1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年十一月二日(水曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 中村 靖君
理事 愛知 和男君 理事 岸田 文武君
理事 北川 正恭君 理事 鳩山 邦夫君
理事 佐藤 徳雄君 理事 鍛冶 清君
理事 林 保夫君
逢沢 一郎君 青木 正久君
井出 正一君 石渡 照久君
江口 一雄君 工藤 巌君
佐藤 敬夫君 斉藤斗志二君
杉浦 正健君 谷川 和穗君
松田 岩夫君 菅 直人君
嶋崎 譲君 中西 績介君
馬場 昇君 有島 重武君
北橋 健治君 石井 郁子君
山原健二郎君 田川 誠一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中島源太郎君
出席政府委員
文部政務次官 船田 元君
文部大臣官房長 加戸 守行君
文部省初等中等
教育局長 古村 澄一君
文部省教育助成
局長 倉地 克次君
文部省高等教育
局長 國分 正明君
委員外の出席者
文教委員会調査
室長 松原 莊穎君
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委員の異動
十一月二日
辞任 補欠選任
渡海紀三朗君 江口 一雄君
江田 五月君 菅 直人君
同日
辞任 補欠選任
江口 一雄君 渡海紀三朗君
菅 直人君 江田 五月君
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十月三十一日
義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願(小沢貞孝君紹介)(第二二三七号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
教育職員免許法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十二回国会閣法第四五号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/0
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001・中村靖
○中村委員長 これより会議を開きます。
第百十二回国会、内閣提出、教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/1
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002・中西績介
○中西(績)委員 先般から多くの皆さんからいろいろな質疑がなされまして、内容的には相当明らかになっておりますけれども、それを整理するつもりもございまして、できるだけ避けたいつもりですが重複もあるかと思いますが、お許しをいただいて質問を申し上げたいと存じます。
まず、戦後教育改革における教育職員免許法制定の位置づけについてちょっとお伺いをしたいと思います。
特に教育職員免許法制定の位置づけにつきましては、この免許法というのは、戦後教育改革におきまして、六・三制の発足と大学における教員養成という新たな教育制度に伴って、教育職員の資質についての資格を公証する基準を定める法律として制定されたものと私は理解をいたしております。
したがって、戦後の教育改革というのは、日本国憲法の精神に沿って教育を復興し、平和的、民主的な教育価値と民主的精神に満ちた日本の国民の形成を目指して行われ、教育基本法と学校教育法の施行による新学制の発足というのは、これを支える物的条件の整備とともに新学制にふさわしい教員の資質能力向上を不可欠の要素としておったわけであります。このような立場から教育職員の資格についての本格的な免許法の立法化が必要とされ、昭和二十四年の新制大学の発足と相まって免許法が制定されるに至ったと私は理解をいたしております。
そしてなお、戦後の教育職員の養成の原則というのは、戦前の師範学校を中心とした閉鎖的な養成に対する反省の意識を含めて、大学における開放的な養成を基本理念として制定されたものとして私は理解をいたしております。
この点については、大臣なり局長なりに私の申し上げていることに御賛同いただけるかどうかお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/2
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003・倉地克次
○倉地政府委員 今先生御指摘のように、戦後の教育改革の大変重要な一環として現在の教員養成制度が昭和二十四年に発足したと理解している次第でございます。二十四年の発足までにはいろいろな御議論があった末でこうしたものが発足したということを承知している次第でございます。そして、その中の一番の原則といたしましては、免許状主義の徹底と教職課程履修による専門職制の確立、大学における開放制の教員養成、それから現職研修の重視という基本理念をもちまして発足したと承知している次第でございます。
その後、いろいろ時の事情によりまして、この三つの原則のどこにウエートがかかるかということはあろうかと思いますけれども、現在に至るまでこの原則は堅持され、質的に立派な教員が現場に就職しているというのが実情ではないかと考えているわけでございまして、その功績は大変大きいのではないかと理解している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/3
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004・中西績介
○中西(績)委員 今局長が言われました点でありますけれども、教育職員免許法が教育立法の法律主義の原則に沿ってつくられ、三つということを言われましたが、私たちは、専門職制の確立、免許状主義、大学における教員養成、さらに免許の開放制と合理性、現職教育の尊重、細かく分けますとこういう五つのものを基本にして制定されておると考えておるわけです。これは大差ないと思いますが、この点についてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/4
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005・倉地克次
○倉地政府委員 私の申し上げたこととおよそ同じではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/5
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006・中西績介
○中西(績)委員 そこで、免許法の基本的な性格というのは、今も申し上げたとおりでありますけれども、資質の向上を目的といたしまして免許基準を法律で定めたところに非常に特徴があるわけですね。
免許法以前の教員免許に関する規定というのは遠くさかのぼって明治三十三年の勅令第百三十四号教員免許令を初めとして勅令や文部省の規則などすべて命令であって、国会における審議を経ることなしに政府が自由に改廃することができたわけです。戦後教育改革における教育立法の法律主義に沿って、教育職員の資格と免許に関する基本というのは法律によるとの考えは今後も変わらないと私は思うわけでありますけれども、この点について、大臣、どうでしょう。従来のとおりこの法律主義を変えないで貫き通していくつもりであるかどうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/6
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007・中島源太郎
○中島国務大臣 今、前段におっしゃいました現行の教員養成・免許制度の基本理念、これは四項目とも五項目とも言えますけれども、先生のおっしゃった大綱は今後とも遵守してまいりたい、また、これは法律によるものである、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/7
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008・中西績介
○中西(績)委員 そこで、教育職員の資格と免許に関する基本的事項を定めておる現行の教育職員免許法、五章二十二条と附則からできておるものでありますけれども、この免許法は、先ほど私たち申し上げた五つの原則、この点、先ほどから確認をしていただきましたけれども、そこで、今回の法改正というのはその趣旨に沿ってなされたものであると解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/8
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009・中島源太郎
○中島国務大臣 全くその趣旨に沿っておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/9
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010・中西績介
○中西(績)委員 そこで、私は具体的にそれぞれの内容について細かくお聞きをしていきたいと思っています。
今回の場合、この内容を見ますと、普通免許状を学歴によって三段階に分けたり、大学で修得すべき単位数の引き上げをしたり、教員の教職の専門性を強調する考え方が非常に目立っております。ところが、教員免許を持っておらない者を非常勤講師として認めたり、あるいは特別免許状を創設するというようなことで、教職の知識がなくとも特定の知識経験があれば教員としての資格を認めるというような考え方に立っておるところもあるわけです。この二つの考え方、どのように理解をすればいいのか、この点についてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/10
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011・倉地克次
○倉地政府委員 三種類の免許状を設けまして、特に専修免許状を新しく創設したわけでございますけれども、専修免許状は、修士課程などにおきまして深く学識を積まれたという方々について学校へ招致するという観点があるわけでございまして、これは専門職制の一層の確立という点から見ても極めて意味のある制度ではないかというふうに考える次第でございます。また同時に、学校の現場におきまして研修を積みつつさらに他の種類の免許状を取るという観点から考えますと、一種免許状を持っておられる方が現職経験と、かつ所定の単位を修得されて専修免許状を取るということの道があるわけでございますので、現職研修の重視という観点からも非常に意味のあることではないかというふうに考える次第でございます。
また、特別免許状とかいわゆる特別非常勤講師の関係の問題でございますが、これは現在の学校教育の現状とか多様化の状況に対応いたしまして、できるだけ幅の広い人材を教育界へ誘致したいという考え方に基づいた制度でありますけれども、これも、先ほど私は三原則と申し上げましたけれども、その原則を尊重しつつ、その原則との調和の限りにおいて極めて限定したものとして設けている制度でございまして、そうした従来の尊重すべき基本的理念とは矛盾することにはなっていないというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/11
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012・中西績介
○中西(績)委員 今お答えありました幅広い人材をということで、教職経験なり、あるいはそうした資格を持たない人を登用するというこのことが極めて限定をされておるということを言われたわけでありますけれども、このことについてはまた後ほど細かくお聞きをさせていただくことにいたしまして、次に入りたいと思います。
そこで、普通免許について、先ほどから出ておりました現行の一級、二級の二種類から、新たに改正をいたしまして専修、一種、二種、こういう三種類に細分化してきたわけでありますけれども、この目的、今までは一級、二級で事足りておったし、あとずっと見ましても、特別この制度を変えなくてはならないという理由なりを明らかにできないわけでありますが、このように細分化した趣旨あるいは目的、これはどういうように説明できるか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/12
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013・倉地克次
○倉地政府委員 普通免許状を三種類とした趣旨でございますけれども、これは幅広い範囲から人材を求めようとすることがまた第一にあるわけでございますが、同時に、教員にとって現職研修が極めて重要でありますので、それによる自発的な資質向上への努力を喚起しようということにあるものであります。また、この三種類の免許状はいずれも教諭の免許状でありますので、担当し得る教育活動には別に変わったところはないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/13
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014・中西績介
○中西(績)委員 今言われるところでは、三種類に分化したということは、幅広い人材、そして二種から一種へ、あるいは一種から専修へというふうに、言葉を使わさせていただくならば、上進ということがあることによって向上への努力、そういうものを考えてこのような専修などという今までなかったものをここに取り入れたということになるのですか。そこら辺、もうちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/14
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015・倉地克次
○倉地政府委員 専修免許状でございますけれども、これは大学院修士課程修了程度を基礎資格とする免許状でございまして、この趣旨は、特定の分野について深い学識を積み、高度の資質能力を備えた方を学校にお迎えしようということで設けられた免許状ということが言えると思う次第でございます。
また、一種免許状は大学・学部卒業程度を基礎資格としておりまして、教員として期待される資質能力としては標準的な水準のものというふうに位置づけられている次第でございまして、二種免許状は短期大学卒業程度を基礎資格といたしまして、一種免許と比較した意味では、なお一層研さんの必要があるということとして位置づけられているものでございます。
こうした三種類の免許状を設けまして、専修免許状については、先ほど申し上げましたように高度の資質能力を備えた方を学校へお迎えすると同時に、教員の自発的な研修を助長するということで、一種の方についても専修免許をお取りいただく道もあるということがある次第でございます。
二種の方については、なお一層研さんが必要であるということでございますので、法律の中にわざわざ一種免許状をお取りいただくよう努力義務規定なども設けまして一層の研さんをお願いするということでこのような三種類の免許状になっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/15
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016・中西績介
○中西(績)委員 私は、先ほども申し上げましたように、現行の制度の中で特別こういうものを設けなくてはならないという理由がどうしても今の答弁では納得できない。今ある制度を十分内容的に把握をして、言われるように、例えば、専修ですからこれはもう修士課程を卒業した人ということになるわけでありますけれども、現在だってそういう方が来ようと思えば来れるし、わざわざこういう変更をしなくてはこういう方を求めることができないというようなことにはなり得ないのではないか、こう思っているわけです。ですから、私はむしろこうすることが逆の意味を、今あなたはお答えにならないけれども、その裏があるのではないかというような気持ちがしてならないわけです。
それは、学歴によって短大卒二種、そして学卒一種、修士専修というように、学歴による三段階というものを特に今度の場合にはこの裏に強調しておるような感じが私はしてならないわけであります。すべての価値を学歴によってこのように評価したりあるいは律しようとすること自体が、権威主義になり形式主義になって画一的な発想ではないかということを強く感じるわけであります。今特に臨教審で言われておりますように、学歴排除をどうするかということで非常に論議されておるさなかであるのに、逆に学校という中にこのような画一的な発想を持ち込むということは、まさに逆行ではないだろうかとしか思えないわけであります。
特に、今私たちが是正をしなければならぬのは、このような形式的な学歴尊重というやつをどうなくしていくかということが中心でなければならぬのに、逆にこれを助長するような格好になるのではないかということを非常に私は恐れておるわけです。そのことがどういうことを意味するかと言いますと、今度は序列化につながるであろうし、これを推進、固定化していくのではないかということを私は感ずるわけです。
ですから、そうならないためには、むしろ今までの五原則に沿ってつくられた現行内そのことで十分ではなかったかということを私は思うわけなのですけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/16
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017・倉地克次
○倉地政府委員 学歴主義という御指摘でございますけれども、私ども三種類の免許状を申しました趣旨は、繰り返しになりますけれども、幅広い範囲から人材を求めるということと、それから、教員の自発的な現職研修を助長するという二点にあるわけでございます。
それから、もう一つ技術的な点について申し述べさせていただきますと、現在、公開制の原則ということで大学における教員養成ということを前提にしているわけでございます。大学における教員養成ということですと、そこにおきますいろいろな学習の量を客観的にどうやってはかるかという問題があるわけでございますけれども、これはやはり、修学年限とかそこにおける単位の修得、そういうものによって測定するのが一番客観的な方法ではないかというふうに考えるわけでございまして、そうした観点からも、学歴主義ではございませんですけれども、先ほど申し上げたような基礎資格として三種類の免許状を設けるに至っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/17
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018・中西績介
○中西(績)委員 今のお言葉を聞いておりますと、どうしても、学歴主義的なものがその根っこにあって、それを合理化するために今まで答弁のあったような内容で開放制あるいはその他の五つの原則を堅持をしておるのだというような言い方で聞こえてくるわけであります。ですから、例えば一種免許状の場合学卒者、そして二種の場合に短大、二年制大学あるいは二年以上大学、こういうように、既に一級、二級ということでそういうものがあったわけですから、改めてここに上乗せをするような形というのが、どうしても私たちはそうとらざるを得ないわけなんです。
ですから、この点からいたしますと、私はもうちょっとあれしてみたいと思うのです。三段階ということにこだわるわけでありますけれども、特に教員相互、職場の中でいろいろ物を考えてみますと、能力を発揮できる望ましいあり方というのは、こういう段階的なものをつくるとかなんとかいうことではなくて、教育環境だとか人間関係、こういうものが十分保たれるということがまずなくてはならないわけです。と同時に、人間関係と申しますと深い信頼、そして尊敬、こういう気持ちが絶えずお互いに職場の中、皆さんの中で通い合うということが今一番大事ではないかな。あるいは問題になっておりますいじめの問題行動などにつきましても、対処するためには学校全体が本当に一本の形にならないとなかなか対応できない。
今多くの学校で対応できない欠陥というのは、人間関係なりそういうものが十分我々が期待をするように温かくつくり上げられていないというところに、むしろこういういじめの問題行動なりあるいは管理職の責任逃れなり、そしてそれをいつまでも隠ぺいをしておくとか外部には漏らしてはならぬとかいろいろなものがたくさんあるわけです。ところが、お互いに人間関係が確立をされて信頼感がそこに満ちあふれて、そして尊敬の念がお互いにあるということになれば、そういうものはもう完全にすっ飛んでしまうのです。そして、本来私たちが期待をする教師がそこに十分つくられていくのではないかと思うのです。
だのに、こういう三段階が入ってきますと、基礎資格によってそれぞれが分けられるわけでありますから、不必要な格差意識だとかあるいは生徒児童、父母対教師との間における関係というのが、つまらぬ学歴偏重が多くの皆さんの中にあるために、今度は逆に父母から教師に対する見方にいろいろ偏見を持たせるようになってくるのではないだろうか。こういうことを考えますだけに、教育現場からいたしましても、このような三段階に改めるそのことが無用の混乱を引き起こすのではないかということを私は考えるわけでありますけれども、こうしたことを十分この法案作成に当たって、あるいは教養審の皆さんがそういう過程を経ながらつくり出してきたこととちょっと異なっていますだけに、文部省はこれを提案する場合、深くそういう検討をされたかどうかということをお聞きしたいと思いますけれども、この点、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/18
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019・倉地克次
○倉地政府委員 私ども、今先生御指摘のように、学校の中がそれぞれ信頼関係によって運営されるということが非常に大切であるというふうに思う次第でございます。
ただ、一つ言わせていただければ、私どもといたしましては、校長のリーダーシップのもとに学校が一つの組織体となって生き生きとした教育活動を展開させるということが非常に大切でないかというふうに考えている次第でございます。
その中におきまして、三種類の免許状を設けた場合にいろいろと問題が出るのではないかという御指摘でございますけれども、三種類の免許状を設けましても教諭の免許状でありまして、この方々が行う教育活動については何ら差異があるわけではございませんので、そうした観点から見ますと、先生の御指摘のような、危惧をされているようなことが生ずるというふうには考えてないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/19
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020・中西績介
○中西(績)委員 そのようなことは考えてないと言われますけれども、ただ局長あるいは大臣、私はぜひ理解をしていただきたいと思いますのは、今局長が校長のリーダーシップによって組織づくりをしてもらいたいということを言われましたね。これは信頼関係がなければできません。あるいはリーダーシップをとる人に対して尊敬の念を持たなければそこに結集ができない、これはおわかりいただけると思うのです。だから、このことが私は、これがすべてとは言いませんけれども、そういうものをつくり上げるについて、これが一つの障害になる可能性があるということ。
これは皆さんの場合には学卒ですし、そういうあれがありませんから、また現場の経験がありませんからおわかりいただけないと思うのだけれども、私たち現場におって、よほどそうしたことが表面に出されて、皆さんの討論の中でそれがなくされるようにしむけていかないと、なかなかなくなるものじゃありません。これが簡単になくなるようだったら、今の学校というのは本当に皆さんが期待をするより以上にすばらしいものになっていると思う。
それともう一つは、リーダーシップをとらなくちゃならない人が、今問題になって新聞なんかに出る場合に、必ず問題なのは何かというと、ここにあるのですよ。何かというと、結局自分が全責任、泥をかぶってでもそれを解決していく、そういう人が非常に少なくなってきていますね。小利口になってきていますよ。要領がよくなってきていますよ、近ごろは。そうしないとだめ人間にされるから。だからどうかといったら、現場で何もないことが一番いいわけです。積極的な論議を起こしていって、教育を、そして子供をということでもって徹底的にやるということにはならぬ。そうすると、かえって何か不和な状況があるということでもって、むしろ抑え込むような格好になってしまうのです。できるだけ物事が起こらぬように起こらぬようにと抑えるわけですよ。これが今の現場における実態ではないかということを私は感じるわけです。それ以外には今度は、暴力は振るわぬけれども権力でもってすべてを抑えていくというやり方しかないわけですよ。その二つが非常に顕著になってきておるんじゃないか。
ということになってまいりますと、このような、今まで本当に皆さんが真剣に討議をして、子供を中心にした教育を論議してくれば問題はなかったのだけれども、こうしたことが逆に一つの引き金になる、またあるいは無気力化する、そういうものに転化をしていくのではないかということを一番恐れている。そういう意味で、私はこのことがより正しいかどうかということを非常に疑問視しておるのです。
ですから、この点、本当に現場に立ち入ってその中のどろどろしたものを経験しておられませんからね。文部省の会議というのは、教育長が出てみたり、課長が出てみたり校長が出てみたりして、表面づらだけを論議するような格好になっちゃうのですよ。そこでみずからの恥をさらしてでもこういう問題をということで提起をして、本格的な深まった論議をするかというと、なかなかそういうふうには、時間の問題があるでしょう。自分の体面があるでしょう。それから県のそうした恥を言ってはならないということもあるでしょう。そういうものがやはり作用するのです。
ですから、そういうものを少しでも打破していくために、私はこういう制度そのものが果たしてプラスをしていくかというと、決して将来そういうふうにはならないだろうと感じますので、この点について、もう少し皆さん方で実態を把握してこうなさったという何か具体的な資料でもあればお示しいただければと思うのです。その点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/20
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021・倉地克次
○倉地政府委員 これは六十一年の春に臨時教育審議会から教員の資質の向上ということで、私ども今御提案申し上げている法律の内容にかかわることについて御答申があった次第でございます。その後、教育職員養成審議会におきまして、どのように具体化するかということを一年七カ月にわたって御審議された次第でございます。その中におきましては、いろいろ関係団体の方々の御意見も伺い、またいろいろ学識経験者の方々のお知恵も絞りまして、それで一年七カ月後の昨年十二月に御答申があった次第でございます。
現在の法案の内容は、ほぼその御答申の内容に沿ったものとなっておりますけれども、そうした審議会の御審議の経過を通じましていろいろな方の御意見、また現場のそうした実情についての情報なども十分お考えの上、こうした結論が出されたものというふうに私ども承知している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/21
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022・中西績介
○中西(績)委員 そこで、私は教育職員養成審議会委員の名簿を見させていただきました。大変失礼な言い方ですけれども、本当に現場を御存じの方がこの中で何人いらっしゃるだろうかということを、私はこれを見て感じます。ですから、今一年七カ月、そして現場のそういうものを十分取り入れたというように言われておりますけれども、私は必ずしも、期間は長くかかったかもしれませんけれども、こういう方々が、その中で実際に裏の声を、あるいは現場の実態というものを本当に身につけておられる方であろうかと言われると、先ほどもちょっと申し上げましたようにほとんど経験のない方であるし、行政の方であるし、大学の皆さんであるということ。ですから、むしろこういうときにこそ現場教師なりそういう人にたくさんその中に入っていただいて、そして本当にどうあるべきかということがもう少しフランクに論議できるような場を持っていただくことが必要である、私は今いろいろな審議会のあり方等について提言をしておきたいと思うのです。
そうしないと、私は実際にここで一つ一つの事象なりなんなりを挙げていくわけにはいきませんけれども、私たちは今度も現場の人と一日かかって論議をしてきました。あるいは私たちの経験をした、かつて所属をした学校なりに行きまして、そこでいろいろ意見を聞いてみましたけれども、私はそのことが本当に把握をされておるということにはなってないのではないかということをこのことで感じますので、委員の皆さんには大変失礼とは思いますけれども、そういう感じがしてなりません。いや私は知っておるというなら、またいろいろな何かの機会を設けていただいて、本来ならばこれはこういう論議の場でなくて、円卓会議形式か何かでフリー討議を皆さんでしてもらって、小委員会か何かつくっていただいてやるということが私は一番よかったと思うのだけれども、なかなかそうはならないものですから、今改めて、失礼とは思ったけれども、そうしたものを一応出させていただいたのです。
この点、将来のこともありますので、審議会のあり方なりなんなりについてもそうした御配慮をいただくようにぜひお願いを申し上げたいと思いますが、この点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/22
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023・倉地克次
○倉地政府委員 今先生から教育職員養成審議会の委員の方についてのお話があった次第でございますけれども、いずれも学識経験者として極めて見識の高い方々ではないかと私ども考えている次第でございます。ただ、非常に見識の高い方々でございますけれども、さらにいろいろな御意見などを伺って問題を進めようということで、前後二回にわたりましていろいろな団体から御意見を伺った次第でございます。
大別いたしますと、これは国公私立大学の関係者、国公私立短期大学の関係者、都道府県、指定都市、全国の市町村の教育委員会の関係者、全国の小学校、中学校、高等学校、特殊教育、公立の幼稚園、私立の幼稚園、私立の中学校、高等学校の関係、そういった学校の関係者、それから教職員団体の幾つかの団体の関係者の方々から御意見を伺って議論が進められた次第でございます。
そうしたことでございますので、私どもといたしましては、可能な限りの多くの方々の御意見を伺いつつこの問題の議論が進められたと理解している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/23
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024・中西績介
○中西(績)委員 教職員団体というのはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/24
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025・倉地克次
○倉地政府委員 教職員団体でございますが、名前を挙げさせていただきますと、日本教職員組合、全日本教職員連盟、日本高等学校教職員組合、これは二つございますけれども、もう一つ同じような名前の組合があるわけでございます。それから、全国教育管理職員団体協議会、以上の団体でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/25
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026・中西績介
○中西(績)委員 そこで、今言われました公立大学、私立大学、市町村教育委員会あるいは小中高特の関係者、こういうところには現場の皆さんはほとんどいらっしゃらないと思うのです。ただ、四団体の場合にはある程度出てきたかもわかりません。しかし、そういうところの人がむしろそういう三段階というもの、現状を改めて三段階、こういうことにはなかなかなりにくかったのではないかと私は思うのですね。しかし、そのことが取り上げられて果たしてこうなったかどうかまだ細かくわかりませんから、時間があれですからやめておきますけれども、いずれにしても現場でこの教育に真摯に携わっておるそういう皆さんとできるだけ一緒に論議する、そういう立場のものをつくっていただければと私は思うのですね。あるいは直接現場でそういう問題について論議してもらうようにしつらえてもらって、そこの意見を集約する方法だってあるわけですから、私は一年七カ月もあるとするならそういうようにしていただきたかったわけであります。
次に、所有する免許状の違いですね。例えば中学でいいますと、社会科の専修あるいは一種を持つ教員は、社会科を教えるという点あるいは生徒指導等を含めて職務内容は変わらないと思うのですね、一種であろうと専修であろうと。この点は、職務内容は変わらないと理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/26
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027・倉地克次
