1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成三年十一月二十一日(木曜日)
午前十時六分開議
出席委員
委員長 林 義郎君
理事 大島 理森君 理事 金子原二郎君
理事 北川 正恭君 理事 中川 昭一君
理事 船田 元君 理事 与謝野 馨君
理事 石橋 大吉君 理事 上原 康助君
理事 串原 義直君 理事 山田 英介君
逢沢 一郎君 井出 正一君
伊吹 文明君 岩屋 毅君
上草 義輝君 衛藤 晟一君
小澤 潔君 岡田 克也君
小宮山重四郎君 斉藤斗志二君
鈴木 俊一君 鈴木 宗男君
武部 勤君 二階 俊博君
西田 司君 福田 康夫君
増子 輝彦君 町村 信孝君
松浦 昭君 三原 朝彦君
光武 顕君 村田 吉隆君
秋葉 忠利君 伊東 秀子君
小澤 克介君 緒方 克陽君
岡田 利春君 五島 正規君
松原 脩雄君 元信 堯君
山中 邦紀君 東 祥三君
遠藤 乙彦君 山口那津男君
渡部 一郎君 東中 光雄君
古堅 実吉君 柳田 稔君
和田 一仁君 楢崎弥之助君
出席国務大臣
内閣総理大臣 宮澤 喜一君
外 務 大 臣 渡辺美智雄君
国 務 大 臣 加藤 紘一君
(内閣官房長官)
国 務 大 臣 宮下 創平君
(防衛庁長官)
国 務 大 臣 中村正三郎君
(環境庁長官)
出席政府委員
内閣審議官
兼内閣総理大臣 野村 一成君
官房参事官
内閣法制局長官 工藤 敦夫君
内閣法制局第一 大森 政輔君
部長
内閣法制局第二 秋山 收君
部長
防衛庁参事官 内田 勝久君
防衛庁長官官房 村田 直昭君
長
防衛庁防衛局長 畠山 蕃君
防衛庁教育訓練 小池 清彦君
局長
防衛施設庁総務 竹下 昭君
部長
防衛施設庁施設 大原 重信君
部長
環境庁長官官房 森 仁美君
長
外務大臣官房審 河村 武和君
議官
外務省欧亜局長 兵藤 長雄君
外務省経済協力 川上 隆朗君
局長
外務省条約局長 柳井 俊二君
外務省国際連合 丹波 實君
局長
委員外の出席者
国際平和協力等
に関する特別委 石田 俊昭君
員会調査室長
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委員の異動
十一月二十一日
辞任 補欠選任
石川 要三君 村田 吉隆君
中谷 元君 鈴木 俊一君
和田 一仁君 柳田 稔君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 俊一君 岩屋 毅君
村田 吉隆君 石川 要三君
柳田 稔君 和田 一仁君
同日
辞任 補欠選任
岩屋 毅君 中谷 元君
同日
理事中川昭一君同日理事辞任につき、その補欠
として北川正恭君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
法律案(内閣提出、第百二十一回国会閣法第五
号)
国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出、第百二十一回国会閣
法第六号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/0
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001・林義郎
○林委員長 これより会議を開きます。
第百二十一回国会、内閣提出、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案及び国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/1
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002・上原康助
○上原委員 余り忙しいものですから、質問もどうなっているのかよくわかりませんが、やっている間にいろいろ考えが浮かぶと思いますから、お尋ねをさせていただきたいと思います。きょう私は努めて、これまで我々がお尋ねしたことについて政府の答弁に納得しかねる点、この法案の疑問点についてただしていきたいと思いますので、余り言葉のやりとりとか、政府委員の説明も、まあ必要なときにはそれはやむを得ないと思うのですが、できるだけ総理や副総理、防衛庁長官、法制局長官がお答えするように、まずお願いをしたいと思いますので、委員長もそのおつもりでお取り計らいを願いたいと思います。
そこで、質問要旨とはちょっと違いますけれども、冒頭総理に、一時中断というか、無期延期になるんじゃないかと言われておったブッシュ米大統領の来日が、来年一月七日から四日間に決まったという報道が昨日から盛んになされております、昨晩から。
そこで、御承知のように、日米関係というか、パールハーバー、いわゆる真珠湾奇襲を日本がしでかしてから五十周年に当たる。この間、世界は大転換をいたしてきておりますし、日米の世界秩序における地位というものも一時期よりは相当変わってきた。これは経済面においてもあるいはその他の面においてもですね。何かお聞きするところによりますと、この日米両国のグローバルパートナーシップとしての、いわゆる地球規模に立った新しい国際秩序というか日米関係というか、そういった相当ダイナミックな日米関係の指針というか方針をお出しになろうというお考えのようですが、総理の、どういうことを今シナリオとしてお考えになろうとしているのか、これからのブッシュ米大統領の来日に当たってどういうグローバルパートナーシップのアピールを出そうとするのか、これが一つですね。
それともう一点は、この問題のウルグアイ・ラウンドの決着というのは、米問題を含めてそれまでにお決めになるおつもりなのか、あるいはそのブッシュ大統領が来る時点を見計らっていろいろ結論を出そうという考えなのか。
この二点は大変国民的な関心のあることなので、ぜひひとつ冒頭お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/2
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003・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 総理がお答えをする前に、私からいきさつについて簡単に御報告をいたします。突如ブッシュ大統領の訪日が中止されたというように報じられたために、我々としてもその真意を確かめたところ、それは中止ではありません、議会関係との審議の問題で一時延期でありますというお答えであったものですから、それならば、大変日本国民も今後の日米関係を一層強固なものにしていかなければならない、いろいろ、今あなたのおっしゃったような国内のいろんな議論がございます。したがって、ぜひとも大分早い時期に訪日をしていただきたいということを言ってあったのでございます。
ところがアメリカ側としては、日本だけでなくてやはり予定された諸国も訪問をしたいということもございまして、いろいろ日にちを言ってきたのですが、年の始まりということになると、元首がおいでになることでございますから当然天皇陛下とお会いするということもありましょう、また皇室の関係もいろいろありまして、一日から七日ぐらいまではなかなか日がうまく合わないというようなことで、それで八日からという日程が最終的に決まって同時発表になったといういきさつでございます。大局的な問題につきましては総理から答弁をしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/3
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004・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 ブッシュ大統領はこの冷戦後の時代を世界新秩序と呼んでおられるわけですが、私は世界の平和構築のための新秩序というふうに考えたいということを所信表明でも申し上げました。したがって、そこに基本的には考え方の共通点があるというふうに考えております。
そのような時代の中で、米国は今、ソ連が崩壊しました後、世界の大国ということでございますし、我が国は第二の経済大国ということでございますので、このような新しい秩序の構築に当たって両国が世界に対して負っておる共通の責任というものは非常に大きいと考えます。そのような責任をお互いにどのように遂行すべきかという問題と、もとよりそのためには両国間の確固たる友情がなければなりませんが、それは幸いにして価値観を同じくしているという意味で、五十年間を回顧いたしますと、今これから新しい五十年に向かって確固たる友情を深めることができる、こういうことを確認をいたしたいと考えておるところでございます。
それから、ウルグアイ・ラウンドのことでございますが、これは最終段階に入っておりまして、アメリカ、EC、我が国等々が連日ジュネーブにおきまして会議を続けておるところでございますが、その最終段階がどのような形でいつ終結するかということがいまだに不明確でございます。したがってこのウルグアイ・ラウンドの問題、なかんずく米の問題と仰せられたと思いますが、それは日米間の問題というふうに私は観念しておりませんで、これは多角的なウルグアイ・ラウンドの交渉の問題である、こういうふうに考えておりますので、直接にブッシュ大統領の訪日と結びつけては考えておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/4
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005・上原康助
○上原委員 まあ、きょうはそれがテーマでありませんので、一応の考え方だけお伺いをしておきますが、少し注文というとあるいは御無礼かもしれませんが、これまでの歴代の我が国の首相、総理の日米首脳会談というのは、必ず軍事的なオーバーコミットメントを押しつけられるとかあるいは背負うとか、そういうことが非常にあるわけですね、私たちの立場から見るとね。少なくとも、もう第二次世界大戦後の冷戦構造が崩壊をして新しい国際社会秩序になっているわけですから、その中ではやっぱり日本の平和主義というか経済主義というか、そういう面をもっと日米間でも強調していく、日本の役割というものを国際的にも担っていくということが私は大事だと思うのですね。
今ブッシュ大統領が、これはまあ我々政治家としても非常に見習うべきことだと思うのだが、湾岸戦争で凱旋将軍みたいに一時は九〇%以上の人気があったわけでしょう。だが、わずか一年足らずで今どうなっていますか、国内における米大統領の人気というのは。地位というか社会的あるいは政治的な影響力というのは。なぜそれだけ低下したかというのは、やはりアメリカの今ホームレスの問題にしても経済の景気の問題にしても、余りにも軍事大国になったがゆえにそうなってきているのです。これはソ連だってしかり。その面では日本の政治というか、国際的進路というか指針というものは、それは皆さんは自民党政治がよかった、やれ日米安保があったからそうなったんだと言うが、それだけじゃないですよ、それは。やはり憲法の理念というのが国民的に定着をして、社会党が絶えず憲法理念をチェックしたから、皆さんも先取りするところは先取りをして今日の日本の社会的、経済的地位を私は築いたと思うんだね。その意味では私は、宮澤総理に新しく日本のリーダーとして期待するとするならば、アメリカにもやっぱり、あなた方の国家運営、政治のあり方、余りにも軍事にオーバーコミットしたがゆえにこうなったんだ、そのツケを日本に求めてもだめだということは、しっかりこの際ブッシュさんが来られるときには注文をつけるべきだ。
そのことについての決意を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/5
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006・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 先ほどのお尋ねに対しまして、私は日米両国が価値観を共通にしておりますのでということをお答え申し上げました。いわゆる日米安保関係は我が国の安全にとって極めて大切なものでございますけれども、しかしそのような体制が可能であるのは、基本的に両国が価値観を同じくしているということがあってこそであるというふうに私は考えておりまして、上原委員の御指摘のことはよく留意をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/6
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007・上原康助
○上原委員 まあ、総理がしばしばおっしゃる日米の価値観の共通性というか、認識が一致しているということについては、広い意味では私もそのとおりだと思うのですが、しかし、これはまたいずれ機会があれば議論をさせていただきたいと思います。
今申し上げたことについては、私は、アメリカの良識ある議員の皆さんとかあるいはいろんなジャーナリスト、ジヤーナリズム関係者を含めてその点は気づいていると思う。ベトナム戦争の反省も十分ではなかったことも一時期あったわけです。それを湾岸でまた突っ込んじゃつて今日の事態。その繰り返しはだめですよ、これは。そこをきちっとパートナーシップとして対等の立場で言うというのが私は日本の真のあるべき姿だと思うので、その点はこれからの、外相を含めての、総理のアメリカとのいろいろなやりとりを注目をしておきたいと思います。
そこで、いよいよ本論に入りたいわけですが、私も、この法案が提案された段階においてかなり長時間質問をしましたので、あのときにいろいろお尋ねしたことほどきょうは正直申し上げてできるか、ちょっと自信もありませんが、問題は、きのうも私はお二人の、総理と副総理・外相の憲法認識というものをお尋ねしておったわけです。今一番国民の皆さん、我々が疑問に思っているのは、余り難しくこの議論をしちゃいかぬと思うのですね。まあ、難しい議論も必要だと思うのだが。
要するに、去年の国連平和協力法案をここで審議しました。私もあのときからこの問題に携わっている。あのときは、PKFには我が国の自衛隊は出せない、これが政府の簡単な、簡単というか明瞭な答えだったのですね、明確な。監視団までは何とか、目的・任務が武力行使を伴う危険がないから出せるかもしらない、しかし、PKFについて自衛隊を出すことは、しかも組織ごとに出すということは、武力行使を目的としないまでもそのおそれがあるからだめなんだということをはっきりおっしゃったのよ、皆さん、総理も法制局長官も。
それが、湾岸戦争があってわずか半年、一年の間にこれだけ変わってきた。なぜこんなに憲法解釈というものが、よしんば政府が言ってきた統一見解とかそういうものとも大きく変わってきたのか。なぜなのか。ここに一つの疑問点があるわけで、この点はどう弁解なさいますか、皆さん。これは海部総理はいろいろ答えておったが、宮澤さんはこの点はどう思っていらっしゃるの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/7
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008・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 昨年の湾岸戦争の段階におきまして多国籍軍が編成をせられました。これは国連の安保理事会の決議に基づき行動いたしましたけれども、しかし、多国籍軍そのものは武力行使を目的としたものでございますので、それに対して我が国の自衛隊がその目的を持って参加することは私はできない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/8
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009・上原康助
○上原委員 去年は、何も多国籍軍に直に出すということではなかったわけですよ。多国籍軍に出すということだったのですか、去年。答えてください。そうじゃないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/9
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010・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 大変明確にお答えを申し上げておると思うのですけれども、つまり、安保理事会の決議案で多国籍軍が行動いたしました、その一つとして我が国が参加を要請されるとすれば、それは武力行使を含むものと考えざるを得ませんので、それは問題である、こういうふうに申し上げておるわけです。極めて明快だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/10
