1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成五年三月二日(火曜日)
午前十時四分開会
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委員の異動
二月二十五日
辞任 補欠選任
堀 利和君 三重野栄子君
三月一日
辞任 補欠選任
中村 鋭一君 高井 和伸君
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出席者は左のとおり。
委員長 野別 隆俊君
理 事
岡野 裕君
陣内 孝雄君
及川 一夫君
委 員
岡 利定君
加藤 紀文君
片山虎之助君
沢田 一精君
志村 哲良君
中曽根弘文君
大森 昭君
川橋 幸子君
中尾 則幸君
三重野栄子君
常松 克安君
鶴岡 洋君
鈴木 栄治君
高井 和伸君
青島 幸男君
国務大臣
郵 政 大 臣 小泉純一郎君
政府委員
郵政大臣官房長 五十嵐三津雄君
郵政省通信政策 松野 春樹君
郵政省電気通信 白井 太君
局長
郵政省放送行政 木下 昌浩君
局長
事務局側
常任委員会専門 星野 欣司君
員
説明員
自治省行政局振 滝沢 忠徳君
興課長
消防庁救急救助 朝日 信夫君
課長
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本日の会議に付した案件
○電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
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001・野別隆俊
○委員長(野別隆俊君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る二月二十五日、堀利和君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。
また、昨日、中村鋭一君が委員を辞任され、その補欠として高井和伸君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/1
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002・野別隆俊
○委員長(野別隆俊君) 電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案については既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/2
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003・及川一夫
○及川一夫君 まず、この法案に直接かかわる問題から伺いたいというふうに思います。
その一つは、今回の法律案の中で基盤整備の拡充を図っていく、それに加えて信頼確立のためにということで行うわけですが、一つは債務保証という問題が今回も含まれておりますね。その債務保証の問題について、これまでそれを発動した実態、実績というのがこの項目に絡んで存在をするのか。あればそれをひとつ明らかにしてもらいたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/3
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004・白井太
○政府委員(白井太君) このたび御提案を申し上げております電気通信基盤充実臨時措置法というのは、電気通信の信頼性を向上させるための施設整備について政策支援を行うという内容のものでございますが、その政策支援の種類の一つといたしまして債務保証というのを挙げさせていただいております。
ところで、この債務保証をするためには当然基金が必要でございますが、その基金は既に通信・放送機構にございます信用基金をもってこの債務保証の基金とするということにさせていただいております。
この信用基金というのは、実はいわゆる円滑化法という法律ができましたときに通信・放送機構の中に設けられた基金でございます。その後、翌年にいわゆる基盤法、今回法律を提案させていただいておりますもとの法律、基盤法をお願いしたときにこの信用基金を利用した債務保証を使うケースを若干広げております。さらに今回この債務保証を電気通信の信頼性向上事業にも対象を拡大するということを実はお願いしております。
これらを通じまして債務保証をいたした事例は、今までのところ一件でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/4
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005・及川一夫
○及川一夫君 基盤整備に基づく債務保証というのはゼロというふうにお伺いしているんですが、そのように理解してよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/5
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006・松野春樹
○政府委員(松野春樹君) 先生御指摘のとおりでありまして、今白井電気通信局長が御説明申し上げた案件は、円滑化法に基づく債務保証は一件あるという意味に解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/6
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007・及川一夫
○及川一夫君 そうすると、信用基金全体という意味合いで言うと、それ以外で債務保証をしたのは、この前も問題を指摘をしておきましたが、セント・ギガに対する債務保証というもの一件だけというふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/7
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008・松野春樹
○政府委員(松野春樹君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、通信・放送機構の信用基金に基づく支援は債務保証とそれから利子補給という支援がございます。債務保証のケースにつきましては、通信・放送分野の新たな役務を行う事業に対するものとして、御指摘のようにセント・ギガの民間金融機関からの借入金十五億円に対する債務保証一件でございます。
それ以外に、信用基金に基づきます支援措置としまして地域のニューメディアに対する開銀等の低利融資の支援がございます。これに対する利子補給の案件が、主として地域CATV事業中心の案件でありますが、平成三年度末で二十九件の実績がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/8