○倉地政府委員 一種を持っておられる方、専修を持っておられる方につきましても、教諭である限りは職務内容は変わらないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/27
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028・中西績介
○中西(績)委員 その上に立って、序列化ではないとさっきから盛んに答弁されていますし、この職務内容は異ならないということを言っておるわけですから、そうなりますと、免許状の種類によって教員の身分だとか給与だとか人事だとかに差異がもたらされないということを確認してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/28
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029・倉地克次
○倉地政府委員 今先生のお尋ねの点を若干詳しく申し上げますと、給与上の取り扱いでございますけれども、これは現状を変更することは現在のところは考えていない次第でございます。
それから、採用、昇任といった人事の件でございますけれども、これは、地方公務員法等の法律によりまして任命権者である教育委員会において受験成績、勤務成績その他能力の実証に基づいて行うことになる次第でございます。ただ、校長、教頭の任用資格につきましては、専修免許状が高等学校の一級免許状に相当するということから、高等学校の一級免許状の現行の取り扱いを勘案いたしまして今後検討したいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/29
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030・中西績介
○中西(績)委員 そうしますと、給与は教育職俸給表の例えば(二)でいいますと、教育職俸給表(二)級別標準職務表というのがございまして、職務の級は一、二、三、四級とあります。標準的な職務というのはここにあるわけでありますけれども、これが変わらないということを言っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/30
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031・倉地克次
○倉地政府委員 今職務給といたしまして、一級は標準的には助教諭、それから二級は標準的には教諭、三級は標準的には教頭、四級は標準的には校長ということでございますけれども、こうしたことを現在のところ変更するということは考えていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/31
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032・中西績介
○中西(績)委員 こだわるようでありますけれども、現在のところというのを強調しておる、大きい声で聞こえるものですからね。これは、将来は変えるということを前提にしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/32
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033・倉地克次
○倉地政府委員 将来変えますとか、将来変えませんというようなことについては、現在いかなる決定もされていないというのが現状でございます。そういうことでございますので、私は現在は考えていないと申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/33
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034・中西績介
○中西(績)委員 現在考えていないということですが、考えていないならそのとおりだけで終わるだろうと思ったのですけれども、現在というのを強調するものですから、どうしてもそれにこだわるわけなんです。だから、あくまでもこの給与についてはこの表によりますということだけで私は理解したいのですが、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/34
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035・倉地克次
○倉地政府委員 この俸給表の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/35
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036・中西績介
○中西(績)委員 現在考えていないということを変えないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/36
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037・倉地克次
○倉地政府委員 現在考えていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/37
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038・中西績介
○中西(績)委員 これはこの前から論議されておるのですけれども、今それをあなたが固執するので、私はまたもとに返るのです。この一、二、三くらいで今まで質問をしてきたところにどうもこだわっておるから、私は裏に何かあるのではないか、こう言ったのですが、こう言っておかないと将来またいろいろ問題が出るから、こういうように考えておられるのではないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/38
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039・倉地克次
○倉地政府委員 率直に申し上げまして、将来こういうことをするとかしないとかいうことは今何ら決まってないわけでございますから、それで現在考えていないということを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/39
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040・中西績介
○中西(績)委員 白紙であるというふうに理解をしていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/40
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041・倉地克次
○倉地政府委員 先ほど申し上げたとおりでひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/41
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042・中西績介
○中西(績)委員 このことで時間をとったのではかなわぬわけですけれども、これにこだわるところを見ると、どうも前段から私が指摘をしておることとずっとつなげていくような感じがするわけですね。現在のところ白紙であるなら白紙、また問題が出てきたときにはそのことを提案するということになるわけですから、そのときはまた何とか理屈をつけるわけですから、このことで時間をとることは私は非常に残念ですので、一応ここでおいておきます。これはまた後に問題を残しておきます。
そこで、今言われました人事についてはいいのですけれども、その後の登用問題等でちょっと気になることがあったのです。一級とどうだこうだということを言っておられましたけれども、この点、もう一度確認をしておきたいと思うのですが、どのように理解をしたらいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/42
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043・倉地克次
○倉地政府委員 専修免許状というのは大学院修了程度を基礎資格としているものでございますが、これを現行の制度で見てみますと高等学校の一級免許状に相当するわけでございます。それで、校長と教頭の任用資格について高等学校の一級免許状というものが規定されている次第でございますので、その扱い方との関連をいろいろ検討しまして、今後専修免許状の位置づけを考えていきたいということを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/43
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044・中西績介
○中西(績)委員 だから、そこまで考えるということで一級との関係を位置づけしておるとするなら、今までだって修士卒の皆さんが来られておるわけですから、私の学校にも、驚くように今までとは違ってそういう人たちが何人かおるわけですよ。だから、既にそういう傾向というのは、自分が教師になりたいという人はそこに実際に任用されているわけですから、改めてそういうことをする必要も、今言われることを考えれば考えるほど一級、二級ということでもって処理していけば何も問題なかったというような感じが私はするのですね。
ですから、この点、私は一応今までの取り扱いと大体同じというように理解をしていくのですが、これはいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/44
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045・倉地克次
○倉地政府委員 同じことを申し上げて大変恐縮でございますけれども、高等学校の一級免許状の現行の取り扱いを勘案して今後十分検討させていただきたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/45
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046・中西績介
○中西(績)委員 ですから、この点は特にこれを設けるということの意味がどうもそこいらにあるような感じがしてならないわけですけれども、その点だけがわかりました。この点はまた改めて同僚なりに明らかにしていただきましょう。
それでは、各都道府県あるいは市町村の教育委員会で免許状の種類によって教員の差別扱いがもしなされたと仮定いたしますと、このときには文部省はどのような指導をするつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/46
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047・倉地克次
○倉地政府委員 その先生のおっしゃった差別というものの具体的な内容によりまして私どもは個々的に判断し、かつ指導するものは指導しということをしなければならないと思いますので、ひとつその個々的な事情事情によって対応させていただきたいというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/47
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048・中西績介
○中西(績)委員 本来なら都道府県なりあるいは市町村委員会でこういう問題については問題が起こらないように、今文部省が示されておる、法律として出されておる基本姿勢というものをぴしっと認識をするなら、そこで出てきたそれぞれの免許状を取得しておる人が来た場合については、いろいろな見方をするのではなしに極めて平等な取り扱いと内容的にも温かい取り扱いをしていくというのが普通なのだけれども、これについては問題が出たときに、本来は地方で処理しなければならぬけれどもそれがされぬものですから、文部省に今度はどうだ、こういうように聞くような状況が非常に多いわけですね。だから、そうならないための指導を事前に強めておいていただくということが大変重要だろうと思うのです。その点をひとつ心がけていただきたいと思うのですが、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/48
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049・倉地克次
○倉地政府委員 今御審議中のときに法律成立のことを申し上げては大変恐縮でございますけれども、私ども、法律が成立しましたときには、この法律の趣旨を十分徹底するようにいろいろ措置を講じてまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/49
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050・中西績介
○中西(績)委員 それでは、この法律を見ますと、各学校の段階に大学院修士課程修了程度を基礎資格とする専修免許状を新設するということになっておりますけれども、修得単位数の引き上げに伴って大学院の整備、これにちゃんと対応しておるかどうかということになりますと、私はまだされておらないし困難だろうと思います。特に、中学校以下の専修免許状取得のための教職科目の大学院での開設というのは一般の大学あるいは私立大学等におきましては非常に困難ではないか、そうなってくると専修免許状というのは非常に取りにくくなってくるのではないかと思うのですけれども、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/50
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051・倉地克次
○倉地政府委員 この法律案では、専修免許状を取得するためには一種免許状の取得に必要な科目の単位数の修得に加えまして、修士課程または大学の専攻科において所定の二十四単位を修得しなければならないというふうになっておるわけでございます。この二十四単位でございますけれども、すべての校種につきまして教科または教職に関する専門教育科目を修得することとしている次第でございます。
それで、高等学校につきましては、現在高等学校一級免許状を取得することができる大学院だけでなくて高等学校二級免許状を取得できる大学で修士課程を設けているところにおきましては専修免許状を取得することができることになるのではないかというふうに考えているわけでございます。
それからまた、中学校の場合でございますけれども、中学校一級免許状を取得することができる大学で修士課程を設けているところにおいては中学校の専修免許状を取得することができるのではないかというふうに推測している次第でございます。
それから、幼稚園と小学校の場合でございます。これは一種免許状と二種免許状の場合があるわけでございますけれども、もともとこうしたところにつきましてはその養成を目的とする学部・学科でなければなかなか基準を満たすことは困難でございますので、専修免許状についてはこれらの大学に設けられた修士課程が対応することになるというふうに考えている次第でございます。
以上のようなことでございますので、私立大学におきましても専修免許状を取得することは可能ではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/51
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052・中西績介
○中西(績)委員 その点は、例えば希望する人なりこれから後出てくるであろう数、そういうものと大学におけるそういうものを、今あなたが答弁されたということは、細かく計算してみてその結果ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/52
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053・倉地克次
○倉地政府委員 数字の話でございますけれども、高等学校につきましては専修免許状の取得が可能な大学院として、一応推測されるものでございますが、二百の大学院がございまして、約二万七千五百の定員ということになっている次第でございます。
それから、中学校でございますけれども、これは百八十程度の大学院がございまして、約一万八千七百程度の入学定員ということになっている次第でございます。
それから、小学校でございますが、これは少なくなりまして三十四の大学院で五百二十四名の入学定員ということになっている次第でございます。
それから幼稚園でございますけれども、これは三十三の大学院でございまして、五百十一名の入学定員というふうになっている次第でございます。
これは現状でございまして、この制度ができればおいおい修士課程程度の認定をされた者も出てくるのではないかというふうに推測している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/53
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054・中西績介
○中西(績)委員 これは詳しく計算はされておらなくて、今あるものをずっと拾い出しての話だろうと思いますね。ですから、単位が増加され、特に教職なりが増加された際にそれだけの講座なりなんなりがずっと設置できるかどうかというのは私は大変危惧をしています。ですから、これが今のような一般的な計算でできるものかどうか、これはまた後でもう一度詳しくあれしてみたいと思いますから、本日はここでおいておきます。
それから、今問題になりましたこととかかわりがあるわけですが、国立の養成大学、この前、質問もあったのですけれども、四十九校のうち二十一校、大学院を有しておる。私立大学はほとんどないわけであります。こういう中でやられるわけですから、先ほど説明のあったようなことで十分理解ができるということにはなかなかなりにくいのじゃないかと私は思うのですね。こういう現状ですから、こうなってまいりますと、国立大学の大学院が非常に少ない中で目立ってくるわけですし、そのことが今度はどうなるかというと、特定の大学、こういうことになりかねないわけですね。
この点、かつて、高等学校でいうなら高等師範だとか文理科大学だとかいうものがあって、そこを出た者に特典的な性格を持たせ、そのことが今度派閥によって終始現場の実態の中で混乱をもたらしたという経験を戦後私たちいたしていますね。ですから、そういうことをなくそうとしてやっておるときに、こういうような特定の学校だけに集中するということになってくると非常に問題が残るのではないか、私はこう考えるわけですけれども、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/54
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055・國分正明
○國分政府委員 国立の教員養成大学院の状況についてでございますけれども、御指摘のとおりに現在二十一大学に設けられております。それからまた、これは概算要求段階ではございますが、六十四年度に二研究科を新設する、こういう計画になっております。また、このほか専修免許状の取得に対応できると考えられるいわゆる教育の専攻科が六十三年度現在で二十九大学に設置されている、こういう状況でございます。
私ども、教員養成系の修士課程につきましては例年二、三大学ずつふやしてきておりますので、今後とも各大学の構想の固まりぐあい、教員の充足状況等を見ながら進めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/55
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056・中西績介
○中西(績)委員 これは参考人の皆さんも随分指摘をしておったところですから、一応何年というなら何年という見きわめとそれから計画とをどのように合致させるかということで、ぜひ早急に案を練っていただいて提出をしていただきたいと思います。よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/56
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057・國分正明
○國分政府委員 私ども、教員養成系の大学につきましては、できますれば全大学に修士課程を設けたいというふうに考えておりますが、これは個々の大学の構想、準備段階によることでございますので、文部省で一方的にといいますか、計画を立てるというのはなかなか難しゅうございますが、各大学とも熱心にこの問題には取り組んでおりますので、いずれそういうことができるのではないだろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/57
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058・中西績介
○中西(績)委員 早急に検討して、そうした案を我々のこういう場に出していただきたいと思います。この点、委員長の方からもひとつ確認をしておいていただきたいと思います。
時間がだんだんなくなりまして大変恐縮ですが、そこで、二種免許から一種免許へという義務的なものを改正案では設けておるわけでありますけれども、この点についてお聞かせいただきたいと思うのです。
二種免許状を所持する教育職員が一種免許状を取得するよう努める義務規定を今度はつくっておるわけですけれども、この点、どうなんでしょう。現場の大変な厳しい中での研修を積み重ねてきているわけですから、こうしたものをわざわざ設け、そして十五年経過をするとそういうものがなくなってしまう、四十五単位にまた返る、こうしたことが言われておるのですけれども、これは何か別の措置をすべきではないか。
特に私が考えますのは、そのときにちょうど病気で休職をしたとか、あるいはお産で一年休んだとか、こういういろいろな不時の特殊の条件というものが出てくる可能性だってあるわけですね。そういうときに何か特別な措置みたいなことをする必要はないかどうかですね。言葉はちょっと見当たらぬけれども、激変緩和みたいな何かそういう措置はないのか、こういう点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/58
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059・倉地克次
○倉地政府委員 これは十五年ゼロ単位のことと密接に関連している次第でございますけれども、十五年ゼロ単位そのもの自体は、たしか二十九年の改正で入ったのではないかというふうに考えているわけでございますが、それは当時僻地教育などにおきまして非常に現職教育に恵まれない方々についてその経験年数をどう評価しようかということで特例的に設けられた制度というふうに承っている次第でございます。そういうことで今回は現職教育の重要性にかんがみましてこれをなくしたわけでございます。
ただ、この十五年ゼロ単位の制度は、法律の施行の時点においてもう十年以上の現職経験を持っている方についてはそのまま十五年ゼロ単位が適用されるわけでございます。それから、十年に満たない方につきましては最低十単位はお取りいただかなければなりませんけれども、この別表三の備考の七以下の規定は適用がないということになっている次第でございます。それで、備考の七号以下の規定の適用のある方はこの法律施行後に教員におなりになった方ということでございますので、七号以下が実際に動き始めるのは十二年後ということになる次第でございます。
それで、私どもといたしましては九条の二に二種免許状を持っておられる方は一種免許状をお取りいただくように努めなければならないという義務規定を設けたわけでございますけれども、これはやはり一種免許状に比較してなお研さんの要があるという免許状でございますし、また審議会の中でいろいろ御議論があった末、幼稚園とか養護教諭に果たしている二種免許状の重要性にかんがみましてこの制度が残ったということもございまして、二種免許状をお持ちの方は教員になりましたらぜひひとつ計画的に研修をして単位をお取りいただきたいということを期待している次第でございます。
十二年かけて十単位をお取りいただくということはさほど無理なことではないというふうに考えるわけでございまして、計画的にお取りいただければ無理なくその十単位はお取りいただけるのではないかというふうに考える次第でございます。それでもなおかつ単位が残っている方について七号以下の規定によりまして授与権者が研修をすべき講習等を指定しまして、それで任命権者がそこへ行けるように便宜を図りまして、本人の意欲とそれから任命権者と授与権者の三者の協力によって残りの単位をぜひお取りいただきたいというふうにお願いしているわけでございまして、そうした十分な措置を得まして二種免許を持っておられる方が一種免許状をお取りいただくよう私どもとしては期待している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/59
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060・中西績介
○中西(績)委員 最初に私は今度の法改正についても五つのことを原則にしてやるということを申し上げたわけでありますけれども、そういう中で特に教員免許というのは教育現場でのそうしたお互いの研修、そのことが物すごく大きなウエートがあると私は思うのです。大学のあるいは認定講習など私は否定するつもりはありませんけれども、そこでいろいろ学ぶことも重要でしょう。しかし、実際に現場で皆さんで、教師の集団でいろいろな経験、そして教科についてもあるいは教職内容についてもやることがたくさんあるわけですから、そのことを重視するということであれば、教育現場における経験をこれによってむしろ打ち消していくという一つの手段、この時期に打ち消すための何かをつくったみたいな感じがしてならないわけですね、このような措置をつくったというのは。
ですから、この点はもう一度考え直していただきたいと思うのですけれども、その点は私が指摘をするようなことではあるのかないのか、もう一度お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/60
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061・倉地克次
○倉地政府委員 私は、教員の実践的指導力というのは養成の段階でその基礎を養うものでございますけれども、現職におなりになってからの日々の実践によってさらに深まっていくということが非常に大切ではないかというふうに考えている次第でございます。今回の改正案もそれは最大限に重視している次第でございまして、そうしたことから四十五単位というものが最終的には十単位までに減るということでございます。
ただ、現職におけるそういう日々の実践も極めて大切でございますけれども、それと同時に、日々の実践の中でいろいろと反省したり、また違った次元からのいろいろな知識とか指導を受けることによって、さらに日々の実践が充実したものになっていくということもまたこれ事実でございますので、私どもといたしましては、最終的に十単位程度の単位をお取りいただくことは総合的に判断した場合極めて適切ではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/61
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062・中西績介
○中西(績)委員 私が言っているのは、実践もあるでしょうけれども、物すごく大事なことは、職場における自主的な、自発的な研修ですよ。これが物すごく大事だということを私は言っているわけですね。私たちの経験の中では、実際に現場でやっているときなんかは、自分たちで金を出し合って、わざわざ東大の先生だとかあるいは今度は九州であれば九大の先生だとか教育大学の先生というのに実際に職場に来てもらって、自分たちの職場におけるそうした問題と具体的なそういうものとをお互いに出し合って、そこでいろいろ教示していただくというようにやったんですよ。だから、ただ単にこういう単位を設定すればということだけでなしに、職場における実際の自発的、自主的な研修というのが物すごく大事だということです。
それは生徒指導の面があるでしょう、教科指導の面があるでしょう、いろいろありますね、ここを重視をするということ。ですから、それを推進をするというようにしむけていくことが物すごく大事です。そうすることによって今言う十五年ゼロ単位という措置はしてあるけれども、今度は十五年を過ぎると今まで全部がもとに返るというようなやり方をもう少し考えてほしいと私は言っているわけです。この点、もう少し考えていただきたいと思うのです。これは後でまた同僚委員なりから問題提起をしてもらいます。
それから次に今度は、二種から一種免許取得のための受講内容を見たときに、本人の意見を聞くとしてありますね。このときにどの程度本人の意思を取り入れるかというのが私は非常に気になる。
具体的な方法を挙げていきますと、複数指定、例えば大学課程あるいは認定講習、公開講座、通信教育あるいは試験だとか、いろいろなものがあるでしょう。そういうものの中から選択をできるのかどうか。指定をする側はどういうものを一応お考えになっておるのか。
私はもう先に結論を言いますけれども、望ましいことは、今までの大学での認定講習がありますね、皆さんから希望をとる、その数等を県教委なら県教委なりが全部集約をいたしまして、こういうもの、こういうものということを集約した結果、類別的に分けまして、今度は大学にそれを依頼して認定講習だとかなんとかいうことが今まで大体されてきたわけですね。そういうようなものが中心になるのか、それとも授与権者の方が固定的にこれだというように決めていくのか、そういうところあたりはどのようにお考えになっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/62
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063・倉地克次
○倉地政府委員 先生お尋ねの点は、備考の七号の点の意見の聴取のことに当たることではないかというふうに考えている次第でございますけれども、やはり指定に当たっては本人の自発的な単位修得意欲というものをできるだけ喚起することが必要ではないかというふうに考える次第でございます。そういう点から考えますと、認定講習とかそのほかいろいろなことがあるわけでございますけれども、そういったものの種類とかその時期について本人の意見にも十分配慮する必要があるのではないか、そういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/63
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064・中西績介
○中西(績)委員 だから、その今の局長の答弁というのは、受講者、受けたいという希望がある人の意見は十分聴取をしてその上で対応をしていく、そのためには幾通りかのそういうものが出てくるでしょう、こういうように理解をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/64
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065・倉地克次
○倉地政府委員 これは一般的な場合と備考の七号の場合とは若干差があると思うわけでございますけれども、備考の七号の場合には、本人の意見を聞いてということがわざわざ書いてあるわけでございますから、これは本人の意見にも十分配慮して措置すべきことではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/65
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066・中西績介
○中西(績)委員 ですから、やはりそのことがまず前提にあってされるということになるわけですね。ですから、今私が申し上げたように、これは文部省などが決めるわけにはいきませんけれども、例えば大学あたりでは、ある教授なら教授に依頼をするということになりますと、カリキュラムをつくって、現在では現行の二級から一級に上進するための単位修得の方法というのは大学でそれを決めて、そして認められておるわけですね。認められる大学課程あるいは認定講習などが今まであるわけですけれども、そういうものを想定をしておると考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/66
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067・倉地克次
○倉地政府委員 これは本人の意見を聞くわけでございますけれども、そのときの人数でございますとか地域の実情、それから学校の実情もございますので、こういうものを想定するということだけではなかなか一概に言い切れないのではないかと思いますけれども、まあ認定講習のようなものが多くなるのは事実ではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/67
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068・中西績介
○中西(績)委員 受講者の本人の意見を聞く、このことを私は重視したいと思うのですね。ぜひ生かしていただければと思います。
そのときに、いろいろな形態はあると思うのですけれども、もし休職をして行かなければならぬという場合、あるいは休暇をとって、あるいは勤務の中でそのことが任命権者から許されて旅費までつけてというような、いろいろな形態があると思うのだけれども、これはどういう扱いを今の時点ではお考えになっておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/68
