1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成四年二月二十八日(金曜日)
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平成四年二月二十八日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
塩川自治大臣の平成四年度地方財政計画につい
ての発言並びに地方税法の一部を改正する法
律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部
を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並
びに質疑
午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/0
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001・櫻内義雄
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
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国務大臣の発言(平成四年度地方財政計画に
ついて)並びに地方税法の一部を改正する
法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一
部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/1
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002・櫻内義雄
○議長(櫻内義雄君) この際、平成四年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣塩川正十郎君。
〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/2
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003・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 平成四年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
平成四年度の地方財政につきましては、最近における経済情勢の推移と地方財政の現状にかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債の抑制に努めるとともに、地方一般財源の所要額の確保を図り、歳出面においては、それぞれの地域の特性を生かした自主的、主体的な活力ある地域づくり、住民生活の質の向上のための社会資本の整備及び地域住民の福祉の充実などを積極的に推進するため必要な事業費の確保に配慮する等、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、地方財政の健全化にも配意しつつ、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。
以下、平成四年度の地方財政計画の策定方針について御説明申し上げます。
第一に、地方税については、最近における社会経済情勢等にかんがみ早急に実施すべき措置を講ずることとしております。
第二に、地方交付税については、地方財政の円滑た運営に支障が生じないよう、その総額を確保するとともに、八千五百億円を減額する特例措置等を講じることとしております。
第三に、国庫補助負担率の暫定措置に伴う影響額等については、地方債等により所要の補てん措置を講じ、地方団体の財政運営に支障が生じることのたいように措置しております。
また、義務教育費国庫負担金等のうち共済費追加費用、国民健康保険に係る事務費負担金等の一般財源化に伴い所要の地方財源措置を講じることとしております。
第四に、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり、住民生活に直結した社会資本の整備、地域住民の福祉の充実、快適な環境づくり、住民生活の安全の確保等を図るため、地方単独事業費の確保等所要の措置を講じることとしております。
第五に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助負担基準の改善を進めることといたしております。
以上の方針のもとに、平成四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は七十四兆三千六百五十一億円となり、前年度に比べ三兆四千八百三億円、四・九%の増加とたっております。
次に、地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
平成四年度の地方税制改正に当たりましては、最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の適正合理化を図るため、個人住民税所得割の非課税限度額の引き上げ、住宅及び住宅用土地に係る不動産取得税の税率等の特例措置の適用期限の延長等を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等を行うことといたしております。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につき、その趣旨を御説明申し上げます。
平成四年度分の地方交付税の総額につきましては、地方交付税法第六条第二項の額に二百十億円を加算した額から、特例措置額八千五百億円、昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例に係る返済額二百八億円、交付税特別会計借入金元利償還額九百二十八億円を控除した額とすることとした結果、十五兆六千七百九十二億円となっております。
また、特例措置額八千五百億円に相当する額等については、後年度の地方交付税の総額に加算することとしております。
さらに、平成四年度の普通交付税の算定につきましては、自主的な地域づくりの推進、高齢者の保健福祉の増進等地方団体が必要とする経費の財源を措置するため、単位費用を改定すること等といたしております。
以上が、平成四年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨説明でございます。何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)
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国務大臣の発言(平成四年度地方財政計画に
ついて)並びに地方税法の一部を改正する
法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一
部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/3
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004・櫻内義雄
○議長(櫻内義雄君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。岡崎宏美君。
〔岡崎宏美君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/4
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005・岡崎宏美
○岡崎宏美君 私は、日本社会党・護憲共同を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案、そして平成四年度地方財政計画について、宮澤総理、自治大臣ほかの閣僚の皆さんに質問をいたします。
私は、初めに、生活大国を目指す宮澤総理の姿勢についてお伺いをいたします。
総理は生活大国づくりを提唱されていますが、私は、住民に密着した自治体こそが生活大国づくりの担い手として大きな役割を果たすべきだと考えております。政府の四百三十兆円の公共投資基本計画につきましても、自治体が住民の要求に基づいて生活関連の社会資本の整備を図っていくことが重要でございます。また、「高齢者保健福祉推進十か年戦略」にいたしましても、福祉の水準、これを高めていくためには、高齢者や身体にハンディキャップを持つ方が必要とされる広範なサービスを地域の実態に即してきめ細かく実施することが重要であろうと思います。
しかも、政府が行うとされている事務事業のほとんどが自治体を通して実施をされており、そのほかに各自治体は、国の補助事業の規模を超える単独事業を行っております。自治体の果たす役割は国以上に大きいものがあります。政府は、全国三千三百の自治体に指示を出すというよりは、よきパートナーとして相談しながら、国民に対するサービスを充実させる、地域の活性化を図っていくことが大切だと思われますが、総理の地方自治に対する認識、そして自治体の意見をどのようにくみ上げていくおつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)
特に、自治体の意見の尊重については、過去に、地方を代表する団体に政府に対する意見の提出権を与えよう、こういう構想がありましたが、中央省庁の強い反対によってつぶれております。私は、地方に関係する法制度の改廃、そして、今議題となっております地方財政計画については、政府として正式に地方団体の意見を聴取をし、地方が意見を述べられる制度を創設するべきと考えますが、いかがでしょうか。(拍手)
また、宮澤総理は大蔵省の御出身ですが、地方財政計画は国の財政の規模を超える歳入歳出となっております。しかしその財源は、依存財源、特定財源が多く、国民の生活実態、ニーズに必ずしも的確にこたえられていない、これが実情でございます。
例えて言えば、地方においては、過疎対策、高齢化対策、若者の定住化対策のためにさまざまな創意工夫を凝らした施策を行っておりますが、住宅や福祉施設を初め、国の補助事業はさまざまな制約が多く、また、縦割り行政のために使いにくいという面があります。それをカバーしているのが地方団体共有の一般財源である地方交付税制度であり、地方税と並んで、自主、一般財源の重要性は、これはますます高まっている、こう考えますが、総理は、地方財政及び地方交付税制度についてどのような認識をお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。(拍手)
次に、地方交付税についてお伺いをいたします。
九二年度の地方財政対策の最大の焦点は、地方交付税率をめぐる問題でございました。大蔵省は、早々と地方財政余裕論なるものを展開し、結局九二年度の交付税は、交付税率を堅持することはできたとはいえ、一方で、附則三条に基づく特例措置として八千五百億円の減額が行われてしまいました。私は、極めて残念に思います。(拍手)
自治大臣は、その果たされている役割だけではなく、政治家個人としても地方自治について非常に高い見識をお持ちと伺っております。確かに公財政という観点からは、地方財源だけが確保されればよいということにならないのはわかりますけれども、交付税特別会計が余りにも安易に一般会計とのその場しのぎの貸し借りを行っているように思えてなりません。塩川自治大臣は、この点についてどう思われているのか。また、こうしたことが当たり前のように再三繰り返されるべきことなのか、お考えをお伺いをしたいと思いをする。(拍手)
また、附則三条は、八四年度地方交付税法改正時に設けられたものですけれども、当初から地方交付税制度、とりわけ第六条の三第二項とのかかわり、年度間調整問題が指摘をされてきたところです。この時点で、減額は理論的にはあり得るとはされましたが、当時の竹下大蔵大臣の答弁の趣旨に照らしても、現実的には想定はされてはおりませんでした。
