1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和六十三年十一月九日(水曜日)
午後一時一分開議
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○議事日程 第九号
昭和六十三年十一月九日
午後一時開議
第一 学校教育法の一部を改正する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、教育職員免許法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/0
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001・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、 教育職員免許法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/1
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002・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) 御異議ないと認めます。中島文部大臣。
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/2
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003・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 教育職員免許法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
学校教育の直接の担い手である教員の活動は、人間の心身の発達にかかわるものであり、幼児、児童、生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすものであります。このような教員の資質能力の向上は、その養成、採用、現職研修の各段階を通じて総合的に図られるべきはもとよりでありますが、まず、その最初の段階である養成教育において真に教員にふさわしい人材を育成することが肝要であります。大学の養成においては、幅広い人間性、教科・教職に必要とされる基礎的、理論的内容と実践的指導力の基礎を確実に修得させる必要があると考えております。そのためには、開放制の原則に立ちつつ、教員養成課程における専門性の一層の向上を図るとともに、教職により深い学識を備えた者を招致できるようにする必要があります。
また、他方において、学校教育の多様化等に対応するため、社会的経験を積んだ教員にふさわしい者を教育界に迎え入れるようにすることも重要であり、これによって学校教育に生気と広い視野を与えることも期待されます。
今回の改正は、臨時教育審議会の答申及び教育職員養成審議会の答申を受けて、このような観点から、教員免許制度の改善を図ることを内容とするものであります。
以下、この法律案の概要について申し上げます。
第一は、普通免許状の種類の改善であります。
教職につく者に対して、教員養成課程において教科・教職についての基礎的、理論的内容と広い教養、そして実践的指導力の基礎を確実に身につけさせるためには、学部を卒業して免許状を取得させることが必要であることから、学部卒業者に対する免許状を一種免許状とし、教員の資質能力の標準的な水準を示すものとしております。
この一種免許状を基礎として修士課程等で特定の分野を修め、その分野について高度の資質能力を備えていることを示す免許状をすべての学校種について設けることとし、これを専修免許状としております。
これにより、現職の教員が修士課程等において研修することを促進し、また、修士課程等修了者が進んで教職につくことを期待しております。
他方、短期大学を卒業程度とする免許状については二種免許状としておりますが、二種免許状を有し教員として採用された者については、その取得後、教員としてなお一層の資質能力の向上を必要とし、さらに研さんが必要であることから、一種免許状の取得に努めるよう努力義務を課すこととしております。
第二は、社会人として有為な人材を教員として活用するための措置を講じることであります。
その一は、社会的経験を有する者に対して授与する特別免許状を設けることであります。特別免許状は、教員の任命権者が、担任する教科についての専門的な知識または技能を有し、かつ、社会的信望等がある者を都道府県教育委員会に推薦し、その推薦に基づいて、都道府県教育委員会が行う教育職員検定に合格した者に対して授与される教諭の免許状であります。
その二は、教科の領域の一部に係る事項等を担任する非常勤講師については、授与権者の許可を受けて、免許状を有しない者を充てることができることとするものであります。
第三は、大学において普通免許状の授与を受けるために修得することを要する単位数の引き上げ等であります。
大学において普通免許状の授与を受けるために修得することを必要とする単位数の引き上げは、近年、学校教育において求められている教育の方法・技術、生徒指導、特別活動等の指導力の向上を図るためのものであります。また、教育実習については、その構造化と内容の改善を図るため、新たに事前及び事後指導を必修とすることとしております。
大学における単位の修得については、大学卒業後の免許状の取得を容易にするため、大学が設置する一年間の教職特別課程においても単位を修得し免許状を取得することができるなどの措置を講じることとしております。
第四は、教育職員検定により他の種類の免許状の授与を受ける場合に必要とする最低在職年数と最低単位を定め、最低在職年数を超える在職年数がある場合にはそれに応じて逓減する単位数を定めることであります。
これは、現職の教員の自発的な研修の意欲を喚起するためのものでありますので、現行の二級普通免許状を有する者が一級普通免許状の授与を受けようとする場合に、十五年の在職年数があれば単位修得を要しないとしている特例は廃止することといたしております。
第五は、中学校、高等学校の免許状については、免許法において定められている免許教科のほかに、文部省令で定める免許教科についても授与することができることとするものであります。