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009・及川一夫
○及川一夫君 そうしますと、これまで低利の融資の問題とかいろいろありますけれども、電気通信の基盤整備問題で大体今まで何社ぐらいにこの法律を適用して支援とか融資とかそういうものを行ったのか。十一社ぐらいというふうに私は聞いておりますが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/9
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010・白井太
○政府委員(白井太君) 平成三年に成立をさせていただきました電気通信基盤充実臨時措置法に基づきまして支援措置を受けられる事業として認定をされた事業者の数は、ただいま先生がおっしゃいましたように十一社の電気通信事業者でございます。
それで、具体的にその十一社でどのような支援を受けたかという実績を平成三年度について申し上げさせていただきますと、先ほども申し上げましたように債務保証についてはゼロであります。それから、租税特別措置法に基づきまして法人税の特別償却を認められた会社が三社、それから地方税法に基づく固定資産税の特例を認められた会社が五社、それから社会資本整備法に基づきまして低利融資を受けた会社が五社、それぞれ実績としてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/10
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011・及川一夫
○及川一夫君 郵政からいただいた資料によりますと、今白井局長が言われた十一社、大体内容的には同期ディジタル伝送装置とか、通信網の制御装置とか、光ファイバーあるいは建物等々に対して行ったもののようでございますが、これを投資額的に見ていきますとおおむね一千億という数字になるようでございます。したがって、平均的に言えば百億ぐらいの投資額、それぞれの適用した認定業者一業者当たりということになると百億というふうな平均的な数字が出てくるんですが、そう理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/11
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012・白井太
○政府委員(白井太君) 一千億と申しますのは、法律ができました平成三年度から来年度の平成五年度までの三カ年間を一応考えまして、大体この投資規模というのは一千億円になるだろうという見込みを立てておるものでございます。ちょっと細かい数字を持ち合わせておりませんが、各社ごとにいろいろでこぼこもございますので、一社平均百億という申し上げ方がいいのかどうかわかりませんが、三カ年で大体一千億という規模になっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/12
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013・及川一夫
○及川一夫君 そうしますと、これらの十一社に対しては、各社が融資を受けた、それに対する債務保証という行為は一つも発動されていないんですが、仮にこういった会社がこの基盤臨時措置法に基づいて債務を保証してくれと、十一認定業者という実績がありますからおおむね百億だ、百億借りてきたと、したがってこの百億に対してぜひとも機構の方で債務保証をしていただきたいということが出てきますと、大体百億そのものに対して債務保証を行うことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/13
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014・白井太
○政府委員(白井太君) 形と実態と二つに分けて御説明申し上げないといけないと思いますが、形の上では、これも政府内部の考え方でございますが、基金の一応六倍程度までは債務保証をすることが理屈としては一応可能だという考え方をとっております。しかし実際の運用につきましては、私どもとしては一件については五十億が最高だという考え方をずっととってきております。しかし、実際にはそのような債務保証をした実績はないわけであります。
ところで、電気通信基盤充実臨時措置法ができましたときは、先ほどもちょっと申し上げましたように、既に円滑化法でできておりました信用基金をそのまま利用するという考え方をとったわけでありますが、そのときに信用基金のうちのどのくらいを一応その電気通信基盤充実臨時措置法に基づく債務保証の基金として考えるかという、これは頭の中での考え方でありますが、そのときは基金としてはおおむね三億ぐらいを考えようというふうに言っておりました。
したがいまして、最高額は一件五十億とは言っておりますけれども、実際にはそんなに大きな金額を保証するというつもりはございませんでした。それが結果的には債務保証の申し入れが一件もなかったということで、実績はないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/14
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015・及川一夫
○及川一夫君 信用基金を土台にした債務保証をする項目というのは、大体どのぐらいあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/15
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016・白井太
○政府委員(白井太君) 法律上きちっとそうした対象設備が書いてあるということではないわけでありますけれども、先ほど先生がおっしゃいましたように電気通信基盤充実臨時措置法のケースについて申し上げますと、高度通信設備に関連いたしまして、複合通信用交換機でありますとか複合通信変換装置、通信網制御装置、光ファイバーあるいは同期ディジタル伝送装置などを実際の対象施設として考えておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/16
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017・及川一夫
