1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和六十三年九月二十二日(木曜日)
─────────────
昭和六十三年九月二十二日
午後一時 本会議
─────────────
○本日の会議に付した案件
税制改革法案(内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、消費税法案(内閣提出)、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、消費譲与税法案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後七時三十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/0
-
001・原健三郎
○議長(原健三郎君) これより会議を開きます。
────◇─────
税制改革法案(内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、消費税法案(内閣提出)、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、消費譲与税法案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/1
-
002・原健三郎
○議長(原健三郎君) この際、内閣提出、税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案、消費税法案、地方税法の一部を改正する法律案、消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。大蔵大臣宮澤喜一君。
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/2
-
003・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案及び消費税法案、以上三件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
初めに、税制改革法案につきまして御説明申し上げます。
本法律案は、今次の税制改革の趣旨、基本理念及び方針を明らかにし、かつ、簡潔にその全体像を示すことにより、改革についての国民の理解を深めるとともに、改革が、整合性を持って、包括的かつ一体的に行われることに資するほか、改革が我が国の経済社会に及ぼす影響にかんがみ、国等の配慮すべき事項について定めることを目的といたしております。
以下、その大要を申し上げます。
本法律案の第一章は、今次の税制改革の基本的考え方について定めております。
まず、今次の税制改革の趣旨でありますが、今次の改革は、現行の税制が著しく変化してきた現在の経済社会との間に不整合を生じている事態に対処して、将来の展望を踏まえつつ、国民の租税に対する不公平感を払拭するとともに、所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせることにより均衡がとれた税体系を構築することが、国民生活及び国民経済の安定及び向上を図る上で緊要な課題であることにかんがみ、これに即応した税制を確立するために行うものであります。
次に、今次の税制改革の基本理念でありますが、今次の改革は、租税は国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うためのものであるという基本的認識のもとに、税負担の公平を確保し、税制の経済に対する中立性を保持し、及び税制の簡素化を図ることを基本原則として行うこととしております。
このような趣旨及び基本理念のもと、今次の税制改革は、次のような方針に沿って行うことといたしております。
まず、今次の改革は、所得課税において税負担の公平の確保を図るための措置を講ずるとともに、税体系全体としての税負担の公平に資するため、所得課税を軽減し、消費に広く薄く負担を求め、資産に対する負担を適正化すること等により、国民が公平感を持って納税し得る税体系の構築を目指して行うこととしております。
また、今次の改革は、全体として税負担の軽減を図るとともに、国及び地方公共団体の財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して行うこととしております。
なお、今次の税制改革は、我が国の経済社会にさまざまな影響を及ぼすものであることから、本法律案におきましては、改革に際しての国及び地方公共団体の責務について定めております。すなわち、改革の趣旨及び方針にかんがみ福祉の充実に配慮しなければならないこと、また、改革に際し行財政改革の一層の推進に努めなければならないこと、さらに、改革の円滑な推進に資するための環境の整備に配慮しなければならないこととしております。
次に、本法律案の第二章におきましては、既に述べました今次の税制改革の趣旨、基本理念及び方針に従って行う国税及び地方税に関する改革等の全体像を示すこととし、個人所得課税及び法人税並びに相続税の負担の軽減合理化等、消費税の創設及び酒税の抜本的見直し等並びに国と地方公共団体との間の財源の配分について、その内容を簡潔に示しております。
また、本法律案におきましては、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格にかんがみ、消費税の転嫁について特に規定を設け、事業者は、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われるよう努めるものとし、必要と認めるときは、取引の相手方にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとするとともに、国は、消費税の円滑かつ適正な転嫁に寄与するために必要な施策を講ずるよう努めるものとしております。
さらに、本法律案におきましては、今次の税制改革が、その趣旨、基本理念及び方針から見て、整合性を持って、包括的かつ一体的に行われるものであることにかんがみ、その実施の時期について明らかにしており、その時期は、各税の改革等の内容及び事前手続に要する期間並びに各税の有する性質に応じて、国税に係るものにつきましては昭和六十三年十月一日、昭和六十四年一月一日及び同年四月一日とし、地方税等に係るものにつきましては昭和六十四年四月一日及び昭和六十五年四月一日としております。この場合において、相続税及び贈与税の負担の軽減及び合理化に係る
改正については、昭和六十三年一月一日にさかのぼって適用することといたしております。
次に、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
本法律案は、今次の税制改革の一環として、所得税法、法人税法、相続税法、酒税法、たばこ消費税法、石油税法、取引所税法、有価証券取引税法、印紙税法及び租税特別措置法の一部を改正するものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、所得税につきましては、税負担の思い切った軽減合理化を行うとともに、税負担の公平の確保を図るための措置を講ずることとしております。
まず、所得税の負担の軽減合理化につきましては、中堅所得者層の負担軽減を主眼として、最低税率を一〇%とし、その適用範囲を大幅に拡大する等税率の累進度を緩和するとともに、税率構造を五段階に簡素化するほか、中低所得者の負担の軽減を図るため基礎的な人的控除の引き上げ等を行うとともに、福祉政策等の見地から障害者控除等の特別な人的控除の引き上げ等を行うこととしております。
また、内職所得者について、パート所得者との均衡を考慮した課税上の取り扱いをするため、必要経費の最低保障を認めることとする等所要の改正を行うこととしております。
次に、税負担の公平の確保を図るための措置といたしましては、株式等の譲渡益について、非課税を原則とする現行制度を改め原則課税とし、他の所得と分離して課税する制度を創設するほか、社会保険診療報酬の所得計算の特例の縮減を行うこととしております。
第二に、法人税につきましては、基本税率を四二%から三七・五%に、・中小法人の軽減税率を三〇%から二八%にそれぞれ引き下げるほか、配当軽課税率を廃止することとしております。
そのほか、受取配当等の益金不算入制度及び外国税額控除制度の見直しを行うとともに、土地等の取得に係る借入金の利子の損金算入を繰り延べる措置を講ずる等所要の改正を行うこととしております。
第三に、相続税につきましては、遺産に係る基礎控除等を二倍に引き上げるとともに、税率の緩和を行うほか、配偶者の負担軽減措置の拡充等を行う一方、遺産に係る基礎控除等の算定の基礎となる相続人の数に含まれる養子の数を制限する措置を講ずる等所要の改正を行うこととしております。
また、贈与税につきましては、相続税の改正との関連において、税率の緩和等を行うこととしております。
第四に、酒税につきましては、従価税の廃止、清酒及びウイスキー類に係る級別制度の廃止等酒税制度につき簡素合理化を図るとともに、各種酒類の税負担水準を見直し、酒類間の税負担格差を縮小した上、従量税率について消費税相当分の引き下げを行うこととしております。なお、清酒、しょうちゅう等の中小酒類製造者に対しては一定期間税率を軽減することとする等所要の措置を講ずることとしております。
第五に、その他の間接税等につきましては、次のような改正を行うこととしております。
まず、たばこ消費税につきましては、課税方式を従量税方式に改め、現行の税負担水準を維持しつつ消費税との負担の調整を行うこととし、石油税につきましては、課税方式の従量税化を図ることとしております。
次に、取引所税につきましては、商品等の先物取引に係る税率を引き下げることとし、有価証券取引税につきましては、株式等に係る税率を引き下げることとしております。
このほか、印紙税につきましては、物品切手等五文書を課税対象から除外することとしております。
以上の改正につきましては、原則として昭和六十四年一月一日以後または同年四月一日以後実施することとしております。なお、相続税及び贈与税の負担の軽減及び合理化に係る改正については、昭和六十三年一月一日にさかのぼって適用することとしております。
次に、消費税法案につきまして御説明申し上げます。
本法律案は、今次の税制改革の一環として、物品税等の現行個別間接税制度が直面している諸問題を根本的に解決し、税体系全体を通ずる税負担の公平を図るとともに、国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため、消費に広く薄く負担を求める消費税を創設するものであります。
