1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年二月二十日(土曜日)
午後二時一分開議
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○議事日程 第六号
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昭和六十三年二月二十日
午後二時 本会議
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第一 昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)
第二 昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)
第三 昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)
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○本日の会議に付した案件
一、請暇の件
一、日程第一より第三まで
一、漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
一、地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/0
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001・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
秋山肇君から海外旅行のため明二十一日から十日間の請暇の申し出がございました。
これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/1
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002・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
よって、許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/2
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003・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一 昭和六十二年度一般会計補正予算(第2号)
日程第二 昭和六十二年度特別会計補正予算(特第2号)
日程第三 昭和六十二年度政府関係機関補正予算(機第2号)
以上三案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。予算委員長原文兵衛君。
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〔原文兵衛君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/3
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004・原文兵衛
○原文兵衛君 ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案の委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
今回の補正は、歳出において給与改善費、義務的経費の追加、国民健康保険特別交付金等、特に緊要となった事項等について措置を講ずることとしており、歳出の追加総額は二兆六千百十四億円となっております。
他方、既定経費の節減、予備費の減額により、五千七百七十五億円の修正減少を行っております。
歳入につきましては、最近までの収入実績にかんがみ、租税及び印紙収入一兆八千九百三十億円の増収を見込むとともに、前年度剰余金の受け入れを計上し、他方特例公債一兆三千二百二十億円の減額を行うこととしております。
本補正の結果、昭和六十二年度補正予算の総額は、歳入歳出とも成立予算に対し二兆三百三十九億円増加し、五十八兆二千百四十二億円となります。
また、一般会計予算の補正等に関連して、国立学校特別会計等二十七の特別会計予算と国民金融公庫等三公庫の政府関係機関予算について所要の補正が行われております。
補正予算三案は、一月二十五日、国会に提出され、二十九日、宮澤大蔵大臣より趣旨説明を聴取し、衆議院からの送付を待って二月十九日、二十日の二日間にわたり、竹下内閣総理大臣並びに関係各大臣に対し、国政全般にわたり熱心な質疑が行われました。
補正予算に直接関連する質疑として、「本来補正予算は、義務的経費の不足や当初予算編成後特に緊要となった事項について作成すると制限的に規定されているが、今回の補正予算には自動車損害賠償責任再保険特別会計への追加繰り入れや国民健康保険特別交付金のように当初予算に計上しなかった事項が含まれるなど緊要性に欠けており、財政法に違反しているのではないか。また、当初予算に対し巨額な税の自然増収が発生したのは、政府が意図的に税の過小見積もりを行ったからではないか」との質疑がありました。
これに対し竹下内閣総理大臣及び宮澤大蔵大臣より、「六十二年度当初予算では大量の赤字公債を発行する苦しい歳入事情と歳出における緊要性の優先度を判断し編成したが、その後、歳入に余裕が生じたので元来繰り入れを要請されていた自動車損害賠償責任再保険特別会計への追加あるいは退職者医療制度創設に伴う国民健康保険特別交付金を今回の補正予算に計上したもので、財政法に違背するものでない。税収見積もりを見誤ったのは事実であり、おわび申し上げる。円高不況に対応し、税収を減額した六十一年度補正予算を前提に六十二年度の税収見通しを行い、その後の経済の拡大や財テクの影響等を把握できなかったことが原因であり、決して政府が意図的に過小見積もりをしたわけではない。財政当局は総力を挙げて税収の見積もりを行っているが、日本経済の力強い潜在力や世界経済の影響などもあり、これを的確に予測することは容易でないことをぜひ御理解願いたい」との答弁がありました。
質疑は、このほか装備事前集積と日米安保条約の関係、INF協定後の日本の防衛政策の方向、税制改革、農産物の輸入自由化、土地・住宅対策、沖縄問題等広範多岐にわたって行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して小川委員が反対、自由民主党を代表して吉川委員が賛成、公明党・国民会議を代表して矢原委員が反対、日本共産党を代表して吉川委員が反対、民社党・国民連合を代表して勝木委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、昭和六十二年度補正予算三案は賛成多数で原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/4
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005・藤田正明
○議長(藤田正明君) 三案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。小川仁一君。
〔小川仁一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/5
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006・小川仁一
○小川仁一君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和六十二年度補正予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
竹下総理が中曽根政治の継承を唱えて総理になられてから三カ月たちました。継承なるがゆえに円高・ドル安のレーガン政策に追随迎合し、経済問題は一層厳しさを増しております。農産物の自由化の安易な受け入れ等もあって農業は破壊され、離農する農民も現出している悲しむべき状況がございます。
国民生活も、狂乱的な地価の高騰に市民が苦しみ、円高によって輸出関連の中小企業と、そこに働く人たちは不安な生活を送っているのであります。国民は血のにじむような努力によってこの状況を克服しようと必死であります。今、政府に求められているものは、国民の切実な要求にこたえるとともに、アメリカ等諸外国に対して毅然とした態度で国民の利益を主張する政治であります。
軍備についても、アメリカの軍事戦略に従属することなく、平和憲法の精神に基づいて軍縮の方針を貫く姿勢を国民は望んでおります。
以上申し上げ、以下、本補正予算の反対理由を申し述べます。
反対理由の第一は、本補正予算は、本来当初予算に計上すべき政策経費をも便宜的に盛り込み、財政法第二十九条の精神に違反していることであります。国民健康保険特別交付金一千八億円などなど、六十二年度予算成立後に生じた事由によらないものまでも計上していることは納得できません。
特に、国保交付金は、退職者医療制度創設に伴う赤字の補てん分であり、我々は従来から全額処理を要求してきたものであります。しかし、政府は財源難を理由に拒否をしていながら、六十三年度に国保に対する地方自治体の負担増をのませる見返りとして予算化したものであり、便宜的な措置であると言わなければなりません。
このような違法的な予算計上は、マイナスシーリング方式により当初予算の伸びを形だけで抑え込もうとする政府の予算編成方式が結果的に財政