○及川一夫君 私の質問の仕方がちょっと悪かったんですが、通信・放送機構勘定一覧というやつを見てみますと、一般勘定があり、衛星所有勘定があり、受信対策勘定もある。通信・放送開発事業等推進勘定もある。さらに通信・放送開発事業等推進特別勘定というものもあるわけなんですね。それぞれの勘定の中に債務保証のできるものとできないものとがあるようなんですが、債務保証ができる勘定というのは一体どの勘定までを言うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/17
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018・松野春樹
○政府委員(松野春樹君) 先ほどの先生の御発言の中にありました通信・放送開発事業等推進勘定におきまして債務保証業務ができるという仕組みになっております。それ以外の勘定では債務保証支援項目はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/18
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019・及川一夫
○及川一夫君 そうすると、セント・ギガに対する債務保証というのは、通信・放送開発事業等推進勘定、この中でやったということになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/19
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020・松野春樹
○政府委員(松野春樹君) おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/20
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021・及川一夫
○及川一夫君 僕ら素人の頭がどうか知りませんが、要するに信用基金というのは総額にして五十八億五千万程度だというふうに承っているわけですね。そうすると、五十八億ぐらいの基金しかないのに一社に対して十五億の債務保証、つまり倒産をしてしまえば保証してあげなきゃいかぬということを考えると、そのときに初めてその十五億という金が動くわけなんだけれども、借金を肩がわりしてあげなければいけないというふうに考えると、十五億という数字は五十八億に対して二五、六%ぐらいの割合に実はなるわけですよ。
こういう放送なら放送の関係の仕事をやっている業者というのは、数えようによって幾らでもあるんだけれども、大きなところを見たところでもかなりの数があると僕は思っているわけです。そうなると、それこそ一社に対して十五億の債務保証をやるというのは五十八億から見ると少しやり過ぎじゃないか、行き過ぎじゃないかというような感じがするんですが、これはどういう判断でやられたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/21
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022・松野春樹
○政府委員(松野春樹君) この信用基金を活用した支援の中の債務保証の分野でございますが、債務保証可能額という考えがございます。この債務保証可能額の限度は、先ほど電気通信局長もちょっと触れましたが、通信・放送機構の業務方法書によりまして信用基金の六倍に相当する金額として想定されます。したがいまして、五十八・五億円ございますので、その六倍で三百五十一億円まで枠としては債務保証は可能であるということになります。
一方、一つの被保証者当たりの保証金額の最高限度も定めておりまして、これは事業ごとの性格によりまして異なるわけですが、いわゆる円滑化法に基づきます、今回のセント・ギガのケースが対象になりますが、通信・放送の新規事業については十五億円を限度とするということで業務方法書で機構が定めております。それから、基盤法に基づくインフラ整備に対する支援につきましては五十億円を限度にするという仕組みになっておるわけです。
そこで、この運用基準の限度額が全体の基金に対しての規模としていかがであろうかという先生の御指摘でありますが、これらの十五億円あるいは五十億円という金額を機構が定めるにつきましては、他の同じような支援措置の例を参考にして決めておる経緯がございまして、最高限度額の規定ぶり、ルールということについて申し上げますと、標準的な金額ではないかというふうに思います。
ただ問題は、個々の基準といいますか、個々の具体的な適用場面において適切な判断であるかどうかという点が一つ問題になろうと思います。私ども実は倒産の問題というふうなことは考えたくないわけでありますが、仮に倒産ということを考えますと、先ほどの六倍云々のところが消えまして、基金が債務保証額だけ減るということに万一の場合相なるわけであります。そういう観点から、限度額は限度額として、実際の適用においてはなおいろいろ判断すべきものと思います。
なお、円滑化法の支援のケースにつきましては、最初の想定といいますか、各年一ないし二件ぐらい出てくるであろうという想定のもとにスタートした経緯がありますが、先生御存じのような昨今の経済情勢その他もありまして債務保証はしておりませんが、円滑化法の認定事業があと一件ございます。パソコン通信関係で一件ございますが、これはまだ債務保証を実施しておりません。こういう事例がまだ非常に少ないケースでありまして、今後いろいろ判断する場合に、例えば債務保証に対するニーズがどのくらいであろうか、それから支援対象事業のリスク性などもよく勘案して機構において判断していただくということが必要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/22
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023・及川一夫
○及川一夫君 問題は、いずれにしても債務保証をやってあげた事業体が一体どういう状況にあるのかということの一つの問題意識を実は私は持っているわけです。郵政省としては、衛星放送にかかわらず通信衛星の問題でもどちらかといえば大いに奨励をしてきたという立場にあるわけですね。また、恐らくその立場は今も変わらない。
昨今の状況から見ると、いろいろ問題点はあるけれども衛星放送あるいは通信衛星についてはやはり拡大をしていかなければいかぬ、大いに発展をさせなければいけない、こういう立場に立っているのでしょうが、しかし実態はどうかということを考えると、バブルということですべて逃げてしまわれる傾向に昨今ありますけれども、衛星放送にかかわらず、そういうことで逃げられる問題ではないんじゃないか。それこそ、それならそれらしく抜本的にひとつ見直しをして、こうあるべきだ、やっぱり問題点はここにあるんだからこの点をこう補っていくべきだという立場に立っての行政指導といいますか、誘導する政策を樹立しなければいけないと思うんです。
そういう立場に立ちながらいろんな資料を集めて見てみますと、セント・ギガの関係について実態を見てみますと、必ずしも褒められるような状況にない、大変厳しい状況にあるということが言われていると私は理解しているわけです。
