1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年十月十四日(金曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 中村 靖君
理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君
理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君
理事 町村 信孝君 理事 佐藤 徳雄君
理事 鍛冶 清君 理事 林 保夫君
逢択 一郎君 青木 正久君
井出 正一君 石渡 照久君
鴻池 祥肇君 斉藤斗志二君
鈴木 恒夫君 谷川 和穗君
渡海紀三朗岩 松田 岩夫君
江田 五月君 嶋崎 譲君
中西 績介君 馬場 昇君
有島 重武君 北橋 健治君
石井 郁子君 山原健二郎君
田川 誠一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中島源太郎君
出席政府委員
文部政務次官 船田 元君
文部大臣官房長 加戸 守行君
文部省初等中等
教育局長 古村 澄一君
文部省教育助成
局長 倉地 克次君
文部省高等教育
局長 國分 正明君
委員外の出席者
自治省財政局財
政課長 遠藤 安彦君
文教委員会調査
室長 松原 莊穎君
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委員の異動
十月十四日
辞任 補欠選任
工藤 巌君 鴻池 祥肇君
佐藤 敬夫君 鈴木 恒夫君
同日
辞任 補欠選任
鴻池 祥肇君 工藤 巌君
鈴木 恒夫君 佐藤 敬夫君
同日
理事中野寛成君同月十二日委員辞任につき、そ
の補欠として林保夫君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十二回国会閣法第三九号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/0
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001・中村靖
○中村委員長 これより会議を開きます。
この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員異動に伴い、現在理事一名が欠員になっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/1
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002・中村靖
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
それでは、林保夫君を理事に指名いたします。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/2
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003・中村靖
○中村委員長 第百十二回国会、内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案の趣旨の説明は第百十二回国会において既に聴取いたしておりますので、これを省略することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/3
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004・中村靖
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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学校教育法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/4
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005・中村靖
○中村委員長 これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。町村信孝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/5
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006・町村信孝
○町村委員 いよいよ本日から前通常国会から積み残しになっておりました臨教審関連の諸法案の審議を始めることができるということは、教育改革推進を私ども自由民主党の最大重要政策課題として掲げているわけでございまして、そういう意味から、また各野党の皆様方の御理解もいただきながらこの審議が始まるということは大変にありがたいし、また喜ばしいことである、このように考えているところでございます。
きょうは学校教育法の一部を改正する法律案に入るわけでございますが、その前にやや一般的な問題、高等学校教育にかかわる一般的な問題について冒頭に若干お伺いをし、その後、法案の中身に少し入らせていただきたい、このように考えているところでございます。
高等学校は今やもう九四%の人が進学をするということで、ほとんど一〇〇%に近い、そんな状態になってきているわけであります。他方、今生徒がどういう状態になっているかというと、もとから言われていることでありますし、もともとそうなのかもしれませんが、能力の面でありますとか、適性とか興味とか関心とかが非常に多様化してきているわけであります。
しかし、それに対してそれを受け入れる学校の方はどうかといいますと、制度の面あるいはその制度を運用する、そう言っては失礼かもしれませんが、文部省当局も含めて、学校に関係する人々の意識というものがまだまだ硬直的であり、また画一的なのではないだろうか。そうしたギャップというものが非常にあるものですから、例えば中退の問題、落ちこぼれの問題、こういうような問題も出てきている。したがいまして、これはもちろん大学その他全部そうですが、高等学校レベルにおいても多様化でありますとかあるいは弾力化ということが非常に緊急な課題であるのじゃないか、このように思う次第であります。
この発想というのは臨教審答申を流れる一つの基本的な考え方でもあろうと私は思いますし、言うならば戦後のややもすると行き過ぎた平等主義とでもいいましょうか、これは何も教育界だけではなくてすべての日本の社会に流れている、どぎつい表現になるかもしれませんが、悪平等の蔓延とでもいいましょうか、これが教育界の一つの大きな難しい問題を惹起しているその背景にあるのじゃなかろうか、このように私は考えるわけであります。
そんなようなことを考えたときに、今回の改正案は非常に必要であり、また本来であればもっと早く措置をすべきであったのではないだろうか、このように思っておりますし、この改正を待っている非常に多くの定時制あるいは通信制に通っている人たちあるいは入ろうとしている人たちの期待にこたえるためにも、この法案が一日も早く本院を通過し、成立をするということを期待しているわけでございます。
さっき言った高等学校全体ということを考えたときに、一つの弾力化、多様化措置というものが残念ながらまだ今回の提案では定時制、通信制のまたごく一部に限られている。例えば全日制高校の多様化、弾力化、これもやはり臨教審答申の中で言われている課題ではあるわけですね。例えばカリキュラム、今三年となっておりますが、例えば三年以上ということで三年あるいは四年という考え方も答申の中にはうたわれております。これは私のこれまた個人的な考え方ですが、例えば高校を二年で卒業できる、こういうことだっていいのじゃないだろうか、二年、三年、四年、それでもいいのじゃないかと考えておりまして、そのくらいの思い切った弾力化、例えば修業年限についてもそのくらいのことを考えてもいいのではなかろうか、こう思っているわけであります。
それで、まず高等学校教育の現状というものに大臣がどういう認識を持っておられるかということを冒頭伺いたいわけであります。平均値で言えば、私はかなりいい水準の教育が行われているということが言えると思いますが、余りにも平均的であり画一的であるために、もっと上に大きく伸びようとする子供たちの芽をぎゅっと摘み取ってしまう、また、その平均に合わない子供たちはそれについていけなくて落ちこぼれてしまうというような問題がある。このような現状につきまして、今の高等学校の現状、よい面、悪い面いろいろあると思いますが、大臣がどういう御認識であるのか、まず冒頭伺わせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/6
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007・中島源太郎
○中島国務大臣 まず冒頭、学教法の御審議をいただく機会を得まして、ありがたいと思っております。
町村議員の御質問でありますが、二点ありまして、現在の高等学校教育のいい面あるいは改革すべき面、どのように認識しておるかという御質問だと思いますが、おっしゃるように九四%、一〇〇%近い進学者を受け入れておる高等学校教育でありますが、それだけにそのレベルの問題、これはやはり今までの努力の結果、相当高水準のレベルにあるということは言えると思うわけであります。ただ一方、初等、中等、それから後期中等教育を含めまして、少なくとも臨教審で言われますように、これからは生涯学習の重要な基礎的な部分という位置づけもございます。そういう面から見ますと、やはりいろいろな面で画一化、硬直化と言われる面があろう、これは私どもも認識をしておるわけでございます。
一例を挙げることによってかえって全体像をゆがめるかもしれませんが、一例を挙げれば、例えば一科目を取れなかったということで原級に留置される、とどめられるという問題もまだ残っております。これからのことを考えますと、やはり次の高等教育に進む一過程というような観点よりは、いかに自分がよりよき社会人になるための基礎教育を、自分の個性、それから社会の多様化に合わせて学ぶべき場所であるかということを生徒諸君も考えておられる。それに対して私どもは速やかに対処していかなければならぬ、こう思っております。
たまたま今回は定時制、通信制につきまして、要するに技能連携の施設の指定などは、もう私どもがやるよりは地域の多様化、それから地域の個性に合わせて、地域に一番密着した行政機関がこれを行う方がむしろ正しいのではないかということとか、あるいは全日制についても、今の三年制を考え直すような弾力化した心が必要ではないかとおっしゃる、それも御議論の一つでございますので、せめて定通制の方々の四年以上というのを実態に即して三年以上にさせていただきたい、こういうことを御提案をいたしておるわけであります。
私どもとしては、それにとどまらず臨教審答申を踏まえまして、そして高等学校教育の個性化に関する協力者会議もこの七月に発足をさせていただきまして、そこに数項目にわたりますこれからの懸案事項を列記をいたしておりまして、鋭意検討を進めていただいておるわけでございます。そういう中には少なくとも全日制の問題、あるいは全日制普通教育と職業教育の問題、あるいは専修学校との問題、あるいは修業年限の問題、こういうものも含めて今おっしゃったことは私どもも既に取り上げて、おっしゃるように遅きに失しておるのではないかという御指摘は率直にお受けをいたしまして、そういう欠点は早急に速やかに御合議をいただきましたところから逐次改革に向かっていきたい、このように心を改めて臨んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/7
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008・町村信孝
○町村委員 幅広く多様化、弾力化を図っていこう、そういう改革の第一歩としての今回の定時制、通信制の改革であるという大臣の御所見、大変に力強く受けとめたところでございますので、そういう方向に沿って今後とも具体的な方策というものを逐次打ち出していっていただきたいな、このように考えます。
やはり今の一つの問題は、学校を選ぶという姿になっているのですね、学校を選ぶ。それも個性のある特色のある学校を選ぶというよりはむしろ現状は、偏差値、あなたは何点だからこの学校ですよ、あなたは何点だからこの学校ですよという極めて機械化された入学選抜の方式、実態はそういう形になっている。私は、やはりもう学校を選ぶということではなくて、その教育の中身を選んでいくというような発想の転換というものをやっていかなくてはいけないのじゃないだろうか。
さはさりながら、教育は学校で行われているものですから、学校自体が個性を持つための努力というものを大いにやっていただく。私はさっきややどぎつい言葉で悪平等というような表現をいたしましたけれども、その最たる例が、昭和四十二年からだったと記憶しておりますが、都立高校を学校群制度という入学の方法に改めたのですね。非常に個人的なことを申し上げまして恐縮でございますが、私は都立日比谷高校というところに通っておりました。日比谷高校というと大体受験校だ、こういうレッテルを張られていたわけでございますが、私がそこに三年間学んだ体験でいいますと、これほど自由でこれほど生徒の自主性を尊重して非常に生き生きとした教育が行われていた学校は、まあ他に例を見ないと言ったらほかの学校をそう知らないからわかりませんが、非常に自信を持ってそういう自由な教育が行われていたいい学校だったと私は思っております。
ところが、当時の東京都の教育長さん、要は本音は、おれは日比谷をつぶしたいんだ、こういう言い方はしませんが、明らかにいろいろなところでそう言いながら学校群制度を導入した。結果はどうなったかというと、確かに日比谷はそういう意味でのよさが失われた、破壊されたという意味で日比谷はつぶれました。しかし同時に、都立高校全体の魅力を失わせた。生徒が少なくとも自分はこういう学校を選択したいという選択の自由を奪ってしまったのですから、都立高校に皆行きたがらなくなったというような公立高校全体の水準を引き下げるという大変大きな禍根を残したのじゃないだろうかというふうに思っております。
私が言いたいことは、独自な教育とかユニークな教育は何も私立学校の専売特許ではなくて公立高校でも可能であったし、現にあったんですね。それを学校群制度という悪平等主義の考え方のもとで押しつぶしたという大変大きな欠陥があったのではないだろうか、こんなふうに思っております。これは私の個人の意見でありますから特に御答弁は求めませんけれども、文部省としてできることがあるならば、今の学校選択ではなくて教育を選択するという考え方についてどう思うか、あるいは学校群制度についてもし御意見があるならばお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/8
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009・中島源太郎
○中島国務大臣 具体のことについては政府委員からも補足をいたさせますけれども、過去の改善、改革の中でいい面、悪い面あろうと思います。しかし、今、後段におっしゃられましたことは、理由はともあれ現在各学校の独自性、個性というものが失われて、どれもむしろ画一化が進んできたのではないかという御指摘については、虚心に承って反省をしつつ、それを改めるべきだと思うのです。
社会自体が多様化、個性化をしております。その社会に送り出す重要な基礎部門であります学校教育につきましては、今こそ学校教育そのものがやはり個性化、多様化、独創化をみずからしていかなければならない、これは制度がどうあれ各学校は努力をすべきである。そしてそれがなければ生徒の方も選びようがないということになります。それが輪切りとか、いろんなものに通じてくるわけで、もしその前に学校そのものが多様化、個性化していけば選び方が多様化できる、そして自分の個性、能力に合わせておっしゃるような学校を選ぶということができるわけでございますね。
したがって、名前を選ぶのではなくて内容を選べと言いかえてもよろしいと思いますし、また学校を選ぶよりは教育を選べ、こうおっしゃるおっしゃり方もよくわかります。その選べる前提にはやはり学校そのものが個性を伸ばした教育のあり方を真剣に考えていく、そういう時代に入っている、そういう認識を持ったことだけは申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/9
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010・町村信孝
○町村委員 そういう教育の内容、教育そのものを選択する時代が来る、そういうふうになってきている、私はまたそう進めるべきだと思います。
それと同時に、個々の学校をより個性化するということとあわせて、この学校をAタイプ、Bタイプ、Cタイプ、いろいろあるとしますと、それの連携を図っていくというようなこともまたいいのじゃないだろうか。一つの学校に入ったらどうしてもそこの授業しか受けずにその学校しか卒業できないというのもやや硬直化した考え方なんじゃないだろうか。したがって、どうもあんたこの学校に合わないよということでドロップアウトするという形で転校を余儀なくされるという形になってしまって、非常にマイナスイメージ、暗いイメージで転校が考えられる。
そうじゃなくてもう少し、これは大学や何かではぼつぼつ行われ始めましたが、この授業を受けたい——高校の場合ではそういうのはなかなかないかもしれませんが、例えば普通高校の生徒がワープロやパソコンを学ぶために職業学校に行って単位を取ってくるというようなこともいいのじゃないかとか、あるいは、今同一県内の転校というのが転勤とかそういうことでないと認めないという仕組みになっているのも何か非常にかた過ぎる考え方じゃないかというような気もいたします。それからさっき大臣がおっしゃいましたような一科目でも何か単位を落とせば留年だ、これも一つの学校の中の話であっても非常にかた過ぎるような話です。
いずれにしても、生徒がいろんな分野にチャレンジでき、何でもチャレンジできる、そういう選択肢を残しておくような改革をやったらどうかな、こう思うのですけれども、この点についてのお考えをお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/10
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011・古村澄一
○古村政府委員 大変御示唆に富む御意見でございまして、高等学校を個性化するということになりますと、いろいろな個性化した学校がその地域にいっぱいある。だから、一つの学校だけでは生徒の選択の方からいえば十分ではないとなれば、今おっしゃいますように、ほかの学校へ行って単位を取ってくるとか、専修学校で取りました単位をこっちで認めてやるとかというふうな制度、あるいは自分が行こうと思っていた学校が、ああこれは違ったわい、それじゃこの学校へ行こうかということで途中で県内のほかの学校へかわれる制度、いろいろなことが考えられると思います。そういった点で高等学校をいかに弾力化し個性化するかということで、先ほど大臣からお話し申し上げました個性化に関する調査研究会の中で幅広に今検討をお願いいたしておりますので、そういった点も検討の大きな視点になろうかと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/11
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012・町村信孝
○町村委員 次に、定時制、そして通信制教育の改善についてお伺いをいたしたいと思います。
今の制度が発足してたしか昨年で四十年だったでしょうか、約四十年たったところでございます。定時制は、当初は働く青少年の教育機関であるということで発足をし、現に昭和二十七、八年ごろは六十万人近い生徒が通っていた。今は十五万人弱とピーク時の四分の一ぐらいに減ってきてしまった。それは世の中が全体に豊かになってきたし、働く時間の拘束も非常に緩やかになってきたし、全体が学習意欲に燃えている、いろいろな事情があるからそうなっているのだろうと思います。
他方、生徒の方が、今言ったように非常に変化があったり、また現実に中退者とか社会人が入学してきたり、あるいは通信制に至っては例えば主婦がもう一度学ぶというような、ある意味では生涯学習という観点からまた通信制のよさなどが見直される、そんなようなことになっておりますが、まず定時制高校の実態上の変化をどのように認識されておられるかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/12
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013・古村澄一
○古村政府委員 定時制課程の在学者から見た場合は、委員御指摘のとおり、定時制については従来五十六万人ぐらいをピークにしておりましたが、現在は十四万人。そして、通信制は今大体十四万人でございますが、これは余り変化がないということでございます。これは結局、いろいろな形で社会構造が変わってきた、経済構造が変わってきた中で全日制への進学率がかなりアップして、勤労青少年の数が減ってきたという社会的な側面があろうかと思います。
と同時に、生徒の実態について言いますと、いわゆる入学の動機あるいは年齢といったものもばらばらでございますし、いろいろ変わってまいりました。それから勤務形態とか、あるいはいろいろな経歴を持った人がさまざま入ってきているというふうに思います。さらに、勤労青少年でありましてもパートタイムの人がかなり増加するというふうなことで、今の定時制、通信制教育におきます実態というのは、制度発足当時、四十年前と比べますとかなり変わってきているというふうに認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/13
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014・町村信孝
○町村委員 こうした実態上の変化に応じて今の定時制高校というものをもっと学びやすく魅力があるものに改善していく、その一環として今回の法改正があるんだというふうに私は考えるわけであります。
特に修業年限の弾力化、現行は四年と決められておりますが、今回の法律改正で三年以上ということになるわけであります。しかし、いろいろ実態を聞いてみますと、三年間で必要な八十単位以上をカリキュラム上履修できるような学校が既に全国に幾つかあるわけでありますね。そういう実態があるにもかかわらず、しかし今四年なんだからということで、いうならば最後の一年間は遊んでとは言いませんけれども、縛りつけられてあと一年定時制に在籍せざるを得ない。そのことが翻ってみると、あなたはまだ高校卒業じゃないのだから給料の面で低いのですよとか、フルタイム採用じゃないのだから、高卒採用じゃないのだからというようなことで、ある意味では当該学生が不利な状況に置かれているという実態を私ども散見するわけでありまして、そういうことからまた定時制を敬遠するというようなこともあるのじゃないか。そのような意味で今回の法案の中身、修業年限の弾力化、これは一日も早く実施すべきであろう。このように思っております。
ただ生徒の方が本当にどう考えているのかな、生徒の意向、希望といったようなことも含めてこの修業年限の弾力化について文部省のお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/14
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015・古村澄一
○古村政府委員 先ほど申し上げましたように、生徒の状況が変化して、例えば就業形態というものがかなり変わってきているということ、それから履修の仕方で定通併修でありますとか技能連携でありますとか、履修形態の弾力化が進んでおります。こういった面でかつての生徒に比べれば一年間により多くの単位が履修できるという状況になってきて、現実三年間で高等学校の卒業に必要なほぼ近い単位数が取れる学校がかなりあるという現状でございます。
そこで、今生徒の意向というお話でございましたが、六十三年の一月に定時制高校八十六校、通信制高校十六校の生徒約四千四百人を対象に修業年限に関するアンケート調査を行いましたところ、三年間で卒業を希望する者が定時制課程で約六割、通信制課程で約七割というふうなアンケート調査の結果でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/15
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016・町村信孝
○町村委員 そういう形で生徒自身も弾力化、三年でも卒業できるようにすることを、何も三年で全部出すという意味じゃなくて三年でもいいということを認める方向を過半数の六割、七割の生徒が希望しているということからも、今回の法改正の必要性というのはそういうニーズに沿ったものである。その辺が私どもも今回の法案に賛成をしたい大きな理由になっているわけでございます。
これに加えまして、定時制あるいは通信制をより魅力的にするためのいろいろな方策、今回の法改正にとどまらず例えば地域に根差した、地域にはいろんな独自の産業があったりするわけですけれども、そういうものと例えばタイアップした科目の設定でありますとか、あるいはこれもさっきからお話しになっておりますように、一単位でも落とせば留年というような過度に厳密な学年制というものの運用を見直して、より単位というものに注目して運用していく、こうしたいろんな創意工夫を図る必要がある、こう思いますが、この点についてお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/16
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017・古村澄一
○古村政府委員 定時制、通信制をより魅力あるものにということで、文部省におきましては五十九年九月以来有識者によります高等学校定時制・通信制教育検討会議というものを開催いたしてまいりました。昨年十二月にその報告が出たわけでございますが、その報告では、定時制、通信制教育については、一つは、勤労青少年に対する後期中等教育機関としての役割を持っている。それから二番目として、教育の機会の拡大の観点から多様な履修形態を提供する後期中等教育機関としての役割を持っている。それから三番目として、生涯学習の観点から後期中等教育段階の教育内容を提供する教育機関としての役割という三つの役割をあわせ持っている。そういう角度からそのあり方を見直すべきであるというふうな御提言をいただいていることでございまして、地域の実情あるいは学校の実態に十分配慮して地域ごとの改善策を見出していくということが必要だろうと思います。
具体的な方法としては、生徒の学習負担の軽減あるいは学習意欲の向上を図る観点から、各学校の教育内容、方法の改善充実、それから学年制に関する教育課程の運用の弾力化、履修形態あるいは授業開設形態の多様化、弾力化、学校間の連携の拡充ということがいろいろ考えられるわけでございまして、こういった点については、先ほど申し上げました個性化に関する調査協力者会議の検討と相まって、都道府県の設置者とも十分協議をして魅力ある定時制、通信制の進展に力を尽くしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/17
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018・町村信孝
○町村委員 時間ももうなくなりまして、最後に一点だけ、これは地元の定時制、通信制の学校の校長先生初めそういう方々が、北海道高等学校定通教育推進協議会というものをつくっております。そこでかなり地域に密着した幾つかの要望が出ております。これはある意味では定通教育というものを活性化し魅力あるものにするということにも資するのじゃないかと思いますので、全部について詳細にお答えは要りませんが、可能なもの、前向きに考えられるものがあるならばお答えをいただきたいのです。
例えば、夜間の定時制課程のある学校、昼間の学校とあわせ使っているわけですが、そういう定時制課程のある学校については、例えば屋内体育館、これは北海道でありますと、冬授業が終わった後、例えばスポーツをやりたいというときに、暖房設備がないと非常に凍えてしまうわけですね。例えばそういう暖房設備を設置する、あるいは増改築する際に優先的にそういうところに暖房設備を置くといったようなこと、これは地味な話ではありますが、またこれは非情に魅力ある学校づくりには必要なことなのじゃないだろうかとか、またこれも大変小さい話なのですが、全国の定通生徒生活体験発表大会というのが年に一回あるそうでありまして、これに引率する先生、何もそう大きな人数じゃないのですけれども、引率旅費というものが最近予算がなかなか厳しくて、どうも行けなくなってきている。
こういったような問題でありますとか、あるいは単位制高校がことしの四月から石川県、それから岩手県、長野県、三つスタートして、これは全国のそういう先生方が注目しておりまして、札幌にも近い将来そういう定時制課程のある程度の集約化を図りながら単位制高校を発足させたらどうか、こういう動きなり希望なりがあるのですが、そのために準備をしなければならない。したがって、やや先行的に、実は今札幌の北区の方に札幌ろう学校というのがありまして、これが移転するという話があるので、将来の単位制高校をつくるためにそこをあらかじめ先行取得をしておきたいのだ、こういうような要望があるのですが、なかなか用地取得を予算化するのは難しい。今は起債でやっているのだろうと思いますが、起債をする際にそれを優先的に認めるような指導を自治省と一緒にやっていただくというようなことなど、ほかにもいっぱいありますけれども、主要な二、三を申し上げましたが、その中でもしお答えができる部分があればちょっとお答えをいただいて、私の質問を終了いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/18
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019・古村澄一
○古村政府委員 第一点の、高等学校の屋内体育館の暖房の問題でございますが、これにつきましては、新増改築の場合には国庫補助の対象にするというのが今の制度でございます。そこで、既存の屋内運動場を大規模改造してそこへ暖房を入れることはどうかということにつきましては、これは六十四年度の概算要求において補助対象にいたしたいということで現在概算要求の中に入っておりますので、これについては十分努力をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。その他の問題については、よく関係省庁と御相談を申し上げたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/19
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020・町村信孝
○町村委員 以上でございます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/20
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021・中村靖
○中村委員長 中西績介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/21
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022・中西績介
○中西(績)委員 私は、定時制の今回の扱いについて、二点、法の改正をいたしておるようでありますけれども、それぞれについて先に具体的にお聞きをして、後、高校教育をめぐる問題、これとの関連の中でこれをどう位置づけていくかということでお聞きをしたいと思います。
まずは四十五条の二の関係につきましてお答えいただきたいと思います。
一つは、何と申しましても技能連携が既に二十五年前にさかのぼって行われ始めまして、多くの問題が出てきておると思いますけれども、この技能連携を取り入れるに当たっての目的なり当時言われてきた事柄、そしてさらにこのことの重要性、いろいろあると思いますけれども、まずこの点についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/22
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023・古村澄一
○古村政府委員 技能連携制度につきましては、昭和三十六年に創設された制度でございまして、学校と技能教育施設で同一の教育を重複して受けるという状態が定時制、通信制の子供にある、例えば企業内職業訓練所に行きながら定時制に行っている場合には、企業内職業訓練所の教育を定時制高校の方でその単位として認めてやれば、そういった二重負担を軽減することになって学習負担が軽くなるではないかということから、働きながら学ぶ青少年の高等学校における学科を効果的に行うということからこういった制度が設けられたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/23
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024・中西績介
○中西(績)委員 従来説明をされてまいりましたのは、今局長が言われましたこととあわせて、勤労青少年の高校における学習を効果的あるいは容易にするということが大きな目標になっておったと思います。そして今まで言われてきたことは、高校教育を受ける機会を拡大する、こういうようなことが盛んに言われてきたのではないかと思っています。
そこで、このような今まで言われてきたことを一応肯定するとして、何で今度は文部大臣の指定を地方に、県教育委員会に委譲するのか、この点、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/24
