1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成元年十二月十四日(木曜日)
午前十時一分開会
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委員の異動
十二月十四日
辞任 補欠選任
西田 吉宏君 吉川 芳男君
沓脱タケ子君 林 紀子君
乾 晴美君 粟森 喬君
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出席者は左のとおり。
委員長 浜本 万三君
理 事
小野 清子君
佐々木 満君
糸久八重子君
高桑 栄松君
委 員
尾辻 秀久君
木暮 山人君
清水嘉与子君
田代由紀男君
田中 正巳君
前島英三郎君
吉川 芳男君
菅野 壽君
日下部禧代子君
深田 肇君
堀 利和君
木庭健太郎君
沓脱タケ子君
林 紀子君
粟森 喬君
乾 晴美君
小西 博行君
西川 潔君
発 議 者 小西 博行君
委員以外の議員
発 議 者 山本 正和君
発 議 者 山田 健一君
発 議 者 塩出 啓典君
発 議 者 沓脱タケ子君
発 議 者 乾 晴美君
発 議 者 下村 泰君
国務大臣
厚 生 大 臣 戸井田三郎君
政府委員
社会保障制度審
議会事務局長 岸本 正裕君
厚生大臣官房総
務審議官 加藤 栄一君
厚生大臣官房審
議官 伊藤 卓雄君
厚生省児童家庭
局長 古川貞二郎君
厚生省年金局長 水田 努君
社会保険庁運営
部長
兼内閣審議官 土井 豊君
労働省職業安定
局高齢・障害者
対策部長 七瀬 時雄君
事務局側
常任委員会専門
員 此村 友一君
説明員
経済企画庁総合
計画局計画官 薦田 隆成君
大蔵省主計局共
済課長 乾 文男君
大蔵省主税局調
査課長 尾原 榮夫君
大蔵大臣官房企
画官 富田 辰郎君
労働大臣官房政
策調査部総合政
策課長 池田 克忠君
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本日の会議に付した案件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○原子爆弾被爆者等援護法案(山本正和君外九名発議)
○国民年金等公的年金の改悪反対、改善に関する請願(第七七号外一二件)
○児童福祉法の一部改正に関する請願(第八九号外八〇件)
○脊(せき)髄空洞症の難病指定に関する請願(第九一号外九件)
○年金制度改悪反対に関する請願(第一一二号外二七件)
○国立明石病院の存続と充実に関する請願(第一五六号外三件)
○労働時間の短縮に関する請願(第一六七号)
○看護職員の大幅増員と労働・生活条件改善に関する請願(第三七三号外一件)
○年金制度改善に関する請願(第五三四号外一〇八件)
○年金・健康保険制度の改悪反対、改善に関する請願(第六六二号外二三件)
○年金制度の改悪反対、改善に関する請願(第六七六号外一三件)
○年金・健保改悪反対に関する請願(第六九〇号外六件)
○福祉の充実に関する請願(第七九三号外一六件)
○国民医療改善・年金改善に関する請願(第九六八号外一件)
○看護職員百万人体制の確立に関する請願(第一一三一号外二〇件)
○国民医療改善に関する請願(第一三五六号外二一件)
○年金改善に関する請願(第一三八〇号外三件)
○年金制度の改悪反対等に関する請願(第一四七九号外三九一件)
○育児休暇の早期制度化に関する請願(第二〇一一号)
○年金制度の改悪反対、抜本改革の実現に関する請願(第二一〇七号外二四件)
○原爆被害者援護法の制定に関する請願(第二二二三号外二一七件)
○全労働者を対象にした育児休業の制度化に関する請願(第二二六一号)
○保育制度の拡充と私立保育園の振興に関する請願(第二三二二号外六六件)
○保育制度の堅持と充実に関する請願(第二三二六号外一一件)
○育児休暇と看護休暇の制度化に関する請願(第二五四八号外一三件)
○国立病院・療養所の看護婦宿舎の改善に関する請願(第二六六四号外四件)
○育児休業法の早期制定に関する請願(第二六九二号外一〇二件)
○公的年金制度の一元化を目指す年金改悪反対に関する請願(第二九〇八号外七件)
○国民医療の改善に関する請願(第三〇四一号外三件)
○国民健康保険制度の財政基盤強化に関する請願(第三二〇六号外三件)
○被爆者援護法の制定に関する請願(第三二二三号外五件)
○保育所制度の充実に関する請願(第三七一九号外二六件)
○学生・大学院生の国民年金一律強制加入反対等に関する請願(第四二四五号)
○年金の改悪反対、改善に関する請願(第四四〇〇号外一七件)
○中国残留邦人の帰間方法の改善に関する請願(第四六八一号)
○暮らしと福祉の充実に関する請願(第四七四〇号外三件)
○保育・福祉の充実と育児休業・看護休暇の制度化に関する請願(第四九九〇号)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/0
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001・浜本万三
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
国民年金法等の一部を改正する法律案及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/1
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002・堀利和
○堀利和君 私が質問となりますと、また障害者の問題かということで耳にたこができるかと思いますけれども、きょうも障害者の問題につきまして質問させていただきます。
前回、私の五日の質問のときに年金局長が、公的年金で暮らせない障害者は親がかりかあるいは施設に収容ということを御答弁されたわけですけれども、障害者本人の意思にかかわりなく施設に入らざるを得ないということについて、障害者の立場からすれば、これは本人の意思にかかわりございませんから、いわば収容されてしまうということが言えるかと思うんですけれども、やはり本来行政の側では収容という言葉は不適切だというふうに思います。現在では入所とかいうことを言っておりますので、ぜひその辺はお考えいただきたいと思います。
四、五日前私は、東京都の療護施設ですけれども、都内に施設をつくることが土地の価値上昇のためにできない等で山梨県の方に都立の療護施設がある。そこに入居されていた方から、本当は自分は台東区に住んでいる人間で都民だけれども施設に送られたために今山梨県にいるんだ、施設から出て東京に住みたいけれどどもどうも周りが許してくれない、何とかしてもらえませんかという話を私は受けたんですね。しかし、本当に自分の無力さをそのときは痛感したんですけれども、やはり一人の市民として自分がすみたいところに住めるように、本当に厚生省としても努力していただきたいなということを強くお願いしたいと思います。
それで、やはり前回の私の質問の最後のときに、大臣から意外な答弁をいただきました。制度間矛盾における障害者の無年金については、既に国会の委員会でも取り上げてあるわけですけれども、なかなか前向きの御答弁をいただけなかったわけです。しかし、大臣からは、ひとつ検討したい、考えてみたいという御答弁をいただいたわけでございます。
この問題は、中卒、高卒の十代で、精神障害者の方に多いんですけれども、旧法の厚生年金半年以内あるいは共済年金一年以内に初診日があってやめられた場合、障害年金がおりない、また国民年金の場合には他の公的年金に加入していたということでこれまた対象にならないということから障害年金が支給されないということで、結局無年金のままにいるわけですね。
これについて、やはりもう一度大臣から前向きの御答弁をいただきたい。国連障害者の十年も総仕上げの段階に入りましたので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/2
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003・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 我が国の公的年金制度は、保険料の拠出を行った者について年金給付を行う社会保険方式をとってきておるところであります。
〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
前回改正により、学生で任意加入していない方以外は、保険料の滞納がない限り障害年金を支給することといたしたわけでありますが、御指摘のように、そのときどきの支給要件に該当しなかったために無年金となった方々をさかのぼって救済することについては、公的年金制度の基本にかかわる問題であるだけに非常に困難な点が多いことは、前回のときに局長がいろいろと御説明申し上げたところであります。
社会保険方式のもとでその救済が可能なものかどうかについて今後検討していくという意味で私は検討してみたいということを言いましたが、私の基本的な理念の中に、私個人の理念の中に、この自由経済社会の中でお互いが公平な土俵の上で競争することができるという状況を確保するということが国の大きな責任の一つである、私はかように考えておるわけでありまして、社会でもそういった考え方に立っていくべきである。そういうことから考えると、障害を持っておられる方が果たしてそのハンディをどういうふうに克服していくかという上におけるいろいろなことを我々は考えていかなきゃならない。そういうところに向けて、もう一度何かそういった前回御指摘のような状況の中で新たな考え方をつかむことができるかどうか、そういう意味で真剣に検討すべき課題の一つであるということは今でも私は同じであります。そういう観点にたって、もう一度検討してみましょうという意味でお答えをしたように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/3
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004・堀利和
○堀利和君 ぜひ前向きにお願いしたいと思います。
あわせて、退職時脱退手当金を受け取ってしまいまして、在職中に初診日があってもやはりまた無年金で苦しんでいる方もいらっしゃいますので、あわせてその方々の問題も御検討願いたいというふうに思っております。
次に、前回にも取り上げさせていただいたんですけれども、幼いときから障害者であって二十から無拠出の障害基礎年金を受けている方にとって、子供の加算の問題というのは非常に大きな意味を持っております。やはり受給権時に子供がいるかどうかということを考えれば、その二十の段階で子供をもうけるあるいは育てるということはほとんどあり得ないことでして、一般的にも大体二十代、三十代において子供を生み育てるということが一つのライフサイクルだと思うわけです。
そういう点からいいまして、幼いころからの障害者にとって、二十の段階で障害基礎年金を受けて、そのときに子供がいないから、その後結婚しあるいはそういうことから子供ができた場合子供の加算がつかないということは非常に不合理でもあると思いますので、この点についてもう一度大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/4
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005・水田努
○政府委員(水田努君) まず、お答えする前に、前回、先生の御質問で施設収容という言葉を使いましたことは、大変不用意で申しわけなかったことをおわび申し上げたいと思います。
私ごとで恐縮でございますが、私の長男は重度の精薄でございまして、五歳から施設にお世話になっておりますので、施設にお世話になるということの意味合いは親としては十分に承知しておるつもりでございます。従来の施設に飽き足らずに、三十人の親と五年前に自分たちで施設をつくったわけでございますが、今御指摘のように、私どもも大変地域やいろんなところから排斥をされて、やっと丹沢の山ろくに施設をつくって運営をしておりますが、施設運営の厳しさも一面において実感しているわけでございます。私の子供も、おかげさまで一級の障害年金を受けているわけでございます。
お尋ねの二十前障害者については、新しい制度ができましたときに、その時点で保険事故が発生したものと擬制して、その時点で子供がいる場合には加算の対象にするということにいたしておるわけで、社会保険方式で年金制度を運営いたしておりますので、どうしても権利発生の時点でそのときの生活の状態に着目してやるという建前が、これは前回もお答え申し上げましたが、年金、医療、労災すべてを含めてそういう保険に共通したシステムでございますので、これをいじるということについては相当やはり各般の検討を加えてやらなければならない。年金だけで単独に決め得る問題ではございませんので、どうかひとつ今後全的に展望してそのあり方について検討するという課題にさせていただきたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/5
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006・堀利和
○堀利和君 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
次に、旧法におきます若齢老齢年金の件について、やはり復活していただきたいということもお願いしたいと思うわけです。厚年年金ですと、女性が五十五歳、男性六十歳の支給ができるわけですけれども、四十歳以上で二十年の加入期間があれば、障害者になった場合、三級程度の障害であっても二級にという形で年金の支給があるわけですけれども、こういういいところはぜひ改正後の現在の制度においても復活していただきたいなと思いますけれども、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/6
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007・水田努
○政府委員(水田努君) 前回の改正で、基本的に年金の仕組みを組みかえたわけでございます。いわゆる重複支給というのは極力排除する、そのかわりに漏れのない制度をつくる、こういうふうな観点から、亡くなられた山口年金局長が非常に努力をされまして、整合性ある年金制度ということを再構築されたわけでございます。
それ以前でございますと、厚生年金の老齢年金の受給資格期間を満たしてリタイアをして、それから六十歳の開始年齢を待っている間に障害者になりますと一切救済の道がございませんので、その時点で、例えば四十五歳であっても若年老齢年金という形で老齢年金を支給することによって稼得能力の喪失を補てんするという形をとっていたわけでございますが、今回の年金制度の再構築に当たりましては、障害基礎年金で一生を通じてカバーできるという基本的な仕組みを組み立てた、こういうことでございます。二十前の障害については、二十になった時点で障害が発生したものと擬制して、それは障害基礎年金を保障する。それから二十から五十九歳までは、その間当然一定の納付要件を満たしている方については、障害が発生した場合には障害基礎年金を保障する。それから六十歳から六十四歳までの間は、やはり事故が発生した場合には、二十から五十九歳までの加入期間について所定の保険料の納付が行われている場合には同じく障害基礎年金を出すということで、どの断面をとっても所定の保険料を納めておれば必ず障害基礎年金を出す、こういう完全な保障体系がとられましたので、厚生年金における若年老齢年金の支給の必要性がなくなったので廃止をしたわけでございまして、せっかくのお尋ねでございますが、きれいに制度的に整備をしたものにまたいろんな意味の重複支給を復活していくということは、せっかくの前回の大事業をいわばまた体系的に乱すことになるので、せっかくの御提言でございますが、私どもとしては採用することは困難である、こういうふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/7
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008・堀利和
○堀利和君 この問題とちょっと関連しまして、全身性障害者の場合、二十ごろから働き始めますと、健常者のように五十五歳あるいは六十歳まで働き続けるというのは大変困難であるわけです。ライフサイクルから見ましても、今や人生八十年と言われておりますが、やはりこれまた全身性障害者の場合には、なかなか健常者のように健康な体を持った方のように八十まで果たして生きるのかどうか、この辺のやっぱり寿命の問題がありますけれども、そうした観点から見まして、保険料を納め、二十代三十代一生懸命働いてきた全身性の障害者にとって、どうしても働くことが負担になり、障害が重くなったりしてやめざるを得ないという事態が多少あるわけですね。
こういう場合に、それによっていわゆる障害基礎年金を受けるということになりますと、それまでいただいていた給料から収入がもう一挙にダウンするわけですね。そのために療護施設に入らざるを得ない状態が起こってきたりするわけですけれども、こういう全身性障害者のライフサイクル、あるいは働いて保険料を納めて障害がそれなりに重くなってやめざるを得ない、掛金は掛け捨てになってしまう、こういう事態を避けるためにも、全身性障害者のそういった仕組みというのか制度というものもお考え願えないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/8
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009・水田努
○政府委員(水田努君) 恐らく今の先生のお尋ねは、二十前障害で障害基礎年金をもらいながら自立して一生懸命働いて、厚生年金に加入をして、厚生年金は二十五年の資格期間で、現行でございますと六十歳から支給される、こういうことになるわけですが、当然六十歳からは基礎年金とそれから老齢厚生年金が出ますので、その選択関係ということになってまいるわけでございます。今の先生の御指摘は六十まで生きられなかった場合どうするんだ、掛け捨てになるんではないかと、これが御指摘の事項ではないかと思います。
この問題につきましては、いずれ公的年金一元化のときに、やはり老齢年金なり障害年金なりの支給要件について、被用者年金全体の整合性という問題を広範多岐にわたって検討するということに相なっておりますので、今の先生の御指摘の事項は念頭に置きながら、そういう問題の中でひとつ十分慎重に検討をさせていただきたい、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/9
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010・堀利和
○堀利和君 次に、三年後失権の問題についてお伺いしたいと思います。
精神障害者の方あるいは内部障害者の方に結構あるんですけれども、どうしてもいわゆる精神障害あるいは内部障害の場合ですと病気とかなり背中合わせの状態であろうかと思うんです。身体障害の場合ですと、例えば片手切断というふうになりますと、それはそれではっきりするんですけれども、いわゆる精神障害者の場合極めて不安定であるわけです。精神障害が軽くなって社会復帰に向かっていって、そうなりますと三年間支給停止ということになりますけれども、その三年後にいわば回復した状態になったときに失権という状態になってしまうわけです。
ただ、今言いましたように精神障害者の場合にはかなり長期にわたっての不安定というものがありますから、一時的に回復、いわゆる治癒された形になっても、また五年後あるいは六年後に再発する形での精神障害が重度化するといいますか、ということがあると思うのです。このときに失権ということになってしまいますとまた無年金という状態になりますから、失権三年ということを、なぜ三年かということも少々疑問なんですけれども、この点についてお考えを改めるといいますか、失権三年というのをなくすようなことというのはどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/10
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011・水田努
○政府委員(水田努君) 従来は障害等級に該当しなくなると直ちに失権という形をとっていたわけでございますが、今先生御指摘のような不合理があるということで、四十四年の改正のときに、三年間該当しなくても観察をして、その間に再発すれば当然また権利が、基本権は残してありますので、支給停止という形をとっておりますので、支給停止を解除するという形で、できるだけ先生の御指摘のような事態が生じないようにということでこの三年というものが設けられたというふうに私ども承知いたしております。
三年を超えてそういう事態が発生するケースというのが先生は精神障害者の場合にあるんだと、こういう御指摘でございますので、私どもよくそこらあたりの実態を今後三年後、失権後に再発するケースがどの程度あるかという実態もひとつよく把握をさせていただいて、その上でどう対処するのが適切なのか、この問題についても今後の検討課題として、宿題として残させていただきたいと、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/11
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012・堀利和
○堀利和君 御検討願えるということで、大変心強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。
次に、任意加入におきまして学生時代加入していなかったために、そのときに障害を負い障害者になった方が結局無年金の状態にあるということも前回の質問でも取り上げさせていただいたんですけれども、これをまたちょっと取り上げてみたいと思うわけです。
前回の質問のときに年金局長は、こういうケースについては本人、親の自覚が問題だというふうに言われたわけです。私は、やはり制度の不備によることが大きな原因としてあるんじゃないかというふうに思っているわけです。
そこで、基本的なところから御確認をさせていただきたいのですけれども、この任意加入におきまして保険加入権者は学生本人であるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/12
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013・水田努
○政府委員(水田努君) 任意加入を申し出るのは学生本人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/13
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014・堀利和
○堀利和君 ところが、学生ですから収入はないと見ていいと思うんです。そうなりますと、この保険料納付義務者はだれになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/14
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015・水田努
○政府委員(水田努君) 学生みずからの場合もあり得るかもしれませんが、原則的には連帯債務を負うところの親になるケースが多いのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/15
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016・堀利和
○堀利和君 それで、今後強制加入ということになろうかと思いますけれども、強制加入の場合には何らかの形での免除制度が設けられるというふうに聞いております。それまでのこの任意加入においては、任意ですから免除というのはないと思うんですけれども、これは当然免除はないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/16
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017・水田努
○政府委員(水田努君) 任意加入の場合には免除という制度はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/17
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018・堀利和
○堀利和君 それで、強制加入になった場合、免除制度が設けられるということでございますけれども、法律に基づいて法定免除制度と申請免除制度に基づいた形での免除になるのか、あるいは新たに基準を設けた免除制度になるのか、どうなるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/18
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019・水田努
○政府委員(水田努君) 法定免除は考えておりません。申請免除ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/19
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020・堀利和
○堀利和君 そうしますと、現在は任意加入ですけれども、今後強制加入になった場合に、やはり扶養義務者、納付義務者である親の方に経済的な問題から申請免除制度において免除されるという状態があると思うんですね。こういった状態というのは、任意加入においてもやはりそういった状態の学生、また親といいますか納付義務者というのも多数おられると思うんですね。そう考えますと、単に本人、親の自覚でもって任意加入において加入しなかった、できなかったということではなくて、強制加入の場合免除になるであろう状態の方にとっては、やはり任意加入の現在においてもそういう経済的な理由から入りたくても保険料を納められないから入れないという方がやはりおるだろうという推測がつくと思うのですね。
そういうことから考えますと、やはり任意加入ですからもちろん免除制度はございませんけれども、そういった考えからどうもやはり本人、親の自覚ではなくて制度の不備として、学生時代に障害を負ったがゆえに無年金状態になってしまったということが結果としてあると思うんですけれども、そういった考え方に基づいて制度の不備から改めて救済をしなければならないというふうにはお考えにならないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/20
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021・水田努
○政府委員(水田努君) 国民年金制度を普及させますまでの間には、三十六年からスタートいたしまして、大変な苦労を重ねて今日まで至っているわけでございますが、その間においてサラリーマンの妻それから学生というものは一応強制加入の対象から外していたわけでございまして、そういう意味におきましては、今回の六十年改正によってサラリーマンの奥さんは強制加入にするということ、それから今回の改正によっていわゆる学生についても強制加入にするということで完全な皆年金体制が整備される、こういうことになるわけでございます。
完全な皆年金体制前の問題、これは三十六年以前にもある問題でございまして、それを制度の欠陥と見るのか、発展過程の一つのどうしてもそこは適用対象としなかったプロセスであると見るのか、これは見方の問題ではないかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/21
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022・堀利和
○堀利和君 学生時代に障害を負って障害者になった方の無年金というのは非常に大変なことだと思うんですね。聞くところによりますと、五千人から六千人ほどいらっしゃるというふうにも聞いておりますけれども、ぜひこれはまだ年金制度の発達段階の問題だということではなくて、やはり今私が言いましたように、強制加入における免除者というのもおることになるわけですから、そういった状態の方が任意加入段階で入りたくても同じような経済的な理由、所得が少ない、そういった理由で入れなかったということがあったと思うんですけれども、そういうことを考慮してぜひ前向きにお考えいただきたいというふうに思います。
次に、やはり無年金の問題をしばらく取り上げさしてもらいたいと思いますけれども、やはり在日朝鮮・韓国人の方の問題です。この問題も前回取り上げさしていただきましたけれども、このとき年金局長は、二国間協議により最恵国待遇を与えている国の外国人については任意加入の道が開かれているというような御答弁があったわけです。したがいまして、昭和五十七年以降は国籍条項が外れまして、在日朝鮮・韓国人の方も国民年金にも入ることができるんですけれども、昭和五十六年までは国籍条項があって入れないという、いわば政治的といいますか制度の問題としてあったと思うんです。
私は、在日朝鮮・韓国人の方というのは、まさに戦前強制連行によって無理やりにこの日本に結果として住まわざるを得ない状態だと思うんです。やはり、戦前の不幸にして日本の軍国主義が朝鮮の方々を強制的に我が国に連れてきたということだと思うんです。その一世あるいは二世の方が障害になって、結局二十過ぎているということから無年金の状態にいるわけです。
そういうことから考えれば、私はまだまだ戦後は終わってないといいますか、そういった戦争の処理が終わってないというふうに思うわけです。本当の意味で戦後の解決のために見れば、やはり在日朝鮮・韓国人の障害者の方々の無年金を一日も早く改善しなければならないだろう。これは国の責任だというように私は思います。あわせて、その強制連行によって日本に住まわざるを得ない一世の方も結局年老いていくわけですから、老齢基礎年金についてもやはり同様の考え方をすべきじゃないか。これは我が国のやはり責任だというふうに私は思いますけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/22
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023・水田努
○政府委員(水田努君) 先生の御指摘の事情、理解できないではないわけでございますが、これは国民年金という制度の中で解決すべき問題なのかどうか、これはやはり検討を要する問題ではないと思います。非常に恐縮でございますが、国民年金というのは社会保険というシステムをとっておりますので、加入後において一定の所要の保険料を納めるという要件を満たして、事故が発生した場合に対応するという基本原則があるわけでございますので、残念ながら今の御指摘の事項は国民年金という制度の中で解決をしていくということは私は困難であろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/23
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024・堀利和
○堀利和君 私、この問題は、国民年金という保険原理を振り回して果たしていいのかどうかというふうに疑問を持ちます。確かに保険原理、国民年金の問題から言えば、たとえ在日朝鮮・韓国人の方でも例外は認められないということも一つの理屈ではありますけれども、やはり私が今言いましたように、戦前強制的に日本に連れてきて大変な人生を在日朝鮮・韓国人の方々に与えてしまったわけです。これはやはり国の責任として考えなければならないだろうと思います。そういう点では、確かに高度な政治的な判断ということも重要だと思うんですね。そういう点で大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/24
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025・水田努
○政府委員(水田努君) これは恐らく外交上の問題として、日韓条約その他の問題としてこれは処理済みの話ではないかな、こう私は考えているわけでございまして、もしその見方が間違っておれば後で訂正をさしていただきますが、基本的には日韓条約の問題として解決された問題ではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/25
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026・堀利和
○堀利和君 大臣からも御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/26
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027・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) この問題は、今も局長が御答弁申し上げましたが、一つの年金という国内の年金制度の中にこれをどう取り扱うかという問題については、やはり在日韓国人の問題として外交上のいろいろな観点から解決した部分もあるわけで、その観点から、長い間自分の意思によらずして日本に来たという状況につきましては、日韓条約の締結の段階で解決をされておるわけであります。その後、在日韓国人として日本の年金制度に加入をしようという意思があって、そして加入をするという手続を経ることによって日本人と同じような待遇を受けるということができるようになっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/27
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028・堀利和
○堀利和君 それでは次に、国民年金法の六十九条あるいは七十条に関連してお伺いしたいと思います。
六十九条では、故意に障害またはその直接の原因となった事故を生じさした者については年金支給を行わないというふうにあるわけですけれども、不幸にしていわば自殺をせざるを得ない状態に追い込まれて自殺行為に出る、幸いにして自殺未遂に終わったということがあろうかと思うんですけれども、このときに後遺症により障害が残り障害者になったという場合、果たしてこの六十九条に照らして欠格条項がどうなるのかお聞きしたい。さらに七十条でも、自殺という形になった場合に果たして遺族基礎年金が支給されるのかどうか、この辺についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/28
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029・水田努
○政府委員(水田努君) 国民年金法第六十九条及び七十条においては、故意または重大な過失により障害の原因となった事故を発生さした者については、障害基礎年金の支給制限する旨が規定されておりますが、御指摘のような自殺未遂によって障害が残った場合には、従来から自殺行為は故意または重大な過失に当たらないという取り扱いをしてきておりますので、障害基礎年金の支給制限は行っていないところでございます。
〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
なお、遺族基礎年金も支給の制限がない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/29
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030・堀利和
○堀利和君 それでは最後に老齢基礎年金の給付水準についてお伺いしたいんですけれども、既に多くの先生方からも老齢基礎年金の給付水準が低い、もう少し上げられないものか、もう少しアップできないものかというようないろいろな御指摘があるわけです。ただ、給付と負担ということでどうしてもここの壁にぶつかってしまうわけですけれども、老齢基礎年金は満額の場合でも五万五千五百円ということになるわけですけれども、やはりこれではまだまだ本当に豊かな老後生活を送るというふうにはならないだろうなというふうに私は思っております。
そこで、前回私がやはり質問させていただいたことに対する答弁の中で、障害基礎年金におきます五万五千五百円に対して年金一級の方については一・二五倍が支給されるということだったわけです。この一・二五倍がどういう意味かということで尋ねたわけですけれども、これに対しては介護を必要とする人という理解だというような御答弁があったわけですね。したがいまして、障害者でもいわば重度の場合には介護を要する人という判断から五万五千五百円に対しての一・二五倍、六万九千三百七十円でしたかということになるという理解にあるわけです。
お年寄りの場合についてもひとつやはり考えていただきたいのは、現役世代としてばりばり働いて、六十歳六十五歳になり、人生八十年と言われるわけですけれども、やはり高齢者の場合は何らかの形で病気になりやすい状態にもなりますし、元気に暮らすということがなかなか難しくなっていくわけですけれども、それはやはり高齢者というのはいわば障害者になっていくといいますか、病気になったり、あるいはそれが原因でいわゆる障害という形で固定していくということがあろうかと思うんですね。いわば人生を終えるについてはどなたも恐らく寝たきりになるといいますか、これが時間的に長かろうが短かかろうが、たとえ一日であろうがあるいは一週間であろうが寝たきりの状態になっていくわけです。一日とか一週間というのはまた極端なんですけれども、これがやはり老後において一年あるいは五年というような状態で結局は介護を要する人となるというケースが多々あろうかと思うんです。
そうしますと、障害基礎年金におきます五万五千五百円に対して介護を必要とする人という解釈のもとに一・二五倍ということが支給されるわけですから、やはり老齢基礎年金においても、給付水準が全体として上がればよろしいのですけれども、まずそれに向けて今の障害者の基礎年金の考え方、理念を踏襲して、高齢者の場合も病気あるいは障害ということで介護を要する人になったときには、その時点で認定をしまして一・二五倍の給付を行ったらいいのではないだろうかというように私は考えるわけです。
ですから、六十五歳の段階で五万五千五百円をいただいている方が、あるいは六十六歳七十歳になって病気あるいは障害を負って介護を必要とするようになったときには、五万五千五百円ではなくて六万九千三百七十円、一・二五倍にやはりすべきではないんだろうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか、大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/30
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031・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 御指摘の障害という保険事故によって給付が支給される一級の障害年金については、まさに直接的な介護費用ということではなく、障害の程度が比較的重い介護を要する人であるという考慮をいたしまして一定の増額を今御指摘のように行ったわけでありますが、一方、お年寄りの老齢基礎年金の場合も、老齢という保険を受ける、専門的な言葉で言うと保険事故と言うようでありますが、それに対して老後の基礎的な生活費を賄うものとして支給されているものであります。保険事故発生後の別の要因を加味して、そういったお年寄りになって一定の年齢に達して支給を受け、受けてから後の要因を加味して年金額を改定するということは、これは困難に思います。そのために、お年寄りの老後を支えていくために、特に介護を要する方々に対する介護というものは福祉面で別に手厚く、これからも十ヵ年計画を立てて従来よりもはるかに行き届いた福祉政策を実行していく、そういう観点からさらに補っていくべきものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/31