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011・上原康助
○上原委員 私がお尋ねしているのは、PKFに、国連平和維持軍ですよ。あなた維持隊と、これも後で聞きますけれどもね。国連平和維持軍に我が国の自衛隊を派遣をすることは、派兵をすることは、目的や任務が武力行使をするとか武器使用をするとかいうことを直接やるものではないかもしらないが、そういう任務を与えられていないにしても、そのおそれがあるからだめだというのが政府のこれまでの見解なんですよ。それを今日PKFに直に自衛隊を組織ごとに出せるというふうになったというのは、何も多国籍軍に出す、出さない問題とは別なんだよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/11
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012・工藤敦夫
○工藤政府委員 お答えいたします。
昨年の答弁等に関することでございますので、私の方からまずお答えを申し上げておきたいと存じます。
実は昨年もお答え申し上げたところでございますけれども、これのもとになりますのは、昭和五十五年の稲葉議員に対する政府の答弁書、これから始まるわけでございまして、そのときに、今委員御指摘のように、「いわゆる「国連軍」」これは答弁書で指している国連軍でございますが、いわゆる正規の国連軍ではございませんで、従来言われております平和維持隊といったようなものを含むわけでございますが、
それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。これに対し、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴わないものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないわけではないが、現行自衛隊法上は自衛隊にそのような任務を与えていないので、これに参加することは許されないと考えている。
かような前提がまずございまして、そういう意味で、そこのところにつきましては、武力行使を伴うような場合には通常、これに参加した我が国自身、これが武力行使をすることが予定される、あるいは、我が国自身が武力行使をいたしませんでも、その平和維持隊全体として、他国が参加しておりますそこが武力行使をすれば、我が国としても参加を通じてその武力行使と一体化することになる、そういうふうなみずから武力行使を行うと同様の評価を受ける、こういうことで憲法上許されないということを昭和五十五年でまず申し上げたわけでございます。
それで、その五十五年の趣旨とするところと今回とで比較いたしますれば、今回の場合には、まず平和維持隊に参加いたします場合の原則、先日から御議論がございますいわゆる五原則、こういうもので、例えば停戦合意が崩れる、こういったことで、平和維持隊、他国が参加しておりますところが武力行使を開始するような場合には我が国はその平和維持隊から引き揚げる、あるいは武器の使用は我が国部隊の要員の生命等の防護のために必要な最小限度のものに限られる、こういうふうな前提を置きまして、そういう形で加わりますならば、そういう意味の我が国が武力行使をするとは当たらない、あるいは、我が国の行動がそういう他国の平和維持隊、参加しております平和維持隊の武力行使と一体化することもない、こういうことで、我が国の憲法で言われております武力の行使をしない、こういうことに決して違反するものではないということでございますし、そういう趣旨を従来から申し上げてきております。そういう前提を設けていろいろやります場合にはこれは憲法違反には当たらない、かように申し上げている趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/12
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013・上原康助
○上原委員 それはもう何回も聞かされてきました。だが、そこには非常に矛盾があるのですよね、法制局長官。
そうしますと、私が尋ねようとしていることに触れたわけですが、お答えを前もってしているようなものですが、確かにこの五十五年の憲法解釈というもの、要するに我が党の先輩の稲葉議員に対するお答えが政府の一つの基本になっている、これはよくわかるのですよね。わかります。
だが、去年の十一月の国連平和協力法案の審議のときには、停戦監視団的なものならば、停戦監視団あるいは選挙監視団のようなものはその任務・目的に武力行使を伴わないものが概して多いが、平和維持軍は、紛争が再発した場合の抑圧と、きのうも抑止とおっしゃいましたね、だれか、抑止効果があると。抑圧というようなことまで考えたものであり、軽武装をしたりと、二つの性格は違っている、停戦監視団的なものに対して我が国は参加できる場合が多いし、平和維持軍的なものに対しては参加が困難な場合が多い、国連の慫慂を受けた場合もほぼ同様の考えだ、これが、工藤さん、あなたの答弁なんですよ、昨年、国連平和協力法案のときに。停戦監視団まではできるけれども、平和維持軍、PKFの場合は派遣することが憲法上も難しい、国連がそういう慫慂をしても我が国はそれは難しいという立場をとるということをあなたおっしゃったのよ、去年は。それが七、八月の間に何でこんなに変わったかというところが国民は理解できないのよ。あなたの今の答弁聞いても、何が明快ですか、後ろから雑音があるけれども。何も明快じゃない。
それは、そうしますと、前提をつけたから憲法違反でないということになったわけですか、前提をつけたから。それだけ、前提言わぬでいいですから、僕は前提はわかる、前提をつけたからそうなのかどうか、はっきりさしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/13
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014・工藤敦夫
○工藤政府委員 昨年の秋、たしか渡部一郎議員へのお答えだったと存じますが、私、確かに一般論としてのことを申し上げました。
そういう意味で、先ほども申し上げましたように、前提を設けないでいたしました場合には、武力行使を伴う、状況によっては、平和維持隊自身が武力行使を目的とするというふうなものが多いとは決して思いません、極めて例外的なケースだと存じますが、状況によっては武力の行使に当たるようなことがあるのではないか、そういう意味で申し上げたわけでございます。
今、委員お尋ねのように、今回の場合には五つめ前提条件を設けまして、こういう形で参加する場合には、これは我が国が武力の行使を行うという評価は受けないわけでございます。そういう意味で現在申し上げていることでございまして、何らその間に整合性がとれないとか、そういうふうなことではないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/14
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015・上原康助
○上原委員 まあ、ちょっと我々は整合性とれてないと思いますから、これは議論続けますが、それと、あなたの答弁の中で、我が国は武力行使をしたという評価を受けないということを盛んにおっしゃっている。その我が国が武力行使の評価を受けないという、どういう意味ですか。これ、なぜ評価を受けないという、そういうあれなのか。だれがそういう評価をするの。
それが一つと、一体とならなければ、武力行使と一体のものでなければ違憲でないと言うんだね。武力行使はあり得る場合もあると言っているんだ、あなた。しかし、それが他国と一体となるものでなければやってもいいということを言っている、一体とならなければいいとか評価を受けないとか。そんなごまかしはいけませんよ。ここはディベーティングするところなんだよ。リベートじゃないですよ。討論がない、我が国会は。あなたの、その評価を受けないとか、軍隊組織というものが、急迫不正とか正当防衛であろうが、やはりそこに他国から、いろんな国からPKFが参加しておれば、それは一体となった行動をするのは当たり前なんだ、あなた、国連の文書見たって。それが、一体とならないとか。だれから評価されないの。あなた、そんなインチキの法の番人じゃだめなんだ、それは。私が去年指摘したでしょう。なぜあなたの見解が変わったのかということは、自民党の政治圧力によってあなたはとうとうそういう見識を曲げたんだよ。あれは、私のこの間の会議録全部読んでください。
今の点だけ、答えて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/15
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016・工藤敦夫
○工藤政府委員 ただいまのお尋ねの、まず評価を受ける受けないという問題でございますが、武力の行使という観点につきまして、ただ自分が武力の行使をしてないんだ、してないんだということを主張するだけではなくて、社会通念から見て武力行使をしたという評価を受けない、こういう意味でございます。
それから第二番目に、一体化の議論を今委員御指摘になりましたが、まず第一に、我が国が武力行使をしない、そういうものに当たらないということが大前提でございます。それからもう一つ、これは過去にもお答え申し上げているところでございますが、我が国が仮に自分でそのときに武力行使をしていなくても、それと一緒になっている者がやったときにはそういうふうな評価を受けることがある、いわゆる一体化論というのが以前からございますが、そういう意味で申し上げているわけでございまして、一体化であるかないかということだけでなくて、その前にまず自分が武力行使をしない、こういうこと、その両方がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/16
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017・上原康助
○上原委員 それは一つの考え方というか、答弁のあり方の一つの理屈としてはそれはあり得るでしょうね。これを机上の空論という。あなたがそう言ったって、現地でいろいろやっているさなかにそういうような空論が通りますか、あなた。そのことを私は指摘しているんです。
それで、話を少し進めましょう。まだ僕は納得しているわけじゃないですよ。
それで、あなた方は盛んに、前提条件をつけたから憲法違反に当たらないんだ、こう言っている。これが大変この法案のみそでもあり、逃げ口なんですよね。これは、前提条件というのは日本だけにつけてあるんですか、そういう前提条件は。PKF活動というのは、まず停戦の合意でしょう、相手国や受け入れ国の同意でしょう、簡単に言うと。相手国がPKOを派遣していいと。その前に国連の決議がある、安保理の決議がある、そして事務総長が関係国にそういう要請をする。そこに停戦の合意があって、派遣していいという同意があって、しかも絶対中立なんですよ、国連に派遣されるPKFは。特にPKF。もちろんPKO全体ですよ。選挙監視団にしたって。
ここは非常に不思議で、国民の皆さんもぜひわかってもらいたいんだ。自公民で、まあいろいろあるから余り言うといかぬかもしらぬけれども、本当にPKOの問題とか国連のいろんな文書とかお読みになって、見識ある方々が前提条件つけたから自衛隊を直に出しても違憲でないとか、別組織を国民に公約しておきながらそれをやらないというのは、僕は詭弁だと思うんだよな、どう考えても。前提条件というのは世界各国に通用している常識なんですよ、あなたが言う。社会党の常識が今国際常識なんだ。自民党政府が考えようとする常識は国際的非常識。なぜ前提条件、三つとか四つとか、これはあなた、国際的通念なんだ、概念なんですよ。これが国際通念なのに、これを何とかあなた、三つの条件とか五つの条件つけたから憲法違反でもない、出してもいいですと。みんなで渡れば赤信号でも青ですか。そんなじゃいかぬですよ。これ、説明してみてくださいよ。日本だけについているの、その条件は。これは総理から言ってください。あなた、一つ重大な発言していますよ、この間、我が党の岡田委員の御質問に対して。その後でやりますから。冗談じゃないよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/17
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018・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 先ほど法制局長官が説明をせられました。私はこれは完全に立派な説明であると思います。何か机上の空論だとおっしゃいましたけれども、しかし、こういう問題は具体的なケースを規範としてお答えするしかお答えの仕方がないんでございますから、それを机上の空論とおっしゃったんでは、恐らく答弁をする者の立場はないだろうと思って伺っておりました。
そこで問題は、答弁の精神というものは、つまり、我が国が武力行使をすることはできない、それから一体化論によって武力行使に関与をしているというようなことも避けなければならない、これが答弁の精神でございますね。
それで、この法案が五つの原則を掲げております。その五つの原則の中には、確かに国際的な通念もある。通念であるから掲げてはならぬということはないので、我々は法律をつくりますときにその通念を取り入れることは今の目的からいって大事なことでございます。その二つ、五つの原則の中の最後の二つは、これは通念ではございませんで、我々が我々自身に対する抑制として述べていることであって、その目的は、先ほど長官が申し上げましたように、我が国が武力行使にいやしくも関与したと思われることが社会通念上あってはならない、それを確保するための原則であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/18
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019・上原康助
○上原委員 いいでしょう、はい。原則や、具体的な文献とかそういうコンセプトを重んじてやるのだ、これは立派な言葉。それは了解しましょう。だがあなた方は文献を重んじていないのだよ、後で言いますから。重んじていないのだよ。都合のいいところは国際的なんとかかんとか言って、都合が悪くなれば資料も出さない、みんな逃げるのじゃ、これはアンフェアだよ、本当。
私が言っているのは、武力行使をしに行くんじゃないんだ、本当はPKO、これは当たっている。やっちゃいかぬですよ、これは。これも世界的常識。おそれがあると言っているのだ、私は。それとあなたは、ほかの国が掲げているのも、三つの原則は国際通念だからこれをまた法案に掲げて悪いと、これは悪いとは言ってないんですよ、私は。悪いとは言っていない。ごまかしているから悪いと言っている、ごまかしているから。あなたは口をあけるんだが、どうしたの。ぽかんとせんでいいですよ。
私が言っているのは、それは入れるのは結構かもしらぬ。だが、日本には平和憲法九条があるわけでしょう。他国にない、世界に類例のない平和憲法という一つの大きな制約、網をかぶせてある。その憲法の枠でしかあなた方もやらないと言っている。私たちもやるべきでないと言っている。だが、あなた方は拡大解釈でどんどんエスカレートしてきた。ここに根本的な違いがあるのですよ。ごまかしかあるから、これまで与野党の安全保問題にしても、いろんな政策についても、見解の相違といってみんなすれ違いでやってきたがゆえに、今日いろんな矛盾が出てきている。私はその矛盾を狭めたいと思っている、個人的には。だが、今のような、これまでのような答弁ではそれは狭まらない、皆さんの方がもう少し反省してもらわなければ。
三つの原則は、これは国際通念ではあるけれども、あるとおっしゃったんだから、国際的に認められているわけだから、殊さら我が国に、平和憲法のある我が国にそれを持ち出して、自衛隊を派遣するための便法としてやったところにこの法案の自家撞着、矛盾があり、今いろんな、その点が疑惑として解明されないままに進もうとしているところが問題なんですよ、皆さん。