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069・倉地克次
○倉地政府委員 休職とか休暇の扱いの問題でございますけれども、私ども今頭に浮かびますのは、病気による休職でございますとか、病気による休暇でございますとか、病気による休暇というよりは産前産後の休暇でございますとか、そういうようなものがあった場合には、この三年の算定の期間から除いてはどうだろうかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/69
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070・中西績介
○中西(績)委員 ちょっと最後のところをもう一遍聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/70
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071・倉地克次
○倉地政府委員 病気による休職でございますとか、産前産後の休暇でございますとか、そういう期間は三年間という期間から除いて算定したらどうだろうかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/71
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072・中西績介
○中西(績)委員 私が今申し上げたのは、三年間の期間から除くというのは、産休だとかいろいろなものを付しての話ですから、私の質問の趣旨とはちょっと違うのです。
講習会等を受講するときに本人はどういう形態になるのか、ここいらはお考えになっておられるのか。先ほど県教委なりなんなりで認定講習なら認定講習みたいなもの、あるいは大学を指定するとかいろいろしたときに、人数あるいは状況等によって差はあると思いますけれども、その場合考えられることは、休職だとかあるいは休暇だとか勤務の中で旅費で派遣をするとか、こういうようないろいろな形態があると思うのだけれども、どういうものを想定しておられるかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/72
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073・倉地克次
○倉地政府委員 今先生の御指摘のように、講習等の形態とか時期とか期間などによって非常に異なってくるわけでございますけれども、現状を申し上げますと、認定講習の場合はほとんど職務専念義務の免除ということでお出かけになっているというのが実態でございますので、それとおおよそ同じようなことになるのではないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/73
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074・中西績介
○中西(績)委員 この点、もう少し時間があれば掘り下げておきたいと思ったのですけれども、一応今のお答えでとどめておきます。
そこで問題は、教養審の答申の中に「十五年以内に標準免許状を取得させるものとする措置を講じる必要がある。」ということを言っておりますだけに、私はさっきの十五年ゼロ単位、そしてそれのできなかった人に対する措置の仕方というのは、これは希望なんですけれども、よほど検討していただいて、公平で抜けがないように措置をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
そこで、今度は専修の問題ですけれども、これを見ると、専修の問題の場合には特別の措置は設けられておりませんね。しかし、一種免許状所持者の専修免許状取得ということは、今までの答弁からいたしますと、やはり皆さんが期待をするということになっていますから、このことについて、これから奨励していくつもりなのか。していくとすれば、今さっき、二種から一種への同じような措置なりなんなりを、例えば大学課程におけるあるいは認定講習なり通信教育なりなんなりかのそういうものを想定しながら奨励されていくのかどうか、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/74
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075・倉地克次
○倉地政府委員 私ども、一種免許状をお持ちの方が専修免許状をお取りになるためにいろいろ現職研修をされることは非常に好ましいことではないかというふうに考えている次第でございまして、今のところ一種免を持たれる方が専修免を取られるように所要の単位を修得するためには、専修課程または専攻科における授業科目の聴講ということがございますし、また、専修課程または専攻科が開設する公開講座、修士レベルの認定講習の受講ということもあり得るかというふうに考える次第でございます。
都道府県教育委員会が実施する修士レベルの認定講習会の受講ということもまたあり得るというふうに考える次第でございまして、現在、修士課程で学ぶための教員の派遣ということも行っている次第でございますが、そういうことも今後とも一層継続していきたいというふうに考えている次第でございます。また、都道府県の教育委員会が行っております認定講習におきましては、現在ほとんどのところが認定講習を受けるための経費は徴収していないというのが実情でございまして、そうした援助も今後継続されるよう指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/75
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076・中西績介
○中西(績)委員 これは、特別のものを設けておらないだけに、あくまでも本人が自主的に研修をするということが基礎になると思います。ですから、それをどう手助けをするかということになると思いますので、その際に、先ほど最後の方に言われました従来のやり方になりますと、その当該学校の管理者なりあるいは今度は教育委員会なり、そういうところの制限がいろいろ出てくると思います。だからそうでなくて、あくまでも自主研修ですから、それを予算的に、側面的に援助をしてやるという、主体をやはり強めていくということが大事ではないかと私は思っておるわけです。
ですから、そうした点で本人に希望があれば単位修得の機会を与えてやるというのがやはり前提になくてはならないのではないか。そうすることが、あなたたちがずっと言ってきた専修という制度を設けたのはそういうことも含まれておるのではないかと私は理解しておったのですけれども、この点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/76
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077・倉地克次
○倉地政府委員 研修でございますから、やはり自発的な研修を受けるという意思が最も大切であることはもちろんでございます。先生のおっしゃる趣旨は十分私、承知しているつもりでございますが、やはり組織体でございますので、学校とか地域の実情その他もろもろを勘案して任命権者の方などにおいていろいろと考慮しなければならないこともあるわけでございますので、その辺の事情もひとつお許しいただきたいというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/77
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078・中西績介
○中西(績)委員 そうすると、状況によってはその人のそのような受講だとかなんとかを制限するということを言っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/78
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079・倉地克次
○倉地政府委員 制限するとまで申し上げると大変恐縮なんでございますけれども、やはり精神としては自発的な意思をできるだけ守り立てていくという観点に立ちつつも、地域の実情とか学校の実情によって必ずしも御趣旨に沿えないことがあり得ることもあるということを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/79
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080・中西績介
○中西(績)委員 地域の実情だとか学校の状況によるということを言っていますけれども、これはどういうことを指しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/80
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081・倉地克次
○倉地政府委員 組織体でございますから、そのときのいろいろな仕事の都合もございましょうし、地域の教育計画等もありましょうし、そういった実際に学校を運営していく上においてのいろいろな事情になるのではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/81
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082・中西績介
○中西(績)委員 そうすると、選別があるということを言うわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/82
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083・倉地克次
○倉地政府委員 先生が今おっしゃったように、そこのところを強調されると私どもとしては大変困惑するというか、そういうことでございますけれども、やはり積極的な勉学をできるだけ促進するという観点から、大学院への派遣が学校運営上支障がなく、かつ有益だという判断のもとにそうした研修についていろいろと便宜を図っていくことになるのではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/83
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084・中西績介
○中西(績)委員 派遣をするに当たって、わざわざ専修という制度を設けているわけですからね、だから、それに向けて本人が希望をするということになれば、さっきの二種から一種の場合にはちゃんと本人の希望を聞いてまでするというあれがあるわけですね。そして、なおかつ今度はさらに一種から専修へということになりますと、これはやはりむしろそれぐらいの積極的なものがあって皆さんがこの一時間ちょっと言われておることが裏づけされるのではないかと私は思うのですね。ですから、そうした点でもうちょっと今言われたことを、どうしてもそこにずっとこだわらなくてはならぬような答弁になっていますから、すっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/84
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085・倉地克次
○倉地政府委員 何度も申し上げるわけでございますけれども、基本的な精神としては、やはり積極的な勉学の意欲というのを一番大切にしなければならないということでございますので、そうしたものを大切にしつつも、やはり学校運営上支障がないかどうかということも考慮しつついろいろな援助は行わざるを得ないことになるのではないかということを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/85
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086・中西績介
○中西(績)委員 学校運営上ということで縛られますと、これは何でもつけられるのですよ。理由づけになるのです。一番危ないことを今言われたのですよ。例えば私が学校管理者になりますと、幾らでも理由をつけられますよ、学校運営上と言ったら。だから、私はさっきからそれにこだわるわけですね。だから、少なくともこのことに関しては、今まであなたたちが言われた五原則に沿ってこれを進めていく。皆さんの意欲を燃え立たせ、そして資質が向上することが最大の目的ですから、その人にもし管理者が問題があると思っても、そのことを経ることによってさらにその人の人間形成の上に大きな影響を与えて、むしろ立派な人にするべきではないですか、私はそう思いますね。
だからこそこういう上進の制度というのを認めているわけでしょう。そして、専修の場合には一年間三単位という計算方式でもって軽減をしていくということもあるわけですからね。だから、その上に立っての話ですから、この点は今言われた学校運営上ということだけはやめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/86
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087・倉地克次
○倉地政府委員 一種免許状から専修免許状を取るためのいろいろな形態もあるわけでございますけれども、仮に認定講習でそうしたものをお取りになるということになれば、私は現在の認定講習の場合と実情はそんなに変わらないのではないかというふうに考える次第でございます。
ただ、先生が学校運営上のことを御指摘されますので、それをお聞きになるのであれば、私どもとしては学校運営上の支障がないかどうかということも考えざるを得ないということを申し上げている次第でございまして、制度の趣旨は、あくまでも積極的な勉学意欲を持っている方々に十分勉学をしていただけるように私どもとしても努力していくということには変わりはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/87
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088・中西績介
○中西(績)委員 今の一番後段のところだけ積極姿勢を認めるわけです。局長はそういう答弁の中に学校運営ということを言われたから、私が聞くと学校運営と言わざるを得ぬ、こう言うわけです。ところが、その学校運営というと、それは今度拡大されてどんなことだって適用できるということになるわけですから、そういうことでなくて、積極的にということを重視してやるということが一番大事じゃないかと思うのです。ですから、そのように私は理解するのですが、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/88
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089・倉地克次
○倉地政府委員 大変積極的に私どもとしてもやってまいりたいと思いますけれども、先ほどの答弁の趣旨もひとつ御了承いただきたいということでお許しいただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/89
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090・中西績介
○中西(績)委員 こうして正式なやりとりになると、それが今度は後に残るもので、私は非常にそれを恐れているわけですよ。これでやられるとどんなことだって制限できますよ、理由づけすれば。だから、これだけは学校運営上なんというような大きなあれで一くくりにやられたのではかなわぬですね。これはもう一番危ないことなんですね。だから、そのときの管理者の裁量によってすべてがやられるわけですから、基準なんかあったってないと同じになるのですよ、今あなたが言われるようなことは。
ですから、そのことだけはここに残るから僕はこだわっているのです。そのことは積極面をこれから追求するということで大ざっぱにまとめていただきたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/90
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091・倉地克次
○倉地政府委員 認定講習の現状をお考えいただければ、さほど先生が御心配いただくようなことではないと思いますけれども、組織体を預からせていただいております私どもとしては、その運営上の観点も無視できないということを申し上げている次第でございますので、そこのところはひとつ意のあるところを御了解いただきたいというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/91
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092・中西績介
○中西(績)委員 私も言おうと思ったのだけれども、大臣、今の論議の中でそういうように網をかけると、これは現場では全部にかかるのです。このことをまず知ってもらわなくちゃなりませんので、この点は大臣、ちょっとお考えいただいて、後で打ち合わせしていただいて、そこらについては本当に積極面が出てき、そしてしかもそれが公平にやられるということがこういう問題については前提にならなくちゃなりませんから、学ばせるのに差があったのでは困りますから、そのことを私たちは言っているわけですから、後でお考えいただいておいて、まとめて答弁いただきたいと思います。
そこで、社会人の学校教育問題でありますけれども、特別免許状教員、それから特別非常勤講師、この特別非常勤講師の場合には特に免許状がなくてできるわけでありますけれども、そうしますと、社会人を活用することによって活性化をということを盛んに言っていますけれども、教員養成大学での戦後の教員養成の大原則、まずこれは認めておられると思うのですが、このことはよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/92
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093・倉地克次
○倉地政府委員 戦後の教員養成・免許制度の基本的理念というのを尊重しつつ、それとの調和を図りつつこうしたことを行いたいというふうに申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/93
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094・中西績介
○中西(績)委員 その場合に、特別免許状を交付する場合の教育職員検定試験というのがございますが、この検定の基準というのはどういうものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/94
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095・倉地克次
○倉地政府委員 教育職員検定というのが法律によって定められておるわけでございますけれど
も、その中で、法律で一々定められております学力でございますとか実務でございますとかそういうものにつきましては、この法律の定めるところによって行うわけでございますけれども、それ以外の点につきましては、各都道府県の教育委員会の授与権者の定めるところによって検定するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/95
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096・中西績介
○中西(績)委員 極端なことを言って失礼ですけれども、県教委なりが特定の人を採用したいということでもって、例えば登録試験あたりに合格してない人がおりますね、そういう人をぜひ何とか採用してやりたいというようなことでこの試験を受けさせ、そしてそこで検定基準に合致をしたということを認定をすれば、その中には幾通りもそういうものが出てくる可能性というものを秘めています。この点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/96
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097・倉地克次
○倉地政府委員 特別免許状の教育職員検定でございますけれども、これはその前段階におきまして、任命権者とか雇用権者が特に必要だということによりまして推薦を行うことが必要になっている次第でございます。それで、その推薦の要件といたしましては、学士の称号を有する者でございますとか、専門的な知識または技能を有する者でありますとか、社会的信望があり、かつ教員の職務を行うのに必要な熱意と識見を持っているというような要件があるわけでございまして、こういう要件が備わった者であってこそ初めて推薦されるということになっている次第でございます。
その後、教育職員検定を行うわけでございますけれども、その教育職員検定を行った後に、これについて合格させようというときには学識経験者の意見を聞かなければならないということになっている次第でございまして、手続としては大変厳重な手続になっている次第でございますから、今先生の御指摘になったようなことについては、そうした危惧はないのではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/97
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098・中西績介
○中西(績)委員 そうしますと、この特別免許状教員というのは常勤教諭になるわけですね。そして特別非常勤講師の場合にはあくまでも非常勤講師ですが、この特別免許状教員というのは定数の中に入りますか。
もう一つ、特別非常勤講師の場合には定数外になって、今現場では非常に困るのは、非常勤講師というのを財政的に、従来からいいますと、一人の時間数を非常勤に割り当てるときには三十六時間くらいに計算をしまして割り当てをしておったのです。そして一人の定数にしておった。ところが、近ごろは十八時間とかいうふうに絞って予算を残すような傾向というのが県教委の中にはあるんですね。そうなってくると、これが定数計算の中に入ってくると、特別なものだということだけれども、物すごく窮屈になってくるわけですね。こういうとき、特別免許状を所有のこの教員は定数内かどうかということと、これが定数の中に入るかどうかということ、ちょっとお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/98
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099・倉地克次
○倉地政府委員 特別免許状でございますが、これは小学校教諭、中学校教諭、高等学校教諭の常勤の教諭の免許状でございますから、この免許状を持って常勤の教諭として勤務されれば当然定数の中に算定されるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/99
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100・中西績介
○中西(績)委員 特別非常勤もそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/100
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101・倉地克次
○倉地政府委員 非常勤講師でございますので、これは定数の中には入らないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/101
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102・中西績介
○中西(績)委員 そうすると、定数計算でなしに枠外でこれを任用できるということで理解をしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/102
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103・倉地克次
○倉地政府委員 特別非常勤講師の方はその枠外ということになる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/103
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104・中西績介
○中西(績)委員 そうしますと、この数というのは極めて限られておるということで理解をしてよろしいですか、この両者については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/104
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105・倉地克次
○倉地政府委員 各学校の実情によって非常に変わってくるわけでございますけれども、常識的にはそんな多くなるような事柄ではないのではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/105
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106・中西績介
○中西(績)委員 だから、その数は極端に多くしないということになると思いますが、その場合、当該学校がぜひこういうものはということでもって教師みんなが認めてこういう方向でいこうということを決めるわけですから、系統的な指導計画というのが学校にはあるわけですから、その中で合致するもの——なぜ私はこのことを言うかというと、さっきいろんな厳しい選考基準があると言われていますけれども、考えようによってはそこでは余り似つかわしくないような者だって持ってこようとすれば可能になってくるんですよ。これを私は恐れているわけです。学校の中の系統的学習計画、指導計画、その中でこのことが発案され、そして当該の学校の校長なり教師集団が申請をしてこういう者をというようにすべきだと私は思うのですけれども、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/106
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107・倉地克次
○倉地政府委員 特別免許状の交付に当たりましては、まず第一に当該教育職員を任命したりまた雇用しようとする者が推薦を行うということでございます。推薦を行うに当たっては当然校長の意見も聞くでしょうけれども、法令の建前からはその任命権者なり雇用権者なりが推薦するというのがもとでございますから、そこの判断になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/107
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108・中西績介
○中西(績)委員 そうなりますと、学校の指導計画なりそういうものは完全に無視ですか。だれかが勝手に決めて、ことしは何名だ、そしてそういう者はどんどん派遣をしたい、こういう形でやっていくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/108
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109・倉地克次
○倉地政府委員 学校が円滑に運営されるためにはやはりそこの学校の教職員の方の意見なりなんなりも十分尊重されるべきでありますけれども、それはあくまでもやはり校長を通して任命権者なり雇用権者なりがそうしたものをお聞きし、それが判断するということになるかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/109
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110・中西績介
○中西(績)委員 だから私は、やはり当該学校というものが中心に座ってその上で十分な調整がなされないと、これは大変なことになると思いますよ。
この点だけは、今のような答弁でなくてもう少し実態とこれから後どう効果を上げていくか、今一番何が望まれているかという、これなしにやるということは大変な誤りを犯すと思うのですよ。推薦するというのですから、そこで推薦されたらそれがむしろ先行してくるというようなやり方はちょっと困るのですね。この点だけはチェックできるようにせぬといかぬと思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/110
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111・倉地克次
○倉地政府委員 これも大変恐縮でございますけれども、やはりその任命権者なり雇用権者なりが学校長を通じていろんな御意見を伺い、またそれ以外の御意見も伺った上で御判断されることではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/111
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112・中西績介
○中西(績)委員 いや、だからそこには学校のそれに沿わないというときには、やはり何かチェックできるようにしなければだめですよ。時間がなくなりましたから、問題としてこれも残しておきたいと思います。
それからあと教育実習の問題ですけれども、教員養成における教育実習を見ますと、これが大変重要だということが盛んに言われておったのですけれども、従来と今回の場合は余り変わらない状況で、ただ一つ事前事後の指導一単位を加えるだけになっていますが、この点、十分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/112
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113・倉地克次
○倉地政府委員 教育実習についても、この点の取り扱いについてどうしようかということがいろいろ御議論になったというふうに承知しているわけでございますが、最終的には事前事後の指導を一単位加えることによって教育実習を構造化しようということでこのような御判断になったというふうに承知している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/113
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114・中西績介
○中西(績)委員 私は、やはり実践、そして現場での研修、そういうものとあわせてこのことが非常に重要視されておったのですけれども、余りこれについては改善しておらないようでありますね。また、実際にはなかなかできにくいということもあるだろうと思いますけれども、いずれにしましてもこの問題は指摘をされておったほど重視されておらない。したがって、この点についてはさらにお考えいただきたい。このことを申し上げておきます。
もう一つは、免許教科の一部を省令化しておりますけれども、省令化することになっておる免許状はどういうものを想定しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/114
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115・倉地克次
○倉地政府委員 具体的な例として考えられる教科でございますけれども、これは例えば中学校でございますと国際理解とか、それから高等学校ですと情報処理、演劇、福祉、ホテル観光というようなものが予想される次第でございます。
それから、大変恐縮でございますが、今ここで答弁しておりましてちょっと思い出したのでございますけれども、非常勤講師のカウントでございますが、高等学校についてはたしか一定の範囲内で定数にカウントされるという規定がございますので、その中には先ほどの特別非常勤講師も入るということでございます。大変恐縮でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/115
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116・中西績介
○中西(績)委員 だから、さっき私が指摘したように、これは困るのですね。こういう制度を設けてこれを全部その定数の中に入れていったら学校運営なんというのはなかなかできにくくなっていくのですよ、数が多くなってきて。だから、それを聞いたのですよ。これは今改めてあれしませんけれども、大変な問題がその中にはあるのです。
それで、免許状はわかりましたけれども、この問題も相当慎重にしておかないと、私は安易にこういうものを設けられたのではかなわぬと思うのです。したがって、これから後、免許状主義というものがどんどん失われていくわけですから、これをなくすようなことにならないように、ぜひこの点について慎重に構えていただきたいと思います。
時間が来ましたけれども、もう一問ぜひお願い申し上げたいのは、養成制度の中におきまして一年間の教職特別課程の問題があるわけですね。この問題について特に対象者をどういうところに限定しておるのか、そして特に問題になっておるような教職特別課程とのかかわりあたりがどういうようになってくるか、この点だけお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/116
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117・倉地克次