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032・堀利和
○堀利和君 確かに保険原理であり、給付と負担の関係、バランス論ということは大切なことだとは思います。ただやはり実態から見て、いわば例外的措置という形でそういった厚い壁を何とか切り開いていただきたいなということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/32
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033・糸久八重子
○糸久八重子君 それでは、きょうは基礎年金勘定に関しての問題からお伺いをさせていただきます。
基礎年金勘定はどんな経過を経てそのお金が動いているのか、簡単に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/33
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034・土井豊
○政府委員(土井豊君) 基礎年金勘定につきましては、各それぞれの、厚生年金でありますとか、国民年金でありますとか、共済組合でありますとか、そういうところから必要なる金額を拠出金として基礎年金勘定に集めまして、一方、必要なる給付に見合う額を交付金としてそれぞれの厚生年金等にお配りするという仕組みになっておりまして、それと同時に新法基礎年金部分につきましては基礎年金勘定自体で給付をする、大体大まかに言いましてそのような仕組みで動いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/34
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035・糸久八重子
○糸久八重子君 私が調査したものによりますと、まず社会保険庁に交付金を申請して、そして一人当たりの保険料の拠出金の単価を決める、請求書を発行する、日銀に送られる、そして各年金制度ごとの特別会計勘定から基礎年金勘定に振り込みがある、そういう道の流れであるということを私は把握しておるわけです。
それで、その基礎年金勘定の管理というのはどうなっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/35
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036・土井豊
○政府委員(土井豊君) 基礎年金勘定につきましては、国民年金特別会計の中の一つの勘定として経理をいたしておりまして、今先生おっしゃられましたようなお金の流れがあるわけでございますけれども、国民年金特会の他の経理とは明確に区分をしてこの勘定の中で経理を行う、そのような形で運営をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/36
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037・糸久八重子
○糸久八重子君 お金の扱いについてはどういうふうにしておりますか。会計規定等はあるのでしょうか。その基礎年金勘定のお金の扱いについてはどうしていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/37
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038・土井豊
○政府委員(土井豊君) 特別会計の会計規定に基づきまして処理をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/38
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039・糸久八重子
○糸久八重子君 その会計規定があったら、ぜひその資料をちょうだいしたいと思います。後ほどで結構です。
私の方で調査をしたところによりますと、社会保険庁は会計上は基礎年金勘定というのは振り込みとそれから支払いのための清算勘定にすぎないのではないかと、だからペーパー上の処理をしているんじゃないかというふうに私は受け取っておるんですが、その辺はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/39
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040・土井豊
○政府委員(土井豊君) 先ほども申しましたけれども、新法に基づく基礎年金、障害基礎年金の方々、そういった給付につきましては基礎年金勘定自体で給付も行うという形になっておりまして、したがって平成三年、二年後でございますけれども、平成三年からは新しく二十五年たちまして新法基礎年金をもらう方々がふえてまいりますけれども、この方々の給付につきましては基本的には基礎年金勘定自体で給付を行うという取り扱いになるというふうに考えております。
なお、今のお金の流れという点につきましては、現在、基礎年金勘定と厚生年金あるいは国民年金、共済組合といったようなものとの間には、単なるお金の流れという見方でございましょうか、先ほど言いました拠出金と交付金というようなお金のやりとりというような流れが現時点においては大きなウエートを占めているという実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/40
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041・糸久八重子
○糸久八重子君 ところで、国民年金の保険料が八千円の場合に基礎年金に拠出をしているのはどのくらいなのか、私は資料を請求したんですけど大まかなものしか出てこないので余り詳しいことがその資料ではわからないんですけれども、各制度ごとに拠出金を出している人数とその金額、そして交付金を受ける受給者の数と金額、こういうものは公表されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/41
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042・土井豊
○政府委員(土井豊君) 拠出金の額、交付金の額というのは制度ごとに公表されていると思います。ただ、その積算の内訳でございます人数については、積算の過程という形で対外的には今までのところ発表していないのではないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/42
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043・糸久八重子
○糸久八重子君 細かい資料が請求しても届かなかったわけですから、公表されている分だけはぜひともその資料は後ほどちょうだいしたいと思います。よろしくお願いいたします。
八六年改正の際に、社会党は基礎年金特別会計勘定の設定を要求いたしました。今の御答弁によりますと国民年金特会の中に基礎年金勘定があって、そしてそれは運営上別個になっているというんですけれども、経理は明確に行うと、そうして発足はしたわけですよね。特別会計の新設については将来の検討課題として大蔵省と相談、協議するという、そういう大臣答弁がその際にあったわけですが、その後どんな検討、協議をしていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/43
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044・土井豊
○政府委員(土井豊君) 基礎年金勘定というのを国民年金特別会計の中に設けまして、明確な形で経理を区分しているという実態が一つでございます。
それと同時に、基礎年金自体は国民年金法に基づく給付であるという法の建前から、私どもとしては国民年金特別会計の中でこの経理を行っていくという形で国会の方にお願いを申し上げて、今後の検討事項として今先生おっしゃられたような宿題みたいなものが残っているわけでございますけれども、私ども再来年度以降新しく発生する基礎年度本来の受給者の給付、そういったものを考えますと、やはり国民年金特別会計の中で従来のような形で経理を明確にしながら運営していくのが現実的な対応ではないかというふうに考えておりますけれども、さらにこの前の厚生大臣答弁のこともございますので、そういう実態を見ながら今後財政当局と協議をするという考え方でおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/44
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045・糸久八重子
○糸久八重子君 各制度共通の基礎年金制度というのが導入されたわけでありますから、当然その基礎年金としての勘定が独立してできるようにしなければならない、そう思うわけです。したがいまして、早くそういう状況をぜひとも社会保険庁としてもつくり出していっていただきたい、大蔵省とよく相談をしてそうしていっていただきたい、これは強い要望でございます。
続きまして、オンラインシステムについてお伺いをさせていただきます。
社会保険庁のオンラインシステムは七九年から稼働して、後期計画も今年度で終了された、そう伺っております。どんな制度の、どのくらいの人たちがこれによってカバーされているのでしょう発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/45
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046・土井豊
○政府委員(土井豊君) 昨年二月をもちましてオンライン計画は一応完成したというふうに考えておりますけれども、現在のこのオンラインの対象でございますが、まず被保険者で申しますと、政管健保千五百八十六万人、船員保険十六万人、厚生年金保険二千七百六十八万人、国民年金、これは第二号被保険者を除いておりますが、三千五十九万人、合計七千四百二十九万人というのが六十二年度末における対象人員でございます。
また、年金の受給者ももちろんこの中でやっておりますけれども、六十二年度末で申しますと、厚生年金保険、国民年金、合計いたしまして一千九百万人というのがこのオンラインの対象の人員といたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/46
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047・糸久八重子
○糸久八重子君 大変な人数をカバーしているそのオンラインの設備の財源は一体どこから出ていて、そしてどのぐらいかかったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/47
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048・土井豊
○政府委員(土井豊君) オンラインのスタートいたしましたのは昭和五十四年度からでございますけれども、昭和六十三年度までの約十年間に一千四百億円程度この開発その他の経費として充当しております。また、平成元年度におきましては元年度予算として三百四十四億円という予算を計上しておりますので、両方合わせまして約一千七百億円程度という状況でございます。
財源でございますけれども、一般会計、それから各特別会計の保険料、これらをもとにしまして開発を行ってまいりました。特に保険料のウエートが大体八割から九割、年度によって違いますけれども、かなり大きなウエートを占めておりますけれども、これはそのような仕組みでオンラインを実施するに当たりまして、当時の社保審の厚生年金部会の御意見等も伺いましてそのような形で踏み切らせていただいたというような経緯になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/48
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049・糸久八重子
○糸久八重子君 一千四百億円の内訳ですけれども、それをお伺いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/49
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050・土井豊
○政府委員(土井豊君) トータルで見ますと、一般財源が一割、保険料財源が九割という感じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/50
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051・糸久八重子
○糸久八重子君 その保険料財源の九割は主としてどこから出ているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/51
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052・土井豊
○政府委員(土井豊君) 厚生保険特会が約八割でございます。それから国民年金特会の方が二割、そういう内訳になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/52
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053・糸久八重子
○糸久八重子君 このオンラインの設備は社会保険庁のものなのですか、それともNTTのものなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/53
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054・土井豊
○政府委員(土井豊君) 使用料を私ども払っておりますので、機械等の所有権自体はNTTが持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/54
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055・糸久八重子
○糸久八重子君 そうすると、NTTからリースをしているということなんですね。そうすると、リースをしているその代金というのは大体年間どのぐらいかかるものなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/55
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056・土井豊
○政府委員(土井豊君) ハード、ソフト合計いたしまして、平成元年度予算で申しますと三百四十四億という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/56
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057・糸久八重子
○糸久八重子君 その三百四十四億円の経費の内訳というのは、どこからどうやって出ているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/57
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058・土井豊
○政府委員(土井豊君) ハードが五十九億円、ソフトが百四十億円、その他端末が百九億円、それ以外が電力等々のものでございまして、ちょっと細かいところまで正確にわかりませんが、大体そんな内訳になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/58
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059・糸久八重子
○糸久八重子君 それはどこにどういうふうに使われるかという、三百四十四億円のその内訳なんですけれども、実はその三百四十四億円というのはどこから出ているんですかと、そう伺ったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/59
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060・土井豊
○政府委員(土井豊君) 先ほど申しましたように、約一割が一般会計から繰り入れをしている、残りの九割につきましては厚生保険特会、船員保険特会、国民年金特会から繰り入れをする、そういうような形で計上をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/60
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061・糸久八重子
○糸久八重子君 このシステムは、これから一元化に向けまして恐らく共済等も入ってくるのではないかと思いますけれども、伺っておりますとかなり厚生保険特会から入っている。国民年金それから厚生年金が負担をしているというのはやっぱりおかしいし、こういうオンラインシステムを使用しているすべての制度がやはり持っていかなきゃならないとそう思うんですね。特に、設備をする財源で八割を厚生保険特会が持っているというのもやっぱりちょっとおかしいんじゃないかなという気持ちがいたしますね。こういう設備代というのは、やっぱり先ほど申しましたとおり各制度が全体で拠出をするか、または国庫で当然これは持つべきだろうと、そのように私は思いますし、またオンラインにかかわる諸経費の三百四十四億円というのも非常に高いと思うんですね。
ですから、そういう意味で、できれば専門家によるこれらの報酬料の検討委員会みたいなものを設置していったらどうなのかと私は思うのですが、その辺の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/61
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062・土井豊
○政府委員(土井豊君) 私どもとしては、現在、厚生年金、国民年金、その他医療保険であります政管健保等を含めまして社会保険事業の実施運営をしているわけでございますが、基本的には一般会計から約二千百億円余の金を入れておりまして、それ以外に保険料財源を使うというような形で運営をしているところでございます。
ただ、先生おっしゃるように、オンラインに保険料財源を使い過ぎるんではないかというような問題点というのは、私どもも当初からそのような点については十分留意をいたしておりまして、先ほども申し上げましたけれども、社会保険審議会の厚生年金部会、現在の年金審議会の前身でございますけれども、そこに一応御相談を申し上げまして、例えば支払い回数をふやすとか、あるいは年金相談に適切に対応できるとか、あるいは裁定事務等を非常に短縮化するといったような受給者へのサービス向上というような観点から、保険料をそちらの方に使うということについてもやむを得ないというような御意見もちょうだいいたしまして踏み切らせていただいたというような経緯がございます。
したがって、今直ちに先生おっしゃるような形で今後どうしたらいいかということについてお答えできませんけれども、そのような問題意識は持っておりますので、今後とも内部で検討させていただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/62
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063・糸久八重子
○糸久八重子君 この件につきまして、大臣はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/63
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064・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 今政府委員からお答えいたしましたように、先生御指摘の点を私も聞いておりましたけれども、やはりそういう意味でさらに検討を、今の答弁でもお話しのように今までも検討しているようでありますけれども、さらに御指摘の点につきまして検討を重ね、先生の御意思を十分に聞き入れた形で対応の方法といいますか、今までの中においてもっとはっきりさせるという意味での検討を重ねていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/64
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065・糸久八重子
○糸久八重子君 財政調整をめぐって、厚生年金の積立金というのは政府の御用達金なのか、それとも厚生年金被保険者と年金受給権者のために年金給付を確実に保障するための積立金なのか、大変疑問に思われる動きが多いわけですね。
そこで、具体的には財政調整問題は私はきょうは触れませんけれども、年金審議会の意見の中にも、日本鉄道共済年金の赤字の分析と自助努力の内容と金額が示されることが絶対の条件であると、そう書かれているわけです。鉄道共済の赤字の仕組みも複雑で、正直言ってなかなか私にはわかりにくいです。そういう数値も国民の前に明らかにされていない。こんな状況の中で、財政調整という名前のもとに各年金から拠出を要求するというのも大変納得のいかないところが多いわけですね。したがって、やはりこういう数値というのは国民の前にはっきりと出していっていただきたい。これは私の要望でございます。
続いて、数理委員会の問題についてお伺いをさせていただきます。
社会保障制度審議会の中に数理担当官を置くようになったのはいつからで、そしてどういう役目をしているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/65
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066・岸本正裕
○政府委員(岸本正裕君) 今の御質問でございますが、五十四年の四月に年金制度基本構想懇談会、これ厚生省の諮問機関でございますけれども、そこから報告書が出されまして、その内容の中で年金数理委員会の設置ということが提案されたわけでございます。この目的とするところは、公的年金制度の財政状況の検証等につきまして総合的な分析、検討を行うような組織といいますか機関、こういうものの設置を提唱されたわけでございます。そういう御意見を受けまして、政府部内では公的年金制度調整連絡会議等の場を通じましてこの具体化を検討されたというふうに聞いているわけでございます。そして、最終的に昭和五十五年の十月一日から社会保障制度審議会の中に年金数理部会を設置するということになったわけでございます。
今の御質問では、その部会を補佐する事務スタッフとして年金数理官というのが置かれているわけでございますが、経緯は今申し上げたとおり、この年金数理部会が設置されることになりまして、その部会のメンバーである年金数理の専門家の委員の方々の活動を補佐する事務スタッフとして、いわば総括の責任者という形でこの数理官が置かれたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/66
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067・糸久八重子
○糸久八重子君 どういう役割をしていらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/67
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068・岸本正裕
○政府委員(岸本正裕君) 年金数理官の役割というのは、社会保障制度審議会の中に置かれております年金数理部会の活動を補佐するということでございまして、年金数理部会の役割は、今申し上げましたように公的年金制度の総合的な分析検討を行い、必要に応じて勧告、提言等行うということでございます。
具体的な年金数理官の仕事ということで御説明申し上げますと、そういう部会活動を補佐するために、審議資料の作成でございますとか、部会におきます委員への説明でございますとか、また事柄によりましては所管省庁との連絡調整、こういうことが主な内容になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/68
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069・糸久八重子
○糸久八重子君 その数理官がいろいろ部会の活動を補佐するための資料の作成等々というお話があったわけですけれども、政府とかそれから政党とかのいろんな周りの圧力から自分の姿勢がきちっと守れるのかどうか。やはりこの数理担当官というのは、一片の事務をするという形ではなくて、もっと社会的名誉のある専門職のようにさせなければいけないというふうに考えるんですけれども、その辺のことについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/69
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070・岸本正裕
○政府委員(岸本正裕君) 年金数理というのは極めて社会保障の分野でも専門性の高い分野でございまして、そういう年金数理部会のメンバーというのも専門家によって構成されております。それを助ける事務スタッフというのも専門家でなければ勤まらないという面を持っております。そういう意味で、数理という分野でございますから、いろいろな外からの圧力というんでしょうか、そういうものには全く無縁ないわばアカデミックな学術的な分野でございますけれども、非常に重要な役割を担っていると思います。
これから基礎年金等ができまして、また将来の一元化ということを見据えますと、給付内容の共通化ということが起こってまいります。そういう中で、共通の尺度で年金の財政を長期的にチェックをする、こういう機能というのはますます重要になっていくと思うわけでございます。それにふさわしいような責任を伴う地位としてそういう年金数理官というものをきちっとしたものにしていくということは非常に大切なことだ、先生の御指摘のとおりであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/70
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071・糸久八重子
○糸久八重子君 昨年の十月二十七日に出されました年金数理部会第二次報告書の中に「各国の年金財政報告の取扱い」が示されておりまして、それを拝見いたしました。詳しいことは私の方から申し上げませんけれども、やはり各国並みに年金財政の情報公開を促進する方策が必要だと私は思うんですけれども、その辺の御見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/71
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072・岸本正裕
○政府委員(岸本正裕君) 昨年の十月二十七日に社会保障制度審議会の中に置かれております年金数理部会が第二次報告というものを発表いたしたわけでございます。その中で強調しておりますことの一つは、「年金数理担当者の役割」といたしまして、「年金制度の現状と将来について的確な情報を幅広く提供していくことである。」ということを指摘しているわけでございます。
この第二次報告の発表とあわせまして、社会保障制度審議会では年金財政の情報公開を促進するような方策が必要であるというような趣旨で会長のコメントを発表しているわけでございます。その中で、諸外国で行われておりますような情報公開の仕組みというものが今後日本での情報公開を考えていく際に大きな参考になるのではないかというような趣旨の提言をいたしております。私どもも、そういうことが政府部内においてできますれば大変結構なことだ、そういうふうになることを望んているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/72
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073・糸久八重子
○糸久八重子君 年金審の意見書の中にこういうことが書かれておりまして、「公的年金制度の安定的運営と公的年金に対する国民の信頼を確保していくためには、年金財政の状況とその将来展望を明確にしておくことが不可欠であり、年金財政の公表の原則を確立する必要がある。」、確かにそう書かれておるわけです。その後半に、「そのためにも、年金財政に関する必要な調査と年金財政の改善に関する勧告の権限を有する「年金財政に関する行政委員会」を設けることが急務である。」、そう書かれているわけですね。そういうことを受けて、やはり年金財政に関する調査権とか勧告権を持つ行政委員会の設立は必要なんではないかなというふうに考えるんですが、その辺についてはどういう御見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/73
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074・水田努
○政府委員(水田努君) 私ども、年金審議会から昨年の十一月に御意見をいただきまして、実現できなかった唯一の点がその点で、非常に残念である、こう思っているわけでございます。
行政委員会でございますが、国家行政組織法の三条で言う機関なのか八条の機関を指すのか、この点は定かじゃございませんが、三条委員会になりますと一番典型的なのが公取でございますが、そういう機構はちょっと無理ではなかろうか。そうしますと、八条委員会で調査、勧告の権限を持っておりますのは社会保障制度審議会でございます。事実上、今数理部会というのがございますが、これを法律を改正して恒常的な制度に格上げをして運営をしていただいたらどうだろうかという点が一つ。それから、社会保障制度審議会には一応各党の国会議員さんが参加しておられる。そういう意味においても、法案の審議との連続性という観点から考えても非常にいいんではないか。こういうことで私ども総理府の岸本事務局長に改組をお願いしまして、大変岸本事務局長に各省交渉でお骨折りをいただいたんですが、制度間調整法を出すまでに関係各省の合意に達することができなくて、残念ながら今国会提出に間に合わなかったわけでございますが、来る一元化に先立って、ぜひこれは粘り強く政府部内の調整を図って、社会保障制度審議会設置法の改正を行うという方向で厚生省も総理府をバックアップしながら進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/74
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075・糸久八重子
○糸久八重子君 それでは、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、学生の強制適用問題については先だって私も質問をしたわけですけれども、引き続き、再度この問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
衆議院で国民年金法等改正案に対する附帯決議がつけられましたけれども、その第三項の後半に、学生の保険料負担が過大にならないよう「免除基準につき、適切な配慮を行うこと。」、そうありますね。厚生省はどんな配慮を行う所存なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/75
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076・水田努
○政府委員(水田努君) 今回の改正案を出すに先立ちまして諮問しました年金審議会からも親の負担が過大にならないようにという答申をいただき、さらに衆議院の附帯決議においても同趣旨の、適切な配慮を行うべしという御注文をいただいているわけでございます。これにどのように的確にこたえていくのがいいのかということで、現在、国民年金保険料負担能力調査ということを全国規模で実施いたしておりますので、その調査結果を踏まえて適切に対処をさせていただきたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/76
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077・糸久八重子
○糸久八重子君 そのお答えはこの前お伺いしたんですが、それではその調査というのは一体いつごろ集計をして結果が出るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/77
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078・水田努
○政府委員(水田努君) 一応、本年度末までに集計、解析を行いたい、こういうふうに考えて準備を進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/78
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079・糸久八重子
○糸久八重子君 厚生省の案ですと、二十歳を過ぎた学生は住民登録をしていて自分が世帯主であれば、自分の所得が一定限度以下である限り保険料免除の対象となるのでしたね。しかし、仮にアルバイトで一定限度を超えた所得があったとしても、何のためにアルバイトをするかということなんですが、それは当然そのお金はこれから学業を続けていくために必要な生活資金というふうに考えると、機械的に徴収をすべきではない、そう私は思うのです。
十二日にもこのことをちょっと申し上げたんですけれども、世帯主としての学生に一定水準を超える所得があったとしても、保険料の額を軽減して、そして後日、社会人、職業人として自立をしてから追納するという道が選択できるようにすべきではないかなというふうに考えるんですけれども、その辺のところはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/79
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080・水田努
○政府委員(水田努君) 学生でも例外的にやはり高額な所得を得る人もあり得ようかと思います。例えば、医学部の大学院生なんかで既に国家試験を終え、医師の資格を得て病院にアルバイトに行くというような場合は相当高額な収入を得るというケースもあろうかと思いますので、アルバイトを一律所得とみなさないということはやはり社会通念的に見て問題があると思いますので、そこはやはり課税の対象となるような所得のある者には、十分実態を把握した上で、免除することがいいのか保険料を課す方がいいのか個別に適正な判断ができるような基準を設けてまいりたいと思っております。
次に、学生について一種の学割保険料をつくったらどうか、こういう御提案ではないかと思うわけでございますが、やはり大学に行けないで自家営業、家事に従事している同世代の人の感情を考えますと、そういう方から見れば学生は大変恵まれた人、こういうことに相なろかと思いますので、やはり他の被保険者とのバランスを考えると、そういう軽減保険料を設定するということはいかがなものかと逡巡せざるを得ない、こう思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/80
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081・糸久八重子
○糸久八重子君 親と同居する学生は世帯主である親に保険料納付の義務がある、そしてその学生本人に所得があろうがなかろうが全く無関係に負担しなきゃならない。これは、下宿先などで住民登録をした学生の場合と比べてやはり著しい不公平ではないかと、そう思いますね。
衆議院の附帯決議で、「免除基準につき、適切な配慮を」とあるわけですね。これは、親が低所得者、つまり所得税とかそれから住民税非課税者ならば免除する、これは当然と考えるわけですけれども、その上さらにその対象をもう少し拡大するように配慮せよ、そういう意味と私は受け取るんですけれども、この辺のことはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/81
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082・水田努
○政府委員(水田努君) 学生を適用するということは、免除基準のあり方についていろいろと従来と違った見直し、検討をしなきゃならぬ要素があろうかと、これは先生の御指摘のとおり率直に私どもも感じております。例えば下宿している学生というものは、仕送りというのは一応課税所得にはならない、課税所得はないから免除と、松下幸之助の息子さんが免除というのでは世の中なかなか納得しないのではないか。そういう面もあるので、従来の、当然に仕送りは課税所得にならないから免除の対象というのを学生に直ちに適用することはいささか問題であるし、それからサラリーマンについては、一切課税対象であるからどんな重い教育費を背負っていても免除の対象にしない、こういうふうに言い切ってしまうのも問題ではないか。
だから、いろんなケースについて私ども今実態調査をいたしておりますので、そのケースを見て、やはり世の中の人からバランスを失しているということを言われないような形で均衡のとれたものでつくっていかなきゃならぬし、余り精密過ぎて市町村が実際の事務に乗らぬということになってもいかぬし、その両方の兼ね合いを見ながらひとつ適正なものに持っていきたい。そのために衆議院の段階で、保険料の免除適用に混乱が起きないようにとわざわざ施行が一年延ばされたという経過もそういうところにあろうと思っておりますので、慎重の上にも慎重を期して基準の設定をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/82
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083・糸久八重子
○糸久八重子君 それなら具体的にちょっとお伺いしますが、これは年金局長の私見で結構でございますけれども、今申しましたとおり、親と同居する学生の場合はその親が学生本人の所得と関係なく負担させられる、大変不公平だと先ほど申し上げたんですが、そういう不公平をなくすためにはどうしたらいいか、どういった方策が考えられるか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/83
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084・水田努
