1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成二年九月四日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
六月二十六日
辞任 補欠選任
須藤良太郎君 大島 友治君
八月三日
辞任 補欠選任
小川 仁一君 上野 雄文君
八月六日
辞任 補欠選任
上野 雄文君 小川 仁一君
九月三日
辞任 補欠選任
深田 肇君 翫 正敏君
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出席者は左のとおり。
委員長 井上 孝君
理 事
板垣 正君
高橋 清孝君
小川 仁一君
吉川 春子君
委 員
岡田 広君
田村 秀昭君
永野 茂門君
村上 正邦君
穐山 篤君
翫 正敏君
角田 義一君
三石 久江君
山口 哲夫君
太田 淳夫君
吉岡 吉典君
星川 保松君
田渕 哲也君
国務大臣
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 坂本三十次君
国 務 大 臣
(総務庁長官) 塩崎 潤君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 石川 要三君
事務局側
常任委員会専門
員 原 度君
説明員
人事院総裁 弥富啓之助君
人事院事務総局
給与局長 森園 幸男君
人事院事務総局
職員局長 大城 二郎君
防衛庁防衛局長 藤井 一夫君
外務大臣官房外
務参事官 内藤 昌平君
外務省北米局審
議官 丹波 實君
外務省中近東ア
フリカ局外務参
事官 内田 富夫君
外務省国際連合
局審議官 池田 右二君
厚生省保健医療
局管理課長 真野 章君
運輸省地域交通
局陸上技術安全
部長 松波 正壽君
自治省行政局公
務員部長 滝 実君
自治省財政局準
公営企業室長 西川 一誠君
消防庁消防課長 中川 浩明君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査
(一般職の職員の給与及び週休二日制等についての報告並びに給与の改定についての勧告に関する件)
(地方公務員の給与及び週休二日制等に関する件)
(中東情勢をめぐる政府の認識及び中東における平和回復活動に係る我が国の貢献策に関する件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/0
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001・井上孝
○委員長(井上孝君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨三日、深田肇君が委員を辞任され、その補欠として翫正敏君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/1
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002・井上孝
○委員長(井上孝君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
小川仁一君が一たん委員を辞任されたため、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/2
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003・井上孝
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に小川仁一君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/3
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004・井上孝
○委員長(井上孝君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とします。
まず、一般職の職員の給与及び週休二日制等についての報告並びに給与の改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。弥富人事院総裁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/4
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005・弥富啓之助
○説明員(弥富啓之助君) 人事院は、去る八月七日、国会と内閣に対し、公務員の給与及び週休二日制等に関する報告並びに給与に関する勧告を提出いたしました。本日、その内容について御説明申し上げる機会が与えられましたことを深く御礼を申し上げます。
以下、その概要を御説明申し上げます。
まず初めに、勧告の内容について御説明いたします。
公務員の給与の改定に当たっては、人事院は従来から社会経済情勢の動向を踏まえながら、公務員の給与を民間給与に均衡させることを基本として臨んできております。本年も、公務員給与に関する判断材料を得るため、民間企業の給与を的確に把握することに努め、また、広く各界から意見聴取を行い、これらをさまざまな角度から検討いたしました。
本年の民間給与の調査結果によりますと、好況が続く中で民間企業の給与には相当程度の上昇が認められ、官民の給与の間にはかなりの額の較差が生じていることが判明したほか、同じく一般職の国家公務員である四現業の職員についても、中央労働委員会により、民間賃金の動向を重視した仲裁裁定が行われており、これらの諸事情を総合的に勘案した結果、本年も従来どおり職員の給与について所要の改定を行うことが必要であると認め、勧告をいたしました。
本年も、四月時点における官民の給与を精密に調査し、相互の給与を厳密に比較いたしましたが、その結果、官民の給与の較差は金額で一万七
百二十八円、率で三・六七%であることが判明をいたしました。
この較差の配分につきましては、俸給に一万六十九円、手当に七十一円、この改善の手当へのはね返り五百八十八円といたしております。
まず、初任給については、既に官民の間に相当の差がある中で、民間企業ではさらに大幅な初任給の上昇が認められるところから、人材確保の必要性等を考慮して、大幅な俸給月額の改善とともに所要の初任給基準の改正を行うこととしております。
次に、俸給表については、初任給改善との関係や民間企業の配分傾向を考慮して、若年層職員の改善に重点を置きながら、全俸給表にわたって金額の改定を行っております。改善に当たっては、従来から配慮している刑務官、少年院教官、若手研究員等に加えて、大学の教授等及び看護婦の処遇改善に配慮しております。指定職俸給表については、昨年の報告において、従来から参考としてきた民間企業の役員給与との差や公務部内における均衡等から相応の改善を図るよう検討したい旨言及したところであります。本年は、これらの事情等を踏まえ、当面、行政職を若干上回る程度の改定を行うこととしておりますが、引き続き民間企業の実態に相応した適切な改善が図られるよう検討を進めたいと思います。
次に、手当につきましては、民間における支給状況等を考慮し、住居手当、医師の初任給調整手当及び期末・勤勉手当について改善を行っております。
具体的に申し上げますと、住居手当については、借家・借間居住者に対する最高支給限度額を二千円引き上げ、二万三千円としております。
医師の初任給調整手当につきましては、最高支給限度額を一万円引き上げ、二十六万五千円としております。
期末・勤勉手当については、民間のボーナスの年間支給月数分との均衡を図るため、年間支給割合を〇・二五月分増額することとしておりますが、改善に当たっては、給与制度としての安定性にも配慮しつつ、民間のボーナスの支給割合の変動をより確実に反映させるようにとの昨年の国会附帯決議をも踏まえ、二捨三入方式による〇・〇五月ごとの区切りにより小数点第二位までの支給割合を定めることとしております。また、民間のボーナスの配分傾向を踏まえ、係長級以上の職員の期末・勤勉手当の算定基礎給について、職務段階等を基本とした五%から二〇%までの加算措置を講じることとしております。なお、期末・勤勉手当に関する以上の措置については、特に、各省庁人事当局及び関係職員団体から累次にわたって意見を聴取した上で、その策定に至ったものであることを申し添えておきます。
このほか、通勤による災害を受けた者に対する給与上の取り扱いにつきまして、公務上の災害を受けた場合と同様とすることとしております。
以上が、勧告の概要でございます。
実施時期につきましては、本年四月一日からとしております。なお、通勤災害を受けた者の取り扱いについては、平成三年一月一日からとしております。
次に、報告文の中で申し述べている公務員の週休二日制・休暇等について、御説明を申し上げます。
職員の週休二日制については、国全体の労働時間短縮の計画期間内における完全週休二日制の速やかな実現を目標に、その条件整備に取り組んでいるところでございます。
特に、交代制等職員の週四十時間勤務制の試行は本年四月から逐次実施に移されておりますが、なお病院等一部の部門においては、試行実施の具体的計画がいまだ策定されていない状況にあります。完全週休二日制実現のためには、これらの部門においても早急に試行を実施することが極めて重要な課題となっていることから、所管省庁を初め関係者全体の努力により、そのための具体的措置が速やかに講じられるよう要請をしております。
総実勤務時間短縮の観点から、休暇については、年次休暇の計画的使用の促進にさらに努める一方、民間の普及状況等を考慮し、新たに三日の夏季休暇を設けることとしております。
また、超過勤務の縮減については、特に、職員の健康に重大な影響を及ぼすおそれのある過重な長時間の超過勤務をなくすよう努めることが緊要であるとの認識から、人事院としてもそのための方策について検討を進めることとしております。
また、報告文では、公務運営について、公務能率の増進、行政サービスの向上等の必要性を述べ、あわせて公務員倫理の高揚、一体的・整合的な行政運営の必要性について言及をしております。なお、高齢社会に対応した人事行政諸施策の策定に向けて、広く人事行政全般にわたり総合的な検討を進めていくための調査研究を行っていくことを表明しております。
人事院は、本年の勧告に当たっても、公務員の勤務条件について、中央・地方を通じ広く各界から意見を聴取いたしました。表明された意見を見ると、人事院勧告に基づき民間給与に準拠して公務員給与を決定する現行の方式は、客観性、納得性のある妥当な方式であるとの理解を得ていることが認められ、その上で職務の複雑性、困難性に応じたきめ細かな処遇を一層推進する必要があるとする意見や、最近の国家公務員採用試験の応募状況等を勘案して、公務に有為の人材を確保するためには初任給その他の勤務条件の改善に積極的に取り組む必要があるとの意見が示されています。また、公務員の週休二日制については、国全体の労働時間短縮への流れを促進するためにも、国民の理解を得ながら完全週休二日制を早期に実現すべきであるとする意見が多数を占めていますが、その推進に当たっては、業務の合理化、効率化を進め行政サービスの低下を来さないように配慮すべきであるとの指摘がなされています。
以上、給与及び週休二日制等に関する報告並びに給与に関する勧告の概要を御説明申し上げました。
人事院勧告は、申し上げるまでもなく、労働基本権制約の代償措置として、国家公務員法の定める情勢適応の原則に基づき行うものでございます。
人事院といたしましては、職員を適正に処遇することが、その士気を高く保持し、職場の労使関係の安定に寄与するとともに、公務に有為な人材を確保し、ひいては将来にわたる国の行政運営の安定に資するものであると考えます。
内閣委員会の皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割及び職員が行政の各分野において真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、何とぞこの勧告のとおりに早急に実施していただくよう衷心よりお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/5
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006・井上孝
○委員長(井上孝君) これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/6
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007・小川仁一
○小川仁一君 人事院勧告が出されました。人事院は、現在までの手法でそれなりに努力されたことは一応評価をいたします。しかし、勧告を受けた勧告の内容を知って全国の公務員職場では不満が渦巻いていますし、あるいはまた無気力になっている者も多いわけでございます。これは一体どういうことなんでしょうか。
日本は世界最高水準の富裕国と言われますが、国民の生活は豊かではありません。特に、公務員は賃金、勤務条件が悪く、豊かさの実感がありません。このような公務員の精神的状況をどう見ておられますか。特に、今回勧告されたものに不満を持つということは、勧告内容に差別がある、こういう感じがするからであります。人事院総裁、勧告後におけるこのような不満という状況をどうお考えになっておりますか。また、人事全般を見ておられます官房長官としてもこの状況をどうお考えですか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/7
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008・弥富啓之助
○説明員(弥富啓之助君) お答えを申し上げます。
生活に豊かさを求めることは、これは国家公務員であろうと一般国民であろうとひとしく願うと
ころでございまして、官民を問わずみずからの勤務条件について、これは満足度は人それぞれによって違うとは思いますけれども、いま一歩の改善を求めるのは私ども人情であろうと思うわけでございます。
公務員の給与を初め勤務条件等を検討するに当たりましては、民間で同じような仕事をしている方と見合うものを保障していくということが人事院の勧告に臨む今までの基本的考え方でございまして、情勢適応の原則や民間準拠を原則とする勤務条件の決定方式、今までとっております決定方式は、職員にとっても国民にとっても納得性の高い方法ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
いずれにいたしましても、豊かな国民生活の実現ということは、人事院といたしましても当然に意を用いていかなければならないところでございまして、そのような観点から今後とも我々としても検討をしてまいりたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/8
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009・小川仁一
○小川仁一君 差別的な待遇だけは今後公務員の給与体系から外していただきたいことを重ねて申し上げておきます。
民間の春闘相場は、労働省の調査によりますと五・九四%であります。今回の勧告はそれより低いわけでございます。加えて、民間の賃金は表向きの賃金だけではありません。私も労働運動にかかわってまいりましただけに実態をわかっておりますし、人事院もそれを御存じのことと思います。この部分を拾い上げて勧告に取り入れていかなければ、公務員はいつまでも低いところに存在すると思います。今後の勧告の中でこういったことを検討なさいますかどうか、端的にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/9
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010・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 私どもの人事院勧告のベースになっております官民の給与比較、これはもう先生重々御承知のとおり、官民の個々人の給与額をそれぞれ把握いたしましてこれを比較し、積み上げていくということでございますから、今御指摘のとおり、民間のいわゆるベア以外の上昇があるとしますと、賃金台帳の上でそれはしかとあらわれているはずでございますから、私どもの調査の中にそれが把握され、官民較差を通じて公務員給与の改善に向けてあらわれてくる、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/10
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011・小川仁一
○小川仁一君 端的に聞きますから端的に答えてください。
今の話になりますと、今までどおりの手法ということになりますが、それでは第二基本給その他が全然出てこないわけですから、いつまでも差が出るという結果になりますので、ぜひ来年御検討を願いたい。
初任給が今回七%台以上に引き上げられましたが、これは人材確保という立場からの政策的な引き上げと考えます。それはそれでいいことですけれども、いわゆる初任給に原資が食われてしまって、特に中堅層にしわ寄せがいっております。中堅層というのは一番生活費が必要な年齢であり、まずこの層を優遇しなければ公務員の勤労意欲、こういったようなものに大きな影響があると思います。したがって、民間との差額原資だけで配分することをやめて、初任給引き上げといった政策的な配分については別原資でやるというふうな考え方で今後やっていただけますかどうですか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/11
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012・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 初任給につきましては、これは官民ともいわゆる官民較差の外に外しておりますので、これは別でございます。
今おっしゃいました初任給の改善に伴う在職者給与、こういうことでございますが、初任給の号俸といいますのは、新規採用職員が受けるだけではなくて下から上がってきた在職者も受けるわけでございまして、そういう在職者につきましては、これは官民較差の中で措置するのが適当だと考えております。ちなみに、私どもが民間を調査いたします過程におきまして、いわゆるベア原資外で在職者調整等をしているところがあるとすれば、それは賃金台帳の上にその分があらわれてまいっておりますので、私どもは較差としてこれは拾ってきておるということでございます。したがいまして、私どもの側といたしましても、その較差の中で在職者賃金の改正を行うのが適当だ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/12
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013・小川仁一
○小川仁一君 先ほどの答弁といい今の答弁といい、あなた方の調査が絶対だみたいなお話ですが、絶対じゃないから問題を提起しているんです。その点をしかとおわかりおき願いたいと思います。
一時金の算定方式を変えて、そこから出てきた〇・三月分程度の原資を全部注ぎ込んで職務段階別に傾斜配分したのは、今回の勧告の中で最大の問題点でございます。民間企業の経営方式と公務、その業務内容では一時金の基本的な性格が異なるはずでございます。このことを無視しているというのはどういう意味なんでしょうか。また、職務加算制度は、従来の管理職加算制度と重なって屋上屋となり、加算のない者と最高加算者とでは四五%もの格差が出てまいります。これでは公務員の内部に混乱を生ずるおそれがございますが、この点明快な説明をお願いしたい。
さらに、俸給表を線引きしておりますが、この線引きは学歴偏重、現業軽視となっております。今、現業を大事にしなければならない時期になっておりますだけに、大変遺憾に思います。人事院はどんなふうに考えて現業を軽視しておられるのか、この点について御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/13
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014・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 私ども、一般的に民間のいわゆるボーナス、これを公務員の期末・勤勉手当として比較対応させて何月分という期末・勤勉手当を支給している、こういうことにしておるわけでございます。期末・勤勉手当の持っている性格等につきましては、発生的にいろいろなことがあったにせよ、現在年間給与の中で相当なウエートを占める賃金としてこれが存在する以上は、これを公務員においても民間並みに支給するのが適当だ、こういう発想で現在期末・勤勉手当制度の支給率を決めているわけでございます。そういう過程におきまして、民間企業におきましては職務段階、役職段階によりまして支給月数に相当の差があるという事実がございまして、公務員の各層の職員が民間に比べてそれぞれの職責にふさわしい期末・勤勉手当を支給されるということを実現するためにはそういう傾向を導入する必要があるということから、今年度これを導入しようとしたわけでございます。
それから、今御指摘ございましたほかの俸給表についてどういうやり方でやったのかということでございますけれども、これはあくまで役職段階別傾斜配分でございますので、行政職の(一)につきまして四段階の区分といたしたことを基本といたしまして、公務部内のバランスあるいは各職種間の均衡、そういうことを考えながら相応の措置をしたということでございまして、行(一)との見合いあるいは俸給表間のバランスから見まして相応のバランスはとれている、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/14
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015・小川仁一
○小川仁一君 ただいまの御説明は私としては納得できませんから、改めてまたお話し合いをしたいと思います。四五%も格差が開くという状況というのは正常じゃないんです。
続いて、この一時金の中の問題も含めて、高校の実習助手ですが、教育職(二)表の一級適用の職種は今回の勧告では全く救われない状況であります。俸給表が別枠で、行(一)職員や教育職二級の教員と格差が拡大をいたしております。また、今回の傾斜配分もこのままでは一生適用されないおそれもあります。これは人事院もおわかりになっておられると思いますが、総裁、今回追加勧告をするか、あるいは来年度これを是正するか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/15
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016・弥富啓之助
○説明員(弥富啓之助君) ただいまのお話は、教育職(二)の一級は高校実習助手に適用される級でございます。実習助手が教員免許状を取得して教諭として任命をされない限り上位の級に格付されずに、ただいま先生言われました生涯同一級に在職
することとなる実情等を十分に考慮いたしまして、毎年の勧告において高目の改善を行ってきているところでございます。教育職(二)につきましては、行政職(一)との均衡を基本として改定をしておりますが、本年は右の実情を考慮して一級の後半号俸について六百円程度高い引き上げとしたものでございます。
なお、先生の言われましたいろいろの職種の中に、言葉は悪うございますけれども、なかなか困難な場所もありますし、給与上あるいは、詳細に私も精査しているわけではございませんけれども、いろいろな不利とは言いませんけれども、そういうところがあるかもしれません。そういった場合は我々の方としても十分に検討いたしまして将来の措置をいたしたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/16
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017・小川仁一
○小川仁一君 ぜひこの層に対して将来お考えをお願いします。
次に、生計費問題についてお聞きします。
国公法六十四条、地公法二十四条で俸給表決定要件に生計費が明記されていることは御存じのとおりであります。ただ、いただきました人事院の世帯別標準生計費と総務庁統計局の消費調査、これとが数字が非常に大きく食い違いますので、なぜだろうかと感じているところでございます。私が持っておりますのは総務庁の家計調査、平成二年上半期平均でございます。今これを比較してみますと、仮に家計調査、全世帯の支出の場合の一世帯構成人員を三・七人ぐらいにして、生計費三人、四人と比較をしてみました。大変な違いですからちょっとお聞きください。
住居関係費というところでは、家計調査の方は四万二千四百六十八円、生計費の方は三人世帯で三万八千九百八十円、四人で四万四百五十円、四千円から二千円の違いがあらわれております。被服・履物のところでは、総務庁調査では二万二千三百四十九円、生計費の方では三人世帯で一万三千九十円、四人世帯で一万五千三百十円、九千円から七千円の違いが出ております。もちろん、この数字を簡単に比較しようという意図で申し上げているのではございませんが、しかし家計調査というのは実際に必要があって国民が使ったものであります。その使った結果の調査というものと、皆さんがこれだけ生活に必要だといって調査した生計費とこんなに違っているというのは一体どういうことでしょうか。公務員は粗末なうちにいて被服などもネズミ色の服を一日着ていればいい、こんなふうに考えて生計費調査をしたわけじゃないと思いますが、この点の御説明をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/17
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018・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 私どもの標準生計費の算出方法につきましては、先生よく御理解のとおり、今御指摘のありましたような費目につきましては家計調査をもとにいたしまして算出をしておるわけでございますが、ただいまの御指摘の家計調査によりますと、まず勤労者世帯の世帯人員三・七人ということでございますが、有業人員が一・六三人でございまして、公務員の場合は有業人員一人というところで置き直しておるわけでございます。それから、世帯主の年齢が四十四・四歳ということでございますが、私ども三人ないし四人というのは三十一歳ないし三十六歳程度のところでございます。そういうように収入のある世帯員がたくさんいて、それだけ収入が多いということになりますと、当然支出も多いというのが実情だということでございますから必ずしもイコールに結びつかないということでございまして、私どもが一定のルールに従いまして算出いたしました標準生計費とそこのところは違うのは、これはいたし方がない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/18
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019・小川仁一
○小川仁一君 雑費の方がもっとひどいですね。雑費I、御承知のようにこれは保健医療、交通通信、教育、教養娯楽調査ですが、全世帯調査ではかかった費用が八万一千八百四十円、生計費との差では三人世帯で二万八千円、四人世帯で一万四千円。雑費IIでは、家計調査では八万九十一円、生計費との差では三人世帯で三万二千円、四人世帯で二万八千円。大変な違いなんです。一人のものを前提にして三人、四人を出したといっても、実際全世帯が使っている消費支出とおたくが、参考資料であるかしれないけれども、出してきた生計費との開きが倍以上ですね、雑費になりますと。こんなに違うということは私には理解できないんです。家計調査、これを今回の勧告の中で参考資料になさいましたかどうか、その点だけをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/19
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020・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 一般的に言いまして、生計費というものは、戦後、昭和二十年代あたりでは相当意味合いを持ったものでございましたが、今日、民間の給与水準が最低生活費以上に相当の高い水準になりますと、給与決定上生計費の持つ意味というのはその分だけ低くならざるを得ないということでございまして、私どもが現在民間準拠ということで公務員給与を決めさせていただいているわけでございますが、その中では私ども生計費という要素は、俸給表の上での各層の配分に当たりまして参考としているにとどまっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/20
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021・小川仁一
○小川仁一君 後で総務庁長官がおいでになったところで総務庁長官と官房長官に実施問題についてお聞きしますから、賃金問題を以上で終わります。
次いで、中東問題について質問をいたしたいと思います。
一昨日、イラクで軟禁状態にあった邦人のうち女性と子供六十八人と男性二人が解放され、成田空港に到着したということであります。また、在クウェート大使館員の家族十二人も出国を認められ、本日夕方に帰国ということでございます。これまで人質になっておられた方々、関係各機関に本当に御苦労さまと申し上げ、また人質になられた皆さんにはお見舞いを申し上げ、一緒に喜びたいと思います。まだ軍や重要産業施設に連行されている百四十一人の男性を初めイラク国内にとめ置かれている多くの邦人が一刻も早く出国できるよう政府の一層の御努力をお願いします。
我が党も、昨日の党代表によるイラク大使館への申し入れを初めとして最大の努力を払っているところでございます。
八月二日のイラクによるクウェート侵攻とそれに続く併合は、どのような口実に基づく行動であろうと、明らかに国際法に違反し国連憲章を無視した侵略行為と言わざるを得ません。我が党は、イラクのクウェートからの即時撤退、クウェートの独立、主権、国境の回復、侵攻によって生じた人命その他被害に対する補償が早急に実現されるべきと考えております。
そこで、中東問題について今どのような状況認識をしておられるのか、官房長官にお伺いしたいと思います。現状認識について政府のお考えをただしたいと思ったものですから、やっぱり長官にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/21
