1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成三年二月十九日(火曜日)
午後零時十分開会
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委員氏名
委員長 名尾 良孝君
理 事 中曽根弘文君
理 事 前田 勲男君
理 事 梶原 敬義君
理 事 井上 計君
岩本 政光君
大木 浩君
合馬 敬君
倉田 寛之君
下条進一郎君
向山 一人君
穐山 篤君
庄司 中君
谷畑 孝君
浜本 万三君
吉田 達男君
広中和歌子君
三木 忠雄君
市川 正一君
池田 治君
今泉 隆雄君
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委員の異動
十二月十八日
辞任 補欠選任
合馬 敬君 鳩山威一郎君
十二月十九日
辞任 補欠選任
鳩山威一郎君 合馬 敬君
一月七日
辞任 補欠選任
中曽根弘文君 井上 裕君
一月九日
辞任 補欠選任
井上 裕君 山口 光一君
下条進一郎君 斎藤 文夫君
二月十八日
辞任 補欠選任
吉田 達男君 喜岡 淳君
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出席者は左のとおり。
委員長 名尾 良孝君
理 事
斎藤 文夫君
前田 勲男君
委 員
大木 浩君
倉田 寛之君
向山 一人君
山口 光一君
穐山 篤君
喜岡 淳君
庄司 中君
谷畑 孝君
浜本 万三君
広中和歌子君
三木 忠雄君
市川 正一君
今泉 隆雄君
国務大臣
通商産業大臣 中尾 栄一君
国 務 大 臣
(経済企画庁長
官) 越智 通雄君
政府委員
公正取引委員会
委員長 梅澤 節男君
公正取引委員会
事務局官房審議
官 矢部丈太郎君
公正取引委員会
事務局経済部長 糸田 省吾君
公正取引委員会
事務局取引部長 地頭所五男君
公正取引委員会
事務局審査部長 柴田 章平君
経済企画政務次
官 井出 正一君
経済企画庁長官
官房長 寺村 信行君
経済企画庁長官
官房会計課長 黒川 雄爾君
経済企画庁調整
局長 末木凰太郎君
通商産業政務次
官 自見庄三郎君
通商産業政務次
官 中曽根弘文君
通商産業大臣官
房長 熊野 英昭君
通商産業大臣官
房総務審議官 高島 章君
通商産業大臣官
房商務流通審議
官 坂本 吉弘君
通商産業大臣官
房審議官 合田宏四郎君
通商産業大臣官
房会計課長 林 康夫君
通商産業省通商
政策局次長 麻生 渡君
通商産業省貿易
局長 堤 富男君
通商産業省産業
政策局長 棚橋 祐治君
通商産業省立地
公害局長 岡松壯三郎君
通商産業省基礎
産業局長 内藤 正久君
通商産業省機械
情報産業局次長 牧野 力君
通商産業省生活
産業局長 南学 政明君
工業技術院長 杉浦 賢君
資源エネルギー
庁長官 緒方謙二郎君
資源エネルギー
庁石炭部長 土居 征夫君
特許庁長官 植松 敏君
特許庁審査第一
部長 大塚 和彦君
中小企業庁長官 高橋 達直君
中小企業庁次長 西川 禎一君
中小企業庁計画
部長 渡辺 修君
中小企業庁小規
模企業部長 江崎 格君
事務局側
常任委員会専門
員 小野 博行君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(通商産業行政の基本施策に関する件)
(経済計画等の基本施策に関する件)
(平成二年における公正取引委員会の業務の概略に関する件)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/0
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001・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る一月七日、中曽根弘文君が、同月九日、下条
進一郎君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として山口光一君及び斎藤文夫君が選任されました。
また、昨十八日、吉田達男君が委員を辞任され、その補欠として喜岡淳君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/1
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002・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/2
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003・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に斎藤文夫君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/3
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004・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、今期国会におきましても、産業貿易及び経済計画等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/4
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005・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/5
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006・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) この際、通商産業大臣、経済企画庁長官、通商産業政務次官、経済企画政務次官からそれぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。中尾通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/6
