1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成元年十二月一日(金曜日)
午前十時四十七分開会
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委員の異動
十一月三十日
辞任 補欠選任
今泉 隆雄君 下村 泰君
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出席者は左のとおり。
委員長 福間 知之君
理 事
井上 孝君
斎藤 文夫君
吉川 博君
村沢 牧君
山本 正和君
片上 公人君
委 員
石井 一二君
石渡 清元君
岡野 裕君
岡部 三郎君
川原新次郎君
坂野 重信君
西田 吉宏君
野村 五男君
藤田 雄山君
二木 秀夫君
小林 正君
谷畑 孝君
種田 誠君
西野 康雄君
野別 隆俊君
白浜 一良君
広中和歌子君
市川 正一君
新坂 一雄君
山田 勇君
下村 泰君
国務大臣
建 設 大 臣 原田昇左右君
国 務 大 臣 石井 一君
政府委員
国土庁長官官房
長 北村廣太郎君
国土庁土地局長 藤原 良一君
国土庁大都市圏
整備局長 三木 克彦君
建設大臣官房総
務審議官 木内 啓介君
建設省建設経済
局長 望月 薫雄君
建設省都市局長 真嶋 一男君
建設省住宅局長 伊藤 茂史君
自治大臣官房審
議官
兼内閣審議官 遠藤 安彦君
事務局側
常任委員会専門
員 荒木 正治君
説明員
大蔵省銀行局銀
行課長 小山 嘉昭君
建設大臣官房審
議官 立石 真君
参考人
日本国有鉄道清
算事業団理事 前田喜代治君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○土地基本法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○国土利用計画法の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○派遣委員の報告
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/0
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001・福間知之
○委員長(福間知之君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨十一月三十日、今泉隆雄君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/1
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002・福間知之
○委員長(福間知之君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事前田喜代治君の出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/2
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003・福間知之
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/3
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004・福間知之
○委員長(福間知之君) 土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案を便宜一括議題といたします。
まず、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。井上君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/4
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005・井上孝
○井上孝君 去る十一月二十七、二十八日の両日、福間委員長を初め十四名の委員が参加して、京都府、大阪府及び兵庫県における地価の動向と土地対策の現状を調査してまいりましたので、以下その概要を御報告いたします。
東京都心部に端を発した地価の高騰は、東京圏においては鎮静化の傾向を示しておりますが、大阪圏においては、昭和六十二年ごろから地価の急激な値上がりが始まり、現在なお進行中であり、地価の抑制が緊急の課題となっております。
平成元年の府県の地価調査に基づき、三府県の地価の動向を見ますと、住宅地の対前年上昇率が京都府で二一%、大阪府で三八・三%、兵庫県で一六・七%となっており、特に値上がりの激しい市街地では、京都市で四八・四%、大阪市で三四・二%、神戸市で三四・五%と大幅な上昇を示しております。さらに、最近はこれらの中心都市から周辺の市町村に地価の高騰が急速に波及しており、予断を許さない状況にあるとのことでありました。
こうした状況に対し、各府県や市当局は、地価上昇の著しい地域やリゾート開発等で地価上昇が予想される地域を国土利用計画法による監視区域に指定し、地価の動向に対応し順次対象区域の拡大や届け出対象面積の引き下げを行って、異常な地価の抑制に努めており、京都府ではことし十一月から値上がりの激しい京都市内の六区で届け出必要面積を百平方メートル以上に引き下げており、また大阪府では、ことし十二月から十一市町村が追加され、府下全域が監視区域に指定されることになり、さらに兵庫県では値上がりの激しい神戸市の北区、西区と明石、加古川の両市を十二月から監視区域に指定することとしております。
このような監視区域の拡大に伴い、土地取引の届け出や事前確認の受理件数が大幅に増大しており、京都府で本年一月から十月までの累計が二千八百五十二件、同じく兵庫県で五千九百七十五件となっており、今後対象区域の拡大、届け出面積の引き下げ等により大幅な増加が予想されており、府県等の審査体制の整備が急務となっております。なお、届け出件数に対する指導率は、各府県でばらつきがありますが、おおむね三割程度となっており、監視区域制度はかなりの効果を上げているとのことでありました。
しかし、地価抑制のためには、監視区域制度による取引価格の指導だけでは限界があり、税制、金融上の措置や土地利用計画体系の整備等、総合的な対策が必要であり、土地基本法案の成立とそれに基づく国の強力な施策の展開を期待しているとのことでありました。また、近畿圏としては、東京圏に集中している諸機能を分散する、多極分散型の国土形成を図っていくことが極めて重要であると考えているとの意見が出されておりました。
次に、現地の要望事項の主なものを紹介いたしますと、第一に、監視区域制度等国土利用計画法の適正な運用を図っていくため、必要な人員、費用等に対する国の助成について十分配慮されたい。第二に、京都、兵庫では、県外の資本が金余りを背景に土地を買いあさる傾向があるので、金融機関に対する指導を強化されたい。第三に、旧国鉄跡地の利用等について地元自治体の意向を十分尊重されたい等であります。
今回の調査に当たりましては、このほか、JR梅田貨物駅再開発計画、神戸市の六甲アイランド、ハーバーランドを調査いたしましたが、その内容の報告は省略させていただきます。
最後に、調査に御協力いただいた関係各位に深く感謝申し上げ、報告を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/5
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006・福間知之
○委員長(福間知之君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/6
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007・谷畑孝
○谷畑孝君 私は、今回の参議院選挙で大阪選挙区から当選をしました社会党の谷畑孝でございます。
いずれにしましても、きょうが初めての質問ということで、非常にふなれでございますので皆さんにいろいろと御協力をいただきたい、このように思っています。
まず最初に、きょうの朝刊を見ますと、各紙の報道によりますと、建設省は三大都市圏の市街化区域内農地に対し、一九九二年から固定資産税の宅地並み課税を行う、こういうことが報じられておるわけでありますけれども、そのことについて土地基本法の法案審議の前に大綱の内容について簡単にひとつ説明をしていただいて、そこからひとつ入ってまいりたい、このように思っています。よろしくお願い申し上げます、簡単で結構ですので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/7
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008・望月薫雄
○政府委員(望月薫雄君) もう私から申し上げるまでもありませんが、東京圏を初めとします大都市圏での住宅問題というのは極めて深刻な状況にございます。地価の高騰等を拝見しまして、なかなか中堅勤労者等が適正な負担で適正な住宅が確保できない、こういった問題に対して私どもどうこたえていくかということを最大の関心事に思っておりますが、そういった中で、大都市地域についての住宅宅地対策というものの今後の方向づけを詰めてまいったわけでございます。
基本的に考えまするに、私ども四全総に示されております多極分散政策というものがこれから大変大きな国土政策だ、需要分散政策が極めて大事であるということを前提にしながらも、なお一方で、例えば東京圏でいいますと、まだまだ人口が二〇〇〇年までの間に三百万人ほどふえるというふうなこと、あるいは核家族化がさらに進むということなどを考えますと、新規住宅需要というものが大変大きいということで、結論的には四全総にも示されておりますが、おおむね四万ヘクタールぐらいの宅地が新規に必要になる、あるいはまた新規に供給すべき住宅は、建てかえは別としまして、三百万戸ぐらい必要だということを念頭に置かざるを得ません。
そういった中で、私どもいかにしてこの施策を進めるかというときに、視点は幾つかございますが、大きく言いまして、やはり既成の市街地、町内における低・未利用地をいかに有効に活性的に利用するか、ここにいかに住宅を導入するかということが大変大きな柱でございます。
と同時に、あわせて考えなきゃなりませんのは、広大な市街化区域内農地というものが、現在農業経営という格好で残っておりますが、この土地については、当然のように都市環境あるいは防災の上で大きな役割も果たしていることは言うまでもございませんけれども、これらの土地についてはやはり宅地供給を図る上で貴重な空間である、こういった認識を持っております。
あわせてまた、いわゆるニュータウン開発というものを三位一体として進める中で、いわゆる中堅勤労者等の国民の住宅需要に的確にこたえていこう、こういう構えでおります。そういった意味で、その一つとして市街化区域内農地をこれからどう利用していくかということになりますが、申し上げるまでもありませんけれども、農地の多くの部分については今後とも都市緑地としての機能も大事でございます。いずれにしても、そういった意味で都市計画の中での位置づけをはっきりして、利用するものと保全するものを区分しようじゃないかということが基本でございまして、その際に、区分した上で宅地化する必要があるという農地につきましては、宅地化促進のための手だてを総合的に考えてまいりたいということで、私どもいろいろと促進するための施策を、肉づけを行っているわけでございます。
その際に、当然、税のあり方というものも大変大事なテーマである。これを見逃しては施策の総合化ができない、非常に大事な視点である、こう考えまして昨日、けさの新聞等に報道されていますような内容のものを発表さしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/8
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009・谷畑孝
○谷畑孝君 詳しくはまた検討させていただいて、後ほどまた検討しながら、また同僚の西野委員の方からもその点について質問があろうかと思いますので、次へ進んでまいりたいと思います。
私、大阪で過去二年間で三回参議院選挙を戦いました。それから補欠選挙を三カ月で二回やりました。本選挙で三回ですから、もう大阪府下を三回練り歩いたということであります。そのときにやっぱり、もちろん消費税の話だとか、あるいは農政の問題だとか、リクルートだとか、そういうことに対する御不信もありました。しかし、もう行くところ行くところの話でやっぱり土地の高騰という話、これはどこへ行ってもその話でもう持ち切りである。とりわけ新国際空港のところへ行きますとそういう話になりますし、また、東大阪などの新都心等へ行ってもそういう話になる。
そこで、私実はこういうことに考えるわけであります。とりわけやっぱり土地における高騰の問題というものがいかにして国民の関心事になっているか。しかも非常に急いだ形での基本法制定を含めて緊急な課題になっておる、そういうようなことを実は思っておるわけであります。
そこで、私一九八七年に、国際居住年ということを契機にしまして、大阪でそういう住民運動をつくったわけでありますが、そのときに住宅一一〇番ということで私どものスタッフだけで取り組みました。住宅一一〇番のときに昨年は六日間で百六十件、ことしは三日間で二百五十二件電話がかかってきたわけであります。これは私ども小さな規模でやっておりますから、もっと大々的にやったらもっと多くの苦情があると思うのですけれども、しかし、いずれにしても二百五十二件というのは非常に大きな苦情であったのではないか、このように思っております。
その中身は、一つはやっぱり地代、とりわけ家賃が突然二、三倍になった、そういう通告が来た、こういうことでありました。また、立ち退きを強制されて恐ろしくて眠れない、こういうことが多かったです。次に、住宅を購入したが、無理なローンで返済できへん、こういう苦情、大まか三つがあったわけであります。そういうことの中で、私はその一一〇番に参加をし、聞いておりながら、土地という問題はすぐれてやはり居住権の保障をしていく人権そのものである、そのように実は思っているわけであります。
実は、国連では土地政策は人間居住政策だとして、一九七六年六月に国連人間環境会議で人間居住宣言を実は決定をいたしております。その趣旨は、土地は人間居住のための基本的な要素である。
人間の居住を守るために、政府に対して土地の所有と利用に対する公的規制を行う権利を認める。人間の居住を守るために、土地利用計画をつくり規制する権利を与えている。そして、人々に対して人間居住政策つまり土地利用計画や住宅計画を作成し、実行し、計画の再評価をし、改革する権利を与えたわけだということが居住宣言の中で実は述べられておるわけであります。
そこで、土地基本法というのはやはり一つの宣言法、理念でありますから、とりわけ国連における宣言というのも非常に大きな参考にもなりますし、非常に一つの基本的な理念になると思います。
そこで、国連の土地政策に対する宣言あるいは基本的視点について大臣の見解を簡単で結構ですのでひとつお伺いしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/9
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010・石井一
○国務大臣(石井一君) 人間居住宣言、ハビタットの原則、宣言というのは、国際的にもここまでの議論が十数年前に行われておったということは、特にこの審議の中において重要な意義があるというふうに私はこれを拝見いたしたわけでございます。
残念なことに、この採択につきましては日本は棄権をいたしております。また、アメリカなりヨーロッパの諸国もこれに反対をしたということでございますが、それは宣言自体が非常に広範な分野を含んでおりまして、特に非常に政治的な側面というものがございました。その中には、委員も御存じのとおり、イスラエル問題とか天然資源に関する主権の問題、多国籍企業等の規制の問題、その他いろいろの問題があったわけでございますが、ただ居住に関係のない分野における反対のそういう理由は認めることができるといたしましても、事人間の居住という問題に関しますいわゆるハビテーションといいますか、この宣言の本当の精神というものは特に尊重すべきものだ、そういうふうに認識をいたしておるわけでございます。
ただいま谷畑先生いろいろの問題を指摘されましたが、例えば住の重要な問題でございますので、委員の皆様にもお聞きいただきたいと思いましてちょっと読み上げさしていただきますが、「土地は人間居住の基本的要素であり、すべての国家は土地の利用、所有等を公的に規制する権利及び土地利用を計画し規制する権利を有する。」。また十三項には、「すべての人々は、人間居住政策及び計画の履行と評価に参加する権利と義務を有する。」。そのほか住民参加の思想もございますし、土地の付加価値に対する適正な負担と社会に対する還元という精神もございます。言うなれば、国際的な宣言として既に十数年前国連の場でこういう基本的な問題が論じられておるということ、これは注目に値すべきことではないか。
しかも、今私が十、十三で読み上げました諸点は、我が国の憲法二十九条に抵触するぐらいの厳しい規制を土地に対して求めておる。私はそういうふうなことを考えましたときに、土地基本法が遅きに失したという御批判もございます、また土地基本法が宣言法であるというような御意見もございますけれども、我が国ほど土地問題が深刻化しておるのに、なぜもう少し前にこういう問題について意を用いなかったのか。また、先ほど申しました政治的側面はございますが、このハビテーションの部分に関しては積極的に国際的な活動にも参加をする姿勢を示すべきではないか。
実は私はこの文章に感動いたしまして、中身がどうなっておるかということを調べましたところ、国土庁から一人恒久的な職員を派遣いたしまして国連の中で活動をいたしておるようでございますが、今後もこの精神にのっとってひとつ施策を進めていかなければいかぬ、そう認識いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/10
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011・谷畑孝
○谷畑孝君 どうもありがとうございました。今国土庁の長官からもお話がありましたように、やっぱりそういう理念に立って、とりわけ土地基本法の中でも国民の土地に対する理念の確立、こういうことが非常に大事だと思っているわけであります。
それで、引き続いてぜひひとつ長官に土地問題に対する市民の理解と協力を得るためにどのような方策が実は考えられるのか、少し簡単で結構ですのでお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/11
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012・石井一
○国務大臣(石井一君) 基本法の審査に臨みまして、国民の責務、事業者の責務、また国、地方公共団体の責務というものを明確にいたしまして、それぞれがその分野で権利と同時に義務を果たすということを明確にいたしておるところでございますが、さらに衆議院の審議を通じまして、国民の民意を反映すると申しますか、住民参加という問題につきまして追加の項目を設けたわけでございます。たしか十一条三項だと思いましたが、そういう意味で今後でき得る限り住民の意見というものを広く大きく反映しながら、土地利用計画あるいは地方公共団体の計画の推進に当たりたい、そう思うわけでございます。ただこの点で、これは非常に微妙な議論になるとは思うのでございますけれども、片方では国民のやや私権を制限するような公的優先ということを訴え、そうして二条、三条に決まっております公的優先と同時に、収用というような考え方をも広く普及することによって国民のコンセンサスの中に意識革命を求めておるというときに、この条項だけがひとり歩きいたしますと、一人のために多数が迷惑をする、こういうふうな問題も起こるだろうと思います。ここが民主主義の非常に難しいところであり、住民のコンセンサスというものがどこにあるのかということ、これは非常に行政上新たな問題を起こしてくると思いますけれども、しかし両方とも非常に重要な基本理念でございますので、その調和、接点を求めつつこの法の精神を生かしていくべきだ、そのように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/12
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013・谷畑孝
○谷畑孝君 今大臣の方からもありましたように、やはり土地基本法という問題におきましても一番大事なのは国民の理念に対する理解と協力、そういうことがなければなかなか進まない、そういうふうに思っているわけであります。
そこで、ややもすれば、またもう一方では、土地基本法におきましては、どうしても国民に対する義務というのか、こうすべきだ、すべきだと、こういうことに実際なっていく。そういうところにおいてまたさらに難しさがあるなという感じがするのです。
そこで私は、ぜひひとつ、これ過日、山本委員の方からもありましたように、先進国の西ドイツとかさまざま例がありますように、やはりもっと住民が参加をして、そういう土地問題について議論ができる場、それは一つは都市計画というものをつくり上げていくことにおいて国民が参加できる道筋をもっと大胆にすることによって初めて話し合いがなってそういう認識が深まってくる、そういうように実は私は思っているわけであります。
そこで、ぜひひとつそういう意味では土地基本法におきましても、ただ単に義務だという形の上からの宣伝じゃなく、下からの市民参加をさらに仕上げていくシステムをどういうようにしていくかということが非常に大事な問題だと思います。後ほどまたそのことについて私語るためにお話をさせてもらっているわけですけれども、その点についてもう一度長官の方からいわゆる市民参加のシステムとしてどういうようなことがあり得るのかということもありましたらひとつ答えていただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/13
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014・石井一
○国務大臣(石井一君) 土地基本法におきましては、第十一条の一項で土地利用計画の策定主体として国と並べて地方公共団体を位置づけております。また国土利用計画法におきましても、全国計画は国が、都道府県計画は都道府県が、市町村計画は市町村が策定する主体と、こういうふうに明確に決めておるわけでございます。
ただ、法律でそう決まっておりますけれども、現実にこれがどう運用されるかというところが最も重要な問題ではないかなと思うのでありますが、委員が御心配になっておる問題については、法の中にもこれは決して忘れておるわけではございません。私は今後、新たな土地に対する国民の理解というものを求めていくために、そういう住民参加のいろいろの機会を通じてそれを広めていくというためにも、これで伝家の宝刀ができたのだというような考え方でなく、一歩も二歩も前へ出て、国なり地方自治体なり市町村が住民の中へ入っていく、そうして町づくりをこのように活力あるものに変えていこう、そのためには多少は辛抱してもらいたい、協力を求めたい、我が国の土地はこういう状況でこうなんだと、こういうような姿勢が求められていくのではないかなと思います。
国土庁といたしましては、そういう基本姿勢を都道府県あるいは市町村に対しましても、さらにこの機会に周知徹底することによって住民参加の意義を実らせたい、そういう考え方でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/14
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015・谷畑孝
○谷畑孝君 どうもありがとうございました。
それでは、先ほどの私の質問に関連して、私の経験だけ少し語らさしていただいて次に入っていきたいと思います。
実は、先週大阪で国会議員と福祉を語る会ということで、とりわけ車いすの障害者たちと一緒にシンポジウムを実はやりまして、そのときに自民党の八代英太さんだとかあるいは私、それから社会党の堀議員、そして紀平議員も一緒に参加をしていただきまして、私も生まれて初めて車いすに乗りまして大阪の環状線というところをずっと車いすで一周をしたり、大阪駅を車いすに乗りながら皆さんにいろいろと介護していただきながら見てきたわけです。初めて車いすに乗って、景色の大いなる相違の問題だとか、切符を買うときの高さの問題だとか、あるいは私どもがいつも気のつかなかった階段がいかに多いかという問題だとか、そうして、どうしても人との助け合いがなかったら車いすが下まで行かないというこういう点、そういうことが非常に勉強になったわけです。
そのときの、終わってからのシンポジウムの中で車いすの障害者の皆さんが、本当に二十分もかけて、それ一言語るのに語れないものですから、二十分かけて一生懸命語ってくれたことが非常に印象に残ったのです。それはどういうことかといいますと、現在、土地基本法の制定にもかかわりますけれども、土地を持っている者と持ってない者の格差が非常に大きい、社会問題だ、こう言われておるのですけれども、しかしそれ以外に、身体障害者であったり大きなハンデを持っている者にとってみたら、非常に土地高騰の中で大変な犠牲を強いられておる。身体障害者の発言の中で、家賃が七万円だと。そして、そこへ入っておるのだけれども、障害者が住めるような環境じゃない、階段にしてもトイレにしても。そういうことを訴えていました。
だから、障害者年金だとかあるいは少しのアルバイトとかそういうものとか、生活が非常に大きく圧迫をされておるということがあったわけであります。そういうことで、ぜひひとつ住民の参加だとか住んでいる人の声が反映をされた町づくりということで、今御紹介をいたしました。
もう一つの件は、私は昔池田市役所にも勤務をしておりましたし、同和事業にも参加をしてまいりましたし、私自身も部落解放運動に参加をしてまいりました。その中で、とりわけ長い間同和対策事業特別措置法という法律に基づいて町づくりといいましょうか非常に大規模な町づくりをやったわけですけれども、そのときの経験で、町づくりをそこの住民の皆さんが一緒になって、ここにはこういう住宅を建てるのだ、ここにはこういう公園をつくるのだ、ここにはこういう道をつけるのだ、こういうことを一生懸命に、毎晩毎晩集会所で話をしながら行政の皆さんと一緒に苦楽をともにして出てくる。そのときに、部落の中にも土地を持っている大きな地主もおられます。その地主さんが協力をしない限り町づくりは成功しないがために、自分の土地さえよかったらいい、高く売りたいというこういう気持ちだけではなかなか進まない、やっぱりそういう町づくりの中でそれに協力しないとその町はよくなっていかないのだということで、地主さんも、そんなにべらぼうな、土地を高く売るということじゃなくて、やっぱり協力をしていくという経験をしたわけであります。そういう経験の中から、ぜひひとつ土地基本法においてもそういう住民が参加をしていくシステムこそが多くの皆さんのそういう意識が高まっていくのじゃないか、そういうことを私の参考として述べさしていただきたいと思います。
次に、私は最近こういうことを思っているのです。確かに私も初めて国会へ来まして、消費税の廃止あるいは見直しということで、相当これ国民の中で二分をして議論になっておる。その中で、とりわけ橋本大蔵大臣を含めて、新聞を見るたびにもう大きく記事を上げて、電話もしながら質問に答える、こういうキャンペーンを実はされておるわけです。
私はそこで、きょうは税制の特別委員会ではないのでそういう議論をするつもりはないのですけれども、そこで申したいのは、ぜひ土地の問題についても、それに匹敵するいわば重大な問題だ。むしろ特別委員会などをつくって、テレビを全部ここへ入れて、各党の発言から含めてもっと国民に教宣をしていくという、政府そのもの自身がこれだけやる気があるんだなということをする必要があると思います。そこで、ぜひひとつ石井国土庁長官含めて、橋本大蔵大臣に負けないように、毎日、新聞に大きく掲載されて、テレビにも出ていただいて、土地投機で得するのは社会の罪悪なんだと、こういうことでぜひ予算を、聞きましたら大蔵省は十九億円を広報予算として連日テレビ、新聞に橋本大臣が出ておるということですから、十九億を超える予算をひとつとっていただいて、国土庁長官の顔が毎日見られるようにお願いしたい。そういう点について、ひとつ啓蒙について少し意見がありましたらお聞きしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/15
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016・石井一
○国務大臣(石井一君) 若さと美貌において橋本さんに劣るかもわかりませんが、ひとつ激励にこたえて頑張りたいと、こう思うわけであります。
実は、六条の二項に、「国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、土地についての基本理念に関する国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。」。広報活動というような、まあちょっと法律になじむかというような言葉まで入れて、このことにつきましては新たな決意に立つべきだということを法が求めておるようなことでございますので、マスコミの時代でありますから、今谷畑委員のおっしゃられましたような線、大蔵省の担当官もよく聞いて、帰ってよくしっかりねじを巻いてもらいたい。私も馬力を出してそれを要求いたしますけれども、例えば、この法律ができましたら、基本的な土地に対する考え方を教育の中にも何らかの形で入れていくことができないだろうか。要するに、さっき申されました住民参加の中で、たくさんの人々が、多くは土地を持たずして町づくりを考えておるのに、一人か二人の土地を持っている人が横向くためにすべての計画がつぶれるというようなこと、これはあってはならないことでありましょう。土地というのは、利用されない限り、公共の福祉に供せられない限り持つ必要がない、もしそれを持っているのであれば、それは社会的制裁を加えられてもいいという、こういう考え方にまで、私有財産を否定するわけじゃありませんけれども、やはり意識を変えていく必要がある。そういうことを考えましたら、これは小学校の教育に必要なのか、あるいは中学か高等学校かわかりませんが、土地基本法の精神を文部大臣との会見を求めて何らかの形で教育の中にこれを入れてもらいたい、こういう姿勢もあっていいのじゃないかと思うのであります。
