1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成四年四月十四日(火曜日)
午前十一時開会
—————————————
委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
片上 公人君 木庭健太郎君
四月十三日
辞任 補欠選任
木暮 山人君 星野 朋市君
田代由紀男君 関根 則之君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 田渕 勲二君
理 事
前島英三郎君
竹村 泰子君
高桑 栄松君
委 員
小野 清子君
尾辻 秀久君
清水嘉与子君
関根 則之君
田中 正巳君
星野 朋市君
宮崎 秀樹君
菅野 壽君
日下部禧代子君
浜本 万三君
沓脱タケ子君
粟森 喬君
発 議 者 高桑 栄松君
発 議 者 沓脱タケ子君
委員以外の議員
発 議 者 篠崎 年子君
国務大臣
厚 生 大 臣 山下 徳夫君
政府委員
厚生大臣官房長 古川貞二郎君
厚生大臣官房審
議官 山口 剛彦君
厚生大臣官房老
人保健福祉部長 岡光 序治君
厚生省健康政策
局長 古市 圭治君
厚生省社会局長 末次 彬君
厚生省児童家庭
局長 土井 豊君
労働省職業安定
局長 若林 之矩君
事務局側
常任委員会専門
員 滝澤 朗君
—————————————
本日の会議に付した案件
○看護婦等の人材確保の促進に関する法律案(内
閣提出)
○社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当
共済法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○原子爆弾被爆者等援護法案(山本正和君外九名
発議)(継続案件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/0
-
001・田渕勲二
○委員長(田渕勲二君) ただいまから厚生委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告をいたします。
去る十日、片上公人君が委員を辞任され、その補欠として木庭健太郎君が選任されました。
また、昨日、木暮山人君及び田代由紀男君が委員を辞任され、その補欠として星野朋市君及び関根則之君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/1
-
002・田渕勲二
○委員長(田渕勲二君) 看護婦等の人材確保の促進に関する法律案並びに社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。山下厚生大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/2
-
003・山下徳夫
○国務大臣(山下徳夫君) ただいま議題となりました二法案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案について、申し上げます。
我が国における急速な高齢化の進展及び保健医療を取り巻く環境の変化等に伴い、保健医療サービスの重要な担い手である看護婦等の確保の重要性が著しく増大いたしております。
このような状況を踏まえて、病院や訪問看護を受ける者の家庭等において、高度な専門知識と技能を有する看護婦等が自信と誇りを持って心の通う看護を提供することができるよう、看護についての国民の関心と理解を深めることに配慮しつつ、看護婦等について、養成力の強化、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等を図るための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
第一は、看護婦等の確保の促進に関する基本指針の策定であります。厚生大臣、労働大臣及び文部大臣は、その専門性に配慮した適切な看護業務のあり方を考慮しつつ、国民の保健医療サービスヘの需要に対応した均衡ある看護婦等の確保対策を適切に講ずることを基本理念として、看護婦等の養成、処遇の改善、資質の向上、就業の促進等に関する事項を定めた基本指針を策定することといたしております。
第二は、看護婦等の確保の促進に関する関係者の責務に係る所要の規定の整備であります。国につきましては、看護婦等の確保を促進するための必要な財政上及び金融上の措置その他の措置を講ずるよう努めるとともに、看護婦等の処遇の改善に努める病院等の健全な経営が確保されるよう必要な配慮をしなければならないこととしており、地方公共団体につきましても、看護婦等の確保を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないことといたしております。また、病院等の開設者等につきましては、看護婦等の処遇の改善等を講ずるよう努めなければならないこととしており、あわせまして、看護婦等及び国民の責務を設けることといたしております。
第三は、看護婦等の確保のための体制の整備であります。国及び都道府県の病院等の開設者等に対する必要な指導及び助言、雇用保険法の雇用福祉事業としての病院等の開設者等に対する雇用管理に関する必要な知識の習得のために必要な助成、公共職業安定所の看護婦等の職業紹介等についての規定を設けることといたしております。また、都道府県の看護婦等の確保に関する施策及び看護に対する住民の関心と理解の増進に関する施策への協力等を行う看護婦等就業協力員制度を創設するとともに、看護婦等の員数が著しく不足している病院等において看護婦等の配置及び業務の改善に関する計画の策定等を行う看護婦等確保推進者の設置を行うことといたしております。
第四は、ナースセンターの指定であります。都道府県知事は、看護婦等の就業の促進その他の看護婦等の確保を図るための活動を行うことにより保健医療の向上に資することを目的として設立された民法法人を都道府県ごとに一個に限り都道府県ナースセンターとして指定し、看護婦等に対する研修、相談、無料の職業紹介等を業務として行わせることとしております。また、厚生大臣及び労働大臣は、都道府県ナースセンターの指導、援助等を業務として行う中央ナースセンターを全国を通じて一個に限り指定することといたしております。
なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