以下、その大要を申し上げます。
まず、消費税の課税の対象は、国内において事業者が行った資産の譲渡等及び保税地域から引き取られる外国貨物としております。
第二に、納税義務者は、国内において行った課税資産の譲渡等については当該譲渡等を行った事業者、課税貨物については外国貨物を保税地域から引き取る者としております。なお、事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が三千万円以下の者については、その課税期間中に行った課税資産の譲渡等につき納税義務を免除することとしております。
第三に、非課税取引等につきましては、土地の譲渡、資金の貸し付け等のほか、一定の医療、社会福祉事業及び学校教育を非課税とし、輸出取引及び輸出類似取引を免税としております。
第四に、課税標準は、課税資産の譲渡等についてはその対価の額、課税貨物についてはその引き取り価額としております。
第五に、税率は、百分の三としております。
第六に、課税の累積を排除するための仕入れ税額控除の概要について申し上げます。
事業者が国内において課税仕入れを行った場合または課税貨物を引き取った場合には、帳簿または請求書等に基づき計算した課税仕入れ等の支払い対価の額に百三分の三を乗じた金額を仕入れに係る消費税額として、課税資産の譲渡等に係る消費税額から控除することとしております。
なお、この仕入れに係る消費税額の控除に関し、基準期間における課税売上高が五億円以下の事業者については、その選択により、課税資産の譲渡等に係る消費税額の一定割合を仕入れに係る消費税額とすることにより簡易に納付税額を計算する方法も認めることとしております。
また、その課税期間における課税売上高が六千万円未満の事業者について、納付すべき税額の一部または全部を課税売上高に応じ軽減する限界控除制度を設けるほか、売り上げに係る対価の返還等をした場合等にも、税額控除を認めることとしております。
第七に、消費税の申告、納付等については、原則として、個人事業者にあっては一月から十二月までの期間、法人にあっては事業年度を課税期間とし、課税期間終了後二カ月以内に申告し、納付することとしております。また、中間申告及び納付の制度を設けております。
さらに、仕入れに係る消費税額等を控除した結果、控除不足額があるときは、その不足額に相当する消費税額を還付することとしております。
また、保税地域から外国貨物を引き取る者については、原則として引き取りの際、申告及び納付をすることとしております。
なお、この法律は昭和六十四年四月一日以降の資産の譲渡等及び外国貨物の引き取りについて適用することとし、施行に当たり所要の経過措置を設けております。
以上、税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案及び消費税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/3
-
004・原健三郎
○議長(原健三郎君) 自治大臣梶山静六君。
〔国務大臣梶山静六君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/4
-
005・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案、消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、地方税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
本法律案は、今次の税制改革の一環として地方税制の改正を行うものであります。
以下、その概要について御説明申し上げます。
まず、個人住民税につきまして、中堅所得者を中心として、税負担の累増感の解消を図り、税負担を軽減するため、税率の累進度を緩和し、簡素な税率構造にするとともに、中低所得者の税負担等に配慮し、基礎控除額等を引き上げる等の改正を行うこととしております。
さらに、税負担の公平の確保を図るため、株式等の譲渡による所得について、所得税において源泉分離課税することとされたものを除き、他の所得と分離して個人住民税を課する制度を設けることとしております。
また、消費税の創設に伴い、娯楽施設利用税及び料理飲食等消費税について税率を引き下げる等の改正を行うとともに、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税について課税方式を従量税方式に改める等の改正を行うほか、不動産取得税について負担の軽減措置を講ずることといたしております。
さらに、消費税の創設に伴い、電気税、ガス税及び木材引取税を廃止することとしております。
以上が地方税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
次に、消費譲与税法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、今次の税制改革に伴い、地方公共団体の財源の安定的な確保に資するため、消費譲与税を創設するものであります。
以下、その概要について御説明申し上げます。
消費譲与税は、消費税の収入額の五分の一相当額とし、その十一分の六の額を都道府県に、十一分の五の額を市町村に、人口及び従業者数を基準として、それぞれ年四回に分けて譲与することとしております。
以上が消費譲与税法案の趣旨であります。
次に、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、今次の税制改革に伴い創設される消費税を地方交付税の対象税目とし、その総額の安定的確保を図るとともに、所得税、法人税及び酒税の減税に伴う地方交付税の減収を補てんする等地方財政の運営に支障の生じないようにするため、消費譲与税分を除く消費税の収入額の百分の二十四を地方交付税に加える改正を行おうとするものであります。
以上が地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
────◇─────
税制改革法案(内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)、消費税法案(内閣提出)、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)、消費譲与税法案(内閣提出)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/5
-
006・原健三郎
○議長(原健三郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。山中貞則君。
〔山中貞則君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/6
-
007・山中貞則
○山中貞則君 初めに、天皇陛下の御病状を案じ、速やかな御回復をお祈り申し上げて、質問に入りたいと存じます。(拍手)
シャウプ勧告に基づく現行税制の抜本的な大改革を行うに当たり、自由民主党を代表し、党の税制調査会会長である私があえて壇上に立つことにいたしました。昨年売上税が廃案の憂き目を見た折にも自民党税制調査会会長であった私は、その責任を痛感し、その反省の上に立って、いささかの所感を申し上げます。
およそ税は、ないにこしたことはなく、あっても軽いにこしたことはないというのが、だれしも抱く本音であると思います。その本音と真正面にぶつかる新税の創設には、まず賛成する者はいないというのが本当でしょう。しかし、今のままでいけば、せっかくの減税案も来年度以降は実施することができません。減税だけを実施するということは、国家に責任を持ち、民族の将来の繁栄を図らなければならない政府としては、しょせんなし得ないことであります。
入るをはかりて出るを制すという予算の大原則を守り、入るをはからず出るを制せずと言われるような無原則なことができないのが、日本を長い間担い続けてきた自民党のこれからも国民の信をつなぎとめる道であると確信しております。我が党の国会議員諸君が選挙区の人々に新税の必要性を必死になって説くその心情を思いやるとき、断腸の思いであります。
以下、このような立場に立って私の見解を述べることにいたします。
現行税制は、先ほども述べたシャウプ勧告によってその基本がつくられ、それ以来先人たちが国民生活と国民経済の安定向上を願い、鋭意改良を加えてきたものであります。しかし、税制に限らず、どんなに周到につくられ、改良された制度であっても、年がたつにつれて経済社会の実情から徐々に乖離し、あるいは部分的な手直しが繰り返されることによるひずみが少しずつおりのように蓄積し、抜本的な改革が必要となる時期が来ることは世の常であります。
現行税制について見れば、近時、財政事情の悪化もあって大規模な所得減税を行い得なかったことから、税負担が勤労所得に対する課税に偏り、これが国民の間に重税感、税の不公平感を高める原因となっております。また、消費課税は、特定の物品やサービスに高い税負担を求めながら、全体として税体系に占めるウエートが低下するままとなっております。
税は、国家の礎であり、民主主義政治の基本であります。そこにゆがみがあることを承知しながらこれを放置することは、国民の国家に対する信頼を危うくするものであり、政治の怠慢のそしりを免れないのであります。(拍手)今や我が国税制を根本から見直し、ゆがみを是正し、国民が納得できる公平で簡素な新しい税体系に再構築する時期に来ているのであります。
そこで、総理に、今回の税制改革の基本的考え方、また、全体としてどのような税体系の構築を考えられているのかという点をお伺いいたしたいと思います。
こうした抜本的改革には長期的視野が不可欠であります。我が国の高齢化は、外国にも例を見ないほどのスピードで既に進行しております。現在二十歳から六十四歳までの人が六人で一人の高齢者を支えておりますが、二十一世紀には二、三人で一人を支えることになります。こうした高齢化のもとにおいて、高齢者が幸せな生活を享受し、長生きをした喜びを満喫できる社会を構築することは、我が国にとって極めて重要な課題であります。