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007・中尾栄一
○国務大臣(中尾栄一君) このたび通商産業大臣に就任いたしました中尾栄一でございます。
委員長を初め委員各位の御意見を十分拝聴いたしまして、通商産業行政の推進に努めてまいる所存でありますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/7
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008・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 越智経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/8
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009・越智通雄
○国務大臣(越智通雄君) このたび経済企画庁長官を拝命いたしました越智通雄でございます。
内外ともに多事多難な折、日本経済のかじ取り役として全力を尽くしてまいる所存でございます。
委員長を初め委員の皆様方の御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/9
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010・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 自見通商産業政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/10
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011・自見庄三郎
○政府委員(自見庄三郎君) このたび通商産業政務次官を拝命いたしました自見庄三郎でございます。
中尾大臣を補佐いたしまして、中曽根政務次官と力を合わせ、通商産業行政の遂行に全力を挙げてまいる決意でございます。
委員長を初め委員各位の格別の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/11
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012・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 中曽根通商産業政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/12
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013・中曽根弘文
○政府委員(中曽根弘文君) このたび通商産業政務次官を拝命いたしました中曽根弘文でございます。
自見政務次官ともども中尾大臣のもとに通商産業行政に全力で取り組みたいと思います。
委員長並びに委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げましてごあいさつとさせていただきます。
よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/13
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014・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 井出経済企画政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/14
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015・井出正一
○政府委員(井出正一君) 経済企画政務次官に就任いたしました井出正一でございます。
内外ともに大切な時期に当たりまして、越智長官を補佐し、経済の運営を初め物価の安定、国民生活の質的向上のために微力ではございますが全力を尽くしてまいりたいと思います。
どうか委員長を初め委員の先生方の御指導、御鞭撻を心からお願いいたします。
よろしくお願いします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/15
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016・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。
まず、通商産業行政の基本施策に関し、通商産業大臣から所信を聴取いたします。中尾通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/16
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017・中尾栄一
○国務大臣(中尾栄一君) 第百二十回国会における商工委員会の御審議に先立ち、通商産業行政に対する私の所信の一端を申し上げます。
世界は大きな歴史の転換点を迎えております。変化はきしみを伴うものでありますが、同時に躍動の源にもなります。現在、極めて流動的な情勢の中で、新たな国際秩序を構築すべく各国が努力を重ねているところであります。
すなわち、イラクの力による不法な支配に対し、国際社会はかつてない協力体制を築き、平和と安全を回復しようとしております。また、保護主義的な動きを排除し、二十一世紀へ向けた自由貿易体制を確立するため、ウルグアイ・ラウンドを初めとする種々の交渉に積極的に取り組んでいるところであります。さらに、東西融和を確固たるものとするために、引き続きさまざまな努力が払われております。
