1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年三月二十二日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
二月二十五日
辞任 補欠選任
柳澤 錬造君 関 嘉彦君
三月四日
辞任 補欠選任
関 嘉彦君 柳澤 錬造君
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出席者は左のとおり。
委員長 名尾 良孝君
理 事
板垣 正君
岩本 政光君
大城 眞順君
野田 哲君
委 員
岡田 広君
亀長 友義君
古賀雷四郎君
永野 茂門君
桧垣徳太郎君
堀江 正夫君
久保田真苗君
飯田 忠雄君
峯山 昭範君
吉川 春子君
柳澤 錬造君
国務大臣
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 小渕 恵三君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 高鳥 修君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 瓦 力君
政府委員
内閣総理大臣官
房審議官 本多 秀司君
内閣総理大臣官
房参事官 平野 治生君
日本学術会議事
務局長 田中 宏樹君
宮内庁次長 山本 悟君
皇室経済主管 井関 英男君
総務庁長官官房
長 古橋源六郎君
総務庁長官官房
会計課長 八木 俊道君
防衛庁長官官房
長 依田 智治君
防衛庁経理局長 日吉 章君
防衛施設庁総務
部長 弘法堂 忠君
事務局側
常任委員会専門
員 原 度君
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本日の会議に付した案件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査
(今期国会における本委員会関係の内閣提出予定法律案に関する件)
(総理府関係の施策に関する件)
(昭和六十三年度内閣、総理府関係予算に関する件)
(総務庁の基本方針に関する件)
(昭和六十三年度総務庁関係予算に関する件)
(防衛庁の基本方針に関する件)
(昭和六十三年度防衛庁関係予算に関する件)
(昭和六十三年度皇室費に関する件)
(派遣委員の報告)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/0
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001・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
まず、内閣官房長官から、今期国会における本委員会関係の内閣提出予定法律案についての説明並びに所信及び昭和六十三年度内閣、総理府関係予算の説明を聴取いたします。小渕官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/1
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002・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 今国会の内閣提出予定法律案は三月二十二日現在総件数八十件であり、うち予算関係法律案は三十六件であります。
これら内閣提出法律案のうち参議院内閣委員会に付託が予想されます法律案は七件、そのうち予算関係法律案は六件になることと思いますが、これらの法律案の件名及び要旨はお手元の資料のとおりであります。
なお、委員会への付託は議院において決定される問題でありますので、若干の変更もあろうかと存じます。
次に、総理府本府の所管行政につきまして所信の一端を申し述べます。
初めに、今国会において御審議をお願いしております三件の法律案について申し上げます。
まず、特定弔慰金等の支給の実施に関する法律案でありますが、この法律案は昨秋全会一致の議員立法により成立を見た台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律に規定する弔慰金または見舞金の支給の実施のための必要事項を定めるものであります。
次に、平和祈念事業特別基金等に関する法律案でありますが、この法律案は今次の大戦におけるとうとい戦争犠牲を銘記しかつ永遠の平和を祈念するため平和祈念事業特別基金を設立し、関係者に対して慰藉の念を示す事業を行わせるとともに、本邦に帰還した戦後強制抑留者またはその遺族に対し慰労品を贈呈すること、またこれらの者のうち恩給等を受給していない者にはさらに慰労金を支給することを内容とするものであります。
最後に、臨時教育改革推進会議設置法案でありますが、この法律案は臨時教育審議会答申を受けて講ぜられる教育改革に関する施策を円滑かつ効果的に推進するため、総理府に臨時教育改革推進会議を設置するものであります。
以上の法律案につきましては、慎重に御審議の上、速やかな成立をお願いする次第であります。
次に、法律案以外の主な所管事項について申し上げます。
まず緑化の推進でございますが、昭和五十八年に緑化推進連絡会議を設置しまして全国的な緑化推進運動の展開を図ってきました結果、地域に密着した市町村等の緑化推進運動の着実な実施、国及び都道府県の各種の緑化推進事業の積極的な展開により地域住民の緑化意識の向上が図られ、全国的に大きな盛り上がりを見せております。今後さらに緑化推進運動の定着化を図るため、地域の実情に即応した緑化対策を推進し、花と緑に囲まれた潤いのある地域社会の建設を目指してまいる所存であります。また、昭和六十五年に開催される国際花と緑の博覧会の成功を期して、総理府の立場から格段の努力をしてまいる所存であります。
婦人に関する施策の推進につきましては、昨年五月に西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画を策定し、現在この計画に掲げられた諸目標達成のための施策を鋭意推進しているところであります。今後もこの計画に沿って男女共同参加型社会の形成を目指し、種々の施策のさらなる推進に努めてまいる所存であります。