○倉地政府委員 教職特別課程もできるだけ広い範囲から人材を教育界に招き入れようということで設けられたものでございますので、一年間の課程でございますけれども、大学を卒業した方、または大学院を修了した方を予定している次第でございます。そういう方で教職専門教育科目をとっていなくて免許状が授与されない方を予定している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/117
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118・中西績介
○中西(績)委員 以上で終わりますけれども、先ほどの関係で大臣に最後に答弁ということでお願いしてありましたので、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/118
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119・中島源太郎
○中島国務大臣 中西先生の御質疑を拝聴いたしておりました。中西先生の御質疑の中で、教育の中で一番大切なのは信頼と愛情と尊敬だ、こうおっしゃったことに対しては全く同感でございます。
そういう意味で、これからの教育の中に、単に知識の伝達だけでなくてそれぞれの発達段階に応じて適切に指導するということをもって行うということでございますから、その中で二つだけ申し上げておきたいのは、現行の免許制度の基本理念は、これは遵守をしてまいります。それから、今回の三種類の免許の種類は普通免許状の中の種類でございます。それから、それによって幅広い、もちろん開放制を維持しながら専門性を高める。また現職研修の中から意欲を高めていただく。
それから、最後に御質問になりました特別免許状あるいは非常勤講師の方々の社会的な視野と特定の分野での技術、知識を学校教育の中に持ち込んでいただこう、そういうことで御提案しているわけでございまして、それぞれの中で現職研修の重要さはもちろんわかります。その中でさらに研修を深めていただくために大学の公開講座あるいは認定講習のようなものはございます。これはできるだけ意欲を持った方々にさらに新しい知見、知識を持っていただくということでございますから、その点は変わりございません。
ただ、強いて学校運営に対して御指摘があれば、これは全く勘案しないというわけにもまいりませんので、先ほど政府委員がつけ加えて答弁をさせていただいたそれに尽きる、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/119
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120・中西績介
○中西(績)委員 肝心なところを答弁していないけれども、時間が来ましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/120
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121・中村靖
○中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十八分休憩
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午後一時四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/121
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122・中村靖
○中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。鍛冶清君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/122
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123・鍛冶清
○鍛冶委員 教員免許法等の一部を改正する法律案につきましてお尋ねをいたします。
今までいろいろとこの改正案につきましては各委員の方々が質問をされまして、だんだんと細かい分野にわたる質問まで論議を交わされているわけでございます。したがって、多少ダブる向きもあるかと思いますが、ひとつ御承知おきをいただきまして御答弁をいただければと思っております。
最初にお尋ねをいたしたいのですが、これまでの委員会でのやりとりを聞いておりまして、私がわかったようでわからない問題がございます。それは、私自身も漠然としてはわかっておったつもりなのですが、論議の中で、どうも正確に理解しておかないとこの教員免許法の論議が間違った方向に行く可能性もあるのではないかという思いがございまして、お尋ねをするわけでございます。
開放制と閉鎖制という、教員免許法、養成、それから免許の取得、この流れの中でよくこの言葉が出てくるわけです。どうもわかったようでわかりにくいので、この言葉について、どういう意味があるのか、定義があるのか、少し議論をさせていただきたいと思っております。
まず開放制の問題でございますが、開放制の原則というものは一体どういうことを言っておるのか、まずお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/123
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124・倉地克次
○倉地政府委員 開放制の原則でございますけれども、これは簡単に申し上げますと、大学教育によって教員を養成するというのが一つでございますし、またすべての大学を制度上均等に位置づけて、免許法に定める科目を大学が開設し、学生がその単位を修得したときに免許状が授与されることとするという二つの原則から成り立っているのではないかと承知している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/124
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125・鍛冶清
○鍛冶委員 開放制に対応する言葉として閉鎖制という言葉が言われているわけですが、閉鎖制という意味は具体的にはどういうことを言っているのか、この点についてもお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/125
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126・倉地克次
○倉地政府委員 開放制に対しまして閉鎖制ということは従前の師範学校を指して言っているものと考えられるわけでございますけれども、師範学校の中にもいろいろな特性があったと思います。
まず第一に、教員の免許状がその学校を卒業して与えられるというのは師範学校とか高等師範学校のみでございまして、あとは、無試験でありましても検定などを必要としたというようなことがあるのではないかと考える次第でございます。
また、そのほか師範学校を卒業した方は大多数の方が教員になられるということもございますし、師範学校の中におきます教育内容につきましても現在の大学における教育とは若干異なるところがあったと承っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/126
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127・鍛冶清
○鍛冶委員 そうだとしますと、今の御答弁を聞いておりますと、今度は、教員免許法改正の中でいろいろ言われております例えば免許基準の引き上げとか単位をふやすとかいうようなことが閉鎖制につながるというような表現がよくされるわけですが、閉鎖制ということが今おっしゃったような内容であるならば、とにかく現状の教員免許の取得に関する体制、今確かに大学でやっておりますし、その大学が教員養成を目的とした大学である場合もありましょうし、そうでない場合もある。もちろん私学でも随分とこれがやられておる。短大でもこれがやられておるという現状、これはその中で多少変動があったとしても、それがあくまでも開放制を堅持しておるのだということになるようにうかがえるのですが、そういうふうに考えてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/127
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128・倉地克次
○倉地政府委員 今先生から御指摘がありましたように、現在の免許制度の基本的な理念として、専門職制の確立とか開放制とか現職研修の重視ということが言われる次第でございますけれども、この三つの原則のバランスの上に立って現在の教員養成制度ができておるのではないかと考えている次第でございます。私ども、今回いろいろの措置をいたしておりますけれども、あくまでもこのバランスを重視いたしまして、このバランスの中においてそうしたことを行おうと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/128
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129・鍛冶清
○鍛冶委員 それはあくまでもバランスをどうするかということであって、閉鎖制であるということには全く当たらないと思うのですが、それでよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/129
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130・倉地克次
○倉地政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/130
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131・鍛冶清
○鍛冶委員 それで私もなるほどと思うのでありますが、要するに戦前の師範教育が、戦前の教育のあり方、免許取得のあり方が何か閉鎖制という、一口で言えばそんな感じでしょうか。
特にいろいろ議事録も調べてみましたが、社会党の木島先生御健在のときに開放制ということで触れられておりますけれども、その議事録を確認しましたら、やはりさっき局長が答弁されたようなことをおっしゃっておられるし、特に戦前の師範の教育は、専門学校でございましたから一般教養課程というものがなかった、そういう意味で教師に集中した形でされたということが、人間的な幅といいますか、いろいろな含みを持った幅広い形での人間性を持った教員というものになりにくかつたというような趣旨のことをどうもおっしゃっておられるようでございまして、そういう意味からいえば、教員養成大学も含めて一般教養は単位の中にあるわけだし、大学で教えていることだから、これはまさに開放制というものの堅持をしていると言えるわけです。いろいろ皆さん方それぞれの立場からの御見解がありますから、私も閉鎖制、開放制の解釈について多少違うのかなとは思いますけれども、例をとりますと、免許基準の引き上げというふうな問題について、これが引き上げられると閉鎖制につながるという議論はちょっと筋が違っているのではないかなという気がいたします。
むしろ、戦後教員免許法が施行されてからもう随分長い年月たっておりますし、その間に私どもが一番問題とし悩まされ、解決をしなければならぬと努力してきたことに、やはり子供たちの校内暴力とか家庭内暴力とかいじめの問題とかさまざまな問題が起こってきておる中で、生徒指導ということについての専門的な知識なり基礎知識が先生方にも養成課程の中で免許を取るまでにやはり必要ではないかなということが随分議論をされてきたと思います。我が党の中でもその議論はして、これはやはり必要ではないかな。要するに、これは子供のために、子供をよりよく教育していくために必要なわけでありまして、閉鎖制にするとかしないというふうな議論ではないのではないか。また、端的に思いますのは、コンピューターとかああいうものが随分と使われるようになってまいりまして、前免許法をつくったときにはそういう段階のものは何もなかった、しかし、今ある以上は教員としてそれを使うための基本的なものをある程度知っておかないと、今の教師のあり方としてはやはりちょっと資格として欠けるところがあるのではないか、そういったようなことを含めて免許基準の引き上げが行われておるように私どもは判断をいたしております。
前回改正免許法が出されましたときに廃案になりましたけれども、あのときは確かに、わかりやすく言えば単位を現行の免許法よりは大幅に多く取らなければいかぬ、そういうことでこれは行き過ぎておるということで、審議には入れませんでしたが、私たちは方向として反対の態度をとっておりました。しかし、今回出されましたものについては、必要なものがそれ相応に引き上げの中で置かれておるのではないか、こういう判断で賛成という立場をとっておるわけでございますが、そういう形の中で私は議論をすべきだと思いますけれども、この点について文部省の御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/131
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132・倉地克次
○倉地政府委員 今先生がいろいろ御指摘になったことにまことに同感でございまして、時代の要請に応じて免許基準を引き上げるにしても、まさに学校の現場で必要とされる生徒指導とか特別活動とかコンピューター等を含めました教育の方法・技術などについて教員の養成課程においてもその基礎を勉強していただくということでございまして、あくまでも三原則を維持しつつそうした問題について対処してまいりたいということで私どもも努力しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/132
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133・鍛冶清
○鍛冶委員 教員の皆さん方、大変御苦労していただいておりますが、その中で特に大切なのは教師の使命感とか任務をどういうふうに重く考えて教えることに取り組んでいただくかということだと思います。この点については単位を取る中でもまた実習の中でもこれから教えられていくのでありましょうが、何かもう一つ画竜点睛を欠く感がしておるわけでございます。こういう教員養成というものが大変重要であるという立場、使命感を持っていただくことは大変大切であるという立場から、教員免許法の中で教員の使命、任務等をむしろ明記して条文をつくるべきではなかったのか、こういうふうに思うわけでございますが、この点について御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/133
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134・倉地克次
○倉地政府委員 教員の使命について法律上明記すべきではないかというお話でございますが、免許法は免許についていろいろなことを規定しておりまして、そうした教員の服務自体については教育公務員特例法以下の法令によりまして規定している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/134
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135・鍛冶清
○鍛冶委員 免許取得のときにそういったものを明記するという法的整備はどういうふうにするか、私も素人で詳しくございませんが、でき得るならばぜひそこの時点で明記をしていただくという突っ込みができれば一番いいのではないかなということでお尋ねを申し上げました。
次に進ませていただきますが、普通免許状の種類を現行の一級、二級から新たに専修、一種、二種、この三種類に細分化されておるわけでございます。この目的はどういうところにあるのか、また、専修免許状はなぜ必要なのか、こういった点についてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/135
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136・倉地克次
○倉地政府委員 まず第一に専修免許状でございますけれども、これは修士課程修了程度を基礎資格とした免許状でございまして、一種免許状を基礎とした上でその特定の分野についてさらに深化させたというものでございます。
一種免許状は学部卒業程度を基礎資格とした免許状でありまして、教員の資質能力の標準的な水準を示すものと言われている次第でございます。
また、短期大学卒業程度を基礎資格とする免許状といたしまして二種免許状が用意されている次第でございまして、これは一種との比較におきましては、なお一層の研さんを要する免許状ということで位置づけられている次第でございます。
このように三種類の免許状が設けられた次第でございますが、これは幅広い範囲からすぐれた人材を教育界に求めると同時に、教員の自発的な現職研修を助長しようということからこのような三種類の免許状を設けるに至った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/136
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137・鍛冶清
○鍛冶委員 これも質問の中で各委員から出たことではありますが、私も心配しておりますのは、専修免許状を新しくつくったことによりまして、また免許基準を引き上げたことにもよりまして、大学院の体制整備といったものが非常に厳しくなるのではないかということですね。特に中学校以下の専修免許取得のための教職科目を大学院で開設する場合には、一般の大学また私学等では大変なことになるのではないか、これは議論されておりましたけれども、この点について大変心配するわけでございますが、それに伴って専修免許状が非常に取りにくくなるのではないかという気がいたしておりますが、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/137
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138・倉地克次
○倉地政府委員 専修免許状でございますが、これは修士課程で修得すべき単位数は教科または教職に関する専門教育科目二十四単位ということになっている次第でございます。一方、修士課程の最低修得単位数は三十単位以上ということでございますから、基礎となる学部において一種免許状の課程認定を受けている大学院では十分対応が可能ではないかと考えている次第でございます。そういうことでございますので、今後専修免許状の課程認定を受けることのできる大学院の数は相当数になってくるのではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/138
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139・鍛冶清
○鍛冶委員 続いてお尋ねをいたしますが、免許状をこういうふうに、三段階と言っていいのかどうかわかりませんが、それはよろしくないという議論が多いのですけれども、三つに分けることによって、その後このそれぞれの取得した免許の内容によって昇任、昇格とか昇給とか人事、登用とかに影響が極めて濃くなるのではないか、こういうことが言われておるわけですが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/139
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140・倉地克次
○倉地政府委員 給与につきましては、現在のところ、いろいろなことを措置するということは考えていない次第でございます。
また人事につきましては、地方公務員法以下の規定があるわけでございますけれども、能力の実証に基づいて昇任、昇格等が行われることになるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
ただ、校長、教頭の資格につきましては、現在、高校の一級の免許状がございますが、それが専修免許状に相当いたしますので、それとの均衡を考慮しつつ今後検討するということを考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/140
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141・鍛冶清
○鍛冶委員 そうすると、専修免許状を持っていなければ教頭、校長にはなれないということですか。具体的にお尋ねするのですが、ちょっとお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/141
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142・倉地克次
○倉地政府委員 現在のところ、校長、教頭の資格といたしましては一級免許状を要するということになっている次第でございます。それで、高等学校の一級免許状は専修免許状に相当するわけでありますから、高等学校については専修免許状ということになるのではないかというふうに考えるわけでございますが、小中学校につきましては、一級免許状は今度は一種免許状に相当するわけでありますから、一種免許状であると同時に専修免許状もそこへ入れることが必要ではないかというふうに考える次第でございまして、その後いろいろとさらに検討を重ねてまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/142
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143・鍛冶清
○鍛冶委員 何か余りわかったようなわからないような話ですが、具体的に言いますと、専修免許状は校長、教頭になる必須条件になるのでしょうか、ならないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/143
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144・倉地克次
○倉地政府委員 高等学校につきましては、現在のところは一級免許状でございますが、それが専修免許状にかわるわけでございますから、高等学校の校長、教頭の資格は専修免許状ということになる次第であります。それから小中学校につきましては、現在の一級免許状は一種免許状になるわけでありますから、一種免許状が必要な資格になるわけでございます。ただ、それにさらに専修免許状も加えるということになろうかと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/144
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145・鍛冶清
○鍛冶委員 多少細かい質問になるかもわかりませんが、私も幾つかの大学に行って関係の先生方とお話をする中で、具体的な問題で非常に心配されていることを幾つかお聞きいたしました。その点をこの中でお尋ねしたいと思いますので、ひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。
最初に、教職の専門科目の中の教育の方法・技術、これは情報機器・教材の活用を含んでおるわけですが、これに関する科目においては情報機器等のハード面を重視してやらなきゃならないのか、ソフト面を重視してやる方がいいのか、なかなかここらあたりでの迷いがあるようですが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/145
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146・倉地克次
○倉地政府委員 教育の方法・技術、これは情報機器・教材の活用を含んだそうした科目になることが予定されている次第でございますけれども、やはり学校で一番必要とされることは、コンピューターを教育にどのように活用するかということが中心になるのではないかというふうに考える次第でございます。そういった観点から、コンピューターのことについて扱うとすれば、やはりソフト面を重視していくことになるのではないか、そういうふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/146
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147・鍛冶清
○鍛冶委員 次にお尋ねをいたしますが、教育実習の中で事前及び事後指導の内容というものがあるわけですけれども、この内容の中でボランティア活動を行うことは認められるのかどうか、もし認められるとするならば、だれが単位の認定等を行うのか、この点についてお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/147
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148・倉地克次
○倉地政府委員 昨年の十二月に御答申いただきました教育職員養成審議会の答申におきましても、事前事後指導といたしまして、他の校種でございますとか青少年教育施設、児童福祉施設、少年院などにおきます教育的経験を含めることができるようにすべきであるという提言がされているわけでございます。そうした趣旨を考えますと、やはり大学の指導計画の範囲内で学生が行うボランティア活動も事前事後の指導の内容の中に取り入れていくということの方が妥当ではないかというふうに考える次第でございまして、そういう方向で今後ひとつ検討してみたいというふうに思っている次第でございます。
こういうふうにした場合にその単位の認定はだれが行うかということでございますが、これは大学が行うことになるというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/148
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149・鍛冶清
○鍛冶委員 次に参りますが、教職専門科目の具体的な名称については大学側の自由な選択に任せられるのかどうか、これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/149
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150・倉地克次
○倉地政府委員 教職に関する専門教育科目を具体的にどのような科目として大学が設けるかということ等でございますけれども、これは、現在御提案しております法律が成立した後におきまして、単位の修得方法ということで文部省令で定めることになるというふうに考える次第でございます。
それで、私ども、文部省令として定める場合に、昨年の教育職員養成審議会が御答申になったことを最大限尊重してやってまいりたいというふうに考えている次第でございますが、その御答申の中では、大学における関係科目をできるだけ弾力的に開設することができるようにということでいろいろ御工夫をされているわけでございます。その中の一つが、例えば現行の「教育原理」とか「教育心理学、児童心理学」などをいろいろと構成を変えまして、それを「教育の本質と目標に関する科目」「幼児・児童・生徒の心身の発達と学習の過程に関する科目」、それから「教育に係る社会的、制度的又は経営的な事項に関する科目」というふうに構成を改めたらどうかということを御提案になっている次第でございます。
これは学ぶべき領域とそのねらいを明らかにされているということでございまして、私ども文部省令をいろいろ考えるに当たりましてもこうしたことを十分考えてやってまいりたいというふうに考える次第でございますが、このように規定いたしますと、具体的にどのような名称を大学が科目として設けるかというのは基本的に個々の大学の判断にゆだねられるということになる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/150
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151・鍛冶清
○鍛冶委員 免許基準が引き上げられるに伴って、各大学の既設の教職課程について改めて課程の設置を申請し直して文部省の認定を受けることが必要になるのかどうか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/151
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152・倉地克次
○倉地政府委員 今回の改正によりまして、免許状の種類を改めるとともに教職に関する専門教育科目を中心に免許基準が引き上げられることになる次第であります。そういたしますと、改正後の免許基準を満たす授業科目が開設されているかどうかというようなことについて確認する必要が出てくる次第でございます。既に課程認定を受けている大学についてもそうしたことを確認する必要がございますので、改めて認定を行う必要があるのではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/152
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153・鍛冶清
○鍛冶委員 従来、教職課程の認定に当たっては、一学科一免許という方針がとられてきているようでございますが、免許法の改正を機会に、単位修得の条件を整えた場合には一学科で二つの分野の免許を取ることができるように認めてほしいという要望もあるようでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/153
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154・倉地克次
○倉地政府委員 現在の課程認定の基準でございますが、これは五十三年に審議会でお決めになった審査基準などがあるわけでございます。具体的にその内容を今申し上げませんけれども、先生の御指摘のように、一種類の免許状ということに原則的にはなっている次第でございます。今回、免許法が改正されるわけでございますが、今後具体的にどういう基準によって課程認定を行うかということは養成審議会おいてひとつ御検討いただきたいというふうに考えている次第でございますけれども、私どもといたしましては、教員の専門性の向上という観点から考えますと、現行どおりの取り扱いとすることが今回の法律改正の趣旨に最も合致するのではないかというふうに考えている次第でございます。
ただ、現行の審査基準の中においても教員養成を主たる目的とする学科、それから、その他特別の学科というのがございまして、専攻領域が広い分野にまたがっている学科、それから当該学部の共通講座で関係の授業科目を開設している学科などというものがございまして、そうしたところにつきましては二種類の免許に限って認定することができるということがあるわけでございます。そういうことでございますので、今後におきましても、こうした基準に該当するようなことであれば二種類の免許状に限っては認定されるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/154
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155・鍛冶清
○鍛冶委員 一種免許状を持っている教員が大学院等において研修を積み重ねて頑張った上に専修免許状を取得した、こういう場合に、給与上については、これは特に免許状を取得したから号俸を上げるとか給与を上げるとかいうようなことは考えていないというふうに私どもは聞いておるのでありますけれども、これは何らかの取り扱いをした方がいいのではないかなというふうにも思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/155
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156・倉地克次
○倉地政府委員 一種免許状を有している教員が大学院等において研修を積んで専修免許状を取得した場合に、給与上何らかの扱いをしてはどうかということでございますが、この問題につきましては、専修免許状の新設により給与上の扱いを変更することは現在考えていないのが現状でございますけれども、御指摘の点も含めまして今後の課題として受けとめさせていただきたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/156
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157・鍛冶清
○鍛冶委員 それで、ちょっと確認の意味で御質問申し上げるのですが、一種、二種とか専修免許、これをそれぞれの各学校の段階、短大、学部、それから修士課程ということになって、修士課程を出れば専修免許状、学部ですと一種ですね、その一種、二種と専修免許というものを、それぞれ学校のときに免許を取って採用された場合、特に一種と専修免許をもらってすぐ教員になった場合には、そのときには給与面ではやはり差というのはつくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/157
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158・倉地克次
○倉地政府委員 今先生の御指摘の点は、私なりにちょっと申し上げさせていただきますと、大学を卒業して直接修士課程に入って専修免許状を取って教員になった場合と、一たん大学を出て教員になり、その後修士課程に入って勉強されてまた教員に戻った場合に、給与の格差があるのではないかという御指摘かと思います。現状においては一号の格差がついているのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/158
