1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成元年十二月七日(木曜日)
午後一時四分開会
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委員の異動
十二月七日
辞任 補欠選任
小川 仁一君 栗村 和夫君
猪熊 重二君 広中和歌子君
今泉 隆雄君 喜屋武眞榮君
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出席者は左のとおり。
委員長 福間 知之君
理 事
井上 孝君
斎藤 文夫君
吉川 博君
村沢 牧君
山本 正和君
片上 公人君
委 員
石井 一二君
石渡 清元君
岡野 裕君
岡部 三郎君
川原新次郎君
坂野 重信君
西田 吉宏君
野村 五男君
藤田 雄山君
二木 秀夫君
栗村 和夫君
小林 正君
谷畑 孝君
種田 誠君
西野 康雄君
野別 隆俊君
猪熊 重二君
市川 正一君
新坂 一雄君
山田 勇君
今泉 隆雄君
政府委員
国土庁長官官房
長 北村廣太郎君
国土庁土地局長 藤原 良一君
国土庁大都市圏
整備局長 三木 克彦君
事務局側
常任委員会専門
員 荒木 正治君
参考人
東京理科大学教
授 石原 舜介君
三 鷹 市 長 坂本 貞雄君
日本不動産鑑定
協会副会長 横須賀 博君
大阪市立大学教
授 池田 恒男君
日本労働組合総
連合会経済産業
局長 柿沼 靖紀君
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本日の会議に付した案件
○土地基本法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○国土利用計画法の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/0
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001・福間知之
○委員長(福間知之君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨六日、西川潔君が委員を辞任され、その補欠として今泉隆雄君が選任されました。
また、本日、小川仁一君が委員を辞任され、その補欠として栗村和夫君が選任されました。
────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/1
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002・福間知之
○委員長(福間知之君) 土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、東京理科大学教授石原舜介君、三鷹市長坂本貞雄君、日本不動産鑑定協会副会長横須賀博君、大阪市立大学教授池田恒男君、日本労働組合総連合会経済産業局長柿沼靖紀君の五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
なお、御意見はお一人十五分程度といたし、石原参考人、坂本参考人、横須賀参考人、池田参考人、柿沼参考人の順でお述べを願います。その後、おおむね五時まで委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、これより参考人からの意見聴取に入ります。
まず、石原参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/2
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003・石原舜介
○参考人(石原舜介君) ただいま御紹介いただきました石原でございます。現在、東京理科大学の建築学科で都市計画を担当いたしております。
私は、さきの土地臨調の一員として都市政策のあり方につきましていろいろ意見を述べさしていただきましたが、その後、国土庁長官の私的諮問機関でございます土地基本法懇談会にも参加させていただきまして、今回の土地基本法そのものの骨子的な点についていろいろ議論してきた者としまして、今回の法律は非常に結構なものだと全面的に賛意を表する次第でございます。
土地基本法は宣言法的性格を持っておりますが、しかし、国、地方公共団体、国民等の間で、土地は社会性、公共性を持つ財であるという共通の認識を確立することの必要性を明確に示したものでありますし、土地の所有、処分、利用に制限または負担のあり方についての具体的施策の展開のための指針を明らかにしたもので、土地政策の極めて有効なものであると思います。
特に、総則では国民的規模でのコンセンサスの形成が必要であるということで、さきに示された土地対策要綱等に盛られております五つの基本的指針がそのまま生かされております。また、野党の御主張でございました公共の福祉の優先的な扱いに関しましても衆議院におきまして加筆され、基本法は内容がより豊かになっていると思います。
また、基本的施策の面では、今日までの土地対策として必要であると言われながらも、なかなか手がつけられなかった税制等の分野にも本法律は大胆に踏み込んでいることなどがあり、その点からも高く評価できると思います。
私の専門が土地利用計画でございますので、その点を中心にいたしまして、以下意見を述べていきたいと思います。
第一点は、第十一条の「土地利用計画の策定等」についてでございます。このことは今日も幾つかの政策がとられており、特に目新しい感じがするわけではございませんので当然のことと思われがちでありますが、その中で詳細性と広域性の二点が明記されていることは高く評価できるのではないかと思います。
まず、詳細性でありますが、これは今までの土地対策は新規の開発に多くの目が向けられておりまして、特に既存市街地の利用促進という点に関しましてはやや弱い嫌いがございました。例えば工場跡地の活用、あるいは土地区画整理事業後の利用促進、こういうような点に関しまして詳細計画を設けますれば、遊休地という定義が明確になり、勧告ができ、特別土地保有税に相当する負担を課すこともでき、活用を誘導することができると思います。
今日この詳細計画に相当するものとしましては地区計画制度がございますが、これはねらいが主として地区の環境整備に置かれておりまして、遊休地の活用などに及ぶ計画にはなっておりません。そこで、今回の詳細性が遊休地の活用にまで踏み込んだものというふうに考えまして、大変な期待を持っております。
次に、広域性でございますが、東京のようにその経済圏域、生活圏域が自治体の境界領域を超えた姿で行われている場合には、土地利用計画も当然この境界領域を超えたものである必要があると思われます。そのため、東京については首都圏整備計画が既にございますが、これがほとんど自治体の計画を積み上げたものになっており、若干の計画的側面もございますが、土地利用についてはきめの粗いものになっており、それだけ施設の整備も境界にまたがるものにとどまり、必ずしも広域的な面が十分生かされているとは言いがたいと思います。
しかし、今日大きな話題になっておりますのは東京の一極集中でございます。これを是正するために昨年の国会におきまして多極分散型国土形成促進法が制定されたことは皆さんも十分御承知のことだと思います。東京圏域におきましても、これを受けまして業務核都市を育成するということになっておりますが、業務核都市の育成というのは非常に難しい問題がございます。特に東京都心等の機能の一部分散ということになりますと、なかなか計画どおりにはまいらないと思います。
しかし、それぞれの地域で非常な頑張りを見せまして、業務核都市の発展をいろいろ工夫しておられるところでございます。例えば、御承知のとおり千葉の幕張におきましてこのたびモーターショーが幕あけとして行われたメッセがございます。東京都は現在の晴海の施設が陳腐化してきておりますので、十三号埋立地に隣接する十号の埋立地に千葉の幕張以上の国際見本市会場を建設するという考えを持っておられるようでございます。せっかく国際見本市会場に伴いまして、新しいこれを核とする業務地域が形成されようとしているときに、これに水を差すような形になる東京都の計画というものは若干エゴ的な側面もあろうかと思います。そういう点からの調整、これがいわゆる広域的な調整でございまして、地域全体のバランスのとれた発展を考える必要があると思われますが、本法の広域性がそこまで踏み込んだものであろうという希望を持っております。
また、このような利害の関連性が深い圏域構造を明確にすることが土地利用計画において示されるならば、例えば宅地供給プログラム等を話し合うことも可能になりますし、さらに領域を超えて基盤的施設の負担のあり方等にも新しい展開が期待できると思います。この点は後ほど若干述べてみたいと思います。
特に、第三項で「国及び地方公共団体は、」とありますように、広域の面につきましては国が計画の一部主体者となり得るということを示しておりますので、これらの調整機能をぜひひとつ強化し、圏域の一体的整備が可能になるようぜひともお力添えをいただきたいと思います。
第二点は、第十二条の「適正な土地利用の確保を図るための措置」の第二項でございます。
「国及び地方公共団体は、前項の措置を講ずるに当たっては、需要に応じた宅地の供給の促進が図られるように努めるものとする。」とあります。この項目を見たときに我が意を得たりと思いました。と申しますのは、私は昭和五十二年ごろに建設省の住宅宅地審議会の委員をいたしておりまして、宅地部会に所属しておりました。そのころから第四次住宅建設五カ年計画策定の準備が進められておりましたが、宅地部門は住宅の建設戸数が決定して、その戸数に対して平均的宅地面積をこの戸数に乗ずることで必要宅地面積を求めるという非常に単純な形で必要宅地面積を算定していたわけでございます。
それでは余りにも無責任なことになるのではないかと考えまして、このときに宅地供給長期見通しを作成し、大規模開発や土地区画整理事業等さらに各民間の宅地開発等の実績等を参考にして長期見通しを求めたわけでございますが、その結果若干の供給不足が生ずる危険性があるのではないかという結論を得まして、宅地供給促進のための新しい施策がそういう面からも必要であるということを述べたことを覚えております。
しかし、これも実効性がなかなか上がらなかった背景には、住宅と異なりまして宅地供給それ自体は非常に長期の事業である場合が多いこと。また、供給の場所を限定してしまいますので、都市整備との関連性が高く、その場所を明示するということが非常に困難であること。また、そういうような計画の前倒し的な形を提示すれば地価の高騰を招きかねないというようなことも考えられまして、宅地供給プログラムというものは言うべくしてなかなか実施が困難であるということを痛感いたしました。
本法では、その困難に挑戦されることになるのでこの点は高く評価いたします。どうか国民が期待する宅地供給プログラムができて、住宅取得に対する焦りというものを感じさせないような計画的な取得が可能なように誘導していただくことを希望します。
次に、その他の項目で意見を申し上げたいと思います。
第一点は、第十四条の「社会資本の整備に関連する利益に応じた適切な負担」であります。
この受益負担というものは、なかなか言うべくして実効性を上げる施策というものが困難でございます。諸外国でもこれまで種々の試みが行われてまいりましたが、なかなかその成果を上げることができませんでした。
こういうようなことで、大変難しい問題ではありますが、「地域の特性等を勘案して」とありますように、特定の事業あるいは特定の地域に限定してこういうような負担を課すというようなことがあれば、税金のような一般性の高いものではなく、課徴金のような制度も考えられますので、こういう点が今後生かされていくのではないかと思います。
例えば、常磐新線の建設に対しましては、駅が予定されています周辺部につきましては負担金や土地の提供を求めることが一部には可能でございますが、この線が都心に結ばなければその線の有効性は生じません。そうしますと、都心の方に結ぶために大深度の地下鉄を敷かなければいけない。その費用負担をどうするかというふうなことになりますと、当然のことながらこれは都心の企業に対しまして何らかの負担をお願いせざるを得なくなるのではないかなというふうに考えます。
そういうことから見まして、東京で働く人が住宅を求めようとしましても、隣接県で開発された宅地を取得する場合が多うございますので、これらの基盤施設整備に対しましても、あるいは東京の方からこれに対しての若干の資金援助等が行われるような仕組みを広域的に考えていかなければいけないのではないかというふうなことで、その地域の特性等を勘案してということが、あるその場所での事業ではなくても、広域的な視点での事業の方へいろいろ負担金を課すというようなことも可能性があるのではないかと思っております。
第二点は、規制と供給のバランスの問題でございます。
土地対策は一つの施策のみで強行するとかえってひずみが大きくなるのではないかと思います。一見適切であると思われる施策も効果を上げにくいということになろうかと思います。土地対策は幾つかの施策を適切に組み合わせることによって初めて効果を高めることができるものであるというふうに考えております。税は税の論理があるということで、土地に対する課税の評価などにしましてもばらばらであったり、それに対応する考え方自体もまた個別的であったり、また開発に対しましても人口抑制や農業保護等の施策による個別的対策がとられ、これらが統合されて一体的な土地対策としてなっていない点、これらが非常に今日の土地問題の深刻さを生み出している面もあろうかと思います。これらを調整するシステムというものが非常に大切であろうかと思います。また土地対策そのものに関しましても、短期的緊急対策と長期的な基本的施策とが整合しなければなりません。
余りにも地価の高騰が激しいということで規制をいたずらに強化いたしますと、かえって供給の枯渇を生み、土地の高騰を潜在化させ、地価の動きを長期的に悪い方向に導くようなことになる危険性もあろうかと思います。その点を十分配慮して、一体的施策が可能な基盤を築いていただきたいと思いますが、その点で今度設けられる土地政策審議会が「土地に関する総合的かつ基本的な施策に関する事項」を審議することになっておりますので、この点も期待をいたしております。
第三点は地域的適用の法を準備することでございます。
現在の住宅、宅地問題というのは大都市の問題であるというふうに限定しても差し支えないと思います。そうなりますと、例えば農地の宅地並み課税というふうなことが仮に取り上げられるといたしましても、これは大都市に限って適用されることになろうかと思います。そうなりますと、これは全国適用ではございませんので、こういう地域的な限定されたものというふうなことで、先ほどの負担金の問題あるいはその他の問題にいたしましても、大都市特有の問題というのがございますので、いろいろな対策そのものも地域を限定して適用するような形での対応ということを考えていかなければいけないのではないかというふうに思っております。
以上、非常に雑駁でございましたですけれども、一応私の考え方を述べさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/3
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004・福間知之
○委員長(福間知之君) ありがとうございました。
次に、坂本参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/4
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005・坂本貞雄
○参考人(坂本貞雄君) ただいま御指名をいただきました参考人の三鷹市長の坂本貞雄でございます。
本日は、参議院の土地問題等に関する特別委員会の参考人として意見を申し述べる機会を与えられましたことに喜んでいるところであります。
それでは、土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案についての意見を求められておりますけれども、私は主として土地憲法とも言うべき土地基本法に絞って意見を申し上げたいと思います。
結論から先に申し上げますと、土地基本法そのものについては心から歓迎したいと思います。
そこで、政府提出の土地基本法案は、過日衆議院におきまして一定の修正が行われたところでございますけれども、参議院におきましてはさらに次の二点について特段の検討、御配慮の上善処されることを要望したいと思います。
その第一は、御承知のように都市問題は土地問題であるとさえ言われているほど問題が深刻でございまして、直接市民を対象に福祉サービス等行政執行の責任を持つ自治体の長としての立場から、三鷹なら三鷹という都市の中で良好な環境を整備して施設を提供していく上で、土地というものは欠かせない基本になっておりますが、土地問題が最近大きなネックとなっておりまして、例えば道路を一つ設定するにしても事業費の九〇%が用地費に消えていく。また用地買収の進行がなかなか思うようにいかない。結果的に未執行になったり建設事業の繰り延べ、こうした事態に直面しているところでございます。
そこで、自治体が公用地の取得を円滑に進めることができるような制度面また財政面での国の法律的な裏づけが必要不可欠でありますので、その辺のところの御配慮をいただきたいということが第一であります。
次に、二番目であります。これは価格問題、公示制度ということになりますけれども、今土地の価格については御案内のように公示制度が採用されております。そうしてそれが四つに分類されることになりますが、国が毎年四月一日に公表される公示価格、都道府県知事が十月一日に公表を行います基準地価格がまずございます。またそのほかに、租税上の評価に採用されております路線価価格、いわゆる相続税関係。評価価額、固定資産税関係、こうしたものが用いられておりますけれども、それぞれ目的、役割を果たしていることは理解するところでございますけれども、特に今、公示価格、基準地価格の定め方は御承知のように売買実例価額を参考として決められ、それが公的に追認されるというような形になっているところで、このことが結果としては地価の高値安定につながっており、またその一方では地価の値下がりに歯どめの役を果たしている。こういうことが言えると思います。
そこで、同じ土地に四つの価格が作用することは一般国民にはなかなか理解しにくい。もう少しすっきりとした形でわかりやすく是正されることが望まれております。そして、路線価価格、評価価額については、税率の軽減措置など政策として継続されることがより合理的な方向にいくであろう。こうしたことが可能になるようにこの基本法の中において御配慮いただければと思います。
今結論を先に申し上げましたが、理由について幾つかの点にわたり申し上げたいと思います。
私ども三鷹市の現状を申し上げながら申し上げますが、まず土地基本法そのものの制定については、本年の三月二十八日に全国市長会から政府案が送られてまいりましたので、一通りこれを拝見しておったところでございます。
さて、ここ数年来、特に昭和六十一年以降というものは、常識では到底考えられないような異常な地価暴騰によりまして、私ども三鷹市だけではなく、都内はもとより三多摩各市におきましても、土地絡みの事業は先ほど申し上げましたように用地取得が極めて困難となり、また多額な財政負担を伴うなど、事実上事業執行が不可能という深刻な事態となってきておりました。また、市民、とりわけ私どものように勤労者が市人口の大部分を占める本市では自前の住宅を持つことは望めない、こういう状況になっているところです。
二つ目に、これにかわって今私どもの市内に建設が急速に進んでおりますのは、先般話題となりましたリクルート社を初め、大手、中堅クラスの土地関連企業によるマンション、ワンルームマンション等に集中しておるところでございまして、件数的に申し上げますと、六十一年中に四十一棟八百九十八戸、六十二年中に五十五棟八百五十二戸、昨年、六十三年には四十七棟八百十八戸、実にこの三年間で百四十三棟二千五百六十八戸のこうした建築が進んでいるところでございまして、本市にとっては空前のブームという状態になっております。このことはそのまま上水道、下水道、道路、交通問題、今都市を襲っておりますごみ処理問題など行政需要の増加とともに、都市機能に深刻な影響を与えているところでございます。こうしたところでは、良好な住環境づくりを目指しております本市としてはまことに深刻な状態と受けとめざるを得ないところです。
土地は御承知のように減りもしなければふえもしない。生産のきかないものでありまして、土地こそ国民全体の共有財産でなければなりません。西欧諸国ではこの認識が極めて根づいておりまして、土地の公共性というものが早くから定着しているところでございます。
残念ながら我が国では全部ではないにせよ、企業の中には一般商品のように、もうけあるいは投機の対象に、利益追求に走りまして、公共性を無視したものや、とりわけ問題でありますのは、公共性を貫いていかなければならないはずの銀行等の金融機関までがこれに多額の資金を提供して加担してきたことは極めて遺憾な問題で、これを今日まで野放しとは申しませんけれども、非常に対策がおくれてきたことは全く遺憾と言わざるを得ません。
私どもの三鷹市議会でも、六十二年以来これまで数次にわたりまして、その善処を求める意見書を議決をして関係方面に送付してまいりましたし、我々市長仲間で、いわゆる市長会におきましても都や国に対してその善処を求めてきたところでございます。
