1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二年四月十七日(火曜日)
午後一時三分開会
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委員氏名
委員長 浜本 万三君
理 事 小野 清子君
理 事 佐々木 満君
理 事 糸久八重子君
理 事 高桑 栄松君
尾辻 秀久君
木暮 山人君
清水嘉与子君
田代由紀男君
田中 正巳君
西田 吉宏君
前島英三郎君
菅野 壽君
日下部禧代子君
深田 肇君
堀 利和君
木庭健太郎君
沓脱タケ子君
乾 晴美君
勝木 健司君
西川 潔君
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出席者は左のとおり。
委員長 浜本 万三君
理 事
小野 清子君
佐々木 満君
糸久八重子君
高桑 栄松君
委 員
尾辻 秀久君
木暮 山人君
清水嘉与子君
田代由紀男君
田中 正巳君
西田 吉宏君
前島英三郎君
日下部禧代子君
深田 肇君
木庭健太郎君
沓脱タケ子君
乾 晴美君
勝木 健司君
西川 潔君
国務大臣
厚 生 大 臣 津島 雄二君
労 働 大 臣 塚原 俊平君
政府委員
厚生政務次官 野呂 昭彦君
厚生大臣官房長 黒木 武弘君
厚生大臣官房総
務審議官 加藤 栄一君
厚生大臣官房審
議官 清水 康之君
厚生大臣官房審
議官 伊藤 卓雄君
厚生大臣官房審
議官 熊代 昭彦君
厚生大臣官房会
計課長 山口 剛彦君
厚生大臣官房老
人保健福祉部長 岡光 序治君
厚生省健康政策
局長 仲村 英一君
厚生省保健医療
局長 長谷川慧重君
厚生省生活衛生
局長 目黒 克己君
厚生省薬務局長 北郷 勲夫君
厚生省社会局長 長尾 立子君
厚生省児童家庭
局長 古川貞二郎君
厚生省保険局長 坂本 龍彦君
厚生省年金局長 水田 努君
厚生省援護局長 末次 彬君
社会保険庁次長
兼社会保険庁総
務部長 川崎 幸雄君
社会保険庁運営
部長
兼内閣審議官 土井 豊君
労働政務次官 加藤 卓二君
労働大臣官房長 若林 之矩君
労働大臣官房審
議官 石岡慎太郎君
労働大臣官房会
計課長 廣見 和夫君
労働省労政局長 岡部 晃三君
労働省労政局勤
労者福祉部長 松本 邦宏君
労働省労働基準
局長 野崎 和昭君
労働省婦人局長 佐藤ギン子君
労働省職業安定
局長 清水 傳雄君
労働省職業安定
局次長 齋藤 邦彦君
労働省職業安定
局高齢・障害者
対策部長 七瀬 時雄君
労働省職業能力
開発局長 甘粕 啓介君
事務局側
常任委員会専門
員 此村 友一君
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本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査
(厚生行政の基本施策に関する件)
(平成二年度厚生省関係予算に関する件)
(労働行政の基本施策に関する件)
(平成二年度労働省関係予算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/0
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001・浜本万三
○委員長(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
国政調査に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、今期国会におきましても、社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/1
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002・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/2
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003・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 社会保障制度等に関する調査及び労働問題に関する調査を議題といたします。
これより厚生、労働両大臣から所信表明に引き続き、平成二年度予算の説明を聴取いたしたいと思います。
予算説明につきましては、その概要を聴取することとし、詳細な予算説明は本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/3
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004・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
厚生大臣から厚生行政の基本施策についての所信及び厚生省関係予算の説明を聴取いたします。津島厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/4