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159・鍛冶清
○鍛冶委員 私の質問を整理してまとめていただいたのですが、まさにそこに私はちょっと疑問がありまして、やはりそれだと、一たん一種の免許を持って教員になられている方がせっかく努力して専修免許状を取られたのに、そんなことなら修士まで行ってから、号俸が上がったところでぽいと教師になっていた方がよかったということにもなりかねません。
それからもう一つには、教頭、校長への条件となるということでもございますから、それはそれなりに、それを目指す方はその方面で、例えば一種の方は専修免許を取ろうという努力はなさるかもわかりませんけれども、実際問題として、例えば我々の立場からすれば、子供を教えてくださる先生方が技術的にもまた人間的にもいろいろなものをだんだんと磨いていっていただいて、特に免許も高い方の免許がすぐれた専門的な、子供にとってはよりいいということになり、その先生から教えられる方がいいということになりましょうから、我々とすれば専修免許状を取得するということに向かって先生方に御努力を願って、その技術を駆使して子供たちを教えてほしい、率直にそういう感じも持つわけです。
だけれども、教師という立場になると、よく世間でも言われるのですが、人間というのは、やってもやらなくても状態は変わらないのだということであると、やるという方向にどうしてもなりにくいわけですね。確かに自主研修とか、自発的にやらなければいかぬということはわかるのですけれども、やはりいろいろな仕事を抱えておったりいろいろなことに取り巻かれますと、どうせ苦労してそこを取らなくても、もう取っても取らなくても状況は全く変わらないのだということになると、どうしても努力をしてもう一つ上の方を取ろうという意欲というものは欠けてくるのではないかなという気がするわけです。
だから、いい意味で子供のために一生懸命上位の免許を取ろうという方々にはそれなりにその努力というものを認めてさしあげて、先ほど申し上げたように給与の面でも待遇してさしあげるというのがやはり大切なことではないかなということでございまして、私は、この問題、少ししつこく申し上げているわけです。この点について、もう一度お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/159
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160・倉地克次
○倉地政府委員 専修免許状の新設によりまして給与上の扱いについていろいろ御意見を拝聴している次第でございます。私どもといたしましては、この給与上の扱いを変更するということを現在考えていないのが率直の状況でございますけれども、御指摘の点も十分含めまして今後の課題として受けとめさせていただきたい、そのように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/160
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161・鍛冶清
○鍛冶委員 では、次に進めさせていただきまして、どういう条件を整えることによりまして大学院の修士課程では専修免許状を出すことが可能なのか。中学、高校の場合、小学校、幼稚園の場合、いろいろあるわけですが、そして専修免許状を出そうとする場合に、一種免許状の場合とは別に教職課程を設置して課程認定というものを受ける必要があるのかどうか、この点についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/161
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162・倉地克次
○倉地政府委員 これは課程認定を受けていただく必要があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/162
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163・鍛冶清
○鍛冶委員 次に進めさせていただきまして、特別免許状の創設など、社会人の活用を図るということはどのような形で求められているのかどうか、この点についてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/163
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164・倉地克次
○倉地政府委員 学校教育の分野に広く一般社会から教育に熱意と識見を有する社会人を登用するということでございますが、これは学校教育の活性化を図る上で極めて重要だというふうに考えている次第でございます。
現在のところ、学校現場においては実技教科を中心としてすぐれた専門的知識、技能を有する社会人を登用するということが非常に求められているわけでございますけれども、現行制度でいきますと、これは臨時免許状を授与して来ていただくとか、教諭のお手伝いをするというようなことで来ていただくということになるのが実態でございまして、人数も非常に限られているのが現状でございます。
そういうことで、特別免許状の創設によりましてすぐれた社会人を教諭として登用しようということでございますし、また免許状を有しない非常勤講師制度によりまして社会人の登用を一層柔軟にしようということでございまして、こうしたことは教育委員会や学校関係者からも私ども要望をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/164
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165・鍛冶清
○鍛冶委員 そういう特別免許状をお持ちになった方が教員として教えていただく、これは私どもも大変いい形だと思います。また特別非常勤講師のような社会人の方の活用の道を開いて教員として働いていただくということも望ましいこと、我々はこういうように思っているわけでございますけれども、こういう教員の方々が学校教育の中で仮にどんどん入ってこられた場合に、数がだんだん多くなりますと、これまでの質問にありましたような教育の専門性というものが非常に薄れてくる、さらには学校が社会経験者のみに依存するというような形に偏るのではないか、これは極論かもしれませんが、これは程度にもよるのだと思いますが、そういうことを心配している向きもあるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/165
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166・倉地克次
○倉地政府委員 社会人の活用ということで、特別免許状でございますとか非常勤講師の制度を設けようとしているわけでございますが、これはあくまでも教員養成における原則の中の専門性といったような原則との調和の上に図られるべき制度ではないかというふうに考えている次第でございます。
そういうことから、特別免許状を授与できる教科につきましても、小学校では音楽、図画工作などの教科に限定しておりますし、特殊教育諸学校におきましては特殊な教科ということで限定しているわけでございます。また、その手続におきましても、合格者を決定するときには学識経験者の意見を聞かなければいけないというような厳格な手続も設けているわけでございますし、その効力についても地域や期限によって制限を設けているわけでございます。そうしたもろもろの制限を加えることによって本来の教員養成の原則との調和を図りつつ社会人の活用も進めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/166
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167・鍛冶清
○鍛冶委員 ぜひひとつバランスをとりながらおやりいただきたいと思います。
次にお尋ねをいたしますが、社会人を入れるという方向で今議論をしてきたわけでございますけれども、逆に今度はすべての教員の方々を他の産業等で経験を持たせるというような道を開くというのはできないのかな。というのは、私も前に地方議会にいたことがございますが、そのときに役所関係の皆さん、いろいろ議論の中でやはりどうしても役人というのは知らず知らずのうちに頭が低くなるよりは逆にこうなっちゃうというところがあるわけですね。
俗に三すくみといいまして、議員には役人は頭が低い、役人は一般の人に頭が高い、議員は一般の人に頭が低い、この三すくみみたいな話がよくあるわけですけれども、それはおくとしまして、やはり役所の人たちが頭を下げるといいますか、一般の方々に対して本当に丁重に応対もする、そういう大切さということも身につけていただく。こういうようなことから、私は民間の企業に、役所の採用された方々を一定期間有給で行ってもらって、そしてそこでいろいろお客に対する対応なんかを学ぶといいますか、そういうものをした上で役所で頑張っていただくと大変いい形で行われるのではないかなと言ったことがあるのです。それが、その後多少あちこちでそういうことを実施しているというような話も聞いて、大変いい効果があるというようなことも聞いているわけですね。
この前、参考人の質疑のときにもちょっと各先生に御質問申し上げたこともありますが、やはり先生方は広く社会を知っていただくという意味で、先生方自体が悪いというわけではございませんが、幅広くいろいろな形の中で自分自身の人格を磨いていくということ、こういうことも必要であろうと思いますが、そういう立場に立ったときに、考え方として、今申し上げたようなこともある意味では実施してみるということは大変いい結果をまた将来生んでいくのではないかな、こういうふうに思いますので、御提案として御質問申し上げるわけですが、そういう形のものをお考えになるということはないか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/167
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168・倉地克次
○倉地政府委員 教員の資質としてどういうものが必要かというときに、いろいろな方が申されるわけでございますが、まさに先生御指摘のように、広い視野に立った、広い、かつ高い、深い識見というのが教員に対しても大変大切なことではないかと思う次第でございます。そうした見地から、今先生の御提案になったことは、一つのアイデアとして私ども非常に傾聴する次第でございますけれども、すべての教員にそういう機会を提供するというのは現状においてはなかなか難しい要素が多いのではないかというふうに考える次第でございます。
ただ、そういうことでございますので、例えば実習の事前事後の指導などにおきましては、学校の中に閉じこもらないでいろいろなところへ出かけていっていろいろな体験をするということを御提案する次第でございますし、また、いろいろな研修を実施しておりますけれども、そうした研修の中においてもできるだけ広く社会に出かけていって、かつ体験を深めてくるということもその研修のプログラムの中に入れるよう努力している次第でございます。そうしたことを通じてできるだけ広い視野を教員も養うよう私どもも努力してまいりたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/168
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169・鍛冶清
○鍛冶委員 いろいろな場でぜひ工夫はしていただきたいなというふうに思います。私たちも、自分たちのやっている以外の方々とお会いをする、お話を聞くというのは視野も広くなりますし、やはり非常に勉強になるんですね。そういう意味で御要望を申し上げておきます。
次に進ませていただきまして、特別免許状を取得した者について普通免許状を取得するという道は開かれているのかどうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/169
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170・倉地克次
○倉地政府委員 特別免許状につきましては、先ほど申し上げましたように、限定された領域につきまして、厳重な手続によって授与されるわけではございませんが、これは三年から十年の期限つきの免許状ということになる次第でございます。そして、そうしたことによりまして普通免許状とは別建ての免許状ということになっておりますので、特別免許状を基礎として普通免許状を取得するという制度にはなってない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/170
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171・鍛冶清
○鍛冶委員 じゃ、まあとにかくその道は開かれてないということですね。考えられるものならばそういう道も開くようにひとつ御要望を申し上げておきます。
次に、教職特別課程を新設するようになっているわけですが、その新設をする理由はどういうところにあるのか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/171
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172・倉地克次
○倉地政府委員 これは、大学を卒業されたり大学院を修了された方で教職に関する専門教育科目を履修していなかったがために免許状を取得する機会を失った方々に対しまして、一年間教職特別課程に在学していただき、所要の教職に関する専門教育科目を履修していただき免許状を取得できるような、そうした機会を与えようということでこの構想は出ている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/172
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173・鍛冶清
○鍛冶委員 私もこれは適切な措置だと思いますが、大学側の対応としては、社会人を対象に一年間の教職課程をつくって教員免許を出す場合に、そのために独自の教職課程を設置して課程認定を受ける必要があるのかどうか、この点を疑問に思っている向きがございます。この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/173
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174・倉地克次
○倉地政府委員 この教職特別課程も、免許状を取得するということにつきましてはそれ自体独立の課程でございますので、一般の課程と同様に文部大臣の認定を得ることを必要としている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/174
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175・鍛冶清
○鍛冶委員 次に参りますが、これも今まで御質問なさった各委員の方々で御質問も出ておったようでございますが、確認の意味を含めて再度お尋ねをいたします。
二種免許状を有する教員が一種免許状を取得するために単位修得すべきものとしての授与権者から指定された講習等を受講する際には、本人は休職、休暇、それから勤務、このいずれの取り扱いになるのか、お尋ねをいたしたいと思います。この場合に現場の欠員を補充する予定、人事上の措置というものはお考えになっていらっしゃるのかどうか、これもあわせてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/175
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176・倉地克次
○倉地政府委員 これは該当者がお出かけになる講習会等の形態とか時期とか期間等により異なってくるわけで、一概には言えないわけでございますけれども、現在行われております認定講習の例から考えますと、そうした認定講習などにつきましては職務専念義務の免除という形で出かけているのが多いというふうに聞いている次第でございまして、おおよそそんなような形になるのではないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/176
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177・鍛冶清
○鍛冶委員 専修免許状の取得について、一種免許状の所持者が専修免許状を取得するという方向については、これは奨励して、やれというふうに考えていらっしゃるのかどうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/177
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178・倉地克次
○倉地政府委員 せっかく専修免許状という免許状が設けられるわけでございますから、私どもといたしましては、一種免許状をお持ちの方がいろいろ研さんを積まれて専修免許状をお取りになることは非常に適切なことではないかというふうに考えている次第でございます。
そうした観点から、今後とも派遣の定員の措置などとってまいりたいと思っておりますし、また、仮に認定講習というようなことが行われる場合には、現在行われております認定講習と同じように教材とか講習に要する経費などにつきましては、現在と同じように徴収しないというような援助を続けていくよう都道府県に指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/178
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179・鍛冶清
○鍛冶委員 免許基準の引き上げについてまた別な角度からちょっとお尋ねをしたいのです。
大学の自主的な運営にこの免許基準を引き上げるということは干渉することではないのか、また、大学のカリキュラム等に変更を当然迫るものでもありますし、大学の自治に抵触するのではないかという議論をなさる方もあるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。
教育内容についての大学独自の工夫というものが望ましい、こういうふうに臨教審の答申の中で出しておるわけでございますが、これと矛盾するというふうなことも考えられないこともありませんけれども、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/179
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180・倉地克次
○倉地政府委員 一番かかわりの多い一般大学との関係で申し上げますと、中学校、高等学校の一種免許状の場合に、単位数を引き上げると言ってもこれは五単位でございますので、この程度の単位につきましては、おおよその大学の中においてこれに対して対応することは可能ではないかというふうに考える次第でございます。
また、今度の免許基準の引き上げの中には、先ほどもちょっと触れましたけれども、今「教育原理」とか「教育心理学」とか一々書いてございますが、これを「教育の本質と目標」とか「心身の発達と学習の過程に関する科目」とかいうようなふうに再編成いたしまして、領域とそのねらいを明らかにし、具体的な科目の設定、それからカリキュラムの構成は大学の自主的、個性的な判断にまつというようなことを期待している次第でございます。
そうした観点から、大学側の自主的な創意工夫についても十分御期待を申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/180
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181・鍛冶清
○鍛冶委員 また、免許基準の引き上げというのはいろいろ議論がなされておるわけですが、先ほど申し上げましたように、私も幾つか大学へ行きましていろいろ議論を交わした際にこういう話も出ておりました。これを引き上げるということは私立の一般大学というのは非常に不利なことが多い、どうも文部省は国立の教員養成学部の優遇策を考えておるのではないか、これは、私もそういう中でのいろいろなお話を聞いておるとそうなのかなという気もせぬでもなかったのですが、こういうことについてはいかがでございましょうか。
さらにまた、教員養成から短期大学が締め出されるのではないかというふうな、極論すればそういう議論というものもあるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/181
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182・倉地克次
○倉地政府委員 先ほども申し上げましたように、一般大学との関係の深い中高の基準の引き上げが五単位ということでございますので、さほど困難な事情にはないのではないかというふうに考える次第でございます。
また、短期大学につきましても、二種免許状を持っている方々の誘導措置などいろいろ規定はしてございますけれども、二種免許状を取得できる教育機関として位置づけている次第でございます。
そうした結論につきましては、その過程においていろいろ各大学の関係者、特に私立大学の関係者でございますとか短期大学の関係者の方々につきましても、審議会を通じていろいろ御意見を伺いつつ今回の結論に達しているわけでございまして、そこにおいては一定のコンセンサスを得たものというふうに私ども考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/182
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183・鍛冶清
○鍛冶委員 昨年以来、国立の教員養成大学・学部においては、教員以外の職業分野への進出というのが予想される課程を設ける改組、転換というのが進められているわけでございますが、今後もこのような課程というものはふやしていく方針なのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/183
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184・國分正明
○國分政府委員 国立の教員養成大学あるいは学部の整備の問題でございますが、御案内のように、近年の児童生徒数の減に伴いまして、教員への採用間口と申しますか、非常に狭まっている状況にあるわけでございます。したがって、教員養成大学・学部の卒業生の教職への就職率が非常に下がってきておる、こういう状況があります。
そこで、私ども、御指摘のとおり六十二年度から教員養成大学につきまして教員以外の職業分野への進出を想定した課程に転換できるものは転換したらどうだろうかということで各大学に御検討を促しまして、現在まで、六十二年度で三大学、六十三年度で十三大学、それから六十四年度、これは概算要求中でございますけれども、十三大学でこのような転換をするということになっているわけでございます。
今後の問題といたしましては、当面児童生徒数の減の状況が続きますが、その先のいわば出生率と申しますか出生の数の推移というものが必ずしも明らかでもございませんし、また、この状況は各都道府県によって随分実情も異なってまいりますので、一律に数字を出すということはなかなか難しいことかと思いますので、その辺の推移等も見きわめつつ、また同時に、教員養成大学・学部の本来の目的にかんがみまして、その質的低下を来すというようなことが万が一にもないように留意しつつ今後ともその整備を進めてまいりたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/184
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185・鍛冶清
○鍛冶委員 次に参りまして、改正免許法による教員養成はいつから開始されるようになるのか、また、何か経過措置というものがとられるのかどうか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/185
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186・倉地克次
○倉地政府委員 今回提案している法律でございますが、これは六十四年の四月一日から施行されることになっている次第でございますけれども、新免許基準によります大学での教員養成につきましては、大学におきます教育課程の編成等のいろいろな御準備もございますので、六十五年四月一日から施行することとしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/186
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187・鍛冶清
○鍛冶委員 これも私が大学関係者の方々といろいろと話し合いをしてみて感じたことでございますが、大学関係者の中には、この免許法の改正についてどういうふうになるかと非常に心配しておる、そしてその内容といいますか、皆さんお持ちの情報、手に入れる情報というのが極めて少ないようですね、お話をいろいろ聞いておりますと。したがって、推測をしたその推測の上に立ってさらに推測をするとこうなるのじゃないか、ああなるのじゃないか、そういう場合に、いい方向いい方向へ考えていけばいいのですけれども、人間はえてして悪い方向へ悪い方向へいく、そうすると、どうも締めつけられてどうにもならぬようになるのじゃなかろうかとか、こんな場合どうするのだろうかという疑心暗鬼を多分に持っていらっしゃるようです。
そういう中で、例えば今後教員養成を我が大学で行うにはどんなふうな対応をしたらいいのだろうか、だめになるのだろうか、こういうのが繰り返されているというような実情がございまして、いろいろな話し合いの中で私どももわかる範囲のことを御返事申し上げたりいろいろと懇談をしてきたのですが、最終的に、そういったことがだんだんわかってきますと、私たちがいろいろ考えているのは、どうもやはり一つは情報不足であった、そういうものを早く手に入れたい、そして自分のところの大学がどうするかこうするかということについて何か対応しなければならないのならばなるべく早く対応したいのだ、こういうふうな切実なお話もあったわけでございますけれども、どうもそういう点について、これは文部省あたりもうちょっとしっかりと、こういう法律案を出されて通そうとされるのならば何か努力する方法はないのかなというふうなことを痛感してきたわけでございますが、この点についていかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/187
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188・倉地克次
○倉地政府委員 御指摘のように、今回の法律の改正は大学に関する関係が非常に深いというふうに理解する次第でございます。
私どもといたしましても、法案が成立いたしました場合には、関係大学にいろいろ御説明する機会を設けまして御理解を得るよう十分努力してまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/188
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189・鍛冶清
○鍛冶委員 これはぜひ努力をしていただきたいと思うのです。
時間前ですが、私が数を用意しておけば大分時間的に足りるのじゃないかということでやっておりましたが、大体御質問申し上げたいと思うことはほぼ終わったわけですけれども、余り時間を残してもあれですから、御通告申し上げておりませんが、若干お聞きしたいことについてこれからちょっとだけ一、二問お尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いしたいのです。
この教員免許法の一部改正ということは、一つにはやはり教員の資質ということにも大変関連があるだろう、教員の資質の向上ということは私たちは本当に大切なことだと思っておるわけですが、教員の資質というものは一体どういうものをお考えになっていらっしゃるのか。これは大臣もここで急なやりとりで恐縮でございますが、大臣の個人的なお考えで結構でございますが、お答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/189
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190・中島源太郎
○中島国務大臣 教員の資質としては私は幾つか挙げられると思います。まず第一に、教育に対する使命感の強さだと思います。それから教育に対する熱情、情熱と申しますか、それから子供さん、児童生徒、学生諸君に対する愛情というものがあるだろうと思います。それから、もちろんのことでありますが、教育の理念あるいは人間の成長、発達に深い理解をしていただくということがございます。それから、教育等に対する専門的な知識、それから幅広い視野にわたります知見と申しますか、そういうものの上に立ちまして実践的な指導力を持ち合わせている教員、こういう方々が、こういう教員像が私どもは求めている教員像であろうかな、その資質を持っていただくためにいろいろ私どもも努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/190
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191・鍛冶清
○鍛冶委員 これもいろいろと大学関係者の方々とも懇談もいたしましたし、それから現場の教師の皆さん、それから小中学校の校長先生方にも若干お会いしていろいろと免許法の関係で御意見を承ったのでございますけれども、もう小中学校の先生の方はむしろ、教員免許法そのものをどうこうというよりも、学校の現場の中で学校が荒れている状況というのが非常に一番頭に強く残っていらっしゃるようで、これをどうするかということについての教員の皆さん方の資質なりいろいろなそういう技術的なものを持った人が必要だというふうなことの方が多いようでございまして、そこらあたりでもう手いっぱいだ。特に中学校はそういう感じを受けるわけですね。
それと絡んで、先ほどの質問の中と多少重複するかもわかりませんが、そういう単位を引き上げたりいろいろと免許法をさらに強化していくという方向が、果たしてそういうことと現場と結びついたときに、これが生きて使えるものであるのかどうかというふうなことも非常に考えさせられるわけでございますが、こういう点については、この免許法に絡んでどういうふうにお考えでございましょうか、この際、ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/191
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192・倉地克次
○倉地政府委員 今回の免許法の免許基準の引き上げと関連するお話でございますけれども、学校で、今先生が御指摘になったような問題につきましては、生徒指導の問題でございますとか特別活動の問題でございますとかそういうことが非常に学校教育の現場では必要になるのではないかと考える次第でございます。
それで、今回の免許基準の引き上げも、本当に学校の現場で今必要とされていることを教員養成の中でも基礎的な部分についてやっていただこうということで単位を引き上げているわけでございまして、まさに今の学校で必要とされていること、それから社会が学校に求めていること、それに限っての免許基準の引き上げということをやっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/192
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193・鍛冶清
○鍛冶委員 これで質問を終わりたいと思いますが、この免許法を改正されて通りました暁には、これはひとつ適正な運用をなさる中で、教員の資質の向上、また、実際にこの免許を持って現場で当たられるときに、先生方が極めて前向きにいい形でなれますようにこの法の運用というものもしていただきたいと最後に御要望申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/193
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194・中村靖
○中村委員長 次に、北橋健治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/194
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195・北橋健治
○北橋委員 民社党・民主連合の北橋であります。
ただいま議案になっております教育職員免許法等の一部を改正する法律案につきまして、先般同僚の林委員が大要につきまして御質問申し上げておりますが、それに続きまして、以下、順次政府の見解をただしてまいりたいと思います。
第一番目の問題でありますが、今回の法案は臨時教育審議会関連の教育改革法案とされております。確かに社会人の学校教育への登用などについては臨教審第二次答申について触れられているわけでありますが、現行免許制度を専修、一種、二種と改めることについては臨時教育審議会の答申では必ずしも明確に指摘されておりません。これらを合わせて一本の法律案、教育改革関連法案とされて国会に提案された意図をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/195
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196・倉地克次