次に、社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律案について申し上げます。
急速な高齢化の進展等に伴い、国民の福祉サービスに対する需要は著しく増大しておりますが、このような状況に対応して、福祉サービスを必要とする者に対し必要な福祉サービスが適切に提供されるようにするためには、社会福祉事業に従事する者の確保を促進していくことが必要であります。今回の改正は、このような状況を踏まえて、基本指針の策定、福祉人材センター及び福利厚生センターの指定、社会福祉施設職員退職手当共済制度の適用対象範囲の拡大等所要の改正を行うものであります。
以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
第一は、基本指針の策定等であります。厚生大臣は、社会福祉事業が適正に行われることを確保するため、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加の促進を図るための措置に関する基本指針を策定することといたしております。また、社会福祉事業経営者は、基本指針に規定する社会福祉事業従事者の確保に資する措置を講ずるように努めなければならないこととするとともに、国及び都道府県は、社会福祉事業経営者に対し、必要な指導及び助言を行うこととしております。
さらに、国は、社会福祉事業従事者の確保及び国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するために必要な財政上及び金融上の措置等を講ずるよう努めなければならないこととし、あわせて、地方公共団体についても、必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
第二は、福祉人材センターの指定であります。都道府県知事は、基本指針に基づき社会福祉事業経営者が行う措置に関する相談援助、社会福祉事業の業務に関する研修、社会福祉事業に従事しようとする者への就業の援助等を行う社会福祉法人を、都道府県福祉人材センターとして指定することができることとしております。あわせて、厚生大臣は、都道府県福祉人材センターの業務に関する連絡調整、指導等を行う社会福祉法人を、中央福祉人材センターとして指定することができることとしております。
第三は、福利厚生センターの指定であります。厚生大臣は、社会福祉事業従事者の福利厚生の増進を図るための事業等を行う社会福祉法人を福利厚生センターとして指定することができることとしております。
第四は、社会福祉施設職員退職手当共済制度の改正についてであります。退職手当共済制度の対象として、老人、身体障害者等に係る居宅介護等事業等を追加することとしております。また、被共済職員が同一経営者の経営する退職手当共済制度の対象外の施設等へ異動した後、再び被共済職員となった場合に、被共済職員期間を合算する制度を設けることといたしております。
なお、この法律の施行期日は、基本指針及び都道府県福祉人材センターに関する事項については法律の公布日から六カ月を超えない範囲内において政令で定める日、中央福祉人材センター及び福利厚生センターに関する事項については平成五年四月一日、その他の事項については平成四年七月一日としております。
以上、二法律案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決賜りますようにお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/3
-
004・田渕勲二
○委員長(田渕勲二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
両案に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/4
-
005・田渕勲二
○委員長(田渕勲二君) 次に、原子爆弾被爆者等援護法案を議題といたします。
まず、発議者篠崎年子君から趣旨説明を聴取いたします。篠崎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/5
-
006・篠崎年子
○委員以外の議員(篠崎年子君) 私は、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブを代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
昭和二十年八月六日、続いて九日、広島、長崎に投下された人類史上初の原子爆弾は、一瞬にして両市を焦土と化し、三十万人余の生命を奪ったのであります。この原爆による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に破壊、殺傷するものであるだけに、その非人道性ははかり知れないものがあります。たとえ一命を取りとめた人たちも、この世の出来事とは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷痕と原爆後遺症に苦しみ、一層健康破壊が進む中で年老い、貧困や孤独に悩まされながら、今日までようやく生き延びてきているのであります。これらのことは、昭和六十二年六月に発表された政府の原爆被爆者実態調査(生存者調査)、平成二年五月に発表された同死没者調査等においても明らかであります。
しかし、国は、被爆から四十七周年を迎えようとしている今日に至るまで、原爆で亡くなられた方々やその遺族に対して特段の生活援助もしておりません。ここに現行二法の最大の欠陥が指摘できるのであります。
国家補償に基づく援護法を求める国民の不満は、なぜ軍人軍属など軍関係者のみを援護し、原爆の犠牲者を差別して処遇するのか、戦時諸法制から見て全く納得がいかないという点にあります。本法案提出に当たり、私はこの際、まず国家補償法の必要性について明らかにいたしたいと思います。
国家補償の原則に立つ援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であるということです。したがって、サンフランシスコ講和条約で日本が対米請求権を放棄したとすれば、その請求権を放棄した日本国政府に対し国家補償を要求する権利が当然存在するのであります。しかも、原爆投下を誘発したのは、日本国政府が起こした戦争なのであります。我々が、この史上初の核爆発の熱線と爆風、そして放射能によるはかり知れない人命、健康の被害に目をつぶることは、被爆国としての日本が恒久平和を口にする資格なしと言わなければなりません。