例えば、昨年十月過ぎの聴取可能な世帯数というのは一体セント・ギガとしてどのくらい契約数があるのかということをお伺いしますと、十万二千七百世帯になっているんですね。しかもその中身も、契約しているのはCATV三十五局でもって六万三千二百二十ですから、セント・ギガ直接の契約者ということになると三万九千、四万世帯ぐらいということになるんでしょうか。これでもって果たして事業として成り立つのかどうかということをいろいろお伺いしますと、それぐらい加入者を集めて売り上げとしては一億七千万だ。その収入はあるが、しかし支出関係についてはトータルすると三十一億円もかかっている。したがって、当然のこととしてその差額は赤ということになるんですが、どんなに少な目に見積もっても九二年度でも十億の赤が計上されているようでありまして、累積では約五十億円以上のいわば赤字を抱えているんじゃないか。だから、親会社のJSBがこれをどうするかということが今大きな問題になっているようにお伺いしているし、そういう意味では、ラジオを中心にした通信衛星を利用しての仕事ではあるけれども、やっぱり根本的な見直しが必要ではないのかというふうに流布されているわけです。
したがって、この辺は郵政省も把握をされているんだろうと思いますが、このセント・ギガの収支関係というものはどういうふうに見られているのかということを、直接債務保証をされているだけに、しかも機構の場合には恐らく代表者が判こをついているんでしょうから、実際問題として倒産をして保証しなきゃならぬというときには機構の名前が私は出るんだろうと思いますね。そういうふうに考えますと、決して軽視できない状況にあるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/23
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024・木下昌浩
○政府委員(木下昌浩君) ただいま御指摘のとおり、セント・ギガの経営状況というものは極めて厳しい状況にあると認識をいたしております。
平成三年度決算におきまして、有料放送加入数が先ほどもお話がございましたように大きく当初計画を下回っておりまして、当期損失で三十三億円、累積で四十一億円ございます。また四年度中期決算で有料放送加入数が計画を大きく下回る状況が続きまして、当期損失で十三億円、累積損失で五十四億円を計上いたしておりまして、非常に厳しい経営の現状にございます。したがいまして、このためにセント・ギガにおきましては現在人員の削減等のコストの削減をやっておりますし、また土、日を、ノースクランブルデーにするような努力もいたしまして、放送番組編成の見直し等も行っております。そういったことで経営合理化にも取り組んでおるところでございます。そしてまた、最近では新たなパートナー探しを含めた増資を検討しておりまして、再建策を策定中でございます。そのように認識しております。
これは、おっしゃるとおり、衛星を使った音声放送ということで我が国初の試みであるわけでございまして、創業期の苦労は多いものと思います。しかしながら、これがまた我が国の衛星放送というものを育てていかなければならないという立場におきまして、これの将来に大きな影響を及ぼすということから、また受信者も保護しなければならないという立場から行政としても重大な関心を抱いているところでございまして、必要な助言指導を行って何とか軌道に乗ることを期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/24
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025・及川一夫
○及川一夫君 放送局長、JSBの方はどうでしょうか。どういう見方をされておりますか、収支状況。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/25
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026・木下昌浩
○政府委員(木下昌浩君) JSBにつきましては、これも我が国初の民間の衛星テレビジョン放送事業者でございます。これは平成三年四月から有料放送を開始しております。したがって、平成三年度の決算におきましては、有料放送の加入者がこれも当初計画を若干ですが下回っておりまして、計画が八十九万のところを実績が八十万ということでございまして、当期損失が百八十九億円、累積損失が三百八億円でございます。まだ平成三年度におきましては当初の計画とそう大きく乖離するような形での累積損失ではございませんでした。
しかしながら、平成四年度中期決算におきましては、有料放送の加入者数がこれも下回る状況が続きまして、当期損失が九十九億円、累積損失四百七億円ということで当初の計画を大きく累積損失も上回っておるわけでございます。年度内にも責務超過になるということが想定されて厳しい経営の現状であるわけであります。
このために、JSBといたしましては経営改善策を種々検討されてきたところでございまして、先般の二月の取締役会におきまして抜本的な改善策に取り組むということで基本的枠組みを決定いたしております。その内容は、経営組織のあり方の見直しも含めまして早急に経営改善策を決定する。そして、当面は主要株主が団結して事業を支えていく。それで、総額二百億円の債務保証を行うということを内容とする基本的枠組みを決定したところでございます。
聞くところによりますと、基本的枠組みの中身は、平成九年度、遅くともその一、二年後には累積赤字を解消する事業体とするということを目標に掲げているところでございまして、私どもはこれからの抜本的な改善策の取り組みに大きく期待をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/26
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027・及川一夫
○及川一夫君 この会社が発足した当初は、六カ月ぐらいで百万加入達成というんですか、世界でも一番だよと言ってもいいぐらい早めに百万加入というやつを達成したということがいろんなもので紹介されているわけですね。これはやはり相当な需要があるんだなというふうに私も見詰めておったわけであります。
しかし、去年の七月のバルセロナ・オリンピック、あれを頂点にして加入者数がぐわっと下がってきているんですね。例えば、七月には六万七千契約に追加されたが、八月は三万五千、九月は三万、あるいは十月にはもう二万台に落ち込んできているというようなことが言われ、この時点で経営緊急方策というものが発表されているんですね、時系列的に物を追っていきますと。