○倉地政府委員 臨時教育審議会の御答申との関連の御質問でございますけれども、臨時教育審議会の第二次答申の現職研修のところに教員の資質向上の一環として大学院の修士課程を現職研修や教員養成の過程の中に適切に位置づけることということが入っている次第でございます。
こうした御答申でございましたので、私どもといたしましてはその具体化方策を教育職員養成審議会に御検討をお願いしまして、その結果、すべての校種について大学院修士課程を免許制度の中に位置づけ、専修免許状を創設するものという御提案がされた次第でございます。この答申を踏まえまして今回改正法案を御提出し、審議をお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/196
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197・北橋健治
○北橋委員 私どもは今回の政府提案の免許法の一部改正案について、その基本的な趣旨に対して理解をするものでありますが、個別の事項につきまして幾つか政府の明快なる答弁を求めていきたいと思います。
まず第一に、普通免許状の種類の改善についてであります。今回新たに幼稚園から高校までを通じて設けられる専修免許状は、大学院修士課程修了程度を基礎資格とするとされています。大学卒業程度で一種免許を保持している者も専修免許へ上進できると思うわけでありますが、そのための条件はどのようなものと考えてよいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/197
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198・倉地克次
○倉地政府委員 現職研修によりまして専修免許をお取りいただく場合には、教職経験が三年必要ということでございまして、その上にさらに十五単位の単位をお取りいただくということになっている次第でございます。ただ、この単位は、その後一年につき三単位ずつ軽減するということになっておりまして、教職経験六年以上の教員につきましては大学院レベルの単位六単位を修得いただければ専修免許状を取得することが可能になるというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/198
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199・北橋健治
○北橋委員 その場合の条件なんですけれども、実務経験とか単位の修得とか、事細かに一定の方針はもう既に固められているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/199
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200・倉地克次
○倉地政府委員 これは法律案の別表の三という表がございまして、それからその備考などにいろいろな規定がございまして、そこで今申し上げたようなことが規定されている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/200
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201・北橋健治
○北橋委員 そこで、専修免許の所持者については、ほかの免許所持者に比べましてより専門性が高いことを明記されることになると思うわけです。この場合の専門性ということの意味でありますが、教科についての専門性ということでしょうか。例えば教育心理学とか児童心理学といった分野について特に深く勉強しているというような場合はどのように取り扱うのでしょうか。その専門性という意味について政府の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/201
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202・倉地克次
○倉地政府委員 これは先ほど申し上げました別表の中に規定されているわけでございますけれども、専修免許につきましては、一種免許状と比較いたしまして二十四単位の単位を御修得いただくことになっている次第でございます。これはいずれも大学院レベルの単位でございますけれども、その修得方法は教科に関する専門教育科目でも結構でございますし、また教職に関する専門教育科目でも結構だということになっている次第でございます。そういうことでございますから、両方でもいいし、また片一方だけでもいいということになっている次第でございます。
教職に関する専門教育科目ということでございますと、今先生が御指摘になったような教育心理学でございますとか児童心理学というようなものをおとりになり、それについて深い造詣を重ねられるということになるのではないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/202
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203・北橋健治
○北橋委員 その専門性という条件については、かなり弾力的に対応するということで理解をさせていただきます。
さて、専修免許を取得しておりましても、小学校の場合、原則として今は全教科、すべての教科を一人の先生が担当されていると聞いております。専修免許保持者の専門能力を生かすという法案の趣旨からいたしますと、小学校でもある程度は教科の担任制という制度をとっていけるようにすべきではないかと考えるわけです。
文部省にお伺いいたしますが、現在でもおのおのの学校におきまして教科担任制といった措置がとられているのでしょうか。また、今後この問題についてどのような対処方針で臨まれるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/203
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204・古村澄一
○古村政府委員 小学校の子供の発達段階ということを考えますときに、いわゆる教師と児童との人間的な接触ということが重要ということから全科担任制にしておりますが、音楽とか体育とか、そういったものについては教科担任制を専科教員という形でとっております。そういうことから、いろいろな工夫が学校の中でされてしかるべきでございまして、今後学校の中でそれぞれの先生の特質に応じたいわゆる教科の持ち方というものは考えられてしかるべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/204
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205・北橋健治
○北橋委員 そういった趣旨を今後生かすようにという御答弁でございますが、そうしますと、具体的に教職員の定数の問題とか、小学校段階におきまして教科担任制という仕組みをより一層推進するための財源だとか手当てがいろいろと必要になってくると思うのですが、そういうものも含めて積極的に今後文部省が検討されていくと理解してよいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/205
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206・倉地克次
○倉地政府委員 今先生のお話の点は、小学校の教職員定数と密接に関連する問題でございますけれども、この問題につきましては、五十五年度を初年度といたしまして六十六年度までのいわゆる十二カ年計画で四十人学級を初めいろいろな定数措置をすべく今計画が進行中でございます。その中におきましても、専科教員定数といたしまして若干の定数を措置することになっている次第でございまして、この計画の着実な進行に私ども今後とも努力をしてまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/206
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207・北橋健治
○北橋委員 ぜひその線で御努力をお願いしておきたいと思います。せっかく専修免許という制度を新たに設けるわけでございますから、小学校段階におきましてもその趣旨が生きてくるように御努力をお願いしておきたいと思います。
続きまして、これは私どもは極めて重要な問題だと認識しておるわけでございますが、これまでの委員会質疑をお伺いしておりますと、このたび三種類の各種免許に分けるわけでありますが、給与などの待遇については原則として反映させるお考えがないような答弁の趣旨と承っております。
一方、管理職の任用に際しましては、専修免許保持者が一つの条件として勘案されるということもまた別途検討中との答弁があったわけなんですが、専修免許を所持した先生というのは、学校の中における子供たちに対する教育についていわば指導的な地位に立つ教員として位置づけられるべきだと思いますし、単にそれはある学科について専門性が高いというにとどまらず、教職員の中でもいわば指導的な地位、リーダーシップを発揮できるようなそういった教員として位置づけられることになると思うわけなんですが、そのように理解してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/207
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208・倉地克次
○倉地政府委員 給与につきましては、先ほど来いろいろな御指摘を受けている次第でございますけれども、現状を変更することは現在のところは考えていないということが実情でございます。
それから、管理職の任用における専修免許状の取り扱い、これは校長、教頭の任用資格でございますけれども、高校に関する一級免許状の取り扱いを参考として今後検討してまいりたいと考えている次第でございます。
また、リーダーシップを持てる先生として位置づけるべきであるという御指摘でございますが、非常に貴重な御意見だとは思いますけれども、専修免許状を持っておる方々が、非常に特定の事項について深い学識等をお持ちで、それだけの実力を備えられておる方でございますから、学校の中で現実に活躍されたときにはそうしたリーダーシップを持った先生として活躍されることを期待するわけでございますけれども、制度的にそういう方であるという位置づけをしているわけではなく、やはり教諭として職務をとっていただくということを考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/208
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209・北橋健治
○北橋委員 政府の現在における基本的なお考えというものは、それ以上の答弁を越えられないのかもしれません。
私も先般、友人の民間企業に勤めていらっしゃる方々とこの問題について議論をしたのですが、民間では職場が活性化するため、企業が生き延びるために毎日すさまじい切瑳琢磨が社員の中で行われておりまして、まさにライバル同士の激しい競争というものが日常茶飯事であります。その中で実績を上げて、管理能力もあり、自分の分野について非常に専門的な能力がある人が管理職になって、それにふさわしい給与が与えられているわけであります。
学校の先生の場合は、今度の場合、直接給与を初めとする待遇については今回の免許制度というものが反映していかないということなんですけれども、民間で働いている多くの方々の常識からすると、本当にそのようなものでいつまでもいいのかなという気が率直にいたします。
やはり、男子三日会わざれば刮目して見るべしといいますが、それは男子のみならず女性の教師におきましても、日々子供たちとの触れ合いの中で自分の専門分野あるいは子供たちと接することについて多くを学ばれて、専門的な指導的な教員に多くの方々が成長されていくのだろうと思いますので、その面について給与というものについては別関係である、ただ単に学科に対する専門性その他を勘案して三種類の免許にするということだけでは、本当に本来のこういった制度を設けていく趣旨が生きてくるんだろうかという疑問を率直に感ずるわけです。
当面は、まずこの制度が滑り出していくということを前提にして、定着をして教職員の皆様方に十分問題意識を持っていただくことが先決だと思いますので、今すぐにとは申しませんが、しかし将来はぜひとも給与を含む待遇についてもリンクしていくことが自然だろう、それが民間のみならずいわゆる今の日本の社会の常識というものに合致しているのではないかと思うのですが、給与について何の関係もないということで本当にいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/209
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210・倉地克次
○倉地政府委員 いろいろ貴重な御意見を承っている次第でございますけれども、先ほど給与については申し上げたようなことでございますので、今後の課題として受けとめさせていただきたいというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/210
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211・北橋健治
○北橋委員 それ以上のお答えは期待をしても無理なのかもしれませんが、やはり日本の社会は、適正な競争原理があらゆる分野で働いたところの領域については世界一のリーディングインダストリーがいっぱい出現しています。競争が的確に働いていない社会というのは、やはり沈滞をしているわけです。
そういった意味で、教職員の世界というものが今のようなままでいいのかについては甚だ私は疑問に思っておりまして、給与その他の問題については非常に難しい問題があることは十二分に承知をしておりますが、ぜひともこの制度の定着、もちろんこれはこの法案が成立することを前提にしておるわけでありますけれども、定着ぐあいを見まして、近い将来ぜひともこの検討に本格的に政府が取り組んでいただくことを要望しておきますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/211
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212・中島源太郎
○中島国務大臣 貴重な御指摘でございますので、今後の課題として受けとめさせていただきたいと思います。
ただ、一言つけ加えれば、この三種類の免許をつくったことによりまして給与上の扱いを変更することは現在考えていないというふうに政府委員から答えさせました。私はこの制度につきまして、今御提案を申し上げております教育職員免許法によって変えることは考えていない、こう申し上げた次第でございまして、御存じのように、それぞれはそれぞれの関係法規がございますので、その関係法規に先生御指摘の分がどのように影響していくか、これは個別の問題でございまして、今後先生の御指摘を踏まえまして、今後の課題としてはそのように個別の問題にどのように影響するかということを検討していく一つの問題であろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/212
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213・北橋健治
○北橋委員 ぜひとも、今後大臣並びに政府委員の皆様方の御努力をお願いをしておきたいと思います。
少し角度が変わるわけでありまして、この法案と直接関係はしないわけでありますが、免許の更新制という考え方があります。今でも裁判官の皆様方につきましては再任制度というものがございますように、私もこれを今の教職員の世界にすぐに導入することが果たして適切かどうかについては慎重な検討が必要であると思ってはおりますが、いわばすべての教員の皆さん方につきましていわゆる免許の更新制といったものを検討するお考えはないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/213
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214・倉地克次
○倉地政府委員 免許状に期限を付しまして更新時に研修を義務づけることは、先生御指摘のように資質向上の観点から一つの考え方であるというふうに考えるわけでございますけれども、医師、弁護士など他の職業資格の場合にもほとんどそうした例がないということがございますし、仮に更新できなかった場合にはどうかということになりますと、我が国の雇用慣行でございますとか、国家公務員法における身分保障との関係上もいろいろ問題があるのではないかというふうに考える次第でございます。
更新のための研修を実施する体制ということにつきましても、これは相当な人的措置と予算措置を講ずる必要が生ずるわけでございますし、そうしたいろいろなことを考えますと、今後なお慎重に検討を続けていく必要があるのではないかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/214
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215・北橋健治
○北橋委員 政府の現在における対処方針についてはそれでわかるわけでありますが、次回の機会に質問させていただこうと思っておったのですけれども、もし御答弁があるようでしたらお願いしたいのです。
その免許の更新制については現在いろいろと問題があって考えておられないということでありますが、例えば、では教員免許が失効される、その効力を失う場合というのはどういう場合かということについてお伺いしたいのであります。
現在でも、免許が取り上げられるという場合については法律で明文規定がございます。ただし、それを見ますと、よほどのことがないと免許の取り上げはない。法文を読みますと「法令の規定に故意に違反し、又は教育職員たるにふさわしくない非行があって、その情状が重いと認められたときは、」となっているのですが、その後に「ただし、現に職にある者については、懲戒免職の処分を受け、その情状が重いと認められるときに限る。」と書いてあるわけです。つまり、現在の教職員については、懲戒免職の処分を受けるようなよほど問題のある行為をしない限りについては教員免許については取り上げるということにはならないように私は理解するわけなんです。
しかし、マスコミでもよく報道されますように、本当にこれが子供の将来を託すにふさわしいような先生なのかな、甚だ疑問に思うような教員につきましても、教員も我々と同じ人間でありますから別に一部の方だとは思いますけれども、教員としての資質に欠けているのではないか、たまたま学生時代よく勉強されて教員免許を取られていても、その後、社会人としての生活をする中で到底その資質を持っているとは思われないような場合も間々あるんじゃないかと思うのです。そういう場合には子供たちや父兄には大変な迷惑が及ぶことになるわけでありますが、こういう場合に対して、免許状の取り上げとか失効というのは的確に行われているのでしょうか。法令の明文規定によりますと、懲戒免職を受けなければというそういう場合でなければ免許の失効はないわけです。現実にいろいろと取りざたされておりますいろいろな問題があったときに、教員についての免許のあり方というのはこういうことでいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/215
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216・倉地克次
○倉地政府委員 御指摘の点は大変難しい問題でございますけれども、私ども教育委員会に対しまして、間々そうしたことがあった場合には早急に対処するように、またそういう方々についてカウンセリングを実施するなり指導するなりして適正な措置を行うよう重々指導しているところでございます。今後ともそうした指導を一層強めまして、適正な学校運営が図られるよう努力してまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/216
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217・北橋健治
○北橋委員 適正に教育委員会等と連携をとって対処されておるということなのですが、私が問題にしておりますのは、法令上の規定を見ますと、現在職にある教員については懲戒処分を受けない限り、それくらいひどい場合でなければ免許の失効がないわけです。これが本当に社会の常識と合致しているのかどうかという問題であります。
確かに、学校の先生方が教職としての修業を積んでいただいていい先生になっていただくためには、給与を初めとして教職員の方の待遇に対して格別の特段の配慮を我々がすることは当然でありますが、同時に子供たちを預けているわけであります。そしてまた、父兄も、どんな先生につくのかということについては非常に気がかりなわけであります。そういった意味で、教職員について、現在の免許のあり方というものが一般社会の常識的な線から見て、懲戒処分、懲戒免職にならない限りは手がつけられない、こういうことで法令上はいいのかどうかということをお伺いしたいのですが、もう一遍答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/217
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218・倉地克次
○倉地政府委員 現行制度で申し上げますと、免許状自体につきましての法令の体系にはそうしたことについての準備がないというのが実情でございまして、むしろ任命権者の問題といたしまして、非行があった場合の懲戒処分、それから心身の故障に伴う分限処分ということの対象になるケースではないかというふうに考える次第でございます。私ども、教育委員会に対しましては、そういう事例に対しましてはこの分限等の規定の活用も考えまして適正に対処するよう指導しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/218
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219・北橋健治
○北橋委員 これは質問通告しておりませんでしたので、大変御迷惑をおかけいたしましたが、いずれにせよまた改めてこの問題を取り上げたいと思いますので、そのときにまた再度質問をさせていただくことにいたしたいと思います。懲戒免職の処分を受けて、その情状が重いと認められるときに限って教員の免許を取り上げになるというのは、やはり学校の先生に、いい先生に習いたいと思っている子供たちや父兄にしてみるとややそういった方々の気持ちとは離反しているように私は思えてなりませんので、ぜひこの免許問題を議論するに当たりまして今後の政府の検討課題にしていただきたいと思っております。
さて、この問題につきましてはこの程度にいたしまして、採用後十二年ほど経過をいたしますと、二種免許の取得者は一種免許取得のための認定講習などを受けることになるわけでありますが、認定講習の中身は具体的にどのようなものになるのでしょうか。例えば、形式的に単位を取ればよいということで終わりになるのでしょうか。もし具体的な中身がある程度固まっておりましたら御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/219
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220・倉地克次
○倉地政府委員 これは、認定講習で所定の単位をお取りいただければ二種の方も一種の免許を受けられるということでございまして、認定講習の中身につきましては、教科についての中身もございますし、また教職に関する中身になっている場合もあるわけでございます。それぞれの講習の場合に応じましてその中身が決まってくるということになる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/220
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221・北橋健治
○北橋委員 そうしますと、教科あるいは教職にかかわるもろもろの問題についてというそういう大まかな項目程度にしか今の段階ではわからないわけですね。さらにそれを突っ込んでやるのは法案が成立した後の作業ということになるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/221
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222・倉地克次
○倉地政府委員 今各都道府県で実施されております認定講習の例を見てみますと、例えば教科でありますれば、国語でございますとか数学でございますとか、そういうものについての講習ということになる次第でございますし、また教職に関するものでございますれば、児童の心身の発達の状況、児童心理の問題でございますとか教育原理の問題でございますとか、そういうものが内容になっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/222
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223・北橋健治
○北橋委員 そういうことで結構でございますが、この法案が審議されるに当たりまして、現場の教職員の先生方の中には、どういった講習になるのだろうか非常に不安も持たれておりますので、できることならばある程度ガイドラインが政府の答弁から出ることを期待したわけでありますが、今後現場の教職関係の方々と十二分に練り合わせをして、過度な不安をいたずらに招かないように善処方をぜひお願いしておきたいと思います。
そこで、その二種免許を持っている先生が認定講習を受けに出るような場合に、欠員が出ることも考えられるわけでありますが、その場合の穴埋めはどうされるのでしょうか。任命権者による受講機会の提供は具体的にどのようになっていくのか、ひとつよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/223
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224・倉地克次
○倉地政府委員 二種免許の方が一種免許を取るために認定講習にお出かけになるときの問題でございますけれども、教員が学校をあけることは望ましいことではないと私ども考えているわけでございまして、認定講習等はでき得れば長期休業期間中に行うようにということで考えている次第でございます。そうしたことによって日常の教育活動に支障が生じないよう配慮しつつ単位の修得をしていただくよう努めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/224
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225・北橋健治
○北橋委員 それでは、認定講習を受けることによってその間授業に支障が及ぶとか、そういうことはない、あくまでも受け持ちの授業は担当しながら認定講習を受けられる、そのように理解しておいてよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/225
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226・倉地克次
○倉地政府委員 私ども、認定講習はできる限り長期休業期間中に行うようにしてほしいということを考えている次第でございまして、そういうことであれば日常の授業には支障はないものと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/226
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227・北橋健治
○北橋委員 次に、二種免許から一種免許に昇格される場合に、経験年数に応じた単位軽減措置というものがあるわけですが、採用後十五年経過した教員については講ぜられないことになると思います。十五年経過して一種免許を取得しようとする者については少々厳しいような気もするのですけれども、単位修得のために特段配慮する必要はないとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/227
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228・倉地克次
○倉地政府委員 今先生が御指摘になりました制度の適用のある方はどのような方かと申しますと、法律が六十四年四月一日から施行されるといたしますと、それ以後に採用された教員ということになる次第でございます。そういうことでございますから、実際にそういう方が出て来られるのは十二年後の話になる次第でございます。
私どもといたしましては、今回の法律が成立した暁には、その後採用される方につきましては教員になられた当初から計画的に単位を修得していただきまして、最低としては十単位修得されれば一種の免許状が授与されるわけでございますから、十二年の間に計画的に単位をお取りいただきたいと考える次第でございます。
その十二年、計画的にやりつつもなおかつ単位が取れなかった場合については、三年の間に授与権者が受けていただく講習等を指定し、かつ任命権者はその先生にできるだけその講習を受けていただくよう協力し、三者の協力によって残りの単位をお取りいただくということを考えている次第でございます。それでもなおかつそういうことが実らなかったというときに、今先生御指摘の制度が働くわけでございますが、三者の御努力によってそうした事態が生じないことをできるだけ期待する次第でございますけれども、万が一にもそういう事態が生じた場合には、これはやむを得ないのではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/228
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229・北橋健治
○北橋委員 その点についての政府の方針は理解できました。
次に、養護教員の方々の扱いについてであります。
現在養護教諭免許を持っておられる方は、一級で千六百六十七名、二級はそれよりずっと多くて二千三百二十一名となっております。六十二年六月一日現在の数字であります。小中学校の免許を持っていらっしゃる方に比べまして、養護教員の場合は二級免許を持っている者が圧倒的に多いわけであります。同じ小中学校で教職にありながら養護教諭にのみ負担がかかる懸念がなしとはしません。その意味で、養護教諭の養成段階で、養護の先生は短大卒でよいというような姿勢がありはしないか、政府にお伺いをしておきたいと思います。
また、養護教諭の一種免許取得のために特段の配慮が必要ではないかと考えるのですが、その点、あわせて政府の方針をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/229
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230・倉地克次
○倉地政府委員 先生、数字を挙げて御指摘でございますが、実態はほぼそのとおりのことではないかと考える次第でございます。私ども、養護教諭の先生の職務も学校の円滑な運営のためには欠くことのできない極めて大切な職務と考えている次第でございますが、この養護教諭制度の発足以来の歴史的な経緯がございましてその二級免許状をお持ちの方が非常に多いと考えている次第でございます。
現在におきましても二級免許状を付与するための認定講習というのを鋭意開いているような実情にあるわけでございまして、そうした現実から一級免許状をお取りいただく方もなかなか少ないというふうに認識している次第でございますが、二種の方が一種をお取りいただくことは極めて適切なことでございますので、そうした観点から私ども、今後におきましてもできる努力を続けていきたいと考える次第でございます。
例えば各県で認定講習などを行っておりますけれども、そこにおきます受講料を徴収しないとか教材費も徴収しないとか、そうした援助は今後とも続けて、できるだけそうした講習が受けやすい体制を続けてまいりますよう努力してまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/230
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231・北橋健治
○北橋委員 養護教諭の皆さん方に対しまして、上級の免許を取得されるように特段の配慮を私の方からもぜひとも文部省にお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、社会人の学校教育への活用という項目についてであります。
今回の法案によりますと、特別免許状は三年以上十年以内において授与権者の定める期間、免許状を授与した都道府県においてのみ効力を有するものとなっているわけです。現在の臨時免許状が三年以内となっていることから見ますと、三年以上としたことについては評価ができると私どもは思います。
しかし、十年たちましてなお教員として教壇に立つ意思がおありである、あるいは周りが教員としてぜひ続けて働いてもらいたいといった見識のある先生方についてはどのような対応になるのでしょうか。改めて特別免許状を取り直すことになるのか、または教職特別課程で単位を修得して普通免許状を取ることになるのか。そういった点について政府の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/231
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232・倉地克次
○倉地政府委員 特別免許状を基礎といたしまして有利に普通免許状を取るという制度は今回設けなかった次第でございますので、先生御指摘のように教職特別課程にお入りいただいて取るという道もあるわけでございますけれども、普通免許状を取るに当たって特段便宜な措置は講じていないのが実情でございます。