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005・津島雄二
○国務大臣(津島雄二君) 先般厚生大臣を拝命いたしました津島雄二でございます。
第百十八回国会における社会労働委員会の御審議に先立ち、就任のごあいさつを申し上げますとともに、所信の一端を申し述べたいと存じます。
私は、昭和五十六年から五十七年にかけまして厚生政務次官を、また昭和六十三年から平成元年にかけましては衆議院の社会労働委員長を務めさせていただきました。この間、国民福祉の増進をライフワークとして取り組んできたところでございますが、このたび厚生大臣を拝命いたしまして、大変光栄に思いますとともに、責任の重さを痛感しておるところでございます。
さて、今や我が国は人生八十年時代を迎え、世界一の長寿国となっております。長寿は人類の長年の夢であり、人生の最大の喜びの一つでありますが、今後、日本の人口高齢化は諸外国に例を見ない驚くべき速さで進み、二十一世紀初頭には現在の西欧の水準を超え、平成三十三年のピーク時には四人に一人が老人という超高齢化社会が到来すると予想されております。この本格的な高齢化社会を、国民が生きがいを持ち安心して生涯を過ごせるような明るい活力ある長寿・福祉社会としていくことは、我が国の長い歴史の中でも、また、世界的に見てもまことに大きな挑戦であり、我々の世代に課せられた大きな責務であるとの認識のもとに、今から周到な準備を積み重ねていかなければならないと思います。
また、我が国は、今や経済的には世界から最も豊かな国の一つと見られるまでになりましたが、生活の質、文化的な豊かさの点では、国民のだれもが心から満足と言えるような社会の実現までにはまだ課題が残されております。質の高い医療と安定した医療保険、安心して頼れる年金、老人、障害者等に対するきめ細かな福祉サービス、生涯を通じた健康づくりや安全で快適な住みよい暮らし、子どもを健やかに生み育てることのできる環境づくりなど、厚生省の預かる分野の全般にわたって生活の質を高めていくための一層の努力を重ね、総理が訴えております「生涯いきいき、生涯しあわせ」と言えるような公正で心豊かな社会に向けて前進してまいりたいと思います。
以下、平成二年度における主要な施策について申し上げます。
改めて申すまでもなく、現在の我が国の社会経済の最大課題の一つは、活力ある長寿・福祉社会の実現であり、二十一世紀までの残された最後の十年間は、そのための大変重要な期間であります。厚生省は、昨年十二月にゴールドプランすなわち高齢者保健福祉推進十カ年戦略を策定いたしまして、今世紀中に実現を図るべき十カ年の目標を掲げ、ホームヘルパーなどの在宅福祉対策の緊急整備、寝たきり老人ゼロ作戦の推進、特別養護老人ホーム等の施設の緊急整備など、高齢者の保健福祉の分野におけるサービスの基盤整備を大幅に推進することといたしました。このような規模で長期にわたる施策の目標を具体的に設定することは保健福祉の分野ではかつてないことであり、政府としては、関係者の方々の御理解と御協力を得ながら、実現に向けて全力を挙げていく決意でございます。
また、この十カ年戦略の推進等のためには、住民に最も身近な市町村で、在宅福祉サービスと施設福祉サービスがきめ細かく一元的に提供される体制づくりを進める必要があります。このため、老人や身体障害者の施設入所決定事務等を市町村に委譲すること、公的在宅福祉サービスについて所要の改正を行うこと、老人保健福祉の計画的な実施を図ること、長寿社会福祉基金を設置することなどを内容とする法律案の提出を予定しておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
老人保健制度につきましては、今年度から加入者按分率が一〇〇%となることに伴い、当面の措置として、平成元年度補正予算において一兆五千億円の資金を設け、その運用益等を用いて、被用者保険の拠出金負担増の緩和を初めとした老人保健制度の基盤の安定化のための措置等を行うことといたしたところであります。
また、医療保険につきましては、国民健康保険制度の運営の安定化を図るため、国の助成の強化による保険基盤安定制度の確立及び財政調整機能の強化など所要の措置を講ずることといたしております。このための法律改正案を御提案申し上げているところでありますので、何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
一方、医療供給体制につきましては、医療をめぐる環境の変化に対応し、二十一世紀に向けて効率的な医療を安定的に供給するため、医療施設を機能に応じて体系化することなどを内容とする医療法の改正案を提出することとしております。
また、これらとあわせて、長い高齢期を支える国民の健康を確保するため、がん、糖尿病、腎不全などの疾病対策を進めるほか、栄養、運動、休養のバランスのとれた健康的な生活習慣の確立を目指し、第二次国民健康づくり対策を進めてまいります。