だから、これはあなたがおっしゃるように、何もあなた、停戦の合意にしても、中立にしても、当たり前のことを書いて、これがあるから武力行使につながらない、自衛隊派遣は合憲だということにはつながらない、これは私が言うことでもあなた、わかるんじゃないの。当たり前じゃないですか。そのことを私は指摘しているんですよ。五つの原則があるから違憲でないということは通らないということ。どうですか、法制局長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/19
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020・工藤敦夫
○工藤政府委員 繰り返しの答弁にあるいはなるのかもしれませんが、私といたしましてといいますか、政府といたしまして、先ほど五つの原則、五つの前提ということを申し上げました。そうしてその中で、まず停戦合意が崩れるといったような場合、これには、我が国の参加しておりますものは平和維持隊からいわば中断をし、あるいは場合によっては派遣を終了するということ、それから、武器の使用は、あくまでも我が国の要員の生命等の防衛のため、必要最小限のものに限られる、こういう前提を置いているわけでございますから、そういう意味で、明らかに我が国が平和憲法の九条、憲法九条で禁じられております武力の行使に当たるようなことに、少なくとも、明らかにならない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/20
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021・上原康助
○上原委員 五つの条件をつけて、必要最小限度の武器使用しかやらない、これはもう何も我が国だけじゃないですね。PKOに派遣されるFの方はみんなそうなんですよ。原則は自己防衛なんです。護身なんです。だが、停戦が崩れた場合、紛争が再発した場合は武力行使ができるんですよ、それは。武器使用をやるんですよ。その場合は、撤収をするとか、どうするかというような問題は、ここで議論するほど、現場というものは、現地というものは簡単にいかない紛争地域なんです。だから自衛隊を派遣するのでしょう、派遣したいのでしょう、皆さん。そこであなた、そういうことだけおっしゃっておっても困るのだ、それは。
そういう前提があるということは、これは国際常識であって、日本だけがその五つの条件をつけたから——撤収も各国やりますよ、総理、これは。これはPKFの基本的原則なんですよ、国連の各文書に書いてある、それは。もう今まで何回も言ったでしょう、文書にそういうことが提起されているということは。そんな都合のいいときだけ皆さん、憲法に違反しないとか、必要最小限度の武器使用とか、護身のための使用だ、正当防衛、急迫不正だと。それはそうでしょう、あとそうしかできないのだ。だが、武器の使用は個々ばらばらでやるんだと。
防衛庁長官も外務大臣も考えてみてくださいよ、あなた。ユニットとして派遣されて、軍隊ですよ、軍隊。警察官だって警職法で本当は個々人しか武器の使用、ピストルとかそういうのはできないけれども、必要に応じてはグループとして撃つのです、指令で、署長とかそういう現場監督の。だから、何か武力行使と言ったらすぐ防衛庁長官が、あれは武器使用ですと謝るとか、苦肉の策だと外務大臣が言うように、これほど気を使うところにこの法案のガラス細工みたいなのがあるのです。あなた、ガラス細工と言っている大先輩がいらっしゃるでしょう。本当にそういうばらばらで武器使用ができると思いますか、統制がとれると思うの。それは後で聞きます。そういう疑問点というのは解明されていないという点。
そこで、もう一つ確かめておきたいのですが、日本が一九五六年に国連加盟をしたときに、留保条項というのがあったはずと思うのですね、国連加盟のときに、いわゆる、日本は国連に加盟をしても軍事的協力、軍事的参加を必要とするような国際連合憲章の義務は負担しないことをはっきり言ったはずなんですね、留保条項として。この取り扱いはどうなったの。これだけは聞いておきましょう、後ほどのために。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/21
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022・柳井俊二
○柳井政府委員 お答え申し上げます。(上原委員「簡単に答えてくださいよ」と呼ぶ)はい、簡単にお答えいたします。
我が国が国連加盟をいたしますときに、ただいま御指摘のような問題が国内で議論されたことは事実でございます。そして、我が国は、昭和二十七年六月十六日付の岡崎外務大臣発リー国連事務総長あての書簡をもちまして国連に対する加盟申請を行いましたけれども、その加盟に当たりまして我が国が何らかの留保を付したということはないというふうに考えております。
このとき、この申請書におきまして、日本国政府が、その有するすべての手段をもって、義務を遵奉するということを約束する旨、記されておるわけでございますが、これは別に留保というものではなくて、むしろ、国連憲章上の義務をできるだけ遵奉するというところに力点があったというふうに考えております。我が国が加盟をいたしましても、そのことによってすぐ兵力を提供するというような義務を負うものではないというふうに考えております。その理由につきましては長くなりますので省略いたしますが、この点につきましては、これまでもいろいろ御議論ございまして、私からも何度か御答弁申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/22
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023・上原康助
○上原委員 それも納得しかねますね。留保しています、留保。ですから、都合の悪いのは、参議院の決議にしても、古いのは全部ほごにしようとしているね、大事な問題は。日本の憲法とのかかわりあるものは、全部薄めてなきもの、ほごにしようとしている。そこに最も根幹的な問題があるということ指摘しておきます。明らかに軍事的関係については、日本は加盟しても憲法があるから協力はしかねるということ、これは時の条約局長が言っているはずなんだ。そういうごまかしがあるということ。それで、先ほどから国際通念とか国際的な文献とか文書というものは尊重したいと、尊重してくださいよ。
もう一つ聞いておきましょう。この昨年の、平成三年だから今年だな、九一年九月十九日に出した官房長官談話、この官房長官談話でいわゆる五原則をつけて、違憲でないという統一見解的文書だと見ているのですが、これも中身をいろいろ読むと余りにも矛盾だらけ。ここでぜひきょうはっきりさせていただきたいことは、皆さんは盛んに平和維持軍のことを平和維持隊というふうに言っている。今総理は、国際通念とか国際的文献とか、そういったものは重んずると言っている。一体どこの国にPKFを平和維持隊と解釈している国がありますか。PKO関係の本を読んでも文献を読んでも、みんなPKFは国連平和維持軍なんですよ。何でこういうものを勝手にあなた方だけで変えるのですか。そこまで権限があるのですか。これは速やかに訂正してください。訂正に応ずるかどうかということが一つ。私たちは、これは、こういうごまかしは納得いかない。
総理大臣が国際的文献を重んじ、国際通念は尊重なさると言うなら、尊重すると言うならば、PKOができて歴史的積み上げのある国際平和維持軍を、自衛隊を軍隊として出す国民の感情というか、そういうものを和らげようという政治的意図があったかもしらないけれども、そこまでは自民党にも政府にも権限はないの。この点は、我々としては承服しがたい。(発言する者あり)ありますよ、それは。どこに平和維持隊と書いてある。国際平和維持軍ですよ。これが国際通念、今総理が言った……(発言する者あり)翻訳は、どうでもいいという翻訳はない。これが一つですね。
そこで、次に移ります。
先国会から問題になってきたことなんですが、要するに、総理、きょうのある新聞の社説、ごらんになってくださいよ。あるいはまた、大きく出ているでしょう。一つは、社説は、PKF派遣の矛盾をもっとただせ、私が今指摘したようなことを言っている。憲法とのあれが不明確だ、政府は逃げるなと書いてある。
もう一つは、これはまず事務局に答えて、事務局というのは失礼か、政府委員にお答えいただきたいのですが、まず日本政府はこのPKO法秦を策定をするときに、どういう国連の文書を参考になさったのか、どういうのを手持ちに持っていらっしゃるのか、その公称を明らかにしていただきたい。簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/23
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024・丹波實
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
このPKO法案作成に至る過程で私たちが参考にいたしましたものはたくさんございます。まず一つは、このPKO設立……(上原委員「重要なのを三つか五つでいい、たくさん要らない」と呼ぶ)はい、わかりました。
一つは、このPKO設立に関する安保理、総会、そういったものの決議関係、それに付随する例えば、例えばと申しますか事務総長報告、そういったたぐいのもの、それが一つ。それからもう一つは、外務省あるいは内閣官房が国連に行っていろいろ話を聞く、あるいはカナダに行って話を聞く、北欧諸国に行って話を聞く、そういったぐいのもの、それが二つ。三つ目は、先生も引用になられたアークハートの、あのときにはまだ本は出ていませんでしたけれども、それから例えば「ブルーヘルメット」でございますね、そういった刊行物。大きく分ければこの三つになろうかと思います。とっさの御質問でございますので落ちたものがあるかもしれませんけれども、大きく分ければこの三つではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/24
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025・上原康助
○上原委員 あなた、一体どこまで心臓が強いのか知らぬが、ごまかしのあれなのか知りませんが、人をなめるのもほどほどにしてくれよ、丹波さん。訓練マニュアルとか問題になっているガイダンスはどうなの。一番問題になっているのはそこじゃないですか。何でそこまでごまかす。だめだ、それは。質問にならぬ、これは。だめだ、そんなのは。委員長、これだけ問題になってきたんだよ、あなた。訓練マニュアルを出せ、ガイダンスを出せと言っているのに、こんなことをごまかして、それは参考にしてないの。だめだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/25
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026・丹波實
○丹波政府委員 私が今申し上げました三つのうち、国連がPKOを設立するときの総会または安保理決議、それからそれに付随するSG報告、それに関連する書類ということで、第一のカテゴリーの中に入れたつもりでございます。言葉が足りなければ申しわけありませんけれども、そういう中に入れたつもりでございます。大きく分けて三つと申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/26
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027・上原康助
○上原委員 だめだ、それは。だめだ。委員長、本当なら、ここで質問はもう続けられませんね、これだけばかにされたんじゃ。冗談じゃないですよ、あなた。第一のカテゴリーというのはたくさんあるというのだ。たくさんあるといって、時間もあるから、ぐじゃぐじゃぐじゃぐじゃ、あれだこうだと言われたから私は困るといって三つ挙げろと言った。何も、私だって素人でもないのだ。少しは勉強して質問もしている。事もあろうに、あなたは今何と言った。安保理決議、事務総長報告、北欧三カ国とかそういうところで外務省が調べてきたもの、アークハートさんの本とか「ブルーヘルメット」、当たり前のことじゃないか。私は、少しぐらいは良識もあって本委員会での疑惑を解明、疑惑というか疑問点を解明をする……(発言する者あり)リクルートは余り、疑惑と言ったらすぐ敏感に反応しないでいいよ。少なくともきょうはこの問題を私が詰めるということは知っているはずなんだよな。それをわかるのに、PKO訓練マニュアルとか、あるいはきのうから問題になっているスタンダード・オペレーション・プロシージャー。いわゆる標準運用手続規定というのか、そういうものについてどうなのかということをこれから質問しようとしたら、全く小学生にでも物を言うみたいな、だから困るんだよ、あなた、役人というのは。訂正して謝れ。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/27
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028・林義郎
○林委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/28
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029・丹波實
○丹波政府委員 大きく分けて三つの種類ということを申し上げて、一番目の方には、総会決議、安保理決議、それから事務総長報告、そういうたぐいの、それに類すると申しますか、それに関連する国連文書という意味で申し上げたつもりでございます。もし言葉が足りなければ申しわけありませんけれども、そういうつもりで申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/29
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030・上原康助
○上原委員 丹波局長もそう悪い人でもなさそうではあるところもあるんで、汗流して答弁しているのはわかりますけれども、そういう答弁手法はもうこれからよした方がいいですよ。これは時間のむだというのよ。
そこで、もう少し続けます。
この間からいろいろ問題になりましたね、私も先ほどから指摘をしておりますように、いわゆるスタンダード・オペレーション・プロシージャー、これは標準運用手続規定と言う方もいるし、標準運用ガイダンスと言う方もいる。これはお持ちなんですね。この法案を策定するに参考——これの正式名称を言ってくれと言っているんだ、私は。
それから、PKO訓練マニュアルというのはあるの、ないの。これはどういう中身なの。政府は持っているの。それをまず答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/30
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031・丹波實
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
標準行動規範と呼ばれておりますSOP、外務省として持っております。それから、いわゆるPKOの訓練マニュアル、これも持っております。(発言する者あり)それを参考にいたしました。もちろん参考にした書類の中の一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/31
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032・上原康助
○上原委員 これはいろいろ訳も類似するのもあるし、言葉というのはやはり国連が使っている、あるいは外務省が正式に使っているものを一応はベースにせぬといかぬかと思って僕は聞いておきたい、確かめたいということで、もう一遍念を押しますが、このスタンダード・オペレーション・プロシージャーというのは、標準行動規範と言うわけですね。標準行動規範ですね。それとPKO訓練マニュアルですね。
そうすると、この二つの重要文書はいつ手に入れて外務省はこの法案策定に参考にしたのか、それを簡単に言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/32
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033・丹波實
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
