1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成元年十一月二十九日(水曜日)
午前十時二分開議
出席委員
委員長 丹羽 雄哉君
理事 伊吹 文明君 理事 高橋 辰夫君
理事 野呂 昭彦君 理事 畑 英次郎君
理事 粟山 明君 理事 池端 清一君
理事 貝沼 次郎君 理事 田中 慶秋君
粟屋 敏信君 石破 茂君
稲垣 実男君 今井 勇君
小沢 辰男君 尾形 智矩君
木村 義雄君 佐藤 静雄君
笹川 堯君 高橋 一郎君
竹内 黎一君 津島 雄二君
戸沢 政方君 中山 成彬君
三原 朝彦君 持永 和見君
山下 徳夫君 大原 亨君
金子 みつ君 川俣健二郎君
田邊 誠君 多賀谷真稔君
永井 孝信君 渡部 行雄君
新井 彬之君 児玉 健次君
田中美智子君 大橋 敏雄君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 戸井田三郎君
労 働 大 臣 福島 譲二君
出席政府委員
社会保障制度審
議会事務局長 岸本 正裕君
総務庁人事局長 勝又 博明君
厚生大臣官房総
務審議官 加藤 栄一君
厚生大臣官房審
議官 森 仁美君
厚生大臣官房老
人保健福祉部長 岡光 序治君
厚生省児童家庭
局長 古川貞二郎君
厚生省年金局長 水田 努君
社会保険庁運営
部長 土井 豊君
労働省職業安定
局高齢・障害者
対策部長 七瀬 時雄君
委員外の出席者
大蔵省主計局共
済課長 乾 文男君
大蔵省主計局主
計官 斎藤 徹郎君
大蔵省理財局資
金第一課長 佐藤 謙君
運輸大臣官房国
有鉄道改革推進
部再就職対策室
長 丸山 博君
社会労働委員会
調査室長 滝口 敦君
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委員の異動
十一月二十九日
辞任 補欠選任
河野 正君 金子 みつ君
田邊 誠君 多賀谷真稔君
同日
辞任 補欠選任
金子 みつ君 河野 正君
多賀谷真稔君 田邊 誠君
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十一月二十七日
年金の改善に関する請願(岩佐恵美君紹介)(第七〇三号)
同(岡崎万寿秀君紹介)(第七〇四号)
同(金子満広君紹介)(第七〇五号)
同(工藤晃君紹介)(第七〇六号)
同(佐藤祐弘君紹介)(第七〇七号)
同(柴田睦夫君紹介)(第七〇八号)
同(中路雅弘君紹介)(第七〇九号)
同(中島武敏君紹介)(第七一〇号)
同(不破哲三君紹介)(第七一一号)
同(松本善明君紹介)(第七一二号)
同(矢島恒夫君紹介)(第七一三号)
国民医療改善に関する請願(上田哲君紹介)(第七一四号)
同(加藤万吉君紹介)(第七一五号)
同(金子みつ君紹介)(第七一六号)
同(菅直人君紹介)(第七一七号)
同(串原義直君紹介)(第七一八号)
同(左近正男君紹介)(第七一九号)
同(佐藤観樹君紹介)(第七二〇号)
同(高沢寅男君紹介)(第七二一号)
同(安藤巖君紹介)(第七二二号)
同(石井郁子君紹介)(第七二三号)
同(岩佐恵美君紹介)(第七二四号)
同(浦井洋君紹介)(第七二五号)
同(岡崎万寿秀君紹介)(第七二六号)
同(金子満広君紹介)(第七二七号)
同(経塚幸夫君紹介)(第七二八号)
同(工藤晃君紹介)(第七二九号)
同(児玉健次君紹介)(第七三〇号)
同(佐藤祐弘君紹介)(第七三一号)
同(柴田睦夫君紹介)(第七三二号)
同(瀬長亀次郎君紹介)(第七三三号)
同(田中美智子君紹介)(第七三四号)
同(辻第一君紹介)(第七三五号)
同(寺前巖君紹介)(第七三六号)
同(中路雅弘君紹介)(第七三七号)
同(中島武敏君紹介)(第七三八号)
同(野間友一君紹介)(第七三九号)
同(東中光雄君紹介)(第七四〇号)
同(不破哲三君紹介)(第七四一号)
同(藤田スミ君紹介)(第七四二号)
同(藤原ひろ子君紹介)(第七四三号)
同(正森成二君紹介)(第七四四号)
同(松本善明君紹介)(第七四五号)
同(村上弘君紹介)(第七四六号)
同(矢島恒夫君紹介)(第七四七号)
同(山原健二郎君紹介)(第七四八号)
同(清水勇君紹介)(第八一〇号)
同(中島武敏君紹介)(第八一一号)
年金改悪反対、制度の抜本改革に関する請願(伊藤英成君紹介)(第七九七号)
同(大矢卓史君紹介)(第七九八号)
同(岡田正勝君紹介)(第七九九号)
同(川端達夫君紹介)(第八〇〇号)
同(神田厚君紹介)(第八〇一号)
同(竹内勝彦君紹介)(第八〇二号)
同(塚田延充君紹介)(第八〇三号)
同(吉田之久君紹介)(第八〇四号)
年金・健康保険制度の改悪反対等に関する請願(工藤晃君紹介)(第八〇五号)
同(佐藤祐弘君紹介)(第八〇六号)
同(中島武敏君紹介)(第八〇七号)
脊髄空洞症を特定疾患難病指定に関する請願(草野威君紹介)(第八〇八号)
同(矢追秀彦君紹介)(第八〇九号)
は本委員会に付託された。
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十一月二十四日
国民健康保険制度の充実改善に関する陳情書外二十六件(第二七号)
国民年金法等改正法案の早期実現に関する陳情書外六十七件
(第二八号)
厚生年金の支給開始年齢引き上げ等に関する陳情書外九件(第二九号)
沖縄における厚生年金等の格差是正に関する陳情書外一件(第三〇号)
育児休業法の早期制定に関する陳情書外三件(第三一号)
高齢者福祉対策の充実に関する陳情書外五件(第三二号)
精神薄弱者の高齢化対策に関する陳情書(第三三号)
全国ハンセン病療養所に関する陳情書(第三四号)
輸入食品の安全確保対策の推進に関する陳情書外一件(第三五号)
水道事業の推進に関する陳情書(第三六号)
生活排水の処理対策に関する陳情書外一件(第三七号)
ごみ処理施設等の補助率の引き上げに関する陳情書(第三八号)
原爆被害者援護法の制定に関する陳情書外五十一件(第三九号)
労働時間の短縮等に関する陳情書(第四〇号)
パートタイム労働者対策の積極的推進に関する陳情書外二件(第四一号)
労働基準法・労災保険法の見直しに関する陳情書外二件(第四二号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百十四回国会閣法第六六号)
被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案(内閣提出、第百十四回国会閣法第七七号)
平成元年度における国民年金法等の年金の額等の改定の特例に関する法律案(大出俊君外二名提出、第百十四回国会衆法第一〇号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/0
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001・丹羽雄哉
○丹羽委員長 これより会議を開きます。
第百十四回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案及び第百十四回国会、大出俊君外二名提出、平成元年度における国民年金法等の年金の額等の改定の特例に関する法律案の各案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/1
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002・渡部行雄
○渡部(行)委員 最初に大臣にお伺いいたしますが、今度の新年金法案というものは国民のコンセンサスを得ていると思いますか。少なくとも、これほど重大な年金の改正でございますから、国民は言うに及ばず、国会の合意のもとにこれは推進すべきだと思いますが、その点での御認識はどういうふうにされているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/2
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003・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 先生御指摘のとおり、この年金法案については国民ひとしく注目をしている問題であります。そして同時に、今回の改正は、御承知のとおり、先世代で、支えられる世代の人たちに対する給付の改善と、将来自分たちがやはり年金受給者にもなり、しかも現在その年金を支えていく現世代の方々の負担の問題と、それから高齢化社会に向かっていく、長寿社会に向かっていく段階に将来の年金財政を安定するためにはどのようにしたらいいかということの一つとして開始年齢の問題もあります。しかし、これ、いずれも世代間合意を得て、そして世代間扶養という仕組みを維持していくための問題であって、決してイデオロギーの問題であったり、いろいろな対立問題であると私は思いません。しかしながら、どの世代の人たちにどういう影響を与えるかということについて考えてみるというと、いろいろな意見があるということも、これも御承知のとおりであります。しかしながら、各党間でいろいろな意見の違いというものを調整し合うことのできる問題でありますので、私はこの合意を一日も早く得て、成立をさせていただきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/3
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004・渡部行雄
○渡部(行)委員 それで、この今の一番重要な対立点というのはどのように御認識されておりますか。どういう点が決定的な対立になっているか、その辺をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/4
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005・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 今も若干触れましたけれども、対立点といえば、先ほども申し上げましたように将来の年金受給者となる現役世代の人たちの負担の問題が一つと、それからもう一つは、今回の関係では御承知のとおり国鉄の制度間調整の問題であります。こういうような問題は当然それぞれの各党の間に違いはあると思いますけれども、今申し上げましたように年金という長寿社会に向かっての所得保障の面で、それぞれの改正点と、それから将来の負担あるいは現実における制度間調整に対するいろいろな御意見、違いはあるけれども、そういった観点から立ってくるならば、必ずこの相違点というものは話し合いのできない問題ではない。私たちは政府として提案をいたしておりますけれども、審議の場を通じて、そして国会というところが国民の意思を代表しているわけでありますから、ここで合意点を得られるような努力をしていただいているわけでありますから、私は、そういう問題点も逐一皆さん方の御審議の中で解決されていくと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/5
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006・渡部行雄
○渡部(行)委員 これははっきり申し上げますと、まず第一の対立点というのは、年金支給年齢を六十五歳まで引き上げるという問題だろうと思います。それから第二の対立点は、この掛金の引き上げの問題。それから第三の対立点は、鉄道共済の赤字をどう解決していくか。まずこの三つが一番大きな対立点じゃなかろうか、こういうふうに私は思いますが、この私の考え方に間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/6
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007・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 私もそのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/7
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008・渡部行雄
○渡部(行)委員 そこで、これは確かにイデオロギーの問題ではないと私は思います。問題は、本当に国民の喜ぶ年金制度がどのようにしてでき上がるか、そこが一番の大きな問題だろうと思います。
そこで、大臣は、なぜ六十五歳支給開始年齢の引き上げに多くの国民が反対しておるか、この点についてどのように思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/8
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009・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 六十五歳支給というのは、先ほども冒頭に申し上げましたように、今回の改正は給付の改善を行っております。当然それを支えていく料率も負担も改正をしております。そして今言った年齢の問題も、負担と給付、それから支える者と支えられる者との、長寿社会が非常に大きなテンポで進んでいるという現状下において、世界等の趨勢を見ながら六十五歳、そして同時に、この問題は雇用の問題と密接に関連をしていることもそのとおりだと思います。そのために、今度の六十五歳支給開始年齢というのは、現在の法律も既に六十五歳というふうになっておるわけでありますけれども、それは当分の間六十歳ということに附則でなっておりますが、その当分の間の中における六十五歳のスケジュールを立てて、そのスケジュールが雇用との関係で、これで間違いないという段階に至ったときにボタンを押して実施をしようというわけであります。
しかしながら、この六十五歳という現実の雇用の状況から見て、時期尚早じゃないかという御意見が非常にあったと私どもは思っておるわけであります。でありますから、この問題につきましては、やはり各党間の意見の相違を見ているわけでありますから、各党間におかれてもその間のお話し合いというものが今進められているように聞いておりますので、私どもはそれを見ておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/9
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010・渡部行雄
○渡部(行)委員 そうすると、手っ取り早い話が、大臣は、この点は柔軟性を持って対処したい、各党間の意見の調整が図られれば、これは取り下げてもよい、こういうふうに受け取っていいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/10
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011・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 国会は国権の最高機関であり、しかも住民から直接選ばれてきた代表によって構成をされており、しかも、その中でも現状の日本の政治は政党政治であり、議院内閣制であり政党政治が行われているわけでありますから、そういう政党間においていろいろな意見の相違もあるし、しかも、その相違というものが合意を得ることによって国権の最高機関である国会の意思が決まるわけでありますから、私どもがどう考えるというよりも、さらに、そういった国会の意思の決定に従って我々はそのことに対処をしていくということだと思いますので、それ以上のものでもなければそれ以下のものでもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/11
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012・渡部行雄
○渡部(行)委員 大変大臣の柔軟なお答え、期待しております。
そこで、やはり物事には私は順序というものが非常に大事だと思うのです。まるで今度の年金は、構わずトンネルをつくって、そして出口だけを、出口から向こうを見えるようにして、肝心かなめのトンネルの中は真っ暗で電気も何もついてない、こういう状態だろうと思うのです。こういう中で、おまえ、このトンネルを通りなさいと言われても、なかなか真っ暗なトンネルに入る気がしないというのが今の国民の心情じゃなかろうかと思います。そこで、やはりトンネルの出口よりはトンネルの入り口から出口までの間を明るくだれにも見えるようにするのが順序の一番大事なやり方ではないか、私はこういうふうに思います。
これをはっきり申し上げますと、老齢で退職した人がすぐに年金というものによって支えられるという安心感があれば、これは年金に対する相当の理解というものができると思うのです。ところが、退職は定年退職ですから、これは抵抗もできない。年齢が来れば有無を言わさず退職させる、こういうことになってまいりますと、退職後の収入は一体何で得ようか。確かに、今は相当景気もよいようですから、今のところはそれほど苦労しなくとも職につけるかもしれません。しかし、それでもなかなか退職、はい、あすから別な就職ということにはならないと思います。どんなことをしても新しい職につくまでには相当の時間というものが必要になってくる。そうすると、その時間、いわゆる無職である時間がどれだけ長引くのか、どのくらいで次の就職に取りつくことができるのか、そういうところに大きな不安があるわけです。そこで、この不安をまず除去するということがこの年金法の改正に一番大事なところではないだろうか。
大体福祉事業そのものが、福祉行政そのものがやはり人間の生きていく上での不安からそれを逃れさせる、こういうところに一番大きな点が指摘されていいだろうと思います。幾ら金を積まれても心の中に安心感がなく、いつも戦々恐々としておるようでは、これは決して愛のこもった福祉とは言いがたいと思うわけでございます。そういうことを考えますと、やはり年金の骨格をなす年齢引き上げというものを先に決めるのではなくて、これは議論としてされることは私は賛成ですけれども、とりあえずこういうものに対する不安というものをなくして、まず今の六十歳定年すらまだ完全に定着していないのですから、この支給年齢も六十歳にしておいて、あと今後何年間で六十五歳までのいわゆる定年制を引き上げるなり、何らかの方法でこの退職から年金支給に至るまでの間を安心させる、そういう一つの施策で充足していく、こういうことが大事ではないかと思います。
この間の公聴会である先生は、かえってこれが刺激になって六十五歳までのいわゆる就労意欲というものが旺盛になっていいのではないかというようなお話をされた方がおりますけれども、私は、そういう場合にこういう刺激の方法は使うべきじゃない、むしろそれは邪悪な考え方だと思っておりますが、大臣はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/12
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013・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 今国民に不安を与えるような状況で六十五歳を推進すべきではないというお話でございます。私も、そういう意味では全く意見は同じであります。そのために雇用というものが常に考えられなければいけない。現在支給は六十歳でありますけれども、現実に六十歳でもらっている人の数は非常に少なくて、平均するというと、昭和六十二年の統計で見ても六十二歳が平均になっておるわけであります。でありますから、現在多い人は六十五歳あるいはそれ以上、六十五歳ぐらいまでたってからもらっている人もいるだろうし、それから六十歳の人もいるでしょう、平均して大体六十二歳ということになってきております。これは、現在の日本の雇用の状況というものが実際に進んでおって、退職をしている時期がそれだけおくれているということも原因しているのだろう、理由があるのだろう、かように思っております。
もう一つは、私はむしろこれをすぐにするというのではなくて、今度の法案でも段階、スケジュールを立てて雇用の状況を見て、さあ、これで六十一歳から、あるいは六十二歳から、六十五歳というような、最終段階は国会にあるのですから、国会がそれを見て決定をしていただくということになっているわけであります。ただ一方、公聴会のときにその六十歳—六十五歳というスケジュールを立てた方が六十五歳雇用というまでに促進をするのではないかという御意見があったということでありますが、私も、そういう意味では、これを実施する以前にそういった仕組みが示されているということによって、ある意味では一部にはそういった促進剤の役割もあるのかなというふうなことを先生の御指摘をもって今感じました。でありますから、決して無理をして国民の理解を得られない状況の中で強行するというようなことは本案の中にも含まれていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/13
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014・渡部行雄
○渡部(行)委員 この今の大臣のお答えでは、私と考え方は同じだと言われますから、大体私の考えている方向で御努力なされると思いますけれども、ただ、国会はもちろん最高の議決機関であることは間違いないし、また最高の権力機関でもあるわけです。ただ、大臣はこの法案の提案者でございますから、提案者として今お述べになられたようなお考えがあるならば、この六十五歳問題はこれは一たん法案から取り除いて、そして、これから国民のコンセンサスを得るための一つの議論の素材として国民に提案されるということは、私は一向に差し支えないし、また、そういう議論を通してコンセンサスを得ていくということは非常に大事だと思っております。
そこで、五十五歳から六十歳までの現在の就労率はどのくらいですか。また、六十歳から六十五歳までの就労率をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/14
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015・水田努
○水田政府委員 労働省の調査によります昭和六十三年六月現在の高齢者就業実態調査の結果によりますと、五十五歳から五十九歳までの層の男子の方の就業率は八八・四%、六十歳から六十四歳の層の男子の方の就業率は六七・九%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/15
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016・渡部行雄
○渡部(行)委員 そこで、こういう数字から、退職後の生活というものを六十五歳までの間にどのようにすれば保障されるのか。例えば部分年金とか部分就労とかそういう議論もありますけれども、仮に部分就労としても、それが直ちにスムーズにそこにいけるものではなかろうと思うわけです。そういういろいろな障害がなく、スムーズにその部分就労・部分年金というふうにいくためにはどういう手だてを政府では考えておられます
か、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/16
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017・水田努
○水田政府委員 政府は、昭和六十一年の長寿社会対策大綱、それから昨年の第六次雇用対策基本計画、さらには昨年国会に厚生、労働両省でいわゆる福祉ビジョンというものをお出ししたわけですが、政府の方針としては六十歳までの定年制の完全定着、それから六十歳前半層の継続雇用の確保を図る、これがまず政府の方針でございまして、それをより計画的に行うべしという御意見にこたえるため、労働省は本年十月、雇用審議会に六十五歳までの間の雇用機会を確保するための対策について法的整備を含めて諮問をいたしているところでございまして、私ども、先生が御指摘のようにサラリーマン生活からそういう雇用の場の確保と見合いながら年金生活に軟着陸していくことが好ましいもの、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/17
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018・渡部行雄
○渡部(行)委員 そうすると、結局今、雇用問題については労働省が検討中である、したがって、厚生省としてはその問題についてはまだ確たる認識の段階ではない、だがしかし、六十五歳年金支給開始はやりたい、これは非常に途中が抜けている感じがするのです。ですから、先ほど大臣が言われましたように、これは各党がその気になれば別に固執しないというように私はとりましたが、やはり国民はもちろんのこと、この国会の中でさえなかなかコンセンサスがとれない場合は、どういうふうな方法でとっていくかということが非常に重要じゃなかろうか。しかも、これはぎりぎりのところまで今来ておりますので、その点は思い切った政治的決断が大臣に迫られると思いますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/18
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019・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 先ほど申し上げましたように今の内閣は議院内閣制で、政党、今自民党が政権をとっているわけでありますが、私は自由民主党の国会議員であり、同時に内閣の厚生大臣という立場であります。そして、この国会の中で審議をされているのには、やはり自由民主党を含めて各党間で御審議があり、そして各党間でそれぞれの違った意見の調整もあって、そういったものが決められれば、私はやはり自由民主党から出ている国会議員であり、同時に政府の一員でありますから、当然そういった国会の決定に対しては従うわけであるし、そういったことが当然私どもの行動の中にあらわれてくるわけでありますから、決して皆さん方で合意をしたものに対して私はそうじゃありませんというようなことはない、そういう意味では先生の御指摘のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/19
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020・渡部行雄
○渡部(行)委員 次に、保険料の料率をなぜ引き上げなければならないのか、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/20
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021・水田努
○水田政府委員 御質問の趣旨は、今回の保険料率の引き上げ幅二・二%の合理性いかん、こういう意味での御質問かと思います。
私ども五年ごとに年金財政の再計算をいたしておりまして、長期にわたって財政のバランスをとる、こういう形をとらさせていただいているわけでございますが、前回と今回の再計算に当たりまして、私どもは人口問題研究所の将来人口推計というものを使わさせていただいているわけでございますけれども、前回と今回で男女の平均寿命が三歳延びるということから、将来の厚生年金受給者が二百五十万人にも及ぶ増が見込まれるようになった、その結果、ピーク時におきますところの最終保険料率が前回二八・九%と見込んでいたものが三一・五%まで上がる、こういう将来推計が出たわけでございますが、三一・五%ということは現実問題として年金の保険料としては負担できない数字ではなかろうか、負担できるぎりぎりの限界としては二六%程度が妥当である、私どもはこう考えているわけでございまして、この二六%の最終保険料率に持っていくために、その間六回の再計算期を経るわけでございますが、厚生年金の保険料は五年に一回ずつ上げさせていただいておりますが、五年間に単年度赤字を出さず、かつ積立金に手をつけないで、しかも五年ごとの再計算のときの上げ幅を等しくする、後になればなるほど上げ幅が大きくなるというようなことのないように、国民に均等に御負担願う最終保険料率二六%に持っていくためには、今回御提案申し上げております二・二%という上げ幅にならざるを得ない、こういうことで改正をお願い申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/21
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022・渡部行雄
○渡部(行)委員 それから、年金数理部会というのは法的にはどういう位置づけがされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/22
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023・水田努
○水田政府委員 先生の御指摘の年金数理部会というのは、恐らく社会保障制度審議会の中に設けられている部会のことであろうかと思いますが、私は必ずしも総理府に設置されております社会保障制度審議会の設置法の内容を十分熟知しているわけではございませんが、いわゆる設置法によるところの正式の部会ではないのではないか、事実上の部会ではないか、このように考えております。もし間違っておりましたら、後刻訂正させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/23
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024・渡部行雄
○渡部(行)委員 なぜこういうことを聞くかと申しますと、二十七日の公聴会で庭田先生が、何かこの年金数理部会というものは非常な拘束力を持っておるような言い方をされましたので、それほどの権威と一つの権限というものがあるならば法的にきちっと設置されたものかな、こういうふうに私は思ったわけです。確かに、そういう機関がある以上、尊重することは当然ですが、それに縛られるというような考え方は持ってならないのではないか、つまり、それを参考にすることは大事であっても、それがあるために本当のことが言えないようでは困るのではないかと思うのですが、大臣、その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/24
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025・水田努
○水田政府委員 日本の公的年金について一番欠けている点は、将来にわたる収支バランスが必ずしも国民の前に明らかにされていないというのが社会保障制度審議会の常々御指摘されているところでございまして、私ども厚生年金及び国民年金は将来推計をさせていただいておりますし、そして国民の前にも公表させていただいておりますが、公的年金全体は社会保障制度審議会が常々御指摘のとおり、これは会長談話でも言われているわけでありますけれども、国民の前に収支の将来にわたる状況を明らかにするということがあれば、例えば今回の国鉄問題を未然に防ぐということもあるいはできたかもしれないわけでございますので、私はこの点は重要なことではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/25
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026・渡部行雄
○渡部(行)委員 この問題の進め方ですが、初めから風に向かって進むようなことは余りいいやり方ではないのではないか。つまり、最初は無風状態の中で一つの形態をつくって、それが軌道に乗ってから、若干の風が吹いてもこれなら大丈夫だ、こういうふうに常に自信を持った運営というのが必要だろうと思うのです。そういう点で今度の料率引き上げも、せっかくそのほかは立派な政策が盛られているのに、それを打ち消すように別な方で悪評を買っている、こういうやり方は余り上手なやり方ではないのではないか、そういう点で今回はこの料率引き上げをやめて、これは国民の論議に任せるというくらいのおおらかな気持ちでこの点も外していいのではないか、そういうふうに私は思います。
それから、時間がありませんので、最後に、鉄道共済年金の赤字解消策についてお伺いいたします。
この鉄道共済年金の赤字は組合員の責任なのか、政府の政策の責任なのか、その辺の責任の所在について明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/26
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027・乾文男
○乾説明員 ただいま御質問のありました鉄道共済年金が今日のような赤字を招来するに至った原因につきましては、この問題に関する有識者による懇談会の報告書を六十三年十月にいただいておりますが、そこにも触れられておりますとおり、本問題は鉄道共済自身のある期間にわたる制度運営に起因する側面がある、いま一つは、モータリゼーションの進行等産業構造の変化、そうして急速に進行した高齢化社会によって鉄道共済といういわば比較的規模の小さな保険者がそのインパク
トを大きく受けた、その両面によって今日の事態が生じたというふうに述べられているところでございまして、私どもも同様の認識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/27
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028・渡部行雄
○渡部(行)委員 これは自分に非常に都合のいい解釈をしているように思うのです。大体、モータリゼーションのために、あるいは産業構造の変化のためにと言うけれども、民営化されたJRは今物すごい黒字をつくっているのじゃありませんか。それを赤字にしたのは政府の責任でしょう。そういうことをほかの原因にすりかえるようなことでは困ると私は思うのです。それから、現実に、国鉄の民営化によって、それが鉄道共済にもろにかぶってきているのじゃないですか。
