1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(平成四年一月二十四日)(金曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
委員長 武藤 山治君
理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君
理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君
理事 山本 拓君 理事 竹村 幸雄君
理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君
甘利 明君 新井 将敬君
岩屋 毅君 植竹 繁雄君
浦野 烋興君 尾身 幸次君
奥田 幹生君 梶山 静六君
佐藤 信二君 佐藤 守良君
斉藤斗志二君 田辺 広雄君
谷川 和穗君 中山 太郎君
仲村 正治君 増田 敏男君
武藤 嘉文君 大畠 章宏君
岡田 利春君 加藤 繁秋君
後藤 茂君 鈴木 久君
安田 修三君 安田 範君
吉田 和子君 権藤 恒夫君
二見 伸明君 渡部 一郎君
小沢 和秋君 川端 達夫君
江田 五月君
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平成四年二月二十六日(水曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 武藤 山治君
理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君
理事 自見庄三郎君 理事 額賀福志郎君
理事 山本 拓君 理事 竹村 幸雄君
理事 和田 貞夫君 理事 森本 晃司君
甘利 明君 新井 将敬君
植竹 繁雄君 浦野 烋興君
尾身 幸次君 奥田 幹生君
佐藤 守良君 斉藤斗志二君
田辺 広雄君 中山 太郎君
仲村 正治君 増田 敏男君
簗瀬 進君 大畠 章宏君
岡田 利春君 加藤 繁秋君
後藤 茂君 鈴木 久君
安田 修三君 安田 範君
吉田 和子君 二見 伸明君
渡部 一郎君 小沢 和秋君
川端 達夫君 江田 五月君
出席国務大臣
通商産業大臣 渡部 恒三君
国 務 大 臣
(経済企画庁長 野田 毅君
官)
出席政府委員
公正取引委員会 梅澤 節男君
公正取引委員会
事務局官房審議 植松 勲君
官
公正取引委員会 糸田 省吾君
事務局経済部長
公正取引委員会 矢部丈太郎君
事務局取引部長
公正取引委員会 地頭所五男君
事務局審査部長
公害等調整委員
会委員長職務代 海老原義彦君
理
公害等調整委員 石出 宗秀君
会事務局長
経済企画庁長官 藤井 威君
官房長
経済企画庁長官 三田 義之君
官房会計課長
経済企画庁調整 吉冨 勝君
局長
経済企画庁総合 長瀬 要石君
計画局長
経済企画庁総合 糠谷 真平君
計画局審議官
経済企画庁調査 土志田征一君
局長
通商産業大臣官 内藤 正久君
房長
通商産業大臣官 渡辺 修君
房総務審議官
通商産業大臣官
房商務流通審議 麻生 渡君
官
通商産業大臣官 榎元 宏明君
房審議官
通商産業省通商 岡松壯三郎君
政策局長
通商産業省貿易 高島 章君
局長
通商産業省産業 山本 幸助君
政策局長
通商産業省立地 鈴木 英夫君
公害局長
通商産業省基礎 坂本 吉弘君
産業局長
通商産業省機械 熊野 英昭君
情報産業局長
通商産業省生活 堤 富男君
産業局長
工業技術院長 石原 舜三君
工業技術院総務 横田 捷宏君
部長
資源エネルギー 山本 貞一君
庁長官
資源エネルギー 細川 恒君
庁石油部長
特許庁長官 深沢 亘君
中小企業庁長官 南学 政明君
委員外の出席者
総務庁統計局総 大戸 隆信君
務課長
商工委員会調査 山下 弘文君
室長
―――――――――――――
委員の異動
二月十九日
辞任 補欠選任
新井 将敬君 相沢 英之君
鈴木 久君 戸田 菊雄君
同日
辞任 補欠選任
相沢 英之君 新井 将敬君
戸田 菊雄君 鈴木 久君
同月二十六日
辞任 補欠選任
岩屋 毅君 簗瀬 進君
同日
辞任 補欠選任
簗瀬 進君 岩屋 毅君
―――――――――――――
一月二十四日
廃棄物利用発電の促進に関する法律案(岡田利
春君外五名提出、第百二十二回国会衆法第二号
)
二月十五日
輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する
臨時措置法案(内閣提出第二六号)
同月十七日
伝統的工芸品産業の振興に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出第二九号)
特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法
案(内閣提出第三〇号)
金属鉱業等鉱害対策特別措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第三一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国政調査承認要求に関する件
輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する
臨時措置法案(内閣提出第二六号)
通商産業の基本施策に関する件
経済の計画及び総合調整に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
鉱業と一般公益との調整等に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/0
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001・武藤山治
○武藤委員長 これより会議を開きます。
国政調査承認要求に関する件についてお諮りをいたします。
通商産業の基本施策に関する事項
中小企業に関する事項
資源エネルギーに関する事項
特許及び工業技術に関する事項
経済の計画及び総合調整に関する事項
私的独占の禁止及び公正取引に関する事項
鉱業と一般公益との調整等に関する事項以上の各事項
につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/1
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002・武藤山治
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/2
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003・武藤山治
○武藤委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業と一般公益との調整等に関する件について調査を進めます。
この際、通商産業大臣から、通商産業の基本施策について所信を聴取いたします。渡部通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/3
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004・渡部恒三
○渡部国務大臣 第百二十三回国会における商工委員会の御審議に先立ち、通商産業行政に対する私の所信の一端を申し上げさせていただきます。
世界情勢は、戦後長期間にわたって継続してきた国際的秩序に構造的な変化が生じており、我が国は、今こそその持てる力を発揮し、世界経済の秩序ある発展に主体的な役割を果たさなければなりません。
国内に目を転じますと、最近の我が国経済は減速が続いている一方、経常収支及び貿易収支の黒字幅が再び拡大しており、対外不均衡の是正に配慮しつつ、内需を中心とした景気の持続的拡大を図ることが求められております。
以上の状況を踏まえ、私は、以下の諸点を中心に、通商産業政策の推進に向け、全力を尽くしてまいります。
第一の課題は、新しい国際秩序の形成に向けた国際社会への貢献であります。
ウルグアイ・ラウンドにつきましては、昨年末、五年間に及ぶ交渉の成果である最終文書案が発表されましたが、今後これを基礎として、同ラウンドの成功裏終結に向け、交渉に全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
また、我が国経済力の積極的な活用により世界経済の持続的発展を図る観点から、産業分野における幅広い国際交流の促進策を展開いたします。この一環として、外国製品の市場参入及び対日直接投資を積極的に支援するため、輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法案を今国会に提出いたしました。
二国間関係につきましては、米、EC及びアジアの諸国と世界的な課題に協調して取り組むとともに、発展途上国に対する総合的経済協力を引き続き進めてまいります。アジア太平洋経済協力についても、一層の推進を図ることとしております。
第二に、当面の経済運営であります。現在減速しつつある景気動向を着実な経済発展の軌道に乗せるため、経済の実情をきめ細かく注視しつつ、適切かつ機動的な経済運営に遺漏なきを期してまいりたいと考えております。
また、適切な設備投資の促進のためには、企業の資金調達の円滑化が大きな課題であり、国内普通社債市場の活性化に加え、リース業、クレジット業において行われている新たな資金調達方法についても、所要の法令の整備を行う予定であります。
第三の課題は、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現であり、人間的価値を核とした経済社会の実現に向けて、最大限の政策努力を行います。
国民生活にとってさまざまな弊害を生じている東京一極集中問題については、関係各省庁と共同して、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案を提出する等産業業務施設の全国的視野に立った適正配置を推進することとしております。
さらに、心の豊かさの源泉である伝統を現代社会に継承するため、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の改正案を提出するとともに、伝統的芸能の活用により地域産業の振興を図る等の施策を展開いたします。労働時間短縮の環境整備にも力を入れてまいります。
第四に、環境問題であります。人類共通の課題である地球環境問題については、本年開催される国連環境開発会議の成功に向け、我が国は世界の主導的役割を果たしていかなければなりません。このため、環境、エネルギー。分野における革新的技術の開発及び発展途上国への技術移転を柱とする地球再生計画を一層強力に推進するとともに、オゾン層保護対策の充実を図ってまいります。
休廃止鉱山における鉱害対策につきましては、確実な坑廃水処理を実施するため、金属鉱業等鉱害対策特別措置法の改正案を提出する等所要の施策を推進いたします。
第五に総合的な資源エネルギー政策の推進であります。
先般、私は中東において産油国首脳と会談孝行ってまいりましたが、石油の安定供給確保のため、産油国との協力を進めていくことが極めて重要であると再認識いたしました。今後とも、石油を初めとするエネルギーの安定供給確保、エネルギー分野における国際協力を積極的に推進する所存であります。
また、地球環境保全のためにも、エネルギー需給構造の改革を進める必要があり、供給面において、安全性確保を前提とした原子力の開発利用を推進する等エネルギー源の多様化を推進するとともに、需要面においては、省エネルギー対策の抜本的拡充を図ります。
第六に、活力ある中小企業の育成であります。中小企業は、我が国経済の活力の源泉であり、著しい経済。環境の変化にも対応し得る中小企業の育成を図ることは、極めて重要であります。
かかる観点から、地域において特色のある中小企業集積の活性化の促進を図るため、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法案を今国会に提出いたしました。さらに、総合的物流対策の一環として中小企業流通業務効率化促進法案を提出するとともに、魅力ある商店街づくり等の小売商業対策、中小企業の労働力確保対策、小規模企業対策等も引き続き積極的に推進してまいります。
第その課題は国際社会と調和した長期的経済発展基盤の確保であります。
科学技術面におきましては、国際国家としての責務を果たしていくため、基礎的、先端的研究開発を率先して推進するとともに、情報処理、航空機等の分野における研究開発面での国際交流を図ることとしております。
さらに、近年の計量をめぐる国際的状況等に対応するため、計量制度全般について見直しを行い、計量法の全面改正案を提出するとともに、工業所有権制度につきましても、サービスマーク登録制度の導入等一層の充実を図ってまいります。
以上、今後の通商産業行政の基本的方向についての所信の一端を申し上げました。
私は、国民各位の御理解のもとに、通商産業行政の遂行に全力を挙げて取り組んでまいります。何とぞ委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/4
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005・武藤山治
○武藤委員長 次に、経済企画庁長官から、経済の計画及び総合調整について所信を聴取いたします。野田経済企画庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/5
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006・野田毅
○野田国務大臣 我が国経済の当面する課題と経済運営の基本的考え方につきましては、さきの経済演説において明らかにしたところでありますが、当委員会が開催されるに当たりまして、重ねて所信の一端を申し述べたいと存じます。
世界経済の動向を見ますと、アメリカは、景気が回復過程にある中で、このところやや停滞感があらわれておりますが、今後緩やかに回復すると見られるなど、本年の世界経済は全体として昨年より高い成長が見込まれております。
我が国経済の動向を見ますと、景気の減速感が広まっており、やや過熱ぎみの高い成長から、堅実な消費、健全な企業行動に支えられた、インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程にあります。
以上のような状況を踏まえ、私は、平成四年度の経済運営に当たりましては、特に次の諸点を基本的な柱としてまいりたいと考えております。
第一の柱は、内需を中心とするインフレなき持続可能な成長を図ることであります。
政府としては、このような成長経路への移行を円滑にするためにも、減速により企業家等の心理が大きく冷え込まないよう、景気に十分配慮した施策を行うことが必要であると考えております。
このため、平成四年度予算編成においては、公共投資について、一般歳出における公共事業関係費について五・三%の伸びを確保するなど国・地方を通じ、最大限の努力を払っており、また、金融面では、昨年暮れに第三次の公定歩合の引き下げが行われております。
平成四年度の我が国経済は、個人消費が物価の安定や雇用者所得の堅調な伸びに支えられて着実に増加し、設備投資も合理化・省力化投資、研究開発投資などを中心に総じて底がたく推移し、住宅投資が金利の低下などにより徐々に回復に向かう見込みであることなどから、内需を中心としたインフレなき持続的成長を実現し得るものと考えられます。
政府といたしましては、今後とも、物価と雇用の安定を図ることを基礎とし、主要国との経済政策の協調にも配慮しつつ、適切かつ機動的な経済運営に努めてまいります。この結果、実質経済成長率は三・五%程度になるものと見込まれます。
物価の安定は国民生活安定の基本要件であり、経済運営の基盤となるものであります。平成四年度についても、物価は引き続き安定的に推移し、消費者物価は二・三%程度の上昇になるものと見込まれます。今後とも、原油価格、為替レート、国内需給等の動向を十分注視しつつ、物価の安定に最善の努力を尽くしてまいります。
第二の柱は、経済発展の成果を生活の分野に配分し、豊かさを一層実感できる多様な国民生活の実現を図り、「生活大国」の形成を目指すことであります。
このため、公共投資基本計画等を踏まえた社会資本の整備、土地税制の適正な運用や土地利用計画の整備・充実などの土地対策、完全週休二日制の普及等による労働時間の短縮、内外価格差の是正・縮小、省エネルギー・省資源の一層の推進などを図ってまいります。
消費者行政につきましては、消費者保護会議で決定した施策の積極的かつ総合的な推進を図ってまいります。特に、製造物責任制度については、総合的な検討を行うことが緊急の課題であり、国民生活審議会において引き続き精力的な検討をお願いしているところであります。
第三の柱は、国際協調型経済構造への変革を推進し、保護貿易主義の抑止と自由貿易体制の維持、強化に向け率先して努力するとともに、調和ある対外経済関係の形成と世界経済活性化への積極的貢献を行っていくことであります。
このため、OTO、すなわち市場開放問題苦情処理推進本部の活動を通じて市場アクセスの改善を図るなど、貿易の拡大均衡による国際的に調和のとれた対外均衡を目指すとともに、ウルグアイニラウンド交渉の成功に向けて一層の貢献を行ってまいります。また、政府開発援助の第四次中期目標に基づき、経済協力の拡充と効率的かつ効果的な推進を図ってまいります。
以上、今後の経済運営の課題と方向について申し述べてきましたが、さらに、中長期的な経済運営の基本方針を示すため、政府は、先月、新しい経済計画の策定について経済審議会に諮問を行いました。計画の主要な課題は、第一に、国民一人一人が豊かさとゆとりを実感でき、多様な価値観を実現できる公正な社会としての生活大国の実現を目指すこと、第二に、二十一世紀を展望し、生活大国の基礎となる、活力ある我が国経済社会の発展基盤を整備すること、第三に、地球的規模の課題への取り組みを通じ、地球の平和と繁栄に積極的な役割を果たすこと、の三点であり、経済審議会においてこれらを中心に精力的な御議論を始めていただきました。
今日の世界情勢には予断を許さないものがありますが、私は、経済運営に万全を期し、世界経済の安定的発展に積極的に貢献していくとともに、活力と潤いに満ちた生活大国の形成を目指して最大限の努力を行ってまいります。
本委員会の皆様の御支援と御協力を切にお願い申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/6
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007・武藤山治
○武藤委員長 以上で両大臣の所信表明は終わりました。
なお、この際申し上げます。
平成四年度通商産業省関係予算及び平成四年度経済企画庁関係予算につきましては、お手元に配付してあります関係資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承を願います。
次に、平成三年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。梅澤公正取引委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/7
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008・梅澤節男
○梅澤政府委員 平成三年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。
独占禁止法違反事件の処理につきましては、価格カルテル等二十四件について審決により違反行為の排除措置を命じたほか、三十三件の警告を行いました。また、九件の価格カルテル事件について、総額百二十一億八千六百八十三万円の課徴金の納付を命じました。さらに、価格カルテル事件一件について、刑事罰の適用を求めて検事総長への告発を行いました。
流通・取引慣行の問題につきましては、我が国市場を国際的により開かれたものとし、消費者利益を確保して豊かな国民生活を実現していくとともに、独占禁止法の運用における透明性を確保する観点から、独占禁止法上の考え方を具体的に明らかにしたガイドラインを公表し、あわせて事前相談制度を設置しました。
価格の同調的引き上げに関する報告徴収につきましては、価格引き上げ理由の報告を求め、平成三年中にその概要を年次報告において国会に御報告申し上げましたものは、マヨネーズ・ドレッシング類及び魚肉ハム・ソーセージの二品目であります。
事業活動及び経済実態の調査といたしましては、企業問取引の実態に関する調査等を行いました。
独占禁止法適用除外制度につきましては、政府規制等と競争政策に関する研究会報告書を公表いたしました。政府規制及び独占禁止法適用除外制度については、引き続き、その見直しについて検討を行ってまいります。
下請法に関する業務につきましては、下請取引の適正化及び下請事業者の利益保護を図るため、下請代金の減額等の違反行為を行っていた親事業者一千六百五十七社に対して、減額分の返還等の改善措置を命じました。
また、中小企業の労働時間短縮を阻害する発注方式等の改善が重要な課題となっている中で、短納期発注及び多頻度小口納入に伴う下請法上の問題点を明らかにするため、下請法の運用基準の改正を行いました。
景品表示法に関する業務につきましては、消費者の適正な商品選択が妨げられることのないよう過大な景品類の提供及び不当表示の排除に努め、平成三年中に三件について排除命令を行ったほか、八百七十五件について是正措置を講じました。
以上、簡単ではございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。
今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/8
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009・武藤山治
○武藤委員長 次に、平成三年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。海老原公害等調整委員会委員長職務代理。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/9
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010・海老原義彦
○海老原政府委員 公害等調整委員会が平成三年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について御説明申し上げます。
まず、鉱区禁止地域の指定に関する事務について御説明申し上げます。
鉱業と一般公益または他産業との調整が必要な場合に、当委員会は、主務大臣または都道府県知事の請求に基づき、鉱物を掘採することが一般公益または農業、林業その他の産業と対比して適当でないと認める地域を鉱区禁止地域として指定することとなっております。
平成三年中に当委員会に係属した事件は、埼玉県浦山ダム関係地域、沖縄県底原ダム関係地域等合計十二件であります。これらの事案については、補償交渉及び進捗状況等を考慮して審理手続を進めることといたしております。
次に、鉱業等に係る土地利用の調整に関する行政処分に対する不服の裁定に関する事務について御説明申し上げます。
鉱物の掘採、岩石、砂利の採取の許認可処分についての不服、または森林法、都市計画法等の規定に基づく特定の処分についての不服でその理由が鉱業、採石業または砂利採取業との調整に関するものについては、当委員会に対して裁定の申請をすることができることとなっております。
平成三年中に当委員会に係属した事件は、北海道知事がした北海道砂利採取計画不認可処分取り消し裁定事件など合計十件であり、これらのうち、平成三年中に終結したものは六件であります。
現在係属中の事件につきましては、鋭意手続を進めているところであります。
続きまして、土地収用法に基づく意見の申し出等に関する事務について御説明申し上げます。
当委員会は、土地収用法、森林法、鉱業法等に基づき主務大臣が採決等を行う場合には、意見の申し出、承認等を行うこととなっております。
平成三年中に当委員会に係属した事案は、東京都収用委員会がした建設大臣起業一般国道六号改築工事に対する権利取得裁決及び明け渡し裁決に係る審査請求等合計四件であり、いずれも土地収用法に基づく意見の申し出であります。これらの事案につきましては、すべて処理されております。
以上が平成三年中に公害等調整委員会が行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要であります。
今後ともこれら公害等調整委員会の所管に属する土地利用の調整に関する事務の処理に当たっては、慎重に審理を進めてまいる所存でありますので、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/10
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011・武藤山治
○武藤委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/11
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012・武藤山治
○武藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井出正一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/12
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013・井出正一
○井出委員 自民党の井出正一でございます。
両大臣それから政府委員の皆さん、御苦労さまでございます。今国会、本委員会の一番バッターとして質問をさせていただきます。
まず、質問に入ります前に、きょうは二月二十六日でございます。大変天気がよく、雪は降っておりませんが、五十六年前の二月二十六日は二・二六事件が起きた日であります。その四年ほど前には五・一五事件が起きております。背後に政治への不信があったと言われておることは御存じのとおりであります。
さて、今日の我が国の現況でございますが、ソ連邦の消滅というような世界史的な変化があり、新しい国際秩序が模索されておる中、しかも日本の経済、また世界の経済も大変微妙といいますか深刻な過程にある中、残念ながら相も変わらずスキャンダルの発生、今年度の予算審議も大幅におくれておるわけでございまして、国民の政治に対する不信はその極に達しておるとも言えるのではないかなと思うのであります。今現在既に大変な実力者でいらっしゃいますが、近い将来日本を背負うであろうと言われていらっしゃる渡部通産大臣と野直経企庁長官に、この現状に対する御認識と政治の信頼を回復するための御決意をお聞きしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/13
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014・渡部恒三
○渡部国務大臣 井出先生、日本の将来を大変御心配をいただき、お互い、この国の現在、さらに未来を国民の皆さんに対して責任を持っていかなければならない者として、現在起こっておるいろいろの問題、厳しく反省をしなければなりません。国民の皆さん方にも大変申しわけないと私は常日ごろ考えておるのでありますけれども、政治への信頼なくして民主主義の発展はありませんし、また経済の発展も国民生活の発展もありません。政治家一人一人が国民の皆さん方のために真剣に、謙虚に、そして清潔に汗を流しておるという姿を国民の皆さんに見ていただくことを、我々が毎日毎日の行動の中で政治への信頼を取り戻していかなければならないと同時に、今考えられておる一番の問題は、政治家とお金についてのかかわり合いについての不信でございますから、私どもはこういう問題に対して、国民の疑念を持たれることのないような、政治家一人一人のみずからの反省とまた現在の政治資金規正法あるいは選挙のあり方、これらに対しては思い切った改革に臨んでいかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/14
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015・野田毅
○野田国務大臣 ただいま井出先生から大変御見識の高い角度からの御質問でございました。私もお話を承っておりまして、今日に生きる政治家の一人としてやはり痛切な反省が必要であると思っております。
特に、過去の歴史を振り返りますと、どうしても政治に対する不信感が充満をし、そしてそういう状況の中でいわゆるインフルとそれから失業というものが重なったときに、大体全体主義的な傾向であったりあるいは排外主義的な傾向が出てくるわけであります。そういったことを一つの教訓として、私どもは今、まずなすべきことは、今当面の課題になっておりますが、決して与野党間が互いの不利な面を避けるのではなくて、お互いにみずから本当に血を流していくという、そういうある種の犠牲的精神といいますか、みずから血を流していくという決意が必要である。このことが一番大事なことではないかな。そして論議をすることも大事でありますが、やはり実行していく、断行していくということが非常に大事なことだ。そういう意味で、井出先生が今日まで政治改革の先頭に立って努力をしておられることに心から敬意を表したいと思っております。
同時に、今申し上げましたように、バックグラウンドともいうべき経済の状況がインフレになったり、あるいは失業者が大変発生するというようなことでは社会不安のもとになるわけでありますから、そういった意味で今後とも経済運営について、物価の安定あるいは完全雇用といいますか、雇用のバランス、こういったものをしっかりと踏まえた経済運営が大事であるということの責任を痛感をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/15
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016・井出正一
○井出委員 両大臣、どうもありがとうございました。御健闘を心からお祈りし、期待を申し上げるものであります。
次に、エネルギー問題、特に石油問題について若干お尋ねをします。
去年の今ごろはまさに湾岸戦争の真っ最中でありまして、議事録を拝見しますと、昨年二月十八日の本委員会、自民党の甘利委員あるいは社会党の渋谷委員の御質問は、当時の中尾通産大臣に、石油エネルギー問題に集中されておったようであります。
「のど元過ぎれば熱さ忘れる」という言葉がございますが、先月中旬、渡部通産大臣は中東三国を御訪問なさいました。石油需給が逼迫していないときに常にこうした良好な関係を構築しておくことは大変意味のあることで、私は大臣の中東三国訪問を高く評価するものでございます。御苦労さまでございました。
そんなアラブの今の状況、イラクやクウエートの生産の回復状況は一体どうなんでしょうか。そしてまた、新聞の報ずるところによりますと、先日OPECの会合では日産百二十万バレルの減産を合意したとか。ただ、そのうちの二分の一近くを占めるサウジや、あるいはイランが合意を保留したとかいう報道がなされておりますが、今後の石油需給の見通しをお聞きしたい。と同時に、旧ソ連がああいう状況になってしまいました。ソ連も大変な石油の産出国でございますが、これが落ち込んでしまって、石油需給にタイトな状況を来す不安があるのじゃないかというふうにも思われるわけですが、それらを含めて、石油事情のお見通しをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/16
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017・渡部恒三
○渡部国務大臣 エネルギー問題、井出先生から大変御心配を賜っておりますが、私は、国民生活、経済の発展にとってエネルギーは人間の体に例えれば、これは血液である。第一次ショックあるいは第二次エネルギーショック、我々悪夢のように思い出しますけれども、今日の日本がインフレなき持続的成長を続けて豊かな国民生活に貢献をしておる根本はエネルギーの安定供給であります。かつて一バレル二ドルの原油が六倍の十二ドルにはね上がって、我が国に大きな危機をもたらしました。当時は、我が国の政治家あるいは財界人、あらゆるメーンの人たちが産油国を訪問いたしました。ところが、その後産油国と消費国の関係が変わってまいりまして、石油価格が安定し、供給が豊富になってまいりますと、湾岸産油国を日本から訪れる人もだんだん少なくなってきた、通産大臣も六年間も来てない、日本という国は現金な国だなというような批判をあの湾岸諸国で受けておるということをお聞きしましたので、私は、通産大臣に就任しで最初の訪問国を湾岸産油国に選んで行ってまいりましたけれども、非常な歓迎を受けましたし、また、あの湾岸危機の際の日本の九十億ドルの支出、また、掃海艇の派遣、これらについても日本には非常に感謝している、そういう言葉を聞いて、来てよかったな、やはり国と国との関係も、お互い立場がどのように変わっても、損をすることがあり、得をすることがあっても、同じ気持ちで、同じ姿勢でつき合っていくということが、しかも、世界の中で注目される経済大国と言われるようになった日本にこそ大事なことだと痛感をいたしました。
幸いに、産油国の皆さん方、日本に対して安定供給を約束してくれました。今細かいお話等もございましたけれども、私は、旧ソ連のこれからの問題等をも全部包含した中で、まず石油の安定供給、これは心配ない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/17
