1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成元年五月二十三日(火曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 田原 隆君
理事 甘利 明君 理事 浦野 烋興君
理事 尾身 幸次君 理事 額賀福志郎君
理事 与謝野 馨君 理事 奥野 一雄君
理事 二見 伸明君 理事 青山 丘君
逢沢 一郎君 石橋 一弥君
石渡 照久君 小川 元君
越智 通雄君 片岡 武司君
古賀 正浩君 島村 宜伸君
鈴木 宗男君 谷 洋一君
谷川 和穗君 鳩山由紀夫君
原田昇左右君 福島 譲二君
穂積 良行君 森 清君
井上 泉君 小澤 克介君
上坂 昇君 城地 豊司君
水田 稔君 森本 晃司君
薮仲 義彦君 北橋 健治君
工藤 晃君 藤原ひろ子君
出席国務大臣
通商産業大臣 三塚 博君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 愛野興一郎君
出席政府委員
公正取引委員会
委員長 梅澤 節男君
公正取引委員会
事務局経済部長 柴田 章平君
公正取引委員会
事務局取引部長 土原 陽美君
公正取引委員会
事務局審査部長 植木 邦之君
公害等調整委員
会委員長 勝見 嘉美君
公害等調整委員
会事務局長 高島 弘君
経済企画庁長官
官房長 斎藤 次郎君
経済企画庁長官
官房会計課長 安田 靖君
経済企画庁調整
局長 星野 進保君
経済企画庁調整
局審議官 長瀬 要石君
経済企画庁物価
局長 勝村 坦郎君
通商産業大臣官
房長 山本 幸助君
通商産業大臣官
房総務審議官 内藤 正久君
通商産業大臣官
房商務流通審議
官 高橋 達直君
通商産業大臣官
房審議官 横田 捷宏君
通商産業大臣官
房会計課長 細川 恒君
通商産業省通商
政策局長 鈴木 直道君
通商産業省通商
政策局次長 南学 政明君
通商産業省貿易
局長 熊野 英昭君
通商産業省産業
政策局長 児玉 幸治君
通商産業省立地
公害局長 高木 俊毅君
通商産業省基礎
産業局長 畠山 襄君
通商産業省機械
情報産業局長 棚橋 祐治君
通商産業省機械
情報産業局次長 水野 哲君
通商産業省生活
産業局長 岡松壯三郎君
工業技術院長 飯塚 幸三君
資源エネルギー
庁長官 鎌田 吉郎君
資源エネルギー
庁長官官房審議
官 向 準一郎君
特許庁長官 吉田 文毅君
中小企業庁長官 松尾 邦彦君
中小企業庁計画
部長 高島 章君
中小企業庁指導
部長 村田 憲寿君
中小企業庁小規
模企業部長 関野 弘幹君
委員外の出席者
防衛庁装備局航
空機課長 首藤 新悟君
環境庁大気保全
局企画課高層大
気保全対策室長 唐沢 正義君
外務省経済局外
務参事官 河村 武和君
郵政省電気通信
局電波部移動通
信課長 青木 和之君
商工委員会調査
室長 倉田 雅広君
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委員の移動
三月二十三日
辞任 補欠選任
逢沢 一郎君 橋本龍太郎君
石橋 一弥君 瓦 力君
島村 宜伸君 渡部 恒三君
中山 太郎君 新井 将敬君
鳩山由紀夫君 河本 敏夫君
渡辺 秀央君 大村 襄治君
森本 晃司君 橋本 文彦君
北橋 健治君 吉田 之久君
同日
辞任 補欠選任
新井 将敬君 中山 太郎君
大村 襄治君 渡辺 秀央君
瓦 力君 石橋 一弥君
河本 敏夫君 鳩山由紀夫君
橋本龍太郎君 逢沢 一郎君
渡部 恒三君 島村 宜伸君
橋本 文彦君 森本 晃司君
吉田 之久君 北橋 健治君
四月二十六日
辞任 補欠選任
石橋 一弥君 梶山 静六君
島村 宜伸君 熊谷 弘君
中山 太郎君 後藤田正晴君
鳩山由紀夫君 野田 毅君
穂積 良行君 小坂徳三郎君
同日
辞任 補欠選任
梶山 静六君 石橋 一弥君
熊谷 弘君 島村 宜伸君
小坂徳三郎君 穂積 良行君
後藤田正晴君 中山 太郎君
野田 毅君 鳩山由紀夫君
五月二十三日
辞任 補欠選任
渡辺 秀央君 鈴木 宗男君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 宗男君 渡辺 秀央君
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五月二十三日
民間事業者の能力の活用による特定施設の整備
の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第七二号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
特定新規事業実施円滑化臨時措置法案(内閣提
出第三二号)
通商産業の基本施策に関する件
経済の計画及び総合調整に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
鉱業と一般公益との調整等に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/0
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001・田原隆
○田原委員長 これより会議を開きます。
通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業と一般公益との調整等に関する件について調査を進めます。
この際、通商産業大臣から、通商産業の基本施策について所信を聴取いたします。三塚通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/1
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002・三塚博
○三塚国務大臣 第百十四回国会における商工委員会の御審議に先立ちまして、通商産業行政に対する私の所信の一端を申し述べます。
今日、世界経済は、全体として拡大傾向にありますものの、主要国の対外不均衡の存在や保護主義の動き、発展途上国の累積債務問題など多くの課題を抱えております。一方、世界経済の相互依存関係は深まりつつあり、主要国間の政策協調の重要性は一段と高まっております。
私は、就任後まず欧州を訪問し、サッチャー首相を初めとする要人と会談し、日欧相互の友情と信頼を確認してまいりました。さらに、このたび米国及びカナダを訪問し、ブッシュ大統領を初めとする両国要人と会談し、忌憚のない意見交換を行ってまいりました。米国に対しては、個別の摩擦を超える建設的な日米関係の構築に向け、輸入拡大と自由貿易体制の維持・強化、技術協力、アジア太平洋協力の三つの視点からの日米協力の推進を提案し、米国側からも賛同を得た次第であります。厳しい状況下での訪問でありましたが、日米間の強いきずなを改めて認識するとともに、我が国としての責任ある対応を図っていくことの重要性を痛感した次第であります。
国内に目を転じますと、我が国経済は、落ちついた物価動向のもとで内需を中心とした拡大を続けております。他方、諸機能の東京集中が進んでおり、国土の均衡のとれた発展が強く求められております。また、経済力に見合う生活や心の豊かさも大切にしなければなりません。
以上の状況を踏まえ、私は、以下の諸点を中心に、通商産業政策の推進に向け、全力を尽くす所存であります。
第一は、内需主導型経済構造の定着を図り、インフレなき成長を持続させることであります。このため、主要国との政策協調を推進しつつ、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めるとともに、一層の産業構造調整を進めてまいります。また、特に、輸入の拡大、市場アクセスの改善に努め、国際社会と調和した経済構造の実現に努力いたしてまいります。
第二は、世界経済の安定と発展へ向けて積極的に貢献することであります。
自由貿易体制は、世界各国の経済発展の基礎であり、その維持、強化を図る観点から、ウルグアイ・ラウンド交渉の進展に向け最大限の努力を払ってまいります。発展途上国への経済協力については、援助、投資、貿易の三位一体となった総合的協力を推進するとともに、民間資金還流を促進すべく、貿易保険の引き受け弾力化を図ってまいります。また、アジア・太平洋協力については、この地域の成長を持続させ、世界経済の発展に貢献していきますために、開放的な協力の推進に取り組まなければなりません。
このほか、地球温暖化やフロン問題などの地球的環境問題について、我が国の技術力を生かしつつ、積極的に取り組むとともに、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの推進などの研究開発分野あるいは産業、文化面での国際交流を進めてまいる所存であります。
第三の柱は、地域経済社会の活性化であります。産業機能の地方への分散を一層進め、活力ある地域経済社会を構築するため、頭脳立地施策、テクノポリス施策、工業再配置施策などを引き続き推進するとともに、イベントを通じた地域の振興などを図ってまいります。また、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を提出し、同法の対象施設の拡充を図ることといたしております。
第四の課題は、産業のニューフロンティアの開拓と技術開発、情報化の推進であります。我が国の今後の発展のかぎを握る技術開発については、航空宇宙、情報、超電導などの分野における研究開発を一層充実するとともに、大深度地下の開発利用にも積極的に取り組んでまいります。また、新規事業の立ち上がり支援及び情報化に向けたソフトウエア供給基盤の強化を図るため、今国会に、特定新規事業実施円滑化臨時措置法案及び地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案を提出いたしたところであります。工業所有権制度については、国際的な調和に努めるとともに、迅速かつ的確な権利付与に力を注いでまいります。
第五は、活力ある中小企業の育成であります。我が国経済の安定的発展のためには、今後とも中小企業が内外の環境変化に的確に対応し、健全な発展を遂げていかなければなりません。特に、共済制度の拡充や地域の新たな牽引力となる中小企業の育成、支援等の中小企業の構造転換施策を強力に推進することが必要であります。このため、今国会に、小規模企業共済法及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案及び中小企業事業団法の一部を改正する法律案を提出をいたしたところであります。
第六は、豊かさを実感できる国民生活の実現であります。
我が国の経済力の向上が国民生活の質的向上に反映されるよう、余暇の充実を図るとともに、消費者保護の充実、流適合理化、住宅関連施策の拡充やデザインの振興に努めてまいります。
また、既に成立した繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律を着実に実施し、繊維産業が厳しい環境変化に適切に対応できるよう、新しい構造改善対策を推進いたしております。
第七の課題は、総合的な資源エネルギー政策の推進であります。国際石油情勢は、依然として不透明な点が多く、中長期的には石油供給の不安定化、石油需給の逼迫化が懸念されております。エネルギーの安定供給確保は我が国経済の健全な発展の前提条件であり、引き続き、石油の安定供給の確保、原子力、石炭を初めとする石油代替エネルギーの開発導入、そして省エネルギーの推進を図ってまいります。また、鉱物資源の安定供給確保などにも力を注いでまいる所存であります。
第八は、消費税の円滑な定着てあります。通商産業省としても、説明会の開催、転嫁円滑化対策の実施等により、消費税の円滑な導入に努めてきたところであり、私自身、就任以来、産業界の方々と精力的に会談し、理解と協力を要請してまいりました。これまでのところ、消費税は、おおむね順調に実施されているものと認識いたしておりますが、今後とも、円滑かつ適正な転嫁の実現と、便乗値上げの防止や物品税廃止等の価格への反映を柱に、万全を期する所存であります。特に、下請企業や中小小売業等の中小企業者に対しましては、きめ細かな対策を講じてまいります。
以上、今後の通商産業行政の基本的方向について所信の一端を申し述べました。
我が国経済社会の充実と国際社会への貢献に向け、国民の皆様の御理解と御協力のもとに、今後の発展の基盤を築いてまいる所存であります。
委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げ、所信の表明といたさせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/2
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003・田原隆
○田原委員長 次に、経済企画庁長官から、経済の計画及び総合調整について所信を聴取いたします。愛野経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/3
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004・愛野興一郎
○愛野国務大臣 我が国経済の当面する課題と経済運営の基本的考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
世界経済は、各国間の政策協調が進展する中で、インフレなき持続的成長が続いておりますが、依然大幅な主要国の対外不均衡、根強い保護主義的な動き、発展途上国の累積債務問題など、今後解決していかなければならない課題が数多くあります。
他方、我が国経済は、個人消費や民間設備投資を中心とした自律的な内需主導型の成長過程にあります。また、輸出はこのところ強含みに推移しているものの、製品類等を中心とした輸入が引き続き堅調であることなどから、昭和六十三年度の経常収支の黒字幅は、七百七十億ドルと、前年度に比べ七十五億ドル縮小したところであります。
以上のような状況を踏まえ、私は、平成元年度の経済運営に当たりましては、特に、次の諸点を基本としてまいりたいと考えます。
第一は、内需を中心とした景気の持続的拡大を図るとともに、雇用の安定及び地域経済の活性化を図ることであります。
このため、主要国との協調的な経済政策を推進しつつ、為替レートの安定を図るとともに、引き続き適切かつ機動的な経済運営に努めてまいる所存であります。
平成元年度の我が国経済は、引き続き対外不均衡の是正を進めながら、内需を中心とした着実な拡大が図られ、実質経済成長率は四%程度になるものと見込まれます。
第二は、自由貿易体制の維持・強化、調和ある対外経済関係の形成及び世界経済活性化への積極的貢献を図ることであります。
このため、まず、内需の持続的拡大に加え、我が国市場の積極的開放等による市場アクセスの改善などを通じて輸入の拡大を図り、対外不均衡の着実な改善に努めてまいります。また、ガットのウルグアイ・ラウンド交渉の一層の進展に向けて積極的な役割を果たしてまいります。経済協力につきましては、我が国の国際的地位にふさわしい役割を果たしていくため、政府開発援助に関する第四次中期目標の着実な実施などを図ってまいります。
第三は、物価の安定基調を維持していくことであります。
最近の物価の動向を見ますと、これまでのところ落ちついた動きを示してきており、平成元年度の消費者物価上昇率は、消費税の導入等による影響を含め、二%程度となる見込みであります。政府としては、今後とも、国内の需給動向、国際商品市況、為替レートの動向などを注視しながら、物価の安定に努めてまいりたいと考えております。
また、物価の安定だけでなく、内外価格差の縮小に努めていくことも重要な政策課題となってきており、引き続き円高メリットの浸透に努めるとともに、製品輸入の拡大、農業の生産性向上、流通業における競争条件の整備等についても、積極的に取り組んでまいる所存であります。
本年四月から実施されている消費税は、全般的には、おおむね価格に円滑かつ適正に転嫁されており、心配されていた便乗値上げ的な動きについても、これまでのところ特定の業種の一部の事業者に限られ、物価水準全体に大きな影響を及ぼすものとはなっていないと考えております。また、物品税が廃止された品目等についても、税負担の軽減に見合ったほぼ適正な価格の引き下げが行われていると考えております。政府としては、一部に見られる便乗値上げ的な動きが他に波及することのないようにしていくことが最も重要であると認識しており、引き続き、物価モニターを中心とした価格動向の調査、監視を実施していくなど、万全の対応を図ってまいる所存であります。
第四は、豊かさを実感できる多様な国民生活の実現を図ることであります。このため、経済発展の成果をより一層国民生活の質的向上に反映させていくという基本的姿勢のもとに、住生活の改善、労働時間の短縮、自由時間の充実といった課題に積極的に取り組んでまいります。また、悪質な商法による被害の防止等の消費者保護施策を推進するとともに、消費者教育の充実にも重点を置いてまいりたいと考えております。
以上、我が国経済が当面する主な課題と経済運営の基本的方向について所信を申し述べました。
私は、新経済計画「世界とともに生きる日本」に示された基本的方向に沿って内需主導型経済構造の定着を目指し、経済構造の調整に積極的に取り組むとともに、国民の一人一人がゆとりと潤いのある真に豊かで多様な生活を営めるようにするため、誠心誠意努力してまいります。
本委員会の皆様方の御支援と御協力を切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/4
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005・田原隆
○田原委員長 以上で両大臣の所信表明は終わりました。
なお、この際申し上げます。
平成元年度通商産業省関係予算及び平成元年度経済企画庁関係予算につきましては、お手元に配付してあります関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。
次に、昭和六十三年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。梅澤公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/5
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006・梅澤節男
○梅澤(節)政府委員 昭和六十三年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。
経済の国際化等経済社会の構造変化が進展する中で、公正かつ自由な競争を維持、促進するため、公正取引委員会は、競争政策の適正な運営に努めてまいりました。
まず、独占禁止法の違反事件の処理につきましては、違反の疑いのある行為に対し、積極的な審査を行い、このうち、五件について審決により違反行為の排除措置を命じたほか、七十一件の警告を行いました。さらに、三件の価格カルテル事件について、課徴金の納付を命じました。
また、昭和六十三年末に成立しました消費税法において独占禁止法に関する特別措置が臨時、暫定的に講じられたことに伴い、本カルテルの適法適正な実施並びに価格カルテルによる便乗値上、消費税の転嫁に関連する不当表示及び下請取引における不当な買いたたき等の未然防止を図るため、ガイドラインを公表しました。
価格の同調的引き上げに関する報告徴収につきましては、昭和六十三年中に価格引き上げ理由の報告を求めたものはありません。
次に、事業活動及び経済実態の調査といたしましては、企業のリストラクチャリングに関する調査等を行いました。一方、流通分野における公正かつ自由な競争の促進を図る観点から、メーカー希望小売価格に関する調査等を行い、所要の改善指導を行ったほか、流通問題全般に関する今後の取り組み方針を取りまとめ、公表しました。また、技術革新の進展への対応の一環として、特許、ノーハウ等の技術取引に関する独占禁止法上の考え方の明確化を図り、新たな運用基準を公表しました。
政府規制及び独占禁止法適用除外制度につきましては、我が国経済における民間の活力を生かし、経済の効率性を高める見地から、引き続きその見直しのための検討を行い、その結果を公表しました。
次に、下請法に関する業務といたしましては、下請取引の適正化及び下請事業者の利益保護を図るため、下請代金の減額等の違反行為を行っていた親事業者一千五百八十二社に対して、減額分の返還などの改善措置を講ずるよう指導しました。また、親事業者等に対して下請取引の適正化の要請を行うなど違反行為の未然防止に努めました。
また、景品表示法の運用により、消費者の適正な商品選択が妨げられることのないよう過大な景品類の提供及び不当表示の排除に努めました。このうち、昭和六十三年中に排除命令を行いましたものは三件、警告により是正させましたものは六百六十六件であります。
また、貿易摩擦問題への対応の一環として、景品提供制限についての考え方の明確化等を行いました。
以上、簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。
今後とも何とぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/6
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007・田原隆
○田原委員長 次に、昭和六十三年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。勝見公害等調整委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/7
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008・勝見嘉美
○勝見政府委員 公害等調整委員会が昭和六十三年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について御説明申し上げます。
まず、鉱区禁止地域の指定に関する事務について御説明申し上げます。
国土の狭い我が国では、有用な鉱物が賦存する地域にダム、農業用水池、温泉源があり、また、その地域が景勝地であることも多く、このような場合、鉱業と一般公益または他産業との調整が必要であります。
当委員会は、主務大臣または都道府県知事の請求に基づき、鉱物を掘採することが一般公益または農業、林業その他の産業と対比して適当でないと認める地域を鉱区禁止地域として指定することとされております。
昭和六十三年中に当委員会に係属した事案は、熊本県川辺川ダム関係地域、東京都の陸域及び沿岸海域部関係地域、富山県宇奈月ダム関係地域等合計九件であります。
これらの事案は、ダム等の施設保全に関するもの八件、環境保全に関するもの一件であります。
このうち、昭和六十三年中に、地盤沈下防止の観点から東京都の陸域及び沿岸海域部関係地域、ダム等の施設保全の観点から富山県宇奈月ダム関係地域、合計二件について、鉱区禁止地域に指定しております。
次に、鉱業等に係る土地利用に関する行政処分に対する不服の裁定に関する事務について御説明申し上げます。
鉱物の掘採、岩石、砂利の採取に当たっては、鉱業法、採石法または砂利採取法の規定に基づいて許認可を受けることが必要でありますが、これらの許認可処分について不服がある者は、当委員会に対して裁定の申請をすることができることとなっております。
また、森林法、都市計画法等の規定に基づく特定の処分についての不服で、その理由が鉱業、採石業または砂利採取業との調整に関するものであるときにも、当委員会に対して裁定の申請をすることができることとなっております。
昭和六十三年中に当委員会に係属した事案は、岐阜県知事がした開発行為許可処分取り消し裁定事件二件、新潟県津川土木事務所長がした岩石採取計画認可処分取り消し裁定事件一件、合計三件であります。
これらの事案は、都市計画法、採石法の規定による知事等の処分に対するものであり、現在鋭意手続を進めているところであります。
続きまして、土地収用法に基づく意見の申し出等に関する事務について御説明申し上げます。
土地利用の複雑化、多様化に対応して、最も効率的な土地利用を実現することが肝要であり、土地利用に関する行政庁の処分がより適切に行われるよう、当委員会は、土地収用法、森林法、鉱業法等に基づき主務大臣が裁決等を行う場合には、意見の申し出、承認等を行うこととなっております。
昭和六十三年中に当委員会において処理を行ったものは、青森県収用委員会がした東北電力株式会社起業特別高圧送電線第二下北線新設工事及びこれに伴う附帯工事に対する権利取得裁決及び明け渡し裁決に係る審査請求、群馬県収用委員会がした伊勢崎市施行伊勢崎都市計画事業中央土地区画整理事業に対する補償裁決申請の却下裁決に係る審査請求、建設大臣がした岡山県知事起業三坂川砂防ダム建設事業の事業認定処分に対する異議申し立て、合計三件であり、いずれも土地収用法に基づく意見の申し出であります。
以上が昭和六十三年中に公害等調整委員会が行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要であります。
鉱物資源の多くを外国に依存している我が国においては、国内の鉱物資源の開発及びその有効利用は国民経済上極めて重要でありますが、狭少な国土に多大な人口という厳しい条件のもとで、社会、経済の発展に努め、国民の生活水準の向上を図っていくためには、生活及び生産の諸活動の基盤である土地の利用調整が極めて重要であります。
今後ともこれら土地利用の調整に関する事務の処理に当たっては、ただいま申し上げた観点に立脚し、慎重に審理を進めてまいる所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/8
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009・田原隆
○田原委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/9
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010・田原隆
○田原委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/10
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011・浦野烋興
○浦野委員 三塚通産大臣、そして愛野経企庁長官、御就任されてからかなりの日時がたっておるわけであります。この間、両大臣、精力的に職務に精励されておられるわけでありますが、ようやく本日、両大臣の所信をお聞きし、質問する機会をいただいたわけであります。
まず、三塚通産大臣にお尋ねをしたいと存じます。
大臣には、昨年暮れ大臣に就任され、年が明けてすぐ、所信表明にもございましたけれども、ヨーロッパを歴訪され、サッチャー首相またドロール委員長と忌憚のない意見交換をされた由であります。
また、四月の下旬から五月連休時には、果たして日本の通産大臣がアメリカへ行ってこの時期どういう反応があるのか、これはなかなか予断を許さないというような状況下にあったと思うのですけれども、大臣の決断をもって訪米をされ、ブッシュ大統領を初めとする米国の要人にお会いをされた。当然ながら、スーパー三〇一条等、日本に対する極めて厳しい状況であったわけでありますけれども、これまた率直な意見交換をなされたということをお聞きしておるわけでございます。
こうした会談を通じまして、大臣とされ、じかにアメリカの声をお聞きになったわけでありましょうから、日米貿易摩擦の根底にあるものは一体何なのか、そして、こうしたアメリカの姿勢に対して日本としてはどうしていかなければならないのか、どうした対策を講じていくべきか、この辺のことについてまずお聞きをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/11
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012・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま御激励をいただきまして感謝を申し上げます。
まさに日米両国は自由主義経済体制の中における巨頭であります。この国が協調と信頼の中で物事を進めてまいりませんと経済戦争になるわけでありまして、そのことは両国だけではなく世界全体に大きな影響を与える。さような意味で、政局極めて緊迫した諸状況の中でございましたが、行政の一貫性という観点から訪米をいたし、ワシントンにおいて、それぞれの方々と、今後の自由主義経済とは、両国体制とはという基本命題でお話をさせていただいたわけであります。個々別々の問題についてお話をするというよりは、両国のフレームワークについて忌憚のない意見交換をし、その中で深まりが進みますならば、こういう期待を持って参りました。
その間、今浦野委員御指摘のように、三〇一に象徴される今日の日米経済摩擦、西欧もNIES関係もアメリカから見てあるわけですが、象徴的に日本であるということは何なのかといいますれば、端的に言いまして日米経済インバランスがいら立ちの最大のポイントであるということであります。もう御案内のように、米国の対外貿易収支をここ三年見てまいりましても、至近の三カ月を見ましても、全体の四三%、四三・九が八八年度において対日貿易収支ということでありまして、五百二十一億ドル。ここ三カ月で見ますと百二十四億ドルで五二・二%。米国の貿易赤字の主たる要素が日本である、この傾向が深まるであろうということでありまして、そこにアメリカ国会、アメリカ政府の、特に国会からの強いプッシュを受けてブッシュ新政権がこれに対応して取り組まなければならぬというところに、基本的なポイントがあるように思っておるわけであります。
こういう中で私どもはどうするのかということでございまして、前段申し上げました、両国がしっかりとどんな時期におきましても協調の中でとり行うということが大事だということでは一致を見ました。さはさりながら、シンボリックイシューとしてテレコムでありますとかスパコンでありますとか半導体、こういう問題をしっかり解決をしてもらいませんと、なかなかもって、フレームワークはフレームワークとして認めますけれども、そのことには努力をいたしますけれども、この三つが、ヒルズさんはまだ以下五、六項目挙げておりますけれども、これがいい形で前進をいたしませんければ大変深刻な問題になるでしょう、こういうことでありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/12
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013・浦野烋興
○浦野委員 ここ数日来の急激なと言っていいでありましょうがドル高・円安、この為替レートの変動によってまた日米貿易問題が大変な関心事といいますか注視をしていかなけばならないだろうと思っております。そうした点につきまして、通産大臣また通産省として万全の対応、体制というものをとっていっていただきたいと思っております。
これまた両大臣の所信の中にもありましたけれども、我が国は世界の総生産の一五%、一四・三%ぐらいでしょうか、生産をして、自由主義社会の第二位の位置にあるわけでありまして、当然ながら、こうした大きな国でありますから、世界の国々からまた大きな期待もかけられていることであります。ただいま大臣からお話のございましたごとく、米国を初めとした主要国の貿易不均衡は大きなものがございますし、また、発展途上国に対する累積債務問題も深刻な状況にあるわけでございます。我が国としては、こうした諸問題を解決するものとしては投資、援助そして輸入の三位一体となった総合的な経済協力の推進、これが必要であろうと存ずるわけでありまして、また、貿易保険の活用等によりまして民間資金の還流を促し、この債務問題の解決に向けて取り組むことも肝要であろうかと思います。
こうした経済協力あるいは累積債務問題につきまして積極的な役割を果たすべきである、これまた所信にあったと思うのですけれども、改めて通産大臣の見解をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/13
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014・三塚博
○三塚国務大臣 浦野委員から御指摘のように、援助、投資、輸入の三位一体となった総合経済協力というのが経済大国日本の使命でありますことはお説のとおりであります。しからば、いかにこれを展開をして、なるほど日本という国はすばらしい国で信頼できる国だと言わしめるように、官民一体となって努力を集中しなければなりませんことは全く御説のとおりであります。さような中で、今後経済協力を積極的に行うことは当然でありまして、量と質の問題が問われるわけでございますが、喜ばれる経済協力というのをどのように展開をするか。所管が経企庁であり、外務省であり、関係するところが多いのでございますけれども、そういう喜ばれる経済協力という形を、いろいろな御批判もある中で積極的に取り組んでまいることが大事かなというふうに思います。
さような中で、貿易保険についてもお触れいただきました。予算獲得につきましては、浦野委員を初め委員各位にお力添えをいただいたところで、大変感謝を申し上げるところでございます。これらの国におきましては、民間投資をお願いするにいたしましても、民間側は行かないということでありますから、この貿易保険をフル回転させることによりまして、それぞれの途上国の経済発展に力をいたしていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。特に援助につきましては、ODAの第四次中期目標に沿いまして、ただいま申し上げました量だけではなく質の面を重視することの中で喜ばれる援助という形を進めてまいらなければならぬと思っておりますので、また今後格段の御指摘なり御鞭撻を賜りたいと思います。何といたしましてもODAが中心であることは事実でありますが、民間の活力を最大限に活用することが今後経済大国日本の経済協力のポイントであるわけでございますから、そういう意味におきまして、先ほど申し上げました貿易保険の弾力的な運用を図ってこの期待にこたえていく、こういうふうにしたいと思っておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/14
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015・浦野烋興
○浦野委員 愛野大臣からもお聞きしたいところでありますけれども、時間がございませんので、次に移らせていただきます。
ちょっと視点を変えまして、最近、地球の環境問題、これが世界的に関心を持たれつつあるところでありまして、我が国の国民もまたその関心の高まりを見せているかと思います。近年、フロンによるオゾン層の破壊であるとか炭酸ガスの排出によるところの地球の温暖化あるいは森林の伐採による砂漠化、この砂漠化というのは毎年四国、九州を合わせたぐらいの面積が消滅をしておるとか、あるいは熱帯雨林の伐採、何かこれは本州の半分ぐらいの熱帯雨林がなくなっている、こういうようなことが言われておるわけであります。また、SOxの排出によるところの酸性雨の環境破壊、こうした大きな問題に対しまして世界が関心を持ち、その取り組みを何とかしていかなければならぬ、こうした観点から国際会議等も開かれておるやに耳にいたしておるわけであります。こうした問題は、当然ながら我が国だけの問題ではありませんで、人類共通の課題でございます。まさに我々の後を受け継ぐ子孫、子供たちに美しい地球というものを残していかなければならぬことは、我々の義務であり責任であるわけであります。
こうした中で、我が国は公害対策先進国、こういうふうに言われておるわけでありまして、したがって、ただいま申し上げましたような地球の環境を破壊するこうした大きな問題につきましても、大きく寄与する力を持っていると確信をするわけであります。そうした観点につきまして、通産省の所管する仕事の中でいろいろあると思うのです。こうした点につきまして、大臣の所見はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/15
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016・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま御指摘のフロンまた地球温暖化問題等を初めとする地球環境問題は、現在だけではございませんで、御指摘のように将来の人類の生活環境を守るための重要な政治課題と申し上げますよりも世界的、人類的な課題だと認識をいたしております。よって、各国の英知を結集して取り組みますことが肝要であり、御指摘のように公害対策先進国たる日本が、この分野で積極的な貢献をいたし、役割を果たしてまいるということは、極めて重大であると考えております。
本問題の解決の方向といたしましては、健全な経済成長と環境保全との両立を図るという視点をしっかりと踏まえながら、技術開発等、国際的協調のもとに推進をしていくという、こういうことであろうと思います。
