1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年十一月二十二日(火曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
十月二十六日
辞任 補欠選任
村上 正邦君 鳩山威一郎君
十一月二十一日
辞任 補欠選任
小野 明君 山口 哲夫君
野田 哲君 及川 一夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 大城 眞順君
理 事
板垣 正君
名尾 良孝君
永野 茂門君
久保田真苗君
委 員
大島 友治君
大浜 方栄君
岡田 広君
亀長 友義君
古賀雷四郎君
桧垣徳太郎君
及川 一夫君
山口 哲夫君
飯田 忠雄君
峯山 昭範君
吉川 春子君
柳澤 錬造君
国務大臣
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 小渕 恵三君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 高鳥 修君
政府委員
内閣法制局第二
部長 大森 政輔君
人事院事務総局
職員局長 川崎 正道君
総務庁長官官房
長 山田 馨司君
総務庁人事局長 勝又 博明君
総務庁行政管理
局長 百崎 英君
総務庁行政管理
局行政情報シス
テム参事官 重富吉之助君
総務庁統計局長 田中 宏樹君
事務局側
常任委員会専門
員 原 度君
説明員
警察庁長官官房
企画課長 菅沼 清高君
外務省経済局国
際機関第二課長 小田野展丈君
大蔵大臣官房企
画官 白須 光美君
文部省初等中等
教育局小学校課
長 菊川 治君
厚生省保健医療
局管理課長 矢野 朝水君
通商産業省機械
情報産業局情報
処理システム開
発課長 中島 一郎君
通商産業省機械
情報産業局電子
機器課長 本田 幸雄君
郵政大臣官房文
書課長 谷 公士君
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本日の会議に付した案件
○行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付)
○統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付)
○行政機関の休日に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/0
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001・大城眞順
○委員長(大城眞順君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る十月二十六日、村上正邦君が委員を辞任され、その補欠として鳩山威一郎君が選任されました。
また、昨二十一日、小野明君及び野田哲君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君及び及川一夫君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/1
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002・大城眞順
○委員長(大城眞順君) 行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案、統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案、行政機関の休日に関する法律案及び一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。高鳥総務庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/2
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003・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) ただいま議題となりました行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案、統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案、行政機関の休日に関する法律案及び一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、一括してその提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案について御説明申し上げます。
我が国におきましては、近年、社会における著しい情報化の進展を背景として、行政機関においても個人情報の電子計算機による処理が拡大し、行政運営の効率化や行政サービスの向上に大きく寄与しておりますが、一方で、従来の手作業による処理には見られない電子計算機処理の特性から、個人の権利利益の侵害のおそれとこれについての国民の不安感の存在が指摘されているところであります。
このため、電子計算機処理に係る個人情報の取り扱いに関し必要な事項を定めることにより、個人の権利利益を保護するとともに、臨調答申でも指摘されている行政に対する信頼性の確保を図ることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の内容についてその概要を、御説明申し上げます。
第一は、この法律の目的であります。
この法律は、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の取り扱いに関する基本的事項を定めることにより、行政の適正かつ円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益を保護することを目的とするものであります。
第二は、個人情報の電子計算機処理に関する事項であります。
行政機関は、所掌事務を遂行するため必要な限度において、かつ、できる限り目的を特定して個人情報ファイルを保有することとし、総務庁長官
は、一定の事由に該当する場合を除き、個人情報ファイルの保有目的、記録項目等について公示することとしております。
また、行政機関の長は個人情報の安全及び正確性を確保するよう努めなければならないとともに、個人情報を原則として個人情報ファイルの保有目的以外の目的のために利用し、または提供してはならないこととしております。
第三は、個人情報の開示及び訂正等であります。
行政機関の長は、本人から個人情報の開示請求があったときは原則としてこれを開示することとし、訂正等の申し出があったときは調査し、その結果を通知することとしております。
第四に、法施行の統一性を確保するため、総務庁長官は資料の提出及び説明を求め、意見を述べることができることとしております。
第五は、この法律の規定の適用除外であります。
統計法に基づく統計調査によって集められた個人情報及び統計報告調整法に基づく統計報告の徴収によって得られた個人情報については、この法律の規定を適用しないものとしております。
第六に、地方公共団体及び特殊法人が個人情報の電子計算機処理を行う場合には、国の施策に留意しつつ所要の措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
次に施行期日等についてであります。
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、個人情報の開示及び訂正等に係る規定については、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することといたしております。
続きまして、統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
最近における社会経済情勢の変化に即応し、統計行政の円滑な運営に資するため、統計調査に係る秘密の保護を図る等所要の措置を講じ、被調査者の統計調査に対する信頼を確保することが求められております。
このような要請にこたえるとともに、ただいま御説明申し上げました行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案に関連して、統計関係法令においても別途所要の規定の整備を図る必要があるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、指定統計調査以外の統計調査等につきましては、現行法上秘密の保護に係る規定が整備されていなかったことから、その秘密の保護を図ることとしております。
第二に、指定統計調査以外の統計調査等によって集められた調査票等につきましては、現行法上その使用規制に関する規定が整備されていなかったことから、統計上の目的以外に使用することを規制することとしております。
第三に、指定統計調査等によって集められた調査票等の滅失、漏えい等を防止するため、調査実施者が適正な管理を行うこととしております。
その他、この法律案におきましては統計調査の運営上必要な規定の整備を行うこととしております。
続きまして、行政機関の休日に関する法律案について御説明申し上げます。
政府は、真に豊かさを実感できる国民生活を実現するため、国全体として労働時間を短縮することを当面の重要課題の一つとして位置づけ、その推進に取り組んでいるところであります。その一環として行政機関については公務の円滑な運営を図りつつ週休二日制を推進するため土曜閉庁方式を導入することが必要であると考え、このため、毎月の第二及び第四土曜日を従来から休日として扱っている日曜日、国民の祝日等と合わせて行政機関の休日として規定するとともに、期限の特例について必要な措置を講じることとし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、日曜日並びに毎月の第二及び第四土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、十二月二十九日から翌年の一月三日までの日は行政機関の休日とし、行政機関の執務は原則として行わないものとしております。なお、行政機関の休日においても、各行政機関がその所掌事務の性格等にかんがみ、必要に応じてこれらを遂行することを妨げるものではないことを念のため規定しております。
第二に、国の行政庁に対する申請、届け出等の期限で一定の要件に該当するものについては、その期限である日が行政機関の休日に当たるときはその翌日をもって期限とみなすこととしております。
なお、以上のほか、附則において、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することを定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
続きまして、一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
政府は、ただいま御説明申し上げましたとおり、行政機関において土曜閉庁方式を導入することが必要であると考えておりますが、土曜閉庁方式の導入に伴う週休二日制の実施方法及び勤務時間制度の改正について、本年八月四日、人事院勧告が行われました。
この法律案は、この人事院勧告を実施するため、一般職の職員の給与等に関する法律について所要の改正を行おうとするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、日曜日並びに毎月の第二及び第四土曜日等四週間につき二の土曜日は勤務を要しない日とし、勤務時間は、月曜日から金曜日まで及び勤務を要しない日以外の土曜日において割り振ることとしております。
第二に、各庁の長は、勤務を要しない日に特に勤務させる必要がある場合には、かわりの日を勤務を要しない日として休ませることができることとしております。
なお、以上のほか、附則において、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することを定めるとともに、関係法律について所要の改正を行うこととしております。
以上がこれらの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/3
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004・大城眞順
○委員長(大城眞順君) 以上で四案の趣旨説明の聴取は終わりました。
それでは、これより行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案及び統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案の両案につきまして質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/4
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005・及川一夫
○及川一夫君 主にこの法案に関する基本的な部分について質問を集中的にやらしていただきたいと思います。
そこに入る前に、現状について認識を一致させたいという気持ちもございまして、今政府の行政機関が持っている個人情報、統計情報、それらを含めて明らかにしていただきたいというふうに思うんです。
まず第一にお伺いしたいのは、今政府の各省が所有し使用しているコンピューターの台数さらにはファイル数などについて、この際総務庁の方からトータル的に明らかにしていただきたいということを質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/5
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006・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
昭和六十二年度末現在で総務庁が調査しました結果では、コンピューターにつきましては買い取り額一千万円以上のものが八百三台設置されております。
それから、ファイル数等データ量を総数で申し
上げますが、昭和六十三年六月末現在で調査しました結果では、十九省庁におきまして二百五十四ファイル、十一億四千二百三万件の個人情報ファイルを保有しております。このほか文部省の国立学校分といたしまして千二百七十四ファイル、九千六百六十二万件ございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/6
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007・及川一夫
○及川一夫君 このコンピューターの台数なりファイル数などにつきましては、関連した特殊企業、こういったものも入っておるというふうに認識してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/7
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008・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 恐れ入りますが、もう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/8
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009・及川一夫
○及川一夫君 政府の関連した事業所がありますね。例えば、NTTであるとかKDDであるとかその他それぞれ政府の事業を委託しているところがございますね。そういう特殊団体などを含めた数字と理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/9
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010・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
特殊法人等関連した企業は入っておりません。行政機関の持っている数字だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/10
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011・及川一夫
○及川一夫君 それを入れたらという意味になりますが、ここでは入れない数字ですから。したがって、特殊法人等が持っているものは、概数でいいんですが、どれくらいあるというふうに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/11
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012・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 六十九の特殊法人で千二百十八台持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/12
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013・及川一夫
○及川一夫君 これだけのものですから一つ一つ各省庁をお伺いするのは大変だというふうに思いますので、あらかじめ御通知申し上げましたように郵政省それから厚生省、警察庁、文部省について、今の要領で結構でございますけれどもこの四省について、コンピューター台数並びにファイル数などについていかがになっていますか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/13
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014・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 郵政省から申し上げますと、台数で九十でございます。ファイル数が三十九、データ量が四億四千百七十七万件でございます。
厚生省が、コンピューターの台数が二十二台、ファイル数が七十三、データ量が四億一千四十八万件でございます。
警察庁が、コンピューターの台数が六台でございます。ファイル数が四、データ量が五千七百三万件でございます。
文部省が、国立学校を除きましてまず申し上げますと、コンピューターの台数が七台でファイル数が十一、データ量が五万件でございます。そのほか国立学校が、ファイル数が千二百七十四、データ量が九千六百六十二万件で、ちょっと手元にコンピューターの台数を持ちませんので御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/14
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015・及川一夫
○及川一夫君 これは、要するに行政官庁関係ということで明らかにしていただきましたが、民間企業が使用しているコンピューターは、同じような要領で見たときに、これは通産省ということになりましょうか、把握しておられますか。把握しておられればその概要をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/15
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016・本田幸雄
○説明員(本田幸雄君) 通産省の調査によりますと、昭和六十二年六月末現在、民間で使用しています汎用コンピューターの台数は約三十万五千台でございます。
それから、これらのコンピューターはどういう分野に使用されているかということでございますが、製造業、卸売・小売業、金融・保険業などあらゆる業種において生産管理あるいは科学技術計算、受発注管理、経理・財務処理等の幅広い用途に使われております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/16
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017・及川一夫
○及川一夫君 今御紹介をしていただきましたようにコンピューターによる情報管理というのは大変な数に上っておるし、だからこそこのような法案が政府から提出された。遅いというふうに私は思うんですけれども、しかし過去は過去ですから今さらそれをなじってみてもしようがないんですが、いずれにしても大変な実態にあるのではないかというふうに思うのであります。
ところで、これほどコンピューターでありとあらゆるところが情報管理をされている、これがさらに発展をするというようなことについて、長官、国民の皆さんはどれほど知っておられるとお感じになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/17
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018・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) コンピューター処理によりまして個人の情報が官庁あるいはまた地方公共団体さらに民間等を含めましてかなり幅広く収集されているということにつきましては、最近テレビその他報道媒体を通じましてしばしば取り上げられているところであります。また、日常の国民生活におきましても、ダイレクトメールなどを通じまして自分の名前がどうしてこういうところからわかって入ってくるのかということについて、個人のいろいろな、本来ならば他人に知られたくない情報まで管理されているのではないかという不安感というものもかなりあるということは、総理府等が行いました世論調査に対する回答などでもはっきり示されているところであります。
したがいまして、国民の皆様からはプライバシーを守る一環として個人のデータについて適切な保護を望む声も非常に高まっているというのが今日の状況であろう、このように把握いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/18
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019・及川一夫
○及川一夫君 今長官がおっしゃられた程度の感じ方は国民全体として持っておられるんですが、改めてみずからの個人情報について、プライバシーを侵されたくないという明確な感覚で、それを生きる権利の問題として考えそして政府なりあるいは関係方面に対して問題が起きないように要求をしていくというところまではまだまだ高まっていないというふうに私は率直に思うのであります。そういうことがなぜそこにとどまっているかということになってまいりますと、結局は、政府がまずもってコンピューターを持ちそれでもってどんな管理をしているかということがオープンにならない、公開されていないということが私は大きな要因ではないのか、こう思うのであります。
OECDの論議の経過などからしましても、やはりかくかくの理由をもってコンピューターを採用し情報管理をする、それでよろしいなということがまずもって国民に知らされた上で、ある一定のコンセンサスを得ながらコンピューターによる行政管理が行われていくという順序を経ていれば私はそういったことはなかったというふうに思うんですが、どうしても便利さが先に立ちます。そういった点では政府だけではなしに民間企業そのものもそういう実態にあるわけでありますから、この点は大いに反省をしながら今後のあり方の問題としても考えていくべき問題ではないかというふうに私は思っているのであります。そういう点で少し実態というものについて、この際この委員会でも明らかにして認識を深めるべきだ、実はこういう気持ちがしてならないのであります。
そういう点でまず取り上げてみたいと思うのは、郵政関係のコンピューター使用の問題であります。
九十台も使っておられるし、四つ挙げた省庁の中でも飛び抜けてコンピューターが郵政の場合使われています。しかも四億を超える項目がコンピューターにインプットされているわけでありますから、郵政がどんなものをコンピューターにインプットしているのか、まず事情をお知らせ願いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/19
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020・谷公士
○説明員(谷公士君) お答え申し上げます。
郵政省が保有しております個人情報の内容でございますけれども、郵便貯金、簡易保険等の原簿ファイル、これが大部分でございます。そのほかのものとしましては、無線従事者のファイルそれからアマチュア無線局のファイルといったようなものがございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/20
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021・及川一夫
○及川一夫君 ちょっと郵政の方、そこにおってください。
郵便の台帳などについては、確かに世帯主の氏名から始まって家族名あるいは同居者名というようなことを中心にしながら住所が記載されている
ということにとどまっているようではありますけれども、貯金、保険ということになりますと、これは貯金や保険の性格上当然だとは思いますが、証書の記号・番号から始まって大体十項目がコンピューターにインプットされているわけであります。
問題は、この郵政省のコンピューターにインプットされている問題について、今度の法案との関係で事前に長官に公示をするために通知をするという項目は幾らありますか、それをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/21
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022・谷公士
○説明員(谷公士君) ちょっと項目数としてお答え申し上げられませんけれども、ただいま申し上げました郵便貯金の原簿ファイルでございますとかそれから簡易保険のファイルでございますとかそれから無線従事者、アマチュア無線局ファイル、こういったものにつきましては事前通知を申し上げることになっております。事前通知の対象になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/22
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023・及川一夫
○及川一夫君 確かにこの中で、契約者の氏名であるとか被保険者の氏名であるとかあるいは保険金受取人氏名、年金受取人氏名、こういった問題などについて、やはり個人の情報としては非常に重要な問題ですね。さらには貸付状況などというようなことも当然知られたくないものとして存在しているということですから、長官に対してこういうものを通知しなければいけない。やはり長官のある一定の監督下に置くといいますか、正しい運用をしてもらうためにこういったものが通知をされるということはわかるのでありますけれども、問題は、こういう内容につきまして個人から開示を求められた際に、その開示要求に対してその本人の権利として認めるか、調査をして通知するだけに終わるか終わらないかという問題は、私は本人にとっては大変大きな問題だというふうに思っているわけです。
そういう面から言いますと、今度の法律案が、この種問題について申し込みがあった場合に調査をして通知するというだけで果たしていいのかどうかということが私は一つの問題点としてあるように思っておりますが、郵政事業ではこういったものが主に行われているという点、問題点はそこにあるんじゃないかということを指摘しながら、次の問題として厚生省の問題であります。
厚生省では二十二台で七十三項目のファイルがある、こういうことになるわけですが、とりわけ厚生省の中でも医療関係の問題ですね。あるいは年金受給の問題でも同じような問題があるかもしれませんが、医療関係の開示の請求というか要求、こういうものに対して厚生省として一体どういうふうにお考えになるのか。そのことをお聞きしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/23
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024・矢野朝水
○説明員(矢野朝水君) お答え申し上げます。
厚生省関係ではいろいろございますけれども、国立病院・療養所の保有します医療情報につきましては、実は開示の対象から除外されているわけでございます。
これはどういうことでこういうことを考えたかと申し上げますと、率直に申し上げましてがん等の不治の病というのがございます。こういったものにつきましては現在でも医師は患者にありのまま伝えない、こういうことが結構多いわけです。一方で、国立病院・療養所の保有します医療情報の中にはそういった疾病名とか検査とか薬だとかそういったものが入っているわけでございまして、こういったものを開示することが果たして患者にとっていいんだろうか。つまり、医師が患者に通報しないということは治療効果等を考えてショックが大きいというようなことでありのまま伝えないわけでございますし、そういったものを今回こういった法律の中で開示をするということはやはりまずいんじゃないか、こういった問題は医師と患者の信頼関係にゆだねた方がいいんじゃないか、こういうことで開示対象から除外させていただいたと、こういうことでございます。
ただ、この問題につきましては、現在のそういった医学の状況ですとか国民感情とか、こういったものに照らし合わせてそういった措置を講じようと考えているわけでございまして、これが将来国民の意識も変わってまいる、医学も進歩してまいる、そういうことになりますとその辺の見直しということも当然必要になってくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/24
