1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年四月二十六日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
田渕 哲也君 橋本孝一郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 上野 雄文君
理 事
添田増太郎君
宮田 輝君
守住 有信君
大森 昭君
委 員
岡野 裕君
長田 裕二君
志村 愛子君
陣内 孝雄君
永田 良雄君
成相 善十君
西村 尚治君
山内 一郎君
及川 一夫君
大木 正吾君
鶴岡 洋君
山中 郁子君
橋本孝一郎君
青島 幸男君
平野 清君
国務大臣
郵 政 大 臣 中山 正暉君
政府委員
郵政大臣官房長 森本 哲夫君
郵政省放送行政
局長 成川 富彦君
事務局側
常任委員会専門
員 大野 敏行君
参考人
社団法人日本民
間放送連盟専務
理事 泉 長人君
日本放送協会専
務理事 林 乙也君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/0
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001・上野雄文
○委員長(上野雄文君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る二十二日、田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として橋本孝一郎君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/1
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002・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
放送法及び電波法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に社団法人日本民間放送連盟専務理事泉長人君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/2
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003・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/3
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004・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/4
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005・大木正吾
○大木正吾君 今回のこの放送法の改正の中で、幾つかポイント的なことがございますが、同僚委員の質問等もございましたので、問題を絞りまして、三、四点について伺っておきたいと思います。
まず第一に、放送普及基本計画についてでございますが、法定化問題をある程度もっとすっきりしておきたいという気持ちはよくわかりますし、そのことについて、とかくのことを申し上げるつもりはございません。
ただ、しかし、言えば裏返しをして申し上げますと、大臣を目の前にして言いにくい点もありますが、役所の権限が強くなる、こういうことでもございますし、そういったものと民意の反映というものとの兼ね合いがどうなるか、この調和が難しい問題になるわけでありますが、いずれにいたしましても、電波監理審議会とこの基本計画の策定あるいは変更につきまして話をされる、こういうふうな文脈になっておりますが、具体的にはどういうことでそういったことを措置されるか、これをまず成川さんに伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/5
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006・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生お話ございましたように、放送普及基本計画は郵政大臣が定めることになっておりまして、これを定める場合あるいは変更する場合におきましては、電波監理審議会に諮問しなければならないということとされております。この場合、電波監理審議会は審議をして答申するわけですが、必要があると認めるときは聴聞を行うことができることとされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/6
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007・大木正吾
○大木正吾君 電波監理審議会と郵政省側と意見が合わなかった場合等はどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/7
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008・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 郵政大臣は、電波監理審議会の議決があったときは、答申があったときはそれを尊重して措置しなければならないということにされておりまして、今日まで意見が合わなかったということはございません。議決を尊重して、行政運営はスムーズにいっているというふうに私ども理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/8
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009・大木正吾
○大木正吾君 それでは確認いたしますが、電波監理審議会の方針の策定の方が言えば優先といいましょうか、それを大臣は受けとめて実行に移す、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
それから、関連いたしまして民放連との関係でございますが、民放連から何かこの問題についての要請等はございましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/9
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010・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) この委員会でもお話し申し上げたかと思いますが、民放連からの御意見を聞かせていただいております。
それで、御意見の中身といたしましては、周波数割り当て計画、現在チャンネルプランと称しておりますが、それの策定の根拠、あるいは策定に当たっての基本原則等を法律で定める必要があるということを主張しております。
それから、基本原則の内容といたしましては、割り当て計画策定が放送体制のあり方や事業存立基盤たる地方経済力について十分考慮して行われる旨を明記すべきであるというような要望が出されております。今回の改正は、法的根拠を明らかにするというようなことで措置させていただいておりまして、おおむね民放連の要望に沿ったといいますか、要望の趣旨に沿った内容となっているというふうに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/10
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011・大木正吾
○大木正吾君 民放連とのお話し合いはスムーズにいった、あるいは民放連側も理解をした、こう受けとめてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/11
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012・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先般も民放連の専務理事が出席させていただきまして、若干の意見の違いを述べたやに私ども聞いておりますが、大筋としては、私どもの今回の改正案に賛同しているというふうに私どもは理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/12
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013・大木正吾
○大木正吾君 アメリカ型の放送の歴史といいましょうか、そういったものを見てみますと、言えば公共放送ということよりは、ある意味では商業放送、あるいは完全な民放主体の放送体系になっておりまして、ヨーロッパ等ではそういった面は違うわけでありますが、日本の場合にはそれの中間的な面というふうに私承知したいんですけれども、必ずしも今回の放送法の法改正問題が、ややもしますとやっぱり官僚統制といいましょうか、役人の方の権限が強まる、こういうふうに一般的には受けとめられるという懸念がございますから、そういった問題については、そういったことのないようにぜひ実行上の問題としては配慮してもらいたい、こう考えますが、大臣にこのことはお答えいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/13
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014・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 先生の御趣旨のように、放送の内容には我々は触れることができないという大原則がありますから、その前提に立って官僚統制というような誤解を受けないように努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/14
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015・大木正吾
○大木正吾君 ぜひそういうふうにしていただきまして、理事の方にもお願いしておきますが、これは今後の問題にも絡みまして、附帯決議等にもそういった方向をぜひ明らかにしていただきたいと考えております。これは私の希望意見として委員長に申し上げておきます。
第二の質問は、これはNHKに対する質問になりますが、経営委員会あるいは放送番組審議会等がございますが、視聴者の国民との関係ですね、これについて少しく伺いたいんでありますが、前回の同僚議員の質問の中にもありましたとおり、委員の選任の問題等についての意見も多くありましたが、ただ放送の持つ現在の国民に対するマスメディア的な影響等々を考えていきますと、フィリピンにおける例えばアキノ政権の誕生の際にも放送が大変な影響を与えたということは、これはもう事実として新聞報道もされています。同時に、大臣には非常に申し上げにくい話でございますが、十チャンネルの久米君の番組が相当にやっぱり大幅に売上税問題のときに影響を与えたことも、これも雑誌の中には一部に触れられているわけであります。
そういう点等から、私たちはやっぱり経営委員会、番組審議会、そういったものがあることはよくわかっていますけれども、視聴者のニーズ、視聴者の考え方をどのようにこの種の上の方の会議に対して反映さすかどうかが非常に大事な問題、こう考えておりまして、この際新しく組織機構等を改廃することもありませんでしょうが、ぜひ現在ございます五十カ所前後の視聴者会議、こういったものに対しまして、大いにこれから活用しながら、言えば上級機関との関係づけをしてもらいたいと、こういう気持ちがいたします。
そこで、NHKに伺いますが、現在の視聴者会議のいわゆる活動の状況、同時に大都市圏におきます放送懇談会の問題、同時に年間二千回程度視聴者懇談会等という話がございますが、そういったものについて、網羅的に視聴者の意見の吸い上げ、あるいは集中、吸収等についてどのようなことをされているかについて伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/15
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016・林乙也
○参考人(林乙也君) ただいまお尋ねの、まず第一には視聴者会議でございますが、視聴者会議は、全国的規模で広く国民からの意向を積極的に受けとめ、協会の使命、業務などにつきまして理解促進を図るために五十一年からスタートさせたものでございまして、全国五十三カ所で年三回、東京につきましては五回会議を開催いたしまして、視聴者の方々からの御意向をいただいておるところでございます。大体県域になっておりますけれども、一カ所の視聴者会議の構成が大体十八名程度でございまして、六十二年度、全国を通じますと八百九十五名の方々に視聴者会議の委員にお願いをいたしております。
会議の状況でございますけれども、ただいま申しましたように、全国五十三会場で開催いたしましていろいろ御意見をいただいておるわけでございますが、六十二年度を通算いたしますと、会議で出されました意見の総件数が約三千件に達しております。その内訳は経営関係で四〇%、番組関係で五五%、技術関係で大体四%程度というような形で、経営全般についての各般にわたる御意向をいろいろいただき、また、その意見交換の中で協会の事業運営についての御理解をいただいておるところでございます。
その内容につきましては、大体年三回をシリーズにやっておりますので、各回ごとに取りまとめまして、いただきました御意見等につきましては理事会、さらには経営委員会にも御報告申し上げ、また、その都度記者クラブ等にもその概要を御説明申し上げておるところでございます。
また次に、視聴者懇談会でございますが、視聴者懇談会は地域のリーダーや若者、ヤングミセス、それから各種の団体等を対象に、NHK業務への理解促進を図ることを中心に運営をいたしておりまして、特に都市部に力点を置いてその運営を図っておるところでございます。いずれも一回に十五名から二十名の視聴者の方々にお集まりをいただきまして、これはどちらかといいますと、弾力的、柔軟な運営ということで図っておりまして、六十二年度は千五百三十回ほどの会議を開催いたしております。こういった中で、視聴者懇談会におきましても協会の業務運営の現状を御説明申し上げ、さらに営業活動あるいは番組等、各般にわたる、特に地域に密着した意見交換ということで運営を図っておるところでございます。
NHKといたしましては、これらの視聴者の方方との理解促進、意思の疎通ということについて今後とも充実に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/16
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017・大木正吾
○大木正吾君 今答弁の中にもございましたとおり、番組関係で五五%、経営関係四〇%という数字が示しますとおり、非常にやはり、いわば学識経験豊かな七十歳前後の経営委員の方々から比べますと、やはりNHKの経営基盤、あるいは放送に対するニーズ、国民の価値観、そういったものを吸収するためには極めて大きな役割を果たしている、こう考えていいと思うんですね。
そこで問題は、こういったものをもっと充実をさせるためにNHK御自身がどういうようなお考えをお持ちかどうか。例えば委員の人選が一年で交代というような説も伺うんですけれども、一年交代でもっていいのかどうか。私も余り長いことはいいとは思いませんけれども、せめて二年ぐらい続けてやってもらうとか、あるいは委員の構成について年齢的なギャップ、そういったものについてとか、階層別の問題とか、そういった問題についても御配慮願いたいということが一つございます。
それから同時に、視聴者会議の意見を経営委員会なり、あるいは番組審議会等に対しましてどういう方法で結局反映させるか。この問題について、もうちょっとルール立った方法が考えられぬかどうかという問題等についてもぜひ研究し、同時に、その方法等が現在進行しておりましたら伺わせていただきたい、こう考えているわけでございまして、要するにそういった視聴者会議というものが、NHKの経営あるいは番組、同時にこれが番組の質や視聴率等にも影響するでしょうが、非常に重要な意義を持っているわけでございますから、そういった意味合いにおきまして、委員の人選、同時に経営委員会、番組審議会等との関係につきまして、例えば中央にそういったものを全部トータル的に集める、何人かの代表が出てきてもいいと思うんですが、そういった形について考えられている予定はないかどうか。そういったことを含めてお答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/17