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025・古村澄一
○古村政府委員 三十六年からこの制度をやってまいりまして相当の年月がたちました。そしてこういった制度もかなり定着をしたと私たちとしては思っております。そこで、いわゆる技能教育施設はどういう基準でなければならないか、そういった基準については全国を統一した基準が必要でございますので、これは文部省令で従来どおり決めていくということでございますが、具体的にあります技能教育施設をこの基準に当てはめて指定することのできるものであるかどうかというのは、より身近にあります教育委員会の判断の方が現実的に沿うであろうということが、今回、文部大臣が指定するということを都道府県の教育委員会の指定に変えたゆえんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/25
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026・中西績介
○中西(績)委員 文部省の一応の考え方は、なぜこのような技能連携をやったかということと、その上に立って文部大臣指定を県教委指定に変更するという、このことはわかりました。文部省の言いようはわかりました。
そこでお聞きするのです。まず、この技能連携制度の実態がどうなっておるのか。指定されている施設の数だとか種類だとか、こういうのがあると思いますから、この点と、それから修得を認定されている単位数なり科目あたりがどういうものかということがわかれば、この点、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/26
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027・古村澄一
○古村政府委員 指定されております技能教育施設の現状でございますが、現在指定をいたしておりますのは三百二十五施設でございます。そしてその施設の内容として、専修学校あるいは各種学校という系列に入りますものが百五十四施設。その内訳として、これは教科、いわゆる教育内容で分けていくわけでございますが、家庭科系が九十施設、商業科系が五十四施設、工業科系が十三施設ということに相なります。それから職業訓練所として指定されておりますのが六十七施設でございまして、公共職業訓練所が四十一、企業内職業訓練所が二十六ということでございます。それから准看護婦養成所というものも指定しておりますが、これは全体で百二施設でございます。それから農業大学校の高等科を二施設指定いたしております。それを合計いたしますと三百二十五施設ということになっております。
今度は連携措置の対象となっております生徒数ということで見てまいりますと、定時制課程の子供は、二千七百五十二人という生徒が連携措置の対象として学んでいるものでございます。それから通信制課程につきましては三万三千二百五人ということで、これは六十二年度の調査結果でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/27
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028・中西績介
○中西(績)委員 そういたしますと、大体どれくらいの単位が取られておるかということ等についてわからないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/28
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029・古村澄一
○古村政府委員 一番単位がたくさん取られているといいますか、割合が多いところといいますのは、三十単位から三十九単位というところが一番多い。それから二十単位から二十九単位というところがその次という感じでございまして、全体の中で三十から三十九単位が四四%、二十から二十九単位が二一%ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/29
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030・中西績介
○中西(績)委員 そうしますと、今お答えいただきましたのを見ますと、施設数の変遷を見ると大体わかりますけれども、職業訓練、特に企業内におけるものはだんだん少なくなってき、半分以下になっているということが言えるわけでありますから、全体的に今説明されたところを聞きましても、定時制で連携措置の対象となっている生徒数は一・九%ですね。それから通信制の場合はさすがに二二・四%ということになっておるようでありますが、特に定時でいいますならば、それは二%足らずということになってくるわけですね。
そしてその変遷を見てみましても、この専修、各種学校等におきましては余り総数においては変化がない。それから准看護の場合にはむしろ減少をしておる。その他のものを見ましても、これはうんと激減をしておるということになっています。ということになってまいりますと、連携教育というのは長い間やられました。特に従前は生徒の数が物すごく多かったわけですから、多い中での数、それから減少しておるということになってまいりますと、総数から言うならば、連携教育という制度を設けたけれども、大きな伸びはないし、むしろ減少しておるとしか言いようがないわけです。このことをまず一つここで確認をしておきたいと思うのです。
やられておる中におきましては、今言われるように三十から三十九単位、そして二十から二十九単位、この二十単位から三十九単位が大体過半数を占めているという現況ですね。ですから、こういうことを考えてまいりますと、今改めてこうした連携教育について何か新たに道を求めていくことを目標にするのか、あるいはこれをすることによって定時制教育が、私たちが期待をするような、本当に勤労青年がそれを求めておるかどうかということなしには改正する必要はないと私は思うのです。
そこで、指定を文部大臣から教育委員会に変える理由は先ほどお聞きしましたけれども、より身近にあるところが云々とかなんとか言いましたけれども、そうであれば、二十五年も経過しておるわけですから、早くやるべきであって、何らかの関連があってやられておるのじゃないかという感じもするのです。言いかえると、まとめますと、技能連携制度の拡大を図りながら、さらに後に出てくるであろう定時制の単位制から全部の問題を総括的に変えていくためのこれが一つの初歩的な動作であると考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/30
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031・古村澄一
○古村政府委員 技能連携施設が昭和四十五年くらいから変遷を見てみますときに、そう目立った伸びがないということはおっしゃるとおりだと思います。それは、先ほど申し上げましたように、全日制課程への進学率が上がったことが定時制課程の生徒がかなり減ってきたことと連動していると思いますが、私たちがこの技能教育施設の指定の権限を教育委員会におろしたいといいますのは、先ほど申し上げましたように、もう三十六年以来制度として定着をしていますし、今までも施設の指定で申請書を上げますときには都道府県の教育委員会を経由してやってもらってきたという経緯がございます。
都道府県の教育委員会もこのことについてはかなりなれておられるということ、あるいは今までの指定した施設がかなりありますから、そういったものとの比較ができるだろうということからすれば、都道府県の教育委員会へ指定の権限をおろしても別に現在は支障がないだろう、その方がよりきめ細かな内容が見れるのではないかと思うわけでございます。したがって、定時制教育全体の改革の中での一環ではないかということではございません。これは別の問題だというふうに意識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/31
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032・中西績介
○中西(績)委員 時間がございませんから、細かく言いたいんだけれども、省かしていただきながら論議をしておるのですが、今まで出てきたところからいたしますと、二十五年たてば定着をしないなどということは言われぬですね。口が裂けても言えぬですよ。だから、定着をしたと言わなければならぬ。だからということを理由にすると、今改めてこれを持ち出すこと自体が、本当に地方分権、教育自治を目指すということがあなたの口からちゃんと出て、それを裏づけるものがあるならこれは私たちも考えざるを得ない。しかし、そのことは出てこない。
そのことが出てこずに、なれてきたとかきめ細かくやるとか一般的な指摘と分析の中から今これが改めて出されてきておるというところに私たちは別の意図があるのではないかとしか言いようがないわけです。文部省が今までこの指導要領なりいろいろなことで拘束をし、枠をはめてきて画一的にしていった、これを全部取っ払いますと、その中の一環でありますとか、教育分権あるいは教育自治をこれからさらに拡大をしていく端緒になりますとかいうようなことにならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/32
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033・古村澄一
○古村政府委員 これはそういった教育制度全体を改革する中の一環ということではなくて、先ほど申し上げましたように、技能教育施設の権限を今おろしても実態上のあれはないということからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/33
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034・中西績介
○中西(績)委員 このような余り効果のない論議をしてもしようがないのですけれども、どうもそこいらが私は教育改革の名で、先ほど町村委員の方からも言っていましたけれども、教育改革、教育改革、すばらしい教育改革みたいな言い方をするが、そうであれば基本的にそうしたものを踏まえておるということにならぬと、この法案を審議するに当たって果たして教育改革という視点からの問題提起になっておるかどうかということを今改めて問い直さなければならぬということになってくるのですね。ですから、私はどうもこの点は、教育改革という視点、そのことはただ今までやらなかったのが残っておったから、あるいは余りにも臨時教育審議会から指摘をされる、その一つに何かつまんできてこれをやるような感じがしてならないわけですね。これでは場当たり的過ぎて私は教育改革にならぬだろうとしか言いようがないわけです。後との続きが出てきますから、この論議はもうやめます。
そこで、この技能連携制度には批判あるいは問題点はなかったかどうか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/34
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035・古村澄一
○古村政府委員 技能連携制度を創設した三十六年当時におきます施設の指定基準というのは、かなりかたいといいますか高いものであった、それが現実にはマッチしないではないかという御批判から、昭和四十年代の初めにその基準を下げたという経緯はございます。そういった経緯はございますが、この制度についての批判を正面から聞いたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/35
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036・中西績介
○中西(績)委員 それでは、この学習の内容だとか、あるいは先ほどいろいろ説明のありました専修、各種学校あるいは職業訓練あるいは准看護その他ございますけれども、そういう内容的なものが果たしてよかったかどうか。そしてまた、企業が優先されまして、そこで改めて定時制に通学をするということになると無理だから、便宜的に企業の中の囲い込み的なものでやるとか、当然企業でやらなければならない研修なりあるいは教育というものをこれに置きかえるためにこういう制度になったとか、あるいは高校の主体性というものがそこには薄らいでいくし、その結果が結局学力なりあるいは教育水準と申しますか、そういうものとのかかわりからいうならばどうだったのかとか、私はやはりいろいろあったと思うのですね。
さらにまた、生徒の側から見ますと、むしろこのことが皆さんが提起をしようとしておる多様性に応ずるということを囲い込むことによって阻むことにもなりかねなかったのではないか、あるいはそれとの関連で選択の自由を制限する、挙げていくと、そうした面のあれが文部省に全然入っていない。そしてしかも、これは場合によっては詰め込みにならざるを得ぬわけですよ。あるいは細切れにならざるを得ぬというようないろいろな問題があると思ったけれども、そうしたことが一切入っていなくてこのような改革をしていくということになりますと、ますます何もない中で、よかったよかったということが聞こえたのかどうか知りませんけれども、いずれにしても今度はただそのことを教育委員会に移す、そのことで一つの大きな改革あるいは実績を上げていく、こういうことになるだろうか。私はここら辺が随分抜け落ちておると思うのですけれども、文部省はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/36
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037・古村澄一
○古村政府委員 例えば具体的に事例として何か問題が出てきたということは過去にあったかもしれません。私もそこまで詳しく承知いたしておりませんが、制度全体について、技能教育施設について欠陥があるとか、そういった点での御指摘はなかったというように認識いたしております。
したがって、向こうの施設の学習の内容を高等学校の履修した教育課程とみなすわけですから、あくまで高等学校側が主体性を持っていくということでこの技能教育施設との連携は運営されていると思っておりますし、その仕事が今度都道府県の教育委員会におりていきましても、その具体的な教育委員会の運用の仕方でございますけれども、自分が指定した施設において不十分な教育内容があるかないかということを教育委員会側としてはチェックをする、いろいろなところでそういった主体的な機能も教育委員会側にあるわけでございますので、教育を受ける子供の側から見れば、これはプラスに働くだろうと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/37
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038・中西績介
○中西(績)委員 私も定時の現場を経験したことがございますので、実際にこういうものの改善だとかなんとかよりも、これは後で論議するつもりだったけれども、例えば就学保障をどうするかというようなことをむしろ大胆に文部省なりなんなりが指導することによって、県教委がそうした保障面で、例えば働いておるところに対して、企業主に対してあるいは家庭に対して、そうした面において、この長い期間にやるべきことがまだたくさんあったのではないか。
私たちが、今でも現場でやっておるのですけれども、定時というものがあるよということから、自分たちで金を出して宣伝をしなければならぬという弱さを定時は持っているのです。教師が自分たちで金を出すのですよ。金を集めて、ポスターをつくって、それを張りつけていく。自分たちで企業に行って、こうあるから通わしてほしい、そして超過勤務などはこの子にはできるだけやらせてほしくないというようなことを含めて、まだたくさんあります。一生懸命やっているという定時の問題がむしろスポイルされておって、このような制度だけがひとり歩きをしていくような感じが私はしてならぬわけです。一番肝心な改革はまず環境づくりですね。環境ですよ。この子たちが通える環境はどうしたらできるかということから始まらなければならぬ。基本的なものを考えなくてはならぬと思うのですよ。そこいらが本当にあれされておるかどうかということが一番の問題なんですね。
だから、先ほど私が求めましたけれども、そういうものを制度的に変更すべきだというような意見はなかったということだけであって、その中身がどうだこうだということについては細かいものがないわけですから、また局長もずっとかわってくるし、そこを担当しておらなければそういうことについて具体的に細かくは知らなかったと思うけれども、それくらいに複雑な問題がこの中には含まれておる。こういうことから考えますと、先ほど私がちょっと指摘しまして、今度もう一度答えてほしいと思うのだけれども、施設の指定を教育委員会に任せて、教委の自主判断を尊重していくことになるわけですから、教育の地方分権、それから教育の自治、こういうことをこれから推進をしていくという、これが一つの大きな突破口と申しますか、私たちから言うと突破口、皆さんから言うなら誘い水になるかどうかということを考えておられるかどうか、ちょっとお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/38
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039・古村澄一
○古村政府委員 教育の地方とのかかわり合いの問題につきましては、地方自治法なり地方教育行政の組織及び運営に関する法律ということで、一応国と地方との分けというのはできておるわけでございまして、そういったその根幹に触れる大きな誘い水になるかということになりますと、今の段階では、私たちとしては、技能教育施設の指定権限を都道府県におろすということは先ほど申し上げました理由であるということでございまして、そういった先を見ました遠い将来の話まで今申し上げるわけにはまいらないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/39
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040・中西績介
○中西(績)委員 ですから、私がさっきから指摘をしておるように、教育改革論議としてこれが値するかどうかということになってまいりますと、私は、ただ簡単だからこの面だけを変えるということだけであって、改革論議の中にはこれは入ってないと言わざるを得ないわけですね。だから、そうすると、さっきの町村さんの質問等で盛んに吹聴されておった教育改革論ということとはこれは無縁に近いということを確認をしておきたいと思います。これは何回言いましても今のような答えしか返ってきませんから、もうそのように断ぜざるを得ないと言いたいわけでございます。
そこで私は、これとのかかわりで、技能連携を拡大をする、教育委員会なりなんなりに委譲することが技能連携ということをさらに重要視すると
かなんとか、そういう理由もまたないわけですか、そこいらはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/40
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041・古村澄一
○古村政府委員 先ほど申し上げましたように、技能教育施設の水準をどう保っていくかということにつきましては、昭和四十一年に一回緩和をいたした、そして今まで来ているわけでございます。したがって、私たちとしては、水準そのものにつきましてはこれを保っていきたいというふうに思っておりますが、技能教育施設の対象となる科目、例えば音楽とか美術とか、専修学校や各種学校でやっておりますが、そういったものがいわゆる連携する対象科目になり得るかどうかということは検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/41
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042・中西績介
○中西(績)委員 いずれにしましても、三十分かかった論議というのを振り返ってみましても、どうも臨時教育審議会の中で出てきたその一部、そういう文章があるとすると、それを何とかここに具体化するという、そういうものでしかないような感じがしてなりませんし、今私たちが一番要求されておる、現場の教育を少しでも改善を図っていくという真の教育改革というものから遠いとしか言いようがないような気がします。また後でこれは触れてみたいと思います。
そこで、もう一つの問題ですね。時間がありませんから、四十六条の関係について見ていきたいと思います。
今まで定時、通信課程の修業年限を一律に四年以上にした理由は何だったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/42
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043・古村澄一
○古村政府委員 これは、いわゆる勤労青少年を対象にした高等学校ということを考えれば、その子供の、勤労青少年の勤務形態ということと切り離して議論できないということから、当時の勤務形態から見れば三年間で高等学校を卒業するに必要な単位を修得することはやはり困難であるということから四年以上としたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/43
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044・中西績介
○中西(績)委員 ですから、定時制というのは、全日制課程三年分を、一日の修学時間、修学期間が短いために、同程度、ある程度修得するということになれば最低四年だということを言い続けてきたわけですね。ですから、これは途中で、古い例でありますけれども、いろいろ各県から文部省に対して問い合わせてみても、三年でできるような者についても、あるいは途中で卒業できるような者についてもということの問い合わせ、照会があるけれども、それも全部四年だということで断ってきたわけですね。それくらいに固執しておった四年制なんですね。それが今度は三年制にということになるわけですから、これは大変な転換であります。
私はそうとらえますが、そうしますと、私は、一番心配をしておる、四年制にということの理由の中で言っておられました教育上の問題と保健上の問題、それから勤労青年の保健上いわゆる体力的なものから来る、これは一挙にとらなくちゃなりませんから、あるいは時間を延長しなくちゃなりませんから、果たして可能かどうかという問題が出てくるのじゃないか、言いかえますと学ぶ者の利益というものにならないのじゃないかという感じがするわけです。
ただ高等学校卒業という何か認定をする、あるいはそれだけが欲しいということになれば、三年ということになれば、確かにそれは三年の方がいいという単純な答えは出てくると思います。しかし、ここで問題になりますのは、詰め込みをさらに強化していかなくちゃならぬということがあれば、今問題になっておる、私たちが一番心配しておる子たち、低学力あるいは学習に対する意欲の欠如した子たち、あるいは非行、多くの問題が定時制の中には依然としてあるわけです。これはもう普通高等学校、全日制にだってあるわけですから、こうした問題を果たしてこのことによって拡大していくのではないか。
詰め込みになったり短期間でやらなくちゃならぬということであれするとすると、ついてこれない子たちがたくさん出てくるだろうということを予測しなくてはなりませんから、そうすると、今言うような問題を解決どころか、逆にそれは拡大されていくのではないか、こういうことを私は心配します。したがって、これについてのお答えが一つ。
それから、もう一つ申し上げたいと思うのは、この八十単位。八十五単位を八十単位にしたのですね。八十単位以上ということになっていますけれども、このカリキュラムを組むに当たって、この前文部有の方にお聞きしたのでは、八十単位以上実施しておる学校というのは定時で全部で四十六校、ここで三年で卒業できる方途を開けと、今町村委員が、どこでお聞きになったか知りませんが、そういう意見があるということを言っていました。しかし、それは昼間定時で一日五時間の日程をこなしておるところだとか、技能連携をうまくやって、夜間四時間やっておるところあたりで技能連携の特別うまくいくところ、こういうところが八十単位以上。定時だけでも全国千校ぐらいあるわけですから、そのうちの四十六校、通信まで入れるとそれに十二校加わるわけです。ですから、お聞きしておるところでは、定時で七十以上のところが百五十校ぐらいあるから八十単位というのは可能じゃないかというようなことを言っておるようでございますけれども、そういうカリキュラムが果たして組めるかどうか。それは前の詰め込みだとかいろいろなこととの関係の中で私は危惧をするものですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/44
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045・古村澄一
○古村政府委員 四十年前の定時制教育を発足させたときと時代がかなり変わってきて、いわゆる労働時間が短縮されたとかパートタイムがかなりふえてきたとか休みの日がふえたとかいろいろなことで、片方、労働条件というのはかなり変わってきておる。それから片方で、履修の方法として、定通の併修でありますとか技能連携でありますとか、そういった履修の多様化が進む。ということの中で現実を見たときに、三年間で八十単位以上修得可能であるという学校があるということになりますと、そういった学校について三年で卒業を認めてもいいではないかということがこの提案理由でございます。
すべての定時制、通信制高校を三年に引き下げるということでなくて、そういった条件ができている学校については三年で卒業できるコースを認めてもいいではないかということがこの提案の中身でございますので、そのことによって従来よりも無理して詰め込んでいくとか学力の不足をそのままでやっていくとかということにはならないのではないか。これは学校におきます実情の範囲内で十分判断してやっていける道を開くということで御理解いただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/45
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046・中西績介
○中西(績)委員 先ほどお答えあったように、四千数百人調査した結果が、六十何%三年間という。だから、私が言うように、単純にそれを考えればそういう答えが出てくるだろうと私は思う。しかし、先ほどから指摘をしておるような事柄からいたしますと、逆に、もしその中で、三年にしたときについてこれないという生徒だって出てくるわけですから、詰め込み強化になったり、あるいは学習機会を狭めてしまうような格好になったり、全日制で今問題になっているように学校に行ってもおもしろくないというような格好になってきたりというような、ですから、多様化というならば、その中身というものを相当検討しておかないと解決にはつながらないのではないか、そういうことを私は非常に強く感じるわけです。
ですから、八十単位以上取れるところは三年で卒業させてやればいいという安易なこうした考え方のようでありますが、もし学生なりあるいは父母の要求が強くて、小規模校、これはもう御存じのように、五十人程度の定時制が今や二〇%を超えているでしょう、こういうような状況から考えますと、三年卒あるいは四年卒で、例えば両方の要求によって課程を設置したとしますね。そういうことになってくると、教員の配置など人的な配置あるいは物的な環境整備というものを考えると、それに応ずることができますか。そういうのを全部今度文部省は保障するということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/46
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047・倉地克次
○倉地政府委員 ただいま三年の定時制の課程と四年の定時制の課程が併置されたというような問題のことでございますけれども、私どもといたしましては、三年の定時制の課程につきましては、基礎的な教諭、養護教諭の定数などにつきましては、修業年限が三年になるわけでございますので、全日制の課程に係る算定方式を導入したいというふうに考えておる次第でございます。
ただ、今お尋ねの併置の問題でございますが、これは先生のおっしゃるようにいろいろな問題があろうかと思うわけでございます。そうしたことから、今後の各都道府県におきます学校の設置状況でございますとか運営の実態などを十分見きわめた上で全国的な措置はしてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/47
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048・中西績介
○中西(績)委員 四十人学級にいたしましても、これは後で聞くつもりだったのですけれども、高校の学級定数の問題だとかあるいは教員配置の問題等を含めまして、まだまだ問題はたくさん残っておるわけです。ですから、そういう問題等が今全くうまく進んでおらないし、あと三年間、これをどうするだろうかということを私は聞こうと思っておったのですけれども、そういうことと関連づけてこういうものを導入をしたときに今皆さんが言われるようなことが本当にできるだろうか。
各県の段階で主体的にそれる考えてやるということになるだろうけれども、先ほどのアンケートをとったあれからいきますと、三年間というものの魅力、単純な魅力というのはあるんですね。ですから、学力だとか、そういう問題をらち外に置いての論議だって出てくるわけですから、小規模校などを含めまして、果たして多いところでこういうことができるだろうか。そこは要求は強いけれども、それはだめだということになれば、これは今度は機会の均等にはならぬわけです。そういう機会を与えてやるということにならぬわけですからね。ですからこのことはよほど慎重にやっておかないと、財源的なものからすべてを考えたら、今の文部省でこれは大胆な発想だなと私は感じるわけですが、そういうことが果たしてできるかどうか。
今の局長の答弁によりますと、これはまたこれから検討課題なのであって、今これをこうするというようなことにはなっていないんですね。しかし、それくらいのことがなければ法律を改正すべきだとは私は思いませんね。裏づけがちゃんとなくて、環境の整備がなくて、例えばこの前石川県のあれを調査に行きましても、定数はふやしたわ、制度は変えたけれども、環境は全然変わっていないわけでしょう。十五分くらい離れたところに体育館を借りて、そこまで予備体操のつもりで駆けていくとか、いろいろなことをしなければならぬというようなことが次々に出てくるわけですよ。
だから、こういうことが果たして本当に今考えられておるような改革になるかというようなことと関連づけていきますと、これまたあれに出されておるわけですね、臨時教育審議会の第二次答申の中に、四年以上となっている定時制、通信制の課程については三年の修業年限にできるようにということ、これが出てきたら今度は、そして第四次には六年制から単位制から修業年限、それから連携教育というようなものを全部最後まとめて出していますけれども、そういうものが出たからこのようなことを手がけたような気がしてならないのですけれども、それとの関連はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/48
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049・古村澄一
○古村政府委員 確かに臨教審の答申の中に入っておりますし、臨教審の答申は政府は尊重するということに法律で決まっておりますので、私たちはその臨教審の答申に沿って仕事をするというのは一つの仕事だろうというふうに思っておりますが、この問題につきましては、従来から、もうちょっと古いときからも定時制高校の修業年限についてはもうちょっと弾力化したらどうだというふうな御提言は中教審なりあるいは文部省の調査協力者会議とかということからも受けている問題でございまして、そういったことで機は熟しているということで今度提案いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/49
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050・中西績介
○中西(績)委員 私は、千校近くある中で実際に八十単位以上取っておるところの数からいたしましても、それから変遷からいたしましても、必ずしも今局長が言うように機が熟したという、その機の熟したというのをどれで判断したかということが非常に不明確なんですよ。
さっきから私、指摘をしておるように、これは大変な改革ですからね。大変な改革をするときに、機が熟した、だからやるのだというけれども、従前からのあれをずっと見てきても、それは余り変わっていなかったとしか言いようがないわけです。その動機になったのは、私はやはり臨時教育審議会、これが言ったからそうせざるを得ないというように踏ん切ったのではないかとしか言いようがないわけですよ。
そこで、私はこの問題について、三年にした場合にもう一つの問題提起をしてみたい。それは、大学受験のために効率化されていく。あなたたちが効率化という言葉を盛んに使いたがるから私はこれを言うのですけれどもね。拘束時間が多い全日制を拒否をして定時制高校三年卒課程に在籍し、そして今度は終わったら予備校に行く、こういう態勢がとれるわけですね。ということになってまいりますと、これは後で触れますけれども、高等学校の教育、なかんずくその中での勤労青少年を中心とする定時制教育、その中に、今の大学進学ということによって高等学校教育が大変混乱に陥っておるわけですけれども、それをそのまま今度はここに拡大して持ち込むということになる。このことについては論議しておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/50
