1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年十一月二十一日(月曜日)
午後四時六分開会
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委員の異動
十月十七日
辞任 補欠選任
出口 廣光君 福田 幸弘君
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出席者は左のとおり。
委員長 梶木 又三君
理 事
斎藤 十朗君
林 ゆう君
平井 卓志君
降矢 敬義君
吉村 真事君
志苫 裕君
安恒 良一君
峯山 昭範君
近藤 忠孝君
委 員
井上 吉夫君
井上 孝君
板垣 正君
岩本 政光君
大河原太一郎君
大木 浩君
岡部 三郎君
加藤 武徳君
久世 公堯君
後藤 正夫君
斎藤栄三郎君
下稲葉耕吉君
田辺 哲夫君
谷川 寛三君
仲川 幸男君
福田 幸弘君
藤井 孝男君
松浦 孝治君
村上 正邦君
森山 眞弓君
及川 一夫君
千葉 景子君
福間 知之君
矢田部 理君
山口 哲夫君
山本 正和君
太田 淳夫君
塩出 啓典君
和田 教美君
上田耕一郎君
柳澤 錬造君
野末 陳平君
衆議院議員
税制問題等に関
する調査特別委
員長代理 海部 俊樹君
修正案提出者 野田 毅君
国務大臣
大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君
自 治 大 臣 梶山 静六君
政府委員
大蔵省主税局長 水野 勝君
自治省財政局長 津田 正君
自治省税務局長 湯浅 利夫君
事務局側
常任委員会専門
員 竹村 晟君
常任委員会専門
員 片岡 定彦君
常任委員会専門
員 保家 茂彰君
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本日の会議に付した案件
○税制改革法案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○消費税法案(内閣提出、衆議院送付)
○地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○消費譲与税法案(内閣提出、衆議院送付)
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/0
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001・梶木又三
○委員長(梶木又三君) ただいまから税制問題等に関する調査特別委員会を開会いたします。
税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案、消費税法案、地方税法の一部を改正する法律案、消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/1
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002・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案及び消費税法案、以上三件につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
初めに税制改革法案につきまして御説明申し上げます。
政府は、今次の税制改革の趣旨、基本理念及び方針を明らかにし、かつ、簡潔にその全体像を示すことにより、改革についての国民の理解を深めるとともに、改革が整合性を持って、包括的かつ一体的に行われることに資するほか、改革が我が国の経済社会に及ぼす影響にかんがみ、国等の配慮すべき事項について定めることとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
本法律案の第一章は今次の税制改革の基本的考え方について定めております。
まず、今次の税制改革の趣旨でありますが、今次の改革は、現行の税制が著しく変化してきた現在の経済社会との間に不整合を生じている事態に対処して、将来の展望を踏まえつつ、国民の租税に対する不公平感を払拭するとともに、所得、消費、資産等に対する課税を適切に組み合わせることにより均衡がとれた税体系を構築することが国民生活及び国民経済の安定及び向上を図る上で緊要な課題であることにかんがみ、これに即応した税制を確立するために行うものであります。
次に、今次の税制改革の基本理念でありますが、今次の改革は、租税は国民が社会共通の費用を広く公平に分かち合うためのものであるという基本的認識のもとに、税負担の公平を確保し、税制の経済に対する中立性を保持し、及び税制の簡素化を図ることを基本原則として行うこととしております。
このような趣旨及び基本理念のもと、今次の税制改革は次のような方針に沿って行うことといたしております。
まず、今次の改革は、所得課税において税負担の公平の確保を図るための措置を講ずるとともに、税体系全体としての税負担の公平に資するため、所得課税を軽減し、消費に広く薄く負担を求め、資産に対する負担を適正化すること等により、国民が公平感を持って納税し得る税体系の構築を目指して行うこととしております。
また、今次の改革は、全体として税負担の軽減を図るとともに、国及び地方公共団体の財政運営に基本的に影響を与えることのないよう配慮して行うこととしております。
なお、今次の税制改革は、我が国の経済社会にさまざまな影響を及ぼすものであることから、本法律案におきましては、改革に際しての国及び地方公共団体の責務について定めております。すなわち、改革の趣旨及び方針にかんがみ福祉の充実に配慮しなければならないこと、また、改革に際し行財政改革の一層の推進に努めなければならないこと、さらに、改革の円滑な推進に資するための環境の整備に配慮しなければならないこととしております。