法無視を招いているものであり、強く批判するものであります。
反対理由の第二は、政府の税収見通しが大幅に狂い、歳入見積もりが余りにもずさんであることであります。
六十二年度当初予算においては税収増を前年度比約六千三百四十億円と見積もりながら、補正予算においてその六倍にも当たる三兆六千億円を超える増収を見込んだことは重大な誤算であります。税収は、単なる見積もりとはいえ、誤差率が四ないし五%にも達する誤りは許されるものではなく、政府の責任は免れません。このような誤りが、経済に明るいと言われる宮澤蔵相と税の専門的知識を持つ官僚によって行われたのは、売上税を通すための意図的な政策としか考えられません。
税収を過小に見積もり、所得税、法人税の減税をえさに国民をだまし、売上税を導入しようとしたたくらみであり、こそくな方法であり、まさに失政であります。これらの税の増収分は納税者である国民に返すことが当然であり、我が党を含む野党の共同の減税要求にこたえることが政府の責任と言えましょう。
反対理由の第三は、防衛費の対GNP比一%枠の突破が一段と進んでいることです。
中曽根前総理は、六十二年度当初予算において我が国の軍事大国化の歯どめとして重要な役割を果たしてきた一%の枠を突破し、レーガン政府の軍備増強方針に迎合いたしました。このことは多くの国民の平和への願いの感情を逆なでにしたものであり、また、アジア諸国は、日本はまたもや軍事大国の道を歩むのではないかとの強い不安と危惧の念を抱き、非難をしております。
竹下総理は、米ソのINF全廃条約の調印が示すような状況を認識し、世界的軍縮の潮流の中で防衛費を削減すべきでした。しかし、緊張緩和の世界の趨勢に逆行して、補正予算においては対GNP比を一・〇〇七%と拡大していることは断じて承認できません。
加えて、本年一月の日米防衛首脳会議において、戦争準備とも言うべき装備事前集積を日本側から持ち出したことは許すことができません。強く反省を求め、今後の交渉において撤回するよう要求いたします。
なお、反対の理由は、歳入における日銀納付金の減額修正等数多くありますが、時間の関係で省略いたします。政府自身にも内心じくじたるものもあることでしょう。反省されて今後誤りなきようきつく要望いたします。
最後に、新型間接税について申し上げます。
私は、売上税反対を訴えて、ミニ国政選挙と言われた参議院補選において岩手県民の圧倒的支持をいただいた者であります。自民党の候補者は人柄もよく、能力もすばらしく、信用のある方でした。その方が、売上税反対の県民の批判によって落選されたのです。売上税の犠牲者と言えるのではないでしょうか。当時の竹下幹事長、宮澤蔵相を初め、自民党の幹部の方々は岩手においでになり、売上税について宣伝、説得され、また、圧力もかけられたと聞いております。しかし、いかにせん、売上税は天下の悪税であったため県民に受け入れられませんでした。
竹下総理、ちょうど一年前のことであり、よもやお忘れになってはいないと思います。
大平内閣の一般消費税は五十四年の総選挙によって消え去り、売上税は、私の「中曽根さんのおかげです」と言ったことが国民的共感を呼び、岩手ショックとして全国を席巻して統一地方選挙にも影響し、ついに廃案になりました。為政者として謙虚に反省すべきと思います。
また、竹下総理は、売上税と同質の新型間接税についてあたかも国民の合意を得ているかのようなことを公言しておられます。しかし、それは公約を無視し、国民の声に耳を傾けることもない、国民を愚弄した思い上がりとも言えます。今、国民が税制改革に求めているものは不公平税制の是正、既存税制の改革であります。新型間接税など国民は望んでいないことを申し上げて、私の反対討論を終わります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/6
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007・藤田正明
○議長(藤田正明君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/7
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008・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより三案を一括して採決いたします。
三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/8
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009・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、三案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/9
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010・藤田正明
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/10
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011・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長村上正邦君。
〔村上正邦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/11
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012・村上正邦
○村上正邦君 ただいま議題となりました漁船再保険及漁業共済保険特別会計における漁業共済に係る保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、昭和六十二年度第二次補正予算に係るものでありまして、昭和六十二年度における異常な赤潮による養殖ハマチの大量死亡等により、漁船再保険及漁業共済保険特別会計の漁業共済保険勘定に生ずる保険金の支払財源の不足に充てるための資金を、同年度において一般会計から六十七億五千八十七万円を限り同勘定に繰り入れようとするものであります。
委員会におきましては、異常赤潮発生のメカニズム解明の必要性、中小漁業者保護の観点から漁業共済保険制度の財政的健全化に向けての具体的方策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/12
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013・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/13
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014・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/14
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015・藤田正明
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/15
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016・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長谷川寛三君。
〔谷川寛三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/16
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017・谷川寛三
○谷川寛三君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、今回の補正予算により地方交付税交付金の交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れが増額されることに伴い、本年度においては既に交付することとした追加公共事業等実施のための一般財源所要額に加えて、三千二百十六億円を地方公共団体に交付するほか、同特別会計における借入金を二千三百四億円減額すること、また、財源対策債の縮減は伴い必要となる財源を措置するため単位費用の一部を改定すること等を主な内容とするものであります。
委員会におきましては、政府より趣旨説明を聴取した後、国と地方自治の関係、地方財政対策、交付税の配分方法等の諸問題について質疑が行われました。
質疑を終局し、討論の後、採決を行いましたところ、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/17
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018・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/18
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019・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X00619880220/19
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