しかし、昨年の四千五百億円に続き、特例減額が二年連続で行われたこと、そして今回の措置は、自治省の説明を認めるとするなら、九三年度以降の交付税措置にも影響を及ぼすことになるなど、極めて憂慮されると言わざるを得ません。一体、来年度以降の歯どめはあるのか、ないとするなら、特別会計と一般会計の秩序を守るためにも、法定額の特別会計への直入や附則三条の一たん廃止、これも検討されるべきと考えますが、自治大臣の見解をお尋ねいたします。(拍手)
同時に、九二年度においては、義務教育費国庫負担のうち、共済費追加費用が一般財源化されております。画と地方の財政秩序の維持からいっても、義務教育費については今後とも国が責任を持つべきと考えますが、大蔵大臣の御所見を伺います。
続いて、地方財政計画の内容についてお伺いをいたします。
来年度の地財計画では、地方の単独事業が大きく伸ばされております。これは、四百三十兆円の公共投資基本計画の達成の肩がわりの面があるにせよ、補助事業に頼ることなく自治体が自主的に取り組む事業を豊富化することであって、自治の拡大という点からは望ましいと言えます。
まず、従来の公害対策費を一括した上、大幅な増額を図り、環境保全対策経費が創設をされ、一千七百億円が計上されておりますが、今後とも環境対策は、大きな問題として一層の充実が必要であると思います。
また、社会福祉のための経費も大きく拡充をされています。これも保健、福祉、医療マンパワーの確保、措置権移譲に伴う人員増の問題、市町村保健福祉計画策定に要する費用などの点から考えればまだまだ不十分ではあります。来年度以降もさらに拡充を図っていくべきだと思います。そして、九二年度においても、地域福祉基金、土地開発基金を設け、その基金費を交付税措置をすることとされています。九一年度に社会党の主張が実り創設をされました地域福祉基金に対する需要は、これは大変大きいのですけれども、果実が小さいのが悩みであり、さらに積み増しが求められております。
こうした自治体の財政ニーズにどのように今後こたえていくのか、自治大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
ここで、仕事と家庭生活の両立を求めてきた働く人たちにとって、大きな関心を寄せられてきました育児休業の問題についてお伺いをいたします。
御存じのように、四党・連合参議院が共同の育児休業法案を掲げて、与党や政府に育児休業制度の法制化を強く求め、与野党が歩み寄った結果、官民男女全労働者に育児休業制度が法制化をされ、ことし四月から関係各法律が同時施行されることになりました。育児休業期間中の所得保障がないということなど、不満はありますけれども、働く者が育児と職業生活との両立を図れるように、そうするための制度的保障面で前進を見たものとして、評価したいと思います。
しかしながら、実際に育児休業をしようと考えている労働者にとって、実は、ただ単純に喜んではいられない、不安を抱えております。子が一歳に達するまでは育児休業をすることができたとしても、子が一歳に達して復職しようとするときに、その子を保育所が受け入れてくれるのでなければ、復職しようにも復職することができません。育児休業明け保育の保障措置がぜひとも必要なのです。
また、現行の保育所制度では、二人目の子について育児休業をした場合、それまで保育所に通っていた上の子は、原則的には退所させられることになっています。しかし、子供は荷物ではありません。一人の育ちつつある人間であり、子供の育つ環境についても十分配慮されなければなりません。
そこで、厚生大臣にお尋ねいたしますが、これらの問題について、一体どのように考え、当の働く人たちの不安を解消するためにどのように対処しようとしておられるのか、お尋ねをいたします。(拍手)
以上、地方交付税を初め、地方財政についてお尋ねをしたわけですが、総理のお考えになっている生活大国を本当に実現をするためには、住民の福祉の充実、地域社会の活性化が必要であり、そのためには、住民に根づいた自治体の果たす役割が非常に大きいのです。
分権を総理も言われております。けれども、そこに財政の強化ということがなければ、地方への負担の押しつけにしかならないのではありませんか。分権を実現をするためには、大幅な財源の移譲がまず必要なのではないでしょうか。この際、東京一極集中を是正をし、真の意味で生活大国を実現をしていくために、地方への権限移譲と財源の再配分に大胆に取り組むべきだと思います。
分権の推進と地方財政の確立は生活大国の基盤であること、これを強く訴えまして、地方自治の発展と地方財政の強化に対する総理の御理解を促し、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/5
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006・宮澤喜一
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 地方自治に対する私の基本的な認識はどうかというような点についてまずお尋ねがございました。
申すまでもなく、地方自治は民主政治の基盤でございます。また、内政のかなめであることも申し上げるまでもございません。最近の社会経済情勢の変化に対応しながら、住民の福祉の向上を図りますために、地方公共団体の自主性、自立性の強化を図ることが最も基本的に必要であるというふうに認識をいたしております。
また、国・地方を通ずる行政の円滑な推進のためには、地方公共団体の意向が国政に反映されることが御指摘のようにもとより必要でございますので、このような観点から、従来から積極的に地方公共団体の意見を聴取してまいりました。引き続きまして、行革審の答申等の趣旨もございますので、意見を聴取する機会の拡充をいろいろに検討いたしてまいりたいと考えております。この点、御指摘のとおりであると思っております。
それから、地方財政計画の策定に当たりましても、もちろん地方の意見を反映させることが必要でございますが、かねて地方六団体あるいは地方財政審議会など、地方の意見を踏まえて対処をしてまいりました。今後とも、地方の実情に即しまして、地方財政計画の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
それから、地方財政の現状をどのように認識するかということについてのお尋ねでございますが、地方財政は最近、中期的な財政の健全化のためにいろいろな措置が講じてこられました。それは非常な成果を上げておりますけれども、なお多額の借入金の残高を抱えているのが実情でございます。他方でまた、社会資本整備の充実であるとか、高齢化社会の進展への対応など、新しいそのような多額の財政需要が見込まれます。このため、平成四年度においては、地方財政の円滑な運営に支障が生じませんように、地方財政の健全化にも配意しつつ、所要の地方一般財源を確保しているところでございます。今後とも、適切な地方財政計画の策定などによりまして、地方財政の確立を図っていくことがもとより必要であるという認識でございます。
地方交付税制度についてでございますが、地方交付税制度は、地方団体の財源の均衡化を図り、地方行政の計画的た運営を保障することによりまして、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを基本的た目的としております。今後とも、この制度の目的に沿いまして、この精神に沿いまして運営をしてまいる考えでございます。
地方への権限移譲の問題でございますが、従来から国と地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重という観点から、住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理のお願いができるように、臨調、行革審答申等に沿いまして権限の移譲に努めてまいりました。昨年の通常国会におきましても、権限移譲につきましての一括法案を提出し、成立を見たところでございます。もちろん、国と地方の機能分担を見直し、引き続き国・地方を通ずる行政改革を推進することは、常に重要な課題であると考えますので、今後とも多様で自立的な地域社会の実現を目指して権限移譲などに努めてまいりたいと考えております。
財源配分の問題でございますけれども、これは国と地方の、第一に税源の配分、次に地方交付税あるいは国庫支出金などいろいろの制度のあり方にこれはかかわっておる問題でございますので、国と地方の機能分担及び費用負担のあり方等を踏まえながら、幅広い見地から財源の再配分を検討していくべき問題であるというふうに考えております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣羽田孜君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/6
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007・羽田孜
○国務大臣(羽田孜君) 岡崎議員にお答えをしたいと思います。
義務教育費国庫負担制度は、国が教職員の給与費等の必要な経費を負担することによりまして、国民のすべてに対して義務教育の妥当な規模と内容とを保障するものでございまして、教育の機会均等とその水準の維持向上を図る上で重要な役割を果たしていると私も考えます。
本制度につきましては、これまで累次の臨調あるいは行革審答申等を踏まえまして、国と地方の機能分担、費用負担のあり方等の観点から、制度の沿革あるいは趣旨等を踏まえつつ、あらゆる角度からの見直しか進められてきておりますけれども、四年度におきましては、義務教育費国庫負担金等のうち共済費の追加費用等について、四年度以降三年間で段階的に一般財源化を図ることといたしているところでございます。
しかし、今後とも、本制度につきましては、国と地方の機能分担、費用負担のあり方などの観点から、引き続きその見直しを図っていく必要があると考えておりますけれども、その際、この制度の趣旨が義務教育の妥当な規模と内容を保障するものであることを十分に考慮する必要があろうと考えておることを申し上げたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/7
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008・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 岡崎さんのお尋ねの第一点は、国の財政と交付税特別会計との間のその場しのぎの安易な貸し借りがあるのではないかという御質問でございます。
過去におきましてはそういう例は実はございませんし、今後もないと思っておりますが、しかし、国と地方との間におきましては、長年にわたりまして非常に貸借の関係は複雑に絡んでおることも事実でございます。
かつては、地方財政が非常に苦しいときには、国から多額の御支援をいただいて交付税を、財源を確保してきたということもございますし、今回は特例措置をもって八千五百億円の措置をせざるを得なくなったのでございますが、全体として見ました場合に、公経済がバランスをとれて運営できるように図ることは当然のことであろうと思っております。
したがいまして、今回、地方交付税の一部を国に貸すことによって国の公経済もうまく運営し、両々相まって完全を期したいという趣旨からでございまして、地方財源の余裕をもって貸したということでは絶対にないということだけは、御承知いただきたいと思うのであります。
次に、交付税の特別会計への直入をしたらどうだろうというお話でございますが、これは、我々自治関係の者といたしましては長年の待望でございまして、なおこの努力を進めていくべきだと思っております。