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018・山本貞一
○山本(貞)政府委員 お答え申し上げます。
今大臣から総括的なお話がございましたが、多少事実関係を申し上げておきたいと思います。
まず、クウエート、イラクにつきまして、御案内のとおりまだ生産が十分回復しておりません。まだ五十万バレル・パー・デーぐらいの状況でございますが、サウジが主としてそれを補っておるという状況で、国際的には石油は均衡をしている、むしろ需給がまだ緩んでいる程度でございます。ソ連の見通しにつきましても、先ほどございましたようにやはり相当落ちておりまして、今一千万BDを切っておるというのが実際の数字のようでございます。
今後の石油の見通しにつきましては、今申し上げましたサウジアラビア、それからイランを中心としたOPEC各国の減産の動向、この前の閣僚監視委員会での数字に不満を申しておりますので、その動向がどうなるのかという点、それから旧ソ連邦の石油生産輸出動向、それからアメリカなど主要消費国の景気の動向というのが今後の問題だと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/18
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019・井出正一
○井出委員 石油問題、もうちょっとお聞きしたいのですが、ちょっと時間がなくなってまいりましたので次に参ります。日米経済問題についてお伺いをいたします。
一月の初旬にブッシュ大統領が訪日されました。官邸のレセプションのハプニングも私は驚きましたけれども、それより私の学生時代のときのことを思い出しました。それは昭和三十六年の十一月だったと思います。初めての日米貿易経済合同委員会が、箱根だったと思いますが日本で開かれまして、アメリカからはラスク国務長官以下各閣僚が初めて日本へ大勢で一遍においでになった。そのとき日本側の閣僚のお一人であった河野一郎、農林大臣だったと思いますが、河野先生は二日間全く目をつぶっていらっしゃって、眠っていらっしゃったわけではございません。会議の終わる直前にすっくと立たれて、今度おれが生まれてくるときにはそちら側の席に座るような立場で生まれてきたい、こうおっしゃってまた座ってしまったということを私、新聞か何かで読んだことがあるのですが、三十年前の日米の力、特に経済の力の差は、あの向こう気の強いというか勝ち気な河野先生にしてみれば、いたたまれずに思わず出た言葉じゃないかな、こう思うのです。ちなみにあのときのテーマはアメリカの黒字、対日黒字を何とかしてくれというのが日本の要求だったようであります。三十年たってブッシュさん、ある意味では恥も外聞もなくと申し上げてもいいくらい財界の応援団を引き連れて日本へ来られた。アメリカの力が相対的に弱ったなということを感ずると同時に、日本の経済の力が我々が想像している以上に国際的には大きなものになっているということを痛感したものであります。
そこで、今回のブッシュ大統領の訪日、また宮澤総理との首脳会談についての評価をお聞きしたいことが一点。それから、いわゆるアクションプログラムでアメリカ製の自動車を二万台とかあるいは自動車部品を百九十億ドルというような約束、合意を見たわけでありますが、これが管理貿易に陥る危険性はないのかというのが一点。それから、ヨーロッパ諸国から同様の要求というか圧力が出てくる可能性はないのか。現にドイツの政府は日米合意に少し批判的だということや、きのうの新聞は、イタリーとかスペインが日本車の輸入規制をするというようなこともちょっと報じられておりました。それから、公約とか約束、努力目標ということはこちらに置きまして、この自動車、自動車部品が本当に可能かどうか。いろいろなアメリカの設備投資とかあるいは日本車向けへの努力のテンポなんかを見まして、私はなかなか難しいのじゃないかな、それで、もし不可能な場合にはまた大変な、大きな問題が出てくる、向こうから要求が出てくるのじゃないかな、これを案ずるわけでございますが、そこらを大臣からお話しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/19
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020・渡部恒三
○渡部国務大臣 日米関係、また世界の中における我が国の経済的な立場、まさに二十年前、三十年前のことを考えると、井出先生おっしゃるとおり夢のような状態であります。
そういう中で正月早々ブッシュ大統領がおいでになったわけですけれども、過去四十七年間の日米の歴史、また今日、世界の四〇%の経済を占めておる日米の関係、また将来これらを考えると、これはできる限りのことをして、日米関係がよくなければ世界の国全体に大きな影響をもたらすものでありますから、全力を尽くして、あの宮澤・ブッシュ会談、東京宣言を成功のうちに終わらせることができたことは、私は、アメリカのためにも、日本のためにも、また世界のためにも大変よかったと思っております。
その中で、御心配のあった自動車の問題、これもいろいろの批判が行われておりますけれども、現実に、九一年度で我が国からアメリカに輸出されておる自動車は乗用車で百八十万台、アメリカから輸入されておるのは三万台にならないという状態、また、今日の自動車産業の発展がアメリカの大きなマーケットによって、また将来の我が国の自動車業界にとってもアメリカは世界の中で非常に大きなマーケットでありますから、そういう大きな、長い目の判断の中で自動車業界の皆さん方が非常に苦労をなさってあのアクションプログラムというものをつくってくれました。私は、これは大変ありがたいことだな、日米関係をよくするために大事なことだなと考えておりますし、決してこれは政府と政府とが公約したというものではありませんから管理貿易には当たらないと思うのです。しかし、同時にまた、ブッシュ大統領が日本に来られて、日米関係をこれからも大事にしていこうという中で行われたことでありますから、これは非常に重い重い意味があって、業界の皆さん方が必ずこの努力目標というものを達成してくださるために努力をしてくれるし、また私どももこれをしっかり見守っていかなければならないし、また、今達成されなかった場合のことを御心配いただきましたが、私は、我が国の業界の皆さん方は必ずこの努力目標を達成してくれると確信をいたしております。
また、これがEC等に与える影響という御心配をいただきました。その後、私もEC諸国の貿易関係の大臣等ともお目にかかっておりますけれども、いろいろの誤解もあるようでありますから、この誤解はこれから我々は誠実に解いていくような努力をしていかなければなりません。また自動車については、日本とECの関係はアメリカと日本との関係とは若干違いまして、ヨーロッパ車の輸入はかなりふえておりますし、また現地企業における部品の購入等も多くなっておりますし、私は、誠実に話し合っていけば、御心配のようなことにならないように、こういうふうに努力してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/20
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021・井出正一
○井出委員 ぜひそうあってほしいと私も思います。
さて、きょうからアメリカでSIIがまた開始されるわけでございますが、真のパートナーとして日本が果たすべき役割あるいは摩擦の解消のために努力しなくてはならないことは一体何だろうかということと、アメリカ側に対してもやはり指摘、要求をすることがあるのじゃないかと思います。アメリカの経済の競争力をリバイバルすることこそこの問題の根本であり、先決だと思うのでありますが、どうもアメリカは、アメリカの競争力はそんなに弱っちゃいないんだ、日本のいろいろなアンフェアなものがあるからなかなか輸出ができないんで、その結果がこれだけ貿易にインバランスが生じだというような考え方がちょっと強いような気がするのですが、そうではないということを、少し日本政府も声を大にして言うべきではないかな、こんなふうに思うわけですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/21
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022・渡部恒三
○渡部国務大臣 ただいまのことにも関係いたしますので、先ほどの答弁につけ加えさせていただきますが、自動車問題の民間の努力目標というのも、これはあくまで我が国の民間業界とアメリカの民間業界との両者の努力によって努力目標が達成されるべきものであります。自由主義経済ですから、やはり消費者のニーズというものに生産者が対応していくというのが一番大事なことで、それがデザインというようなことにもなっておるわけでありますが、構造協議についてもこれは当然のことであって、これは日本も努力する、アメリカ側も一生懸命努力するということでお互いの目的が達成されるものであって、これは一方的なものであってはならないし、また世界における自由主義経済を今日にもたらしたリーダーはアメリカなのでありますから、また我が国にも自由主義のとうとさを教えてくれたのもアメリカなのですから、アメリカも必ず我々以上の努力をして目標達成に進んでくれるものと確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/22
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023・井出正一
○井出委員 どうもありがとうございました。
続いて、ガットのウルグアイ・ラウンドについて若干お聞きをいたします。
新聞等の報ずるところによりますと、四月決着微妙にとか、四月決着困難か等の悲観的な見通しも報じられておるわけでありますが、現在どうなのかということと、万一決裂した場合はガットそのものが崩壊するのか、前回ラウンドまでの合意というのは有効に機能するのかどうか。そしてまた、決裂した場合、世界経済は決定的にブロック化の方向にいくのかどうか。あるいはまた、これは定量的な分析はちょっと無理だと思いますが、日本経済が実際にこうむるであろうような影響は一体どんなものがあるのかといった点。
それからもう一つ、これは農業問題、各国それぞれなかなか難しい問題を抱えておりますものですから、これで苦労しているわけですが、その農業分離案が、EC、フランスなんかには浮上してきたというような報道もございますが、農業分離案について通産省はどんなふうにお考えになるかといった点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/23
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024・岡松壯三郎
○岡松政府委員 先生の御質問、三点あったかと存じますが、まず四月決着微妙という報道の点でございますけれども、自由貿易体制を維持強化する、これにはウルグアイ・ラウンドの成功がぜひとも必要であるというふうに考えておるわけでございます。
現在、ジュネーブにおきまして、市場アクセス交渉あるいはサービスの初期コミットメント交渉というのが行われておるわけでございまして、我が国も米、EC等との二国間交渉を精力的に進めておるところでございます。我が国といたしましては、ラウンドの早期成功裏の妥結に向けまして、経済大国にふさわしい積極的な役割を果たしていくことが必要であるというふうに考えておるところでございます。
万一決裂した場合どうかということでございますが、もちろん計量的な分析をするには至っておりませんけれども、またこういうことが起こってはならないわけでございますが、このウルグアイ・ラウンドが失敗した場合には、自由貿易体制についての信頼を失うということになるわけでございます。
そもそもウルグアイ・ラウンドがどういう契機でスタートしたのかという五年前を考えてみますと、ガットから逸脱したさまざまな行為が行われているというところから、ガット戻りをしようではないかというところから始まっているわけでございますし、また、ガットが規制していないさまざまな領域が、新分野が出てきているというところから入っているわけでございまして、ぜひともこの自由貿易体制の信頼性を確立していくためにはこれを成功裏に終わることが必要であるというふうに考えているわけでございまして、もし失敗した場合には、一方的措置の頻発あるいは地域経済のフロック化、保護主義の台頭といったような望ましくない方向に行くことが大いに懸念されるわけでございまして、我が国への影響、社会経済への影響ははかり知れないものがあるというふうに思っている次第でございます。
最後に農業の分離案についての御質問がございましたが、このラウンドの交渉に参加している国は農業の輸出国もあれば工業品の輸出国もある。これらの国が一体となってそれぞれ譲るべきところは譲るということで交渉全体が成り立っているわけでございまして、農業部門だけを切り離していく、これで合意を形成するということは極めて困難であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/24
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025・井出正一
○井出委員 きのうの日本経済新聞ですか、鉱工業品交渉では通産省は鉱工業品六千五百品目の関税引き下げ幅を平均五〇%とする、そしてまた新たに産業機械、輸送機械、ガラスなど約千品目の関税撤廃を実施する、したがって関税ゼロ品目は二千品目ぐらいになる、これを来年の一月から九七年の一月までに段階的に実施する。こうなりますと、日本の鉱工業品の平均関税は現行の三・六%から一・九%という先進風の中で最も低い水準になるわけでありまして、まさにラウンドのリーダーであっておかしくないわけなのであります。農業問題が余りにもクローズアップされているせ
いか、日本の姿がちょっと我々に見にくいのでありますが、どうかひとつリーダーシップを大いに発揮していただきたいということを御要望して、次に移りたいと思います。
次に、経済見通しと景気対策についてお伺いをいたします。
昨日発表されました経企庁の二月の月例経済報告には、長い間、昭和六十二年のあれは十二月からでしたか、常に盛り込まれてきました拡大局面という表現が消えました。後退局面に入ったと認識してよろしいんでしょうか。その現状の認識をまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/25
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026・野田毅
○野田国務大臣 御指摘ありましたように、昨日の月例経済報告で、現在の景気の情勢については景気の減速感が広まっており、これはやや過熱ぎみの成長ペースからいわばインフレのない内需中心の持続可能な成長経路に移行する調整過程にある、こういう表現を使ったわけでございます。「拡大」という言葉が率直に言って長く使われておったわけでありますが、このところ、特に昨年の暮れから生産、在庫等々の傾向を見ますと、あるいはいわゆるDIなどの傾向を見ますと、この際は「拡大」という文字は外した方がよい、こういう判断のもとにそういう報告をいたしたわけでございます。
ただ、私はきのうも記者会見でも申し上げたのですけれども、大事なことは、今の景気の動向について民間なりいろいろな方々からいろいろな御指摘があるのですけれども、今どう認識するかということももちろん大事であります。そういう点で、私どもは決して楽観視したことだけを申し上げておるわけじゃもちろんありません。いろいろな政策努力ということも当然必要でありますけれども、逆に、今非常に実態以上に経営者といいますか、企業マインドが下振れしておる。ここのところが一つのポイントである。したがって、みんなが先行きについてコンフィテンスをしっかりと持てるような、そういうことが大事なことだ。そのためのもちろん政策努力も大事でありますけれども、みんなで浮き足立ったような、不安感をあおり立てるような形でいくのは逆に好ましいことではない。
見通しについては、一つはもちろん住宅の面について、御案内のとおり、昨年の秋ごろからやや減少傾向ではありましたけれども、下げどまりの傾向が見られておる。九月、十月百二十六、七万戸ペース、十一月、十二月が百三十万戸ペースという形になっておりますね。その上に、さらにことしに入りまして一段と住宅関連の金利が下がっておるという状況、あるいは自動車についても、もちろん一月間のみで判断するわけにはいきませんけれども、この一月にはやや下げどまりの気配もあるのではないか。あるいは、公共投資はもう大幅に、しかも持続的に、中長期的にこれは下支えの要因があります。設備投資も、もちろん業況感がかなり悪いわけですから、そういう意味でこのところ下方修正的な動きが目立っております。これは確かであります。
しかし、これは多少この三月決算をにらんで非常に経営者の判断が厳しくなってきておるということとの裏腹の問題でもあるわけですが、基本的には人手不足といいますか、特に時短圧力、これがいわゆる独立投資系統、もうせざるを得ないという、率直に言って。経営者にとっては厳しいことだと思いますが、いわばそういう設備投資が省力化あるいは合理化投資あるいは研究開発投資、言うならばこういったしりたたき要因があるといいますか、そういう意味で底がたい要因がある。そこに、このところ金利も低下してきておる。こういうような状況を判断しますと、決して悲観的なことばかり並べ立てるということよりも、そういう現状を冷静に分析をし、そして先行きについて、決して楽観視するばかりではないけれども、明るい兆しもあるのだということを判断をして、タイムリーに手を打っていくということが大事なことであると考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/26
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027・井出正一
○井出委員 確かに先行き不安の解消ということが大変大事だと私も考えるものであります。大臣の今の御答弁にもありましたし、先ほどのごあいさつの中にもありますように、我が国の経済はインフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程にある、こういう御判断なのですが、いわゆるバブルのころ、理工系の学生がみんな証券会社や銀行に打っちゃう、これはまさに異常だと私は思います。こんなような異常事態を再び生ぜしめては絶対ならぬと思うのでありますが、そういう意味では現在は望ましい過程というか、そういう巡航速度に移行するため踏まざるを得ない過程にある、こう認識してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/27
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028・野田毅
○野田国務大臣 基調としては御指摘のとおりだと思います。やはり、過去のいろいろないわゆるバブルと言われた中でさまざまな問題があったことは事実であります。特に、資産格差が拡大をしたりあるいはインフレ基調というものがかなり懸念すべき状況にまで来た。さまざまな要素があったわけでありますが、基調としてはそういうことだと思います。ただ、現在はそういう望ましい巡航速度に行く過程にあるのですけれども、それがやや下振れしておるのではないかという感じがいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/28
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029・井出正一
○井出委員 政府見通しの三・五%、民間調査機関によりますと二・三%から四%とさまざま出ております。平均二・九七%とか聞いておりますが、この達成の見込みについてもお聞きしたいのでありますが、ちょっと時間がなくなりましたものですから、これはまたいずれお聞きすることにいたしまして、そうはいうものの、私地元などへ帰りますと、なかなか中小企業は力が弱うございますから大変深刻な声を聞きます。したがいまして、その金融あるいは財政面での柔軟かつ機動的な対応をどうしてもしていただかなくちゃならぬということを要望しておきたいと思います。
最後に、先月十四日、宮澤総理から経済審議会に新しい経済五カ年計画の諮問がなされまして、いわゆる生活大国を目指すのだということのようであります。この進展状況と、答申がいつごろになるかということをちょっとお聞きしたいのですが、その前に生活大国という言い方なんですが、どうもこれは経済大国というところから出てきたと思います。
経済大国と言ったときも、何か我々最初は目映ゆいような使い方をしておったのですが、最近はだれも当たり前のような使い方をしておりますが、果たしてこれでいいのかなと私はちょっと感じております。何か大国といいますと、傲慢さを感じさせることがないか。また、日本だけ、いわゆる一国中心主義ととられるようなニュアンスがないか。やはり日本は世界とともに歩むといいますか、世界に貢献しなくちゃならぬわけで、これを両立させなくてはならぬと考えるわけであります。そんな意味では、生活先進国といったような言葉はどうかななんというふうに思うのでありますが、こんなことを含めて、大臣にお答えいただけたらと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/29
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030・野田毅
○野田国務大臣 御指摘のとおり、生活大国という言葉を使うかどうか、率直に言って総理も悩まれたところでもござます。
御指摘ありましたように、経済大国という言葉が世俗的にもかなり定着をしておる。いわばそういうことに対するアンチテーゼというわけではありませんけれども、より生活の質を重視した姿を考えていかなければならぬ。そういう意味で、このところ生活大国という言葉も国民的にはかなり定着しつつあるということを踏まえてその言葉を使っておるのですが、英語に直してスーパーパワーというと、これは外から一国繁栄主義的なあるいは大国主義的なという目で誤解を受けてもよくないなというので、多少英語ではどうするかという中で、ベター・クォリティー・オブ・ライフ、今お話がありました生活先進国というようなニュアンスを出すような英訳も考えなきゃならぬなと思っております。
大事なことは、我々が、今日までの経済発展の成果を国民一人一人がより充実した配分にあずかれるように、そして一人一人が多様な価値観のもとで自己実現できるような、むしろ効率だけじゃなくて公正さということ、さまざまな角度からこの問題を論議をしていかなければならぬことだと思っておりますし、さらに大事なことは、御指摘ありましたように、国内にだけ目を向けるということではなくて、我々が生活重視型のそういう経済計画をつくっていく、いわば生活大国を目指していくということが、すなわち同時に国際社会の中での日本の貢献ということとリンクしていくのである。そういう視点はこれは非常に大事なことである。そういう意味で、御指摘のような角度から今御議論をいただいておるわけであります。
なかなかこれは、国際情勢も非常に流動的でありますので、難しい問題でありますけれども、その中でいろいろ汗をかいていただいて、本年夏ごろをめどにその御審議の結果を出していただければありがたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/30
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031・井出正一
○井出委員 どうもありがとうございました。時間が参りましたものですから以上にいたしますが、両大臣の御活躍をお祈りいたしまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/31
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032・武藤山治
○武藤委員長 岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/32
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033・岡田利春
○岡田(利)委員 今、井出先生の質問を聞いていて、二十年前の日本という話も出てまいったわけです。私は、商工委員会で質問するのは、実は十五年ぶりできょう御質問の機会を得ました。最近の経済、産業社会の動向を考えながら、率直な質問を申し上げたいと思うわけです。
宮澤内閣が成立をし、野田経企庁長官また渡部通産大臣が就任をされて今日の経済の運営や産業政策を進められておるわけでありますけれども、百二十二回の臨時国会における宮澤さんの所信表明、この中に初めて「生活大国への前進」という言葉が出てまいるわけです。宮澤さんは、大体、一九八六年の当時は資産倍増論を唱えておられて、そして八七年に大蔵大臣に就任をされたという経緯を持たれておる方だと思います。そして私、文章をずっと読みまして、これは官僚の人が書いた文章でないなという感じがしました。恐らく宮澤さんの筆になる箇所ではないかな、文章からこういう感じがするわけです。そして、百二十三回の今回の施政方針の演説の内容に、さらに「生活大国への前進」としてこれを一歩進められておるわけです。しかもその中には、言うなれば今までの政策の転換ということも明確に出ておりますし、また宮澤さんの描く生活大国とは次のようなものであると、六点にわたってその指標、目標を掲げられておるわけです。この施政方針の演説を受けて野田経企庁長官は経済演説をされ、さらにこれを具体化されて、しかも総理は、既に経済審議会にこの趣旨に基づいて今後五カ年間の経済の運営について諮問された。
そこで、この宮澤さんの演説の内容の流れというのは、今長官が答弁をされましたけれども、果たしてそういう次元で認識していいのだろうか。余りにもそれはスローガン的であって、この演説の内容を冒涜することになるのではないかな、私はこんな感じがしてならないわけであります。
ここに示している文脈というのは、私に言わせると日本型資本主義のいわゆる政策の転換といいますか、そういう面がはっきり示されているのではないのかな、それが宮澤さんの生活大国への路線であると私自身は理解をするのであります。言うなれば効率万能主義といいますか、あるいはまたシェア拡大の生産優先のそういう経済運営ではなくして、スタンスを変えて、国民、消費者の暮らし、幸せというところにスタンスを置いてこれからの新しい日本の経済社会を築き上げていく、そういう宣言がこの文章でなければ余りにも空虚過ぎるのではないかなと思うのであります。私は、この経済大国への演説の内容をどう評価するか、そのことからこれからの産業、経済の政策が分かれていくのではないのか、非常に重要なポイントだと思うのです。そしてまたこのことは、宮澤内閣のこれまでの演説の評価を決めることになる。私は非常に好意的にこの方針を受けとめておるし、画期的なものである。もう少し具体的に言うと、いわば日本型からヨーロッパ型といいますか、そういう方向に我が国の経済運営のかじ取りも変えていくのだ、進路を変えていくという決意のあらわれであろうかと思うのですが、担当大臣としてどうこれを受けとめられておるのか、評価をされておるのか、どういう意義を持っておるものと感ぜられておるのか。あわせて通産大臣からもこの点について見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/33
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034・野田毅
○野田国務大臣 御指摘ございましたように、生活大国を目指して、これからいわば政府部門のみならず、率直に言って国民の広い次元でのお互いの意識改革を伴うような作業であるという認識をいたしております。
それは今御指摘ありましたように、特に豊かさを実感できない一つの要因の中に、居住水準の問題を初めさまざまな社会資本の未整備の問題が残っております。しかし、単にそれだけではない。あるいは企業社会のあり方にしても、いわゆる効率優先ということよりも、むしろさらに、効率も大事だが公正さということもさらに大事ではないか、あるいは生産者重点という傾向よりも、消費者、生活者重点というような思考も大事なのではないか、実はそういうさまざまなものがございます。そういった点で、経済計画として生活大国をどう肉づけをしていくかという側面もありますけれども、いわば意識というレベルの問題になりますと、必ずしも経済計画の中ですべてを表現できるというものではないと思います。そういったこともございまして、現在、別途国民生活審議会、こちらの方でもいろいろ御議論もいただいておるわけでありまして、いわば価値観にかかわるような分野もたくさん実はあるわけであります。
やはり人生の充実感といいますか、ゆとりというものをどういうふうな形で政策としてそれをバックアップできるのか、そして個人レベルにおいてはどういうことなのか。いわば意識改革ということはある意味では国民運動的な部分が必要だ、私はそういうような問題意識を実は持っておりまして、そこで今、経済審議会の御審議も従来にない一つの手法をお願いをしてやっていただくわけでありますが、地方にも出かけていって、いわば地方審議会を開催をして、できるだけ地方の声も取り入れていこう。あるいはこれは企画庁として、四月に入りましてから、全国各県のそれぞれ豊かさ指標というようなものがありますが、そういったものをそれぞれの各県レベルにおいても、いわゆる住民レベルにおいても個々に考えていただこう。そういうさまざまなことを、全体を包含していかないと、本当の意味での生活大国を目指していくということにはならぬ。そういう点では、まさに岡田先生御指摘のような問題意識のもとに、今御審議をお願いをいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/34
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035・渡部恒三
○渡部国務大臣 私も今先生から、また先ほど井出先生からもお話がありましたが、大国という言葉、これはなかなか難しい。戦前、我が国は軍事大国を目指して大失敗をしてしまったわけですが、戦後はその反省の上に立って、アメリカあるいは旧ソ連が軍事大国と言われる中で経済重視の政策をとってきたわけですけれども、それが結果。としては数字の上で、世界の人たちから見ればまさしく日本は経済大国になってしまったわけでありますけれども、ところが、貧しさから立ち上がるということで、ひた走りに経済を豊かにするために頑張ってきた、そして世界の中からまさに経済大国と言われるような国になってきた。気がついてみたら、生活の方はどうか。統計、数字の中では確かに世界の中で高い水準の経済の国になっておるけれども、それならこの国に住んでおる人たちが、日本は豊かになって幸せだ、毎日毎日の生活の中で豊かさが実感されているかというと、必ずしもそうでない。
これは人間生活のニーズが変化してまいりますから、三十年前は自動車を持っただけで豊かになったという気持ちになったのも、今は、駐車場がない、交通渋滞のいらいらでかえって不満の増進になっておるというような、そういう社会条件、生活条件が大きく変化した中で、国民の皆さん方に日本が豊かになったことを毎日毎日の生活実感の中で味わっていただけるような政策転換をしていかなければならない、これが宮澤内閣が目指すところの生活大国、まあ大国という言葉がどういうふうに受け取られるかわかりませんが、いわゆる経済大国というのが客観的な世界の中の日本の存在であれば、これからは生活重視の政策を進めていくという考えだろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/35
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036・岡田利春
○岡田(利)委員 だが、総理の施政方針の演説は極めて歯切れがいいのですね。生産者中心の視点から消費者や生活者を重視し、効率優先から公正にも十分配慮した社会への転換を図らなければならない、転換をするということなんですよね、明確なんですよ。そうするとやはり、経済政策の立場から立ては、私は今の日本型の資本主義ではいろいろなひずみや欠陥が生まれてきた、そういうものを是正して、止揚して一つの方向、政策を転換させていくのだ、こういう決意がこの言葉にあらわれておるのだと思うのですね。そういう趣旨で理解をしなければ、この一連の演説の流れはどうもこれは建前、スローガンだけかな、こんな評価になってしまうと思うのであります。
私は、経済先進国とか経済大国という言葉にはこだわる気持ちは全然ないのであります。そういう意味で、二十一世紀を目指してこの施政方針で示した方向に挑戦をして、国民の前にその進むべき方向を明確に示してほしいということを強くこの機会に要望いたしておきたいと思います。
そこで、この経済政策を決めるに当たってこれは審議会に諮問をし、審議会は八月に答申をする、こうなっておるわけですね。十分時間があるのかな、十分審議ができるのかな、拙速主義ではないのかな、こんな感じがするのであります。
かつて所得倍増政策は、池田さんの時代に十年間の計画期間を持ったわけであります。二十一世紀に向けてこの新しい経済政策を定めるに当たっては、五年前にして中間報告があって結構でありますけれども、折り返し点といいますか、一つの踊り場としてそういう視点があって結構でありますけれども、これだけの展望の中に立って我が国の経済政策の方向を決めるとすれば、それはやはり十年間ぐらいの計画でなければならぬのではないかな、こんな気がするのであります。その点についてどうお考えになっておるのか。