また障害者対策につきましては、昨年国連障害者の十年の前半の成果を踏まえて策定された障害者対策に関する長期計画後期重点施策に沿って広く国民の理解と協力を得ながら、障害者の社会への完全参加と平等を目指した各般の施策の推進に努力してまいる所存であります。
さらに政府広報につきましては、政府に対する国民の信頼を確保するため、我が国が当面している課題やそれに関する主要な施策、制度に重点を置き、広報活動を積極的に実施してまいる所存であります。
以上、所信の一端を申し述べさせていただきましたが、その他の所管事項につきましても諸施策の推進に一層の努力を傾注してまいる所存であります。
委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第であります。
引き続きまして、昭和六十三年度における内閣及び総理府所管の歳出予算要求額についてその概要を御説明いたします。
内閣所管の昭和六十三年度における歳出予算要求額は百十九億三千八百万円でありまして、これを前年度歳出予算額百十八億九千六百万円に比較いたしますと、四千二百万円の増額となっております。
以下、順を追って申し上げますと、内閣官房に必要な経費五十二億二千七百万円、内閣法制局に必要な経費六億三千五百万円、人事院に必要な経費六十億七千六百万円であります。
次に、総理府所管の昭和六十三年度における歳出予算要求額は七兆二千六百六十九億一千万円でありまして、これを前年度歳出予算額七兆二千七百四十億四百万円に比較いたしますと、七十億九千四百万円の減額となっております。このうち、当委員会において御審議を願っております総理本府、日本学術会議及び宮内庁の歳出予算要求額は三百九十一億一千七百万円でありまして、これを前年度歳出予算額三百六十六億四千八百万円に比較いたしますと、二十四億六千九百万円の増額となっております。
以下、順を追って申し上げますと、総理本府に必要な経費二百九十九億五千百万円、日本学術会議に必要な経費九億三百万円、宮内庁に必要な経費八十二億六千三百万円であります。
次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。
総理本府に必要な経費は、政府広報、栄典関係、平和祈念事業特別基金(仮称)の設立、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等に関する法律に基づく弔慰金等の支給及び航空機の購入等のための経費でありまして、前年度に比較して二十三億六千九百万円の増額となっております。
日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項の審議、内外の研究連絡調査と国際共同事業の協力に関する業務等に必要な経費でありまして、前年度に比較して四千七百万円の増額となっております。
宮内庁に必要な経費は、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる経費等でありまして、前年度に比較して五千三百万円の増額となっております。
以上をもちまして昭和六十三年度内閣及び総理府所管の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
よろしく御審議くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/2
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003・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、総務庁長官から所信及び昭和六十三年度総務庁関係予算の説明を聴取いたします。高鳥総務庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/3
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004・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 第百十二回国会における内閣委員会の御審議に先立ちまして、所信の一端を申し述べます。
初めに、今国会において御審議をお願いすることといたしております恩給法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、現下の諸事情を総合勘案して恩給年額を増額し、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。
このほか、我が国社会の急速な情報化の進展を踏まえ行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護を図るため所要の措置を講じようとする法律案及び統計調査によって集められた情報の秘密の保護等を図るため統計関係法について所要の措置を講じようとする法律案について、今国会に提出すべく準備を進めているところであります。
次に、総務庁が所管する業務一般について申し上げます。
第一に、行政改革の推進、機構、定員等の審査等についてでありますが、行政改革につきましては、臨調及び行革審の答申等を踏まえつつ、累次にわたる行革大綱等の線に沿って逐次具体的方策の推進に努めてきたところであります。その成果は着実に上がりつつあると認識しております。
しかし、行政改革はなお推進の途上にあります。政府としては、今回の昭和六十三年度予算編成に際しましても、一般行政組織及び現業部門等の簡素化及び合理化を初めとする広範な改革課題に関しその着実な推進を図るため、当面の方針を取りまとめたところであります。
