1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年十一月二十二日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
八月二日
辞任 補欠選任
吉川 春子君 宮本 顕治君
十月十九日
辞任 補欠選任
中村 太郎君 杉元 恒雄君
十月二十二日
辞任 補欠選任
杉元 恒雄君 中村 太郎君
十月二十四日
辞任 補欠選任
中村 太郎君 鳩山威一郎君
十月二十五日
辞任 補欠選任
鳩山威一郎君 中村 太郎君
十月三十一日
辞任 補欠選任
中村 太郎君 杉元 恒雄君
十一月一日
辞任 補欠選任
杉元 恒雄君 中村 太郎君
十一月七日
辞任 補欠選任
中村 太郎君 杉元 恒雄君
十一月九日
辞任 補欠選任
関 嘉彦君 勝木 健司君
十一月十日
辞任 補欠選任
杉元 恒雄君 中村 太郎君
勝木 健司君 関 嘉彦君
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出席者は左のとおり。
委員長 塩出 啓典君
理 事
下稲葉耕吉君
鈴木 省吾君
猪熊 重二君
諫山 博君
委 員
工藤万砂美君
徳永 正利君
中西 一郎君
長谷川 信君
秋山 長造君
千葉 景子君
関 嘉彦君
西川 潔君
国務大臣
法 務 大 臣 林田悠紀夫君
政府委員
法務大臣官房長 井嶋 一友君
法務大臣官房司
法法制調査部長 則定 衛君
法務省民事局長 藤井 正雄君
法務省刑事局長 根來 泰周君
法務省矯正局長 河上 和雄君
法務省入国管理
局長 熊谷 直博君
公安調査庁次長 佐藤 道夫君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 金谷 利廣君
最高裁判所事務
総局人事局長 櫻井 文夫君
最高裁判所事務
総局民事局長
兼最高裁判所事
務総局行政局長 泉 徳治君
最高裁判所事務
総局刑事局長 吉丸 眞君
事務局側
常任委員会専門
員 片岡 定彦君
説明員
警察庁長官官房
総務課長 鈴木 邦芳君
警察庁長官官房
留置管理官 片山 晴雄君
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本日の会議に付した案件
○裁判所の休日に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/0
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001・塩出啓典
○委員長(塩出啓典君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
裁判所の休日に関する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。林田法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/1
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002・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 裁判所の休日に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
政府としては、公務の円滑な運営を図りつつ週休二日制を推進するため、土曜閉庁方式を導入することが必要であると考え、行政機関について行政機関の休日に関する法律案を提出しているところでありますが、裁判所においても、これと同様の趣旨で土曜閉庁方式を導入する必要があります。
そこで、本法律案は、裁判所において土曜閉庁方式を導入するための法整備をしようとするものであります。
本法律案の要点を申し上げますと、第一は、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日及び年末年始に毎月の第二及び第四土曜日を加えた日を裁判所の休日と定め、その日には裁判所の執務が原則として行われないことを明確にすることといたしております。なお、裁判所の休日においても、裁判所が必要に応じて権限を行使することを妨げるものではないことを念のため規定することといたしております。
第二は、司法行政に関する事項についての裁判所に対する申し立て等の行為の期限の特例並びに民事訴訟法及び刑事訴訟法等における期間の計算について、所要の整備を行うことといたしております。
第三は、検察審査会の休日について、裁判所の休日と同様の法整備を行うことといたしております。
以上が、裁判所の休日に関する法律案の趣旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/2
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003・塩出啓典
○委員長(塩出啓典君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/3
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004・塩出啓典
○委員長(塩出啓典君) 裁判所の休日に関する法律案並びに検察及び裁判の運営等に関する調査を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/4
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005・千葉景子
○千葉景子君 まず、法案の質疑に入ります前に、一、二点お尋ねをさせていただきたいと思います。
まず法務大臣にお尋ねさせていただきますが、法務大臣は十八日の閣議後の記者会見で、衆議院リクルート問題調査特別委員会にリクルート社が提出いたしましたリクルートコスモス社の未公開株譲渡先リストについて、「今までのところ提出資料に追加すべきものはない。これからも捜査は継続してやるが、法務・検察当局では今のところ政官界関係者であれ以上の名前は把握していない」、大体こういう趣旨の発言をなさったということが報じられておりますけれども、そのとおりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/5
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006・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) お尋ねの件についてでありますが、昨日の参議院本会議におきましても御答弁申し上げましたとおりでありまして、その時点において今までのところ聞いておりませんが非公開株の譲渡関係については現在検察において調査検討中であると承知をしておりまして、今後の調査、検討に待たなければ、まだその全容について報告を受ける段階には至っていない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/6
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007・千葉景子
○千葉景子君 大分ちょっと内容、御趣旨が少し違うようなんですが、同じく十八日、衆議院法務委員会で我が党社会党の坂上富男委員の質問に対してもほぼ同趣旨の御答弁をなさっていると聞いておりますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/7
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008・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 坂上富男委員からそういう問題については御質問があったようには記憶をしていないんでございまするが、十八日のときにおきましても今におきましても、今まで私はまだ報告を受けておりませんけれども、ある程度調査が進んだ段階で多分報告は受けるものと、かように思っております。したがって、調査が進んでいかなければ、現段階においては明らかではない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/8
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009・千葉景子
○千葉景子君 今のお答えによりますと、この記者会見等で発言をなさった時点では、まだ捜査も途中であり、発表された以外の政官界関係者をすべて把握なさっていなかったということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/9
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010・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 記者会見しましたのが金曜日の朝でございまするので、閣議の後でございますが、その前の木曜日までの段階においてはまだ何も聞いていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/10
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011・千葉景子
○千葉景子君 何も聞いていらっしゃらないというのは、ちょっとおかしいというふうに私は思います。かなりの人数はほぼ確認をなさっていた、そういう意味でリストは間違いない、それ以上のものは今の時点では関係者は把握していないとおっしゃったのではなかろうかと思いますけれども、どうもこの報道の内容から見ますと、もうこれ以上は政官界関係者は出てこないよと、こういうことを明言されたようにも受け取るんですけれども、これはそうすると報道の方が若干行き過ぎだということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/11
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012・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 報道につきましても、新聞社はいろいろございまして、その報道にもいろいろニュアンスはあるわけでございまするけれども、その時点において聞いていないということでございまして、調査は継続中でありまするのでその調査が一段落して明らかになってくれば、そのときにおいて初めて多分話はあるんだろう、こういうように思います。したがって、現在明らかでないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/12
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013・千葉景子
○千葉景子君 大臣が発言されたすぐ後ですけれども、田中元総理の秘書である早坂氏も株譲渡を受けているということが判明してきたわけですね。また昨日、江副氏が証人として証言をなさいましたけれども、その証言の中で、警察の関係者も株譲渡を受けていたということが証言をされました。
法務大臣の発言というのは、こういう点から見ますと、こういう事実を知らなかった、あるいは知っていておっしゃらなかったか、そういうことになるわけです。また国民の側から見ますと、報道からうかがう内容からいえば、法務大臣の発言というのは大変やはり重要な発言であろうかと思うんですけれども、そういう意味では本当にリストの信憑性あるいはこの事実関係に大変疑いを持つという結果になるのではないかと思います。そういう意味では、その後こういう新しい事実も判明をして再調査、確認等を法務大臣の方でなさっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/13
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014・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 国会に出されましたリストについて私から意見を申し上げるということは、これは差し控えなければならぬことと存じます。ただ、検察はそういうリストをよく視野に入れまして調査、検討を続けておるわけでございまして、検察はこれからも十分検討をしていくものと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/14
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015・千葉景子
○千葉景子君 リストについて発言は差し控えられるということですけれども、そもそも出発が、法務大臣がこのリストについて、その段階ではこれ以上追加すべきものはないだろうと発言なさったことで混乱を呼び起こしているということですから、差し控えるということはむしろおかしいと私は思います。きちっと再調査をなさって、これ以上漏れているものはないか、そういうことをお調べになるべきだと思います。
この記者会見をなさった時点では、どういう根拠でこれ以上この時点では追加すべきものはないということをおっしゃったんでしょうか。どういう調査あるいは根拠をもってそういう発言をなさったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/15
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016・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) その時点におきますそれまでは聞いていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/16
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017・千葉景子
○千葉景子君 それまでは、そうすると検察でも把握していなかったということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/17
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018・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 御質問について若干誤解というと失礼でございますけれども、そういう点があると思いますけれども、従来国会で申し上げておりますように、要するに楢崎さんの告発した事件につきまして起訴をしましたわけですが、その後国会の御指摘もあり、非公開株の譲渡関係についても調査、検討するということを検察が申しておるわけでございます。したがいまして、現在はまだその調査、検討中でございまして、その結果については私どもも承知しておりませんし、また大臣に対しても報告はしていないわけでございます。現在、まだ検察においてそういう非公開株の譲渡先を含めて犯罪があるかどうかということについて検討、調査中である。したがいまして大臣にも御報告申し上げていないという状況でございます。そういう状況を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/18
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019・千葉景子
○千葉景子君 そうなりますと、大臣のこの記者会見での発言というのは非常に軽率といいますか、安易な発言だということになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/19
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020・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 記者会見の席におきましては記者からいろいろそういうふうな質問がありますので、今までのところ私は検察から何も聞いておりませんので、したがってこれから調査、検討を継続してやっていきますので、その段階にならないとわからぬということが主体であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/20
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021・千葉景子
○千葉景子君 もしそういう状態であれば、むしろその点をはっきりと、今捜査中であり、まだ内容については報告をきちっと受けていない、だからまだ自分としてはどんな内容になっているかわからないと、そうはっきりおっしゃるべきであって、そのときに、まだ捜査しているけれども今のところこの程度であろうというような趣旨の発言をなさるというのは、これは法務大臣としては大変私は軽率であり、大きな責任がおありになるというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/21
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022・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 私の記者会見における発言は一体としてとらえていただきたいものと思っております。したがって、その時点においてはこれははっきりしていないわけでありまして、したがって追加すべきものも明らかではない、しかし継続して調査、検討をするのであるからその結論を待たなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけでありまして、これは一体として考えていただきましたならば、そしてそれをすべて報道してもらいましたならば私の真意がわかるものと、かように存じておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/22
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023・千葉景子
○千葉景子君 ただ、私が拝見をいたしましたさまざまな報道の内容から見れば、今の法務大臣のおっしゃるような趣旨、ニュアンスというのは到底国民には伝わってこない。むしろこのリストがすべてを明らかにしているというようなニュアンスで伝わってくるわけですね。やはり記者会見をなさって、それが公式にといいますか一般には多くの国民に伝わっていくわけですから、その内容については十分にやはり慎重な態度をとっていただきたい。
こうなりますと、この報道内容の方が本来は誤りであった、こういう書き方はされるべきではなかったということになりますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/23
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024・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 報道内容が誤りであったというわけではないわけでありまして、報道が全部を書いてもらえばより明確になっただろうと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/24
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025・千葉景子
○千葉景子君 ところで、そうなりますと、現在の時点で法務大臣としてはこのリストについてどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/25
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026・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) そのリストにつきましては、検察の方では十分視野に入れて調査、検討を続けておるものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/26
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027・千葉景子
○千葉景子君 そうしますと、まだ政官界関係者がこの発表された以外にもいるかいないかということについてはわからないということでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/27
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028・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 衆議院でも申し上げましたように、私どもの立場としまして、このリストは国政調査権に基づいて提出されたものでございますから、その真否を申し上げる立場にないわけでございますが、それとは全く別な観点から検察庁といたしましても、こういう非公開株の譲渡先ということについていろいろ国会でも御議論、御指摘があるわけでございますから、それを踏まえましていろいろ調査、検討をしている、こういうことでございまして、検察庁の調査、検討というのは、このリストが間違っているかどうかという観点でやるのではなくて、それとは別にやっておるわけでございますので、その辺御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/28
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029・千葉景子
○千葉景子君 法務大臣にお尋ねしますけれども、今後記者会見等で発言をなさるに当たりましては、十分にその真意が伝わるように、事実の混乱がない、あるいは出された資料等の信憑性に疑いが持たれるような結果を呼び起こすことがないような慎重な対応をしていただきたいというふうに思いますけれども、今回の発言を振り返りまして、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/29
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030・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 大変御親切な御注意をいただきまして感謝を申し上げております。十分慎重にやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/30
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031・千葉景子
○千葉景子君 ぜひそれは今後も注意をしていただきたいというふうに思っておりますけれども、ちょっと警察庁の方にお伺いしたいんですが、昨日の江副証言の中で、警察関係者にも株が譲渡をされていたということが証言の中から出てまいりまして、報道等によりますと、それは元警視庁第五方面本部長の麻野忠雄氏ではないかというような報道もなされておりますが、これは間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/31
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032・鈴木邦芳
○説明員(鈴木邦芳君) きのう、江副氏の証言にございました一名の警察関係者と申しますのは、リクルートコスモスの現常勤監査役の麻野忠雄氏であるというふうに理解をしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/32
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033・千葉景子
○千葉景子君 こういうものが判明いたしまして、警察庁の方としても再調査、十分なまた調査をなさっていらっしゃると思いますけれども、警察OBなども含めてリクルート社から株の譲渡を受けた者は、これ以上いらっしゃいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/33
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034・鈴木邦芳
○説明員(鈴木邦芳君) 警察庁の内部におきましても諸調査を進めてきたところでありますが、麻野氏以外に株式会社リクルートコスモスの株を譲り受けた者はないというふうに理解をしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/34
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035・千葉景子
○千葉景子君 また、ないと言った先から名前が出てくるようなことがあっては困るわけで、それは確認をさせていただいてよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/35
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036・鈴木邦芳
○説明員(鈴木邦芳君) 先ほど申し上げましたように、麻野忠雄氏は警視庁の警察官として長く勤務をした経験がございますが、五十九年の十月に退職をしておられるわけであります。
警察庁の内部におきましては、現在の幹部を中心に所要の調査を進めましたが、これ以外に株式会社リクルートコスモスの株を譲り受けた者はないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/36
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037・千葉景子
○千葉景子君 それでは、次の質問に入らせていただきますが、河上矯正局長にお尋ねをさせていただきます。
これは主に警察官等を購読対象としているのではなかろうかと思いますけれども、雑誌「月刊警察」というのがございますが、その十月号のコラムに河上矯正局長が、公安関係の被疑者、被告人あるいは受刑者などに関連をいたしまして、裁判所の許可があれば盗聴ができるような国内法制の整備をすべきである、これは取り締まり側にですね、こういうような主張をなさっていらっしゃる。これは、この「月刊警察」にこういう内容でお書きになったということはそのとおりですね。それだけで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/37
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038・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/38
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039・千葉景子
○千葉景子君 この一番中心になる盗聴ができる法制を整備すべきだというのは、非常に問題のある発言ではなかろうかと思うんですが、まず、それに関連いたしまして、その前提としてこの「対監獄闘争」という内容の文章を読ませていただきますと、ここにはいろいろ受刑者の処遇の改善要求の問題でありますとか、あるいはハイジャック等の防止の問題でありますとか、あるいはいわゆる内ゲバ事件と言われているような問題でありますとか、かなり網羅的にお書きになられているというふうに思います。