今回、政府におかれましては土地基本法を制定して、これを根幹に土地政策全般について改正を目指していることはむしろ遅きに失したとはいうものの、その方向づけが明確についたことは心から歓迎するものでありますが、この案を拝見して私どものように直接問題に直面している自治体の長として、また一市民の立場から見ていささか疑問も持たざるを得ない箇所も幾つかございました。
しかし、幸い衆議院におきまして一定の修正を加えられましたことは大きな前進で、より充実したものと思いますし、先生方の御努力に深く感謝をしたいと思っているところでございます。
私ども市長仲間が市長会等でこうならぬかなというようなことで希望的なものとしてよく話題にされることは、一つは国有地の自治体への優先払い下げ、その際の価格問題、これはものによりますとなかなか厳しい注文はつきますけれども、価格となりますと民間よりも高い。こうしたこともあるわけでございまして、こうしたものをぜひひとつ是正をしてほしいものだと。
二つ目に市が用地取得に当たっての一定の控除額があるわけですけれども、この控除額を引き上げて取得を容易にしてほしい。
三つ目が土地収用法等の適用。これはめったにないですけれども、適用の際控除が低過ぎるのではないか。そうしてその控除も法律は全国一律でございますから地域差がございません。したがって、これからこうした運用を円滑にするには、大都市と地方ではその額にも格差を設けた特例措置を考えていただきたいものだ。こうしたことが市長会等でよく話題にされるところでございますので、この際、つけ加えたいと思います。
これはむしろ基本法よりもその後の法律事項になるかもしれませんが、申し上げておきたいと思います。
以上、各条文にわたりませんけれども、極めて簡潔に申し述べましたが、冒頭申し上げました二つの点につきましては特段の御配慮をお願い申し上げたいと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/5
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006・福間知之
○委員長(福間知之君) ありがとうございました。
次に、横須賀参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/6
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007・横須賀博
○参考人(横須賀博君) ただいま御指名を受けました、私、横須賀博でございます。日本不動産鑑定協会の副会長を務めておりまして、不動産鑑定士らと地価公示価格等の評価の作業に従事しているものでございます。
鑑定協会の会員は、不動産鑑定士等四千人を擁しておりますけれども、それらの団体の副会長をしておるものでございます。
きょうは、参議院で私の意見を述べる機会を与えられたということについて心からの感謝を申し上げておるわけでございます。
我々不動産鑑定士等は、不動産の鑑定、評価という作業を通じて、日本の地価あるいは国際的な地価等を頭の中に入れながら日常生活をしているわけでございますけれども、土地基本法の今回の制定に当たりまして、心から歓迎というか、待ってましたという期待を持っておるものでございます。
土地基本法の制定の今までの経過につきましては、先生方十分御配慮をなさった結果だろうとは思いますけれども、もう一度私が見た戦後の地価問題について述べさせていただきまして、多少重複をするかもしれませんけれども、これらを踏まえながら土地基本法について判断をしてみたい、かように思っております。
御案内のとおり、我が国の地価、これはもう昭和三十年ごろまでは、消費者物価指数と地価というのはおおむね平行線をたどってきたわけでございますけれども、三十年代後半から工業の近代化、それから四十年代に至って列島改造ブームと金融緩和、それから五十年代後半から東京を中心とした商業地の上昇というようなことを通じまして、国民の間に根強く土地神話というものが生じていたわけでございまして、特に昭和六十一年から六十三年の間は驚くなかれ都心において三倍という上昇がなされたわけでございます。土地を持つものと持たざるものとの間に著しい格差を生じてしまった、これも御案内のことでございます。
そして、取引の実態を見ると、いわゆる超金融緩和ということを背景にして買いあさり現象、それから土地を買えばすぐに利益になるという土地転がし、それから不動産業者から不動産業者への登記をしない中間省略の売買、そして政府みずからが競争入札という公有地の売却、そして土地財テクに走ったわけでございます。結論的には、土地を利用する財という感覚が全くなかったわけでして、投機の対象としてしかこれを見ることがなかった。こういうことから一億不動産業者という言葉が生まれて、汗を流す勤労意欲が減退をしてきた。こういうことを背景にして、こんなことで日本の将来はどうなるのかという国民の要望の高まりもあったわけでございましょうし、国民共通の財産であるべき土地が転売財として利用されるということでございました。そして、いわゆる国民共通の財産は利用のための財であるというそういう国民的土地観の合意がどうしても必要であるという国民的願望が今日の土地基本法のバックグラウンドになっているように思われます。いわば官民反省の上に立った土地基本法であるようにも思われます。そういう意味からすれば、今回の土地基本法の制定というものは遅きに失したと言われるけれども、むしろ早く通してほしいという願望に満ちております。
そして、その中身でございますけれども、土地基本法の三条、四条、五条等を見れば適正な利用、計画に従った利用、そして投機的取引の抑制、価値の増加に対応した負担という、いわゆる至極当然と言われますけれども、従来、これらが成文化されてなかったというところに問題があったのだと思うわけでございます。公共優先ということをバックグラウンドとして、今後の土地政策遂行上の基本的な法律が制定されたいわゆる土地憲法とも言える基本法がここに成立を見ようとしているわけでございます。
そして、さらにこの条文の中で、公的評価の適正化というようなことも加えられましたし、従来、これらの評価の問題についてとかく御批判がございましたけれども、こういう規定をベースとして今後の公的評価についても運用の適切化が図られるかと思います。
それから、土地の適正な利用というようなことからしても、今問題になっております特定市街化区域内の農地の問題。こういうものに対するいわゆる優遇措置の是正等の問題等が絡んでくるわけでございますから、これらについて、できるだけ適切な処置がこの法律をベースにして実施されることを特に期待するわけでございます。
そして具体的には、これらのものができるだけ多く公有地という形に変化しまして、そしてできるだけ優遇策を講ずることによって公有地の方へ誘導していくというような形が望まれるわけでございます。
それから、国土利用計画法の一部を改正する中で、監視区域における届け出勧告制の価額審査のほかに短期間売買の排除という項目が加えられておりますけれども、これらは土地基本法四条の規定をそのまま生かそうとしているものと解されます。
さらに国土利用計画法の一部を改正する中で、遊休土地に関する土地の面積の半減、それから期間の短縮等はまさに土地基本法三条の適正な利用を踏まえたものと考えられるわけでございます。
いずれにいたしましても、これらの土地基本法が今後の我が国の土地政策の基本ベースとなって、まじめに働く者が自分の汗で稼いだ収入によって住宅が持てるという、そういう政策の基盤となることを願ってやまないわけでございます。
以上、時間は短かったわけでございますけれども、一応後のことは御質問でお答えをいたします。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/7
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008・福間知之
○委員長(福間知之君) ありがとうございました。
次に、池田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/8
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009・池田恒男
○参考人(池田恒男君) 池田でございます。
本日はお招きいただきまして、私の意見を申し述べる機会をつくっていただきまして、まことに光栄でございます。
意見を申し述べる前に、まず国会議員の先生方がこのように真剣な御討議をなさっているということに敬意を表し、かつそのような熱心な討議というものがある。私一介の土地法研究者として大変心強いというふうに申し上げたいと存じます。
私は、大学では民法と法社会学を教えておりますけれども、きょうは法律学専攻者として、法政策論的な観点から主として土地基本法を中心に意見を申し述べたいというふうに存じます。お手元にレジュメを配っておりますので、それをごらんいただきながら私の話を聞いていただきたいと存じます。
まず最初に、アイデアとしての土地基本法といいますか、およそ土地基本法一般に対する私の考え方を申し述べてみたいというふうに思います。
土地基本法というものを、憲法と実定土地諸法の間にあって憲法の理念を体現する、そして土地法体系全体の指導理念になるというふうな意味で、諸法律規範の上位規範を定めるような、そういう意味では準憲法的な意味を持った法律というふうに定義しますと、私は規定の仕方によってはそのような法律は非常に有用である、さらには望ましくさえあるということを否定するものではありません。しかし、現在貴院に提出され審議されている土地基本法案を拝見しますと、率直に申し上げてその重要な部分において大きな疑問を持たざるを得ない。また、今後の土地問題の適切な解決方策をめぐり、かなり深刻な懸念を感じざるを得ないのであります。
時間が限られておりますから、その疑問や懸念のうち若干のものを申し述べて、本議院の先生方の御議論の参考に供したいというふうに存じます。
そこで、2のところに移ります。
第一に、本法案が掲げる理念の実効性についてであります。
本法案は、いわゆる宣言法としての性格づけを与えられております。私も、直接に国家私人間あるいは私人間の権利義務関係を創設したり、諸官庁や諸国家機関を厳格に拘束したりするものではない、ただ理念のみを掲げるというそういう宣言法、こういうものはそういうものであって一向に構わないし、宣言法だから意味に乏しいというふうにも考えません。しかし、問題はその中身でございます。
本法案は、公共の福祉の優先、適正利用、計画利用、投機的土地取引の抑制、応益負担などの原則をうたっておりますが、その意味が比較的明瞭であるのは第四条の投機的取引に対する否定だけであります。あとは、みんな不明瞭であります。
こんなことを申しますと、おまえは面倒なことを言う、いろいろ関係方面を調整してやっと妥協してここまでやってきたのに、そういうものに冷や水を浴びせる気か、それは学者のおよそ机上の空論だ、こういうふうなおしかりをちょうだいするかもわかりませんし、あるいは玉虫色というのは日本人らしくていいじゃないかという議論もあるかと存じます。
しかし、待っていただきたい。およそ法律というものは、法律となりますと、これは国家現象であります。国家というのは、それ自体丸ごと政治的な存在であります。政治権力というものは、適切に行使すると非常は有用でありまして、国民の福祉の増進に多大の寄与をなす、これは言うまでもないことであります。したがって、私たちの生活にとって不可欠なものであるわけですが、他方でそれが乱用されたり、行使者のほしいままに使われると、いかに国民に災厄をもたらすか、これは戦時中のことを思い浮かべるだけで十分でございます。これは釈迦に説法かもわかりませんけれども、あえて強調したいと思います。
そこで、法律というものは一方で必要な権限を政治権力に付与するとともに、他方で必要以上の権限は与えない。法文に明確な言葉を用いて、そういうような方法でこれをできる限り厳格に政治権力を統制するということ、したがって法律の規範的な意味内容が権限を付与される当該の国家機関等の全く自由な解釈にゆだねられるというふうなことは、およそ許されないということと言わなければならないわけです。言いかえれば、そのような法律は法律としての要件を実質において満たしていないというふうに言うべきでありましょう。
したがって、行政機関に専門的な見地からの裁量の付与を必要とされるという事態が一般化する。それは現代国家の特徴でありますけれども、しかし法律が法律である限り、そして自由で民主主義的な国家体制を保持するためには、この線はどうしても守らなければならない最後の一線であります。
〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕
ところが、本法案では、第二条にうたわれた「公共の福祉」一つとっても、その意味内容は全くはっきりしません。それが何であるかは改めてそれぞれの国家機関等の解釈を必要とするわけです。そして、そのような公権的解釈の幅は表見的には無限に近いというふうに申し上げることができるでしょう。そのことは、この概念が現憲法下でどのように用いられてきたかを考えるだけで十分であります。本来公共の福祉とは何か。公共の福祉とは、国民とりわけ一般公衆の福祉を増進させる公共秩序のことであるべきだ。こういう理解があるかと思えば、反対に、一般公衆の犠牲において大規模な事業を展開してもよいとか、あるいは経済活動の活発化や、ときどきの政府の定めた国策の遂行のためには個人の人権が制約されてもやむを得ない、こういう原理である、こういう理解もあるわけであります。
そして、これまでの歴史を見てきますと、現実にはおおむねこの後の考え方が通用し、時には乱用されてきたように思われるわけであります。
第三条にうたわれた適正利用あるいは計画利用も同様であります。問題は何をもって適正と考えるかであります。この点では全く正反対の考え方がともに成り立つわけでありまして、本法案にはそれを実効的に指し示す規定は何も用意されておりません。
本法案はいろいろと責務を強調されておりまして、全体として私権制限色の甚だ強いものでありますけれども、何のためにだれのどういう権利をどのように制限するか、これをはっきりさせておかないと、社会的公正を達成するどころか弱肉強食に加担することになるおそれすらあるわけです。計画に従った適正な利用を進めるということは、国民のさまざまな土地利用のあり方に価値序列をつけることを意味するわけですが、その際価値基準をよほど妥当で明確なものにしませんと、それは、一方ではある人々の権利、利益にとって大きな制限として働くと同時に、他方ではまさにその制限を通してある人々の権利、利益を大きく伸ばすということになってしまうからであります。
〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕
基本法としては既に我々いろいろなものを持っております。教育基本法とか公害対策基本法などはその代表例であります。これらの法律は、例えば教育基本法は、平和主義、民主主義と教育のあり方、個人の尊厳と教育、学問と教育との関係、こういうものをはっきりと規定しているわけであります。公害対策基本法も御承知のように改正されまして、その結果、国民の健康と文化的な生活あるいは環境問題と経済活動との関係、こういう経済活動関係を明確化しているわけであります。
こういうものと比べますと本法案は、残念ながら、理念法としての基礎的な資格において欠けるところがあるというふうに言わざるを得ないわけであります。私は国民の一人として、貴院では何のための私権制限かという論点についてぜひとも十分な御論議をお願いしたいと存じます。
第二に、本法案の現実の効果についてでございます。
理念法として欠けるところがあるということは、決して宣言法としてこの法律の現実の役割が損なわれるということを意味するものではありません。むしろ実際には、法案に掲げられたこれらの理念なるものの内容を自由に解釈する余地を政策当局に与えることによって、これらの政策当局のよしとする方向を準憲法の名において、すなわち憲法解釈を含めて実定法体系を一定の方向に追いやる強力なてこになり得るということであります。
例えば、私は民法学者の端くれとして、現在進められようとしている借地借家法改正作業に重大な懸念を持って見守っておりますけれども、周知のとおり、政府におかれてはこの改正作業をまさに土地対策の一環として速やかに進めることを方針とされておるわけです。このような政府の方針が変わらないとすれば、この土地基本法案は改正作業の露払いの役割を現実に果たすということにならざるを得ないだろうと思います。
同じことは、一極集中をさらに加速する懸念のある民活方式を柱とするところの東京等の再開発政策にも当てはまるわけであります。十一条、十二条あたりは修正があっても、なおそのようなにおいがいたすわけであります。多極分散政策というのは、そのあり方によっては必ずしも一極集中の動きと矛盾するものではないというふうに思うわけであります。
これを一言にして言えば、政府が一昨年に土地対策要綱としておまとめになった中心的な考え方、すなわち土地の有効、高度利用促進こそがこの適正利用、計画利用ですよというふうにされる可能性が非常に強いのではないでしょうか。もしそうであるなら、これはいわゆる社会的弱者と呼ばれているような人たちにはかなり厳しいことになるのではないでしょうか。
例えば、年金暮らしの老人には長年住みなれた東京その他の都会から出ていけ、永年築いてきた地域社会やコミュニティーのぬくもりを放棄しろ、こういうふうなことにならないかどうか。他方で、リクルート事件発覚の発端となった再開発促進のための規制緩和土地政策の失敗を繰り返さないのかどうか、こういう懸念の種は尽きないのであります。
第三に、本法案には土地基本法として本来含むべき事柄のうち最も本質的なものが欠けております。計画に従った適正な利用を土地政策の柱に掲げるというなら、何よりもまずその計画が人々の利用を従わせるだけの実質的権威を持ったものにするためには何が必要かという観点が必須であります。そのためには、私は実体的な要件、つまり内容と手続的要件、特に策定過程、この両面をそろえる必要があるというふうに思うわけであります。
実体的要件としてはいろいろなことが考えられます。最も肝心なことは、計画がその地域の実情に合い、その地域に住む者にとって最もよい、こういうふうに人々が納得できるようなものであるということであります。そのようないわば道徳的権威のある計画、これを策定する視点としては、例えば近年ヨーロッパ諸国では常識化している考え方、すなわちいわゆるアメニティー、これは訳すのが難しいですが、例えば住みよさとでも訳しておきます。住みよさを中心に都市の価値を考えるとか、あるいは地域コミュニティーの保存を軸に都市改造を進めるというような考え方が大きなよりどころを提供していると思われるわけです。しかし、本法案にはそのような条項は全くありません。なぜそういうことになるかといえば、本法案が人権を軸として土地問題に取り組んでいないためではないかというふうに憶測するものであります。
土地基本法であるからには憲法の理念を体して、土地人権、聞きなれないかもしれませんけれども、要するに土地への人権あるいは土地に関する人権でありますが、こういうものを中核として国民のさまざまな面での住生活の保障が盛り込まれていなければなりません。例えば、憲法二十五条に基づく安全、健康にして文化的な住生活への権利であるとか憲法二十七条に基づく職住近接の権利、あるいは憲法十三条に基づくコミュニティー形成権とか都市形成権などはその要素でなければならないでしょう。また、その具体化として居住権の保障、それから定住の権利、都市への権利、さらに、その実現手段の重要な一環として公共住宅の供給、今お話に出てきました国公有地の積極的な位置づけ、さらにその実効的拡大策、土地情報の公開なども掲げるべきであります。
次に、手続的な要件であります。すなわちこれは整備された手続規定による慎重で周到にして民主的な策定過程を有することは、土地計画がさきに述べたような道徳的権威を保つためには決定的に重要であり、しかもそれが我が国の都市計画法制のアキレス腱であります。
最上位の土地利用計画とされる国土総合開発計画あるいは国土利用計画等についても同様のことが言えますが、我が国の都市計画は、その策定過程において住民代表の議会の関与に対して法的保障が一部を除いてありません。また、住民参加は極めて不十分にしか位置づけられておりません。実際またほとんど行われておりません。住民参加の形態とされているものの多くは、現実には地権者――土地に対する財産権の所有者、地権者の資格における一定の関与であって、住民としてはその開催の有無が計画策定権者の裁量にゆだねられた極めて不十分なというより、やるとすれば多くは単なるセレモニーに近い公聴会への参加にとどまるわけです。
地権者に対しては、例えば不在地主ばかりではなく、場合によっては担保権者まである程度開かれてはいますけれども、住民にはほとんど全く開かれていないというこの都市計画のシステムは、いわばおれたちのつくった計画だからおれたちは従わなければならないという計画策定における同治の原理、治者と被治者が同じであるという原理、セルフガバニングが働かない。したがってその計画の権威を低くするというふうになっております。この点は修正による法案十一条三項にそれらしい配慮があるわけですけれども、この程度の規定では実効性はほとんど期待できないというふうに思います。