これは、近年の学校教育の内容の変化等に対応してこれらの教科を担任する教員の確保を速やかに行おうとするものでありますが、これらの文部省令を定めるに当たっては、教育職員養成審議会の意見を聞いて慎重に対処することとしております。
第六は、その他所要の規定の整備を行うことであります。
この法律は、昭和六十四年四月一日から施行することとしておりますが、大学等に対する新しい免許基準の適用は昭和六十五年四月一日からとしております。
なお、既に授与を受けている免許状はそれぞれ新しい免許状とみなすこととするほか、以上の制度改正に伴う所要の経過措置を講じることとしております。
以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/3
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004・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。粕谷照美君。
〔粕谷照美君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/4
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005・粕谷照美
○粕谷照美君 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました教育職員免許法等の一部を改正する法律案につきまして質疑を行います。
法案の質疑に入る前に、まず総理大臣及び文部大臣にお伺いします。
本法案は臨教審答申に基づくものであると言われますが、この臨教審は、中曽根前首相の戦後教育の総決算として、行政改革の一翼を担ったものであります。しかも、今回のリクルート疑惑で中曽根内閣の十人もの閣僚が未公開株を取得していたことが判明し、中曽根行革は金まみれ、株まみれの政権であったこと、新たな政、官、財の癒着構造をつくったものであることが明らかとなりました。
文部省もまた例外ではありません。森元文相の三万株、高石前文部事務次官の一万株の取得が明らかとなっております。
その高石前事務次官は、本年六月の文部省退職以前から、中曽根派から衆議院選への出馬を準備しておりました。まず、選挙区となる福岡三区に生涯学習振興財団なる財団法人を設立しましたが、福岡県教育委員会に設立申請をした二日後には認可されるという異例のスピードぶりであります。さらに、財団法人設立資金の八億円は、私立帝京大学から全額寄附されていると報道されております。帝京大学は、六十三年度に二十四億五千万円余りの私学助成金を受けております。
また、高石氏の選挙区の大牟田市に帝京短期大学を開設し、四千八百余万円の助成金を受けております。この短大の認可申請と設立許可に至る期間についてもまた疑惑が出されているのであります。いずれも高石氏が文部事務次官当時のことであり、職権乱用の疑いの声が大きく上がっているのであります。
文部大臣は、マスコミにも報道されているこのような疑惑について、帝京大学関係者、財団法人を認可した福岡県、そして高石前次官から、詳しい事情聴取を厳正にしかも早急に行い、国民の前にすべてを明らかにする義務があると思いますが、いかがお考えですか。
次に、竹下総理の教育に対する基本的なお考えについて伺います。
我が国の学歴社会の中で、教育をめぐる受験地獄、いじめ、非行、登校拒否などの深刻な問題状況の解決を図ることは国民的な課題であります。にもかかわらず政府は、臨時教育審議会の答申に沿った教育改革こそあたかも特効薬であるかのように装い、責任を回避してきたのであります。しかも、国民から遊離したところで審議を行った臨時教育審議会答申は、政府・自民党あるいは中央教育審議会などが指摘してきた懸案事項の寄せ集めにすぎなかったのであります。さらに、さきの国会で初任者研修制度創設のための法案を強引に成立させたことからもわかるように、政府・自民党は、臨教審答申の都合のよい部分だけをつまみ食いして、施策を講じようとしているのであります。これらを見て、国民は今後の我が国の教育に明るい展望を見出せないでおります。
そこで、総理御自身、我が国の教育をめぐる深刻な問題状況をどのように把握し、その根本原因がいずこにあると判断しておられるのか、伺っておきたいのであります。
また、教育は人なりと言いますが、教員養成のあり方については、何といっても教育の現状と今後の方向、教員を取り巻く環境等幅広く検討した上で、これからの教員はどうあるべきかを考えなければならないと思います。総理は、現在の教員をどう評価しておられますか、また今後のあるべき教師像をどのように考えておられますか、お伺いいたします。
戦後、我が国の教員養成制度は、学問の自由と大学の自治が保障された大学における教員養成の原則と、教員養成を特定の大学に限定することなく、所定の単位修得者には資格を与えるという開放の原則の二大原則のもとに発足し、昭和二十四年に教育職員免許法が制定されたのであります。今回の改正は、免許法制定以来の大改正であり、さらにほぼ同趣旨の法案が昭和五十九年の第一〇一国会に提出されたものの、教育関係者等の反対もこれあり、廃案となったいきさつもあります。何にも増して国民の合意を得るよう、慎重な対応が求められているのであります。
しかしながら、政府・自民党は、そうした努力を払うどころか、異例の超長期国会を利用し、しかもリクルート問題、税制問題に国民の目が奪われている間隙を縫って、強引に成立を図ろうとしているのであります。衆議院においては、先国会と同様に、先議案件を飛び越して本改正案が強引に審議され、可決をされたことは極めて遺憾なことであります。本院においては、慎重審議、教育関係者の理解が十分得られないうちは見切り発車をしないという決意のほどを、政府・自民党の最高責任者である総理・総裁から伺いたいのであります。
次に、具体的に法案の内容について文部大臣を中心にお伺いいたします。
まず第一は、大学院修士課程修了者のための専修免許状を新設し、教員の免許状を三種類にすることについてであります。