新行革審におきましても、地価等土地対策について鋭意調査審議を進められるとともに、先般総理の要請を受け、経済構造調整を推進するため行政改革推進の観点から公的規制のあり方について調査審議を開始されました。また、これまでの政府における行政改革の推進状況につきましても全般的に御審議願っているところであります。政府としては、新行革審における調査審議の動向等をも踏まえつつ、今後とも行政改革の全般的かつ強力な推進を図ってまいる所存であります。
さらに、さわやか行政サービス運動につきましても行政サービスの向上に対する公務員の意識の徹底を図り、国民の立場に立った親切な行政、真心のこもった行政が一層推進されますよう、全国的かつ持続的に展開してまいりたいと存じます。
昭和六十三年度の機構、定員等の審査につきましては、機構の膨張を厳に抑制し簡素合理化を推進するとともに、第七次定員削減計画に基づく定員削減を着実に実施する一方、増員を厳しく抑制し、三千六百五十五人の純減を行うことといたしております。行政情報システムにつきましても、時代の変化、情報関連技術の進展等に即応できますよう、総合調整の一層の推進に努めてまいる所存であります。
第二に、国家公務員の人事管理につきましては、行政に対する国民の信頼を確保するため、厳正な綱紀の保持及び公務能率の増進に一層努力する一方、適切な処遇の確保にも努めてまいります。
なお、国家公務員の週休二日制につきましては、本年四月十七日から四週六休制が実施される運びとなりましたが、その円滑な実施に努めるとともに、閉庁方式の導入につきましても諸般の準備を進めてまいる所存であります。
第三に、行政監察につきましては、政府の重要政策課題の解決の促進及び既往の諸改革の定着と実効確保の観点から、公的規制の緩和、土地対策、農協、稲作対策、経済協力、市場開放等について、監察、調査を計画的に実施してまいります。また、苦情あっせん業務につきましても、民間有識者から国民的立場に立った意見を聴取するとともに、監察機能との有機的な連携を図りつつ鋭意取り組んでまいる所存であります。
第四に、統計に関する業務につきましては、その総合調整に当たり社会経済情勢の変化に対応したより精度の高い統計の整備充実に努めるとともに、本年行われる住宅統計調査等の円滑な実施に万全を期してまいります。また、統計データベースの整備等統計の高度利用の推進に努めてまいる所存であります。
第五に、青少年対策等特定行政分野の総合調整業務について申し上げます。
まず、青少年対策につきましては、二十一世紀を担う青少年の健全育成を図るため、青少年の社会参加の促進を初めとする各種施策の推進を図ってまいります。また、青少年の非行防止を図るため、家庭、学校、地域社会及び関係機関の協力連携を呼びかけ、その施策の推進に努めることといたしております。さらに、国際化の進展に伴い、世界青年の船事業の実施等青年国際交流事業の充実に努めてまいる所存であります。
交通安全対策につきましては、第四次交通安全基本計画に基づき、安全、円滑かつ快適な交通社会の実現を目指しまして、関係省庁との緊密な連携のもとに総合的な対策を推進するとともに、交通安全思想の普及、交通事故被害者の援護等に努めてまいる所存であります。
老人対策につきましては、二十一世紀初頭の本格的な高齢社会の到来に備えるため、長寿社会対策大綱に基づき、雇用、所得保障を初めとする各般の施策について関係省庁との緊密な連携のもとに総合的に推進するとともに、高齢者問題について国民の理解と関心を深めるため、啓発活動の充実強化にも努めてまいる所存であります。
地域改善対策につきましては、昨年四月に施行された地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づき、地域改善対策特定事業を国及び地方公共団体が一体となって推進しているところでありますが、今後とも地域改善対策の適正化等の推進にも配意しつつ、法失効後には一般対策へ円滑に移行ができるよう最善の努力をしてまいる所存であります。
以上、所信の一端を申し上げましたが、委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第であります。
引き続きまして、昭和六十三年度における総務庁の歳出予算要求額についてその概要を御説明申し上げます。
昭和六十三年度の総務庁の歳出予算要求額は一兆七千七百七十四億一千五百万円で、前年度歳出予算額に比較いたしますと百八億二千六百万円の減額となっております。
以下、主なものを御説明申し上げますと、恩給法等に基づく文官、旧軍人等に対する恩給の支給に必要な経費として一兆七千百六十五億六千二百万円、臨調及び行革審の答申、意見並びに行革大綱等に基づき行政運営の効率化、合理化等を推進するための経費として二十四億七百万円、青少年の健全な育成、世界の青年との国際交流を一層充実させるための世界青年の船事業等に必要な経費として二十三億八千四百万円、北方領土返還運動の充実強化及び援護事業の実施等北方領土問題対策に必要な経費として十四億八千三百万円、長寿社会対策を総合的に推進するための経費として七千百万円、交通安全対策に必要な経費として五億三千九百万円、地域改善対策啓発活動等に必要な経費として五億五千二百万円、住宅統計調査等統計調査の実施等の経費として二百十二億六千八百万円を計上いたしております。
以上をもって昭和六十三年度総務庁歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/4
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005・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 続いて、防衛庁長官から所信及び昭和六十三年度防衛庁関係予算の説明を聴取いたします。瓦防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/5
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006・瓦力
○国務大臣(瓦力君) 平素から我が国の防衛に深い関心を持たれ御指導をいただいている内閣委員会の皆様に、私の所信の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。