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051・古村澄一
○古村政府委員 具体的にそのことについてきちっと論議をしたということはございませんが、結局、先ほどから申し上げておりますように、現在三年で卒業できる学校がかなりあることについては、やはり三年の道を開いていいではないか、そのことが高等学校の弾力化にもつながるし、いわゆる生徒の側にとってもプラスになるということで提案をいたしておりますが、今おっしゃったようにこれが大学とのつながりがくる、大学の受験競争に子供を駆り立てるものではないか、そういった考えには私はにわかに御賛同できない。
といいますのは、三年が終わって、あと一年間予備校に通って、そして大学へ行くということは、その一年間でもその子供はやはり働いているわけですね。勤労青少年ですから、ずっと働いていて、そして三年間で高等学校を終わった。終わったときはまだ働いている。そのときに大学へ行くということが、私は大学に行くことについていい悪いを申し上げているわけではございませんが、そのことが大学受験に引きずり込んだということにはならない、直接つながらないというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/51
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052・中西績介
○中西(績)委員 いや、あなたはならないと言うかもしれませんけれども、あえて言うならばこれが定時制高校の独立校であった場合、これは割合にそういうことが維持できるかもしれません。しかし、定時制ということを使わずに何々高校ということで普通高校なりなんなりであると、例えばある学校のように、十三時から四時間の授業をやる。昼間ですね。そして五時に終われば今度はそのまま、時間があるわけですから、できますね。そうすると、やはり私たちが注意をしなくちゃならぬのは、定時制教育というのは何なのかということがもう一度問い直されなくちゃならぬ。大学に行くことは構わぬですよ。構わないけれども、それを塾的なものとして、高等学校教育そのものを我々が論議せずしてそこいらだけが拡大されて利用されていくということになりかねない。
ところが、考えようによっては、大学にどんどん行く子たちが定時にたくさん来たということになれば、定時は、私はこの言葉は余り好きでないけれども、活性化されたと言うんですよ。そしてしかも、定時が多様化された多様化されたと言っているけれども、私が定時に勤めておるころなんというのはそれこそ多種多様の人たちがたくさんおったのです。今よりうんと複雑だったんですよ。だから、今ちょっとあるということをとらえて多様だという論議は私は誤りだと思うのです。定時制教育とは何なのかということを中心に置いて、それに中心的にスポットを当てた上でどうなのかということを論議しておかぬと誤ると私は思う。
あなたはこの問題については大学受験のために——私はあえて効率化ということを言ったわけでありますけれども、効率化ということを盛んに皆さんが言うから、それを言うと今言うような問題が出てくるんではないですか。しかもそれが普通高校だとかなんとかということになれば。今のみんなの物の見方というのは、そういう方向に向けてみんな物を見ようとしているわけです。だからその誤りは誤りとしてやはり文部省なりが正していくということになってこぬと、私は、このことが屋上屋を重ねてさらに混乱が拡大をされていく。そのことを称して活性化と言えるのかという問題とあわせ考えていかぬと、将来的には大変なことになる。
これはまた後で嶋崎さんの方からもあろうと思いますけれども、確かにそれは学力の低い子たちだけでは学級経営だって何だって困難ですよ。その中にある程度総合的に物を考え得るような子たちが入ってくれば、それは教育的には本当に効果がありますよ。そのことを私は否定しません。しかし、それが今度はそこが膨大に膨れ上がっていったということになれば、ですから例えば一つの学校の例を挙げて、募集したときに一クラスを募集したらそこは倍以上、百以上。今度は夜間は二クラスを募集したけれども五十名程度。逆転したわけですね。一、二が、今度は受験生の数はそうなっていっているんですよ。だから今度は二クラス、二クラスの編制をせざるを得なかったという例等もあるわけですよ。
じゃ、それがなぜ膨れ上がったかという本格的な論議がされておるかということになると、まだまだ不十分だと思います。私も指摘をしません。しかし、今までの傾向からすると、そうなりやすいという要因を持っておる、そう言わざるを得ないわけです。ですから、この点はここではまだ論議し尽くせませんけれども、もう一回これは実態なりなんなりを調査したり、いろいろなことを時間を経過してみて本格的論議をし尽くさなくてはならぬ点じゃないかと思うのですね。そこで、今三年制を通しちゃうともうそれはそれだけがひとり歩きしちゃうわけですから、これは困ったものなんです。
私はこうした問題についてはもう少し謙虚に慎重にやってほしかったとしか言いようがないのです。本当に教育改革をするならそれが必要だったのです。前のは教育改革じゃないからね。これは皆さんが臨時教育審議会から出たからしようがなしにやっているようなものだからまあまあとしましても、しかし、これだって問題が、まだ内容的に検討されていったかどうかという点でさっきの答弁だけでは問題が残っている、私はこう言わざるを得ません。
そこで、今度は高等学校教育と定時制、通信制教育とのかかわりについて聞きますが、四十一条あるいは四十二条に目的あるいは目標が設定されておりますけれども、現状はこれに合致しておると思いますか。高等学校の目的あるいは学校教育目標、四十二条。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/52
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053・古村澄一
○古村政府委員 四十一条では、「高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、」「高等普通教育及び専門教育を施す」ということを書き、そして高等学校における教育目標として四十二条に一号、二号、三号とあるわけでございますが、現在の定時制、通信制高等学校はこれにマッチしておるというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/53
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054・中西績介
○中西(績)委員 合致しておるという言い方をするならば、むしろ問題が顕在化してきておる全日制についてこうした問題等について手がけるところがたくさんあったのではないか。なぜ定時、通信制のみに集約されていち早くこういう問題が出てきたのか。ここをお聞きしたいと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/54
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055・古村澄一
○古村政府委員 ちょっと、今おっしゃった意味はわかりました、マッチしているかという意味が。といいますのは、この四十一条、四十二条に沿ってつくられているのが現在の高等学校、全日制であろうと通信制であろうと定時制であろうと、というふうに思います。それでは今の高等学校そのものは、全日制についてこれをフルに期待されるだけその個性に応じた教育とかそういうことがなされているかというお話だろうというふうに思います。
これについては現在高等学校の個性化教育の推進に関する調査協力者会議というところで、全日制も含めて高等学校教育をいかにしたらより個性化していくかということについて調査研究をこの七月から始めたところでございまして、今のいわゆる提案しております学校教育法の改正の中身とは別の問題として検討いたしておりますが、この提案いたしておりますこのことにつきましては、先ほどから申し上げておりますように、定時制高等学校の弾力化ということでひとつ御理解をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/55
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056・中西績介
○中西(績)委員 それで、私が言っておるように四十一条の高等学校の目的と四十二条の高校教育目標、これに合致をしておるということになれば、定時制の場合、私らが考えますとむしろ不足をしておるということであれば、これをさらに推進をしていくことが大事じゃないかな、私はこういう感じを持っておるのです。
ところが、さっき私が申し上げたように、主要な環境なり人的なもの、こういうようなものがまだまだ不十分なのにこういうところを改革と称して手がけている。改革不必要なところを手がけている。これは私はちょっとうなずけないわけです。古いかもしれないけれども、とにかくこの高等学校の目的なりの中に明らかになっておりますように、高等普通教育、これは特権的な高校を排除するということが一つの大きな目的であったし、あるいは、どこを見ても完成教育を目指すという、調和のとれた人間形成を目指すというのがその中心に据わってきておったわけでありますから、その上で今中心になる勤労青少年のここをこれからどうやっていくかということが物すごく大事になってくるわけです。
しかも、定時まで入れますと先ほどから言っているように九四%の人がもう既に進学をしておるし、準義務的な性格を持ち、国民教育的性格を持っておる。この中の定時制、通信制ということにスポットを当てて、そこでの本格的な論議にこれがなっておるかどうか。ちょっとだれかが言ったからというようなことだけで、臨時教育審議会のこうした案が出されたからということによってのみこれがされておるんじゃないかというような感じがしてならないわけです。最も大事なところが抜け落ちておるんじゃないか。
ですから、今全日制については何か検討する、七月から始めたというようなことを言っておりますけれども、では定時については、そうしたことが本格的にやられてそれが済んでやはりこうすべきだということがあってのこれになっておるかどうかというと、そうじゃない。とすると、私はそこに定時を見る目、通信を見る目が文部省において、行政においては、極端な言葉を使うと全日と定時、差別的なものになってはせぬかと言いたくなる。だから、この点もう一度あり方について検討をし直していただけないかと思うわけです。
そのためにはもうちょっと深まっていきたいと思いますけれども、六十四年からはいよいよ生徒の数はピークになりますね。ところが、一番大事なことは、私が差別だと言うのはそこなんですけれども、これは六十一年の古い数字でありますけれども、高校総数が五千四百九十一で生徒の数が五百二十五万九千四百六十三、前年度に比べて、六十年よりも八万人増加しておるにもかかわらず、学校数の増加は三十八校です。収容し切れない。特にまた全日制の場合、公立五千六百人増になって学校は二十三校減っておる。定時が増になる、生徒も全日で収容できないから定時に、こういう形態がどうしても起こってくるわけですね。そうなってまいりますと、全日制に入学したくともできずに定時制に来る子たちが相当おるということを考えなければならぬ。これは来年、六十四年まで継続しますね、毎年、ピークですから。
だから、多様化という意味は、ちょうど臨時教育審議会あたりが調べられたこうした時期はその時期に合致をしておるとしか言いようがないのです。ですから、そこで今度は働いておる、就労しておる子たちにいろいろな形態が出てきておるというのも、全日制を希望する者は遊んでおるわけにいかぬから働くということになれば、結局パートだとかなんとかを多く採るようになるだろうし、腰かけでいいのだったらということでもって結局正規の従業員になっていないという人だっておるわけでしょう。だから、多様化しておるんだということで片づけていくかどうか、ここらについてももう少し真剣に減少期に入ったときにどうなるだろうかということを考えた上で今検討をしておく必要があるのではないですか。その点はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/56
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057・古村澄一
○古村政府委員 いろいろなことを見越していろいろな制度をつくっていくわけでございますが、いわゆる生徒数の減少期とこの三年にすることとの直接のリンクというものは余り考えなくていいのではないかというふうに思います。
それよりも、将来、これから後の労働の状況を見れば、やはり労働時間の短縮というのはますます強まっていくだろう、とすれば余暇が出てくる、余暇が出てきたときに勤労青少年はより学習の時間が出てくるということをよく見た方がいいのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/57
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058・中西績介
○中西(績)委員 このような小手先のことをやる前に将来を見越してやることがあるのではないか。それは、先ほどあなたがはしなくも就労時間が短縮すると言われたけれども、ところが、こういう小手先のいろいろなことをしていくということは、私たちが就学保障させるためにいろいろなことをやるけれども、こういうものを設けていけばいくほどどうなるかといえば、逆になるのです。
例えば一部制を三部制にしてごらんなさい。超過勤務をさせたって差し支えぬようになる。いわゆる企業が無理をしておるところに全部合わせていくような今のやり方はやめなさいと私たちは言っているのです。それは、例えば日本で、あれほどやかましく言われておるのに六十二年度が六十一年度よりも就労する時間というのはふえたではないですか。余りにも使用者側、企業の側の利益追求のため、それを認めるためにそういうものを容認してきているのです。
さっきの連携教育だって同じです。あれがどれだけ企業を手助けしたかということです。むしろ就学を保障するという視点から行政を進めていくということでもってやっていかないと今言うように就労時間は短縮されません。むしろ複雑化したということを容認すれば、こっち側がそれに合わせるわけですから。だから、それでは本当のあれにならぬです。全部小手先です。そして、むしろ複雑化を皆さんがさらに助長をしていくということになっていく。
ところが、複雑にした上にどうかといったら、それに対する人的な措置、環境措置、施設設備の措置はやらないわけでしょう。ということになると、どこに矛盾が激化するかといったら、これは細分化すればするほど上積みをしていって、そこに働く教師たちあるいは事務職員たち、あるいはそこで学ぶ生徒たちを混乱させるだけではないですか。そうとしか言いようがないです。実際に当たってごらんなさい。
だから、むしろ今やるべきことは、既存の定時制高校で施設設備の改善をするであろうし、十分であったかどうかということをもう一度再点検をしてもらうことが大事です。むしろ今までは軽視をされてきたのではないですか。それをやるかどうか。
それからもう一つは、人事の面におきまして、新任の校長が定時の校長、新任の教師が定時の教師、それから、正式の教師でなくて非常勤だとかそういう講師をそこに充てていくという人的な面で非常に疎外されたり軽視をされておるという実態を知っていますか。知っているなら言ってください。知らなければ調査をしてこれをちゃんとやってください。それに対する答弁。
これは障害児学校でも同じですよ。障害児学校でも、本当に熟練した教師が多くなくてはならぬのに二、三年の講師をそこに配置をしてどんどんかえておるじゃないですか。定時制が全く同じですよ。そして、定時制から全日制の校長になっていくと栄転をしたと言うじゃないですか。こんなばかげたことがいまだに通用しているのです。
そして三つ目に、学級編制及び教職員定数の改善計画、これが定時制に現在六十三年度までどれだけ措置されておるのか、そしてそれが将来どのようになっていくのか。あなたたちはもう随分手厚いあれをやろうというわけですから、こういうところはどんどん手厚くしてもらわなければいかぬから、これを聞いておるのです。
ぜひこうした点を考えていただきたいと思うのですけれども、この点について本格的な定時制課程、制度の確立を目指すということに重点を置く方が、こんなただ単に臨時教育審議会から出たということだけで——前からあったでしょう。しかし、本格的にこうした問題について論議はしていませんよ、僕らはまだそうしたことを入手したことはありませんから。以上の点についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/58
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059・古村澄一
○古村政府委員 施設設備について今後どうきちっとやるのかというお話でございます。多くの学校はいわゆる全日制との併置、併設校でございますので、定時制分だけという形での施設整備というのはなかなか難しいというふうに思いますが、いずれにしても、学校の教育条件を整えるということは十分やっていかなければならぬというふうに思うわけでございます。
それから、人事について定時制が全日制と若干差別的な扱いがあるのではないかということでございますが、私たちはそういったことがシステマティックに行われているというふうに聞いたことはございません。おっしゃるように定時制から全日制の校長に行ったら栄転したというふうな世の中での言い方というのは聞いたことはございますけれども、そういう形で定時制が全日制よりも条件の悪い形で行われているというふうなことは聞いたことがございません。
なお、学級編制については担当局長から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/59
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060・倉地克次
○倉地政府委員 定数改善計画の問題でございますけれども、現在十二年計画によりまして約一万名の定数増を目指して努力している次第でございます。
それで、その中の各項目でございますけれども、これは定時制と全日制を別々に区分して行っているわけではございませんで、商業関係専門教員でございますとか、それから養護教諭の増でございますとかいろいろございまして、そういうものは定時制、全日制を区別しないで措置しているわけでございます。
それから、そのほかに通信制教育定数の増というのが独自にあるわけでございますけれども、これは計画として百五十名程度の増を図っている次第でございます。
現在の進捗状況でございますけれども、これは全体で約四九%程度の進捗率になっている次第でございまして、今後三年程度残されておりますので、私どもとしては十分この目標に向かって努力してまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/60
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061・中西績介
○中西(績)委員 私、初中局長の答弁を聞いておりまして、初中局長は人事面で意図的にされておらないとかあるいは条件が悪いなどということは聞いてないと言うけれども、これは例えばナンバースクールみたいなところには新任者が少ないし、あるいは講師の数はもうほとんどいない。ところが、今言うような定時だとかいうふうなところには完全に定数だけを確保しておらずに、その年に登録されない者を連れてきて定時制に配置する。それならそれをナンバースクールにしたらいいじゃないですか。あなたは言うけれどもその差はみんなあるのですよ。そして、そこで何年か経験をすると、これから必要だといってみんなから、父母から要求されるような条件が出てくると、今度は全日制に持っていくというようなことが実際にあるのですよ。だからおめでとう、こうなる。一般的な社会的な誤った風潮からすると、そうなるのですよ。だから、やはりそれを聞いてない、上がってきてないということだけで皆さんが済ますとするならば、行政というのは過ちなり誤った行政措置を正していくということから目をそらしておるとしか私は言いようがない。
実際に、そういう問題点は十分把握をしたり、多くの人の意見を聞いたりするということになってこないとだめだと思いますね。皆さん、校長会の意見を聞いたりなんかするでしょう。校長会なんというのは定時制の校長なんて行っていますか。県を代表するものはそういうところの校長は上がってこないでしょう。だから、そういう実態を踏まえた上でちゃんと判断をしていかぬと大変な誤りを犯すのではないかと思うのですよ。ですから、ぜひお願いですけれども、全国の高等学校の講師の配置の状況、常勤講師、非常勤講師の配置の状況、こういうものを一遍調べてみたらどうですか。それから、新任者の配置がどのようになされておるか、あるいは校長の配置が新任者はどういうところに一番最初に配置されたのか、こういうものを一回調査なすったらどうですか。これはもう一遍にそういう問題が噴出しますよ。
ですから、いずれにしましても、整理しますと、多様化されたという高等学校、なかんずくその中の定時、通信というものの中身を詳細にもう一回分析し直す必要がある。そして、それが今度は将来定員数がずっと減っていったときに、これらが維持できるかどうかということが問題になるであろうし、できなくなるときの対応をどうするのか、そして、さらにそこには今度は将来四十名定数を三十五名にするという一学級の定数減とのかかわりの中で、こういうものとの関係の中で物を発想して、将来、定通は定通としてのあるべき姿というものをもう一度構想し直していくという基本的な問題がそこに一つあるだろう。そのための調査と十分な検討、調査をした上で今度は検討機関を置いていただいて、そこでもう一度、教育審議会でこう言ったからということでなくて、本格的に文部省は行政の責任としてやりかえていただきたい。これは何としてもひとつやってほしい。
そして、今申し上げるように、今やるべきことは小手先の問題ではありません。したがって、このような大改革についても、私は単位制高校との関連は言いませんでした、これは後でまた同僚議員から質問をいたしますが、これとの関連も実は深くあるのですよ。そこまで論議をしていきますと、皆さんが今ねらっておる教育改革というものが、先ほどからも言っておるように、これに出ておる技能連携などというものは本当に改革どころじゃなくて、そのねらい、三年というのは大改革になるわけですから、これをあえて今急いでやることが必要なのかどうかということの本格的な論議をもう一度していただければと思います。そうしないと、さっきから私が指摘をしておる定時制の重要性と、そこに学んでおる勤労青少年、その子たちに三年制にすることによってむしろマイナスの条件を、本人たちは三年の方が有利だと思われるかもしれませんけれども、教育という側面から考えたときに果たしてそれになり得るだろうかという、こうしたことを含んで本格的に私は検討し直していただきたいと思うわけです。
ですから、この法案、三年以上と連携教育、この二つが今度の法改正ですが、しかし、法改正する前に既にもう単位制の高校の人たちは三年になってくれればと口をあげて待っていますよ。これを法改正もせずに単位制などというものをちゃんと政令、省令で出して、規程まで全部ばあんと出していっているのですよ。これまた大変なことを犯していますけれども、私はもう論議する時間がありませんから、ここでやりません。あと同僚委員からやってもらいますけれども、こういうようなやり方というのは、教育改革ということになれば、時間もたっぷりとって論議をし尽くしてやるべきではないか。ですから私たちも、例えば私に三時間なら三時間の余裕時間を与えてくれるということであれば、具体的に一つ一つの事例を私たちが持っているものを挙げて説明しながら、みんなにわかるように、国民の皆さんの目に見えるようにやっていけるのです。しかし、この論議はわずか八時間ですよ。私、そのうちの一時間半です。できるわけがありません。教育改革というのはそういう単純なものじゃない。
ですから、最後に大臣に、教育改革と称するものはこのようにだれだれから言われたからとかなんとかでなくて、短時間でやるべきかどうかということ、このことについて大臣の見解をひとつ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/61
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062・中島源太郎
○中島国務大臣 先ほどからの御質疑を拝聴しておりました。みずから教鞭をおとりになった貴重な経験をお持ちの中西先生の御質疑でございますので、私ども傾聴すべきものと存じますけれども、しかし、根本的なところで今回御提案をいたしております四十五条の二あるいは四十六条、特に四十五条の方は教育改革ではないと断ぜざるを得ない、こうおっしゃられますと、私どもの意見も聞いていただきたい、こう思うわけでありまして、私どもは教育改革に即したもの、そして教育改革とは何かということを最後にお尋ねでございますが、私どもは大前提に、教育改革というものは、過去を否定するものではありませんけれども、しかし、社会自体が習熟度を増しますと社会そのものが多様化、個性化、国際化をしてまいる、それと比べて教育そのもの、学校教育そのものが画一化と言われる点がありはしないか、とするならば学校教育そのものを個性化、多様化していくべきである、これが教育改革の大前提であると私どもは感じておるわけでございます。
その中で、先生御指摘のように、この学教法の四十一条、四十二条の中にまさに学校教育の置かれておる立場、つまり生涯学習の中で社会的にどう使命感を持ちつつ学んでいくかということはこの四十二条にも描かれておるわけでありまして、四十二条で、このような目標を持って中学の上にさらに学んでいけという点では、「社会において果さなければならない使命の自覚に基き、」こうあるわけでございます。その中にはもちろん全日制もございますけれども、特に定時、通信制の生徒諸君は既に社会に出ておられる半面で、さらに学び加えておられる方々でありますから、この辺をさらに手厚くしなければいけない。そしてその中では働きつつ、しかも三年で学び終わられる方もあるわけでございますので、三年と固定するわけではありません。三年以上という道を開くことがあり得べきであろう。しかし、それには今の教育と同時に、せっかくつくりました技能連携の制度というものもさらに拡充していくべきであろう。
そこで、先生が御指摘のように、定着とはいうけれども、定時制では二%程度ではないか、通信制では二〇%程度ではないか、こうおっしゃられるわけであります。そこで、定着をしたというのは、この技能連携の基準、水準というものはある程度定着したであろう。ただ、これから社会の多様化、個性化に対してどう対応していくかという大前提の教育改革に即しまして、それでは社会、地域にはそれぞれの地域において多様な、個性的な部門があるであろう、あるいはまた地域に住んでいらっしゃる方のきめ細かい御意見を果たして国で受け入れることができておるのか。むしろその点は地域にその指定を与えてさしあげた方がより密接な技能連携の施設の指定ができるであろう。
これはまさに大前提であります要するに教育改革、社会の変化、多様化に即した学校教育、高等教育のあり方を今進めていこう。これは拙速だとおっしゃられますが、むしろ私どもはおくれていたことを恥じながら今やらしていただこう、こういうことでありまして、先生のおっしゃる基本的な面につきましては、私どもは教育改革にまさに即した御提言であります、こう申し上げさせていただきますので、どうか御審議の上、成立を期させていただきたい、このようにお願いをいたすところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/62
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063・中西績介
○中西(績)委員 時間がありませんから全部に反論することはできませんけれども、画一化を排除するということを言っていますね、個性を生かして自由に。それならやることはたくさんあるというのです、定時でも、どこだって。時間がないから私は言っていませんけれども。
だから、今まではむしろ統制をするということが中心になってやってきているから、画一的にとにかく枠の中でやれ。例えば私たちが現場で一つのクラスを二つに割って、その授業形態は学力が低いから低い学力でもってやろうといって時間割りを組んでやっておると、これをやめさせるのはだれですか、行政じゃないですか。それこそ地域の実態に即応した教育ですよ。その言葉は一つですよ、何か、指導要領に反するからということだけじゃないですか。画一化の最たるものはまず第一にここにあるのですよ、時間がありませんから、ずっと説明できませんけれども。しかも、それをやった人たちを処分するというところがあるんじゃないですか。
あなたたちは画一化を排除する、個性化を、自由をと言うけれども、だからさっき私は聞いたでしょう。県教育委員会に自主性を持たせ、民主的に判断のできるようにあくまでも分権化と教育の自治を促進するという一つのこれになるのですかと言ったら、そうでもないと言う。あなたの言っていることと全然違うのだ、答弁をずっと聞いておりましても、今までの実態からいたしましても。だから問題があるんですよ。
皆さん実態把握が本当にできているかといったら、それはできてない。私が今言ったような指導要領に反するといって処分なんかされているということを聞いたのは初めてでしょう。そういうような事実と照らしてみて、今度のこれが果たして教育改革なのかというと、私はむしろ連携教育だってまだまだやる方法があるんじゃないですかと。それであなたたちが言うように、もしそれを身近なものにやらせるということが教育改革なら、なぜそこでの自主性を高めるために地方分権と教育自治を一つのてこにしてでもさらに進めていくということが言えないのですか、あなたが今それを主張するなら。
一番大事なところになると言葉だけが先走って動いておるのですよ。ですから私は、それは納得できぬ。そして肝心なことを要求すると、それについては答えられない、これではあなたが一方的に言っているとしか私は感じられないわけでありますから。この点、もう時間が来たようですからやめますけれども。
だから私は、自民党の筆頭理事がおるから言いますけれども、今言うように本当にあれするなら、一人三時間なり四時間なりの時間を保障すべきですよ。審議を促進すると言いながら、入るとやめろと来るわけでしょう。こんなばかげたことないでしょう。委員長、ちゃんとしなければだめですよ。こんなばかげたことがどこにあるのですか、審議もさせないわけですから。我々はそれならそれで納得したのですか、最初から。そうじゃないじゃないですか。だからむちゃくちゃなんですよ、今のやり方というのは。国会の権威なんというのはどこにもない。行政が優位に立つという、下請機関じゃないのですよ、ここは。この点だけはちゃんとしなさいよ。そして行政の側は、言うことと実態というものが合致するようにしてもらいたいですね。大臣、それだけはちゃんと心得てもらいたいと思うのですよ。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/63
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064・中村靖
○中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時六分休憩
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午後一時五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/64
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065・中村靖
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。有島重武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/65
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066・有島重武
○有島委員 学校教育法の一部を改正する法律案ということで審査をさせていただきます。
今国会は延長になったわけですけれども、第百十二回国会の文部大臣の所信の中にこの法案の前提条件というものが既に発言をされておったと思います。高校の問題、大きく言えば初等中等教育の改善充実という範囲でございますが、この中で大臣は、「二十一世紀に向かって、国際社会に生きる日本人を育成する」、これが大きな観点だということになっているようですね。
それで、「豊かな心をもち、たくましく生きる人間の育成」、それから「社会の変化に主体的に対応できる能力の育成」、それからまた「基礎・基本を重視」する、それから「個性を生かす」、こういった教育。道徳教育についても一層充実する、こういうことでございましたね。それで、「高等学校教育の多様化・弾力化を推進するため、高等学校の定時制・通信制課程の修業年限の弾力化を図るなど」、きょうはこの法案のように承っております。なお、「四十人学級を始めとする教職員定数改善計画の着実な推進」なんということも書いてございますね。
それで、そうした大筋については私どもも賛同をいたしておるところでございますけれども、きょうかかっておるこの高校の多様化、弾力化にかかわる問題は、それについての修業年限の弾力化と技能連携の地方分権といったことですけれども、これは大きな改革の流れの中に位置づけられているのでしょうね。
今度はそれを展開していらっしゃると思うのですね。その中身は後でやりますけれども。この法案はこれから展開していく上の第一弾である、第二弾はどの辺に来て、どんなふうな展開の仕方をしていこうと大体考えていらっしゃるのか、その辺の大きい展望を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/66
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067・中島源太郎