しかし、そのためには費用がかかります。例えば、医療費一つ取り上げてみても、六十五歳以上の高齢者の医療費は高齢者以外の人の医療費の平均の五倍以上かかると言われています。今後、年金制度の成熟に伴い、受給者の数が急増していくこともよく知られているとおりです。社会保障制度について、受益と負担の適正化、公平化の観点に立って、実情に応じた制度改革を追求していくとしても、豊かな高齢化社会の建設を国民が望む限り、国民の要請にこたえるために財政需要が増大していくことを予期しておかざるを得ないのであります。
今の制度のままでは、税負担も社会保険料の負
担も働き手に重くかかっていきます。働き手の比率が少なくなっていく高齢化社会において、負担を働き手ばかりに求めることは不可能であり、今まで苦労してきた人たちがお年寄りになっても安心して暮らせるよう、我々の子供や孫である現役世代が無理なく負担できるようなシステムを我々の時代に構築しておくことがぜひとも必要であります。(拍手)
また、社会保障を初めとする公共サービスは、好不況のいかんにかかわらず、必要な一定の水準を確保することが必要でありますが、法人税のような景気に左右される税のウエートが高い税収構造をそのままにしておく場合には、財政が非常に不安定なものとなるおそれがあります。
翻って財政の状況を見ますと、我が国財政は、必要な公共サービスの支出を賄うだけの税収が確保できず、公債の発行を余儀なくされているのが現実です。その発行残高は昭和六十三年度末で百五十八兆円、国民一人当たり約百三十万円という多額に上っております。また、そのうちいわゆる赤字公債の残高は六十八兆円と、公債残高の四割強を占めております。六十三年度の国債費は一般会計予算の二〇%を占め、一日当たり三百四億円にも上る利払い費は、国家財政にとって非常に重い負担となっているのであります。このままでは、必要な財政需要にこたえられないまま、利払いの負担だけが子や孫の世代にのしかかっていくことになります。
国民は、国や地方公共団体からさまざまな受益を得ております。社会が高度化し、公共サービスが国民一人一人に網の目のように行き渡っている今日、社会の構成員であるならば、社会共通の費用は、後代に先送りせず、皆で公平に負担し合っていくべきであるという、当然と言えばごく当然な理念を改めて認識しなければならないと思います。(拍手)
今回の税制改革の検討に際しては、国際的な視点も忘れてはなりません。貿易、金融・資本取引、文化などさまざまな局面で、世界とのかかわりを度外視しては日本が存立していくことは困難となっており、可能な限り世界各国との調和を図ることが求められていると言えます。このことは、税制についても例外ではありません。
今回の税制改革においても、諸外国の近時の税制改正の動向を踏まえ、また、各国の税制との調和にも配慮して、所得課税の思い切った減税とともに、法人課税においても、地方税を含めた実効税率を五割を下回る水準となることをめどに税率の引き下げを行うことが提案されているところであります。
間接税について見れば、我が国の間接税が個別消費税に依存していることから、酒税に見られるように、国際的摩擦を招来している状況にあることは周知のとおりであります。
個別消費税制度のもとで、近時の消費態様の大きな変化、すなわち消費の多様化、均質化、サービス化の進展に対応するためには、適時適切にその課税対象の見直しやその負担水準を調整することが必要不可欠でありますが、現在のように価値観が多様化し、何がぜいたく品か、何が奢侈品かという客観的基準が見出しにくい世の中では、それは非常に困難であります。その結果、課税されるものとされないものの間、あるいは課税されているもの相互間に負担のアンバランスが生じており、また、サービスに対する課税が欠如している状況にあります。
これに対し、諸外国においては、消費一般に負担を求める税制の存在がいわば常識であり、日本のように酒、たばこ、自動車等特定の物品やサービスに限ってねらい撃ちで負担を求めるという税制にのみ依存しているのは、OECD加盟国では日本だけとなっております。諸外国においては、主要国を初めとして資本主義国中四十三カ国が付加価値税を採用しており、直接税中心と言われるアメリカにおいても、州レベルでは小売売上税を採用しております。これに製造業者売上税をとっているカナダ等を含めれば、四十八カ国で消費一般に負担を求める税制を採用しています。さらに、社会主義国であるハンガリーにおいても、本年付加価値税の導入を行ったという状況にあります。
したがって、間接税についても、国際的視点に立った改革が必要であり、無用の摩擦を回避し、国際的にも理解を得られる制度とするためには、消費税のような消費一般に負担を求める税制を導入することが不可欠と考えるものであります。(拍手)
消費税の導入に当たって最も留意すべきことは、我が国においてはこの種の税になじみが薄く、納税事務を負うことになる事業者と税を負担する消費者の双方が税の転嫁ということにふなれであるということであります。今回の改革においては、この点を踏まえ、円滑かつ適正な転嫁の実現にできる限りの配慮を行うこととされたと承知しております。
その第一は、税率についてであります。さきの売上税においては税率が五%とされていましたが、これに対して、五%ではとても転嫁できないとの声が多く聞かれたところであり、そこで消費税においては、これらを踏まえ、三%という水準が設定されたところであります。
また、第二に、税制改革法においては、「事業者は、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格にかんがみ、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われるよう努めるものとし、必要と認めるときは、取引の相手方である他の事業者又は消費者にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとする。」とともに、「国は、消費税の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、消費税の仕組み等の周知徹底を図る等必要な施策を講ずるよう努めるものとする。」との規定が置かれたことであります。
今後、このような税制改革法の趣旨を踏まえ、事業者が転嫁のためのさまざまな努力を行うに当たって独禁法の分野においてどのような行為までが許されることになるのか、また他方において、そのような措置により便乗値上げ等が誘発されることはないのかといった点が明らかにされる必要があると考えます。政府としての見解をお示しいただきたいと思います。
いわゆる不公平税制の是正の問題については、今回の政府案において、不公平の象徴的な存在となっていた有価証券譲渡益の原則非課税が原則課税に改められることになったほか、非難の指摘の多かった社会保険診療報酬課税の特例についても大幅な縮減が図られるなど、思い切った見直しが行われており、極めて大きな前進であると考えます。
いわゆる不公平税制の是正の問題で難しいのは、何が不公平税制かという最も重要な点が立場立場によって大きく異なっており、具体的な対応面でコンセンサスが得にくいという点であります。いずれにせよ、税負担の公平の確保は、租税が存在する限り追求しなければならない永遠のテーマであり、引き続き議論を行う必要があると考えますが、同時に、消費税を導入し、所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系を目指すことこそが税負担の公平を図る上で最も重要なことを改めて指摘しておきたいと思います。
なお、有価証券譲渡益課税の方式に関し、いわゆるリクルート事件に係る昨今の議論の中で、店頭登録前に特殊なルートで入手した株式を店頭登録直後に譲渡することにより多額の利益を得るいわゆる売り抜けや、創業者等による大量譲渡によって発生する所得に対する課税としては、必ずしも十分でないとの指摘があります。この問題について、政府としての見解を伺いたいと思います。
このほか、公益法人について世論の批判を招くような活動の事例が見受けられることもあって、税制面での対応を求める声が強い状況にあります。公益法人に対する課税問題について、今回の
税制改革に当たっての考え方及び今後の検討の方向について伺いたいと思います。
最後に、税制の抜本的改革は我が国にとっては喫緊の課題であります。二十一世紀を展望した安定的な税体系を今確立することこそが、国民の負託を受けた我々の最大の責務であります。税制についての国民の関心は極めて強いものとなっており、既にさまざまな意見が表明されております。この国民の声を真摯に受けとめ、税制のあるべき姿について国会の場において徹底的な議論を深めることこそが、今我々のなすべきことであります。多様な視点に立ちつつ、幅広い角度から問題点が究明されてこそ、税制改革の姿はより確固としたものになるのであります。
総理も、先般所信表明において、税制改革の実現に向け、その身命のすべてをささげる旨の強い決意を表現されておられます。改めてその決意を御披瀝していただくことを要望して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/7
-
008・竹下登
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、山中議員が質問に先立つ前に、天皇陛下の御病状にお触れになりました。私も、お答えをいたす前に、天皇陛下の御病状に対しまして、内閣を代表し、心からその速やかなる御快癒をお祈りするものでございます。(拍手)
さて、御質問にお答えをしなければなりません。まず、税制改革の基本的考え方についてお尋ねがありました。
振り返ってみますと、昭和五十三年、いわゆる一般消費税(仮称)を昭和五十五年度に導入すべく準備を進めるべしとの答申をいただました後、選挙を行いました。そして、いわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等について国民の理解を得るに至らなかったわけであります。そこで、国会決議が行われ、国民福祉充実のためには安定した財源が必要である。したがって、今後財政再建を進めていくには、まず行財政改革を行うべきである、そして不公平税制の是正を行い、さらには抜本的税改革を行うべきであるとの御決議をいただいたわけであります。そして、その後いろいろな推移がございました。昨年、いわゆる売上税法案を提出するに至ったわけであります。これもまた、その仕組み、構造等について国民の理解を得るに至らなかったわけであります。