それから、三番目のお問い合わせの中にございましたのは、地方交付税の附則第三条によりまして、交付税の総額の安定的な確保に資するために、法律の定めるところによって特例措置を講じることを定めておりますが、今後ともこれに対する歯どめをきちっとしたらどうだという御質問でございます。しかし、これは規定としてございます以上、私たちもこの規定を応用して、その貸借を進めることを決していいこととは思っておりません。したがって、この措置をいたさないようにするためにもそれぞれの、お互いの努力が必要であることは当然でございます。
したがって、自治省といたしましては、基準財政収入額に見合う基準財政需要額を早急に対処をいたしまして、これによって交付税の安定的な運用を図っていきたい、こう思っておるところでございます。しかしながら、我々といたしましては、何としても財源の確保をするということが第一趣旨でございまして、その趣旨に基づいて今後とも地方財源は絶対に確保してまいるつもりでございます。
それから、二十一世紀に向けての地方行政の役割についてお話がございましたですが、二十一世紀に向けて国民生活の質の向上を図っていくために、地方公共団体の役割はますます重要になってきておることは仰せのとおりでございます。
特に、申されましたように福祉、保健、環境整備等に対する行政措置というものは深刻かつ急を要する沌のでございまして、そのために、この方面におきますところの需要に対処するために財政的措置も的確に図っていきたい、こう思っております。そのためには地方税並びに地方交付税など一般財源の所要額の確保に努めてまいりたいと思っておるところでございまして、御趣旨に沿いまして一層の努力を重ねていきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣山下徳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/8
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009・山下徳夫
○国務大臣(山下徳夫君) お答えをいたします。
育児休業後の職場復帰の際に、保育所に年度途中で入れることがなかなか円滑ではないという御指摘でございますが、このことにつきましては、平成四年度中に措置を講じまして、より円滑にいくようにしてまいりたいと思っております。
また、上の子につきましては、保護者の事情、児童福祉の観点等を総合的に勘案いたしました上で、措置の継続も含めてその取り扱いの適正を期してまいりたいと思います。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/9
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010・櫻内義雄
○議長(櫻内義雄君) 小松定男君。
〔小松定男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/10
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011・小松定男
○小松定男君 ただいま御紹介いただきました日本社会党の小松定男でございます。
私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につきまして、総理大臣並びに関係閣僚に質問をいたします。
まず最初に、共和汚職事件に関連して、税制問題についてお尋ねいたします。
先般行われました予算委員会における証人喚問、参考人からの事情聴取におきましては、改めて政治家と企業の癒着が浮かび、大臣ポストがお金で買えるかの印象も受けました。また、バブル経済がいかに企業倫理を地に落としめるか、経済活動を不健全なものとするかが立証された感があります。不動産や証券市場も健全な育成は必要ですが、バブルをあおったり、その再来を招いたりするような施策は好ましくありません。
そこで、総理に伺います。
最近の報道によりますと、自民党においては、株取引関係税について、税率の引き下げ等の緩和措置を検討しており、これに対し大蔵省は、正反対の強化を検討しているとされています。税制の緩和が健全な証券市場を育成するわけではありません。むしろ、証券取引委員会の整備など、必要た制度の確立による不正取引の規制や、小口株主の擁護などを的確に進めることが証券市場の育成にもつながると思われますが、総理は、この自民党と大蔵省の見解が異なるとされているキャピタルゲイン課税等についてどのような方針を持たれているのか、伺いたいと思います。(拍手)
また、政治家のお金に対する感覚の麻痺、さらに政治資金規正法や所得税法に対する甘さが次々にさらけ出されております。総理自身のリクルート事件への関与の問題もいまだに十分解明されたとは思えません。政治資金の規制の強化、個人の所得と政治資金の厳密な区分けと個人所得に対する的確な課税策について、宮澤総理はどのような方策をお持ちであるのか、お伺いいたしたいと思います。
次に、九二年度税制改正と税収動向並びに景気対策についてお伺いいたします。
九二年度税制改正案を拝見いたしますと、当面の財政事情等に対応するための増収措置として、法人特別税の創設並びに普通乗用自動車に係る消費税の税率の特例が二年間措置されることとなっております。率直に申しまして、なぜ二年間であるのかという疑問が生じます。
来年度においては、利子課税の見直し等の大きな税制改革論議が必要な時期でもあり、当面の財政事情という理由ですと、税収動向は来年度も見通しは極めて厳しく、九二年度においても政府の国際公約である経済見通し、すなわち内需三・六%、外需マイナス〇・一%、実質成長率三・五%というのも怪しいのかなという不安を与えかねないと思います。宮澤総理としては、補正予算案を組まなくとも、ただいま審議されている九二年度政府予算案で公約が達成されると考えていると思いますが、確認の答弁をお願いしたいと思います。また、大蔵大臣におかれては、臨時的増税案がなぜ二年間の提案となっているのか、御説明をいただきたいと思います。(拍手)
私がなぜこのような質問をするのかというと、大蔵省はこの間一貫して、地方は税収が伸びているとして地方財政余裕論を展開しております。しかし、国税動向は地方税収にも直ちにはね返るのは御案内のとおりであります。ましてや、大蔵省は国家財政の都合によって国債発行も増税も思うがままですが、地方は与えられた枠の中でしか財源対策ができません。税源の不均衡もありまして、極めて厳しい財政運営を強いられているからであります。
今必要な視点は、福祉や公共投資の増進のために、いかに地方税源の拡充、地方財政の安定を図るかということです。新行革審においても地方分権が議論されておりますが、税制においても地域社会を大切にするという観点を大切にしていただきたいと思いますが、自治大臣の所見を伺います。
続いて、土地税制について伺います。
まず国税でありますが、九一年度税制改正で土地神話打破の切り札として鳴り物入りで導入されたのが地価税でした。率直に言って、地価税の効果は上がっているのでしょうか。地価は鎮静化したとはいえ、まだまだサラリーマンにとって住宅は容易に入手できる価格になったとは言い切れないと思いますが、どうでしょうか。
さてまた、地価税収については、所得減税と地価高騰対策に充てることになっていました。しかし、今回、歳入難を打開するため、地価税収を一般財源として利用するといいます。これは当初の約束を破るものと考えられますが、いかがですか。また、地価税収の使途を一般財源とするのは今回限りの措置なのですか。さらに、今後の地価税についてはどう考えているのか、これは大蔵大臣に伺います。
さて、固定資産税については、自治省は、固定資産税の土地評価については、平成六年度の評価がえにおいて、土地基本法第十六条の趣旨を踏まえ、地価公示制度の適正化等とも相まって、地価公示価格の七割程度を目標に宅地の評価の均衡化、適正化を推進するとしております。もちろん、具体的な措置については九三年度以降明確にされるということですが、現時点でどのような措置を講ずるおつもりか、お答えください。
土地対策として地価税の創設や固定資産税の評価割合の引き上げなど、土地保有課税の強化を行うことは、遅きに失したとはいえ、それなりの意味もあると思います。しかし、ただ単に保有課税を強化することは、土地開発業者等による無秩序な乱開発につながりかねません。土地を吐き出させるだけでなく、自治体主導の住民要求に根差した土地の公的、社会的利用を図っていかなければならないと思うのでありますが、自治大臣のお考えはいかがでしょうか。
また、資産格差是正のために固定資産税の評価割合の引き上げを図ることは意味があると言えますが、住宅や居住用土地、営業用の小規模の土地等については、生存権的財産として抜本的な制度改正を行うべきと考えます。
次に、事業税について伺います。
マスコミにおきまして、九三年度の税制改正より法人事業税の分割基準を見直す方針を自治省の方で検討されていることが報じられております。社会党は従来から、分割基準の改善を行い、地方への配分を強化することを主張してまいりました。九三年度からの分割基準の見直しについて、自治大臣の所見を伺いたいと思います。
また、事業税については、その物税たる性格にかんがみ、外形標準課税の実施を行うとともに、それによって景気動向の影響を受けやすい現状を改善し、安定的た税源化を図ることが政府税調においても再三課題とされてまいりました。さて、来年度の地方税収の見通しによれば、事業税については、税制改正後で一千六十六億円の減と見込まれております。これは景気の減速の影響が大と思われますが、この際、地方六団体からの要望も強い外形標準課税の実施を真剣に検討するべきと考えますが、自治大臣のお考えを伺います。(拍手)
なお、事業税におきましては、いわゆるマスコミ関係七業種につきまして、非課税措置の廃止に伴う経過措置が九二年度も延長されることになっておりますが、この延長の背景に社会保険診療報酬の非課税問題があることも周知の事実であります。一体いつまで特例を、一年限り、一年限りと続けられるのか、自治大臣の見解を求めたいと思います。(拍手)
最後に、税制改正事項ではございませんが、特別地方消費税についてお伺いいたします。
昨年十二月に、観光事業振興助成交付金及び環境衛生営業振興助成交付金ということで、特消税収の三%を観光協会などの事業者団体に補助金として交付されたいという旨の通達が運輸省、厚生省との合意の上で出されております。自治省は、道府県税たる特別消費税、特消税、略称を申し上げましたが、これを守るための措置と説明しておりますが、税を存続させるために消費者負担の普通税を、その一部とはいいながらも特定事業者に交付するという論理は、実際の税負担者である消費者に通じるものではなく、税への信頼を損ねるものと言えるのではないでしょうか。(拍手)事業者あるいは事業者団体の振興というのは、特定の税目の一定率を割いて行われるというものではなく、必要があれば堂々と財源を特定せず一般財源で行うべきものです。談合税制であるかの不透明感を拡大させるこどはいかがかと思いますが、自治大臣の御所見を伺いたいと思います。
自治体には、二十一世紀を見据え、住民ニーズにこたえ、豊かな地域社会をどう築いていくのかという責務から、高齢者対策、住民福祉、地域振興、環境保全等々のやるべき課題が山積しています。総理の言われる生活大国づくりのかなめは、分権、自治の推進、そして自治の基盤は地方財政の確立てございます。そのためには、地方の自主財源である地方税の拡充がぜひとも肝要です。私は、地方自治の本旨に基づく分権、自治の推進、発展を総理並びに関係閣僚に強く主張いたしまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/11
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012・宮澤喜一
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 株式売却益などのいわゆるキャピタルゲインのことでございますが、御承知のように、さきの税制改革におきまして、負担の公平を確保するという観点から、株式等はすべて課税するということに抜本的に改めたところでございます。