○中島国務大臣 わざわざ御指摘いただきましたように、百十二国会でも所信の中で述べさしていただきました。二十一世紀を支えるたくましく心豊かな青少年を育成するということをもう少し具体的に申し上げますと、今でも社会が成熟度を増しますと社会そのものが多様化、国際化、個性化をしていくであろう、まして二十一世紀はそれがさらに進んでいく。その社会の変化に対応できるような教育を今行っていかなければならない、そのためには、教育そのものが画一的な面があるとすれば、これを個性化、多様化に即して教育そのものを変えていくべきである、これが教育改革の大きな柱であると思うわけでございます。その中で特に義務教育後、後期中等教育は、まさに社会を見まして社会の使命感を自覚しながら自分の進路を改めて定めていくという、そういう意味では、生涯学習の中の基礎的な部分が学校教育とするならば、後期中等教育というのはまさにその接点で、一番重要なところであろう、こう思っておるわけでございます。
そういう面で、高等学校教育を初めといたします後期中等教育の改革のあり方につきましては、当然臨教審でも一次答申、二次答申でいろいろ御提案をいただいておるわけでございます。また、それに即しまして、文部省におきましても高等学校教育の個性化を推進するための協力者会議を七月に設置をさせていただきまして、その中で七項目あるいは八項目のこれから検討すべき課題というものを明示させていただいて、これを検討していただいておるわけでございます。その中には当然修業年限の問題も入ってまいります。また、全日制そのもののあり方も検討すべきである。また、普通教育と専門教育のあり方、それから高等学校教育と専修学校とのあり方、そういうことも含めて八項目を定めておるわけでございますが、まさにその中の一環といたしまして、今御提案を申し上げておりますこの四十五条、四十六条の問題がございます。
これは、後期中等教育の中でまさに働きながら学んでいくという勤労青少年の方々、それからまた一部には社会に一度出られた方々でもう一度後期中等教育を学びたいという方々のためにより弾力化したものであるべきであろう。そのためには、一つの学校、その他指定をされました技能連携というものをもうちょっと活用していくようにいたしましょう。それで、その活用についての基準、水準というものは文部大臣が定めるわけでございますが、その基準、水準は大体定着をしてまいられたと思いますので、さあ、実際の指定につきましては、一番地域の実情、それから地域の意見が反映できやすい、一番身近な地方行政の教育委員会において定めていただくのがいいのではないかということが一つの御提案でございますし、また、働きながら定通学校その他で学ばれる方々の修業年限につきましても、中には三年で修了される方々が実際おられる以上は、四年以上といつまでも規定していくのはどうであろうかな、この際三年以上ということに、実態に合わせて喜ばれる方法に変えていくことが必要であろう。こういうことで、まさに先生おっしゃいました教育改革の理念の一環といたしまして御提案をいたしておるところでございますので、御理解をお願い申し上げたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/67
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068・有島重武
○有島委員 私、最初に承っておきたいのは、教育改革の一環である、それでその一環として今この法案が提出されておる、僕たちがこれを審査して賛否を決める、こういうことなんですけれども、これだけを見れば私どもはおおむねこれはいい方向だななんて内心思っているわけだ。じゃ、これが来るとその先に何が来るのかなと、そういった胸算用というのは大体おありだと思うのですね。その展開のステップですね、そういうことについてここで多少お話をいただけるかどうか、お漏らしをいただけるかどうか、そういうことを承りたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/68
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069・古村澄一
○古村政府委員 高等学校教育を今後どう持っていくかということがやはり基本に考えていかなければならぬ問題だろうということがあって、そして今は、今提案しております二点については法律改正でございますからお願いしているということだと思いますが、高等学校の個性化を進めていきたいという中身で検討すべき課題として、大臣が先ほど七項目とおっしゃいましたけれども、それを若干補足して申し上げますと、一つは、やはり高等学校が一つ一つ個性を持った、個性のある学校ということについてどういうことをすればいいのかというのが第一点。第二点としては、普通教育と職業教育との関連をどう考えるか。それから第三点が、高等学校同士の連携ということが考えられないか。それから四番目が、高等学校におきます学年制と単位制の関係をどう考えるのかという問題。それから五番目として、高等学校におきます修業年限の弾力化ということを、これは全日制も含めてどう考えるかという問題。それから六番目として、高等学校入学者選抜制度、入学試験というものをどう考えるか。七番目として、高等学校と専修学校との連携の問題をどう考えるか。こういった広い角度からの検討視点を当てて、現在、個性化に関する調査協力者会議で御検討をお願いしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/69
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070・有島重武
○有島委員 ありがとうございました。
今、高校をめぐってのことにずっと局限して言いましたけれども、この際、私どもの方の見解をここで言わせていただければ、教育改革というものの中で学校教育の改革、学校教育体系の改革、これは中心的な問題だと思いますね。私どもは、二十一世紀というのはどんな世紀だ。多少シンボル的な言い方で言うと、生命の世紀だ、こう思うわけですね。二十世紀、十九世紀というものがそれに対してどんな世紀だったろうか、そういった反省があるわけですけれども、生命の世紀にしたい。それで、教育改革というのはほかのあらゆる社会改革の一番根のところにあるのじゃなかろうか。大切だ、こう思うわけですね。
教育改革、改善、改革といってもどんな考え方でいくか。臨教審の方にもいろいろな分析がございましたけれども、私どもは昭和五十八年のときですか、四つの理念というものをつくった。第一番が人間を原点とする教育ということ、第二番目が文化的、科学的な創造性の重視ということ、第三番目が日本文化の継承発展と新しい型の国際人の育成ということ、それから四番目が活力とたくましさを踏まえた自己教育、こんなようなことでもって政策をつくって、改革運動を今私どもも進めておる。だから私の議論は恐らく、そういう路線のところと今文部省がこうやって提示していらっしゃるところとがうまく合うのかな、それが離反するのかな、そんなようなところでの議論になるのじゃなかろうかと思いますので、あらかじめ御承知をいただきたい。
それから、改革を本気でもってやるというのだったらば、税制改革もそうですけれども、どこから手をつけていってどういうふうにやっていきましょうかということを手順をはっきり決めておかないと、おかしなことになっては困ると思うわけです。学校教育体系の中で一つの問題としては受験戦争ということがございますから、そのネックをどういうふうにしたらいいかということを、これは大学改革から手をつけるべきじゃなかろうか、これが私たちの考え方です。特に大学も、入試というのは入り口でございますけれども、大学の出口のところですね、そこから少し改革しなければならぬ、こういうわけです。後で時間があったらまたそういった方の話もいたしますけれども、その次の段階として高校の改革、あと小中の義務教育、これは非常に伝統ある大きな、マッシブのものですから、うかつなことはできないけれども、そういうふうな順序でいきましょう。
それで、高校の問題でございますけれども、高校は一体何をするところか、素朴な話だけれどもそういう議論をちょっとやっておきたいのです。
確かに学校教育法四十一条には目的が書いてあり、四十二条には目標が書いてある、そういった建前と実態、その乖離をどんなふうに今認識をしておられるか、それを承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/70
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071・中島源太郎
○中島国務大臣 大変大事な御指摘でございまして、学教法四十一条、四十二条に明記されておりますように、高等学校のあり方というものは、まさに中学校教育を受けまして、しかも、先ほども申して重ねて申すようで恐縮でございますけれども、社会の一員として、このとおり申しますと「社会において果さなければならない使命の自覚」をまず持ってもらう、それに基づいて「個性に応じて将来の進路を決定」をせしめる。つまり、言うなれば一面では生徒でございます、また一面では社会人としての自覚をそこで促す重要な教育段階である、こういうふうに私は思います。
もっと平たく言えば、義務教育からそうでございますけれども、将来、限られた八十年の人生をいかに意義ある社会人として全うするか、そのために今何を学び、何を補うべきであるかという点がまさに生徒諸君の心構えだと思うのですけれども、中にそれを阻害する要因があるとするならば、進学のための勉強に終始し過ぎている面が一方であるのではないか。したがって、有島先生御指摘のように、大学改革から始めるべきであろうとおっしゃる一つの要因はそこにあるかもしれません。
まさに今や小学校、中学校時代から進学のための、あるいは受験戦争のための勉強という通念が幼い子供さんの中にも植えつけられているともしするならば大変不幸なことでありまして、進学のための、また受験戦争に勝ち抜くための勉強ではなくして、よき社会人になるための基礎教育部分であるというふうに自覚をしていただいた方が生徒自身にとりましても非常に有意義な学び方をされるのではないだろうか、私はそう思っております。もしそごがあるとするならば、将来を見通すはずのものが目前の受験戦争にかかわり過ぎている点があるならば、これはあらゆる面から直していかなければならない当面の問題ではないか、このように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/71
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072・有島重武
○有島委員 建前は、ここに目的、目標が述べられているけれども、このようにみんな努力しているつもりだけれども、実態は受験戦争の中に巻き込まれちゃっている。そういう実態があることは御認識でしょうね。
もう一つは、学生さん側の気持ちですね。僕はときどき若い方から聞かれるのです。何のために高校へ行っているんでしょうか、こう言われるのです。親からも聞かれるのです。ある場合には、非常にまじめな高校の先生方が、一杯飲んで本当にざっくばらんに話し合えるときになると、何のために高校はあるのかねと熱心にやっていらっしゃる。それで、高校に入ったけれどもやめていかれる方も相当おられると聞きますけれども、文部省側ないしは教育委員会側が一生懸命やっておることと、それから先生方が一生懸命やっていらっしゃることとの間に何かギャップがあるのじゃないだろうか。それからまた、そこに通っているお子さん方ともギャップがあるのじゃないだろうか。また、それを取り巻く親ですね。高校へ行かせなかったら人生の失敗者になるから、人生に落ちこぼれたら困るから頼むから行っておくれ、こういう感じの方もいらっしゃる。そういうような意識のずれですね。今は四つのエレメントを申しましたけれども、そのおのおのの意識の調査を何かなさったことがおありになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/72
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073・古村澄一
○古村政府委員 調査ということでございますが、先生側から生徒を見た意識、今の子供はどういう生徒であるかという点での意識調査をしたのがございます。それを見てみますと、共通に言っておりますのは、昔の生徒と比べて好き嫌いがはっきりしているが一つのことに集中してやり遂げる根気に欠けているというのが一番多く、二番目は、世の中のことをよく知っているけれども夢が豊かではないといったようなことがよく言われております。
そこで、子供側の考え方というのが非常に多様化しているであろう。従来といいますか大分前の高等学校、いわゆる昔の旧制中学校から比較しますと、そのころの子供はやはり目的意識があって上級学校へ進学していった。しかし今の子供はそういう目的意識を定かに持っているかというと、その点についてはかなり疑わざるを得ない部分があるだろうと思います。今は高等学校に行くのが当たり前であって、隣の子供も行くから行くというふうなことになっている面がかなり多いということがございます。
と同時に、今度は教員の側を見てみますと、先生の方は、九四%も入ってきて、子供が能力、個性すべてにおいて多様化しているにもかかわらず従来型の高等学校の子供である、セレクトされた高等学校の子供であるというイメージを強く持っている。特に普通科の先生にそういったイメージが強いということを私はよく校長先生方から聞きます。そういったことで、普通科の高等学校についてある程度教育課程を弾力化していくということについてかなり意識改革を必要とするのではないかということをつい先日も普通科高等学校の校長先生から聞いたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/73
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074・有島重武
○有島委員 もう一つの視点といたしまして、時間的な流れといいますか、かつての高校はこうだった、今は九四%の進学率の高校になっておる、二十一世紀に向かっての高校はかくあるべきだ、こう過去と現在と未来のあれは。それで、臨教審なんかの分析によるものが一つある。それから、これも教師の方々の意識の中に、やはりかつての高校はこうであった、現在はこうであるにもかかわらず、そこに昔の御見識というものは、あれは大切なものだ、そのギャップといいますか、それをそのまま引きずって今度また次の改革に入らなければならない。これは非常に不安があるのじゃなかろうか、こう私はお見受けするわけです。それから現在の親御さんたちにいたしましてもかつて高校に行っていた経験がある。今の子供はと思ってびっくりされる。それで子供が二十一世紀の将来を臨んでおる。だからこういうようなタイムラグというか意識のギャップといいますか、そういうものもあるわけです。
そこで、こういうことは私たちも教育改革推進本部をやっているわけだから、今の各エレメントに従ってアンケートでもとっていきたいと思うわけですけれども、今のところはあちこち聞いて歩いて話していってということでまとまったものはございませんけれども、僕はそういうことが今非常に必要になっておるのじゃないかと思うわけですよ。ですから、文部省の方のお力でもってひとつ高校問題に対する、素朴に言えば高校は何をするところだ、そういうアンケートを近日中に試みられたらいかがかと提言するのだけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/74
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075・古村澄一
○古村政府委員 先ほど申し上げましたように、高等学校の個性化推進の調査協力者会議というところでは、幅広に先ほど申し上げました七項目について検討いたしたいという中で、やはり現在の高校の状況はどうか、そして、将来の高等学校はどうあるべきかということについての各界の意見というものは十分お聞きをいたしたいと思います。その中でアンケート調査になじむものがあればそういった中で十分検討していって、基礎資料を得た上で私たちもそれについての結論をその調査協力者会議でお願いをしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/75
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076・有島重武
○有島委員 それでアンケート調査をやりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/76
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077・古村澄一
○古村政府委員 アンケート調査になじむものをどういうふうに探すか、あるいは、そのアンケートについて今即座に言われたものですが、そういったことも十分含めて資料を求めていきたい、アンケート調査をすることも含めて資料を求めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/77
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078・有島重武
○有島委員 なじむものがあるかどうか検討すると。検討はいいのだけれども、やるという前提で検討していただきたいということなんですけれども、そういったアンケート調査をする、そういったことでもっていろいろ検討をお進めいただきたいなと思うのですけれども、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/78
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079・中島源太郎
○中島国務大臣 有島先生が御指摘のように、今までの高校のあり方、現在の高校のあり方、それから将来の高校のあり方、それを進めるときに、どこか食い違ったまま次に進むということがあってはいかぬから、そういう面では一度アンケートをとったらどうかという御指摘の意味はよくわかります。
そこで、繰り返すようでございますが、私どもは高等学校教育の推進に関する協力者会議を持っておりまして、七項目、さらにその他含めますと八項目以上になりますけれども、この点の御討議をいただいているところでございますので、その推移を見ながら、適切なアンケートがこの点、こういう点で必要であるということがあれば、ぜひとも的確なアンケートをさせていただく機会を持ちたい。もしそういうことがあれば、それを前提にアンケート内容を早急に検討いたすということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/79
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080・有島重武
○有島委員 それでは、今古村局長さんの方からも言われましたけれども、既にいろいろな各方面の意識調査なり意見なりというものの集積もございます、こういうことでございますかね。今の私の質問にかかわってのそういった資料があれば後でもって御提出をいただければありがたいと思いますけれども、委員長、諮っていただけますか。お願いします。
それでは、この法案の中身ということにいたしましょう。一つは、高等学校の定時制の課程及び通信制の課程と連携できる技能教育施設の指定を従来文部大臣がやっていらっしゃった、それを今度は都道府県でする、こういうことですか。それからもう一つが、高等学校の定時制の課程及び通信制の課程の修業年限、これが従来四年だったのを三年でもよろしい、三年以上ということで弾力化しましょう。この二つでございましたね。ここでもって確かに結構だと思う面もあるけれども、これは心配だという人もいるわけですね。
それで、もう既に前の方が質問もなさったかと思うけれども、どっらを先にしたらいいんだろうな、修業年限の弾力化の方から先にやりましょうか。
ここで、学力が低下しないかというのが一般にございますね。それからもう一つ、それを望んでいる学校というのがどのくらいあるものなのだか。私の知っている二、三の学校へ問い合わせてみましたけれども、一つは東京都、一つは埼玉、一つはあれはどっちに入るのだか、三つほど問い合わせたんだが、いずれも当分の間三年にするということは考えられません、こう言うのです。だから、三年を望んでいるという学校は特別な学校なんじゃないのだろうかというふうにも思うわけです。こういった道を開かれた御真意のほど、それからどういったところがこれを望んでおったのか、この辺を聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/80
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081・古村澄一
○古村政府委員 まずその前に現状をちょっと触れさせていただきますが、定通の生徒が三年である程度の——八十単位を取れば高等学校卒業の必要単位数になるわけでございますが、八十単位近い数、近い単位を三年間で取っている学校というのはどれくらいあるかという実態を見てみますと、七十単位から大体八十単位くらいを三年間で取っている学校というのは、定時制の普通科で六十校、定時制の職業科で九十校、そして通信制の普通科で十校、職業科で十四校、こういった数字があるわけでございます。こういった学校は大体現在でも三年間で高等学校を卒業できるというカリキュラムを組み得る学校であるというふうに思っております。
そこで、あとどういった希望があるかというお話でございますが、まず生徒の希望というものを六十三年の一月にアンケート調査をやりました。定時制の八十六校、通信制の十六校の生徒約四千四百人を対象にいたしましてアンケート調査をやりました結果、三年間で卒業さしてほしい、卒業する学校ができたらいいというものを希望する者が、定時制課程で約六〇%、通信制課程で約七〇%という生徒の意向というのがございます。
片方、いわゆる定時制の関係の先生の集まりとして、定時制通信制高等学校長会でございますとか、教頭協会でありますとか、あるいは全国高等学校通信制教育研究会とか、そういった方からの要望として、いわゆる三年間で八十単位以上を修得した者を卒業できる道を開いてほしいというのが、ことしの六十三年一月に寄せられた要望でございます。いわゆるそういったことができる道、全部三年にするのではなくて、三年以上ということにしておいてくれれば、三年で出れる者は三年で出る、三年で出るのが無理であれば四年かけていくというふうな、選択ができる形にしておいてほしいというのがそういった学校の関係者の意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/81
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082・有島重武
○有島委員 一つの学校、定時制の学校においても、三年で卒業してしまう子もいてもよろしい、それから、四年でもって卒業する子がいてもよろしい、こういうふうになる、今おっしゃったのはそういった意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/82
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083・古村澄一
○古村政府委員 これは生徒が個々に一つの学校で三年で卒業したり、四年で卒業したりということにはならない、いわゆるカリキュラムが三年型であり、四年型であるというふうな教育課程を組みますから、したがって、この学校の例えばこのコースは三年であるとか、あるいはこの学校は四年であるとか、少なくとも学校単位、あるいは学校単位よりもうちょっと下へ行っても、例えば学科単位というところまでで三年、四年というものは区切りをつけるのであって、生徒側の選択でもって三年、四年という、どっちでも行ける、そのときの気分だという形にはなりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/83
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084・有島重武
○有島委員 だから、この学校は三年制、この学校は四年制、こういうふうになるわけですね。私なんかの考えだと、むしろ生徒の側からそれが選択できるようにしておいてあげるという、そういった道を開いたと考えた方が僕なんかには抵抗がないのだ。学校でもってこういうふうにしましたというと、そこは三年たったらば出てけと、こういうことになるわけですね。そうなってきますと、学校の方でも慎重にならざるを得ないんじゃないですかね。
それで、この間も参りました工業高校の定時制でございましたけれども、九十二単位やっておりました。それで、もちろん八十単位になったことも承知をしているわけだけれども、実際問題として工業高校でしたから実習なんかも一生懸命やっているわけですね。それをこうやって、就職の世話まで一生懸命見ているのです。そういうようなところでは、三年になるということはちっともありがたみはないような感じでした。まだその趣旨がよく徹底していないということもあるでしょうね。
これもまあ税制改革じゃないけれども、やってしまえばみんなあっと驚いて周知徹底してしまうのだよ。そういった強引なやり方もあるけれども、これだって法改正しちゃった、びっくりしてこういう意味だったのか、こういうふうに、そういうのは上から押しつけの改革だと言われますから、よく趣旨が徹底した上でもって、ああそういうのだったらこういうふうにやろうかな、ああそういうのだったらこっちはあれです、そういうようなことがもう少しちゃんとPRされなければいけないのじゃないかということを私は感じました。
それで、早速にでも三年ということにさしていただきましょうというふうに申し出ている学校が何校かおありになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/84
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085・古村澄一
○古村政府委員 具体的にそういった意思を持っているという学校は、私が聞いておりますだけで二、三校ぐらいですが、結局そういったところについてはかなり前からそういったことで法律が改正されるということを知っておられまして、それならば三年に行こうかというふうなお話を校長さんから聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/85
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086・有島重武
○有島委員 そうすると、平たく言うと何だろう、これはほかの目的があるのじゃないかなというような気もするわけです。何とかの勘ぐりと言われればそうかもしれないけれども、そういうことはないのですか。これはちょっと大臣に承っておこう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/86
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087・古村澄一
○古村政府委員 全くほかのことを考えているわけでございませんで、三年で無理なく卒業できるという教育課程、例えば定通併修でありますとか技能連携制度を取り入れるとかということで、学校へ来てフルタイムに授業だけを受けて単位を取っていくということでなくて、履修方法をいろいろなものを取り入れれば、かなり学校へ来る時間というのは省ける形になる学校はございます。そういったものを取り入れた学校が、無理なく三年で卒業はできるという判断をされれば、それはそういった方向について道を開けばいいではないかということでございまして、すべてこれは四年であるものを三年で押し込んでというつもりは全くございません。
〔委員長退席、鳩山(邦)委員長代理着席〕
それは子供の学習負担もございますから、四年でしか取れないような単位を教育課程で組んでいるところは四年でいくのでございましょう、三年でいけるところは三年でいく、そういった選択の道をつくったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/87
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088・有島重武
○有島委員 かつてこういうことがあったのですよ。あれは富山県でございましたか福井だったか、高校の多様化ということを北陸でもって一生懸命やったのです。確かに教育委員会は一生懸命多様化したのです。ところが生徒さんの方から見ると、どこか一つ袋小路に入れられちゃって、機械科へ行ったなら工場でプレスをしなければならぬ、そのほかに使い道がなくなる。これは盲腸に詰め込まれたあるいは袋小路だ、こういう評判がよくなかったもので、やはり普通高校の方がいいだろう、こういうことになってしまった。
今のお話もこれはもともと多様化、弾力化というところから出ているのでしょう。そうすれば、だれの多様化、だれの弾力化なのか。文部省は多様化でございますと言って胸を張ってやるけれども、子供たちにとっては全然多様でもなければ弾力でもない、どっちか選べ、こういうふうになるわけですね。そこが、似たようなことを言っているんだけれども、ちょっと僕たちの発想と違うところなわけなんです。だから、今望まれていることは、さっきのアンケートのことについても、お役所で考えている方向はこう、だけれども感じているお子さんはこう、それから本当に一生懸命長い時間かけてずつと築き上げてこられた先生方の意識はこう、そのおのおののギャップを虚心坦懐に吸い上げないとうまくないんじゃないかということは、さっきの話を蒸し返すみたいだけれども言いたい。
これは、三年でもできるし四年でもできるようなコースを一つの定時制高校なら定時制高校に置いて、生徒さんの力量もあるでしょう、それから望みもあるでしょう、それから家庭の事情もあるでしょう、そういうことにおいて自由選択ができる道を開くんだという意味合いをこの中に加味することができるか、そういうことはできないのか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/88
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089・古村澄一
○古村政府委員 今御提案しております三年、四年の話は、これは子供からの選択ではないというふうに先ほど申し上げました。ただ、これが今度は、単位制高校というものがことしの四月発足いたしておりますが、単位制高校は学年の枠を取り切って単位の集積でもって卒業させるということでございます。もしも単位制高校が三年以上ということで修業年限を定めている学校がございましたら、それは子供がある程度自由に選択できる道になってくるだろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/89
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090・有島重武
○有島委員 それが本音なわけだろうと僕は思うわけであります。そういうふうに言われれば多少わかる。だけれども、私の申し上げたこともこれは大臣としてお考えいただきたいのですよ。お役所の方としては、それはがっちり組み上げなければならないことだから、だけれども、考え方としては学ぶ側のことですね、そこから考えていってもらいたい。時間ですから、その次の話にいたしましょう。
それで、八十単位にしたわけだけれども、高校における最低学力の保証、こういったことを今後は導入していかなければならない考え方じゃないかと私は思うのですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/90
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091・古村澄一
○古村政府委員 高校におきます卒業をするための必要単位数というのは、昭和二十三年から五十六年までは八十五単位が最低必要単位数であるというふうにやってまいりました。それをいろいろな状況の変化の中で五十七年度から五単位落として八十単位を卒業すればいいということにやってまいったわけでございます。今後もこの方向で、必要の卒業単位数は八十単位ということでここ当分はいくであろうというつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/91
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092・有島重武
○有島委員 大臣、いかがでしょうか。僕の言っているのはもっと素朴な意味なんですね。高校を出ても新聞の社説を読めないようじゃ困るな。それから英語なんかでも、大体町には看板が出ているわけですから、看板ぐらい読める。それから、英語のニュースというのをラジオでもテレビでもやりますね。僕なんかでもあれは聞き取れないのだけれども、ちょっとでも我慢して聞いていれば、やっている内容はあれは全部知っている内容をやっているんだね。だから、あの年代、十六歳から十八歳ぐらいの年代、これは二年でも三年でも、一週間に三週か四週間いていればすばらしい力がついちゃうと思うのですね。それから、英字新聞までいくかどうか知らないけれども、雑誌の見出しぐらいはわかるというような。学力保証といいますか最低学力保証、こういったものが僕は必要じゃないかと思うのだ。高校へ行ったのだから高校の校長さんは責任持ってそこまではします。まあ中学の先生もそういうふうにしてもらいたい。
今は中学のところまでは義務教育、それも国社理数、非常に優秀な教科書でございますね。この中学までに教わったことが、さっき大臣がおっしゃったように、生涯学習の一番基礎部分になるようにしたい。だれでも教わったらすぐにそれが役に立つというわけにはまいりませんから、それを本当に使えるように、活用できるように。言葉の中でも活用語というのと消極語というのがあるけれども、消極語というのは受け身、聞けばわかるのだけれども話せないという言葉ですね。大体僕たちが知っている言葉というのは五万語から十万語ぐらい入ってきている、使っている単語というのは二千語ぐらいしか使ってない、そんなような報告がございますね。英語なんかでもそういうふうに言われておりますね。そういうことから大体教科書というのはセレクトされているのだと思うのだけれども、その中学までにセレクトされて与えられた国語の知識あるいは英語の知識、これがある程度活用できるようにする、その最低保証をしてあげたらどうか。
