1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成五年四月六日(火曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 平沼 赳夫君
理事 金子徳之介君 理事 萩山 教嚴君
理事 御法川英文君 理事 簗瀬 進君
理事 柳沢 伯夫君 理事 佐々木秀典君
理事 前島 秀行君 理事 宮地 正介君
岩村卯一郎君 上草 義輝君
内海 英男君 大原 一三君
久間 章生君 高村 正彦君
鈴木 俊一君 谷 洋一君
中谷 元君 鳩山由紀夫君
松岡 利勝君 三ッ林弥太郎君
宮里 松正君 有川 清次君
石橋 大吉君 遠藤 登君
田中 恒利君 辻 一彦君
野坂 浩賢君 鉢呂 吉雄君
堀込 征雄君 山口 鶴男君
倉田 栄喜君 藤原 房雄君
藤田 スミ君 小平 忠正君
委員外の出席者
参 考 人
(東京水産大学
教授) 大海原 宏君
参 考 人
(全国漁業協同
組合連合会専務
理事) 菅原 昭君
参 考 人
(鹿児島県西之
表市漁業協同組 深田 忠則君
合組合長理事)
農林水産委員会
調査室長 黒木 敏郎君
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委員の異動
四月二日
辞任 補欠選任
遠藤 登君 吉田 和子君
鉢呂 吉雄君 田邊 誠君
同日
辞任 補欠選任
田邊 誠君 鉢呂 吉雄君
吉田 和子君 遠藤 登君
四月六日
米等農畜産物の関税化に反対し、農業と国民食
料を守る食料安全保障の国会決議に関する請願
(五十嵐広三君紹介)(第一三六三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四〇号)
水産業協同組合法の一部を改正する法律案一内
閣提出第四四号)
漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律
案(内閣提出第四五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/0
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001・平沼赳夫
○平沼委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、沿岸漁業改善資金助成法の一部を改正する法律案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案及び漁業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、審査を進めます。
本日は、各案審査のため、参考人として東京水産大学教授大海原宏君、全国漁業協同組合連合会専務理事菅原昭君、鹿児島県西之表市漁業協同組合組合長理事深田忠則君、以上三名の方に御出席いただき、御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
大海原参考人、菅原参考人、深田参考人の順にお一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、念のために申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
それでは、大海原参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/1
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002・大海原宏
○大海原参考人 私は、東京水産大学の大海原でございます。
本日は、委員長の御指名に従いまして、沿岸漁業改善資金助成法、水協法並びに漁協合併助成法の改正に関連いたしまして、漁業経済研究に携わっている者の一人といたしまして、日本漁業、とりわけ沿岸漁業、沖合漁業の振興と漁協の役割について意見を申し上げ、御参考に供したいと存じます。
御承知のとおり、我が国の水産業を取り巻く環境は激しく変化してまいりました。その結果、遠洋漁業は既に大幅な縮小を余儀なくされております。そこで、我が国周辺の水域が水産物供給の場として、その重要性が再認識されてきております。つまり、この水域での漁業を中心といたしまして、我が国漁業を再構築し、持続的な発展を維持していくこと、これが重要な課題であると考えられてきているのであります。
このことに関連いたしまして、最初に確認しておくことが必要と思われることは、この水域を主な生産の場としているのが沿岸・沖合漁業であるという事実であります。
この水域は、二百海里漁業体制への移行過程で、利用可能な範囲が狭められましたし、近年では二百海里水域を設定しない周辺諸国からの出漁船が増加しております。このため、各種漁業間の競合の激化、漁場の過密利用が高じまして、資源状態や漁場の環境の悪化が危惧されているのであります。
第二は、この水域を生産の場とする生産主体についてであります。
その多くは、漁家経営や生業的漁業経営等、小規模経営であります。これに中小漁業経営が加わりますが、これらの生産主体は地区漁協を構成する組合員であります。そのうちの専業的漁家経営に注目してみますと、これらの経営は、家族労作型を基本に据えながら、省力化を進め、規模拡大を図り、地域の基幹的漁家経営としてみずからの経営を維持してきているのであります。
第三に、これらの漁業経営の現状は、各自の懸命な経営努力にもかかわらず、後継者確保の困難、従事者の高齢化、生産高の伸び悩み、コスト高等によりまして、経営力の脆弱化が見られることであります。こうした状況に対しまして、従来の主要漁業におきましては、政策減船、自主減船による漁業構造の再編が実施されてきたことは周知のとおりであります。
このほか、地域漁業の振興との関連で、関係漁業者の自主的対応がなされていることに注目しておきたいと思います。
その典型事例が「海の上の協同運動」と名づけられております資源管理型漁業の推進であります。この場合、直接的には自主的な資源の維持管理、漁業者間の競合、過当競争の排除等を目的とした対応を基本としておりますが、自主活動の内容は、経営維持のための集団的な生産管理の実施、市場対応力を高めるための生産の組織化、漁家経営の合理的管理を実施するための漁協の経営指導等であります。
私は、これを現状に見合った地域漁業の再構築を内に秘めた自主的な地域漁業振興の実践ではないかと考えておるのであります。そして、この種の活動の中で地区漁協が果たしている役割から、今日の漁協が担う役割の一端を教訓として引き出せるものと思います。
その一つは、漁業権管理主体として、漁業権行使規則の制定にとどまらず、適正漁場利用秩序づくりを行っていることであります。
その二は、組合員の生産活動を支援するために、経済事業を充実させ、総合事業体としての体制を整えていることであります。
その三は、組合員の経営管理の指導を強化し、経営の安定化に寄与していることであります。
地域漁業の基軸になる専業的漁業経営が全般的に脆弱化してきている現状において、このような役割を果たし得る漁協が求められていると思います。
このことは、生産活動を支援する側面ばかりでなく、加工、沿岸域レクリエーション、地場流通等を加えた複合経営づくりにおいても、漁協が相応の役割を果たすことが求められていると思うのであります。漁業振興との関連で、零細漁協の合併問題や漁協の事業及び組織の強化等が重視されてきているゆえんがここにあると思うのであります。
早急な国の制度的対応も求められていると思います。関係法の改正を期待いたしまして、弘の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/2
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003・平沼赳夫
○平沼委員長 ありがとうございました。
次に、菅原参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/3
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004・菅原昭
○菅原参考人 私、全漁連の菅原でございます。
日ごろ先生方には、漁業の各般にわたりまして大変御指導、御支援を賜っておりますことに、まず冒頭、心から厚く御礼を申し上げたいと思います。
私からは、今回の水協法、合併助成法並びに沿岸漁業改善資金助成法の改正に関連いたしまして、私ども漁協系統が現在進めようとして取り組んでおります方向について、その要点を申し上げ、御参考に供したいと存じます。
まず、漁業、漁協を取り巻く環境、情勢でございますが、漁業は現在、過去の競争的漁業から新しい協調的漁業への歴史的転換の過程にあるというふうに考えております。これは改めて申し上げるまでもないわけでございますが、産業経済の伸長に伴う漁場環境の悪化、二度にわたる石油危機、さらに二百海里体制の定着、それに伴う国際規制の強化、水産物輸入の増大等が進行する中で、高度経済成長を背景とした漁業展開のひずみが、資源の減少、魚価安、コスト高など各所にあらわれまして、漁業経営は大きな困難に直面しているわけであります。特に、輸入水産物の急増による魚価安が定着しまして、全国の漁業者は漁家経済の悪化に呻吟しておる状態であります。
さらに、漁村地域における高齢化や漁業の担い手の減少が進む一方で、リゾート開発、海洋性レクリェーションなど、国民の各般の海へのニーズが増大し、漁業との調整が大変大きな課題となってきております。
このような困難な状況に対処しながら、二十一世紀につなげ得る漁業をつくり上げるため、漁業協同組合が果たしていくべき役割は極めて大きいものがあると考えております。
漁協が今後担うべき役割として期待されておりますのは、まず、資源管理型漁業の推進と組合員の漁業経営安定化対策であり、さらに国民のニーズに対応した水産物の供給・流通対策、また、海の多面的利用と海洋環境保全への対策、そして漁村地域全体の活性化と組合員の福祉向上への対策など、まことに幅広いものがあると考えております。
このような役割を担うべき漁協の現状を見ますと、約八割の組合が市町村未満の範囲であるなど、総じて規模が零細で経済基盤が脆弱であり、事業も伸び悩み、経営状況は深刻化しております。
そのため私どもは、漁協系統にとって今最重要実践課題として、組織強化への取り組みを進めているところであります。この課題に関しましては、昨年六月に全漁連会長の諮問機関であります漁協系統事業・組織検討委員会において、一県一漁協も視野に入れた広域漁協への合併を内容とする将来方向が示され、昨年十一月の全国漁協大会で、これを実践課題として運動方針として決議したところでございます。
この組織強化の最大のねらいは、組合員の負託にこたえ、かつ社会的な役割を果たしていける漁協をつくり上げていくことであり、このためには漁協合併や事業統合による規模の拡大を積極的に推進し、経済的にも自立できる体制を確立することであると考えております。
なお、漁協の合併、事業統合については、現在各県で真剣な取り組みが進められております。全国段階におきましても、漁協合併等推進中央本部を設置して、漁協系統の総力を挙げてこの運動に取り組むこととしております。
また、特に信用事業につきましては、金融自由化の急速な進展に対処するための緊急対策として、漁協の信用事業を信漁連に事業譲渡することを基本とした信用事業統合体の構築にも力を注いできております。平成四年度中には、既に信用事業譲渡をした漁協も出始めました。今後は急速にこの動きが進んでまいりますので、漁協信用事業の零細性の克服に資するため、さらに取り組みを強めていく所存であります。
ただ、こうした漁協系統が進めている事業、組織の改革への取り組みにつきましては、県ごとに進捗状況が異なったり、事業の実態もさまざまでございますので、一律に進むわけではないという面も当然あります。したがいまして、それぞれの県や事業の実態を踏まえて、行政との連携を密にし、国の漁協事業基盤強化総合対策事業に基づき各県が策定しました基本方針に沿って、できるところから可及的速やかに実施していくということにしているわけでございます。
このほか、漁協系統が組合員の負託にこたえ、しかも社会的役割を果たしていくために取り組むべき課題が幾つかございますので、項目的に述べさせていただきます。
まず第一は、漁村、漁協の活性化の観点から、資源管理を漁協の事業として明確に位置づけることであります。資源管理型漁業の推進を系統を挙げて取り組んでいるわけですが、漁協の事業として、資源の維持培養を図りながら効率的な漁場利用を行おうとするものであります。