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025・及川一夫
○及川一夫君 厚生省の二十二台のコンピューター、七十三項目のファイルですか、これは大きく分けると年金関係と医療関係に分けられるような気がするんですが、実態はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/25
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026・矢野朝水
○説明員(矢野朝水君) これは、先ほど申し上げましたように七十三ファイル、四億一千万件でございますけれども、そのうち圧倒的多数が社会保険関係でございまして、これが九ファイル、四億件となっております。これは国民年金、厚生年金、健康保険、こういった関係でございます。それから、国立病院・療養所の医療情報、これが四十六ファイル、三百四十万件。その他医師、歯科医師等の身分法関係のファイルが十二ファイル、九十二万件。それから、遺族年金等の援護関係のファイル、これが五ファイル、八十二万件、こういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/26
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027・及川一夫
○及川一夫君 先ほど開示請求から除外をする理由が述べられたんですが、確かに患者といっても人それぞれですから、おっしゃられる点がすべて間違いだ、当たっていないというふうには申し上げるつもりはありません。
私も五十九歳までの間に、一度ですけれども胆石という病にかかって手術をしました。私などは正直申し上げて自分の体の状態を知りたいという気持ちの方が先でございまして、たまたまこういう仕事をやっているものですから、心臓の方には異常がないというふうに医者が判断したかどうか知りませんが、すべて話をさせていただいた。話をしていただくと、やはり、もりもりと生きる望みといいますか、おれは大丈夫だというのと頑張れば何とかなるんだというそんな気が起きてくるわけですね。だからお医者さんも、そうでない気の弱い江副さんみたいな人には恐らく話をしないのかもしれませんけれどもね。(「江副さん気が弱くない」と呼ぶ者あり)気の弱くないという御意見もあるようでございますけれども、それはそれとして、いずれにしても患者自身が本人として求めた場合に、一切応じないという原則に立つのはどんなものですかね。この人に言ったらあすにでもころりと逝くというような判断をした場合には確かにそれはちゅうちょするでしょう。ちゅうちょはするけれども、恐らく家族には話をされるんだと思いますね。だから、家族という問題も含めて、開示の要求というか請求というか、あるいは患者が退院をしてまさにリハビリを含めて社会に再出発しよう、そういう努力の段階にある人から請求された場合に、それは認めないということで果たしていいのかどうか。見直しのことはわかりましたけれども、むしろそのぐらいのお気持ちがあるなら、出発当初からそうされたらどうかというふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/27
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028・矢野朝水
○説明員(矢野朝水君) 開示の対象から除外したのは今申し上げたような理由でございますけれども、その検討の過程におきまして、一応開示の対象にはする、しかし相手をよく見て実際開示するか不開示にするかその辺の判断は裁量に任せる、建前としては一応開示対象、こういうことでやったらどうか、こういう議論も実はあったわけです。
ただ、そういたしますと、開示を求めた方が実際、あなたの場合は不開示です、こういうことを言われたとなりますとやっぱりそんなに悪いのかということで、医師も教えなかったしそういう行政機関に尋ねても教えてもらえなかった、ほかの人は教えてもらえた、私だけは教えてもらえなかったということになりますとかえってショックを受けられるんじゃないか。だから、こういった問題はやはり医師と患者の信頼関係、そういった中で円満に解決していただく、こういうことが一番望ましいんじゃないかと、こういう結論になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/28
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029・及川一夫
○及川一夫君 このことで余り時間をかけるつもりはないんですが、薬の間違いなどということも起きている話も衆議院では参考人の方から意見が
出ていましたですね、一つの例として。つまり、コンピューターにインプットされた病名というか、そういうものが違ったために別の薬が渡されたなどというようなことも実はあるわけですわね。ですから、そういうことなどを含めて原則的に全く開示を認めないなどということについてはこの法律自体にやはり本質的な問題が含まれているんじゃないかという気持ちがするんですが、一応それはそこに問題点があるということを申し上げて、次の問題として文部省の方にお伺いをしたいのであります。
まず、文部省の方にお伺いしたいのは、ことしの四月の十三日の新聞報道でございましたが、浜松の小学校において家族調書というものがあった、その家族調書の内容がプライバシーどころではない、こんなものを調書としてとって教育に一体役立つのかという疑問を含めて父母から反発があって見直しをせいという要求があったということが報道されましたですね。それで、おおむねは見直しにいくという意味の報道であったように思うんですけれども、まず、この事件はどうなったかということについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/29
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030・菊川治
○説明員(菊川治君) お答えいたします。
学校教育におきましては、児童の一人一人の個性をできるだけ尊重するということとともに、発達段階に応じまして実現ができるような資質と態度を養っていくということを目標としておるわけでございまして、そういった意味から生徒一人一人の適性や興味、関心、能力等を十分踏まえた生徒指導が必要なわけでございます。特に、最近、いじめとか校内暴力、登校拒否といった学校教育に適応しない児童生徒がふえておるときには、そういった観点からの指導が大事だと思っております。
先生御指摘の静岡県浜松市の小学校につきまして、これは新入生、新入の児童についての家族調査でございますけれども、先ほど申しました児童生徒指導という意味からいいますと、特に新入生の場合は全然情報がないわけでございますので、家庭との連携の上に立ってこれまでの生育歴とかあるいは家族の状況それから本人の性格とか習癖とか健康状況等を十分踏まえた指導が必要なわけでございます。
ただ、その問題の、御指摘の小学校につきましては、確かに余りにも細かく細目にわたります調査がなされておったということで、校長もその問題を意識いたしまして検討いたしまして、家族の調査の項目につきましては保護者の最終学歴とか出産状況、授乳状況、持ち家状況とか部屋数の状況といったそういう細かい生徒指導に直接関係ないものについては削除していく。それからまた、本人の状況についても自由記述をふやしていくとかあるいは特に特徴のあるものについて書いてもらうというふうに改善をし、来年の四月から実施していきたいというふうな報告を受けております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/30
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031・及川一夫
○及川一夫君 こういう調書はコンピューターにインプットするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/31
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032・菊川治
○説明員(菊川治君) 現在、小学校のパソコンの保有状況は、保有校数でいいますと一三・五%、それから小学校でパソコンが操れる先生は六・九%というデータが六十二年度末の状況でございますけれども出ておるわけでございます。
そういったことからしましてごく一部の学校ではこういったパソコンに入れて処理しているという例もあるかと思いますけれども、一般的にはまだ小学校段階ではそこまではいっていないというふうな解釈をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/32
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033・及川一夫
○及川一夫君 将来的にはこれは恐らくコンピューターにインプットすることになると思うんですね。そうなりますと、今課長さんも触れられたんだけれども、長官、とにかく何でもコンピューターに入れようと思えば入るわけでして、そういう意味からいうと、削除されたと言うからいいんですけれども、内容的に子供の生育との関係でお子さんが難産だったのか安産だったのか、難産であれば帝王切開であったのかどうかというそういう細かいところまでお聞きするわけですね。あるいは、今その子供は排便は一日に何回するとか、どうも教育に余り関係ないようなことがどんどん入れられているわけですね。しかも、今おっしゃられたように、新しい学校に行けば必ず身上調書なるものを書かされるわけですね。その身上調書も大体各学校が独自に発想されているんだろうと思うんですね。
問題なのは、こういう調書をつくる場合に、こういう調書の内容でよろしいかということが一度も聞かれていないんですね。職員会議ぐらいにはかかるのかもしれませんけれども、文部省としてこうしろああしろというようなことを通達とかあるいは行政指導等で行われたことがあるのかどうかということも含めてなんですが、いずれにしてもこれは学校で独自にやられるわけでしょう。しかも、独自でやられる場合に、この内容でいきますよ、父兄の皆さん御協力いただけますかと全員には聞けないかもしれないけれどもPTAとかあるいは父兄の代表を集めて確かめた上で納得の上でこういったものを書かすということがなければ、それこそコンピューター時代になってきているんですから、勝手気ままに入れられたのではたまったものじゃないという気がするんですよ。
その辺のことについて文部省としてはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/33
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034・菊川治
○説明員(菊川治君) 先ほども申しましたように、入学時の児童につきましての生育状況あるいは家族の状況等につきましてはその後の児童の指導に必要な範囲内で行うべきだというふうに思っておりまして、それは学校や地域の実態に応じてそれぞれの適切な内容というものを考えていただきたいというふうなことでこれまでも指導しておりますし、今後もそういうふうな方向でやってほしいと指導していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/34
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035・及川一夫
○及川一夫君 要するに、父兄と相談をし合ってやれば非常にいいというふうにおっしゃられるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/35
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036・菊川治
○説明員(菊川治君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/36
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037・及川一夫
○及川一夫君 ですから、できればやってほしいと言うだけじゃなしに、この種問題をやるときにはこれからは父母の代表と話し合って了解をし合ってやるというふうなそういう作風をもってやるべきであるということを文部省あたりが出すようにしませんと私はそれこそあちこちでトラブルが起こるように思う。
大体この中に、夫婦仲が円満にいっているかどうかなんという質問まであるわけですからね。そんなばかな話はないと思うんですよ。夫婦円満であれば子供が何でもかんでもうまくいくとは限らぬわけでして、夫婦は仲がいいけれども子供をいじめておったらどうにもならないじゃないですか。だから私は、そういう意見が学校内で出て、なるほどそうだなと。それで、教育に関係があるというかプラスになるというか、そういうものについて父兄も理解し納得し合っているというそういう状況の中でこの種の問題はやられるべきだ。コンピューター時代を迎えているだけに、私は特にそういったことの問題点があるということを明らかにしておきたいと思うのであります。
そして、次に警察庁の問題なんですが、まず警察庁の方にお伺いしたいんですが、警察庁はコンピューターが六台、ファイルが四項目というのですが、ちょっと少ないんじゃないですか。少なくないですか。それで、このコンピューター六台を使ってファイル四項目、どんなことに利用されているのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/37
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038・菅沼清高
○説明員(菅沼清高君) お答えいたします。
警察庁で持っておりますファイル及びそこに収容されている情報の量でございますけれども、運転免許に関する個人情報ファイル、情報量は約五千六百万件でございます。風俗営業に関する個人情報ファイル、情報量約二万件、銃砲に関する個人情報ファイル、情報量約三十三万件、家出人に関する個人情報ファイル、情報量約三万件を作成、管理しております。
このほかに犯罪捜査のための個人情報ファイル
を作成、管理しておりますけれども、その具体的な内容につきましては犯罪捜査活動に影響を及ぼすおそれもございますのでよろしく御了解をお願いしたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/38
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039・及川一夫
○及川一夫君 私、犯罪のところはあえて究明していこうなどという気持ちはないんですけれども、ただそうおっしゃられても、これに出ているじゃないですか。これはお読みになりましたか。「交番のウラは闇」という、これはお巡りさんでも下の人なんですが、松本さんというやめた方です。この本の中に少年カードというのがございまして、これはやっぱり犯罪カードの一つなんですね。それがこの中に実は書いてあるので、どんなことがファイルされているのかという模型だけはわかる気がするんです。
それはそれとして、いいとか悪いとかここでは究明するつもりはありませんが、問題なのは、一つには、巡回ということで自分の管轄している区域を交番に勤務されているお巡りさんが家庭訪問していろいろお聞きになるでしょう。質問をすると法律的な根拠はないというふうにおっしゃられているんですが、巡回ということでいろいろ住民のプライバシーにわたるような問題を聞いて歩いているんです。言わなきゃ言わぬでいいということらしいけれども、人間の心理として、お巡りさんは正義の味方でお巡りさんに言われたらこっちは悪だ、こう思いがちでしょう。だから言わないと悪いような気がしていろいろなことをおしゃべりするということになるんですが、家庭訪問していろいろお聞きになる目的は一体何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/39
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040・菅沼清高
○説明員(菅沼清高君) お尋ねの件は、いわゆる巡回連絡と私ども称しております警察活動のことについてではないかと思いますけれども、この巡回連絡と申しますのは、派出所、駐在所の警察官が、それぞれ担当する地域の家庭や事業所などを訪問いたしまして警察から防犯や事故防止のための連絡、その他必要な連絡をやるための活動でございまして、その折に、お話のように家庭や事業所の任意の協力を前提にしてはございますけれども防犯活動等に必要な事項についてお聞きをしたりあるいは書いてもらったものを出していただいたりするようなことはございますけれども、これはあくまでも協力をお願いしているわけでございまして、任意を前提にしてのものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/40
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041・及川一夫
○及川一夫君 公式の場で説明されると御無理ごもっともに聞こえるお答えになるので、それ自体に対しては治安を守る立場ですから、国民の財産と生命を守る立場ですから、ああ結構な話だな、こうなる。ところが、この本の中に書いてあるものとか何人かのお巡りさんにいろいろ聞いてみると今課長が言ったような形のものではないんですな。建前はそうかもしれませんけれどもね。
住所、氏名は当然でしょう。あるいは家族構成とか、日本人でなければ国籍を聞くとか、勤務先、生年月日あるいは同居者のこと、これだけならまだ何かわかるような気がする。何のためにするんですかというふうに聞いたら、あなたの家を訪ねてきたときに道順を教えるためにも必要だから巡回をしてお尋ねしているんだとか、あなたのところに小さい子供がいるでしょう、迷ったときに連れていく必要があるから実は調べているんだとか、大体そういう程度で納得という形のものになっているらしい、表向きは。ところが、いろいろ聞いてみると、政治活動であれば党籍の話であるとかあるいは家族の中に何人関係していますかとか、しかもそれは必ずしも本人の家に聞くだけでなくて隣近所に聞いてみたりとか、あるいは労働関係、精神異常者あるいは思想関係、購読している新聞の種類、出身校、友人関係、とにかく必要だと思ったことは何でも雑学的と言われてもいいから聞いてしまう。そういうものが案内簿としてあるわけです。
この案内簿に書かれていることは、これはコンピューターに入れるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/41
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042・菅沼清高
○説明員(菅沼清高君) コンピューターファイルにつきましては、先ほどお話をしましたもの、つまり四つのファイルとそれ以外は犯罪捜査に関係のあるものでございまして、巡回連絡をコンピューターに入れているということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/42
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043・及川一夫
○及川一夫君 将来もありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/43
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044・菅沼清高
○説明員(菅沼清高君) 現在は計画はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/44
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045・及川一夫
○及川一夫君 入れていないという証明をどこでするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/45
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046・菅沼清高
○説明員(菅沼清高君) 入れていないという証明と言われましても大変困るわけでございますけれども、現在ファイル化しておりますのは、先ほどお答えいたしました四ファイルとそれ以外は犯罪捜査に直接かかわるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/46
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047・及川一夫
○及川一夫君 それなら、職業として興信所というのがあるでしょう。これには警察の関係の方が非常に多いんですよね。
それで、その興信所で多い案件は、結婚をするときに相手のことを調査するのがかなり多いというわけですね。半数以上だというふうに聞いています。そうすると、結婚の相手を調べるには、今私が読み上げました、住所や何かはともかくとして、名前から始まって、不良であるかないかとか、精神異常はないかとか、家族構成はどうやとか、大体こういう程度のことを興信所は調べなければ御要望に沿ったことにならないと思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/47
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048・菅沼清高
○説明員(菅沼清高君) 興信所のことにつきましては、私ども直接どういうことをどういうぐあいにやっているのかにつきましては承知しておりませんので、お答えするのはいかがかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/48
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049・及川一夫
○及川一夫君 あなたもならぬという保証はないから、調べておく必要があるんじゃないですか。
なぜ私がそういうことを言うかというと、まずこの興信所を経営している人が元警察官であったと仮定しますね。この方が上層部であればあるほど昔の手下というのがいるわけです。警察の機構を皆わかっているわけです。警察ではどんなものを調べているかもわかっているわけです。したがって、こんなものはとちょっと連絡をして、頼むよと言うと、住所と生年月日と氏名を言えば一時間後には返ってくることになっている。それほど近代化されているんですよ、警察の中は。それはそれとして、犯罪捜査に役立てるんですから悪いことではないと思う。しかし、興信所と警察が癒着しているとは言わないが、癒着したような形で、そこで金銭授受まで含めて——警察が売っているんじゃないんですよ。担当している人がさっととってさっと売るということが行われているとこの中に随分書いてあるんです。これは、だれが考えてももっともだな、あり得ることだなと思うわけです。これは、悪いことをするという前提に立てば。そういう警察関係のいろんな調べたものがコンピューターに入っていくとすれば、ありとあらゆるものがというので個人情報が侵されてしまうわけですよ。徹底して侵されるわけです。そういう実態に一番警察はあると思うんです。ですから、警察の犯罪捜査だからどうのこうの言うて開示請求にも応じないわ、それから長官に通知せいというやつもだめだわというのは一体どういうことなんだろうというふうに私は思うんですよ。
だから、余り言いたくないことを言っているような気もするんだけれども、どっちにしても、これは公開されている問題ですから、内閣委員会などではこれ自体を取り上げて、一体うそか本当か、うそなら反論せい、そして責任を果たすべきだというような議論だってこの一冊をめぐってできますよ。うそだというなら告発せいと言うことだってできる内容がいっぱい書いてあります。こればかりじゃありません。私は九冊見ているんだから。その中にいろんなことが書いてありますよ。時間外労働をやらないのにやったことにしてやったとか配ったとか、いろんなことが書いてあるんです。
ですから、長官、個人情報の保護法を提案した立場なんですが、私が今紹介したようなことが事実だとすれば、犯罪捜査にという一言で全部片づけてしまう、個人情報、プライバシーが全部放り投げられてしまうということで果たしていいんですか。そういう欠陥をこの法案は持っていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/49
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050・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 警察関係の内容について
私はつまびらかにいたしておりませんが、一般的に行政については適法、公正に行われなければならないということは当然のことでありまして、公務員には法令を遵守する義務がございますし、かつまた知り得た秘密はみだりに漏らしてはならないという守秘義務も課されておるわけであります。
そういう観点に立って適正に職務を遂行すべきものである、そして知り得た情報についてみだりにそのような形で流されるというようなことはあってはならないことである、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/50
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051・及川一夫
○及川一夫君 それはそうですよ。そうなんですけれども、一つの例として、興信所がもと警察におった古巣との関係で知り得る一つのレールといいますか、そういうものを持っている。本人が開示請求をしても見せられないものがほかの人はどんどん見ることができる。これこそ、個人の秘密だけじゃなしに本人の生きる権利まで侵している、そういう議論にまで発展するほどの問題なんです。
だから、僕は、最低でもそのファイルされている内容が及川一夫なら一夫にとって正しく記録されているかどうかということを確かめる手段ぐらいはこの保護法の中になければ筋が通らないじゃないか、何が保護しているんだということになるんですが、長官、それはそう思わないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/51
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052・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) この法律の第四条に個人情報ファイルを保有する場合について厳密に規定をしておるわけでありまして、「法律の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、できる限りその目的を特定しなければならない。」あるいはまた記録される項目につきましては「範囲及び処理情報の本人として個人情報ファイルに記録される個人の範囲は、前項の規定により特定された個人情報ファイルを保有する目的を達成するため必要な限度を超えないものでなければならない。」等々といたしまして、要するに、適正な行政の執行のために必要な限度においてそれ以上のものを保有してはならないということを、特にコンピューター処理された情報について厳しく要求しているところであります。
警察情報関係につきましては、これはその職務の性格上本人に全部を開示することができないケースがあり得るということで除外をしておるわけでありますが、当然コンピューター処理をされるものでありますから、こうしたことを念頭に置いて処理さるべきものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/52
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053・及川一夫
○及川一夫君 長官、わからないんですよ。
あなたはそういうふうに自信を持っておっしゃられるんだけれども、それなら、今、警察にある犯罪捜査用の調査票というのはどういうものがあるかというのは御存じなんですか。一つ一つ答えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/53
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054・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 先ほど申し上げましたように、警察がやっております職務の内容については、私自身必ずしもつまびらかにいたしているものではございません。
ただ、この法律で縛りますと同時に、公務員には守秘義務あるいは法令の遵守義務等がございましてそれらに基づいてきちっとやるべきものであって、もしそれに違反するような事実があるならばそれ相応の処分を受けるべきものであるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/54
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055・及川一夫
○及川一夫君 要するに、中身は知らないが警察で調べたいろんなものはほかに漏らしちゃいかぬ、漏らした者は罰しますということを長官は言っておるだけなんですよ。