しかしながら、この中で受刑者あるいは被収容者などが人権保障を求め、あるいは所内での人間的な取り扱いを求めたりすることについて、これは決して過激な問題ではないし、権利の行使として当然の要求の場合もあるわけですけれども、こういうことについては一体どういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。何かこういうことが全部ひっくるめて大変暴挙であるがごとき内容でお書きになっていらっしゃるんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/39
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040・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 矯正施設に収容されている被収容者は、これは自由を奪われているわけでございますから、いろいろな面で社会一般の人々の生活とは大きく異なる制約を受けているわけでございまして、したがって被収容者がいろいろな意味でもって矯正当局に対し、あるいは施設に対して要求をするというのは、ある意味では非常に当然のことでございます。待遇改善とかあるいは釈放を早くしてもらいたいという当然の要求のうちの一つとしてそういうものが出てくるわけでございまして、それがいわば法令の中で許された行為として行われている限りにおいて、私ども矯正当局としては、それはごく当然のことということで、それなりに対応しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/40
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041・千葉景子
○千葉景子君 それは当然そう受け取っていただかなければいけないことであろうというふうに思います。
さらに、この盗聴問題の前提といたしまして、現在あらしの前の静けさである、いつ何どきハイジャック等の違法行為が起こるかわからないというようなこともお書きになっていらっしゃるんですけれども、これも一体どういう実態、根拠をもってこういう発言をなさっているのか。こういうことが盗聴問題という結論にもつながってくるわけですけれども、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/41
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042・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 我が国におけるハイジャック事件、我が国が関係するハイジャック事件というのは、昭和五十二年の九月二十八日に起こりましたダッカ事件、これを最後にして起こっておりません。
ところが、その際ダッカ事件で釈放されました被告人あるいは受刑者、このうち泉水博という受刑者がおりますが、これがことしの六月、マニラにおいて逮捕されて日本に護送されてきて、現在裁判を受けている。あるいは丸岡という、これはダッカ事件を犯した人間というふうに丸岡修は言われておりますが、この人間も既に逮捕されて、日本国内に護送されて裁判を受けている、こういったような状況がございます。
そして、我が国は直接にはダッカ事件以降ハイジャックに巻き込まれてはおりませんが、ことしになって四月にクウェート航空機がハイジャックされているような事件がございますし、あるいはハイジャックではございませんが、パリの連続爆破事件、これは昭和六十一年の九月。あるいは同じ昭和六十一年の九月にパンナム機のハイジャック事件、その他もろもろの事件がたくさん起こっていることは御承知のとおりでございまして、丸岡あるいは泉水、これは日本赤軍の構成メンバーになっているわけでございまして、日本赤軍がそのままこの人たちを放置しているとは思われない。何らかの形で違法行為を犯してこの二人を再び釈放しろという要求が大いに起こり得る。そして起こった場合には矯正当局としては、これまでの例でまいりますと釈放するかしないか大変な危機を迎えるわけでございまして、そういった意味では危機感を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/42
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043・千葉景子
○千葉景子君 ただ、この論調を見まして一つ大変問題があろうかと思うのは、先ほど申しましたようにその待遇改善あるいはさまざまな要求、こういうものがあたかも大変暴挙であるがごとき、あるいはこれがいわゆる過激派と呼ばれるような集団によって行われているんだ、あるいは今おっしゃったようにハイジャック等の可能性もないということはないんだと、さまざま大変危険性というものを強調なさって、それをもって盗聴が必要なんだと。あるいは内ゲバ事件の例などを引かれて、非常に何か危険あるいは問題をとりわけに強調なさっているという風がうかがわれるんですけれども、本来、もっと基本的な人権としての要求であったりあるいは待遇改善の要求であったり、そういうことも多いのではなかろうかというふうに思うんですね。少しこの論調というのはそういう意味では問題がございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/43
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044・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 一般の被収容者の要求というのは必ずしもそう過激なものではございませんで、自分の身の回りあるいは釈放に関するものが多いわけでございます。
ただ、やはりこういった過激派系統の人たちの要求というのは、これは非常に過激なものも多うございまして、まあ過激と言っていいかどうか、一つの例で申し上げますと、自分には自殺する権利があるということで、自殺させろ、それを妨げるのはいかぬ、こういうようなことを言う例もございますし、それから職員に向かっておまえらは帝国主義の手先だ、こういうようなことでもっていろいろ挑発して、そして自分は自由であるべきであるから直ちに釈放しろ、こういうようなことを言う、そういった例、いろいろございますので、そういった面をいわば取り上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/44
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045・千葉景子
○千葉景子君 何が過激派でどういう行為が過激であるかというのは問題があるところだと思いますけれども、それに、さらにここで発言なさっている内容で、こういう中に国会議員をも巻き込んで最近は要求を主張している、要求する方向にあるということもおっしゃっているんですが、これは一体どういうことを指しておっしゃっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/45
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046・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 主として与党、自民党の先生方にいろいろ連絡をとる被収容者も多うございますし、それから野党の先生方に連絡をとられる被収容者も多いんですが、結局、早く自分を釈放しろ、それからあるいは所内においてつまり自分に完全な自由を与えろ、外界と同じ自由を与えろといったような要求、その他いろいろのことを国会議員に対する陳情といったような形でされる場合が非常に多いわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/46
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047・千葉景子
○千葉景子君 陳情するとか請願をするというのは、これはもう認められた権利でもあるわけですね。それもこの中では、何か巻き込んで一緒になってやっておるというようなニュアンスにも受け取れないことはないんですけれども、全体にこういう危険性を主張なさり、そしてそれに対する対応策として盗聴合法化論を唱えていらっしゃる。違法行為そのものを放置できない、それに何とか対処をしなければいけないという論は私もわからないわけではありません、当然のことだと思いますけれども、それに対して盗聴を合法化すべきではないかというのは大変飛躍をした論ではないか、それから危険な考え方ではないかというふうに思うんですね。
盗聴というのは、現在は違法行為ということで問題になっていることですね。それをこういうところに公に発言されるということについては、少しこれは軽率ではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/47
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048・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 千葉委員御承知のとおりだと思いますが、盗聴については三つのジャンルがあると言われております。
一つは、イーブズドロッピング。イーブズというのは、いわば軒下。ドロッピングというのは、立ち寄りといいますか、ですから軒下で立ち寄って盗み聞きをする。これは、従来の古典的な刑法理論からいけば、それが住居侵入になるかどうかといった意味での刑事罰の問題。あとは民事的には、プライバシーに対する侵害になるかどうかということで不法行為になるかどうかということはあると思いますが、それ以外に規制はされていない。現在はエレクトロニクス機器を使ってエレクトロニック・イーブズドロッピングというのが盛んに行われている、こう言われております。
それから第二のジャンルが、ワイヤタッピングというものです。これは有線電気通信法、その後の電気通信事業法ですか、などで罰則をもって禁圧されております。
それから第三のジャンルは、非常に難しい問題を抱えているわけですが、一方当事者の承諾を得ての録音あるいは録画、こういった問題がございます。第三の問題は結局、そういうことをした録音、録画に刑事訴訟法上、要するに証拠能力があるかどうか、そういった観点から論じられているようでございまして、三つのジャンルいずれも刑事法の解釈に絡む、刑事罰則あるいは刑事訴訟法の解釈に絡む問題でございまして、この御指摘のコラムは、私個人として書いたものでございますが、矯正局の所管ではございませんので私としてはお答えは遠慮させていただきたい、こう思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/48
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049・千葉景子
○千葉景子君 私は理論をお聞きしたいわけではありません。矯正局長という立場で、個人的な立場でお書きになったということですけれども、やはり最も力を持っている、そういう立場にいらっしゃる矯正局長という方が今のような問題がある、あるいは理論的に論を展開をされたわけではなくて、こういうだれの目にもつく雑誌に捜査側が盗聴行為をすべきだということをお書きになること自体がこれは非常に問題が多い、私はそう言わざるを得ないと思うんですね。個人的な立場であろうとなかろうと、法務省の「矯正局長・検事」、こういう肩書でお書きになるわけです。そしてこれは、部内にあるいは部外にも読まれる雑誌でございますよね、こういう問題も今指摘されているようなときに、盗聴行為を是とするような論を展開をされるというのは、私は軽率な行為だ、慎しんでいただきたいというふうに思いますが、今考えられていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/49
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050・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 個人的見解をここで申し上げるのもいかがかと思いますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/50
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051・千葉景子
○千葉景子君 ことで個人的見解を差し控えられるということでありましたら、個人的見解はそうやすやすとこういう雑誌には書かないでいただきたいと思います。
それでは、本願といいますか法案の内容の方に、時間の関係もありますので入らせていただきたいというふうに思います。
まず、今回の裁判所にかかわる土曜閉庁法案について、基本的なことなんですけれども、裁判所は日曜とか祭日、執務はこれまでは行っていなかったわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/51
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052・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 日曜日あるいは休日におきましては、受付事務とか、あるいは令状事務その他緊急に処理を要するような事務を除きましては執務は行っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/52
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053・千葉景子
○千葉景子君 そういう例外的なものを除いては執務は行っていない。これは何か法律あるいは法的に決められていたことなんでしょうか。何か根拠を持って行われていたことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/53
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054・則定衛
○政府委員(則定衛君) 裁判所あるいは一般行政庁を含めてと申してもいいかと思いますけれども、いわゆる官署としての裁判所なり役所につきまして、日曜、祝日あるいは年末年始が全般として休みの状態になる、そういう意味で直接的にそれを休日であると明確に規定した法律は、これまでのところないわけでございます。
しかしながら裁判所につきましても、書記官等の一般職員につきましては一般職の国家公務員の給与法の準用がございまして、その法律におきましては日曜、祝日及び年末年始について勤務を要しない日という規定になっておりまして、勤務から解放されておりまして、裁判所におきましても、先ほど申しました一般職の職員がそれによって休みますものですから、裁判官等も全体として登庁しない、そういう状態で休みになっていたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/54
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055・千葉景子
○千葉景子君 そうしますと、今回のこの裁判所の休日に関する法律案、これによってある意味では裁判所の執務あるいは裁判所全体で、これは裁判官も職員の方も含むと思いますけれども、法的に裁判所は休みにするよということがはっきりされたということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/55
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056・則定衛
○政府委員(則定衛君) 仰せのとおりでございまして、今回、従来の休みのほかに毎月第二、第四土曜日を休みの日にいたすものですから、これらを全般について明確に規定させていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/56
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057・千葉景子
○千葉景子君 これで初めてはっきりとした休日というものが決められるということになるわけで、そういう意味ではこれは非常に重要な、これから基礎になる法律になろうかと思うのですね。
そこで、何点かお尋ねしたいと思うのですけれども、この土曜閉庁法案の趣旨、先ほども説明をいただきましたけれども、公務の円滑な運営を図りつつ週休二日制を推進する、これは今の社会的な動向から見ても、私も当然のことであろうということは理解できます。しかしながら、裁判所といいますのはちょっとそれだけでは解決できない部分、とりわけ国民の人権とか、あるいは権利行使、こういうものと密接に結びついている機関だということもありますので、そういう国民の権利行使などを著しく阻害するような事態になってはいけないだろうというふうに思うのですが、この辺の基本的な御認識はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/57
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058・則定衛
○政府委員(則定衛君) 私どももこの法案の立案に当たりましては、今御質問がございましたような観点から遺漏のないように考えさせていただいておるわけでございまして、例えばその一条二項におきまして、休日におきましても緊急やむを得ない必要性がありますときには、当然のことでございますけれども、裁判所がその職責を果たすために権限を行使することができるという規定を念のために置かせていただいたのもそういう観点からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/58
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059・千葉景子
○千葉景子君 今ちょうど御指摘になられました第一条第二項というものがございますけれども、ちょっとその前に、先ほど、現在でも日曜あるいは祭日などに一定の例外の執務を行っていた。受け付けであるとかの業務、令状関係あるいは緊急な問題については対処なさっていたということですが、原則としてこれまで日曜、祭日に行っていたような執務は、今回土曜日が閉庁になるという場合でも同じような取り扱いをなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/59
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060・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/60
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061・千葉景子
○千葉景子君 ところが、これまでは日曜、祭日だけ、そこに今度は第二、第四の土曜日がプラスされるということになりますと、これまで以上に権利行使などにかかわる手続ができない日がふえるということになるわけですね。これについては、むしろもう少しやってほしい、これまでも必要あれば日曜等でも窓口を開く、あるいは緊急な事態に対処してほしいというような声もなかったわけではない。それと反対に、今度はむしろやらない日がふえてしまうということになりますので、ある意味では国民の側からすると、時間短縮等の問題を別とすれば、不利益が多くなるという面もあるわけですけれども、この辺についてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/61
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062・吉丸眞
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 御指摘の点は、特に刑事に関する裁判事務については重要な問題でございますので、まず私からお答え申し上げます。
令状、勾留、保釈、勾留の執行停止、それから一部の準抗告等の事件につきまして、それらの裁判事務の中で特に緊急を要するものにつきましては閉庁土曜日においても処理することを考えております。
ただ、例えば保釈について申しますと、委員も御承知のとおり、これまでの実務の経験からいたしますと、これは勾留の執行停止などと異なりまして、急病その他の事情の急変に基づいて急遽請求されるという事例は少のうございます。そういうことがございますので、保釈につきましては金曜日までに請求された事件で保釈相当と考えられるものについては処理を急ぎ、若干遅くなっても何とか金曜日中に処理するというような方向で対処すべき事例も多いと思われます。そのような点を含めまして十分配慮をいたしまして、疎漏のない運用を行いたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/62
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063・千葉景子
○千葉景子君 先ほど第一条第一項と第二項の御指摘がございましたけれども、これは第二項「裁判所が権限を行使することを妨げるものではない。」ということは、今御説明をいただいたように閉庁の場合でも場合によっては裁判所の側で執務をすることもあるよ、こういう趣旨でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/63
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064・則定衛
○政府委員(則定衛君) そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/64
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065・千葉景子
○千葉景子君 そうなりますと、これは裁判所が自由裁量といいますか、そういう形で必要なものについて執務をなさるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/65
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066・則定衛
○政府委員(則定衛君) 二項の規定ぶりから、そういう何といいましょうか自由裁量でということになるわけですが、本来それぞれの国の機関の責務というものが付与されておるわけでございまして、それがその時点で行わなければならない責務という観点から申しますと、全くの自由裁量といいましょうか、ということではなかろうかという気もいたすわけでございまして、やるべきものはやらなければならない。しかしそのために、特に国民の権利義務に直接かかわります裁判行為という性質から、本来役所が休みであるという観点から、その権限なり職権というものに障支は来さないわけでございますけれども、あえて二項にこういう規定を置いて誤解のないようにさせていただいておるという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/66
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067・千葉景子
○千葉景子君 誤解のないようにということであれば、むしろできるだけ明確な規定にしていただく。国民の人権保護、権利行使の妨げにならないような事項について取り扱いをするとか、何かそれを明記をするとか。この規定ですと、裁判所で自由に自由裁量のもとで執務を行うというふうにも受け取られがちですので、その辺は本来ならば、その権限を行使することをもう少し明確にすべきではなかったかとは思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/67
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068・則定衛
○政府委員(則定衛君) 先ほど申しましたように、いわゆる役所の休日における権限の行使といいましょうか、それについては何ら障支は来さないわけでございますけれども、裁判所におきましては、それぞれの裁判所が行うべき仕事につきましては裁判所法なりあるいは訴訟法なりで各裁判部の独立した権限という規定になっておるわけでございまして、それぞれの具体的な職責を果たすために必要な権限行使というのは個々独立した裁判体が本来決定すべきものでございまして、それらのうち幾つかのものにつきまして、全体として休みになっております裁判所の休日日に一律にこれを執務すべきであるというふうな規定を置くということは、今申しました裁判体の独立性なり、その判断が個々に適切になされるという建前から考えましても妥当でない。これはそれぞれの権限を行使される裁判体の適切な判断にゆだねるのが相当であるという考え方から、あえてそういう規定を置かないということにさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/68
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069・千葉景子
○千葉景子君 個々の裁判内容等、それは裁判官それぞれに独立が保たれているということは私もよく存じておりますけれども、やはりこの土曜閉庁、そういうときの体制をいかに整えていくか、どういう体制で行っていくかという問題ですから、個々の裁判官の自由にといいますか、そこに任せるというのは、これはいかがなものかと思うんですね。むしろ国民の権利行使というのが損なわれないように、やはりできるだけ統一的にあるいは明確にこういう体制で休日も行えるよと、行っていくということを明記していただくべきではなかろうかと思うんですね。
司法行政上の問題というのは、最高裁を頂点にして統一的に御指導なさっておりますし、当然のことで、ここまではあれですけれども、いろいろな協議、会同などの中でもいろいろ統一を図っていらっしゃるというのがむしろ実態だろうと思うんです。そういう意味では、土曜閉庁日におきましても一定のこういう部分の権限行使あるいは国民の側からいえば手続を行ってもらえるということを、より明確になさっていただきたいなというふうに思いますけれども、今後この点について何らかの形で明確になさっていくようなことは考えていらっしゃいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/69
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070・則定衛
○政府委員(則定衛君) 先ほどお答えいたしましたことに加えまして、現在まで日曜、祝日が裁判所の休みということで、それに加えて今回、あと月二日、第二、第四土曜日を加えさせていただくということになるわけでございます。
従来、日曜、祝日あるいは年末年始等について裁判所が緊急に処理することを要すると判断された事案につきましては、遺漏なく対応されてきたわけでございますし、また今後とも対応をしていくべきものだと考えておるわけでございます。加えて、今回この法律で新たに土曜二日が月の休みとしてふえます場合に、新たに特定の事務について一般的に休日であっても処理することに努めるべしというようなことをこの法律あるいはこの法律の規定を受けた政令等で規定するということになりますと、その担当部門というのはなべて執務体制を休日であってもしくという形にならざるを得ないと考えるわけでございます。
そういたしますと、裁判所全体として従来の休みに加えまして新たに第二、第四の土曜日を休日とする、いわば実働の勤務時間を減らし、さらに週休二日制を推進していくというこの休日法案の本来の趣旨にもとるおそれもないわけではないという観点から、先ほど申しましたように、そこは避けさせていただいておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/70