○政府委員(水田努君) 私見でもいいから言ってみろ、こういうテストを受けているわけでございますが、やはり予見を持って対応いたしますといろんなところから、私も一応年金行政の責任者でございますので単なる私見では通らなくなると思いますので、やはり十分慎重な検討をして、各方面ともいろいろ御相談した上で適切なものをつくりたい、こう思っておりますので、いましばらく時間の猶予をお与えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/84
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085・糸久八重子
○糸久八重子君 国民年金法八十八条を見ますと、「世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。」、そうありますね。学生を強制加入させるのならば、この条文によって同世帯にいる学生の分を世帯主である者が支払わなければならなくなるわけですね。つまり同居している学生は、その本人の所得のあるなしにかかわらず親が納付をする義務があると、この法律に縛られてそういうことになるわけですけれども、やはりどうしても不公平が生ずるわけなんですね。
これは糸久私見なのですけれども、そういう不公平をなくすためには国民年金法を改正するよりほか方法がないと思うのです。私の意見は、国民年金法の九十条に、いろいろありますが、「これを納付することを要しないものとすることができる。」、つまり免除の規定があるわけですね。そこの次に、「学生の被保険者に対しては、政令で定めるところにより保険料を減免することができる。」という、そういう一条を加えていけば、当然これは現行法が免除だけの規定ですから、そこに減額することができるという、それができるのではないかというふうに考えるのですね。
だから、そういうような条文をつくれば、この条文に基づく政令で、親元にいようがそれとも下宿をしようが、学生被保険者本人の所得に着眼をして、一定額以下は免除になり、一定額以上ならば軽減という形をつくられるのではないかと思うのですが、そういう私見に対してはどういう御意見をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/85
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086・水田努
○政府委員(水田努君) 先生の御意見も貴重な御意見であろうかと思いますが、私どもはやはり基本的に保険料を納めていただくという体系のもとで、負担できない方に不公平が生じないような免除基準を設定するということで問題の解決を図っていきたいとかように考えておりますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/86
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087・糸久八重子
○糸久八重子君 では、十二日の論議の中で、制度の谷間で無年金者となってしまった障害者に対し、きょうは堀委員からの質問もあったわけですけれども、迫納という形で納付する道がないかという質問に対して、法の体系からいって保険料を納めて受給をするというのが本来と、今もそういう趣旨の御答弁であったと私は解釈するわけです。
それならば、私はいつも疑問に思っているんですが、八六年改正でサラリーマンの無業の妻は三号被保険者となったわけですね。つまり、世帯単位という考えの中で世帯主が払うことになった、そして基礎年金の受給権を得たというこの前の改正であったわけです。この人たちは学生よりも負担能力があると私は思います。また、国民年金の一号被保険者と比較しても大部分は負担能力があるのじゃないかと思います。現に、八六年の三月までは六百七十万人もこの人たちは国民年金に加入していたわけですね。
私は八六年改正のときも女性の年金権の確立という、言うならば無業の妻の場合も保険料を支払うのは当たりまえだとそう主張してきたわけですが、政府はこれに対して、夫が払っているという答弁を繰り返していましたね。この前の質疑の中の同僚委員の質問の中でも、局長はそのように答弁をいたしました。
私はどうもそこの辺が納得できないものですから、いろいろと資料を集めてみました。同じ給料等級をもらっていて、八五年の五月一日現在、そして八七年の五月一日現在の保険料を幾ら払っているかということを比べてみたんです。そして二組の夫婦を使いました。片方は妻が専業主婦なんです。片方は共働きです。そこで比べてみたところが、全く保険料というのが金額は変わってないんですね。そうしますと、やっぱり夫が妻の部分も払っているというのではないんですよね。夫たちが払っているというそういうことなんじゃないのかなと私はそう思うんですけれども、年金局長、その辺の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/87
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088・水田努
○政府委員(水田努君) 基礎年金の拠出金の算定基礎には、三号被保険者すなわちサラリーマンの奥さんの届け出をなされたものを各制度から申告をしていただきまして、毎年の一人当たり拠出額というものを二号の対象者の場合と同じ頭数で計算をいたしまして、それぞれの制度に拠出額の賦課をお願いいたしておるわけでございまして、それは結果的においてだんなさんが負担する保険料の中に転嫁をいたした、このように私どもは理解をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/88
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089・糸久八重子
○糸久八重子君 結果的にはサラリーマンの無業の妻の保険料というのは被用者保険加入者全体で受け持っているんだと、そういうことなんでしょう、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/89
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090・水田努
○政府委員(水田努君) 結果においてはそのようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/90
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091・糸久八重子
○糸久八重子君 どうも厚生省は、女性は夫に扶養されるという意識が非常に強い、平等の考え方が非常に甘いと言わざるを得ないわけですね。
十二日の遺族年金の論議の中で、遺族年金は三十五歳以上の寡婦に四十歳から支給する、しかし若妻には出ませんよと。若妻というのは再婚するであろうし働くであろうからと答弁をなさいましたね。若くして夫を亡くしても必ず再婚するとか、それからまたしなければならないということではないんですよね。将来一人で過ごす場合もこれは十分あり得るし、生き方はさまざまなんです。こういう考え方が貫かれているから、やっぱり三号被保険者というこういうものが生まれてきたんではないかなと、そう私は思います。その辺のところについては厚生省はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/91
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092・水田努
○政府委員(水田努君) 大変進歩的だと言われた山口局長がおつくりになったんで、大変フェミニストでもあったし、そういうことは絶対なかったんではないか、こう私は信じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/92
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093・糸久八重子
○糸久八重子君 ところでもう一つお伺いしたいんですけれども、その三号被保険者というのは国民年金基金には入れるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/93
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094・水田努
○政府委員(水田努君) 一号被保険者で付加年金に加入している方のみ国民年金に加入をする道が開かれている、こういうことで結果において入れない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/94
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095・糸久八重子
○糸久八重子君 そうすると、やはりこれはこの前の論議の中で離婚した場合の例などがありましたが、いつもやはり女性は下積みに置かれていて、そして定額の基礎年金部分だけしか受け取れないと、離婚すれば上積みの職域年金部分も全くなくて定額の基礎年金だけで一生送れと、そういうことになりまして、甚だ同性の女性といたしましてこれらの制度はもっと変えていかなきゃならないなと、そうつくづく思うところでございます。
それでは、男女平等という意味でもう一つ続けてお伺いしたいんですが、これも十二日に同僚委員の質問がありましたが、妻が死亡した場合に夫にも妻と同じ条件で遺族年金を支給すべきではないか、そういう内容の質問がありましたけれども、政府は、我が国の年金制度が世界に誇れる水準に達している、そうおっしゃっておられますけれども、この問題に関して西ドイツとかそれからアメリカ等、諸外国の制度というのはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/95
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096・水田努
○政府委員(水田努君) 急遽の調べで必ずしも正確でございませんが、西ドイツの場合には、老齢年金を受給しているかまたは五年以上の被保険者期間を有している妻が死亡した場合には、その妻に扶養されていた夫はその年齢のいかんにかかわりなく老齢年金の額の四〇%の支給を受けることができるということになっているようでございます。
アメリカにおいては、二十二歳以降死亡時までの期間の四分の一以上の期間年金に加入している妻が死亡した場合、その死亡した妻に生計維持をされている夫が六十歳以上であるかまたは六十歳末満であっても十六歳末満の子を扶養している場合には妻の老齢年金の七五%が支給される、このようになっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/96
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097・糸久八重子
○糸久八重子君 仮に我が国では遺族年金をそこまでする必要はないとしても、現行制度では、夫とか両親とか祖父母の場合に、被保険者が死亡した時点で五十五歳以上になっている者に対して六十歳から遺族年金を支給するということになっていますね。百歩譲っても、夫と両親、祖父母への遺族年金を稼得能力が低下した六十歳から支給するということはやむを得ないとしましても、被保険者が死亡した時点で五十五歳以上になっていなければならないというその必然性は一体どこにあるんでしょうね。
それから、五十五歳以上という支給要件を撤廃して、年齢に関係なく六十歳になった時点で遺族年金を支給すべきだと、そう思うのですが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/97
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098・水田努
○政府委員(水田努君) 私どもは、ヨーロッパと日本の場合はいろいろと社会慣行その他の違いがあろうかと思いますので、同一に論ずることが適切かどうか必ずしもわかりませんが、我が国の場合、妻に扶養される夫というものは働けないだけの身体上の障害がある場合が通常ではないかと思います。そういう方の場合は、おおむね障害年金をもらっておられる方が多いのではないかと一応推測できるわけでございますが、五十五歳以上の高齢になってそういう状態になった場合には、障害年金に該当すればいいですが、しない場合はなかなか就職の機会に乏しい、十分な稼得を得ることができないというような実態に着目して、五十五歳以上というふうに決められたものであろうと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/98
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099・糸久八重子
○糸久八重子君 今の時代はいろいろ変わってまいりまして、これからはやはり妻が積極的に前へ出て働いて夫が家庭にいるという場合もこれは想定できるわけですね。ですから、やっぱり古いそういうこだわり方をなさらずに、これからの時代にマッチしたような制度をこれから考えていくのが一歩前進した厚生省のあり方ではないかなと、そのように考えるところでございます。
細かい問題に入りたいと思いますけれども、障害年金の支給基準が厚生年金と国民年金との間で相違があるという問題なんです。例えば例を挙げますと、人工肛門とか人工膀胱造設者の場合に、厚生年金では造設と同時に支給となりますけれども、国民年金においては体の疲労度等の条件が整わないと支給されない。なぜこのような取り扱いになったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/99
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100・土井豊
○政府委員(土井豊君) ただいまの人工肛門あるいは人工膀胱を装着している人の障害年金の問題でございますが、一級、二級の場合の取り扱いにつきましては厚生年金、国民年金、基本的に同じでございまして、一級の場合というのは、その状態が日常生活の用を便ずることを不能ならしめる場合というような場合に一級、それから、日常生活に著しい制限を受けるような場合は二級というような取り扱いになっております。ただお話のとおり、厚生年金には三級という制度がございますので、国民年金と違う場合が生じておりまして、人工肛門あるいは人工膀胱等を設置すればその方方は日常生活に、今言った一級、二級に該当しないような場合であっても三級の適用をするという違いが現在ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/100
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101・糸久八重子
○糸久八重子君 全く同じ状態でありながら厚生年金では障害年金が支給される、国民年金では支給されない。これは本当に不平等な扱いであると言わざるを得ないわけですが、国民年金についても三級の障害年金を設けるべきではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/101
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102・水田努
○政府委員(水田努君) 一応国民年金は、すべての国民に障害が生じた場合に同じ基準で平等に取り扱う、こういうことで生活能力の喪失という観点からこれはすべて整理がなされているわけでございます。
従来から厚生年金の区分と二級については違いがあって、国民年金の二級の方が厚生年金の二級よりも範囲が広かったのでございますが、そういう点については従来三級で扱っていたものを基礎年金の中に組み込みまして、一部は拡大するということで整理をし、厚生年金の場合の三級というのは、勤労者であるものですから労働能力に障害があるためにやはり従前所得に比して稼得が失われる、それを補完するという意味で、在職老齢年金で低所得者の補完をしているような、やや似たような発想であろうかと思いますが、独自給付として設定をしているわけでございまして、これは厚生年金が勤労者であるという点に着目した独自給付ということでその差については御理解を願いたいと、このように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/102
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103・糸久八重子
○糸久八重子君 今後の課題にしていきたいと思います。
次に、被保険者への貸付制度の問題についてお伺いいたします。年金福祉事業団の被保険者への貸し付けというのは、一九七三年以来住宅資金と限定されておりますね。しかし、最近の教育費の高騰の事情などから、むしろ子供たちの進学や結婚などを対象とした貸し付けを望む声が非常に今高くなっているわけです。貸付制度の用途をもっと拡大して、子供たちの進学や結婚なども対象にした貸付制度を新設すべきであろうと考えますけれども、いかがでしょうか。そしてもう一つ、その貸し付けの限度額についても三百万円程度まで認めていけないものなのだろうか。その二つについて御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/103
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104・水田努
○政府委員(水田努君) 私は年金局長三年半ぐらいになってしまったのでございますが、その途中で、年金福祉事業団で教育ローンができないかということを真剣に一時検討した時期がございました。
ただ、検討いたしますと、やはり年金積立金という貴重な金を使うものですから回収をしなきゃならぬ、こういう問題があるわけで、その担保をどうするか、そういう問題が出てまいるわけでございます。事業主に貸し付けて事業主から転貸をする、事業団は事業主から返済をしてもらう、そういう方法を一時真剣に検討したことがあるわけでございますが、いかんせん最近大変な住宅資金の需要が増大してまいっておりまして、そちらの資金枠を確保するだけでも容易ならざる事態になっておりまして、私どもその教育ローンにつきましては今後ぜひ検討はさしていただきたいと思いますが、限られた還元融資枠の中で今直ちに教育ローンについて採用することができるかどうか、ちょっと現状においては見通しが困難な状況にあるというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/104
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105・糸久八重子
○糸久八重子君 その住宅貸し付けの限度額をもう少し余計にするという考えはいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/105
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106・水田努
○政府委員(水田努君) これは現在加入期間によって限度額がふえておりますが、二十五年以上加入しておられる方は最高千三百五十万円まで借りられるようにしております。これにつきましては明年度も限度額の引き上げということで理財局と交渉をいたすつもりでおりますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/106
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107・糸久八重子
○糸久八重子君 次に、年金の収入が給与所得から雑所得になりましたね。受給者が確定申告をすることが必要になったわけです。本人ももちろんこれは大変だし、また税務当局もこれは非常に事務量がふえて大変だ、そういう状況なんですけれども、その年金収入の雑所得扱いというのはやめるべきではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/107
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108・尾原榮夫
○説明員(尾原榮夫君) 御指摘のように、昭和六十二年九月の改正で、公的年金等につきましては給与所得から雑所得へというふうに変更されたわけでございます。
それで、今お尋ねの点は、年末調整が受けられなくなるので確定申告の事務がふえる、それで年金受給者の方も、あるいは我々の税務当局側も大変ではないかという御指摘でございますけれども、これから御説明するようなことから見ますと過重な事務負担を負わせるということにはならないんではないかというふうに実は思っているところでございます。
第一点は、公的年金等についての雑所得についても源泉徴収が行われているわけでございますけれども、この源泉徴収を行う場合には、基礎控除あるいは年金受給者の世帯構成に応じまして配偶者控除とかいろんな各種控除をきめ細かく入れた源泉徴収制度になっているわけでございます。したがいまして、こういう工夫によりまして免税額と源泉徴収税額が大きく変わらないという仕組みになっているということが第一点でございます。
それから第二番目に、年金受給者の御夫婦の場合の課税最低限でございますけれども、六十五歳以上の場合で三百一万八千円になっているわけです。一般の勤労者、給与所得者の場合、御夫婦で課税最低限は百九十二万八千円ということになっておりますので、非常に高い課税最低限になっているわけでございますね。したがいまして、多くの年金受給者はこの線に達しないということが言われるわけでございます。したがいまして、こういう方は扶養親族の申告書を年金支払い者に提出いたしますと、そもそも源泉徴収をやっていただかなくてもいいということにもなっているわけでございます。
それから最後に、公的年金以外にいろんな所得のある方々がおられるわけでございまして、こういう方々は前からやっぱり確定申告をしていただいているということでございますので、新たな事務負担がつけ加わるということは余りないのではないかというふうに思っております。
したがいまして、ことしの三月初めてこの申告が行われることになったわけでございますけれども、税務署の窓口でも混乱したということはなかったようでございます。ただ、新しい方式へ移行したことは事実でございますので、こういう課税制度になりましたというその周知徹底、広報の面ではさらに努力させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/108
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109・糸久八重子
○糸久八重子君 たまたま私の身辺は共済年金受給者が多いものでして、非常にこの問題が大きく取り上げられまして、確定申告についての学習会を持ったりで大変な騒ぎであったわけなんですね。そういうことなので、ちょっとこれをお伺いをしてみたところでございます。
それでは、あと大分まだ残りがあるんですが、それをやりますとまた時間がオーバーしてしまいますので、その辺ははしょりまして、これはこの法案審議に関係がないことなのですが、緊急な問題でございますから取り上げさせていただきたいと思います。
これは国立病院の再編成に対することでございます。国立病院・療養所再編成のための譲渡の第一号になりました鹿児島の国立療養所阿久根病院、これが民間移譲になったところですが、この問題をめぐって、譲渡を認めた市議会は民意に背いている、そうして市議会の解散を求めましてリコールが成立をいたしました。そしてこの月末には市議会の選挙というところまできておるところでございます。
一九八七年の国立病院再編成特別措置法審議の際に、地元関係者のコンセンサスを得られるまで見切り発車をしない、市民の合意を得ないと移譲はしない、そのように当時の斎藤厚生大臣が答弁をしております。地元住民の反対が強い中で譲渡に携わった戸井田厚生大臣、リコール成立についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/109
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110・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) この法案審議の過程で、私も当時社会労働委員会の理事をしておりまして経過をよく存じております。斎藤大臣の答弁についても私もその場で聞いております。
それで、結局どういうコンセンサスを得るかということが問題だと思いますが、再編成計画を発表したのは六十一年一月九日に発表いたしました。その後、再編成に伴う特別措置に対する法律が翌年の六十二年十月十七日に公布されて、そして同時に、その二カ月後に、これは出水郡というのですか、郡の医師会が厚生大臣に阿久根病院の移譲を要望してまいりました。それからさらに翌年の六月、半年後に、市議会が阿久根病院の医師会移譲を決議いたしまして、厚生大臣へ意見書を提出してきました。それから六十三年六月三十日には、阿久根地区の医療問題協議会、そして医師会等が移譲に賛成しておられる。それからさらに十二月に、国立病院廃止の反対の陳情に対して阿久根市議会が不採択をしている。それで、阿久根市長が医師会移譲を了承する旨の市議会で答弁をいたしておりますし、同時に、今度はその上部機関である鹿児島知事が市議会決議を尊重する旨の答弁をしている。その間には、厚生省と地元との間に何回も行ったり来たりして話し合いもしているわけであります。
その結果、最終的に厚生省、そして鹿児島県、阿久根市、県の医師会、郡の医師会、十月一日を目途に医師会への移譲手続を進めてきたわけであります。ちょうど私が就任した当時、やはり住民の非常に大きな反対があるということで、さらに厚生省からも担当の責任者を派遣してその実情調査もいたしましたし、いろいろな手続を経た結果、既に移譲を決定しておるものでありますから、十月一日に医師会への手続を進めることで了解をいただいたわけであります。
その後、ちょうど御指摘のように市議会リコールの問題が起きまして、そしてリコールが成立をして、今度は市会の選挙が行われる。その結果を見るというと、やはり住民と市議会の決定の中にいろんな違いがあったことはリコールが成立したということで理解できますけれども、私どもといたしましては、十分なコンセンサスを得るという手続の中には、やはり市民を代表する市議会、それから市長、さらにその上部機関である県、そういったところの御意見というものが移譲を早くしてくれということでございますので、最終的な判断をいたしました。その後の結果を見るというと、一方リコールは成立いたしましたけれども、そこで働いている人たちが順調に運営されておりますし、医療のスタッフの増員等により地域医療もむしろ充実をしてきたということであります。
でありますから、リコールの問題につきましては、やはり市議会の選挙ということが今行われているわけでありますから、自治体と市民との問題として別にさらに結論が出ることと思っております。これによって住民に医療のサービスの上で手落ちがあってはいけませんので、私どもは十分監督をしてそういう手落ちのないように努力をしていきたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/110
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111・糸久八重子
○糸久八重子君 大臣はさきの衆議院の予算委員会の中で、トラブルがないよう指導している、そういう御答弁をなさいましたけれども、具体的にどのような指導をなさっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/111
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112・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 今申しましたように、担当の責任者である局長も派遣をして、地元との折衝状況等いろいろと踏まえまして、できるだけの努力を継続してきたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/112
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113・糸久八重子
○糸久八重子君 一応譲渡ということで決まったようなんですが、今一番問題になっているのは阿久根病院の旧職員ですね。
そこで、今のところ二十二名は転勤をして、そして十六人が、近く二名が加わるそうなんですけれども、片道二時間もかかる加治木病院に通勤をしているということなんですね。ですから、往復四時間のバスでの通勤というのは、朝出発が六時十分なんだそうですけれども、大変困難でだれでも通勤できるという状態ではない。現在、就職がまだ確定していない方たちが五名いるということなんですけれども、当然この方たちは身体的や家庭的な条件をいろいろ抱えているんですね。例えば現在妊娠中であるとか、身障者の年寄りを抱えているとか、それから幼児を抱えていてバス停まで非常に遠いとか、それから夫が不定期勤務でもって三人の子供の世話をするのが大変だとか、いろいろの事情を抱えているんですけれども、これらの人たちについてどういう処遇をしてくれるのか、厚生省の見解を聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/113
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114・伊藤卓雄
○政府委員(伊藤卓雄君) 今御指摘の旧国立療養所阿久根病院の職員のうち、退職された方を除きますと、他の国立療養所あるいは病院への転勤の御希望が出されましたので、全員そういう御希望に沿いまして、意向調査に基づきましてそれぞれ転勤をしていただいております。
ただ、地元で特に就職を御希望の方につきまして雇用をどうしていくかということで、実は九州地方医務局に雇用対策委員会というものを設置いたしておりまして、ここから随時近隣の自治体あるいは地元の医療機関等に出向きまして働きかけるという形で就職のあっせんに努めておるところでございます。しかし、例えばどうしても公立病院でというようなお話があったりいたしますとか、そういった場合には定員のあきがないとかあるいは高年齢のためになかなか条件が折り合わない、こういった厳しい状況もございまして困難ではございますけれども、私どもとしては今後とも努力を続けてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/114
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115・糸久八重子
○糸久八重子君 確かに、まだ決まっていらっしゃらない方たちのいろいろ希望を聞いてみますと、市内の病院等に勤めたいんだけれども年齢制限にひっかかってなかなか思うようにいかないという部分もあるんですね。やはりこれは自分の意思でこういう形になったわけではないんですから、例えば年齢制限等についても厚生省の力で、例えば二十七歳まででなければならないというような、そういうような条件は厚生省として何とか考慮するように指導していただきたい、これは希望でございますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/115
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116・伊藤卓雄
○政府委員(伊藤卓雄君) 私どもは、これは相手がありますことでございますので、相手との折衝ということになるわけでございますけれども、実際に履歴書等を持ちまして従来からの責任者等が逐一回っていくという形でお願いをしておりますので、そこで先ほど申し上げましたようなあきがあるとかないとか、そういった問題もございまして、ちょうど時期的にも中間的な時期でもございましたので条件はなかなか難しゅうございますけれども、精いっぱい努力をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/116
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117・糸久八重子
○糸久八重子君 どうぞよろしくお願いいたします。
それでは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/117
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118・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 両案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後一時二十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/118
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119・浜本万三
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案並びに被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/119
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120・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 私は、前回、年金改正の政府原案、特に六十五歳支給という支給開始年齢の五歳繰り延べというのは、労働者、国民の反対が大変強くて、まさに民意によって否定された結果になったということを申し上げました。六十五歳支給がいかに国民の実情に合わないか、これは本委員会でも同僚の方からも随分論議をされました。私も、地方自治体等に代表される意見書等を紹介いたしまして、六十五歳支給の国民の強い反対の意思表示というものを明らかにしてまいったところでございます。
私は、六十五歳支給という五年延長というのを論議する角度を考えてみて、二つ視点があるんじゃないかと思うんです。その一つは、定年制や高齢者雇用の現状から見てどうなのか、もう一つは、将来はどうなるのか、こういう点が必要ではないかと思うわけです。そこで、政府は将来の問題については、六十歳台前半層の雇用の確保というのは努力をするとおっしゃっておられますけれども、可能なのかどうか、その点をそういう角度から論議をしていきたいと思うんです。
労働省にお聞かせをいただきたいんですが、定年延長に本格的に労働省がお取り組みになったのは何年ごろからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/120
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121・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 定年延長、特に定年制を六十歳に引き上げるという行政指導はかねてやってきておりますけれども、一つの目標を掲げて始めたのは昭和五十四年ころでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/121
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122・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そうしますと、もう十年近く努力されて、いわゆる定年延長が法律で施行されてからもう丸四年になりますね。それで、今日なお六十歳定年制の普及状況というのは、何回も言われておりますように六一・九%ですね。いわばまだ四〇%近くの企業が六十歳定年制さえ実施されていないというのが実情でございます。ここ十年の間の定年延長の推移を見てまいりまして、いわば御努力をされ出してから十年間、その間に二二%ほど普及をしたわけです。こういうテンポでいくということだけではないでしょうけれども、しかし今後の課題として、労働省としては六十歳定年制の完全普及、これについてのめどをどこへ置いておられるか。三年後に完全普及のめどをつけるのか、五年後につけるのか、そのあたりはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/122
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123・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 六十歳定年の定着へ向けての努力目標は平成六年に置いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/123
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124・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 平成六年に完全定着をさせたい、それが行政目標になりますね。これがどうなるのかという問題もありますが、その上に私非常に気になるのは、六十歳定年制の普及状況というのは地域格差が非常に大きいということを資料によって拝見いたしました。
これは労働省からいただいた資料でございますけれども、全国平均で六一・九%。それが例えば一番低いのは青森でしょうか、三九・三%ですね。そして東北のあたりは大体四二%、五一%というふうに低くて、それに四国、九州等も四〇%台、五〇%台、割合低いです。そういうことになっているわけですね。年金の支給年齢というのは法定でございますから、全国一律に定められているわけですね。こういう地域格差というのは、もう年金の支給年齢には考慮の余地はないと思うんですけれども、そこで厚生省、こういうことも十分お考えの上で六十五歳支給年齢の延長の原案を御提出になったのでございしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/124
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125・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 決して行き当たりばったりにやったわけではなくして、六十一年の閣議決定でも長寿社会対策大綱、この中に「六十歳定年の定着及び六十歳台前半層を含めた高齢者の雇用・就業の場の維持、拡大を積極的に推進し、当面、六十五歳程度までの継続雇用を促進する。」という閣議決定もいたしておりますし、また一方、第六次雇用対策基本計画の中でも、六十三年六月の閣議決定で、平成四年までの五カ年計画の中で、「六十五歳程度までの継続雇用を中心として高年齢者の雇用・就業の場を確保することが重要な政策課題となっている。」、そういう政府としての大きな方針を既に決定いたしております。
しかも、年金の一番大事なことは、安定した給付、そして基盤、こういったことが重要な課題でございます。一方、給付面あるいは負担面、そういう関係、もう一つは支える人と支えられる人のバランス、こういった意味で今回の場合にはそういうことを見越しながら、政府の大きな方向性とともに年金も将来計画を立てようということから段階的にスケジュールを決めて、平成二十二年までに六十五歳に移行する、こういう決定をして提案したものでありまして、決して場当たりに出したものではなく、同時にまたこういったことは、年金制度がそういう方向へ行くことによって、国民の多くの人が希望している六十歳台前半層の雇用確保に前進をしていくのである、私どもはかように考えております。