一方、出生率が低下する中で、次代を担う子供たちが心身ともに健やかに生まれ育つための環境づくりを進めることもますます重要になっており、家庭に対する支援や児童の健全育成対策、保育対策、母子保健対策等の施策を積極的に推進することといたしております。
また、障害者福祉につきましても、障害のある方々ができる限り家庭や地域において生活していけるような条件の整備に努めてまいります。
さらに、老後の所得保障の主柱であります年金制度につきましては、昨年末に改正法を成立させていただいたところでありますが、この四月から物価スライドとして二・三%の年金額の改善を行うほか、今後とも制度の安定の確保に努めてまいる所存であります。
次に、生活衛生行政につきましては、輸入食品の安全対策等の食品保健対策、環境衛生関係営業の振興、化学物質の安全対策、廃棄物の減量化・有効利用、水道・廃棄物処理施設の整備の一層の推進等に取り組んでまいります。特に、食鳥肉の安全対策については、食鳥処理の事業について衛生上の見地から必要な規制を行うとともに、食鳥検査の制度を設ける法律案の御審議をお願いすることといたしております。
また、薬務行政につきましても、医薬品の安全性の確保、医薬品等の研究開発の促進とともに、血液製剤の国内自給を目指した血液対策に努めてまいります。特に本年は、向精神薬の乱用及び不正取引の防止を図るとともに、向精神薬に関する条約を実施するため、麻薬取締法等の一部を改正する法律案の御審議をお願いすることといたしております。
また、援護施策につきましては、援護年金の引き上げを内容とする法律改正案を提出しておりますほか、中国帰国孤児の定着自立の一層の促進を図るため、自立支援体制の強化に積極的に取り組んでまいります。
その他、世界に貢献する日本としての立場から、国際保健医療協力の一層の拡充に努めていくこととしております。
以上、所信の一端を申し上げましたが、私は、行動する厚生省をモットーに、極力現場の皆様方や国民の皆様方と対話をしながら厚生行政を進めていきたいと考えており、社会労働委員会の委員長ほか皆様方の御協力を賜りながら、国民のだれもが心から豊かさを実感できる社会の建設に向けて全力を挙げて取り組んでいく決意でありますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
引き続きまして、平成二年度厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算についての説明を申し述べさせていただきます。
平成二年度厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の概要について申し上げます。
平成二年度厚生省所管一般会計予算の総額は十一兆五千六百五十二億円でありまして、これを平成元年度当初予算額十兆八千三百七十二億円と比較いたしますと七千二百八十億円、六・七%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対して一七・五%の割合を占めております。
平成二年度一般会計予算につきましては、特例公債依存体質からの脱却を実現するとともに、公債依存度の引き下げを図るため、さらに歳出の徹底した見直し、合理化に取り組むという方針のもとに編成されております。
厚生省予算につきましては、そのような厳しい財政状況のもとにあっても、今後の高齢化社会を国民が生涯を通じてその能力や経験を生かし、充実した生活を営むことができる明るい活力のある長寿・福祉社会とするため、先般、ゴールドプランすなわち高齢者保健福祉推進十カ年戦略を掲げたところであり、これに基づき各種高齢者対策の拡充強化を行うこととしております。
また、障害者等社会的に弱い立場にある方々に対するきめ細かな施策の展開、次代を担う児童が健やかに生まれ育つための環境づくりの推進や健康づくり等の保健医療対策の拡充を図るとともに、科学技術の進歩、国際化の進展に対応するための施策等についても必要な予算を確保したところであります。
この機会に、各位の御支援に対し衷心より感謝を申し上げます。
以下、平成二年度一般会計予算における主要施策について御説明を申し上げます。
第一に、高齢化社会を国民が健康で生きがいを持って安心して過ごせるように高齢者保健福祉推進十カ年戦略に基づき、高齢者の保健・福祉施策の強力な推進を図ることとしております。まず、在宅福祉サービスを推進するための在宅介護支援センターを創設するほか、ホームヘルパー等のいわゆる在宅三本柱の大幅な拡充を図るとともに、施設へ入所が必要な方々のためには特別養護老人ホーム、老人保健施設、ケアハウス等の整備も推進してまいります。
また、老後における大きな不安の一つである寝たきり老人の問題については、寝たきりは防げるという観点から、その原因となる病気の予防、機能訓練の普及等各種の施策を総合的に展開することといたしております。
さらに、福祉需要の高まり、多様化に対応するため、長寿社会福祉基金を設置し、民間の創意工夫を生かしつつ地域の実情に即した在宅福祉の推進をしてまいります。
このほか、明るい長寿社会推進機構の整備、高齢者の生きがいと健康づくり推進モデル事業、長寿科学総合研究等の大幅な拡充を図ることといたしております。