また、都市計画というものは人々の権利や生活に重大な影響を及ぼすにもかかわらず、その違法性の有無を争うことがほとんど不可能にされております。こういうものが土地基本法の中に土地利用計画の争訟可能性を明確に認める規定がなければ、我が国の行政法的な風土の中では土地利用計画に本当の計画の実質を与え、法規範性、つまりそれは計画は正義であるということでありますけれども、そういう法規範性を与えることは困難であると言わざるを得ないわけであります。
以上、要するに、本法案は計画的な土地利用を進める上でネックとなっている現行土地法制の仕組みを根本的に反省して、見直す姿勢がほとんど感じられないと言わざるを得ないわけであります。
最後に、以上申し述べたことをまとめますと次のとおりであります。
第一に、国民の責務を強調する前に、国家が土地の所有と利用を規制し介入する原理を明らかにしていただきたいということであります。
第二に、それは国家が何のためにあるのかということ、近代の原理を打ち立てた近代自然法思想の言葉を使えば、要するに社会を設立する目的いかんということになりますけれども、これを明らかにすることによって示されるべきだというふうに考えるわけであります。
私の考えでは、それは憲法が示しておりますように、国民の生命、身体の安全と幸福追求の権利の保障のためであって、そこから派生するさまざまな人権の確立という共同社会の目的でなければならないというふうに思います。そのような共同社会の目的を遂行するためにこそ、それと矛盾し、障害となる限りで企業や個人の私権が制限される、そしてそれらの責務が強調されるべきだということになるのだろうというふうに思います。
土地基本法というものは、何しろ基本的なものであって、射程距離の長いものであります。それだけ影響力も絶大であり、長期にわたって国その他の土地政策の施策の方向を拘束する法律であります。くれぐれも慎重な御討議をお願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/9
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010・福間知之
○委員長(福間知之君) ありがとうございました。
最後に柿沼参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/10
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011・柿沼靖紀
○参考人(柿沼靖紀君) ただいま御紹介をいただきました連合の柿沼でございます。
本日は、土地基本法案に関しましてこのような意見を述べる機会を与えていただきまして、大変感謝を申し上げる次第でございます。まずもってこの参議院での土地問題等特別委員会の先生方の前向きで、そして意欲にあふれた審議をいただいておること、このことに対しまして心より敬意を表する次第でございます。
初めに、私は先生方が協力し合い、そして意見一致をさせて、この国会で土地基本法案をぜひとも成立させていただくよう特段にお願いを申し上げる次第でございます。早急に土地基本法を制定していただきたいと申し上げる幾つかの理由並びに土地基本法を制定するための目的をもう少し明確にしていただきたい、その点を幾つか申し述べたいと思います。
まず第一は、御存じのとおり、ここ数年間に東京だけではなしに、現在では大阪やあるいは名古屋、さらには札幌や広島などといった地方都市に地価高騰が波及をいたしておりますし、また、リゾート法の承認を受けた地域やこれから承認待ちの地域での上昇も目立っているところ、御案内のとおりであります。それどころか、地方都市への波及がまた首都圏に再び波及するというような様相さえ示しているとも言われております。地価抑制を直ちに手当てをする必要から土地基本法の成立あるいは国土利用計画法を改正していただき、投機的取引の抑制、そして監視区域の適用だけではなしに、場合によっては規制区域の指定など有効な対策をぜひ実行に移していただきたい。そのためにもこの法の早期制定をお願いしたいと思います。
第二には、これまた御理解を得ている点でありますが、私どもにとって住宅は人間生活を支える基盤であります。良質でそして低廉な価格での住宅の確保、これは国や地方自治体の重要な政策課題であり、またそれは責務でもあると考えます。
しかしながら、政府あるいは地方自治体は、これまでこれらに対して必ずしも有効適切な政策を講じてきているとは言いがたいと思います。後手後手に回ってきているというのが実情ではありませんか。
法案提案の理由の中にもしっかりと述べられておりますように、今日の地価高騰が私たち国民の住宅取得を困難にし、また社会資本整備等をおくらせている。そして土地を持つ者と持たざる者、その間に資産格差を拡大している。この点を早急に解決すること、これが基本法を制定すべきいま一つの理由だというふうに思います。
もちろん、地価高騰の原因は政府や自治体の責任に帰するだけではないと思います。金融緩和を背景といたしまして不動産会社の手当て買いであるとかあるいは企業の財テク、いわば資産保有のための土地への投資であるとか、あるいは不動産投資に対する金融機関の大幅な融資などが土地への投機に走らせている。こういった実態を我々はしっかりと踏まえる必要があります。
加えて、東京への権限が集中するとともに、情報化あるいは国際化の進展によって地方の企業あるいは外資系企業も含めて東京への進出が進み、そしてオフィス需要を増大させているわけです。この結果、サラリーマンを初めとするいわば庶民の住宅問題を深刻にさせている、そういう結果になっていると思います。
そもそもこうした地価の急騰を招いたのは、本来土地は公共性を持つはずなのに対しまして、我が国では土地私有というものを絶対視するという考え方が根強いこと。そして、土地の所有や利用、これについて市場原理にゆだねてきたからにほかならないと思います。この考え方の根底には、土地は値上がりする、もうかる、いわゆる言うところの土地神話の信奉が厳然としてあるからであります。
こうした考え方、これが存在する限り、土地の買い占めあるいは土地転がし、こういうものを横行させ、そして地価高騰のスパイラル現象、これが東京だけではなく地方の大都市にも引き起こす、こういうことになってくると思います。したがいまして、私どもはこれら地価高騰によって土地所有者だけが富むということは許されないと思います。
私たち勤労国民にとりましては、マイホームの取得は完全に断たれ、さらには高い家賃を支払わされる。いわば私たちだけがしわ寄せを受ける結果になっているわけであります。取り戻そう土地、住宅を。この声は実は私たち八八年の一月に連合が行った土地、住宅問題に対するアンケート調査に寄せられた組合員のメッセージであります。今や地価の高騰は社会悪であります。まじめに働いてゆとりを持ち、豊かな生活を求めるサラリーマンの意欲をそぐような事態、これを早急に克服していかなければなりません。土地基本法は諸般の土地対策を総合的に進める、こういった抽象的な表現ではなく、現在高値安定の地価、これを引き下げ、そして額に汗して働く者が報われ、マイホームが持てる。そういうことをしっかりと目標に据えた具体的対策を実行に移す。そういうことが基本法の目的の中に盛り込まれるべきだと思います。
そして第三に、我が国の経済、社会は御案内のとおり今日大きな転換期に直面いたしておるところであります。こうした中にあって、すぐ先九〇年代を迎えますが、この九〇年代は国民生活の真の豊かさ、これを軸とする政策へ切りかえる、政策の理念を国民生活の重視型に移していくこと、公正な社会の実現に努めていくこと、ここに置かれなければなりません。そうした意味において、土地、住宅対策はその中心に置かれるべきであります。
高齢化社会の到来に対しては、ノーマライゼーションの視点から、デイケアとかショートサービス、ケア住宅、あるいは障害者のための住居の整備、そういった何よりも国民福祉に役立つ土地政策へと切りかえる。そのためには土地に対する公共性の概念、土地に対する新しい理念、これを確立して取り組む、このことが必要であります。
土地基本法は今後の我が国のそういった経済、社会構造の転換を進める大きな取り組みの方向を定める基本法である、そういう点を私は重視すべきであると思います。法律は端的にまとめられておりますが、勤労国民の心に触れる、そういった目標、こういうものを掲げてほしい、これが私の訴えであります。
先ほど紹介をいたしました私どものアンケート調査の中で七四・五%の組合員が、土地については私有は認められるが、社会的、公共的な制約を受けるとしています。また、公共の利益と個人の利益、どちらを優先させるかというアンケートの質問に対しまして、半数以上の人々が、はい、公共の福祉、こういうものを重視するというふうに答えてきております。土地に対する考え方を組合員自身明らかにしてきているところであります。
したがいまして、土地を国民生活のために有効に利用する、社会的に利用していくために土地基本法制定の意義は深いと考えます。
以上、総括的な意見をもとにいたしましたが、衆議院での修正議決を踏まえまして、次に幾つかの具体的な点について残る時間意見を述べたいと思います。
まず一つは、第一章「総則」のうちの第一条の「目的」の項であります。
先ほど申し上げましたように「適正な地価の形成を図るための土地対策を総合的に推進」するとありますが、今日の異常なまでの地価水準、これをきちっとしっかりした水準にまで引き下げる、そういう目標を与えるべきだ。
そしてその次に「もって国民生活の安定向上」、こうありますが、そこの箇所につきましては、もって良好な住生活を保障する等国民生活の安定向上。この点についてもしっかりとした目標をぜひうたっていただきたい、これが第一の私の考えであります。
御案内のとおり、今日地価高騰は七三年の列島改造ブームに次いで狂乱的な地価上昇を示しているわけであって、極めて異常であります。今日では、先生方御案内のとおり、年収十倍以上出してもマイホームが持てない事態、そういうことに照らしまして地価水準の引き下げ、これをやはり目標に入れるべきである、このことを私は強く主張をさせていただきたいと思います。
二つ目には、第六条「国及び地方公共団体の責務」の項のところであります。
ここは「基本理念にのっとり、土地に関する施策を策定し、」とあります。ここについてもう少し、例えば土地に関する年次政策及び中期政策を策定し、施策の期限を明らかにしてこれを実施するという、そういった具体的な表現を用い、そしてそれらを国、地方公共団体はその責務を持つと、このように補強をしていただきたいと思います。今日、土地対策は、御案内のとおり緊急対策と中長期にわたる着実な対策、こういうものを立てながら一つ一つ実行に移していくことが極めて重要であることは言うまでもありません。そういう面ではそういう的確な表現をいただく必要があるかと思います。
三つ目に、第二章「土地に関する基本的施策」の項でございますが、ここのところでは第十一条に住民の意見を十分反映させる、こういう大変重要かつ的確な私は規定になっていると思いますし、これは評価を申し上げるわけであります。
問題は十二条でありますが、宅地の供給促進に資するという意味で、例えばこの後に第三項を起こすなどして、国有地の有効活用と並んで公有地の拡大を促進する、そのための有効適切な対策というものも進めなければならない、このようなことをやはり明記しておくべきだと思います。いわば、国、地方の先取特権を認める公拡法の活用等きちっとできるような手だてをここに明記しておくことも必要ではないかと考えます。
また、安くて快適な住宅を供給するためには、低・未利用地あるいは市街化区域内農地、これを宅地供給のための重要な対象地といたしまして、宅地並みの課税の強化あるいは特別土地保有税など、そういうものの強化を図っていく。そういうことによって基本政策の後の具体策になるかと思いますが、そういった手だてを着実に実行させる、そういう中身をここで担保しておくべきだと思います。
そして一方では、私たちサラリーマンにとって質のよい、そして安い賃貸住宅、こういうことに農地等こういうものを活用する、その場合には税制、金融上の優遇措置、こういうものをぜひ講じていただきたい。既に建設省では大都市地域における住宅宅地供給の促進事業ということで、来年度の重点施策として既に概算要求の中に組み込んでもらっていただいていますが、私どもはこれは大変時宜を得たものであると評価をいたしているところでございます。こういった具体策をぜひ実施し得るよう規定をしていただきたい、このように考える次第であります。
また、私たちは日経連さんと共同で実は企業の枠を越えた共同社宅づくり、これに現在取り組んでいるところであります。これまでの企業中心の社宅、これは現下の地価高騰の中で既に限界となってきていること、先生方御案内のとおりであると思います。また、私たち働く者にとっても社宅を十分に利用できない、そういう中で大変窮状をしているところであります。今後は、異なった企業が共同して社宅を持つ。しかも持つだけではなくて、地域に密着して開放型の共同社宅、そしてしかもそれは地域に例えばヶア住宅であるとかあるいは地域のコミュニケーションの場を提供する。そういうようないろいろの機能を持たせる、そういうような構想を今立てているところでございます。そのためには、農地、これをうまくそれに利用させていただく、あるいは企業の工場跡地、こういうものをその対象にしていく、さらには先ほど申し上げました国公有地、こういうものをそういうところに活用していく、そういうことが眼目でございます。
いわば土地の公共性、社会性、企業の持っている土地等もそういう面では社会的、有機的に活用していく、こういうような取り組みを私どももいたしているところでございます。ぜひこれらの事業、これにかかりますようないろいろの優遇措置、こういうものをぜひ今後先生方のお力によって実現を見るようお願いを申し上げておきたいと思います。
また、この場をかりまして、私どもサラリーマンにとって財形住宅貯蓄制度、これの非課税限度額現在五百万でございますが、これを一千万円までに引き上げる。こういうような具体的措置もぜひ図っていただきたい。この点についてお願いを申し上げておきたいと思います。
最後になりまして恐縮でございますが、第三章「土地政策審議会」、この項に関してでございます。
ここでは、土地に関する総合的あるいは基本的事項を調査審議する場だということで、国土利用計画審議会、これを衣がえいたしまして、土地政策審議会の設置ということをうたっているのではないかと思うのですが、私どもはこの審議会を置くことも大切である、このように考えますが、それよりも今日最も重要な事柄は、これまで総合的な土地対策要綱を含めて政府の施策をいかに具体的に実行に移すか、その推進体制を整えることこそ私は優先されるべきだと思います。
今日、省庁の取り組みは、ややもすれば施策を総合的、有機的に実行する体制に必ずしもなっているとは言い切れません。今日立派な政策や処方せんはあるのです。要は実行する機関をつくることこそ肝要であります。私どもは総理大臣の直轄機関といたしまして国土再開発推進機構、委員会的なものを置くよう求めてきております。目的は中長期的には均衡ある国土開発、こういうものを一元的に実行させること、あるいは短期的、中長期的に土地対策、これに当たる、そのことを意味するわけであります。国家行政組織法の八条にいういわゆる審議会機関ではなしに、もっと実行性のある機関、こういうものが今私は必要ではないか、このことをぜひお考えをいただきたいと思います。
それらを含めまして、ぜひ先生方の御理解を得ましてこの土地基本法がさらに補強され、そして早急に制定されるようお願い申し上げまして私の意見とします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/11
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012・福間知之
○委員長(福間知之君) ありがとうございました。
以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
これより質疑に移ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/12
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013・村沢牧
○村沢牧君 参考人の皆さん、きょうは本当に貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。社会党の村沢牧であります。
まず石原参考人にお伺いしたいのでありますけれども、第一点は、この基本法は宣言法である。私もそういうふうに思っております。
そこで、基本法が成立した後において政府がどのような対策を講ずるのか。国土庁長官は短期のものもあるし中期のものもあるというふうに言われているところでありますが、参考人は今までこうした基本法を制定するまでに政府機関等にいろいろ携わってまいっておられますので、まず制定されたら短期的には何をやるべきか。あるいは中期的にはどういうことをお考えになるのか、そのことが第一点であります。
それから第二点は、基本法による政策目標についてであります。
私は、基本法は理念は定めておりますけれども、政策目標というのがあいまいであるというような感じがするわけです。衆議院において若干修正をされまして「適正な地価の形成」ということも入れたわけでありますが、ただこれを需給関係、つまり市場メカニズムだけに任せると地価は上がってくるということなんです。やっぱり政策目標としては地価を下げるというような目標がなくてはならないというふうに思うのですけれども、これについてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。
それから第三点目は、東京一極集中、四全総の多極分散型の話も出たのでありますけれども、その中において、当委員会でもいろいろと発言もされておりますが、首都の機能の移転、これについてどのようなお考えを持っていらっしゃるのか。同時に政府も省庁の移転などをやっておりますけれども、これについてはやはり権限の委譲が伴わなければならないと思うのですけれども、それらについてどのようにお考えになっていらっしゃるのかお聞きをしたいと思うのです。
それから第四点でありますけれども、お話がありましたように、総合的なあるいは一体的な土地政策が必要である、そのためのシステムが必要である。ですから私は、この法律の中におきましても、政策の総合性あるいは行政機構がもっと整備をされなければいけないというふうに思うのですけれども、その点についてどのような見解をお持ちになっていらっしゃるのか。まず四点ほどお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/13
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014・石原舜介
○参考人(石原舜介君) それではただいまの四点の質問に対しましてお答えいたします。
まず第一点の、当面この土地基本法が成立した後に実定法的な形でどういうことをまずやるべきかというふうなお話でございますが、私個人といたしましては、やはり基本的な面から土地の詳細計画をもう少し密度の高いものにしていく必要性があるように考えております。これは先ほど述べたとおりでございまして、この制度がなければいわゆる土地利用のある程度の強制といいますか、利用を誘導していく措置が非常にその後難しいというふうに思っておりますので、この詳細性という点をぜひひとつ早急に行っていただきたいというふうに考えております。
それから、土地利用の面だけで申し上げますけれども、中期的にはそれではどのようなことを考えるかということでございますが、中期的には今問題になっておりますけれども、宅地供給のプログラムというものを法制化していく必要性があるのではないか。それによって自治体あるいは国の責任を明確に示しまして、供給自体の一応の方向性を示していくことが望ましい。これには相当の調整問題がございますので、早急にはちょっと望めませんけれども、本来的にはこういうことをやっていくべきではなかろうかというふうに考えております。
それから二番目の御質問でございますけれども、政策目標として市場メカニズムに任せただけでは地価が下がらないのではないか、もう少し地価の下がる政策を打ち出すべきだというお話でございますが、私もできればそういうふうなことが望ましいというふうに思っております。しかし、現実問題といたしましては、なかなか地価は下方硬直的でございまして、なまじっかな政策では下がらないというふうに思うわけでございます。
そうしますと、市場メカニズムといいましてもやはりある枠内での市場メカニズムでございまして、放任的な市場メカニズムではございません。その点は法律でも明確にされているわけでございまして、この枠組みの中である程度のいろいろな規制その他がかかりまして、その中で行われるという形でございますので、そういうことを行ってまいりますと、当然のことながらこういうようなことでも私は差し支えないのじゃないかというふうに思っております。
そういう点で一番気がかりなのは固定資産税の問題でございます。保有の費用が他のものに比しまして非常に安い、いわゆる安価である、相対的に安価であるということが土地保有を強化していく一つの大きな理由になろうかと思います。
