ぜひひとついろいろ努力してもらいたい。
それから、まだ質問はたくさんあるんだけれども時間がないから、もう一分しかなくなっちゃったけれども、大臣、今までいろいろ通信政策分野でも郵政省の役割は大きいわけだけれども、何か新幹線つくりゃ東京一極集中がなくなってみたり、あるいは通信網が発達すれば、いわゆる都市への集中がなくなるようなことではないと思いますが、えてしてそういう発想が非常に多いんですね。しかし、いかに新幹線を敷いても、あるいは通信業務をそういうようによくしても、やっぱり地域における活性化がなければ、これは一極集中というのは変わらないんですね。ですから、どうかひとつそういう意味で、これから新しい分野でいろいろ郵政事業が行われるわけでありますが、その点については、少し従来の考え方を見直すことについて大臣は検討してもらいたいと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/78
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079・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 私が就任しましてからも、一月の十四日に大阪でテレポートのアンテナの起工式、地球局の起工式がありましたり、それからテレトピア計画というのが全国六十三カ所、それから追加十カ所ぐらいできるんじゃないかというようなお話が今出ておりますが、お話のように、ただ地方にそういう電気通信の拠点を置いて、それだけで東京の一極集中というのが解消されるかというと、そういうわけにもいかないと思います。山の中で会社に出勤せずにいろいろな仕事をされる方が出てくるとは言いますけれども、やっぱり何となく帰りに赤ちょうちんで一杯やろうというのも、人間と人間の交流の社会でございますから、そういうことをどういうふうに組み合わせていったらいいのかと。
午前中にもドライコミュニケーションとウエットコミュニケーションというのをどう調和させるかということを申し上げましたが、そんな意味で、これから都合のいいことには二千八百キロ、北から南まで、それから時差がございません、三十七万平方キロのこの日本に何とか一極集中を排除するようなものを考えていくことのために、郵政省がいかに努力をするかということはもう御指摘のとおりでございまして、名古屋とか大阪が大変落ち込んでおります。大阪ですら大変落ち込んでまいりましたので、東京の一極集中を排除するために大いにむしろ地方にうんと力を、重点を置きかえるような形でこれからの情報通信というようなものを考えてまいりたい、かように考えております。御支援いただきますようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/79
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080・大森昭
○大森昭君 ちょっと時間が過ぎるけれども、活性化計画もできたわけだし、環境の厳しさも認識は一致しているわけですから、ぜひ頑張ってもらいたいと思うんですが、ことしの年頭に当たって澤田次官が講堂で一時間半にわたって大講演をやっていますが、非常に問題提起を鋭く次官がやっているわけですから、次官が言ったことを、できることとできないことあるかもわかりませんが、問題意識というのはみんなもうはっきりしているわけですから、どうかひとつスピードを上げてそれぞれの問題を検討していただくことをお願いして、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/80
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081・鶴岡洋
○鶴岡洋君 最初に郵政省にお聞きしますけれども、大臣の所信表明の中で、テレトピア構想の一層の推進、こういうことをうたっておりますが、これは私は非常に結構なことだと思っております。しかも、この中で、「テレトピア計画や、いわゆる民活法に基づく施設整備事業等の地域情報化施策をより一層積極的に推進する必要があると考えており、きめ細かく、かつ適切な支援を行ってまいる所存であります。」、この「きめ細かく、かつ適切な支援」というのは、この文章からいくと、どちらになるのかわかりませんけれども、受信者、利用者の立場に立ってきめ細かな、かつ適切な支援を行ってまいりますと、こうならばいいんですけれども、いずれにしてもこのテレトピア構想、今も直前にお話がありましたけれども、指定都市がどんどんふえる、私は結構なことだと思うんです。そうなれば国民生活、社会活動の中でいろいろな面で便利にもなり、また効率的にもなってくるし、しかもスピーディーに物事が処理できる、したがってすばらしい日常生活が享受できる、こうなるわけでございますけれども、ただ実際その実現の運びになると、そこに複雑ないわゆる社会構造に今なっておりますので、また人間と機械という関係でいろいろな法的な問題が出てくると私は思うんです。
そこで、郵政省としては、このテレトピア構想の一層の推進とともにやっていくわけですけれども、それよりも前に各省庁間との協議、法的対策が実際にきちっととられていかなければならないんじゃないか、こういうふうに私は思います。その具体例を二、三取り上げてみますので、その対応について今どうなっているか、御説明をいただきたいと思います。
まず第一点でございますが、これは厚生省との関係になると思いますが、高齢化社会について、高齢化社会の到来は、世界に類を見ないスピードで日本は今進んでおります。我が国は、二〇〇〇年には全人口の一五・六%が六十五歳以上、また二〇二〇年には何とその割合が二一・八%、こういうふうに予想されているわけです。
そこで、高齢者が安心して生活ができるためには在宅診療、健康管理システムが必要になると考えられますけれども、このシステムを導入することによって離島や無医村での遠隔治療が可能になり、双方向CATVにより、患者が医師と応答することにより病気の診療やそれに基づく治療を受けられる、こういうふうになるわけです。しかし現実には、現状の技術水準では、CATV等により的確な診療が行えないために医師は診察や治療を行うことができない。つまり医師法第二十条の無診察治療等の禁止の法律に違反してしまうからでございます。また、ファクシミリで送付された処方せん、これについては医薬品の適正な使用、管理、適正な医薬を確保する意味で、処方せんは、いわゆる元本だけが有効であり、コピーは許され
ていない。これは、言うならばテレトピア構想が先行をしてしまって、こういう問題を解決しない前にやるということになると、問題が起きてから大変じゃないかな、私はこういうふうに考えるわけですけれども、今申し上げた、厚生省との関係になるんでしょうけれども、在宅診療、健康管理システムの問題について郵政省は現在どのような対応を考えておられるか、これをまず一点お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/81
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082・塩谷稔
○政府委員(塩谷稔君) 鶴岡先生、テレトピア構想につきまして大変関心、御理解いただきまして、私ども大いに心強く感じておるところでございますけれども、今おっしゃいました、いろいろテレトピア構想の推進につきまして、いわばそういったものについて制約となるような課題が出現してくるということ、あるいは先生の今のお話ですと、まずそっちの方が先じゃないかというお言葉になるかと思いますけれども、そういう問題があり得るということ私ども十分承知している次第でございます。
で、私ども、このテレトピアを始めるに当たっては、いろいろ各省所管の情報通信システムについてどういうふうにそれを進めていったらいいかということで調査研究会などを催しましたし、各省庁との話し合いもやってきたわけでございますが、今お指摘の問題、これは実はテレトピア構想がまだ緒についたばかりでございまして、現実にそういう遠隔治療というようなことで、それが医師法との関連でどうとか、あるいはコピーの処方せんに基づいて薬を出すことが、これは医師法の関係でございますか、医師法の施行規則などの関連でどうなのかということにつきましては、率直に申し上げまして厚生省との間で詰めておるという段階ではございません。ただ、おっしゃいますとおり、これはもっとニューメディアが普及しまして、テレトピアで現実にこういう医療行為という問題が出てきた場合には当然その辺のことを考えなければいかぬわけでございますので、私ども問題意識として、例えば診察に当たって、こういうCATVを使って、テレビを使ってやるのがどうなのか、あるいはコピーで処方せんを交付することがどうなのかというような問題、これは詰めなければいかぬと思っておりますけれども、現在の段階ではそういう状況でございますので、いろいろこれから折に触れまた必要に応じて各省庁ともその辺話をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/82
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083・鶴岡洋
○鶴岡洋君 これからの問題であることは間違いございませんけれども、私が申しましたように、それが始まってから問題になってはいけないから私は言っているわけなんです。
今の問題と同じように、今度は二番目は労働省との関係ですけれども、在宅勤務についてでございますが、在宅勤務というのは、御存じのように家にいてパソコンを使い、テレビ電話、ファクシミリ等ニューメディアを利用して、そして家庭にいながらにして勤務を行う、こういうことですけれども、これは昔からあった自宅労働のイメージの延長ではなくて、通勤をいわゆる通信によって代替して、会社に対して自宅で勤務する、こういう新しい勤務形態であるわけです。この在宅勤務は、今までオフィスに来て働けなかった人、例えば身体障害者の方々、また長距離通勤のサラリーマンにとっては、これはまさに理想的な勤務形態ではないか、こういうふうに思います。
そこで、先ほど申しました問題と同じように、在宅勤務ができるようになった場合に、やはりそこにも問題が起きてきます。例えば、在宅勤務の場合出来高払いになると、大規模な工事をした場合、完成まで長期に時間がかかる。その間収入が得られなくなる。この場合のいわゆる労働基準法第二十七条の出来高払制の保障給の問題、また事業所内の労働と違い、在宅勤務では仕事が原因で負傷したり疾病にかかった場合のいわゆる労災保障の認定に非常に私は困難を来す、こういうふうに思います。こういう問題があるわけですけれども、郵政省として労働省とこういう問題については何か解決策といいますか、今言ったようにまだやってないようでございますけれども、どのように考えておられるか、現状はどうなのか、教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/83
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084・塩谷稔
○政府委員(塩谷稔君) やはりおっしゃいますとおり、この点もニューメディアとの関連でこれから大いに問題になる点でございます。
今おっしゃいました在宅勤務の場合と労災保障の関係でございますけれども、私ども問題点として考えられるのはこういうことではないかと思っております。
在宅勤務時におきまして災害等がありますという場合に、これはいろいろ問題がございまして、その仕事をやっている――ちょっと砕けた表現が当たるかどうか知りませんけれども、仕事をやっているときに発生したのか、あるいはそのほかの本来の仕事とは余り直接関係ないときに発生した災害なのか、あるいはまた、その仕事が原因で発生した災害か、そういうものの認定が、体が事業所へ出向いていって、そこで仕事をしているという場合に比べますと非常に難しいというようなこと。
それから、在宅勤務が一般化しました場合には、勤務時間管理について困難があるということで、これは勤務時間で管理するよりもてきた仕事といいますか、完成した仕事の量に応じて、それだけ仕事をしたんだなという認定になるのか、いわば勤務者の法的な地位が、現在の雇用契約から請負契約へ変わるということも考えられるわけでございまして、そうした場合には現在の労災保障の範囲外になるのではないかという、これはまた一つの理論として、問題点についての考え方として言えると思います。ただ、現実にじゃどうなるかということについては、また私ども先生の御指摘の点も踏まえまして、具体的な態様に応じて考えなきゃいかぬなという気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/84
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085・鶴岡洋
○鶴岡洋君 いずれにしても今後の問題として、今労災問題を取り上げましたけれども、難しいからこそやっぱり検討しなきゃいけないし、それならばさらにもっと具体的になりますけれども、三番目になりますが、これは通産省との関係になると思いますが、ホームショッピングですが、このホームショッピングというのは御存じのように、家庭に設置してある端末を使ってセンターと交信をとり、端末のディスプレイに表示された商品のいわゆる情報を次第によって限定していって、買いたい商品が表示されたときにそれを買うということで、発信操作によって後から、いわゆる販売者から自宅の方に現品が送付される、これがホームショッピングです。今テレビでやっているホームショッピングというのは、テレビも非常に鮮明になってきました関係上、これをと言えば、期間内に申し込めば大体その物が送られてくる、こういうことでトラブルもないでしょうけれども、便利にはなりますけれども、このホームショッピングについても私は問題点が出てくるんではないか、こういうふうに思います。
まず、今言ったように、ディスプレイに表示された商品と実際に送られてきた商品、これにいわゆる格差がある、こういう場合、また契約の解除や商品の取りかえが可能なのかどうなのか、こういうことも出てきます。消費者保護の立場からすれば、契約の解除や無効を主張できるとしても、実際にそれを立証することは、これまた難しい。
また、そこにクーリングオフという今法律がありますけれども、この適用についても、現行法では、適用開始は利用者への書面による告示がされたときからとされているが、ホームショッピングにおいてこの制度の適用を考える場合、その期間をどのように考えるのか、こういう問題が起きてくることは、これは間違いございません。
そういった場合に、通産省ときちっと――まあこれは法治国家ですから、通産省の法律、それから郵政省側のそれを利用する制度というのがあるわけですから、その辺をきちっとしておかないと、また問題が起きてから困るんじゃないか、こういうことを心配するわけですけれども、この点について、これはもう大分具体的になってきておりますから、前の二つよりも。どうお考えになってお
られるか、御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/85
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086・塩谷稔
○政府委員(塩谷稔君) 具体的な事例に基づいてお話しいただいたわけでございますが、私どももこの今のお話に当てはまる実例といたしまして、これは大分市、別府市でやっております日用品購入システム、これはキャプテン、画像情報のテレビなどを使って、いろいろな日用品購入システム、これが始まったばかりでございますけれども、こういうところでは恐らく、あるいはこれから先生今おっしゃったような問題も考えていかなければいかぬなという問題意識は持っております。
法律上の論点になりそうなところでございますが、先生おっしゃいますとおり、商品内容が表示された物と違った、届いた物が違ったという場合には、これは恐らく民法上の一般原則、要素の錯誤ですとか、そういったことで契約取り消しというような問題になろうと思いますし、また、クーリングオフの問題でございますが、これはいろいろ訪問販売等に関する法律ですとか、この法律施行規則を見まして、先生がおっしゃったような問題点がこの法律との関連で鮮明になるということはよく承知しております。
ただ、この点、これからこの訪問販売に関する法律も今度変わるようでございまして、これから取引の安定性ということと関係づけた場合どうなのかということで、電気通信メディアを利用した契約取引市場、これは実はちょっと前に専門家にも集まってもらって勉強した経緯もございますけれども、そういう契約取引市場との関連でこのクーリングオフはどうかなという、一応懸念は持っております。
いずれにいたしても、これは必要に応じまた私ども検討していきたい。先生おっしゃいますいろいろな問題点は、将来のニューメディアが社会に定着するときに今から考えておかなければならない重要な問題だぞという警鐘といいますか、御指示と承りまして、私どもこれも検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/86
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087・鶴岡洋
○鶴岡洋君 大臣、最後にまとめてお伺いしますけれども、事ほどさようにいろいろな将来の問題として出てくると思うんです。このほかに例を挙げればホームバンキング、家庭にいながらネットワークを経由して銀行システムの利用、こういうのもありますし、ホームリザーベーション、家庭にいて各種の切符とか施設の利用予約、こういうのもありますし、ホームディーリング、家庭で投資情報を入手して株式投資をするとか売買をするとか、こういうのもたくさんあるわけです。それはそれぞれに、私今申しましたように法的問題、いろいろな課題が出てくると思います。そこで、そのほかにコンピューター犯罪の問題やシステムダウンの損害賠償など、いろいろないわゆる高度情報化社会における陰の部分があるわけですけれども、そうした中で現行の法制度が、来るべきいわゆる高度情報化社会に対応が十分にできていないのが私は現状だと思います。将来の警鐘ということでございますけれども、警鐘どころではなくて、もう今やらなきゃならない、こういう段階に来ているんじゃないかなと、こういうふうに思います。
そこで、そういうわけですけれども、郵政省は五十九年の十二月だったですか、テレトピア懇談会の最終報告書の中にも既にこの問題についてはいろいろ指摘をしておるわけですけれども、今局長からお話しあったような現状はそういう状況であるわけです。そこで私が申し上げたいのは、こういう状況を踏まえてやらなければならないことですから、大臣に御提案申し上げますが、これらの問題は非常に広範囲な問題でもございますし、また各省庁間との連携をうまくやらないと、また法律を変えなきゃならない部分も出てくると思うんです。そういったことで、関係各省庁と郵政省が中心になって連絡機関というか、連絡対策機関というか、そういう機関を設けて、早急にこの法制度の整備等を含めて考える機関がつくれないものかどうなのか、その辺を大臣どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/87