そうすると、これは決して組合員の責任でなったでもなし、まさに政府の政策によってこの赤字が出てきたと言わざるを得ないと思うのです。だとすれば、この赤字解消の責任は原因者負担であるべきじゃないかというふうに私は思うのですよ。それなのに、今まで全然関係のなかった他の共済年金から金を引き出すというようなことが果たして許されるのでしょうか。だからこそ今鉄道共済問題については非常に大変な問題になっているのです。現実にこの解消策で合意ができるでしょうか。その辺の見通しと責任についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/28
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029・乾文男
○乾説明員 鉄道共済年金の赤字の原因についての考え方は先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、それに対する対策といたしましては、本来は鉄道共済自身の厳しい自助努力によって対応しなければならないということで、今回の三千億の赤字のスキームの中で千五百五十億円の自助努力というものを打ち出しているわけでございますが、いま一つ、これは先生よく御案内のように、六十年の年金制度の改正の中で、いわば給付の平準化というものが各被用者年金制度を通じて行われまして、今回の鉄道共済の対策を考える際に、平成七年に予定されます公的年金一元化の過程の中で、給付と負担の両水準の平準化という観点の中から何か地ならし的なことができないかということを厚生省といろいろ御相談させていただきまして、考え出されたものが今回の制度間調整の考え方でございまして、これがおっしゃいましたように政府の責任を回避しているということには必ずしもならないのではないかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/29
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030・渡部行雄
○渡部(行)委員 大体大蔵省は無責任だよ。課長あたりが出てきて、何が答弁になりますか。説明するだけでしょう。私は、政府委員以外の人に質問したってむだだと思っているんだ。こういうことだから政府はだめなんだ。もっと国民の代表に向かって慎重な対応の仕方をすべきじゃないかね。
時間が来ましたからなんですが、とにかく、この間の公聴会で、この鉄道共済の問題を隣の火事に例えて言った先生がおりますけれども、これは全く筋違いで、性格が全然別であります。隣に火事が出たからうちが燃えるという理屈と、この共済関係、どういう関係があるのでしょうか。そういうことをもっと論理的にきちっと把握し、認識しないと、とんだ例え話で国民がごまかされてしまう、こういうことではならないと私は思うのです。例えば、今度の消費税にしたって、大幅見直しあるいは徹底した見直しとかいろいろ言って、最後に出てきたのはネズミ一匹のようなことでは困るので、そういうことのないようにしていただきたい。
そこで、最後に大臣に、この厚生年金を今後進める上で、野党の今まで主張している問題についても十分耳を傾けてこれの成立を図っていただきたいと思いますが、御決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/30
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031・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 今連日与野党間でも、いろいろな意味で二千五百万人の年金受給者が心待ちにしているというこの現状を無視することができないということで、十分話し合われているということも聞いております。そういう環境の中から我々はできるだけ対応していきたい、かように考えておりますが、同時に、年金というものは、すべての国民が長寿社会の中でお互いの将来を保障していこうという公的な所得保障でございますから、このあり方というものは決して甘くなってばかりいてはいけないのだ。それは、給付を十分に保障すると同時に、また将来にわたってそのことが保障されるという負担の面についても大胆に取り組んでいかないというと、将来安定していかなければならない年金の財政が破綻していくということになったらば、だれが被害を受けるかといったら、一番被害を受けるのは国民であります。そういうことから考えてくるというと、将来に対する安定という問題についても常に心を配っていくのが責任ある政治であると私どもは思っております。
そういう観点から、我々の提案したことに対しても忠実に皆さん方にお伝えすると同時に、国民の皆さんにも御理解を求めると同時に、国会の審議を経て国会の意思が決定したらばそれに従っていく、かような考え方でおるわけでありますから、十分そのことについては考えておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/31
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032・渡部行雄
○渡部(行)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/32
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033・丹羽雄哉
○丹羽委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、昭和二十九年の改正の時代からこの法案審議にタッチしたわけであります。それから、三十四年の国民年金法の制定、このときは我が社会党は国民年金法というのを出しました。そうしてその法案は、実は今日いろいろ起こっておる問題をその当時我々は十分予想して法案としてつくり上げたわけです。それは五本出したわけであります。それは国民年金法、この国民年金法というのは、今日の基礎年金と共済、厚生年金、そうして自営業その他の国民年金を網羅した、要するに単一法であります。その中に国民年金のいわゆる普通年金と労働者年金とを分けました。そうして、今日問題になっております共済問題についても、共済の加入者の労働者も労働者年金に包合したわけであります。ただし、それは新規に官公庁あるいは公企体に入ってくる人から加入させたわけです。ですから既存の者は全部今までの年金でいったわけです。そういう中で当然調整があります。ですから、第二番目の法律は国民年金法の施行及び国民年金と他の年金等との調整に関する法律案というのを出しました。さらに保険料の取り方として、労働者年金税、一般国民年金税、それに加えて国民年金特別会計、こういう五つの法案を出したわけであります。
その後御存じのように幾多の変遷がございましたが、今日、この年金の一元化の方向に向かって政府は目指しておりますが、当時これらを決定しておるならば、今日のような非常に試行錯誤をした状態は起こらなかった、こういうことをしみじみ感ずるわけでございます。
それからその次に、私は例の四十八年のあの大きな改正、これは当時の厚生大臣は齋藤邦吉さんだったと思いますが、これにもタッチいたしました。そうして、この前の六十年改正にもタッチしたわけです。ですからずっと、言うならば戦後の年金の歴史に参画した者として感慨を持って質問をしてみたい、かように思います。
まず、労働大臣は時間がないということで、お先にお願いをしたいと思うのです。そこで、まず私は、今度の六十五歳支給開始年齢というのはどうも順序が逆転をしているのじゃないか、こういうように思います。なるほど西欧もほとんどが六十五歳支給開始年齢ですが、ベースが違うわけですね。というのは、西欧の方は先任権があり、そうして労働協約があり、あるいは慣行があり、そういう中で六十五歳定年というのが確立をしておるわけですよ。そういう中の年金開始が六十五歳であるという問題。日本にはそういう慣行もそういう法律も全然できていない。やっと六十歳に向かって努力されておるという状態でしょう。ですから私は、労働省がまず先に音頭をとって先行しなければ国民は納得しませんよ。
あなた方は、それはずっと後の話だ、平成二十
二年にそれは六十五歳になるのだ、こう言いますけれども、それらの人々は恐らく今四十二歳くらいですね。そうすると、皆人生設計をしなければならないのですよ。一体自分は六十五まで会社が雇ってくれるのかどうかということがまず人生の設計をするのに一番大事なことでしょう。それがはっきりしないで年金だけが六十五歳だというなら、これはもうとても当てにならないから私的年金でも入っておくかということになる。私は、順序が全く逆立ちをした提出の仕方である、こういうように思うわけですが、労働大臣、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/34
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035・福島譲二
○福島国務大臣 今御指摘がありましたように、雇用と年金がスムーズに連結していくということは大変大切なことだと思いますし、そのような意味合いにおきまして、かねてから本会議等におきましても、今もいみじくも御質問にありましたように、まだ二十年余り先のことではありますが、しかし労働省としては、それに先行する心組みを持って六十歳から六十五歳までの雇用の確保については最大重点事項の一つとして取り組んでまいりますというようなことを申し上げてきたことでございますし、現在また現実に長寿社会雇用ビジョンの策定を本年度いっぱいには何とかしてまとめ上げて、今お話がありましたような人生の設計図を描かれるに当たっての大きな御参考にひとつ供させていただきたいと思っておりますし、さらには、六十五歳までの雇用機会の確保についての法的整備についてどう考えるかということにつきましても、現在雇用審議会で既に三回御審議をいただき、あと一、二回の御審議をいただいた上で、そのあたりにつきましても適切な御答申をいただき、それに対しての対処をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は、きょうは総務長官を呼んだのですけれども見えぬということで、人事局長が来ておるようです。
労働行政というのは、それは公務員については先憂後楽という考え方もある。しかし、指導的役割というのもあるのですよ。今労働時間の短縮をやっているのはまさに官公庁と銀行、金融機関が先に走る。走らなければ民間企業は、銀行は開店している、あるいはまた官庁は休みでないというなら労働時間の短縮はとても動かない。そこで、そのことを我々は長く主張してまいりましたが、政府は踏み切りました。だから私は、公務員もどうせ共済が六十五歳支給開始年齢ということになるのですから、公務員が先にやってみたらどうですかね。まず公務員はどうするか、このビジョンを示してもらいたい。公務員はどうするのだ。そうしないと、民間はじっと横を見ていますよ。どうするのだろうか、政府だって。ですから、進まないのですよ。ですから公務員がまず、今すぐ実施せよというのじゃないのですよ、公務員はこうして実施します、こういうはっきりした計画を出してもらいたい。総務庁から見えておるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/36
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037・勝又博明
○勝又政府委員 公務員の定年制度と申しますのは、御案内のように計画的な人事管理を通じまして公務の能率的な運営を図るということを目的といたしておるわけでございますので、御指摘のような定年の延長という問題につきましては、共済年金の支給開始年齢のいかん、あるいは定年延長が公務の能率的な運営に与える影響、あるいは民間企業の定年制度の動向といった諸般の事情を総合的に勘案して検討していく必要があるだろうと思っております。
共済年金につきましての支給開始年齢の延長が言われておるところでございますので、このような検討を進める場といたしまして、本年四月から関係省庁の局長クラスを構成メンバーとする検討、研究の場を設けまして、目下鋭意検討、研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 民間が厚生年金の支給開始年齢が六十五になって、公務員は六十三とか六十ということはあり得ないです。ですから、閣議決定でも決定しておるでしょう。ですから、公務員は一体どうするのだ。とにかく日本の公務員というのは、最高の公務員は同級生が次官になったら皆局長をやめるというのでしょう。こんな国がありますか。外国の公務員はどうなっているのですか。外国の公務員の定年というのはどうなっているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/38
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039・勝又博明
○勝又政府委員 手元に資料がございませんので確たることは申し上げられませんが、記憶によりますと、おおむね六十歳程度かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/39
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040・多賀谷真稔
○多賀谷委員 僕は人事院に調べてもらったのですが、人事院が在外公館を通じて調査したものです。イギリスは、定年は六十だが一定条件のもとでは六十五、フランスは六十五、西ドイツは六十五、アメリカは七十、こうなっているでしょう。これ、人事院からとったのですよ。最近連絡をして調査をさせたのですよ。そういうふうになっておるのです。
僕は昔、二十年ほど前に人事院総裁に聞いたことがあるのです、一体公務員の定年をどう思うのだと。そうしたら、同級生が次官になってまだ局長におる、そういうのは幾らでもあります、課長もおります、それは本人の心の問題です、こう言いましたよ。ですから、まず公務員はどうするのだ、これについてどういうように対応するのか。それを総務庁や人事院が決めないで民間にやれと言ったって、民間はやりませんよ。これは隗より始めよですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/40
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041・勝又博明
○勝又政府委員 先生御指摘のように、社会全体として六十歳以上の雇用を促進するために公務部門が先導的役割を担うべきだという御意見があることは十分承知しております。ただ、公務員の定年制度と申しますのは、いわば勤務条件の一種でございまして、民間における定年制度の状況というものも十分勘案する必要があるだろうと思っておるわけでございます。今後ともこれらの点に配意しながら検討を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/41
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042・多賀谷真稔
○多賀谷委員 労働大臣、大臣は六十五まで継続雇用という方針を出しておるのですよ。ですから、公務員がちゅうちょする必要はないのです。大体継続雇用という方針でいっておるわけだ。ただし、日経連あるいは経営者は、先般も参考人が来ましたが、これは一律定年制の法制化にも行政指導にも反対です。行政指導にも反対です、こうおっしゃったのですよ。そういう中で労働大臣、一体どういうように措置されるのですか。経営者の方は行政指導も反対だと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/42
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043・福島譲二
○福島国務大臣 お答えを申し上げます。
日経連も最近は、今委員がお話しのような感じから多少積極的な形に転じつつあるように私ども拝察をいたしておるところでございまして、いずれにいたしましても私どもといたしましては、まず六十歳定年の定着を図りつつ、さらにその水準を逐次引き上げていくことについて、いろいろな施策を組み合わせながら、これに力を尽くしてまいりたいと思っております。
問題は、六十五歳定年というものを法制化してでもそこへ引き上げていくような措置をとるべきであるという意見もまた一面に有力にあるところでございますが、私どもは、先ほど申し上げました六十歳定年の普及率というものが残念ながらまだ若干低く、六十歳定年を完全に実現するまで恐らくまだ数年かかるだろうという状況にもございますし、何よりも六十歳を超える高齢の皆様方の個々の能力というものもまたさまざまでありますし、就職のあり方についてのそれぞれの方々の思考というものもまたいろいろと多様でございますので、そういった多様性に対応した施策を現実的にとっていくということが望ましいのではないか、このように今考えておるところでございます。
〔委員長退席、畑委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず原則を確立しなければ進みませんよ。それは、労働者によりますと、あるいは職場によっては、とても六十一や六十二は持てぬ、いや私は六十三ぐらいまではいけるかもしれぬ、それは個人によっていろいろあるでしょう。しかし、企業側としては一応、本当に働く意思と
働く能力のある人は六十五までは使いますよという、こういう方針が欲しいですね。
そこで、私は、大臣は時間がないそうですけれども、少なくとも上場されている株式会社に全部あなた方は一つずつ当たってみたらどうですか。そのぐらいの努力はすべきですよ。あなたの方はいよいよ厚生年金が六十五歳支給開始になるけれども、どういうように従業員を六十五歳まで食わせていくのですかと。これは、ただ経団連や日経連に一つの通達で出すのじゃなくて、個別的に当たってみたらわかるのですよ。それは、職場によってはなかなか困難な職場もあるでしょう、しかし、それをどういうようにするか、こういうことだって言い得るでしょう。
アメリカだって企業の方はなかなか困難だというけれども、自動車会社と鉄鋼会社は五十五以上で三十年勤続した人は、六十五まで年金を払うんですよ。それはやめるときの賃金の七〇%をその会社が独自に払っているんですね。こういう五十五歳以上、三十年勤続であれば、最終賃金の七〇%相当額を早期企業年金として払う、そうして公的年金の満額支給の六十五歳までつないでいきます、こういうような協定ができておるんですよ。
ですから、企業は一体どういうつもりでおるのか、政府は厚生年金は六十五歳から支給するというんですから。その間にどういうようにやるのか。これは私は労働省としては一つ一つ当たってみる、そうしたら大体共通項ができますよ。そうして公務員の方は定年の切り下げをやってまいりましたけれども、公務員は公務員の方で、どういうようにしたら六十五まで公務員として継続雇用ができるかということを考えなければならぬですね。今世界に日本のような公社公団があってどんどん天下りしているところはありませんよ。それは幹部はいいでしょう、天下りして退職金も何回かもらいますから。いいでしょうが、一般職員は困るんですよ。衆議院だってそうですよ。かつて六十五ぐらいの人がいたのに、だんだん引き下げられて、今六十二ぐらい。一体今度はまたもとへ返るんだろうか、また六十までいくんだろうか、みんな不安に思っていますよ。労働行政の方は早くけりをつけてやらないと、厚生省の方だってどうにもならぬ、こうなるんですよ。ですから、やり方の順序が逆転しておる。後から厚生大臣には質問しますが、労働大臣は退席されるそうですから、もう一回労働大臣と総務庁の方にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/44
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045・福島譲二
○福島国務大臣 まず企業の現状をよく聞け、また調べろという御意見でございますが、私どもも従来も中央あるいは地方、それぞれの段階におきまして六十歳代前半層の雇用問題懇談会とか人事問題懇談会とか、そういうものを適宜開催をいたしまして、各方面の意見あるいは現状についての情報収集にも努めておるところでございまして、今先生御指摘のように、一部上場企業等につきましても、今後御指摘もございますので、必要に応じまして各企業の状況あるいは今後の計画等についても積極的に伺いながら適切な対策をとっていきたいと思っております。
なお、目標をきちっと示せということは、まさに一つの立派なとらなければならない方針でございまして、そういう意味合いでも、今雇用審議会で大変熱心に御審議をいただいておりまして、六十五歳定年というものを目指しながら、これを現実に具体化していく上においてどういう方法をとるべきか、あるいはその中間的な段階に一応の企業の努力目標をつくるというようなことも一つの方向かということも含めまして、今終始熱心に御議論をいただいておりまして、近々その結論もいただくことでございますので、その御結論をいただき次第、私どもとしても適切にこの方向について対処をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/45
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046・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それからもう一つ、労働大臣が早く退席されるそうですから、一言言っておきたいんですが、各国のいろいろな早期引退等の例を見ると、雇用年金と失業保険とタイアップしておるんです。これは極めて重要なことなんですよ。労働省は、これは厚生省の仕事だからおれの方は知らぬというのじゃないのですよ。やはり財源的にも、本来経営者が六十五歳までは持たなければならない。そういう場合には労働省がひとつかんで、これは一体どういうふうにやるべきかということを検討しなければ、この問題は進みませんよ。労働省が方針を出さなければ、我々は、支給開始年齢六十五歳をどうしても認めるわけにいかない。そうかといって、日本人は六十五歳まで働きたいという人も多いのですよ。それは、人によっては肉体的にとても無理だからという方もあります。それはそれで処置をすればいいのです。
高齢化社会、高齢化社会といって、支給開始年齢を六十五歳にしようというが、先任権もなければ雇用保障契約もないような日本において、どうして労働者が安心できますか。一番大事な中堅層が不安ですよ。これを十分考えていただきたい。
それから総理府。公務員はどうするの。民間をよく見ているの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/46
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047・勝又博明
○勝又政府委員 被用者年金の支給開始年齢の引き上げにつきまして、本年三月に閣議決定がなされたわけでございます。その閣議決定におきましても、年金の支給開始年齢の引き上げを進めるに当たりましては、高齢者雇用促進等の各般の措置を講ずべきであるということをうたっているわけでございまして、当然のことながら私ども公務員につきましても、原則六十歳定年のもとで六十五歳の共済年金支給開始年齢を迎えるというわけにまいらぬということは重々承知しているわけでございます。そのため、先ほど申しましたように、本年四月から関係省庁の局長クラスをメンバーとする検討委員会をつくりまして現在研究中というところでございます。
いずれにしましても、公務員の定年制度も勤務条件たる性格を有するものでございますので、民間の動向等を十分見きわめながら慎重に検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/47
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048・多賀谷真稔
○多賀谷委員 民間も大変ですよ。人事配置をどうするかというのは大変なことですよ。これは何も公務員だけじゃない。公務員は割に激しい肉体労働という職場は少ないからね。私は、公務員というのは本来は割にやりやすいところだと思いますよ。ですから公務員の方が率先してモデルを出してみて、公務員はこうやるから民間もひとつ見習ってついてきていただきたい、年金の財政は窮迫してどうにもならないんだ、こう言えばいいのですよ。労働者も納得するでしょう。まず六十五歳までどうして使うかということを公務員が率先し、労働大臣は国務大臣ですから、ひとつあなたの方でハッパをかけて、あなた自身も民間をどういうふうにするのかという、これは本当に大変ですよ。長い長いといって、そんなに期間は長くないのですよ。今おる人が不安ですよ。五十歳の人が今度は六十一歳になるのでしょう。それからずっと下がって四十二歳の人がやがて六十五歳になるのですよ。そういうところから結局、将来個人年金に入ろうか入るまいかどうしましょうかというようなことになるのですね。
どうも年金審議会の委員の先生は、やはり裕福で、年が多くて、本当に苦しみというものを知られた先生は少ないんじゃないかと僕は思うんだ。頭の中ではわかっているけれども。どうも全部の審議会がそういう感じですよ。
そこで、ひとつ労働大臣の最後の決意を聞いて、労働大臣、どうぞ退席していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/48
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049・福島譲二
○福島国務大臣 重ねて、現在の六十歳定年から六十五歳へ目指して全力を尽くしてまいることを一言申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 次に厚生大臣に質問いたしたいと思うのですが、率直に言いますと、公的年金の原則があるのですね。公的年金の原則はどういうものだとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/50
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051・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 先日は大原先生からも大変御提言をいただいたわけでありますが、きょうも引き続いて、年金の生き字引といえるような多賀谷先生からいろいろな御提言がありました。共通している問題は、年金というものを論ずる場合に、厚生年金、現在厚生省が扱っているその年金を取り巻く環境をどう整備していくのか、その整備な
くして年金法、特に六十五歳という問題を論ずることはできないというお話のように感じました。そしてまた、ある時期には先生方の方でも一元化の方向を目指していった時代もあったというお話等を含めて、大変興味深く、というよりもむしろ真剣にそういった御意見を拝聴いたしたわけであります。
その中で第一に挙げられたのは、雇用が先行すべきではないか。そして先生の御意思の中には多分に、日本の勤労者というものは六十歳代の前半くらいまでは非常に労働意欲がある、したがって、そういうような状況がつくられない先に六十五歳というものに移行することはよくない。そして労働省側にも、上場企業等に個別に真剣に当たってみろというお話、あるいは公務員がまず先行すべきじゃないかというお話であります。
この問題もかつてはこの社会労働委員会の中で何回も、官民格差の是正という観点から論じられたこともありました。そういった観点から、まず給付の面で公平にしていくべきであるということで、六十年の改正ではある程度肩を並べるところにきたわけであります。そして内閣の中でも、平成七年の一元化に向かって公務員の方も同時着陸しようという方向は示されているわけでありますが、先生の御指摘は、まず官が先にやらないでなぜ民にばかり迫るのだというような御指摘だったように思います。
いずれも、厚生年金を取り巻く環境、労働環境あるいは格差の環境、あるいは、いろいろなしきたり、慣習、こういったものの西欧との間の比較における取り組み方、いろいろな面で、今のお話は新しい御提言として耳を傾けたというところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/51
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052・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私どもが過去公的年金をいろいろ審議した際に、公的年金には次のような原則があると思ったのです。それは、強制加入である、それから携帯年金といいますか、企業をかわっても通算する、それからスライドである、それからもう一つは、保険料は応能主義だ。それから、法律が制定されたら過去勤務期間をなるべく見てやって、早く成熟をさせる、こういう原則があると思うのです。これが、最初のころはほとんど行われないで、やがて順次行われた。初めから強制適用といいましても、今の国民年金がこれだけ滞納者が出ておる、免除者もおる。一体強制適用と言えるのだろうか。形式的には強制適用ですが、実際は伴うておるのだろうかという感じがします。それからスライド制は、これは物価スライドで再計算時期に賃金スライドに切りかわるわけですから、一応形態は整えた。しかし、過去勤務期間というのがずっと尾を引いているのです。厚生年金が過去勤務を全然見てやらなかったのです。だから今日のように積立金がたまっておるのです。
それは昭和十七年にできて、昭和十九年に厚生年金になって、その前は労働者年金です。そのとき加入者は八百万人いたんです。四十数年たった今日でも、一体幾らですか。ほとんで脱退一時金をもらっておるでしょう。ですから、過去勤務を何とかしてやりたいと言ったけれども、結局うまくいかなくて、脱退一時金をもらった人は先般の改正でやっと空期間として認める。それも昭和三十六年からであります。それから、国民年金がだんだん高くなっていくのですが、これはやはり定額制というところに問題があると思うのです。日本の場合は税金が、率直に言いますと所得が十分把握されない。いろいろ言われておりますが、これは背番号制かなんかになれば、社会保険料についても、殊に定額というのはだんだんなくなっていくのではないか。ですから、今の定額制で国民年金が高いということが、今日こういう状態、滞納者等を出しておるゆえんではないか、こういうふうに考えるわけです。
そこで、私はいろいろ質問がございますけれども、先般から、前回の収支計算とどうしてこんなに変わったのかという質問がもう各委員から出されましたから、やめておきたいと思いますが、私のようにずっと年金をやっておってもうっかりすることがあるのです。
今度一万六千円に保険料がなった。そしたら、そのときの給付は幾らもらうのだろうか。幾らもらうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/52
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053・水田努
○水田政府委員 今回の再計算では、年金改定率三・九%で計算をする、こういうことに相なっております。
具体的な金額は今調べてお答えを申し上げます。——今の年金改定率で計算をいたしますと、最終保険料率のときには月額十八万円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/53
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054・多賀谷真稔
○多賀谷委員 基礎年金の話をしているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/54
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055・水田努
○水田政府委員 基礎年金が十八万円になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/55
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056・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういう計算でこの収支計算はできているのですか。収支計算は八兆一千億の支出でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/56
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057・水田努
○水田政府委員 そういう前提で計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/57
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058・多賀谷真稔
○多賀谷委員 違うじゃないの、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/58
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059・水田努
○水田政府委員 現在の基礎年金月額五万五千五百円、これを最終保険料率になる一万六千百円、これは三十年後になるわけでございますので、今回の再計算においては、物価上昇率二%、それから年金改定率三・九%で推計いたしますと、その三十年後には五万五千五百円の基礎年金額は十八万円になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/59
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060・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうしたら、一万六千円の方も変わるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/60
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061・水田努
○水田政府委員 保険料も物価の上昇分上がります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/61