第二に、障害者及び児童福祉対策について申し上げます。
障害者福祉対策につきましては、身体障害者の自立や社会参加のための「障害者の明るいくらし」促進事業の大幅な拡充強化とその推進体制の整備を図るとともに、在宅心身障害児あるいは障害者に対する施設における地域療育サービスの実施、通園施設における重複障害児クラスの設置事業等を推進することといたしております。
児童福祉対策につきましては、婦人の就労形態の多様化等に対応した一時的保育事業の創設を図るとともに、乳児保育の推進、自然との触れ合いも含めた児童の遊び場づくりの充実、地域母子保健特別モデル事業等を実施することといたしております。
第三に、医療保険制度につきましては、国民健康保険制度の運営の安定化を図るため、国の助成を強化することにより、低所得層対策としての保険基盤安定制度を確立することといたしております。
第四に、年金制度につきましては、先般の制度改正で年金額の完全自動物価スライド制が導入されたことにより、平成元年の消費者物価上昇率に応じて年金額の引き上げを図ることといたしております。
第五に、地域の保健医療の中核となる新保健所構想を推進することとし、健康づくりからリハビリテーションまでの包括的な保健医療サービスを実施するための体制整備を図ることとしております。
健康づくり対策につきましては、バランスのとれた食生活の普及を図るほか、健康のための運動普及事業、職場の健康づくりの推進を図ることとしております。
疾病対策につきましては、リューマチ疾患の原因究明、治療法の開発等の研究に取り組むほか、循環器疾患基礎調査、腎移植の普及、がん対策、エイズ対策の推進を図ることといたしております。
第六に、国際協力の推進につきましては、国際医療協力の実施体制を充実強化するため、国際医療協力研修センターの整備を継続するほか、WHO活動の積極的支援、地球環境保全対策の推進のために大幅な増額を図ることといたしております。
以上のほか、輸入食品の安全対策、医薬品等の安全対策、生活環境施設の整備、中国残留孤児対策などの諸施策の推進を図ることといたしております。
以下、厚生省所管一般会計、特別会計及び政府関係機関予算の概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て説明を省略させていただきたいと存じます。
何とぞ、格別の御協力を賜りますようにお願い申し上げる次第でございます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/5
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006・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 次に、労働大臣から、労働行政の基本施策についての所信及び労働省関係予算の説明を聴取いたします。塚原労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/6
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007・塚原俊平
○国務大臣(塚原俊平君) 労働大臣を拝命いたしました塚原俊平でございます。
社会労働委員会の御審議に先立ち、就任のごあいさつを申し上げますとともに、今後の労働行政について所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
我が国経済社会は、飛躍的な発展を遂げ、国際社会でも大きな地位を占めるに至っておりますが、これは、まさに働く方一人一人の努力のたまものであります。私は、こういった働く方々、そしてその御家族の皆様の幸せの実現こそが労働行政の最大の使命と考えており、このために全力を尽くしてまいる所存であります。
ところで、最近我が国では国内需要が好調で好景気が持続しております。一方、中長期的には、高齢化、国際化、技術革新や女性の一層の職場進出など、勤労者生活の基本構造を左右する大きな変化に直面しております。
このような変化に適切に対応し、我が国の勤労者がその経済的地位にふさわしい真の豊かさとゆとりを享受できるような社会を実現するため、次の事項に重点を置きつつ積極的に労働行政を推進してまいります。
第一は、本格的な高齢化社会の到来に対応した高年齢者のための対策であります。
我が国の高齢化は、世界に例を見ない速さで進んでおり、二十一世紀に向け活力ある社会を実現していく上で、高齢者の高い働く意欲と長年培ってきた知識、経験が生かされることが喫緊の重要課題となっております。
このため、六十歳定年を基盤とした六十五歳までの継続雇用の推進、高年齢者の早期再就職の促進、シルバー人材センターの拡充、生涯にわたる職業能力開発などを一層積極的に推進してまいる所存であります。
さらに、人生八十年時代にふさわしい雇用に関する国の施策の方向などを示す長寿社会雇用ビジョンを策定することとしているとともに、六十歳代前半層を中心に高年齢者の多様な雇用形態による安定した雇用の確保のため、労働大臣による高年齢者等職業安定対策基本方針の策定、事業主の定年退職者の再雇用の努力義務などを内容とする法律案を今国会に提出することとしておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。