今までは履修の保証なんですね。これだけ教えてあげましょう、それで試験をしてだめなのはペケ、こういうふうになるわけだけれども、そういうふうにやっている間に、優秀な方もいらっしゃるでしょう、それから点数は上手だけれども実力はそれほどない、いろいろな人がいるでしょう。実力はあるのだけれども点数がよくない、そういう人もいるでしょう。いろいろあるのだけれども、とにかく生涯学習に困らないという線を保証する、そういうような考え方を高校教育の中に導入できないかどうか、いかがですかね、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/92
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093・古村澄一
○古村政府委員 大臣がお答えになる前に現状を申し上げておきますが、学習指導要領で各教科の内容を決めますときに今先生のおっしゃるようなことを十分加味して決めておるわけでございます。例えば、国語でございますと、高等学校段階では常用漢字はすべて読める、主な常用漢字は書けるというところまでは行ってほしい。それから、英語ですと、これは語彙の数でございますが、英語の単語では高等学校一年、二年、三年で大体千九百語ぐらいを教えるというふうなことで、一応そういった社会へ出て困らないようなということでの基準をもって学習指導要領が作成されているというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/93
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094・有島重武
○有島委員 大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/94
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095・中島源太郎
○中島国務大臣 古村局長からお答えをしたとおりでございますが、その中で教科の認定と同時に実際使える内容の水準というものが必要ではないかとおっしゃる意味であるといたしますと、まさにそのとおりだと思います。
そこで、今回御提案をいたしておる点にも触れさせていただきたいのですけれども、八十単位以上ということでありますが、そういう高等学校が定めた全課程の修了に必要な単位数の二分の一以内におきましていわゆる技能連携制度というものを認めさせていただいておる。ある意味ではその一つの学校の中で集団で一つの方向を学んでいくということも学校のあり方でありましょうけれども、物によっては専門的な施設の指定をいたしましてそこで学ばれたことを二分の一以内であればその単位に換算をいたしましょう、本で学ぶのと同時に技能を実際身につけた部分、それを換算いたしましょう。そういうものを含めまして、少なくとも高等学校で定めました八十単位の中身をそういった意味でむしろ実際に通用するものに高めていきましょうという意味もこの中には含まれているというふうに私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/95
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096・有島重武
○有島委員 単位数について申しますと、卒業に必要な単位数八十単位、それから昭和五十七年から必修科目が三十二単位になりましたね。 必修科目について、昭和三十八年のころなんかは七十四単位、女性は七十六単位、こういう時代もあったわけですからこれが半分以下になった。これは私どもは非常に主張しておったところなんです。必修科目を精選してくださいということを申し上げた。それは選択の幅を広くする、多様化をする、弾力化をするためにということで申し上げたのですけれども、こうなった。
僕たちはそんなふうな受け取り方をしておりますけれども、この三十二単位というふうに精選した根拠、これをもう一遍思い出しておきたいのですけれども、その根拠を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/96
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097・古村澄一
○古村政府委員 おっしゃいますように、昭和二十三年高等学校が始まりまして以来、いわゆる必修単位の数が多くなったり少なくなったりやっております。それで、今御指摘のとおり三十八年のときには六十八単位というふうな必修単位もかぶっておったわけでございますが、昭和四十八年度で四十七単位と下げ、そして五十七年度で三十二単位というふうに必修単位の数を下げてまいりました。その理由は何だというお話でございますが、結局生徒の進学率が高まって生徒が多様化したということもございます。それと同時に生徒の能力、適性というものに応じて選択の幅を広げるということがこの基本にあるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/97
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098・有島重武
○有島委員 大臣、さっきから僕の話はちょっとわかりにくかったかもしれない。こっちの思い込みの方が強いものだから、そういうことがあるかもしれない。この三十二単位部分こそは最低保証をしてあげてこの部分は本当に使い物になるようにしたいし、それからそういうような指導要領の改訂ということもあるわけですけれども、高校というところは中学と違うのだから、中学で教わったことを基礎としてその上に積んでいかなければならないと高校の先生方みんな思っていらっしゃるわけだ。それだから教科書もぐっと難しくなるわけですよ。
だけれどもこれからの時代が本当に望んでいることは、つけ焼き刃的にそう難しいことを幾らやったってもう十年もたてばまた違ってしまうのだから、基礎、基本とどこかに書いてあった。本当に基礎、基本をもう一遍練り直す、それも国民の最低保証にするということがこれから大切なんじゃなかろうかと思うのですけれども、この三十二単位、そんなふうな受け取り方を今度新たにすべきだと私は申し上げたいのだけれども、大臣、どうだろうか。御理解いただけるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/98
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099・中島源太郎
○中島国務大臣 その点はまさにおっしゃるとおりであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/99
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100・有島重武
○有島委員 もう一つおまけに言うと、この三十二単位については、これはその単位が積算すると幾らかかるものだか僕はちょっとわからないけれども、私立学校であろうが公立学校であろうが国立学校であろうがこの三十二単位の必修科目部分の経費、お金については無償にする、国庫負担にする、こういうことを将来すべきじゃないんだろうか、将来というのは近い将来、来年からでもいいんだが、こう私は提案したいのだけれども、大臣いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/100
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101・古村澄一
○古村政府委員 高度な政策論でございますのでなかなかお答えしにくいのでございますが、現在義務教育は無償とするということで憲法は義務教育を無償といたしておりますが、高等学校についてその部分を、高等学校を卒業すればこれぐらいはしっかりある程度共通に素養として持つておくべきだというのが必修単位だと思いますが、ただそれではそれが直ちにその部分を経費的に無償にすべきだということについてはいささか御賛同いたしかねることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/101
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102・有島重武
○有島委員 それは局長さんのお立場からはイエスと言えないよ。大蔵省呼んでおけばよかったけれども、大蔵大臣いても余りそんなことは言わないのだ。言わないけれども、文部大臣はそうやりますとは言えないけれども、そうやりたいということは言えるわけだ。それで、高校義務化というのはちょっと難しいでしょう、そうすると、教育基本法を直さんとならぬし。だけれども、いきなりそうじゃなくても、その国庫負担ということはやったって恥ずかしいことじゃないと思うのですね。どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/102
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103・中島源太郎
○中島国務大臣 有島先生のおっしゃる意味はよくわかるわけでございます。したがって私どもは、義務教育ではありませんけれども高校段階の九四%の方が高校に進んでおられるわけでありますので、この点については二つの点でぜひともバックアップをいたしたい。その一つは負担ができるだけふえないように、また一方では奨学制度その他を活用していただく、そういう点でありまして、この点は御当人もそうでございますし、また父兄の家計支出の負担をできるだけ軽減するように、その部分をダイレクトに軽減できない場合にはその部分の御負担がかかるであろう年齢層に対して税制上の軽減措置もともに考えてさしあげる、そういう面で総合的にその部分の推進を図っていくのが私どもの役目ではないか、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/103
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104・有島重武
○有島委員 そうすると、三十二単位の必修の陰には四十八単位という選択科目があるわけでございますから、その選択科目をこれまた多様化し弾力化しよう、こういうわけですね。ところが銭がかかるわけです、こっちに。そのお金はやはり受益者負担といいますか生徒さんの方の親御さんの方の負担になっていくわけですね。それは時代とともにだんだんいろいろぜいたくになっていくわけですね。だからお国で決めた弾力化、多様化もいいけれども、学費が上がってかなわないなということになってもしようがないし、地方の方でもって今度はお国で決めるけれども地方の税金もまた上げなきゃならぬ、こういうのも困るわけだ。そういうことを見越していきますと、将来この必修科目の部分は国庫負担にすべきだというのを僕は主張したい。そういった運動も起こしていこうかと思うわけです。そのときにその可能性を開くように今から御努力をお願いしたい。これはお願いになりますか、あるいはこういうふうにやるぞという、こっちの宣言といっては大げさですけれども、そんなつもりで僕たちはいるのですよ。それだけ。
じゃ、技能教育施設指定の地方移管ということにいきましょう。
東京の地価がどんどん上がって中央集権でなくしましょうと言っているけれども、お役所があっちへ移りこっちへ移りということもありますけれども、もう一つでも二つでも許認可制を地方におろすということが中身になるんじゃなかろうかと私は思っています。そういった見地からいくと、一つでもこういった項目を探し出して都道府県の権限にする、これは結構なことだと思います。
ただ、この四十五条の二の由来についてみんな心配しておりますね。どうしてこうした技能連携ということの道が開かれたんだ。そのときの趣旨ですね。それについて御説明をいただくわけだけれども、一つにはこうした地方分権の方向をこれからも進めていかれるでしょう。何かほかにもこの地方分権を進めていくという項目がありますか。今後こういった面も地方分権にしていこう、一々文部大臣の命令があったり所管であったこれを地方に移管する、こういった項目がほかにもありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/104
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105・古村澄一
○古村政府委員 まず最初に、技能連携制度はどういう趣旨でつくられたのかというお尋ねがございましたので、それから答えさせていただきますが、技能連携制度は昭和三十六年の学校教育法の一部改正で設けられました。その制度の趣旨とするところは、学校と技能教育施設で同一の教育を重複して受けるという二重負担を軽減することにより、特に働きながら学ぶ青少年の高等学校における学習を効果的に行うとともに、より多くの青少年に高等学校教育を受ける機会を与えようとするということで設けられたわけでございます。
今回その技能教育施設の指定の権限を都道府県の教育委員会に委譲いたしますが、その他のものについてはあるかというお話でございますが、いろんな形でいわゆる国と地方の分担ということを考え直し、そして国の権限というのをなるべく地方におろすべきだというお話も前々から参っております。したがって、文部省行政の中で現在いろんなことで検討いたしておりますが、具体的にちょっと私、何をどうということまでは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/105
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106・有島重武
○有島委員 それで、今御説明があったけれども、大体企業に中卒の方々が勤めていらっしゃる、しかも寮に入っていらっしゃる、そういった状況が非常に多かった時代があったですよね。そのときに中卒の給料でもって三年も四年も働いておる、後から同い年ぐらいのが入ってきて給料が違う、これは気の毒だ、何か道がないかね、こんなこともあったわけですよ。
それで、そのときも危惧されたことは、今度は高校側からいえば、そんな便宜に高校を利用されては高校というものの主体性が損なわれるんじゃないだろうか、こういったことはその当時もあった。これは、そういう制度があるからこの制度を利用する人が非常にあったかといえば、そうでもなかったわけですよ。だけれども、この制度をうまく利用すれば、これは次の単位制高校の方向のてこになるんじゃなかろうかということは私どもねらっていたわけです。だから今度も、来たなと思うのですけれども、一番最初のそういった由来が今度はそのまま拡大されていくということになると、これは危険だ。ということは、高校の主体性なんということは二の次にする、それから高校の水準も低下させるとか、そのようなことが拡大されたらばこれは大変なことだ、こういった危惧があるわけです。そういった危惧は全然ないという保証がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/106
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107・古村澄一
○古村政府委員 技能連携の相手方といいますか、高等学校と連携をする相手方で一番多いのは各種学校、専修学校の分野でございます。そして、技能連携をやっております生徒の数は通信制の子供が多い。通信制の子供が非常に多いということになりますと、通信制の子供でいわゆる添削、そして面接授業という一つの高等学校のパターンでいくよりも、ある時間があれば各種学校へ行ったり専修学校へ行ってある程度高等学校にかわり得るような、代替し得るような教科を学んでくる、そのことが自分の理解により役立つということから、私は今の現状を見てみましたときに、通信制の子供が技能連携で三万三千人おります。その技能教育施設として、企業内訓練所あるいは公共職業訓練所というものよりも専修学校、各種学校がずっと多いという実態を見ますときに、専修学校、各種学校と通信制との連携が一番多いんではないかということを考えますときには、生徒としてはこれはかなり便利といいますか学習にとって非常に利便を来すことで、活用されているんだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/107
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108・有島重武
○有島委員 これは今のところ定通に限って技能連携が許されておる。全日制では許されない。やがて全日制でもこういった連携の道を開くべきであるというふうに私は考えておりますけれども、将来の、次のステップといいますか、それはいかがでしょうか。そういった道をお開きになる用意がおありになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/108
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109・古村澄一
○古村政府委員 現在、高等学校の個性化教育研究会の中で、いわゆる全日制の高等学校とそういった専修学校、各種学校との連携ということは将来必要ではないかという角度からも問題を提起いたしております。したがって、私たちもそういったことについていろいろな方の御意見を聞きながら、積極的にこれについて検討してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/109
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110・有島重武
○有島委員 私、その方向が望ましいと思っております。
それで、じゃ次の問題ですね。そういくと、今度は単位制高校の話になりますね。それで、単位制高校という言葉、これは相当新聞でもって一時騒がれました。いろいろな人がこのことを知っています。知っている方も内容の詳しいことは、余り専門的なことはまだわかっていないようですけれども、この概要をちょっと言っていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/110
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111・古村澄一
○古村政府委員 定時制、通信制の高等学校の新しい型として単位制高等学校というのを今度六十三年四月一日から発足いたしました。
その主な内容は、まず一つは、学年ごとに課程の修了の認定を行うという学年制を外して、学年によります教育課程の区分を設けないことということが一つでございます。このことに若干加えますと、今は高等学校の一年生で単位を落としますと、学年制ですから原級留置になって、一回取った単位も来年全部取らなければいかぬという仕組みになっております。そういうことをやめて、単位を取っていったものは単位として認定してしまうということでございます。
それと同時に、いわゆる過去に単位を修得したものを認定する。例えば、ほかの高等学校を途中で中退した。中退したときまで二十単位取っていれば、この学校に途中で入ってきたときにはその二十単位を見てやるというふうな単位の集積によって卒業ができるという、言ってみれば単位制高校の柱としてはこの二点が一番大きなことだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/111
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112・有島重武
○有島委員 これの例があるようですね。承っておるのだと、例えば岩手県の杜陵高校、石川県の金沢中央高校、長野県の松本筑摩高校でございますか、このほかにも単位制高校を始めたところはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/112
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113・古村澄一
○古村政府委員 現在のところ、今の三校だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/113
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114・有島重武
○有島委員 何か次にやろうというところもありますか。東京都なんかでは昭和六十六年からやるというかなり立派な資料もつくっちゃって、今、古村さんから御説明があった、大体そういう趣旨に沿ってずっと計画を立てておるようでございますけれども、ほかにもこういった計画がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/114
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115・古村澄一
○古村政府委員 具体的にかなり具体化しているのは埼玉県と東京都、そのほかに数県検討を加えておるというふうなことを聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/115
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116・有島重武
○有島委員 これに非常に私は興味を持っておりまして、何事もそうだけれども、うまくいけばこれでいいのだけれども、下手にいくとこれはどうなるかなという心配がある。一つの問題は、単位制にしてしまって学年制はなくなっちゃう、こういうことですね。
それで、この間もある高校に参りました。それも定時制でした。定時制に行っているお子さんは昼間はそれぞれあちこちで働いているわけですね。学校に来たというのは、学校そのものがホームルームみたいなんですね。僕たちなんかの意識と随分違うのだなと思いましたのは、僕たちは何かある仲間があったり、それから知っている先輩がいたりなんかしたのだけれども、そういった一つのベースがあって、相談相手もあって、それで選択できるようになったら随分いいだろうということを考えていたのです。ところが、そこの定時制の方々のお話を承っていたら、必ずしもそうじゃないんだな。むしろクラスといいますかホームルームといいますか、そういうものが非常に大切なんじゃないだろうかと痛感をいたしました。これはそういったことも調査をいただきたい。
そこで、多様化ですから、いろいろなものをつくっておいて、それが自由に学生の側から選択できるわけですから、私どもの立場からいっても、それはさっきの多様化がそのまま盲腸になっちゃったなんて、そういうような話ではなしにして、これこそ生徒さんがみんな選択できるのだからこれでいいじゃないか、こういうわけだけれども、やはり物事はバランスということがあるのじゃないかと思うのですね。全部が全部選択にしたからそれでいいだろう、文句はないだろう、そういうわけにはいかない。そこに枝がついて、分かれて、葉っぱがたくさんついてくると多様化になる。そうすればするほど根の方がしっかりしなければならないのじゃないだろうか、そういう配慮をどこかで工夫しなければならないのじゃないだろうか、そう思うのだけれども、そういうような配慮については何かお考えがおありになりますか。今のところ別にないということですか。大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/116
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117・古村澄一
○古村政府委員 確かに、選択の幅を拡大するということと、今度は、クラスを単位としてきた子供の人間関係ということも非常に重要だろうということはおっしゃるとおりだと思います。
そこで、具体的に、これは運用されている学校の例でございますが、単位制高校として運用されております学校は、一年生、二年生の必修の科目をとるときは、これはホームルームを中心にしてやっていくということでございます。したがって、選択のときになってそれでばらばらとほかのところに取りにいきますから、ホームルーム等で会った子供とは別の子供と会う、しかしながら、これも見方を変えれば、子供の交友範囲が広がり、あるいはいわゆる異学年間での生徒交流もありますから、そこのクラスにおいては二年と三年が同じ科目を学んだりということになると思いますので、そういった異学年間の交流というものも考えられるということで、そういったメリットをいかに生かし込んでいくかということだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/117
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118・有島重武
○有島委員 大臣、この点少しお調べをいただいて、定通に限って今言われているけれども、これがやがて全日制の単位制高校に発展するでしょう。そうなればなるほどホームルームというか、さっきの必修科目はどのくらい、三十二単位ということもありますけれども、その必修単位の中に加えても、それに加えるのじゃなくて、なるべく三十二単位の中でやってもらいたいけれども。昔は、フランスなんかでは、アランという人が高校の先生でもって頑張っていたという話を聞きましたが、そんな偉い先生があっちにもこっちにもいないとは思いますけれども、やはり十六歳から十八歳の年代、ある先生の影響のもとにある時間を過ごす。それが国語であろうと社会であろうと哲学であろうと英語であろうと、いわゆる担任ということになるかもしれませんけれども、そういう人。それから、イギリスなんかの場合、チューターというシステムがあるようでございますね。あれはカレッジの段階だけれども、一人の先生のところにいて、それこそいろいろな先生のところで単位を取ってくるわけだけれども、そのときの中心になってみんな見てあげられる、こういうようなことも考える。
とにかく一つのホームベースをつくる、そこにかなりの時間をかける、そういう措置をとりながら多様化、弾力化にいかないと、これは事志と反してばらばらになっちゃって困るようなことが起こるのじゃなかろうかと思います。これは十分にひとつ考慮してもらいたい。で、すぐ配慮というわけにいかないかもしれない、まだ今のところ単位制高校、それほど広範囲にわたるものじゃございませんから。そのときによくそれを配慮していただきたい、考えてもらいたいと思うのですけれども、これは大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/118
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119・中島源太郎
○中島国務大臣 おっしゃるように、単位制高校のあり方が、一方では学年制が主になっている、一方ではそれを外して単位制だけにしたからすべてよしと思っているわけではございません。
ただ、つけ加えさせていただきますと、単位制高校の設置の趣旨の中には、働きながら学ぶ青少年、これは当然ございます。またもう一つは、生涯学習としての観点が大前提にあったということももう事実でございまして、中学卒以上の方々の、要するに社会人、これは年齢を問いませんけれども、そういう方がもう一つ自分の単位の選択の幅を非常に拡大して、その中から自分が自分の意思で選択できるという利点を生かせるであろう、それからまた、その履修の時間帯を選びやすいという利点があるであろう、こういうことを主にいたしまして単位制高校が発足をいたしました。
したがって、まだ発足したてでございますので、利点あるいは短所ございましょうから、当然その長所は伸ばし、それから短所は、これから生まれてくるであろう単位制高校の一つの指針といたしましても改善すべきところは改善をしていくということは当然あろうと思います。しかし、全部単位制にしてしまって、それで手放しでいいのかという点につきましては、この点はやはり単位制高校の今申し上げたような利点をより伸ばしていくということに重点を置いて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
〔鳩山(邦)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/119
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120・有島重武
○有島委員 高校の目的に照らして三つの条件があるのじゃないかというふうに党として考えているわけだけれども、高校の教育責任という点、これは先ほどの必修科目ないしは最低保証をしていくという配慮ですね、これをあいまいにしないようにしなければならない。
それから、同じような言い方かもしれないけれども、子供たちにとって母校意識ですか、スクールカラーというのがあってもよろしいわけですから、そういうものは大切にできるような素地を配慮しなければならぬじゃないですかね。
それから、単位認定の厳密性、これは都道府県にお任せしてもいいわけで、それで余りめちゃめちゃなことはないと思いますけれども、広くすると同時にやはり責任を持っていく、そういったようなことがきちんと配慮されていけばいいのじゃなかろうかと思うわけです。
それから、今の統廃合の問題が一つあります。だんだん生徒さんが減っていくから、じゃ統合しましょうとかいうことになりますね。そうすると、今三つ申し上げた条件というのが非常に低下してしまうというか、それからお子さん方、東京なんかはバスに乗っていけばいい、地下鉄に乗っていけばいいみたいだけれども、ちょっと地方の方に参りますと列車で二駅、三駅とかなりの距離ですね。それに乗りおくれてしまうとあと一時間半待たないともう帰れない、そういうような状況の人もいるわけですから、なるべく小さい単位で、それでそれが本当にやりたい人は自分から電車賃使っても行ってまた帰ってくる、そういうような状況をつくらなきゃならないのじゃないですかね。
そうすると、そこに今度は教員の配置ということが起こってきますね。今まで日本の場合は子供たちも非常に多い、学校の数も三万六千校が全国に散らばっておって、おおむね平均頭割りでもって、僻地は除いて大体うまいぐあいに経済効率よくやっていた。しかしこれからはちょっとみんな僻地並みといいますか、経済効率がたとえ悪くても、本当の教育の効率のためにはこういった教員配置の考え方そのものを変えていかなければならないのじゃないだろうか。その辺も今から始めなきゃならぬ問題だと思うのですけれども、この辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/120
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121・古村澄一
○古村政府委員 勤労青少年のための機関であります定時制、通信制高校の統廃合というのは、やはり子供の交通、通えるかどうかということを十分考えてやるべきであろうというふうに思います。したがって、現在もいわゆる高等学校の標準法によって教員の定数処理はなされておりますが、そういった点で今後も支障のないようにやってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/121
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122・有島重武
○有島委員 それから、これは一挙に単位制ということじゃございませんけれども、大臣もう既に御承知だと思うのですが、それに近いような試みを一生懸命やっておるところがある。
一つは、埼玉県の伊奈学園総合というのがございますね。あれは三つの高校が集まって一つのセンターで何か特別の授業をやるのかと思っていたらば、そうじゃなくて一つの高校で膨大なキャンパス、校庭を三つに分けていて、それでセンターを使っているということですね。
それからもう一つ、神奈川の弥栄東、弥栄西という双子高校、あれは女子高校であったかと思いますけれども、隣り合わせにして垣根があって、真ん中のところに音楽教室のすばらしいのがあって、こっちに美術教室のすばらしいのがあって、それを両側で使っているのですね。それで先生はどういうふうになっているのかなと思っていたら、美術と音楽などは両方兼任するという形になっているそうですね。
そういうようなことがありますけれども、これは全日制でやっているわけですね。非常に無理しながらでもそういうふうに相互乗り入れしてやっていこうという動きがもう既に出てきているわけですね。そういうところにも、これは全面的じゃなくて部分的な単位制あるいは必修科目部分は単位制にはしない、それで選択科目部分は単位制にしてしまうという、さっき言ったように手順といいますか、その次はこう、その次はこうというふうな一つのスケジュールをお立てになるべきだと思うのですね。あるいは立っているならば発表なさった方がいいと思うのです。これはお金もかかることですけれども、明らかにその方向に進んでいくのじゃなかろうか、そういうふうに文部省としてもリーダーシップをおとりになるべきなのじゃないだろうか、そう思うのですけれども、大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/122
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123・中島源太郎
○中島国務大臣 今例に挙げられました二校は、直接まだ見学したことはございませんけれども、お話に聞いております。
今のお話の中から御指摘されたのは二点でありまして、一つは、例えば高校同士の、高校と高校との連携の問題、それからもう一つは、単位制といっても全面単位制ではなくて、今の高校段階での学年制重視でよろしいのかという点の弾力化はやはり考えていくべきではないか、こういう二点の御指摘だと思いますが、まさにこれは協力者会議の中でも、先ほど御報告いたしましたように七項目の中の二項目に挙げられております。