こうした中で、我が国は国際社会におけるその地位の高まりをみずから認識しつつ、責任ある対応を進めていかなければなりません。とりわけ、今回の湾岸危機については、我が国としても国際社会の平和と安全を回復すべく積極的な支援を行う必要があります。このため、政府としては、関係諸国が当面要する経費に充てるため九十億ドルの追加支援を行うこととし、その財源として歳出の削減合理化等を行うとともに、石油税及び法人税の一年限りの臨時的増税措置を講ずることにより所要額の確保を図ることといたしました。なお、今回の増税措置の趣旨にかんがみ、石油税については増税分の適切な転嫁について国民の理解を求めることが必要と考えております。国民各位の御理解と御協力をぜひともお願いする次第であります。
国内に目を転じますと、我が国経済は既に四年を超えて内需主導による景気拡大を継続しておりますが、湾岸紛争や米国における景気後退の様相など不透明な状況も生じております。我が国は直面しつつある広範かつ多様な変化に柔軟に対応し、中長期的に、経済の活力を維持し、国土の均衡ある発展、豊かさを実感することのできる国民生活を実現していかなければなりません。
歴史の転換点を迎え、困難な状況下ではありますが、私は以下の諸点を中心に、通商産業政策の推進に向け全力を尽くす所存であります。
第一は、湾岸危機への的確な対応であります。
さきに述べた追加支援のほかにも避難民援助及び周辺国に対する経済援助を行っております。さらに、原油流出対策として資機材の提供を行うこととし、既に一部の資機材についてはサウジアラビア等湾岸諸国向けに輸送したところであります。
一方、湾岸危機は国内経済に影響を与えるおそれもあるため、これを最小限にするよう対策を講じていかなければなりません。
すなわち、エネルギー面では、国際エネルギー機関を通じた国際協調のもとで石油備蓄義務量を引き下げるとともに、石油会社に対する高値買い自粛を要請する等、国際石油市場及び国内石油市場の需給、価格両面の安定を図っており、さらに省エネルギー対策を一層着実に実施しております。今後も、事態の進展に応じて、エネルギーの需給両面における施策を的確かつ迅速に推進する所存であります。
また、中長期的な観点に立てば、今回の経験をも踏まえ、地球環境問題にも配慮しつつ、省エネルギーの一層の推進を図るとともに、エネルギーの安定供給を確保することが必要であります。このため、安全性の確保に万全を期しつつ原子力発電及び核燃料サイクルを強力に推進するとともに、新エネルギーの開発や未利用エネルギー活用システムの推進に努めていくこととしております。
このような中で起きた関西電力株式会社美浜発電所二号機の自動停止等に係る事象については、徹底した原因の究明と再発防止対策の確立に全力
を尽くしてまいる所存であります。
また、湾岸危機に起因する原油価格の不安定化などの懸念される材料もあるため、今後とも中小企業も含め経済動向の十分な把握に努めるとともに、便乗値上げを厳しく監視するなど引き続き物価の安定に十分配慮してまいります。
第二は、新しい国際経済秩序の形成に向けた国際社会への貢献であります。
GNPで世界の一五%を占め、世界最大の債権国となった我が国にとり、自由で開放的な国際経済システムは不可欠であり、このため、ウルグアイ・ラウンド等に積極的に取り組んでいるところであります。同ラウンドが失敗した場合には、一方的措置の実施、地域経済のブロック化、保護主義勢力の急速な台頭など世界経済に深刻な影響を与えることが予想されます。我が国としては、ウルグアイ・ラウンドの成功に向けて最大限の努力を傾注してまいります。
また、アジア・太平洋地域における多面的協力について、一昨年発足したアジア・太平洋経済協力等の場を通じ、一層積極的に貢献していくとともに、発展途上国の自立的発展を支援するとの基本的な考え方にのっとり、総合的な経済協力を推進してまいります。
さらに、輸入拡大等により対外不均衡是正を図るとともに、日米、日・ECを初めとする二国間関係の緊密化にも努めてまいります。
第三は、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現であります。
経済成長の成果を国民生活に還元するためには、消費者や生活者の視点に立った政策を進めることが重要であります。特に、消費者ニーズの多様化、高度化に対応し、良質な物品、サービスを低廉な価格で提供し得る新しい流通構造を構築し、創意と活力ある小売商業を育成するため、消費生活に密着した魅力ある商店街・商業集積づくりのための総合的対策を講ずるとともに、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律の一部を改正する法律案、特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法案を初めとする五法案を提出したところであります。また、商品ファンドにおける投資家の保護を図るべく所要の法令の整備を行う予定であります。
さらに、東京一極集中を是正し多極分散型の均衡ある国土の発展を図っていくことも、豊かな国民生活の実現に寄与する重要な課題であります。このため、産業の地方分散を進め魅力ある地域拠点の形成を支援していくこととしております。
第四に、人類共通の課題である地球環境問題の解決に積極的に取り組んでいく所存であります。
地球環境問題の解決に当たっては、環境の保全と経済の安定的発展との両立が重要であり、新たな技術の開発と普及がそのかぎを握っております。とりわけ、地球温暖化問題につきましては、我が国は、技術によるブレークスルーを中核とした地球再生計画を国際的に提唱し、各国の賛同と理解を得ているところであります。また、先般、政府として策定しました地球温暖化防止行動計画を着実に実施することとしております。さらに、オゾン層の保護につきまして、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案を提出したところであります。今後とも、国内における取り組みを積極的に進めるとともに、国際的にもリーダーシップを発揮してまいります。
一方、近年、経済成長、ライフスタイルの変化等に伴い、廃棄物の排出量の増大及び質的変化が見られ、廃棄物問題が深刻化しております。このような状況を打開し、再資源化等による資源の有効利用を図るとともに、廃棄物の発生の抑制及び環境の保全に資するため、再生資源の利用の促進に関する法律案を提出する予定であります。