このほか、漁協が自営する漁業経営の実施要件の見直し、福利厚生事業への取り組みなどであります。また、漁協の信用事業については必要最小限の機能拡充をお願いしております。
第二は、漁協の経営管理体制の強化であります。従来、法律上は特に定められていなかった理事会制、代表理事制の導入、員外理事枠の拡大、監事の監査機能の強化など、今後、漁協が合併等により広域化してくることに対応していくことが必要となっております。
第三は、組織整備の強化の観点から、事業譲渡の規定の整備と合併推進のための合併助成法の改正であります。
漁協の組織の実態につきましては、さきに申し上げましたとおり、規模が零細で経営基盤が脆弱であります。これを合併、事業統合等によりまして、組織の強化を図る上で大きな促進剤となるものであります。
どうか諸先生方におかれましては、こうした我々漁協系統の取り組みについて御理解をいただきまして、私どもの要望に沿うものである今回の水協法並びに漁協合併助成法等の改正につきまして、特段の御支援を賜りますようお願い申し上げます。
なお、せっかくの機会ですので申し上げたいと存じますが、先ほど述べました資源管理型漁業の展開と密接に関連する問題として、我が国の二百海里問題がございます。
現状を申し上げますと、我が国の漁業者のさまざまな資源管理のための努力を無視する形で外国船の操業が行われているわけでございます。合意されました自主規制措置についても違反が続出している状況であります。関係漁業者の長年にわたる苦しみはまさに筆舌に尽くしがたいものがございます。自分たちにはしょせん政治の光が当たらないのかというのが関係漁業者の率直な気持ちであり、二百海里全面適用が一気に進まないのであれば、せめて漁業資源管理水域の設定に早急に取り組んでいただきたいと切に願っているところであります。
このことにつきましては、昭和六十一年と平成四年の二度にわたり国会請願を行い、両院においてそれぞれ採択していただいた経過もございますので、促進方につき、重ねてお願い申し上げたいと思います。
以上をもちまして、私の意見とさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/4
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005・平沼赳夫
○平沼委員長 ありがとうございました。
次に、深田参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/5
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006・深田忠則
○深田参考人 私は、鉄砲伝来と宇宙ロケットの基地で有名な鹿児島県種子島の西之表市内にある西之表市漁協組合長の深田でございます。
日ごろから、私どもの漁協運営並びに事業基盤整備につきましては、格別の御指導と御支援をいただいておりますことに対しまして、この席をかりまして厚く御礼を申し上げます。
種子島は、御案内のとおり、人口約四万人で、世帯数一万五千世帯の半農半漁の島であります。現在一市二町で、西之表市と中種子町、南種子町とに分かれていますが、人口の大半は西之表市に集中しております。
私の西之表市漁協は、いわゆる一市一漁協でございますが、実は昭和五十年三月一日に市内の四つの漁協が合併して、現在の西之表市漁協になりました。私は、当時旧住吉漁協の一理事でありましたが、合併後の昭和五十七年から組合長を務めさせていただいております。
今回の水協法の改正、漁協合併助成法の延長につきましては、先ほどの全漁連の菅原専務のお話のとおりでございまして、私ども漁協の現場から見ましても極めて重要なことで、しかも時宜を得たことだと思っておりますので、何とぞよろしく御審議いただきますようお願いを申し上げます。
私は、漁協の組合長として、私の組合を例にいたしまして、漁協を取り巻く環境の変化とこれに対応すべき漁協の役割の重要性の観点から、合併等組織強化の必要性、現在進めている種子島一円の合併への取り組み状況につきまして意見を陳述させていただき、諸先生方にお訴えを申し上げたいと存じます。
まず、担い手不足の問題であります。
漁協、漁村の活性化にとりましては最重要課題であるとともに、極めて深刻であると申せます。昭和五十年の合併当時の経営体数五百五十三に対しまして、昭和六十三年には五百五十九とわずかながら増加いたしました。他の組合においては激減している中でなぜ増加したかと申しますと、その最大の理由は合併にあると思います。合併により、漁協の事業としまして信用事業が強化拡充されました。その結果、信用事業の資金量が拡大し、漁船建造資金等の貸付限度額の引き上げも可能となりまして、それまで資金の融通もままならなかった組合員の多くが漁船の規模を拡大し、また都会に出ていた若者を呼び返すことができたからです。
しかし、現在では、経営体数はここ数年で百近く減少し、他の二組合の減少傾向を追随するような状況になってきております。当然、組合員数の減少も否めません。特に、専業者である正組合員の減少が目につきます。正組合員資格審査を厳正に行い、その純化を図ってきたこともありますが、合併当時八百五十二名が現在では半数の四百十四名です。
さらに、年齢構成を見ますと、四十歳代までの若手が減少し、五十歳から七十歳代までの階層が増加し、組合員の高齢化が進んでいます。十年後、二十年後のことを考えるとき、組合を構成する人的側面から危惧の念を抱くものであります。後継者対策といえども、なかなか打つ手が見出せない状況であり、魅力ある漁業、言いかえますと都市勤労者に負けない所得が上げられますと、後継者問題の解決の糸口を見出せるのではないかと思います。
私ども漁民は、全国で一千万トンの漁獲を上げ、国民への水産動植物の供給を担っておるわけでありますが、漁民がいなくなって輸入水産物に頼るにしても、世界の食糧問題等から限界があります。また、私ども漁民は、当然そのような状況を歓迎するものではありません。魚食の民である日本人の台所は、できるだけ日本人の手で賄っていく必要があると思います。
次に、漁業生産振興でございます。
合併して漁船の隻数がふえ、生産力も増大したわけですが、海の生産力に見合った生産規模でないことには共倒れになってしまいます。この点にも意を注ぎました。幸いにも合併によって一定の職員数が確保できた結果、指導担当専任職員を配置することが可能となり、以下申し上げます生産指導にも効果を上げることができました。
種子島の漁獲物は、キビナゴのほかにトビウオ、アオリイカ、イセエビ、トコブシ、ムロアジ、テングサが主なもので、その他一本釣り、引き縄によりましてアジ、タイ、カツオ、マグロ類があります。
私の組合では、資源管理の立場から、特にキビナゴについては組合員の同意のもとに厳しい生産規制を行っています。つまり、操業の隻数、期間、区域の制限を設けております。その上、鹿児島市の中央卸売市場に水揚げする者はキビナゴの漁獲量は一日に三十箱とし、地元水揚げする者は二十箱としています。また、日曜祭日は休漁日としています。このような漁獲制限をしたことにより、価格の管理ができたわけです。それによりまして価格の暴落といったこともなくなり、また、資源の維持にもつながり、隻数の増加にもたえることができました。
その他の魚種についても、資源は有限であることから、漁業権行使規則を基本に、魚場管理委員会、小組合長会、地区組合員座談会等に諮って自主規制を強化しているのが現状であります。
しかし、規制のみでは発展性はありません。海に投資することも必要であることから、トコブシの稚貝放流、マダイの放流、組合員全員によるイカ柴投入、漁礁の設置等も行っているところでございます。
国等の助成によりまして、生産基盤はかなり充実されました。今後は生産力増大のための各種施策と流通対策、付加価値向上の対策等を図ることにより、漁業経営を初め漁協の経営の安定と漁村の活性化につなげ、あすの漁業を守ることができるよう、特段の御配慮をお願いするものであります。
最後に、種子島の現状について申し上げます。
冒頭に申し上げましたように、島には一市二町ありまして、それぞれ漁協が存在しています。私の西之表市漁協は合併後十八年を経過し、その間、生産量、生産額を初め、その他の事業も順調に伸展し、また組合の財務の充実もそれなりに図ることができました。これも合併し、組合に展開力がついたからこそできたものであります。しかし、組合の経営の将来を考えるとき、当漁協といえども余裕がなくなることが想定されます。それは課題が山積する中で、有能な職員を安定的に確保し、さらに展開力をつける必要がありながら、事業量が頭打ちの中で指導事業費、事業管理費の確保がしにくい状況にあるからであります。
そこで、この三組合を合併して一島一漁協とし、さらに経営基盤の強化と、より以上の組合員へのサービス機能の向上を可能とする漁協の構築を図ろうという構想で推進しています。全漁連の提唱しています広域漁協への統合に沿ったものではありますが、スタートは県や漁連の要請があってのものではなく、「種子島は一つ」という合い言葉のもとに、組合長同士でみずから動き出したのであります。
私も地区の推進協議会長として努力をしておりますが、残念ながら、当初合併の時期を平成五年七月に予定していましたが、若干おくれぎみであります。その理由は、全国どこにもある理由と同じで、漁業一代限りとしている人たちに合併の趣旨を理解してもらえないところにあります。こういう方々を説得するのは容易なことではありませんが、後世の人のためにも、今責任ある立場にある者は何をなすべきかを念頭に置いて、枝葉末節のことで合併の本質を見損なうことのないよう、啓蒙推進を図っていきたいと思っているところであります。
合併は、基本的には漁協系統が主体となって進めていくものでありますが、制度上の補完がないと進まない、進めにくいものであります。また、行政の支援をいただかないことには前には進みません。国会の場をおかりしまして、まことに申しわけございませんが、市町村あるいは県が積極的な合併の支援策を講ずることができるよう、特段の御配慮を賜りたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
以上で私の意見の発表とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/6
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007・平沼赳夫
○平沼委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/7
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008・平沼赳夫
○平沼委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木俊一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/8
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009・鈴木俊一
○鈴木(俊)委員 自由民主党の鈴木俊一でございますが、三人の参考人の皆様方には、当委員会に御多忙のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。また、ただいまは大変貴重な御意見を承りまして、心から感謝を申し上げます。
私、今三人の参考人の方々のお話を伺いまして改めて再認識をいたしましたことは、やはりこれからの日本の漁業の発展を考えるときには、沿岸漁業というものを一つの中心に据えて考えていかなくてはならない。そのためには漁協の果たすべき役割というものは大変大きなものがある、こういうことを再認識させていただいたわけであります。
振り返って考えてみますと、日本の漁業は戦後沿岸から沖合へ、沖合から遠洋へというふうに外延的に発展をしてきたわけでありますけれども、昭和五十一年から五十二年にかけまして二百海里体制というものが始まって大きな転換期を迎え、海外漁場からの撤退というものがだんだん余儀なくされてきたわけでありますが、今日ではさらに公海漁場におきましても、環境保護団体等の、私から申し上げますと、何か非科学的な、幾分情緒的な圧力によりまして、さらにこの海外漁場からの撤退が余儀なくされているわけであります。