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071・千葉景子
○千葉景子君 逆に言えば、ここでやはり休日をふやす、あるいはできるだけ時間を短縮していこうということと、国民の権利行使という問題がある意味では対立せざるを得ないというところもあろうかと思うんです。そうなれば人員の確保であるとか、そういう面でむしろ十分な体制をとっていくということも必要なのではなかろうかと思うんですが、少なくとも実際には土曜日に行っていた執務を原則としてはやらないということになりますので、実際の保釈に関する弁護士との面接であるとか、さまざま今後個々には問題が出てこようかというふうに思うんですね。そういうところを今後、やはり一番その中心となります日弁連などと具体的な対応について協議を続けて、支障のないようにしていくということは十分お考えでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/71
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072・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 今回、裁判所に土曜閉庁を導入するに当たりましては、日弁連側とも十分協議させていただいたわけでございます。私ども、この土曜休日法案の作業に取りかかりました六月の時点で日弁連の方に伺いまして、今回の裁判所における土曜閉庁の趣旨などについて御説明申し上げまして、そして御意見、御要望等があれば承りたいということを申し上げました。日弁連側としましては単位会の意見などを集約されました上で、八月の時点で回答する用意ができたということでございますので、私ども参上してその回答を承りました。その際、その回答内容は書面化したものもいただきました。
それによりますと、裁判所の土曜閉庁方式はやむを得ないという御結論をいただいたわけです。しかし緊急性を有し、あるいは国民の権利に関係のある、先ほどの話に出ました保釈手続とか令状手続、あるいは保全手続等については、単に事件の受理だけではなしに、事件の処理についても平常どおりの対応ができるように特段の配慮を願いたい、そういった要望があったわけでございます。
その際に、私どもの方も説明させていただきましたり、また、後日改めて参上しまして、そういう御要望の点について、土曜閉庁方式をとる以上、平常どおりという体制は難しいが緊急に処理をしなければならない事件については、これは従前からとっております宿日直体制を中心としました体制がございますが、それを十分再点検して、そういう緊急を要する事件の処理には遺憾のないようにしたいというような御説明を申し上げました。その後、いろいろ法務省さんの方からも法律案ができた段階で御説明され、私どもの方もまた今月に入ってからも御説明申し上げたということでございます。そういうことで、今回の土曜閉庁の導入につきましては、日弁連の方においても御理解いただけたと私どもは考えております。
今後の問題としましては、各裁判所のそういう緊急事件の処理体制の問題でございますので、遺憾のないようにはいたしますが、万一問題があるというようなことが生じますれば、それぞれの地方裁判所単位に設けられております弁護士会、検察庁との協議会におきまして、そういった点を弁護士会の方から御指摘あるいは御要望いただきまして協議させていただく、そういうことで鋭意、執務処理をやっていきたいというふうに考えておりまして、この点につきましては日弁連の執行部とも意見が合致しているところでございます。今後の問題としてはそのあたりを考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/72
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073・千葉景子
○千葉景子君 各地方ごとにそういう協議をしていただくということも当然必要なことであろうかというふうに思いますけれども、これは全体に国民の権利行使にかかわるわけですから、この地域ではこうだけれども、こっちの裁判所では違うということではやはり平等に欠けるわけです。そういう意味では、統一的な問題などについては全体として日弁連などとも今後、窓口をつくっておいていただきたいというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/73
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074・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 今後の運用におきまして、そういう全体的な視野から検討を要するという問題が出てまいりました場合には、私ども最高裁と日弁連との関係で適宜協議、研究するということはもちろんでございます。そういうことを否定する趣旨は毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/74
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075・千葉景子
○千葉景子君 それでは、これは重要な問題だと思いますけれども、接見、面会等の問題についてお尋ねをしたいと思います。
接見あるいは面会等になりますと、裁判所というよりは法務省あるいは警察庁、こういうところにも関連するかと思うんですが、警察庁の方にお尋ねしたいんですが、今回の土曜閉庁ということで、接見あるいは家族の面会等の取り扱い、警察留置場などにおけるその取り扱いはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/75
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076・片山晴雄
○説明員(片山晴雄君) 土曜閉庁が実施されました場合、その土曜日は警察は当直体制で活動するということになります。したがいまして、留置場におきましてもその管理体制は現在の土曜日の執務時間内に比べ、弱くなることと思います。しかしながら、被疑者等とそれから弁護人等との接見交通権の重要性にかんがみまして、弁護人等から事前に御連絡をいただきました上で、留置場の管理体制を整えて面会していただくことを考えております。
また、家族等の方々につきましても、なるべく留置場の管理体制が整っている通常の日の執務時間内にしていただきたいと考えるところでございますけれども、事前に御連絡をいただきました上で、管理体制を整えることができますときにはこれに応じたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/76
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077・千葉景子
○千葉景子君 拘置所等の接見についてお尋ねをしたいんですけれども、まず弁護人の接見について、これは憲法上の権利でもございます弁護人との接見交通権、これが祝日あるいは日曜、それにプラスして土曜閉庁によって仮に土曜日にもできなくなるというようなことになりますと、これは非常に権利が制約をされてくるということになりますが、土曜日の扱いはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/77
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078・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 土曜閉庁方式の趣旨からいきまして、土曜日も日曜日と同様に扱うということで、被収容者への面会などは行わせないことになろうかと思います。ただ、今御指摘の弁護人との接見、特に被疑者との接見になろうと思いますが、現在は、土曜日は開庁いたしておりますので、これは当然土曜日の午前中は会えるわけでございますし、施設によってはできる限り便宜を図る意味で午後の早い時間までは接見を何とかしていただくという方向で努力しているわけでございます。
ただ、土曜閉庁になりますと、警察と違いまして拘置所というのは被収容者の身柄を確保し、罪証隠滅させないというだけで、極めて職員の数が限られておりまして、他の行政職の一般の国家公務員と同様に休ませるということになりますと、これは到底、土曜日に閉庁している日に弁護人がおいでいただいても原則として会わすということはなかなか困難なわけでございます。限られた職員では非常に困難でございます。
ただ、今おっしゃった憲法上の権利といいますか、弁護人接見の重要性ということは私どもも十分承知しているわけでございまして、あらかじめ接見等の申し出がある場合で極めて重要性あるいは緊急性のあるといったような申し出を受けた場合には、これは各施設によって職員事情が大変異なりますし、またその所在する地域によっても非常に弁護士が接見に見えるのが困難な場合、ようやく来て会えないというようなこともあり得るわけでございますけれども、いろいろ地域にもよるし職員事情によりますけれども、そういったことを考えて、個別の事案ごとにできる限り、何とか閉庁された土曜日について会わせる方向でできないものだろうかということで現在、各施設ごとに検討させております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/78
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079・千葉景子
○千葉景子君 緊急性とか重要性とかというのは、弁護人と被収容者との間では、これは当然外に説明すべきものではありませんし、第三者が判断すべきものではないと思うんですね、秘密裏の接見交通権ということでございますから。そうなると、やっぱり人員の配置とかそういう体制で接見交通権が制約をされてくるということは、私は避けるべきではなかろうかというふうに思うんです。日曜、祝日と同じと考えればそうですけれども、もともとは、日曜、祭日であろうが、執務時間内外であろうが、緊急あるいは必要であれば、当然いつでも接見できるということが憲法上あるいは刑訴法上の原則ということでございます。
そういうことになりますと、まずやはりこれを確保するために体制を整えるとか、それが先決の問題じゃないかと思うんですね。土曜閉庁にする、それと同時に権利行使が妨げられないような体制も同時並行に整えて、そして接見交通権を保障していくというのが筋ではなかろうかというふうに思いますが、その辺を今後十分な体制を整えていくようなことはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/79
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080・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 現在衆議院の方で御審議いただいております刑事施設法案、これは現行の監獄法とはかなり基本的考え方が違うわけでございまして、それに向かって、やはりその法案が成立した場合には抜本的に職員配置その他を見直さなければならないと思っております。そして、その際にはできる限り何とか御趣旨に沿うようなということも考えておるわけでございますが、現行法のもとで抜本的な対策、つまり職員配置の全くの見直しというのはなかなか困難でございます。
ただ、おっしゃいますように、できる限り予算あるいは人員配置、人員の増員、そういったものを御配慮いただいて、少しでもそういう方向で努力したい、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/80
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081・千葉景子
○千葉景子君 これは今、新しい刑事施設法等の話が出ましたけれども、それがあるからできる、その法律がないからできないという問題ではなくて、むしろもっと根本的な憲法上の要請でもあるし刑訴法上の要請でもあるということですから、できるだけ刑事施設法云々とは別に現行法内でも運用ができるような体制をぜひ整えていただきたい、努力をしていただきたいというふうに要望いたします。
ところで一般の家族、友人等の接見、差し入れの問題ですけれども、これも弁護人の接見に劣らず、やはり重要な問題であろうかというふうに思いますが、これについては土曜閉庁でどのような取り扱いになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/81
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082・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 一般の家族あるいは友人、そういった人たちと彼収容者の面会などにつきましては、残念ながら、土曜閉庁の趣旨を私どもとしては何とか貫徹して職員に一般の公務員と同じように休ませたいという気持ちが強うございまして、今のところ無理ではないか、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/82
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083・千葉景子
○千葉景子君 その御趣旨はよくわかりますが、ちょっと実態として把握なさっていれば知らせていただきたいのですけれども、現在でも平日と土曜日、これを比較いたしまして接見あるいは面会、差し入れ等に見える方、それはどのような数になっているでしょうか、ちょっと平日との比較などができればありがたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/83
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084・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) ことしの十月一日から三十一日まで、特に私どもの方としてもあらかじめ調査をしたわけでございますが、それによりますと既決の受刑者、これは全国、全部でございますけれども、平日一日当たり七百二十六人、土曜日は四百四人ということでございまして五五%、土曜日はやはり平日の五五%ぐらい、そういうことになっております。未決の場合は平日が千九百七十八人、これは一般の人たちです。土曜日が千三百八十八人ですから約七割ぐらいになりますでしょうか。
それから、弁護人が平日が三百三十三人、土曜日が二百四十七人で、これもやや七割になると思います。ただ、数は弁護人の場合、東京が多い。数として東京とか大阪とか大都市、特に東京に非常に集中しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/84
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085・千葉景子
○千葉景子君 これを見ますと、土曜日というのは多分取り扱いが丸一日じゃなかろうかと思うんですね。そういうところから見ますと、やはり土曜日に面会等に行く方というのは大変多い。実際に、ウィークデーに行くよりは土曜日、今休日のところもございますし、土曜日なら休んで面会に行く方も多いのではなかろうかというふうに思うんですね。
それから、こういう御家族の方などですとなかなか厳しい生活も余儀なくされている。働いていたりなどしたら、平日に勤務を休んで面会に行くというのも難しい面もある。私なども経験則上といいますか、見ておりますと、平日などはどちらかというと御家族といっても余り仕事を持っていらっしゃらないような様子の方とか、ここまで言うと極端ですけれども暴力団の関係者の方ですとか、そういう方が多いような気もするんですね。
そういう意味では、土曜日というのはやっぱり貴重な面会の時間であろうというふうに思わざるを得ないんですが、この取り扱いがないということになりますと、閉庁しない第一、第三等の土曜日が大変込み合う、混雑、混乱をしていくということも考えるのですが、その辺についてはどんなふうに今後の推移をお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/85
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086・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 第一、第三は当然開庁しているわけでございますので、現在よりはある程度、面会者の数が上がるのではないかと一応予測しております。そのためにせっかく来て会えないということがないように、開庁している以上は職員配置等も、いわば職員を一部残業させる、その他の形になるわけですが、そういう形で何とか対処したい、そういうふうに検討させております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/86
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087・千葉景子
○千葉景子君 職員の方の問題もあろうかと思います。そういう意味では人員配置等をむしろ工夫をしていただく、そういうことによってやはり貴重な土曜日の面会、これはむしろ土曜日、休日の面会は外国などではごく当たり前というような例もあるようでございますし、できればそちらの方向に今後やっぱり考えていただきたいというふうに思うんですね。
これは例えでございますけれども、職員の方の休日を考えるということであれば、土曜日は閉庁せずにむしろ月曜日に閉庁していただくとか。というのは、そうなりますと平日の一日を閉庁してもむしろ休日なり土曜日をあけている方が、面会に行く者にとっては利用しやすいということにもなろうかと思うんです。そういう形で職員の方の休日をとっていただくとか、そういう工夫もできようかというふうに思いますし、それから今、人員配置の面を見ておりますと、面会というのにお一人お一人立ち会いの方がついている。
こういう立ち会いの制度あるいは面会の仕方、こういうところなどももう少し工夫して、諸外国の例なども参考にしていただいて人員配置もしやすくする。そういうことなども含めて、今後より必要になってくる土曜日などの面会について対処していただきたい、そういうことをこれから考えていってほしいというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/87
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088・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 月曜日に閉庁するという大変御示唆に富むあれですが、行政機関の休日に関する法律は土曜日は第二、第四ということでございまして、新たに別に法律をつくらなければならないということもあろうかと思いますし、月曜日は開庁しているのが当然ということでいらっしゃる皆さんも多かろうと思いますので、その辺はなお検討させていただきたいと思いますが、一般に今おっしゃいましたことの中で確かに、外国の事情は私つまびらかでございませんが、できる限り人員配置を節約するというか、工夫して、少しでもそういった方向に進みたいと思っておりますが、いかんせん明治四十一年につくられたこの法律で、既に八十年に及んでやってきております。
法律に従った行き方で、職員数は極めて少のうございます。世界各国、先進諸国と比べて一、二位を争う職員の負担率でございまして、幾ら工夫しても、工夫になかなか限度がある。私どもとしては工夫しなかったわけではなくて、これまでさんざん工夫してきているわけでございまして、これからももちろんその工夫、努力を続けたいと思いますが、なかなか大変でございまして、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/88
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089・千葉景子
○千葉景子君 ぜひ今の問題点などを今後の検討課題にしていただきまして、今回の法律の中でも権利行使、あるいは収容されている者の人権、そういうものを考えながら対処をしていただきたいというふうに思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/89
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090・猪熊重二
○猪熊重二君 最初に、休日法案について若干お伺いしたいと思います。
現在、裁判所の土曜日の事務の取り扱いはどういうふうになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/90
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091・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 裁判所では、ことしの四月から行政官庁と同じ方法で四週六休制が実施されているわけでございます。四週間のうちに二回の土曜日が職員にとって休みということになりますので、毎土曜日ごとに見てみますと、約半数の職員が登庁して執務し、残りの約半数の職員が勤務を要しない時間ということでその土曜日を休んでいるという状況でございます。
そのそれぞれの職員の土曜日の勤務を要しない時間の指定をするに当たりましては、事前になるべく特定の土曜日に休みが偏らないように十分に調整をいたしまして、そのそれぞれの土曜日の公務の円滑な運営に支障を来さないように、また、訴訟の当事者などに迷惑を及ぼさないように配慮をして、大体均等にならして執務できるような体制をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/91
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092・猪熊重二
○猪熊重二君 そうすると、今までは土曜日は、勤務する人数はともかく、裁判所としては仕事をしておられた。ところが、今度この法案ができると第二、第四土曜日はお店じまいというか、完全に一応閉庁ということになるということでしょうか。そうすると、大分、裁判所の執務に変更があるように思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/92
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093・櫻井文夫
○最高裁判所長官代理者(櫻井文夫君) 基本的には、今御審議いただいておりますこの法案によりまして、第二、第四土曜日は裁判所の休日になるわけでございます。したがって、それ以外の休日、つまり日曜日とか祝日とかあるいは年末年始とか、そういった日と同じような執務体制がとられるということでございます。
原則としてその日は執務はしないわけでございますが、通常の裁判事務はその日には行われないということでございますけれども、今までも処理に緊急を要するような事務については、そういった休日にも処理をする体制をとってきたわけでございます。したがって、これからも、それ以外の休日と同じようにこの第二、第四土曜日につきましても処理に緊急を要するような事務については執務できるような体制をとりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/93
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094・猪熊重二
○猪熊重二君 一条一項の本文の「裁判所の執務は、原則として行わない」という規定の「原則として」ということはどういうことなんでしょうか。
もう少し質問の趣旨を申し上げますと、「原則として」と「行わない」ということの中身は、裁判所の閉庁というものそのものを閉庁しないというふうな意味での原則としてという趣旨なのか。それとも裁判所の仕事の中の特定の項目については例外的にするという趣旨なのか。いかがでしょょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/94
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095・則定衛
○政府委員(則定衛君) お尋ねの前者の考え方と申しましょうか、後者の方ですと第二及び第四土曜日をある事情であるときには裁判所全体として執務をすることがあるということになろうかと思いますけれども、この法律の趣旨はそれではございませんで、全体として第二、第四土曜日には裁判所は休みますけれども、その中で必要な部門といいましょうか、裁判体と申しましょうか、それがその日に緊急に処理を要すべきときには裁判所としての責務を行いますと、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/95
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096・猪熊重二
○猪熊重二君 そうすると、今のお話の趣旨だと、ある特定の事項に限っては、日曜日でもある裁判所において執務を行うこともある、こういうふうな趣旨のように伺いましたが、もしそれで間違いないんだとすれば、じゃそのようなことを決定するのはだれなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/96
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097・則定衛
○政府委員(則定衛君) それぞれの裁判体ということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/97
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098・猪熊重二
○猪熊重二君 そうすると、雑駁な言葉で申しわけないけれども、非常に仕事が好きな裁判官がいて、その人が、私はやろうと言えば一生懸命やる場所もあるし、私はもう満タンに休もうということだと、そっちは閉庁そのままと、こういうふうな各裁判所の各裁判官の判断によって仕事がなされたり、なされなかったりという事態になるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/98
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099・則定衛
○政府委員(則定衛君) それぞれの裁判所、ここは裁判所を構成する裁判官なり書記官なりということになると思いますけれども、それがその時点で適切に職務を果たす上で必要な場合には、その責務を果たすための権限を行使するということでございまして、何と申しましょうか、仕事好きな裁判部が原則として休みの日であります土曜日に、ほとんど登庁されて執務をするというようなことにはなるものではないと思いますし、そういう趣旨でもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/99
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100・猪熊重二
○猪熊重二君 今のに関連して、第一条第二項についてお伺いしますが、「裁判所が権限を行使することを妨げるものではない」というふうな規定がございます。ここの「裁判所が権限を」という、その裁判所というのはどういう裁判所なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/100
