1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年五月十一日(水曜日)
午前十時六分開議
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○議事日程 第十六号
昭和六十三年五月十一日
午前十時開議
第一 核物質の防護に関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
第二 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第四 船員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第五 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)
第六 港湾労働法案(内閣提出、衆議院送付)
第七 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案(内閣提出、衆議院送付)
第八 公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第九 刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一〇 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第一一 農用地開発公団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、国立学校設置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
一、教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/0
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001・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
国立学校設置法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/1
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002・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。中島文部大臣。
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/2
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003・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、総合研究大学院大学の新設、短期大学部の併設及び廃止、大学入試センターの所掌事務を改めること等について規定しているものであります。
まず第一は、総合研究大学院大学の新設についてであります。
これは、学部を置かない大学院のみの大学を設置し、国立大学共同利用機関との緊密な連係及び協力のもとに教育研究を実施しようとするものであります。
なお、総合研究大学院大学は、本年十月一日に設置し、昭和六十四年度から学生を入学させることとしております。
第二は、短期大学部の併設及び廃止についてであります。
これは、三重大学に同大学医学部附属の専修学校を転換して医療技術短期大学部を併設することとし、また京都工芸繊維大学に併設されている工業短期大学部については、これを廃止し、同大学工芸学部及び繊維学部に統合しようとするものであります。
なお、三重大学医療技術短期大学部は、本年十月一日に開学し、昭和六十四年四月から学生を入学させることとするものであり、京都工芸繊維大学工業短期大学部は、昭和六十四年度から学生募集を停止し、昭和六十五年度限りで廃止することを予定しているものであります。
第三は、大学入試センターの所掌事務を改めることについてであります。
これは、大学入試センターの所掌事務につき、国公私立大学が共同して実施する試験に係る業務を行うこととするとともに、大学に入学を志望する者の進路選択に資するための大学に関する情報の提供を加えようとするものであります。
このほか、昭和四十八年度以後に設置された医科大学等に係る昭和六十三年度の職員の定員を定めることといたしております。
以上が法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/3
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004・藤田正明
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。久保亘君。
〔久保亘君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/4
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005・久保亘
○久保亘君 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、ただいま議題となりました国立学校設置法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに文部大臣に質問いたします。
法案に対する質問に先立ち、日本国憲法と戦後教育の原点となったいわゆる十五年戦争における日本の戦争責任に関する奥野国務大臣のたび重なる発言について、内閣の責任と具体的措置を明らかにされるよう総理の答弁を求めます。
もとより奥野氏の個人の思想信条を問うものではありませんが、閣僚としての奥野発言を不問に付することは竹下内閣が奥野発言を容認することになると思いますので、この点についても総理の所信を伺いたいのであります。
また、戦前の日本に侵略の意図があったとは思わない、侵略という言葉は大嫌いだという発言は、これまで教科書検定をめぐって問題となったことなどとも関連し、平和を守り真実を貫く教育を進める上で重大な影響を及ぼすおそれがあると思われますが、歴史的事実を否定するかのごとき元文相奥野氏の発言に対する文部大臣の見解を明らかにしていただきたいのであります。
なお、この際、発言の真意と閣僚としての責任について、奥野国務大臣みずからの御発言があればお伺いしたいと思います。
次に、アメリカの要求に押し切られる形で、自由化を前提として進められてきた農畜産物に関する日米交渉は不調に終わっておりますが、今後の二国間交渉の見通しと、総理の自由化に対する農政の基本方針を示していただきたい。もし自由化を行った場合、日本農業の将来にどのような変化が起こるのか、そのことによって文部省としては高校、大学における農業教育の将来展望をどう考
えられるのか、文部大臣の見解を承りたいのであります。
さて、今国会には臨教審答申に基づくいわゆる臨教審関連六法案が提出されております。
中曽根前首相は、戦後政治の総決算の大きな柱として究極改憲を目指す戦後教育の見直しを打ち出し、多くの反対を押し切って臨時教育審議会を設置しました。そして、昨年八月七日に最終答申を提出して解散するまでの三年間、臨教審は教育荒廃の克服を期待する父母、国民の期待にこたえることはなかったのであります。
答申の内容を見ると、エリートづくりに重点を置いた六年制中等学校、教職員の多くが反対する官製研修と身分を拘束して義務づける初任者研修、臨調行革路線の徹底化を図る教育行財政制度改悪など、教育荒廃と国民の負担を強める内容が中心となっております。
また、さらに、この臨教審の答申を受けて文部省は自分に都合のよい部分のみを取り出して具体化を進めてきておるのであります。
我が党は、これら臨教審の競争主義、エリート主義、新国家主義に反対し、父母、国民と協力して憲法、教育基本法を尊重する国民合意の教育改革を目指してまいりました。そして、今国会に提出されている臨教審関連六法案の問題点を国民の前に明らかにしていくことが極めて重要と考えるのであります。
私は、総理に伺いたい。総理は、多くの難題を含んでいるこの教育改革の問題に対して、どのような姿勢で臨まれるのか。中曽根前首相の路線をひたすら継承されるのですか。教育改革の基本的な理念をお聞かせいただきたいのであります。
次に、法案の内容について、まず総合研究大学院大学の創設について質問いたします。
従来、大学院は、そのもとに学部組織を置くものでありますが、昭和五十一年の学校教育法の改正によって、学部組織を持たずとも大学院は設置できるようになっております。我が党も、大学院の教育研究の充実のため、必要な条件を整備した上で独立大学院を設けることについては理解できないわけではありません。ただし、今回提案されているところの総合研究大学院大学については、幾つかの点で問題があり、関係者の意見も徴し、慎重な検討を要するものと思われます。
まず初めに、総合研究大学院大学は、既存の国立大学の共同利用研究機関を母体として設けるとされておりますが、これらの研究所は研究活動が主体で、なおかつ極めて専門化した存立目的を持っております。したがって、学生の教育、研究指導に適切に対応する教育機能を本来的に持っているわけではありません。こういった環境の中で、大学院生が教育研究上の指導を十分受けられるかどうか疑問が残りますが、いかがでありますか。
第二点は、この大学院が独自の校舎やキャンパスを持たないことからくる問題であります。この大学院の母体となる国立の共同研究機関は、東京、茨城、愛知、静岡、大阪といったぐあいに地理的に離れた格好で各地に点在しております。またそれぞれの研究所の組織形態が異なることから、総合研究大学院大学が統一的組織としての大学院の機能を持ち、各研究分野の教育、研究指導を統合していく能力を持つかどうかという点は、この大学院の成否を左右する問題であります。その対応をお伺いしたいのであります。
第三点は、今回の総合研究大学院大学のような進んだ設備を持つ独立大学院が今後できていくことによって、既存の大学院との間に研究者養成の面で格差が生じ、既存の大学院のあり方が大きく変化していくのではないかという点であります。言葉をかえて言えば、研究者養成の機能が既存の一般大学院から独立大学院の方へ大きく移っていくといった事態も予想されるのであります。そうであれば、独立大学院の将来のビジョンが明らかにされる必要がありますが、いかがでしょうか。またそれが及ぼす影響についてどう考えておられるのか、お伺いいたします。
以上が総合研究大学院大学に関することであります。
次に、大学入試センターの改組の件について伺います。
この大学入試センターを改組するねらいは、過去九回にわたって実施してきた国公立大学の共通一次試験にかわって、いわゆる新テストを六十五年度から実施することにあります。
さて、新テストを問題にする前に、改革を迫られている共通一次試験について省みる必要があります。昭和五十四年、難問奇問をなくする、一期校、二期校間の格差をなくするなど、大学入試改革と銘打って導入された国公立大学の共通一次試験が今日どういう弊害をもたらしたでしょうか。
東大を頂点とした偏差値による国公立大学の序列化と受験戦争の一層の激化、受験回数がふえることによる受験生の負担の増加、高校三年の三学期を形骸化させる試験期日の設定、こういった試験制度に直結して指摘される弊害のほかに、一次試験で基礎学力を判定し二次試験で特色ある選抜を行うといった本来考えられていた試験制度の目的が、果たしてこの十年間でどれほど実現したのでしょうか。
また、試験制度の改革は、大学自体の個性化と教育研究の充実が伴って初めて十分の成果を上げるのにもかかわらず、そのことがなされてきたのでしょうか。文部省、大学側の基本的な取り組みの姿勢が問われなければならないと思います。
実は、共通一次試験が成功するための諸条件については、第八十回国会の法案審議の過程やそのときの附帯決議の中で既に多くのことが指摘されております。例えば、参議院文教委員会の附帯決議の中で、一、テストの短所を除去するよう努め、その予備選抜への利用は極力避ける。二、受験産業の弊害を除去する。三、受験生の第二志望を生かす方策を考慮するなどの指摘をしているのであります。しかしながら、その後十年を経過しておりますが、政府はこの国会の指摘にこたえてこなかったのではないでしょうか。
以上、るる申し上げてまいりましたが、過去、入試制度の改革のため国会が行ってきた指摘にどうこたえてこられたのか、共通一次制度の弊害をどう反省し、これからの入学試験制度改革にどう取り組んでいかれるのか、その基本的な姿勢について総理と文部大臣の御見解を伺いたいと思います。
次に、法案にある新テストについて質問をいたします。
まず最初に、導入予定の新テストは共通一次試験と一体どこが違うのでしょうか。私は、基本的性格は変わっていないと思うのであります。したがって、この新テストに私立大学も参加するということになれば、我が国の大学の大部分を担っている私立大学も巻き込んで偏差値による序列化が進むことは明らかであります。一体、私立大学はどのくらい参加するのか。また文部省として私大の参加を強要することはないのか。文部省の意向に抗することで後に不利な扱いを受けることはないのか。この問題は、大学の自治の侵害にかかわる重要な問題であると思います。明快な答弁を求めます。
第二点として、新テストの実施時期が十二月であることから、高校三年の二学期までもが入学試験のために影響をこうむることについて伺います。
このことは、高校の関係者からも指摘されているところでありますが、一体、高校の教育課程まで変化させてしまうなどということをどう思っているのか。そこまでして全国共通の試験を実施する必要がどこにあるのでしょうか。大学がその入学者の選抜について大学側の都合を主張するのであれば、一体、文部省や国立大学は今日の受験戦争の解消のためにどれだけの対策を講じてきたのですか。その根本の姿勢が問われていると言ってよいと思いますが、いかがでしょうか。教育改革
の最大のねらいを共通一次の廃止にありとした前首相の主張をどう考えておられるのか、重ねて明快な答弁を伺いたいと思います。
第三に、新テストの本番前に行われるテストの試験的実施が時間的余裕がないということで、ことしの十二月に一回しか行われないことについてであります。一体、一回の試験的実施で、本番の実施に向けて準備万端大丈夫なのでしょうか。まだ正式に名前も決まっていないこのテストでありますが、いずれにしても準備期間が短く、受験生や高校側に大きな不安を与えていることに意を配すれば、六十五年度の実施はいささか拙速のそしりを免れないと思いますが、文相の御見解を伺いたいのであります。
最後に、ここ数年間入試制度は大きく変化をし、これからもまた変化をしようとしておりますが、猫の目のように変わる入試制度がどれだけ受験生や高校側に混乱を与えているかははかり知れないものがあります。このように入試制度がくるくる変わってよいものではないと思うのであります。
そもそも、入試改革の前提には、私学助成の拡充、学校間格差の是正等の基本的課題の解決があるのであります。そういった大学教育全体を見詰めた改革を目指すことなく入試制度のみをいじることは、大学教育の本質を見失っていると言ってよいのではないでしょうか。
総理並びに文部大臣に、我が国の大学における教育研究の質的充実を図るための方策、そして受験地獄を生み出す原因になっている学歴社会の是正のための対応についてお伺いをして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/5
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006・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、法案の質疑に入る前の御発言がございました。
我が国の基本的な日中関係と日中戦争の責任問題についてお答えをいたします。
我が国は、昭和四十七年の日中共同声明の中で述べられておりますとおり、「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」、この認識でございまして、今後ともかかる立場に立って日中関係に対処してまいりたい、このように考えます。
戦前の我が国の行為につきましても、これが侵略であるという厳しい国際的批判を受けてきておることは事実でありますが、この事実は政府として十分認識する必要があると考えます。政府としては、かかる事実を踏まえ、平和への決意を新たにいたしますとともに、このようなことを二度と起こさないように心がけていきたい、これが基本的な考え方であります。
次は、牛肉、かんきつ問題についてのお尋ねがありました。
日米間の牛肉、かんきつ交渉につきましては、去る四月二十六日、佐藤農林水産大臣が訪米し、我が国農業に不測の悪影響を及ぼさないよう配慮いたしますとともに、国際的要請をも踏まえつつぎりぎりの努力を行ってまいりました。残念ながら、米側の理解を得るに至らなかったのであります。そして、五月四日のガット理事会においてパネル設置が決定されたところであります。
いずれにせよ、今後の具体的対応につきましては、我が国牛肉、かんきつ生産の存立を守るという基本的立場に立ち、また我が国の置かれた国際的立場に配慮しつつ適切な対応をしてまいりたい、このように考えております。
次は、教育問題についてでございました。
まず、今次教育改革は、教育の現状における諸課題を踏まえながら、時代の進展に対応した創造的で多様な教育の実現を目指すものであります。したがって、臨教審答申、これに基づきます教育改革の推進は、私は国民の強く期待しておるところであるという認識の上に立っております。引き続き国政の重要課題としてその着実な推進に努めてまいりたい、このように考えます。
さて、続いて入試問題、学歴社会是正問題等々についての御意見を交えた御質疑でありました。
教育改革の取り組みに当たりましては、個性化、多様化を進めることが重要でありまして、大学入試につきましても、各大学が受験生の個性、能力、適性を多面的に判断できるようにすることが大切であると心得ております。またこのような努力とともに、あわせて学歴偏重の社会的風潮の是正、各大学の特色ある発展などの諸努力が総合的、長期的に続けられることが必要であると存じます。そうした観点から、これからも各般の努力を期待しておるというのが私どもの考え方であります。
具体的なお答えにつきましては、当該大臣から申し上げることといたします。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/6
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007・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 久保議員の御質問に順次お答え申し上げます。
法案前の御質問に対しましては、大局から総理からも御発言をいただいております。その御発言に基づきまして私ども進めてまいりたいと思いますが、特に我が国の歴史教育におきましては、既に昭和五十七年の官房長官の談話に基づきまして、例えば教科書検定等におきましても、近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮を行うなどの措置を講じているところでございます。
また、農業問題につきましても、大学、高校における農業教育につきましては、我が国の農業を取り巻く社会経済の変化を踏まえつつ、社会的な要請に対応した農業教育の振興に努めてまいりたいと考えております。
次に、総合研究大学院大学についてお尋ねでございました。