そういうことを考えますと、これから沿岸漁業を中心に振興を図っていかなくてはならないわけであります。沿岸漁業の振興策を考える場合に、その具体的政策というものはいろいろあろうかと思います。例えば、お話に出てまいりました資源管理型漁業の推進と申しましても、ハード面でいえば栽培漁業センター等の体制をどう整備していくのか、あるいは沿整事業をこれからさらに進めなくてはいけない。ソフト面でいうならば、漁場利用についての漁業者間の自主的な協定をこれからも進める、増殖技術の開発を図っていく、こういうこともございますでしょう。さらには加工や流通に進出をいたしまして、とれた生産物に付加価値をさらに与えていくようにしなければならない。さらには担い手対策もありますし、韓国を初めとする外国漁船対策もある。いわばまことに多岐にわたっているわけでありますけれども、沿岸漁業者で組織されます漁業協同組合の果たすべき役割というものは、いずれの対策においても大きなものがあろうかと思うわけであります。
そこで、沿岸漁業の振興に大きな役割を担っております漁協の業務内容をどう充実していくのか、あるいは漁協の経営基盤をいかに強化していくのか、これが今回の政府から提出されております漁協関係二法に共通する最も重要な点であると認識をしているわけであります。
そこで、最初に菅原参考人に三点につきましてお伺いをいたしたいと思います。
一つは、大変厳しい状況にあると言われております漁業協同組合の経営の現状や零細性をどのように認識をされておられますか。そしていかなる方法で合併を推進していかれるお考えなのか、まず基本的な部分についてお話を伺いたいと思います。
次に、漁協関係の二つの法律の改正によって、漁協の合併等による経営基盤の強化がこれまで以上に進むとお考えであるかどうか。
さらに三つ目でありますけれども、漁協が漁村あるいは漁業生産においてどのような役割を果たすべきであるとお考えでありますのか、三点続けてで恐縮でありますけれども、概括的なお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/9
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010・菅原昭
○菅原参考人 最初の、現在の漁協の零細性の状況の認識でありますが、現在の状況を若干数字的に申し上げますと、全国で二千強の漁協があるわけですが、職員の数は一組合平均で十人弱の職員であります。
その中で、特に私強調をしたいと思いますのは、先ほど来先生からも指摘がありました、漁協がこれから担っていかなければいけない役割の大半は、我々の漁協の事業の分類でいきますと、指導事業という分野に属する仕事であります。漁協の職員全体の平均が十人を切る状況の中で、指導事業を担当している職員は、全組合の平均でいきますと〇・六人ということで、指導事業専任の職員を置けない漁協が平均的には半数ある。こういう状況の中で、先ほど来強調されている漁協が果たすべき役割というのは、実際上は絵にかいたもちになっていかざるを得ない。
そこで、そういう専任の職員も確保できる漁協をつくるためには、労働力全体の需給の中でそれだけの資質のある職員を確保していけるだけの経済力がないと、これは実現できないということもありまして、私どもいろいろ悩んだ上に最後にたどり着いた結論は、やはり合併に思い切って取り組んでいくしかないのではないか、そういうことを今考えておるわけであります。
それに対して、じゃ、その合併をどういう形で進めていくのかというお尋ねでありますが、何といいましても、私は、今漁協が置かれた状況の厳しさを、漁業者そして我々系統組織が全体として正しく認識するということが、まず第一に大事だろうというふうに思っております。そのために私どもは、東京においては全漁連の中に合併推進中央本部を設置しまして、全漁連会長が陣頭指揮をとってこの運動の指揮をとっていくという体制を考えておりますし、また、市町村あるいは県段階におきましては、それぞれできるだけ専任の部署を組織の中に置いて、片手間ではない形でこの合併に取り組んでいける体制づくりを目指していきたいと思っております。
それからまた、漁協と一口にいいましても、先ほど深田参考人がおっしゃったようなケースはかなりよく事態の認識を深めていられるケースだと私は思っておりまして、全国を見ますと、まだまだ今のままでいいではないか、なぜ合併しなきゃいけないんだという気持ちを持っている漁協も、大変残念なことではありますが、たくさんあるわけであります。そういうところには、若干遠回りにはなりますが、合併を進めるための協議会を直ちに無理やりつくらせるのではなしに、合併はなぜ必要なのか、今置かれた状況は何かということを勉強する合併の研究会からスタートしていく、若干遠回りのような感じもしますが、地道なやり方をとりながらでないとゴールに行けないのではないか、こういうふうに考えております。
それから、合併の規模につきましては、当面一市町村一漁協というのを目指して取り組んでいこうと思いますが、先ほど申し上げましたように、現在の漁協の規模が職員は十人弱、それから漁協の事業の中心をなす販売事業は、平均値で約九億くらいになっております。販売事業というのは漁協の事業の中心でありまして、それがわずか九億の扱いということでは到底強い漁協になり得ないわけで、これが一市町村一漁協になったときにどうなるかと申しますと、あくまでも平均的な数字ですが、約倍になるということで二十億弱の販売高になる。しかし、二十億になってみても、本当に自由経済の激しい競争の中で生き抜いて漁業者の営利を守っていける漁協になり得るかということについては、私ども大変な心配を持っておりまして、やはりこれからの組織強化の目標は、一市町村一漁協を踏まえた上で、なおかつそれを超える広域的な漁協づくりを目指していく必要があるだろうという考え方で、今、先ほど申し上げました市町村の範囲を超える広域漁協をつくっていきたい、そのゴールと申しますか、それは一つの県で一つの漁協ということもあり得る、そんな考え方で進めております。
現在も、実は山形県は既に一県一漁協ということになっております。水産の規模のウエートの小さい県においては、今後も第二、第三の山形県方式が出てくる、そういうことも念頭に十分置きながら取り組んでいきたいというふうに考えております。
それから、今鈴木先生のお尋ねの中で、漁協がこれから漁村あるいは漁業生産でどういう役割を果たしていくかというお尋ねでありましたが、端的に言いまして、これからの漁協に特に期待されるものは、やはり生産の面では資源管理型漁業を本当に実行していける、それをリードしていける漁協というのが大変重要になってくるだろうというふうに思っております。
さらには、水産物の生産されたものを消費者により近いところまで持っていける流通力というものをこれからの漁協が担っていかないといけないのではないかというふうに考えております。
それから三番目は、先ほど私も申し上げましたが、沿岸域の開発あるいはリゾート等のニーズ、その他さまざまな国民全体的な海に対するニーズというものを真正面から受けとめて、漁業ときちんとした調和ある姿でそれが展開していかれるような、そういう海面利用の新しい形態をつくり上げていく、その中心的な担い手が、やはり漁協でなければいけないだろうというふうに考えております。
さらにはまた、漁業者あるいは漁業者の家族がより人間らしく生きていくということも含めた漁民の福祉向上あるいは漁村地域全体の活性化については、市町村等とも十分連携をとりながら、やはり漁協が大きい役割を果たしていく必要があるのではないか、こういうことがこれから新しい時代に向けて漁協が取り組んでいかなければいけない役割ではないかというふうに考えております。
それからもう一つのお尋ねは、今度の法改正によって合併の弾みがついてくるのかどうかというお話でしたが、率直に申し上げて、私は大変その意味では前向きに受けとめていける法律改正になっているのではないかというふうに考えております。要点だけ申し上げますと、従来合併助成法の中で、漁業権の特例措置あるいは税制上の措置をしていただいておりましたが、今次の改正では、さらに新しく漁業権についての漁業者の不安を一層解消していけるような措置もつけ加えていただいております。
このようなことを私どもは十分に活用しまして、先ほど来申し上げておりますこの厳しい漁村の状況をより一層正しく認識していければ、今度の一連の法改正は大変大きい促進剤になってくるに違いない、こういうふうに考えております。
以上、簡単ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/10
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011・鈴木俊一
○鈴木(俊)委員 次に、深田参考人にお伺いいたしますけれども、深田参考人は組合長として、五十年に四つの漁協を合併したということで、その間大変な御苦労をしたと思いますし、また、その漁協の合併のメリット、デメリットについては十分御存じだと思います。
そこで、時間の関係がありますので、一点だけ簡潔にお答えいただきたいと思いますが、昭和五十年に四漁協を合併した前と後で、漁協の事業や組合と組合員とのかかわりに何かプラス面の変化があったかどうか、その点につきまして簡単にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/11
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012・深田忠則
○深田参考人 五十年に合併する前は、市内四つの漁協が経済事業、信用事業等本当に弱小でございました。そういうことで、水揚げも四漁協で大体三億円程度でございましたし、県の漁放課の強力な指導もございまして合併をいたしたわけですが、おかげで合併後は信用事業の拡大ができ、そしてまた販売事業においても相当量、十一億何がしの水揚げになりました。
そういうことで、仲買人も定着をし、そして魚価も安定をいたしましたし、また漁港、港湾の整備も進んでまいっております。そういうことで、漁協合併におけるメリットは相当あったと思います。
特に、信用事業の拡大によりまして、新船建造、機関換装、機器類の購入等の融資ができるようになったことが最大のメリットであった、かように考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/12
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013・鈴木俊一
○鈴木(俊)委員 最後に大海原参考人にお伺いいたしますが、御承知のとおり、先生のお話にありましたとおり、地域地域の事情があるとはいえ、今沿岸漁業を概観いたしますと、資源の荒廃でありますとか後継者、担い手不足、それから就業者の高齢化といった厳しい状況にあると思います。
しかし、また一方におきまして、これは全漁連の池尻会長がよく言うわけでありますけれども、我が国漁業にはいろいろ恵まれた条件もある。その一つは、世界で六番目の広さを持つ二百海里水域がありますし、その中身は、寒流と暖流が入りまじり、世界三大漁場の一つと言われている。第二には、一億二千万の魚食の民がおりまして、足元にこれだけの水産物の最大のマーケットがある国はほかにはない。また第三には、浜々には漁業者の自主的な組織であります漁協もあり、さらには栽培漁業等については世界最大の技術を持っている、こうした恵まれた条件がありながらそれを生かせないのが現状であろうかと思うわけであります。
先生は、今日の漁業、漁村の現状が置かれているこの厳しい状況の原因をどのようにお考えになっておるのか、また、漁協がこれからも漁村活性化の中心になっていかなければならないと思うわけでありますが、この点についてのお考えを最後にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/13
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014・大海原宏
○大海原参考人 私の考え方を申し上げます。
御承知のように、日本の漁業は高度成長期以降、高度成長期に漁業にとっては大変条件がよかったものですから、漁船の重装備、非常に大型化したりあるいは装備を充実させてきたわけです。その結果として、我々が言っているのですけれども、重装備、高コスト型の漁業の経営が出現した。これは、状況が安定成長期に入り、あるいは二百海里時代に入りましてもそういった傾向が続いてきまして、特に沿岸漁業では六十年代も、そういった漁船の装備を非常に大きくする、あるいは馬力を大きくするというような状況が続いてまいりました。その結果として、それが資源に対する圧力を高め、経営的には高コストで低収益、こんなふうな状況になってきていると思います。ですから、こういった漁業の体質といいますか、経営体質を変えるという努力をしていかなければならないのではないか、こんなふうに思います。