そして、それでも累積の契約数というのは二百四万だそうでございますが、しかしこの加入者の二百四万まで到達したものも、その後減っていって、そして下方修正しなきゃいかぬというところまでJSBの場合もいっているようでございます。それで、一たん百五十五万まで下方修正をしながら、もう最近では百二十万までにさらに下方修正せざるを得ない。それが収支関係で計算をすると百数十億の減収につながっていく。
こんな事態になっておって、これからの長期計画で見ていくと九六年度で八百十億の累損、あるいは九七年度でも六百三十億の累損になるんじゃないかということで、それこそ借り入れの問題から役員総退陣の問題とか入れかえの問題とか、そういったことが議論されていると聞いているわけです。経営というのは人によっても異なるし、立地条件によってもいろいろプラスマイナスが出てくるんでしょうが、とにかくトータルとして、ギガの関係もおかしいしJSBの本体の方もそういう状況にあるということになると、かなり厳しい条件に置かれているというふうに認識せざるを得ないわけです。この逓信委員会では、衛星放送に関する問題、通信衛星に関する問題については集中的に議論をし、よかれと思って、我々もそうだなということで賛成をしてきているんです。
今度は、この逓信委員会に直接関係のあるBS4の問題、この現状を一体どういうふうに受けとめていいのかということ。これまたいろんなことが情報として流れているわけですね。郵政省と民放の確執の問題であるとか、そういったことが大きな原因で実はBS4を本当に打ち上げられるのかどうかということまで議論になっている現状を見てみますと、本当にこれは大変な事態だなというふうに私は理解するんですが、BS4の関係は打ち上げ可能ということで進めておられるんでしょうが、現状どうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/27
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028・木下昌浩
○政府委員(木下昌浩君) BS3後継機、BS4といいますか、これのあり方につきましては現在全体的に電波監理審議会に諮問いたしまして御審議いただいているところでございます。
このBS4の調達の問題に関しましては、現在使用しておりますBS3の設計寿命が平成九年に切れるということで、そのためにはそれに間に合うようにBS4を打ち上げなきゃならないということがございまして、NHKが絡む限りにおいてはこれが国際入札手続を必要とするというような、設計だとか、入札手続だとが、製造だとか打ち上げという期間を見ますと、これがことしの四月早々には調達手続に入る必要があるということから、今日におきましては、BS4の一部といいますか、現在NHK、JSB及びハイビジョンの放送をしておりますが、この放送を継続するという見地から四チャンネルが打ち上がるような準備をしようということで進めておるところでございます。
つまり、現在衛星放送をやっておりますNHK,JSB、ハイビジョン放送の関係者を中心にいたしまして調達法人を設立いたしまして、四チャンネルの衛星二機、いわゆる現用一機、軌道予備一機を調達しようということで進めているところでございます。現在のところ、NHK、JSB、ハイビジョン放送関係者、この中には民放あるいは放送機器メーカーも入っているわけでもございますが、これらの関係者の間で調達法人の設立、衛星の調達手続開始に向けての検討がなされているところでございます。
NHKの予算案を国会で御審議いただく手はずになっておりますが、NHK予算の中にもこの調達法人へのNHKの出資金というものが計上されているところでございます。よろしく御審議願いたいと思いますが、それが承認が得られましたならば、本年四月に調達法人を設立いたしまして調達手続を開始するという予定でございます。
したがいまして、これがスムーズにくれば平成九年の打ち上げは十分間に合うと考えておりますが、残り四チャンネルをどうするかということにつきましては、電波監理審議会の審議の動向にもかかわってまいりますけれども、残り四チャンネルにつきましても、免許人が確定した後でその免許人の選択する方法で調達するということに相なろうかと思います。間に合うのか間に合わないのかということにつきましては、どのような方々がどういう形で何人ぐらい申請されるのかというような申請の状況なり免許の手続等によって若干の時間的なずれはあるかと思いますけれども、平成九年を目途にして打ち上げるということとの間でそう大きな開きはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/28
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029・及川一夫
○及川一夫君 確かに、NHK予算であるとか決算であるとか、そこで手広く議論すべき問題だと思っていますから余り深入りはしたくありません。ただ、どうしても僕は聞いておきたいなと思うのは、当初は予定どおり八チャンネル放送でBS4がぼんと打ち上げられるというふうに理解をいたしておりました。ところが、資金調達の面で負担をする方々がなかなか決まらないということが大きな原因のようなんですが、なぜそうなったのかということについて、これは大臣にも聞いてもらいたいんですけれども、言われている問題を整理しますと、郵政の場合には、調達法人を決めて、それから衛星利用者を決めていくという手法をとりたい、こういう主張をされているようなんですね。ところが、民法というか民間の人たちというのは、衛星利用者をとにかく決めると、五チャンネルですか四チャンネルですか、それぞれ乗るよというやつを決めて、その決まった事業者に資金の実質調達をやらせていくというふうにやるべきじゃないか、そういうふうに民間の方々は主張されているというのがとらえられている現状なんですね。
そう考えていくと、民間の方々がそうしてほしいというんだから、簡単なことなのかどうか知りませんけれども、それにぼんと乗っかって利用者を決めて、そしてBS4の打ち上げというものを決めたらいいんじゃないか、資金を集めたらいいんじゃないかという答えにも実はなってくるんですよね。
ところが、郵政が頑としてそれを聞かない。あくまでも調達法人を決めてその上で利用者、乗っかるやつをどうするかということを決めるというやり方。私から言えば、衛星利用の主導権をだれが持つのか、郵政がやはり将来的にかなりそういう権限を持っていきたいということを考えるが余りこのことにこだわっているんじゃないかというふうに思ってしまうわけです。だから、それでいいのかどうかということをぜひ省なりに考えた方がいい。そういうことにこだわらなければ、放送局長、四つ上げてあとの四チャンネルどうするかなんというようなお答えがあるんだけれども、そうしなくても済むんじゃないかという気がするんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/29