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101・則定衛
○政府委員(則定衛君) この裁判所といいますのは、現実に裁判機関として職責を果たす個々の裁判体という趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/101
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102・猪熊重二
○猪熊重二君 そうすると、裁判所の休日ではあるけれども、いわゆる受訴裁判所、裁判機関としての裁判所が休日に権限を行使することは妨げないんだということのような趣旨ですが、そうすると、それを決定するのも先ほど「原則として」についてお伺いしたと同じように、その受訴裁判所が権限を行使するかしないかということを独自に決めるわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/102
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103・則定衛
○政府委員(則定衛君) 受訴裁判所も含まれますし、いわゆる令状関係等になりますとそれ以外のものも含まれると思いますけれども、それぞれが個々独立して適切に判断されるということと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/103
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104・猪熊重二
○猪熊重二君 そうすると、先ほどから私が申し上げておりますように、ある裁判所では土曜日もいろいろ仕事をやってくれる、あるところではやらない、その判断を全部各裁判所の各裁判官に任せるということだったら、国民にとっては迷惑なこと甚だしいと思いますが、このような点について統一的に法制化するというお考えは全然お持ちじゃなかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/104
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105・則定衛
○政府委員(則定衛君) この点、同じような趣旨の御質問が先ほどもございまして、繰り返すことになって恐縮でございますけれども、やはりあくまでも個々の裁判体がその責務を果たすために、その時点で当該案件を処理する必要があるかどうかを適切に判断することが裁判所に期待されておる独立の職責であろうかと思います。
したがいまして、従来も日曜、祝日等の休日におきまして、今のような観点から適切に対応されてきたわけでございまして、今回新たに第二、第四土曜日が休日としてつけ加えられますからと申しまして、その基本的な考え方なり、あるいは従来しいてこられた必要な体制というものが変更されるものではございませんし、なお一層、そういう休みがふえるという意味で、先ほど来最高裁当局からの御答弁にございますように、特別の配慮もなされるであろうということでございます。
そういう意味で、特定の案件を処理する裁判部なり特定の事務につきまして、法令で一律に休みの日であっても処理を優先的に行うべきだというような規定を設けますと、先ほど申しました個々の裁判所に期待されております独立の権限を適切に判断して行使するという観点から申しまして、好ましいことではないというふうに考えましたことと、さらに加えて、そういう特定の案件を担当する部門につきまして一律に第二、第四土曜日を含めました休日に全体としての執務体制をしいていただくということは、裁判所の休日を一般行政庁と同様、週休二日制の観点のもとで今回新たに手当てをさせていただくこの法案の本来の趣旨というものになじまないという観点から、差し控えることにさせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/105
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106・猪熊重二
○猪熊重二君 この二項の文言で非常に何というか理解しにくいのは、裁判所が休日においても権限を行使することを妨げないという、こういう規定の仕方なんです。私に言わせれば、勾留理由開示というふうな制度、これは憲法上の制度なんです。勾留されている被疑者、被告人が勾留理由開示請求をするというのは憲法上の権利なんです。この憲法上の国民の権利である勾留理由開示請求に対して、その勾留が正当であるか取り消されるべきものかということを応答するべきは裁判所の職務です。あるいは保釈請求に対して裁判所が応答することも裁判所の国民に対する責務、国法上の義務です。
何か権限を行使することができるというふうな考えじゃなくして、裁判所は国民の申し立て、請求に対して応答するべき職責があるというふうに考えれば、この休日における執務というものについても考え方が少し変わるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/106
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107・則定衛
○政府委員(則定衛君) 確かに国民サイドから見まして、憲法上あるいは他の法令上保障されております今おっしゃられますような申し立てというのは権利でございますから、これに応答すべきは裁判所の義務と申せましょう。しかし、御案内のとおり、その義務をどの時点で果たすのが裁判所に求められておる責務であるかというのは別の観点であろうかと思います。通常の執務日で行って足りるものもありましょうし、緊急にその休日となる日に処理しなければならない場合もございましょう。後者の方につきましては、その案件を当該休みの日に行うべき緊急性と必要性と申しましょうか、この点につきまして当該裁判体が適切に判断されるべきものであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/107
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108・猪熊重二
○猪熊重二君 もう一つ、私は、先ほどから裁判所なり法務省の御答弁の中で非常に理解しにくいことは、裁判所の仕事、特に裁判機関としての裁判所の仕事が、司法権の独立の憲法上の原則から、他から介入されるべきようなものではないという、その司法権の独立、裁判権の独立という問題と、ある日に仕事をするかせぬかという問題とは全然別個な問題だと私は思われる。だから、裁判官の判断に任せる、裁判官の良識に任せる、それは裁判内容の問題であって、仕事をするかせぬかということについて裁判官の独自な判断だとか良識に任せるとかというふうなこととは全然質が違うことです。
裁判官が仕事をするべき日であるか、してもしなくてもいい日であるかなんていうあいまいなことでは、国民の裁判を求める権利というものが実質的に保障されないじゃありませんか。その辺どうお考えなんですか。裁判権の独立ということと、裁判官が仕事をするべきかしなくてもいいかということを法規的に決めることとは全然別個な問題だと思う。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/108
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109・則定衛
○政府委員(則定衛君) 御質問の趣旨、わからないわけではございませんけれども、一般的に休日には役所を閉じて仕事をしないという状態をつくり出すのが今回の休日法案の直接の趣旨でございます。したがいまして、一般的には裁判所の体制としてその休日には所掌の責務を果たすための用務を行わなくてもいいということになろうかと思うわけでございますが、ただ、その案件が国民の権利義務に直接かかわり、そのとき適切な裁判判断行為がなされませんと裁判所に求められている職責を果したことにならないというものにつきましては、これまでと同様、個々の裁判体が適切に判断されるべきものでございまして、これは従来からもそういう立場で対応されてきたものと理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/109
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110・猪熊重二
○猪熊重二君 いずれにせよ、今回の土曜閉庁法案が成立するということになると、例えば来年度において三連休がどのくらいあるかどうかということについてお調べになっておりますか。——調べてなければ、一月に十四、十五、十六の三連休。四月に二十八、二十九、三十の三連休。五月の三、四、五、これはやむを得ないんです、今でもそうなんだから。九月の二十二、二十三、二十四の三連休。要するに、今までは三連休は年に特別のことがない限り一回だったのが今度四回になる。
この四回もある三連休の三日間も裁判所が全然お休みのときに、保釈請求したい、勾留取り消しを求めたい、執行状の執行停止を申し立てたい、勾留理由開示を請求したい、あるいは検察官、司法警察員の不当な処分に対して準抗告の申し立てをしたい、刑事事件に関してもそれだけの国民の申し立て権が三日間も放置されるようなことじゃ、国民にとって非常に重大なことです。民事事件においても、証拠保全の申し立て、あるいは保全処分、あるいは強制執行の停止決定の申し立て、こういうふうなことについて三日間もほうっておかれたら、国民にとっては大迷惑だと私は思うんです。
だからといって、この休日法案に反対するということじゃないんです。これに対する適切な対応というものを考えるべきじゃなかろうか。この一条二項で、裁判所が好き勝手に、やりたいと思ったら権限行使してもいいなんていう規定で事をおさめるわけにはいかないんじゃなかろうか、こう考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/110
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111・吉丸眞
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 今回の法案によりまして第二、第四土曜日が裁判所の休日となりますので、裁判官の立場から申しますとその日には原則として執務は行わないことになります。
ただ、国民の権利義務に密接に関連する事務、裁判事務というものもございますので、その権利行使に遺憾のないようにするために、特に緊急の処理を要する、やはり休日にでも出てきてやらなければならないというようなものにつきましては、これはいわば例外的にと申しますか、事務処理を行うということを考えているわけでございます。
その体制といたしましては、これまでも日曜その他の休日におきましては令状、勾留等の事務は日直制によって処理いたしておりました。この法案によって土曜閉庁が定められた場合、閉庁となる土曜日もこの関係では同様の取り扱いをいたします。また保釈、勾留執行停止、準抗告等につきましては、委員も御承知のとおり、これは日直制だけでは賄えないところがございます。その点で裁判所全体としての負担は重くなるわけでございますが、これも先ほど申しましたように、特に累急の処理を要するものにつきましては担当の裁判官その他の職員が登庁いたしまして、閉庁土曜日においても処理を行うことにいたしたいというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/111
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112・猪熊重二
○猪熊重二君 この件に関して先ほど金谷総務局長さんでしょうか、日弁連と各種協議をしてある程度の了解点というか、納得し合ったようなお話があったと思います。
これは昭和六十三年十一月二十一日付の日弁連から私にあてた要望書なんです。きのう付の要望書なんです。これにはこう書いてある。「当連合会の要望が全くいれられていません」と。先ほどのお話だと日弁連も了解したようなお話でしたけれども、総務局長のお話が本当なのか、日弁連が私にきのう持ってきたこの書面が本当なのか、どちらか知りませんが、日弁連としては、この土曜閉庁法案に対する各種の希望、要望を申し上げたけれども、「当連合会の要望が全くいれられていません」と、こう書いてあります。
それからもう一つ、この日弁連の要望書の中で言っていることは、私が先ほどから申し上げていることとほとんど同じなんですが、休日として執務を行わない取り扱いについての例外規定を法文上規定してもらいたいと、こういう要望なんです。これは裁判官の恣意的判断によって執務したりしなかったりということではなくして、もう少し国民の側から見れば国民の権利として、裁判所の側から見れば裁判官の職務として、この一条二項のような規定でない明確な、休日においても執務すべき例外についての規定をするべきだということを考えます。これは先ほども千葉委員も同じことを申し上げておりました。これについては早急にいろいろ検討していただきたいと思います。
なお、あと一、二点、法案に関してお伺いしますと、法案附則第二条に関連してお伺いしますが、この附則第二条は民事訴訟法の一部を改正するということでございまして、民事訴訟法の百五十六条第二項にある「基ノ他ノ一般ノ休日」という規定をそこに書いてあるように改正する、こういう規定です、この附則第二条は。
そこで、私が伺いたいのは、このように百五十六条の「基ノ他ノ一般ノ休日」をここでこう改正しておきながら、ほとんど同趣旨と見られる他の法律について何ら手が加えられていないということの理由をお伺いしたい。一つは、この改正規定の百五十六条の三条前にある民事訴訟法百五十三条、ここにも「基ノ他ノ一般ノ休日」という用語があります。民事執行法八条にも「その他の一般の休日」という規定があります。手形法八十七条にも「基ノ他ノ一般ノ休日」という規定があります。
この附則第二条で民訴法百五十六条だけをこのように改正して、今申し上げたような条項を改正しないことについての簡単な御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/112
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113・藤井正雄
○政府委員(藤井正雄君) 民事訴訟法百五十三条でございますが、これは休日に裁判所が期日指定を行うというようなことによりまして当事者の方の休日における個人の生活の平穏、休息を害してはならない、そういうことは極力避ける方がよろしい、こういう趣旨の規定でございます。
そうであるといたしますと、裁判所が今回の法律によりまして休日になりましても一般の方々が必ずしも休日でない、そういう日につきましては、裁判所が休日になりましたからといってこの民事訴訟法百五十三条が直ちに影響を受けるというものではない。百五十三条の範囲をそこまで広げることは直ちには要求されるものではないのではないかと。それに反しまして百五十六条の方は、主として当事者の方が裁判所に対してある行為をする、それの期間を定めているものでございますので、それが休日である、裁判所が休日になるということになりますとこれは影響を受けることになりますから期間の伸長を図る必要がある、こういう検討の結果に基づいて百五十三条の方は特に今回手を加えないこととしたわけでございます。
同様に、民事執行法八条の規定でございますけれども、この規定は、執行を受ける者の住居の平穏を保護するというものでございますから、これもやはり裁判所の休日ということと直接関係はないので、これもやはり手当てをする必要はないのではないかというふうに考えているわけであります。
それから手形法八十七条でありますが、これは手形法上の休日を定めておる規定であります。手形の満期日がこの休日に当たるときには、支払いをなすべき日がその休日に次ぐ第一取引日となるということになっております。その手形上の権利の行使は、これは支払い場所たる銀行、具体的には手形交換所において行われることでございまして、裁判上の権利行使というものではございませんから、裁判所の休日法と直接関係はないというふうに考えております。
これはむしろ銀行の休日とかかわりがあることでございまして、現在は手形法第八十七条及び小切手法第七十五条の規定による休日を定める政令というものがございまして、ここで第二、第三土曜日が手形法上の休日ということになっておりますが、金融機関では明六十四年の二月一日から完全週休二日制を実施するということで銀行法施行令などの改正をいたしておりますので、これに合わせまして先般、ただいま申し上げました手形法第八十七条等の休日を定める政令を改正いたしまして全部の土曜日を休日に加えるという手当てをいたしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/113
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114・猪熊重二
○猪熊重二君 法案に対する質疑を終わりまして、次にいわゆるリクルート問題に関連して二、三点お伺いしたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/114
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115・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 先ほど私が日本弁護士連合会との関係で御説明申し上げましたことにつきまして、事実に反するのではないかという趣旨の御発言がございました。その点に関しまして一言御説明申し上げさせていただきます。
私どもの方では再三、日本弁護士連合会の方に足を運びまして御説明申し上げたことは先ほどのとおりでございます。その初めの段階で、例えば閉庁土曜日に行う事務とか、あるいは緊急を要するか否かの判断の基準等について、規則とか通達で列挙して定める予定はあるかというお尋ねがございました。それに対しましては、先ほど来御説明の出ておりますとおり、裁判官の判断に関する点であるとか、あるいは一部のものだけを挙げて他のものが漏れてもいけない、そういったことなどを詳しく御説明申し上げまして御理解を得たと、こう考えていたところでございます。
そういたしましたところ、先月の末になりまして、弁護士会の中の一部の方が何か衆議院の法務委員の一部の方に会長名義で法案についての抜本的修正を求めるといった書面を届けられたということを知りまして、私どもは非常に意外に存じまして、今まででは結論としてはやむを得ない、そして私どもの説明に対しまして格段の改めた御意見、御要望はなかったので御理解いただいたと思ったわけです。非常に意外に思いまして、その時点でまた改めて日弁連の方に伺いまして詳しく御説明申し上げさせていただいて、御理解を得たところでございます。あわせて、こういう書面をお出しになられたことにつきましても非常に遺憾である旨のことを日弁連の執行部の方に申し上げさせていただきました。いろいろな御事情がおありになったようでございますが、そういうことで、私どもはこの書面が出た上でも再度伺いまして御説明申し上げ、御理解を得た、こう存じておる次第でございます。
きのう出ました書面については全然存じませんで、これもまた、今までの経過からすれば大変意外に存じます。私どもとしては、日本弁護士連合会に十分御理解を得たと、こう考えることについては何らうそ偽りはない、こう考えております。一言釈明させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/115
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116・猪熊重二
○猪熊重二君 リクルート問題に関して、検察庁においていろいろ捜査をしておられるということについて大いに頑張ってやっていただきたいと思うし、国民の期待もそこにあると思います。きょうは、検察庁においていろいろ捜査していることの国会ないし委員会に対する公表の問題について二、三お伺いしたいと思います。
まず、いわゆる五十九年十二月にリクルート社がその保有するリクルートコスモスの株百二十六万株を七十六人の人に譲渡したということが報道され、またそのような内容の書面がリクルート社の方から国会の方にも提出されているわけですが、この七十六人の具体的人名ないしその取得株数等についての捜査は終了したんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/116
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117・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 先ほど大臣も私も申し上げましたように、楢崎議員告発の事件につきましては、共犯関係を除きまして一応の処理を終えたわけでございます。その後、その共犯関係及び国会等で御指摘のありました非公開株の譲渡関係につきまして、鋭意調査、検討をしておる段階でございます。したがいまして現下、その調査、検討がどこまで進んだかということについてはいまだ申し上げる段階ではないと思いますので、その辺御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/117
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118・猪熊重二
○猪熊重二君 ただ、この問題はまだ公表する段階ではない、こうおっしゃるけれども、まずこの七十六名の譲り受け人について、これが果たして単なる商取引のような問題なのか、それとも犯罪行為を構成するかというふうな観点から考えてみたときに、仮に職務権限を別にした場合に、この七十六人の人間が受け取った株についての不法の利益性、一口に言えばわいろ性、これについては法務省はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/118
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119・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) その点につきまして、もう国会で三十回以上いろいろ御指摘がございました。そういう点を含めまして調査、検討をしているというふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/119
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120・猪熊重二
○猪熊重二君 このときの売買代金額は、一株に換算して千二百円。しかし、この譲渡の当時においてリクルートコスモス社の第三者割り当ての発行株価は二千五百円ということが既に決定されている、このように伺っておりますが、もしそうだとすれば、千二百円で二カ月後にあるいは四カ月後に二千五百円の発行価格の株を取得するということは、一株について千三百円の利益があるという意味においてわいろ性、不法の利得性というのは明確じゃありませんか。その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/120
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121・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) そのいわゆる贈収賄罪につきまして、公務員であるとかあるいは職務に関するとかという問題はございますけれども、わいろ性につきまして従来から国会でも、過日の最高裁の決定にございました、殖産住宅の決定がございましたその内容に照らしてどうだという御質問がございました。そういう点も含めまして検察庁で調査、検討していると申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/121
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122・猪熊重二
○猪熊重二君 私が申し上げているのは、職務権限があるかないか、これはまだいろいろ捜査しなければ判明しないことでしょうけれども、この不法の利益の存在ということ自体が明らかなら、あとは職務権限があるかないかだけ捜査すれば、もう収賄罪、贈賄罪が成立するわけだ。要するに、職務権限の問題を別にしてわいろということの可能性があるとすれば、そういう問題について氏名を直ちに公表するということは国民に対する義務だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/122
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123・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) その殖産住宅の件につきましても、間近に公開を控えているとか、あるいはその譲渡を受けたときに相当の利益が見込まれるとかといういろいろの条件がございます。したがいまして、そういう条件につきましても調査をする必要がございます。
さらに繰り返して申し上げますけれども、現在なおいろいろ調査、検討中でございまして、おっしゃるようなリストといいますか、そういうものが検察庁にあるかどうかということについても申し上げることはできないと思いますけれども、私の感じといたしまして、この前、国会に提出されたようなリストは検察庁は把握していないのではないかというふうに思うわけでございます。
これからそういう点について、検察庁でいろいろ資料を突き合わせまして構成していくものと思いますので、ただいまの公表の点についていろいろ申し上げる段階ではないというふうに従来から申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/123
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124・猪熊重二
○猪熊重二君 いわゆる六十一年九月の還流株と称されるものですが、これについては不法の利益性というのはもう一〇〇%だれが考えても明確だと思うんです。
新聞等でも言っているように、株の売買という名をかりた現金の交付と変わらない、こう言われているわけです。三千円の株が短ければ一週間、長くて二週間後に五千円ないし五千五百円で売買されるということ、上場公開されるということが明らかなんですから、だとしたらこちらの、いわゆる還流株の譲り受け人が職務権限の問題さえ明確になれば収賄罪になることは明らかです。これについても公表できないということですが、まず公表できないということの根拠は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/124
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125・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 従来から申し上げていますように、捜査あるいは調査、検討を終えまして、要するに国会から国政調査権の発動といたしまして私どもに御要求があった場合には、十分の協力をさせていただきますということは従来から申し上げているところでございます。
ただ、協力させていただきますという前提といたしまして、私どもも法令の範囲内で許す限りという条件をつけているわけでございまして、さらにそのほかにいろいろの附帯的な条件といいますか、そういうものがあるわけでございます。しかし、今のリストの問題につきましては、現在まだきちっと確定しているという段階ではなくて、まだその確定に至る経緯にあるわけでございます、段階にあるわけでございますから、今公表しろ、あるいはこういう条件をつけるから公表しろという御要請がございましても、私どもは手元にそれだけ公表できる自信のある資料はないといいますか、そういう段階ではないということで、その段階ではないと申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/125