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018・林乙也
○参考人(林乙也君) 御指摘のように、ただいま視聴者会議の委員につきましては、任期一年ということでお願いいたしておるわけでございますが、NHKといたしましては、できるだけ幅広く各界各層の方々から御意見をいただきたいということで、そういうような方法をとっております。大体平均年齢を見ますと、委員の方々の平均年齢を見ますと大体四十九歳程度、また女性の委員にも、四分の一は女性の委員に御参加いただいておりますし、農林漁業、商業、サービス等、大体十一分野に分けまして、いろいろ各界各層から御意見をいただいておるところでございます。
私どもといたしましては、現在運営いたしております視聴者会議につきまして、なおその内容なりあるいは意見の反映というものについて、より的確な方法を得たいというふうに考えておりまして、例えば会議への協会側の委員の出席なども積極的に各放送局、あるいは協会の役員なども出席するように努めたいというように考えておるところでございます。ただ、余り一つの規定化、形式化してまいりますと、かえって視聴者会議の本来の趣旨が損なわれるのではないかというような気もいたしておりますし、また言論、報道にかかわる放送事業としての自主的な経営活動の一環としてやはり今後とも運営していくことが適当ではなかろうかというように考えておりまして、今後とも適時適切な運営を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/18
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019・大木正吾
○大木正吾君 今、最後に触れていただきました問題、極めて大事な問題でございまして、私どもの方でも何か規則とか規定等を設けてやってほしいということじゃありませんで、あくまでもいわば視聴者会議自身が相互に連絡をとり合いながら、NHK側としますれば、それを側面的に手助けをしていただく、こういう形が一番望ましい、こう考えているわけでございまして、ただ問題は、やっぱりこの視聴者会議というものは、ある意味では私、経営委員会の方々とか番組審議会の方々に対して、決してこの方々が不適任であるということをきょうここで申し上げるつもりはございません。ございませんが、NHKの経営の今後のあり方、あるいは番組に対する批判、意見ですね。言えば生きた公共放送といたしまして、NHKが本当に発展していくためには現場の国民の声がどう出てくるかということは極めて大事な問題ですからね、そこのところについて十分な認識を深められまして、むしろこの視聴者会議等が形式化しないように、活性化した中でもってぜひ運用を強化、自主的な運営というものを強めていってもらいたいと。それに対して、NHK御自身が側面的に援助あるいは協力等してあげてもらいたいと、こう考えておりまして、このことについて、要するに総合的にはそういった民意、国民の気持ちの反映のために充実したものにし、同時に経営委員会、番組審議会等にそういった意見がまとめて反映できる形をとってもらいたいと、こういうことでもって、このことについて強く希望しておきます。これはNHKの経営の問題にも将来関係する問題でございますから、そういったことを含めて、ぜひお考えおきいただきたいと思います。
それじゃ、NHKの方、結構でございます。
次に、郵政省にお伺いいたしますが、通信と放送の融合といいましょうか、あるいは境界線といいましょうか、その問題につきましてなかなか、この前も他の委員の方の御質問の中にもございましたとおり、最近のこの新しいメディアのどんどんどんどん商品開発的なことも含めまして、発展が非常にスピードアップされ、しかも広範にわたっているわけでありまして、問題によってはどこまでが通信で、どこまでが放送かということがわからぬ状態にもなっているわけでありますが、この問題について、成川局長はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/19
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020・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生おっしゃいましたように、通信と放送の境界領域的なサービスという分野におきましては、技術開発の進展等もございまして、今後はいろんなサービスが可能になってくるというような感じがするわけでございます。で、私どももそういう芽を伸ばしていかなきゃいかぬというふうに思っておりますが、そのあり方等につきましては先般、電気通信事業法の施行状況と、それから見直しをいたしました電気通信審議会が、この点について検討に着手すべきであるというようなことも言っているところでございます。
したがいまして、私どももその答申等を受けまして、今後のあり方といいますか、放送と通信の境界領域分野におけるあり方等につきまして勉強していきたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/20
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021・大木正吾
○大木正吾君 例えばの話が、これアメリカのCNNという、主としてCATVを通信衛星で結んだものですけれども、これは明らかに端末の状態でいきますと、放送関係に分野としてはなる。あるいは通信も若干絡みますけれども、同時にそういったことに持ち込んでいます。しかも、アメリカの全世帯の五割を占める方が受信している、こういうふうに言われてますわね。そして、宇宙には通信衛星が打ち上がっておりまして、端末の方では双方向通信ですから、そういった面でいきますと、これ本当にどこまでが通信で、どこまでが放送かという問題について、現物をちょっと私は頭に描いてみてもなかなか難しいものがあろうと思うんですよ。
ですから、そういったことを含めて、言えばこれから非常に難事業になろうかとは思うんですが、この融合と境界線という境界領域の問題につきましては、どういうような階層の方々、あるいは業界の方々等々の意見を聞きながら特別の、要するに現在ある電気通信審議会等でやるのか、恐らく私はあのメンバーだけではできないと思うんですね、端的に申し上げましてね。特にハードの部分なんかについてなかなか難しいと思うんですよ。そういった面について局長御自身、言えば何らかの、この答申を受けてから既に何カ月かたつわけですから、何らかの構想がなければおかしい。日進月歩の通信、放送時代、情報化時代ですからね、そういった問題について何らかの構想お持ちじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/21
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022・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先ほど申し上げましたように、電気通信審議会では検討に着手すべきであるというようなことで、今後の電気通信審議会の検討課題になっているところでございます。電気通信審議会の方といたしましても、私どもの方の意見を聴取する場というのはあるんじゃないかというふうに考えておりまして、私どもは放送行政局という立場で放送と通信と両側からのアプローチがあるわけでございますので、放送行政局としての立場からいろいろと意見を申し述べ、その意見をその答申等に反映さしていただけるように努力していきたいというふうに思っているところでございます。すぐに答申が出るというような状況じゃないわけでございまして、今後いろいろと私どもも研究といいますか、勉強の場というのも考えてやっていかなきゃいかぬというふうには思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/22
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023・大木正吾
○大木正吾君 この問題について大臣から答えもらわなくてもいいんですけれども、どうも私たちが見ていると、何か今度の法案自身も相当な部分が現状追認型ですわな、どっちかといいますとね。そして、この問題もむしろ現実にはどんどんどんどん世の中の情報化社会、あるいは情報化時代が進展している中におきまして、こういう答申をいただきながら、私はむしろやっぱり現場のエンジニアといいましょうか、研究所とか、そういったところの方々がいろんなこの小グループをつくって真剣にやっぱり、例えばNTTの横須賀通研がありますよと、渋谷にNHK技研がありますよと、この諸君の中の何人かのエキスパートが集まった中でもって、もうそこでもって小委員会的なものをつくって、プロジェクトチームをつくって、どこまでは境界なんだと、あるいはもう完全に融合するんだと、こういうふうなことについて、技術的な議論というやつは始まっていなけりゃ遅いんだよ、実際には。この答申自身が遅いんじゃないですか、現実の問題としては。と私は思うんですよね。
だから、成川さん、そうおっしゃるけれども、余りこの答申の、現にここに持ってきているけれどもね、こんなことあった、これも現状追認なんだ、結果的にはね。現状追認なんですよ、書いてあること自身は。中身を書いた人はわかっちゃいないですよ、それはもう。私はそう思う。
最近の商業新聞、一般の新聞でも、例えば移動通信衛星が上がった、どうなるんだということについて、全部これ図解して発表していますよね。ああいったもの等を見たときに、やっぱりNTTの通信研究所、あるいはKDDにありましたそういういったところとかね、あるいはNHKの技研等ありますよね、そういったところのエンジニアの方々等集めてさ、皆さんがむしろやっぱり今、言えば局長御自身が、そういった諸君とディスカッションしながら、あなた自身が新しいものを、技術を吸収していかなきゃだめなんじゃないですか。そうしなきゃこんなもの書いたって意味ないですよ、本当にね。
だから、私はそういった意味合いで、この問題については、むしろ放送法の改正が出たときに現状追認だなと、新しい方は極めて何か薄っぺらに二、三行、五、六行書いてあるなと、こういう程度に見ておったんだけれども。今言った問題は非常に大きな、私が現実の、あるいはここ近年、二、三年来の問題といたしまして、衛星という問題がぶち上がったり、あるいはハイビジョンもどんどんどんどん、前へ前へ進んでいきますけれどもさ、その場合に交通整理すべきものがあるんじゃないかということを感じておったんですが、もうちょっとこれについては、お答えも要りませんけれども、そういった技術研究の方々を、言えばハード、ソフト含めても結構ですから、別々のグループでもってやってもらってさ、そういうことをやりながら、言えば郵政省にあります電気通信審議会のメンバーの方々も何人か参加をされまして、基礎的な知識、将来どういうものが商品として出てくるだろうかということを含めて勉強されておいて、それであなた境界線引かなかったらできませんよ、それはとてもじゃないけれども。意見があったら聞かしてください。なけりゃいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/23
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024・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生のお話にもございましたように、技術開発等の動向によりまして、放送と通信の境界領域的なサービスというものも開発されることが予想されるところでございます。そういう観点から電気通信審議会、先ほど申し上げましたように、三月の十八日に事業の方の見直し等も含めまして答申をした中で、今後検討すべき分野として指摘しているところでございます。
まあ、先生おっしゃいましたように、幅広く私どもも勉強していかなければならないわけでございまして、今回の法改正は、現時点においては可能なといいますか、やるべきことを盛り込んだというふうに私どもは考えておりますが、先生おっしゃいましたように、放送の発展の現状とそれから多様化した現状に合わせまして法律構成を直そうということで提案させていただいたわけでございまして、近い将来の発展には十分たえられる基盤づくりはこれでできたというふうに自負しておりますが、まあ今後とも今言った問題等々も含めまして勉強をさせていただきまして、今後の問題解決に向けて適時適切に対処していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/24
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025・大木正吾
○大木正吾君 まあそういう程度だというふうに私も実は考えておりまして、そこで次の質問に移るわけでございますけれども、まあ初めから、この放送法が出ましたとき原文を、ちょっと四、五点の重点的な項目だけ拝見いたしまして、言えば今局長もおっしゃったんですが、現状追認ということは、ある意味では現在の状態がどうなっているかについて一遍整理をしてみる、こういうことですよね。ですから、そういったことの中にぎらつくのが、どっちかというと、大臣を目の前にしてちょっと言いにくいけれども、やっぱり官僚統制的なことがかぶってくる、こういうものが光るわけですよね。言えばそういったことで私もいろいろ心配もし、いろいろ見ているんですけれども、いずれにしてもこの情報化社会といいますか、情報産業というか、情報自身が産業になっているという状態と言ってもいいでしょうし、同時にあらゆる産業、金融、医療、教育、すべての分野に対しまして媒介的にやっぱり情報というものが食い込んできているわけですよね。
一方では、まあ今放送衛星、宇宙時代を迎えてハイビジョンが打ち上がって、言えば非常に将来は仕事の分野も多くなり、同時に、まあ故障がなければという前提をあえてつけますけれども、とにかく輝かしい事業の発展という問題が考えられる、こういうふうにお考えでしょうけれども、いずれにいたしましても、なぜこの今放送法を改正するのかについて実は疑問を持った一人なものですから、これは大臣に伺いたいんでございますけれども、現状追認ということと同時に、一遍整理をしてみようという問題は、同時に直ちに作業として追いかけていかなきゃならぬ問題があるはずなんですね。それはすなわち、やっぱり今の言えば宇宙衛星あるいは放送衛星、特に通信衛星等の場合にはもう移動してきますからね、移動していろんなサービスをしたり、どんどんやっていきますと、結果的にはやっぱり非常に規制の仕方とか放送と通信との分離の仕方とか難しい問題が出てくるはずなんですよね。
だから、そういった問題について、私はむしろこの法案とあわせまして、さっきも融合の問題等どこが境界線かということを伺ったんですけれども、こういった研究課題がありますよということを、本当は電気通信審議会のハードな問題なんかをまず土台に置きながら幾つか分類してここに示してほしいという気持ちがしておったんですよね。しかし、発言の機会もありませんでしたからそういったことは申し上げていないんでありますけれども、いずれにいたしましても近い将来、三年か五年かわかりません、私は五年とはもたないと思うんですね、現にきょう放送法を上げましてもね。恐らく三年ぐらいの間には次の放送法の改正問題につきまして、どういうものが出てくるかわかりませんけれども、いずれにしてもやっぱり新しいものが出てこなければ規制ができないといいますか、法定化ができないというか、交通整理が困難だというか、そういった問題が多々出てくるはずでございますから、そういった問題について大臣の御認識、同時に局長の今後の方向づけ、それについて伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/25
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026・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生先ほど来お話ありましたように、今回の法改正は、先生のお話ですと現状追認というような形でございますが、私どもといたしましては、今日放送界も大変発展してまいりましたし、多様化してまいりまして、それにふさわしい法律に改めなきゃいかぬということで改めさせていただいたと同時に、近く予想されています有料放送導入の手だても今回の改正案で講じさせていただいているところでございます。