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030・木下昌浩
○政府委員(木下昌浩君) 繰り返しになるかもしれませんけれども、BS3後継機の調達をどうするかということにつきましては、公的性格を有する一の法人による調達という方法が決められたのは、次期放送衛星問題研究会、これは既存の民放の事業者あるいは衛星放送事業者、経済界等の各界の有識者によって構成される研究会において十分検討された上で提言されたものと理解しております。その検討の過程においては今御指摘のようないろんな意見があったように聞いております。しかしながら結論といたしましては、そういったいろんな点を考慮して、やはり公的性格を有する一の法人の調達が最適だということで決められたと聞いております。
その理由とするところは、BS3の現在の衛星の設計寿命が九年に切れるということ、それから調達に要する設計だとか製造に伴う衛星調達の時期的な問題、それから一括して調達することが経済的だという問題、それから免許人がまだ今のところ確定していない段階で調達をしなきゃならないということで、そうであれば、中立性、公平性を確保することから公的性格を有する法人に調達してもらった方がいいということで、この方法が適当というふうにされたものと理解しておるわけでございます。
確かに、雑誌等で拝見いたしますと、何か郵政省がこの方式をごり押ししたんではないかというような印象を与えるような記事があるわけでございますが、私どもとしては、この次期放送衛星問題研究会において十二分に検討された上提言されたものというふうに理解して、時間はかかりましたけれどもそれに沿って検討してきたところでございまして、それが資金調達がうまくいかないということで断念せざるを得なかったということでございます。
付言させていただきますと、八チャンネルをすべて使った放送を平成九年に実施するという意味合いは、衛星を八チャンネルで上げるのかあるいは四チャンネルを二個上げるのかということは、技術的な問題としてまたいろいろ議論のあるところでございまして、私どもとして四チャンネルを二つ上げた方が危険負担分散の点からいいのではないか。それからもう一つは、過去の私どもの技術上の経験からいたしまして、八チャンネルという大きな衛星を設計し製造するということについてのいわば危険ということを考慮して、四チャンネルの方が無難ではないかというような意味合いからこの四チャンネル衛星ということに踏み切った次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/30
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031・及川一夫
○及川一夫君 当初聞いたのとはやや変わってきたような感じがしますが、それはこれから先論議をするべき問題でしょう。
そこで、私午前中一応一時間ということになっているものですから、少しこの問題の締めくくり的にちょっと大臣にお伺いしたいんです。
衛星放送や通信衛星関係では、非常に花開くような印象でかなり議論されてきたんですね。ところが、今やりとりをしているように、例えばJSBでもギガでも経営上からいうと非常に厳しい状況にある。それからBS4を上げるについても、今局長がおっしゃられたようなよしあしは別にして問題点が存在するわけですね。そして、最近ではJC・SATとかあるいはサテライトジャパンが、資本金はそれぞれ二百四十億とか五十億の会社なんですけれども、これを統合しないと先行き見通しがつけられないということで、どうも統合の方針も決まったようですね。これも厳しさの反映だと思うんですよ。
それにつけ加えて、特に通信衛星なんかは、要するにCATVというもので受けてもらって、それがそれこそ各家庭に行く、各企業に放映されていくという方式をとっているだけに、一体我が国におけるCATVの発展はどうなんだろうというようなことをこれまた調査をしていくと、当初の予定されたものからいうとかなりおくれているという状況に僕はあるんじゃないかというふうに考えざるを得ないのであります。そうしますと、衛星放送とか通信衛星ということで花開く事業、特にハイビジョン問題なども含めてこれから日本経済の大きな一翼を担っていくんだというそういう産業構造、それを具現化するようなことを想定し想像してきただけに、一体現状をこのままにしておいていいんだろうかという私は基本的に疑問を感じているんであります。
もちろん、我々よりも皆様方の方が知恵があるわけですから、いろんな意味で考えておられるとは思うんですが、この辺になると、大臣は郵政大臣になって間もないんだけれども、衛星放送とか通信衛星に対する抱負というのがあったかどうか。私は承っておりませんけれども、所管大臣として現状を踏まえて、現状でいいのかどうか、何らかの形で根本的な見直しというものが必要なのかどうかというあたりについてちょっと御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/31
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032・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 衛星放送に対しての期待というのは確かに大きいと思います。地上放送とともにこれからも私は将来中心的な役割を果たしていくものと期待しておりますが、今いろいろな批判がありますように、BS放送、CS放送の現状は、事業開始間もなくのこういう経済情勢の悪化もあります。ですから必ずしも順調ではないというのは率直に認めざるを得ない状況にあると思っております。
しかし、今後放送事業者の一層の経営努力、そしてまた郵政省側としましてもいろんな施策を講じて、同時に今いろいろな御批判があります。そういうものも謙虚に受けとめて、この事業というものが軌道に乗って、将来衛星通信・放送というのが今までの地上放送と並んで国民の間に発展普及して、国民生活の一層の充実に寄与するということを願っておるものでありますので、これからの将来の問題、電波監理審議会、そしてこの委員会の皆さんの御意見等をよくわきまえて、当初の見通しとは若干異なっている面もあるものですから、そういうものをよく勘案しながらよりよい方向を目指して検討させていただきたい。しばらく時間をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/32
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033・及川一夫