政府は、事あるごとに、受験地獄を初めとした教育荒廃の元凶は学歴偏重社会にあると言っておるのであります。しかるに、大学院を修了したという形式的な学歴によって新たな免許状を設けることは学歴偏重社会是正の理念に逆行するものと言わざるを得ないのですが、御見解を伺います。
また、政府は、専修免許状と一種免許状との間に上下の関係はないと説明しております。しかし、専修免許状を新設することが大学院修了者を教育界に誘致することを目的としている以上、人事、処遇面で有利に扱われることは必至であると思います。将来とも有利な取り扱いはしないと断言できるのか伺っておきます。
もともと一般大学の大学院において教科・教職専門科目を開設している例は少なく、単位取得に対応できるのは国立大学の教員養成系大学院に偏ることになり、私立大学に至っては絶望的と言っても過言ではありません。量的な受け皿の問題とともに、開放制の原則にももとると言わざるを得ないのであります。御見解を伺います。
さらに、国立大学でも教育学関係の修士課程を設置しているのは全国で二十一大学にすぎず、絶対数が不足し、その上、地域格差が著しいのであります。したがって、制度発足の前提条件が整っていないことを指摘せざるを得ません。御見解を伺います。
また、現職の教員が大学院に入学する場合にはかわりの教員の定数措置が必要となりますが、大蔵大臣はそのための財政措置を具体的にどの程度行う覚悟をお持ちなのかも伺っておきたいのであります。
次に、免許状の性格について法制局長官に伺いたいのであります。
通常、免許状を種別化する場合には、それぞれの免許状により免許される行為に差異があるのが当然と思います。しかしながら、教員免許状は、小、中、高等の学校種別、理科、数学等の教科によって求められる必要な能力を保証するものであって、その能力の保証が専修、一種、二種と三本立てであること自体が理論的におかしいのではないかと考えるのであります。
また、初任者研修を義務づけられている大学院新卒の専修免許状所有者に一種免許状を持つ者が指導教員となることは、形式的にも理解しにくい制度と指摘せざるを得ません。立法政策上何ら問題はないのかも伺っておきます。
さらに、現職教員が専修免許状を取得するために大学院を受験する場合には、教育委員会の承認が必要となります。また、形式的な免許状主義がはびこり、教師が子供たちの指導に情熱を持つ以上に、より上級の免許状取得を志向し、本来の自主的な研修を軽視する傾向が醸成されることなどを懸念するものであります。
さらに、専修免許状の創設により、一握りの専修免許状所有者がエリート扱いされるため、大学、短大の卒業生で優秀な者が教育界を敬遠することにもなると予想されるのであります。
以上、数点の疑念に対するお考えを伺いたいのであります。
第二は、各免許状の免許基準の引き上げについての問題であります。
現在の教職課程のカリキュラムですら、免許法でがんじがらめであるとの指摘が強いのであります。この上さらに修得単位数を引き上げることは、一般大学における教員養成が不利になり、開放制の原則が脅かされるとともに、教育技術偏重の教員養成とならざるを得ないのであります。
また、このことは、教職を志す学生に詰め込み教育を余儀なくし、大学の側も独自のカリキュラムや創造的な授業方法の改善等に取り組むことができず、自主的、主体的な教員養成が困難になると思うのであります。
また、現在は児童数の減少で、教員養成大学出身者ですら教員として就職できるのは六割にしかすぎないという厳しい現状にあります。そのため、教員養成大学も教職以外の進路も選択できるようオープンな教育課程を余儀なくされておりますが、こうした時代の流れにも逆行するものと言わざるを得ないのであります。各大学の人的、物的諸条件の整備にはどのように対応されるつもりでありますか。
第三は、二級免許状の教員が十五年間の教員経験で一級免許状を取得できるという措置を廃止することについてであります。
十五年間という教職経験は、一定の単位取得にまさる極めて貴重な財産であります。この措置の廃止により大学等における単位修得が義務づけられるわけでありますが、通学のための休職、休暇が保障されなければならず、代替教員の定数措置が不可欠であります。どのような措置を考えておられますか。
また、現職教員を受け入れる大学側については教官定数や施設、設備の充実などが必要となりますが、その対応策についてはどうお考えですか。
このような課題が山積しているため、行政側が安易に文部大臣の認定講習に依存するようになることは非常に問題であります。これでは単位の修得というよりはむしろ行政研修と言わざるを得なくなり、大学における教員養成の原則を実質的に形骸化させるものであります。明快な答弁をお願いいたします。
第四は、社会人を教員に登用する問題についてであります。
特別免許状を社会人に付与する制度について、一方で専門職としてより多くの単位取得を義務づけ、初任者研修まで行おうとしているにもかかわらず、教育の素人とも言える人に免許状を出すというのは論理の矛盾であります。免許状の有効期間が短期間であるということからも、企業からの出向職員、警察や自衛隊からの柔道、剣道等の教員派遣など、非常に限定された範囲でしか機能しないのではないかと思います。見解を伺うものであります。
次に、調理実習のような教科の領域の一部を担任する非常勤講師は、免許を持っていなくても都道府県教育委員会の許可で授業ができる制度を創設することについてであります。
これについては、基本的に免許状主義に反するものと考えております。一方的に社会人を教育現場に招致することを教育委員会の許可制にすることで学校現場のニーズを無視することになると思いますが、いかがでしょうか、お答え願いたいのであります。
これらの制度改革以上に社会人の登用に当たって重要なことは、教員の採用試験の年齢制限の撤廃や初任給格付の有利な取り扱いなど、教育界、教育行政の閉鎖性、硬直性こそ改善の余地があると思うのでありますが、所見を伺いたいのであります。
最後に、本法案は、リクルート疑獄の渦中の高石氏が文部事務次官当時に提出したものでありますから、速やかに撤回し、教育行政への信頼を回復した後に検討し直すべきであります。むしろこの際は、戦後の大学における教員養成、開放制の原則の再確認とその制度の維持発展を基本として、教員養成制度全体のあり方、教員養成機関の充実策等について国民的論議を喚起することこそ重要であります。優秀な教員を育てることは、単なる学歴や教職科目等の増加によるものではありません。教員という職業に誇りを持たせることが肝要であり、そのための教育行政、学校現場の環境づくりこそ先決であることを指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/5