また現実の問題としても、現在は六十歳、法律には六十五歳と書いてありますけれども当分の間六十歳ということになっておるわけでありますが、その六十歳の段階でも、御承知のとおり六十一歳から六十五歳まで開始されている年齢は異なっても、平均して六十二歳まで前進をいたしておりますので、そういった総合的な勘案も慎重になされているということを申し添えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/125
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126・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 大臣、大変丁寧な御答弁をいただいたんですが、私お伺いをしましたのは、例えば地域格差があるというふうなことで、それは六十歳なら六十歳、六十五歳なら六十五歳支給というのは、東京におる人も六十五歳支給になれば青森の人もそうなるわけだから、そういう点では地域の経済条件、雇用環境の違いということによって、その地域にお住まいの方は大変迷惑をこうむる結果になると思うんですが、そういうことが法案提出の際に御勘案になっていたのでございましょうかということをお伺いしたんでして、その辺はどうでしょう、局長で結構ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/126
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127・水田努
○政府委員(水田努君) 私どもは、年金制度は御案内のとおり画一的な制度でございますので、全国的に総じて平均的な雇用年齢の上昇に見合って段階的に引き上げるということを考えているわけでございまして、地方による構造的あるいは季節的、摩擦的な雇用問題というのは、それぞれの地域の季節的あるいは構造的な雇用対策によって対策が講ぜられるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/127
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128・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 そういう点で、六十五歳にするということは地域的なアンバランスから考えても極めて適切でないなということを私は申し上げているわけです。
時間を気にいたしますので前に行きますが、結局労働省といたしましても、平成六年に六十歳定年の完全雇用を定着させたいという行政目標をお持ちになっている。将来の問題について考えてみますと、政府原案では、年金は二〇一〇年、平成二十二年から六十五歳支給ということであったんですね。六十歳定年制の普及というのが今平成六年と言われたら一九九四年ですか、それから二〇一〇年の間といったらせいぜい十五年程度でございますが、その十五年程度の間に六十歳台前半層の雇用が本当に保障できるかどうか。
これは労働省どうお考えですか、端的にそういうお約束ができるというふうに確約できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/128
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129・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 高齢者、六十歳台前半層を含めた高齢者の雇用を進めることは重要な政策課題であると認識いたしております。ただ、その手法につきましては、六十歳までにつきましては、我が国の雇用慣行等を尊重しつつ定年の引き上げという形でやっていく。それについて平成六年度という目標を置いているわけでございます。
これとあわせまして、六十歳台前半層の雇用につきましても、多様な高齢者のニーズを考慮しながら計画的、段階的に六十歳台前半層についても今から取り組んでまいりたい、こういうことが私どもの気持ちでございます。
したがいまして、計画的、段階的に最大限の努力を尽くしつつ、現在の人生八十年時代にふさわしい、あるいは近い将来若年労働力が不足していくというそういう雇用環境の中で、六十歳台前半層を含めて、最大限の努力をしてまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/129
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130・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 行政目標はとにかくはっきりしておるわけですね。六十歳定年制は平成六年までにという、これが行政目標ですね。その後は段階的に努力をするということなんですね、今のお話聞いたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/130
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131・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 雇用を進めていくやり方といたしましては、やはり現実の労使関係もございますので、計画的、段階的にやっていくということが必要だと思っておりますが、六十歳台前半層についても今から積極的に取り組んでまいりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/131
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132・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 それで、六十五歳の雇用確保というんですか、六十五歳まで努力をするとおっしゃるのだけれども、六十歳台前半の雇用確保というのは、国民はそんなに簡単にできるかということでやっぱり疑念を持っております。それは現状から見ますと、やっぱり根拠があると思うんです。
労働省、六十歳台前半の雇用状況を見ますと、これは労働省からいただいた六十三年度雇用管理調査結果速報というのを拝見いたしましたが、これによりますと、例えば六十歳台前半の方々については、勤務延長制度、再雇用制度の対象となる労働者の範囲ということで御調査をなさっております。
六十二年度の調査結果を見ますと、勤務延長制度というのは、これは原則として希望者全員というのはわずかに三一・一%、五千人以上の規模の会社では九・一%。それから再雇用制度というところでは、全企業平均で二二・三%ですね、これが原則として希望者全員ということになっているんです。その後、会社が特に必要と認めた者に限るというのが平均で四五・二%ということになっておるわけでございまして、それが労働白書にはこういうふうに書かれています。
「勤務延長または再雇用する場合の適用の範囲をみると、勤務延長制度と再雇用制度でやや異なるが、「会社が特に必要と認めた者に限る」とする企業が制度のある企業全体の五〇%弱を占めもっとも多く、「原則として希望者全員」とするものは三〇%前後にすぎない。このほか、二〇%弱の企業では「会社が定めた基準に適合する者全員」としている。」ということで、「大企業ほど「会社が特に必要と認めた者に限る」または「会社が定めた基準に適合する者全員」とするものの割合が高い傾向が見られる」ということでお述べになっておられるわけでございます。
したがって、労働者全体が勤務延長や再雇用が保障されているというわけではないんですね、今の状況を見ますと。会社が特に必要と認めた者しか再雇用されないというのが現状だということでございます。
ここでちょっと聞いておかなきゃいけませんが、御努力をされるとおっしゃるんだけれども、この状況というのは改善される見通しをお持ちでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/132
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133・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 継続雇用あるいは再雇用の現状について、なかなか解決しなければならない課題があるということはただいま先生が数字でお示しになったとおりでございますが、私どもといたしましては、若年労働者が不足傾向にある中で、また高齢者の活力を生かしていくという世間的な意識が高まってきている中でこういう問題を解決していかなければならないと思っておりますし、そういう客観情勢は熟しつつあるのではないかと、こういうふうに認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/133
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134・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 思いますしではあかんのですね。国民が信頼できないわけで、国民がそう甘くないと思っているというのは生活の実感から思っているところですね。
六十歳台前半層の雇用確保をするということを今後も努力をしていくとおっしゃるんだけれども、私は雇用確保の努力をするという場合には相手のあることだと思う。相手というのは雇う側、経営者でしょう。経営者というのはそんなに甘くないということなんですね。
たまたま日本経営者団体連盟の高齢化問題研究委員会中間報告というのが本年十日二十四日に出されておりますが、これによりますとこんなふうに述べております。「企業としては、一律的な定年延長、雇用延長は容認しがたい。したがって、定年後の六十歳台層の雇用は再雇用を原則とし、再雇用に当たっては、従前の賃金にかかわらず、その時点における個人別・能力別契約賃金で行くべきである。」「活用に値するキャリア形成がなされなかった高年齢者については、再雇用機会が保障されない可能性が生じる。」と、こういうふうに日経連の文書では述べておられます。
現在の雇用管理、再雇用するかしないかというのは、まさにこの文書で拝見する限り企業の裁量の問題としてこれをやっていくんだという構えですね。
その中で、今も読み上げましたけれども、賃金は下げますよと、それで再雇用の機会は全員に保障するのは無理ですということを言明しているんですね。
これは労働省御承知だと思いますが、厚生大臣、こういうことになっている。雇う側の相手が、いやそれはそういう高齢化社会ですからちゃんと全員定年延長やります、再雇用やりますというようなことを言ってない、こういう事実というのは御存じでございましょうか。また、こんなことをごらんになってどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/134
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135・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 私も新聞を通じてでありますがそういった方向の話を聞いたこともありますし、雇用を確保するということは、やはり経営者側には経営者側としてのいろんな社会的な雇用確保の責任もありますし、また経営の安定ということもありますし、いろいろなバランスの中にやはり経営者というものは当然社会的な責任といいますか雇用を確保するという努力は経常的に払われていくものと思うし、現に経団連、日経連の幹部の人たちも雇用のことについては、法律で画然と義務のように決定をされるということは非常に困難であるけれども、しかしながら我々はそういった方向に向かって六十歳台前半の雇用を確保するために努力をしていくという、その方向も一方に明らかにしているわけであります。
ですから、やはり国全体としてその方向を目指して進んでいく努力を重ねていかなければ、そう簡単に法律で決めたからといってできるというようなものではない。それだけの努力というものが常に払われていって結果的に六十五歳という、あるいは六十歳台前半の雇用というものが確保されてくる。国民全体がやはり同じような期待も持っておりますし、できるならば長く働きたいという希望も持っておるわけでありますから、そういった総合的な中に一歩一歩前進して結果的には六十五歳というものを目指して定着を求めていくんだと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/135
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136・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 年金の支給開始年齢を六十五歳に引き延ばす、六十歳定年が定着していませんけれども、六十歳定年になったとして五年間の乖離が問題だというのがさんざん論議されてきた。それは努力をしますというお話なんですが、努力をするというのは、これは相手があっての話で、相手がその気にならなかったらその間の労働者の乖離というのは大変ひどいことになるので、これは六十五歳というのは大変だということで国民の総スカンを食ったわけでございます。
さらに、これ読んでみて重要だなと思ったのは、こう言っているんですね。これは十九ページに書いてありますけれども、「雇用延長が無理と思われる職務・職種」というようなことで、これは電機産業のC社は現業関係とか非現業関係とか中身が書いてあります。それから自動車産業のDは車両組み立て職種などと、それからEという会社ですが、これは現業職、それから私鉄F社は「一般論として、六十歳過ぎての労働は無理な面があり、従業員も望んでいない。」というふうに、雇用延長はこの職種では無理と思われるというふうに明確に言われているんですね。
そういうこともあろうと思うんです。大きな産業でなくとも、このほかに例えば女性の職場である看護婦さんなども、私も仕事の立場上よく知っておりますけれども、看護婦さんが六十五歳で夜勤を三交代でやるなんてことは不可能だというふうに思いますよ。したがって、はっきり雇う側が雇用延長は無理だと言っているわけですから、これは政府がこれから努力をなさるとおっしゃってもそう甘くないと思う、率直に申し上げて。
そこで、大臣、今日本の働く人たちの中には過労死というような言葉が国際用語にまでなっている時代でございますが、我が国の労働の実態というのは大変ひどいわけですね、超過密、長時間労働。こういう中で、我が国の定年も六十歳がまだ六割程度しか定着していないという状況でございますから、少なくともこういった労働者の置かれている状況を見まして、国民的合意が成立するまで六十歳支給というのはこれは堅持するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/136
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137・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) その職種によって比較的高齢になってもできる職種もあるし、あるいは非常に体力を要する例えば炭鉱のようなところで、そういう環境の中で働いていくという者がやはり同じように長い間働くということが適するかどうかということは、それぞれの職種によっていろいろな問題があると思います。そういう中で、我々は雇用というものがトータルとして確保される方向を求めていかなければ、いつまでたっても六十五歳の確保というものはできないと思います。
そして、御承知のとおりその環境の中で一層困難なものだけを求めていくという選択でない場合もあり得ますし、比較的重労働に向かない年齢に達したときには、同じ企業の中でもそういった困難な職種でないところに移って働くということもできるし、いろいろなそういった選択を組み合わせなければ、画一的に一番条件の悪いものだけをとって、そういったもので困難ということではなくして、全体的にやはり考えていくべきものではないか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/137
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138・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いや、私が条件の悪いのを申し上げているんじゃなくて、日経連のこれに書いてあることを申し上げているんで、甘くない。だからそういう六十歳台前半層の就労環境というのは極めて困難だということを雇う側の相手が言っているんだから、これは甘くない情勢だと。そのことを国民も知っているからあれなんですが、だから六十歳支給というものを堅持するべきではありませんかということをお尋ねしたんですよ。それは一言お答え願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/138
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139・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) もちろん、年金と支給開始年齢というものは雇用と切り離して考えられる問題でありませんから、常にそのことは考えながらおるわけで、今回の案もいわゆるスケジュールを立てて、そしてその状況を見てもう一度国会で御審議をいただいて、状況が熟しているということであればその段階でゴーのサインをいただく、こういう二段階にスケジュールを立てているわけで、決してどんなことがあっても無理に突っ走ろうといった案ではなかったわけであります。そのために段階的にスケジュール、それから実施の段階、選択を二段階に分けているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/139
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140・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 六十五歳支給への支給開始年齢の延長というのがいかに我が国の雇用、労働実態と乖離しているかということを一つ指摘したわけです。
次に私考えますのに、例えばこんなに国民が反対するのに、六十五歳支給ということで五年の支給開始年齢の延長だとか、もう払うのがたまらぬと言われているような状況の中で保険料の引き上げ、あるいは年金財政の制度間の調整というようなことを出してきているわけですね。
それは考えてみたら、これはつまるところは年金の財政、財源問題になってくるんではないかと思うんですね。国保問題も本委員会でも論議をされましたが、きょうは私時間がありませんから詳しく言いませんけれども、前回にも指摘をいたしましたように、前回六十年改正のときに結局基礎年金構想になって、あれは四十年間で約十二兆円国庫負担を減らすという結果になったわけですね。だから、そういう状況で保険料が高くてしようがないと言うているんだから、これは当然のこととして今基礎年金の三分の一のものを二分の一に改善をするとか、国庫負担をふやすということについてやはり考えていかなければならない、これが大前提だと思うんです。
もう一つ考えてみたいと思うんですが、厚生年金について過年来の改正のいきさつを見てみますと、いろいろと制度の整備などをされてまいりました。しかし財政対策だけはこれは変わってないんですね。考えてみると、現在年金財政というのは保険料と国庫負担ですね。保険料の徴収方法というのは、これは労働者一人一人の人頭割なんですね。その労働者の賃金に対して保険料率を掛ける、その労働者数というのが保険料の徴収方法になっておりますね。
この方式というのは、今日の日本の社会では不公平になってきているんではないだろうか。なぜなら、機械化、合理化等がどんどん進められて、労働者が総体的にどんどん減らされていきますね、一企業から。減らせば減らすほどその減らした企業はその保険料の負担が軽く済むという結果になっているわけです。今日、大企業というのは国際的な規模で活動しておりますし、生産性の向上というのは我が国の企業というのは世界一の水準になっています。合理化を徹底し、生産性を上げている大企業も中小企業も同じように人頭割で保険料負担をするというのは、これは時代おくれというか不合理ではないのかなと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/140
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141・水田努
○政府委員(水田努君) 年金はその人に払った賃金をもとに保険料を取り、それを年金額の計算の基礎としてお支払いする仕組みにたっているわけでございまして、収益率の高い企業であれば当然高い賃金が払われ、それに応じた本人の保険料負担、それから労働者を雇用する事業主の雇用責任としての事業主負担をするほか、一方法人税というものも払っているわけでございまして、その法人税が一般会計を通じて基礎年金の国庫補助の財源として回っているわけでございます。現在の仕組みは私どもは大変合理的なものであって、むしろそれ以外に別途の観点から、付加価値その他によって年金の仕組みと別の次元の要素を組み込むことの方が私どもはむしろ不合理ではなかろうかと、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/141
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142・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いや、収益を上げている大きい企業は法人税をたくさん払って、たくさん払っているかどうかはまた話が別ですが、今回はそれが中心じゃないから。それが国庫負担として入っているんだから同じだとおっしゃる。それは暴論なんですよ。そうでしょうが。税金というのは応能負担、保険料というのは労働者一人一人の人頭割なんです。それで労働者だけではなしに折半ですからね、我が国では。労働者が出す分と同じだけの分を企業が出しているわけです。そんなもの人数が減ったら企業負担が減るのは当たり前やないですか。余り時間がないから言うてられないので、次へ行きます。
大蔵省の財政金融統計年報の製造業資本金規模別売上高に占める福利厚生費の比率というのがある。これを見てびっくりしましたが、それを見ますと、昭和六十三年度、製造業で資本金二百万以下の企業ではこの福利厚生費の比率は二・五%、一億円から九億円以上のところでは一・九%、そういうことになっている。だから、資本金二百万以下の小企業と十億円以上の大企業では小企業の方が大企業の一・三倍の福利厚生費の負担をしているわけです。逆に言うと、大企業は小企業の負担の七六%程度の負担で済んでいるわけです。なお、この福利厚生費というのは法定福利費だけではなくて、会社独自の福利厚生費が含まれておりますから、この場合の福利厚生費は大企業と中小企業でほぼ二対一になろうと思います。
この点を考慮すれば、大きい企業と小さい企業の間の負担の格差というのは明らかに大きくなってきているんじゃないかと。これは事実数字によって示されているわけですが、局長、こういう傾向になっているということは御理解になるでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/142
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143・水田努
○政府委員(水田努君) 確かに、一億円以上の企業が大企業であるかどうかわかりませんが、御指摘の資料を見ると御指摘のとおりでございますが、ただし全産業で見ればほとんど差がないわけでございまして、恐らく製造業で人手不足でございますので、これがすべて法定福利費の比較であれば御指摘のとおりかもしれませんが、法定福利費以外の厚生福利、中小企業の方は規模が小さければ小さいほど、現在人手不足でございますので、人集めにいろんな福利厚生面で金を使わなければなかなか人集めは大変だなと、こういう結果が出ているんじゃないかというふうに私は拝見をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/143
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144・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 事実なんだから、そういう傾向になっているなということぐらい認めたっていいじゃないですか。あなたのところの統計じゃないからといったって、そんなつべこべと、人手不足だって今の話だけしているんじゃない。国民経済の視点から見ても、こんな大きな企業間格差というのは、年金財政負担の企業間格差が果たして妥当と言えるか。
それではもう一つ資料を出しますよ。これは通産省の工業統計を見ますと、六十二年度の製造業の全従業員数は千七十三万人です、この統計では。そのうち一千人以上の規模、これは百四十万人、この千七十三万人の中の百四十万人というのは一三%になります。ところが、製造品の出荷額の合計が二百五十三兆円なんですが、千人以上の規模の工場での出荷額が六十四兆円、つまり総出荷額の二五・六%です。つまりこの数字の示すところは、従業員千人以上の規模の大きい企業が一三%の従業員で、製造出荷額の二五・六%を占めている。率で見たら、製造業の八分の一の労働者で四分の一の出荷額を生み出していることを示しているわけです。
この点から見ても、まず中小企業と大企業と同率の保険料率というのはおかしいじゃないかということになりませんか。
もう時間がないからもう一つ続けて言いましょう、もっとはっきりさせていくために。同じ工業統計から見ますと、労働者一人当たりの付加価値額、従業員規模二十人以下のところでは従業員一人当たりの付加価値額は五百六十一万円、千人以上の規模では千五百十一万円、約三倍なんです。労働者一人当たりの稼ぎの格差だって同じ製造業でこれだけ違う。これで人頭割だけで果たして公平な保険料負担と言えるか。やっぱり大きな企業からは、力があるんだから、高齢化社会に対してそれにふさわしく適正な拠出を求めてもよいのではないか。私はこれは検討課題ではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/144
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145・水田努
○政府委員(水田努君) 御指摘のとおり、付加価値に三倍近い開きのあることは事実でございますが、その付加価値の中から賃金も払われ、利潤も生まれ、あるいは法人税も払われ、こういう形になるわけでございまして、何か先生のお話を聞いていると、厚生年金の保険料は均等割保険料みたいに聞こえるのですが、応能割保険料でございまして、付加価値から高い賃金が払われれば、それに応能した保険料負担を労使いたしているわけでございまして、経営者側も半分負担しているわけでございますので、しかも法人税も納める、こういう形に相なるわけでございまして、これだけをもって厚生年金の保険料のあり方の当否が云々されるのはいかがなものかと、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/145
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146・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 いや、そんなことをおっしゃるけれども、特別の拠出を求めるのは余り不自然なことじゃないと私は思うんです。
例えば、現に法人税にしたって、大企業と中小企業の異なる制度が新しい制度でもできていますね。それから、労働省の各種の補助金でも、大企業と中小企業の補助率というのは異なるものがたくさんありますよ。大企業が二分の一の場合に中小企業には三分の二、大企業が三分の一の場合に中小企業には二分の一、そういう格差があり、中小企業には厚くしているというふうなこと、これはもう現に制度としてあるわけです。だから、そういった企業間の格差をつけるということは決してこれは不合理ではないと思うんです。
局長、私は保険料が応能割でないということを言ってないんです。人頭割だと言っているんです、さっきの御説明の中に出ましたが。現在の人頭割の制度というのは、いわゆる資本主義のこういう制度ができて初期の段階というのは比較的公正であったと思いますよ。しかし、今日の日本の社会経済の状況を見てみなさい。企業の国際化あるいは機械化、合理化、生産の高度化、こういう時代になって考えてみなければならないのではないかということを私は御指摘を申し上げている。
例えば、これは余り時間がないからゆっくり言えませんが、かつて愛知県の無人工場というところを視察したことがございますが、そこへ行ったら二十四時間とにかくロボットが一人で仕事をしているわけです。一人というか、ロボット工場で。生きた人間、労働者が三十四時間の間にまともに動いているかというと、守衛さんが電灯を持って見回りに行く。真夜中、真っ暗でどんどんロボットが動いて機械がつくられている。よく聞いてみましたら、そこで人間が働いたら二十人くらい働く。全部ロボットになって、ロボットにやらして無人工場化したら、その見回りの人と、そして切り粉だけは機械で取れぬらしいですね。私も知らなかったけれども、機械工場では切り粉が出ますね。これは人間の手で集めなきゃならぬということで、切り粉を集めるのだけは人が使われるというわけです。
そこはどんどん出荷額は上がりますね。しかし、保険財政で見たら全くゼロですよ、それは。その切り粉を集める人とランプを持って見回りに行く人の分だけしかないわけです。そういうことになってきたら、今日の社会でまともかどうかということが問題にならざるを得ないわけです。
だから、かつてこれは六十年三月の予算委員会でも、これはロボットに対してもひとつ見なきゃいかぬと、保険料や年金なども、という論議も起こって、時の増岡厚生大臣は、将来に向けて検討すべき課題であると思っていますということをお答えになっているわけでございます。
私は、やっぱりこういう高齢化社会に対して大きな企業から今日の社会経済の中で特別の応援を求めるというふうなことは、高齢化社会高齢化社会と言っているんだから、年金についてもそういうところからも応援を求めるのは不自然ではないんじゃないかと思うんです。こういう視点で検討をされていくということになれば、私は国民にとっても年金財政についての理解も深まるし、一定の納得も得られていくんではないかと思いますが、大臣、研究の一課題としてお考えになったらいかがなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/146
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147・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 大変高邁な理論を展開していただいたんですが、私は今のお話を聞いてみるというと、人に働いてもらって企業を経営しているときから、今度は人よりも機械を重視して、機械が働くようになって人数がだんだん減ってくる。年金は人に与えられ、人が権利と義務を取得するものだから、当然人に働いてもらっていれば年金の半分を企業がやる。ところがだんだん機械化してくるというと人がいなくなってくるんだから、極端に言ったら、全部がロボットでやってしまったら、その会社では年金をもらうのは社長と重役と何人かの者だけじゃないか。だから、そういう高付加価値を持っている会社というものは、もっともっと年金の上やあるいは何か特別の負担をしたらどうかということだと思うんです。
確かに一面の見方だと思いますけれども、これは年金というものは社会保険方式をとっておるわけでありますから、これが税方式でもとっていればそういったこともあるいは考えの一つになるのかもしれません。しかし社会保険方式をとっているんだから、当然そういった会社は働く人件費が減ってくるだけ高利潤を得られるんだからもっと税金を取れというんだったらよくわかりますけれども、そこの人がいないところに年金というものの負担をせいということは、ちょっと僕にはどうかなというような感じがします。
ただ、その現象、従来の日本の資本主義のまだ発達の未熟な時代から今日のような高度に発達した時代における物の見方の一つとしては、今お話を聞いて、ああなるほど、ああいう見方もあるんだなというようなことはよくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/147
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148・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 私は税金取れと今ここで言うてないんですよ。
というのは、例えば国鉄共済の問題でもその一つのあらわれなんですね。だって、六十万おった労働者が今二十一万なんですよ。一一十一万の労働者が四十七万の共済年金を払わにゃならぬから三千億の赤字だと。そんなこと年金の受給者も何の責任もないわけですよ。それを社会の変化によってとおっしゃっている。社会の変化によってだけれども、労働者の数が減ったら当然のこととして保険料は減るわけです。当局だって負担額が長い間減ってきた、得をしてきたんだから、どんどん減らしたというのは国の責任なんだから、国と今のJRで責任を持つのは当たり前な話なんですよ。それを何の縁もゆかりもないというか、何の関係もない一般の労働者の厚生年金から穴埋めせいというたって、それは話が違うといって理解できないのは当たり前なんですよね。
そういう問題と直接関係があるんですよ。だから私は財源問題として考える必要があるんじゃないかということで、これ何も詰めているわけじゃないんです、発想の転換をする時期ではありませんかということを申し上げているんです。
大体、年金財政というたらあれでしょう、何や数理委員会やらつくって、それで金がちょっと足らぬなということになったら渡すのを五年間延ばそうか、それでも足らぬのやったら保険料上げようかと、そんな芸のないそろばん勘定みたいなことだけやっていたら国民の理解は得られないというところへきているということを私は申し上げている。
だから、そういう今日の社会の中でやっぱり国民が安心して、高齢化社会を迎えるに当たってお年寄りが安心して生活をしていくためにはどうあるべきかということを財源対策についても考えていくべきだ。減らした国庫負担については、ちゃんと基礎年金についても三分の一じゃなくて二分の一にふやしていくという問題、あるいは今日の社会経済の異常な大きな発展の中でそういった応分の企業の負担というものを、どんな形になるかは別ですよ、しかしそういうものは求める必要があるのではないかということを申し上げている。
これは余談になりますけれども、この間、ことしの九月でしたかアメリカへ院の視察で行きました。そのときに、日本のアメリカへ出ていっている企業が現地との間で摩擦を非常に起こしているんですね。摩擦を起こしているうちの理由が三つ挙げられていましたけれども、その一つが何て言われたかいうたら、これは外務省のある方から聞いたし、その後日本の出ている企業の社長さんからも聞いたんだけれども、こない言うているんですよ、アメリカでは。日本の企業というのはアメリカへ出ていっても、もうけてもうけて、もうけ倒してもうけるだけや、地域にも還元しない、公共にも何一つ還元しない、アメリカの企業はそんなことありませんと言うているんですね。そういう強欲張りなやり方がアメリカの中では指摘されている。そういう状況が起こってきているという中では、少なくともこういった財源対策について考えてみるべきではないかと思うんです。
時間がありませんから多くをもう申し上げる余裕がありませんが、大臣、やっぱり国民の納得をいただくためにはそういった点考えるべきです。だって政治資金だったら、企業献金廃止せよいうても、いや企業は社会的存在やいうて政治献金はぺろりともらう。しかし国民の高齢化対策に対してはうそみたいなことを、高齢化対策は一体何やるかいうたら、消費税で国民の懐へ手を突っ込んで金を集める。こんなことをいつまでやっていても国民の信頼にこたえる道じゃないです。少なくともそういう点では、私は今日では年金財政について、そろばん勘定だけに終始して国民に負担のツケを全部回すというやり方ではなしに、政策的に知恵を出して検討しなければならない段階ではないかと思うわけで、そういう点についてきょうは問題提起の一つをしたわけですけれども、大臣の御見解を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/148
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149・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 私どもは自由経済社会の中で政治を行っているのであって、当然今の年金問題は社会保険方式を採用しているので、保険料も国民の負担であり、同時にまた国の公費負担もやはり国民の税金である。いずれにしても、社会保険料で取るのか、あるいは税でもって取ったものを全部年金に充てるのか、そういった一つの選択をしていかなければいけないんじゃないか。先生の考え方というのは、やはり先生の主義主張に基づいた一つの見方から出発しているのではないかと私は思います。それなりに一つの筋というものはありますけれども、あくまでも私どもはそういう社会保険方式をとっている年金の中で可能な考え方なんだろうかということを申し上げて御答弁にかえさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/149
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150・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 審議の時間が大変短かったもので、私、国民年金の問題だとか二十歳以上の学生の強制加入の問題、女性の年金の問題、あるいは地域型国民年金基金の問題、それから制度間調整の問題等、少しでもお聞きをしたいと思っておりましたが、時間がありませんので、以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/150
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151・乾晴美
○乾晴美君 私は、保険料の引き上げ幅のことについてお伺いしたいと思うわけです。
前回にも申し上げたんですけれども、厚生年金についての初年度一・九%、それから二年度以降が二・一%の保険料率の引き上げは五年平均で見れば二・〇六%に相当する大幅な引き上げであり、我々としては容認しがたいものである。連合が先日発表いたしました総合福祉ビジョンの中でも、高齢化社会のピーク期の二〇二〇年でも政府案よりも低い水準、いわゆる二八%程度でも現在の年金制度の維持改善は十分に可能であることを具体的に提言しております。これはよく御存じのことだと思います。
一昨日、深田議員さんの質問に対して、厚生省は、連合のそうした公表した施策に対しまして体系的に反論するわけでもなく、また正当な評価をいただいたわけでもなく、非常にあいまいな答弁に終始したと思います。連合が、新しい労働運動のあり方としてみずから具体的な提言を行いながら政府に真摯な政策論議を求めているのに対して、連合の提案に十分な分析もせず、みずからの行った再計算に固執する姿勢は、余りにも独善的で極めて遺憾であると言わざるを得ません。