特に地球温暖化問題につきましては、IPCC、いわゆる気候変動に関する政府間会合などの国際会議の場における議論を踏まえまして、省エネ、再生可能エネルギーの開発導入、原子力発電の着実な推進に取り組む所存でございます。
また、フロン問題につきましては、フロン等規制法の円滑な実施に努めますとともに、代替品開発等の技術開発を推進してまいらなければなりませんし、これを進めておるところであります。
今後とも本問題の解決に向けて国際的な協調に積極的に参加いたしますと同時に、公害防止、エネルギー等に関する技術開発や技術協力等につきまして、積極的に取り組んでまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/16
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017・浦野烋興
○浦野委員 次は、消費税につきましてお尋ねをいたします。
これまた、三塚大臣また愛野大臣、そして公取委員長から、詳細な、所信の中でお述べになった点もございます。しかしながら、私も政治家としての立場で選挙区の方々とお会いをするわけでありますけれども、必ずしも十分この税制改革の意義、また消費税の意味といいますか消費税とは何ぞやという点の理解不足というところから、いろいろな疑問も提起されておりますし、また、実際に買い物をされる場合に、なかなか、売り手と買い手の間でそごを来しているという面から、これまた苦情等が私どもにもたらされているところであります。
実施をされて二カ月という、そうした期間の短さということもあろうかと思うのでありますけれども、そうした中で、愛野大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、物価につきましては安定をしておるというお話でもございました。しかしながら、新聞あるいはテレビ等で日銀総裁のお言葉なんかを聞いておりますと、また新聞の社説等も見ておりますと、楽観はできないというような意味合いの言辞もあるわけでありまして、そうした消費税実施に伴うところの物価の動向、ごれをしっかりと注視をしていかなきゃならぬ、これは当然のお考えであろうと思うのですけれども、そのあたりの決意といいますか、その点を愛野大臣からひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/17
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018・愛野興一郎
○愛野国務大臣 物価全体の押し上げ要因としては、むしろ、おかげさまで、消費税の押し上げ要因というものは四月の東京都区部で季節調整値を除いて政府の試算どおりの問題でありました。ただ、物価全体のことを考えた場合に、浦野委員が御指摘のように、原油の問題とかあるいは為替、殊に昨日の円安の問題であるとか、あるいは労働力の不足の問題であるとか、製品需給の不足の問題であるとかというような問題があるわけであります。そういうことを臨機応変に的確に日銀等も対応していただいておるわけでありますから、私ども経済企画庁としては、国民生活、消費者の立場から、今後、便乗値上げを徹底的に監視して、そして物価の押し上げ要因に波及しないように努力をしていきたいと考えております。
同時に、私どもは、消費者の皆様方が実感として感じられるのは中小商品の一部であるだけに、物価に影響はないが実感としては感じられると心から心情を酌んでおるわけでありまして、そういう意味でも徹底的に便乗値上げは今後とも監視を続けていく、こういうふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/18
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019・浦野烋興
○浦野委員 もう一つ消費税につきまして、今度は通産大臣にお尋ねをいたします。
この消費税の導入に当たりましては当然幾つか重要な点があるわけでありますけれども、中小企業者へ向けての配慮というものもまた重大な関心を持ってやっていかなければならぬと思っております。個人経営者、中小小売業さらに下請企業等の中小企業につきまして、これまでも言われておりますが、転嫁というのがスムーズに行われることが肝要だ、こう思うわけでございまして、こうした点、通産省としても十分な対応をとっていると思うのですけれども、どうした対応をされておられるのか、概略御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/19
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020・三塚博
○三塚国務大臣 詳しくは、せっかく立案をいたしました松尾長官がおりますから、長官から答弁いただくといたしまして、基本的な点だけを申し上げますと、中小企業、零細企業各位の徴税義務という新しい消費税なものですから、どう緩和をし、これがスムーズに導入されるかという、この観点をしかと踏まえたのであります。それと、この税制が進むに当たりまして、親企業からの圧迫で下請企業が追い込まれる、不利な立場に立つというようなことがあってはならない、こういう基本的なポイント、これは浦野委員、与謝野商工部会長、ここにおられる理事の各委員の皆さんが、かねがね消費税導入について弱い者の立場をしっかりと踏まえていけ、こういうことでございましたから、これに視点を合わせまして、免税点また限界控除制度、簡易課税方式等々、消費者側から非常に問題点を指摘されておりますが、しかし中小企業が生活の中に溶け込んでおりますことにかんがみまして、スムーズにまいるということでありますれば、豊かな市民生活がそこで確立をされるという点で、その視点に全力を挙げて取り組んでおるわけでございまして、消費者各位の理解を得るために政府全体で今取り組んでおりまして、下請いじめは絶対ないように、こういうこともやっておりますし、また商店会の皆さんが喜んでその商店活動ができますように、御指摘をいただいた点について全力を尽くしておるところであります。
具体的には松尾長官に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/20
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021・浦野烋興
○浦野委員 ありがとうございました。
時間もなくなりましたので、最後に、私の個人的なと言えるかもしれませんが、考えを申し上げ、両大臣としての、また政治家であるお二人のお考えをお尋ねしたいと思っております。
これまでの答弁で、大臣としての、また政治家としてのお考えは私なりに受けとめさせていただいたわけでありますけれども、私も質問の中で申し上げてきたわけでありますが、日本という国が戦後四十年懸命に頑張ってまいりまして今日の国際的地位を築いてきたわけでありますが、大きくなればなるほどいろいろな問題が出てきておるわけであります。振り返ってみますときに、この四十年間というのはどうも金と物というものに注目してというか、そのことに一生懸命になってきたのではないかと思っておるのです。私の尊敬するある人が、四十年というのが一つの節目だねとおっしゃったことがありまして、この歴史を振り返ってみますときに、約四十年前が太平洋戦争でありましたし、また四十年前にさかのぼってみますと日露戦争でありますし、そのまた四十年前は明治維新である。いずれも国家の命運を左右する大きな出来事であった。これが我が国が世界とのかかわりの中でどう対応してきたかという象徴的な出来事であったと私は思いますね。
もはや今日、世界のトップに位して、これから日本はどういうかじ取りをしていくかという極めて大きな転換期に立っておると思うのです。こうした中で、これまでは専ら経済に、金とか物に力を入れてきた。これからは米ソの和解、中ソの和解、こうした国際環境の変化の中で、我が国が黒字国だという貿易問題を中心に必ずしも世界から真っ当な見られ方をしていないという面もありまして、孤立化などというような声もありますし、また日本封じ込めというような言辞も出ているような現状だろうと思うのです。こうした中で日本がこれからやっていこうとすると、心の問題と一口に言うと簡単なのですけれども、人類愛というか、これまでとは全く発想を変えた観点から、国内にあっても対外的な面にあっても考え方を変えてやっていかなければならないのではないかなと思うのです。
こうした点につきまして、政治家として先輩でもあります両大臣のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/21
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022・三塚博
○三塚国務大臣 浦野委員が政治家として日本の将来を憂えられました基本的な見解を今披瀝されました。
昭和二十年、敗戦により平和国家を標榜し、国内的には福祉国家そして経済国家、豊かさを求めてヨーロッパに追いつこう、アメリカに追いつこうということでがむしゃらにやってまいりました。私も、そういう中にありまして通産大臣を拝命し、所信表明でも申し上げましたが、ヨーロッパも回りました、アメリカも回りました。まさに日本を見る目が、ヨーロッパ大国もアメリカもカナダも、視点がまるきり変わりました。
といいますのは、経済大国、経済の力で世界政治に影響を及ぼす国という認識がそれぞれの指導者に強くにじみ出ております。そういう中で、今御指摘のように日本が金もうけに専念をしていく。自分だけがという、資本の論理というのはもともとそうなのだろうとは思いますけれども、ただがむしゃらにそういうことで世界一を目指すということでありますなちば、やがてしっぺ返しが来るであろうということは、当委員会においても政治家の皆さんの中でも我々が絶えず議論をしてきたことでありまして、如実にスーパー三〇一の根底は何かといえばジャパン・バッシングであります。その根底は何かといえば、まさに、浦野委員御指摘のように、心がないのではないか。友人なら痛みを分かち合うということが第一ではないのかという、これが一点。
それと、アジアにおる日本なのに、同じ黄色い顔をした日本が、日本は西欧である、こういう指摘を受けるということで果たしてアジアの中で日本は将来生きていけるのだろうかという焦りを私どもお互い持っておる。そういう中でしからばどうするのかということでありますれば、アジアの一員としてまず足元を見詰めて、そこでアジアがお互いによくなっていくということに努力しなければならないのではないだろうか。これはまさに、アジア・モンロー主義ではなく、人間愛が基本的にそこにあるのだろうと思うのです。
今この瞬間もアフリカで飢えておる子供が死んでいっているわけであります、親子ともに死んでいっているわけであります。豊穣の日本、まさに何を食おうかといって考える、そういう中の日本、金持ち日本、それは天国のようなことでありまして、これらの国から見れば一体どういうことなのだろうか、日本に来てみてそういう感じを持つ、その感じが今度反感になる。そういう中にあって日米関係、世界史の中においてこれほどの友好国はない、これほどの二国間関係はない、こう言われる中で、何でもお互いが助け合ってきましたのに、今、前段御指摘がありましたとおり、アメリカのいら立ちは何かといえば貿易インバランス、五百十億ドル、五百二十億ドル、やがてこれが六百億ドルに対日でなるであろうというこの現実、理屈を抜きにそこに到達をいたしたということであります。彼我の貿易競争の中でこれが進むわけでありますから、幾ら努力をしてもこれだけでエンドレスな摩擦問題というのは解決しないと思うのであります。そのことを浦野委員が指摘をされておると思いますし、そういう観点で人間愛、文化等の面に力を入れるべきであるとかねがね申されておりましたことには敬服をいたしておるわけでございますが、そういう点で通商産業省は、金もうけ、経済の発展、企業の育成ということだけではなく、先ほど御指摘の地球環境問題に、さらには自然保護に、さらに世界貢献にはODA、経済協力どうあるべきか、こういう視点に立っていかなければならぬと強く痛感をいたしておる昨今でありまして、御指摘肝に銘じまして今後の政策に生かしてまいる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/22
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023・愛野興一郎
○愛野国務大臣 昭和二十年の八月十五日は、我が国の経済や物価を見るに、まさに荒廃と貧困と飢餓の日本であったわけであります。それが四十四年後の今日、世界の経済大国になったわけでありますから、浦野委員の御質問に答えるのにやや結婚披露宴の祝辞のようになっていけませんが、やはり今こそ我が国が理解と寛容と愛情と信頼の上に立った政策をやらなければならぬ。
そういう基礎の上に立って私ども経済企画庁の施策を見ますならば、大幅な対外不均衡を是正し世界に貢献していくこと、あるいは豊かさを実感できる多様な国民生活を実現すること、それから産業構造調整を円滑に進めるとともに地域経済社会の均衡ある発展を図ること、この実現のためにも、国民相互の信頼と理解と寛容と愛情がなければ、今日は浦野委員が御指摘のようにやや心の面が失われておる現状でありますから、心から傾聴いたしまして、浦野委員が心配されておるような面をひとつ政治の心構えとして私どもも誠実に努力をしていきたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/23
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024・浦野烋興
○浦野委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/24
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025・田原隆
○田原委員長 井上泉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/25
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026・井上泉
○井上(泉)委員 私いろいろ質問に入る前に、大臣の先ほどの答弁の中で、大臣も今日の日本の経済運営についてなかなか厳しく見詰めておるな、こう思って、最後の大臣の答弁と所信表明とはどうなっておるだろうと見比べてみたわけですが、後で言うた方がもっといいようです。
そこで、今、日本の政治の中で大きな関心を集めておるのは、何といってもリクルート問題であり、そして消費税の問題であるわけであります。これで自民党が非常に不人気である。非常に不人気でありまするから、大臣の経験者でも、私は自民党のだれそれでございますといって大っぴらに宣伝することを非常に嫌っておるという傾向があるわけであります。私はそのことを……(「堂々とやっていますよ」と呼ぶ者あり)堂々とやっておられる方もあるかもしれないけれども、それは一つの虚勢であって、本当に堂々とやっておるならば、私はそのことを示していただきたいと思うわけです。あえて人の名前を言わないわけです。これは個人の名前は言わないですけれども、参議院の選挙が始まって、予定各候補者がポスターを書いておる。これは立派な自民党の系列にある人だが、この人、今度は無所属で出るのだろうか、自民党という看板が消えておる。大臣も、もしそういうふうな事態になるとするならば、自民党という看板を消して無所属三塚博という看板を宮城県下にくまなく張るのでしょうか。そういう心境にあるでしょうか。それとも、どういう状態であろうとも三塚博は自民党の党人だという認識であるのか、その点をまず承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/26
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027・三塚博
○三塚国務大臣 商工行政一般からちょっと離れておりますが、しかし、せっかくの政党政治の基本問題ということで井上先輩が御質問だと思います。
日本の国は議会制民主主義、根底は政党政治であります。政党には変遷があります、浮き沈みもあります。よかれと思ってやり抜いたことが、それぞれの宣伝で宣伝に敗れて真意が理解されないということも幾たびか経験をいたすものであります。そういう中で、政党党員たる者、毅然とした戦いを選挙において行うというのが基本でなければなりません。さような観点で、私のことを言われましたが、小生、愛する自由民主党の党員でありますことに大いなる誇りを持っております。自由民主党なかりせば戦後の復興ここまで来なかったなという自負心もございます。その自負心が一面おごりであるという指摘も受けておるのでありますが、私ども、決して、成功を導きましたことは自負心として持ちますけれども、これを支えていただいた賢明な日本国民がそこにあったからだと信じております。そういう意味におきまして、逆境にあればあるほど自由民主党の旗を高く掲げて、自由民主のためにということで戦い抜く決心にはいささかも変わりがありませんし、私の宮城県の後輩党員に向けて、逆境のときこそ自由民主党のために戦い抜け、そうすればすばらしい政治家だということで後刻評価を受けるであろう、こう言って激励をいたしておるところであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/27
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028・井上泉
○井上(泉)委員 預かっておる通産行政とかけ離れた見解、意思を表明されたわけですが、今大臣も指摘されるように、政党政治であり、政党の中から選ばれた大臣であるから、やはり大臣としての政治に対する哲学というものがあって初めていろいろな政策が生まれてき、それが現実に国民の手に届く、国民にそれが受け入れられる、そういうのが本来の政治の姿だと私は思うわけであります。ですから、大臣、自分の政治信念を明らかにすることは、政党に対する見識を持つということは、何も通産行政とは関係ないというわけではないのですから、その大臣の見識が日々の通産行政の中でぱしっと生かされるようにやってこそ行政が生き生きとしてくるのではないか。大臣がへっぴり腰だったら、これはどうにもならぬわけですから。そういう点で、これは恥ずかしい話ですけれども、我が高知県においてこういうふうなポスターを見てから、本当に私は唖然としたわけです。
大臣はリクルート事件に一字も活字として出てこない非常に清廉の士ということで誇りを持って言っておると思うわけですが、今のこうした問題に対する現実の自民党の態度というものはこれでいいのだろうか、こういうことで自民党は政権の担当者としての資格があるだろうかと私は思うわけです。もし政権交代ができて社会党が政権を取るというようなことに、おいそれとはならぬでしょう。おいそれとはならぬでしょうけれども、少なくとも現実の自民党の政治がもたらした今度の状態というものは、これは大臣も決していい政治をやってきた、こう誇りを持ってお話しはできないだろう。自民党員であるということに誇りを持っても、自民党の現実にとってきた今日の政治のやり方というものは満点だ、声高らかにリクルートの問題もあれは関係ない、個人の問題だというような形で片づけられる問題ではないと思う。そこで、政治に対する大臣の倫理観というものを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/28
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029・三塚博
○三塚国務大臣 井上委員御指摘のように、政治は信頼がその基本でございまして、国民との信なくば立たず、こういうことであると思いますし、その信頼の基本は今言われたクリーン、言われるならばフレッシュ、倫理観、公私の区別を明確にしてまいる、こういうことが一点あるでありましょうし、同時に、政治を担当いたしておるわけでございますから、その場面におきまする言行一致、政策の実行、公約の実行、こういう点がまたあるでありましょうし、以下いろいろな諸要素があるわけでございます。そういう中におきまして、時に政党が国会諸状況の中でやむにやまれず単独採決をやらざるを得ないという事態が、その場合、判定は国民がされるわけでございますから、よかれあるいは苦渋の選択ということもあるのだろうと思うのでありますが、その場合でありましても、次の選挙における選挙民の皆様の判断を仰いで次期への政治行動を決めてまいる、こういうことになるのが政党政治であるわけでございます。願わくば、政党があります限り協調と理解の中で審議が行われていくことの方が正しいことは言外の御指摘のとおりであるというふうに思っております。
そういう中にありまして、特に井上委員御指摘のように一人の政治家として、一人の議員として倫理観はどうあるべきかということでありますれば、明確な透明性の中で進んでいくことでありましょうし、また、問題が出ました場合には、その議員議員における出処進退を明確にしていく、言うなればその問題についての的確な判断、表明、行動をしてまいるということでいかなければならぬ、こういうことであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/29
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030・井上泉
○井上(泉)委員 政治の姿勢の中でもう一遍だけ大臣の見解を伺います。
日本は、大日本帝国という時代、つまり大日本主義を振りかざして戦争というものが起こり、満州事変、続く上海事変、日支事変と、戦争戦争と十五年間ずっと引っ張ってきたわけです。大日本主義に対して、自民党の大先輩である石橋湛山先生は、小日本主義でなければいかぬ、小日本主義であってこそ日本の繁栄はあるし日本国民の幸せがある、大日本主義をとるべきでない、こういうことを力説をされた。これは政治の場におるときでなしに新聞記者時代にそういうことをしばしば論文に書かれておったわけです。最近日本は経済大国、経済大国と非常に自慢げに言っておるわけでありますけれども、現実的に日本が経済大国にふさわしいような質、量ともにあるのかと考えると、私は、質、量とも経済大国ではない、こう思います。一体日本にどんな資源があるのか、そしてその資源がどういう形でやってきておるのか。そして日本とアメリカとの関係、日本と西ヨーロッパ諸国との関係あるいはアジアの国々との関係等を見た場合に、平和に徹する日本でなければならないし、それを大日本主義の幻想にとらわれておるような政治がまかり通っておるような感じを受けざるを得ないわけですが、果たして日本は経済大国としての質量ともに備わった経済大国という認識を持っておるのか持ってないのか、その点大臣の見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/30
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031・三塚博
○三塚国務大臣 その国が経済大国であるか軍事大国であるか政治大国であるかというのは、その国の国民がどう判断するかということも重要なポイントでありますが、同時に、隣接国家、今日はグローバルな状況になっておりますから、国連加盟のそれぞれの独立国家が日本をどう見、どう評価するかという視点が欠くことのできないポイントのように思うのであります。
そういう点から申し上げますならば、国民意識が中流の中というようなところが九〇%余ありますよと言われる昨今、また、経済大国かあるいは何なのかということに対する問いかけに対しましても、おおむね経済大国であるというような多数意見が寄せられておるのも昨今であります。そういう中で外国が見ます日本というのは、旅行された方を含めまして、やはり金持ち日本というイメージが大変強い。また、日本の方が海外に旅行されて観光地を訪れ、お土産なども買われるその姿を見ておる外国の方々は、金持ち日本、経済大国日本のツーリストであるという羨望のまなざしを持った見方をいたしておることも事実でございます。
そういう中で、井上委員御指摘の、しからば国民一人一人の生活の豊かさ、充実度いかんということになりますと、御指摘の意味も私は理解をいたすところでございまして、社会資本充実の中に、特に住宅等々における充実感というもの、土地の高騰それからなかなか入手困難という諸状況の中でどう進めるかということになりますと、実感として一人一人が経済大国日本、金持ち日本と言われることについていかがか。特にサラリーマンの各位はそのことを実感として受けとめておるわけでございます。しかしながら、外国は経済大国日本ということで受けとめておりますことはほぼ同じベースであることにかんがみまして、しからば委員言われるとおり経済大国が軍事大国になる道、歴史の必然があるのではないかとよく言われるのでありますが、それはやはり経済大国でありましても軍事小国、こういうことで進むというのは竹下首相も明言をいたしておるところでございますから、そういう中におきまして、先ほど浦野委員御指摘のように、文化面における我が国の役割、途上国に対する我が国の人類愛に基づく援助、投資、こういう問題について着実な実行をしていくということの中で理解を求めていくということでありませんと、肥大化した経済大国、金持ち日本、自分だけよければよろしいというイメージだけ諸外国に定着をするということに相なりますれば、経済大国日本は無資源国日本でございますから、これだけの人口の多い国家でございますから、大変な事態に追い込まれるというのは歴史の必然であろう。あえて私はそのように申し上げさせていただき、自粛自戒をしながらこれから進んでいかなければならぬというのが現況であろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/31
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032・井上泉
○井上(泉)委員 きょうの委員会は大臣の所信表明に対する質疑、こういうことになっておるわけでありまして、それぞれ省から役人がいろいろと、どういう御質問をなさるのだろうと言って問いに来るわけです。しかし、それは、あなたに聞くのじゃないから、大臣の所信に対する私の質問だから、大臣の所信が、役人、いかに東大出のエリートの役人でも、わかるはずがないから、何も私にどういうことを問うとかということを心配するには及びませんよ、こう言って私は御返事を申し上げてきておるわけですから、いわゆる通産あるいは経済企画庁、それらの役人の方に御心労をかけるような質問はするつもりはないわけですし、そこはそれで列席の方御安心しておっていただきたいと思います。
そこで、政治というものはだれのためにあるか、日本の国の政治はだれのためにあるかといえば、これは言うまでもなく日本国民のためだ。日本国民のためにあることによって、日本の国というものがますます発展をしていく政治を求めるのは当然でありますし、また、自民党も一生懸命やっておると思われるわけでありましょうけれども、通産大臣の所管が一番被害を受けておるのがこの消費税。これは本当に経済大国の日本が、経済的に日本は非常に豊かだ、こう言われるが、庶民は毎日消費税に泣かされておるという現実。
私、きのう、東京へ来るときに、ひとつミカンを五個ぐらい買うて帰ろう、こう思った。一つが百円のミカンを七つ買うた。七つ買うと、それが、七百円ですから、三、七、二十一円の消費税。七百円です、それで七百円出すと、二十一円ください、こういうふうに言う。二十一円て何、消費税。売る人も気の毒顔して出しておる。それで、二十一円ですが、二十円しかない。一円玉がなかったが、一円まけてくれと言っても、これは雇われておる人ですから、まけてくれはせぬわけです。それで、十円で九円の一円玉もらった。これは売る人も買う人も非常に不愉快な感情で、だから消費税をつくったそんな政治はやめてしまえ、こういうことが世間で言われておるわけですが、大臣は、そういう消費税の、たとえ二十一円でも二十七円でも、自分で消費税を払って物を買うたことがありますか、ないですか。ありとするならば、その消費税を払ったときに、ああ、おれも消費税を二十一円払った、これで日本の福祉事業も充実さすことができる、防衛予算も十分やれる、こういうふうなお気持ちで喜んで税を払ったのか、こんなややこしい税金は、これは間違うたのや、こういうふうに思ったのか、その消費税についての感想をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/32
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033・三塚博
○三塚国務大臣 消費税を担当する主管大臣の一人であり、内閣に設けられました消費税導入本部の副本部長を任命いたされておりますものですから、東京の商店会だけではございませんで、特に私を選んでくれた宮城県一区、仙台でありますれば、率直にあの商店の方も消費者の皆さんも文句なり批判を言ってくれるであろうということで、あえて地元の商店会また青空市場なども回ってみました。当然自分で買い、おつりもちょうだいをいたしました。そういう点で、ただいまの井上委員の御指摘の、そのときどうかねという感想また意識ということでありますれば、いやこれは高齢化社会の財源になるなということで金は払っておりません。やはり税は税としてそういうものであるということでありますし、率直な実感はどうかと言われますれば、十軒ぐらい回りながら買ったものでありますから小銭がたまりまして、特に一円玉がこれにたまりまして、その都度札と硬貨でお支払いをして、三%の分のおつりが来るものですから、小銭がどっとたまって、大分ポケット、これいっぱいになりましたことは事実であります。そういう中で、三%という低率でありますから、どうしても半端が出るなということは実感としてあります。だからといって私はこれを切りのいいところまでなどということは頭にありませんし、三%でしばらく、これは竹下内閣も、定着するまで、理解を受け得ますまで辛抱強くいかなければなりませんと言っていますから、そのとおりいくわけでありますが、なかなかやはり端数というものについて御指摘のように手間暇がかかるし、実感として大変だな。特に子供が百円のアイスクリームを買いに行ったら、お兄ちゃん三円持ってこないと売れないのよと言われて、べそをかいて帰ったなどという話も聞くに及びますれば、胸が痛むことは大人の一人として当然であります。
でありますから、これらの諸問題はこれらの諸問題として、今後どのようなことでいくのかは、村山大蔵大臣、御指摘のように、まず一年間やってみまして、その成果を見て、それぞれを集めて協議すべきものであり、見直し条項もあることでございますから、直すべきものは直す、実態に合わせるようにしなければならぬものは実態に合わせるようにしなければならぬ、こう言われておりますし、私自身もそのことに全く同感であります。そういう点で、それはそれとしてそういう問題は解決ができることであろうなというふうには思いますし、また、先生方からもそんなお話を雑談の中で承ることもございます。そういう中で、お子さんを中心とした買い物について何らかの措置が行われなければなりませんでしょうし、おさんどんに昼、夕方買う物についてやはり何か工夫が要るのかなという御意見なども寄せられることは真剣に受けとめていかなければならぬことではあるな。ただ、しかし、直間比率が、非常に重圧になってまいりました所得税法、住民税法ということどもの中で、活力のある税制とはということで苦渋の中でまた十年のスパンの中で新税制が導入をされてまいりましたということにかんがみますれば、このことは、正直言って私も活力のある税制に相なることだけは間違いがないな。そういう意味で、広く国民各位の意見を聞きつつ、特に国会が国民代表の府でありますから、国民代表の、当委員会のような各種委員会で質疑応答、議論を交わしつつ、よりよきものを求めてこれから取り進めてまいるというのが、議会人としてまた議会として当然のことであり、議院内閣制下における内閣としても、そういう基本的なスタンスはしっかりと守っていかなければならぬことであろう、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/33
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034・井上泉
○井上(泉)委員 法律を制定した、その制定した法律が国民から見て大変な悪法である、悪法であるけれども制定された以上法は悪法でも従わなければならぬ、この従順な気持ちで、嫌々な気持ちで税を払う、消費税を払っておると思うわけですが、理解と協力を要請し、それで今のところはだんだんと順調に実施をされておる。その実施をするに、法律によって、いわば強制的にあなたから消費税を取りますよと言わぬけれども、消費税を払ってください、払わなければこの品物は渡せませんということになっておるから、消費税を払う者は嫌々ながら消費税を払わざるを得ないわけです。消費税を取りませんという看板も目立つ商店街でありますけれども、これは一年たってどうこうではなしに、四月に実施し、四月、五月と、はや二カ月になるわけです。もう四月の消費税のいわば実績というものが今日出ておると思うわけですが、これは大臣の所信とは関係ないわけですから事務当局にお尋ねせねばいかぬわけですが、消費税の状況というもの、いわゆる収納状況というものは現在のところわかっておるかわからないか。これは通産の方でお答えするか経企の方でお答えするのか、今わかっておる範囲で、税額とかいうようなものについて、徴収の実情の報告をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/34
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035・児玉幸治
○児玉(幸)政府委員 消費税は四月に導入されたわけでございまして、ただいまの御議論の過程でも、現実に消費者が購入いたしますときに消費税見合いのものを支払っておるわけでございますが、国会で税法についての論戦が行われました過程で、導入につきましては一種の弾力的な措置が講じられておるわけでございまして、本来でございますと制度上この五月、六月というようなところで納税の時期に参ります場合にも、それらにつきましては、制度が急に導入されたということも考えまして、九月末まで納税についての延期措置が法律上決められておるわけでございます。
したがいまして、今お尋ねの税の収納状況ということでございますと、これまでのところは実績はないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/35
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036・井上泉
○井上(泉)委員 これは委員長にお尋ねし、その実現方をお願いしたいと思うのですが、消費税のことについては、やはり国民各層の意見を聞かにゃいかぬ。その中でも、とりわけ国会の意見というものは、これを大事に取り上げにゃいかぬというのが当然のことですが、そこで、全体の国会で、国会議員五百十何人全体の意見でどうこうというんではなしに、少なくともこの商工委員会では、今日までの消費税の実施状況から見て、こんな税金は来年一年とかことしじゅうだとかいうようにすべきでない。もう大抵なら早急にこの税法のもたらす悪い面をひとつ是正をしたらどうだろう。そういう点における委員各位の意見を求める、いわば委員会としての方針を検討するような機会をつくっていただきたいと私は思うが、委員長としてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/36
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037・田原隆
○田原委員長 井上委員のただいまのお申し出に対しては、理事会におきまして協議したいと思いますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/37
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038・井上泉
○井上(泉)委員 ぜひお願いをしたいと思います。
我々委員は、今局長の答弁の中で税は九月から後でないと税収がどうなっておるということがわからぬ、こういうことになっておりますけれども、税収の結果を見てじゃ、私ども九月まで首があるかないかわからぬですから、少なくとも解散とかいうことになれば議員が出直しということになるし、大臣も、今は大臣ですけれども、竹下内閣総辞職ということになりますと引き続いて大臣になられるかどうかもわからぬわけです。やはり現時点においてきちっとした、自分たちが決めたことがどういう現状であるのか、これをそのまま半年も放置するとか一年経過を見るとかいうことじゃだめだ。これは早くせにゃいかぬ。やはり所管の大臣としてやらにゃいかぬ。
それから、経企庁においても、これで一つの便乗値上げというものもなきにしもあらずで、新聞では各地で便乗値上げのことが報道されておるわけです。