同時にまた、伝えられるところによると、七月のサミットがあり参議院選挙があるからその前に無理っ繰り中間報告を出してなんということもちまたでは言われておるのであります。そんなさもしい根性があるのか、承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/36
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037・野田毅
○野田国務大臣 御指摘のとおり、できれば国際情勢等々が、いわゆる前提条件が安定的な推移が見込まれる場合には、ある程度長目の一つの展望を持った方が好ましいかという気はいたします。しかし、御案内のとおり、もうこのところ国際情勢は極めて事態が急変をいたしておりまして、なかなかそういう超長期的な角度から前提を置いてやるということには、やはりかなりの無理があるのではないか。まあそういったところで、現在、もちろん今後五カ年を展望する場合でも幾つかの前提条件を置いてということになるわけですが、そう簡単な作業ではもちろんないと思います。そういう点で、長さについてはやはりこれは当面五カ年ということを念頭に置いて御審議いただくということの方が適切ではないかな、こういうことでございます。
あと、多少この審議期間がかなり短いのではないかという御指摘です。率直に言ってかなり日程的に委員の先生方には御無理をお願いをしておるわけですが、ただこれも、各テーマごとに御案内のとおり今四つの部会を設けております。さらに、そのほかに小委員会を三つ設けておりまして、それぞれ掘り下げて御論議をいただく、そういったことを組み合わせてまいりますと、都合百回ぐらいの実は御論議をいただいていくわけでございまして、そういう点で若干日程的に、もちろん明確にいつということを申し上げることはできないと思いますが、やはり国民の皆様にも今のようなときこそできるだけ早くこれから先行きの展望がお示しかされるということの方が、今後の各経営者の皆さんやらあるいは国民にとっても大事なことであるというふうに実は判断をいたしておりまして、極力そういう精力的な御検討をお願いをいたしておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/37
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038・岡田利春
○岡田(利)委員 話を先に進めたいと思うのですが、前五カ年計画は、竹下内閣のときに定められて、「世界とともに生きる日本」というタイトルをつけて五ケ年計画が組まれたわけです。そして、八八年の初年度は実質成長率六%、八九年が四・六%、九〇年が五・五%、そしてバブルが発生してバブル経済が破裂をするという状態になりました。三カ年間平均で五・四%の実質成長をいたしておるわけです。しかも、中東戦争が挾まり、公定歩合は出発当時二・五%、やはりこの経済政策の総括なくして次への計画は組みがたいと私は思うのであります。
そして、非常に多くの反省がこれには含まれるのではないでしょうか。我が国の経済の巡航速度、人によっていろいろありますね。日銀の総裁あたりの話をずっとじっと聞いていると、これはまあ三・四ぐらいかなという感じが私はするのですよ。あるいはまた五カ年計画の平均の成長率は三・七五、そうするとこれが巡航速度かな、そういうことを考えたのかなという感じもするのであります。そうしますと、潜在成長率から見ても非常に高い成長であった。高ければいいというものではないのでありますから、そういう点の率直な反省を聞かしてほしいし、なるがゆえに、九一年度の経済運営に当たってソフトランディングを目指したけれども、残念ながらハードランディングになって混乱を起こしている、そして経済は失速しているという失速感を非常に強く与えておるのではないか。先ほど大臣がいろいろ言われましたけれども、やはり今指標に出ない背景としてバブル経済の後遺症というのがあるのだと思うのですよ。まだ顕在化しないものがたくさんあるのではないでしょうか。決算なんかでも三月末に出てくるわけでしょう、きのうあたりも大和証券の問題が出ておみわけであります。そういうバブル経済、バブルの破裂による後遺症というものがまだ顕在化しない面があるということが指標には残念ながら出ない。ここが実体経済との非常に難しいところではないかなと私は率直に思うのであります。そういう点についてはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/38
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039・野田毅
○野田国務大臣 御指摘ございましたように、過去の経済成長については、想定しておりましたペースよりもまあいわばオーバーペースで来たということはそのとおりであります。そういう点で、いわば対外均衡、内需中心、内需主導型の経済運営を達成していくという点においてはそれなりの成果があり、またその過程においてかなり構造的にも内需主導型の経済体制に移行しつつあるということはそれなりの成果があったと思います。そして、対外バランスの改善という傾向ができたことはそのとおりだと思いますが、一方でまた、御指摘があったように、いわゆるバブルと言われたような中で、特に資産格差の拡大といいますかさまざまな問題を起こしたということも実は事実でございます。
それで、今そういうようなもろもろの事柄がまさに調整過程にあるという表現を私は使っておるわけでございますが、そういっただ単にそれが滑らかに円滑に調整されていくというならいいのですが、お話しのとおり、ややその反動部分といいますか、あるいは引きずっておる部分が率直に言って、あるいは証券市場の問題にしても、あるいは金融をめぐる諸問題にしても、そういう部分もあるのではないか、そんな感じもいたしております。もちろん我々人間生活の中で余り禁欲主義に走るということは、経済全体から見るとこれは余り好ましいことではないと思います。宗教家ではないわけですから。しかし一方で、逆に物欲がどんどん刺激されていくというだけでいくのもいかがなものか。そういった中で、さっきも御指摘ありましたが、公正さということにより目を向けていかなければいけないということを、そういう
反省の上に立ってこれからの経済計画も考えていかなければならぬことであるし、経済運営も考えていかなければならぬということを思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/39
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040・岡田利春
○岡田(利)委員 今年度経済、きのうも月例報告が行われましたけれども、この月見込みというのは、もし政府が言うように三・七%の経済実質成長を達成するとすれば、当然十-十二、一-三は前年対比○・六ずつ伸びなければこれは達成できないと思うのですね。そうしますと、もし平均的に前年対比○・六ずつの成長をしたとすれば、これはげたは○・八になってしまうのだと思うのです。過去の五カ年間の場合には非常に高いげたを履いているわけですね。八八年は二・六、八九年は一・八ですか九ですか、そして同様にこの九〇年も一・九ぐらいのげたを履いているわけです。今年度の場合には二・二のげたを履いて出発をしたわけですね。そうしますと、既に来年度の政府の経済見通しが出ておるのでありますけれども、そういう意味で経済運営の実勢ベースは随分違いがあるわけですね。従来にない、スタートが低いのでありますから、一%を切るなんということはもうめったにないことであります。そういう面から考えて、今年度と九二年度の経済の実勢ベースの比較において、どのように判断されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/40
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041・野田毅
○野田国務大臣 げたについて、見通しベースの段階で具体的な数字についてお示しをなかなかできないということは、もう先生御案内のとおりだと思います。正確なそういう形での予測はなかなか、ことしの一-三と来年の一-三の話でありますから、そこは御理解をいただけると思います。
そういった中で、御指摘のとおりこのところ先ほど申し上げましたような経済の現状にあるわけですから、本年の前半と後半ということで比べればかなり後半への期待感の強い、そういう見通しをいただいておるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/41
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042・岡田利春
○岡田(利)委員 ただ数字は軽々に言えなくても、経済の動きとして実勢ベースの比較論というのはできるのじゃないですか、大体。これはやはり非常に認識が大事な問題だと思うのですね。別にげたの数字はいいのですけれども、私に言わせると二倍ぐらいの実勢ベースの差が出てくるのじゃないでしょうか。どうでしょう、感触として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/42
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043・野田毅
○野田国務大臣 具体的な数字についてどうということはちょっと難しいのですが、今御指摘ありましたように、いわゆる一九九一年度、平成三年度における年度内の経済の活発さと、それから九二年度におけるその期間中における経済活動の水準というものを比較をすると、私どもは平成三年度よりも四年度中の方が経済の活動水準は高くなるであろうというふうに見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/43
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044・岡田利春
○岡田(利)委員 野田長官はなかなか慎重に話しますからあれなんですが、私はこのことを聞いておるのは、この一-三の、いわゆる三月末の落ち着きをどう見るか、そして来年度にどうつないでいくのか、このタイミングですね。十分その判断をして機動的に対応するということが大事だと思うのですね。前半だだだっと行って、そして今年末まで余り明るさが見えないで、来年、年を越えて初めてぱっと明るさを見ても遅いのではないかと思うのですね。実体経済はまさしくそういう状況下に置かれておる、こういうのが私の認識であります。通産大臣はどういう御認識ですか。九一年度の一-三の落ち着き、それに九二年度のいわゆる経済の動向、これをどのようにつないでいくか。そして、できればなだらかに早く在庫調整も終わって、条件が備わって明るさが早目に見えてきた方がいいのですね。それが、在庫調整も長引いてなかなか思うように経済の高揚ができない、そして、年末の方向に行っても、ちょっと雨は降らないけれども非常に曇りがちであるというような状況で、年を越えてぱっと天気が晴れてしまっても、経済の運用としてはいかがなものか、こう思いますね。そういう意味では、実体経済を通産大臣としてはどう認識をされて、どういう対応が必要であるとお思いですか。きのうあたりも何か発言されているようですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/44
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045・渡部恒三
○渡部国務大臣 景気の動向等については、今経企庁長官からその見通し等をいろいろお話がございました。同じ内閣ですから、私もその認識において同じでございます。ただ、私は、実体としての産業に直接接し、また、その産業を支えていかなければならない立場にございます。そういう中で、残念ながら、日本の経済の主要企業あるいは基幹産業と言われる自動車あるいは鉄鋼、家電、それぞれの産業の実態は、売り上げも鈍化する、あるいは生産も鈍化する、在庫はたまる、また、収益率も落ちていく、また中小企業等についてもこれは同様でありますから、これを放置しておくわけにはまいりません。
そこで、昨年、通産大臣に就任直後から景気の問題を非常に心配をいたしまして、そうすると、やはり企業の設備投資が鈍化しておる、また、住宅建設が減っておる、こういうことが経済の足を大きく引っ張っておる原因になっておりますから、それにはやはり金融政策というものが大事だ。住宅を建てるにしても、企業が設備投資をするにしても、これは借金でやるわけですから金利は低い方がいいということで、昨年公定歩合の引き下げを求め、また、昨日の月例経済閣僚会議でも、いま一息ということをお願いしたわけでございます。やはり国民生活を豊かにするということは、それを支えるものは経済である、経済が悪くなってしまえば、国民の消費生活も悪くなってしまうわけでありますから。
しかし、現実には、例えば郵便貯金は百五十兆をもう超えておるというようなことですから、その中でやはり企業の皆さん方も設備投資に対する積極的な意欲を持ってもらおう、また消費者の皆さん方にも明るい消費生活をしていただこうというためには、今冷えてきておる企業マインドあるいは消費者マインド、これをもっと積極的なものにしなければならないということが、今私が経済を、景気というものを非常に心配し、そして不況というようなことにならないように、やはりその前に先手、先手という手を打っていかなければならないということを考えておる理由です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/45
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046・岡田利春
○岡田(利)委員 九一年度は政府の見通しどおりいっても、内需は二・九、海外余剰が〇・八、こういう内容であります。先ほど言ったように、げたは倍ぐらい違うというようになってしまう。今度は海外余剰をマイナス○・一だ、政府の場合は。したがって、三・六の内需によって成長しなければならない。しかも三・五というものが努力目標であって、ある要因があれば達成しなくてもいいというのであればまた別ですけれども、何かもう既にブッシュさんとの話し合いでも国際公約をしたようなにおいがあるわけですね。そうすると、やはり三・五%の実質経済成長を九二年度はきちっとやるということになると、政府は相当腹を決めてかからないといかぬのではないか。しかもタイミングを逸すると、一年間のことでありますから、政策が後手になってしまうと効果が出ないという形で終わってしまう。そういう点では今年の経済の運営は非常に目を離せない状況が初めから終わりまで続くであろう、こう私は理解をいたしておるのであります。渡部通産大臣は、豊かな生活を築くために経済の発展が必要である。でしょうが、経済というのはあくまで手段でありますから、人間の幸せを築くために、そのために完全雇用や物価の安定を図って、そして公正な社会、人間の幸せを築くための手段でありますから、そういうスタンスで今年一年間の経済の運営に当たられるように私は強く期待をいたしておきたい、かように思います。
そこで、今通産大臣が触れられた金融問題なんですね、単に公定歩合の問題だけではなくして。今日の状況を見ると、金融界自体がバブルの後遺症を非常に受けて、言うなれば意欲といいますか、もう経営者自体が冷え込んでおるという状況も長く続いておるわけであります。そういう点から考えますと、まず当面の金融政策を一体どうするのか、あるいはまた金利の関係を見ましても、言うなれば銀行の調達金利と貸出金利、この差も何か銀行側が保留しているのではないかという数字が、数字上から判断すれば、そういう面もどうもうかがえるわけであります。そういたしますと、やはり今すぐ金融関係の改善をやらなければならない、こういうものについてもう少し敏感でなければいかぬと思うのですが、御認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/46
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047・野田毅
○野田国務大臣 今、金融のお話でありますけれども、かつてのようないわゆる規制金利万能時代ではなくて、市場機能が金融の世界に今非常に広がってきておるということはもう御案内のとおりでございます。
そこで、例えばでありますけれども、昨年の四月とこのところで比較をしてみますと、いわゆる短期市場金利、これが昨年の四月一日が七・八五%、これはCDの三カ月物でありますが、一昨日では五・一五、したがって二・七〇の金利の低下、あるいは短期プライムも二・三七五の低下、それから、変動長プラですが、これがやはり二・三七五の低下、長プラは一・七%の低下、この間公定歩合は昨年の七月以来一・五%の低下ということでありますから、そういう意味では公定歩合の引き下げ幅を超えた、上回るいわば金利の低下傾向ということは市場の中では達成されておるということは言えると思います。この二月に入りまして、さらに金利低下傾向が浸透を今なおしつつある状況にあるということは言えると思います。
ただ、そういう中で、今お話がありましたいわゆるバブルの後遺症といいますか、これはかなり、もうざっくばらんに申し上げて、私はやはりあるような印象を受けております。これは借りる側からすれば貸し渋りに見える。一方で金融機関から話を聞くと、いや、適切な事業がないんだという意味で逆に借り入れの申し込みが少ないんだということになっておる。これは実態をいろいろ調べておりますけれども、どちらかといえば、過去のバブルと言われたような時代にはかなりの金余り現象でありましたから金融機関の方から、多少事業計画が甘いものであっても、担保さえとっておけばどんどん貸したというような事態があったように思います。しかし、昨年来のいろいろな金融不祥事というようなこともこれあり、今は事業計画に対する審査が数年前に比べるとかなり厳しくなってきておるというようなことが借りる側からすれば貸し渋っておるのではないかというような印象になっておるということも言えるか。そういう意味で、いろいろ貸し出し態度、それの是非、善悪は別として、今までの担保さえあればどんどん貸していたというような状態に対する反省から、かなり事業計画についての審査がより重点を置いて行われておるということは言えるのかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/47
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048・岡田利春
○岡田(利)委員 今答弁がありましたけれども、私の手元の資料では、銀行の調達金利と銀行の貸出金利、言うなれば、確かに金利は下がっているのでありますけれども、その差がどうも目につくのであります。もう少し銀行側の保留を下げて金利を下げるという努力は当然しなければならない課題であろうということを申し上げておるのであります。
同時にまた、産業金融の問題では、バブルの中で資金調達をどんどんどんどん進めてきた。だが株価の、株式の状況は御存じのような低迷状態から脱し得ない。下手するとダウ二万円を割らないとは断言できないという心配もなきにしもあらずという状況であります。だがしかし、企業はいずれにしてもエクイティー債の返済に迫られる時期を迎えるのでありますから。ある調査された報告によりますと、九二年には大体五兆円の返済、来年度は十一兆円に及ぶ、こう言われておるのであります。そういたしますと、この資金の調達が円滑にいかなければ経済の活性化を図ることができませんし、また設備投資の拡大も望まれないわけであります。したがって、この産業金融の円滑化のために今早急に手を打たなければならない側面が出てきているのではないか。特にこれは産業政策上重大問題だと私は理解するのですが、通産大臣の見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/48
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049・渡部恒三
○渡部国務大臣 おっしゃるとおりだと思って一生懸命努力をしておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/49
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050・岡田利春
○岡田(利)委員 経済企画庁長官も、今の通産大臣の答弁で何かつけ加えることがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/50
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051・野田毅
○野田国務大臣 産業金融の環境が改善されるような努力をするということは大変大事なことであると思っております。
ただ、今御指摘がありましたかつてのいわばエクイティーファイナンスによって本当に極めて低いコストで資金が調達できだというのが、今回、これから後、償還だとかいろいろなときに金利のつく形に変わっていくということを考えれば、経営者の頭が痛いということはよく理解ができますけれども、ある程度の金利コストが伴うということはやむを得ないことなんだ、やはりそれを前提にした産業活動を考えていかなければならぬということであると思っております。
そこで、株式市場の問題についてやはり大事なことは、基本的には市場機能というものを人為的に強引な形でいろいろやるということは、かえって健全な株式市場の発展を阻害する要因になりはしないか。そういう中で、大事なことは、将来に対する一つの経済のコンフィテンスをどう確立していくかということであり、そして一刻も早く株式市場に対する投資家の信頼感を回復するということである。そういったきめ細かい地道な努力が必要なことではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/51
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052・岡田利春
○岡田(利)委員 宮澤総理は、既に、株式市場の信頼感を回復すること、同時に活性化する面について指示を出されておるわけですね。どういう検討が進められておるのか定かではありませんけれども、今経企庁長官の言われた言葉からいうと非、常に難しい、対応が難しいものだと私は思うのであります。
だがしかし、我が国のファンダメンタルズからいって今、株式市場の正常のあるべき水準、言うなれば理論的株価といいますか、こういう点について触れて何か述べることができますか。もし何なら通産大臣でも結構ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/52
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053・野田毅
○野田国務大臣 私も不勉強でして、株価が理論的に今幾らぐらいがいいのか、適当なのかということを申し上げる段階にはないわけですが、ただ、取引の株数が二億株前後ぐらいで低迷しておるということはやはり正常ではないというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/53
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054・岡田利春
○岡田(利)委員 いずれにしても、産業の活性化のためには転換債を本当は株式に転換できると一番いいわけですね。これができないところに問題があるわけであります。ですから、そういう意味では無関心ではおられない非常に重大な問題である。ある人は、理論的株価は二万七千円から二万八千円ぐらいの水準かなという、民間のエコノミストが意見も述べておりますけれども、過去の三万八千円なんということはとてもじゃないけれどもこれはバブルの現象でしょうから、なるほどこういう民間のエコノミストの意見はまあ妥当な線かな、説得力がありますね。そんな感じが私はするのであります。
そういう意味で、宮澤総理の指示というもの、打つべき手があるならば、信頼感の回復はもちろんでありますけれども、きのうのような事件があるとまた信頼感を落としますね。非常に残念なことなんですね。いずれにしても、これは非常に重要な経済運営のポイントでありますので、関係大臣の御勉強を特に私はお願いを申し上げておきたい、かように思います。
そこで、経済の見通しの問題については先ほどもいろいろ質問がありました。私は、やはり昔から経済の動向というものは景気の悪いときも、いいときも中小企業が一番敏感に反応する。泣いても笑っても目じりにしわが寄るように、中小企業というものは敏感に反応する、こう言われておるのであります。ですから、角度を変えて中小企業のいわゆる景気動向といいますか、この面から判断することも一つの方法じゃないかと思うのですが、通産大臣、我が国の中小企業の景気の現状についてどういう御認識を持たれていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/54
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055・渡部恒三
○渡部国務大臣 今回の経済の動き、過去に私どもが経験しているものと若干変わっておりますのは、普通は地方が不況になってだんだん中央が不況になるということが多かったのですけれども、今は東京あるいは名古屋といったような大都市圏が特に非常に強い不況、また大企業と言われる基幹産業、主要産業、これが軒並み減産、減益、そういう中で当然中小企業、下請企業、これに影響しないわけはありませんから、今残念ながら中小企業も売り上げは鈍化するし収益率も減っていくし、中央の景気が地方に蔓延していく心配がございます。特に、弱い中小企業は影響するところが多いわけでありますから、今度も昨年の補正予算でも、厳しい財政の中で中小企業あるいは繊維といったような予算を確保するとかあるいは財政投融資を大幅に伸ばすとか、また今御審議をいただいておる予算でも、中小企業の予算を十一年ぶりの上げ幅で伸ばさせていただくとか、あるいは財政投融資によって中小企業関係の金融を確保するとか、きめ細かい中小企業対策を行って、この現在の経済の減速の中でできるだけ中小企業の活力をさらに発展させていくために努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/55
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056・岡田利春
○岡田(利)委員 中小企業関係においても新たな景気判断の調査、いわば中小企業景気早期追跡システム、ラピッドサーベイシステム、RSSですか、こういう導入を決められたり、景気の後退局面に当たっていかにして迅速に現状を把握するかというときに、今まで一カ月間かかっておった調査を短期間でやるとか、調査対象も逆に百社から四百社にふやす、こういう方向で景気の動向の把握に努めるという新しい方針も出されておるようですね。したがって、今通産大臣から答弁がありましたけれども、中小企業庁長官、こういう方向に調査をさらに前進をさせた意義について承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/56
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057・南学政明
○南学政府委員 お答えいたします。
私ども、今大臣がお話しいたしましたように、中小企業の対策というのをきめ細かく適時適切に実施していくことが肝要かと思いまして、昨年、新しい中小企業の簡便な動向調査を実施することにいたしまして、対象数は三百社程度でありますが、三カ月に一遍電話で話を聞いたり、そういう機動的な調査方法で動向をつかむための努力を開始したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/57
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058・岡田利春
○岡田(利)委員 経済企画庁も六年ぶりで今度は経済指標の動向指標についての研究会でいろいろ指標の内容について新たな検討をするということで、研究会が発足をするようにも承っておるわけです。諸外国の場合と比較して、特に我が国の経済動向の把握のための指標について、何か特段ここで御説明願えるものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/58
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059・土志田征一
○土志田政府委員 お答えいたします。
先生御指摘の景気動向指数の問題につきましては、御指摘のとおり専門家の先生をお願いをいたしまして、その採用指標が適当であるかどうか、最近の経済の構造変化等を踏まえましてどうかということを検討を始めていただいてございます。
今お尋ねの諸外国と比べてどうかということでございますが、基本的な統計につきましては、我が国の統計は非常に精度が高いというようなことが言われております。それから、例えば国民所得統計、GNP関係ですとアメリカあたりは非常に早く出しますが、同時に毎月すぐ変えるというようなことをやっております。私どもはどちらかというと正確さを重んじるものですから、その点は少し速報性に欠けるというようなこともございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/59
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060・岡田利春
○岡田(利)委員 今日、情報化時代ですからね。民間だって五十三機関ぐらい、どんどん自分たち の経済見通しについて発表するわけですね。政府の方は、もちろん極めて慎重なわけですね。民間の方は、何というか自由闊達に、予測については活性化していますね、物すごく。したがって、景気動向の判断についてもそういう情報がどんどん入りますから、政府が物を言わないとそういう民間の予測について非常に関心を持つという傾向もあるわけですね。例えば、公定歩合の問題だってそうでしょう。第三次公定歩合を引き下げた、十二月の末に。そうしたらもう翌日あたりから、正月早々もう一回あるであろう、第四次があるであろうということがだあっと広まるのですね。もう一回あるならばちょっと待とうかというのが当然じゃないでしょうか。特に、日本の経済運営は心理的影響を大きく受ける面があるんだと思うのですね。
そういう情報の中で、政府は経済の運営をしなきゃならぬということをもう覚悟しておかなければならぬのではないでしょうか。その覚悟なくしては機動的に政策を展開することは難しい時代に入ってきておるというのが私の認識なんですよ。バブルの場合でもそうなんですね。顕在化しないものがある。なかなかそれは出てこない。いよいよ追い詰められてから出るわけですね。何か政治家の汚職と似ておるわけですけれども、追い詰められて証拠がないとなかなか物を言わない、そういうことがあるわけですね。こういう私の実感は、大臣の実感と余り変わりはないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/60
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061・野田毅
○野田国務大臣 若干民間の経済研究機関の予測というものと政府の我々の見通しといいますか、判断というもののタイミングのずれということはよく指摘される。これはある程度、民間の場合は性格上いわば天気予報で済むわけですから、私どもは天気予報というわけにはいかないし、雨が降るぞというならば傘も用意しておかなきゃならぬということになるわけですから、そういった点で、若干この判断において我々は慎重であって当然であるし、そうなけりゃならぬと思っております。
ただ、タイミングのずれということについては、大体いろいろな経済指標、もちろん遅いものは三カ月おくれのものもありますが、最近、御案内のとおり、かなり一月前の指標、最新の指標をどんどん取り入れて、その指標に基づくだけでなくて、実際に年に何回か各地方にまで足を運んで地方の実態を十分調査をする、あるいは地方経済の動向を把握をする。さらにまた、一線で経営しておられる産業界の皆さんの皮膚感覚を取り入れる。そういったことを総合的に見ながら実は判断をしておるところでありまして、そういう点で、私は今の認識についてはそれなりの自信を持って国民にお示しを申し上げるという体制になっておることだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/61
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062・岡田利春
○岡田(利)委員 資本主義経済というのは、多少バブルというのは側面的にあるものであって、それが放漫な政策をやると大きくなって破裂をするということになるものだと思うのですね。インフレなきということはバブルなきと、こう思えばいいのではないかと私は思うのであります。それだけにこの新しい計画、特に出発点は九二年度でありますから、ここへの政策の展開というものはやはり二十一世紀を展望することになるのではないかと私は思うのであります。午後からその点について質問いたしますけれども、一点だけその前に。
