1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十三年四月十九日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
四月一日
辞任 補欠選任
坪井 一宇君 木宮 和彦君
四月十一日
辞任 補欠選任
高木健太郎君 原田 立君
四月十三日
辞任 補欠選任
原田 立君 高木健太郎君
四月十四日
辞任 補欠選任
佐藤 昭夫君 上田耕一郎君
四月十六日
辞任 補欠選任
上田耕一郎君 佐藤 昭夫君
四月十八日
辞任 補欠選任
佐藤 昭夫君 吉井 英勝君
─────────────
出席者は左のとおり。
委員長 田沢 智治君
理 事
仲川 幸男君
林 寛子君
粕谷 照美君
委 員
小野 清子君
木宮 和彦君
山東 昭子君
杉山 令肇君
竹山 裕君
寺内 弘子君
柳川 覺治君
安永 英雄君
高木健太郎君
高桑 栄松君
吉井 英勝君
勝木 健司君
下村 泰君
国務大臣
文 部 大 臣 中島源太郎君
政府委員
文部大臣官房長 古村 澄一君
文部省教育助成
局長 加戸 守行君
事務局側
常任委員会専門
員 佐々木定典君
─────────────
本日の会議に付した案件
○義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/0
-
001・田沢智治
○委員長(田沢智治君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る一日、坪井一宇君が委員を辞任され、その補欠として木宮和彦君が選任されました。
また、去る十八日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として吉井英勝君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/1
-
002・田沢智治
○委員長(田沢智治君) 次に、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中島文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/2
-
003・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) このたび政府から提出いたしました義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
義務教育諸学校施設費国庫負担法は、公立義務教育語学校施設の整備に対する国の負担制度について定めているものであり、政府は、この制度のもとに、鋭意、公立義務教育諸学校施設の整備に努めてまいりました。
昭和四十八年度には、大都市周辺地域等における児童生徒の急増現象にかんがみ、児童または生徒が急増している地域にある公立の小学校または中学校の校舎の新築または増築に要する経費について国の負担割合を三分の二に引き上げ、昭和六十二年度まで、これらの学校の整備を促進するとともに、関連市町村の財政負担の軽減にも資することとしてきたところであります。
しかしながら、昭和六十三年度以降においても、児童生徒急増市町村は相当数存続することが予想され、中学校を中心にかなりの量の施設整備が見込まれております。したがって、今回、所要の改正を行い、もって児童または生徒が急増している地域にある公立の小学校または中学校の施設整備を円滑に進めようとするものであります。
次に法律案の内容について御説明いたします。
まず第一に、児童または生徒が急増している地域にある公立の小学校または中学校の施設の整備を促進するため、引き続き、昭和六十七年度までこれらの学校の校舎の新築または増築に要する経費に係る国の負担割合を三分の二に引き上げる措置を講ずることといたしております。ただし、国の補助金等の臨時特例等に関する法律により、特例的補助率かさ上げについては、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの暫定措置として補助率の引き下げが行われていることを考慮し、昭和六十三年度の国の負担割合は十分の五・五とすることといたしております。
第二に、この法律の施行期日を、昭和六十三年四月一日とし、また、今回の改正に伴い必要となる関連法律の規定の整備を行うことといたしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
なお、衆議院において施行期日等に関する附則の規定の一部が修正されましたので、念のため申し添えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/3
-
004・田沢智治
○委員長(田沢智治君) これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/4
-
005・寺内弘子
○寺内弘子君 ただいま大臣から御説明がございました義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして、幾つかの点についてお尋ねをいたしたいと思います。
私は、学校施設、特に校舎の整備は学校教育活動の円滑な実施を図る上で最も基本的な教育条件整備の一つであり、行政として力を入れていくべき問題であると考えております。児童生徒急増市町村の小中学校の校舎の整備について負担率のかさ上げを行い、その推進を図るとともに、地方自治体の負担の軽減に資する本法案が提出されたことにまず敬意を表するものでございます。
ところで、今回かさ上げ措置の延長を図るに当たって、その延長期間を昭和六十三年度から六十七年度までの五年間といたしておりますが、その理由についてまずお尋ねをいたしたいと思います。また、本法案においては、昭和六十八年度以降の取り扱いがどうなるのか必ずしも明確ではないわけですが、これについてはどのようにお考えなのか。また、急増市町村がある程度継続的に存続するものならば、五年という期限を限らずに、当分の間急増市町村に対して補助率をかさ上げすることを検討することも必要ではないかと思うのでございますが、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/5
-
006・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 義務教育諸学校施設費国庫負担法におきましては、原則的に小中学校の校舎の新増築につきましては二分の一の負担が原則になっているわけでございますが、児童生徒急増地域におきましてはそういった新増築のケースが多くなるわけでございまして、また当該急増市町村におきます財政状況等も勘案しまして、こういった校舎の整備を促進するという点から、ちょうど児童生徒の急増が始まりました時期、昭和四十八年にこの二分の一の補助率を三分の二へかさ上げするという制度、いわゆるかさ上げ措置を講ずることとしたわけでございますが、通例このような措置につきましては、他の措置もそうでございますけれども、一般的に期限を切って措置をするというのが原則でございまして、昭和四十八年度からは五年間の措置としてこのようなかさ上げ措置が講ぜられたわけでございますが、御承知のように児童生徒の急増状態というのはずっと継続しておるわけでございまして、その点を踏まえまして、いわゆる第一回目の措置が切れます昭和五十三年度から再び五年間の延長措置を講じて、さらに五十八年度におきまして二回目の延長措置ということで、いずれも五年間の措置としてされてきたわけでございます。