突然の御質問でございますので、いつ入手したかという時点につきましては調査をして追って御報告いたしますけれども、法案作成の時点では既に入手しておったということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/33
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034・上原康助
○上原委員 両方ともそうですね。
そこで、それを出せないというのは、理由は何ですか。それを我々がもう去年から言っている。今回ももう何回も理事会でもやっている。なぜ出せないのですか、これが国会に。政府は法案をつくるのに参考にしたでしょう。我々に法案を審議しなさいと言っているのでしょう。法案をつくる皆さんは国連からもらって、総理、あなたよく聞いて。外務大臣もね。外務大臣は、外務大臣に御就任なされてから、どうも外務省の閉鎖性はだめだ、おれが副総理でもあるので直してやるとあなた言ったでしょう、この間、就任のときに。ちっとも直らぬですよ、あなたの部下は。少し指図してみたらどうですか。あなたは指図どころじゃない、指揮権もあるんだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/34
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035・丹波實
○丹波政府委員 事実問題でございますので私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、PKOマニュアルにつきましては、ことし四月、九月、二回にわたりまして国会の先生、皆様方からの御要請があったものですから、この二回にわたりまして前外務大臣の名前で波多野大使に訓令を発出して、果たしてこの書類を国会に資料として提出することができるかどうか国連事務当局に聞いてほしいという訓令を発出し、国連代表部の担当書記官が国連の担当官に照会いたしました。それに対して国連の方は、この訓練マニュアルは高度に専門的、技術的な性質の文書であり、本件マニュアルを国会に提出することは差し控えてもらいたいという回答が二度についてございました。
モデルSOPにつきましては、同じような訓令を九月の三十日に発出いたしまして、国連代表部の担当書記官が同じように国連の事務当局に問い合わせた結果、本件文書はPKO訓練マニュアルと同様、専門的、技術的な国連の内部文書である、国連は本件文書を公開することは考えていないので、日本においても本件文書を国会に提出することは差し控えていただきたいという電報が十月の一日に東京に接到しております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/35
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036・上原康助
○上原委員 二回にわたって照会した。これは一応信用というか、やったかもしれませんね。
そこで問題は、国連事務当局のだれに照会をし、だれからどういう回答があったのか、これをはっきりさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/36
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037・丹波實
○丹波政府委員 国連事務当局の回答の内容は、ただいまお読み申し上げたとおりでございます。国連の接触した相手方は、国連事務局特別政治部アーリー中佐、これは事務総長の軍事顧問でございます。このモデルSOPにつきましても、PKO訓練マニュアルにつきましても、接触した相手は同一人物でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/37
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038・上原康助
○上原委員 これは、総理、きのうも私は沖縄の基地問題のときにも申し上げたんですが、何でも、これだけ国会において重要問題になっている、日米間で高度の政治レベルで判断をしなければいかない安保の運用であるとか課題であるとかいうものを、役人に任して、国連の事務局の担当者に文書を書いて送って、ああこれは国会で問題になっている、まあうるさいから出せるか出せませんかぐらいでお茶を濁す筋の問題じゃないの、これは。日本の憲法の根幹とかかわる、しかも、戦後政治の大転換をやるのかどうかということで一大議論を巻き起こされて、国民も重大な関心を持っていることに対して、一中佐ぐらいが、失礼だが、回答したから、これでは納得できない。これは、すべからく外務大臣が国連事務総長に問い合わせをして、本当に出せるのか出せないのかを明確にしてください。そうでなければ、我々はそれを参考にしてしかこの法案審議できません。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/38
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039・林義郎
○林委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/39
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040・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 それは役所でも同じことでして、いろいろな、外務大臣の判をついたのはいっぱいありますが、全部私がついているわけじゃないし、そういうことはいっぱいあるんですよ。したがって、この中佐は個人見解を出しているのでなくて、やはり国連事務総長を代表して、専門家ですから、その方がお答えをしておるので、我々はそれを尊重をしているということなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/40
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041・上原康助
○上原委員 私は、今のせっかくの外務大臣のお答えだが、納得しかねます。しかも昨日来、一昨日、もうずっと、社会党だけでなくして、これは公明党さんだってそのものには疑問を持っていらっしゃる。民社党さんもそう。共産党は余計だ。私は余計に持っている。
で、今から質問しようと思った。例えばきょうの読売さんにも「PKF緊急時の撤収判断 「現地司令官が優先」」とあるんじゃないですか。国連当局は見解を発表したと書いてあるんじゃないですか。さっき言った毎日新聞は、PKF派遣のあれでもっとやれという。朝日も日経も東京も全部そういう調子で書いている。だからこの国連のSOPは、今、丹波局長が言った、あなた方が参考にして法案をつくったものをこの国会に日本文を出して、英文も一緒に。そうでないと、この法案の信憑性は確認できない。それを出すまでは審議はだめ。出しなさいよ、それは。冗談じゃない、それは。私の重要な質問を続けられない、これ以上。——総理から問い合わせてください。——出すか出さぬかだけ言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/41
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042・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 それは外交の信頼性の問題ですから、皆さんから言わせればそれは公然の秘密みたいなものだろうという考えも、それはあるでしょう。いろいろな訳文とかなんか新聞にも載っているし、原文みたいなものをコピーしたような人もいないわけでもないし。しかし、正式に政府としてそれを出さないというお約束があった中でそれを出すということは、今後の外交の信頼性の問題ですから、これはひとつお許しをいただきたい。
問題は、その国連のSOPと日本のやり方が違いがあってそれで出せないのじゃないかとかいろいろなことを言う方がございますが、それは日本がこういうような条件をいろいろつけて法案をつくる。それでこの程度しか御協力はできませんがそれでよろしいか、それで結構ですということで我々は法案をこしらえているわけですから。よその国と違った憲法を持っているので憲法ぎりぎりの御協力しかできない、これは仕方のないことなんであります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/42
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043・上原康助
○上原委員 それはだめだ。憲法の疑念があるから出しなさい。これだけは、私はこれを出さないと続けません。憲法にかかわる重大な問題がこのガイダンス、SOPにあるから、それをただすためにはそれを見なければできない。国連は出さないとは言っていないかもしらない。それを事務局が尋ねたからといって、しかもあなた、総理大臣は国際的文献は守ると言っている。尊重するとおっしゃった。みずから尊重するというものを、PKFを勝手に隊に変えてみたり、都合のいいところは国連中心主義、都合が悪くなれば出せませんと。それじゃ疑問点は明確にできないじゃないですか。だめだ。これ以上だめ。——もう二十年もこんなくだらぬ質問だけさせられて、困る。出してください。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/43
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044・林義郎
○林委員長 御静粛に願います。——午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時二十三分休憩
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午後四時三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/44
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045・林義郎
○林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。東祥三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/45
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046・東祥三
○東(祥)委員 元気いっぱい再び質疑させていただきます。
初めに、国際社会、特にアジア諸国のこのPKO法案に関しての懸念、そしてまたPKO参加国に対しての我が国の配慮、そしてまた時間があれば我が国の国連への対応について質疑させていただきます。
第一番目の点についてでございますが、考えてみますと、戦後、第二次世界大戦後四十六年間日本はずっと平和を保ってきた。冷戦構造が崩壊する以前においても、調べてみますところ約百二十七の紛争、内乱がこの世の中にあった。そしてまた、その犠牲者は、死傷者は二千万人以上に達すると言われております。こういったことから考えますと、まさに後世の歴史家は二十世紀はある意味で戦争の世紀だと名づけるかもわかりません。
他方、議員になる前までずっと難民の救済に携わってまいりましたが、先代のストルテンベルグ高等弁務官は次のように言われておりました。現在難民の数というのは一千七百万人おりますけれども、難民の数は国際社会における政治的安定度を示す極めて重要な指標である、さらにまた、こういった難民のニーズにこたえることができるかどうかは、まさに国際社会の健康度をあらわす重要な指標である、このように言われておりました。一千七百万人以上の難民、これは経済難民を除外した政治難民でありますし、この人々はまさに紛争、内乱の犠牲者であります。
こういった人々と直接私は寝食をともにしておりまして痛感したことは、ある意味で、原因、結果という側面から見ますと、難民が生じてくるのは結果なわけです。その結果に対して対症療法の仕事をずっとしてきました。その間、この根絶、こういった難民の問題を根絶するためにはどうすればいいのか、原因にメスを入れなければならないのではないか。ある意味で、今回のPKO法案、この法案に盛られている活動を通じて、少なくとも直接的な原因にメスを入れることはできないかもわかりませんが、紛争が終わる、そして停戦がもたらされる、再び紛争が暴発、再発できないようにするための重要な活動なのではないのか。それはまさに第二次世界大戦という反省を通じて、改めて日本がこの国際貢献、国際社会の平和維持に対して一歩踏み出していくとうとい活動であり、それはまた日本国憲法の原理原則である平和をもし主導する国であるとするならば、これは断固やっていかなければならない問題なんだろう、このように思えてなりません。
しかしながら、アジア諸国、特にアジア諸国からこの日本のPKO法案に関しての懸念がいろいろと聞かれます。これらの懸念あるいは警戒感を示されている国々というのは一体どういうところがあるのか、まずこの点について御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/46
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047・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 我が国と戦争をした、日本が第二次大戦中侵略をしたと言われているような国々が、しかも、その国の年配者の方々が心配を持っているということは事実でございます。しかしながら、これも日本政府の説明により、また我々も民間のレベルでいろいろお話をして、大体心配は解けている。特に韓国、中国等が慎重に扱ってくださいというようなことを言っておるのは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/47
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048・東祥三
○東(祥)委員 懸念の内容についてもうちょっと踏み込んで答弁していただきたいと思うのですが、そういった懸念を表明されている国々は、国連のPKO自体に対して懸念を表明されているのか、あるいはまた、この国連のPKO活動に日本が参加する上で第二次世界大戦における日本の行動に対してまだ遺恨が解消されていないということで懸念を表明されているのか、その点に関してより具体的に答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/48
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049・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 これは私が外務大臣になる前のことしの三月とか五月ごろの印象から申しますと、国連に協力をしてもらうのは、例えばカンボジアを頭に置いて物を言っているのですが、まさか日本だけで来るんじゃないでしょうね、やはりそういう行動を起こす場合は、国連と一緒とか、それからアメリカと一緒とか、そういうようなことが望ましいというようなことを言った首脳者がいらっしゃいます。
それからもう一つは、日本がそういうような政治的な面で国際貢献をやって、そのために今度は我々の方の援助が少なくなっちゃうんじゃないか、その方の懸念も非常に多かったです。今度は国際協力するんだから、そのかわりお金の方の協力はやめるよとか減らすよとか言われるのは一番困るという印象でありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/49
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050・東祥三
○東(祥)委員 より具体的に、多分、私もいろいろな国々に行っておりまして、政府高官のレベルにおいては、このPKO活動に参加することに関して話をすれば理解してくださる方が大変多いというふうに感じます。しかしながら、過去に日本の第二次世界大戦における行為を通じて一般の国民のレベルまで、まさに骨の髄までしみ込んでしまったそういう遺恨というのは、まだまだ抜き去れていないのではないのか。そういった意味において、一朝一夕にそういう部分を解消させていくことは非常に難しいかもわかりませんけれども、日本政府として今後どのようにそういう部分に対して取り組んでいかれるのか、できれば総理の方から答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/50