我が国は貿易立国である。ガットの問題でもそういうせりふを随分政府も言われておるわけですが、私もそうだと思うのです。ただ、我が国だけではなく、先進国家の中では貿易立国の国はあるわけですよ。ヨーロッパなんか典型的なものでしょう、資源がないし。ですから、そういう意味では、我が国以上に貿易立国。今世界で一番輸出の多いのはこれは日本じゃないでしょう。アメリカでもないのじゃないですか。どこでしょうか。――いいです。一九九〇年の輸出を見れば、ドイツは四千百一億ドル、アメリカは三千九百八十五億ドル、日本は二千八百七十五億ドルじゃないですか。したがって、GNP対比で、ドイツの場合には二七・三%になるわけです。世界貿易の一割を、輸出の面ではそういうウエートを占めておるわけですね。なぜこのドイツが摩擦を起こさないで、そう日本みたいにしょっちゅう摩擦を起こしてないですね。日本は毎年毎年のように貿易摩擦が起きる。そして、経済がちょっと下降ぎみになると外需依存がばあっと強まっていく。簡単にも
う強まって、今年まさしくそういう特徴が出ているわけです。そしてまた、アメリカあたりからいろいろ注文がついてくる。やはり経済運営の基本的原則なんですよ。ポリシーなんですよ。それが確立されていないからですよ。日本が一千億ドルも貿易収支が黒字だったら、どこかが一千億ドル赤字になるわけなんですから。幾ら自由貿易とはいえ、地球という一升ますの中で我々は生きているのでありますから、地球的規模で貢献すると言うならば、そういう立場でも貢献するという姿勢、ポリシーがないとこれは解決しないのではないでしょうか。ここだけを聞いてまた午後につなぎたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/62
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063・野田毅
○野田国務大臣 その点は全く同じ認識でございます。やはり、輸出大国であると同時に輸入大国でもなければならぬ。輸出大国だけであってはいかぬというのはまさにそのとおりだと思うのです。そういう点で、それをマクロ政策だけに依存をするということにも限界がある。そういう点で大事なことは、地味なようでありますけれども、いろいろな規制緩和なりやはり構造問題を日本においても徹底的にやっていかなければいかぬ。そのことが結果としては国際的な協調ということと同時に、また内外価格差問題等の問題についても、いわゆる国民に対してもプラスの結果になる、このように思っておるのです。ただ、プラザ合意前の状況と今日とを比べますと、大体経常収支ベースとGNPの対比でいきますと、たしか四・四ぐらい経常収支の比率があったのですが、その後大幅な為替の調整があったということから、今おおむね二%弱程度というような姿になってきておるということは言えると思います。しかし、さらに一層輸入拡大ということに力を入れていかなければならない問題であると認識をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/63
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064・渡部恒三
○渡部国務大臣 今、企画庁長官の方からおおむね申し述べられましたけれども、まさに日本の経済の急激な変化を私今痛感しておるわけですが、かつては、岡田先生も私も若い時代は、輸出促進、国産愛用、こういうことが国の政策、国是のようで、新聞を見るたびに貿易赤字ということで、いかに外貨を稼ぐかということで必死になっておったのがついこの間のような気がいたしますけれども、今やまさに世界の中の日本というものの経済、これを考えると、私が今一番頭を痛めておるのが一千億ドルの貿易黒字であります。
したがって、私、就任早々から産業界の皆さんに向けて、ビジネス・グローバルパートナーシップ、ぜひ輸入促進に協力をしてほしいということを訴え続けておるわけですけれども、ジェトロというような機関も、御案内のようにかつては輸出促進のためにできた機関でありますが、今やまさに輸入促進ということのために活躍をしておるということで、やはり日本の経済も生きていかなければならないし、それは世界の経済の中での調和ある発展でなければならないということで、通商政策を進めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/64
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065・武藤山治
○武藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/65
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066・武藤山治
○武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡田利春君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/66
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067・岡田利春
○岡田(利)委員 午前中最後に、ドイツの貿易先進国家としての問題について若干触れたわけであります。
私は、戦後の日本は、アメリカの物心両面にわたる、また、産業の技術あるいはまた経済的な面においても大変な援助を受けながら経済の再建を果たしてきた、そのアメリカの努力に対しては、率直に評価をいたしておるのであります。
ただ、今、日本の経済のかじ取りをする場合に、今でもなおかつアメリカだけを見ておるのはいかがなものか。今、我々は二十一世紀を展望する場合に、そろそろこの辺でモデルとは言いませんけれども、ヨーロッパというものについて、ヨーロッパの諸国について重大な関心を持たなければならぬ時期に来ているのではないかな、このように私は思うのであります。
私も一九五四年の年に、ドイツに実は一カ月間いたことがあるわけです。まだ吉田内閣の時代で、外貨のないころでありました。そういうような関係で、当時の西ドイツの敗戦の中からの復興ぶり、肌をもって実は感じておる一人でもあるわけです。そしてドイツは、戦後ああいう侵略戦争の反省の中から、言うなれば国のこれからの目標を、ナチス・ドイツのああいう反省の中から新しく設定をいたしまして、言うなれば経済、政治、すべてがこれからは国民のものでなければならない。したがって、福祉豊かな経済社会をつくるためには、社会的市場経済の原則に立ってドイツの再建を図る、やはりこういうきちっとした意思統一のもとに出発したように私は思うのであります。したがって、ドイツの場合にはフランスやイギリスと違って国営とか、そういう手法はとりませんでした。言うなれば、あくまでも民営という立場で市場経済に経済の基礎を置いてこれを築き上げていく、そういうポリシーを明確に定めて、マーシャル・プランを受け入れ、ただ手法としては労働者と一緒になって国を築こう、だから共同決定法という法律が定められ、また経営組織法という法律が定められて労働者の代表も経営に参画をする、独特なそういう制度を築いて今日の経済を築き上げてきた、こういう経過が実はあるのであります。
私はそういう意味で、今回の宮澤さんの生活大国、大国が悪ければ生活先進国家で結構でありますけれども、生活先進国というならば、やはりドイツというものについて、ある一定の卑近な目標に置けるのではないかなというのが私の意見であります。そういう意味で、日本と西ドイツを比較して、我が日本としてもこれからの経済政策を進めていくに当たって学ぶべきことがあるのではないかなというのが私の意見なのであります。私のそういう意見について、経企庁長官はどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/67
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068・野田毅
○野田国務大臣 基本的には先生御指摘のドイツがいわばお手本といいますか、参考になるという考え方はそのとおりだと思います。
ただ、いろいろ経済運営のみならず、やはりいろいろな政治環境、それから、歴史経験の相違、さまざまなことがああいうドイツの今日までの歴史を見ておると、やはり日本と異なっておる部分もある。そういった点で日本がややもすれば、私は大事なポイントだと一つ感じておりますのは、外から見て閉鎖的な印象を与えてしまっておる。そういう点で、ドイツの場合は、ああいうヨーロッパ社会の中でお互い攻めたり攻められたり、勝ったり負けたり、ヨーロッパの中での物の移動、資本の移動だけでなくて人の移動といいますか、そういった形では、一時期は別としてかなりそういう国際社会の中において生きていくということが国民レベルにおいていわば訓練されてきておるということも大事なことである、日本の場合を考えますと、長い歴史の中で比較的純血主義というと語弊がありますけれども、そういった一緒に住んでいくという経験が乏しいわけであります。特にこれから二十・一世紀を展望していくと、もちろん外国人労働の話だとかいろいろある士思います。我々国内においてもかなり閉鎖社会的な要素が現実に強い、そういった事柄をもどういうふうにこれを乗り越えていくかということも私は非常に大事な課題であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/68
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069・岡田利春
○岡田(利)委員 野田長官の御意見に私も同感であります。それだけに戦後処理の問題等も非常にきちっと各般にわたって処理をして、あの地域社会、国際社会の中でドイツの繁栄を考えていく、そういうところもきちっとやはり整備されておるのも、今述べられた認識の中から出ているのではないかなと私は思います。
ただしかし、例えば労働時間一つ取り上げてみましても、まさしく労働時間先進大国ドイツ、先進国家ドイツだ、こう言われるくらい労働時間は、アメリカあるいはイギリス、フランスを上回って先進的に働く人々のゆとりというものについて考えてきたと思うのです。しかも、労働時間を考える場合に、私、かつて中曽根内閣のときに、中曽根総理大臣に労働時間の質問を予算委員会でしたことがあるのですが、そのとき中曽根さんはこう言いましたね。労働時間の短縮は大事だけれども、今日本で一番大事なのは有給休暇を完全に取得をさせることだ、有給休暇ですね、この取得をさせることであるということを言ったのですよ。私は、中曽根さんは余りよく知ってないんじゃないかと思いましたね。有給休暇をとりたくてもとれない状態にある。今日もそうですね。十五日間のうち大体八日間で、あとの七日間は全産業平均では残しているというような実態であります。じゃ、中曽根さん、そこまで言うならばイタリーの憲法のように有給休暇をとらせなきゃならない、とらせることが義務だ、このように基準法を改正したらいかがですかと言ったらば、余り明確な答弁がなかった記憶があるのであります。その点、ドイツの場合にはすべてにわたって非常に明確に定められています。これは一遍にここまではいきませんけれども、例えば日曜日はもう働かない、休むという原則がきちっと確立されているわけですね。だから、原則じゃないのですよ。日曜日は働くことを厳禁するということなんです。禁ずるのですよ。残業については日数、時間を厳しく制限する、そして経営者は残業させた場合にはペナルティーとして七五ないし一〇〇%払う、とれもきちっと合意として確立しているのですよ。そして労働時間の関係については、平均で年間千六百三十八時間でありますから。特に製造業においては千五百時間なんですよ。一週三十七ないし三十八時間、これがドイツの労働態様の実態なのであります。日本の話をすると恥ずかしくて話ができない。それで経済大国だ、経済一流国だと威張っているのですから、よほど無神経な日本人だ、こう言われるのは私はやむを得ないと思うのですね。
そういう意味で考えると、日本の場合に有給休暇をとらせるのであるならば、有給休暇は当然とらせなければならない。ドイツの場合には有給休暇は六週間ですから、四週間と二週間それぞれまとめてとらせなきゃならないのですよ。義務なんですよ、これは。だから、経営者は従業員のそういう二週間、四週間の有給休暇をとらせるための番割り、このために一人の人が専門に担当しているという状況なのであります。実は私の子供も一人、バイエルジャパン、バイエルの会社におるわけですから、よくそういう労働態様については私自身も見ておるのであります。
そういう意味で考えますと、この水準まで日本の国の労働態様を持っていくのに、一生懸命やって何年かかるとお思いでしょうか。渡部通産大臣、どうですか、これ。ドイツ並みに持っていくといったら何年かかるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/69
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070・渡部恒三
○渡部国務大臣 今、ドイツの話がありました。確かに私ども、ドイツの戦後四十七年間、東西が分割された中で今日の繁栄を築いてきた、いろいろ学ぶべきところも多いのでありますけれども、学ぶということは全部そのとおりに受けるということでもありません。やはり、こういうようなことであってはならないなという反省もこれは学ぶうちに入ります。ドイツは今先生御指摘のように先進諸国家でも最も早く千六百時間という時短を達成した国ということでありますけれども、先般、私ドイツに寄って、いろいろドイツの経済、これから、苦労しておられることを話を聞いてまいりまして、全部何もかもドイツのまねをしていいのか、ドイツがこういうふうに抱えている悩み、これはまた我々の反省点にしなければならないなというようなことも考えてまいりました。非常にドイツの経済も難しいところに立っております。したがって、今、ドイツのとおりに時短をいつまでに進める、こういうことは、今の日本の産業、経済を預かる立場の大臣として残念ながら明確なお答えができないことをお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/70
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071・岡田利春
○岡田(利)委員 我が国は特に労働時間については一九九二年度中に千八百時間を達成目標とする、これは国際公約でしょう。ところが、最近何か言い方が変わってきて、千九百時間ちょぼちょぼ、アメリカ並みになんという、これは今世紀かけてというようなことがちらほら政府の方々からも漏れてくるようになっていることが気がかりであります。経済計画を策定してこれから生活先進国家を築いていくという視点では、そういうばかなことはないんだと思うのですね。公式的にはどうなんでしょう。労働時間にはどういう目標を設定して今臨もうとしているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/71
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072・渡部恒三
○渡部国務大臣 我が国の時短目標は千八百時間ですから、これに向かってその達成に努力していかなければならないのは当然だろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/72
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073・野田毅
○野田国務大臣 御指摘のとおり、現在やっております経済計画の中では平成四年度中に千八百時間目標、こういうことでございます。しかし、現実にどうかと問われれば、率直にこの点は極めて難しい状況にある。
そこで、新しい経済計画の中でもちろんこの点についても十分検討していただかなければならない大事な事柄であると思っておりまして、今の段階で何年度を目標に何時間ということを今ここで明確に申し上げることははばかられるわけでございますが、多少今までの過去の歩みを見ると、毎年大体五十時間ずつぐらいは短縮されつつあるということでありますが、このテンポがいいのか悪いのか。現在の我々が考えております望ましい姿から見ればテンポが遅いのではないか。したがって、少なくとも平成四年度の早いうちに、完全週休二日制あるいは四十四時間体制であるとか有給休暇の取得割合を高めていくとか、いろいろな事柄をこれは官民挙げて努力をしていかなければならぬ事柄であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/73
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074・岡田利春
○岡田(利)委員 目標を設定してそれに挑戦する場合に、そういう意欲を持つ場合にまた新しい技術革新を生み出すものなんですね。不況のときに逆に新しい技術革新が生まれてくる。私はそういうことを自分自身の人生の体験を通じても、石炭なんかの場合でも条件がいいと技術革新は進まない、条件が悪いとそれに挑戦をして技術革新が進む、そういうことがあるのだと思うのです。したがって、そういう目標を設定してそれを達成するためにどうするかということを考えていく、そういう前向きの姿勢がこの場合には非常に大事だと私は思うのです。
ところが、もう一つ最近後ろ向きの発言が聞こえるのは、例えば。日本の賃金は非常にもう高い、アメリカを抜いて今や世界第一位である、今米国は週十・一八ドルだ、日本は十一・七四ドルで一・五六ドル高い、相当な社長さんでもそう言いますし、政府の中でもそういうことを言う方がおるわけです。まことにお恥ずかしい話だと私は言わざるを得ないのであります。最近の労働分配率は、日本が七六・四、アメリカで八〇・八、イギリスが八一・二、そしてドイツは八八・八%、こういう労働分配率が出ておるのであります。ちなみに、ドイツと日本の時間当たりの賃金を比較した場合どうなるでしょうか。私の調べたあれでは、一時間当たり総労働費用は、ドイツの場合には十七・五五ドルになるのですね。日本の場合には十二・六三ドルですよ。ドイツが四〇%、四割高いんですよ。時間当たりで見ないで、残業をやらせて、その統計でなおかつ隠れているのはサービス残業だとかあるわけでしょう。そういうものが日本の場合に残されていて、しかも時間当たりの賃金で計算してこのとおりなのですね。ですから、そういう意味で、日本の労働賃金が高いなどと言うのはまことに内実を知らない人間の言うことだということに、残念ながらなるんだと私は思うのですね。
そういう面から考えてまいりますと、今度の春闘も経済の運営に非常に重大な関係があります。これは毎日新聞で何かアンケートをとった中に、通産省の産業政策局長山本幸助さんが答えられている内容があるのですが、私、これは立派だと思うのですよ。例えば、今春闘について最大の争点は何か、これに対して、山本さんは賃上げと時短との両立とバランスが大事である、二兎を追わなきゃならぬということをはっきり言っているのですね。それから、今春闘のキーワードとして生活大国のシナリオをどう描いていきますかという質問に対しては、山本さんは見かけの豊かさよりも実質的な豊かさへの志向が最も大事だ、こう答えているのですね。もう見かけではだめだ、実質が大事なんだ、こう答えておるのであります。これは今政府の経済担当で、経済成長を巡航速度へ持っていこうとする人も、まじめな人の意見は大体この意見ではないかと私は思うのであります。
そういう意味で考えますと、この山本さんの意見というのは、通産省あるいはまた経済企画庁の皆さんの御認識ともほぼ同じではないかと思うの、ですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/74
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075・野田毅
○野田国務大臣 基本的な認識は同じであると思っております。
実は、先般日経連の幹部の皆さんとお話をする機会がございまして、そのときに日経連の皆さんからは、今のような状況の中ではもう時短で手いっぱいで賃上げの方は余り期待してくれるな、こういうお話があったのですが、私はあえて三兎を追ってもらいたい。時短、賃上げ、そして生産性向上、あえて三兎を追ってもらいたいということを申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/75
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076・岡田利春
○岡田(利)委員 私はそういう意味で、今長官から御答弁もありましたけれども、長官は三兎をと、一兎をつけ加えまして、これは同義語みたいなものですから結構だと思います。
その場合に、やはり時間外労働と所定内労働の関係、それとベースアッブの問題、もう一つはやはり今年度の消費者物価指数がどう働くか、恐らくトータルして大体六十一年度並みに推移するであろう、こういう見方が強いのではないか、私はこう思います。今言われた長官の見方も大体そういうところをにらんで御発言かと思いますが、いかがでしょう。
〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/76
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077・野田毅
○野田国務大臣 ちょっと聞き取りにくかったのですが、六十一年度並みとおっしゃいましたか。(岡田(利)委員「九一年度」と呼ぶ)昨年並みということですか。私自身なかなか具体的にどういう水準がいいとかなんとかということをこれは政府の立場で、今まさに労使間でその辺をお話し合いをされようとしておる最中でありますので、なかなか具体的な姿について言及することは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、基本的には先ほど来トーンとしていろいろ御指摘がありましたそういう点を踏まえて、ひとつ労使の間で適正に決めてもらいたいと念願をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/77
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078・岡田利春
○岡田(利)委員 ぜひ、これから二十一世紀に向けてゆとりと豊かさと公正な経済社会を目指すという意味では、アメリカとは大変重要なパートナーでありますけれども、やはりそういう同じ貿易立国であって既にそこまでの水準に到達しているモデルがあるということも念頭に置きながら、これからの我が国の経済の運営を図ってほしいということを申し上げておきたい、こう思います。
先ほど御質問がありましたけれども、日米首脳会談の内容で、自動車問題が取り上げられております。この問題は先ほど大臣は、我々が言うと管理貿易になるが、民間が自主的にやることは管理貿易にはならない、こうおっしゃったわけであります。だが、その前に基本が問題ですよ。どんどん車が売れるからといって、安いから、しかも性能がいいから売れるといってどんどん各社シェアの拡大で軍をつくり上げて、そして対日貿易の赤字、日本が六割を占めて、その六割を自動車が占めている。そうすると、アメリカの赤字の三割は日本の自動車が占めている、三分の一は。こういうやはり企業行動が問題ではないでしょうか。そこを解決しないと、世界に尊敬される経済先進国家にはならないと私は思いますね。集中豪雨的輸出を、もし逆に日本がそういう状態に直面したとすれば、通産大臣どうしますか。ディフェンスで、専守防衛でこれは何かやらなければいかぬでしょう。常識だと思うのですね。それは、国家の意思とか企業の意思とか、そういうものをトータルしてこの相互依存、相互協力の国際経済の中でお互いに共生しているという一つの生きざまじゃないでしょうか。それをきちんと、我が国の国際経済の一員としてのアイデンティティーを確立しなければ、いやそれは直接言わないから管理貿易だとかなんとか、それは言わないといったって実質管理貿易ですよ。もうずっと伝統がそうでしょう、全部突出輸出は。繊維から鉄鋼からVTRから、もう全部そうでしょう。今、工作機械もそうでしょう。最近工作機械もだから技術革新がおくれるのですよ、やはりぬるま湯につかるから。そうではなくして、節度ある競争をする。そういう点について、我が国は欠けるものがあるのですね。これは重大な反省として速やかなる反省をして、そういう企業行動がきちんととれるようにならなければいかぬのではないでしょうか。通産大臣の御感想をひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/78
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079・渡部恒三
○渡部国務大臣 過去の長い歴史を振り返ると、それは貧しい時代から立ち上がる日本、がむしゃらに走ってきた時代もあったわけでありますけれども、今や日本の経済的な立場というものが世界の中で非常に大きな役割を果たすようになったわけですから、私どもは世界経済の中での調和ということを十分に考えて我が国の経済を進展させていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/79
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080・岡田利春
○岡田(利)委員 私極論を言うと、このような集中豪雨的輸出を平気でやる、そういう企業行動は反社会的と断じていいのではないかと思うのですね。決してこれは許されるものではないと思いますね、国際経済の中では。そのくらいにやはり厳しさを持って国際経済社会の中に我々は共生していかなければいかぬのではないでしょうか。何か売ればいいんだという主義の人がおりますけれども、過ぎたるは及ばざるがごとしという反省はこれは我が国古来の言葉でありまして、十分自戒をしなければならない問題だ、かように思います。今回の三・五%の問題あるいは自動車の部品の問題あるいはアメリカ車の販売の問題、いずれも我が国の民間が協力をするという体制になっておりますが、これが確実に実行されて日米双方にどういう経済的な影響が結果として出るでしょうか。そういう試算がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/80
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081・渡部恒三
○渡部国務大臣 これは先ほど先生おっしゃったように、これはアメリカも大事ですし、ECも大事ですし、またアジアの諸国家がさらに大事でありますから、世界経済全体の中で私どもは調和ある発展を図っていかなければなりませんけれども、日米関係がその中で大きなウエートを占めていることは厳粛な事実でございます。
その中で、ある意味で日米の経済というのは世界全体の経済に大きな役割を果たしているわけですから、アメリカもこれから景気の拡大に努力をしていく、また私どもも三・五%の成長を目標にして内需拡大による輸入拡大に努力をしていくということが基本的なスタンスで、その中でいろいろのことが行われておるわけでありますけれども、私は、これは双方の努力によってお互いに掲げた目標は達成されるべきものであり、また達成させるべく努力をしなければならないし、それから私どもも、産業、経済を担当する行政官庁としてこれが達成されるように見守ってまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/81
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082・岡田利春
○岡田(利)委員 今年度は大統領選挙がございますけれども、アメリカ経済からは目の離せない状態が続くのではないかと思いますね。過去のアメリカの大統領選挙の場合、景気指数というのは必ず高まるのですね。その反動としてまた二、三年下り坂のカーブを描きますけれども、ことしは違うのじゃないでしょうか。総合指数を見ても先行き指数を見ても、何を見ても下手をしたら失速する、そういう時点を描いているのじゃないでしょうか。大統領選挙があるからアメリカ経済は一・五ないし二%の実質成長をするだろうという過剰な期待は、非常に問題をはらんでいるような気も私はするわけです。
もちろん、ドイツの問題があるように、ヨーロッパも大変ですね。しかし、ある程度の成長というものは期待できる。だから国際経済は昨年よりもいい、こう言うのでしょうけれども、いいのは日本を含むアジアですね。世界経済の三分の一を占めてこれは確実に上昇の方向でありますから、世界同時不況ということはそういう意味では起きないだろうと思うのですが、だからといって、アメリカの経済の動向は日本経済に非常に大きな影響がおるのでありますから、そういう点で、別に野党だからといって今度の措置が原則的に反対だとか何とかということで言っているのじゃないのです。要するに、そういうことが起きないように我々は経済運営をしなければならないのだ。そしてまた、余り管理貿易だとかで抗弁しなくてもいいような、そういう体制を不断にすることが大事ですよということを申し上げたいのであります。
そこできのう、ガット・ウルグアイ・ラウンドの問題で通産省はいち早く、鉱工業の関係ですね、一千品目の関税を撤廃する、なかなか鮮やかですね。だが、問題も残っていますよね。皮革製品とかあるいはまた非鉄金属とか、これもゼロにせいと向こうは言っているのですがなかなかそうはいかないでしょう。例えば、非自由化品目であった皮革はこれを関税化にして、そして六〇%の関税をかけてこれを三分の一を下げる。したがって、三割ダウンをさせるのだ。一挙にゼロにせいということになりますと、ほれ見たことかと、関税ならばそうなりますよということになりかねない。他に与える影響も大きいと思うのですね。
そういう意味で、今そういう政策発表をしましたけれども、通産省所管で、ガット・ウルグアイ・ラウンドで今どういう重要な問題点がまだ残っていますか。いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/82
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083・渡部恒三
○渡部国務大臣 前提として先に申し上げさせていただきたいことは、戦後四十七年、これは自由主義経済によって最も繁栄の恩恵を受けておる国は日本でありますから、今世界の中で地域主義あるいは保護主義、自由主義経済の健全な発展を妨げるもろもろの問題が起こっておるときに、我が国は率先してこのウルグアイ・ラウンドを成功させるために努力をしなければならない、これは岡田先生にも御理解を賜れることと思いますが、その中でまたお互いはそれぞれの国益を持ち、それぞれの国はそれぞれの特色ある産業を持っておるわけでありますから、ガットという場は、まずスタート台はそれぞれの国が自分たちの国益を主張して頑張っていくわけですけれども、しかし最終的にはそれらのものを最大公約して一つにしなければならないわけでありますから、全部おれの言うとおりにならなければだめだということでは、これは二つの国の話し合いさえまとまりません。非常に多くの国が集まって、それぞれの利害関係のある中で最大公約数を求めていくというのは、これは大変な作業でありますが、しかしそれを世界のためにも、また日本のためにもやり遂げなければならないというのが我々の今ウルグアイ・ラウンドに対処する立場ではなかろうかと思います。
そういう中で、自由主義経済の伸展に責任を担っておる通産省としては、可能な範囲でこのウルグアイ・ラウンドを成功させるために積極的な協力をするということが今回の私どもの考えでございます。
〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/83
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084・岡田利春
○岡田(利)委員 問題点がまだ残っているということは事実ですね。これは調整の段階でなかなかデリケートな問題もあると思うのです。私は、評論家的に言いますと、ダンケル事務局長が言うなれば合意案なるものを出す以前と今では随分状況は変わっているのだなと思いますね。初めは、まだ国民の前にはどういう内容かということが明確にされていなかったですね。アメリカあたりは関税化のあれで非公式な数字は出しているようでありますけれども。だがしかし、ダンケル提案が出ましたから、それでスポットがぱあっと当たったのですよ。みんなにわかるようになった。アメリカの大統領選挙のさなか、今各団体が、冗談じゃない、ウエーバー十二品目どうするのだ、こういう状況でありますし、あるいはまたECの場合には統合を前にしてそれぞれの国の立場もありますし、また輸出補助金の問題等もあり、これもまた政治的にはそう簡単な状況ではないと思いますね。まして米を抱える日本とか韓国、あるいはまたオーストラリア、カナダ、それぞれを見ますと、政治的には非常に複雑な状況がむしろ倍加されている状況で、見通しは曇り空、薄日じゃなくて曇ってきた、雨が降ってきたというような感じなんですが、これは見解を聞かない方がいいでしょう、言えないでしょうから。私は評論家的にそう見ているのであって、ただ言えることは、極めて慎重に対応すべき問題であって、突出して対応すると過ちを犯すのではないか。こういう私自身の評論家的な意見で恐縮でありますが、そう思うという気持ちを申し上げてここは終わっておきたい、こう思います。
次に私は、最近の産業構造政策の問題について基本的な問題を承っておきたいと思うのですが、かつての重厚長大が軽薄短小、ハイテク化、サービス化へと産業構造は変わっていく。前川レポートなどもあった。しかし、最近のそれぞれの国々の産業構造等を見たり、アメリカあたりの産業体質なども学んでみたり、また我が国の最近の現状からいえば、造船などは大変な今技術革新に基づいて受注が行われて、来年のファーストワンは造船と重工業でしょう、重機でし。よう、これがもうトップでしょう。そういう状況にもうさま変わりしていますわね。今はもう経験労働者を集めているのですよ。そして、中小なんというのはもう大手並みの勢いですね。恐らく日本なんというのはもう造船は賃金が高くて二度と復興しないのであろう、こう言ってきたわけですね。あるいは不況産業の代表の繊維などは、天然繊維の場合には確かに問題はありますけれども、やはり技術革新に基づいて天然繊維を超える化学繊維、合繊が今開発をされる。大変な繊維ルネサンスの時代を迎えているのじゃないかという時代ですわね。いわば、そう言われながらもそれでもそこにまだ産業が存在しておった、そして、多角経営でずっとやりながら存在しておったから、そういう状況の中で技術革新をして、不況の中でも技術革新ができて今日のそういう状況を迎えているという典型的な例があるのだと私は思うのです。そして、ここ十年間、二十年間の我が国の産業構造のウエートを調べてみますとそう変わりはないのですね。