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126・猪熊重二
○猪熊重二君 どうも公表できないということの理由は何回聞いても私にはわかりませんが、譲り受け人の中で政治家に関する問題については公表するべきが当然だと思うんです。
私が刑事局長に申し上げるのもおこがましい話ですが、これは非常に重要なことだから私は読ませてもらう。東京地裁昭和三十三年十二月二十四日判決で、この判決の判旨は最高裁において昭和四十一年六月二十三日に正当と判断されていることです。判文をそのとおり読みますと、
公務員はすべて国民全体の奉仕者であり、公務員の選定、罷免は、国民固有の権利であるから、主権者(選挙権者)である国民は、公務員またはその候補者の適否を判断するため、当該公務員またはその候補者について知る必要があり、また知る権利を有するものである。従ってその判断に全く関係のない私事に関してはとにかく、いやしくも右判断に関係がある限り、たとえ過去の私事にわたったとしても、真実である限りその事実の公表は許されねばならず、その具体的な限界は、その公務員の職務の性質と相関的に決定すべきであるが、特に国会議員ないしその候補者については、他の一般公務員と異なり、その適否の判断には殆んど全人格的な判断を必要とするものと解される。
こういう判示をしています、御承知だと思いますが。
要するに、どういう国会議員を選ぶかというのは国民の権利なんです。そして国会議員は、その全くの私事以外の問題についてはすべて国民に明らかにするべき義務がある。だとしたらこのリストの中から、何もリストを完全にそろえて、七十六人ぴたんとそろえて全部出しなさいとかどうとかということじゃなくて、あるいは還流株を受けたのがまだ判明しないのがいるとかいないとか、それは別にして、少なくも政治家ないしその秘書、その親族、これについてはわかっている限度において直ちに現在公表するべきが法務省の国民に対する義務だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/126
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127・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) お言葉を返すようでございますけれども、この公表問題につきましては、刑事訴訟法の四十七条という規定がございまして、そういう法令の制限がございます。また私どもが、私どもといいますか検察庁がやっていますのは刑事責任の追及でございまして、国会議員あるいはその他の方の道義責任の追及をいたしているわけでございません。
そういうことで、道義的責任を明らかにするためにそういう資料の公表ということになりますと、やはり国会で一つの基準なり範囲なりをお定めいただきまして、それにのっとって刑事訴訟法の四十七条の許す範囲内で御協力を申し上げるというのが従来の解釈でございますし、また、その経過を話せという御意見もございますけれども、資料を提出する限りはやはりはっきりした、間違いのないものを提出しなければなりません。
そういう点で、現在まだ調査、検討中でございまして、そういう確定的なものはないのでなかろうかというふうに私ども考えておりますので、公表問題について一般論として申し上げることはできましても、具体的にどういうことを申し上げるかということについては、ただいま申し上げられない段階であるということを繰り返して御説明し、御理解をいただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/127
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128・猪熊重二
○猪熊重二君 刑事訴訟法四十七条についてはいろんな見解がありますが、いずれにせよ一般的な見解によれば、その書類の保管者が、保有者が公益上の必要があると考えられれば公判の開廷前においても開示できる、公開できる、こういう規定になっているわけです。
現在、どの政治家がこのような非常にわいろ性の強いというか、職務権限さえあればわいろそのものと言える金銭あるいは株の形をとった金銭、これを受領したかしないかを明らかにする、これほど大きな公益はないじゃないですか。これほど大きな、民主主義原理に立ってこれほど大切な公益はないじゃないですか。だとしたら、書類の保管者である法務省は、公益のために、公益上の必要を認めて、全部じゃなくても、せめて政治家、それに関連する者の氏名を直ちに公表するべきだと思いますが、法務大臣、お考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/128
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129・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 大臣の前に少し御説明させていただきますのは、先ほども申し上げたことでございまして、顧みますとロッキード事件のときにも四十七条の精神にのっとりまして一部国会議員のお名前を申し上げたわけでございます。しかし、そのときもいろいろそのほかにもあるのではないかという御注文がございました。しかし、これはやはり国会でいろいろ御意思を御決定いただきまして、その上で私どもは検討させていただくというのが一般的な考えでございます。そして、この問題につきましては、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、まだ検討、調査中の過程にございまして非常に不確かなものでございます。したがいまして、まだそういう段階に至っていないということを申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/129
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130・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 国政調査権に対しましては法令の許す範囲におきまして最大限の協力をさせていただきたい、かように存じております。
それで、ただいままで刑事局長が申しておりまするように、まだ調査、検討中の段階でございまして、やはりこれはある程度明らかになってまいりませんと、なかなか他の人権とかいろいろ考慮いたしますると出し得ないものである、かように考えます。また、法務省が、検察の方がどの程度の資料を、リストを持っておるものかどうかということにつきましても、私としましてはまだ何も報告を受けていないわけでございまして、そういうような調査、検討の段階でございまするので、これはある程度できまするまで御容赦をいただかなければならぬのじゃないか、かように存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/130
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131・猪熊重二
○猪熊重二君 いずれにせよ、あっちこっちもういろんな問題があって検察庁としても大変だろうと思いますが、それは徹底的に御努力して解明していただきたい。それが現在の民主体制を確立するための不可欠の要素だと思います。
法務大臣にも、いろんな政治的事情もあるでしょうけれども、ともかく頑張ってやっていただきたいと心から希望します。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/131
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132・塩出啓典
○委員長(塩出啓典君) 午後一時十分再開することとし、休憩いたします。
午後零時十分休憩
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午後一時十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/132
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133・塩出啓典
○委員長(塩出啓典君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
裁判所の休日に関する法律案並びに検察及び裁判の運営等に関する調査を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/133
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134・諫山博
○諫山博君 日本共産党本部の正面玄関の人の出入りが公安調査庁職員の監視用ビデオによって長期にわたって盗み撮りされるという、国家権力による重大なスパイ行為が発覚しました。きのう参議院の本会議で我が党の上田耕一郎議員がこの問題を取り上げて、このような権力犯罪が許されてよいと思っているのかと質問しました。
これに対して、竹下総理は一般論を述べるにとどまりました。林田法務大臣は竹下総理の一般論を援用するとともに、東京地検が告訴、告発を受け捜査中で、その結果を待たなければならないと答えられました。明確に許されない行為であるという答弁を期待していたんですけれども、そういう答弁にはなりませんでした。この点は極めて遺憾ですけれども、きょうは盗み撮り行為の違憲、違法、不当性の問題には触れないことにします。この事件に対する事実関係だけを質問します。事実関係に限って答えていただきたいと思います。
盗み撮りを行っていた場所は、共産党本部の正面玄関の真ん前にある北参道ダイヤモンドパレス二〇五号室からです。この部屋には常時二人の人物が出入りしていましたが、私たちの調査によりまして、二人とも公安調査庁関東公安局の職員であることが判明しました。一人は山口祐嗣、もう一人は大和田忠です。この二人の公安調査庁関東公安局の職員の経歴及び役職を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/134
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135・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) まず、山口事務官の経歴について御説明申し上げます。
山口調査官は、関東局調査第一部第一課に所属し、破壊活動防止法第四条第一項第一号に掲げる暴力行為等破壊活動を行った団体に対する調査のほか、主として日本共産党の組織、活動等の調査を担当している事務官でございます。
なお、大和田事務官についても同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/135
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136・諫山博
○諫山博君 いつごろから公安調査庁の職員になったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/136
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137・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 山口事務官は六十二年四月一日採用ということになっております。
なお、大和田事務官につきましては手元にちょっと資料を持ち合わせておりませんので、後刻調べて御回答申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/137
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138・諫山博
○諫山博君 これは委員会外でも結構ですから、後日私に知らせてください。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/138
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139・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/139
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140・諫山博
○諫山博君 ダイヤモンドパレス二〇五号室にはジャナエレクトロニクス株式会社東京連絡事務所の表札が掲げられています。表札は、株式会社という表現を使わずに「(株)」という字になっています。ジャナエレクトロニクス株式会社というのはいかなる会社なのか、本店の所在地、代表取締役の氏名、営業内容を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/140
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141・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 調査の必要上この会社名を用いて監視所を設けていたわけでございますけれども、当時の記録によりますと、この会社というものは当時カナダに所在していた会社のようでございます。しかし、現在どうなっておるかというのは、外国法人のことでございますから、消息は不明ということでございまして、お尋ねの営業等につきましても実態はわからないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/141
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142・諫山博
○諫山博君 ジャナエレクトロニクス株式会社というのがカナダに本店を置いて実在していることは事実なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/142
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143・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) ただいまお答え申し上げましたとおり、当時カナダに実在していたということは事実のようでございますけれども、現在どうなっておるかということは詳細把握されておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/143
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144・諫山博
○諫山博君 調査の必要上この会社の名前を使ったということですけれども、相手方の会社の了解は得ていたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/144
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145・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 遺憾ながら大分前のことでございまして、詳細な記録は持ち合わせておりませんけれども、関係職員等の記憶によれば、仲介する者があって使用した商号であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/145
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146・諫山博
○諫山博君 そうすると、公安調査庁の職員の調査活動である事実をカムフラージュするためにジャナエレクトロニクス株式会社東京連絡事務所という名前を勝手に使ったというふうに理解していいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/146
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147・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 勝手にということは私申し上げておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/147
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148・諫山博
○諫山博君 結局、相手方会社の了解を得たかどうかは確認されていないのでしょう。相手の会社側の了解を得ているのであれば、この会社はどういうことを業務としている株式会社なのかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/148
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149・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 了解を得ているかどうか不明である、当時の記録も逸散し、関係人の記憶も定かではないということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/149
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150・諫山博
○諫山博君 二〇五号室ではこの会社の営業活動は行っていなかったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/150
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151・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 先ほども申し上げましたが、調査の必要があって使用したものである、看板であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/151
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152・諫山博
○諫山博君 相手方の会社の了解を得ているかどうかはっきりしませんけれども、今の説明によれば調査の必要上こういう看板を下げたというのですから、やはり公安調査庁の職員の調査活動の場であるということを秘匿するためにこの表札を掲げたと理解していいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/152
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153・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 破壊活動防止法に基づいて行います調査というものは、公然と行われることもございますし、秘匿と申しましょうか、隠密裏に行われることもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/153
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154・諫山博
○諫山博君 今の私の指摘を否定されませんでしたから、そういうものだと私は理解します。
そこで、ダイヤモンドパレス二〇五号室の使用料、電気・ガス代、水道料、電話料はだれが負担していたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/154
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155・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 関東公安調査局において負担しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/155
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156・諫山博
○諫山博君 二〇五号室は小柳という所有者がおられますけれども、調査活動に使用するということは所有者である小柳さんには話しておられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/156
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157・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 当時の関係者の記憶によりますと、殊さらにその関係は告げなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/157
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158・諫山博
○諫山博君 あの部屋の賃料及び電話料は幾らぐらい払っていたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/158
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159・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 契約内容のことにつきましては相手方のあることでございます。ビルの所有者と契約をしておりまして、この契約の内容を公開の場で申し上げることにつきましては、所有者の了解を得てございませんので、相当額の賃料を支払っていたということで了解いただきたいと思います。
なお、電話料につきましては、手持ちの資料がございませんので、これまた後刻、先生にお届けしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/159
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160・諫山博
○諫山博君 私たちの調査によれば、遅くとも昨年六月ごろからあの場所で盗み撮りをしていたという事実が判明していますけれども、実際に盗み撮りを開始した時期はいつごろなのか、御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/160
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161・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 最初にお断り申し上げますが、公安調査庁といたしましては盗み撮りはいたしておりません。盗み撮りという言葉はいささかちょっと耳にさわるものでございますから、お言葉を返すようでございますけれども、ちょっとお断りさせていただきます。
公安調査庁といたしましては、庁の発足以来、日本共産党を破壊活動防止法上のいわゆる調査対象団体と指定しておりまして……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/161
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162・諫山博
○諫山博君 私が聞いているのは、いつごろからこの部屋を使用していたのかということです。正確に答えなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/162
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163・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) その関係で今申し上げておるわけでございますけれども、よろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/163
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164・諫山博
○諫山博君 いつごろからを答えなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/164
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165・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 数年前から使用しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/165
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166・諫山博
○諫山博君 マスコミの情報では昭和五十七年の七月ごろからという話もありますけれども、これは正確ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/166
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167・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 先ほども申し上げましたが、契約の相手方の了承を得ずに契約内容を公表するわけにはいきませんので、数年前から使用していたということで御了解をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/167
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168・諫山博
○諫山博君 契約内容ではなくて、いつごろからあの部屋で調査活動を行っていたかということです。数年前ということを言われましたけれども、もっと特定して説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/168
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169・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 五十八年七月からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/169
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170・諫山博
○諫山博君 その当時から共産党の正面玄関を出入りする人を写真で撮影することが目的でしたか。それとも、他の目的もありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/170
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171・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) この監視所を設置するに至りました理由につきまして、極めて簡単ではございますけれども、紹介させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/171