しかし、そうは言っても漏れているでしょう、漏れる場合があるでしょうと。漏れる場合があるということを考えるとなおのこと自分がどう記録されているかということは非常に気になってしようがありませんね、侵されているのか侵されていないのか。だから、せめてそれを見せなさいというふうに主張するのは決して誤りじゃないし、当然の権利だと思うんです。それを犯罪捜査上ということで横に置いちゃっているわけだ。もし横に置くということが認められるというなら、犯罪捜査に必要な項目とは何かについて、何か、委員会やなんかで合意でも得てもらわないと安心して寝られぬという気持ちにもなるんです。しかし、そんなことを今までしていないでしょう。警察庁で犯罪捜査に必要なものはかくかくしかじかのものである、したがってこういうような票をつくってそして放り込んでいく。少年カードなんというものがありますわね。少年カード自体は、十年間、間違いなく本人が移動するところへ全部ついて回るようになっている。よくなろうが悪くなろうがついて回るようになっているんです。それで、十年ぐらいで捨てると言うけれども、果たして捨てるかどうか。コンピューターは捨てないで済むんです、やろうと思えば。
だから、そんなことまで考えると犯罪捜査という言葉一つで片づけるのではなしに、どうしてもそうしなければならないというなら少なくとも国民の代表に、こういう項目は少なくともファイルしておかなきゃいかぬということを相談する場があっていいじゃないですか、理解を求める場があっていいじゃないですか、そういうこともなしに犯罪捜査というだけですとんと片づけてしまうというのは大変な問題じゃないですかと。これはOECDの勧告からいっても、アメリカを初めとした先進国がやっている保護法からいっても、私は大変大きな問題だというふうに思っているんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/55
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056・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) OECD勧告におきましても必ずしもそうした問題についてすべてを開示の対象にしろと言っているわけではございませんで、それぞれの国の実情等に応じて適切な対処がなされるべきものであるというふうに指摘をしておるところであります。かつまた、開示の対象にしておる国の実施状況などについて私自身も調べてみましたが、例えば警察関係のファイルについても、その所在を明らかにしておるけれども開示につきましてはその管轄する機関の長の判断にゆだねておる、さらにまた、その開示を拒否する場合においても必ずしもその理由の明示を求めないというような規定をいたしておるところが多うございます。
したがいまして、警察でいかなる個人情報ファイルを持つかということにつきましては、それは別途大いに御論議をいただくべき問題ではあろうと思いますが、この法律を実施する上において大きな支障ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/56
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057・及川一夫
○及川一夫君 いや、それはファイルを所有する立場の方から見たら何にも支障はないですよ。非常にやりやすいです。しかし、ファイルされる立場からいいますと、今申し上げたような支障を非常に感ずるわけですよ。だから、少なくともその道だけは開くべきではないかということが基本的な要求として存在するということだけはまず私は申し上げておきたいと思います。これは結論を出すに当たって大きな問題点だというふうに申し上げておきたいと思います。
実態論は、本来なら私は各省ごとに全部挙げてやるべきだと思うんです。そういった点ではこの問題の締めくくりとして、各省ごとに四省やりましたけれども、今議論しているような立場に立って総務庁としてまとめて資料としてお配りいただけないか、こういうふうに考えるんです。
というのは、五十七年かに各省のが出てきたことがある。このことが衆議院でもかなり議論されておるんですね。総務庁のお答えとしては、今鋭意調査中だ、集めている、しかしこの衆議院の内閣委員会には間に合わない、あと二週間ほどかかる、こう言っているわけです。ですから、当時の議論からいうと二週間たったんじゃないですか。そういう意味ではまとめてひとつお配りいただきたいというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/57
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058・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 先生から申し出がございましたことにつきましては、私ども、調査結果の取りまとめが終わりましたので明後日でも先生方にお配りをしたい、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/58
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059・及川一夫
○及川一夫君 ありがとうございました。そうな
らなきゃちょっとおかしいわけですね。十月の二十五日の議論だというふうに記憶しておりますからもう一カ月近くたっていますので、ぜひお配りいただきたいと思います。
次に、正直に申し上げまして我が国の国民というのは、個人情報とかプライバシーということに対する感度、これは非常に薄い国民だというふうに私は思うのであります、大変失礼だけれども。なぜなら、実は衆議院に参考人でおいでになったプライバシーを守る中央会議、これは十五年前に結成されているはずなんであります。その動機をつくったのが、私もその一人だというふうにあえて申し上げておきたいわけですが、要するに、コンピューターによってプライバシーがどんどん侵されてしまう。コンピューターというのはもともと行政の仕事の効率を上げるためにつくったんじゃなしに軍事目的があってコンピューターが使われた。したがって、一番先に設置されたのがペンタゴンですね。アメリカの陸軍省ですよ。陸軍省が兵器やなんかにいろいろ使おうと思ったんだが、これほど便利なものはないという観点から、今度は兵隊さんの思想関係から住所から氏名からいろんなものを管理するようになったんですね。これは便利だということで行政に使い始めた。ところが、データバンクは一つ。したがって番号さえ付せば何でもわかる。これは大変だというので、プライバシーの侵害反対から始まって、今度はデータバンクを別々にした。戸籍は戸籍、社会保険は社会保険、財産は財産、税金は税金というように別々にしたんですね。したがって、これでもってプライバシーは守られる、こう思っておったんですが、番号が一つであるという前提に立ちますと、コンピューターの専門家から言わせれば線がつながっている限りは全部知ることができるということをサンフランシスコで実技をされて教わった。やがて日本にもIBMが上陸するよ、IBMが上陸するということはコンピューターが行くよ、行ったら必ず蔓延するはずだ、だからプライバシーのことは大事だよということで、本来の調査の目的はコンピューターと合理化で行ったんですが、帰ってきてみたらプライバシーが大変だというので始まったのが十五年前なんです。だから、総理府とか総務庁とか何々庁と名前がしょっちゅう変わるんでどれがどれだかさっぱりわからぬのですが、そこにはもう十五年間足しげく行きまして、国勢調査では封筒に入れることを推奨したりなんかしているわけですよ。それで初めて政府も、OECDの論議もあり国際化の問題もあって保護法案を出されてきたという経過なんですね。
ところがこのプライバシーの問題は、プライバシーといったって、語音は非常にいいんだけれども何のことかさっぱりわからぬ。だからこの際ということで、日本人は言うたら悪いけれども外人に弱い、外人にしゃべらしたら集まりもいいし理解も早いというのでアーサー・ミラーさんを連れてきて、百五十万かかったけれども東京プリンスホテルでプライバシーを守る国民会議を大変盛況にやらしてもらった。そこから少しずつ行っているんですが、このプライバシーという問題について当局の方はどういう御理解の上に立ってこの保護法案をつくられたか、プライバシー並びにプライバシー権という問題を含めましてお考えをお聞かせ願いたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/59
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060・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 及川委員には大変早くからプライバシー問題についてあるいはコンピューター処理の問題について関心をお持ちいただいておりますことに心から敬意を表する次第であります。
私どもも、プライバシー保護ということが極めて重要であるということについての認識は十分持っておるつもりでございます。ただ、プライバシー全体ということになりますとこれは総務庁の守備範囲を大分超える話でございまして、むしろ法務省あたりが中心になってしかるべき立案をすべきものではないかというふうに考えておるところであります。
プライバシーの中でも私どもが当面考えておりますことは、いわゆる政府が持っております個人の情報、データでありますが、このデータについてしかるべき保護をすることが緊急の課題であるというふうに考えてこの法案を提案したところでございます。しばしばプライバシーの保護として不十分ではないかという御指摘がマスコミないし先ほどお話のありましたような団体ないしは弁護士会、労働団体等から強く出されておることについては私どもも十分承知をいたしておりますが、この法案をもってそれにおこたえするほどの内容には到底なっていないことはやむを得ない、このように考えておるところでありまして、当面、先ほど来御指摘がございますように、電算機がこれだけ活用されてしかもそれがオンライン化されていきつつある、そういう状況の中できちっとした管理をすべきである。今の状況では各省がそれぞれ持っているものについて野放し状態になっておる。幸いなことに日本におきましては、幸か不幸かと申しましょうか、縦割り行政というものが非常に締めつけが強うございまして、今までデータが横に流れて利用されたという例は極めて限られてはおります。しかしながら、今後そうした姿がだんだんに発展していくという場合にきちっとした網をかぶせておく必要があるというふうに考えまして、とりあえずスタートとして政府が持っております個人情報について規制を考えたというのがこの法律の内容であります。
したがいまして、民間部門なりプライバシーの保護全体については、今後当然検討すべき課題であるという認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/60
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061・及川一夫
○及川一夫君 長官の方から率直に法案との関係を含めて述べられましたから、現状に対する評価の問題としては意見の違いはありません。ただ、お互いにこの委員会だけで言い合いしているだけではこれはいけないわけですね。当然、今長官がおっしゃられた問題点を意識すればするほど、やはり国民全体にも呼びかけなければならないし、それからそれぞれの階層の方にもやっぱりそういう意味での関心というものを十分持ってもらえるような方法、手段というのがどうしても私は必要になってくると思うんです。
したがって、お言葉の中にプライバシーということになれば法務省の管轄というお話もございましたが、僕は法律的に律すればいいというものじゃないと思うんです。やっぱり政治というものも入って初めて、プライバシーとは何かとかプライバシー権というものは何かということが正しい意味で結論が出されるものだと私は思うんですね。
そこで、長官にもう一度お伺いしたいんですけれども、そういう御感想を持っておられると。したがって、とにかく政府として縦割り横割りの問題じゃなしに人間一人の問題として全体が結集して論議すべき問題だというふうにおっしゃるのなら、この法案が通った後ということになるでしょうが、何かそういう構想ございますか。法律が成立すればそれでおれの役は終わりだから別なやつに譲るというのではなしに、長官として引き継いでいくというようなことを含めて、何かまとめていく構想というものがおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/61
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062・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) この法案におきましてはとりあえず国が持っております電算機処理をされた個人情報に関する規制を考えておるわけでありますが、民間部門につきましては、通産省あるいはまた大蔵省さらにまた経済企画庁等々においてそれぞれガイドラインの設定なりあるいはまた研究会なりをやっておられるところであります。それで、この法律が制定されますればそれが一つのきっかけになってなお一層前進していくことを私どもも期待をしているところでありまして、総務庁といたしましても、行政の総合調整機能等も発揮いたしましてそうしたことについて推進をしていく努力をしたいというふうに考えておるところであります。プライバシー全体の問題については、国民意識の高揚と相まって努力をしていかなければならない問題というふうに受けとめております。
なお、また地方自治団体におきましても、後ほ
どあるいは御質疑があるかもしれませんが、かなりの団体で今制定をしたりあるいは研究中というところも多うございます。つい最近も自治省におきまして第二次の研究会を発足させたようであります。これは非常に幅広い研究をなさるようでございますので、それらの御意向なども見守りながら一緒に努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/62
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063・及川一夫
○及川一夫君 ぜひそういった立場で全体のものにしていく努力をひとつお願いしたいというふうに思うわけであります。
さらに一方、総務庁が担当だと思うんですが政府広報、これは総務庁じゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/63
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064・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 総理府です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/64
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065・及川一夫
○及川一夫君 総理府ですか。失礼しました。
総理府の問題なら問題として同じ政府ですから、国民意識の問題というふうに触れられましたようにぜひプライバシーというものを大事にする、それからプライバシーというのは自分だけじゃない、他人のこともあるわけですから、そういうものを含めての広報宣伝というものをぜひ強化されるべきじゃないか。税制はまだ意見一致していないんだけれどもそちらの方は大分お金をおかげになっている。頭にくる一つの問題点でもあるんですが、この個人情報の保護法の問題、成立の経過など、今後の展望を含めて見直しをしなければいかぬという点もあるわけですから、そういう点をかなり意識されて国民意識が高揚するようにぜひ御配慮いただきたいというふうに思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/65
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066・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) この法律が成立いたしました暁には、個人情報についての開示ということもございますので、それらを含めましてできるだけ国民の皆様方にこの法律について御理解を深めるような努力はいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/66
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067・及川一夫
○及川一夫君 そこで、次の問題として、この法律の内容と国際的な批判といいますか、このことをひとつ取り上げてみる必要があるんじゃないかというふうに思うんです。
先ほど長官のお答えの中で国それぞれの条件を加味してというふうに言われたんですが、大体国際関係というのはみんなそうじゃないですか。これだけはもうそのものずばりなんというのは、二国間関係ではあったにしても、その他大勢入った会議の中ではそういうものはほとんどなんですよ。私の体験によれば皆そうです。しかし、そこに主題があるんじゃないですね。やっぱりこうあるべきだというところにいかに近づくかまた近づいている姿勢が国際的に容認されるかされないか、ここに私は問題のポイントが隠されていると思うんですよ。
そういう意味でお尋ねをいたしますと、OECDの勧告に対して今回の法案というのは十分でない、不十分さはある、こうおっしゃられておるわけですから、一体これは何合目なんですか。あるいは、勧告そのものが一〇〇だとすればこの法案は何%まで到達したのか。ゼロでないことだけは確かのようですが、どう判断されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/67
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068・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) OECDガイドラインの設定に至る経過につきまして私なりに勉強はさせていただいたわけでありますが、ヨーロッパ各国におきましては個人情報というものが既に国境を越えて流通しているという認識が先にございました。また、事実もあったわけであります。
それは、例えば臓器の移植なんかで、私もこの前テレビを見ていてびっくりしたんですが、ある国でドナーの適当なのがありますとそれを全然違う国のところへヘリコプターで運んでいってすぐに臓器移植をやってしまう。それは、適当な移植を受ける人があるということがコンピューターにインプットされていて、こういう人があるからどうだというので出しますとすぐその適合者が出てくるというような国境を越えた流通が既に行われている。そこで、OECDとしては、そういう必要性を認めながらなおかつ個人の情報について適正な管理がされなければならないというそういう趣旨に基づいてこのOECD勧告が行われたということであります。でありますから、OECDの勧告というものの一つには、そうした行政の需要というものがスムーズに行われる必要があるということに配慮をしつつ、なおかつ個人のプライバシーというものを守らなければならない、こういう観点に立っての勧告であるというふうに承知をしておるところであります。
私ども、実はこの法案を作成いたしました後にOECDに対しまして、日本としてはこういう法案を作成して国会に提出して成立を図りたいということで報告をいたしております。これに対しましてOECDから、その活動報告の中で評価をされております。これはOECDの事務局の報告という形でありますが、日本が近く個人情報保護法案を制定する予定である、その法案の内容は全体としてはOECDの基本原則に合致するものである、「ザ ビル アズ ア ホウル ミーツ ザ プリンシプル オブ ジ OECD ガイドラインズ」、こういうふうにして報告が出されておるところでありまして、OECDのいわゆる勧告のガイドラインには沿うものであるという評価を全体として受けておるということであります。
でありますから、何点つけるのかねとこう言われますと、それは評価されるお立場によっていろいろと違ってくると思いますが、私どもとしてはOECDガイドラインに合格をしておるものであると、このように理解をしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/68
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069・及川一夫
○及川一夫君 合格と言うからには五〇%以上、できれば長官のお立場としては最低でも七十点とこういうふうに宣言されたというふうに受けとめておきます。ただ、言えば、そういう外交辞令もいろいろありますからね。皆さんが行くとそういうお話が出るかもしれぬけれども、我々サイドが行くとちゃちゃめちゃにやっつけられるときがありますからね。
そこで、他人に責任をなすりつけないという意味を含めて、OECDが勧告をした収集制限というのがある、それから本人の同意、勧告はそれを基本にしていますよね。収集するにしても開示請求するにしてもとにかく本人が主権だというそういう立場に立っているわけですよ。そういう立場に立っている点からいうと今度の保護法案というのは一体それに沿っているんですかどうですか、こういうことになると二つともバツになっちゃうわけですよ。我々からいうとこの要素というのは五十点ぐらいの価値があると思いますよ。だから長官が言われた、七十点で合格だとこういってみても、五十点引いただけで五十点しか残らないわけですから、果たしてそういうふうに言い切れるのかなという問題。
それから、情報の質では、確かに必要最小限ということで目的の特定とか正確、完全、最新のものという意味で安全を確保しているという点ではおおむね沿っているというのも、五分の四ぐらいはほとんど入っているかもしらぬという評価ができないわけじゃない。
それから、目的の明確化の問題では、収集目的の事前明示ということは、長官に権限を与える与えないということよりも、何か事前に明示することについてはかなりの部分適用除外というか削除というかがされているのではないか。あるいは、目的変更の理由明示の問題にしても入れることになっていないというふうにやっていきますと、我々の判断からいうとやっぱりかなりの数のバツが出てくるわけです。だから、これは合格点だということで見直しを、四年か五年か知りませんけれども、それまでには一度やってみようということでいいのかどうか。一つだけでも大事なところであるわけだから、本人というものを重視したものについて何とか取り入れていくことが私どもからいえば必要ではないかなというふうに思うんですけれども、絶対今の法律案の修正はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/69
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070・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 先ほど申し上げましたように、私ども、いわゆるOECDの諸原則に合致するようにそれを踏まえて作成、立案をしたつもりであります。
本人同意という問題につきまして、私もドイツの立法例などにつきまして実はヘッセン州の担当官と直接話をいたしまして意見も聞きました。本人同意ということについての問題について、彼らはこのように説明をいたしております。それは、法令等に基づいて収集をされる場合には本人同意というのは問題ではない、民間企業などにおいて任意に収集している場合に本人の同意がないものはそれはいけないよということであって、役所が法令に基づいて行うものについては、これは法律政令の施行上必要なものであるから、それについて本人同意云々ということではないのであるという説明を聞いているところであります。国の場合には大部分がそういう形で行われておりますので、したがって本人同意ということは問題ではないのではないか。そのかわりに、厳しく収集についての制限を課すると申しましょうか、法の適正な執行上必要なものに限るんですよということで規制することによってその目的は達成されるというふうに判断した次第であります。
その他いろいろな条件におおむね合致しているという評価を受けております。これは少し前になりますが、まだ素案の段階でOECDの担当官に私どもの案を示したところ、これは外交辞令かもしれませんが、ガスマンという人ですが、まあ百点満点だという評価を受けたという事実もあるわけでありますので、そうふできなものではないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/70
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071・及川一夫
○及川一夫君 まあ大変知識の豊富な長官にしては少し足りない点があるんじゃないかと僕は思いますよ。
それは、世界各国それぞれ法体系も違いますし、それから一つの法律をつくっていくシステムだって見かけは同じようでも進め方は全然違うんですよ。恐らく西ドイツの法律の決め方なんというのは、何か諮問委員会をぱっとつくってそこに諮問して答えが出たら終わりですなんというようなそんなものじゃないんですね。かなり問題別に分けながらやっていくわけですよ。だから、形からいえば、国民サイドの意見をくみ尽くしたという形の中で国会において論議をされて法が決まっていく、こういう形なんですよね。我が国はどうかということになると、いいとか悪いとかという前に、素直に見たときに、本当にこれは国民の意を尽くしてやってきているだろうかとこう考えると、やっぱり、何やら諮問委員会というのがあってそこを通ればもう国民の声だ、公聴会一回開けばもうそれで終わりだ、それで十分国民の意見を代表しているんだという形でほとんど来ているんじゃないでしょうか。だから、くみ尽くし方が全然違うんであって、そういうくみ尽くした形が十分な形であれば法令云々というのは確かに問題ないかもしれませんよ。だけれども、我が国では、この保護法案一つ見たって、家庭へ行って個人保護法と言ったってわかっちゃいませんよ。ほとんどが何ですかというふうに聞くのが実態じゃないでしょうか。そういう中でこの法律を決めよう、決める論議をしようとやっているわけですから、僕はやっぱり一抹の不安を持つし、その不安をなくすには何といっても、本人が開示請求をしたときには最大限尊重して調査して通知するというようなことだけじゃなしに扱えないものかどうかというようなこととか、収集するというけれども収集項目は何かについて相談をするような機能というものがあっていいじゃないかというふうに、どうしてもこだわりが正直言って出てくるんですよ。これも責任を果たしたいからなんですよね。そういうふうに私は考える。
だから、長官がおっしゃられる点すべてがおかしいと言いませんけれども、もう少し奥深く考えていただくとヘッセン州の方のお答えは必ずしも日本の実情というものを受けとめて理解した上に立ってやっているとは思えないんです。これも、長官の見解と私の見解は対立するかもしれませんけれども、意見として私は申し上げておきたいと思う。
そこで、長官、この点はどうなんですか、プライバシーということを取り上げますと、どう理解されるんでしょうか。普通は個人の秘密を守るというそういうことに限定された意見が私は多いと思いますよ。個人の秘密さえ守ってやればいいんだと。そして、民間の場合の話も出ましたけれども、民間の経営者の方や団体の方といろいろ議論をしてみますと、プライバシーを守るというのは大事だというところまでは意見が一致するんですけれども、何か技術の進歩とか産業の発展を、余りプライバシーを守る守ると言うと阻害してしまう、妨げる要因になる、こういう理解者が非常に多いと私は思っているわけですよ。だから、プライバシーとは何か、プライバシー権とは何かという本質にどうしてもなかなか迫っていくことができない、こういうふうに私は受けとめているんですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/71
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072・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) プライバシーという概念の全体につきましては、ただいまお話のありましたような個人の知られたくない秘密をみだりに漏らしてはならないというようなところから、さらに積極的に自己に関する情報の流れをコントロールする自己情報のコントロール権というところにまで最近は学説としてはいろいろ発展しているようであります。それに対する批判もまたいろいろあるようでありますが、私どもといたしましては、個人の尊厳というものは国政の上において最大限尊重されなければならないという憲法の趣旨に基づきましてこうした問題について対処をしていかなければならないものであるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/72
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073・及川一夫
○及川一夫君 その最後の答えはいいんですけれども、要するに、プライバシーという問題は、いろいろなプライバシーにかかわる情報を持っている側に権利があるのか、収集された側、個人の情報そのものを体に身につけているそれ自体に主権があるのかないのかということの分かれ道だと思っていますよ。だから、学説的には確かに自分の情報は自分でコントロールできる権利とか新しい言葉を生み出すんですけれども、物を考えなければわからぬというのじゃなしにわかるようにするには、個人情報、プライバシーについてはその人間自体に主権があるのであって情報を収集した側にあるのじゃないということだけはしっかり踏まえてこの保護法案というものを煮詰めるべきだし、同時にまた見直しに当たってもそういう観点から見直していくべきだというふうに私は思うんですよ。これは間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/73