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022・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 今、小川委員が言われましたように、イラクのクウェート侵攻というものは全く国際法違反、暴挙であります。その暴挙に対して国連は、安全保障理事会で一人の反対もなく安保理決議を決定いたしております。そういう状況で、我が国としてもこの安保理決議に従って平和の回復のために国連加盟国と協力をしてやっていこう、これが事実であります。
とにかく、このイラクの武力を今、多国籍軍と称しておりまするけれども、国連の決議に従ったこの勢力がこれ以上の侵攻がないように抑止をしておる。もしこの抑止がなかったならば、どこまで侵攻が続くかわからないという非常に心配がありますから、抑止をしておるという現実であります。もうこの暴挙に対して一歩も引かないという姿勢、そして今後はあらゆる、それは対話もありましょう、これが最も望ましいことでありましょうが、そういう努力を続けていかなければならぬ、こう思っておるわけであります。いわゆる自由を奪われてどこにおるかわからないなんというようなことは、これはもう人道上も国際法上も許すべからざることであります。これにつきましても最大の努力を今払っておるというところであり
ます。
とにかく、理不尽な暴挙に対しては一歩も退いてはならぬ、そういうつもりで国際連帯のもとで今努力をしておるというのが私ども国連に加盟をしておる多数の国々の断固たる決心である、私はそういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/22
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023・小川仁一
○小川仁一君 官房長官もお考えのように、私も中東問題の解決は何よりも平和的に行われなければならないと考えております。国連の安保理事会の常任理事国であるソ連と中国も九月一日の外相会談で、武力行使を回避し、またアラブ諸国による平和的政治解決を目指すという基本方針で一致したと報道されております。PLOやリビアあるいはヨルダンでもそれぞれ独自の解決案を示して、武力による解決以外の道を模索している、こういう状況であります。
九日に米ソ首脳会談が行われると報じられております。我が国としてもこの会談を行う両首脳に平和的な解決を積極的に働きかけていくということが大変大切だと思います。幸いにも五日に日ソ外相会談もあり、政府としての熱意ある活動を期待いたしますが、官房長官の平和的解決への今後の活動の決意のようなものをお話し願えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/23
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024・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 我が国といたしましては、国連の決議に基づいて我が国としてもでき得る限りの貢献策をやっていかなければならぬと思っております。それからまた、同時に、デクエヤル事務総長などの平和的な話し合いの解決というものに対しては心から期待をし、でき得る限りの貢献も援助もいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/24
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025・小川仁一
○小川仁一君 さまざまな報道を見る限り、アメリカは当初サウジアラビアへのイラク軍の侵攻を阻止するという目的から、イラクのフセイン大統領の排除、イラクの軍事力の無力化へ戦略を変更した、こう伝えられております。米軍は、御承知のように、着々と増強を続けており、あと数週間もすればイラクへの侵攻が可能になるほどの軍隊をサウジアラビアへ集中をいたします。既にアメリカはイラクに対する軍事行動を決断したという報道さえも出ているわけでございますが、このような状況を政府はどのように受けとめておられるか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/25
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026・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 先生御指摘のいわゆる米国を初めとする多国籍軍の派兵の目的につきましては、累次の国連安保理決議を受けまして、各国がイラクによる軍事行動のさらなる拡大の抑止及び対イラク経済制裁措置の実効性確保のために兵員、艦船等を湾岸地域に展開しているものと認識いたしておりまして、湾岸地域ひいては国際社会全体の平和と安全の維持に積極的に貢献するものであると考えております。
米国の意図の変更、変化等については、こうした位置づけで派兵しているという認識を日本政府としても持っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/26
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027・小川仁一
○小川仁一君 ただいまの見解は政府見解と聞いてよろしいですね。外務省の参事官の見解じゃありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/27
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028・内田富夫
○説明員(内田富夫君) いわゆる多国籍軍の派遣目的に関する……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/28
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029・小川仁一
○小川仁一君 いやいや、私の聞いたことに答えなさいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/29
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030・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 多国籍軍の派遣目的に関する認識はただいま申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/30
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031・小川仁一
○小川仁一君 私がお聞きしているのは、アメリカが軍事的行動に出る可能性を含めた戦略の変更、こういったようなことでお聞きしたんですが、あなたの答えを政府の見解として受けとめておきます。ただ、参事官、あなた、政府見解を聞いたときには責任を持って答えてくださいよ。
次に、仮にアメリカ政府の意図が当初の目的を変えてイラクの現政権の軍事的排除にまで突き進むとしたら、一体我が国はどのような態度をとるか、検討しているならばお知らせ願いたいと思います。官房長官にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/31
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032・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 米国と多国籍軍の目的及び派兵の基礎は国連安保理の累次決議でございまして、目的はイラクによる軍事行動の拡大の抑止及び対イラク経済制裁措置の実効性確保のためと認識しておりまして、それ以外の目的等に関してはそのような認識を私どもとしてはしていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/32
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033・小川仁一
○小川仁一君 内部検討は一切ないと、こうお聞きをいたしました。
私は、政府が中東における新たな軍事衝突を回避するため、我が国独自の解決策を提示し、積極的中東外交を展開すべきと思います。例えば、サウジアラビア国境での兵力の引き離し、兵力の相互削減、国連あるいはアラブ諸国軍による平和維持活動などを通じクウェートの独立と主権の回復を図るというようなものも一案であるかと思います。政府は、このような独自の解決案を持って海部総理の中東訪問を行うことこそ平和憲法を持つ我が国の外交の基本と思います。
こうしたことを思うと、海部総理の中東訪問の延期は私は間違いではなかったかと思います。また、本日の新聞によりますと再延期、こういうことも載っておりますが、延期、再延期する理由というものは一体どういうものであったかお聞かせを願いたい。私は、今はよい機会と思います。総理が中東諸国を訪問し、アラブの各国の真の考えやアラブ民衆の心、動きを直接目と心で確かめることが必要な時期じゃないか。さらに、できるならイラクにもおいでになったらどうですか。人質の問題もあります。古い言葉に、虎穴に入らずんば虎子を得ずという言葉もありますが、ぜひ総理の積極的な平和追求の姿勢と、中東訪問を必ず実行されるようお願いを申し上げたいと思いますが、これについての政府の御見解をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/33
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034・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 海部総理は、この八月十五日から中東訪問をしようとして政府を挙げて準備をしておったわけでありますが、その直前にあの思いも及ばぬようなイラクのクウェート侵攻というものが始まったわけであります。それ以前はアラブの友好国に対して平和と友好を求めて海部総理が歴訪するという計画でありましたけれども、事情が急変をいたしました。アラブ友好国にも大変な事情の変化が起こってまいりまして、中東の戦火が勃発して大変な被害が出てきた、それも大きな事情の変化であります。そうすると、その前に日ごろ用意しておったようなアラブの周辺国に対する我々の対策では不十分だ、もう事情がすっかり変わったんですから。
そういうようなことで、これはやはり改めて周辺国に対する友好、援助、協力、この姿勢というものもすっかり見直さなければならぬ。ということになりますと、やっぱり海部総理は日本にとどまって、そしてそういう周辺国に対する対策はもちろんのこと、国連への協力策、貢献策につきましても考え直さなければならぬという大事なときにまいりました。ですから、あのときは中止をした方が間違いではなかった、私はこういうふうに思っております。
何も事態が急変しない平和なときの貢献策というものを携えて行ったならば、それこそ我が国の姿勢、熱意が疑われるわけでありますから、それはそれで考え直す。と同時に、国連に対する貢献策というものもしっかり立てなければならぬということになれば、やっぱり総理が陣頭指揮をして国内においてそういう貢献策を練る、そういうことになるのが私は当然のことであるということで前回は延期をいたしたわけであります。
しかし、今日、私どもは海部総理の中東訪問を再延期するなどというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/34
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035・小川仁一
○小川仁一君 中山外務大臣が中東を御訪問なさいました。その際、新聞が報ずるところによれば、総理が改めて訪問をするというふうなお約束をしたようにも伝えられております。私は、そのお約束よりも、こういう時期にやっぱり一国のかじをとる総理というものが、中東に対する日本の理解が不足であっただけに、お出かけになることが非常に大事だ、あるいは平和的な解決のためにも非常に大事だ。そうすれば、今、日本が出している
貢献策などというものが果たしてよかったかどうかという検討も含めて行われる、こういうことになると思いますので、あえて再延期に反対をし、ぜひ中東訪問を実現されるよう要望しておきます。
次に、幾つかその問題に関連した問題がありますけれども、飛びまして、防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、さきの衆議院内閣委員会で上原議員の質問に答えて、今、憲法を改正する考えはないが、政治課題としては現在の憲法を絶対変えないのか変えた方がいいのか、経済大国として国際的な立場で論議すべきではないかと答弁したと報ぜられております。この発言は私の知っている石川さんのイメージとちょっと異なるのです、これは余計なことでありますけれども。しかし、こういう憲法改正を現職大臣がお話しなさるということは非常に大きな問題だと思いますので、改めて真意をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/35
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036・石川要三
○国務大臣(石川要三君) 先般の衆議院の内閣委員会で、今、小川先生が言われたような答弁をしたことは間違いございません。私、個人的に大変先生とも親しいわけでございますが、何か私の個人的な印象から見て少し違うのじゃなかろうかということでございますが、むしろ強いて言えば舌足らずな点があったのかなと、こういうふうに思うわけであります。
私はかねがね思っていたことでありますが、特に今日のようなイラクの問題が起こってから、各党内においても、あるいは国民の間にも、あるいは外国の中においても、日本のこの問題に対するかかわり方についていろいろと議論が今盛んに行われているわけであります。そういうことを考えますと、私はやはりできるだけのことをやるという、この現在の法制度を変えないでやるのか、あるいはまた場合によれば自衛隊は何のためにあるのか、そのためにあるのじゃなかろうかと言わんばかりの議論がある、こういう中においては、私は、やはりいろいろと考えてみると、憲法にもかかわってくるようなそういう問題があると思うのです。ですから、そういうものをひっくるめて私はやはり憲法というものはいろいろと議論するのが正しいのじゃなかろうかと。私は、決して改憲しろとかそういう意味じゃない。だから、大いに議論をして、今までのようなどちらかといえば憲法をタブー視する、そういう考え方は世界に通用しない考えではなかろうかなというのが私の率直な見解でございまして、そういうふうな意味から私はお答えしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/36
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037・小川仁一
○小川仁一君 憲法を論議しようという立場だけなら、これは一つの考え方としてあると思います。今、自衛隊の派遣をめぐり憲法問題というのは大きな焦点になっております。しかも、その問題をめぐって、逆に憲法を改正しようとする意図的な論議も起こっている時期に、防衛庁長官としては私は軽率ではなかったかという感じがいたしますので、あえて申し上げておきます。
そして同時に、海部総理は、貢献策を発表した記者会見でも、憲法の枠組みの中でと言っておられる。そのような海部内閣の中で、閣内に憲法改正――改正ではないですね、憲法改正の議論があってもいいのではないかといったようなこと、それは端的には憲法改正と受けとめられざるを得ないような発言。これに対して総理は、当日の新聞では、信じられないが、意見を聞いてみると述べておられる。防衛庁長官に会って意見を確かめましたか。また、官房長官、こういう閣内における改憲問題というふうな論議については非常に慎重であるべきだと考えますが、こういった課題について、閣僚のあり方について官房長官のお考えがあったらお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/37
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038・石川要三
○国務大臣(石川要三君) 官房長官から後ほどお答えがあろうかと思いますが、その前にちょっと私からさらに補足的に申し上げたいと思います。
私は、小川先生がいろいろと御心配をされたその中の言葉にいみじくも、私は憲法論議を提起したわけでありますが、その論議イコール改憲というふうにとられやすいという大変御懸念をいただいたわけでございますが、そういうことであるならば私は大変不満足なわけであります。私は、憲法改正論議にこれがつながるものではない、むしろ憲法をいろいろと議論することによって、私はかえって、何で今こうやって日本が平和の中に今日まで発展したかというふうなことを考えると、平和憲法のやはりありがたさといいますか、効用というものもかなりあると思うのです。ですから、そういうこともむしろ引き出すことも可能性がある。どちらにも通じますけれども、いずれにしましてもこれは大切なことですから、誤解のないようにお願いしたいのです。
いずれにしましても、憲法を議論しないようなそんなことが一番いいだなんということは私は間違いではないかと思うのです。議論をして憲法論議を大いにやるべきだ、そういうふうに私は思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/38
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039・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 今の防衛庁長官の答弁でその真意をひとつ御理解を賜りたいと思います。国務大臣は憲法遵守の義務を負っております。そういう意味合いから憲法の改正の問題に言及をするということは極めて慎重を要することだと。今、防衛庁長官は、現行憲法の、平和憲法のいいところもよくよくひとつこの際かみしめて議論をしたいというのですから、これは改憲にストレートにいくというようなものでは全然ありません。我が海部内閣におきましてもさような意向、意見はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/39
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040・小川仁一
○小川仁一君 一般論としてのお話はわかりますけれども、両長官にしても防衛庁長官とか官房長官という非常に重要な一国の政治を左右する立場におられますだけに、今後の憲法改正問題に対する御発言は、一般論というふうな形でお話をそらさないように、責任ある答弁をお願いしたいし、一切のそういう種類の発言は慎重にお願いを申し上げたいと思います。
次に、自衛隊法の改正問題について伺いますが、これまた第九条の見直しや自衛隊の海外派遣の扉を開こうとしている動きがあるやに見受けられます。こういう中で、防衛庁長官、官房長官は衆議院の内閣委員会、または通産大臣はテレビでそれぞれ自衛隊法の改正や自衛隊の海外派遣の検討を表明しておられますが、これは政府としてその方向をお決めになったのですか。また、官房長官、防衛庁長官、どのような御意図でこれを発言になったか、真意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/40
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041・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 私の自衛隊に関する発言というものは、自衛隊法を改正するのかというような御質問がありましたから、そういう問題はこれはもう国民の世論だとか国会の論議だとか、さらにこれだけの国際国家日本となりますれば、やはり周辺諸国の世論だとかをよく聞いてやるべきものであるという一般論を申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/41
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042・石川要三
○国務大臣(石川要三君) 先般の委員会の中でもございましたが、現在のイラクの問題につきましての我が国のでき得る範囲というもの、これにつきましていろいろと論議があったわけであります。そういう中で自衛隊法の改正というものも言葉が確かに出ました。しかし、それはただ一般論として自衛隊法を改正してやらなければならない範囲、あるいはまた自衛隊法を現在変えなくてもできる問題、いろいろとあるわけでありますから、そういうことをいろいろと議論をした、こういうわけであります。結論的には、こういう法の改正というものは国会の中で大いに議論をし、国民の理解の上でないと、やはりいたずらに私は改正していい、こういうふうには思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/42
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043・小川仁一
○小川仁一君 海部総理は八月二十九日の記者会見で、自衛隊法の改正を考えているかという質問に対して、自衛隊の海外派遣は考えていないと明言をしておられます。そうしますと、皆さんの御発言が、一般論という形ではありますけれども、何かしら閣内不一致の感がするわけでございますが、こういったような形ではなく、やはり総理の一つの考え方に従って閣僚全部、方向性を明らかにしておくことが大事だと思いますので、その点はぜひ御認識願いたいと思います。
最後に、私は中東問題が困難な事態に直面しておりますことを感じ、それだけにデクエヤル国連事務総長による調停活動に敬意を表し、今回の調停は進展しなかったとしても、それに失望して武力解決に走るというような方向はとらず、粘り強く、しかも積極的に国連事務総長の調停活動、考え方を支援してまいりたいと思います。日本の国民もこういう平和解決を望んでおりますし、官房長官が三日の記者会見で、今後とも粘り強く交渉していく、こういうお話をしておられたことを今想起しながら、この御決意に変わりがないかどうか、最後に官房長官の御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/43
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044・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 今あの国連の決議に基づいて各国が多国籍軍というものを出して抑止をしておりますが、これはやはり最初に起こった暴挙に対して兵を引けというやっぱりにらみになるだろうと思うております。
しかし、私は、いたずらに国連の決議を盾にして多国籍軍の方から戦争をしかけるなんというようなことは考えられませんので、そうすれば今あなたのおっしゃるように、やはり絶対に許すべからざる暴挙であるということはもう撤回するわけにはいきませんけれども、しかしイラクのやはりその自制心というものを粘り強く説得して、そして平和解決に持ち込んでいく。そのときには一国一国がばらばらにやっておったのでは力がありません。やはりみんなの力を結集するという形でやらにゃいかぬ。ということになれば、最も模範的なのは国連の事務総長などが粘り強く説得をする、またタイミングを見て今後ともタイミングよろしく説得をする、それが一番ベターだ、そう思っております。日本もそういう方面についてひとつできるだけの貢献をしたいという気持ちであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/44
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045・小川仁一
○小川仁一君 最後のところが私にはよく聞き取れませんでしたので、御決意のほどを半分わかったようで半分わからないような感じがいたしましたが、とにかく平和的な解決というものが今一番大事なことなんだということを申し上げたくて先ほど決意を聞いたことだけは御認識願いたいと思います。
また、人事院勧告に戻りまして、総務庁長官もおいでになりましたのでお願いいたしますが、週休二日制問題、これは何年度を目標にして実施しようとしておられるのかということが一つ。それから、厚生省、文部省の病院等は試行も余りされていない。文部省の学校五日制問題についての試行も全国的には大変数が少ない、こういう状況でございます。これは総務庁長官のやっぱり指導性、決意にかかっていると思いますが、長官、強力な御指導をお願いしたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/45
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046・塩崎潤
○国務大臣(塩崎潤君) 二点御質問がございました。第一点は、週休二日制をいつごろから施行するかという時期の問題でございます。この週休二日制の問題を打ち出しました閣議で決定されましたあの「世界とともに生きる日本」の中では、平成四年度をおおよその目安としてやるというような方向が見えるようでございます。私どもは、平成四年度あたりを目標に努力をして、できる限りこの目標を達成するように努力していきたい、こんなふうに考えているところでございます。そして、そのために私どもは週休二日に関しますところの問題について、学識経験者にお集まりをいただきまして、週休二日制の懇談会を頻繁に今開催していろいろと公務員の週休二日制、公務員制度に対して週休二日制がどのような影響を来すか御検討を煩わしているところでございます。
その中に、今御指摘の国立病院等の試行がまだまだうまくいっていないというお話でありましたが、確かに定員等の関係でなかなかそれが進んでいないことも事実でございますが、やはり私どもとしては、病院も同じ公務員でございますから、その方向での努力はしていただくように今後とも進めていくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/46
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047・小川仁一
○小川仁一君 最後でございますが、人事院勧告は出されました。それで、速やかに完全実施をするべきだと考えます。官房長官、総務庁長官、それぞれ御努力をいただけると思いますが、完全実施を速やかにやるということについてのお考えを伺いたいと思います。お二人からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/47
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048・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 人事院勧告の重要性につきましてはよく承知をしておるわけでございます。政府としましてもできるだけの努力をして、いろいろな国政全般に配慮すべき点はございましょうけれども、人事院勧告実施のためにできるだけ努力をいたして期待にこたえていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/48
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049・塩崎潤
○国務大臣(塩崎潤君) 人事院勧告制度は、言うまでもなく、民主的な公務員制度の根幹をなすものでございます。私どもはこれはもう尊重してできる限り早急に実施の努力を払っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/49
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050・山口哲夫
○山口哲夫君 人事院勧告の問題に入ります前に、我が国の安全にとって極めて重要な問題が発生しておりますので、まず中近東の問題に関して質問をいたしたい、こう思います。時間も余りありませんので、ひとつ端的に質問をいたします。
きのうのある新聞を読んでおりましたら、二日の夜帰国して自宅に戻ったアラビア石油クウェート事務所の長谷川さんの妻の悠紀子さんがこういうことを言っております。二十四日の日ですけれども、「中山外相がストックホルムで、中東諸国への支援策について語ったことに、イラク側が硬化。それまで好意的だった態度が押しつけがましくなった。隠し持っていたラジオで、日本の対応を聞いていたが、「余計なことを言わないで」と祈るばかりだった。この日夕、日本人を二十グループに細分化、郊外へ行くよう命じられた。」、こう言っております。
実は昨日、我が党の代表がイラクの大使との会見を行いました。それは、在留邦人の出国をまず行うべきであるということ、二番目にはイラク軍のクウェートからの即時無条件撤退等々であります。これに対しましてイラク大使の主張は、人質問題については、敵対国の国民を戦争防止のためにイラク全土に分散しているのであって云々、盛んにこのことを強調していたと言われております。このことから申しますと、明らかにイラクは我が国が貢献策を発表して後、日本を敵対国と見るようになったんではないだろうか、そういうふうに考えられます。これについて、一体政府としてどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/50
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051・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 先生御指摘の点につきましては、対中東貢献策の検討及びその発表に関連したことかと思われますが、対中東貢献策につきましては、これはやはり国際の平和と安全を破壊する行動を抑制するための幅広い国際的努力に参画するためのものでございまして、湾岸の平和と安定推特という、我が国の国益を守り、かつ国際社会における我が国の責任を果たしていくためにはどうしても必要なものであり、そうした措置をとったということを申し上げ、そういう立場から貢献策を策定、発表したものでございます。イラクのこれに関しまする、貢献策に関しまする反応でございまするが、私どもといたしましては、政府ベースでは公式にはイラクの反応は聞いておりません。