御案内のとおり、昨年十二月に開催された米ソ首脳会談において、アジアを含むグローバルな規模での地上発射のINFミサイルの全廃を内容とする条約が署名されました。この条約は現存する特定の核兵器の全廃及び現地査察を含む厳格な検証の実施の二点において画期的な意義を有するものであり、軍備管理、軍縮の実質的な進展を強く期待してきた我が国としても高く評価しております。
他方、今回全廃することが合意されたINFは世界全体に存在する核兵器の一部にすぎず、今日の国際社会においては核兵器を含めた力の均衡に基づく抑止が平和と安定を支えていることも冷厳な事実であります。また、我が国周辺におきましては、極東ソ連軍の質量両面にわたる増強とこれに伴う行動の活発化により、我が国に対する潜在的脅威が増大しております。
このように依然として厳しい国際軍事情勢のもとにあって国の平和と安全を確保するため、我が国としては、日米安全保障体制を堅持し、自衛のため必要な限度において質の高い防衛力の整備を行っていくことが必要であると考えております。このため、政府は防衛力の整備に当たり、防衛計画の大綱に定める我が国が平時から保有しておくべき防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防衛力整備計画の着実な実施に努めることとしております。
昭和六十三年度防衛予算についても、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、極力全体規模の圧縮に努める一方、中期防衛力整備計画の第三年度目として質の高い防衛力の着実な整備に努めることとし、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう正面装備の質的充実に努める一方、指揮通信・情報機能の充実、練度の向上、隊員施策の推進等の後方部門を重視し、所要の経費を計上いたしたものであります。
なお、中期防衛力整備計画後の昭和六十六年度以降の防衛力整備のあり方については、今後安全保障会議等において御審議いただくことになろうと思いますが、私としては、長期的な視点に立って計画的に進めるべきとの観点から、引き続き中期的な防衛力整備計画を策定することが望ましいと考えており、年内にもその検討に着手いたしたいと考えております。また、我が国は防衛力の整備と並ぶ国の防衛の柱である日米安全保障体制の信頼性の向上のため不断の努力を行う必要があると考えており、両国防衛首脳の会談を初めあらゆる機会をとらえて間断のない対話を行うと同時に、日米防衛協力のための指針に基づく共同作戦計画の研究等の推進、日米共同訓練の積極的実施、装備、技術面における協力関係の一層の緊密化、在日米軍駐留経費の負担等、両国の信頼関係を揺るぎないものとするよう努めてまいる所存であります。
その一環として、去る一月私は米国を訪問し、カールッチ国防長官と率直な意見の交換を行ってまいりました。この会談においては、国際情勢や我が国の防衛努力等について話し合うとともに、私の提案により、今後FSXにとどまらず各種の装備について日米の共同開発を推進していくこと及び日米間で有事来援の研究を行っていくことで意見が一致しました。我が国有事の際、米軍の来援が確実かつ時宜を得て行われるか否かは、日米安全保障体制が有効に機能し得るか否かの核心でありますので、この有事来援研究はぜひとも必要なものであります。本研究は、日米防衛協力のための指針に基づく研究の一環として行われることとなるものでありますが、具体的な開始時期、研究の内容等は今後日米間で検討していきたいと考えております。
なお、我が国の防衛にとって必要不可欠な自衛隊や在日米軍の施設を確保するとともに、その安定的使用のため防衛施設と周辺地域との調和を図るべく、防衛施設周辺の生活環境の整備等の諸施策につきましても引き続き積極的に推進してまいる所存であります。
今日、我が国は自由主義諸国の有力な一員として、みずからの平和と安全を確保するため努力していくべきことは言うまでもありません。政府としては、平和憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならず、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ節度ある防衛力の整備を進めていく所存であり、私はこの基本的考えのもとに我が国防衛に対する国民の理解と協力を求めていくことが私に課せられた責任であると自覚いたしております。
終わりに、当委員会の皆様方の一層の御鞭撻を賜ることをお願いして、私の所信表明とさせていただきます。
なお、昭和六十三年度の防衛庁予算の概要につきましては日吉経理局長より説明をいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/6
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007・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 日吉経理局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/7
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008・日吉章
○政府委員(日吉章君) 昭和六十三年度防衛庁予算について、その概要を御説明いたします。
まず防衛本庁について申し上げます。
昭和六十三年度の防衛本庁の歳出予算額は三兆三千二百八十七億七千五百万円で、前年度の当初予算額に比べますと一千七百三億七千八百万円の増加となっております。
次に、新規継続費は昭和六十三年度甲IV型警備艦建造費等で一千六百二億二千二百万円、国庫債務負担行為は武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆三千五億四千百万円となっております。