したがいまして、内容的には現時点でとるべき措置というものはとらしていただいたというふうに考えてはおりますが、将来の発展を考えますと、通信と放送の境界領域的な問題、あるいは新しいニューメディアの問題とか、現時点においては発展の動向、あるいは国民のニーズ等々、的確にキャッチできるような状態ではございませんものですから、今回は法律の中に入れておりませんが、今後そういうものに対処するために法律改正の必要が出てきた場合には適時適切に対処していかなければならないというふうに考えているところでございます。
今日におきましては、まだまだ技術開発の動向等々、私ども十分に把握し得ない面が多々あるものですから、それは今後の動向等を見定めることができる段階におきまして、必要とあれば法律改正をしなければならないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/26
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027・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) もう先生御指摘のように、この通信とそれから放送というものの領域というのは、だんだん複雑に絡み合ってくる時代が来たという私も認識を深めております。
通信というのは、何か特定の人から特定の人に一般に目の触れない方法で連絡し合っていたのが通信で、放送というのは不特定の多数の人に、ある意思のもとに自分のその意思を伝えるようなメディアだったものが、その一般の目の触れる中に特定の人に対する意思を表示するものが入ってくると、それによって一般にどんな影響が出てくるのか、その辺の問題が、放送の内容には触れられないという大きな大前提の上に立っているだけに、将来例えば、前にも申し上げたと思いますが、NHKが昼のニュースの時間に新左翼の人たちによって十七分間ハッカー、乗っ取られたという事態が起こります。これはもう衛星放送なんというのが始まりますと、衛星に電波を出してやれば不測の事態も起こり得るという可能性もあるわけでございますし、それから人権の問題なんというのも出てくるんじゃないか。放送がされてしまって、後でそれをどういうふうに何といいますか、補てんしていくかという大変大きな問題を含んでいるところでありますように思えますので、確かに現状追認型、もう本当に大変な進歩を遂げていきます放送、通信というものにどんなあり方を示していくかというのは将来大きな問題であろうという認識をいたしておりまして、大いに先生の御提案のありました方式による研究を進めていく必要性を痛感いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/27
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028・大木正吾
○大木正吾君 成川さんのおっしゃったその答えで、またこれはいろんなことを言わなきゃならないんですが、最後ですから一言だけ私の方から意見として最大の忠告を申し上げておきますが、あなたは把握できない問題も多いとか、必要ならば改正しようとかおっしゃった。今度の法律にあなた、これは出ていますか。双方向CATV、例えば通信衛星を媒介にしてやる仕事の問題についてどこにどういうふうに、あなた方は省令なんかでもってやるんですか。この法案ではわかりませんよ、そのことについてはね。だから、そういったことを私は言って、同時にハイビジョンなんという立派な話も結構だけれども、どういうふうな新しいサービスを、どんどんNTTにいたしましても、NHKもこれから新しく新しく開発しようとしているわけでしょう。だから、そういったものを含めて、やっぱりもう今のうちから、私はさっきから申し上げているんですよ、技研の諸君と会いなさいよと、横須賀通研の連中を呼びなさいよと、そういった技術者を集めて、事務屋がわからないことを全部勉強して、そして一体どういうふうにすれば放送と通信に境界線というやつはできるんだろうかとかね。この問題は両方でやっているけれども、ここまでは通信の領域であるということで分類できるとか、そういったことを今すぐ始めなきゃならないんですよ。そのことはすぐに法律改正に関係するかもしれないんですよね。
そういったことを含めて申し上げているのに対してあなたが、必要とあらばとかね、余りとぼけた話をしてほしくないんですよ、私はね。ここまで来た法案について、ストップとも言いたいぐらいの気持ちを持っているんだけれども、そうも言えないから、一応現状を追認して、整理をし直して、新しいものを積んでいこうと、こういう考えと思うから、あえて私は反対と言わないんだけれども、そういったことをよくのみ込んで、この法案の問題については今後の問題として、踏み台として、将来の研究の土台にしてもらいたい、こういうふうに考えておりますので、そのことを十分に御認識しておいていただきたい。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/28
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029・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 現在の放送、地上放送に関してはNHKといわゆる一般放送事業者、民放の併存体制によりまして、ある意味においては一つの爛熟時代というんでしょうか、そういうふうな時代のような気がするわけでありますけれども、したがって、この時点においての放送法改正というのは、それなりの意味があるわけですけれども、問題は改正をし、それを着実に実行していくということは大事なわけでありまして、そういう立場から難視聴問題について、まずひとつお尋ねしたいと思うんです。
今回の法改正の中で、NHKには普及義務というのはもう既につけられておるわけでありますけれども、民放にも普及努力義務が今度課せられたわけでありますが、その趣旨をまずひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/29
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030・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 民法の難視聴解消につきましては、今日まで法律上明文の規定は置いておりません。今回置いていただかせた趣旨でございますが、テレビジョン放送は国民生活に不可欠のものとなっておりまして、社会的な影響力も大変強いものでございます。それから、そういうことから地域住民の難視聴解消に対する要望が大変強いわけでございます。また、民放というのは公共的な財産でございます有限、貴重な電波を活用して、地域社会に密着したサービスを提供していただいているわけでございまして、そういった点から反対給付というわけではございませんが、当然その放送対象地域についてはテレビが見えるようにしていく義務があるわけでございます。そういうことから、再免許の際などに行政指導という形で中継局の置局を促し、難視聴解消に努めるように指導してきたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/30
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031・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 大体許認可事業でありますから、だれでも勝手はやるわけにはまいりませんので、当然その反対給付として、義務というものは課せられるのはこれは当然だと思うわけでありますが、いわゆる今までの許認可の時点で指導してきたと言うんですけれども、そういう原則からいって、今まで努力する義務はなかったのは一体どういう理由からなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/31
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032・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 法律には明文を置いていなかったんですが、私どもは免許の際に、中継局についてはできるだけ多く置いていただいて、受信者の方々が視聴が可能なように措置してほしいという形でやってきたところでございます。しかしながら、テレビジョン放送というのは国民生活に必要不可欠のものでございますし、要望が依然として強いと、それで現実には民放事業者がかなり努力して中継局は置いてきているわけでございますが、まだまだNHK等に比べますと中継局の数も不足しているところもないではない、まあ一部でございますが、あるわげでございます。そういった観点から、今回その措置を明確に法定することによって、一層きめ細かい指導、あるいは中継局の置局を促していこうというようなことで明文化した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/32
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033・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 国民に公平な視聴環境を与えるということ、これは非常に大事なことでありますから、そういう意味で、これは当初からそういうものが考えられておりましたけれども義務づけられておらなかったと。いろいろな試験段階ということもあったりしたかと思いますけれども、今日の段階で考えてもむしろ遅過ぎたような感じがするわけであります。しかし、それにしてもそういう義務事項ができたということは大変結構なことだと思うのでありますが、そうしますると、しかし、民放の場合はあくまで商業としてですか、商売としてというのでしょうか、放送を行っているわけでありますから、大変この努力義務というのを遂行する上においても一律ではないでしょうけれども、大きな負担というのですか、負担になることも考えられますし、だからこそ難視聴解消というのは非常に難しかったと思うんでありますが、今回の法律でも、民放にも努力義務という形とはいえ義務を課すわけであるから、その義務を遂行するために政府として何らかの協力をしていくべきではないかと思うんですが、税制上の優遇措置とか、あるいはその他いろいろな措置があるわけでありますけれども、何か具体的な方針があるのかないのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/33
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034・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 今回法文に努力義務という形ではございますが、明文化させていただいたところでございます。しかしながら、民放の経営事情等によりまして、先生お話ございましたように、難視聴解消が進まずNHKとの間に格差があるところもございます。NHKと同様の中継局を置いてサービスしているところもございますけれども、一部においてはなかなか経営状態が悪くて、中継局の置局ができないというようなところもあるわけでございます。こういったことから、私どもも従来から財政的な支援措置、あるいは税制支援措置ができないかというようなことでいろいろと努力はしてきたんですが、おかげさまでやっと六十三年度から財政投融資の特利融資の道を開くことができました。これによりまして、中継局の置局促進についての支援ができるんじゃないかというふうに考えているところでございます。
郵政省としても、今後とも先生のお話にございましたように、いろいろな面で努力して中継局の置局がスムーズにできるように、促進できるように努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/34
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035・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 そういう具体的な措置がとられたようでありますけれども、先ほどからもお話に出ておりますように、NHKの中継局の相乗りというのでしょうか、そういったもの、これはNHKに聞かなきゃならないのかわかりませんが、それも一つの例だと思うんですけれども、そういう方法等についての実績があるのか、あるいはないとすれば、これからどういうふうに利用しようとしていく計画があるのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/35
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036・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生お話ございましたように、従来からNHKと民放とが共同して中継局を建設している例もかなりあるわけでございまして、今後とも御指摘のような方法というのも難視聴解消の解決策の有効な方策というふうに考えられますので、これも活用して難視聴解消を促進していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/36
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037・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 では次の問題に移ります。
電波割り当てに関する問題ですけれども、現在マスコミ集中排除の原則のもとに一社に一波しか電波の割り当てがないわけでありますが、放送基本計画で定めた放送系の数を一社一波で割り当てると経営が成り立たなくなるという懸念もあるわけでありますが、そこで、放送政策懇談会の報告書を見ますと、一社二波方式やあるいは中継局方式を懇談会では提言しておるわけでありますが、これについてどのようなお考えを持たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/37
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038・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 放送政策懇談会の報告書の中では、先生お話しございましたように、従来のやり方ではなかなか放送局の開設ができないところが出てくるんではないか、経営上の問題等等そういうところが出てくるんじゃないかというようなことから、従来の主体的な要件を緩和した新しい方式を導入すべきじゃないかという報告を盛り込んでおるところでございます。
それで私どもといたしましては、先般もお話し申し上げましたように、集中排除の原則が一方にあるわけでございます。それで一社二派方式とか、いろんな方式が放送政策懇談会の中では言われているわけでございますが、その採用につきましては放送政策の基本でありますマスメディアの集中排除原則と、それから一方において多くのテレビを視聴したいという国民のニーズとの兼ね合いがあるわけでございまして、それらの二つの調和点をどこに見出していくかというのがこれからの課題というふうに考えております。
今の段階におきましては、従来の方式でできるところはやっていきたい、従来の方式で解決できるところは解決していきたいというところでございますが、経営上の問題等でなかなか難しいところが出てきた場合には、集中排除原則と国民のニーズとの調和点を見出すべく検討していかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/38
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039・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 ちょっとわかりにくいんですけれども、問題は、二つの問題があるわけですね。やはり受信機会の平等ということは非常に重要でありますし、そういう方式がとられないとするなれば、受信機会の平等の機会を与えていくというために郵政省としてはどういうふうな方法をお持ちでしょうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/39