また、例えば土地月間というようなものを指定いたしまして、あるいは土地の日というようなことを指定しまして、これは一つの思いつきでございますけれども、やはり国民各層にそういうことを浸透させなきゃいかぬわけでありますから、そのときに土地の日や土地の月間に、土地が上がった値段の表ばっかり出られたら困るのでありますけれども、新しい町づくりの姿であるとか計画的土地の利用であるとか、あるいは西ドイツ等々での先進的な事例でありますとか、あるいはそのほか大地主が町づくりのためにこれだけの協力をしたというふうな問題等々、土地の国民的意識を変え得るようないろいろの工夫をこの際考えていく
べきではないかなと思います。
どうか、あなたのように大阪を三回も回ったというような馬力のある方が新しいアイデアを出していただきましたら、これはいいというものならどんどんひとつ取り入れさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/16
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017・谷畑孝
○谷畑孝君 いろいろと本当に……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/17
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018・福間知之
○委員長(福間知之君) 谷畑君、委員長に発言を求める癖をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/18
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019・谷畑孝
○谷畑孝君 上がっておりましてえらいすみません。自分が言うのが精いっぱいで。
次に私は、土地における問題点で非常に難しいなと思うのは、例えば大阪でいうなら千里ニュータウンだとか、そういうところをサラリーマンでもいろんな経過で無理してその土地を買ったという人、それと買わなかった人、そして皆さんそれぞれが投機に対しては批判をするのだけれども、よくお話を聞いておると、ああおれの土地はこの間三千万円で買ったんだけれども五千万円に上がったよということで、にこにこしながらしゃべっている。ここに正直な話、やっぱり難しさが僕はあると思うのです。だから、そういう意味では土地という問題が、基本的には生産をつぶしてしまうし、社会が基本的には病めるものになっているのだ、こういうことで、そういう啓蒙も必要だと思うのです。
そこで次に、そういう状況の中で遊休地、なぜそんなことを思うかというと、私、この間PTAの役員に選ばれまして、非行ということで、いつも自転車に乗ってずっとその周辺を、シンナーでどこに人が集まっているかということで行ったのですけれども、ある企業の大きな遊休地がありまして、そこにはドラム缶とかいっぱいありまして、そこにはシンナーの跡がもういっぱい置かれてある。それは長い間放置されている。そんなことを実は経験をしたものですから、ぜひひとつ遊休地、本当にその企業が生産をさらに上げるために必要なので買ったのだ、あるいは倉庫にするために買ったのだ、これは経済活動ですから当然それは大事なことなんですけれども、しかし税金逃れのために、その土地を赤字をつくるために買ってそのままあるという、これは社会的な僕は罪悪じゃないか、こう思いますので、ぜひひとつ遊休地に対して政府としていい、どう言っていいのか、指導といいましょうか、投機にならないような、そういうことがもしもこれあればどうだと。
聞くところによりますと、私どもの大先輩であります故江田三郎さんが、市民のカンパでセスナ機で、大量に航空写真をつくって、空き地はこうだこうだということで市民に啓蒙しながら、市民と全体で監視をしながらそういうことをしてきたというお話も聞いております。そこらはもしも国土庁長官の意見がありましたらひとつお伺いしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/19
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020・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 先生御指摘のとおり、遊休地の有効利用というのが今後の土地対策を進める上で非常に重要なひとつの措置だというふうに考えております。
現在でも国土利用計画法の中に遊休土地制度というのがございまして、この制度は、取得後三年以上経過したにもかかわらず低・未利用のまま放置されている、そういう土地に対しまして利用なり処分の助言をしたり、あるいは勧告し得る制度でございます。
また、特別土地保有税というのもございまして、これも一定面積以上の土地を取得し、有効な利用がなされていないという場合には特別の保有税が重課される、そういう制度であります。そういう制度で極力低・未利用地の利用促進を図っておるわけでございますが、遊休土地制度につきましても、必ずしも十分な実効を上げているとは言えない状況でございます。制度ができまして通知をした件数も四十数件にとどまっておるという状況であります。
そこで今回、私の方で国土利用計画法の一部改正をお願いしておりまして、その中で、監視区域内におきましては、現在例えば市街化区域内では二千平方メートル以上の土地が遊休土地としていろいろ助言、勧告の対象になっておるわけでございますが、これをおおむね半分ぐらいの面積に引き下げたい。それと期間も三年経過じゃなしに二年に短縮して、さらに早期に利用が図られるように工夫していきたい、そういうふうに考えております。
さらに、今後これからの課題といたしましては、取引関連にかかる土地だけじゃなしに、以前から保有しておられる土地につきましても、大都市地域等で遊休地が布存しておる、そういう場合には何らかの利用を促進するような方策を考えていった方がいいのじゃないか、そういうことでいろいろ今勉強しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/20
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021・谷畑孝
○谷畑孝君 それでやっぱりこの遊休地の問題というのは、ただ単に行政指導というのはいろんなプライバシーの問題もあったりして非常に限界があり、難しいと実は私は思うのですけれども、できましたら、遊休地の問題の一番の基本的なポイントは、社会的世論の力によってそういうことがなし得るのじゃないか、そういうように思っています。
そこで、端的に指導的にこういうことができないだろうかという、例えば遊休地の氏名といいましょうか、どこどこの何々という工場何々建設用地と、そういう一定程度の公的に明示を、通った人でもわかるような、そういうことを義務づける方法ができないだろうかどうかということが一つ。
それと、これは方法はどういう方法がいいのかちょっとわかりませんけれども、遊休地のそれぞれの都道府県において、あるいは市町村において必ずそういう官報なのかあるいはそこの新聞なのか、一定程度遊休地がどれぐらいの平米数があるのかということですね。そういうことを面積の資料を一定程度告示することができないものだろうかどうか。その点について意見がありましたらひとつお伺いをしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/21
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022・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 実は遊休地の布存状況につきまして、現在全国的かつ統一的な基準に基づいた調査がないわけでございます。したがって、正確な遊休地の布存状況が把握できていないという現状でございますが、ただ各公共団体でそれぞれ努力をしておられまして、ちなみに東京都の状況を申し上げますと、これはややデータが古いのですが、六十一年の状況では用途改変中の土地や土地区画整理中の宅地等も含んでおりますけれども、東京都区部内に約三千六百七十ヘクタールの未利用地が布存している、こういう調査結果がございます。
我々の方でも、こういう公共団体のデータ整理等も進めながら、重要な地域につきましては全国的に把握できるように今後検討を進めていきたい、そういう検討結果を踏まえて、先生御指摘のような、それをさらにどういうふうに有効利用に結びつけていくのか、具体的な方策についても検討を進めていきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/22
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023・谷畑孝
○谷畑孝君 今後ともぜひひとつ前向きな方向で前進さしていただきたい、このように思っております。
次に、国鉄の清算事業団のことについて少しお伺いをしたい、このように思っております。
過日も特別土地調査ということで京都、大阪、私も参加をさしていただきまして、梅田における清算事業団の跡地というものを視察をさしていただきました。そこで、この土地基本法の制定においても非常に大きなウエートを置いておりますように、やはり公共の福祉、こういうことが土地利用においては相当大きくうたわれておるわけでありますから、せっかく国鉄の清算事業団においてもまずどこよりもやっぱり見本的なものにならなきゃならぬじゃないか、そういうことを実は思っておるわけであります。
そこで、私はこう思うのですけれども、大きな国鉄の清算事業団において、もちろんそれは民間に払い下げするか、あるいは市町村を含めての随意契約を含めての状況だとか、そういうものがあるわけですけれども、できましたら第三セクター的な、例えば都道府県の自治体が入った、そういう第三セクター的な、そこへ民間も入って、そういう形のところで随意契約ができるかどうか、その点について僕はお伺いしたいわけです。
というのはなぜかと申しますと、特に関西新空港などは、地方自治団体が入って、そして民間も入った第三セクターの会社というのか、そういうものができ上がって青写真を実はかいておるわけですけれども、そういう清算事業団においてもそういうような第三セクターでも随意契約ができるのかどうかという、その点についてお伺いをしたいと思いますので、清算事業団の方からひとつお答えをしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/23
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024・前田喜代治
○参考人(前田喜代治君) 清算事業団の土地の処分でございますが、国鉄関連の改革法の御審議の段階で、かなり国鉄の土地の処分につきまして公正さを保つにはどうしたらいいかという御議論を種々いただいた上で現在の法の枠組みができておりまして、私どもの土地の処分につきましては事業団法で公正さを保つために競争入札が原則であるということになっております。
ただ、例外的には随意契約で、省令で定める範囲で認められておるというのが枠組みでございまして、具体的には運輸省令で、端的に申し上げますと公的な機関が公的に御利用になるという場合には随意契約が認められるということになっております。
公的と申しますのは、自治体あるいは国、公共法人あるいは自治体が参加された公益法人、こういう形になっておりますが、こういうことで、現在の枠組みのもとでは第三セクターに随意契約で土地をお譲りするということはできない仕組みになっております。
ただ、現在地方自治体からの地域開発に絡んだ御要望もいろいろいただいておりますし、それからまた、国鉄清算事業団の土地の処分の促進あるいは土地の高度利用というようなことからも、この点につきましては、事業団の土地の処分のあり方につきましてはいろいろ検討をさせていただいておるところでございますが、関係の省庁の御指導をいただきまして、今後さらにこの問題について検討を詰めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/24
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025・谷畑孝
○谷畑孝君 国鉄清算事業団というものが土地高騰になるきっかけ、それをぜひひとつ防止をしていただきたいということ。国民がやっぱり納得できて、こういうことについては一切利潤とか事件とか、そういうものとはかかわりなく、まさしく公共の福祉に資しておるのだ、こういうことがやっぱり土地基本法における精神ではないか、こういうふうに思っておりますので、ぜひひとつよろしくお願いをしたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/25
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026・石井一
○国務大臣(石井一君) 実は先日、建設大臣とともに汐留の跡地を見てまいりました。新橋の駅に隣接しておるという非常に一等地であります。私は、清算事業団の理事長がそこへ立ち会っておりましたので、その席で、この土地は高度利用をするとともに、今後の日本の都市がかくあるべきだという、そういうふうなものをつくってもらいたい。できれば住宅もそこにある、しかし公園もあり緑地もあり、しかも確実に高度利用ができ機能的なものになっておる。そこを全国の人があるいは外国の人が見にきてそれを学んで帰るというぐらいの意気込みで取り組んでもらいたい。清算事業団の土地を売りますときには、この間、国鉄関連の閣僚会議もあったわけでありますけれども、運輸大臣なり大蔵大臣の立場では、これはもう早く処分してもらいたい。二十六兆円の負債を抱え、利息がこれだけ雪だるま式にふえておる、しかもこれは処分対象用地となっておるわけですから、処分するということが前に出ておる。私の立場としては、土地高騰への影響から、みだりに公開入札をしてもらって他への波及効果をやってもらったら困る、いささか反国家的な発言をしなければいかぬわけですけれども、同時にこれは親国民的な発言だ。立場によって非常につらいところがあると思うのであります。
私は、この間杉浦理事長にも申し上げたのでありますが、処分対象の用地であるけれども、同時に国鉄みずからで高度利用ということを考えられないだろうか。これを随意契約で地方公共団体に渡すといっても、一歩前進ではあるけれども多額の金がかかり、また地方公共団体でそれを代替地として何年も温めるというようなことになりますと、結局は貴重な土地が利用されずに放置されておるということになるわけでありますから、ひとつ市街地の一等地は特別な使い方があるけれども、周辺にある清算事業団の土地に満杯の高層住宅を建てた場合に何戸の住宅ができて、そしてどれだけの家賃で賃貸できるのか、あるいはどれだけの価格で分譲できるのかということに対する試算をひとつ提出してもらいたい。場合によっては、資産を売却するということでなしに、そのことから少しでも利息の足しにするなり、いわゆる経営感覚を入れて土地を保有しながら国鉄の赤字を解消していく、そういう新たな方向も検討すべきではないかということを申しておりまして、国鉄清算事業団もそういう方面に関しましても今勉強を始めておるというふうに伺っておりますので、この点も申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/26
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027・谷畑孝
○谷畑孝君 石井長官の本当に心強い意気込み、敬意を表しておるところでありますけれども、ぜひさらにひとつ前向きに頑張っていただきたい、このように思います。どうもありがとうございました。
次に、特に大阪におきましても、現在府下全域が監視区域に決定をして頑張っておるということを過日の視察の中で報告を聞いたわけであります。
そこで、大阪市の場合でも、ことしの四月一日に届け出面積を百平方メートルにするまでには月平均二百件台であったものが、この六月は三百八件、七月は四百七十一件、八月は五百六十九件と、何と十月には八百十三件と、こういうことで監視区域を広げて、そして平方メートルを下げることによって非常に大きく件数がふえておるということであります。
これも各委員さんの方からもこの件につきましてはたくさんの質問があったわけでありますけれども、そういう意味では、昭和六十二年度の法改正時に衆参特別委員会でも財政措置に対する配慮が附帯決議をされておるということでありますから、ぜひ監視制度の運用、あるいは人員数ということについて補正予算等含めて、もっと大きく十分に各地方自治団体が安心してできる、どんどんどんどん人員配置ができる、こういうような体制をとっていただきたい。来年度予算の大幅増額をぜひひとつ要求をしていただきたい、こういうふうに思います。その点についてもしも意見がありましたらお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/27
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028・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 監視区域の運用につきましては、各公共団体に大変御努力をいただいておるわけでございます。各公共団体の審査体制の整備あるいは必要な予算の確保につきましては、我々も責任を持ってしっかりやらないといけないというふうに考えております。
現在、これはまた正確な数字の把握は難しいのですけれども、非常勤の職員を含めて約二千人ぐらいが審査に当たってくださっているのじゃないかというふうに見込んでおります。
また、予算も平成二年度予算で約三十七億三千万円余を要求しておりますが、なお、年度途中で大阪等相当区域を新たに広げたり、あるいは届け出対象面積を引き下げたりしていただいておりますので、所要経費もたくさん要るようになっております。そういうふうな状況に対応するために、その都度補正予算等もお願いしておりまして、例えば、これまで六十二年には九億一千万円余、また六十三年度にも十二億九千万円余の補正を計上していただいております。今後も公共団体の運用に必要な経費については的確に運用していただけるように所要予算の確保についても努力をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/28
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029・谷畑孝
○谷畑孝君 次に、時間の関係ではしょっていきたいと思います。
私も十数年前に韓国キリスト教会の牧師さんだとかさまざまな形で陳情を受けたことがありまして、それはいわゆる住宅に住むがために不動産屋なり、そういうところへ行くわけですけれども、その中にどうしても外国人お断りと、こういうことでなかなか住宅を貸してもらえないということがありまして、そのことについて、住みたいという要求についてそういう差別がないようにという、こういうことで実は陳情を受けたことがあります。その中で、私ども調べていきますと公営住宅にも在日外国人におきましては入れないという、当時そういうことがございました。
それで、私は大阪の生野というところで、そういうボランティアの皆さんと一緒に住宅視察をしたことがあるのです。本当に一間に五、六人が住んでおったり、さまざまなそういう状況が十五年前に実はありました。それはやっぱり、先ほども言いましたようになかなか公営住宅も入れないし、民間も入れないという、そういうことが実はあったわけです。
そこで、最近は国際化社会ということで、とりわけ大阪府におきましても国際連帯と国際化社会だと、大阪は特にアジア人との連携の町にするのだ、こういうことがよく自治体の方からも実は言われているわけであります。
そこで、長官にひとつお尋ねをしたいわけですけれども、基本法の中では国民、国民生活、国民経済という言葉が使われているのですが、そういう状況の中に、基本法の中の国民という意味の中に在日外国人が含まれているのかどうか。特に、いわゆる在日韓国人、朝鮮人、歴史的経過の中で住んでおられる、もちろん税金も払っているという、そういう形の中でそういうことが基本法の中に含まれているのかどうかということについて、ひとつ質問をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/29
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030・石井一
○国務大臣(石井一君) 土地基本法は、我が国において日本人あるいは外国人にかかわらず土地を所有しておる者すべてを対象としておるわけでありますから、在日外国人の方々に対しても土地の基本理念についての理解と協力をお願いする、権利も認めるかわりに義務も同時に認める、こういう姿勢で臨んでいくのが本法の考え方でございます。日本が民主主義国家であるというふうなことを考えましたときに、たとえ外国人であっても不当な差別を受けるべきではない、これは自由と平等の基本原則だ、そういうふうに考えておりますので、そのような差別というふうなものがあれば、これの排除を行うべく政治家としてあらゆる機会に対処していかなければいかぬ、こう思うわけでございます。
ただ一点、ただいま谷畑委員が御指摘になりましたような形で、従来も制度的にも何も公的な住宅においてはそのような差別を我が国はしたとは思いませんけれども、何と申しますか、民間のレベルにおきましてそういうふうなことが不存在かといえば、やはりあちこちに存在しておるのではないか。これは今後の国際化の時代において、世論全体、国民全体のそういう意識という別の次元での大きな問題というふうなものもあるだろうと思います。
それからもう一つは、私は神戸の出身でございますけれども、神戸は古くから外国人との窓口をあげたというふうなこともございまして、外国人の土地所有者というものが相当数ございます。この方々が、今度土地基本法が通りました暁には、いや自分たちの土地だと言われたらこれまた困るわけであります。やはり、この国に住み、この国の土地を所有される限り、これに従ってもらわなければいかぬ。あくまでも総合主義であり、権利と義務との両方の関係というものが充実しなければ法の精神は全うされませんし、外国人に逆差別をするということもこれまたおかしいことである。
今、委員の御指摘になりました点については、今後、厳に慎んでいきたいと考えておりますが、同時にその点も御配慮いただきたい、そう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/30
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031・谷畑孝
○谷畑孝君 やはり国際社会ということの中でアジアからの留学生もこれからたくさん来るわけでありまして、もちろん以前から住んでおられる方もおられるということで、ぜひそういう方々が住宅がどこでも借りられるような、そういうことをしないと国際社会ということに全くならないのじゃないか、こういうことを思っておりますので、よろしくひとつ、民間等含めてもそういうような指導というか、不動産業界に対しても、賃貸についても、そういう形での指導をしていただきたいと思います。
同時に、国際人権規約においては、内外人平等、こういう原則がうたわれておるわけでありますから、そういう精神に基づいてそうしていただいたらありがたい、こういうように思っております。
次に私は、ここに賃貸住宅ニュースという中で、とりわけ特定賃貸住宅ですね。地方公共団体から融資をしたやつで建てられた、民間が建てるのですけれども、特定賃貸住宅というものがあるわけですけれども、大阪府の特定賃貸住宅、こういうので建ったものでありますけれども、そこのところの入居資格及び必要書類ということで、もちろんそこの建てた地主さんが掲示板をその前に立てておられるわけですけれども、入居資格及び必要書類という形の中で、日本国籍を有する方と、こういうことが一、二、三、四という番の中で最後に書かれてある。一つは現に住宅に困窮している方、二は家賃の支払いができる方、三は家賃の支払いにつき確実な保証人のある方、印鑑証明書が要る、そして四番目に日本国籍を有する方、こういうことに実はなっているわけです。
そこで私が申し上げたいのは、先ほど、前段に質問したことにも関連するのですけれども、そういう事実があるわけでありますから、どういうような行政指導といいましょうか、事実こういうことがあるわけですから、そこらの点少し指導のあり方について再度お伺いをしたい、このように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/31
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032・伊藤茂史
○政府委員(伊藤茂史君) 今、先生お話がありました件でございますが、先ほどのお話にもございましたように、公営住宅あるいは公団住宅、公庫融資住宅につきましては、五十五年以来、日本国において永住する地位を与えられた者等につきまして、原則として日本国民に準じて取り扱う旨の運用になっております。
問題は、今、先生御指摘になりました民間の地主さんが賃貸住宅を建てる、それに対して国や公共団体が利子補給をするという住宅がございます。これらは法律ではなくて、建設省の制度要綱で賃貸住宅を建設しておるものでございますが、その際に、制度要綱では入居資格につきまして特段外国人を排除するということは規定を置いておりません。したがいまして、現実に例えば大阪府でありますとか大阪市でありますとか、神戸、東京あたりでもかなりの外国人が入居していると聞いております。御指摘のありました事例につきましては、私ども聞いておりますのは、その後大阪府が指導によりまして是正したということになっております。
建設省としましては、制度の建前が今申しましたようなことでございますので、このような事態が発生しないように、あらゆる機会、例えば担当課長会議を毎年やっておりますので、そういう場を通じまして適切に指導してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/32
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033・谷畑孝
○谷畑孝君 今その事例を示しましたように、これは一つの事例でありますからもっとたくさんのそういう状況があるのじゃないか。特に純粋な民間になりますと、より一層それが広がっておるということのように私は思うのです。このような特定賃貸住宅の表示は不動産業者あるいは宅建業者が行っているが、特賃住宅の制度を理解していないだけではなく、公営住宅での国籍差別をなくす行政の取り組みすらも知らないという、そういう状況がこのことにもあらわれておるように思います。
そこで、これ、難しいのかどうかわかりませんけれども、一般の、民間のオーナーといいましょうか、マンションを建ててそれで入ってくる、そういうことについてひとつ、国とかそういうところはもう一定程度前進をしたりいろいろな形でやっておるのですけれども、全くそういう不動産業者への啓発だとか、そういうことはできないものかどうか、その点少し、もう一度質問をしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/33
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034・原田昇左右
○国務大臣(原田昇左右君) 民間の家主と借家人との関係は私契約に属するものですから、建設省として非常に指導をしにくいわけです。
一般論としては、先ほど国土庁長官から御答弁のあったように、今日国籍をもって差別することは許されるものではないと私どもは認識しておるわけであります。都道府県に対しても、先ほど住宅局長から答弁がありましたように指導をしておるわけでございますが、業者に対する啓発についても今後できるだけ努めてまいる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/34
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035・谷畑孝
○谷畑孝君 時間の関係がありますので、次へ進んでいきたいと思います。ぜひひとつ、国際社会ということでそれをさらに進めていただくことをお願いをして次の質問へ行きたいと思います。
私どもは、とりわけ土地政策において、やっぱり公的な土地の所有の拡大といいましょうか、先行取得といいましょうか、そういうものが非常に欠くことのできないものだと考えておるわけであります。その中で私一つ経験があるのですけれども、今例えば各地方自治団体が学校をつくったりあるいは道路をつくったり、そのときには税の控除、過日もこれ委員から質問があったところでありますけれども、私はこれが非常に大きな、有力ないわゆる土地の高騰を下げていく一つの方向になっていくと思うのです。
それで、今最高あれ、五千万ですか、税控除は。そこで、考えるのですが、ひとつ五千万というよりも、これはもちろん大蔵省の問題があるけれども、これは答えるだけで結構ですので、私の意見としては、やっぱり土地売買においては地域によって格差があります。坪一千万するところもありますし、どうしても民間と地方公共団体が競争になって民間の方が勝つということがありますから、ぜひそれらの制度も、過日白浜委員の方からも質問がありましたけれども、そこら辺の検討を、さらにその額を五千万から一億円なり、あるいは売買価格の何%だとか、そういう形の中で公共事業がしやすいような状況についてさらにひとつ深めていただきたい、こういうふうに思っております。