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074・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 個人の情報がその本人に帰属するのかあるいは収集した側にその権利があるのかというようなことについては、これは学者先生の御意見を承りませんと、私はどうも法律学者じゃございませんのでその点について的確なお答えをできる立場にはございませんが、いずれにいたしましても、個人の尊厳というものを政治の上において最大限尊重しなければならないという義務を政府は課されておるわけでありますので、そうした観点に立ってすべて考えていくべきものであろう、このように考えておるところであります。
それから、いわゆる自己情報の開示権の問題については、私どももこれを最大限やはり実現をしていくべきものであるという姿勢に立って各省庁と折衝に当たってきたわけでありまして、開示をしないという範囲についてはできるだけ局限すべきものであるというふうに考えておりますし、今後また国民意識の変化あるいはまた今後におけるコンピューター処理の技術の発達等々日進月歩でございますので、それらを踏まえながら改正すべき点は謙虚に受けとめて改正していくべきものであろう、このように考えておりまして、国会のこうした御論議やあるいは学識経験者、世論等を常に勘案しながら対処をしていくべきものであろうと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/74
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075・及川一夫
○及川一夫君 ここでは学者の説でもって右へ行ったり左へ行ったりする気持ちは全くないんです。私も学者の説に基づいて発言しているつもりはないんですよ。私自身の哲学といいますか、大げさに言えばそういう立場から申し上げているつもりだし、法律というのは、どんなことを言ったって
生き物ですからね。しかも人間がつくるものですから、しかも責任者が決まって決められていくわけですから。そういう意味では、学者の説などというふうに言わないで、長官自身のお気持ちとしてどうなんですかと。
これは、今大変な問題になっているリクルートの株の問題でもそうでしょう。恐らく空白になっているところ、どなたがどうなっているのかよくわかりませんけれども、仮にあの中にあるものが漏れてきて、私は全然関係ない、裸になってもいいからどんどん調べてくれと言える事態が仮に長官自身にかぶったというときに腹立たしいでしょうが。おれの名前を勝手に使ったとか、勝手に使うからには住所とか何かをどこかからかせしめているわけでしてね。一体、おれの住所と氏名はだれが教えたんだと、こういう問題にもなっていくでしょうが。そのときにあなたは、住所と氏名についての権利はだれにあるかと言われたときに、収集した側にある、おれにはないと言えますか。僕はそういうものじゃないと思うんですよ。
そういう自分に置きかえてこの保護法はどうあるべきかということを考えていくと、やはり最後に、長官も触れられましたように開示請求についてはというお話。これは、開示請求があったら一も二もなくとにかく本人に対しては見せるということは最低でも僕はなければ安心できないという気持ちなんですよ。
そこのところはどうしても変えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/75
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076・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 開示請求があった場合に、文書でコピーにしてこれを開示するという形になっております。したがって、例えば犯歴照合などという場合に、雇用する側で求職者側に対して、おまえは過去において犯罪を犯していないかどうか、そういうことについてのコピーを持ってこいというふうな請求をされるというような場合に、果たして本人が請求をしてきたからといって直ちに交付をするということが適当であるかどうかというような問題の論議などもいたしまして、そういうふうないろいろな論議を重ねた上で不開示の範囲というものをおのずから定めたわけでございます。私どもといたしましては、開示請求については最大限できるだけ開示をする、しかし、やむを得ない場合、本人の利益にならないような場合には開示をしないということでこの法案についてのぎりぎりの限界線を引いたというふうに御理解をいただきたい次第であります。
なお、また他国の例を出しては恐縮でありますが、実は西ドイツで、これも私、調べた話でありますけれども、初めやっぱり開示がうんと来るだろうと思って大変だということで手数料を五マルク取るというのを決めたんだそうです。ところがやってみたら一向に来なかったので五マルク取るのをやめたという具体的な事例もございまして、こういう制度によって個人の情報の正確性が担保されるというところに開示請求ができる意味があるのではないかというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/76
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077・及川一夫
○及川一夫君 どうも長官、表情からは非常に善意の答弁のように見られるんだけれども、言っておられることはちょっと逆立ちしていませんか。僕はそんなふうに感ずるんですよ。
なぜなら、おまえの犯罪歴を持ってこいと雇用先から言われた、だから請求する、それは本人に不利だからやめておけと。このロジックは、なぜそういうロジックになるんですか。一番いけないところは雇用する側にあるわけでしょう。やるやらぬではないんです。開示するしないじゃないんですよ。これは、そんなことを請求する雇用者が悪いんでありまして、僕ならそんなところで働きませんわ。ばかばかしくてというふうに考えるし、同時にまた常に政府の側は、この種の問題になると悪いこと悪いこと悪いことばかり並べるわけですよ。そして一方では、加えるとしたらこれしかないと、こういう言い方。
それから、今、五マルク取ろうと思ったら全然来ないからやめたと言うけれども、結構じゃないですか。私から言わせれば。来ない、行かぬほど、要するに情報収集に対して国民として信頼しているんでしょうから。結構じゃないですか。それがあるから原則開示を認めないみたいなそういう話に発展さすのは逆立ちだと私は思いますね。
長官、電話番号だって入れるのは大変なんですよ。電話をつけたら電話帳に入れられるものだと思っている人は黙っているだけの話なんです。聞いてごらんなさい。あなたの番号を電話帳に印刷しますかしませんかといったらかなりの人数が嫌だと。大体一五%から二〇%ぐらいは電話帳に印刷しないでくれという状況なんですよ。それも一つのプライバシーといいますか、おれの番号を知られるのは嫌だと。しかも住所も書いてあるものですから、住所まで知られるのはなお嫌だと。つまらないダイレクトメールばかり来ちゃってしようがないやつだという意味も含めて、とにかく嫌だというのですよ。これはいいか悪いかは別なんですけれども、社会の一員としてどうだ、もっとオープンでいったらどうだというけれども、意外と文化人とか芸能人とかマスコミの人にそういう意見が多いですよ。私の体験でも、余りにも電話料金が間違いがあるからけしからぬ、内訳をつけろという世論が出ましたね。そのときにNTTもいろんな諮問委員会をやったようです。私も別の立場でやったことがある。それで、芸能人とか文化人とか有識者という人は何月何日何時何分、どこの番号からどこの番号へどのぐらい話をしたという内訳をつくることについては大いに賛成されると思ったんです。ところがこれは反対なんです。そして、必要のある者にだけ出せみたいなそういう結論になったんです。
それほどやはりプライバシーという問題については理屈じゃなしに持っているということを考えますと、少なくともファイルされたものが正確であるかないかということを尋ねたいという人は絶対いると思います。一回やれば二回目は減るでしょう、あるいは三回目はもっと減るかもしらぬ。長官が言われたように、我が国もそんなのでゼロになるかもしらぬ。しかし、法案自体がそういうものを保障しているかいないかということが極めて大事なところだと思うんですよ。そこのところを本当の意味でぜひ押さえるためにも、この保護法案は私は出してくれたということ自体は評価しているんですよ。全然何にもないんですからね。こんなもの反対してつぶせば得手勝手に歩いていくだけなんですから。こんなばかな話はないんですよ。だから、法案が不十分であっても何とかしなきゃならぬという気持ちは僕らも持っているんですけれども、問題は、そう言いながらもただ一つ、本人の意思といいますか、本人に主権があるんだということをどっかの項目で示してもらいたい、やってもらいたい、こういう願いなんですよ。
それは、長官、もうあきまへんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/77
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078・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 及川委員から本法案について大変御理解のある御発言をいただきましてありがとうございます。
私どもも、自己情報については原則開示ということで各省庁間の折衝をいたしたわけであります。しかしながら、御承知のように政府一体の原則でございますので、各省庁間の合意がなければ法案としては政府で閣議決定できないわけでございますので、ぎりぎりの折衝を通じまして最大限開示範囲を広げたというのが実情であります。
ただいまありましたような御意見等を踏まえながら、私どもとしては今後できるだけそうした方向に向かって努力していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/78
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079・及川一夫
○及川一夫君 もう時間も参りましたので、あとはまた同僚議員の皆さんからも本質的な問題、各条審議を含めて御意見が出ると思いますが、今、長官からお話がありましたように私が申し上げている点を否定的にとらえてはおられない、要するに前向きにいずれにしてもそういう問題を含めて答えを出さなきゃいかぬ、こういうお気持ちで御答弁されたというふうに理解したいと思います。
長官が苦労されてきたことは僕なりにわかってはいるんです。だから、その苦労をわかればわかるほど、本当は各省ごとにプライバシーとは何かとやりたいんですよ。これをやらないことには総務庁がいかに頑張ったってできっこない。そして
最後には竹下総理がどうこの問題を判断されるかの問題なんですよ。むしろそういう体制をつくることが私は一番大事だというふうに思うんです。縦割り横割り、言いたいやつはまあ勝手なことを言っているでしょう。それで今回外れたといってにやにやして喜んでいる人もいるかもしれない。それは失礼な話だというふうに思いますね。だから一番反対したやつを次の総務庁長官にすればいいというぐらいに思うんですよ。意地悪そうだけれども、そのぐらい身に感じてもらわないとこのプライバシー問題というやつはぴんとこないんですよ。自分が追い込まれたときには終わりなんですからね。それをしっかりと受けとめてこの保護法案というものの内容についての是非を論じませんといけないんじゃないかというふうに私は思います。
まあいずれにしても、この法律案に対しては我が党としては極めて重要視いたしておりますし、粘り強く長官以下総務庁の方、自由民主党の皆さんを御説得申し上げるということを申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/79
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080・大城眞順
○委員長(大城眞順君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後一時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/80
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081・大城眞順
○委員長(大城眞順君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律案及び統計法及び統計報告調整法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/81
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082・飯田忠雄
○飯田忠雄君 このたびの法案を拝見いたしまして、根本的には三つの部門で疑問があるように思いますのでお尋ねを申し上げます。
この法律案は衆議院で公明党・国民会議は賛成をしている法律案でございますので、私としましては反対の方向で質問をするというわけではないわけでありますが、しかし、疑問は疑問でございますので率直に御質問を申し上げたい、こう思うものであります。
まず、この法律案は三点について疑問があるわけでございます。まず第一は、OECDの理事会勧告とこの法律案との関係はどういうことであろうかという問題でございます。それから第二は、行政組織の原則とこの法律案との関係に疑問があるのではないかという問題であります。第三の問題は、総務庁の現在の法制下における地位と本案との関係でございます。これより順次これに従いまして御質問を申し上げます。
まず最初の、OECD理事会勧告と本案との関係でございますが、このたびの法律案の立案の一つの理由として、OECDの理事会勧告があるということが言われております。そこで、まずOECD理事会の勧告なるものはどのようなものであるかということをお尋ねをいたしたいわけであります。外務省の小田野さん、おいででしょうか。
まず、OECD理事会勧告というものは、OECDの性格からいいまして限界があるのではないかと推察するわけですが、この点につきましての御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/82
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083・小田野展丈
○説明員(小田野展丈君) お答え申し上げます。
御案内のように、一九八〇年の九月二十三日にOECD、経済開発協力機構におきまして、プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告を採択いたしました。このガイドラインは、プライバシーを保護するとともに、情報の自由な流通を確保することを目的としておりまして、OECD加盟各国に対しまして、他の加盟国のプライバシー保護にかかわる国内法に留意しつつ、この目的を達成するための手段を講じるように要請しているものでございます。
このガイドラインは、その性格上法的な拘束力を有するものではありませんで、各国に対しまして努力目標を設定するものでございます。これをどのような形で具体的に国内的に実施するかは加盟国にゆだねられているわけでございます。
ただいま御質問がございました件でございますが、OECDの主要な目的の一つといいますのは世界経済の発展に貢献するための政策を推進することでありまして、そのためには科学技術を含むさまざまな角度からこれにつきまして検討を行うことが必要でございます。このような観点から、OECDの中では科学技術工業局という部門がございまして、そこで情報通信技術を含む科学技術の経済的社会的な影響についての検討をいろいろ行ってきた次第でございます。
このガイドラインは、個人のプライバシーの保護を図りつつデータ通信の国際的なネットワークを普及させまして情報の円滑な国際流通を促進させるという趣旨のものでございます。したがいまして、OECDの活動目的と合致したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/83
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084・飯田忠雄
○飯田忠雄君 大体の大まかな話はそういうことでございましょうが、ここで問題になりますのは、OECDというのは経済の国際協力に関することを扱う機構であるはずでございます。そうなりますと、そういう機関が勧告する内容というものは、プライバシー保護一般ではなくて経済に関する情報を集めておる途中における個人情報の保護の問題ではないかという疑念が生ずるわけであります。
この点につきまして、外務省の御見解はどのようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/84
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085・小田野展丈
○説明員(小田野展丈君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、OECDの主要目的の一つといいますのは世界経済の発展に貢献するための政策を推進することでございまして、その意味で科学技術を含む分野からそれに資する措置につきましてガイドラインを設定する形で加盟各国の検討を促している次第でございます。
個人データの国際的な流通と申しますのは、国境を越えて個人のデータが移動するものでございまして、最近におきますコンピューター技術の発達に伴いましてある国の個人データが国際的なデータ通信によりましてほかの国に流れ、蓄積、処理されるという状況を指しているものと思われます。
最近コンピューター利用が普及しまして個人データへのアクセスなどが大幅に可能になったことから、このようなコンピューター技術、通信技術の結合によりまして個人データの国際流通が年々増加しつつあることに対応したものだというふうに我々は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/85
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086・飯田忠雄
○飯田忠雄君 これは抽象的でなくてもっと具体的な例で御説明を願いたいわけです。
といいますのは、プライバシー保護といいましても、プライバシーにはいろいろのプライバシーがございまして、例えば法務省が扱っておられるプライバシーがございますね。こういうものは開示をしたり公示すべきものではないでしょうと私は思います。
それで、ここでOECDがそういうことまで一体勧告しておるのかということに疑問が生ずるわけです。これは恐らくプライバシー保護法をつくる場合の一般基準としていろいろの原則を提示したということはわかりますが、そのプライバシー保護法というものはあらゆるプライバシーについての保護法なのか、あるいは国際経済協力をするに当たって生じてきました経済に関する個人データの保護の問題なのか、その点のところを明確にしておきませんとこのたびできます法律の適用範囲が解釈上非常に広がってしまうおそれがあるわけですね。そこでこの問題を取り上げるわけでございます。つまり、国際経済協力に関するものなんですから、結局それを考えてみますと、例えば国際貿易それから為替管理といったようなものがございますね。そういうものに関する情報でプライバシーに関するものができた場合の保護のことではないだろうかという一つの疑念が生じてくるわけです。
そこで、これは通産省とか大蔵省の所管かもしれませんが、貿易関係とかあるいは為替管理とか
その他いろいろの税金を取る場合のものとか、外国の人から税金を国内で取り得る法律があるかどうか知りませんが、そういうものも出てくるわけでしょうね。そういうような問題について現実はどうなっておりますか、お伺いいたします。これは通産、大蔵、ありましたらひとつよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/86
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087・中島一郎
○説明員(中島一郎君) お答えを申し上げます。通産省の者でございます。
経済活動の国際化に伴いまして、今御指摘のような貿易関係情報あるいは金融関係情報あるいはその信用取引に関係しますような情報、そのような経済関連データを中心としまして幅広い分野のデータがコンピューター処理で企業内あるいは複数企業間でオンライン、磁気テープ、ディスクといいましたような電子的な媒体を使いましてさまざまな形で広範に国際流通しております。そういうふうな認識を持っております。特に企業活動の一環としましてこれらの経済関連データがネットワークを用いながら自由に流通していくというケースもふえてきておりまして、この傾向は今後の技術進歩に伴いましてさらに一層進展していくというふうに考えております。
さて、個人に関する情報につきましては、個別具体的にすべてを把握しておるというわけではございませんが、一例を申し上げれば、例えば国際的なクレジットカードの決済に関します信用情報につきましては、例えばそれぞれのネットワークの中での信用情報の流通を図って信用供与を円滑に図っている、そのようなケースもあるというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/87
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088・飯田忠雄
○飯田忠雄君 大蔵省の方に御意見がございましたらよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/88
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089・白須光美
○説明員(白須光美君) 大蔵省でございます。
民間の情報などにつきましては、今通産省から御説明のございましたとおりのことが行われているんじゃないかと承知いたしております。金融関係等につきまして政府関係の情報ということでございますと、金融関係につきましては現在のところまだコンピューター化がおくれておりまして、若干検討中ではございますが、金融関係の個人情報を大蔵省としてコンピューター化するという段階に至っておりません。したがいまして、当然国際流通等もいたしておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/89
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090・飯田忠雄
○飯田忠雄君 これは総務庁の方からいただいた訳文なので外務省の訳文ではありませんけれども、一九八〇年九月二十三日に採択の「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告」、こういうのがございましてその勧告の附属文書の中に定義が書いてあるんですが、この定義の内容を少し知りたいと思うんです。外務省にお尋ねいたします。これは総務庁が訳されたんだけれども、実際に扱われたのは外務省だと思いますので。
そこでこういう定義があるんです。
このガイドラインにおいて「データ管理者」とは、国内法によって、個人データの内容及び利用に関して決定権限を有する者を意味し、そのようなデータが、管理者又はその代理人によって、収集、貯蔵、もしくは流布されるかどうかは問わない。
こう書いてありますが、この場合の「データ管理者」というのは、このたびの国内法によりますとどれに当たるのでしょうか。例えば総務庁長官のことなのか、あるいは各省の管理者のことなのか、あるいはそれ以外の者のことなのか。外務省で理解せられておる意味はどういう意味でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/90
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091・小田野展丈
○説明員(小田野展丈君) ただいまお読み上げいただきましたテキストにつきましては、これは部内で使っておりますが、訳したのは実は外務省ではございませんでして、そこの点はひとつ御説明申し上げようと思います。
それから二つ目には、各国の制度にあわせましてどういうふうに解釈するかという部分になりますと、恐らく総務庁の方からの御説明の方が的を射たお答えになるかと思いますので、改めて担当のところから御説明申し上げることになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/91
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092・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) ここに言う「データ管理者」というのは、それぞれの国内法によって決まるものだというふうに理解します。
私どもが今回御提案申し上げております法律では、各省庁の長官、所管データファイルを持っている行政機関の長である、こういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/92
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093・飯田忠雄
○飯田忠雄君 例えば会社などにいきますと社長が決定権限を持っていますね。「個人データの内容及び利用に関して決定権限を有する者」、こういうのは民間であれば会社の社長とかあるいは自治体なら市町村長とかになるでしょうね。これを国家で総務庁長官ということに今度の法案では限定されてしまっておりますね。そういう意味ですか。それともあるいは各省の大臣の意味で理解されておるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/93
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094・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
各省庁の大臣または長官でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/94
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095・飯田忠雄
○飯田忠雄君 そこで、つまり今度の法案をつくる根本的理由になりましたのは、プライバシー保護のこのOECDの勧告が出たので、それにこたえるために今度の法案をつくるということになりますと、この勧告で言うておるもののほんの一部だけのことについての法案をおつくりになったというふうにとれるんですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/95
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096・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) これはそれぞれの御理解によって違うと思いますけれども、まずちょっと申し上げたいのは、OECDの勧告が昭和五十五年九月に出されました以前に既にOECDの加盟国のうちスウェーデンを初め九カ国はこのデータ保護法というのをつくっておるということでございまして、このOECDの勧告が出ましたのは、先生御高承のとおり、アメリカのIBMを中心とします情報ネットワークがグローバルといいますか世界的であった、そしてちょうどコンピューターが非常に導入されましてヨーロッパ各国の個人データの処理がIBMを中心に行われておった、そういう中でコンピューターの処理に伴う個人情報の漏えいといいますかそういうおそれが出てきたわけでございまして、そういうことでヨーロッパ各国はプライバシー保護法をつくってきたわけでございます。
そこで、その調整を図るためにこのOECDが検討を依頼されたということでございまして、必ずしも経済的原則だけからこの勧告がなされたというふうには私どもは理解しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/96
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097・飯田忠雄
○飯田忠雄君 経済的な理由だけでないならばそれでもいいですが、要は、勧告附属文書で言うておる定義からいきますと、今度の法律案よりは幅広いものを実は要求しておったんではないか、つまり民間の部分まで含めたものを要求しておったのではないかと、これは推測で間違っているかもしれませんよ、思われるんですが、特にそういう点の御考慮が今度の法律案ではなくて専ら官庁の方だけに限られた理由はどういうわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/97
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098・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
今回この法律案を政府の方で作成しましたそもそもの直接のきっかけになりましたのは、このOECDの勧告ではございませんで、臨調の最終答申でございます。その臨調の最終答申では、情報化の進展を踏まえて、いわゆるコンピューター等が多く導入されるというその状況を踏まえて、行政に対する国民の信頼を確保する見地から、この個人情報保護の対策について制度的検討をするべきであるという答申をいただいたのに対応してこの立法化の作業に入ったということでございまして、必ずしも先生のおっしゃるようなことにはならないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/98