そこで、その改正の際に、株式の譲渡益課税につきまして、総合課税への移行問題などを含めまして将来見直しを行う旨の規定を挿入いたしました。これは五年を経過した後に見直すということでございますので、この規定の定めるところに従いまして検討をしてまいりたいと考えております。
それから、政治資金をめぐる問題を解決するためには、政治倫理の確立はもとよりでございますけれども、現行の政治資金制度あるいは選挙制度をめぐるさまざまな問題を解決できるような具体的な方策を見出す必要があると考えておりまして、殊に政治資金制度改革につきましては、政治資金の出る方の規制、あるいは入る方につきましても透明性を高めることが重要と考えております。
これらの問題につきまして、現在、自民党においても党内論議を進めておりますけれども、各党におかれてもいろいろ御意見がおありというふうに承っております。今後、政治改革協議会において、各党間で十分御協議をいただき、できるだけ早い時期に具体的な結論が得られることを念願をいたしております。政府としても、もとよりこの政治改革の実現が図れるように最大限の努力を払ってまいります。
個人の所得と政治資金の区分けの問題でございますが、政治家個人の所得につきましては、適正な課税を実現するという観点から、もとより、あらゆる機会を通じて課税上必要な資料、情報の収集に努め、適正な課税の実現に努力をいたしております。申告納税制度の趣旨にのっとって適正な申告がなされるということを常に期待をいたしておるところでございます。
それから、経済状況についてお尋ねがございまして、つい先ごろの二月の月例経済報告におきまして、「我が国経済は、景気の減速感が広まっており、インフレなき持続可能な成長経路に移行する調整過程にある。」という判断をいたしております。しかし、この減速が企業家には大きな心理的な影響を与えますので、その心理が冷え込みませんように、景気に十分配慮した施策を行うことがもとより必要でございます。平成四年度予算におきましても、難しい財政事情ではございましたが、一般会計そのもの、あるいは財政投融資計画において公共事業の拡充に最大限の努力を払ったところでございます。また、昨年末には公定歩合の引き下げなども行われました。
平成四年度の我が国経済は、このようなことを背景にいたしまして、人手不足を背景とした合理化、省力化投資の意欲が企業に強いことは事実でございますが、それが現実に実現できるような環境をつくってまいらなければなりません。住宅投資も、住宅ローン金利が下がってまいりましたので、徐々に回復に向かうと見ておりまして、見通しといたしまして、内需を中心としたインフレなき持続的な成長に努めまして、見通しを達成いたしたいと考えております。
それにつけましても、どうぞ、ただいま御審議中の予算につきましては早期に成立をいたしますように、これが何よりも必要でございますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えをいたさせます。(拍手)
〔国務大臣羽田孜君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/12
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013・羽田孜
○国務大臣(羽田孜君) 法人特別税の創設と普通乗用自動車に係る消費税の税率の特例措置につきましては、当面の厳しい財政事情に対応するために臨時的な措置としてお願いするものでございます。
これらの措置の期限につきましては、平成三年度の税収は当初予算に比べまして二兆八千億円と税収全体の五%程度の減少が見込まれること、この急激かつ大幅な税収減による財政収支の状況の深刻化の影響は、これは四年度のみならず、少なくとも五年度にも尾を引いていくことは避けられないものと見られることから、こうした厳しい財政事情への必要最小限の対応策として、五年度も含めて措置をする必要があろうということでございます。
さらには、過去におきまして税収確保のためにとられた法人関係の臨時措置の期限や各種の租税特別措置の期限につきましても、おおむね実地二年間講じてきておるところでございます。また、税制の安定性ということの持つ意味にも対応するために、私どもは、今回の措置の期限につきましても二年間としたということについて御理解をいただきたいと思います。
次に、地価税のまず趣旨でございますけれども、地価税は、土地基本法の基本理念を踏まえ、土地に対する適正公平な税負担を確保しつつ、その資産としての有利性を縮減するという観点から、土地の資産価値に応じた負担を求める税として創設され、本年一月一日から実施されておるものでございます。
このような地価税を導入する効果につきましては、地価税は、土地の資産価値に応じて毎年負担をお願いするものであります。また、国土資産額のかなりの部分が宅地に集中しておりまして、その宅地の相当部分を少数の方々が保有しているという我が国の土地保有状況のもとで、地価税は実質的に大規模な土地保有者に対して適切な負担を求めるものであるということから、全体として土地の保有コストを増大させ、有効利用の促進、住宅地の供給促進、地価の抑制、低下などに相応の効果を上げるものと私どもは考えております。
このところ地価の鎮静化傾向が見られますけれども、これは、厳しい金融面の措置に加えまして、地価税を含む土地税制改革のアナウンスメント効果、これが所期の効果をあらわし始めているんじゃなかろうかというふうに考えております。
地価税につきましての今後でございますけれども、地価水準は依然として高いというのが現状であろうと思っております。土地問題の解決は、我が国経済社会にとって今日なお重要た課題であることは変わりないものと認識をいたしております。このような現状を踏まえますと、今重要なのは、先般の土地税制改革、とりわけ都市計画などと一緒に地価税を円滑に進めること、こういったものによって地価の抑制、低下あるいは土地の有効利用の促進を図っていくことが必要であろうと思っております。
いずれにいたしましても、地価税につきましては、広範な議論を経まして創設されたものでございますことを踏まえまして、いつも総理からもお話ありますように、土地神話を打破して、二度と地価高騰を生じさせないためにも、この地価税は大切にはぐくんでいく必要があろうというふうに確信をいたしております。
なお、地価税の創設に伴います純増収分の活用についてでありますけれども、これは「極めて深刻な状況に陥っている財政事情等を考慮すれば、土地対策等に資するという観点から歳出を通じ国民生活に還元することが現実的には適当である」との答申を実はちょうだいをいたしておるところでございます。私どもは、こういった考え方に基づきまして、歳出面においてこれらの経費に適切な配慮を行ってきたところでございます。
具体的に申し上げますと、特定公共用地等先行取得資金融資制度を新たに創設をしたことによりまして、公共用地の先行取得をしやすくしたということであります。また、住宅宅地の供給促進を図っております。また、市街地再開発事業や駐車場などの拡充を初めといたします土地の有効利用、こういったことを進めるためにも、きめ細かく配慮をいたしております。また、土地情報というものを国民の皆様方にできるだけ明確に提供していく、そういったことのための総合的な整備などの充実も図っておるところでございまして、私どもは、今後もこういった点を念頭に置きながら、適切にこの地価税というものを活用していく必要があろうというふうに考えて拒ることを申し上げたいと存じます。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/13
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014・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に対する第一点の御質問は、地方税源の拡充と地方財政の安定を図るべきであるが、どう考えておるかという御質問であろうと思います。
地方税財政につき申しますと、住民に身近な公共投資の推進であるとかあるいは住民福祉の向上等を図るために、地方税源の充実を図ることは当然でございまして、重要な課題と考えております。そして、税源の偏在の問題もございますので、地方税と地方交付税を適宜にうまく組み合わせた形で地方一般財源所要額を確保することが必要でございますが、今後とも地方財政の安定的運営が確保できますよう、一層の努力をしてまいりたいと思っております。
二番目の質問でございますけれども、固定資産税の土地評価の均衡化、適正化について、現時点ではどのような措置を考えておるのか、こういう御質問でございます。
平成六年度における固定資産税の土地の評価がえに伴う税負担の調整措置等については、税負担に急激な変化が生じないよう、総合的かつ適切た調整措置を講ずることといたしております。その場合、考えられます措置というものは、その第一点といたしまして、前年度の税額を基礎としたなだらかな負担調整の措置を講じるということが第一点でございまして、第二点は、住宅用地に係る課税標準の特例措置を設けるということでございます。第三点の措置といたしましては、住宅用建物に対する経年減価等を見直していきたい、こう思っておりまして、こういう多様な政策を組み合わせて実施していきたいと思っております。
第三番目の御質問でございますが、保有課税の強化で土地を吐き出させるだけではなくして、地方自治体が主体とたって、住民の要求に根差した土地の公的、社会的利用を図っていってはどうか、こういう御質問でございます。
土地の公的、社会的利用の促進につきましては、土地基本法及び同法を踏まえた総合土地政策推進要綱等に基づきまして、地方団体において適正な利用が図られるべきものであると考えております。したがいまして、当省といたしましては、土地開発基金の交付税措置等を講じているところでございますが、今後とも地方団体において公有地の確保及び土地の有効利用が促進されるよう、税源並びに起債対策等につきまして一層の努力をいたす覚悟であります。
四番目の御質問でございますけれども、法人事業税の分割基準の見直しをしたらどうかという御質問でございます。
法人事業税の分割基準については、これまでも、社会経済情勢の変化に応じた事業活動と行政サービスとの受益関係を分割基準に的確に反映させ、税源帰属の適正化を図る観点から、随時見直しを行ってきたところであります。しかしながら、分割基準の中には長い間見直しか行われていないものもあり、また近年、特に経済の一極集中現象やあるいは情報化の進展に伴う管理部門の集中化、効率化現象等が見られるところから、現行の分割基準が事業活動の実態を適正にあらわしているかどうかについて検証をする必要がございます。したがいまして、現在その検証を行っているところでございまして、その結果を待って、税源帰属の適正化を行う観点から結論を出していきたいと考えております。
次に、事業税の外形課税の実施をしたらどうかという御要望でございます。
法人事業税の課税標準については、税の性格、地方税源の安定的確保等の観点から、外形基準を導入することが望ましいと考えております。この問題については、従来から種々の検討がなされてきたところでございますけれども、今後とも、導入すべき外形基準、外形基準を導入した場合の業種間の税負担の変化の差異、制度の簡素化の要請、納税者等の事務負担の問題等、幅広い観点からこの問題を検討していきたいと考えております。
六番目の問題でございますが、事業税に関連いたしまして、マスコミ関係七業種について非課税措置の廃止に伴う経過措置をとったが、一体これはどういうことかという御質問でございます。
新聞業等マスコミ七業種に係ります事業税の特例措置については、本年度末に期限が到来することとなりますが、特例対象の業種の中には、その公共性、経営状況の面で多様なものが含まれているため、特例措置が廃止された場合の経営等に与える影響の大きいものもあり、さしあたり一年度間延長することとしたものであります。しかしながら、この特例措置については、特例対象とされていない他の事業との比較等を行いまして、税負担の公平性の確保を図る観点から今後十分検討すべきものであると考えております。