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062・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私が聞きましたら、いやそれは五万五千円です、一万六千円保険料を払って五万五千円ですと年金課の方が答弁したのですよ。それは結局、そのときは幾らになるのですかと言いましたら、やはり五万五千円です、こういう議論だったのです。そんなにもらえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/62
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063・水田努
○水田政府委員 私の方の職員が先生に御説明申し上げたのは、平成元年度の価格で申し上げれば、最終保険料は一万六千百円であるし、平成元年度の価格で申し上げれば、満額の基礎年金は五万五千五百円でございます、そう御説明したはずでございます。
先生の御質問は、最終保険料の到達する三十年後には、今回の数理計算上は満額の年金は幾らになると推計しているのかというお尋ねでございましたので、今回の年金改定率で計算を申し上げますと、満額年金は三十年後には月額十八万円になります。その時点における最終保険料率、平成元年度価格で見た一万六千百円というのは、その間に物価の上昇がかかることは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/63
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064・多賀谷真稔
○多賀谷委員 物価の上昇分は幾ら見ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/64
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065・水田努
○水田政府委員 二%と見て再計算をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/65
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066・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それでは、保険料は幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/66
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067・水田努
○水田政府委員 物価の上昇率二%で見ますと、三十年後の価格で見ますと五万円程度かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/67
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068・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうすると五万円、大体……(発言する者あり)ちょっとお静かに。そのことをはっきりしないと、要するに私どもが聞きたいのは、収入十三兆八千億、支出が十二兆九千億、このときの算出はどうしたのですかと、こう聞いているのです、一つは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/68
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069・水田努
○水田政府委員 社会党の御質問にお答えをさせていただきたいと思いますが、今御指摘の数字は最終保険料率に到達したときの名目の金額でございます。私どもは、将来の収支というのは、平成元年度価格で表示する場合と、物価の上昇率二%、年金改定率三・九%で計算する名目と二つ用意をいたしておりまして、今先生の御指摘の金額の方は名目でございまして、その名目の基礎になっております年金額は、一方においては十八万、一方においては保険料収入は五万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/69
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070・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そうしますと、国民年金の収支見
通しの中で二〇二〇年、元年度価格の保険料が一万六千百円、その収入が十三兆八千億、支出が十二兆九千億ですね。この十三兆八千億、十二兆九千億というのは、これは名目ですか、それとも元年度価格ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/70
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071・水田努
○水田政府委員 今申し上げましたように、これは名目でございます。基礎は年金改定率三・九%、物価の上昇率二%、こういうことで計算をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/71
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072・多賀谷真稔
○多賀谷委員 ようやくわかりました。私はそれを聞きたかったわけですけれども、はっきりおっしゃらぬものですから。
しかし、国民年金を今の平成元年度価格で一万六千円を四十年納めたら、そのときの掛金は七百七十三万円、そうして五万五千円を七十五歳でもらうと六百六十五万円ですね。八十歳でやると、ようやく九百万円に行くのですね。これはこれで正しいのかな。
〔畑委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/72
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073・水田努
○水田政府委員 先生のお手元のところにお届けした資料は、平成元年度価格で年金原価ベースに戻した金額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/73
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074・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、二%が崩れればこれは大変なことですね、率直に言うと。二%が崩れれば大変な状態。
そこで、五万五千円の根拠は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/74
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075・水田努
○水田政府委員 五万五千五百円、これは前回の改正で基礎年金を導入したわけでございますが、そのときに老後の基礎的な消費支出、衣食住、光熱費、これを対象に保障を行う、こういう考え方で五十九年の再計算のときに五万円という設定をいたしたわけでございますが、その同じ考え方を踏襲しまして、その後における基礎的消費支出の増大が五十九年から平成元年度までの間に一一%伸びておりますので、それによって増額をさせていただいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/75
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076・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、当時説明をされたのは、これは私と大原さんで書いたのですけれども、五万円の根拠が、六十五歳以上の老人の消費支出が娯楽的なものを除いて四万七千七百円、老人世帯の世帯扶助基準が夫婦で八万一千円、そうして、これは二級地ですが、住宅扶助を加えると九万一千円、これを参考にした。そうすると、この数字でいくとどうなんですか。今幾らになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/76
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077・水田努
○水田政府委員 前回の、五十九年の再計算のときには総理府の全国消費実態調査、これは五年に一回行われておりまして、その際用いましたのは五十四年のものでございますが、それを五十九年度価格に直しまして、基礎的消費支出が五十九年度価格で四万七千六百円、前回の改正のときには四万六百八十五円であったわけでございますが、こう設定したわけでございます。
今回は五十九年の実態調査結果を用いました。今回の、五十九年の実態調査の基礎的消費支出金額は五万七百二十六円でございます。内訳は食料費が二万二千九百七十七円、住居費が一万六千八百三十一円、光熱費が七千四十四円、被服費が三千八百七十四円でございます。これをベースにその後における基礎的消費支出の上昇率、これは年率換算しまして一・二%でございますが、これを平成元年度価格に直しますと、先ほど申し上げました五万七百二十六円が五万三千百円と相なるわけでございまして、この五万三千百円に前回と同様諸雑費の一部として二千四百円を同じく加算をいたしまして五万五千五百円と設定をさせていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/77
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078・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一人当たり国民所得に対して、この前五万円のときは三〇%であったのです。今度は推計を含めて二七%にしか当たらぬ、こういうデータが出ておるわけですね。ですから、むしろ基礎年金というものが下がっていくじゃないか。これについてはどう反論されますか。先般も国民所得一人当たりの推計が出たのですね。八十七年度は実績ですが、それを推計してみると、ちょうど二七%ぐらいにしかならない。いやしくも基礎年金が下がるということは、要するに年金の基礎、ナショナルミニマムが下がるということは許せない、こういう考え方ですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/78
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079・水田努
○水田政府委員 今申し上げましたように、国民の六十五歳以上の単身無業の方の基礎的消費支出の拡大に見合って、それが保障できるように実態に合わした改善をするという方針を私どもは前回と同様踏襲し、今後もそれを踏襲していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/79
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080・多賀谷真稔
○多賀谷委員 無年金者がどんどん出るということ、どういう方法があるのですかね、国民年金は。滞納がこんなにふえている。そして、将来だんだん保険料を上げればなおふえるでしょう。ですから、この前の年金の審議の際の決議にも、衆参とも無年金者を出さないという、こういうことでしたけれども、どういう対応をされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/80
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081・水田努
○水田政府委員 私ども滞納者の実態を見てみますと、大きく言って、大都市部の人口の移動の激しいところにどうしても多く発生をいたしているわけでございまして、やはりこれに対する対策は地道に対応していく以外にない。いわゆるPRの徹底、納めやすい環境づくり、これが基本であろうかと思います。もちろん保険料が負担しやすいように、今回の改正案においても小幅の引き上げを段階的に行うという工夫をさせていただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/81
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082・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣、やはり何といっても基礎年金に対する国庫補助率が低いのですよ。これが基本ですよ。かつて国民年金のときは拠出時の五〇%だったのです。御存じのように、支払い時じゃなくて拠出時の二分の一であった。当時、拠出時の二分の一というのは、一般の人々が年金の保険料を納めると、そのときに政府が半分の保険料を、負担分を出すという、これは数理計算からいえばどんどん運用利子がつくという考え方です。ですから、本来拠出時の方がよろしいのですよ。そのうちにどうにもならなくなって、あなた方がいつの間にか今度は逆に支払い時にして三分の一にしてしまったのです。こういう経緯がある。
厚生年金や共済がみな支払い時であったために非常に年金会計が悪くなったから、今度は国民年金の場合はひとつ拠出時に政府は負担しよう、そうすると同じだけ出しておるわけですから、それがずっと利を生むわけですね。そうするとやがて給付も上げられるだろうという期待を持ったのですが、もちろんインフレもありますし成熟を早くしようということもありましたけれども、とにかくいつの間にか今度は支払い時への切りかえ、しかも三分の一にしてしまったのですね。こういう点が、せっかく我々が制度をつくって運営しておるのに、また長い間の厚生年金あるいは共済の反省の上に立ってやっておるのを、役人はがらっと勝手に変えたのですね。厚生省が変えたんじゃない、大蔵省が変えたんだろうと思うけれども、簡単に大原則を変えていくのです。
今、共済でも何でも拠出時に払っておけばこんなことは起こらないのです。支払い時に払うからこういうことになるのですよ。そういう基本をいつの間にか曲げている。ですから、せっかく二分の一であったのですから、少なくとも二分の一にしなければならぬですね。三分の一にするというのは、これだけの滞納者が出るなら、やはりもう一回上げていかなければならぬ、それは三分の二がなおいいですよ、こういうふうに考えるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/82
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083・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 御指摘の点はある意味においては現実にそういう傾向をたどっておりますし、そして基礎年金制度を導入したときには、すべての国民に共通の国の負担という形で三分の一になったのだと思いますけれども、やはり国民年金の場合には厚生年金や何かのようにもとから積立金をたくさん持っているような状況でもなかったし、そういうことを考えてみますと、やはり一つのそういった問題点が指摘されておるということは私どももわかります。御趣旨を一回よく検討をしてみたい。そして、今までの国民年金の人たちの二分の一は変わってないのじゃないかと思うのです。ですから、そういう意味で、この基礎年金
という一貫したものにしたところにそういった流れが変わってきたというふうに僕は思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/83
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084・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今の二分の一は、自営業の場合は二分の一出しているの、そういうふうに聞こえたのだが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/84
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085・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 三分の一に変わりがありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/85
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086・多賀谷真稔
○多賀谷委員 社会保障の財政構造を見ると、先般も三十七年のILOの基準で発表されましたのを見ると、日本の場合は使用者の負担が非常に少ないですね。少なくともスウェーデン、西ドイツ、フランス、イギリスに比べて、イタリアもありますが、使用者負担が八七年に三〇・三ですね、それから、労働者負担が二六・九、これは各国のを見ると決して低いわけじゃない。やはり各国を見ると、ちょうど中間ぐらいになっておる。ところが、国の費用は二七・一。その他で一五・七。これは国によっていろいろ違いますからね、いわゆる保険主義が多いところと国が財政から見ておるところとありますけれども、しかし、共通して言えるのは、どの国と比べても使用者負担が低いのです。これはやはり政府は使用者に対してもう少し負担を上げてもらうように協力を願う必要がある、こういうふうに私は思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/86
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087・水田努
○水田政府委員 確かにヨーロッパの場合、御指摘のような事情があることは私どもも承知しておりますが、例えばフランスは一九七五年には労使の割合は、労が二九で使が七一、イギリスは同じ時点で三九対六一でございましたが、やはり事業主の負担というのはすべて生産コストにはね返るということで、それでは国際競争になかなか勝てないということで、今日では労使折半の方向にほぼ近づいてまいっているというのが現状ではないかというふうに見ております。
それからまた、多くの学者が指摘しているのは、ヨーロッパで失業率が一〇%前後と非常に高いのは、やはり人を雇うとそれだけいわば雇用税としての保険料負担がふえる、このことが失業率の増大を招いている原因だという指摘もなされているところでございまして、我が国の場合は、社会保険における労使折半負担という原則というのはもう国民の中に定着しておりますし、やはり中小零細企業というのが日本の場合かなり多いわけでございまして、これを変更することはなかなか難しいのではないか、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/87
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088・多賀谷真稔
○多賀谷委員 僕は、年金の財政構造だけ聞いておるのじゃないのですよ。全体的な社会保障の費用の財政構造を聞いているのです。そこで日本が一番低いじゃないか。このILOの統計には労災保険も入っておりますし、それから児童手当も入っておりますし、恩給も入っているのですよ。ですから、全体として社会保障の財政構造は使用者が一番低いのではないか、私はこう言っているのです。
そこで、今せっかくお話しになりましたから、フィフティー・フィフティーの問題あるいは折半の問題ですが、最近のように近代化、オートメーション化していくと、近代工場の産業あるいは企業は社会保険料の支払いが非常に少なくて済むのですね。しかも、社会保険料というのがどんどん上がっていくことは事実ですから、そうすると労働集約型の企業は大変支払いを多くしなければならぬという矛盾がここに出るのですね。これについてどういうように厚生省としてはお考えであるのか。今までのように労働者の負担はひとり自分が払うのですから、しかし企業の方が労働者雇用数によって、あるいは総賃金支払い額によって同じパーセントで払うというのは企業間で大変矛盾が起こるし、そのことはやがて、中小企業やその他はもう耐えられない、ですから年金水準そのものを上げないでもらいたい、こういうことになって公的年金制度が崩壊をするという兆しが出てくる、これを私は非常に心配しているのですが、これはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/88
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089・水田努
○水田政府委員 今回の改正に先立ちまして、一年半御審議いただきました年金審議会においても、先生の御指摘の問題は大きな検討課題、議論の課題の一つであったわけでございます。
それで、大原先生の御質問のときにもお答え申し上げましたが、議論としましては、ロボット税あるいは所得型付加価値税という方法があり得るわけでございますが、いずれも直接税でございまして、今日、直間比率の見直しをしなければならぬという状況下において、さらに法人税以外にそういう企業課税を課すことは問題がありはしないかという指摘が一つ、それから、これらの企業課税というのは経済成長率以上に税収の伸びが期待できない、一方受給者の増大に伴いまして年金額の給付費の増高が経済成長率を上回ることは火を見るより明らかでございますので、そういう意味でも適当ではないのではないか、むしろ財源としては間接税ということで考えていくことが望ましいけれども、間接税のあり方については国論が二分しているので今回の改正の際には時期尚早であり、今後検討課題にしよう、こういう経過に相なったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/89
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090・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私が言っているのは税金の話ではないのです。社会保険の事業者負担の区分の話をしているのです。ですから、間接税とか直接税の話をしているのではないのです。
そこで、時間も余りありませんから、私、いろいろな文献を見ておりましたら、ドイツ社会民主党の新しい原則綱領、これはことしの三月草案です。御存じのように、ゴーデスベルク綱領を今度大改正しようというエコロジーの問題、男女雇用平等問題であるとか、家庭と雇用の両立をいかにしてやるか、それから環境の問題があるでしょう、こういうことで全面的に直しているわけですね。ここに「社会正義をとおして連帯的な社会へ」という綱領がある。この綱領の中にそのことをうたっているのですよ。「資本とエネルギーによって労働を代替する企業はつねにより少なく、労働集約型の経営=事業所はつねに多く、支払っている。われわれは、社会保険にたいする使用者拠出金を企業の能力、つまり価値創造物にしたがって決めたいと思う。」今までのように一人雇ったらその一人の賃金の何%を支払う、拠出するというのではなくて、物の考え方を変えたらどうか、こういう提案がなされているのです。
残念ながら、私は具体的にそのグループがどういう作業を今しておるかということを知らないのですけれども、しかし、こういう新しい流れというのは、日本にも及ぶどころか、日本の方がドイツや何かよりもより無人工場やオートメーション工場が多いのですよ。この面においてはどんどん先に行っているのですよ。ですから、社会保険料が企業負担としてなかなか重くなるという時期にきますと、やはりこの問題が起こってくる。中小企業や何かにだんだん保険料が多くなる、それで払いにくいと言っておる、一方においては無人工場をつくっておる、そこは社会保険料は要らない。ですから私は、簡単にロボットとかなんとか固定的なものに保険料を課せというのではないのですよ。しかし、企業の価値創造物が多くなっていくわけですね。
要するに、あなた方は老人一人に対して若い者が二・五人で賄わなければならぬ、大変だ大変だ、こう言うけれども、その少なくなった若い労働力がより経済を伸ばしているのです。結局はこの果実はだれが持っていくかという問題なのです。日本経済について将来を心配しておる人は非常に少ない。ただ老齢者の人口に対する比率で大変だ大変だと言っておるのですよ。しかし、少なくなった働く人々が今までよりも飛躍的に生産を伸ばしておるというこの果実をやはり社会保険料の拠出分として考えなければならないのではないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/90
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091・水田努
○水田政府委員 西ドイツの野党からそういう提案がなされておることは我々も承知をいたしておりますが、それが具体的に採用される段階までには至っていないと西ドイツ当局の方から聞いておりますけれども、それはおきまして、結局、資本集約型の企業というものは法人税ということで国
税に寄与をしているわけでございまして、これ以外に一種の企業課税をしていくというあり方、これは今後私ども研究はさせていただかなければならぬと思いますが、要は、社会保険料とそれに対する国庫補助の組み合わせの問題の提起というふうに受けとめさせていただくわけでございますけれども、そうなりますと、やはり国庫補助の社会保険制度を円滑に運営していく上において果たす役割、それから財源の確保のあり方、これは今後国民のコンセンサスを得ていかなければならない大きな課題の一つであろうかと認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/91
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092・多賀谷真稔
○多賀谷委員 先般、当時の吉原年金局長のなかなか労作が出ましたね。それは小山進次郎さんが書いた国民年金と匹敵するようなものでしょうね。ところが、あの中に今の話が書いてあるのだ。実に簡単に否認しておるのですよ。ロボット税という話もあるけれども、それはドイツにも野党から出ておるけれども採用されていない、あとは法人税で取るべきだ、こういう展開をしておるのです。私は本当はそんな簡単なものではないと思うのですよ。社会保険の費用がだんだんかさんでいくわけですから、そう簡単なものではない。大臣、これはひとつ十分検討してもらいたい、こういう時代がだんだん来つつあるのではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/92
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093・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 御指摘の、特に日本の産業界の環境変化という点からあらわれてきた果実の配分の問題にもなってくるだろう、こういうふうに私は考えます。そういうような環境の中で日本のようなところは、先ほどありましたように中小企業のような労働集約型の産業というものも一方にある。そういったものを高齢化社会に向かっての国民全体の共通の所得保障とする場合に、どういうふうに新たな国民的な合意を得ていくかということも検討する課題の一つだろうというふうに今思います。それは今法人税という形でその果実というものが納められておるわけでありますけれども、そういった社会の中の産業という社会的な責任というものの中で、一方、社会保障あるいは年金というような所得保障に対してどういうような配分をしていくのかという意味で、私は、検討の問題の一つだろう、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/93
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094・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は私は、かつて石炭委員長をしておるときに石炭鉱業年金基金というのをつくったのですよ。だんだん労働者が少なくなっていくのに年金として大体維持できるだろうかと言って非常に心配した。そこで私は石炭のトン当たりで幾らというのをとることにしたのです。ですから、今のように石炭がぐっと斜陽になって、かつての五千万トンが一千万トンぐらいになったらどうにもなりませんけれども、人間をとにかく合理化しなければならぬ、どんどん減っていくと拠出金を出す人がいないのですね。それは労働者じゃないのです、企業が出すのだけれども、労働者一人当たりで換算しておったらとてもやっていけない。そこで、やはり産出トン当たりで出した。これは長く続いて今でも続いておりますが、それで助かったのですね。やはりこういう物の考え方が導入される時期が来ておるのじゃないか、こういうように思うわけであります。
さてもう一つ、私は厚生年金基金についてお聞かせ願いたいと思うのですが、実は厚生年金基金の運用利回りは非常に高いですね。これはあなた方からもらった資料ですが、六十一年度は九・三七%の利回り、それから六十二年度は八・九六%、こういうことなのです。厚生年金が何とかぼろを出さないで済んだのは長い間の積立金があったからですね。これが運用の利回りで運転されていった。それもだんだんやがてなくなっていくのです。本体がなくなって資金がなくなっていくのに基金の方だけは代行分がありますからふえていく。こうなると、いわゆる基金に代行分を頼んでいない方の厚生省がおやりになった方の部分が、もう運用率も何もやがてなくなるわけですが、そういう状態になってくると非常にアンバランスになるのじゃないですか。これはどういうように考えられておるのか。
大体、基金というものはそもそもそういう性格があるのだといえばそれまでですよ。しかし、そのときには、代行分を許したということが一体妥当なのかどうか、これを考えなきゃならぬ。インフレ分は本体が持て、しかし報酬比例分は基金とくっつけていくのだ。この運用をずっとしておると、本体の方は運用利回りも何もなくなってくる、積立金もなくなる、しかし基金の方は、どんどんふえる、こういう問題になっていくのですね。どうでしょう、これは。将来の問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/94
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095・水田努
○水田政府委員 厚生年金基金は千分の七・五の部分についてだけ代行を認めているわけでございまして、単独の小さな保険集団で、スライドをしたりあるいは五年ごとの再計算に伴う追加費用というのはみずからの小さな集団で負担できませんから、そこの部分については代行を認めないで、全体として基金加入者の方も政府管掌の方に保険料をその見合いの分を納めていただいているわけで、決してそこについての有利性があるというわけではなく、ただ強いて申し上げますと、代行部分の千分の七・五の見合いについての理財局と生保、信託に預託している金利差分だけは基金の方が有利になっている、そのことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/95
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096・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それはインフレやその他は要するに一般の厚生年金の部分、しかし、報酬比例の分は大部分が代行分でしょう。代行ですよ。要するに付加年金の方ではないのですよ。代行分は任せておくのでしょう。その代行分が基金の運用がどんどんふえていくわけでしょう。だから私が心配しておるのは、こちらの方は積立金が多くなるけれども、本体の方は積立金はなくなった、こういうような状態になるのではないでしょうか、こう言っておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/96
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097・水田努
○水田政府委員 四十八年に再評価制と自動スライド制を導入しまして、報酬比例分の中で実体的に千分の七・五が占めるウエートが報酬比例分全体の給付費の中では年々低下をいたしておりまして、今数理課長に聞きましたところによると半分以下にもう既にウエートは落ちているだろう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/97
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098・多賀谷真稔
○多賀谷委員 再評価の報酬比例分のうちでスライド再評価分、それから再評価を除く報酬比例分、これは再評価を除く報酬比例分というのはだんだんふえていくんじゃないですか。これはふえていくのですよ、だんだん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/98
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099・水田努
○水田政府委員 再評価の部分は基金をつくっているところもすべて政府管掌の方で保険料を払っていただいて、そちらで一元的に運営しておりますので、基金が代行しておる千分の七・五というものは報酬比例分の給付費全体に占めるウエートは年々、スライドアップとか再評価の追加財源の費用がふえていくことによって相対的に割合が落ちていく、こういう傾向にあるということを申し上げたところでございます。
〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/99
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100・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今現在は再評価に支払う金が多いのでしょう。しかし、あなた方は、物価は二%だ、経済は安定するんだと言う。今からはそうでなくなるのですよ、逆に。今までは過去の分の再評価分が多いから今現在はそうおっしゃっておるけれども、今からはそういうようにはならない。しかし、これは検討課題で考えておいてください。時間もありませんから次に行きたい。