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040・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 基本的には従来の、既に割り当てをしております局につきましては、従来の方式で対処をしていきたいというふうに思っております。基本的には周波数事情とか経済力とか、放送需要等を勘案して従来どおりの方針でやっていくわけですが、先生今お話しございましたように、経営上非常に問題があって、なかなか置局ができないというようなところも出てくる可能性もあるわけでございます。私どもといたしましては、全国テレビ四波化、FM一般というような形で普及していきたいというふうに考えておりまして、それを早急に実現しなければいけないわけでございますが、早期実現を図る上で必要と認められる場合につきましては、集中排除原則等との調和を図りながら当該地域の実情に合った具体的な方策を検討していきたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/40
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041・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 平等に機会を与えられてない該当地区というのは、結局、もちろん商業放送ですから採算という問題がまず第一義に入ってまいりまするし、もしその問題が解決されないとすると、いつまでたってもそういう当該地域は平等機会が与えられないという状態で進んでいく。その一つの対策として、一社二波というのが提言されたと思うんですね。今の段階ではそれが許可できないとするなら、やはりいずれかの段階で、いつまでたってもそういう状況が続いていくならば、やっぱりそういうことも考えていただくことがそういう地域に対する視聴環境を公平に与えるということにもなるわけでありまして、これは一つの要望であり検討事項だと思いますが、意見として申し上げておきたいと思っております。
次に、NHKはテレビジョン放送だけじゃなくて、中波並びにFM放送についても放送番組の相互の間の調和を求められておりますけれども、その理由は一体何なのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/41
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042・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 番組調和原則の適用につきましては、NHKはテレビジョンとそれからFM、中波につきましても適用を求めているところでございます。教育、教養、娯楽、報道といった間の調和を保たなければいけないとしているわけでございますが、全国のNHKの中波、FMにつきましては、国民全体が負担する受信料に直接の基礎を置くNHKの公共放送としての責務に照らしまして、また従来からあまねく全国に普及することが義務づけられているところでございます。そういったことから、今回も番組間の調和を求めることとしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/42
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043・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 これは何でも網をかけときゃもう心配要らぬということかもしれませんけれども、FM放送というのは、これは音質などのメディア特性から音楽番組中心ですわね。そういった番組までそういう番組調和規定というのは実際不当に必要なのかどうかですね、そういう点、どういう意味で課せられたのか、重ねてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/43
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044・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 放送法におきましては、FMまたは中波のいずれかによりまして、全国あまねくラジオ放送を普及することが義務づけられているところでございます。中波の代替の役割をFMが担っているわけでございます。そういう観点から番細調和の規定を求めているのでございますが、中波ラジオにつきましては、御案内のとおり、夜間になりますと混信するところがかなりございます。それで、混信の防止措置も私どもいろいろと努力してやってきているわけでございますが、どうしても完全に防ぐということは難しいわけでございまして、そういった観点から、FMと中波と両方あればいずれかが聞こえるという形になるものですから、そういった意味合いにおきまして、FMと中波両方に番組の調和規定を課しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/44
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045・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 次に、今回の改正法案では、監事の意見書を添付してNHKの財務諸表を国会に提出することになっておりますが、その趣旨は何なのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/45
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046・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) NHKは経営の自主性を大幅に認められている企業でございますが、そういったことからいたしますと、内部監査の果たす役割というのは大変重要だというふうに私ども認識しております。監事の監査機能の強化につきましては、従来から重要な課題とされてきておりまして、今回の改正でその重要性をこのように、財務諸表等は監事の意見書を付して国会に提出していただくようにしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/46
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047・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 そうしますと、そういう意味で意見を付させるんですが、五十五年五月十三日、いわゆる九十一国会ですか、この本委員会においての要望事項でありますけれども、監事の監査報告書を国会に提出することが求められていましたが、今回の法改正の検討段階では、この点について検討がされたのかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/47
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048・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生お話ございましたように、本委員会におきまして監査の所見、あるいは報告書を提出すべきとの御意見をいただいていることは承知しております。今回の改正案の策定に当たりましてもそうした御意見を参酌さしていただきまして、監事の役割の重要性とか、あるいは監事監査に関する国会を初めとする意見もございましたし、そういうものも参考にさしていただきまして、意見書を添えさして提出するように改めさしていただいたところでございます。本委員会の意見もこの中で盛り込ましていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/48
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049・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 次に、番組の質の向上といいましょうか、そういう観点からお尋ねしたいと思います。
放送の目的は、放送法にも明記されておりますように、健全な民主主義の発展と国民の福祉の増進を図るということにあるわけでありますが、そのために放送番組にはどのような番組が望まれるのか、まず一つお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/49
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050・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 放送事業者の何といっても一番重要な問題というのは放送番組であるというふうに思います。放送番組の具体的な中身につきましては先生御案内のとおり、言論報道機関としての性格から、番組編集の自由が放送事業者に保障されているところでございます。郵政省といたしましては、放送事業者に対しましては放送法第一条、先生おっしゃいましたような趣旨とか、あるいは放送法第四十四条に定められております番組準則というのがございますが、それらとか、あるいはみずから定めた番組コード、番組基準というのがございますが、それを誠実に守って、その公共的な使命の達成に不断の努力を傾けるように要請しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/50
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051・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 最近いわゆる低俗番組というんでしょうか、随分一時期に比べれば私は減ってきていると思うんです。そういう点の改善がなされてきているような気がいたしますが、しかしまだ時たま、これは人によっても視点が違いますから問題になるところかと思いますけれども、私は、低俗番組すべからく、すべてが悪いというわけじゃないんで、問題は質の向上を図っていく、そのことはもちろん放送事業者自体の積極的な努力が必要でありますけれども、そのためにどのような措置を行政側として講じていくのが必要なのか、そういった視点についての考え方をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/51
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052・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先ほど申し上げましたように、放送の中身につきましては放送事業者の番組編集の自由にゆだねられているところでございまして、内容的にとやかく私どもが言う立場にないわけでございます。しかしながら、放送番組というのは放送事業者にとって大変重要な要素であるし、また社会的な影響力も、茶の間性というような観点からも大変大きいものでございます。そういったことから、機会あるごとに番組の質的向上については私どもも要請しているところでございますが、今回の改正によりまして、放送事業者の自主性を促すというような措置から、放送事業者が設置いたします放送番組審議機関の活性化を図ろうということで提案さしていただいているところでございます。
中身につきましては、先生御案内のとおり、部内委員の廃止だとか、あるいは答申、あるいは意見が出たときにはその概要を公表していただくというようなことで一般視聴者との結びつきを図り、一般視聴者の番組の質的向上に関する意見が放送に反映されるようにというような観点から、このような措置を盛り込んだ法案を提出さしていただているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/52
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053・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 民放連の泉さん、お待たせしました。
問題は放送の自由という、これは非常に難しい法律論議になるわけでありますけれども、それはさておきまして、低俗な番組を放送するのもこれは自由でありますし、またあるいはそれを求めている人もないとは言えないわけでありますが、しかし、是非の判断が自分で十分につく大人がそのような番組を視聴する限りにおいては余り問題がないと思うんですけれども、人間形成途上にあるといいましょうか、白紙のといいましょうか、青少年に好ましくない影響を与えることは、これは一番心配なところであります。そのための措置としてどのようなことがとられておるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/53
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054・泉長人
○参考人(泉長人君) 放送番組の向上といいますか、これは放送事業者が放送を始めてから永久の問題でございまして、放送基準というものを連盟がつくりまして、それを各社が運用いたしました形でそれぞれの社の番組基準を持っているわけでございますが、やはり基本になるのが民放連の放送基準でございますが、放送基準の第三章に「児童および青少年への配慮」というのがございます。十五条から二十一条まで七条を充てて細心の配慮を促しているわけでございます。
それから、青少年に関するだけじゃなくて、また地域の婦人団体などの強い要望もございまして、これを検討いたしまして、昭和五十七年には児童向けコマーシャルに関する留意事項というのを特別につくりまして、これを各社に示して趣旨徹底を図っております。中身は連盟の放送基準がございますので、御承知かと思いますが、そういうことをしながら、しかし、やはり基本は番組をつくっている、放送に従事している社員そのものの放送人としての自覚にまたなければならないということから、最近は各社の社員研修の責任者を集めまして放送基準を、放送番組をつくっている人もさることながら、それを支えている周辺の人たちも、すべての社員が放送事業に従事している立場から、自分たちが放送人としての自覚をはっきり持つように、放送基準を十分徹底して教育しなさいというようなことをお願いして進めているわけでございますが、これもなかなか人間教育というのは大変難しい問題でございまして、時間もかかるし、忍耐も要りますし、長期的なたゆまぬ努力が必要でございます。もちろん民放連は、各社の番組をチェックしたり指示する権限はございませんけれども、各社長さんに対しては、社員のそういう意味での徹底した教育をお願いしているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/54
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055・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 そういったいろいろな精神条項的なものも含めて、立派な一つの基準というんでしょうか、拝見したわけであります。問題は、それを守っていく人間の問題にもこれは影響するわけでありまして、それに対する教育もなさっているようでありますけれども、問題は、好ましくないという番組を見せない、これは第一義的には家庭における親の責任かもしれませんけれども、とはいいながらも放送というのは非常に茶の間性があるものですから、なかなか容易にそれがまいらない。
したがって、番組そのものをつくる段階でのそういう措置と、もう一つは、そういうものに青少年が安易に接することができるような状況を、放送を行う側でむしろ排除していくというのも一つの方法だと思うんですけれども、番組編成になるかと思いますが、そういった点での御配慮はなさっておるかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/55
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056・泉長人
○参考人(泉長人君) これはそれの御返事になるかどうかわかりませんけれども、民間放送のテレビ朝日が主宰しております民間放送教育協議会というのがございます。これはやはり「親の目子の目」というような番組を通じて児童、青少年に対するいろいろな学習的な意味での番組づくりをしているわけですけれども、これに関して地方で年四回、中央で一回視聴者を集めまして、それを中心にしながら放送全体の青少年、児童に及ぼす影響などについて討論をし、ディスカッションを二日間ぐらいやっている例もございます。そういうことを組織としてそういうところがやっているほかに、各社それぞれいろいろなテーマを通じてやっている面もございます。どういう番組をどういうふうに出しなさいということまでは連盟としては言えませんので、そういう各社の自主的な活動を常に奨励をしているという形で進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/56