ただいま敵対国というような御発言があったわけでございますけれども、そのような言葉を使ったかどうかはさておきまして、日本がイラクを敵対するとかイラクが日本に敵対するとか、そういうことではないと思うのでございます。現に、この貢献策の発表に先立ちまして海部総理から御発言がございましたときに、イラクに対しましてその行為を厳しくとがめる世界の声に率直に耳を傾けることを強く求めるとともに、イラクが国連安全保障理事会の決議を受け入れる場合には、我が国を初めとする世界の諸国との間での協力関係を改めて築き直すことも可能であるということを指摘されておるわけでございまして、このような立場からイラクに対して粘り強く働きかけるというのが政府の方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/51
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052・山口哲夫
○山口哲夫君 ちょっとお聞きしますけれども、あなたは政府委員として出席なんですか、説明員
として出席なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/52
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053・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 説明員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/53
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054・山口哲夫
○山口哲夫君 こんな重大な問題に説明員が出席して答弁できますか。今あなたは、これが政府の方針ですと、こうはっきり言っていますね、政府の方針ですと。政府の方針を説明員が述べることになっているんですか。委員長どうですか、この辺は。これは質問時間外の問題としてひとつ処理してくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/54
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055・井上孝
○委員長(井上孝君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/55
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056・井上孝
○委員長(井上孝君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/56
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057・山口哲夫
○山口哲夫君 私が聞いたのは、イラク側の方は、この新聞のインタビューに応じた長谷川さんのお言葉をかりても、支援策が決まった途端にイラクの対応がまるっきり変わってきたと。そして、きのう社会党の代表がイラク大使館に行って大使と話したときにも、盛んに日本を敵対国扱いにしている。そういう敵対国に対する認識はどうなんですかということを聞いているんです。それはさておきなんという問題ではないんです。だから、その辺の政府としての認識を聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/57
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058・丹波實
○説明員(丹波實君) 北米局の審議官としてお答えすることが適当かどうかはあれでございますが、御指名でございますのでお答え申し上げます。
敵対という言葉の意味でございますが、現在の国連憲章の法体系におきまして、イラクがあのような国連憲章に反する侵犯を行ったということはいわば全人類に対する挑戦、全国連加盟国に対する挑戦でございまして、そういう侵犯に対して国連加盟国が一定の措置をとっておる、日本もそれに加わっておる。そういう日本に対して敵対という認識を持たれること自身が適当ではないと私たちは考えております。
一方におきまして、人質の問題につきましては、イラクが日本人を含む他の一般外国人及び外交官を現在のような状態で拘束するというのもまた実は追加的な国際法違反であると私は考えております。
以上は、政府の認識としてお受けいただいて結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/58
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059・山口哲夫
○山口哲夫君 イラクが我が国に対してとっている行動について、もちろん私たちも、非常に問題がある、国際法違反であるということは全くそのとおりです。
ただ、戦時国際法によるとそういう敵対国とみなされるものなのかどうなのか。法律的に、法律をそのまま解釈していきますと、戦時の場合においては、例えば食糧であっても水であっても、いわゆる後援、後方部隊に対する支援であっても、相手国がそれを戦時禁制品だという指定をした場合においては、それを輸送する者自体が敵対国とみなされるというのは、戦時国際法の解釈からいけばそれは間違いないんでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/59
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060・丹波實
○説明員(丹波實君) 答弁は簡単にという先生の御要請でございますので、簡単に御答弁申し上げます。
戦時国際法と申しますのは、国際連盟あるいは不戦条約あるいは国際連合が成立あるいは締結された以前の、戦争が国家と国家の間で一般的には認められていた時代の考え方でございまして、現在の国際連合憲章のもとにおきます世界の法体系においては認められない考え方でございまして、どういうことがあり得るかというと、それは国際法を犯した者、そういう侵犯を抑止しようとして行動している者が他方にあるという関係が、国際連合憲章のもとにおきます世界の現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/60
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061・山口哲夫
○山口哲夫君 そういう認識の仕方ももちろんあります。しかし、戦時国際法というものは、一応現在通用している国際法であるというふうにも認識されているわけです。ですから、そういうことから申しますと、例えばアメリカ軍とイラク軍が戦闘状態になった場合に、食糧や水あるいは衣料品の輸送に当たっている船舶、航空機、それは民間機であっても臨検や拿捕や攻撃の目標になる。残念ながら、戦時国際法という観点から言うならば、そういうことは考えられるわけですね。
だから、今は人質扱いになっておる在留邦人ですけれども、これがもし今言ったような状態になりますと、いわば正式な敵国人として抑留する格好の口実を与えることにもなるんではないだろうか、そういう危険性は多分に心配されるんでないかと私は思うんです。それでは、そういう心配は絶対にないということを政府は保証してくれますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/61
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062・丹波實
○説明員(丹波實君) 現在とらわれと申しますか、身柄の自由を奪われて拘束されておられる我が同胞、日本の方々に対する心配は先生と同じものを私たち持っております。この点は申し上げることもないと思います。したがいまして、事実の問題としてそのような心配があると言われる先生の御意見、全く異存ございません。
ただ、現在あそこで起こっております事態といいますのは、イラクという国が国際法に対する真っ向からの侵犯を行った、さらにほうっておけばあるいは侵略の拡大というものが行われる可能性がある。それを抑止するために、国際連合のいろいろな決議のもとで、アメリカを初めとする関係各国がそれを抑止するために存在しておるという状態として認識さるべきものではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/62
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063・山口哲夫
○山口哲夫君 私が心配するのは、そういう状態に、もし日本の船舶とか民間航空機だとか、あるいは今人質になっている方々がいわば敵対国扱いにされた場合に、それを見過ごすわけにはいかないわけでしょう。政府としては、そういうことがないような何らかの手だてをしていかなければいけない責任があるんでないですか。今のお考えからいけば、そういう事態が起こったとしてもこれはどうしようもない、そういう考え方なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/63
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064・丹波實
○説明員(丹波實君) 先ほどから官房長官も答弁しておられますとおり、日本政府といたしましては、今般の事態が今後できるだけ平和的な道を通じて解決されることを切に望んでおる、そのためには日本政府としても、国連を通じあるいは総理の今後の中東訪問を通じできるだけのことはしていきたいという強い気持ちを持っておることは御承知のとおりだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/64
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065・山口哲夫
○山口哲夫君 それならば、さっき新聞を読みましたように、敵対国扱いをされているというそういう認識に立ったならば、直ちにイラクに対して政府はこういう扱いをしないように抗議を申し出るべきではないんですか。私ども社会党はそういう立場に立って申し入れを行ってきているわけです。なぜ抗議の申し入れをしないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/65
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066・丹波實
○説明員(丹波實君) 直接私はそちらの面は担当しておりませんけれども、外務省の一員として認識いたしておりますところでは、現地におきましても、東京におきましても、あらゆるルートを通じてまさに先生がおっしゃったような意見を私たちイラクに申し入れ続けてきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/66
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067・山口哲夫
○山口哲夫君 それじゃ、政府の貢献策が出た後でこういう対応の仕方、いわば対応が今までと違ってきたということは、この新聞はゆうべ出ていますけれども、たしか二日ほど前のテレビでも私は見ているんです。政府は余計なことを言わないでください、私たちが本当に大変なんですという訴えを在留邦人が発言されていらっしゃる。そういうものを政府だって知っていないはずがないと思う。そういう在留邦人が心配されるようなことが起きないように直ちにイラク政府に対してきちっとなぜ申し入れしてないんですか。それじゃ、そういう敵国扱いをしてはけしからぬじゃないかというふうなことを、いつ、どなたが行って、だれに申し入れしたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/67
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068・丹波實
○説明員(丹波實君) 申しわけございません。私、先ほどから申し上げておりますとおり、北米局を代表と申しますか、から来ておりますので、先生の特段のお許しを得て、中近東アフリカ局の内田参事官から答弁させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/68
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069・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 先ほど御説明申し上げた
とおり、イラクが正式に我が国に対し敵対国であるというような発言をしているということはございません。したがいまして、そのようなことに対する私どものアクションと申しますか、反応もいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/69
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070・山口哲夫
○山口哲夫君 敵国扱いをしているということはないと言うのですけれども、きのう社会党の代表が三人行っているんですよ。久保田真苗さんと伊藤茂さんと矢田部さん、三人がちゃんと行っている。それの正式な会見要旨ですよ。敵対国扱いをきちっとしているじゃないですか。こういうことを知らないわけでないでしょう。けさだって新聞に出ていますよ。そういうことをあなた方は知りながら、知らないようなふりをしているんです。
やっぱりこういう問題についてはもっと細かいところにきちっと情報網を張って、本当に一つ一つの現象に対して直ちにそれに反論するようなそういう態度をとらなければいけないんじゃないですか。これじゃ、とても日本政府は頼りにならぬと海外にいらっしゃる国民はみんなそういう不満を持つじゃないですか。きちっとした対応をとるべきじゃないですか。官房長官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/70
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071・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 社会党もイラクの大使館に邦人保護についても強く善処するように申し入れたということは、政府としてもまことにありがたいことだと思います。しかし、今あなたがおっしゃるように、日本の政府は何もしてないみたいなようなことは、それはもう間違いでございます。毎日毎日と言わず、しつこいほどこの邦人保護の点などにつきましては、現地の大使館を初めといたしまして不眠不休の努力をやっておる状況です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/71
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072・山口哲夫
○山口哲夫君 だから、今この問題に関して言っているんです。だれもやってないと言ってないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/72
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073・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) それだけじゃありませんよ。国際赤十字もぜひひとつ協力をせよと言ってみたり、それからまた国連にもお願いして、それがデクエヤル事務総長の先日のイラクの外相との会談にもなったわけでありまして、特にこれは日本人だけではありません、もう世界じゅうの罪のない人々が人質みたいに扱われておるということだけは、これは厳しい現実であります。
しかし、それは国際法に照らしても全くもって許すべからざる暴挙であるということで、世界じゅう挙げてイラクに対して邦人の、外国人の出国を認めるようにと言うて、もう各国それぞれありますが、国連の決議はもちろんあります、デクエヤル事務総長もそういうふうに運動しておる、全力を挙げてやっておるということだけは御認識をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/73
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074・山口哲夫
○山口哲夫君 私が申し上げているのは、国連憲章を犯して我が国のそういういろいろな在留邦人を、あるいは船舶とかそういうものを、敵対国扱いをされたのではこれは日本が大変ですと、だからそういうことについてイラクの政府に対して抗議をきちっと申し入れをするべきではないんですかと言っている。この問題について何もやってないじゃないですか。それは私は、今の政府のやり方が、結局そういうような口実を与えるような多国籍軍に対する支援を打ち出したからだと思うんです。
私たち社会党は、今日本がとるべき方向というものは、まず日本の憲法の範囲内で行うべきである、国連を中心に行うべきである、決してこういった多国籍軍に対する支援という措置をとるべきではない、そういう考え方に立っているわけであります。そして、周辺諸国に対する難民の対策とか医療とか通信、運輸等いわゆる民生安定を対策の第一に掲げるべきだし、それから平和維持のために国連に対して緊急援助体制をやっぱり早急につくるように働きかけるべきだし、今官房長官もちょっとおっしゃっていたけれども、国連の機関や国際赤十字に対して機敏な対処をされるように要請をすることであるし、我が国政府はそういうことに対して積極的な支援措置を、協力をすることが一番大事なんではないか。そういうことをやることによって、日本が敵対国扱いされるなんということにはこういう方針をとっていればならないと思うんです。そのことを私はあえて申し上げておきたいと思うんです。
それで、もう一つ具体的にお聞きしますけれども、八月三十日に十億ドルの支出を決定いたしましたけれども、これはどこに出すんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/74
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075・丹波實
○説明員(丹波實君) お答え申し上げます。
御承知のとおり、一連の国連決議を受けまして政府は湾岸地域の平和と安定の回復のために行われております国際的努力に対しまして、輸送協力、物資協力、医療協力を含めて今先生がおっしゃった十億米ドルの協力を行うことを決定したわけでございますが、具体的な協力の態様でございますとか内訳につきましては現在政府部内で鋭意検討中でございまして、いずれ確定を見た時期に公表されるということになろうかと思います。現在は検討の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/75
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076・山口哲夫
○山口哲夫君 十億ドルの対象はどこなんですかと聞いているんです。どこの国なんですか。そして、どういうものに出すんですか。具体的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/76
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077・丹波實
○説明員(丹波實君) まさに先生が御質問の二つの点については二つとも現在検討の段階にある。どういう形でどういう先に資金が提供され、あるいは支払いが行われるか、そういうことも含めて現在検討の段階にあるというふうに御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/77
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078・山口哲夫
○山口哲夫君 出すところがまだ決まっていない、それから受ける側も何も言っていない。そんな架空の中で十億ドルということを何で決められるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/78
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079・丹波實
○説明員(丹波實君) 二つに分けてお答え申し上げます。
まず、資金の行き先でございますが、繰り返して申し上げます。例えばそうなるかどうかは別といたしまして、例えば国連を通じてそういうことが行われるとかそういうこと、そういうたぐいのことについて現在検討中という意味でございまして、全く架空というわけではございません。
第二点の、どういうものについて支払われるかという点につきましては、先般の貢献策の中で四つの項目が挙がってございます。輸送協力、物資協力、それから医療協力、資金協力というふうな項目が挙がっておりますが、その四つの項目の中にどのような割り振りでこの資金が使用されるかという点についてはまさに現在検討中、あわせて二つとも検討中、そういう意味でお答え申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/79
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080・山口哲夫
○山口哲夫君 そんな検討中の話を、十億ドル、一千四百億円からの国民の税金をそんなあいまいなことで出せるんですか。
それで、一つ聞きますけれども、例えば国連と言っていますけれども、けさの新聞に、国連はそういうものは受けられないと言っているじゃないですか。それは知っていますね。知っているか知っていないかだけお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/80
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081・丹波實
○説明員(丹波實君) 私は、まさに二回例えばと繰り返しましたけれども、全く架空ではないという意味で国連ということを例示したまででございまして、ほかのいろいろな国際機関もあり得るわけでございますので、そういうことを含めて検討しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/81
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082・山口哲夫
○山口哲夫君 例えばを三つ四つつけても同じことですよ、それは。国連としては受けられませんと言っているんですよ。だから、これは国連に出せない。もう一つ、自民党の加藤政調会長、この間テレビではっきり特定の国には出しませんと言っているんです。特定の国にも出せない、国連は受け取らない。全部そのほかの国際機関に出すんだということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/82
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083・丹波實
○説明員(丹波實君) 国連を通じる、通じると申しますか、国連との関係でこの資金を処理するということには恐らくならないという意味で、先生のおっしゃるとおり。しかし、国際機関はそのほかにもございますので、現在いろいろなところと話し合い中ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/83
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084・山口哲夫
○山口哲夫君 余りにもそれはひど過ぎませんか。一千四百億円の血税を今使おうとしていると
きに、そんなあいまいなことでもって決められたんではたまったものじゃないですね。
それじゃ、もう一つ聞きます。具体的に今、日本政府に対していろいろと要請があると思うんです、各国から、いわゆる多国籍軍と称する国々から。国連機関は別ですよ、知っておりますから。例えば、ヨルダンの難民に対して少しこういうくらいの金を出してくれないかとか、赤十字の方で三百億ドル出してくれというような話が来ている。国連機関は知っていますからいいです。いわゆる多国籍軍と称する国々から具体的にどういう要請があるか、国名と金額と内容をお知らせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/84
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085・丹波實
○説明員(丹波實君) 私は先生と一対一でここであれする能力はとてもございませんので、特段のお許しを得て中近東アフリカ局の内田参事官から答弁させます。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/85
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086・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 御説明申し上げます。
供与先につきましては、湾岸の平和と安定の回復のために安保理の関連諸決議に従って活動している各国を支援するということで、適当な供与先をただいま検討中ということでございます。
各国各方面からいかなる要請が行われているかという御質問につきましては、相手国との関係もございますのでこの場でお話し申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/86
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087・山口哲夫
○山口哲夫君 ちょっとよく聞こえなかったんですが、具体的にアメリカ軍から要請があるんですか、イギリス軍ですか、フランス軍ですか、西ドイツ軍ですか、ソ連軍ですか、この中のどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/87
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088・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 具体的な国名に言及することは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/88
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089・山口哲夫
○山口哲夫君 どうして一千四百億のお金を出すのに国の名前を明らかにできないんですか。例えば、アメリカ軍がぜひこれだけの金額を出してもらいたいというようなことを、それは言わないでくれと日本政府に要求があるんですか。ありますか、ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/89
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090・内田富夫
○説明員(内田富夫君) まことに恐縮でございますが、具体的な国名を私どもの方から御説明申し上げるのは適当でないと思います。その理由は、この供与先及びその具体的協力の態様、金額その他詳細につきまして検討中の段階でございまして、関係国とも協議中の段階にございますので、この段階で申し上げるということはそうした面から適当でないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/90
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091・山口哲夫
○山口哲夫君 こういう重要な問題ですから、官房長官が知らないはずはないと思う。当然閣議に、今どういうところからどういう要請があるんだくらいの報告はあるはずです。どうですか、どことどこの国から来ているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/91
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092・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 今も説明がありましたけれども、今どことどこの国からどういうことをというのは検討中の段階でありますから、また変更になっても困りますし、それはよっぽど詰めていかないと、ここでうかつに申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。
何さま我が国は国連の枠組みの中で、そして憲法の枠内で精神を体して、そして今多国籍軍を出しており抑止力をあそこで働かせておるその国々の御意見があれば、これはよく参考として承りまするが、決定はあくまでも我が国であります。そういうような意味で慎重にやっていかにゃならぬ、こう思っております。そう遠いことではないでしょうからしばらくお待ちください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/92
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093・山口哲夫
○山口哲夫君 あきれたというか、大変失礼な言い方でしょうけれども、国民の立場に立つならば、全然要請もない、仮にあったとしても名前も言えない、そして自民党の政調会長は多国籍軍と言われる特定の国には出せない、こう言っている。国連は受けられない、出す先もない、そんな中で十億ドル、千四百億円だけがひとり歩きしている、こんなあり方、やり方というのは果たして許されるんだろうか。しかも安全保障会議も開いていない。そういう中で今我が国の安全問題に対していろいろな貢献策を決めるというやり方、しかも国会を開いて我々の意見も聞こうとしない、こんな中で日本の置かれている安全という重大な問題を一体どういうふうに考えているのか。私はまことに残念です、これは国民の立場に立って。
そう考えたときに、私は直ちに臨時国会を召集して各党の意見を聞いていただきたいと思うんです。法案がなければ開けないというものではないでしょう。早急に臨時国会を召集して、そしてこの問題について十分論議をして国民が納得できるようにしてもらいたいと思うけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/93
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094・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) こういうふうにして閉会中の委員会、これも重要な私は御意見を承る舞台だと思いますが、しかし臨時国会を開けということも、各党の御意見がまとまればこれまた結構なことだと思っております。しかし、私どもといたしましては、早急にやっぱり貢献策を詰めていかなければならぬということでは、これはもう我々の務めとして当然のことだろうと思っております。