本来、固定資産税というのは収益に課税されるべきものであって、土地を利用したことによる収益、これが当然でございまして、財産としての価値にかけるべきではないというのが一般的な意見でございます。しかし、今日我々が土地というものを見ましたときに、必ずしも収益とバランスしているような価格ではございません。それだけに、固定資産税そのものが当然そういう面から非常に評価額が安くなってしまっているというふうなことがございますので、ここのところをどのように考え、先ほども申しましたようなことで供給を拡大するような方向で導くというふうなことにいたしますと、地価の下落といいますか、供給量の拡大化によりまして市場メカニズムにおきましても価格の安定化の方向へ向かう可能性があり得るというふうに思っております。
そういう点でよく引き合いに出されますのが、お年寄りその他を追い出すのかというのが必ず議論として出てまいります。こういう人たちの資産の運用というようなことを非常に明確な担保をいたしまして保障する制度を設けていけば、この人たちの生活の安定ということも図り得ることが可能だろうというふうに思います。また、そういう収入がそれの活用によって期待できないというふうな場合には、これはまた別途の保障の問題でございまして、これは固定資産税で解決すべき問題ではなく、いわゆる社会保障の問題で対応すべき問題かと思っております。
そういうことで、ここで施策的に当面仮に値を下げていきたいという気持ちがあるならば、税制というのが一番私は有効な手段であろうというふうに考えております。
次に、三番目の御質問でございます一極集中でございます。一極集中に伴いますいろいろな点から首都の移転ということが話題になりました。私も、国土庁の依頼を受けまして、首都改造計画というのを昭和五十四年から七年間かけましていろいろ議論し作成してまいりました。その際も、首都移転というものが一体どのような効果があるかということにつきましていろいろ試算をその当時いたしました。
その結果、首都移転で直接的並びにこれに関連する人たちが移転いたしますと、大体ニュータウンの規模というのは大体約六十万人ぐらいの規模になるのではないかなというふうに思いますし、それからまたそれに伴いますいろいろな費用の面などもその当時逆算いたしまして、これは五十五年の価格設定でございますけれども、約四兆円ないし五兆円というような試算もいたしました。
こういうことをやっておりますけれども、実は首都の移転というのは必ず社会革命というか社会の大きな変動が伴うときに行われるものであって、ただ人口の集積、経済の集積による一極集中なるがゆえにこれで首都機能を移転するというのはちょっとそれだけでは力が弱いような感じがいたします。当然、首都移転をする際には、行政機構全般の改革が望まれるわけでございます。
ですから、そういうものがない形で現状のまま移転するとしましても、これは私は余りいい姿にはならないというふうに思っておりまして、そういう点から、そのときにはむしろ首都の改造、こういうものに力を入れるべきではなかろうかという結論に達しまして、首都改造計画というものを提案したわけでございます。
その際に、業務核都市という考え方を提示したわけでございますが、例えば東京にあります国の出先機関、こういうものを集合させ移転させまして、仮に大宮といたしますと、大宮に関東のいわば首都的な機能を持たせるというふうな形で、何か核になる機能をそれぞれの地域に分散配置いたしましてやることによりまして、ある程度の効果は上げられるのじゃないかというふうに考えまして、次善の策ではございますけれども、現段階では首都移転というよりはそちらの方を選択すべきではないかというふうに考えまして、首都改造計画を提案した次第でございます。
それから、四番目の御質問でございますけれども、やはり政策というのはいろいろ整合性がなければいけないということは当然のことでございます。特に土地政策というのは、仮に、こういうことはあり得ないかもわかりませんが、住宅金融公庫の融資枠をただ拡大して住宅取得を容易にしようというふうなことで、仮にそういう政策を打ち出したというときには、ほとんど増額される金額、こういうものがむしろ地価に吸収されてしまって、実質的には余りその効果が出ない。ですから、それを地価の方への吸収をさせないような政策が裏打ちとしてないと、こういう一つの政策だけで対処して国民に住宅が得やすくなるというようなことはあり得ないわけでございます。
このように幾つかの政策がそれぞれうまく仕組まれていかなければいけないということで、今まで私どもがいろいろな政策シミュレーションをいたしまして、どういう政策を組み合わせたら最も効果が高いかというようなことで行ったもので、地価の値上がりを最低に抑えて供給量を最大にするというふうなことで政策を行うというふうな仮説で政策シミュレーションをいたしました結果、やはり保有税の強化、計画的開発、それから交通施設の改善、それとあわせまして住宅融資の枠の拡大、こういうような政策の総合的な組み合わせ、これによって初めてそういうような効果を発揮できるというような結果を得ております。
そういうようなことから考えましても、いろいろな政策それ自体を個々ばらばらに行いましたら、かえって結果は思わしくない方向に進むのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/14
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015・村沢牧
○村沢牧君 ありがとうございました。
次に、坂本参考人にお伺いいたしますが、特に公有地の拡大、これは法体系の整備が必要だと私どももそのように思っておりまして、この審議会の審議を通じてそういうことを実現いたしたいというふうに私は思っている一人なんであります。
そこで、公有地を拡大するという法体系をつくっても、基本法の中に入れても、やはり実行していくためには財政上や税制上の実行性のあるものが伴ってこないと、なかなかうまくいかないというように思うのですけれども、それらについて市長さんとしてどういうふうに考えていらっしゃるのか。
関連いたしまして、国有地の払い下げについても御意見があったわけでありますけれども、競争入札にしてかえって国有地が地価をつり上げたような例もあるわけです。国有地というのは地方自治体から見てこれは随契でやるべきものなのか。そういう御意見持っていらっしゃるのか。それから、国有地が例えば地方自治体が知らないうちに処分されているときもあるわけですね。そういうことがあってはいけないというふうに思いますが、今までの国有地の払い下げについて、自治体の長としてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。
それから、公示制度についてもお話がありました。一物四価その他です。その場合、一番ネックになってくるのは固定資産税の評価です。だから、自治大臣はこれは反対だと言っているわけですね。固定資産税は公示価格よりも安くやっているのだと。今、石原先生も固定資産税が安価であるというようなお話があったのですが、市長さんとして固定資産税というものは、やはり一物四価をなくしていくためには、あるいは一元化をしていく、整合性をするためには、固定資産税がどうしても問題になってくると思いますが、これについてどのようにお考えになっていらっしゃるか。
それからもう一点、市街化区域の農地のあり方です。実は、昨日私は東京都の農協の組合長さんとお話ししたら、三鷹の市長さんは非常にうまくやっていらっしゃるのだ、いい人を参考人に呼んでくれたなんて、農協の組合長に褒められたのですが、市街化区域の中における農地のあり方、あるいはまた宅地並み課税というようなことが建設省案でも強く出されていますが、これらについてどのようにお考えになっていらっしゃるのか御見解を伺いたいというように思うのです。持ち時間も余りございませんので、簡潔にひとつお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/15
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016・坂本貞雄
○参考人(坂本貞雄君) 考え方を申し上げますと、公有地の拡大は機会はあるのです。機会はあのですけれども、なかなか円滑に進まないというのは、一つは税法によると思います。
先ほども申し上げましたように、公有地の拡大に当たって一定の控除は認められておりますが、これは画一的でございますから、したがって大都市のように物すごい暴騰したところも、それから地方の安いところも控除は同じなんであります。そうなりますと、なかなか売り手の方も売り渋るという問題が出てきますし、ここのところはやはり先ほど申し上げましたように、大都市と農村部では実際に置かれた条件が違うわけでありますから、その辺のことは今後制定をされるであろう法律の中で格差を設けて、特例を設けてもらえば、これは相当数大きく前進して解決する、こういうことが言えると思います。これが一つです。
次に、固定資産税のかかわりですが、固定資産税は御承知のように市町村税になるわけであります。そこで、一番ここで苦労いたしますのは、評価額の問題になるわけです。
今、平成三年度がまた評価がえの年になるわけですけれども、その基本となるのは三十八年ですか、改正されましたように、売買実例価額が基本となるわけです。そうしますと、地価暴騰の起きた東京のようなところで売買実例価額によって算定したら、一遍で負担能力も何も飛んでしまいます。そこで調整措置とかいろんな苦労をして算定するわけですけれども、固定資産税は御承知のように一般の住宅になりますというと生産は上がらないわけでありますから、したがって負担だけがふえてくる。こういう格好になりまして持ちこたえがきかなくなる。こういう問題から評価額のあり方について物すごく関心を持つわけです。そうしたところから、税負担の軽減ということも考えなければなりませんし、その辺については先ほども申し上げましたように、評価額のあり方というものが従来どおり売買実例価額ということでいっていいのかどうかという問題もありまして、その辺を含んで先ほど四つの評価の仕方があるということで申し上げましたところで、統合的にこの辺は今後の法令の中でお考えをいただければ大変ありがたい、こんなふうに思っているところです。
第三番目の問題でございますが、宅地並み課税の問題で、これは基本法とは直接かかわりなく次の法律によってされると思って、先ほどこの件についての所見は控えておったところです。実際に行政の長として市民の中にわずかに残された農地、農民を持って対処しておりますと、先般来新聞紙上等で報道されてまいりました長期営農制度の廃止と宅地並み課税の実施、この問題については極めて慎重に取り扱うべきであって、私もにわかにこれは賛成しがたいものの一つであります。
内容をちょっと申し上げますと、土地基本法のねらいがもしここにあるとするならば、これは本末転倒ではないか。現に農地であって耕作しているものに宅地としての課税をするということは、税法上で言えばみなし課税ということになりましょうか。そうしたことで農民としては当然これは受け入れることができない問題になりましょうし、私どもの市の中で申し上げますならば、三百年以上も耕作をして、現に一生懸命農業をやっている皆さんもいらっしゃるわけです。そして、そこから生産される新鮮な農産物というものは、現に市民の食ぜんに供されたりあるいは学校給食とか、私のところでは毎月一回ずつ青空市場を開いておりますが、そこを通して、それからもう一つは、農業協同組合による売店等を開きまして、市民に大きくこれを供給して喜ばれておる状況です。
今、三鷹市では十六平方キロしかない区域の中に十六万二千人の人口を持っておりますから、一般に都市型と言われる先生方の説にもよりますように、まず住んで快適というところでは限度になっています。そして、その中で農地として残っているのはわずか二百四十八ヘクタール、こうしたところでございまして、極めて少なくなっている。そこがいわゆるこれからの快適な都市づくりに欠かせない緑、それから都市空間、災害時における避難場所、こうしたところで欠かせない状況になっているというのも都市農業の抱えている市としての現在の状況でございまして、今地価の高値安定というところの人間のつくり出したしわ寄せをここに求めるというようなことになりますと、これは本末転倒になってくるであろう。
それ以前の段階で私どもの市も、先ほど申し上げましたように大部分が勤労者ですから、その中で相当数年限がたって古くなってきた公営住宅、公団等もありますし、それから企業が今持っている用地も相当数ございます。それから、民間では木造のアパートのあきもかなり目立ってきております。こうしたところの開発利用ということが、目下の急務としてこういうところからやっぱり進めてもらうべきであって、その後に来るものでないか、そんなふうに考えております。
それでなくとも、一方で相続税がありまして、土地を持っている者は相続のたびに切り売りしないと納められない。こういう実情を持っておりまして、その面からも逐次減っていく状況にあります。今宅地並み課税というものを強行されるということになりますと、ここでは農民そのものがつぶれてしまいかねない。そうした状況にあることも事実でございまして、私どもでは残り少ない農地というものを今後町づくりの貴重な空間、緑、公園、こうしたところで公共の用地として考えていきたい。こんなふうに思っておりますので、この件になりますとにわかに賛成はできないというふうに思っているところでございます。
それから、国有地の払い下げについてでございますが、なかなか事実上厳しゅうございまして、一定の条件をそろえませんとこれは対象になりません。そうしますと、そのことがまた一定の期間中義務づけられてまいりますのと、それから地価の問題になりますというと、民間の一般の土地問題と全然変わらない、場合によりましてはむしろ高いという面も出てくる。こうした時期でございますから、この辺あたりが率先して地価の問題を考えていただくということが必要になってくるであろう。そのことが、これは基本法の中には入らないと思いますけれども、今後の施策の中であるいは法律の中で何らかの方向づけをしていただきたいものだ、これは各市長とも同じような考え方を持っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/16
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017・村沢牧
○村沢牧君 ありがとうございました。
横須賀参考人にお伺いいたしますが、時間も余りございませんので二点だけお伺いしたいというふうに思うのであります。
一つは、先ほど来各参考人からもお話がありましたが、公的評価の適正化、参考人もお話しになったところですが、それぞれの制度によって一物三価とも四価とも言われているのですが、不動産鑑定の業務に携わっておって、これを一元化していく、苦干の衆議院の修正によって抽象的な言い回しにはなっておりますけれども、これはやっぱり一本にするということは難しいものなのか、あるいはやるべきじゃないのか。
そのことと、参考人は利用計画についてもお話があったところでありますが、この中にあります規制区域、これは決めてあるけれども伝家の宝刀で一回も抜かれたことはないわけですね。やっぱり鑑定士から見て、極端に土地が上がったり、場合によっては、監視区域だけじゃなくてその一歩上の規制区域までやるべきときもあったのではないかというふうに私は思うのですが、そのことについてどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。簡潔で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/17
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018・横須賀博
○参考人(横須賀博君) お答えいたします。
公的評価の、基本法では「適正化」という言葉に表現されておりますけれども、今の御質問は公的評価を一元化したらどうなのかという御質問だろうと思います。
公的評価というその評価を、税の面で課税標準というとらえ方で公的評価を一元化するということになりますと、非常に現実に即さないということになります。したがいまして、公示価格は公示価格としての役割、すなわち取引の指標としての役割、地価公示法二条二項で決められている役割。相続税評価額は、相続税法二十二条の規定によって求められている適正な時価、これは富の集中排除を目的とした相続税。固定資産税は固定資産税として地方税法三百八十八条の規定に基づいて評価されているということで、おのおのの税やあるいは評価額は、おのおのの目的を持って成り立っているわけですから、それらの課税標準を統一するということになりますと、おのおのの目的から著しく乖離してしまうということになります。したがいまして、これを一元化していくということは、国民の生活に対して重大な影響がある。むしろ土地基本法の規定にありますように、土地の適正な均衡を図っておのおのの税の目的を果たしていくという形が最もベターではないか、かように思っております。
それからもう一つの御質問でございますけれども、規制区域の御質問でございます。
これは、規制区域というのは投機的な取引と地価の上昇の著しいものということが併記されておりますけれども、規制区域をもし容易に指定いたしますと、これも一坪の土地でも許可制ということになりますから、自由市場原理というものが根本から覆される許可制度ということになります。したがいまして、いわゆる土地の価額というのは、できるだけ市場原理の中で芽生えたそういう価額をもって適正な価額としていくということの方が最もよいのではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/18
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019・村沢牧
○村沢牧君 ありがとうございました。
池田参考人にお伺いをしたいのでありますが、参考人はこの基本法では賛成しかねるというような趣旨の御発言でございますけれども、今まで土地に関する法律というのはたくさんあるわけですね。たくさんあります、御承知のとおり。それぞれの法律が土地に対する理念が欠けておったり、あるいはまた公共の福祉というようなこともうたわれておらなかったり、あるいは投機的取引に規制もなかったし、また住民参加の規定もなかった。したがって、基本法においては不備な点もあるけれども、こうしたことを基本的に規定をしていくためにこうした法律も必要ではないか。社会、公明、民社、社民連の野党四党は政府案よりも先にこうした法律を出したのですが、野党四党の中には、なるほど基本的な考え方とともに実行性を含めたような法律になっておったのですが、政府の案はこういうことになっておりまして、それだけに修正も加えたわけでございますけれども、そうした点から基本法に対する評価をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
もう一点は、土地の高度利用あるいは手続についてもいろいろと御意見があったわけでありますけれども、衆議院の修正によって、例えば良好な環境に配慮した宅地を供給するのだというようなことも入れましたし、あるいは住民の参加という条項も入れたわけですね。なるほど適切に住民が参加できるような形に将来なるのかどうかということについては、これからこの法を実行していく上においていろいろ問題になるというふうに思いますけれども、私たちもこの国会におきまして例えば公共の福祉の概念、理念だとか住民の福祉の問題等について議論もいたしておりますけれども、こういう点から見るならばそれは完全とは言えない。これはしかし全然だめな法律とも言えないというふうに私は思うのですけれども、この点について参考人はどのようにお考えになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/19
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020・池田恒男
○参考人(池田恒男君) お答えいたします。
まず第一に、土地に関する法律はこれまでたくさんあったけれどもうまくいかなかったじゃないか、それには理念が欠けていたのだと、こういうお話でありますけれども、私はこれまでの法律に土地基本法が理念として掲げているような程度の理念は欠けていなかったというふうに思います。例えば都市計画法の一条、二条。条文をごらんになったらもっとはっきりと理念がうたってあるのではないでしょうか。それから国土利用計画法というのを今見ましたけれども、これも二条の「基本理念」というのはかなり土地基本法の最初の一条、二条と似通っております。
問題は、ですから今までの法律じゃうまくいかなかった、だから新しいのだということではなくて、なぜうまくいかなかったかということをぜひ御審議いただきたい、そこの問題を私は申しているわけであります。