そういう点からも、消費税という天下の悪税を何とかせにゃいかぬという見地に立つべきだと私は思うわけですが、その点については、さきの大臣の答弁をもっと突き進んで、消費税はもっと経過を見るとかいうことではなしに、現状から見ても、調査しても不十分だったら、不十分だからこれはこうしようじゃないかというのを閣議なり通産省の省議なり経企との話し合いなりで提言をするというようなことがあってしかるべきだと思うわけですけれども、そういうふうな気持ちまでは現在のところではまだ至ってないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/38
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039・愛野興一郎
○愛野国務大臣 経済企画庁は、国民の消費者の皆様方が円滑にお使いになるようにという消費税の定着化のためにも、便乗値上げ等々を監視をいたしておるわけであります。そういう中で、物価モニターあるいは物価ダイヤルというものを経済企画庁と各都道府県の県民生活課等に設けて、いろいろと苦情やあるいは便乗値上げではないかということをお聞きする中で、今委員が言われましたような、消費税のこういう部門を手直しをしてもらえないだろうかという御意見も十分承っておるわけであります。ただ、しかしながら、通産大臣から御答弁がございましたように、消費税は、税制改革全体の中で見てまいりますと、少なくとも直間比率の是正ということも目的の大きな一つであったわけでありまして、この法人税、所得税あるいは相続税等々をずっとできるだけ税率を低くしていこう、そうしてこれからの高齢化社会等々の財政需要というものもふえてくるわけでありますから、現行税制のままでは所得税、法人税がどんどん伸びていく、将来を憂えるの余りに消費税というものが発足をしたわけであります。
そういうわけでありますから、いろいろと便乗値上げを防止する、あるいは苦情をお聞きをしながら、消費者にとって使いやすい消費税に変えていくためには、どういう御意見があるかというのをなおひとつ十二分に一年間ぐらいはお聞きをして、そうして本当に消費者が使いやすい消費税になしていかなければならぬ。言うならば国民全体が消費税について安心して使っていただくという方向もまた政府として努力をいたしておるところであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/39
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040・井上泉
○井上(泉)委員 消費税のことは再三論議をされてきた経過もあるのでありましょうけれども、ダイヤモンドの指輪の税金が安くなっても大根に対して消費税がかかる。やはり一般庶民大衆としては、本当に消費税という悪税は気の重たい存在であるわけですから、これを廃止をする方向に政治は進んでいかにやならぬと思うわけですけれども、自民党の方ではなかなか税制全般の中での消費税だということで逃げをしておるのでありましょうけれども、私は消費税というのは国民生活に必要な、つまり第一次産業の製品とかあるいは住宅とか食料品とか、住宅はもちろんですが、そういうふうなものについても、消費税というようなものは部分的にもある段階までは修正をする必要がありはしないか。そのことは通産省の方で発言をするのか、経済企画庁の方で、こういう消費税の状況であるんだから、第一次産業の製品については消費税はこれを廃止するとかいうような部分的改定でも、一年も先でどうこうするんではなしに、何らかそういうことは今のところ考えないでしょうか。もう参議院選挙もそのまま現行消費税で突っ走りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/40
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041・三塚博
○三塚国務大臣 本件は極めて重要なポイントであると思うのでありますが、政党政治の枠組みの中で、国政選挙が予定されておりますのは参議院議員選挙、こういうことでありますし、政府・与党一体という形の中で参議院選挙に対する公約が作成されますことも御案内のとおりであります。そういう中で、政務調査会長を中心として原案をつくり、党のそれぞれの機関の承認を得て、その間政府とのすり合わせを行い、政策決定を掲げる、スローガン、政策というのを決めるわけでございますが、明確に言えますことは、消費税は一つ国民の幸せをつくる、また、二十一世紀に向けての活力ある経済運営のベース、また豊かさを求める国民生活のベース、そして同時に世界に通用する税制、片や横にらみで、それは書くか書かないかわかりませんが、財政の弾力化を期するための税制、こういうことどもの中でこれが明確に出てまいりますことは事実であろうというふうに思います。
また、第二点でありますが、村山大蔵大臣、また首相が言われますように、一年を待ってその成果の中で、結果の中で考えるべきことは考える、こういう見解が明確に示されておるわけでございますが、御案内のとおり、予算編成は、十二月に、党内手続、政府がさらに最終的に大蔵、政府原案決定という段階までの間、さかのぼりまして一カ月、政府税調、あるいは政府税調は八月ごろからもう行われるでありましょうし、党税調は当然そのころからも行われるでありましょうし、さらに十一月ごろからは党税調の協議が行われていくということは、過去そういうことでありまして、そういう中で消費税を顧みて国民生活にどのような影響を及ぼすか、また国民生活にどうこれが定着をしつつあるか、お一人お一人の考え方なども御指摘があるわけであります。そういう中で階層別に、また老壮青の年齢別に、業種別に等々あられるわけでございますが、そういう議論が党税調の中で、議員各位の中で行われてまいりますこともこれ当然であり、そういう中で、なるほど最終的に一年の決算として、税の決算としてこれを見ていくというのは、事柄が国の法律であり税制でございますから、基本的には私はそれが正解だと思うのでありますが、なおかつ政治として、政党として、その中で出ました議論を、緊急度が高い、やはりこれはどう考えても三月決算、四月を見ずしても、そのことが見直しの中に入り得るものだという結論に相なりますれば、そこで行われるものであるだろう。よって、先ほど前段申し上げました、参議院議員選挙に向けて、本件消費税に対しては、理解を求めるという公約、スローガンにはなると思いますけれども、残念ながら井上委員言うとおり修正、廃止という形には出てこないのではないだろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/41
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042・井上泉
○井上(泉)委員 通産大臣も経済企画庁長官も、それぞれ自民党の幹部でありまするから、大臣という地位に立つ方は幹部の中でも私は枢要な地位を占める幹部だと思うのであります。だから、政党政治である限りにおいて、やはり自民党の政策というものが一番国民に影響するわけですから、そのときに今度は、国民のだれを守るか、どういう政策を持ってこの国民を守っていくのか、国民にどうして政治に対する信頼感を与えていくかということを念頭に置いてやっていただかないと、これはもう大変な結果になるし、我々社会党としても、今日まで、消費税の徹底的な廃止、リクルートの徹底的究明、こうしたことを今日の当面の最大の政治課題として奮闘しておるわけでありますが、その場合の決算書のできは参議院選挙あるいは来るべき衆議院選挙に示されると思うわけですけれども、そのことはそのこととして、あなたの所信表明の中にあるエネルギーの問題について、私は特に原発の問題について若干質問を申し上げたいと思います。
というのは、原発の問題で二十分そこらでこれを論議をすることはできないわけでありまするから、極めて大づかみな点で後日のまた審議の参考としたいわけですが、大臣としてもエネルギーの安定供給確保のためにはどうしても原発は必要だ、こういう認識を持っておるのかどうか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/42
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043・三塚博
○三塚国務大臣 原子力発電につきましては、ただいま御案内のとおり三十六基操業をいたしておるわけでございまして、御案内のように、コストという点からいいましても原子力発電は、石油発電がキロワットアワー当たり十円から十一円程度、石炭が十円とよく言われるわけでありますが、原子力はそれより一円ないし二円安いという経済性、これは経済性だけではなく燃料供給の安定性、ローマ・クラブの発表ではございませんが、資源有限の中における、そういう問題の中でこの原子力発電の持つサイクル性、安定性という、こういうことで今日ありますし、その中におきまして、チェルノブイリの事故以来、安全性という問題が高く問われる昨今に相なりました。そういう中で我が国原発の行政、安全確保第一、こういうことで行っておりますことも御案内のとおりでありまして、そういう中におきまして、結論的に申し上げますならば、今後電力需要の着実な増加が見込まれる中におきまして、電気の安定的かつ低廉な供給を確保してまいるという観点から重要なエネルギー源であります、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/43
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044・井上泉
○井上(泉)委員 それで、原発に安全性というものが非常に求められておるということは、原発が危険な存在であるということを証明をしておるわけでしょう。そういう危険な原発に頼らない日本のエネルギー政策というものはできないものかどうか、このことをひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/44
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045・鎌田吉郎
○鎌田政府委員 先生御案内のとおりでございますが、我が国、エネルギー資源に大変乏しいわけでございます。そういった中で、国際的なエネルギー情勢というのは、少なくとも中長期的に見ますと逼迫化が予想されるわけでございまして、そういった中で、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、エネルギーの安定供給を確保していく、あるいは電力の低廉な供給を確保していく、こういう観点からしまして、原子力発電は石油代替エネルギーの中核として今後とも推進する必要があるというふうに考えておる次第でございます。
ただ、ここで申し上げておきたいのは、私ども、何も原子力一辺倒ということを申し上げているわけではございませんで、石炭等々、他の石油代替エネルギー源につきましても今後導入努力を続けていくということでございますが、石油代替エネルギー源の中核としては今後とも原子力発電に頼っていかざるを得ない、こういうことだというふうに認識しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/45
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046・井上泉
○井上(泉)委員 それで、その安全というものについてはどういうふうに考えているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/46
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047・鎌田吉郎
○鎌田政府委員 これも先生から御指摘がございましたように、原子力発電につきましては安全性の確保というのが大前提でございます。また、そういったことがなければ、到底国民の理解を得まして原子力発電を推進するわけにいかぬわけでございます。
そういった意味におきまして、私どもは、従来から、原子力発電の推進に当たりましては、安全確保が第一である、こういう基本的姿勢でやってまいっているわけでございまして、これまで設計、建設、運転のそれぞれ各段階で厳しい安全規制をやってきているわけでございますが、今後とも安全確保の徹底に万全を期していきたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/47
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048・井上泉
○井上(泉)委員 そう説明されることは、いかに原発が危険性を内蔵しておるかという証明になる。危険な存在であるということは、これは間違
いないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/48
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049・向準一郎
○向政府委員 お答え申し上げます。
原子力発電所の安全性を考えます場合に、今先生がおっしゃったように、原子力発電所では核分裂をやっておりますので、潜在的には放射能が入っておるということで、先ほども長官から答弁を申し上げましたように、設計、建設、運転という各段階におきまして、厳しい安全規制を国としてはやっているわけでございます。
それで、現在我が国で三十六基の原子力発電所がございます。現在まで二十数年の運転経験があるわけでございますが、この間のトラブル等というのを見てまいりますと、近年件数は減ってきております。それからもう一つ、発電所周辺の住民の皆様に放射線による影響を与えるというような事故、故障というのは一件もなかったわけでございます。しかし、今申し上げましたように、我々としては、原子力発電所の発展のために安全性の一層の向上ということが大事でございますので、不断の取り組みをしていくということで進めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/49
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050・井上泉
○井上(泉)委員 そう目の色を変えてやっておられること自体が、私の言う原発はいろいろな面で危険性を内蔵しておるものであるという、その位置づけには間違いない。私は技術者でも何でもない、科学者でもないのですから、これはこうだ、これはこうだと言って説明されても、それがそのとおり理解できない。つまり、それだけ強力に安全、安全と言わなければいかぬ。
それから、原発のあるところはどこも海辺のところというところから見ても、この原発は非常な危険性を持っているということは間違いないと思う。だから、その安全をやらなければいかぬ。その安全をやるのに、原発の発電所の所内だけに安全対策をやるということではなしに、さらに、もし事故が起こった場合の原発の周辺住民に対してはどういう安全対策というものを講じられるのか、その点をお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/50
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051・向準一郎
○向政府委員 お答え申し上げます。
今先生お話しございましたように、我々は原子力の安全行政で万全の安全対策を講じておるわけでございます。これは御承知のとおり多重防護という考えで、まず三つの考え方がございますので、それを事前にちょっと御説明させていただきますと、まず、事故の原因となるような異常を生じさせないように進めていくということで、設計の段階あるいは建設、運転の段階ということで厳しく管理をしているわけでございますが、しかし、仮に次に異常が発生しても、これを確実に検出して、必要があれば速やかに原子炉をとめる、あるいは事故に至らないように防止をするというのが二段階の考え方でございます。それで、三段階として、万一事故が発生しましても、周辺に影響を与えることのないように、放射性物質の放出ということが防止されるような対策がとられているわけでございます。
そういうことで、我々といたしましては、原子力発電所の安全対策は万全というふうに考えておりますが、しかし、原子力の防災対策、これも災害対策基本法の枠組みの中でとられております。これは国が防災基本計画を策定いたします。それから、地方自治体がこれに基づきまして具体的な地域防災計画というのを策定するということになっておりますし、中央防災会議というのがございますが、緊急時におきまして国の支援体制というのが明確になっております。
それから、原子力安全委員会におきまして、原子力の防災対策上、技術的な事項というものが示されておりまして、これに基づきまして、地方自治体でより具体的な防災対策がとられるということになっておりまして、これらの災害対策基本法の体系の中で、万が一原子力災害が発生いたしましても所要の対策がとられるということになっている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/51
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052・井上泉
○井上(泉)委員 今年度の予算の中に、原発の安全広報対策費として二十億何がしが計上されておる。その金を、新聞広告を出したりする金、大変原発は安全ですと言って一ページ大の広告を全国の各紙へ掲載をする、そういうふうな費用というものに大半使われるのではないか、こんなように思うので、予算委員会の審議の中で明らかにされたかどうか知りませんけれども、大体この安全対策費というものはどれくらい計上されておって、それをどういうふうに使おうとされておるのか、その点をお聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/52
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053・向準一郎
○向政府委員 お答え申し上げます。
通産省の一般会計の中で、原子力の安全にかかわる費用というのは約十億円でございます。これは、原子力発電所の安全行政、検査をやりましたりあるいは放射線をモニタリングをしましたり、それらの安全を確保するという観点での行政費でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/53
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054・井上泉
○井上(泉)委員 これは大変時間をとって恐縮ですから、この原発の問題は次の機会に質疑をしたいと思うのですが、ことしの三月二日の朝日新聞の社説で、「原発の安全を説くまえに」ということでいろいろ見解が述べられておるわけですが、原発担当の方はこれをお読みになっておると思うのです。これをお読みになってどういう印象を受けられたのか、そのことをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/54
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055・向準一郎
○向政府委員 ちょっと私、朝日新聞の社説、先生のおっしゃる、日付がはっきりしませんので、記憶にございませんが、原子力発電所についていろいろな社説で議論されておりますことは、防災対策が完備しているかどうか、あるいは防災訓練をやるべきじゃないかというような議論がいつもなされておりますので、そういう議論が恐らくされているのだろうというふうに私は理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/55
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056・井上泉
○井上(泉)委員 これは注意深くもう一遍読み直しておいてください。三月二日の木曜日で朝日の社説。朝日とか毎日とか、日本の代表的な新聞の社説ですから、相当権威があるわけですし。まある垣島のサンゴ礁に書き物をするというような前歴が朝日もあるわけですから、必ずしもこれは信頼がおけるかどうかわかりませんけれども、そういう立派な原発についての見解を披瀝されておるわけですから、そこをひとつ私は参考にしてもらいたいということ。
それから、現在ある三十六の原発の安全対策というようなものについて、どういうものをどうしておるのか。それが今十億で、これは政府の金で十億の安全対策の費用、行政費ですから、ただそれは役人の給料、役人の出張あるいは新聞の広告、そういうようなものに消されるわけですが、真に原発の安全性を追求していくための研究機関というものは存在をしておるでしょう。存在しておる、そこのところに、予算がどれくらいあるのか、そういうようなものをまた資料として提供していただいて御説明を受けたいと思います。
そこで、そのことについてはまた後日お伺いすることにして、私の質問も終わるわけですが、非常に今の日本の経済界というものは変動が、日本だけの力でなしに外国とかの影響等によっても、ぴりぴりするような現象が毎日派生をするわけです。そこで、日本の経済運営というものは難しいということ、これはよく理解ができるわけでありますけれども、今また公定歩合、恐らくきょうあたり公定歩合の引き上げもやるでありましょう、あるいは円も円安の状態にさらに拍車がかかるのではないか、そういうようなことを考えてみますと、外国に原料を頼っておる、そしてましてや原料を頼っておる日本の企業、そして外国へ輸出をする商品の大きなシェアを占めておる中小企業者は、大変な経済的な苦難が待ち受けておると思うので、その点について、経済界の頼みとする通産省の、通産大臣の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/56
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057・三塚博
○三塚国務大臣 公定歩合は、先生御案内のとおり、日銀の専管ではございます。それを見詰めつつ、今後どう対応すべきかということで考えておるわけでありますが、御承知のように通産省は貿易を担当いたしておりますわけで、経済国家日本、そして輸出入のバランスをとりつつ、経済摩擦を最小限に抑えつつ、友好な関係の中で世界経済に貢献をしていく、こういう立場でございます。
そういう中で、貿易インバランスをどのように解消していくかということに相なりますと、内需拡大、内需振興政策を展開をすることによりまして、製品輸入に努める、シェアをアップしてまいる、こういうことで来ておるわけでございまして、第一点はこの内需拡大政策がそのベースにありますものですから、これに水を差すようなことは困るのだ、こういうことで、時折、公定歩合の引き上げについては慎重に取り組んでほしい、経企庁長官が政府を代表して大蔵大臣とともに最終的に日銀総裁と協議をされることではありますが、経企長官にもそのことを申し上げておるわけであります。
さはさりながら、日銀といたしますれば、物価担当の経企庁とともに、物価の動向がどうなっておるのかということなども極めて重要な視点に立つわけでございます。物価が上昇の機運にありますれば、どのような政策を展開するかということでありましょうし、しからば物価の動向はどうかということになりますと、いろいろ御指摘をいただいておりますのは、消費税導入に伴いまして消費者物価が上昇をしておるのではないかという御指摘がございます。しかしながら、このことをマクロにとらえ、そして分析をいたしまして、きょうも経済調査報告がなされたわけでございますけれども、予想された一・二の上昇率の範囲内にあります、こういうことで、経企長官からは、物価の動向は堅調に推移をいたしておる、こういうことでありますので、この時点では、日銀の公定レートを変えるという基本的なベースが一つそうではない、ただいまのままでよろしいということになるでありましょう。
もう一つの視点は、為替レートが御案内のとおり円安基調に推移をし、きのう百四十円何十銭かということのようでございますが、そういう中でこれにどう対応するかということであります。これは、日銀みずからも言っておりますように、投機買いがその基本にあります、こういうことでありますから、全体の、横文字で恐縮でありますけれども、ファンダメンタルズが変わっておるとは認めがたい、こういうことでありますものですから、私どももそうであるなと基本的に思っておりますので、財政経済運営はただいまのベースを引き続きお進めいただく、こういうふうに表明をいたしておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/57
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058・井上泉
○井上(泉)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/58
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059・田原隆
○田原委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時六分休憩
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午後一時三十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/59
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060・田原隆
○田原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。城地豊司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/60
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061・城地豊司
○城地委員 昨年の十二月に竹下改造内閣が発足をいたしました。そして、その内閣の発足に伴いまして三塚通産大臣が就任されたわけでございます。私ども、この商工委員会で、いろいろ大臣の所信なり考え方なり、さらに今後の日本経済全般に対するお考え方を伺いたかったのですが、今日まで機会がありませんでした。残念でございます。しかし、大臣は、就任早々からヨーロッパへ赴かれ、そして、ついせんだっては、四月の末から五月にかけてアメリカを訪問され、そしてそれぞれの国の大統領、首相等々と忌憚ないお話し合いをされております。それらの忌憚ないお話し合いの内容について後ほど伺いますが、これまでの御活躍に対して心から敬意を表するものでございます。
まず最初の質問でございますが、大臣も述べられておりますように、今日世界経済の置かれている立場、そして問題点、たくさんあるわけでありますが、きょうは時間の関係がありますのであれもこれもというわけにはまいりませんが、特に私自身関心を持っていること、そしてこれだけはぜひ大臣に伺っておきたいということに絞ってお伺いをしたいと存ずるわけでございます。
世界経済の中で、今、ある意味で非常に重要だがなかなか手がつかない、どういうような方法でいった方が世界経済のためにもなるのか、発展途上国のためにもなるのかという課題の大きなことの中に、発展途上国の累積債務問題があると思うのであります。累積債務の問題も今極言すればもう行き詰まって打つ手がないんじゃないかということすら言われておりますけれども、この累積債務問題は、発展途上国がさらに先進国に追いつくような状況になるためにも非常に重要な幾つかの課題を含んでいると思います。それらの発展途上国の累積債務問題を処理するために、いわゆる債権国として日本の置かれている立場、そして日本の持っている力、そういうことが、今日ほど、ある意味で世界全体から大きな要望を持たれるといいますか、そういう希望を持たれているときはないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
それらの問題全体について、大きな、グローバルな関係で結構ですが、通産大臣として発展途上国の累積債務問題をこういうふうにして一歩一歩とか二歩三歩とかいうふうなことで解決をしたいというようなお考え方を最初にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/61
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062・三塚博
○三塚国務大臣 この途上国の累積債務問題というのが極めて重要な課題でありますことは、御案内のとおりでございます。
アジアの中の日本という立場、アジアの中の先進国ということどもの中で、ともすれば日本だけが浮き上がってしまいまして、アジアの地におりながらアジアではない、西欧諸国であるという非難とも言える評価を受けるようなことに相なりますと、日本の未来は端的に言いましてないというふうに思います。同じ地域の同じ文化の流れの中で今日に参りました同じアジア圏の民族ということからいいますれば、まさに援助それから投資というものはアジアを重点として行ってまいりますことは当然のことでありますし、そのことをやりましたからといって米欧が日本を非難する何物もないであろう、また私自身もそこに視点を置いてまいりますことこそ、平和国家日本の、アジアの中の先進国たる工業大国、経済大国日本の基本であろうというこの大前提に立ちまして、しからばどうするのかということでありますれば、大変おくれておるこれこれの我がアジアの国々、NIESという一連の中進国が出てまいりましたことはそれなりの成果であると思いますし、その国々の努力のたまものではあると思いますが、多くのアジア諸国がまだ呻吟をいたしておる現況の中でどうするのかということでありますれば、援助、投資、輸入が三位一体となった総合的経済協力という視点に立ちまして、果敢に政策の遂行をしていかなければならないと存じます。
そのうち最大の問題は、累積債務で息絶え絶えになっておるという今日の諸状況の中で、この障害をどう取り除いていくかということが大事なポイントになってまいりました。そういう中で、累積債務問題の解決を図ってまいりますためには、発展途上国におきまして外貨獲得型産業を育成いたしまして債務返済能力をつけていくという、極めて迂遠にして遠い計画のようにこれは思われるわけでございますが、一年一年着実にこれを積み上げていくことにより、結果としてなるほどこれだけの成果が上がってまいりましたなということでなければならないというふうに考え、根気強い本計画の推進が必要であるというふうに思います。
特に直接投資や新規貿易信用により供与される民間資金ということで技術、経営ノーハウ、設備等の経営開発資源を一体的に移転する効果を伴いまして途上国の外貨獲得能力が向上していくことが大事かなということであり、昨年の補正予算におきまして初めて九百億円の貿易保険に対する出資を認めていただいたところでございまして、合わせまして年初予算も含め約一千億円に近い貿易保険総資本、こういう体系になりましたことをベースに、直接投資と民間資金還流の支援を拡充していくということの中で、御指摘の途上国の今後の発展を推進していくという柱にしてまいらなければならぬと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/62
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063・城地豊司
○城地委員 考え方の概要は、抱負を述べていただきましたが、外貨獲得型産業の育成というようなこと、そういう言葉だけではなくて具体的にどういうふうに育成していくかというふうな課題がこれからあると思いますし、さらに直接投資、民間資金の活用というようなものについても、どの国はどういうところに力を入れていくかという具体的な内容を争点にしていろいろ論議をしていく必要があろうと思います。
貿易保険の問題については、後ほど私の質問項目の中で若干そのことに触れますので、貿易保険を活用してそれらの国のそういう力を助成するというふうなことも十分必要なことでありますが、きょうは時間の関係がありますので、発展途上国の累積債務問題は、今大臣からお答えをいただきました根幹を十分私も理解をいたしまして、後日またこの問題だけでも改めていろいろ考え方をお聞かせいただきたいと存じます。
次の質問でございますが、大臣が言われております就任後最初に訪問されたヨーロッパ問題で、イギリスのサッチャー首相やドロールEC委員長を初めとする要人と会談し、日欧相互の友情と信頼を確認してまいりましたという非常に短い内容ですが、もっと大きく述べられた文章を私も前に拝見したことがあるのですが、いろいろな機会で大臣が、多面的かつ重層的な日欧関係の構築に向けた三塚三原則を示しつつ相互の友情と信頼を確認してまいりましたが、我が国に対する欧州諸国の期待の大きさを痛感した次第でありますというような文言を使っておられるものもあるわけでございます。特にこの文章から感じますところでは、三塚三原則というようなものを表面に出して、しかもヨーロッパの国々の期待が非常に大きい、我が国に対する期待が大きいというところまで言及されておられるわけでありますが、今回のこの所信表明の中ではちょっとちんまりとまとめてしまわれたような感じがいたしますので、三塚三原則というようなものを胸を張って訴えられる、その内容について通産大臣のお口からはっきりと御説明をいただきたいというのが一つでございます。
もう一つは、私も昨年商工委員会の海外交流の関係でヨーロッパへ同僚議員と一緒に行ってまいりました。そして、主として一九九二年のECの経済統合に向けての状況、現地の国々め考え方、現地法人の各会社の人たちとの懇談の中で、それらに対する情勢というようなものもいろいろ伺ってまいりましたが、その後の情勢として、例えば一九九二年のECの経済統合の中で一番困難なのは何かというと通貨統合だと言われております。通貨を統合することは至難中の至難であるということも伺ってまいりましたが、いろいろ勉強会などで学者の御意見を聞くと、欧州の経済統合は通貨統合までいくかもしれない、新たな通貨もしくはそれに準ずるものを基準にした通貨統合も考えられているという話も伺ったわけでございます。それらの問題を含め、大臣として直接ことし訪問されたわけでありますから、それらの状況、さらにはこのECの経済統合について欧州諸国の我が国日本に対する期待、そういうようなものはどういうところにあるのだろうか、そして大臣としてはこのECの経済統合については通貨統合も含め見通しとしてどういうふうに考えておられるだろうか、そんなところの考え方をお聞かせいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/63
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064・三塚博
○三塚国務大臣 一月の末から一週間ほどECを中心に英、独、仏、そしてベルギー、EC本部ということで訪問をさせていただき、それぞれの国の指導者またカウンターパートである貿易担当大臣と率直な意見交換をさせていただきました。
私がこの欧州訪問を考えましたのは、日米という世界の基軸両国、太平洋を挟みまして、マンスフィールド大使の離任の弁にもございましたように、歴史の中でかつて見ない両国関係である、この関係は着実に進展せしめるようにしてまいることが世界のためだ、こういうことで話されたことを印象深く思っておるわけでございますが、同時に、ヨーロッパというのは、我が国にとりまして、文化だけではなく、すべての面で大いなる影響を受けた地域でありますことも御案内のとおりでございます。アジアの中における日本、そしてそういう中におけるアメリカ、ヨーロッパ等の三極という感じの中でこれが構築をされてまいりますことが我が国の将来のためでもございますし、大きくは世界のためである、こういうことでアメリカではなくまず先にヨーロッパ、こういうことで訪問をさせていただきました。
もちろん、この間、今御指摘のように九二年欧州統合がどうなるのかというのも最大の関心事でございますし、文明、文化の発祥地たるヨーロッパが、ただいまアメリカに取ってかわられ、やがて日本に取ってかわられるのかなという危機感の中にございまして、フォートレスヨーロッパになるのではないかという懸念がヨーロッパ外から寄せられておるところであります。自由主義貿易体制というものが世界の発展につながり、世界の平和の根幹でありますことも城地委員御案内のとおりでございますから、保護貿易、管理貿易はいたずらに競争を激化させ、いたずらに摩擦を過熱せしめて、究極は歴史の示す方向に向かうことでありますものでありますから、そんな点をかの国のリーダーの皆様方と率直に実はお話をさせていただいたわけであります。
自由主義日本として九二年統合に最大の懸念を持つのは、世界経済の拡大発展がフォートレスということで阻害されることがあってはならないし、そのことが懸念であってほしいということでありますと率直な表明をいたしましたことに対しまして、それぞれの指導者は、フォートレスヨーロッパにはなりません、開かれたヨーロッパでありますことは間違いございませんので正しくひとつ見詰めてほしい、こういうことでありました。しかしながら、対日QR品目というような差別品目が依然として数多く残っておりますことは、そのことはフォートレスとリンクする懸念を持たざるを得ないということに対して、逐次このことは解消してまいるという表明もいただいたところでございます。