ただ、特別免許状の効力の期限が到達いたしましたときに教職検定をもう一度お受けいただきまして、事実上教職免許状の更新をしていただくということは可能でございますので、そうした立派な先生方の身分が不安定になるということはないと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/232
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233・北橋健治
○北橋委員 私どもは、今回政府の提案された法案の中で、見識を持たれている、そして経験豊かな社会人に学校教育の現場にこれからどんどん来ていただいて教育現場を活性化させるということについては大賛成でありまして、よく思い切っていただいたと思って評価をしておる一人でございます。
そういった意味で、十年たってどうなるのかという問題、先の話でありますが、十年間の教員としての実務経験というものは非常に大きなものがあると思います。それはやはり適正に評価をして、社会人に可能な限り学校教育の現場に来ていただく、そういったことがこれからの教育現場の活性化にはぜひとも大事なことだと私どもは信ずるものでありますが、政府は十年間教員として特別免許状を持たれた方々の実務経験というものを適切に評価されるお考えがあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/233
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234・倉地克次
○倉地政府委員 まことに貴重な御意見をいただいているところでございますけれども、今回御提案申し上げている特別免許状につきましては、十年という期限があるわけでございまして、そこにおきます経験年数がさらに評価されて普通免許状につながるとかそういう措置を講じていなかった次第でございます。これは、特別免許状と教員養成の諸原則との調和ということを考えましてこのような措置を講じた次第でございますので、その辺のところを御理解のほどをお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/234
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235・北橋健治
○北橋委員 大臣に、この社会人を登用するということについて忌憚のない御決意というものを私、聞かしていただきたいのですけれども、私も、父が高等学校の数学の教師をしておりました関係で、教職員の現場の話については小さいときからよく聞かされていたのですが、非常に熱心な先生でも、熱心であればあるほど専門ばかになるとかそういったことをみずから反省をされているような方も少なくありませんでした。そういった先生は実にすばらしいと私は思うのですが、そういった意味で、私はこれからはどんどん実社会で活躍されている方々にいろんな機会にこの特別免許状の制度を使って教壇に立っていただくということが、本当に教育の画期的な改革につながっていくように思うわけであります。
もちろん、採用するとなりますと、いろいろと財政的な面だとか現場のカリキュラムの編成とか難しい問題もあろうかと思うわけでありますが、これを私はぜひとも強力に進めていただきたい。これが教育現場において教職員の皆様方の間にいい意味での刺激になると確信を持っておるわけでありますが、大臣の御決意をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/235
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236・中島源太郎
○中島国務大臣 大変貴重な御指摘でございます。私どもも、社会で活躍なさっておられます、そして相当の社会的経験を有しておられる方々を教育の場に迎え入れるということは大変好ましいことだと思っております。それは、社会的な経験を有した方々の特定の分野での専門的な知識、技術を導入するという点でも非常にいいことでありますし、それによって教育現場に幅広い視野と意欲を持っていただくという意味でも大変意義がある、こう思っておるわけでございます。
ただ、一方におきまして、政府委員がお答えをいたしましたように、その専門的な分野というものはおのずから限度があると思いますし、また一方におきまして、教員養成が大学における養成を原則とするという部分との調和も考えなければならない。そういう意味で、大変いいことではございますけれども、一方におきまして三年から十年の間というふうに限定をさせていただいたのはそこにあるわけでございまして、今十年たちましたときにはまた検定を受けていただいて更新は可能ということにさせていただいておるわけでございます。しかし、先生のおっしゃる意味はよく理解できますので、その点がよく活用できますように努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/236
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237・北橋健治
○北橋委員 ぜひともこの制度の推進に関しまして政府の特段の御高配をお願いしておきたいと思います。
さて、このたびの法案では、授与権者の許可を受けて免許がなくても非常勤講師として社会人が教壇に立てるようになるわけなんですが、その場合、「教科の領域の一部に係る事項」等の教授または実習を担任する、そういう明文規定になっているわけであります。そこで、「教科の領域の一部に係る事項」というのは具体的にどういうものか、できますれば事例を挙げて御説明をしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/237
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238・倉地克次
○倉地政府委員 「教科の領域の一部に係る事項」でございますけれども、それは例えば家庭科の一部としての調理でございますとか社会の一部としての郷土史というようなものが考えられる次第でございます。社会的経験に裏づけられた専門的知識、技能を有する方に担当していただくことで十分に教育効果が期待できる、そういう分野について考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/238
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239・北橋健治
○北橋委員 今政府委員の方から郷土史あるいは家庭科のお話が出ましたが、例えば語学について、特に外国語なんかでもあるのでしょうか、例えば英会話の部分とか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/239
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240・倉地克次
○倉地政府委員 御指摘の英会話についても可能かと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/240
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241・北橋健治
○北橋委員 できるだけいろいろな機会にそういった科目につきまして専門的知識のある方々から子供たちが授業を受けられるように、ぜひ特段の御配慮をお願いしておきたいと思います。
さて、いわゆる非常勤講師として一年間特定の科目を受け持つというようなことも可能になってくると理解してよいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/241
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242・倉地克次
○倉地政府委員 一年間御担当いただくということも可能だというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/242
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243・北橋健治
○北橋委員 それでは、大学の先生が小中高で、あるいは高校の先生が小中学校でといったふうにほかの学校段階の先生が教えることもこの制度で可能になると理解していいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/243
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244・倉地克次
○倉地政府委員 大学の教官の場合ですと、授与権者の許可を受けまして非常勤講師としてこの制度によって小中学校でいろいろお教えいただくということは可能になると思う次第でございます。
高等学校の先生がこの制度を活用されるということももちろんあり得る次第でございますけれども、高等学校の先生についてはまだこのほかにもいろいろな規定がございまして、そうした規定の活用の道もあるかというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/244
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245・北橋健治
○北橋委員 かなり弾力的にされていくと理解をしておきます。
さて、今回の改正で免許状授与に必要な単位数の引き上げがかなり大幅になっているわけであります。どういった科目が今後ふえてくると理解していいのでしょうか。また、単に単位数をふやすだけではなくて、養成段階で教師としての動機づけを高める、より実践的な指導力を身につけていただく、そういったカリキュラム編成も今後必要になってくると思うのでありますが、そういった科目の中身につきまして方針があれば聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/245
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246・倉地克次
○倉地政府委員 科目の中身でございますけれども、教育の方法・技術、これは情報機器・教材の活用を含むわけでございますけれども、教育の方法・技術に関する科目、特別活動に関する科目、生徒指導に関する科目などを設けることを考えている次第でございます。
また、カリキュラムの編成方法でございますけれども、教職に関する専門教育科目につきましては、これまで科目それ自体のような名称を掲げておりましたけれども、今回は領域とそのねらいを概括的な表現で掲げまして、大学がその領域に当たるものを自主的に個別の科目を編成していくという弾力的な方法をとっているわけでございまして、大学における創意工夫が期待されるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/246
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247・北橋健治
○北橋委員 ぜひ実践的な指導力が身につくようなカリキュラム編成について御検討を深めていただきたいと思います。
さて、現場の方々のお話を聞いてみますと、現在教員免許を取得するために修得しなければならない科目というのは、教育原理、教育心理学などの教職に関する専門科目と教科ごとに定められている教科に関する専門科目とに大きく分かれております。教科に関する専門科目の方は、免許法の施行規則の中で「一般的包括的な内容を含むものでなければならない。」とされておりますが、実態としてはそれぞれの学問の専門家が担当するために極めて狭い特殊な内容の講義になることも間々あると聞いておりまして、教員を志望される方にとっては不満なものになっているとも聞いているわけであります。そういった意味で、また教科教育法と教科に関する専門科目との連携というものも今後さらに十二分に図っていく必要があると思うわけでありますが、政府は教員養成課程における専門科目のあり方について今後どのように対応されていくのでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/247
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248・倉地克次
○倉地政府委員 今先生御指摘のように、教科につきましても一般的なことをやっていただきたいということを規定している次第でございますけれども、御指摘のような点についてもあるいはあり得るのではないかというふうに危惧しているところでございます。私どもといたしましては、教職に必要な教科と教職に必要な教職に関する専門教育科目を養成課程では今後勉強していただきたいというふうに考えている次第でございますので、今後とも各大学におきます養成教育の実態が学校教育の実際に即したものとなるようにいろいろ御要望申し上げたいというふうに考える次第でございます。
教授内容につきましても、そういう観点から改善、工夫していただくと同時に、道徳教育に関する科目でございますとか生徒指導に関する科目などにつきましては、小中学校などで教育経験を有する者をできる限り活用することもお考えいただきまして、養成課程におきます教育の実態が効果的なものとなることを心から期待している次第でございます。
〔委員長退席、鳩山(邦)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/248
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249・北橋健治
○北橋委員 私も学生時代、講義を受ける場合に、パーフェクトに満足をするというケースは余りありませんでした。実際に教員養成課程にある方々にとってはいろいろな不満も多々あると思いますが、しかしこの問題については、現場において今のままでいいんだろうかという声がかなり根強いものでありますから、これを機会に教員養成課程における専門科目のあり方について適切な指導方針についてぜひ御検討を深めていただきたいと要望しておきたいと思います。
時間も残り少なくなりました。学習指導要領がこのたび改訂になるということでありますが、現在の高校の社会科は「地歴」と「公民」に再編されることになるとも聞いております。この再編は免許法の改正の中でどのように対応されておられるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/249
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250・倉地克次
○倉地政府委員 昨年の十二月の教育職員養成審議会の答申におかれましては、「高等学校の教育課程において「社会」が再編成され、教科として「地歴」及び「公民」が設けられる場合には、免許教科として、「地歴」及び「公民」を設ける必要がある。」という提言がなされている次第でございます。
今回の改正案につきましては、高等学校における教育課程の改善がまだなされておりませんので、こうした点についてはまだ改正事項に盛り込んでいないのが実情でございます。高等学校における教育課程の改善がなされました場合には、こうした提言も踏まえまして所要の措置を講ずる必要があるのではないか、そのように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/250
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251・北橋健治
○北橋委員 あと、もう一点お伺いしておきます。
今回の法案は六十四年四月施行の予定でありますが、六十九年三月末までは経過措置として現在のゼロ単位上進が持続すると聞いておりますが、事実でしょうか。経過措置を置きますと、現在、経験十年以上の現職教員については経験年数のみで上級免許を取得できることになると理解できるわけでありますが、十年末満の人については、二種免許所持者の場合、単位修得の努力義務が課せられるわけでありまして、この十年を境にして不均衡、不公平ではないかという声もあるわけでありますが、こういった点について何らかの配慮はお考えになっておられるのでしょうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/251
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252・倉地克次
○倉地政府委員 御指摘のように、法律の施行の段階におきまして十年以上の在職経験を有する方につきましては十五年ゼロ単位がそのまま適用になる次第でございます。十年未満の方については十五年ゼロ単位の制度がなくなりますので、最低十単位の修得はしていただかなければならないということになる次第でございます。
そういうことでございますけれども、その辺の不公平がどうかということでございますが、そうした区切りを設けましたのは、十年を過ぎますと四十五単位のうち二十五単位の単位の軽減ということになりまして四十五単位の半分以上が軽減される次第でございますから、十五年ゼロ単位に対する期待権を尊重するということで十年を一つの境目にしたということでございまして、ひとつ御理解のほどをお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/252
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253・北橋健治
○北橋委員 これで質問を終わるわけでありますが、最後にこの問題を総括いたしまして、私が特に関心を持っておりますことについて重ねてお願いをいたしまして質問を終わらせていただきます。
その一点は、先ほどるる御説明いただきましたが、各種免許を三種類にすることによりまして将来は給与等の待遇につきましても適切な配慮が必要であって、それが社会的常識に合致していると私どもは信じておりますので、ぜひこの御検討を近い将来開始していただきたい、その点が一つです。
もう一つは、教員免許について、何もやめてもらうことがこちらの本意ではないわけでありますけれども、やはり父兄、生徒から見てこれが本当に教員免許を取った人だろうかという人がたくさんいらっしゃるわけであります。私自身も、文教委員をしております関係で、いろいろな父兄からその悩みというのはたくさん聞かされております。しかし、現在の教員免許法によりますと、懲戒免職の処分を受けて情状が重い場合と、よほどのことがなければ失効されないというのはこれはやはりおかしい。現代に即してそれは適切に見直すべきである。教員免許の世界だけがあらゆる資格の中で特別的な地位にあることは教員にとってもよくないことだ、私はそう思っております。
この二点を中心にぜひとも鋭意御検討を深めていただくことをお願い申し上げたいのでありますが、大臣、何かコメントがございますればいただいて、終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/253
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254・中島源太郎
○中島国務大臣 御質疑の中でいろいろ貴重な御指摘をいただいて、参考にさせていただきたいと思います。特に、最後に重ねて二点をおっしゃっていただいたわけでありますが、よく心にとどめておきたい、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/254
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255・北橋健治
○北橋委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/255
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256・鳩山邦夫
○鳩山(邦)委員長代理 次に、山原健二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/256
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257・山原健二郎
○山原委員 私は今まで二日間にわたる質疑を聞いておりまして、大体どの議員の方も時間が足りないということ、それから、幾つかの問題点を残された質問者の方もおいでになります。これは教員の養成に関する戦後の原則にもかかわる問題でございますし、また、教員の資質向上という面から見ましても非常に重大な内容を持っている、しかも、いわばめったにない大法案でございます。したがって、これを十分審議をしてあいまいさを残さないということが本委員会に課せられた任務だと思います。
そういう意味で、これは委員長、各委員の皆さんにお願いしたいのですけれども、絶対に拙速で採決をするなどということはすべきではないということを申し上げておきたいと思います。この前に上越、兵庫、鳴門教育大学設置の法案が出ましたとき、法案の大小と申し上げるわけではありませんけれども、この法案よりはもっと狭い範囲の法律であったことは間違いありませんが、これでも一週間、七日間審議が行われております。時間にしまして二十六時間です。きょうこの審議は、私のこの質疑が終わりましてもまだ十一時間程度でございまして、戦後における教員養成制度あるいは免許制度をまさに根本的に変える法案の審議にしては時間が足りない、これは率直なみんなの気持ちだと思います。そのことを最初に申し上げたいと思います。
それから、さきの質問者の皆さんとダブる面も出てまいりますが、要点だけを申し上げなければ時間的余裕がありませんので、そういうふうに質問をいたしたいと思います。
まず第一番に、免許状の三種類化の問題です。私はどうしてもなぜ三種類にする必要があるのかということがまだ理解できません。文部省の方は、これは三段階ではない、学歴によるランクづけではない、また、給与上の優遇措置は考えていない、こういうふうに答弁されてきたのですが、きょうお聞きしますと、助成局長は、現在のところ給与上の問題は考えていない、こういうふうに御発言になったのです。これは一度確かめておきたいのですが、そういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/257
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258・倉地克次
○倉地政府委員 給与上の措置について何かするということについては、現在のところ考えていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/258
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259・山原健二郎
○山原委員 これは確認をしてもらわなければどうしても困るのです。これは文部大臣、今まで三段階ではない、給与上の問題はないんだということをおっしゃっておられまして、今の局長の答弁は現在のところという形容詞がつくわけでございまして、それなら将来はあるのかということになるわけですね。
これはこの法律の根幹に関する問題ですから、今まで提案者である政府としては、そういうものには関係ないんだということでこれを出してこられたものだと私たちは思っておったわけですが、しかしそれは今は考えていないが将来はどうなるかわかりませんよということになりますと、この法律の性格そのものが変わってまいります。その点について文部大臣、いかがでしょうか。その点ははっきり確約をしていただかないとこの法案審議の基本が崩れてしまうと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/259
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260・中島源太郎
○中島国務大臣 私と政府委員は同じことを言っておると思います。この今度の教育職員免許法によりまして三種類の免許状を御提案いたしておるわけでありますが、それによって給与の変更があるかという御質問がありましたときに、政府委員は現在考えておらないということでございます。同じことでございますけれども、私は、御提案をしておるこの教育職員免許法によって給与その他に差が出るということは考えていない、このように申しておるわけでございます。
私の申し上げているところは、少なくともこの教育職員免許法以外の関係法令でそういう人事その他の問題、職務内容もそうでございますけれども、したがって、これをいろいろ変えない方がいいという御意見もありますし、先ほどの他の委員からは変えることを考えたらどうか、こういう御意見もあるわけでございます。もしそういうことを将来あるいは考えるといたしましても、関係法令との影響について個別に考えることであろう、こう申し上げたわけでございます。したがって、私はこの免許法そのものでそういう差をつけるということは考えておらない。同じことを申し上げていることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/260
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261・山原健二郎
○山原委員 ちょっとわかりにくいのですね。免許法そのものでは差を考えていらっしゃらない。それから局長の方は現在のところ考えていない。同じお考えだということもおっしゃったわけですが、これははっきりしておかないと、もともと臨教審答申から出てきたものですから、臨教審の答申を読めばこれはもう明らかに競争原理の導入ということが一つの基本にもなっておりますし、そういう点から考えますと、これは連動する可能性を持っているんじゃないか。それを今まで否定されてきたんですけれども、よくよく聞いてみると、免許法の面ではそういうものはないんだ、じゃ、専修という免許を持った者に対して別の法律でこの者に対しては給与上は、あるいは職務上はこういうものを課するんだといった場合には、これは明らかに給与上の差がついてくるわけです。
この法律を提出した政府として、この免許法によって絶対に給与上の差をつけるなどということは将来にわたって考えておりません、そのことを言っていただかないと、これは質問の根底が崩れますので、それを言っていただきたい。そして局長のおっしゃったこと、現在は考えていないということを大臣が否定されるなら否定していただきたい。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/261
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262・中島源太郎
○中島国務大臣 私が申し上げたのは、この免許法によってそういう差をつけるということは考えておらない。もし免許法以外のそれぞれの関係法令まで影響を考えてそういうことを考えているかということであれば、現在考えておりません、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/262
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263・山原健二郎
○山原委員 じゃ、他の法令によってさまざまなことが出てくれば、免許法このものはあるのだけれども、専修あるいは一種、二種に対する給与上の差別あるいは職務上の差別が出ても、恐らく給与上の問題が最大の問題になると思いますが、この法律に関してはやらないのだけれども、そういう側面からの問題が出てくれば変わることだってあり得るのだというふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/263
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264・中島源太郎
○中島国務大臣 その点は政府委員と私と全く同じでございまして、これは現在考えておらないということをお答えするのが一番正しいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/264
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265・山原健二郎
○山原委員 そうすると、この免許法は要するに専修、一種、二種と三つの種類ができるわけですから、こうなりますと、将来においてはこれを基礎にして給与上の差が出てくることもあり得ないわけではないというふうに理解せざるを得ないのですよ。これは大変重大な問題なんですね。
そうしますと、今から十七年前にいわゆる中教審答申が出まして、五段階給与体系構想というのが出ましてもう既に四段階できているわけですが、あと一歩で五段階になるという事実上の背景があるわけでございますけれども、この中教審の五段階給与体系構想というのは、その思想あるいは考え方というのは、この法案を提出されました文部省の皆さんとしては今なお持っておられるのでしょうか。それともあれは廃棄されたのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/265
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266・倉地克次
○倉地政府委員 現在のところ、将来にわたってこういうふうにするとかこういうふうにしないということについて一切決定をしていないわけでございますので、それで現在のところ考えていないということを重ねて申し上げている次第でございますので、その辺のことを御理解のほどいただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/266
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267・山原健二郎
○山原委員 今の中教審の五段階給与体系構想というのはどうなんですか。頭の中にあるのですか。これは完全に廃棄したといいますか、もうそれはとらないという立場でこの提案をされたのですか。それはどっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/267
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268・倉地克次
○倉地政府委員 いわゆる五段階と言われております答申があったということは承知している次第でございますけれども、現在御提案をしております法案についてそれと関係があるとかないとかいうことについて直接的な認識は持っていない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/268
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269・山原健二郎
○山原委員 ますます免許法による給与差が出てくるということが、これは言外ににじみ出てまいりますね。これは非常に重大な問題でして、今まで大臣が一貫して三段階ではありませんよ、三種類ですよ、給与上の優遇措置などは考えておりませんとおっしゃってきたことと、よくよく聞けばそうではなくてこれは変わり得る。しかも局長の場合、もっとひどいですよね。今決まっていない、決まっていないから現在のところ給与上の差別はないのです、こうおっしゃるわけです。けれども、じゃこの法案が通った後で決められたらどうなりますか。それはあり得ないということで我々は審議しようとしているわけでしょう。
それは大臣のお考えを私たちが聞いて、そして提案された大臣としてはそういうものではありませんとおっしゃってきたのですが、まかり間違えば、今決まっていないのだからないんだ、しかし将来決まればそれはあり得るということを局長は言外に言っておられるわけですから、これは委員長、申しわけないけれども、ここをはっきりさせていただかないと、この法案の取り扱い全体、国民の皆さんは恐らく文部省の今までの言明によって、この免許法というのは給与には一切関係ないものだと思っていらっしゃると思うのです。しかし、よくよくお聞きしてみると、けさからの質問からずっと経過を見まして給与にも関係し得る可能性を持っておるということになってきますと、この法案の性格が全く違ってくるのです。委員長、ちょっとこの点をはっきりさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/269
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270・倉地克次
○倉地政府委員 重ねて同様なことを申し上げて大変恐縮でございますけれども、この法案を御審議いただくよう提案しているわけでございますけれども、その提案の段階におきまして、そうした給与上の制度からこれをどう評価するとかしないとかいうことについて全然決定をしていないわけでございますから、現在のところ考えていないというふうに申し上げるほかに方法はないというふうに私は考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/270
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271・山原健二郎
○山原委員 そうしますと、私どもがこの法案を審議しまして、いずれ採決の段階へ来ると思いますが、採決されて法律が成立した暁において、今決まっていないから現在は給与に関係しませんとおっしゃっているのですが、法律ができた後でそのことが決められたら、これは私どもは何ともしようがないですね。
今は決まってないから給与には関係しません、しかし法律が成立した暁において、二年後、三年後になるか知りませんけれども、その段階においては、いやいや給与には関係してきますよ、職務内容に関係してきますよと言われたそのときに、この委員会は責任が持てますか。これは私は確認をしておかないといかぬと思います。この点は確認させていただきます。