もう一つは、いきなり理念にいくのではなくて、これは私や私の仲間が多少勉強をしたところを披露させていただければ、ヨーロッパでもアメリカでも土地に関する理念、これは今日ヨーロッパでは例えば建築不自由の原則というのが貫徹しておりますし、それから計画なければ開発なしという原則も、国によっていろいろな違いがありますけれども、ほぼ確立していると見ることができます。これらはいずれも実行的ないろいろな法律をあれこれやりくりする中で出てきた、理念が先にあってそれからいろんなものが出てきたというわけじゃないわけですね。あえて申せば、土地基本法がなくても今挙げられているようないろいろな問題点は相当程度解決がつくし、そういう土地に関する諸利害、土地神話というふうに言われるようなものを排除して土地に対する余計な、それこそ国民のせいにされておりますけれども、国民が土地神話にしがみついているのがけしからぬということですから、国民が仮にそういう意識を持つのだったら持つだけの基盤というか根拠というか歴史的な由来があるわけです。それを取り除く過程で理念を出す、そうすれば非常にすっきりとまとまるのではないかというふうに思います。それが第一点です。
それから第二点、良好な環境に配慮したという規定を盛り込んである。それから住民の参加も不十分かもしれないけれどもうたっている。それはどう考えるかということでありますが、私はこれは本当に四会派の共同提案で原案にあるやつを多少なりとも、もちろんないよりましというか、是正できたものではないかというふうに評価するのにやぶさかではありません。しかし、それにしても例えば第十一条の二項に土地の高度利用の形容詞として、「良好な環境に配慮した」土地の高度利用というふうに言いますが、今日例えば東京の都心部で一極集中をますます加速しているようないろいろな高度利用のあり方、ビッグプロジェクトを見てみますと、結構その地域に限っては良好な環境を配慮しているわけですね。それは私は例を出すまでもないことだと思います。問題はそれが都市のキャパシティー全体の、水であるとか交通事情であるとか、その他もろもろの事情、それを全部、総需要をいろいろ計算した上でできているのかどうか。例えば今ごみの問題が深刻化しておりますけれども、そういうものを計算に入れてきちんとした、つまり東京圏全体が、日本全体と言わなくても、あるいは東京の周りを含めて東京地域が良好な環境を配慮したような、そういう都市計画になっているというところがまさに問題ではないか。この規定でそういうものが、つまり虫食い的なものが防げるのだとか、集中が排除できるのだとかいうふうに私には思えないわけでございます。
それから住民の参加にしても、「住民その他の関係者の意見を反映させるものとする。」という程度のことであれば、これは都市計画法十六条一項というのがございまして、そこに規定があるわけです。しかし、これは活用されておらない。それはなぜかというと、それは基本法がないからではないのじゃないかというのが私の意見でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/20
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021・村沢牧
○村沢牧君 ありがとうございました。
参考人に申し上げておきたいのですが、私たちは、今までの法律でなぜうまくいかなかったのか。それは国会の中で審議をいたしまして、例えば東京一極集中の開発構想だとか規制緩和だとか、あるいは民活、国有地の高値払い下げ、今まで政府のやってきたことが地価高騰を助長してきた、こういう嫌いもある。あるいは金融機関の無差別融資だとか、悪徳不動産、地上げ屋の地価つり上げ、これらに対して大蔵省の監督はなまぬるいというようなことは全部論議もいたしておりますものですから、ぜひそういうことで御理解もいただきたいというふうに思うわけでございます。
次に、柿沼参考人に率直にお伺いしたいのですけれども、勤労者が一生かかってもなかなか宅地も家も建たないと。そこで、連合の方では勤労者が取得できる宅地の水準、大体月給の、年の収入の何倍ぐらいだとか、あるいは家賃はどのくらいであったらいいと思うのか、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思うのです。
それから政策目標について、先ほども石原参考人にお伺いしたところでございますけれども、今柿沼参考人が言われたように、やっぱり地価を引き下げることを目標とした政策目標でなくてはならない。そういう御意見もあったわけでございまして、私たちも同感でございますけれども、やっぱり地価を引き下げるようなことをしていくのだ、そのためにはどうすべきだというようなこともお話があったわけですけれども、そのことについてもう一度参考人の御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/21
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022・柿沼靖紀
○参考人(柿沼靖紀君) まず第一点、私たちサラリーマンが住宅を取得できるぎりぎりの線はと申しますと、おおむね年収の五倍程度というふうに考えております。これ以上になりますと、老後安心して余生を送れるというような形にはなり得ません。したがいまして、私どもは年収の五倍程度でマイホームが取得できる、その程度の地価水準にまで下げていただきたい。これが具体的な私どもの考え方でございます。
家賃につきましては、私どもはせいぜい月収の一〇%から一五%の範囲にとどめる。そういう賃貸住宅、しかも現在のように六十から八十じゃなくてもっと広い、せいぜい百平米ぐらいの居住水準ができるような、そういうようなところにひとつ公的賃貸住宅あるいは民間を含めて良質な賃貸住宅をつくっていただく。そして家賃はその程度にとどめさせていただく。この点を私どもは言ってみればアッパーとして考えている、こういうことでございます。これが第一点であります。
それから第二点目についての考えでございますが、これにつきまして先ほど私は短期の施策と同時に中長期にわたる施策、こういう二つの点をしっかりと踏まえて計画、プログラムを立ててほしいということをお話し申し上げました。地価引き下げ、言ってみますとこれは双方から攻めなければ私は具体的に実現ができるとは思いません。当面はやはり土地投機をやめさせるということから、先ほど申し上げましたように、監視区域だけではなくて、場合によっては伝家の宝刀である規制区域を含めてもっと国、地方自治体は目を先に向けてそれらの有効な手当てをすること、これが一つ。これが短期的施策の第一の施策だと思います。
それから二つ目は、金融機関の土地融資、これについてしっかりと大蔵省を含めて監視をいただきまして、それらについてもし土地投機をあおるような、言ってみれば過大な投資、こういうものは規制する。こういう施策をとっていただきたい。それから国公有地の払い下げ、これについても先ほど三鷹市長のお話もございました。やはり地価を上げるような払い下げは私はすべきではない。これは国民のまさにひとしく持つ財産ですから、これは信託方式等を含めてもっと有効な別の手だてをする。そういうようなことで宅地、こういうものに使っていくというようなことを私はすべきだと思う。そういうようなことを短期的にしながら、やはりそれぞれ引き下げ目標の設定と手段というものをひとつきちっとしていっていただきたい。
それから、政府でも明確に住宅宅地の需要予測、こういうものをしっかりと立て、その計算基礎というものを私たちサラリーマン、勤労国民の前に公表いただいて、そういうプログラムを立てていただくこと。これが当面私は必要ではないかと思います。
中長期的な地価引き下げ、これにかかわりましては、何といっても東京への一極集中、大都市圏への集中を排除するということがやはり私は戦略的に重要だと思います。そのためには、先ほど石原参考人のお話もございましたが、思い切って行政を含めて新しい新都市等を含めたもっと雄大な構想も、私は移転計画みたいなものを国民のアイデア等を求めてひとつぶち上げるというようなこともしていくべきではないかと思います。
それはそれとして、当面はこのように権限それから情報、すべてが東京等に集中をしている。こういう中にあって、防災上の問題等を含めて私はもうキャパシティーに限度があると思います。そういう面で、工場を含めてもっと分散させていく。これからは地方の時代であります。まさに企業を含めてもっと地方に企業活動を移していく。そういう中で私どもの住宅も、あるいは環境を含めたゆとりのある生活の状況もつくっていく。こういうようなプログラムを立てていただきたい。そのための一つの方策は私は交通アクセスにあると考えます。御案内のとおり、リニアを含めて我が国は大変高度な技術を持っているわけですから、それらの技術というものを有効に使う。こういうようなことをしまして、きちっとした交通網を整備するという中にあって、そういう分散をしていくということが一つの手だてではないかというふうに思います。
それからいま一つは、とは言ってもやはり大都市においては狭小過密の住宅地が現存をいたしておるわけであります。これらは言ってみれば人間の生活にとってやはり改造しなければならないこれからの課題でございますので、そういう面では老朽、狭小住宅、こういうものを建てかえるようなそういうための詳細な都市計画、こういうものをつくっていただく。そして順序をもって建てかえていってもらう。あるいは公団住宅等も含めてもう少し高齢化も踏まえた住宅、多様なニーズにこたえ得る住宅へと切りかえていく。こういうような形でもってひとつやっていただきたい。そういうことをすること。そして、具体的には先ほど言いましたように農地、これを私は生産緑地を含めてきちっと営農をやる人には担保をしてもらって結構。ただし、そうでないところについてはきちっと宅地化の方向を定めてもらう。そして宅地にしてもらうためにはいろいろの先ほど私が要望いたしましたインセンティブ効果を持つような措置をとっていただく。農家の方々にもそういう面では、言ってみれば安心してその土地を活用し得る、そういうようなシステムを社会的につくっていく。これが私は言ってみれば土地を有効に活用し、そして住宅供給もでき、そして地価も上げないで済むという形になっていくのではないか。そういうプログラムをぜひとっていただきたい。これが第二点に対する考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/22
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023・村沢牧
○村沢牧君 参考人の皆さんありがとうございました。私の与えられた時間が終わりましたのでこれで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/23
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024・井上孝
○井上孝君 自由民主党の井上孝であります。きょうは五人の参考人の方々、貴重なお時間を割いて参議院の当委員会のために有益な御意見を承りまして心から厚く感謝申し上げます。
今、同僚議員であります村沢委員の質問を伺っておりましたら、私が御質問申し上げたいと思うものが大部分入っておりました。三日も四日も同じ法律を相手に議論しておりますと、与党と野党分かれておりますけれども、かくも考え方が同じになるのかなと思ったわけでございます。したがいまして、アトランダムになりますが、重複を避けながら御質問申し上げます。
初めに、村沢委員が石原さんに御質問になりました土地基本法ができ上がった後具体的な土地政策として何をすべきかということにつきまして、石原先生の御意見を伺いましたから坂本参考人の御意見を承りたいと思います。
土地基本法は再三言われておりますように、土地に関する基本理念の宣言法であります。これから直ちに具体的な施策が出ておるわけではございません。したがいまして、この基本法が成立した暁には、政府として具体的な計画の策定に関することとか、あるいは土地取引の規制とか受益者負担のかけ方とか、そういういろいろな具体的な施策に関する法律、政策が必要だと思いますが、石原先生は村沢委員の御質問に答えて、まずやるべきは土地利用の詳細計画を立てること、あるいは土地供給プログラムを策定すべきだとおっしゃいましたが、この点について現実の地方行政に当たっておられます坂本市長さんは、基本法ができて具体的にまず何から着手すべきとお考えか、承りたいと思います。
続いて柿沼参考人にお願いしますが、土地基本法、今申しましたように、土地に対する基本理念を定めたものであります。これは法律として国会で成立してそのままでは何の役にも立ちません。やはり日本人が従来持っております土地に関する執着をした意識、非常にこれが強いと思います。これを変えていかなきゃならない。土地は公共のものであるということをPRしなきゃいけません。これを国民に周知徹底させるのに私が心配しておりますのは、我が政府はPRが大変下手であります。自由民主党も下手でありますけれども、政府も下手であります。こういう点について柿沼さんに何かいいアイデアがございましたらお聞かせを願いたいと思います。
まず初めに坂本参考人、そして柿沼さんから御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/24
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025・坂本貞雄
○参考人(坂本貞雄君) 土地基本法は先ほど申し上げましたように、日本のこれからにおける土地問題についての憲法とでも言うべき性格のものだと思っております。そうしますと、ほかの参考人の方も御指摘ございましたように、まずその精神に基づいて公共性ということを貫いていける方策がどうしても必要になってくるということが言えると思います。そうしますと、公共的施策として公共的な理念ということを貫いていくとするならば、そこにはどうしても土地を商品化してはならないということにつながってくると思います。そうしますと、そこに出てくるのは、地価の抑制ということが最大の急務として急いでいただかなければならないものだというふうに思っているところです。
簡潔に実例で申し上げますと、今私が住んでいるところは三鷹市の駅の近くでございます。昭和二十五年のときの価格は三・三平米当たりで千二百円でございました。それが六十三年、最近の価格は三・三平米で九百万と言われております。八千倍です。それから、建築の方はどうかといいますと、その当時は木造の家屋ですと三・三平米当たり三万六千円で建てられたわけです。今相当高くなったとしても六十六万出せばかなりいい建築ができます。つまり、建築の方は二十五年から今までの間十九倍しかなっていない。にもかかわらず土地だけは八千倍にはね上がったのだ、こういうことなのです。
そうしますと、ここには、今までは共通の公共の資産としての理念もなければ何もなかったということが言えると思うのです。この辺のところをまず早急に法律の中で明記をして、そして公共の理念ということを前面に出してやっていただきたいものだというふうに思います。
そこからしますと、今度は当然地価の抑制策とかこうしたものが生まれてくるはずでありまして、そこのところが一番土地基本法を制定するに当たっての最大のものになってくるのではないか、ぜひそのことをひとつお願いしたいものだとこんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/25
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026・柿沼靖紀
○参考人(柿沼靖紀君) 私は限られた国土、これを国民のために有効に利用する、そういう面で土地の公共的利用、これを優先させなければならない、こういう趣旨のことを先ほど申し上げました。
しからばこれに対してどういうふうな国民への意識改革あるいはPRの方策があるかというお尋ねでございます。
大変難しいのですが、幾つかのキーワードを出すとすれば、一つはやはり安心、それからゆとり、そして環境、この三つの言葉を私はうまく使うべきであろうというふうに思います。
安心というのは、先ほど言いましたように、これから我が国は大変な高齢化社会へ向かってまいります。その面でいかにして私たちの住生活を含めて限られた土地あるいは国の土地、地方自治体の土地というものがそれに使われているのかということをPRしていくこと。
ゆとり、それは一面では若い人たちを含めて豊かにこれからリゾートを含めて遊べる。そういうところにも実はきちっとした土地政策が加えられているのだ、こういうふうなことをうまく、さりげなくやはりPRをするということも手でありましょう。
またもう一つ、これからの一番大きな課題は環境保全。これを我々はどういう形でもってしっかりと組み立てていくかということになってまいります。これにはやはり土地の利用の仕方、こういうところが一番キーになってくると思います。
そういうところをひとつキーワードとしながら、政府といたしましても、あるいは国民挙げてこれらに対する関心を起こしていくという必要があるのではなかろうか。大変抽象的でありますが、そういう考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/26
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027・井上孝
○井上孝君 ありがとうございました。
次に、石原参考人にお伺いいたしますが、先ほど受益者負担といいますか、受益の還元につきまして、非常に実際には困難があるというお話を伺い、かつ常磐新線の問題で、東京中心部と直結する場合には東京にいる企業にも場合によっては負担させるべきだとおっしゃったように受け取ったのですが、開発利益の還元についてもう少し具体的にどういう方法が考えられるのか、先生のお考えを伺いたいと思います。
それから公的評価が三つあるいは四つぐらいございますが、これの一元化ということが衆議院の委員会の決議でうたわれております。これにつきましては、先ほど村沢委員から横須賀さんに御質問がございました。横須賀さんからも極めて明快な御答弁をいただきました。これまた坂本市長さんにお願いしたいのですが、先ほど坂本さんはやはりこの点に触れられまして、公示制度、国の公示価格がいろいろある。四つに分かれておるとおっしゃいましたが、これは非常にわかりにくい。そしてちょっと間違っているかもしれませんが、一元化とはおっしゃらなかったですが、何か配慮をしてもらいたいというふうにおっしゃったように私承りましたが、分かれておりますいろいろな評価について、坂本市長さんはどういうふうな一元化をすべきだとおっしゃるのか。先ほどの横須賀さんの御答弁は、課税標準としての問題というものであれば一元化はむしろよくないのじゃないかというようなふうに承りましたが、その点、坂本市長さんいかがでございますか、お考えをお聞かせいただきたい。
私が今申しましたことで、横須賀さんに何か御意見ございましたらもう一度お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/27
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028・石原舜介
○参考人(石原舜介君) 受益者負担のあり方に関しましては、これは昔から都市計画上の問題でもございますし、各国でいろいろ苦労しているところでございます。
一番端的に徴収いたしましたのは、何といいましてもイギリスの戦後の施策でございました。これは戦時中にアスワット委員会におきまして土地の国有化是非問題を議論いたしまして、そして当時といたしましては、復員する人たちのための住宅手当て等非常に土地需要が拡大してくるのに対しましてどうするかということもあわせまして議論されて、土地の国有化を図ろうということを考えました。これが適正かどうかということで議論されたときに、開発権の国有化において、土地の国有化にかわる施策がとれるというような考え方で開発の許可制というものをしきましたのが都市地方計画法の中で考えられた施策でございまして、そのときに開発に伴います利益を課税するというふうなことが行われました。これは御承知のように労働党の社会のときには非常に過酷な税金がかかり、そして保守党になりますとこれが安くなるというようなことで、労働党の時期には開発を手控え、そして保守党になったら開発が活発になるというようなことが行われておりまして、現在サッチャー政権ではこれが廃止されてしまったというようないきさつがございます。
こういうふうに一番端的なやり方をとりましたイギリスでさえ、受益をその場所で取るということだけでも非常に難しい問題がございます。
それで、そういうように直接的に結びついたような形でやりますと、これは土地区画整理事業の減歩のように、はっきりとそういうふうな地域に密着しまして負担をするというような場合にはある程度理解できるのでございますが、なかなかほかの社会的要因による値上がりにつきましてはこれはなかなかそこまでいけない。ですから、そこの工事費だとかそういうふうなことだけでしたら土地区画整理事業のようにある程度の負担はわかります。
そういうふうなことで考えますと、これを受益者負担というふうな言い方をしますとなかなか取りにくいのですけれども、しかし、何らかのそういう財源措置をとらないと住宅地の供給が円滑にいかないというふうに考え、特に鉄道の一体的開発ということが言われておりますが、法律は通りましたのですけれども、用地の手当てを地方自治体がしなければいけないというのは、これは地上に出てくる沿線ではそういうことができるのですけれども、実際の都心の方へアプローチするルートにつきましては、とてつもない用地費がかかりますので、とても手当てができない。ということになりますと、実質的な一体的開発の効果を十分発揮することができないとなれば、これをうまくやっていくための負担のあり方というふうなことを考えますと、先ほど言いましたように、直接的な結びつきはないのですけれども、何か全体的に環境として影響を受けそうな地域に対しまして、何らかの企業にそういう負担をすることによって受益があるのじゃないかというようなことを、直接的な反応ではなくて、ある面政策的にそういうものを考えて、目的税的な課徴金というような形みたいなものにすれば、多少はこういうふうな面で求めていくことができるのではないかなというふうにも思います。開発利益の還元ということは非常に大切なことなんですけれども、各国とも悩んでおりまして、十分なことはなかなかできないとは思いますけれども、そういうような施策をとってみてはという、ただアイデアでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/28