そういう意味で、一つは、例えば漁業の生産技術あるいは資源の管理等を含めた総合的な管理システムというものをつくり上げていくということが大事だろうと思います。それからもう一つは、全般的に高コスト的な経営になっておりますので、これを低コスト型の経営に変えるということが必要かと思います。それからもう一つは、市場主導型になっておりますので、それに対する対応力を強化する、こういうことが重要かと思います。
そういう点で、漁協が今非常に大きな役割を果たすというのは、漁業を経営していく上でかなり資金を必要とするものですから、それに対する信用事業あるいは資材を購入する場合の購買事業あるいは漁獲物の販売、これらの面で漁協が漁業の経営を支援できる体制を強化するということが大変必要である、我々調査に行ってもそういうことを痛感している次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/14
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015・鈴木俊一
○鈴木(俊)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終了させていただきますが、三人の参考人の皆様方には本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/15
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016・平沼赳夫
○平沼委員長 有川清次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/16
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017・有川清次
○有川委員 水産法の三法案改正に対して、私たちが今から審議をするに当たりまして、三人の参考人の皆さんがわざわざ御出席、多くの経験を踏まえながらの意見発表をしていただき、本当にありがとうございました。また、深田参考人には非常に遠いところをわざわざおいでいただきまして、心から感謝を申し上げるところでございます。今までの皆さんの御説明あるいはまた答弁によって大体考え方は理解をいたしたところでありますが、特に大海原参考人の全体的な考え方、まさに私たちも同じような感覚を持っておるわけでありまして、大きく参考になったことを感謝申し上げます。
時間もありませんので、遠路わざわざ来ていただきました深田参考人にまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
漁業振興のためには漁協の体質強化が非常に不可欠だという信念から、さらにまた操業区域も拡大できるという立場から、今日まで種子島の三漁協の合併に向けて努力をされ、平成五年度と思っていらっしゃったけれども、若干困難だが一つの漁協に種子島をまとめていきたい、こういう御報告がございました。
全体的な調査によりましても三十六県、九二%が、深田参考人が言われたようになかなか漁民の合併に対する理解がおくれておる、困難だ、こういうことが第一の理由に上げられておるところでございます。まさに同じ回答になっておると思いますが、今日までは困難な中を克服しながらそこまで盛り上げてこられた自助努力、そうした経験を踏まえて、これからどうしたらいいのかという教訓等があったらまずお聞かせ願えればありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/17
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018・深田忠則
○深田参考人 西之表市の四漁協の合併によりましていろいろとその効果が出た関係で、どうしても種子島の三漁協の合併をしたい。現在、種子島は約四万人の中で、もう四万人を切ろうかというような過疎の状態にあるわけで、先ほども申し上げましたように、後継者がなかなか育ってこないという現況から、どうしても三漁協が合併をして組織強化をして、対外的にも対応できる漁協の合併をしたいということで、今まで頑張ってきたわけでございます。
これはなかなか大変で、漁業を一代限りで終わる人、また兼業業者、また専業業者、いろいろ考え方の相違がございますのでなかなか難しいのでございますけれども、合併ということで西之表市がよくなったのだということを強調しながら中種子町に働きかけてきております。まだ南種子の全面的な合意を得ておりませんが、中種子とはもう得ておりますし、一応年内に三漁協の合併ができなければ、二漁協でまず合併をし、それから南種子漁協とも合併をするような方向で行きたい、かように考えております。
合併についてはそういうような考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/18
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019・有川清次
○有川委員 念願を達成されまして、充実した漁協が合併によりでき上がることを心から祈念を申し上げます。
次に、いろいろな漁業権がございまして、先ほどお述べになりましたように、いろいろ組み合わせながら操業をされておるわけでありますが、トラブルもいろいろ起こっておるように伺います。操業についてのルールづくり、漁業調整機能の強化ということが重要と思いますが、その辺のあり方についてはどのようにお考えなのか、これは自主的にやるべき問題だと思いますが、深田参考人にお伺いしておるところです。
また、種子島及び屋久島の場合は、今種子島はキビナゴ、トビウオ、トコブシ、そういうものを含めてたくさんの魚種を言われました。隣の屋久島の方はサバ漁が盛んなところでありますが、底びきあるいはまき網漁船が参りまして、結果としては資源枯渇の問題もあって、最近漁が非常に落ち込んだという苦情も聞いておるわけでありますけれども、そうした立場からどのような漁業調整のあり方、そういうようなことを進めていけばいいのか、御見解があれば若干お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/19
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020・深田忠則
○深田参考人 今有川先生、漁業調整の問題の御質問かと思いますが、熊毛海域は大体三千メーターと四千メーターという一つの禁止ラインを設けております。そういうことで、底びき網とは過去三年間、昨年も話し合いをやったのですけれども、福岡県の博多の水産庁の出先におきまして、水産庁、それから県、四団体、それからまき鋼業者の組合長、船主、漁労長等寄っていただきまして話し合いをしてまいっております。制限された禁止ラインに入ってこないようにいろいろとお願いをいたすものでございますが、なかなかそれが守られていない。そういうことで、何とかこれを一つのルールの中に乗ってほしいということをお願いするのですけれども、我々漁民の中では大変です。それで、どうかひとつ、県、国の強力な御指導方をお願いをしたい、かように考えております。
また、トコブシ、このことについていろいろ資源の枯渇の状態がございますので、毎年十万個ずつ稚貝放流もやっております。しかしながら、漁業者以外の、遊漁者と申しますか、そういう人たちの禁止期間等の密漁等がございまして、いろいろと頭を悩ましているところでございますが、これといったルールをまだ定めておりません。それが現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/20
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021・有川清次
○有川委員 どうもありがとうございました。たまたま密漁の問題も出ましたけれども、深田参考人に最後にお伺いしたいわけでありますが、種子島の場合は四面を海に囲まれまして、非常に漁業としては好条件下にあるわけですが、それだけに密漁も、先ほど菅原参考人からもありましたように、いろいろあるだろうと思いますが、この解決方法について特段の御意見や要望があればお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/21
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022・深田忠則
○深田参考人 ことしの一月十二日、去る一月十三日に大中まき網が熊毛海域の漁業権の禁止ライン内に入りましてトラブルが起きました。そういうことで、巡視艇にお願いをして取り上げてもらったのですけれども、何かまだ行政処分が軽いのじゃないのかという我々沿岸漁民の考え方でございます。
だから、盛んに行われる密漁が、幾ら我々が三月から大体二百隻の船を十二カ月に割って、西之表市漁協は自衛のための監視をやっているわけですが、そういうことでどうかひとつ、行政の方でもっと厳しい施策をしてもらえればこの密漁も少なくなるんじゃないのか、かように考えます。そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/22
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023・有川清次
○有川委員 ありがとうございました。
続いて菅原参考人にお伺いをいたします。
先ほど来詳しくいろいろお述べになっておりますので、大体理解はいたしておりますが、漁業振興にとっては漁協がどう力をつけるのか、これが非常に大事な課題だと思いますが、現実は零細な漁協の状況でございますし、先ほどお述べになったように、市町村に満たない漁協が八割もある、こういう実態を踏まえまして、今までも合併について盛んに唱えながら努力をされたわけですが、なかなかそれが前進をしていない。そうした現実も踏まえながら、どこに大きな欠陥があったのか、それを克服して今度の法の改正のこの内容でやっていけるという自信があり、あるいは要望があるとすれば、そういうことを踏まえて若干の御意見をお願い申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/23
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024・菅原昭
○菅原参考人 大変従来まで先生方の御協力をいただきまして、合併助成法を第四次まで延長していただきました。その間の我々の上げた実績が大変低いレベルにとどまっておりまして、まことに申しわけないことだというふうに考えております。
その原因はどこにあったのかということでありますが、いろいろアンケート調査等をやればいろいろな答えが出てきますが、一言で言えば、やはり危機意識というものが非常におくれていた。あるいは現実の実態認識が正しくなかった。それからさらには、漁村を本当にリードしていくリーダーが十分ではなかったのではないか。そして最大の罪は、系統組織である我々の努力が大変足りなかったのではないか、そういうふうにも考えるわけです。
ただ、浜へ行きましていろいろな組合の方々とお話ししている中で、自分のところは立派にやっているんだ、決算もいい決算を出していますし、組合員もみんな信頼してついてきてくれるんだ、栽培漁業の振興にも一生懸命力を入れてやっているんだ、何でこれじゃだめなんだ、そういう率直な意見を持っている組合が今でもかなりあるんだと思うのですね。しかし、漁業全体あるいは漁村全体に今押し寄せてきている大変な重圧というものは、都会に近いところではもう既に完全に顕在化してきておりますし、純漁村地域ではこれから多分大変厳しい状況が顕在化してくるに違いない。いずれにしても私どもは、その辺の厳しい認識を全国の漁業者の共通のものにしていって、取り返しのつかないことになる前に合併を強力に進めていきたいというふうに考えておるわけであります。
その中で、アンケート調査等の中では、例えば漁業権に対して、合併すると今までどおり自分たちの判断だけで漁業権の行使が難しくなるのではないかというふうな不安が大変アンケート調査の上では出てきておるわけであります。しかしまた反面、さらに率直な漁業者の意見をいろいろ聞いてみますと、従来も合併がなかったわけではないので、従来合併に踏み切っているところは大体ほとんどが漁業権の行使については現行を維持していくというのを基本にして、それぞれ関係漁協が合併契約を結ぶ……(有川委員「できるだけ短く」と呼ぶ)そういうことでやっております。
これからさらに、現在の法案では不安を解消するための措置もしていただいておりますので、私どもの情勢認識と新しい法体系を合わせれば、これからは従来にはない進捗を見ることができるだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/24