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088・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 大変貴重な御提言をいただいたと思います。政治というのは、想像力をいかにたくましくするかということが、私は政治が新しい情報通信の大変な進歩の中に、そういうものでいろいろな民衆の生活の中で変化を来すことが多いと思います。先般も、もう既にテレビの画面で見たことでございますが、南の方の沖縄関連の諸島で、離島間のお医者様がテレビの前での患者を診察していらっしゃる姿を見まして、先生の今のお話、医師法の問題が、もう既に問題をもし提起しようと思えばそこに出てくると。その私が見ました番組の中では、患者も大変喜んで診察を受けているような状態がございましたが、もしそれで医事紛争なんか起こった場合には、それは大変難しい問題が出てくると思いますし、それから、今在宅勤務の問題でも労災の問題とか、そういう御指摘がありました。出来高払いでどうするのか、労働条件の変化にもなってきますし、それからまた、今御指摘のありました商品の取引の問題、テレマーケティングというやつは今アメリカで一二%、ドイツで五%、まだ日本じゃ商取引の中の一%だということを聞いておりますので、そんなに大きな問題にはなっていないようでございますけれども、そういう問題にいかに対応するかという機関を早期に設置する必要を、今お話を聞きながら、これは各省に呼びかけて、むしろ情報通信、電気通信の所管官庁であります郵政省が音頭をとる必要を痛感した次第でございまして、省内におきましてもひとつ寄り寄り協議をいたしたいと、かように申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/88
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089・鶴岡洋
○鶴岡洋君 次に、KDDにお伺いしますけれども、二、三点です。
国際電話料金でございますが、午前中及川委員の方からお話がございました。円高によつて差益も出るし、また時によっては円高によって差損にもなると。輸出の場合には差損になるわけですけれども、いずれにしても外国側料金との、いわゆる方向別格差について、現行の電信電話規則においても各「主管庁は、収納料金を定めるにあたって、同一の関係の双方向に適用される料金の間にいちじるしい不均衡が生じないよう努力すべきものとする。」と、こういうふうに規定されておるわけです。アメリカへ電話する場合、日本からアメリカへ電話する場合を一〇〇とした場合に、アメリカから日本に逆に同じ人が同じような用件でかけても、日本からアメリカを一〇〇とした場合に、向こうからの場合には六三、それからフランスの場合には、日本からフランスの場合を一〇〇とした場合に、フランスから日本の場合は七八と、こういう数字が出ているわけです。午前中もいろいろこういうことでこうなったということで御説明はいただきました。難しい御説明で私もよくわからないんですけれども、国民感情、庶民感覚として、私はまだまだ高いような気がしてならないわけです。
KDDは六十一年度にも大幅に国際料金の値下げをしてもいますし、数字的な表を見ますと、物価指数比較表を見ても消費者物価、電力料金から見ると確かに大分下がっているということはこれは事実でございますけれども、まだまだ高いような感じを受けますし、現実に今言ったように当人が、本人がこちらでかけるのとアメリカでかけるのが、これはこれだけの先ほど言った数字の格差があるわけです。また、こういうことでこの秋には値下げするとも聞いておりますけれども、どんな程度に値下げをするのか、その辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/89
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090・大山昇
○参考人(大山昇君) 先生御指摘のように、昨今の円高に伴いまして格差の問題が非常に大きく取り上げられておりまして、私どもも何とかこの格差の是正に努めたいということでこれまでも努力をしてまいっております。六十三年度につきましても、六十二年度の中間決算が年度当初の見込みに比べますと、かなりの増益増収が期待できるという見通しも得られておりますものですから、この六十三年度中には改めてこの料金の値下げを実施いたしたいと考えております。で、その際には方向別格差の問題についても十分配意をしたいというふうに現在のところ考えておりますが、値下げの規模あるいは時期等につきましては、六十二
年度の決算の数字あるいは六十三年度の収支の見通し等がもう少し明らかになった段階で見きわめてまいりたいと思っておりますので、いましばらくのお時間をいただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/90
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091・鶴岡洋
○鶴岡洋君 六月か七月になれば――五月か六月ですか、決算もわかるし、また六十四年度の予算も大体見当がつくわけですから、それを契機にぜひ値下げを発表していただきたいと、こういうふうに思いますし、また石井社長は値下げをする以上は思い切ってやりたいと、こういうふうにも言っておりますので、思い切ってやるということは、料金体系を何か具体的に変えて、その構想のもとに値下げをすると、こういうことになると思いますけれども、その点はどういう考えでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/91
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092・大山昇
○参考人(大山昇君) もう一度方向別格差の問題になるんでございますけれども、為替レートが固定相場制から変動相場制に移行いたしました結果、各国間での国際電話料金についても極めて大きなアンバランスが出始めてきておるわけでございます。したがいまして、この問題については、従来とはやや違った形で料金体系の中にある程度織り込まざるを得ないのではなかろうかというふうに考えております。しかしながら、料金体系の手直しについては、外国の相手事業者との合意等も必要になってまいりますので、今後しばらくその辺については時間がやはり必要になろうかと考えております。したがいまして、現時点では方向別格差をある程度考慮に入れた料金体系ということを申し上げて、具体的にはまだこういう体系に変えますというふうに申し上げる段階にはなっておりませんので、もうしばらく時間をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/92
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093・鶴岡洋
○鶴岡洋君 KDDさん、いいですよ。
次に、電話料金についてお伺いします。
電話料金が結論から言えば高いと。どう考えているかということですけれども、市内通話料金でございますが、前国会でもこの点取り上げまして申し上げたんですが、NTTの市内通話料金は、三分間に限って見れば確かに諸外国と比較して安いわけです。三分の場合には安いわけですけれども、六分の場合は日本が二十円でアメリカが十四円ですか。西ドイツが十八円、フランスが十九円。十分の場合を考えると、日本が四十円でアメリカが二十三円、西ドイツが三十六円、フランスが十九円。一時間の場合には日本が二百円でアメリカが百十三円、西ドイツが百四十二円、フランスが五十八円と、こういうことになっているわけでございます。
そこで、この日本の近距離通話の一通話の平均は三・六分と、こういうことになるわけですけれども、これを考え合わせると、私はまだまだ高いと、こういうふうに思いますが、NTTさんの方で、この点についてどういうふうに今現在お考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/93
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094・草加英資
○参考人(草加英資君) お答えいたします。
今先生御指摘のように、市内通話料金三分は世界的に見て割安でございますが、六分、九分、十二分ととってまいりますと、確かに御指摘のように高くなっております。私どもといたしましては、今後この近距離または市内通話料金をどのようにするか、総体的に検討いたしているわけでございますが、一つは、まず世界的に見て非常に割高である遠距離通話料金を今後さらに下げていくという問題もございます。
それから、今先生御指摘のように、平均の通話時間はおっしゃるとおりでございますが、三分以内に終わる通話というのも、統計をとってまいりますと過半数を占めるという数字もございます。そのようなことから、現在の三分十円というものは利用実態に合った料金であるというふうに私どもはとらえておりまして、今後遠距離通話料金の引き下げとあわせまして、市内通話料金をどのようにするか考えていくわけでございますが、財務の許す限り、できる限り現行料金水準を維持していくということをいたしていきたいというのが現在の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/94
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095・鶴岡洋
○鶴岡洋君 今は電話回線は通話だけではなくて、私が申し上げたいのは、ファックスやパソコン通信など、いろいろな用途に使われるようになってきたわけです。私は三分間十円の料金を、これを七円にしろとか半分の五円にしろとかと、こういうふうに言うつもりはございません。通話時間を三分から五分、十分というように長くすることによって、これがファックスやパソコン通信の需要が伸びるだろうと。結果として増収に結びつくんではないかと、こういうふうに思うので、今の常務さんのおっしゃったのとちょっと逆になりますけれども、数字を出して検討してみたらどうなのかなと、こういうことでございます。フランスでは一分から十分まで単位料金で、日本円で十九円、十九円で通話ができると。また、カナダのある会社では、料金に定額制を導入していると、こういうことも聞いております。いろいろな方法があると思いますけれども、NTTさんの方でこのような問題は検討に私は値するんじゃないかと、こういうことで申し上げているわけでございますけれども、検討はなされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/95
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096・草加英資
○参考人(草加英資君) お答えいたします。
現在、電話回線を通じまして通話、または先生が御指摘のパソコン、ファックスその他いろいろな通信が行われているわけでございますが、将来ディジタル化を進めていきますと、つい先ごろ認可申請いたしましたISDN、ISネット料金というものを我々はこれから進めていきたいと。このようになりますと、このISDNの設備を使いますと料金が非常に割安で、ファックス、データ、パソコン等の通信が送れるというような見通しもあります。もちろんこのISDNは一気に普及するものではなしに、十年、二十年と全体に普及していくまでには時間がかかるわけでございますが、そういう意味ではこのISDNがどのように普及していくか、それから電話料金を遠距離、中距離、近距離または市内に分けてどのように扱うかというようなことにつきまして総体的に検討し、ただいま先生のおっしゃいましたような御意見も十分に加味いたしまして、今後抜本的な検討をしていきたいと、このように思っておりますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/96
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097・鶴岡洋
○鶴岡洋君 今その抜本的な検討と言いますけれども、その中の一つに入るグループ料金ですけれども、時間がないんで、その後長距離電話料金のことやいろいろ聞きたいんですが、一つだけ最後にこのグループ料金制についてお伺いをしたいと思うんです。
市内料金の問題とともに近近格差のこのグループ料金のことですが、近近格差の解消をするために、その解決策として当委員会でも何回もこの問題は取り上げられております。この何年来というか、そのたびにおたくの方からの答弁は検討しますと、こういう答弁で終わっているわけですけれども、これが去年だけではなくて、おととしも、さきおととしも、昭和五十一年、五十六年、五十九年もあった、また今回もこういうことで言うわけですけれども、じゃ端的にお聞きしますけれども、検討してもだめなのか、それともこのグループ料金制については、だめならばどんな理由なのか、この点をお伺いしたいんですけれども、端的に申してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/97
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098・草加英資
○参考人(草加英資君) 私どもは近近格差を解消するために、グループ料金制は非常に有効な手段だというふうに考えております。
検討と申しますのは、財務の面から、この近近格差を解消する場合の財務に及ぼす影響、遠距離をどのように下げていくか。先ほどから申し上げております全体の中でこの近近格差の解消を取り上げたいと、このように思っておりますので、先ほど申し上げましたが、抜本的な是正をする中で、このグループ料金制も一つの有力な手段として採用させていただきたいと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/98
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099・鶴岡洋
○鶴岡洋君 しつこくなりますけれども、参議院のこの当委員会の附帯決議でも何回もこれは言っているわけです。それが一年、二年ではなくて、もう五年も六年も十年も前から言っているわけで
す。それが抜本的な改革ということでその中に入ってしまって、それでほかのと一緒になって抜本的改革だ、抜本的改革だということで延ばされては、これはいいということはわかっているわけですから、じゃ、このグループ料金制だけについてどこまで検討されているのか、具体的にどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/99
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100・草加英資
○参考人(草加英資君) グループ料金制をとった場合の通話交流の状況、さらにはそれが財務に及ぼすと申しますか、現在の三分十円の範囲が広がるわけでございますから、それがどの程度の減収になるか。果たして三分十円のままでグループ料金制はとれるか、それ以外の方法があるかというようなことにつきまして、あらゆるシミュレーションを行って検討いたしております。くどいようでございますが、これらを全体の是正の中でかみ合わせて、採用するかしないかの結論を全体の中で出していきたいと、このように思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/100
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101・鶴岡洋
○鶴岡洋君 時間ですからこれで終わります。この後は次回に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/101
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102・山中郁子
○山中郁子君 きょう初めて新中山郵政大臣にお尋ねする機会を得ましたので、簡潔にお答えいただければ結構でございますが、私ども共産党は、既に労働時間短縮による週休二日制の実現をかねてから主張してきたところでありまして、御承知いただいていると思います。同時に国民のニーズにこたえることの重要性、特に公的機関の任務として国民へのサービスダウンをもたらしてはならないという点も重視して強調してまいりました。
今回の郵政大臣の発言をめぐっては既に当委員会でも議論がありましたけれども、私は一点だけ大臣にぜひとも御努力されることのお約束をいただきたいと思いますことは、日本の一つの重要な要素でもあります中小業者の皆さん方を初めとする国民の方々の金融機関に対するさまざまな要求があります。それも御承知のとおりだと思います。そういう国民の要求を結果的に切り捨てることになるような、あるいはサービスダウンをもたらすようなことは避けていく努力をぜひともあわせて取り組んでいただきたいというところでございますので、御所見とお約束をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/102
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103・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 先般いわゆる土曜閉庁、来年の二月から検討してはどうだろうかということを発表いたしまして、その際にも我々が特に配慮をしなければならないというのは、二律背反みたいになりますけれども、週休二日にしながらいかに国民の皆さんに御迷惑をおかけをしないようにするかということ。特に、北海道あたりからは生もののサケなんかが随分本土の方へたくさん来るようでございますので、そういうものがいかに鮮度を保ちながら全国に配られるかということが大きなサービスの眼目になると思います。