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051・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 それはもちろんこのPKO法案の内容等を説明をいたしてありますから、最近に至っては、そういうような心配を口にされる方は、東南アジアの指導者からは聞いておりません。
問題は、これは法案が成立しなければ何にもならぬわけですが、成立した暁においては、さらに出すということになれば当然また事前に申し上げますし、結果を見てもらえば——ちょうどこの間の掃海艇と同じでして、出す前はいろいろな世論もありましたが、出してからは、よくやってくれたと、そういうことかということで、今テレビがありますから、話して聞かせるよりも現物、現場を放映してもらう、それで一層よくわかるということになるんだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/51
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052・東祥三
○東(祥)委員 本日は時間の制限もありますし、また、うちの同僚、先輩議員の方から、第二次世界大戦後における戦後の日本の責任という問題に関して一つ一つ、個々詰めていきたい、このように思っております。
もしこの法案が成立した暁には、基本的にはまだまだ日本の国がアジア諸国で第二次世界大戦において行った行為に関してすべてを払拭しているわけではありませんので、ある意味でこのPKO法案というものが成立した後、基本的に、国際場裏といいますか国連の総会あるいはしかるべきところで、日本がPKOの活動に参加していくその趣旨、そしてまた第二次世界大戦後の反省を踏まえた上で、平和活動というものに対して日本としてもこのような趣旨で参加していくんだということを高らかに政府表明、あるいは政府として表明する必要があるのではないか、このように思うのですが、ぜひやっていただきたいと思うのですが、総理、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/52
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053・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 ただいま外務大臣が言っておられましたように、第二次大戦のときにああいういろいろな苦痛を経験をされた方々でありますので、なかなかその記憶というものは急には去らない。ですから、国連の旗のもとでしょうねというようなことを当然言われるので、それは無理もないことでございますから、我々がそういう国連協力という形で立派な仕事をする。それで一番いいのは、やはり実際の仕事を見てもらって安心をしてもらうのが一番よろしいのでございますから、そういう心構えでいたさなければなりませんし、また、そういう意図は折々に表明をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/53
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054・東祥三
○東(祥)委員 それでは、次の質問に移らさせていただきます。
シンガポールのリー・クアンユー元首相がいろいろな機会に言われていたことでございますが、日本というのは、一つのことをやり出すと、それを徹底的にやりたがる国民性を有している、それが怖いということをいろいろな機会に言われていたわけでございます。この法案を通して、この法案がもし成立した場合、ある意味で日本はPKO活動に専心的に取り組むことによって、私が危惧するのは、今日までPKO活動に八十一カ国に相当する国々が参加してきている。中には小国が大変多い。この小国にとってみれば、失礼な発言であるということを顧みず言わせていただければ、ある意味で、国際社会の平和に真剣に貢献するという、同時に、他方においては、この国連の活動に参加することによって自分たちの持っている隊員のある意味で雇用機会の創出になっているという面も多々あるのではないのか、このように推察いたします。
そういった視点から考えますと、ひょっとして、国連から要請されて日本が出ていくわけでございますが、そういう意味において、小国に対して、日本はこことこことここをやりますよということは言えないわけでございますが、もし本法案が成立した後、国連当局において、今まで小国として一生懸命頑張ってくださっている国々のその役割を日本がとってしまうということのないような配慮をしておかなければならないのではないのか、このように思うのですが、宮澤総理、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/54
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055・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 確かに小さな島の国などで何百人というPKOを出している国もあります。しかし、日本はそれらの職場を奪うほどたくさんの、何万とかいう人を出す考えはもともと持っておりませんし、何が何でも行かせてくれと言っているわけでもありませんし、国連の決議があって要請された場合に限るわけでありますから、それも限られた数百の人数ということになるかは物の大きさによって違いますが、それを超えるような何万なんて数字はもちろんあり得ないことでございますので、そういう心配はないようにしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/55
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056・東祥三
○東(祥)委員 次の問題にいきます。
ともすると、このPKO活動というのが軍事的な側面ばかりが強調されるわけでございますが、その実態面を見ていけばいくほど、極めて平和的、極めてまた人道的な側面が浮かび上がってくる。しかしながら、どうしてもこういう問題を話していくと、何となく日本というのは軍事的な側面にもっともっと貢献していこうとしているのではないのかという、そういう嫌いか多々あります。
国連の強化という、あるいは改革という、その観点からこの問題に関して質問させていただきますと、国連憲章の改正というものは極めて実現する可能性が乏しいということを前提にした上で、ぜひ宮澤総理のお考えを聞きたいのですが、いずれ日本というのは安保理の常任理事国になった方がいいと思われているのか、そうでないのか、この点について、まず御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/56
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057・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 これは大変難しい問題でございますけれども、我々が、例えばこの法案が成立いたしまして、人的貢献もこのようにできるようになる、そういったような、なし得る限りのことができる状況になりましたときに、安保理事会のいわば常任理事国になるということであれば、これは名実ともに備わったことになると思うのでございます。従来から日本は、いろいろな国力から見て常任理事国になってもおかしくないということは、よその国も言っておられる国もあるのでございますけれども、やはり常任理事国としてのみずからも貢献をするという実も伴いますことが大事であると思うものでございますから、そういうこの法案におけるような実も備えまして、そして、その上で常任理事国になっていくということであれば大変に、これが一番望ましい姿ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/57
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058・東祥三
○東(祥)委員 本日は総理大臣の御所見だけ伺っておきますが、私は次のように考えるのでございますが、今現在私たち人類の生命あるいは生活、生存といったものに対して脅威を与えているのは軍事的な脅威だけではない、もっと恐ろしい、ある意味で目に見えない脅威が地球的規模でもって起こってきている。それはまさに環境問題なんだろう、環境の破壊なんだろうというふうに思えてなりません。オゾン層の破壊を取り出すまでもなく、あるいはまた地球温暖化といった、こういった問題を取り出すまでもなく、まさに全人類の生存を脅かしている問題が環境問題として厳然とある。軍事的な衝突、紛争というのは環境の第一の破壊者であることは間違いないわけですが、こういった問題もひっくるめた形で、ある意味で環境問題というものにもっともっと日本というのは貢献していかなければならない。
来年ブラジルにおいて今世紀多分最後だろうと言われる地球サミット、環境サミットがありますけれども、こういった視点から国連の改革あるいはまた国連の改正ということを考えていった場合、安保理のメンバーになるということも一つの手かもわかりません。しかし、安全保障理事会というものをある意味で分割して、一つは平和担当、軍事的な側面、もう一つは環境担当という形で安保理を二分割するというような一つの構想も考えられるのではないのか。これは多くの識者も指摘しているところでございますが、この点に関しても自分自身のささやかな経験を通して共感を覚えざるを得ません。この点に関して宮澤総理の御発言を承って、質疑を終わらさせていただきます。
環境庁長官、申しわけありません、時間がなくなってしまいましたので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/58
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059・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 東委員の御自身の貴重な体験に基づく御発言でございますので傾聴をさせていただきました。
東西冷戦というのが本当に終わり、そうしてこれから平和の流れが高くなっていくといたしますれば、安保理事会というものの関心も実はだんだんにその主たる目標が変わっていくはずであるし、国連そのものも今言われましたような地球上の、地球的な規模の問題の解決に多くのエネルギーを割くことができることになると思うのでございます。来年のUNCEDでございますか、これがもう当面の、今我々の一番大きなこの問題についての仕事であり目標であるわけでございますが、我が国がこれについて主導的な役割を果たすことによって国連の地球規模的な仕事に名実ともに協力をいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/59
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060・東祥三
○東(祥)委員 質疑を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/60
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061・林義郎
○林委員長 次に、柳田稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/61
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062・柳田稔
○柳田委員 質問に入ります前に、同じ選挙区の者といたしまして宮澤総理に一言申し上げたいと思うのですが、広島県、私も広島市に住んでおるのですけれども、総理になられたということ、大変光栄だというふうに存じております。ただ、国内外大変な時期に来たと、そういうことでありますので、今後も宮澤総理・総裁、高い見識を持ちまして、間違いのないように日本を引っ張っていただきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
では、質問をさせていただきます。
冷戦後の世界が既に動き始めました。ソビエト共産党は解党し、連邦と称しつつもその実は強固な中央集権国家であったソ連は、各民族共和国の主権を大幅に認め、加盟形態は自由とする主権国家の連合の構想を推進するなど、民主国家としての蘇生の努力を開始しております。
アメリカはベーカー国務長官を八回にわたり中東に歴訪させ、四十三年間に及ぶアラブ・イスラエル紛争に終止符を打つべく、全当事者が初めて同じテーブルに着いての中東和平会議を開催することに成功いたしました。
また、インドシナではカンボジア和平協定が調印され、十三年の紛争に幕がおろされました。さらには、一九七二年二月の中越紛争以来悪化していたベトナムと中国の関係を完全に正常化するという宣言が、この十一月五日に両国の間で行われております。
そして国連においては、新たな世界秩序構築の中心を国連が担うべく、各国の共同の努力が期待されております。世界第二の経済大国として、またアジア唯一のサミット参加国として、国際社会における日本への期待は大きく高まりつつあります。さきの国連総会で、我が国は百五十八カ国という圧倒的支持票を得て安全保障理事会の七度目の非常任理事国となることが承認されたのは、そのあかしではないかというふうに考えます。
所信の中で何百年に一度の歴史的な転換期と総理みずから語った国際情勢の中で、宮澤新政権がどのような外交を推進していこうとするのか、世界は注目しているのであろうというふうに思います。とりわけ、国連が中心となった世界の平和秩序の構築という重要な課題に我が国がいかに取り組んでいくのか、その考え方を明確にすることが必要であろうというふうに思います。
世界の中での我が国の役割と責任を考えた場合、国連の中でも積極的な役割を担い、リーダーシップをとっていくことが求められていると思います。総理はこの国会で、ここへ来て国連は大きな責任を担うように至った、世界のすべての国の利益を公平に代表できるまで成長することが国連中心主義の一番大事な課題だというふうに述べられております。
きょうは、その中でも世界の平和秩序の構築という重要な課題について、総理は国連が何をすべきというふうに考えていらっしゃるか、国連というのは事務局があるだけで、実際の国連の動きというのは、そこに入っております常任理事国、非常任理事国、加盟国、ここが決めるわけでありますけれども、そういうふうに考えますと、日本が世界に対してどういうふうに訴えて国連を機能させていくのか、そのために日本はどういう責任を、また行動をすべきなのか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/62
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063・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 いわゆる冷戦後の事態になりまして、国連において米ソの協力が可能になり、国連の役割がそれだけ大きくなってまいったわけでございますが、たまたまその間に湾岸戦争が起こりました結果、この大きな戦争の処理について国連の安保理事会が非常によく機能をし、また処理の前面に登場してきたということは、極めて注目すべきことでございました。また、その処理に国連が当たりましたがために、我が国としては、この湾岸危機に際しまして積極的に協力をする体制をとることが容易になった。逆の言葉で申しますならば、もしこの湾岸戦争というものの処理が、例えば米国という一国が非常に表に立ちましたとしましたときには、これに対する我が国の協力体制について国内にいろいろ難しい議論がもっと出たであろうというふうに想像いたしますけれども、国連が安保理事会の決議を積み重ねて処理をいたしましたために、我が国としても財政的にも貢献することができ、また、今後国連の活動に対して人的な貢献もしなければならないという、そういう議論が我が国で有力になった。これは、国連が事態の処理に当たったということに非常に関係があるように私は存じます。