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025・有川清次
○有川委員 時間がありませんのでちょっと続けて申し上げますが、菅原参考人にもう一回お伺いいたします。
先ほど一県一漁協という目指す方向を言われましたが、やはり漁民と漁業権もありますし、ある程度密接なつながりがあって漁業は成り立つような感じがするわけですが、大きいことが必ずしもいいのではないのじゃないかという気もいたします。そういう意味で、漁民との乖離は起こらないのか、その辺の判断が一つ。
それからもう一つは、指導事業の問題を言われまして、平均で〇・六人くらいということがございました。私も今度の法案に当たりまして、地元のいろいろな漁協を訪ねて回って意見を聞いたわけでありますが、この学校に三年間、年に二回、二カ月くらいですか、研修にやったりして、大変な努力をされておる。しかし、それは全部漁協の持ち出しだ。漁協の合併が先なのか、強化が先なのか、そういう訓練が先なのか、そういう非常に厳しい条件でやられているんだ。自主的にやるべきだということはわかるとしても、その辺の助成のあり方とか、国、県のその辺についてはどうお考えなのか、二点。
最後に、今合併をするに当たりまして、大型の欠損事故を起こした事件がたくさんございます。神奈川県の県信漁連の三十五億、あるいは山口県の県信漁連の七十九億、こういうのが新聞報道等でも出されておるわけでありまして、またさらに全国漁協のうち二三・四%が欠損組合だ、こういう問題も合併を阻害する大きな要因になっていないのか。信用事業は県で一体化するというのもありますが、とすれば監査体制とかもっと民主的な運営とか、そういう基本的な組織づくりというのは、漁民の中に信頼をつくらないとできないのじゃないか、こういう懸念を持つわけでありますが、その辺についてお考え方をお聞かせ願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/25
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026・菅原昭
○菅原参考人 漁協合併が大きいことを目指して、それだけが価値かということは私どもも十分慎重に考えていかなければいけないというふうに思っております。漁協の運営はもとより、組合員に奉仕するための漁協でありますので、それを確保するためには、大型漁協になった後においても業種別の部会をつくるとか、あるいは支所機能を最大に活用するとか、あるいは地域懇談会等を頻繁に開くとかという努力を重ねて、組合員の意思が組合の運営に反映する方途を、従来以上の努力をしていかなければいけないというふうに考えております。
それから、本当に大きい事故等がありまして、大変御迷惑をおかけしていることについては深くおわび申し上げたいと思いますが、本当にあってはならないことでありまして、私どもこういうことを再び繰り返さないために、先生今おっしゃいましたように、牽制機能をより強化していくということで、今度の水協法改正でも監査機能の強化というのを取り上げていただいておりますし、また、自主的な指導監査ということについても、従来以上の施策を進めていきたいというふうに考えております。
それから、欠損等を持っておる漁協の合併阻害要因というのは確かにあるわけでありますが、これにつきましても、現在のところ国の総合対策事業をできるだけ有効に活用して、合併にたどり着いていけるように持っていきたいというふうに考えております。有川委員 どうも時間が来たようでありますから終わりますが、先ほど申し上げました指導事業の指導員の訓練、それについての考え方は、ちょっとあったら…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/26
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027・菅原昭
○菅原参考人 これはぜひ行政でもしていただきたいことでありますし、それから私どもも実は職員の質の向上のために全国漁業協同組合学校というものを財団法人で持っておりまして、ここで漁協職員の訓練をやれる体制になっておりますが、財政基盤が非常に弱いために十分な活動ができていない部分につきましては、国の補助事業等もいただいてその充実に努めております。
さらに生産現場では、県の水産業改良普及員の活動が大変重要でありまして、その辺につきましては、さらに国からの強い助成、国、県の助成を継続的にお願いをしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/27
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028・有川清次
○有川委員 どうもありがとうございました。
あしたまた審議をするわけでありますが、皆さんの御意見を大事にしながら参考にして、間違いのない前進のために頑張りたいと思います。また、今後の御指導、発展のための御努力を心から祈念申し上げまして終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/28
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029・平沼赳夫
○平沼委員長 倉田栄喜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/29
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030・倉田栄喜
○倉田委員 公明党・国民会議の倉田でございます。
きょうは、お三方の参考人にはいろいろと御示唆に富む御意見を賜りまして、大変にありがとうございました。日本の漁業を振興していくというこの目的のために、私は二つの視点に整理をして考えてみたわけでございますが、一つは、先ほどもお話に出ておりましたが、恵まれた海を多面的にどう生かしていくかということと、二つは、活力のある漁業と漁村をどう再生していくかということであろうと考えております。その視点から、きょうは参考人の方に御質問をさせていただきたいと思いますが、まず恵まれた海をどう生かしていくかという視点から、大海原春参考人に三点お伺いをしたいと思います。
一つは、菅原参考人のお話の中にもありましたが、資源管理型漁業へ展開をしていく必要がある。その一つとして、二百海里の問題をお話しになりました。その中で、漁業資源管理水域の設定についてのお話もありましたが、大海原参考人は、この漁業資源管理水域の設定についてどうお考えなのか、これを一点お伺いしたいと思います。
それから、あと二つでございますが、いわゆる恵まれた海をどう生かしていくかということからすれば、漁業環境の再生というか、最近非常に海も汚れている、こういう話も聞きます。この海の再生、漁業環境の再生ということの中で、沿岸漁業もこれからさらに中心にやっていかなければいけないことの中で、海をどうきれいにしていくか、さらには藻場という視点からいけば、藻場をどう再生していくか、この視点も重要だと私は思いますので、この点についても御意見をお伺いしたいと思います。
それから、大海原参考人に、最後に二点目の視点で、活力のある漁業と漁村を再生していかなければいけない、こういうことの中で、もちろん活力のある漁業ということが視点になってくるわけでありましょうけれども、その中で、漁村が魅力。ある集落になっていかなければいけないということも必要だと思います。この点についてもお考えがあったらお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/30
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031・大海原宏
○大海原参考人 大変難しい御質問を受けましたのですけれども、漁業管理水域の設定についてということですけれども、御承知のように、日本の周辺の国々では二百海里を引いていない国々がございます。私なんかの考えでは、日本を含めた北西太平洋の海域の多国的な管理協定といいますか、そういった体制づくりに日本が何がしかのリーダーシップをとることができないだろうか、こんなふうに思います。ですから、こういった水域設定ということは国際的な問題もありますので、漁業者の方々はいろいろお悩みのようですけれども、差し当たりはそういった多国間の管理システムをつくって、それてそれぞれの国々と同時に統一的な管理をしていく、こういうことがまず大事なんじゃないか、こういうふうに思います。
それから、漁場環境の再生という、いわば環境の問題ですけれども、これは他産業といいますか、いわゆる工業分野の、あるいは生活排水等があってその影響も大分多いと思うのですが、漁業関連でいいますと、やはり管理型漁業というようなことがありますけれども、漁業者みずからが漁場を荒廃させない、汚さないというようなこと、あるいは漁場を再生するという運動の先端に立つ、あるいはその担い手たるということがまず大事じゃないか、こんなふうに思います。
それから、三番目の、魅力ある集落をつくるということなんですけれども、私も漁村を調査に歩きまして、漁協の体制整備といいますか、漁協の力をつけるということと、魅力ある集落づくり、あるいは地域をいかにして守っていくかといいますか、豊かな地域を守っていくかということが今非常に大事だと思うのです。それで、沿岸の漁業を維持していくということは、ひいては集落あるいはそこの生活を守るということなんだと思います。ですから、そういう意味で、今回のこういった漁協の力をつけなければ守れないのじゃないかというのが私の率直な感想であります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/31
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032・倉田栄喜
○倉田委員 大変ありがとうございました。
それから、続いて菅原参考人にお尋ねをしたいと思います。
私が申し上げました活力のある漁業と漁村の再生、魅力ある集落、それから漁業自体が魅力のある仕事になっていかなければいけないのであろう、こう思うわけでございますが、そのために、令ともかく大海原参考人からも、漁協、組合の体質強化、こういうお話もございました。しかし、その目的は、やはりその組合員である方々、あるいは実際に生産に携わっておられる方々が本当に仕事に魅力があるな、働いて働きがいがあるな、ここにやはり最終的には行かなければいけないのであろう、組合だけが非常に活性化して体質が強化したとしても、そこにおられる組合員の方々が何となく自分たちは働かされているばかりだということだけではいけないのだろう、こういうふうに思うわけでございます。
その視点から、一つは現在の漁業の現状認識をお伺いしたかったと思うのですが、もう既にこれはお話がございました。そこで、一つ一つの組合内部の意思決定の問題について、少しお尋ねをしておきたいと思います。
現在、組合員は、一つは一世帯で一組合員という形になっていることが多いと思うのですが、組合が小さい中でいろいろな問題が多分あるのだと思うのですが、これから合併をしていく中で、組合内部における組合の意思決定の民主化、これも非常に問われてくる問題であろうと思うのですが、その組合内部の意思決定の民主化という視点から考えたときに、菅原参考人は、現在の組合員資格のあり方、それから組合の意思決定における、例えば白紙委任状等々の問題、いろいろあるかと思いますが、その辺のところの問題点、問題意識をお伺いできればと思います。
それからもう一つ、先ほど大海原参考人にも少しお聞きをいたしましたけれども、藻場の再生という視点から、漁協としてどのように取り組んでおられるのか、この二点についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/32
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033・菅原昭
○菅原参考人 漁協の運営における意思決定の問題でありますが、漁協が大型化することによってさまざまな難しい問題が出てくる、その中の一つに、今先生が御指摘されたような意思決定のあり方が本当に民主的な運営が担保されるのかという問題があろうかと思います。
私どもはその点につきましては、少なくとも漁協合併によって組合運営が民主的でない形になるというのは、これは本末転倒になりますので、そこは先ほども申し上げましたように、最終的な意思決定の場というのは理事会であり、総会ということになるわけですが、そこに至る過程において、組合員のより広範な意見を常に把握していけるような漁業種類別部会だとかあるいは地域の懇談会だとかあるいは支所の機能の強化だとかということをやって、日常活動の中で組合員の意思を常に把握していく、そういうものをベースにして意思決定していくということの努力が、従来にも増して大変重要になってくるのだと思うのです。