そこで、改めてきょうもう一度お伺いするわけなんですけれども、政府の財政再計算結果として示されている最終保険料率、いわゆる三一・五%、二六・一%という数字の算出根拠となっている基礎数値とその考え方について、運用利回りや年金改定率だけではなくて、雇用者の比率や女子の労働力率の見込み等の要素も含めて、いわゆる全体像を明らかにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/151
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152・水田努
○政府委員(水田努君) 私ども好んで論争をしようという気持ちはございませんで、自分のところのいたしました計算についての正当性を御説明申し上げる、こういう観点で前回お答えをしたわけでございます。
確かに、新連合の試算というものは将来の一時点をとらえての推計でございまして、私どものように将来六十年にわたって積み上げた試算というものが行われていないわけでございました。これは委託された丸尾先生が将来の一時点をとらえての推計をなさっておられるわけでございまして、その計算も大変過小なものになっていると思います。
具体的に申し上げますと、一時点をとらえていますために、報酬比例分の乗率が千分の七・五ということで計算されていますが、御案内のとおり千分の十から段階的にこれは推していく途中の経過というのが全部捨象されているのと、経過措置として振替加算や経過加算や特別加算あるいは加給金があること等が一切捨象されているという、その経過の段階が全部見込まれていない、あるいは障害年金や遺族年金の費用の推計が極めて過小になっているというふうなことで、私どもはこの出されております結果というものは非常に過小に過ぎていると率直に申し上げざるを得ないと考えております。
ついては、おまえのところの計算はどうなっているか、こういうお尋ねでございますのでお答えをさせていただきたいと思いますが、財政再計算を行います場合には、人口学的要素と経済学的要素の両方を用いるわけでございますが、特に大きなウエートを占めるのは人口学的な要素になるわけでございまして、この人口学的要素につきましては、今回の再計算は昭和六十一年人口問題研究所の将来推計を用いて設定をさせていただいているところでございます。特に今回は、前回の再計算のときに用いました五十六年の将来人口推計に比べまして、平均寿命が男女とも三年延びている、このことが平成三十二年において老齢厚生年金の受給者が二百五十三万人増加する、これが前回最終保険料率二八・九%と見込んだものを今回三一・五%と大きく変更せざるを得なくなった最大の理由になっているわけでございます。
それから、厚生年金の被保険者の数についてでございますが、これは、男女別、年齢別にそれぞれ厚生年金の被保険者がどの割合を占めるかということを過去のデータと将来における雇用の状況、拡大等を見通しながら試算をし、その積み重ねとして設定をしているところでございます。
経済学的要因につきましては、年金審議会における御意見等も徴しながら、過去の傾向、今後の経済動向も総合的に勘案しまして、運用利回りは五・五%、年金改定率は四%、消費者物価上昇率は二%と見込んでいるところでございます。
それから、私どもが今回の再計算をするに当たりまして、最終保険料率は二六%程度に抑制すべきであるという前提に立って、二・二%ずつ再計算期ごとに引き上げをさしていただく、こういう計算になっているわけでございますが、この二六%程度に抑制するという根拠でございますが、現在、社会保険方式をとって世界でトップレベルの年金についての負担をしているのは西ドイツでございまして、日本流に換算しました保険料率は西ドイツは現在二四・三%をとっております。年金の成熟度は三三・七%でございます。これが西暦二〇〇〇年になりますと成熟度が四一・三%となり、その段階における保険料率が二八・六%に及ぶ、これでは到底後代の負担にたえないということで、ことし与野党一致して改正が行われました。改正の内容というのは、御承知のとおり西ドイツは原則六十五歳でございますが、若年失業者の救済を図るためのワークシェアリングとしまして早期支給制度というのをつくりまして、男子の方は六十三歳、女子の方は六十歳という早期支給制度を設けていたわけでございますが、これを段階的に六十五歳まで戻すという措置を既に法律として与野党一致して成立をさせ、このことによって保険料を二六・四%に抑える、こういう措置がもう既に本年とられているところでございます。
私どもとしましては、やはり西ドイツの例から見ても二六%程度の最終保険料率というのが年金に対する国民の負担の一つの限界ではないか、こういうことを前提にして五年ごとの上げ幅を二・二ととらさしていただいたゆえんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/152
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153・乾晴美
○乾晴美君 先ほど福祉ビジョンの方は一時点をとって書かれておるというふうに言われましたけれども、私読ましていただきましたら、厚生省の方はむしろ二〇〇〇年までの計算で、福祉ビジョンの方は二〇二〇年までの計算ができておるというように私は認識いたしております。
それで、政府は再計算上将来の雇用者比率の推移をどのように見込んでおるんでしょうか。また、その根拠をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/153
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154・水田努
○政府委員(水田努君) この雇用者比率というのは労働統計で使われる比率でございまして、調査をされる期間の一週間のうち一時間以上仕事をされた方が就業者としてカウントされるわけでして、その就業者は、自営業者も勤労者も両方調査時点で一週間のうち一時間以上の仕事をした方をとらえるわけで、その就業者を分母として、同じ調査対象の一週間のうち一時間以上の仕事をした勤労者を分子に置いて雇用者比率、こういう形で出されるわけでございます。これは一時点の推計をするのに簡便で非常に使いやすい数値であるわけでございますが、厚生年金のように常勤労働者を対象に被保険者としているものはこういう指数を使うことは基本的になじまないわけでございまして、六十年間にわたり継続的に常勤労働者として働く被保険者の動向を毎年男女別にきっちりと積み上げて推計をいたしているわけでございまして、私どもはこのような一時点の試算ということは年金数理においては基本的になじまないものと、このように考えているわけでございます。
お尋ねの点は、恐らく女子なりあるいは高齢者についてどういうふうに見込んだかというところに帰着するのではないかと思いますので、先回りをしてお答えをさせていただきますと、高齢者雇用につきましては、六十歳から六十四歳人口に対する同年齢区分における厚生年金被保険者の割合は一九八七年で一五%程度であるものが、二〇一〇年には二二%、二〇二〇年には二四%と推計をして積算をいたしております。それから女子に関しましては、女子の生産年齢人口、十五歳から六十四歳人口に対します厚生年金の女子の被保険者の割合を一九八七年二一%程度、二〇一〇年には二二%、二〇二〇年には二四%程度と見込んでいるわけでございます。
これはあくまでも常雇労働者ということでとらえているわけで、今後高齢者なりあるいは女子の労働者のパート雇用について厚生年金の適用をどうするかという問題で、この数値は将来変わる可能性があるということは付言をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/154
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155・乾晴美
○乾晴美君 それでは、労働省にお伺いします。
雇用者比率及び女子の労働力率の過去の推移、それからまた現状です。それから、欧米先進国との比較で我が国の数字がどのようになっておるか、お教えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/155
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156・池田克忠
○説明員(池田克忠君) 女子の労働力率でございますけれども、昭和六十年で四八・七%、六十三年で四八・九%ということで、最近ほぼ横ばいで推移してございます。
欧米先進諸国との比較でございますけれども、例えばアメリカでございますと、八八年、昭和六十三年でございますが五六・六%、イギリスが五一%ぐらいということでございまして、大体イギリスぐらいの水準になっているのではないかと思います。
それから雇用者比率でございますけれども、雇用者比率は昭和六十年で七四・三%、六十三年で七五・五%という推移になっております。先進諸国でございますけれども、大体これはいずれも八〇%台という水準になっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/156
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157・乾晴美
○乾晴美君 もう一度また労働省にお伺いしたいと思いますが、厚生省の方で財政再計算の前提としている雇用者比率及び女子の労働力率の推移というものは、労働行政をあずかる者の立場から見て首肯し得るものなんでしょうか。これまで労働省が公式非公式に示してきた見通しとは矛盾しませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/157
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158・池田克忠
○説明員(池田克忠君) 私どもは二〇一〇年ぐらいの雇用者数の予測というのを持っておるわけですが、一九八八年に四千五百三十八万人ぐらいでございましたのが、二〇一〇年には四千八百六十万人ぐらい、約三日二十万ほどふえるという予測をしているわけでございます。これは実は年齢合計の数字でございますし、それから、厚生省さんのお話にもございましたように、これは臨時、日雇い、それからパートタイマー全部含んだ数字でございます。
年金関係で、例えば六十四歳ぐらいまでの雇用者数の数字というものとそれから被保険者数の伸びなどを見てみますと、やはり一九九五年から十五―六十四歳層の生産年齢人口が減少していくものでございますから、雇用者数もそれに従いまして減ってまいります。そういう傾向は年金の財政再計算の方向とほぼ一致している。方向は一致しているわけでございますけれども、先ほどもございましたように、定義、範囲が違いますので、これで被保険者の推計が妥当かどうかというのは論評ができかねるというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/158
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159・乾晴美
○乾晴美君 それでは、厚生省にお伺いします。
雇用者比率の推移の見込みを例えば五%または一〇%に上方修正した場合に、最終保険料率にはどの程度影響が出るようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/159
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160・水田努
○政府委員(水田努君) 先ほどからお答えいたしておりますように、私の方は雇用者比率という一断面をとらえたものは使わないんです。一週間に一時間働いた人を雇用者としてとらえるような、これはあくまでも労働省の労働政策上に必要な調査でございまして、私どもは常雇である厚生年金の被保険者を年齢別、男女別に六十年間積み重ねてやるという手法をとっておりますので、全然そういう一雇用者比率というようなもので推計をするというようなことはいたしておりませんので、残念ながらそれにはお答えすることができません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/160
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161・乾晴美
○乾晴美君 それでは関連して伺いますけれども、今回の財政再計算では、合計特殊出生率は二〇二五年には二・〇〇に回復する見込みであるということだったと思いますが、その水準まで回復させるための施策をどのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/161
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162・古川貞二郎
○政府委員(古川貞二郎君) 最近出生数あるいは出生率が非常に低下してきているわけでございますが、この出生率あるいは出生数の低下の要因といたしましてはさまざまな要因が重なり合っているというふうに考えられまして、単純にその要因を明示するということは非常に難しい、困難である、こういうふうに考えております。またさらに、子供を生むとか生まぬとかいうようなことにつきましてはこれは基本的には夫婦の問題でございまして、これを公にいろいろ論議するということはなかなかなじみにくい問題ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
しかしながら、私どもとしましては安心して子供を生み育てるという環境をつくる、こういうことによって出生数の動向に影響を及ぼすことができるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
ちなみに、人口問題研究所の出産力調査、これを見ますと、予定の子供数と理想の子供数というものを調べたのがございまして、予定の子供数が理想の子供数よりかなり下回っている。その原因あるいは理由は何かと、これはそういうふうに特に下回った方々についてその理由を調査したのがございます。ちなみに、二十五歳から三十四歳までの年齢層で見ますと、予定数が理想の子供数より少ない理由といたしまして、第一位に挙げられるのが一般的に子育てに金がかかる、これが第一位でございます。それから第二位が教育費が高いという問題、それから第三位が育児の肉体的あるいは心理的な負担という問題、あるいは家が狭いという問題、あるいは仕事の支障となる、あるいは高齢で生むのは嫌だ、そういうふうな順序といいましょうか理由が挙げられているわけでございます。
私どもとしてはこういったいわゆる阻害要因といいましょうか、そういったものを取り除いていくというようなことで出生の動向に影響を及ぼすことができるというふうに考えておりますし、私どもはそのために環境づくりを積極的にやっていかにゃいかぬ、こう思っているわけでございます。
具体的には、これは雇用環境の問題とか、育児休業制度の普及とか、つまりそういった労働環境といいましょうか、そういった問題も含めて幅広い観点から対応する必要があるというふうに考えておりますけれども、私どもの分野で申し上げるならば、家庭に対する支援対策とかあるいは保育所の問題、社会の変化、ニーズに応じたそういった保育所対策という問題、あるいは母子保健の対策あるいは健全育成対策というような施策を総合的に進めていくということで、つまりそういう環境づくりを整備していくということによってそういった問題の解決が図られるんじゃなかろうか。
特に私ども児童家庭の立場から申し上げるならば、やっぱり子供が非常に減っているというようなことはこれは子供自身にとっても大変なことではないか。例えば家庭でもまれることがない。一人っ子だと過保護になる、あるいは依存性が強いとか、二人になれば対話がある、三人になれば社会というものが構成される、社会性が身につくとか、そういったことを含めて私どもとしては子供の出生数の低下ということを非常に重大に受けとめておりまして、これは個々人の問題であるにしましても、生めよふやせよということではございませんけれども、その環境づくりというものを積極的に総合的に進めていく、こういうことが必要ではなかろうか、またそのための努力をしたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/162
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163・乾晴美
○乾晴美君 大変うれしいお答えをいただきまして、ありがたく思います。ぜひ、たくさん子供が生めて幸せな社会が来るように努力していただきたいと思います。ありがとうございました。
それで、厚生省の示している財政再計算は審議の過程ですべての基礎データというのが公表されておりません。しかも、厚生省が一方的に設定した条件下で、厚生省の考えるやり方で行った一つの試算の結果にすぎないのではないかというふうに私たちは考えておるわけです。条件設定の合理性の問題もさることながら、単なる一試算にすぎない数字をあたかも唯一絶対の結果であるかのように説明しまして、最終保険料率が三一・五%なんだ、そして引き上げ幅も二・二%押しつけてきておるような気がするわけなんですが、そういうことに関してどうしても私たちは心の底から納得いかないわけなんです。
改めて財政再計算のやり直しと保険料引き上げ幅の圧縮を求めるわけなんですけれども、それはもうできないものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/163
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164・水田努
○政府委員(水田努君) 私どもは審議をするに当たりまして、一年半も年金審議会で十分御検討いただき、その御意見も徴しながら、またデータも出しながらやってまいったつもりでございますし、その結果に基づきました改正内容については関係審議会に御諮問もし、御答中もいただき、衆議院あるいは参議院の審議の過程でも極力お答え申し上げてきたつもりでございます。
なお、この私どもの数字について、先ほど糸久先生からも御質問ありましたように、専門の数理の判定機関なんかあれば修正を受けなくて国会でフリーパスできるのじゃないかと思うわけですが、第三者の判定機関がないためにこうやって皆さんに御審議をいただいているわけでございます。
私どもこの数字は、大変将来の推計から見て、しかも二十年、六十年にわたる将来展望、それから最終の国民の負担率その他も総合勘案してお願いをしているぎりぎりのものが二・二%であったわけでございますので、若干衆議院の段階で修正を受けましたが、どうかひとつ御理解を賜りたいと思います。
やはり給付水準を維持していくためには、受給者の数もこれから厚生年金は三倍にふえてまいります、給付水準を落とせば別でございますが、私どもは維持するという立場に立ちながらやっておりますので、何とぞ御理解を賜りたい、このように思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/164
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165・乾晴美
○乾晴美君 財政再計算というのは最低限さまざまな条件設定のもとでの複数の試算を行い、それを基礎計数ともども、政府に設けられております検討の場とか関係審議会などを通じて国民の前に明らかにして、そして政府が提案する制度改正の根拠だとか考え方が国民にわかりやすい形で具体的に示されるように財政計算の公開の原則を確立すべきであるというふうに考えておるわけなんですが、これはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/165
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166・水田努
○政府委員(水田努君) 年金数理の公開の原則は全く私ども同感でございますし、率先して厚生省はやっているつもりでございます。事前にわかりやすくすべてをということになりますと、本当に私ども今ぎりぎりの人数でやっておりまして、できましたら数理第二課ぐらいをつくっていただきたいと思っているぐらいでございまして、こういうことをこういう席で言うのはどうかと思いますが、私の方の数理課長は過労の余りこの八月に胃の三分の二を切り、やっと国会審議に間に合う、こういう過酷な条件の中で再計算をやっているという一面もぜひどうか御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/166
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167・乾晴美
○乾晴美君 その数理課というのは何人ぐらいのスタッフでなさっておいでなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/167
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168・水田努
○政府委員(水田努君) 数理課長以下十人のスタッフでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/168
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169・乾晴美
○乾晴美君 御苦労さまでございますが、このような措置を確実なものにするためには、年金財政に関する一元的調査の権限を有する第三者の機関というのを設置すべきであるというふうに思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/169
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170・水田努
○政府委員(水田努君) 私どもぜひつくりたいと思います。どうか国会の野党の先生の後押しを得て、何とぞできるだけ早い機会に実現したいものだ、このように思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/170
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171・乾晴美
○乾晴美君 うれしゅうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
それでは、国民年金基金についてお伺いしたいと思います。
今回の改正事項の中に、自営業者のための上乗せ年金制度として国民年金基金制度の充実拡大を行うという一項目があるわけなんですが、まずこの国民年金基金制度の創設の理由、考え方についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/171
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172・水田努
○政府委員(水田努君) 自営業者は一階部分の基礎年金だけしかないわけでございます。サラリーマンの方は二階部分の厚生年金、さらに厚生年金基金と三階部分まで用意がされているわけでございまして、自営業者の場合非常に不利である、早く上乗せ年金をつくるべきである、こういうようにかねてから御指摘を受けているわけでございますが、残念ながら厚生年金みたいな所得比例年金を強制的な加入でつくるということは、所得の把握がなかなかこの業種は困難なために、私どもは厚生年金の二階及び三階に相当する部分の国民年金基金制度をつくっていく、これが今回の改正をお願い申し上げている理由でございます。
〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/172
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173・乾晴美
○乾晴美君 この国民年金基金の掛金につきましては社会保険料控除が認められているということなんですけれども、その上限が月額六万八千円、夫婦で十三万六千円、それから年額では百七十万円近い額になるわけですね。これは勤労者が行う個人年金だとかまたは財形との比較で考えますと、余りにも高過ぎるのではないかというふうに思うわけです。この限度額の考え方とか算定の根拠をお願いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/173
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174・水田努
○政府委員(水田努君) 大蔵省の主税局がそんな甘いはずはないのでございまして、私どもは六万八千円については非常に合理的な根拠を出してちょうちょうはっしといろいろ渡り合って設定した水準になるわけでございます。
これの考え方は、厚生年金、サラリーマンの方は一階部分、二階部分、三階部分があると申し上げましたが、厚生年金の標準報酬の最上限の人がぎりぎりまで厚生年金に許されているところの二・七倍の水準まで目いっぱい入ったとした場合に、サラリーマンが受けておりますところの社会保険料控除の九掛けと、こういうことになっています。九掛けにいたしておりますのは、サラリーマンと自営業者の年収が大体それぐらいの比になっているので、おおむね九掛けぐらいが妥当であろうということでこの六万八千円というものを設定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/174
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175・乾晴美
○乾晴美君 結局この控除額を使い切ることのできるのはやはり高額所得者でありまして、金持ちに対する非課税の貯蓄制度の創立ではないか、ありていに言えば金持ち向けのマル優の復活だというような批判もあるわけなんですが、これほどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/175
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176・水田努
○政府委員(水田努君) これも大変私ども心外な批判である、こう思っているわけでございます。
私ども今回の改正に先立ちまして、六十二年に全国六千人を対象に無作為にいろんな意識調査をいたしまして、無記名で御回答をいただいたわけでございますが、年収二百万の階層でも四人に一人の方が上乗せ年金ができたらぜひ加入したいという希望を表明しておられることから見ましても、決して私どもこれが金持ち優遇策になるということではない、むしろ低所得者の方でも入っていただけるように、一口当たりの単位が入りやすい金額の小口のものに設定することによって入りやすい条件の整備をしてまいりたいとこう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/176
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177・乾晴美
○乾晴美君 厚生省は、国民年金基金にはこれはどれぐらいの方が加入するだろうと見込んでいらっしゃいますかということと、今金持ち優遇の制度ではないとおっしゃいましたけれども、金持ち優遇の制度でないのなら、職能単位はやめて地域単位だけに限るとするなど、できるだけ多くの方方が加入できるような工夫が必要なんじゃないかと思うんですが、その点お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/177
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178・水田努
○政府委員(水田努君) これは国民年金の付加年金に加入しているということが前提で、既に付加年金に二百万人の方が入っておられるわけでございます。だから既に基礎票が二百万票ある、こういうふうにお考えいただいてよろしいかと思います。その基礎票二百万票、二百万人でございますが、そのうちの七十万人の方は農業者年金基金の方に既に職能型として入っておられますので、残りが百三十万人になるわけでございます。
それから、先ほど申し上げましたいろんな意識調査その他から見て、つくりますと当面三百万人程度の方は私どもお入りいただけるんではないかと。NHKがこの国民年金基金を紹介したら、もう既にできたものと錯覚をして、入りたいので方法を教えてくれというのが相当NHKに殺到したというようなことも言われておりまして、これは大変国民の皆さん、自営業者の方に期待され待ち望まれている制度ではないかと私ども自負をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/178
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179・乾晴美
○乾晴美君 そういうこともあるんでしょうけれども、やはり国民年金の保険料が納入できないために無年金者になっておりましたり、また低年金者が増加する一方なわけなんですね。むしろ、これらの人々を救済する措置というのが必要だろうと思うんですね。そのために現在は基礎年金の三分の一を国庫負担にしておりますけれども、これを二分の一だとか三分の二に拡大していく、さらには基礎年金はナショナルミニマム年金として国民のすべてが受給できるものとするようにしたらいかがなものかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/179
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180・水田努
○政府委員(水田努君) 基礎年金の国庫補助は、さきの年金改革で、すべて国民に年金に関する国庫補助は公平につけるということで三分の一に集中をすることになったわけでございますが、この三分の一の国庫補助も、今後再計算期ごとに給付水準を見直したり、受給者の数が向こう三十年間の間で三倍にふえるというようなこともございまして、かなり膨大な金額になってまいるわけでございまして、これからの高齢化社会を考えますと、年金の負担以外に医療あるいは福祉の面、もろもろかかっていくわけでございまして、さらにこの国庫補助率を高めるということはなかなか厳しいものがある、こういうふうに考えているわけでございます。
それから、基礎年金は基礎的消費支出を賄う、こういうことで設定させていただいておりますが、最低生活を保障する年金にせよという御指摘は各党から今回御指摘をいただいたところでございますが、やはり将来の国民の負担を考えますと、今の基礎的消費支出の水準をしっかりと守っていくということがまずもって大事である、こう考えているわけでございまして、やはりこれからの本格的な高齢化社会ということを考えますと、基礎年金がベーシックな年金として水準が維持されるという保障を国民にきっちり与えることの方がまず大事ではないかな、こう考えさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/180
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181・乾晴美
○乾晴美君 それでは大臣にお伺いしたいと思います。
基礎年金の国庫負担割合を、今難しいと言いましたけれども、三分の二に引き上げられたら、厚生年金とか国民年金の保険料も厚生省が計算するその水準より以下に下げられる、こういうふうに思うんですが、大臣はどのようなお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/181
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182・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 今局長がお答え申し上げましたように、基礎年金を導入したときにすべての者に対する負担の公平という観点から三分の一を導入して、今もお話ありましたようにこれからどんどんふえてくる中で負担が大変かさんでくる。
〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
そうなるというと、現在社会保険方式で賄っているわけでありますから、当然その加入者の負担が過重になってくる。当然今度はそういう意味では無年金者が出てきたりするようなこともあるという御意見でございますけれども、同時に今言うように三分の二も国庫負担を出したらどうかというようなことになってくるというと、これは大変なことで、年金の基本的な考え方を変えていかなければならない。
すなわち、拠出というものの限界を超えて、恐らく無拠出の年金を保障するようなところまでいかなければならない。そうなるとまさに税方式で、基礎年金に対する国民の負担にかわる税というものを取らないと、社会保険方式では限界で、それを超えることがなかなか難しいように思います。それだけの三分の二以上の負担をするようになったらば、これはとてもとても、今申しましたように今までの社会保険方式ではない別の方式をとらなければいけないんじゃないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/182
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183・乾晴美
○乾晴美君 時間がございませんので、次に制度間財政調整による鉄道の共済年金の救済についてお伺いしたいと思います。
前回の質問でもはっきり申し上げましたけれども、この問題についても国の責任はもう明らかにしてほしい、国の責任において問題の処理に当たるべきである旨をこの前も申し上げました。国の責任をあいまいにしたままで、民間勤労者の年金制度である厚生年金から向こう三年間にもわたって年間九百十億円の巨額に及ぶ拠出を求めるということは、何としても容認することはできないわけなんです。
そこで、大蔵省の方と運輸省の方にお伺いしたいと思います。
鉄道共済年金の財政破綻というのは、旧国鉄共済時代の昭和五十年代にはもうわかっていたことでありまして、さらに言えば、昭和六十二年の国鉄民営化時点でも今の事態はかなりはっきりと予見できたはずだと思います。その意味から言えば、本来国鉄民営化の時点で、国鉄改革の一環として民営化を推進する国の責任においてその問題はきちんと処理しておくべき問題だったと思います。なぜこの民営化の時点のときにきちんと処理しておらなかったかという、その理由についてまず大蔵省の方からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/183
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184・乾文男
○説明員(乾文男君) 乾先生にお答えを申し上げたいと思いますが、その国鉄共済の破綻は五十年代にわかっていたことであり、遅くとも民営化の時点で適切な措置を講じるべきではなかったかとのお尋ねでございますけれども、おっしゃいましたように、五十年代から徐々に国鉄財政の悪化が顕在化してまいりまして、私ども何もしてまいらなかったわけではございませんで、昭和五十八年に国会に提案いたしましたいわゆる共済制度の統合法というものにおきまして、国鉄共済、それから他の、今の言葉で言いますとたばこ共済、NTT共済を国家公務員共済の体系の中に取り込み、給付水準の適正化措置を行わせるとともに、財政対策を講じる等、各般の措置を講じてまいったわけでございます。
さらに、昭和六十年の七月に国鉄再建監理委員会から「国鉄改革に関する意見」というものが出されまして、その中で民営化の方向というものが明らかになったわけでございますが、ちょうど私どもも前回の共済年金法のいわば大改正の法案を国会で御審議願っていたときでもございまして、この問題は国会でも十分に御議論、御検討をいただいたところでございます。その結果、六十年の十一月二十八日に国鉄共済年金についての政府統一見解というものをお示ししたわけでございます。
その中におきまして、この昭和六十五年度以降、平成二年度になるわけでございますが、昭和六十五年度以降分については、今後速やかに対策を講じて支払いの維持ができるよう措置いたしますということを政府として申し上げ、その後翌年の国鉄の民営化の法案審議のときにおきましても、例えば昭和六十一年十月の衆議院の国鉄特別委員会におきまして、ただいま申し上げましたこの六十年十一月の政府統一見解の趣旨に沿い、政府は早急に年金財政の改善計画を策定して、年金受給者に対し不安を与えることのないよう措置することという附帯決議をいただいているわけでございます。また、ほぼ同様の御決議を参議院の委員会においてもいただいておるわけでございまして、今回の一括して提案申し上げております法案と申しますものは、そうした国鉄の民営化のときに十分な御議論をいただいた上で私ども政府にいただいた宿題を、政府部内で時間をかけて検討し、その成果をまとめて今回御提案を申し上げておるということを御理解いただきたいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/184
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185・乾晴美
○乾晴美君 衆議院の社会労働委員会の質疑の中でも、この間同僚議員のときにもおっしゃったように思うんですが、鉄道共済の今日の財政破綻については、大蔵省としては必ずしも国に責任があるとは考えていないというふうに答弁したように思うんです。これは私そのとき書類も見ましたし、ちょっと聞かしていただいたときに、これは許せないなというふうに思ったわけなんですね。
改めてお聞きするわけなんですけれども、国は今日の鉄道共済のこういった事態を招いた責任が本当にないのだろうかと思うわけです。例えば、現役労働者が八五年に三十二万人体制ですね。それからさらに進みまして二十五万六千人になるわけです。そして九〇年以降は十八万人体制になるというわけですね。その一方で、受給者は四十四万八千人にも上るという、こういうことですから、財政破綻はもう明らかであるわけです。この点一つとってみても矛盾はもう生じておるわけなんで、制度所管者としての責任は全く感じておいでにならないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/185
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186・乾文男
○説明員(乾文男君) ただいま御指摘のありました衆議院の社会労働委員会での答弁も私がお答えさしていただいたものでございますけれども、私の申し上げました意味は、この鉄道共済の財政の破綻の原因につきまして、今回のこの対策を取りまとめるに当たりまして、鉄道共済年金問題に関する閣僚懇談会の下に有識者による懇談会を設けて御審議をいただいてきたわけでございます。その報告書が六十三年十月に提出されておりますが、その中で、この鉄道共済の赤字の原因として、一つは旧国鉄時代の制度・運営等に起因する側面がある、そういうことから鉄道共済自体の自助努力ということが何よりも肝要であるということがまず第一に述べられているわけでございます。
第二点目の原因といたしましては、その鉄道共済自体の問題を離れて、この数十年間にわたる産業構造の変化、これはモータリゼーションの進行等に伴いまして鉄道産業というものに対する需要が総体的に減少してきたということ、そしてまたここ十年間ほど我が国社会の人口の高齢化が急速に進行したこと等が指摘されているわけでございまして、私どももさように考えておると申し上げ、こうしたこの懇談会で指摘されているような問題点といいますか、そういう産業構造の変化等の問題点につきまして、国が必ずしも責めを負うべき問題ではないのではないかというふうにお答え申し上げた次第でございます。