ちょうどこの措置が昭和六十二年度末をもって期限切れとなるわけでございますけれども、しかし昭和六十三年度以降の五年間を見渡してみましても、いわゆる一般的な小中学校の児童生徒数は減少に転じてきて、昭和五十七年度以降減少を続けているわけでございますので、今のような急増市町村の数も当然減っていくわけでございますが、一方におきまして、最近におきます例えば大規模な宅地開発等の状況もございまして、児童生徒が急増する地域というのは、数は減っておりますけれども、特定地域に偏って依然として相当数が見込まれ、なお当分の間こういった状況が続くであろうということが第一の理由としてあるわけでございます。
さらに、児童生徒急増の市町村を中心といたします今後五年間の分離新設の予定校というものは、小学校は比較的少のうございますけれども、中学校を中心として相当数に上ってくるということで、これに対応するある意味の施設整備が急がれるというような状況もあるわけでございまして、これらの状況を勘案して従来から五年、五年、五年と参っておりました関係上、今回につきましても六十三年度から六十七年度までの五年間ということでこの特例措置を延長する形で提案を申し上げさせていただいているわけでございます。
なお、この特例措置が六十七年度をもって切れるわけでございますので、昭和六十八年度以降どうするのかというお尋ねでございますけれども、これは六十八年度予算編成の時点におきまして、こういった急増市町村に対する措置を設けた制度の趣旨と、その時点におきます児童生徒数がどういう形で推移していくのか、その時点における判断、さらに当該市町村におきまして新設分離の予定校がどの程度に上る見込みが立てられているかという状況を判断いたしまして、六十八年度予算編成の際に適切に対応すべき事柄ではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/6
-
007・寺内弘子
○寺内弘子君 そういたしますと、昭和六十八年度以降の取り扱いにつきましては、その時点でその諸情勢の推移を踏まえて適切に対処をしていくということでございますね。この制度が急増市町村における学校施設整備の促進に大きな役割を果たしていることを考慮して、その際にはぜひとも積極的な対応をお願いしたいと思う次第でございます。
ところで、このような法律は我が党としても全く異論はないわけですが、一方で、現在国債残高が百五十兆円を超えて、国民一人当たりの借金は百三十万円も抱えているという大変な国の財政上の理由などから、社会保障を初めとする高率補助率の見直しが臨調、行革審等で指摘されているのもまた事実であります。そこで、今回かさ上げ措置の延長を図るに際しまして、これらの点についてはどのように配慮をしてこられたのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/7
-
008・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 国の補助金一般につきまして、それぞれ例えば第二次臨調あるいは行革審等で各般の指摘が行われているわけでございます。
例えば、五十六年の第二次臨時行政調査会第一次答申におきましては、いわゆる「補助負担率の地域特例については、終期到来時には廃止を含め抜本的な見直しを行うとともに、財政再建期間中現行の嵩上げ率を引き下げる。」といったような厳しい御指摘、その後におきましても、この特例措置についての見直しとか、あるいは補助率全般の総合的な見直しとか、いろいろな形での御指摘を受けているわけでございます。そこで、この児童生徒急増地域に係ります特例措置は先ほど申し上げましたように昭和四十八年から講じられているわけでございますけれども、昭和五十八年度に五年間の延長を図るという措置を講じました際に、今申し上げました第二次臨調の指摘を踏まえまして、財政力指数が一・〇を超える市町村並びに政令指定都市に対します負担割合は従来三分の二でございましたものを、その時点で五十八年度からは七分の四に引き下げるということで、財政力を勘案した措置というのを一つの臨調答申を受けた対応として講じたわけでございます。さらに、六十年度及び六十一年度におきましては、今申し上げました臨調、行革審の指摘を踏まえまして、補助金特例法の制定によります児童生徒急増地域に係る負担割合を段階的に引き下げたところでございます。
今回、六十三年度から六十七年度までの五カ年間この特例措置を延長することといたしておりますけれども、補助金特例法の期限がほかの地域特例につきましても六十三年度まで三分の二から十分の五・五といった形で措置が講ぜられております関係上、今回提案申し上げております施設負担法におきましても、六十三年度までは補助率を十分の五・五に引き下げるという措置を講じまして今提案をさせていただいているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/8
-
009・寺内弘子
○寺内弘子君 次に、このかさ上げ措置の対象となる児童生徒急増市町村について幾つかお尋ねをしたいと思います。
まず、この制度が発足しました御説明にありました昭和四十八年度には、全国で急増市町村はどれくらいあったのか。また、急増市町村の数がピークに達したのはいつで、どれくらいの市町村数で、全国の市町村数に対する割合はどうであったのか。次に、現在児童生徒急増市町村が全国で何市町村くらいあるのか。さらに、小中学校児童生徒数がしばらくの間は減少傾向で推移していくと思われますけれども、今後児童生徒数はどの時点までどれくらい減少するのか。それに伴って児童生徒急増市町村も将来的にはかなり減少していくのではないかと思われまずけれども、五年後の昭和六十七年度までどの程度の市町村数が見込まれるのか、あわせてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/9
-
010・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 小学校または中学校の急増指定を受けております市町村は、昭和四十八年度におきまして三百八十七市町村ございます。