ところで、その国連はまた、やがてカンボジアでもし和平の状況が整いますればさらに大きな仕事をすることになるわけでございますが、国連としますと、戦後、創立以来非常に長いこと、言ってみればこれほど大きな仕事をしたことはなかった、またこれほどに機能したことはなかったものでございますから、十分に国連自身がこれだけの大きな仕事にたえ得るものに成長しているかどうかということについては、これは加盟国がみんなおのおの心配をし、努力をしなきゃならないことであろうと思うのでございます。
柳田委員の言われますことはまさにそういうことを言われておると思うのでありますが、我が国がこれから国連に対してなすべきことは、第一には、国連がこれだけ大きな責任を負うについては、やはり加盟国全部の公平な利益の代表者である、そういう存在として信頼を得なければならないと存じます。湾岸戦争は、幸いにしてサダム・フセインのやりましたことがいかにも乱暴でございましたので、是非曲直は比較的簡単明白であったと思いますけれども、今後、すべてあのように事態が簡明に起こるとは限りません。したがって、それだけ今後国連の処し方が難しくなる可能性がございます。そのゆえに、国連がみんなのために公平に動いているという信頼感をみんなでつくっていくことが大切である。また、恐らくは、そのためには、例えば安保理事会の問題でありますとか、拒否権の問題でありますとか、あるいは財政的基盤の問題でございますとか、いろいろあろうと存じますが、いずれにいたしましても、この冷戦後の時代において、我々が憲法で期待いたしましたような国連、それが現実のものに近づきつつあるという、そういう意識を持って私どもとしては努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/63
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064・柳田稔
○柳田委員 仰せのとおりだろうと思います。いろいろと冷戦後地上でも紛争が起きている。その大きな原因として、貧富がまず挙げられるであろう。まあ南北問題ということにもかかわるかもわかりませんけれども、その地域における貧富の問題、さらには宗教の問題、そして民俗の問題、この辺も原因となって地域紛争が起きているような気がいたします。紛争が起きないということが一番ベストであります。その辺にも国連として手を入れていくべきことがあるんではないかなという感じがいたしております。
次に、国会承認でありますけれども、我が党は、国会承認ということで終始一貫やっております。その国会承認について数点質問をさせていただきたいと思います。
冷戦後の新しい世界秩序をつくっていく上で諸外国が我が国に期待しているのは、国際社会で具体的に我が国がどのように振る舞うかであり、金も出すが汗も流してくれる日本の姿であろうというふうに思います。民社党は、国際社会に人の面でも積極的に貢献すべきであるとかねて強く主張してまいりました。その意味では、今国会中に本法案を成立させたいというふうには考えております。しかし、軽武装とはいえ武器を携帯した自衛隊を部隊として海外に派遣するに当たっては、内外の世論の理解を得る上でも、これを国会承認事項とすることが絶対に必要であろうというふうに考えます。
国内的には、人的な貢献はすべしだという声は非常に高まってまいりましたけれども、自衛隊を派遣するということに対する不安はまだまだあるというふうに感じております。この不安を、どうにかして国際貢献、PKOに理解をしていただいて国民がもっとすべきだというふうにするには、まだまだ少し時間がかかるような気がするわけであります。自衛隊を派遣するというのは大きな問題でありますので、この国民の気持ちをPKOの行動に反映させるためには、一つの大きな手段として国会承認が要るんではないか。皆さんに信を問うというなら、国民に、国民投票をすべきかというふうな気はするんですけれども、そこはできないわけでありますので、国会の場で承認をする必要があるんではないかと思います。かつて災害救助のために、我々民社党としては、自衛隊を派遣するべきだというふうに主張したことがあります。そのときには、かす耳がなかったと言うと言い過ぎかもわかりませんけれども、この主張には耳を傾けようとしなかった。そして、今回自衛隊を派遣するに際しては、これは政府が国連と決めたことである、国会は黙って報告を聞いて認めなさい、こういうことでは重大な責任の回避になるんではないかなというふうな気がいたしております。
総理としても国会承認の必要性というのは認識をされているというふうに期待をするわけでありますが、シビリアンコントロールの根本である国会承認を政府案に付加すべきだというふうに思うんですけれども、総理の率直なお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/64
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065・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 申しおくれましたが、先ほど冒頭に、同郷の同僚のお立場から御激励を賜りました。ありがとうございました。申しおくれました。
ただいまの点でございますが、柳田委員が基本的にこのような国際貢献には御賛成である、また、いち早くこういう問題を民社党がお取り上げになられましたことも、私どもよく実は存じております。
この法案を起案するにつきまして、ただいまのようないわゆる文民統制のことも十分あれこれに、御批判にかんがみて苦労、努力をいたしたわけでございますが、それがこの中にありますいわゆる五原則につきましての法文化でございますし、また、実施計画を策定いたしましたときには国会に御報告をしてその御批判を受ける、場合によりましてそれがそれから後の変更にもつながるというような仕組みをいたしました。これは、文民統制が大事である。
それから、今も言われましたように、国民として何か人的貢献は大事だと思っておられても、自衛隊が外に出るということは初めての事態であるから、やはりそれには何がしかの疑問もあり心配もある、それについてはという、おっしゃいますお立場もよく理解のできることでございます。そういうようなことにつきましても文民統制を十分法案に取り込んだつもりでございますけれども、他方でこれを受け入れる国連の側から申しますと、恐らく平和維持活動を各国に依頼をいたしますときに、全体におけるおのおのの国の、何と申しますか、持ち分と申しますか連携というものが当然ございますが、そういう際にかなり機動的に我が国からの態度表明を必要とするでございましょうし、また、その取り決めに当たって、条件つきでの取り決めというものは恐らく国連の立場からいえば非常に処理しにくいものであろう、このようなことを考えまして、こういう法案にいたしたわけでございます。
この点については、いろいろ御議論がおありになろうということはよく理解のできるところでございますけれども、どうぞその点御理解をお願いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/65
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066・柳田稔
○柳田委員 ただいま機動的にというお答えと、条件つきというお話がありました。
国連からこのPKOに参加をしてほしいという要請があってから実際に出るまでの期間というのは、それなりの期間があるというふうに思います。その一番大きな理由は、その行く土地土地の土壌なり風土なり、行く人たちが勉強しなければならない。それも一日や二日で勉強できることではないというふうに、以前PKOの調査に行かせていただいたんですけれども、その際に各国の方は言っておられました、最低でも一週間以上はかかるだろうと。特に中心になるのは言語だというふうに思うんですが、ヨーロッパの方々は英語とフランス語をしゃべれるのが普通なんです。日本人は、そう言うと怒られるかもしれませんが、国民としては日本語しかまあ大体しゃべれない。そうしますと、語学の訓練をするということになればそれ相当の期間がかかるということでありますし、それをしなければ、行ったはいいけれどもそれで十分な国際貢献ができたとは言いがたい。何のために行くかというのは、十分なPKOの活動をしていただきたいがために行っていただくわけですから、行くまでの期間というのは十分な訓練をしなければならないと思うのです。そうしますと、それなりの期間がある、要請から出動まで。そうしますと、機動的にとおっしゃられても、それなりの時間があるので、国会承認をする時間はあるのではないかなと思います。
それから、条件つきということでありましたけれども、後で触れるつもりですけれども、今回の日本の五原則、これと、今国連の内部資料ということでもめておりますが、それすらも比較すれば条件つきであります。このことはできないということになっているわけであります。これすらも条件つきであります。と考えるのです。ですから、今おっしゃったように、機動的というのと条件つきというのは十分納得できないなという気がするわけなんですが、あと二つぐらい、実際に派遣をすると仮定をした具体例について質問させていただきたいと思うのですけれども、まず、ユーゴヘのPKOの派遣の問題であります。
先日、我が党の和田議員がこの質問をさせていただいたのですけれども、その時点ではだめだということだと思います。ただし、だめだというのは今、今回の法案の五原則が条件が整ってないということでありますので、それは理解ができるわけです。もしこの五原則、もっと言いますと最初の三原則ですね、これができれば行けるのだろうか。ところが、ユーゴの方の話を聞いていますと、PKO要請に対して、この要請が実現しなければ戦争状態を宣言し総動員令を発せざるを得ない、こういうことを言って、いわばどこにおどしをかけているのかわかりませんが、そういうふうなおどし文句まで言っているような状況もあるわけであります。三原則が守られればできるのだったらば、このユーゴのPKOにも日本としては派遣ができるのだろうか、法的にはできるというふうに思うのですけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/66
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067・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 ユーゴの情勢に関しましては、経済制裁及びPKOの派遣の可能性も含めまして、目下国連安保理で非公式協議が行われているというふうに承知をいたしております。したがいまして、ユーゴヘのPKOの派遣に関しましては、国連関係者は紛争当事者による停戦の合意、それからPKOの安全性確保等の原則が確保される必要があるという立場に立っておりまして、これらの点で問題がないということが確認されるということがまず大前提になる。したがいまして、今、日本についてはユーゴの問題は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/67
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068・柳田稔
○柳田委員 要するに、停戦に合意した、そして当事国が日本の受け入れを承諾した、同意したという条件ができれば、この法律案ではユーゴのPKOには参加できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/68
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069・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 要請があって、しかもこの法案に合致するような状況になるという場合は、それは当然に検討されることになりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/69
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070・柳田稔
○柳田委員 三原則ができれば検討される。しかし、その三原則以外にもこういう、今言いましたように、状況は大分違いますよということを御理解を賜りたいと思うのです。
次に、もう一つ今度はイラク、クウェートのUNIKOMについて質問させていただきたいのですけれども、これは、紛争当事者イラク、クウェートは停戦に合意したわけでありますね。そしてこれに、もしかですよ、これからは追加ですけれども、日本の受け入れを認めます、国連からの要請が来ました、そういう場合は、日本はこのUNIKOMに参加できるのであろうか。しかし一方、国連の方が公開の席上で説明していることを聞きますと、イラクが同意を取り消しても安保理が必要と認める限りUNIKOMはイラク、クウェート間に存続すると言っている。非常任理事国になった日本であります。こういう状況が先に見えるわけです——見えるかどうかはわかりません、こういうことがあると言われております。それでも最初の二つの条件が成り立てば、国連から要請があれば、国会承認もなくぴしっと行けるということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/70
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071・丹波實
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
先生御自身今おっしゃいましたとおり、このUNIKOMの成立に当たりましては停戦の合意がございましたし、それからことしの四月九日の事務総長の安保理に対する報告では、四月八日にイラクが、UNIKOMがイラク、クウェート間に設置されることにイラクとして同意したということを言っております。したがいまして、先生仮定の問題をおっしゃっておられるわけですが、もし、この法律がもう既にそのときにさかのぼってできていて、日本に国連の要請があり、いろいろな状況から日本政府として判断して入るということに対し、国連を通じイラクもそれに同意するということでありましたならば、法律的には入り得る状況、参加し得る状況であったと思います。
しかしながら同時に、先生御自身今おっしゃいましたとおり、国連の担当者は、UNIKOMは、これは監視団ですけれども、伝統的なPKOとちょっと違うところがある、その違うところというのは、御承知のような経緯でできた監視団であるものですから、将来イラクがこの監視団の活動に対する同意を取り消すことがあっても、安保理としてはこの監視団は続けていけるという考え方をとっておる、こういうことを言っておるわけです。したがいまして、全部今仮定、仮定で来て、もし日本がそこに参加しておって、イラクがその同意を取り消したということでありますならば、少なくとも日本としては、この法律を考えた場合、やはりそれは参加をし続けることはできない状況ができたと判断する事態が出てきたということではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/71
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072・柳田稔
○柳田委員 先ほども申しましたように、七度目の非常任理事国になった日本としてもそうせざるを得ないということでありますね。
今二つ例を述べたのですけれども、このPKOの活動というものは相当幅が広いと思うのです、文民だけ参加すればいいものからPKFまで参加すべきと。しかし、その国の状況というのは一つの規定ではかれるようなものではない。大変幅が広い物の考え方をしなければ対応ができないのではないかというふうに思うのであります。その意味からしても、個々のPKOの活動への参加に対しては国会のチェックが、このPKOについては行くべきだ、このPKOについてはやめるべきだという判断をする必要があるのではないか。PKOは国連憲章に明確な規定があるわけではなく、そのときどきの国際情勢から生じた平和維持の必要に応じて発展してきたものであって、活動の態様もいろいろであります。また、国連の役割の重要性が増しPKOの活動が多様化しつつある今、過去の実績のみによってPKOのあり方を簡単に判断してはならないと思うわけであります。