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057・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 いろいろな方法が過去にも計画されて努力されてこられたと思いますけれども、例えばNHKは視聴者会議というものを設けて、視聴者の意見を番組制作に直接反映する仕組みを持っておるわけでありますけれども、民放全体としては、そういった仕組みをつくることをされておると思いますが、あるいは必ずしもそれが全般にそういうことが行き渡っておるのか、渡っておらないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/57
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058・泉長人
○参考人(泉長人君) 民放連でそういう視聴者会議を設けるようなことは、従来からこれは組織としても反対をし、やっておりません。理由は、NHKのように単一組織ですと、そういう視聴者会議などを設けて、それが番組に反映されることも大変重要かと思います。民放百四十社ございます。百四十社はそれぞれ社長さんがおりまして、自分の社の視聴者に対する番組についての志とか方針はすべて違っております。したがって、民放連がそういう視聴者会議をつくって、何となく誘導的な、ないしはチェック的な影響を与えることは好ましくないということで、番組については、民放連といえども第三者としてそういう規制がましいことはしたくないということが、過去何回かそういう話がありましたけれども、すべて退けてきた問題でございます。やはり各社が中心にやる。
実例を申し上げますと、各社もそれぞれ視聴者の窓口を設けたりいたしまして、それから自分の番組審議会をそれぞれ全部持っております。そういうところで自分の社の番組づくりを考えるべきで、連盟がそういう視聴者会議などというものを設ける考えは、現在も将来も持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/58
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059・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 郵政省の方にお尋ねしたいんですけれども、放送による表現の自由、これは最大限に尊重されるべきであることは、もうこれは言うまでもないわけであります。しかし、それが他の者というんでしょうか、への迷惑となるような場合には一定の制限を受けることも私は当然ではないかと思うんです。これはいわゆる迷惑をかけないという、自由を守るための原則的な一つの法則だと思うんですが、そういう意味では、放送事業者の自由という中にもそういった、困る、迷惑だというようなものをやはり制約するある程度内在的な義務もあるのではないかと思いますが、その点についての御見解をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/59
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060・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 放送法におきましては、放送における表現の自由を確保するために、放送番組編集の自由が保障されているところでございまして、それと裏腹といいますか、自由が保障されているからには、それに伴う社会的な責任というものも強く存在するわけでございまして、社会的な責任を自覚して、放送事業者に放送番組の編集等に当たっていただきたいということを強く私どもも考えているところでございます。
それで、放送におきましては、有限貴重な電波を利用するというようなこと、あるいはお茶の間性が強いというようなことで社会的な影響力が大変大きいわけでございます。そういった観点から、放送番組につきましても必要最小限の規律、四十四条等々あるわけでございまして、その規律を遵守して放送を行っていただきたいというふうに私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/60
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061・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 民放が視聴者会議を設けることは非常に難しい。それはそれといたしましても、四十一年の改正案の三条の五で、改正案に示されていました放送世論調査委員会、このような組織を設けることはできないのか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/61
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062・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生御指摘のとおり、昭和四十一年に提出させていただいた放送法の改正案におきましては、公正な第三者による世論調査等により、放送番組の向上を図る放送世論調査委員会に関する規定を盛り込んだところでございます。今回このような仕組みを設けなかった理由は、今回審議機関の活性化を図ることによって、ある程度その趣旨も貫くことができるんじゃないかというようなことから、改正案に今回は盛り込まなかったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/62
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063・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 活性化に期待するわけでありますけれども、この放送世論調査委員会、かつての政府原案ですね、これは事業者に対する勧告権まで認められたんでありますけれども、これは衆議院において修正されまして、委員会の意見を述べることができることと、その意見を公表するという形に修正されたのでありまして、委員会の権限がこのようなものであるとするならば、放送事業者の放送の自由を侵すこともないと思うわけであります。今回の改正案では、このような番組に視聴者、国民の声を反映する仕組みを取り入れることができなかったのは、審議会の活性化を期待するということで肩がわりされたわけでありますけれども、ひとつこれは今後の問題として検討していただく私は必要があるんじゃなかろうかと思います。
そこで、民放の方にお尋ねするんですが、民放連という全国組織があるのですから、民放連が音頭をとって、放送世論委員会のような視聴者、国民の意見を積極的に取り入れて、直接放送事業者に伝えていくというような仕組みは考えられないのかどうか、お尋ねしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/63
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064・泉長人
○参考人(泉長人君) 先ほども申し上げましたように、民放連としては、やはりそのような放送世論調査委員会というものはつくるべきではないという、従来からも検討がありましたけれども、そういう意見で固まっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/64
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065・橋本孝一郎
○橋本孝一郎君 それじゃ最後に、大臣に一つお尋ねしたいんです。今回の改正案というのは、放送事業の現状の実態に合わせるというところにとどまっておるような気がしてならない。これは私だけでなくて、ほかの方々の御意見もあったと思います。しかし、この放送事業というものがどんどん新分野に向かって、いろいろな形で前進していくわけでありますが、そういう面からいくと、何かちょっと将来展望が足らないように思うような感じがするわけですけれども、法改正ですね。将来に予想される問題はどのようなものがあると認識されておられますか、最後にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/65
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066・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 今回の法改正が現状追認の形であるということで、先生から先ほどからいろいろな御指摘があったわけでございます。
世の中は愛というもので基本を貫いていかなきゃならない。愛の基本というのは、人の持っていないものを与える愛、それを恵む、慈と言うそうでございますが、悲というのは、人の持っている苦しみ、悲しみを取ってあげる愛、それから人の喜びを共にする愛、それからもう一つは、痛いところに触れない愛というのがあるそうでございます。どうもテレビの画面を見てますと、怒っている人、悲しんでいる人のところへテレビカメラが突きつけられたり、そういうのを見ておりますと、世の中どういうふうにするのがいいのかなという、いろんな疑問を持ちますし、それから放送の番組にいたしましても、長いこと人生を渡ってきた人間が見たら何でもないものが、人生の経験の浅い人が見たら大変刺激を与えるもの、いろいろな国の方式があるようでございますが、音楽についても、本能を刺激する音楽は極力避けるなんて言っている国もあります。
そういうことを考えますと、このニュースにいたしましても、ニュースをそのまま放送する場合と、それからニュースの中で選択が行われている場合があります。それが何でもなかった人に別の感慨をもたらして、そこから何かが始まっていく。いろいろなものを、私自身も人間の一人として、それから政治をやっている者の一人として、それから父親として見ておりますと、いろいろな感慨を放送の内容に触れられないという中で感ずることが多いわけでございますが、実際にやっていらっしゃる事業者の方々に伺ってみますと、あることがそのテレビで取り上げられた場合には、それに対する反応が大変多くて、それによって私は自主的に、だんだんだんだんいい方向へ行っているんではないかな、かように思います。
先ほど大木先生にも御答弁申し上げましたように、番組ハッカーが行われるとか、それから人権で取り返しのつかない問題が起こるとか、そんなことに対する対応をどういうふうにしていったらいいのかな、そういうものを将来の問題としながら、この自由な国家で番組の中身に対しては規制をすることを差し控える。しかし、教養、教育、そして娯楽、そして報道というものをまんべなく配置をした、きらびやかな高度映像化社会というものを実現するための努力に対しては、現状を追認していく形の今やむを得ない方式がとられておりますけれども、将来は、これがまんべんなく難視聴を解消するような、全体にそういうものが行き渡る、普及をしております限りは、それに対します自主的な、いわゆる映像化社会に対する感覚を売り込んだ私は方角に向かって法律を整備していくことが必要なのではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/66
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067・平野清
○平野清君 いきなりとっぴな発言でちょっとびっくりなさるかもしれませんが、大臣の後ろに座っていらっしゃる若い方はおわかりにならないと思いますけれども、維新以来、新聞の歴史というのは、弾圧の歴史だったと思うのです。民主国家になってこのようにいろいろな論議が活発に行われますけれども、明治時代から戦争までこんな論議をしていたら、直ちに官憲に捕まるような事態がしょっちゅうある。それに新聞の方は新聞紙法があって、ちゃんと発行人を明記していなきゃいけない。仕方がなくて新聞社の方は、発行人はそこらの全然新聞に関係のないような人を頼んでおいて、発行停止を食らえば、その人が拘置されて、後でお金をもらってその代償を得るというようなことさえ行われたわけです。
今、前回と今回ずっとお話聞いていますと、だんだんだんだんとその放送法でもって、NHKは対象にしてないようですけれども、民放に対する風当たりが強くて、先ほども御発言がありましたように、郵政省主導で新聞世論調査委員会を設けたらどうかとか、いろいろな発言が出てくるわけですね。すると、民放の方の方は各社中心に、各社に自主的に任せているんだというお話。私はそういう意味では、非常に自主判断ということはいいと思います。しかしそれだけに、放送番組の自由が保障されていればいるほど、民放の方は公共的に義務と責任があるんだろうというふうに考えます。
だから民放連の方は、各社に任せているんだから、我々としては一切口出しができないということじゃなくて、社長さんとかいろいろな方の御会合が全国的に何回かあると思います。そういうときに極力自主規制をきちっとするような話し合い、——御指導ということは避けるとおっしゃっていますから、話し合いをしていただかないと、いつの日かだんだんだんだん放送に対する言論の規制というものが強化されるような気がするんですね。そういう点を先に申し上げておいてから、質問に入らせていただきます。
では放送普及計画の勘案事項、改正案第二条の二第三項のうち、放送用割当可能周波数、それから地域の自然的、経済的、社会的、文化的事情及びその他の事情とありますけれども、それは一体何を指すんでしょうか。例えば経済的事情を勘案する場合の放送局運営の経済的基盤、具体的には何を指していらっしゃるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/67
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068・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 放送用割当可能周波数でございますが、これらにつきましては、国際的に我が国に認められております周波数のうち、郵政大臣が放送用として定めたものを指しているわけでございます。
それから、自然的な事情というのは、地形によりまして電波の伝播状況がいろいろと異なるわけでございますが、そういう問題とか、あるいは地域の地理上のまとまりといいますか、そういうもの等を指しているところでございます。
それから、経済的事情というのは、先生ちょっとお話にございましたように、放送局運営の経済的基盤等々ございますが、端的に言いますと、放送事業者が経営的に成り立つかどうかといった経済的な基盤等もこの要素の中に入っているわけでございます。
それから、社会的事情というのは、難視聴の状況だとか、それから他のコミュニケーション手段、CATV等々いろいろとあるわけでございますが、それの普及状況などを指しているところでございます。
それから、文化的な諸事情というのは、生活文化圏としての地域の一体性といいますか、まとまり等を指しているところでございます。
その他の事情というのは、行政区画だとか、各放送メディアの特性などいろいろとあるわけでございますが、それをひっくるめて、その他の事情ということで表現させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/68
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069・平野清
○平野清君 今その中にありました周波数の割り当てについてですけれども、何か従来非常に不明、不透明な部分があったような気がするんですね。普及計画の策定において周波数事情、それから経済力、需要等明確な判断の基準を置くべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/69
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070・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 放送用割当可能周波数でございますが、これにつきましては、我が国に国際的に割り当てられているもののうち、郵政大臣がこの分は放送用として使うということで明らかにしているところでございます。国民全部、皆さん方にも知れるような形で出しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/70
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071・平野清