これは、私どもも鋭意この協力者会議の御検討を待ちつつ、しかもこの協力者会議で今検討していただいておりますことは全部がまとまってからということは毛頭考えておりませんで、その中で一つずつでもまとまればこれを逐次推進していこうという考えでおりますので、今の先生の御指摘はまさに当を得たものとして検討を進めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/123
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124・有島重武
○有島委員 もう時間になってきましたけれども、こうして全日制、定通を通じて単位制の方向に徐々にしていこう、その方向性けはここで確認できますね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/124
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125・中島源太郎
○中島国務大臣 おっしゃるような方向に従って検討が進められておるということは申し上げられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/125
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126・有島重武
○有島委員 それに応じて私どもが老婆心みたいな蛇足みたいなことをいろいろ言いましたけれども、配慮していってもらいたい。
その次は、国際化という言葉が出てまいりましたから、それについてちょっと三つほどお伺いをします。
国際化といっても、ちょっと言うときらきらしてハイカラみたいに思うけれどもなかなか大変なことで、経済でもかなり犠牲を払わなければならない。労働の方でもどんどん新しい労働力が入ってくる。大変でしょう。それから、留学生を受け入れるといってもこれも大変です。それも、若い人たちがどのくらい積極的に明るく、それこそ主体的に受けていかれるか。今の大人たちはかなりパッシブに、しようがないからということで国を開いていかなければならないという感じがあるのじゃないかと思うのです。
それに関連しまして、高校生の異文化交流といいますか、一つには高校生留学ということがございます。それからもう一つは、帰国子女の扱いを、何か今までは今までの日本の学校体系、しかも受験体制の中になじまぬような者が帰ってくる、それじゃ困るから海外にいるときから日本の受験戦線になじむような教育を一生懸命今やっておるというのが実態でしょうね。その問題を本当にどうするのかということですね。
それからもう一つ言ってしまいますと、私はこういった提案を持っているのだけれども、青少年のころから外国人の友人を一人持て、それもペンフレンドもいいのだろうし、それから一緒に遊んでもいいのだけれども、一生つき合うという覚悟でやりなされ。恋人できたぞ、結婚したぞ、子供生まれたぞ、そこまで、一生つき合う覚悟で一人の外国人とつき合うということをこれは学習指導要領に書かなくてもいいけれども、不文律でもいいけれども、これは日本の高校生は全部やれ、そういう号令を下したらどうかしら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/126
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127・中島源太郎
○中島国務大臣 大変いい御提案だと思います。号令を下すわけにはまいらぬと思いますけれども、そういう趣旨をできるだけ広く理解をしていただきたいものだな、そして先生がおっしゃいますように、確かに、一人でもいいから海外の友人を持て、それも一生つき合うつもりでの友人を持て、大変意義ある御提言だと思います。これは号令ではなくて、それが要するに国際化社会の中で一つにはまず国際人、先生方が今おまとめになっている中の第三項目にも国際人の育成というのが入っておるというふうに承知をいたしておりますが、国際人という中には、まず自分の立っておるその歴史、それから風土、それからしっかりおのれを知りかつまた海外の友人を知る、これは大変貴重なことでございまして、その趣旨ができるだけ理解できるようにしてまいりたいな、こう思っております。
同時にまた、今伺っていて、なるほどなかなか難しいというのは海外の友人と一生つき合える友人を持つ、大変意義あることでありますが、同じ日本人の同郷の中でも一生つき合える親友というものは今持てる環境にあるかな、今学生さん、生徒さん、児童さんの中に本当に一生つき合える親友というのが育っている時代環境なのかなということを今ちょっと反省しながら伺っておったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/127
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128・有島重武
○有島委員 奨励賞のようなものを大臣が出してくださればよろしいのじゃないか。つい僕たちは学校というものを上の方から見ていると、じゃ集団対集団でもってそういったチャンスをつくってあげて、それでもっておしまい、海外交流、異文化理解の努力をしておりますみたいなことをやって、白書に書く、そんなようなことではこれから済まなくなってきた。やはり一人対一人ということもある。五百万人、高校生がいるわけでございますから、一人が持って十年間やれば五千万人になってしまうわけですけれども、そんなふうにはいかないと思いますよ、そんなには外国人がいてくれないかもしれないから。
それから、海外と今おっしゃったけれども、海外ではなくて、国の中に皮膚の色が全く別でない外国人もたくさんいるわけですね。それと友だちになっていくのだということが当たり前なんだということでもって、みずからも勉強している、人ともつき合える、これは随分違うと思うのです。
そこで、じゃそこまでは御理解いただいて、それで、高校の先生は生徒にやれ、やれと言うだけじゃしようがない。高校の先生は約二十万人ぐらいいらっしゃるかしら、高校の先生は全部それやってくれてもいいですね。そうすると、それは一人一人扱うと、日本人だって親切な人、意地悪な人、いろいろ癖もあるわけだ、お互いに。だから、不良外人なんていうのもいるわけですから、何でも外人とつき合えばいいのだといって変なつき合いを始めては困る場合もあるわけだ。あらぬことでもって国際問題になってしまうようなルール外れでもマナー外れでも困る。そういったことについて高校生がみんな動き出すということになれば、高校の先生はやはり外国人とつき合うということについての基本ルール、こういったことが必要になってくるでしょうね。だから、自分でやってみなければならないでしょうね。
それは、日本の国にはもう既に五十万人どころじゃなくて数百万人も、ちゃんとどんな田舎に行っても外国人はいますから、高校の先生の数には間に合う。かなりいいクラスの方々ですね。それはもう速急に始めていいんじゃないでしょうかね。それによって——僕なんかも、フィリピンの青年ですけれども、おつき合いしてみて本当にいろいろびっくりすることがたくさんある。彼は帰ってしまったけれども、またつき合おうと思っている。やはり考え方が変わってきますね、こちらも確かに。異文化交流といったって生易しい問題じゃないと思いますね。そのことによって高校の先生は、国語の先生であろうが理科の先生であろうが英語の先生であろうが教え方が違ってきちゃうんじゃないかと思いますね。そういうようなことも今の問題に併用して、これはいきなりやれというわけに、いけば一番いいんだけれども、いかなければやはり奨励をなさる、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/128
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129・中島源太郎
○中島国務大臣 有島先生からは、常々異年齢、異学年の交流の効果という点で御高説を拝聴しておりまして、新たに異文化交流という、これは大変結構でございまして、いい御提案を伺ったと思います。
ただ、これは押しつけることではなくて、自然にそのよさが浸透していく、これを待つべきものであろうと思うのです。やはりそれが自然自然に広まっていくということが一番望ましいことだと思います。ただ、一人の経験があって、いい面、それから気をつけるべき面、それをまた新たに交流を行う者に伝えていく、これはまた必要なことでございます。こう申し上げると、大変時間をかけてただ待つだけというふうに思われるかもしれませんけれども、やはり先生の御提言を身に体しまして、決して押しつけることなく自然に浸透していく、これを何とか望みつつ、いい方法があれば考えてみたいな、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/129
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130・有島重武
○有島委員 まず隗より始めよということもあるわけですから、文部省内からお始めになったらどうですか。各職員の皆さん、ひとつやってみようじゃないか。いろいろ試行錯誤でやってみる、いいかもしれないな。
時間になりましたから、さっきの大学受験の問題、大学の改革の問題、これは重要なことなので、今の高校の今後のあり方と絡んだ意味の大学の問題ということも一遍取り上げてみたいと思っております。それを次のチャンスに譲らしていただいて、きょうはこの辺にとどめます。ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/130
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131・中村靖
○中村委員長 嶋崎譲君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/131
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132・嶋崎譲
○嶋崎委員 休憩もなしに大臣、局長、大変ですが、これからの質問、よろしくお願いをいたします。
さっき午前中の我が党の中西委員の質問を受けまして、重複しないように、また、重複する部分で先ほどお聞きしていて回答が少しあいまいな点などをさらに深めるというような観点で御質問をさせていただきたいと思います。
最初に、今次学校教育法の改正、今回の改正に着手したのは、文部省はいつからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/132
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133・古村澄一
○古村政府委員 法律を提案いたしましたのは先国会でございますので、これに具体的に着手いたしましたのは先国会の直前ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/133
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134・嶋崎譲
○嶋崎委員 そんな意味じゃなくて、高校定通教育の今次改革という問題を文部省として発議をして動き出したのはいつごろですかと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/134
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135・古村澄一
○古村政府委員 具体的に今の定通について文部省として発議いたしましたのは、五十九年に定時制、通信制に関する専門家を集めまして協力者会議を開いたというそのときから具体的にこの定通問題に着手したということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/135
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136・嶋崎譲
○嶋崎委員 「高等学校定時制通信制教育の改善について」という報告が昭和六十二年の十二月にまとまるのに着手したのは、今おっしゃった五十九年になるわけであります。文部省側としては、検討会議は五十九年九月ですが、この問題を臨教審で取り上げた最初の時期はいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/136
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137・古村澄一
○古村政府委員 臨時教育審議会の答申に出ましたのは六十一年四月の第二次答申の中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/137
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138・嶋崎譲
○嶋崎委員 ちょっと正確じゃないな。六十年六月の臨教審第一次答申の中で提起がされて、そして第二次答申で具体化された、こう答申をお読みになっておく必要があるのじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/138
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139・古村澄一
○古村政府委員 問題提起から説き起こせば、確かにおっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/139
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140・嶋崎譲
○嶋崎委員 皆さんのところに文部時報はあるのだから、それぐらい正確につかんでおかないと。法律ができてくる過程に一つの論点があるわけですから、正確にしておいていただきたいと思います。
さて、昭和六十年六月の臨教審の第一次答申に定通教育改革の大枠が出てきて、そして、かなり具体的な改革のイメージが出たのが六十一年四月の第二次答申と理解しております。それでよろしいですね。時間がかかりますから、簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/140
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141・古村澄一
○古村政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/141
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142・嶋崎譲
○嶋崎委員 さてそこで、文部省は先ほど五十九年の九月に検討会議をつくられましたね。六十一年の予算で六十一年の段階で全国にこれを検討していくための研究テーマ、県を指定したり高等学校を指定したりしてその報告書を上げさせたと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/142
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143・古村澄一
○古村政府委員 高等学校の定時制、通信制の検討会議を開きましたが、今おっしゃるような、研究指定校をやって、そして県に研究報告を求めたということについては、ちょっと私資料を持ち合わせておりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/143
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144・嶋崎譲
○嶋崎委員 私の調査では、全国で二つの県、二つの県内高等学校を指定して定通教育の改革についての検討をさせて報告を上げさせたと見ていますが、それは今答えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/144
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145・古村澄一
○古村政府委員 今私どもでそこのところのはっきりしたお答えをする資料を持っておりませんので、後ほどお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/145
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146・嶋崎譲
○嶋崎委員 私のものと後の資料とが合わないと困りますが、単位制高等学校設置に関する調査研究で、昭和六十一年度教育改革の推進に関する研究委託というのが行われて、その報告が上がっています。それには二つの県、それから二つの高校になっています。わからないかな。今わからないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/146
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147・古村澄一
○古村政府委員 単位制高校ということにつきましては、確かにおっしゃるとおり二つの県について研究をしてもらったという経緯がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/147
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148・嶋崎譲
○嶋崎委員 どことどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/148
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149・古村澄一
○古村政府委員 群馬県と千葉県でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/149
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150・嶋崎譲
○嶋崎委員 じゃ、ここで言っているA県というのはどこですか。よくわからないのは、文部省が委託研究をやって報告書をもらって、A県とかB県とかC校とかD校とか、何でこれを隠しているのですか。それが知りたいのよ。だから、A県、B県、C、Dという形で、私の手元にある調査研究報告書、これはなぜA、B、C、Dというマークでやったのかということを聞きたいのです。調査してA、B、C、Dは何に該当するか、後で回答できますね、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/150
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151・古村澄一
○古村政府委員 私もちょっと今、なぜA県、B県というふうにやるのか。普通ですと群馬県の何校ということで素直にお渡しするはずだと思っておりますが、そういったことでありますれば、A県が何県であるかということは早速調べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/151
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152・嶋崎譲
○嶋崎委員 名称のはっきりしているのは埼玉県だけです。後はA県、B県、C、D校です。だからこういう報告が、隠密に進めるためのマークなのか、それとも名前を出すとぐあいが悪いのか、それはわかりませんが、このA、B、C、Dを個別的にお知らせ下さい。これが一つ。
それと、今度はその場合の研究メンバーの構成、人の名前は要りません。それぞれの県ではどの層が参加したか。これも私のところは大体つかんでいますが、皆さんのところと合うか合わないか疑問なので、大半は校長、教頭、教育長、それから主事、そういうところで、現場の諸先生方の参加は圧倒的に少ない調査報告だとにらんでおりますので、その際の調査報告は、どんな委託でどういうメンバーで、人の名前は要りませんから、どういう人たちで構成されて報告が行われているか、これを後で知らせてください。いいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/152
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153・古村澄一
○古村政府委員 後から資料をお渡しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/153
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154・嶋崎譲
○嶋崎委員 と申しますのは、先ほど最初にお聞きしました検討会議ですね。検討会議が完全にでき上がってくるのは六十二年の十二月ですね。ところが、途中で六十一年十月十七日にこの協力者会議の座長、吉本二郎さんの名前で中間のあり方が決まっております。ところが、これは中間のものじゃないのです。なぜかといいますと、東京都の単位制高等学校基本計画検討委員会というものの資料を見ますと、六十一年の十月には文部省はこれを基礎にして説明をいたしておりますから、もうその一年後の十二月に出てくるものの中間答申じゃなくて、これ自身がかなりプロモーターの役割を果たしている作品であるということになるわけです。
これはここにあります。私はうそを言っていません、この数字に書いてあるとおりでありますから。そういう意味で、「検討の基本的あり方について」というこの文書についても、座長の名前はありますが、検討会議のメンバー、検討会議のそれぞれの構成がどのようなものでどのように運用されたか、それについての資料を出していただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/154
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155・古村澄一
○古村政府委員 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/155
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156・嶋崎譲
○嶋崎委員 結構です。また改めて質問をしましょう。
さてそこで、臨教審の答申が六十年と六十一年に行われ、第三次答申にそれがほぼ集約され、第四次の最終答申で最終的な固めとなって出ております。その中身として今次法律改正の二点が個別、具体的に提起されております。この法案の委員会における趣旨説明、私はこれを聞いた覚えがなかったのですが、考えてみたら、大臣はあの騒然とした中でお読みになったのですな。だから、私は趣旨説明を聞いてないと思っていたら、どうも済んでいるらしいということが後でわかりました。
この法律案の提案理由によりますと、臨教審答申を受け、そして技能教育施設連携、それから同時に、定時制、通信制の修業年限の弾力化という問題と、それに絡めて、後に文部省の規則が出てまいります単位制高校というものが臨教審答申の中で明確な形をとってあらわれた、それを受けて法改正になった、こう理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/156
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157・古村澄一
○古村政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/157
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158・嶋崎譲
○嶋崎委員 そこで、法案にまとまった経過を今度ちょっと追っかけてみましょう。この法案が出てくるには、昭和六十二年の十月に、御承知のように教育改革推進大綱という閣議決定を行っていますね。それで、この閣議決定が一つあって、そしてさっき言った検討会議の報告が十二月に出るというところでほぼ大勢が出てきて、そして学校教育法の一部改正の政府提案は、あれ二月の閣議決定でしたかな、三月でしたかな。まとめて臨教審関係の政府提案、閣議決定したのは、あれ二月でしたか、三月でしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/158
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159・古村澄一
○古村政府委員 学校教育法の閣議提案をいたしましたのは、二月だというふうに覚えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/159
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160・嶋崎譲
○嶋崎委員 その法律と並行いたしまして、学校教育法の施行規則の一部改正を並行して準備されましたね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/160
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161・古村澄一
○古村政府委員 いわゆる単位制高等学校の教育規程だと思いますが、それについては三月の末に公布すべく準備をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/161
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162・嶋崎譲
○嶋崎委員 そして、三月三十一日に学校教育法の施行規則をいじると同時に、四月一日から発足する全国の三校、石川県の金沢中央高校、それから岩手県の杜陵高校、それから松本筑摩、この三つを想定して三月三十一日に単位制高校に関する規則をおつくりになって、それが四月一日、つまり三十一日にこしらえて明くる日の四月一日実施という文部省の規則をおつくりになりましたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/162
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163・古村澄一
○古村政府委員 おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/163
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164・嶋崎譲
○嶋崎委員 それだけまず事実確認をしておきましょう。と申しますのは、四月一日実施になりますとこれは六十三年度予算が動き出すわけです。同時に、四月一日には学校が発足するわけですから、その学校の教師の定員、そういうものについての一定の措置をしなければならないということになるわけです。
そうしますと、新しい学校教育法の施行規則並びに単位制高校の規則というものを省令でおつくりになって、法律はまだ通っていませんけれども、四月一日から走る、こうなればそれに関する定数の法律並びに政令、省令をいじらなければいけませんね。いついじりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/164
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165・倉地克次
○倉地政府委員 単位制高校の定数等の問題でございますけれども、これにつきましては本年七月に高校標準法施行令の改正を行いまして、一定規模以上の単位制の定時制課程について、開設科目の授業時間数が一定数を超える場合には教職員定数の加配を行うことができるよう政令改正したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/165
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166・嶋崎譲
○嶋崎委員 政令はいついじったのですか、規則はいついじったのですかと聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/166
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167・倉地克次
○倉地政府委員 七月十五日に公布いたしまして、六十三年四月一日から適用することにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/167
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168・嶋崎譲
○嶋崎委員 では確認しておきますよ。四月一日に新しい学校ができた。そして、定数法の場合は政令ですよ、学校教育法みたいに最初から省令じゃないのです。政令ですから、これは内閣の閣議決定です。閣議には文部大臣も自治大臣も対等平等で出ているのです。ですから、文部大臣の判断だけじゃいかぬのですよ、学校の定数を考えるときは。それに基づいて文部省の規則があるのです。
さて、政令は官報に発表しますから、僕の手に入っています。それが七月十五日ですね。省令をいじりましたか。文部省、規則をいじりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/168
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169・倉地克次
○倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、七月十五日に政令を公布いたしまして、規則については別に改正する必要はございませんので、改正しておりません。ただ、それに基づく文部大臣裁定等は出しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/169
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170・嶋崎譲
○嶋崎委員 では確認しておきます。政令はいじった、しかし文部省の省令には手をつけていないという確認でよろしいね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/170
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171・倉地克次
○倉地政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/171
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172・嶋崎譲
○嶋崎委員 それだけ確認しておいて、後で中身の議論のときに再度それに触れることにいたします。
途中で裏についている人が考えておくなり勉強しておく時間があったら、ちょっと問題だけ先に言っておくからね。こういうことだ。四月一日から実施するときに政令をいじった、政令の中がどういうふうにいじられたか、大臣知っていますか。その政令のどこをどう変えてどういう文章になったか、大臣知っていますか。大臣に聞いているのよ、局長じゃないよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/172
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173・中島源太郎
○中島国務大臣 今政府委員からお答えをいたしました内容でございますが、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律施行令の一部を改正する政令でございます。これについては、第五条第三項の表四の項を変えておるわけでございまして、その内容は、これはお手元にあれば省略をいたします。読めとおっしゃれば読ませていただくわけでございますが、よろしゅうございますね。その点を改正いたしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/173
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174・嶋崎譲
○嶋崎委員 大臣、しかしこれは政令ですよ。文部省の中で片づけるのじゃないですよ。これは「内閣は、」というふうにはっきり言っているように閣議決定ですから、大臣、知らなければいかぬのですよ。大事な教育改革の新構想高校をつくろうという御意向なのでしょう。その高校の定数をどうするかということについて閣議で定数の政令をいじるというときに、その政令がわかっていない、大臣は何をしていたかわからないけれども、御存じだったのだけれども、ど忘れなさったのでしょう。
さて、そのときに問題は何かあるかというと、政令はいじった、では文部省の規則はなぜいじらなかったのですか、いじらなくていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/174
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175・倉地克次
○倉地政府委員 単位制高校の定数の加配、その限りにおきましては、規則について触れる必要がございませんでしたので、いじらなかった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/175
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176・嶋崎譲
○嶋崎委員 そうじゃなくて、政令の「法第九条の規定により算定した数に加える数」、これは新たなものを加えるのですよ。「当該定時制の課程の数及び当該開設科目の授業時間数等を考慮して文部大臣が定める数」と書いてある。大事なところですよ。政令で文部大臣が定める数というのは、文部大臣の裁量です。