この大学院大学は、国立大学共同利用機関のすぐれた教育研究環境を活用しながら、既に他の大学で基礎的な専門教育を基盤として修学なさっておられる方々が博士課程のレベルで研究をいただくところでございまして、既に国立大学共同利用機関においては、これまでも各大学の委託を受けまして、大学院学生の研究指導を行ってきておることは御存じのとおりでございますが、それをさらにより組織的、効果的な教育活動の展開を図ろうとするものでございます。
この場合、研究活動の場は確かに数県にわたります。しかし、教育課程等について共通の基準を定めることなどによりまして、全体として調和ある教育研究活動を実地したいと考えておりますし、一つの大学として一体的な管理運営を行い得るように工夫をしているところでございます。
なお、学術研究の進展に伴いまして多様な研究者の養成が求められておりますが、御指摘のように、既設の大学の大学院からこのような総合研究大学院へと重点が移るのではないかということにつきましては、既設の大学の大学院並びに特別の分野を対象とするこのような総合研究大学院大学、それぞれ相補って広範な分野で幅広い人材の養成に寄与できるものと考えておるところでございます。
次に、大学入試改革について御質問でございました。
これは昭和五十四年度以来、大学入試改革につきましては、国民の大変な関心を得ながら行ってまいりました共通一次試験がございます。その導入に当たりまして、国会の御論議や附帯決議の趣旨に配慮しながら、逐年二段階選抜などの改善に努めてきたところでございまして、今日、良質の問題の確保などでは大変評価を得ているところでございます。一方、いわゆる学力偏重あるいは偏差値輪切りなどの批判が一部にありますことは、これは承知をいたしております。
教育改革に取り組むに当たりましては、個性化、多様化、これを進めることは極めて重要でございまして、大学入試につきましても、各大学が受験生の個性、能力、適性を多面的に判断できますようにすることが大切でございます。臨教審第
一次答申の提言によりますこのテストは、これまでの共通一次試験にかえまして実施しようとするものでありまして、国公私立大学を通じて自由な活用用をしていただく、これが大きなテーマでございます。
もとより、大学入試の具体的なあり方は、私学を含めまして各大学の自主的な検討にまつべきものと考えておりまして、文部省としては、このような前提で今回の改革の趣旨を十分に御理解を得られるように努めているところでございます。
このテストの構想の具体化に当たりましては、国公私立の大学、それから高校関係者の方々で十分意見を交換いたしながら、また中間的に考え方を公表するなどの手順を経まして実施時期や準備日程などを策定いたし、大学関係者に対する説明会なども実施をさせていただいてきておるところでございます。今後とも、試行テストの実施を含めまして、周到、適切な実施準備を推進してまいる所存でございます。
最後に、おっしゃいますように、学歴偏重の社会的な風潮ですとか、高校教育との接続のあり方、各大学の特色ある発展などの諸問題につきましては、さらに多角的、そして総合的、長期的な努力が必要である、このように考えておりまして、各般の努力に今後とも取り組んでまいる所存でございます。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/7
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008・奥野誠亮
○国務大臣(奥野誠亮君) 日中関係についてのお尋ねでございました。
ただいま竹下総理から御答弁がございました。全く私も同じように考えているものでございます。
また、従来からも政府の考えに則して申し上げているつもりでございまして、何とか過去の過ちを深く反省し、その反省の上に立って行動していかなければならないということも申し上げてまいったわけでございました。
日中戦争、日本はこれを事変と呼び続けてまいったわけでございますけれども、この不幸な事変あるいは戦争は昭和十二年の盧溝橋事件に発した、こう考えておるわけでございます。ライシャワー氏は「ジャパン」という本の中で全く偶発的な事情に始まったと述べておるわけでございまして、私もこのような見地に立っておるものでございます。
昨日、官房長官が戦争中に侵略的な行為があった、こう答えられたようでございました。また私は、一昨日、社会党の方の御質問に対しまする答えの中で、中国が侵略戦争と呼んでいる、これを私は否定するつもりはありません、こう申し上げました。
いずれにしましても同じような考え方を持っているわけでございますが、中国の新聞は私の述べたことに対しましていろいろ反発をしておられる。これに対しまして、そのことが私にとりましては大変残念ですということを何度か申し上げてまいりました。一昨日の社会党の方の質問に対しまする私の答弁、速記録もございますので、この速記録も精査しながら、反発のある点がどこにあるか精査して、必要な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。(拍手、「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/8
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009・藤田正明
○議長(藤田正明君) 議運理事によって協議中でございますので、若干お待ち願いたいと存じます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/9
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010・藤田正明
○議長(藤田正明君) 佐藤昭夫君。
〔佐藤昭夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/10
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011・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 私は、国立学校設置法の一部改正案について、日本共産党を代表し、総理並びに文部大臣に質問いたします。
まず、たださなければならないのは、奥野国土庁長官がまたもや十五年戦争肯定の発言を行い、自分の発言のどこが悪いのかとまで開き直っていることであります。
我が国の行った中国を初めアジアの二千万人を超える生命財産を犠牲にした侵略戦争の歴史的事実を何ら反省しないどころか、その責任をマスコミや野党にかぶせるがごときは言語道断であり、憲法の根本理念に真っ向から挑戦するものであります。そして、侵略の事実を認めた中曽根前総理の答弁にもあえて反抗し、戦犯政治の本質をむき出しにしたものであって、どの点から見ても戦前の侵略戦争への深い反省を基調とする我が憲法下での閣僚たる資格を著しく欠如するものであることは明白であります。
同時に、総理、あなた自身がはっきりと侵略戦争と認めないあいまいな態度をとっていることにも重大な責任があります。昨日、当院外務委員会で外務大臣は軍国主義による侵略だと答弁しています。この点を明確にし、総理がそのためにも奥野長官を直ちに罷免することを強く求めるものであります。
さらに、今次教育六法案に関する衆議院文教委員会での審議の異常さであります。特に、国立学校設置法については、共、社両党に一言の質問もさせないまま採決を強行したことは前代未聞の暴挙であります。国会運営の問題として逃げるのは無責任であり、自民党総裁としての責任は免れません。そして、参議院では民主的審議を尽くすことを確約されるよう、議員生活の長きを自任される総理の答弁を求めるものであります。
そこで、本法案の第一の重要な内容である総合研究大学院大学の問題について質問いたします。
日本の財界は、先端技術の研究開発において国際的な競争力に打ち勝つために大学への支配を強めています。既に、東京大学ではNTT、NEC、新日鉄などによる寄附講座が設置されています。そして、学部、学生のない博士課程のみの大学院大学を設置することによって、大学の教育と研究という二つの欠かせない機能を研究に偏らせ、大企業のためのエリートづくりの方向へ変質させるものであります。また大学の自治、学問の自由を守る制度的な保障である評議会、教授会の権限を制限し、その上に大学の重要な事項を審議する運営審議会を置き、学外者、すなわち財界代表などの参加によって大学院大学を産学協同の拠点とする道を開こうとするものではありませんか。答弁を求めるものであります。
さらに、政府は、SDI研究への参加や日米科学技術協定の安保条項合意に示される我が国学術研究の軍事化の道を急速に推し進めようとしています。四月二十一日、日本学術会議が組織改編後最初と言っていい声明を発表し、この協定に関して科学者の研究、発表の自由、科学者の身分保障などが実質的に制約されるおそれがあると訴えています。この学者、研究者の総意に沿って安保条項を撤回すべきではありませんか。
また、現状でも旧帝大系大学と地方大学、私立大学の間には、予算、施設、定員などの面での大きな格差があります。今こそ、すべての大学を学術の中心にふさわしく充実発展させるために、経常研究費の増額、私学助成の大幅増などの施策をこそ国民が求めているのではないでしょうか。しかと答弁を求めます。
次に、本法案の第二の重要な柱である大学新テストについてであります。
言うまでもなく、大学生受け入れの決定権は学部教授会にあり、大学自治の重要な内容であります。ところが、今回の新テストは、八五年東京都議選の際、当時の中曽根首相が自民党の党利党略のために一方的に打ち出したもので、問題の混乱の根源はここにあります。竹下総理としてどう考えられますか。
しかも、国立大学協会、公立大学協会、私立大学協会、高校校長会などの何らの合意もないままに、文部省お手盛りの入試改革協議会の結果と称して見切り発車をさせようというのは、大学の自主性を破壊し、教育の条理に全く反する暴挙であります。国立大学長のアンケートで、新テストが望ましいと答えたのはわずかに四・三%であり、
私立大学参加の見通しも立っていません。これらの教育関係団体の十分な議論と合意の上で大学入試のあり方の結論を出すべきではありませんか。
特に、新テストの十二月実施は、高等学校教育に対して、秋の文化祭を初め学校行事の大きな変更をもたらし、三学期の授業を台なしにすることなどから、高校校長会からも強い反対があります。さきの予算委員会での私の質問に対して文部大臣も認めたように、共通一次の弊害が何ら解決されない非教育的な新テストの実施については、撤回し再検討すべきではありませんか。
さらに、現行の共通一次テストの実施に当たっては、国会も二年間にわたって慎重に検討をしてきた経過もあり、新テストの実施については、短時間の審議で性急に結論を出すのではなく、民主的審議を尽くすべきであり、総理の見解を求めるものであります。
最後に、今次国会に出されている教育六法案は、いずれも昨年八月の臨教審最終答申に基づくものであります。この答申は、大きく言って三つのねらい、第一に、日の丸、君が代の義務づけを初め国家主義教育の推進、第二に、教育を制度、内容すべての面で大企業奉仕の方向に変える、第三に、こうした教育をスムーズに進めるため、上からの命令に従順な教師づくり、こうしたねらいでこそ一連の反動的六法案が出されてまいりました。
竹下総理、あなたの内閣のもとで、日本の教育に取り返しのつかないことが起きようとしています。教育制度の改革は、もっと教育関係者の声に耳を傾け、慎重な検討が行われなければなりません。今、政府として必要なことは、軍事費などを削って教育に回し、すべての子供、青年に行き届いた教育を保障することであります。我が党は、今次教育反動化六法案の撤回を断固要求して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/11
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012・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず第一問は、さきの戦争は侵略戦争か、こういうお尋ねであります。
戦前の我が国の行為について、これが侵略であるという厳しい国際的批判を受けてきておりますことは事実であります。この事実は政府としても十分認識する必要があります。政府としては、かかる事実を踏まえ、平和への決意を新たにいたしますとともに、このようなことを二度と起こさないよう心がけていきたい、これが基本的考えであると先ほど申し上げたとおりであります。
なお、発言について奥野大臣からお答えがあったとおりであります。
さて、次の問題は、法案審議のあり方についてであります。
衆議院における国立学校設置法の一部を改正する法律案の審議は、共、社両党の質問を打ち切ってというお言葉でございましたが、これはやはり院の諸手続によって行われたものであって、参議院においても適切な審議がなされることを期待しておるという一語胴に尽きるわけであります。
さて、日米科学技術協定に触れられました。
この協定は、科学技術の分野における両国間の協力の拡充強化を図るための新たな枠組みを作成するためのものでありまして、先般、大筋合意を見たところであります。
学術会議の声明については、私も十分承知しております。他方、御指摘の安保条項なるものについては、何を念頭に置いておられるのか必ずしも御質疑の上では明らかでございませんでしたが、学問の自由が尊重されるべきことは、これは当然のことであるというふうに考えておるところであります。
新テストは教育関係者の議論によっていない、こういう御趣旨でありました。
これは、国公私立大学関係者や高等学校関係者等から成ります大学入試改革協議会において検討に検討を重ねた結果、その構想を具体化しようというものであります。
したがって、大学入試の改革につきましては、国会においてもこれまで随分御議論をいただいております。今回の新しいテストは、まさに臨時教育審議会第一次答申を受け、その構想を具体化するものでありまして、これまでの間における各方面の論議を反映したものであるというふうに理解をいたしております。
最後に、教育六法案のことについてお触れになりました。
耳を傾けた上での対応策であるという考え方に立っておりますので、耳を傾けなかったではないかという御意見とは全く反対の立場をとっておるところであります。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/12
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013・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 総合研究大学院大学について御指摘がございました。
この大学院大学は、学校教育法第一条に基づく国立学校として、学校教育法、教育公務員特例法等の定めるところによりまして、他の国立大学と同様に、学長、評議会、研究科長、教授会を置きまして、これらを中心として、大学の自治の精神に基づきまして管理運営が行われるものでございます。したがって、運営審議会は、国立大学共同利用機関及び他の大学との連絡調整の場として予定しているものでございまして、大学自治の精神に基づきます学長、教授会等の大学管理機関の機能及び権限をおっしゃるように制限するものではございません。
次に、大学の充実発展について御指摘がございました。
文部省としては、従来から大学全体の発展に努めてきておりますが、将来に向けまして、さらに大学全体を活性化する、充実した教育研究活動の展開を図っていくということは文教行政の重要課題と考えております。
その際に、臨教審答申等を踏まえまして、このような総合研究大学院大学の創設等も含めた大学院の充実、多様化を期することもこれまた大切な視点である、このように認識いたしているところでございます。
今後とも、大学の質的向上の重要性等を踏まえながら、国公私立を通じた大学における教育研究の一層の発展に努めてまいりたい、こう考えております。
次に、新しいテストに関して御質問がございました。
このテストは、臨教審第一次答申を受けまして、国公私立の大学の関係者、それから高等学校の関係者等から成る大学入試改革協議会におきまして、総理もおっしゃいましたように、検討を重ねました結果、先般、昭和六十五年度を目途に新しいテストを実施するという結論を得たものでございます。この報告に至りますまでには、中間的に基本的考え方を公表いたしたり、各大学、高等学校等の検討に供するなどの経過も経るなどして教育関係者の意見も十分聞いてまいったところでございます。
また、教育改革に取り組むに当たりましては、個性化、多様化を進めることが極めて重要でございまして、受験生の個性、能力、適性を多面的に判断できるようにすることが大切と考えております。
臨教審第一次答申の提言によりますこのテストは、共通一次試験にかえて実施するものでありまして、国公私立大学を通じて自由な利活用に供する、こういうことによりまして輪切り、序列化を助長しないという方向を期待しながら進めてまいりたい、このように考えております。
もとより、大学入試の改革のためには、学歴偏重の社会的風潮、高校教育との接続のあり方、各大学の特色ある発展などについて今後とも努力してまいらなければならないということは当然でございます。
なお、最後に、このテストの実施時期でございますが、これまた大学、高校関係者で意見が交わされました結果、私立大学の入試日程ですとか高
校の授業の確保などを総合的に検討いたしまして十二月下旬実施ということにいたしたものであるということを付言させていただきます。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/13
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014・藤田正明
○議長(藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/14
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015・藤田正明
○議長(藤田正明君) この際、日程に追加して、
教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/15
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016・藤田正明
○議長(藤田正明君) 御異議ないと認めます。中島文部大臣。
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/16
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017・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
学校教育の成否は、これを担当する教員の資質能力に負うところが極めて大きく、今後の社会の進展や学校教育の内容の変化等に応じた教育を展開していくに当たりまして、教員みずからがその自覚を高め、教育力の向上を図ることが必要不可欠であります。
現下の教育課題を解決し、また教育の質的向上を図るため、教員には、従来にも増して教育者としての使命感、幼児、児童生徒に対する教育的愛情、教科等に関する専門的知識、そしてこれらを基盤とした実践的指導力などが求められております。
このような教員としての資質能力は、教員の養成教育のみならず、教職生活を通じて次第に形成されていくものであります。その場合、教員自身が研さんを重ねることによってその資質能力を高めていくことが基本となることはもとよりでありますが、これとともに、教員の任命権者が教職生活の全体にわたって適切な研修の機会を提供することが必要であります。