それからもう一つの要素は、漁業者の世代が徐々にかわってくることによって、やはり若い漁業経営者の組合に対する要求というのは大変強いものが出てきておりますので、そういう点からも、組合運営の民主化というのは担保され得るだろうというふうに考えております。
それから、組合員資格の問題は、限られた漁場と資源の有効利用の観点から、組合員資格の問題がいろいろ問題になってきておりますので、その辺との総合的な調整を考えながら、より正しい形の組合員資格というものにこれから努めていかなければいけないと思っております。
それから、藻場の再生の問題は大変重要な問題でありますが、本気でやろうとしたら大変なハード的な投資が必要になってきますので、これはもう漁業者としては最小限度、これ以上藻場が失われないような努力をしながら、場合によっては、失われた藻場を再生するということは、国なり県なり市町村なりの公共事業等の中で考えていかざるを得ないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/33
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034・倉田栄喜
○倉田委員 ありがとうございました。
それでは、深田参考人にお伺いをしたいと思います。
先ほど西之表の漁協の合併に至るまでの種々のお話を聞かせていただきました。お話の中で、合併に至るまでの御苦労も経過も、簡単にというか抽象的にしかお述べになりませんでしたけれども、これから種子島全域の合併を今目指してやろうということでございます。そこで、深田参考人、組合長として実際に西之表の組合を合併をしてきたその経過の中で、どういう点が一番大きな障害であったのか、これをもう少し具体的にお話をいただきたいということが一点でございます。
それから、これから種子島全域の合併を進めようということで、なかなか合併の本質というのか何というのか、皆さんの中で理解が困難である、こういうお話がございました。その理解が困難であるということは、結局何がその意見の相違として具体的にあるのか、その辺ももしお話をいただければ、お伺いをいたしたいと思います。
それから、これは視点を変えたことですが、深田参考人のお話の中に、一番最初に、いわゆる担い手の問題、後継者の問題、こういうお話がございました。現場におられる組合長さんとして、これは一番切実な問題であろうかと思うわけでございます。
確かに他産業並みの所得という問題もあるのだと思いますが、農業全体においてもそうなんですが、なかなか後継者が育たないということ。所得もそうなんでしょうし、働く意欲あるいは仕事が魅力あるものかどうか、いろいろなことがあるのだろうと思いますが、この辺のところも、実感としてお感じになっておられることを率直にお話をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/34
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035・深田忠則
○深田参考人 西之表漁協が合併する中で一番大変なことは、まず、漁業権の行使の問題。現況、種子島は根づけ漁業が基本でございまして、トコブシとかイセエビとかというのが根づけ資源でございます。それの行使のことについて、大変これがなかなか意見が合わなかった一つでございます。それで、大体、合併をして、ようやく十二年間かかって漁場の開放をいたしたわけですが、その間は地元四漁協の地元優先という形の中で漁場を行使、管理をさせてまいったところでございます。
また、今後の種子島漁協の合併につきましても、一番阻害の要因になっておりますことは、要するにこの漁場の漁業権行使の問題でございます。それでいろいろと西之表、中種子、南種子、三漁協の考え方が違いますので、この辺がなかなか理解を得られない一つでございます。西之表は割と専業漁家が多いのですけれども、南種子に至ってはいわゆる勤め人とかいろいろ商売、また農業、いろいろ生活のウエートがそこにかかっている漁民が多い関係で、なかなか漁業の振興という意味で理解が得られない点がございます。
そういうことで、これを何とか説得をしなければならないわけでございますが、しかし、そういう環境である関係上、なかなかわかってもらえない。それであれば、合併をするその総会の中で投票に持ち込めば必ず否決をされるということから、どうしてもこれは県とか国とかの強い指導をいただかないと、要するに、できれば法の改正をしてもらって、いわゆる正組合員、准組合員、そういうことをきちんとしてもらわなければ、今からの合併に対しても大変な阻害要因になるのではないのか、かように考えております。
大体以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/35
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036・倉田栄喜
○倉田委員 深田参考人、済みません、後継者の担い手の問題で、これがなかなか育たないという点について、現場におかれてどういう御感想を持っておられるか、それをお聞かせいただければと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/36
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037・深田忠則
○深田参考人 都会の勤労者の所得と現在の漁業所得とは本当に違いますので、そういうことで若者が都会に流出していくわけですが、一つは、漁場が狭い種子島というあの小さな島の中で、西之表、中種子、南種子と三つの漁協で漁業権が設定され、漁場の狭いことにも一つの理由があるのじゃなかろうか。だから、いろいろ業種が、人々によって漁業のやり方が違うので、根づけ漁業を専門にする人、また漁船漁業を主体としてやる人、そういう関係で、働く場所といいますか、いわゆる漁場が狭いということも理由の一つであろうということから合併ということも考えたわけで、進めてまいっているわけでございます。そういうことも後継者が育ってこぬ一つの理由であろう、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/37
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038・倉田栄喜
○倉田委員 以上で私からのお尋ねを終わりたいと思います。大変ありがとうございました。それぞれ今後の審議に十分生かさせていただきたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/38
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039・平沼赳夫
○平沼委員長 藤田スミ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/39
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040・藤田スミ
○藤田(ス)委員 きょうは参考人の皆さん、本当にありがとうございます。特に西之表市からはるばると深田参考人、よくおいでいただきました。
現場でお仕事をしていらっしゃる皆さんの御苦労をお伺いしますと、私は、本当にこうした場所にもっともっと生の声を聞かせていただく機会をつくりたいものだと改めて思う次第でございます。そして同時に、私は、最近平成維新の会の大前研一さんがとんでもない発言をされている、零細漁業者の切り捨て、あるいは漁港整備不要論、そういうものを展開していらっしゃることに、改めて本当に怒りを覚えるわけでございます。
そこで、私は、せっかくの機会でございますので、全漁連の菅原参考人にお伺いをしたいと思いますが、私はここに、大前さんがあちらこちらのところでおっしゃっておられる、その記録を持っておりますが、例えば「漁獲高が五百万円にも満たない漁民はスポーツ漁民のようなものだから、漁民とは認めないし、漁業権も認めない、守る必要もない。三百二十万円以下の水揚げ高しかない漁民をこれからはスポーツ漁民と呼ぶことにしましょう。それらの人たちから漁業権を剥奪すべきです。驚くなかれ、日本には漁獲高のほとんどない漁港がたくさんあるのです。そこを利用しているのは、もちろんスポーツ漁民です。その人たちの船を片づけて、あいたスペースにレジャーボートを置けばいい。」私は抜粋で読んでおりますが、本当にこういう無謀な論もあるのかと思いますが、これを機会に菅原参考人から御意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/40
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041・菅原昭
○菅原参考人 私どもも、マスコミ等の中でそういう趣旨の発言があったことはよく認識しております。私どもの実感からいきますと、大変残念な認識だなというふうに思っております。
申し上げるまでもなく、漁業者の所得というのは、生計を維持するためには、漁業からの所得、それから他産業との兼業の所得、さまざまな構成の中で漁家の経営というのは成り立っているわけであります。また、漁港等の整備につきましても、先ほど来申し上げておりますように、国民のさまざまなニーズとどう調整し合っていくかという基本認識を十分に置きながら、新しい時代に取り組んできているつもりでありますので、何とか前向きに受けとめていただきたいというふうに強く考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/41
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042・藤田スミ
○藤田(ス)委員 それでは、質問を進めてまいりますが、今回の漁協の合併は、合併助成法制定後二十五年間、その間四次にわたる延長措置が行われておるにもかかわらず、二〇%程度しか進捗しておりません。私は、もう一度ここで全漁連の菅原理事に、合併が進まない要因というものを整理して聞かせていただきたいのです。
これまでの合併の経緯と考え合わせますと、この広域合併というものは、上からの押しつけが起こってくるのではないかという心配をしております。広域合併によって、漁民のための漁協が漁協のための漁民、そういうことになってしまうのではないかという危惧に、どういうふうにお答えいただけるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/42
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043・菅原昭
○菅原参考人 従来の合併の阻害要因につきましては、さまざまな形で出ているわけですが、漁業権の行使に対する不安でありましたり、あるいは組合の財務の不均衡の問題であったり、あるいは漁業者の意識の問題であったり、リーダー不足の問題であったりするわけですが、先ほど来申し上げておりますように、過去の二十五年間の状況とはさま変わりの状況が今漁村を襲っている、この基本認識の上に立って、従来の阻害要因を克服していくことが必要になっているというふうに認識しているわけであります。
組合を大きくすることによって漁協のための漁協ということになってはいけない、当然のことでありますが、従来の小さい漁協のままでありますと、先ほどもちょっと話題に出ましたが、おおむね四分の一の漁協が現在欠損金を持つような状況になっている。さらに固定化債権まで合わせますと、全国でほぼ一千五百億に及ぶ欠損金なり固定化債権を持つ漁協が存在している。この状況は、すべて漁業者が、組合員がこの荷物をしょっていかなければいけない、こういうことになるわけでありまして、このことを何とか改善して、漁業者のためにマイナスにならない、プラスの面で新しい仕事を担っていける漁協づくりをしていかなければいけないというのが私どもの合併に対する基本的な考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/43
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044・藤田スミ
○藤田(ス)委員 大海原参考人にお伺いをいたします。