ただ、ちょっと解説を要しますのは、こういった児童生徒の急増市町村と申しますのは、例えば小学校の児童について急増を続ける町村数が幾つあるか、それから中学校の生徒が急増する地域の市町村が幾つあるかというダブルカウントをいたしておりまして、昭和四十八年度、制度スタートのときには、小学校の児童急増市町村数が二百五十一、それから中学校の生徒急増市町村数が百三十六でございまして、これを合計いたしますと延べ三百八十七市町村でございますが、小学校も中学校も両方ふえる市町村をダブルカウントいたしておりますので、実数はこれを若干下回りますけれども、制度の仕組みとして一応延べ計算をいたしますと今申し上げた三百八十七市町村が該当いたしまして、それ以来年次的にどんどん市町村数はふえていったわけでございまして、ピークに達しましたのが昭和五十七年度でございまして、このときが、小学校の児童急増市町村数が四百三十五、それから中学校の生徒急増市町村数が六百三十七でございまして、合計いたしますと千七十二市町村が延べ数として該当したわけでございます。全国の市町村数が約三千強でございますので、三分の一弱がこういった急増市町村に該当したということでございまして、この千七十二をピークといたしまして、その後はこの市町村数は減少の方向に向かっているわけでございます。
当然これは全国的な児童生徒数の減少と関連いたすわけでございまして、昭和六十二年度、昨年度末の時点でございますけれども、六十二年度におきます小学校の児童急増市町村数はわずか三市町村でございまして、専ら中学校の方に急増状態があるわけでございますが、中学校の生徒急増市町村数が四百七十五、合計いたしまして四百七十八の市町村数でございまして、全市町村数からいいますと約一五%をまだ占めているという状況でございます。そして児童生徒数は、六十二年度におきましては、今申し上げた四百七十八市町村が該当する時点におきます全国での児童生徒総数が千五百九十七万三千人でございまして、推計によりますと、今後、十年後の昭和七十三年度には千二百七十万人程度と見込まれておりまして、その間三百二十六、七万の児童生徒数が減少するであろうという、いわゆる急減方向は依然として続く状況の中で、このような減少が見込まれているという状況でございます。
これに伴いまして、児童生徒の急増市町村数も減少基調で推移するというぐあいに考えているわけでございますけれども、一方におきまして、先ほど申し上げましたようなある特定の地域におきましては大規模の宅地開発等に起因いたします社会増によりまして新たな児童生徒急増市町村の指定を受ける市町村も出てくると思われるわけでございまして、私どもの推計によりますと、この補助金のかさ上げ措置を継続いたします最終年度の昭和六十七年度におきましても依然として百程度の市町村が児童生徒急増市町村として指定を受ける見込みであるという状況でございます。
そういった今のような現状を概括的に申し上げさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/10
-
011・寺内弘子
○寺内弘子君 次に、児童生徒急増市町村の財政状況についてお伺いいたします。
一般的には過疎地域とか離島地域といった補助率かさ上げ特例措置を受けているほかの地域に比べれば、急増市町村の財政状況はよいのではないかと思われるわけですが、他の市町村と比較してどのような状況にあるのか、お尋ねをしたいと思います。また、急増市町村における一般会計歳出額の中に占める小中学校建築費の市町村の負担割合は五年前と比べて改善されているのかどうか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/11
-
012・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 昭和六十一年度におきます児童生徒急増市町村の財政力指数を単純に平均いたしますと〇・七八でございまして、こういった財政力指数というのは、基準財政収入額と基準財政需要額の見合いの数字を一・〇という形で算定したその結果としての財政力指数を児童生徒急増市町村の単純平均をさせていただきますと、今申し上げました〇・七八になるわけでございます。一方におきまして、この急増市町村も含めまして全市町村の財政力指数を単純平均いたしますと〇・四三でございますので、この〇・四三に比べますと急増市町村の〇・七八というのはかなり財政力指数は全国平均よりは上回っているという状況でございまして、一般的に申し上げますと急増市町村の財政状況は全国平均よりは悪くないというぐあいに私どもは考えているわけでございます。
そこで、次に公立学校施設に係ります財政状況について見ますと、昭和六十一年度の一般会計歳出額に占めます小中学校建築費の市町村負担額の比率をとってみますと、児童生徒急増市町村は二・三%、今申し上げたように一般会計歳出額に占めます小中学校の建築費の市町村負担額でございますが、二・三%でございます。一般市町村の比率が一・九%でございまして、そういった点では急増市町村の比率が高いわけでございますが、ちなみに五年前、この時点から五年前の昭和五十六年度におきましては今申し上げた急増市町村の一一・三%の負担率が五・四%でございますから、五年前と比較いたしますと急増市町村におきます学校建築に係る財政負担は次第に改善をされてきている状況にあると理解しているわけでございます。また、一般市町村におきます五十六年度の割合は、先ほど申し上げましたのは六十一年度は一・九ということを申し上げましたけれども、その五年前の一般会計に占めます小中学校建築費市町村負担額につきましては三・二%でございましたから、そういった点で一般市町村についても負担の比率は下がっておりますが、なお急増市町村と一般市町村を比較いたしますと、依然として急増市町村の負担額の比率というものは一般市町村よりは高いという状況になるわけでございます。
なお、他の地域振興法によりまして負担割合のかさ上げを受けている地域と比較いたしましても、児童生徒急増の市町村の財政状況は悪くはない状況でございまして、ちなみに申し上げますと、例えば地域振興の指定を受けております地域としての過疎地域でございますと平均の財政力指数が夫〇・二二でございまして、例えば離島地域でございますと〇・三六、あるいは特別豪雪地帯でございますと〇・二七から〇・二八という状況でございますので、児童生徒急増市町村についてのみ言えば先ほどの〇・七八というのは財政状況はそれほどは他の地域ほどは悪くないということは一般的には言えるのじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/12
-
013・寺内弘子
○寺内弘子君 それでは、その急増市町村における財政状況がかなり改善してきていると理解してよろしいわけですね。ありがとうございます。
児童生徒急増市町村は人口が急増している市町村でもあるわけですから、学校を建設すること以外にも新たに道路とか下水道、公園といったさまざまな社会資本整備が必要とされてくるわけです。そういうことを思いますと財政的には十分だというわけではないと思いますので、やはりかさ上げ措置の意義は大きいのではないかと思うわけでございます。急増市町村の数はピーク時の半分以下に減少して今後もさらに減少していくことが予想されるということなので、急増市町村の要件を緩和しても国の負担は余り大きくふえるということは予想されないと思われるわけでございます。そこで、より多くの市町村がかさ上げ措置の対象となりますように、児童生徒急増市町村の指定要件の緩和を図る考えはあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/13
-