とりわけ、初任者の時期は、教職への自覚を高めるとともに、円滑に教育活動に入り、可能な限り自立して教育活動を展開していく素地をつくる上で極めて大切な時期であります。この時期に現職研修の第一段階として、組織的、計画的な研修を実施し、実践的指導力や教員としての使命感を深めさせ、また幅広い知見を得させることは、この時期における初任者にとって、また、その後の教員としての職能成長にとっても、欠くことのできないものであります。
そのため、今般、臨時教育審議会の答申及び教育職員養成審議会の答申を受けまして、教員の初任者研修を制度化することを内容とする法律案を提案するものであります。
以下、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、初任者研修を制度化することについてであります。
まず、任命権者に対し、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教諭、助教諭及び講師に対する採用の日から一年間の初任者研修の実施を義務づけることとしております。この場合、初任者研修は、教職経験に応じて実施する体系的な研修の一環をなすものとして位置づけることとし、初任者に対して一年間にわたり、教諭の職務を遂行する上で必要な事項について実践的な研修を実施するものであります。
初任者研修は、教育現場における実践的な研修であり、初任者は、学校において学級や教科・科目の担当その他の教育活動に従事しながら、学校内における研修と学校外における研修を受けるものであります。このように初任者は、日常の実務に即してその立場に立った系統的な研修を受けるものでありますから、校内における研修について指導者を特定することといたしております。任命権者は、初任者が所属する学校の教頭、教諭または講師のうちから指導教員を命じることとし、指導教員は、初任者に対して具体的な指導及び助言を行うことといたしております。
初任者研修の実施に伴い、また、教員の職務の特殊性にかんがみ、国立及び公立の小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚園の教諭、助教諭及び講師の条件つき採用期間を一年とすることとしております。
第二は、初任者研修制度の円滑な実施を図るための措置であります。
これは、市町村立の小学校、中学校等において初任者研修が行われ、各学校に指導教員等として非常勤講師を配置する必要がある場合には、市町村教育委員会が都道府県教育委員会に非常勤講師の派遣を求めることができることとするものであります。また、その場合の非常勤講師の報酬等については、都道府県の負担とすることとしております。これは、市町村立小学校・中学校等の教員に対する研修については、都道府県教育委員会が実施者であることから、非常勤講師について都道府県が責任を持って対処することとするものであります。
第三は、初任者研修の制度化についての経過的な措置であります。
幼稚園の教諭、助教諭及び講師に対する初任者研修については、幼稚園の実態等を考慮し、当分の間、これを実施しないこととし、初任者研修とは異なる研修を行うこととしております。
また、幼稚園を除く学校の教諭等に対する初任者研修につきましては、教員の採用者数の推移その他の事情を考慮し、昭和六十四年度から段階的に実施することとし、昭和六十七年度までにはすべての校種についてこれを実施することとしております。そこで、昭和六十六年度までの間は、初任者研修を実施しない学校種を政令で指定することができることとしております。
このような初任者研修の実施に当たって経過的な措置に伴い、初任者研修の対象とならない教員につきましては、その条件つき採用期間は、従前の六カ月とすることとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/17
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018・藤田正明
○議長(藤田正明君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。安永英雄君。
〔安永英雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/18
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019・安永英雄
○安永英雄君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質疑を行います。
まず、竹下内閣の教育に取り組む基本的な姿勢についてであります。
竹下総理は、教育問題について、施政方針演説を初め、あらゆる場において全力で取り組まなければならない国政の最重要課題であると強調されております。しかしながら、政府全体の一般会計予算は前年度に比べ四・八〇%も伸びているにもかかわらず、文部省所管予算はわずか〇・〇六%の伸びにすぎないのであります。文部省所管の予算が政府全体の予算に占める割合も、一般歳出に占める割合も、年々低下する一方であります。これでは教育重視と言うより教育軽視と言わざるを得ないのであります。総理の教育に対する見解をお伺いしたい。
次に、この法案提出の背景にもなった臨時教育審議会の答申についてであります。
我が国の学校教育をめぐる状況は、学歴社会、受験地獄、いじめ、非行、登校拒否など枚挙にいとまがないのであります。これに対し臨時教育審議会の答申は、当初我々が心配をしていたとおり、政府・自民党あるいは中央教育審議会など政府の審議会が指摘したかねてからの懸案事項の集大成
といった内容であります。さらに、それを受けた政府も、今回の提出法案でもわかるように、都合のいい部分をつまみ食いして施策を講じようとしているのであります。国民が、このような臨教審の答申や、これを受けての政府の対応に、我が国の今後の学校教育に明るい展望を見出すことができないのは当然であります。
総理は、臨教審の答申が我が国の学校教育再生のための処方せんになり得ると考えられるのか、そうであれば、その具体的な根拠をお示しいただきたいのであります。
次に、本法案提出に至る手続と国会における審査のあり方であります。
この初任者研修制度が教員に、ひいては我が国の学校教育全体や未来を担う子供に与える影響の大きさを考えるとき、教員のみならず国民全体の合意を得ながら制度化を図るという慎重さ、謙虚さが行政にも国会にも必要であると思うのであります。ILOとユネスコの教員の地位に関する勧告が教員の現職教育制度の確立には教員団体との協議が必要であるとしているのも、その精神のあらわれであります。
初任者研修制度については、教育関係団体でも反対の声が強く、マスコミも社説等で、教員を鋳型にはめ込むとか、国定教員づくりであるとか、学校教育を一層管理化するといった危惧の念が表明されているのは周知のとおりであります。
また、政府は、六十二年、初任者研修制度の試行を都道府県、政令指定都市で実施しておりますが、その結果を制度に生かすどころか、いまだにその結果を公表していないのであります。
こうした一連の動きを見ると、できるだけよい制度をつくろうという姿勢は欠如し、臨教審答申を口実に何が何でも制度を発足させたい意向のみが先走る焦りを感じるのであります。これは、まさに管理体制強化への道であります。
さらに、衆議院においては、先に付託された法案を飛び越えて強引に本案の審議に入るとともに、委員会においては十分な審議が行われず打ち切られ、混乱の中で採決が行われるなど、およそ教育問題の審議にはふさわしくない状況であったことは怒りを禁じ得ないのであります。
このような本法案の提出の手続及び衆議院における審査の状況に対し、政府及び自民党の最高責任者である総理・総裁の反省の弁を聞きたいのであります。参議院における慎重な審議は当然と思うが、暴挙をあえて繰り返すならば重大な決意を持って対処することを申し添えておきます。
次に、初任者研修制度について具体的にお伺いいたします。
教育という仕事は、一般の事務的な仕事と異なり、一人一人の子供との人格的な触れ合いを基礎といたしております。効率性、能率面からの定型的なノーハウはないのであります。さらに、各教員がそれぞれの価値観、教育観に立脚した上で、自主性を基本として教育活動が営まれなければならないことは当然であります。したがって、行政機関が研修の内容、方法を拘束することは厳に慎むべきであります。このことは、教育研究の自由、教育行政の中立性を定めた憲法、教育基本法の精神はもちろんのこと、研修について直接定めた教育公務員特例法に照らしても明らかであります。
すなわち、一般行政公務員の研修について、国家公務員法、地方公務員法は勤務能率増進の立場から行政側に研修計画の樹立と実施を義務づけているにすぎないのでありますが、これに対し教員については、教育公務員特例法により不断に自主研修をする努力義務を課すほか、勤務場所を離れての研修や現職のままでの長期研修等、いわば自主的な研修、自主性を尊重した研修を保障しておるのであります。これらの補完的な役割として任命権者が行う研修が規定されていることはその証左であります。
そこで、教育職という職務の特殊性をどのようにとらえておられるのか。それに伴い教員の研修の特殊性をどう認識しておられるのか。さらに、この初任者研修制度は、自主研修を基調とした教育公務員特例法の精神にもとると思うのでありますが、文部大臣の見解をお聞きしたい。
次に、初任者研修制度が教員に与える影響についてであります。
新採用教員は授業や生徒指導で思い悩む場面が多いことは、これは当然であります。こうした新採用教員が望むことは、まず自分でじっくり悩む機会を持ち、その上で多くのよき先輩教員からの多様なアドバイスを参考にしながら局面を打開したり、教育技術、指導方法などを磨いていくのであります。こうした職場の温かい目、学年ぐるみ、学校ぐるみで新採用教員を支えるというバックアップ体制が最も重要であります。また、このような悩み、苦しみが大きければ大きいほど、また多ければ多いほど教員の力量は高まっていくものであります。
しかし、この初任者研修制度は、教員のニーズあるいは教員が必要としている場面においてではなく事前に一定の指導をしようとするもので、その指導はおのずと画一的、技術的なものにならざるを得ないのであります。こうした指導を受ける初任者は、指導教員の目を意識せざるを得ないために、無難な授業、指導を心がけ、教員にとって一番大切な自主性、情熱、バイタリティーを抑制せざるを得なくなり、ひいては学校全体の活力が減少、喪失する懸念を指摘せざるを得ないのであります。
以上のように、本制度が初任者、校内の指導体制、さらには学校全体の活力に及ぼす影響についてどのように考えているのか、文部大臣の答弁を求めます。
次に、この制度が子供や父母に与える影響についてであります。
政府の構想によりますと、初任者は週二日の割合で校内における指導員によるマン・ツー・マンの指導、さらに教育センター等における講義、演習等校外研修が週一日程度、その他宿泊研修や洋上研修が実施されることになるのであります。初任者が指導教員にマン・ツー・マンで指導されることは、いわば半人前の教員として取り扱われることであり、教育の基本である教員と子供、父母との信頼関係を損ね、学校教育に大きな混乱を招くことは必至であります。
また、週三日の割合で初任者研修が実施されるため、初任者の担当クラス及び指導教員の担当クラスには非常勤講師による授業の穴埋めが行われるといいますけれども、これはさらに自習時間が多くなることは必至であります。初任者、指導教員、非常勤講師は連携するとはいいますけれども、約三日間も非常勤講師に依存するのでは授業や学級経営、生徒指導に影響が出ないはずはなく、子供や父母の不満が爆発することが心配されるのであります。これら初任者研修に伴う子供や父母に不安を与え、さらに学校教育に与える影響についてどのように考えておられるのか、文部大臣の見解をお伺いしたい。
次に、新採用教員の条件つき採用期間を現行の六カ月から一年に延長する問題であります。
この制度は、臨教審の審議でも明らかなように、教員を容易に免職するため、試補制度あるいは教職適性審議会制度の代替措置として考えられたものであり、非常に危険を有していることをまず指摘しておきたい。
条件つき採用期間中は、正式採用職員のような身分保障や不利益処分審査請求権もないのであります。条件つき採用制度は労働者の身分を不安定にするために、労働者の権利保護という観点から国家公務員法及び地方公務員法はその期間を六カ月と限定しておるのであります。教員だけについて他の公務員と異なり一年とすることは公務員法上の理念に反しないのか、総務庁長官及び法制局長官の見解を伺いたい。
また、このように不安定な身分の期間を延長すれば、教員の自主性、創造性も抑制され、学校現
場の活力が失われる懸念があるばかりでなく、優秀な人材を教育界に誘致することが困難になるのではないか、見解を伺いたい。
最後に、社会経済の複雑高度化、科学技術の発展、高学歴化等により、教員の資質の向上の必要は教員自身が痛切に感じているところであります。教員それぞれが、そのニーズ、必要性に応じて、ある者は大学へ、ある者は研究機関や社会教育施設へ、さらには民間会社へと多種多様な研修の機会をみずから求めて自主研修を積んでおるのであります。
そして、そこで得たさまざまな知識や経験を日々の教育活動に生かし、またその経験を他の教員にも分かち合い、それぞれの教員が切磋琢磨し合う雰囲気をつくっておるのであります。初任者研修制度のように教員が皆同じような指導を受けるシステムは、学校教育全体の活性化にはつながらないと確信するものであります。
初任者研修制度を完全に実施したとき、国費で二百七十六億円、地方負担を含めて七百五十億円以上の経費が年間必要であると推計されております。これを国民が待望久しい四十人学級実現や教員の自主的で多様な研修に活用する考えはないか、総理の見解を伺いたい。
本法案の速やかな撤回を要求して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/19
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020・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず最初に、教育に対する基本的考え方についてのお尋ねがありました。
教育は、国民一人一人の人格の完成を目指しながら次代の国家及び社会の形成者を育成するものでございまして、まさに国づくりの基本というべき国政の重要課題との認識を持っております。
我が国の教育は、国民の熱意と先人の努力によりまして著しい発展を遂げて、量的にも質的にも国際的に高く評価される一方、近年における社会の急激な変化等とも関連いたしまして、もろもろの困難な問題を抱えるに至っていることも事実であります。こうした教育の現状を踏まえつつ、創造的で多様な教育の実現を期して教育改革の実現に全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように考えております。
なお、以上の観点に立ちまして、文教予算の充実に最大限努めてきたところであります。一般歳出に占める比率は、引き続きほぼ一四%を確保してきておるというのが事実であります。
さて、臨教審答申の評価についてでございますが、臨教審は、各界各層からの御意見を幅広く参考としながら、時代の進展に対応し得る教育の実現を目指して精力的な審議をいただいたものである、このように理解しております。
臨教審の四次にわたる答申は、学校、それから家庭、社会を通じる各般の改革方策について提言しておりまして、二十一世紀に向けての教育改革の基本方向を示した貴重なものであるというふうに位置づけておるところであります。
さて、法案の提出手続とか審査の状況についての御意見もございました。
私自身、教師たるものの使命感と愛情とそして知識という三つのことを考えてみますときに、初任者研修制度は、現職教員の実践的指導力や使命感等を養う上で極めて重要な施策であると思っております。
初任者研修制度におきましては、かねてから教育関係者、PTA等からその必要性が指摘されてきたところでございます。また、初任者研修の試行において、新任教員の指導力の向上、学校の活性化等に多大の成果があることが実証されたものであるというふうに理解しております。
こうした考えを踏まえまして、初任者研修制度の創設のための法案を提出しておるところでございますから、十分御審議の上、早期に成立を私どもとしては期待しておるところである、このように考えております。鋳型にはめ込むなどという考えは全くございません。
最後のお尋ねでございます。
教員の資質能力の向上を図ることは喫緊の課題であります。この場合、いろいろおっしゃいましたように、自主的な研修、これも私は大切であると考えます。しかし、一方、教育行政機関が適切な研修の機会を提供する、そして教員が必要な研さんを積むことは、また極めて重要であると思います。
研修休暇の創設については、他の職種との均衡など公務員制度との関連もありまして、これは慎重に検討する必要があるものと考えております。
四十人学級につきましては、昭和五十五年予算編成の際から今日まで、時間をかけて着実に推進に努めておるところであります。
このような文教上の重要な施策とともに、初任者研修制度につきましても、法律により制度化し、その円滑な実施を図っていく、この筋道で進めていきたい、このように考えておるところでございます。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/20
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021・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) まず最初に、教員の研修と教特法の精神についてお尋ねであったと思います。
安永議員御指摘のように、教育は人格的な触れ合いを基礎としている、私もそう思います。そのため、教員は、児童生徒との人格的な触れ合いを通じまして、その個性、能力に応じて適切な指導を行い得るように、みずからが豊かな人格、文化的な教養を身につけ、その資質向上を図ることが必要であることはもちろんであります。
総理もおっしゃいましたように、研修につきましては、教員みずからの研修を職責遂行に不可欠のものとして位置づける。同時に、これに対応いたしまして、任命権者に研修計画の樹立及び実施についての努力義務を教特法では課しておるわけでございます。
特に、初任者は、教員としての自覚をその時期に高めるとともに、円滑に教育活動に入り、可能な限り自立して教育活動を展開していく素地をつくる上で一番大切な時期でございますので、任命権者にその研修の実施を義務づけたものでございまして、これによって、教特法に規定する任命権者の研修についての責務をより明確にするとともに、職責遂行のために絶えず研修に努めるべき教員の責務の実現が果たされるものと考えておるわけでございます。
次に、マン・ツー・マン指導に対しての御懸念について御指摘があったと思います。
初任者のマン・ツー・マン教育と申しましても、初任者の能力、適性に応じまして、またその成長過程に即した指導を行っていくということにいたしておりますし、また教育センターなどにおいて行われます研修も、初任者の特性に応じた研修を行うというように配慮をいたしていく、これが望ましいと考えております。
同時に、初任者と指導教員、この研修を中核としてまいりますけれども、学校全体としての協同的な指導体制のもとに効果的な研修が行われるように配慮してまいりたいと思いますし、それによって学校全体として初任者を育てようとする意識が醸成され、研修意欲が高まるなど、学校全体の活性化につながることを期待いたしておるところでございます。