次に、本法律案の第二章におきましては、既に述べました今次の税制改革の趣旨、基本理念及び方針に従って行う国税及び地方税に関する改革等の全体像を示すこととし、個人所得課税及び法人税並びに相続税の負担の軽減、合理化等、消費税の創設及び酒税の抜本的見直し等並びに国と地方公共団体との間の財源の配分について、その内容を簡潔に示しております。
また、本法律案におきましては、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格にかんがみ、消費税の転嫁について特に規定を設け、事業者は、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われるよう努めるものとし、必要と認めるときは、取引の相手方にその取引に課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずるものとするとともに、国は、消費税の円滑かつ適正な転嫁に寄与するために必要な施策を講ずるよう努めるものとしております。
さらに、本法律案におきましては、今次の税制改革が、その趣旨、基本理念及び方針から見て、整合性を持って、包括的かつ一体的に行われるものであることにかんがみ、その実施の時期について明らかにしており、その時期は、各税の改革等の内容及び事前手続に要する期間並びに各税の有する性質に応じて、国税に係るものにつきましては昭和六十三年十月一日、昭和六十四年一月一日及び同年四月一日とし、地方税等に係るものにつきましては昭和六十四年四月一日及び昭和六十五年四月一日としております。この場合において、相続税及び贈与税の負担の軽減及び合理化に係る改正については、昭和六十三年一月一日にさかのぼって適用することとしております。
次に、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、今次の税制改革の一環として、所得税法、法人税法、相続税法、酒税法、たばこ消費税法、石油税法、取引所税法、有価証券取引税法、印紙税法及び租税特別措置法の一部を改正することとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、所得税につきましては、税負担の思い切った軽減、合理化を行うとともに、税負担の公平の確保を図るための措置を講ずることとしております。
まず、所得税の負担の軽減、合理化につきましては、中堅所得者層の負担軽減を主眼として、最低税率を一〇%とし、その適用範囲を大幅に拡大する等税率の累進度を緩和するとともに、税率構造を五段階に簡素化するほか、中低所得者の負担の軽減を図るため基礎的な人的控除の引き上げ等を行うとともに、福祉政策等の見地から障害者控除等の特別な人的控除の引き上げ等を行うこととしております。
また、内職所得者について、パート所得者との均衡を考慮した課税上の取り扱いをするため、必要経費の最低保障を認めることとする等所要の改正を行うこととしております。
次に、税負担の公平の確保を図るための措置といたしましては、株式等の譲渡益について、非課税を原則とする現行制度を改め原則課税とし、他の所得と分離して課税する制度を創設するほか、社会保険診療報酬の所得計算の特例の縮減を行うこととしております。
第二に、法人税につきましては、基本税率を四二%から三七・五%に、中小法人の軽減税率を三〇%から二八%にそれぞれ引き下げるほか、配当軽課税率を廃止することとしております。
そのほか、受取配当等の益金不算入制度及び外国税額控除制度の見直しを行うとともに、土地等の取得に係る借入金の利子の損金算入を繰り延べる措置を講ずる等所要の改正を行うこととしております。
第三に、相続税につきましては、遺産に係る基礎控除等を二倍に引き上げるとともに、税率の緩和を行うほか、配偶者の負担軽減措置の拡充等を行う一方、遺産に係る基礎控除等の算定の基礎となる相続人の数に含まれる養子の数を制限する措置を講ずる等所要の改正を行うこととしております。
また、贈与税につきましては、相続税の改正との関連において、税率の緩和等を行うこととしております。
第四に、酒税につきまして、従価税の廃止、清酒及びウイスキー類に係る級別制度の廃止等酒税制度につき簡素合理化を図るとともに、各種酒類の税負担水準を見直し、酒類間の税負担格差を縮小した上、従量税率について消費税相当分の引き下げを行うこととしております。なお、清酒、しょうちゅう等の中小酒類製造者に対しては一定期間税率を軽減することとする等所要の措置を講ずることとしております。
第五に、その他の間接税等につきましては、次のような改正を行うこととしております。
まず、たばこ消費税につきましては、課税方式を従量税方式に改め、現行の税負担水準を維持しつつ消費税との負担の調整を行うこととし、石油税につきましては、課税方式の従量税化を図ることとしております。
次に、取引所税につきましては、商品等の先物取引に係る税率を引き下げることとし、有価証券取引税につきましては、株式等に係る税率を引き下げることとしております。
このほか、印紙税につきましては、物品切手等五文書を課税対象から除外することとしております。
以上の改正につきましては、原則として昭和六十四年一月一日以後または同年四月一日以後実施することとしております。なお、相続税及び贈与税の負担の軽減及び合理化に係る改正については、昭和六十三年一月一日にさかのぼって適用することとしております。
次に、消費税法案につきまして御説明申し上げます。
政府は、今次の税制改革の一環として、物品税等の現行個別間接税制度が直面している諸問題を根本的に解決し、税体系全体を通ずる税負担の公平を図るとともに、国民福祉の充実等に必要な歳入構造の安定化に資するため、消費に広く薄く負担を求める消費税を創設することとし、本法律案を提出した次第であります。
以下、その大要を申し上げます。
まず、消費税の課税の対象は、国内において事業者が行った資産の譲渡等及び保税地域から引き取られる外国貨物としております。