まさにヨーロッパが昔日のヨーロッパに戻る努力が欧州統合なのかなという実感は持っておるわけでございまして、経済だけではなく、今言われました通貨への統合はどうなのかということについてサッチャー首相は、通貨はイコール国家主権である、関税も国家主権の一つだとは思うのでありますが、そういう中で、理屈としてはわかるけれども、政治ということになりますと、なかなかさような意味にはまいらないのではないだろうかというようなことを言われておると聞いております。フランスの指導者も、英仏対立の中で、この点がなかなか解けないところであります。
しかしながら、さはさりながら、経済統合に向けて九二年この壮大な実験が成功するということが世界経済の活性化のために重要な課題でありますことは当然でありますので、これを私どもがそれぞれの分野で盛り上げていくということであろうというふうに思っておるところであります。そういう意味で、御指摘をいただきました三原則を言わせていただいたわけでございまして、単に経済交流だけではなく、文化も含めました、投資、技術の多面的な重層的関係を構築してまいるということであり、フォートレスヨーロッパにならぬためには競争と協力による拡大均衡が極めて重要であります。
三点といたしまして、我が国は個別問題の建設的かつ着実な解決をしてまいりたいということで、我が国の立場からイエスまたはノーということを明確に申し上げながら相互理解の中で取り進めるということでまいる、こう申し上げさせていただきまして、同意を得たと思っております。
この間、それぞれの国から、我が国の内需拡大、輸入拡大努力に高い評価が寄せられました。それと、我が国企業がヨーロッパに移転といいますか投資、現地法人として投資をして、その国の発展のためにプラスに相なっておるということにつきましても、大変感謝が表明されておるわけでございまして、かかる我が国の努力を継続してほしいという期待表明などもございました。こんなことどもの中でヨーロッパと我が国がさらなる連携を深めてまいるということが重要な時期に到来をいたした、こう思っておるわけでございまして、その主役は、通産省、日本政府というよりも、経済界それぞれの分野において皆さんがやられることであるというふうに思っておるところでございます。
さらに、こんなことどもの中で、九二年第一ラウンドとして統合が完遂をされ、その次通貨統合ということで、EC通貨というのが既に製造されておるわけでございますけれども、その使用ということはまだその段階でないようでございますが、やはりでき得ますならば、外国の一員として、通貨統合までこの際ジャンプすることが勢いをつけることに相なることだけは間違いございませんが、それぞれの国の主権と深くかかわり合う問題でありますから、我が国の立場からすれば、その動向を正視しつつ最大の関心を持って見守るということがただいまにおける段階かな、こういうふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/64
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065・城地豊司
○城地委員 ヨーロッパを訪問されたお考え方、さらには今後の課題についてもお話をいただきまして、ありがとうございました。これからも非常に重要な、いわゆるヨーロッパ、アメリカ、日本という重要な関係にありますので、今後とも一九九二年に向けてのヨーロッパの経済統合、ECの経済統合につきましても十分関心を払うと同時に、やはり日本の進出企業も最近非常に多くなってきております。そういう観点からも十分これらの動向を観察して、よりよい施策を行っていただけるように要望しておきたいと思います。
次に、つい最近ですが、アメリカ及びカナダを訪問されたのでございますが、ときにこの新しい貿易法案ができまして、そのスーパー三〇一条等々非常に問題の多い時期でありましたが、問題が多いからといって逃げているわけにいかない。あえて火中のクリを拾うといいますか、問題があってもその中に飛び込んでいくというお気持ちでアメリカ、カナダを訪問されたと思います。この後いろいろ質問を申し上げるわけでございますが、ただ、今起こっているいわゆる日本とアメリカの貿易問題、それをもっとさかのぼって突っ込んでいくと、アメリカと日本の経済的な力がどういうような状況なのか、何でもかんでも比較するのは余りよいことではありませんが、それらを十分検討した上に立っての貿易摩擦とか貿易の改善とかということにいかなければならないと思うのです。
私どもは今までいろいろとそれらの状況について見たり聞いたり学んだりしてきました。改めて最初に申し上げておきますが、私は反米論者ではありません。日本社会党という政党の中でいち早く「日米関係を考える会」というのをつくったときの発起人の一人であります。従来、中国とかソビエト、社会主義国との関係だけではなくて、資本主義国との関係で、特にアメリカとの関係は日本においてはなくてはならない、そのアメリカと言うこともある意味でタブー視されていたという時期に、日米関係を考える会というのをつくりました。その後非常に多くの交流もやっておりましたし、私自身海外出張したのは昭和四十二年、最初の国がアメリカでございましたので、そういう意味からも、それから今は、日米交流委員会というのを持っておりますが、その中のメンバーでもある。アメリカからも日本を訪問したいろいろな人たちが我々と非常に親しくいろいろなことについてざっくばらんに話し合うという機会もありますし、前のアメリカ大使、マンスフィールド大使なんかとはしょっちゅういろいろなことについて意見を闘わせてきたという立場にあるわけであって、決して反米ということではありません。
ただ、アメリカの現在の日本との比較における総合的経済力に対する認識という点では、私はむしろこれは、私の考え方はこうである、大臣はどうお考えになるかということの方がいいと思いますので申し上げますが、アメリカの議会から政策担当者が昨年日本を訪問されました。十人ぐらいでありますが、この方々は政治家ではありません。学者も入っていますし、主として実務をやる人でありますし、冷静にいろいろなものを判断する人たちであります。もちろん選挙民に対してどうこうする必要はない人であります。こういう人たちとの意見交換も随分いたしました。さらには、つい最近ですが、マサチューセッツ工科大学の何か研究発表で、日本とアメリカの総合的経済力についてどうか、これはすべてではないでしょうが、そういう意見の発表もありました。さらに、日本とアメリカの今までの経済摩擦。この数十年間、いろいろな摩擦が一つ消えたと思ったらまた出てくる。最近半導体摩擦もあるしカラーテレビの摩擦もある、自動車摩擦もある、かつては鉄鋼の摩擦もあったというようなことで、いろいろ摩擦があるわけでありますが、そういう摩擦の状況。例えばアメリカの家庭における車がセカンドカー時代に入った。だんなが乗っていく車、その後に奥さんが買い物に行く車、アメリカであんな大きな車は必要ないということで、センカドカー時代に入ったときにうまく日本の中小型車がアメリカへどんどん輸出された。それを契機にしてアメリカの国内全部に広まっていった。そして私自身もハワイなんかで見ると日本の車がべらぼうに多い。アメリカの国内でもそれほどどんどん広まっていった。その結果が自動車の貿易摩擦になった点もあります。
私はこういう事柄の中でだけ考えるわけではありませんが、ここ数年来の技術開発費や民間設備投資の関係でも、アメリカが非常に鈍化している。そして日本が、そういう意味では、これからの将来を考えて、民間設備投資なんというのは毎年一〇%以上もふやして技術開発に力を注いでいるというようなことから、日米の総合的経済力に大きく差が出てきているのではないだろうか。日本がすべて優位だとは申しません、まだまだアメリカ全体と比べて日本全体が優位だとは言えませんが、産業や個々の問題についてはそういうものが非常に多くなってきているという感じが率直に言ってするわけでございます。だとすれば、率直に言って、日本とアメリカの競合関係で日本が比較的優位なものが貿易の際に摩擦になってきているのではないかというような感じもするわけであります。つい最近では、半導体問題も、一時アメリカが優位でありましたが、その後日本が抜く。そして、あの半導体の問題での三年前の日米の合意。それ以降若干日本の方がおくれていたように見えますが、最近の状況でいきますと、半導体の販路がどんどん広まっている。むしろアメリカのつくったものだけでは世界じゅうが間に合わないといいますか、そういう関係で日本の半導体製造がまた急ピッチで上がってきているというような状況で、トータルな量的なもの質的なものを含めた半導体だけでいけば果たしてアメリカと日本とどちらが優位なんだという点では、いろいろな数字が出て、むしろ日本がアメリカを凌駕しているのではないかというような意見すらあるわけであります。そうするとまた半導体摩擦というようなことが出てきているというふうに考えるわけでありますが、そういうような日米両国の総合的経済力に対する認識をどのように整理されて四月下旬から五月に通産大臣はアメリカへ行かれたのか、それらの点についてお答えをいただきたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/65
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066・三塚博
○三塚国務大臣 城地委員のアメリカ研究、アメリカ交流の中の御見識を承らせていただきました。まさに御指摘の基調に日米経済摩擦の基本が存在いたしますことは御説のとおりであろうと思います。
かつて産業の分野において世界一を数えますと、そのほとんどがアメリカに帰属するというのがつい十年前、あるいは数年前と言ってよろしいのでしょうか。昨今顧みてアメリカのハイテクノロジーを含めまして各産業別に見てまいりまして、アメリカが世界一というのは何なのだろうかということを通産省のスタッフの皆さんとミーティングをいたしたのであります。そういう中で、航空宇宙工学分野の産業が依然として世界一でありますことは自他ともに認めるところである。第二点といたしまして、半導体分野というのがスーパーコンピューターに象徴されますように第一位かな。しかしながら、この半導体の分野、御指摘のように追い越そうという勢いの中にありますし、今日のシンボリックイシューの半導体問題というのは、日本を除く世界各国はメード・イン・USAの半導体を大変なシェアで購入していただいておるのにかかわらず、日本のシェアは一〇%をわずかに超えるところであるというところに差別がある、アンフェアな市場が存在するのではないだろうかという指摘がそこにあるわけでございますが、さようなことではございませんで、日本の半導体業界が急速に技術進歩を遂げまして優秀な半導体が出るようになりましたところに逆に日本半導体が米国及びヨーロッパに売られていくという形に相なりまして、彼我の関係というものはまさに逆転をしておるのかなという指摘、しかしながら今それを言いますと、いたずらにアメリカ側を刺激することになりますから、依然として半導体はまたスーパーコンピューターは世界一の水準である、こう言っておるわけでございますが、実態はただいまのとおりであります。まさにそういうことどもの中で、通信、情報分野において、いわゆるテレコム分野が今スーパー三〇一条の最大の標的にされておるのでありますが、この分野も、モトローラ社製造の小型自動車電話というのは大変性能の高いものということに相なっておりますけれども、これに拮抗するNTT製の電話もあるわけでありまして、その辺の中の競争というのも激烈な戦いに相なってきたなと思います。
そういうことで、世界のトップカントリーでありましたアメリカ産業界は昔日であり、まさに日本がこれに取ってかわり、また優位を占めるに至った。こういう中における日米関係どうあるべきかということが私の総合判断としての認識でございまして、その結果としてもたらされました貿易インバランスがアメリカのいら立ちになるわけであります。かの地においてお聞きいたしましたのは、日本のハイテク産業はまさにアメリカが教えてやった分野である、あるいはアメリカの基礎研究を盗み、それを盗用し、それを応用して製品化し、逆に上陸いたしてきておる。そういう意味で米国の国家安全保障にとり大きな影響を及ぼすに至っており、その影響はソ連の核弾頭にまさるとも劣らないというアメリカ国会上下両院におけるジャパンバッシングの根底の認識といいますか、コンセンサスになりつつあるということは、ゆゆしき問題だなと、政府と国会とは立場が違いますけれども、中間選挙を経てスタートを切りましたアメリカ下院の議員各位、上院の各位がそういう認識に立っておるということどもの中で、これを放置することが貿易国家、産業国家日本の将来にとって大変な危険信号になる。新任のアマコスト大使が言っておりましたが、かつて世界的にアンバランス、インバランスの中でアメリカが袋だたきに遭いそうになりましたとき、我が国の側が調整に乗り出し譲歩をした。今、日本が大変な黒字を持つ国家に相なりました以上、今度はイニシアをとるのは日本の側ではないでしょうか、さはさりながら私はあの無法な、理屈に合わない要求を支持するつもりはありませんがと、大使としても前提はついておりましたけれども、まさに前段申し上げましたインバランスを、黒字を多くため込んだ国の側が協調への歩みをすることによって世界の経済の秩序が保たれ世界の均衡拡大がもたらされるという言葉は、そのジャパンバッシングで感情的になっておることとは別に、一つの進路といいますか方向性を打ち出したものとして、私は感銘深く聞いておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/66
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067・城地豊司
○城地委員 もう時間が半分以上なくなりましたので、若干はしょって申し上げますが、通産大臣が訪米、さらにカナダへ行っておられる四月二十九日から五月八日ぐらいまでの間の日本の新聞は、毎日のように通産大臣の記事でにぎわっておりました。それらの問題の中から、これを新聞だけで見るのではそれは新聞を読んだ知識ということになりますので、特にはしょって幾つかの課題について申し上げます。
まず第一は、通産大臣が大統領と会談され、その後スコウクロフト補佐官に提案をしたと言われる三原則、さらには三つの柱、それで輸入大国へ日本は前進するんだということを表明されたという問題や、さらに半導体など三十四項目をアメリカの通商代表部が報告をした、明らかに経済報復ではないかというようなことで言われたことや、さらに次の問題としては、通産大臣がアメリカ側に高品位テレビの共同開発を提案されたという問題、さらには、これも非常にびっくりしたのですが、日本からアメリカへ輸出をしている塩化チオニルなど四十四品目について、これは全面輸出規制の方針である、化学兵器の素材になるというようなことで、そういう表明を通産大臣がされたというような、これらの問題について、余り詳しくやられていますと、それだけで時間がなくなりますので、要点をかいつまんで通産大臣から御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/67
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068・三塚博
○三塚国務大臣 ただいまの、大統領、スコウクロフト及び要人に会いました際に私から申し上げました三原則は御案内のとおりでありますから省略をいたしますが、簡単に申し上げますが、輸入大国、これは貿易大国は輸入大国でございませんと生命力がございませんから、さような方針を打ち出した。内需拡大を基調といたします。さらに、技術協力、共国技術開発戦略を実践してまいりたい。また、アジア・太平洋発展のための日米協力、アジア・太平洋経済協力構想というのが御案内のとおり出ております。豪州がその中心でありますが、私は米国にも御参加をいただけませんければ太平洋の発展はあり得ない、こういうことで申し上げた中におきまして、大統領からは、大変いい構想であるし賛意を表するがということで一言申されましたことを御紹介しますと、FSXは両国の非常な譲り合い、合意によりスタートを切る。国会の承認を得るばかりに相なったことは大変両国にとっても幸せなことである。しかしながら、経済摩擦が今燃え盛っておる。FSXのような忍耐と協調の中でこれらの問題が解決をされることを両国のために自分は望んでおる。こういうことでございましたので、私は、まさに私も大統領の言われるとおり同感であります、よってカウンターパートであります通商代表部代表、商務長官と忌憚なく意見交換をしてまいるつもりでありますので格段の御助言のほどをと、こういうことで申し上げたところであります。
そういう中で、スコウクロフトさんとの会談になりましてから、第二弾の技術協力という観点で、高品位テレビの開発問題について、私、通産大臣、日本政府側から、御提言をいたしたところであります。NHKが二十五年にわたる研究成果の中で相当実用化に向けて至近の距離まで来たわけでございますが、今日ですらアメリカは日本製テレビで全部覆われておるわけでありまして、やがて二十一世紀は高品位のテレビ時代と言われる中で、またぞろ日本のテレビが米南北大陸を全部席巻をする、ヨーロッパも席巻をするということだけは、このままでまいりますと明確でありますから、そうであるならば、日本が開発したこの分野も、御希望がありますならば日米両国でこれを開発をし、お取り進めをいただく。そして、その結果が、南北アメリカの、政府の支援によるアメリカ企業がこれで豊かな国民生活が保障されるようにすべきであろう。こういう提案を、ギブ・アンド・テークというか、今までアメリカ側から受けた恩恵はこの際日本の基礎研究の中で生まれたものでお返しをいたしますよ、いつも盗んではかりおりませんよ、こういうことを言いたかったわけでありまして、感銘を受けたものと思っております。
さらに、もう一つは、化学兵器原材料輸出規制強化でございますが、まだ世界の中では御案内のとおり火炎の煙が依然として衰えていない地区があるわけでございまして、そういう中で平和国家日本がこれらの化学兵器の拡散防止について積極的に取り組んではまいりましたけれども、さらに推し進める。すなわち現在は十品目の化学物資の輸出について許可制をとっておるわけでございますが、これに加え、さらに四十品目についても同様の措置をとることによりまして、これらの規制強化をすることにより世界平和のために貢献をしたい、こういうことで提案を申し上げ、我が国政府の決意を伝えたところでございます。スコウクロフト大統領補佐官からは大変これに対する感謝のあいさつがありましたし、日本政府がこれに先駆けて行われましたということは大変すばらしいことであり、オーストラリア・グループの会合においても同意を求めておるということなども付言をさせていただいたところであります。
いずれにいたしましても、平和国家日本として、これらの問題に積極的に取り組んでまいりますことが、我が国の姿勢を示すためにも重要なことだということで、でき得るものを提案をしつつ、協調協和の合意の基盤をつくることが我が国の立場かな、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/68
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069・城地豊司
○城地委員 アメリカ、カナダとの関係でまだまだ伺いたいことがありますが、後の方の課題もありますので、はしょって申し上げますが、今回アメリカ、カナダを訪問された、そしてそれに対する国内の各マスコミなんかのいろんな報道を聞いていますと、通産大臣は非常に苦しい約束をしたというような報道も載っております。今伺って、いろいろ考えられた末の、日本国を代表しての発言ということでありますが、これからこの問題はどんどん継続して、一カ月後に答えを出すというその答えの日にちが近づいている。さらには、パリ・サミットに向かって閣僚予備会談ですか、そういうものも五月末から六月の初めにかけてあるということも聞いております。
ただ、今、政情不安で、総理大臣がどうなるのか、日本の内閣がどうなるのかちょっとわかりませんから、ここの場で、六月一日にはこうしてほしいという要請はできませんが、どういう事態になるかは別にして、きょう現在では、そういうこれから一つ一つ乗り越えなければならない課題が、より多くなってくる感じがいたします。日本国を代表して、日本のことだけじゃなくて、アメレカのことも含め、世界全体を含めてやっていくのが我々の生きる道だろうと思いますので、先ほどからお答えになっております。その考え方でぜひとも臨んで、そして我々が少なくともただ単にアメリカの力の前に屈したとか、ただ単に相手がそういうことでバッシングするから黙ってやられちゃったんだというようなことでないようにしていくべきではないかと思いますし、私は、将来的には、日米の関係では、そういう意味での、経済的な問題ではもう少し突っ込んだ、例えば両方の学者とそれから担当が入った相互検討委員会というか、そういうものをつくっていけば、例えば基礎的な問題についてはお互い発表できないものもある、発表できるものもある、問題のところもある、それぞれ資料のとり方が違うというような問題があっても、少なくともそういう点の問題点だけは整理をされる。感情的にこれだからこうだといってやるような問題は解決するんじゃないか。
それらの問題はこれからの課題でありまして、きょうは特別にこういうような研究委員会を持ってほしいというようなことは申し上げませんが、そういうことも含めて検討されることが必要なんじゃないか。よきパートナーとなるならば、それぐらいのところまで踏み込んでやれるような状態をつくらなければ、いつでも政治家は、例えばアメリカの政治家は上院議員でも下院議員でも、日本の悪口を言っていればすべて当選をするというような昨今の状況であったのでは、これはやはりアメリカのためにもならないんじゃないかと思います。現に我々と話をしたそういう人たちは、まじめに一つ一つのそういう資料をもとにして、これはアメリカがこういう点は問題なんだ、これはこうだということを沈着冷静に話をしているわけであって、そういう態度が必要なんじゃないかと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
時間がどんどん過ぎていきますので、先ほど申し上げました貿易保険の問題で、通産大臣がこの中に貿易保険の引き受け弾力化というようなことを申されておりますが、先ほど九百億云々というような話もされました。昨年、貿易保険の改正について本委員会でも取り上げたわけでありますが、この貿易保険の引き受け弾力化の具体策について伺いたいということが一つでございます。
次には、ソフトウエア供給基盤の強化を図るため、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案というものを今回この国会に提案されて、本委員会でもそのうち審議をするということになると思います。私は、通産省が中心になって、労働省なども非常にいいことだというので、すばらしいことだと思います。このこと自身すばらしいことだと思うのですが、これをもって日本のソフトウエアのいわゆる今の悩みが全部解決されるとは思いません。当面非常にいいことですからどんどん推進をしていただきたいという、法案審議に先立って、私自身の考え方を申し述べるのですが、その次の段階を考えないと、二〇〇〇年にはまだまだソフトウエア技術者が不足をしているという現状で、今回の第一弾、非常にパンチがきいておりますが、この次の手を打たなければならないのではないかと私は考えます。それらについて何か考えておられることがあればお聞かせをいただきたいというのが第二番目でございます。
それから、時間の関係がありますからみんな言ってしまいますが、消費税の関係で通産大臣が提案をされております。私は、消費税の関係でいろいろありますが、これは直接的には大蔵委員会の所管であるし、先ほどの討議でも、同僚議員からの質疑でもおわかりのように、問題点はたくさんある。ですから、そのことを今問題にするのも一つの方法ですが、私は、そういう問題よりは、大臣が言われた一番後段の、消費税については特に下請企業や中小小売業等の中小企業者に対してはきめ細かな対策を講じていくというふうにはっきりと断言しておられますが、きめ細かい対策とは何なのだろうか。今、消費税を導入して一番困っているのは、中小商工業者は非常に困っています。例えば外税、内税の関係では、非常に高価な計算機を買わないと一々計算はできませんから、そういうものがばんと出る計算機をかなりの金額を出して一機買い込んだというような話も随分伺っております。そういう意味で、この大臣の言われるきめ細かな対策、全部でなくて結構ですから、こういうところは通産省主導型でやっていくということについてお聞かせをいただきたいと思います。
時間の関係がありますから最後まで申し上げますが、これは通産省と経済企画庁、双方からお考え方があればお聞かせいただきたいのですが、国内の卸売物価が非常に高騰してきている。そして私どもの常識では卸売物価の高騰が消費者物価にはね返る、三カ月とか六カ月とかいろいろな説がありますが、必ずそれは消費者物価にはね返ってくるのではないかと思うわけであります。先ほどの質疑の中では物価は心配ないというお話でありましたが、私はむしろ心配があると思うのであります。例えば一カ月間で一・四%上がっている。一年間で上がるのが一カ月間で上がったとすればこれは大変だと見なくちゃならない。前年同月と比べて二・二%とか、別な数字では二・五%とか上がっている。まさに忍び寄る物価上昇という感じがするわけであります。そういう意味で、非常に警戒すべきではないか、今のうちに何とか手を打たなければならないのじゃないかなと私は思います。公定歩合の関係では、先ほど通産大臣から大体上がらないだろうということでありますが、これもなかなかわかりません。そういうことで、物価の問題について、締めくくりとして通産大臣と経済企画庁長官から、短くて結構ですから、心配ないよ、私に任せておきなさいというのであればそれでも結構ですが、それらのお考え方をお聞かせいただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。
〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/69
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070・愛野興一郎
○愛野国務大臣 物価が一番最後の御質問でありましたが、そのほかは全部通産省関係でありますから、私の方が先に答弁させていただきます。
今委員御質問の、私ども決して今日の東京都区部の消費者物価の対前月、対前年度比にウハウハと喜んでいるわけではないわけでありまして、言うなれば一生懸命に努力をした結果が偶然経済企画庁の試算と一緒になった、こういう受けとめ方をいたしておるわけであります。でありますが、いわゆる物価対策として、経済企画庁と通産省を初め公取、緊密な連携をとって物価上昇の要因をできるだけ抑えつけてきたという努力もまた事実であるわけでありまして、そういう努力を今後とも続けてまいりますとともに、やはり今お話がございました物価に影響のありそうな為替の動向とか原油の動向、あるいは労働力の動向であるとか製品需給の逼迫の動向等々も厳密に目を凝らしながら、今後とも物価上昇の原因にならぬよう各省庁と連携をしてつぶしていこう、こういうような立場、姿勢が、経済企画庁の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/70
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071・三塚博
○三塚国務大臣 ただいまの三点にわたる点につきましては、きょう、政府委員、満を持しまして、貿易局長、中小企業庁長官、機情局長、専門的分野で具体的に申し上げさせていただくといたしまして、私からは、きめ細かな消費税に伴う中小企業対策、予算面で松尾長官から詳しくあると思いますが、要すればその場を通り過ぎればよろしいなどというようなことではなく、揺りかごから墓場までという言葉がございますが、そういう気持ちの中で、全体を通覧をいたしまして、その都度相談に応じながら対応をしていく。言うなれば、レジスターの導入につきましても、御案内のとおりに、ある一定額までは全額助成をするなどの措置も講じましたのは、さようなことでございまして、具体的な点を政府委員からまずお聞きをいただき、最終的に必要があればまた申し上げることといたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/71
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072・棚橋祐治
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
ソフトウエアの人材開発対策につきまして城地先生から御指摘がございましたが、確かに、産業構造審議会情報産業部会の情報化人材対策小委員会の見通しによれば、二〇〇〇年におきまして約百万人近くのプログラマー、システムエンジニアの不足が危惧されておりまして、先生御指摘のように、今回、今国会に、地域ソフトウェア供給力開発事業推進臨時措置法案を提案させていただいておりまして、この法律が成立いたしますれば、百万人近く、その内訳としましてはプログラマーが五十五万人、システムエンジニアが四十万人強、こういう不足を何とが解消できるものと期待いたしております。もとより、この法律だけではなくて、従来からシグマ対策、これも先生のお力を得てここ数年来進めておりますプログラムの開発の高度化事業でございますが、これの地方展開も大いに役立っていくものと考えておりますし、情報大学校構想、現在百二十数校地方において指定をいたしておりますし、各般の技術対策と相まちまして、二〇〇〇年におきます百万人近くの技術者不足は、現時点において何とかこれら各般の対策で賄えるものと考えております。しかしながら、高度情報化社会の到来ですので、人材対策のみならず、なお各般の努力が必要であると考えますので、今後、御指導をいただきながら、いろいろ政策を展開していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/72
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073・熊野英昭
○熊野政府委員 ただいま御質問のありました貿易保険の引き受け弾力化についてお答え申し上げます。
累積債務問題の解決を図るためには、先ほど大臣から冒頭御答弁申し上げましたように、やはり債務国自身が、産業基盤の強化でありますとか、輸入代替産業の育成でありますとか、輸出産業の育成等を通じまして、みずからが外貨を獲得していく能力をつくっていくことが基本であると考えております。
そこで、貿易保険の弾力的引き受けというのは、いわゆるカントリーリスクの増大を原因として大変低調になっておりますところの債務国向けの貿易信用を新たに供与し、あるいは直接投資を拡大することによって、ただいま申し上げましたような債務国の経済発展を側面から支援するものだと考えております。このため、通産省といたしましては、債務国の経済発展に資するような案件につきまして、当該国の政治、社会情勢あるいは経済動向、当該プロジェクトの熟度あるいは経済性といったものを多面的に検討いたしまして、また、保険料率でありますとか、カバーをどの程度するとか、そういった保険設計の面につきましても慎重な検討を行いつつ、ケース・バイ・ケースに引き受けを行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/73
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074・松尾邦彦
○松尾政府委員 消費税に関連いたします下請中小企業あるいは中小小売業等に対する対策の点でございますけれども、私どもは、消費税導入円滑化のためには、一つには先生御指摘のございました納税事務負担の軽減、さらには転嫁の円滑かつ適正な実現、この二点が基本的な対策になろうかと存じているところでございまして、このような消費税導入円滑化のための対策といたしまして、法制面あるいは財政、金融、税制の各面からきめ細かく幅広い対策を講じさせていただいているところでございます。
主な項目だけ申し上げてみますと、日常、行政面の立場からいたしまして、国民や事業者に対する積極的な広報、親切な相談、適切な指導等をもとより基本的に行っておりますほか、法制面に関しましては、共同行為に関する独禁法の適用除外の規定のほか、特に公正取引委員会とも連携いたしまして、下請中小企業へのしわ寄せがなきよう、下請代金法の厳正な運用、かつその運用の強化を図ることといたしているところでございます。
さらに、予算、税制、金融面等から申し上げますと、補正予算と元年度予算を合わせまして六百二十三億円の予算を計上いたしまして、事務負担の軽減に関しましては、小規模企業に対します記帳代行あるいは記帳機械化促進のための低利融資、あるいは税制面からの、先ほど大臣もお述べになられましたパソコン、レジ等の機器の導入に対します全額損金算入のための特別の税制を創設いたしたりしておりますほか、転嫁の円滑化のためには、さらに財政、金融面から、中小小売商業の集客力強化のための対策あるいは価格交渉力の強化のための下請企業対策等の措置を講ずることといたしており、現にそれらの施策の適用を通じまして、消費税の円滑な定着を目指して努力いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/74
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075・城地豊司
○城地委員 時間が参りましたので以上で終わりにしたいと思いますが、状況がどうあろうとも、日本の経済、それから世界の経済は、一瞬の休みもなく動いている。そういう中で、通産省、経済企画庁、通産大臣、経済企画庁長官の果たす役割は非常に重大だと思いますし、また、それらと関連して、当商工委員会が、それらの関連の事項を的確にとらえて、また十分それらに配慮していくことも重要なことだろうと思います。今後、法案の審議だけでなくて、そういう個々の問題、大きな問題、それらを取り上げて そして十分な意思疎通のもとにやっていくことが日本経済の発展にもつながることだと思いますので、そのことだけ付言をし、そして今後通産大臣や経済企画庁長官の御健闘をお祈りして、私の質問を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/75
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076・尾身幸次
○尾身委員長代理 薮仲義彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/76
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077・薮仲義彦
○薮仲委員 私は、通産大臣の所信表明に対しまして、当面する幾つかの課題について、大臣の、また関係局長の、御答弁をいただきたいと思うわけ
でございます。
私がまずきょうお伺いしたいのは、先ほど来いろいろと同僚議員から問題提起がございました日米貿易摩擦の件、特にスーパー三〇一条あるいは一三七七条に関する日本の取り組みのこと、それから原子力発電、あるいはOECD閣僚会議も行われるでありましょう、そこで問題になるであろうと思われる地球環境保全の問題、いわゆる地球温暖化、あるいは先般のヘルシンキにおけるフロン全廃という宣言がなされたわけであります。等々、当面する課題について、通産省の考え方をお伺いいたしたいと思うわけでございます。
まず冒頭、日米の貿易摩擦の件でございますが、御案内のアメリカの包括通商法がいよいよ本格的に運用に入るのかなという段階でございます。これはアメリカにとっては対外通商政策上の切り札のようなものであろうと思います。しかし、その相手国である日本等々にとりましては、関税貿易一般協定、いわゆるガットにおいては無差別多国間主義というのが基本原則でございますが、このことに真っ向から反するような包括通商法であろうと私は思うのでございます。それは確かに日本がねらい撃ちされている感がございますけれども、やはりガットのルールというのは守られていくことが国際社会においては最も大事だろうと私は思うわけでございます。それが今回は、どうやら、これはマスコミの書き方でございますけれども、日本がねらい撃ちされるんじゃないかというような感すらあるわけでございますが、我々はやはり日本の国会議員として、アメリカ側の言い分は言い分として、日本国民、日本の国会ではこういうことが論じられているんだ、日本の国の立場をはっきり言うべきだと私は思うのです。日本が不公正でありあるいは国際社会のルールに反することをやっているのであればそれは是正すべきです。しかし日本は、先ほど来大臣の答弁にありましたように、次期支援戦闘機についても道理を尽くし情理を尽くして話し合って、これは後ほど防衛庁に伺おうと思いますけれども、やっておるわけでございます。やはりこれをただ単に感情的あるいは一方的な話し合いではなくて、冷静に慎重にしかも適切に、しかも言うべきは毅然たる態度で言うべきが、これは私は日本のとるべき態度であろうと思うわけでございます。