それももう一遍詳しく、しつこいようですけれども、もしも意見がありましたらひとつお願いしたいと思います。わからぬでしたら結構です。簡単で結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/35
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036・望月薫雄
○政府委員(望月薫雄君) 広く公有地の確保、拡大ということは大変重要な問題であるわけでございまして、そういった中で、今先生お示しのように、特に収用事業などについてはおっしゃったように五千万控除ということで行っております。これも細かいことでございますが、今年限りということでございますので、私どもこの継続をぜひお願いしたいということで要望さしていただいていますが、収用まで至らない一般的な意味での公有地拡大、言うなれば公拡法による取得等については、現在は千五百万控除というふうな特別控除になっております。これについても私ども改善方を要請しているところでございます。
その間において地域によって控除額に差をつけたらどうかという御意見、私どもはそこのところわかりますが、片方で税全体の中で、言うなればある意味での今度はそれが不公正税制になりゃせぬかなどの意見もあるところでございまして、私ども当面の考え方としましては、とにかく現在ある千五百万控除、これの拡大あるいはまた五千万控除の継続、こういったことを軸にして公有地拡大についての税制面での手当てをぜひお願い申し上げたい、こんな姿勢でおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/36
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037・谷畑孝
○谷畑孝君 もう時間があと二分ということで、ふなれで非常にいろいろと御迷惑をかけておるわけですけれども、最後に土地基本法、ある意味では与野党超えて結局国民的課題という形の中で大きく啓蒙もしながら、土地の投機はやっぱり罪悪だ、こういうことをぜひひとつ大きく進めていただきたい、このように思っておるわけでありまして、そのときには必ず土地問題は人権問題だ、住宅とかそれは本当に人権にかかわる問題だ、こういうことが特に規制になっていくと思います。
もう時間が来ました。国土庁長官、本当にいろいろと御答弁ありがとうございました。最後に決意だけ、一言だけしっかり頑張るのだということを、地元の皆さんも来ていただいておりますのでひとつよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/37
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038・石井一
○国務大臣(石井一君) 私は、日本がすばらしい経済大国だという評価が一面ございます反面、また本当にそういう実感を国民の一人一人が持っておられるかということを考えましたときに、確かにいいところもたくさんございますし、自由もあり、また競争をし、その中から社会においてもろもろの活動を展開するというふうなこともありますけれども、その基礎にありますのがやっぱり土地という問題であります。
この土地問題は、私は国民に今満足を与えるような、そういうような解決ができておるとは、担当者として申すのですからまことに無責任といいますか、同時にまた重要な発言をしておると思うのでございますけれども、今最大の政治課題だ、与党も野党もすべてが取り上げなければいけない。ある意味においては消費税よりもはるかに大きな問題だ、そういう認識をいたしておるわけでございます。
基本法ができました暁にどのような施策を今後やっていくのか、ここに国民の最大の関心が集まっておるのではないでしょうか。願わくは五年、十年たったうちには土地も下がった、家も自分の手に届くようになった、こういう時代が来ることを大きく願いつつ懸命の努力を続けさせていただきたい。大阪のお方もたくさんおられるようでありますが、この点よく、谷畑議員が御努力をされておるということをひとつ御報告いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/38
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039・谷畑孝
○谷畑孝君 初めての質問がやっと終わりました。本当に皆さん御協力ありがとうございました。どうも長官本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/39
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040・福間知之
○委員長(福間知之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時より再開いたします。
午前十一時五十八分休憩
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午後一時十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/40
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041・福間知之
○委員長(福間知之君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/41
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042・西野康雄
○西野康雄君 きのう建設委員会で長良川の河口ぜきの問題をやらせていただきました。河川局長の答弁の論理的矛盾だとか、いろいろな部分が出てまいりました。地元の反応も上々でございまして、気をよくしております。きょうは、建設省に何もかも反対しているわけではなくて、花博のバッジも早速つけさせていただきました。見回しますと、私だけでございます。意のあるところを御理解いただきたいと思いますが、きょうはソフトムードでまいります。
東京を初め、農地の宅地並み課税のことで、三大都市圏は市街化区域内にどれほどの農地が残っているのか、そういう基本的なところからお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/42
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043・望月薫雄
○政府委員(望月薫雄君) 東京圏、大阪圏、名古屋圏のいわゆる三大都市圏におきます特定市、百九十ございますが、その市の区域の中に約五万八千ヘクタールの農地が存在しております。このうち約四万三千ヘクタールが宅地並み課税対象農地である、こういうことでございます。ちなみに、その八四・五%の三万六千ヘクタール、これが長期営農農地として認定を受けているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/43
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044・西野康雄
○西野康雄君 非常に多くの農地が存在をしております。市街化区域というのは、都市計画法に基づいて農地であっても十年間をめどにして計画的に市街化するということですが、一九六八年に制定されて二十年たっておりますけれども、非常に大量に残っているな、こういう感じがいたしますので、その原因というのでしょうか、その辺見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/44
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045・真嶋一男
○政府委員(真嶋一男君) お話のとおり、都市計画におきましては、都市計画区域を二分いたしまして、市街化区域及び市街化調整区域というふうに定めているところでございまして、市街化区域は既に市街地を形成している区域のほか、おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として人口フレームあるいは土地区画整理事業、公共施設整備の状況等々の関係におきまして、適宜見直しをしながらその拡大を図り、誘導してきたところでございますが、御指摘の市街化区域内にある農地等につきましては、土地区画整理事業の実施等によりまして宅地化の推進に努めるとともに、営農意欲が強く宅地化の見込みの立たない農地につきましては、逆にそれを市街化調整区域にもう一回入れるという逆線引きを行うというようなところも行ってきたところでございます。
その結果の現在の状況でございますが、全国的に見ますと昭和五十三年から昭和六十三年の十年間におきまして約二十二万七千ヘクタールございました農地が、十七万一千ヘクタールというふうに、数字でいたしますと五万六千ヘクタール市街化区域内の農地が宅地化その他により減少したという数値が出てきております。しかしながら、市街化区域内の農地につきましては、現在の諸条件を背景といたしまして、農地の所有者が農地のまま保有しておきたいという意向が強く、宅地化への意欲が十分でないというようなことにもよりまして、昭和六十三年時点におきまして全国的に見まして約十七万一千ヘクタールの市街化区域が残っているという状況にございます。
今後、市街化区域内農地につきましては、宅地化すべきものと保全するものとの区分を明確にいたしまして、宅地化するものについては土地区画整理事業等の積極的実施、あるいは開発許可の適切な運用を引き続き行いまして、計画的な市街化形成及び宅地の供給の促進を図る所存でございます。さらに、計画的な宅地化、市街化の誘導をより的確に推進できるよう、公共施設整備とあわせて高さ制限、容積率等の緩和を可能とする制度を新たにつくりたいということで、目下検討も進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/45
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046・西野康雄
○西野康雄君 けさの新聞等々にも宅地並み課税を農地にするということで、地価抑制効果というのですか、そのあたり本当に下がるのだろうかというのが庶民の気持ちだろうと思うのですが、その辺をお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/46
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047・望月薫雄
○政府委員(望月薫雄君) けさの新聞にも出ていますように、私ども建設省としての一つの方向を一応決めさしていただきました。これは、今先生お話しのように、まず市街化区域内農地に宅地並み課税ありきということよりも、むしろ市街化区域内農地をいかにして宅地化促進を図るかということに我々は主軸を置いているつもりでございます。
その前提としましては、いわば農地として守るべきものは守る、宅地化を図るべきところは図るという区分けをしっかりするわけでございますが、宅地化すべきところについても、区画整理事業の採択要件を緩和して進めやすくするとか、あるいは農家の方が住宅を建てる場合のいわば都市計画によります容積制限に対する特例を開くとか、あるいはまた賃貸住宅等を建てる場合の税財政上の措置を講ずる等々のことによりまして、私どもはできるだけ中堅勤労者に歓迎されるような住宅を計画的に供給したい、こういったことが基本でありまして、それらをやるに当たっては税制のこともあわせて考えたい、こういうものであるわけでございます。
そういった中で、今先生の御質問でございますが、私どもは、例えば東京圏で申しましても、現在三万六千ヘクタールくらいの市街化区域内農地がございますが、おおむねそういった政策によって半分程度の土地は何とか宅地化への誘導、住宅供給に結びつけたい、こういう考え方でおりまして、それによって直ちに地価がどうなるかということは、率直に言いまして、なかなかこれは計算できないところでございますが、もろもろの要因が絡んでくる話でございます。
ただ、私ども申し上げたいことは、そういった計画的供給、大量の供給というものを実現する中で需給関係が緩和され、あるいは将来に対するいわゆる思惑的期待というものも軽減されまして、私どもとしては、当然のことのように、住宅、宅地の、特に住宅の価格もしくは家賃の低廉化に寄与するところ大である、こういう考え方に立っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/47
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048・西野康雄
○西野康雄君 農地の宅地化ということで大量に放出されるのはいいのですけれども、都市のインフラを整備するというのですか、そういう作業が非常に必要じゃないだろうか。下水道だとかごみ処理、道路幅等の不備から、出された農地がかえってそういう不備から劣悪な住環境を生み出す。こういう危険性があるのじゃないかなと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/48
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049・真嶋一男
○政府委員(真嶋一男君) 市街化区域内農地の宅地化に当たりましては、公共施設の整備を十分に伴った計画的な市街地整備が極めて重要であるというふうに認識をいたしております。このためには、大前提といたしまして、市街化区域内の農地について宅地化するものと保全するべきものとの区分をこの際もう一回明確にして、そして宅地化すると決めたものにつきましては、土地区画整理事業の積極的な実施あるいは開発許可制度の適切な運用ということで、公共施設の整備が伴った形での計画的な市街地の形成を図り、宅地供給の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
また、新たな制度といたしまして、計画的な宅地化、市街化を誘導することにより、的確にそれが推進できるように、公共施設の整備を行いながら、そこで農地を頭に置いてでございますが、高さ制限、容積率の緩和を行う、そして良好な中高層住宅の供給を行うという制度の検討も進めているところでございます。
なお、保全すべき農地につきましては、市街化調整区域の逆線引きを行いますが、そのほか市街化区域内でございましても、生産緑地制度というようなこういうものの積極的活用も図ってまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/49
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050・西野康雄
○西野康雄君 仮に農地が宅地へ放出されても、大手の企業が買い占めたり、そういうふうなことは土地転がしの対象となりはしないだろうか。そういう意味においてそれを防止する、抑制をしていく、こういう作業が必要なのじゃないだろうかと思うのですけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/50
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051・望月薫雄
○政府委員(望月薫雄君) 農地の宅地化を進めるための方策としましては、先ほど来御答弁申し上げ、また都市局長が今お答え申し上げたようなもろもろの施策をかみ合わせてやっていきたいという構えでおるわけでございます。基本的に私ども考えなきゃならぬと思いますのは、やはり農家の方々が土地を保有し、いかにしてその土地を有効に使っていくかということをやっぱり大事に見なきゃいかぬだろうというところの視点が大事だと思っています。
そういった意味では、農地所有者御自身によるいわゆる集合住宅経営、供給、こういったものも大変重要な政策課題ではないか、あるいはまた、それが現実的に期待できるのじゃないか、こういう考え方に立っているわけでございまして、そういった意味で、先ほど来申し上げておりますような税財政上の措置も含めて都市計画の特例措置等々を講じたい、こういうものでございます。
その間におきまして、先生今御指摘のように、言うならば法人がどちらかというと投機的に、あるいは土地転がし的に取得するというようなことについての懸念は私どもも常に戒めなきゃならぬと思っております。この辺につきましてはもう御案内と存じますけれども、一般的に法人税に関しますいわゆる超短期、超々短期の重課の問題だとか制度だとか、あるいは国土利用計画法によります一連の規制措置、さらにはまた特別土地保有税の活用などなどの現在ある税制上の措置、あるいは国土利用計画法上の措置を的確、有効に活用することによって相当の効果は期待できるだろうし、またそう努めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/51
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052・西野康雄
○西野康雄君 農家がぽつりぽつりと宅地並み課税で切り売りをしていく、そういうふうなことがないように本当に農家がしっかりと、片一方で農業をやれ、片一方で住宅建設だとか、あるいは借家経営だとかができるような方策というものを国自身がきっちりと誘導してやるべきじゃないかなと思っているのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/52
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053・伊藤茂史
○政府委員(伊藤茂史君) 住宅対策面から見まして、市街化区域内の農地を持っておられます農家の方々が土地を売らずに賃貸住宅を建設しまして住宅を供給するということは、非常に有効な方策だというふうに今までも考えておりましたし、これからもますます従来以上に重要になってくるだろうと思っております。
今現在、これに対しましては、農家に対しまして低利融資やら利子補給やらいろんな制度がございます。それで非常によく活用さしていただいております。中でも、公庫融資の中に特定土地担保賃貸住宅というのがございますが、これは市街化区域内の農地を所有されておる農家に対する特別の融資でございまして、超低利の四・三五といったような金利の融資をいたしております。それから特に、農協資金なんかを活用して農協の指導を受けながら賃貸住宅を経営するという方に国が利子補給をするというようなことで農地所有者等賃貸住宅という制度がございますが、これらも活用されておりまして、先ほどの特定土地担保につきましては年間六、七千戸程度、それから農地所有者等賃貸住宅につきましては三千戸程度の実績がございます。そのほか一般的な公庫融資の活用とか、それから住都公団が分譲します賃貸住宅がございますが、そういうものを農家が活用されるケースもございますので、全体の数字はわかりませんが、現行制度を御使用されましても相当な戸数農家の方々が賃貸住宅を経営されているものと思っております。
この方策を今後とも大いに進めたいと同時に、やはり経営につきましては、最初やられる方は素人でございますので、いかにして経営面、技術面のアドバイスをするかというのが非常に重要でございます。したがって、自治体ももちろんでございますが、農協等の団体を通じお願いをしまして、こういうことをやっていきたいと思っております。
それから、今都市局長からるる申し上げましたが、こういう土地を利用する場合に、経営面とか資金面のネックもございますが、今残っておりますいろんな農地を見てまいりますと、やっぱり最大のネックは公共施設が整備されてない、前面に道路がないということでございます。したがいまして、今回の建設省挙げての大都市対策は、そこら辺の農地の中にどうやって道路をつくっていくか、これを整備するかというところに一点非常に力が入っておりますし、それからもう一点は、今までは一種住専というような形で高度利用ができなかったわけでございますけれども、公共施設を整備しながら高度利用するということでございますから、これは経営面から見ますと非常にまた有利になるわけでございます。
そういうことで今後のこういう施策の拡充を通じて、今まで以上にこういう施策を推進してまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/53
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054・西野康雄
○西野康雄君 私も、大学、大学院と農学部でございまして、専門は農業水利学なわけですが、農家の方々の農地に対しての思い入れ、あるいは農業を続けていきたいという気持ちは十二分にわかっているつもりでございます。今後宅地並み課税をする際にもできるだけ農家の方々の御意向みたいなものを尊重していただきたい、こういう希望を述べさせていただきまして、建設関係の方の質問を終えさせていただきたいと思います。
続いて、国土庁長官にお伺いをいたします。
土地基本法案、国土利用計画法改正案の審議が進んでおりますが、土地基本法案は土地についての憲法とも言うべき法案であります。大変重要な法案であると思っておりますが、しかしこの重要な法律案も我が国の経済の高度成長の過程で再三にわたって地価の異常な高騰等の経験をしております。いささか提案が遅きに失したのではないかなという気もいたします。ようやく土地基本法案が提案されるに至りましたが、それに至った経緯また法案の役割、基本的な考え方を長官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/54
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055・石井一
○国務大臣(石井一君) 御指摘のとおり、我が国では戦後数次にわたりまして、地価高騰と激しい土地投機、そのことによって土地利用の秩序というものが乱れたことは確かでございます。古くは昭和三十五年の高度経済成長の時期、四十年代になりましてからは、法律といたしましては都市計画法等を策定し、調整区域、市街化区域等、市街化の区分などをいたしまして、そのときそのときに適切な手を打ったはずでございますけれども、また四十七年日本列島改造の時期、その直後に国土利用計画法等が策定されまして、そのときには監視区域の設定というふうなことが行われたわけでございます。昭和五十年代の半ばに、中曽根民活路線というふうな中にまた一時土地高騰の著しい時期がございました。そうして今日、昭和六十一年、二年、三年に、ここに重ねて非常に大きな土地の高騰というのがあったということでございますが、その間いろいろのタイムリーな法律をつくっていったわけでございますけれども、それ以上にこの段階で問われた基本的な問題というのは、土地に対します公共性、また所有あるいは譲渡等に関しましても、基本的な問題というふうな問題が欠けておったのではないか、国民の中に共通意識というふうなものが欠けておるのではないか、こういうような観点から、ここで急速に基本法の成立が必要であるというふうなことが政府のもろもろの答申にも出てまいりましたし、また野党四党もみずからのイニシアチブで法案をまとめられた、こういうふうな経過に至ったわけでございまして、過去の反省は反省として、将来に向かってひとつこの問題の解決に邁進したい、こういうのが現在の姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/55
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056・西野康雄
○西野康雄君 地価が異常に高騰しております。地価の問題の背景には、土地の需給問題、土地投機と金融の問題、都市計画の立て方の問題、さらには都市の構造そのもののあり方、いろいろと問題を含んでいるかと思います。
対策はやっぱり目的をどこに置くかによって異なってまいるかと思いますが、政府は基本法を提案するについて、現在の土地問題というものをどう認識し、どのように対応していこうとするのか、国土庁長官の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/56
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057・石井一
○国務大臣(石井一君) 地価の高騰が資産の格差の拡大を生み、それから住宅宅地確保の困難化の問題を引き起こし、そして庶民やサラリーマンのマイホームの夢を破っておる、こういうような状況でございますから、今やこの問題の解決は内政上の最重要の政治課題だ、そのように認識をいたしておるわけでございます。このままの状況を続けておりますと、豊かさの中の貧しさ、それが衣食住の中の住の問題によって国民はますます貧しさというふうなものを感ずるでありましょうし、この社会が公平な社会でない、土地を持っておる者はますます膨らむ、そうして土地のない者はますますしぼむというような状況になってくるわけでありますから、社会的公正という問題にまでさかのぼる大きな問題になると思うのであります。
そこで政府といたしましては、御承知のとおりこれまで総合土地対策要綱に基づいて監視区域制度の積極的な活用を初め諸機関の地方への分散、それから宅地住宅等の供給の促進等の施策をいろいろとやってきたわけでありますけれども、そうかといっても、なおかつ最近の金余り現象、仮需要、不動産融資の増加というふうな問題の中から土地の高騰というものが起こってまいりました。そしてそこに土地神話というふうなものが厳然として生きておりまして、土地ほどもうかる商品はない、そういうふうな思想もありますし、それからまた利用されずに放置されておるというふうな問題も残っております。したがいまして、これらの問題をここで土地基本法が成立することによりもう一度スタートラインに立つ、そういう気持ちで全般の総合政策を見直し、そしてこれまでいろいろ建設的な提案もたくさんございます。これらの問題を一つ一つ着実に実施していくことによってこの大問題に挑戦をしていきたい、そう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/57
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058・西野康雄
○西野康雄君 大問題に挑戦をしていただく御決意もよくわかります。しかし、対策というのは短期対策、長期施策いろいろあるかと思います。現在の土地問題について当面する地価の異常な高騰を抑える、あるいは高騰前の水準に引き下げる、そういう短期施策、それと土地利用の合理化を図るための都市のあり方や国土の利用全般にわたる長期的な政策、この二つに分けられると思うのです。
短期的な政策、対策からお伺いをいたしますが、三点。
前提としてここ数年の地価の動きがどうなっているのかという御説明と、その異常な値上がりの原因は何だとお考えになっているのか、地価高騰以来その抑制のためにどのような対策をとってきたのか、この三点お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/58
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059・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) まず最初、ここ数年の地価の動きでございますが、圏域別に御説明申し上げますと、まず東京圏では五十八年ころ東京都心商業地あたりの地価上昇が見られたわけですが、これが最初の兆しでございまして、六十年ごろには都心の商業地を中心とする地価上昇が加速的に進んだ。地域的にも広がりを見せまして、六十一年に至りましてこれが周辺住宅地へも波及していったというふうな経過をたどっております。六十二年には周辺、かなり広範囲に広がりましたが、ただ幸い東京都の都心部あたりでは鎮静化が六十二年後半から進んでおります。なお、最近では埼玉県や千葉県の東京からかなり遠い地域でなおかなり残念ながら地価上昇が認められる、そういうふうな状況であります。大阪圏では五十八年から五十九年にかけて、一部中心商業地で上昇が始まりましたが、これが六十三年には著しい上昇になってあらわれて全域にそれが及んでおります。なお上昇傾向は続いております。また、名古屋圏では六十一年から六十三年にかけて名古屋市で上昇いたしましたが、市域の地価は最近鈍化傾向を示しておりまして、なお周辺ではまだ上昇が続いておるということであります。地方圏では六十年ごろから福岡市、札幌市等のブロックの中枢都市でかなり地価が上昇してきております。現在もその状況がじわじわ続いております。
こうした値上がりの原因でございますが、まず東京圏の地価上昇、都心部の事務所ビル需要の急激な増大に伴う需給逼迫であったと思いますが、都心部等の業務地化が進みますと、住宅地の買いかえ需要が周辺に発生いたしまして、これが周辺の住宅地を引き上げていったのではないか。さらに地価上昇過程ではどうしてもそういった需要増大を見込んだ投機的取引がふえまして、金融緩和状況等を背景にいろいろこういった原因が複合的に影響し合って上昇が生じたのではないか、そういうふうに思っております。
また大阪圏を初め地方都市等における地価上昇でございますが、これは以前に高騰しました東京圏と比較して相対的にこういう地域で割安感が生じたのが一つではないか。さらに加えまして依然として金融緩和基調でございますし、またこれらの圏域でも先行して都心部商業地域で地価が上がりまして、それが徐々にやはり周辺の住宅地に波及していく、そういうふうな状況で順次地域的に引き上げが拡大していく、そういうふうな形になっております。
ただ、大都市圏にしましてもブロック中枢都市にしましても、一方では大規模プロジェクトあるいは都市の整備も進んでおります。地下鉄の延伸その他でございますが、そういう都市基盤施設の整備に伴って土地の効用増と申しますか、土地の生産性が上がり、上がるべくして上がっている部分も地域的にはあろうか、そういうふうに理解しております。
それと、こういった地価高騰に対して政府としてどのような抑制策を講じてきたかということでございますが、まず六十年の夏ごろからいろいろ公共団体とも相談しながら各種の対策を講じてきましたが、政府といたしまして六十二年の六月に国土利用計画法を改正いたしまして、監視区域制度というのを創設いたしまして、以後この区域指定を積極的に行い、取引に対して行政指導を加えてきております。現在、この監視区域を活用しておる地方公共団体は一都二府二十九県十一政令指定都市に及んでおりまして、市区町村にしますと五百六十以上の市区町村が監視区域制度を運用しております。