国鉄共済です。私は、先般、共済年金等が改正になるときに当時連合審査委員会で中曽根総理に質問をしました。それはすなわち、今日、国鉄の状態は共済が大変危機に来ておるということは我々も十分承知しておるのですが、これは日本だけの現象ではないんですね。ヨーロッパがなお激しいんですよ、ヨーロッパはまさに国土が戦場になったんですから。鉄道という鉄道を、鉄橋という鉄橋をほとんど破壊されているんですよ。ですから、フランスも、それから西ドイツも、イギリスもみんな労働者を雇い入れた。鉄道の復興が国の復興だという。その膨大な労働者がもう十何年前から年金受給をするようになってきたんです
よ。
そこで、政府は次のような措置をしたんですね。すなわち、一般の他の産業の年金支出よりも超過をする部分については全部政府が負担するということになった。それで、EC規約、規則にもそういうことを明記したんですよ。ですから、西ドイツ、イギリス、フランスも膨大な超過年金分の支出については政府が出しています。
そこで、国鉄共済にお聞きすればいいと思うんですけれども、最近のデータで一体国はイギリス、フランス、西ドイツの鉄道にどれだけ年金超過分を支出しておるか、負担しておるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/100
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101・丸山博
○丸山説明員 最初のデータが一九八七年でございますので、八七年についてお答えいたします。
イギリスにつきましては、年金負担金は計上されておりません。ドイツにつきまして、国からいろいろ出ております補てん金の中で年金に相当するものをピックアップいたしますと、まず引揚者、ベルリン在住元鉄道職員及び戦傷者等のうち、官吏でありました者に対する恩給に対する補償といたしまして、日本円に直しまして約百七十八億円、それから官吏以外の、今申し上げました人々の年金に対する補償といたしまして五億円、それから連邦鉄道の過大な恩給負担に対する補償金としまして二千八百三十四億円、それから労務職員及び事務職員の付加年金に対する補償といたしまして六百四十七億円が計上されてございます。次に、フランス国有鉄道でございますが、年金分担金といたしまして三千五百四十四億円が計上されておるところでございます。
なお、換算レートにつきましては、一九八七年一月五日現在のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/101
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102・多賀谷真稔
○多賀谷委員 イギリスはずっと出していたんですね。最近やめたと思うんですが、イギリスもECに入ってずっと出しています。しかし、私の古いデータにはずっとイギリスも出ておったわけですが、最近は整理が済んだのかと思いますが、それにしてもフランスで日本円にして九千八百八十億のうち、三千五百四十四億円を一年間に超過年金分として出していた、これを私はやはり参考にすべきではないかと思うんですよ、これだけ出している。
それは今たまたま国鉄改革で今度三十二万人を予定しておったのが二十二万人になったという問題ではないですよ。大体戦後の復興を鉄道ということで各国やったわけですよ、日本もやったわけですよ。ですから、さっき官吏という、国鉄、鉄道は、西ドイツは官吏と労働者と両方いるわけですね。依然として官吏がおるわけです。ですから、官吏というのが労働者の大部分、官吏の方がちょっと少ないかと思うとそうでないんですよ。昔の日本の判任官以上というのは皆おるわけですね。ですからこれは、千四百のうちこれらが皆ベルリンから帰ってきた者とかあるいは労務者とかあるいは恩給、それで要するに西ドイツでは過大な恩給負担という言葉を使っておる。それから、フランスでは他の産業に比べて超過年金負担部分という言葉を使っておる。
〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
要するに、そういうような支出をしておるわけですね。それなのにどうですか。もうこちらの方の運輸関係の大臣がいなければあるいは大蔵大臣がいなければ、厚生大臣の国務大臣に聞く以外にないんですけれども、一体なぜ政府は出さないのか。
私は四年前にこれと同じ資料で提起しておるんですよ。四年前か中曽根さん以下あるいは加藤寛さんなんかにも言ったんですよ。あなた方は何をしているんだ、やがて破綻することはわかっておるじゃないか。なぜ厚生年金のように、過去勤務を全然見なかった、厚生年金は。昭和二十九年にようやく厚生年金が形態を整えたときですら、これは男子は四十五歳ですか、それに十五年というのを入れただけですね。その短期に見ただけで、あとは全部脱退一時金をもらっているんですよ、そういうようにしていまだに支給は平均が十三万円でしょう、そういう状態ですよ。
ところが、ほかの共済は皆先輩に済まないといって、制度ができたときからみんな過去にさかのぼってどの共済も通算しているんですよ、日本の共済は。そういうようにすぐ成熟したのです。それとは随分違うでしょう。ですから、私はそういう点をひとつ聞きたい。
時間がありませんから、もう一つ、私は参考までに申しておきたい。
八幡製鉄所ですね、これは官業八幡製鉄所だった、官営だった。八幡は要するに官業共済であった。そして八幡製鉄所が官営から日本製鉄株式会社に移ったんですね、民間に移った。特殊法人ですよ。そして、その後に厚生年金ができた。労働者年金ができ、厚生年金ができた。ずっと共済は引き続いてきておった。そこで、その労働者が厚生年金に入るか、官業共済におるかという選択をさせたわけです。そうして、官業共済におる人は、いまだに八幡製鉄はこのスライド分、再評価分を、厚生年金に見合うものを毎年三十億から二十数億出しているんですよ。昭和六十三年でも二十二億、昭和五十六年は三十四億出しているんですよ、こういうようにみんな責任を持ってずっと引き継いできておるんです。
国鉄の場合はなぜ国がやらないのか。私は国鉄に、企業にやれということは言いません。なぜ国がやらないのか。どこの国だってあらかじめ予定してみんな国がやっているんですよ。どうもそういう点は余りにも不公平じゃないか。大蔵大臣は、いや、国鉄共済に出すと不公平だと、こうおっしゃるんですよ。国庫で国鉄共済にだけ出すのは不公平だ。僕は逆だと思うんですよ。人の懐のものを当てにするよりも国民全体が国鉄の、戦後からの一生懸命努力した、そして、自分の保険金は高くなった、あの労働者に対して報いるなら国全体がやるべきですよ。どういうふうに思いますか。しかも、緊急なんですよ。ですから、国務大臣としての大臣はどういうふうにお考えであるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/102
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103・乾文男
○乾説明員 ただいまのEC諸外国で鉄道の年金費用に対して助成をしている例があるではないかとの御指摘でございまして、その点につきましての事実関係は運輸省から答弁を申し上げたとおりでございます。
私ども、今回の鉄道共済の対策につきましては、この鉄道共済が社会保険方式で運営されていたことを勘案いたしまして、るる御説明申し上げております、自助努力と制度間調整とで対応をしたいということで法案をお願いしているわけでございますが、一方、今先生の御指摘のありました観点からの見方も述べさせていただきますと、国鉄の民営化に際しまして、昭和三十一年まで、非常に職員数の多かった時期でございますけれども、それまでの時期は恩給として運営されてまいりまして、それのいわば年金費用というものが民営化時点で約五兆円存在したわけでございますけれども、これは新生JRを主体とする鉄道共済に負わせることなく、清算事業団が今後負担していくということでこの五兆円を負担し、また今回の対策におきましても、これに加えまして総額四千億円の負担をしようということでございまして、結果的には今先生の御指摘にありました鉄道というものに対する年金費用に、清算事業団をという形ではございますけれども、助成が行われているという形にもなるのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/103
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104・多賀谷真稔
○多賀谷委員 あなたの方はよその方にお願いするのだから、あなたたちの言うのは根拠にも何にもならないよ。しかし、今フランスでも西ドイツでも、言っているように三千億、三千億以上なのです、一年間に。それは国が出しているのです。だから、私は決して国庫から出して不公平じゃないと思う。それは今の国鉄に出せとかJRに出せとか、そういうことを言っているのじゃないのです。私は大きな立場で、むしろ戦後処理として国が出すべきだと思うのです。それをみんなにばらまいて、国が出さぬように考えておるのがそもそも間違いじゃないか、こういう考えを持つわけです。
それからもう一つは、民間の労働者あたりは、本当に国鉄は最終整理をして赤字になるのだろうか、株が高く売れるのだろうか、土地が高く売れるのじゃないかという不安をまだ持っているのです。あるいはそうならないかもしれません。ならないかもしれませんが、まだどうもはっきりしないのじゃないか。そのときに我々が出すのはどうもおかしいな、こういう感じを持っているのです。ですから、金額の多寡の問題じゃないのです。制度の問題として問題があるのじゃないか、こういうように思うわけです。そういう意味において大臣、こういうことをやりますと、今後いろいろな今の共済がどういう運命をたどるかです。八幡製鉄みたいにやったらどうだ、あなたの方は独自に出したらいいじゃないか、こういう議論だってなりかねないと思うのです。ですから、私はそういう点においても十分慎重にお願いをいたしたい、こういうことで最後に大臣から御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/104
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105・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 今度の財政調整の中でも、国が負担すべきもの、それと今のJRに所属している人たちの肩の重荷、それに関係するものをやはり見分けて、どこまでが国の負担すべきものだろうか、どこまでは共済の方でそれぞれ負担すべきなのかということが重要な観点になって、自助努力の範囲で半分以上、千五百五十億というものが見られ、そして、その他の問題として、これは全体の年金の安定した仕組みをつくる過程の一環として負担をしよう、こういうふうに考えたわけでありますので、先生の御指摘の、その前の段階において既に国が当然負担すべきであるという一つの御見解については、私は初めてそういったことも知ったわけでありまして、一つの御見識として私自身受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/105
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106・多賀谷真稔
○多賀谷委員 なるほど今の国鉄は、本来国が負担しなければならぬ分まで全部背負ってきた。本来ならば補助金の分まで全部背負ってきたのです。それから、給付もなるほど高かった。私はそういう細かい区分を言っているのじゃないのです。労働者を六十万も抱えておった、それが年金受給者になってきたというこの事実をどう見るかということです。三十二万が二十二万になっても大変なんですよ。ですから、国が見るべきじゃないですか。
西ドイツなんかの責任分担は、「西ドイツ国鉄の赤字と連邦の責任分担」というのにちゃんと書いておるのです。「組織の構造による過大な年金負担に対する補償」というように、一項目を設けてちゃんと書いておるのです。フランスだって書いておるのです。みんな国土が戦場になったのですから。ですから、そのくらい考えてやらないと気の毒です。
そして、間に合わないから早く支給しなければならぬという問題もあるのです。それなら借り入れたらいいのですよ。清算を後にして、とにかく来年度は借り入れて支払う。借り入れはできません、何だ、何ができないんだ、それは法律に書いてあります。法律を直せばいいのです。あなた方は得意でしょう、すぐ直して持ってくるんだから。法律があるからできませんなどということは、借り入れをするような法律をつくればいいのです。厚生年金だって何回も一般会計に吸い上げられたでしょう。本来政府が国庫負担として払わなければならぬ分を出さないでおいて、おまえのところは金があるから立てかえろ、立てかえろといって何回も、今日まだまだ解決してないのじゃないですか。
厚生年金の基金を政府は持っていったでしょう。そういうことをできるのですよ。日本の役人は頭がいいのですから、すぐそういうことを考えるんだ。大蔵省なんかやればいいじゃないですか。これは本当に筋が通っているのですよ。よその国がこういう状態で、日本だけがなぜ、政府は出さないでおいて、にっちもさっちもいかなくなった国鉄から、よその国も三千億なんですよ。日本も国が三千億出したら解決するじゃないですか。それは運輸大臣が来て答弁するか、大蔵大臣が来て答弁しなければだめですけれども、ぜひ厚生大臣、国務大臣としてもう一回御考慮を願いたい。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/106
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107・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 今回の改正におきましても、この点は各党間に非常に大きな開きがありまして、今それぞれ各党間で話し合いをしているように聞いております。その経過等も見てよく判断をさせていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/107
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108・多賀谷真稔
○多賀谷委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/108
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109・丹羽雄哉
○丹羽委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時二十八分休憩
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午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/109
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110・丹羽雄哉
○丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。貝沼次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/110
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111・貝沼次郎
○貝沼委員 年金全般について、私どもの態度等を織りまぜながら質問をさせていただきたいと存じます。
その前に、午前中の質疑の中で大臣の答弁を承っておりますと、今法案の中身について与野党の話し合い、協議が行われておると承っておるという趣旨の答弁が何回かございました。これは大変私ども意外な答弁でございまして、少なくとも当委員会における与野党の話し合いというものは今までないわけでございます。ただ、各党の理事がNHKのテレビ討論会に出まして、各党の立場、スタンス、そういうものを申し上げましたし、そういう立場からそれを実現させるために、例えば私どもは自民党に対して申し入れは行いました。しかし、これは決して秘密にしたものでもなく、また、変わった内容のものでもありません。そういったところから公になっておるわけでありますが、そういう答弁を聞きますと、何か知らないところでごちょごちょやっているんじゃないのか、密室で何かやっているんじゃないかというふうな勘ぐりが出てまいります。そうでなくても、今マスコミ等におきまして、もうほぼ詰まったとかいろいろなことが言われておるわけでありますので、私どもとしてはまことに心外なわけでございますので、大臣の認識をもう一度確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/111
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112・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 私の認識といいますか、答弁の中に、そういったふうにとられておることだろうと思いますけれども、私自身は御承知のとおり、全く知らないことがそういう形になったのだと思いまして、審議をというか、与野党間でこれは合意が得られるのかとか、そういった御質問が次々に出ておる段階でお話し合いをしていただいて、その結果が出ればそれを尊重するという趣旨で言っておるわけでありまして、何も与野党間からどういう形でお話をされているかということについては私はもちろん知りませんし、当然私の頭の中には、理事会がありますから理事会でいずれ話し合いをされるだろうし、また、その話し合い以外に解決する場所がありませんし、そしてあるいは、この国会の委員会の過程の中で質疑等を通じながら与野党間で話もあるだろうし、私どももどこの主張がどうだといったことも当然私たちの認識の中に入ってくることで、もし、そういうふうな話し合いが既に行われているというふうにとられる場合には、その認識は私自身も誤りでありますし、貝沼委員にも改めてそういった意趣ではないということを申し上げて答弁にかえさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/112
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113・貝沼次郎
○貝沼委員 これは日本語の難しさにあるのですけれども、話し合いといいますと何かこう非公式のところで話し合いが行われるというイメージがありますね。ですから、私たちがもしそういう詰めをやるという段階になりますと、各党違うわけですから、これは委員会はもう周知をしているわけですから、理事会なりそういう正式なところでの協議というふうにみんなが一致しなければこれは話になりませんので、そういう言葉の持つニュアンス、響き、こういうものが大変問題になるのではないか、こう思っておりますので、そういう言葉の使い方についてこれからもひとつお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/113
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114・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 御協議をお願いして、この提案したものに対する結論をいずれつけなければいけないわけでありまして、私どもといたしましては、何とぞこの審議を通じて成立を図らせていただきたい、その成立の段階は、やはり十分に煮詰めて各党が合意できるものがあればその合意できる方向を目指していきたい、こういう趣旨でございます。でありますから、十分その間におきまして御協議のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/114
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115・貝沼次郎
○貝沼委員 それでは、質問に入らせていただきます。初めに、沖縄の厚生年金の格差是正の問題でお尋ねしたいと思います。
結論から申し上げまして、何とかしてもらいたいということでございます。沖縄が本土に復帰してからたしか十七年、沖縄の厚生年金保険制度は本土復帰の際に沖縄復帰特別措置法による沖縄特例として特別措置が講じられたわけでございます。それで、現在本土の年金受給額と比較した場合、大幅な格差が生じておる、これはもういろいろ報道されております。しかし、議事録の関係がありますから申し上げたいと思います。
例えば、「本土と沖縄の厚生年金受給比較」という表がございまして、「受給者の資格状況」、これが生年月日で、本土昭和二年三月、沖縄昭和二年三月、同じであります。それから勤務年数も三十五年、同じであります。そして、平均月収、収入でありますが、本土が二十七万円、沖縄二十七万円、これも同じです。それで、年金加入年数を計算いたしますと、本土が三十五年、これは六十二年一月現在でありますが、三十五年、それから沖縄が十七年、こうなっております。年金の比較をいたしますと、合計いたしまして、満六十歳になる受給者の年金額を加算すると、平均月収二十七万円とした場合、厚生年金受給額は本土が二百三十六万七千四百円、それから沖縄が百三十三万五千六百円、その差百三万一千八百円、一・七七倍、割合で本土の五六・四二%、こういう状況でございます。この件について、沖縄県や団体からその是正を求める要請がたくさん出ておるわけでございます。公明党の場合も、平成元年十月四日、玉城栄一公明党中央委員の名において是正の申し入れを厚生大臣にいたしました。そういうものを受けて、政府は現在どのようにこれを受けとめ、どのように対応しようとなさっておるのか、この点をまず端的にお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/115
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116・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 去る十月に、公明党の先生方、厚生省へお越しになって、その御陳情もいただきました。そして、御承知のとおり当委員会でも二回にわたって請願の採択もありまして、そして沖縄の格差の問題は、沖縄住民の責めに帰する問題ではもちろんありません。そういう意味で、厚生省といたしましては積極的に対応しようと今準備をいたしておる段階であります。
詳細は事務当局から御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/116
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117・水田努
○水田政府委員 なかなかこの問題は、本土との均衡と沖縄の皆様方の御要望との調整をどう図るか、大変日夜苦慮いたしておりますが、大臣から、真剣に検討を進めるようにということで鋭意検討を進めておりますが、ただいまここで具体的にその内容を申し上げる段階までに至っていないことはお許しをいただきたいと思いますが、真剣に取り組んでいる、この点だけはお酌み取りいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/117
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118・貝沼次郎
○貝沼委員 今準備をしている、積極的に対応しようとしておる、真剣に検討を進めておる、何となくわかるのですが、格差はやはり縮むのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/118
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119・水田努
○水田政府委員 本土との均衡を、どういう形で格差を解消していくかということで、いわば格差の解消という方向で前向きに検討している、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/119
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120・貝沼次郎
○貝沼委員 それでは、このような格差が起こった理由、これは一体どこにあったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/120
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121・水田努
○水田政府委員 琉球政府時代の厚生年金のスタートがおくれ、本土に復帰した際の特例措置が本土の四十歳以降中高年の特例措置、これに準じた対応をとられたのですが、定額部分については四年ないし十四年という短縮期間で二十年分を与えたけれども、報酬比例部分は基本的には納めた保険料見合いの年金額を給付する、こういうことで、本土の方に比べてそこの部分の納付について、四年であるとか最長十四年である、こういうことから結果的に給付水準に格差が出ている、このように認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/121
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122・貝沼次郎
○貝沼委員 平成元年二月二十七日付の「国民年金制度及び厚生年金保険制度の改正について」という年金審議会の答申がございますが、この最後の方に「沖縄県における厚生年金の受給者については、復帰時の措置が必ずしも十分でなかったため、本土との間で年金額に格差が生じているので、これを是正するための適切な措置が講ぜられるべきである。」こう言われております。この「必ずしも十分でなかった」というところはどういうところなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/122
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123・水田努
○水田政府委員 評価の問題であろうかと思いますが、一応私ども沖縄県知事あるいは経営者団体あるいは労働団体の方から再三御陳情を受け、お話し合いもしているわけですが、復帰時の措置についてはそれなりの評価をしていただいていることはいずれの側も一致しているわけでございますけれども、報酬比例部分の加入期間が短いことについて何らかの救済措置を講じてほしいというのが皆さん共通している点でございます。その救済措置を指して年金審の答申におけるあの付記の意見、「十分でなかった」、こういう表現になったのではないかと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/123
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124・貝沼次郎
○貝沼委員 言葉ではいろいろわかるのですけれども、実際例えば本土復帰が昭和四十七年五月十五日、国民年金と厚生年金と比べてみまして、国民年金の方は琉球政府時代の加入年数を認め、さらに五年以内に、昭和五十二年三月末日までありますが、追納すれば、昭和三十六年四月一日から加入したとみなす、こういう経過措置がとられたわけですね。厚生年金の方は昭和四十五年一月から復帰までの加入年数二年四カ月は復帰特別措置として継続をして認められた、しかし加入日、これは昭和四十五年一月一日に固定されたままになっていた、国民年金法に配慮されたような特別追納による加入日の遡及措置はなされなかったということなのでございます。この厚生年金制度の加入日と国民年金制度への加入日が不一致であるというところからいろいろ問題があった、また出ておるのではないか、こう言われておるわけですが、これについていかがですか。
〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/124
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125・水田努
○水田政府委員 その点については私ども若干違いがあるのではないかなと思っております。
と申し上げますのは、旧法の国民年金というのは二十五年で資格期間を取得する、こういうことを前提に復帰時の措置がなされたわけでございますが、今度の六十年改正の新法によりますと、この二十五年が御承知のとおり四十年に延長されました。それで、年齢によって加入可能年数ということが二十五年から三十九年まで短縮措置がとられているわけですが、この短縮措置について実は六十年改正のときに欠落があったので、その欠落部分についていわば補完をしたというのが御指摘の国民年金に対する前回の沖縄政令で対処した問題でございまして、この問題はむしろ六十年改正が惹起した問題を是正した、こういうのが正確な理解であろうかと思います。
たまたまこの問題と連動して復帰時の報酬比例部分の附則についての問題が起きてきたことは、現象的には同時でございますが、抱えている問題の内容は国民年金の前回の措置と今回とろうとしている措置については質的な違いがあろうかと思いますが、結論的には格差の是正ということで真剣に取り組んでいる、こういうことについては何ら変わりはないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/125
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126・貝沼次郎
○貝沼委員 昭和六十一年四月一日、新年金制度の実施、したがって厚生年金被保険者も当然国民年金制度に加入、ところが、国民年金加入日をいつにするかという問題がこのときありました。結果的に、沖縄復帰特別措置法を政令改正して昭和三十六年四月一日に遡及加入する措置をとった。こ
れに伴いまして、厚生年金被保険者は昭和六十二年一月一日から昭和六十七年三月末日まで五年間、昭和四十五年一月一日から昭和三十六年四月一日までさかのぼって八年九カ月、この分の国民年金保険料の追納をすることになったわけです。しかし、昭和三十六年四月一日から昭和四十五年一月一日までの八年九カ月分、百五カ月分でありますけれども、この保険料を追納しても年金受給額にははね返らない、こういう問題があると指摘されておりますが、これは間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/126
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127・水田努
○水田政府委員 もともととりました措置は、みなし免除以外の分について保険料を納付していただければいわゆる満額年金を出す、こういう前提で追納制度を導入したわけでございますので、そのような事態は起きないものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/127
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128・貝沼次郎
○貝沼委員 後半部分がよく聞こえなかったのですけれども、もう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/128
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129・水田努
○水田政府委員 今回、御指摘の沖縄政令を改正して国民年金の保険料の追納を認めるということは、加入可能年数を満たしていわゆる満額年金を取得する、その道を開くということでやったわけでございますので、保険料を追納された方が加入可能年数に到達するだけの期間の追納をなされた場合には満額年金が当然取得されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/129
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130・貝沼次郎
○貝沼委員 ですから、そういう追納をしても年金受給額にはね返るのかどうかということをここで言っているわけですが、この辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/130
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131・水田努
○水田政府委員 もちろん満額年金に、今回の改正ベースで言えば五万五千五百円になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/131
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132・貝沼次郎
○貝沼委員 それで、是正の要望として、いろいろ出ておりますが、一つは、新たな加入日を設定して沖縄特例で国及び地方の公務員にとられた措置と同様に年金加入のみなし期間を設けてもらいたい、こういう要望が沖縄から出ておるのはよく御存じだと思いますけれども、これについて政府の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/132
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133・水田努
○水田政府委員 それは若干事情が違うと思っております。公務員の方の場合は公務員期間を引き継ぐのは身分の継承ということで当然でございますが、私どもは、厚生年金に加入した期間に対応して措置し、その足らざる部分について格差是正としてどのような措置を講ずるか、こういう方向で現在検討させていただいているということでございまして、基本的に私どもは、沖縄県から要請されている趣旨もそうであるというふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/133
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134・貝沼次郎
○貝沼委員 それから、この格差是正ですが、私も今回これを勉強してみまして重大な問題であると受けとめました。そこで、この一日も早い解決をなされなければならぬと願っておるわけでございます。