最後の質問でございますが、特別地方消費税、特消でございますが、この一部を特定事業者に交付することは、本来財源を特定せず一般財源で行うべきものであるのに、自治省の考えはどうかという御質問でございます。
近年の我が国におきます消費生活の充実向上に伴い、地域における観光及び環境衛生営業等の事業の振興を一層推進するための施策を講じる必要があると考えられましたことから、平成四年度から各都道府県において、観光事業振興助成交付金及び環境衛生営業振興助成交付金を設けて、観光事業及び環境衛生営業の振興を図るよう特段の配慮をお願いしているところであります。
本交付金は、都道府県を単位とする公益法人に対し、特別地方消費税収入額の一定割合を基準としてはおりますが、地方自治法第二百三十二条の二に基づく都道府県の補助金として交付するものであり、また、この交付に要する経費につきましては、地方財政計画に新たに所要額を計上し、地方交付税による財源措置を考えているところであります。
以上でございます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/14
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015・櫻内義雄
○議長(櫻内義雄君) 小谷輝二君。
〔小谷輝二君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/15
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016・小谷輝二
○小谷輝二君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました平成四年度地方財政計画並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
まず初めに、今回の共和汚職事件や東京佐川急便事件だと一連の疑惑事件に対して、総理はみずから先頭に立って事件の真相解明に全力を尽くし、国民の政治の信頼を回復されんことを強く要望いたします。
現在、我が国は、東京への一極集中が一段と加速し、慢性的た交通渋滞や住宅難、ごみ処理の限界などに代表される生活環境の悪化など、集中による利益よりも弊害が顕著になっております。一方、地方においても、社会資本の整備のおくれ、過疎化や高齢化などが大きな問題となっており、今ほど地方自治の確立のため、その具体策が強く求められておるときはありません。
総理は施政方針演説の中で、内政の重要課題を「生活大国への前進」とされております。また、生活大国の姿を、高齢者や障害者が社会参加することが「適切に保障され、生きがいを持って安心して暮らせる社会」や「国土の均衡ある発展が図られ、中央も地方も、ゆとりある生活空間や高度な交通、情報サービスなどを享受できる社会」など六つの視点から示しておられます。
ここに示された生活大国の姿は、地方自治において実現されるべきものが中心であります。まず何よりも国と地方の役割を明確にし、地方の自主性、自立性を高めてこそ実現されることは明らかであります。
そこで、総理にお伺いいたします。
総理は、生活大国を実現する上で、地方の役割をどのように認識しておられるのか。また、地方自治の確立のための地方分権をどのように進めていこうとされるのか、具体的に示していただきたいのでございます。
さて、地方交付税についてお尋ねいたします。
今回の地方交付税法の改正において、平成三年度の四千五百億に引き続き、平成四年度においても八千五百億円が特例減額されることになっております。この交付税の特例減額については、平成三年度の交付税の審議に際しまして、地方行政委員会において、特例減額は平成三年度限りとするとの決議が行われているにもかかわりませず、平成四年度においても実施することは、極めて問題であると言わざるを得ません。
地方自治体の固有の財源である地方交付税を減額し、国の歳入不足を補おうとする発想自体が、地方自治の確立に相反する中央集権の姿勢のあらわれであります。減額措置などによって地方財政を圧迫するのではなく、むしろさまざまな課題に地方が主体性を持って対応できるよう、地方の行財政権限を強化し、地方交付税についても充実強化を図るため見直しが必要であると考えますが、国と地方の財源のあり方をどう考えておられるのか、御見解を伺います。
さらに、急速な高齢化社会の進展とそれに伴う地域社会の弱体化が深刻な問題となってきておる状況から、地方交付税における高齢化対策のための財政措置を明確にするため、高齢者特別交付税など新たに創設をして、お年寄りに血の通った温かい施策を考えるべきではないかと思いますが、御見解を伺います。
また、地域の活性化対策については、平成二年度から始まった地域づくり推進事業は平成四年度までとぎれておりますが、今後どう対応されるのか、地域の活性化対策に対する基本方針もあわせて伺います。
次に、国民健康保険についてお尋ねをいたします。
平成四年度の地方税法の改正によって、国民健康保険税の課税限度額が二年続いて引き上げられる一方、国保財政の一部安定化支援事業の創設や事務費等を一般財源化することとしております。しかし、今までも超過負担はかなり大きく、国保財政そのものの改善にはつながらないと言わざるを得ません。国保のあり方、国保財政の現状をどう認識しておられるのか、御見解を伺うものであります。
さらに、国保財政の問題は、国保のあり方を含め、保険制度全体の見直しなくしてその根本的解決はあり得ないと考えますが、御見解を伺うものであります。
次に、固定資産税について伺います。
固定資産について、平成六年度の評価がえにおいて、地価公示価格の七割程度を目標に、宅地の評価の均衡化、適正化を推進するとし、これに伴う今後の税負担のあり方をどう考えていこうとされるのか。政府の言われている思い切った負担調整措置の導入の具体的内容を含め、明確にしていただきたいと存じます。
この際、固定資産税については、評価の適正化を図るとともに、生活の根拠となる一定規模以下の小規模住宅の大幅な負担軽減措置を講ずるべきであると考えますが、御見解をお伺いいたします。
最後に、暴力団対策法について伺います。
暴力団対策法は、昨年五月に成立し、本年三月一日から施行されることになっておりますが、本来この法律は、暴力団の資金源を断つことを最大の目的としているはずであります。しかし、暴力団の資金対策のかなめである暴力団の不正利益の剥奪規定は見送られており、今後の法改正の際に加えられることとなったのであります。麻薬に関する法律が整備され、剥奪規定に要する条件は整ったと考えますが、不正利益に対する剥奪規定の法整備はどのように進められるのか。また、今回の佐川急便事件でも明らかとなったように、暴力団へ資金を援助したり協力したりする企業が見られますが、これに対してはどう対応していかれるつもりなのか、御見解を伺うものであります。
以上、地方行財政にかかわる重要課題について質問をいたしましたが、政府の明確なる御答弁をお願いするものであります。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/16
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017・宮澤喜一
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 三点につきまして、お答えを申し上げます。
生活大国につきましてお触れいただきましたが、本当の意味での生活大国を実現するということは、これは何よりも住民のニーズを的確に把握をしなければならない、これが基本でございますから、そういう意味で、その立場にございますのは地方公共団体でございます。地方公共団体が地域の特性を生かしまして、自分の創意に基づく施策を積極的に展開をしてもらう、また、それができるような条件づくりを国としてもいたすことが大切でございます。そういう意味で、地方公共団体の役割を大きく考えておりますし、また、地方がそういう自立性を高めてまいりますためのいろんな意味での支援が重要であるというふうに、それは基本的に仰せられますように私も認識をいたしております。
そこで、その地方自治確立のための地方分権の推進ということでございますけれども、これは生活大国実現のためにももとよりでございますが、そもそも民主政治の基盤でございますから、地方自治というのはいわば内政のかなめである。社会経済情勢が非常に変化をいたしておりますから、その中で住民福祉の向上を図るために、地方公共団体の自主性、自立性の強化を図ることがますます必要であると思います。行革審におかれましてもそういう答申をしておられます。政府としても、できるだけの権限移譲に努めてまいりましたが、まだまだ十分でないという御指摘がございます。今後とも、多様で活力に満ちた地域社会を実現するために、権限の移譲、国と地方との関係の適正化には常に努めてまいらなければならないと思います。
その場合に、国と地方の財源の配分の問題でございますが、まず一つば税がございます。税源をどのように配分するか、あるいは地方交付税の問題もございますし、国庫支出金等々いろいろな制度がこれにはかかわり合っております。そして、基本的には、財政を配分するということは、まず行政がどのように配分されるかということと密接不可分でございますから、国と地方の機能分担、その場合の費用負担のあり方等、そういったようなたくさんの問題を含んでおりまして、幅広い見地から今までも検討してまいりましたが、今後とも常に検討を続けていくべき課題であるというふうに認識をいたしております。
残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/17
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018・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 私に関しまして、地方財政の関係で四間の御質問がございました。
まず第一点は、地方交付税における高齢化対策のための高齢者特別交付税の考え方を導入してはどうかという、こういう御質問でございます。
高齢化対策の推進のための御提案につきましては、かねてから御高説を承っておりますが、現在、地方交付税において地域福祉基金の拡充や福祉対策経費の充実等に努めているところでございまして、これらの活用を図るとともに、今後ともいろいろと創意工夫して、高齢者保健サービス向上のための財源の確保に努めてまいりたいと思っております。
地域づくり推進事業について、平成四年度までとされておるが、今後どのような対応を考えておるかということでございまして、要するに地域の活性化対策に対する基本方針についてのお尋ねでございました。
地域づくり推進事業のように、事業の内容を地方の創意工夫にゆだね、自主的、主体的な地域づくりを支援する目的を持った施策は、平成五年度以降も必要であると考えているところでございまして、このような考え方に立って、具体的な支援対策を検討してまいりたいと思っております。
また、地域の活性化を図っていくためには、東京一極集中の是正を念頭に置きつつ、地域の創意工夫に基づく地方公共団体の施策の積極的な展開を図ることが重要であり、このため、平成四年度においても、都市生活環境整備特別対策事業の創設や、ふるさと創生関連事業の充実等、地方単独事業を大幅に拡充するとともに、地方拠点都市地域の整備のための新たな法律を国会に提出したところでございます。今後とも、地方への権限移譲の推進、地方税財源の充実、自主的、主体的な地域づくりへの支援に努めてまいりたいと考えております。
次に、国保のあり方、特に国保財政の現状についてという御質問でございます。
国民健康保険は、被保険者に高齢者や低所得者が多く、その財政基盤は脆弱であります。このため、政府では、国保財政の安定化を図るべく一連の制度改正を行ってまいりましたが、自治省といたしましては、平成四年度に国保財政安定化支援事業を創設いたしまして、国保財政健全化等に資するための地方財政措置を講ずることといたしております。