014・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 児童生徒急増市町村の指定要件につきましては、昭和四十六年度に小中学校用地取得費の補助制度が設けられました際に定められた基準に準じまして、昭和四十八年度の義務教育語学校施設費国庫負担法の一部改正の際に定められたものでございます。
当時の指定の基準と申しますのが、ちょっと申し上げさせていただきますと、指定を行う前年度三カ年間の児童生徒数の増加数並びに増加率をベースといたしておりまして、例えば小学校につきましては、児童の増加数が一千名を超え、かつ一千名を超える数が当該市町村におきましての増加率、三カ年間の増加率が五%以上である場合、それと児童の増加数が五百人以上で、かつ増加率が当該市町村につきまして一〇%以上である場合、それから中学校につきましては、生徒増加数が五百人以上で、かつ増加率五%以上、または増加数が二百五十人以上、かつ増加率一〇%以上というような観点で、これらのいずれかに該当する市町村を急増市町村として指定をさしていただいたわけでございますけれども、昭和五十二年度には児童生徒数の増加数はそれほど多くなくても、増加率が著しく高い市町村に対してはやはり財政援助の特別措置を適用すべきであるという考え方に立ちまして、小学校については五十二年度の改正によりまして今申し上げた千人以上、五百人以上という場合以外に、増加数が小学校の児童三百人以上でございましても増加率が一五%を超えるという伸び率の高いものにつきましては、数は少のうございますけれども、この急増市町村に指定をするという考え方をとり、かつ中学校につきましても、先ほど申し上げた四十八年度の基準が五百人以上五%、二百五十人以上一〇%のほかに、百五十人以上の増加であっても増加率が一五%を上回るものにつきましては、こういった特例措置を適用するということで指定要件の緩和を五十二年度に措置さしていただいたところでございます。
さらに昭和五十五年度におきましては、急増指定の有効期限が従来は単年度限りでございましたものを一年間延長いたしまして、指定を受けました年度の翌年度に指定要件から外れた場合におきましても、当該翌年度に限りまして急増市町村として取り扱うという弾力的な運用を行うようにしたわけでございます。さらに六十一年度におきましては、小中学校の過大規模校、通常私どもは三十一学級以上を対象としてこの分離の促進を図っておりまして、また過大規模校を分離する場合の用地取得につきましても、児童生徒急増市町村以外の市町村も補助対象にするということにいたしまして、実質的には指定要件を大幅に緩和したということでございます。
これらの措置によりまして児童生徒の急増の実態に即した措置を講ずることができたのではないかと私ども考えているところでございまして、今のところは指定要件を緩和いたさなくても特段の支障は生じないというぐあいに理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/14
-
015・寺内弘子
○寺内弘子君 次に、急増市町村でも施設の整備はかなり進んでおりまして、私の住んでおります埼玉県でもプレハブの教室がたくさんございました。そういう学校が最近はほとんど見られなくなってきているように思われますのですが、そこでこの児童生徒急増市町村における小中学校の校舎の整備率、また不足教室数、今でもプレハブ教室数がどのくらいあるのか、この状況について、五年前の状況と比較してお尋ねをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/15
-
016・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 児童生徒急増市町村の小中学校校舎の整備率でございますが、五年前におきます、昭和六十二年度昨年度をちょっと基点として計算をさしていただきますと、五年前の昭和五十七年度でございますと、小学校の校舎整備率が八九%でございました。それが五年後の昭和六十二年度におきましては九三・三%の整備率となっておりまして、かなりの伸びを示しております。さらに中学校につきましては、昭和五十七年度の整備率が八八・一%でございましたが、その五年後の昭和六十二年度におきましては中学校の校舎整備率は九二・八%になっているわけでございます。これを合算いたしますと、小中学校合わせた校舎整備率が五十七年度におきましては八八・六%でございましたものが、五年後の昭和六十二年度には九二・八%に達しておるわけでございます。そういう意味では、五年間で約四・二%の整備率の上昇であると数字を把握いたしております。
それから、一学校当たりの不足普通教室数でございますけれども、昭和五十七年度におきましては、小学校は一校当たり普通教室数の不足が〇・四二でございまして、それが五年後の昭和六十二年度は小学校は一校当たり〇・二二に減っております。約半減いたしております。それから中学校につきましては一校当たりの不足教室数が昭和五十七年度は〇・五五でございましたが、五年後の昭和六十二年度につきましては、中学校の不足普通教室数が〇・三七でございまして、小学校ほどではございませんが、不足教室数はどんどん減っていく方向にございます。これを合算いたしますと、小中学校の一校当たり不足教室数は、昭和五十七年度は〇・四七でございましたが、五年後の昭和六十二年度には〇・三七に減ってきているという状況でございます。しかしながら、依然として不足教室数が存在するということは事実でございまして、この解消のためになお努力すべき事柄ではないかと思っております。
さらに、こういった急増の状態に対応する措置としてプレハブ校舎が存在するわけでございまして、教育上も必ずしも好ましい条件ではございませんが、こういったプレハブ教室数につきましては、小学校の場合は、昭和五十七年度には一校当たり〇・一六教室でございまして、これは若干増加をいたしておりまして、昭和六十二年度には一校当たり〇・二二という形でプレハブ教室数は小学校の場合にはちょっとふえております。しかし、一方中学校につきましては、昭和五十七年度は一校当たり〇・二七でございましたが、五年後の昭和六十二年度につきましては〇・一四ということで、中学校につきましてはプレハブ教室数は半減いたしております。合算いたしますと、昭和五十七年度におきます小中学校の一校当たりプレハブ教室数は〇・二でございまして、昭和六十二年度、五年後におきましてはそれが〇・一四になっておるわけでございまして、そういった努力は着実に進められていると理解しておるわけでございます。
こういうような形で急増市町村におきます校舎新増築に対する負担率のかさ上げ措置によりまして校舎整備が進められている。そのことの結果として現在の整備状況を一般市町村と比較いたしますと、校舎整備率につきましてはほぼ同程度に達してきているというぐあいに理解をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/16
-
017・寺内弘子
○寺内弘子君 次に、予算との関連で、児童生徒急増市町村にかかわる予算措置がさきに成立いたしました昭和六十三年度予算でどの程度講じられているのか、またその程度の予算で急増市町村の計画している事業に十分対応できるのかどうか、その規模についてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/17