先ほど、とにかく真剣に検討を進めておるという答弁でありましたので、それに期待したいと思いますけれども、この検討の結果はいつごろ出てくるのでしょうか。うんと先なんでしょうか、あるいはもうすぐということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/134
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135・水田努
○水田政府委員 何とかこの年金法案が本委員会を通過するぐらいまでに結論が出るようにということで、今大変一生懸命に努力をしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/135
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136・貝沼次郎
○貝沼委員 本委員会を、そこから先をもうちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/136
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137・水田努
○水田政府委員 本委員会において改正法案が通過する時期ぐらいまでに結論を出すように検討を鋭意進めている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/137
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138・貝沼次郎
○貝沼委員 それはちょっとややこしいのですね。改正案が通過する時期というのはほかの要素が入っておりますので、例えばこの臨時国会内とか、そういうふうに言っていただけませんか。通過するとかしないとかいう、ほかの要素が入っておることはよくわかりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/138
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139・水田努
○水田政府委員 大変失礼いたしました。今国会中に結論が出るように鋭意努力をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/139
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140・貝沼次郎
○貝沼委員 ぜひお願いいたします。
次に、午前中もいろいろ質問がございましたが、制度間調整の関係をお尋ねいたします。
私の基本的な考え方といたしましては、この制度間調整というのは国民的合意が必要でございます。それから、当事者同士の合意も必要でございます。そういうようなところから、場合によっては二年間くらいの時間をかけて関係者の意見を十分に聞いて合意形成を図るべきではないのか、拙速は慎まなければならない、こういう考えでおるわけでございます。
そこで、今もちろん鉄道共済が中心になっておるわけですが、私はテレビのときも申し上げましたけれども、この制度は存続させなければならないと思っております。そのために、なるべく多くの合意が得られるように努力しなければならないのではないか。そのために、一つは一元化の問題がございまして、この一元化の姿が明確になるまで議論すべきだと考えております。ところが、委員会で聞いておりましても、一元化の姿が何かはっきりいたしません。こういう一元化の姿を政府は明確にお示しになるのでしょうか、その点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/140
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141・水田努
○水田政府委員 五十九年の閣議決定で、平成七年を目途に公的年金の一元化の達成を図るという政府の方針は確立いたしているわけでございます。それで、御案内のとおり、一階部分については基礎年金を導入するという形で既に達成いたしております。残された問題は被用者年金の一元化を達成するという問題でございますが、この問題の取り仕切りを行っておりますのは公的年金閣僚会議でございまして、六十二年九月の公的年金閣僚会議において、被用者年金はそれぞれ長い歴史、沿革を持っているので、七年の一元化を円滑に達成するためには、その中間地点である元年の再計算のときに中間措置としての地ならしを講ずるということで合意に達しているわけでございます。
一方、そういう中間措置を講ずるという要請があり、それから、今回の改正に際しまして年金審議会で真剣に御検討をいただいたわけですが、年金審議会においても、被用者年金の平成七年の一元化を達成するためには、なかなか歴史、沿革を持つ制度の一元化でございますので困難な問題があるので、やはり中間措置を講じておくべきであるという認識に立っていただいたわけでございます。その場合に、中間措置というものが平成七年の一元化の道筋の障害になるようなことがあってはならないので、年金審議会としては、一応平成七年の一元化の姿として、それぞれの歴史、沿革のある制度をそのまま存置しながら新たに単一の被用者年金制度を創設する、その単一の被用者年金制度は一階部分の基礎年金との整合性をとりつつ単一の制度をつくるべきである、こういう御意見をいただきまして、そういう認識のもとに、それとショートしないような範囲で、かつ関係者の合意が得られる範囲の中で、著しく生じている被用者年金相互間の負担の不均衡の是正措置を講ずる、こういうことで今回の法案の提出をさせていただいたという経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/141
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142・貝沼次郎
○貝沼委員 それで、国民年金・厚生年金保険制度改正に関する年金審議会の意見、これでございますが、今局長がおっしゃったようなことがここにもちゃんとございます。それに沿っておるわけですが、ここで、「こうした一元化を図っていく場合、可及的速やかに各制度間に残されている支給要件の差異等についての十分な検討と調整が行われるべきことは言うまでもなく、これらの点については、今後、」云々というふうにあるわけでございます。そこでまず、それならば調整は行われたというふうに考えていいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/142
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143・水田努
○水田政府委員 今回の制度間調整は、一応被用者年金制度に完全に共通する部分を横断的にカットしてやる、具体的に申し上げますと、一階の基礎年金との整合性という観点から、対象とする期間は三十六年の四月一日以降で、厚生年金の開始年齢は六十歳でございますので六十歳到達以降の人間に係る分、いわゆる共済年金でそれ以前にも
らっている人、厚生年金で言えば女子の方は六十歳でもらっておられますが、そういう方の給付は全部オミットをして、給付水準は厚生年金の給付水準、だから、厚生年金の給付水準を上回る部分をカットする、いわゆる最も最低のレベルの厚生年金の、三十六年以降かつ六十歳に到達した人で給付水準は厚生年金水準、ここを横断的に抜き取って、その範囲で負担の不均衡の是正を図ったのが今度の財政調整法でございます。その限りにおいては、残された支給要件とか給付要件の差というものは、今回の調整には直接影響のないように十分な配慮をしたということでございまして、ここの年金審議会で指摘しております支給要件というのは、むしろこの制度間調整が成立後、平成七年の一元化に向けて年金審議会としては早急に支給要件に——確かに被用者年金相互間にございますので、この差をどういうふうに調整していくかということをみずから検討するということを宣言されたというふうに私どもは受けとめさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/143
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144・貝沼次郎
○貝沼委員 そこはわかるのです。私もそう思ったのですが、そうすると、今度の一元化というのは、財政調整の方が、鉄道共済がお金がなくなったからそのためにやったんじゃないかという勘ぐりが非常に強くなってくるのですね、それもないわけじゃないでしょうけれども。それならば、共済年金の各制度の、今おっしゃったように歴史が違いますからいろいろな面で違いがございますが、例えば保険料率は一体どうなるのか。それじゃ一言言ってもらいましょう。鉄道共済とかほかの共済、そういう制度の保険料率は今どうなっているのか、これを調整するためにいつごろまでかけて、どういうスケジュールになっているのか、そこのところを教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/144
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145・水田努
○水田政府委員 今現実に共済組合が採用している保険料率、私の手元に持っております資料は昭和六十三年三月末現在のものでございますので、その点はお許しを願いたいと思いますが、厚生年金男子一二・四%であるのに対しまして国家公務員の連合会一二・二六%、NTT一一・六四%、たばこ共済一四・一三%、地方公務員の連合会一三・九五%、私立学校共済一〇・二%、農林共済一三・四%、これが六十三年三月末現在の被用者年金各制度がとっております保険料です。
なお、国共は最近保険料の改定が行われておりますが、詳細は現在ちょっと把握いたしておりませんので、その点はお許しを願いたいと思いますが、今後一元化が達成されまして単一の被用者年金制度がつくられました場合には、その単一の被用者年金制度に係る部分の保険料は均一になるもの、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/145
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146・乾文男
○乾説明員 ただいまの年金局長の答弁にさらに補足して計数を申し上げさせていただきます。
今、年金局長から答弁がありましたように、国共済グループにつきましては本年十月に財政再計算というものを行いまして、その改定後の率を申し上げますと、一般国家公務員につきましては先ほど一二・二六%と申し上げましたのが一五・二%に上がっております。それからNTT共済につきましては一一・六四%と申し上げましたのが一四・〇二%に上がっております。それからたばこ共済につきましては一四・一三%と申し上げましたのが一七・〇七%というふうになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/146
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147・貝沼次郎
○貝沼委員 こういうふうに、一元化というのは本当は大変なのです、歴史がありますから。したがって、ただ物差しでさっと線を引くようなわけにはいかない。いろいろな事情を聞くと同時に、とにかく年金制度は長く続かなければいかぬわけですから、なるべく合意をしながら進めていかなければなりません。そういう点から考えると、今回の場合は非常に急いでおる、急がなければならぬ部分もあるのでしょうけれども、合意の努力が足りなかったのではないかというふうに私は考えるわけでございます。
それから、同じように各制度間において、例えば給付開始年齢、それから年金計算の基礎とかあるいは遺族年金の問題、それから積立金の運用比率、こういうものは差はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/147
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148・水田努
○水田政府委員 今回の財政調整の対象は、中間措置でございますので老齢給付のみを対象にやらさせていただいたわけでございます。
なお、一元化が達成後につきましては、この年金審の意見書では、それぞれの制度は存置して、いわば国民年金に現在被用者年金は二重加入しているのと同じ意味で、新しくできる第二基礎年金的な被用者の単一の制度に二重加入をするという形になると思いますので、積み立て度合いというのは被用者年金制度によって大いに違います。私学共済みたいに十年分持っているものもあれば、厚生年金みたいに五年分、国鉄共済みたいに〇・五年分というように非常に差がございますので、これを単純に単一の制度に完全統合するということは到底、御指摘のとおり不可能だと思いますので、本籍地はそのまま残しながら二重加入という形によって一元化を図っていくということは実際的な解決の方法ではないか、現時点ではそのように私ども考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/148
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149・貝沼次郎
○貝沼委員 こういうことを考えていきますと、一元化というのは非常に大変なんだなということを私は実感しておるわけでございます。
また、今回の鉄道共済の関係で厚生年金の関係の方々が、私どもが血のにじむような思いをして積み立ててきたお金が、片っ方が、やり方もあるでしょうし、いろいろな国の責任等の問題もあった、そういうことにおいて足りなくなったからこちらから持ってこいと言われることは、これはもう我慢がし切れないという声が非常に多いわけですね。したがって、午前中の質問でも多賀谷先生の方から、とにかく政府が借金をしてでも少し合意をすべきではないかというような御意見もあったかと思いますけれども、私もそういう考えです。やはり時間をかけてじっくりとやっていかないと、この一元化というのは難しいし、今回はそういう面から考えてもちょっと拙速になったような気がするかなという感じがいたします。
そこで、真っ先に申し上げましたように、二年ぐらい時間をかけても、その間国の責任において制度を運営しておっても、国民的合意をつくることが先決ではないのかという感じがするわけでございますが、答弁を求めてもなんでしょうけれども、御所見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/149
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150・水田努
○水田政府委員 この点だけは御理解をいただきたいわけでございますが、年金審議会で昨年の十一月、全会一致であそこまで踏み込んだ意見を出していただいておるということをひとつ評価をしていただきたいと思います。
その際の皆様方の一致した気持ちというのは、国鉄共済が支払い不能に陥るということは今後の厚生年金なり国民年金の運営に対する国民の信頼が揺らぐ問題であるので、平成七年の一元化というものが当然政府の方針として予定されているのであるならば、それを見据えてそれとの整合性が図られる範囲で、かつ関係者が合意をする範囲で制度間の不均衡の是正をすることはやむを得ない措置ではなかろうか。ただ、相手側の国鉄共済の自助努力、汗をかかないのに自分たちだけが一生懸命制度間調整を行うということは、なかなか厚生年金の労使の同意を得ることはできないので、この制度間調整法を提出するに先立って、国鉄共済側の自助努力が本当に払われたかどうかを一応見定めた上で法案を出してくれ、こういう御注文がついているのは意見書に書いてあるとおりでございまして、私どもはそのように国鉄共済側に御努力をお願いした、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/150
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151・貝沼次郎
○貝沼委員 そのこともよく存じております。しかし、まだ国の責任あるいは自助努力、こういった面について私どもは不満であります。一方、鉄道共済の方を考えてみましても、私の兄は満鉄におりましたけれども、当時若くして職業を選んだ、そして、その選んだ人が年をとって年金をもらうようになる、ところが社会が変わってしまって、その制度がもうぐあいが悪くなっておるというようなことで、一人の人がたまたま若いときに選んだ職業によって老後が脅かされるというよう
なことは、これは制度としてあってはならないことだと思うのですね。そういう意味から、どういう職業を選ぼうとやはり年金制度は信頼できるというふうにならなければならないと思うのです。そういう面もあります。
したがって、例えば若いときに鉄道に入ったそういう人たちのやり方とか勤務状況とか、そういうことでこの年金が変わったわけじゃないわけですね。そして、それを指導したりいろいろなことをやってきた官庁なり国の施策があるわけでありますので、こういう面から考えてみますと、鉄道共済も公的年金の一つでありますから、その安定的運営、それから支払いの確保、これについて国は行政上、政治上の責任がある。したがって、今回の場合には、先ほど局長が、いろいろと努力してあそこまで結論を出してくれたのだと言いましたけれども、それでは不満。もっと大幅に国の責任の証拠を示すべきだ。例えば国庫負担をふやす、あるいはもっと自助努力をするということにしていかないと、なかなか合意が得られないのではないか、こう思うわけでございます。
そういうことで、もっともっと国の責任を強化すべきであるという主張を私はしておるわけでございますけれども、これについてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/151
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152・乾文男
○乾説明員 ただいまの、鉄道共済も公的年金の一角として安定的、信頼的なものでなければならないという御指摘はそのとおりでございます。ただ、鉄道共済問題に関する懇談会の報告書にも述べられておりますように、鉄道に勤めていたことが悪かったというわけではないのですけれども、鉄道共済の過去の制度運営にはいろいろ指摘されるような点もあったことは事実でございまして、そういう観点から、先ほど水田局長からも答弁がございましたように、今回のいろいろな対策を考えるに当たっては、まず何よりも鉄道共済自体の自助努力というものを真っ先に考えていかなければならないということでございます。
ただ、ただいま議員御指摘がありましたようなこういう状況になりましたことにつきましては、やはり高齢化社会の進行であるとかいろいろな要因がございまして、鉄道共済の責めだけに帰することのできない要因があったこともまた事実でございまして、そういう観点を総合的に勘案いたしまして、今回の対策ということで提示しているわけでございます。
その中におきまして、国も民営化に際して、鉄道共済の昭和三十一年以前の分のいわゆる恩給に係る追加費用を民営化時に五兆円清算事業団に負わせることとしておりますけれども、それに加えて各年八百億円の五年分ということで四千億円を負担しようとして精いっぱいの努力をしたところでございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/152
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153・貝沼次郎
○貝沼委員 大蔵省にちょっとお尋ねしますけれども、ちらっとどこかで話を聞いたのですが、大蔵省は国の責任という立場から国庫負担を少しは増額してもいい、そういう姿勢は持っているのではないかという話がありますが、この点はあるのでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/153
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154・乾文男
○乾説明員 現在の三千億のスキームの中に入っております清算事業団の負担というものも、厳密に申しますとこれは国庫負担というものでございませんで、旧国鉄時代にいわゆる保険料の負担不足があった、旧国鉄が負担すべきであった額があったのを、旧国鉄がなくなってしまいますので、それを清算事業団に肩がわりさせるということでもってこの四千億円を計算しているわけでございます。ただ、現在の清算事業団の長期債務の現状を考えますと、幾らJRの株あるいは保有土地が高く売れましても、なお現時点の見通しでは債務の方が大幅に上回る状況でございまして、そういう場合には、最終的にはこれはいわゆる国民負担ということになってくる、こういう形になるわけでございます。そういうことも考え合わせまして、大蔵省といたしましては現在提案申し上げております案で御理解を得たいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/154
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155・貝沼次郎
○貝沼委員 答弁としてはそうなるのでしょうけれども。それで大臣、私どもはそういう国の責任の上に立って、もっと国庫負担を増額すべきであるというふうに主張しておるわけでありますが、大臣はその点に向かって御努力していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/155
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156・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 御承知のとおり、今度の制度間調整は、当然JRの責任、共済の責任に帰すべき範囲をどの程度に見るか、それからもう一つは、今これからJRの中で先世代の人たちを支えていく現役の人たちの責任に負わせるべきでないという部分、そういったもののバランスがどこで線を引くのが適当なのかということに帰するのだろうと思いますけれども、千五百五十億というものがそこそこの自助努力を認めて、一応御提案申し上げているような形に落ちついたわけでありますが、この国の責めに帰すべきであるということに関する部分についていろいろな御意見があることは、この委員会でたびたび御指摘があったとおりであります。
でありますから、そのことは一つの争点として予算委員会の中で論じられておるわけでありますから、当然この問題も与野党間で、この委員会の結論をつけるまでにはいろいろな形で協議があるだろうということは一応想像はいたしております。私どもは、一応提案をしている立場として、その結論というものがどういう方向に行くのかということについては、全く御意見を申し上げる段階にはありませんけれども、その協議の方向については注目していかなければならない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/156
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157・貝沼次郎
○貝沼委員 それじゃ質問を変えます。
大臣に率直にお伺いいたします。先般、参議院の選挙がございました。参議院の選挙において自民党は、今回のこの給付改善の部分でありますが、四月にさかのぼって支給するという公約をいたしました。当然大臣は自民党の党員であり議員でございますから、恐らくそういう演説をなさったかあるいはそういうお話をなさったと思います。全然言わないとなれば、これはまたかえっておかしくなるわけでありますから、恐らくしたと思います。そして、今厚生大臣になられまして、それと逆の法律を抱えておるわけでございますが、どうでしょうか、今でもやはり四月にさかのぼってやるべきであるという大臣の、あるいは政治家戸井田先生としてのお考えは変わりないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/157
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158・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 その公約を出したときには、私は自由民主党の政務調査会の副会長をしておりましたので、当然その協議にあずかって賛成をいたしたものであります。しかしながら、その後八月の海部内閣の誕生とともに、私は自民党員であると同時に議院内閣制における自民党政府の厚生大臣、閣僚として今入っておるわけであります。
そこで、この私たちの厚生省が政府として提案をしている年金法というものは、その自民党という政党を含めた、そして与野党間で国会という立場の中で審議をし、論議をしているわけであります。その結論というものは、また政府としては、国会の、国権の最高機関の意向としてそれを尊重していくという方向をとることは当然だろう、私はかように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/158
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159・貝沼次郎
○貝沼委員 手続論としてはそうだと思います。しかし、一人の政治家としてやはり今でも四月にさかのぼって支給することが望ましい、こういうふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/159
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160・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 これは自由民主党が天下に公約したことでありますから、自由民主党としてはそういった方向で当然進んでいくものであり、私も自由民主党の一員であるということだけは事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/160
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161・貝沼次郎
○貝沼委員 したがって、一員であるということは、大臣になっても一員でございますから、ひそかにそういう修正のあることを望んでおる、こういうふうに受け取ってよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/161
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162・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 そういったことが、私は自由民主党を信頼いたしておりますから、自由民主党はそういう方向を歩くだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/162
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163・貝沼次郎
○貝沼委員 大変失礼なことを申し上げました。
それでは、私も給付改善の早期実施というものを、これはもう一刻も早くというふうに主張しておるわけでございますので、与野党ともそれが一致しておる情勢でありますから、これは修正は当然だろうと思っております。
〔粟山委員長代理退席、畑委員長代理着席〕
それから、この議論をしてまいりますと、毎日議論のたびに問題になっておるのは、数字の話でございます。ところが、数字がひとり歩きいたしまして、大変わかりにくくなっております。年金審議会の「国民年金・厚生年金保険制度改正に関する意見」、これにもあります。年金数理基礎データの公開と行政委員会の必要性ということでございますが、私もやはり基礎データというのは全面的に公開していかないと、理解はなかなか得られない、こういうふうに思うわけでございます。
そこで、例えば現在の厚生年金の給付水準は六九%。九なんてつくのはいかにももっともらしい、何か難しい計算をしたら六九になったというような感じがするわけでありますけれども、これの根拠というのは一体どうなんでしょうか。それから、この水準というのは将来も維持するのか、変わるのか。変わるとすれば、上がりそうなのか下がりそうなのか。こういったところの見通しについてお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/163
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164・水田努
○水田政府委員 昨年の十一月の年金審議会の意見の冒頭で「今回改正の年金の給付水準については、前回改正の際に設定された水準を維持すべきである。」ということを全会一致でいただきました。前回改正の際に、四十年加入のいわば制度成熟時における給付水準というものが六九%でございました。私どもも、全会一致の意見でございましたので、それを今回の改正においては忠実に守るということで全力を挙げて取り組んだわけでございまして、四十年加入の制度成熟時の方の基本的な年金額は現役男子の平均標準報酬月額二十八万八千円の六九%に相当する十九万七千四百円というふうになるように、今回給付水準を設定させていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/164
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165・貝沼次郎
○貝沼委員 この数字は理解はしやすいですね。
ところが、その次の保険料率、負担の限界という問題なのですけれども、これになってきますとどうも理解が難しい。保険料率のピーク、二〇二〇年の数字が五年前は二三・九%、今回は二六・一%。それで、私の考えですけれども、ピーク時において保険料を負担する限界というのは恐らくこれくらいということを見当をつけてから途中の負担率を計算していかないと予測は立たないんじゃないかと私は思うのですね。ところが、この数年間でどうしてこんなに変わってしまうのか。人口がどうのこうのといいますけれども、どうもこの辺の数字は私は納得がいかないわけでございます。こういうのは、例えば二〇二〇年はこういう数字に変わっている、二〇三〇年はどうなのか、四〇年はどうなのかというようなことをきちっと示さないとわからないと思うのです。ただ二〇二〇年の数字だけがいつもぽんと出てくるということなんですね。
それから厚生年金の数字がいつも出てくる。じゃあ、ほかの共済とかそういうものをひっくるめた場合どうなるのかというような年金全体の数字というものは余り見えないということで、この数字というのはなかなかわかりにくいわけでございます。
そこで、こういう試算は将来再計算をするたびに際限なく負担が上がっていくのではないかという不安もあるわけですね。計算上こうなるからこれだけ負担してくださいというのはどうも私はいただけないのです。そうじゃなしに、やはり負担の限界というのはちゃんとあると思う。年金制度というものを持続していくためには、これ以上の負担をすれば人はもう入らなくなる、そうすれば崩壊してしまうわけでありますから、限界が必ずあると思うのです、その限界を、合意点をもって、それでそのために負担はこれだけしていかないとできませんという話なら、私はわかるのです。それだったら、二〇二〇年に数字がそんなにぽこぽこ変わるはずはないと思うのですけれども、これが変わっておる。こういうことで、この数字の出し方というものをきちんと整理しておく必要があると思うのですけれども、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/165
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166・水田努
○水田政府委員 厚生年金はサラリーマンの八三%を占める被用者年金の中心的な制度でございますので、この制度が長期安定を期し得ないということは国民に大変大きな影響を与えますところから、長期にわたりますところの財政再計算をし、長期展望も含めまして、その数字の根拠その他を一切過去も公開してまいりましたし、今回も法案成立後直ちに製本いたしまして公表をいたす所存でございます。前回も、単に公表するだけではなく、国民にわかりやすい形にかみ砕いてその説明に意を尽くすようにという御指摘をいただいたところでございます。まず公表の原則をとっているということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
それから、私ども、年金の負担の限界としてどの程度が妥当かということにつきましては、現在最も年金の成熟化が進んでおりまして、日本と同じ社会保険方式をとっている西ドイツの例から見て、二六%程度が合理的な線ではないか、このように考えております。西ドイツは、成熟度は現在約三四%でございますが、若年労働者が失業状態にあるために早期支給制度をつくりました。原則六十五歳でございますが、男子は六十三歳、女子は六十歳という早期支給制度をつくったために二〇〇〇年には成熟度が四一%に達しまして、最終保険料率が二八・六%にもなってしまうということで、今回与野党一致で、これを段階的に二〇〇〇年までに六十五歳に戻して二六・四%に抑えるという方針がとられたところでございまして、私どもがねらっております二六%というのもほぼ合理的な負担のあり方、最終料率としては妥当なものではないかと考えているわけでございます。この二六%に到達しますために、いつも御説明申し上げておりますように、再計算期ごとに均等に上げていくということで、二・二ポイントの上げ幅をとらせていただいているということ。
それから、先生のもう一つの御疑問点は、再計算の間で最終保険料率が、前回二八・九と言っていたものが三一・五とぴゅっと上がったではないか、この原因は何か、こういうことでございますが、これは再三申し上げておりますように、平均寿命が男女とも三歳延びたことによって受給者が約二百五十万人ふえる、これが大きく影響してそういうことになった、こういうことでございますので、ぜひその点は御理解を賜りたい、このように思っております。
〔畑委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/166