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172・諫山博
○諫山博君 私は理由は聞いておりません。何のためにこの部屋を使おうとしたのかです。正確に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/172
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173・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 破壊活動防止法を施行するに必要な限度におきまして、この部屋を使用しまして対象団体である日本共産党の動向を観察していたというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/173
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174・諫山博
○諫山博君 私が聞いているのは、発覚したころは盗み撮りをしていた事実が発覚していたわけですよ。初めからそういう目的で借りていたのか、それとも違った調査も考えていたのか、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/174
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175・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 破壊活動防止法の適正な運用を図るという観点からでございまして、対象団体である日本共産党の動向の視察、その一環といたしまして団体の構成員、役職員等の身元の確認の作業等を行っていたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/175
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176・諫山博
○諫山博君 その方法は、ビデオカメラで出入りする人を撮影する以外にも方法がありましたか。あなたは確認と言われましたけれども、確認の手段を聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/176
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177・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) ビデオカメラで撮影したというお話でございますけれども、ビデオはモニター的な利用が主でございまして、出入りの人物一々につきまして撮影していたようなことはございません。
それから、何度もお断り申し上げますけれども、盗み撮りはしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/177
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178・諫山博
○諫山博君 盗み撮りであったかどうかというのは日本語としての評価の問題ですから深入りはしません。
そうすると、私が何回も聞いているのは、撮影するだけではなくて、その他の手段も採用していたのかということです。この点についてはまだ答えがありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/178
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179・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 極めて間近に設置された監視所でございますから肉眼の観察が主でございまして、その肉眼を補助する意味におきましてビデオ等の利用がなされていたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/179
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180・諫山博
○諫山博君 あそこは共産党の関係の人だけではなくて——あなた笑われましたけれども、私の問いがおかしかったですか。まじめに答えなさい。共産党と組織的な関係のない人も出入りすることは知っているでしょう。知りませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/180
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181・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 政党本部でございますので、いろいろな方が出入りすることは了知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/181
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182・諫山博
○諫山博君 十一月十七日の午後三時ごろ、東京地方裁判所の裁判官が証拠保全の目的でこの部屋に立ち入りました。目的は、盗み撮りの資材が残されているのではないか、これを確認するためです。私も代理人の一人としてこの証拠保全に立ち会いました。室内は明らかにスパイ工作のためのアジトというような感じの模様でした。そこで表面的に目についただけでもビデオカメラ二台、ビデオデッキ一合、両者を結びつけるケーブル、モニター用と思われるテレビ二台、二百ミリの望遠レンズなどが置いてありました。そういう器材が置いてあったことは認められるかどうか。さらに、この器材はだれの所有でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/182
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183・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 器材がその部屋で使用されていたことも含めて認めると申しましょうか、承知いたしております。
それから、これらの器材は公安調査庁の管理する国の所有であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/183
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184・諫山博
○諫山博君 盗み振りをしたフィルムなどはどのように処理し、だれがどのように保管していましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/184
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185・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 私どもは適正な破壊活動防止法の執行という観点で必要な措置を講じておるわけでございまして、盗み撮りという言葉はやはりいささか気になるところでございます。
それはともかくさておきまして、撮影いたしました写真等につきましては、人物確定の、対象団体の構成員の確定の資料というふうな形で必要なものは保管されておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/185
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186・諫山博
○諫山博君 どこで保管していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/186
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187・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 必要なものに限りまして公安調査庁内部で保管されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/187
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188・諫山博
○諫山博君 共産党側が盗み撮りの摘発に手をつけたのは十一月十六日の午後零時四十分です。
私と坂本修弁護士がダイヤモンドパレス二〇五号室を訪問しました。私は議員の名刺を示して、参議院議員の諫山だ、不審な点があるから聞きたい、ドアをあけてくれ、こう言って面接を申し入れました。坂本修君は、私は弁護士だ、事情を聞かせてもらいたいと申し入れております。相手方はチェーン錠をかけたまま玄関口に顔を出して、会う必要はないと答えましたけれども、そのときに、あなたは山口さんでしょうと聞いたらナカザトヒロシですと答えております。ナカザトヒロシというのはどういう人物でしょうか。公安調査庁にそういう人がおられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/188
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189・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 恐らく山口調査官がとっさの判断で使った偽名ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/189
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190・諫山博
○諫山博君 あなたは公安調査庁の職員でしょう、山口さんでしょうと私が聞いたのに対して山口さんではないと、公務員でもない、公安調査庁の職員でもない、こういう言い方をされるんですけれども、ああいう場合は堂々と公安調査庁職員の山口だというふうに名のるようには指導されていませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/190
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191・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 当日、この監視所におきまして勤務していた者は山口調査官一人のようでございます。山口調査官の話によりますれば、ただいま先生がおっしゃいました時間にドアをたたく音が、ノックをする音がありまして、中錠を施したままドアをあけてみたところ、自治会の者だがということで話が始まりまして、それからいきなり、かなり太い丸太がドアの間に差し込まれて、とっさに自分としては正常な判断を失ったと。要するに正常な方々がお訪ねされたのではない、何かの誤解があって暴力団その他の方々が訪れてきたのではないかというふうにとっさに考えてしまったということを彼は申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/191
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192・諫山博
○諫山博君 最初に正式に申し入れたのは、参議院議員の諫山という名のりで、名刺も渡して、もう一人坂本という弁護士だったという報告はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/192
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193・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) さような報告は受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/193
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194・諫山博
○諫山博君 都合の悪いところは報告しないという立場のようですけれども。
私たちは、二〇五号室を訪問したのとほとんど同時に、山口祐嗣ほかということで公安職員職権乱用罪、偽計業務妨害罪で東京地検に告訴、告発しました。そして、盗み撮りは犯罪行為だ、二〇五号室の品物を外に持ち出さないようにということを中に入っている山口さんに何回も伝えております。ところが、当日の午後八時ごろ、五名ぐらいの人がこの部屋の中に入って山口さんを取り囲むようにして脱出いたしました。そのときに近くに住んでいる八十六歳の石井とよさんを突き飛ばして、全治三カ月を要する重傷を負わせています。
五名の人がこの部屋の中に入るまでにはいろいろないきさつがありました。この現場には小林亮淳という弁護士がいて、小林弁護士がその場に来た人たちに対して、あなたたちは公安調査庁の職員ですか、職員であれば身分証明書を見せてくださいと何回となく申し入れましたけれども、公安調査庁の職員とも言わないし、身分証明書も見せませんでした。ただ、山口氏を連れ去るときに自動車六台が使用されていますけれども、この六台の番号を調べたところが、いずれも関東公安調査局の公用車であることがわかりました。とすれば、あのときに山口氏を連れ出したのは公安調査庁の職員だというふうに推定されますけれども、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/194
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195・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) いろいろ問題もあるようでございます。
まず、立ち去る際に付近を歩行していた老人を突き飛ばしてけがをさせたということのようでございますけれども、この件につきましてはただいま警察当局において捜査中というふうに我々は承っておりますけれども、いずれにしましても我が方の職員の供述等によりますれば、突き当たったのはむしろ我が方ではないということをはっきり証言しておりますので、いずれ警察当局の捜査によって事案が解明されるものと考えております。
それから、名前を名のらなかったというようなことでございますけれども、かなり異常な状況下で緊迫下のもとでありますので、名前を名のり合うというふうな状態ではなかったように私は考えます。
それから、連れ去ったと。連れ去ったという言葉も必ずしも正確じゃないと思いますけれども、当時、山口君を迎えに行った職員はすべて公安調査庁の職員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/195
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196・諫山博
○諫山博君 あなたは報告に基づいて答弁されるわけですけれども、幾つかの重要な問題で真実に反するわけですよ。例えばこの部屋を真っ先に訪ねていったのが私と坂本弁護士であったという点もあなたには報告がなかったようだし、八十六歳のおばあさんにけがをさせたのが山口氏を連れ去った公安調査庁の職員であったということは衆目の一致しているところです。たくさんの人がその現場を見ておりました。
あの場合に小林亮淳という弁護士がいて、小林弁護士が、公安調査庁の職員であれば身分証明書を提示する義務がありますと。これはほかの人と違うんです。関係者が要求すれば身分証明書を示さなければならないというのが、破防法制定のときにさまざまな議論のあげく規定されました。これは行き過ぎた調査活動が行われないようにという立場から、身分証明書を示す義務が規定されたわけです。公安調査庁の職員があれだけ多数来たのであれば、責任者が小林弁護士に身分証明書を示して、実は公安調査庁の職員の者だと伝えるべきではないでしょうか、一般に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/196
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197・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 証票の提示は破壊活動防止法三十四条におきまして「職務を行うに当って、関係人から求められたときは、」と、こういうふうに書いてございます。この規定の理解の仕方といたしましては、私どもは調査に当たりまして相手方と面接をする、その相手方から求められたときはというふうに理解しておりまして、これはあの制定当時以来の解釈であるというふうにまた考えてもおる次第でございます。
それから現場の状況が、先ほども申し上げましたとおり、テレビ等でも放送はされておりましたけれども、かなり混雑した混乱したような状況下にありまして、その段階でお互いに冷静に落ちついて身分証明書の提示を求める、また求められたということは私、報告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/197
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198・諫山博
○諫山博君 盗み撮りが摘発された翌日、十一月十七日ですが、午前十一時過ぎに四、五十人の者がJR代々木駅方面からと明治通りの方向から、集団をなして二〇五号室のところに来ました。そして、その中の五名が強引に二〇五号室に立ち入って、約十分間の後にナイロン地の袋カバン、茶色の袋様の物三個を持ち出しました。小林弁護士を初めとして、これは我々が告発している刑事事件の重要な証拠物だから持ち出さないようにということを繰り返し指摘しております。また、間もなく東京地方裁判所の裁判官が証拠保全のために現場に来るはずだ、証拠保全が行われる前に中の物を持ち出すようなことは控えてもらいたいと要求しましたけれども、三個の品物を強引に持ち出しました。
そこで二つの点を質問します。
あのときに現場に来た四、五十人の者及び二〇五号室から品物を持ち出した人は公安調査庁の職員であるかどうか。第二に、持ち出した品物は何なのであったのか、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/198
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199・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) お断り申し上げておきますけれども、私どもは破壊活動防止法の適正な執行という観点から、あの監視所を設けまして、そこで執務をしていたということでございます。しかし、監視所が発見された場合は、もう監視所としての機能を果たせないわけですから、これは早急に撤去しようということで、中にございました証憑書類等を移行した。しかも、現場がかなり混乱しておりまして、重要書類等も逸散するおそれがありましたので、監視所から役所の方に保管場所を移したというだけのことでございます。
なお、搬出するに当たりまして立ち会いました四、五十人の者は、もちろん当役所の職員でございます。
それから、何を搬出したかということでございますけれども、これは監視活動を行うにつきまして必要な写真リストとか、あるいはまた出入記録簿とか、そういうものでございます。しかし、内容の詳細は調査の秘密にわたることでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/199
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200・諫山博
○諫山博君 さっきも指摘しましたように、十一月十六日に東京地方検察庁に告訴、告発していました。そうすると、あの部屋の中にある品物というのは重要な証拠物です。さらに、十七日の午前十時に東京地方裁判所に証拠保全の申し立てをしています。このことは現場ではしばしば説明していますけれども、公安調査庁にもわかっていたんじゃないでしょうか。つまり告訴、告発をされているということと、証拠保全の申し立てが既にされていたということを承知の上で品物を持ち出したのではないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/200
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201・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 刑事の告訴がなされているということは、当日、公安調査庁に抗議に来られました安藤巖先生から承りました。民事の関係は全く承知しておりませんでした。
なお、これらの書類は現在、公安調査庁において保管中でございまして、もし捜査当局が必要であるとお考えならばいつでも押収、捜索をされてよろしかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/201
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202・諫山博
○諫山博君 何を持ち出したかということは具体的に説明されませんでしたけれども、要するに調査の結果を記載したさまざまな書類とか、あるいは撮影した写真、フィルム類を持ち去ったというふうに聞いていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/202
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203・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) 保管場所を移行したというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/203
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204・諫山博
○諫山博君 あなたは盗み撮りという表現は適当でないように言われましたけれども、要するにこっそりと写真を撮っていたわけでしょう。あのカメラのレンズはまさに共産党の正面の出入り口を向いていましたね。そのことは否定されないでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/204
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205・佐藤道夫
○政府委員(佐藤道夫君) カメラがそういう角度にあったことは認めるにやぶさかじゃございませんが、盗み撮りというものではございません。あくまでも法の適正な執行ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/205
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206・諫山博
○諫山博君 限られた時間ですから、盗み撮りの問題については以上で終わります。
次に、法案について質問します。
労働時間短縮というのは国際的な潮流です。日本の労働者の労働時間が諸外国に比べて異常に長いということも言うまでもありません。ですから、土曜閉庁のための法案が我が国の労働者の労働時間短縮の一つの契機になることを私たちは期待しております。問題は、裁判所、拘置所、警察ということになりますと、憲法で保障された国民の諸権利との関係をどうするかです。弁護人の選任権あるいは国民の迅速な裁判を受ける権利、これとの調整をどう図るのかというのが一番重要な課題ではなかろうかと思うんです。
そこで、弁護人の接見交通権との関係で衆議院でも大変な議論がされているし、午前中でも問題になりました。弁護人に依頼する権利というのは、憲法では直ちに弁護人に依頼する権利ということになっているし、直ちに弁護人に依頼する権利が保障されなければ、勾留、拘禁が違憲、違法になる性質のものだと理解していますけれども、その点は矯正局長の見解も同様でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/206
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207・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 弁護人依頼権が憲法上の権利であるということは私どもも理解しております。ただ、それの具体的な行使の場におけるあり方というのは、刑事訴訟法、その他の下位の法令の方にゆだねられている、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/207
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208・諫山博
○諫山博君 通常、弁護人に依頼する権利と言われていますけれども、正確には直ちに弁護人に依頼する権利、つまりだれかが逮捕された、勾留された、そういう場合には直ちに弁護人に面接できるというのが憲法上の要請になっています。
そこで、この土曜閉庁法案が成立すれば、土曜日における被逮捕者、被勾留者の弁護人との接見というのはマイナスの影響を受けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/208
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209・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 現在、土曜日は開庁いたしております。したがいまして、土曜日の午前中でしたらば弁護人の接見というのは通常行われているわけでございます。しかし、土曜日の午後あるいは日曜日、休・祭日、これはやはり弁護人の接見というのは行われていないわけでございます。ただ、今御指摘の土曜閉庁が行われますと、閉庁の土曜日には原則として弁護人の接見というのは困難になるのではないかと現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/209
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210・諫山博
○諫山博君 衆議院の法務委員会で、土曜日における弁護人の接見問題について法務省側から三つの要件が挙げられています。弁護人からあらかじめ連絡があること、当日接見を行う必要がある場合、職員配置の都合がつけば対応する、これが今の公式見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/210
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211・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 各施設ごとにいろいろ地域性それから職員配置の事情が異なりますが、そういう方向で何とか弁護人の接見を実現する方向で努力したい、こう申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/211
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212・諫山博
○諫山博君 非常に問題だと思うのは、当日接見をする必要があるかないかというのは弁護人が判断する。これは拘置所側が判断すべきではないと思うが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/212