第二に、納税義務者は、国内において行った課税資産の譲渡等については当該譲渡等を行った事業者、課税貨物については外国貨物を保税地域から引き取る者としております。なお、事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が三千万円以下の者については、その課税期間中に行った課税資産の譲渡等につき納税義務を免除することとしております。
第三に、非課税取引等につきましては、土地の譲渡、資金の貸し付け等のほか、一定の医療、社会福祉事業及び学校教育を非課税とし、輸出取引及び輸出類似取引を免税としております。
第四に、課税標準は、課税資産の譲渡等についてはその対価の額、課税貨物についてはその引き取り価額としております。
第五に、税率は、百分の三としております。
第六に、課税の累積を排除するための仕入れ税額控除の概要について申し上げます。
事業者が国内において課税仕入れを行った場合または課税貨物を引き取った場合には、帳簿または請求書等に基づき計算した課税仕入れ等の支払い対価の額に百三分の三を乗じた金額を仕入れに係る消費税額として、課税資産の譲渡等に係る消費税額から控除することとしております。
なお、この仕入れに係る消費税額の控除に関し、基準期間における課税売上高が五億円以下の事業者については、その選択により、課税資産の譲渡等に係る消費税額の一定割合を仕入れに係る消費税額とすることにより簡易に納付税額を計算する方法も認めることとしております。
また、その課税期間における課税売上高が六千万円未満の事業者について、納付すべき税額の一部または全部を課税売上高に応じ軽減する限界控除制度を設けるほか、売り上げに係る対価の返還等をした場合等にも、税額控除を認めることとしております。
第七に、消費税の申告、納付等については、原則として、個人事業者にあっては、一月から十二月までの期間、法人にあっては事業年度を課税期間とし、課税期間終了後二カ月以内に申告し、納付することとしております。また、中間申告及び納付の制度を設けております。
さらに、仕入れに係る消費税額等を控除した結果、控除不足額があるときは、その不足額に相当する消費税額を還付することとしております。
また、保税地域から外国貨物を引き取る者については、原則として引き取りの際、申告及び納付をすることとしております。
なお、この法律は昭和六十四年四月一日以降の資産の譲渡等及び外国貨物の引き取りについて適用することとし、施行に当たり所要の経過措置を設けております。
以上が税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案及び消費税法案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/2
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003・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 次に、梶山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/3
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004・梶山静六
○国務大臣(梶山静六君) ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案、消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明申し上げます。
初めに、地方税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
今次の税制改革の一環として、個人住民税について税率における累進度の緩和、基礎控除額等の引き上げ、有価証券譲渡益課税の見直し等を行うとともに、消費税の創設に伴い電気税の廃止等現行の間接税との調整を図る等の改正を行う必要があります。
以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。
次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。
個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、中堅所得者を中心として、税負担の累増感の解消を図り、税負担を軽減するため、最低税率の適用範囲を拡大する等の税率の累進度を緩和し、簡素な税率構造とすることといたしております。また、税体系全体を通ずる低所得者及び中堅所得者の税負担等に配慮し、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、配偶者特別控除等を引き上げるとともに、非課税限度額の引き上げ等を行うことといたしております。
また、個人の道府県民税及び市町村民税の負担の公平を図るため、株式等の譲渡による所得について所得税において源泉分離課税することとされたものを除き、他の所得と分離して個人の道府県民税及び市町村民税を課する制度を設けることといたしております。
これらの改正のうち税率及び非課税限度額に係る改正は昭和六十四年度、その他の改正は昭和六十五年度に実施することといたしております。
その二は、事業税についての改正であります。事業税につきましては、白色申告者の事業専従者控除の控除限度額を引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
その三は、不動産取得税についての改正であります。不動産取得税につきましては、消費税の創設に伴い、新築特例適用住宅の取得に係る課税標準の特例控除額を一千万円に引き上げることといたしております。