大臣が今度訪米なさっていろいろ御苦労なさった点については、その労は大変多とするわけでございますが、基本的にこの問題についての大臣のお考えを冒頭お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/77
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078・三塚博
○三塚国務大臣 薮仲委員申されますとおり、国会、政府は、その国の利益のために、またその国民の幸せのためにというのが第一義であります。そういう彼我の立場をお互い尊重し合いながら話し合いを進めるというのが基本でございまして、アメリカといえども無理難題を聞く耳は持たないわけであります。そういう中で、今回訪米しておる中における私の基本的なスタンスも、まさに正すべきは正す、しかしながら協定は協定、約束は約束、こういうことを基本としてオープンな話し合いをしてまいりませんと真の友情は成り立たないという基本的な認識を申し上げ、相手方もそれは当然である、こういうことで話を進めたわけでございまして、まさに自由貿易、両国関係のフレームワークを話し合いましょう、信頼のベースを傷つけない形で基本的な哲学を話し合いましょうと言いましたのはそのことであります。
さはさりながら、インバランスがふえていく中のいら立ちで個別問題がこう羅列される中で、一つ一つの個別問題を両国の責任者たる通産関係大臣が協議をするということで深みにはまることだけはやめましょう。まさに事務方で個別問題はお話をしていただき、どうしてもらちがあかぬというのは上げていただいてあなたと私がと、モスバカー商務長官に対してはそう申し上げました。ヒルズ代表にもそう申し上げたところであります。そういう中で、私の側からも、我が国の立場、今日まで誠実に実行してまいりました、しかしながら新たな提案としてなされておる問題についてはいかなる問題か、こういうことで、お聞きをすることにはやぶさかではない、こういうことでありまして、専管事項たる半導体については相手の出方がそれなりにわかっておりましたから、私どもは私どもとして基本的な構築をしてまいりました。テレコム、いわゆる自動車電話等は郵政の専管でありますから、MOSS協議において協定が行われた上で新たな提案ですか、こういうお話を申し上げ、新たな提案ではないが不公正である・チャンスが平等でない、こういう言い方でありましたから、帰りましたらそのことはしかとお伝えを申し上げましょう、こう申し上げたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/78
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079・薮仲義彦
○薮仲委員 米政府、いわゆる通商代表部、USTRでございますけれども、いわゆる貿易障害年次報告が四月二十八日議会に報告されたわけでございますし、また、ただいま大臣もお話しになられましたように、包括通商法の中の一三七七条、電気通信条項があるわけでございますが、それに関しても、お話のようにいわゆる不公平、不公正があるということで向こうは取り上げてまいりました。大臣も確かに、フレームワークをおつくりになるということは、そうであろうと思うのです。しかし、具体的なことで泥沼にはまらないとは申されるものの、スーパーコンピューターについては、新聞の報ずる限り大臣の御発言があったように我々は承知いたしております。そうしますと、大臣もやはり我が国の中で寝られぬのじゃないかな。マスコミにおいては巷間いろいろなことを挙げておりますけれども、ここまで来ますと、いよいよ公聴会を経て品目が確定するわけでございます。やはり通産省もそれなりに、ここへ来るな、ここへ来るななどという、対応が全く今ありませんというのであればこれはいかがかと私は思うわけでございまして、わざわざアメリカに乗り込み、そしていよいよスーパー三〇一条が公聴会を経て来るわけでございますから、大体この辺に来そうだなということは、大臣はどの辺をお考えになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/79
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080・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 アメリカ政府内部に経済政策閣僚委員会、EPCというのがございまして、先週以来ほぼ毎日開いているようでございます。今週に入りましても月曜日、これはブッシュ大統領もお出になったようでございますけれども、開いておりますが、向こう時間で月曜日終わった段階でまだ外に対する発表は行われておりません。新聞紙上等でいろいろな報道はございますけれども、アメリカ政府は正式にまだ何も発表していないという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/80
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081・薮仲義彦
○薮仲委員 そういうことだと思うのでございますけれども、では逆に、大臣が今まで同僚議員の質疑の中でお話しになった中で、スーパーコンピューターであるとかICの問題であるとか、次期支援戦闘機だとか、まあこれが該当するということではございませんけれども、巷間言われている問題については、やはり一つ一つここで明らかにしておいた方がいいと思うのです。我々は野党でございますから、きちんと政府の対応についても、国民の側から、日本の国民はこう思っているのだ、それは行政府は、通産省はそう思っているかもしれないけれども、必ずしも国民がそれを大方の合意として持っておるかどうか。そういう意味でこれは私はきちんと申し上げたいわけでございますけれども、私はアメリカの通商代表部の認識が、我々から見てこれは冷静であり公正で正しい認識に立っているとは余り考えられない、スーパーコンピューターに限って言うならば。
大臣はどういうふうに御認識かお伺いしたいわけでございますけれども、確かに大臣の言うように、我々は不公正がある、認めるものは認めるべきですけれども、これはやはりきちんとルールづくりをしておくべきだと思うのです。これは一九八七年に取り決められたスーパーコンピューターに対しての合意というものは、我々が知っている限り、購入の手続の透明化を図る、こういうことだったと思うのです。これは下手におやりにならない方がいいと思うのです。今、日本の国の政治がこれだけ汚染されているのは何か。あしたはいろいろと国会の中が騒がしくなるでしょうけれども、あれもクレイ社のスーパーコンピューターに端を発しているのです、リクルートというのは。余り政府や行政が介入してくると、ロッキードにもあるとおり好ましい結果は、後で何だかんだということになってきて、国民は余り商業ルールについて、コマーシャルベースできちっとここに言われるように政府がお決めになったのは私は正しいと思う。購入手続の透明度をきちっとしておけばあとはいいと思う。いわゆる向こうがアカデミックディスカウントと言いますけれども、ではアメリカのコンピューターメーカーが公的な機関あるいは学術研究機関に無償でコンピューターを提供した経緯はないか。少なくとも我々の持っている情報の中では、一台目は無償にしましょう、二台目は有償で買ってください。これと、我が国が例えば教育機関のためにアカデミックディスカウントをして国民が反対するか。やはり国民の税金で、例えば国立大学でも研究所でも我々の税金で買うわけでございますから、民間のメーカーがダイナミックに安くしてくれる、アカデミックに安くしてくれるということは我々としては当たり前である。これはもちろん大臣だって、政治家であるならば、例えば地元の御自分の御出身なさった小学校あるいは中学校、高校、大学、そこへ何かを寄附しましょう。子供たちのために、二十一世紀のために、よりよい青少年の将来のために寄附行為というのは当然あるわけです。何にもおかしくない、これは。社会の中で当然あるべき慣行である。アメリカだってあります。日本が不公平なんてことは私はあり得ないと思います。
私は通産省に伺いたい。スーパーコンピューターは、公的機関、民間を問わず、アメリカのスーパーコンピューターが日本へ何台入っているのか。日本のスーパーコンピューターが、日電だって富士通だって日立だって立派なスーパーコンピューターを持っています。アメリカ側が何台日本のスーパーコンピューターを購入しているのか。まずそこをちょっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/81
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082・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 正確な数字は手元にございませんが、日本の購入は政府機関、民間を含めまして十五、六台だったと存じます。アメリカで購入されている日本のコンピューターは、恐らく数台にすぎないだろうと存じます。ちょっと正確に存じませんで申しわけございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/82
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083・薮仲義彦
○薮仲委員 公的機関では、ありますか。アメリカの公的機関で、日本のスーパーコンピューターを買った例がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/83
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084・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 ないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/84
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085・薮仲義彦
○薮仲委員 これは公平なんですかね。不公正なんですかね。もっと冷静に私は考えてもらいたい。
また、関税はどうなっていますか。日本とアメリカのスーパーコンピューターの関税はどうなっています。―そういうところを局長さんが知らないで、公正だ不公正だと言ったってしようがないじゃないですか。日本はゼロのはずですよ、日本へ入ってくるのに。日本がアメリカに売れば、これは少なくとも三・九前後はかかっていると思いますよ。今こういう日米通商摩擦の衝に当たっている通産省の中で、スーパーコンピューターが果たして公正なのか不公正なのか、どういう台数が行ったり来たりしているのか。あるいは性能的には日本がはるかに劣るのか、ならば私はこれはやむを得ないと思いますよ。しかし、ソフトの面では確かにクレイ社のソフトはすぐれています。しかし演算能力やなんかは、その演算能力のスピードでいったら日本のコンピューターは決して劣っておりませんよ、それはソフトでおくれているわけです。それは民間がお求めになるのは、当然公平な競争原理に基づいて、価格の問題も見て、購入していらっしゃるのだと私は思うのですよ。そうしますと、スーパーコンピューター一つとっても決して日本は不公平なことは、あるんですか、局長に伺いますけれども、日本は向こうのコンピューターを導入するについて、クレイ社のコンピューターを導入するについて、何かいわゆる障壁になるような不公正なことをやっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/85
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086・三塚博
○三塚国務大臣 その前に、これはシンボリックイシューの三つのうちの一つで、USTR貿易障害年次報告対日関係部分において、三項の政府調達の部分で第一順位にスーパーコンピューター、こういうことで、いわゆる政府調達。先ほど薮仲委員が言われましたが、アメリカのスーパーコンピューターメーカーが、学術関係、言うならば大学その他研究機関、まあ政府機関でありますが、これに売りますとき、一台が無料でということを言われましたが、不敏にしてその話は聞いておらぬわけで、アメリカ側との話でも、もしそういうことがあれば私どもはきちっと言う話であります。言うならばアカデミックディスカウント、学術的な値引きという意味で我が国の場合は八〇%ないし八五、こういうことなんですね。アメリカ側は、調べてみましたら、四〇ないし六〇、アカデミックディスカウントというので行われております。彼我の関係が違うのではありませんか。ですから、ディスカウントの仕方がそんなに違うのでは。かの国はクレイのスーパーコンピューターは世界一だと思っております。演算能力が一番速いということで世界一、こういうことなんですが、この世界一が入らない理由は、日本政府がそこで入らないような仕組みをしておるからである、言うなれば片やディスカウントというのは予算措置の上で大蔵省がそれしか予算をつけないからさようなことになっておるのではないか、明らかに政府がそこで安い買い物をして我が国のコンピューターが入らぬようにしておるのではないか、こういう指摘であります。
本件は、国立大学はまさに文部省であり、それぞれの研究機関はそれぞれの省に所属をしてあるわけでございますから、我が省だけの所管でないことにかんがみ、貴政府がさようなことを言われておることについて私はしかと承った、よって帰国後、本件について各政府機関どのように相なっておるのか、非常識な点があるとすれば常識のラインまで引き戻す、こういうことだけは私も閣僚の一人として、党の幹部の一人としてお約束は申し上げる。やはりお互いの公正な取引において初めて成り立つわけでありますから、不公正な部分があれば、いわゆる非常識な点があれば、そうしますよと。絶えず私が申し上げましたのは、正すべきは正す、しかし常識のラインということであれば、それはお互いの競争原理の中で行われることでありますよと。そういう意味で、イエス・オア・ノーを明確に、月末までその報告を、政府として所管外のことについてもアドバイスをしてまいりましょう、こう申し上げたのはそこであります。
言うならば、日米関係に限らず、日欧にいたしましても、だめな問題をあれやこれや言って長く延ばせば延ばすほど、これはアウトになるわけであります。私が申し上げたのは、帰ってきてからも逆さに振って鼻血も出ないのは直ちにノーのはずだ。これは一つ原理であります。それで交渉をやればそれがまとまるというのであれば、そういうものは早目に結論を出していくことの方が正解ではないか。また同時に、相手国の開発努力、研究努力また販売努力が足らなくて売れないというのはあなた方の責任ですから、あなた方の今後の努力を私は強く要請をいたします、そのことで我が国に不公正な問題があるということであるならば御指摘をいただきたい、こういうことで申し上げたところが、シンボリックイシューという三つの問題が提起をされたということであり、その他の細々としたものをたくさん言っておりましたが、これは事務レベルで検討すべき問題で、閣僚同士がやる話ではなかろう、こういう基本的スタンスをやらさしていただいた、こういうことであります。その辺の御指摘は大変重要な御指摘でありますから、政府委員をして直ちに取り調べをさせていただきまして、あるならこれまた驚きでありますから、アメリカ側に、あなたのところは一台ただで政府機関にやっているんじゃないか、何をばかなことを言うかと、私は直ちにこれは反論すべき点でありますから申し上げる。八五%と一〇〇%ただとはまるっきり違いますから、一五%も。これでは話にならないじゃありませんか、それは確実に申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/86
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087・薮仲義彦
○薮仲委員 局長に伺いますけれども、私は決して、公的な政府間調達については、大臣が長々と御答弁なさいましたけれども、それはわからないわけじゃない。決して私は反米でも何でもない。ただ日本の国民として公平な立場で物を言うならば、後ほど具体的に日米貿易インバランスの問題はやりますけれども、日本が今調達できるもの、アメリカが比較優位に立つもの、そんなにないのですよ、後ほどそちらからいただいた資料をもとにまた論議を詰めますけれども。少なくとも先ほど来大臣のお話しのように比較優位に立っているのはスーパーコンピューターであることはだれしも認めるのですよ。今の御答弁の中にありましたように、そういう日米間のインバランスを解消するために何とか政府で調達できるものはしよう、そういう意味で努力しようということは、国際社会において当然日本がそれだけの責任を負わなければならない、その意味は私十分理解できるのです。ただ、このことを不公正があるという言い方をされて屈することはないと私は思うのです。本当の信頼というのは、あなたの苦しい立場あるいはあなたの方でこれを提供したいということはわかります、だから今大臣言われたように、政府間の調達は何とか我々も努力しましょう。国民だって、これは、ああそうでしょうねとわかるのです。
ただ、民間のベースで、あるいは日本の国が言われるような不公正な、不透明なケースが存在しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/87
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088・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 大臣が基本的考え方を申し上げましたけれども、例えばスーパーコンピューターのアカデミックディスカウントの議論、これはそういう英語がございますということは、向こう側にも……(薮仲委員「民間のケースで言ってください、公的はもうわかっている、時間がないんだから」と呼ぶ)同じビジネス慣行のお話を申し上げようと思っていたわけですが、アメリカがいわゆる不公正という議論をする場合に、ビジネス慣行の違いという議論をするわけです。私どもは、アメリカのいわゆるビジネス慣行が、これが正しい公正なものであって、それと違うものが不公正である、こういう考え方は非常におかしいのではないかということを従来から申し上げているわけでありまして、今のアカデミックディスカウントも、今比較して大臣も申し上げましたとおり、差があるわけです。向こう側がやっておりますディスカウントのやり方と日本側のディスカウントの違いがある。これはやはり相互に理解を深めるということが基本的に重要ではないかということで、本件についても事務レベルでは十分お互いの制度を持ち寄って協議をしよう、こういう議論をしているわけであります。
同じように、民間につきましても、例えば系列という議論をするに際しましても、私ども普通、修繕とか補修とか必要なものは系列というのは生ずるわけでありまして、基本的にはそれぞれの慣行があるということを認め合うべきではないかという議論はしているわけであります。
〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/88
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089・薮仲義彦
○薮仲委員 結局、慣行以外は何もないということでしょう、簡単に言えば。言いたいのは商慣行の違いということですね。例えば何か日本の国が入れるのに向こうのコンピューターは買わないというような障壁がいわゆる障壁として報告されているのですから、障壁という意味での。今のは商慣行ということでしょうけれども。だって、きょうの新聞をごらんなさいよ、民間がちゃんとクレイ社のスーパーコンピューターを購入すると書いてあるじゃないですか。あれは民間はクレイ社の持っているソフトが優秀であれば買うのですよ。ハードの面もありますけれども、我々がパソコンを使ったってやはりソフトにどういうものがそろっているかというのは重要な問題なんですよ。優秀なソフトを持っていれば、民間の方はそれだけの専門的な知識で価格の問題やすべてを精査した上で、クレイ社のものを購入しましょう、これは私正しい判断だと思うのです。その中でちゃんと入ってくるのですから。今おっしゃられたように民間あるいは公的機関を通じてアメリカからどんどん買っているわけですから。
例えば平成元年度アメリカから入ってくる輸入のトップは何ですかと通産省に聞いたら、何て答えますか。推計でいいですから、ちょっと言ってください。品物だけでいいです、長々答えなくていいから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/89
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090・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 コンピューターでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/90
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091・薮仲義彦
○薮仲委員 そうです。今年度の入ってくるトップはスーパーコンピューターなんですよ。その前もそうですよ、トップではありませんけれども、ちゃんと上がってくるのです。日本はアメリカからスーパーコンピューターを輸入するのに、スーパーコンピューターという項目は上位の五番の中に入ってくるのですよ。御存じでしょう。ということは、決して言われるような不公正ではないでしょう。このことは日本の国としてきちっと理解をして、国民の前にもしっかりしておいてもらわないと、必ずしもマスコミの報道だけで我々が認識するときに、日本は何か卑屈になったり、そういうことじゃないと思うのです。きちんとした商ルールのもとに、それは商慣習というのはあるかもしれません、しかし常識の範囲内での商慣習以外には日本の国には存在しないですよ。公的機関においておやりになることは、私は先ほど、寄附という行為もあるから当然でしょう、こう申し上げるわけです。
このことばかりやっていますと次の問題へ行けませんから……。
例えば先ほど大臣がFSX、次期支援戦闘機の問題や通信機の分野の問題等も挙げられたわけでございますけれども、本来これは二国間協議において解決を見てきたケースだろうと思うのです。特にモトローラ社、昨日代表がお見えになったようでございますけれども、モトローラ社との通信機分野の問題が不公正がある、これは我々が知っている限り日本とアメリカはMOSS協議できちんと自動車電話をめぐる合意は得ているはずだと私は思うのです。
郵政省来ていると思うのですけれども、これはMOSS協議で合意してないのですか。また、合意内容はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/91
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092・青木和之
○青木説明員 今回米国側は自動車電話について新たな周波数の割り当てや第三者無線について手続の簡素化を要求してきたところでございますが、これらの要求はいずれもMOSS協議の合意を超える新たな要求だというふうに我々考えております。郵政省といたしましては、MOSS協議の合意どおり忠実に、郵政省令を改正などいたしまして、米国系企業が提供する自動車電話システム等を日本市場に導入できるよう措置しているところでございます。
そういったところで、今回の米国の制裁に係る決定は一方的なものと言わざるを得ないということで極めて遺憾に思っておるところでございます。郵政省といたしましては、我が国がMOSS協議の合意を誠実に遵守しており違反の事実はないことの理解を求める所存でございます。それとともに、MOSS協議の合意を超える新たな要求にりきましては、自動車電話用の新たな周波数の割り当てには応じがたいといったことなどを重ねて理解を求めながら、先方の動向を見きわめつつ、電気通信の所管省として適時適切に対応してまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/92
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093・薮仲義彦
○薮仲委員 ただいまお話しのとおり、私もMOSS協議でこのいわゆる自動車電話については合意するというように理解をいたしております。そのMOSS協議の合意というのは、今お話のあったように、新規参入の機会を増大するといいますか拡大する、それから、いわゆる技術の基準の設定、あるいは周波数をちゃんと分配します、こういうようなことで日本とアメリカの間では電気通信分野は確かに合意していたと私は思うのです。今度向こうから言ってきているのは、今お話のあったとおりMOSS協議を超える部分で言ってきている。これは私はやはり日本の国としてもきちんと対応していただきたいと思うし、我々が承知している限り、このMOSS協議を超える、例えば私は静岡です。静岡はまだございませんけれども、例えば名古屋の方に聞いてみましても、名古屋でモトローラ社の新しい機種のサーピースを受けるわけでございますけれども、名古屋の人がだんだん東京へ走ってくると電話機が使えないんじゃ困る。これはいわゆるローミングと言いますけれども、ローミングの問題も、日本の国は、モトローラ社の言うとおりにローミングもNTTとアクセスしているわけです。
今向こうがさらに言ってきているのは、マイクロタックを使わせろ、電波をよこせ、こう言うわけです。しかし、日本の周波帯というのは、もう御承知のように使える周波帯というのはそんなにないわけで、決して日本はアメリカに周波帯で嫌がらせをやっているわけじゃないと私は思うのです。これはもうここにいらっしゃる通産省のお歴々の局長さんたちも百も御承知。いわゆる八百メガヘルツのバンドの中で実際使っているのは八百十から九百六十まで、自動車電話は往復ですから、この周波帯はいっぱいなはずです。幾らくれと言ってもなかなか上げられない。しかも移動電話の場合は最低十メガぐらいのバンドがないと困るのじゃないのか。こういうことは専門家ならだれしもそうだとわかっていることです。それを、こう言ってくると、何か日本は不公正で障壁があるととられることは、まことに心外なのです。これから技術的にいろいろ研究なさって、それもクリアなさると思うのでございますけれども、郵政省、今私が申し上げたことは間違っていますか。バンドをやるということは、私は非常に慎重であり大変であると思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/93
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094・青木和之
○青木説明員 御指摘のように八百メガヘルツ帯と申しますところは、特に自動車電話用として利用可能な周波数帯は現在のところ満杯でございまして、新たに割り当てるということは不可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/94
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095・薮仲義彦
○薮仲委員 こういうわけで、モトローラ社の指摘に対しても、日本の国は決していじわるなんかしません。最大限の努力をしてきているわけです。ただし、向こうの言うように東京が自動車電話の加入のほとんど六割だという言い分は私はわかるわけでございますけれども、それは、これから幾らでも、話し合いの中で努力しているわけであって、一方的に制裁というような事柄には該当しないのではないか、基本的に私はこう考えるわけです。
また、きょう防衛庁もおいでいただいているのですけれども、私は専門ではないのでよくわからないのですが、次期支援戦闘機というのは、これから十年ぐらい先に日本の重要な防衛の役割を果たす主力となる戦闘機であろうと思うわけでございます。私も先ほど来申し上げましたように、基本的に日本とアメリカの信頼関係、友好関係は非常に大事だと思います。しかも、日米安保体制という枠組みの中で日本の平和が守られているのだ、このことも私は十分認識をいたしておりますし、非常に重要だということも十分踏まえた上で、それならば、次期支援戦闘機について日本は何か不公正であったのかという意味で防衛庁にお伺いしたいわけでございますけれども、その前に、まず、仮に日本のすぐれたハイテク技術あるいは今まで蓄積した工業技術によって、日本が自前で次期支援戦闘機をつくることはできないのかどうか、この辺のところはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/95
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096・首藤新悟
○首藤説明員 確かにFSXにつきましては、防衛庁といたしましては、エンジンを除きまして基本的には我が国の航空機技術を用いましてFSXの国内開発は技術的に可能であるというふうに判断いたしまして、それゆえにこそ選定過程におきましては、外国機の導入案、現在保有している戦闘機の転用案と並べまして、新規自主開発案というものも含めて検討した次第があるわけでございます。結果的には、六十二年十月に至りまして、防衛庁としましては、我が国の運用構想あるいは地理的特性等に適合するように、我が国が主導権を持って、そのもとで日米のすぐれた技術を結集して、アメリカのF16を改造開発する案が我が国にとりまして費用対効果あるいは取得の確実性といった観点から最も適切なものであるという結論を得まして、同年十二月の安全保障会議におきましてもそのような結論をいただいたという経緯があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/96
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097・薮仲義彦
○薮仲委員 基本的には日本でエンジン以外はできますよ。我々は専門家ではありませんからわかりませんけれども、いわゆるブラックボックスといわれる、操縦桿の翼の上げ下げというのですか、そういう部分は、操縦性能については向こうは特に秘密を要するところであろうというようなお話は伺っておりますが、さはさりながら、これで私も余り時間を費やしたくないし、この問題をどうのこうのというわけではございませんけれども、先ほど来大臣もおっしゃられたように、政府ができる努力は多少我々は我慢すべきかなと私は思っております。次期支援戦闘機も、確かに日本の国でできる、決していじわるとかなんとかではなくして、私は日本とアメリカの両国が好ましい間柄の中で、しかも納得できる、これならいいなという方向で、向こうが何割、こっちが何割という話もあるかもしれませんが、やはりアメリカとして比較優位に立てるのは航空機、スーパーコンピューターというふうにだんだん絞られてきているかもしれませんし、そういうようなことで、このFSXについても、不公平ということではなくして、好ましい信頼関係の中で結論を得ていただきたい。決して日本の国には不公正や障壁ということではなくて、あくまでも信頼関係と合意の上で好ましい結果を得ていただきたいと思いますが、防衛庁いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/97
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098・首藤新悟
○首藤説明員 FSXにつきましては、長い経緯がございまして、累次の日米防衛首脳会談、それから専門家における検討、こういったことを踏まえまして、最終的に日米政府当局ともにこのF16の改造開発がいいということで進んでまいりまして、昨年十一月にも政府間で交換公文あるいは細目取り決めを締結してきておるわけでございます。そういう経緯がございまして、この共同開発は基本的により健全な日米防衛協力関係を進展させるということができる観点からも重要なものと考えております。今後、日米間の既存の取り決めに従いまして、本開発が円滑に進展し得るように、我が国としてましては米国が適切に対処していくことを期待しておりますし、また、今後このFSXが円滑に開発し得るように努力してまいりたいというふうに存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/98
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099・薮仲義彦
○薮仲委員 次に、通産省にお伺いしたいのですけれども、言われる不公正のもう一つ、最近は大分熱が冷めてきたようでありますけれども、ICについて確認をさせていただきたいと思います。
よく言われるように、アメリカ側は日本がシェアについては二〇%ということを約束したではないかというようなことが巷間よく報道をされております。これは明確にお伺いしたいのでございますが、国としてICについて二〇%のシェアを約束したのかどうか。約束上、して、やらなければ、これは私は確かにペナルティーであろうかと思うわけでございますが、その点が第一点。
それから、ICに関して日本の市場に、開放に関して何かICを入れない不公正な障壁があるのかどうか、これが二点目。
三番目に、私は、このICに関していろいろな方の御意見を伺いますけれども、日本が必要としているICのメモリーは、汎用、民生用のレベルのところで一番使われる。特に家庭用の電気器具あるいはいろいろな商品があるわけでございますが、非常にそれは汎用品として、いわゆる民生用として日本としては一番使われる。アメリカの持ってくる品物が、そこの一番使いたいところへ合致しないのじゃないか。日本の国の一番欲しいところヘアメリカの製品が入り込んでくるということであれば、私はシェアは拡大できるんではなかろうかと思うわけでございます。
先ほど商慣習と言いましたけれども、日本の国にはまた一面品質管理があります。不良に対しては厳しくチェックする、これは私あってしかるべきだと思うのです。特に自動車にしたって、最近余り言われなくなりましたけれども、ICの誤作動によって暴走するというようなことになればこれは生命にかかわってまいりますし、IC等の品質管理の面で、厳しい、エラーが少ないということは、ICにとって非常な生命線であり、エレクトロニクスの分野においては担保されなければならない重要なことであって、これは商慣習とか不公正という問題には私は当たらないと思うわけでございますけれども、ICに関して日本は不公正なことがあるかどうか、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/99
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100・水野哲
○水野(哲)政府委員 お答え申し上げます。
まず第一の二〇%の約束ないしはそういうシェアの保証といったものがあるのではないかという点でございますが、これは全くございません。私ども何度も御説明を申し上げ、アメリカにも説明したとおりでございます。
それから、第二点目の、日本の市場にはなかなかアメリカ製品が売れないような制度的なものがあるのではないか、こういう御指摘でございますが、これも、実は先週もアメリカのチームが参りましていろいろと議論をいたしたところでございますが、現実に日本の半導体市場におきまして、アメリカのよい製品はそれなりにシェアを上げております。そういう意味で、日本の市場に制度的な制限といったものはないと私どもは信じております。
それから、三番目の、いわゆるミスマッチという議論でございますが、日本の半導体の需要構成は、先生御指摘ございましたけれども、民生用の需要というものが、シェアとしては少しずつ落ちつつはありますけれども、トータルとしてまだまだ大きゅうございます。アメリカはそういった民生用の半導体の供給力というのは比較的小さいわけでございまして、そこが日本の市場とアメリカの供給との間にミスマッチがあるのではないか。したがって、アメリカも、日本の市場によりアプローチをしたければ、そこを努力すべきではないか、こういう議論が私どもの議論の中の重要な項目として一つございます。
総体として、御指摘ありましたように不公正はあるか、こういうことに関して言いますと、私どもはないと思っておりますが、これは日本側の努力、アメリカ側の努力、そういうことによって日本市場におけるアメリカ製品あるいは外国系の半導体のシェアあるいは販売額を極力上げる、こういう努力をするということが協定の趣旨でございますので、日本側としてはさらにさらに努力を重ねたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/100
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101・薮仲義彦