また、土地税制におきましても超短期重課制度というのを設けまして、これは取得して利用することなく二年以内に転売し、転売益を得る者に対しましてはそれに対して実効税率九〇%、ほとんど差益を税金でいただく、そういうふうな税制上の措置も講じております。また居住用資産の買いかえ特例を原則廃止いたしまして、それまで十年以上居住した家屋を買いかえる場合には、買いかえる金額の範囲内で税金なしに新たな財産を取得できたわけでございますが、これが非常に周辺の住宅価格を引き上げておるという原因になっておりましたので、これを分離低率課税に改めております。
さらには、不動産業者、金融機関に対しましては数次にわたり通達を発出する等いたしまして、適正な土地取引を行うように厳しく要請してきております。
さらには、先ほど大臣からも申し上げましたように、政府部内に土地対策関係閣僚会議を設けましたり、あるいは緊急対策、総合対策について行革審に諮問し答申をいただき、その答申を受けて総合土地対策要綱を閣議決定いたしまして、政府一体になってこの総合対策の実施に取り組んでおる、そういうふうなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/59
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060・西野康雄
○西野康雄君 確かにおっしゃるとおり、オフィスの需要の増大、こういうことから周辺部にも波及をし、そして土地投機も介在して、割と地価の比較的落ちついていた関西や地方主要都市に波及をしていったというのが政府の認識だと思います。しかし、オフィス需要の増大ということもあったのでしょうけれども、しかしこれほど大幅に、そして広範囲にわたって地価高騰が起きたということは、やはり一番大きな要因はオフィスビルの需給を口実に土地投機をしたということじゃないかなと思います。このことは、既にいろいろなところで言われているわけですが、裏からそれを支えたのが金余り現象を背景にした金融機関である、これは明白だと思いますが、この点について国土庁はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/60
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061・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 御指摘のとおり、確かに需給逼迫が引き金にはなったと思いますが、今日の異常な高騰を招いた主な原因の一つとして投機行為があり、それを支えた金余り現象があると考えております。例えば、東京の都心におきましても、上昇過程では三割近い取引が一年以内に転売されるような取引だったということを見ましても、投機的取引が非常に大きな原因の一つだったと思われますし、またここ数年、金融機関の土地関連融資は非常に伸びております。そういうことをもって見ましても、金融機関の土地関連融資も大きな支えになったのじゃないか。そういうことでございまして、金融機関に対しましてはこれまで、先ほど申しましたように数次にわたりまして大蔵省に対しまして投機的取引への融資等を行わないよう金融機関を厳に指導いただいておりまして、特に六十二年からは、これは七月からだったと思いますが、大蔵省におかれましては金融機関に対しまして特別ヒアリングを実施しております。これは大蔵省としては異例のことのようでございまして、融資実績の多い金融機関に対しまして個別にどういう案件に対してどういうふうな融資をしておるのか、厳しく調査し指導しておるようでございます。また、六十二年十月から、監視区域制度と関連させまして、この区域内で融資が行われます場合には、届け出案件について都道府県の指導が終わったものにしか融資しない、借りかえる場合にも利用計画がちゃんと進んでおるかどうか、その辺まで確認しながら融資を行っていただいております。また、この十月二十七日には、改めて銀行局長に金融機関に対する指導、いわゆるノンバンクたる貸金業まで含めて行っていただくように要請したところでございまして、銀行局では我々の要請を受けて、そういうノンバンクに対する指導も始めていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/61
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062・西野康雄
○西野康雄君 基本法案では土地の公共優先を規定しておりますが、公共優先の土地対策を進める場合最も強く抑制されるのは土地投機である、こう私は考えておりますが、長官の考え方はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/62
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063・石井一
○国務大臣(石井一君) 土地基本法の基本理念として、土地は国民のための限られた貴重な資源であること、国民の諸活動にとって不可欠な基盤であるというそういう基本概念のもとに、第四条におきまして明確に「土地は、投機的取引の対象とされてはならない。」と。この点は野党案でも第三条において同文の趣旨を明記されておるところであり、これはいろいろの基本理念の中でも最も土地基本法の中で国民に理解を求め、また国民がそういう気持ちになっていただくということが必要ではないか、そういうふうに考えております。
土地は生産できるものではない。土地は移動できるものでもない。また、限られた資産である。そして、土地は年月を経ても古くならないものである。こういうように特殊な、商品としては全く別格の資質といいますか、こういうものを持ったものでございますので、私は、今後みだりに土地に投資をしそのことによって利益を上げるという行為は犯罪だ、そういう認識をやはり国民の中に定着する。そのためには、これまで国土庁といたしましても金融機関に大蔵省銀行局を通しましていろいろなことをやってまいりましたが、これ以上土地関連融資の額がさらに大きくなるというふうなことは絶対に起こしてはいけない。もし、そういうふうなことを起こすとすればしかるべき次の措置をとるべきだ、そのように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/63
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064・西野康雄
○西野康雄君 長官の本当に力強い言葉、私自身も感銘を受けるわけですが、本当に金融機関というのはまさに公共性を有しているわけでして、庶民の金を集めてそれを土地投機資金に貸したというのではもう本当に庶民は救われないわけでして、土地投機の防止という観点から今回提示されている国土法改正案では、監視区域において投機的取引と認められるものを勧告の対象に加えると、こうされておりますけれども、投機的取引と認める要件が厳しくて、実際に本当に活用されるのかどうか、こういう点が非常に疑問もあるわけです。国土庁が考えている投機的取引というのは一体どういうものを指すのかお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/64
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065・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 今回御審議をお願いしております国土利用計画法一部改正案の中で、利用目的なく転々と転売される投機的取引を規制対象に加えさせていただいておるわけですが、先生がお尋ねの投機的取引の定義でございますが、私どもといたしましては、将来他に転売することによりその間の差益を得ることを目的として行われる取引はすべて投機的取引だと考えますが、ただ国土法改正案におきましては、そういった取引で適正な地価の形成に著しく支障を及ぼすことになり、かつ現実の土地利用にも結びつかないおそれがある、そういった短期転売、それを投機的取引として行政介入の対象にしようとしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/65
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066・西野康雄
○西野康雄君 我が社会党を初めといたしまして公明、民社、社民連四党が衆議院に提出いたしました国土法改正案には、土地取引の届け出や許可申請に当たっては、現行法に定められている予定価格や利用目的に加えて、取引に要する資金に関する事項、すなわち資金をどのように手当てをするのか、これを記載させ、土地投機の防止の一助にしようとしておりましたが、政府案には残念ながらここの部分が含まれておりません。資金手当ても届け出の対象に加えるべきではないかと私は考えておりますが、いかがな見解でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/66
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067・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 金融機関に対する指導の必要性というのは我々も強く認識しておるところでございますが、お尋ねの届け出書に融資の有無と資金に関する事項を記載させるということにつきましては、国土法の目的とかあるいはプライバシー保護の観点に照らしましても少し問題がございますし、またこの届け出は売買契約を締結するに先立って提出していただくことになっております。また、この法定上の審査期間は六週間ということになっておりますので、原則的には、届け出をし、不勧告通知を受けてから売買契約が締結される、そういうことでございますので、届け出時点ではまだ資金計画が定まってないよと言われれば、これはおしまいなんですね。
そういうこともありまして、我々の案では資金計画を届け出書記載事項としていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/67
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068・西野康雄
○西野康雄君 国土法改正に関連してもう一つお尋ねをしたいのですが、国土法では、投機的土地取引の防止のため、地価が高騰し投機的取引が行われるおそれがある地域を規制区域として取引を許可制にする制度がありますが、しかし今回の狂乱地価においても規制区域制度はついに発動されませんでした。これだけ高騰し、しかも投機が介在していることが明らかであるのに一度も発動されない。一体いつ発動されるのだろうか、こういうふうな思いがございます。この点についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/68
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069・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 先生御指摘のとおり、規制区域制度は国土利用計画法が制定された当時から設けられておる非常に規制の強い制度でございます。おっしゃるとおり、いまだ一度も発動されていないということでございまして、部内的には、長官からも大規模プロジェクト地域等におきましては何とかこの規制区域を発動するように検討をもっと深めるべきだ、そういうふうな指示もいただいておりまして、我々、公共団体側ともいろいろ相談をしておるところであります。
ただ、この規制区域制度、先生御承知のとおり非常に厳しく私権制限をかける制度でございまして、土地の取引は細大漏らさず全部許可制にされるわけです。しかも、許可要件は区域指定時点で価格が全部凍結されるわけです、ほとんど凍結される。それと、利用目的も、土地収用対象事業とか、あるいは自己の居住の用に供する場合等、法律で限定列挙された用途にしか使えない、そういう非常に厳しい制度でございますので、我々としては、まず監視区域をできるだけ地価高騰の未然防止という観点から早目に指定していただきまして、しかも指定後の地価の上昇を見ながら、監視区域、当初の指定でおさまらない場合にはさらに届け出対象面積を引き下げ、厳しく厳格にかつ的確に運用していただく、そういう措置がまず前提としてあっていいのじゃないか。ただ、監視区域を幾ら厳正に運用しても地価の高騰の勢いが全く静まらない、そういう場合には、これはいよいよ規制区域を発動せざるを得ないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/69
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070・石井一
○国務大臣(石井一君) ただいまの答弁は、担当局長としての当然事務的な答弁でございます。
ただ私は、就任いたしましてから、制度としては規制区域ができたのに、この伝家の宝刀が十数年間抜かれずに、そしてその後国土利用計画法を改正して監視区域制度を現在運用しておる。これに対してはかなりの効果も上げており、また評価も得ておる、こういうことでございますが、それじゃその間、こういう制度があったにかかわらず、どうしてこれが実際に実行されなかったのか。これは、国土庁といたしましては、各都道府県知事等に対しましてもそれなりの相談をし、要請をしたこともしばしばあるようでございますが、それを実際に実行される立場の都道府県知事といたしましては、やはりいろいろの関係でちゅうちょされ、そして伝家の宝刀を抜き切らずに今日に至った。美濃部都政の時代にも東京の土地は著しく上昇したわけでございますが、やはりそこにはそれだけやり切れない一つの理由があった、こういうふうに伺っておるような次第であります。
私は、この間、茨城県の竹内知事にお会いしましたときにも、あなたは建設行政には明るい人だが、まず見本を示してくれぬかと、こういうことを申したわけでありますが、要は、要件を満たせば必ず指定する、こうなっておるわけです。要件の判断だと思います。私は、場合によりましては規制区域でなく準規制区域というような、規制区域と監視区域の間にかなり幅があるように思えるのであります。もう少し要件を満たして土地高騰に対するブレーキがかけられ、しかもある程度の正常な経済行為は許せる、こういう制度を生み出すことができたら、これはまた一歩前進ではないか。正しいことであれば次々に改正をしていって、実態に合わせていくべきではないか、こういうようなことを考えておりまして、これはまだはっきり国土庁土地局では法案の改正というのに着手しておるわけではございませんけれども、現時点におきましては私の立場でやかましく、知恵を出せ、これだけではなまぬるい、こういうことを言っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/70
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071・西野康雄
○西野康雄君 いつもながら石井国土庁長官の思い切った発言、私自身も歓迎をいたしますが、野党四党案で地価が急激に上昇し、または上昇するおそれがあれば、投機であるか否か確定できなくても規制区域に指定できるように改正案を入れております。やはりこれくらいの強い姿勢で地価対策に取り組まないと実際の投機防止の実効は上げられない、かように思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/71
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072・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 先ほどもお答え申し上げましたように、規制区域というのは極めて厳しく私権制限するということであります。そういう関係もございまして、そういった制限に見合う厳格な指定要件が必要だということで、地価が急激に上昇しておる地域で、かつ投機的土地取引が相当範囲にわたり集中している、またそれらのおそれがある、二つの要件を指定要件としておるわけであります。ただ、この要件のうち投機的要件を外しますと、実は監視区域の指定要件と同じになってしまうわけです。しかも、規制区域は法律上、要件を満たせば必ず指定というのが原則でありますので、著しく上昇した場合には全部規制区域を指定せざるを得ない、私的活動が厳しく制限される、そういうことになりますので、やはり地域社会の活性化等を考えますと、現行の指定要件でまず監視区域を最大限活用する、それで実効を上げていく、それが重要なのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/72
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073・石井一
○国務大臣(石井一君) ただいまの問題に関連いたしまして、今後例えば新線を建設するとか、あるいはまた調整区域に大量の宅地を供給するという場合に、そういう供給面を増大することによって地価の安定あるいは下落ということにも挑戦をしていきたいと思うのでありますが、そのときにこの制度を弾力的に運用すべきだと思うのであります。
ところがもし、例えばそういう地域に対しまして、仮にある知事の理解を得て規制区域、こういうようなことをやったとしますと、今度は任意で土地を買収する場合に地権者がどういう気持ちになられるか。もうこれ以上全然上がらぬ土地なら私はこのまま持っておきますよ、こういう形になりますと、もう土地買収の一歩からとまってしまう、こういう問題もあるだろうと思うのであります。そこに二律相反する問題があるのでありますけれども、これはやはり公共のために土地を供給する場合には、そこで値段をつり上げて買うということはどうかと思うのでありますが、その辺の新しいものに対して、新しい規制区域と監視区域の組み合わせというそういう知恵を出しませんと、現時点のままではかなりの部分は解決しておりますけれども、将来の問題に対応できない。土地をもらうという立場になった場合に、この制度の逆のマイナス面というものを何らかの形で除去する新しい制度というもの、こういうことも考えていく必要がある、そう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/73
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074・西野康雄
○西野康雄君 時間もあと十分と迫ってまいりました。質問を三つ四つ省かせていただきたいと思いますが、現在の地価問題は主として大都市の問題である、そういうふうな視点から考えられておりますけれども、他方、地方の多くの人は過疎、経済の停滞、こういう問題で悩んでおられます。こういうことからしても、土地問題は国土利用の均衡を図る、こういうことが基本的に必要ではないかと思います。
東京圏に限ってみても、東京都の人口が千二百万人。東京圏で三千万人から住んでおります。しかも東京圏は実態としてはもう一つの都市、東京と周りの周辺も含めて一つの都市ではないか、こんな過大な都市は世界じゅうどこにも存在はしておりません。地価の問題だけではなくて交通、ごみ、自然環境、こういった面からいって限界に達しているのじゃないか、地震が起きたときにはどうするのだ、こういうふうなことも指摘をされております。政府も人口や産業の地方分散ということでいろいろな方針を示されておりますが、有効な施策は欠けているのじゃないだろうか。政府機関の移転にしても東京都の周辺部である。私は常々大阪に最高裁ぐらいを持ってきていただきたいな、三権のうちの一つぐらいは持ってきていただきたいな、こんなふうな思いをしているわけでございます。土地の需給という点からしても、需要を減らすという面からも大都市の機能の分散策、こういうものを積極的に強力に推進していくべきだと思うのですがどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/74
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075・石井一
○国務大臣(石井一君) 今仰せられましたことは、国土政策の基本にもう既にそういう思想、政策を打ち出しておるというのが事実でございますが、ただ実際問題として、主張は正しくても現実の解決は難しいというこういう問題だと思うのでございます。
私のところのデータでも、これはもう言うのも恥ずかしいのですが、現在住宅取得に関します首都圏の場合、中高層住宅であっても五千四百九十八万円。これが年収の八・六倍でありますから、これはもう不可能というところへ来ております。それから通勤時間を見ておりましても、百八十一・五万の通勤者の中の百十二・四万、六一・九%が六十分以上の通勤を強いられておる。こんなところはもう世界にまずないでしょう。そういうことを考えますと、これはもう何らかの方法で東京一点集中を排し、多極分散型国土、これをやらなければもういかぬということは確かです。ただ実際問題、私も含めて皆さんも含めてやる気が本当にあるのか、やれるのか、こういう問題になってまいりますと、それぞれが利害得失を言うのがまた人間社会の醜い残念なところであります。これは国会ででも決議をしていただくなりなんなりして、抜本的にひとつ取り組んでいくということが私は必要ではないか、実はいろいろと資料を調べたり物を読んだりしたら、つくづくそういうことを私は痛感をいたしております。
業務核都市という一つの思想がございます。東京の一点を外してあちこちへ機能を分散する。そういう意味では七十九機関の中で七十五がそういうところへ行っておるのですから、政府も多少は努力をしておるわけです。
最高裁を大阪へというのは、ひとつあなたのような、もう少し政治的力を持ってやっていただきたいと思うのですが、そういう形で今後これが正しい方向だ、そういうことで進めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/75
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076・西野康雄
○西野康雄君 最後の質問になるかと思います。
ひとつ角度を変えて土地の証券化ということがここのところ最近話題になってまいりました。アメリカでは既に実施をされたりしているところもあるかと思います。不動産から得られる収益を見返りに証券を発行し売却するという形、土地の証券化、一時国鉄の跡地の処分の問題のときにこういう話が出たかと思いますけれども、土地の証券化ということについてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/76
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077・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 土地の証券化につきましては、関係省庁やあるいは経済学者等の間でさまざまな構想等も検討されております。我々もそういう構想が出るたびに勉強するようにしているわけです。役所といたしましても、土地政策の観点からも土地の証券化構想の意義や問題点、こういうのを引き続き勉強していきたいというふうに考えております。
ファイナンスの一手段としてアメリカなんかでも随分証券化が進んでおるようですし、先生仰せのように土地の信託受益権とかあるいは一部所有権のようなものを証券化している、そういうケースもあるようですので、もっともっと勉強してまいりたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/77
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078・西野康雄
○西野康雄君 私は職業としては講談をやっております。コウダンというとこのごろは住宅公団か道路公団のようについ錯覚をされます。上野に本牧亭という寄席がございます。講談を中心にしていた寄席でございますが、ことし十二月いっぱいで閉鎖になります。上野広小路という大きな一等地だと思いますが、容積率が、非常に前の道が四メートルですか、道幅が少ないということで三階以上は建てられない、地価だけは異常に高騰をする。そういう中で相続のことを考えるというと手放さざるを得ない、こういうふうなことでことしいっぱいで閉鎖ということになってしまいました。まことに残念な限りでございますが、土地の高騰というのは人の住まいだとか人権だとか、そういうものとともに文化というものを破壊していっているのだというふうなことをよく御認識をいただいて、今後長官には思い切っていい国土の利用の方策を立てていただきたいということをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/78
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079・石井一
○国務大臣(石井一君) 小南陵さんが最後に寄席と文化に土地を結びつけられたというのに何かこう落ちがあったような気持ちがいたしますが、相続税が払えないので文化が消えるというのもどうかな、何かもう少し知恵の出し方があるのじゃないか。文化は今後もますます隆昌になるように我々ともに努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/79
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080・西野康雄
○西野康雄君 どうもありがとうございました。
これで質問を終えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/80
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081・片上公人
○片上公人君 地価の動向でございますが、先ほどからずっとお話が出ておりますように東京圏の地価は高値安定、かわって大阪圏や地方主要都市がどんどん急騰しておる。今地方への高騰の波及をどう食いとめるかというのが最重要の問題だと思うわけでございますが、先般国土庁長官は金余り現象の中で金融機関からの土地関連融資が増大し、土地の投機買いが地価高騰の拡大要因となっておる、こういう見解を示されまして、大蔵省に対しまして金融機関の融資の適正化を要請したと報ぜられておりますが、改めて地方都市における地価高騰の原因について見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/81
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082・石井一
○国務大臣(石井一君) 先ほどから土地局長より土地の高騰の原因については前委員にもお答えしておるところでございますが、総じて東京の事業所、ビル需要というところから端を発し、だんだんだんだんと住宅地、そして周辺、そして東京を中心にして大阪、そして次に福岡、札幌。また福岡、札幌、大阪においても商業地を中心に住宅と同じようなパターンを踏んで今日の悪弊という結果が出ておるわけであります。
そういうことを考えますと、こういうものは未然にもう少し防止することができなかったのか。例えば資料を見ましても、六十年に上がってしまうと今度はもうどかんととまっておる、こちらは非常に上がっていく。まさに三角形の順番のような形で、言うたら伝染病が広がるような形になっておる、こういうことなんでございますから、なぜもう少し未然に先行的指定というのをやらなかったのか、これは一つの大きな反省材料であり、それだけが絶対的な武器でなかったらほかの武器というものをもう少し探し得なかったのか、こういうふうなことを考えるわけでございます。
それから、金融の問題でございますけれども、確かに徐々に徐々に広がってきておるわけでありまして、現在四十六兆円の融資残高、不動産関連、また前年度比一六%とかということなんですが、これもまた大きい銀行ほど融資金額はある程度抑えて少ない。それが地方銀行になりますとやや大きくなっている。それが、さらに証券、金融、ノンバンクというふうな手の届かないところへいくともっとやはり大きくなっているのじゃないか。これにも一つのパターンが見えるように思うわけでございまして、この点に関しまして、これまで大銀行なりなんなりははっきりした一つのコントロールもできるでしょうし、また企業倫理もあるでしょう、社会的信用ということも考えるでしょう。しかし、そうでなく、なりふり構わず金もうけということをやられる方もあるわけでございますから、こういうような手の届かないところへ今後どのような具体的な施策を打ち出していくかということが決め手になるのじゃないか。私たちはもうこれで山を越して、大方基本法が終わりました後に今後こういう事態が起こるとは考えておりませんけれども、しかしながら、その点について再点検をする必要があるのではないか、そう認識いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/82
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083・片上公人
○片上公人君 東京の地価の高騰も投機的取引が大きな要因となったわけでございますが、長官のおっしゃるいろいろな手を打ってきた面もあると思う。例えば超短期重課税、そういう創設などをやりまして対策は講じていたわけでございますけれども、ある程度の効果を上げつつあるわけでございますが、今ちょうどお話があるように、地方の主要都市においてさらに土地投機買いが行われておる。これについて、これはなぜなのかというか、どう見ていらっしゃるのかということを国土庁に聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/83