次に、子供や父母に対しての影響について御指摘がございました。
これは支障を来さないような配慮が最も必要でございまして、校外における研修につきましては、学年初めとか長期休業期間を活用するとともに、校外研修が予定されている曜日には初任者の授業担当時間を組まないように時間割り編成を工夫するなどいたしまして、児童生徒への影響を極力少なくするよう配慮する必要があろうと考えております。
また、初任者が校外研修に参加するときには、その担当する授業につきまして、指導教員が代替授業を行うことなどによりまして、自習や合併授業等になることがありませんように考える必要が
あろうと考えておりますし、こういうことにつきましては、保護者等に対しまして十分に周知し、御理解をいただくように努めてまいりたいと考えております。
次に、条件つき採用期間について御指摘でございました。
今回、教員についての条件つき採用期間を一年といたしますのは、初任者研修制度の導入に伴いまして教員の勤務形態が特殊なものとなりますため、教員の職務の特殊性等に由来する職務遂行能力の実証の困難性がさらに深まるということも含めまして、公務員としての適格性の判断をするのに一年を必要とするからでございます。
また、教員の条件つき採用期間が一年になりましても、職務遂行能力の判断基準は他の公務員と同様でありまして、客観的な判断基準に照らしまして職務遂行能力を判断されるわけでございます。
以上からいたしますと、他の公務員との取り扱いの差には十分な合理性があり、公務員法上の理念に反することなく、権利保護の面で問題はないと考えております。
今申し上げましたように、教員としての身分を取得した後の条件つき採用期間でございますので、他の公務員と全く異なった不安定な身分ということにはならないわけでございますので、御指摘のように、これによって優秀な人材が教員になることを敬遠するのではないか、そのようなことはない、このように考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣高鳥修君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/21
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022・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 私に対する質問は、国家公務員等の条件つき採用の期間は六カ月と限定しているのに対し、教員だけ一年間に延長することは公務員法上の理念に反しないかという点でございます。
ただいま文部大臣からもお答えがございましたが、国家公務員法におきましては、職務と責任が特殊である官職について、一般の原則と異なる取り扱いを要する場合は、別に法律または人事院規則等をもって、その特殊性に見合うように特例を定めることができるとされておりまして、条件つき採用期間についても同様でございます。
このたびの教育公務員特例法改正案では、条件つき採用期間を一年とすることとされておりますが、これは初任者研修の実施及び教員の職務の特殊性を勘案したものであると承知しておりまして、国家公務員法の理念に反するものではないと考えておるところでございます。(拍手)
〔政府委員味村治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/22
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023・味村治
○政府委員(味村治君) 私に対するお尋ねは、教員の条件つき採用期間を他の公務員と異なり一年とすることは公務員法上の理念に反しないかということでございます。
いわゆる条件つき採用制度は、公務員の採用につきましてこれを条件つきのものといたしまして、その職員が一定期間勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行いたしましたときに正式のものとするというものでございますが、その目的といたしますところは、職員の採用の際の競争試験あるいは選考によりまして一応職務遂行能力について実証が得られているわけでございますけれども、これだけではその能力を十分に実証すると言いがたいことにかんがみまして、一たん採用された職員が公務員として真に適格であるかどうかを、採用後一定期間における勤務成績に基づきましてさらに判断する機会を任命権者に与えるということにあります。そして、現行法のもとにおきましては、その期間は六カ月を原則といたしまして、場合によりましては一年まで延長することができるということになっております。
ところで、教員の職務は、児童生徒の教育をつかさどるという極めて重要なものでございますし、また教室において教える等その勤務形態も他の公務員と異なっているところでございますが、今回、一年間の初任者研修制度を導入することに伴いまして、その間は勤務しながら研修を受けるという特殊な勤務形態となりますので、教員の職務遂行能力の判断は一層困難なものとなるということから、ただいま議題となっております改正法案におきまして、教員については公務員としての適格性を判断するため、条件つき採用期間を一年としているものでございます。
以上のとおり、教員の条件つき採用期間を他の公務員に関する原則と異なりまして一年とすることは、公務員法上の理念に反することはないと考えます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/23
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024・藤田正明
○議長(藤田正明君) 高木健太郎君。
〔高木健太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/24
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025・高木健太郎
○高木健太郎君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま趣旨説明のありました教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、総理並びに中島文部大臣に若干の質問をいたします。
質問に先立ちまして、先日の靖国神社参拝等をめぐるたび重なる奥野国土庁長官の発言問題について、竹下総理にお伺いしたいのであります。
今回の衆議院における奥野国務大臣の、日本には侵略の意図はなかった、韓国がなぜ反発するかわからないなどの発言は、日本の中国、韓国への侵略戦争否定発言でありまして、個人の信条としては自由でありましょうが、閣僚としては国際感覚が欠如していると言わざるを得ません。また、日中共同声明の趣旨にも反するものでありまして、これまでの総理が行ってこられました本会議答弁とも異なるものであり、閣内不統一、かつ総理の発言を否定するものではないでしょうか。
日中平和友好条約締結十周年を前にして、今こそ共同声明の意を体し、近隣諸国との友好関係を深めていかなければならないときであります。総理は、この奥野発言の責任をどうされますか。この際、中国、韓国を初めアジア諸国との友好関係をさらに揺るぎないものにするためにも、竹下総理の明確な御答弁を伺いたいと存じます。
さて、十数年後に迫る二十一世紀には、一体我が国は世界の中でどのような位置を占めるのか、またどうあるべきか、それに備えて教育はどうあるべきかは最も重要な課題であります。そして、教師こそは二十一世紀を担う子供たちの成長にとって最も大きな影響力を与える教育環境であるということは、何人も否定できないところであろうと思います。したがって、教師の処遇、人材の招聘は、教育百年の大計として忘れてはならぬ重要な視座であります。総理並びに文部大臣は、教師に対する待遇が現在適正かつ十分なものとお考えかどうか、お伺いいたします。
教員の資質としては、みずから学び、考え、そして教えることに意義と喜びを感じ、問題の解決に意欲と情熱を燃やし、もって人間と自然を理解、敬愛する生徒の育成に努力する人でなくてはなりません。そのためには、教員養成のあり方、現職教育等の不断の改善に努力しなければならないと考えるものであります。ただ、その改善方法は、柔軟性に富み、行政側の一方的な提示であってはならぬと考えるのでありますが、文部大臣はいかがお考えでしょうか。
教育者の生涯は、学習と研さんの継続でありまして、教員養成機関での教育や実習などはその準備的基礎段階であります。したがって、初任者研修教育はもちろん、現職教育も生涯教育やリカレントエデュケーションの一環としてとらえるべきでありまして、特に教員の現職教育は、教員にとって欠くことのできないものとしてとらえるべきだと思います。文部大臣の御所見はいかがでしょうか。
元来、国が認可した教員養成機関の課程を終え、教員資格試験に合格した者は教員として正式に認めらるべきものでありますのに、条件つき採用であることにはいささか違和感を感ぜざるを得ません。それは現在の資格試験だけでは不十分であるということでしょうか。教員養成課程だけで
は教育実習が不十分ということでしょうか。いずれにしましても、教員養成機関の不十分性をみずから認めたことにならないかと思うのですが、いかがでしょうか。
さらに、本法案によれば、教員養成機関として大学卒業者も短大卒業者も同じく一年間の条件つき採用と研修期間が義務づけられております。短大と比較して、現在の教育大学の教育課程は一年短縮するか、あるいは逆に短大卒業者の研修を二年にするというような構想も浮かび上がってくるわけでございますが、文部大臣はどのようにお考えか、御所見をお伺いしたいと存じます。
医師養成課程におきましては、卒後、医師国家試験に合格した者は医師として認可され、教員初任者研修に相当すると思われる二年間の臨床研修が勧奨されているにすぎません。また、一般公務員は半年間の条件つき採用期間が置かれております。教員に限って一年間の条件つき採用と研修を課するというのはどのような理由からでしょうか。納得のいく御答弁をお願いしたいと存じます。
教育は人間形成の大切な任務を有し、医学は人の生命を預かる重要な責務を持っておりまして、その間に本質的な差異はないと考えるものでありますが、その間の不整合性についてはどのように考えたらよいのでしょうか。
当法案におきましては、条件つき採用期間を半年から一年に延長することにしております。前述のように、教員は教えつつ、また教えられる生涯研修でありまして、一定期間の研修は望ましいことではありますが、条件つき採用期間は現行どおり半年でもよいのではないでしょうか。条件つき採用期間の延長は、その期間中に教員として不適格者をふるいにかけることを意味するように思えてなりません。三年ないし四年間の大学在学中になぜそのような不適格性が発見できないのでしょうか。イギリスにおきましては一年間の仮採用制度がとられているのでありますが、不適格との判断が下される場合の手続は明確にされているようであります。
本法案の場合、勤務成績の評定はどのような基準でなされようとしているのですか。現在でも勤務評価を行っていると聞いておりますが、その基準の手直しを行うお考えがあるのか、あわせてお伺いいたします。
新任教員は、結局、研修期間中は身分保障もないまま授業を担当し、学級担任もできるようになっております。責任ある職務遂行をしていく上では必要なことであるとは思いますが、欧米先進国に比べて生徒数の多い学級を担当し、かつ研修のための準備を含め、質量ともに過重負担になっているように思えるのであります。まず、一学級生徒数削減計画を促進して、教員の負担を軽減し、教育目的の達成を容易にすることは極めて大切だと考えるものであります。
同様な過重負担の懸念は、指導教員についても考えられます。新任教員に対応する教員数や非常勤講師を配置しないと運営が困難であるとの意見が試行対象教員の複数配置校では強かったように聞いております。初任者研修の全面実施に要する指導教員の定数、非常勤講師の数及び経費、その財源措置について、あわせて文部大臣の御所見をお聞きしたいのであります。
初任者研修を最優先とするため、校内研修の時間確保や学校行事との重なりを避けての日程調整上の問題、三人以上の新任教員の同時出張の場合の授業の補てん等、校外研修は学校運営上極めて大きな影響を与えているようであります。
また、出張の回数が多くなり、一般旅費を圧迫しており、旅費の加配か別枠措置をすべきだとの要求があることや、指導教員の指導業務の労力的、時間的な負担に対する手当の要求が出されているようでありますが、文部大臣はこれらに対しましてどのようにお考えでございますか、お聞きしたいと存じます。
指導教員は教育委員会等からの任命によるものでありまして、研修者にとっては全く選択の余地はないと考えられます。両者にとっては全くの偶然の出会いと言ってよいでしょう。しかも、その関係が少なくとも一年間続くのであります。研修者にとっては師であり先輩でもある指導教員が尊敬できなかった場合、両者にとってはまことに不幸なことであります。一人の人間による評定が他の人間の一生を左右しかねないという極めてデリケートな要素を含んでいるだけに、十分慎重であるべきと考えます。
三万人と言われる初任研修者に、それに相当する指導教員を割り当てることは、勢い機械的にならざるを得ないと思いますけれども、せめて数名の指導教員が数カ月当て指導に当たり、それぞれの報告、合議によって指導計画等を立てていくという柔軟な対応が図られるべきではないかと考えるのですが、総理並びに文部大臣の御見解をお伺いしたいと存じます。
最後に、私は、研修はどのような職種でありましょうとも必要なものであり、今後ともその重要性は高まっていくものであると考えるのであります。その職種が特殊性を持ち、あるいは公共性が高ければ高いほど研修は特に重要視していかねばならないと考えている者の一人であることを申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/25
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026・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、法律案に入るに先立ちましてのお尋ねがございました。
御説のとおり、日中平和条約十周年にことしは当たります。したがって、一層友好関係を深めていかなければならない、この御指摘はそのとおりであるというふうに私も信じております。
政府といたしましては、先ほども申し上げましたように、「過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」、この認識の上に立って日中関係に今後とも立ち向かってまいりたいと考えております。
戦前の我が国の行為について、これが侵略であるという厳しい国際的批判を受けてきておることは事実でありまして、この事実は政府としても十分認識する必要があります。こうした平和への決意を新たにしていくというような考え方で対応すべきものであると考えております。
先ほど奥野大臣からもお答え申し上げましたごとく、みずからもその趣旨を尊重していくとの発言があったところであります。
さて、次の教員の待遇改善の問題であります。
学校教育は、次代を担う青少年の人間形成の基本をなすものであり、教員の処遇改善を図るということは長い間議論されてきたところであります。そこで、その積み上げの上に立って人材確保法、この法律ができました。したがって、この法律に基づいて給与改善を図ってまいってきたところでありますが、今後とも同法の趣旨に即して適切に対処していかなければならないものである、このように考えております。
それから、指導教員の複数化と柔軟な対応についての御意見がございました。
私も、おっしゃる趣旨について私なりの理解ができないわけではございません。初任者研修におきましては、初任者の適性や成長過程に応じた指導を行うため、学校内で指導教員による指導を行うものであります。そのため、指導教員を中核とする校内の協同的な体制のもとで初任者の指導を行うという考え方に立っておるところでございます。
残余は文部大臣からお答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/26
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027・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) まず、教員の処遇改善についてでありますが、教員にすぐれた人材を確保し、学校教育の水準の維持向上を図るためには、その処遇改善を図ることは重要なことであると考えております。このため、昭和四十八年度以降、いわゆる人材確保法に基づきまして一般の公
務員の給与水準に比べまして優遇措置を講じるため三次にわたる教員給与の改善を図ったところでございますが、文部省といたしましては、今後とも教員の給与について人材確保法の趣旨に則しまして適切に対処してまいりたい、このように考えます。
次に、教員の資質向上は柔軟性が必要ではないかという御指摘であったと思います。
おっしゃるとおり、教員としての資質能力は養成、採用、研修の過程を通じて次第に形成されていくものであることは当然でございます。その向上を図るための施策を総合的に推進することが必要でありまして、特に初任者研修制度についてはその現職の研修のうちの一番大事なときである。その重要性にかんがみまして、任命権者の研修の実施義務、指導教員の命課等制度の基本について法律で定めることとしているものでございまして、これらの法案の作成に当たりましては、教育関係団体等広く意見を聞いているところでございまして、御理解をいただきたいと存ずるところでございます。
また、今申し上げたとおりでございますので、現職研修の体系化を図ること、これは必要でございまして、従来からも都道府県が実施する現職研修に対する助成措置を講じますとともに、都道府県教育委員会に対しまして、各教員が教職の全期間を通じて必要な研修に参加することができる機会を確保するために、現職研修の体系化を図るよう指導してきたところでございます。今後とも、現職研修の改善充実に努めてまいり、現職教員の資質の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に、条件つき採用期間でございますけれども、例えば短大その他の研修について期間に差があってもいいのではないか、こういう御指摘でございました。
ただ、初任者研修制度におきましては、大学卒業者も短期大学卒業者も教諭の免許状を取得して教員となっておられまして、ひとしく授業を担当するものでありますこと、その教育課程は一年を単位として行われるものでありますことから、両者ともに研修期間を一年としているところでございます。
次に、医師の場合の例を出して御指摘でございました。
医師の場合は、二年以上の臨床研修がございますが、国家試験に合格して医師となった者に実施される実地訓練でございまして、また制度的には、臨床研修の実施は本人の任意に任されておるところでございます。したがって、臨床研修の実施が本人の任意に任されているものである以上、これによりまして条件つき採用期間という任用上の取り扱いを他の公務員と異にするということは考えられないものでございます。
これに対して教員の場合は、すべての初任者が受講する初任者研修制度の導入に伴いましてその勤務形態が特殊なものになるということ、そして教員の職務の特殊性とそれに伴う職務遂行能力の実証の困難性によるものでありまして、医師と条件つき採用期間を異にすることには合理性がある、このように考えておるところでございます。