国会ということになりますれば、これはもう実質的に各党各会派のお話し合いということがなくては、政府が勝手に召集をするというわけにはまいりません。国会の皆様方の御意思によって具体的に進められていくことであります。そういうようなことになれば、私どもといたしましても全力を尽くして貢献策についてまた御説明も申し上げられるし、また皆さん方から御意見をいただけるものだと、こう思っておりますが、どうぞひとつそういうときになりましたら実りある貢献策について御指導を賜りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/94
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095・山口哲夫
○山口哲夫君 たまたま今、内閣委員会が開かれていたのは人事院の勧告があったからです。これがなかったら今こういう問題では開けなかったでしょう。私は、各党みんな臨時国会を開いてもらいたいという要請をしていると思う。開こうとしないのは政府だけでないですか。法案がないとか、まだ具体的な内容が決まっていないとか、答弁に立つのに窮するから開かないように、そういう印象でとられがちです。だから、今官房長官がおっしゃったように、各党の意見は十分拝聴しなければならないというお考え方があるのでありますならば、直ちに臨時国会を召集していただくように政府としても対処していただきたい。いずれまた、内閣委員会はこの問題についてもう一日くらいやるというお話を承っておりますので、もっとやりたいところですけれども、人事院勧告の問題もありますからこの辺で終わります。
最後に一つだけお聞きしておきますけれども、さっきから言っておりますように、加藤政調会長は、特定の国には出しません、こう与党の政策最高責任者が言っております。そういうことからいきますと、アメリカにこの十億ドルのお金の一部であっても直接渡すということはないというふうに承知してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/95
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096・丹波實
○説明員(丹波實君) いろんなことがまだ検討の段階にございますので、一定のことにつきまして、こうであるこうでないということを断言することは差し控えさせていただきたいと思いますので、ぜひそういう点で御理解いただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/96
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097・山口哲夫
○山口哲夫君 それは納得できません。だって、あなた方政府・与党の政調会長が、特定の国には出せないと言っているんです。出しませんと言っている。これは私は当然のことだと思うんです。しかも、多国籍軍というのは姿がないわけでしょう。いわば、アメリカとかソビエトとかいろんな国々を称して多国籍軍と称しているんであって、だから多国籍軍からお話というのはないはずです。特定の国しかないんです。そういう特定の国に出せないということからいけば、アメリカならアメリカに対して出すということには私はならないと思うんです。そのことだけははっきりさせておいていただきたい、このことだけは強く要望しておきたいと思います。
次に、人事院勧告の問題に触れます。自治省おいででしょうか。
八月の七日、人事院は平均三・六七%、一万七百二十八円の給与改定勧告を行いました。自治省
のこの給与改定勧告に対する基本的な所見をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/97
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098・滝実
○説明員(滝実君) 人事院勧告を受けての自治省としての基本的な考え方はどうか、こういうお尋ねでございます。
地方公務員の給与は、もとより基本的に国家公務員の給与に準じて取り扱う、こういうことでございまして、平成二年度の地方公務員の給与改定につきましても、現在給与関係閣僚会議等で鋭意検討が進められているところでございます。したがいまして、国におきますこのような取り扱いについての検討の結果を待ちまして地方公共団体に対して必要な連絡を申し上げる、こういうことといたしているわけでございます。
基本的に、この人事院勧告につきましては、自治省として従来から勧告尊重の基本姿勢に立って対処してきたところでございまして、今回の地方公務員の給与改定につきましても勧告を尊重するという基本的な姿勢に立って努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/98
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099・山口哲夫
○山口哲夫君 ぜひひとつそういう態度でお進めをいただきたいと思います。閣議が開かれるでしょうから、早期完全実施について自治大臣も積極的に発言してくれるようにひとつぜひお伝えをいただきたいと思います。
次に、本年の勧告では、期末・勤勉手当の〇・二五カ月の増額とあわせまして係長級以上の職員について職務段階等を基本に最高二〇%までの加算措置を講ずるべきとの勧告がなされました。私は、公務の場合はこの種の傾斜配分はいたずらに競争原理をもたらすものでなじまないというように考えております。
人事院は、国家公務員の職務、職員構成の実態を踏まえてこの勧告を行ったものと理解いたしますが、この問題は、ストレートに自治体に当てはまると考えるのは無理がありまして、そうすべきではないと思います。特に市町村につきましては、さらにより以上に職務、職員構成は異なっておりますし、職務段階も国に比べて細かなものではなくて、職員は皆横並びで仕事をしているわけでございます。一時金の傾斜配分はこのような実態からして全くなじまないものでありまして、国の制度の画一的押しつけでは職場は大混乱に陥るおそれがあると思います。労使交渉による市町村の自主的判断にゆだねるべきで、自治省は画一的行政指導は行うべきではない。ましてや、標準型を示すなど文書指導はすべきではないというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/99
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100・滝実
○説明員(滝実君) ただいまお話のございました職務段階別の加算制度が今回の人事院勧告におきましては一時金の中に取り入れられているわけでございます。地方公務員につきましても、この点についてはこれからの問題が多いわけでございますけれども、国において勧告どおり実施されるということになりますれば、この一時金につきましても国に準じて取り扱うということが基本原則だろうというふうに私どもは考えているところでございます。
ただし、ただいま先生が御指摘されましたように、地方団体におきましては国と違った制度の運用と申しますか、制度の構成がなされておるわけでございますし、特に御指摘のございました市町村になりますとまた都道府県とは違った意味で国と異なるところが多うございます。したがって、私どもとしては、この問題に地方公共団体が対処するに当たりましては、その団体の組織あるいは職員の規模、役職の構成あるいは給料表の構成、そういうようなそれぞれの団体ごとに国とは違った点が多いものでございますから、そういうようなことを十分お考えいただくということがまず必要だろうというふうに考えております。
しかし、導入に当たりましては、当然国に準拠してこの加算制度を導入する必要があるわけでございますけれども、今申しましたような地方は地方の実態があるわけでございますから、当然結果的には実態に対応したいろんなばらつきと申しますか、さまざまな態様というものが予想されるわけでございます。したがって、地方団体にはそれなりにさまざまな問題が検討の結果出てこようかということも予想されるわけでございますので、私どもといたしましては、そういった点については個別的にいろいろ御相談をいただいて、関係方面の意見を聞きながらひとつ適切な結論が出るように私どもなりに考えてまいりたいと思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/100
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101・山口哲夫
○山口哲夫君 今部長がおっしゃったように、自治体は国のいろんなものをそのまま当てはめてもなかなかそのとおりいくものではない、ばらつきが出るのは当然だ、それは自治体の一つの性格でもあろうという認識については全く同感でございますので、ぜひひとつ自治体の方々がそういうことを考えながら、関係者や関係団体などの意見も聞きながら決めていくようにしてもらいたいものだというように思います。
次に、これから地方の人事委員会の勧告が出されるわけでございますけれども、当然各県、政令都市の実態に応じて人事委員会は独自に主体的に勧告を行うべきでございまして、自治省が画一的に指導、助言すべきではないというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/101
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102・滝実
○説明員(滝実君) お話しのように、地方団体の勧告につきましてはこれから出される、こういうような段階になるわけでございます。ただ、各人事委員会とも既に人事院が行ってまいりました給与実態調査の一端を担当してきたところでもございますので、これから人事委員会が勧告作業に当たるわけでございますけれども、私どもとしては、そういうこれまでの作業の実績の上に実態を的確に把握して、当該団体の給与のあり方については十分資料を検討の上、適切な勧告あるいは報告がなされるものということを期待いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/102
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103・山口哲夫
○山口哲夫君 次に、町村職員の給与について質問いたします。
町村職員の給与というのは、仮に今回の勧告どおりに改定いたしましても、まだ県や市に比べて相当低いところがあるわけでございます。どういうふうにこれを改善なさろうとしていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/103
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104・滝実
○説明員(滝実君) 確かに、町村につきましては、従来から国家公務員と比較いたしまして給与水準の低いところが多いじゃないか、こういう御指摘がございますし、事実そういう面があることも否定できないわけでございます。ただ、私どもとしては、最近数年間のデータをとってまいりますと、全般的には国家公務員の水準に大勢としては近づきつつあるという判断をいたしております。
しかし、一部団体においては御指摘のとおりかなり極端に低いところがあることも事実でございます。したがって、私どもそういうような極端に低いところを見てまいりますと、やはり現在給与制度上一般に認められている制度が必ずしも活用されていないということが見受けられるわけでございます。例えて申しますと、中途採用の場合の前歴換算でございますとか、あるいは特別昇給制度を導入していないとか、そういうようなことがございますので、やはり給与制度上一般に認められている制度については町村につきましても当然そういうものを活用し、職員のいわば給与の適正化を図っていくということが大切だろうという観点から、そういう点については個別に私どもも御相談に乗ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/104
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105・山口哲夫
○山口哲夫君 私の知る範囲では、町村職員の給与の低さ、またそれを改善するための政府としての考え方、初めてお聞きいたしました。確かに、今部長がおっしゃられるように、各自治体では当然それを取り上げて給与の改善に当たるべきなのにやっていなかった点が随分あるということはもう事実でございますので、ぜひひとつ今部長の方からお話があったようなことを十分各自治体としても検討して、これから町村の職員の給与を国家公務員並みに上げていくように努力をしていかなければならないなというように思っております。
町村の中には中途採用者の前歴換算を正しく
行っていないところもある、このような給与体系をきちんと守っていないことにやっぱり問題があるというふうに今のお話を聞いて感じました。その極めて具体的な前歴換算についても、いかがでしょうか、もう一度お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/105
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106・滝実
○説明員(滝実君) おっしゃるとおり、この給与の運営については大変技術的な点もございますし、従来からの慣行もございますものですから、なかなか一概に言えないところがあるのでございますけれども、特に町村の給与の低い団体においては、前歴換算制度と申しますか、中途採用の場合のそういう給与上の格付が必ずしも的確になされていないというところが多いということがございまして、私ども個別にそういう点が発見できれば御指導申し上げるということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/106
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107・山口哲夫
○山口哲夫君 給与の問題は大体そのくらいにいたしまして、今度は週休二日制の問題に入りたいと思います。
一九九二年までに我が国は完全週休二日制をとらなければならないと。人事院に質問いたしますが、この週休二日制の試行未実施の職場がまだあるというふうに聞いておりますけれども、具体的にどんな職場でしょうか、またそれに対する所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/107
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108・大城二郎
○説明員(大城二郎君) 交代制等職員の週四十時間勤務制の試行につきましては、本年四月から逐次実施に移されているところでございます。試行対象職員約二十一万六千人でございますが、現在既に試行実施または試行実施計画が具体化している職員は約六万二千人でございます。一方、現在のところ試行を実施していない約十五万四千人のうち大学教官等の約五万五千人については十月から実施予定であるなど、おおむね見通しが立っているわけでございますが、病院部門の約九万五千人につきましては、医療機関としての特殊性があること、施設の数が多く人員体制等個々の施設ごとの事情がさまざまであることなどから直ちに試行を実施することは難しいということで、現段階では試行実施の具体的計画が策定されていないという状況にございます。
目標としている国全体の労働時間短縮の計画期間内における完全週休二日制の速やかな実現のためには、これらの部門においても早急に試行を実施することが極めて重要な課題であると考えておりまして、人事院としては、所管省庁初め関係者全体の努力により、そのための各部門の実情に即した具体的措置が速やかに講じられるように要請してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/108
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109・山口哲夫
○山口哲夫君 自治省にお伺いしますけれども、自治体病院の実態は、この週休二日制についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/109
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110・滝実
○説明員(滝実君) 具体的な問題につきましては、病院関係は私どもの財政局が担当しておりますので、財政局からお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/110
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111・西川一誠
○説明員(西川一誠君) お答えいたします。
自治体病院の週休二日制の実施の問題でございますが、病院等の交代制等職員の週休二日制の実施につきましては、既に国家公務員の交代制等の職員について実地に即した問題点の把握と対応策の検討を行うため、平成二年度から週四十時間勤務体制の試行を行うことといたしております。自治体病院についても、こうした趣旨を踏まえまして試行を進めることを指導してきているところでございます。
病院事業の週休二日制の試行に当たりましては、地域住民の理解と協力を得ることが肝要でございます。また、病院事業としての特殊性あるいは各病院の実態に配慮しながら、サービスの急激な変化を来さない等、診療方法の改善であるとか人員配置の見直し等業務体制の整備を進める必要がございます。こうした条件整備を行って速やかに試行すべきと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/111
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112・山口哲夫
○山口哲夫君 自治体病院は試行しているところがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/112
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113・西川一誠
○説明員(西川一誠君) 試行の実態でございますが、詳細は把握いたしておりませんが、既に試行いたしておる段階にある団体があるというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/113
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114・山口哲夫
○山口哲夫君 厚生省いらしていますか。――今、自治体病院についてはそれなりにやっているところがあるというお話なんですね。それから、人事院の方としてもこれはぜひやってもらわなければならない、こうおっしゃっています。それから、大学病院についても十月から試行しようかという、何か今検討しているというふうに聞いておりますね。やらないのは国立病院の関係ということになるんですけれども、これはどうなんでしょうか。確かに、今看護職員が少なくてなかなか大変だと思うんです。
それはそれとして、後ほど時間があれば申し上げたいと思うんですけれども、試行というのは、とりあえず今の体制の中でやれるところからやってみるというのが試行なんでしょう。だから、工夫すれば何とか手をつけることはできるんでないんでしょうか。例えば、外来のないような療養所からやってみるとか、あるいは外来があっても一部夜動体制をちょっと手伝ってもらえないかとか、そういうことを関係組合とも十分相談しながらとりあえず手をつけてみようじゃないか、やってみてどこに問題があるかということを把握するのが試行だと思うんです。それを初めから全然やらないというのは、これは人事院の勧告をまるっきり無視しているということになりはしないでしょうか。決意のほどを聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/114
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115・真野章
○説明員(真野章君) 御指摘のとおり、ことしの四月からの試行には国立病院・療養所は参加を見送らざるを得なかったわけでございます。その理由は、今委員もおっしゃいましたように、現行の体制では看護婦さん等の勤務ローテーションが組めないということで試行に入れないという状況でございます。
今、一部の実施可能なところからでもどうかという御指摘でございますが、国立病院・療養所の場合には施設が二百五十余もございまして、非常に数が多く、また患者さんの疾病状況、またそのための職員の人員配置等施設ごとに大変ばらつきがございます。また、同じ国立病院・療養所に勤務する職員にいわば勤務条件に差が出るというような実際上の問題もございまして、私どもといたしましては、せっかくの御提案でございますが、一部の施設からの実施というのは非常に難しいんではないかというふうに考えております。
今後、週休二日制の実現に向けまして、私どもも業務の見直し、合理化を進めまして検討を進めていきたいというふうに思っておりますが、勤務の特殊性など厳しい事情がございますので、定員問題や予算問題も含めまして、関係省庁と協議しつつ条件整備に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/115
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116・山口哲夫
○山口哲夫君 時間がないから総務庁長官に簡単にお答えいただきたいんですけれども、この週休二日制というのは、これはいわば日本政府が対外的に公約しているようなものですよね、千八百時間を達成しなきゃならない。そういうことからいくと、まず政府のおひざ元のところからやっぱりきちっとやっていかなきゃならないでしょう。今二百五十幾つもある施設が一斉にやらなきゃできないような答弁というのは余りにもひどいんじゃないんですか。各自治体では無理しても試行をやってみているわけでしょう。だから、どんな問題が起きるか、やれるところからやったらいいじゃないですか。あるいは、一つの病院全部でやる、それができないのであれば病院のどこかの部門だけでもひとつやってみるという方法だってあると思うんです。それ、政府の方で少し調整してみてもらえませんかね。随分厚生省は方針がかたくなじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/116
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117・塩崎潤
○国務大臣(塩崎潤君) 病院の週休二日制につきましては、今厚生省の方からお話ございました。大変御苦労をされていることもよく知っております。しかし、何としてもやはり週休二日制は公務員全般に私どもはやっていきたい、こんなふうな考え方でございます。いろいろ難しい問題がございましょうけれども、これの試行はぜひともひと
つやっていただきたいということを厚生省に強く申し入れたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/117
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118・山口哲夫
○山口哲夫君 ぜひひとつそれは総務庁長官の責任において厚生省と話し合って手をつけるようにお願いしておきたいと思います。
それから、人事院にもお願いしておきますけれども、来年もまた勧告を出すんでしょうけれども、さっき言ったように、これは日本政府としての対外的公約です。これを実現できなかったら大変です、週休二日制が。もう来年あたり勧告をきちっと出すべきだというように私は思いますので、その点は十分ひとつ検討していただきたいと思います。
最後に、消防職員の週休二日制です。
実は二年前の四月二十一日に、私は地方行政委員会に所属していたものですから、梶山自治大臣と質疑を交わしました。梶山自治大臣は大変おもしろいことを言っていました、「私も委員御指摘のようにどうしてこれができるのかしら、」と。というのは、職員をふやさないで消防が本当にできるんですかと大分消防庁長官とやっていたのを大臣が聞いておって、「私も委員御指摘のようにどうしてこれができるのかしら、一番できない問題を大臣に答えさせるとは罪ではないかということで実は答弁を拒否して今までここにおるわけでございますが、確かに算術計算といいますか常識の計算でいきますと、こういう現場のことでございますから能率を上げるとかなんとか、火災を一時期に集中するというわけにもまいりませんから、この消防という使命から考えますとちゃんとした体制を張りつけなきゃならないという気がいたします。」ということで、とりあえずやらせてくれと言っているんですよ、当時自治大臣は。やってみて、できなかったらそのときに考えましょう、人をふやしましょうということなんです。
ところが、あれから二年たって、五月十六日、山口県で全国八ブロックの消防長の代表を集めてこの問題で論議したんです、週休二日制は一体どういうふうになっているか。そうしたら、ある消防長は、「過疎地域の組合消防で、」「出先を縮小し、職員を集中する方法か、必要最小限の増員をするかのいずれかでないと対応できない」状態にありますと言って嘆いていらっしゃる。それから、ある市は、「国の指導のとおり週四〇時間勤務制を実施していくためには、現有人員より三七~三八名の増員が必要となる。機構改革や日勤者の応援を精一杯しても最低二四名の人員が不足する。」、こう言っています。三番目の消防長は、「四週六休制・週四四時間制実施の際には、各出張所配置の二個分隊を一個分隊に削減し、一車両で二線放水するとともに、乗組人員を一個小隊四名から二個小隊五名にして対応した。」「国にあっては、こうした地域の実態について十分御配慮いただきたい。」、こう言っているわけです。そのほかたくさんあるんですけれども、時間がないから言いません。
要するに、梶山自治大臣は、とにかくやらしてみてくれ、やらしてみてもらってどうしても問題があればそのときに考えるという約束を実はしているわけですね。現に消防長の人たちは、やってみたけれどもどうにもなりません、だから消防の体制を縮小するか、ということは住民にサービスである程度迷惑かけるか、それとも職員の数をふやすか、どっちかしかない、二者択一だと、こう言っている。しかし、消防のサービスを落とすわけにいかないですね、国民の財産、人命を守るわけですから。そうすると、これは職員をふやすしかないということになるわけでございます。
消防庁にお聞きいたします。各自治体消防ですから、国の消防がああせいこうせいと言う問題ではないので、各自治体消防がそこの首長の方々と話をし、議会に相談をして、やむを得ないというような場合で人員をふやしたことについて消防庁は一々文句は言わぬですよね。当然のことだと思うんですけれども、改めて確認しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/118
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119・中川浩明
○説明員(中川浩明君) 地方公務員の四週六休制の実施につきましては、国家公務員と同じように実施のための定員、予算の増は行わない、行政サービスの急激な変化を来さないよう事務処理体制の整備により実施するという原則のもとに行っておるわけでございます。したがいまして、消防職員につきましても、実態に即した、今おっしゃいましたようないろいろな工夫を凝らしながら定員増をしないで四週六休制を実施すべきものと考えているわけでございまして、従来からこのような考え方によりまして地方公共団体を指導してまいったところでございます。
ただ、消防職員につきまして、交代制勤務者の勤務時間が長時間に及んでいる団体とか、あるいは「消防力の基準」という基準がございますが、この基準に定める内容を満たしていない団体などにおきまして、これらの実態を改善するためにそれぞれの地域の実情を勘案しながら職員の増を行うということは十分考えられるところであると思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/119
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120・山口哲夫
○山口哲夫君 職員の増員も考えられるところであるということで大変力強い答弁をいただいたんで、ぜひひとつそういうことでやってもらわないと、これは人数を減らしますと――筒先をあれは二人で持つんです。私は自治体消防は結構知っていますんで、火事になるたびに出かけて見ておりますから。一人がきちっと握るんです。もう一人補助員として必ずそれを支えるんです。これを一人でやりますと外れることがあるんです。外れたらどうなるか。あの長いホースが全部その辺を吹っ飛んで回るんです。けが人が出るんです。だから、ちゃんと筒先は二人でやりなさいということになっている。ところが、今の実態からいきますと一人でやらざるを得ないような実態まで出ているんです。極めてこれは危険なんです。
だから、そういうことを消防庁は知っていらっしゃるから職員をふやさざるを得ないこともあるだろうと力強い答弁をいただいたわけでございまして、その考え方でこれからも自治体の消防職員をふやしまして、ぜひひとつ週休二日制を、外国ではもう物すごくきちっとやっていますから、日本ぐらいなものですからね、消防で完全週休二日制をやっていないなんというのは。まことに恥ずかしい話なんで、消防がきちっとやれるように我々も努力したい、消防庁もぜひ頑張っていただきたいということを申し添えて質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/120
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121・板垣正
○板垣正君 人勧に関連をいたしまして、初めに二つほど承りたいと思います。
まず第一は、初任給の大幅引き上げであります。人材確保のためによいことだと思うけれども、このたびのI種試験合格者の引き上げ額七・三%ですか、これで民間と競合してよい人材を導入するために十分なのかどうか、自信があるかどうか、その点をまず第一に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/121
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122・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 本年は、民間におきます初任給がまた大幅に上昇いたしましたので、人材確保の観点等もありまして、初任給を御指摘のとおり大幅な改善を行ったわけでございます。そういう中にありまして、II種試験あるいはIII種試験の初任給に比べまして、アップ率で言いますとI種試験のアップ率が三つの中では一番低いということでただいまの御質問かと思うわけでございます。