週休二日によって、これは特定郵便局の局長さんなんかからお電話をいただいた中に、今までは日曜日も自分の家庭でいろいろな書類の整理をしたりしましたが、週休二日になって土曜閉庁ということになりますと、本当に日曜日が休めますという話を聞きましたり、また、私の友だちに有名な吉本興業の副社長の中邨君、私、高校の同級生なんですが、彼はこれで金曜日の晩にもショーができるということを言っておりました。イベントがたくさんできて、これである意味のいろんな経済活性化につながっていって、別の部分が活性化されてくるというふうな大きなほかへの効果もありますでしょうが、伝統の郵便事業自体の中で私どもが努力してまいりましたことが崩れませんように、また組合の皆さん方、それぞれ休まれる方と、またその際にサービス徹底のためにお働きいただく方々の問題というのもあわせ考えまして、今の先生の御指摘のようなことに特に配慮をしながら、そのためにも最大限その実施期間を短縮をしながら、来年の二月ぐらいというめどをつけましたのは、その間にいろいろと配慮をしてまいりたいということの時間的余裕が来年の二月だとお考えいただきましたら大変好都合だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/103
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104・山中郁子
○山中郁子君 具体的な問題になるとなかなか理屈どおりにいかない点も多うございましょうし、また、しかるべく議論させていただく機会もあると思います。
次に、NTTの皆さんにはお忙しいところお出かけをいただきました。幾つかの点についてお伺いをいたします。
初めに、SDIの研究参加の問題についてであります。これは、私どもはもちろん、日本がSDI研究に参加すること自体に反対している、そういうスタンスをとっておりまして、かねてから主張してきたところは御承知のとおりだと思います。その上に立ちまして、NTTにお伺いをしたいのでありますけれども、六十一年三月に、SDIに関する官民合同調査団がアメリカに行きました。その際にNTTの子会社であるNEL、つまりエヌ・テイ・テイ エレクトロニクステクノロジー社、この会社が参加しました。この点についても私どもは国会の審議におきましても重視をし、取り上げ、日本国内の公衆通信業務を営むNTTの関連子会社が軍事研究に参加することになるというのは反対であるということを申し上げてきました。公社民営化法案審議の際も、アメリカの軍事技術団から公社研究所を視察したいという申し入れがあったけれども、当時の電電公社当局は直接関係がないと、軍事研究ということについては関係がないということでこれを断ったという経過の説明も受けたところでございます。私はそれは当然のことだというふうに思います。
そういう前提に立ちまして昨年の十一月、アメリカの国防総省によるSDIに関する説明会がありましたところ、私どもが問題にいたしまして、そのときはSDI研究に参加するということを関連子会社であるNELが意思表明していたわけですけれども、この国防総省による説明会には参加をしておらないというふうに私どもは認識をしていますけれども、この事実に間違いはないだろうというふうに思います。そのことと同時に、今後ともやはり今私がずっと申し上げましたような、そして既に国会でも何回か議論をしているようなそういう立場に立ちまして、やはりNTTとしては、こうした関連子会社がこの研究に参加することがないという方向をとっていかれるというお約束をしていただきたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/104
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105・宮津純一郎
○参考人(宮津純一郎君) NTTの取締役の宮津でございます。
お答え申し上げます。
NELのSDIの調査団参加に関連いたしまして、六十一年の暮れに決算委員会のときだと思いますけれども、いろいろ御質問をいただきまして、それでそのときにNTTといたしましてこういう考え方で臨みたいというようなことを申し上げました。それで今先生から御質問ございましたので、そのときのことを整理しながら私どもの認識をちょっと……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/105
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106・山中郁子
○山中郁子君 それは知っているの、私も。よくわかっていますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/106
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107・宮津純一郎
○参考人(宮津純一郎君) よろしいですか。ああ、そうですか。一応そのときにいろいろございまして、SDIに対して、NTTとして関連会社も含めて現時点で参加したいとは思わないというか、参加しないことで考えていますというふうに申し上げまして、その後そのままの状態でずっと推移してきておりまして、考え方は変わっておりません。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/107
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108・山中郁子
○山中郁子君 ちょっとわからなかったんですけれども、NELが参加、例えば昨年の国防総省の説明会に参加していませんですよね。そういうことも事実であるし、今後も参加する意思はないと、こういうふうにとってよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/108
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109・宮津純一郎
○参考人(宮津純一郎君) お答え申し上げます。
先生おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/109
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110・山中郁子
○山中郁子君 次の問題は盗聴問題であります。
これも既に何回か委員会で取り上げ、さまざまな角度から審議をしてきたところであります。きょうは一点だけ御説明をいただきたいわけですけれども、この問題はまたさらに新たな進展を見せているという点で大変重要だと思いますので、若干それらの状況について私どもの認識を申し上
げますけれども、我が党の幹部であります国際部長の緒方さんの家の警察による盗聴行為が発覚したことから今回の事件が一つ大きな問題になってきました。この問題は検察の不起訴処分、また、職権乱用に関する地裁判決も、警察による組織的犯行であると認めているにもかかわらず、要するに隠れてやれば職権乱用に当たらないなどという、およそ常識では考えられないそういう判断を示して、大変大きな社会的批判を浴びているという状況が今生まれています。
一から私は講釈を繰り返すつもりはありませんけれども、まさに基本的人権の侵害、民主主義の根底にかかわる問題であるという、そういう重大な様相はますます強まってきていると言わなければならないと思います。その後、我が党だけに限って言いましても、上田副委員長宅への盗聴、それから町田の市会議員宅への盗聴、さらに我が党だけではなくて、御承知のように自民党の代議士の方のところの盗聴だとか、あるいは町長選挙が行われているところでの候補者への盗聴、さらには組合幹部への盗聴、そうしたことが陸続として発覚してきている。しかもこれはまだ氷山の一角だという状況があります。そうしたこういう盗聴行為に対する国民の怒り、それから関心が非常に今高まっています。私ども共産党は、こうした卑劣な行動に対して、あくまでも根絶するために今後も努力もし闘っていくものでありますけれども、ぜひひとつ通信の秘密に責任を持つ事業に携わるNTTとして、さらに責任ある盗聴根絶のための御努力を進めていただきたいというのが、きょうお伺いをする私の立場であります。
繰り返して申し上げるまでもないと思いますけれども、今までもNTTの側でもっと合理的な盗聴防止策というものが、考えていただくことができるんじゃないか、またそういう責任があるんじゃないかということを申し上げました。具体的には、私もここの委員会でもお尋ねをしてお約束もいただいたと思うんですが、巡回保守だという、そういうことだけでなくて、盗聴というのは、電電公社の財産である施設に異物を取りつけるということがどうしてもあるわけですから、その異物が取りつけられたものを発見するための新たないわゆる機器類の開発、そういうことによって、より合理的な、より全体的な盗聴予防ということが、これだけのハイテクの世の中で、これだけの技術が開発されている世の中ですから、当然求められて研究も進められてしかるべきであるし、また、当逓信委員会におけるそのときの私の要望なり要求なりに対して、当時たしか高橋さんの御答弁だったと思いますけれども、そういうことも検討を進めていきたいというふうにいただいたと記憶しております。ぜひひとつそういう重要な課題でありますので、その辺の検討がどのように進められているか、どういう見通しが私どもとしては持てるのか、持たせていただけるのか、その辺のことを簡潔にお答えをいただきたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/110
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111・村田忠明
○参考人(村田忠明君) ただいまの先生の御質問に対してお答え申し上げます。
盗聴の発見とか、あるいはその監視装置の開発ということでお尋ねいただいたと認識いたしますが、現在私どもの電気通信設備に異物が取りつけられるとすれば、その場所は、いわゆる電話回線とそれから保安器、もう一つは、電話機そのものといったような三カ所に大別できると思います。そういうことでありまして、また異物自体も、盗聴器といったような異物自体も大変最近技術の進歩が激しゅうございまして、いろんな種類のものが開発されております。私どもといたしましても、これまでにそういう状況を踏まえて、何とか異物を発見できないか、取りつけられている状態を探知できないかということで、いろいろな角度から検討してまいりました。
しかし、先ほども申しましたように、異物自体が取りつけられる場所が区々であるということ、それから異物自体が非常に技術的進歩が進んでおって区々のものが出ておるということ、それからもう一つは、お客様がお使いになっておられる電話機自体も日進月歩でいろいろなものが出てまいっております。したがいまして、すべてのものを言うなれば一発で見つけるというような確度の高い監視装置、あるいは試験機といったものの開発がなかなかできないということで手間取っているところでございます。ただし、そうも言っておられませんので、一生懸命今開発検討を進めておりますので、その辺の御事情をお認めいただいて、御理解を賜りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/111
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112・山中郁子
○山中郁子君 私がお伺いして高橋さんが答えてくださったのは、昨年の五月二十一日の逓信委員会なんですね。大体それと同じ御答弁なんで、もうちょっと見通しを伺いたいですね。そういう展望が開けてはいる、可能性はあると、ただ時間がかかるとか、もうちょっと手ごたえのある御答弁がいただけないものでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/112
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113・村田忠明
○参考人(村田忠明君) お答えいたします。
私申し上げましたのは、一生懸命やってはおるんですが、一〇〇%確実に探知できるのがなかなかできかねるということで、そのパーセンテージを上げるために今努力をしているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/113
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114・山中郁子
○山中郁子君 そうしますと、技術的には大いに可能性があると、そういう具体的な展望というんですか、そういうものは開けたと。それをより正確に一〇〇%、まだ今何%の確率で可能性があるのかということまではわかりませんけれども、おっしゃってないからわからないけれども、それを一〇〇%までにするために今努力しているんだということで、具体的な盗聴予防が機器類によって行われる段階というものを私たちが期待してよろしいと、このように受けとめてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/114
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115・村田忠明
○参考人(村田忠明君) おっしゃるとおりでございまして、まだ今現在は非常に確度が低い段階でございまして、一生懸命やっておりますが、私どもの試験機の開発状況と、それから異物の方の新しいものが世の中に誕生するテンポとが、これは一つの追いかけっこみたいな状態になっておりまして、私どもがきょう時点で大体いいところまでいったなと思うと、あしたはそれがもう陳腐化しているというような状態のところがございまして、非常に歯がゆいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/115
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116・山中郁子
○山中郁子君 私どもも大変歯がゆいんですけれども、そういうやり方しかないのかと逆に思うわけで、これ以上ちょっとこれで時間とれませんので、もう一つだけ伺わせていただくのは、あなたは大変まだちょっと確度が低いとおっしゃるけれども、どのくらい、今の確度は。五〇%ぐらいのところまで来ているけれどもとか、七〇%のところぐらいとか、ちょっと判断の材料を教えていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/116
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117・村田忠明
○参考人(村田忠明君) 大変申しわけないんですが、まだ実験に取りかかったばかりでございまして、数値を確実につかんでおりません。データを今集計中でございまして、パーセンテージを正確に申し上げることがなかなかできないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/117
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118・山中郁子
○山中郁子君 もちろんまじめにやってないというふうに申し上げるつもりはありませんけれども、事の重要性に照らして、それからまた、それの問題に関するNTTの社会的責任に照らして、一層努力をし進めていただきたいということを重ねて強く申し上げておきたいと思います。
次の問題は、これも昨年の五月の逓信委員会で私が指摘をした問題との関連でありますけれども、電報問題であります。
一一五の現状、つまり電報ですね、の受け付けが大変ひどい状況にあるということは、かなりいろいろなデータをお示しして私は改善を要求いたしまして、NTTの方でも改善するというお約束をいただいたわけですけれども、現状はやはり改善されていないだけではなくて、むしろ悪くなっているという状況だと思わざるを得ません。
それで、現場の人たちのお話を聞いたり何かしますと、「テキサス」という新しい電報システム、機械ですね、これの容量が少な過ぎることが一つは問題だと。明らかにこれは容量設計ミスじゃな
いかという、そういう現場の技術者なり担当者の人たちの判断があるんですよね。ですから、私はまず「テキサス」の容量設計を見直す必要があるんではないかと思うんですが、この点についてはどのように考えていらっしゃるか、まずそれをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/118
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119・鴨光一郎
○参考人(鴨光一郎君) お答え申し上げます。
現在、電報につきましては慶弔用が大部分、約九〇%を占めている状況にございます。シーズンによりまして利用通数の変動が大きくて、なおかつ特定日への集中が著しいというふうな状況にあるわけですが、そうしたピークの特性、これは先生よく御案内のとおりでございますが、それに対処するために受付席の増設、それから臨時雇いの雇用、あるいはファックスの通信、それから事前発信の勧奨というふうなことに含めまして、ただいま御指摘のございました設備の増設にも努めて、サービスの維持改善に努力をしているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/119
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120・山中郁子
○山中郁子君 同じ問題で関連してもう一つお伺いをしたいのは、特に東京中電の場合なんですけれども、東京中央電報局の一一五というのは東京市外電話局の一〇四番の交換台に入ってくるんですよね。それで、それが振り分けられて東京中電に入ると、こういうシステムになっているので、そのために今おっしゃったように、慶弔電報が多いでしょう。だから大安の日などは全部一一五がわっと入ってくるものですから、一〇四、つまり番号案内の方がみんなパンクしちゃうんですね、という状況があるんです。話中になるという状況ですね。ですから、つまり、もろに響いちゃうわけです。この大安の日などになりますと、東京市外電話局に入る一〇四がみんな一一五に持っていかれるという。そういう状況が響くわけですので、この点の改善、つまり、切り分けるということだと思いますけれども、改善方を考えていらっしゃると思うのですが、ぜひ考えていただきたいということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/120
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121・西脇達也
○参考人(西脇達也君) お答え申し上げます。
先生御指摘のように、一〇四と一一五と入ってくるところの交換機は同じ交換機を使っておりますが、確かに大安日等には電報が集中するために、非常に交換機自体があふれるような状態というのは時々ございました。それで、昨年度設備の改善を行いまして、現時点ではそのような事態はほとんど起きておらないと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/121