次に、条件つき採用期間中の勤務評定はどのような基準で実施するか、こういうことでございますが、条件つき採用期間を一年といたしましても、今回の職務遂行能力の実証の困難性とか、今申し上げました幾つかの条件がございますので、したがって、条件つき採用期間を一年とするものでございまして、従来のままの条件つき採用期間では教員の職務遂行能力の判定は困難になると考えているところでございます。
ただ、その条件つき採用期間は一年になりましても、職務遂行能力の判断基準は他の公務員と同様でございまして、客観的な判断基準に照らしまして職務遂行能力を判断されるものでございますので、したがって、勤務評定の時期が学年末に近い時期にずれ込むことはともかく、その基準自体に変化はない、このように考えておるところでございます。
次に、経費、財源措置についてのお尋ねでございました。
初任者研修の実施のための所要定数、非常勤講師の数及びその経費につきましては、その実施方法のいかんによって異なってまいります。仮に、昭和六十二年度から実施している初任者研修の試行と同様の方法におきまして、すべての校種の初任者約三万人を対象に実施することとした場合に、これを例といたしますと、教員定数約九千七百人、非常勤講師約八千人、所要経費は人件費ベースで総経費が約八百億円、うち国庫負担額が約二百八十億円と推計されております。
次に、一般旅費その他の御質問がございました。
初任者が校外研修に参加するための旅費につきましては、現在実施している教員研修に要する旅費を圧迫することのないよう、試行の場合と同様に適切に対処いたしたいと考えております。
また、指導教員に対する特別手当につきましては、指導教員にかなりの負担がかかることは事実でございますが、現段階では先輩教員としての立場から初任者を育てていただきたいという考え方でありまして、今後の検討課題といたしてまいりたい、このように考えております。ただし、初任者の配置校に対して教員定数を措置するなどの条件整備を行いますとともに、各学校で指導教員の授業担当時間の軽減など、その負担軽減を図ることができるようにいたしてまいりたい、このように付言いたしておきます。
最後に、初任者研修の指導教員について、数名の指導教員が当たったらどうかということにつきましては、既に総理からもお答えがありましたとおりでございますが、経験豊かな指導教員が責任を持って初任者の適性や成長過程に応じて系統的、組織的な指導を行うことが初任者の力量を育てる上で効果的であるというふうに考えておりますが、さらに、その指導的な指導教員と初任者の間、これを中核といたしまして、学校全体の協同的な体制のもとで初任者の指導が行われることが重要であると考えておりますし、その点も期待をいたしておるところでございます。
以上であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/27
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028・藤田正明
○議長(藤田正明君) 関嘉彦君。
〔関嘉彦君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/28
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029・関嘉彦
○関嘉彦君 私は、民社党・国民連合を代表しまして、教育公務員特例法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。
本案は、臨時教育審議会の答申に基づいて行われる改革案の中でも中核をなすものであると考えております。けだし、いかなる制度もそれを運用するのは人であります。教育においても、いかに多くの予算を投じ、いかにすぐれた制度をつくりましても、それを運用する教師に恵まれなければ仏つくって魂入れずであります。学校において教師に適切な人を得るりかどうかは、教師を自由に選択する自由を持たない生徒にとりましては、その後の人生行路を左右する重大問題であると言っても過言ではありません。
私は、今日の教師の大部分の人は職務に熱心な人であると信じておりますが、何を、そしていかに教えたらいいかということについて迷っている人もいることは事実でありますし、またごく一部の人であるとはいえ、世人のひんしゅくを買うような行動をして教員全体の評価をおとしめている人がいることも否定できないところであります。採用に当たりまして適格者を選ぶことはもちろん重要でありますけれども、採用された教師の一層の資質の向上を目的として適切な研修を行わしめんとする本法案に対して、私は基本的には賛成するものでありますけれども、なおそれが所期の目的を達成し得るよう若干の注文をつける意味で質問をする次第でございます。
古来、教育と政治との関係につきましてはいろいろな議論がございましたが、今日、民主主義の国におきましては大体のコンセンサスはでき上がっていると思われます。すなわち、政府は、特定の宗教的信条や党派的な政策を教育の場に持ち込むことは厳に慎むべきでありますけれども、しかし同時に、何が教えられようと政治は無関心であってよいというのは政治の責任放棄であります。政府は、適切な施設や制度を教育の場に提供するのみでなく、憲法の理念、特にデモクラシーの理念を損なうような考えが教育の場に広がっておれば、それを是正する措置を講ずべきであります。
そのような前提に立って、最初に、総理に教育とデモクラシーの関係について質問いたします。
私は、戦後日本の教育界を混乱させてきた一つの原因は、デモクラシーの原理を誤解して、それを無反省に教育の場に持ち込んだことにあると考えております。もともとデモクラシーは、君主政治、貴族政治と並ぶ政治の形態であります。その民主政治を支えている平等の原理や集団意思決定の際の多数決原理などは、一つのイデオロギーとして、すなわち民主主義として大人同士の社会一般にも適用されるものでありますが、もともとは政治の原理であります。
しかも、ウィンストン・チャーチルが「デモクラシーは最悪の統治である、ただしその他のすべてを除いて」と、やや誇張して述べておりますように、独裁政治やその他の政治に比べればすぐれているにすぎない、決して完全な政治原理ではないのであります。このような不完全な原理を他の社会に無条件に持ち込むべきではありません。
ところが、戦後の日本では、デモクラシーがオールマイティーであるかのごとく考えられ、家庭や学校にもそのまま持ち込まれました。その結果、親も子も平等であり、教師も生徒も対等の発言権を持つ、これが教育の民主化であるとの誤解が広がりました。その一つの例は、教師が一段高い教壇の上から教えるのは間違いであるとの考えで教壇を取り払ったことにもあらわれております。
もちろん、男女を問わずすべての人が能力に応じてひとしく教育の機会を与えられるべきであるとか、児童生徒の人格を尊重すべきであるとかいう近代デモクラシーを支える若干の原理は、家庭や学校においても尊重されねばなりません。
しかし、教育の場に即する限り、親と子、教師と生徒とは、横の平等の関係ではなく、教える者と教えられる者との間の縦の不平等の関係であります。教師は、生徒がやがて成長して大人になった暁に、民主社会の一員として自由の権利、平等の権利などを正しく行使する能力を持ち得るように、欲望に流されることなく理性の命である社会生活のルールに従うこと、是非善悪の基準を守ることなどを教育の場を通じて生徒に教え込むべきであります。
しかも、なぜルールを守らねばならないか、なぜ悪いことをしてはならないのかは、結局のところ理屈だけでは教え込むことはできません。それは、教師が権威を持ってみずからの言動を通じて教え込まなければなりません。しかるに、教師からそのような権威を奪い去ったのが、誤った民主主義の教育理念であり、それから派生した一切の権威を否定する自由放任の教育理論であります。それが学内暴力やいじめなどの学園の荒廃をもたらした一つの大きな原因ではないでしょうか。これをこのまま放任しておくと、単に教育の荒廃をもたらすのみでなしにデモクラシーそのものを崩壊させる危険性さえあると憂えております。
私は、臨教審において、教育基本法第一条の「人格の完成」との関連において、教育とデモクラシーとの正しい関係について何らかの意見の表明があることを期待していたのでありますけれども、答申には明示的な形では示されませんでした。総理は、総理直属の臨時教育改革推進会議の設置を用意しておられるようでありますけれども、この問題について国民的討議を喚起する意味において意見の表明をそれに依頼されるつもりはございませんか。
次は、以上の議論を前提にして文部大臣に質問いたします。
大臣は、先ほどの提案理由の説明の中で、教育者としての使命感や児童生徒に対する教育的愛情など、教師に望まれる像を描いておられます。確かにそのとおりであります。しかし、これだけでは抽象的であります。
例えば、教育者としての使命感という言葉にしましても、その意味は必ずしも明らかではありません。教師が労働者としての階級意識に目覚め、階級闘争の理念に従い、新しい社会制度の建設に挺身するのが教師の使命であると主張してきた団体もあります。学校の中で集団の威力により校長や教頭をつるし上げた先生たちは、そのような使命感に燃えて闘ったに違いありませんが、それが今日の教育荒廃を招いた一つの大きな要因ではないでしょうか。
臨時教育改革推進会議における教育理念の問題と並んで、期待される教師像とも言うべき文書を中央教育審議会において発表して、世論に問うことを願ってやみませんが、文部大臣の所見をお伺いいたします。
最後に、いま一つ文部大臣にお願いがあります。
それは、教育者は、教師と呼ばれてきたように、生徒の模範になる人であります。生徒が理屈なしにその言動を学ぶような尊敬される人になることが求められております。そのためには、教師は教室内においてもまず服装から正すべきであります。形を整えることが心を正す第一歩であります。最近、教室内においてスポーツシャツで授業をしているような教師を時として散見することがございますが、そのようなことは教育委員会を通じて指導すべきであります。
しかし、それとともに私が強調したいことは、正しい使命を自覚している多くの教師に対して尊敬を払うことであります。それが教師の使命感をますます高めることになります。そのような教師に対する感謝の日を日本においても設くべきであると提案している人もおります。文部大臣としても、何らかの形で父兄あるいは広く社会が、すぐれた教師に対して敬意を払う方法を検討されることを願ってやみません。そのことについての大臣の所見を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/29
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030・竹下登
○国務大臣(竹下登君) 私自身、戦後の三大改革というのを学生時代に教わったことがございます。憲法であり、そして教育改革であり、さらに民主主義を大きく推進させた原動力となった農地解放である、このようなことを教えられてきた私どもでございます。
したがって、戦後の我が国の教育というものは、これは大変な大きな改革であり、そして今御説にもありましたように、憲法、これの示すところに従いまして進んでまいりましたが、やはりそれ以上に国民の教育に対する熱意、そして関係者の方のたゆまざる努力、こうしたものが今日の教育水準等における発展をもたらしたというふうに考えます。そうして、社会発展に大きく寄与してきたものであろうというふうに思います。
しかし、現在の教育は、近年における社会の急激な変化、そしてその関連でいろんな困難な問題が内包されるに至っております。そこで、教育基本法に示されます戦後教育の理念は、これを大切にしながらも、これを我が国の教育土壌にさらに深く根づかしていくことが必要だ、そういう重要な認識というものが必要になってきておるわけであります。
こうした関連におきまして、今お話しになりました教育とデモクラシーの関係、これを改めて考え直してみたらどうか、これは傾聴に値する意見であります。
そこで、それを今設置をお願いしておりますところの臨時教育改革推進会議で検討をお願いした
らどうか、こういう御提言もございました。しかし、この会議は、その性格上からして、我々の方からそこへお願いして議論をしてもらう性格のものではなく、その会議自身がそういうことに対して議論をして一つの方途を見出していこうという、自主的にお決めをいただくことが一番適当ではないかというふうに私は念願しておるところであります。
残余は文部大臣からお答えをいたします。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/30
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031・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 期待される教師像につきまして、いろいろ示唆に富んだ御指摘をいただきました。
教育は人なりと言われますように、まさに教育の中心はその教育に携わる方々の資質、愛情、そして使命感と申しましたけれども、これはあくまでも教育に対する愛情、そして実践的な指導力に基づいた教育に対する使命感でございまして、一方、教育者自体もまた生涯学習の中でみずからが常に研修し、そして前を向いて努力をいたしていく。
そのためには、さらに円熟した先輩教師の指導を仰ぎ、そしてみずからが研修し努力していく。後輩としての生徒児童諸君にみずからの研修、努力と同時に指導していく。すべてが前を向いて、生涯の研修の中で互いに前を向いて走り努力をしておるという中に、期待される教師像と生徒のあり方があるのではないか。
そのためには、この教員の初任の間並びに教員の常に絶えざる努力というものが規定されておる中で、初任者研修の重要性を求めまして、今回教育公務員特例法の改正案あるいは教職員免許法の改正案等を提出させていただいておるところでございまして、その意味で一層の御審議をいただき、速やかな御成立をお願いいたしたい、このように考えるところでございます。
また一方、すぐれた教師の方々に対して敬意を払う方法を考えるべきではないか、これもまた傾聴に値することでございまして、国民が教員を尊敬し感謝する気風を育てますことは、教員の一層の自覚を促すことにもなると考えられます。まことに貴重な提言でございますが、一方におきまして、それにふさわしい教師としてみずからがその自覚を高め、教育力の向上を図るということがこれまた大切でございまして、教師に対する感謝の日を設けるという具体的なことも含めまして、今後慎重に検討をいたしてまいりたい、このように考えております。
以上であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/31
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032・藤田正明
○議長(藤田正明君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/32
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033・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一 核物質の防護に関する条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)
日程第二 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
以上両件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。外務委員長森山眞弓君。
〔森山眞弓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/33
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034・森山眞弓
○森山眞弓君 ただいま議題となりました条約及び法律案につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、核物質防護条約は、平和的目的に使用される核物質が国際輸送中に不法に取得されたり使用されることを防止するため、防護の義務、犯罪行為の処罰、容疑者の引き渡し等について規定したものであります。
次に、在外公館名称位置・給与法の一部改正案は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育費が高額化している現状にかんがみ、子女教育手当について加算される限度額を引き上げることを内容とするものであります。
委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
去る四月二十八日、質疑を終え、採決の結果、条約は全会一致をもって承認すべきものと決定し、法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/34
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035・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
まず、核物質の防護に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/35
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036・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/36
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037・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/37
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038・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第三 船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案
日程第四 船員法の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
日程第五 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)
以上三件を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長中野鉄造君。
〔中野鉄造君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/38
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039・中野鉄造
○中野鉄造君 ただいま議題となりました二法律案及び承認案件について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、一般外航海運業等に係る事業規模の縮小等に伴う離職船員の発生が今後においても引き続き予想される状況にかんがみ、就職促進給付金の支給に関する特別の措置の対象となる船員の離職の日に関する期限を、昭和七十年六月三十日まで七年間延長しようとするものであります。