I種試験につきましては昭和六十三年に当時の二級二号俸から三級一号俸に既に初任給の基準を引き上げております。したがいまして、通常、人材が競合いたします民間の主要企業と比べましてII種試験、III種試験ほどは開いていないという事情がございましたので、今回は七・三%の改善ということにいたしたわけでございます。この結果でございますが、主として本省採用が多いわけでございますが、調整手当一〇%を入れますと十七万三千円程度になります。ことしの民間の主要企業の初任給も大体十七万四千円弱ぐらいでございますから、ほぼ匹敵する水準に達している、こういうふうに考えます。
なお、これからも大変民間との競合関係が強くなっておりますので、引き続き相応の対処をしていきたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/122
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123・板垣正
○板垣正君 いわゆる大学生の公務員離れと言わ
れておりまするけれども、やはり公務員にも本当に人材が必要であります。今後ともその点の御配慮を引き続いてお願いをいたしたいと思います。
それからもう一点は、期末・勤勉手当、役職の段階別の加算措置、これが今度導入されるということでございます。やはり責任の重い者にはそれ相当の措置をする、これは極めて重要なことであります。特に、民間企業の場合はこの面において相当な人事的な配慮がなされていることは御承知のとおりでありまして、今度思い切ってこうした措置をとられたことは私は時宜を得た措置だと考えております。むしろ、民間との対比を考えればもっと早くこういう措置がとられてもよかったんではないか、こう思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/123
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124・弥富啓之助
○説明員(弥富啓之助君) 公務員の給与は、御存じのとおりに、民間準拠という原則からいたしますと、民間でとっております役職段階別の配分傾向を公務の期末・勤勉手当に取り込むことによりまして役職層にその職務にふさわしい、今先生言われました処遇を行うことは職員の勤労意欲の面から見て極めて重要な問題であり、本来はできる限り速やかに対応する必要があると考えておったところでございますが、ここ十年余りのところ公務の特別給の支給月数というのが御存じのとおり改定すべき状態が生じなかったわけでございます。またもう一方、公務員給与をめぐる諸情勢がいろいろ問題がございまして、極めて厳しい状況にあった、適当な機会がつかめなかったのが実情でございます。
ところが、このところ民間においても、ただいま言われましたように特別給を非常に重視する考え方が強まりまして、給与全体に占めるウエートも大きくなってきているところでございます。特別給の配分を民間の状況に対応してより適正なものとする必要性が従来にも増して強くなってきたところでございまして、このような措置を職員への影響等も配慮しつつ円滑に導入するためには、特別給が増額傾向にあり、一般職についても相応の改善が可能な機会をとらえまして対処することが適当と考えられまして、本年この問題を解決する絶好の機会であると判断をいたしまして本年の勧告において導入を図ることとした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/124
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125・板垣正
○板垣正君 人勧関連は以上にとどめまして、中東の問題に関連をいたしまして政府の見解を伺いたいと思います。
まず、国連平和協力法、これはまだ仮称ということでございますけれども、海部総理の貢献策発表の際にもこうした言及がございました。また、新聞報道等によりましても、政府部内におきましてこの国連平和協力法の制定、この内容について具体的に検討が進んでいるというふうにも報ぜられておりますが、どういう基本姿勢に立って、またどういう検討段階までいっているか、政府の見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/125
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126・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 御承知のとおり、国連の平和回復に対する協力といたしまして、とりあえず憲法はもちろん、関係法令の許す範囲内においてできるだけの現実的な貢献策を考えたのがこの間の発表になりました貢献策であります。しかし、これは憲法はもちろん、現行法令の枠内ということでありますので、今後これを日本の国際的な地位、国連中心で貢献しなければならないというその責任の重さ、そういうところから考えますと、やはりここは見直さなければなるまい。
その場合にも、あくまでも憲法の改正は考えない、憲法の枠内において必要とするような法令、制度の改正を考えていきたい、こういうことでありまして、いわゆる仮称ではありますが、国連の平和維推、回復のために我が国としてはできるだけ貢献をしなければならぬというこの三つの要素、これを中心にしていろいろと見直しをしていきたいということであります。目下、内閣を挙げまして関係省庁が中心になって鋭意検討をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/126
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127・板垣正
○板垣正君 この貢献策について、さらに今の時勢に対応して掘り下げ、検討していくということになりますと、一番の焦点はやはり人の派遣の問題であります。端的に言えば自衛隊の派遣の問題であります。つまり、この問題はこの法案そのものに、国連平和協力法の中に自衛隊をこういう形において派遣をすると、こういうところまできちっとした規定をするという発想を私は当然含んでいると思いますけれども、その辺の問題。そしてなおかつ、やはり自衛隊法においてもはっきり自衛隊の任務として法的な裏づけというものは必要だろう。そういうものも含めて焦点ではなかろうか。その焦点の問題について端的に政府の腹づもりをお承りいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/127
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128・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 先ほども申し上げましたように、憲法の枠内に限ると。しかし、それならば法令その他制度のどの点をどういうふうに改めるかということは今衆知を集めて検討中の段階でございまして、それに関連して自衛隊法をどういうふうに変えるのかどうかなどというようなことにつきましては、今は全く検討段階でございますのでここで申し上げるわけにはまいりません。
しかし、日本の置かれている立場というものは私ども日本人が自覚しなければならないことではありまするけれども、各国の日本に対して貢献を求めるというその姿勢というものは非常に大きな期待を持っておるわけでございます。やはりここらでは我が国は我が国の分相応、世界の期待にこたえる。もちろん、国連の枠の中でありますけれども、そういう点について何がどうだ、どこを改正すべきかということは今広く全部総ざらえで研究中でございますので、御質問の自衛隊その他どうだと、こうおっしゃいますけれども、そういうものは今個別にどうこうということを申し上げるわけにはまだまいりません段階でございますので、広く検討をしておるということでお許しをいただきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/128
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129・板垣正
○板垣正君 二十九日ですか、海部総理が貢献策を発表されたときに、総理自身の考えと申しますか、政府の立場において、今度のこの中東の問題は日本にとっても重大な脅威で、この事態を見逃すならば我が国がよって立つ平和の理念がどこかへ行ってしまう、壊れると、第一に。第二番目に、我が国の石油エネルギーの七割をあの中東地域に依存しておるわけですね、これを守るためにやはり我が国自身が我が国の国力を傾けてこれに取り組む必要があるということ。第三点に、冷戦時代を乗り越えた新たな国際秩序の発展に日本も国際的責任を積極的に担わなければならない。私は、極めて明確にこの問題のこれからの日本のあり方を示されたものだと共感をいたしております。
特に、いわゆる米ソ冷戦の雪解け、世界の大きい転換、こうしたやさきに、ある意味では米ソの枠組みの緩みの中からこういう中東の問題が起こってきた。しかし、今後も中東の問題に限らず、やはり地域的な紛争なりいろんな形における地域紛争というようなものは、あに中東のみならずアジアにおいてもそういう火種はいろいろあるわけでありますから、そういう事態に対応していくということは、やはり日本としても新しい立場に立って考えなければならないことではないのか。いわゆる米ソ冷戦の時代、日米安保体制、ソ連の脅威にいかにして日本の安全を守っていくかという立場において戦後の歩みがあったと思う。今まさに百八十度の新しい歴史の転換の中で積極的に平和国家として日本がその役割を果たしていく、当然国連を中心にして平和維持活動に自衛隊ももちろんその役割を果たしていくということは、これは私はもう当然なことであると思う。
ややもすると憲法の制約ということが言われる。憲法の枠組みということが言われていて、そういったことが積極的に国際平和のために行動をすることに何かブレーキをかけるというか消極的な姿になる。しかし、そういう姿は、内においては平和憲法だと言っているかもしれませんが、外から見れば、遠くから見たら、日本という国は何にもしないんじゃないか、何ら貢献している具体的な姿が見えませんよと、こういう厳しい批判をいろいろなところから受けていることは改めて申し上げるまでもないと思う。
やはり今の新しい国際の流れの中でいかにして平和的な、まさにそれが憲法の原点だと思いますが、平和の役割を果たしていくかということ。そして、今度の輸送の問題、医療の問題におきましても、やはり日ごろ組織において訓練をし、またそうした異常の事態に対処できる組織的な体制にあるところの自衛隊が片一方に置かれて、貢献策の検討においても防衛庁は蚊帳の外に置かれて何ら相談も受けないというふうなことで、余りにも何かにこだわった姿ではないのか。
そういう点で石川防衛庁長官に伺いたいんですけれども、やはり自衛隊の人たちも、今非常に自衛隊は困難なところにあるわけです。募集も困難だし、環境も困難だし、いろんな問題がありますけれども、なおかつ、しかし使命感を持って本当にこの日本の平和のために、また世界平和のために役立ちたい、こういう使命感がやっぱり支えにあるし、それにこたえるという意味においても長官の方でも積極的に自衛隊法の改正に取り組んで、そこに新しい任務として国連に協力をしていく、こういうものに積極的にむしろ取り組んでいっていただきたいと思いますが、その辺の御決意を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/129
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130・石川要三
○国務大臣(石川要三君) まず、今、板垣先生がおっしゃいましたように、冷戦後のいわゆる第三世界といいますか、そういうものの宗教的あるいは民族的、そういったような問題でいろいろと紛争が起こりやすい不安定要因が非常にある。それは単に中東地区だけではなくして我が国の近辺にもあり得るんではなかろうか、そういう認識は私は全く同一でございます。そういうことから見て、海部総理も先般の貢献策の中に、そしてさらに最後に、今申し上げました国連平和協力法というような一つの提案といいますか、考え方も示されたと私は理解をしております。
ただ問題は、こういう将来に対する国連平和協力法というものの内容はというと、具体的にはまだ私ども聞いておりません。その内容については、今官房長官からもお答えされたように、これから広範囲の中で検討されるということでございます。
先生に今さら申し上げるまでもないわけでありますが、現在の憲法を改正しなくても自衛隊を海外に派遣できることはできるわけです。ただ問題が、一定の枠がありますけれども、今官房長官のお答えのように、たとえその法律をこれから研究するにしても、憲法を変えるという考えはない、したがってその前提のもとに関連法というものをこれから検討していくというような趣旨の御答弁がございました。そういうことであるならば、私どもも現在の憲法を改正しなくてもできる派遣の内容もございますが、また憲法上は許されても自衛隊法を改正しなければできないものもございます。そういうこともございますので、私どもも政府の一員として、将来の我が国の平和のためにも、また国際平和のためにもそういう貢献策の一つとして十二分にこれは考えていかなければいけない、かように思うわけでございます。
また、いろいろと御指摘ございましたように、自衛隊の使命感の問題でございますが、やはり自衛隊も、今日戦後もう四十年たっております。今おかげさまで中期防の中におきましてもどうやら我が国の最低必要な正面装備を初めとする自衛隊の整備は到達いたしました。しかし問題は、私はわずか就任半年でございますが、いろいろと部隊視察等を通じまして感じますことは、いわゆる隊員の使命感というもの、国家観というもの、これは決してただ精神主義を強調するわけではございませんが、そういうものも当然なければ本当に期待される自衛隊として存在しないんではなかろうか、こういうふうに、わずか半年の大臣就任でございますが、私は感じている昨今でございます。
そういうようなことから見て、今先生の御指摘の点につきましては、私は、やはり最終的にはこれは政府全体の中で、また国会の議論を通じ、国民の世論を背景にしながらその法の改正というものは行われるべきものである、かように考えておりますが、先ほど坂本官房長官の言うような御指摘の中で政府の一員として私どもそういうふうに努力をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/130
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131・板垣正
○板垣正君 どうぞ積極的によろしくお願いいたします。
質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/131
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132・吉川春子
○吉川春子君 まず、中東情勢について伺います。
クウェートの併合はイラクによる言語道断な侵略行為です。加えて、民間人を人質にとるなどということは国際法上も人道上も許されません。
同時に、イラク問題を悪用して、憲法の平和主義の制約を取り払い、自衛隊の海外派兵に道を開こうとする一連の動きを我が党は厳しく批判をしております。
イラク問題について我が国の貢献策としては、集団安全保障の国際機構としての国連本来のイニシアチブの発揮を求める方向で国連中心の解決策をあくまで推進するとともに、我が国政府としては、憲法の平和原則に基づいて非軍事的手段によって国連に協力していくことこそが国際的に求められている我が国の最も正しい貢献策のあり方であるというふうに考えます。
そこで、官房長官にお伺いいたしますけれども、現在事態の好転の兆しはほとんど見えませんし、軍事衝突の危険があるわけですが、万一熱い戦争になると多数の人命が失われ、また石油施設の破壊、世界経済にも甚大な影響が及ぶと考えられます。日本政府としては軍事衝突をあくまで避ける立場で、政治、外交、経済上の努力を行う、こういう立場に立つべきだと思いますが、見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/132
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133・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 今あなたのおっしゃったように国連中心でいく、それから日本の平和憲法は守っていく、この基本方針のもとに国連の決議、我が国としては最もふさわしい貢献は何であろうかということを今一生懸命に、第一弾は発表いたしましたが、第二弾で肉づけをもっと盛り上げていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
我が国は平和憲法がありますから、ほかの国のように兵を派遣して平和回復を図るというようなことはこれはできませんけれども、しかしそれ以外の方法で、憲法の許す範囲内で我が国のやっぱり国際的な期待にこたえるだけのものは何かということを今衆知を集めてやっておるところであります。この方向は私は決して間違ってはいない、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/133
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134・吉川春子
○吉川春子君 ちょっと聞き取りにくかったのでもう一度お伺いしますが、軍事衝突を避けるために全力を尽くすと、これが日本政府のお立場ですね。端的にお答えをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/134
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135・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 軍事衝突をしかけて、起こしてきたのはイラクであります。それを抑止しようというのがいわゆる国連であり、また私どもであります。こちらが戦争をしかけたわけじゃ全然ない。非常に厳しいそういう状況判断のもとで私どもは対処していかなければならないということを今申し上げたかったわけであります。
もちろん、これからは戦火の拡大などということが起こってはいかぬというから抑止力で多国籍軍が出ておるものだと思っております。そういうような面におきまして抑止効果が効いて、そしてイラクが冷静になって話し合いに応じてくれる。それも国連を中心にしてみんなが力を合わせて、例えばデクエヤル事務総長など、戦局の変化によったり状況の変化によってはまだまだ私は効果的な交渉ができるのではないかと期待しております。そういう意味におきましてもそれを盛り立てて、国連を盛り立てていくときには、我が国は我が国なりの貢献をしていかなければならぬ、こういうつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/135
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136・吉川春子
○吉川春子君 国連の経済制裁決議を徹底して行うということが必要だと思いますけれども、一部足並みが乱れているという報道があります。例えば、イラク機がバグダッドまで食糧を運ぶためにイエメンの首都サヌアを経由し、また海上封鎖のためイラク港へ寄港を断念したイラク船がイエメンのアデン港で食糧の荷揚げをしたとか、あるい
はギリシャ船が国連決議に反してイラク原油を積み出した、こういう報道があるわけなんです。
我が国が国連の決議を各国が一致して遵守していくように働きかけることは非常に重要だと思いますし、いろんな影響力を行使してできるはずだと思うわけです。アラブ諸国に対して我が国がどのような働きかけをしてきたか、今後どういうことを働きかけていくおつもりなのか、その辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/136
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137・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 先生の御指摘のアラブ諸国を含む関係諸国への働きかけでございますが、御指摘のとおり本件問題の解決に向けましては国際社会が一致協力して相当長期間にわたって経済制裁の実効性を確保することが肝要であるという認識をいたしております。こうした認識に立ちまして機会あるごとに関係諸国に呼びかけ、働きかけてきておるわけでございます。
具体的には、先般の中山外務大臣の中東諸国訪問の際、及びその後の中東貢献策の各国に対する外交ルートでの説明の際、それから今後の問題といたしましては、今までもやっておりますが、国連の場などを通じましてこのような制裁の実効を上げるための呼びかけ、働きかけを行ってまいりたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/137
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138・吉川春子
○吉川春子君 官房長官にお伺いしますが、国連の諸決議はクウェートの原状回復という立場で行われているわけですが、一方、アメリカはフセイン大統領を打倒するまではこの問題は解決しない、こういう立場であるということも報道されています。しかし、国連はそういう決議をしているわけではないし、我が国はそういうところまで介入すべきではないと思うんです。クウェートの原状回復、権利の確立のために努力する、そこが日本の立場ではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/138
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139・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) それは当然イラクの無法な武力侵攻によってクウェートというものが併合されてしまった、そういうふうな国際的な無法は許しておけないというようなことで国連の決議もできたわけでありまして、クウェートからの撤退ということが国連すべての願いである。アメリカにしても、それが実現されればアメリカは決してそれ以上の武力行使をするとか打倒フセインとか、そういうようなことは、私はそんな細かいことまでアメリカはまだ考えてはおらぬと思いますよ、行き先のことは。とにかくその国連決議を実行するというために全力を挙げていこう、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/139
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140・吉川春子
○吉川春子君 ちょっと済みません。聞き取れなかったんですけれども、クウェートの原状回復という立場で最大限努力する、クウェートの権利の回復ということで最大限努力する、そういうふうにおっしゃったわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/140
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141・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/141
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142・吉川春子
○吉川春子君 わかりました。
具体的にいわゆる多国籍軍の支援についてお伺いいたします。
政府が発表されました中東貢献策は極めて重要な問題を含んでいると思います。我が国の憲法は九条で「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と、こういうふうに規定しているわけです。今回の措置はこの憲法の平和的原則を踏みにじるものであり、憲法違反の自衛隊の派遣に道を開くもので私たちは容認できないわけです。
まず、政府は、多国籍軍に対する輸送、物資、医療、資金面の協力は武力行使を目的としていないので憲法上は許される、こういうふうに答弁されているわけです。しかし、米軍を中心とする多国籍軍は戦闘を前提としてサウジアラビアなどの湾岸地域やペルシャ湾地域に展開されている特定の国の軍隊です。
防衛庁長官に認識をお伺いしたいんですが、サウジアラビアやペルシャ湾地域、これは紛争地域あるいは交戦海域ではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/142
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143・藤井一夫
○説明員(藤井一夫君) 紛争地域、交戦海域であるかないかという御質問でございますが、それはまさに紛争地域あるいは交戦海域の定義いかんによるものだと思います。仮に、今おっしゃいましたことが現に戦闘行為が行われている地域という意味でございますれば、御指摘の地域においては現在戦闘は行われておりませんので、その地域には該当しないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/143
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144・吉川春子
○吉川春子君 それが近い将来起こりそうなそういう危険のある、それに準ずる地域というふうには考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/144
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145・藤井一夫
○説明員(藤井一夫君) 現時点においてあの地域におきまして戦闘が起こっていないということは事実でございますが、これが将来どのように推移するかということを見きわめることは大変難しい問題であるというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/145
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146・吉川春子
○吉川春子君 将来、そういう地域に防衛庁の解釈によってもなり得る地域だというふうに言えると思います。民間機や民間の船舶によってこういう非常に危険性の高い地域に物資を輸送するなどということは、多国籍軍への兵たん支援活動、後方支援活動ではないかと思います。こういう行為は憲法上もちろん許されないと思います。
そこで、民間船、民間航空機をチャーターして多国籍軍の輸送支援を行う問題について具体的に聞きますが、武器、弾薬、兵員の輸送、これは将来にわたってしないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/146
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147・丹波實
○説明員(丹波實君) まず、現在の状況下におきますところのいわゆる多国籍軍の活動に協力するということは、私たち国連の安保理決議による明示の要請にもこたえるものでございまして、まさに国連を通じた国際の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/147
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148・吉川春子
○吉川春子君 簡単でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/148
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149・丹波實
○説明員(丹波實君) 基本的な考え方なのでお許しいただきたいと思いますが、国際の平和と安全の維持にかなったものであるというふうに考えてございます。
なお、先般の貢献策の発表に当たりまして発表された政府の説明書の中でも、私たちはこのような貢献をするに当たりまして「憲法上の立場を遵守しつつ」ということを明確に述べてございまして、このような貢献策を行っていく上において憲法の枠内で行っていくというのは当然の前提でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/149
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150・吉川春子
○吉川春子君 質問に答えてほしいんです。武器、弾薬、兵員の輸送はしないのかどうか、将来にわたって。するかしないかでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/150
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151・丹波實
○説明員(丹波實君) 輸送協力の一つの態様といたしまして、日本政府が民間機あるいは民間の船舶をチャーターして、それによって物資等を輸送するという態様が一つ考えられてございますが、その詳細につきましては現段階で検討中でございますので詳細はなんでございますけれども、日本政府がチャーターするものにつきましては武器、弾薬、兵員等の輸送は考えてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/151
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152・吉川春子
○吉川春子君 そうすると、日本政府がチャーターしないものもあるわけなんですね、今度の貢献策の中に。ちょっと簡単にしてくださいね、答弁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/152
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153・丹波實
○説明員(丹波實君) 私なりに簡単に申し上げているつもりでございますけれども、先般発表いたしました政府の貢献策の大きなIが「湾岸における平和回復活動に対する協力」という項目がございまして、そこに一、二、三、四とございます。その四の中に「資金協力」というものがございまして、そこを読み上げますと、「湾岸の平和と安定の回復のため、上記一~三の措置に加え、各国が行う航空機・船舶の借り上げ経費等の一部にあてるため、」というものがございまして、そういう意味で先般の十億ドルはこの各国が行う航空機、船舶の借り上げ経費ということでございますので、日本以外の国が例えば第三国の飛行機をチャーターして物資を輸送するという形態は考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/153