ただ、通産省の新産業ビジョンというのが内部で検討されて、一応の集約がされているわけですね。これを見ると、二〇一〇年ぐらいになると大分ウエートの変わる数字がその中には見出せるわけであります。しかし、そういう研究をすることは非常にいいと思うのですよ。だがしかし、やはり一国の産業経済というものは、素材があって加工されて、そしてそれが生かされていく、そこに流通がある、そこに暮らしかある、そこにサービスがある、こういう総合的なものだと思うのですね。だからそういう意味で、私は余り偏ってしまうと、アメリカのようになってはいかぬよという意味を込めて、アメリカ経済、産業経済のようなああいう構造になってはいけないですよという何か自戒も込めながらこれからの我が国の産業構造のあり方について私の考え方を述べているのですが、通産大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/84
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085・渡部恒三
○渡部国務大臣 非常に造詣の深いお話を承りました。私も今勉強をしておるところでありますけれども、まあ造船などまさに先生御指摘のようについこの間まで不況産業のシンボルのように言われておったものが、今基幹産業、これ軒並み減収減益という中で非常に好況な状態にある。まさに、変化するさまざまな要因の中で生きた産業というものを活性化させていくためには、常に新しいビジョンに向かって私どもは立ち向かい、常に技術革新の努力やあるいは設備近代化の努力や、また新しい時代の消費ニーズに対応していかなければならない。
まあアメリカのことについては、先例もありますから私からのコメントは差し控えさせていただきますけれども、基本的な考え方は、もういつ岡田先生に通産大臣をかわってもらってもいいかなというような感じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/85
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086・岡田利春
○岡田(利)委員 先ほど大臣も触れましたけれども、東京一極集中是正の問題で、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律案、これが提出をされておりますし、また中小企業の関係では集積の活性化に関する臨時措置法案が出されておるわけです。我が国の国土の均衡ある発展のためにいろいろな法律が今までも制定されてまいりました。あの池田内閣のときに新産法、新産業都市建設促進法、もう三十一年目になりますね、もう三十年の時間がたちました。農業基本法と大体同じなんですよ、これは通産省の農業基本法だと私は言っているのですがね。北海道なんかはそのときに四%の面積を一カ所に指定したのですから、これは四%ということは全国土の一%あるのですよ、北海道の四%というのはそのくらいあるのです。それをただ一カ所だけ指定したのですよ。私よくそのときに佐橋さんが局長で、知っていますけれども、しかしこれなんかはもう一つの総括をしなきゃならぬ時期でしょう。農業基本法は今新しい農業の施策に農林省は検討中ですね。あるいはまた低工法とか、そのときですね。あるいはまた、その後に出てきたのが田中総理のときの工業再配置法、これは二十年ぐらいになりますね。もうそういう法律がずっと出てきておるわけですよ。それで今度またこの地方拠点都市法が出てくるわけです。今地方は、北海道のような場合は一極集中の最たるものでしょう、札幌に四分の一おるのですから、東京以上なんですから。それはどこの場合もそういう傾向があるのですね。ですから、小さい県に、近いところにつくっても一緒になってしまうような感じもしますし、非常に問題も多かろうと思うのです。私はそういう意味で、我が国の国土の均衡ある発展・例えばイギリスのように、戦後イギリスは地方雇用法をつくって工場を、産業配置、企業配置をする。フランスでは工場再配置法という法律をつくってパリの周辺に集まったのを全部分散したという政策、歴史を持っているわけですね。そういう意味で、我が国の場合には経済の活力をまず生み出すことが先だという先行的施策が行われてきたと思うのですが、この辺で全体的、体系的見直しをして考えていくという時期に私は来ているのではないかな、こう思うのです。
中小企業の場合にもそうではないでしょうか。基本法初め、初めは組織法ができて、これも長い歴史があって三十数本の法律があって、そのうちに金融関係の法律は、それは金融、別にありますからこれは別として、他の一般的な中小企業の基本法、組織法、そしてまた政策法ですね、これらについてもある程度点検をきちっとしてみる、こういう時期に来ているのではないかなと私は思うのです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/86
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087・渡部恒三
○渡部国務大臣 今先生のお話を承りながら私の過去のことを思い出しておったのですけれども、私はかつて、農協の組合長を三十年前、大学を出たばかりのときやっておったころ、この農業基本法ができるとまさに日本の農業にすばらしい明るい未来ができるように大きな期待を持ったものでございます。また、今新産業都市の話がありましたが、これもちょうどそのとき、私の県でもいわき市と郡山市というところで新産業都市の誘致運動をやりまして、何か新産業都市の指定を受ければそれでもう私の県がバラ色になるような思いをいたしたことを記憶いたしておりますが、その新産業都市の指定を受けた地域がその後テクノポリスの指定を受ける、今、頭脳立地の指定を受けるというように変化をしております。
ですから、これはもう経済は常に大きく動いておるわけでありますから、行政は常にそれに先行していかなければならないわけでありますから、今回、この国会で先生方に御審議を賜っておる多くの法律、またこれから提出して御審議をいただこうと今準備しているものも、まさに今の先生の御趣旨に沿った、例えば二十年前ぐらいは、我々地方の者にとっては工場の地方分散、もう工場さえ来てくれればということに期待感を持ったわけですけれども、まあ今では、やはり業務機能、そういうものも持ってきていただかなければ若者たちが魅力を持って地域に定着しない。あるいはまた、今までの地場産業や伝統産業をもう一遍見直して、いわばふるさと創生の経済版をやるべきでないかとか、また、今いみじくも一極集中の問題で札幌の話が出てまいりましたけれども、私もついこの間まで自治大臣として四十七都道府県、三千三百の市町村を見ておりまして、東京一極集中と同時にそれぞれの地域においてまた一極集中の問題が起こっております。そういう中で、狭い国土の中で、一〇%を超える世界の工業国の日本が、先ほどからも段々御議論がありましたように、豊かな空間を求めてゆとりある生活というものを考えれば、やはり経済、情報、あるいは若者たちの勉強する場、文化の場、こういうものが広く北は北海道から南は九州、沖縄まで均衡ある分散が行われ、発展が行われなければなりませんし、また中小企業も日本の四十七年間の経済を支えてきた非常に重要な中で、今また新しく活力を求めて生きていかなければならない転換期にかかっておりますので、まさに先生御指摘のように、今過去を振り返りながら、二十一世紀、さらにその先の未来を展望しながら経済政策は常に新しく改革を進めていかなければならないものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/87
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088・岡田利春
○岡田(利)委員 政策は先行させ、そして展開された政策はフォローアップしていく。そのためには体系も整備するものは整備していく、こういう気持ちも込められての私は御答弁ではないか、かように存じます。
時間がなくなってまいりましたが、エネルギーと環境の問題を最後にお尋ねしたいと思うのです。
来年、一九九三年は、ちょうど石油でいうとOPECと非OPECが逆転する、またOPECの方が生産が多くなるのですね。来年はそういうクロスする年であるわけです。やはり石油情勢というものは今価格は低位に推移をしておりますけれども、ずんずんタイトになっていくことだけは間違いがないと思いますね。特に我々の自由諸国内では北海油田、今の生産規模でいくともう五、六年ぐらいで枯渇するのでしょうか。アメリカだって十年ぐらい、日本とソ連は今の生産量でいけば十三年ぐらい、こう言われておるわけですね。しかも私は、このエネルギーの消費量というのは、軍拡競争の時代から世界が経済競争の時代に入ったのですから、エネルギー消費も高まると思いますね。特に、発展途上国の場合には、かつて日本と同じように薪炭類がそのエネルギー源になって、世界の木材資源の半分はエネルギー、薪炭として消費されているというのが現状であって、これまた環境問題と重大な関連があるのであります。そして、我々先進国家は、ソ連を含めると油で六七%程度消費をしておりますし、したがって炭酸ガスの排出も非常に高いわけです。その最たるものは、アメリカが世界の四分の一の油を使って、エネルギーを使って、そして排出するCO2も、大体二四・四%アメリカ一国で排出しているのでありますから、このアメリカの協力なくしてCO2の対策は不可能なわけですね。日本は幸い優等生であるという状況であります。
残念ながら、けさの報道では、第五回の折衝はついに物別れに終わって、六月の環境サミットを前にする排出量の一九九〇年レベルで抑えるということが合意に至らなかったわけですね。しかし、日本としては、主導的にこの合意のために努力をするという発言を今日まで繰り返してきたわけでありますから、当然その姿勢を堅持して最後まで努力をされるんだと思うのですね。その点について、今日的状況とこれからの姿勢についてお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/88
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089・渡部恒三
○渡部国務大臣 私はかねがね申し上げているのですけれども、今私どもが未来に向かって、政策努力というものの大とな課題が国際貢献とこの地球環境の問題である。環境問題について今お話がありましたけれども、我々は、振り返れば、間違いなく石油を使って今日の繁栄を築き上げてまいりました。しかし第一次オイルショック、第二次オイルショックという反省の中で、省エネルギーあるいはまた環境をできるだけ汚さないためのクリーンエネルギー、こういった面の努力を一生懸命やってまいった成果は今先生から御指摘のあったとおりでありますけれども、世界に果たすべき日本の国際貢献の大きな柱は、今日の日本の技術をこれから発展していかなければならない途上国の皆さん方に技術移転をするとかいろいろ活用しながら、世界が南北の問題があるとき、まだ工業のおくれておる国々の人たちに今までのままおれというわけにはいかないわけでありますから、開発途上国の皆さん方も豊かな生活を求めてこれから工業化を進めていく、そういう中で美しい地球をどうして守ってこれを我々の子孫に残していくかということについて、日本は積極的な貢献をしていかなければなりません。幸いに、私の先輩の竹下登さん、大変に今熱心に頑張っておられますので、いずれアメリカも我々の考え方に理解を示してくれると思いますので、世界が協調して地球環境の保全のために、さらに我々の経済も発展させながら地球を守っていくという、ある意味では二律背反するものを両立させるために私どもは努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/89
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090・岡田利春
○岡田(利)委員 これから我が国のエネルギー政策は国民の意識の変革が伴わないとならないと私は思います。そういう意味で、エネルギー問題についてはふだんから多くの情報を流し、そしてこれに対する協力、また国自体としても常に資源循環型の経済政策をこれから進めるという視点もより一層強く持っていかなければならぬのではないか、このように私は思います。同時に、世界のエネルギーも有限でありますから、例えば石油ですと中近東に七〇%ある。我々の依存度も非常に高いのですけれども、量的にはアメリカの方がまだ高いわけですからね。そういう点で集中をしている。石炭に関しては、中国とソ連に大体七十数%、これは集中しているわけですから、賦存量は。しかし、一番長い年数をもって二百三十年ぐらいのライフがある。天然ガスの場合には、ソ連一国だけで約四〇%あるわけですね。もう今の状態で日本もどんどんたいていますと、西側の天然ガスは枯渇しますよ。そういう大きな、グローバルな視点から対ソ問題をも考えなければならぬのではないでしょうか。やはりそういう大きな次元で我々は対ソ問題も考え、そして日本ほど一番ポジションのいいところにいる先進国はないわけですね。私、しばしば極東をずっと歩くのですけれども、今極東どこを歩いても、サハリンヘ行こうと、あるいはウラジオストクヘ行こうと、あるいはハバロフスクに行こうと、中国の労働力がもうどこへ行っても多いですね。これは出稼ぎじゃないですよ、中国の場合には。商品借款のような形で労働力が出ていくんですね。そして決済をするわけです。農業でも農場を持ってやっているわけであります。そういうのが非常に顕著に目立つのであります。
そしてロシア連邦、一億四千六百万人ぐらいおるのでしょうけれども、極東には八百万人足らずですからね、実際おる人口というのは。資源は膨大であります。ウラルから越えてもそう大した人口じゃないのであります。五千万人ぐらいじゃないでしょうかね、南西アジアを除くと。そういう意味で労働力は不足だ。しかし中国の労働力が存在をしている、資源はロシア連邦の中にある、我が国はテクノロジーがある、技術がある、お金もあるという意味で、環日本海経済圏というのはこれからの未知なる世界で、果てしなくとは言いませんけれども、大きく発展できる条件があると私は思います。そして、そこに朝鮮半島の南北和解が成立をして日本と北朝鮮との国交が回復をする。当然朝鮮半島も参入してくるということになっていくでしょう。ですから、そういう大きな経済発展、相互協力のフィールドというものが存在をいたしているわけです。
私はそういう意味で、環日本海経済圏の問題については、いろいろなものを乗り越えて我が国は積極的に対応するということが必要だ。もちろんロシアの状況はまだいろいろな不安定な要素がありますから見定めなければならぬこともあるでしょう。しかし、もう沿岸の民間の経済団体は今積極的に対応していますね。そういう意味で、渡部通産大臣の環日本海経済圏構想に対する、何か夢ではなくして、一つの抱負をお聞かせ願って私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/90
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091・渡部恒三
○渡部国務大臣 通産省は、私の前任の中尾大臣の当時から対ソ支援については極めて積極的な姿勢を示してまいりました。その後ソ連邦の崩壊、また今新生ロシア共和国の建設と、いろいろ情勢は変化しておりますけれども、しかしそういう中で、先生御指摘のとおり、極東、これはモスクワよりも日本からはるかにはるかに短い距離でありますし、私ども、やはり隣の国である新生ロシア共和国が新しい自由主義を求めて世界のために役立つ国に発展してもらいたい、そういう願いを込めて通産省でも十八億ドルの貿易保険、あるいは先般は中小企業庁長官を派遣して、あの国は中小企業に非常に関心を持っておりますから、何しろ七十年自由主義経済というものに遠ざかってきた国がこれから新しく生きようということでありますから、経営ノウハウの問題もありますし、それから技術の問題もありますし、そういうものでできる限りお役に立たなければならないと考えて今勉強をさせていただいておるところでありますが、それはまさしく先生御指摘のように、かつては日本海沿岸地域は裏日本というような名前で呼ばれておったわけでありますけれども、これから中国北部、朝鮮半島、さらに極東というものとの日本の経済交流が盛んになることによって、まさに日本海は、表日本というとちょっと極端かもしれませんが、まさにこれは国際社会の変化の中でも二十一世紀日本海時代来るというような未来の展望を私は持っており、これはまた我が国の権衡ある国土の発展にとっても、また新生ロシア共和国が立派にこれから国づくりをしていくためにも、また中国との友好、また朝鮮半島との友好を積極的に進める我が国の平和、安全という、まさに一石二鳥、三鳥の役割を果たすものでありますから、私は先生と全く同じ考え方でこれから日本海に新しい経済の未来を見出すべく努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/91
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092・岡田利春
○岡田(利)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/92
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093・武藤山治
○武藤委員長 森本晃司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/93
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094・森本晃司
○森本委員 ことしになってさらに世界情勢、殊にまた世界の経済の動きも激しくなってまいりました。両大臣におきましては、国際経済、国際情勢の大きな変化の中で、殊に通産大臣におかれましては、年頭より日米関係の問題でいろいろと御心労をいただきました。日米あるいはまたEC諸国との問題、さらに、今も話が出ておりましたけれども、旧ソ連との問題、そしてさらに、発展途上国への我が国の果たさなければならない国際貢献、経済的な役割、大変な課題を抱えているところであります。
一方、国内におきましては、昨日経企庁長官から景気の後退宣言をされましたように、長い間続いてまいりました我が国の経済も、ここにバブル経済が崩壊して大変厳しい状況になってきた。こういった中で両大臣の、生活者のための政治を実現するための役割、同時にまた国際的な役割、これは非常に重要なものであると思うと同時に、御苦労を察するところでございます。また通産大臣には、極めて私的でございますけれども、新年早々、私の住まいする橿原市ヘブッシュ大統領とともにお見えいただきまして、大変寒い中ではございましたですが、御苦労さまでございました。そういった前提の中で、両大臣にきょうは私の方からいろいろと質問をさせていただきたいと思うところでございます。
まず、経済企画庁長官にお伺いしたいわけでございますが、政府の景況判断、いつもおくれるとよく周りから言われるわけでございますけれども、去年の十月の月例経済報告では拡大基調にある、さらにまた、十一月の月例報告においてやっと、緩やかに減速しつつある、ちょっとわかりにくい言葉でございましたけれども、そういう表現がされ、そしてきのうの月例経済報告で、政府は初めて景気後退宣言をされたわけでございます。最初に申し上げましたように、我が国の産業界ではそういった点はもう早くも肌で感じておりまして、なぜまだ政府は景気は後退に入ったということを言わないのであろうか。非常にうがった見方の中では、この予算を何とか通さなければならないために、大蔵省、いろいろな問題があったのだということが一部報告されているようでありますけれども、経済動向の判断を誤ってしまうと大変なことになる。山のとき谷のときの曲がり角、これは非常に判断の大事なときであると言われておりますし、先年バブル経済を呼び起こしたのも、政府の景気の判断の切りかえ時の誤りがあったのではないかというふうに指摘されておりますが、こういった点について、経済企画庁長官、基準を見直そうではないかという声まで上がっているようでありますけれども、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/94
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095・野田毅
○野田国務大臣 現在の経済の認識については、御案内のとおりに既に昨日の月例会議に報告をしたとおりでございます。
昨年秋以来、毎月報告の表現を少しずつ実は変えてきておるというところは御指摘のとおりであります。それはやはりそのときどきの時点における情勢認識を織り込んで表現を実は変えてきておるわけであります。そういう点で、特にこのところいわゆる鉱工業生産と在庫の関係などについて、かなり生産の低下、それに対して在庫の積み上がりというような状況をとらえて今回の表現ということにしたわけでございます。
多少、産業界の一線の方々との業況判断のタイミングのずれの話がよく指摘されます。その点では確かに業界の皆さん、産業界の皆さんは毎日毎日のそういう企業活動の中で実感として感じておられることだろうとは思うのですが、私どもやはり経済の情勢を冷静に分析する必要がある。それには少なくとも客観的なデータというものをやはり基礎とする必要があるのは当然でありますが、しかし同時に、極力最新時点でのそういう一線で活躍しておられる方々の業況判断などをも取り入れて、そのときどきに適した認識をお示しをする必要がある。同時に、ただその認識表現を申し上げるというだけでなくて、問題は、やはり経済というものは一方では生き物でもあるわけですから、かなり企業マインドというものがその後の先行きの企業活動あるいは経済運営にも影響するわけであります。そういった点で、多少経済の実態と企業マインドとの間にやや下振れ感があるのではないかということは感じております。
大事なことは、問題は、今どうかということももちろん大事でありますが、同時に本年これから先行きどういうふうなことを念頭に置いて判断をするかということであります。その点については先ほども申し上げたのですけれども、悲観材料ばかりがある、わけではもちろんありません。そういった中で、私どもは、後ほど多分御質問があろうかと思いますが、幾つかの明るい兆しもあるわけでありまして、そういったもろもろのことを念頭に置かなければいけないし、同時に少なくともこれはタイムリーに必要な手を当然政府としても打っていかなければならぬ、こういった政策努力をも念頭に置いてやっていかなければならぬことであると思っております。
なお、いわゆる景気の山と谷がいつであるかということについてよく御質問があるのです。しかし、私は率直に言って経済政策は必ずしも山と谷の判断がいつであるかということから決まってくるのではないと思っています。むしろこれはもう少し後になっていろいろな幾つかのデータ、客観的ないろいろなデータを実は学問的、技術的に検討して山と谷を決定すればいいことであって、少なくともそれよりも足元の経済がどっちを向いており、どういう水準にあるかということの方が大事なことであって、経済政策というのはむしろその点に重点を置いて判断をしていかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/95
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096・森本晃司
○森本委員 先ほども企画庁長官おっしゃっておりましたが、企業家と違って政府というのは慎重に判断をしなければならないんだ、そういった状況は非常によくわかりますし、今もまた冷静に分析して客観的データが要るということはおっしゃっていますが、同時にやはり国民経済を動かしていくんですから、タイムリーな判断もより必要ではないか。ちまたに言われるそういった政府の判断が遅きに過ぎたのではないか、そういったずれができるだけ少なくなるようにどうぞ今後も努力していただきたいと思います。
そこで、きょうの所信表明の中にもございましたが、実質経済成長率は三・五%になると見込まれるというふうにお話がございました。景気後退宣言をされた今も三・五%は変わらないという見方をされているのかどうか。三・五%の実現というのは国民の生活の安定、さらにまた中小企業の安定を図る上でも極めて重要であります。さらに、国際的に見まして今や日米首脳会談あるいはG7の国際的公約にもなっているわけですから、この実現を是が非でもしなければならない。ところが、民間の見方、大方のデータは、ごく一部だけを除きまして経済成長率に対しては非常に厳しい見方でございまして、二から三%ぐらいではないかというふうな見方があります。景気後退宣言を昨日された経済企画庁長官、三・五%は達成できるか否か、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/96
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097・野田毅
○野田国務大臣 御指摘のとおり、来年度の経済成長率の見通し三・五の達成について民間からいろいろなお話が出ておることは承知をいたしております。しかし、大体民間の皆さんは、いわば政策努力を織り込まない姿での判断をしておられるということも一つあると思いますし、特に、昨年の暮れに行いましたいわゆる財政面、金融面からのいろいろな政策努力織り込み前の話が多かったようにも実は思います。
私ども、そういった減速感を認識をし、そういった意味で御案内のとおりの昨年の暮れに補正予算、それに伴う財投の追加、そして現在御審議をいただいております平成四年度の本予算、特にこの平成四年度の本予算においては国債の追加発行額であったりあるいは公共事業系統の大幅な伸びであったり、かなり思い切った景気に対する配慮を加えた予算編成をいたしております。
しかし、残念ながらこの財政面からの手当てというものが、よくこういう例えをしているのですが、財政面からの薬は調合はしたけれどもまだ飲んでいないという状況にあるわけであります。したがって、一刻も早くこの薬を飲ませてやらなければいけない。そのためには一刻も早くこの予算がまず通過をさせていただいて、そして極力速やかにそれが執行に移せる体制をつくっていかなければいけない、このように認識をいたしておるわけであります。
金融面についても、御案内のとおり昨年の暮れに公定歩合の引き下げがございました。もちろん財政、金融両面において今後においてもタイムリーに手を打っていくということが大事なことであると認識をいたしております。
そして同時に、幾つか私どもが成長率の上で大事な要素について考えておりますことを申し上げますと、一つは個人消費の先行きの動向でございますが、この点は物価がまず安定しておるということ、そしてさらに雇用者数の伸び、こういったものに支えられて、個人消費のいわゆるフロー面においての環境はいいのではないか、堅調な姿で推移するのではないか。あるいはまた住宅投資についてもこのところ減少傾向に下げどまりの傾向が出ておるし、特にこのところ住宅関連金利が大幅に低下をしてきておりまして、かなりの動意が見られる兆しもある。あるいは公共投資が基本的にかなりの下支え効果がある。これは特に国のみならず財投機関あるいは地方財政も総合的にかなり下支え効果が出てくる。これが早く執行されることによってその効果も早く出てくる。
そして問題は、もう一つ大事な要素であります設備投資というものについて、確かにこのところ決算期を前にして経営者のマインドが非常に冷えておる。来年度の設備投資計画についてもかなり弱気な見方が多々あることは事実であります。しかし、一方ではこのところの金利の低下傾向、そしてまた同時に、いわゆる労働時間の短縮、こういうようなところから、省力化・合理化投資を、必ずしも企業の収益改善ということには大きな寄与をするものではないけれども、そういう意味での独立投資がある。これはやらざるを得ない、そういう意味での底がたさというものは一方であるわけであります。
そういったことをもろもろ勘案してまいりますと、私どもは、来年度の経済見通し三・五%の達成ということは射程距離の範囲内にあるし、そしてそれに向けてさらなる努力をしていかなきゃならぬ。そのためにはもちろん政府におけるタイムリーな手を打っていくということも大事でありますが、同時にまた、実際の経済を一線で担っていただいております企業経営者の皆さんが、そういう先行きに対する明るいコンフィテンスを持ってもらうこと、そしてまた消費者の皆さんも、堅実な消費ということでありますけれども、少なくとも経済の先行きについての明るい展望を持っていただくことによって消費マインドということも大きく落ち込まないような経済運営をしていかなければならぬ、このように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/97
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098・森本晃司
○森本委員 ただいま長官のお話を伺いまして、予算の早期成立が必要だというお話でございます。薬を調合したけれども早く飲めるようにしてもらいたいというところでございますけれども、調合した人たちの手が汚れているんではないだろうか、まずそこをきちんとすべきではないかということで今日まで予算も延びているわけでございまして、決して予算を先送りにすることによって日本の国民経済を悪化させようという気持ちは全くありません。むしろ、真剣にこういった景気回復のための予算成立については努力をしていかなければならないと思っているところでございます。予算が成立した後のことでございますけれども、総合的経済政策を手を打っていただいてやっていただかなければならないと思います。
そこで、先ほど長官の話の中にもありましたけれども、その経済政策の一つの、これは暫定予算はほぼ必至ではないかと今思われているところでございますから、そういった流れの中で長官の方で明るい材料もあるからとおっしゃいましたけれども、確かに設備投資でも明るい材料があるように思われるものもあります。それは二十日の新聞にも載っておりましたが、電力九社は設備投資を六%強上積み、東電、中部電力とも最高、電力設備の投資は景気刺激剤になるのではないか。この記事を見て私もそう思っているわけでございますけれども、こういった例えば電力設備、これは予算の成り行き状況等々にもよってまいりますが、国の予算がすぐにそうはいかないとなると、そういった電力設備の投資の前倒しも依頼していかなければならないのではないだろうかというふうに思います。さらにまた、公共事業の前倒しをもやっていかなければならないと思うのですが、その辺の見解はいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/98
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099・野田毅
○野田国務大臣 今この場で、公共事業執行の前倒しについて具体的に申し上げるのは若干はばかられるところでありますけれども、基本的には先ほど申し上げましたとおり、現在の景気の情勢を楽観視しておるわけではございません。非常に慎重にこの事態の推移を判断しながら、タイムリーに手を打っていかなければならぬと考えておるわけであります。電力関係の投資は、根っこが大きいだけにかなり大きなそういう意味での効果を及ぼすものだと期待をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/99
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100・森本晃司
○森本委員 先ほど長官の方からちょっと話が出ましたけれども、きのうきょうの新聞を見てまいりますと、経済界、産業界の人たちから公定歩合の第四次引き下げをすべきではないかという強い要望が出ております。また、通産大臣が日銀の総裁にそういった要請をされたというようなニュースも伺ったのですが、両大臣の公定歩合引き下げに対する見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/100
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101・渡部恒三
○渡部国務大臣 景気について、森本先生大変御心配をちょうだいしております。私も全く同じ考えで、昨年の十一月通産大臣に就任してまず最初に思いをいたしたのがこの点で、私は公定歩合の引き下げ、できるだけ早く、できるだけ大幅にという要請を行ったわけでありますけれども、御案内のように、その後二度にわたって公定歩合の引き下げが行われ、かなりこれは実勢貸出金利に今反映しつつあると思っておりますけれども、きのうの経済閣僚会議において経済企画庁からも御報告があったように、残念ながらまだ、この減速経済にストップをかけて景気に活力をもたらすためには必ずしも十分ということにもなっていない。また一方、公定歩合の引き下げという話がこれは先行しておりますから、これに対する期待感でかえって逆に設備投資を企業は控える、あるいは住宅を建てようという人が、これはもっと下がるならそれまで待とうかというようなことになってもいけないので、やるならば一日も早く思い切って行われた方が望ましいという考えを私は記者会見等で申し上げましたけれども、言うまでもありません、これは日銀の専管事項でありますから、それ以上のことは私から申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/101