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122・山中郁子
○山中郁子君 改善したんですね。したということ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/122
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123・西脇達也
○参考人(西脇達也君) 昨年度改善をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/123
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124・山中郁子
○山中郁子君 じゃまたもう一度具体的に私の方も調査をしたいと思います。
それで、この電報問題で、最後にやはりちょっと大臣に御見解も伺い、ぜひお約束いただきたいと思うんですけれども、今のNTTの方たちが、私ごく関連の問題で幾つかお尋ねして要望しただけですけれども、改善のために努力すると、こうおっしゃっておられる。実は真藤社長が以前に、電報はね、安楽死させるという方向だというようなことを述べたというふうに業界紙に報道されていたことがあったりいたしまして、これはやはり労働者にも大きな脅威を与えますし、慶弔電報大変需要が多いというお話もありましたけれども、いわゆる生活習慣の中で定着しているそういうものですから、需要がなくならないということと同時に、もっと潜在需要があるんですね、受け付けが物すごく、もうみんなはね返されるみたいな状況がありますので。ですから、そういう安楽死させるみたいな、そんな真藤さんの表現にあらわされるような方向ではなくて、さまざまな工夫も必要だろうし、とは思いますが、国民のニーズにこたえられるような、生活習慣の中での定着しているその方向を発展させていくような御努力をお願いしたいということで、御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/124
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125・奥山雄材
○政府委員(奥山雄材君) 電報の現況並びにその改善状況につきましては、先ほどNTTの関係者の方々からるる御説明があったとおりでございます。
NTTとされましても、電報事業の収支の改善あるいは需要喚起に鋭意努力をしておられるところでございますが、今後の電報事業のあり方につきましては、電報の取り扱い状況の今後の変化といいましょうか、利用状況の変化がどうなるのかといったようなこと、あるいは他のさまざまな通信メディアの中で電報がどういうふうに位置づけられるべきかどうかといったようなことを総合的に考えまして、いずれにいたしましても、せっかくNTTで今努力中でございますので、その推移を見守ってまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/125
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126・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 今局長がお答えを申しましたようなことでございましょうが、安楽死というのは、まだ一般社会でも刑法上の犯罪でございますので、自然死ならばいいと思いますけれども、そんな意味で、国民のニーズに従った方向でひとつ私どもも検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/126
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127・山中郁子
○山中郁子君 何か安楽死じゃなくて自然死だということではないんでしょう。言葉をそういうふうにおっしゃっただけでしょう。要するに、電報に関する国民のニーズにこたえるように努力をすると、そういうことで受けとめてよろしゅうございますのね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/127
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128・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/128
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129・山中郁子
○山中郁子君 不規則発言が多いからわからなくなるのよ。
次に、私は今NTTの現役、OBの管理職でつくっている全国電気通信協議会なるものについてお伺いをしたい。これは略称電通協というふうに言っているようであります。この電通協なるものの「会報」というのがあります。これは一九八八年一月号、発足以来五号を教えているわけですけれども、ここで「新しい年を迎えて」というところに会長である井上俊雄さん、この方は元電電公社の理事でいらした方だと思いますけれども、この方が、
当会の規模は順調に拡大成長を遂げており、昨年末には個人会員数は約六万名、内NTT現役会員数は四万五千名、OB会員数は一万五千名となり、一年前に比して約一万名増加いたしました。また、法人会員数も団体加入十団体、個別加入十法人となり、外に賛助会員としてNTTとテルウェルに加入していただいております。
と、このようにごあいさつの中に述べておられます。
それで伺うんですが、その前にちょっと確認というか、申し上げておきます。
NTTも十分御承知のことだと思いますけれども、この電通協なるものは、まず会長は今申し上げました元電電公社の理事であります井上さんという方ですけれども、顧問米沢滋、秋草篤二、そして真藤恒、北原安定と、こう元、前、元、現。社長、総裁、社長、それから副社長。それから副会長は武田さん、山本さん、好本さん、こういうふうに全部、それから常任理事、理事と、みんなもう現役の、あるいはOBの電電公社、現在はNTTですけれども、そのもうトップクラスの幹部が全部占めているんですね。だから、電通協なる別な形をとっているけれども、内実はNTTの人々によってつくられているものだということは、これはもうはっきりしています。時間がないので、私は一つ一つ確かめませんが、そういう資料は全部あります。皆さん方もそのとおり御承知いただいていると思います。その上に立って申し上げますが、この電通協なるものはいつ設立したのか、それからここの、井上さんがおっしゃっているように、賛助会員として加入をされているのかということですね。それで、会費は幾らお払いになっているのか。創立時には寄附をなすったのか、どのくらいの寄附をなすったのか、この四点をちょっと簡潔にお答えいただきたい。これは事前にお願いしてありますので、お答えいただけると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/129
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130・児島仁
○参考人(児島仁君) 今先生おっしゃいました全国電気通信協議会というのは現在存在しております。
これはちょっとだけ御説明さしていただきたい
と思いますが、民営化になります前に国会でも大変な論議がありましたように、私ども社内の現役の中にも大変な議論、賛成、反対の議論がございました。特に、OBと現役の間にまた非常に見解の乖離がございまして、大変な議論がございました。民営になりますときに、いずれにしてもその新しい組織体は電気通信事業のために生々発展していかなければいかぬ、そのためにはOBと現役の意思の疎通をしっかりやらにゃいかぬという目的を持ってつくったものでございます。それが五十八年の十一月、ちょうどこの論争が非常に激しくなってまいりましたときに、そういったものをつくっております。
それから、個人の会員の会費は年に千五百円を取っております。
それから、先ほどNTTからのお金ということですが、それら私どものOBと現役が自主的な意思を持って運営しているものでございますから、その運営の経費として何ほどの補助をしなきゃいかぬということで、年額二千万円を事務経費として拠出をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/130
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131・山中郁子
○山中郁子君 年額二千万円というのは、千五百円の会費というのとは全く別にNTTの経理から出しているということでありますかということが一つと、創立時に幾ばくかの寄附をされていますかという質問にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/131
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132・児島仁
○参考人(児島仁君) ただいまも申し上げました二千万円というのは、NTTから直接支払っておる額でございます。それから、設立の際には出資はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/132
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133・山中郁子
○山中郁子君 私が今ここで問題にしようと思いますのは、短い時間でありますのでわかりやすく申し上げますが、これが、この電通協がいわゆる特定政党、特定候補者への支援、支持をその中身としているということで大変重要な内容を持っているということなんです。
それで、年会費千五百円だそうですから、実際は九千万円の収入になると思います。井上さんがおっしゃっているように、六万人とすれば九千万円の収入だというふうに思いますけれども、これの関連でお伺いをしたいのは、昨年の十二月三日付で出した「臨時カンパの徴収について」という文書があるんです。これは皆さん、もう皆さんお入りになっていらっしゃるわけだからおわかりだと思いますが、「各事業部等電通協現役世話人」あてに出した文書です。それで、「臨時カンパの徴収について」という表題であります。差出人はだれかといえば、「総務部電通協現役世話人」ですね。だから現役世話人の大元締めである総務部が現役世話人の各事業所にいる人たちに出した文書、いわゆる指示通達文書ですわ。その中身は、要するに、だからそういう点ではすべての事業所にそういう世話人を置いて、それでこの電通協なるものを組織しているというのが実態です。カンパの趣旨がこのように書いてあるんですね。「昨夏の」、昨夏ということは、つまり昭和六十二年の十二月の文書で昨夏、昨年の夏ですから、一昨年の同時選挙のことを言っているわけです。
昨夏の総選挙においては、管理者の皆さんの物心両面にわたる御協力を得つつ電通協として全国的に総力をあげて取組み、多大な成果をあげることができました。
まことにありがとうございました。
関係方面より、極めて高い評価をうけており、今後の運営諸般に極めて良好な影響を及ぼすものと期待されます。
まず、こう書いてあるわけです。それで、また今後ともこれは引き続きやっていきたいということで、
昨年に引続き、また今後継続的に管理者の御協力を得たいので、よろしくお願いします。
と、こういう文書になっていまして、実施期間が、年末賞与が出る十二月十日から月例給与が出る十二月十八日にかけて、それで役員・理事は二万円、副理事は一万五千円、参与と副参与は一万円、参事は七千円、副参事は五千円と、金額まで全部明示してあるわけよね。
そして、特にこれが、あなたがおっしゃるような任意の希望者によるものでないということの証明としてだれも疑わないと思いますが、そのお金を口座へ振り込んでくれ。その振込先が全国協議会代表広野修三、これは総務部長ですよ。現職の総務部長でしょう。そして、振り込んだら写しを今度は総務部世話人に送付してくれと。これは雨宮さんといって、これは総務課長でしょう、現職の。これは自由な意思に基づいてやっているなんというものじゃない、そういうこととはほど遠いということはもう申し上げるまでもなく明らかだと思いますけれども、いずれにしてもこのようにして集めたお金を、「物心両面にわたる御協力」でしょう。集めたお金をどういうふうに、どこへ使ったんですか。総選挙で使ったわけですからね。そして、たくさん関係方面から極めて高い評価を受けたというわけね。
ここのところは非常に私は重要な問題をはらんでいると思いますので、まず初めに、一体この物心両面の援助は、そして管理者からこのようにしてみんな集めて、もし仮に二万円から五千円まで、ほぼ、そうですね、私の在職していた当時の、それからその後の調査によりましてもいわゆる役職員は二割近くいると思いますから数万、四、五万という数字になると思います。その数字が明確になればお示しもいただきたいですけれども、そういう人々が仮に一万円平均出したとしても、四万五千人いれば、現に井上さんは現役が四万五千人だと言っているわけでしょう。だったら四億五千万のお金ですよね。四億五千万のお金を経常運営費が九千万円であるはずの団体が集めて、そして総選挙で使ったというわけでしょう。支援したというわけ。一体、どの政党のどの候補者にお金を幾ら渡したのか、これはぜひ明らかにしてほしい。私ども共産党は、電通協なる団体からもちろん何の支援も受けてはおりません。ですからきっと特定の政党に御支援をされておられるんだと思います。多大な成果をおさめたというから、支援された候補者の方はきっと当選をされたんだと思います。だから、どの議員の方々に電通協からのお金が行ったのか、お示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/133
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134・児島仁
○参考人(児島仁君) 最初にお答え申し上げますけれども、ただいま先生御指摘の諸活動というものは、この電気通信協議会、これの名において行っているものではございません。さらに申し述べますと、当然のことながらNTTの名において行っておるわけではありません。両方とも関与しておりません。たまたまその電気通信協議会の構成メンバーの現役の一部の諸君が、自分たちの意思をもって一種のお金を集めて、それで諸活動に充てようということでやっておるものでございまして、NTT並びに全国電気通信協議会として主体性を持って関与しておるということは全くございません。したがいまして、どの先生にどういうふうにお金を使ったかということは、私どもとしては全く関知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/134
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135・山中郁子
○山中郁子君 あなた、副社長自身はメンバーにお入りになっていらっしゃらないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/135
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136・児島仁
○参考人(児島仁君) 私は入っておって、多分お金も払っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/136
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137・山中郁子
○山中郁子君 そうなんですよね。だからここでおっしゃっているように四万五千人、現役役職員全部入っている。それで私は一万円、二万円から五千円で平均すると、仮に一万円とすれば四万五千人、現役だけだって四億五千万じゃないかと今申し上げましたけれども、あなた関知しないというふうにおっしゃるけれども、現場の、現職の総務部長がこういう文書を流して、そして金を集めて、各事業所に、四万五千人といったら全部でしょう、全部の役職員じゃないですか。NTTの役職員は何人になるんですか、そうしたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/137
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138・児島仁
○参考人(児島仁君) この数の数え方はちょっと私にはわかりませんが、私どもがいわゆるかつて指定管理職というふうな言い方をしておりますのは三万人を切っておると思います。したがいまして、自発的に入っておる管理職でない諸君もこの中にはあるいは数えられておるんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/138
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139・山中郁子
○山中郁子君 そうすると、なおさらのことそれ
は広がっているというふうに思いますけれども、いずれにしても役職員で四万五千名の人々が構成するその電通協なる団体が莫大なお金を集めて、そしてこの人が、この会長が実際に言っているわけですからね。そしてさらにこの中で、臨時カンパの徴収をすることによって、総選挙において大変役に立ってありがたかった、そして大成功をおさめたということを言っている点は、あなたがおっしゃるように、任意の人々が任意にやっているなんという問題じゃないという、そんな規模のものじゃないということをまず私は一度、初めに明らかにしておきたいと思います。
それからその一万円、私は正確にわからないから、ならして約一万円というふうに言いましたけれども、そうだとすると、例えば四万五千人なら四億五千万、一万じゃなくて、ならせばもう少し下がるというなら、四億五千万がもう少し下がるかもしれません。その辺は、ならすとどのくらいの会費というか、臨時徴収金額になるんですか。その辺はおわかりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/139
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140・児島仁
○参考人(児島仁君) 結論から申しますと、わかりません。と申しますのは、その四万五千人のうちで、そういった少しお金を集めようじゃないかという呼びかけに対して、一体何人が応募したのかもわかりませんわけでありますから、ちょっとその総額については私確認しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/140