最後の問題でございますが、平成六年度の固定資産の評価がえに伴いまして、土地評価の均衡化、適正化に伴う税負担の調整措置について具体的な方法は何かという御質問でございます。
固定資産税の土地の評価がえに伴う税負担の調整措置につきましては、税負担に急激な変化が生じないよう総合的かつ適切な調整措置を講ずることといたしておりますが、その場合に三つの対策を考えております。
一つは、前年度の税額を基礎としたなだらかな負担調整措置を考えております。二番目には、住宅用地に係る課税標準の特例措置をとろうということでございます。三番目は、住宅用建物に係る経年減価等の見直しを行うこととしておりますが、特に小規模な住宅用地については軽減措置を拡充するなど、納税者の負担の軽減に特別の配慮をする必要があると心得ております。
最後に、国家公安委員長として、暴力団対策に対する御質問がございましたので、お答え申し上げます。
暴力団対策の問題で三つございまして、一つは、暴力団の資金対策のかなめであるところの暴力団の不正利益の剥奪規定はなぜ見送られたのか、これに対してなぜ措置しなかったかということでございます。それと二番目の問題は、この不正利益の剥奪に対する規制の法的整備はどのように考えておるのかということでございます。三番信は、暴力団への資金援助をしたり協力した企業に対してどのように対応するのかという御質問でございました。この三つの案件を絡めましてお答え申し上げたいと存じております。
まず最初に、不正収益の剥奪の問題についてでございますが、御指摘のとおり、暴力団の悪質な諸活動を抑止するためには、その資金源を断つこと、あわせて彼らが違法に得た収益を剥奪することが極めて有効であると考えております。しかし、この問題につきましては、剥奪の対象とすべき不正収益の範囲や剥奪の仕組みなどについて、なお基本的な問題も残されております。特に、法的措置につきましては非常に複雑な問題が絡んできておりますところから、さきの国会で可決いたしましたいわゆる麻薬二法に盛り込まれている不正収益剥奪の規定等も参考にしながら、今後引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
次に、暴力団への資金援助の問題につきましてでございますが、国民全体に暴力団を市民社会から排除しようとする機運が高まっている中で、暴力団あるいはその関連企業等に資金援助をするといった行為は、国民感情に著しく反するものであり、まことに遺憾であると考えております。
警察におきましては、暴力団の資金源犯罪を捜査する過程で、こうした反社会的な行為についても、そのことを視野に入れながら、そこに刑罰法令に触れるものがあれば、適切、厳正に対処していくことといたしております。
また、こうした反社会的な行為を一掃するためには、暴力団に協力したり、その存在を容認する土壌を徹底して浄化していくことも必要であり、こうした観点から、警察におきましては、企業を含む国民の暴力団排除活動が一層活発に展開され、特に三月一日以降この法が実施される段階におきまして、国民総ぐるみの暴力団対策に御協力いただくことを強く要望いたしておるところでございまして、なお一層の努力を重ねてまいりたいと思っております。(拍手)
〔国務大臣山下徳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/18
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019・山下徳夫
○国務大臣(山下徳夫君) 国民健康保険制度についてお尋ねがございましたが、ただいま自治大臣からも御答弁申し上げましたように、今日まで数次にわたる改正によって、全般的に内容はかなり改善されてまいりました。しかしながら、保険者によってはまだ相当な赤字を抱えている厳しいところもございますし、全般的にはまだ安定したという段階までには至っておりません。
このような現状を踏まえながら、国保財政の安定を図るために、これも自治大臣からお答えしましたように、来年度におきまして国保財政安定化支援事業というものを創設することにいたしております。
また、医療保険制度につきましては、高齢社会に向けて安定した制度の確立が図られるよう、国民健康保険制度を含めて、幅広い観点から総合的な検討に着手してまいる必要があると考えております。このため、今国会に提出いたしております健康保険法等の改正に当たって、医療保険審議会の創設をお願いいたしておりますが、審議会が創設され次第、早急に検討に着手してまいりたいと思っております。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/19
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020・櫻内義雄
○議長(櫻内義雄君) 三浦久君。
〔議長退席、副議長着席〕
〔三浦久君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/20
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021・三浦久
○三浦久君 私は、日本共産党を代表いたしまして、一九九二年度地方財政計画並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案等に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
最初に指摘をしておかなければならないのは、今大きな国民の関心を集め、当面最も重要な政治課題である共和汚職事件、佐川急便事件並びに総理自身のリクルート疑惑など、一連の金権腐敗事件の真相は徹底的に解明をされなければならないということであります。
これら一連の金権腐敗汚職事件の教訓は、金の力によって政治が動かされてはならないということであります。海部前内閣は、政治腐敗の原因を選挙制度の問題にすりかえようといたしましたが、もはやそうしたごまかしは許されません。企業、団体からの献金を完全に禁止をすること、そのために政治資金規正法を抜本的に改正すること、この決断を直ちに行うことなしに金権腐敗政治を根絶できないことは、今やだれの目にも明らかでございます。企業・団体献金の禁止について、今度こそ実現する決意があるかどうか、総理並びに自治大臣の答弁を求めるものでございます。
あわせて、金権腐敗政治根絶の前提として、政治家並びに政党が、いたずらに法改正を待つのではなく、企業・団体献金の禁止を初め、必要な措置を率先して実行することが重要であります。まず隗より始めよという言葉がありますが、総理みずからが、企業・団体献金の禁止をまず実行するという決意をすべきではありませんか。総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
さて、地方財政の問題であります。
臨調行革路線が強行されて以来、政府の地方財政対策のもとで毎年住民生活と自治体の行財政にさまざまな犠牲が押しつけられてきましたが、来年度もブッシュ政権への公約を最優先し、大企業を優遇する一方で、一層の地方への負担転嫁と財源削減が押しつけられようとしていることは、断じて認めるわけにはまいりません。
すなわち、軍縮の世界的流れに逆行して軍事費を千五百六十八億円もふやし、ODAも六百九十一億円の増額、十年間に四百三十兆円の公共投資という対米公約実現のため、公共投資を三千五百十二億円も増額する一方で、歳入不足を口実にして地方交付税交付金の特例減額を今年度に引き続いて断行し、来年度は八千五百億円もの減額であります。さらに、国民健康保険と義務教育費にかかわる国庫負担金、補助金を、一般財源化の名で千四百九十億円も自治体に負担を転嫁しております。加えて、補助金カットなどの穴埋めとして来年度の交付税に加算することになっていた約六千億円を、九七年度以降に先送りをしているのであります。
総理、地方団体の財源確保や財政運営の指針と言われる地方財政計画が、自治体の財政状況からではなく、まさに国家財政の状況いかんでつくられているのではありませんか。自治体財政を国家財政の全くの従属物に変えてしまうことは、憲法で定めた地方自治の本旨に反するものであり、断じて容認できないものであります。総理に再検討を厳しく求めるものであります。御答弁をいただきます。(拍手)
地方財政余裕論が言われて久しくなります。一体、地方は裕福だと言えるでありましょうか。政府・自民党の進めた東京一極集中や経済構造調整によって、旧産炭地や過疎地などでは新たな財政困難や地方経済の疲弊に苦しんでおり、裕福などとは到底言えない深刻な実態があります。こうした実態を総理はどのように認識をしておられるのか、答弁を求めます。
大蔵省が言う地方の財源余剰論なるものも、その中身は、十年間にわたって進められた臨調行革がつくり出した人為的な歳入超過にほかなりません。すなわち、地方歳出の厳しい抑制とそのための徹底した行政の減量化、効率化と称して、福祉や教育、住民サービスにかかる経費の徹底的な削減や、また自治体労働者にも広がる過労死が示すような長時間・過密労働の押しつけを推進をしてきた結果ではありませんか。(拍手)
例えば静岡県浜松市の職員が、定員削減で過重労働となりまして、その結果、仕事中に死亡し、公務災害であると静団地方裁判所で認められた事件、その他教職員の中にも過労死がふえているなど、深刻な労働実態になっておるのであります。自治体労働者と住民犠牲の地方行革をやめ、住民への行政サービスの向上と自治体労働者の労働条件改善をこそ行うべきであります。当面、自治体労働者の完全週休二日制を早期に実施するために、地方自治法改正案を速やかに提出をすべきではないでしょうか。自治大臣の所見を求めます。(拍手)
このような地方財政余剰を理由に、地方交付税り減額などによって、来年度には、本来、地方住民のために使用されるべき三兆三千五百億円もの財源が、国の借金として留保されることになります。これは既に交付税総額の二割を超えるまでに膨らんでおります。総理は、生活大国を目指すと公約をなさっておられますが、今どこの自治体でも、住民の要求に基づく福祉、教育、医療、環境行政などの財政需要が山積しており、これらの財源の確保のためにこそこの財源は使用されるべきものであります。
政府が進めている高齢化十カ年戦略でさえ、既に自治体では超過負担が顕在化してきており、今後の高齢化の進行とともに多額の財政措置が緊急に必要となっているのであります。今あなたがなすべきことは、国が留保しているこの財源を遅滞なく地方に配分することではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
仮に財源余剰と言うのであれば、むしろ課税最低限の大幅引き上げなど、本格的な住民税減税を直ちに実行すべきであります。これこそ、あなたの言う生活大国にふさわしい措置ではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
ところが、大蔵省などでは、財源余剰を理由に現行交付税率の引き下げを検討するなどの動きがあるやに伝えられていますが、とんでもないことであります。今後とも交付税率は現行のまま維持すると断言できるかどうか、総理の答弁を求めるものであります。
次に、国民健康保険に対する国の責任についてであります。
国保財政に対する国庫負担は、臨調行革が始まった一九八三年度には収入の五六・一%ありましたが、九〇年度には実に三八・八%にまで引き下げられました。そして今回、国保事務費への国庫負担金の一部が、一般財源化の名によって地方に転嫁されることになっています。一方で、国保税の課税限度額を四十四万円から四十六万円に引き上げようといたしております。高過ぎる国保料が国民健康保険制度そのものの基盤を揺るがしている今日、地方及び国民への負担の押しつけはやめて、国庫負担を大幅にふやすべきだと考えますが、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
さて次は、固定資産税についてであります。