次に、船員法の一部を改正する法律案は、船員の労働条件をめぐる社会経済情勢の著しい変化及び船員の福祉の増進等の必要性にかんがみ、船員の労働時間について一日当たり八時間以内とするとともに、一週間当たり平均四十時間以内を目標とする段階的な短縮を図ることとしたほか、超過時間に対応した補償休日制度の創設及び内航船員に係る有給休暇の付与日数の増加等船員の労働条件の改善について所要の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、以上二法律案を一括議題として審査を行い、我が国外航海運の現状と再構築の進め方、日本人船員に係る海上職域の確保と陸上職域への転換、船員の労働実態と時間短縮の目標時期及び小型内航船乗組員に対する法律の適用範囲の拡大等船員の雇用対策並びに労働条件をめぐる各般の問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、船員法の一部を改正する法律案について、日本共産党小笠原委員より反対の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案については、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、安恒理事より四会派共同提案に係る便宜置籍船への日本人船員の配乗促進等二項目にわたる附帯決議案が提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
次いで、船員法の一部を改正する法律案については、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、中野理事より五会派共同提案に係る週平均四十時間労働制に可及的速やかに移行する等の八項目にわたる附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
最後に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件は、愛知県の東三河地域における自動車の検査及び登録に関する業務の現状等にかんがみ、愛知県豊橋市に中部運輸局愛知陸運支局の自動車検査登録事務所を設置するため、国会の承認を求めようとするものであります。
委員会におきましては、採決の結果、本件は全会一致をもって原案どおり承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/39
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040・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
まず、船員の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/40
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041・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
次に、船員法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/41
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042・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、中部運輸局愛知陸運支局の自動車検査登録事務所の設置に関し承認を求めるの件の採決をいたします。
本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/42
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043・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/43
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044・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第六 港湾労働法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長関口恵造君。
〔関口恵造君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/44
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045・関口恵造
○関口恵造君 ただいま議題となりました港湾労働法案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案は、近年の港湾運送における輸送革新の進展等に伴う変化等に即応しつつ、必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の雇用の安定その他福祉の増進を図るため、所要の措置を講ずるものであります。
その主な内容は、第一に、労働大臣は港湾ごとに港湾雇用安定等計画を策定すること、第二に、港湾労働者の雇用改善等に係る関係者の責務を定めるとともに、事業主による雇用管理者の選任、公共職業安定所長の雇用管理改善勧告等について定めるほか、日雇い労働者の雇い入れについては原則として公共職業安定所の紹介によらなければならないこととすること、第三に、港湾労働者の雇用の安定等を図ることを目的とする公益法人を港湾労働者雇用安定センターとして指定することとし、当該センターが雇用管理に関する相談援助、港湾労働者の訓練、労働者派遣等の業務を行うこと等であります。
委員会におきましては、本法の適用港湾の拡大、港湾労働者雇用安定センターが行う労働者派遣、違法雇用の現状と取り締まり対策の強化等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して沓脱委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
なお、本法律案に対し、附帯決議が全会一致をもって付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/45
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046・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/46
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047・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/47
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048・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第七 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。建設委員長村沢牧君。
〔村沢牧君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/48
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049・村沢牧
○村沢牧君 ただいま議題となりました大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、著しい住宅地需要が存する大都市地域において、良質な住宅地の円滑な供給を図るため、建設大臣による宅地開発事業の優良認定制度を創設し、税制上の優遇措置、関連公共施設の整備促進、資金の確保等の特別措置を講ずることにより、優良な宅地開発の促進を図ろうとするものであります。
委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して上田委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、四項目の附帯決議を付すことに決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/49
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050・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/50
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051・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/51
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052・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第八 公有地の拡大の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長谷川寛三君。
〔谷川寛三君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/52
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053・谷川寛三
○谷川寛三君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本法律案は、最近の地方公共団体等における土地需要に即応し、地域の秩序ある整備を推進するため、土地開発公社の業務範囲を拡大して、新たに地方公共団体の要請を受けて実施する市街地開発事業等の用に供する土地の取得、管理及び処分を行うことができるものとすること等を主な内容とするものであります。
委員会におきましては、政府より趣旨説明を聴取した後、土地開発公社につき、業務の拡大の目的、その範囲、業務運営のあり方及び公有地の確保、拡大等について熱心な質疑が行われました。
質疑を終局し、討論の後、採決を行いましたところ、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/53
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054・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/54
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055・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/55
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056・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第九 刑事補償法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長三木忠雄君。
〔三木忠雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/56
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057・三木忠雄
○三木忠雄君 ただいま議題となりました刑事補償法の一部を改正する法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、最近における経済事情にかんがみ、無罪の裁判的等を受けた者に対する刑事補償法に基づく補償金の額を引き上げようとするものでありまして、その内容は未決の抑留もしくは拘禁または自由刑の執行等により身体の拘束を受けていた場合の補償金の日額の上限を七千二百円から九千四百円に引き上げること、死刑の執行を受けた場合の補償金の最高額及び加算額を二千万円から二千五百万円に引き上げることであります。
委員会におきましては、補償金の額の算定基準、基準日額の下限据え置きの理由、少年の保護処分取り消しに対する補償の可否、被疑者補償規程の運用等につきまして質疑が重ねられましたほか、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を行い
ましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑の後、猪熊理事より補償金額の増額を内容とする日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び西川委員共同提案に係る修正案が提出されましたが、政府からは同案に対し反対である旨の発言がありました。
次いで、採決に入りましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、工藤理事より刑事補償制度の趣旨にかんがみ補償金額の引き上げについて早急に努力すること等を内容とする自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び西川委員共同提案に係る附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
以上、御報告いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/57
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058・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/58
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059・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/59
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060・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一〇 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。商工委員長大木浩君。
〔大木浩君登壇、拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/60
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061・大木浩
○大木浩君 ただいま議題となりました訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案につきま
して、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、訪問販売及び通信販売に係る取引並びに連鎖販売取引の現状にかんがみ、これらの取引の公正及び購入者等の利益の保護をさらに図るため、役務の提供等を規制の対象に追加するとともに、訪問販売に係るクーリングオフ等の制度を拡充するほか、これら特殊取引契約の締結等に関する行為規制及びこれに違反した場合の業務改善命令等の措置を講じようとするものであります。
なお、本法律案は、衆議院においてクーリングオフ期間を七日から八日に延長するとともに、割賦販売法のクーリングオフ期間も同様に措置する旨の修正が行われております。
委員会におきましては、訪問販売等をめぐるトラブルの実情、開業規制導入の問題、指定商品制の是非等について質疑が行われるとともに、参考人から意見を聴取するなど慎重に審査を進めましたが、その詳細は会議録に譲ります。
質疑終局の後、日本共産党市川理事より商品等の指定制の廃止、消費者の契約解除権及び中途解約権の導入等を内容とする修正案が提出されました。
次いで、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、商品等の指定に当たつては実態に即応して迅速かつ機動的に対応すること等九項目にわたる附帯決議が行われました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/61
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062・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/62
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063・藤田正明
○議長(藤田正明君) 総員起立と認めます。
よって、本案は全会一致をもって可決されました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/63
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064・藤田正明
○議長(藤田正明君) 日程第一一 農用地開発公団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長岡部三郎君。
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附帯決議
最近における我が国農業をめぐる厳しい内外情勢に対処してその体質強化を図るため、農業基盤整備事業を促進することは極めて重要な課題となつている。
よつて政府は、本法の施行に当たつては次の事項の実現を図り、農業の将来展望を踏まえて公団事業の円滑かつ効率的運営に遺憾なきを期すべきである。
一 事業効果の早期発現を図ることを旨とする公団事業の特性が十分発揮されるよう、必要な予算の確保に努めること。
二 公団事業の実施に当たつては、地域の実情、受益者の意向等に応じた適切な整備水準の選択が可能となる方式を確立するとともに、管理経費の縮減等に努め、受益者負担の軽減を図ること。
また、従来事業の完了地区で償還が困難になつている者に対しては、その実情に応じ円滑な償還ができる適切な措置を講ずるよう努めること。
三 公団事業の推進に当たつては、地元関係者の意向等を踏まえ、長期的視点に立った地域農業の確立、農業構造の改善、農村地域の活性化等に資するよう十分配慮すること。
また、事業完了後における営農等に対しても、国、地方公共団体及び農業団体が一体となつて濃密な指導、助成等を行う体制を整備すること。
四 公団事業の円滑な推進に資するよう、必要な技術者等の要員確保とその身分の安定に努めるとともに、新事業の実施に対応しうる業務体制を整備すること。
右決議する。
─────────────
農用地開発公団法の一部を改正する法律案
農用地開発公団法の一部を改正する法律
農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十二号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
農用地整備公団法
第一条を次のように改める。
(目的)