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006・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、本法律案の質疑に入る前に文部省関係全体についての御質問がございました。詳しくは文部大臣からお答えを申し上げるべきであろうと思いますが、今日この機会に、文部省内の全職員に対し綱紀の粛正について徹底を期しておると、このような報告を受けておるところであります。
さて、続いて、本案をめぐって、まず教育をめぐるいじめ等の現状認識についてのお尋ねでありました。
いじめとか非行は、鎮静化しつつあると言われますものの、依然として憂慮すべき事件も発生しております。引き続き生徒指導等の充実が必要であるという認識の上に立っております。こうした問題はひっきょう学校、家庭、社会、それぞれの要因が絡み合っております。関係者がさらに一体となって取り組む必要がある、このように考えておるところであります。
あるべき教師像とは何ぞや、こういうお尋ねでありました。
私はいつも思います。教育者としての使命感、そして教育的愛情、さらに教科等に関する専門知識、実践的指導力、まずこれが重要であるとの認識の上に立っておるわけであります。したがって、一層の資質向上を図ることが重要な政策課題であると思いますがゆえに、教育職員免許法の改正案を提出したというゆえんのものもまたそこにあるわけであります。
さて、この法律の取り扱いでございますが、当然のこと国会で御審議をいただくわけでありますが、この答申をいただくに当たりましては、長い間各界各層の意見を聞き、それを反映さしたものであります。したがって、十分な御審議の上、その成立を心からお願いする立場にあるわけであります。
したがって、私どもといたしましては、本法律案の審議が本院においてより密度の濃い慎重な御審議が行われ、答える我々政府側におきましても、これに対して最大限のお答えをしていくという姿勢を貫きたいと思います。
以上で私のお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/6
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007・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 粕谷議員から多岐にわたります御質問をお受けいたしました。必ずしも御質問部分を繰り返さずにお答えすることがあるかもしれません。答弁漏れのないよう配慮いたしながら、ある部分は取りまとめてお答えすることにいたそうと思います。
まず、高石前文部事務次官と財団法人の認可等についてお尋ねでございました。
お尋ねの件につきましては、福岡県の教育委員会からの報告によりますと、財団法人生涯学習振興財団は適正な手続に従って設立されたものと承知をいたしております。
また、九州帝京短期大学につきましては、昭和六十二年二月に大学設置審議会及び私立大学審議会からの答申を受けて認可されたものでございます。
なお、これらにかかわりましての詳細な内容につきましては、今後関係者からの事情の把握に努めてまいりたいと、このように考えております。
次に、我が国の教員の資質に対しての評価をお尋ねでございました。
我が国の教員の資質は高いものと考えております。しかし、社会の変化、学校教育の内容の改善、児童生徒の状況等に応じまして資質能力の一層の向上を図ることが必要でありますため、今回の教育職員免許法の改正案もその趣旨の一環として御提出しているところでございます。
次に、免許法の内容でございますが、専修免許状の新設は学歴偏重社会是正の理念に反しはしないかという御質問でございました。
専修免許状の新設に伴います普通と免許状の三種類化は、幅広い範囲から人材を求めるとともに、教員の方々の自発的な現職研修を助長しようとするものであります。三種の免許状はいずれも教諭の免許状でありまして、担当し得る教育活動は変わるところはありません。また、教員は現職研修によりまして他の種類の免許状取得が可能でございまして、就職したときの免許状の区分が固定されるわけではございません。したがって、専修免許状の新設は学歴偏重社会是正の理念に逆行するものではないと考えております。
次に、人事、処遇面でお尋ねでございました。
採用、昇任につきましては、任命権者におきまして受験成績、勤務成績等能力の実証に基づいて行うこととなりますが、管理職の任用における専修免許状の取り扱いにつきましては、高等学校の校長、教頭の任用資格に関する現行の一級免許状の取り扱いを参考にいたしつつ検討してまいりたいと考えております。
また、給与上の取り扱いにつきましては、現状を変更することは現在のところ考えておりません。
次に、専修免許状を取得するに可能な大学院の数についてお尋ねでございました。
専修免許状を授与できます大学院は、その基礎となる学部について一種免許状の課程認定を受けている大学院と考えられますので、その数は一般大学も含めて相当数になるものと考えられます。
また、専修免許状は、一種免許状を有する教員が現職経験を積みまして修士課程相当の所定の単位を修得した場合にも取得することができるわけでありまして、したがって、専修免許状については開放制の原則に反することはございませんし、制度発足の条件も整っていると考えております。
次に、専修免許状が自主的研修を軽視させはしないかという御指摘でございました。
繰り返すようでありますが、三種類の免許状はいずれも教諭の免許状でありまして、担当し得る教育活動も変わるところはございません。今後とも一種免許状所有者が学校運営の中心となると考えておりまして、現職教員の専修免許状の取得はあくまでも本人の自発的な研修によるものでありまして、教員が授業に情熱を持ち、自主的に研修を行うという姿勢には今後とも変化はないものと考えます。
なお、教員に求められます資質能力の標準的な水準を示す免許状は一種免許状でありまして、現職教員が他の種類の免許状を取得することも可能でありますので、優秀な大学等の卒業生が教育界を敬遠するということはないものと考えております。