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029・坂本貞雄
○参考人(坂本貞雄君) 土地のいわゆる価格の表示関係でございますが、先ほど申し上げましたように、今現在のものは内容が私どもでもなかなかわかりにくいという内容を持っておって、しかも実勢価格に近いというものになっておりますから、したがって先ほど申し上げたように高値安定の一つの基礎ともなれば、逆に今度は値下がりにブレーキをかけるという役割も果たしつつあるということでございまして、ここのところの公示価格というものは実勢価格と大体対応していくべきものかどうかということに疑問を持つわけなんです。一体国として、あるいは自治体として土地というものが、戦後これまでの間約八千倍にも上がってきているものが果たして妥当かどうかとなるというと、これは公共性ということから見て非常に問題の多いところではなかろうかというふうに思います。
それから、これは公示関係で、固定資産税との関係となりますと、家屋や償却資産、これは全国みんな建築は建築価格で見ていきますし、償却資産も買った値段で見ていきますから、これはもう一定水準でいっているわけです。そうしますと残るのは土地になってくるので、そうすると土地につきましても生産を伴う事業所の土地と、それから一般の居住用の宅地では、宅地の方はこれは非生産ですから内容が違ってくるのです。そして、事業所の方であるならば、これは税法上地方税で納めれば国税で控除するという、こういう道が講じられておりますけれども、宅地については全然考慮の余地がない。こういうところにあるのが一つと、それから宅地については全国同一の法律で見た際に格差があり過ぎるということに最大の原因があろうかと思います。そこで、これを一本化して見た際に一体どうなるかとなると、地域ごとの税法の措置によって緩和をするか、あるいは今のような形にしても改善の余地を見ていくか、何らかの方法が考えられるべきではないのかということなんです。今そこまで言及しなかったのは、土地基本法を中心にして申し上げたものですから、差し控えておったわけですけれども、この辺のところが今後の対応としてお考えいただかなければというふうに思っているところです。
今、それではこうすべきだというような内容があるか、そこまではまだ踏み込んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/29
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030・横須賀博
○参考人(横須賀博君) ただいまの公的評価の問題でございますけれども、御案内のとおり、公的評価の公示価格というものが高値安定にあるのではないかというようなお話がございましたけれども、もともと公示価格というものの役割は、取引の指標としての役割を果たすということでございまして、一般の土地の値段というものがどんな水準にあるのかということを公示することが目的でございます。したがいまして、この価額について恣意的な価額を政府が公表するということになりますと、国民に対する惑いにもなりますし、土地政策を誤ることになる。そういうこともあって、いわゆる中値といいましょうか正常な取引価額を公示して、土地政策あるいは日常の土地の取引の指標に役立たしているわけでございます。
したがいまして、一年に一回しか公示しておりませんので、年内に下がったり上がったりしますと、あるいはいろいろな懸念ができるかと思うけれども、それらは、いわゆる土地情報という制度によって補うことが可能ではないか、かように思っております。
それから、固定資産税の問題でございますけれども、御案内のとおり固定資産税は、たしか昭和六年まででしょうか地価を課税標準にしていた。その後賃貸価格を課税標準とするようになり、昭和二十五年のシャウプ勧告によって再び地価を課税標準として今日に及んでいるわけでございますけれども、そういった経過から見れば固定資産税の評価というのは、現在の収益をベースとして、土地の所有というものに着目して所有者に負担能力を見出して課税していく。こういう税でございますから、税の何といいましょうか、税の仕組み、目的、これらの周知徹底ということが固定資産税の理解に役立たせるのではないか、かように思っております。
したがいまして、固定資産税の課税標準額をある公示価格ベースにするということは、国民に負担を強いることになりますし、これはできない。したがいまして、公的評価が幾つかの価額になる。例えば公示価格にそれから相続税の評価額。相続税の評価額はおおむね公示価格をベースに求められておりますから、これらと固定資産税の価額というものはちょっと離れておりますけれども、先ほど申し上げましたように、おのおのの税にはおのおのの目的があるということのPRをする以外に今のところ対策はない、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/30
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031・井上孝
○井上孝君 ありがとうございました。
横須賀さんに再度伺いますが、先ほども村沢委員も触れられましたが、銀行の不動産融資の適正化という問題です。
現実に銀行が恣意的な融資をどんどんやりますと、地価の値上がりを非常に加速させます。また、投機的取引に対する融資というものも非常に問題でございますので、御承知のように、大蔵省銀行局で、ある程度の個々の銀行とのヒアリングなんかをやって、規制といいますか抑制を図っており、しかもそれが相当効果を上げておるという答弁も伺っておりますが、実際は銀行からどんなふうになっているかというとヒアリングなんですね。融資をしたからといって罰則があるわけでもないようですから、何か不動産関連融資、特に投機的取引を助長するようなもの、融資の条件等について、これを抑制する何かうまい方法はないのかという感じがいたしますし、今の大蔵省がやっております銀行に対するヒアリングについても、専門の立場で、もう少しこういうことをやってはどうかというような、横須賀さんにお考えがありましたらお聞かせを願いたいと思います。
それから、石原参考人にもう一遍伺いたいのですが、これも村沢委員が触れられましたが、首都機能移転という問題についての石原参考人のお考えはよく先ほどの御答弁でわかりました。わかりましたが、石原先生の御答弁では、首都移転、それが非常に何か革命的なときでないとなかなか難しい。したがって業務核都市というものを提案した。これは首都改造として提案したと言われますが、先ほど柿沼さんもちょっと村沢委員の御質問に対して御答弁になっていましたけれども、私ども首都機能の一部をしかるべきところへ移転させる、機能の一部。じゃ、機能というのは何かというといろいろあると思いますが、そういうふうに今東京に全部が集中しておりますあらゆる機能のうちの一部を移転していくということについての石原先生のお考えをお聞かせ願いたいと思いますす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/31
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032・横須賀博
○参考人(横須賀博君) お答えいたします。
銀行の融資と地価との関連という御質問かと思うわけでございますけれども、金融政策上の問題は私の専門外でございますので、明快なあるいは納得のいける回答はできないかと思うわけでございますけれども、私が実感として受けていることだけを申し上げて御参考に供したいと思っております。
不動産について銀行が借り入れの申し込みに対して融資をするときには、おおむねどのような理由で融資を受けようとしているのかということは銀行サイドではわかるはずです。わからないで融資をしているということは現実にはあり得ない。私も幾らか不動産を購入したことがございますので、そのたびごとに銀行からいろいろな質問を受けて借り入れ手続をするわけですから、これがいわゆる投機的取引であるかどうかということは十分にわかる、予知できるはずだ。こういうことを踏まえた上での金融政策というものを行うことがいいのかと、かように思っております。
それからもう一つ、投機的取引ということでございますけれども、今回の国土利用計画法の一部を改正するものの中に、監視区域としていわゆる転売、短期間の転売を投機的取引として監視の目を光らせるという規約が改正案として俎上にのっておりますけれども、これらの改正案を早急にお通し願うことによって今のお答えにかえることができるのではないか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/32
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033・石原舜介
○参考人(石原舜介君) 首都移転の問題でございますが、首都機能の一部をほかへ移すという場合には、これは我々分都だとか展都だとかそういうような言葉で表現さしていただいておりますが、展都の場合には、今回の業務核都市の場合でも、一部そういうような移転機能というものを政府もいろいろ調査されまして、そしてそれぞれ移転を考えるような措置がとられております。本四架橋公団のように神戸の方に移転することが決まっている機関もございます。確かに一部そういうふうなことを移すという場合には、我々はその大部分が展都になるのじゃないかというふうに考えております。それは、やはり東京を中心とします周辺区域へ分散するというふうな形になりますと、関東平野におきます水の問題だとかエネルギーの問題だとか、あるいは先ほど問題になりました廃棄物の問題だとか、こういうものは機能を分散しましてもほぼ同じような結果になるわけで、その点に関しましていろいろ調査をいたしましたけれども、一番問題になりますのは、先ほどお話が出ましたように、そのときに最初に挫折するであろうと思われるものが廃棄物でございます。特に建設残土の扱いというのが非常に問題になろうというふうに思っております。
そういうことから考えますと、機能の一部の周辺部への移転は、そういう意味の限界性から考えますと、展都の場合には余り効果がなくて、ただ土地の問題に関しましては、東京の都心からその当時大体一時間半ぐらいの圏域で、航空写真であいている土地全部を拾い集めまして、約四万ヘクタールぐらいの空き地があるということになりまして、実際その間にどのぐらいの土地が必要かということを試算しまして、二十一世紀過ぎ、二〇二五年ぐらいまでの間の需要といたしまして大体八万ヘクタールぐらいの必要が出てくるというふうに予測しますと、業務核都市から一時間圏域で切りますと大体十一万ヘクタールの余地があるというふうなことから、そういうところへ分散すれば土地の面においては一応機能するという形で、首都機能の一部分散を展都の形でやればそれほど摩擦なく行えるなというふうなことで業務核都市という提案に変わったわけでございます。
それで、もしも分都というふうな形で一部政府機関のものを、例えば大阪だとか名古屋とかあるいはそのほかの地域に移すということになりますと、これは一部のものを移せばその一部のものにかかる不便さといいますか、機能、そういうふうな面が、政府は、やはり一体的な運用ということがございますので、非常に支障を来す危険性もあるなというふうに考えまして、分都には割合積極的でなかった。それで、移すのであればこれは遷都だということで遷都の候補地をいろいろ選定いたしまして、そのときにいろいろ試算をしたわけでございます。そういうための候補地としては幾つか考えましたけれども、いずれも問題は交通でございまして、これをどのように新しく骨格をつくっていくかということを中心にして考えていかなければいけないだろうというふうに思っております。フィジカルな立場だけで申し上げましたけれども、そういうことを配慮いたしまして、業務核都市という形にすれば交通体系の整備あるいは住宅地の整備等、土地の手当て、こういうものは現在より相当緩和できるというふうなことで提案させていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/33
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034・猪熊重二
○猪熊重二君 公明党の猪熊重二と申します。本日は大変に御苦労さまでございました。
いろいろお伺いしようと思ったら、先ほどからもうほかの委員の先生方がお伺いしましたのでごく簡単にお伺いしたいと思います。順番にお伺いさせていただきます。
まず、石原参考人にお伺いいたしますが、先ほどの石原参考人のお話で、本法について土地基本政策的な側面において非常に有効、効果的であるというようなお話の中で、十二条の二項について、「国及び地方公共団体は、」「需要に応じた宅地の供給の促進が図られるように努めるものとする。」、こういう条項が入ったので非常によろしい、これに応じて早急に宅地供給プログラム的なものを策定することが必要だ。このようなお話がございました。
この場合、石原参考人がお考えになっている需要に応じた宅地の供給という場合の宅地についてどのようにお考えいただいているのだろうか。今、都市部における土地全体について非常に問題はありますけれども、一番問題は居住のための住宅敷地ということになっておるわけです。この十二条の一項をごらんいただくと土地の高度利用というふうなことが書いてあるわけなんです。この場合、宅地の供給というのがいわゆる居住建物の敷地というふうなことをお考えいただいているのか、それともいろんな事業所、事務所、あるいは都心に倉庫はないでしょうけれども、居住用建物の敷地以外の宅地利用も含んでいるようにお考えなのかどうなのか、その点が一点でございます。
立ったついでにもう一点お伺いしたいのは、我が党もこの土地基本法には賛成はしておるのですけれども、どうも土地基本法の中に公有地、公共用地の拡大というか強化というかその辺のことが直接的には何も規定されてはおらないのですが、この辺については先生どのようにお考えでしょうか、第二点。これだけでございます。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/34
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035・石原舜介
○参考人(石原舜介君) お答えします。
まず初めに、端的に申しますと宅地開発プログラム自体に関しましては、住宅以外の業務用その他の用地の開発は含んでおりません。一応住宅を中心とする宅地の供給プログラムということを念頭に置いてお話し申し上げました。
その場合にどのようにするかということは、これは今までの経験から申しますと建てかえ需要が幾らあるか、それから再開発とか新しく既成市街地の開発でどのぐらいの住宅が建つか、それから新規に宅地を必要とする戸数はどのぐらいか。こういうことを仕分けいたしまして、それに見合う宅地量というものをどのような場所にどうやって供給するかということを出すのが宅地供給プログラムでございます。
それから公有地、公用地の拡大の問題でございますが、これは何といいましてもスウェーデンが先駆的に公有地拡大を行ってきておりまして、今世紀初めから例えばストックホルムなどにおきましては五万ヘクタールを超えるような公有地を持っております。こういうことが可能になったというのを考えてみますと、やはり寒冷地で大変周辺部が高地であったということがこういうことを可能にした。たまたまそこへ地下鉄あるいは鉄道を敷きまして住宅地開発をしたというようないきさつがございますので、農地だとかもう我が国みたいな緻密に利用している土地を公有地拡大という名のもとにやろうとしましても、せいぜい先買い権程度しか行使できないのじゃないか。そうしますと、先買い権を行使する以上は、そこに何らかの計画的前提がないと先買い権自体も行使していくことが非常に難しいというふうなことで、確かに公有地等の拡大を行えばそれだけ有効になりますが、ここで問題になりますのは、かつて四十八年当時地価の暴騰が起こったときに公有地拡大法を制定したわけでございます。そうして結局一番高いものをつかまされてしまったというのが公共団体いわゆる商売人じゃないのですね。大変そういうふうな点なども考えまして、これは確かに必要なことでございますが、これには相当バックになるいろいろな背景をつくっていかないと、ただ単にお金を貸すから公有地を拡大しておけというようなやり方では、これはどうもうまく機能しないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/35
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036・猪熊重二
○猪熊重二君 続いて坂本参考人にお伺いしたいと思います。先ほどのお話にもございましたように、三鷹市の中に大きなビルでもできる、そのビルが特にマンションのような場合、先ほどからいろいろお話が出ておりますように上下水道から道路からごみからそのほかのいろんな光熱関係の問題、ともかく市としては非常に、そう言うと言葉が露骨になってあれだけれども、迷惑な話にもなりかねないわけですね。特に前から住んでおられる方々にとってはそのために水道の出が細くなったとかごみの回収が遅くなったとかいろいろあると思うのです。今回そういう都市計画的な側面が基本法の中には直接的にはないように私は思うのですが、市長さんとして、町づくりの中で土地の問題というのはすなわち建物の問題ということになるだろうと思うのですが、その辺についてこういうことをもう少し考えてみたらどうなんだというふうなことがございましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/36
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037・坂本貞雄
○参考人(坂本貞雄君) 宅地の問題いわゆる建物の問題と土地とのかかわりということですが、それに先立って一つ基本的なことで申し上げますと、今日本の都市というもののあり方がいわゆるゆとりとか、今の言葉で言いますとアメニティーといいますか、こうした面で物を見た際に西欧諸国から見ると約百年のおくれがある、こういう指摘も一方にあるわけです。そうしますと、それに追いついていくには何かと言えば住宅をつくると同時に住環境、良好な住環境をつくり出していかなければならないというのが今後の町づくりの使命だと思っております。良好な住環境をつくり出していくものは何かというと、緑、水辺、空間、これは欠かせないわけです。公園、これも空間の一つですけれども、欠かせないわけです。そうしますと今宅地の問題と関連しますと、あいているところが宅地化していく余地はあると思うのです。しかしそれをつぶしてしまったら今度は良好な環境の都市づくりはできない、こういう関連性を持ってきます。それで市内に住む大多数の市民は勤労者である。今度は憩いの場所がなくなっちゃう、そういう関係が出てくることが一つあります。
それから都市機能の面から見ますと、例えば水道一つ見ますと、私どものところは当初一日の一人平均の供給量が三百二十リッターで計算しました。ところが今は水の使用量が昔と比べてずっとふえてきております。三十三年当時と全然違っておりますから、そうしますと普通にして約三百四、五十リッター、一番暑い盛りになりますと四百二、三十に上がるのです。そうしますと線が細くなるも細くならないも、水源そのものが間に合わなくなってきて、しかも私のところは早かったものですから、地下水を水源としたわけですが、とても間に合わないので、地下水はあととれませんから、そうすると足りないところは東京都から買い受けてと、こういう方策をとっているのですが、そうしたこと。ごみの問題、こうしたものが重なってまいりますというと良好な住環境そのものに影響を来す。こういうことになってくるところなんです。
お答えになったかどうかしれませんが、そうしたことから見ると、ちょうど今住んでいるのが一平方キロ一万ということでありますから、まず都市づくりの上から見るとちょうど手ごろ、限度のところだというような状況で申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/37
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038・猪熊重二
○猪熊重二君 横須賀参考人にお伺いします。
いわゆる投機的取引の禁止ということが今度法文にも書いてあるわけですが、どの辺までもうけたら投機的取引になるのかというふうなことで、投機的取引というふうなものについてどのようにお考えなんだろうかという点が一点です。