第二の理由は、この人類史上未曾有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本国政府にあったことが明白であるからであります。特にサイパン、沖縄陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、ほとんどすべての国民が国家権力によってその任務につくことを強制されていたことは紛れもない事実であります。政府は、援護法の制定については、国を挙げての戦争による犠牲は一般の犠牲としてすべての国民がひとしく受忍しなければならないという原爆被爆者対策基本問題懇談会の、いわゆる戦争被害受忍論を盾にこれを否定しておりますが、原爆被害が人として到底受忍できない被害であることは、何よりも被爆者が置かれている現状が雄弁に物語っているのであります。
また、一般の戦災者とのバランス論についても、国民皆兵状態をつくり出した当時の戦時諸法制からすれば、戦争被害者の救済を国との間の身分関係によって差別する政府のやり方は全く根拠のないことであり、そのすべてを救済するというのが国としての正しい施策であるべきであります。同じ大戦の敗戦国である旧西ドイツは、いち早く幅広い救済を行っているのであります。
太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨さは忘れ去られようとしている現状にありますが、被爆者にとって援護法が制定されることにより初めて戦後が終わるのであります。
私たちは、以上のような理由から、全被爆者とその遺族に対し、戦争被害の中でも特に特別な犠牲である放射能被害の特殊性を十分考慮しつつ、現行の軍属、準軍属に対する援護法に準じて原爆被爆者等援護法案を提案することといたしたのであります。
以下、本法律案の概要を御説明申し上げます。
まず第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、臨時二回の一般検査、精密検査を行うとともに、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行い、その医療費は、七十歳未満の被爆者については現行法どおりとするとともに、老人被爆者については老人保健法の規定にかかわらず、地方自治体負担を国の特例的負担といたしました。
第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。医療手当については、認定疾病医療を受けている者に対し月額八万円を支給することとし、また、日常生活に介護を必要とする者には月額十万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。
第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健康診断の機会を与え、原子爆弾の傷害作用に起因する疾病として政令で定めるものにかかっている旨の認定を受けた者に対しては、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。
第四は、被爆という特殊な被害に着眼した国家補償として、被爆者年金を支給することであります。全被爆者に対して政令で定める障害の程度に応じて年金を支給し、年金額の改定は恩給法と同じ、いわゆる総合勘案方式によるものとしております。
第五は、特別給付金の支給であります。本来ならば死没者の遺族に対して弔慰をあらわすため弔慰金及び遺族年金を支給すべきでありますが、当面の措置として、百二十万円の特別給付金とし、十年以内に償還すべき記各国債をもって交付することにいたしました。
第六は、被爆者が死亡した場合、二十万円の葬祭料をその葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。
第七は、被爆者が健康診断や治療のため旅客会社を利用する場合には、本人及びその介護者の運賃は無料とすることにいたしました。
第八は、高年齢被爆者、小頭症その他の保護を必要とする被爆者のため、国立原子爆弾被爆者保護施設を設置し、国の負担で保護すること、被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置、運営の補助をすることにいたしました。
第九は、厚生大臣の諮問機関として原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。
第十は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに、必要な助成を行うことといたしました。
第十一は、日本に居住する外国人に対しても本法を適用することにしたのであります。
以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。
被爆後既に四十七周年を迎えようとしている今日、老齢化する被爆者や遺族にもう残された時間はありません。被爆者団体の調査によれば、再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の熱き願いにこたえる形で、援護法賛同署名は参議院議員の三分の二を超え、衆議院でも三分の二に迫ろうとしております。また、本年四月七日現在、被爆者援護法制定促進の決議、意見書を採択した自治体数は二千百三十一団体に及び、その自治体に住む住民の人口は九千七十二万人を超えるものとなっており、十一県の自治体においては、管内すべての市町村が採択しております。
こうした事実を踏まえ、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/6
-
007・田渕勲二
○委員長(田渕勲二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時二十分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112314237X00519920414/7
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。