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167・貝沼次郎
○貝沼委員 それじゃ二〇二〇年だけでなく、もう少し先の方も、これは上がるのか下がるのか、その辺まで見通せるようにデータを出していただきたいと思います。
それから、行政委員会のことが言われているわけです。これは、公聴会のときも行政委員会が必要であるという意見がございました。私もやはり行政委員会が必要であると考えます。当局としてはこれについてどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/167
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168・水田努
○水田政府委員 年金審議会で御意見を提示された中で唯一今回立法措置がとられなかった点はその点でございますが、年金審議会の提言された意見の行政委員会という意味が私どももう一つはっきりしないわけで、公正取引委員会みたいな三条機関なのか、それとも調査勧告権を持つ社会保障制度審議会的な八条委員会を意味しているのか定かではございませんが、私どもは三条委員会をつくるということは非常に困難なので、むしろ八条委員会としてつくるべきではないか。
すなわち、具体的に申し上げますと、社会保障制度審議会の中に正式な年金数理部会を設けるということで、総理府が中心になりまして関係省庁の意見の調整を図ったのですが、今回の法案の提出までに関係省庁の合意に達することができな
かったわけでございます。今後とも引き続いて、その方向に向かって私どもは総理府に協力して努力してまいりたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/168
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169・貝沼次郎
○貝沼委員 権限の強化という点からは行政委員会がいいと思いますが、日本の行政機構の問題もありますので、それは議論はいたしません。とにかく早くつくるべきだと思っております。
それから、保険料のアップで保険料率、今回二・二ポイントの点で、こういう大幅なアップは認められないということで我々は主張してまいりました。いつも厚生年金の方の議論はここでたくさん出るわけでありますが、国民年金の方も四百円アップ。
先般、私は地元の方でいろいろな一般家庭の方々と話し合いをいたしました。そういたしますと、むしろ国民年金の四百円が非常にこたえる。特に学生のことも今回はありますので、夫婦と学生一人おると三人分、それに健康保険その他のことを考えると、一般家庭で五万から六万ぐらいの持ち出しが出てしまう。これでは大変なんだという声が非常に多いわけでございます。これからどんどん国民年金の方が上ってまいりますと、恐らく免除を申し出る者あるいはこれを滞納する者というふうにふえてくるんじゃないか。これは国民年金そのものの存立が危ぶまれるわけでございます。こういった点で、やはりこの四百円も私は考えるべきだ、下げるように考えるべきだ、こういう主張をしておきたいと思います。この点について、当局はどういう感触をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/169
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170・水田努
○水田政府委員 私ども、今回の改正に先立ちまして、六十二年に全国に無作為で約六千名の方を対象に意識調査をいたしまして、無記名の御回答をいただいたわけでございますが、七割の方が、基礎年金の給付水準を維持していくためには保険料の引き上げはやむを得ないという肯定的なお答えをいただいております。また、前回の改正の際に給付水準を設定しました根拠となりました、二十一世紀の年金に関する有識者調査におきましても、平成元年度価格で一万四千円から一万九千円の間に最終保険料がおさまることはやむを得ないとお答えいただいた、いわば賛成した方が半数以上あったこと等から考えまして、先ほど申し上げました基礎年金の給付水準を維持していくためには、どうしても御負担願わなければならない保険料であろうと考えているわけでございますが、先生御指摘のような問題もございますので、一挙に上げるということではなくて、毎年四百円ずつ小幅に段階的に上げるという方法もとらせていただいておりますので、どうかこの点については御理解をいただきたいと思っているわけでございます。
なお、どうしても御負担のできない方につきましては免除という制度もあるわけでございますので、この国民年金制度を安定的に維持していくためにも、この引き上げについては御理解、御協力を賜りたいと思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/170
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171・貝沼次郎
○貝沼委員 維持していくために負担してくれということなんですけれども、それは計算では幾らでもできるのです。だけれども、計算ができたからそれが維持できるか、それはまた別の問題なんです。子供のことを考えて立派な家を建てた。そうしたら子供は、相続税が高いから家に入るのは嫌だ、こういう話もあるわけでありますから、計算だけではいかない。どうしても維持していくために負担が多くなる。ところが、それは負担する側から見ればどうも高い。そういう場合には、これは国庫負担を増額する以外にはないと思います。国庫負担を増額して、そしてその制度を存続させていく、こういう方法になろうかと思うわけであります。私どもは、この国庫負担三分の一を二分の一にせよという主張をしておるわけですけれども、この点を強く主張しておきたいと思います。これは答弁を求めても、どうせ何もないでしょうから……。
それからもう一つは、そういう財政の問題からいろいろと負担が高くなるということでありますから、それならば国民年金、厚生年金の積立金の自主運用の一層の拡充を図るべきではないか。私の考えといたしましては、総額の三分の一ぐらいを自主運用させていただくようにした方がいいのではないか。現在、積立金の総額とか自主運用は累積でどうなっているのか、利差益はどれくらいになっているのか、この点を御報告いただきたいと思います。——時間がありませんから結構です。みんなよく知っていることですから。
私の考えは、年金の金は年金に使うということがやはり正しいと思うのです。ところが、大蔵省の財投になるわけですけれども、その自主運用に回してもらう量が、平成元年見込みとしてたかだか一〇%と言われておるようでありますから、私の考えからいくとまだまだ少ないのですね。ですから、この一〇%が三〇%とか、その辺まで伸びるように増額するように、これを大臣にひとつ頑張っていただかなければならぬと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/171
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172・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 自主運用の問題は御指摘のとおりに思います。去年までの自主運用の累積運用額は約六兆七千億になっておりますが、御指摘のとおり積立金の一割程度になっておるわけであります。しかしながら、今いろいろに問題になっている点を考えてみると、年金では一つは給付の問題、それから負担の問題、それから高齢化社会の比率の問題、こうなってくると、常に一貫して影響力の一番強いのは高齢化率の進展だろうと思います。そういうことから考えると、こういった自主運用の面も積極的に努力すべきものと思っておりますので、これからも努力をして改善を図っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/172
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173・貝沼次郎
○貝沼委員 大蔵省の見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/173
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174・佐藤謙
○佐藤説明員 お答えいたします。
年金の財政基盤の強化の問題、これにつきましては、私どもといたしましても十分認識をしているところでございます。年金資金につきましては、社会資本整備であるとか、あるいは住宅対策であるとか、あるいは中小企業対策であるとか、こういう施策のために財政投融資の重要な原資になっているわけでございますが、六十二年度に年金財政基盤の強化を図るということで発足いたしました年金財源強化事業、これにつきましては、六十二年度は一兆円、これが六十三年度、元年度と一兆二千七百億円、一兆五千三百億円ということで、それぞれ大幅な増加をしてきております。それから、この財源強化事業のほかに、年金につきましては資金確保事業、それから、従来から年金福祉事業団等で行っております住宅貸し付け等の還元融資事業、こういったものをトータルいたしますと、元年度におきましては、年金の積立金増加額の約八三%がこういったものに充当されているような状況になってございます。
一方、年金資金につきましては、財投の原資といたしまして、今申し上げましたような社会資本整備であるとか、住宅対策であるとか、中小企業対策等々の国民のニーズにも対応していくという要請も片方にございます。したがいまして、二年度の財源強化事業のあり方につきましては、以上申し述べましたような諸点も踏まえながら厚生省の方とこれから御相談を申し上げたい、かように思っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/174
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175・貝沼次郎
○貝沼委員 ついでに大蔵省にもう一つ。繰り延べ金というのがありますね。あれはいつごろ、どういうふうに処理されようとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/175
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176・斎藤徹郎
○斎藤説明員 行革関連特例法に基づきまして、昭和五十七年度から昭和六十年度までの間に行っておりました繰り入れ特例分につきましては、委員御案内のとおり、昭和六十三年度補正予算において、利子相当分を含め、返済を行ったところでございます。昭和六十一年度以降の厚生年金国庫負担の繰り延べにつきましては、利子相当分を含め、一般会計が特例公債依存体質から脱却した後、国の財政状況を勘案しながらできるだけ速やかに繰り入れに着手する、返済をするという基本的考え方に立ちまして今後とも検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/176
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177・貝沼次郎
○貝沼委員 できるだけ速やかに今後検討するというのはよくわからないのですけれども、もう
ちょっと詳しく言ってくれませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/177
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178・斎藤徹郎
○斎藤説明員 厚生年金の繰り延べ措置につきましては、特例公債を発行せざるを得ないような厳しい財政事情のもとにおきまして、やむを得ざる措置として講じてきたところでございます。したがいまして、その返済につきましても、基本的には財政が特例公債依存体質から脱却した後、できるだけ速やかに返済ができないものかということで検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/178
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179・貝沼次郎
○貝沼委員 答弁は全然変わってないですよ。これ以上聞いてもまた変わらないでしょうから、時間のむだですから。
それでは、次の問題は学生の強制適用の問題であります。
これは私は賛成でございます。ただし、対応はきめ細かくやらなければならない、こういうふうに思っております。いろいろな問題がございます。実際聞いてまいりました。いろいろあります。学生の強制適用への法改正は一般の自営業者と比べ、学生の生活実態には多くの特殊事情があるため、改正に当たっては注意しなければならぬ点がたくさんある。特に市役所等の窓口でこれは大変なんですね。
一つは、ほとんどの学生は保険料の負担能力がなく、親に頼るのが現状である。実際、いろいろ母親等の意見を聞きましても、大体八割方のお母さん方が苦しくても払う、そのかわり額が多いのは困る。先ほどの四百円がそこにくるわけであります。それから、住民票と実際の住所の相違が多く見られ、適用対象外の抽出、個別周知が困難である、こういうことでございます。それから、所得の把握が困難であり、免除の適正な取り扱い、また免除指導も困難である。市区外から、あるいは市区外への通学がかなりの部分を占めるため、各学校への協力依頼が困難である。都市部では口座振替を柱に収納対策を進めているが、学生には社会生活上の必要性が希薄であり、積極的な利用が困難である。必然的に未適用者が多くなり、適用後も多くの未納者ができ、個別格差の拡大が懸念される。学生は昼間不在者が多く、収納対策に支障を来し、検認率の低下が懸念される。これが下がってまいりますと、今度は地方自治体としては起債の問題に影響してくるわけですね。そういうところから非常に難しい問題がある、こういうふうになっております。一々ここでこれをどうするかということは申し上げません。こういういろいろな問題。
もう一つは、例えば同じ二十二歳の青年であっても、片っ方は大学に入った。それで免除規定その他で基準に合致して免除されたりする。ところが、大学に入れた方はむしろエリートの方でありまして、入らないで一生懸命働いている人もおるわけですね。そうすると、同じ世代においてそこに差が出てくる、不公平が出てくるというような問題もありますので、この辺はきめ細かく対策を講じていただきたい、こう考えるものでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/179
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180・水田努
○水田政府委員 いずれの御指摘も極めてごもっともであると考えております。適用に当たって現場が混乱しないようにという要請は大学当局、国立大学、私学両方からも受けておりますし、また第一線を担う市町村からもそういう要請を受けておりますので、十分PRをする期間を設けて対応しなければならぬと思っております。
それから免除の問題につきましては、親の負担が過大にならないようにという年金審議会の附帯意見もいただいておりますので、そのことも十分配慮しながら、現在全国規模で国民年金の負担能力調査というものを実施いたしておりますので、その調査結果を踏まえまして、遺漏のないように対処するよう検討をしてまいる所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/180
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181・貝沼次郎
○貝沼委員 それから無年金者、滞納者の問題でございます。
国民年金は滞納者、未加入者が増大しております。市町村はこれへの対応に大変苦しんでおります。また、加入漏れ等に対する適用推進に努力すると検認率が下がる、かえって事務費交付金や還元融資、地方債ですね、この面で不利益になってしまうという面がございます。したがって、国はみずから積極的に無年金者対策等をやっていただきたい、こう思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/181
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182・土井豊
○土井政府委員 無年金者対策の問題あるいは滞納対策の問題、非常に重要な問題でありまして、私どもも市町村に大変いろいろな形で御努力、御尽力をお願いしているところでございますが、私どもとしましても、いろいろな各種の広報を通じましてできるだけ積極的に、そのようなことが周知徹底できるように、国民の間に制度の理解が深まるように、さらに一生懸命努力してまいりたいというふうに思っております。さらにまた、市町村に対しましても、いろいろな事務費交付金等適切に配分しまして努力をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/182
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183・貝沼次郎
○貝沼委員 時間がありませんので……。
加入可能年数超過納付者の取り扱い、これがまた現場では大きな、非常に難しい問題になっておるということであります。
法により納付義務が課せられている六十歳の前月までの納付は、加入可能年数を超えて保険料を支払うことになり年金額に反映しない、いわゆるただ取りであるという意識が被保険者に相当浸透し、知る者と知らざる者との間に差別となって出ておる。また納付組合に加入している者の場合も、知っている者が納付を拒否するため、納付組合への交付金の関係もあり、世話人が保険料の徴収に回るときに相手との間で信頼関係が損なわれ、ひいては組合の分裂にまで発展している。権利と義務は平等でなければならないとして納付を拒否する者が最近とみにふえてきたが、この問題は昭和十六年四月一日以前に生まれた者が六十歳に到達するまで、今後毎年問題になる事項であり、被保険者に誤解や不信感を抱かせないためにも、加入可能年数を超える納付額を年金額に反映させるような改善策はとれないものなのか、こういう意見がございますが、これについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/183
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184・水田努
○水田政府委員 従来二十五年であったものを新年金制度では四十年加入を基準といたしたわけでございますが、そういたしますと、三十六年四月に既に二十歳を超えておられる方は四十年という期間を満たすことはできないので、先生御指摘のとおり、二十五年から三十九年までの加入可能年数を年を単位に設定した関係上、人によっては若干はみ出すという月数があるわけでございますが、この加入可能年数は満額年金を得るためのいわば短縮措置でございますので、切りのいい方と若干はみ出す方によってアンバラがあるような感じを与えますが、満額年金を本来四十年加入で出すところをそういう形で、御協力を願っているということでございますので、何とぞこの点については、事務上の処理のこともございますので御協力をいただきたい、私どもはこのように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/184
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185・貝沼次郎
○貝沼委員 もう一点お願いいたします。
未支給分を含めた全支給額が死亡一時金を下回る場合の救済措置と各種年金請求者の範囲の拡大ということでありますが、老齢年金を請求しないまま死亡した場合、寡婦年金か死亡一時金のいずれかを選択する道が開かれているが、長期給付裁定請求直後の死亡については未支給分を含めた全支給額が死亡一時金とのバランスを欠くため、死亡一時金への選択がえ、もしくは全支給額の最低保障額を認めるということはできないのか。また、老齢年金、通算老齢年金及び福祉年金の未支給年金の請求者の範囲を、扶養義務者にとどまらず、生計を同じくしていた子の配偶者にも拡大することはできないのかという要望がございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/185
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186・水田努
○水田政府委員 公的年金は強制加入のもとでいわば相互扶助という形をとっているわけでございまして、そこが私保険と違うところでございまして、現在とっておりますいわば国民年金スタートのときに、やはり加入促進という観点から死亡一時金なり寡婦年金というものを創設したわけでご
ざいますが、これだけ公的年金制度が普及した時代でございますので、また、国民年金の財政が厳しいという状況を考えますと、これ以上のそういう意味での私的年金的な要素をさらに加味してまいるということは残念ながら困難ではないか、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/186
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187・貝沼次郎
○貝沼委員 時間が参りましたので以上で終わりたいと思いますが、六十五歳支給開始の問題につきまして、これは切り離すべきであるというふうに私は主張してまいりました。今回も切り離すべきであるということを主張いたしまして、終わりといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/187
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188・丹羽雄哉
○丹羽委員長 田中慶秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/188
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189・田中慶秋
○田中(慶)委員 私は、年金問題そのものが二千五百万の受給者のことを考えてできるだけ速やかに実施をしなければいけないと考えておりますが、そういう中でやはり問題は問題としての解決をしてその処理をしなければいけないだろうと思います。
そこで、本来ならば総理に質問したいところでありますけれども、実は一昨々日総理は福岡で行われた消費税の対話集会の中で、消費税の使途については福祉に使うということを明言されているが、そこでまず厚生大臣に福祉の考え方についてお伺いをしたいと思います。私は、福祉というのは年金であり、医療であり、あるいはまた、これからの養護施設等を含めた施設づくり等の問題であろう、こんなふうに思っているのですが、その辺はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/189
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190・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 総理が福岡で御発言をなさったことをその後よく見てみましたら、総理は使用目的をきちっと国民に説明して使わせていただきたいと述べた旨に報道されておりますけれども、これは福祉目的を明らかにしたものだという意味で報道は福祉目的というふうに報道しておられたように思います。御指摘の総理の発言はそれ以上のことは僕は聞き知っておりませんけれども、一般に福祉のために税収を使うという福祉の範囲というものは、今田中委員が御指摘されたような年金とか医療とか社会福祉といった性質のものだろう、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/190
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191・田中慶秋
○田中(慶)委員 そこで、今回年金問題がそれぞれこれからの老後生活の中における重要な問題として論議をされているわけであります。一方においての給付の問題、一方においては保険料の引き上げの幅の問題等々が議論されているわけですが、この幅が前回の再計算より大きく上回ったこの原因はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/191
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192・水田努
○水田政府委員 再計算ごとに私どもは人口問題研究所の将来人口推計の直近のものを使って再計算をやらさせていただいておりまして、長期展望のもとに保険料を幾ら上げるべきかという決定をさせていただいておるわけでございます。
それで、前回の五十九年の再計算のときに用いました将来推計と今回用いました将来推計との間に男女の平均寿命が三歳延びた、これが結果的にピーク時における老齢年金の受給者が二百五十三万人増加をする、このことによって前回最終保険料二八・九%と御報告申し上げていたものが三一・五%にならざるを得なくなった。しかし、私どもは、三一・五%というのは後代の人が負担可能な数字ではない、二六%程度が限界であろう、こういうふうに考えておりまして、その二六%に至る間に六回の再計算を経るわけでございますけれども、その六回の再計算期ごとに五年間変えないわけでございますが、その間単年度の赤字を出さず、かつ積立金に手をつけなくて、しかも五年間同じ上げ幅で均等に上げていくとするとどうなるかということで計算いたしますと、今回の上げ幅は前回一・八と申し上げていたのが最終保険料率が上がったことによって二・二に上げざるを得なくなった、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/192
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193・田中慶秋
○田中(慶)委員 計算上の組み立てはよくわかりますけれども、結果的に国庫負担が三分の一という前提になっているからだと私は思うのです。総理も含めて福祉に使うという大勇断をされている場合、私どもはかねてから、この三分の一というのは大きな問題がある、二分の一にすべきだという主張を繰り返してきたところであります。二分の一にすれば二・二、こんな上げ幅にならないわけでありますから、やはりこれはこれからの福祉のあり方やそういう問題を含めてやるべきではないかと思います。
そこで大蔵にお聞きしたいわけですけれども、今回の消費税という問題が、それぞれ今国会で審議をされておりますからそれ以上のことは踏み込めないわけでありますが、仮にという前提で考えてまいりますと、私たちはいろいろなことを含めて年金等の基礎年金部分の負担率を二分の一にすべきだという主張を繰り返していることからして、年金にどれだけ国庫負担が、私は大幅にできるだろうと信じておりますけれども、その辺はどのように考えられておるか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/193
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194・斎藤徹郎
○斎藤説明員 基礎年金に対します国庫負担のあり方につきましては、先般、昭和六十一年度に行われました年金改革におきまして、全国民を通じて負担の公平を期するために国庫負担を基礎年金の三分の一ということで集中したところでございまして、これを引き上げるということは考えておりません。
御案内のように、先ほど厚生大臣からも御答弁がございましたように、現在の国の社会保障予算は全体として十一兆円近くになっておりまして、そのカバーする領域は、年金ばかりでなくて、医療、社会福祉の分野、生活保護ですとか社会福祉施設の運営費に対する補助あるいはまた雇用に対する国庫負担金、こういったものを含んでいるわけでございますけれども、こうした膨大な社会保障予算につきまして消費税だけで福祉の充実ができるわけではございません。当然のことながら消費税以外の財源につきましても真に福祉を必要とする分野に重点的に財源を振り向けていく必要があるかと思います。したがいまして、年金国庫負担と消費税との関係で申し上げますと、消費税のうち幾らを年金の国庫負担に具体的に充てるのかという関係にないということで御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/194
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195・田中慶秋
○田中(慶)委員 それならば私の方から申し上げてまいりましょう。
二分の一の負担率にした場合、二・二%が一・九%程度になるわけでありますが、その差は少なくても一兆円弱、こういう形になると私どもは推定をしているわけであります。ですから、全体の年金の再計算をするに当たって負担率を三分の一にするか二分の一にするかによってはその負担率が大きく、そういうことを含めて国民の負担率というのは一つの政策として私たちはこれから考えていかなければいけないであろう、こんなふうに思っておりますので、そのことを申し上げておきたいと思っております。
そこで、先ほど来話のありました六十五歳の問題、私どもはかねてから、ここでも質問申し上げたように、六十五歳はこれからの高齢者の雇用の問題等々を考えたときに、雇用と年金は表裏一体である、こういうことを申し上げてまいりました。少なくても今の段階では、将来の問題であっても、六十五歳の支給開始年齢は撤回すべきであると考えておりますけれども、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/195
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196・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 先ほども御説明申し上げましたけれども、年金というものを考えてまいりますと、一つは給付を改善して所得保障をする、そして一方においては若い世代の現役世代がその負担面を負担していく。そういう中で、一方年金全体の様子を見ると高齢化社会が急速に進んでいく。どうしてもその一番決定的な要因を持つのは、やはり負担する人数が余計ふえてくる、ここに大きな原因があるように思います。でありますから、年齢というものは確かに重要な要素であることは間違いないのですが、この審議中に各党からもこの六十五歳の問題について非常にきつい御意見が出ております。
これは、一つは雇用の問題に絡まってきておるわけでありますが、その雇用との関係は、御承知のように、現在、六十歳支給開始年齢になってお
りますが、実際には六十二年度でも六十二歳平均支給という状況になってきているわけであります。そこにそれだけ雇用というものと年金支給開始年齢というものは非常に深い関係がある。しかしながら、これだけの御意見があり、一方には年金の支給開始年齢といいますか現実的な支給というものはだんだん延びてきている、そういうようなことから考えて、しかも、我々本法案で設定しているのは二十二年先の問題であります。そういう間にも大きな客観的な要素というものが変わってくる可能性は多分にあります。そういう意味で、雇用条件を見てゴーのボタンを実施をしようということでありますけれども、そういう中において各党間から今いろいろな指摘をいただいているところでありますが、なおこの委員会においてそれぞれの御意見を御検討されて、そしてその結果どういうことになるということについては、私どもはその決定というものを尊重していく気持ちはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/196
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197・田中慶秋
○田中(慶)委員 いずれにしても私ども、そういう考え方を持ち委員会の決定に従うということでありますから、今後より一層詰めてまいりたいと思っております。
そこで、例えば現在低水準に抑えられている国民年金の経過的措置として老齢年金あるいは老齢福祉年金、こういうものは大幅に引き上げる必要があるだろうということを言われて久しいわけであります。また、高齢者の雇用を促進していただくための在職者年金制度の充実、改善等についてもより必要であろう、こういうことを述べられてまいりました。この支給についても、特に今回もまた在職者老齢年金の支給割合の刻み方の問題について三段階から五段階というふうになってまいりましたが、少なくとも私たちは五段階よりはむしろ、これは何か奇数でなければやりにくいということであるならば、十二段階と申し上げたいところでございますけれども、七段階ぐらいにしたらよりきめの細かい制度として充実ができるのではないか。あるいはまた、現在支給の限度を二十二万円にというふうになっているわけですが、こういう問題を含めてさらに引き上げをされる必要があるだろう。老後の不安のない暮らしを考えたときにこんなふうに思っているのですけれども、この辺について答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/197
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198・水田努
○水田政府委員 六十歳前半層の雇用の促進をするために、私ども、その後押しをするために在職老齢年金という制度が非常に重要なものである、こういう認識に立ちまして、今回三段階の刻みのものを、社会保険庁における事務量を配慮しながら、五段階に改善させていただいたということでございます。
なお、これは政令事項でございますが、刻みのほかに、従来二十万以下の方にお出しをしていたものを二十二万まで今回改善することを予定いたしているわけでございます。刻み幅をさらに拡大すること、あるいは支給する者の対象範囲をもうちょっとふやしていくという問題、この問題につきましては、私ども今回二十万を二十二万にしたというのは、まあ職場における感情も考えなきゃいかぬだろう、おじさんは給料もらってまた年金ももらっていいな、こう言われてもいかぬものですから、両方合わせておおむね平均賃金の程度ということを一つのめどにして改善をさせていただいたわけでございますが、田中先生の御提言については今後の検討課題として検討させていただきたいな、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/198