PKOへの参加は、たとえ五原則があってもシビリアンコントロールが十分に機能されるとは限らない。無条件に行われるべきではなく、国連から受けた要請を吟味し、国連に与えられた任務が正当でありかつ実現可能なものであるか、さらには、先ほど申しましたように国民の合意、自衛隊を派遣するということに対する合意が得られるのか、財政的に派遣が可能なのか、PKOの作戦のケース・バイ・ケースによって国会が判断をすべきではないか。そのためにも、ぜひとも国会承認をすべきだというふうに思うのでありますけれども、再度お尋ねいたしますけれども、総理、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/72
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073・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 御指摘の趣旨はよくわかっておりまして、例えばユーゴの場合、あるいはUNIKOMの場合、恐らく私ども、仮に国連からの要請がございましても、我々が平和維持活動に簡単に参加できる条件があるとはなかなか思えませんので、したがいまして、そういうような配慮を、慎重な判断を政府は常にせよとおっしゃいますことはよく注意をして承りましたし、また、政府がこれは参加してもよかろうと考えましたときにも、実施計画を国会に御報告をし御検討をいただくことになっておりますので、そういう形で国会の御意見も承ることができると考えております。御指摘の趣旨は、しかし十分行政の上で配慮をしてまいらなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/73
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074・柳田稔
○柳田委員 国会報告で足りるというふうにお考えのようであります。
政府が閣議で決定して国会に報告されるわけであります。PKOについて国連から要請が来たときに、政府が実施計画をつくって国会に報告されるということでありますが、政治状況がどうなるか、将来は見通せないわけであります。その際に、もしかして国会がこの実施計画はだめだ、過半数の皆さんがこの実施計画はだめだと言った場合には、この実施計画はどのようになるのでありましょうか。さらに言いますと、国会の意思はどのように反映されるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/74
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075・工藤敦夫
○工藤政府委員 お答えいたします。
ただいまのお尋ね、法律的に申し上げますと、確かに閣議におきまして実施計画を決め、そのときには七条の規定に従いまして御報告申し上げるわけでございます。ただ、今の委員の前提でございますようなことでございますと、国会に報告し、いろいろ御議論いただいたときにその結論があるということであれば、それは当然に政府として尊重すべきもの、かようには存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/75
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076・柳田稔
○柳田委員 一年生なもので少し言葉がわからないのですが、尊重するということは、国会がこの実施計画はだめだと言った場合は、参加をしないという旨を国連に返事をするということと理解してよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/76
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077・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 これは法律問題ではなくて政治問題なんですよ。だから、内閣がそういうふうな状況を見ておって、実施計画をつくるときにとてもそんなもの報告できるようなものじゃない、内閣がつぶれそうになるようなものはそれはやらぬですから御心配ないのです、これは政治判断ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/77
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078・柳田稔
○柳田委員 そういうものはやらないと。我々も、先ほど申しましたように国際貢献はすべきだ、ぜひともやってほしいという立場なんでありますけれども、いろいろなものを見ておりますと、どうしても日本としてはまだ踏み込めないものもあるのではないか。それを政府が踏み込んだ場合、微妙なところがあるかと思うのです。それもしないということで理解してよろしいのでしょうか。そこまで言うと難しくなるかと思うのですけれども、尊重をするということで理解をいたしておきます。
次に、PKOが時と場合によっては中身が変更するというふうに思うのです。例えば、文民だけでよかったものがちょっと状況が変わりましたから停戦監視団、さらには平和維持軍、PKFを出してくれと国連から日本に要請があった場合、この実施計画は変わると思うのですけれども、このような場合には、我々は、民社党としてはPKFに参加する場合には国会承認というふうに強く求めておるのですけれども、こういう場合、つまり文民だったものに対して自衛隊の派遣をせざるを得ないといった場合は、この実施計画は新たな計画として国会に報告されるのか、それとも単なる変更ということの報告に終わるのか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/78
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079・野村一成
○野村政府委員 お答え申し上げます。
ただいま先生の御質問は実施計画の中身についての変更という場合でございますが、私ども、やはり同一の国連平和維持活動に関するものである限り、国際平和協力業務の種類や業務を行う要員の変更というのは、ただいま御指摘のような、例えば自衛隊の部隊等が参加するというふうな場合も含めまして、新たな実施計画の策定ではなく実施計画の変更というふうに受けとめております。
ただ、私申し上げさせていただきたいのは、この法案の中では、この実施計画の策定とそれから実施計画の変更、両方とも同じ重みを持って手続的には構成されている点でございます。と申しますのは、実施計画の変更がございますれば、この法案第六条七項によりまして閣議決定をいたします。同時に、この法案の第七条によりましてその内容を遅滞なく国会に報告いたす、全く実施計画を最初につくるときと同じ手続を踏むというふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/79
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080・柳田稔
○柳田委員 次に、今回のPKOの任務については自衛隊法三条に書き加えるべきだというお尋ねを再度させていただきたいのですけれども、国連の平和維持活動に積極的に貢献していくことは、我が国にとって今後極めて重視していかなければならない国家の基本課題の一つであるというふうな認識は、総理も我々も一緒だというふうに思うのです。だからこそ、国会が国家の意思としてその派遣を明らかにする必要があると考えて国会承認を求めてきたわけでありますが、それと同時に、この任務を考えますと、自衛隊法上も、公共の秩序を維持するための任務に匹敵する任務だというふうに思います。ですから、これに足しまして国連を中心とする世界平和への協力の任務ということを自衛隊法三条に書き加えるべきだ、そして派遣をされる自衛隊員の皆さんが精いっぱいの活動をしていただいて評価を得られるようにすべきではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/80
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081・宮下創平
○宮下国務大臣 お尋ねの点は、自衛隊法三条にこういう重要な業務であるから本来業務として規定すべきではないか、しかもその理由として、公共の秩序の維持に当たるというのに匹敵するのではないかという御質問だったと存じますが、御案内のように三条は、直接侵略及び間接侵略に対しまして我が国を防衛するということが自衛隊の主な任務でございまして、必要に応じて公共の秩序の維持に当たるということを規定をいたしております。他方、私ども自衛隊が、本部長の要請を受けまして防衛庁長官が自衛隊の部隊等にこの国際平和協力業務を行わせるということにつきましては、自衛隊が長年にわたって蓄積をしてきた技能、経験あるいは組織的な機能の活用というものがございまして、これらを活用していく、組織的な機能の活用を図っていくということでございまして、私どもといたしましては、自衛隊法三条の改正は要しないとともに、これは八章に規定されている業務と同様な位置づけを行っております。しかし、このことは百条の七によりまして自衛隊の業務として今回の法改正によってされるわけでございますから、私どもはこの国際的な貢献は重要なものとして受けとめてはおります。
しかし、自衛隊法三条を改正いたしますということは、自衛隊の存立目的それ自体を基本的に変えるというような面もございます。したがって、我が国の自衛隊の位置づけ、すなわち我が国の自衛隊はどういうものであるべきか、あるいはどういう任務を持つべきかという基本的な事柄について、防衛庁はもとより、政府部内、または国民的な世論をもとにこれはよく検討いたして結論を出さなければならない問題でございますから、今回のPKOの重要性、任務の重要性というものは私ども十分承知しておりますけれども、そういう立場から、この三条に直ちに規定することは適当でないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/81
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082・柳田稔
○柳田委員 今存立目的を基本的に変えるとおっしゃいましたけれども、それほど重要な任務だと私は思うんです。民社党の大内委員長が代表質問でも質問いたしましたように、そんな軽い問題ではない。早急に検討して自衛隊法三条に書き加えるべきだというふうに思うんですけれども、再度お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/82
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083・宮下創平
○宮下国務大臣 これは私ども、その国際的な貢献が重要でないとかそういうことを申しておるわけではございません。私どもは、今回のこの法案を通じまして我が自衛隊が与えられた任務を、本当にそれは自衛隊の目的として与えられた重要な任務としてこれを遂行していくことに変わりはございません。
そういう点で何ら変わるところはないわけでございますが、しかし、今申しましたように、自衛隊の存立自体の目的にどうかという発言を私いたしましたのは、これが将来の国際社会の動向としてさらに一層定着し、そしてこの自衛隊の出動それ自体は、国連の議決によりまして我が国がまだフリーハンドを持っているわけでございますね。そういうような状況等々いろいろございまして、これを本来業務にすることはあるいはこれからの国民的な論議の中で十分検討していかなければならないんだ、このように私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/83
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084・柳田稔
○柳田委員 今防衛庁長官が御答弁になりました。総理、どのように感じられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/84
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085・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 この点は本会議でも委員長から御指摘のあったところでございます。今防衛庁長官が申し上げましたところが私は大体事の本体であると思うんでございますが、つまり、このような新しい任務を自衛隊が負うことになるわけでございますが、それが今後どのような発展をしていくか、また、どのような国民的認識を受けるかといったようなことはこれからのことでございます。
場合によりますと、柳田委員の言われますように、先々これは自衛隊の、本来のいわば三条の方の任務にした方がいいという、そういう国民的な見方が高まっていくことがあるかもしれません。これはしかし将来に属することでございますので、ただいまこういう、いわば初めてこういう任務を創設いたしますときにそこまで考えるほどの、まあ何と申しますか、国民的な受け入れ方があるかどうか、それをやはり慎重にもう少し考えた方がいいということからただいまのような処理をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/85
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086・柳田稔
○柳田委員 国民の認識が今後どのように変わるか、それがあるからこそ国会承認を求めているわけなんですけれども、その国民の総意は国会がかわってあらわすわけでありますから、国民の認識がどのように変わるか、今後必要になるからこそ行くわけなんですよね。そういうふうに感じております。
次に、指揮と指図ということでいろいろと国会の方も大変なことになっているようでありますけれども、このことについて質問さしていただきたいと思います。
外務省は、八月十四日に河村審議官を国連に派遣してPKO担当のグールディンク事務次長に五原則の考え方について日本側の考え方を説明し、国連としては問題ないと了解が得られたと答弁されておりますが、そのときにこの指揮権の問題についてどのように説明をされたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/86
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087・丹波實
○丹波政府委員 お答え申し上げます。
グールディンクPKO担当の事務次長でございますが、との会談におきまして、我が方から、五つの原則のうちの第四番目の原則との関連で、前提が崩れたときは日本は撤収するという考え方ですということを説明いたしましたのに対しまして、グールディンク次長は異存はないということを述べ、そういうやりとりの文脈の中で当方の方から、普通の状況の場合には、国連のコマンドについては国連がこれまで積み上げてきた慣行に従いますということを述べたのに対しまして、先方は、この点の確認は歓迎するということを述べた、そういうやりとりがございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/87
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088・柳田稔
○柳田委員 先日国連に行かさしていただきまして、お話を聞かしていただきました。そのときの感想を頭に入れながら、私は、国連としては問題ないですよと言った大きな理由は、PKOというのは武力行使はあり得ません、まずこれがあるかと思うんです。そしてもう一つは、日本ができることをしてください、決して無理なことをやってくださいとは言ってませんというこの二つがあったんで、国連としては問題がないですよというふうに答えたんではないかと思うんですが、この感想はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/88
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089・丹波實
○丹波政府委員 基本的に私は先生の感想と同感でございまして、まさにアークハート氏が言っておりますとおり、PKFというのは戦う軍隊じゃない、戦うために行くわけではない。そういう意味では、日本の中で現在非常に武力の行使あるいは武器の使用ということで論議が行われておりますけれども、過去の四十三年間見ますと確かにそういう事態はなかったわけではございませんけれども、しかし大きな流れとしては、やはり平和を見守る活動ということでやってきておるわけで、まさにそういう意味でノーベル平和賞、平和賞をもらったというのもそういうところにあるわけでございますので、私は、総じて先生がおっしゃった二つの感想に同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/89