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099・飯田忠雄
○飯田忠雄君 ただいまのお話で、OECDではなくて臨時行政調査会の答申なんだというお話でございまして、これは総務庁からいただいた文書でございますが、立法の背景からして、この電子計算機によるところの情報の処理が非常にふえたということ、それで国民の不安感が増大した、そ
れから国際化対応とこうありまして、国際化対応のところがOECDの問題ですね。前の二つがあるのでつくったんだと、こういうことになるということだと思います。
電子計算機の情報処理が非常にふえた、それで国民の不安感が増大したというお話ですが、この国民の不安感の国民というのはどの範囲のものだったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/99
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100・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
これは、実は、私ども総務庁の方で調査した結果ではございませんで、コンピューターの処理による個人情報というものの秘密保護といいますか、保護のために昭和六十年に総理府の方で世論調査をやったわけでございます。これは三千人の国民をランダムに抽出いたしまして調査するものでございまして、先生のお手元にも資料がございますと思いますが、行政機関における個人情報保護対策が必要ではないかということを七六%の方がお答えになっております。それから、その前に、コンピューター処理によって個人の権利利益の侵害が起こるのではないかというおそれを国民が抱いているという方々の割合が六九%、約七割弱という調査結果が出ております。そういうことを踏まえて私どもは不安感が増大してきておると、こういうふうに申しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/100
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101・飯田忠雄
○飯田忠雄君 その不安感の具体的内容はもちろんいろいろあると思いますが、例えば、背番号をつけられて税金を強制的に取られては困るだとかあるいはいろいろデータを備えつけられておるためにそれで例えばある行為をしたらすぐばれてしまうとか、そういうような不安感というものがあるということを聞いたことがございます。
しかし、一般的に国民がそういう不安感を持っておったかというと、これは七六%もあるということが出てくるそういう統計のとり方にどうも不思議な気がするんですが、これはどういうふうにしておとりになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/101
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102・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 総理府の調査の方法につきましては私はつまびらかにいたしませんが、一応、いろいろな政府の施策を決定するに当たりまして事前にどういうふうな国民の世論、意向であるか、何といいますか、国民の世論を調査するためにやっておられるのでございまして、かなり長くやっておられましてこの内容について余り御疑問が出た例を私は聞いておりませんけれども、かなり信憑性のあるものであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/102
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103・飯田忠雄
○飯田忠雄君 これは後で行政組織のところで問題にすべきことだったんですが先に出てきましたが、各省庁で、例えば税金を取るために大蔵省・国税庁でいろいろ調査をされておる。その調査にしても、国民が申告した材料に基づく調査なんですね。別に調査官がおって調べて回るというものではないでしょう。申告をする、その申告というものが積み重ねられていくというだけのものですからね。こういうものについてはそんなに不安がないのではないかと思うんですよ。それから、税金を取り立てられるとかあるいは不利益なことを仰せつかるのは困るということ、そういうことについての不安に対応するのがもし今度の法律案だとしますと、どうも今度の法律案はそういうことに対応できないような気がするんですが、その点どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/103
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104・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 法案の基本的な枠組みというものを御説明しなければちょっと御理解いただけないかと思いまして、大変失礼でございますけれどもちょっと申し上げますと、今度の法律案といいますのは、行政機関が持っております個人情報をまとめましたファイル、個人情報ファイル、どんなファイルを持っているかということを各省庁から事前通知していただきまして、総務庁の方で一括してそれを公示する、あわせて各省庁でも個人情報ファイルの閲覧簿といいますか、それを国民にお示しいただく。二重の形で国民にお示しするわけでございます。その中の情報が間違っているか間違っていないかということを調べるために、日本で全く新しい制度でございますが開示請求権というものを認めているわけでございます。そして、いろいろ御議論はございますけれども、もしその個人情報に誤りがありました場合は訂正の申し出をすることができる、そしてなお御不満のときには再度訂正の申し出をすることができる、その際には文書で行政機関はきちっとお答えをする必要がある、そういうふうなことを決めておるわけでございます。そのほかに、この個人情報ファイルは漏えいしないようにまたは滅失しないように、そういうことで安全の確保とそれから正確性の確保とかそれから個人情報が他へ流通して漏えいすることのないように利用、提供の制限というようなことをいろいろと定めているわけでございます。
そういうことによって私どもは電算機処理に係る個人情報がかなりの程度保護されるのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/104
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105・飯田忠雄
○飯田忠雄君 この問題は次にまたお聞きしますが、その前に、せっかくOECDの話を始めたので先に聞きますが、OECDの勧告というものを読みまして、特に憲法で言う自由権の保障の問題との関連がどうも明確ではないように思います。あるいは私の読み方が浅いかもしれませんけれども。
そこでお尋ねしますが、憲法の自由権の保障、特にその中で、思想、信条の自由とか信教の自由とかという思想関係の自由がございますね。そういう思想関係の自由に関する憲法上の保障の問題との関連で、OECDの方ではそういう情報を除外するんだというふうに決めておるのでしょうか、それともそういうものは決めていなくて一般的にそれも含むと決めておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/105
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106・百崎英
○政府委員(百崎英君) OECDが示しております八原則の一つに「収集制限の原則」というのがございますが、ここでは「個人データの収集には、制限を設けるべきであり、いかなる個人データも、適法かつ公正な手段によって、かつ適当な場合には、データ主体に知らしめ又は同意を得た上で、収集されるべきである。」、このような規定が実はございます。したがいまして、一応ここでは「収集制限の原則」というふうに言われておりますが、私どもが今御提案いたしておりますこの法律案におきましても、直接収集段階の制限ではございませんが、第四条にございますように、行政機関が個人情報ファイルを保有する場合には所掌事務の範囲内でしかも目的をできるだけ特定して保有しなければならない、しかもそのファイルに記載する事項等はできるだけファイルを保有する目的を達成するために必要な限度を超えないようなものでなければならない、そういったような制限を設けているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/106
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107・飯田忠雄
○飯田忠雄君 結局、そうしますと、OECDではその内容については議論はなかったわけでしょうか、それともあったんでしょうか。これは外務省の方が御存じでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/107
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108・百崎英
○政府委員(百崎英君) 私の方からちょっととりあえずお答えを申し上げておきますが、収集すべきあるいは保有すべき情報の内容等につきましてもいろいろと議論があったようにお聞きいたしております。
しかしながら、先ほど先生おっしゃいました思想あるいは信条等のいわゆるセンシティブ情報というものにつきましても随分議論があったようでございますが、結局は、万人が認め得るようなセンシティブ情報というものを限定することはできない、困難である、そういったような結論に達したように聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/108
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109・飯田忠雄
○飯田忠雄君 実は、こうした思想、信条、宗教というものについて実際には各官庁でお調べになる必要性が生ずる場合もあるかもしれません。例えば、法務省の犯罪捜査の場合とかあるいは文部省の宗教行政の場合とかございますね。そういう場合との関係は今度の法律案ではどういうふうになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/109
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110・百崎英
○政府委員(百崎英君) 先ほどもちょっと触れましたが、この法律案の第四条におきましては、行政機関がその個人情報ファイルを保有する場合には、当該機関の「法律の定める所掌事務を遂行するため必要な場合に限り、かつ、できる限りその
目的を特定しなければならない。」、こういうような規定がございますので、法律の定める所掌事務に全く関係のないような情報をファイルとして持つということはここで当然禁止されるということになるわけでございまして、今例に挙げられました、例えば宗教関係の行政につきましては文部省の方で所管いたしておりますけれども、文部省はそういう所掌事務を遂行するために必要な場合に限ってそういう関係の情報を保有できる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/110
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111・飯田忠雄
○飯田忠雄君 結局、国が行政を行うに当たって必要なものがやはり集められないと行政はできませんから、それはやむを得ないと思いますよ。
問題は、それを外に出すことが問題ではないか。つまり、漏えいすることです。集めても構わぬが、漏えいされるから人権侵害になるわけでございまして、漏えいしてはいけないという分野についてファイルしたものを、こういうものがありますよということを開示すること自体、それはどうでしょうかね。つまり、漏らしてはいけないもの、発表してはいけないものがありますよということを公表するということはどういうことを意味するんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/111
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112・百崎英
○政府委員(百崎英君) この法律案でいわゆる開示請求の規定がございますけれども、その趣旨は、先ほどからも御議論がございますように、国民の側から見れば、行政機関が一体どういう情報を蓄積しあるいは利用しているのか、特に自分の情報については間違っていないだろうか、そういったような不安感等がございましてこの法律案をつくる一つのきっかけになったわけでございますけれども、本人にとってみて、行政機関に対してどういう自分の情報が集められているのか、使われているのか、そういうことを知るというそういう意味で閲覧の請求という制度を設けたわけでございまして、一般的にファイルに書かれている事柄をだれにでも見せるというようなそういう趣旨では全くございません。当該情報の本人に限ってその情報を開示する、こういう仕組みでございますので、御指摘のような疑問はないのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/112
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113・飯田忠雄
○飯田忠雄君 今のこのような問題につきまして、現在は政府ではきちっとやっておられるから問題はないと思います。しかし、現在一番問題なのは、プライバシーに関する情報が世の中にはんらんし過ぎておりますね。こういう現実をどうするかということが目下の急務ではないかと思います。知られたくないことを平気で集めて知らせるというそういう風潮が今国民の中にわいておりますね。こういうのは、知りたがっているから、知る権利があるから知らせるべきではないかということで済むのかどうか。プライバシーの問題ですよ。これについての何らかの規制方法がなければ、行政官庁でどんなに規制するとおっしゃっても意味がないことになりましょう。これは憲法の問題ですよ。個人の尊厳の問題もございますしね。
だから、そういう問題についてほっておいて、今度の法律だけをおつくりになるということは片手落ちではないか、こう思われるが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/113
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114・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) ただいま委員御指摘のような問題が存在することは私どもも承知をしておりまして、プライバシー全体についてやはりこれはしかるべき保護、規制をすべきものではないかというふうに考えておるところでありますし、また、いわゆる個人のデータにつきましても、民間に蓄積されている分が相当大量にある、これが野放しになっていていいのかという問題が存在することは当然承知しているところであります。
ただ、一方、政府が保有しております個人データも、先ほど来担当の方から御説明申し上げておりますように非常に大量になっておりまして、これがコンピューターの特性といたしまして連結をされたりあるいは検索が容易であったり、いろいろとこれに適当な規制をかけない場合には個人の利益を保護するに欠けるところができてくるということであります。したがって、いわゆるプライバシー全体ということを見ました場合には私ども総務庁の手に負えない部門がございますが、政府が持っております分につきましては総務庁がひとつ適当な管理体制をきちっとつくるべきである、こういう観点から私どもとしてはこの法案の作成に取り組ませていただいたわけであります。
問題意識は当然ございまして、今後ともいろいろな機会に私どもも勉強してまいりたいと思いますし、当然担当省庁がございますので担当省庁の方で主導権を持ってやっていただかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/114
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115・飯田忠雄
○飯田忠雄君 その点はわかりましたので次の問題に入ります。
最初に、総務庁の地位と法案との関係についてお尋ねをいたします。
このたびの法律案を見ますと、まず総務庁長官に対する事前通知の規定が第六条にございます。それから、総務庁長官が一括して公示される規定が八条にございます。
総務庁長官、このたびの法律案の所管官庁が総務庁となっておりますが、私がここで一つ問題にしたい点は、総務庁の地位が低過ぎるという問題です。
元来、総務庁の所掌事務を見てみましたら、これは総理府の外局として所管すべき内容じゃなくて総理府本府の所管すべき内容、つまり所掌事項そのものではないか、こう見えるわけです。
それで、総理大臣というものは、憲法によりますと、これは国会が指名した唯一の内閣の首長でございまして、一番偉い人ですから、これと各大臣を並べるということは本来よろしくない。各大臣は総理大臣の任命される人でありますので。したがって、総理大臣というものを一つの行政部局の所管の長にするということは、全体の地位にある以上は問題ではないか。
そうしますと、総理府の一番偉い人は総理大臣、こうなっていますが、こういう行政組織そのものがおかしいので、元来、総務庁長官は総理府長官ではないのか、外局にするのはおかしいんじゃないか。だから、総務庁をつくるときに間違えたような気がいたしますが、総務庁長官は総理府長官とすべきであると思います。そうでないと今度の法律案は理屈が合わぬのですよ。つまり、総理府の外局の長がほかの省に対していろいろなことを指示するといったようなことはおかしいので、これは、総務庁長官というのは総理府長官だからできるということでないと筋が通らぬ。問題がございますね。そういうことは、やはり行政組織というものはいいかげんなものじゃないので、これは取り上げて検討されるべき問題だと思います。総務庁長官は総理府長官の地位にあるということを是認した上でまあよかろう、こういうことになる。そうでないとこれはおかしいですよ。総理府の一外局が各省に対して指令するなんということはおかしいので、そういう点はやはり取り上げて改めていただかなければならぬ点だと思います。
こういう点についての御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/115
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116・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 本来ならば、行政全般の総括的な指揮監督は、総理が国会を通じて国民に責めを負うという立場からなさるべきものであると思いますが、総理が御自身で全部何もかにもやるわけにはまいりませんので、したがってその一部につきましてそれぞれ担当の大臣を定めましてそれを処理させておるという形だと思います。
そういう中で、総務庁といたしましては、総理の命を受けて、総理にかわりまして政府の人員、機構の管理監督等をいたすこととなっておるわけであります。そういう立場からいたしまして、今回も総理の命を受けた立場で、総理にかわりましてこれらのファイルの一括的な統一的な保有についての法律を管理させていただくという立場に立っておるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/116
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117・飯田忠雄
○飯田忠雄君 このたびの法律案につきましては、総務庁の所管事項の最後に、各法律で付与した権限、こう書いてありますから、それはいいですよ。今度の法律をつくって総務庁長官に一つの権限を与えるんですからそれはそれでいいんですが、そういうこそくなことをしないで初めから総理府長官にすべきではないか。国家行政組織の上からや
はり検討すべき内容だと私は考えますので、そういうことについて将来考慮されるかどうか。考慮しない、そんなことはだめだ、総務庁は外局で結構だと、こういう御意見なのか、その辺のところはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/117
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118・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 行政改革担当の総務庁といたしまして自分の権限強化ということをそう軽々には言い出しにくい立場でございますが、省庁間の統合等の問題も行政改革の一環としてはございますので、そういう際には、私の考えといたしましては、総務庁というのは非常に重い責めを負っておるところでございますのでただいまの御意見等も十分踏まえて検討さるべきものであろう、こう思っております。
ただ、私どもの立場からは言い出しにくい問題でありますので、国会においてぜひ御鞭撻をいただければ幸いであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/118
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119・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは、もう一つの問題の、行政組織の原則と本案との関係についてお尋ねを申し上げます。ほかの問題もたくさんございますけれども、一応これが済んでからやることにします。
今日の行政というものに対する考え方は、私が申し上げるまでもなく戦前における行政の定義は、司法、立法以外のものは全部行政だというのが定義でございました。私が大学で習ったときの定義もそうだった。しかし、その定義は、戦前における行政重視の定義でございまして、今日の民主主義の我が国においては不適当な解釈だと言わざるを得ないわけです。今日では、御承知のように、国権の最高機関は国会、こうなっておりまして、したがいまして国会で決めたことを実現していくのが行政の任務だと、こうなります。
そうなりますと、法律で決めてある内容だけを行うのが行政だということにならざるを得ないわけです。もちろん外務関係では憲法で決めてある内容の実施でございますから、それもいいです。法律は憲法も含めた意味の法律ですから。そういうことになりますと、一々行政機関が所管する事項というものを細かく書きまして、その範囲を外れることはできないというのが今日の行政の根本原則だということになっております。行政法の先生の中には、今でも古い考えでおる、間違ったことを言う先生もおりますが、それは憲法の研究の足らない人の話ですから、この際は無視して論じたいと思います。
そこで、行政組織につきましては、国家行政組織法という法律が国会で制定されております。この国家行政組織法には行政組織のあり方が明確に決められておりまして、御承知のようにその第二条で、行政組織におきましてはいろいろの部門は所管事項を明確に決めてその所管事項の重複は許さない、これが今日の行政組織の根本原則でございます。それのあらわれが第二条でございます。したがいまして、屋上屋を架する行政組織はあり得ないわけであります。ただ一つだけ、内閣総理大臣は、これは屋上屋ではなくて、内閣総理大臣という地位が一つ存在しておる。ですから、内閣総理大臣は行政各部門の特定のものを持つことは元来よろしくないわけでありまして、総理大臣のもとに各省あるいは行政機関の長を国務大臣でもって決めまして、そのもとにおいて行政が行われる。そのかわり、その大臣の持っておる部門あるいは大臣でなくても行政機関の長の持っておる所掌事項というものは、よその部局に侵されない独立したものであるのが原則であります。
ただ一つ、法律によってそういう原則の例外を設けるのが付加職務、付加権限でございまして、法律によって付加する権限がございます。このことはもちろん言うまでもないことでございますが、そういう付加権限というものはよほどのことがなければあり得ないことであるわけです。
例えば、一つの例を挙げますと、犯罪捜査につきましては、犯罪捜査権は警察の権限であると、こう一応決めてあるわけです。警察といいましても、陸は警察庁、海は海上保安庁と、こう決めてあります。しかし、それだけでは公訴維持をするための材料を集めるのに非常に不安ですから、検察官に対して刑事訴訟法によって犯罪捜査権を付加権限として決めております。これは法務省の所掌事項を強化しておるということですね。こういうようなことでありまして、やむを得ぬ場合に付加権限はつけるものであるわけです。
そこで、今度の法律案について疑問が生じまするのは、個人情報は各行政組織において所管事項の範囲内で集められる、これは行政上必要だから集めることが法律で認められておるわけでございますね。それで、その集めた情報は電算処理をしようがしまいが、そういうことは関係なく各省の責任において集める、各省の責任において保管しこれを外に漏らさないという義務が課せられておるはずです。所掌事務を限定したということは、よそへ漏らさない、移さないという義務を設定したと同じ意味だというふうに法律学上は理解いたしております。
そこで、どうしてもよその省のものを統制をとる必要があるという場合には——ないことはありません。それは、各官庁が信用できないから監督するということであれば監督機関を設ける。それは存在します。しかし、今日、各省に対して監督機関を設けなきゃならぬような事態かといいますと、そこまでの事態ではないのではないかというふうに考えられるわけです。これは我が国が国民主権制の国家であるからこういう行政機構でありまして、例えば党主権の国家ではこういうことはありません。ソビエトとか中国の場合は党主権でありますから、こういう場合には中央集権が極度になされておりまして、そういうことはなくて統制をいたしますけれども、我が国の場合は分散行政、つまり分散をすることによって悪事を防ぐ、間違ったことを防ぐという体制でございます。そうしますと、個人情報というものが集まった場合に、これは各省が責任を持って処理しておれば事足れりではないかというそういう考え方が当然わいてまいります。それに対しまして、そういう考え方もあるだろうがそれではこういうわけで都合が悪いよ、だから今度はこの法律をつくっていろいろ届けさして監督するんだ、こういう意味で今度の法律案はできたのであろうと思われます。
そこで、具体的にその間の問題はこの法律案をつくるときに議論をされたのかどうかということですが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/119
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120・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) ただいま委員御指摘のような問題は現実に存在したわけでありまして、そもそも総務庁が何の権限があってという議論から実は始めたのであります。これは、各省庁が持っておりますデータが今非常に多くなっておりますので、したがって政府としてこれに対する統一的な管理運営をすべきであろうということからいたしまして、各省庁におきましてもその点については御理解をいただいてこの法律案がまとまったわけであります。
総務庁長官は実はもっと権限を強化しろ、指導、助言、監督権限を持たすべきであるというような意見もあったわけであります。しかしながら、現在、御指摘のように総務庁は他の省庁に対しまして上にある存在ではないわけでありますので、したがって本法案の中で、その点につきましては資料の提出並びに説明要求あるいは意見の陳述をするというにとどまっておるわけでありまして、指導、助言、監督というようなことにはなっていないわけであります。その点は、従来の総務庁設置法を踏まえて、この法律案において規定されておるところであります。
なおまた、本法律が施行されました場合に国民の側からいろいろと行政苦情というような形で申し出のありました場合には、これは苦情処理という形で総務庁が受けとめて対処をすることはあり得ることであります。
さらにまた、国の行政として適切に行われているかどうかということにつきましては行政監察という機会もないわけではございませんので、そうした機会に意見を申し述べるということはあり得ることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/120
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121・飯田忠雄
○飯田忠雄君 その点は了承しました。
それで、この際、こういう法律につきまして世界各国でどういうような法律をつくっておるか、
その事例をもしわかっておれば御説明願いたいんですが。これは総務庁でしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/121
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122・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