○薮仲委員 私は、アメリカに情報をもっと提供して、向こうが商売しやすいようにしてあげるという努力は重ねていただきたいと思うのです。これは私がここで申し上げるまでもなく、日本のIC産業というのはもう総合的な企業でございますから、自分のところでつくったICをすぐ、電話機であろうとテレビであろうと、あるいはワープロであろうとコンピューターであろうと全部使えるわけです。ですからICと製品との間に非常にうまくマッチするわけでございますが、アメリカの場合は御承知のようにICメーカーはICしかつくっておらぬのです。そういうような向こうの企業の特殊性もあるのかなと私は感じておりますし、それならば、こういうICのメモリーをつくりなさい、これならば日本の企業が使えますというような情報提供は、これからやってあげることが両国間の好ましい関係の中で必要であろうと私は考えます。
それから、もう一点、これは新聞に出てくることでお伺いしておきたいのは、今度は、これは先ほど来大臣も局長もおっしゃっておるように、まだ対象品目も決まってないわけでございますが、新聞等の報道の中で木材というのが出てまいります。木材について何か不公正なことが日本の商慣行の中であるのかどうか。その前に、一九八七年日米の輸出入の中で日本の国がアメリカから輸入した木材、上位からいったら一九八七年は何番目であったか、そしてシェアは、シェアというのはアメリカが世界へ輸出しているシェアの中で日本の国はどれほどアメリカから木材を買っているか、ちょっと数字を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/101
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102・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 木材の米国側の統計でございますと、製品別では昨年八八年では第三位でございます。シェアにつきましての数字は、昨年のはまだございませんが、一昨年でございますと約六八%、全世界に対する輸出の六八%が対日輸出、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/102
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103・薮仲義彦
○薮仲委員 私は一九八七年と申し上げましたよ。年号で申し上げています。
これは木材が二番目なんです。おっしゃるように、上位二番目で、アメリカの全輸出量の六八%は日本が買っているわけです。不公正があったら決してこんなにアメリカからは買ってないと私思うのですが、木材を輸入するに関して日本が何か不公正なと言われるようなことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/103
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104・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 木材は四分野のMOSS協議の中の一つとして実施されておりまして、実は私どもその担当をしておりませんが、私ども通産省が聞いている限りにおきましては、関税の問題は従来非常に大きな課題だったと存じます。これにつきましては、日本政府はその後相当の努力をしているように私ども理解しておりますが、それ以外に関税分類上の問題がある、それから建築基準法上の問題があるやに聞いておりますが、詳細はちょっと私存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/104
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105・薮仲義彦
○薮仲委員 私は確かに関税分類法の問題等はクリアできると思うのです。また建築基準法については、これはやはり向こう側に日本の木造建築というものの立場から理解をしていただく必要があって、これは日本の国の国内法でできていることであって決して不公正な取り決めではないと思うのです。そういう意味で私は、粘り強く話し合っていけば、日本の国が、日本の政府が、通産省があるいは農林省が、郵政省があるいは防衛庁が、不公正なことをやっているということの誤解をこの際真剣に取り除いていただいだ方がいいのではないか。そのことが私は本当の意味での友好関係であり、好ましいこれからの日米関係であろうと思うのでございます。
外務省にちょっとお伺いしたいのですけれども、日米貿易のインバランスというのは、その解決の決め手は、一番お困りになっていらっしゃると思うのですが、どうすればいいとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/105
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106・河村武和
○河村説明員 お答え申し上げます。と申しましても、先生の今申されました御質問は非常に総合的な問題でございますし、かつ全省庁が挙げて考えなければならない問題でございますので、私が申し上げられますことは一般的な考え方をお述べするということにとどまらざるを得ないことを御了承願いたいと存じます。
まず基本的な認識といたしまして私たちが考えておりますのは、日米両国の経済というものは、相互依存関係を非常に深めておるということでございますので、極めて密接な関係がございます。その結果、種々の貿易摩擦が生じてきているという側面があるというのが基本的な認識でございます。特に現在米国が我が国との貿易摩擦を問題にしている背景には、一つには日米貿易インバランスが、昨年は改善を見ましたけれども、依然として非常に大幅であるということ、それから第二番目に、アメリカの行政府といたしましては、議会が成立させました包括貿易法の規定に基づきましてあらかじめ決められました日程、カレンダーに従って一定の対応をしなければならないという法律上の要請が存在しているという、この二点が最近の貿易摩擦激化の背景にあるかと存じます。
基本的には、世界経済のインフレなき持続的成長というものを達成し、不均衡を是正するということのために、世界経済の責任を負っております枢要な二国でございます日米両国は、やはりマクロ政策の協調というものを推進していくことが重要でございまして、我が国としましては、これは国際的にも要請されておりますとおり、引き続き内需主導型の経済運営を行っていくということが不可欠だと存じますし、米国に対しては財政赤字削減というものを引き続き強く要請していきたいという考え方でございます。あわせまして、両国国内におきまして一層の構造調整を進めていかなければならないと考えております。
いずれにしましても、これは先ほどから先生も強調しておられますとおり、良好な日米経済関係を維持発展させていくという観点から、日米両国がお互いに抱えております問題につきましては、やはり冷静に対応をし、対話と共同作業というものを通じまして問題解決を図るよう努力していかなければならない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/106
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107・薮仲義彦
○薮仲委員 通産省にちょっとお伺いしたいのですが、日米の輸出入品目の主力製品、もう時間がないですから、数もはしょりますけれども、アメリカが日本の国へ輸出している上位から五番目まで、これは年度も切ります、一九八七年、上位五番目までの品目だけで結構です。それから、日本がアメリカへ輸出している一九八七年の一位から五番目までの品目、ちょっと言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/107
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108・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 米国の商務省側の統計の品目分類で申し上げますと、米国の対日輸入ベストファイブは、第一位乗用車、その他の自動車が第二位、音響機器第三位、四位通信機器、第五位自動車部品でございます。それから、米国の対日輸出品目でございますが、航空機等、木材、トウモロコシ、事務用機器部品、肉類、こういう順番でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/108
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109・薮仲義彦
○薮仲委員 これは十位まで挙げましても品物は大体想像できるようなところでございまして、今挙がってまいりましたように、日本から出てまいりますものは乗用車、音響機器、通信機器あるいは自動車部品、こういう鉱工業製品がどんどん出ていく、ハイテクノロジーの製品が出ていく。アメリカから入ってくるのは木材、トウモロコシ、肉類が上位五位の中で三つなんです。これはどうしてもコスト、値段の面でいつまでたってもインバランスはこういう品目であっては解決しないのかなという懸念すら抱くわけでございまして、日本とアメリカの間でこれをどうするかということを単にスーパー三〇一条あるいは一三七七条を発動したところで決してこれは、確かにその品物は入ったかもしれませんけれども、このインバランス自体を根っこのところから双方が笑えるような解消の仕方にはなかなかいかないのではないか。
そうなってまいりますと、これは通産省としても何をどうすればいいのだ、アメリカから一体何をどうすればいいのか。もうこれだけの日本の国になってまいりますと、やはり国際社会の中で責任を持たなければならない、先ほど来のお話のとおりでございまして、やはり日本の持てる経済力あるいは技術力、そういうものをしてもアメリカからなかなか買えるものが少ない。そこのところではっきりしておかないと、これは法律で、あるいは感情的になったりあるいは対決してみたところで、双方の国民にとっては非常に悲しい現実しか残らないのではないか。お互いに相手をなじり合うよりも、どうやったら日米のこの貿易のインバランスが解消するかということで本格的な取り組みをこの段階でちゃんとしておかないと、また来年も再来年もずっと解消が非常に大変だな、内需拡大といってもアメリカからどういう品物を買うか、この問題がはっきりしない限り、私はこの問題は非常に根が深いのじゃなかろうか、こう思うのでございますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/109
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110・鈴木直道
○鈴木(直)政府委員 非常に基本的な問題点の御指摘だと存じます。
従来は、日米間の事務レベルにおきまして、いわゆる構造対話というのをしておりまして、アメリカの貯蓄不足、日本の消費不足というのをいかに解消していくかという議論が行われました。すなわち、アメリカに関しましては、いかにして投資をふやすかというのが最大のポイント、かように考えた議論でございます。私どものいわゆるシナリオは、アメリカの財政赤字が縮減され、金利が下がり、それをベースにして設備投資がふえ、そして生産能力がふえ、輸出拡大に向かう、それが貿易収支の縮小に向かう、こういうのが非常に望ましいシナリオだと存じておりまして、大臣もいろいろ御説明いたしましたとおり、アメリカに日本からの投資が今ふえておりますが、それがアメリカの生産力の増大に結びつくあるいは生産性の向上に結びつく、それが結局対日輸出の拡大あるいは世界の輸出の拡大ということで貿易の収支も改善に向かう、こういうのが非常に基本的に重要なシナリオだと思っておりまして、新政権との間におきましても、おっしゃるように個別問題に関しますいろいろな誤解の解消は努めつつも、同時に基本的な問題についても対話を進めなくてはいけない、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/110
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111・薮仲義彦
○薮仲委員 最後に、大臣に、今までいろいろと私は、一人の日本の国民として、日本の国が本当に不公正なのか、そういうことであっては非常に好ましくない。大臣も決してそんなことはないとおっしゃられるように、日本の国には不公正や障壁というのは基本的に存在しないのじゃないか。そういう意味で私は大臣に、今後の日米のインバランスあるいは今の摩擦の問題をどう解消なさるか御決意を伺って、この問題についてはけじめをつけたいと思うのでございますが、大臣の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/111
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112・三塚博
○三塚国務大臣 段々の日米経済摩擦の基本的な問題について具体的に御見解の披瀝がございました。要すれば貿易大国日本が輸入拡大をどのように展開をして彼我の関係が少なくともさしたるインバランスでないところで落ちつきを取り戻せるかということが根底にあるんだろうと思うのです。ですから、輸入拡大政策をとるという意味で内需主導型経済運営というのが国の経済運営の基本とさせていただいたところは御案内のとおりでございます。そういうことどもの中で、マクロとして輸入大国ということでありまして、そういう中で問題があるという個別の問題はできるだけ業界同士でお話をしていただく、こういうことを行い、しかし通商産業省という立場の中でお手伝いをする分野はお手伝い、しかし何せ国柄が国柄で、アメリカ国会が大変強い権限を持つ、それで大統領府との関係という、御案内のアメリカ政府とアメリカ国会の関係は我が国国会とはまた違ったニュアンスがございます。こういうことをよく理解しつつ対応していかなければならぬのかなというふうに思っております。
特に象徴的な個別摩擦問題については、これがあたかも我が国の閉鎖性の証明であるかのごとき受けとめ方をされておりますことは遺憾なことでありますので、私としては、日米関係の基本を損なうことのありませんように進めなければなりませんし、そういう意味で我が国は正すべきは正す、主張すべきは主張するという態度で問題解決を図っていかなければなりませんことは御主張のとおりでございます。
なお、貿易収支不均衡の改善のためにはマクロ政策協調、さらには輸出国側の輸出産品の開発、売り込み努力なども必要不可欠でありますので、この点についても折に触れ主張してまいる所存でございます。
〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/112
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113・薮仲義彦
○薮仲委員 今、大変政情不安定かもしれませんけれども、我々国民の側から見ておりますと、毎日のマスコミをにぎわしますのは、現在の日米の貿易の摩擦の問題でございます。何はともあれ、その衝の中心は通産大臣でございますので、我々国民のために、また日本の将来のために、何とぞ日米の関係は好ましい形で、そしてまたなるほどと言われるような結果をつくっていただきたいとお願いをする次第でございます。
言われるようにEC等がもしもこれをやるならばガットへ提訴する。確かに先ほど申し上げましたようにガットの中の譲許法であるとかあるいは無差別の条項から見るならば、これは提訴するに値するなと思いますけれども、そういうことではなくて、お互いの信頼関係の中で解決されることを私は重ねて望んでおきたいと思うわけでございます。
〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
次の問題に移らせていただきます。
原子力発電について私、質問させていただきますが、今回の東電福島第二原子力発電所三号機の事故、この問題を私はいろいろと教えていただきまして、非常にこれで大丈夫かなと懸念されることが多々出ておりますので、この点ちょっと確認をさせていただきたいと思います。
その前に、今まで大丈夫かなと思ったこともちょっと不安になりましたので、特に国民の側からしますと新聞あるいはテレビ等で報道されることから原子力の安全のことは理解せざるを得ないわけでございますが、そういう立場で新聞報道の中から取り上げてみて、国民がこういう点は不安に思っているけれども本当に大丈夫かということでまずお伺いしたいのは、朝日新聞に「続く原発内放射能漏れ」ということで出ておりますのは、関西電力高浜三号機、同じく四号機、大飯一号機、これの燃料棒から放射能漏れがありましたよ、「運転中の二基の一次冷却水からは、これまでに一立方センチ当たり〇・〇三九マイクロキュリーと平常値の千倍という濃度も測定された。」こういう書き方がされているわけでございますけれども、我々は、日本の燃料棒の健全性は世界に冠たるものである、最高であるというような理解を、またそういう話を聞かされております。そこで、お伺いしたいのですが、こういう燃料棒のトラブル、こういうような事故はその後起きていないのかどうか、また、今後このような事故の再発の可能性はゼロと考えていいのかどうか、その辺はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/113
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114・向準一郎
○向政府委員 お答え申し上げます。
原子力発電所は現在三十六基ございますが、毎年発電所をとめまして定期検査というのをやっております。その定期検査の中で燃料体の健全性というのをチェックしているわけでございますが、停止中に燃料集合体のシッビング検査等で健全性を確認するということで、六十三年度で見ますと全部で二十五件の報告対象の故障、トラブルがございますが、その中で燃料集合体に係ります件数が五件ということでございます。この件数を経時的に見てまいりますと、六十年が三件、六十一年五件、六十二年三件、六十三年五件、こんな状態で推移しております。
この件につきましては、こういうような定期検査で見つかりました集合体にどういうことでリークあるいはふぐあいが起こったかというのはそれぞれ解析、調査いたしまして、その後の燃料集合体の設計あるいは製造で反映してきております。しかし、個数の多い燃料集合体でございますので、これをもちろん品質管理等を図りましてゼロに近づけるべく努力しているわけでございますが、現状はこういうような件教で推移をしているということでございます。しかし、燃料体のこういうリークというのは炉の中での検査において見つかったということで、環境に放射能を放出するということに対しましては、圧力容器があり、圧力バウンダリーの健全性ということが確認されておりますので、その中で放射能の問題というのは格納されておるわけでございます。それから、運転中についても炉水の濃度というのでチェックをしておりまして、異常な燃料体の損傷というのは十分運転中でも事前にチェックできるというような状態になっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/114
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115・薮仲義彦
○薮仲委員 申しわけないのですけれども、時間が非常に少なくなってまいりましたので、要点だけお答えいただければ大変ありがたいわけでございます。
平成元年以降の新聞をばっと見まして、これは目にとまったものだけ出したわけでございますけれども、例えば平成元年二月十七日の新聞記事の中に女川原発が出ています。この見出しの中でちょっと懸念するのは、「原発安全弁にヒビ「たいしたことない」」最後の方で「エネルギー庁の運転管理専門官に連絡した結果、軽微なトラブルにもあたらないと判断されたとしている。」こう書いてありますが、この女川原発の事故というのはそんな軽微だったのでしょうか。要点だけで結構ですから簡単にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/115
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116・向準一郎
○向政府委員 お答え申し上げます。
女川一号機で発生しました事象は、昭和六十年三月でございますが、運転中、パトロールで非常用炉心冷却系のタービン発電機の排気管のところから微量な蒸気の漏えいがあったということでございまして、よく調べますと、排気管にラプチャーディスクが入っておりますが、それに一部貫通孔ができていて蒸気漏れが見つかったということで、これはラプチャーディスクを健全なものに取りかえるということでございまして、原子力発電所の安全性に直接かかわるものではなかったわけでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/116
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117・薮仲義彦
○薮仲委員 軽微なトラブルにも当たらないというような認識でいいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/117
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118・向準一郎
○向政府委員 この件は、今申し上げましたようにタービンの排気管についておりますラプチャーディスクということで、メーンの圧力バウンダリーを形成しているというものでございませんので、軽微以下というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/118
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119・薮仲義彦
○薮仲委員 では、ちょっと申し上げます。ずっと見出しを見ていきますと、二月十八日「パッキング不良だった 福島原発水漏れ」、二月二十七日「福島原発でまたトラブル」、三月九日「関電大飯原発二号機電圧低下で自動停止」、四月十日「島根原発 原子炉を手動停止 再循環ポンプ回転異常」、四月十三日「大飯原発一号機蒸気弁トラブル 再開めど立たず」、四月二十八日「福島原発また異常 四号機停止へ」等々出てくるわけでございますけれども、国民の側は今言ったような見出しをぱっと見てどう感ずるか、こう思いますと、この書かれ方、冒頭に申し上げましたけれども、またかまたかというような感じを受けるわけでございます。今通産省資源エネルギー庁は公衆に理解してもらうということでPA、PAと盛んに言っております。こういうような書かれ方をしたときにどういうお気持ちか、要点だけお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/119
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120・鎌田吉郎
○鎌田政府委員 ただいま先生から、最近、事故、トラブルが続出しているというお話があったわけでございますが、一言だけちょっと申し上げさせていただきますと、従来は法律に基づく事故報告だけをその都度報告しておりまして、その他非常に軽微な故障、トラブルは通達ですべて報告しろということにしてございますが、これは年に一回まとめて報告しておったわけでございます。しかし、情報の公開の徹底という立場から、最近軽微な事故も含めましてすべてその都度報告するということになりましたので、若干ふえてきているというような印象を受けている事情が一つございます。
それから、今のお話に関連するわけでございますが、確かに故障、トラブルいろいろな程度があるわけでございまして、フランスあたりでございますと、一定のランクをつけまして、PA対策に役立たせているわけでございます。私どもは、こういった点を参考にいたしまして、現在、研究会を設けて、トラブル、故障の尺度をつくりまして、トラブル、故障が起きる都度その尺度をつけて発表することができないかと思って検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/120
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121・薮仲義彦
○薮仲委員 情報公開ということから、どんなことでも国民に公開した方がいいし、それからだんだん正しい認識や理解が深まっていく、このことは私も考え方は全く同じでございます。ただここでPA、PA、パブリックアクセプタンスと言っておりますけれども、私はもっと正確にわかりやすくということがある意味では非常に重要かなと思うのです。というのは、私もこの新聞記事の書き方が必ずしも正確に書いていただいてない部分があるのかなという気もなきにしもあらずで、ただいま長官おっしゃられたように、法律に基づいて報告の義務を課せられている部分についてのトラブルの件数を全部通産省からいただいております。これを見て私は、国民にわかりやすく、今ランクづけ、これは私も前の国会でも委員会で申し上げましたけれども、全くそのとおり、必要だと思うのです。なぜそれを申し上げるかというと、これは我々国会議員にくださったブリーフィング用の資料だと思うのでございますけれども、これを読んでどの程度我々がこの事故を連想できるかなというふうに思うわけです。例えば、昨年の十二月十二日、東京電力福島第二原子力発電所三号機、「運転中、主蒸気系の弁に作動不具合が発生したため、原子炉手動停止。原因は、当該弁の弁棒が折損したため。」と書いてあるのです。それから、平成元年四月十三日、関西電力大飯発電所一号機、「一台の蒸気加減弁に動作不良が認められたため、原子炉手動停止。原因は、弁体とシールリングのはめ合いが不良となったため。」これしか書いてないわけです。蒸気加減弁なんて聞くと、あ、何だ、TMIと似ているのかななんて、こういう連想すら起こしかねないような活字があるわけでございますけれども、これを一つ一つの説明を聞けばどの程度の事故なのかとわかるわけです。でも、これを読んだ限りでは、本当に原予炉の専門家でない限りどの程度の事故なんだろうということがわからない。
もう時間がありませんから結論の方だけ申し上げますと、これから問題にしたい一月六日の東京電力福島第二原子力発電所三号機、その記述はこう書いてあるのです。「運転中、原子炉再循環ポンプ(B)の振動が大きくなったため、出力降下。当該ポンプの分解点検の結果、水中軸受リング及び羽根車等の損傷を発見。」こう書いてあるだけなんです。これだけ見ると、さっきの「当該弁の弁棒が折損した」とか、余り違いがわからないのですね。今度の第二原子力発電所の三号機の事故というのは、炉心の中まで、約二十キロ以上と言われているような鉄片が入っていって、しかも燃料棒に付着しているのです。これは我々が聞いている限りあり得ない事故が起きているわけです。でも、記述の中で、ここだけで専門家だって読み抜けないと私思うのですよ。これだけの記述で、ああ、これだけのすごい事故なのか、脱落したのか、八本のねじのうち五本が飛んじゃったのか。そういうのが書いてありますけれども、私はこの中から再循環ポンプがそんな大被害を受けたとは理解できないわけです。これは新聞記者の方が記事をお書きになったとき、当然事故が起きたときにはだ原因も対策もその他のこともわからないときに記事をお書きになりますけれども、これだけの記述ですと事故の概要がさっぱりわからない。どれが大変でどれが大変じゃないのかさっぱりわからない。ここに、例えば十二月三日の、「原子炉再循環流量の変動幅が一時的に増加したため」とまっちゃった、こう書いてあるのです。専門家が読めば、なるほど、なるほどという事柄かもしれませんけれども、現実に受ける側は、これでは非常に理解がしにくくて、誤解が誤解を生んでくるんではなかろうかと思うのですね。そういう意味で、新聞報道ではもうできておるやに書かれておりますけれども、この法律に規定された報告義務についても、どういう範囲の事故なんだ、どの程度の事故なんだ、特に我々国民の側からいきますと、放射能が漏れるということは最大だと思うのですね。それから、作業なさっている方が被曝したら大変だなと思うのです。それから、今度の福島の事故のように、機械的に炉心にまで鉄片が入り込んでしまう、そういう事故というのは非常に怖い、こういう気持ちは持っているわけです。しかし、書かれている内容では必ずしも正確にわかりませんし、本当に国民に原子炉というものを、そばにいても安全で大丈夫、安心感の持てるものにするためには、ちゃんと情報を公開するど同時に、確かに巨大な機械ですから、あれだけのシステムですから、わかれと言う方が無理であって、幾ら聞いてもわからないかもしれない。でも、そうであれば原子炉は国民からますますノン、ノンと言われていく。これは日本の国のエネルギー政策の中で大変不幸なことだと私は思うのです。そういう意味で、国民に理解をと言う前に、理解をしやすいようになお一層の努力が必要じゃないかと思うのでございますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/121
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122・鎌田吉郎
○鎌田政府委員 先生の御指摘、そのとおりでございまして、PA活動のためにもできるだけ国民に理解できるような形でトラブル、故障等について情報を公開していかなければならぬ、こういうことじゃないかと思います。その一環といたしまして、先ほど申し上げましたように、トラブル、故障を評価いたしましてランクづけをする、これはフランスなどで例がございますので、そういったものを参考にしまして現在研究中でございます。仰せのこと、まことにそのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/122
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123・薮仲義彦
○薮仲委員 福島第二原子力発電所三号機の再循環ポンプの問題について懸念する点をお伺いしますから、長々答弁はちょっと御勘弁いただいて、ずばっと答えていただきたいのですが、このような事故が設計の段階で想定されていたものであるかどうかが一つ。それから、一月一日に警報器が異常のシグナルを出したわけでございますが、なぜとめなかったのか。運転員の方が停止しなかったという限りにおいては、その根拠に運転員のマニュアルがあったと思うのです。マニュアルにはそうなっておったのじゃないかと思うわけでございます。出力を下げて状況を見なさい、こういうマニュアルになっておった、そのとおりやって結果としてこういう大事故につながっているわけでございますから、このマニュアルそのものに検討する大きな課題があるのじゃなかろうか。設計や安全審査と言いますけれども、この辺はどうなったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/123
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124・向準一郎
○向政府委員 お答え申し上げます。
設計の観点からでございますが、再循環ポンプの健全性につきましては、基本的な設計という観点からもチェックをしておりますし、再循環ポンプの羽根車が破損した場合、これがケーシングとか配管にどういう影響を与えるか、壊すことがないかどうかという確認はやっているわけでございます。しかし、今回調査特別委員会をつくりまして、そういう安全評価上の問題、設計上の問題についても検討しているわけでございます。
それから、もう一つ、マニュアルの件でございますが、東京電力が持っておりましたマニュアルは、振動が出た場合出力を低下させる等様子を見て対応をするということで、今回の場合、出力を低下させましたところ、振動レベルが警報値以下になったわけでございます。そういうことで監視強化をしつつ運転継続をしたということでございます。しかし、この運転継続をしたこと自身、マニュアルにはそう書いてあったわけでございますが、結果から見ますと適切な運転であったとは言えないわけでございます。そういうことで、我々といたしましては、ほかの発電所につきましても、こういう再循環ポンプで振動が出た場合は、当面、警報が鳴ったら運転を停止してチェックをする、そういう指導をしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/124
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125・薮仲義彦
○薮仲委員 今お話しのように、あの段階においてはマニュアルどおりやったという事実があるわけでございますから、この点は十分慎重に考えていただきたい。特に、六日目に停止したわけです。きょうはもう時間がありませんからやりませんけれども、じゃあなぜそのときとめたんだ。同じように針は振り切っているわけでございますから、一日のときも六日目にとめたときも、振動のぐあいは非常な振動をしているわけでございます。だから、最後に大臣に結論だけお伺いいたしますけれども、私が非常に残念に思ったことが幾つかあるわけでございます。
東電のトップが県庁へ行きましておわびをしたという記事の後段、トップのお話の中に、ボルトの座金二個が未回収でも運転を再開しますとある。これは見出しにも「座金未回収でも運転」と書いてある。また、技術的なトップの方の御発言として、配管が炉心とつながる部分はジェットポンプになっており、ノズルの直径が三十三ミリと小さいので、炉心を損傷するようなことはないという意味の御発言があったわけでございます。しかし、実際解析してみますと、炉心の中に大変な金属片が混入しておったわけです。これも私は時間があれば詳しくお伺いしたいのですが、ジェットポンプになっておるから入らないというのは、設計段階でもあるいは安全審査でもクリアしているわけです。しかし現実にはそれが起きてしまっている。こういうところに私は非常に問題点があると思うのです。そんなことはあり得ないということがあったのです。きょう本当はお伺いしたがったのは、先日もNHKのテレビの中で原子力の推進派と反対派の御意見がありました。あれを聞いて多くの方がどう思ったか。例えばあそこの中でスリーマイルアイランドのような事故は日本の原発では起きませんと一方的にこう言われる、多重防護になっていますから大丈夫です、これだけで国民が納得するかどうか。今の事故の報告書にもありましたように、私は、非常に大事な問題が、一方的なことでなくて、やはり国民はどう思っているのだろう。あり得ないと思った事故があった、起きているわけでございますから、私は本当はもりとこの原子力という非常に危険なものを扱っていらっしゃる方の姿勢としては謙虚であってほしいと思ったのです。確かに、科学に対しておごりがあったり、あるいは技術に対してうぬぼれがあったら、とてもじゃないけれどもいけないと思うのです。こういう発言は出てこないと私は思うのです。もっと謙虚に、実態を調べて、その上できちんと対処をいたしますというならわかりますけれども、座金が未回収でもやるなんてことはこれは暴論である。こういう方がこういう姿勢で原子力を運転されては困るなと私は思いますし、こういうような考えが大事故を起こすことになるんじゃないかなという懸念すら私は持っているわけでございまして、こういう点の懸念は大臣十分御承知でございましょうから、今後の原子力行政の中でお考えいただきたい。
特に、これは必ずしも記事が正しいとは思いませんけれども、記事の中に書かれておったことを言いますと、非常に残念だったのは、これは毎日新聞の記事ですけれども、振動計に対する信頼が揺らぐ、どうせ誤警報だと思ったため、こう書かれております。当事者の方に聞いておりませんから、これは必ずしも正確ではないと思いますけれども、こういう報道をされてしまうと、原子炉の炉心の周りにある警報機が誤作動を起こして、そんなのは当たり前だというようなことでおられたのではという誤解もこれは与えかねません。こういうことは私はないと信じておりますし、また、ないと思うことが今度は数々出てきたわけでございまして、私は、日本の総合的なエネルギー政策の中で、原子力の安全性ということは、一にも二にも三にも四にも国民が最も期待し、そうであってほしいと願っている大事なことだと思うのです。そういう意味で今度の福島の原発の事故は幾つかの教訓を、きょうはやめますけれども、残していると思いますので、どうか大臣、これからのエネルギー政策の中で原子力が本当に国民から受け入れられることが大事だと思いますので、今後の対応について大臣の御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/125
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126・三塚博
○三塚国務大臣 今、政府委員とのやりとりを聞いておりまして、最後の締めくくりの御発言を大変深刻に受けとめておるところであります。