また、昭和六十三年度における自衛官の定数の増加及び予備自衛官の員数の増加並びに航空自衛隊骨幹組織の整備については、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を提出し、別途御審議をお願い申し上げております。
次に、防衛本庁の予算の内容について申し上げます。
昭和六十三年度予算は、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標として閣議決定された中期防衛力整備計画の第三年度として質の高い防衛力の着実な整備に努めることとし、正面装備の質的充実に加え、指揮通信・情報機能の充実、練度の向上、隊員施策の推進等後方部門を重視し、所要の経費を計上したものであります。
特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。
第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については更新近代化を中心としてその整備を進めることとし、地対艦誘導弾SSM1、対潜哨戒機P3C、要撃戦闘機F15の調達を行うほか、イージスシステム搭載護衛艦七千二百トン型等の建造に着手することとしております。
第二に、防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢の改善を初めとする継戦能力・即応態勢の着実な充実に努め、航空機用掩体の建設等抗堪性の向上のための諸施策を引き続き進めるとともに、防衛力の維持運営に最小限必要とする要員を確保することとしております。
第三に、指揮通信・情報機能の充実を図るため、引き続き防衛統合ディジタル通信網、超長波送信所及び艦艇用衛星通信機能の整備等を図るほか、新たに対潜戦センターの整備に着手することとしております。
第四に、訓練内容及び教育訓練用装備等の充実等練度の向上等を図るため、油購入費、修理費、教育訓練経費等について所要の経費を計上し、教育訓練の推進に努めることとしております。
第五に、隊員施策については、隊舎、宿舎、食厨、浴場等の生活関連施設の充実を図るとともに、隊員の処遇改善に努めることとしております。
第六に、将来装備の動向等を勘案し、装備品の研究開発を推進するため、引き続き格闘戦用ミサイル等の研究開発を実施するとともに、新たに次期支援戦闘機、師団新通信システム等の研究開発に着手することとしております。
以下、機関別の主な内容について申し上げます。
陸上自衛隊の歳出予算額は一兆三千三百二億六千六百万円、国庫債務負担行為は三千百九十七億八千二百万円となっております。
陸上装備については、七四式戦車五十二両、七三式装甲車二十三両、二百三ミリ自走りゅう弾砲六門、百五十五ミリりゅう弾砲FH70四十三門、八七式自走高射機関砲八両等の調達を予定しております。誘導弾については、一個高射特科群の改良ホークの改善を予定するとともに、八一式短距離地対空誘導弾八セット、地対艦誘導弾SSM1六基等の調達を予定しております。航空機については、対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター十一機、多用途ヘリコプター八機、輸送ヘリコプター五機、合わせて三十二機の調達を予定しております。
また、予備自衛官の員数を一千人増加することとしております。
海上自衛隊の歳出予算額は九千四百七億四千九百万円、新規継続費は一千六百二億二千二百万円、国庫債務負担行為は三千七百十七億九千百万円となっております。
艦艇については、護衛艦七千二百トン型一隻、潜水艦二千四百トン型一隻、掃海艇四百九十トン型二隻、合わせて四隻の建造に着手することとしております。航空機については、対潜哨戒機九機、救難飛行艇一機、訓練支援機一機、電子戦データ収集機一機、初級操縦練習機三機、対潜ヘリコプター十二機、合わせて二十七機の調達を予定しております。
また、自衛官の定数については、艦艇、航空機の就役等に伴い二百九十五人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を三百人増加することとしております。
航空自衛隊の歳出予算額は九千三百四十一億六千九百万円、国庫債務負担行為は五千四百八十一億七千五百万円となっております。
航空機については、要撃戦闘機十二機、輸送機二機、中等練習機二十機、輸送ヘリコプター三機、救難ヘリコプター三機、合わせて四十機の調達を予定しております。なお、F4EJについて、延命に伴う相対的な能力不足を改善するため、引き続き改修を行うこととしております。地対空誘導弾については、ペトリオット一個高射群分、八一式短距離地対空誘導弾四セット等の調達を予定しております。
また、自衛官の定数については、航空機の就役等に伴い二百二十四人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を二百人増加することとしております。
内部部局、統合幕僚会議及び施設等機関等の歳出予算額は一千二百三十五億九千百万円、国庫債務負担行為は六百七億九千二百万円となっております。これは各種装備品等の研究開発費、その他各機関の維持運営に必要な経費であります。
また、統合幕僚会議に所属する自衛官の定数については、日米防衛協力の推進等のため四人の増加を図ることとしております。
以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」に基づき安全保障会議に諮り決定されたものは、航空自衛隊骨幹組織の整備、自衛官の定数及び予備自衛官の員数の変更のほか、七四式戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホークの改善、八一式短距離地対空誘導弾、地対艦誘導弾SSM1及び地対空誘導弾ペトリオットの調達、対戦車ヘリコプター、輸送ヘリコプター、対潜哨戒機、対潜ヘリコプター、要撃戦闘機等航空機百七機の調達等、護衛艦七千二百トン型等艦艇四隻の建造、次期支援戦闘機の開発の着手であります。
続いて、防衛施設庁について申し上げます。