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213・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 土曜閉庁日はこの行政機関の休日に関する法律案によりますと日曜日と同じということになるわけでございまして、現在の監獄法で、日曜日についてといいますか、接見全体について、どちらかと言えばその権限性というものは比較的制限されるような形の立て方になっております。
ただ、現在一応開庁している土曜日、それがこの法案が通ることによって閉庁になるということになれば、やはりそれによって影響を受けることがあり得るわけだというので、何とか努力して少しでも施設ことに検討して、会う方向、会わすことのできる方向でいけないだろうか、こういうふうに考えて今検討させているところでございますが、実際問題として、職員配置がぎりぎりの施設というものが全国に多数ございまして、一律に必ず会わせろということは難しいのじゃないかと思っております。
それから、今御指摘の重要性あるいは緊急性、それは地位的にもちろん当該弁護士がよく知っているわけでございまして、それを疎明していただければ、私どもの方としては何とかそれに対応できないだろうか。ただわけもなしに理由も告げず、会いに来たのだから会わせろということになりますと、職員を私どもは皆残業させる、あるいはわざわざ招集するという形で会わせなければなりません。大変なやはり労力を伴うわけですし、職員を、適当な言葉じゃないかもしれませんが、泣かせてやらなければいけないものですから、それなりの理由というものを私どもとしては欲しい、こう思っておるわけでございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/213
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214・諫山博
○諫山博君 警察庁に質問します。
警察は土曜日でも日曜日でも犯人を逮捕しますね。休日になっている土曜日に犯人を逮捕すれば、当然弁護人は接見に駆けつけます。その場合は自由に接見させましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/214
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215・片山晴雄
○説明員(片山晴雄君) 土曜閉庁が実施されました場合、警察は当直体制で活動いたすことになりまして、したがいまして留置場におきましても、その管理体制は現在の土曜日の執務時間内に比べまして弱くなっております。しかしながら接見交通権の重要性にかんがみまして、事前の連絡をいただきました上で留置場の管理体制を整えて面会していただく、そういうふうになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/215
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216・諫山博
○諫山博君 休日になった土曜日に犯人が逮捕された。弁護人に会いたいと言っている。弁護士は駆けつける。そうすると、直ちに弁護人を選任する権利という憲法上の原則からいって、直ちに接見させなければならないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/216
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217・片山晴雄
○説明員(片山晴雄君) その御趣旨はよくわかっておりますけれども、土曜の閉庁された場合あるいは日曜日等におきましては体制は弱くなっておりますので、接見していただく留置場の管理運営体制、これを至急整える必要がございますので、その限りにおきましてはちょっとの時間持っていただくことがあろうかと思いますけれども、できるだけ早く会っていただくように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/217
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218・諫山博
○諫山博君 午前中に猪熊委員から三日連続休みがある場合のことを言われましたけれども、これはそういう事務上のことを理由に容易に被疑者に会えないとなれば、直ちに弁護人を選任する権利という憲法上の原則に反することになるわけです。だから日弁連などからの要請は、民事上のさまざまな手続、国民の裁判を受ける権利との関係で出てくる手続、刑事上の手続、これに対しては極力支障がないようにという要望が提起されているわけです。
私は接見の問題に限って質問しましたけれども、いわゆる警察拘禁二法の日弁連と警察庁との意見交換、あるいは法務省との意見交換などでは、時間外の弁護人の接見はなるべくできるように通達などで努力するという方向が出されているんじゃないですか。その方向から言えば拘禁二法が通ろうと通るまいと、やろうと思えば土曜閉庁の法案が成立した後もできることですし、その点どうお考えですか。
日弁連の批判としてこういうことがあります。拘禁二法が通ればそういうことも自由になる、しかし今拘禁二法が通っていないから制限を受けるのは当然だ、これは拘禁二法を人質にとるようなものではないかという批判があるわけです。拘禁二法が通ってできることがなぜ土曜閉庁法案が通った後にできないのかという批判に、それぞれ法務省と警察庁、答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/218
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219・河上和雄
○政府委員(河上和雄君) 御承知のように刑事施設法案、現在衆議院でもって御審議いただいております。現在、刑事施設法案が成立するまでは明治四十一年に制定、施行されました監獄法に基づいてこの種の接見その他を行っているわけでございますが、監獄法は八十年前の古い法律でどございます。当時としては比較的新しい、当時の刑政の思潮を盛り込んだものだと思いますが、しかし現在の目で見ますと、すべて刑事施設の長は何々することを許すことができるという、そういうふうな立て方をしておりまして、必ずしも被収容者の権利性あるいは義務性、さらには職員の職務の執行に関する根拠法規としては明確でございません。それからまた、必ずしも矯正処遇といったものを前面に出している法令ではございません。
しかし、八十年の間に非常に矯正関係では世界的にも、また我が国においても考え方が進歩いたしておりまして、それなりの新しい矯正処遇というものがいわば常識みたいな形になってきております。しかし、この八十年の間、結局監獄法に縛られまして、予算にせよ、あるいは職員にせよ、いわば中に入れておくといったことだけを主たる目的とするような考え方でやってきておりまして、残念ながら十分な予算あるいは人員の手当てというものがない状況にございます。
ただ、刑事施設法案が通りますと、これは非常に新しい考え方を持っておりますし、例えば外泊制度あるいは外出制度にありますように、現在は外へ出す場合、必ず職員の戒護のもとに出さなければいけないわけでございますが、そういうこと
なしに自由に出ていくことができる。そういった新しい制度を取り入れることによって根本的に職員配置というものを変えることができる、そういうふうに私どもは考えております。新しい制度を取り入れることによって根本的にそういうものを変えることができるならば、日本弁護士連合会を初めとして非常に要望の強いそういった弁護人の接見については、できる限り我々としては努力していきたいと、そういうことで日本弁護士連合会との話し合いの中でその種の、何といいますか、通達案だったと思いますが、そういった基本案をお示ししたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/219
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220・片山晴雄
○説明員(片山晴雄君) 現在、閉庁されました土曜日の場合、それから日曜日等の休日でございますけれども、急に接見においでになった場合、必要な管理体制が得られるまでお待ちになっていただかざるを得ない場合があるということでございまして、決して会えないというわけではございません。したがいまして、現在御審議をお願いしております留置施設法案の水準に少しでも近づけるように現在努力しておるところでこざいまして、この法案が通りますれば、法律で人権が保障されるようになりまして、より保障が厚くなる、そういうふうに理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/220
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221・諫山博
○諫山博君 きょうは最高裁判所、法務省、警察庁の方が出席しておられますけれども、私、最後に要望いたします。
土曜閉庁は結構です。ただ、国民の裁判を受ける権利、あるいは憲法や法律で保障されたさまざまな国民の権利が侵害されてはならないという立場から、例えばもっと人員を補充する。もっとも、これは警察には要求いたしません。警察には要求しませんけれども、拘置所とか裁判所に必要ならば人員を補充するという努力をして、今のさまざまな問題を積極的に解決すべきだと思いますけれども、この点、法務大臣にちょっと意見を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/221
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222・林田悠紀夫
○国務大臣(林田悠紀夫君) 現在も刑事施設につきましては人員が不足でございまして、いろいろ支障も生じております。これをふやす努力は今までも重ねておりまするけれども、さらに一層そういう努力をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/222
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223・諫山博
○諫山博君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/223
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224・関嘉彦
○関嘉彦君 本日の議題になっております裁判所の休日に関する法律案、いわゆる隔週土曜休日法案、これについては労働時間の短縮という意味で趣旨には賛成ですけれども、ただ、それに伴いまして、例えば保釈の手続の問題であるとか、令状の発付の問題であるとか、その他国民の権利に関する問題が傷つけられる心配はないか、そういう点から質問をする予定でおりましたけれども、けさほど来、専門家である同僚議員からいろいろ微に入り細に入り質問がございまして、それに対する答弁、必ずしも明白ではなかったように思いますけれども、私から質問しましてもそれ以上の回答はないと思いますので、その問題についての質問は重複しますから取りやめます。
ただ、くれぐれも国民の権利がこれによって少しでも侵害されることがないように、遺漏なきよう努力していただきたい。その希望だけをつけ加えておきます。
きょう二番目に取り上げます問題は、刑罰法規の問題でございます。
私は法律の専門家ではない素人なんですけれども、この法務委員会に来ましていろいろ本を読んでいるうちに、専門家の間では当たり前のことかもしれないけれども、素人として考えてみるとどうも腑に落ちないことがある。殊にそれに気がつきましたのは、有価証券取引法いわゆるインサイダー取引の問題について少し研究しておりましたら、刑罰が非常に軽いんじゃないか、罰金が非常に軽いんじゃないかというふうなことを感じまして、いろいろ参考文献なんかを教えてもらいまして、罰則あるいは刑罰がどういう原理に立って制定されているのか、そういうのを読んでみました。そうしましたら、どうも罰金刑が法律によって不整合ではないかということを素人なりに感じたわけでございます。
最初に質問申し上げますけれども、それぞれ各省庁でつくっておりますところの行政法規、特に罰則につきましては、やはり刑法との整合性であるとか、行政法親相互の罰則の整合性であるとか、そういう観点から必ず法務省に相談があると思います。それについて法務省でやはり調整しておられると思うんですけれども、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/224
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225・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 仰せのように、行政罰則につきまして各省から立法の際に私どもに相談をいただいております。
相談をいただいている内容は、やはりその構成要件の明確化ということが一つでございますし、二つ目は刑罰の均衡と申しますか、そういう点も御相談いただいて、いろいろともに研究しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/225
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226・関嘉彦
○関嘉彦君 ところで、これはこの間亡くなられた伊藤栄樹さんが東京高等検察庁検事長時代に書かれた論文なんですけれども、我々素人にも非常にわかりやすく書いてあるものですけれども、「罰則のはなし」というのを書いておられます。これから言う事実については、その伊藤さんの書かれたものから孫引きしているわけですけれども、行政法規を読みますと懲役または罰金刑、選択刑の場合ですね、懲役の方では、同じ一年以下の懲役になっているのに罰金の方では、または罰金という場合の罰金の方の、罰金額の最高限は非常に区々まちまちであります。
刑法の方にも罰金刑の上限の差はありますけれども、その説明を読みますともっともな点もあるわけで、例えば同じ一年以下の懲役または罰金という場合、免状等不実記載の罰金最高刑は六万円、信書開披の場合は四万円、無印私文書偽造の場合は二万円。差がありますけれども、それによって得るところの経済的な利得というふうなことを考えて、この程度の差があるのはあるいはもっともかなというふうに思うんですが、行政法規の方を見ますと、これも詳しくはこの伊藤さんの本を読んでいただきたいと思うんですけれども、罰金刑の、例えばたばこ事業法、日本たばこ産業株式会社以外の者がたばこを製造した場合の罰金は百万円であるとか、銀行法、免許条件違反の場合百万円、それから電気通信事業法違反の場合は五十万円、それから無限連鎖講の防止の法律の場合は三十万円、あるいは医薬品被害救済基金法の場合は十万円であるとか、百万円から十万円まで随分差がひど過ぎるように思うので、そういう罰金刑の最高を決める場合、どういう理由で罰金刑の最高が決まっているのか。何らかの原理があるのかどうか。原理があればお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/226
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227・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 仰せの御指摘はまことにごもっともでございまして、この罰金刑の決定につきましてはこれという原理というものはないわけでございますけれども、基本的には刑法がございまして、それからいわゆる特別刑法といいますか、特別の罰則ができてきているわけでございますけれども、その刑法なり特別の罰則に盛られた罰金というのを一つの基準にいたしまして、横並びといいますか、そういうところを検討しまして、類似の案件につきまして例えば十万円ならこれも大体十万円であろうというような、一応の目安を置きまして決定しているのが実情だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/227
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228・関嘉彦
○関嘉彦君 刑法を参照しながらと言われましたけれども、刑法の場合、今言いましたように最高六万円ですわね。それから行政法規の場合百万円ですわね。どうも余りに違い過ぎる。あるいは何かそういった合理的な根拠なしに、そのときそのときの考えによってもし決められているとするならば、これは刑罰の合理性を失わせることになる、あるいはそもそも罰金という国家の制度に対する信頼を失わせることになるんじゃないか。そのことを心配するわけですけれども、法務当局として今までそういうことはお考えになったことがございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/228
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229・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) 先ほど御提示のありました伊藤氏の「罰則のはなし」という書き物の最後にも書いてありますように、やはり委員が御指摘のように統一を図るべきだという強い主張がなされております。私どももそれを十分加味いたしまして、今後罰金刑というのはどうあらねばならないかということをいろいろ研究しているわけでございます。
まず第一に、現在の罰金等臨時措置法は改正後約十五年を経ておるわけでございまして、その間に消費者物価指数は約二・五倍に、賃金指数は三倍以上に上昇しているという現状にあるわけでございますけれども、罰金はそのまま据え置いておるわけでございます。そういうことからいたしまして、刑法に記載されている罰金額の引き上げということも十分考えなければならない問題だと思います。
また御承知のように、この刑法は明治四十一年に制定されたものでございまして、例えば罰金百円以下とかそういうような話になっているわけでございますけれども、当時の考え方というのは、やはり刑法というのは社会生活の保護といいますか、保護法益というのがあるわけでございますが、その保護法益の考え方も現在、社会状況の変化によりまして大きく変わっていると思います。したがいまして、そういう点からもやはり検討しなければならない問題だろうと考えております。
これも前に国会に提案しようとした経緯がございますけれども、刑法改正ということも考えたわけでございますけれども、そういうことでいろいろ試行錯誤しながら、この罰金刑についても考え、また将来は国会に改正をお願いするという段階にもなろうかと思います。
また、行政罰則につきましては、これは各省がそれぞれ法律を所管しているものですから、その法律の改正のときに目のついたものは罰則についても改正するという方向でやっておりますけれども、残念ながら、改正のない法律につきましてはそのまま取り残されているという環境にございます。したがいまして、こういう問題につきましても各省にお願いして罰金額の引き上げということも検討していただかなければならないのではないか、こういうふうに考えております。
御指摘はまことに貴重な御指摘でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/229
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230・関嘉彦
○関嘉彦君 私の質問しようと思ったことを今答えられたんですけれども、根本的に考えまして、いわゆる懲役と罰金、これは一般の通念としまして、あるいは専門家の間では、一体どちらが重い刑だというふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/230
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231・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) これは、刑法十条には死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料というふうに刑の軽重を位置づけておりますので、一般的には懲役の方が重いという観念だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/231
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232・関嘉彦
○関嘉彦君 罰金の方が軽いにいたしましても、先ほど刑事局長言われましたように、臨時措置法によって、刑罰——最初は五十倍でしたかね、それからそれを二百倍に読みかえるようになったんですけれども、それから既に十五年ぐらいたっている。したがってこういうのは、刑法改正の問題もありますけれども、刑法改正というとなかなか時間がかかるんですが、罰金の最高限に関してだけは、例えば五年ごとあるいは十年ごとに見直すというふうなことをやるべきじゃないか、刑法改正と離れまして。そういうふうに考えております。
それから、殊に法人に対する罰金刑ですね。行政法規なんかで両罰規定があるのが多いんですけれども、法人に対する罰金刑が特に軽過ぎるんではないかということを感ずるんですが、最近のような何でもかんでも金銭に換算して考えるような世の中で、罰金三十万円ぐらい払っても、それよりも金もうけした方が得だというふうな風潮にもなりかねないときなので、やはり法人に対する罰金刑を特に引き上げる必要があるんではないかということを感じております。
時間がございませんので、あと、不審に思っていることを述べますから、もし改正されることがあればあわせて検討していただきたいと思います。
懲役と禁錮というのがあるわけですね。懲役の方が一応重いことになっているんですけれども、懲役と禁錮というふうに分けてする必要があるのかどうかというふうな問題。
それから没収の問題です。これは先ほど言った証券取引法改正の、インサイダー取引の衆議院での質疑応答を読んでおりましたら、インサイダー取引による利得の没収はできないということになっているそうですけれども、ばくち、賭博でもうけたものは没収できるわけですね。しかし、インサイダー取引というのはこれは一種のやっぱり犯罪行為ですから、それでもうけた利益はなぜ没収できないのか、これなんかもどうも私たち素人にはわかりにくい点がございます。そういったふうな問題をあわせてやはり検討して、法務省としても各行政官庁に対して言うべきことは言う必要があるんではないかと思いますが、そういった問題に関しまして刑事局長のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/232
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233・根來泰周
○政府委員(根來泰周君) ただいま御指摘の問題で、罰金に限って申しますと法人は軽いというのは、まあ大方の方がそういうふうに考えているところがあると思います。これは行為者と事業主を両方処罰するということから、軽いという意見を言われる方は、法人を中心に据えた場合にはやはり罰金が軽いんじゃないかと言われるし、行為者を中心に据えるとやはり罰金が重いんじゃないかという御意見もあるわけでございます。そうした場合に、例えば事業主と行為者を罰金額を変えるということもひとつ考えてもいい一つの案ではないかというふうに思います。
それから、懲役、禁錮を一本化するという問題は、これは非常に大きな問題でございまして、その検討というのはなかなか難しい問題だと思いますけれども、仰せのように、検討すべき大きな問題であろうと思います。
また没収についても、今刑法に没収の規定がございますし、没収できないときは追徴ということになりますけれども、こういう問題についてもいろいろ社会情勢が変化いたしまして、没収、追徴の観念も変えていく必要があるのではないかというふうに思います。
さしあたり私どもは、初め御提案のありました罰金刑につきまして十分検討いたしまして、数年後には国会に罰金の改正案をお願いしたいというふうなことで現在鋭意検討中でございます。もちろんその間には法制審議会にも提案し、また法曹三者にもいろいろ御意見を伺う、学界の方の御意見も伺うという手続をするつもりでございますが、そういう一つのもくろみといいますか、そういう予定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/233
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234・関嘉彦
○関嘉彦君 この点は大いにやっていただきたいと思います。
次に、時間が短くなりましたけれども入管行政について質問したいと思います。
この問題は、ことし六十三年三月二十八日にこの法務委員会でも取り上げた問題で、一つはやはり入管行政に携わる審査官あるいは警備官の人数が余りに少ない。最近国際化で、殊に円高なんかの関係で日本から外国に出ていく人たちの数も非常にふえているし、あるいは外国から日本に来る人たち、在留を希望する人たちの数も非常にふえている。そういうふえているのに対して審査官及び警備官の数が少な過ぎるということを前にも指摘したことがあるんですけれども、何らかの長期にわたる増員計画というふうなものは立てておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/234
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235・熊谷直博
○政府委員(熊谷直博君) 長期にわたって入国警備官を含めて大幅に増員をしたいということは、御指摘のとおり必要でもあるし、私ども当局としても希望しているところでございますが、御承知のような行財政環境におきましてそういう希望を直ちに実現するわけにもまいりませんで、毎年毎年少しずつでも増員を図っていくということでございまして、今年度要求枠との関連で二十三名要求をさせていただいている。そういうことによって今後の業務量の増加に適正に対応しようということでございます。
短期的には、現在の定員の中で効率的な運用とか事務処理の合理化等にさらに努めていくという必要もございますが、御指摘のように長期的な増員計画というものも検討はいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/235
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236・関嘉彦
○関嘉彦君 これはことしの十月五日の朝日新聞ですけれども、「東京入管パンク寸前」で、在留期間の延長であるとか、資格の変更、永住申請なんかする者が甚だしい場合は七時間も待たされる。平均待ち時間は二時間。七時間も待たされる。ヨーロッパ系の人たちは比較的早いようですけれども、殊にアジア系の人たちが非常に待たされていると。私の友人が実際に東京入管へ行って調べてきたんですけれども、非常に待たされる時間が長い。これは結局、人数が少ないということが原因だと思います。
ことし、来年の予算要求を若干認められたということは非常に結構ですけれども、それにとどまらずに長期的にやはり何らかの計画を立てて対応されることを願っておきます。
それから次は、あと二分になってしまったんですけれども、これも前の法務委員会で、それから決算委員会でも取り上げたと思いますが、入国許可を受ける在留資格、殊にいわゆる四の一の十六の三というんですか、「法務大臣が特に在留を認める者」、これは非常にあいまいで、何か法務大臣の裁量一つ、法務省の裁量一つでどうでもなるようなことは国際誤解を招く危険があるから、これをもっとはっきりさせる必要があるということを前に質問したことがあるんですけれども、その改定を準備中だというふうに承っているんですが、どういう方針でこれを改めるように考えて検討しておられるのか。また、これは緩和する方向に向かって検討しておられるのか。そのことをまず最初にお伺いしたいんですけれども、時間がありませんから一緒にまとめて質問させていただきたいと思います。それが一点。