その四は、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税についての改正であります。道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税につきましては、消費税の創設に伴い、名称を道府県たばこ税及び市町村たばこ税に改めるとともに、課税方式を従量税方式にすることとし、税率を道府県たばこ税にあっては千本につき千百二十九円、市町村たばこ税にあっては千本につき千九百九十七円に改める等の措置を講ずることといたしております。
その五は、娯楽施設利用税についての改正であります。娯楽施設利用税につきましては、消費税の創設に伴い、課税対象施設をゴルフ場に限定し、名称をゴルフ場利用税に改めるとともに、標準税率を八百円に引き下げることとし、あわせてゴルフ場所在市町村に対する交付金の交付率を十分の七に引き上げることといたしております。
その六は、料理飲食等消費税についての改正であります。料理飲食等消費税につきましては、消費税の創設に伴い、名称を特別地方消費税に改めるとともに、免税点を宿泊等に係るものにあっては一万円、飲食等に係るものにあっては五千円に引き上げ、標準税率を百分の三に引き下げるほか、基礎控除及び奉仕料控除制度並びに領収証の交付義務の廃止等の措置を講ずることといたしております。
その七は、電気税、ガス税及び木材引取税についての改正であります。電気税、ガス税及び木材引取税につきましては、消費税の創設に伴い、廃止することといたしております。
このほか所要の改正を行うことといたしております。
次に、消費譲与税法案につきまして御説明申し上げます。
今次の税制改革において、新たに国税として消費税が創設されることとなったのでありますが、地方財政におきまして、地方公共団体の財源の安定的な確保に資するため、この消費税の収入額の五分の一に相当する額を消費譲与税として都道府県及び市町村に譲与することとする必要があります。
これがこの法律案を提案いたしました理由であります。
以下、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
第一は、消費譲与税の総額でありますが、消費税の収入額の五分の一に相当する額とし、そのうち十一分の六に相当する額を都道府県に、十一分の五に相当する額を市町村に譲与するものといたしております。
第二は、譲与の基準でありますが、都道府県に対して譲与すべき消費譲与税は、その四分の一の額を人口により、他の四分の三の額を従業者数により、市町村に対して譲与すべき消費譲与税は、その二分の一の額を人口により、他の二分の一の額を従業者数により、それぞれ案分して譲与するものといたしております。
なお、譲与基準の数値につきましては、消費の態様その他の事情を参酌して補正することができるものとしております。
第三は、譲与時期及び譲与時期ごとの譲与額でありますが、まず、譲与時期につきましては、七月、十月、一月及び三月とし、また、譲与時期ごとの譲与額につきましては、七月にあっては三月から五月までの間に、十月にあっては六月から八月までの間に、一月にあっては九月から十一月までの間に、三月にあっては十二月から二月までの間に、それぞれ収納した消費税の収入額の五分の一に相当する額を譲与することといたしております。
第四は、消費譲与税の使途でありますが、条件をつけ、または制限をしないことといたしております。
第五は、経過措置でありますが、譲与の基準及び譲与時期ごとに譲与すべき額について、一定の期間、所要の経過措置を講ずることといたしております。
次に、地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
今次の税制改革に伴い、創設される消費税を地方交付税の対象税目に加え、その総額の安定的確保を図るとともに、所得税、法人税及び酒税の減税に伴う地方交付税の減収を補てんする等地方財政の運営に支障の生じないようにするため、所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の三十二に加えて、消費譲与税分を除く消費税の収入額の百分の二十四を地方交付税とすることといたしたいのであります。
以上が地方税法の一部を改正する法律案、消費譲与税法案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/4
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005・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 次に、税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案、消費税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の四案につきましては、衆議院の委員会、本会議において修正されておりますので、この際、衆議院における修正部分について順次説明を聴取いたします。
まず、衆議院の委員会において修正された部分について、衆議院税制問題等に関する調査特別委員長代理海部俊樹君から説明を聴取いたします。海部君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/5
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006・海部俊樹
○衆議院議員(海部俊樹君) ただいま議題となりました税制改革法案等に対する衆議院における修正部分につきまして、その概要を御説明申し上げます。
御承知のとおり、衆議院における修正は、税制問題等に関する調査特別委員会において行われた修正と、本会議において行われた修正がございますので、これらを区別して御説明申し上げます。
初めに、委員会での修正について申し上げます。