きょう自治省呼んでいますけれども、ここで自治大臣との関係が出てくるのです。文部省の方が、これも法律はまだいじってない、しかも省令でない今度は単位制という新しい規則をつくった、三日三十一日に。それで四月一日実施した。大体四月一日実施ですから、これは年度が変わるのだからという意味なら別だが、四月一日といえば来年度予算になるのです。だから、六十三年度予算で、文部大臣はこの数について裁量の判断を持っていなければならない、こうなるわけです。そのとおりですね。
そうしますと、四月一日発足の金沢中央高校並びに岩手の高校について、文部大臣はこの定める数をどのように考え、どういうふうに措置しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/176
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177・倉地克次
○倉地政府委員 この数につきましては、具体的にはその特定の定時制の課程におきます学級数、それから開設授業時数の時間数に応じまして所要の定数の加配を行うことにするわけでございますけれども、具体的な学校についてどういうことになるかということについては、まだ関係省庁と今協議している最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/177
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178・嶋崎譲
○嶋崎委員 そうしますと、文部大臣が定める数は、現在文部省と自治省の間で検討中と理解をしてよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/178
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179・倉地克次
○倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、開設授業科目の時間数、それから学級数に応じて、どの程度の加配をするかということにつきましてはおおよそ了解がついているわけでございますけれども、具体的な学校につきましてどのような措置をするかについては今協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/179
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180・嶋崎譲
○嶋崎委員 現地で調査していますから、現地は四月一日から二十名ふえたのです、金沢中央高校。その二十のうち八人は県単です。
さて、高等学校の先生方の定数に基づくお金は交付税で流れるのですから、小中学校とは違います。フィフティー・フィフティーではない。これは全額持たなければならない。
そうしますと、四月一日発足した金沢中央高校について、文部大臣は自治大臣とともに閣議で、政令でもって新しい学校の数について一定の判断を持たなければいけない。その判断は、今のところ二十だけれども、まだ自治省と文部省が協議中なのですから、六十三年度、今もう秋に入っていますが、一学期は終わったのです。今度は二学期に行くのです。二学期制ですから。それで今二学期は始まっておるのです。一学期は済んだが、今年度の高校への配分の数について文部省と自治省の間で結論が出ているんですか、いないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/180
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181・倉地克次
○倉地政府委員 先ほど申し上げましたように、単位制による課程の高校につきましては、大枠についてはほぼ了解がついているわけでございますけれども、具体的な学校についてどういう措置をするかについては、目下協議している最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/181
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182・嶋崎譲
○嶋崎委員 いつまでに結論を出しますか。もう二学期は始まっているんですよ。現場じゃ、先生が足りない、新しい問題いっぱい出ているんです、後で中身に入りますから。今はまず、行政的処置の対応について緊急性を要する、こう私は判断をするから、三月三十一日に文部省が新構想の高校をつくるという規則をつくって、四月一日から実施するといって学校を発足した。そしてもう一学期が終わっちゃった。それで、にわか仕立てに二十名ふやした。二十名ふやしたけれども、県単八、そして十二は交付税処置として今のところ処理されている。しかし、これでは結論がまだ出ていないんですから、当面の措置として「新しい学校が始まるために人が要るということで、当面特例的措置をやっていると思う。ところが、まだ自治省と文部省との間で協議中ということであれば、もう今年度は二学期が始まったんですから、来年三月までにはっきりしなかったら今年度の生徒は犠牲になるじゃないですか。
そこで、文部省、自治省、それぞれ協議をするとして、いつまでに結論を出していつまでにその措置を行うのか、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/182
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183・倉地克次
○倉地政府委員 先ほど申し上げました政令は、公布は七月十五日でございますけれども、その適用は四月一日に遡及する次第でございます。それでありますので、文部省と自治省とにおきます協議はできるだけ早急に結論を得ることといたしまして、その結果につきましては四月一日にさかのぼるわけでございますから、財政措置としては遺漏のないように措置できるものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/183
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184・嶋崎譲
○嶋崎委員 まだ時期はわからぬ。
自治省、文部省との協議の過程で、自治省はどんな御判断ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/184
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185・遠藤安彦
○遠藤説明員 お答えを申し上げます。
ただいま御質問の件につきましては、文部省からお答えがあったとおりでございまして、ただいま協議をいたしておりますので、私どもとしましても、具体的な高等学校の加配の人数につきましては、なるべく早く結論を出して、先生のおっしゃっているとおり、交付税上の措置を講じてまいりたいと思います。
ただ、交付税で措置いたします場合には、高等学校の教員の具体的な数を指標といたしまして、単位費用を掛けて基準財政需要額に算入するという方法をとっております。しかも、交付税が非常に大きな地方団体の一般財源でございますので、早く決めなければならないということがございまして、既に今年度の交付税につきましてはことしの八月に決定をいたしております。したがって、具体的な高校学校の加配の人数がもし決まれば、それにつきましては来年度に錯誤というような形で具体的な処理がなされなければならない。これは交付税の算定技術上の問題になりますが、いずれにしても加配の数が決まれば財源措置はいたす、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/185
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186・嶋崎譲
○嶋崎委員 さあ、文部省の方が大事なんです。交付税の算定は、もう八月の段階で終わっちゃうの。そして新たに問題が出てくると来年度回しになるの。それで、予算というのは年度年度で終わるんですから、文部省の方が政令を七月十五日につくって、閣議で決めて、さかのぼって四月一日から新しい学校を発足させておいて、そして現場では先生が足りない。今中身を言いますが、問題になっている。そのときに、県としてはもう八人県単が精いっぱいだ。あと十二人だけは交付税処置だというんで当面糊塗してあるわけ。当面ですよ。それじゃもうとても問題にならぬ、数は。校長先生の話じゃ、この学校を維持するのにはさらに八十人先生が要ると言っているんです、そんなことになりはせぬけれども。そのくらいの問題性を持った高校なんです、皆さん方は立派な臨教審高校をつくるんですから、ところがそうはならないから、せめて初年度、スタートしたときに、一定の需要に、ニーズにこたえられる体制で始めなければいかぬじゃないですか。
そのときに、文部省が政令を七月十五日決めて、いまだに自治省と話し合うて、今年度については現場で措置しているという程度のことで糊塗してしまうとすれば、大臣が提案していた立派な新構想をスタートさせるには——筑波大学のときは新構想大学だったけれども、もっと準備して始めたね。そんなことを考えると、にわか仕立てに事をやっているんじゃないですかと言わざるを得ないわけ。
したがって、自治省には交付税の算定と配分についての時期に一定の限度があるんだから、文部省はそれまでの間に、この政令で言っている文部大臣の裁量ですから、一定の現地調査をやった上で判断をして自治省と詰めなければ、ただ話し合ってみたって、自治省は自治省なりに役所の予算配分の日程で動くのですから、文部省がそんなことわからぬはずないのですから、それ以前に対処をするような努力がなければ、せっかく発足した学校がスタートからごたごたしているということになってしまうのです。したがって、もう二学期始まったのですよ。前学期終わったのですから、四月から始まって、今回、二学期制なんですから、そこの時期はもう既に始まっているだけに、来年度処置になるかどうかは別としても、文部省は速やかに一定の判断を下すべき時期に来ている。早急に判断をしてこの委員会に報告する。できますね、文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/186
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187・倉地克次
○倉地政府委員 私どもといたしましては、早急に関係省庁と協議いたしましてその数を決めるように努力してまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/187
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188・嶋崎譲
○嶋崎委員 それではだめですよ、最初の答弁と同じで。大臣、決断だ。今から中身に入りますけれども、こういう新しい、中西質問で聞いていた立派な新構想の高校をスタートさせるのですから、最初から定数問題について希望が持てるように、また同時に施設その他について希望が持てるように、スタートさせてしもうてからいつになったら施設ができるかわからぬような話でも困るし、ちゃんと計画立てて三年とか五年でどうするかというようなことも含め、定数というのは、これは——この定数というのは、特殊形態ですから、定数の決め方は難しいですよ、皆さん簡単におっしゃるけれども、後でまた議論しますが。だから、それだけに速やかに決断をして一定の判断を文部大臣として下すべきだと思う。関係省庁と話し合ってなんて言っていたら、役所の仕事ですからいつになるかわからへん。現場では悩んでいるんですから、私たちは現地調査して現地の校長や教育長の意見を聞いてきているんですから、それだけに速やかに対処するということを約束してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/188
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189・中島源太郎
○中島国務大臣 おっしゃいますように、七月十五日、四月一日にさかのぼりますけれども、その政令に基づくものでございますし、その中での時数その他の問題でございますので、私の名において定めるその後の事務処理でございますので、早急に定めさせるように督促をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/189
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190・嶋崎譲
○嶋崎委員 まだ臨時国会は来月までありますから、少なくとも今国会中ぐらいには結論を出してもらわぬと困りますぞ。だから、この臨時国会、会期延長するかどうかは別として、限度切っておきましょう。十一月二十五日まで、それまでの間に結論を出して対処するという約束はできますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/190
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191・倉地克次
○倉地政府委員 最大限努力してまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/191
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192・嶋崎譲
○嶋崎委員 最大限じゃない。立法府で法律をここで上げなければならないのよ。上げちゃえばその法律に基づいて制度が皆変わるのよ。そして、既にそれ以前に走っているんだから、だから今国会中と言っているんですよ。今国会中に結論を出しなさい。それを越してしもうたらもう六十四年度予算始まるのよ。六十三年の実施過程の中での判断ですから、今国会中に出せますかと言っているんです。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/192
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193・倉地克次
○倉地政府委員 先生の御趣旨は私どもよくわかるわけでございまして、その意を体しまして最大限の努力をしてまいりたい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/193
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194・嶋崎譲
○嶋崎委員 時間をとったら、もう四十分たっちゃった。
では、今度は二番目のテーマに入りましょう。先ほどの中西委員の質問に関連して、まず最初に一つだけ深めておきましょう。
先ほど中西委員が御質問をしたときに、今度の技能連携の制度を国から地方に移すということは、国と地方の役割分担という意味で地方分権の考え方に立っているのですかという中西委員の質問に対して、私の理解した限りでは、二十五年の経緯を踏まえて、その制度が定着しているので今度改正に踏み切ったとお答えになり、地方分権の考え方に立っているかについては正確なお答えがなかったように思うが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/194
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195・古村澄一
○古村政府委員 今おっしゃいましたとおり、先ほど私が答えましたのは、制度が定着していて、そしてなるべく指定する権限のある人が近くにいるということの方が実態に合うであろうということから、指定権限を都道府県の教育委員会におろしたというお話をいたしました。
そこで、そのときに中西先生から、地方分権というものをどんどん広げていくという一つの嚆矢として考えるのかというふうな意味での御質問がありましたので、私は、そういったことまで考えた意味ではないというふうにお答えしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/195
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196・嶋崎譲
○嶋崎委員 そうしますと、皆さんは臨教審の答申に基づいて今度のいわば権限委譲という問題も御判断なさったんじゃないのですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/196
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197・古村澄一
○古村政府委員 臨教審の答申に根拠を置いてこの判断をいたしました。おっしゃいますとおり、若干触れさせていただきますと、臨教審の答申には、「教育における地方分権を推進し、」云々というところから始まって、その項の中に書いてあることは書いてあります。
ただ、私が申し上げましたのは、国と地方のいわゆる分権、地方と国との教育のあり方というのは、地方自治法なりあるいは国と地方の教育行政に関する法律である程度できているでしょう、そういった基盤を大きく変えていくというものではないという意味で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/197
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198・嶋崎譲
○嶋崎委員 局長、臨教審の答申のどこがそんなふうに読めるのですか。臨教審はいいことを言っているのです、何も我々は臨教審全部が悪いと言っているんじゃないから。
今局長がおっしゃった「地方分権の推進」、そこでは非常に具体的に書いてあるのですよ。僕の文部時報によると、百七十四ページに、「このような観点に立って、国の定める最低限度の教育上の基準を満たすことを前提に、各都道府県、市町村が独自の判断と責任において、例えば、次のような新しい制度や仕組みを作ることを許容し、積極的に奨励するようにすることが望ましい。」こう言って、そして(ア)、(イ)、(ウ)といって、(ウ)のところで、「高等学校教育(定時制、通信制)の技能連携のための施設の指定を都道府県において行える制度の創設。」非常に具体的です。そしてその後にこれとの関連が出てくるのです。「本審議会が第一次答申、本答申で提案している六年制中等学校、」続いて「単位制高等学校、」と個別に入っているのですよ。そして続いて「初任者研修制度、」これまた重大ですね、もう前に通ったけれども。「苦情処理の仕組み等の事項についても、」次にこう言っています。「全国一律方式にこだわり過ぎることなく、各都道府県、市町村の自主的判断と責任に委ねる部分を広く認め、多様な試みが展開されることが必要である。」そう言っていますね。
ということは、少なくともこの地方分権という観点に立って、高等学校教育の定時制、通信制の技能提携については、都道府県に行えるような制度を創設するというのが分権の考え方よ、そしてその分権を進めていくときに、定通教育の中に単位制高等学校というものも要るし、同時にまた、初任者研修制度についても同じだという個別例が上がっているわけです。つまり、文部省は、初任者研修制度については、「全国一律方式にこだわり過ぎることなく、各都道府県、市町村の自主的判断と責任に委ねる部分を広く認め、多様な試みが展開されることが必要である。」というこっちの方は目をつぶって、そして技能連携の方だけは法律改正で出てきているわけですよ。
だから、正確にこの臨教審で言っているところの分権の観点に立ってこれが位置づけられているとすれば、二十五年の経験もさることながら、これから新しく単位制高校というものが発足する、その際に、単位制高校というものの年限を縮めるということも臨教審で言っているのだから、そうなれば、技能提携の新しいタイプ、どういう技能連携で単位を取得するのか、そういうことを全体として考えなければならないという意味で、新しいタイプの高校と、この制度の分権化は密接不可分だという提案じゃありませんか。そう理解をしないのなら、今度の法案のいわば技能連携制度というものを見直すという趣旨は生きてこない、こう理解すべきだと思うが、いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/198
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199・中島源太郎
○中島国務大臣 私も一つ一つは記憶しておりますが、その文言を急に言われましても、手元にございませんので、多少の時間はいただきますけれども、今おっしゃったのは、確かに臨教審の第二次答申の中にも、「地方分権の推進」という言葉はございます。
ただ、私ども、やはり国と地方の役割分担はそれぞれあるという原則はもちろんでございますが、その上に立ちまして国と地方との役割分担を見直していこう、その中の一つであることは事実でございます。したがって、国、地方の役割分担は厳然としてある、それを一つ一つ、この部分は役割分担を見直すことができるであろうという中の一つであります。
したがって、先ほどから局長が答弁をしておりますのも、これは国と地方との役割分担の見直しの一つであります。しかし、これを総括的に、今の定通制の問題あるいは技能の新しい指定に対する問題、これが地方分権になだれ込むための一つの入り口であるか、そう言われますと、そうではありません。これは国と地方とのそれぞれの役割分担は厳然とございます。その中の見直しをする部分であるという認識に立っておる、こういうことを申し上げたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/199
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200・嶋崎譲
○嶋崎委員 お互いに政治家ですからね、文部大臣。私も政治家、あなたも政治家、政治家ですからね。臨教審を受けて新構想高校をやるときに、ちゃんと地方分権の推進の重要項目に挙がり、しかも中身としては、それはなぜ必要かというと、単位制高校をスタートするのですよと言っているのですよ。そうすれば、今大臣の言った言葉は、全体をどういうふうに復習していいか僕はわからぬ。もっとお互いにわかるように腹を割って話をすれば、そんな抽象的な話じゃなくて、もっと分権の中の一つの重要な意味としてこれが位置づけられ、単位制高校というものがもし皆さんが言う理想的なものであるならば、全県に一つなのか、もっと密着したという話ならば、県下に二つか三つつくらなければいかぬかもしれぬでしょう。そういうことを含めて、新たな新構想高校を発足することとこの分権問題は密接不可分だということなんです。単位を減らすために、技能制度というものを拡充するというのがこれからの方針でしょう。そうすれば、これは密接不可分だと読まなければおかしいと僕は思うのですよ。
だから、どんなに僕の前できれいにごまかされても、ここで言っている意味をもう一度大臣はお読みいただいて、そして分権の推進ということの一環として、この新しい新構想高校の単位互換という問題と技能連携制度というのは、新たな意味の密接不可分なスタートなのよ、こういうふうに理解をするのが素直な臨教審の教育改革推進の姿である、こう私は読み取りますから、これは今のところ意見が違ったことにしておきましょう。
時間が制限されておりますから、これだけにしておきましょう。中西質問に対する回答が、どうもこの臨教審の中身と何か違う回答のように思えたので、強いて申し上げた。別に追及しようという意味じゃなくて、改めて文部省はきちんと御検討いただきたいという趣旨でございます。
さてそこで、先ほど中西さんの質問でほぼ出ておりますが、今度の法律の改正の趣旨は、臨教審を受けて高校の多様化、弾力化という観点だ。それは一口に言うと、一つは修業年限の問題になる。 その修業年限の問題になると、そこで単位のあり方、カリキュラムのあり方、それから学年制をとらないといういわば新しいタイプの高等学校構想が問題になるということと密接不可分に修業年限という問題、四年以上を三年以上にするというふうに出した意味だと思います。
さてそこで、もう一つは技能連携ですが、これはさっき中西さんがいろいろな観点で質問をなさいましたが、最初にお聞きしますが、修業年限というのは何ですか。正確に言いますと、修業年限とはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/200
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201・古村澄一
○古村政府委員 修業年限といいますのは、その学校の目的、目標を達成するために必要な年限というふうに一般的には言われるわけですが、若干法律的に申し上げますと、一つは学校に対する問題として、学校は修業年限に応じた教育課程を編成しなければならないという規制が生じます。二番目として個人、いわゆる教育を受ける側に対する法的効果といたしまして、定められた修業年限未満の在籍では卒業は認められない、こういった両方の面での意味を持っておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/201
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202・嶋崎譲
○嶋崎委員 修業年限というのは、私の法律的定義によれば、学校の定める教育課程のすべてを修了するのに必要な年限のこと、こう理解するのが正確だと思います。学校の定める教育課程のすべてを修了するに必要な年限のことを修業年限というのだ、私はこう思います。これがおかしいですか。私が言っている限り、そのとおりでしょう。何もひっかけようと思っていないから、これは素直に答えてくださいよ。学校の定める教育課程のすべてを修了するのに必要な年限、こういうことでしょう。何をそんなに考えているのですか。そういうふうにお互いに理解しておきましょうよ。というのは、やはり学校の定める、その学校というのが大変重要になってくるからであります。すぐぴんと来るでしょう、初中局長。
そこで、今学校は、学校教育法によりますとタイプは第三条、第四条に規定されますな。学校というのは正確にはどういう規定になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/202
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203・古村澄一
○古村政府委員 ちょっと私、今先生の質問される意味がよく受け取れておりませんが、学校とは何かと言えば、学校教育法第一条に書いてある「学校」ということに相なりまして、ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/203
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204・嶋崎譲
○嶋崎委員 種類だ。第四条「国立学校及びこの法律によって」、皆さんの文部省の大臣の提案理由、その後に附属資料というのがあるのでしょう。それに関連法律条文と書いてあります。そのうちに第四条というのが最初に出てくるのです。だから、関連しているから出してあるのでしょう、皆さんが。だから、改めて僕はこの教育六法を見ているのです。「国立学校及びこの法律によつて設置義務を負う者の設置する学校のほか、」これからが関係するのです。「学校(高等学校の通常の課程(以下全日制の課程という。)、夜間その他特別の時間又は時期において授業を行う課程(以下定時制の課程という。)及び通信による教育を行う課程」、そのほかに大学、大学院があります。
ですから、学校教育法で言う学校の種類で言えば、その第一条で言う「学校」は、「国、地方公共団体及び私立学校法第三条に規定する学校法人のみが、これを設置することができる。」とか学校の規定があって、そしてその「学校」は、「国立学校及びこの法律によって設置義務を負う者の設置する学校のほか、」高等学校は全日制、それから定時制、通信教育制度、この三つは学校という種類の枠の中に入っている、こういう理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/204
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205・古村澄一
○古村政府委員 第四条に言っておりますのは、いわゆる監督庁の認可のことを言っておりまして、「設置義務を負う者の設置する学校」というのは小中学校、義務教育でございます。したがって、それ以外の学校で高等学校の全日制、それから定時制といったものについては、これの「政令で定める事項は、監督庁の認可を受けなければならない。」こういうシステムになっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/205
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206・嶋崎譲
○嶋崎委員 そこで、単位制高校というのは文部省が省令でちゃんと規則をおつくりになっているのですから、単位制高校はこの範疇のどこに入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/206
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207・古村澄一
○古村政府委員 単位制高等学校といいますのは、定時制高等学校及び通信制高等学校の特別の形態ということでございますので、この定時制及び通信制の課程に入るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/207
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208・嶋崎譲
○嶋崎委員 定時制、通信制の粋の中にある特別の形態と言いましたが、特別の形態が単位制高校だ、こういう特別が入るのですね。
さて、修業年限は学校が定める、この学校は定時制並びに通信制という学校を枠にしているが、単位制はその中に含まれる学校ですね。そういうことを意味しますね。そうすると、学校の定める教育の課程というのは複雑になりますね、今度は新たに学年制をとらないのだし、科目制をとるのだし。この新しいタイプの学校の場合は、学校の定める教育課程のすべてを修了するに必要な年限という場合に、この特殊な学校をまず学校として規定しなければいけませんが、それは間違いありませんね。それは学校として規定しますね。学校教育法上に言うところの二つのタイプの特別だというけれども、学校ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/208
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209・古村澄一
○古村政府委員 先ほどおっしゃったことと関連するのだと思いますけれども、当該学校を修了するために必要な教育の総量をこなすための時間を年数で示したものが教育課程だというふうなお話でございました。
そこで、そういった考え方だと思いますが、それは修業年限をだれが決めるかということとのリンクではない。修業年限というのは、ある程度法律で高等学校なら三年、大学なら四年というふうに決める。そして四年以上というふうになっているときには、今も四年以上という定時制の課程がございますが、定時制の課程四年以上を五年とするか四年とするか、これは設置者で決めるというシステムになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/209
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210・嶋崎譲
○嶋崎委員 それはそのとおりですが、だからここでいよいよ問題になってくるのですよ。定時制並びに通信制という学校制度は監督庁の認可を必要とする。この学校は決めたカリキュラムやその資格を修了するのには四年以上要るとあるときには判断した。今度は三年以上という判断をした。その判断は、先ほど中西質問にお答えになっている局長の答弁だと、提案理由にありますように、何も四年以上にしていなくても三年以上にして三年間でも単位は終わっている人がいる、だからその人たちに便宜を与えるということのために三年以上としたのであって、四年以上も含むのだ、こうおっしゃいましたね。
そうしますと、この単位制高校と言われる高等学校には三年以上で修了だと判断をする生徒と四年以上で修了するという生徒が混在して入ってきてもいいということになりますね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/210
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211・古村澄一
○古村政府委員 これは、その修業年限をどう決めるかというのは設置者というふうに申し上げました。したがって、生徒の方からおれは三年だ、おれは四年だという随意な決め方でもってカリキュラムをとるわけにはいかないという一般論がある。しかしながら、単位制高校で今度、今の単位制高校でもいいんですが、四年次以上となっている範囲内での単位制高校で、勤務の形態とかがあって自分としてはある程度四年では修得できない、卒業まで行けないということで、単位の選択をする場合に五年かかるような少ない選択をしていくということはあり得るでしょう、こう申し上げたということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/211
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212・嶋崎譲
○嶋崎委員 だから、僕は混在でしょうと言っている。だから学校の案内には、今度学校教育法が変われば三年以上が該当するんですから、ああ三年で僕は単位が取れるんだなという希望者が来るし、しかし今までのように働きながら高校の資格を取ろうというのは、まあ無理せぬでもおれは四年以上で働きながらやった方がいいという判断で来るのもいるわけです。したがって、そのクラス編制というのは、今度はちょっとホームルームその他難しくなりますが、そういう混在型の生徒が入学してきているということは認めざるを得ませんね。