次に、免許基準の引き上げについて数点お尋ねでございました。
また、教員養成学部のオープンな教育課程への改組という時代の流れに逆行しはしないかということでございますが、御指摘のように教員養成学部の改組も行われておりますけれども、教員養成におきましては、社会の変化や学校教育の内容の改善、児童生徒の状況等に対応いたしまして、実践的指導力の基礎を確実に修得せしめる、そういう必要があります。今回、開放制の原則を維持しつつ、免許基準を引き上げることといたしたものであります。これによって組織的、系統的な養成教育が可能となり、教育技術偏重になることはないと考えております。
また、免許基準の引き上げは比較的小幅でございまして、一般大学の学生について詰め込み教育を余儀なくされましたり、大学において自主的、主体的な教員養成が困難になるということはないと考えております。
次に、免許基準の引き上げ措置についての人的、物的諸条件の整備についてでございます。
教員養成大学・学部の教育諸条件につきましては、大学院を含めまして、今後ともその整備充実に努めてまいりたいと思っております。
なお、一般の大学における教員養成のための教育条件についても配慮してまいりたいと存じます。
次に、十五年ゼロ単位の廃止と教員の定数措置についてお尋ねでございました。
十五年ゼロ単位の特例措置を廃止いたしますのは、現職研修の機会が増大しておりますこと、また、教員の資質能力の向上を図る上で現職研修が重要であることによるものでございます。
二種免許状を有する教員に対する大学における認定講習等の指定は、地域や勤務校の状況等を踏まえまして、本人の意見を聞きまして、授与権者が行うことになります。
この大学における認定講習等は、通常は夏季休暇期間中に実施されるものと考えられますので、一般には受講者の後補充の措置は必要ないものと考えております。
なお、勤務につきましては可能な限り支障がないように配慮する必要があると考えます。
次に、二種免許状所有者を受け入れる大学の対応でございますが、大学が、二種免許状を所有する現職教員等に対して、一種免許状を取得させるために、今申したように、夏休み期間中等に大学の機能を活用し、文部大臣の認定する講習や公開講座を開設するとともに、必要に応じその内容が充実したものになるよう配慮してまいります。
大学における単位修得に係る経費等につきましては、本人負担となると考えます。
次に、安易に認定講習に依存することになりはしないか、教員養成の原則を形骸化させることになりはしないかということでございます。
やや重複するかもしれませんが、二種免許状を有する者が一種免許状を取得する場合、大学において必要な単位を修得することは十分可能でありまして、認定講習のみに依存することにはなるまいと考えます。
また、授与権者が認定講習を開設する場合でありますが、現在、講師の半数以上は大学の教員を充てることとするなど大学の関与を必要としておりまして、大学における教員養成の原則を形骸化させることにはならないものと考えます。
次に、特別免許状でありますが、特別免許状はすぐれた社会的経験を有する者に対して授与する教諭の免許状でありまして、専門性の向上と矛盾するものではございません。
また、免許状の効力の期限が到来した場合、教育職員検定を受けることによりまして事実上更新が可能でございます。そういう意味から、社会の幅広い分野からすぐれた人材を登用することができるものと考えております。
非常勤講師制度につきましても、学校教育の多様化等に対応するためには、免許状を有しなくても社会での実体験に裏づけられたすぐれた学識、技能を有する方々に教育を担当させることが効果的であると考えておりますことから、教科の領域の一部に係る事項等を教授する非常勤講師に限りまして、免許状主義の特例を設けたものでございます。
なお、学校現場の必要性に適切に対応するためには、授与権者が実情に即して許可を行うことができるよう配慮する必要があるものと考えます。
社会人の活用について、教育界の閉鎖性にならないかという御趣旨でございましたが、現在におきましても、特定の教科については受験年齢の弾力化や初任給格付における職務経験の配慮等が行われているところもあり、必ずしも学校教育が社会に対して閉ざされているものでは現在もないと考えております。今後、教職員免許制度の改善により、従来以上に社会人の活用を図ってまいりたいと存じます。
次に、リクルート問題を理由に、本法案を撤回すべきではないかということでございます。
改めて申し上げますが、高石前事務次官名でリクルートコスモス株が購入されておりましたことは、これは本人であれ夫人であれ、慎重さを欠くものと考えておりまして、まことに残念なことでございます。今後とも、公務の遂行に当たりましては、国民の疑惑や不信を招くことのないよう十分に留意をしてまいりたいと存じます。
この法案は、臨時教育審議会及び教育職員養成審議会答申を踏まえて御提出をしたものでありまして、何とぞ十分御審議の上、その成立をお願い申し上げたいと存じます。
それから国民的論議をまず喚起すべきではないかという御指摘でございました。
今回の改正案は、大学におきます開放制の教員養成の原則に立ちまして、臨教審あるいは教養審答申を踏まえたものでございます。これらの答申につきましては、その審議を通じて各界各層の御意見を反映したものであり、また関係者の意見の聴取を行ったものでございまして、その意味で、改正案は国民の意見を広く反映したものと考えております。
最後に、優秀な教員の確保には学校現場の環境づくりが先決ではないか、こういう御指摘でございます。
教員に教職の重要性を自覚していただき、教職に対する誇りを持たせることが重要なことはもちろんでございます。そのためには、学校教育の環境整備等の施策を講じますとともに、養成教育の改善、充実を図ることが重要と考えます。
今回の改正は、養成段階などにおきまして教員としての専門性の一層の向上を図りますとともに、学校教育への社会人の活用を進めることによりまして教職に広く人材を求めようとするものでありまして、また、いずれもすぐれた教員を確保する上で重要な施策であると考えておるところでございます。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/7