委員の御質問の趣旨は、恐らくそうした事態に対応して国が適切な措置を講じてこなかったのではないかというお尋ねかと存じますが、これにつきましては、先ほどの答弁でも少し申し上げましたけれども、鉄道共済の赤字というのは昭和五十年代に入ってだんだんと顕在化してまいりました。それで、昭和五十九年のいわゆる先ほど申し上げました統合法において、例えば国鉄共済の年金の計算の仕方を、それまでは退職時の俸給をベースに年金額を計算していたものを、他の国家公務員共済と同様、退職時一年間の俸給をベースに計算させるとかいうことをさせ、また保険料率を一四・五八%から一六・九九%にこれは相当引き上げさせ、他の厚生年金の水準よりは大幅な高い水準になったわけでございますが、そういうこともさせたわけでございます。
また、それと同時に、この当面の鉄道共済の赤字に対応するために、国家公務員共済グループ、これは国家公務員共済、それからいまの言葉で申しますとNTT共済、たばこ共済でございますけれども、そういう公務員一人当たり平均年間三万円、これ労使折半ですから実際に懐が痛むのは一万五千円になりますけれども、そういう公務員一人当たり一万五千円の援助といいますか、そういうものを最近まで五年間続けてきているわけでございます。そういうふうな措置をとり、それとともに、既に裁定済みの鉄道共済の年金額について実質的に一〇%ダウンするようなスライド停止措置を講じたわけでございます。
また、六十一年の共済年金法の改正のときには、国鉄共済年金については、いわゆる職域年金部分という、年金のいわば三階部分に相当するわけでございますけれども、そういうものをこの財政状況をかんがみて設計しないということをとるとか、あるいは通常年金の改正がありますと従前額は保障される等の措置があるわけでございますが、鉄道共済についてはみなし従前額を保障しないという措置を講じました。
さらに、先ほど御指摘ありました民営化のときには、鉄道共済の財政の中でやはり昭和三十一年まで恩給期間というものがございましたが、その恩給期間に見合う部分をだれがどのように負担するか。従来は公経済の主体である国鉄自身が負担してきたわけでございますけれども、国鉄がなくなっちゃうものですからこれをだれが負担するかという問題がございましたけれども、この恩給に係る追加費用及び公経済負担合わせて約五兆円に上る債務は清算事業団に負わせる。これは清算事業団の債務の現状からいたしますと最終的には国民の負担ということになってこざるを得ない面もあるわけでございますが、そういうふうな措置を講じ、また今回の提案申し上げております一連の法案の中では、国鉄の年金給付の見直しということで既裁定年金についても退職時特昇分を切り込むとか、報酬比例部分、これは厚生年金初め他の年金制度は衆議院での修正後四月から再評価ということがなされるわけでございますが、これも五年間繰り延べさせる等の各般の措置を講じているところでございまして、私ども政府といたしましては、そのときどきに応じて十分に適切な措置を講じてきたということを御理解いただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/186
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187・乾晴美
○乾晴美君 一生懸命対策はやってきたんだというようなお答えなんですけれども、今日の事態というのはもうかねてから私は明らかだったと思うんです。その対策を、私たちから言わせれば何も講じてなかったじゃないかと。いよいよ制度がつぶれそうになって、国自身は全くお金も出さずに、縁もゆかりもない他制度の財布を当てにしたような対策を立てているようなそんな気がするわけです。我々が反対すれば、自分の後始末は棚に上げておいて、支払い不能になりますよと言うておどかしているような感じがするわけです。そういうことでは国の責任は果たしてないというように私は思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/187
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188・乾文男
○説明員(乾文男君) 鉄道共済の破綻の原因は先ほど来申し上げたとおりでございまして、繰り返しませんが、私どもそうした高齢化社会の進行等等の事案が必ずしもすべて国の責めに帰すべきものとは考えておらないわけでございます。
今回御提案申し上げておりますものは、まず第一に鉄道共済自体の自助努力でやれということを年金審議会及び鉄道共済問題の有識者懇談会から御指摘をいただいているところでございまして、先ほど来申し上げましたような鉄道共済自体の自助努力、それから民営化後のJR、これは事業主として通常の保険料の半分は負担しているわけでございますが、それをさらに特別負担として二百億円、衆議院での修正後二百二十億円になるわけでございますが、それを負担させ、また清算事業団でございますが、先ほど御答弁いたしました追加費用に係る分五兆円に加えまして、私どもの当初の提案では今後年に八百億円ずつを五年間にわたって清算事業団に負担させるということにいたしまして、自助努力の面で十分な対応をとっているつもりでございます。
一方、今委員から御指摘のございました、制度間調整で出させるのはけしからぬではないかということでございますが、これについては、年金局長からも従来から答弁がありますように、平成七年の公的年金一元化に向けての地ならしとして、各年金制度を通ずる共通給付部分、昭和三十六年以降でかつ六十歳以後支給分という共通給付部分について昭和六十年の年金改正で給付水準がそろったことを踏まえ、今回負担の調整を行おうとするものでございまして、いわば制度間調整の仕組み自体は公的年金制度における給付と負担の一元化という観点からは合理的な仕組みであると私ども考えているところでございまして、何とぞ御理解をいただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/188
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189・乾晴美
○乾晴美君 いろいろお聞きしたかったんですけれども、やはり一元化についても平成七年度までに達成できるのかどうかというようなことも私問題があると思うんです。これは被用者の年金制度間の調整すべき格差というのがたくさんある、そういうこともありますので、必ずしも私たちは納得してないわけなんですね。平成七年度の一元化については、政府は今までの衆参両院の審議の中でも、最終的な一元化の姿についても、またその手段とかプロセスについてもついに明確な答弁は行っておらないわけなんですね。被用者年金制度間には今なおさまざまな格差が残されており、こういう格差についてその是正の方向が明らかにないまま財政問題の先行きの一元化を進めていくということはもう絶対反対です。
一元化については、広く国民各層の意見を集約して国民的なコンセンサスを形成しながら進めていくべきものであるというふうに考えております。その意味で、今回の制度間調整は一元化とはもう何の関係もない、ただの鉄道共済救済法であり、厚生年金の拠出額の多寡のいかんにかかわらず、その仕組み、考え方そのものについて到底容認できないというようなことで、以上私の私見を述べさしていただいて、終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/189
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190・小西博行
○小西博行君 先日来、年金の問題について当委員会で審議をしているわけでありまして、特に年金問題になりますと高齢化社会というこの問題を避けては通れないというのが一つの大きなポイントではないかというふうに私は思います。
しかし、きょうはまず経済企画庁に来ていただいておりますので、確かにそういう六十歳とかあるいは六十五歳という問題がございますけれども、社会経済構造といいますか、これから先将来を見てみますと、やはり働く労働者が非常に少なくなってくるという、こういう見通しも実はあるわけであります。経済がもちろん順調に伸びるということが前提でありますので、そういう前提にいたしますと、その問題も実は年金の問題とは別の角度から大きな問題ではないか、私はそのように考えておりまして、日本経済全体を統括しております経済企画庁、どのような将来のそういう労働需要というものを見込んでおられるのか、その点をひとつ詳細に分析をしてお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/190
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191・薦田隆成
○説明員(薦田隆成君) お答え申し上げます。
私どもが担当しております政府の経済計画、昨年五月に策定された「世界とともに生きる日本」、これは計画の年度が一九九二年度まででございます。その中におきましても、高齢者の雇用が重要な問題であって、継続雇用の推進をするとか、あるいは高齢者の職業転換訓練の充実をするとか、あるいは多様な就業機会を提供する、そういうような条件整備を図ることとしております。
さらにその先の中長期的なことを考えますと、今御指摘のございましたとおり、我が国の労働力人口の伸びが鈍化していくということで労働力人口の高齢化というのが急速に進むということが予想されるわけでございまして、活力ある経済社会を維持していくためには、やはり高齢者の高い就業意欲と蓄積された技能、経験が生かされるような社会の実現を図っていくことがますます重要になろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/191
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192・小西博行
○小西博行君 ありがとうございました。
それでは労働省の方にお伺いを申し上げたいと思いますが、高齢者雇用の問題ということになりますと、どうしても年金の支給開始とその年齢というようなことに論議が集中してまいっております。そういうような中で当然高齢者の雇用促進という、今企画庁の方もおっしゃいましたが、そういうものが非常にこれから大切になると思いますので、そういう問題の立場から幾つかの質問をこれからさせていただきたいというふうに思います。
まず第一点は、現状の六十歳台前半層の就業率、どの程度仕事をしておられるか、この就業率を年齢別にひとつ答えていただきたいというふうに思います。また、どのような仕事に主につかれておられるのか、六十歳台前半の方々であります。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/192
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193・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 六十歳台前半層の就業率でございますけれども、男子が六七・九%、女子が三九・七%でございまして、合計で五三%になっております。また、職種別の構成を見てみますと、昭和六十二年の就業構造基本調査によりますと、六十歳ないし六十四歳の方々では農林漁業作業者が二七・一%で最も多くなっておりまして、技能工・生産工程作業者が二〇・三%、販売従事者が一二・〇%、そういった流れになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/193
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194・小西博行
○小西博行君 今のは大体実態ですよね。これから先どんどんお年寄りがふえるわけでありますが、そういう方々はどういう分野の職業につくようになるのでしょうか。その辺の動向について、労働省の御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/194
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195・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) やはり今後の見通しといたしましては、高年齢者の長年培った知識、経験を生かしていくということになりますので、そういった形ではいろいろ作業環境の工夫とか、そういったことも必要になってまいると思いますけれども、幅広い分野で継続雇用なりいろんな形で従前から引き続いてやっていくというようなことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/195
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196・小西博行
○小西博行君 ちょっと答えが不親切じゃないですか。やっぱり今の日本の経済全体を見ますと、大体方向というのがありますよね。まさか、さっきのようにただ単純労働についていくということじゃなくて、知識、経験とおっしゃっているわけですから、ソフトの部分も当然ありましょうし、何か具体的な労働省としての方向性がないとおかしいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/196
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197・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 高齢者が長年培った知識、経験を生かしていくということでございますので、単純作業的なものだけでなくて、管理的な部門でございますとか、あるいは産業のサービス産業化、第三次産業化ということもございますので、第三次産業の多様な分野に高齢者の方々が進出して活躍をしていただく、こういうことを展望していくことを考えておりますが、いずれにいたしましてもそういった問題は極めて重要な問題でございますので、現在作成作業を進めております高齢者雇用ビジョンの検討課程の中で十分詰めた議論をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/197
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198・小西博行
○小西博行君 高齢者の方は、仕事をしたいという欲求は非常に高いというふうに分析されていますよね。ところが、現実にはなかなか就職はしにくいと。そのギャップをどう埋めるかというのが私はこれからの大きな問題だというふうに思うわけですね。そういう場合に、やっぱり労働省というのは相当いろんな分析をして、私はその方向というものを準備しておくというのはおかしいですけれども、やっぱりしておかないと私はうまくいかないんじゃないか。就業の場ですね、それをどのように確保していくかという、そういう具体的な姿勢がなければ、今あなたがおっしゃったいろんな答弁を聞いておりますと、大体中学生の答弁のような雰囲気もいたしまして、もっと具体的なものが欲しいと思うんですがね。それはどのように考えているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/198
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199・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) やはり高齢者の方々がその希望する職種、あるいはそのニーズに合った職場で活躍していただくためには、例えば加齢に伴って職業能力がどういうふうに変化していくかとか、そういった調査究研も踏まえなければならないと思っておりますし、またやり方といたしましては、短時間勤務を含めた、あるいは特殊勤務といったような多様な就業形態ということを考えながら、段階的、計画的に高齢者の職場を開拓していくということが必要だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/199
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200・小西博行
○小西博行君 実際に地方の中でいろんな産業がございますね。比較的やっぱり大手企業のOB会、つまり定年になった方々が集まっているんな仕組みを持っておりますよね。もちろん木工が非常に上手な方々は木工関係で集まってみたり、シルバーセンターということでいろんな企業に指導に行ったりとかいうようなことで、割合大手企業のOBの方々というのはそういうつながりがあるものですから、生きがいを持ってやっているわけですよ。
ところが、割合そうでない産業で、あるいは公務員の方も相当いらっしゃると思うんですがね。どうやって生きたらいいかわからない、従来と同じ仕事ならできるんだけれども、それ以上の仕事もできないんだと。案外やってみると、今までの仕事とは違ったまた興味も示されると思うんですが、そういう面でのやっぱり私は場を考えておかないと、あるいは訓練を考えておかないと、そう簡単に安いからどうぞなんというような形では済まないだろう。しかもそれがどんどん量がふえるということですから、十分その辺を考えてひとつ答弁をしてもらいたいんですよ。大臣がもし何か考え方がございましたら、何でも結構でございますが、一つの方向性について、おれはこう思うというようなことを明快にひとつ語る必要があると思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/200
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201・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) ただいま先生がおっしゃいましたこと、まことにごもっともでございまして、例えばシルバー人材センターについて申しますと、生きがい、社会参加という観点、若干の収入は得るわけでございますが、そういった形でシルバー人材センターの制度を持っておりまして、これが極めて好評であるということでございます。
その分野におきましても、比較的単純な作業の分野が多いという現実もございますので、これをホワイトカラー層とか多種多様な高齢者の方々に合うような、シルバー人材センターの取り扱う仕事の範囲をいろんな形で広げていく、そういった努力も含めて考えていかなければならないと思っておりますし、そういった形ではなくて、本来の雇用の延長、六十五歳までという姿を考えていく場合においても、全くそういう長年培った知識、経験、あるいは場合によっては別の分野に移っていく希望をお持ちの方については職業訓練を充実させるなど、複合的な、あるいは総合的な施策が必要であろうと考えておりますし、そういった方向で政策努力を展開したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/201
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202・小西博行
○小西博行君 さっき私が申し上げましたように、大手企業というのはいろんなコミュニケーションがあって情報が十分に伝達できるという利点があるから、自然にそういう場が持てるんですよ。そうじゃないところに果たしてどのような形で情報を流して、そしてそういうものに参画できるような場を与えるか、つまりそこが私はポイントだと思うので、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/202
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203・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 特に高齢者の方々が生きがいを持って社会参加をしているという姿と申しますか、高齢者の雇用開発が非常にうまくいっている事例、あるいはこうしたらうまくいくんではないかといった、そういった好事例をいろいろな形で普及していくことは極めて重要なことであろうかと思っておりますし、現在私どもでも高年齢者雇用開発協会におきましていろいろ高齢者の雇用の拡大に有効であった具体的な事例を調査研究し、普及するような活動もやっておりますし、この姿というのはさらに充実しなければならないだろうと思っております。
現実に企業なりいろんな形で高齢者の雇用を進めていくに当たっては、ほかの類似の例といいますか、同じ産業なり同じ規模の企業で成功した事例をいろいろな形で普及していくことが重要であろうかと思いますので、政策を展開するに当たってはそういう面にも十分配慮してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/203
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204・小西博行
○小西博行君 そういうことを具体的に細かくひとつ、地域によっても相当違うと思うので、相当やっぱり細かい分析をして、しかも根気よくやっていかないと、なかなかそういう就職先というのが現実は私は難しいんじゃないか。
私なんかは経営コンサルタントみたいなのを昔やっておりまして、会社が発展するかどうかというのは、一つの指標というのは平均年齢で見るんですね。平均年齢が非常に高い企業というのはそれだけ労務費もかかるということ、あるいは発想の転換というのが非常に難しい。今の話とは逆になるわけです。ですから、よほどそういう職業、先輩の皆さん方に合う、しかもそれが企業にとってプラスになる、そういうような職場というのは一体何かというところの議論が私は十分されないと、ただ会社に雇え雇えと言っても、そう簡単に雇うわけはない。さっき申し上げたように、将来性を考えたらやっぱり若い人を大勢雇いたいというのが私は産業の一つの形だと思いますので、そこはひとついい施策を考えていただいて、ぜひとも実行に移していただきたいと、このように要望しておきます。
それでは次に入りますが、欧米諸国というのは産業別の労働組合、横のつながりということを非常にやられておりますですね。ですから、そういうふうないろんな仕事をする場合でも日本は個人個人の企業の組合組織ということになっておりますので、その点は少し日本でも考えていったらどうだろうかなという感じもするわけです。
そういう意味で、六十歳台前半層の継続雇用の促進ということ、あるいは高齢者雇用の場の確保をどのようにして進めていくのか、あるいはそのための法的整備を積極的に行う、行政指導をどんどんしていく、こういう一連のものが大変私は必要になってくると思うんですが、労働省はこの考え方に対してどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/204
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205・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 高年齢者の雇用を確保していくという対策といたしましては、まず一つには我が国の雇用慣行を生かした定年制のもとで六十歳定年制の定着化に向けて努力するということが一つでございます。さらに、六十歳を超えた方々につきましては、多様な就業ニーズにこたえる形で継続雇用あるいは再雇用その他もろもろの弾力的な措置を活用しながら、段階的、計画的に雇用を進めていくということが必要だろうと思っております。そのための法的整備の問題につきましては、現在雇用審議会において熱心な御議論をいただいておりますので、それを待ちまして適切に対処してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/205
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206・小西博行
○小西博行君 御存じのように造船不況で、私、今広島なんですけれども、大勢の方々が退職されましたね。そして、現在は非常に少ない従業員になったわけですが、今度は仕事が今は物すごい勢いでふえまして、特に造船関係は韓国あたりからの、従来韓国でとっておったやつが全部最近日本に回ってきている。これはもちろん韓国も非常にコスト高ということもあるでしょう、人件費も上がっていますから。そういうふうになった場合に再雇用したいわけですね。ところが現実には、会社をやめさせられたということが非常に強いものですから、その会社へ帰っていかない。むしろほかの会社であれば、同じ職種だったらそっちへ行きたいというような非常に複雑なものがございますので、その辺もあわせて考えていただきたいというふうに思います。
今おっしゃいましたように、雇用審議会において高齢者雇用促進のためのいろんな研究がされている、あるいは法的な整備が相当やられている、このように私も聞いておるわけですが、その内容について具体的に教えてもらいたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/206
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207・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 去る十月二十四日に、労働大臣から、六十五歳に達するまでの間の雇用機会を確保する対策について、法的整備のあり方も含めて意見を求めるということで御諮問申し上げたわけでございますが、以後四回にわたって総会で御議論をいただいているところでございます。
この雇用審議会におきましては、一つには六十五歳までの雇用確保を図ることの必要性についていろいろな角度から御議論をいただきまして、まずその点についてコンセンサスを得ていただくというような形で御議論をいただいておりますが、さらに六十歳定年を定着化させるためにどういう問題があるか、あるいは六十五歳までの雇用を確保する枠組みとしてどういう形の法的整備があり得るか、そういったことで御議論をいただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/207
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208・小西博行
○小西博行君 そこで、長寿社会雇用ビジョンというようなものが作成をされたというふうに聞いておるわけです。そのビジョンについて、特に先ほどから申し上げている高齢者の雇用の問題ですね、この促進については目標年次、具体的にいつまでにどういうものをやるというものはもうできてるんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/208
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209・七瀬時雄
○政府委員(七瀬時雄君) 長寿社会雇用ビジョンにつきましては、現在長寿社会雇用ビジョン研究会というところで長期のビジョンを研究していただいているところでございまして、できますれば本年度内にということで思っておりますけれども、まだ目標年次をどういう形で考えていくかというところまでは議論がまとまっておりませんので、その点については御勘弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/209
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210・小西博行
○小西博行君 ぜひ前向きにひとつ検討していただきたいと思います。
それでは、国民年金基金について少しお尋ね申し上げたいと思いますが、この制度につきましては我々民社党でも従来その必要性をいろんな形で主張してまいりました。基本的には政府案をかなり高く評価しているわけでありますが、今まで法律上設けられていました基金制度、これがどうして今回の場合は一つも設立されていなかったのか、その理由をまずお伺いし、そしてまたそれを今回どのように改めようとしているのか、この二点をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/210
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211・水田努
○政府委員(水田努君) 現行の制度は全国で一本の職能型で、しかも同種同業の三分の二以上の同意を要する、こういう非常に厳格な資格要件が求められていましたために現実にはつくれなかったというのが実態でございますので、この職能型については厚生年金基金の全国型の同種同業の例から見て私どもは三千人あれば十分保険集団として安定的に運営できるということから、これを大幅に緩和して三千人まで持っていったということが一つと、それから、先ほど乾先生からも御質問がありましたが、やはりこの職能に属さない町の魚屋さんとか肉屋さんとか、そういう人たちが気軽に入れるような地域型の基金をつくりたいということで、これは都道府県を単位につくるということで、これもつくりやすいように千人の加入者があれば設立できるということに今回いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/211
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212・小西博行
○小西博行君 ほかに自営業者、今、魚屋さんとかお肉屋さんというお話でしたが、これがもっともっと大勢入っていただくように何か細かい具体的な方策というのはあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/212
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213・水田努
○政府委員(水田努君) 基本的にはこの国民年金基金は自営業者、すなわち一号グループしか入ることができませんので、この一号グループについて私ども十分周知徹底をし、四十七都道府県が一斉に足並みをそろえてスタートできるように、衆議院の段階で施行が平成三年の四月に修正を受けた、こういうことでございますので、十分周知徹底を図り、PRをした上でスタートをさせたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/213
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214・小西博行
○小西博行君 各県ごとに設けられております地域型基金、これでは地域のニーズに応じた給付設計が大変大事だというふうに私は思います。また一方では、同じ基金加入者でも地域によって給付の内容にかなり格差があるという問題は同僚の議員からも御質問でございます。厚生省は、こうした地域型基金の給付設計をこれからどのように調整、指導していくのか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/214
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215・水田努
○政府委員(水田努君) 地域型基金は、それぞれ各県のニーズにこたえるという面が一つと、それから四十七都道府県でそれぞれの県によって年齢格差という、自営業者の年齢格差がございますので、それはどうしても都道府県単位でつくりますと年齢格差というものが持ち込まれます。そうしますと当然、これは積立金を運用していくわけですが、若い層が多い方が運用利息がたくさんたまる、それから高齢者の多い方はどうしても期間が短いので運用利息が減る、こういうことからそれに基づく給付に若干のアンバラが生じてくる可能性が十分ありますので、私ども国民年金基金連合会の共同事業としてそこらのアンバラができるだけ生じないような一つの調整を図る、そういうことによって各県で給付の格差が余り生じないように十分調整を図るような指導をしてみたい、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/215
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216・小西博行
○小西博行君 一部の学者の中には、この基金というのは金持ち優遇ではないか、こういうような論陣を張っていらっしゃる方が何人かおられます。私自身は大変心外だなという感じはしておるのでありますけれども、しかしそういうふうに言われている以上は、そうではないということを明確にひとつ局長の方からしていただきたい、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/216
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217・水田努
○政府委員(水田努君) 私どもはできるだけ自営業者の方に入りやすい基金にする、そのためには口数制にしてその一口が負担しやすい金額に持っていく、私どもは一口五千円程度に抑えて何口かそれぞれの皆様方の経済状態に応じて入っていただく、こういうことを考えているわけでございます。もちろん、できるだけ効率的な資産運用をすることによって、少ない掛金でも厚い給付という魅力を持たせる、あるいは地域のニーズにこたえるという魅力を持たせる、そういうことによって積極的に皆様方に多数入っていただけるように持っていきたい、こう思っております。
それから金持ち優遇にならないという面では、税制上の優遇措置が行われたのは、入るのは自由でございますが、これは脱退の自由がないんです。入った以上は年金をもらうまでは脱退できないという点が、やはりそこを理解しないで金持ち優遇と、こう一部の方が言っておられるのは私どもは非常に残念である、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/217
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218・小西博行
○小西博行君 大臣に、この年金基金の創設のひとつ決意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/218
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219・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 本来、自営業者がこの基金を、二階建ての年金制度を非常に待ち望んでいたことは事実なんですが、今までのやつはどちらかというと非常に入りにくい。全国で一業種、そして三分の二が同意をしなければいけないとか、あるいは全県下でやるという場合でも、同じように非常に条件が厳しくて入りたくても入りにくい、つくりたくてもつくりにくい。この条件を今度は非常に緩和をされているわけでありますから、今この基金に対する期待は非常に大きいわけであります。
要は、今までの制約というよりも、企業年金その他と同じように国民としての同一の権利を取得できるという機会を幅広く、そして入りやすくすることによって、今までどちらかといえばそれに入れないで企業年金を指をくわえて見ていた人たちに対して大きな光明を与えたものだと思います。その精神を十分に生かすようにひとつ努力をして御了解いただいて、これが成立すれば最善の努力を加えて頑張っていきたいと思いますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/219
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220・小西博行
○小西博行君 きょうもいろいろ同僚議員の方から質疑がありましたが、学生の加入、これは当然大学の協力も相当いただいたり、親の方も実はこれは大変であります、八千円が八千四百円になるということでありますから。しかし協力体制がうまくいかないと、この制度そのものの成功不成功と言ったら大げさですけれども、やっぱり大切な問題だというふうに思いまして、特にその辺の具体的な、学生にとにかくこの年金に加入できるような、先ほども税金の問題とかいろいろ出ましたけれども、具体的にこれからどのように学生に対しての加入者をふやしていくというか対策をとっていかれるのか、その辺をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/220
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221・水田努
○政府委員(水田努君) やはり私ども十分な準備期間を設け、大学なりそれから市町村なりの協力を得て、まず学生の皆さんは強制適用になるんだということを徹底する必要があろうかと思います。したがいまして、私どもの当初予定していた施行時期はおおむね一年ずれまして平成三年度からスタートと、こういうことに修正がなされたわけでございます。
それから負担の問題については、各党からそれぞれ厳しい御注文がついております。それを拳々服膺いたしまして、現在負担能力のいろんなケースについての実態調査を全国レベルで行っておりますので、その集計結果を踏まえて、市町村の事務との兼ね合いも考えながら、公平な負担になるように最大限の努力をするようにいたしたい、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/221
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222・小西博行
○小西博行君 それでは次に、保険料の問題について少しお尋ね申し上げたいと思います。
だんだん高齢化社会になってくる、それから支払う方は数が少なくなってくるということですから、保険料の方はだんだん高くなっていくんではないかと思うんですけれども、しかしふえない方がいいと思います。そういう意味では、保険料の全部集めたものの積立金の効率的な運用、これが一つの私は大きな問題になるし、またそれがうまくできれば大変負担金が少なくて済むような方策もとれるんではないかという意味で、最大の努力を払ってもらわなきゃいけない。したがいまして、そのものに対する自主運用をぜひとも積極的にやっていただきたい。
そういう意味で、もう既に六十一年度からは自主運用をやっておられるというふうに私も聞いております。その自主運用の規模と運用の実績についてまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/222
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223・水田努
○政府委員(水田努君) 年金積立金の自主運用は、年金財源強化事業と資金確保事業の二つに分かれておりますが、この合計の運用額は現在六・七兆で、積立金の約一割程度ということになっております。
この運用実績、六十三年度で申し上げてみますと、年金財源強化事業は資金運用部に預託した場合に比べて一・七八%上回っております。資金確保事業につきましては、資金運用部に預託している場合に比べまして一・五四%利回りが上回っております。両事業合わせまして六十三年度分の利差益は六百六億円でございまして、スタートいたしました六十一年度からの累積額で見ますと八百三億円と、こういうことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/223
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224・小西博行