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141・山中郁子
○山中郁子君 私は、ですからそれをお調べいただきたい。集めているのが総務部長だからわかるはずなのよね、ちゃんと写しも来るんだから。だから私は事前にそのことを申し上げて、きょうもこの委員会に広野さんにおいでいただきたいということを要求しておりました。隠そうとしているという以外に理解のしようがありません。わかるわけでしょう。雨宮さんのところに、雨宮さん、つまり総務課長のところに写しを送れって、こういう指示が出ているんだから。そして、それを広野さんの名前で、現職の総務部長がその指示を出しているんだから、調べようと思えばわかるわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/141
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142・児島仁
○参考人(児島仁君) 人間二面的、あるいは三面的な役職を持っておるわけでありまして、この広野君はたまたま総務部長でございますけれども、これは後で総務部長になったんですが、彼は個人としての活動をしておるので、先生の御質問があるというので、私も慌ててその資料を読んでまいりましたが、肩書きは総務部長ではなくて、広野が世話人ということでやっておるわけです。したがって、個人でやっているものに対して私は役職の名をもって、おまえ幾ら集まったんだということはちょっと聞くわけにはいかぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/142
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143・山中郁子
○山中郁子君 あなた、語るに落ちるんでね、あなたも二面性も三面性もきっとそれじゃお持ちになるわけでしょう。電通協の会員としての面もお持ちになっているわけでしょう。一会員として、あれは幾ら集まったのかとお聞きになることだってできるじゃありませんか。私は、だから本当に語るに落ちるというのは、そういうことだって言うの。
私が言いたいのは、要するにこの文面で見ると、簡潔に言います。一点、総選挙で物心両面の協力を得た」一点、政治的発言力の保持が必要だ。この文書にそういうふうに書いてあるんですよ。
多数のお客様の利益を守るためには社会的影響力、政治的発言力を不可避的に保持していかざるを得ず、今後ともこのような取組みを一過性のものとせず継続していくことが必要だっ
て、こう書いてあるんですね。だから政治的発言力の保持を継続的に行う、この三つのことをうたっているんです。これは政治資金規正法の第三条で言う「政治団体」の定義のうちの「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること」を「主たる活動として」の「主たる活動」ですね。九千万の経常経費に加えて何億という、数億に上るお金を集めてそれでやっているわけだから、その「組織的かつ継続的に行う団体」、これに当てはまるんですよ。
だから私が言いたいのは、政治団体として届け出ていないで、しかも政治資金の収支報告書ももちろん出していない、そういうことによって、そういうやり方でお金を集めて、莫大なお金を特定の公職候補者にカンパしているわけでしょう、支援しているわけでしょう。これ、やみ献金じゃないですかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/143
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144・児島仁
○参考人(児島仁君) 私ども民営化されましてから政治資金規正法にはかかわっておりますが、個人として政治活動と申しますか、活動というほどではございませんが、政治的な動きをひたすらしてもよろしいということで法制上なってございます。したがいまして、私どもの職員も、個々人がやはり一人一人が投票権を持っておるわけでありますから、それらが政治的な関心を持ってある種の活動をするということは、まあ当然あってしかるべきだろうと思っております。
したがいまして、我々はそういった個人的な活動に対してこれを禁止するとかどうしたとか、例えば個人が何らかの動きをするときに、まあ弁当を食ったとか、一緒に集まって御苦労さんと一杯飲んだとが、そういったことはあると思いますが、それはどういうふうな、お金がどの先生に流れたということなどは私にとっては全く関心のないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/144
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145・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 時間ですから簡潔にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/145
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146・山中郁子
○山中郁子君 先ほど私が紹介をいたしましたこの文書には、「当事業においては、」となっているんです。「当事業においては、」というのは、電通協の事業じゃないんですよ。「全国津々浦々にあまねく安定的なサービスを提供する責任があります。」、NTTのことじゃないですか。NTTの事業のことじゃないですか。即NTTの事業なんですよ。あなたがどういうふうに言ったところで、二面性、三面性と本当にあなたおっしゃったけれども、まさにその二面性、三面性を使って、ダミーとして政治資金を集める組織をつくって、電通協なる名前をかぶせて、そして特定政党、特定候補者への、本来やってはならない、政治資金規正法によってもならないし、それからまた事業法によってもすることができない、公共事業、公共的な仕事をするNTTとしては自粛もしなければいけないし、また法律的にも差しさわる、明らかに法律的にも政治資金規正法にさわる、そういう内実の行為をしているということを今私は重要な問題として申し上げているわけであります。これは、私は既に前の、六十一年でしたかしら予算委員会、それからまた逓信委員会でもNTTぐるみの選挙運動について指摘をし、申し上げたことがあります。
ぜひともその点については、特殊会社であるから政治団体への献金はもちろん、会費も寄附とみなされて、政治資金規正法で禁止されているということの抜け道として、あなた方は任意団体であるだとか希望者だけだとか言いながら、まさにその本音を暴露するように、当事業においてはこういうことがいろいろ大変だからと、それでしかも井上会長は、真藤社長との年頭の対談の中で、いろんなことがNTTとしては重要だということを言いながら、懸案の直系候補者擁立の問題なども重要な問題としてあると。今後も強力、着実に推進していくつもりですので、よろしくご支援をお願いしたいと、こういうふうに述べておられるの。それはちゃんとこの「会報」に書いてあるんです。あなたも会員であり会費を払っていらっしゃるこの「会報」に、井上会長が真藤社長との対談の中で、直系の候補者擁立を今後はやっていく、これは重要な問題でぜひ御支援願いたいと、こう言っている。
最後に一つだけ伺います。直系の候補の擁立というのは一体どういうことですか。あなたの御判断を、私はこのことをぜひ真藤さんに聞きたかったんで、きょうどうしても真藤社長に来てほしいと申し上げたら、何かアメリカへ行かれちゃったらしいので、責任持った御答弁ならばきちんとお答えいただきたいし、時間をとるだけでしたら、これはまた次の機会にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/146
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147・児島仁
○参考人(児島仁君) 結論から申し上げますと、
直系候補者を擁立するという考えは現在全くございません。
ただ、念のため申し上げますが、OBの中にはそのような考えを持っている人たちがいるということもまた事実だろうと思います。しかし、私どもとしては現在そういった考え方は全く持っておりません。これは社長も同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/147
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148・山中郁子
○山中郁子君 委員長、今の答弁に関して一つだけ。これで終わります。
だから、直系候補者というのは、その理解はあなたの御答弁から私も推察できますけれども、NTTの人を、間接的にだれかほかの方を、いわゆる関係の深い議員を応援するのじゃなくて、NTTの人を直接的に直系の候補者として擁立するという意味でここで対談されているわけですね、その意味をお尋ねしている。あなた方は、その考えは持っていないと今おっしゃったから、そのことはわかりましたけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/148
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149・児島仁
○参考人(児島仁君) OBの一部から、NTTの現役もしくはOBの中から国会に出してはどうかというふうな意見を持つ人がおられたのは事実であります。しかし、私ども組織として、それは現在時点全くそういったことをやる意思はないというふうに決定をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/149
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150・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 郵政事業の活性化計画につきましてお尋ねをしたいと思います。
郵政事業、いわゆる郵便あるいは貯金、それから保険等多岐な業務を持ち、それがそのまま民間の同種業務との激しい競争にこれからさらに移っていくわけでありますけれども、そういう競争を切り抜けていく上において当然のことだと思いますが、その郵政事業活性化計画の具体化のため、省全体あるいは各局ごとに今後どのような組織なり、あるいは制度改革を推し進めていくつもりなのか、そしてまた、その計画は何年までに達成しようとするもくろみを持ってみえるのか、まずこの一点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/150
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151・白井太
○政府委員(白井太君) ただいま先生からお話がございましたように、私どもの事業を取り巻く環境というのもなかなか容易ならざるものがございまして、また、周りのいろいろな社会経済環境の変化というのも非常に激しい、目まぐるしいものがございます。そういう状況の中で、私どもの事業をますます伸ばしていく、あるいは国民にかわいがってもらえるような事業にしてもらうにはどうしたらいいかということで、当面するいろんな課題につきまして取り組んでいくものをこの活性化計画という形で取りまとめて組合にもこれを示したということでございます。ただ、それだけに大変多岐に計画の内容というのはわたっておりまして、ある意味では、郵政省の中で、郵政事業の仕事にかかわりを持つすべての部局に関係することばかりでございます。
したがいまして、私どもとしては、活性化計画をさらに具体的に詰めるとか、あるいはこれを実施するために特別の組織をつくるというようなことは今のところ考えておりませんが、今までこの活性化計画をまとめるに当たりましても、ただいまも申し上げましたように、各部局に関係をするということで、関係者がすべて一堂に会しまして、再三にわたって打ち合わせをして計画の骨子をつくり上げたということでございまして、できるだけ関係の部局、意思疎通をきちっといたしまして、計画の詰めとかあるいは遂行に遺漏のないようにいたしてまいりたいと思います。
また、それからどのくらいの期間を考えておるのかというお尋ねがございましたが、私どもは現在は三年の期間ということを一応の期間として頭に入れていろいろなテーマに取り組んでおりますが、もちろんこの中身によりましては今すぐにでも取りかからねばならないというようなものもございますし、それから中には郵政省だけではどうにもならない、ほかのところにやっていただくようにお願いしなきゃならぬというような中身のものもございまして、すべて三年ということで画一的に処理できるというものではございませんが、余り時間を置かないで、とにかくやっていかなきゃならぬというような意味で、三年ということを一応の念頭に置いておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/151
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152・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 その計画をですね、そういった各部局の合理化なりあるいは組織変更、そういったものを三年かけて成案を得ていくということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/152
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153・白井太
○政府委員(白井太君) 三年をかけて成案を得るということではちょっとゆっくりになりまして、私どもの率直な気持ちから申し上げますと、実はこれだけ動きの激しい世の中でございますので、余り十年、二十年という将来にわたってということはなかなか考えにくいわけでございまして、当面まず三年ぐらいを頭に置いたときにどういうことが課題になったり、あるいはどういうことに取り組んでいかなきゃならぬのかということを考えたということでございまして、三年などというふうに非常に悠長に構えられないものが実はたくさんございまして、これは本当にきょうにでも、あすにでもと詰めていかなきゃならぬというものがたくさんあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/153
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154・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 民間と官業は同じようにいきませんけれども、民間の場合ですと、大体そういう機構の改革なりあるいは大きな組織運営の改革というのは社長の交代期とか、あるいはそうじゃなくて非常に急激な環境変化が起きたとか、あるいは見通せるとか、そういうときにわりかた短期間でぱっと決めるんですよね。そして、決められた中で実施していって、補正するものは補正していく。これで大体いわゆる環境変化に対応できていくわけなんです。ところが、三年もかけておったら、その間にまた変わっていくわけですから、極端に言うと、いつまでたっても変わっていないということになっちゃう可能性がありますので、私は計画そのものは非常に結構なことですから、ただし、それが今言った官業ですからいろいろ歴史、伝統はございましょうから、郵政事業だけがそう簡単にいかぬことはよく理解できますけれども、やはり早急にそういうものはそういう方法でやる方が私は時代にマッチしていくんじゃないかというふうに思いますが、その点大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/154
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155・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 今、人事部長からお答え申しましたように、また先生からの御指摘がありましたように、民間の場合といろいろ違う点もございまして、郵政省の場合は、一般会計の部分が大変少ないんですけれども、特別会計の部分に大きな事業を持っておりますので、それとまた国民に直結している部分も大変多いわけでございまして、その辺は民間に倣ったような適切な合理化を促進していくことが大変重要だと、かような認識をいたしておりますので、御指摘を踏まえまして今後対処してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/155
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156・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 新聞等の報道によるんですけれども、活性化計画の中で、従来六十年度にも計画がなされたようでありますが、一番今回の特徴的なのは、計画の中にいわゆる人事並びに賃金制度の改革を言及したことが特徴だと、こういうことが新聞等で報道されております。その計画によって現業の能率給導入の拡大ですね、従来の年功序列だけでなくて拡大していく、私はそのことは否定しません。結構なんですけれども、問題は、これは非常に苦労されるところですけれども、公正な評価、適正な評価というのは、言葉では言いますけれども、非常に難しいことで、その場合にうまくいかないと、一番問題になるのは、大事な仕事をしていく上においてのチームワークを阻害していくということになっては、せっかくの新しい試みも意味がないと思いますが、そういった能率給拡大についてどのように評価しておるのか、ひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/156
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157・白井太
○政府委員(白井太君) これも先生ただいまお話がございましたように、実は私どもも民間の企業などと比べましたときに、私どもの場合どういう点が一口に言っておくれているのかということを、いろんな企業の責任者の方をお招きしまして内々勉強させていただいてきておるわけですが、特にそういう意味合いから申しますと、給与制度というのが大変民間の場合と私どもの場合と違っております。