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084・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 土地の投機的取引等につきましては、どうしても地価が上昇局面にありまして、これから先行きなお相当の値上がりが期待できるというふうな予想が一般に広がりますと、どうしても多くなるようでございます。もちろん投機だけじゃなしに、いわゆる投資と申しますか、手当て買いのような土地も相当需要が多くなる。そういった投機的取引及び不要不急の需要が大変地価の上昇に拍車をかけておるのだということは否めないと思います。
そこで、まず投機的取引については、これはもう徹底的にやっぱり抑制していかないといけないと思っております。取引に対しまして規制を加えますとともに、税制面でもあるいは不動産業界や金融業界に対しましても、厳しく規制を加えていかないといけないと思います。それと、やはり不要不急の需要に対しましては、土地は保有しておけば他の資産に比べて絶対有利だ、そういうふうな土壌がある限りなかなかこれは抑制しにくい面がございます。基本法の制定を受けまして、やはりそういう環境を少しずつ変えていかないといけないのじゃないか。そういう環境を変える中で国民の皆さんの意識も徐々に変えていっていただく、これは持ちつ持たれつと思いますが、そういう関係の中で適正な地価の形成を図っていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/84
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085・片上公人
○片上公人君 これは今のお話に出ておると思うのですが、株式や商品取引などと違いまして、本来投機の対象にすべきでない土地に対して割安感というのですか、そういうのもおかしいわけですが、現実には割安感みたいなことを求めて不動産マネーがどんどん流入して地方へ地方へといっている。したがいまして、地方都市の地価に割安感がある以上、地方の地価の上昇はとまらない、いろんな手を打ってもそれがある限りとまらないという、こういうどうしようもない現象が今起こっておるわけでございますが、これについて見解をもう一度お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/85
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086・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 先ほどの答弁とも少し関係いたしますが、我々監視区域の中の届け出書を見ておりますと、その利用目的に堂々と資産保有と書いてある取引が一〇%ないし二〇%もあるのです。今の国土利用計画法の体系の中では、資産保有というのをだめだと指導するわけにはいかないわけです。そういうこともあって改正をお願いしているわけです。
それで、先生お尋ねの地域間に割安感が生じている限りなかなか地価を抑制できないのではないかという御指摘でありますが、確かに仰せのとおり難しいと思います。
ちなみに、東京圏と大阪圏のここ数年の地価の格差を見てまいりますと、五十五年、これは比較的平穏な年でございますが、東京圏一〇〇に対しまして大阪圏の地価は八〇ぐらいだったわけです。その後東京圏がぐんぐん地価上昇いたしましたので、六十二年はそれが一〇〇対四〇にまで非常に大きな格差が生じ、そういう中で大阪への投機、投資が非常にふえまして、ぐんぐん今度は大阪圏が上がった。それにかえて東京圏の地価が鎮静いたしましたので、平成元年には東京圏一〇〇に対しまして大阪圏が七三と、東京圏上昇前の姿に近づきつつなっております。これは結果的にこうなったわけでありまして、これで大阪圏の地価の上昇がとまるのじゃないか、そういうふうな見通しも立てられるのかもしれませんが、ただ、我々地価対策の責任の立場にある者としまして、やはりそういう格差が生じ、上昇が他に波及するという場合には、もっと防備を固めないといけない。例えば監視区域にしましても早目早目に手を打っていく必要があると思います。それと高値の地域の地価をやはり適正価格水準に戻すような努力をさらにしていく必要があると思います。大変難しいのですが、そういうふうな気持ちでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/86
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087・片上公人
○片上公人君 だんだん大阪が上がって大阪と東京と一緒ぐらいになりましたら、じゃ同じなら東京の方がいいじゃないか、またこういうふうになお続くような可能性もあって非常に心配しておるわけでございます。
土地というのは投機的取引の対象とされてはならない、こういうのが基本理念の一つでございますが、現実には投機的取引というのは全然減少しておらぬ、一層活発化しておる。地方の主要都市の地価の高騰の要因ですが、これは投機的取引があるということは国土庁長官も認めておるところでございますけれども、地方で土地の投機買いを今行っているのは一体だれなのかということですね。多分僕は法人によるものと思うわけですが、大阪圏、名古屋圏における法人あるいは個人別の取引件数、これはどのように変化が出ておるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/87
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088・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 国土利用計画法に基づく届け出に係る土地取引について見ますと、件数につきましては監視区域の指定等により増加しまして、経年的に比較することがかなり難しいのですが、法人の土地取引割合を見ますと、大阪圏におきましては、五十九年から六十二年にかけて増加いたしまして、六十三年は減少しております。名古屋圏におきましても、五十九年から六十二年にかけて増加し、六十三年は減少というふうな状況になっております。ちなみに件数を申しますと、六十二年は、法人取引が大阪圏では四千七百七件、個人が千百四十八件でございまして、合計五千八百五十五と、法人割合が八〇・四%になっておるわけですが、それが六十三年には件数が非常にふえまして、法人九千六百二十二、個人三千五百十七、全部で一万三千百三十九件でありますが、法人の割合は七三・二となっておるわけです。名古屋も大体割合だけ申しますと、六十二年が八四・七%、それが六十三年には七八・一%となっております。参考までに東京圏を申し上げますと、東京圏の法人、六十二年が六五・八%、六十三年が五三・一%と、かなり低くなっております。
その原因といたしまして、いわゆる御承知の超短期重課制度が六十二年の十月からスタートしております。加えて、両圏域におきまして、監視区域が広範囲に指定されておりますので、こういった措置が法人の取引件数を少し低下さしたのじゃないか、そういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/88
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089・片上公人
○片上公人君 それらの土地取引のほとんどの分は具体的な利用目的のない、専ら転売をして利益を得ようとするだけの投機的な取引だと思うわけですが、その辺の実態の把握について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/89
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090・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 東京圏で非常に激しい上昇が見られました六十一年から六十二年初めにかけまして、極端な短期転売件数が多く見られたわけです。
先ほども御説明申しましたように、ある区では取引の三割ぐらいが一年間に転売される。それも年間で三回、ひどいのになりますと五回ぐらい転がしまして、その間に土地の価格を二倍なり三倍につり上げる、そういう極端な投機取引が認められたわけですが、監視区域制度等のおかげでそういった目に余る典型的な投機行為はなくなってきたのじゃないかというふうに見ております。
しかしながら、届け出の中にまだ資産保有の目的と思われるものの割合が大体一割から二割程度見受けられます。例えば大阪圏におきましても、六十二年は全体で五千二百八十二件届け出がございましたが、うち資産保有というのが九百十一件を占めておりまして、一七%になっておるわけです。そういうふうな状況でございまして、やはり利用目的のない資産保有、当面利用目的がない、そういうふうな取引がかなりのウエートを占めておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/90
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091・片上公人
○片上公人君 提出されておる国土利用計画法の改正で、監視区域内の土地につきましては、投機的取引と認められるものにつきましては契約締結の中止勧告等ができるようになるわけでございますが、この改正によってどの程度投機的取引の抑制効果があると国土庁は見ていらっしゃるのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/91
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092・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 先生御承知のとおり、近年の地価高騰下におきます極端な投機的土地取引は需給逼迫状況を助長しておりまして、結果的にはこれが地価を高騰させ、また結果的に現実の土地利用にも結びつかない土地利用秩序の混乱、そういった弊害を生じさせているわけでございます。
このため、今回の改正案におきましては、監視区域に所在する土地について投機的取引と認められる届け出がありました場合には、取引の中止等の勧告を行うことができることとしたものであります。この措置によりまして、不動産業や金融機関等に対する指導、あるいは税制上の措置等の対策と両々相まって、今次の地価高騰を加速させた主たる原因の一つであります投機的土地取引をかなり抑止できるのではないか、そういうふうに期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/92
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093・片上公人
○片上公人君 土地の投機的取引を法文上に定義するとなりますと改正案の二十七条の四になるかもしれませんけれども、これではある程度法律に強い者でありましても複雑過ぎてとても理解できないのじゃないか、もうちょっと簡潔に定義できないかと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/93
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094・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 今回の改正案におきまして勧告の対象といたしております投機的土地取引は、将来他に転売することにより差益を得ることを目的として行われる土地取引で、適正な地価の形成に著しく支障を及ぼすことにより現実の土地利用と結びつかない、そういうおそれのある短期間転売を対象にしておるわけでございます。このような投機的取引を非常に難しい条文で整理しておるわけでございますが、通常の取引に大きな弊害にならないように、また譲り渡し人、譲り受け人両方の事情もやはり考えながら、例えば譲渡人の事情とか譲り受け人の利用目的、あるいは当該取引に至った経緯、そういったものをそれぞれの面から規定しておりますので、御指摘のような非常に難しい条文になっております。なお、今後これの運用に当たりましては、改正法の内容の周知徹底を図る必要がありますので、わかりやすくその辺を整理してPR等にも努め、的確な運用に配慮してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/94
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095・片上公人
○片上公人君 これほど条件をかぶせますと、よほど悪質なもの以外これにひっかからぬということで、ほとんどの投機的な取引がチェックできないおそれがあるとも考えられるのですが、その辺はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/95
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096・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 確かにいろいろな配慮も加えております。適正な地価の形成、あるいは適正かつ合理的な土地の利用の確保というのがこの改正案の政策目的でございまして、この関係から、やはり正常な社会経済活動として是認すべきものは是認しつつ、特に投機性が強く適正な地価の形成に支障を及ぼすような短期間転売のみを勧告の対象とすることとしておるわけでございます。
こういう趣旨でございますので、譲り受け人が実需者である場合には、やはり不動産の円滑な流通に資するとともに、土地の有効利用が図られるわけでございまして、そういうものはやはり勧告の対象から除くべきだろう。またさらに、代物弁済とか譲渡担保のために行われる場合もございまして、こういった通常の経済活動として是認すべきものも外すべきだ。さらには、公共事業あるいはある土地を取得するための代替地の提供のために行われる場合にも、都市の整備、再開発等の促進のためにある程度認められるべきだ。そういったことからこういうものを不勧告とすることにしておりますので、かなりの部分は抜けるわけでございますが、ただ、みずから利用せずに、あるいは区画形質の変更等付加価値を生み出すことなしに転々売買される短期譲渡は全部この勧告対象になるということで、相当今後の投機的取引、いわゆる悪質な地上げ等の排除には寄与できるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/96
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097・片上公人
○片上公人君 建設省にお願いいたします。
特定市街化区域内の農地に対する課税の強化につきましては、税負担の公平を期すというよりも、それによる宅地化の推進をねらったものと考えるわけですが、課税強化が実施された場合、それによりましてどの程度の宅地供給増が見込めるのか、試算があれば示してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/97
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098・木内啓介
○政府委員(木内啓介君) 建設省としましては、ただいまの大都市圏の住宅事情にかんがみましていろんな手法、都市計画とか住宅政策、いろんな立場から総合的に施策を検討しているところでございまして、その一環として税制もお願いしたいと考えているわけでございます。
そこの中で、ただいま先生がお尋ねの市街化区域内農地でございまして、それにつきましても、市街化区域内農地を農地として保全するところと宅地化をすべきところに振り分けた上で、保全すべきところには現在の農地の課税、宅地化していくところには宅地の課税というふうなことをやるべきではないかと考えているわけでございます。
ですから、税制だけの効果というのはなかなかつかみにくいわけでございますけれども、税制も含めましたもろもろの施策とあわせまして、現在ございます市街化区域内農地、三万六千ヘクタールぐらいございますけれども、そのうち約一万ヘクタールぐらいを政策目標としまして良好な宅地化をしたいというふうに考えております。ちなみに、戸数にしますと七十万戸から百万戸に当たるわけでございますけれども、そういうのを目指して政策をやってまいりたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/98
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099・片上公人
○片上公人君 次に土地融資について伺いますが、地価高騰の原因はさまざまな要因があると思うわけでございますが、何といっても最大の要因は金融機関の土地関連融資、これに支えられた投機的な取引にあることは衆知のことだと思うのです。したがいまして、金融機関の節度のある融資態度というのがこれまで以上に望まれるわけでございます。いっとき落ちつきを見せていました土地関連融資の動きが六十三年後半ぐらいからまたまた勢いを増しておりますが、大蔵省はその要因についてどのように見ていらっしゃるのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/99
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100・小山嘉昭
○説明員(小山嘉昭君) お答えいたします。
全国銀行ベースの不動産向け貸出残高の伸びを見てまいりますと、委員御指摘のとおり、昭和六十三年後半から若干増勢に転じているのは事実でございます。この背景、要因として私ども考えておりますのは、住宅建設、それから都市再開発等の内需が拡大しております。特に地方におきましては、地方経済の景気回復、これを背景にいたしまして地域の再開発、また住宅建設等に係る融資が伸びておるわけでございます。首都圏、近畿圏等では、地価の高騰によりまして融資金額が増加する傾向にあるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/100
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101・片上公人
○片上公人君 特に最近、都市銀行、地方銀行を中心に土地関連融資が急増しておるように思うわけですが、現状の報告をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/101
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102・小山嘉昭
○説明員(小山嘉昭君) 最近の都銀、地銀の不動産業向け融資残高の対前年伸び率を見ますと、数字でございますけれども、平成元年三月末で、前年同月に比べまして都銀が一五・六%の伸び、地銀は大変高くございまして二〇・六%という数字になっております。今は三月末を申し上げたわけでございますが、直近の九月末の数字で申し上げますと、都銀が一四・四%、地銀が二〇・六%の伸びになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/102
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103・片上公人
○片上公人君 これほど土地の問題が大きな社会的問題として注目をされているにもかかわりませず、金融機関の融資態度というのは少しもこれは改まっていないのではないか。
大蔵省は六十二年七月から、地価高騰地域等に営業基盤を有する金融機関に対しまして特別ヒアリングを実施して、融資状況を報告させるとともに、監視区域内の土地取引については事業内容を確認して融資するよう指導してきたわけでございます。また、本年二月以降は、融資の伸びの高い一部の金融機関を対象として重点的に特別ヒアリングを実施して、指導の趣旨徹底を図っていると聞いておりますが、特別ヒアリングの結果、投機的取引に加担しているような事例はどの程度あったのか報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/103
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104・小山嘉昭
○説明員(小山嘉昭君) 大蔵省では、行政上の必要に応じまして各金融機関からヒアリングをいたしました。その結果は、適宜取りまとめを行いまして、今後の参考にしておるところでございますけれども、これらの計数を公表することは予定いたしておりませんし、またその公表は差し控えさせていただきたいと存じます。
ただ、申し上げられますことは具体的な指導状況、これを一体どういうふうにしているかというのを御説明させていただきますと、現在のヒアリングでございますけれども、これは融資対象土地の過去の取引歴とかあるいは具体的事業計画を十分確認しないままに安易に融資をしたケースがあるのかどうか、これが第一点でございます。
それから、融資対象の最終利用者あるいは売却予定価格等を十分に確認しないまま融資に応じたケースがあるのかないのか。三番目に、融資対象土地の取得価格が自行の評価額に比べまして著しく高いにもかかわらず融資に応じたケースがあるのかどうか。こういうものにつきましてヒアリングを行い、適宜行政指導している、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/104
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105・片上公人
○片上公人君 本年の六月に大蔵省が発表した特別ヒアリングの中間報告では、全体的に抑制ぎみに融資しており投機に加担しているようなものはなかった、このように報告されたわけですが、果たしてそうなのか。そうであるならば、地方都市の地価はこれほど高騰せずに済んだのではないか、こう思われるわけでございます。
大蔵省は特別ヒアリングでどのようなポイントを審査しておるのか。また、何を基準にして融資が適正であるか否かの判断をしているのか、これも伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/105
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106・小山嘉昭
○説明員(小山嘉昭君) 私どもといたしましては、特別ヒアリングの過程でいろいろな事例に接しておりますけれども、具体的な事業計画、計画もないのに土地を買い占めるとか、そういう具体的な事業計画、それから取引価格の妥当性等につきまして十分なチェックを行い得る組織における審査体制、管理体制、こういうものが確立しているのかどうか、あるいはまた状況に応じまして当該融資を回収させるとか、あるいは借りかえに応じないようにするとか、そういう厳正な対応を強く求めてきたところでございます。
先生が御質問の、何を基準にしてということでございますけれども、私どもとしては、あくまでも国土利用計画法におきます国土庁の勧告の水準、これをベースにいたしまして指導しておるわけでございます。
したがいまして、ここで申し上げたいと思いますのは、まず、監視地域というのを広げていただきたい。それから二番目に、届け出面積、こういうものをもう少し細かいところまで広げるような体制にしていただきたい。そうしますと届け出の価格が上がってまいりますので、いろいろな形でその融資が適当かどうかというものが審査できるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/106
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107・片上公人
○片上公人君 大蔵省は国土庁長官の要請を踏まえまして、本年の十月二十七日に「土地関連融資の取扱いについて」という銀行局長通達を行ったわけですが、大蔵省が金融機関に対しまして融資の自粛を要請する通達を出したのは六十一年四月以降四回目となるわけでございますが、特別ヒアリングの結果金融機関の土地関連融資は厳正適切に行われているということになるのであれば、これは通達の必要もないわけで、再三再四にわたる自粛要請通達ということは、つまり行き過ぎた融資が行われているということ、また少なくとも通達の効果が上がっていないことになるのではないか、こう思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/107
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108・小山嘉昭
○説明員(小山嘉昭君) 私どもでは全くそういうふうに思っておりません。全国銀行の不動産業向け貸出残高というのは、六十一年、六十二年の足かけ二年にわたりまして前年比で三〇%ぐらいの伸びを累月示しておったわけでございます。私どもの方で不動産融資に関する金融機関のヒアリングを行いましてから、やはりこれは落ちてきたと思います。現在は一三%ぐらいになっている、三〇%のものが一三%ぐらいになってきている。
そしてその中身についてでありますけれども、不動産業向け融資というのは、これは注意を要すると思いますのは、土地と上物が入っているわけでございます。土地の取引だけで行われるというのももちろんございますけれども、例えば住宅ですと、建物も込みで一件について幾らという取引が行われております。そして私どもの関心事は、その土地、つまり底地の取引価格は妥当かどうか、ここに関心があるわけでございまして、上物については、むしろ土地基本法案の精神等にのっとれば供給はふやしてまいらなければいけません。また、地方団体におきましてはいろいろな住宅供給のプロジェクトをつくっておりまして、地方銀行等への協力を要請している状況がございます。したがって、底地に向かわないで上物にいかに融資を向けていくか、これが関心事でございます。
そういう事柄で申し上げれば、何度も通達は出してまいりました。今後もこれは出していく必要があろうかと思います。またヒアリングもやや長目にやっていく必要があるのではないかというふうにも思っておりますけれども、効果としては上がっていると考えております。
ただ、土地については、先生が御理解されておりますように、大変複合的な要因がございます。一つのところをどうすればどうという感じではとてもないということでございまして、大蔵省といたしましては、銀行等の金融機関の土地関連融資、この観点につきましては全力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/108
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109・片上公人
○片上公人君 いずれにしましても、金融機関等に対しましては引き続いて実効の上がるような指導を行っていかなければならない、こういう状況にあると思います。政府の土地対策要綱におきましても、特別ヒアリングの内容の充実、また各金融機関における審査体制の確立を積極的に指導するように求めておるわけですが、今後の取り組みについて、大蔵省はどのような方針を持っておるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/109
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110・小山嘉昭
○説明員(小山嘉昭君) 私どもといたしましては、十月二十七日に六項目にわたります土地融資についての規制を公表いたしております。
それは、まず第一点は、通達を発出いたしまして、投機的土地取引等に係る融資を厳に排除するという従来のスタンスをさらに徹底していく。それからノンバンクがひとつ問題でございます。ノンバンクである貸金業者一般に対する金融機関融資につきましても、その資金が投機的取引等に利用されることがないように、資金使途について十分な審査を行うように指導してまいりたい、これが第一点でございます。それから第二点は、特別ヒアリングを強化する形で継続してまいりたい。三番目に、ノンバンク融資の実態を把握するために計数を徴求いたしたい。四番目に、金融機関のノンバンク融資の実態について個別ケースごとにヒアリングを実施してまいりたい。五番目は、金融検査の活用でございます。金融検査というのは常時行っておりますが、その中の大きな項目に土地融資についてのチェックを含める。それから六番目は、ノンバンクの団体に対しまして銀行局長名で自主的な措置について要請を行ったということでございます。
恐らく銀行行政として考えられる土地融資規制のあらゆるものを動員いたしておるというふうに御理解いただいてよろしいかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/110
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111・片上公人
○片上公人君 今ノンバンクについても説明があったわけですが、ノンバンクは特に一片の通達ではなかなか効果が期待できないと思うのです。ノンバンクについてもう少し具体的に述べてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/111
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112・小山嘉昭
○説明員(小山嘉昭君) ノンバンクにつきましては一般的な指導権限が残念ながら私どもにないということでございまして、手がかりになりますのが貸金業規制法でございます。これは例のサラリーマン金融に対する規制で、例えば夜間に、夜に押しかけて取り立ててはいけないとか、あるいは契約書の書面をきちっと取り交わしなさいとか、広告は過大広告であってはならない。主に借り手の立場で規制をいたしているものでございます。
しかし、それを手がかりにいたしまして、ノンバンクに対しまして今度の十月二十七日の措置というもの、これはノンバンクについて五点ほどございますが、時間の関係で考え方だけを述べさせていただきますと、まず、ノンバンクというのは自分で資金調達が基本的にはできないわけで、銀行から融資を受けておるわけでございます。これが事業資金になる。そこで、金融機関がノンバンクにどういう貸し出しをしているのか、これをまず現状を把握したいというのが第一点でございます。