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102・野田毅
○野田国務大臣 今最後に通産大臣おっしゃいましたとおり、公定歩合と解散はうそをついてもいいというのは言い過ぎかもしれませんが、そういう言葉があるくらい、それだけの独立性を持って、特にもちろん景気の動向、そのほか物価の状況あるいは為替の動向等々、いろいろな角度から日銀が判断をして決める、決断をしてもらうということになっておりますので、その点についての個人的見解は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論ということで申し上げますならば、少なくともきのう報告をいたしました月例経済報告については、日銀総裁も同じ景気判断をしておられることでありますから、そういった面で財政、金融両面からタイムリーに手を打っていかなければならぬという認識は同じことではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/102
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103・森本晃司
○森本委員 通産省では、当面の景気対策としては、企業による在庫調整が極めて大事だということで、その在庫調整を促されたという報道をけさ見たところでございますが、いずれにしても、昨年の秋ごろから生産、出荷、在庫動向の変化が目立っておりまして、製品在庫が積み重なり本格的な在庫調整過程に入っていると思われるところであります。
きのうも通産大臣が次官とともに総理にいろいろと報告をされた。そして「企業の在庫調整も長引きそうで、景気の先行きにも懸念がある」という棚橋次官らの見解があったというふうに報道されております。
在庫調整終了時期の判断というのは、極めて重要でありますし、その終了の時期をめぐっては民間金融機関では非常に厳しい見方をしている。ある金融機関では、在庫調整の早期完了は期待できないので、七月-九月くらいにずれ込むのではないかということでありますが、あるいは七月-九月からさらに十月-十二月まで在庫調整完了がずれ込むのではないかというような意見がありますが、きのう総理といろいろとお話をされました、報告されました大臣、そして通産省は、在庫調整を促すというのは大体いつをめどにされているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/103
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104・渡部恒三
○渡部国務大臣 きのう月例経済閣僚会議で、景気についての通産省としてとるべき私の考え方は申し上げました。
なお、この考え方にのっとって通産省はいろいろ努力をいたしております。それらの詳細について棚橋次官、産政局長等が総理に報告をしたわけで、私自身は、総理と事務次官以下の職員の話の中には入っておりません。ただ、私も内閣の一員であり、また通産省の皆様は私の指揮下にあるわけでありますから、考え方が皆同じであることは当然でありまして、やはり経済の実態に触れておる、また経済に責任を持つ私どもの立場としては、企業が昨年よりも売り上げが減り、あるいは利益率が減り、在庫がたまれば不況の心配をするのは当然のことであって、私どもはその線に沿ってできるだけ早くこの在庫調整を進めなければならないということで、実は経済企画庁でもいろいろ御勉強を願っておりますけれども、通産省も産業政策局で直接主要企業あるいは中小企業等の経済について実態を今調べております。また、地方の心配もありますので、地方の通産局長にも今実態調査をさせておりますので、近くこれを集めて、国全体の経済というものの実態に触れておる立場から、今後の経済運営について今先生のおっしゃった在庫調整、また企業の設備投資、近代化、合理化、また労働力の不足の中で中小企業が設備近代化を進めていく、こういうものが積極的に進んでいき、あるいは住宅の建設も進んでいき、この在庫調整が一日も早く進むように今努力をしておるところでありますけれども、それが何月になるとか、これは私の口からは差し控えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/104
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105・森本晃司
○森本委員 企業も同時に努力をすることでありますけれども、どうぞ通産省としても在庫調整をさらに促して一日も早い景気回復へのめどを立てていただきたい、こう念願するところでございます。
いずれにいたしましても、日本の経済を支えているのは中小企業であるわけですが、景気が後退いたしますと真っ先に影響を受けてくるのは中小企業であります。そこで、その中小企業に対して、来年度の官公需の中小企業向け発注については、こういった後退期に入った以上特段の配慮をすべきではないだろうかと私は思うところであります。通産省は近く、平成四年度の中小企業向け官公需の事業内容について各省庁にヒアリングをされることになるかと思いますが、中小企業向け契約目標、平成三年度は三九・八%でありましたが、現下の中小企業の環境を考えればこれを上回るようにしなければならないのではないだろうか、そうすべきであると思います。関係省庁に早速そういったことを依頼すべきであると思いますが、いかがでしょうか。また、今後景気が一層後退するようなことになってくれば中小企業に対する悪影響がさらに心配されるわけでありまして、今後どのような対策を講じようとされているのか、あわせて見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/105
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106・南学政明
○南学政府委員 まず、先生御指摘の官公需受注機会の確保の問題でありますが、毎年度、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づきまして、国等の中小企業者向け契約目標等を閣議決定して、我々としては中小企業者が受注機会を確保するように努めてきているところであります。平成三年度の目標率は、先生御指摘のとおり三九・八%でございました。平成四年度についてこれをどうするかというのはこれからの問題でございますが、引き続き中小企業の受注機会の確保を図るために、発注側の各省庁といろいろ相談しながらできるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
また、その他の対策でありますが、私ども今最も重要なことは、中小企業に対する円滑かつ良質な資金供給の確保であろうかと思っております。
まず、量につきましては、平成三年度の補正予算、昨年十二月に成立させていただきましたが、この中におきまして中小公庫及び国民公庫に対し総額四千二百五十億円の財投追加を行っていただきました。また平成四年度の財投計画案におきましても、政府系中小企業金融機関について本年度を上回る貸し付け規模を想定するとともに、本年度当初計画比約三千二百億円増の財投を確保しているところであります。
質の面でありますが、金利の低下につきましては、貸し出し基準金利を政府系中小企業金融機関について、二月三日から六・六%から六%に引き下げるなどの努力をいたしているところであります。こうした金利引き下げにつきましては、周知徹底を中小企業者に図るためにいろいろな手段を通じてPRを行っているところであります。
また、あわせて重要なことは、相対的に力の弱い立場にあります下請中小企業対策の強化拡充であります。下請中小企業の経営が不安定化することのないよう、下請代金支払遅延等防止法の遵守徹底と下請取引関係の適正化推進のために、近く親事業者の団体に対しまして私及び関係局長、原局長の名前でもって通達を出して、下請適正化が遵守されるようお願いをすることといたしております。
以上のように、いろいろな手段を通じまして中小企業がこうした中でも発展できるよう万全の措置を講じていく考えであります。
〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/106
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107・森本晃司
○森本委員 中小企業については、我が国経済を支える大事な役割をしておりますので、中小企業庁においてはどうぞ特段のお力添えを、これからさらに頑張っていただきたいと思うところでございます。
そこで次に、自動車問題について数点お伺いしたいわけでございますけれども、さきの日米グローバルパートナーシップ行動で米国自動車及び同部品の輸入拡大の目標を発表いたしましたが、これは、この目標値、達成できるのか、義務なのか目標なのか、達成できなかったらどうするのだといういろいろな議論があるようでございます。が、こういったことについて、同時に、ECやドイツから、ガットの精神に反するのだ、排他的な二国間の取り決めだとする声がありますが、自由貿易を標榜する日本としてこういった批判にどう対処していくのか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/107
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108・渡部恒三
○渡部国務大臣 さきの日米首脳会談、成功をさせなければならないということで、自動車業界の皆さん方が自主的な判断でいわゆるアクションプログラムと言われるものを提出していただいたわけでありますけれども、これはもとより通産省、日本の産業界を行政指導しておるわけでありますし、また、日米首脳会談という中で民間の皆さん方が行われたことでありますから、これはもとより管理貿易とかガット違反というものではありませんけれども、民間の努力目標といえどもやはりこれは達成をさせるべく全力を尽くしていかなければならない問題であり、私は、日本の自動車業界とまたアメリカの自動車業界と相互の努力によってその目標が達成せらるるものと確信をいたしております。
また、ECその他の国の中でいろいろの誤解があるようでありますけれども、私どもが常に言っておるところのビジネス・グローバルパートナーシップというものは、アメリカはもとよりのことECあるいはNIES、アジア、それぞれの国々に全くこれは平等に我々は対応していくものであるということを常々申し上げております。ECの諸国家にもそういう誤解のないようにこれから努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/108
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109・森本晃司
○森本委員 最近、対日完成車及び自動車部品の購入依頼といったことだけにとどまらずに、日本車の、現地生産を含んだ日本車ですが、総量規制を強く求める動きがあります。これについては、現地で法人を持っているところとかそういったところで、いろいろと日本の自動車業界の中にもさまざまな意見があるようにも伺っておりますが、輸入車を百七十万台に規制とか、あるいは現地生産分を含めて二百数十万台に抑えるとかという話が出てきておりますが、政府としてかかる動向をどのように把握して、そしてどのように対処しようとされているのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/109
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110・熊野英昭
○熊野政府委員 アメリカにおいていろいろな議員とかの中から総量規制を含む考え方等がいろいろ提案されていることは事実でありますけれども、総量規制の考え方と申しますのはいわば現地での生産の規制を含むものでございます。これは、その現地の生産をやる企業の資本の国籍による差別を意味するわけでありますから、この差別はやってはいけないという国際的な考え方、いわば内国民待遇という考え方に反するものでございます。そういう意味において、私どもといたしましてはこういう考え方は国際ルールから見て適正なものとは考えておりません。
他方、我が国自動車業界におきましては、先ほど来大臣からるる御説明申し上げておりますように、日米間あるいは日欧間、世界の自動車産業との共存共栄の観点が大変重要だと思っております。そういう観点から、従来から、節度ある輸出、生産の現地化、あるいは販売とか技術面といった多方面にわたる協力、それから現地に進出した場合には、例えばアメリカに進出して現地生産を行う場合には、アメリカ製の部品購入の拡大、同様にヨーロッパに進出した場合にはヨーロッパにおいてその現地の部品企業の部品をできるだけ購入する等、さまざまな努力を各企業がやっているところであります。政府といたしましても、そういう努力を引き続き勧奨もしてまいりますし、それからこういう各企業の努力がさらに充実されたものになっていることを強く期待しているものでございます。それで、こういう努力を続けていくことによりまして、先ほど先生から御指摘のあったような総量規制的な動きとかあるいはその他の保護主義的な動きが抑制されることを期待をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/110
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111・森本晃司
○森本委員 次に、エネ庁の方に電源特会の問題についてお伺いをしたいと思います。
経済成長に伴いまして電力の需要は大きく伸びてまいりました。それで、需要が伸びればそれに伴って電源開発促進税の収入も膨張し続けているわけであります。
電源開発促進税、実は私も何人かの人にこういった税金は皆さん払っているんですよと言っても、どこでどう払っているんでしょうかということで、女房にも電力代の中にそういうのが含まれているんだというふうに言ったら、領収証持ってまいりまして、いやいやそこには何も書いてないですよ、電力料金の請求書、領収証の中には、消費税は入っているけれども、ほかに税は入っていないよということでございまして、これは確かに消費者が一人一人納めるのではなく事業者が納めるものですから、その中には入っていないわけでありますけれども、確かに一人一人の消費者が支払っており、私たちの血税でこの電源開発促進税というものを納めているということは、これは間違いないことであります。
それで、販売電気電力千キロワットにつき四百四十五円納めている。そしてこの税の目的は、原子力発電施設、火力発電施設、水力発電施設等の設置を促進するための財政上の措置及び石油に代替するエネルギーの発電のための利用を促進するための財政上の措置に要する費用に充てるため、一般電気事業者の販売電気に電源開発促進税を課す、こういった目的であります。これはほとんど一般の人には知られていない税の徴収がされているわけでありますけれども、これは非常に年々伸びております。しかも、これを財源とした電源特会は、通産省の一般予算はシーリングの関係で一・一六%しか伸びていないわけでありますけれども、電源特金は本年も六。四%伸びているということが言えます。
そこでお尋ねしたいのですが、電源立地勘定の歳入の中、税収で入るのはどれだけなのか、そして剰余金は一体どれだけなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/111
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112・山本貞一
○山本(貞)政府委員 お答えいたします。
平成三年度の数字がわかりやすいと思いますので申し上げますと、税収が千七十二億円、それから、前年度剰余金受け入れが六百九十三億六千七百万、そのほか雑収入が二十一億六千五百万ございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/112
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113・森本晃司
○森本委員 今度の場合は剰余金が七百九十八億円と解してよろしいのでしょうか。それで、この剰余金というのが慢性的になってはいませんでしょうか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/113
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114・山本貞一
○山本(貞)政府委員 平成四年度の数字は、前年度剰余金受け入れは七百七十三億八千二百万円でございます。今先生慢性的とおっしゃいましたが、今の前年度剰余金受け入れの数字を過去四年間ちょっと申し上げますと、平成元年度が四百六十億七千五百万、平成二年度が五百九十四億八千九百万、平成三年度が六百九十三億六千七百万、平成四年度が七百七十三億八千二百万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/114
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115・森本晃司
○森本委員 これだけの剰余金、こう毎年あるわけでございますけれども、そして、考えてみますと、これは過剰徴収ではないかというふうな疑念がわいてくるわけでございますけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/115
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116・山本貞一
○山本(貞)政府委員 ここ数年の電源立地の促進というか電源立地の状況が想定より少しおくれておりまして、確かに先生の御指摘のようにここ数年間剰余が生じております。ただ、これからの、特に夏場のピーク対策、それから電気需要の増大ということを考えますと、それから現地の最近の状況を考えますと、電源立地の促進を進めなければいけないし、かつ私どもとしてはこれから原子力、それからLNG火力、石炭火力を中心に進むと想定しております。そういう意味で、現時点で今申し上げましたような剰余金を抱えておりますが、この剰余金の額も、先ほど申しましたが、やはり年々増分が減っておるという状況でございます。
今後私どもとしては、近い将来均衡するというか、あるいは必要な税率と、現在において若干の余裕はあるが近い将来すぐ必要になる、あるいは今の剰余金を食いつぶす事態になるという想定をしております。
〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/116
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117・森本晃司
○森本委員 いずれにしても、こういった剰余金がいつまでも続いているという状況は決して好ましい状況ではないと考えられるわけであります。そういう剰余金があるのならば、本来ならば、それを使う人たちに税率を下げてやるべきではないかという点も今回は指摘をさせていただきます。
同時に、もう一つの勘定でありますが、電源多様化勘定の中で非常に不適切だと思われるのがあります。確かに、電源多様化勘定でいろいろと、サンシャイン計画とかいろいろなものがありますが、工業技術院の大型プロジェクトの中に、果たしてこれがその目的に合って、電力を推進するための技術開発に使われているのだろうか、これは一体どういう関係があるのであろうかと思われるものがあります。大型プロジェクトは八つあるわけでありますけれども、ちょっと時間がないので一つ一つ申し上げませんが、その中の五つは、どう考えても余り電源開発と電源多様化に役立つどころか、電源関連の、電力関連の技術開発とはとても言えないものがあるように考えているのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/117
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118・石原舜三
○石原(舜)政府委員 私ども工業技術院の行っております大型プロジェクト制度の中には、先生御指摘のように、超先端加工システムほか四つのプロジェクトにつきまして電源多様化勘定の財源を充てて研究を実施しております。
これらのプロジェクトは、基礎研究にかかわる経費は一般会計で予算措置をしておりまして、発電効率の高いガスタービン用の材料の研究開発等、電源の多様化に資する研究開発にかかる経費を電源多様化勘定で予算措置をして研究しているところでございます。今後とも、電源の多様化に有用な技術の研究開発を効率的に推進していきたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/118
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119・森本晃司
○森本委員 きょう時間がありませんから一つ一つ申し上げられませんが、いずれ機会を見て、こういった電源特会の構造的な問題それから特に大型プロジェクトに対するその使い方等々についてはお尋ねをさせていただきたいと思っているところでございます。
いずれにいたしましても、電源特会は非常に大きな伸びを示しております。せっかく集まった税金だからどこかに使おうとか流用しようとか、そういった考え方でやるのは好ましくないということを私は今回指摘しておきまして、最後の質問に入らせていただきたいと思います。
総務庁お見えいただいているでしょうか。――済みません。これは商工とも関係のある問題で、殊に人権にも、それから地場産業、殊に部落産業に関係のある問題でございますから、総務庁に反省を促す意味でもここで取り上げをさせていただきたいと思うところであります。
総務庁は「統計調査を安全に行うために」ということで「統計調査員安全対策マニュアル」を発行されまして、全国の市町村の統計調査員に調査員用として配付されました。同時にもう一つ、調査員の方々が持つ「調査員手帳」というのを配付されているようでありますが、まず最初にお伺いしたいと思います。これはどれほどの部数を配付されたのでしょうか。それと、調査員は大体何人ぐらいいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/119
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120・大戸隆信
○大戸説明員 お答えいたします。
「統計調査員安全対策マニュアル」につきまして総務庁統計局から配付いたした分はおよそ二万九千部でございますが、経常調査員用等々といたしまして二万部、それから、社会生活基本調査用としまして七千六百部等でございます。
それで、調査員の数でございますけれども、これはいろいろな調査でやっておりますが、経済調査の調査員の数というのが現在のところでおよそ七千人、それから社会生活基本調査、昨年の十月に行ったものでありますが、それが六千五百人ぐらいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/120
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121・森本晃司
○森本委員 そこで、総務庁がこのマニュアルを発行された中を点検させていただきますと、六ページ「避けましょう ハイヒールやサンダル」「ハイヒールや足元の不安定なサンダルは、転んでけがをしやすい上に、活動的ではありませんので避けてください。」というぐあいに書いてあります。さらに、二十七ページの「転倒・転落」というところに「予防方法」「ハイヒールや足元の不安定なサンダルは、転んでけがをしやすいので避けましょう。」という表現が使われています。さらに、「調査員手帳」の中を見ますと、九ページ「避けましょう・華美な服装や装身具・過度の化粧や香水・ハイヒールやサンダル」というふうに書かれてあります。これはマニュアルとして特に意図的にお書きになったというわけではございませんけれども、この産業に携わっている人たちにとりますと、このマニュアル、あたかもサンダルは危険な履物であるかのような印象を与えてしまう。こういったマニュアルが全国に配られるのです。私は、極めて不用意ではないだろうかと思うのです。
私の奈良県は、東京、静岡と、サンダルの三大産地であります。サンダル業界の人からいろいろ意見を聞きますと、こういうものを政府が配ってくれるということは私たちにとって非常に冷たいしわざではないか、また、さもなくとも、今サンダル業界、私の方の奈良県の生産額一覧を見ますと、五十年と今とを比べますと半分以下になっている。非常に厳しい中でサンダル業界の人たちが一生懸命、また、部落産業として会館を建てたりしながら一生懸命PRをし、また、その発展向上に努めている人たちにこれは傷をつけてしまうことになってしまうのではないだろうかというふうに私は思います。私のところへも、こういったことに対する憤りを持った抗議書が、総務庁に送った抗議書が届いております。総務庁もこういった点についてどのように反省されるのか、そして、このマニュアルや手帳についてどのような処置をされるのか、その点を伺いたいと思います。
同時に、これはサンダルのイメージをダウンさせてサンダル業界に大きな打撃を与えるだけではなく、部落産業と小零細企業への冷淡な政府の態度だと受けとめられかねないと思います。あわせて通産大臣の御意見もお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/121
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122・大戸隆信
○大戸説明員 先ほどの、総務庁からお配りした部数でございますけれども、およそ二万八千部と訂正させていただきます。
このマニュアルは、平成二年の国勢調査におきまして統計調査員が殺害されるという非常に残念な事件がございまして、それ以降調査員の安全対策を充実強化しなくてはいけないということで作成したものでございます。その中で調査員の事故等を分析してみますと、調査員が調査活動中に転倒したり、転落したりという事故が割合として多いものですから、そういうことでハイヒールや足元の不安定なサンダルは避けてくださいというような記述をしたものでございます。
しかしながら、先生御指摘のとおり業界団体等から、サンダル業界が非常に厳しい現状にあるということ、それから「安全対策マニュアル」の記述がサンダルのイメージダウンにつながるのではないかというおそれがあるというような御指摘がございまして、これを受けまして当局では、既に都道府県等に対しまして「安全対策マニュアル」の回収を指示いたしまして、現在鋭意回収いたしておるところでございます。
それから、「調査員手帳」でございますが、これは調査員が既に使っておりまして、スケジュール等書き込みもございますので、その御指摘の部分につきまして、訂正部分をシールとして張り込んで訂正させていただくという方法をとりまして、既にそれを送付いたしまして訂正していただいております。
いずれにしましても、統計調査員の安全対策につきましては不断に行う必要がございますので、御指摘のような点を十分に踏まえまして、新たな「安全対策マニュアル」を作成し、これも配付したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/122
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123・渡部恒三
○渡部国務大臣 今政府委員からも反省の答弁があったようでありますけれども、サンダル産業を所管する通産省として、先生御指摘の問題は、まさに極めて不適切な表現であった、これは反省をしなければならないと思います。今早速これは回収して廃棄するということでございますので、サンダル産業は奈良、大阪、。静岡等における極めて重要な地場産業であり、また中小企業でもあり、私ども中小企業の振興、地場産業の振興、これは通産省の重要な施策でございますので、今後そのようなことのないように適切に対応してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/123
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124・森本晃司
○森本委員 今部落差別撤廃に向けた取り組みが国民運動としての広がりをも見せているときでございます。地場産業の育成、中小企業の育成という視点からも考えて、今後こういったことについては大いに注意を払ってやってもらいたいと思います。と同時に、こういった問題が今回は総務庁でございますけれども、数年前には郵政省でサンダルを履くと何か三流だとかいったような発言があったような話もあります。そして、これは今は通産省の管轄であるからというので通産省は御認識いただいたと思うのですが、他省庁へもどうぞ、これは政府全体の問題としてこういったことについては今後注意を払い、さらにそういった産業に携わる人たちをもっともっと育てる意味で反省をしていただかなければならないことを最後に申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/124
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125・武藤山治
○武藤委員長 小沢和秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/125
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126・小沢和秋
○小沢(和)委員 まず、大臣にお尋ねをいたします。
大臣は、先ほどの所信表明で、ウルグアイ・ラウンドの最終文書案を「五年間に及ぶ交渉の成果」と評価し、「今後これを基礎として、同ラウンドの成功裏終結に向け、交渉に全力を挙げて取り組んでまいる」と決意を表明されました。この発言をそのまま受け取りますと、最終文書案は、基本的に我が国が受け入れることのできる内容ということになりますが、我が国には米の関税化という決定的に受け入れられない問題があり、通産関係でも、ルール分野やサービス分野等に問題があることが既に明らかにされております。アメリカやEC各国とも、自国の主張を明確に押し出しており、もしそれが受け入れられなければこのラウンドがまとまらなくてもやむを得ないとの態度であります。日本も自国の立場をもっと強力に主張するのが当然ではないでしょうか。とりわけ前国会でも私が指摘したように、大臣自身がさきの総選挙で米自由化反対を公約しておられるわけであります。閣内にあって米の関税化阻止など日本の主張を貫徹するためにもっと積極的に努力すべきではないか、基本的な問題をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/126
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127・岡松壯三郎
○岡松政府委員 自由貿易体制の維持強化のためには、ウルグアイ・ラウンドの早期成功裏の妥結が不可欠であるというふうに考えておりまして、このことはさきのロンドン・サミットにおきましても確認されているところでございます。
我が国といたしましても、先生御指摘のとおり、最終文書案に関して、農業のみならず、アンチダンピングあるいはセーフガード等に不満の点があるわけでございますけれども、他方、こうした多国間交渉では、各国がお互いに自国の主張をすべて通そうとすれば交渉はまとまらないということを考えておかなければいけないというふうに思うわけでございます。
ウルグアイ・ラウンドにつきましては、既に五年をかけて議論しているわけで、現在最終局面を迎えておりますが、この機を逸することなく、交渉を成功裏に妥結させることが必要でございまして、通産省といたしましても、各国が互いに最終文書案を基礎に交渉に取り組んでいくことが必要であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/127
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128・渡部恒三
○渡部国務大臣 通商政策についての基本的な考え方は、今回松通商局長から答弁申し上げたとおりであります。また、私に対する御意見は承りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/128
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129・小沢和秋
○小沢(和)委員 承ったということで聞き流してもらっちゃ困るのです。この前も私申し上げたように、あなたのこれは公約ですからね。もう一遍申し上げておきます。
次に、きょう日米構造協議の第四回フォローアップ会合が開かれます。この日米構造協議の経過を見ましても、私は日本が自国の立場をもっと強力に主張すべきではないかということを痛感しております。日米構造協議は、建前としては、双方が貿易不均衡是正のためそれぞれの主張をぶつけ合い、そこで合意できたものを実行に移す場のはずだと思います。しかし実際には、アメリカが一方的に日本に要求を押しつけ、その実行を点検する場になっているのではないでしょうか。この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/129