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008・宮澤喜一
○国務大臣(宮澤喜一君) 現職教員の長期にわたる研修の場合につきましては、昭和四十四年から四十八年度にわたりました第三次の義務教育諸学校教職員定数改善計画以来、これに対応して研修等定数の措置がとられてまいりました。
現行の第五次改善計画につきましても、六十二年十月六日閣議決定されました教育改革推進大綱において、「着実な推進に努める」とされているところでございます。これによりまして適切に対処してまいるつもりでございます。(拍手)
〔政府委員味村治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/8
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009・味村治
○政府委員(味村治君) 私に対する御質問の第一点は、何ら免許される行為に差がない免許状が二本立てあるいは三本立てになっているということは理論的におかしいのではないかということでございます。
本改正法案におきましては、教諭の普通免許状を、高等学校教諭の免許状にございましては専修免許状及び一種免許状の二種類に、その他の学校の教諭の免許状にあっては専修免許状、一種免許状及び二種免許状の三種類に区分しておりますが、校種が同じでございますれば、これらの区分された免許状には担当し得る教育活動に違いはなく、このことは現行法の定める一級免許状及び二
級免許状においても同様でございまして、これは教育職員の免許制度に独特のものでございますが、このように現行法及び本改正法案が普通免許状を二種類または三種類と区分いたしております趣旨は、幅広い範囲から人材を求めようとすること、及び教員の自発的な現職研修を助長しようとすることにあると存じておりまして、この趣旨に不合理なことはないと存じます。
私に対する第二の御質問は、一種免許状所有の教員が大学院新卒の専修免許状所有者に指導教員として初任者研修を実施することは立法政策上問題ではないかということでございますが、初任者研修は大学における理論と学校現場における実践とを結合、発展させる最初の段階における実践的な研修でございます。したがいまして、教諭としての経験豊かな一種免許状所有の教員が指導教員となりまして、御指摘のような初任者研修を実施することは合理的なことであるというふうに考えます。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/9
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010・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) 佐藤昭夫君。
〔佐藤昭夫君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/10
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011・佐藤昭夫
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、教育職員免許法の改正案について総理並びに文部大臣に質問いたします。
初めにたださなければならないことは、臨教審教育改革とリクルート疑惑の関係であります。
リクルート未公開株譲渡事件は、政界、官界を巻き込んだ未曾有の大疑獄事件の様相を呈しています。侵されてはならない教育の中枢にまでその汚染が広がっていることは断じて許されません。今月三日、高石前文部事務次官に未公開株一万株が譲渡されていたことが判明しました。
高石氏といえば、臨時教育審議会の取りまとめ役として、今日の反動的文教行政推進の中心人物であります。口を開けば道徳教育の強化を唱えていたこの人物が、裏ではわいろとも言えるリクルート株の譲渡を受け大もうけをしておきながら、その責任を追及されるや妻に転嫁するなどとは、何と卑劣、まさに教育を語る資格はありません。また、高石氏が次官在任中に設立した生涯学習振興財団に八億もの資金を私立大学に寄附させていたという黒い疑惑も、新たに指摘されています。
利権まみれのこのような人物を教育に責任を負う文部省の中枢に座らせていたことは重大であります。総理並びに文部大臣の責任を問うものであります。
また、江副氏の教育関連審議会委員任命に当たっての疑惑であります。
中曽根前首相の二人の秘書名義でこれまで判明しただけで二万六千株、森元文部大臣に三万株が譲渡され、こうした株譲渡を背景に江副氏は教育課程審議会委員、また大学審議会委員に任命されました。大学審議会委員の人選に当たっては、有力視された大学の学長がはじき飛ばされたとか、官邸から後押しがあったと報道をされるほど異常な人事でした。さらに、江副氏の教育課程審議会委員任命当時の担当局長も高石氏でありましたが、これらの点で、高石氏、中曽根前首相、森元文部大臣の関与と株譲渡の疑惑について厳しく調査して明らかにすべきであります。この点についての報告を求めるものであります。
もともとリクルートは就職情報、進学情報を提供する教育産業として、また、コンピューターや通信事業拡大に強い意欲を示し、森文相以来、歴代文部大臣がリクルート社に招かれて講演をしています。このようなリクルートからの値上がり確実の未公開株の譲渡は、殖産住宅事件の最高裁決定に照らしても、わいろ性の極めて高いものであります。
高石前事務次官について文部大臣は、江副氏の審議会委員任命について職務上タッチする地位にあったことは確かだ、わいろ性については司法当局の判断にまつと答えていますが、司直任せではなく、みずからの責任で厳しく調査し、その結果に基づいて告発や行政上の必要な措置をとるべきではありませんか。
そして総理、あなたの秘書にもリクルートコスモス株が譲渡されていますが、江副、高石氏の証人喚問を初めとして、本法案の根源である臨教審にかかわる黒い疑惑の解明こそ先決の問題ではありませんか。この汚職にまみれ、ゆがめられた教育改革は根本的に出直しをすべきではありませんか。答弁を求めます。
次に、法案について質問をいたします。