昭和六十三年度の防衛施設庁の歳出予算額は三千七百十三億七千六百万円で、前年度の当初予算額に比べますと百二十五億一千万円の増加となっております。また、国庫債務負担行為は提供施設整備で七百六十三億九千六百万円となっております。
次に、防衛施設庁の予算の内容について申し上げます。
昭和六十三年度予算において特に重点を置いた事項は次のとおりであります。
第一に、基地周辺対策事業については、住宅防音工事の助成に重点を置き、基地周辺地域の生活環境の整備等を図ることとしております。
第二に、在日米軍駐留経費負担については、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備及び労務費の一部負担の充実を図ることとしております。
以下、各項別の主な内容について申し上げます。
施設運営等関連諸費は三千十三億九千二百万円となっております。このうち基地周辺対策事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように、個人住宅の防音工事費六百二十二億一千九百万円を含め、一千五百三十四億三千万円を計上しております。
このほか、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備として歳出予算に七百九十一億八千三百万円、国庫債務負担行為で七百六十三億九千六百万円をそれぞれ計上しております。
調達労務管理費については、在日米軍従業員の安定的雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果的な活動を確保するため、地位協定第二十四条についての特別措置に関する協定に基づき負担する経費二百八億六千六百万円を含め、基地従業員対策等に要する経費として四百三十五億六千百万円を計上しております。
その他、提供施設移設整備費二億七千九百万円、相互防衛援助協定交付金一億五千四百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費二百五十九億九千万円を計上しております。
以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算に安全保障会議予算を加えた昭和六十三年度防衛関係費は三兆七千三億二千八百万円となり、前年度の当初予算額に比べますと一千八百二十八億九千四百万円、五・二%の増加となっております。
以上をもちまして防衛本庁及び防衛施設庁の予算の概要説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/8
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009・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、昭和六十三年度皇室費について政府委員から説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/9
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010・山本悟
○政府委員(山本悟君) 昭和六十三年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。
皇室費の昭和六十三年度における歳出予算要求額は三十億一千五百九十一万九千円でありまして、これを前年度予算額二十九億三千七百六十二万八千円に比較いたしますと、七千八百二十九万一千円の増加となっております。
皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。
以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五千七百万円、宮廷に必要な経費二十五億四千百五十六万三千円、皇族に必要な経費二億一千七百三十五万六千円であります。
次に、その概要を御説明いたします。
内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することとなっておりますが、前年度と同額となっております。
宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費四億三千百九十三万二千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億九百六十三万一千円でありまして、前年度に比較して七千三百五十七万一千円の増加となっております。
皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することとなっておりますが、前年度に比較して四百七十二万円の増加となっております。これは、宜仁親王殿下の御独立等によるものであります。
以上をもちまして昭和六十三年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。
よろしく御審議くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/10
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011・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/11
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012・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。岩本政光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/12
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013・岩本政光
○岩本政光君 御報告申し上げます。