自治省は固定資産税の評価額について、九四年度実施を前提に、公示価格の七割にまで引き上げるべく、来年度検討を行うことを明らかにいたしております。これが一般住民にとって大増税になることは明らかであります。政府がやるべきことは、固定資産税の大増税ではなく、地価の引き下げであります。本末転倒も甚だしいと言わなければなりません。総理並びに自治大臣、こうした検討は直ちにやめるべきだと思いますが、御答弁願います。
最後に、地方自治制度に対する総理の基本的な見解を伺います。
最近、行革審から相次いで出された地方制度に関する答申は、連合制度やパイロット自治体制度などの創設を提言しています。中でも連合制度は、道州制への過渡的措置として位置づけられており、知事公選制等の戦後の府県制度に関する民主的な改革を否定するものとして極めて重大であります。
これら広域行政は、大企業の営利活動に効率よく対応できる地方行政として、財界の一貫した要求であります。道州制や連合制度は、都道府県の廃止や小さな市町村の存在を無視するものであり、住民に身近な自治体という地方自治拡充の流れに逆行するものであります。
私は、直ちにその検討を中止することを要求するとともに、総理の所見を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/21
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022・宮澤喜一
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 企業からの政治献金についてのお尋ねが最初にございましたが、企業といえども一つの社会的な存在でありますから、そういう意味では政治活動の自由を有するものと考えております。ですから、一切の政治献金がいけないというふうには考えてはおりません。ただ、団体の献金が国民の批判を招くことのないようにおのずから節度があるべきであろうというふうには考えておりまして、私自身もまたそのような考え方で対処をしてまいっております。
各年度の地方財政計画においては、地方団体が当面する諸課題に適切に対応し得るよう、所要の地方交付税総額を確保することとしておりまして、国と地方はお互いに協力して公経済を担っているものでございますから、地方財政が国家財政に隷属している、従属しているというようなふうには基本的に考えておりません。
地方財政は豊かであるかどうかということについてでございますけれども、健全化の努力はずっと続けておりますけれども、現在多額の借入金残高を抱えております。また、社会資本整備あるいは老齢化社会への対応など新しい需要も多うございます。団体が三千三百ございますから、産炭地域、過疎地域など財政力の弱い団体もございます。決して地方財政全体が裕福であるというようなふうには考えておりません。
それから後年度の交付税の加算のことでございますけれども、交付税の加算は、平成四年度の地方財政の状況等を勘案して、法律で後年度に加算することとしておりますが、その三兆三千五百億円ですか、こういうお話にいたしましても、各年度の地方交付税総額について、各年度の地方財政対策において、地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないように適正に地方財政収支の見通しをつくりまして、その上で地方交付税総額を確保してまいる、こういうやり方をいたしておるわけでございます。
個人住民税につきましては、先般の税制改革におきまして二回にわたりまして合計一兆六千億円の減税を行い、平成三年度におきまして六千五百億円の減税を行っております。課税最低限が大幅に引き上げられまして、中・低所得層を中心とした重税感、負担の累増感はかなり緩和されておる、現在そういう状況になっておるというふうに判断をいたしております。
それから、交付税率の引き下げというようなことにつきまして、将来の地方財政対策については、その時点の財政の状況を踏まえて、円滑な運営に支障を生ずることのないように適切に対処をいたします。
国民健康保険制度につきましては、一連の制度改革を行い、必要な国庫負担をしておるわけでございますけれども、平成四年度におきましては、地方財政措置として国保財政安定化支援事業を創設いたしました。国保財政の一層の安定化を図ってまいりたいと思います。
固定資産税の評価がえはいかぬというお話でございましたけれども、これは定期的にやはり資産価値の見直しをすることは、負担の公平という意味で私は大切なことだと考えておりまして、評価がえを行いませんと、かえって不公平を生ずるのではないかと思います。
道州制、連合制度につきましては、地方制度の根本にかかわる重大な問題でございます。行革審答申あるいは地方制度調査会の答申等を踏まえまして慎重に対処をいたしてまいります。
残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/22
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023・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 企業、団体等からの政治献金につきましての御質問でございますが、この件につきましては、先ほど総理から御答弁がございましたので重複は避けたいと思うのでございますが、要するに、企業等の団体の行う政治献金が、国民の批判を招くことのないよう節度を持って行わるべきであると考えておりまして、したがって、この問題につきましては、政治資金制度の改革の一環といたしまして、各党からいろいろな御提案がなされておりますことを承知しております。したがって、この問題をぜひひとつ政治改革協議会等におきまして十分に御検討いただくように念願しております。
第二番目の質問でございますが、余剰財源のことに関連いたしまして、自治体労働者の完全週休二日制を早期に実施するために政府はどのような措置をしておるか、特に地方自治法の改正案は速やかに出すべきではないかという御質問でございました。
完全週休二日制については、平成三年十二月二十七日の閣議決定において、地方公共団体においても「できる限り国との均衡をとりつつ導入することができるよう法的措置を含め所要の措置を講ずる。」ことといたしておりまして、現在、それに沿って準備を鋭意進めているところでございます。
第三番目の問題でございますが、平成六年度、一九九四年度固定資産税評価がえは中止すべきではないかという御意見でございますが、実は固定資産税の評価がえにつきましては、定期的に資産評価の見直しを行うことによって負担の公平が図られるものでございます。したがいまして、評価がえを行わないことはかえって不公平を生ずることと存じます。
また、平成六年度の評価がえにおきましては、土地基本法の趣旨を踏まえ、適切な負担調整措置等を講じつつ、地価公示価格の七割程度を目標に評価の均衡化、適正化を図ることといたしておりますが、この負担の調整につきましては、十分住民の負担を考慮し、適正な措置をとってまいりたいと思っております。
以上であります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/23
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024・村山喜一
○副議長(村山喜一君) 神田厚君。
〔神田厚君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/24
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025・神田厚
○神田厚君 私は、民社党を代表して、ただいま提案のありました地方税法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、平成四年度地方財政計画につきまして、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
まず、地方自治のあり方、国と地方との役割配分について、政府の基本姿勢を伺いたいと思っております。
「近代民主政治」の著者でありますJ・ブライス、この人は、地方自治は民主政治の最良の学校、その成功の最高の保証人と述べております。この言葉に端的にあらわされているように、地方自治の成否、地方自治がうまくいくかどうかということは、民主政治の成否につながるほど重要な意味を持っていると思われます。
しかし、現在の地方行財政制度は、真に地方自治、地方の民主政治を保障する仕組みとなっているのでありましょうか。毎年の予算編成の時期に、霞が関に多くの地方団体の関係者が陳情に訪れる姿は、現在の中央集権政治を如実に示しております。また、首長選挙のたびに保守系候補者は中央直結を有権者に呼びかけております。このような利益誘導の政治を改革しない限り、地方政治の健全な発展は望むべくもないと言わざるを得ません。
この見地から、私は、地方分権の具体的推進について数点にわたり御質問を申し上げます。
第一は、行政事務の再配分についてであります。
戦後四十七年が経過し、この間、我が国の社会経済情勢は目覚ましい進展を見せてまいりました。しかし、我が国の行政体制は、三公社の民営化など幾つかの改革が行われましたものの、依然として戦後間もなくつくられた体制が続いております。
国際化の進展と国際情勢の急激な変化に対応し得る行政体制とするためには、可能な限りの行政事務を地方におろし、国の事務も、国際的に取り組まなければならない事務を中心に、外交、防衛、教育水準の維持、年金、医療などのナショナルミニマムの確保、空港、港湾、幹線道路網の整備など、統一的に処理をしなければならない事務に限定した思い切った行政事務の再配分を行う必要があると考えるものであります。
これまで歴代内閣は、口を開けば地方自治の尊重と行政改革推進を述べてまいりました。しかし、現に実行されているとは到底思われません。規制緩和の動きを例にとっても、許認可の数は平成三年三月三十一日現在で一万七百十七件に上っており、前回調査に比べても百三十六件増加をしております。
総理、あなたは第百二十二回国会における所信表明演説の中で、行革審の答申を最大限尊重し、地方分権、国・地方を通じた行財政改革を推進すると述べておられます。行政事務の再配分について総理の強力なリーダーシップによってこれを実現していただきたいと考えるものでありますが、明快な御答弁をいただきたいと思います。
第二は、地方の自主財源の拡充であります。
自主財源の充実は、地方自治確立の大前提であります。また、総理の述べておられます生活大国を本当に実現するためには、まずすそ野から、すなわち多様化する住民ニーズに一つ一つこたえていくことが大切であり、そのことは、とりもなおさず地方の果たす役割が非常に重要であると考えております。この見地から、できるだけ多くの財源を基礎的地方公共団体である市町村に移譲し、住民要求にきめ細かく機動的に対応する体制を築くことが必要であると考えております。
しかし、現在は財源配分が地方に比べ国に偏り過ぎており、地方公共団体の自主性は大きく阻害される結果となっております。すなわち、平成三年度における国と地方の租税収入配分割合は、国六六・一%、これに対しまして地方は三三・九%にとどまっており、地方公共団体はそれぞれが独自性の発揮や政策の選択余地がないのは、約三割にしかすぎない地方自主財源に根本的原因があるということであります。
この際、行政事務の再配分にあわせて、国と地方の租税配分を少なくとも国、地方それぞれ五〇%程度に改めていくことが必要だと考えますが、この点について総理並びに自治大臣の御答弁を求めるものであります。
第三は、補助金制度の改革であります。
補助金一件を国に申請して交付されるまで膨大な事務手続と費用を要し、その使途も細かく限定され、実情にそぐわないばかりか、多くの超過負担が発生するという、このような現状を抜本的に改革することが必要であります。
そのために、まず民社党が提唱しております、普通建設事業費の補助負担金分を国庫補助金の体系から外し、第二交付税として地方に一括交付をし、その使速は地方公共団体の裁量にゆだねるという第二交付税制度を実行することが、地方財政の自主性を確保する最善の道であると確信をいたしますが、総理並びに自治大臣の御所見はいかがでありましょうか。