その反省に基づいて、今度は、現行税制が経済社会の著しい変化に対応し切れておらない、さまざまなゆがみが目立っておる、御指摘のとおりであります。このようなゆがみを放置する場合には、納税者の重税感あるいは不公平感は一層深刻化して、税制の経済活動に対する中立性が損なわれ、ひいては税制への国民の信頼が失われることになりかねない。このような考え方に基づきまして、将来の展望を踏まえながら、国民の租税に対する不公平感を払拭するとともに、所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせ、今御指摘になりましたように、均衡のとれた税体系を二十一世紀に向かって構築することがこの目的である、このように考えておるところであります。
次には、国際性と間接税改革についてお触れになりました。
現行の間接税制度につきましては、物品税等の個別消費税が中心となっておりますことから、消費の多様化、均質化あるいは価値観の多様化という状況のもとで、これら変化に的確に対応した課税対象の選定や税負担の権衡を図ることが困難となっておりますことは御指摘のとおりであります。
課税品目や税負担にアンバランスが生じております。また、消費のサービス化の進展にもかかわらず、サービス消費に対する課税がほとんどできないという問題を抱えていることも事実であります。さらに、世界の主要国のうち、個別間接税のみに依存する間接税制度をとっておるのは我が国だけだ、これも御指摘のとおりであります。したがって、これも例示なさいました酒税に象徴されるように、国際的摩擦の一因となってきたものもございます。
したがって、今の制度そのままの枠組みを維持したままで、このような現行間接税制度の問題点を根本的に解決することは困難でありますということは申すまでもありません。したがって、今次の税制改革におきましては、現行間接税制度を抜本的に改めまして、消費一般に広く薄く負担を求めるために、消費税の創設を御提案申し上げたところであります。
さて、転嫁対策、便乗値上げに対する御懸念が表明されました。
今回の消費税の円滑な、適正な転嫁のため、消費税についての表示の方法の決定に係ります共同行為や、市場における価格形成力の弱い中小企業等に特に配慮する観点から、中小企業等に限りまして、消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為を、公正取引委員会への届け出を要件として、独占禁止法に違反することなく行えますようにする旨の暫定的な立法措置を講ずることにしたところであります。このうち消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為は、あくまでも消費税の税額分についての上乗せに限って共同行為を認めるものであることは申すまでもありません。その基礎となる本体価格は、当然のことながらマーケットメカニズムによって形成されるべきものでありまして、もとより便乗値上げにつながるような本体価格の価格カルテル行為は厳に禁じられておるところであります。そのような行為が行われることのないよう、厳正に対処してまいる所存であります。
さて、有価証券譲渡益課税にお触れになりました。
今回の税制改革において、有価証券の譲渡益について、御指摘なさいましたとおり、昭和二十八年原則非課税となりましたのを原則課税へ改める、御指摘のとおりであります。具体的な仕組みにつきましては、申告分離課税と源泉分離課税との選択制としたところであります。このような仕組みにつきましては、有価証券取引及びこれに係る譲渡益を把握する体制が十分整備されていない状況下で考えられますところの案としては、私は適当なものであると思っております。
他方、株式売買について、税制の問題や証券取引に係る制度的な問題等さまざまな角度からの御議論があります。また、与野党間におかれましてもこの点につき協議が行われておることを私も承知しております。政府としては、こうした問題につきましてどのような対応を図っていくべきか、国会等において御議論が尽くされることを期待し、今後の国会の審議を注視しながら適切に対応すべきものであると考えております。
公益法人課税にもお触れになりました。
公益法人等に対する課税につきましては、税制調査会では、御案内のとおり、軽減税率の基本税率との格差の縮小のことが一つ、それから、課税対象となります収益事業の範囲の見直しが二つ、そして、金融収益に対する課税のあり方の検討をすべきだ、これが三つ、こうしたことが指摘されておるわけであります。
今回の税制改革におきましては、軽減税率の基本税率との格差を縮小することとしまして、基本税率が四二%から三七・五%に引き下げられるにもかかわらず、現行二七%の税率を据え置くということにしたわけであります。公益法人等に対する課税の問題につきましては、今後とも税制調査会の答申の趣旨を踏まえて引き続き検討をすべき課題である、このように考えるものであります。
最後に、税制改革についての決意を述べよとのことであります。
税制の抜本的改革の実現は、現下の最も重大な内政上の課題であることは申すまでもありません。この国会も、まさに税制の抜本改正をお願いするために召集をした国会であることを今さら思い出すわけであります。(拍手)したがって、この国会を通じて、我が国経済、社会の活力が維持で
きて、国際化に即応できて、そして豊かな長寿福祉社会をつくるにふさわしい、より公平な税体系の構築が図られることを私は確信し、税の議論でございますから、感傷、感情に頼ることなく、今こそ最も経済情勢等平常なこの時代に、それこそ議論を深めながら国民の理解を求め、理解を求めながら議論を深めていく、このような決意を持って私はこれに当たっていきたいと思うところであります。
以上でお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/8
-
009・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問を通じまして、幾多御教示を得た点がございます。多くはほとんど総理が答えられましたが、おっしゃいますように、ただいまのような財政の状況であり、他方で高齢化社会になってまいりますと、豊かな高齢化社会を築くために、働く人々の負担は非常な大きなものにならざるを得ない、そのために、今からそのような費用は社会の共通なものとして広く薄くみんなが負担する制度を考えるべきであるというのは、まさしくこのたびの消費税法の考え方の基本であると存じます。殊にまた、言われましたように、現にあります物品税が非常ないびつなものになっておりますこと、サービス課税をほとんど取り入れていないこと等を考えましても、消費一般への課税というものは不可欠であろうと言われますことは、そのように存じます。
一つ具体的に御指摘がありました点で、やはりこの税の施行に当たりまして最も考えておくべきことは転嫁の問題であろうと存じます。
御指摘になりましたように、税制改革法では十一条で、その点を事業者及び国の努めるべき務めとしてわざわざ掲げてございますし、また、独禁法につきまして、転嫁の方法あるいは表示の方法等に関する共同行為に独禁法の適用除外を決めておるわけでございます。
便乗ということは、これはもう論外でございますが、実際問題といたしまして、一つの業界の中で転嫁を心がけるということについてやはりいろいろな意見がある。そうすべきだと思う人もあるし、いやと言う人もあって、業界そのものが一つの意思決定をしたいというときには、やはりこの十一条の規定によりまして行政が何かの意味で要請を受けて業界の手伝いをするということは、この転嫁を有効ならしめる上に私は非常に効果があるように現実の事態を見て感じております。この点はおのおのの所管官庁の閣僚にもお願いをいたしておるところでございますが、法の成立を前提といたしまして、そのようなせっかく設けられました十一条の規定、独禁法適用除外につきまして、行政がこれを有効に転嫁を可能ならしめるような手伝いができますように努力をいたしてまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/9
-
010・原健三郎
○議長(原健三郎君) 坂口力君。
〔坂口力君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/10
-
011・坂口力
○坂口力君 初めに、天皇陛下の御病気に対しまして、一日も早い御回復を心からお祈りを申し上げるものであります。(拍手)
私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま大蔵大臣並びに自治大臣から提案になりました税制改革関連六法案に対し、総理並びに関係大臣に問題点を掘り下げて質問したいと存じます。
総理、我々は今、税制改革議論に入ります以前の問題として、税制に対する国民の不信、ひいては政治全般に広がった不信に対して、どのように信頼を回復すべきかを考えなければなりません。リクルート疑惑に対して、これを氷山の一角と叫び、政治家のパーティーに対する過剰反応を見ましても、不信の根がいかに深いかをうかがい知ることができるのであります。税制に対する不信から政治一般に広がった取り返しのつかないほどの不信の中心にあるものは何か、総理はここに思いをいたされたことがあるのでしょうか。
その不信の中核の一つには、だれの目から見ても紛れもなく、大型間接税は導入しないという、あの六十一年選挙公約の違反があることは疑いありません。昨年の売上税やことしの消費税が大型間接税とは違うのだと言い繕えば繕うほど、国民の不信はつるべ落としのごとく落ちていくことに対して、どのようにこたえようとされるのか、まずお聞かせをいただきたいと思うのであります。(拍手)この公約違反を解決することなしにどれほど税負担の公平を叫ばれても、国民はその言葉を信用するはずがありません。私は、総理が今なされなければならないことは、税制改革の論議を国民のレベルにおろし、時間をかけてその声を拾い上げるべきことだと思うのであります。今年中に決着などというのは、全く言語道断と言わなければなりません。
総理は、所得、消費、資産の間で均衡のとれた税体系を構築するため、消費税を導入し、社会共通の費用を広く薄く負担してもらうと言われます。また、直間比率の見直しを主張されています。今国民が不満に思っていることは、間接税の割合が少ないことに対してではなく、直接税が業種間で格差を生じ、それが税制度と捕捉の両面にわたっていることに対してであります。また、国民所得に占める所得税の割合を見ますと、日本は五・一%であり、アメリカ、イギリス、西ドイツなどの一〇%前後に比べて約半分であり、日本がいかにタックスェロージョンが多いかを示しているのであります。このことを棚上げにして直間比率を見直すことは、直接税間の不公平に加え、消費税の上に薄く下に厚い税制の不満が重なり、国民の不信は倍増されることは必至であります。