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154・吉川春子
○吉川春子君 そうすると、その四の「資金協力」で各国の輸送に資金を援助する場合は、これは武器、弾薬、兵員の輸送は含まれる可能性もあるということですね。イエス、ノーでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/154
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155・丹波實
○説明員(丹波實君) 例えば、アメリカがアメリカの、あるいは第三国の船舶、航空機をチャーターいたしまして兵員、武器、弾薬を輸送するこ
とはあり得ると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/155
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156・吉川春子
○吉川春子君 けしからぬじゃないですか。だから憲法違反だと言っているんですよ。
日本がチャーターしたものについて伺いましょう。例えば、その航空機はどこからどこまで運ぶんですか。報道によれば、チャーター機の飛行ルートは、まず米国の航空会社から貨物機が米国内から東京まで物資を運搬する、そこで日航機に積みかえサウジアラビアまで運ぶ。費用は米国―東京、東京―サウジ間とも日本政府が負担し、日本―サウジ間は日航の乗務員が操縦する、こういうふうになっていますけれども、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/156
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157・丹波實
○説明員(丹波實君) いろんな態様が考えられてございまして、現在まさに技術的な側面につきましてワシントンあるいは東京で協議が行われております。したがいまして、一定の態様についてこの場でこうだということを申し上げる段階ではまだございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/157
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158・吉川春子
○吉川春子君 私が今報道として申し上げたようなこともその中に含まれる可能性があるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/158
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159・丹波實
○説明員(丹波實君) あらゆる方策を探求しておりまして、いろんな態様が考えられるということで御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/159
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160・吉川春子
○吉川春子君 船舶の場合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/160
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161・丹波實
○説明員(丹波實君) 船舶の場合についても同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/161
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162・吉川春子
○吉川春子君 アメリカの政府当局は、三十日、日本が提供する民間航空機については、効率的運用のために民間空港だけを使用した輸送ではなくて、物資の集積基地である軍事施設から物資を必要とする基地への直接の空輸を求めているということを明らかにしています。これは例えば、横田基地からサウジアラビアの軍事基地あるいは米本土の米軍基地からサウジアラビアの基地まで日本のチャーター機が物資を運ぶということになるわけですね。基地から基地への直接の軍事物資の輸送、こういうこともやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/162
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163・丹波實
○説明員(丹波實君) アメリカ側の軍事的なオペレーションの効率という観点から考えれば、アメリカとしてそのような考え方があるということは大変自然なことだと思います、アメリカの考え方といたしましては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/163
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164・吉川春子
○吉川春子君 アメリカの考え方が自然だということですけれども、日本の民間航空機、政府がチャーターした航空機がそういうこともやるんですか、やる可能性があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/164
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165・丹波實
○説明員(丹波實君) 先ほど申し上げましたとおり、いろんな態様、いろんな側面について現在日米間で協議中でございますので、こういう形態はあり得る、こういう形態はないということをこの段階で申し上げるわけにはいかない。ぜひその点を御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/165
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166・吉川春子
○吉川春子君 しかし、今言ったような形態を特別に排除しなければならない、これはもう自衛隊の直接の派遣みたいに最初から排除して考えるということでも政府はなさそうですね。そういう可能性もあり得るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/166
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167・丹波實
○説明員(丹波實君) 多国籍軍というものがあのような形で迅速に展開されたために、イラクによるサウジへの侵略の拡大ということが阻止され、それが日本を含む世界の経済というものに大変に助かったということは先生も御理解いただけると思います。そういう多国籍軍にいかに協力するかという点で私たちはあらゆる側面につきましてアメリカと協議中でございますので、繰り返しで恐縮でございますけれども、この段階でこの席で、あれはやらないこれはやるということを今この時点で申し上げることは差し控えさせていただきたい。ぜひ御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/167
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168・吉川春子
○吉川春子君 アメリカの国防総省は、有事の際の民間予備飛行隊制度に基づいて民間機徴用計画を立てており、最終的には米国内で最高四百七十六機の徴用を行うが、それでも必要物資を米本土から中東に運ぶには輸送力不足というふうに言われております。したがって、物資の輸送は米国から要請も強く、緊急を要しているわけです。
米国防総省が調達した民間機というのは、米空軍輸送航空団、MACの統制下に置かれるわけです。結局、日本政府がチャーターした民間機もこのMACの統制下に入らざるを得ないんじゃないですか。それとも一切そのMACの統制下には入らない、指示や命令を受けない、こういう立場で貢献策を実施するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/168
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169・丹波實
○説明員(丹波實君) 日本政府がチャーターいたします民間機または船舶につきましては、日本政府の名において日本政府のコントロールのもとに運営される、運航するというふうな考え方で対処していくつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/169
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170・吉川春子
○吉川春子君 今おっしゃったのは、日本政府に管理権があるという意味なんでしょうか。管理権があるとしても、実際に輸送を行う場合に、MACあるいは多国籍軍の指示を受けて運ぶということになるんじゃないですか、実際上は。どうですか。管理権じゃないですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/170
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171・丹波實
○説明員(丹波實君) 多国籍軍の大宗をなしておりますのが米軍であることは、これは客観的な事実だと思います。したがいまして、日本政府がそのようなチャーター機あるいはチャーター船を運航するに当たって、アメリカのニーズあるいは多国籍軍のニーズという問題につきましてアメリカと協議をするのは当然のことであろうと思います。しかし、そのこととMACのコントロールのもとに入ってオペレーションが行われるということとは全く別のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/171
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172・吉川春子
○吉川春子君 そういうもとには絶対に入らないでやると明言してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/172
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173・丹波實
○説明員(丹波實君) 世の中には絶対ということはあり得ないわけでございますけれども、私たちは、先ほど申し上げましたとおり、このようなチャーター機につきましては、日本政府の名において日本政府のコントロールのもとでオペレーションをするということだけは申し上げることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/173
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174・吉川春子
○吉川春子君 管理権ということじゃないですね。日本政府の指揮権のもとにということですね。もう一度、どうですか、それを確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/174
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175・丹波實
○説明員(丹波實君) 日本政府の管理のもとにということをそういう意味で申し上げているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/175
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176・吉川春子
○吉川春子君 だから、管理権があるのは当然でしょう。そうじゃなくて、事実上そういうMACの支配化に、指揮下に入る、そういう可能性もあるじゃないですか、そういうことを否定しないんですねとさっきから繰り返し聞いているんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/176
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177・丹波實
○説明員(丹波實君) 言葉が足りなくて申しわけありませんけれども、MACの指揮下に入るということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/177
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178・吉川春子
○吉川春子君 日本政府の指揮管理下で運航する、そういうふうに運輸省が民間の各航空会社に約束して、その民間機のチャーターあるいは民間船舶のチャーターを要請したということですけれども、そうしますと、要するに多国籍軍あるいは米軍の指揮のもとに日本のチャーター船、チャーターした航空機が行動することは、絶対にしない、こういう約束を民間の船舶協会やら航空機の会社にしているということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/178
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179・丹波實
○説明員(丹波實君) 先ほどから申し上げてございますとおり、政府としての見解を申し述べておるつもりでございますけれども、日本政府がチャーターする航空機、船舶につきましては、日本政府の名において日本政府の管理のもとにオペレーションを行うということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/179
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180・吉川春子
○吉川春子君 ちょっと時間の関係で先の質問へ進みたいと思います。
日本の輸送支援で、イラクは敵の行為とみなして輸送に派遣された民間航空機や船舶に攻撃を加える可能性というのは否定できないわけです。攻撃されるような事態に万一立ち至ったら政府はどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/180
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181・丹波實
○説明員(丹波實君) 本件輸送にかかわります乗組員の安全というものを私たちとしても一義的に配慮いたしまして、危険空域には立ち入らないなどルートの選定等につきましてはアメリカを初め
とする関係国と密接な連絡を常に保っていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/181
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182・吉川春子
○吉川春子君 撃沈、撃墜されるようなそういう危険なところには行かない、日本の貢献策はそういう安全なところでやる、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/182
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183・丹波實
○説明員(丹波實君) 乗組員の安全ということは、私たち政府といたしましても第一義的に配慮すべき問題であると考えておりますので、今申し上げましたとおり、危険地域あるいは危険空域に立ち入る必要性、そういうところに行かなくていいように関係国と密接に連絡をとりながら、そういう実現を図っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/183
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184・吉川春子
○吉川春子君 政府の考えている安全な地域というのは具体的にどこですか。地名で言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/184
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185・丹波實
○説明員(丹波實君) 御承知のとおり、現在、戦闘は起こっておりませんので、あそこがこう、ここがこうとは申し上げかねるわけですけれども、戦闘があるところで起こるという場合には、その戦闘が起こっておる地域には飛んでいかない、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/185
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186・吉川春子
○吉川春子君 医療協力について伺いますけれども、医療関係者もさまざま懸念を表明し、あるいは労働組合などは反対も表明しておりますが、多国籍軍の活動に対する医療協力ということだと思うんですが、派遣する場所はどこですか。例えば、サウジアラビアですか、アラブ諸国ですか。どういうところに派遣するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/186
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187・池田右二
○説明員(池田右二君) 医療協力の派遣先については現在これまた検討中でございますが、例えばサウジアラビア等の紛争地域でないところに送るという基本的な考え方で検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/187
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188・吉川春子
○吉川春子君 中東問題の最後に、十億ドルの資金援助のことについてお伺いいたしますが、この資金は、さっきも論議がありましたけれども、その十億ドルというのは、これは現在の状態を基準にして決めたんですか。万が一、武力衝突、戦争状態に入ったというようなときとか、あるいは長引いたときとか、そういうようなときも考えてこの十億ドルにしたんですか。それとも今の時点だけでの援助という意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/188
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189・内田富夫
○説明員(内田富夫君) この湾岸における平和回復活動に対する十億ドルの予算措置につきましては、今年度の予算ということで考えているわけでございまして、あくまでも現在行われておる国際的な努力に対して我が国としても積極的に貢献すべきだという決意からこのような施策を講ずることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/189
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190・吉川春子
○吉川春子君 九月の七日にブレイディ米財務長官が来日して海部総理らと会談するそうですけれども、先般ブッシュ大統領が発表した米軍を中心とした多国籍軍の中東派遣費用の分担問題で協議するのではないかと言われていますが、米側は今決めた十億ドルに対してさらに十三億ドルと、ペルシャ湾などに派遣されている米軍に対して月六千万ドルの追加負担を要求していますけれども、こういう負担問題について協議するんですか。また、負担に応ずるつもりですか。官房長官はいなくなってしまったんで、防衛庁長官、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/190
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191・丹波實
○説明員(丹波實君) 事実関係の問題もございますので、私から答弁させていただきたいと思いますが、先生御指摘のとおり、今週末にもブレイディ財務長官をヘッドといたしますアメリカの代表団がこの問題を日本政府と話し合うために来日することになっております。恐らく、総理以下日本政府首脳と会談することになろうかと思いますが、その席で私たちは、まずアメリカの意見を聞いてみようというふうに考えております。私たちの対応といたしましては、まずアメリカ側の考え方を聞いた上でいろいろ検討して、できるものはできる、できないものはできない、こういう仕分けをすることになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/191
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192・吉川春子
○吉川春子君 ことしの予算で十億ドルの負担だとさっき言われましたけれども、この十億ドルにとどまらないわけですね。そういう意味で、今度の政府の決めた貢献策というのは非常に重大な問題がある、引き続き内閣委員会で追及していきたいと思います。
人勧問題でお伺いいたします。特に、一時金の傾斜配分の問題でお伺いしたいと思うんです。
人事院勧告というのは労働基本権を制約している代償措置だと言われながら、全体の給与の引き上げが三・六七%、非常に低い。長期にわたる賃金抑制が強いられているわけなんですが、同時に、今度は係長級以上の役職者の一時金に加算制度を導入しました。何十年も続いている現行の一時金配分方式をやめて新たな制度に変えるわけでありますから、その評価は別にしても、民間準拠の原則に立ったとしても、科学的で公平な調査に基づいたものでなければならないと思うんですけれども、どの程度調査したんですか。人事院に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/192
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193・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 民間企業におきまして役職段階によって特別給の支給月数に相当差があるという点につきましては、かねてから把握はしていたわけでございますが、昨年に引き続きましてことしも調査をいたしましたところ、同じような事実が確認をされました。この調査は、私どもが個人票で月例給を調査しています中での一部でございまして、傾向を知るという意味においては十分なる資料であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/193
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194・吉川春子
○吉川春子君 今度の勧告は正確な調査に基づくものではない、そういうことだと思うんですね。私は、この調査を本当に厳密にやり直して改めて勧告をすべきだ、そういうことをまず要求しておきます。正確な調査ができないような性格を持つというところも、この民間の一時金配分方式を機械的に公務員に適用することが誤りである根拠の一つであると私たちは考えているわけなんです。
民間の一時金は、生活給としての性格はあるものの、企業秘密に属するような成績査定の考え方があるし、また、ときどきの企業の利益配分としての性格もあります。だから正確な調査がある意味ではできないわけです。公務員は一時金は利益配分ではないし、生活給なんですね。そういう性格が極めて強いわけなんです。だから、民間準拠というのはあくまで準拠であって、何から何まで民間のまねをして、そしてこういうとんでもないものまで公務員の制度に持ち込む、これはとんでもないというふうに思うわけです。民間でもこういう一時金の格差というのは減る傾向にあるわけなんです。だから、この問題については私はもう非常にけしからぬことだということを指摘しておきます。
次に、車の検査官、自動車検査官の特殊勤務手当について伺います。
人事院は民間準拠ということをおっしゃるんですから、各種手当についてこそ民間にならう必要のあるものが多いと思うんです。自動車の車検をする場合の検査官の特殊勤務手当、人事院に伺いますけれども、これはどんな場合に支給されるんでしょうか。それは幾らぐらいですか。それから、何年ぐらい前にこの金額が決められたのか、そういう問題についてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/194
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195・森園幸男
○説明員(森園幸男君) まず、特別給については、吉川委員の認識と私ども異なっておりますので、弁護させていただきます。
自動車の車検の手当でございますが、この手当は一日につきまして二百円ということでございまして、これは当然、月例給――俸給その他の給与といたしまして本来の勤務ということで給与は出ているわけですから、それに対します、危険、不快等の要素に基づく付加的な給付だということでございます。この二百円につきましては、五十二年以前は百五十円でございましたが、五十二年の改定によりまして現在のような額になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/195
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196・吉川春子
○吉川春子君 旅費も十三年ぐらい改定されませんでしたけれども、これも五十二年以来二百円、こういう低い金額で今日まで据え置かれているということはとんでもないことだと思うんです。
運輸省お見えですね。――運輸省にお伺いいたしますけれども、この手当が特定の検査にしか支
給されないことがあるんですね。私は練馬の車検場も視察してきましたけれども、同じ部屋の中で作業をしており、排ガスが充満している状態も同じ、常にエンジンをかけて動いている危険な状態にある自動車を検査するというのも同じなのに、手当の支給される作業とそうでない作業があります。運輸省、ちょっとここを簡単に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/196
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197・松波正壽
○説明員(松波正壽君) お答えをいたします。
今先生御指摘の作業手当の支給対象範囲はどうかという御質問かと思いますが、現在、この制度ができました支給当初から二つの側面がございまして、一つは、ピットまたはリフトにより行う、いわゆる我々は下回り検査作業と称しておりますが、この部分と、もう一つの側面はブレーキテスター、またはスピードメーターテスターを使用して行う検査作業、二つの側面でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/197
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198・吉川春子
○吉川春子君 人事院、この分野でも民間準拠にして、その手当の支給されていないようなところはするようにするし、それから民間が五百円という金額、これも余り高いとは思いませんけれども、とにかく民間準拠をおっしゃるならば、少なくとも民間並みに国家公務員のその手当も引き上げるべきじゃないかと思うのですけれども、お考えはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/198
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199・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 職員個々人はそれぞれの職務が違うわけでございますが、月例の俸給その他の手当といいますのが本来の勤務に対して当然出ているわけでございまして、それに付加的にプラスで出される手当でございますから、職務内容の不快度、危険度、そういうことを考えながら当然措置するわけでございまして、時代の変遷とともにその額の改定というのもまた考えなきゃならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/199
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200・吉川春子
○吉川春子君 運輸省はどういう要求をされていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/200
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201・松波正壽
○説明員(松波正壽君) お答えをいたします。
今御指摘のございました自動車検査作業に係ります特殊勤務手当の単価につきましては、時代に即応した改定をお願いしているところでございまして、あわせてその支給対象範囲につきましても作業の特殊性の実態に即した拡大をお願いしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/201
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202・吉川春子
○吉川春子君 最後に、総務庁長官にお伺いいたしますけれども、運転できないものですから私も初めて車検場というところへ行ってみてびっくりしたんですけれども、もちろん冬は暖房はないです、夏は冷房はないんです。それで常に車が来るんです。もう何百台と一人でやるわけです。しかも、屋根がついていますので排ガスは充満するんです。あるいは、その車体の下からのぞくように地下に入って車の下を検査するとか、いろんな健康状態からいってもよくない職場環境なわけなんですね。それから、街頭で改造したバイクとかきんきらきんのいろんなものをくっつけたトラックとか、そういうものを警察官と一緒にとめて街頭でも車検をする。ところが、ここには手当がついてないんです。
そういうことで、運輸省の方としても予算要求をされているそうなんですけれども、これがいつもけ飛ばされてしまうわけなんですね。私は、民間のその実態から見ても額の引き上げと、それからそういう手当を支給する範囲を拡大して少なくともこういう検査官の待遇を改善していただくような、そういう法的な措置をとっていただきたいと思うのですが、大臣の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/202