第五に、適切な中小企業対策を講じていかなければなりません。
激しい環境変化に対応できる創意と活力に満ちた中小企業の育成を図ることは、我が国経済にとって極めて重要であります。このため、さきに述べた流通対策における抜本的な施策の拡充に加え、著しい人手不足への対応を図る観点から、関係省庁と協力しつつ、所要の法令の整備を初めとする施策を積極的に展開していく所存であります。
第六は、国際社会と調和した経済発展基盤の確保であります。
国際社会と調和して我が国が経済社会の長期的発展基盤を確保するため、先端技術分野や基礎研究分野における技術開発及び高度情報化社会の構築に向けた総合的人材育成施策を積極的に推進してまいります。
科学技術面においては、民間分野における国際研究交流等を促進するため、所要の法令の整備を含め、我が国としての国際貢献を図ってまいります。さらに、産業・技術取引の国際的な進展に伴い、工業所有権制度の一層の充実を図ることとし、サービスマークについては、新たに登録制度を導入し、その適切な保護を図るべく商標法の一部を改正する法律案を提出する予定です。
第七は、産炭地域振興対策を初めとする石炭政策の推進であります。
我が国石炭鉱業は、第八次石炭政策のもとで関係者の懸命の努力が続けられておりますが、引き続き厳しい環境に直面しております。このため、まず、産炭地域の振興を図るべく産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を提出したところであります。加えて、石炭鉱業合理化安定対策、鉱害対策などの諸対策の推進に一層の努力を行ってまいる所存であります。
以上、今後の通商産業行政の基本的方向についての所信の一端を申し上げました。
私は、国民各位の御理解のもとに、通商産業行政の遂行に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/17
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018・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 次に、経済計画等の基本施策に関し、経済企画庁長官から所信を聴取いたします。越智経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/18
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019・越智通雄
○国務大臣(越智通雄君) 我が国経済の当面する課題と経済運営の基本的考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
世界経済は、八年を超える息の長い拡大を続けております。先進諸国では、このところアメリカ、イギリス等で景気後退の様相があらわれてきておりますが、その他西欧諸国では、総じて好調な景気拡大が続いております。一方、主要国間の対外不均衡、発展途上国の累積債務問題などの課題も残されております。
他方、我が国経済は、個人消費や設備投資を中心とした内需主導型の景気拡大が続いており、昭和六十一年十二月以来の景気上昇は、今月で五十一カ月目に入っております。また、製品類等を中心に輸入が増加していることなどから、経常収支の黒字幅は縮小傾向にあります。
以上のような状況を踏まえ、私は、平成三年度の経済運営に当たりましては、特に次の諸点を基本的な柱としてまいりたいと考えております。
第一の柱は、内需を中心とした景気の持続的拡大を図ることであります。
このため、今後とも、主要国との政策協調にも配慮しつつ、為替レートの安定を図るとともに、物価の安定を基礎とし、適切かつ機動的な経済運営に努めてまいりたいと考えております。
平成三年度の我が国経済は、引き続き対外不均衡の是正を進めながら内需を中心とした着実な拡大が図られ、実質経済成長率は三・八%程度になるものと見込まれます。
湾岸危機につきましては、政府としては、今回の事態が我が国の経済に及ぼす影響を最小限にとどめ、国民生活安定の確保に万全を期す所存であります。幸い、過去二回の石油ショックのときと比べると、我が国経済の石油に対する依存度の低下、石油備蓄の大幅な増加等が見られるところであります。政府、国民の適切な対応と相まって、国
民生活に大きな影響を与えることなくこの事態を克服できるものと考えております。
なお、先般決定された湾岸平和基金に対する九十億ドルの追加拠出に係る措置については、我が国経済の基調に影響を与えるようなものとは考えておりません。
第二の柱は、保護貿易主義の抑止と自由貿易体制の維持強化に向け率先して努力するとともに、調和ある対外経済関係の形成と世界経済活性化への積極的な貢献を行っていくことであります。
このため、貿易の拡大均衡による対外不均衡の着実な改善を目指して市場アクセスの改善等を図るとともに、ウルグアイ・ラウンド交渉の成功に向けて一層の貢献を行ってまいります。また、政府開発援助の第四次中期目標に基づき、経済協力の拡充と効果的な推進を図ってまいります。
第三の柱は、物価の安定基調を維持していくことであります。
最近の物価の動向を見ますと、昨年九月以降、石油価格の上昇の影響が見られたものの、総じて物価は安定基調にあります。平成三年度についても、物価は引き続き安定的に推移し、消費者物価は二・四%程度の上昇となるものと見込まれます。今後とも、原油価格、為替レート、労働力需給等の動向を十分注視しつつ、物価の安定に最善の努力を尽くしてまいる所存であります。
また、内外価格差問題につきましては、政府・与党内外価格差対策推進本部の決定に従い、着実に施策が実施されておりますが、今後とも内外価格差の是正、縮小のため各般の施策を推進してまいる所存であります。
第四の柱は、地価の適正化、労働時間の短縮等国民生活に関連する分野を重視し、消費者の視点に十分配慮しつつ、経済構造調整を積極的に進めていくことであります。