それから第二点は、金融機関に対するいろいろな規制が厳しくなってきておる状況もあって、金融機関が関連会社つまり子会社としてノンバンクを設立しております。リース会社とかクレジット会社とか、そういうものでございますが、そういう金融機関の関連会社の実態はどうなのかというものについて、実態把握と指導を兼ねた行政を行いたい。これが二番目でございます。
それから三番目に、ノンバンク自身に対してはノンバンクがいろいろな自主的な団体をつくっておりますので、それに対しまして、ノンバンク団体自身で、投機的な土地融資に係るような融資は行わないようにというような働きかけを行うようにという要請を行ったところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/112
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113・片上公人
○片上公人君 時間が来ましたようでございますが、最後に、今一番ライトを浴びておる国土庁、そしてその中で最も実力ある大臣、石井国土庁長官に要望を若干述べて質問を終わりたいと思います。
実は私、六十二年にも土地特の委員をやらせてもらいまして、また今回もさせていただいておるわけでございますが、その間で一極集中の問題、多極分散の問題等々、いろいろ勉強させていただきました。そういう中で、国土利用計画や土地政策についていろいろ考えていったのですが、最終的にどうしたらいいかということを考えますと、行き着くところはどうしても遷都の問題になるのではないか、このように感じました。
今一番大きな問題になっておる金余りの問題につきましても、国内、国外に投資目的がいいかげんであれば随分迷惑をかけますが、こういう問題も含めまして、私は遷都というのは経済構造転換の決め手の一つになるのではないか、こう思っております。
遷都は、規模とか継続性といった面でもこれは絶好の投資先を提供することは間違いないと思うのですね。例えば、規模にもよりますが、遷都を本格的にするとなるともう総額では十数兆円といったお金がかかる、予想以上のこれには乗数効果を生みますし、日本経済全体にいろいろ波及していく。ちょうど東京オリンピックとか大阪の万国博のときを思い出してもらったらわかるのですが、同じような規模の投資が大体十年ぐらい続くのではないか。新首都が建設される波及効果というのは多くのものが期待できまして、東京を経済の中心地としまして、新首都を政治の中心地とした場合に、東京と新首都とを結ぶ交通、情報、通信網の整備も同時に行われますし、また全国的な新交通システムあるいは通信システムの再構築にもつながることは間違いない。これによりまして日本は経済、情報、国際政治、産業、文化、国民生活などの面で世界から魅力的で本当に頼りがいのある国と映るような国土に生まれ変わることができるのではないか。地方の活性化についても大きなエンジン役をこれで果たすのではないか。
その新首都というのはどのような特性と条件を持つかというと、一つには、これまでの都市づくりのノーハウを集大成した最適環境都市にする。二つには、国際機関の設置、誘致などを行いまして、日本の世界に対する非軍事的貢献の象徴的都市にする。三つ目には、東京を経済、情報の中心都市とする。新首都の方は政治、文化、情報、人的交流の拠点にする。四つ目には、東京と新首都の二極を中心に網の目状に国内交通アクセスを整備する。五つ目には、新首都建設、交通網、社会基盤整備を含めまして、内需主導型の経済への転換が図れる導因とする。これについての財源についても今十分ある。今しかないと思うのですね。この財源が、我が国にはお金があってそういう土地投機に使うたり、あるいは国内で使い切れへんかったら海外に年間十数兆円流れておる。なぜかというと、それは本当にいい魅力のある投資先が見つからぬためじゃないか。
ちょうど今日本はもう歴史上かつてないような豊かな時代を迎えようとしておるわけでございますが、これはいつまで続くかは別としまして、この豊かさというのは社会的にも大きな活力と変化へのエネルギーを出すことは間違いない。このエネルギーを放置しておくと、先ほどありましたような東京あるいは地方への地価の高騰に見られるような社会的に大きな混乱とゆがみを招くのではないか。しかしながら、その巨大な活力を人生のロマンとか夢と一致させて新たな時代、社会のシステムづくりに向けられるとどうなるか、歴史上大きなエポックを画するし、これに対して日本民族の活力はまだ十分ある。お金もある。労働力もある。それにも増して、住みやすい国土を形成しようとの機運を見せておる。今まさに遷都すべきである。その時期である。今しかない。このように、これは私の書いた本を読んでおるわけですが、思っておるわけでございます。
私は思うのですが、国土庁の役割というのはまさに使命とか権能としてぜひとも遷都の旗を振る今必要があるのじゃないか。二十一世紀を目指して積極的に準備と研究をすべきときだ。それができる国土庁であるし、またそれができる実行力ある長官が誕生したのだ。そして新首都ができたときに、最初の総理でそこに入るのは石井さんじゃないかな、このように思っているわけでございますが、長官の御見解を伺って質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/113
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114・石井一
○国務大臣(石井一君) 私は今、手に持っておられました本も実はきょう質問をされるというので拝見いたしました。実にうんちくを傾けた中身のあるものだというふうに拝見をいたしましたが、また現実に遷都されるべき、本当は場所のことは余り言うと遷都というのはできなくなるようでございますが、その場所まで行って実際に視察までしておられるというようなことにも関心を持ちました。その本に感化されたといいますよりも、私は首都移転の問題は遠いかなたの問題のような認識をいたしておりましたが、言うべきはやすし、なかなか実行は難しい。しかしながら、国土庁に入りましてもろもろの問題、特に狂乱的というべき東京の現状を見ましたときに、なるほどこれは一考に値する、それ以上に重要な国土政策の根幹をなす一つの提案だ、そういう認識をいたしておるわけでございます。
首都機能の移転問題は国民生活全体に大きな影響を及ぼし、国土政策の観点のみでは決定できない面もあるが、東京一極集中是正の基本的対応として重要であると認識いたしております。そして、過去の国土政策の中で、特に四全総におきましても政治、行政機能と経済機能の相互関係を含めて、国民的規模での議論を踏まえ、引き続き検討することとしておりますので、国土庁としても幅広い観点から検討を続けてまいりたいと思っております。
先般、ふるさと懇談会というのがございまして、総理が中心でやっておるわけでございますが、今私が座長を務めております。その席で、皆様にもおなじみが深いと思いますのであえて申し上げますが、林健太郎先生が発言をされまして、遷都という言葉は除去してもらいたい、こういう御意見が出たので私も驚いたのでございます。そこには国土政策だけで決め得ない文化的、歴史的あるいは感情的その他思想的問題も含んでおるようでございますが、今の御提案に対しまして今後、私も幾ばくかの余命でありますが、ひとつ真剣に取り組んでいきたい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/114
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115・市川正一
○市川正一君 東京に端を発した狂乱地価は全国の大都市圏を駆けめぐって大都市の住民のマイホームの夢を打ち砕き、若者は家を借りることも難しく、老人は住み続けることすら脅かされています。
今、国民が政治に求めているものは、安心して住める住居が保障されるようになることであります。今度のこの土地基本法が国民のそうした期待にこたえるものであろうか、以下、お聞きしていきたいと思います。
私、東京が恐るべき地価急騰の引き金になった背景には、東京を国際金融都市として国内外の大企業が二十四時間利潤追求をする拠点につくり変えるという、いわゆる政府の東京改造政策と大企業の膨大な金余り現象を引き起こした金融緩和政策、この二つにある。さらに、地価暴騰を加速した直接的で最大の犯人は、先を争って都心の土地を買いあさった大企業とそれに便乗した土地投機であり、その最大の被害者は国民であります。
そこで、まず石井長官に伺いたいのですが、今日の土地問題の現状認識は以上のように概括することができると思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/115
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116・石井一
○国務大臣(石井一君) 土地の高騰は、こういう高度の経済社会の中で複雑なもろもろの要因が重なって今日の状況になった、こう申し上げていいだろうと思います。
一つには、我が国の土地が余りにも狭い。諸外国に比べても住環境というものが客観的に厳しいということがありましょう。それから第二に、土地神話と申しますか、土地に対します考え方というのが非常に土地に執着をするといいますか、異常なものがある。そして土地を投機の対象にし、資産が資産を生む。また、土地ほど損のない資産はないという、こういうようなものも国民的な心理状況の中にあっただろうと思います。
さらに、我が国は経済的にも非常に安定し、成長を続け、そういう中から幾たびの試練を経ながらも、現在、物価、失業、雇用の中にも相当の経済大国を形成する中に、資金的な金余り現象、こういうふうな状況もまたその一つでありましょう。
そして、今市川先生もおっしゃいましたように、東京に一極に機能が集中し、そこに余りにも過密過度の情報が集まってきたために、そこのところで機能が集積し過ぎたために非常な弊害というふうなものも起こってきた。
そのほかにも指摘すべき問題はたくさんあろうかと思いますけれども、今申しましたようなもろもろの条件の中に異常な地価形成が今日結果として出てきた。非常に残念なことだ、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/116
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117・市川正一
○市川正一君 もろもろでははっきりせぬのです。ですから私は、具体的に、自然現象でなしに、こういういわば社会的、政治的、経済的現象があるじゃないかということを申しまして、長官はあえて否定はなさらなかった、こう受けとめるのです。
ここに私特ってきましたのは、臨時行政改革推進審議会、いわゆる土地臨調が八八年六月に行った答申であります。この中に、この答申はこう述べています。少し長いのですが、事柄を正確にするために引用させていただきますと、「この東京都心部を端緒とした地価高騰の基本には、我が国の経済構造の変化、国際化・情報化の進展等に伴う諸機能の東京への一極集中の激化、これに対応した土地需給の急速な逼迫がある。」というふうに述べています。これはまさに東京改造政策のたまもの、所産ですね。
しかし、ここまで広範に地価高騰の波が広がり、その速度が早まったことには、金融緩和下における潤沢な資金事情を背景として、地価上昇の動きに乗じた投機があり、また、投資の集中がある。特に、投機の尖兵となった一部の不動産業者と、安易な不動産融資によりこれを助長する結果を招いた一部の金融機関の行動は、その本来の社会的責務に照らし、厳しく批判されなければならない。
こうまで土地臨調は答申で指摘しているわけです。
そうしますと、現実の事態というのはまさに土地臨調ですらこう指摘せざるを得なかった、ここに真の原因、真の犯人がおる。
長官も御承知のように、戦後の地価高騰は主なものとして三回数えることができます。一回目は、一九六〇年代の初めに、高度経済成長政策によるあの時期であります。それから、二回目は、七二年から七三年にかけて始まった新全総、日本列島改造計画、これによる大規模な開発。ところが、今回三回目が噴出いたしました。これに対して、今回政府は地価対策の基礎になるものとして、土地についての公共的制約の理念を中心とする土地基本法を提案したのでありますが、その一つが第四条の土地の投機的取引の禁止になっている。
伺いたいのですが、これによって先ほど来指摘してきたような事態、土地臨調ですら指摘しているような事態を防止することができるとお考えなんですか、その点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/117
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118・石井一
○国務大臣(石井一君) 臨調の序文にあります問題につきましては、私もおおむね同意見でございます。
ただ、その後に、やはり私が指摘しました土地神話の問題等々、もろもろの問題も記載されておるわけでございまして、そういう意味ではただこれだけでなく、その他いろいろの客観的なそれの背景になるべき条件もあった、これはまことに残念だということを申し上げておるわけでございます。
また、過去三回土地が暴騰したということも私承知いたしております。高度経済成長を低度経済成長にした方がよかったかという場合には、やはり高度経済成長によって所得倍増が達成されたということも確かでありましょう。日本列島改造ということによって土地は上がったけれども、同時に、遠いふるさと、寒村に対して夢を与えた、こういうようなこともあったと思うのであります。また、五十年代中期の中曽根民活におきます土地の暴騰、これも反省材料もたくさん提示いたしておりますが、同時に、そのときの財政状況、そして円高の黒字基調等を考えましたときには、やはりある程度民活に頼らざるを得なかったという、このようなもろもろの時代時代の背景という中に、残念ながら最も少ない希少な財産にしわ寄せがきた。そのときそのときの政策がすべて間違っておるかということについては、また議論のあるところではないかな、こう思うわけでございます。
そこで、御質問の趣旨にお答えをするわけでございますが、政府案の第四条におきまして、野党案では第三条でございますけれども、「投機的取引の抑制」ということを明確にうたっておるということ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/118
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119・市川正一
○市川正一君 野党といっても四党案です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/119
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120・石井一
○国務大臣(石井一君) だから四党案です。いや、大いに違いがありますね。
明記されたということ、これは大変大きな意義があるというふうに考えます。なぜならば、これまでは土地というものが普通の商品と同じように取り扱われてきた。そのことによってこれだけの社会的な大きな弊害が起こっておる。したがって、今度の基本理念の中のいろいろ重要なことはありますけれども、その一つの最も重要なものと考えられるのは、やはりこの規定であり、いかにこれを今後実行法によって縛っていき、規制していき、それが実態として社会で生きていくかというところが非常に重要な問題になるのではないか、そう認識いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/120
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121・市川正一
○市川正一君 私は、六〇年代からのずっと自民党政治の、いわばここで総括をやるつもりはないので、大臣もあれは誤っていたとは口が裂けてもおっしゃれないでしょうから、それは次の機会にいたします。
私が伺ったのは、この第四条によって防止することができるのかということなんですが、これも定かなお答えはなかったので、以下後でさらに詰めていきたいと思うのですけれども、今東京の地価高騰がとまった、また今度Uターンしてきているようでありますが、それは一体何によるのか。多くの識者も指摘しているように、余りの高価格のゆえにオフィスビルとしてさえ採算がとれないようなところまで上がってしまったのですね。その証拠に、首都圏の地価が頭打ちになると、これが大阪圏その他に投機が波及し、広がっているというのが現状だと思うのです。
そこで、今度は私具体策としての国土法の改正についてお聞きをしていきたいと思うのですが、国土法の改正案で投機的取引を勧告対象とするのは監視区域における届け出取引だけとなっておりますが、監視区域以外の投機的取引はどうなさるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/121
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122・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 実は、投機的取引の抑制措置といたしましては、これまでも総合土地対策要綱等に基づきまして、不動産業者あるいは金融機関等に対する指導、さらには監視区域の機動的な運用、また超短期重課制度、あるいは土地購入に係る借入金利息の損金算入の制限等の土地税制を運用しながら、その抑制に努めてきたわけであります。ただ、国土利用計画法の世界だけを見ますと、国土利用計画法の監視区域では著しく高目の取引、こういうものに対して指導、勧告し得る制度にはなっておりますが、利用目的について詳細な行政介入ができない、そういう面がございますので、今回改正の中でそういう行政介入の余地を広げる、そういうことによりまして投機的な取引をさらに抑制強化したい、そういう趣旨であります。
監視区域の外はどうするのかという御指摘でございますが、外につきましても、これまで冒頭御説明しましたようなもろもろの対策の対象にしてきておるわけでございますが、ただ地価が比較的安定しております局面におきましてはそもそも投機的な取引の素地は小さいと考えられるわけでございまして、仮にこのような局面で投機的な取引が行われましても、直ちにこれは需給関係を逼迫させ、適正な地価形成等に悪影響を及ぼし、社会的に影響が大きいというほどのものでもないです。しかし、そういう取引を許容しようというわけではございませんが、そういう社会的な、あるいは地域的な影響は比較的小さいのではないか、こういうこともございますので、今回の措置は地価の急激な上昇等が見られるために、投機的土地取引が行われた場合には地域住民の生活に特に著しい支障を及ぼすと考えられる監視区域に限定して、まず措置を講じたい、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/122
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123・市川正一
○市川正一君 事実上野放しになっているということなんですよ。長々と、局長時間が少ないので質問したことに答えていただきたい。そしてまた、今の答弁は全く無責任です。
先日、私ども本委員会の調査で京都、大阪、神戸に入って現地を見てきました。例えば、現在最も地価が高騰している大阪では、ことし十二月から府下全域を監視区域に指定することになったものの、関西圏でこの一年に三二・七%上昇しているのです。あなた、さっき監視区域を早目に指定してきたというふうに答弁なさったけれども、そうじゃないですよ。しかも、放置して野放ししていたところがどんどんあおっていくわけでしょう。さんざん投機が行われて、いわばもう後はしゃぶりかすみたいなものですよ。そこへ地価が高騰してから後追い的に区域の指定や届け出面積の引き下げをやってきた。これでは行政の指導性ないです。これが実態と違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/123
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124・石井一
○国務大臣(石井一君) 全国の地価の動向を見てみますと、なぜ日本列島であるのにこれだけ違うのか、こういうような感じがいたすわけでありまして、安定をいたしておりますところは非常に安定いたしております。それから、特異なところは秋田県とか二カ所ほどございましたが、下落しておるところも二カ所ほどあるということでございます。ここへ監視区域をかける必要はございませんし、また投機的取引をする方も余りいないのじゃないかなと思うのであります。したがって、重要なことは、監視区域制度というものを今後先行的に一歩早目に弾力的に運用するということでありまして、これまでやや手おくれになったところも認めます。しかしながら、そうかといって、それじゃほかのところも全部かけろ、そこをどうするのかと言うけれども、そこは必要がないという一面もあるだろうと思いますので、その辺はひとつ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/124
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125・市川正一
○市川正一君 私も全国は北海道からどこまでやれというふうなことを言っていません。さっきから東京に端を発してそれで大都市圏にずっと波及しているということを言うているんですよ。今度行った京都でも大阪でも神戸でも、行政当局は事実上後追いになっていたということを認めているんですよ。長官はちゃんと認める、局長は何ですか、そっくり返って。何を言っているのか。
そこで、具体的に聞きたいのですが、国土法改正案は、土地の売買について投機的であるかどうかの要件を第二十七条の四の第一項第二号でイからへまで詳細に決めていますね。細部まで勘定すると全部で十二項目あるのですね、局長、そうでしよう。この十二項目すべてに該当する場合だけを投機的取引として勧告対象にする、言いかえれば、その中で一項目でも該当しなければ勧告対象にならぬということになっておるのですよ。まず、への項では買い手の土地取得目的について四つの要件を挙げているのですが、それによりますと(1)で、買い手が自分の住まいや自社ビルを建てるために土地を購入する場合は除外する、それから(2)で、宅地造成して販売しようとするための土地購入も除外しております。そうしますと、自社で必ず使用するという確認方法はどうなさるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/125
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126・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) お答えいたします。
「自ら利用するための用途に供しようとする者」であるかどうかについては、届け出書に権利移転後の利用目的を記載させることとしております。また、必要に応じその内容を証明する書面を添付させる、そういうことによりまして確認を行うことにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/126
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127・市川正一
○市川正一君 ところが、こういう実例があるのですよ。これは局長は覚えていると思うのですが、住友不動産のダミーの地上げの例ですが、二年前に衆議院の土地特で我が党の中島議員が無免許業者の地上げでは宅建業法の違反やないか、こう追及いたしました。そうしたら建設省の方は、自社ビル建設用地としての取得だから違反ではないんだ、こう答えた。ところが、果たせるかな、この業者はこの土地に自社ビルをつくらずに転売しておるのです。ということは、たとえ土地投機を目的にしている、いろいろ自己利用目的だというふうに言うているけれども、それでフリーパスした後こういう脱法行為をやっておるというケースが実際にあることは御承知のとおりだろうと思うのです。ここはよっぽどきっちりした目を光らせる必要があると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/127
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128・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 御指摘のとおりでございまして、今回の国土利用計画法改正案におきます取引規制も、Aが土地所有者といたしますと、ABC間の取引を見て、AB間ではなくBC間の取引に着目いたしまして、その利用目的あるいは投機性を審査しようとしておるわけです。と申しますのは、AB間の取引で、最初申請書に利用目的を書いてきます。それは役所側としては一応申請書は記載どおりのものとして利用されると信じざるを得ないわけです。
〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕
これが結果的にBC間の取引が行われ、虚偽であった、あるいは利用目的当初どおり行われずに転々と売買された、そういうケースに着目して効果的な規制を行っていこうとしておるわけでございまして、先生おっしゃるとおり確かにこれは的確に把握するのは非常に難しい、苦労が多いと思いますが、この法律を制定していただきますと相当やはりその辺、運用基準等しっかり固めてやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/128
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129・市川正一
○市川正一君 私は難しいと言うてんのやなしに、本気でやればいけるでということを言うてるんで、変に誤解せんといてくださいよ。例えば自社ビルの設計図があるのかどうか、あるいはその資金関係はどうなっているのか、その気になって詰めればこれははっきりするんですよ。
今、(1)、(2)やりましたが、(3)、(4)の方にいきますよ。
買い手が自分で使わずに再転売する場合でも、再転売先がその土地を自分で使うたり宅地造成をしたりするということが確実であるならばよろしいと、こうなっています。家を建てたい人のために業者が土地取得するということは、これはもちろんあります。これは大いにあることなんです。しかし、それは都心の住宅地で横行した地上げ屋、つまり大企業が貸しビルを建てる用地を子会社などに地上げさせた場合、この条項によって勧告対象から除外されるおそれはないんですかという疑問が出てきてるのです。しかも、親会社が子会社から高く引き取る形で子会社に巨額の差益を蓄積させることをねらって地上げさせるというのは、これは差益目的の取引です。こういう場合でも除外されることになるのでしょうかということをお聞きしたいのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/129
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130・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 先ほど申し上げましたABC間の取引を例にとって御説明させていただきますと、BC間のCがみずから利用する、あるいはみずから区画形質を変更するという場合は、もちろん不勧告でございます。ただ、そうではなく、Dに譲渡する、しかしそのDが最終的な需要者でありまして、その需要者の依頼を受けてCがBから取得する、したがってCはみずから利用も区画形質も変更しない、そういう場合でもエンドユーザーの依頼が明確である、そういう証明ができる場合にはそういうものは許容していこう、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/130
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131・市川正一
○市川正一君 次進んでいきます。
次はホの項ですね。ここで取引態様に関する要件が三つ決められております。(1)が債権担保等によるもの、(2)が代替地提供のためのもの、(3)が売り手に災害等の特別の事情がある者となっています。
そうしますと例えば地上げ屋同士で土地転がしをする場合でも売り手が買い手から借金をした形にして、返せないから担保の土地を提供するということにすれば勧告を逃れることになるわけですね。
〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕
こういう脱法行為をどのようにして防ぐおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/131
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132・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) ニの(2)あるいはホの(1)の「通常の経済活動」でございますが、具体的には譲渡担保とか代物弁済等の場合には、これは通常の経済活動として認めていかざるを得ないだろうというふうに考えております。
こういう行為まで勧告の対象といたしますと、現在行われております正常な取引慣行にも抵触しますし、社会経済活動にも阻害等を及ぼす、そういうふうなことが考えられますので、こういったものについては一応除外するということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/132
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133・市川正一
○市川正一君 その盲点をやっぱり突いてくるわけですよ。
あと幾つかありますから先へ進みますが、問題なのはイからニまでの売り手の事情に関する要件です。