我が国原子力発電が極めて重要なエネルギー源でありますことは御案内のとおりであります。さらに、これを高めてまいりますことが、低廉な、そして良質の、無公害とあえて申し上げさせていただきますが、そういう電力供給ということでありますから、理想的な形になるわけでございますが、片や、御指摘のとおり、安全性という問題は、被爆国日本の国民でありますだけに、ぬぐいがたい問題がそこにあります。その点をさらなる努力、重ねての点検、言われましたその謙虚な努力ということの中で、二重、三重に、担当する技術者の心構えの中でこのことが防がれていく、いささかも心配を与えていかない、こういうことであろうと思います。
そういう点で私も福島原発を、実は隣の県なものですから、ある機会に関係者と懇談をしたわけでございます。技術者の方が福島県庁に訪れた話もそのとおりで承らせていただきましたが、同時に社長が現地を訪れまして、ただいま薮仲委員御指摘のような謙虚さを持ちましてさらなる努力をし、いささかも不安を与えませんように努力をしていく、今日までの不始末にはもうただただ深くおわびを申し上げる、こういうことで信頼の基本を地域とつなぎとめたということは不幸中の適切な措置であったなというふうに思っておるところであります。今後とも安全確保の徹底に万全を期するという決まり文句になるわけでございますが、これは事業者、そして事業者の中の担当する技術者、この各位の極めて重要なパートを担当いたしておるというその深刻な受けとめ方、技術者の持つ過剰意識、またその設計施工による三重、四重の安全装置に過信をすることなく、絶えざる注意力と謙虚さを持ちましてこれに対応してまいることにより、国民の間に広まっております原子力に対する不安というものを、被爆国日本でありますから、これを克服し得たとしますならば、人類の将来にとりましても大変すばらしいことに相なるのではないだろうかということで、本日の論議をしかと踏まえながら、エネルギー庁、通産省、政府という立場の中でも、このことにさらなる努力をしてまいる、こういうことであろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/126
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127・薮仲義彦
○薮仲委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/127
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128・田原隆
○田原委員長 青山丘君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/128
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129・青山丘
○青山委員 大臣はお疲れのところでしょうが、私からも、民社党を代表して、両大臣に、当面する諸問題について、若干質問をさせていただきます。
時間がありませんので、御答弁はひとつぜひ明快に簡潔にいただきたいと思います。
まず最初に、フロンの生産と消費の規制についてお尋ねをいたします。
オゾン層の破壊や地球温暖化の原因とされている特定フロンについて、三月のロンドン会議、四月末から五月初めにかけて開かれたウィーン条約、モントリオール議定書の締約国会議において、フロンの生産と消費の規制を強化する方向で検討され、その方向が強く打ち出されました。規制の国際的な枠組みを決めたモントリオール議定書の改正は来年四月に持ち越されました。しかし、今後この一層の規制の強化はあり得るであろう、が、規制の緩和はまずあり得ないのではないか、こういうような情勢になってきていると私は受けとめております。こういうオゾン層保護に関する国際的な動向はだんだんと厳しい規制に向けてさらに強まっていく動きであろうと私は認識しております。そこで、この問題に対する通産大臣の御見解、また環境庁の基本的な見解を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/129
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130・三塚博
○三塚国務大臣 ただいまオゾンの規制問題の国際的動向について見解いかんということでありますが、まさに昨年以来オゾン層保護の観点から、フロン等の規制を強化すべき意見が国際的に強まっておりますことは御意見のとおりでございます。先日取りまとめられましたヘルシンキ宣言におきましても、今世紀までで問題となっておりますフロンを全廃すべきであるということが盛り込まれました。言うなればモントリオールにおける議定書を忠実に、こういうことであるわけでございます。我が国といたしましても、オゾン層保護の問題は人間の健康や地球の生態系に直接脅威を与えかねない重大な問題でありますので、世界各国が協力して対処すべきものであると認識をいたしております。ヘルシンキ宣言を踏まえ、かけがえのない地球を懸命に守りますため、このような国際的対応に貢献をしてまいりたいと考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/130
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131・唐沢正義
○唐沢説明員 お答え申し上げます。
近年、オゾン層に関します科学的知見が充実してまいりまして、オゾン層を適切に保護するためには、フロンなどに対します規制を緊急に強化する必要があるということが、ほぼ全世界の科学者のコンセンサスになっているのではないかというふうに評価しているところでございます。ただいま通産大臣からるる御説明ございましたように、私ども環境庁といたしましても、こうした国際的動向に積極的に対応いたしまして、今世紀末までに特定フロンを全廃するよう最大限の努力を払ってまいることといたしております。
また、環境庁におきましては、一括計上という制度がございまして、これは国立機関の公害防止等試験研究費につきまして重点配分をするような制度がございますが、そのようなものを通じまして代替品あるいは代替技術の開発利用の促進、さらには排出抑制対策の徹底等に一層努めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/131
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132・青山丘
○青山委員 フロンが全廃されるためにはその環境が整っているのかというとまだ決してそうではない。フロンの生産をとめていきたい、その気持ちも今述べられたとおりよくわかります。しかし、全廃をしていく環境のためには、今お話がありましたような代替製品・物資がまだ開発されておらないというような今の状況の中で、経済に対する影響あるいは国民生活に対する影響が極めて大きい、そういう点で政府は本音ではなおまだ慎重であろうと私は思うのです。問題は、そういう気持ちはわかりますけれども、さりとて、かけがえのないこの地球の保全が手おくれになってはならない。そういう意味で、各国に対して日本が、今述べられましたような姿勢で、本当に模範となっていくようなそういう対策をみずからとっていこう、こういう姿勢を、お話としては今よく理解できるのでありますが、具体的にどのような方針を持ち、決意を持っておられるのか。とりわけ我が国が今置かれている国際的な立場、こういう点からも、このフロンの全廃に向けてオゾン層を保護していくための積極的な我が国の取り組み、対応が、世界の国からも強く求められてきている状況だと私は思います。したがって、今後議定書の見直し作業には、我が国は、この問題の解決に向けて相当重い責任を負い、かつ具体的な行動をとっていかなければいけない、世界の先頭に立っていくその心構えが必要であろうと思います。通産大臣に再度の決意をお聞かせいただきたいと思います。
〔委員長退席、尾身委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/132
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133・三塚博
○三塚国務大臣 我が国といたしましては、先日取りまとめられましたいわゆるヘルシンキ宣言に沿いまして、代替品、技術の開発、普及の促進、発展途上国への協力などに努めまして、問題となっておるフロンを今世紀末までに全廃をするという固い決心と目標設定の中で今後進むことといたしておるところであります。このほか、現在規制されておる特定フロン五品目に加えまして規制品目を追加することも真剣に検討が行われる見込みとなっております。次の議定書締約国会議すなわち来年四月より六カ月前の本年の十月以前に議定書改正案を取りまとめることといたしており、その中心に相なりまして努力をしてまいります。我が国は、これらの作業の実際上の舞台となるアセスメントパネル及びワーキンググループ等を通じまして、積極的に指導的な役割を果たしてまいる決意でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/133
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134・青山丘
○青山委員 意欲的な大臣の姿勢、ひとつぜひ評価をしていきたいと思いますし実現をしていただきたい。具体的には、今お話がありましたように、ことし七月からフロンの生産と使用の規制の方針というのが、昭和六十一年度水準にとどめていくという既定の方針があります。そうではなくて、それよりもさらに規制を強化していくんだ、こういうふうに受けとめてよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/134
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135・畠山襄
○畠山政府委員 青山委員御指摘のように、ことしの七月から八六年水準にフロンの生産量及び消費量を規制するというのがモントリオール議定書の中身でございますが、今大臣が申し上げました強化は、来年の四月の締約国会議で案をまとめることになっておりますので、それ以降の話になるわけでございます。手続的にはそれの六カ月以降に発効するということになるわけでございます。したがいまして、まず御指摘のことしの七月からの分は従来どおり八六年水準にとどめていく、凍結をしていくということで始まるわけでございまして、そして規制強化の話はあるとしてもそれ以降、今フロン年度以降の話になるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/135
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136・青山丘
○青山委員 ですから、演説はよし、しかし実効、効果はそんなに上げる見通しがなかなか立たないということになってくるんじゃないかと思うのですね。やはり国際的な批判を受けてはいけない。日本が今アメリカとの関係がだんだん厳しくなってきておる。日本の経済そのものは評価できるものがある、しかし諸外国との関係というのはそうたやすい状況ではない。そういう点からすると、この国際条約の中で、あるいは議定書の中で、日本が果たしていく役割というのは非常に重くなってくるし、世界の国は、日本はどうするんだ、こういう見方がこれから強くなってきます。それで産業界や国民生活への影響を最小限のものとするように、代替物資の開発あるいは回収、再利用、使用抑制型設備の設置等々、これからさらに加速、促進をされるように思い切った施策をやっていかなければいけない、日本はよくやるなという評価を得ていくようなまじめな取り組みが必要ではないかと私は思うのです。そのあたりはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/136
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137・畠山襄
○畠山政府委員 御指摘のとおり、日本がフロン全廃へ向けて全力を尽くしていかなくてはいけないことは事実でございまして、特にその中で日本に期待されておる役割といたしまして技術開発、代替フロンの開発の問題があろうと思います。この問題につきましては、ヘルシンキ会合におきましても日本がその必要性を強調いたしまして、ヘルシンキ宣言の中に発展途上国の支持も受けてその一項が盛り込まれたところでございます。それから、無論そのスケジュールの加速につきましても、日本としてその代替品技術の開発等をにらみ合わせながら前向きの努力をしていくべきだと考えておりまして、先ほどの御説明に対して、演説はいいけれども具体的な内容はなかなかうまく進まないのじゃないかというお話がございました。若干国際的な批判もあるのじゃないかというような趣旨のあるいはお尋ねだったかと思いますが、先ほど申し上げましたスケジュールは、御案内のとおり、国際的な議定書の中のスケジュールがそうなっておるわけでございまして、強化といっても日本一国だけ来年からやるということを御説明したわけではなくて、世界各国早く強化をしたとしても来年以降になるというスケジュールであるということを御説明申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/137
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138・青山丘
○青山委員 国際公約になっていくのですから、日本は間違ってもおくれることがあってはならない、これはひとつぜひよく受けとめておいていただきたいと思います。
それから、日米半導体問題についてお尋ねをいたします。
この問題は、私は当委員会において前の田村通産大臣にたびたび質問をしてきました。そしてアメリカが、対日半導体のシェアが不十分だ、こういうことに対して対日制裁をなお一部解除しておらない、これは非常に不当だ、こういう立場で質問を繰り返してきましたが、まずここ数年来、アメリカ製の半導体の我が国市場におけるシェアの推移、それから購入金額、これの推移、どのようになっているのかお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/138
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139・棚橋祐治
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
日本市場におきます外国系半導体の販売については、世界半導体貿易統計、WSTSと言われておりますが、これがベースになっておりますけれども、この統計に基づきますと、協定を締結したのが一九八六年の第三・四半期でございますが二・五億ドルでございました。丸二年たった一九八八年の第四・四半期には、これが五・四億ドルと二・二倍に拡大いたしておりまして、協定締結時のアメリカの半導体の我が国マーケットにおけるシェアは八・六%から一〇・六%に拡大しております。我が国のマーケットも急速に拡大しておりますので、その中で今申し上げましたように二%のシェアが拡大するというのは大変なことであります。また、これを円ベースで見てみましても、協定締結時の一九八六年暦年では千四百九十五億円程度でありましたが、一九八八年暦年ではこれが約二千四百四十億円と大幅にふえておりまして、円ベースの伸び率も六〇%を上回っておるという拡大になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/139
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140・青山丘
○青山委員 一九八六年、昭和六十一年に締結された、今お話しになった日米半導体協定に、一九九一年までに米国製の半導体は対日シェアを二〇%に確保したいというような覚書のような密約は本当になかったのかどうか、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/140
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141・棚橋祐治
○棚橋(祐)政府委員 お答えします。
半導体協定を結ぶ経緯、過程におきましては、アメリカの業界も、ヨーロッパでこれだけ売れているから日本ではこれぐらい売れてしかるべきだという主張もございましたし、いろいろのやりとりがございましたが、協定として公表されておりますもの以外に秘密のものはございません。青山委員も御了承いただいていると思いますが、そもそも我が国の半導体マーケットは当然市場原理、自由貿易原理で動いておるマーケットでございますから、政府がアメリカ等外国系半導体の輸入量とかシェアについて保証するということができるはずのものではなく、そういう約束をいたしたことはございません。ただ、アメリカ等外国系の半導体が日本のマーケットにおいてより伸びていく、そのための障壁があればそれは取り除く、またアメリカの半導体業界等外国半導体業界の努力によって、我が国のマーケットにおいて我が国に対する輸出額が伸びていく、あるいはシェアも上がっていくということは、両国業界も期待しているところでございまして、両国政府もそのためにはいろいろの努力、エンカレジメントはいたしましょう、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/141
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142・青山丘
○青山委員 本来はおっしゃるとおりだと思うのです。ただ、前の駐日大使のマンスフィールド大使も実は密約があったと言ったというような報道があったり、アメリカの政府の内部でもあるいはアメリカの半導体工業会の人も約束があったと言ったというような報道がなされておりますが、これらについてはどう対処してこられたのか。
それから、私は局長が今おっしゃられたようなことが本当であろうと受けとめていますよ。また、私どもの立場としてはその言葉を信用せざるを得ないし、しなければいけないとは思っています。しかし、もしそうであったとしますと、これまでのアメリカの日本に対する姿勢というのはいささか理不尽なものがあった、そう言わざるを得ません。さらに、けさの報道でも御承知のようにスーパー三〇一条を発動しようとしておるという状況の中、全くアメリカの姿勢を本当に苦々しく見ている。あなたたちの立場でも、どういうふうにこれまで対処して、またこれからもこういう理不尽な姿勢に対してどういう取り組みをしようとしてきておられるのか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/142
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143・棚橋祐治
○棚橋(祐)政府委員 お答えします。
大臣からもお話がありましたが、先般四月末から五月の初めにかけて大臣が訪米をされまして、ヒルズUSTR代表とかモスバカー商務長官とも会談をされましたが、その会談において先方から、二〇%という約束があるからそれを守ってほしいという発言は一切ございませんでした。ただ、アメリカ側の希望についてよく理解をしていただいていると思う、そのための努力をしてほしいというような一般的な要請はございましたけれども、そういう約束履行を迫るようなお話は一切ございませんでした。そういうことからも、私が先ほど申し上げましたように、二〇%というようなシェアを約束をした経緯はないと私が申し上げたことをおわかりいただけると思います。
なお、今アメリカ政府が、にもかかわらずいろいろの制裁措置を過去において発動したり、現に続いているわけですが、あるいはスーパー三〇一条において新しい制裁を課すかもしれないということについて、どう考えておるのかという御質問でございますが、確かに日本のマーケットにおいてアメリカの半導体がなお彼らが期待するほどのシェアを確保していない、そういう点は問題があるということで、一九八七年より一方的な関税措置を内容とするいわゆる制裁措置を課しているわけでございます。その後、一部についてそれは解除しておりますが、なお半分ぐらいの制裁措置が残っておりまして、私どもとしましては、従来から日米半導体協定を誠実に遵守しておると確信をいたしておりまして、申し上げましたように、成果も着実に上がっておる。にもかかわらず、アメリカ側が一方的な制裁措置を課すのは非常に遺憾であるということで、外交ルートを通じて、しばしばその遺憾の意を表明し、その撤廃を求めているわけでございます。スーパー三〇一条に言う優先慣行としていかなる慣行が取り上げられるかは承知しておりませんけれども、通産省といたしましては、半導体協定を誠実に遵守しているわけですから、それについてスーパー三〇一条の優先慣行になるはずがない、このように思っておりまして、米国においても我が国の努力とその成果が正当に評価されることを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/143
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144・青山丘
○青山委員 今お話がありましたように、本当に対日シェアの約束、密約がないと言うのならば、やはり私は日本政府としてもう少し毅然と、しっかりと言ってこなければいけないのではないかと思います。今の御答弁では、しばしば言ってきておるということでしたが、どのようなところでアメリカ政府にきちっとわかるような立場で申してこられたのか、またアメリカはどういうような形でそれに一定の理解を示してきておるというふうに受けとめておられるのか。このあたりは日本政府としてもアメリカに毅然とした態度をとっていかないと、アメリカもなし崩し的にさらに具体的な問題をまた持ち出してきて、ずるずると深みに追い込まれていくというようなやり方というのは、外交の取り組みとしては私は日本は余りうまくなかった。まあ向こうをうまかったと言うのも腹立たしい言い方ですが、そういう点でこれまでの経過はいかがだったのでしょうか。また、通産大臣、これからどのように対処していかれる方針なのか、再度ひとつ聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/144
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145・三塚博
○三塚国務大臣 今棚橋局長が言われたとおりだろうと私も思うのでありますが、サイドレターというものはありません、こういうことで、ありませんというふうに統一され、ヒルズさんともモスバカーさんとも会いましたときは、特別にこの問題の言及はございませんでしたが、問題は、これが協定として相なりますときに、その時点の現状、さらに何となく懇談の中で二〇とか目標というのか期待というのでしょうか、そんなものはレターではございませんが、その話し合いの中で、それくらいいきたい、それは大いに頑張ってください、こういうようなことが、あの二〇という期待、努力目標というものがサイドレターに載っておるみたいに言われるということなのかな。さはさりながら、いずれにしても、過去のことを追及してもどうしようもないわけでございまして、シンボリックイシューとして半導体も明確に位置づけをされてきた。言うなれば世界一の半導体が日本市場において思うように伸びないというのは遺憾である、こういうことだけは事実なわけです。
そういうことの中で対日制裁措置が今後どのような形になってくるのかは定かではございませんが、先般訪米いたしました際に、貴国の業界の開発研究努力、さらに販売努力というものが第一ではないのかと思う、また、伸びてはおるのでありますが、貴国が期待するような伸び方でないことの事実にかんがみ、我が国業界は一生懸命そういうことで輸入大国という我が政府の方向に理解を示していただきまして、大変な御努力をいただくということになっておるし現にいただいておる、こういうことで、先行きを見ておいてほしい。こういうことを申し上げ、その辺のところは通商代表部にもまた商務省にも御理解を得たというふうに思っておるわけでございますが、実績あるいはシェアというものは着実に拡大いたしておるわけでございますから、事務的にそれもよく説明をいただく、こういうことであろうというふうに思います。
私も、両長官に申し上げましたのは、こんな坂道を上るような形はありませんよ、お互いがそういう努力をすることでなだらかな道を上る、なだらかな道を上って、振り返ったならばここまで来たなということになるよう努力をしようではありませんか。こういうことで、基本的に理解をいただいたようには思うのでありますが、さはさりながら、米側は対日市場アクセスの改善が不十分であることは極めて遺憾なことでありまして、さらなる努力をしてまいらなければならぬ、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/145
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146・青山丘
○青山委員 通産大臣がせんだってアメリカへ行かれて、アメリカの政府要人にいろいろと会ってこられた。今その感想の一端が申し述べられたと思います。私は今、日米関係を非常に憂慮しています。例えば、アメリカ政府が、我が国の電気通信市場の閉鎖性に対する制裁措置として、五十四品目に及ぶ報復候補リストと四事業の制限措置を公表してきました。また、五月二十四日に公聴会を開いた後、五月中にも制裁対象と具体的なその内容を最終的に決定をする、こういうことです。また、スーパー三〇一条に基づいて、我が国だけを対象にした貿易不公正国として日本を特定してくるという見方も強い。こういう状況の中で、ある意味では厳しい状況の中だったけれども、タイムリーによく訪米された。そして、非常に精力的に政府要人と会ってお話をしてこられた。でき得れば率直な感想を聞かせていただきたいという点と、この日米の関係というのは、西側陣営の有力な一員としてなおパートナーシップを強固にしていかなければいけない。また、お互いに最も重要な国として友好と親善の関係をより確立していかなければいけない。これはまさに日本のためだという一面もあるわけです。私はそういう認識に立っております。しかし、日米の経済関係というのは、だんだんと厳しくなってきておる。かつてキッシンジャーが、アメリカにとって敵になる国はソ連だけではない、これからは日本であるというような意味のことを言われたと聞いておりますが、もしそういうふうに日本を見ておるとすれば、これは日本としても重要な問題であります。とりわけ経済摩擦の立場からしますと、通産大臣の立場というのか仕事はなかなか大変だろうと思うが、具体的にはこうして打開をしていくのだというような考え方、お持ちでありましたら、ぜひ示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/146
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147・三塚博
○三塚国務大臣 青山委員の日米大事だという基本論、まさに私もそのとおり強く持っておる一員であります。特に我が国政府、国会の承認を得て内閣が成立をし、それぞれの論議を踏まえて、それなりに懸念と反対の立場の党もございますが、全体的に日米問題というのは、友好国として取り進めてほしい。特に日米安全保障体制、このことが経済協調、友好国という立場にまでこれが昇華されまして、そのことが逆に、太平洋の平和のみならず世界の平和に大きく寄与していく。昨今のゴルバチョフ・ソ連政府のグラスノスチを初めペレストロイカも、そういう中で最高責任者が言明をせざるを得ないという流れの中の言明であろう、こんなふうに思うにつけましても、バランス・オブ・パワーという平和への枠組みが厳然と存在する以上、日米の関係は、特に我が国が今日かくありますのは米国の核の傘の中で安心をして商売に専念できたという現実も見逃すことのできない事実であります。そういう中で、いたずらにネオナショナリズムが今日の日米経済摩擦の中で惹起することは、これはじっと辛抱の子でいかなければならぬところでありまして、彼我の関係が逆転をいたしておるなら別でありますけれども、まさに黒字の大半と言っていい形にまで日本がその立場にあります以上、いら立ちに対してそれはそれなりに理解を示し、それで激しくやり合うことも時に大事ではありますけれども、その辺のところをどう進めるか。まさにここまで来ますと信頼と協調以外に何物もないのかな。泣く子に泣くな泣くなと言っても、これは昔から泣く子と地頭に勝たれぬという、私どもの先人はうまいこと言いましたね、これは泣きやみません。やはりミルクを口に近づけることで、かませることで、初めてふうっと泣きをとめるということも人生の経験にあるわけで、両国はまさにそんな関係かなという実感を実は持ちました。
私がお会いしましただれがどうだと言ったとは言いませんが、ブッシュ政権の閣僚の各位は、アメリカ国会でがんがんやられるのです、私も自由主義者です、対等の競争の中で行くことが大事だ、管理貿易、保護貿易なんというのはとんでもない、激しく思います、しかし次から次へとがんがんとやられますと、私どももアメリカ国会の意見を聞きませんければ政府ではありません、政府という立場はそういう立場だと思う、その辺は御理解をいただきたい、こういうことでありますので、決め手はございませんけれども、そっとミルク瓶を口に含ませるという雅量が我が国にあってよろしいのではないか、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/147
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148・青山丘
○青山委員 なかなか大臣の明るい性格で、この話を進めていくと時間がなくなってきますので、先へぜひ進ましてください。
私は物価問題について経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。
近年極めて低位安定的に推移していた物価は、最近に至って、自民党の消費税の強行導入、さらに原油価格が上昇傾向にあること、また為替相場が急速に円安に推移してきていること、こういうこともあって、今後物価の動向に大きな懸念が出ていると思います。
そこで、一点は、物価の担当大臣として経済企画庁長官、現在の物価の情勢をどのように分析しておられるのか、また今後どうなっていくと受けとめておられるのか、この点が第一点。
それから、物価上昇への懸念や、為替が円が安くなってきますと輸入価格がまた上がってきます。そういうことがありますので、まあなかなか本音は出ないのかもしれませんが、公定歩合の引き上げが近いのではないかとささやかれております。公定歩合の引き上げは日本経済全体に大きな影響を与えるものでありますし、日本経済全体の運営に責任を持っておられる立場から、こうした動向をどのように受けとめておられるのか、ぜひひとつ率直に聞かしていただきたい。
また、円安の要因になっているものをどのように判断しておられるのか、分析しておられるのか。その一つは日本の政局混迷も重要なファクターであると私は思いますが、これらの点で反省も含めて見解をまず明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/148
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149・愛野興一郎
○愛野国務大臣 まず、現在の物価は、政府が当初本会議で財政演説の際にお示しをいたしましたとおり、平成元年度に限って二%までの物価の上昇の許容をお願いをいたしておるわけであります。そういう意味で、いわゆる消費税が物価押し上げの大半の原因になるというようなことが言われておりましたが、東京都区部の消費者物価は委員御承知のとおりでありまして、大体の政府予測どおりの、今日の段階では物価に関する経済的諸要因はあると考えております。ただ、言われましたように、今の為替の動向や金利の動向あるいは労働力逼迫の問題、あるいは生産性を向上させるための設備投資によっていろいろと生産が伸びていくに従って需給の逼迫等々が予測をせられるわけでありますから、そういうものを十二分に見きわめながら臨機応変に対応をしていくということを肝に銘じて、そして強く見詰めながら今後物価をできるだけ抑え込むように努力をしていかなければならぬ、こういうふうなところであろうと考えております。
さらに、公定歩合の問題は、まず第一番に公定歩合は日銀の専管事項であります。そういう観点から、経済企画庁として意見を言うべきではないと思うわけでありますが、これはもう慎重に対応していきたい、そういう金融政策に対しては、まさに所々方々に目をみはらして慎重に対処してもらいたいというところであります。
さらに、この円安の原因につきましては、日米双方のいわゆるファンダメンタル、午前中通産大臣が言われましたが、この基礎的要件は、我が方の円安に結びつくという要因は何であるのかという決定的なものは今私どももわからないわけであります。でありますから、これが短期的なものであるのか長期なものであるのかということが非常に大きな問題であると考えておるわけでありまして、日銀もそういう意味で今強力に介入をしていただいておる、そしてドルの独歩高を、マルクも円と同じに安くなっているわけでありますから、国際協調の中で強力にひとつ秩序ある円というふうに持っていかなければならぬ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/149
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150・青山丘
○青山委員 私は物価の問題は今日本の政治の重要な問題だと思っているのです。実は私は地元でいつもよく多くの皆さんから言われるのは、日本人国民一人当たりのGNPはもうアメリカや西ドイツをしのいで世界一だと言われておる、だけれども我々の生活はとても世界一だとは思えない、なぜだ、こういう率直な問いかけを言われているのですね。問題は、やはり物価が相当高い。それ以外にもまだ要因はあるのでしょうがね。それで問題は、日本でできるもので同一の品物が、日本で買うよりも外国で買った方がうんと安い。それをさらに逆輸入してもなお安い。こういうようなことは、私は政府の物価対策としてはどこかに欠陥があるに違いない。また、同時に、この内外価格差の問題と、かつてのあの円高のときに差益の還元がなかなかされておらないという家庭の主婦からの不満がよく述べられていました。この差益の還元率の調査というのは最近やっておられるのかどうか。そこで、今度はまた円安になってきていますが、差益の還元ということは国民経済、国民生活に全部返ってこなければならないもの、こういうことが私は物価対策の中で非常に重要だと考えておりますが、具体的なそうした取り組みについて、もう時間がなくなりましたが、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/150
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151・勝村坦郎
○勝村政府委員 経済企画庁でありますが、私から、円高差益の還元というのはどういう状況になっているかということを、まず申し上げたいと思います。
御記憶のとおり、六十年の秋を境にしまして円高はずっと進んでまいったわけでありますが、その間のいわゆる円高の差益並びに原油価格の低下によります差益というものが国内の物価の引き下げあるいは安定にどの程度寄与したかという計算は、従来から引き続きやっております。現在の段階では、昨年末までの段階の計算をしておりますが、大体八八%の差益が国内物価に還元をされている、こういう計算になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/151
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152・児玉幸治
○児玉(幸)政府委員 青山先生御指摘の、日本から輸出される品物につきましての内外価格差の問題というのは、特にプラザ合意からしばらくたったころ非常に取り上げられまして、確かにその種の問題があったのじゃないかという認識は私ども持っておるところでございます。
実は幾つかの原因が合成されましてそういう現象が起きていたわけでございまして、何といいましても一番大きかったのは、為替レートが非常に大幅にかつ短期間に動きましたものですから、輸出面で為替レートの変動になかなか対応し切れなかったわけでございます。例えば一九八六年、厳密な数字を今持っているわけじゃございませんけれども、輸出を見ますと、ドルベースで二割ぐらいふえましても円ベースでは二割ぐらいマイナスというふうなことでございまして、円の手取りの減少分を価格アップで何とか償いをつけなければならないのでございますけれども、為替レートの一変動のスピードが速過ぎてうまくできなかった。これは余り無理をいたしますと市場を全部失うというふうなことがあるわけでございまして、その為替レートの変動の中でも、日本の輸出業者としては現地価格を逐次上げてまいっているというのが一つの現実でございます。したがって、この為替レートの大幅な変動という問題が一つございました。
それから、品物によりますけれども、物品税が日本ではかかっているもの、向こうにはそういうものがないものというのがございました。