先ほどの「海の上の協同運動」、大変私も興味を持って聞かせていただきました。もっと本当はこのお話を聞かせていただきたいなと思いますが、この「海の上の協同運動」という先生の考えていらっしゃることと、それから今回の広域漁協構想と、これはどういうふうに考えたらいいのかな、この点が一点です。
そして、私たち自身も、これまで一市町村一漁協、こういう中城の漁協構想というものに反対をしているわけじゃありません。これは適正な合併はやはり必要だなというふうに思っておりますが、今回の広域漁協構想への再編の方針の転換は、これまでのような行政側との相互対応を困難にするんじゃないか、この点も危惧をしております。そういう関係を放棄してまで広域合併構想を進めるその意義はどこにあるのかなと率直に思っておりますが、これは大海原参考人の方からお答えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/44
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045・大海原宏
○大海原参考人 「海の上の協同」という名前をつけたのは、実は全漁連さんでありまして、こういうことで今、資源管理型漁業というのを全漁連を中心に全国的な運動を進めている、こういうふうに私は理解しております。
お尋ねの広域漁協との関係ですけれども、この「海の上の協同」、いわゆる資源管理型漁業を推進するということは、当面はいわゆる単位地区漁協が中心になりまして、その周辺の漁協との漁場の合理的な利用を図るということをこれから進めていこうというので、御案内のことと思いますけれども、さきに海洋水産資源開発法だったと思いますけれども、そこで資源管理協定というのがつくられた、つくることができるようになったと思いますけれども、そういったことが用意されているのだと思います。
私が、この「海の上の協同」と言われている、いわゆる資源管理型漁業ということを評価するところは、先ほども申し上げましたように、従来ですと、漁業法によりまして漁業権行使規則というのを漁協が策定して、それぞれ漁場利用をする漁業者を特定するという作業をしてきたわけですけれども、それだけにとどまらないで、資源を維持する、あるいは競争を弱めるといいますか、というようなことでお互いに協力して、海の漁場利用の秩序づくりにまで漁協あるいは地区漁協の組合員が参加している、こういう事実なわけです。このことは単に計画レベルでなくて、実際の漁場の秩序づくりにまで漁業者が参加するということに新しい意味があるのではないか、こんなふうに思います。
当面は、こういった範囲の問題についていえば、一市町村一漁協というところが、さしあたりはその範囲をめどとして実現するということで、段階的に進めていくということが考えられるのではないか、こんなふうに思います。
それから二番目の、一市町村一漁協と広域漁協との関連で、行政側との対応が困難になるのではないかという御指摘ですけれども、この面は、こういった問題が全漁連さん、系統の方から出てきた時点で、我々たまたま漁協問題研究会に参加させていただいて議論したのですけれども、こういう広域漁協をつくるという場合、私の考えでは、そこに至るまでの方法、手順、あるいはその間における御指摘のような問題点等を具体的に明らかにし、それを一つ一つ解決するという作業をすることがこれからの必要な作業ではないだろうか、こんなふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/45
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046・藤田スミ
○藤田(ス)委員 もう一度大海原参考人にお伺いをいたしますが、今回漁協の経営管理体制を変更されまして、民法を準用してきた総会中心の運営を今度は商法の準用に移して理事会中心に変えることで、組合員の意向とかけ離れた運営になりはしないかというふうに考えるわけであります。
また、員外理事枠の拡大というのも、組合員理事の参画が形骸化されて、代表理事を法定化するということは、規模拡大された漁協の運営が限られた代表理事で行われて、漁協運動の主人公が組合員であるべき漁協の民主的運営を後退させてしまうものではないか。こういうふうに心配をするわけでありますが、御意見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/46
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047・大海原宏
○大海原参考人 大変難しいことで、私ども、漁協の運営をいろいろ勉強させていただいて、御指摘の民法によるという場合の問題点、それから商法によるところの問題、こういうことがあるかと思います。
今までの問題で私どもが一番感じているのは、漁協というのは漁業者にとってどういう組織であるかということなんだと思います。私は、漁協と漁業組合員の関係というのは、漁協も一つの法人格を持っておりまして、それを預かる理事は、やはり組合員の財産を保全する、あるいは事業についての責任を持つという信託を受けて運営に当たっているんだと思います。漁業者と漁協の関係は、やはり漁協も一つの法人ですし、漁業者も一人の漁業経営者ですから、その関係をはっきりとした認識をしないと、言ってみれば漁協にもたれ合っていってしまって、それで漁協の経営が大変深刻な状態になるというケースを間々見てきているわけです。ですから、その辺の問題ははっきりとさせることが必要ではないかと思います。
そうしないと、漁業経営者それ自体が経営を維持していくことが困難になってきた。最近の、御承知のように、言ってみれば伝馬船で、無動力船でやっているような状況でなくて、一つの船をつくれば小さい船でも五千万円あるいはそれ以上の資金が必要であるということになりますと、そういった関係をかなり明確化しないと、漁協にとってもプラスになりませんし、むしろマイナスになりますし、漁業者にとってもマイナスになるという状況があると思います。ですから、その辺の関係は少しはっきりした方がよろしいのではないか、かねがねそういうふうに私は考えております。
それから、員外理事の問題ですけれども、この点についても御心配のような点が、こういった協同運動の中ではあるかと思います。今私どもがこういった漁協問題で感じているところは、合併をしていった場合に、いわゆる零細漁協の職員が一緒になるわけですけれども、そのとき、規模が大きくなったときに、それを管理運営する、言ってみれば管理の技術、ノウハウを持っている方が大変不足している実情があると思います。そういった方々が必要ですから、一時的にそういった方に協力いただいて、一緒になった漁協職員の能力向上に尽くしていただくという機会として、こういった員外理事が活用されることに一定の意義がある、こんなふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/47
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048・藤田スミ
○藤田(ス)委員 深田参考人にお伺いをいたします。
今回、青年漁業者等養成確保資金が千五百万円に経営開始資金がふやされました。このことは私たちは必要な措置だと思いますし、ふやされたことは大いに賛成なんですけれども、しかし、沿岸漁業における漁業所得が二百八十一万円というような状態の中で、償還期間十年というこの期間で返還をしていくということになりますと、これもなかなか大変なことだなと思うわけです。
この点について御要望を聞かせていただきたいのと、もう一つ、西之表市に置かれておりますかどうか、全国の水産業改良普及所というのがございますが、そこに普及員が全国で四百八十五人おりますが、この点についてどういうふうにこの人たちの役割を評価しておられるのか、これもあわせて聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/48
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049・深田忠則
○深田参考人 漁業経営開始資金が一千五百万に引き上げられたことで、Uターンの若者が帰ってくるのではないのかと、我々西之表市も今過疎の現況で、そういうことで期待をいたしております。二百八十万、十年間償還ということは、数字の上からいえば大変なことですが、いろいろ漁業は精いっぱい働けばそれなりの収入が出るので、こういう数字的なものは、そういうわけにもまいらぬこともあるんじゃないのかな。だから、このことは大いに歓迎をいたして、現場としては喜んでおります。
それから、改良普及所の普及員のことでございますが、種子島には、西之表に鹿児島県の出先として熊毛支所がありますので、そこに担当の水産の技術者が二人おります。それから、屋久島には改良普及所もございますし、今のところはそれで間に合っているような状況でございます。できれば、ふやせばそれなりの効果があると思いますので、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/49
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050・藤田スミ
○藤田(ス)委員 私の持ち時間がもう三十秒くらいですので、超過したらいけませんからこれで終わらせていただきますが、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/50
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051・平沼赳夫
○平沼委員長 小平忠正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/51
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052・小平忠正
○小平委員 私は、民社党の小平忠正であります。
参考人の皆様には、それぞれのお立場で日ごろの漁業の振興のための御活躍、まことに御苦労さまでございまして、きょうの本委員会への御出席、貴重なる御意見を本当にありがとうございます。御苦労さまでございます。
今ほど御意見を拝聴いたしまして、またそれぞれ皆さんからも御質問がございましたが、漁業は、我が日本国の古来からの歴史をひもとくと、切っても切れない産業でございましたが、最近では、本当に取り巻く環境は、どうとも言いようのない状況に追い込まれております。
私は、よく対比しまして思うのでありますけれども、昨年我が国は、戦後始まって以来の一千億ドルを突破した貿易黒字をつくりました。一千七十億ドルと言われておりますが、そういう中で、世界じゅうの皆さんから、我が国の突出した状況にいろいろな批判が来ております。
しかし、事農業の分野に限って見てみますと、昨年では五百二十五億ドルぐらいの言うならば貿易黒字なんですよね。もう少し細かく内容的に言いますと、農業の分野で三百億ドルぐらい、それから水産業では百二十五億ドルぐらい、それから木材、いわゆる林業では百億ドルぐらい輸入いたしております。そうなると、大体我が国の貿易黒字の約半分ぐらいの輸入を農水林業で受け持っている、そういうふうに私は言えると思うのです。それが、今我が国が置かれた実態であると思います。
そういう中で、本当に皆さんも、我々も含めて、この改善がために、また漁業の振興がために努力をされておられるところなんですが、いろいろな問題を抱えておる中で、解決すべき点は指摘はしておりますけれども、その解決策というか、実現方にはいろいろな難問がかかっている、こんな状況にあると思います。そういうことを思いながら、今ほどのいろいろな質問がございましたが、私からも何点がお聞きをしたいと思うのであります。
まず、菅原参考人にお伺いいたしたいと思いますが、今のようなこういう漁協の零細性といいますか、こういうことを見ますと、やはり合併を促進せねばならぬ、このことは言えると思います。しかし、既に農協の方では、合併、特に大型合併が今だんだんと進んでおります。そういう状況を見ておりまして、やはり農業と漁業との違い、いろいろございまして、漁業の分野では農協のようにああいう大型の合併というのは果たして可能がな、また、今後の漁協の運営上どうかな、それが適当かなということも考えていかなきゃならない、そんな気もいたしております。
しかし、これからの生きる道としてある程度の合併が進んでいきますと、組合員の営んでおられる営業ですね、漁業、それと組合、漁協との事業の密接な関係というか、そういうことをつくっていくことが必要であり、また漁協の持つ特性とか専門性、これらのことも生かしながら進めていく、そんなことをもろもろその道を模索するということも、やはり特に求められているんですね。そんなことを私は思うのですけれども、これらについて、まず菅原さん、御意見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/52