そうでなければ、私はこれ質問を留保させていただきたいと思います。一番肝心のところがあいまいなまま、賛成する側にしたって反対する側にしたって、この委員会として責任が持てないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/271
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272・倉地克次
○倉地政府委員 大変恐縮でございますけれども、三種類の免許状を設けるということでこの法案を作成し御提案申し上げている段階でございますが、その過程においても、これについて給与上の点からどのような評価をするかということは議論してないわけでございますから、その点についてこうする、こうしないということを申し上げるには至っていないということを申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/272
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273・山原健二郎
○山原委員 さらに重大な発言ですよ。議論してないんだということだと、これ審議のしようがないのです。この法案によって三種の免許状が出ることになりますね。そのためには随分御苦労なさるわけですよ、先生方も。私、計算したら、七十万の先生方が認定講習かあるいは大学へおいでになるか、いろいろなことをしなければ専修になれない。物すごい数なんですよ。そこまでいく前に、これを処理するだけでも大変なんです。しかし、今まで少なくとも論議した過程においては、それは免許状は三段階ではない、三種類だ、学歴によって段階をつけるものではないとおっしゃる中身は、それは給与に関係しないものだということが一般的な通念として流れているのです。ところが、それはまだ論議していないから、こうおっしゃいますと、これは法律が成立した暁にどっちへ転ぶかわからぬということになりますからね。
しかも臨教審答申の中身は依然として競争原理が入っています。単に免許の種類によって競争を促進さすだけじゃなくて、競争のためにやるんではない、研修を心からやってもらいたいからということであなた方はおっしゃっているんですけれども、しかし臨教審の答申の全体を貫く思想としては、競争原理の導入ということは前から我々も指摘してきましたし、また臨教審もそれを隠さなかったところです。そうしますと、この法律ができた後で給与の差が出てくる可能性が出てきたということになりますと、これは大変重大な問題です。したがって、これは明らかにしていただきたいと思います。また、大臣が今ほどおっしゃったこととも私は矛盾するように思いますよ。その点を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/273
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274・中島源太郎
○中島国務大臣 重ねて申し上げるようでございますけれども、私は今回の三種類の問題について御質問いただきましたときに、この三種類の免許状を御提案をいたすのはいずれも普通免許状の中の三種類でございます、こう申し上げました。そうして、職務内容、給与の問題でございますけれども、これについては少なくとも今御提案を申し上げておるこの免許法によって変わるところはない。これは先生御存じのように、それぞれにはそれぞれの関係法規、法令がございまして、それにのっとるわけでございます。したがって、私の言っていることは法規上正しいと思うのでございます。
それで、他の法令に関することでございますが、それまでを今考えておるかということになれば、私の頭の中にはないわけでございます。したがって、それをまとめて申し上げれば、現在そのような考えは持っておりません、こう申し上げるのが正しいお答えであろう、こう申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/274
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275・山原健二郎
○山原委員 大変こだわって恐縮ですけれども、今大臣のおっしゃったことと、この法律案を提出した大臣としては免許法によって給与上の差をつけるというつもりはない、なかったとおっしゃることと、もう一つ局長の方は、この問題については議論をしてない、決まっていない、論議をしてなかったのだ、だから現在は関係がないと言う以外にはないとおっしゃっていることはやはり違うのですよ。これは大臣と局長との答弁をちょっと精査していただいて、統一した見解を、言葉で結構ですから出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/275
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276・倉地克次
○倉地政府委員 私の言葉が若干足らなかったかと思うわけでございますけれども、免許法の改正として今回御提案をしているわけでございまして、その中身が三種類の免許状が設けられるということでございます。
一方、給与上の措置というのは、免許法とは全く別個の体系の給与法に基づく立場からこの免許状をどう評価しようかという問題はあるわけではございますけれども、それはあくまでも給与法の方の問題でございまして、免許法の方の問題としては給与法の方とは別個にこの三種類の免許を設けたいということで現在御審議を願っているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/276
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277・山原健二郎
○山原委員 この法律は法律だけれども、では給与法の方で、三つの種類の免許を付与するという法律が通った場合にはそれはできるわけですからね。専修に対してはこういう給与法上の措置をとります、一種に対してはこういう給与上の法律的措置を講じますということが決まれば、これは全く総崩れじゃないですか。給与上の差をつけるということがここでずばっと生きてくるのです。この免許法は、そういうことを考えますと、お二人の意見を総合しましても給与上の格差が出てくる可能性は十分にあるというふうに私は思いますね。
他の法律だから何ともできないということだけれども、給与法を変えたらぱっと出てくるわけでしょう。そのことには責任を持たない。でも、この法律ではそういうことはしないということは、これはちょっと責任ある答弁とは言えないと私は思います。そういうことはやらないのだ、給与法も変えさせないのだという考えで提案をされたのならそのことははっきりおっしゃっていただきたいのですよ。これは、できましたら、三種類の免許状を出すことになりましたが、給与法が変わったら給与上の格差が出てくるかもしれませんよでは、私たちは責任を持てませんよ。そこのところをはっきりした御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/277
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278・倉地克次
○倉地政府委員 何度も申し上げて恐縮でございますけれども、私どもはあくまでも免許法の上において三種類の免許状を設けたいということで御提案し御審議を願っている次第でございます。
給与の問題は給与法の体系の方でどう考えようかということでございますけれども、それはこの免許状の法案自体とは直接的につながらない問題でございますので、免許状の問題として今御審議を願っておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/278
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279・山原健二郎
○山原委員 それなら、この三種類の免許というものを新たにつくるわけですが、三段階ではない、給与上の優遇措置は講じないと何ぼおっしゃっても、では別の給与法で変えられたら、おっしゃっていることは何の意味もなくなってきますね。免許法を出した文部省としては、また政府としては、この法律ができたといっても給与法上の改定をやろうとすれば許さない、そういう格差をつけるようなことは、給与上の優遇措置を講じるようなことはさせません、そういう決意で出してきたというならまだわかりますよ。そうじゃないのです。
これは通った、これは給与には関係ありませんが、ほかの法律でやられたら仕方ありませんということならば、二つを合わせたらこの免許法の改定によって給与上の差が出てくることもあり得るだけではなくて、極めて濃厚なものになってくるということを言わざるを得ないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/279
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280・倉地克次
○倉地政府委員 大変恐縮でございますけれども、やはり私どもとしては免許法の改正をお願いして、そこに三種類の免許状を設けたいということをお願いしているわけでございます。
給与ということになりますと、給与法の体系でいろいろと考えなければいけない問題でございますけれども、そういうことについてはまだいかなる決定もされていないのでございますから、現在のところ考えていないということを率直に申し上げているというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/280
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281・山原健二郎
○山原委員 納得できませんね。そんな頼りないことだったら、いや給与上の優遇措置は絶対講じません、いや三段階じゃありません、三種類です、などということを言わなければいいのですよ。給与上の問題も将来は出てくるかもしれませんということですから。そうしますと、この法律をつくったが、私の感覚では、絶対に専修、一種、二種というのは給与上、職務上の差はないと思って私はけさまで来たのです。中西先生の御質問の中からだんだん現在はというお言葉が出てまいりまして、何遍御質問されても、何遍も御答弁されて、現在は、現在は、今のところ、今のところでしょう。
そうすると、これは変わるんですよ。法律提出の最初の趣旨が狂ってまいりますから、この点はもう明確にしていただかないとこれ以上質問できません。ちょっと休憩をとってでもいいですから、お話し合いしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/281
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282・中島源太郎
○中島国務大臣 先生が御質問をなさる趣旨ははっきり受けとめまして私ども答弁をさしていただいておるつもりでございます。倉地政府委員が申し上げたことと大要は同じでございます。ただ、今私どもが御提案をし御審議をお願いをいたしておりますのは、教育職員免許法の改正をお願いをしておるわけでございます。その趣旨は、るるほかの委員の方々にお述べを申し上げたところでございます。
ただ、その中で山原先生が御指摘の点は、少なくとも今御提案を申し上げておりますこの免許法の改正においては考えていない、これは正しいことでございます。これはそれぞれの分野にはそれぞれの関係法令がございますから、それぞれの関係法令でおやりになることでございましょう、それじゃその関係法令を直すということを今考えておるのか、こういう御心配でございましょうから、その点を含めて現在考えておりません、私の頭にはございません、こういうふうに申し上げているところでございまして、これは政府委員の答弁と全く一致をいたしておると思います。ぜひとも現在御提案申し上げておりますこの免許法の改正につきまして御審議をいただき、御理解をいただければ幸いである、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/282
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283・山原健二郎
○山原委員 そういう信念でやっておられることはわからぬではありません。提案したこの法律に関しては給与上の差をつけるなどということは考えておりませんということはわかるのです。そこはわかるのですよ。
そこはわかるのですけれども、私が受け取ったのでは、こういう三種類の免許を出すことになりましても、それは給与上の差はつけないということであったと思います。ところが、他の法令によってどうなるかわからない、まだ議論をしていないから、まだ決まっていないから、そのことは現在言えない、現在はそういうことはありませんというような言い方ですと、どうもあいまいで納得できませんね。これは一つの課題としてちょっと残しておきたいと思います。
時間もだんだんなくなってまいりましたが、専修免許状につきまして、これは大学院修士卒という極めて高度な教育研究を積んだ方を養成するわけでございますけれども、これは今まで問題になりましたように、大学は三十七大学しかこういう大学院を持っておるところはございません。そして、これはもう質問をはしょりますけれども、例えば、私は四国ですけれども、四国では鳴門教育大学一つしかないのですね。高知にも愛媛にも香川にも、徳島は徳島大学がありますが、鳴門教育大学のみにしかないのです。九州にもたしか九州大学と熊本大学ですね。東北ですと、私は東北大学と福島大学だろうと思いますが、物すごい格差が出てくるわけですね。これは何か大学院をふやす御計画がありますか。あれば示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/283
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284・國分正明
○國分政府委員 大学院の問題でございますが、国立の教員養成系の大学院修士課程につきましては、先般来お答え申し上げておりますように現在二十一大学にあるわけでございますが、昭和六十四年度におきましてもさらに二大学に新設する、こういうことで進めてきております。今後とも各大学におきます構想の状況、あるいは教員組織の状況等も踏まえまして逐次整備してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
なお、大学院はただいま申し上げた数字でございますが、このほかに専修免許状の取得に対応できると考えられるいわゆる教育専攻科があるわけでございまして、これも昭和六十三年度現在で申しますと、現在二十九大学に設置されている、こういう状況にございます。ただいま四国についての例をお話しになりましたけれども、例えば香川大学、愛媛大学、高知大学にはこの教育専攻科が置かれているところでございます。
〔鳩山(邦)委員長代理退席、岸田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/284
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285・山原健二郎
○山原委員 昨日文部省の方から大体現職の先生方の構成をいただいたのですが、例えば小学校ですと、現在一級の方ですね、これが今度は一種になられるわけですね。それから二級の方が二種ですか。この一級の一種になられる方が二十八万六千九百五十三名、それから二種になられる方が十三万五千四百二十一人、中学校は一種の方が二十四万八千人、二種が三万一千七百一人、こういう数字になっています。高等学校の場合は、自動的に専修になる方が七万五百三十三人、それから自動的に一種になられる方が十九万五千五百八人。これは文部省からいただいたパーセントで人数にしてみたわけですが、こうなりますと、専修を受ける方、文部省の方は大いにそれを受けて専修の資格を取ってほしいということをおっしゃっているわけですから、これを調べてみますと、端数をちょっと除きまして、小学校で二十八万人、中学校で二十四万、高等学校で十九万、七十一万の先生方がともかくいろいろな形態ではあれ専修を受けられることの対象者ですね。大変なものですね。これはそれをどう消化するのか。
今お話のありましたように、多少はふやされるという計画もおありだと伺ったわけですけれども、大学院というのはこれを消化するほどのものではありません。今できております兵庫、鳴門、上越、それぞれ三百人ですね。これをどう消化するのか、とても大学院で消化できるような状態ではないと私は思います。そして、しかも上進という言葉は使わないそうですけれども、上の免許状を取るためにはたくさんの方たちが希望されると思いますよ。そうすると、認定講習あるいは公開講座あるいは通信教育などというのが考えられると思いますが、この法律ができたときに、例えば認定講習をどういうふうに処理するのか、そういう条件がおありなのか、あるいはその基礎資料を持ってこれを計画的に解消していく計画があるのか、これを示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/285
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286・倉地克次
○倉地政府委員 御指摘のように、今高等学校につきましては専修免許状取得可能な大学院として二百大学院、二万七千名程度の入学定員があるわけでございます。中学校についても若干それに近いようなことになりますけれども、小学校以下については御指摘のように非常に大学院の数も少なく、入学定員も少ないというのが実情でございます。
専修免許状がこれからできるわけでございますから、専修免許状ができればそうした認定を受ける大学院もふえるということが予想されますし、また認定講習というようなことも適切な課程が設けられるならば設けるよう指導してまいりたいというふうに思っているわけでございます。できるだけそういう機会を設けまして、より多くの方にそういう機会を提供してまいりたいというのが今の実情でございまして、今御指摘のようなことにまで計画的な措置を講ずるということまで準備している次第ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/286
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287・山原健二郎
○山原委員 これだけの大きな法律を変えまして、これだけの先生方、しかも皆さん受けますというのです。希望者がふえるほど熱意を持っているということの判定にもなるわけでしょう。それから、中にはいわゆる努力義務という言葉まで使って、上級とは言いませんけれども、二種の方は一種へ、一種の方は専修へということ、それを皆さん希望しておられるわけですね。そして、法律はできる。今私が言いました専修だけでも七十万の方、いろいろな形でその七十万の方、教職を受けたいという方もおいでになるでしょうし、あるいは数学なら数学を受けたい、千差万別ですよ。この法律ができて、これは処理できますか。その処理の計画すらなくてなんでこんな法律ができるのですか。法律ができた後で考えるというのでしょう。この処理をどうするのですか。大学は今そんな能力を持っていますか。
今度七十万というのは専修ですよ。今までの認定講習と違いますよ。それだけの高いものを皆さんは要求されて、そして専修については単位数もふやして高度なものをつくると一方ではおっしゃりながら、このたくさんの先生方を大学では処理できない、認定講習でやる、その認定講習の計画もないというようなことで法律が通せますか。私たちは絶対そんなこと承知しませんよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/287
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288・倉地克次
○倉地政府委員 先生は専修免許状のところでそういうふうに申し述べておられるわけでございますが、私どもが努力義務を課してぜひ一種の免許状を取っていただきたいと申し上げているのは二種の免許状をお持ちの方でございますし、二種の方々につきましては、いろいろ先ほどから議論になっておりますように、いろいろな三者の努力などというものを通じまして認定講習なども設けまして、これについては鋭意単位をお取りいただくよう努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
専修免許状といいますのは、先ほど来申し上げておりますように、これは大学院の修士課程レベルの単位をお取りいただくということが条件でございまして、大変高度な免許状になるわけでございます。もちろん一種の方がこの免許状をお取りいただくよういろいろ研修いただくことは私どもも大変結構なことだと思っておりますし、それについてできる限りの努力はしてまいりたいと思いますけれども、先生御指摘のように、二十八万人の方々が一斉に計画的に全部お取りいただくというようなことは事実上なかなか困難なことでございますので、私どもとしてもでき得る限りの努力を続けてまいりたいというのが現状であると思う次第でございます。
〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/288
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289・山原健二郎
○山原委員 専修の場合も、この大臣の趣旨説明の中にも「現職の教員が修士課程等において研修することを促進し、」というふうに出ておりますし、また大臣の御答弁の中でも、現職研修を一層自発的に奨励するもの、こういうふうにお答えになっておられるわけですからね。こういう制度をつくりました、そして一層専門性を高め、資質能力を高め——資質能力にも問題があるのですよ。資質なんというのは、勉強したからといって教員の資質が必ずしも上がるというものではありません。大学の先生が小学校の先徒を教えることだってそうできないのですよ。学歴を幾ら積んだって資質なんというものはそう簡単に変わるものではないのです。
それはきょうは言う時間がありませんが、ともかくこの三種類をつくって、皆さん勉強してください、研修してください、それを奨励するのですと言っておきながら、法律はできたわ、さあどこへ行く。私はそれも出してもらいたいと思う、この採決が行われるまでに。それすらなしに文部省がこんな法律を出してくること自体今までの文部省らしくないですよ。文部省は、少なくとも法律ができたらそれに対してどういうふうなプロセスで進んでいくかというイメージぐらいは示すのが任務でしょう。何がどうなるかだれもわからぬ。この七十万近い専修を受ける方、二種から一種だってそうですよ、そう簡単じゃないですよ。この先生方を、認定講習なら認定講習でどういうふうに高めていくお仕事をなさるのか。それぐらいの計画なしにこんな法律ができたら、これはもう一体どうしていいのか。
しかも、もう時間がありませんから次を申し上げますが、一種免許取得者が専修免許を取得したいという場合、すべての希望者に単位修得の機会が保障されるかという問題が出てきます。
そうすると、先日、嶋崎委員が質問されましたが、「単位を取るのは、本人の希望があれば受ける機会を与えるのか、あるいは試験による選抜でいくのか、授与権者の裁量で決めるのか、いずれか。」こういう質問に対しまして、助成局長は、「具体的に講習を受けられる時期にも関連すると思いますけれども、その学校の実情その他のことを勘案いたしまして監督権者の方が許可するということになるのではないかというふうに考える次第でございます。」ということで、これも「考える次第でございます。」ということであります。
許可をするということになったら、許可の基準はどうですか。例えばAならAの学校で五人の方が専修へ行きたいと言ったとき、だれが選ぶのですか。だれが許可するのですか。監督権者というから市町村教育委員会のことをおっしゃっていると思うのですけれども、監督権者が許可をするときには、全部行かすことはできないから順番をつけなければならないでしょう。その許可をする場合の判定の基準はあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/289
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290・倉地克次
○倉地政府委員 現在もう既に新教育大学への派遣など行われている次第でございますけれども、そうしたときの例を見てみますと、市町村教育委員会が都道府県教育委員会と協議した上で派遣を決定することになっております。
その基準といたしましては、積極的な勉学意欲を有する者、また大学への派遣が学校運営上支障がなく、かつ有益であることというような基準によりまして、任命権者と服務監督権者が協議の上そういうことを選考している次第でございます。今後におきましても、こうした派遣ということになればこの制度を踏襲してまいることになるかと思う次第でございます。
また、認定講習ということになりますと、現在の認定講習の例を考えますと、職務専念義務の免除ということで対処しているわけでございますから、これにつきましても、学校運営上のことを勘案しながら職務専念義務の免除という形式によって認定講習をお受けいただくということになるのではないかと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/290
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291・山原健二郎
○山原委員 局長、今までの経験からお話しになっていますけれども、今度法律ができたら随分変わりますからね。そのことをお考えになっておかないと、今おっしゃった、例えば兵庫教育大学へ入学をしたいという方がいらっしゃる場合に、今四つの関門を通らなければいけませんね。校長先生の同意が要りますよ、校長の同意なしに私は勉強してきますなんていってもやれませんからね、校長さんの同意が要る。その次には地方教育委員会、町の教育委員会の、これは同意とも許可とも言えましょうが、それが要るのです。それから次は教育事務所が要るのです。そして県の教育委員会。四つの関門をくぐるんですよ。
その間に、今までは人数も少ないし、それでよかったかもしれませんけれども、今度は皆さんは専修を受けることを奨励するというのですから、みんな先生は、私は早く受けたい、早く行って専修の資格を取りたいなどという競争の中に追い込まれていくわけです。
そうしますと、そのときにどういうことが起こるかというと、これは全部行かせるわけにいかないから、今までよりももっともっと厳しい選考基準が出てくるわけですよ。おまえさんはぐあいが悪いとか、おまえさんはなかなかよくやっているからよろしいとかいう関所をくぐっていかなければならぬ。しかも、その許可をするということになってきますと、この免許法をつくりまして専修、一種、二種となったけれども、人事には関係ないといったって、やはり人事政策と結びついていくんです。おまえさんは行きたいと言っているが、だめだ。中には、おまえさん考え方が悪い、教育委員会に対して盾を突くというようなことまで人事政策というのは出てくるわけですね。そうしますと、この免許法が通りました後に、そういう人事上の問題までこれに入ってくる可能性が濃厚ですよ。
私は、そういう点から考えましたら、給与の問題についても先ほど質問しまして、依然として私はおなかは張っていませんけれども、人事の問題だって関係がないとは言えませんね、しかもあなたは許可するというんですから。許可するということになったらこれは大変ですよ。許可するのですか。どこが許可するのですか。監督権者というのは市町村教育委員会と理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/291
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292・倉地克次
○倉地政府委員 職務専念義務の免除ということになると、服務監督権者の権限に属するわけでございますし、また、派遣については、出張という形をとりますれば、やはりそれは服務監督権者の権限ということになるわけでございます。ただ、その場合におきましても、特に派遣の方につきましては、都道府県教育委員会と協議の上そういうことを行うということで現在運用している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/292
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293・山原健二郎
○山原委員 人事の問題に関しまして、大学院修士修了者は教員採用に際して優先的に選考されますか。誘致という言葉をお使いになりましたね。誘致をするということは、私の学校へ来てもらいたい、私の町へ来てもらいたいということになりますと、修士課程を修了して専修の免許を持った方が教員採用に際して優先的な選考をされることになりはしないかという疑問ですが、これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/293
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294・倉地克次
○倉地政府委員 現在、既に高等学校について一級免許状をお持ちの方と二級免許状をお持ちの方がおられるわけでございますけれども、その採用試験におきましては、免許状によってどちらを優先的に採用するかということを事実上行っていないというのが実情であるというふうに承っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/294
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295・山原健二郎
○山原委員 誘致するというのはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/295
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296・倉地克次
○倉地政府委員 これは個々の学校へ誘致とかそういうことではございませんで、教育界全体として見た場合に、そういう大学院等でいろいろ研究された方々が入っておいでになることが多くなるという点をとらえて誘致というふうに申し上げている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/296
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297・山原健二郎
○山原委員 もう時間がなくなってまいりましたが、もう幾つか問題点を持っております。一つは、免許状のないいわゆる非常勤講師制度ですね。これはいわゆる免許法の二十二条に抵触しないかという問題です。これを一言伺っておきたいのです。
二十二条は「第三条の規定に違反して、相当の免許状を有しないのにかかわらず、これを教育職員に任命し、若しくは雇用し、又は教育職員となった者は、十万円以下の罰金」という罰則が入っていますね。これとの整合性はどうなのかということが第一点です。
それからもう一つは、この特別免許状の場合、これは教育委員会が推薦をして、その者について教員検定試験を行って、そして採用を行うわけですね。こういう格好になっています。推薦、試験、採用、こういうことになりますと、一つの機関が推薦をし、試験をやり、合否判定をして採用するかしないかを決めるということになりますと、これは大変恣意的なものが動くのではないかという疑問がわくが、これに対してお答えをいただきたいのです。
私の質問はそれで終わりますけれども、特にこの際申し上げておきたいことは、一つは、先ほどの給与上の問題はもうちょっと明確にしていただきたい。皆さんのお答えを総合しますと、この三種類の免許について、法律ができた後において給与上の差が出てくるということを想定せざるを得ない御答弁になっております。これが第一点。これを明確にしてもらいたい。
二つ目は、いわゆる認定講習についての指針あるいは計画を示していただきたい。これは本委員会のこの問題についての質疑が終わるまでにぜひ提出をしていただきたい。このことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/297
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298・倉地克次
○倉地政府委員 二十二条の規定でございますけれども、これは三条の規定に違反してということでございますが、三条の規定の中には相当免許状を有することが必要だということを規定すると同時に、免許状を持たない方を非常勤の講師に充てることができるということを同時に規定しているわけでございますから、三条の規定に違反するということにはならない次第でございます。
それから特別免許状の件でございますけれども、先生は小中学校の義務教育関係の教員のことを念頭に置いてのお話ではないかと思う次第でございますが、その義務教育関係の方を念頭に置かれたといたしましても、教育職員検定の合格をしようという場合には、学識経験者の意見を聞かなければならないということにしている次第でございまして、そういう方々の御意見を聞くことによって公平性を維持しようというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/298
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299・山原健二郎
○山原委員 いろいろ問題はありますけれども、時間が来ましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/299
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300・中村靖
○中村委員長 次回は、来る四日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305077X00719881102/300
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