第一に、本法案は、戦後の教師養成と免許制度を抜本的に変え、初任者研修制度と並んで教師の国家統制と教育の軍国主義化を一段と強化しようとするものであります。
戦後の教師養成の原則は、大学において行うことと、免許状授与の開放制をとったことであります。これは、戦前の師範学校が学問研究を軽視し、国家主義的、軍国主義的な教育を担う教師の養成機関となったことへの厳しい反省に立ち、広い教養と専門性を身につけた教師を送り出すため、すべての国公私立の大学でも教師の資格が取れるという制度としたのであります。総理、これは憲法と教育基本法に基づく戦後教育制度の根幹をなすものであり、この原則を尊重されるのか、しかとお答えをいただきたいのであります。
第二は、普通免許状の三種類化によって、教師間に給与上、人事上の格差を持ち込もうとしていることであります。
今回の三段階免許状の導入が、教員の資質向上に資するどころか、逆に、本来対等、平等であるべき教師間に新たな分断を持ち込み、教師相互の協力関係を破壊することになるのは明白であります。それはまた、子供や父母との信頼関係をも損なわざるを得ません。まさに教育の条理そのものの否定であります。衆議院では、また先ほども、現在は給与格差を考えていないと答えていますが、今後とも格差はつけないと明言すべきであり、明確な答弁を求めるものであります。
また、現在、一種免許に該当する教師は七十一万人に上っています。専修免許を奨励するといいながら、それを取得する機会も体制も全く検討されていません。これは結局、行政の目にかなう教員だけを選抜しようとする意図があるからではありませんか。免許取得のための具体的な計画を直ちに示すよう答弁を求めます。
第三は、免許状取得に必要な専門教育科目の修得単位数を大幅に引き上げ、教員の資格取得を困難にしようとしています。
しかし、それよりも今必要なことは、一律に単位増を押しつけるのではなく、大学が教員養成に必要と考える自律的で個性的なカリキュラムを組めるよう、人的、物的な条件を整えることではありませんか。お答えをいただきたいのであります。
第四は、社会人の活用を口実に、特別免許状の創設や免許状なし特別非常勤講師制度を導入する問題であります。
これは、大学での教員養成の原則を崩し、即席で安上がりの教師をつくろうとするもので、大学での修得単位数を引き上げて資格取得を厳しくすることとは全く矛盾するではありませんか。このような特別免許状や特別非常勤講師などの制度化はやめ、九万人に上る臨時教員の本採用こそまず行うべきではありませんか。
さらに、免許状なしの非常勤講師は、教科の一部といいながら、自衛隊や警察などの職員が授業を行う道を開くことになるのであります。
これらの諸点について、答弁漏れのないように、明確な答弁を求めるものであります。
以上述べたように、教育の国家統制、軍国主義化の強化の方向は憲法、教育基本法に照らして断じて容認できないことを厳しく指摘いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/11
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012・竹下登
○国務大臣(竹下登君) まず、法律案に入る前に高石前事務次官のことについてのお尋ねがございました。
先ほど文部大臣からもお答えがあったとおり、慎重さを欠くものであると考えております。事務次官在職当時の職務の執行につきましては、適切さを欠くものはなかったと、このように私は承知をいたしております。
次に、審議会委員任命の問題にお触れになりました。
大学審議会及び教育課程審議会の検討課題に照らしまして識見を有している方を選任いたしましたものでありまして、これは適切に行われたものと考えております。
法案審議にお触れになりました。
教育職員免許法の一部改正は、教育改革の重要な課題として行われるものであります。速やかな法案審議を心から期待するところであります。
さて、今日の教育と現行の教員養成、免許制度の基本理念についてお触れになりました。
もとより、憲法、教育基本法をすべての基本に置いておることは事実であります。基本理念といたしましては、免許状主義と専門職制の確立、大学における開放制の教員養成、現職研修の重視、これであると考えておるわけであります。したがって、本法案は、これらの基本理念を堅持しながら、専門性の向上と社会人の活用等を図るものでありまして、御指摘のような国家統制などとは全く考えられないものであります。
以上で私のお答えを終わります。(拍手)
〔国務大臣中島源太郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/12
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013・中島源太郎
○国務大臣(中島源太郎君) 佐藤委員からも多岐にわたる御質問でございますので、必ずしも御質問部分を明快に繰り返すことは省かせていただきますことをお許しいただきます。
総理御答弁にもございましたが、まず、高石前事務次官の件に関しましては、本人名義でリクルートコスモス株が購入されておりましたことは、本人であれ夫人であれ、まことに慎重さを欠くものと考えておりまして、残念至極に存じます。
しかし、事務次官在職当時の職務の遂行につきましては、本人からも事情聴取をいたしましたが、適切さを欠くものはなかったと考えております。
江副氏の審議会委員任命につきましては、大学審議会及び教育課程審議会の関係法令に照らしまして、当時の任命権者である文部大臣の権限において適切に選任されたものであります。また、その選任過程におきまして特に影響力が行使されたというような事実は承知しておりません。
これまでの高石氏に対します調査の結果、高石前事務次官夫人への株譲渡と江副氏の審議会委員選任とには関係がないものと考えております。
今回御提案を申し上げております教育職員免許法の一部改正は、教育改革の重要な課題として行われるものでありまして、速やかな法案審議がお進めいただけますようお願いを申し上げたいと存じます。
次に、本法案が国家統制を強化するものにならないかという御質問でございました。
現行の教員養成、免許制度の基本理念は、免許状主義と専門職制の確立、大学における開放制の教員養成、現職研修の重視であると考えております。