名尾委員長、板垣理事、野田理事、飯田委員、吉川委員、柳澤委員並びに私の七名は、去る一月十八日から二十日までの三日間の日程で広島県及び山口県に赴き、国の地方支分部局及び自衛隊の業務運営並びに国家公務員制度等の実情について調査を行ってまいりました。
日程第一日は、陸上自衛隊海田市駐屯地を訪れ、第十三師団司令部で状況説明を聴取するとともに、同駐屯地内の各種施設及び主要装備品の展示を視察いたしました。次いで、海上自衛隊呉地区を訪れ、呉地方総監部で状況説明を聴取するとともに、護衛艦「みねぐも」の艦内を視察いたしました。
第二日は、呉港の海上自衛隊の施設及び艦艇を海上から視察しつつ江田島に渡り、海上自衛隊江田島地区を訪れ、幹部候補生学校、第一術科学校等から業務概況を聴取するとともに、同地区内の各種施設及び教育参考館を視察いたしました。次いで、海上自衛隊岩国地区を訪れ、第三十一航空群から状況説明を聴取するとともに、同地区内の諸施設及びUS1A、PS1等の航空機の展示及びPS1の揚陸と機体水洗の状況等を視察いたしました。また、広島防衛施設局から業務概況を聴取するとともに、岩国飛行場の沖合移設のための試験埋め立ての現場を視察いたしました。その後、米軍岩国飛行場を訪れ、司令官を訪問し懇談するとともに、同基地内の諸施設、航空機等を見学いたしました。
第三日は、人事院中国事務局及び総務庁中国四国管区行政監察局からそれぞれ業務概況を聴取した後、財団法人放射線影響研究所を訪れ業務概況の説明を受けるとともに、同研究所内の視察を行いました。
以下、調査の概況について視察順に御報告申し上げます。
まず、陸上自衛隊第十三師団について申し上げます。
第十三師団は中国五県を警備地区とし、三個普通科連隊及び一個特科連隊を基幹とする部隊を地区内の各駐屯地に配置しており、師団の定員は約七千名、その充足率は約七一%であります。同師団の主要な装備は、六一式戦車四十六両、百五十五ミリりゅう弾砲十二門及び百五ミリりゅう弾砲二十四門等でありますが、ほとんどの火砲は米軍から供与された古いものであり、来年度には百五十五ミリりゅう弾砲が新型のFH70に換装される予定との説明がありました。教育訓練については、地区内に比較的大きい日本原演習場のほか小演習場があるとのことでありますが、大部隊の訓練及びりゅう弾砲の射撃訓練が十分には行えず、これらの訓練には関東、九州等の地区外演習場も使用しているとのことでありました。
同師団におきましては、整備を要する施設数と改善計画、資材不足等による訓練への支障の有無、低充足率のもたらす影響、区域外訓練の実施状況と訓練の想定等について質疑が行われました。
次に、海上自衛隊関係について申し上げます。
呉地方隊は担当警備区域の防衛、警備、自衛艦隊等に対する後方支援、機雷掃海、爆発物の除去、処理並びに災害派遣及び艦艇、航空機の救難を主任務としております。編成は総監部のほか警備区域内の防衛、警備を担当する二個護衛隊及び掃海隊等の作戦部隊と教育隊、通信隊等の後方支援部隊から成っており、人員は約三千八百名とのことでありますが、このほか呉警備区には自衛艦隊等に所属する人員が、約五千四百名いるとのことであります。地方隊の主要装備は、自衛艦二十隻、約一万一千五百トン、支援船四十七隻及び航空機が約十機であります。また、自衛艦隊等所属のものとして、護衛艦四隻等艦艇二十六隻及び航空機約四十機が配備されております。
機雷掃海につきましては危険海域のほぼ九〇%を完了しており、残存機雷についても安全に関してはほぼ問題がないとの説明がありました。災害派遣の主なものは山林消火活動、離島への給水支援及び台風被災地の救難等でありまして、常時関係機関等との連絡を密にして情報収集に努め、積極かつ迅速に出動できるようにしているとのことであります。
呉地方隊におきましては、燃料、資材不足による訓練への支障の有無、生活関連施設等の現状と改善計画、区域内の自衛艦隊所属艦艇の概要等について質疑が行われました。
江田島地区の学校、機関について申し上げます。
江田島地区は、明治二十一年に東京築地から海軍兵学校を移して以来、旧海軍の士官養成の場であった歴史を有しますが、戦後は昭和三十一年から海上自衛隊が使用して現在に至っております。同地区には、海上自衛隊関係では幹部候補生学校、第一術科学校、江田島地区病院のほか海上訓練指導隊及び訓練場等が所在し、米軍関係では秋月弾薬庫があって、使用面積は約百二十万平方メートルであります。
幹部候補生学校は、防衛大学校、防衛医科大学校、一般大学の卒業者及び部内からの選抜者等の幹部自衛官要員に対し、海上自衛隊の初級幹部として必要な基礎的知識及び技能を修得させるための教育訓練を行っております。
第一術科学校は、幹部及び海曹、海士の学生を対象として、砲術、水雷、掃海等の各術科に必要な知識及び技能を修得させるための教育訓練を行うとともに、術科に関する部隊の運用等に関する調査研究を実施しております。また、同校では中学卒業者から採用された海曹候補者たる生徒に対し、高校卒業と同等の普通学及び通信、水測の専門術科を修得させるため、四カ年の教育訓練を行っております。
江田島地区病院は、隊員等の診療を行うとともに、診療に従事する隊員の当該専門技術に関する訓練及び医療、その他衛生に関する調査研究を行っているとのことであります。
これら三機関の人員は、職員約七百八十名、学生、生徒約千三百名であり、このほか隊員の家族等約千三百名が同地区に居住しているとのことであります。
江田島地区におきましては、教育訓練を行う上での環境上の問題点、幹部候補生学校の年間教育スケジュール、第一術科学校における技術革新への対応並びに応募者数、卒業後の資格取得の有無等について質疑が行われました。
次に、岩国地区の第三十一航空群について申し上げます。
同航空群は航空集団隷下にあり、その編成は司令部のほか三個の航空隊、支援整備隊及び岩国基地隊の五個部隊から成り、人員は約千二十名で、主要装備は、対潜飛行艇PS1、救難飛行艇US1A、訓練支援機UP2J、連絡機B65等合計約二十機であります。
第三十一航空隊は我が国において飛行艇を運用している唯一の部隊であり、その任務は周辺海域の防衛、警備、航空救難、訓練支援並びに民生協力であります。PS1は波高三メートルでも着水でき、その特性を生かし漂泊しつつ索敵を実施できるとのことでありますが、減勢期にあるということで、機体整備、安全確保に留意しているとのことであります。