第一条 農用地整備公団は、農用地等の存在及び整備の状況その他の農業経営に関する基本的条件の現況等に照らして農業生産の基盤の整備を急速に図ることが必要かつ効果的と認められる農業地域内において、農用地及び土地改良施設の整備等の業務を総合的かつ集中的に行うとともに、地形、地質その他の自然条件の特殊性に起因して農業生産を著しく阻害する障害が生じている農業地域内において、その障害を除去するために必要な特定の農業用用排水施設の整備等の業務を急速かつ計画的に行うことにより、農業の生産性の向上と農業構造の改善に資することを目的とする。
第二条及び第六条中「農用地開発公団」を「農用地整備公団」に改める。
第八条中「五人」を「四人」に、「二人以内」を「一人」に改める。
第十一条第一項本文を次のように改める。
理事長及び副理事長の任期は三年とし、理事及び監事の任期は二年とする。第十九条第一項第一号を次のように改める。
一 農用地等の存在及び整備の状況その他の農業経営に関する基本的条件の現況等に照らして農業生産の基盤の整備を急速に図ることが必要かつ効果的と認められる農業地域内において、次の事業を一体として総合的かつ集中的に行うこと。
イ 農用地(耕作の目的又は主として家畜の放牧の目的若しくは養畜の業務のための採草の目的に供される土地をいう。以下同じ。)の改良又は保全のために必要な区画整理、客土、暗きよ排水又はこれらに準ずる事業として政令で定めるもの(これらの事業と併せて行う農用地の造成(農用地間における地目変換の事業を含む。以下同じ。)を含む。)
ロ 農業用用排水施設、農業用道路その他の農用地の保全又は利用上必要な施設で政令で定めるもの(以下「土地改良施設」という。)の新設又は改良
第十九条第一項第二号中「又はロ」を削り、同項第三号から第五号までを次のように改める。
三 委託に基づき、第一号の業務と併せて農業用施設の新設若しくは改良又は農業用施設の用に供される土地の造成若しくは改良の事業を行うこと。
四 地形、地質その他の自然条件の特殊性に起因して、農用地の排水条件の著しい悪化その他の農業生産を著しく阻害する障害が生じている農業地域内において、その障害を除去するために必要な農業用用排水施設の新設又は改良の事業でその事業による受益の範囲が著しく広く、かつ、急速に行う必要があるものとして政令で定めるものを行うこと。
五 第一号の業務を行うことにより新設され、若しくは改良された土地改良施設の譲渡し又は前号の業務を行うことにより新設され、若しくは改良された農業用用排水施設の管理若しくは譲渡しを行うこと。
第十九条第一項中第六号を第七号とし、第五号の次に次の一号を加える。
六 第一号の業務を行うことにより新設され、若しくは改良された土地改良施設(譲渡し前のものに限る。)又は第四号の業務を行うことにより新設され、若しくは改良された農業用用排水施設(譲渡し前のものに限る。)についての災害復旧事業を行うこと。
第十九条第二項中「同項第一号イからハまでの事業として行う工事又は同項第三号」を「同項第一号、第四号又は第六号」に改める。
第二十条第一項各号を次のように改める。
一 申出に係る区域が、区域内の農用地の相当部分が集団的に存在し、かつ、その相当部分が申出に係る事業の実施によつて利益を受けるべき土地(次号において「受益地」という。)に含まれる地域として政令で定める要件に適合するものであること。
二 第十九条第一項第一号又は第四号に規定する事業を行うべき旨の申出にあつては、その受益地の面積が、事業種類ごとに、それぞれ政令で定める面積以上のものであること。
三 第十九条第一項第一号に規定する事業を行うべき旨の申出にあつては、前二号に掲げるもののほか、申出に係る区域及びその周辺の地域における農業生産の基盤の整備及び開発の状況、農用地の保有及び利用の状況、農業就業人口その他の農業経営に関する基本的条件の現況及び将来の見通し等に照らし、申出に係る事業を一体として総合的かつ集中的に行うことによりこれらの地域の農業の生産性の向上と農業構造の改善が急速に図られると見込まれるものであること。
四 第十九条第一 項第四号に規定する事業を行うべき旨の申出にあつては、第一号及び第二号に掲げるもののほか、申出に係る区域が、地形、地質その他の自然条件に起因して相当の範囲にわたつて農業生産を著しく阻害する障害が生じている地域であつて、申出に係る事業を急速に行うことが必要かつ効果的と認められるものであること。
第二十一条の見出しを「(農用地整備事業実施計画)」に改め、同条第一項中「、政令で定めるところにより」を削り、「事業実施計画」を「農用地整備事業実施計画」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 前項の農用地整備事業実施計画においては、農林水産省令で定めるところにより、当該業務につき、その実施に係る区域、工事に関する事項(換地計画を定める業務にあつては、工事に関する事項のほか、当該換地計画の概要)、事業費に関する事項、効果に関する事項その他農林水産省令で定める事項を定めるものとする。
第二十一条中第五項を削り、第四項を第五項とし、同条第三項中「第十九条第一項第一号イの事業」の下に「(農用地の造成に限る。)」を加え、同項を同条第四項とし、同条第二項の次に次の一項を加える。
3 公団は、第一項の規定により農用地整備事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、当該農用地整備事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、当該農用地整備事業実施計画の
概要に係る第十九条第一項第一号イ及びロの各事業につき、その実施に係る区域内にある土地についての土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)第三条に規定する資格を有する者(以下「事業参加資格者」という。)の三分の二以上の同意(当該農用地整備事業実施計画の概要が農用地の造成の事業を内容の一部に含むときは、当該三分の二以上の同意及び当該事業の実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の全員の同意)を得なければならない。
第二十一条第六項中「、第八条第六項」を「及び第七項、第七条第四項、第八条第五項及び第六項」に、「及び」を「並びに」に改める。
第二十二条の見出し及び同条第一項中「事業実施計画」を「農用地整備事業実施計画」に改め、同条第二項を次のように改める。
2 公団は、前項の規定により農用地整備事業実施計画の変更(農林水産省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとする場合において、同項の認可を申請するときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、その変更後の農用地整備事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、その変更後の農用地整備事業実施計画の概要に係る第十九条第一項第一号イ及びロの各事業(同号イ又はロのいずれか一の事業の変更に係る場合にあつては、当該変更に係る事業)につき、その実施に係る区域(その変更によりその実施に係る区域の一部がその変更後のその実施に係る区域に該当しないこととなるものがあるときは、その該当しないこととなる区域をその変更後のその実施に係る区域に含めた区域)内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意を得なければならない。
第二十二条第三項中「一般地域事業実施計画」を「農用地整備事業実施計画」に改め、「新たな区域を」を削り、「事業の実施に係る区域の一部」を「事業(農用地の造成に限る。)の実施に係る区域を新たな区域」に、「前項各号に定める」を「前別項の」に改め、同条第四項中「前条第四項」を「前条第五項」に改め、「第五条第六項」の下に「及び第七項」を加え、「第八条第六項」を「第八条第五項及び第六項」に、「第八十七条第十項」を「第六項並びに第八十七条第十項」に、「前条第三項」を「前条第四項」に改める。
第二十三条第一項中「又はロ」を削り、同条第二項中「から第五十二条の五まで、第五十三条(第一項第一号を除く。)、第五十三条の二の二、第五十三条の三、第五十三条の四」を削る。
第二十四条の次に次の三条を加える。
(農用地保全事業実施計画)
第二十四条の二 公団は、第十九条第一項第四号の業務又は同項第五号の業務のうち農業用用排水施設の管理の業務(以下「管理業務」という。)を行おうとするときは、第二十条第一項の事業実施方針に基づいて農用地保全事業実施計画を作成し、関係都道府県知事に協議するとともに、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
2 前項の農用地保全事業実施計画においては、農林水産省令で定めるところにより、当該業務につき、その実施に係る区域、工事又は管理に関する事項、事業費に関する事項、効果に関する事項その他農林水産省令で定める事項を定めるものとする。
3 公団は、第一項の規定により農用地保全事実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、当該農用地保全事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、当該農用地保全事業実施計画の概要に係る第十九条第一項第四号の業務又は管理業務につき、それぞれ、その実施に係る区域内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意を得なければならない。
4 第二十一条第五項並びに土地改良法第五条第六項及び第七項、第八条第六項、第九条、第十条第五項並びに第八十七条第十項の規定は、第一項の場合について準用する。
(農用地保全事業実施計画の変更)
第二十四条の三 公団は、前条第一項の農用地保全事業実施計画を変更しようとするときは、政令で定めるところにより、関係都道府県知事に協議するとともに、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
2 公団は、前項の規定により農用地保全事業実施計画の変更(農林水産省令で定める軽微な変更を除く。)をしようとする場合において、同項の認可を申請するときは、あらかじめ、農林水産省令で定めるところにより、その変更後の農用地保全事業実施計画の概要その他必要な事項を公告して、その変更後の農用地保全事業実施計画の概要に係る第十九条第一項第四号の業務又は管理業務につき、それぞれ、その実施に係る区域(その変更によりその実施に係る区域の一部がその変更後のその実施に係る区域に該当しないこととなるものがあるときは、その該当しないこととなる区域をその変更後のその実施に係る区域に含めた区域)内にある土地についての事業参加資格者の三分の二以上の同意を得なければならない。
3 第二十一条第五項並びに土地改良法第五条第六項及び第七項、第八条第六項、第九条、第十条第五項、第四十八条第四項及び第六項並びに第八十七条第十項の規定は、第一項の場合について準用する。
(管理規程)
第二十四条の四 公団は、管理業務を行おうとするときは、当該業務の実施の細目について、管理規程を作成し、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
2 土地改良法第五十七条の二第二項から第四項までの規定は、前項の場合について準用する。
第二十五条第一項中「土地改良施設について第十九条第一項第三号」を「第十九条第一項第六号」に改め、「、政令で定めるところにより」を削り、同項後段を削り、同条第三項中「第二十一条第四項の規定は第一項の場合について、」を「第二十一条第五項並びに」に、「第一項前段」を「、第一項」に改め、同項を同条第四項とし、同条第二項中「前項前段」を「第一項」に改め、「(第十九条第一項第一号イ又はロの事業を行うことにより新設され、又は改良された土地改良施設についての同項第三号の業務に係るものに限る。)」を削り、「同号」を「第十九条第一項第六号」に改め、同項を同条第三項とし、同条第一項の次に次の一項を加える。
2 前項の災害復旧事業実施計画においては、農林水産省令で定めるところにより、当該業務につき、その実施に係る区域、工事に関する事項、事業費に関する事項、効果に関する事項そ
の他農林水産省令で定める事項を定めるものとする。
第二十六条第一項中「第十九条第一項第四号若しくは第五号の業務」を「第十九条第一項第三号若しくは第五号の業務(管理業務を除く。)」に改める。
第二十七条第一項中「第十九条第一項第一号イからハまでの事業、同項第二号の業務及び同項第三号の業務(土地改良施設に係るものに限る。以下同じ。)」を「第十九条第一項第一号、第二号及び第四号から第六号までの業務(同項第五号の業務にあつては、管理業務に限る。)」に改め、「事業又は」を削り、同条第二項中「同項の事業又は」を「同項の」に改め、「(負担する費用が第十九条第一項第一号ハの事業又は同号ハの事業を行うことにより新設され、若しくは改良された土地改良施設についての同項第三号の業務に要するものである場合にあつては、当該事業又は業務の実施に係る区域内にある土地の所有権を土地改良法第九十四条の八第五項(同法第九十四条の八の二第六項において準用する場合を含む。)の規定により取得した者又はその承継人(以下「干拓地取得者」という。)。第四項において同じ。)」を削り、「事業又は業務に」を「業務に」に、「、前項」を「、同項」に改め、同条第三項から第五項までの規定中「事業又は」を削る。
第二十八条第一項中「第十九条第一項第一号イからハまでの事業」を「第十九条第一項第一号又は第四号の業務」に改め、「(同号ハの事業の実施に係る区域内にある土地にあつては、その土地についての干拓地取得者)」を削り、「当該事業」を「当該業務」に、「事業実施計画」を「農用地整備事業実施計画又は農用地保全事業実施計画」に改める。
第三十条第一項中「第十九条第一項第一号イからハまでの事業、同項第二号の業務及び同項第三号の業務について、同法第百十三条の二第一項及び第二項」を「第十九条第一項第一号、第二号及び第四号から第六号までの業務(同項第五号の業務にあつては、管理業務に限る。)について、同法第五十八条から第六十二条まで、第六十三条第二項及び第三項、第六十四条、第六十五条、第百十三条の二第一項及び第二項、第百十三条の三、第百十四条第二項」に、「第十九条第一項第一号イからハまでの事業及び同項第三号の業務について、同法第五十八条から第六十二条まで、第六十三条第二項及び第三項、第六十四条、第六十五条、第百十三条の三並びに第百十四条第二項の規定は公団が行う第十九条第一項第一号イ及びロの事業並びにこれらの事業を行うことにより新設され、又は改良された土地改良施設についての同項第三号の業務」を「第十九条第一項第一号及び第四号から第六号までの業務(同項第五号の業務にあつては、管理業務に限る。)」に、「第十九条第一項第一号イ及びロの事業について」を「第十九条第一項第一号イの事業について」に改め、同条第二項中「第二十五条第三項」を「第二十四条の二第四項、第二十四条の三第三項、第二十四条の四第二項、第二十五条第四項」に改める。
第三十三条第三項中「財務諸表」の下に「及び前項の事業報告書」を加える。
第三十五条の見出し及び同条第一項中「農用地開発債券」を「農用地整備債券」に改める。
第三十九条ただし書中「第十九条第一項第四号若しくは」を「第十九条第一項第五号又は」に改め、「又は同条第一項第五号の規定による売渡し」を削る。
第四十四条を削り、第四十四条の二を第四十四条とする。
第四十八条第一号中「第五十三条の四第一項」の下に「及び第二十四条の四第二項において準用する同法第五十七条の二第三項」を加え、同条第三号中「、第十九条の二及び附則第十一条」を「及び第十九条の二」に改める。
附則第十一条の前の見出しを「(旧農地開発機械公団の業務等に係る特例)」に改め、同条後段を次のように改める。
この場合における第二十六条第一項及び第四十八条の規定の適用については、第二十六条第一項中「又は第十九条の二の業務」とあるのは「、第十九条の二の業務又は附則第十一条の業務」と、第四十八条第三号中「及び第十九条の二」とあるのは「、第十九条の二及び附則第十一条」とする。
附則第十九条から第二十一条までを次のように改める。
(農用地開発公団の業務に係る特例)
第十九条 公団は、第十九条の規定にかかわらず、農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号。以下「改正法」という。)による改正前の第十九条第一項及び第二項の業務で改正法の施行前に開始されたもの(同条第一項又は第二項の業務の開始に必要な事前の調査で改正法の施行前に開始されたものに係るもので政令で定めるものを含む。)及びこれらに附帯する業務を行うことができる。この場合における第四十八条の規定の適用については、同条第三号中「及び第十九条の二」とあるのは、「、第十九条の二及び附則第十九条第一項」とする。
2 前項の規定により公団が行う同項の業務については、改正法による改正前の第二十条から第二十九条まで、第三十条、第三十九条及び第四十四条の規定は、改正法の施行後も、なおその効力を有する。
3 第一項の規定により公団が改正法による改正前の第十九条第一項第二号の業務を行う場合には、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第三条第一項第四号中「業務」とあるのは、「業務若しくは同法附則第十九条第一項に規定する業務のうち農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)による改正前の農用地開発公団法第十九条第一項第二号の業務」とする。
(業務の特例)
第二十条 公団は、当分の間、第十九条、第十九条の二、附則第十一条及び前条第一項に規定する業務のほか、農林水産大臣の認可を受けて、次の業務を行うことができる。
一 土地改良法第二条第二項に規定する土地改良事業で日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法(昭和六十二年法律第八十六号。以下「社会資本整備特別措置法」という。)第二条第一項第一号に該当するものを行う土地改良区その他政令で定める者に対し、当該事業に要する費用に充てる資金の一部を無利子で貸し付けること。
二 前号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 前項の規定により、公団が同項各号の業務を行う場合には、第二十六条第一項中「又は第十九条の二の業務」とあるのは「、第十九条の二の業務又は附則第二十条第一項に規定する業務」と、第四十八条第三号中「及び第十九条の二」とあるのは「、第十九条の二及び附則第二十条第一項」とする。
(無利子貸付け)
第二十一条 政府は、当分の間、公団に対し、第十九条第一項第一号の業務で社会資本整備特別措置法第二条第一項第一号に該当するものに要する費用に充てる資金の一部及び前条第一項第一号の業務に要する資金を無利子で貸し付けることができる。
2 前項の規定による貸付金の償還期間は、二十年(五年以内の据置期間を含む。)以内とする。
3 前項に定めるもののほか、第一項の規定による貸付金の償還方法、償還期限の繰上げその他償還に関し必要な事項は、政令で定める。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(農用地整備公団への移行)
第二条 農用地開発公団は、この法律の施行の時において、農用地整備公団(以下「公団」という。)となるものとする。
(国営土地改良事業の承継等)
第三条 この法律の施行の際現に国が土地改良事業として行つている事業のうち、この法律による改正後の農用地整備公団法(以下「新法」という。)第二十条第一項の事業実施方針で定められた公団の新法第十九条第一項第四号の業務に相当する部分(以下「国営土地改良事業」という。)は、当該業務について次項の規定による公示があつた日の翌日から、公団がその業務として行うものとする。