-
018・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 先ほど申し上げましたように、急増市町村に対します措置としましては、ちょうど急増市町村数がピークに達しました昭和五十七年度、それへ向けての校舎整備でございますから、五十五年度あたりが最高の事業量を占めていたわけでございますけれども、年々減少を続けているところでございます。
そこで、今回の六十三年度予算におきましての措置でございますが、児童生徒急増市町村の小中学校校舎新増築事業の事業量といたしましては、私ども約四十一万平米を見込んでおるわけでございまして、これに対する予算額としては二百四十五億円を計上いたしております。これは市町村からの事業計画をとりまして、それに見合う予算措置を講じたわけでございますが、この二百四十五億円のうち今回のかさ上げ措置、いわゆる二分の一から十分の五・五へかさ上げをしておりますかさ上げ額の分が二十二億円を占めております。児童生徒急増市町村の小中学校校舎新増築事業についても、毎年市町村の事業計画を勘案して必要な予算措置を講じてきているわけでございますが、本年の今申し上げた二百四十五億円で六十三年度の予定しております事業量は十分こなせるという形で私どもは対応しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/18
-
019・寺内弘子
○寺内弘子君 昭和六十一年度に制定された補助金特例法によりまして、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの三年間は、急増地域に限らず、過疎地域とか離島地域にかかわる地域特例の補助率かさ上げについても引き下げが行われているようですので、今回の法律案において昭和六十三年度の負担割合が十分の五・五とされているのも残念ながらやむを得ないものと考えております。昭和六十四年度以降については、私たちとしましては三分の二に戻るものと考えたいわけでありますが、実はこれは三月二十四日の参議院の予算委員会で梶山自治大臣が、昭和六十四年度以降は原則としてもとの補助率に戻すべきとの答弁をいたしておるわけでございます。この梶山自治大臣の答弁に対しまして、澤津大蔵大臣は明確な御答弁を避けていらっしゃるんですね。この点について文部省はどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/19
-
020・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) ただいま先生おっしゃいましたように、今回の法律案の中で三分の二のかさ上げを六十三年度までは十分の五・五に引き下げているわけでございますが、これは過疎地域とか離島地域といったような、今先生おっしゃいましたようなほかの地域特例がすべて補助金等特例法によりまして十分の五・五に引き下げられているというバランスといいますか、その見合いの関係で施設負担法の方も十分の五・五の引き下げ措置を講ずる形で提案をさしていただいているわけでございます。この期限は法律上は今申し上げましたように六十三年度まででございますので、残りました六十四年度から六十七年度までは法律上は三分の二の補助率へ戻ることを予定した提案になっているわけでございます。
そこで、六十四年度以降の取り扱いの問題でございますが、予算委員会におきます自治大臣と大蔵大臣の答弁の微妙な食い違い等がございまして、私ども政府の一員でございますのでこれは政府全体で考え、十分相談した結果を受けとめていく必要があるわけでございますが、現在の考え方としましては、特例措置期間の終了後におきます取り扱いにつきましては諸情勢がどのように推移していくのか、あるいは国、地方の役割分担をどのように考えたらいいのか、あるいは財源のあり方、財源配分のあり方というものも考える必要がある、そういった諸情勢を総合的に勘案いたしまして、政府部内で関係省庁で寄り寄り相談をいたした上で、どういう形で持っていくのかというのを適切に対処していきたいというぐあいに思っている段階でございまして、必ず三分の二へ戻るということを申し上げることもできませんし、かといって、いや戻さないということを申し上げるわけではない。ただそれは文部省の気持ちとしては負担割合は三分の二へ戻ってほしいという気持ちはございますけれども、それは政府全体の中で今財政状況等を総合勘案して決める事柄ではないか、その中で文部省も一員として御相談に加えていただくということで、今後関係省庁の間で相談を進めながらいく事柄だと現時点では考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/20
-
021・寺内弘子
○寺内弘子君 ありがとうございました。
それでは、前回の昭和五十八年の延長の際には、私たち全会一致して学校施設の整備に関して、
一、児童生徒急増市町村における学校施設の整備が円滑に実施されるよう、必要な事業量とその財源の確保等に努めること。
二、学校の施設設備については、安全性に留意するとともに情操豊かでたくましい児童生徒の育成に配慮した整備を図ること。
三、学校規模の適正化を図るため、過大規模校の分離の促進に努めること。
この三項目の附帯決議を決議いたしておりますが、これらについてその後どのような措置を講じてきておられますか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/21
-
022・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 施設負担法におきます急増市町村の特例措置が昭和五十八年に二回目の五年間延長措置が講ぜられた際に、当委員会におきまして三項目の附帯決議をちょうだいしているわけでございます。
そのうちの第一点でございます急増市町村におきます学校施設の整備を円滑に実施するような事業量の確保と財源の確保に努めるべきであるという御決議につきましては、市町村の整備計画に支障が生ずることのないようにする必要があるわけでございまして、毎年度文部省といたしましては予算で必要な財源の確保に努めてきたわけでございまして、五十八年度から六十一年度までの四年間におきまして、児童生徒急増市町村に係ります小中学校校舎新増築事業としては三百七十五万平方メートル、負担金の金額にいたしまして二千八百十七億円の整備に対しまして国庫負担をしたところでございます。
それから第二点が「学校の施設設備については、安全性に留意するとともに情操豊かでたくましい児童生徒の育成に配慮した整備を図ること。」という御決議をちょうだいしているわけでございまして、この点に関しましては特に施設設備の安全性の確保ということは重要なことでもございますし、都道府県、市町村に対しまして、特に心身障害を有する児童生徒に対します施設上の配慮について引き続き指導いたしますとともに、昭和六十年度からは補助対象を全国に拡大いたしました大規模改修事業におきまして、障害児のための施設の一部改造について国庫補助対象としたわけでございます。さらに、情操豊かでたくましい児童生徒の育成の観点から、昭和五十九年度以降、新たに多目的スペース確保のための基準面積の引き上げであるとか、あるいは学校施設への木材使用の促進、さらに基本設計費に対する補助、それから部室に対する補助等の各般にわたる施策を講じてまいっているところでございます。