一般の官庁の方々の場合は、人事院勧告とかあるいは一般職給与法という法律で給与が定められることになっておりますが、私どものいわゆる現業官庁の場合は、これは労働組合との団体交渉でそういう勤務条件を決めていくということになっておりますので、必ずしもその人事院勧告にとらわれることはない。むしろ民間企業のいいところはどんどん取り入れていくということが制度上もできることになっておりますので、その辺を特に最近の言葉で申しますと、職能給的なものを取り入れていくことができないかというのが給与制度を考える場合の一番大きな問題点でございますが、その背景にありますのは形式平等主義といいますか、言葉は余り適切ではないかもしれませんが、悪平等みたいな給与制度になっておるのではないかというようなお話すらお聞きすることがあるわけでございまして、そういう面からもっと成績主義というか、能率に見合ったような制度とか、そういうものを給与制度の中に取り入れていくということを何としてもしていきたいということは、まさに先生が御指摘になりましたように、今回の活性化計画の一番大きな柱にもなっておるというふうに考えております。
この点につきましては、関係の労働組合あるいは職員の方々も、私どもの理解では、基本的な考え方あるいは方向としてはやはりそういうことであろうというふうに考えておられるように私は受け取っております。
ただ、何せ給与という、それぞれの自分に直接かかわってくる問題ですので、各論に入ってまいりますと、そんなに簡単に進められるような話ではないとは思いますけれども、しかし考え方というのは、あるいは方向としては大方の理解が得られておる、あるいはそういう評価をしてもらっているんじゃないかというふうに私などはひいき目かもしれませんが、考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/157
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158・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 そういう一つの特徴、せっかく導入され、さらにそれを職能給がいいのか、あるいは職務給がいいのか、持っておる仕事に対する評価、ただ能力、出来高だけじゃなくて、その仕事を遂行していく上において必要な能力、あるいはそういったものを評価する、そういう制度、いろいろ技術的にございますけれども、せっかくそういうものを導入されていくわけですから、ぜひそれが実るようにひとつ期待をしておきたいと思います。
それから次に、為替貯金事業についてお尋ねしたいと思います。
マル優及び郵便貯金の非課税制度、これは四月から廃止になることはもう既成の事実でありますけれども、この金利自由化の恩恵は大口預金者だけでなく、小口預金者にも受けられるようMMC、つまり、市場金利連動型預金です。この導入を預金者本位で早急に行うべきではないかと思うわけですけれども、これは非常におくれていることについて、むしろ大蔵省並びに郵政省の対応の遅さに国民的不満があるんではないかと思うんですけれども、その点についてお答え願いたいと思います。なぜおくれているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/158
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159・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 預貯金金利の自由化につきましては、既に先生御案内のとおり、大口になりますと相当の段階まで進んできております。自由化されることによりまして、預金者には預金の利率が上がるというような形で非常にメリットがあるわけでございまして、そういった意味では今後とも積極的に小口化の自由化に向かって推進していかなくちゃならないという立場で私どもも努力をしているところでございますが、ただ経営の立場といったような問題もございますし、私どもは郵便貯金の現状から見ましても、小口の金利の自由化に取り組んでも十分やっていけるということで、もう大幅に小口化をすべきであるという立場で交渉は続けているわけでありますが、財政当局の立場では、その他いろいろの問題もあろうかということで、残念ながら今の現状におきましては、具体的な成案を得るところまでには至っていないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/159
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160・中井省
○説明員(中井省君) 預金金利の自由化につきましては、大蔵省としましても前向きに推進する方針でございます。ただ、信用秩序に混乱をもたらさないよう漸進的に進める必要がございます。このため金利自由化は金融情勢等を勘案しつつ、大口のものから順次段階的に推進しているところでありまして、大口に引き続き自由化の対象となる預金の小口化を進めていく考えでございます。
六十一年五月に公表されました金融問題研究会の報告におきましては、当面、過渡期の措置として、小口の市場金利運動型預金を創設することから小口預金金利自由化を開始することが現実的であり、金融の効率化や資源の適正配分に資するとともに、小口預金者も市場金利を反映した金利を享受できる等の面で国民経済的観点から望ましいとの提言がなされているところでございます。今後このような金融問題研究会報告書の趣旨を踏まえまして、郵便貯金と民間預金のトータルバランスの確保等の環境整備を図り、できるだけ早期に何らかの具体的展望が得られるよう郵政御当局と鋭意御協議してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/160
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161・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 この問題率直に言って金融界、貯金事業、それぞれ利害が重なるデリケートな問題ですから、それは一刻にはいかぬと思うんですけれども、やはり一般小口金融は、一番多くの国民がそこに期待をかけて、わずかな金を貯金をしているわけですけれども、それに対して、マル優廃止等で金がどう動いていくかという問題もありましょうけれども、国民の側から見れば、やはりたとえわずかでもそういった恩恵が得られるようにというのが国民の私は気持ちだろうと思うんです。なかなか調整は難しいようでありますけれども、これはひとつ早くやっていただかなきゃいけないと思います。
そこで、その一つなんでありますけれども、小口預金の金利自由化の第一歩であります、つまりMMCの導入に当たっていろいろ議論されておりますが、大蔵省は、これも新聞によるんですけれども、郵便局の定額貯金の商品性を見直す必要があるというふうな見解も出ておるわけですけれども、一体それはそのとおりなんでしょううか。それでまた、郵政省はこの見解に対してどういうふうな考えを持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/161
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162・中井省
○説明員(中井省君) 定額貯金の見直しの件でございますが、先ほど少し触れさせていただきましたが、六十一年五月に公表されました金融問題研究会の報告におきましては、「当面、過渡期の措置として小口の市場金利連動型預金を創設することから小口預金金利自由化を開始することが現実的」であるという御提言をいただいておりますが、その際、郵便貯金については定額貯金の商品性の見直し等を行い、民間預金とのトータルバランスが図られることが必要との提言もいただいているわけでございます。
また、六十一年六月の行革審の答申「今後における行財政改革の基本方向」におきましても、「定額貯金等の郵便貯金の商品性については、経営の健全性の確保、金利自由化の進展等を踏まえ早急に見直すとともに、市場金利連動型貯金の導入を検討する。」と提言されております。大蔵省としましても、これらの諸提言の趣旨を踏まえまして、今後定額貯金の見直しを含めた郵便貯金と民間預金のトータルバランスの確保等の環境整備を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/162
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163・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 定額貯金の商品性の問題につきましては、いろいろと問題の提起がされていると私どもも承知をいたしているわけでありますが、この小口の預貯金金利の自由化をするということは、いわば利子のつけ方を市場の実勢を反映した形で、今までのように人為的な決め方ではなしに、市場の実勢を反映するような形でこの利子をつけていこうということでございますから、必ずしも個別の商品性の見直しが前提にならなければ進まないという性格のものじゃないというふうに私どもは考えているところでございます。
そういった意味で、定額貯金というものが郵貯
の主力商品でもございますし、長い間預金者の利便といいますか、ニーズにも合った商品ということであるだけに、この問題については私ども慎重に考えていかなくちゃならないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/163
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164・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 ここで郵政省だけの肩を持つわけじゃありませんけれども、まさに歴史と伝統のある、そういうしかも一般庶民金融の中の一番有利商品ということで定着しておるわけですし、それがまたいわゆる財投への大きな要素にもなっているわけでありまするので、ひとつできるだけ早くその調整を期待したいわけであります。
そこで、小口預金の金利のいわゆる自由化時代に入りまして、いわゆる郵便局といいましょうか、貯金、それと民間金融機関との調整というのは非常に言葉では簡単ですが、その役割といいましょうか、共存というか、どういうふうに一体していったらいいのか。郵便貯金そのものは大蔵省の資金運用部に預託されて財投として運用されているわけでありますし、この資金、貯金の移動というのでしょうか、金利自由化に伴うそういう一つの自由競争の中での貯金額の増減がそのまま財投にも影響していくわけですけれども、そういった面でどういうふうな共存の方法を期待していくのがいいのか、その点についてお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/164
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165・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 私どもとしましては郵便貯金、これまで百十余年の長い間全国の郵便局の窓口を利用して大変国民の皆様に強い支持を受けているわけでありまして、預金者の家計の充実に寄与してまいりましたし、同時に集められた資金というものが資金運用部を通じまして社会資本の充実等に大変大きな役割を果たしてまいりました。今後の将来を考えてみましても、そういった役割というものは変わらないわけでありまして、やはりそれぞれの、民間は民間の金融機関に課せられた役割がございますが、郵貯には郵貯の役割がある、また、農協には農協の役割があるというようなことでございまして、国の金融システム全体の効率的な運営が図られるように、お互いに役割もわきまえつつ、お互いに切磋琢磨して預金者の利便の向上に資していくということが一番大切なことであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/165
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166・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 この問題、別に結論を簡単に得ることは困難なものでございますけれども、結局そういう言葉にならざるを得ないと思います。
そこで、金利問題についてひとつお尋ねしたいんですが、従来より金利調整審議会の議を経て一般金融機関の預金金利は決定されるわけであります。郵政の方は郵政審議会の議を経て預金金利の決定がされるわけでありますが、小口金利の自由化が現在日程に上がっている中で、今後の預金金利の決定方式について一元化せよというふうな意見もありますけれども、その点について、大蔵省及び郵政省の見解をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/166
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167・中井省
○説明員(中井省君) たびたび同じ提言を引用させていただいて恐縮でございますが、六十一年五月の金融問題研究会の報告におきましても、金利の決定ルールにつきまして、郵便貯金の金利でございますが、「一定のルールに基づき市中金利に追随し弾力的に金利が決定されることが必要」との提言がされております。また、同じく行革審答申におきましても、「郵便貯金の金利については、」途中省略させていただきますが、「小口預金金利の自由化が行われた後は一定のルールに基づき市中金利に追随し弾力的に決定する。」とされているところでございます。このような考え方に基づきまして、郵政当局と鋭意協議を続けてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/167
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168・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 郵政省はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/168
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169・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 現在、郵便貯金の金利は先生御案内のとおり、郵便貯金法の十二条に利率決定の原則が明記をされているわけでございまして、その郵貯法の趣旨といたしますところは、預金者の利益の増進に配慮すると同時に、民間金融機関の金利にも配慮するということで決められておるわけでありまして、その後、五十六年にいわゆる三大臣合意という合意もございまして、私ども現在郵便貯金の金利の決定に当たりましては、そういう趣旨を踏まえまして機動的に対応しているところでございます。今後金利が完全に自由化になるということになりますと、一元的に決まるというのはそもそも矛盾をするところでございまして、現在民間の、例えば大口定期なら大口定期の扱いは各行とも若干の金利は違うわけでありまして、完全自由化ということになれば、やはり各金融機関が、もちろん市場の実勢を加味しながら自主的に合理的な決定をすればいいということであろうというふうに考えております。市場金利連動型の利子の決め方ということになりますれば、私どもも民間の金融機関の金利と同一の、一定の市場金利に連動した形で決まっていくという内容になってまいろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/169
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170・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 じゃ、最後に週休二日制との関連についてお尋ねしたいと思います。
既に触れられておりますけれども、とにかくサービスを低下させない、しかも休めということですから、これはなかなかどこまでをサービス低下と評価するのか、線引きするのは難しいわけでございます。ある意味においては需要者というんですか、利用者のある程度世の中の変化という意味においての我慢をしなきゃならぬ問題もあるかと思います。その問題あんまり多くなっていくと問題になるわけですから、なかなかこれは決断をせざるを得ないところなんでありますが、その中でも特にサービスを低下させない問題の一つとして、CD、ATMの導入というのが非常にこれも問題になってくるわけでございますが、現在の導入率状況はどのようになっておるのか。また、完全週休二日制、来年二月ですか、の実施時にはどの程度までその導入の率を高めていこうとされておるのか、まずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/170
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171・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 現在のCD、ATMの設置状況でございますが、今月末、六十三年の三月末で約六千六百局でございまして、設置局の設置局率といいますか、全国の郵便局に対して設置されている六千六百局の割合というのは大体三四%でございます。来年二月にはこれが約八千百局程度になるということでございまして、千五百台ほど六十三年度に考えているわけでございますが、そうしますと約四二%ということでございまして、民間の金融機関はほぼ一〇〇%近いわけでございますから、そういう設置局率からいきますと、まだまだ努力をしていかなくちゃならぬという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/171
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172・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 これは予算が伴うことでありまするし、民間は先ほどおっしゃいましたように一〇〇%に近いというお話でございますが、やはりここらあたりも一つの、仮に完全週休二日制を実施してまいりますと問題点になるところかと思いますので、できるだけひとつ、予算の関係もあるけれども、その率を上げていただくようにお願いしておきたいと思います。
そこで、郵便局以外、例えばスーパーとかあるいはデパート、例えばですね、こういうところにもATM等を設置するということについて、今後どのような見通しをされておるのか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/172