○平野清君 そうしますと、現在のチャンネルにおいては周波数の割り当てが行われているにもかかわらず、長期間にわたって予備免許さえおりてない地域があります。例えば徳島は四十三年の八月に予備免許がおりている。それから、佐賀、栃木、茨城などは四十六年の七月に割り当てがおりています。それなのに例えばもう二十年近く放置されたままなんですが、その反対に福岡、宮城、福島などは六局も割り当てられているわけです。その放置されている理由は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/71
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072・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 先生お話ございましたように、現在テレビ割り当て、周波数がチャンネルプラン上割り当てられておりまして、置局できてないところが十四地区ございます。それから、FMにつきましては十三地区というような状況にございまして、私どもも早急に開設に結びつけるべく努力をしてきているところでございまして、昨年も五社、ことしは二社、予備免許を行ってきているところでございます。
それで、先生今お話がございましたように、佐賀とか徳島とか、栃木、茨城でございますか、長年来放置しているわけじゃございませんが、なかなか開局に結びつかないところが存在することは事実でございます。それで、佐賀県のような地域につきましては、地域住民のテレビの視聴の実態などからいたしまして、福岡県とか熊本とか、あちらの方から電波が届くものですから、それほど住民の強い需要がないわけでございます。現実に四波ないし五波というようなものが見えるものですから、そう強い需要がないわけでございます。
そういうところにつきましては、必要な場合には放送対象地域とか、放送系の数の目標とかというものを、放送基本計画を修正していかなければならないというふうに考えております。それから徳島につきましても、現在も申請者間で特段の動きがございません。申請者の動向とか関係者の動向等を見守っていかなければならないというふうに思っておりますが、場合によっては、需要等がない場合には、先ほど佐賀県の場合で申し上げましたような適切な措置を講ずることも必要かなというふうに思っているわけでございます。それから栃木につきましては、最近申請者間で動きが出始めまして、その動向等を見守っていきたいというふうに思っております。茨城につきましては、現在のところ動きはございませんが、栃木が働き出しますと、隣接県であるというようなことから動きが生じてくることも予想されますので、その動向等を見守りたいというふうに思っておりまして、現時点において、放送法の改正案を成立させていただいた後におきまして、佐賀とか徳島につきましては、需要の実態等を勘案しながら、放送系の目標の数等も修正することを含めて検討をさせていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/72
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073・平野清
○平野清君 修正されるとおっしゃっているんですから、ぜひ現実に合うように早急に修正された方がいいと思います。
次に、民放の方にお尋ねをいたしますけれども、民放と政治、政治権力の関係についてお尋ねをいたします。
先ほど冒頭に申し上げましたとおり、放送というものは、もうそれこそ責任を感じて自由にやっていただくということが一番いいわけですけれども、民放の構成メンバーを見ますと、国会議員が民放の出資者であったり、役員を兼任されているとか、それから出資ですね、調べてみますと、地方自治体が多くの出資をしているところがある。役員派遣を見ましても、知事さんが役員になっているところが十数カ所あります。それから副知事、県会議長という方がほとんど民放の役員を兼ねていらっしゃる。民放が発足する前に、どうしてもその県で民放が欲しいということで、財界等の協力を得られないという特殊事情があったと思います。そういう意味で地方自治体が多くの出資をし役員を派遣したんだと思うんですけれども、どんどん民放が進んで、こういう事態になりましたら、経営が安定してきたら、地方自治体に手を引いていただくというような形があってしかるべきだろうと思うんです。特に一県一市の民放に多くの出資をし、役員が派遣されていれば、どうしても政治的にニュースその他で影響を与えかねないというふうに私は考えます。その点いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/73
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074・泉長人
○参考人(泉長人君) 先生のおっしゃるように、自治省の発表資料によりましても、民放の約半数の社に都道府県が出資をしております。そのほか四十七社ぐらいに市町村からも出資があります。これはやはり民放というものが地域社会に立脚してできるという性格がございますし、その地域社会における行政、そのことと全然無関係で存立すわけじゃございません。それとそれだけではなくて、たくさんの放送申請者があったときに、一本化をお願いするのも県知事さんにお願いしたりした経過などもあるのかもしれませんが、そういう意味で、県の民放に対する関心なりそれから役割は結構深いものがあると思います。しかし、だからといって、じゃその県に報道の自由を阻害されるとかということはまずございません。
特に最近のデータを見ましても、広域圏内の県域局、例えば神奈川とか千葉とか、それからいろいろ関西の方にもございますけれども、そういうところは、やはり出資の段階でも、それから日常運営の段階でも経営が大変芳しくない。そういう意味で、所属する県の広報などの出資などによる一つの経営の補てんといいますか、そういうものもある程度期待があるために、そういうところでは県からの出身者が社長さんになっている例もございます。一般のその他の放送局ではほとんどが、二、三の、二、三と言えませんね、五人ぐらいですか、の例を除いてはございませんが、新しくできたFMの若干と研究局などにはそういうのがございまして、ただ、これもそういう意味では、現段階では、県との関係を断ち切れば経営もほとんど危なくなるというケースも間々見られますし、そういう例は見られるものの、民放全体から言いますと、先生のおっしゃるような懸念はまずないというふうに判断しておりますし、県から派遣された方が社長になっているから報道を左右するかということも事実上ないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/74
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075・平野清
○平野清君 余り懸念がないというお話ですけれども、一県一局の場合、その知事さんなら知事さんが多選をなさっている場合、大変な密着度があるわけです。そこで大きな汚職事件やなんか起きたときに、NHKの報道のその事件に対する量と、それからその民放のニュースで流すその汚職事件の量は極めて差があると思います。そういうふうに非常に大きな弊害があるわけなんですよ、実際には。
これは今の汚職の問題と関係ありませんけれども、南日本放送は、自治体が三二・二%、山口放送は二一・六%、岩手は一九・九%と非常に高い出資率を持っているわけですね。だから、そういう経営が安定しないからという理由だけでもって自治体の出資をそのままにしておくということはどうかと思うんです。今おっしゃったように、広報等は出資しなくたって、広報として広告代金を取ればやっていけるわけでして、なるべく自治体の出資は、経営を見ながらどんどん減らしていく方向に努力をしていただきたいと思います。
一方、出資を見ますと、銀行の民放への資本参加も大分あります。金融機関の民放に対する出資、役員派遣の状況はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/75
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076・泉長人
○参考人(泉長人君) 銀行からの出資は、民放を調べますと、百三十社中百十四社、約八〇%の社が銀行から出資を仰いでおります。ただ、出資額は平均して大体一〇%前後でございます。したがって、郵政省のマスコミの独占排除という意味で、単一の出資者に一〇%以下というような規定がございますが、ほとんどそれを満たしておりますし、一社で一〇%ということじゃなくて二、三社、数社を合わせても一〇%前後ということでございます。
出身者からの社長さんと言えば、大体経営者では五人ぐらいはいらっしゃるようでございます。これはやはり銀行が放送を左右するというようなことはまずなくて、これは出資の関係で、ないしはその地域のマスコミを負託するに足る人物ということでお出になっているんではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/76
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077・平野清
○平野清君 何か平均一〇%以下とおっしゃいましたけれども、先ほどの南日本を見ましたら一五・四%、岩手で一二・〇%、非常に高い比率のところもあります。今はこういうことはありませんけれども、無冠の帝王と言われた新聞が一番怖いのは銀行だったんですね。私の経験では、ある支店長が芸者さんと山から落ちてけがをしたときに、書きましたら、これは、銀行支店長のことは単なる会社員にしてほしいということで、かっかと怒った経験がございます。今新聞も大分好況になってきて、一つの銀行に頭を下げる必要がありませんけれども、一つの資本の銀行がその民間放送に大きなウエートを占めるということは、やっぱり考えものだと思うんです。銀行融資を受けるなら、複数銀行から受けるような形をとるべきだと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/77
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078・泉長人
○参考人(泉長人君) 私どもの調べでは大体複数が、ただいま平均が一〇%前後と申し上げましたが、それは複数があるからだということで、一社で一〇%を超えたところはないはずだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/78
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079・平野清
○平野清君 この問題はこの辺にしておきますが、じゃ次に、今は民放、四つか五つに系列化されて、ネットワークを組んでいらっしゃいますけれども、そのメリットとデメリットをどうお考えになっているか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/79
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080・泉長人
○参考人(泉長人君) ネットワークというのは昔の、昔といいますか、修正前の法律では原則的には認めないような方向ではございますけれども、実態的にはネットワークの存在は放政懇でも認めているところでございます。その理由は、やっぱりネットワークを組むことによりまして民放各社の経営の基盤は安定しますし、広告主の全国広告に対するニーズも満たすことができるだろうし、視聴者が東京でつくられる番組についての志向、そういう体制上の便宜もあるようでございます。
しかし、今度の法律の御説明で、全国四局化というようなお話が、計画があるように聞いておりますけれども、その全国四局化にしたいという根本の趣旨は、やはり東京の情報を地方でも東京の量ぐらいは見たいという御希望から、視聴者の意見に沿って四局化を考えていることかと思いますが、逆に東京の、仮に大キー局四局に対して地方の四局、四つの会社ができますと、今度はその今までメリットであった番組の合理的な収得とかその他につきましては、かえって今度はキー局の制約が非常に強くなりまして、そのキー局から外れれば、ほかに番組をもらうところがなくなるというようなことになりますと、何といいますか、地方局の発言力がそれによって弱まる。弱まるということは、キー局の番組に対する牽制も難しくなると。したがって、ネットワークのメリット、デメリットというのは、経営上から考えればメリットがあってスタートしたんですが、将来全国的に完全なキー局のネットワークになってきますと、ローカル局の発言が弱くなって、ひいてはキー局の番組制作に対して取捨選択できなくなってくる、デメリット面も出てくることがありますので、やはりその調和の問題は非常に大切だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/80
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081・平野清
○平野清君 よく実態おわかりになっているようでございますけれども、ローカル局のキー局に対する主体性を確保するために民放労連では、キー局がローカル局の株を持つことを禁止すべきだというぐらいまでの要望を出しておりますけれども、それについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/81
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082・泉長人
○参考人(泉長人君) 株の問題は、やっぱり地方の放送局ができるときですね、先ほども先生が御指摘になったように、地方の公共団体、それから自分の将来番組をネットしたい局からの番組供給、そういうものを考え、また地方だけでは相当大きな設備負担になりますので、やはりそういう中央からの番組、資本出資も仰がざるを得ない現状にあると思います。しかし、それが出資をしているから、すなわち番組でコントロールされるということじゃなくして、先ほど申しましたように、東京と地方が同じ数になったときにデメリットが出てくるんじゃないかということを心配しているだけで、出資があること自身については大して問題はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/82
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083・平野清
○平野清君 ネットワーク化がどんどん進みますと、中央から流れてくるものをテープというんですか、回していて、自分のところは極端に言えば地元のニュース、天気予報、地元のコマーシャル流して、あと中央から流れてくるものをただ流していれば、楽でもうかるというふうになってしまうような気がするんですね。余りにもそのローカル性がなくなってしまっては、地方にわざわざ局を設ける必要がなくなっちゃうわけでして、今のローカル番組の比率が少な過ぎるということについては御認識なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/83
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084・泉長人
○参考人(泉長人君) このローカル番組が多い少ないというのは、基準が大変難しいわけでございますが、ただいまの現状から言いますと、地方の自主番組制作は、約総放送時間の二〇%は地方では自分の番組をつくっております。もちろんニュースなども入っております。それからラジオになりますと、もう五〇%は自社制作でございます。それだけやっぱり地方には力がついていき、また地方はそういう娯楽番組はつくれなくても、ニュースとかドキュメンタリーとかつくる能力はどんどんふえてきておる。ちなみに、一九七〇年には青森放送が九十分のローカルのワイドニュースを組んで大変地域に喜ばれたこと、すなわちスポンサーもついてくるということになりまして、それも各局が、それぞれ地方局が追随してきた例もございますし、昨年の調査では、地方局二十六局は、月一回または週一回ドキュメンタリー番組をつくっているというような実情もございます。
それから連盟の賞だとか、文化庁の芸術作品賞とか、文化基金賞なんかもドキュメンタリーではほとんど地方局がこれを占めているほど、非常にローカルはローカルなりに自分の自主性を保持するためにも番組制作に力を入れているところで、これは地方局が数がふえて、先ほどネットワークのデメリットを申し上げましたけれども、それとまた逆比例して、地方局は地方局としての存立の意義を持つためにも番組制作はふえてきつつあるというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/84