それから、先生の今の御質問は全く同じものの価格の比較をおっしゃっているのでございますけれども、これもそういうものもあるわけでございますけれども、大体アメリカはアメリカ向けのもので、アメリカのユーザーの好みに合うようなものがいろいろございまして、厳格に言いますとスペックが日本の市場に向けられているものと違うケースがあるわけでございます。
もう一つは、アメリカと日本とで流通マージンにも差があるというふうなことでございまして、これらが合成されまして内外価格差の問題というのが非常に鋭く出てさたわけでございますが、その後の推移を見ますと、為替レートもここ一年、一年半、どうやら落ちついてまいりまして、むしろ最近はちょっと逆の流れすらあるということでございます。
それから、物品税は御案内のように四月からなくなりました。
それから、流通マージン等につきましても、一方では輸出市場で値上げをし、他方国内では最近非常に活発な競争が展開されておりまして価格も低下ぎみでございます。そういったことで、だんだん価格差は是正の方向に向かっている、殊に物品税の廃止以来そういった傾向が非常に顕著になっていると私どもは思っているわけでございます。
今後も、そういった実態につきまして、できる限り正確な把握をいたしますように調査を行いますとともに、競争条件の整備を通じて内外価格差の是正につきましては最大限の努力をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/152
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153・青山丘
○青山委員 何も今に限ったことではないかもしれませんが、物価の問題は当面の我が国の政治の重要な課題になってきております。特にひとつ両省において十分御努力をいただきたい。要望して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/153
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154・尾身幸次
○尾身委員長代理 藤原ひろ子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/154
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155・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 通産、経企、お二人の国務大臣の所信表明では、消費税はおおむね順調に実施されているとか、それから円滑、適正に転嫁され物価水準にも大きな影響は及ばないというふうに言明をされました。
そこで、消費税の問題についてお聞きをしたいと思います。
消費税が導入されましてから五十日、先ほどの大臣の認識とは大変大きなギャップがある、現実とは大変大きなずれといいますか差があると思います。今、消費者も業者も、非鳴を上げているわけです。その声は大臣には聞こえないのかなというふうに、大変矛盾に感じたわけで、消費税の怒りは強まるばかりだと私は感じております。
また、消費税が導入されました四月の国内卸売物価が前年と比べますと同月比で二・二%の上昇となるなど、政府の予測を超えまして物価への影響も大変心配されるわけです。前年同月比二・六%上昇いたしました東京都区部を調査した大手都市銀行調査部でも、予想より大幅の上昇がある、理論的には一度きりのはずだけれども実際には五月も上がる、というふうに指摘をされているわけです。
消費税の転嫁問題につきましても、聞いてみますと実際は大変深刻なんですね。京都府中小企業中央会、ここの調査によりますと、消費税の転嫁は全体の四割が十分できていない、こういうふうにしておりますし、その一方で仕入れにかかる消費税は九八%の人たちが受け入れている、こういう中小企業の弱い立場が浮き彫りになっているわけです。また、消費税に伴います事務負担が重いと感じているところが全体の九割に上っているのですね。こういう背景には、事務量の増大に伴う人件費であるとか事務機器の経費のアップというのが見られるわけです。このほか、京都にあります新大宮商店街振興組合が消費税導入に関する中小小売商業・サービス業の状況調査というのをいたしましたが、この調査対象は百六十二件で、百三十六件が回答しているわけです。その中で、例えばお客からの苦情の問題ですけれども、消費税を払いたくない、こういう声が圧倒的に多いのだと結果が出ております。また、下京料飲組合というところのアンケート調査によりますと、消費税は自分の店が負担をするけれども売り値は変えていないというのが八六%あるのです。それでは、なぜ上乗せしないのかという問いに対しては、五七%が、客足が減ったら困る、その懸念があるからと答えているわけです。
このままでは国民の暮らしや経済は押しつぶされてしまうわけです。このように大変矛盾に満ちた消費税というのは、手直しとか見直しとか、そういうものでは国民の要望にこたえられるものではないと思うわけです。こういう観点から、消費税は廃止する以外に道はないというふうに思うのですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
〔尾身委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/155
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156・三塚博
○三塚国務大臣 藤原委員の、それぞれの国民の声を御披露いただきながら、消費税の廃止ということを約束すべきではないかという御主張でありますが、御主張は御主張としてお聞きをさせていただきますものの、既に法律として成立を見、執行に入って二カ月に相ならんといたしておるところでございます。全体として、所信表明で申し上げましたとおり、順調にそれが推移をし定着をしていっておるのではないか。これは各種の報告、それから通産省におきましては局及びそれぞれの機関で調査をいたしておるわけでありますが、これらを受けての総合判断でございます。もちろん、内税、外税の問題がございます。そういう意味で、先ほども議論になりました一円玉の問題、子供さんの問題等々あるわけでございますが、これはこれとして、法律に基づく消費税の問題でございますから、御理解をいただくべく、さらなる努力を進めていかなければなりませんし、前段も申し上げましたとおり、一年たってみましてすべての点検の中でどうするかと正式に税務担当の大蔵大臣が言明していることを基本に踏まえながら、我が通産省も対応していくことに相なるわけであります。
また、物価の問題で、東京都区部における物価上昇が政府の予想よりも上回っておるのではないかという御指摘、二・二、こういうことであるわけでございますが、本問題については、東京都区部の瞬間風速という点をとりますと二・二になるということは事実であります。よって、季節調整を加えることによりまして、これがきょうの経済調査報告、経企庁長官から出されましたけれども、予想の範囲内、一・二でおさまっておるところである、こういう報告もなされておるわけでございます。通産省としまして、今後とも転嫁の実施状況を把握いたしますとともに、毎月の価格動向調査を通じ価格変化の監視を行いまして、消費税が円滑に我が国に定着いたしますように最大限の努力を行ってまいる所存であります。
特に指摘をいただいております下請企業や中小企業等に対しては、引き続ききめ細かい対策を講じまして、下請いじめなどということが起こりませんように、万全の注意力をとっておるところであります。具体的な事例などがありましたら、お知らせをいただきますれば、その企業を呼び出して注意を与えまして、弱い者いじめはやるな、火事場泥棒的な行動は企業の倫理に反する、こういうことで今までもやってまいりましたし、今後もやってまいるつもりでありますので、よろしくお願いを申し上げさせていただきたいと存じます。
よって、せっかくのお申し出でありますけれども、本消費税、今後定着いたすことに努力をしてまいる、こういうことで御理解をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/156
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157・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 通産大臣としては消費税が定着するように努力をする、こういうことですが、我が党は廃止をするように努力をしてまいりたい、これを申し上げまして、次へ進みたいと思います。
技術開発補助金と収益納付についてですけれども、大臣は所信表明の中で、技術開発の推進とか超電導、宇宙、情報等の研究開発、充実、これを表明されたわけです。ところで、私が商工委員になりましてから大変びっくりしたことがございます。通産省というところは、コンピューターであるとか航空機、宇宙、新素材、原子力、エネルギー、こういうもの、ありとあらゆる分野で大企業に対しては技術開発のための補助金、委託費、こういうものを大変たくさん出しておられる。そこで今回は技術開発補助金とその収益国庫納付についてお尋ねをしてまいりたいというふうに思うのです。
この問題につきましては、もう既にこれまで我が党は本委員会におきましても何度か取り上げまして、収益納付制度の改善等要求して一部改善の実現をしてきた、こういうことですが、まずお聞きしたいのは、コンピューターの関係です。
超しSI開発補助金、第四世代コンピューター開発補助金、これにつきまして、補助事業の概要と補助金の交付額、それに対する収益納付額、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/157
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158・棚橋祐治
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
今藤原先生御指摘のコンピューター関係、半導体を含めまして三項目かと思いますが、まず超しSIの補助金でございます。
半導体の技術開発の重要性は特に申し上げるまでもないわけでございますが、超しSIの補助金につきましては、昭和五十一年から五十四年度までの四年間で合計で二百八十五億八千六百万円を交付いたしております。また、本補助金にかかわる収益納付額は、昭和五十八年から六十一年度までの四年間で六十七億六千万円国庫に納めております。なお、六十二年度、これが最終年度でございますが、これにつきましては、現在収益額確定のための作業を行っているところでございます。
それから、コンピューター周辺のいろいろの技術開発、いわゆるOSの補助金でございますが、本補助金の交付につきましては、昭和五十四年度から五十八年度までの五年間合計で百八十五億四千八百万円を交付いたしております。本補助金にかかわる収益納付額は、昭和五十九年度から六十二年度までの四年間で十億三千七百万円納付いたしております。
三番目の、周辺端末補助金につきましては、補助金の交付実績は昭和五十四年から五十八年度の五年間合計で三十二億三千五百万円、また収益納付額は昭和五十九年度から六十一年度までの三年間で一億八千七百万円納付いたしております。なお、本補助金の六十二年度分につきましては、現在収益額確定のための作業を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/158
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159・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 続きまして、民間航空機のYX開発補助金につきまして、事業の概要、それから補助金の交付額及び収益納付、国庫納付額、そして、あわせて飛行機の受注及び生産実績について、簡単にお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/159
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160・棚橋祐治
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
いわゆるYXですが、B767の開発事業に関する補助金等の御質問についてお答えいたしますが、この開発事業は昭和五十三年度から昭和五十七年度までの間に本格的な開発が行われまして、この間に補助金としましては約百四十六億五千二百万円を交付いたしております。これらにかかわる国庫納付は、交付した補助金額の約五割に当たります約七十一億八千三百万円、これが平成元年三月末現在までに納められているところでございます。
それから、先生御指摘の生産等の概要でございますが、この飛行機は、技術開発に成功した、大変評価の高い飛行機でございまして、現在受注数で四百二十一機、そのうち引き渡しされた数で二百六十二機になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/160
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161・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 今お尋ねいたしましたコンピューター、航空機開発、合わせまして補助金交付額というのは五百三億六千九百万円に対しまして、納付額は、返還された額は百五十一億六千三百万円、納付率は三〇%にとどまっているわけです。超しSI開発補助金は、超しSI技術研究組合参加の日立、東芝、日本電気、富士通、三菱電機、日電東芝情報システムの六社に交付されているわけですね。開発事業の成功というのは世界じゅうで大変注目をされました。そして、昨年、一九八八年の半導体市場世界ランキングでは、我が国は初めて世界市場売上高の五〇%のシェアを確保いたしました。日本電気、東芝、日立製作所が一九八七年に続きましてベストスリーを占めたと伝えられておりますが、超しSI開発事業成功がその原動力になっているということは極めて明白だというふうに思うのですね。
さらに、一九七二年度から七六年度まで六百八十六億円投じられた電子計算機等開発促進費の補助金に続きまして、先ほどの第四世代コンピューター開発に二百二十二億円が投入されたことが、我が国のコンピューターメーカーが世界市場で生産額のシェアを一九八二年の一二%というところから八七年には二九%というところまで高めるに至った、その原動力になっているということも明白だというふうに思うのですね。これらの補助金を受けました日立とか東芝、三菱電機あるいは日本電気、富士通などの企業は、補助事業の成果によって莫大な利益を上げているわけです。現に史上最高の利益を更新しているわけですから、八七年度分収益納付額の確定作業を適正に行うのはもちろんのこと、収益納付期間の延長等によって収益納付をもっときっちりと実行させるべきだ、こういうふうに思うのですが、その点いかがなものでしょうか。
また、YX開発補助金につきましても、開発参加の三菱重工とか川崎重工とか富士重工、この三社が現在なお三年分強の受注残を抱えて、今後の受注も引き続き予定される、生産を続ける、こういうわけですから、同様にすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/161
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162・棚橋祐治
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
まず藤原先生御指摘のコンピューター関係の補助金でございますが、先生御承知のように、この分野の技術進歩は日進月歩で、極めて激しい技術革新の繰り返してございますので、この関係の補助金にかかわる収益納付期間を五年間ということで設定をいたしました。この目まぐるしい技術進歩によって、補助事業の実施による成果が急速に陳腐化するであろうという考え方で、そのように五年間と設定をしたわけでございまして、当該期間については交付要綱制定時より明示をして補助金を交付したわけでございます。
それから、航空機でございますが、収益納付期間につきましては、機体の販売の見通し、大体五百機の販売が損益分岐点であろうという考え方で、その見通しとか、収益発生見通し等を踏まえまして、当面七年間と定めているものでありますが、その意味で七年目は平成元年度が七年目になるわけでございますが、これらの点をも踏まえて今後航空機については検討をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/162
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163・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 コンピューターの点で陳腐化の問題などもいろいろあるわけですけれども、この問題で消極的というふうなことでは国民はとても納得できないわけですね。きちっとやっていただきたい。なぜかと申しますと、今や世界的な大企業に成長いたしました一部の大企業に対して、こういうことで大変な発展成長を遂げ、もうけをしている、そういうことですから、いつまでも手厚く補助金等を交付するのはやめて、そして大企業向けの技術開発補動金というのを大幅に減らしたらどうか、こういうふうに思うわけです。
そこで、この問題の最後にお尋ねをしたいと思うのですが、少なくともこれまでに交付したもの、さらには現在交付中のものにつきましては、補助金等適正化法の第七条第二項で、収益が上がったものについて補助金の全額または一部を納付させることができると定めているわけですから、納付期間の延長を含めて補助金をきちんと返させるようにすべきだと思うのですが、これは大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/163
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164・三塚博
○三塚国務大臣 ただいま収益納付という問題に関連をいたしまして、大企業補助金政策をこの際改めよ、こういう御指摘をちょうだいいたしたわけでございますが、ただいま政府委員から、それぞれの分野における補助金交付の目的というものについてお話があったわけでございますが、国益にかなうという観点から通産大臣がこれを認可してまいる、こういうことでありますが、大企業だけに限りませんで、中企業またこの種の分野の開発をいたします会社につきまして、実情を勘案いたしまして、目的がこれにかなうということでありますれば行ってきておるところでございます。
問題は、御指摘のように、この期間というものをどう定めるかということで、七年というようになっておるわけでございますが、これは守っていただく、こういうことでなければなりませんし、同時に、今お読みいただきました全部または一部の金額を納付をいたすべき旨法律に明記いたしておるわけでございますが、これはまさに、前段にございますように、相当の利益が生ずると認められた場合ということも付記されておるところでありますけれども、やはり補助金は国民の税金でございますから、それぞれの目的を達成をし、それぞれに販売成果が上がり、収益が上がっておるということでありますならば、きちっと御返納をいただく。こういうことで、さらに指導をしてまいり、御懸念のありませんように相努めてまいりたいと考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/164
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165・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 ぜひきちんと取り組んでいただきたいというふうに思うのですね。ここに議事録を持ってまいりましたけれども、かつて昭和五十八年五月二十日、本委員会におきまして、当時の山中通産大臣は、「収益を生み出し、あるいはまた試作品処理等が始まったら、国民の税金ですから、」「きちっと納めさせるという立場は貫いていきたい」、このようにはっきり答弁しておられるわけですね。しかも、ここで問題にしました補助金を受けている企業というのは、日立、東芝、三菱など、皆世界的な超一流企業ですね。莫大な利益を上げておりますし、きょうはもう時間がありませんから取り上げませんけれども、これ以外にも通産省からたくさんの補助金、私がびっくりしたくらいの補助金や委託費を受けているわけですから、国民の立場に立って補助金の返還、これは厳正に取り組んでいただきたいというふうに強く要望いたしまして、次に進ませていただきたいと思います。
次は、伝統的工芸品産業の振興対策、この問題についてお尋ねをいたします。
昨年の十月七日に出されました伝統的工芸品産業審議会の意見具申、この具申が出されておりますね。伝統的工芸品産業がさまざまな環境変化の中で、従来の伝統を守りつつも現代社会に調和していくために、今後の振興対策について幾つかの検討課題を指摘しております。
その一つなのですけれども、大都市における消費者ニーズの把握、市場情報の収集と伝統的工芸品のPRのためのアンテナショップ、こういうものの設置の問題がございます。京都では、西陣織、京友禅を初めとして十六品目が、伝統的工芸品産業の振興に関する法律、すなわち伝産法によりまして、伝統的工芸品の指定を受けております。それ以外にも伝統的または伝統を生かした産業が数多くあるわけですけれども、京都市では去る四月二十一日、それらの作品を展示したり販売したり、市場情報を収集して商品開発に生かすということで、「ステージ京都」というのを青山に開設をいたしております。また、伝産法が制定をされまして後その第一号として京都に伝統産業会館というのが建設をされました。国賓が来られますと必ずここへ行かれて見学をされるというようなことで、大変大きな役割を果たしているわけですね。
ところが、大都市部におけるアンテナショップといいましても、この設置とか運営、これに要する費用というのは大変なものなんですけれども、政府の補助というのがないのですね。京都の伝統産業会館建設に当たりまして、例えば後継者育成とか研修とかで、二階の部分は政府の補助が一部あった。ところがランニングには全然ない、こういう状況なんですね。立派な入れ物は建った、それには少し援助もした、しかし後はよきに計らえというような態度では、一体通産省は伝統産業を振興する気があるのかないのかという点で私は理解に苦しむわけですね。よきに計らえじゃなしに、どうしても補助すべきだ。特に運営費ですね、こういうものを補助すべきだ。ぜひとも検討していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/165
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166・岡松壯三郎
○岡松政府委員 先生御指摘のステージ京都、この四月に青山にオープンしたわけでございますが、御指摘のとおり国といたしましては個別のアンテナショップに対する予算的な補助は行っておりません。ただ、広く伝統的工芸品全般につきまして需要の拡大を図っていくということが大事でございますし、また、後継者の育成等の施策を講じていくということが大事であるわけでございまして、財団法人の伝統的工芸品産業振興協会を通じまして各種の助成措置を行っているわけでございます。
具体的には、全国伝統的工芸品センターというのを設けておりまして、ここで伝産品についての常設展示をいたしますとか、また、毎年一月に開催するのが例になっておりますが、全国伝統的工芸品展を開催いたしますとか、あるいは伝産品月間の開催、これは大体十一月にいたしておりますが、そのような施策を通じまして、消費者へのPRあるいは市場調査等の助成、広くバックアップをするという形で助成をさせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/166
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167・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 協会を通じて補助をわずか出しておられるのは後でも言いますけれども、幾つか積極的提案が意見具申でなされているわけですね。そういう中で、伝統的工芸品産業の今後のあり方ですね。例えば告示の問題があります。こういう見直しなんかもちょっと触れていきたいと思うのですが、西陣織の場合、伝統的工芸品の指定を受けるにはダイレクトジャカード機の使用というのは認められていないのです。手づくりだけということになっている。そうすると、一九八七年度の調査によりますと、最近コンピューターを使ったダイレクトジャカードというのが約三〇%の普及になっている。一方、紋彫りというような仕事がなくなってきているという問題もあるのですけれども、しかし一応どんどん普及しているという状態ですね。それからまた、京扇子とかうちわで合成樹脂の塗料の使用を認めてほしいとか、京漆器で上質合板の使用を認めてほしいなど、時代の変化に対応した要望も上がっているわけです。さらに、デザイン部門から見ましても、染色品であります友禅模様を基調にしたものや小紋調の運用の弾力化、こういうことも必要なんです。
時代の変化の中で伝統的工芸品を守り発展させるためにも、指定要件を、伝統的工芸品本来の姿を失わない、よさを失わないという範囲内で、ある程度緩やかにするように早急に検討すべきだ、こういうふうに思うのです。こんなことは金かからぬ問題でしょう。
また、現在は、素材が幾ら伝統的工芸品であっても、これが縫製されて製品となった場合、例えば西陣織のネクタイですね、こういう二次加工品は伝統的工芸品の表示が認められない。大変矛盾していると思うのですね。こういう点に改善要望が多いわけです。伝統的工芸品の本質、特性を損なわないのならば、そういう製品の需要拡大を図るためにも、二次加工品について何らかの表示を認めるべきだと思うのです。そういうことは審議をしてもらえば、金がかかるわけでもないし、積極的にやっていただきたい。済みませんが、簡単にお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/167
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168・岡松壯三郎
○岡松政府委員 お答え申し上げます。
伝統的工芸品という名前のとおり、使用材料については伝統的なものであること、あるいは製法、技法、技術につきましても伝統的、この伝統的というのは江戸時代の末期までに確立されたものというふうになっているわけでございます。この点はもう先生御存じのとおりでございます。
ただ、この伝統産業にもやはり技術の波が寄せてきているわけでございまして、伝産品に係る各種の見直しを進めたいというふうに考えておるところでございます。具体的に申し上げますと、原材料の変更あるいは新しい技術、技法の取り入れというような見直しの問題がございまして、これらの変更が伝産品の本質に影響を与えないかどうかという点につきまして、伝産品の審議会がございますので、この意見を聞きながら判断をしていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。御指摘の西陣織のダイレクトジャカードの問題につきましても、この審議会に諮ってその取り扱いを決定してまいりたいというふうに考えております。
それから、もう一点、証紙の貼付の問題が御指摘ございました。この点につきましても、まさに伝産品につきましては表示マークがあるわけでございますが、これを使用した二次製品になりますとつけられないことになっております。しかしながら、地元からの要望は承知いたしておりまして、これに対応できるように、伝統的工芸品を用いてつくった二次製品であるということを証する新しい証紙の導入につきましても、具体的な検討をいたしております。この点につきましても、審議会に諮りまして、本年度中に決定をしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/168
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169・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 本年度中に見直しを進めると積極的な御答弁をいただいたと思うのですが、ぜひとも要望を取り入れていただいて、地域経済を守っている、京都なんかは中小零細企業がこれをやりまして京都の経済が持ちこたえているというふうな状況がありますので、なかなか積極的ですから、答申にも意見を十分反映させていただいて進めていただきたい。
そういう中で、伝統的工芸品産業の従事者というのは、一九八五年度末で指定品目は百五十四で約二十二万人おられるわけですね。指定品目は今百七十一というふうになっておるわけです。さらに原材料の供給や製造、二次加工等の関連従業者を入れますと、伝統的工芸品産業というのは、先ほど申したように、それぞれの産地経済にとっても大変大きな役割を果たしているわけですね。したがいまして、この具申にもありますけれども、産業発展のためにも、後継者問題は、若手の育成も含めて施策が必要だというふうに思うわけです。それから、直接声を聞きますと、売り手さんもいろいろそういう知識、技能がなければよく販売できないわけですから、この人に対する研修というようなことも要るというところも、これは具申には書いてないのですが、現場の声なのですね。そういう点いろいろ取り入れていただいて、ぜひ早く進めていただきたい。
それから、どうしても大事なことは、この振興対策に対する予算が、一九八六年度の四億三千四百万円がピークだったわけですね。さっき協会を通じていろいろ補助しているとおっしゃっているけれども、今年度は四億二千五百万円と減少しているわけです。一九七四年に議員立法でこの伝産法がつくられたにもかかわらず、これでは十分に期待にこたえているとは言えない。だから私は、やる気があるのかないのかと思うと言ったわけです。政府は地域経済活性化としきりにおっしゃっているのですけれども、それを実現するためにも、地域経済を支え、我が国のすばらしい文化を継承しております伝統的工芸品産業に対して、もっと十分な援助をしていただきたい。さっき質問いたしましたあの収益納付の問題でも明らかになったではありませんか。政府は大企業向きの施策は大変手厚い、やめてくださいというほど手厚くしておられる。ところが、地域に密着した伝統産業振興など中小企業に対しては、これでは私は納得いかぬ。大臣の決意を最後にお聞かせいただきたい。
最後にもう一つ、これは時間がないので、大臣にお答えいただいても、ほかの方でもいいのですが、生糸問題です。生糸の安定供給対策というのは、伝統産業であります西陣織、京友禅などを守る上からも大変重要な問題なのです。この問題については私も前回この審議の中で農水省にお聞きしたわけですけれども、いまだに生糸の高騰が続いている。ですから、生糸は農水省の所管ですけれども、法律によって繭糸価格安定制度がつくられているわけですから、通産省としても、繊維産業を守り中小織物業者を支援していくという立場から、この生糸が適正な価格で安定して供給されるために何らかの対策がないのかどうか、農水省にも積極的に働きかけをしていただきたいと思うのですが、この二つについてまとめてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/169
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170・三塚博
○三塚国務大臣 ただいまの伝統的工芸品産業は、まさに地域振興の重要な担い手であると私も存じます。よって、一定の地域に密着して成長してきておりますものでございますから、今日、言われます地域経済活性化の観点からも、伝統的工芸品産業の振興は重要な政治課題と受けとめております。したがいまして、伝統的工芸品産業の新たな展開に応じました技術、技法、原材料等の見直しを進めてまいる一さらに需要拡大のための諸施策の推進、後継者育成のための諸施策の推進など、総合的な伝統的工芸品産業振興対策を講じてまいる所存であります。
絹につきましては担当局長から答弁させたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/170
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171・岡松壯三郎
○岡松政府委員 生糸の問題についてお答え申し上げます。
先生御存じのように、生糸につきましては農水省の所管であるわけでございますけれども、絹織物業界等需要業界を所管いたします通産省といたしまして、従来からこの生糸価格の安定ということについて重大な関心を有しているところでございます。このため、従来から農水省に対して通産省の立場を主張してきたところでございまして、現在のところ確かに御指摘のとおり市況はかなり高騰しているという現実は十分認識いたしまして、今後ともこうした努力を進めてまいりたいというふうに存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/171
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172・藤原ひろ子
○藤原(ひ)委員 終わります。ありがとうございました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/172
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173・田原隆
○田原委員長 次に、内閣提出、特定新規事業実施円滑化臨時措置法案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。三塚通商産業大臣。
―――――――――――――特定新規事業実施円滑化臨時措置法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/173
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174・三塚博
○三塚国務大臣 特定新規事業実施円滑化臨時措置法案につきまして、その提案理由及び趣旨を御説明申し上げます。
我が国産業経済にとって、内需型産業構造への転換は現下の急務でありますが、これを円滑に進め、国内産業の空洞化を招くことなくその経済活力を今後とも維持していくためには、多様な需要に対応するとともに潜在的な需要を掘り起こすような新規事業を活発に創出し、産業経済のニューフロンティアを開拓していくことが喫緊の課題となっております。
このような新規事業の実施を積極的に図っていくためには、リスク性の高い新規事業の事業開始段階に対する民間資金の供給を円滑化する仕組みを整備するとともに、あわせて新規事業の実施に必要な情報の提供体制を整備することが必要であり、このため、今般、本法律案を提案いたした次第であります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、新商品の生産または新たな役務の提供等を行う事業のうち通商産業省の所掌に係るものであって、当該事業に係る商品または役務が事業活動に係る技術の高度化もしくは経営の能率の向上または国民生活の利便の増進に寄与するものを特定新規事業とすることといたします。
第二に、通商産業大臣が、新たな経済的環境に即応した産業分野の開拓の基本的な考え方、特定新規事業の内容及び実施方法等に関して実施指針を定めることといたします。
第三に、事業者は、実施指針に基づき、特定新規事業に関する実施計画を作成し、通商産業大臣の認定を受けることができることといたします。
第四に、産業基盤整備基金の業務に、特定新規事業の実施に必要な資金を調達するために発行する社債及び借り入れについての債務保証、特定新規事業の実施に必要な資金の出資、特定新規事業に関する情報の提供等の業務を追加することといたします。
第五に、特定新規事業の実施に必要な資金の調達のために発行する新株引受権付社債につき商法に定められている発行限度を引き上げる特例を設けることといたします。
その他報告の徴収等必要な規定を設けることといたします。
以上が、この法律案の提案理由及びその趣旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/174
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175・田原隆
○田原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、明二十四日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四十四分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111404461X00319890523/175
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