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053・菅原昭
○菅原参考人 先生がお話しになりました漁業の特殊性、専門性といいますか、確かにあるわけでありまして、御承知のように、資源管理型漁業といいましても、漁業をやっている場は海の上でありまして、海の上には線引きも見えませんし、また魚もあっちへ泳いだりこっちへ泳いだりするものを相手にして、一つの枠組みをつくりながら進めていかざるを得ない。目に見える形のものではないものを相手にするという難しさが大変ありまして、一概に陸上の組織として、おかと一緒に考えられるかという問題は確かにあろうかというふうに私どもも思っております。
ただ、しかしながら、現実にそこで生きている漁業者あるいは漁業活動、さらに陸上の流通活動を含めまして、それを受け皿として、母体として考えれば、漁業協同組合がやはりそれを担うしかないということもまた事実だろうというふうに思っております。
私は、先ほど来からの先生方のお話をお聞きしながら若干感じまして、一言だけつけ加えたいと思うわけですが、本当に日本の陸上での国民の生活と海というものは、大変相互に関係が深くなっておるわけでありますが、その接点は、海岸線が接点になっておるわけであります。その海岸線の漁村集落というのが、大体今全国で約七千くらいあるわけであります。と申しますと、平均的に約四キロに一カ所ぐらい漁村集落というのがあって、それが常に陸上と海の間に立って、あらゆる問題の情報の接点という役割が漁協にはあるのではないかというふうに考えます。
そういう意味で、漁業の振興の観点からも大事ですが、七千に及ぶ漁村集落と漁協の存在というのは、ある意味では、陸と海の接点にあるものとして、国家的に非常に重要な存在価値があるのではないか。そういう意味も含めて、私は、漁協の組織強化というものを考えていくべきではないかというふうに考えております。先生もおっしゃったように、大変難しい要素が、特殊性がありますが、それを乗り越えてこれをやり抜いていかなければいけないという決意を持って取り組んでいこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/53
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054・小平忠正
○小平委員 本当に、今もお話しいただきましたように、我が国、長い海岸線の中でそういう状況に置かれていると思います。特に、我が国の漁業の特性という、半農半漁という方も結構多くいらっしゃる。現に私の選挙区でも、道東を中心に半農半漁の方が随分とやっておられます。
そういうところで、さっきもお話しいただきましたので付随してお聞きしたいのですけれども、これは大海原参考人さんにもお伺いしたいのでありますが、今そういう状況の中で合併化を推進するに当たって、経営的にもあるいは今後展開する上においても、学識経験者というか、そういう方々の必要性がこれからやはり出てくると思うのですね、員外理事というか。そういうところで、特に今もお話しのように漁業が、半農半漁はもちろんなんですけれども、それ以外の分野とのいろいろな接点も大いにおありだ、こうお話しされました。そういう中においてこれからの合併を進めていく中において、員外理事といいますか学識経験者というか、そういうことに対しての対応は今後どういうふうに進めていくべきかということ、これらについて少し御意見を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/54
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055・大海原宏
○大海原参考人 御案内のように、漁協を取り巻く環境といいますか、大変複雑になってきていると思います。漁業だけではなくて市場も考えなければならないし、最近ですと海洋レクリエーションといった問題にも関連して漁協が一定の役割を果たさなければならないということになっているかと思います。そういう点で、漁協の専務理事、参事さんクラス、そういった方々が新しい知識を身につける、あるいは新しい技術を身につける、こういうことが必要になっていると思います。
そういった努力を随分なさっておるわけですけれども、零細な漁協は職員が二人か三人ということで、日常業務だけをやっているところが多いわけですね。そういうところなんかは、例えば一市町村一漁協という規模になったとしても、今まで日常業務をやっていた方では、そういった市町村の範囲になった規模での経営管理指導ということを実施していくには若干、すぐにはその力量を満たし得ないという状況があるのではないかと思います。
この点については系統の方からも指摘がありまして、系統上部団体から一時期派遣職員というような形で、こういった学識経験者あるいは員外理事をそこに送って、その地域の合併漁協が軌道に乗るまで指導していく必要があるという御指摘もあります。これなんかも、こういった合併漁協の運営をスムーズに実施していくためにはかなり必要なことではないだろうか、こんなふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/55
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056・小平忠正
○小平委員 それでは次の質問にさせていただきますが、現時点で一番漁協の抱えている問題というのはやはり固定化債権ではないかと思うのですね、運営上の問題として。そして、いわゆる漁業不振のツケがこのことに回ってきているというふうにも思うのであります。この解消が、現在の零細な規模の漁協でできるのか否かということが大変な問題であり、またこれが御承知のように合併の一つの大きな阻害要因になっている、こういうふうに言えると思うのでありますが、これらの欠損金等に対しては政府、国からも利子補給等なりの補助が行われているのも事実でありますが、しかし、これだけでは不足、どうにもならぬ、こういう声も大きいのも事実であります。
これらについても大胆な施策の展開が必要だと私は思うのでありますが、菅原さん、こういう状況に置かれております漁協の財務改善、これにはどうされたらいいか。また、現に漁協の組合長でもあられる深田参考人に、経営不振の原因またその対策についての率直なる御意見がございましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/56
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057・菅原昭
○菅原参考人 合併の阻害要因について先ほど来いろいろ問題指摘がなされているわけですが、ごく最近の状況としましては、私はやはり今先生がおっしゃった財務格差の問題が、最近の状況としては一番深刻な問題ではないだろうかなというふうに認識しているわけであります。
これにつきましては、私ども組織挙げて国に要望いたしまして、現在総合対策事業という形で利子補給の事業を行っていただいているわけでありまして、ぜひこれを活用して財務格差の解消に努めていかなければいけないと思うわけですが、これで十分かどうかという問題になりますと、各県の実情によっては、なかなかこれだけで十分とは言いがたい状況にもあるわけであります。
これらにつきましては、さらに私どもも、国にこれ以上お願いするということになれば我々漁業者自身としても相当な内部協議もして腹構えをしながらでないと、なかなかそう簡単にいかない問題もあろうかと思います。また全国一律ということではなしに、各県の実情に応じてさまざまな策を考えていかなければいけない要素もあろうかと思いますので、なおその辺は研究をしていかなければいかぬと思いますが、当面は現在の総合対策事業をできるだけ活用して、この解消に努めながら合併に取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/57
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058・小平忠正
○小平委員 深田さん、組合長の立場におられて、その範囲で結構でございますから、現状といいますか、そういうことについて御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/58
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059・深田忠則
○深田参考人 私の漁協は固定化債権等は今の段階でございません。固定化債権等がやはり合併の阻害要因の一つでございますので、それを整理するまでは、やはり小さい組合は組合なりに長くかかりますので、何か補助というような形のものができないのかな、そういうことも考えておりますが、現在私の組合は固定化というのはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/59
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060・小平忠正
○小平委員 本当に組合長さんの経営手腕というか、そういう過去の推移の中での御努力に敬意を表したいと思います。
実は今、私の地元の北海道のことを少し申し上げますと、いわゆる道東を中心に、漁業でも沿岸、そして沖合でいろいろと漁法が違います。そんなこともありまして実際にトラブルも生じておる。そういう中で両者がいろいろと協議をしながらその改善方に努めておられる。そんなことも、先般来から持たれております。
そういう中において、先ほどから御質問もあったわけですけれども、沿岸だけを申しましても、漁業権の問題は合併阻害の、またなかなかスムーズに進まないことにも関係があるような気がするのですが、この漁業権の行使関係は、今後合併が推進されていきましても、これらについては従来の解決方法で可能なのか、あるいはこれを大胆に検討し直す余地があるのか、そこらについて深田参考人、ちょっと御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/60
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061・深田忠則
○深田参考人 漁業権の行使問題が一番合併の阻害要因でございますが、私の五十年の合併当時は、当分の間地先漁民を優先とする、というような取り決めで合併をいたしました。それから十三年かかりまして全面開放をやっておりますが、しかし根づけ漁業に関しては、魚種別にトコブシとかイセエビとか、そういうものについてはちゃんと期間を設定しながら地先優先という形をとり、全面開放等もやっております。
今度の漁協の合併についても、十年間は現状のままでその漁場を管理、行使していくという取り決めになっております。初めから全面開放して、いわゆる漁場を広くして漁業をやることが本当でございますけれども、そういうことは合併するためにはなかなか大変なことなので、一応十年間と、漁業の更新期を一つのめどに、地先優先という形で種子島の今度の漁協の合併の場合は話し合い、取り決めをしております。そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/61
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062・小平忠正
○小平委員 御三人には、貴重な御意見をありがとうございました。
時間が来ましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/62
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063・平沼赳夫
○平沼委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。
参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表して、心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
次回は、明七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112605007X00719930406/63
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