○小西博行君 そこで大蔵省にお伺いしたいわけでありますが、今申し上げましたように、積立金をできるだけ有効に使ってそれを年金財源にしてもらいたいという考え方なんですが、既に現在共済組合では積立金の三割、今のお話では一割ということでございましたんですが、こういうことを、実際に枠の拡大ということを図っていいものかどうか、その辺大蔵省の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/224
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225・富田辰郎
○説明員(富田辰郎君) 先ほどの御質問でございますけれども、大蔵省といたしましても、年金財政基盤の強化の要請、こういうものについては十分認識しておりまして、先ほど年金局長の方から御答弁がございましたけれども、六十一年度から資金確保事業あるいは特に六十二年度からは年金財源強化事業という事業を創設いたしまして、六十二年度一兆円、六十三年度一兆二千七百億円、元年度で一兆五千三百億円ということで、その充実に配慮してきたところでございます。
他方、年金の積立金と申しますのは財政投融資の重要な原資となっておりまして、社会資本の整備あるいは中小企業対策、さらには昨今ですと地域の活性化あるいは不況時においては不況対策等等の面で重要な役割を果たしておりまして、来年度でも非常に皆さん方からは強いニーズがあるというような状況でございます。そういう中でも、資金確保事業あるいは年金財源強化事業等その他年金加入者のための還元融資の比率というのは八割を超えておるというような状況なんでございます。
来年度以降でございますけれども、これにつきましては、財政投融資に対する需要、それから年金の財源強化、年金財政への配慮等々を勘案して、厚生省と相談してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/225
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226・小西博行
○小西博行君 大臣、厚生省とよく相談したいと、こう言っている。できるだけ自主運用をして、やっぱり目的はある意味では同じ部分はあり得るんですが、国民ですからね。だけれども、私は大いにその枠を広げて厚生省の権威をここに知らしめるということも一つの大切な要素じゃないかと思いますが、大臣はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/226
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227・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) ちょうど三年前の予算編成のときにこれを初めて実施するようになったんですが、理財との間に大変なやりとりがあって、苦労に苦労を重ねて自分たちが積み立てた金だから、それを使うのに大変な大騒ぎをして使えるようになって、その結果は今局長が答弁したように大分効果を上げているわけであります。でありますから、まだ一割という程度で、もっともっと努力をしていかなければならないし、少なくとも共済とのバランスぐらいとれるようなことをいずれ求めていかなければ、運用を拡大して努力していかなければいけないと思っておりますので、先生方もひとつ大きな応援団になっていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/227
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228・小西博行
○小西博行君 それから、住宅融資の問題なんですけれども、年金の加入者の方々が住宅をぜひ手に入れたいというようなことで、当然この住宅融資というものを受けるわけですが、今度保険料がまた値上げということで、これが加入者にとっては大変問題があるんではないかしらと、何としても融資の還元をもっと積極的にやっていただきたいというような問題もあろうかと思います。ぜひとも住宅融資の方も今までよりももっと多くしてもらいたい、利子の方も考えてもらいたい、こういうのが一般の皆さん方の感情ではないかと思います。
しかし、現実には非常に申込者が多いんだけれどもなかなか全部に貸してあげられない、こういうのもまた現実ではないかと思いますので、その辺の住宅融資についての来年度の予算要求はどうなっているのか、この点を明確にしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/228
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229・水田努
○政府委員(水田努君) おかげさまで年金融資という言葉は国民の中に非常に定着をいたしてまいりまして、被保険者の方から大変住宅に対する融資の希望が増大してまいっておりますので、今回保険料も上げるということもありまして、私ども思い切って約三〇%増しの要求をさしていただいております。一兆三千百二十九億円の住宅融資の貸付枠の要求をいたしておるところでございまして、先生方の御協力を得てぜひ満額獲得できるようにこれは頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/229
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230・小西博行
○小西博行君 今あのように言っておりますが、大蔵省せっかく残ってもらっているから、大蔵省はどうですか、出しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/230
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231・富田辰郎
○説明員(富田辰郎君) 先ほどの答弁と重なっている点もあるわけでございますけれども、年金住宅貸付事業、これは年金加入者の還元融資の一環ということで従来から事業を行ってきたわけでございます。現在、来年度どうするかということについては折衝中でございますけれども、年金の新規預託額がどうなるか、あるいは先ほど申しました財源強化事業、資金確保事業の規模、それから財投全般に対するニーズ、そういったこと等も総合的に勘案しながら考えていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/231
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232・小西博行
○小西博行君 それでは、厚生年金の基金について少しお尋ねしたいと思います。
だんだん高齢化社会が進展いたしますと、老後生活の保障という問題、これはもちろん公的年金と同時に企業年金ですね、これを合わせて何としても豊かな生活をしたいというのが皆さんの考え方だというふうに私は思います。
そこで、企業年金の中心というのは厚生年金基金の普及を図るという、これが非常に大切じゃないかと思うんですが、本年四月、設立認可基準の緩和が相当図られたと聞いておるわけですが、その中身は一体どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/232
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233・水田努
○政府委員(水田努君) 昨年、厚生年金基金制度について二十年ぶりに改正をしまして、全会一致でこの改正をお認めいただいたわけでございます。その改正を踏まえまして、ことしの四月から企業単独でつくります基金の場合の設立要件の人数を、今まで八百人としていたものを五百人に下げた、それから中小企業の方がつくる総合型基金については五千人であったものを三千人に緩和した、それから工業団地等のいわゆる異業種間でつくる地域型基金も新たに認める、こういう措置をとったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/233
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234・小西博行
○小西博行君 緩和措置をとった後の、特に八百人未満の小規模基金の設立状況、これは一体どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/234
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235・水田努
○政府委員(水田努君) ことしの十一月に、既に八百人未満の小規模四件認可をいたしております。それから、明年準備を進めているところが十七件。さらに、つくりたいということで受託機関と相談中のものがそのほか三十七件ということで、今後相当の勢いでできていくんではないか、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/235
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236・小西博行
○小西博行君 これは非常に私は大きな成果につながっていくと思うんですね。だから、ぜひともその普及について御指導を願いたい。
大臣、その点どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/236
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237・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 先生御指摘のとおり、やはりこの企業年金については、緩和もされたということでありますけれども、まず第一に、中小企業という、どちらかといえば大きな企業と比較してこういった企業年金というような設立というものが非常に難しい企業、あるいは小企業ではあっても団地等でもって一緒に共同でやっているとか、そういうようないわゆる中小企業グループの方々に参加をしていただくような積極的な姿勢を示して、また規制をするというよりも、むしろそういった意味ではその条件というものをよく見て、その条件に合っているものについては特に御支援を申し上げて設立ができるようにしていきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/237
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238・小西博行
○小西博行君 集めたものを、これはもうさっきと同じですが、資産運用をいかにして拡大していくかという、この問題がこれまた大きなテーマの一つだと私は思うので、それを具体的にやる場合の目的といいましょうか、具体的にどのようにやろうと考えておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/238
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239・水田努
○政府委員(水田努君) 今回の改正法案の中で厚生年金基金の運用範囲の拡大を盛り込まさせていただいておるわけでございますが、厚生年金基金制度はもう既に制度ができて二十年を経過しておるわけでございます。当初のころは生保、信託だけに限定されておりまして、貸付金が中心であったわけでございますが、最近は運用の主体が有価証券に変わってまいっております。この点は、企業年金の先輩でありますところのアメリカ、カナダ、イギリスと似たような形になっておりまして、これらの国は生保、信託に伍して投資顧問が運用に当たる、三つの機関が運用に当たる、これが世界的な傾向になっておりますので、今回、総資産の三分の一について従来の生保、信託以外に投資顧問も参入できる、その三分の一の分野については生保、信託、投資顧問がそれぞれ専門性を発揮しながら競い合って効率運用を図っていただく、こういう道を開かせていただいておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/239
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240・小西博行
○小西博行君 六十三年版の厚生白書を見てみますと、その中で厚生年金基金の活用方法がいろいろ紹介されているわけですが、例えば年金生活セミナー、年をとる前にいろいろそういう教育を受けるというんでしょうか、そういうようなこともやっておられるというふうに聞いておるわけなんですが、それ以外にもいろんな計画をされて具体的にやっている場合もあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/240
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241・水田努
○政府委員(水田努君) 現在、厚生年金基金は大変そういう意味の福祉活動に力を入れ始めておりまして、四十歳台の夫婦を二、三泊で呼びましてライフプランセミナーということで老後の生活設計、経済面あるいは健康面、生きがいの面、いろんな面で指導をし、退職後にいろんな面に備えるということを実施しておりまして、大変好評を得ておりますので、私ども、厚生年金基金連合会等で的確な指導ができるノーハウを積極的に開発させまして、個々の厚生年金基金でそういうライフプランについてのセミナーができるように普及を図っていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/241
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242・小西博行
○小西博行君 そういう意味では、福祉とか保健とか医療とか、高齢化社会に向けて具体的にどのようにやればいいのか、そういうことを十分これからもやっていかなきゃいけないと、当然そのように考えておられると思うんです。
私の聞くところによりますと、長寿科学研究センターというのを設けようというような考え方があるようでありますけれども、その構想とか、具体的にどういうことをやろうとしているのか、この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/242
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243・加藤栄一
○政府委員(加藤栄一君) ただいまお話のありました長寿科学研究センターでございますけれども、厚生省といたしましては、高齢化が非常に急速に進展してまいりますので、これに対処いたしまして活力ある長寿社会確立のための諸施策の基盤となります長寿科学研究というものを、保健、医療、福祉を初めとして幅広い観点から推進してまいるというふうに考えておりまして、その長寿科学研究の中核となるべきものとして長寿科学研究センターを位置づけております。
かねてより学識経験者から成ります検討会で御検討いただいておりましたのですが、先月十一月の末に、自然科学から社会科学に至るまでの幅広い分野で取り組みます研究施設それから臨床施設、それから成ります国立の機関としてこのセンターを設置すべきである、こういう御報告を受けたわけでございます。
厚生省といたしましては、この御報告を踏まえまして、来年度にはセンターの整備計画を策定する等、逐次具体的な進展を図ってまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/243
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244・小西博行
○小西博行君 これは大臣に最後にお伺いしたいと思うんですが、私はよくいろんな老人ホームを訪ねていくわけでありますけれども、どちらかというとやっぱり都会ではなくて、土地の割合安い山間部だとか、そういうところに老人ホームがよく建っておるんですね。ところが考えてみますと、やっぱりそういうところへは子供さんもなかなか行かない、行きづらい。私は、お孫さんあたりが喜んで行けるようなそういう環境づくりというのが非常に大切ではないかと思うんですね。
たまたま私はヨットだとか海のことをよくやるものですから、むしろ四十代ぐらいからぼつぼつそういうところで、たまにでもいいですが環境になれるというんでしょうか、そして子供さんはいろいろ働いているでしょうけれども、お孫さんが休みになったらぜひおじいちゃんとかおばあちゃんのところへ行きたい、そしてその環境を楽しみたい、そういうものでないとなかなか家族が来てくれないといつも感じているわけですよ。そういう意味で私は、これから先の今申し上げたような施設一つにしても、やっぱり魅力的なものでないと恐らく家族との関係というのも非常に難しくなりはしないかな、できれば若いときからそういうところへどんどん行く、そういう形が大切ではないだろうかな、そういうふうに感じております。
これからの高齢化社会というのは、つまりお年寄りだけで生活するんじゃなくて、子供さんとかお孫さんとか、そういう皆さんが集まってやっぱり楽しく暮らせるようなそういうものでないといけない。一方では、やはりさっきも申し上げたように、お年寄りでも仕事を十分持って生きがいを持てる、こういうような環境の醸成というものが大切ではないだろうか。年金はもちろん必要でありますけれども、それだけではいけない、私はそのように思いますので、大臣に最後にその点をどうお考えなのかお聞きして、次にバトンタッチをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/244
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245・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 御指摘のように、特別養護老人ホームあるいは老人ホームというものがどちらかといえば土地の安いところにできて、そして遠方であるからなかなか家族の人も行く機会がない。勢い、将来そういった生活になれていかなければならない環境の中で、そういうようなものを体得する機会も子供や親なんかにもない。そして施設に入所したお年寄りの人たちが寂しい思いを一方でする。こういうような環境というものは、やはりだんだんこれから高齢化社会になって四人に一人は六十五歳以上だ、そういう環境になっていくわけでありますから、やはり考えていかなければならない大きな問題だと思います。
特に私は、田舎といいますか地方の方では特別養護老人ホームなり老人ホームは多いけれども、都会の中では地価が高いからとてもそういうものができない。しかし、都会に人が相当寄ってきている。寄ってきた人はどういう人かといえば、今から三十年、四十年前にやはり農村から都会に移動してそこに職を求めてきた人たちで、その人たちが今お年寄りになってくる。今はその人たちの子供の時代である。子供とお年寄りが都会で生活して、そのお年寄りの入る特別養護老人ホームなりそういった施設がとてもつくりにくい。こういう中で、どういうことを考え、どういうやり方をしたらば特養のようなものができるのか。
私は、例えば保育園であるとか幼稚園であるとか、都会のそういった施設の二階は老人施設であるとか、そういうような重複した違った施設が同居するようなことも都会では考えなければ、都会のお年寄りはどうしていったらいいんだろうかというようなことも考えているわけで、役所の中でもそういうようなことに対する前向きの知恵というものを出し合おうじゃないかということも言い合っているわけであります。
先生の御意見は私も全くそういう意味では同感でありますので、よろしくまた我々にも知恵を拝借させていただいて、そういったものをつくっていきたい、かように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/245
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246・浜本万三
○委員長(浜本万三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、西田吉宏君が委員を辞任され、その補欠として吉川芳男君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/246
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247・西川潔
○西川潔君 いよいよ最後の質問者になりました。よろしくお願いいたします。長丁場、本当に御苦労さんでございます。
もう一度、おさらいのつもりで質問をさせていただきますので、重複するところが多々ございますが、お許しいただきます。午前中からいろいろと年金のことを勉強させていただきましたが、国家公務員の皆さん方にいろいろ質問を先生方がされて、私どもは素人でございますが、本当にありがたいなと感謝するような気持ちの部分、またもう少しこのあたりは当然何とかならぬもんかいなとちょっと腹立たしく思う部分、いろいろ勉強させていただきましたが、私はまず無年金者のことからお伺いしたいと思います。
今回の年金法案の改正の審議に当たりまして、私はいつもテレビとかラジオで皆さん方におはがきをいただいておりますが、もう一度読み直してみますと、年金に対する不安、疑問に加えまして最も多かったのがやっぱり無年金者の方々です。こういう方々の訴えは、無年金者となるに至った原因にはさまざまなものがありますが、昭和五十七年以前に障害者となった在日外国人の方々や旧制度時代に制度の谷間に落とされてしまった方々のように、どちらかといえば制度に原因があって無年金となられた方も随分いらっしゃいます。また、若いころ、年金制度の存在を知らずに未加入のまま放置していたため無年金者となってしまった方々もいらっしゃいます。
そこでお伺いしたいのですが、現在無年金者と言われる方々がどれくらいいるか、改めてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/247
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248・土井豊
○政府委員(土井豊君) 無年金者につきましては、私ども正確な統計は持ち合わせておりませんけれども、国民生活基礎調査等の結果をもとに推計をいたしますと、約七十数万人程度の無年金者がいるのではないかというふうに推計をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/248
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249・西川潔
○西川潔君 無年金者となってしまった方々については一体どうすればよいのか、大変難しい問題だと思うのですけれども、この問題につきましては、私といたしましてももう少し勉強させていただきまして、また改めて質問させていただきたいと思うのですが、少なくともこれ以上無年金者を出さないように、今のうちからできるだけの手だてを講じておく必要があると思うのです。
年をとってから、あるいはけがや病気になってから年金に入っておけばよかった、きちんと掛金を納めておけばよかったと後悔しても遅いわけですが、その意味で考えますと、国民年金の現役の方で掛金を滞納されておられる方は将来無年金者になるわけですが、現在未加入者を含めた国民年金の滞納者は一体どれぐらいおられますか。また、政府はこの数字についてどういうふうにお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/249
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250・土井豊
○政府委員(土井豊君) まず、国民年金の保険料の滞納者の問題でございますが、一昨日もお答え申し上げましたけれども、保険料の未納率というものをもとにして計算をいたしますと、約二百五十三万人ではないかというふうに推計をいたしております。
なお、一昨日、高桑先生に二百八十八万とたしか申し上げたと思いますが、その後よく数字を計算いたしますと、一号被保険者から免除者を除いたものに率を掛けるという形で推計をすると、約二百五十三万人というふうに把握をいたしております。
それから、もう一つの未加入者の問題でございますけれども、特に人口移動の多い都市部において非常に把握することが困難でございまして、私どもなかなか正確な未加入者の実態というものをつかんでいないわけでございますが、ただ、毎年四月に全国の市町村におきまして適用対象者というのを把握して、そして一年間かけまして適用促進という形でやっているわけでございますが、年度末において残った数字というようなもので推計をいたしますと、年によって多少違いますけれども、八十万人とか九十万人というのが出てまいっております。この中には学生でありますとかいろんな方々があるものですから、全員が未加入者というわけではないと思いますけれども、一応そのオーダーの範囲内の数字が未加入になる危険性があるんではないかというふうに推計をいたしております。
いずれにいたしましても、それぞれ相当な人数であるという認識を持っておりまして、私ども、これらに対して全国の社会保険事務所、市町村が力を合わせて、できるだけこういうことが少なくなるように今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/250
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251・西川潔
○西川潔君 何か対策の方法みたいなものがおありなんでしょうか、こういうことを今後やっていこうということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/251
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252・土井豊
○政府委員(土井豊君) ただいままで私どもで実施をしております具体的な方法は、一つは保険料を納めやすい環境づくりをするということで、全国の市町村で、従来は三ヵ月に一回納付ということでございましたが、本年四月からは毎月納付ということで、全部それで出そろいました。それから、具体的には口座振替でありますとか、そういうふうに納めやすいような環境づくり、これは非常に地道なようでございますけれども、やはり一番基本になることではないかと思っておりますので、今後とも努力をしてまいりたいというふうに思っております。
それから、未加入防止の問題でございますけれども、住民基本台帳でありますとか、国民健康保険の加入者で国民年金には入っていないというような方々は市町村において把握できますので、一人一人について加入勧奨を行っていくという地道な努力を続けさしていただきたい。と同時に、年金制度全体につきまして基本的な広報を行って、入っていなければ将来非常に困ることが起こるべしということを十分御理解をいただくという一般的な広報にも力を入れてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/252
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253・西川潔
○西川潔君 それでは次に移ります。
今出ました学生さんのことで、今の無年金者問題に関連して二点お伺いしたいと思いますし、もう一つは第三号被保険者の問題です。
まず、学生の強制適用に伴うこの適用事務について、今回の制度の改正で、学生さんの場合二十になった時点で任意加入であった学生はいわゆる強制適用となるんですが、これまで二十になった方々に対する加入の通知のようなものは行われていたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/253
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254・土井豊
○政府委員(土井豊君) 市町村によって多少の違いはございますが、毎年新成人になられた方々に対しましては市町村の方から通知とかパンフレットをお送りするとかそういうような形で年金制度についての加入促進、加入勧奨ということを行っておりまして、したがいまして成人式の場合でありますとか、成人のお祝いの一つと言うと語弊がございますけれども、そういう意味で、私ども二十歳という節目年齢に着目した御案内をやってきているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/254
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255・西川潔
○西川潔君 健康保険の場合ですと、例えば風邪を引いたりとか歯が痛くなったときに病院に参りますし、日々の生活で何かと必要性を感ずることがあるわけですけれども、年金の場合は人生の例えば四十年後の話である、万が一障害を起こした場合のためでもある。成人を迎えた若い人たちにはなかなか現実の問題として受けとめられにくいんですけれども、幾つかの市町村に我々も問い合わせてみました。二十の方に対する年金加入の通知は、例えば大阪の寝屋川市ですとこういうふうなはがきを出すようにしておるわけですけれども、地域によっては通知のはがきもなく広報のみという地域も実はございました、調べてみますと。その一方、新聞での紹介記事を読まさせていただいたものもあるんですが、こちらにも「ねんきん」というこんな大きい、これは横浜市の西区で出しているんですけれども、年金制度をわかりやすく紹介をしておる「ねんきん」という新聞ですけれども、「私は五十五歳で、現在国民年金に加入してます。夫は昨年から、厚生年金をもらっています。万一、夫が亡くなった時、私の年金はどうなりますか」とか、いわゆる生活に密着した問題を取り上げてわかりやすく解説しておられるわけですけれども、こういう仕組みを、例えばこちらでは会話やQアンドAの形式で紹介したり、また年金のコーナーを区民祭に出展したり、パネルでクイズをつくったり、パントマイムなどを通じて年金をわかりやすくPRすることによって加入者が随分ふえております。
政府は、成人を迎えた二十の方々に対して年金制度へ加入してもらえるように、この必要性や仕組みのPR、こういうふうな手続について何かいい案がございませんでしょうか。僕は、例えば成人式の会場へ参りまして専門家の方々が成人式の会場でちょっとPRをしていただくとか、例えば本当に厚生省が、西川潔、一遍おまえやってみないかと、また厚生大臣の方から、西川、一遍全国のテレビにこういうふうなPRで、僕らタレント議員としてこちらへ参加させていただいておりますので本当にお使いいただければ僕は喜んでやらしていただくんですが、年金局長、ひとつ考えていただきたいと思います。出演料は一銭も要りませんので、これは本当に真心を持ってやらしていただきたいと思います。例えば僕であるとか前島先生とか野末陳平さんとか、いろいろ僕と走り回って一緒にやるというような方々がおられましたら、大変大事な問題でございますので、本当にできることならやらしていただきたいなというような気持ちも持っております。何かいい方法を考えておられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/255
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256・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) 西川先生から、年金を理解させる運動をひとつ買って出てやろうかというようなお話で、これは本当に心強く思っております。
やはり何かそういったことは非常に必要じゃないかと思うのは、最近は年金というものに対する関心が非常に高まってきたことは事実なんですが、この年金制度が発足した当時は、年金というものに対するそう深刻なというか、将来に向かって意識が非常に薄かったように、今から考えてみると思います。
〔委員長退席、理事糸久八重子君着席〕
それで、今いみじくも西川先生が言われたように、現実的な健康保険のようなものは今でも起こることだから非常に高い関心を持っているけれども、年金というものは三十年四十年先の問題である、そのためにどうも薄いではないかということを言われましたが、まさに私はそのことは非常に重要なんじゃないか。だから、本当に滞納したり加入していない人がどういう意識で加入していなかったのか、若い現在の人が加入していないのか、あるいはもうそろそろ年金を受給することになったときに、自分は年金がないんだ、無年金だったとびっくりしているというような人がいるのか、そういうような実態も一回調べてみなきゃいけないんじゃないか。そうじゃないと年金に対する理解はどうも薄い。
それで、この間やはり衆議院である方が決算委員会のときに質問されたんですが、お年寄りが、できた当時に一カ月百円の掛金だったけれども将来二千円もらえる、計算したら二十倍だ、だからひとつこれ入っておこうかといって入っていた、ところが今八千円の掛金になってきちゃったと。その人はもう年金を受給しているんですけれども、その人がその時分の二十倍に今なっていないじゃないかと。だから、そうじゃない、あなたは百円払って今五万円に相当するものをもらっているわけだから、これは年金というものは非常にありがたいんですよと。
それからもう一つは、大体世の中年をとって働けなくなってきて、働きぐあいが悪くなれば給料は下がってくるんだけれども、年金だけは別で、百歳になって家で寝ていてもその年金というものは相当高い。若い人がもらっている賃金が上がれば比率が上がるのと、物価スライドで上がるのと経済の成長で上がるのと、全部そういったものを含めていただけるすばらしい制度なんだ、この制度を本当に理解したら加入しないなんてことはあり得ない。
ところが、やはり現実には自分の懐でもって払い切れないような高いものになってくると、いろいろ御指摘があったようなことになってはいけない。しかし、入れるものだったら、会社で働いていたら皆入れるけれども、そうでない自営業者や何かだとどうしてもそういったものに対する本当の理解というものが足りないんじゃないかなと。だから、先生の御指摘のようなことは大変ありがたいことだし、その証拠に今までも年金改正をするたびに特例納付制度というのを、入っていないものだから特例制度をまたもう一回、この前のときやったじゃないか、だけれどもまた特例制度というようなことで今までやってきたんです。
ですから、本当に滞納、無年金になっているような方の環境というものを一回調べてみたいと思うんですが、これもなかなか難しいんですね。例えば住民票で見ても、国民年金に入っているかどうかなんて調べようがないし、そういう意味で、いろんな意味でぜひ何とか調査をしてみたい。
〔理事糸久八重子君退席、委員長着席〕
それで、そういったようなPRというもの、ただ単に年金はいいんだいいんだと言うだけじゃPRになりませんから、現実にそういうような先生のお力等もかりながら、やれる機会ができたらと思い、検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/256
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257・西川潔
○西川潔君 ぜひお願いしたいと思います。消費税のときも随分橋本大蔵大臣がテレビに出て頑張ったわけですから、大臣も一遍出てみて、本当に一緒に何か我々がQアンドA方式でいろいろお尋ねして、理解してもらえるようなことを考えていただいたらと思います。
私は家に、八十一、七十六、七十一とみんな年金にお世話になっておりまして、本当に喜んでおるわけです。今度掛金のこともありますし、学生さんのことになりますと、二十、二十一なんというような子供を持っておりますと、これはもう二人分というだけで一万六千八百円も要るわけですから大変な支出になるわけですけれども、そのあたりが途中でやめるとまたもらえないしとか、ああえらいなとか、おうちの中ではいろんなことが言われておるわけです。
そういう意味で、次に、関連した第三号被保険者についてお伺いします。今回の改正とは直接は関係ないんですが、前回の改正で新しく創設されましたサラリーマンの妻の方々が対象となる三号被保険者の問題です。
確認させていただきたいんですが、前回の改正でサラリーマンの奥さんは主人の加入している年金制度が、主人の支払った保険料の中からまとめて保険料を納める形になったわけですから、奥さんは直接保険料を支払うことがないわけです。結婚している期間に応じた年金が支払われるわけですから、つまり結婚していればそれだけで保険料を負担しなくても年金がもらえると理解していいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/257
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258・水田努
○政府委員(水田努君) 厚生年金などの被用者年金に加入している方の奥さんは、その御主人によって生計が維持されている場合には三号被保険者という形になるわけでございますが、この三号被保険者の方は御主人の所属しておられる制度の拠出金のカウントの対象になっておりまして、その制度が奥さんの分も含めて保険料という中に化体をして取りまして国民年金に保険料を拠出すると、こういう形になるわけでございますが、その場合には三号被保険者である奥さんは、市町村に行って自分が三号被保険者であるという届け出をきちんとしていただかなければならないと、こういうことの義務も伴っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/258
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259・西川潔
○西川潔君 その手続ですが、三号被保険者の届け出というのは、これは一回だけやっておけばよいのでしょうか。それとも例えば住所が変わった、会社がかわった、脱サラになった、八百屋さんからサラリーマンになったと、いろいろケースがございますが、大変ややこしいんですが、そのあたりを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/259
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260・土井豊
○政府委員(土井豊君) 基本的には、一回届け出をしていただきますと、サラリーマンの奥さんであるという状態が変わらなければずっと有効でございますが、今お話のようにいろんな変更届け出書というケースに該当する場合には、これをきちっとしていただくということが必要に相なります。例えば住所が変わった場合には当然所在する市町村も変わる場合が多うございますので、改めて住所変更の手続をしていただくということになろうかと思いますし、それからまた御主人が会社をやめてサラリーマンから自営業になったといった場合には、三号被保険者というような今の形でなくなるものですから、奥さんの方も一号被保険者に切りかわるということでございますので、そういうような手続をしていただく。
いずれにしても、どういう場合にどういう手続をするかということをわかりやすく御理解いただくということがどうしても必要でございますので、私ども今言ったのを種別変更と申しておりますけれども、どういう場合にはそれに該当するということをわかりやすく広報いたしまして、そういうケースには問い合わせその他を通じましてきちっと手続をしていただくということが将来の年金権をきちっとするためにはどうしても必要でございますので、十分周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/260
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261・西川潔