我が党はかねてから不公平是正に取り組んでまいりましたが、また、社、公、民、社民連の四党は十項目の不公平是正を掲げてまいりました。その九項目は直接税についてであります。不公平税制の是正は、今すぐ改革できるものと改革まで一定の時間を要するものがありますが、これらの是正を行い、改革案を法制化し、まず決定すべきであると思いますが、見解を伺いたいと思います。(拍手)また、制度改革とともに、捕捉を十分にするため、納税者番号は避けて通ることができません。今決断をすべきときであると思いますが、いかがお考えでございますか。
今後どのような税制を構築するかは、どのような社会をつくるかに直結した課題であります。公明党は、世界に例を見ない超高齢化社会の二十一世紀を迎えるに当たり、上下の格差の少ない活力のある社会を目指しております。直接税、とりわけ所得税の累進性と総合課税こそ格差の少ない社会をつくり、同じスタートラインに立つ競争環境を生み出し、活力ある社会が生まれると確信するものであります。
政府は、なぜ消費税なのかにこたえる根拠として、高齢化社会への対応を挙げています。高齢化社会への対応は、受益と負担のあり方を含め、総合的に解決されるべきものであります。公明党は、税制改革基本法を示し、不公平税制の是正に続き、高齢化社会のビジョンを策定し、それに基づいて年金、医療など、幅広く二、三年をかけて検討すべく提案をしているのであります。
政府は、税制改革の中で高齢化社会における財源不足を強調しながら、どのような高齢化社会を目指すのか、その骨格さえ示そうといたしておりません。本当に財源不足が生じるのであれば我々もともに憂うるものであり、将来に対して胸襟を開いて話し合う用意があります。しかしながら、不公平是正も行わず、高齢化ビジョンも示さず、行革も行わず、ひたすらに消費税導入に走る姿勢を断じて認めるわけにはまいりません。(拍手)
この際、明確にしてもらいたい点が幾つかあります。
まず第一は、年金や医療に対する財源として、今後、社会保障負担の増額が中心なのか、それとも税による負担が中心となるのか、明らかにしていただきたい。社会保障負担の増加が中心であれば、所得に対する負担割合が一定であるため、こ
れに消費税が導入されれば逆進性はさらに顕著となることを指摘しなければなりません。
第二に、高齢化社会ビジョンは税制に先行もしくは並行して議論されるべきものでありますが、いつまでに提示されるのか、明確にしていただきたいと存じます。
第三に、高齢化社会における財源の増加は、程度の差こそあれ起こるものと認めざるを得ません。しかしながら、所得税率の上げ幅は最小限にとどめなければなりません。そのためには総合課税を構築し、捕捉を高める必要があります。シャウプ税制以来、日本の税制の歩んだ道は総合課税解体の歴史でありました。公平な税制と高齢化社会の財源確保のためには、まず所得税の総合課税再構築こそ王道であり、第一に手がけなければならない問題であります。総理の見解を伺いたいと存じます。
さて、政府は、先ほども申しましたとおり、所得、消費、資産に均衡のとれた税制を主張いたしておりますが、税制案の中身は、消費に対する消費税ばかりが強調され、他の改革は消費税導入によって生じる影響を二次的に手直ししたものにすぎません。
資産に対しては、ただ相続税を取り上げたにすぎず、昭和五十年以来据え置かれてまいりました課税最低限の引き上げは当然であり、配偶者に対する非課税範囲の拡大も当然であります。しかし、問題は、シャウプ税制以来続いてきました累進税率を緩和しようとしていることにあります。最高税率を七〇%から五〇%に下げるのであれば、当然のことながら高額所得者は資産の増加を来します。にもかかわらず、資産に対する課税は何ら行われようとされず、全く手がつけられていません。これでは、資産格差は増大するばかりであり、日本の社会を不公平社会にすることは火を見るよりも明らかであります。
とりわけ最近の土地高騰により資産格差は拡大しているときであり、有価証券を所有する階層と所有しない階層の間に大きな格差の生じている実態を思うとき、所得と資産の課税に対するバランスは、今回の政府案で大きく崩れていくことは必至であります。
戦後、第二次大戦以後、財閥は解体され、農地改革が行われ、法人も個人も格差の少ない環境の中から経済界の大きな活力を生み出してまいりました。しかし、今回の税制改革案は、この方向を大きく打ち崩そうといたしております。あまつさえ、第一分位と第五分位の格差は、昭和五十年代の四・一倍に対し、六十年代に入ってからは四・五倍と広がりを見せ始めている昨今であります。政府税制法案の致命的な欠陥は、この資産課税軽視にあらわれています。どのように考えているか、見解を伺いたいのであります。
また、法人税も引き下げられようといたしておりますが、税率の国際比較ばかり強調され、課税ベースの拡大には消極的であります。確かに日本の実効税率は世界の中で最も高い部類に属していますが、特別措置や益金不算入の拡大などで課税ベースは縮小されているのであります。加えて、法人の利益は、土地の購入によって含み資産の拡大を続けています。個人の資産は、相続税によってその増大は抑制され、歯どめがかかりますが、法人のそれは何ら歯どめがなく、このままでは含み資産は拡大の一途をたどってまいります。
我々は、法人の土地資産に対し土地増価税の創設を提案をいたしておりますが、政府の見解を伺いたいと存じます。もしこれを否定されるのであれば、どうしようとされるのか、ひとつ重ねてお伺いをいたします。このままでは年々個人の土地は少なくなり、日本国土のほとんどは法人の所有になってしまうと言わざるを得ません。どのようにされようと思われるのか、伺いたいのであります。
消費税という第一ボタンのかけ違いが所得格差を増大させ、資産格差を拡大する結果になることを心から憂うるものであります。
消費税そのものに対する問題点は、今さら申し上げるまでもありません。総理自身も六つの懸念として主張されているように、その第一は逆進性の問題であります。
政府の税制改革案をもとに家計の負担に対する影響を試算をいたしましたところ、年収三百二十九万円以下の片働き家計では増税となり、低所得層に厳しいことが改めて浮き上がってまいりました。六十五歳以上の世帯主家庭において年収が三百十四万以下の世帯は昭和六十一年で四六%を占めている現実から、いかに高齢化世帯に対して直撃するかがわかるのであります。低所得層、とりわけ高齢化低所得層の皆さんに与える影響は大きく、国民の不安は一層増大すると言わざるを得ません。
社会保障を充実するといっても、年金などの形で保障されない限り意味はなくなるわけであります。国民は、高齢化社会の財源確保という名目で集められる消費税がむしろ老後の生活を圧迫することを見越して反対しているのであります。
地方財政に対しても、今回の税制法案はまことに厳しいものがあります。消費税は中央集権をもねらったものであり、地域振興の面からも認めるわけにはまいりません。
現在も低開発国は収入合計に対する間接税比率は高く、先進諸国の倍以上になっています。日本も、昭和十年ごろには直間比率で間接税が六五%を占めていました。直接税は文明国家のシンボルであり、強い者が弱き者へ手を差し伸べる最もすぐれた税制であります。文明国家日本に今求められているのは直接税の総仕上げであり、決して間接税のそれに対してではありません。
税制論議の前提として、リクルート疑惑解明のため、税制特別委員会に江副前会長の証人喚問を行い、国民の不信を一掃することがまず何よりも必要であります。
そして最後に、税制改革は国民合意が何よりも重要であり、国民の意思を問うことなく短期間に決着をつけることは断じて許されず、次世代に大きな禍根を残すものであることを表明をいたしまして、税制六法案に対する反対の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/11
-
012・竹下登
○内閣総理大臣(竹下登君) まず、お尋ねの前に、天皇陛下の御病状に対し、その御回復を祈るとの御発言がありました。私も、内閣を代表し、先ほど申し上げたとおり、速やかなる御快癒を心からお祈りするものでございます。ありがとうございました。(拍手)
さて、お尋ねにお答えをいたします。
まず、公約違反の問題についての御発言でございました。幾たびも幾たびも議論した問題でございます。
昭和六十年二月六日の衆議院予算委員会におきます前総理の発言は、時の内閣の総理大臣としての発言でございまして、その重みは十分私も承知いたしております。また、昭和六十一年六月の選挙の際の前総裁発言も承知しております。政府としては、こうした発言をも踏まえまして、検討に検討を重ね、売上税法案を昨年提案をいたしたわけであります。税額票が過重な事務負担となるのだ、あるいは仕組み等について国民の御理解が得られず、結局、御案内のとおり廃案になったわけであります。
したがって、このたびの消費税の検討に当たりましては、こうした経緯をまず踏まえまして、税額票方式をやめて帳簿方式といたしますとか、あるいは非課税取引を極力限定して、免税点も一億円から三千万円に引き下げますとか、税率を三%に引き下げるなどの思い切った手直しを行ったわけであります。
これは字義に即して申しますならば、包括的、網羅的、普遍的により近づいたとの御指摘はあろうかと私も思います。しかし、まず一つには、三千万円という免税点は、欧州諸国の付加価値税に比べれば極めて高い水準にあります。医療、福
祉、教育等の分野につきまして、政策的配慮から非課税取引を残しております。これら例外はなお存続しております。また、税率も三%と諸外国に例を見ない極めて低い水準に抑えております。ネットの増収額は二兆円にとどまっております。こういうことから見ますならば、包括的、網羅的、普遍的で大規模といったには当たらないというふうに理解をいたしております。(拍手)
このように、消費税は、前総理の発言という原点から出発をいたしまして、随分議論をして、今日までの経緯や論議のすべてを踏まえて、国民各層の御理解を得られるよう衆知を集めて工夫した苦心の作であります。その意味では、まさに前総理発言の延長線上にあるものである、このように御理解を賜りたいと思います。
さて、次は、税制改革に国民の声、国民次元に下げるべきだという御意見もございました。
現行税制は、経済、社会の著しい変化に対応し切れておりません。さまざまなゆがみが目立ってきております。このようなひずみを、ゆがみを放置する場合には、納税者の重税感、不公平感は一層深刻化して、また、税制の経済活動に対する中立性が損なわれ、ひいては税制への国民の信頼が失われることにもなりかねません。まさに、その意味において、税制の抜本的改革は、これは喫緊の課題であります。