それから、第三点の決議事項が「学校規模の適正化を図るため、過大規模校の分離の促進に努めること。」という事項でございますが、六十一年度におきましては、学校規模の適正化を図りますために用地取得費補助制度の内容を改正いたしまして、過大規模校の分離新設に伴います用地取得費に対する補助制度として、昭和六十五年度まで五カ年間の延長を行った次第でございます。また、市町村に対しましても引き続き都道府県を通して指導いたしますとともに、五十九年度からは過大規模校を多く抱えております市町村の教育長を文部省にお呼びいたしまして、過大規模校の現状あるいは解消の基本的な計画、さらに個々の過大規模校の解消の見通し等について事情聴取を行ってまいったわけでございまして、その結果として昭和五十七年度から昭和六十二年度までの五カ年間では、千百五十三校の過大規模校が解消されるに至っているわけでございまして、附帯決議の趣旨を踏まえまして、この三つの事項については文部省としても誠意をもって対応させていただいたと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/22
-
023・寺内弘子
○寺内弘子君 ありがとうございました。
それでは、これまでの質疑に関連いたしまして、公立学校整備に関する幾つかの問題点について質問をさせていただきたいと思います。
まず、過大規模校の解消についてお伺いをいたします。過大規模校の解消については、本委員会においてもたびたび議論されまして、臨時教育審議会答申や閣議決定された教育改革推進大綱においても指摘されているなど、現在の学校施設の最重要課題の一つではないかと思われます。これについては文部省、地方公共団体においても鋭意努力されており、現在までに相当解消されてきているものと承知をいたしておりますが、過大規模校の現状及び今後の解消方策についてお尋ねをいたします。文部省において、予算措置だけでなく、過大規模校を多く抱える市町村を直接呼んで指導するということも、過大規模校の解消に効果があると思うのでございますが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/23
-
024・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 私どもは小中学校の規模につきまして、大規模校、特に過大規模校というものに対しましては強い関心を持っておるわけでございまして、その解消への努力を重ねているわけでございます。
具体的には、現在の予算執行の仕組みの中におきましては三十一学級を超える小中学校を過大規模校と呼んでおりまして、そういった過大規模校の数をどうやって減らしていけばいいのか、いろいろな問題、困難な問題点を抱えておりますけれども、鋭意努力をさしていただいているわけでございます。ちなみに、五十七年度が過大規模校の数としましては全国的にピークに達した時期でございまして、そのときは公立の小中学校の約七%に相当します二千四百八十一校が過大規模校として存在したわけでございますけれども、昨年の五月一日現在では約半分に当たります、三・五%に相当する千二百三十一校まで減少したわけでございまして、そういう意味では、ピーク時に比べると半減したわけでございますが、依然として一千校を超えるこのような学校が存在するということでございますし、過大規模校につきましては教育指導上あるいは学校管理運営上種々な問題を抱えているわけでございまして、基本的な教育条件の整備という観点からは早急に解消して、学校規模の適正化を図ることが急務と考えておるわけでございます。
文部省としましては、昭和六十一年度予算におきましても、児童生徒急増市町村以外の市町村におきます過大規模校を分離新設するための用地取得費につきましても補助ができるように制度改善を図ったところでございますし、また従来から過大規模校をたくさん抱えております市町村の教育長等からは、先ほど申し上げましたように、その解消計画につきましては事情聴取を行いまして、解消方策について具体的な事例に即してそれぞれ指導するという体制をとっているわけでございまして、またその分離新設に伴います用地取得費に対しての補助を積極的に行うというような事柄を含めまして、その解消を促進してきているところでございます。
その結果としましては、昭和六十二年度の過大規模校につきまして、およその今後の見通しでございますけれども、今申し上げた千二百三十一校のうちの約八六%程度は分離新設あるいは通学区の調整、児童生徒の減少等によりまして近い将来に解消される予定であるというぐあいに聞いているわけでございまして、残りの過大規模校につきましては、それぞれ抱えている問題は非常に大きゅうございまして、例えば当該地域におきまして大規模な用地を取得することが困難であるというような地域の実情等から解消が非常に困難視されるものでございますけれども、事はやはり子供たちの教育上の問題でもございますので、なお市町村に対しまして引き続き解消への努力を要請してまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/24
-
025・寺内弘子
○寺内弘子君 御説明にありましたように、過大規模校を分離して新たに学校を新設するにつきましては大変な、用地取得等につきまして大きな問題があろうと思われるわけでございます。現在行われている用地取得費補助制度というのがございますが、極めて重要な制度であると認識しておるわけですが、これについて市町村の要望にこたえるだけの十分な予算措置が講じられておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/25
-
026・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 過大規模校の解消を図ります基本的な問題といいますのは、やはり新しく分離新設します学校に必要な用地の取得でございまして、これは最近におきますいろいろな地価高騰等の問題もございますけれども、土地の入手難あるいは土地の価格の高騰等の各般の要素がございます。そういった点で、市町村が過大規模校の分離に二の足を踏みますのが用地問題でございまして、そういった点で過大規模校の解消を図るために昭和六十一年度から、それ以前におきましては児童生徒急増市町村のみを対象とした用地取得費の補助制度を、一般市町村を含めまして、いわゆる過大規模校の分離新設に伴います用地取得費補助制度という形に改めまして、そういった制度化をし、必要な予算措置を講じてきているところでございます。