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130・岡松壯三郎
○岡松政府委員 御指摘のとおり、日米構造協議は対外不均衡の是正に向けての経済政策協調努力を補完するものといたしまして日米双方がそれぞれ相手国の構造問題を指摘し合って、それぞれの指摘を踏まえてみずからが必要と考える構造改革に自主的に取り組んでいくという目的で始められたものでございます。
この最終報告書が一昨年できた、まとまったわけでございますが、これに盛り込まれましたことを両国それぞれ着実に実施していくということでございまして、日本側といたしましても米国側措置の実施状況につき重大な関心を有しておりますし、当然のことながら我が国といたしましては米国産業の競争力強化等、米側においてとるべき措置に関し主張すべきところは主張しておるところでございまして、きょうあたかも日本時間の今夕から開かれることになりますが、そういう場でもこの線に沿って交渉を行ってくるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/130
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131・小沢和秋
○小沢(和)委員 ブッシュ大統領は、年頭の訪日に当たりまして日米構造協議の再活性化を提案し、日本側もこれに同意をいたしました。昨日の新聞報道では、ウェジントン米財務次官補が、この会合は事後点検にとどまらず、双方の新たな対応を提唱し合うセッションになると言明をいたしております。そうすると、また新たな課題をしょい込まされることになるのではないかと不安を持たざるを得ないわけでありますが、これに対して我が国はどう対応する考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/131
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132・岡松壯三郎
○岡松政府委員 今般のブッシュ大統領の訪日時に、日米両国政府は一昨年の最終報告書におけるコミットメント実施とともに、構造協議の再活性化について合意したというのは先生御指摘のとおりでございます。
したがいまして、本日夜から行われます会合におきまして、新たなコミットメントを含めてSIIの再活性化のあり方を議論するということに灯るわけでございますが、当然のことながら最終報告のコミットメントの実施状況についても議論いたしますし、先ほどの繰り返しになりますが、半国産業の競争力の強化等、米側においてとるべき措置について私どもとしては主張すべきことは主張してくるという対処方針で臨んでおるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/132
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133・小沢和秋
○小沢(和)委員 この点についてはもっといろいろ言いたいことはありますが、今後の対応を見守っておきたいと思います。
次に、くず鉄価格の暴落の問題についてお尋ねをしたいと思います。
最初に、基本点について大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、昨年夏からくず鉄価格が暴落し、全国的にくず鉄の回収業者が大変な危機に陥っていることが大きな問題になっております。私の地元北九州市八幡の業者に聞きましても、昨年四月、二級のくずでトン一万二千円だったものが十一月にはわずか千六百円にまで下がっているわけであります。このため、鉄鋼新聞によると、宮崎県のある地区などでは九割の業者が廃業するという深刻な事態に陥っております。こんなことは戦後初めてだということです。その結果、業者がこれまでと逆に、引き取りに当たって料金を取ったりする状況も生まれましたために、自動車とか電気製品などが各地で不法に投棄をされる、自治体がその処理に追われるというような状況も生まれております。このままでは、長年かかってつくり上げたくず鉄のリサイクルの体制が崩壊してしまうのではないか。大臣はこういうような事態はどうお考えになり、通産行政の中でどう対応されようとお考えか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/133
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134・渡部恒三
○渡部国務大臣 鉄スクラップの価格が低落して資源回収業者の事業活動に大変困難が生じておるということは小沢委員御指摘のとおりでございます。
そこで、通産省としては、関係業界を促し、社団法人日本鉄源協会に本問題についての特別部会を設けて市況安定化対策等について具体的な検討を行っており、実現可能なものから逐次実施していくことにしております。また、鉄スクラップの使用を中長期的に拡大していくための技術開発の推進も行っております。通産省としては、経済原則の中で資源の有効利用が図られるよう、鉄のリサイクルシステムの確立に引き続いて努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/134
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135・小沢和秋
○小沢(和)委員 昨年末、我が党の上田耕一郎参議院議員が提出をいたしました「鉄資源のリサイクル促進等に関する質問主意書」に対しまして一月十日、政府の答弁書が送られてまいっております。これには、政府の対応として「まず、関係業界間で対応策を検討・調整することを促しているところであり、関係者の本問題への取組状況を見つつ、適切な対応がなされるよう指導に努めていく」と述べられております。これを読みましても、また今の大臣の答弁を伺っても、政府みずからがこの問題についてどう対処をしようとしているかという積極的な姿勢がうかがわれないわけでありますが、政府自身がこの問題についてもっと取り組むべきではないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/135
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136・坂本吉弘
○坂本(吉)政府委員 鉄くずの現在の市況ないしその需給事情は、先ほど大臣から答弁申し上げましたように、景気の後退局面において生じたいわば市場内部の問題であるわけでございます。基本的にはそういった市況によって左右されるというところを余り大きく踏み外すことは、逆に人為的にいろいろな混乱を生じかねないということもございまして、まずもって市場においてこの問題が少しでも緩和、解消の方に向かうように、できるだけのことをまず関係者において検討してもらうということを第一のステップとして考えておるところでございまして、先ほど御指摘のような鉄源協会における会合でまず関係者が知恵を持ち寄ってやっていこうということで、私どももこの中に入りまして同様に議論をしていく、そういったことをまずもって取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/136
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137・小沢和秋
○小沢(和)委員 私が伺っているところでは、先ほどの対策を話し合う場では一年ぐらいかけて話し合う、それでできるものから具体化をしていこう、こういうようなことのようですけれども、これは今のようにくず鉄業者が非常な窮地に立ち、そのことがいろいろな社会問題まで引き起こしておるという状況に対応するにしては、余りにもまだるっこしいのではないかと思うのです。私はもっと緊急対策が必要ではないかというふうに考えますし、その一番のポイントというのは、新日鉄など高炉メーカーにもっと引き取り量をふやすように要請すべきではないかというふうに考えますが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/137
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138・坂本吉弘
○坂本(吉)政府委員 御指摘の点につきましては、一つの問題としてあり得ることであろうかと思いますけれども、しかしながら、現実の粗鋼の生産は、これはもう小沢委員よく御承知のところでございますけれども、やはりつくっております品種構成あるいは品質全体をどう管理していくかという問題、それから製鋼技術の問題、こういったこともございまして、直ちに、従来までの銑鉄どくず鉄との配合比を急速に変えるということは言うべくしてなかなか実施が難しいところでございます。そういう意味で、私どもといたしましても、できるだけそういったことが高炉において考えられるようにと思う気持ちはあるのでございますけれども、高炉の方ではまた一方、所内で発生するくず鉄、鋼材くずと申しますか、そういうものをずっと使っておりまして、むしろ余剰が生じてこれをよそに売っているというような事態もあるものでございますから、今市場に出回っておりますくず鉄をすぐに持ってきて使えということは、なかなか現実には難しいという実態もあろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/138
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139・小沢和秋
○小沢(和)委員 私もそんなに急激な、くず鉄の使用量をふやして転炉などの操業の状況を一変させるべきだというようなむちゃくちゃなことを言っているわけじゃないんです。
先ほど私が持ち出してまいりました上田議員に対する政府の答弁書を見ますと、製鋼技術、品質管理、品種構成等の関係でくず鉄使用比率一割弱がほぼ限界というふうに述べております。しかし、この一割という数字を前提にしても、高炉メーカーは現在一割ぎりぎりまでスクラップを使用しておらないのではないんですか。高炉メーカーは現在スクラップを何%ぐらい使用しているのか、ちょっとおっしゃってみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/139
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140・坂本吉弘
○坂本(吉)政府委員 お答え申し上げます。
手元の資料で、製鋼用原料消費量における銑鉄の配合比の推移を見てみますと、年により月によってややフラクチュエーションがあるのでございますけれども、一番最近時点の平成三年十一月で、銑鉄を九三・五%、したがいまして残りの六・五%をくず鉄を使っているという状況にございます。なお、傾向的にはやや銑鉄の配合比が、ごく微量ではございますけれども減っている、すなわちくず鉄の使用量がほんの少しずつ上向いているという傾向にあろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/140
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141・小沢和秋
○小沢(和)委員 今の数字を伺っても、大体技術的には一割ぐらい、一〇%ぐらいが限度だとおっしゃるあなた方の言い分を前提にしても、まだ三%くらいは余裕があるということになるのじゃありませんか。だから、高炉メーカーの年産量というのを考えてみれば、わずか一%というようにいってもこれは七十万トンとか八十万トンというような数量になるわけでして、三%ということになれば二百万トンを超える。原料としての歩どまりを考えたらもっと大きな数字になる。だから、これは市場にも非常に大きな影響を与える。今の窮状を打開する上では、高炉メーカーにしてみればちょっとやるという程度だけれども、このくず鉄市況にとっては非常に大きな影響を与えるということになるんじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/141
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142・坂本吉弘
○坂本(吉)政府委員 お答え申し上げます。
確かに小沢委員の御指摘、理論的にはそういう計算が成り立つものと思いますけれども、これはもう釈迦に説法でございますが、やはり製鋼技術あるいは品種構成その他は長い歴史の上に現在のものをつくり上げているという生産サイドの事情もございまして、急にトラスチックな変化をするということは、実際問題そんなに簡単ではないというふうにも思っております。
ただ、御指摘のようなこともございますし、できるだけ現在の生産工程でそのくず鉄の使用比率というものをもう少し上げられないものか。それは、例えば空き缶という、社会的にも大きな影響のあるものについては、少し実験的にこれを使ってみてもらえないかということで、現在それを少しまぜるというようなことも各高炉メーカーで考えてもらっておるという実情にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/142
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143・小沢和秋
○小沢(和)委員 その空き缶というのは私も新聞で見ましたけれども、たしか何百トンというような話だったのじゃないですか。私がお願いしているのは、二百万トンかあるいはそれ以上くらいは何とかしませんかという話だから大分けたが違うのですよ。
それで、あなたが言われますように、今鉄が減産の傾向にあるということももちろん私は承知しております。だから、海外から貴重なお金を出して鉄鉱石を買い入れて、それで操業する分をちょっと抑えてでもこのくず鉄をもう少し入れるというようなことというのはもう技術的には十分可能、だからそういうような要請をしたらどうか、そうすれば減産の体制のもとでも十分考えられるのじゃないかと私は思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/143
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144・坂本吉弘
○坂本(吉)政府委員 お答え申し上げます。
現在、高炉メーカーに要請をいたしまして実験的にやってもらっております部分は、ちょっと足かな数字ではございませんが、八千トンとか何かそれくらいのところまでは持ってきてもらっているわけでございます。これを、それによって生ずる製錬工程の技術的な問題がなければもう少し引き上げていくということは可能であろうと存じます。
ただ、小沢委員の御指摘のような二百万トンとかといったような数字にまで持っていくのはなかなか難しいかと存じますが、今のようなオーダーではなくて数量をふやせるだろう、こんなふうに思っております。
また、鉄源協会におきましても、やはり基本的には市場におきましてくず鉄が余ってくるような構造に、いよいよ我が国もそういう構造に入ってまいりまして、いずれの先進国も廃車あるいは家電製品のくずと申しますか、その使用済みの製品があふれてくるような傾向にございますので、我が国もそういう構造的な問題を踏まえまして、やはりこれを輸出するということも含めまして、鉄源協会は過日、二月の中ごろから二十一日まで東南アジアの数カ国を回ってまいりまして、輸出の可能性を打診いたしました。当該国からは、輸入に関心があるといったような兆候もございまして、私どもといたしましては、単に景気のサイクルで発生するくず鉄問題のみならず、もっと構造的に我が国の鉄鋼及びくず鉄市場において生じている問題にもある程度取り組んでいかねばならない、こんなふうに関係者に要請をいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/144
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145・小沢和秋
○小沢(和)委員 私は、今非常に控え目に申し上げたつもりなんです。技術的に一割が限界ということは、私はそんなことはないというように確信をしております。
私自身は新日鉄八幡の出身でありますけれども、今製鋼工場で働いている友人たちにいろいろ聞いてみますと、高炉の調子が悪くて溶銑が足りないようなときには、八〇%を切るような溶銑のところまで落として、その分スクラップやあるいは冷銑なども入れてやっている。だから、そういう点では、これはもう相当に弾力的にやれるというのが今の技術の水準じゃないですか。それから、私は外国のこともちょっと調べてみたのですけれども、フランスなどでは、高炉メーカーは三〇%ぐらい転炉の方でもくず鉄を使用しているという話も聞いております。
そういう意味では、技術的に見る限りもっともっと引き取りを要請できるはずだと私は思うのです。だから、その点についてもっと研究をして、高炉メーカーに対して厳しく引き取りをふやすように指導していただくということを私はこの機会にお願いをしておきたいと思います。
時間も余りありませんので、次の問題に移りたいと思います。
私の地元、福岡県北九州市若松区沖の白島に今石油公団が建設中の石油備蓄基地の問題であります。この建設に着工して三年目の一九八七年二月に、住民が心配していたとおり冬の大しけで完成直前の防波堤が大損害を受けました。その後、公団はこれを補強して引き続き今工事を続行しておりますが、住民の不安と不信は依然として根強いものがあります。
きょうは、主としてシーバースと配管橋の問題でお尋ねをいたしたいと思いますが、この建設については今消防法に基づく安全審査が行われており、その許可が出なければ着工できないというように聞いておりますが、審査の現状と見通しはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/145
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146・細川恒
○細川政府委員 御質問の消防法におきます許可申請、その審査の状況でございますが、これは私どもよりは、その地元で行われておりますので、私の方からここでその状況を御答弁申し上げるというのはいかがなものかと思いますが、シーバース、配管橋に係ります事業の進捗状況ということでお答えさせていただきたいと思います。
シーバース、配管橋工事の実施のため必要な手続のうちの港湾法と港則法に係ります手続につきましては既に終了をいたしておりまして、現在は残ります消防法に係ります手続、すなわち白島備蓄会社が現在許可申請中でございますそれの許可を待っておるところでございまして、この消防法の許可が得られ次第、シーバース、配管橋の工事の発注を行いまして、平成四年度に鉄鋼製やぐらといいますいわゆるジャケットの基礎マウンドの造成とジャケットの製作を実施して、平成五年度が現地据えつけという予定になっておるというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/146
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147・小沢和秋
○小沢(和)委員 きのう、私が当局を呼んでこの点についてお話を伺ったら、年度内にもその許可が出ることを期待しているというようなお話があったのですけれども、それはもう間違いないわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/147
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148・細川恒
○細川政府委員 そのように理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/148
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149・小沢和秋
○小沢(和)委員 それで消防法の関係は私はわかったのですが、そのような危険物の取り扱いに」ついて審査をパスしても、それだけで住民は安心できないと思います。先ほども申し上げたように、百年に一度の大波を受けても大丈夫と聞かされていた防波堤が大しけで実際に崩れておるわけであります。だからこの経験から、泊地から八百メートルも送油管を海上に突き出してその先にシーバースをつくれば、防波堤などよりはるかに危ないのではないかということをみんなが心配しております。その後、配管橋とシーバースの強度を大幅に上げる手直しをしたと聞いておりますけれども、その後の安全性のチェックはどうなっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/149
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150・細川恒
○細川政府委員 被災後でございますが、シーバース前面の設計波を五・六メートルから七・七メートルに見直しかなされておりまして、これに伴いましてシーバース及び配管橋といった構造物につきまして設計の見直しかなされることとなったわけでございます。
具体的に申し上げますと、ローディングプラットホームなど、各構造物のデッキの高さをかさ上げをするとともに、ジャケットの部材の管径、肉厚及びくいの根入れ長、すなわち深く入れる長さですけれども、それを変更いたしまして強度を増すこととなっております。加えまして、いわばソフトウエアの面からですけれども、工事の安全確保、海上工事期間の短縮の観点から、白島石油備蓄基地のような外洋型シーバースに最も適しておりますシャケット工法を採用するとともに、的確な気象、海象予測に基づきまして静穏な期間を選び施工するということになっております。加えまして、学識経験者などから成ります白島石油備蓄基地施工対策管理委員会を設置をいたしておりまして、これは新たに設置したわけでございますが、各年度の施工計画とその実施状況につきまして現場の調査を含めた確認をいただいておるということで安全面の手当てをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/150
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151・小沢和秋
○小沢(和)委員 きのう伺ったところでは、現在海底や岩盤の状況を調査して、それに基づく工事の内容の変更の届け出などを行っているというふうに聞いております。これを私は届け出というふうに聞いたのですけれども、先ほども申し上げたように現地でのそういう不安などを聞いた場合、その工法の変更、手直しなどによっていよいよ安全が間違いなく保証できるかどうかということについて十分にチェックをしてから受理をする。同じ届け出といっても、機械的にぽっと受け取るのか、それともそういう十分な吟味をしてからそれを受理するのかということは大変な違いだと思うのですよね。現場のそういう不安、現地のそうい不安というのを考えたら、この届け出の受理については慎重に十分吟味をした上で受理をしていただきたいし、私はそこまで済まなければ、消防法の手続がクリアしたといっても、これも含めて最終的に手続が終了しなければいわば白島の最終的なゴーサインは出たことにならないのじゃないかと思うのですが、最後にその点、もう一度お尋ねをして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/151
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152・細川恒
○細川政府委員 御指摘の探査あるいは測量といいますか現地の調査でございますが、若干誤解があろうかと思いますので、その事情を申し上げたいと思います。
昨年、平成三年の九月から十月にかけまして海底地盤の深さ測量のための音波探査が行われております。加えまして、平成三年十月にボーリングを一本しておりまして、これは岩盤の調査でございますが、それに基づきまして昨年の十一月に、消防法ではなくて港湾法の許可申請変更手続、届け出がなされたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/152
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153・武藤山治
○武藤委員長 川端達夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/153
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154・川端達夫
○川端委員 大臣、長官、大変御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
きのう経企庁の方から、二月の月例経済報告というのをお出しになりました。長らく続いた好況も折り返しを迎えるということで、マスコミも含めまして初めて景気後退を政府が認めたというふうな報道もきょうされておりますけれども、先ほどの所信でもお触れいただきましたけれども、改めまして、非常に国民にとっても大事な景気の動向のことでございますので、経企庁長官の方から現時点での経済動向の御認識とこれからの展望についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
〔委員長退席、和田(貞)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/154
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155・野田毅
○野田国務大臣 多少正確に申し上げたいと思いますが、我が国経済につきましては、需要面では、個人消費は基調として堅調である、住宅建設は減少傾向にあるけれども下げどまりの動きが見られる、設備投資は総じて根強いものの伸びが鈍化をしております。一方で、産業面を見ますと、在庫は増加傾向にあり、鉱工業生産は弱含み、一進一退で推移をしております。企業収益という面で見ますと総じて減少しておるわけでありますが、水準を見ると依然として高い水準にある。企業の業況判断を見ますと減速感が広まっております。雇用面について見ますと、有効求人倍率がやや低下はいたしておりますものの、労働力需給は引き締まり基調で推移をしておる、こういう概況でございまして、これを総括して申し上げますと、「我が国経済は、景気の減速感が広まっており、インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程にある」ということが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/155
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156・川端達夫
○川端委員 そういう御認識で御発表いただいたわけですが、実際の産業の現場を担当していただいております通産大臣としてはその部分、まあ内閣の発表ですから同じだということであれば同じなのですが、改めて御認識をお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/156
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157・渡部恒三
○渡部国務大臣 産業の情勢認識については、ただいま長官が答弁したと同様でございますが、私どもの官庁はその産業を発展させていかなければならない所管官庁としての対応策というものにつ
いては私は積極的な意見を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/157
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158・川端達夫
○川端委員 きのうの報告でも、例えば先月の経企庁の月例報告では、「我が国経済は、これまでの拡大テンポがこのところ減速し、インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程にある。」それで今月になりますと、その「拡大」という言葉が初めてなくなったということで、「我が国経済は、景気の減速感が広まっており、インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程にある。」ということで、「調整過程にある」というふうな表現をされているわけですが、実際私なんかが多いろいろな地域の経営の実務に携わっておられる皆さんといろいろ意見交換をさせていただいたり、あるいは非常に身近ないわゆる一般の生活という部分でタクシーに乗ったり料理飲食業のところの実態等々を見ますと、相当やはり不況感というのと、不況というものが深く浸透しているのではないかな、安定成長に移行する過程という認識と少し違うのではないかなというのを実感として持っております。
そういう中で、きのうからきょうにかけても、その発表を受けてマスコミを通じていろいろな各界の方々もそれぞれのコメントを載せておられるわけですが、総じて言いますと、表現として、一つは果たして現在が調整段階なのか、もう一つは年内というより早い秋ぐらいから回復基調に入るということの見通しなのだろうかということに関していろいろな御意見を言っておられます。
例えば、報道を経由したことで恐縮でございますが、平岩経団連会長、二十五日の経団連理事会で最近の景気実態について、「景気の実態はマクロの統計で判断した政府の見方よりもはるかに悪化している」との認識を示した。あるいは鈴木野村総研理事長は、「「景気の減速感が広まっており、インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程にある」との現状判断は甘い。これでは、実質経済成長率三・五-四%程度の巡航速度の成長路線へ向けて、これから軟着陸するかのような見解だ。しかし現状は、いったん軟着陸に失敗して突っ込み過ぎ、今夏以降、その路線への浮上を目指している段階と言える。」というふうなことを言っておられます。また、きのうですか経企庁の事務次官の「製品や原材料の在庫調整が一九九二年四-六月期には終わり、七月以降に景気は拡大する」というふうなコメントが報じられているわけですけれども、産業界では、「在庫調整が夏に終わるほど、現状は生やさしいものではない。まだ、出口が見えない」等々、異口同音にそういう甘いものではないという認識をお持ちであるということではないか。大体妥当だという報道が、いろいろ探したのですけれども載ってないのですね。
もう一つは、やはりその今日の、きのう時点の現状認識自体が、一つは甘いということと同時に、遅いのではないか。例えば去年の八月の月例報告で経企庁は、日本経済は内需が堅調に推移し拡大局面にあると判断をされておるのですけれども、この時点でも、わかっているデータとして六月までのデータで、新設の住宅着工戸数は八カ月連続減少しているとか、あるいは鉱工業の生産指数が一-三月、四-六月連続マイナスとかいうふうな数字が出ている中でも堅調に推移し拡大局面にあるということで、昨年末にようやく景気動向指数がゼロになって初めて調整段階というふうな表現が出てきたという部分では若干甘いのではないか、遅いのではないか。きょうの新聞でも、新日鉄の今井副社長「政府の見解は、経済界の認識に一致したという点で一歩前進ではあるが、「遅すぎる認識」だ。」、自動車関係では、「政府の見解は遅きに失した」、電機業界、「不況感が企業、消費者の全般に浸透しつつある状況で、不況感は昨年夏から出ていた。事態はすでに政府の観測よりはるかに深刻化している」等々、枚挙にいとまのない報道がきょうはされました。一月の発表のときには、閣議後の記者会見でも、閣内でもいろいろと、それ、ちょっと甘過ぎるのと違うというふうなコメントが記者会見でされた閣僚もあるやに報道をされました。非常に難しい局面であるということの一つのあらわれではあるとは思いますが、こういう難しいときが非常に重要な役目を持っている報告でもございます。そういう意味で、今言いました、同じことになるかもしれませんが、甘い、あるいは遅いというふうな報道が山のように今日されておるわけですが、それを受けでどのような御所感をお持ちでしょうか、長官。
〔和田(貞)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/158
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159・野田毅
○野田国務大臣 政府の現状認識が甘い、遅いというような印象が、産業界、毎日毎日経営の前線でやっておられる方々からすればそういう印象があるということは甘んじてお受けをしたいと思っております。
少なくとも私どもは、やはり冷静な分析も必要である。それから、いわゆる好景気というときでも一月、二月の単独の指標だけで見るとかなり上下に変動、ぶれておるわけでありますね。したがって、そういう基調的な変化というものをどうとらえるかということについてはやはりそういう冷静な分析というものが必要である。それで、その分析をするに当たって、極力最新のデータを加味しながら、そしてまた一線で経済を担っておられる方々の言うならば皮膚感覚といいますか、そういったものをも十分吸収しながら判断をしていくということになるわけでありまして、そういう点でどうしてもそのときどきの鋭角的な判断の上下変動ということは避けなければならぬ。そういう意味で、一線でやっておられる方々から見れば、特にこういう景気の情勢が減速傾向にある局面においてどうしても政府の方が後追い的な印象になるということは、私は避けがたいことであると思っておるのです。ただ、問題は現状判断をするだけでしっ放しということにはいかないわけでありまして、そういう現状判断にとって、じゃ、どういうような対応を考えるかということの方がより大事なことであると我々は実は考えております。