今回の改革案は、税制調査会における精力的な御審議、あるいは二十五回に及びます地方公聴会、そういうことで国民の声を踏まえながら取りまとめられたものでございますので、どうか国民の代表であります皆様方によって、国会における十全な御審議を心からお願いをするところであります。
さて、直間比率の問題にもお触れになりました。
今回の税制改革に当たっては、いわゆるタックスエロージョン、この問題に今お触れになりました、そうした問題をもちろん配慮し、税の不公平感等に配慮しながら、負担の公平の原則を最重要課題の一つとして検討をしてきたところであります。したがって、この改革案におきましては、負担の公平を確保する見地から、所得税についての有価証券譲渡益の原則課税、社会保険診療報酬課税の特例の見直し、これらも原案として提示しておるわけであります。
近年、本格的税制改正が行われてこなかったため——まず昭和三十二年、いわゆる一千億円減税というものがありました。それから、昭和四十九年にいわゆる二兆円減税というものがありました。言ってみれば、やや本格減税といえばこの二つかなと思います。したがって、税負担が給与所得を初めとする個人の稼得所得に偏る一方、消費課税の比重が低下するなどの税制のゆがみが生じて、重税感、これが高まっております。これを放置したら、まさに重税感は一層深刻化します。経済の中立性や租税に対する信頼感も失われます。このような観点から、所得、消費、資産等の間でバランスのとれた税体系を構築していこう。このことは、結果として出てくる直間比率の問題とも関連するのは当然のことであります。
さて、次の四野党共同提案に対してでございます。
公平の原則を改革に当たっての最も基本的な理念の一つとして検討が行われたものであります。したがって、四野党の皆さん方が八月十七日御提示なさいました不公平税制是正の共同提案、これは、私どもはこの点について基本的認識は同じ認識に立っております。
そこで、その中で具体的な是正案を明らかにしているところでございますが、何分これは税の専門家の皆様方が国会で幅広い角度から御審議がなされるわけでございます。それを私どもは静かに見守って、そして、御協議に対してはあらゆる協力を惜しまないという考え方であります。したがって、また、その項目についても一わたりの審議が行われたものと私なりには承知しておるところでございます。
次は、納税者番号制度についてでございます。
これは税調の小委員会において、制度導入の是非、導入するとした場合の問題点などについて検討中でございます。私も、これこそ、坂口議員も当時大蔵委員でありました。昭和五十五年三月三十一日にいわゆるグリーンカード法案は両院を通過した経験をお互いが思い出すべきであると思います。その上に立って、お互い根気強く議論を積み重ねるべきものだ、このように考えております。
総合課税に対する考え方は、貴党がかねて主張していらっしゃる考え方であります。個人のすべての所得を総合してこれに累進税率を適用することにより負担能力に応じた負担を求めるという所得税の総合課税の考え方は、基本的には今後とも維持すべきものである、このように考えます。
ただ、所得の性格にかんがみ、実質的な課税の公平を実現するためには、あるいは政策的要請というものもそれはもちろんございます。例外的に総合課税によらない課税方式を採用することも、これは今までの体験からしても考えられることであります。したがって、今回の改革案におきまして、中堅所得者層の負担累増感等に配意し、税率の累進緩和、簡素化を図っておるところでございます。
高齢化社会、これもかねてからの貴党のいろいろな場合における要求であります。
これは、長寿社会対策大綱を定めまして、本年三月には「二十一世紀初頭における高齢化状況等及び社会保障の給付と負担の展望」をお示ししたところであります。この基本的考え方と、そうして医療、年金、福祉等の施策の目標と方向について、今国会の審議の御参考として工夫して提出したいというふうにおもっておるところであります。
その上に、中長期の福祉政策、こういうことでございます。
この問題につきましては、これは今までいろいろな前提を置きまして数値をお示ししたことも幾たびかございます。それに対しても建設的な御意見も承っております。今後とも審議の参考として提出することに努力することは当然のことであります。
それから、社会保障の財源についての基本的な御議論のあるところでございますが、これはいわゆる自立自助努力の問題と、完全に租税負担すなわち一般財源で賄うべきものと、いろいろ議論のあるところでございますが、保険料を基本としながら税による財源を適切に組み合わせていくべきものであるというふうに考えております。どういう組み合わせにするか、これこそ国民の選択によるべきものでございますので、国会等の議論が何
よりも大切であると思います。
それから、今回の税制改革は、所得、消費、資産等に対するバランスのある税制をつくるものでありまして、とりわけ資産に対する課税の適正化、ここのところを考えたわけであります。それが相続税、贈与税の軽減合理化及び税負担回避問題への対応、そして有価証券譲渡益の原則課税、あるいは取引税の税率の引き下げ、そして法人の土地取得にかかわる借入金利子の損金算入制限措置、こういうことを御提案申し上げておるわけであります。
御指摘なさいましたとおり、昭和五十年以来相続税は制度の基本的な見直しを行っておりません。課税件数も急速に増加しております。したがって、今回、いわばこの改正によりまして、資産課税のまさに国税に占めるウエートは水準がやや上回ってきておりますだけに、これが軽減について御審議をいただこうということであります。
それから土地増価税、これもかねての貴党のいろいろ御意見のあるところでございます。御提言のあるところでございます。
土地含み益に対する課税は、やはりいつも申し上げることでございますけれども、所得課税として考えますと、未実現のキャピタルゲインに対する課税である、こういう論理が当然あります。それから保有課税として考えますと、現行の固定資産税や特別土地保有税との関係をどう整理するか、こういうことがあります。そしてもう一つは、企業の実態から考えますと、いわゆる資本集中的な装置産業を中心とした企業活動には大きな打撃を与えるだろう、こういうことがございますので、慎重に検討すべき課題だと考えております。
それから、直接税中心主義、こういうことについての御意見がございました。
これにつきまして、やはり一つの税に偏った場合におけるいびつというもの、これを考えてこそ、所得、消費、資産の課税ベース、こういうことを適切に組み合わせるべきであるという考え方から御提案を申し上げておるわけであります。
そして、消費税の逆進性について最後の辺でお触れになりました。
これは、私はいつも申しておりますように、いわば歳出等においてこれをカバーすることによって中和できるものである、このように考えておるところであります。
いずれにせよ、御指摘がありましたが、社会主義体制の国々の状態を見ますならば、これはおよそ間接税の方が六五とか七〇とか八〇とか、こういうことでありましょう。そうして、それにいわば富の再配分からいたしますところの所得税制が組み合わされてきて、しかもそれがあくまでも努力と報酬の一致という観点から逐次その時代の趨勢によって変化していく、それに対応していくことこそ、税制そのものを議論するためにそもそもイギリスの国会はできたわけでございますから、国会の務めではなかろうか、このように考えておるものであります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/12
-
013・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 不公平税制の問題、タックスエロージョン等、大部分もう総理がお答えになられましたので、御質問の一つでありました所得、消費、資産の中で所得税の累進を減らしていったときにそれをカバーするのは資産税ではないか、こういう観点からの御質問であったと存じます。
このたびの相続税の改正でございますが、御承知のように、昭和五十年に今の構造を決めまして以来ほとんどいじっておりませんでした。しかるところ、最近の地価の高騰等がございまして、これはこのままではほっておけないということは国会においてもしばしば御議論がございまして、この点につきましてはかなり大幅な減税をいたしたところでございます。これは、十年間の経済情勢の変化、殊に最近の地価情勢等からそうせざるを得なかったと考えるのでありますが、しかし、他方でそれなるがゆえに所得の、富の再配分の機能を喪失したというふうには考えておりませんで、累進性からいいますと、諸外国に比べてもかなり実はまだ高うございます。
税率は、昭和五十年のときに最高税率を七五にいたしたわけでございますが、そのときにはアメリカもイギリスもかなり高かったようでございます。ところが、その後急速に諸外国が最高税率を下げてまいりました。また、我が国の所得税の最高税率も下がってまいりました。そういう意味で、七五%という水準はいかにもそれでもやはり高いだろうと、五十年の改正前の七〇%に引き下げたわけでございますが、これでなお、いわゆる富の再配分という機能は十分に果たしていくものというふうに考えております。
それから、社会保障の財源を社会保険料で賄うのか税で賄うのかということは、臨調答申などでは、受益と負担の関係からいえば社会保険料の方がより明確ではないかということを言っておるわけでございますが、どちらだけというわけにはこれは恐らくいかないことでございますし、また、そのときの国民の選択によって決められなければならない問題ではないかと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/13
-
014・原健三郎
○議長(原健三郎君) 玉置一弥君。
〔玉置一弥君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/14
-
015・玉置一弥
○玉置一弥君 質問に先立って、天皇陛下御不例の報は全国民が深く憂慮するところであり、私たちもまた陛下の一日も早い御快癒を心からお祈りをするものであります。(拍手)
私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま提案のありました税制改革六法案について、竹下総理並びに大蔵大臣に質問を行うものであります。