次に、今回提案されました中から、地方交付税の総額の特例措置についてお尋ねをいたします。
現在、地方財政は豊かではないかと一部で言われておりますが、景気の減速による影響は、国のみならず地方財政にも及ぶことは明白であり、地方財政の運営に支障が生ずるおそれが懸念をされております。自治省がまとめた平成二年度の都道府県普通会計決算の概要によると、実質収支の黒字総額は千二百九十九億円、前年度を二百八十四億円下回り、実質単年度収支も五年ぶりに八百五十三億円の赤字に転じたことが明らかになっております。
このような状況のもとにおきまして、政府は、地方公共団体の強い反対にもかかわらず、地方固有の一般財源である地方交付税交付金を、平成三年度の五千億円に引き続き、来年度八千五百億円減額する措置をとりました。これは地方公共団体に大きな影響を与えるばかりでなく、地方の自主性、独自性を阻害するものであります。
国の財源が不足し、地方の財源余剰が表面上続いていることを理由に、今後も特例減額を実行するならば、国から地方への返済は実質的に棚上げされ、地方交付税はカットされ続けたままになるわけであります。
今後、地方交付税の圧縮は実施すべきではないと思いますが、総理の明確な御答弁をお伺いしたいと思っております。
次に、地方税制改正について、一時に固定資産税の評価がえについてお伺いをいたします。
不動産取得税の住宅及び住宅用土地に係る税率等の特例措置の適用期限の延長をすることは、我々もおおむね妥当な措置と考えております。ただ、平成六年度の固定資産税の評価がえにおいて、地価公示価格の七割程度を目標に宅地の評価の均衡化、適正化を推進するとしていることについては、本当に実施できるのかどうか疑問を呈さざるを得ません。
この評価がえが実行された場合、小規模住宅居住者の急激な負担上昇を招くことは明白であります。居住用住宅とその土地は、投機目的の土地、住宅と区別されるべきでありまして、固定資産税が追い出し税と化すことは絶対に避けなければなりません。そのためには、生活の根拠となる一定規模以下の小規模居住用住宅の宅地については、思い切った軽減措置をとるべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
また、公示価格に対する評価額の割合と、その地方公共団体の財政力とは密接な関係があり、評価割合を一律に七〇%に引き上げることは、市町村財政の格差の拡大につながるおそれがあると考えるものでありますが、以上、二点について自治大臣の御答弁をいただきたいと思います。
最後に、一極集中是正と魅力ある地域づくりについてお尋ねをいたします。
政府の推進する四全総などの国土開発、特に、東京一極集中是正と地方活性化について、我々は大筋三つの点で問題があると考えております。
第一に、東京一極集中是正について、具体的解決策どころかきちんとした方向性すら見られない点であります。首都圏機能の分散については意見の分かれるところであると思われますが、政府の態度は、首都圏機能の分散など実行できるわけがない、ただ表立って反対できないがため、一省庁一機関の移転などと場当たり的、形式的な分散策を表明し、お茶を濁しているのはだれの目にも明白であります。首都機能の分散については、政府は明確な基本方針を示すべきであると考えます。
第二に、国土の均衡ある発展、都市機能の再配置などの大きなネックになっている土地問題であります。首都圏においては、サラリーマンが一生働いてもマイホームが持てない、住宅を持っていても固定資産税、相続税等で追い出される、これが生活大国と呼べるでしょうか。土地問題解決の青写真を示すことが政府の責任であると考えるものであります。
第三に、地方圏の持続的な発展のための具体策が示されておりません。特に、四全総の策定段階におきまして、地方より東京重視、地方軽視と厳しい批判を受けたことは記憶に新しいところであります。宮澤内閣は、地方活性化のための具体的方策を含め、長期的展望に立った実現性のある国土計画を明示すべきであると考えております。
以上、三点につきまして総理の答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/25
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026・宮澤喜一
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 行政事務の再配分に関してでございますが、政府は、従来から、国と地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重という観点から、住民に身近な行政はできるだけ住民に身近な地方公共団体において処理できるように、臨調、行革審答申等に沿いまして権限移譲に努めてまいりました。昨年の通常国会でも権限移譲等についての一括法案を提出し、御賛成を得たところでございます。
ただ、もとよりこれで十分だというふうには考えておりません。いろいろ問題が残っておりまして、今後とも多様で自立的な地域社会の実現を目指して権限移譲等に努めてまいります。
税源配分につきましては、地方税あるいは地方交付税、国庫支出金のあり方等、国と地方の行政の再配分の問題と並びまして財源の再配分という問題がございます。幅広い見地から検討を行っていくべき問題であると思っております。
それで、いわゆる第二交付税制度についても御指摘がありました。補助金等の交付に当たりまして、従来から採択基準の改定、零細補助金等の整理合理化等によりまして効率的な執行に努めているところではございますけれども、普通建設事業費の補助金などを地方に一括交付するという考え方、これについては有力なそのような意見があるわけでございますけれども、これは国と地方の役割分担をどうすべきかという基本にかかわる問題でございますし、また、公共施設の整備につきましては、全国的な観点から一つのいわば水準を確保したいという問題がございます。
それから、これは見る観点によるかもしれませんが、補助金というものが政策遂行上に重要な機能を持っているという、そういう観点の見方もございますものですから、ただいまの御指摘については引き続き慎重な検討が必要ではないかと考えております。
それから、地方交付税の特例措置は、現在の国の財政事情を考えながら、地方交付税法の附則第三条に基づく交付税の総額の安定的な確保に資するというための措置として行いました。
いずれにいたしましても、将来にわたりまして地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないように適正に地方財政収支見通しを策定をし、交付税総額を確保してまいらなければならないと思います。
首都機能の分散につきまして、平成二年十一月七日、両院におきまして「国会等の移転に関する決議」が行われました。政府といたしまして、この決議を受けまして、首都機能移転問題を考える有識者会議を私が主宰いたしまして、現在七回開催をいたしてまいりました。また、国土庁において開催をしております懇談会との連携も図りつつ、検討を進めておるところでございます。国会におかれましても、特別委員会において御議論が深められておることを存じ上げております。
それから、土地問題の解決でございますけれども、大都市圏を中心に地価の一応の鎮静化傾向が強まっており、成果の兆しか多少見えつつあると思いますが、昨年一月二十五日に定めました総合土地政策推進要綱、閣議決定に従いまして、これからも手を緩めずに、政府一体となりまして取り組みを展開してまいりたいと思います。
一極集中の是正あるいは長期的展望に立った国土計画という最後の点でございますが、四全総の目標であります東京一極集中の是正、多極分散型国土の形成を図るということは、今日の国土政策上の極めて重要な課題であると思います。
四全総に基づきまして、例えばふるさと創生を契機としてかなり自主的、主体的な動きが地方に高まっておりますが、これを支援する、あるいは全国一日交通圏というような高速交通体系の整備の問題もございます。テクノポリス法なともございます。それから、多極法に基づきます振興拠点、地域り開発整備、いろいろな施策がございますが、さらに地方の自立的な成長と発展の拠点となる地方拠点都市地域整備のための法律案をこの国会に御提案を申し上げまして、これらを通じまして地方圏の重点的な整備を図り、地域の活性化に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
残余の問題は、自治大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/26
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027・塩川正十郎
○国務大臣(塩川正十郎君) 第一の質問でございますが、地方自主財源の充実を図るために、国と地方との税配分を五〇%ずつにしたらどうか、こういう御提案でございます。
仰せのように、現在の国と地方との税の配分は、実質的に見てまいりますと一対二のようになっておりますけれども、国の方から交付税並びに譲与税を地方に移しましたその実質額を計算いたしますと、ほぼ五〇対五〇になっておるところでございまして、その点から見まして、我々、一層税源の確保のために努力いたしてまいる、そのためには何としても地方交付税の安定的確保ということが重大な課題になってくることは当然でございまして、あとの財政確保の点につきましては、なお地方制度調査会なり税制調査会等においていろいろと地方財源の問題を検討していただいておりますので、その結論を待って強力に推進してまいりたいと思っております。
次に、民社党がかねてから提案されておりますところの第二交付税制度についてでございますが、先ほど総理から御答弁ございましたように、この制度につきましては、地方団体の自主性を向上させるという点において傾聴すべき御意見であると考えますが、公共事業に係る国と地方の役割分担のあり方や現行の国庫補助負担制度の意義等にもかかわる問題でございますので、なお慎重に検討する必要があるのではないかと考えております。
それから、固定資産税の評価がえに当たり一定規模以下の小規模住宅の宅地について思い切った軽減措置を講じるという御提案でございまして、これはたびたび御答弁いたしておりますように、平成六年度における固定資産税の土地の評価がえに伴う税負担については、急激な変化が生じないよう総合的かつ適切な調整措置を講ずることといたしております。特に、小規模な住宅用地につきましてはあらゆる面から軽減措置を講じ、実質的な負担の軽減を図っていきたいと思っております。
最後の御質問でございますが、評価がえに伴って七割に上げることは、これは市町村間の財政に大きい格差を、新しい格差をつくるのではないかという御意見でございます。
これにつきましては、市町村の財政の格差について、評価がえの状況だとかあるいは税負担の調整措置の具体的な内容等が未決定の現時点におきましては明らかに申すことはできませんが、いずれにいたしましても、平成六年度の評価がえが地方の税源の帰属にどのような影響を及ぼすかについては十分見きわめつつ、地方と都市との均衡を保つように鋭意努力して格差是正を図っていきたいと考えております。
以上、御答弁申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/27
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028・村山喜一
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/28
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029・村山喜一
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112305254X00619920228/29
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