これでは、たとえ買い手が土地転がしを目的としていても一切勧告できないことになってしまうんです。イでは売り手が前に買った土地であるということになっておりますが、そうすると、売り手が相続した土地などであれば、それを土地転がしの目的にして地上げ屋が買収する契約をやっても構わぬということになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/133
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134・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) ABC間の取引で、Bが相続等で一般承継した、そういう場合は通常の売買契約に基づくものでございませんので、それはこの対象から外れるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/134
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135・市川正一
○市川正一君 そこにやはり盲点が出てくると思うのです。
それから、ロでは、売り手がその土地を手に入れてから二年以上たっておればよいということになっていますね。ということは、取得後二年以上たった土地ならば地上げ屋が転がし目的で売買しても投機ではないということになるのですが、そういうことでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/135
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136・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) この改正案では、二年以内で政令で定める期間ということになっております。
仮に政令で二年と定めますと、先生おっしゃいますとおり、二年間経過しますとこの勧告等の対象にはならないということであります。
ただ、現実に、ちょっと余分なことをつけ足すかもしれませんが、典型的な投機取引をこれまでの実績に従って見てみますと、大体一年以内でほとんどが転売されております。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/136
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137・市川正一
○市川正一君 今のは余り余計なことではなかったと思うのですが、もう一つ聞きます。
ハのところですね、ここでは売り手が自分の住まいとか店などに使っていた土地ならば勧告しないということになっています。ところが、土地転がしの種地ですね、これにするために地上げ屋などのほとんどは長期に営業やあるいは住居に使っていた土地を札束でほっぺたはたいて、それから地価をつり上げて買い取る、あるいは嫌がらせや暴力的脅迫で無理やりに手放させた、こういうことになるのですが、これも野放しになるおそれはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/137
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138・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 確かにそういうおそれがありますが、そのためにその利用が一時的な利用、その他政令で定める利用にとどまる場合には勧告の対象にするということにしております。
例えば、バラックや縄張りを簡単にしまして駐車場に使う、そういった一時的な利用については、今回の措置を免れようとする脱法的な行為と思われますので、これはもう厳正に対処するという方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/138
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139・市川正一
○市川正一君 あえて私があの手この手のこういう細かい手口まで紹介してお聞きしたのは、今回の投機規制で国民が求めている悪質な地上げ屋あるいは土地投機、これを本当に抜本的になくすものになっていない、やっぱりまだ穴やすきや、そういうところがたくさん残っているということを指摘したいからなんです。
確かに今回の改正で、地上げ屋が買った土地を二年以内にほかの地上げ屋に転がすことは投機的取引として中止勧告ができるというふうな幾つかの積極的改善点があります。ですから、私ども日本共産党もこの改正案には賛成なんです。賛成なんだけれども、しかし例えば二年以内の土地でも今局長がおっしゃったように、それを駐車場にする、あるいは資材置き場にしておけば勧告を逃れることになる余地があるわけですね。しかし、それはやらさないと今はっきり言明なさったから私は意を強うしているのでありますが、私が言いたいのは、この条外規定をあれやこれやたくさん列挙すればするほど結局逆にしり抜けにならざるを得ない、十二項目あってその十二項目の全部に該当しなければ適用できない、対象外になるというふうなことになると、これは結局しり抜けになるおそれがある。そういう意味で、あえて賛成をしながらも実効を上げるためには規制区域の許可条件に準じて本当に必要とする取引に限定する、そういう厳しい規定にすることを国民は望んでいると思うのです。そういう立場から私は以上の、まさにあの手この手の地上げ屋の手口まで紹介して質問をいたしたのですが、これに臨む政府の決意というものをお聞きして次の問題に移りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/139
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140・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 私どももこの原案を作成いたします際、関係省庁ともいろいろ意見交換をする中で、先生御指摘のような点を念頭に浮かべ、懸念しながらこの原案をつくったわけでございます。この原案、非常に難しい経済取引実態の中からこういう案をつくりまして、可能な限り投機的な取引を抑制していこうということでございます。まだまだこれを運用する過程では問題も出てこようかと思いますが、ただ先生から御指摘いただいた点を十分留意し配慮しながら通達とか運用基準等も定めてまいりたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/140
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141・市川正一
○市川正一君 長官、そういうことでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/141
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142・石井一
○国務大臣(石井一君) いや、確かにそういう法律の裏をくぐると申しますか、そういう法の精神じゃないのでございますけれども、ただいま局長が答弁いたしましたように、今後通達、指導等で十分その点を配慮してまいりたい、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/142
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143・市川正一
○市川正一君 では土地基本法に入ります。
まず第二条であります。「公共の福祉優先」、「公共的制約」というものをうたっております。そして、その具体的措置として第三条では「適正な利用及び計画に従った利用」、第四条では「投機的取引の抑制」、第五条では「価値の増加に伴う利益に広じた適切な負担」という、この三つでこれを担保するという形になっている。
そこで、まず「公共の福祉優先」、「公共的制約」なる理念でありますが、第三条によりますと「土地は、その所在する地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じて適正に利用されるものとする。」という規定にかかわってくるのでありますが、石井長官は去る十一月七日、衆議院の土地特で我が党の中島議員の質問に対して東京の土地利用は生産性が低過ぎる、こういうふうに述べられております。ということは、土地基本法三条でいう「条件に応じて」というのが地価の高いところ、高地価のところではそれに見合った生産性の高い利用をすべきだということの意味なんですか。真意をお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/143
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144・石井一
○国務大臣(石井一君) 例えば東京の上空をヘリコプターで飛びましたときに、新宿でありますとか霞が関等々大変高層のビルが建ち並んでおるところが一部ございますが、あとはほとんど一階か二階の平屋建て、要するに東京の階層の平均が二・七階とかというふうな状況になっております。何十階建てのところも、また二階建て、一階建てのところも地価はそう大きく変わらない、特に都心三区ということを考えましたときに。その前にやはり客観的に見て、あるいはニューヨークだとかその他の大都市と比べて、これだけ高い土地を本当に非常に有効に利用しておるかということには、ごく自然に考えて疑問を感ずる人々も大変多いのではないかと思います。また、特に戦後バラック建てでありますとか、雨露をしのぐために建てたものがそのまま残っておるというふうなところも、非常に貴重な土地の上に残っておるところもありますので、この際、これだけの住宅の問題を抱えておりますときに、この辺はもう少し生産性の高い利用の仕方をするのがいいのではないか。それがいわゆる例えば東京という所在でございましたら、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じた適正な利用ということになるのではないか、こういう意図を込めて御答弁を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/144
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145・市川正一
○市川正一君 いよいよ核心に迫ってまいったわけであります。
結局、東京改造といいますか、さらにこの後全部は紹介いたしませんが石井長官は、土地がべらぼうに高いなら再開発をして高度に利用するのが常識だともおっしゃっている。としますと、高度利用というものは一体何なのか。そしてこの真意は高度化を阻害している土地所有者への過度の執着は問題だということになってくるわけですね。一階や二階なんというのはぜいたくやということに、今ぜいたくという言葉は使われなかったけれども、私はそう受けとめます。かつて奥野元長官は、都心の低層住宅地についてスラムと発言なさった。そして大問題となりました。現に多くの住民が生活し、長年にわたってコミュニティーを形成してきた町について、生産性という観点だけから非難するというのは私は不見識きわまるものだと思います。
政府のおっしゃる高度利用という発想の根底にはそういう考え方があるのじゃないか。とすれば結局土地基本法でいう条件に応じた計画的な土地利用というのは、都心などで生活している住民の土地利用を公共の福祉に反するものとして追い出して、それを高度利用しろというのがねらいだというふうに言わざるを得ぬのです。もちろん、私は高度利用一般を決して否定はいたしません。また、再開発それ自体を決して否定するものではありません。
我が党が八七年九月に発表した「地価問題への緊急提言」は、「土地は、すべての国民にとって生存、生活、生産の基盤であり、人と人とのつながりを築いていく基礎的条件である。」と、こう規定している。「いまこそ土地を国民のための共同財産、共通財産としてしっかり位置づける必要がある。」と、こう提起しております。
問題は、公共の福祉として何を擁護し何を規制するのかという点だと思うのです。現実に高度利用という大義名分のもとに進められている東京その他大都市における再開発の多くは、行政や大きな土地を持っておる大企業あるいは地域の有力者などの意向で進められ、そこでは採算性確保が絶対条件です。そして高層化が進むのです。一般住民の意見はなかなか反映されないのです。借地人あるいは借家人は全く権利がなくて、特に老人世帯は深刻です。神戸もそうです。再開発されるとたとえ住宅が一部つくられてもとっても高くて入れないのです。さっきも長官価格のことをおっしゃいましたけれども、民間アパートの多くは老人と言うただけでお断わりです。公営住宅も極めて少ない。いつ入れるかわからぬ。やっとの思いで安いアパートを探してようやっと入っても、そこが今度はまた低利用やということで建てかえ、再開発で追い立てる。私、これが大都市に住む住民の現実の姿だと思うのですが、長官こういう実態は御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/145
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146・石井一
○国務大臣(石井一君) 多少反論することをお許しいただきたいと思うのでございます。
大都市におきます住宅問題を解決しますのには、本当に生産性の高い適正な土地利用を確保する、そのためには地域の先ほど申されましたいろいろの条件を勘案しながらやっていき、また重要なことは地域住民のコンセンサス、その人が仮に土地所有者でなくても長らくそこへ住んでおられる方の御意見も聞いて、土地形成に努めていかなければいけません。しかしながら、今の東京の議論でございますが、ここに東京都区部の土地の有効利用、昭和六十三年のデータで、都区部の指定容積率が二四三%でございますが、しかしその中で充足率というのは、九九%使っておるということですから四〇・九%、これぐらいは大丈夫だという相当古い概念のもとに、もっと容積率をふやせという議論もありますが、既に決まっておる中で四〇・九%の使用をしておる。千代田区の場合は八〇・五%になっておりますが、足立区の場合は三一・一%、この辺がやはり空から見て土地の利用のやり方がもう少し有効にできないか、こういうような問題を提起してくると思うのであります。
そこで、今度の土地基本法案におきましては、高度利用という問題もいろいろ議論はございましたけれども一つの項目を挙げて、そういう住宅問題の解決の決め手としてせめて容積率いっぱいぐらいまでは利用しなければいかぬのではないか、こういう精神をうたっておるわけでございます。
そこで、少し余分なことを申し上げるようになるかもわかりませんけれども、昔から借地借家法のもとに住んでおられる御老人があるとする。その方がそのままお住みになるよりも、少し高いところでもあるかもわからぬがもうちょっと広いところへかわられて景色もよくなり環境も新しくなり、そうしてさらに遠くから働いておる何十世帯のサラリーマンが一時間、二時間かかって来るのを、その高層ビルに入るということになれば、お互いがすべてハッピーだ、こういう結果にもなると思うのであります。
だから、これはケース・バイ・ケースではありますが、基本的な物の考え方としては、市川先生はこの道の専門家ではございますけれども、私が言っておりますことも国民的な共感を呼ぶ一つの考え方ではないか、そう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/146
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147・市川正一
○市川正一君 長官、空から見ておったらあきまへん。やっぱり地上から見てくれぬといけません、歩いて。空からヘリコプターで見ておって、そんな浮いたこと言うたらあきまへん。それは地上を歩いて、そして今のお年寄りに後は広いところへ行け言うたって、少々高いどころの騒ぎじゃないですよ。
私、後の質問で準備しておりましたんですが、ちょっとそういう話が出てきたらこれを先に持ってきますが、時間を気にしながらやっております。
ここに私、住宅宅地審議会の住宅部会市街地住宅小委員会の中間報告を持ってきたのですが、都心から十キロないし二十キロ圏内の土地について実効容積率を二〇〇%から四〇〇%に引き上げた場合の住宅コストを試算しております。
お聞きしたいのですが、これは幾らになっておりますか、分譲それから賃貸家賃。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/147
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148・伊藤茂史
○政府委員(伊藤茂史君) 今先生御指摘の市街地住宅小委員会というのは、住宅宅地審議会の住宅部会の中に設けられました小委員会でございまして、最終の答申に向けての勉強の材料でございます。
そういうことで、今御指摘になりましたものは一応十キロないし二十キロ圏内で七十五平米、三人世帯の誘導居住水準を確保できるような住宅でございますが、それで二〇〇%の場合、コストとしましては戸当たり六千三百五十万円というふうになろうか。それからこれを四〇〇%にしますと四千七百六十万円ということで、約二五%ほど価格が下がる。これはあくまでもコスト計算をした結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/148
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149・市川正一
○市川正一君 ここに私も資料を持ってきていますが、分譲で七十五平米でコストが四千七百六十万円、それから賃貸家賃でいきますと、同じ平米で月額十七万七千八百円。こんな高額の分譲住宅を一般勤労者が取得するのは困難だということは、十一月七日の衆議院の土地特で政府の方も認めていらっしゃる。
これはもう時間の関係で、きょうは賃貸住宅の方でいきますけれども、勤労者の住宅家賃負担の限度額はおおむね月収の一七%ぐらいというふうに言われています。そうだとすると、先ほどの月額家賃十八万円近い賃貸住宅には月収にして百万円ぐらいの人でなければ入れないということになるわけですね、逆算すれば。国家公務員で月収百万円というのはどの辺のクラスですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/149
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150・伊藤茂史
○政府委員(伊藤茂史君) 今のお話で一応申し上げましたのは、あくまでもこれは試算でございますが、現実には七十五平米の賃貸住宅というのは相当広うございます。したがいまして、現実の問題としては五十五平米とか六十平米の賃貸住宅に入ろうかと思います。したがいまして:::発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/150
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151・市川正一
○市川正一君 百万円はどうやというんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/151
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152・伊藤茂史
○政府委員(伊藤茂史君) それは私はつまびらかではございません。私自身はもらってはおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/152
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153・市川正一
○市川正一君 そういうたぐいですよ。だから百万円の人じゃないといけぬようなところ。
あなたは今試算試算言うたけれども、この試算は違う意味の試算なんです。ここに書いていますが、昨年の公示地価に基づいた計算であり、かつまたこれはあくまでもコストの試算であって、直ちにこの価格で供給できることにはなりませんというふうにわざわざ注釈が入っておるんだ、そういう試算なんですよ。もっと高うなるということなんです。
だから私は、きょうはまた呼びにきよる思うので忙しいのですが、それで本論に戻ります。
ですから、お年寄りがもっと広いゆっくりしたところへ行けという、長官、そんなパラダイスみたいなことは今の世間では通りはしません。みんなに追い立てられて、中にはそのために自殺するお年寄りまで出てきているのです。そうしますと、今度の土地基本法が通ることによって、高度利用、公共の福祉優先ということで結局住民の要求や運動が非難される、そして住民の居住権を奪い、利潤追求で町を破壊する、そういう大企業に大義名分を法的に与えてやっていくような結果に私はなりかねないと思うのです。
それで、政府案の基礎になっている国土庁の土地基本法に関する懇談会の報告をここに持ってきました。九ページでありますが、その中にもこう述べています。「土地の有効利用の推進に当たっての零細な土地所有者の生活権、営業権の取扱いについて、都市の再開発を行う場合等に配慮すべきであるとの意見と、そのような配慮が有効利用の推進にとって支障となってきたとの意見があった。」、そして、もめてまとまらなかった、こう書いています。二つの意見がある。私は、前者の意見は血の通った人間の意見だと思います。後者の意見は血も涙もない意見だと思うのです。にもかかわらず、今度の基本法の基本的立場というのは、こういう血も涙もない側の意見を前提にして立法したというふうに言わざるを得ぬようなものになっておると思うのです。私は、この答申それ自身がそこまで意見がまとまらなかったという現実に、やっぱり長官はヘリコプターからじゃなしに地上で一遍見てほしいと思うのです。そういうことを私は切に訴えたいと思う。
時間の範囲できょうのところはおさめますが、政府のおっしゃる公共の福祉優先、公共的制約の正体というのは、こういう国民不在、住民無視の公共の福祉論で推進されることによって、本当に一般勤労者が住めるような住宅が提供できるのだろうか、いやそれはさっきのあの答申から見てもそういうことにはならないというのが私の結論でありますが、土地所有者自身の経営、また借り上げ方式も、かつ時価に対する利回りは建設省に伺いますが、二・六%というのが前提でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/153
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154・伊藤茂史
○政府委員(伊藤茂史君) 今の試算は先ほど御説明しましたように、十キロないし二十キロという非常に立地のいいところでございまして、そこで二・六ということでございます。それ以外のところでは土地の価格の利回りとしてはなかなかとれないというのが現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/154
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155・市川正一
○市川正一君 そうすると、一体だれのための公共の福祉かという問題がいや応なしに今日土地基本法をめぐって問われてきていると思います。私は本当に大多数の勤労者の住宅を確保するための高度利用を図る、そのための公共の福祉の優先だというのだったら、何よりも住宅地をつぶして事務所ビルをつくるようなやり方をこそ、また住宅地の地価を貨しビルでなければ採算がとれぬようなところまでつり上げていくようなやり方こそ制約し、これをやめさせなければならぬと思うのであります。
さらに、高度利用によって住民の生活や営業ができなくなるという事態を起こさぬためにも、都市計画等の手続を一般住民の意見が反映されるように改める心要があると思うのですが、こういう大量の良質で安い公共住宅を保障することこそ土地基本法を出す真のねらいだし、また政治がなすべき役割であると思うのですが、長官いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/155
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156・石井一
○国務大臣(石井一君) 実は私も大都市に生まれて育った者でございまして、余り田舎のことは知りません。また、二世議員でも何でもございませんので、町の路地裏を歩いて歩いて歩き回って、常に下から上を見上げながら住宅環境を、そういう中で生きてきたわけでございます。そういう観点から、私は公共の福祉優先という言葉で、そこに長らく住んでおられる方の権利を直ちに奪うとか、あるいはまたその人の声を聞かないとか、そういうことは一切考えておりませんし、またそこにある地域のコンセンサスというものも求めていかなければなりません。
しかしながら、同時に、百八十万の東京勤務の人口の中で、百二十万が一時間、一時間半かかり、二時間以上かかって何十万という人が通っておるというときに、例えば町の真ん中で、古くから住んでおるからといい、御老人であるからといい、そのままの環境をそのまま残すということは、そのお一人の方のために何十人という方の犠性を強いるということにも、これは論理の飛躍はございますよ、そういう議論にもなると思うのです。そこはやはりコンセンサスと調和と接点を求めながら、公共のためにお互いが譲り合う、こういうことをやっていきませんと住宅の問題は解決いたしません。何も高度利用だけではございません。農地の宅地化の推進であるとか、国有地、民有地その他の未利用地の活用等もすべてやりまして、要はもう少し安い、適当な自分の働く価格で住居が手に届くという体制にするために、いろいろの英知を絞っていかなければいけません。
そのためには、私はこの土地基本法というのは大いに役立つ、そこに書いてある言葉の文言の解釈にもいろいろよるけれども、ちょっとやっぱり市川先生の解釈は少し極端過ぎるのじゃないか、私はそのように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/156
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157・市川正一
○市川正一君 時間がやってまいりましたので、次回にさらに引き続いてなにしたいと思いますが、私の見解は国民の良識に基づくところの正論であるという確信を持っております。
というのは、最近の土地基本法に対する国民世論、学者やあるいは多くの良識者の方々が、ないよりもある方がましだというのは、これは結局幻想であるという多くの論評が出ております。私は、今度の参考人の意見聴取の際にもそういう問題は明らかになってくるであろうと思いますが、今までの三回にわたる地価の高騰が、そのいずれも一般国民の土地神話というものが招いたものでは絶対ないのですね。これは長官もさっきおっしゃったとおりです。それぞれの節々に、言い方は違いますけれども、高度成長政策が何で悪かったんだ、日本列島改造が何で悪かったんだ、その結果の必要悪だと言わんばかりのお話です。そうじゃないですけれども、そういう言い方じゃないけれども、そうでした。国民が土地上昇を招いたものじゃないのです。やっぱりすべて政府の国土政策と金融の緩和、それに乗じた大企業の土地投資の集中が招いたものなんです。これを私は冒頭、土地臨調を引用してお聞きしたのです。そうしたら長官はそうだと言うて、それで経済成長政策でやったんだ、その結果としてこれは残念ながらこうなった、日本列島改造でやったけれどもこういうものが出たのだと、それは残念だ、今回は言うなれば一極集中で出た、あっちの方を美化しながら、やむを得ずこういうものが派生的に出たと、こうおっしゃった。だとすると、それは国民の責任じゃないのです。私は公共の福祉を言うならば、そういう土地神話を最大限に活用して、土地、不動産を金もうけの対象にして巨額の利益をむさぼっている大資本グループの行為に対してこれを規制する、そういう意味での公共の福祉優先をやるべきだということを声を大にして、以下は次回に持ち越して、本日はこれで一応やめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/157
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158・石井一
○国務大臣(石井一君) いささか見解の違うところもございます。しかし、かといってこのまま土地問題を放置しては国民的な要請にこたえることはできません。そういう意味では、土地基本法は私は一歩も二歩も前進だと確信をいたしております。
そういう意味におきまして、御党もひとつこれに対して積極的な御支援を、そういう態度を決めていただきたいということをお願い申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/158
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159・市川正一
○市川正一君 今の大臣のお言葉でありますが、私は国民のまさに願っている土地基本法こそつくるべきだ。そういうものにこれをやりかえるということならば大いに賛成いたしますが、これをのめということには相ならぬのです。その一線だけははっきりいたして、引き続き討論をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/159
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160・山田勇
○山田勇君 東京都が十一月二十七日発表しました十月一日現在の都内主要地点の地価動向調査結果によりますと、全体としては前回七月の調査から横ばいであったが、二十三区の住宅地が前回のマイナス〇・四ポイントからプラス〇・一ポイントになるなど、下げどまりに転じていると報じられて、一応はまだ鎮静化しているというものの、大阪圏、名古屋圏、さらには仙台、広島、福岡など、地方中核都市の地価は依然として急騰しています。東京の地価も鎖静しているというものの、東京都の住宅地評価額の総額が四百九十一兆円、これを一ドル百三十円でドルに換算しますと三兆八千億ドル。アメリカ全土の地価評価額は三兆四千億ドルと言われているのと比較しますと、いかにべらぼうな高値鎮静かということがわかるわけですが、とにかく土地問題解決があらゆる面から急務であると言わなければなりません。