こういう用地取得費補助につきましても、毎年度市町村の事業計画を勘案いたしまして、必要に応じて、場合によっては事業計画の前倒し等を積極的にこちら側から求めるというような対応をしながら、十分な予算措置を講じてきているわけでございまして、本年度におきましても、市町村の事業計画に十分見合うだけの予算といたしまして二百十七億円を予算上計上して、市町村における積極的な用地買収を働きかけ、また期待をしているという状況でございます。ちなみに、この二百十七億円の積算としましては、事業量は二百二十九万九千平方メートルでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/26
-
027・寺内弘子
○寺内弘子君 学校用地となりますと、最低でも一万から一万五千平方メートルのまとまった用地をその学区内に確保する必要があると思うんです。そして、多数の地権者の同意を得るために説得に回ったり、代替用地をあっせんしたりして、市町村の苦労は並み大抵ではないと思うんです。現在、首都圏を初めとする大都市地域の地価はょうやく鎮静化してきたようでございますが、昨年までの地価高騰の影響を受けて自治体の用地取得が計画どおり進められていないのではないかと心配をいたしているものでございます。このことによって過大規模校の解消がおくれているのだとすれば何らかの対策が必要となってくると思うのですが、地価の高騰が過大規模校の解消を阻害しているといったことはないでしょうか。 この辺をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/27
-
028・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 過大規模校の解消の多くは、先ほど申し上げましたように、分離新設等の方法を講ずることが必要であるわけでございますが、こういった用地取得費の補助に当たりましては、予算上の単価は一応積算として定められておりますけれども、実際の補助に当たりましては実買収単価あるいは地価公示価格等を基準として市町村が定めた価格等を補助単価として執行上遺漏なきを期しているわけでございまして、これによりまして実際上地域の買収実態に見合った補助を従来から行ってきているところでございます。
解消が困難とされております過大規模校について見ますと、その解消困難な理由といたしましては、分離、新設のために必要となるまとまった敷地、例えば最低でも一万五千平米から二万平米という塊の土地というものが当該通学区域内には求められないとか、あるいは通学区域を変更しようとしますと地域住民の理解が得られないというような場合がほとんどでございまして、そういった問題はございますけれども、土地全体が今申し上げた塊として買えないという状況が大きな原因でございまして、最近の地価高騰、決して好ましいことではございませんし、また、そのために市町村に対する相当な影響を与えていることは事実でございますけれども、今申し上げましたように、その実勢単価に見合った補助を執行上行っておりますから、今回、最近におきます地価の高騰が原因として過大規模校の分離あるいは解消ができなくなったという事例は私どもは聞いておりませんし、そのために解消がおくれているという状況でもないと思っております。そういう意味ではやはり今申し上げた地価高騰よりもその土地自体がまとまって得られないということに基本的原因があるのではないかと分析をしているところでもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/28
-
029・寺内弘子
○寺内弘子君 ありがとうございました。
それではせっかく文部大臣が御臨席いただいているわけでございますので、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
昨年、実は当文教委員会の視察で秋田県の養護学校を見せていただいたわけでございますが、私が見た養護学校の施設はいろいろな点に配慮され、かなりよく整備されていると感心いたしました。大変参考にもなりました。また、養護学校の先生方や職員の方々が大変苦労されているのもよくわかりました。そこで、これまでも何度か取り上げられたことがあると思いますが、養護学校の整備状況は小中学校など他の学校に比べてかなり整備率が低いのではないかと思われるわけでございますが、全国の養護学校の施設の整備の状況はどのようになっているのか。また、秋田県の養護学校程度に進んでいるならば私は大変結構だと思うのですが、そうでなければ早急に整備を促進すべきではないかと思うわけでございます。養護学校の施設整備について文部省としてどのように今後促進をしていくおつもりなのか、お考えがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/29
-
030・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 個々のことにつきまして、後段の御質問には政府委員からお答えさせますが、基本的に養護学校のお話でございまして、私も過日養護学校を参考に見させていただきました、それぞれの方の障害の種類も非常に多様でございますし、年齢もまた多様でございますので、養護学校の整備につきましては、特に画一的な規格を統一していくのがいいとは思えないわけでございますので、各市町村におきまして何を考えるかというと、そこにおられる子供さん方にいかに適切な環境をつくるかということに意を用いるべきでありましょうから、統一規格をそれに当てはめるのは正しいとは思わない。ただ、そういうことを含めまして整備を急ぐことはごく必要でございますので、そういう場合の補助のこれは優先的に取り扱いをいたしておるところでございまして、これからも基本的には先生おっしゃいますように養護学校の整備を専一に考えていきたいと思っております。
具体には政府委員からお答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/30
-
031・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) 養護学校は昭和五十四年度から義務教育化されたわけでございまして、これに対応いたしまして文部省としましても必要な養護学校施設の整備について各都道府県を指導し、その推進を図ってきたところでございますが、養護学校、特に小中学部関係でございますけれども、その整備率について申し上げますと、昭和六十二年度で約七七%でございました。年々整備率は上昇してまいっておりますとはいえ、盲聾学校に比べますとその整備率ははなはだおくれているという状況でございます。これは養護学校制度が盲聾学校に比べましてそのスタートがおくれたということもございますけれども、それ以外におきましてもいろいろな事情があるわけでございまして、例えば養護学校は心身に障害があるため病院や福祉施設等に収容されている児童生徒に教育を受けさせるため設置されたものが多いわけでございまして、こういった学校では、その設置の経緯からいたしまして敷地や建物を借用している場合が多いわけでございますし、また施設面から見ますと、病院や福祉施設に従属せざるを得ないというような状況もあるわけでございまして、結果的には設置場所が病院とか福祉施設の敷地内とかあるいは隣接地、そういったものに限られているということから整備率が低くなっているのではないかと思っているわけでございます。しかし借用施設等も含めますと利用できます施設の面積は保有面積をかなり上回るものでございまして、学校運営上大幅な支障が生じているとは考えていないわけでございます。