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203・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 先ほど来申し上げておりますように、著しく危険、不快等の要素に基づく付加的手当でございますから、他の職種の職務内容はどうか、それとの差はどうかということを総合的に考えるわけでございまして、その職種に限って若干こうなんだからどうということだけで判断するわけにはまいらぬというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/203
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204・吉川春子
○吉川春子君 だめですよ、そんな消極的な答弁じゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/204
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205・井上孝
○委員長(井上孝君) 午後四時三十分まで休憩いたします。
午後四時十三分休憩
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午後四時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/205
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206・井上孝
○委員長(井上孝君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/206
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207・太田淳夫
○太田淳夫君 最初に、議題となっておりますところの人勧の問題につきまして一、二点、官房長官並びに総務庁長官にお尋ねしておきたいと思います。
人事院勧告につきましては、先ほどから同僚の委員からもいろんな質疑がございました。今回、画期的な点もありますし、あるいはまだまだ不満な点もございますけれども、我々としましては、同僚委員からも話がありましたように、この完全実施ということを強く要望しているわけです。
そこで、官房長官に給与関係閣僚会議の座長としてまずお聞きしておきたいことは、早くこの関係閣僚会議を開催していただきまして早く閣議決定をしていただきたい、こう思うわけでございますが、一昨年ですか、八月、九月、十月、十一月と四回開かれたんですね。昨年は、この委員会でもいろんな審議の中で、回数をもっと少くして早くこの決定をすべきであるということでたしか審議されたと思いますが、実際のところ八月に行ってその次は十一月ということで、結局は一昨年と同じような状況になってきているわけです。そういうことではなくて、やはり一日も早い決定をと、これは公務員の皆さん方皆さん望んでみえることだと思いますが、官房長官としましては座長としていつごろこの会議を招集して決定をするか、どのような御決意でいらっしゃいますか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/207
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208・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) もちろん、人事院勧告制度の重要性につきましては私もあなたも認識は同じでございます。しかし、国政全般、財政事情など、また変化の要素もまだ残っておりますし、すべての面でやはりよく検討をして、そしてその中でなるべく早くひとつ人事院勧告どおり実施されるように努力していきたいと思っております。去年は四回やったがことしは何回やるかとか、いつごろやるかとかということは、今ちょっと私もそこまでまだ詰めておるわけではございませんので、御趣旨に沿うてできるだけ早く確実に実行ができるようにということを念頭に努力していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/208
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209・太田淳夫
○太田淳夫君 お隣に見える総務庁長官も給与担当大臣でいらっしゃいますし、やはり早期に完全実施されていくことが公務員の皆さん方との健全な労使関係を築く上に重要なことではないかと思いますが、そういった意味で総務庁長官も官房長官と同じなのか、あるいは早期に決定をされるように働きかけをされていくのか、あるいは臨時国会目指して法制化を進めるようにどう決意をされているのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/209
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210・塩崎潤
○国務大臣(塩崎潤君) 私は、やはり人事院勧告でございますから、もうできるだけ完全実施を早期に図っていただく、こういう観点から官房長官にもお願いいたしまして、閣僚会議をたびたび開くのはどうかと思いまするけれども、とにかく早急な実施ができるようにお願いをし、またその努力をしていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/210
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211・太田淳夫
○太田淳夫君 次に、今年の公務員の皆さん方の給与の改定率を見ますと三・六七%ということになっておりますけれども、この数字は例年と比較しますと、他の機関発表の民間企業の給与改定率と比べても低過ぎるように思われるわけです。
ここに労働省、日経連及び連合の三機関の発表を見てみますと、民間企業の新規給与改定率の平均の数字と人事院勧告によります給与改定率の差をとってみますと、昭和六十二年は一・九八%、六十三年は二・〇六%、平成元年は二・〇二%、こうなっているわけですね。この三年間の差の平
均は二・〇二%、こうなっているわけです。一方ことしのこの場合におきますところのこれらの三機関の給与改定率の平均は五・九三%になっているわけです。それを見ますと人勧との差は二・二六%、こうなっているんですけれども、例年よりも〇・二四%ですか、これだけの大きな数字の差となっているわけです。換言しますと人勧は例年よりも〇・二四%ほど低く勧告しているんではないか、こういうように思われるんですけれども、このような低い結果となったのはどういう理由でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/211
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212・森園幸男
○説明員(森園幸男君) 人事院勧告の基礎になります官民のいわゆる較差でございますけれども、この算出に当たりましては、先生御案内のように、官民双方とも四月分の給与として具体的に支払われた給与額、これを個別に調査をいたしまして、仕事の種類とかあるいは職務の段階、学歴、年齢、そういうような給与決定条件を同じくする者同士でこれを比較いたしまして、公務の人員構成、人員のウエートを使いましてこれを総合した上で較差を出す、こういうことにいたしております。したがいまして、民間のよく言われることしの春闘相場、要するに旧賃金と新賃金の差のアップ率、その伸びというようなものと直ちに比較することはできないわけでございます。
なお、ことしの四月分の公務員給与におきましては、昨年の勧告に基づきまして本年の四月から実施をされました単身赴任手当、こういうものがございまして、この分公務員の四月分の給与が例年よりも高くなっている状態でございます。高くなっている状態下で民間と比較をしたということでございますからそういう影響が出たんではないかというふうに推定をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/212
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213・太田淳夫
○太田淳夫君 それでは、中東問題についてお尋ねしますけれども、先ほどからも人質の問題等につきまして同僚委員からもいろんな質疑がございました。やはり家族の心情を考えますと一刻も早い人質の皆さん方の帰国を願うわけでございますけれども、政府の基本的な方針ですね。アメリカとかあるいはイギリスはこういった人質の問題につきましては脅迫に屈しないという強い姿勢でいつも臨んでいるわけでございますけれども、この問題でイラクと交渉する考えはアメリカ、イギリスは持っていない。また、イラク、クウェートとの問題は長期化をするようなことも予想されるわけでございますが、政府としてはどのような対応策を考えておみえになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/213
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214・内藤昌平
○説明員(内藤昌平君) お答え申し上げます。
現在、イラク政府が邦人に対して不当な身体の拘束、出国の禁止等の措置をとっております。これは国際法上も人道上も許されないということで、これは国際社会が一致した立場でございます。その点は安保理事会の場でも決議となっております。
そこで、私どもといたしましては、まずイラク政府に対して直接日本政府としてそのような暴挙をやめるようにということで申し入れを粘り強くしておりますし、また同時に国際社会全体の問題としまして国連あるいは国際赤十字を通じて働きかけるよう、国連につきましては事務総長に外務大臣より直接メッセージを託し、さらには国際赤十字につきましては外務審議官を派遣しまして総裁みずから動いてもらうように依頼したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/214
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215・太田淳夫
○太田淳夫君 いろいろと苦労されているようでございますが、イラクのクウェート武力侵攻及びその後のイラクの行動というものにつきましては、我々も理解できないところが多々あるわけでございますけれども、外務省もその点でいろいろな苦慮をされていると思いますが、現状ではイラクに対して我が国独自の外交を展開することは不可能と考えているんですか。先ほどの他の委員の質疑の中では、総理の中東訪問も考えているようなことのお話がありましたが、その点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/215
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216・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 我が国の基本的な立場につきましては、国際社会のイラクに対する制裁努力に参画していくということでございますが、我が国の具体的な措置といたしましては、安保理決議六六一の日本としての厳格な遵守及び先日その骨子を発表いたしました対中東貢献策の実施ということになるわけでございまして、それに加えまして総理の中東五カ国訪問ということを企画いたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/216
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217・太田淳夫
○太田淳夫君 それは時期はいつごろを考えているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/217
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218・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 九月の下旬にアメリカに行って子供サミットにも出ますが、その後あたりを予定しております。それまでに周辺諸国に対するより充実した激励に値するだけの貢献策を持っていきたい。また、難民に対しても同様でありまして、今それを鋭意詰めておる段階であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/218
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219・太田淳夫
○太田淳夫君 人質のことが抜けていましたけれども、これは新聞報道ですけれども、例えばイラクのジャシム文化情報相は共同通信の方と会見した際に、日本政府が経済制裁を部分的に解除すれば、イラク国内の戦略施設に分散、収容されている日本人男性を段階的に解放する、こういう見解を明らかにしたとありますが、政府でもこういう情報をもとにして検討はされたのでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/219
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220・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 政府ベースで正式のルートでそのようなイラク側の意向は日本政府には参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/220
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221・太田淳夫
○太田淳夫君 参っていないけれども、こちらとしても努力はされていますか、何かそういう情報を得ようとする。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/221
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222・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 在バグダッド大使館及びそのほか可能な場所、ルートを通じましてあらゆる手段でイラク側に働きかけをいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/222
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223・太田淳夫
○太田淳夫君 時間がないので次に参りますけれども、先ほどから貢献策の中の分担金の問題等のいろいろな質疑もございましたが、米国側の今後の経費の分担に対する考え方、これは周辺国援助の分担と多国籍軍の経費の分担という二つの問題が含まれている、こう聞いているわけです。ブレイディ財務長官が今度来日されますけれども、このうちどちらの分担の問題について話し合おうとされているのか、またアメリカはこのような分担をどのような諸国でやろうとしていらっしゃるのか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/223
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224・丹波實
○説明員(丹波實君) この点は、先週の金曜日になりますか、ワシントン時間の三十日の午後ですが、ブッシュ大統領が記者会見をしておりまして、今後の湾岸情勢に絡むいろいろな問題の費用分担についてのアメリカ側の基本的な考え方を明らかにしております。二つの側面があるわけですが、その点についてブッシュ大統領は次のように言っております。我々のアプローチは、制裁と石油価格の上昇によって多大な負担を受けているトルコ、エジプトに対しては実質的な経済援助を、ジョルダン、東欧諸国等については特別の援助をおのおの供与するべく構想している。これが一つの側面です。それから二つ目として、ブッシュ大統領は、米国は我々の――アメリカのという意味だと思いますが、米国は我々の努力に対するバードンシェアリングをも求める、こういう考え方。
先生の次の御質問の、一体どういう国と分担をしようと考えているのかという点については、同時に、我々は日本、韓国、西独、サウジ、ア首連、クウェートその他の国々に対し、我々とともに財政的援助ないしエネルギー面での援助供与に参加するよう要請する、こういうことを述べた上で、これらの動きを促進するため、一方ではベーカー長官、他方ではブレイディ財務長官をヘッドとする二つのグループを世界の関係国に送ると言っております。
日本に関連するものといたしましては、ブレイディ長官とイーグルバーガー国務副長官、それからウォルホウィッツ国防次官、この三人が組になって極東では日本と韓国に来る。日程及び日本における会談の詳細につきましては、現在詰めの段階でまだ決まっておりませんけれども、今週末ぐらいかなという感じで見ております。彼らが日
本に来て日本政府の首脳と会談する過程で、もっと詳しいアメリカの考え方がわかるのではあるまいかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/224
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225・太田淳夫
○太田淳夫君 先ほどあなたが、アメリカの意見を聞き、その後検討し、仕分けをするということでお話をしたい、こういうことでお話がありましたね。いろいろと報道されているところを見ますと、アメリカは周辺国への支援については直接の融資をしてもらいたい、こういう要望を持っている。日本はIMF、世銀を通じた新たな協調融資の枠組みをつくりたい、こう言ってなかなか意見が合わないんじゃないかと言われています。IMFも世銀も日本からのこの申し出については余りいい返事はしていないようでございますし、結局はアメリカのこの要望というものを日本も受けざるを得ないんじゃないかという感じがしてなりませんけれども、官房長官、いかがでしょうか、どういうお考えを持っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/225
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226・丹波實
○説明員(丹波實君) 問題は方法の問題でして、日本もアメリカもやはりいわゆる周辺諸国については、非常に彼らは経済制裁にきちっと参加したことによって苦悩しておる、これを助けなければいかぬという点では日米共通しておりまして、方法論でございますから、私はそんな大きな問題にはならないんじゃないか、これは財政当局とブレイディ長官がとっくり話し合えばそこはもう解決は見出されるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/226
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227・太田淳夫
○太田淳夫君 やはりこのたびの中東諸国、いろいろと関連各国の状況については私たちも日本の国際国家としての立場から十分支援をして差し上げるべきだということは考えております。十分そこは論議をしていただきたいと思います。
次に、時間がなくなってしまったのであれですが、九日に米ソ首脳会談が行われますね。現在の中東問題の中で米ソ会談が行われるわけです。これについて日本政府としてはどのようにとらえておみえになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/227
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228・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 今度の米ソ首脳会談、これは米ソが交渉するというようなことはないと思っております。自由な意見交換をやる。しかし、かなめは国連の決議に従ってイラクの侵略を抑止する、そして経済制裁を効果的あらしめるということで米ソの両首脳が協力をし合いたいという趣旨のものになるだろうと思いまして、私どもも期待をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/228
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229・太田淳夫
○太田淳夫君 私どもこの会談が中東問題の解決に一歩も二歩も前進することを望んでおるわけです。
ただ、いろいろな報道によりますと、アメリカはイラクの問題について長引くということを考慮に入れながら重大な決意を固めている、その部分的な問題についても了承を得に行くんだというようなことも一部報道されておりますので心配をしているわけです。そこで、やはりこの際、ゴルバチョフと会談することは私たちも歓迎いたしますし、中東問題について大きな解決への一歩前進二歩前進の会談にしてもらいたいと思います。そういったことで、中東問題の解決についてどのような方向づけを与えようとされているか、その点どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/229
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230・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 中東問題解決について特に妙手というものはそんなあるものじゃありません。国連で決定をしたあの決議に基づいて、そして加盟諸国が力を合わせて所期の目的のために協力一致して努力をする、そして時至らば平和的な解決に持ち込めばこれは一番結構である、私はそんな感じがしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/230
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231・太田淳夫
○太田淳夫君 もう時間がなくなってしまったんですが、官房長官、海部総理は国連平和協力法の検討について言及されていますね。この点に関しまして総理から官房長官なりあるいは各省庁に対しましてその後何か指示が出されているんでしょうか。いろいろと勉強はされていると言いました。また、この中でどこが中心となってこの研究をされているのか、あるいはどのような手順で検討作業が進められようとしているのか、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/231
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232・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) これは内閣全体の責任においてやっていくべきことであります。それは、やはりその具体的な個々の問題については外務省が幹事役になることもあるでしょうし、また大蔵省もいろいろ考えることもございましょうけれども、とにかく一省とか数省に対してよろしくやれと、そして出てきたら調整を内閣官房でやるというような、そういうスピード、手続では私は不十分だと思っております。総理が一たん決断をして国民の皆さんに協力をお願いしたわけでありますから、内閣を挙げてできる限りスピードを上げて所期の効果を達成したい、そういう体制で臨みたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/232
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233・井上孝
○委員長(井上孝君) 太田君、時間が参りましたので質疑をまとめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/233
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234・太田淳夫
○太田淳夫君 我々の立場としましては、経済大国日本という立場からしましても、あるいは平和憲法を持つ日本の立場からしましても、あるいは国連中心主義、これを日本は標榜しているわけでございますから、やはり国際社会に何か事があった場合には世界の平和と繁栄のために貢献するのは当然であると私たちも考えております。それは経済的なものだけではなくて、やはり人的な貢献も積極的に取り組んでいかなければならないのではないか、このように考えておるわけでございます。
最近、今回の事態を契機としまして、改憲して自衛隊の海外派兵への道を開く等の極論も出ているわけでございますが、これは別にしましても、軍事的な貢献策を果たすべきという声も聞こえているわけですが、政府としてはこの点に対してどのように考えてみえるのか。私は、当面は現行法規内でできる貢献策に全力を挙げていくべきではないか、また、湾岸諸国の我が国への期待も現状では経済的な要請が主であると考えますと、それで十分ではないかという考えを持っております。人的な貢献策を中心とするような問題については、やはり国民の意向であるとかあるいは近隣アジア諸国の意向等を十分考慮して、国会で十分論議をして慎重の上にも慎重に進めていただきたい、こう思うわけですが、最後に御意見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/234
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235・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 非常に同感の点が多うございます。日本は金だけ出してずるいんじゃないかなどとまた言われちゃ困りますので、やっぱり人の面でもできるだけの努力をしたいということでこの間の貢献策を練ったわけでもございます。また、今後とも肉づけをして目に見えるような貢献をいたしたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/235
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236・太田淳夫
○太田淳夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/236
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237・星川保松
○星川保松君 まず、人事院総裁にお尋ねをいたします。
完全週休二日制の問題でありますが、我が国の完全週休二日制は遅々として進まないという状態にあると思います。先進諸国はもう週休二日をやっていないところはないという状態なのに、日本の場合はなかなかこれが進まない。
この日本の特殊性といいますか、どうして日本だけがこの時短についてはいわゆる後進国になってしまっておるのかということを考えてみた場合に、どうも完全週休二日制をやる場合にサービスを低下させてはならない、また人をふやしてはならないということを前提にしてこれを進めようとしておるわけでございます。これは明らかにいわゆる二律背反のような条件を前に掲げておるということのために遅々として進まないのではないか、私はこういうふうに思うわけです。ですから、こういう条件を前に掲げて時間短縮なり週休二日制を進めようとしている国はないのではないか、この条件を緩和するなり取り払わない以上は遅々として日本の場合は進まないのではないか、この条件こそ週休二日制についての後進的な日本の特殊性ではないかというような気がしてならないわけでありますが、この点についてどのようなお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/237
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238・大城二郎
○説明員(大城二郎君) 日本において完全週休二日制がなかなか実現しないということについての御指摘がございましたけれども、諸外国に比べて
日本の場合どうかという意味では、それぞれその国の事情、さまざまな事情があろうかと思います。あるいは、その考え方の問題として、日本ではいわゆる先憂後楽思想などがあるということの反映があろうかと思いますけれども、私どもとすれば、国際社会における日本の地位を考えた際にもやはり国際的なそういう条件に合わせていくということが当然必要であろうというふうに考えまして、なるべく早い時期に週休二日制を実現したい、完全二日制を実現したいということで進めてきております。
その際に、いわゆる条件といたしまして、定員を増加させない、予算をふやさないというふうなことを条件にしているのは問題を困難にしているのではないかという御指摘がございましたけれども、やはりこれは基本的なあり方といたしまして、民間企業でも生産性向上の努力をいたしまして、その成果配分として時間短縮を進めるというやり方をいたしております。公務においてもやはり公務能率の向上ということを目指して、それを実現することによりまして国民の理解を得るということがやはり完全二日制実現のためには必要な条件ではないか、そういう意味の努力をするということが前提条件として必要ではないかということでその努力をしてきているわけでございます。そういう努力を通じて国民の理解も得られ、またサービスのあり方についても必要な配慮ができるということで、この制度が速やかに実現されるというのがやはり望ましいことだというふうに考えております。いろいろ難しい問題はございますけれども、私どもとしてはそういう方向で努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/238
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239・星川保松
○星川保松君 大変難しい問題を一挙に解決しようという姿勢、努力、その気持ちはわかりますけれども、そういう不可能に近いようなことをやろうとして結局おくれおくれになっていくのではないかという点についても今後十分ひとつ反省して、検討を加えて、早期に先進国並みに日本も時間短縮ができるように努力をしていただきたい、こう思っております。
次にもう一つは、去年も質問をしたのでありましたが、いわゆる単身赴任の問題でございます。
人事異動に伴って単身赴任というのが日本の場合非常に多い。これも諸外国、先進諸国では見られないということでございます。これもやはり日本の特殊な現象だということになりますと、日本の場合はいわゆる家庭が分離する、生活が分離するということがあって困る状態があっても構わずに単身でも赴任しろという人事が行われる。そういう考え方が諸外国の場合はない。そういうことはしてはならないんだということの上に立って人事異動が行われるからそういうこともないのじゃないか、こういうふうに思います。