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085・平野清
○平野清君 その点について局長さんの方はどの程度把握されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/85
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086・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 私どもの方は、ローカル番組につきましてある程度守ってほしいということで指導してきているところでございます。
昭和六十年度の再免許時に調査した結果によりますと、全社平均で二三・五%を、ローカル番組を全体の中でつくっているということでございます。その一部につきましては、一〇%未満の社がございまして、私どもは引き続き放送事業者に対しまして、ローカル番組を自主的につくって放送してほしいという希望を持っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/86
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087・平野清
○平野清君 ローカル放送局といっても大きいのもあれば小さいのもあると思いますが、そういう点で数字の開きが出てくると思います。
では、次に移りますけれども、民放の番組審議機関の活動状況というのはどうなっているんでしょうか。例えば現在の開催状況、その内容、六十年の十二月に郵政省が、せめて月一回以上の開催を要望する通知を出したと聞いているんですが、実情はいかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/87
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088・泉長人
○参考人(泉長人君) その通達もございますことも関係するかもしれませんが、現在調べたところによりますと、原則的に月一回、八月はお休みしているところもございますが、月一回開催しております。
それから、内容的には各社の番組基準の制改定、それから編集の基本計画、これは必要諮問事項としてやっているようですが、そのほかに四月とか十月には、番組改編時にはその編成方針などもやります。それから、日常は日常の審議会での、その都度必要な番組について意見を交換して、その議事録を郵政大臣に出しているところでございます。
それから民放連では、各社からその番組審議会の概要をいただきまして、機関誌の月刊「民放」に審議会の議題一覧は掲載しますほか、特にその中で各社にとって参考になるべきものは、「審議会ハイライト」として掲載して毎月紹介をしております。
それから、先ほど先生、民放連は番組については各社に任せて何もしないんじゃないかとおっしゃいましたけれども、理事会では、審議会の議長や会長の方から、例えば放送取材のあり方とか、それから視聴者団体から言ってきました児童への問題、たばこのCMなど、それぞれいろんな問題は理事会で提案しまして、これはぜひ各社の番組審議会で検討してほしい、ないしは連盟の審議会で取り上げるべきものは取り上げるし、そういうようなことで連盟の理事会、放送基準審議会は会長直属機関でございますので、会長の方から各社にそれぞれ時宜に応じてお願いをすることも多くございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/88
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089・平野清
○平野清君 ちょっと質問のやり方がまずかったか、私、民放連が何もしてないと申し上げたんじゃなくて、そちらの、さきの先生の御答弁に、各社中心に番組を自主的に任しているとおっしゃったんで、そういうふうに言及したつもりでございますので、ちょっと訂正さしていただきます。
今の問題について、今回の改正法では、放送事業者は、番組審議機関の機能の活用に努めるとありますけれども、郵政省の方としては具体的に何を考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/89
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090・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 放送番組審議機関の活性化を図るための一環といたしまして、先生がおっしゃいましたように、審議機関の機能の活用に努めるべきであるという規定を今回置かせていただいたところでございます。
私どもといたしましては、審議機関の活動が活発になってほしい、それから内容が充実してほしいというような希望を持っておりまして、いろんな方策が考えられると思いますが、具体的には各放送事業者が自主的に考えるべきものだと思います。放送番組審議機関というのは放送事業者が設置するものでございますので、その運営は放送事業者の自主性にゆだねられているところから、放送事業者の創意工夫によりましていろいろと考えていただかなければならないわけですが、具体的に私どもはこんなことが考えられるんじゃないかというようなことを申し上げますと、例えば開催回数ですが、月一回以上は開いて、できるだけ数多く開催してほしいというような感じを持っておりますが、そんなことだとか、あるいは今度は任意的な諮問事項という、必要的な諮問事項以外に任意的諮問事項というのもつくっておるわけですが、その任意的な諮問事項の数を多くふやしてほしいとか、あるいは番組審議機関が審議しやすいように情報だとか資料だとかいうものを放送事業者が番組審議会に便宜与えるような措置ができればなということで、これは押しつけるというわけじゃなくて要望として申し上げるわけでございますが、そんなことが考えられるんじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/90
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091・平野清
○平野清君 ある局がやらせ事件をやって、そのことによって、郵政省から番組審議機関の活性化を図れという通達が行ったのだと思います。そういうことがあると、やっぱりだんだんと郵政当局も介入せざるを得なくなってしまうというようなことだと思います。冒頭に申し上げたとおり、こういうことが重ならないように民放の方に努力をしていただくというようにお願いしておきます。
次に、広告のことに移りますけれども、改正案では広告放送に関する規定を変えていますけれども、この趣旨はどういうことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/91
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092・成川富彦
○政府委員(成川富彦君) 改正案で考えております趣旨は現在やっておりますことと変わりございませんで、広告放送が識別されるような方式でやっていただきたいということでございます。
現在の法律では告知ということをやっているわけですが、解釈運用上は、広告放送としての識別ができるような形であればいいということになっておりまして、その趣旨を的確に今法律の規定にあらわさせていただいたということでございまして、現状と何ら中身については変わりございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/92
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093・平野清
○平野清君 この委員会の質問準備をしておりましたら、朝日新聞が、テレビ広告のあり方についてという社説を出しておりました。中身を見ましたら、私が聞こうと思ったことが明確に書いてあるので、もう二、三日遅く社説を出してくれればよかったなと思ったのですけれども、コマーシャルと番組内容ですね、非常に何か判別しにくいものが多い。例えば地方郷土料理の放送だからと思って、ああこれはすごい生きづくりだなと思っているうちに旅館の名前が出てきて、旅館の電話番号が出てくる。それから放送を聞いていますと、これは限定五百人ですから、今すぐ申し込まないと、この品物はなくなっちゃいますよというような、コマーシャルだか番組だかわからないような点が大分ふえてきたんですけれども、広告と放送番組との判別しにくい点がどうやったら明確にできるのか、それから民放の広告の時間基準というのはどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/93
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094・泉長人
○参考人(泉長人君) 連盟の放送基準の十八章に、広告の時間基準がございます。ラジオ、テレビのプログラムとか何かで若干の違いはございますが、おおむね放送時間の一〇%と考えていただいて結構だと思います。ただ、CM量は、プライムタイムとかそれぞれによって違いますが、長時間逓減方式をとっておりまして、ラジオの五分番組で言いますと、一分のコマーシャル許容量で、二〇%と多いわけですが、これが三十分番組になりますと三分で、一〇%ということでございます。ただ、ラジオにはございませんが、テレビの場合には、一週間のコマーシャル総量を全放送時間の一八%以内に抑えるという基準、自主規制をしておりまして、これは非常に画期的な規制でございまして、各社の一つの自主基準の目安となっているところでございます。
それから、先生のおっしゃったCMと番組の区別でございますけれども、ただいま特にこれがコマーシャルでございますという注をつけなくても、ほとんど番組の中でのコマーシャルは、これはコマーシャルというふうにわかっているはずでございますが、先生おっしゃったのは、例えばテレショップとか、そういう問題だと思います。このテレショップは一体コマーシャルなのか番組なのか、これは各社の判断に任せておりますけれども、各社ではこれは生活情報だということで、情報という中に金額とか購入の方法などを言っておりますけれども、そういう意味では一般商品と区別できるように、相当特殊な芸術作品とか、非常に高いものとか、そういうことで区別をしておるようでございますが、内部でもそれは審議会の中でいろいろ検討しておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/94
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095・平野清
○平野清君 生活情報だとおっしゃいましたけれども、大勢見ているテレビで、これは限定五百人、普通なら十万円するものを七万五千円で、きょうは三百人だけですと言えば、飛びつきますよね。それでもって何千万円という売り上げを上げておる例がいっぱいあるそうなので、どうも生活情報とは私は思いませんけれども、まあこれは追及しても仕方がないので、次に移ります。
そのコマーシャルの内容ですけれども、アメリカではたばことか女性の生理用品の広告規制を行っておるようですが、日本ではどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/95
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096・泉長人
○参考人(泉長人君) 連盟の放送基準にはもう既に第三章で、「児童および青少年への配慮」という七条を充てておりまして、相当細かい配慮をやっております。
それから、昭和五十七年の三月には、この基準につけ加えて、児童向けコマーシャルに関する留意事項として、コマーシャルに対して非常に抵抗力のない児童に対しては、児童というのはこの場合十二歳以下を指しておりますけれども、このようないろんな注意を払ってコマーシャルを出しなさいという趣旨で、こういう留意事項を設けまして趣旨徹底を図っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/96
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097・平野清
○平野清君 何かよくわかりませんけれども、特に最近女性が一人でもって画面に出て、日本酒なら日本酒、ウイスキーならウイスキーを飲んでですね、物すごいおいしいわというような広告が物すごく多いんですね。そうすると、女性の人に聞くと、あれは美人を見て男性に売るのじゃなくて、女性が一人で飲むことを奨励しているように見えると言うんですね。だんだん今問題になってきている女性の飲酒がふえているのも、ああいう女性が一人で飲んでいる広告放送が多過ぎるからだというような、家庭にいて、だんなが行っちゃって、掃除が終わると飲んで、女性がアル中になる人たちさえたくさんあるというようなことも新聞で見まして、そういうこともあるので、余りその何といいますかね、刺激的に一人で女性が飲むような広告とか、連続にたばこの広告が出るとか、少しやっぱり考えていただかないと困る時代が来ているのじゃないかと思います。
特に、アメリカの上下両議院に法案が出てまして、子供向けのテレビ番組の規制を提案しております。子供の購買欲をいたずらに高める番組はやめさせること、それからもう少し知識番組、教養番組を子供向けにふやすことというようなことで、これは議会が通りそうな形勢なんですけれども、子供番組については、先ほど橋本先生からも御質問がありましたけれども、このアメリカのこういう法案に対してどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/97
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098・泉長人
○参考人(泉長人君) 私どもが児童向けコマーシャルに関する留意事項をつくって各社に実施をお願いした関係のときも、やはり番組については、「児童および青少年への配慮」の方で先生のおっしゃったようなことは相当細かくうたっております。問題は、この基準どおりやっていただけると、今先生のおっしゃったような心配はなくなるはずなんですが、いかにこれを社員に徹底するかということにやはり問題がかかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/98
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099・平野清
○平野清君 もう一つコマーシャルのことでお伺いしますけれども、今回民放の大手がコマーシャル料金を一斉に大幅に改定される動きがあります。決算を見ますと相当な高収益を上げているわけですね。聞くところによりますと、需要が多いんだから、それだけ広告料が上がっても仕方がないというような御回答があったようですけれども、実態はいかがなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/99
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100・泉長人
○参考人(泉長人君) 一斉にとおっしゃいましたが、一斉ではないんですけれども、タイミングもそれから出す値上げのやり方も皆それぞれ違っている面がございます。大体先生のおっしゃったように、東名阪の大きな社が提案をいたしておりますのは、前回五十六年以来の修正でございます。それからアップ率は大体二〇%ぐらい、それから修正の理由は、やはり高度情報化社会とか、ニューメディア時代に対応して放送形態とかハードの面、番組内容のシステムの面、そのために資金が必要であること。それから衛星だとか、NHKの放送体制の強化に対抗して、民放としても一層番組の質的向上、強化を図るためにも経営状態をよくしたい。それからテレビの大画面化、それから高画質化などの影響もありまして、テレビの視聴量がふえてまいりました。訴求効果も増大して、コマーシャルの訴求効果も高まったので、煤体価値が向上したということ。それから五十六年以降値上げしておりませんので諸物価の、制作費の高騰による番組制作費などの補てんというような理由をうたっているようでございます。もちろんコマーシャル料金につきましては、連盟はタッチしておりませんが、各社の値上げの理由を聞きましたところ、そういうところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/100
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101・平野清