第二は、労働時間の短縮と勤労者福祉対策であります。
労働時間短縮は、真に豊かでゆとりある勤労者生活を実現するために我が国全体として取り組むべき国民的課題であります。
一昨年四月の改正労働基準法の施行以来、労働時間は着実に減少しておりますが、この流れを大切にし、中小企業に対するきめ細かな配慮をしつつ、完全週休二日制の普及促進を基本に、年次有給休暇の完全取得の促進、連続休暇の普及拡大などに全力を傾注してまいります。
また、自由時間の増大に対応し、リフレッシュ休暇の普及促進、勤労者余暇施設の活用の促進を初め、勤労者の余暇、福祉を向上させる総合的な勤労者福祉対策を積極的に推進することとしております。
特に、中小企業退職金共済制度につきましては、経済社会情勢の変化を踏まえ、掛金月額の範囲の引き上げ、パートタイム労働者の加入促進、金利の変動に対応し得る安定的な制度の構築、分割払い制度の導入などの整備を進めることを内容とする法律案を今国会に提出しておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。
第三は、働く女性のための対策であります。
女性が、男性とともに、職業生活と家庭生活との調和を図りつつ、その能力と経験を生かして働けるよう、女性の働きやすい環境づくりを進めることは極めて重要であり、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保対策を進めるほか、育児休業制度についてはその確立に向けて一層の普及促進に努めるとともに、女子再雇用制度、介護休業制度の普及促進など女性の就業に関する援助対策を強力に推進することとしております。
また、パートタイム労働者について、その労働条件の改善、雇用の安定を図るための対策を総合的に推進してまいります。
第四は、人材確保に向けた雇用・能力開発対策であります。
昭和四十年代以来の人手不足時代の到来の中で、人手不足を解消するためには、年齢間、地域間、職種間の労働力需給のミスマッチの解消が重要であり、労働力需給調整機能の強化を図るとともに、中小企業を重点とした魅力ある職場づくり、中小企業の人材育成への援助や、技術革新、情報化の進展に対応した人材育成対策などを積極的に推進することとしております。
第五は、勤労者の安全・健康確保対策と労災補償対策であります。
心身ともに安全で健康な勤労者生活は、働く方のみならず、その御家族にとっても最も大切なことであり、死亡災害を初めとする労働災害撲滅のための対策、心身両面にわたる総合的な健康保持増進対策を一層強力に推進してまいります。
また、不幸にして労働災害をこうむられた勤労者やその御家族に対しては、労災補償を迅速かつ適切に行い、必要な援護措置を講ずることとしております。
さらに、経済社会の変化等に対応し、また、公平、均衡を図る観点から、年金給付等に係るスライド要件の改善、休業補償への年齢階層別の最低・最高限度額の導入などを内容とする法律案を今国会に提出しておりますので、よろしく御審議をお願いいたします。
このような労働行政の展開に加え、障害の重度化等困難の度を増している障害者の雇用問題に的確に対応するため、職業リハビリテーションサービスを充実強化するなどの施策を強力に推進することとしているほか、地域雇用対策、職業能力開発対策、外国人労働者対策、国際化の進展に対応した労働行政の展開などの重要課題に的確に対応し、さらに、良好な労使関係の維持発展を図るための環境づくりにも努めてまいります。
以上、所信の一端を申し述べさせていただきましたが、労働行政の展開に当たっては、国民の信頼が不可欠であります。今後とも、私が先頭に立ち、綱紀粛正の一層の徹底を図るとともに、国民の期待にこたえる積極的な労働行政を展開してまいりたいと考えております。
委員長初め、委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
引き続きまして、平成二年度の一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
労働省の一般会計の歳出予算額は四千八百六十八億九千万円で、これを前年度当初予算額四千八百七十九億二千四百万円と比較いたしますと十億三千四百万円の減額となっております。
次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。
この会計は、労災勘定、雇用勘定及び徴収勘定に区分されておりますので、各勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。
労災勘定の歳入予算額は二兆二千百三十三億四千二百万円で、これを前年度当初予算額二兆五百十三億千八百万円と比較いたしますと千六百二十億二千四百万円の増額となっております。