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199・田中慶秋
○田中(慶)委員 部分就労・部分年金という問題が大きく議論されているのですから、そういうことも含めてきめの細かい措置というのがやがて必要だと思いますので、これも含めて、これからの委員会を含めて皆さんと協議をしてまいりたいと思っておりますので、その辺をよろしくお願いしたいと思います。
そこで、今度の国民年金基金の問題が先ほども議論をされておりました。私どもは、かねてから厚生年金基金あるいは国民年金基金という問題について提唱してまいったわけでありますけれども、今回この地域型基金がそれぞれ検討され、そして問題点は、これが全国四十七都道府県にすべて設置されなければ意味がないと思うのです。ある県では設置をされてみたりある県では設置をされてなかったり、こういう点では国民に対する不公平というものがあるわけですから、これらのないようにしてもらいたい。あるいはまたスタートその他について、ある県においてはスタートしある県においては検討中だ、こんなことであってもいけないわけでありまして、やはりスタートするからにはすべて一緒にできるようなことでなければいけないだろうというふうに思いますけれども、その辺に対する都道府県に対する指導や見解を述べていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/199
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200・水田努
○水田政府委員 御指摘のとおり、ある県にでき、ある県にできないということは国民年金基金をいわゆる自営業者の上乗せ年金としてつくる以上あってはならないことで、四十七都道府県すべてに普及させなければならぬ、また自営業者も地域間移動、県をまたいで移動するということは当然あり得ますので、今までは国民年金基金のある県にいたけれども、住所が変わってみたらなくて入れなかったという事態を起こしてもならないので、ひとつ全国一斉に同時にスタートできるように都道府県を指導してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/200
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201・田中慶秋
○田中(慶)委員 ぜひ全国一斉にしていただきたいということを再度お願いを申し上げておきます。
そこで今度は、条件の問題があると思います。同じ掛金をしておいて同じ加入期間である。ところが、地域型基金でありますから給付水準にばらつきがあってはいけないだろう、都道府県の財政によってばらつきが出てみたり、あるいは規模によって出てみたり、こういうことであってはいけない、こんなふうに思うわけであります。これらについてばらつきが生じないように指導の徹底を図るべきじゃないかと思いますが、この辺についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/201
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202・水田努
○水田政府委員 その点は私どもも最も頭の痛い点でございまして、各都道府県、設計の自由を持っていることが一つと、それから生保、信託を使うわけですが、どこの生保、信託を使うかはそれぞれの各県の基金が決めることになるわけでございまして、生保、信託によって運用利差が生じてくる、それからまた、県によって加入年齢にばらつきがあるので、同じ掛金、同じ加入期間で給付水準にばらつきが出てくる可能性が十分あり得るわけで、しかし、先生の御指摘のようなことができるだけ生じないように工夫をし、指導をしてまいらなければならぬ、こう思っておりますので、先生の御指摘は肝に銘じて運営に当たらせていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/202
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203・田中慶秋
○田中(慶)委員 そこで、年金基金というのは、時によれば、金持ち優遇ではないかとかいろいろなことを言われ、批判もあるわけでありまして、国民年金基金という前提に立って自営業者など、あるいはまた報酬比例部分、いわゆる二階建ての部分ですから、こういう点を含めて、これは幅広く制度が定着しなければいけないと今答弁があったわけでありますが、これらに対して大臣の決意を述べていただきたい。
〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/203
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204・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 ただいま政府委員がお答えいたしましたように、この国民年金基金は、御承知のとおり、自営業者の将来の所得保障を確実なものにしていく上において、やはり公平に全地域にあまねく行き渡ることは非常に大事なことであると思います。そのために役所を挙げて一生懸命政府はこれに取り組んでいくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/204
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205・田中慶秋
○田中(慶)委員 そこで、若干チャンネルを変えて質問をしたいわけでありますが、この年金問題等々を含めて今審議をさせていただいている鉄道共済の問題あるいは全体的な年金の審議に当たって社会保障制度審議会にそれぞれ諮問をされて、そして従来まで社会保障制度審議会のあり方、すなわち三者構成として保険者、被保険者、学識経験者の中で全会一致制度をとって四十年という歴
史を数え、高く評価をされてまいりました。今回、年金審議会そのものの構成は、すなわち社会保障制度審議会の年金部会がやがて年金審議会に変わり、そしてその構成内容についても従来の三者構成ではなくして学識経験者としての扱いになったのは、この理由はどこにあるのか、明確にお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/205
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206・水田努
○水田政府委員 昭和六十年の改正におきまして、国民年金を全国民共通の基礎年金という形に変えたわけでございます。厚生年金についてはこの基礎年金の上乗せ年金という形で再編成されたわけでございますが、この改革の趣旨に沿いまして関係審議会も再編成するということで、従来の国民年金審議会と社会保険審議会の厚生年金部会とを統合しまして、年金審議会を設置したところでございます。この場合の審議会の委員の構成につきましては、審議会の中心的な所掌事務である国民年金業務が広く国民各階層を対象としているものであることから、当時の再編成前の国民年金審議会と同様、学識経験者による構成としたものでございます。
なお、厚生年金も所掌いたしますことから、改正前、厚生部会が公益、労働側、使用者側の三者構成をとっていたということを十分運営上配慮いたしまして、年金審議会の学識経験者の任命に当たっても、そこらあたりにも十分配慮をして構成をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/206
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207・田中慶秋
○田中(慶)委員 いずれにしても、今回の厚生年金あるいはまた年金審議会の構成のあり方とあわせて、審議会のあり方にいささか疑問があったのではないか。例えば、従来の三者構成を含めて全会一致制というよき慣行が、今回、例えば六十歳から六十五歳の厚生年金の受給の開始の引き上げのときに労働側が強い反発をされたと思います。そして、労働側の退場にもかかわらず、そこから出てきた回答は大筋で了解、これは納得のいかないところであります。
まず、労働慣行として労働省にお伺いしたいのは、こういう諮問をされたときに、全会一致なりあるいはまた労使の慣行として長い間続いたものはよく大切にして、これからもそういう問題が反映をされる、これが世の常識ではないかと思っているわけであります。今回の中で、労働側委員が欠席、退席したにもかかわらず、大筋了解というものは、これは大筋了解になるのかどうか。通常、労働省として労働側の指導やあるいはそれぞれの事例、判例を含めて、この辺についての見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/207
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208・七瀬時雄
○七瀬政府委員 今回の年金法を提出されるに当たりましての審議会における経過、特に退席をされた委員の方がおられたということは、この委員会の審議で私もお聞きいたしております。
ただ、審議会の運営のあり方ということになりますと、審議会自体がお決めになることでございますし、また私どもが直接所管している審議会でもございませんので、特段の見解は差し控えたいと思うわけでございますけれども、一般論として申し上げますならば、審議会の運営としては審議会で議論を十分尽くし、一致できるものについては一致させるような努力がなされるということは、基本的に一般論として言えることではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/208
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209・田中慶秋
○田中(慶)委員 そこで、今回の年金という問題についてはイデオロギーの問題ではないわけであります、将来の老後の問題でありますから。こういうことを考えたときに、やはり全会一致制なり、それに近いような努力というものがされてしかるべきではなかったかと思うのです。
ところが、大筋で了解という、これに基づいて今回の年金のそれぞれの提案をされているところに幾つかの問題点がある、こんなふうに言わなければならないと思う。年金局長は、大筋で了解というものをイコール全会一致と了解しているのかどうか、その辺を明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/209
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210・水田努
○水田政府委員 社会保険審議会、三者構成をとっておりました時代に、一部反対意見を併記して出してまいったという経過は、厚生省の場合ございます。全会一致制をとっているのは、総理府の社会保障制度審議会のことであろうかと思います。
今回、年金保険審議会の意見書、それに基づく政府案を諮問しましてそれに対する答申、これについても反対意見というものは当然付記されておりまして、亡くなりました福武会長も、事前に、意見は付記するけれども退席はするという通告がございましたので、できるだけそういうことのないように総会を一回延ばされまして、起草委員全員で大変労働側の説得をされたわけでございますが、これは予算関連法案でありますために締め切り日の前日に相当会長は努力をなさったわけでございますが、やむを得ず我々立場があるから退席をさせてほしいということで御退席をなされたわけでございますが、私どもも会長を補佐する者として大変残念であった、このように思っております。
また、一部反対意見があったということについては重く受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/210
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211・田中慶秋
○田中(慶)委員 そういう問題を含めて考えていると、今回の年金の問題もやはり随所に欠陥があるな、こんなことを考えているわけであります。
特に、年金の将来の問題を議論するときに平成七年の一元化という問題がよく出ます。私は、この一元化という問題は大変重要でありますし、そうあってほしいと願っている一人でありますが、その一元化の保証なり担保なり、これはある程度明確にしておかない限りその辺が大変不安でならなくなってくると思います。例えば、ある学識者の中にはこんなことも言っているんですよ。年金の引き上げにより将来、厚生年金の受給者は納めた保険料すらもらえないのではないかという主張もされている人が、学識経験者の中にいらっしゃるわけであります。そんなことを含めて考えてみますと、平成七年の一元化、こういうことも大変心配でならないわけですけれども、その辺を明確に答弁をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/211
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212・水田努
○水田政府委員 平成七年に公的年金の一元化を達成するというのは五十九年二月の閣議決定した方針でございまして、その方針に従って六十年に基礎年金の導入を図り、また平成七年の被用者年金の一元化の地ならし措置として今回の制度改正をいたしているわけでございますので、私どもは必ずやその政府の方針を守るように最大限努力もしてまいる決意でございますので、どうか御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/212
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213・田中慶秋
○田中(慶)委員 そこで、制度間の調整の問題、すなわち、その一つには鉄道年金の問題もあるわけであります。この鉄道共済年金の中で、それぞれこの審議会で主張された問題があろうと思います。
例えば鉄道共済年金の六十五年度以降の正確な財政の見通しを明らかにすべきだということを主張されましたね。その中で、鉄道共済の年金の昭和六十五年以降の財政赤字について、昭和六十二年十月の大蔵省の試算によると毎年三千億と見られているわけであります。この試算が、旧国鉄時代の年金債務を含む長期債務の処理に当たって、国鉄清算事業団の保有する株式、土地の売却益収入を数年前の評価額に基づいて試算されたもの、こんなふうに言われているわけであります。すなわち、国及び国鉄清算事業団は、その負担が過小に見込まれているのではないかということが明らかになってまいりました。
ですから、こんなことを含めて考えてみますと、例えば今回の鉄道共済の問題については、それぞれ時間的な問題もあろうかと思いますが、今平成七年の問題も明らかになりましたけれども、その前段階において、今回はこの鉄道共済は少なくても三年間ぐらいの時限立法にし、そして、その間において将来のことも大いに議論をする、あるいはまた、先ほどの審議会の中においてもそれぞれ意見が完全に一致をしないままにスタートされた年金問題でありますから、こういう問題も含めて何らかの新しい審議機関を設けて、第三者機関とし、その中でそれぞれが自由討論をし、かつまた老後の保障、年金という大切な問題でありま
すから、建設的に将来の問題を議論する第三者あるいはまた学識経験者を含み労働者側を含めた機関を設置してはどうかという考え方もあるわけでありますけれども、これらについてどのようにお考えになっているのかをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/213
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214・乾文男
○乾説明員 初めに鉄道共済の赤字の額と、それから今御指摘のありました清算事業団の保有する土地等の値上がり等の関連でございますけれども、まず鉄道共済の赤字額について大蔵省は従来から三千億円という見通しを申し上げまして、それに基づいていろいろと対策をお願いしてきたわけでございますけれども、その赤字額と申しますのは大宗において現在も変わるところはございません。
今御指摘のありました、清算事業団の保有する土地が値上がりしているから赤字額が減るのではないかというお尋ねでございますけれども、これは恐らく清算事業団の持つ土地が売れれば清算事業団にお金が入ってくるので、それでもって鉄道共済にもっと出すことができるのではないかという御趣旨かと思いますけれども、鉄道共済という法人と清算事業団という法人は、よく御案内のように一応別の法人でございます。したがいまして、その資産の上昇によって鉄道共済の赤字額が減ったりふえたりということは直接にはないわけでございます。
一方、清算事業団の債務の状況でございますけれども、六十二年度に民営化いたしましたときに長期債務を清算事業団が負ったわけでございますけれども、これは現在その債務の残高というのは、年々の金利がかさみまして、金利が年約一・五兆円でございますが、ふえることによって、長期債務も金利が金利を生む形でむしろ累増している現状にあるわけでございます。
そういう中で、一方、清算事業団が持っております土地の評価額でございますけれども、これがいろいろな土地の価格規制等はございますけれども、現時点で目いっぱい高く売れ、またJRの株式が他の民営鉄道等の例のように、非常に額面に対して高価格をつけたといたしましても、現在の試算では二十七兆円の債務にはおよそほど遠いという状況でございまして、そういう意味でも、この清算事業団の鉄道共済への繰り入れというものにつきましてはなかなか難しい問題があるわけでございます。そういう中で、民営化に当たりまして、いわゆる鉄道共済の昭和三十一年以前の恩給期間について旧国鉄が負っておりました五兆円の年金債務を清算事業団に負わせ、また今回この五年間で八百億円ずつ、合計四千億円をさらに清算事業団に負わせるということで、最終的には国も一定の役割を果たしているということを御理解いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/214
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215・田中慶秋
○田中(慶)委員 それは一方的なあなたの方の言い方で、例えば鉄道共済の問題、確かにおっしゃるとおりかもわかりません。しかし、今までの議論の中では、少なくとも戦後処理の問題を初めとする国の責任が大きい。ましてや我々は、今回の清算事業団の問題については過小見積もりである、こんなふうにも考えているわけであります。いろいろなことを含めて考えると、自助努力だけではなくして、国の負担はもっとすべきである。むしろ厚生年金に負担を求めていること自体が問題なんです。制度間の調整はわかりますよ、将来のあるべき姿というものは。幾ら成熟しているからといって、国の責任や国の基本的な従来の流れという問題を考えてきたときに、私はこのままでは済ませられない。何でも国が優先的に考えて、国民の負担であります厚生年金、まじめに働いている人たちがリザーブしたもの、それをまた拠出しろということについては一向に理解ができないと思います。
例えば先ほど大蔵省が言った、今までの年金の積立額が六十七兆円。自主運用がまだ一〇%じゃないですか。あとは財投に使ったりしているでしょう。人のお金を勝手に財投に使っているから、こっちは自主運用ができないんだ。とんでもない言い方ですよ。一〇%ではなくして、さっき三〇%と言った人がありますけれども、むしろ半分ぐらい使うことを明確にすべきであると思うのです。大蔵省と厚生大臣、この考え方についてもっと明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/215
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216・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 御指摘の自主運用の問題につきましては、これからも我々といたしましては努力をしていきたい。そのために財政当局とも十分話し合って、その方向に向かって頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/216
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217・佐藤謙
○佐藤説明員 お答えいたします。
年金の財政基盤の強化の問題につきましては、私どもといたしましても深く認識をしているところでございます。年金資金につきましては、社会資本の整備であるとか住宅対策であるとか、あるいは中小企業対策という目的のために財政投融資の原資として重要な位置を占めているわけでございます。六十二年度に、年金の財政基盤を強化する目的で、年金財源強化事業を発足させたわけでございますけれども、これにつきまして六十二年度に一兆円、六十三年度は一兆二千七百億円、それで元年度は一兆五千三百億円と大幅な増強をしているところでございます。それからあと、年金につきましては、財源強化事業のほかに資金確保事業それから一般還元融資事業がございまして、こういったものを合わせますと、元年度では年金の積立金の増加額のうちの八三%がこういったものに充当されている、こういう状況にございます。
一方、年金資金につきましては、先ほど申し上げましたような国民的なニーズもございますので、以上申し上げたものも踏まえて、今後厚生御当局と御相談を申し上げていきたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/217
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218・田中慶秋
○田中(慶)委員 いずれにしても、これは国民の財産であり、大蔵の財産ではないわけですから、自主運用をもっと徹底的に図って、大体、二分の一までいかなくてもそのぐらい自主運用をもっとやれば三千億、五千億というお金はできるんですから、先ほどのこの鉄道共済の問題やら、自分たちの痛みをできるだけ少なくしようというところにそういう問題が出てくるわけですから、この際はいろいろなことを含めてお互いに痛みを出し合って、将来の年金という問題のあるべき姿もきちんとすべきであろうと思うのです。
先ほどそういう諮問機関の今までのあり方を含めて問題を指摘いたしました。そして私は、あるべき姿をもっと検討する意味で第三者機関をもう一度つくってはどうだという提案をいたしました。これについてはどうですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/218
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219・水田努
○水田政府委員 すべてごもっともであろうと思いますが、第三者機関につきましては、もう既に年金審議会が昨年の意見書の中で一元化に向けて可及的速やかに検討を開始しよう、こうみずから言っていただいておりますので、法案成立後できるだけ早い機会に一元化に向けて御検討をさらにお願いをしたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/219
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220・田中慶秋
○田中(慶)委員 いずれにしても、審議会の内容その他の問題について大変問題がある。ですから、そういうことも含めて、例えば鉄道共済なら鉄道共済の問題についても、いろいろなこういう財政負担の問題もあるわけですから、年金審議会あるいはまたそれと別途の形の中でそういうことを大いに議論をしてやらなければこの問題の解決は成らぬと思います。ですから、そういうことも含めてぜひ前向きに検討していただきたい、こんなふうに思っております。
そこで、時間の関係もありますので学生の問題、先ほどそれぞれ学生の適用問題について述べられてまいりましたけれども、これは法案とすれば今までの欠陥の部分を補うという点では大変必要なことだと思います。ただ問題は、学生は御承知のように地方から出てきたりいろいろなことがあるわけですから、非常に処理が問題である。大学あるいはそれぞれの市町村、それだけではなくして、もっと考えてみますと、消費税だけでも教育費にかかっている、さらに教育費の負担が家庭の中で一番多い。そしてまた、学生に保険をかけさせるということについては、理屈としてはわか
るのですけれども、感情的に学生を持つ教育費負担の多い家庭というのは非常に悩んでいるわけでありまして、これは、例えば今奨学資金制度とかいろいろな問題があるわけでありまして、そういうことを含めて、適用することはいいですけれども、将来の問題を含めてそういうことは私は別途に検討をするべきじゃないかと思いますけれども、大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/220
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221・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 学生の適用につきましては、御承知のとおり、学生の場合には非常に活発な運動を展開したり、うちでじっとしているのではなくしていろいろな社会生活もやっている。そういう中で、もしけがでもしてといったような場合に、障害年金というような非常にいい特典というものも一方にはあるので、そういったものから忘れられていく、そういう恩典が受けられないような環境にあるというようなことにすべきではないという積極的な面も十分に御理解をいただいて、そして学生の置かれている環境あるいは学生を抱えている家庭の環境、そういった意味で、苦しい困難な環境については十分その面は考慮して対応をしていく、そして積極的な面は十分に生かしていく、こういうふうにしていくべきだろうと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/221
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222・田中慶秋
○田中(慶)委員 時間が参りましたけれども、最後に大臣にお伺いをしたいわけですが、年金という問題は、これは国民全般にわたる将来の老後の問題、高齢化社会における福祉の中における中核的な問題、そういうことを考えてみますと、やはりもっともっとそれぞれのセクショナリズムにならないで、大蔵だとか財政当局だとかいうことじゃなくして、厚生省はもっと自信を持って日本の福祉ビジョンはこうあるべきだ、こういうことを打ち出すべきだと思うのです。
昭和が終わって平成になった。西暦で言うならば、一九八〇年代は今終わろうとしているんです。一九九〇年代を迎えるんですから、そういう点で年金問題というものをもっと自信を持って財政当局にばかりこびを売るんじゃなくして、本当にこうするんだ、そのためにはどうしたらいいんだろうということで、もっともっと前向きな姿勢というものが検討されていいんじゃないかな、こんなふうに思うのです。最後に大臣の考え方を求めて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/222
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223・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 高齢化社会に向かって、日本の内政問題の最も重要な部分に、高齢化社会をどう乗り切っていくかという問題があると思います。
その高齢化社会を乗り切っていく上においては、もちろん年金、医療そして福祉、こういう三つの大きな柱があるわけでありますが、年金にしても医療にしても、高齢者という環境の中に財政的に非常に大きな負担を持っていかなければならないという宿命を持っておるわけであります。しかしながら、その宿命というものは避けて通れないものでありますから、ある意味では財政的なものが主導に立たなければいけない面もあるかもしれないけれども、また同時に、ある面では国の高齢化社会をどう構築していくかという、我々日本民族にとっての非常に大きな命題との関係を十分に考慮してやっていくべきである、私はそういう考え方に立っておりますので、財政当局にこれからもいろいろと我々の意見というものも言いながら、整合性を得る努力をしていこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/223
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224・田中慶秋
○田中(慶)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/224
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225・粟山明
○粟山委員長代理 児玉健次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/225
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226・児玉健次
○児玉委員 年金の財政、とりわけ厚生年金の財政について、先日来の審議でこういった傾向が明らかにされています。財政が困難であれば、一つは支給開始年齢を繰り延べする、ないしは保険料を引き上げる、そして三つ目の選択肢として給付を切り下げる、この三つが考えられる選択肢だ、そういった議論が随分多いんですが、私はこういった考えに賛成できません。厚生年金の財政を考えるとき、国の負担増、国の負担をどうするかという問題、企業の負担率をどのように上げていくか、この二つの選択肢を欠落させるというのは、国民に対して正しい判断を求める態度ではないだろう、そう考えます。
そこで、前回の年金改正の際、これはもう周知の事実ですが、国の負担を年金給付の二〇%、そこから基礎年金の三分の一負担、このように改めました。当時の委員会審議の中で、このことに伴う国の負担がどのようになるか、いろいろ厚生省は難色を示したようですが、一九八四年価格で年金国庫負担の見通しを提出いたしました。それによれば、年金給付の二〇%負担の場合の国庫負担と、基礎年金の三分の一負担とした場合の国庫負担、それを並べて提出しています。今、持ってきたわけですが、一九八六年の場合、ともに二兆七千億円で差はゼロです。ところが二十世紀の最後の年である西暦二〇〇〇年で言えば、年金給付の二〇%負担であれば五兆五千億、基礎年金の三分の一負担であれば四兆七千億、八千億円の差が生まれる。二十一世紀に入って二〇〇五年で言えば一兆三千億円の国庫負担の削減、そして高齢化社会がピークを迎える二〇二〇年にあっては二兆五千億、二〇三五年は三兆三千億、こういった巨額の国庫負担の削減が行われています。だれが考えついたのか、非常に巧妙なやり方ですが、せめて前回の改正までの仕組みで当然出てくるはずの国庫負担をこの際回復する、その程度の誠意があってもいいのじゃないか。国の負担増についてはかたくなに拒みながら、専ら保険料率の引き上げと支給開始年齢の繰り延べに依拠しようとする。非常に無責任な態度だと思いますが、この点についてはまず厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/226
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227・水田努
○水田政府委員 ただいま御指摘の数字は、前回の改正の際に参議院に提出された資料を御指摘されたものと思います。基本的には、私ども、基礎年金に国庫負担を集中したことによって国庫負担の額に絶対的な影響を大きく与えたものとは考えておりませんが、後代の負担を考えまして、前回の改正の際に、国民年金も厚生年金もともに給付水準の適正化を行った。その給付水準の適正化を行った結果が今御指摘になった国庫負担の差になってあらわれたということであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/227
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228・児玉健次
○児玉委員 そこが問題なんですね。給付と負担の公平化という口実のもとに、実際は日本の高齢者がパーセンテージで多くなっていく、その時期に合わせて、事実の問題として最も国庫負担が削減される仕組みが前回につくられている。しかも、これは昭和五十九年価格ですから、今日の価格に置きかえればさらにこの国庫負担削減額は増額していく。この点についての資料も私たちは厚生省に求めたんですが、残念ながらそれが提出されない。私たちは、今の段階で、すべての国民を対象とした基礎年金という一階部分ができている以上、そこに対する国庫負担を当面二分の一にすることによって、前回の改正前までの国庫負担分ぐらいは当然国民として求めて、これは適当な求めではないのか、こういうふうに考えているんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/228
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229・水田努
○水田政府委員 前回参議院に提出いたしましたもの、これは、五十九年価格で据え置いてみても、やはり一九八六年から二〇二五年の間で国庫負担は二倍強の増加を来しているわけでございまして、これを名目価格に直してまいりますと、今後の賃金や生活水準の向上に応じて当然給付がふえる、受給者の数もふえる、こういうことを加味いたしますと、やはり大変な国庫負担の増高になってまいるということから、現行の三分の一の国庫負担をこの厳しい国家財政の状況のもとに手直しをするということは極めて困難であると私は考えている次第でございます。
〔粟山委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/229
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230・児玉健次