それから、不法在留者を雇う雇用主及びそのブローカー、これもやはり処罰するのでないと、入ってくる人たちだけを送り返すということでは、これはしり抜けになってしまうんじゃないかと思うんです。その問題についてどういう考えを持っておられるのか、そのことを質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/236
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237・熊谷直博
○政府委員(熊谷直博君) 東京入管がパンク寸前であるという記事を私も拝見いたしまして、その点は鋭意、現在の制度、組織の中でも直そうと努力いたしておるわけでございます。
御質問の第一点の、十六の三で入ることになっている現在の在留資格制度は非常にあいまいであるということでこざいますが、この点が入国管理法の改正の一つの眼目でございまして、私どもも委員御指摘のとおりあいまいであったと、同じ認識を持っております。
前にも御説明申し上げたかもしれませんけれども、ポツダム政令時代の入管法を基礎にしております現行法では国際化の著しい現状では対処できないという面もございますので、この在留資格の面が改正の眼目の一つでございます。
現在、四の一の十六の三という資格で入れております者を今度は新たに、新たな在留資格ということで列記いたしまして、それをさらに現在問題になっております不法就労との関連で、ある在留資格は報酬を得る活動をできるものかどうかとか、そういうような在留資格の活動の内容とか身分の内容とか、そういうものを明確化するというような作業を行っております。これが御質問に関する一つの方針でございます。
それから、不法就労者の問題に関連いたしまして、そういう不法就労者を故意に、悪意を持って、不法であると知りながら雇用する企業主及びそれをあっせんするようなブローカーに対して、これをもっと罰するような規定を設けるべきではないかという御指摘も前からございましたし、私どももそういう認識でおりましたので、現在準備検討中の入管法の改正におきましては、そのような罰則規定をも規定するという方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/237
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238・関嘉彦
○関嘉彦君 ちょっと時間が過ぎましたけれども、ポツダム政令で思い出しました。
四の一の十四、「永住しようとする者」というのがありますね。これは今まで全然これで入ってきた者はないということなんですけれども、こういういわゆる占領時代の遺物みたいなのはこの機会に廃止していただきたいと思います。その点何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/238
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239・熊谷直博
○政府委員(熊谷直博君) 関委員のこの委員会での御指摘も踏まえまして、現在の第四条、外国人の上陸、在留資格の規定を抜本的に変えまして、上陸をする際に、申請の目的である在留資格という立て方ではなくて、外国人が日本において在留することができる場合にはこうこうこういうことであるというような、立て方自体を抜本的に変えることにいたして検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/239
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240・関嘉彦
○関嘉彦君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/240
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241・西川潔
○西川潔君 最後になりましたんですが、よろしくお願いいたします。
きょうも朝早くからずっと聞かせていただきまして、世界でも一、二の国になりましてもいろいろな悩みや心配というのは本当にあるものだなあと。こうして皆さん方が本当に御苦労なさっていることが、もうひとつ国民の方にうまく届いてない部分もありますが、これを私は少しでも皆さん方にPRさせていただくというような努力をこれからもいたしたいと思います。今回、裁判所の休日に関する法律案ということで質問をさせていただくんですが、いろいろな先生方からいろいろな御質問が出ましたので、僕は本当に利用する立場になって質問をいたしたいと思います。
今回、毎月第二及び第四土曜日には裁判所の執務は原則として行わない。国民に対するサービスを充実させるという点から考えてみますと、土曜日を閉庁にしてしまうということは、むしろこれと反対に平日についても、午前中にも千葉先生の方から御質問があったんですが、例えば火曜日は朝の六時からやっていただくとか、ちょっと早いんですが、一つのアイデアとしてお聞きいただきたいんですが、木曜日は夜の九時ごろまでやっていただく。執務時間を変える、または延長する。日曜日も窓口だけはあけていただくというような方向で努力していただくとありがたい、こういうふうに思いますし、例えばデパートではサラリーマンのために、またOLそしてパートの人たちのために営業時間を延長して大変喜ばれているということもございます。また地方自治体の図書館は日曜日も開館しておりますし、地元の大人はもとより、子供たちにも大変好評を博しております。
裁判所も、そういう意味において利用しやすいように何か努力をしていただければと思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/241
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242・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 現時点で、裁判所のみならず、官庁一般につきまして土曜閉庁方式を採用するということにつきましては種々御議論があろうかと存じます。特に、国民の役所利用の便という観点からいたしますと、委員御指摘のようなさまざまな点で工夫すべきではないかということも傾聴に値する御意見であろうと存ずるわけでございます。
しかし、今回の行政機関等におきます土曜閉庁の導入というのは、社会の諸般の情勢を踏まえられました上で、大局的には週休二日制を促進し、それによって国民の生活を充実させる、そういうことを図るという政府の大きな政策御判断によるものでございまして、こういう大きな流れの中で、また私ども裁判所職員の勤務条件という面に配慮いたしまして、基本的には裁判所も行政機関と足並みをそろえさせていただいて閉庁を導入し、その結果、確かに閉庁日におきましては国民に若干の御不便をおかけするということになるんですが、それもやむを得ないというふうに考えさせていただきましたわけで、そのあたりを御理解願いたいと存じます。
ただ、私どもの方といたしましては、土曜閉庁を導入するに当たりましては全体としての司法サービスというものを極力低下させないように努力してまいりたいと考えておるわけでございます。
午前中来のお話にも出ておりますとおり、裁判所の行います事務の中には国民の権利あるいは社会秩序ということに直接かかわりますものがございますために、休みだからといって事務を行わないということではできないものがございますので、裁判所におきましてはこれまでも日曜とか休日などは緊急に処理を要する事件の処理というものを行ってきたわけでございます。今後、土曜閉庁が導入されました後も、従前と同様、緊急事件の処理体制につきまして不備な点はないかとか、改善を要する点はないかとか、そういった点を再点検いたしまして、基本的にはそういう緊急事件の処理に遺憾のないようにしてまいりたい、こう考えております。
なお、国民に対する司法サービスを低下させないようにという観点からは、閉庁土曜日のある週におきまして、金曜日までに出た事件はできるだけ金曜日に頑張って仕事を処理するというふうに心がけたいと思いますし、また、これはちょっと別の面ではございますが、御質問がありましたような方向では、例えば大都市の簡易裁判所におきましては将来、夜間の調停を試みるということも検討いたしております。委員ごらんになりますと、それではまだまだサービスが足りないというおしかりがあろうかとも思いますが、私どもといたしましても可能な範囲で少しずつ委員のおっしゃったような御趣旨に沿う方向での努力もしてみたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/242
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243・西川潔
○西川潔君 これはまた、いいお答えをいただきまして、まことにありがとうございます。
よく我々も耳にするんですけれども、当委員会でも何度か大変問題にもなっておりますが、大変日本の訴訟は遅いということをよく聞かされるんですが、こういうふうな休み、いわゆる閉庁になりますと、その度合いが、夜にもということを今お伺いしたところなんですけれども、進むということにはならないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/243
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244・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) 現在、日本の裁判に訴訟遅延があるということが聞かれます。一例として地方裁判所の事件について申し上げますと、平均審理期間、事件全体を平均いたしまして事件を受けましてから終わらせるまでの期間でございますが、これは民事事件で一年余り、刑事事件で三カ月余りということでございます。これは一昔、十年ほど前に比べますと大分数字としてはよくなっておりますが、ただ、実際難しい事件等では非常に長引いている事件もございまして、訴訟遅延があると言われればそのとおりだと存じます。
今回、裁判所の方に土曜閉庁を導入いたしまして、訴訟遅延がひどくなるのではないかということでございますが、その点は、結論から申し上げますとそういうことはない、またそういうことがあってはならない、こう考えております。なぜかと申しますと、これまで昭和六十一年以来、開庁方式、役所を開きました方式での四週六休制ということを導入してまいりましたし、また裁判所におきましてはもう相当以前から、法廷を開くという点では土曜日は法廷を開かないという慣行が既にできております。そういう関係からいきますと、今回、月二回土曜日を閉庁させていただきましても訴訟事件の処理の方には影響がなかろう、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/244
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245・西川潔
○西川潔君 それでは次に、一般国民が審査に参加する検察審査会というものがあると聞いておりますが、この検察審査会とはどのようなものか、素人の僕たちによくわかるように御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/245
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246・吉丸眞
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 検察審査会は、衆議院議員の選挙権を有する国民の中からくじで選ばれました十一人の検察審査員が、いわば国民を代表いたしまして検察官の不起訴処分の当否を審査するのを主な仕事とする機関でございます。現在、全国で二百七ございます。
もう少し実際の働きを具体的に御説明申しますと、我が国ではある事件を起訴するかどうかを決定するのは検察官の権限であるとされているのでございますが、そういうことから検察官がある事件について起訴をしないという処分をした場合、被疑者は裁判にかけられることがなくなるわけでございます。この場合、犯罪の被害者などの立場からいたしますと、犯人と思われる者が起訴されないことに納得できない場合も生ずると考えられるわけでございます。そのような被害者あるいは告訴、告発をした者などから検察官の不起訴処分を不服として審査の申し立てがあった場合に、それを受けてその点の審査を行うということが検察審査会の主な仕事になるわけでございます。
実際には、この審査会では十一人の検察審査員が出席いたしまして審査会議という会議を開きます。その場で事件の記録を調べたり、必要に応じて証人を呼んだり、あるいは実地検分をしたりして検察官の不起訴処分の当否を慎重に審査いたします。その結果、もう少し詳しい捜査をして起訴不起訴を決すべきではなかったかとか、あるいはこの事件は起訴をすべきであるというような結論に達しますと、その旨の議決をいたしまして、この議決がありました場合には検察官はこれを参考にして事件を再検討することになります。その結果、起訴をするのが相当であるとの結論に達したときには、起訴の手続がとられるわけでございます。
以上のようにいたしまして、公訴権の実行に民意を反映させましてその適正を図るというところがこの審査会制度の眼目となっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/246
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247・西川潔
○西川潔君 大変我々にとっては強い味方という感じがするのでありますが、これは例えば費用とか、六カ月に一度かわるというふうに書いておりますが、これはどういうことなんでしょうか、六カ月に一回というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/247
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248・吉丸眞
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 先ほど申しましたように検察審査員、これは国民の中から選ばれるわけでございますが、その任期が六カ月ということになっているわけでございます。その関係で六カ月ごとに審査員が交代していくということになります。
なお、審査申し立ての費用などは全く無料ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/248
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249・西川潔
○西川潔君 費用は、これは検察審査員の皆さんも無料でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/249
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250・吉丸眞
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 検察審査員の方がこの審査のために出頭していただいたときには、そのための費用あるいは日当は支払われることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/250
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251・西川潔
○西川潔君 日当といいましても、調停委員の皆さんのお話などもお伺いいたしますと、多分そんな高額なものではないと思うんですけれども。ということは、通常仕事を持っていらっしゃる方々がこうして我々のために協力をしてくださるわけですから、例えば土曜、日曜、祝日というふうな日に開かれる方がかえっていいのではないか、こういうふうに思うのでありますが、閉庁になりますと、そういう意味で何かひずみが出てくるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/251
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252・吉丸眞
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 御指摘のとおり、この審査会というのは国民の代表である審査員の方々が文字どおり積極的に熱意を持ってこの仕事に当たっていただく、そういうことをいわば基本とする制度でございます。そのようなことから申しますと、御指摘のとおり、平素忙しい仕事を持っておられる審査員の立場を考えますと、日曜、祭日のような休日に審査会議を開くということも確かに一つの考え方であろうかと思います。
しかし、審査会議を開いて検察審査という仕事をしていただくということになりますと、この仕事はやはりなかなか大変な仕事でございまして、そういうことからせっかくの休息日である休日がこれによって全くつぶされてしまう、休日にそのような厳しい仕事をしなければならないということについては、やはりそれは勘弁してほしいと考えられる審査員の方もまた多いのではないかというふうに考えられるところであります。
そのような中で法制上の問題として考えてみますと、検察審査員の仕事というのは先ほど申しましたようにいわば公務でございまして、審査員は会議が開かれます場合には必ずこれに出頭することを義務づけられるわけでございます。そういう関係にございますので、一般国民である審査員に対して休日の出頭を法律によっていわば強制し、そこで仕事をしていただくというのはいかがなものであろうかという考え方もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/252
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253・西川潔
○西川潔君 かしこまりました。その辺がどうも僕らの取り越し苦労というんですか、複雑な気持ちになるんですけれども。
それでは次に、大変裁判所というところはどうも我々近づきにくく簡単には利用できない。このような親しみにくさを何とか解消していただくために、裁判所としてはただいま、また今後、どういう努力をなさるのかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/253
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254・金谷利廣
○最高裁判所長官代理者(金谷利廣君) ただいま御指摘いただきました点は、土曜閉庁に伴う司法サービスの低下防止という観点だけではなしに、日常の裁判所におきます国民の裁判所の利用の便を促進させるための方策、そういったより広い視野からの御指摘と考えるわけでございますが、その点につきましては御指摘のとおりでございまして、より広い観点から、国民の目から見ましてより利用しやすい裁判所を実現していく、そういうことも裁判所にとって大変重要な課題である、こう考えております。
こういった観点から、私どもで努力しております一端を一、二の例で申し上げさせていただきますと、例えば、特に国民に身近な簡易裁判所におきまして訴えの提起をする際に出します書面、訴状と申しますが、訴状とか調停の申し立て書、そういったものにつきまして素人の方でも書きやすいようにということで、定型申し立て用紙と言っておりますが、そういったものを用意したり、あるいはそういったものの記載例を準備したり、あるいは漫画のイラストをあしらいました裁判所の手続説明のリーフレットを備えつけたりいたしております。そして、これらの申し立て用紙とかリーフレットなどは、市町村役場の市民サービス課のカウンター等にも備え置いてもらうなどいたしております。
また、別の点では、裁判所を利用する手続などについて相談の相手になりますいわゆる受付相談というものがございますが、それにつきましてそれをさらに充実強化するといったことも私どもの方で努めてきた点でございます。今後、そういった点につきまして一層充実を図っていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/254
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255・西川潔
○西川潔君 ありがとうございました。いろいろと本当にお伺いしてみないと、まさかそういう細やかなところまでサービスをしていただけるとは僕は夢にも思わなかったんですけれども、今お伺いさせていただいて大変勉強になりました。
例えば今、定型用紙というふうにお伺いしたんですけれども、これは簡易裁判所以外のところでもございますでしょうか。それから例えば、その申し立て用紙は限られた事件だけで作成されているんでしょうか、もっと今後種類がふえていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/255
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256・泉徳治
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) 先ほどから西川委員が御指摘になっておられます国民の利用しやすい裁判所という観点からいたしますと、最も大事な地位を占めておりますのが簡易裁判所でございます。
簡易裁判所は、現に事件の八七%が、弁護士さんに依頼しないで本人だけで訴え、これにこたえていくという本人訴訟でございます。そういった関係で、この簡易裁判所を利用される一般の国民の方に少しでも利用しやすいようにというふうに工夫いたしましたのが、先ほどから申しております定型申し立て用紙、定型訴状の用紙でございます。
そういった関係で、ただいまのところは簡易裁判所にのみ、こういう用紙をつくっております。定型訴状の方は、これは最もポピュラーな事件五種類を選びましてつくっております。それから調停の方でも最もポピュラーな事件五種類をつくっております。
それからリーフレットの話もございましたが、リーフレットの方も、いわゆる簡易裁判所というものはどういうものかという一般的な説明、それから民事訴訟というものはどういうものか、あるいは支払い命令、民事調停、こういったものがどういうものかということを説明したもの四種類をつくって、今簡易裁判所で利用している、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/256
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257・西川潔
○西川潔君 ありがとうございました。
そのほかに、国民の利用しやすい裁判所をつくっていくために裁判所で実施している施策があれば、また今後こんなこともしていくんだというようなことがあればお教えいただきたいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/257
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258・泉徳治
○最高裁判所長官代理者(泉徳治君) ただいままでの施策といたしましては、簡易裁判所に国民の方が気軽においでいただけるように、市町村役場でありますとか警察のいわゆる相談窓口などに、先ほど申しましたリーフレットなどを置いております。
それから各簡易裁判所におきましては、窓口案内と申しますか、こういう方はどこの窓口にいらしてくださいという、そういう案内看板を立てましてPRをいたしております。そして、実際に窓口にいらっしゃった方に窓口相談という業務をいたしておりますが、その点につきましてカウンターを整備いたしまして、そのカウンターで専門の書記官がいらっしゃった御本人相手に裁判所の訴訟手続あるいはその他の手続の説明をいたしまして、先ほどから出ております申し立て用紙を利用して、そこで訴えを起こす者は訴えを起こしていただくというような利便を図っているわけでございます。
それから、裁判所の事件となりました場合におきましても、どうしても法廷の中の訴訟手続というものは一般の国民の方にはなじみにくい、なかなか思うことも言えないというような状況がございますので、簡易裁判所におきましては司法委員という制度を設けております。
この司法委員というものは、民間の会社員の方でありますとか民間の方々にお願いしておりまして、現在全国で五千五百人ぐらいの方がおられるわけでございますが、そういう方に法廷の中に入っていただきまして、そこで事件についての当事者の言い分を聞いていただき、その方の意見を伺うことももちろんでございますが、口頭弁論が終わりました段階で別室に司法委員が国民の方、その原告、被告の方を招きまして、そこでさらに砕けた雰囲気のもとで話し合いをする。そして和解を勧告する、こういうことをやっております。
そこで、原告の方はもちろんでありますが、被告になられた、いきなり被告として呼び出された国民の方も言いたいことが言えないのではこれも困りますので、そういった司法委員がじかに個室でもって、言いたいことを十分伺って、そこで当事者の言い分をまとめて和解を求めていく、こういうことをいたしております。
これは現在、ことしの上半期で申しますと、全事件の一三%ばかりにこういった司法委員が関与して、事件の処理を行っております。私どもといたしましては、先ほどから出ております定型申し立て用紙、これをさらに種類をふやし充実していくこと、それからただいまの司法委員をさらに活用していくということでもって、国民の方に少しでも利用しやすい簡易裁判所というものをつくってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/258
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259・西川潔
○西川潔君 ありがとうございました。
御質問を幾つかさせていただきましたが、本当に御丁寧な御答弁をいただきまして、大変感謝いたします。
国会で決まったことが全国にピラミッド型に広がっていくんでありますが、直接国民の皆さん方が訪れたときに、今お答えいただきましたような、そういう本当に懇切丁寧な心ある接し方を、またひとつ全国の方々にも御指導いただきますようによろしくお願いいたします。
土曜日閉庁にすることによって、裁判所を利用する方々が制限され、国民の不利益を招くということのないように今後ともよろしくお願いいたします。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/259
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260・塩出啓典
○委員長(塩出啓典君) 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましての質疑はこの程度とし、裁判所の休日に関する法律案につきましては、他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/260
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261・塩出啓典
○委員長(塩出啓典君) 御異議ないと認めます。
本日の審査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315206X00219881122/261
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