また、歳出予算額は一兆三千百八十六億九千七百万円で、これを前年度当初予算額一兆二千五百三十四億三千百万円と比較いたしますと六百五十二億六千六百万円の増額となっています。
雇用勘定につきましては、歳入予算額は二兆四千三百二十億三千四百万円で、これを前年度当初予算額二兆三千六百十六億三千六百万円と比較いたしますと七百三億九千八百万円の増額となっています。
また、歳出予算額は二兆二千四百五十九億六千二百万円で、これを前年度当初予算額二兆三千六百十六億三千六百万円と比較いたしますと千百五十六億七千四百万円の減額となっております。
徴収勘定につきましては、歳入予算額、歳出予算額とも三兆六千七百五十一億三千九百万円で、これを前年度当初予算額三兆二千六十六億四千七百万円と比較いたしますと四千六百八十四億九千二百万円の増額となっています。
最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定につきましては、当省所管分としては炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費としての二百四億三千八百万円で、これを前年度当初予算額二百二十一億八千六百万円と比較いたしますと十七億四千八百万円の減額となっております。
平成二年度の予算につきましては、特に本格的な高齢化社会の到来に適切に対応するための雇用対策や、ゆとりある豊かな勤労者生活を実現するための対策等に十分な配慮を行うなど、限られた財源の中で、各種施策について優先順位の厳しい選択と財源の重点配分を行いながら、きめ細かく、かつ効率的な実現を図ることといたしております。
以下、主要な事項についてその概要の御説明を申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て説明を省略させていただきます。
何とぞ、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/7
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008・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。
本件に対する質疑は後日に譲ります。
両大臣には大変御苦労さまでございました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/8
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009・浜本万三
○委員長(浜本万三君) この際、野呂厚生政務次官並びに加藤労働政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。野呂厚生政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/9
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010・野呂昭彦
○政府委員(野呂昭彦君) 厚生政務次官の野呂昭彦でございます。
先ほど厚生大臣から申し上げましたように、厚生行政は多くの課題を抱えておりますが、私は、先生方の御協力をいただいて大臣を補佐し、人生八十年時代の長寿社会にふさわしい揺るぎない社会保障制度の確立を図ってまいる所存でありますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/10
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011・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 次に、加藤労働政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/11
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012・加藤卓二
○政府委員(加藤卓二君) このたび労働政務次官を拝命いたしました加藤卓二でございます。
高齢化や女性の職場進出、国際化、技術革新など大きな構造変化が進行しつつある中で働く方々の雇用の安定を図り、真に豊かなゆとりある労働者生活を実現する目的を持つ労働行政はますますその重要性を増すとともに、的確かつ迅速な対応が求められております。
私は、塚原労働大臣とともに全力を尽くして職責を全うしてまいる所存であります。委員長初め、委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/12
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013・浜本万三
○委員長(浜本万三君) 本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814410X00119900417/13
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