委員会におきましては、税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案、消費税法案及び地方税法の一部を改正する法律案、以上四法案に対して修正を行っております。
まず、税制改革法案に対する修正は、政府案において、国税に係る改革の実施時期のうち昭和六十三年十月一日とありますのを、この法律の施行の日及びその翌日に改め、また、施行期日について、昭和六十三年十月一日としておりますのを公布の日に改めることにいたしました。
次に、所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正は、第一に、上場株式等の譲渡益に対する課税につきましては、政府案では申告分離課税と源泉分離課税との選択によることにしておりますが、上場等の日以前に取得した株式等のうち同日以後一年以内に譲渡するものについては、源泉分離選択課税の対象としないことにし、この場合において、上場等の日において所有期間が三年を超える上場株式等を同日以後一年以内に譲渡した場合、当該譲渡益の二分の一に対し課税することにいたしました。
第二に、この法律の施行期日は、政府案では、原則昭和六十三年十月一日としておりますのを原則公布の日に改めることにいたしました。
第三に、株式等の譲渡益に対する所得税の課税のあり方については、利子課税のあり方の見直しとあわせて見直しを行うことにするほか、所要の整備を図ることにいたしました。
次に、消費税法案に対する修正は、政府案では、この法律の施行期日について、原則昭和六十三年十月一日としておりますのを、原則公布の日に改めるとともに、これに伴う所要の整備を行うことにいたしました。
最後に、地方税法の一部を改正する法律案に対する修正は、株式譲渡益課税に関し、所得税に準じて、所要の修正を行うことにしたものであります。
以上が委員会における各修正の概要であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/6
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007・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 次に、衆議院の本会議において修正された部分について、修正案提出者衆議院議員野田毅君から説明を聴取いたします。野田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/7
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008・野田毅
○衆議院議員(野田毅君) 本会議での修正について申し上げます。
本会議におきましては、税制改革法案、所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案、以上三法案に対して修正を行っております。
まず、税制改革法案に対する修正は、第一に、消費税の転嫁に関する規定について、消費税の円滑かつ適正な転嫁に関する事業者の義務を明確化するとともに、事業者が取引に際し課せられる消費税の額が明らかとなる措置を講ずる場合をも踏まえ必要な施策を講ずるものとする等国の義務を明確化することにいたしました。
第二に、消費税になじみの薄い我が国の現状を踏まえ、昭和六十四年九月三十日までは、その執行に当たり、広報、相談及び指導を中心として弾力的運営を行うものとする旨の規定を設けることにいたしました。
第三に、消費税の中小事業者の事務負担等に配慮した小規模事業者に係る免税措置、簡易課税制度等の諸措置については、納税者の事務負担、消費税の転嫁の状況、納税者の税負担の公平の確保の必要性等を踏まえ、消費税の仕組みの定着状況等を勘案しつつ、その見直しを行うものとする規定を設けることにいたしました。
次に、所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正は、第一に、年齢七十歳以上の障害者である控除対象配偶者または扶養親族を老人控除対象配偶者または老人扶養親族に含めることにするほか、同居特別障害者の特別控除額について、政府案の二十万円を三十万円に改めることにいたしました。この結果、寝たきり老親を在宅で介護している場合の老人に係る控除額は現行八十万円、政府案九十万円が百二十万円と大幅に引き上げられることになります。
第二に、退職所得に係る退職所得控除額について、勤続年数二十年以下である場合の一年当たりの控除額を四十万円に、勤続年数二十年を超える場合のその超える一年当たりの控除額を七十万円に改めることにいたしました。この結果、勤続三十年の勤労者の退職金の非課税限度額は、現行千万円から千五百万円へと、大幅に引き上げられることになります。
その他、所要の整備を行うことにいたしました。
なお、この所得税関係の修正による減税規模は約千四百億円と見込まれております。なお、本修正が歳入の減少を伴うものでありますので、内閣の意見を求めましたところ、政府としては、諸般の事情に照らし、異存ない旨の意見が開陳されました。
最後に、地方税法の一部を改正する法律案に対する修正は、さきに述べました所得税法等の一部を改正する法律案の本会議修正に伴い、所要の規定の整備を行うことにしたものであります。
以上が本会議における各修正の概要であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/8
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009・梶木又三
○委員長(梶木又三君) 以上で趣旨説明並びに衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314585X00219881121/9
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