一昨日に続いて質問をいたしますが、土地基本法の野党案では、公有地拡大の推進、また土地行政についても機動的かつ効果的な推進を図るため一元化すべきことを盛り込んでいます。この点、国土庁としてはどう対処するのかお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/160
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161・石井一
○国務大臣(石井一君) まず最初の公有地の拡大の推進の問題でございますが、私はこれは大変重要な施策だと思います。また、政府案ではそういう形でのネーミングはいたしておりませんけれども、適正な土地利用その他それを包含した考え方というものが十分その中に含まれておると考えております。
いずれにいたしましても、土地の有効高度利用、道路、鉄道、下水道、公園等の社会資本の整備等々のためには公有地があればあるほどやりやすい、また、そういうことによってそれらの施策が非常に迅速に進む、こういう性格のものでございますので、この考え方については前向きに取り組んでいきたい、そう国土庁は考えておるわけでございます。
それから、土地の行政の一元化という問題でございますが、これも諸外国の制度などを見ますと、例えば台湾のような国、例は近くから言うわけですが、韓国のような国、簡単に一元化のできる国もございますけれども、また同時に、アメリカのようなあるいはヨーロッパの国のように広大な土地の場合には、州の権限があり国の権限がありカウンティーとかローカルの権限がある、これが重なっておる。ヨーロッパの国の制度を見ましても、やはりいろいろ相ふくそうした中に、しかしながら西ドイツのようにきれいな都市計画を進めておるところもございます。
我が国の場合は、自治省の権限、それから農水省の権限、それからもちろん建設省の権限、さらにそれぞれ、借地借家法なんといいましたら法務省の権限等々、かなりの権限がある上に、一番難物の大蔵省がおる、こういうような状況ですね。
そうなりますと、これは演説としては美しい演説なんですよ。しかし、実際にやるかと言うたら、例えばノック先生が総理大臣になられてもこれはなかなかできにくいと。だからその辺は調整してやらなきゃいかぬ、こういうことになるのじゃないかと思いますが、国土庁は総合調整機関なんでありますから、胸を張ってこの法案ができたらひとつ進めさせていただきたいと、そう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/161
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162・山田勇
○山田勇君 国土庁の御決意十分わかりました。この点、法律条文修正、衆議院で行われてないので、具体的な作業は参議院で行われるかもわかりません。これからの修正の中に期待をしておきたいと思います。
次に、大都市、特に首都圏での土地対策の推進に当たっては一極集中の是正が必要とされ、政府としても多極分散法を制定して対処しているわけですが、現状の取り組み状況はどうなっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/162
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163・石井一
○国務大臣(石井一君) 三全総、四全総、そして多極分散型国土形成法等々、次々に出てきております問題では、常に今御指摘になりました問題が指摘されております。これは果たさなければならぬ難しい問題であるが、その基本的な方針に変わりはございません。
首都圏につきましては、従来よりいわゆる工業等制限法により工場、大学等の新増設は厳しく抑制してきておるところであり、また最近政府みずから国の行政機関の移転ということにつきましてもその構想を発表し、現実に多少なまぬるいと言われながらも、八月末私が就任いたしました後、七十九機関の移転等につきましてもその方針を発表したところでございますので、今後も、東京圏を現在の一極依存型の地域構造から食住が近接したバランスのとれた地域構造へ改善するために、業務核都市というふうなものの機能を備え、そこの足らないものを補い、その整備を積極的に推進してまいりたい。これらの施策を推進するとともに、民間におきましても、何もこの東京の中心で企業を営んでもらわなくてもいい、もっといい立地条件、もっといい雇用条件というものもありますから、これらを民間の方に分散する努力もしていただきたい。そういう面で私、先日も経団連、日建連等の会合に出ましてそういう発言もしたわけでございまして、政官一体となってそういう方向で時間をかけて努力をしていきたい。と同時に、きょうは片上先生等からも御意見の出ましたもっと大きな政策というものも今後模索しながらひとつ構築していきたい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/163
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164・山田勇
○山田勇君 一省一機関、多極分散型という形の中で一省一機関、手ぬるいといえば手ぬるいのですが、先ほど同僚委員より言われたように高裁を持ってくるということなら、大阪は商業の都市ですから通産省全部欲しいというぐらいな気持ちでやらないとどうしても解決せぬと思います。
さきの通常国会において、宅地供給と鉄道整備とあわせて推進する法律が制定されましたが、この鉄道整備の財源などで調整が困難になっているとも聞いておるのですが、現状はどうなっているのでしょうか。また、法制定の趣旨は生かされておるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/164
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165・望月薫雄
○政府委員(望月薫雄君) さきの通常国会で、お話しのように宅地開発と鉄道整備の一体法を制定いただきまして、去る九月に施行ということにしていただきました。
私ども、具体的には当面は常磐新線沿線地域の開発整備というものを焦点に当てて現在関係省庁、関係公共団体ともども取り組んでいるわけでございますが、この沿線地域におきまして開発すべき宅地というものは今後の首都圏の住宅都市対策を進める上で大変重要な分野である、こう思っております。私ども、この沿線六十キロの地域においておおむね七千ヘクタール前後の宅地供給を期待して、またそれを推進したい。
参考までに申し上げますと、多摩ニュータウンが三千ヘクタールでございますので、この二つ半分くらいの面積の供給になります。大体十五万世帯、五十万人くらいの定住が期待されるというものでございますが、いずれにしましてもこれらの面的な整備を秩序ある姿で実現していくということのためには、国のみならず公共団体、それからこの鉄道整備をすることになるであろういわゆる第三セクターの設置というものが本当に有機的にお互いの連絡の中で十分機能しなければなりません。
現在、まだ私ども、具体的には県等におきます基本計画を策定するというものを待って具体の姿が出てまいるわけでございますが、今の段階では関係公共団体ともども皆相集ってその辺での作業に精力的に取り組んでいる、こういう中でございます。
とりわけお話の鉄道整備の主体のことにつきましてでございますが、これは直接は実は運輸省の方でいろいろと御努力いただいておるところでございまして、運輸省におきましては関係公共団体との連絡ももとよりでございますが、とりわけJR東日本等も含めまして、あるいは広く民間関係も含めまして、現在具体の詰めを行っていると承知いたしております。できるだけ早く方向づけができることを期待して、我々もおさおさ怠りなく準備を進めているさなかでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/165
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166・山田勇
○山田勇君 最後の質問になります。
我が国の土地問題は、日米構造協議の中でも指摘されておりますが、伝えられるところによりますとアメリカ側からも我が国の土地改革について提案をされているようでございますが、今後具体的な米側の提案に対してどのように対処していくのか、お伺いいたしまして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/166
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167・石井一
○国務大臣(石井一君) 実は先日、アンバサダー・ヒルズ、ヒルズ代表にお目にかかる機会がございまして、私、たまたま英語をしゃべるものですから直接いろいろと突っ込んだ話をいたしました。日本の地価が大変暴騰し大変な状況だという説明もしましたし、恐らくアメリカから来られるスタッフの方、あるいはこれだけの企業が来ておるわけですから、事務所を借りるにしてもちょっと自国と比べてべらぼうな状態だ、こういうような認識についても意見を交換いたしましたが、日本全土を買い上げるのに一千六百兆円、それからアメリカ全土を買うのにまず四百兆円と、こう言われております。面積が二十五倍でございますから、言うなれば日本で一坪買うのにアメリカで百坪買える、こういう現状であるということを説明しましたら、初めてその実感がわかった、こういうようなことを言っておられました。日本人がアメリカへ行って土地を買ったりするのも、日本ではこれだけしか買えないのにこの部屋だけ買えるのですよ。したがって、やはり土地のない日本の国民としては広い土地に対するひとつの魅力も感じるでしょう。相手は女性の方ですから、そういう話し合いの方が、かたい役所の話よりもよっぽどよく土地問題について理解をされたのではないかと私は思うわけでございます。
例えば、農地の宅地並み課税等につきましても批判がございます。隣にある土地と七十分の一とか百分の一ということになりますと、これは欧米の合理主義からいうとちょっとおかしいということになるのですが、いろいろ言われておりますが、一番我が国が説明のつきにくいのは談合問題じゃないかと私は思うのであります。土地は我が国の固有の領土であり、それじゃアメリカ人に割引価格で事務所を貸してやれるかということはできませんし、こういう厳しい条件をも乗り切って我が国は経済活動をやり、向こうに勝っておるということも事実ですから、土地問題については一歩も下がるつもりはございません。
しかしながら、指摘された中に宅地の問題でありますとかそのほか配慮すべき、我々がみずからの考えで考えて、これはやはり我々が解決すべき問題だというものについては、我々の政策として解決に当たろうと思いますけれども、アメリカ側がどうこうと言うたからそれに従うというような気持ちは全く持っておりません。また、アメリカ側も日米構造協議と言っておりますけれども、お互いに意見を率直に申し述べ、それをスーパー三〇一条に当てはめる、そういうことはできるわけはございません。お互いにその意見の中から少しでも構造的な不均衡をあれしよう、しかしこれは強制じゃないということを言っておるわけでございますから、事土地問題に関しましては、私はそういう基本的な見解で臨んでいく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/167
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168・下村泰
○下村泰君 もう少しですから我慢していただきたい。
私は、常々住宅政策は社会保障の重要な柱として位置づけております。その充実をお願いしてまいりました。国としても在宅福祉、地域福祉を進める上で住宅の整備を行う必要性は十分認識されていることと思います。
ところが、先般来の地価高騰は五つの点でこうした私の主張や国の施策に深刻な影響をもたらしました。一つは、都心部における人口の減少とそれによる地域コミュニティーの崩壊です。二つ目は、公共住宅や生活関連施設の用地取得が困難となり、その供給に支障が出ていることです。三つ目は、土地の有効利用ということでの再開発や建てかえが活発化し、立ち退きを要求され、住む場所を失った高齢者や障害者がふえていること。四つ目は、民間、公営ともに建てかえ後の家賃が上昇し、住み続けることができないこと。五つ目は、持つ者と持たない者の資産格差の拡大による老後の生活設計への影響。
この五つの点について長官にお伺いしようと思いましたが、先ほどの山田委員へのお答えを聞いていますと、何ですか長官自身が、もう各省庁にわたってどうにもこうにも手が出せない、何か土地基本法案という底なし沼の中でお一人でもがいているという感じがいたしましたので、果たしてこういう状況をどういうふうに長官は認識していらっしゃるのかと疑念を抱いたのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/168
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169・石井一
○国務大臣(石井一君) いやいや、土地基本法という中でもがいておるというのは先生の独断であって、余り偏見持ってもらっても困ります。
私が申し上げておりますことは、総合調整官庁として土地基本法制定を一つの契機に土地、住宅の政策については積極的に取り組んでいきたい。ここで大きな基本的な理念が変わる、これはやっぱり大きなことだと思います。あとはそれを具体的にどうしていくかということでありまして、その中に今御指摘になりました五つの問題、それぞれ入ってくるのじゃないでしょうか。
それぞれ相当の時間をかけて申さなければいかぬ項目ばかりでございますけれども、公共の福祉だという概念のもとに例えば立ち退きが強行されるというふうなことは、これは非常に大きな問題がございます。長年住んでおられる方々のお気持ち、またその生活の内容、家賃の額等々につきましても、やはり十分な配慮をしながら徐々に都市の改造を行っていく。それと同時に、長期間高い、それから長距離で苦しいという、こういう周辺から通っておられる皆様方の住環境状態というふうなものも変えていくために土地の供給も大量にやっていかなければいかぬ。昨日、建設省もここ五年、十年の計画を出しておりますけれども、こういうもろもろの施策を総合的にやっていくことによりまして今よりもベターな環境というものをつくっていこう、そういう意欲に燃えておりますので、この点はひとつ御理解と御支援をいただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/169
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170・下村泰
○下村泰君 別に長官のおっしゃったような独断と偏見という見方じゃなくて、お気の毒だなと、むしろ同情申し上げておるのです。
そこで、先ほど私が五つのものを申し上げましたけれども、今のような視点がこの土地基本法案について見たときに第何条にどういうふうに入っているのでしょうか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/170
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171・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) まず第一条の「目的」でございますが、この基本法の一番大きな目的といたしまして、適正な土地利用の確保を図りつつ適正な地価の形成を目的とする。そのためにいろいろ総合的な対策も講じますし、またそれぞれ理念を決め、国、公共団体、事業者、国民がそれぞれの責務を分担し合う、そういうふうなことになっております。
また、こういう大きい目的を達成するために、三条で土地の「適正な利用及び計画に従った利用」を規定しておりまして、土地というのはその所有者の全くの自由に任されるべきものではない。利用する場合にも所有者の全くの独断でやれるものでもない。その地域の自然的、社会的、経済的、文化的な諸条件に適正にマッチするように利用されていかなければならないですし、そのためには合理的に決められた土地利用計画に従って利用していかなければならない、そういう旨を理念として規定しておりまして、そこに住んでおられる住民の方の意見等も十分反映しながら計画もつくり計画は必要な場合にはきめ細かく詳細につくっていく、そういうふうな配慮を加えながら土地利用を進めようということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/171
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172・下村泰
○下村泰君 実は、昨年六月十五日のいわゆる新行革審答申ですね、それから長官の私的懇談会であります土地基本法に関する懇談会、これは十二月二十三日に答えが出ておりますけれども、その中に「開発利益はその一部を社会に還元し、社会的公平を確保すべきこと」というこういう一項があるわけであります。これが今度の土地基本法案の中でどの項に入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/172
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173・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) まず五条の土地に関する基本理念の一つといたしまして、土地の「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」について規定しております。
土地の価値はその所在する地域の社会、経済的条件の変化により増加する場合が多いわけですが、そういう増加の場合には「土地に関する権利を有する者に対し、価値の増加に伴う利益に応じて適切な負担が求められるものとする。」と規定しておりまして、これを受けまして十四条で、社会資本の整備に関連する利益に応じた適切な負担という規定を設けておりまして、「国及び地方公共団体は、社会資本の整備に関連して土地に関する権利を有する者が著しく利益を受けることとなる場合において、地域の特性等を勘案」しながら、その利益に応じて社会資本整備についての適切な負担を課していきましょうと、そういうふうな規定であります。さらに十五条で、税制上の措置といたしまして、「土地についての基本理念にのっとり、土地に関する施策を踏まえ、税負担の公平の確保を図り」ながら税制上の適切な措置を講じていく、こういう規定を設けておりまして、土地に関する適切な負担がこの基本法の精神であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/173
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174・下村泰
○下村泰君 こういう条文と、それからこちらの答申に出ている利益の「一部を社会に還元」というはっきりした言葉と、それからこちらの方の「社会資本の整備についての適切な負担を課するため」というような言葉というのは、これは解釈の仕方によってもろもろ変わってきますでしょう。ですから、こういった答申のように「社会に還元」というはっきりした形のものであるかどうかということは言えないわけでしょう、解釈によって変わってくるのですから。そこのところが私は非常に寂しい気がするのです、こういう法案というのは。ですから、これは説明される方、解釈する側の方の御意見によって変わってくるとすれば、答申に書かれているような簡単に庶民にわかりやすい言葉で、これを信じているとえらい目に遭うなというような疑念が一般庶民にはなきにしもあらずということを私は申し上げたかったのですが、そういうことに関してはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/174
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175・石井一
○国務大臣(石井一君) 要するに、土地というものの値段はその人が一生懸命働いて上がったわけではございません、ごく自然の中に上がっていく。先行投資されておるところはそれだけ高いということになりますと、やはり土地の所有において非常に不公平が起こる。あるいは、どこかで新しい道路ができるとか新線ができるということによって土地が勝手に上がる、たまたまそこに住んでおった人は非常な利得を得る。こういうものに対して社会に還元せいという思想でありますから、多少文言は違いましても、今後その精神を受けて、これまでそうでなかったものをそういう形に持っていくもろもろの手法、これはなかなか難しいのでございますけれども、そういうことをこれからつくり出していくということじゃないかな、そう思うのでございますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/175
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176・下村泰
○下村泰君 信じたいと思います。
そうしませんと、こういうことについて聞かれた場合、説明のしょうがないですね、私どもの。一応バッジをつけている以上、無邪気に無造作に聞く方がいます。私の場合は諸先生方と違って政治家を志してここへ来た人間じゃございませんから。あゆみの箱という社会福祉の運動をやっていて、その延長線で、障害者を抱えたお父さん、お母さん方はこれは北海道も沖縄も同じなんです。私たちの目の黒いうちはというのは全部同じなんです。じゃ、国会へ行ってみて、国会というのは何しているのかなと思って私は出てみたら、間違いで当選したわけなんです。ですから、皆さん方のように政治家としての教育も勉強もしておりませんから、いわゆる政治家としての腹芸だとか国会の中で使われている用語の解釈だとかというのは私にはさっぱりわかりません。平ったい日常会話でいきませんと。ですから、そういう意味でのそういう方たちが質問をしてきた場合に、今私が前段で申し上げたような答えはできないわけですから。長官がこういうふうに言ったけれども、多分長官の腹はおれと同じじゃないかなと思うよということしか言えない。こんな寂しいことはありません。日本の国はこうやるんだよ、やってくれるんだよということが断言できなければ話ができないと思うのです。信じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/176
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177・藤原良一
○政府委員(藤原良一君) 少し補足させていただきます。
十四条の規定は、社会資本の整備に関連して著しく利益を受ける場合には適切な負担を課するのだということでございますので、俗に言われております受益者負担金、開発者負担金の制度がこれに当たるわけです。したがいまして、先生がおっしゃいました開発利益の社会還元とイコールだ、そういうふうに私どもは理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/177
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178・下村泰
○下村泰君 先ほどからいろいろお話に出ておりますけれども、借地なんということが、よく借地をしている方がいらっしゃると思います。まだ借地している方はいいですよ、これは立ち退く場合にいろいろと条件が出てきますから。一番困るのが家を借りている人だけなんです、いわゆる借家住まいという。この方たちが今一番難儀をなされていらっしゃるのですが、時間がもう来ました。
実は江戸川の方で大変すばらしいことをやっているのです。ある制度がありまして、その制度は、
老朽化の激しい賃貸アパートに住み、現実に家主から立ち退きを求められている老人たちを救済するのが目的。六十五歳以上の独居老人か六十歳以上の老人だけの世帯でどちらかが六十五歳を超えている世帯が対象。
現在住んでいる部屋と同程度の間取りの部屋への住み替えを原則とし、旧家賃と新家賃の差額分、契約時に必要な敷金、礼金、業者の仲介料といった契約金などを全額補助するもので、初年度補助総額は二億円を見込んでいる。
こういうのを江戸川区が発表いたしましたところが、もう既に三百五十の申し込みがあるそうです。遠くは四国の方からも来ています、申し込みが。鹿児島の方からも来ております。それから香川県仲多度郡からも来ています。こういうふうに申し込みが多いんです。
この申し込みの多いのにまずびっくりしているのが係の人間たちなんです。江戸川の区長がこう言っています。
反応の大きさから、これまで国や都の高齢者対策がいかに言葉だけのものだったかが分かった。生活の基盤となる住宅が不安な状態では困る。一日もゆるがせにできないと実施を早めた。
これは来年の四月からやるのを、新しい年が変わったらすぐやるそうです。
ですから、地方自治体が、しかも東京二十三区の一つの区がこういうように頭をひねり、知能をひねり、英知を傾けてやっているわけです。これは小さいところだからできるんじゃないかなんて、それは国土庁長官はおっしゃるかもわからないけれども、そのまま延長していけば国になるわけです。で、国の方がなぜこういうことができないのかということをおっしゃっているわけなんです。それだけに私は国土庁長官に期待をかけたいのですが、これに関するお答えだけいただいて終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/178
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179・立石真
○説明員(立石真君) 先生御指摘のとおり、江戸川区においてそういうような政策を行おうとしていることも、私たち住宅行政にタッチしているところでは知っているわけでございます。これまで、高齢者あるいは障害者に対しましてどういうような住宅を供給し、整備しようとしているかについては御説明もしたことと思いますが、基本的にはやはり現在国で持っております公営住宅、公団住宅等の直接的な住宅供給の中で高齢者、障害者に配慮した住宅供給を行い、またその中で抽せん面の優遇措置等を加えながら入居面の優遇措置を行っていくこと、そしてまた、住宅の建設に当たりまして、住宅金融公庫融資等を通じて高齢者、障害者対策に対する充実を図っていくこと、そういうことが基本であろうかと思います。
今後の高齢化社会を迎えるに当たりまして、さらに強化していかなければならないと考えておるわけでございますが、福祉行政と一緒になりまして、例えばケアつき住宅等についても充実を進めていかなければならない。これは六十二年度からのシルバーハウジング・プロジェクトということをやっておりますが、そういうものも進めていかなければならないというように考えているところでございます。繰り返しでございますが、先ほど申しましたように、これから高齢者が非常にふえていく、その中で住宅政策としてもこれまで以上に積極的に進めなければならないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/179
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180・石井一
○国務大臣(石井一君) 住宅政策は建設省の方でやっておりまして、私の方は土地問題をやっておるわけですが、これは切っても切れぬ間柄にございます。今建設省では、本年度の予算に関しましても住宅の家賃に対します補助制度でありますとか、あるいはまた新しく住宅を取得する場合の税の特例の問題等々いろいろ考えておるわけでありますが、大蔵省の財布のひもが大分かたい、ちょっとことしはうまくいくかなと、こういうようなことを私は報告を受けておるわけでありますが、本論に戻りまして、土地基本法が制定された暁に、いやしくも先生のおっしゃる高齢者あるいは身体障害者等の社会的弱者という方がこれまでの生活を脅かされるということのないように十分配慮していくべきだ、短い時間の中にもそういうことを私強く痛感をいたしたわけでございます。
ただ、江戸川区のようなものをすぐに国にやれというても、これは膨大な予算になりまして、また別の問題の提起になろうかと思いますが、ちょこちょこございますのは、医療の無料化なんかでもまず地方自治体がやりまして、ある程度それが定着してくるというふうなこともございますので、この制度が有効に活用されるかどうかをひとつ注目して見守っていき、今後の検討材料にしていきたい、そう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/180
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181・福間知之
○委員長(福間知之君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/181
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182・福間知之
○委員長(福間知之君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
土地基本法案、国土利用計画法の一部を改正する法律案、以上両案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/182
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183・福間知之
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/183
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184・福間知之
○委員長(福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00519891201/184
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