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090・柳田稔
○柳田委員 つまり、厳密に内容を、指揮権、指揮のこととか指図のことについて十分吟味をされてお答えをしたんではないだろう、もしそこまでしっかりしたものが国連とお話をして合意しましたよということがあるんだったらば、再度御説明願えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/90
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091・丹波實
○丹波政府委員 今のその点につきましては、十分に吟味しないでという点についてはちょっと必ずしもそうではございませんで、この委員会でも議論になっておりますところの派遣取り決めのモデル協定でございますね。これはまさにグールディンク次長が責任者になって、責任者としてつくったモデル協定でございますし、私たちもそれを読んでおりましたし、そういうものが両者の頭の中にあってのやりとりであった、私はそういうふうに理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/91
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092・柳田稔
○柳田委員 もう時間が余りなくなりましたので先を急がさしていただきます。
最近問題になっております国連のPKO標準手続ガイドライン、SOPと言うんでしょうか、この中に、「作戦にかかわる事項は、事務総長の権限にゆだねられる。軍事要員は、現地司令官の指揮下にはいり、出身国の指揮を受けないことが、PKOの基本原則である。これが守られなければ、作戦上あるいは政治的に重大な困難を引き起こしかねない。出身国が権限を行使できるのは「給与」と「規律問題」である。」という規定があるとのことでありますが、これは当然のことだというふうに思うのですけれども、このSOP、ガイドラインにこの規定が入っているんでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/92
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093・丹波實
○丹波政府委員 最近報道されたものの中に、SOPの中に入っているものとして報道されておりますが、御承知のとおり、先ほど申し上げたその派遣取り決めのモデル協定の中にもほとんど同じ表現が入っておるわけでございますから、そういう意味では、何と申しますか当然のことが書かれているのではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/93
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094・柳田稔
○柳田委員 いろいろとこの指揮と指図、議論がございました。ここではっきりさしていただきたいなと思うんですけれども、この国連のPKO標準手続ガイドライン、SOPに書かれていることも含めまして、国連の指揮に日本は従いますというふうに考えていいんでしょうか。この指揮と指図、少しはっきりさしていただければと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/94
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095・渡辺美智雄
○渡辺(美)国務大臣 それは、参加する以上は指図に従うというのが原則だ。これは指揮か指図かという議論をきのう随分やっておったと思いますが、この指図というのは、確かに聞きなれないといえば聞きなれないんですよ。例えばデモの指揮者とか、指図者と言わないからね、あれは。デモの指揮者、あるいは音楽、あれは音楽の指図者とは言わないから、だからといって、それじゃ指揮者といえば、非常に懲戒まで全部持つかどうかということでもない。したがって、法律からいえば、しかし指揮者といえば懲戒まで持つというのが普通の解釈だから、そこは厳格に分けて懲戒までは持たせないのだから、それは指図というような訳にコマンドをしたんですね。そこでごたごたもめたということだと私は思うんですよ。だから、やはりそれはその緩やかな指揮といえば指揮かもしらんし、厳格な指図といえば指図かもしらん。だからまあ政府は指図という言葉をとった。だから指図には従うというのが原則でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/95
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096・柳田稔
○柳田委員 はっきりと頭の中に入らないのですよね。それで、はっきりしたものを何か示していただければありがたいなと思うのですけれども、お示し願えませんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/96
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097・丹波實
○丹波政府委員 昨日——一昨日でございましたか、一応政府としての見解をまとめてお出ししておると思いますけれども、派遣国により提供される要員といいますものは国連平和維持活動に派遣される間も派遣国の公務員としてこの活動を行いますけれども、この間国連のコマンドのもとに置かれるということでございます。ここで申します国連のコマンドといいますのは、国連事務局が国連平和維持活動の慣行及び国連平和維持活動に要員を提供している諸国と国連との間の最近の取り決めを踏まえて一九九一年の五月に作成、公表しました、先ほどから申し上げておりますこのモデル協定案の第七項と第八項にも反映されているところでございますけれども、派遣された要員や部隊の配置等に関する権限でございまして、懲戒処分等の身分に関する権限は引き続き派遣国が有するということになっておるわけでございます。法案の第八条第二項で申します指図といいますのは今申し上げたような意味での国連のコマンドを意味しておるということで、御説明してきているとおりでございます。
日本のこの国内法の用例では、一般に指揮または指揮監督と申しますと、職務上の上司がその下僚たる所属職員に対しまして職務上の命令をすること、または上級官庁が下級官庁に対しましてその所掌事務について指示または命令することを意味しておりまして、その違反行為に対し懲戒権等何らかの強制手段を伴うのが通例でございます。これに対しまして、先ほど御説明申し上げましたような国連のコマンドは、派遣国により提供される要員がその公務員として行う職務に関して国連が行使するという性格の権限でございまして、かつ、懲戒権等の強制手段を伴わない作用でございます。そのような指揮または指揮監督とは性格を異にしていることから、混乱を避けるためにこの法案では、指揮または指揮監督という言葉ではなくて指図という言葉を用いたものでございます。
日本から派遣されました要員は、本部長が作成する実施要領に従いましてこの協力業務を行うこととなるわけですが、実施要領は平和維持隊への参加に当たっての基本方針を盛り込んだ法案の枠内で国連の指図に適合するように作成されることになっていますので、日本から派遣された要員は、そのような実施要領に従いましていわゆる五原則と合致した形で国連のコマンドのもとに置かれる、そういうことでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/97
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098・柳田稔
○柳田委員 我が国は国連の指揮に従うのか、総理、お答えを願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/98
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099・宮澤喜一
○宮澤内閣総理大臣 ただいま政府委員が御説明を申し上げましたけれども、我が国の要員は本部長が、昨日も申し上げましたが、作成する実施要領に従いまして平和協力業務を行うことになるわけでございますけれども、平和維持隊への参加に当たっての基本方針、いわゆる五原則を盛り込んだこの法案でございますが、この法案の枠内で国連の指図と使ってございますが、適合するように実施要領が作成される、こういうことでございますから、要員はそのような実施要領に従い、いわゆる五原則と合致した形で国連の、ここがちょっと英語になって悪いのでございますが、コマンドの下に置かれるようになる、それによって国連に十分の協力を行えるようになる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/99
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100・柳田稔
○柳田委員 指揮権ということがあるわけですけれども、国連の指揮権と部隊の指揮権、二通りあるかと思うんです。部隊の指揮権というのは当然我が国の指揮官にゆだねられる。部隊というのは指揮官がいて初めて動くことができ、武器の使用は部隊の行動とは切っても切れないものだというふうに思うのですけれども、政府はそれをこの指揮権、国連と部隊、二通り切り離そうというふうに考えていらっしゃいますけれども、この辺でちょっとお尋ねしたいのですけれども、個々の隊員が個々の判断で武器を使用することを判断するというふうに政府は答弁されております。しかし、行かれた隊員すべてが武器を所持しているとは限ってはおりません。武器を持っていない隊員さんが生命の危機に瀕したときに、ほかの隊員さんがその人の命を守ろうということで武器の使用ということも考えるわけであります。いろいろな危険なところに自衛隊員さんに行ってもらうわけであります。そして満足のいく立派な国際貢献をしてほしいというふうに考えておるわけでありますが、こういうふうな、何といいますか、いろんなことも考えられるのですけれども、武器の使用についても、本当に行ってやってほしいというのが隊員さんに伝わらないんではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/100
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101・宮下創平
○宮下国務大臣 武器の使用につきましては、もう法案に、二十四条にその使用の場合の限定的な使用について述べられていることは、繰り返しません。しかし、私どもとしては、こういう重大な任務を自衛官に課するわけでございますから、平素の訓練その他によりまして、そういう危害に対してこういう自衛の手段しかないんだ、しかし、その中でいかに安全を保つかという訓練その他教育は、これはきちっとやって自衛官が自信を持って行けるような態勢は私はつくらなければならぬと思います。
しかし、武器は、ここで法定されておるように、二十四条に法定されておりますように、あるいは装備計画で定められている基準に従って、私どもはその範囲内において最善の努力をするように、あるいは派遣する前には立派な訓練をやって行くということがぜひ必要でございますし、自衛官は自信を持って私は参加をしていただきたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/101
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102・柳田稔
○柳田委員 もう一つ、防衛庁長官は国会答弁で、武器の使用についてチェックをするという意味から警務官をつけるという御答弁がありました。まあ、昔で言えば憲兵でありますけれども、今おっしゃいました、大変な訓練をされると。その人たちが行くわけです。それなのに、警務官をつけてチェックをする、これは自衛隊の皆さんを信用してないんじゃないかな。行く人たちにとっては非常に、何といいますか、我々は何のために行くんだろうというふうに思うのではないかと思うのです。危険なところへ行くんですよ、身にもしかしたら何かあるかもしれない、そして、大きな任務を背負って行くんです。ところが、武器のチェックをするために警務官をつけて行きます、平素は一生懸命訓練をさせます、厳しい実施要領も課せますと。何かこの憲兵、警務官をつけるというのは、どうも、自衛隊、行っていただく人たちにとって……。そう思うのですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/102
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103・宮下創平
○宮下国務大臣 私が警務官に言及いたしましたのは、武器のこの法律に定められている使用方法、使用目的を超えていろいろな面があり得るかということに対する自己抑制機能としてそういうこともあり得るだろうということを申し上げたわけでございます。
警務官は昔の憲兵とは違います。これは警職法に基づきまして内部的な秩序を維持するための職務でございまして、決して昔の憲兵を連想させるようなものではございません。したがって、今の自衛隊自体の訓練の中におきましても、これはそういうものとは違いまして、自衛隊法あるいはその法律によって行動される自衛隊員が、万が一それに外れるようなことがあった場合の内部規制措置として私は設けられているものと思います。したがって、派遣される場合に、それは規模、その他態様によりましょう、私は、必ずそういう場合にそういうものを派遣するということを申し上げたわけではございません。そういう必要性があれば、そういうことの派遣の可能性も否定できないだろうという趣旨で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/103
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104・柳田稔
○柳田委員 自衛隊員を信じて行かしていただきたいものだと思います。
もう時間がなくなったのですけれども、六月にPKOの勉強に行かしていただきまして、そのときの感想を最後に申し述べたいと思うのですけれども、PKOというのは、紛争地域に国連というものの存在を確立し、国連が持つ政治的、道義的権威で平和を維持していこうというのがPKOであり、PKFである、それが基本的な性格だ、武力行使を任務にしているものではないというふうに思っております。PKFというのは伝統的な意味での軍隊ではない。任務の性格上軍事的な経験、知識、規律が必要だということだからこそ、各国も自国の軍隊、日本は自衛隊を国連に提供しておる。そういう知識、規律を持つのは我が国では自衛隊しかいない。何も武力行使をしに行くわけではない、平和のために頑張るんだということを勉強したことを最後につけ加えさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/104
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105・林義郎
○林委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事中川昭一君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/105
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106・林義郎
○林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/106
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107・林義郎
○林委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に北川正恭君を指名いたします。
次回は、明二十二日金曜日午前九時三十分理事会、午前十時公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112204306X00619911121/107
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