○西川潔君 今お伺いしただけでも本当に仕組みがややこしいと思いますし、すぐに忘れてしまうわけですが、第三号被保険者という仕組みは、サラリーマンの奥さんの年金権を保障する上では大変いい仕組みだと思います。今のお話のように、御自身がきちんと届け出をしておかないと未加入者の扱いになってしまうわけですが、保険料を御自身で納めることがないわけですからかえって気がつかないというおそれがあると思います。
そこで、万が一届け出がおくれた場合、結婚して五年間例えば届け出を忘れていたというような場合は、届け出の効果というのは五年間さかのぼることができるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/261
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262・水田努
○政府委員(水田努君) 三号被保険者の方は、確かに保険料は御主人の払われる保険料の中に化体されるわけですが、前回の改正でせっかく婦人の固有の年金権というものが付与されたわけでございますので、自分が年金制度に参加しているという自覚を持っていただく上でも三号被保険者としての届け出をきっちりとやはり出していただく、これはどうしても大事なことではないかと私どもは思っておるわけでございます。
今お尋ねの五年間届け出を怠ったという場合の法律上の扱いでございますが、これは届け出をすれば、二年分はさかのぼって保険料が納められたものと、こういうふうな扱いになりますが、それ以前の三年分は未納であったと、こういう扱いになるわけでございます。
というのは、それぞれこれは三号被保険者の届け出があって、その所属する例えば国家公務員共済なら国家公務員共済に拠出金の割り当てをするわけでございますので、それを怠っておりますとその賦課というのはできないので、その調整というのは概算要求、精算要求と、こういう形の中で二年間で行われるわけで、これは一般の保険料の時効が二年間であるのと同じバランスをとって行われているわけでございます。どうかその届け出関係は十分励行されるように、私ども地方も含めて徹底を図っていかなきゃ権利は守れないという問題になりますので、どうかひとつこの点についてもPRを怠りなくやってまいらなきゃならぬ問題である、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/262
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263・西川潔
○西川潔君 今のお話ですと、二年間しかさかのぼれないということですが、そうなればよりきちんと届け出をする、毎日の主婦の仕事の中でこれは本当に大変なことだと思います。その届け出は本当に難しいことがたくさんあるんですが、恐らく今でも届け出漏れのサラリーマンの奥さん方は随分いらっしゃるのではないでしょうか。届け出のあるなしで将来無年金者になってしまうというのでは、せっかく第三号被保険者の仕組みもなさないわけですが、今ならまだ間に合うと思うんですね。ですから、第三号被保険者の方々の届け出を簡単にするとか、さまざまな機会をとらえて今おっしゃっておられたようなPRを徹底していただくとか、適切な配慮をしていただくような検討は今現在していただいておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/263
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264・土井豊
○政府委員(土井豊君) 三号被保険者の人数は、昭和六十二年度で申しますと一千百三十万人程度に相なっておりまして、私ども、六十一年度から制度が切りかえになりまして、最初の年は一千万強でございましたが、現在は六十二年度末で一千百三十万人、大体一千万人強ではないだろうかというような見込みも持っておりましたので、ある程度まで周知徹底がされているのではないか。特に、私どもはこの場合に奥さん方御本人に市町村広報を通じてよく理解していただくと同時に、会社等を通じまして、事業主を通じましてだんなさんの方にもいろいろPRをしたというようなことで切りかえに伴う努力は可能な限りいたしたつもりでございます。
しかしながら、今お話しのとおり、それ以降例えば共働きになったとかあるいはだんなさんが転職したとかあるいはサラリーマンをやめたとか、いろんな事由によって資格の得喪関係に影響が出てまいるものですから、そういう点につきましては今後ともPRにつきまして最大限努力してまいりたいと思います。
今までも私ども自身も、社会保険庁のPRとして、テレビ、新聞、ポスターといったようなものを活用してやっておりますし、それから先ほど言いました事業主に対する協力依頼、あるいは国民年金事務の指導員による巡回指導でありますとか市町村広報等行ってきておりますけれども、今後ともこれらにつきましてはさらに力を入れまして、将来の年金権が脅かされないようにきっちりとわかっていただくということに最大限の努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/264
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265・西川潔
○西川潔君 次に、遺族基礎年金についてお伺いしたいと思います。
まず、遺族基礎年金を受けることのできる遺族の範囲についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/265
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266・水田努
○政府委員(水田努君) 遺族基礎年金を受けることのできる遺族の範囲でございますが、死亡された方のお子さんをお持ちの妻、それから子供、この二つのケースがあるわけでございますが、具体的に申し上げますと、死亡された方によって生計を維持されていたことがまず第一の条件でございまして、奥さんの場合には十八歳末満の子供か二十歳未満で一級または二級の障害のあるお子さんを持っておられる方、こういうことでございます。それから遺児の場合は、十八歳末満の子供であるか、二十歳未満の一級または二級の障害の状態にある方でございます。なお、この場合事実婚の方も認められる、いわゆる内縁関係の妻も含むわけでございまして、子供については養子や死亡したときに胎児であった子供も含むわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/266
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267・西川潔
○西川潔君 この場合の子の範囲でありますけれども、例えばほかの手当ですね、児童扶養手当などいろいろなものがございますけれども、ほかの部分も同じ扱いになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/267
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268・水田努
○政府委員(水田努君) 児童扶養手当法による児童も十八歳末満の子または二十歳未満で一、二級の障害の状態にある子、こういうことになっております。それから特別児童扶養手当、障害児福祉手当の子の範囲も全く同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/268
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269・西川潔
○西川潔君 先日また僕がお便りをいただいた中から、ちょっとお聞きいただきたいんですけれども、
私の家庭は主人が亡くなり、現在息子と二人暮らしです。私はパートで働いているんです。パートで働いている収入と主人の遺族基礎年金をもらいながら生計を立てておりましたが、息子が高校三年在学中の六月に十八歳の誕生日を迎えたことによって年金が実は打ち切られたわけです。せめて子供が高校を卒業するまで年金を支給してもらえないもんでしょうか、潔さん。
というお便りをいただいたんですが、いろいろ寡婦の方とか母子福祉の大会とかいうところへ講演に参りましたら、よくこういうお話をあっちこっちで僕らはお伺いするんですけれども、今の制度ではなかなかこの範囲の考え方はすぐに変わるものではないということもよくわかります。しかし、この方のように例えば六月にもらえなくなったというようなことであれば、せめて十八歳の年度末、高校卒業するまで年金を支給してあげたらどうでしょう。
この奥さんは本当にそれまでは何とかしてもらえないかと、この人の場合でしたら月額六万七千九百四十一円ですか、これはもうパートに出ておられるお母さんにしたら大変なことだと思います。聞くところによりますと、国家公務員の扶養手当がそのように改正されるということもお伺いいたしましたが、この点について、これは本当に現場から聞いてまいりまして、これからも頑張って自分がテーマとしてやりたいなと思うんですけれども、きょう確かなお答えをぜひお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/269
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270・水田努
○政府委員(水田努君) 先生の御指摘の事情、私どもよく理解できるわけでございますが、これはいろんな制度すべて十八歳末満という一つの線が引かれておりまして、厚生年金なりあるいは国民年金だけが独走して決め得る問題ではなく、やはり共済年金、それから先ほど先生の御質問のありました諸手当あるいは労災その他にも関係する問題でございますので、ひとつ今後の研究課題とさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/270
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271・西川潔
○西川潔君 本当にこれについては頭を下げられまして、現場の方々に、本当に潔さん頼むわと、国会へ行って社会労働委員会というところで今度はやるそうやなということで、ぜひお願いしてきてくれというお話をお伺いしましたので、最後にこれについて厚生大臣に一言お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/271
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272・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) そのお手紙を下さった方はやはり母子家庭のようですが、母子家庭その他いろんな児童扶養手当、いろんな問題で常に問題になってくるわけでありますが、やはり同じ十八歳の中で、高校に入っていないで働いている人たちとか、十八歳の環境というものはいろんな形であるんですね。それから制度もいろんな制度につながっている。そうすると、その制度間のやはり整合性を保たなきゃいけないという、いつも我々も出先で陳情を受けるたびに胸痛む思いをしております。
再度のそういった西川先生の御提言でありますが、よくまた検討さしていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/272
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273・西川潔
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
それでは、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/273
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274・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
これより両案の討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/274
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275・沓脱タケ子
○沓脱タケ子君 私は、日本共産党を代表して、国民年金法等の一部を改正する法律案及び被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案に対し、反対の討論を行います。
反対理由の第一は、厚生年金の支給開始年齢繰り延べの問題です。当初の改悪案から六十五歳繰り延べのための関連条項は削除されたものの、附則に、次期財政再計算時に見直すとし、四年後に再浮上させる火種を残しています。質疑で強調したように我が国の労働実態から見て年金の六十歳支給は将来にわたって厳守されなければなりません。
第二は、保険料の大幅引き上げの問題です。
原案より引き上げ幅をわずかばかり圧縮したとはいえ、国民年金保険料の引き上げは原案どおりであり、加入者の二八・二%が掛金の未納または免除となっている現状では、今回の値上げがさらに滞納、無年金者の増大に拍車をかけることは必至です。
第三は、二十歳以上の学生を強制加入にすることにより、新たに年間十万八百円を学生、親から取り立てようとしていることです。政府は、親の保険料負担が過大にならないよう配慮するとしていますが、内容が明白にされておりません。
第四は、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案ですが、鉄道共済の財政破綻の解決は労働者に負担を肩がわりさせるのではなく、政府とJRの責任で解決すべきであります。
我が党は、物価上昇に見合った年金額の引き上げと政策改定を四月にさかのぼって実施し、改悪条項である支給開始年齢の六十五歳繰り延べ、保険料の大幅引き上げをきっぱりと削除することを提案してまいりました。これこそ、年金額の引き上げを待ち望んでいる全国の年金受給者と、年金改悪に反対している多数の国民の声にこたえる道であります。
我が国が高齢化社会を迎えようとしているとき、消費税廃止法案が参議院で可決されたにもかかわらず、消費税になおしがみつき、今また年金改悪を押し通そうとする政府・自民党の態度を国民は決して許さないでありましょう。
私は、質疑の中で、年金財源対策として国庫負担をふやすことや、力のある大企業に高齢化社会にふさわしく応分の拠出を求めること、労使の保険料負担割合を変更することなどを求めてまいりました。
これらの諸点については、今後の年金制度の検討課題とすべきことを重ねて要望するものであります。
日本共産党は、老後の生活を保障するため、年金制度の拡充に引き続き全力を挙げることを表明いたしまして、反対の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/275
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276・乾晴美
○乾晴美君 私は、連合参議院を代表いたしまして、ただいま議題となっております二法律案のうち、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案について、反対の立場から討論を行うものであります。
政府は、今回の財政調整措置の目的について、平成七年とされている公的年金制度の一元化が行われるまでの間の当面の措置として、被用者年金の老齢給付部分についての費用負担の財政調整措置を講ずることにより、各制度の成熟度の違いに起因する負担の不均衡を是正するものであると、大変見ばえのよい説明をいたしておりますが、その主たるねらいが、来年度以降、毎年三千億円程度の赤字を生ずることとなる鉄道共済年金の救済にあることは明白であります。
そもそも、旧国鉄にかかわる鉄道共済年金に関する責任は、政府と国鉄清算事業団が全面的に負うべき性格のものであり、鉄道共済年金制度の財政破綻の責任を国が主に民間の被用者保険である厚生年金保険制度に転嫁することとなる財政調整は、我々は、何としても承服できないのであります。
厚生年金の元年度末の積立金は七十兆円近くあり、現在のところ成熟度が低いため一見財政的に余裕があるようにも見えますが、厚生年金からの巨額の拠出が続けば、将来の財政が極限状況に達することは今回の年金審議の中でも明らかとなっており、このような民間の制度に多額のツケ回しをするやり方は、どう考えても来るべき高齢化社会を展望した責任ある対応とは申せません。
また、さらに問題な点としては、厚生年金が今後順次破綻していくであろう共済年金の財政救済の役割を担わされることを指摘しないわけにはまいりません。公的年金の大多数の加入者の現在と将来にかかわるこのような基本問題は、拙速を避け、時間をかけて関係者の合意を形成すべきことを強く主張したいのであります。
このような見地から、衆議院での措置により、鉄道共済の自助努力などが一千八百五十億円に引き上げられ、制度間調整による拠出額も二割方引き下げられたところであり、その努力を多としつつも、この法案の本質に変化はないと指摘をせざるを得ません。
ここに至るまでの過程も、衆議院での自民、社会、公明、民社の四党間での合意により、政令事項である調整金額まで含め、参議院を拘束するものであり、我々連合参議院は一切関与していないばかりか、参議院軽視ともなるこうしたやり方は何としても承服できないのであります。
二十一世紀の本格的高齢化社会の到来を目前にした今日こそ、国は老後の所得保障の中核的制度である公的年金制度に対する責任を明確にするとともに、次々に民間の被用者年金に財政破綻のツケ回しをすることとなるようなやり方を撤回することを強く求め、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/276
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277・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより順次採決に入ります。
まず、国民年金法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/277
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278・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、糸久八重子君から発言を求められておりますので、これを許します。糸久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/278
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279・糸久八重子
○糸久八重子君 私は、ただいま可決されました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
一、平成七年実施を目途とする公的年金一元化の全体像を可及的速やかに明らかにすること。
二、基礎年金の水準と費用負担のあり方については、今後の社会経済情勢の推移等を踏まえ、次の財政再計算期までに総合的に検討を行い、必要な措置を講ずるよう努力すること。
三、学生の国民年金の適用については、関係者の協力も得ながら、その趣旨を周知徹底するとともに、保険料負担が過大にならないよう、免除基準につき適切な配慮を行うこと。
四、障害基礎年金の水準、学生時の障害無年金の対策等障害者の所得保障の充実について、障害者の「完全参加と平等」を促進する見地から、今後総合的に検討すること。
五、地域型国民年金基金の創設については、自営業者の二階部分の年金としての機能を十分発揮しうるよう適切な運用を図ること。
六、在職老齢年金については、高齢者の雇用、賃金体系との関係を勘案して、その改善を図るよう合理的な方策を検討すること。
七、六十歳定年の完全実施を図るとともに、高齢者雇用の促進を図るため、早期に高齢者雇用の長期ビジョンを策定し、雇用と年金の連携に配慮しつつ、法的整備の実現に努めること。
八、年金の毎月支払いについては、支払通知の簡素化を含め事務処理体制等の整備を図りつつ、その実施について検討するとともに、あわせて本格的な年金時代に対応した年金相談体制の充実強化に努めること。
九、沖縄の厚生年金については、早期に本土との格差を是正する措置を講ずること。
十、年金積立金の運用については、自主運用額の拡大に最大限努力するとともに、被保険者代表及び事業主代表を運営に参加させるなど保険料拠出者の意見が反映されるよう努めること。
十一、厚生年金の国庫負担の繰延べについては、速やかに繰り戻しされるよう努めるほか、今後、このような繰延べ措置は行わないこと。
右決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/279
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280・浜本万三
○委員長(浜本万三君) ただいま糸久君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/280
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281・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、糸久君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、戸井田厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。戸井田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/281
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282・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/282
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283・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 次に、被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/283
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284・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、小野清子君から発言を求められておりますので、これを許します。小野君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/284
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285・小野清子
○小野清子君 私は、ただいま可決されました被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
被用者年金制度間の費用負担の調整に関する特別措置法案に対する附帯決議(案)
政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
一、制度間調整の見直しに当たっては、被用者年金制度の被保険者などの意見を十分反映させるため、政府に被保険者、事業主及び学識経験者から成る検討の場を設けるものとすること。
二、年金制度の公正を確保し、公的年金に対する国民の理解を得るとともに、年金財政の長期的安定を図るため、各年金制度の保険者が年金財政再計算の基礎データの公開を含め、将来の年金財政の見通しに関する資料を明らかにするよう、所要の措置を講ずること。また、年金財政の将来展望の明確化と公表の原則の確立のため、年金財政に関する一元的調査の権限を有する機構の設置につき、検討すること。
三、被用者保険の一元化に当たっては、政府の役割を明確にするとともに、官民格差の是正を図りつつ進めること。
右決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/285
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286・浜本万三
○委員長(浜本万三君) ただいま小野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成に方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/286
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287・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、小野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、戸井田厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。戸井田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/287
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288・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/288
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289・浜本万三
○委員長(浜本万三君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/289
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290・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/290
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291・浜本万三
○委員長(浜本万三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、沓脱タケ子君及び乾晴美君が委員を辞任され、その補欠として林紀子君及び粟森喬君がそれぞれ選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/291
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292・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 次に、原子爆弾被爆者等援護法案を議題といたします。
本案に対する質疑は、去る十二日、既に終局しております。
本案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本案に対する意見を聴取いたします。戸井田厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/292
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293・戸井田三郎
○国務大臣(戸井田三郎君) ただいまの原子爆弾被爆者等援護法案については、政府といたしては反対でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/293
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294・浜本万三
○委員長(浜本万三君) これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/294
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295・小野清子
○小野清子君 私は自由民主党を代表して、原子爆弾被爆者等援護法案に対し、反対の討論を行います。
政府・自由民主党としては、いわゆる原爆二法を中心に、被爆者の保健、医療、福祉の全般にわたって施策の充実を図ってまいりました。原子爆弾被爆から四十四年を経て、依然として、その災禍にさいなまれている多くの被爆者の方々に対しましては、これまでもできる限りの施策を行ってまいりましたし、またこれからも一層の充実を図っていかなければならないという立場に立つものであります。
しかしながら、本法案は、国の戦争責任を前提とし、国家補償の立場から、被爆者、その遺族等に補償をしようとするものであり、他の戦争犠牲者や一般の社会保障制度との均衡上、多くの問題があると考えます。このうち、基本的な点を申し上げて、反対の理由を明らかにしたいと思います。
まずその第一は、国家補償の考え方についてであります。本法案は、戦争責任に基づき、被爆者に対し国家補償を行うこととしております。原爆投下は、まさに、非人道的な行為であり、世界のいかなる地域においても、どのような理由があろうとも、今後二度と繰り返してはならないものであります。しかし、だからといって、政府に、戦争の開始、遂行により原爆投下に至った責任やアメリカに対する請求権を放棄した責任があり当然に補償を行う法的義務があるということにはならないと思います。
被爆者対策というものは、国の不法行為責任に基づく補償というような性格のものではなく、原爆放射能による後遺症という特別の健康障害に苦しんでおられる方々に対し、政策的に必要な対策を講じていくべきものであります。国家補償とか不法行為責任とかいうような政治的な議論を繰り返すことは、かえって健康障害に苦しんでおられる被爆者に真に必要な施策を行うということを二の次にしてしまうことになると思うのであります。
第二は、他の戦争犠牲者との均衡の問題であります。
さきの大戦は、わが国にとって未曾有の事態であり、当時の国民すべてが戦争による何らかの犠牲を受けております。しかしながら、このような戦争被害につきましては、これを完全に償うことは、到底不可能であります。かけがえのない肉親を原爆により奪われた遺族の方々の心情は察するに余りあるものがありますが、空襲や艦砲射撃、さらには外地で親族を失われた方々もたくさんいらっしゃるのであります。
被爆者対策が、結局は、何らかの戦争被害をこうむっている国民の租税負担によって賄われていることを考慮するのであれば、被爆者の遺族にのみ、特別に個人的な給付を行うことは、国民的合意が到底得られないのではないかと考えるのであります。
第三は、すべての被爆者に画一的に年金を支給することとしている点についてであります。
被爆者といっても、受けた放射線の量、被爆による健康障害の程度はさまざまであり、施策の内容、必要性についても、一人一人に大きな差があると考えられます。被爆者であれば健康障害があってもなくても年金を支給するというような画一的な平等主義は、援護対策の必要度の高い人に対する適切妥当な対策を行うことを困難にするだけでなく、他の戦争犠牲者はもとより一般国民との間に著しい不均衡を来し、社会的公正が確保できなくなるおそれがあると考えられます。
第四は、本法案の施行に要する経費についてであります。本法案の施行には、提案者の推計でも二千三百七十億円余の経費が必要とされております。これは、現行施策の予算の約二倍という大きなものであります。
被爆者対策の財源は国民の租税負担であります。他の戦争犠牲者に比べて、著しい不均衡が生じるような本法案の施行に必要な租税負担について、国民の合意が得られるとは到底思えないのであります。
以上申し上げましたように本法案には幾つかの基本的な問題があり、自由民主党としては、到底賛同はできず、現行の原爆二法による施策を着実に充実していくことが被爆者の実情に最も適したものであり、また一般国民のコンセンサスを得られるものであると確信しているということを申し上げ、私の反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/295
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296・糸久八重子
○糸久八重子君 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者等援護法案について、賛成の立場から討論を行うものであります。
一瞬にして、三十万余りのとうとい命を奪った原子爆弾が投下されてから、ことしで、はや四十四年が経過しております。広島、長崎に対する原爆投下は、人類史上類を見ない未曾有の悲惨事であり、放射能と熱線と爆風により、大量無差別に幾多の生命を奪い、想像を絶する生き地獄をもたらしたのであります。また、辛うじて死を免れた人たちも、生涯消えることのない傷痕と原爆後遺症に苦しみ続け、今日まで、やっとの思いで生きてきたというのが実態であります。
政府は現在、いわゆる原爆二法をもって被爆者の救済に当たっておりますが、その中身が極めて不十分で、被爆者の満足すべきものでないことは過去の国会審議の中でもたびたび指摘されてきたところであります。この人類史上類を見ない悲劇に、当然責めを負うべき政府が、この問題に対する責任をあいまいにし続け、原爆投下の最大の犠牲者である死没者やその遺族に対して、一言の弔意すらあらわさないばかりか、特段の生活援助もしておりません。ここに、現行二法の最大の欠陥が指摘できるのであります。
このような見地から、我々は、原子爆弾の被害者及びその遺族が今なお置かれている特別の状況にかんがみ、国家補償の精神に基づき、被爆者等を援護するため、医療の給付を行うほか、被爆者年金の支給や遺族に対する特別給付金の支給等の措置を講ずる必要があると信ずるものであります。
これまで、政府の戦争被害者に対する施策は軍人軍属等に限定し、原爆被爆者や一般戦災者に対しては、いわゆる戦争被害受忍論を盾に一貫してこれを拒否し続けてきたのであります。しかし、こうした政府のやり方は、政府の戦争責任に言及するまでもなく、当時、戦場も銃後もなく、強制的に戦争の遂行に協力させられた国民感情からしても到底納得のいかないところなのであります。特に、原爆被害は、その非人道性や放射線による後遺症など際立った特殊性を有し、人間として、到底受忍できる被害でないことは明らかであり、援護措置を講ずる必要性が大きいと言わざるを得ないのであります。
被爆者は、高齢化し、放射線障害による健康不安に悩まされ、働きたくても働けず、病苦、貧困、孤独の三重苦の中で暮らしています。被爆者は、被爆者に被爆五十周年はないと叫び続けてきました。心と体と暮らしの三重苦にさいなまれている被爆者をこれ以上放置することは、断じて許されません。援護法の制定は、再び戦争を起こさないことを宣明した我が国の非核政策と一体のものであり、憲法前文の趣旨にも合致するものであると信ずるのであります。
私は、委員の皆様方の援護法制定への勇断を期待し、本法律案成立を強く求めて、賛成討論とさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/296
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297・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
原子爆弾被爆者等援護法案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/297
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298・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/298
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299・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/299
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300・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 次に、請願の審査を行います。
第七七号国民年金等公的年金の改悪反対、改善に関する請願外千二百七十件を議題といたします。
これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第九一号脊(せき)髄空洞症の難病指定に関する請願外百二十一件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第七七号国民年金等公的年金の改悪反対、改善に関する請願外千百四十八件は保留とすることに意見が一致いたしました。
以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/300
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301・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/301
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302・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/302
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303・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
育児休業法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/303
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304・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/304
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305・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/305
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306・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、これら二件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/306
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307・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/307
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308・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614410X00919891214/308
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