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173・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 三月二十二日現在で見ますと、まだいわゆる郵便局以外のデパートであるとか、スーパーであるとか、あるいは大学の構内であるとか、非常に利用者の御要望の多い場所に局外設置をしている台数は六十六カ所でございます。今後とも私ども御要望の強いところ、稼働率の高いところにつきましては御要望にこたえていくように、いわゆる局外設置につきましても十分前向きに検討していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/173
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174・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 次に、労働時間に関係する問題なんですけれども、週休二日制に移行していった場合、いわゆる小さい、比較的小規模の局というんでしょうか、これは幾分サービス低下になりますけれども、さほど問題がない。むしろ大規模局では、仮にそうなっても普通と同じ業務を続ける
ということで、労働時間の問題に非常にアンバラシスが生じてくるのではないか。それを埋めようとすれば、労働者をふやせば一番簡単なんですけれども、それも予算で簡単にいかぬだろうと思うんですが、そういった一連の関係についてどのように考えておられるか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/174
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175・白井太
○政府委員(白井太君) 実はその辺が一番の問題だと考えております。土曜日に貯金とか保険の窓口を閉めるということにつきましては既に具体的な検討に入ったところでございますけれども、これに関連をいたしまして職員の週休をふやすとか、あるいは勤務時間を短くするということについてはできるだけ国民の負担増につながらないような方策を考えなきゃいけないわけでございまして、その辺が非常に難しいわけでありますけれども、実はこの点につきましては、一口に言えば、いわゆる効率化と言われるような施策でもって吸収する以外にないと思っております。
これを先生がお話しになりましたように、職員をふやす、したがって経費もかかるからその分、料金負担などの形で国民の方々に負担を転嫁するということは、もうこういう御時世ですから許されないというふうに考えておりまして、いろいろな効率化施策等を実施することによって、要員増を吸収する必要があると考えておりまして、いろいろな実は効率化施策の内容、メニューを取り上げまして、過日関係の労働組合に対しても、こういう効率化施策をしないと週休二日制を拡大するわけにいかないとか、勤務時間を短縮するわけにいかない、しかし、週休二日制とか勤務時間短縮というのは、昨年秋の労働基準法の改正でもわかるように、いずれはこれはやっていかなきゃならない問題であることはもうはっきりしているから、したがって、何としてもこの効率化施策について組合の協力と理解はしてもらわぬと困るということを強く労働組合に申し入れたところであります。
私どもとしては、そういう効率化施策を実施することができれば、やがて参ります一週四十時間という労働時間短縮にも私どもの事業として対応できるというふうに考えておりまして、ぜひやることについて協力をしてもらわなければ困る、しかし、協力をしてもらえば週休もふやすことができるし、勤務時間も短くすることができるということをはっきりと労働組合にお伝えしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/175
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176・平野清
○平野清君 中山大臣には参議院逓信委員会初めての質疑で、大変長時間御苦労さまでございます。あと一人ですので、しばらくの御辛抱をお願いいたします。
初見参の大臣にいきなり大変とっぴな御質問をして恐縮なんですけれども、今度は入閣するという御自信はあったと思いますけれども、まさか郵政大臣ということはお考えになっていらっしゃらなかったかもしれません。そこで、昨年のマル優廃止騒動のときに衆議院議員としてマル優廃止に賛成だったのか反対だったのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/176
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177・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 私どもとしましては、先ほどからもいろんな問題が出ておりますが、明治八年に貯金という言葉が、これは逓信省の貯金にだけ許されてまして、一般の金融機関には預金という名前を便わして、貯金という名前のそれだけの重みというものに対して私は特殊な感覚を持っておりましたので、余り賛成はできないという気持ちでおりましたんですが、時の流れと申しますか、ああいうことになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/177
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178・平野清
○平野清君 唐沢前大臣は、マル優は職を賭しても支持するというふうにおっしゃったんですけれども、刀折れ矢尽きて、ついに降参して、この委員会で大分頭を下げていらっしゃいました。そのマル優廃止はいよいよ三月三十一日で決まるわけですが、歴史的にそのときの大臣として名をとどめるわけでございますけれども、マル優廃止、これはどういう理由でそうなったのか、ちょっと簡単でよろしいんですが、大臣の考えていらっしゃることをお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/178
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179・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) これは今税制の大きな改革の時期が来ているわけでございまして、民間とそれから官業との両方、こう何といいますか、水槽の水位を同じにする必要みたいなものが社会全体の中で迫られてきているんじゃないかという感覚でおります。
とにかく三月末になりますと、国債、公債発行残高百五十九兆円という、一日一兆円の国民総生産を上げておりますから、三百六十五日でございますから三百六十五兆円という恐ろしい国民総生産を誇るようになりました。そうは言いましても、今申しましたように、三月末で百五十九兆円の国民から大きな借金を背負い、そしてまた、予算全体の中でも二〇%近いものが金利の支払いに回るという、これはピラミッドを逆さまにして持ち上げているような国家財政の中では、逆に言えば貯金という、先ほど申しました官業にしか許されなかった言葉の持つ意味を、別の意味で国家的な、全体的な意識を持つために課税もやむを得ないということの判断ではないか、かように自分自身思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/179
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180・平野清
○平野清君 大臣、そういうふうにお考えですけれども、国会論議の中を通じて私たち感じておりますことは、不正使用の面とか、それから外国、特に米国からの日本人の高い貯蓄率に対する批判というものに前中曽根総理が考えられてマル優廃止に踏み切られたというのが大方の、私たち特にサラリーマン新党を中心とする人々の考え方にあります。今回マル優が廃止されますと、相当の金額の争奪戦が始まるわけです。郵便局の方も、本来なら今までの政府の方針が、利子が減少すれば貯金の魅力がそれだけ少なくなる、全体としてその金が内需拡大に移って輸入促進になる、したがって、貿易摩擦も減るだろうということが政府の大きなねらいだったというふうに私たちは考えております。
そうしましたら、まだマル優が廃止されないのに、もう既に民間の証券、それから生保、あらゆる金融機関がこのマル優から流れ出るであろうという莫大な三百億ですか、をねらって争奪戦がもう既に始まっております。郵便局は、では政府の方針どおり貯金の熱を冷ますためにじっとしているのかというふうに思いましたら、五万九千人の職員を大投入して、八千万枚のチラシをつくって、郵便貯金はこのように変わりますという大PR作戦を御展開のようでございます。
何か私たちちょっと嫌みな質問で大変申しわけないんですけれども、政府方針がそうだったら、この貯金競争に郵政省の方はしばらく静観されたらいいんじゃないかなと思いましたら、郵便局も負けず劣らず大争奪戦に参加されている、非常に奇異な感じを受けるんですけれども、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/180
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181・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 郵便貯金がその壮絶な争奪戦に参加をしているという御指摘でございましたが、私どもは争奪戦に参加をしているという意識はございませんで、要するに、郵便貯金というのは長い間利子が非課税でございましたから、そういう意味で大きな税制の改革があった際に、郵便貯金の御利用者である預金者の皆さんが誤解があったり、あるいは不安になったりするようなことがあってはいけないということで、税制改正の趣旨なり内容なりを誤解のないように御理解をいただいて、特にこの郵便貯金が全部利子が非課税だったということで、民間の金融機関は郵便貯金の預金者の貯金を一カ所にまとめる最大のチャンスだというようなことで活発に営業が行われておりますから、税制改正の誤解、不安というようなことで思わぬ不利益をこうむるようなことのないように、今全世帯を対象に御理解をいただくキャンペーンを張っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/181
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182・平野清
○平野清君 もう一度申し上げておきますけれども、マル優が廃止されることによって国民が老後の負担、不安を如実に感じて、一生懸命何か一銭でも高い金利を求めて、第二のマネーゲームが始まったような気がいたします。そういう点で九千二百人ですか、投入なさって国債の販売とかいろんな面に努力される。
そこで、人事部長さんにお聞きしたいんですけれども、九千二百人投入されていろいろ客と接しますと、どうしても未熟な外交員が、新しい制度やいろんなものにふなれでもって客とのトラブルを起こしたんでは、今までの長い郵便局の信用というものがなくなるような気がするんです。この新しい作戦に当たって、しっかりとした職員教育というものを前提にやられるように特に切望いたします。
そういう意味で、これはお役所に言わせれば何でもないことなんですけれども、簡易保険の入院給付の問題があります。今まで二十日以上、十九日までだめでしたが、二十日以上入院された方には一日当たり幾ら幾らというものが、今度の新しい改正によって、五日以上入院されたら給付が受けられるというような制度に変わります。そういう場合に、ちょっとメモを持ってきたんですけれども、前のものはこれを解約すると、はっきり書いてあるんです。その下に昭和何年何月、こうこうこういう理由によって新しいものに切りかえたということが、判こを押してあるんです。だんだん高齢者になってきますと、この役所言葉が理解できないんですね。
それで、私はなぜ解約も何もしてないのに、長いこと続けてきたこの簡易保険が解約されちゃった、どうしてきょうから新しくやらなきゃいかぬのか、そういう誤解が何件か私の党にもあります。内部資料として、判こをこういうふうにお使いになるのは結構だと思いますけれども、一般利用者にお渡しになるときに、そういう制度が変わったときには、わかりやすい言葉で、解約とか、そういう言葉を使わないで、何らかの方法で、今まで掛けていたものの利益が損なわれないで、法改正によってこういうふうになったんですよという言葉で表現されるような方法が一番必要ではないかと思うんですが、さっきの職員指導を含めてお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/182
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183・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 税制改正であるとか、あるいは国債の窓口販売が四月から変わるということで、私ども例えば国債の問題ですと、昨年の五月にこの委員会でも御審議をいただきまして、成立をして以降新しい業務に取り組むということでございますので、郵便貯金の外務員を初め随分全国で徹底した教育訓練をやったところでございます。
まあ保険にしろ貯金にしろ、いろいろ商品の内容とか、あるいはサービスの改善、制度改善というものはたびたび行われるわけですが、私ども、外務員のみならず内務の職員も職員研修の場として日常、郵便局の職場でいろいろの業務研究会をやる、打ち合わせ会を行うというチャンスもありますし、また研修所に入りまして、その研修所で初めての任務についての初任者研修であるとか、あるいは主任とか主事、役職者につくといったような場合には新任、主任、主事訓練を徹底して行うとか、あるいはまた、貯金であった職員が保険にかわるとか、郵便の担当者が貯金にかわってくるとかといった場合には、また新任者研修ということで研修訓練をやっております。そのほか郵政局が主催する、あるいは本省も直接全国から担当者を集めて会議、講習会をやるという、幾重にも重層的に職員の研修訓練に取り組んでいるわけでございまして、まだまだ至らぬ点があるかもわかりませんが、各事業とも何といいましても人材をそろえるということが最大の資産であり、武器であり、またお客様サービスの基本でもあるということで研修訓練に取り組んでいるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/183
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184・平野清
○平野清君 よく民間の生命保険会社にだまされたなんていう話ありますけれども、郵便局にだまされたという話は余り聞きませんので、これからいろんな複雑な商品を販売されて、しかも高齢社会になってお年寄りを相手にするわけですので、自分だけわかってないで、相手によくわかる形でぜひ外交を進めていただくようにお願いしておきます。
それから、簡保資金の運用の件につきましては、午前中他の先生から御質問があってお答えをいただきましたので、割愛をさしていただきます。
次に、タウンメールと申しますか、あて名のないものの郵便物をある地域に限って郵政省でお配りになるということが前回の逓信委員会でも御説明をいただいたんですけれども、郵便法の趣旨を見ましても、どうも納得がいかない。例えば政府機関の民間企業への圧迫とか、その妥当性、それから倫理性、それから特に中小企業への圧迫、要するにチラシ業者等への圧迫、それから巧妙な文章を考えれば選挙広告にでも利用しかねないという点もあるような気がいたします。それから、さらに重要なことは、宅配便の業者が中に手紙を入れれば信書ということで厳しく罰せられるわけですね、三年以下の懲役、百万以下の罰金。今度郵便局の方では、信書の概念を自分で勝手にお変えになって、あて名のないものまで信書としてお配りになるように私たちは解釈せざるを得ないわけで、その上、首都近郊、都市圏近郊の新聞販売店などは、チラシの収入によって相当な利益を得て従業員の給料に充てたり、厚生福祉に充てているわけですけれども、それとの競合も起きかねないわけです。そういう意味で、このタウンメールについての郵便法との関連、それから倫理性、それから中小企業への圧迫の程度、そういうものについてのお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/184
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185・田代功
○政府委員(田代功君) 郵便とは何かというのを、実は法律上きちっとした形では決めてないわけであります。これは明治以来そのときそのときの社会の情勢の変化に対応しながら、中身は少しずつ変わってきておりまして、郵便法に従っていろんなサービスを提供している。基本のところはきちっと法律でしておりますが、若干のところは郵政省でいろいろ新しい工夫もできるような仕組みになっております。
そういった意味から、タウンメールも別に郵便法上どうこうという問題はございませんが、これは昨年の実は五月ごろから全国二十の郵トピアの都市で実験的にといいますか、試行的に始めてみております。これはヨーロッパ各国でかなり前からこのようなあて名を省略した郵便というものが大変はやってきております。要望も多いものですから、日本でもできないか。また逆にデパートですとか、あるいは市町村のいろんな市の公報なんか、昔隣組を通じて配っておったものが配れなくなった、何とかならないかという相談も実はございまして、始めてみたところでございます。
始めるに当たりまして、やはり当初から日本には、新聞販売店が新聞と同時にチラシを配る。これが外国にない制度としてありましたもので、こことの競合が、実は初めから私ども意識しておりました。私どもの方では、だから料金で差をつけようと。新聞チラシは、聞きますと大体一枚二、三円で配っているようでございますので、私ども一応郵便でありますから、封筒に入れて封をして、あて名こそ書かないけれども、きちんとしてもらう、あるいは帯ひもをつけてというふうなことをしてもらいまして、最低二十円からということで実は始めております。始めてまだ一年たちませんので、業界に与えている影響その他はまだはっきりはつかめませんけれども、ここ数カ月前から、特に新聞販売店を中心に、やはり一種の民業圧迫といいますか、特に新聞の配達制度に対する非常に大きな脅威になりかねない、このまま郵政省が全国的にどんどん広げていきますと。というような話も私どもじかに承っております。