本法案におきましても、これらの基本理念は堅持しつつ、専門性の向上と社会人の活用等を図るものでありまして、御指摘のような国家統制にはならないものと考えております。
次に、給与上、人事上の格差についての御質問でございました。
給与上の取り扱いにつきましては、現状を変更することは現在のところ考えておりません。
また、採用、昇任につきましては、任命権者におきまして受験成績、勤務成績等の能力の実証に基づいて行うこととなりますが、管理職の任用における専修免許状の取り扱いにつきましては、高等学校の校長、教頭の任用資格に関する現行の一級免許状の取り扱いを参考にしつつ検討してまいりたいと存じます。
次に、大学における人的、物的条件の整備であります。
教員養成大学・学部の教育諸条件については、大学院を含めまして、今後ともその整備充実に努めてまいりたいと存じております。
なお、一般の大学における教員養成のための教育条件についても配慮してまいります。
次に、専修免許状取得のための具体的な計画を示せということでございますが、一種免許状が教員に求められる資質能力の標準的な水準を示すものでありますことから、一種免許状を有する教員に専修免許状の取得の努力義務を特に課してはおりません。そこで、今後とも一種免許状の所有者が学校教育の場において中心をなしていくものと考えられます。
したがって、御指摘のような具体的な計画を作成することは現在考えておりませんが、引き続き大学院修士課程への派遣等につきまして配慮いたしますとともに、認定講習等の単位修得の機会が設けられますよう関係者の指導に努力してまいりたいと存じております。
次に、社会人の活用と臨時教員の本採用についてお触れになりました。
今回、養成教育等における専門性の一層の向上を図りますとともに、学校教育への社会人の活用を進めることといたしておりますが、これらはいずれも教育界の活性化を促し、教員の資質能力の向上に資するものと考えております。
また、臨時教員の採用につきましては、各教育委員会におきまして、産休、育児休業や欠員の補充、教職員定数の変動への弾力的対応等、それぞれの実情に応じまして行っているものでありまして、文部省としては、各都道府県におけるその実情に応じた人事管理上の適切な運用、判断に期待をいたしております。
最後に、非常勤講師について御質問でございました。
免許状を有しない非常勤講師の制度につきましては、学校教育の多様化に対応して、一般社会での実体験に基づく専門的知識技能等を身につけた者に教育を担当させるものであります。
その採用は、学校教育の実施に特に必要があると認めるときに、授与権者の許可を受けて行われるものであります。児童生徒の状況や教育効果等を勘案いたしまして、担当分野にふさわしい者を充てるよう適切に運用される必要があると考えております。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/13
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014・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/14
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015・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) 日程第一 学校教育法の一部を改正する法律案(第百十二回国会内閣提出、第百十三回国会衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。文教委員長杉山令肇君。
〔杉山令肇君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/15
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016・杉山令肇
○杉山令肇君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、臨時教育審議会の答申を受け、高等学校の多様化、弾力化を図るため、定時制課程及び通信制課程の修業年限を現在の「四年以上」から「三年以上」に改めるとともに、これらの課程と連携できる技能教育施設について現在文部大臣が行っている指定を都道府県の教育委員会に行わせようとするものであります。
委員会におきましては、勤労青少年の負担過重と教育水準の低下を来さない修業年限の弾力化、技能連携制度の適正な運用、勤労青少年や障害児に対する修学奨励措置、定時制・通信制高校の教師の処遇、単位制高校のあり方とその条件整備、学校教育と生涯学習の関係等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
次いで、質疑を終局することを決定いたしました。
討論に入りましたところ、日本社会党・護憲共同を代表して粕谷委員より反対の討論が、自由民主党を代表して林委員より賛成の討論が、日本共産党を代表して佐藤委員より反対の討論がそれぞれ行われ、採決の結果、本法律案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、学級編制、教職員定数の改善等五項目から成る附帯決議を行いました。
以上、御報告いたします。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/16
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017・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) これより採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/17
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018・土屋義彦
○議長(土屋義彦君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111315254X00919881109/18
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