そうしますと、今までの定時制というのは主として勤労青年だったわけでしょう。勤労青年だからなるべく負担にならないように、技能連携で単位は互換できるように、そしてまた同時に詰め込みにならないように、健康を害したりしてはならぬというので、四年以上だったわけです。今度入ってきているのは三年以上であるが、これから将来生徒が急減の時期に入るとどうなるかわかりません。今のところは九割ぐらいが日本全体の輪切り教育の中で全日制に行かなかった方々がお見えになっている。多様性を持っているわけです。一応ここに数字もありますけれども、九割ぐらいはそうだと見てよろしい。
そうすると、その人たちは働いてない。働いてないということは、昼間四時間、五時間か行っておけばあとは昼からと夕方あいておるわけです。その間に、三年の間に通信制で片一方は単位を取る、定時制の方にちょこちょこっと行って単位を取ろうといって三年に合わせますよ、早く出れるんですから。そうすると高校出の資格が取れるんですから。能力かついているかどうかは別よ。しかしその意欲は生徒はみんな持つ。そうすると、かつて勤労青年に四年以上といった制度と、今度三年以上という新しい制度はかつての定時制の理念と違った学校制度になる、こう言わざるを得ないと思うが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/212
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213・古村澄一
○古村政府委員 確かに、おっしゃるとおりそういった全日制に入れなかった子供が定時制の方に入ってきているという実態というのは、私たちも否定するものではありません。
しかしながら、三年以上にしたということはやはりいろいろな、先ほどから申し上げておりますが、勤務形態が昭和二十五年から比べますと現在はかなり変わっていると思います。そういった点を考えればもうちょっと学校へ来る時間が出てくるではないか。出てきた子供はある程度そういった技能連携とかなんとかしながらでも三年で卒業できるのではないか。そういった道を開いてもいいのではないか、その方が子供のためにプラスではないかということでございまして、全く定時制、通信制教育がいわゆる勤労青少年教育から外れたものであるということにはならない。そういった若干関係のない子供が入っているという実態は見ておりますが、そういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/213
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214・嶋崎譲
○嶋崎委員 だから局長、ここなんですよ。皆さんは役人のトップにいらっしゃるから上から制度をつくるというようなお仕事なのです。ところが、制度をつくるときには現実の過程がどうなっているかに合わせて制度というのはできる。だから現実の過程に合わせた制度として見たときに、現実の過程の変化があなた方が描かれる制度の理念に合致するかどうかは別なのです、日本は官僚国家ですから、縦社会だから。上からばんとつくりますと新しいものに見えるわけです。ところが現実の過程は変化していますから、縦社会で構想したような学校と違った層と違った形態があらわれてくるわけです。そうしますと、現実と理念の乖離、文部省の皆さんが考えたり臨教審の人が考えているのはある意味では理念だったが、虚像だった。実像、実際の像は違った姿であらわれ、虚像と実像の乖離というものが出てくる。それが現場の学校にとっていいのか悪いのか、ここが問題になるわけです。
そこで、学校というのは二つの要素が要ります。一つは系統性。修了するというのは一定の系統的な基礎があって単位を取って卒業と修了になる。系統性というものが要るのです。これはカリキュラムの編成に非常に重要なものです。もう一つ重要な要素、学校というのは単なる専修学校と違うのですから、集団性というのが要るのです。横に生徒たちが連帯し、教師と生徒との間に密接なコミュニケーションがあって、そして発達段階に応じてその人間の陶冶が行われるという集団性というものが要るのです。
そこで、私が最初に言った修了制度とは何ですか、学校の定める諸課程というものをすべて修了するに必要な時間だと僕は思う。勤労青年だったら四年以上でもいいと思う。今までどおりで対応するでしょう。ところが、三年以上という制度がひとり独自に動き出すと、三年でいいという人たちは直ちにそれに対応できます。それは便宜です。便宜がよろしい。たまたまそれはある意味では、変な表現ですが、できる子だった場合にものすごく便宜性になるんです。ところが、今集まっている生徒の中に、残念ながら日本全体が輪切り教育をやっているために、高校施設が不十分なためにそこに行かざるを得ないという生徒たちが集まっている。御承知のとおりです。
そうしますと、その生徒は三年以上ということで便宜性を選べばそっちを選択するに決まっています。便宜性を選んだときに、そのような生徒たちに系統的な学校のカリキュラム、集団性というものが保障されなかったら全日制に入れて進学や自分の判断でいける生徒よりももっと新たな教育問題が起きる。おわかりでしょう。いわばそういう性格の実態としてあらわれるということです。だから三年以上ということは、そこに三年以上にしておけば便宜がよくて大学受験の資格も取れるという人は三年以上ですっといくかもしれないが、全日制の本来持っていた生徒たちの理念が、現実に集まった生徒の構造から理念どおりにならないとすると何が起きるか。便宜性を考えたら系統性が抜けてしまうのです、選択ですから。
現に金沢中央高校で何が起きているかといいますと、空き時間ができるのです。おれ、この選択したくないな、途中あいてしまうのです。大学に行ったらみんなそのぐらいの年齢というのは図書館で勉強したり自分で勉強します。ところが空き時間ができたら何もすることないわけです。学校の中をうろうろ始める。バイクに乗ってきておるから、近所をぶうっと一時間遊んでこんまいかとなる。近所の住宅に迷惑がかかることがあるのです。つまり三年以上という枠で便宜性を与えることが学校の系統性と集団性というものにとってプラスなのかマイナスなのかということを現状に合わせて判断しなければならないということです。
その判断抜きに、ただ三年以上が便利だということで大半の人は三年で取れるのですということを制度化すると、そのはみ出た部分をその中に強制することになるのです。わかりますね。制度というのはそういうものです。一たびできると強制力を持つのです。法律が変わると強制力を持つ。強制力を持つと何が起きるか。ここで系統性は抜けますが、単位を簡単に取ろうとひとり努力をしてみたり、逆に今度は詰め込みで早くやろうとしたりし始めることになる。だから、制度を四年以上から三年以上にするという制度改正の中には、社会の変化の一つのメリットだけを頭に置いて制度化すると、そのメリットがデメリットに転化するということです。それが現実にスタートした中央高校の姿だということです。
その点をよくお考えいただかないと、年限を縮めるということだけで自由な個性のある学校になると考えると、現実はそうならないこともあるよということを警告しておきたいのです。これは長い目で見ぬとわかりません。一年や、まだ始まって半年ですから、長い目で見ぬとわかりませんが、少なくとも高校進学の青少年がふえる時期は学校が足りないのですから今のような構造が続きます。これは少なくとも五年続くということです。今から最高のピークが九五年ですか、六年になるかな、そのぐらいまで続くのです。それから今度は人口が減るのです。減ったときにはみんな今度は全日制に行ってしまいますから、そうなったときに改めて新しい制度の真価が問われることになる。時間がかかるのです。その時間の間は政令で決めたように文部大臣は予算措置、施設の措置、全部やらなければいけません。そういう問題としてこの修業年限を位置づけるべきだと私は思う。大臣、局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/214
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215・中島源太郎
○中島国務大臣 先生のおっしゃる中で、教育というのは一つの系統性あるいは集団性、その中の教育のやはり有意義さがあるとおっしゃる点はよくわかります。しかし、あるいは社会環境あるいは家庭環境の中でそういった系統的、集団的な教育を一貫して受ける環境にないというお子さん方もいらっしゃる。あるいはお子さんと申せない社会人の方々が単位を学び補いたいという意欲も事実おありになるわけでありまして、そういう方々に、一つの学校で学んだもの、その単位、二以上の学校で学んだものをそれは加算できないということも、これはなかなか不幸な壁になるわけでありますので、そういうものを一方で取り除いてさしあげるということも学校教育の一つの方法だと私は思うわけです。そういう面では単位制高校のこれから活用される有意義な面があると思います。
ただ、先生がおっしゃるように、その利点だけを取り上げて進めるのはどうか、こうおっしゃる。その老婆心もわからないではありません。しかし、一つの改善、改革を行う場合には、やはり利点と短所があるわけでありまして、今急増の時代、やはり全日制に行けないという環境の方々が単位制高校におられることも事実でありましょうし、また実地に嶋崎先生が単位制高校を見学されて、その場で体験されたことを御指摘いただいておるとすれば、これは傾聴すべきことだと思います。ただ、長所と短所がどうしても付随すると思いますので、そういう面では発足したての単位制高校でありますから、その点の長所を伸ばし短所は改善をしながら、せっかく単位制高校を発足させた意味は立派にあるわけです。それは重ねて申し上げて恐縮でございますけれども、せっかく発足いたしました生涯学習という立場を明確に受け入れるというのも単位制高校の大きな意義の一つでございますので、それを無事に推進していくということに向けまして努力を傾けてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/215
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216・嶋崎譲
○嶋崎委員 どうも私の言っている現実がおわかりにならないみたいですね。
では具体的に言いましょうか。今年度発足した石川県の金沢中央高校、これについて教育長の御意見もお聞きしました。現場の学校長の御意見もお聞きしました。それからお昼の先生方とも話し合いをしました。それから二部制の先生方とも話し合いをいたしました。そこでおっしゃるメリットとデメリットと二つあるのです。わかり切った話ですよ。現実はどっちが多いと思う、文部大臣。そんなに推進できるほどメリットが多いとお思いですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/216
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217・中島源太郎
○中島国務大臣 それは、今の状況が理念と現実の乖離とおっしゃられれば、そういう部分は確かに混在しておるかもしらぬと思います。それは率直にそういう点があるであろう。ただ、単位制高校を発足させたという意味におきましては、今申し上げたように、再三繰り返して失礼でありますが、たまたま今全日制に行かれるべき方がほとんどだとおっしゃる。私どもは一部そういう方がいらっしゃるであろうと申し上げる。しかし、これは言葉のやりとりのあやではなくて、混在していることは事実でありましょうけれども、しかし、目的というものはやはり生涯学習の一環であり、また勤労青少年のための新しい単位制という意味での、数多い単位の中から自分が選んで単位を取っていける、そういう利点を伸ばしていけば、この単位制高校の芽は大きく育っていくべきものと私は考えております。決して先生がおっしゃるような短所を否定いたして目をつぶって言うわけではありません。短所はあるでしょうけれども、長所を伸ばすべき私どもの義務と努力が必要である、その方を私どもは大きく自覚していかなければならぬはずだ、こう申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/217
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218・嶋崎譲
○嶋崎委員 では具体的に聞きますが、長所というのは、どんなタイプの青年がいて単位制高校に入ったら長所なんですか、今おっしゃった中身を具体的に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/218
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219・中島源太郎
○中島国務大臣 これは二つあると思います。例えば勤務し勤労されております青少年もいらっしゃると思います。それから、中にはもう社会に入っておられる、あるいは社会人として、家庭人としておられる方々が単位を補習する、学び補うということも、社会人が単位制高校を活用されるという面もあると思うのです。それは私が申し上げました生涯学習の重要な一環として単位制高校が活用されるであろう、そういう意味で申し上げたわけでございまして、そういう方々が活用されるべき教育の場であると私は認識をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/219
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220・嶋崎譲
○嶋崎委員 夜間の方の定時制の場合には依然としてその芽があるのです。しかし、それでも数%です。昼の方は違いますよ。昼は働かないで来る労働者の方が圧倒的です。石川県の場合は御承知のように繊維産業です。繊維産業がありましたから二部制なんです。お昼でも午前と午後だった。御存じのように石川県の繊維産業が変化し、そして、かつてのような日本全体から中卒の若い労働者たちが働きに来て、定時制に行く、そういう姿はありません。だから、圧倒的部分が輪切りの中での多様性に基づく人たちがお昼なんです。その中にも芽がある。
どういう芽かというと、今までの全日制の学校の中で規則に縛られているのは嫌だ、それで学校へ行きとうのうなった、ところがここは自由だな、それで単位は自由に取れるならというので、個性的なのがいるんです。数人ですわ。数人いる。だから僕は芽はないとは言ってない。だけど大臣が言うように、まるでメリットとデメリットがあたかもフィフティー・フィフティーのようなものとしてスタートしているのが今からの単位制高校ですよなんという認識なら、これは日本全体の教育界の中で占めている位置というものをおわかりになってないと僕は思う。
というのは、何も定時制や通信制のところだけに特殊な単位制高校を設けなければならぬことはないのです。全日制の中に設けてもいいのですよ。それを当面全日制じゃなくて定時制と通信制のところに設けたというのは、今までの伝統的な、いわば勤労青年の教育の機会均等という理念が生きているからそこから手なつけたんでしょう。ところが、手をつけてみたら現実には全日制の高等学校の現状が全員入れない、希望は九十何%でも入れないために、表現は悪いですけれども、そこに流れてくる、そういう構造になっている中で、単位制高校がいかなるメリットがあるのかないのかを議論せないかぬのです。そういうことを言っているのです、僕は。だから、言葉でごまかす議論を始めるのじゃなくて、その事実を大臣は知らぬとは言わせぬよ。もうどこに行ったってそうなんですから。全部お調べになってごらんなさい、全部そうなんだから。その中でその学校というもののメリット、デメリットを考えて、私たちはこの新構想高校を承認するのかしないのかという議論になる。
そこで、少し個別、具体的にもう少しいってみましょう。
石川県の場合、金沢中央高校の場合、この発足した学校が五つぐらい問題点があります。その第一は、この学校は昼二部制でしょう。そして夜は全日制、単位制高校、学年なしにいろんな多様な層が入ってきている。ところが、先ほど中西委員も言いましたように、体育の施設、グラウンド、そういうものは皆無なんです。雪が降ったときに、途中とぼとぼ長靴を履いて新しい借りる体育館に出かけるような形で体育をやらざるを得ぬでしょう。そういうようなことを含めて、施設に大問題があります。予算措置はすることになっていますが、これでは恐らく理想を追うにしては余りにも施設はお粗末だ、スタートするときには随分たくさんの施設ができるような話だったそうだが、できてしまうとなかなかそうはいかぬ、こういう予算事情ですからね。これは大したことないからおくとしましょう。
問題は生活指導なんです。先生の定数と生活指導というのが大問題なんです。生活指導というのは、定時制も全日制の学校もみんな生活指導に問題がありますよ。ところがここで九割を占めている生徒の持っているそういう多様な性格が生活指導を大変困難にするんです。さっき言ったように空き時間ができるのです。空き時間を学校の中をうろうろして騒いだんじゃ、ほかの授業ができないでしょう。先生方はうろうろして、それに対する態勢を今度は整えなければいかぬ。休憩時間にビューンとバイクに乗って外に出て町の人を大騒ぎさせてしまうといったら、これは町から不満が出るのです。それに対しても先生は対応せないかぬわけ。そういうのを含めてホームルームも四十名じゃできませんね。だから二十名でやった。二十名でホームルームをやるにしても、さあ先生の数、並びに二十名に一人でこういう場合に対処できるかどうかが今問われているわけ。というのが二番目の問題との関連なんです。
二番目は何か。金沢地区では公立の高等学校を三つつくらないと今の急増に間に合わないのです。二つできたのです。ところがあと一つできてないのです。二つできて一つできていないということは、二百名そこそこの人間をどこかで救済しなければならない。進学率は高いですから。現に金沢での収容率というのは今どれくらいかというと、毎年減っておりますけれども大体七〇%台です。七七・三%ですから、三割ぐらいの人間は受け入れなければいかぬのです。そうしますと、既存の定時制には行けない、しかし高校卒の資格は持ちたいという人が集まるわけですね。こういう姿になるというのはどこに問題があるか。三つ増設すべき高等学校を増設していないということじゃないですか。だから、理念を持って描いた単位制高校で新しいことを言ってみたって、その理念どおりの人は集まらないわけです。ポイントはどこにあるか。三つつくるという計画の一つの学校が抜けているということです。その抜けているということのために単位制高校にそういう特殊な要因が働いて、今後とも数年間、青少年の進学のふえている間はこの問題はずっと続くのです。減った段階ではどうなるか新たに検討しなければならぬ、そういうことですよ。これが二番目の問題。
三番目の問題は、今の技能連携制度ですよ。新しい技能連携制度で単位を取るということになると、どういう問題が起きるか。今までの勤労青少年の場合は、学校でなくて外の技能のいわば研究所やそういうところで職業訓練を受けてきて単位にするということは、余裕を与えることだし、便宜でもあったわけです。ところが、今のは勤労青年じゃないわけでしょう、大半は。そうしますと、こういう代替制度を認めますと、学校から外に行くという生徒をつくることになるわけです。外に行って単位を取ればいいのですから、学校におらぬでいいわけです。ですから、三年間のうち暇なときに外に行ってそれを取ってくるのですから、学校から逆に外にそういう人たちは締め出されて単位を取る。そうすると、集団性、系統性の問題との関連はどうだろうかという問題が起こってくるわけです。わかりますね。
だから、定時制をめぐるかつての進学希望者たちの条件が今日輪切り教育のために変化していることが、新たな新構想高校をつくってもその理念に合わない現実の過程となってあらわれる。これは技能連携制度を定着化したと言っていても技能連携制度の条件が違うということです。勤労青少年じゃないのですから、圧倒的には。暇なんですから。そうしますと、これは系統性や集団性よりも安上がりで単位を取って早く卒業して資格を取ればいい、こうなってしまうのです。
もう一つは、全日制の中退者たちの対策にはなっていない。全日制の中退者たちがそこまで取った単位を持って、じゃ、こっちに来なさいよと言うと来ない。だから、中退者の対策にもなっていません。
これらの点を見ると、どうも新構想高校なる単位制高校という新しい高校は、大臣がおっしゃるような理念は虚像であって実像は違うというのが私の調査の結論だったのです。そこで、ここで今議論しているわけです。だから四年以上を三年以上にするというのは、便宜性だけを考えたら学校の修業年限になるのかならないのか。また同時に、教育を受ける権利の制限になるのかならないのか。こういう問題を含めて問題性をはらんでいるということを実は申し上げたかったわけであります。今の私の現地調査を見て大臣がさっき言った理屈と合うか合わぬか、御感想はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/220
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221・中島源太郎
○中島国務大臣 先生が直接単位制高校をごらんになって、その率直な感想を実はこの委員会の前にも実に素直にお話しになっておったのを伺っておりまして、私、これは貴重な御体験であり、貴重な御意見であると思いながら拝聴いたしておりました。それはそのとおりな部分もあろうと思います。しかし、一面におきまして、先生もお触れになりましたように、決して話題を変えるわけではありませんが、今の全日制の方も、実際の高等学校教育、全日制の理念と実際に遊離した面があるかないかと言われれば、この点もやはり同じように虚心坦懐に考えていく必要はあるのであろうと思うのです。
それで、一方ではやはり学年制に縛られておるという面でのデメリットも今出てきておる。したがって、先生がそれに対して単位制を考えたらどうかというような御発言もありましたが、私どもはまさに全日制の教育とそれから単位制との関係につきましても虚心に検討を進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
その一方で、先生がおっしゃる意味は、文部省、行政で考えておる理念と実態とは余りにもかけ離れておるよ、そういう中で、四年以上というのを三年以上にすることがそういう定通制の学校教育にとってプラスなのかマイナスなのかはよく慎重に考えるべきだ、こういう御趣旨だと思うのですね。
私は、理念と実態が全く乖離していないというようなことは申す気はありませんし、先生がおっしゃるような実態もあろうと思います。しかし、それは否定はいたしませんけれども、くどいようでございますが、私どもはやはり単位制高校をつくりましたその利点という芽は大きく育てていきたい。そのために、今の定通制におきましても働きながら一生懸命四年以上の中で単位を取っていらっしゃる方もありますその中で、四年以上と規定をいたしましても、既に三年間で先生おっしゃるような当該高等学校が定める全教科を修了するに足る方々もいらっしゃるわけでありますので、そういう方々をあえてもう一年待たせるということはいかがであろうか。そういう面で、そういう方々に道を開くということは教育改革に沿った改善面であると私どもは考えております。
まして単位制高校におきましては単位の積み重ねでございますので、そういう意味ではなお定通制の中でより浸透しやすい、御理解いただける部門ではないか、そのように考えておりますので、先生の御指摘は多といたしますけれども、その面で私どもは改善すべきところは改善し、利点を伸ばしていきたい。その中で四年以上というのを三年以上とすることは、そういう方々へ新しい意欲ある道を開くものであるという認識に立っておるということだけは申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/221
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222・嶋崎譲
○嶋崎委員 文部省は今度切めて単位制高校教育規程というのをつくったのですね。この教育規程は十条にわたりますね。大体僕流に理解しますと、この条文は構成部分は五つです。五つ特徴があります。
つまり、二条から五条までは入学者の選抜、それから入学、卒業の時期、編入学、転入学という、要するに学校に入るとき単位をどうする、そういう時期。これは学校教育法上の学校ではありません。今までの学校教育法ではそんなものはありません。四月一日に行って三月三十一日を原則として、定時制その他については勤労青年のことを考えて九月卒業というような形で今日まで運用してきました。だから、今度の新しいこの学校は自由な学校なんですから、その意味では今までの学校教育法上に言う学校の形態とはこれは違うのです。大変重大な問題なんですよ。それを省令で決めたのですよ。
二番目は何かといったら、今度は、「多様な科目を開設し、かつ、複数の時間帯又は特定の時期における授業の実施その他の措置を講ずる」、勤労者の場合には残業することもあればいろいろなこともある、そういうものに合わせるような時間帯を考えなければいかぬ。今度は昼じゅう寄れる生徒の場合には、それなりに選択の要件をいっぱい考えなければいかぬですよ。物すごい複雑なカリキュラムになるのですよ。それが第六条。これは新しいタイプの学校です。
それから第三番目の特徴は、第七条、単位の互換です。「単位制による課程を置く高等学校の校長は、当該単位制による課程の生徒が過去に在学した高等学校において単位を修得しているときは、」それを認める、単位の互換がここに出てくるのです。
そして今度は、定時制の課程と併修なんです。だから、お昼行っておる人が夜の定時制で単位を取れるのです。夜の定時制の人が時間見て昼行って取れるのです。往来自由。そして別に泉丘高校でやっておる通信制で補うこともできるのです。大変自由です。ところが、こういうタイプの学校は初めてですね。だから、三年以上になれば便利ですな。ぽっぽっと単位が取れますわ。逆に今度は詰め込みになるのです。授業時間は五時間しかないのですから、全日制よりはるかに少ない時間の中で三年以上の単位にするときには、その余裕のある生徒は詰め込みでやらなければしようがない、だから全日制に行ったり通信制で互換するのです。これは今までの学校とは違うのです。個別的特性を持っている。これは第七条でしょう。併修になったらそれよりもっと特徴が出た。
そして、科目履修生というのがあるのです。科目履修生ですから、これはもう単位が要らぬ、卒業の資格はどうでもいい、そういう履修生もいるのですよ。それも同じ生徒の中にいるわけです。それは社会人の場合もありましょう、大変多様な学生が自由に入ってくるわけです。そこで先生方はこれに対処するためのカリキュラムをつくらなければいかぬ。そしてホームルームをやらなければいけません。ホームルームは週に一遍しかできませんよ。集団性といったって週に一遍、それも二十人に一人の先生でやるのです。四十人じゃとてもできません。そうすると、それだけ先生がふえるわけです。科目制ですから、単位をたくさんそろえなければだめなんです。かつて勤労青年のときは、学校で科目は開設していなくても技能連携で取れるから科目制のカバーができたのです。今度は自由選択のための科目ですから、科目をふやさなければいけませんよ。
つまり、結論を一言で言いたいのは、単位制高等学校教育規程というものを文部省が今年三月三十一日におつくりになったが、これは学校教育法で言うところの全日制、定時制、通信制という枠の中だと言うが、枠からはみ出ているということです。形態は違うと言うのです。入学が違うでしょう。卒業が違うでしょう。転入学の仕方が違うでしょう。既存の定通の枠内の特殊形態というのは口で言っている理屈であって、実態は学校教育法上の学校の枠を超えてやしませんか。そして、生涯学習を文部大臣が強調すると、それは専修学校みたいな性格になるのですよ。高校専修になってしまうのです。いわゆる学校教育法上の学校でなくていい、単位さえ取ればいいのです。一定の資格免許さえ取ればいいのです。学校というものの本来持っている性格とは変わったものなのではないかというのが私の判断です。これは意見の違うところです。したがって、文部省令で措置すべきものではない。省令でこの学校を四月一日から発足させたという手続上に問題がある。
なぜならば、学校教育法の一部改正を立法府でしっかり議論して、臨教審の答申も受け、それを本当に皆さんが議論した中でこういう新構想高校をつくるべきだというところに落ちついて省令でつくるんならいいが、学校教育法と並行して、学校教育法が審議にもならぬうちに学校だけは早々と発足をして、しかも省令で事を処理した、そのことと一番最初に質問した定数との関連が出てくるのです。今度いじった定数法は政令をいじったのですよ。内閣で決定する政令をいじって定数の文部大臣の裁量を決めたのです。その新しい学校は文部大臣の所管である施行令を基礎にして省令で学校をつくったのです。省令でつくった学校の定数配分の判断を政令でもって措置するということは、ちょっと現行法体系では難しいところがありはしませんかなと僕は思うのです。
というのは、そういう新構想高校が政令の定数で決めなければならぬということは、法律がきちんとしていて、それに基づいてどういうタイプの学校かという議論があって、そして政令措置から規則措置というふうに法律と政令や省令というものは関係づけるべき性質のものだというのが、立法府にいる我々政治家の見解であります。だから、三月三十一日の省令で省令学校をこしらえて、その省令学校の定数を政令でいじって、しかも規則は手を触れない。そして人間については、いまだに発足しても今年度予算措置の定数は決まっていない。こういうことが、きょう全体で議論したい結論なのです。
しかも、その新構想高校は虚像と実像の乖離があるという中で、最後に申し上げたい。だから最初に返って速やかに予算措置をやりなさいということです。そんなに大臣がメリットを強調して推進しようというなら、マンツーマン教育ですよ。教育長もそう言っていました。学校長もそう言っているのですよ。マンツーマンですよ。小サークルで子供たちを教育すると、メリットを出さなければならないのですよ。そういうことであれば、なおさら定数問題について速やかなる結論を出さなければおかしいと僕は思う。だから最初に定数の問題から入ったのです。
以上が私の主張です。大臣、局長、どうぞ私の今の結論に対して法律、省政令の位置づけ並びに定数に関する政令、諸規則の位置づけ等々を含めて、予算措置上の緊急対応が必要だというこの御判断についての回答をしていただくことで私の質問を終わります。さあ、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/222
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223・中島源太郎
○中島国務大臣 いろいろ御指摘をいただきました。私どもは、さっきおっしゃった高校のあり方の全日制、定時制、通信制、三つ第四条の中に挙げておるわけでございますが、その中の定時制、通信制高校の中の一つの形態であるというふうにこの単位制高校を位置づけて考えておるところでございます。
手続上の問題は先ほど申し上げたとおりでございまして、三月三十一日並びに私の責任におきまして政令を七月十五日に、そして四月一日にさかのぼってこれを発令させていただいておるわけでありまして、自後の事務処理につきましては、この新しい高校のあり方、定通制の改革、その中での新しいタイプの単位制高校、これをぜひとも健全に育成をしていくために最大限の努力をさせていただく、これは財政面でもそうでございますし、事務処理上もそうでございますが、最善の努力をさせていただくということを申し上げて決意にかえさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/223
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224・嶋崎譲
○嶋崎委員 最後に、自治省、えらい時間をとりまして申しわけないが、今のような省令学校、新しいタイプ、これは文部省の所管、内部の問題です。ですけれども、自治省としては文部大臣の裁量によって六十三年度から新構想の定通というものについて文部省の判断で対処する話し合い中だ。そこで自治省としても、今までの私の大臣との議論をお聞きになって、こういうタイプの高校ではあっても、この高校をより充実させて、まさにある意味では社会的に青年が、将来を考えてみると大事な時期に定時制に集まっている生徒たちですから、これを新構想で教育するということになると物すごい予算措置が要るということになりますから、そのことを自治省は頭に置いて交付税の措置や定数の措置が今後とも可能であるかどうかの見通しについて聞かせていただいておけば大変幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/224
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225・遠藤安彦
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
自治省といたしましてもこの単位制高校に係ります教員の定数の問題、それから若干御指摘がありましたが、施設の整備の問題等につきまして普通交付税に対する措置あるいは地方債による措置等によりまして財源措置を講じてまいりたい。ただ、その中身につきましては先ほどちょっとお答えをいたしましたが、今文部省と詰めておりますので、詰めた結果によって措置をしていく、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/225
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226・嶋崎譲
○嶋崎委員 では終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/226
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227・中村靖
○中村委員長 次回は、来る十九日水曜日午前九時四十五分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00219881014/227
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