そして、現在の景気の現状認識について言えば、景気の実態よりも経営者のマインドの方が下振れをしておるのではないかということも言えるのではないか。これはやはり過去の高い、いわば過熱ぎみの成長時代との落差感がかなり大きいわけでありますし、特に今御指摘のありましたそのよって来る事柄が、いわゆるバブル崩壊といいますか、そういった今までかつて経験をしたことのないような要素においてこういう現象が生じておる情勢に今あるということも一つあると思います。そこに加えて、家電系統といいますか、半導体、エレクトロニクス産業系統においても、ややいわば循環論といいますか、飽和感みたいなものもあり、多少メーカーと消費者の問のミスマッチ的な要素もなくはない。そういったことから、いわば耐久消費財、特にそういう電気製品系統が消費が伸び悩んでおる。若干幾つかの要素が絡み合っておるだろうと思います。
そこで、やはりもう一つ感じますのは、特に昨年の夏ごろ、あるいは証券、あるいは金融、そういったものについていろいろな不祥事がありました。それで、その反省ということは、いろいろな取引を公正な姿に持っていくということは非常に大事なことであるし、そして市場に対する信頼感、投資家の信頼感であったり、そういったものを回復するということは非常に大事なことでありますけれども、ある意味ではノーマルなところにいっておるという姿よりも、やや私は、振り子で、いえば反対に振れておるというようなことも今の状況は多少影響をしておるのではないかというふうに見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/159
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160・川端達夫
○川端委員 こういう批判は甘んじて受けるとおっしゃいましたので言いようがないのですが、マインドを気にするといいますか、マインドというものに対して非常に慎重な配慮が必要だということは事実だと思います。それと同時に、冷静な判断という部分ももちろん非常に大切だと思います。ただ、正確を期そうという部分で、統計資料に基づく判断という部分では、当然ながら時間がかかる。今日時点において果たしていざなぎ景気を上回っていたのかいないのかというのはもう少したたないとわからない。厳密に言えばこれはもう政治の領域ではなくてエコノミストの領域ではないか、こういう部分の一つの要素というのがバックボーンにある側面は否定はできないと思います。
ただ、長官も今お触れになりましたように、政府が経済動向を把握しているという本来の趣旨はやはり迅速かつ適切、的確にその流れ、トレンドを把握することによって、政府としてとるべき対応に遅滞なきことのためにおやりになっているのではないかというふうに思うわけです。そういう部分で、少し、いろいろな統計指標が一、二カ月おくれるという分は仕方がないかもしれませんが、現場の実態という部分に関していろいろな御努力はいただいてはいると思うのですが、何か今のままいきますと、こういう非常に景気の不透明感あるいは減速感、不況感という中で、政府のいろいろなこういうものが余り当てにならないというふうなことがあってはいけないと思うのですね。
それと、公定歩合の引き下げでもいろいろな議論があるのは承知をいたしておりますが、予算あるいはこれからの景気対策というものがオフィシャルにようやく今調整期間に入ったという認識のもとでの経済対策、景気対策というものと、やはり相当な事態になってきているという中での認識での対策というのは当然違うというふうに思います。そういう意味では、なおの工夫をしていただきたい、かように考える次第でありますし、マインドを非常に配慮していただくという部分は今の部分では難しい、対策を早目に打つという部分では、余り早目にやると本当に不況かなということがあるというのは、御苦労は多いと思うのですが、ただ、きょうの日経新聞に、なぜ後退判断がおくれたかというふうな記事が、これは憶測というか、それの記事ですからあれですけれども、いわゆる「景気が後退局面に入ったとの見方では民間エコノミストの間で昨年中にほぼコンセンサスができていた。政府の「景気後退」判断が二月末までずれ込んだのはなぜか――。」こんな解説記事が載っておりまして、要約しますと「統計が経済の動きよりも一、二カ月遅れて出てくることを考えると、判断が遅れてもやむを得ないという」部分もある、しかし、これは大蔵省がいろいろやったんだと。「九二年度予算の編成前に政府として「景気後退」という判断を示すと、テコ入れ型の予算を組まなければならなくなる」「しかし、二月の月例経済報告での「後退宣言」ならばこ「「公共事業予算が執行できないと景気をさらに悪くしかねない」と早期予算成立を促す武器になる。」こういう判断でやったんだと非常にうがった記事が載っておりました。しかし、今の状況だと、こういうことに何か説得力を与えるような雰囲気がなきにしもあらずではないかな。そういう部分で、いろいろな角度で技術的な部分、情報のスピードの早い時期であります、いろいろな統計的な部分を含めての、トレンドの察知というか、適切な部分のアクションというのは今以上に御努力をいただきたいということを思うのですが、御所見があればお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/160
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161・野田毅
○野田国務大臣 いろいろな解説記事、私も目を通しておりますが、その一つ一つにとやかく言うつもりはありません。ただ、この減速傾向ということに私どもも十分留意をして、そこで御案内のとおり、昨年の補正予算あるいは特に現在御審議中の平成四年度予算についてはかなり思い切った景気配慮型の予算編成をしたところであります。もう中身について細々申し上げませんけれども、かなり思い切った配慮の予算であるということをとって見ていただければ、政府としてどういう認識をしておったかということは御理解をいただけることであるだろうと思っております。
なお、もう一つは、特に生産の方が弱含み、一進一退である、しかし、在庫の方がまだ積み上がっておるという状況ですね、その辺を私どもは今回は特によく留意をしたということがポイントであると思っております。
ただ、今マインドという御指摘がありましたけれども、私どもは、やはりあくまでこの種の経済運営というのは、余り大変だ、大変だという浮き足立ったような印象になるということはかえってマインドの上でよくないんじゃないか。やはり冷静な対応ということ、そして的確な措置ということが両々相まって一つのコンフィテンスをつくり上げていくんだと考えておるわけでありまして、そういう意味では、この先行きについて、あるいはまた後ほど御質疑があろうかと思いますけれども、明るい材料もあるわけでありますから、そういった点で我々もさらなる努力をして、よりアップ・ツー・デートといいますか、判断を的確にし、そしてまた的確な対応をしていかなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/161
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162・川端達夫
○川端委員 どうぞよろしくお願いします。時間が限られておりますので次に移ります。
そういうかなり減速あるいは後退期の経済という中で、やはり影響を一番ダイレクトに受けるのは中小企業ではないか、現にそうだというふうに思います。そういう中で、現在審議されております今年度予算の中でも中小企業対策費というのは、前回も頑張ってくださいとお願いをしていたのですが、多々ますます非ずでありますから欲を言えば切りがないのですが、相当頑張っていただいたという部分は評価をさせていただきたいというふうに思います。
そういう中で、いろいろな金融公庫、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等々中小企業向けのいわゆる金融施策ということで御支援をいただいている部分も予算ですから一定の枠があるわけですが、こういう不況感の出てきたような状況の中では、やはりその当時の金利とかに、公定歩合なんかという部分の変動ももちろんこれからあると思いますが、無利子とか定期の長期融資が行われるというふうな部分に関しては、例えば財源確保のためには中小企業対策費、そういったぐいのものに関してはシーリングというものの枠から外してもいいんじゃないかというふうにも思うのですけれども、機動的な対策を予算の中でとっていくという体制、仕組みをぜひともにお考えをいただきたいというふうに思いますが、御所見を中小企業庁長官にお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/162
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163・南学政明
○南学政府委員 先生の温かいお言葉で日本全体の中小企業者も大変喜んでいると思いますが、政府全体の方針としてマイナスシーリング方式というのがございまして、我々はそれに拘束されているわけでありますが、中小企業対策予算につきましては、そうした厳しい中で全力を挙げてその拡充に努めてきているところであります。平成四年度の政府予算案におきましても、中小企業対策予算は前年度比六億円増の千九百五十六億円と十一年ぶりの高い伸びに相なっているわけでありまして、今中小企業対策に万全を期するためにも、また企業家心理を明るい方向に向かわせるためにも、ぜひこの予算案の早期成立をお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/163
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164・川端達夫
○川端委員 その中小企業に関連をして、特に大臣の御所見を賜りたいと思うのですが、最近の企業、別に中小企業ということではなくて、企業の社会的存在という意味で、いわゆる環境に優しいという観点とそれからそこに働く人のゆとり、豊かさという、所信でもお触れいただきましたが、そういう部分の枠から外れた企業は社会的には生存が許されないという時代の大きな流れというものがあるというふうに私は思います。そういう意味でいろいろ工夫をしていただいて中小企業の時短の促進という部分にも御配慮をいただいているのは重々承知をいたしております。環境対策においてもしかりだというふうに思います。しかし、この環境あるいは時間短縮という問題は、最終的には企業の競争力というものにやはりかかわってしまう。端的に言えば、コストアップの要因になるという部分で非常に厳しい環境に中小企業は置かれてしまうというのが実態ではないかというふうに思います。社会的な要請のもとでの、環境に優しく、ゆとりと潤いのある、豊かさのある働く職場というふうな企業として残れない人は御苦労さんと、社会的に存在を許されないからなくなっ
ても仕方がないなあと言ってしまえばそれまでなんですけれども、企業はそれぞれにいろいろ御支援をいただく中で懸命に努力をしているけれども、最終的にはそれをコストが上がるという状況で受けとめざるを得ない。そのときに、そのコストが消費者あるいは売り先に転嫁できるかどうかということで、企業の経営者の方とお話をしても、総論としてはそのとおりだ、やりたい、しかも時短なんかやらなかったら人も来てくれない、しかしそれをやろうとするとコストが上がる、それは果たして、例えば下請であれば上の企業に値段が通るかといえば通らないところに今置かれているというふうに思います。
時間があればまた個別のいろいろなお話をさせていただきたいと思うのですが、そこでこれは、そういう時代の中で、それなりの手助けはするけれども生き残れなかったらまあ仕方がないなというふうな問題ではなくて、日本の経済は申すまでもなくやはり中小企業で成り立っているという産業構造を持っているわけですから、この部分はただ単に、おのおのの企業の皆さん、支援をしてあげますから頑張りなさいよということではなくて、大きく日本の産業基盤、産業構造にかかわる問題として取り組まなければいけないのではないかというふうに考えております。
そういう意味で中小企業、こういう問題、もうだれが言っても、百人が百人とも、環境や時短ということにはノーと言えないというか当たり前という中で、果たしてそれをどうクリアするかということに関して大臣としての御所見を、ぜひともにこれは大変大きな問題としてとらえていっていただきたいということでの御所見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/164
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165・渡部恒三
○渡部国務大臣 中小企業が我が国の産業を支える極めて重要な担い手であるという認識、川端委員と全く同感であります。ただ、今御指摘のあった労働時間の短縮というような問題、勤労者の労働条件というようなことになると、大企業と中小企業との間にいろいろの条件の異なりがあるのもこれは事実でございます。しかし、大企業とて下請中小企業によって成り立っておるのでありますから、中小企業で働く人も大企業で働く人も、これからの時間短縮によってゆとりのある生活をしていかなければならない、その労働条件に差があるようなことは好ましいことではないわけでありますから、昨年の国会でつくっていただいた中小企業労働力確保の法律とか下請関連の法律とかいろいろなものを活用しながら、また中小企業は中小企業なりの大企業にまさるところの特性もあるわけですから、その技術開発やあるいは設備の近代化、こういったものを進めて、中小企業が、これからもそこで働く人、経営者を含めて、日本の経済の極めて重要な支え手として胸を張って発展していくように努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/165
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166・川端達夫
○川端委員 ありがとうございました。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/166
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167・武藤山治
○武藤委員長 江田五月君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/167
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168・江田五月
○江田委員 工場御苦労さまでございます。渡部通産大臣と野田経済企画庁長官、お二人の所信を伺わせていただきました。お二人とも練達の有力経済閣僚で、景気後退が言われる中で、バブル崩壊後の健全な経済運営と社会生活の実現そして実質経済成長率三・五%実現のための力強いリーダーシップをぜひ発揮していただきたいと思います。私も両大臣と問題意識として共通するものが多いと思っておりまして、ひとつぜひ頑張っていただきたいと思います。
きょうは二十分という短い時間なので、両大臣おられますが、通産大臣の方に絞って御質問したいと思いますので、長官の方はどうぞ御退席ください。
さて、私の質問ですが、ガットの問題について伺いたいと思います。ガットといいましても、必ずしも今緊急の事態になっていることではなくて、もう少し幅広く伺ってみたい。ガットと環境問題ということで大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
所信の中で、大臣は環境問題の重要性を指摘されて、「人類共通の課題である地球環境問題については、本年開催される国連環境開発会議の成功に向け、我が国は世界の主導的役割を果たしていかなければなりません。」こう述べられておるわけでございます。実は、私は今月の三日と四日、ワシントンで開かれましたある国際会議に出席をしてまいりました。もちろん、院のお許しをいただいたわけでございますが、GLOBEという国際会議、これはGLOBEという単語自体も地球ということですが、GLOBE、グローバル・レジスレーターズ・オーガナイゼーション・フォーア・バランスド・エンバイロンメント、こういいまして、日本とECとアメリカと旧ロシア、これは今変動の中におりますからちょっと浮動的ですが、こういう先進国の議会に籍を置く者が地球環境についてどういう役割を果たさなきゃならぬか、これをみんなで議論しようという環境問題に熱心な議員、全部で七十名ぐらいで組織をしております地球環境国際議員連盟という会議です。日本のこの会議は、地球環境国際議員連盟日本支部というのか、グローブ・ジャパンというのが十八名の超党派の衆参の議員がメンバーで、会長が原文兵衛元環境庁長官、最高顧問が竹下登元総理、今回は小杉隆、愛知和男そして私、三人の衆議院議員、広中和歌子、堂本暁子、二人の参議院議員が出席をいたしました。会議のテーマは、地球サミット、六月のUNCEDへ向けての提言が中心で、特に焦点となりましたCO2削減問題でアメリカの国務省の担当官と各国の議員との間で激論になりました。本当に激論になりました。アメリカの代表格のアルバート・ゴア上院議員などは、アメリカの政府の態度を恥ずかしく思うというようなことまで言われ、民主党の大統領候樹全員に、西暦二〇〇〇年までにいわゆる一九九〇年レベルで安定させる、こういう約束を大統領候補全員に取りつけてブッシュ大統領にも迫っていくということで、アメリカの議員も全員賛成して、CO2削減目標を明記するという決議がなされました。
私たちのそういう動きもあってアメリカの態度が動いてきた。今私はここにUNCED情報その一、これは外務省のUNCED準備事務局がつくっているものですが、持っております。そこに、米国の態度のある程度の柔軟化の可能性が見られるのが新しい点、こう書かれるような、そういう態度の変化が起きてきた。残念ながら、どうもその後またもとへ戻ったようで、最終的にはなかなか難しいということになっている。大変残念でありますが、しかし、やはり国際世論をつくっていって、その中でいろいろ難しいことも皆それぞれ乗り越えてもらう、そういう活動を我々具体的にそうやってやっていかなければいかぬというので努力してきたわけでございます。
もう一つ焦点になったのがガットと環境。実は私は二日目に、のんびり聞き役に回っていようと思っていたら、ふとしたことで議長役を務めるというので、英語もいろいろあってなかなか聞きにくい英語も、そんなことを言うと差別になるのかもしれませんが、現実にあって、私はそれほどできるわけじゃありませんので議長を逃げ回っていだのですが、務めました。ガットと環境について大変に厳しい議論が行われた。となり合い、これは議長をやるのは大変だったのですけれども、ゲストで招いたガットの事務局に対してアメリカとECの議員たちから、ガットが環境保護を妨害しているのじゃないか、環境に対して敵対的ではないのかという観点からの指摘が相次いだ。私も、確かに環境保護というのが保護貿易主義の隠れみのになってはならないと思いますが、しかし、ガットと環境問題というのは重要な課題だと考えております。
その場で、確かに三〇年代の大不況、そして世界じゅうが保護貿易主義に逃げ込む、そして世界がだんだん緊張が増してとうとう第二次大戦に進んでいった、ああいう愚を繰り返さない、そのために自由貿易というのは大切なんだ、こうしてガットが生まれてきたわけですが、しかし今、環境保護派からガットというものに対する信頼が揺らいでくる、こうなりますとこれはいけないので、やはりガットというものが世界の確信に支えられてこの自由貿易体制というものを運営をしていかなければならぬわけで、そうなりますと、世界の、こういう世界がいいんだという確信に支えられようと思うならば、今環境保護派は、世界のことにかかわりなさんな、こうは言えないわけですから、世界が環境のことについても大いに議論しなければならぬという時代ですから、ガットも環境の問題というのをその原則の中に、起こってくる問題として考えなければいかぬ、そういう時代に来ていると思うのですね。現にガットも環境問題について、貿易と環境に関するレポートをつい最近、二月になって出したりしているようでありますが、今後のガットの動向について、日本政府はどういうふうに今の環境との関係でお考えになるか、大臣から政府の考え方、あるいは大臣個人の考え方をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/168
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169・渡部恒三
○渡部国務大臣 江田先生御指摘のように、これからは地球規模あるいは宇宙と言っていいかもしれませんが、その中で環境と経済をどう両立させていくか、これが私どもに与えられた大きな課題でございます。
今ガットについてのお話がございましたが、昨年の秋から貿易と環境に関する作業部会による検討が開始されたところであって、これは通産省としてもこのような検討に積極的に参加をして国際的な協力の中で自然を守り、地球を守り、さらに経済の発展を両立させていくための努力をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/169
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170・江田五月
○江田委員 繰り返すようになるかもしれませんが、地球環境保護という大目標が保護主義の隠れみのになってはいけない。それはそうなんですが、しかし、世界の良好な貿易状況というのは決して地球環境の悪化に対立するものじゃないんだ。むしろ資金が良好に分配され、資源が良好に地球上に行き渡ることによって環境保護に資する、そういう世界的な貿易秩序をつくっていかなきゃいかぬという意味では、ガットと環境は敵対じゃなくて、むしろガットがしっかりと環境保護を支えるということは私は十分可能だと思うので、これからの知恵の出しどころだ、日本がそういう知恵を出していかなきゃいけないと思うのですが、大臣の決意を聞いて心強く思っているところです。
ところで、現在ガットのウルグアイ・ラウンドの交渉が行われている。もしこの三、四月に合意できずに相当時期がおくれるというようなことになれば、むしろ環境問題とかあるいは安全性の原則、こうしたものをガットのルールの中に積極的に取り込んで、それでガットの信頼性をむしろ高めていく、そういうことをやった方がこの現在の交渉の合意のためにも、ちょっと回り道のようだけれども早いんじゃないか。本来ガットは、自由貿易のルールを確立することによって世界の消費者、生活者の利益を図るべきものであるわけだから、そういう世界の消費者、生活者が重視する環境や安全性の問題を無視していいはずがないので、こうしたことをガットのルールの中に打ち立てることに日本がリーダーシップを発揮するということは一つの手ではないかと思いますが、今のこのウルグアイ・ラウンドについてということで、先ほどの質問とダブっておりますが、ちょっと観点を変えた質問ですが、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/170
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171・渡部恒三
○渡部国務大臣 ウルグアイ・ラウンドは、私ども一日も早く成功裏に終わらせるために今も全力を尽くして努力をしておるところでありますから、これが延びた場合ということに対してどうこうというお答えは適当でないと思いますけれども、基本的な今先生のおっしゃる考え方、これは私も同感であって、地球規模での環境保全というものは、保護主義を助長するというよりはむしろ自由主義経済が発展して世界全体が協力していくことによって環境保全ができるので、私は国際貢献の大きな柱がこれは環境問題だと考えておりますし、先般サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウエート等の産油国に参りました。砂漠の大地に水と緑を求めて頑張っておるあの国の人たちに、石油によって今日の発展をした我が日本が、あの産油国をすばらしい緑と水に恵まれる国にするのにどれだけの技術的な協力をでき得るかというような話をしてまいりましたけれども、まさに基本的な考え方は先生おっしゃる考え方と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/171
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172・江田五月
○江田委員 ありがとうございます。
もう一つ、先ほど言いましたGLOBEの会議で話題になったこととして、シベリアの針葉樹林帯の問題が討議されました。私も余り深く認識していなかったのですが、この地球の温暖化ということに関係して、炭酸ガスが出てくる、この炭酸ガスをもう一度取り込む、固定化させる、その機能を果たしているものに植物がありますね。この植物が非常に大規模にあるところが、一つは熱帯雨林、ジャングルですね。雨がどんどん降って、どんどん木が伸びている。もう一つ、シベリアとか、ああいう亜寒帯というのですか、ああいうところの針葉樹林帯というものがあるというわけです。確かにそれはそうです。大変な針葉樹林がずっと続いているわけですから。このシベリアの針葉樹林の伐採が実は今問題になっていて、これが実は第二の熱帯雨林問題になるおそれがある、こういうことが指摘をされた。
ロシア共和国から来ておられる代表の人が、これはロシア共和国環境大臣のアレクセイ・ヤブロコフさん、こうおっしゃるわけですが、今ロシアも激変の中ですからどういう立場にある人か詳しくはわかりませんけれども、シベリアの針葉樹林が違法伐採を含めた急速な破壊によって危機に瀕している、韓国や日本のさまざまなアングラマネーも関与をしている、北朝鮮の刑務所をシベリアにつくって受刑者を伐採労働者として使っているというようなことが言われて、これは私は確認できないのでここでそうだと言っているわけではないですが、そういうようなことがロシアの人から話題として出された。
それだけの前提なのですけれども、しかし確かに、考えてみるとこの針葉樹林帯が保護されていくということは大変日本にとっても重要なことでございます。そこで、シベリア針葉樹林について、これを壊すことのないように注意を喚起するそういう手紙をロシア共和国エリツィン大統領にGLOBEとして出しました。これはどうですか。どうも私ども調べる方法も何もないのですけれども、通産省としてどうお考えになりますか。そういう指摘について、やはりこれは何らかの方法で通産省としても関心を持たなきゃならぬそういうテーマだというふうに私は思いますけれども、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/172
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173・渡部恒三
○渡部国務大臣 今、江田先生からお話しの件は、これは私も全く初めて耳にすることでございますけれども、先ほども申し上げたように、環境問題、自然保護、これは地球的規模に立って考えなきゃならないというのが我々の国際貢献、その中で環境問題が大きな位置を今後占めていくだろうという私の基本的な考え方でございますし、またこれは対ソ支援の問題、今ロシア共和国ということになって非常に苦労している中で、七十年の社会主義よさようなら、自由主義によって新しい国づくりをしようと今努力しておるあの国のために、私どももお役に立つことがあれば役に立ちたいというのが通産省の基本的な姿勢であれこれとやっておるわけでありますから、そういった考え方の中で今後勉強してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/173
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174・江田五月
○江田委員 通産省は、旧ソ連の経済支援についてはこれは大きな責任を持っておられると思います。我々も応援をしなければならぬと思いますが、ぜひ今おっしゃったような観点から、その際シベリアの針葉樹林が乱開発、乱伐されるようなことのないように、その他の点についても同じですが、環境問題について十分な配慮をして取り組んでほしいと思います。この点は、大臣から既にお話がありましたので、お答え要りません。
以上で私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/174
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175・武藤山治
○武藤委員長 次に、内閣提出、輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。渡部通商産業大臣。
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輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する
臨時措置法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/175
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176・渡部恒三
○渡部国務大臣 輸入の促進及び対内投資事業の円滑化に関する臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、国際的な貿易、直接投資等の幅広い相互交流が進展する中、各国間に存在する不均衡を背景に、国際的に保護主義、地域主義的な動きが強まっておりますが、我が国としては、国際的な相互交流を推進し、国際的に調和のとれた経済発展と開かれた経済社会の構築に努めることが必要となっています。
しかしながら、一方におきまして、我が国の貿易黒字は再び拡大傾向を示しており、対内直接投資による事業活動の水準も、低いものにとどまっております。
このような状況のもと、我が国としましては、輸入の促進と対内直接投資による事業の実施の円滑化を図ることにより、国民経済及び地域社会の国際経済環境と調和のある健全な発展を図るとともに、国際経済交流の進展を促進することが急務となっております。
本法律案は、以上のような観点から、港湾・空港地域における輸入促進基盤施設の整備等を初めとした輸入の促進に寄与する事業等を支援するとともに、対内直接投資による事業の実施を円滑に進めるための措置を講ずることを目的として立案されたものであります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、輸入の促進に関する措置であります。この法律案では、港湾または空港及びその周辺の地域において輸入促進基盤施設の整備等を行う事業を輸入促進基盤整備事業と、これらの施設を利用して行われる輸入促進に寄与する事業を輸入貨物流通促進事業と定義いたします。
主務大臣は、輸入促進基盤整備事業及び輸入貨物流通促進事業の支援に関する事項等につき、地域輸入促進指針を定めることといたします。都道府県は、この指針に基づき、地域輸入促進計画を作成し、主務大臣の承認を受けることができます。承認を受けた地域輸入促進計画に基づく輸入促進基盤整備事業を行う者については産業基盤整備基金による出資及び債務保証の対象とするとともに、地方税の不均一課税に伴う減収補てん措置が講じられることとしております。承認地域輸入促進計画に基づき輸入貨物流通促進事業を行う中小企業者に対しては、中小企業信用保険の特例が講じられます。また、本法律案の附則において、民間事業者の能力の活用による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法の改正を行い、同法に定める特定施設の追加を行うことといたします。
この他にも、特に輸入促進が必要かつ適切である製品の輸入を行う事業を特定製品輸入事業と定義し、特定製品輸入促進事業を行う者について、産業基盤整備基金による債務保証の対象とするほか、中小企業信用保険の特例措置を講ずることとしております。
第二は、対内直接投資による事業の実施を円滑に進めるための措置であります。本法律案においては、我が国に支店等を設置している外国企業及び外国企業の出資比率が三分の一超の子会社等の行う事業を対内投資事業とし、このうち、国民経済の国際経済環境と調和ある発展、国民の消費生活の向上及び技術等の国際交流の進展に資する特定対内投資事業を主たる事業として行っている者について、事業開始後一定期間に限り、産業基盤整備基金による債務保証の対象とするとともに、欠損金の繰越期間の延長等の課税の特例措置等券講じることとしております。また、市場の開拓に関する調査、従業員の研修等対内投資事業を支援する事業を行う者に対して、産業基盤整備基金から出資を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、御賛同賜りますようお願いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/176
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177・武藤山治
○武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る三月三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十六分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112304461X00119920226/177
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