それからただ投機的取引を規制するために、いわゆる国土法で規制区域というふうなことをやったにしても、先ほどの先生のお話だと市場原理を否定したのじゃだめなんだ、市場原理を前提にした上での規制でなければぐあいが悪い。こういうふうなお話があったと思うのですが、ただ一般の問題については確かに市場原理を否定しても事はうまくいかないよというのはわかるのですが、国公有地、こういうふうなものの取得については、あるいはそれの国から地方団体への賃貸なり売却なり信託的譲渡なり、こういうものについてはもう一切そういう市場原理を無視してというか抜きにしてというふうなことも考えられるのじゃなかろうかと思うのですが、この二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/38
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039・横須賀博
○参考人(横須賀博君) お答えいたします。
土地の転売によってどのくらいの利益があったら投機的取引と言うのかということでございますけれども、投機的取引そのものは利益の額ということではなくて、土地を購入するときに転売財と認識して土地を購入するかどうかということにかかるのではないかと思うのです。したがいまして、土地が公共財であり利用財であるという感覚で土地を購入するのと、転売財であるという感覚で土地を購入するのとではおのおの異なるわけでございますけれども、それではそれをどのように認識したらいいのかということになりますと、非常に難しい問題があります。
したがいまして、今国会で成立を願っている国土利用計画法の一部改正の中でのいわゆる投機的取引の規定、転売に次ぐ転売といういわゆるエンドユーザーに直接結びつかないようなそういう取引をもって投機的取引と言う、そういう国土法の一部改正の中身がおおむね投機的取引と言えるのではないかな、かように思っております。
それからもう一つの、公有地の拡大に伴って市場原理を導入しなくてもいいのじゃないかということでございますけれども、国が地方公共団体に処分する場合に、市場原理ということよりも、市場原理を度外視するということになりますとなかなか難しいわけでございますけれども、幸いに日本には地価公示制度というものがございますから、地価公示制度といいましょうか、これを裏づけする不動産の鑑定評価制度、こういうものの活用が幾らかでも役に立つのではないか、かように思っております。
もとより、民間から民有地を国または地方公共団体が取得する場合に、これは市場原理を導入しないではぐあいが悪いし、市場原理を導入した上でむしろ積極的に恩典を与える。地方公共団体、いわゆる公有地の拡大に寄与した私有地の提供については、思い切った恩典を与えるということによって供給の拡大を図るということをお考えになられたらいかがか、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/39
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040・猪熊重二
○猪熊重二君 時間がありませんので、最後に柿沼参考人にお伺いしたいと思うのです。
先ほど連合における構成員の土地に関する意識調査についていろいろお話をお伺いしましたが、もう一点組合員の皆さんの意識改革というか意識の問題として、土地は持つものかそれとも利用するものか、この辺が非常に問題があるだろうと思うのです。どうしてもマイホームを持ちたい、こういうことになってくると、どうしても土地は所有しなければならない。しかし、所有するよりも快適な状態で利用できればそれでもいいというか、その方がいいのじゃなかろうかというふうな意識の変革というふうなことについて、組合員の現在の意識調査とかあるいはそれに対する変化の動向とか、その辺の問題についてどうお考えでしょうかという点が一点。
もう一点は、先ほどからどうも私は国公有地の拡大ということが非常に重要なことだろうと思っておるのです。それは何も国なり地方公共団体が土地を持っていることが重要なんじゃなくて、持っている土地をいかに都市部においては住宅として供給するかという点が力点ですから、このような公共用地の拡大ということについてどのようにお考えだろうかという点。この二点簡単にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/40
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041・柿沼靖紀
○参考人(柿沼靖紀君) 第一点。サラリーマンは現在土地所有についてどういう考えを持っているかという点について私どものアンケート調査、これは三千人を対象とした緊急調査でございますが、これをやりましたところ、現在マイホームを持つことが絶望的になったというふうに答えたサラリーマンのうちの六割が、なおできたらマイホームを持ちたいという考え方でございました。自分たちのゆとりある生活ということを考えた場合に、やはり何でもいいから一つ自分の城を持ちたいというのは、これは私は働く者の願いであるというふうに思います。したがいまして、可能な限りマイホームの実現に向けて政治的な努力をいただくということが私は肝要ではないかと思います。
ただし、これは願望でありますが、同時にその人たちでも都心から例えば二十キロ圏あるいは三十キロ圏、五十キロ圏、それぞれ住んでいるサラリーマンによってその答えが微妙に違います。まず、少なくとも東京都心に近い人たち。この人たちはやはり、とはいってもなかなか現行ではマイホームを取得できないので、できたら公共賃貸住宅、こういういわば公的な住宅、こういうことの手当てをしてほしい。こういうような意見を持っているということをお伝えしておきたいと思います。
それからいま一つ。実は先ほど共用住宅の話をいたしましたが、サラリーマンの一部は社宅に住んでおります。社宅に住んでいるサラリーマンは比較的これまで、言ってみれば生活にも若干ゆとりがあった。しかし、それをしながらも何とかライフステージのある一定の時期、大体組合員の考えは四十歳を一つの境にしてマイホーム取得という計画を持っておるのですが、いわばこの時点で絶望的になった。社宅にも住んでおられなくなる、こういういわば危機感が今大変強くなっております。そういう人たちの危機感にもこたえるためにも、先ほど言いましたように、何とか政府もあるいは労使も力を入れて、新しい一つの取り組みのパターン化、これをつくっていくということをお願いしたのは、私どもはそういう意見を体してだというふうにお伝えをしておきたいというふうに思います。これが第一点であります。
それから第二点目、国公有地の拡大に関してのお尋ねでございました。これは私もぜひこの点について手当てをいただきたい。できれば明文化していただきたいということをお伝えしたわけでございます。その場合に、先ほど来御議論のとおり、土地を提供していただく方に対しては、特に大都市については思い切って、例えば土地譲渡課税、こういうものに対しては優遇措置を与えるというようなことをしてもよろしいのではないか。あるいは地方自治体が取得をするというようなことに対して、国が思い切ってそれに対して利子補給等の手当てをするということで、国民生活のために必要な土地というのはそうやって手当てをするということ。このことを私はぜひしていただく必要があるのではないか。そして、そういうような国公有地、これを手当てしたものを、オフィスビルというものではなくて、私たちが再々言っております公共賃貸住宅を含めたあるいは分譲住宅を含めたものを主としていくというふうなことの、いわば目的を特定した形でもってお願いしたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/41
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042・猪熊重二
○猪熊重二君 池田先生に申しわけありません。時間がもうありませんでしたので。先生方どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/42
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043・市川正一
○市川正一君 私、日本共産党の市川でございます。私に与えられた時間というのは決定的に短いので、まことに失礼でございますが、池田参考人に絞ってお聞きすることを他の参考人の方々御了解願いたいと存じます。
池田参考人は宣言法、理念法としてのあり方の原点に立って土地基本法の問題点を論ぜられましたのですが、その立場に即しながら私は具体的に幾つかの問題についてお伺いしたいと思います。
第一点は、土地基本法の衆議院における修正で「公的土地評価の適正化等」という、これは十六条でございます。これが追加されました。この修正とも関連した問題として、地価評価の一元化という問題があります。
実は、神戸大学の早川和男教授が朝日新聞の十一月十六日付の「論壇」に投稿されました。「評価額の上昇につながるだけだ。」と、こう簡単に言うと述べていらっしゃる。各方面にこれは広い反響と共感を得ておるのでありますが、この「地価評価の一元化」という問題について見解を承りたい、これが第一点です。
それから第二点は、土地基本法をめぐって国民にとって最も切実な期待と関心は地価問題だと思うのです。ところで、今回の土地基本法がこの地価の引き下げた有効な役割を果たすものになるのであろうかどうなんだろうか。この点で本委員会でもいろいろ議論を私いたしておるのですが、率直な見解を承りたい、これが第二点です。
それから第三点は、土地基本法をめぐっていわゆる公共の福祉論、あるいは私権の制限問題などに関する種々の議論が本委員会でも交わされております。池田参考人もその陳述で、本法案の第二条にある「公共の福祉」に関して先ほど批判的な御意見を述べられたのでありますが、土地の私権制限との関係などでもう少しこの点で詳しく見解をいただければ幸いと存じます。
最後に第四点でありますが、先ほどもこの席上で問題になりましたが、土地基本法とも関連して最近とみに宅地並み課税問題が持ち出される。あたかもこれが宅地供給策の切り札かのように論ずる向きも見られます。宅地並み課税の完全実施なる動きについて池田参考人はどう見ていらっしゃるのか、所見をお伺いいたしたいと思います。
以上四点、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/43
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044・池田恒男
○参考人(池田恒男君) 順序を追って申し上げます。
第一点、地価評価の一元化はどうかという問題。これは既に横須賀参考人が述べておられるとおりだと思います。つまり、固定資産税にしても、相続税評価の基準になる路線価格にしても公示価格にしても、それぞれ制度にはそれなりの理由があった。そして現にあるということで、これを崩すというのはいかがなものかというふうに考えます。さらに、ちょっと補足的に申し上げますと、公示価格についてはそういう売買の指標になるだけじゃなくて、道路用地等に指定された場合の収用価格の基準になるわけですね。これは余り低いと困るわけです。ですから、公示価格は適正な価格じゃなければならないし、固定資産税はだれでも負担できる水準でなければならないし、相続税基準というのは先ほどもおっしゃったように生存まで奪われたらだめだけれども、しかし一方で世帯がわりの機会をとらえて資産格差の是正という、そういう機能もあるということで、これが中間に位置するのもこれも当然のことではないか。それぞれ政策当局あるいは自治体当局がそういうことを要するに必死になっておられるというのは皆さん御存じのとおりだろうと思います。
さらに、もし仮に地価評価が一元化されるとすれば、これは結局、先ほど早川先生の御議論がありましたけれども、私も早川先生と同様、評価が高くなるだけで、また現に今、石原参考人がおっしゃったように、むしろそこに意味があるのだという議論もございます。しかし、その議論は大変問題が多い、危険ではないかというふうに思います。
なぜかといいますと、まず固定資産税評価が一番低いのですけれども、これは時価の二〇%程度だと言われております。これが低いか高いかというのはそう簡単に言えない。それはなぜかと申しますと、衆議院で田中公述人、財政法の先生でありますけれども、この方が地価の水準を各国と比較しておられます。それぞれの経済実勢ですね、いろいろ問題はあるがということで一応GNPをとる。そうした場合、アメリカは国土の総価格が七割ぐらいである。ヨーロッパはちょうどGNPぐらい。昔は七割ぐらいだったのがじりじり上がって、今それぐらいであろう。日本は何とGNPの五・何倍という水準にあるということです。したがって、経済の実勢からすると五分の一だとちょうどいい。あるいはアメリカから比べると、アメリカの場合、これは衆議院の公述人の話でも、地価を基準にする、そして大都市ではこれが収入のかなりの部分を占めるというお話がありましたけれども、しかしアメリカの価格というのは日本の七倍以上、七倍とか八倍に当たるわけですから、アメリカと比べると、今の日本の地価が五分の一でもまだ高過ぎるというそういう議論すらできるものでございます。
それから第二に、実際そうしたらどういうことになるか。有名なこれは長谷川公述人が引き合いに出された台湾の例がございます。
私ちょっと前に台湾に実際に調査に行ってこられたある不動産鑑定士の方から直接伺ったのですが、これは台湾では大失敗であったと。台湾では一九七七年の法律に基づいて八六年に一元化を強行しようとした。つまり台湾では公告現値という日本で公示価格に当たるものと、公告地価と言われる日本では固定資産税と相続税評価額に相当するものと二つあるわけですけれども、この公告地価というもの、つまり固定資産税の方を公告現値、つまり公示価格に統一するということですけれども、結局これが大失敗して、ついに三年、ことしの七月の本来公示が出るはずの公告地価が結局出せないまま現在に至っている。こういう状況でありまして、これはとんでもない政策であるということになるだろうと思います。少なくとも台湾の例からはそういうことが言えると思います。
それから、保有税を強化したら供給は促進されてうまくいくだろうという議論がありますが、これもおかしいので、例えばアメリカとの違いを見ますと、それは単に地価の水準が違うだけではなくて、アメリカは非常にゾーニングがしっかりしております。用途地域が非常にしっかりしております。したがって、アメリカでの土地の価格評価というのは結局その土地土地に与えられた用途に応じた地価がつくわけです。したがって、地価評価といっても収益還元価格にかなり近くなる。これはアメリカでも大都市あたりではいろいろぶれが出てくるでしょうけれども、アメリカ全体については言えるのではないか。そういう意味でも、これを日本みたいに混合用途制が原則となるような国で無差別にやるととんでもないことになる。住宅地は先ほど価値を生まない土地ということを言われましたけれども、こういうところにも大企業が稼働する利益を前提とするような地価、こういう税金がついてくることになると思います。こういう点を、つまり土地制度の違いを十分に留意していただきたい。
長くなりましたが、第二点、地価問題であります。これは有効かというと、端的に申しますと私は全く有効でないというふうに思います。なぜか。地価問題あるいは地代というのは、構成する要素というのは非常に複雑でありますけれども、単純に言いますと、基底的な部分と、それから現代資本主義と申しますか、つまり六〇年代後半、とりわけ七〇年代以降展開されてきたのは、日本の今の資本主義の展開、グローバルに展開するとりわけ金融関係の動き、こういうことで決まる地代、地価の部分。それから、あと全くのバブルといいますか、仮需要と言われているもので決まる部分があります。私権制限で非常に有効なのはこの一番最後の部分、全くの仮需要。ここについては非常に有効だろうと思いますけれども、あとの二つは実際にそういう経済の仕組みで出てくるもので、地価というのは非常に正直なものだと思うのです。したがって東京あたりの地価というのはこの第二の要素が非常に強いわけです。
ですから、先ほど言いましたように土地基本法というのは基本的にどうも高度利用を促進するための露払い、そういう役割だとしますと、私はそう見ているのですけれども、そうだとしますと、これはむしろこういう経済の動きを促進することになる。そうすると結局地価が上がる。非常に明快に上がるという結論が出てまいります。
それから第三。土地をめぐる公共の福祉の問題は、先ほどいかにいろんな見解が分かれているか、そして現実にはむしろ勤労者の人権だとかあるいは表現の自由だとか、そういうものが抑圧されるために使われる例があるし、そういうものの方がむしろ多いのだということを申しましたけれども、議員の先生方に、公共の福祉についての幻想を打ち破っていただくために、これは土地問題じゃない、一つだけ例を申します。
これは最高裁の判決があったと思いますけれども、監獄に入っている人ですね、刑がもう言い渡されて、別に逃げ隠れする必要がない、この人たちにいろいろ通信文書が来ます。信書を開封します。あるいは新聞は真っ黒に塗りつぶします。これはなぜ認められるかというと、これは公共の福祉で認められる、こういう話であります。つまり、ここで使われている公共の福祉とは一体何なのかということをよくお考えいただきたい。
つまり、これは私の習った先生で尊敬している川島武宜先生の名言だと思いますが、公共の福祉とかそういう概念は打ち出の小づちである、振れば何でも出てくる、法技術的にはそうなるわけです。ただ、それで私どもは済ますわけにはいかないで、学問的な議論をしますと公共の福祉とは何かという議論は確かにあります。これの手がかりになるものが、実は日本国憲法の英訳版にあるわけです。これはGHQとの密接な連絡のもとに日本国憲法が出てきて、英訳というのは、これは非常に重要なものです。公共の福祉の英訳はパブリックウエルフェアです。パブリックというのは公衆とか大衆とか言いますね。公衆の福祉という意味です。ウエルフェアというのはウエルフェアステートのウエルフェア、つまり福祉国家のウエルフェア。福祉国家というのはどういうことかというと、経済的な利益とか営業の利益とかそういうものよりも福祉を優先する。こういう価値序列で国家の、先ほど言いました正当性が担保されている、そういう国家であります。したがって、土地問題における公衆の福祉ですね、パブリックウエルフェアとは何かという観点からお考えいただいて、庶民の自由生活を保障するという、今までいろいろ出できた議論をおいてほかないと思います、現在の時点では。ですからそういうものを先ほど言いました打ち出の小づちにならないように、打ち出の小づちを縛る、そういうふうにぜひ参議院の先生方はお考えいただきたい、これが私の公共福祉論であります。
それから第四に、宅地並み課税の問題であります。これはもう先ほど申し上げたので尽きておりますけれども、もうちょっと申しますと、いろんな見方が出る、いろんな側面がある。ただ、今問題になっている庶民向け宅地供給につながるか、あるいは地価の下落につながるか、こういう点では私は結論からいいますとほとんど効果がないというふうに思います。
なぜかというと、確かに宅地並み課税をしますと農地を農家はこのままで持っていられない。したがって農家からの土地はある程度放出されると思います。それは税金を払うためにどうしても普通の収入ではやっていけないから放出されるわけです。しかし、それは言ってみると、土地市場で言うと卸売であります。小売じゃありません。消費者に直接売られるということはないわけであります。大抵法人であるとか不動産業者とかに売られる。
特に東京都において法人所有がいかに多いかというのは、皆さん先刻御承知のことであります。十分持っている法人所有をさらにふやす、こういうことになるだろうと思います。じゃ小売段階でその膨らんだ法人所有が出てくるかというと、不動産業者等が地価下落につながるような大量放出を実際するというふうに皆さんお考えでしょうか。例えば、為替騰貴でドルが上がるということがわかっていて、しかしドルが上がるのは世界経済で好ましくない、日本の経済にとっても好ましくないというのでドルを大量に放出するという銀行があったでしょうか。そういうことをよくお考えいただきたいわけです。大企業は既に十分な土地を保有しているし、何十年と土地を保有しておりますし、それを大量に放出して市場をふやすということを民間活力で期待できるかどうか、ここをよくお考えいただきたいわけです。
供給促進策というのはどういう結果を生じたかというのは、もう既に日本政府が実験をなさっていらっしゃるわけです。六〇年代は、特にその後半から政府はあらゆる手だてをとって、つまり、現在の地価の高騰は需給バランスが崩れているからだ、供給を促進しなければいけないということで、そういう立場に立っていろんなことをやっている。それで地価が下がったか。下がらないわけです。それどころか、宅地並み課税は私は都市にとって非常に重大な災厄をもたらすと思います。というのは、スプロール開発がこれで促進されるからであります。結局ばら売りされて地価が上がって低質な往生活をこうむらざるを得ない。結局そうなると自治体の負担が非常にふえ、先ほど坂本参考人がおっしゃったとおりだろうと思います。