ただ、また一方ではこの郵トピアの都市に限らずに、ほかの都市でも始めてくれないかという要望も実は来ておるところでございますので、もうしばらく今の、全国であちこちでといいますか、試行的に実施していますものを見ながら、本当に新聞販売店の脅威になっているのか、どういうところで競合が起こっているのか、私どももつぶさに注意してまいりたいと思いますので、しばらく成り行きを見させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/185
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186・平野清
○平野清君 選挙まがいの文書その他のチェックということは、そうなると不可能ということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/186
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187・田代功
○政府委員(田代功君) 不可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/187
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188・平野清
○平野清君 それから、今、地方で実施するというお話ございましたけれども、余り人口の多くないところの新聞販売店というのは、チラシが少ないんですよね。人口の多い首都圏及び大都市周辺を中心とした新聞販売店がチラシに打撃を受けるわけで、新聞開いてみてチラシが一枚か二枚しか入ってないような販売店には余り影響がないんで、地方ばかり参考にされたんでは、今度は都心でやろうというときに大反撃を食うと思いますので、恐らく新聞協会からも郵政省に対して厳重な抗議といいますか、陳情書というか、出るようなこと言っていましたので、一応お知らせかたがた実情を申し上げておきます。
次に、郵政省はカードローンの導入をお考えになったようですけれども、何か大蔵省の反対でだめになった。その理由に貸し倒れ防止対策等が余りにも不備だったので、大蔵省は賛成しかねたというような報道を見たことがありますが、ちょっとこれ実情を御説明いただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/188
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189・中村泰三
○政府委員(中村泰三君) 郵便貯金の利用者にカードローンを導入したいということで六十三年度予算要求にも出したわけでございますが、大蔵省との折衝では、貸し倒れ防止等の問題というよりも、そもそも郵便貯金というのは貯蓄の手段であって、こういった与信業務を行うべきじゃないじゃないかというところが最大の問題で合意に至らなかったということでございまして、私どもは確かに与信業務ということでありますけれども、これからの郵便貯金の利用者にカードを利用して手軽に一時的な家計の利便に資すということは、いわば付加的なサービスでございまして、既に担保のある「ゆうゆうローン」につきましては実施をしているわけでありますが、例えば四月から始める国債につきましても二百万まで貸し付けができるといったような形で、郵便局が貸付業務を行うということも、今の社会の現状を見ますれば、その程度の問題は付加的なサービスとして実施することが預金者の利便の向上につながるものだということでお話し合いをしたわけでありますが、貸し倒れの問題に入る前の段階でなかなか合意に至らなかったというのが実情でございます。しかし、私どもとすれば、利用者のニーズも強い問題ですので、今後とも実現に向けて努力していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/189
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190・平野清
○平野清君 今後も頑張っていただきたいと思いますが、ちょっとがらりと話題変えますが、そろそろ来年の年賀はがきを準備されるころだと思うんですけれども、全国の地方版の年賀はがきは通信販売でしか購入できません。例えば、江戸っ子江戸っ子と言いますけれども、三代続かないと江戸っ子と言わないんで、御存じのとおり年末になると東京空っぽになるくらい地方にお帰りになる。その人が出したはがきは、東京で出すわけですけれども、文面によれば、今おれは北海道のおやじのところへ帰っているよ。北海道はどうのこうの。読む方は、何言ってやんだい、東京で書いたはがきじゃないかということですけれども、中には、私のところへ来る要望としては、自分の郷里の地方の年賀はがきを、自分の住んでいる今のところで買えないか、そういう要望が何人かあります。何人かと、これは人数ははっきりつかんでいるわけじゃありませんけれども、聞いてみますと、なるほどと思います。仮に東京の浅草の絵をつけたはがきを出すよりも、自分の郷里のはがきを出して、年賀はがきで、家族そろって北海道で元旦を迎えるというような年賀はがきが、東京もしくは大阪とかそういう大都市で簡単に手に入るようになれば、もうちょっと年賀はがきの売り上げにも寄与するんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/190
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191・田代功
○政府委員(田代功君) 非常にその趣旨は郵政省全然反対じゃないんですが、非常に難しい問題がございまして、府県版というのは、それほどの量はトータルとしては売れないわけでありまして、例えば昨年の例で申し上げますと、全国で三十九種類出しまして、平均いたしますと、一種類四百万枚程度なんです。そうしますと、二万の郵便局に分けますと、極端に言うと一局に二百枚。極端な例でございます。ですから、今の時点では、それぞれの県内でのみ郵便局では売っているということになっておりますが、今のお話のようなことも実は私どもの方にも声が入ってきておりますので、何かうまい方法はないかなあという気はしておりますが、どうしても全国どこででも手に入るようにしますと、少品種多量生産になってしまいますので、なるべくいろんなニーズにこたえたものを出したい、そうすると、今度は全国どこででもといかなくなる。その兼ね合いをどうしようかということで実は悩んでおるわけでございます。
今は絵入りはがきは、寄附金のついた方だけで実は実施しております。この寄附金はがきは大変売れ行きが悪うございましたので、苦肉の策として実は数年前に絵をつけてみましたところ、逆に今度は証判がよくなったということなんで、その辺の動向なども考えながら、また知恵を出させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/191
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192・平野清
○平野清君 今度、郵便列車が復活するとかいうようなお話を聞きました。そのJRとの契約内容はどうなっておりますか。例えば航空料金が今盛んに問題になっておりまして、近々値下げが実現されるかもしれません。そういうような航空料金がどんどんどんどん仮に安くなったとしたときに、せっかく契約したJRともう一回、御破算だなんというようなことがないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/192
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193・田代功
○政府委員(田代功君) 六十一年の秋でしたか、数年前に、従来列車中心に郵便を運んでおりましたものをほとんど全廃いたしまして、航空機とトラックに切りかえました。私ども郵便を速く運ぶ、あるいは能率的に運ぶという観点からですと、当時汽車というのは非常に使いにくかったものですから、そのように切りかえました。切りかえた後も、私どもの利用する側にとって使いいいものは実は細々とながら使っておりまして、JRのコンテナを使った郵便、郵便列車というのは昔の、客車の後ろにあの〒のマークのついたあれでございますので、いわゆる郵便列車、昔のいう郵便列車ではございませんが、コンテナの中で、一個なり二個なりに郵便を積んで運んでいるというのは、実はその後も十七個毎日全国行き来しております。JRから十七個のコンテナを借りて動かしておりましたが、今度の青函トンネルと来月の瀬戸大橋ができますことによって、北海道方面と四国方面のコンテナが速くなりましたので、これに郵便を積むのを五個ふやそうと。それで、十七個を二十二個にふやそうということでございます。で、私ども絶対に汽車ではだめだとか、飛行機でなきゃだめだということではございませんで、やはりスピードと料金、速さといいますか、使いやすさといいますか、そういった点から折り合いのつくものはこれからもどんどん使っていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/193
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194・平野清
○平野清君 昔、新聞社もほとんどが列車便で、国鉄に物すごく迷惑をかけておいて、高速道路ができたら、さっと手を引いてしまって、その分だけ旧国鉄の赤字に寄与したというような話もありますので、利用するときだけ利用したらぱっと手を引いてしまうような、お互い民間になったんですので、そこらはきちっとした契約で、よりよき速い方法でぜひ続けていただきたいと思います。
ところで、四月六日から十五日まで春の全国交通安全運動が始まります。私、調べましたら、六十年で郵政関係の年間の交通事故五千二百八十一件、六十一年で五千百六十三件、そのうちの六〇%がけがによって休まざるを得なかった。これは一日か二日の人もいれば一年ぐらいの人もいるでしょうけれども、非常に高い数字のような気がするのでね。それはもう大型車からそれから中型車、それから郵便配達の方はバイク、二輪車、自転車、もうほとんどが今そういう乗り物を使っていらっしゃるので無理もないかというような気もいたしますけれども、この中で死者はどのぐらい出ているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/194
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195・白井太
○政府委員(白井太君) お亡くなりになった方は年度によって多少まちまちでございますが、大体一けたで、六十一年度の場合が七名、六十年度の
場合が四名ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/195
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196・平野清
○平野清君 せっかく一生懸命働かれてもけがをしたり、六〇%が交通事故によって休まなきゃいかぬ。一方では、普通の郵便の作業をやっていた方が年間で大体九千人ぐらいけがをされているようなんで、その確率からいえば非常に多いと思いますね。万が一重傷を負ったり、死んでしまえば、郵政省の方の戦力減もしくは家族の方の被害ということも大変なので、職員教育の面でも、交通安全に対してはより一層の御指導をお願いしたいと思います。
それから、郵政省の内部の防犯体制については、大臣の所信の中でもさらに強化するというようなことがうたわれておりました。先般、昨年ですか、大阪空港でも何か一億円だか二億円の郵袋が紛失したというようなことも報道されております。そちらの方に対する内部監察の強化についてはどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/196
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197・加宮由登
○説明員(加宮由登君) 郵政事業をめぐります犯罪には、ただいま先生お話ございましたように、航空機の先ほどの大阪のお話等いろいろなタイプのものがございますが、あの種の部外者によるもの以外に、やはり一番問題は部内職員による犯罪でございまして、事業の信用を傷つけ、お客様に非常に御迷惑をおかけするということで非常に遺憾に思っておりまして、私どもも従来からその防止、根絶に努力をいたしておるわけでございます。
防犯の基本は、けさほど大臣所信で申し上げましたように、一つは職員の防犯意識の高揚、これが第一でありまして、二番目には職場の防犯管理体制の充実でございます。職員の防犯意識と申しましても、結局つまるところは、要するに立派な事業人としての意識としっかりした公務員としての意識を持った職員をつくるということでございます。それから職場の関係でございますが、これは何といいましても、全国津々浦々において、多額の現金が毎日毎日非常に身近な形で扱われておるということから、その意味では犯罪の誘因というものが非常に多いということでございまして、そのために職場の検査、監査と申しますか、相互牽制と申しますか、そういう体制をきちんととる、しっかりとした規律のある職場をつくるということに尽きるわけでありまして、私ども監察の方としましても、全国の二万余の郵便局の大半を占める小さな郵便局につきましては、一年に一回何とか臨局をしまして、これらの体制がきちんと守られておるかどうかということを検査、考査をいたしまして、犯罪の未然防止、あるいは早期発見に努めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/197
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198・平野清
○平野清君 なお一層の御努力をお願いしたいと思います。
郵便局の週休二日制につきましては、何人もの先生から御指摘があったり御質問がありました。それにつきまして私もぜひ御質問したかったんですけれども、皆さんおっしゃいましたので、それに伴う小さなことだけれども一般市民に非常に関連のあることをちょっとお聞きしたいと思います。
郵便局の中に電話が仮にあるとします。そうしますと、ほとんどのところ、私の見た限りでは郵便局のそばに公衆電話がありません。仮に土曜日曜郵便局が閉まってしまいますと、今まで郵便局で電話を利用していた方は遠くまで行かなきゃならない。これは笑い話じゃなくて本当のことなんですが、郵政のある職員が帰省して、自分の家が特定局なんですが、自分の家の前まで帰って、朝余り早いんで、着いてかげりゃいいと思って行ったら、月額二千円以下の電話だということで取り払われて、自分の家へかけられなくて、また何分か走って、戻って自宅を起こしたという話もあります。大概郵便局は繁華街もしくはバス停、駅のそばにあって、利用者が盛んに利用するわけですけれども、土曜日そこで閉まってしまうと、電話一つかけられないというような事態もあります。
ここにNTTの方いらっしゃいませんけれども、電話機一つでも庶民にとっては非常に大きな関連があるわけで、そういう場合には、局の中のものを外に移してでも何か利用者に便利になるようにNTTの方と御協議願えるようにしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/198
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199・田代功
○政府委員(田代功君) 現在、無集配特定局の半分弱の郵便局では、その郵便局の中の公衆電話がその辺では唯一のものだそうであります。半分以上のものは近くにボックスがあるというような状況でございます。で、今までも第二、第三土曜日休んでおりましたが、これからは毎週土曜日休むとなりますと、不便の大きさもまた大きくなりますので、今のお話の趣旨を踏まえまして、今後NTTと精力的に話し合っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/199
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200・平野清
○平野清君 時間も余りありませんので、一つだけ御質問さしていただきます。
最近よく注文をしていない郵便物が来て、奥さんがそれを受け取ったときに、これは多分主人が注文したんじゃないかということで、判こを押して中をあげてみます。そうしたら、全然御主人も注文していない。よく郵政省の方に聞きましたら、郵送代はその荷物を出す人が払ってるんだそうですが、着いた荷物には、あげた利用者といいますか、郵便を受け取った人が払うことになっているわけですね、着払い制度といいますか。注文をしていないものに家族が知らないで払ってしまって、大変トラブルがたくさん起きているということを聞きますけれども、これは郵政省でチェックは何とかできないものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/200
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201・田代功
○政府委員(田代功君) 郵便がそういった何といいますか、いわば悪徳商法の道具に使われているというのは非常に遺憾なことではございますが、実際にしかし郵便を引き受ける、これは代金引換郵便と言っておりますが、この郵便を引き受けるときに、それが本当にお客様が注文した物かどうかを確認するのは実は不可能に近うございます。それからまた、配達するときに、これはあなたが注文したものですかということを一々確かめる、これも実は大量の郵便を毎日扱っておりまして、これも非常に難しゅうございます。結局は消費者の方の自衛策をまつしか最後はないわけでございますが、こういう事件がふえるようでありますので、私どもも配達の際、せめて一声かけてはどうか、大丈夫ですかという――郵便局の職員が差出人、受取人いろいろ見てやるのも、これは通信の秘密その他の問題でまた問題がありますので、限度はございますが、大丈夫でしょうねという、何といいますか、一声かけるのがせいぜいかなというつもりでおりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/201
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202・平野清
○平野清君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/202
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203・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00219880322/203
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