今、国民の最大の関心は税制改革であります。総理府の行った税制改革に関する世論調査を見ても、実に国民の八〇%が税金の不公平を訴えております。また、本年三月の調査では、税制改革の必要性を認めている者は九七・二%に達しております。現行の税制は不公平で、重く、複雑でわかりにくい、だからきちんと論議をして改革をしてほしい、これこそが国民の切なる願いであり、今こそシャウプ税制以来の大改革を行い、国民の期待にこたえることが政治の使命であります。(拍手)それゆえに、税制改革は手順を間違えず、国民の合意を得ながら進めていくべきであり、やるべき課題を棚上げにし、国民の声を無視した拙速な改革は、断じて容認できるものではありません。
我が党は、まず第一段階として、所得税など直接税の大幅減税を進め、国民各層から不公平と言われるものについて抜本的改革を進め、その上で
行財政改革の計画、高齢化社会の福祉ビジョンを明らかにし、国民の合意を得て間接税の改革を進めるという二段階の改革を提唱しています。この見地から、我が党は、六月十五日の塚本委員長談話で税制改革の前提となる三条件を示し、その実現を政府・与党に求めてまいりました。
その結果、第一の条件である六十三年減税の早期決着、第二の条件である不公平税制の是正の与野党協議の場が設置され、真剣に論議されていることは評価しております。第三の条件である行政改革の五カ年計画、国債費減額の具体案並びに高齢化社会の福祉ビジョン策定についてはいまだ具体化のめどが示されておらず、今後とも強く要求するものであります。
我々は、この三条件という手順を経ることなくして税制の抜本改革について国民の理解と協力を得ることは不可能と考えるが、総理の御所見をお伺いいたします。
次に、国民が切実に求めている不公平税制の是正について質問します。
株や土地に対する資産課税、政治家のパーティー券への課税、公益法人課税、国際課税など、国民が不公平だと感じている分野への政府の対応は極めて怠慢であると断ぜざるを得ません。これらの諸点について与野党協議が行われておりますが、総理は、この協議を尊重し、合意に達した改革について速やかに実行に移すべきだと考えますが、御所見を賜りたいのであります。
私は、特に、今国民の間で広がっている資産格差についてお伺いいたします。
株や土地の異常な高騰はさまざまな社会的ひずみを生じさせておりますが、特に資産を持つ者と持たない者との格差は放置できない状況であります。所得、消費、資産のバランスをとることから考えると、資産課税を強化すべきではないでしょうか。
まず、株売却益に対する課税を強化すべきであります。リクルート問題など、国民は株売却益課税に対する政府の無策に強い憤りをあらわしています。政府も原則課税に改めようとしていますが、政府案は結局一%のみなし課税を奨励するものであり、断じて容認できません。私は、まず株取引カードを導入し、捕捉体系を整備し、将来は総合課税を早急に行うべきだと思いますが、総理の見解をただすものであります。
また、リクルート問題などの再発をなくするため、株取引の厳格なルールづくり、大口短期の株式売却益への重加算税制度の創設なども早急に実現しなければならない緊急課題でありますが、総理の御見解をお伺いいたします。
次に、土地税制については、個人、法人の居住権、営業権を阻害しないよう配慮し、固定資産税及び相続税についての課税評価額を一本化する方向で、資産の格差が拡大しないよう新たに再構築することを提唱するものでありますが、土地税制の改革についての総理の御見解をお伺いいたします。
次に、私はさらに減税の充実を求めるものであります。中堅サラリーマンの重税感を払拭するために、とりわけ物価調整減税制度の創設、退職所得減税の実施、交通費の全額非課税、実額控除制度の根本的な改革を進めるべきだと考えております。
これらの諸点について政府がどう前向きに取り組んでいく決意か、総理の明快なる答弁を求めるものであります。
次に、消費税についてお尋ねをいたします。
我々は、正しい手順によらず、国民の合意を得ずに消費税を拙速に導入することには反対であります。さらに、消費税自体も数多くの問題点を有しており、国民に不安をもたらしています。国民の中には、なぜ今消費税導入なのか、疑問を持っている人もたくさんおります。竹下総理御自身も消費税導入の問題点として七項目にわたる指摘をされておりますが、しかし、このうちのどれ一つ取り上げてみても、抜本的な対策、解決策が講じられておりません。
特に、私は次の三点について質問をいたします。
まず第一に、逆進性の問題についてお尋ねをいたします。
消費税は、低所得者ほど増税を強いるものであります。政府が考えている生活保護基準の引き上げや人的控除の二万円ばかりのアップだけでは逆進性は解決されません。また、非課税世帯が重税になることも明らかであり、政府はこれらの人たちに対して適切な処置を講ずるのか、明確にしていただきたいと思います。
第二に、税率の歯どめ措置についてであります。
欧州諸国の例を見ましても、付加価値税の税率は安易に引き上げられています。我が国の人口の高齢化、財政再建を考慮すると、今後安易な税率引き上げが予測されますが、税率の歯どめ措置について法律上明記すべきだと考えておりますが、総理の明快な答弁を求めるものであります。
第三に、税の転嫁についてお伺いいたします。
今回の消費税は、帳簿方式、簡易課税制度、限界控除制度などを採用したため、税金が転嫁できないのではないかと業界の人たちが不安を抱いております。税の転嫁が不完全であれば、消費税はもはや付加価値税ではなく、それは第二事業税そのものではありませんか。それでも総理はその人たちから消費税をお取りになりますか。政府は独禁法の適用除外を行っても、競争力の弱い会社は、場合によっては赤字法人課税となり、消費税によって倒産してしまうケースが生ずることは明らかであります。
繊維業界のように十段階以上の経路がある産業や流通業者は、なすすべがありません。また、石油業界のように消費税を単純併課されると、企業の存立が危ぶまれます。この見地から新たな産業政策を策定するとともに、税の完全な転嫁が行えるような措置が必要であります。
以上の諸点について、納得のいく答弁を求めるものであります。
次に、地方財政との関連でお尋ねをいたします。
政府案は、国と地方の行政事務のあり方、それに伴う財源配分のあり方など、我が国税制の大前提となる諸問題について何の検討も行わないまま法案を提出した結果、三割自治から二割自治への転落を危惧するがごとき地方自主財源の低下をもたらすものとなっているのであります。総理は、この法案が成立することにより、地方財政、ひいては地方自治の確立にどのような影響が及ぶと考えておられるのか、明確に御答弁をお願い申し上げます。
次に、間接税論議に入る前提として、我々は行財政改革と高齢化福祉ビジョンの策定を強く求めております。この見地に立って、まず行政改革について質問いたします。
税制の抜本改革を進め、消費税導入によって国民に新たな負担を求めるためには、まず行政改革を徹底し、税金のむだ遣いを是正することが大前提であります。しかし、政府の進めてきた行政改革は、国鉄、電電の民営化など一部評価できるものを除けば、歳出の一律削減方式によるつじつま合わせや地方自治体へのツケ回し、国民への負担押しつけに終始しております。また、会計検査院によれば、昭和六十一年度で約二百十四億円に及ぶ税のむだ遣いや徴収不足等が指摘されるなど、国民の期待を裏切るものとなっております。
今後とも行政改革を強力に推進していくためには、従来の一律削減方式を見直すとともに、新たな決意と方法論に立った行革の中期計画を策定し、その実現に取り組むことで行政の徹底的なスリム化を図らなければなりません。
その際には、中央省庁の統廃合、本年の国家行政組織法見直し時期に合わせた官房及び局の総数の削減、現業部門を除く国の出先機関の原則廃止、補助金等の大幅な削減、公社公団等特殊法人の整理合理化、一万件を超える許認可事務の整理、国の必置規制の廃止や機関委任事務の地方への原則移管等、地方への権限移譲などを盛り込むべきであります。税制抜本改正の前提として、これらの内容を織り込んだ行政改革の五カ年計画を速やかに策定し、国民の前に公表するお考えがあるかどうか、お伺いをいたします。
次に、財政再建について質問いたします。
我が国財政は、百五十九兆円の国債残高を抱え、一般歳出の二〇・三%に当たる約十一兆円を国債の利払い等に支出しており、極めて厳しい状況に置かれています。景気の回復と税の自然増収などにより、六十五年度赤字国債脱却についてはその達成が可能な状況になりつつあります。しかし、財政再建は国債残高そのものを削減し、一般歳出の国債費を削減することによって、財政の持つ資源の再分配、所得の再配分、景気調整機能など、本来の機能を十分に発揮することであります。
そこで、赤字国債脱却後における新たな財政再建計画を策定するとともに、NTT株、たばこ産業株、JR株等政府保有株を売却すること及び国有資産を売却することにより、国債費の削減が可能と思いますが、総理の明快なる御答弁を求めるものであります。
最後に、高齢者福祉ビジョンについてお尋ねをいたします。
人口の高齢化は確実に進行しております。年金、医療、社会福祉サービス等の受給者は増大し、これを支える若い人たちの負担増は避けて通れない状況となっております。今後の高齢化社会を支える福祉と負担のあり方について、新たなビジョンを今国民は求めております。
年金制度、医療保険制度の一元化、高齢者雇用の確保、寝たきり老人や痴呆性老人への医療福祉サービス、国、地方公共団体、民間の役割分担、住宅、住環境と福祉サービスの統合、在宅サービスの保障等、それぞれどのように改革されるのか。今の縦割り行政の枠の中で処理をしようとする政府の姿勢では解決できません。政府が一体となって進めるための新たな福祉ビジョンを策定し、国民負担率を国民の前に明らかにしていくことが緊急の課題であると考えるものであります。
これらの問題を含め、行革・福祉ビジョンの提示について、政府は我が党に対し、今国会の審議の参考として提出することを約束されましたが、具体的にはいつ、どのような内容で、我が党だけでなく国民全体の前に明らかにされるのか、総理の御所見をお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣竹下登君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/15
-
016・竹下登
○内閣総理大臣(竹下登君) 御質問に先立ちまして、天皇陛下の御快癒をお祈りする旨の御発言がございました。私も、心から御快癒の速やかならんことをお祈りするものであります。(拍手)
さて、質問の第一は、税制改革について国民の理解を得るために、さきに塚本委員長が御提案なさいました三つの条件、このものについてのお尋ねでございます。