したがって、人事異動があるということはやむを得ないとしても、単身赴任というものはやはりなくしていかなければならない。前の人事院総裁は、これはやはりなくするという方向で努力しなければならないけれども、至難のわざであるということをおっしゃっておりました。しかし、至難のわざであろうと、これは人権にかかわる基本的な生活の問題でもありますので、何とかしてやっぱりなくする方向でいろいろ具体的な努力を払っていかなければならない、こう思っております。まず、新しくなられた総裁からお話をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/239
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240・弥富啓之助
○説明員(弥富啓之助君) ただいま先生の御提起になりました単身赴任の問題は、私もある調査をちょっと見てみましたところが、その原因として、御存じでございましょうが、まず子供の進学と教育の問題がある。それから二番目は、住宅事情の問題がある。これは持ち家があるのと、それからいろいろ転任先の住宅の問題もあるのでございましょう。それから三つ目は、配偶者、妻も仕事を持っているということでなかなか動けない。それから四番目は、老人とか病人の介護の問題がある。その他でございますけれども、これを考えてみますと、大げさに言いますとただいまの日本の社会の問題が一つ象徴されているというふうに申し上げたらどうかと思いますが、そういうような問題が非常に原因になっているということのようでございます。
したがいまして、去年人事院総裁が申されたように、一朝一夕ではなかなか解決ができない問題ではないかとは思いますけれども、単身赴任というのは職員及びその家族にとりましては精神的、経済的な負担となるばかりではございません。公務能率への影響も懸念されるというようなことなど人事管理上の問題として見逃し得ないものがあることはおっしゃるとおりでございます。
それで、昨年は主として単身赴任者の経済的負担に対して手当を勧告したところでございまして、今年の四月から手当がついているわけでございますが、人事院といたしましては、それ以前の問題として単身赴任者の減少に努めていくことが肝要であると認識をいたしております。このため、これまでも各省庁に対しまして種々の会議の際に人事管理上の配慮を求めております。それから、帯同赴任の促進のための環境整備、子弟の転入学問題、転勤者の住宅の問題等の改善を促してきておるところでございまして、今後とも、昨年の当委員会で附帯決議をしていただきましたその趣旨を踏まえ、まず単身赴任を減少させることが重要であるという観点から引き続いてこのような努力を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/240
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241・星川保松
○星川保松君 時間がなくなりますのでこの点についてだけ追及できませんが、今も去年と同じことをおっしゃったんですが、といいますのは、我が国の場合、単身赴任が出てくるのは子供の教育の問題あるいは住居の問題、それから高齢者、お年寄りの養育の問題とかある。しかし、住宅の問題あるいは子供の教育の問題というのは諸外国どこでもあることなんです。だから、それを理由にして日本だけこれがあるという理由にはならないと思うんです。問題は、その子供の教育の中身に私はあると思うんです。これはまた住宅の中身にもあると思いますけれども、ですからその点を十分にお調べになって、そして日本の場合はどこにそういう特殊性があって世界にないいわゆる単身赴任というものが行われておるのかということを人事院の皆さんもよく調べて、対策をひとつ講じていくようにしていただきたいということを要望しておきます。
次に、中東問題に入ります。
イラクのクウェート武力制圧に対する中東の支援策についていろいろな発言が報道されておるわけでございます。それで、自民党の幹部の皆さんからいろんな発言が出てきて、これが大きくマスコミで報道をされておるわけでございます。それに対して政府の見解というものがさっぱりどうも明らかでないということで、国民は頭をかしげていろいろ迷っているという状況だろうと思います。
そこで、自民党の幹部の方四人の発言を私は取り上げてみましたが、これのそれぞれについて自民党の幹部の考え方は政府見解と同じであるか別であるか、別であるとすればどの点が別であるかということをひとつお答えを願いたいと思います。
まず、金丸信さんの発言でありますが、憲法も直したらいいじゃないか、護憲だけでは世界に通らない、そういう言葉が大きく報道されております。これについてまず官房長官からお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/241
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242・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 金丸元副総理が、憲法を直したらいいじゃないかというのは新聞で拝見しましたが、しかしその後また新聞で見ますと、いや、そこまでいかぬでもいいんじゃないかと。あの方はなかなか変幻自在のところがあり、それはまああの人らしい政治家として個人の意見だろうと思っております。政府とすれば、先ほど来申し上げておるとおり憲法の枠内でやると、これだけは間違いありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/242
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243・星川保松
○星川保松君 その次は、小沢一郎幹事長さんのお言葉でございます。現行法制下でも中東地域へ自衛隊の派遣は可能であるという発言をしており
ますが、これはひとつ防衛庁長官からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/243
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244・石川要三
○国務大臣(石川要三君) まあ民主主義ですからいろんな意見があることは私は結構だと思いますが、防衛庁長官として今、小沢幹事長の一つの意見というものをコメントすることはいささか遠慮させていただきたい、かように思います。ただ、そういう考えでございますけれども、現行憲法を改正しないでできるといったって、その内容をどういうことでできるとかできないとかということを詳しく聞かないとちょっと私はコメントまでいかないような、まだもう少し内容が、ただ新聞に出ておったその内容だけではちょっと私には何とも申し上げられない、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/244
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245・星川保松
○星川保松君 小沢幹事長の発言については内容がよくわからない、だから見解を申し述べようがない、こういうことです。
次に、渡辺美智雄さんの発言でございますが、自衛隊を派遣すべきだ、そのため必要なら自衛隊法も改正すべきだ、こういうことをおっしゃっていますが、これは官房長官でしたかね、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/245
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246・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) 自衛隊を派遣するといったって、今の石川長官の言葉のように、自衛隊、一種の軍を派兵するなんということ、これはもう憲法上できない話であります。派遣できなきゃ改正すりゃいいじゃないかと言うけれども、これはどの点をどんな問題についてどういう改正をしたらいいかということは内容がさっぱりわかりませんので、まあこの人も、なかなか漠然としたお話じゃないかなと思っておりまして、この点についてはやっぱり我々とすれば自衛隊派遣なんというのは、派兵するなんということは憲法上許されることでないことはわかっている。
それからそのほか、自衛隊派遣、なるほど南極に行くのでさえ、学術的な純粋なああいう問題でさえ、自衛隊法の中に南極に行きますよとちゃんと書いてあるんですから、どういう問題かということがしっかりわからないとそれが可能かどうかというふうな問題もちょっと判定しにくいです、どういう具体的な問題かということを聞かないと。ですから、今、石川防衛庁長官も言ったように、もっと内容がはっきりしませんと私もちょっとお答えに困るわけです。いろいろな場面が想像されますが、私の方からそれがこういうこと、こういうことというのを申し上げるのはちょっと差し控えまして、渡辺さんに今度会ったら、もうちょっとはっきり言っていただくようにと聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/246
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247・星川保松
○星川保松君 最後に、安倍晋太郎さんの発言でありますが、丸腰の自衛官を災害対策と同じ考えで派遣すべきだと、こういう報道がされておりますが、これは防衛庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/247
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248・石川要三
○国務大臣(石川要三君) とにかく、余りにもラフな意見ですから、丸腰で行けといったってどこへ行くんだか、行く場所によって何をするのかという、いろいろとその条件をよく聞かなければコメントしようがないというのが今の私の実感です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/248
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249・星川保松
○星川保松君 こういうふうに政府見解がさっぱり明らかになっていないまま、自民党の幹部の皆さんからいろんな意見がぽんぽん出てきて、大きな見出しで新聞報道されるわけです。やはりこういうことに対して国民が当然迷いを生ずるわけでありますから、こういうことで国民を惑わさないように、やはりその都度できれば政府見解というものをきちんと出しておいていただかないと国民が困るということを申し上げておきたいと思います。
それから、これは防衛庁長官に、時間がなくなったんですが、お聞きしておきたいのでありますが、いわゆる法を改正すれば自衛隊を派遣できるかもしれないと、こう言いますけれども、今の自衛官の皆さんは専守防衛に従事するんだということで応募にこたえてきていると思うんです。ですから、当然日本の国内であれば、そこに武力侵攻などあつた場合は、それはもう弾の中をくぐって防衛をするんだということは覚悟して来ておると思うんですけれども、場合によっては海外に行ってよその戦線の弾の下をくぐる場合もあるんだということは、私は応募するときの約束の中に入っていないんじゃないかと思うんです。ですから、法を改正すれば、おまえさん出ていけと言われても、いやそれは約束が違うと、外国まで行って弾の下くぐれというなら、これは約束が違うからやめたという人も当然出てくると思うんです。
ですから、そのことを応募する方に、自衛官になるときに、海外にも出ていくことがあるんだよということを明示していらっしゃるのか、していないとすれば、そういうことについてはどう考えていらっしゃるのか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/249
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250・石川要三
○国務大臣(石川要三君) 法的なことについては政府委員からもう少し詳しくお話をさせていただきたいと思いますが、今の、初めから専守防衛で自衛隊に入った、だから今度海外へ派兵というようなときには、これはだまされたというか約束違反じゃないかというのは、これはそういう場合には当然自衛隊法も改正しなきゃならないことになるわけであります。現在ではできないわけですから、したがっていわゆる国会にかけて十二分に議論して、その前提には国民の理解も当然でありますが、そういうプロセスというものをたどって法改正のもとになれば、公務員である限りはその使命に従うというのは当然ではないかと思う。
もしなんでしたら担当の政府委員からもう少しその点を詳しくお答えをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/250
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251・星川保松
○星川保松君 今入っている人はちゃんと前もって専守防衛という条件で入ってきているわけです。それで入ってきた人を取っつかまえて、法を改正したからおまえさん出ていけということは自衛隊の皆さんの納得のいくことかどうか、こういうことですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/251
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252・石川要三
○国務大臣(石川要三君) 例えば、自衛隊法でございますけれども、これは当然そうなればいわゆる先ほど私が申し上げましたように政府全体として、もちろん国民の世論、動向、あるいはまた国会の議論、こういうものを踏まえて、そして慎重な審議のもとにその改正が行われるわけでありますから、当然そういう一つの法が正式な手続で成立して法律となった場合にはそれに従うのは当然ではないか。何も決してだましたり何かそういうことでやったわけでもないわけですから、その点は自衛隊の隊員も粛然としてその法のもとに行動するということは当然ではないか、私はこのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/252
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253・田渕哲也
○田渕哲也君 イラクのクウェート侵攻が起こってから一カ月余りたちましたが、私はこの間の政府の対応を見る場合に余りにももたもたしておるのではないかという感を禁じ得ないのであります。いわゆる危機管理能力ということが言われますけれども、どうも危機管理能力が不十分ではないかという気がします。
まず第一は、在外日本人対策、これは本当に万全の対策を立てることができたのかどうか。まず、イラクがクウェートへ侵攻するというような情報をいつキャッチできたかということであります。うわさによると、ソ連はかなり前から知っておったといううわさもありますし、アメリカも事前に知っておったといううわさもあります。それから、聞くところによると、日本の外務当局も二日ぐらい前にはわかっておったというような話も聞いておるわけですけれども、それならばクウェートにいる日本人をもっと早くクウェートから国外へ出すような手は打てなかったのかどうか。これは引き揚げてきた女性や子供の方の中でそういう意見を言っておる方がおりました。アンマンではなくてもっと早くクウェートへ特別機で救援に来てほしかったということを言っておりましたけれども、それが本当に可能であったか不可能であったかよく私にはわかりません。
その辺で、いつ日本の外務当局はその情報を知ったのか、そして知ってからその在外邦人の安全のために万全の手を打ったのかどうか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/253
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254・内田富夫
○説明員(内田富夫君) イラクとクウェートの間
が険悪化しているという状況につきましては七月の後半ごろより種々の現象があらわれておりまして、そうした交渉の難航ということは私どもとしても情報として持っていたわけでございます。より正確に申し上げますれば、七月三十一日と八月一日にサウジアラビアのジッタで高いレベルのイラクとクウェートの交渉がエジプトのムバラク大統領及び、その場所柄サウジアラビアの提案によって行われていたわけでございます。それが突然決裂いたしまして、八月二日のイラク軍のクウェート侵攻という事態になったわけでございますが、その点につきまして各国とも事前の情報を持っていたとは私どもは承知いたしておりません。
外務省に限って申しますれば、クウェート及びイラクの在外公館からの電報及びそのほかの情報でその事態を知ったような次第でございます。このことにつきましては、仲介に立ちましたエジプトのムバラク大統領、サウジアラビアのファハド国王も、先般これらの国々を訪問いたしました中山外務大臣に対して、極めて驚くべきであり遺憾であったということを申されているわけでございます。
邦人の保護につきましては、確かに先生御指摘のとおり、私どもこうした事態を招いたことにつきましてはまことに残念であるということを強く感じておるわけでございますけれども、このような事態の激変ということにつきまして、政府の邦人保護の対応についてはこうした危急についてあれ以外のことはできませんでしたし、その後の邦人保護については全力を尽くしてきたということを申し上げさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/254
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255・田渕哲也
○田渕哲也君 私は、これからはやっぱり日本としては情報収集ということにもっと力を入れないといけないんじゃないかと思います。武力行使はしないという国是でありますから、それだけに情報を早くキャッチして国民の安全を図るという努力をぜひしていただきたいと思います。
それからその次に、貢献策が最近まとまりましたけれども、これもクウェート侵攻が起こってから一カ月近くたってからであります。あれは法改正をしないでもできる範囲の貢献策でありますから、政府さえその気になればもっと早く出せたのではないか。そうすると、アメリカとか他国の我が国に対するいろんな批判じみたことを言う人もおりますけれども、そういうこともある程度緩和したのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/255
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256・内田富夫
○説明員(内田富夫君) 我が国の反応でございますが、イラク軍のクウェート侵入が明らかになりましたのは八月二日の日本時間の午前中遅くになってからでございますが、直ちにこの二日午後外務大臣臨時代理の談話を発表いたし、かつ五日には安保理の決議に先立って制裁措置を発表するなど、比較的自後の反応につきましては時を移さず措置をとり得たというふうに考えております。
御指摘のこの中東貢献策につきましては、累次の安保理決議を尊重しながら憲法の枠内で我が国としてのぎりぎりの貢献の可能性を検討するという作業でございまして、その範囲が多岐にわたることもあり、取りまとめに当然のことながらの時間が必要であったということを御理解いただきたく存じ上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/256
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257・田渕哲也
○田渕哲也君 一般には、海部総理の姿勢が、各官庁のそういう意見を取りまとめてから物事を判断する、ところがこういう緊急な場合にはまずトップの責任者が必要な判断をするということが大事ではないか、こういうことがいろいろ書かれておるものもありますけれども、この点はやはり日本の国としてこれからのあり方を検討してもらいたいと思います。
それから、もう一つ大事なことは、事が起こってから慌てて法律を考えるというのでは、泥棒を見て縄をなうという気がしないでもありません。あるいは、火事が起こってから消火器を買いに行く。それも、この消火器がいい、あの消火器がいいといろいろ議論をしておる、こういうような感じがするのであります。やはりいかに平和国家であろうと有事に備えて、非常のときにはこういうことをするんだという段取りを法律で決めておくというのは当然のことではないかと思うんです。ところが、今まで有事立法というと何となくタブーのようなことになっている。そういう姿勢がこういう混乱のときに迅速な対応ができない。そして、どさくさに紛れて新しい法律をつくるなんということはかえって私は日本の進路を誤るもとにもなりかねないと思うんです。そういう意味で、有事に備えた法制、こういうことは私はもっと積極的に考えていいんじゃないかと思いますが、これは官房長官にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/257
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258・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) ただいまの有事に備えて危機管理体制に迅速に対応しろとおっしゃる御意見につきましては、全く同感であります。そして、私どもとすれば全力は尽くしたつもりではありまするけれども、我が国におきましては、何と申しましても、危機管理体制の研究は確かにそれは諸外国から見ればおくれておった面もあることは事実であります。しかし、その教訓に照らしまして、国連平和協力法とでも言うべきものを今早急につくっていきたい、こう思っております。
なるほど、そういうものが先にあればもっと迅速に対応できたということは御指摘のとおりでありますけれども、こういう大きな世界的な危機に対応するような体制、世界から大きく期待をされて、そして日本が貢献しなければならないというようなことは、全くこれは戦後の日本が初めて問われる私は試練の場であろうと思うております。もっと早くその辺をやればよかったとおっしゃる気持ちは全く同感でありますが、現在は国連の平和協力法とでも言うべきものでひとつ今後にも対処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/258
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259・田渕哲也
○田渕哲也君 それからもう一つ、安全保障という考え方について、私はやっぱり情勢の変化というものを踏まえないといけないと思うんです。戦後四十五年たちましたけれども、戦争が終わって間もないころは、日本の安全といえば、外国が日本へ攻めてくるのをどう防ぐか、自衛隊も日本に攻めてきた外敵をどうやっつけるか、防ぐか、そういう発想だと思いますけれども、考えてみると、外敵が日本へ攻めてくるということは、全くないとは言えませんけれども、私は可能性は極めて少ない問題ではないかと思うんです。もっとほかで日本の安全が脅かされることはいっぱい起こる。
例えば、今日ではまず経済が変化している。非常に国際化が進んで経済の国境という垣根がもうほとんど低くなってしまっておる。だから日本人がどんどん海外へ行っていますね。海外の日本人が激増しております。それから、日本の資源というものはほとんど海外から持ってくる。食糧もそうです。それから、製品はたくさんの製品を海外へ売る。だから、どこかで局地的な紛争でも起これば、それが直接日本の安全を脅かすことになりかねない。日本を殺すには刃物は要らないわけでありまして、油のもとをとめりゃいいということでありまして、だから外敵が日本へ攻めてくるというような非常に原始的な安全保障を考えておったのではだめではないかと思いますね。むしろ大事なことは、外交政策も大事でありますけれども、やはり国際的な平和の維持、秩序の維持、そういったことをどう守るか、そのために日本の国がどれだけ力を尽くせるかということではないかと思うんです。
私は、平和憲法の精神が一番はっきりと書かれているのが憲法の前文ではないかと思うんです。憲法の前文というのは、日本の安全と平和というものは、国際社会の平和の維持とそして普遍的な政治道徳に基づく世界秩序の確立、そういう中で「平和を愛する諸国民の公正と信義」によって我が国の「安全と生存を保持」する、こういうことが書かれてあるわけでありまして、これは極めて私は崇高な理念だと思います。しかも、この憲法前文に書いてあることは、そのような努力を続ける国際社会の中で我が国は「名誉ある地位を占めたい」ということが書いてあります。名誉ある地位を占めるということは、そのような世界をつく
るために日本がどう貢献できるかということではないかと思うんです。そういった面から、私は日本の国のこれからの将来というものを、安全保障も含めて、今までのままでいいのかということを考えていかなくてはならないと思いますけれども、官房長官のお答えをお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/259
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260・坂本三十次
○国務大臣(坂本三十次君) ただいまの御指摘は多々感銘に値することがございます。確かに、日本は世界の中の全くの日本でありまして、また世界に対する貢献を求められてもおります。そういうことでありまするが、今までのそれに対する対応というものは決して十分であったとは申されません。しかし、世界に対する貢献を果たすために、また我々が平和を愛する諸国民の公正と信義に依存をして、そして発展をしていくためにも国際的な貢献というものは非常に大切であろうと思うております。
しかし、この貢献の仕方につきましては、やはり私は国連を中心として、そして国連とともに歩む、その姿勢が一番日本にふさわしいし、我々としても最もそういう点で、そこはひとつ緩急よろしきをやっぱり得なきゃならぬ問題もあるでしょうけれども、基本方針としては平和憲法のもとであってもやっぱり国連とともに歩んでいく、国連と苦労をともにする、我が国のふさわしい道でそういう体制に貢献をしていくということはこの今次事変を契機として非常にかみしめていかなければならぬことではないかと思うております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/260
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261・田渕哲也
○田渕哲也君 次に、人勧に関連する問題を二点ほどまとめて質問したいと思います。
まず第一点は、今回若年層が大幅に引き上げられました。これは初任給を引き上げたことによる措置だと思いますけれども、しかし一級、二級の方が七・一%、七・二%という上昇率に比べまして三級からずっとだんだん下がってきて、いわゆる中堅どころというのが割に低く抑えられておる。これは初任給が上がればどうしてもこういうふうになるわけでして、民間でも初任給を上げるときにはこういう中だるみという現象がどうしても起こるわけであります。しかし、これはこのまま放置していい問題ではなくて、すぐことしでそれをきちんとやれというのは財源の問題で無理でしょうけれども、やはり将来にわたってこれは是正していかなければならない問題だと思いますが、この点が一つです。
それからもう一つは、指定職の俸給が今回は行政職を上回る高率に引き上げられました。これは報告の中で、やはり民間企業の実態に相応した適切な改善が必要だと。これは去年の報告にも言われておったわけでありますけれども、それに沿ったものだと思います。
そこで、この引き上げについてお尋ねしたいのでありますけれども、指定職の民間との比較の場合に民間企業の役員との比較ということが言われております。今後ともその検討を進めるということでありますけれども、民間企業の役員のベースにまで持っていくようにそれをするのか。指定職の給料が低いというのは、過去一回勧告を見送ったことがあります、財源の問題その他で。それで今は必要以上に低くなっておる。この見送った、抑制された分を取り戻すまでこれを続けるのか、あるいは民間との較差を埋めるまで続けるのか、その辺のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/261
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262・森園幸男
○説明員(森園幸男君) まず、中堅層の処遇改善の問題でございますが、今年は御指摘のような事情がございまして、若年層の給与上昇に比べまして中堅層がいささか薄い改善となったわけでございます。係長級以上につきましては、これは年代層で平均的に言いますと大体三十歳後半ぐらいからでございますが、御存じの役職段階別の特別給の加算措置というのを別途お願いしておりますので相応の改善がなされるわけでございますけれども、そのはざまといいますのは、ちょうど三十歳前半ぐらいであろうと思いますが、ここにつきましては俸給表の上でも特に平均以上となるように三・九以上で対処いたしておるわけでございます。
なお、長い目で見ますと、民間もそうでございますけれども、最近若年層、初任給の上昇に伴いまして中堅がいささか落ち込んでいる状態、これは官も民も同じであろうと思います。これについてはいろんな上下の関係、あるいは民間との関係等に気を配りながら適切な対処をしていかなきゃならぬ、このように考えております。
それから、指定職でございますけれども、これも先生今御指摘になりましたように、当面の措置といたしましては、昭和五十三年に勧告、指定職の改善を見送った、そのときの行政職の改善率が三・八四%でございましたので、これを数年かけて回復したいというのが意図でございます。最近の民間役員報酬の状況からいたしますと、先のことではございますが、それが一応達成された後においてもなお相当な開きが残るであろう、それをどうするかについては、さらにいろんな精密な調査などをしながら引き続き検討してまいりたい、こういうような趣旨を勧告文、報告文で申し述べさせていただいた、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/262
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263・田渕哲也
○田渕哲也君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/263
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264・井上孝
○委員長(井上孝君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/111814889X00119900904/264
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