○及川一夫君 もう一つ郵政大臣にお伺いをしておきたいんですが、郵政省と民間の人たちとの意見の違い、つまりBS4を打ち上げるに当たって違いがありますね。そして、これは雑誌に書いているだけじゃなしに、私もそういった関係者にいろいろと話をお伺いしているわけです。そういう方々も、調達法人を決めで利用者を決めるよりも、衛星に乗っかるものを決めて自主調達をさせた方がいい、その方が我々は責任を持って調達できる、そういうことを主張されているわけですね。なぜ郵政省がそれを認めてくれないのか。いや、それは私たちの口から言うべきことじゃないかもしらぬけれども、どうもBS4の主導権はあくまでも郵政省にあるんだ、また将来ともにそうしていかなきゃいかぬのだというようなことがバックグラウンドとしてあるんじゃないかという意見になってしまうんです。
そうすると、確かにNHK一波、それにJSB、それにハイビジョン、これはハイビジョンのために一波を利用するか利用しないかの問題も検討せにゃいけませんね。そういうことがあるだけに、郵政省としてこだわりを持たずにBS4、要するに衛星放送の発展のために何が最善かということを考えた立場で検討され、また対応されるべきじゃないか、私はこういうふうに思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/33
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034・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 私も就任早々でありますけれども、今委員御指摘のようなことを間接的にいろんな方面からお話を伺っております。同時に郵政省の今までのやり方に対して厳しい叱正、御批判、私の耳にも直接届いているのが現状でございます。
将来的にどういう方法がいいのか、役所のいろんな意見あるいは外部のそういう批判に対して、どういう意見を持っているのかよく検討して、そういう批判にこたえられるような行政をしていかなければいかぬということで私も今検討中でございますので、しばらくお時間をかしていただきたい。今委員の御指摘の御意見というのは大変貴重なものだと受けとめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/34
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035・及川一夫
○及川一夫君 それでは、次の問題といいますか前に戻りまして、実は大臣も御存じだと思うんだけれども、通信・放送機構、前は通信・放送衛星機構と言っておったんですが、衛星を運用し、放送中継器を操作する、そういう仕事が本来の機構の仕事であったわけですね。ところが基盤整備の問題とか郵政省としてやっていかなければならない問題がいろいろ出てきた。しかし郵政省本省自体でやることはどうもなじまない。じゃ別の外郭団体でもつくってそこにやらそうかと、こう思ってみたら行革という問題がある。持っていきどころがない。知恵を絞った結果、この機構に対して特例業務ということで付加してきたというのが現実の姿なんですね。
私は、そのたびごとに、本来の仕事とそれから付加する業務というのは、もうそのうちにひさしが母屋を乗っ取るんじゃないか、そんなことになっていいのか。仕事の面でも、衛星を運用して中継器を操作するというのは技術者ですわな。しかし、ここで債務保証だとか融資をしますというふうな話はみんな事務系の仕事ですね。一体この機構というのは、そんなごちゃまぜにしちゃっていいのかどうかということを常に私は疑問を持ちながら、問題だということを主張してきた一人であるわけです。
行革のこともよくわかりますから、それはそれなりに理解はできても、しかし何か工夫できないのかという今思いでいっぱいなんです。債務保証というやつが一項目としてあった。確かにあったんですよ。ところが、この機構がやる債務保証というのは、十五億などというどでかいものとは僕は頭の中になかったんだよね。大中小あるいは零細企業というものがあるとすれば、大企業は除く、中の中も除く、せいぜい中の心あるいは零細企業と言われる人たちが電気通信の基盤整備とか放送云々の話とかそういうものを事業としてやっていく場合に、融資をしたり低利のお金で支援をしてやったり、あるいはまた債務保証もしてやるというわけですから、先ほど通信政策局長の方からも話があったように、でかくともおおむね一億、二億、三億というそういうことを想像しておったんですよ。
ところが、他の外郭団体というか、通産省とかそういうもののやっている実態を見ると、三けたの億の債務保証をやっているところもあることは事実ですから、これはいけないことだと言うわけにはいかないだろうが、しかし信用基金というのは五十八億というそんなにでかいものじゃない。五十八億の六倍ですか、三百億を超えて五百億、六百億になるようなことになったら、一体信用基金というのは産業投資特別会計とかそういうところからまたお借りをするのかなと思ってみたりいろいろするわけですよ。際限のない話になりはせぬか。そうしますと、どうしても限度額というものを決めて、運用基準というものを決めてかかっていかないといけないんじゃないかという気がいたしますが、あえて大臣とは申し上げませんけれども、こういったことに対する省としての考え方はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/35
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036・松野春樹
○政府委員(松野春樹君) いろいろ民間の事業の発展、特に通信・放送分野におけるこの種の新しいいわばベンチャービジネス的な分野も含めて育成するということでありまして、その際に例えば機構の中で債務保証する場合の基準めいたものも置いてあるわけであります。業務方法書段階であります。機構による債務保証がやはり事業遂行上必要不可欠である。したがって、自己資金が調達できるたぐいの大規模なところというものはおのずからこの申請対象という形では出てこないのであろうというふうに思います。
しかし一方で、これもある先生から御指摘ございましたが、認定事業者が認定計画を確実に実施すると認められるというところも、やはりその債務保証に当たって審査しなきゃいかぬという基準もございます。いろいろなこの種のルールといいますか、機構がこの債務保証を行う、あるいはそれに先立って郵政省の円滑化法に基づく認定という仕事があるわけですが、その種の判断に当たっては遺漏なきように御指摘の点も十分踏まえてしっかり対処していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/36
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037・岡利定
○岡利定君 平素我が国の電気通信行政に大変御尽力、御苦労いただいておりますことに心から敬意を表させていただきます。
初めに、大臣に基本的な事項についてお尋ねをいたします。