第七十一航空隊はUS1Aの特性を生かし洋上救難、災害派遣等民生協力を実施しておりますが、同隊は岩国基地に一機、厚木基地に一機を待機させることにより二十四時間常時出動できる態勢をとっているとのことでありまして、五十一年七月の同隊開設以来出動回数は二百十一回に及んでいるとのことであります。
その他、UP2Jによる艦隊の対空射撃訓練及び電子戦訓練等を実施する第八十一航空隊がありますが、同隊ではUP2Jの更新のためリアジェット訓練支援機U36Aが導入されることになっており、現在運用訓練が行われているとのことであります。
第三十一航空群では、P3Cへの移行計画の有無、U36Aの配備計画、資材等の不足による教育訓練上の支障の有無等について質疑が行われました。
次に、広島防衛施設局でありますが、同施設局は中国五県を管轄区域とし、自衛隊施設や駐留軍が使用する施設及び区域の取得、財産管理、建設工事の実施、施設周辺対策の実施等の業務を行っており、その組織は本局が三部十三課構成で、津山、美保、山口、岩国に防衛施設事務所を配置しているほか、局長の諮問機関である防衛施設地方審議会を置き、定員は二百三名であります。同局管内の防衛施設は、自衛隊関係が二百四十六施設、面積約四千三百万平方キロメートル、駐留軍関係九施設、面積約九百万平方キロメートルであります。
同局の主要な問題としましてはまず岩国飛行場の沖合移設がありまして、同飛行場が市街地に近接しているところから、安全の確保、騒音障害の緩和を図るためこれを沖合に移設しようとするもので、昭和六十一年度から六十三年度までの計画で埋立予定区域の一部において工法試験が実施されております。次いで夜間着陸訓練でありますが、昨年九月から十月に行われたNLPにおいては、これまでになく頻繁な訓練が夜十時近くまで行われたため周辺住民からの苦情が相次いだとのことであり、同局は、周辺住民に与える影響も大きいことから、今後の訓練のあり方について米軍の配慮を要請しているとのことであります。
同局におきましては、米軍弾薬庫の改修計画、訓練に伴う使用制限の実態、住宅防音の進捗率、沖合移設の可能性と完成時期等について質疑が行われました。
次に米軍岩国基地でありますが、同基地は、本土で唯一の海兵隊基地であります。基地司令官から岩国基地は世界でも有数の良い環境にあると述べられ、特に施設整備等について日本政府の配慮に感謝するとのあいさつがあり、飛行の安全確保と沖合移設、NLP訓練問題等について話し合った後、基地施設及び航空機等を視察いたしました。
次に人事院中国事務局でありますが、同事務局は中国五県を管轄区域とし、各種国家公務員試験の実施、民間給与の実態調査等のほか給与簿監査及び公平審査等の業務を所掌しており、現在、三課二十名で運営しております。昭和六十二年度における主な業務を申し上げますと、採用試験は十三種十四回実施しておりますが、ここ数年来申込者は減少傾向にあるとのことであります。また、民間給与実態調査は県人事委員会等と共同して管内七百八十事業所を対象に調査し、給与簿監査につきましては対象四百六十八機関のうち毎年約一割について実施しているとのことであります。なお、研修につきましては七つの計画を実施し、総参加者数は百七十四機関二百六十名になっているとのことであります。
同事務局におきましては、不利益処分についての不服の申し立ての係属件数が多い理由と今後の対策、試験名簿記載者が採用されない理由とその対策、四週六休制試行結果と業務への影響等について質疑が行われました。
次に中国四国管区行政監察局でありますが、同局は中国五県及び四国四県を管轄区域とし、行政監察、監視業務のほか相談業務等を行っておりますが、鳥取、島根、岡山及び山口の四県には行政監察事務所を、また四国には四国行政監察支局等を置き、本局の事務の一部を分掌させております。本年度の定員は本局が五十九名、本局配下の四事務所が五十四名、四国行政監察支局管内が八十名の合計百九十三名となっております。
昭和六十一年度における主な業務の実施状況を申し上げますと、中央計画監察十七テーマのうち本局で十五、四事務所でそれぞれ二ないし三テーマ実施し、また地方監察は本局八テーマ、四事務所で各五の合計二十八テーマを実施したとのことであります。行政相談業務については、受け付け件数一万八千七百五十三件のうち、管内の四百二十八名の行政相談委員による受け付けが一万四千六百八件と総受け付け件数の約七八%を占めており、また処理件数は一万八千七百三十件で、その内訳は保険、年金等の厚生省関係が二千八百五十五件、一五%と最も多いとのことであります。
同局におきましては、管区管理官の業務の内容、行政監察の及ぶ範囲、国民への広報のあり方、行政相談の満足度、最近の苦情の傾向、監察結果の処理の仕方等について質疑が行われました。
最後に、財団法人放射線影響研究所について申し上げます。
同研究所は、平和目的のもとに放射線の人に及ぼす医学的影響及びこれによる疾病を調査研究し、原子爆弾の被害者の健康保持及び福祉に貢献するとともに人類の保健の向上に寄与することを目的として、昭和五十年四月に公益法人の日米共同研究機関として発足したものであります。その前身は昭和二十二年に米大統領命令により設置された原爆障害調査委員会であります。
同研究所では、理事長から業務の概況説明等を受けた後研究所内を視察し、各研究の成果等について説明を受けました。
以上、今回の調査の概要について御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/13
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014・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111214889X00219880322/14
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