要するに都市計画的な観点から見ると、今の市街化区域内農地をどうするかというのは非常に難しい。これは現状でいいかというと、そうではないと思うのですが、必須条件として私は二点あると思います。一つは、土地計画をしっかりとつくる。都市計画をしっかりつくる。そのために必要な要件は先ほど申し上げました。第二に地方自治体の先買い権ですね、権です。今、先買い権というのは日本の今の実定法律ではありません。先買いはあっても先買い権はありません。ですが、ヨーロッパ並みの先買い権と国のバックアップ体制はどうしても必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/44
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045・新坂一雄
○新坂一雄君 連合参議院の新坂でございますが、本日は本当に貴重なお時間を長時間御苦労様で、本当に感謝しております。
私も聞きたいところが、順番に上の方から流れてきまして、下の方に来ますと聞きたいところが諸先生方ほとんどお聞きしていただいたということでございますので、非常に効率的な、絞った御質疑をして参考人の皆様のお知恵を拝借したい。
こういうことしかできないと思いまして、絞ったお話をしたいと思います。
一番聞きたいのは、やはりサラリーマンが、究極は東京のサラリーマンに限られてくると思いますけれども、狭い住宅からやっと一時間以上電車に乗って出かけてきて、そしてまた過密な電車に乗って帰る。こういう繰り返しが続いておりまして、この土地の基本法ができても、結局これ解決になるのかならないのかというのが一番基本のところでございます。
土地問題の基本法というのは、どちらかというと開発の方に重点がありまして、サラリーマンの方に良質な住宅を大量に供給できるのかどうか、この一点に絞りますと大変危惧せざるを得ない。こういうようなことを感じております。したがって、大量の供給が出れば何となく土地の価格も下がるのじゃないかというような期待も市場原理から考えると何か単純にはそうなりそうでございますけれども、やはり東京という国際化、情報化の都市の塊がある限り何となく需要は無限大じゃないかということで、少しぐらいの公有地が供給されてもなかなか下がらないじゃないかという考えを持ちます。
そういうところから、やはり東京の一極集中をできるだけ排除していかなきゃいけないのじゃないかという観点から先生方のお知恵を拝借したいのでございます。総論はみんな賛成なんですけれども、例えば一省庁一局削減、地方への分散にしてもなかなか自分のところの省に関係あるとやはり身びいきといいますか、かわいいものでなかなか出れないというようなことでございますので、何か強力に推進するようなものができない限りはちょっと不可能じゃないかなという気がしているわけでございますけれども、石原参考人にこの辺の分散の仕方みたいなことを何かお知恵がありますかどうか。
それから柿沼参考人にも一元的推進の機関が何かいい知恵がございますかどうかという、お二方にちょっとお話を伺いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/45
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046・石原舜介
○参考人(石原舜介君) 先ほどから首都移転とか首都の機能の一部分散とかということで井上先生の方から御質問いただきましたりいろいろしておりましたので、同じようなことでお答えするのは非常に恐縮でございますけれども、現在のところよほど政治的に強力な施策をしない限り分散は不可能だ。特に自然に分散するということはあり得ないわけでございまして、やはり分散さす以上は何らかそこに地域政策的な政治的な大きな力が作用しなければいけないものですから、これを民間に強制するということは非常に難しいことだろうというふうに思います。そうしますと分散の効果というものは非常に薄くなってまいりまして、やはり政府機関だけではなかなか分散効果というものは上がらないだろうというふうに思っております。
そういう意味で施策ということは特にありませんけれども、そういう面から考えますと、民間を分散さすためには、集中している企業にも、負担が今の固定資産税その他非常に安過ぎる、ですからそういう面の負担を別の形で課すことによって企業の維持をある面整理していく、不必要なものは分散化するような形での整理を行えるようなイニシアを何か与えていかないといけないのじゃないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/46
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047・柿沼靖紀
○参考人(柿沼靖紀君) 私は中期的戦略として一極集中排除、このためには新しい新都、こういうものをひとつ展望してはどうかということを先ほど申し述べました。遷都でもなく新都と言ったのはまさに二十一世紀、こういうものを展望いたしまして新しい政治、行政、そういう機能、さらには学術文化それから自然環境、こういうものを全部、ひとつヒューマンな観点から新しい都市づくり、こういうものを実験するというようなことも私は含まれていいのじゃないか。そういうものをさっき言ったように交通アクセスしながら、どこか一つ適当な候補地を見つけてみんなでプランニングをする。そのために各界からメンバーが出て、そういう新都みたいなものの建設構想プロジェクトを国家的レベルでつくっていく。そして建設のプランであるとかあるいは手順とか費用とか、こういうものをぜひ私は検討していくということが必要だと思います。分都であるとかいろいろな形で言っていますが、結局そういたしますと中途半端に私は終わらざるを得ないのではないかというふうに危惧いたしておるから、そのようなことを申し上げるわけです。
ただし問題は、そういうふうに新しい新都をつくるにしてもその後をどうするかということになるかと思います。私は反面では、東京リバイバルあるいは大都市圏リバイバルというものはやっぱりこれはセットでやられなきゃならない。そこには私どもを含めて働く者がいるわけですから、そういう面ではもう一度それら大都市の再開発、これについて力点を置く、これを私はぜひお考えをいただかなければならない、このように考えておるところでございます。
とすれば、じゃそれをどのようにやるかといいますと、先ほどの繰り返しになりますが、やはり国を挙げてやるとすれば、政府がひとつ音頭をとりまして権限を集中した推進体制をつくる必要がある。そのためには、先ほど私は内閣直属の推進機構をつくるべきだと言ったのはそこに帰着をするわけでございます。そこではさっき言いましたプロジェクトをつくらせて高次な政治判断をして具体化する、国民にそれを提示していく、こういう取り組みをぜひともしていただきたいと私は思います。
これからはまさに地方分権の時代でありまして、地方もそういうことを受けて立って地方の新しい夢をつくるという形になってくると思います。ただしその場合、言っておきますけれども、例えば新都といっても、それは今の東京がそのまま平行移動したのじゃ何にもなりませんので、さっき言ったいろんなバランスのとれた新しい、いわば中規模のバランスのとれた都市づくり、そういうものが新都という格好でいく。こういうことになれば皆さん方も大変環境のいいところでもっといろいろ国民生活のためのアイデアをそういうところで出していただく、こんな形になってくるのじゃないか。夢物語かもしれませんが、ぜひそういう夢を実現するということにかけて先生方のお知恵もおかりしたい、このように考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/47
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048・新坂一雄
○新坂一雄君 あと一点でございますが、ちょっと池田参考人にお伺いいたしますけれども、土地基本法に盛られるべき本質的な事柄が欠如しているのじゃないかという御指摘でございます。
私もお話を伺っておりまして、特に土地といいますか、いわゆる国レベルでいろいろとやらなくちゃいけないもの、それから基本的にはやっぱりそこに住んでいる住民ということになりますと、住民の参加というのが土地の利用計画の策定というところで、大変身近なところに参加していくというのはこれは基本でございます。ところが御指摘のように、参加するには何か公聴会的なものがあってかなりセレモニー的なことに終わってしまうのじゃないかというようなことの御懸念を指摘されたわけなんでございますが、現実にサラリーマンの生活にしてみますと土曜、日曜ということで、いわゆる企業の方に生活時間が多くてなかなか住民意識としてのものがないものですから、自治体なり国が決められたものについてどう思うかという程度のいわゆる団体の、グループの意見集約しかできないのが現状だと思います。
したがって、お知恵を拝借したいのは、こういう現状で、現実的に公聴会プラス何かこういう住民参加の基本的なパターン、こうしたらいいじゃないかというふうな御意見があったらお聞かせいただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/48
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049・池田恒男
○参考人(池田恒男君) おっしゃるとおり、公聴会はセレモニーでもやっているところはまだ珍しい方でございます。これはぜひそういうサラリーマンの現状を考えて、例えば日曜日にするとか、特に夜するというのが大事だと思うのですね、平日でも。これは地方自治体の職員にとっては超過勤務の問題になりますけれども、それは定員削減というのじゃなくて、そういう必要な人員をぜひ、地方自治体というのは何のためにあるかということを考えられて、むしろ人員を増加して、つまり行革をやめていただいてぜひやっていただきたい。
それで、あと法律でやはりこれを手当てするということはぜひ必要です。特に五十五年法改正で目玉になりました地区計画でも住民参加というのはないのですね。先ほど言いました地権者、これは徹底しておりまして、私は先生の選挙区の奈良に住んでおりますけれども、奈良で不動産を担保に東京の銀行あるいはサラ金がやったら、わざわざ東京まで出向いていって一応通知をする。通知するだけじゃなくて、地元の自治体の運用では一〇〇%に近い同意をとってこい、それを自治体に課する、そうでないと地区計画は動かさないということをやっております。こういう点を改めるというふうなことをしていただきたい。
第三点は、もちろん余暇を広げるということで、これは本来的には地価対策として一番有効だと思うのです。賃上げをするのと余暇を拡大するということが、本来的な意味で日本の異常な競争力のもとになっている民間活力を少しでも削減するというために一番大切なことで、企業社会からの脱皮という点でも重要ではないかというふうに思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/49
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050・山田勇
○山田勇君 民社党・スポーツ。国民連合の山田でございます。参考人の皆さん、大変御苦労さんでございます。共産党より、なお質疑時間が五分短うございます。一問ぐらいしかできないと思いますが、素人でございます。
池田参考人にお尋ねをいたします。質問というより教えていただければ幸いでございます。
先ほど来、基本法に対しまする欠如しています権利関係をずっと序列をなさいましたが、これだけの権利をすべて行使をする形の中で、開発というものが可能であるのか可能でないのかを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/50
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051・池田恒男
○参考人(池田恒男君) 可能であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/51
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052・山田勇
○山田勇君 もし可能であれば、そういうような都市開発を行われた開発の前例を教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/52
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053・池田恒男
○参考人(池田恒男君) これは、日本ではそういう例は私は余り聞いておりませんけれども、こういう制度の整ったアメリカやイギリスで現に行われている。私はイギリスに住んでおりましたけれども、イギリスでは非常に厳しいものでございます。道路一つつくるについても、住民の環境権、とりわけ日本では余り問題にならない、裁判所で門前払いにさせられる自然的なあるいは文化的な環境の権利、あるいは向こうではそういう住民参加の手続を一つ怠っただけで全部無効でございます。しかし、開発は行われている。お答えになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/53
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054・山田勇
○山田勇君 この基本法は土地に対する私権を制限し、公共性を優先するといったことが理念としてうたわれていると私は思いますが、先生は先ほど土地に関する基本理念というものについて、計画策定の方が先行であって、理念は後から来るものだということでございます。立法する側にとっては計画策定、内容が先行されては困るのであって、少なくとも法律、法文というものは理念というものが先行しなければ法律をつくっていくのに大変我々は苦慮するわけでございます。基本理念についてのお考えを示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/54
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055・池田恒男
○参考人(池田恒男君) 多分先生のおっしゃる理念と、私の先ほど理念なくても現実は進むといった現実とは矛盾しないと思います。多分私の言っているレベルの理念と抽象論のレベルでは全然違うと思います。
その上で、理念は何かということは、先ほど申しました。これは、我々はよそから持ってこなくても日本国憲法にちゃんと書いてあるのです、我々の最高規範に。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」。十三条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」。ですから、東京のスプロールされた地区とか多摩川の土手のそばとか、あるいは江東の非常に危ないところとか、そういうところに住まざるを得ない人たちというのは、こういう国政から疎外されているとしか言いようがないわけです。ぜひお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/55
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056・山田勇
○山田勇君 土地基本法に盛られるべき本質的な事柄の欠如の中にいろんな権利関係を書いておられますが、職住近接の権利ということをここにいただいた資料に先生書かれていますが、この場合は新住宅市街地開発法が昭和六十一年に改正されております。これは御承知のとおり小規模開発をやっていこう、職住接近をやっていこう、特に大阪の地域で言いますと、土取りの後の第二次災害をとめるためにもこれをかけていこうというので大阪府は順次今準備をして小規模開発をやっていくのですが、その点についてはいかがなものでしょうか。この職住接近の権利は仮にこの法律の中に入っていないということになれば、これでカバーできないかどうか、先生の御意見を聞いて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/56
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057・池田恒男
○参考人(池田恒男君) 私は、それは大規模開発を一元的にやるより、これは住宅環境とか住生活という、そういう点では大規模開発はいろいろ問題が多過ぎるわけで、その点はかなりの改善だろうと思います。ですから、そういう実定法律をいろいろ積み上げる中で理念というのも上げていく。
ちなみに、先ほど言い落としましたけれども、ドイツは最も厳しい国ですね。最も建築不自由の原則が確立した国ですけれども、ドイツの、西ドイツですけれども、実定法律の中に建築不自由の原則がそういう形で書かれているものは一つもありません。しかし、イギリスやフランスに比べてもなおしっかりとした都市計画の国ドイツにおいてこういうものが書かれてないということをよく御想起いただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/57
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058・今泉隆雄
○今泉隆雄君 新坂先生も大変だと言いましたし、山田先生も大変だと言いましたけれども、いつも七番目ですともっと大変であります。
池田参考人の意見に私はもう全面的に賛成で、池田先生のお話をちょっとお聞きしたいのですけれども、今までも現行の土地政策がありましたけれども、何でそれが実行できなかったのかというのは、これはもう大変いろいろ問題があると思いますし、これは実行できなかったのは何も先生の責任じゃありませんけれども、具体的に今後例えばこれが施行されるときにどういうことが必要なのか、どうしたら具体的にできるのか、そういうように実行していくということ。またそれから、実行できないならばどういうふうにしたらいいのか。
それからまた、もう一つお聞きしたいのは、アメリカなんかでついこの間竜巻とかそれから地震があったときに木造建築の四階建ての建物をすぐ法律で禁止をして、すぐやめる、すぐ法律を決めますですね。そういうことは日本じゃ絶対に行われないけれども、そういうことが日本でできるのかどうなのか。
それで、例えば私は今一の橋というところにおりますけれども、一の橋に住んでいまして、前にちょっとうちを高くしたいと言いましたらば、東京都でだめだというのであきらめました。今度地下鉄が通るようになったらば、急に掘れ掘れと言うのですね。ここ掘れワンワンじゃないんだとよく言うのですけれども、勝手にそういうふうに法律が変わったり、自治体との話し合いがめちゃくちゃで、住んでいる人間は非常に迷惑をしている場合が多いのですけれども、そういうことについてはどういうふうにお考えになるか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/58
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059・池田恒男
○参考人(池田恒男君) 第一の点は私はよくわかりませんが、そこに書いてあるようなことをよく
お考えいただいて、これは私は非常に法律に問題があると思うのです。それを実情をお調べになって、これは向こうではアセスメントといいます、法律のアセスメント。実際にそう法律は建前どおり動いているかどうか、これは十分審議して、調査していただきたい、国政調査権を発揮していただきたい。
四階建ての問題は、これはやっぱりアメリカと日本の風土の違いというふうに言わざるを得ないのですが、しかし風土は勝手にそこにあるものじゃなくて我々がつくっていくものであります。アメリカの実情は衆議院で岩田公述人がちょっとおっしゃっていることが参考になると思いますが、やはり我々の社会は我々がつくるんだという、そういう合意ができている社会。そういうものを我々は目指す、その上で国政の最高機関としての国会が機敏に動いていただくと言うしか、これは私よりもむしろ先生方が力があるわけで、頑張っていただきたいというふうに思います。
最後に、個人の思惑といいますか御都合と、自治体のものとが衝突する。これはまさに公共の福祉というのはこういうときに出てこられたら困るわけですね。自治体の思惑は公共の福祉であるからおまえ即従えと。ですから、何がそこで適正な理由なのかということをやはりきちんと詰める。現行法でも手がかりはあるわけですから、地区計画という。それを住民の合意をじっくりと形成していく中で詳細な計画をつくる。その詳細な計画ができたらそれは従う、こういう原理。しかし、従うための前提が要るということを私は強調しているわけで、そういうことが必要だろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/59
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060・福間知之
○委員長(福間知之君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
本日は、御多用中のところ御出席をいただき、また長時間にわたって貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111614854X00719891207/60
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