○平野清君 これは経済原則ですから、高くて嫌なら出さなきゃいいんですけれども、高くなっても大勢の人がコマーシャルを希望しているということになりますと、今いみじくもおっしゃったように、衛星化時代に備えて、今にNHKが衛星放送をやる、ハイビジョシ放送をやる、それから日本放送網株式会社がハイビジョンをやる。そうなりますと、一般放送をやっている民放テレビが置いていかれてしまうんじゃないか。そのときになったら、がっくりコマーシャル料が落ちてしまうんじゃないか。稼げるときに稼いでおいた方がいいんじゃないかというようなひがみさえ感ずるんですけれども、コマーシャル料がうんと高くなれば、その分だけ商品単価に転嫁されるわけですね。買う方のサラリーマン、その他消費者にはその分だけ商品が高くなるというふうなことも考えられますので、この点だけは申し上げておきたいと思います。
次に、民放の放送記者の取材のあり方についてちょっとお尋ねしたいんですが、その訓練その他も全部各社の自主判断にお任せなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/101
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102・泉長人
○参考人(泉長人君) 特に芸能記者などの成田における取材のトラブル、それからいろんな死者に対する接し方、そういう問題がございまして、昭和六十年の十月には民放連で、理事会におきまして取材に関係して人権への配慮、それから取材の節度、それから番組審議会ももっとこれをよく注目してほしいということ。それから取材を受ける人の人権も十分考えなさい。何か取材を受ける人の人権をどうも無視している傾向があるので、そういうことを特に挙げまして、各社がそういう記者の教育をぜひしてほしいということをお願いいたしました。
これを受けまして各社、例を挙げますとTBSとか日本テレビ、テレビ東京などは早速記者の教育をやっているようでございますが、ただ問題なのは、最近民放の場合も、芸能記者などは取材を下請に出している傾向もございまして、そういう下請の人たちの教育までがなかなか徹底しない。その下請の人までも、各放送局の報道責任者は自分の社員だけじゃなくて、下請に対しても十分その趣旨を徹底して教育しなさいということをお願いして、こういうトラブルを起こすのはやはり東京が多いものですから、特に東京の社を中心に報道局長さんなんかが一生懸命積極的に今やっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/102
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103・平野清
○平野清君 下請まで手が回らないといいますと、NHKの方もたんだん番組を下請に出すなんというふうに聞いておりますので、質の低下が起きないようにしていただきたいと思うんですけれども、先日テレビ見ていましたら、中国の列車事故で、高知ですか、放送見ていましたら、民放の方がお母さん方をつかまえて質問しているんですね、どなたをお待ちですか。どなたをお待ちですかって、子供があれだけけがしてですね、子供を待っているのは当たり前だと思うんですよね。二番目に、そのお母さんに今どんなお気持ちですか。とてもじゃないけれども、私だったらそんな質問できないと思うんですね。三番目にもっとすごいことを言ったんです。せっかくメモを書いておいたのがどっかに行っちゃって、しまったなと思って一生懸命けさまで捜したんですが、出てこないんですよ。事故が起きて、わっと校庭に集まって深刻な顔しているお母さんに、どなたをお待ちですか、今どんなお気持ちですか、ちょっとひど過ぎると思うんですね。
これはあえて放送局名申し上げませんけれども、やっぱり下請だとかなんとかということじゃなくて、放送記者としての報道、ニュースに対する初めからの素質の問題だと思うので、そういう点を一生懸命やっていただきたい。一番最初に申し上げたように、私も民間マスコミ出身でございます。いろんな点で世間から非難が民放やなんかに集まらないように、また郵政当局のそういうことによるつまらない干渉がふえないようにという願いを込めての質問ですので、ぜひそういう点も民放の方でよく協議なさって、これからますます国民がいいテレビを見られるようにお願いして、質問を終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/103
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104・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/104
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105・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/105
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106・山中郁子
○山中郁子君 私は、日本共産党を代表して、放送法及び電波法の一部改正案に対する反対討論を行います。
反対する第一の理由は、今回の法改正が政府・郵政省が言論機関である放送局の免許を行うという現行制度を法定化することによって、放送局への政府権限を強化、拡大するという点であります。
現行の免許制度が放送内容に対する政治権力の介入を招きやすいことは、その制度の仕組みからしても、また私が当委員会で明らかにしたように、政府・自民党とNHK及び民放各社との秘密懇談会でさまざまな圧力が放送事業者に加えられているなどの事実によっても明らかであります。同時に、この制度は当委員会でも再三取り上げられ、私自身も山形テレビ第三局の免許に関連して指摘したように、民放局の開設申請に当たって、ダミーを含めた申請が殺到し、密室で一本化工作が行われるという不明朗なやり方を横行させていますが、本法案はこれを改善するどころか、むしろ政府権限を強めることで正当化することになりかねません。今必要なことは、公明正大な放送の普及策をどう確立するかという点にこそあります。
また、例えばサミット参加国を見ても、政府に免許権限が集中しているのはイギリスと我が国だけでありますが、その我が国においてもこの点をめぐり、一九五〇年の現行放送法制定当時から放送における言論・表現の自由を保障するため、政府からの独立をどう確保するかは重要な問題点となっており、その後の放送法の部分的な改正の際も、中心的なテーマとして議論されてきたところであります。
反対する第二の理由は、NHKの業務範囲の拡大についてであります。
これはNHKが不動産の賃貸を業として行うことや、外部の番組制作を請け負うことなどができるように法改正するものでありますが、これによって最近のNHK経営に見られる商業主義的な傾向に拍車がかかる危険があるという点だけでなく、私の質問に対する政府答弁でも明らかになったように、政府や地方公共団体の広報番組の制作をNHKが請け負うなど、NHKの不偏不党、政治的中立が脅かされるという事態も危惧される重大な内容を含んでおります。また、NHK自身、合理化、効率化の名目で減量経営を行い、番組の外部委託もふやしているのに、労働者へのしわ寄せなしに外部の番組制作を請け負う余裕があるのか、大いに疑問としなければならないところであります。
第三の理由は、民放で有料放送を行うという問題です。
審議を通じて明らかになったように、そもそもなぜ有料にするのかといえば、スポンサーが衛星放送に集中して、地上放送につかなくなることを懸念しての、言わば経営の縄張り分担という側面があり、しかも有料放送に当たっては大臣認可を必要とするということで、ここでも新たな政府権限の拡大が盛り込まれています。
また、番組審議機関の問題でありますが、真に放送番組の活性化を図るならば、NHKも含め全面的な公開がより重要であります。電波は公共のものです。コマーシャルが多過ぎる、のぞき見趣味やふざけ番組が多いなどの批判は、番組審議会の公開などによって公共的に議論されるべきものであることは再三主張してきたとおりであります。
以上が主な反対理由ですが、最後に強調したいのは、改正案づくりが密室作業に終始し、法案のたたき台をつくった放送政策懇談会の会議録が一切公表されないばかりか、その報告が出されてから一年足らずで出てきた本法案の内容が、報告ともかなり違ったものになっているのに、この間の経過も一切明らかにされていないということであります。基本的に言論法という性格を持つ放送法だからこそ視聴者、国民に広く公開され、そのコンセンサスに依拠して改正作業が行われるべきであるのは自明のことであり、この点を強く指摘して、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/106
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107・添田増太郎
○添田増太郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、賛成の意を表するものであります。
昭和二十五年の電波・放送両法の制定以降、放送メディアの発展、多様化は著しく、また放送事業者は、NHKに加え、民放も百五十社を数えるに至っております。
今回の改正案は、こうした放送事業の発展、多様化した実態にふさわしい法体系に改めようとするものでありまして、まことに時宜にかなった措置であります。
法律案の内容を見ますると、まず郵政大臣は、放送の計画的な普及及び健全な発達を図るため、放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画を定めることといたしております。これらは、有限希少な電波を使用する放送を国民に最大限に普及させるために必要な指針や目標を設定するものであり、極めて妥当な措置であります。
次に、放送番組についてでありますが、近年、放送メディアが増大、多様化してきております。メディアの特性に応じた番組の規律が求められている状況にかんがみまして、番組の調和規定を緩和するとともに、放送番組の質の向上を図るため、番組審議議関の活性化を図るなどの措置を講じております。
NHKにつきましては、NHK、民放の併存体制下におけるNHKの目的をより明確にするとともに、NHKが公共放送として蓄積してきた施設やノーハウの有効活用を図り、あわせて副次収入の確保等経営財源の多角化を行うことができるよう、その業務範囲の見直し等の改正を行っております。
民放に対する有料放送の導入は、放送事業を支える新たな財源を確保する道を開くとともに、多様化する国民のニーズにこたえようとするものであり、これは衛星放送時代に向けた適切な施策であります。また、その実施に当たって、契約約款についての郵政大臣の認可制を設けるなど受信者保護を目的とした措置を講じております。
放送局の免許の有効期間の延長につきましては、五年を超えない範囲内において郵政省令で定めることとし、今日の放送事業の発展、定着の状況等を勘案したものとなっております。
最後に、今後の技術開発の進展等に伴い、衛星放送を初めとするニューメディアと地上放送を初めとする既存メディアとの競合、調和について改めて検討が求められるようになることは確実であります。こうした問題に対して、行政当局の適時適切な対応を期待するものであります。
なお、本案の審議において、各委員から、放送制度のあり方全般に関しまして有意義な示唆を含む質疑が行われましたが、政府及び放送事業者は、放送界の一層の発展に資するため、これらに十分配慮されるよう要望するものであります。
我が党は、以上の理由から、今回の改正案について、これに賛成する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/107
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108・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/108
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109・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
放送法及び電波法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/109
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110・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、大森君から発言を求められておりますので、これを許します。大森君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/110
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111・大森昭
○大森昭君 私は、ただいま可決されました放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
放送法及び電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。
一、放送法の施行に当たっては、放送の果たす社会的・文化的役割、国民生活への影響など、その重要性にかんがみ、国民の意向の反映に努めるとともに、放送事業者の番組編集の自由を最大限尊重すること。
一、放送普及基本計画は、放送の集中排除の具現及び地域に密着した放送の確保などを図り、その健全な発達及び計画的な普及に資するものとすること。
一、日本放送協会の業務範囲の拡大については、受信料制度に基づく公共放送としての性格に十分配慮すること。
一、衛星放送による有料放送の導入に当たっては、既存の放送との秩序ある発展について配慮すること。
一、放送の地域間格差の是正及び難視聴の解消を促進すること。
一、進展するニューメディア時代における放送サービスの多様化・高度化に対処するため、国民の意向を踏まえて放送制度の在り方について適時適切に見直しを含め検討を進めること。
右、決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/111
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112・上野雄文
○委員長(上野雄文君) ただいま大森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/112
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113・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 全会一致と認めます。よって、大森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、中山郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中山郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/113
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114・中山正暉
○国務大臣(中山正暉君) 慎重なる御審議をいただきまして、ただいま放送法及び電波法の一部を改正する法律案を御可決いただきましたことに対し、厚く御礼を申し上げます。
本委員会の御審議を通じまして承りました御意見につきましては、今後放送行政を運営していく上で十分生かしてまいりたいと存じます。
また、ただいまの附帯決議につきましては、今後その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。まことにありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/114
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115・上野雄文
○委員長(上野雄文君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/115
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116・上野雄文
○委員長(上野雄文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214816X00919880426/116
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