2 農林水産大臣は、国営土地改良事業に係る公団の業務について新法第二十四条の二第一項の規定による農用地保全事業実施計画の認可をしたときは、政令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
3 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた時において当該国営土地改良事業に関し国が有する権利及び義務(当該国営土地改良事業に関する国営土地改良事業特別会計の資金運用部特別会計からの負債を含む。)は、その時において公団が承継する。
4 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなる場合において、国が委託に基づき当該国営土地改良事業と密接な関連を有する工事(以下この条において「関連工事」という。)を行つているときは、公団が当該国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた時において当該関連工事に関し国が有する権利及び義務は、その時において公団が承継する。ただし、国がその委託をしている者の同意を得ることができなかつたときは、この限りでない。
5 前項の規定により公団が国の有する権利及び義務を承継する場合において、公団が当該関連工事に係る業務を行うについては、新法第十九条第二項の規定による認可を受けることを要しない。
6 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつたときは、公団は、政令で定めるところにより、新法第二十七条第一項の規定による負担金の額のうち、当該国営土地改良事業を行うにつき国が要した費用の一部に相当する金額を国庫に納付しなければならない。
7 第一項の規定により公団が国営土地改良事業をその業務として行うこととなつた場合における新法第二十七条第一項の規定の適用については、同項中「費用」とあるのは、「費用(農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)附則第三条第一項の規定により公団がその業務として行うこととなつた国営土地改良事業を行うにつき国が要した費用を含む。)」とする。
(経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に農用地整備公団という名称を使用している者については、新法第六条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
第五条 この法律の施行の際現に理事又は監事である者の任期については、なお従前の例による。
第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(公職選挙法の一部改正)
第七条 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の一部を次のように改正する。
第百三十六条の二第一項第二号中「農用地開発公団」を「農用地整備公団」に改める。
(土地収用法の一部改正)
第八条 土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第五号中「農用地開発公団」を「農用地整備公団」に改める。
(農地法の一部改正)
第九条 農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)の一部を次のように改正する。
第三条第一項第四号中「農用地開発公団法」を「農用地整備公団法」に改める。
(地方財政再建促進特別措置法の一部改正)
第十条 地方財政再建促進特別措置法(昭和三十年法律第百九十五号)の一部を次のように改正する。
第二十四条第二項中「農用地開発公団」を「農用地整備公団」に改める。
(地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法の一部改正)
第十一条 地方公務員等共済組合法の長期給付等に関する施行法(昭和三十七年法律第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第九十六条第三項中「農用地開発公団」を「農用地整備公団」に改める。
(地方税法の一部改正)
第十二条 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の一部を次のように改正する。
第七十二条の四第一項第二号中「農用地開発公団」を「農用地整備公団」に改める。
第七十三条の二第十一項中「(農用地開発公団が農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十
三号)により行う同法第十九条第一項第一号イ又はロの事業を含む。第七十三条の二十九において同じ。)」を削る。
第七十三条の四第一項第一号中「、農用地開発公団」を削る。
第七十三条の六第一項中「(農用地開発公団法第二十三条第二項において準用する土地改良法第五十四条の二第一項又は第五項の規定による換地の取得を含む。)」及び「農用地開発公団法第二十四条第二項において準用する土地改良法第百六条第一項の規定による土地の取得を含む。)」を削る。
第三百四十三条第六項中「(農用地開発公団が農用地開発公団法により行う同法第十九条第一項第一号イ又はロの事業を含む。)」を削る。
第三百四十八条第二項第二号中「、農用地開発公団」を削る。
附則第十一条中第七項を削り、第八項を第七項とし、第九項から第十四項までを一項ずつ繰
り上げる。
(地方税法の一部改正に伴う経過措置)
第十三条 前条の規定による改正後の地方税法(以下「新地方税法」という。)第七十三条の二第十一項、第七十三条の四第一項第一号及び第七十三条の六第一項の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後の不動産の取得に対して課すべき不動産取得税について適用し、施行日前の不動産の取得に対して課する不動産取得税については、なお従前の例による。
2 施行日以後に新法附則第十九条第一項に規定する業務のうちこの法律による改正前の農用地開発公団法(以下「旧法」という。)第十九条第一項第一号イ又はロの事業が施行された場合における新地方税法第七十三条の二第十一項の規定の適用については、同項中「土地改良事業」とあるのは、「土地改良事業(農用地整備公団が農用地整備公団法(昭和四十九年法律第四十三号)により行う同法附則第十九条第一項に規定する業務のうち農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)による改正前の農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ又はロの事業を含む。第七十三条の二十九において同じ。)」とする。
3 施行日以後に公団が直接新法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧法第十九条第一項第一号イ又はロの事業の用に供する不動産を取得した場合における新地方税法第七十三条の四第一項第一号の規定の適用については、同号中「不動産」とあるのは、「不動産又は農用地整備公団が直接農用地整備公団法附則第十九条第一項に規定する業務のうち農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第号)による改正前の農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業の用に供する不動産」とする。
4 施行日以後に新法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧法第十九条第一項第一号イ若しくはロ又は同項第二号の事業が施行された場合における新地方税法第七十三条の六第一項の規定の適用については、同項中「換地の取得」とあるのは「換地の取得(農用地整備公団法附則第十九条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)による改正前の農用地開発公団法第二十三条第二項において準用する土地改良法第五十四条の二第一項又は第五項の規定による換地の取得を含む。)」と、「土地の取得」とあるのは「土地の取得(農用地整備公団法附則第十九条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる農用地開発公団法の一部を改正する法律による改正前の農用地開発公団法第二十四条第二項において準用する土地改良法第百六条第一項の規定による土地の取得を含む。)」とする。
5 農用地開発公団が行つた旧法第十九条第一項第一号イ又はロの事業に係る一時利用地又は換地に対して課する昭和六十三年度分の固定資産税については、なお従前の例による。
6 農用地開発公団が直接その本来の事業の用に供する固定資産に対して課する昭和六十三年度分の固定資産税については、なお従前の例による。
7 前条の規定による改正前の地方税法(以下「旧地方税法」という。)附則第十一条第七項の規定は、国の作成した計画に基づく政府の補助を受けて、農用地開発公団が新設し若しくは改良し、又は施行日以後に公団が新法附則第十九条第一項に規定する旧法第十九条第一項の業務として新設し若しくは改良した旧地方税法附則第十一条第七項の政令で定める農業用施設を、都道府県又は市町村から譲渡しを受けた場合における当該施設の取得に対して課する不動産取得税の課税標準の算定については、当該取得が昭和六十五年三月三十一日までの間に行われたときに限り、なおその効力を有する。この場合において、同項中「農用地開発公団」とあるのは、「農用地開発公団又は農用地整備公団」とする。
(租税特別措置法の一部改正)
第十四条 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)の一部を次のように改正する。
第三十三条第一項第三号中「若しくは農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」及び「並びに農用地開発公団法第二十三条第二項」を削り、「(土地改良法」を「(同法」に改める。
第三十三条の二第一項第二号中「土地改良事業、」を「土地改良事業又は」に改め、「又は農用地開発公団法第十九条第一項第二号の事業」を削る。
第三十三条の三第一項中「、農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」を削る。
第六十四条第一項第三号中「若しくは農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」及び「並びに農用地開発公団法第二十三条第二項」を削り、「(土地改良法」を「(同法」に改める。
第六十五条第一項第二号中「土地改良事業、」を「土地改良事業又は」に改め、「又は農用地開発公団法第十九条第一項第二号の事業」を削り、同項第四号中「、農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」を削る。
(租税特別措置法の一部改正に伴う経過措置)
第十五条 個人又は法人が施行日前に行つた前条の規定による改正前の租税特別措置法第三十三条第一項、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項、第六十四条第一項又は第六十五条第一項の規定に該当するこれらの規定に規定す
る土地等の譲渡については、なお従前の例による。
2 施行日以後に新法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧法第十九条第一項第一号イ若しくはロ又は同項第二号の事業が施行された場合における前条の規定による改正後の租税特別措置法(以下「新租税特別措置法」という。)第三十三条第一項、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項、第六十四条第一項及び第六十五条第一項の規定の適用については、新組税特別措置法第三十三条第一項第三号中「土地改良事業」とあるのは「土地改良事業若しくは農用地整備公団法(昭和四十九年法律第四十三号)附則第十九条第一項に規定する業務のうち農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)による改正前の農用地開発公団法(以下「旧農用地開発公団法」という。)第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」と、「第九十六条の四」とあるのは「第九十六条の四並びに農用地整備公団法附則第十九条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧農用地開発公団法第二十三条第二項」と、「同法第五十三条の二の二第一項」とあるのは「土地改良法第五十三条の二の二第一項」と、新租税特別措置法第三十三条の二第一項第二号中「又は農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)第十三条の二第一項の事業」とあるのは「、農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)第十三条の二第一項の事業又は農用地整備公団法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧農用地開発公団法第十九条第一項第二号の事業」と、新組税特別措置法第三十三条の三第一項中「土地改良事業」とあるのは「土地改良事業、農用地整備公団法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」と、新租税特別措置法第六十四条第一項第三号中「土地改良事業」とあるのは「土地改良事業若しくは農用地整備公団法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」と、「第九十六条の四」とあるのは「第九十六条の四並びに農用地整備公団法附則第十九条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧農用地開発公団法第二十三条第二項」と、「同法第五十三条の二の二第一項」とあるのは「土地改良法第五十三条の二の二第一項」と、新租税特別措置法第六十五条第一項第二号中「又は農業振興地域の整備に関する法律第十三条の二第一項の事業」とあるのは「、農業振興地域の整備に関する法律第十三条の二第一項の事業又は農用地整備公団法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧農用地開発公団法第十九条第一項第二号の事業」と、同項第四号中「土地改良事業」とあるのは「土地改良事業、農用地整備公団法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロの事業」とする。
(所得税法等の一部改正)
第十六条 次に掲げる法律の規定中「農用地開発公団
農用地開発公団法(昭和四十九年法律第四十三号)」を「農用地整備公団 農用地整備公団法(昭和四十九年法律第四十三号)」に改める。
一 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)別表第一第一号の表
二 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一第一号の表
三 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)別表第二
(登録免許税法の一部改正)
第十七条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
第五条第六号中「農用地開発公団法」を「農用地整備公団法」に、「第十九条第一項第一号イ若しくはロ若しくは同項第二号」を「第十九条第一項第一号、第二号若しくは第四号」に改める。
別表第二中農用地開発公団の項を次のように改める。
農用地整備公団 農用地整備公団法
(登録免許税法の一部改正に伴う経過措置)
第十八条 施行日前に行われた旧法第十九条第一項第一号イ若しくはロ又は同項第二号に規定する事業の施行のため必要な土地又は建物に関する登記に係る登録免許税については、なお従前の例による。
2 新法附則第十九条第一項に規定する業務のうち旧法第十九条第一項第一号イ若しくはロ又は同項第二号の事業の施行のため必要な土地又は建物に関する登記についての前条の規定による改正後の登録免許税法第五条第六号の規定の適用については、同号中「規定する事業」とあるのは、「規定する事業、同法附則第十九条第一項に規定する業務のうち農用地開発公団法の一部を改正する法律(昭和六十三年法律第 号)による改正前の農用地開発公団法第十九条第一項第一号イ若しくはロ若しくは同項第二号(業務の範囲)に規定する事業」とする。
(農林水産省設置法の一部改正)
第十九条 農林水産省設置法(昭和二十四年法律
第百五十三号)の一部を次のように改正する。
第四条第十二号中「農用地開発公団」を「農用地整備公団」に改める。
─────────────
〔岡部三郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/64
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065・岡部三郎
○岡部三郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
本法律案は、最近における農業及びこれをめぐる諸情勢にかんがみ、農用地開発公団を農用地整備公団に改組し、現行の農畜産物の濃密生産団地の建設の業務にかえ、農用地の整備及び保全を主体とした新たな事業実施方式を創設する等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、公団をめぐる諸情勢の変化、公団の果たしてきた役割、行革審答申の指摘と制度改正の関係、公団の実施する新事業の内容と見通し、現行事業の今後のあり方、公団職員の身分の安定、入植農家の経営状況、公団が実施するNTTプロジェクトの内容等について質疑が
行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して諫山委員より反対である旨の発言がありました。
討論終局の後、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し、四項目にわたる附帯決議を行いました。
以上、御報告いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/65
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066・藤田正明
○議長(藤田正明君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/66
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067・藤田正明
○議長(藤田正明君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111215254X01619880511/67
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