一方、補助率については都道府県立の養護学校の場合につきましては三分の二の補助をいたしているわけでございまして、小中学校の二分の一に比べ手厚く措置をしております。ただし六十三年度につきましては十分の五・五というかさ上げの引き下げが行われておりますけれども、基本的な補助制度そのものによって整備がおくれているという状況ではない。そういうことから私どもとしましては養護学校の特殊性やあるいは設置の経緯等を踏まえながら、障害の種類や程度に応じて施設設備をなお促進するようにも今後とも精力的に指導してまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/31
-
032・寺内弘子
○寺内弘子君 最後にアスベストに関連して御質問いたします。
アスベストについては、昨年の春から新聞紙上で問題として取り上げられて、関係各省や地方公共団体においても緊急にいろいろな対策を講じられているようですが、アスベスト先進国と思われるアメリカにおいても対応策が確立していないようでありますし、我が国においてもわからないところが多くあるようです。対処方法もいろいろ模索しているというのが正直なところだと思われます。しかし、学校は発育途上にある児童生徒が長時間過ごすところでもありますし、児童生徒の健康、安全を考えた場合、国においても地方においても早急に対応すべきものと考えます。文部省が昨年実施した教室などを中心としたアスベストの使用実態調査によりますと、千三百三十七校の公立学校で吹きつけアスベストが使用されていたとのことでございます。この吹きつけアスベストの撤去のためにどのような施策を講じていらっしゃるのか、また市町村にどのように御指導をなさってくださいましたのか、お聞かせいただいて質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/32
-
033・加戸守行
○政府委員(加戸守行君) アスベストの問題が大きく取り上げられましたのが昨年の初めの時点でございまして、文部省としても早急な対応を行う必要があるという考え方で、昨年五月に全国の公立学校すべてに対しまして調査を依頼いたしました結果、教室とか体育館等におきまして、主な場所に吹きつけアスベストが使用されている状況が公立学校におきましては千三百三十七校、ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。その中でも著しく老朽化しました吹きつけアスベストのある学校につきましては早急に措置することが望ましいと考えておるわけでございまして、市町村に対してもその旨の指導を行っているところでございます。
とりあえず昭和六十二年度におきましては大規模改修事業を文部省として補助を行っているわけでございますが、その大規模改修事業の一環として、吹きつけアスベスト対策工事を実施していただくということで、申請のありました三十六校すべてにつきまして優先的に採択をして対応策を講じたところでございます。さらに六十三年度予算におきましては、今申し上げた大規模改修を大規模改造と名称を改めまして、従来でございますと改修工事の下限額が二千万円以上でございましたものを、吹きつけアスベスト対策工事に限りましては工事下限額を四百万円以上まで引き下げまして、アスベスト対策工事についてのみでも補助対象とできるような措置を講じたわけでございまして、六十三年度は遺漏のないように市町村からの要望がございますものはすべて対応する考え方でいるわけでございます。
ただ、この吹きつけアスベストの問題は、まだ必ずしもノーハウが完全に確立されておりませんで、いわゆる撤去がよろしいのか封じ込めがいいのか、囲い込みがいいのか、それぞれの事情等によっても違いますので、市町村が個別なケースにつきまして適切な判断をしていただく、また、そのためにはいろいろなノーハウの提供も必要あるわけでございますので、文部省としましては、環境庁を初め関係省庁とも緊密な連絡をとりまして適切な対応が講じられるような各般の指導を随時行っているわけでございまして、ただ、先生おっしゃいましたように、日本におきます今の状況というのは、これがいいという方法自体がまだ見つけ出されておりませんので、ケース・バイ・ケースの対応にならざるを得ない点はございますが、国におきますいろいろなノーハウ、得られますデータ等は早急に市町村にもお流しをし、対策につきまして遺漏なきを期したい。事は子供の健康、安全に関する事柄でもございますし、文部省としても真剣に取り組みをさせていただいているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/33
-
034・寺内弘子
○寺内弘子君 最後の最後になりましたけれども、少し時間がございますので、大臣いろいろとこれまでお尋ねをしてまいりました。大変参考にもなりましたし、また今まで非常に知識が足らなかったところも大変勉強させていただいたわけでございますが、最後に質問に対しまして文部大臣の御決意のほどをお聞かせいただいて終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/34
-
035・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) これは総じて、御質問の中にもありましたように、急増市町村と申しますけれども、学ぶ児童生徒の環境を適正にするということが主でございまして、なかんずく六十七年までという五カ年に決めたことは、当初、御質問にありましたとおり、一応五カ年、五カ年ときた、四次五カ年をもちまして、これを鋭意進めてまいるということでございます。六十三年度だけは国の補助金の特例に関する十分の五・五でまいりますけれども、その後また諸情勢を見ながら鋭意努力をいたしてまいるつもりでございますし、また最後に御質問のありましたアスベストに関しましても、これは健康に関することでございますから、工事にもそのノーハウに非常に慎重さを要しますし、また調査も慎重を要すると思いますが、今政府委員からお答えしましたように、大規模改造につきましても四百万以上というところに引き下げまして、アスベスト対策に万全を期してまいりたい、このように考えております。
いろいろ有益な御指摘をいただいて、胸に置きまして進めてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/35
-
036・寺内弘子
○寺内弘子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/36
-
037・田沢智治
○委員長(田沢智治君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
午前十一時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215077X00519880419/37
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。