まず、六十三年度減税は、これは一応措置されたところであります。そして、今も御指摘がありましたように、不公平協議の場が設置された。そして今、これは精力的に議論が行われ、大体一回りした、このように私も承っておるところであります。これらまさに専門家の皆様方のお集まりの意見というのは、政府としても十分これを尊重すべきは当然のことでございます。したがって、それぞれの結論に従ってこれを措置していくべきものと考えております。
三番目の、高齢化社会の福祉ビジョン等についてでございます。最後にお話がございました。失礼いたしました。その次は、行財政改革の問題であります。
この問題については、後ほどまたお答えをいたしますが、従来、いろいろな議論をいたしました。そして、今も評価なさいました国鉄の分割・民営の問題であるとかNTTの民営化、そうしてまた専売公社のたばこ会社への移行、こういう御指摘がございました。これからやらなければならないのは、まず一つは原点に立った議論も続けていかなければならないと思います。幸い行政改革推進審議会でたゆまざる御意見をちょうだいしております。それには、今玉置議員いみじくも御指摘なさいましたように、補助金の問題でありますとか許認可の問題、権限移譲の問題あるいはデレギュレーションの問題、これらについて粘っこくこれに対応していくべきものであるというふうに考えておるところであります。
それから次の、いわゆる高齢化社会福祉ビジョンについても最大限の誠意を持って、これは委員会で御指摘がありまして出しましたが、現行の制度、施策をそのままに置いてのいわば仮定計算ではないか、こういう批判もいただいております。可能な限りのものを努力して提出いたしたいと思っておるところであります。
これがいわゆる塚本委員長主張された三条件についての考え方であります。
次の問題は、四野党共同提案の問題でございます。
これについては、今も申しましたが、まずこの問題について一わたりの御審議が行われた、こういうふうに承知をいたしておるところでございます。再三申し上げるようでございますが、最高度の専門家の皆さん方の議論でございますから、十
分尊重すべきものであると考えております。
三番目が、有価証券譲渡益課税の問題についてお触れになりました。
この問題は、要するにシャウプ勧告で原則課税、そうして昭和二十八年にその捕捉が難しくて原則非課税、そういう歴史的経過があるわけでございますが、今度原則課税、こういうことをしたわけでございます。しかも、これは十項目の中へ入ってなお議論がされておる問題でございますので、その議論を注視して適切に対応すべきものである、このように考えておるところであります。
ただ、ここでいわゆるカード制の問題にもお触れになりました。これは、具体的な仕組みについて私も必ずしも明らかにしておりませんが、玉置議員もそうでございました、昭和五十五年のグリーンカードのときの反省からしまして、一分野のみに限ったカード制というのがどういう形で構築できるだろうか、いま少し一緒に勉強してみたい、このように思っております。
それから、公約土地評価の一元化の問題にお触れになりました。
相続税における財産の評価は、時価によっております。したがって、土地の相続税評価につきましては、相続税の性格を考慮しまして、地価公示との均衡を図りながらその適正化を推進してまいりたいと考えます。
それから、インデクセーションの問題にお触れになりました。
このインデクセーションの問題等は、いわゆるこの問題は控除額の問題、ある時期には必ず行っていかなきゃいかぬいろいろな問題がございます。それと、ただ物価調整という形でどういうふうにこれをマッチさすかというのは、これは御存じのように大変難しい問題でございます。したがって、やはり社会経済の推移に応じながら適宜な見直しを行っていくということが私は適切なあり方ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
それから、私が七つの懸念を申し上げたということについての、いわゆる消費税導入に当たっての配慮についての御質問でございました。
いわゆる生活保護基準等を適切に措置するという歳出によってカバーできるもの、それから消費税ではなく税体系の総合的な中で、すなわち所得税の減税とか控除額の割り増し控除とか、そういうもので対応できるもの、これがあるのは御案内のとおりでございます。したがって、まずはそうした税制全体の中とそれから歳出を含めた施策と、そういうところで中和すべきものと考えておるところであります。
さらに、四つ目の懸念で申し上げております税率引き上げの問題、確かに、ヨーロッパにおきましてはその都度、所得税の減税と組み合わせではございますが、税率が上げられてきたという歴史は御指摘のとおりでございます。しかし、何としても消費税の税率は法律にそう規定しておるわけでございますから、いわゆる国会こそが税率引き上げについての最大の歯どめの機能を果たすものだというふうに私は考えます。そうして、長期にわたってとことん議論をした上の三%でございます。したがって、これからなお行財政改革等々、そうした面の努力を積み上げていくべきものと考えております。
それから、転嫁の保証措置についてお触れになりました。
これは、消費税が最終的には消費者が負担者となるということが予定されておる間接税であることは、今さら言うをまたないところであります。しかし、いわば最終消費者が負担しましても、それの納税義務を負う事業者の方々の転嫁に対する懸念というものは、これは否定することはできません。したがって、法律にもこれに対しての国等が行うべきことが明記されておるところでございますが、とにかく消費税の仕組みの周知を徹底的に図りますとか、また、具体的には広範かつきめ細かいPRを行いますと同時に、先ほど来も申しましたいわゆる表示の方法の決定に係る共同行為でございますとか、市場における価格形成力の弱い中小企業等に特に配慮する観点から、中小企業等に限って消費税の転嫁の方法の決定に係る共同行為を独占禁止法に違反することなく行えるようにするとか、そうした暫定措置を行ってきたところでございます。
もとより、独占禁止法あるいは下請代金支払遅延等防止法、こういうものに反するような行為があってはなりません。したがって、監視体制を強化する等の努力を続けていくのは当然のことでございます。
これが転嫁の問題であり、そうして、中小企業のお方のもう一つの懸念というのは、やはり手続が面倒ではないか、こういうことでございます。そこで、いわゆる今般の消費税につきましては、免税点、帳簿方式あるいは簡易課税制度の採用、こうしたことによってこの納税事務員担が相当軽減されていくという方向で今後とも努力をしていかなければならないと思います。
それから、税制改革と地方税財源にもお触れになりました。
この問題につきましては、これは御案内のとおり、消費税の収入額の五分の一相当額を消費譲与税として、また、消費譲与税を除きます消費税の収入額の二四%相当額を地方交付税特会に入れる、地方交付税として地方財政の運営に支障がないようにしていく、こういう基本的な考え方でございます。
それから、最後にもう一度お触れになりましたので、行政改革五カ年計画、この問題につきましては、実際いろいろな問題がございます。しかし、御指摘がございましたように、先般の新行革審の意見等を踏まえて、今後の行財政改革の具体的な方向を示すものを今国会の審議に参考として提出すべく準備を進めているところであります。いつお示しできるかということについては、委員会における税制改革関連法案の審議に支障のないように提出しようということで、これは実際問題手間のかかる問題でございますが、誠心誠意おこたえしなければならない、このように考えております。
それから、よくおっしゃいます政府保有株の売却の問題でございます。
NTT株の売却、これについては御説明申し上げるまでもございません。恐らく玉置議員はたばこ会社という問題も考えられるではないか、確かにそのとおりでございます。そうして、JRの問題もおっしゃるに違いないと私も思っておりました。ただ、国鉄清算事業団が今保有しております。そうして、同事業団が引き継いだ国鉄長期債務等の返済に充てるということに法律上なってお
りますから、この問題について、あすから売りますとかいうお答えをする立場に今日ございません。
いずれにいたしましても、かねて申されておりますデレギュレーションの問題を初めといたしますいわゆる株式売却収入の活用等の問題はいつも傾聴いたしておるところでございますので、今後とも御相談をすべき課題である、このように考えております。
以上でお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/16
-
017・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 株式取引の厳格なルールにつきまして、証券取引審議会に不公正取引特別部会というものを設けていただきました。九月九日から既にこの問題を含めまして株式公開のあり方等々、審議を始めていただいております。審議の結果を踏まえまして、できるだけ早く所要の改善策を講じてまいりたいと考えております。
それから、転嫁の問題につきましては、先ほど山中議員にもお答えを申し上げたところでございますが、やはりこの問題が、殊におっしゃいますように、繊維業界等におきましては非常に深刻な難しい問題でございます。税制改革法の十一条で、業界にも政府にもああいう務めを定めておるところでございますし、また、独禁法の適用除外の特例も法律案で定めておるところでございますので、この趣意に従いまして、行政としても積極的に業界に助言をする、あるいは力をかして差し上げて、転嫁が円滑に行われるように、行政もできるだけのことをやらせていただきたいということで既に関係各省庁にお願いをしておりまして、各省庁とも積極的にそういう努力をいたす態勢になっておりますので、業界の御努力と相まちまして転嫁を円滑にしてまいりたいと考えております。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/17
-
018・原健三郎
○議長(原健三郎君) これにて質疑は終了いたしました。
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/18
-
019・原健三郎
○議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後九時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111305254X00819880922/19
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。