○児玉委員 かみ合った議論をしたいと思うのですが、例えば二〇二五年、厚生年金の給付の二〇%を国が負担する仕組みでいえば、国は当然八兆三千億円を負担することになります。基礎年金の三分の一を負担する仕組みに改めたために、その金額は五兆六千億に削減されて、二兆七千億円分国が負担を免れたということになった。その点
を私は言っているんです。前の制度であれば八兆三千億出すということが義務的に求められていた。日本の高齢化社会のピークに向けて国の負担の削減額がピークになるような仕掛けというのは、見直さなければ国民は納得いたしませんよ。かみ合った答弁をしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/230
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231・水田努
○水田政府委員 評価の違いであろうかと思います。厚生年金の前回改正をいたしましたのは、成熟時にはそのまま放置しますと給付水準が平均労働者の八十数%ということで、現役労働者の可処分所得と逆転するという負担の不均衡があったのを是正したのでありまして、そういう過剰給付に対する国庫負担の是正を結果的にするということは間違っていない、私どもはこのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/231
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232・児玉健次
○児玉委員 今の問題は、どのように見ても、高齢化社会の最もピークの時期に当時の計算で三兆三千億という国庫負担が削減されているという事実は、厚生省がどのように述べられようと、これは否定できないんですから、そのことについて謙虚に考えて、国庫負担増について決断をなすべきだと強く求めておきます。
もう一つの問題は、けさほどの多賀谷先生の御質問の中にありました労使負担の割合の問題です。これも随分議論されていることですが、ILOの一九七五年から一九七七年の資料、日本に比べて先進国で事業主の負担が同様のところというのは見当たらない。例えば西ドイツでいえば、被保険者が二九・五に対して事業主は四一・一。よく引かれるフランスの場合、労働者が一九・四、事業主は五五・七。イタリアのごときは、一三・四対六一・二です。とりあえず日本の労使負担を七対三にする。
この点で先に言っておきますが、きょうの午前中の答弁で厚生省は、労使負担を使の方にウエートを傾けさせたら日本の企業の国際競争力が減衰するのでないか、こういう趣旨のことをおっしゃったけれども、それほどまで熱心に大企業の弁護をなさらなくてもいいだろう。この点を私たちは、七対三にすれば推定で新たな十兆円の財源を生み出すことができるわけですから、この道についての真剣な検討を求めたいと思います。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/232
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233・水田努
○水田政府委員 私が午前中申し上げましたのは、フランスやイギリスが、かつて三対七あるいは四対六という事業主の負担割合が高かったために、生産コストにはね返って国際競争力を失ってきたという現実にかんがみて、現在は労使折半の方に、使用者側の負担が減ってきているということを申し上げたのであって、私は、日本の問題については中小企業の経営者の負担を考えると、現在定着している労使折半を変えることは適当でない、こう申し上げたわけでございますので、ひとつどうか誤解のないようによろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/233
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234・児玉健次
○児玉委員 中小企業の経営者に対する特別な補助措置については、私たちは極めて重要だと思っています。たとえ労使が七、三になったとしても、中小企業一律に行うべきでないというのが私たちの見地ですね。
それで、その七対三に変えていくことでどのような不都合があるのか、別の角度から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/234
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235・水田努
○水田政府委員 私ども年金審議会で労使の負担割合についても御検討いただきましたが、国際情勢その他今先生が御指摘の、諸外国においては人を雇うと結果的に事業主の負担が増高するために非常に失業率が高くなっているという状況等もあって、現在定着している労使折半の原則について積極的に変えるという意見の開示がなかったために、私どもは、昨年十一月の年金審の意見書に即して、現在既に定着している労使折半という原則に沿って今回の再計算をし、法律の改正をやらせていただいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/235
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236・児玉健次
○児玉委員 大臣、局長がいろいろ御答弁いただいているのですが、国の負担についても変えるつもりはない、労使の負担率についても審議会の論議もこれあり、これも変えるつもりがない、これでは年金問題は袋小路に入ってしまいますね。今の二つのところについて前進的な方途を見出す、それが最も現在求められていると思うのですが、大臣の考えを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/236
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237・戸井田三郎
○戸井田国務大臣 私たちの今論議をいたしておるのは、日本の年金制度というものは世代間で支えるという社会保険方式をとっておるわけで、その社会保険方式にのっとって国民的な合意を今得ているわけでありますが、七対三というようなことになると、既にこういったものが、保険税も、それから国税もやはり同じ納税者である国民の負担に帰するわけでありますから、そういう中でそういった方式をとるということになるというと、基本的な合意点である世代間扶養の中で新たな税方式を強めたような形にするかどうかというような合意を新たに得ていかなければいけないのではないか。確かに先生の御指摘のように、事業主が七%出して、それから働く側の立場の人が三%ということで合意が得られればまた別な問題だと思うのですが、一つの提案として、私も考え方の一つだというふうには思いますけれども、そういうふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/237
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238・児玉健次
○児玉委員 この点についてはまた引き続いて議論をいたしますが、今の大臣のお答え、使用者が七%で、ゼロがちょっとなかったのですが、労働者の三%、残り九〇%が国であれば大賛成だということは申しておきましょう。
それで次に、学生の国民年金強制加入の問題ですが、すべての国民が年金権を持つ、これは必要なことだと私たちは考えています。そして、さまざまに成長の過程で特殊な過程を経るわけですから、これは国際的に言えば、学生の年金権保障というのは無拠出の最低限保障年金、これが設定されることで基本的に解決される、そう考えております。
ところが、ことし二月の年金審議会の答申では、「学生に対する国民年金の適用に当たっては、親の保険料負担が過大とならないよう、適切な配慮がなされるべきである。」とは言っておりますが、実際に親の保険料負担が過大とならないよう、親自身がみずからの保険料負担で非常にあえいでいるわけですから、このように言ってそのままあとはともかく実現しろというのではどんなものかなというふうに考えます。厚生省は現在学生の保険料免除の制度についてどのようなことを考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/238
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239・水田努
○水田政府委員 学生に当然加入でお入りいただく以上は、当然負担の面についても年金審の先生の御指摘をされた附帯意見というものを私ども重く受けとめなければならない、こう考えております。
〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
したがいまして、現在、学生のみならず本来の国民年金の被保険者全体の保険料の負担能力調査というものを行っております。その中で、学生を抱える家庭の負担能力ということも当然調査対象として入れてございますので、そういう結果集計を見まして適切な運用が図れるように基準の設定をしてまいりたいということで、まだ調査結果の集計ができておりませんので、具体的にそれをどう展開するかという結論は持っておりませんが、いずれにいたしましても、親御さんたちが過重な負担にならないように十分配慮をする方向で免除基準の設定に当たってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/239
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240・児玉健次
○児玉委員 ここに厚生省が出されている保険料免除基準というのを持っております。現在のこの免除基準では世帯を単位として基準を設定しておりますから、世帯のうちの学生を切り離して免除するかどうか、ないしは、親の負担というところに着目するにしても、結局学生という全体として言えば、いまだ定収入にほど遠く、そして学業に専念をしている、そういう人たちの免除制度を考える場合に、今存在している保険料免除基準でこれを行うのは困難だと思うのですね。学生のための特別な免除基準が必要ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/240
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241・水田努
○水田政府委員 私どもは、御指摘の問題も含めて総合的に検討をさせていただきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/241
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242・児玉健次
○児玉委員 もう少し立ち入って伺いたいのですが、親の所得の問題、そして親とその学生、院生が同居しているか別居しているかの問題、学生本人の所得、かなり捕捉しがたいと思うのですけれども、いろいろな要素があると思うのですが、どこに厚生省としては最も着目されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/242
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243・水田努
○水田政府委員 下宿をしているかあるいは親と同居しているかということによって、結果的に親御さんの負担にアンバラが生じないようにすることも十分考えなければならない要素であろうかと思います。それから一方、余りに複雑な免除基準を設定して市町村に多大な御迷惑をかけてもいかぬな、その兼ね合いをどうするかという問題もあろうかと思っております。いろいろとそれらの問題を実態調査の結果真剣に検討をし、事務的にもよりまた学生の形態によって負担のアンバラが生じないようなことにも十分意を用いながら免除基準を設定すべきではなかろうか、抽象的でございますが、現在そういうふうに頭の中では描いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/243
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244・児玉健次
○児玉委員 学生の強制加入によって、ある学生が手続が煩瑣であるということで申請しなかったり、または厳しい学生生活の実態から国民年金の保険料を納入できない、そうなると、従来のようにこれは空期間として計算されない。障害年金の受給資格も直ちに発生するわけでない。そうなりますと、現在よりもむしろ矛盾が拡大されるということになるのではないかと私は考えるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/244
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245・水田努
○水田政府委員 いずれにしましても、年金制度というのは義務を果たしていただかないと制度の運営ができないわけでございまして、余り甘えている方に着目して運営しておりますと運営自体にひずみが生ずるわけでございますが、そういうことにならないように十分指導してまいるわけでございます。
御指摘の問題でございますが、周知徹底するのに一定の期間を要することはまた事実であろうかと思いますが、平成八年四月一日まで、新法では初診日に属する前一年間保険料が納付されておりますと障害年金の権利が発生しますので、私どもはこの経過規定によって周知期間、おおむね社会人になられてまじめに保険料を納められれば大方の方はそういう不都合は生じないのではないかと思います。本来的には、今回の制度の適用というのは、学生期間中に発生する障害の無年金を防止するということが大きなねらいでございますので、ひとつその点はよく御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/245
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246・児玉健次
○児玉委員 学生生活の実態の中で、今局長が言われた甘えという言葉は適切ではありません。学生が非常に厳しい状況のもとで苦しんでいる。そういった中で、みずからの年金権をどのように保障するか、確立するかという議論もある、そういうふうに私たちは聞いているわけです。そして、それらの中で現行制度における一つの解決策としては、法定免除に準ずる形での学生の免除制度をつくっていけば、この問題については非常に先が見えてくる。いずれにしろ、この法案審議が重要な段階に来ている段階でいまだはっきりした内容が出されていませんので、私は、この問題の最後に、全国の学生や院生の代表の意見も聞きながら、厚生省としては誠実に事柄を進めてほしいという希望を述べておきます。
次に、国民年金基金についてです。
四十年加入のモデルについて資料を先日来要求してきましたが、いまだに出されていない、大変遺憾なことです。厚生省がお出しにならないのであれば、私の方で試算をしてみました。職能型の場合です。二口、すなわち月一万円、年利五%と見て積み立て月数四百八十月、六十五歳からの平均余命二百八カ月とした場合に、毎月の受給額が十四万九百六十一円になる、厚生省どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/246
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247・水田努
○水田政府委員 私どもは、先ほど田中慶秋先生が同じ掛金、同じ加入期間で基金によって給付額にばらつきが生じないようにしろ、こういう御質問を受けたわけですが、私どもはそこは最も苦慮しているところでございますとお答えしたわけでございます。
それはなぜかと申し上げますと、各県の基金は、給付は自分でそれぞれ独自に、基金の自治が認められているわけでございますので、つくることはできる、それから、どこの生保、信託を使うかということも基金の自治に任されております。生保、信託で運用能力に差もございます。それから、各都道府県の国民年金基金に加入される方、これはかなり各県によって年齢格差がありますので、若い人がたくさん加入するところは給付水準はよくなるし、平均年齢が高い方が加入されるところは同じ掛金であっても下がるということがありますので、私どもは田中慶秋先生の御質問に対して、できるだけそういうアンバラが生じないように指導はしていきたい、こういうことを申し上げているわけでございまして、四十年という期間について、国の機関がやるのではなくて、団体自治が認められる基金について、それがどういう設計のもとにどういう利率でやるかということを厚生省が軽々にお答え申し上げますと、あたかも国民の皆さんに国民年金基金はそういう給付になる、こういうふうに誤解をされるので、お答えを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
前回、三十五歳加入の二十五年加入の例で申し上げたのは、たまたま国民年金審議会で、一つぐらい何か条件を設定するから計算してみてくれよ、こういうことがあったのでいたしまして、それが結果的に外部に漏れたということであって、あれはあくまでも厚生省の試算というよりは、御注文に、その際審議の参考に資するために出したのでございまして、こういう国会の審議の場でお出しをするということは、厚生省はそういうものを設計しているように国民に非常に誤解を与えるので、ひとつどうか御容赦をお願いしたい、このように思います。
〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/247
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248・児玉健次
○児玉委員 厚生省として御容赦を願いたい、しかし、国民年金基金についての審議をしている場所なんですから、だから私たちは皆さんがそれをどうしても出さないとおっしゃれば、みずから計算せざるを得ない。年利六・五%とすると、同様のケースで月二十五万三千四百四十三円、皆さんが言われる年利五%で計算して、そしてその余の一・五%については一時金その他、こういうふうなやり方についてもかなり具体性があるというふうに私たちは計算しながら考えた。
そこで申したいのは、ここからも基礎年金の余りの低さが浮き彫りになってくる。先日の公聴会で中央大学の丸尾教授が、一人当たり国民所得に対する基礎年金額の比率が、基礎年金制度の創設時の三〇・八%から、今回の五万五千五百円という設定で二七%に低下する、次回以降さらにそれが低下していくと公述されたわけですが、これは非常に重みのある重要な指摘だと私たちは考えております。基礎年金の大幅な引き上げが今急務ではないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/248
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249・水田努
○水田政府委員 私どもは、従来からお答え申し上げておりますように、前回導入されました基礎年金の水準の設定の仕方、すなわち老後生活の基礎的消費支出を保障するという考え方を踏襲し、前回再計算後の今日に至るまでの基礎年金の基礎的消費支出の拡大に見合った改善を今回させていただいたわけでございまして、今後もその方針を踏襲してまいるわけでございますが、今後における保険料負担の兼ね合いから見ても私どもは適切な水準ではないか、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/249
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250・児玉健次
○児玉委員 丸尾教授の指摘で重要なのは、制度発足の段階で三〇・八%であったのが二七%に低下し、そして二六%以下にもなっていくだろうという御意見の陳述であったと思うのです。そうやって基礎年金が全体として低められていく、そのことを御承知の上で厚生省は適切な設定だと
おっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/250
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251・水田努
○水田政府委員 丸尾先生の御試算がどういう前提に立っているか、私どもつまびらかにいたしておりませんが、私どもは国民の消費支出の拡大に見合った改善を今後ともしていくというお答えを申し上げているところでございまして、この考え方は今後も十分守っていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/251
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252・児玉健次
○児玉委員 この点は全く納得できませんね。
次に、労働省に二十二日の委員会で私がお尋ねした六十歳以上定年制実施状況における地域格差について、労働省はきめ細かく対策を講じていくとお答えになりましたが、具体的にどのような対策をとられようとしているのか、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/252
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253・七瀬時雄
○七瀬政府委員 定年制の現状におきまして、地域において若干の差があるということは御指摘のとおりでございます。
そこで、定年の問題で地域に差がある背景には、その地域の雇用情勢ということが影響している面があろうかと思いますので、地域雇用開発等促進法等を活用いたしまして、地域における就業の場の少ない、あるいは乏しい地域における就業機会を開発するための地域雇用の開発、こういうことをやっていくということが基本的に一番重要なことではなかろうかと思っておりますので、そういう面で努力をいたしておるところでございます。また、雇用情勢が比較的いい場合におきましても、定年制が比較的進んでいない地域というのも現実にあろうかと思います。そういう点につきましては、定年延長の指導あるいは高齢者の雇用ということに関しまして、地域的ないろいろな取り組みの手法などを開発するということも、現在進めております高齢者の雇用開発の検討の中で考えていかなければならない重要な課題であろう、このように認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/253
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254・児玉健次
○児玉委員 六十歳以上定年制を実施している企業がいまだ非常に低率である、三九%というところもある、そういったところで、そこに存在している数少ない大企業の定年制の問題も問われてまいります。前回も幾らか議論したことですが、大企業では、表向きは六十歳定年制が掲げられて実態は希望退職制や出向等で、定年まで残る職員が全体としてわずか二一・五%、こういった日経連調査もある。
大企業がその社会的責任から、とりわけ経済的に困難を抱えている地域で高齢者雇用に力を入れるように労働省として指導すべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/254
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255・七瀬時雄
○七瀬政府委員 大企業あるいはその大企業の支店といいますか工場といいますか、いろいろございますが、そういったものは地域におけるいわば代表的な、あるいは波及効果の極めて大きい企業でございますので、そういった企業において高齢者雇用について積極的に努力していただくということは必要なことではなかろうかと思っております。
私どもといたしましては、労使間の慣行、制度として現実に存在いたします定年を引き上げることによって、高年齢者の雇用の安定を図っていくというのが現在の高年齢者雇用開発法の基本的な精神でもございますので、そういった面でやっていきたいと思っておりますし、大企業についても、そういった意味で大いに行政措置あるいは行政指導を展開してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/255
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256・児玉健次
○児玉委員 大企業についてもでなくて、むしろ大企業こそと私は言いたいのです。
「平成元年版労働経済の分析」を興味深く読ませていただいているのですが、この中で二百七十八ページで展開されている皆さんの分析、すなわち、従来この大企業にあっては五十歳代以降は高齢者会社の設立、系列会社等への移動という形がかなり激しかったが、この後、高年齢者における雇用を前進させていこうとする場合に「企業本体においても高年齢者を継続して雇用していくことも考えられるべきであろう。」これは非常に的を射た指摘だと思うのです。その点で労働省がどのような対策をお考えになっておるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/256
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257・七瀬時雄
○七瀬政府委員 六十歳定年を基盤として高齢者の雇用を進めていこうという政策が一つの基本にあるわけでございまして、そういった意味で、同一企業で継続雇用を進めていただくというのが企業の雇用のあり方として重要な選択肢であろうということはそのとおりだと思います。
ただ、五十歳を過ぎました場合に、いろいろな形での労使間における制度がございまして、その中に出向制度とかその他高齢者会社の活用とか、そういった形で労使間の制度の枠組みとして雇用を六十歳、あるいはそれをさらに超えて六十五歳に持っていこうという施策もあるわけでございまして、そういったやり方も企業労使間の選択の幅として許容されるのではないか、そういった形での雇用の開発、延長ということも十分あり得るのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/257
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258・児玉健次
○児玉委員 この点は今後の努力に大いにまちたいと考えます。
最後に、厚生省にもう一つ伺いたいと思います。
前回の質問で私が取り上げました国民年金の繰り上げ支給制度について、それが今から二十三年前の昭和四十一年度につくられたものであって今日まで減額率が改められていない、そして、この制度が発足した段階では、六十歳、六十二歳、何歳でもいいのですが、繰り上げ減額支給制度を選択した場合も、六十歳受給開始の場合も終身の給付現価が等しくなるように設計されたということが前回の質問の中で明らかにされたと思います。その後平均余命が延びていって、男性の場合は四・一四年、女性の場合は四・八二年延びている、にもかかわらず減額率が依然として同様である、この制度を選択する方が明らかに不利益をこうむる、その点について前回私は指摘をいたしました。
そこで、各地の年金の窓口では繰り上げ減額支給について今どのような説明が行われておるのか、厚生省、御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/258
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259・土井豊
○土井政府委員 社会保険事務所におきましてそのような年金相談を受けた場合の説明でございますけれども、ある年齢で繰り上げ減額年金を受給する場合の年金額はかくかくしかじかといったような現行制度に基づく給付内容を説明しておる、そういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/259
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260・児玉健次
○児玉委員 私は札幌市の例を持参したのです。そこでは「繰上げ支給にご注意を! 老齢基礎年金の操上げ支給を受けた場合、特別支給の老齢厚生年金などや、その後の事故などによる障害基礎年金は受けられません。また、受け取る年金額は、終身減額された額となりますので注意してください。」大体これは全国的なケースでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/260
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261・土井豊
○土井政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/261
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262・児玉健次
○児玉委員 ですから、ここでは繰り上げ減額支給を受けるということから何らかの不利益が生まれるということについては一切説明されていないのです。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/262
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263・土井豊
○土井政府委員 先ほど申しましたとおり、繰り上げ減額支給を受けることによって結果として不利益であったのか、不利益でなかったのかということについては、私ども事務の担当者としては不明でございますので、そのような説明はいたしていないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/263
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264・児玉健次
○児玉委員 そこで、ここのところはどちらかといえば、国民年金権に対して重要な責任を持つ戸井田厚生大臣に、とらわれない耳で聞いていただきたいのですが、現場でいろいろと受給者のために苦労されている係の方たちは、これがどのような設計に基づくものであるかということは当然御承知です。そして、その中で、利率による割引だとか、予想される六十歳以後の死亡による割引、それによって複利で計算をされ、全体としてさらに低く見て減額率が出されているということもよく御承知なのです。そして、六十歳から受ける場合に、六十五歳から満額を受給した場合と比較すれば、七十二歳のところで逆転をする、七十二歳よりも長生きされる自信のある方はこれを受けな
い方がいいですよ、そういう説明もなさっているのです。
これは私ども早速計算してみたのですが、非常にわかりのいい、しかも実態に即した説明です。平均余命が男性の場合四・一四年、女性が四・八二年延びた結果、大体七十二歳のところで見事に逆転します。その後生きていくとします、またそうであってほしいのですが、この減額率で言えば、六十歳から減額支給を受けた場合に、女性の場合、月五万円の年金として、平均余命まで頑張ったとすれば四・七六年、金額にして二百三十八万円の不利益をこうむるということになります。ここのところは計算してみればすぐ出てくるので、もう二十三年前のものですから、この際、減額率について手直しを加えるべきだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/264
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265・水田努
○水田政府委員 先生の話を徹底していきますと、平均余命の違う男女によって減額率も変えなければならぬし、保険料も変えないと整合性がとれない、こういうことに論理的にはなると私は思います。確かに若干平均余命が延びたことによって、繰り上げ支給を受けておられる方は六十五歳から支給を受けられる方に比べて絶対額として見れば数%程度の差が生ずることがあろうかと思いますが、全体として今手直しをしなければならないほど大きな矛盾になっているとは私ども思いませんし、やはり繰り上げ減額率を緩和いたしますとさらに支給の増大を招き、結果的には、ただでさえ皆様方から御指摘をいただいている最終保険料一万六千百円が高いというのを、さらに上げなければならないという厳しい事態になるので、私どもは、この繰り上げ減額支給を今直すという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/265
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266・児玉健次
○児玉委員 なかなか気合いが入っているのですが、男性と女性のものについて、私たちは厚生省から説明を受けたときにその方に申し上げたはずだけれども、男性と女性の余命の違いについてまで云々するような気持ちは我々は持っていないと既に申しておりますから、その点厚生省、誤解のないように。
その上で申したいのですが、率直に言って、皆さんは厚生年金の繰り延べが国民の反対を押し切って実現した場合に、所得中断という国民の批判を免れるために厚生年金で繰り上げ減額支給をつくる、そのときまで率の改定を延ばそう、そういう判断からしているのじゃないですか。このような態度は許されないと思うのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/266
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267・水田努
○水田政府委員 私どもはそういう魂胆は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/267
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268・児玉健次
○児玉委員 持っていらっしゃらないのだったら、速やかに是正することを求めて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/268
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269・丹羽雄哉
○丹羽委員長 次回は、明三十日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111604410X00619891129/269
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