ちょっと申し上げますと、OECD加盟国における個人情報保護法の制定状況についてお尋ねだと思いますが、OECD勧告の前に、先ほど申し上げましたように、スウェーデンのデータ法というのが一九七三年の五月に制定されております。それから、アメリカで一九七四年、プライバシー法というのが制定されております。それから、フランスでデータ処理、データ・ファイル及び個人の諸自由に関する法律というのが一九七八年の一月にできております。それから、ごく最近で申し上げますと、勧告が出ました後に、カナダで一九八二年の七月にプライバシー法というのができております。それから、一九八四年にイギリスでデータ保護法というのができております。一番最近でございますと、フィンランドで一九八七年に個人データファイル法というのができているという状態でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/122
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123・飯田忠雄
○飯田忠雄君 これは私の方でいただいた資料が古いので間違っておるかもしれませんが、OECDの勧告に対して、国連で議論をしたときに今おっしゃった法律を出しておる国が大分反対をしておるんですね。つまり、結論を出すときに審議に加わらなかったということが注に書いてありますが、あれは間違っているんですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/123
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124・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 御質問の趣旨が定かにちょっと理解できないわけでございますが、理事会勧告が採決された際に棄権をした国がどれほどあったかということでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/124
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125・飯田忠雄
○飯田忠雄君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/125
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126・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 英国、カナダ、豪州、アイルランド、アイスランド、トルコ、この六カ国が棄権をしておりますが、その後、この六カ国はいずれも棄権を取り下げておりまして、英国、カナダは先ほど御紹介しましたように法律をつくりましたし、それからそのほかの国々も法律作成の検討中であるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/126
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127・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それで、法律の内容を総務庁にお尋ねするのはちょっと無理かもしれませんけれども、わかっている範囲でいいですが、イギリスが法律をつくったとおっしゃいましたね。そのイギリスの法律は、今度の我が国の法律のような形式のものでしょうか。それともまた違った形式でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/127
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128・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 私も英国の法律をつまびらかにいたしませんけれども、基本的に我が国の法律とほぼ同じ規定であるというふうに理解しております。
と申しますのは、電算機処理に係る個人情報だけを対象にしておりまして、マニュアルのものは対象にしていないということでございます。そのほか若干違うところもあると思いますけれども、定かにしておりませんので省略させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/128
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129・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それでは、この問題はこのぐらいにしておきまして、法案の中で二、三お尋ねをいたしたいと思います。
開示の規定を設けられた理由でございますが、これは衆議院で各党からいろいろ御質問がございまして、それに対する御答弁があるのを拝見いたしました。その御質問の中には、個人情報はその個人のものであって個人に所属する、所有権が個人にあるんだから、だから開示請求権が当然あるんだ、こういうような意味で御質問なさっておるように受け取れるわけですが、これにつきまして御答弁は、まあそうだ、個人のもののようなものですという意味の御答弁であったと思いますが、これはどうでしょうかね。つまり、個人情報というものがその個人の所有権に属する、個人のものだという考え方は、少し疑問があるように私は思うわけです。開示請求権の根拠は、所有権に基づくのではなくて、明らかにこれは真実性を明確にするという根拠であろうと思います。
そういう点につきまして総務庁の御見解をもう一度明確に承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/129
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130・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 先ほど及川委員からも同様の御質問がございましてその際に私御答弁申し上げたわけでありますが、それは本人のものであるかあるいは保有しているものであるか、私自身法律学者ではありませんのでその辺についてどのように概念すべきものかについて正確に申し上げることはできませんが、少なくとも御本人に対して開示をするということは、それはその記録の正確性を保証するということのための措置でありますということを申し上げたつもりでございまして、委員の御意見と同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/130
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131・飯田忠雄
○飯田忠雄君 保有につきましては先ほど御質問をしましたので御答弁に満足することといたしまして、次の問題に入りたいと思います。
それは、今度の法律によりまして国民が受ける利益というものは、一体、具体的にはどういうことがあるでしょうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/131
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132・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 本法律によりまして国民の受ける具体的な権利でございますが、まず、具体的に申し上げますと、個人の情報というものが今はそれぞれ職務の忠実な履行義務でありますとかあるいは秘密保持義務でありますとかによって保護されてはおるわけでありますけれども、電算機の場合にはどうも侵されやすいということからいたしまして、具体的には個人情報の利用、提供を制度的に制限することによりまして自己に関する情報がみだりに他人に知られるものではないかという国民の持たれる不安が解消されること。第二に、個人情報ファイルの公示、開示請求権の設定によりまして、国が持っている自己の情報を知ることができるということ。第三番目には、訂正の申し出を制度化し正確性の確保を義務づけることなどによりまして、誤った情報に基づく不利益処分を受けるおそれが少なくなること。さらにまた、行政情報システムの発展のための土台が整備されまして、行政サービスの向上、行政の効率化が期待できるということもございます。
それから、地方公共団体におきましてはかなり制定が進んでおるわけでありますが、都道府県においてはまだ全く現在のところ制定されておりません。国が制定されますと都道府県も今後恐らく制定に向かわれるのではないかと思われますし、特殊法人などにおいてもその保護対策が促進されるであろうと考えられます。
それから、私どもといたしましては、この法律の制定をきっかけにいたしまして民間部門における個人情報、先ほど来問題になっておりますが、これにつきましてもなお一層保護対策の前進を期待することができるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/132
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133・飯田忠雄
○飯田忠雄君 いろいろ衆議院で行われました質問に対しまして御答弁がございましたが、その中に、実態的にはオンライン化しているのだから、したがってこの状況から規制が必要と思われるので今度の法律をつくるのだというような御答弁がございました。
それで、オンライン化ということは、行政官庁でどの程度にできておることでございましょうか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/133
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134・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
私どもが昭和六十二年度末現在で把握しております電算機といいますのは、先ほども御答弁いたしましたが、八百三台でございます。その八百三台のうちオンライン処理を実施しておりますのは六百八十七台でございまして、全設置台数の八五・六%に達しているという状態になっております。
今後もオンライン化というのはさらに進展していくものであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/134
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135・飯田忠雄
○飯田忠雄君 オンライン化の実態で、例えば、本庁と地方機関との間のオンライン化ということなのか、あるいは各省庁間すべてにわたるオンライン化ということなのか、その辺のところはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/135
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136・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
基本的には、各省庁ごとに行政情報システムというものが行政の一定の範囲ごとにつくられておりまして、それによってオンライン化が図られて
おるわけでございます。
ただ、一つだけ例外的に、総務庁が持っております九段の電算機処理施設につきましては各省庁とオンラインで結んでおる、こういうものがございます。そのほかにも若干各省庁を超えたものがございますが、非常に少ないケースでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/136
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137・飯田忠雄
○飯田忠雄君 統計をやる上においては、各省庁の資料を急速に数値化して集めたいということは必要性があると思いますね。そうしますと、統計局、総務庁ですか、統計法に基づいてそういう資料を集めるためのオンライン化ということは、これは必要性に基づくオンライン化だと思いますが、結局、そういうオンライン化があるために規制を加えないとよそへ漏れるおそれがある、こういう御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/137
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138・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) オンライン化がどの程度日本の場合に進むかということはまだはっきりわかりませんが、仮に進んでいくということにいたしますと、そこで個人情報のデータについても流通する可能性が非常に強くなってまいるわけでございます。そういうことから本法で定めておりますような利用、提供の制限、そういうことが非常に大事になってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/138
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139・飯田忠雄
○飯田忠雄君 例えば登記、不動産登記とかいろいろの登記をする場合に、登記簿というものをコンピューターに入れて保管しておくということが現実にはなされておりますね。
こういうようなものにつきまして、これは恐らく法務省の法務局、登記を扱う役所だけが持っておると思いますけれども、これはオンライン化されて全部どこの登記所でもわかるようになっているわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/139
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140・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
現在、法務省では登記業務の情報システム化を進めておるところでございまして、まだそれに着手したばかりでございまして、ほとんどの登記所でまだオンライン化はできていないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/140
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141・飯田忠雄
○飯田忠雄君 それで、今度のオンライン化の規制という問題は、各登記所へ登記をした者でない者が自由に登記を取りに行くということに対する規制ということでしょうか。
これをお尋ねしますのは、いろいろ土地の売買などをいたします場合に、何が登記してあるかを知らなければならないので、現在は申請すれば自由に登記の写しをくれるわけですね。そういうことは、これは明らかに個人情報の問題でしょう。こういうような問題に対する規制も考えてのことでしょうか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/141
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142・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 行政情報をシステム化しましてオンライン化いたしましても、現在の取り扱いと基本的には何ら変わるところがないというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/142
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143・飯田忠雄
○飯田忠雄君 オンライン化はしても現在の各省の所管事項に従って守秘義務があるから情報保護には影響ない、こういう御答弁だと受け取りましたけれども、しかし実際には登記は自由に取れる制度になっているわけですね。もしそれを取れなくすると土地売買に非常に障害が来るということがあります。つまり、ごまかしをして土地を売りつける者が多いものですから、したがって登記の写しで調べるということになっています。
こういうようなものにつきましては、これはやっぱり他人の情報ですけれども、必要性があって見るわけですから、こういうものに対する統制というものをどういうふうに考えておいでになるのかということなんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/143
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144・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
登記というのは所有権の一つの公証制度だというふうに私どもは理解しておりまして、それを他人に仮に見られるとしても、逆に言いますと、その情報をとった人から第三者がまた買うというような場合に、それが間違いなく登記に入って売る人がおっしゃっているような状態であるかどうかということを確かめることもできますので、先生の御心配のようなことはないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/144
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145・飯田忠雄
○飯田忠雄君 結局、公共の福祉に合致する場合には公共の福祉を考慮して規制をするという、こういう御意思ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/145
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146・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) そのように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/146
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147・飯田忠雄
○飯田忠雄君 これも実は衆議院で質問して、それに対する御答弁があるわけなんですけれども、御答弁の内容がどうも明確でないので改めてお尋ねいたします。
衆議院でなされた質問内容は、今度の法律案では各省の方にいわゆる事前通知義務を課しておるんだけれども、内閣官房、内閣法制局から安全保障会議といったようないわゆる内閣の機関についてはその義務を課していないのだが、それはなぜ課さないのか、こういう質問がございましたね。これに対する御答弁は、もっと歯切れよく明快な御答弁がほしいんですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/147
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148・百崎英
○政府委員(百崎英君) この法律案におきましては対象としております行政機関を条文に書いてございますけれども、いわゆる御指摘の内閣官房とかあるいは内閣法制局あるいは安全保障会議といったいわば内閣の補助部局をこの対象から除いているわけでございますが、考え方といたしましては、申し上げるまでもなく憲法上行政権が帰属することとされております内閣、それ自体これは国務大臣の合議体でございまして、実際の行政事務というのは内閣の下にある府、省、委員会、庁という国家行政組織法に定めております行政機関がそれぞれ事務を分掌する、こういう仕組みに実はなっているわけでございまして、端的に申し上げますと、内閣に留保されている実体的な行政事務というものは存在しないというふうに私どもは考えているわけでございます。そういう意味で、この法律の対象は国家行政組織法に定めております行政機関を対象にしたということでございます。
ただ、内閣の補助部局でございましても、実際に仮にコンピューターを入れて事務を処理するというような場合もあるいはあり得ようかと思いますが、そういった場合にはこの法律の趣旨を体しましてそういった内閣の補助部局自体で自主的な規律を私どもとしては期待しておる、こういうふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/148
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149・飯田忠雄
○飯田忠雄君 個人情報の保護の要請というものにつきまして、憲法の第十三条に基づくということでございますと基本的人権に関する情報につきましてはその情報収集について制限を加えるべきだと、こういうふうに言われるわけでございます。
それで、これらの情報について事前に通知するという義務を各省に与えるということがどうも明確でないのです。つまり、各省が憲法の十三条に反するようなあるいは十三条に禁止されておることに当たるようなそういう情報を得ることがあるわけですが、その情報についてファイルをつくりそれを事前通知するということになりますと個人情報保護の趣旨から外れてくるのではないか、こういうふうに思われますが、こういう点についてはどのように考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/149
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150・百崎英
○政府委員(百崎英君) 御質問の趣旨はあるいは二つではなかったかというふうに考えておりますが、一つは、憲法第十三条に規定いたしますいわゆる基本的人権に関する情報について、その情報収集制限の規定を設けるべきではないか。それからまた、そういった情報を例えば事前通知あるいは公示するというようなことは個人情報の保護の観点からいって問題があるんではないか。そのように一応受けとめてお答え申し上げたいと思います。
この法律案におきましては、いわゆる行政機関が保有いたしております電算処理に係る個人情報の取り扱いを決めるということでございまして、いわゆる電算処理に入る直前のファイルを保有する、いわば磁気テープその他の電算処理を始める前の段階のファイルを保有するというところで実は制限を課しているわけでございまして、それがいわば間接的にと申しますか収集の制限になる。で、情報の中身によりまして、基本的人権に係る情報であろうとあるいはそうでないいわゆるプライバシーその他に直接関係のないような情報であ
ろうと少なくとも電算処理される個人情報はすべてこの法律の対象にする、そういう仕組みを実はとっているわけでございまして、そういうデータを中身に含みますファイルを保有することを第四条で制限する、そういう仕組みをこの法律ではとっておるわけでございます。
特に収集制限をそれ自体で規定しませんでしたのは、そういう意味でいわゆる各行政機関が情報収集を行います場合には、これは電算処理のために情報を集めるとかあるいは手作業のために集めるとかそういったような区別は、実際問題としてもほとんどそういう区分けはございませんで、実際の収集された情報がかなり大量に蓄積される、そういったような段階になりまして、しかも電算機が導入される、そんなような事態になりまして初めて電算処理をしようか、こういう問題になりますのでその収集自体のところでいろんな制限を課するということはまた別途いろいろな問題がございますので、この法律ではファイル保有の段階で一応そういう規制をかけているということでございます。
それからもう一つは、そういった基本的人権に係る情報について事前通知をするあるいは公示をすることは個人情報保護の観点からいって問題があるのではないかというような御指摘だと思いますが、事前通知をする中身としましては、ファイルの名称とかあるいはファイルの保有目的とかあるいはファイルの記録項目あるいは情報収集の方法といったいわば一般的な事項を通知していただく、それからまた公示の中身につきましても、個人個人の具体的な情報の内容そのものを公示するわけではございませんで、一体どういう事項がそのファイルに記載されているか、そういったようなことを公示するわけでございまして、そういう意味で個人と切り離されたそのファイルにどういう中身が入っているかということを一般的に表に出す、そんなようなことでございますので、個人の権利利益がそれでもって侵害される、そういうおそれは全くないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/150
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151・飯田忠雄
○飯田忠雄君 このたびの法律案によりまして一般的に誤解を生ずる問題が一つございます。こういうことは総務庁ではお考えになっていないことかもしれませんが、誤解が生ずる。
どういう誤解が生ずるかといいますと、それは、個人情報につきまして、この法律はファイルの名前だけではあるけれどもこれを総務庁に集中的に集めることではないか、集中的にこういうファイルを集めるということが実際にはどういう意味を持つものだろうか、各省が所管しておっても個人情報の保護はできるはずなのに、特に個人データのファイルの名前を集める、それを総務庁で集めて公表なさる、そういうことがどれだけ国民に利益になるものだろうかという疑問が具体的にはあるわけですね。これは、例えば運輸行政に関する情報、例えば自動車の免許証に関する問題について聞きたければそこの発行をしておる官署に行けばわかるはずであります。それから、戸籍のことならば市役所に行けばわかるはずである。それぞれ情報がある場所というものは行政官庁の所掌事務に従って考えれば当然わかることである。にもかかわらず、国民を保護するためにこのたびの法律をつくらねばならぬ理由は一体どこにあるのだろうかという、これは素朴な疑問が生じております。私どもはこの疑問に対して正確に答える答えをどうも持たないわけでございますので、お教えを願いたいと思うわけであります。これが第一点でございますね。
それから、この法律によっていわゆるデータというものの名目、名前が集められるわけですが、これを集積をいたしますと総務庁ではどこの省でどういう情報を持っておるということはわかると思いますが、それがわかったとしてどういう利益が国民に対してあるだろうか。例えば、法務省が持っておるデータは集まってこないんですから、法務省が持っておることを聞きたければ法務省に行く以外に方法はないわけなんですが、そうしますと、特に総務庁にお集めになるものの性格は一体何だろうかという点に疑問が生じてくるわけなんですね。経済情報以外の情報についてのファイルの名前が集まるというにいたしましても、これは何のためなのかという疑問。あとは経済情報を集める、例えば税金の、納税義務者の名前のファイルが来たとして、それが一体総務庁へ来てどういう利益があるだろうかという国民の側からする疑問でございますね。総務庁へ行けば全部開示していただけるのかという問題なんです。総務庁で全部開示していただけるのなら、窓口が一本になりますからそれはあるいは利益があるかもしれませんが、総務庁は各地方に出先機関を持っておいででないのだから、かえって東京まで出てきて総務庁へ来るというのは不便ではないかという疑問。いろいろそういう開示を願うための手続をするための疑問、いろいろの疑問があるわけです。それで、そういうことは別に心配しなくても……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/151
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152・大城眞順
○委員長(大城眞順君) 時間です。急いで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/152
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153・飯田忠雄
○飯田忠雄君 各ポイントで行けということであれば、これはどういうことでしょうかと、そういう点についての最後の疑問ですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/153
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154・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 一つには、この法律に基づいて各省庁が的確に個人情報を電算機処理でファイルをしておるかどうかということ、つまり、目的に従ってその限りにおいて必要最小限度の情報をデータ処理しておるかどうかということについて的確に把握をする必要がある、そういうことからいたしまして当庁としてファイル名並びにどういうものを記述しているかということについて集めておく必要があるということ。そしてまた、それをまとめて官報に年一回公示をすることによりまして、国民の皆様方にそれを見ていただけばどういう情報をどの省で持っておるかということが一目瞭然にわかるという利便があるということであります。
ファイルそのものは、各省庁それぞれ所管のところで持っておるわけでありますので、それによって承知をしていただいて、本人が必要のある場合には開示を求めていただくということになるわけでありまして、この法律の的確な運用のために必要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/154
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155・飯田忠雄
○飯田忠雄君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/155
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156・吉川春子
○吉川春子君 けさのある新聞の社説に「個人情報保護法案は修正を」というものが出ていました。
政府原案には問題点が多過ぎ、立法化の本来の趣旨に必ずしも沿ったものといえない、