土地対策につきましては、土地基本法の理念のもとに、地価の適正化を図るため、大都市地域における住宅宅地供給の促進、土地税制の総合的な見直し等を速やかに実行してまいります。
社会資本の整備につきましては、昨年取りまとめた公共投資基本計画を指針として、二十一世紀に向け着実に社会資本整備の充実が図られるよう適切に対応してまいる所存であります。
労働時間の短縮につきましては、週四十四時間労働制等を踏まえた完全週休二日制の普及、連続休暇の普及拡大等に努めてまいります。
消費者行政につきましては、国際化、情報化、サービス化、高齢化の進展など消費者を取り巻く環境の変化に適切に対応しつつ、引き続き積極的に取り組んでまいります。なお、製造物責任制度については、国際化の進展に対応した制度の調和を図る観点からも、総合的な検討が必要と考えており、国民生活審議会に専門的に審議する場を設け、早急に具体的検討を進めてまいる所存であります。
また、現下の国際石油情勢、中長期的なエネルギー需給の動向並びに地球環境問題や廃棄物処理問題等の課題に対応するため、省資源・省エネルギー対策を積極的に推進してまいります。
以上、今後の経済運営の課題と方向について所信を申し述べました。
なお、中長期的な経済運営については、現在、昭和六十三年に決定された経済計画「世界とともに生きる日本」に沿って諸般の施策を進めているところでありますが、さらに長期間にわたって我が国経済社会が進むべき道筋を視野に入れて経済運営を行っていくとの観点から、経済審議会二〇一〇年委員会において、我が国経済とこれを取り巻く国際環境等についての長期展望作業を進めております。
私は、激動する今日の世界情勢の中にあって、経済運営に誤りなきを期し、国際社会の持続的な発展のために価値ある貢献を行うとともに、豊かで潤いのある経済社会の形成を目指して努力してまいります。
本委員会の皆様の御支援と御協力を切にお願い申し上げる次第であります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/19
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020・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 以上で両大臣の所信の聴取は終了いたしました。
なお、平成三年度通商産業省関係予算及び平成三年度経済企画庁関係予算につきましては、お手元に配付してあります関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。
大臣及び政務次官、御退席いただいて結構でございます。
次に、平成二年における公正取引委員会の業務の概略について、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。梅津公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/20
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021・梅澤節男
○政府委員(梅澤節男君) 平成二年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。
まず、独占禁止法の違反事件の処理につきましては、価格カルテル等十七件について審決により違反行為の排除処置を命じたほか、六十三件の警告を行いました。さらに、七件の価格カルテル事件について、総額八億九千百六十五万円の課徴金の納付を命じました。
内外からさまざまな指摘のある流通・取引慣行等の問題につきましては、我が国市場の効率性、開放性を一層高め、一般消費者の利益を確保するという観点から、競争政策上の評価及び対応について検討を行いました。また、この作業と関連して、外資系企業の日本市場への参入に関する実態調査、欧米ブランド輸入品の実態調査、内外価格差に関する流通実態調査等を行いました。
今後は、これらの検討結果を踏まえ、ガイドラインの作成等を行っていくこととしております。ガイドラインにつきましては、輸入総代理店契約等に関するガイドライン及び流通・取引慣行に関するガイドラインの原案を開示し、広く国内外の意見を求めているところであり、平成三年度の早い時期を目途に作成、公表することを予定いたしております。
価格の同調的引き上げに関する報告徴収につきましては、平成二年中にビールについて価格引き上げ理由の報告を求め、その概要を国会に御報告申し上げました。
政府規制及び独占禁止法適用除外制度につきましては、引き続きその見直しについて検討を行ってまいります。
下請法に関する業務につきましては、下請取引の適正化及び下請事業者の利益保護を図るため、下請代金の減額等の違反行為を行っていた親事業者二千五十社に対して減額分の返還等の改善措置を命じました。
また、景品表示法の運用により、消費者の適正な商品選択が妨げられることのないよう過大な景品類の提供及び不当表示の排除に努めました。このうち、平成二年中に十六件について排除命令を行ったほか、七百八十八件について是正措置を講じました。
以上簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。
なお、独占禁止法違反行為に対する抑止力を強化するため、今通常国会におきまして政府提案に係る課徴金の引き上げに関する独占禁止法の改正が実現するよう切に期待いたしております。
今後ともよろしく御指導のほどお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/21
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022・名尾良孝
○委員長(名尾良孝君) 以上で説明は終了いたしました。
両大臣の所信等に対する質疑は後日行うことといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112014461X00119910219/22
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