衆院の審議では、野党側から修正要求も出されたが、結局、いくつかの付帯決議がつけられたものの、法案そのものは政府原案のまま衆院通過となった。
これから始まる参院での審議に当たって、改めて十分に問題点を詰め、いくつかの点で思い切った修正を図るよう求めたい。
こう言っています。そして、例えば、個人情報の収集、保有制限について何の規定も持たない点、あるいは事前に総務庁に通知する問題については適用を除外する例外が多過ぎて開示される対象が少ない、つまり開示請求が門前払いとなっている問題にも触れていますし、またその一方で行政機関内部の利用や提供についての規制が甘い、こういう新聞の指摘があります。
私たちも修正案を提案する予定になっておりますけれども、このマスコミの指摘にもありますように政府原案については非常に問題点が多いわけで、いろいろと質問していきたいと思います。
まず、法律案の条文に入る前に、プライバシー権の定義について伺います。
今日、高度に情報化された社会においてプライバシーの権利というのは、従来のひとりにしておいてもらう権利、こういう古典的な意味に加えて、自分に関する情報を自分でコントロールする権利も加えなくては今日の社会情勢には合わなくなってきているわけです。政府も、プライバシー権について、自分の知られたくないことを公開されないという意味の消極的な権利利益だけではなくて、やはり自己に関する情報の流れをコントロールする権利という意味があるのではなかろうかと認識している、こういうふうに衆議院でお答えに
なっています。
そこで、伺いますけれども、この法律は、そういう点で個人のプライバシー権を保護することを目的とした法律ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/156
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157・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) けさの新聞の社説は私も読みました。これは毎日新聞の社説であったと思いますが、この前に朝日新聞も同じような論調の社説を書いておりました。それから、北海道新聞も同じような趣旨の社説を書いておりまして、社説の個人情報保護法案に関する御意見は、私、全部大体読んだつもりでおります。で、私は、新聞の社説を書かれる方にもっとこの委員会に来て我々の説明も聞いてもらいたいと率直に言って感じておるところであります。
それは、例えば思想、信条、宗教等のことについて、いわばセンシティブ情報としてこれを収集してはならないというようなことに非常にウエートを置いた書き方をしておられるわけでありますが、国がその行政を法令に基づいて遂行していく場合に、先ほども御質問の中で、例えば宗教行政なんかをやる場合に全くそれじゃ宗教のことを記載をした情報処理をしてはいけないかといえば、それは行政は成り立たぬということになるわけでありますから、国が適法に遂行し、それを情報として蓄積することはあり得ることでありまして、これを全面的にいかぬというわけにはまいらないわけであります。でありますし、例えば、いわば個人の情報コントロール権ということの立場から、本人の同意なくして収集してはならないというような規定を設けるべきであるという御意見もあるわけでありますけれども、それらは、例えば民間の場合などにおいてはこれは当てはまるわけでありまして、当然民間で勝手に集めたものについては本人が申し出てこれを取り消しをさせる、消去をさせるというような権利を認めることはあり得べきことであるというふうに私は考えるわけであります。しかし、国の場合においては、あくまでも適正に法律に基づいて行政を推進していくという上において蓄積されるものでありますので、したがって今の社説で述べておられるような御意見については国の場合には必ずしも当てはまらないというふうに私どもは考えておるところであります。
プライバシーの権利そのもの全体を私どもは保護するという法律をお出ししておるわけではないのでありまして、その点、何か、初めに個人情報保護法案イコールプライバシー保護法案であるというような認識をされまして至って不十分だ不十分だという意見を展開されることについては、私どもとしてはどうも少し、何といいましょうか、我々の手の届かない、及ばないところを御議論いただいているんではないかというふうに思うのであります。
私はかねがね申しておるわけでありますが、私どもは羊頭を掲げて狗肉を売っておるつもりはないのでありまして、狗肉は狗肉として、これは狗肉でございますよと言っているのに、羊頭を出せ羊頭を出せと言われても、それはどうも御期待に沿いかねますということを申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/157
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158・吉川春子
○吉川春子君 ですから、私は、最初に法律の条文に入る前に、プライバシーの権利というものをどういうふうにお考えかと、こういうふうに伺ったわけなんです。
この法律案がプライバシーの基本法ではないということは繰り返し衆議院で答弁されていますので、私はそこを踏まえてきょうは質問をしたいと思います。
それで、プライバシーの権利の定義が非常に高度に情報化された社会において変わってきているんだけれども、まずそのプライバシーの権利というものについてどうお考えなのか、そこに絞って答弁をいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/158
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159・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) プライバシーの権利についての学説などにつきましては、私は法学者でありませんのでこれを申し上げる資格はございませんが、一般的に言われているところによれば、ひとりにしておいてもらう権利というところから、今日では学説などにおきまして自己の情報の流れをコントロールする権利を含むものというふうに展開されてきておるということについては、そういう学説があることは承知をしております。ただ、これは確定されたことではなくてそれに対する反論をしておられる学者の方もあられるというふうに思っております。
いずれにいたしましても、そうしたプライバシーを尊重すべきものであるということの一環として、国が保有する個人情報についてこれを的確に保護すべきであるという考えに立っているものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/159
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160・吉川春子
○吉川春子君 プライバシーの権利の中に、古典的なひとりでそっとしておいてほしいという意味だけでは今日の社会においてはもう間に合わなくなっている、だからみずからの情報をみずから支配する権利も含めて考えるべきだと、これは学説でもあるんですけれども、政府の「個人データの処理に伴うプライバシー保護対策」という、プライバシー保護研究会で五十七年七月に出された、これは行政管理庁行政管理局という名前も入っていますけれども、まさにそういうところで指摘しているわけですから、プライバシーの定義もそのように考えなくてはならないんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/160
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161・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) ただいま申し上げましたように、学説としてもなお反論されている方もありまして確定はいたしておりません。おりませんし、私どもはそこまで保護する法案を準備しているわけではないということを再三申し上げているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/161
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162・吉川春子
○吉川春子君 法律案に入る前にちょっと今、私、論議しているんですが、要するに、じゃここに書いてあることは否定されるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/162
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163・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) いわゆるプライバシーの中の一つとして、政府が保有しております個人情報というものについて適切な規制をすべきであるという観点に立っているわけでありまして、プライバシーを保護しなければならないという大前提については当然認めているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/163
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164・吉川春子
○吉川春子君 プライバシー保護研究会の五十七年七月のこの文書の中に、プライバシーの権利というものはどういうものか、今日どういう定義にしなければならないかという文章があるんですけれども、これを否定されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/164
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165・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 先生の御指摘の部分は「プライバシー概念の展開」というところでございまして、そこの部分を読み上げますと、「「自己に関する……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/165
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166・吉川春子
○吉川春子君 いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/166
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167・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 展開してきているということでございまして、そう考えるべきだというふうに結論が出ているというふうには理解しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/167
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168・吉川春子
○吉川春子君 そうすると、プライバシーの権利というものをそういうものとして政府はとらえていないと、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/168
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169・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/169
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170・吉川春子
○吉川春子君 だとすれば、政府の考えておられるプライバシーの定義を言ってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/170
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171・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 先ほどからプライバシーの定義を言え言えというふうに言われておりますが、私どもはプライバシー全体を問題にしているわけでは全くないのでございまして、私どもは、あくまでも個人の情報といいますか、個人のデータでありますパーソナルデータを政府が保有している、それをきちっと管理をしなければいかぬ、守っていくことが個人のプライバシーの保護にも通ずるものがあるというふうに考えているものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/171
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172・吉川春子
○吉川春子君 今大臣がおっしゃられましたように、プライバシーの保護に通ずると、こういうふうに言われるんですけれども、その場合のプライバシーの保護とは何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/172
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173・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) ですから、非常に大きな意味におけるプライバシーにはいろいろな考え方があるということを申し上げておるところでありまして、それは学説が分かれるところであります
から、私ごときがプライバシーとは何ぞやということについて確定的なことを申し上げることはできない。ただ、私どものやっておりますことはやはりプライバシー保護の一環である、通ずるものがあるというふうに申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/173
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174・吉川春子
○吉川春子君 私は学説がどうあるかということを伺っているわけじゃありませんで、政府が、この法律でプライバシーの保護にも役に立つ、こういうふうにおっしゃっておられるわけなので、その場合のプライバシーとはどういうものですかと、学説ではなくて政府が考えていらっしゃるプライバシーの意味について伺っているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/174
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175・百崎英
○政府委員(百崎英君) プライバシーの定義と申しましても、これは人によりまた時代により国によっていろいろ違うわけでございまして、なかなか一義的に定義づけるようなものではございません。非常に抽象的かつ多義的なものでございますので、私、大臣も先ほどちょっと御答弁にありましたが、これを一義的に定義づけるということはまず極めて困難でございます。
ただ、この法律で一応電算処理に係る個人情報、それに関する限りの例えばプライバシーというようなことを中心に考えた場合には、やはり人に知られたくない事柄、そういったことが一つの、何といいますか、割合大きな地位を占めることになるんではなかろうかというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/175
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176・吉川春子
○吉川春子君 そうしますと、人に知られたくない権利、古典的な意味でのプライバシーの権利を政府は念頭に置いている、この法律はそういうプライバシーの保護にもなると、そういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/176
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177・百崎英
○政府委員(百崎英君) 例えば、この法律で保護される個人の権利利益、その一つとしてただいま申し上げましたような人に知られたくないことが守られる、そういうことはございますが、ただ、先ほどから自分の情報の流れをコントロールする権利というようなお話がございますけれども、大臣も先ほど御答弁申し上げたように、これはまだ学説の上でもいろいろ議論がございまして、そういった権利をこの法律で実定法化したということではございません。
ただ、そういった世の中の動きがそういう流れにあるということを踏まえまして、例えばそういったことのクロラリーといいますか、そういうことでこの法律の中でも自分の情報はどうなっているかということを開示請求できるそういう権利を認めるとかあるいは請求した場合に誤っていた情報があればそれの訂正の申し出ができる、そういう規定を設けているわけでございまして、そういう開示請求権のようなものは、考え方によりましては単純にその秘密が保護されるとかあるいはそっとしておいてほしいとかそういう権利とはやや性質の違った、何といいますか、一歩積極的な意味を持ったようなそういう権利ではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/177
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178・吉川春子
○吉川春子君 先ほど引用いたしました五十七年七月の「個人データの処理に伴うプライバシー保護対策」、通称加藤研究会の文書とも言われていますが、この中にプライバシー保護の五つの基本原則というのを挙げているわけなんです。
この五つの基本原則というのは基本的には今お出しになっている政府の法案にも当てはまるんじゃないかと思うんですけれども、そういうものを念頭に置いてこういう法律がつくられたのかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/178
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179・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) お答え申し上げます。
この加藤研究会の五つの原則と申しますのは、私どもの理解では、OECD八原則が若干お互いに矛盾している面を含んでおりますので、それを整理されたものであるというふうに理解いたしております。
ただ、この五原則につきましては、OECD八原則を私どもの法案でそのまま取り入れているわけではない、原則として取り入れているという意味で、この五原則についても原則としては取り入れているというふうに理解していただいて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/179
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180・吉川春子
○吉川春子君 そうすると、この五原則というのは尊重されるべきものである、こういうお考え方のもとに今度の法律案もできているわけなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/180
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181・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 基本的にはそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/181
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182・吉川春子
○吉川春子君 基本的にはと言われますと、そうすると受け入れられない部分もあるんですね。
それはどういう点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/182
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183・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 例えば収集制限の原則等がそういうことになろうかと思います。原則だけで見ますとなかなかわかりませんので、個別の御質問にお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/183
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184・吉川春子
○吉川春子君 それでは、この五つの原則の中で取り入れたものはどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/184
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185・重富吉之助
○政府委員(重富吉之助君) 先ほども申し上げましたように、OECD勧告の八原則を私どもは基本的に取り入れているわけでございますが、その範囲内において五原則も取り入れられていると、このように理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/185
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186・吉川春子
○吉川春子君 例えば収集制限の原則とそれだけ言われてあとやめましたけれども、利用制限の原則、個人参加の原則、適正管理の原則、責任明確化の原則、どれもこれもこの法律案には取り入れられていないでしょう。全部否定しているんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/186
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187・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) いわゆる加藤研究会なるものにつきましては、これはプライバシー保護の研究会としてやられたものであります。こうした成果にさらに林研究会の成果などを踏まえあるいはOECDの勧告なども参照しながら、私どもとしては最終的な法案の取りまとめをしたわけであります。でありますから、加藤研究会が指摘した問題意識は我々としても当然持ってはおるわけでありますけれども、それをイコール全部今回の法律案に取り入れるというわけにはまいらなかったというわけであります。
なおまた、プライバシー、プライバシーというふうに言われますが、これは、私ども、説明の上におきましてはプライバシーという言葉を使って説明は申し上げておりますが、法律案としてはあくまでも個人の権利利益を保護するということでありまして、プライバシーという言葉を使っているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/187
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188・吉川春子
○吉川春子君 例えば、総務庁長官が衆議院の内閣委員会で、プライバシーの全分野でなくて、極めて限られた一分野ではあるが、少なくともプライバシーの一部を保護しようということを目的としてこの法律を制定したとおっしゃっておられるわけですね。だから、この点からいえば、私は、行政庁の持っているコンピューター処理の個人情報、こういう限られた一分野ではあってもやはりこの加藤研究会の言っておる原則というのは少なくとも貫かれなくてはならなかったんじゃないかと思うわけです。
例えば、具体的にお伺いいたしますけれども、加藤研究会の言うプライバシーの保護の基本原則の一つに個人参加の原則というのがあるんですけれども、個人が自己に関するデータの存在及び内容を知ることができることを保障すべきだ、こういうふうに言っているわけですね。で、本法律案においては、公開の原則について大変たくさんの例外があるわけですね。ファイルの存在さえ明らかにできないという例外がたくさんあるんですけれども、その一つ一つについて細かくやる時間はないんですけれども、これだけ数多くの例外を設けた理由というのはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/188
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189・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 個人参加の原則ということにつきましては、これは開示を相当部分について認めておりまして、あわせて、誤りがある場合には訂正の申し出をすることができるというような形で、当然本人に対して開示をするということを通じまして本人に参加をしていただくようにいたしておるところであります。
それから、いわゆるファイルの存在そのものすら、何と申しましょうか、明らかにしないという
ことにつきましては、これは、やはり国の外交上あるいは防衛上治安上必要なものにつきましてそれを開示することはできないというのは、国の場合にはやむを得ないことであるというふうに考えた次第であります。
もちろん、民間の場合とかあるいは地方自治団体の場合におきましては、そうした防衛でありますとかあるいは外交でありますとかというようなことはございませんので、したがって大部分が開示をされることは当然であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/189
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190・吉川春子
○吉川春子君 各省庁、行政機関が総務庁にファイル保有の事前通知をしますね。そのときに、そうしますと全く各省庁の判断で保有ファイルの事前通知というのが行われるわけですね。総務庁はそれに対して、いやもっとあるはずじゃないかとか、これは好ましくないとか、そういうことは全然おっしやれないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/190
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191・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) この法律案がきちっとその目的に沿って施行されなければなりませんので、その施行上において問題があります場合には総務庁長官として適時適切な措置をとることは当然のことであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/191
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192・吉川春子
○吉川春子君 その適時適切な措置というのは、具体的に言うと、どういう法律に基づくどういう権限なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/192
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193・百崎英
○政府委員(百崎英君) この法律案にもございますが、例えば第二十一条におきまして「総務庁長官は、行政機関における個人情報の電子計算機処理等に関する事務の実施状況について必要があると認めるときは、行政機関の長に対し資料の提出及び説明を求めることができる。」、そして二十二条に「この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の取扱いに関し、内閣総理大臣又は行政機関の長に対し意見を述べることができる。」、こういったような規定を設けておりまして、万一各省庁がこの法律の施行に当たっていろいろ問題があると私どもで考えました場合にはいろいろ各省から説明を求めるあるいは必要があれば意見を大臣が申し述べる、そういったような権限規定が書いてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/193
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194・吉川春子
○吉川春子君 意見を述べるだけでしょう。ちゃんと出させるとかそういうことまではできないと思います。
さっき大臣がおっしゃられましたが、国の安全、国の重大な利益に関する個人情報ファイル、これは公表されないことになっているわけですけれども、国の安全とか国の重大な利益とか随分広い概念ですけれども、これはだれが判断するんですか。そして、この広い概念をもっと細かくきちっと特定するようなことはなさらないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/194
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195・百崎英
○政府委員(百崎英君) 基本的には、この法律のただいま御指摘のようなところの解釈は各行政機関の長が第一義的に判断されるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/195
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196・吉川春子
○吉川春子君 各行政機関の長が判断してそして事前通知をしないファイルというものを決めるわけですけれども、国の安全とか国の重大な利益、この中にどういうものが含まれると大臣はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/196
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197・百崎英
○政府委員(百崎英君) 具体的には、ちょっと私どもまだ全部を知っているわけじゃございませんが、例えば国の安全ということで申し上げますと、結局は、直接侵略あるいは間接侵略から国を守り国家の存立を維持する、そんなようなことがございますし、あるいは国家統治の基本的な秩序あるいは基本的な政治方式を維持する、あるいは国民全体の生命が保護され基本的な経済秩序が保たれている、そんなようなことをここで言う国の安全というふうに考えておりますし、また外交上の秘密、これも一般論ではございますけれども対外関係事務の処理に関するいろいろな情報ということでございまして、例えば国の安全が害されるあるいは相手国との信頼関係が損なわれるあるいはまた外交交渉上重大な不利益をこうむるおそれがある、そういったようなことをここでは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/197
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198・吉川春子
○吉川春子君 国の安全、国の重大な利益それから外交の問題なんかに限ります、これを言いますと大体どのファイルもこの概念に当てはまって、ファイルの公表というのはしなくてもよくなるんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/198
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199・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 私どもといたしましては、これはできるだけ原則開示ということを考えておりますので、したがってむやみにそうした範囲を広げるというつもりは全くありません。
また、私ども総務庁としては行政監察などの機会もありますので、そうしたことにつきましてこの法律の趣旨に従って各省庁が適切にやっているかどうかということについては、そうした機会にこれを把握するという機会もあるわけでありますので、あくまでも原則は本人開示、そしてファイル後については原則これを総務庁に届け出て公示をするという考え方に立っておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/199
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200・吉川春子
○吉川春子君 原則開示と大臣は言われましたけれども、例えば六条の二項、ここにはファイル自身の存在を明らかにしなくてもいい例外が十一号まであるわけです。国の安全とか外交上の秘密、国の重大な利益というのはその一つの号に当てはまるだけなんですけれども、この十一号の例外をクリアしてどうしても国民に公表されなければならないファイル、こういうものがあるんですか。これでもってどんなファイルでも公表しなくても済むようになっているんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/200
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201・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 私どもが項目をたくさん挙げましたのは、その項目に当てはまらないものは必ず届け出をしてもらわなきゃいかぬということで項目をできるだけ数多く決めたわけでありまして、もう少しアバウトなものにしておけばなおさら吉川委員が言われるように出さないで済むよという話になってしまうんではないか、そう考えましてできるだけ細かくこういうもの以外は必ず出しなさいよというふうにするために多くの項目を設けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/201
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202・吉川春子
○吉川春子君 大臣がアバウトと言われましたけれども、まさにそれがこの十一号までの規定に当てはまるわけです。例えば十一号は「第三号から前号までに掲げる個人情報ファイルに準ずるものとして政令で定める個人情報ファイル」と、政令で定めればどんなものでも入っちゃう。この一つの号をとっても公開の原則とは非常に反するような規定になっているんですね。
きょうは、実は文部省、外務省、防衛庁に来ていただいたんですけれども、ちょっと個々の問題に立ち入って質問する時間がなくなりましたので、申しわけありませんがこの質問はこの次に譲ることになると思います。
官房長官がお見えなので、最初の原則に戻ってもう一度お伺いしたいと思います。
今度の法律は、繰り返し大臣も答弁なさるように、プライバシーの基本法ではないわけなんです。ごく一部に限られたものだと。総務庁長官の答弁をかりますと、民間部門、公的部門の両方において電算処理されている個人データはたくさんある、本来ならば民間部門も含めて規制すべき時期に来ているが論議が煮詰まっていない、民間部門ということになれば総務庁の守備範囲を超える、こういうふうにおっしゃっておられるわけで、そこで私は官房長官にお伺いしたいと思います。
政府としては、プライバシー全般の保護というのも変な話ですが、限らないでそういうものを考えておられるのか。また、民間業者の所有する個人情報について法的な規制も必要だという声も強いんですけれども、そういう将来の計画、それについて政府のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/202
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203・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 個人情報の電子計算機の処理に伴う国民の不安感、権利利益の侵害のおそれに適切に対応することは、官、民、国、地方を問わず共通的に必要な課題であると原則考えております。このため、国の行政機関を対象とする本法律案におきましても、地方公共団体、特殊法人は、本法の措置を参考として必要な措置を講ずるよう努めなければならないと規定いたしております。
そこで、今お尋ねのありました民間部門における個人情報保護対策につきましては、閣議決定をされました政府方針に基づきまして経済企画庁、大蔵省、通産省などの関係省庁がそれぞれの立場で所要の検討を行い、措置を講じておるところでありますが、この法律の制定を契機として検討、措置の実施が一層促進されていくものと期待をいたしております。したがいまして、お尋ねのように、民間部門も含めまして一つの法律ですべて網羅するというものではありませんが、今回の法律が制定されることによりまして民間部門も十分政府のこの新しい法律を見ながらこれから一層促進されるものだと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/203
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204・吉川春子
○吉川春子君 その場合に、民間業者の持っている個人情報というのは膨大なもので、私自身も時々びっくりするようなダイレクトメールが来るわけですが、個人情報の収集の仕方あるいは保有制限あるいは罰則、そういうようなことも含めて検討になっておられる、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/204
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205・百崎英
○政府委員(百崎英君) 民間部門の個人情報等につきましては、それぞれ通産省なりあるいは大蔵省、経済企画庁等でかなり幅広くこれらの問題に対する対処の仕方をいろいろ議論しておられるというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/205
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206・吉川春子
○吉川春子君 その幅広くといったのは、今私が幾つか例に挙げたようなことを含めてということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/206
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207・百崎英
○政府委員(百崎英君) ちょっと私は直接の関係者でございませんので、必ずしも詳しいことはよくわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/207
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208・吉川春子
○吉川春子君 官房長官、いずれにしても将来は、近い将来といいましょうか、民間業者も個人情報について規制をする、そういう準備を政府としてはやりたいと、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/208
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209・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま私答弁申し上げましたように、今般のこの法律の制定に基づきまして今後民間におきましてどのように対応するかということにつきましては、民間と申し上げましても政府側から関係します省庁はそれぞれに分かれておりますので、通産省や先ほど申し上げましたそれぞれの役所がそれぞれ民間の中で関係する方々と十分御相談の上でお考えをまとめていくものだろうと思いまして、今の段階で政府として民間のことも含めましてすべて立法化するというようなことまでには至っておらない、こういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/209
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210・吉川春子
○吉川春子君 検討の結果立法化があり得ると、こういうような答弁だったと思います。
総務庁長官にお伺いいたしますが、プライバシー保護の基本法ではないんだ、こういうふうにおっしゃる意味なんですけれども、これは民間が外れている、こういうことだけの意味なのか、それとももっとプライバシー全般についての基本的な法律という点からいえばまだその部分なのだ、こういう意味なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/210
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211・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 民間部門の規制もプライバシー保護の一環であろうと思います。しかし、プライバシーということ全体を保護しようということになれば、ただ単に民間が持っているデータ処理をされているものを保護するとかなんとかということよりも、もっとより広い概念だろうと思います。しかし、それを今私どもが直ちにやれる状況にございませんので、したがってとりあえず国が持っております電算処理をされたものについて規制をかけるということを御提案申し上げておるということであります。
なお、プライバシー全体ということについては、本来ならば法務省あたりが中心になって検討してもらうべきものであろうということを申し上げておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/211
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212・吉川春子
○吉川春子君 そうしますと、官房長官に伺いますが、民間業者の点は一応今の答弁で政府のお考えはわかりましたが、民間業者の情報に限らず政府が持っている個人情報についても、今度の法案ではまだ網のかからない部分があります。それからまた、プライバシー全般の保護という点についてもまだ非常に限定された法律である、これは今の総務庁長官の御答弁でも明らかになったわけですが、そうしますと、政府としてはプライバシー保護の基本法、こういうようなものをやはりつくらなきゃならないというふうに私は思うんですけれども、その辺の将来のお考えについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/212
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213・小渕恵三
○国務大臣(小渕恵三君) 将来における法律の完璧度はどの程度かというお尋ねのようにお聞きをいたしましたが、政府といたしましては、現在ここで御提案し御審議願っている法律案が現段階における我が国のプライバシー保護、特に電算機処理を行った情報に対する保護としてはこの段階からスタートすべきものだと、こういうふうに考えてお願いをしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/213
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214・吉川春子
○吉川春子君 この法案は、最初に新聞の社説も引用して指摘しましたように、率直に申し上げて非常にざるになっている部分が多い。その一つの例としてきょうは公開のことを部分的にやりましたけれども、きょうはこれで時間がなくなりましたので質問通告しておいてちょっとできなくなりましたが、以下、各省庁に具体的に質問をしていきたいと思いますので、きょうはこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/214
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215・柳澤錬造
○柳澤錬造君 この法案の資料を見ますと、昭和六十三年六月現在で十九省庁、約千五百ファイル、約十二億件、六年間で二倍の量になっているわけです。それから、昭和六十年の総理府の世論調査によれば、コンピューターの利用に伴ってプライバシーの侵害が多くなりそうだというのが六九%、行政機関における個人情報保護対策が必要だというのが七六%、こうなっているわけなんです。今日の高度情報化社会においてこれだけ大量の個人情報が保有、利用されているわけで、個人のプライバシーの侵害のおそれのあることはもう事実なわけなんです。ですから、そういう点でもって個人情報保護のために立法化を図るということは、これは一つの時代の要請だと思うんです。
そういう点でこれから若干の点だけお聞きしていくんですが、まず大臣に、プライバシーの範囲。これは先ほども出ていましたが、私が聞きたいのは学説とか何かじゃないんです。国民が日常用語で使っているそういう常識的な意味で、どういう範囲のことをお考えなんですかということをまず大臣にお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/215
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216・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 極めて常識的には、プライバシーというのは自己の生活をみだりに干渉されない、自己の生活の中身をのぞき見されない、あるいは、本来そうしたものをゆえなくして公表すればまさに名誉棄損なりなんなりになるわけでありましょうけれども、名誉棄損などという段階に至らないけれどもしかし個人として甚だ迷惑であるというようなものまで、非常に幅広いものがあると思います。そうしたこと全体をまとめてプライバシーと言うのだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/216
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217・柳澤錬造
○柳澤錬造君 そういうふうなことで私も受けとめておきたいと思うんですが、そういう点に立ちまして今度は登記簿の問題。
あれは、今は人のでもだれのでも自由に行って見られるわけなんですね。それがゆえに、必ずしもそこへ住んでいるわけじゃないから他人の土地が売り飛ばされたり、それで被害を受けたのが私の友人にもいるわけだけれども、そういう登記簿を自分のを見るとかそれから今度は自分が買いたいという土地を行って見せてもらうとかということはちゃんと理由がはっきりしておるからいいんだけれども、今のように不特定多数に自由に閲覧させる、そういうことはこの法案の考え方からいったらおかしいと思うんですけれども、その辺はどういう御理解をしているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/217
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218・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 先ほども登記のことについて若干御質問がありましたが、登記も電算処理を随分進めつつあるようであります。
この間、私、大阪の法務局へ行きましたら、大阪の法務局で今電算処理しているので、そこで今後恐らく、私の新潟県にある資産についても、高鳥修という名前と住所をインプットすれば持っている資産の中身がどれは担保に入っているとか担保
の設定額は幾らだとかがばあっとそこで出てくるんですよというような説明まで実は聞いたわけであります。それは一つの合理化ではあるかもしれませんが、大変な世の中になったなと実は思って見ておったわけでありますが、本来、登記をしたものを公示をしておくということ、そしてだれもがそれに相応する手数料を払えば閲覧できるということは、これはやはりその権利関係を明示することによって権利を保障するという意味合いもあると思うわけであります。
したがって、そうしたものがオンライン化によって他の役所へ勝手に流通するということは困るわけでありますけれども、責任ある監督官署において責任者がそれを管理する限りにおいては、従来どおり閲覧をすることができるあるいは謄抄本を求めることができるということは当然保障されておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/218
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219・柳澤錬造
○柳澤錬造君 私が言いたいのは、当然保障されているでは困るんであって、関係のない者にどれでも勝手に見れるような状態にしておくことが今のプライバシーの保護という観点に立ってもいかがなものかと言っているんです。ですから、そういう点ではやはり今後の課題にしておいていただきたいと思います。
それから同時に、これはおかしな質問の形になるんだけれども、私、この機会に申し上げておきたいんです。
大臣の資産公開というものが毎年行われているわけです。果たしてどういう価値があるんだろうか。大臣にだってやっぱりプライバシーの権利はあるんだし、これは外国でも大臣になると資産がどのくらいかと公表することはどちらかといえば行われているわけだ。例えばアメリカの場合だったら、大統領であろうが何だろうが、一年前のときにこれこれの資産がありました、それが一年後の今これだけの資産がありますといって大臣なり大統領なりの任期中にどれだけの資産がふえたか減ったかというところに資産公開の意義があり価値があるわけです。不当な懐をふやさなかったかどうかそこでわかるわけです。今、日本の政府がやっている大臣の資産公開というのは、ただある日現在でもって出すだけでしょう。だから、名前は差し控えるけれどもある大臣のごとく、大臣になったら途端に、その資産公開の前に自分の資産を奥さん名義にしちゃったりするようなことが出てくるわけです。だから、今日本がやっているような大臣の資産公開ならば何の価値もない。そんなことだったらやめて、むしろ大臣のプライバシーを守ってあげたらいいと思うんですが、その辺について大臣に御答弁を求めることは私はいささか無理があると思うんだけれども、一応御所見をお伺いしておきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/219
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220・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 閣僚の資産公開につきましては、中曽根内閣のときでございましょうか、政治家としての清廉さを保持し政治と行政の国民の信頼を確保するため、私を初め閣僚の資産を公開することといたしたい、各位の御賛同を得たいという発言に基づいてそれぞれ公開され、それからずっとやってきているというふうに承知しておりますが、今御指摘のように、どうも大臣の寿命は短うございまして、何回もやっておりまして何回も公開いたしますとこれは差が出てくるわけでありますが、一回こっきりでは意味がないと言われればまさにそのとおりである。しかし、総理を初めといたしまして特定の大臣は何回もやっておられるわけでありますから、それはやっぱり比較をしてごらんになる価値はあるのではないかというふうに思われます。
私は、公開するのであれば、むしろ国会議員全員がやった方がいいと思います。それならば何年かやっておるわけでありますから、毎年公開するということなら意味があるというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/220
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221・柳澤錬造
○柳澤錬造君 それから、先ほどから聞いておりますと、OECDの勧告もあったけれどもそれが主ではなくて、いわゆる臨調から出された行革の答申に基づいてこれをつくったんですという御答弁があったわけです。この資料の中にもありますけれども、サミット参加国の中でないのは日本とイタリアだけであって、そういう意味からいけば、先ほどの膨大なファイルがあることから考えても法制化するのが遅きに失したのであって、冒頭の提案説明のときでもその後でもどこかでもって、本来ならばもっと早くやって個人のプライバシーの保護ということで少しでも前進させたいと思っておりました、大変遅くなりましたという釈明の一言ぐらいあってしかるべきだと思うんだけれども、そういうことは何にもなかった。その点については私はまことに遺憾だと思うんです。
そこで、この法律案をおやりになることによるメリットはどういう点があるか、それからデメリット、マイナス面はどういう点があるかという点をお聞かせいただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/221
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222・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 私どもといたしましては、委員御承知と思いますが、既に十年余り前からこの法案については勉強を始めておったわけでありまして、その過程において、先ほども質問の出ました加藤研究会でありますとか林研究会でありますとかいろいろなこともやってまいったわけであります。ただ、何と申しますか、日本の政府の機構というものは、いわば内閣が完全に一致しなければなかなか法案は出せないわけでございます。したがって、関係各省庁の理解を得るということに相当苦心をしたことは事実であります。その結果としてようやくこの法案をまとめ上げたわけでありますので、私どもといたしましては率直に言ってもっと早い機会に法案をお出しできたらなあという感じは持っておったことは事実であります。この機会にぜひひとつ出させていただきたいということでようやくまとめ上げたということでございますので、遅きに失したではないかというおしかりは甘受しなければならないというふうに考えております。
それから、メリット・デメリットでございますが、先ほども若干申し上げましたけれども、今は、守秘義務でありますとか法令の遵守義務でありますとかそういうものが各役所にかかっておりますけれども、それ以外は率直に言って野放しという状態にあるわけであります。この法律をつくっていただくことによって初めて電算処理というものの非常に特徴のある行政処理の仕方に網がかぶせられるというところにまず第一に意味があるだろうというふうに私は思います。
その他、先ほども御答弁申し上げましたが、個人情報の利用、提供に制度的な制限をするということによりまして自己に関する情報がみだりに他人に知られるのではないかということがなくなる。それから、個人情報ファイルの公示、開示請求権の設定によりまして国がどういうファイルを持っておるのかということを知ることができる。それから、訂正の申し出を制度化し正確性の確保を義務づけることなどによりまして誤った情報に基づく不利益処分を受けるおそれが少なくなる。その他、行政情報システムの発展のための土台が整備されて行政サービスの向上を期することができる。あるいは、地方公共団体は市町村がかなりやっておりますが都道府県は現在ゼロであります。それについても国がこういうものをつくりますればそれを参考にしながら制定の機運が盛り上がるであろう。それから、特殊法人も現在ございませんが、これも国に準じてやっていただくということになるんではないかというふうに考えておるところでございます。
デメリットということになりますと、私どもの方ではメリットがありますということを申し上げたいわけでありまして、これからいろいろとやってみた上で問題が出てくると思いますので、そうした点を御指摘いただいて、それを適時適切に見直しをしていかなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/222
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223・柳澤錬造
○柳澤錬造君 個人情報のいろいろ誤った情報がインプットされたり、そういう点についてはまた次の機会にいたしますが、先ほども大臣は、羊頭を掲げて狗肉を売るようなことはいたしませんと。私、聞いておって、高鳥大臣は大変正直な方だなと思っておったんです。それで、言うならばま
だ満足な法案ではございませんということを言わんとしているんだと思うんです。
したがって、そういう点に立って言えば、この法律案は、単に行政機関のためだけにつくるのではなくてやはり国民のためにつくるものだと思うんです。国民のそういうプライバシーの保護の必要性を感じて国がおつくりになる。そして現実につくったものの、まだ十分なものではないと。また、新しくつくるんですからいろいろそういうふうな欠陥があることは当たり前だと思うんです。
そういう点に立って私が最後に指摘をし、申し上げたい点は、修正する点もこれから出てくるかもわかりませんが一応ともかくやっていって、それで三年なり五年なりしたときに必ずもう一回再検討をして手直しをいたしますというそういうお約束を明確にしていただきたいと思うし、その点についてしていただけるかどうかということを最後にお聞きしたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/223
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224・高鳥修
○国務大臣(高鳥修君) 国民の皆様方の権利利益を保護するという観点に立ってできるだけ適切に対処をしたいという観点から私どもこの法律案をまとめたわけでありますが、もちろん人間のやることでありますので不十分な点も多々あると思います。今回御審議をいただいている過程におきまして国会等でいろいろと御意見も承っておりますので、それらの御意見あるいはまたさらに学識経験者なり幅広い各方面の御意見等を伺いながら、この法律について改めるべき点が明確になれば、その都度御審議を煩わせまして、修正なり是正なりをしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
他の諸国の例を見ましても、やはり、やってみてその上で改めたというところもかなりあるようでありますので、そうした点も踏まえまして私どもとしても誠実に対処をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/224
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225・柳澤錬造
○柳澤錬造君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/225
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226・大城眞順
○委員長(大城眞順君) 両案に対する本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。
午後三時二十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111314889X00919881122/226
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