大臣の所信表明でも、国民生活や社会経済活動の電気通信への依存度が高まるということを述べられておりますけれども、今や国民生活とかあるいは企業活動にもう電気通信というのはなくてはならぬ存在である。言いかえれば社会経済活動の基盤であるとも言えると思います。一方また、目前に迫っている二十一世紀というのは高度情報社会であると言われ、電気通信がその根幹であるわけでございます。そうなってきますと、電気通信分野というのは今日の我が国、それから我が国の将来にとっても最重要の分野ではないか。それだけに、この行政を担当される郵政省にとってはやりがいのある分野であるわけですけれども、同時に責任の大変重い分野であるというように考える次第でございます。
そこで、我が国の電気通信の長い歴史の中で、昭和六十年の電気通信事業の自由化という大変大きな出来事であったわけです。あれから九七年進んでおります。郵政省の資料によりますと、第一種電気通信事業者というのは七十七社、それから第二種電気通信事業者となりますと千百社を超えておるというようなことで、飛躍的な供給力の増大、それから市場規模の拡大はもちろんでございますけれども、多彩なサービスの展開、さらに国内、国際の料金が約半分ぐらいになるという料金水準の引き下げなどと大きなメリットを生み出してきておる。これはまさに行政が的確に行われたということと、電気通信関係の皆さん方の御努力の成果であるということで高く評価をいたしたいと考えております。
しかし、じゃすべてがバラ色かというと、このところ電気通信の分野でやや気になるといいますか、何か今までと違ったようなニュースが多くなってきたような気がいたしております。この一週間だけで見てみましても、及川先生の御質問にもありましたけれども、例えば二月二十四日には衛星通信二社の合併というようなニュースだとか、それからその翌日になりますと、これはまたちょっと趣旨は違うでしょうけれども、東北のポケベル六社が七月に合併というような、いわば事業体といいますか業界の再編の動き、それからまた次の次の日の二十七日になりますと、NTTの経営悪化、その対策としての市内通話料金値上げ、さらに三万人の従業員削減計画の表明といったような場面、それから情報通信システムの導入に当たって、コスト面との関連でかつてのバブル時代とは違ったようなユーザーの対応というのが出てくることから、第二種電気通信事業者の業績がそう伸びないというようなことなどが伝えられておるわけでございます。
これらの動きというのは、新しい事業分野としてのいわゆる振興期の急激な発展と、それからバブル経済下の余力というんですか、そういうものが加わって非常に順調に進んできた状態から、市場とか業界が新しい局面を迎えつつあるというんではないかというようなことを感じさせるもののように思います。まさにそこに新しい行政の展開というのが求められておるんじゃないかとまず今日的課題の中で思う次第であります。
他方、先ほど申しましたように、来るべき高度情報社会に向けての根幹をなす電気通信の推進ということは、これまた非常に大きな行政課題であるわけです。そのために、そのインフラとして光ファイバーを中心とする超高速、高機能の新世代通信網、これを構築しなきゃいかぬ。しかし、その通信網の設備には多額かつ継続的な設備投資が必要になるということで、郵政省ではこの基盤法などに基づく税制面あるいは金融面の各種の支援措置だとか、あるいは利用面、流通面の検討のための財団法人の設立など、政府としていろいろと必要な施策を積極的に取り組んでいくという姿勢を示していただいております。二月二十八日の日経新聞ですか、そういう事業体による推進とあわせてといいましょうか、それよりも公共事業でやりたいというふうなことを郵政省で検討されておるというような報道もされております。
大臣も御存じのとおり、この分野というのは世界各国が重視して大変な国家事業として取り組んでおるというような状況であります。特にアメリカでは、ゴア副大統領がこの分野に非常に造詣が深くかつ熱心でおられるということで、全米的な高性能ネットワークの構築を政府の投資によって推進すべきだという、いろいろを言い方があるんですが、ある雑誌によりますと情報スーパーハイウエー構想というような構想を提案されておるというふうに聞いております。そして、クリントン政権下で情報通信分野を今まで以上に重視した政策の展開を図っていこうというようなことも聞いておる次第でございます。日本が国際空港の面でややおくれをとって、国際センターの地位にほど遠い状況にあるというようなことも言われておりますけれども、電気通信の分野でこういうことのないようにしっかりした取り組みをお願いしたいということでございます。
そのほか、国際問題とかあるいは地域情報化の振興といった電気通信行政に多くの課題が山積しておるわけでございますけれども、最高責任者としてのお立場で郵政大臣の電気通信についての基本的な御認識あるいはお考えがあればお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/37
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038・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 六十年度の制度改革以来電気通信分野の発展というのは本当に目覚ましいものがあると思います。その意味では制度改革の趣旨が着実に生かされて実現してきているんだなという面が強いと思います。
しかし、今委員御指摘のように、最近は業界再編というような動きもあります。また、基幹的な事業者であるNTTの収益が減少しているという傾向もあります。これまでにない厳しい面も見られるようになってきているというそういう点も考えながら、これからますます高度情報化社会に向けての電気通信分野の役割というのは大きいものがありますから、郵政省としても的確に行政に反映していかなきゃいかぬと思っております。
私も昨日ちょうど時間があったものですからNTTの大手町の最新設備を誇った施設を見学してまいりました。世界一です。アメリカの専門家も来て驚いている。きょう御審議いただいております基盤法の信頼性向上というような、災害に強い、電話回線が故障したら人間が今まで手でハンダでやっていたけれども、もう目に見えないような細いのをロボットで、それから光ファイバーへの転換とか、まさに驚くような設備を誇って、停電でも一切心配ない、洪水が来ても安心だというような施設を昨日拝見しました。
まさにこういう基盤整備、情報化社会に向けての技術の進歩に全精力を投入しているんだなということを目の当たりに見まして、これからますます郵政省としてもこういう体制に向けて行政面からもよりよい支援体制をつくっていかなきゃならないということを痛感いたしました。今後、情報通信基盤整備のために公共投資、自民党の方でも考えているようでありますが、各省庁と連携しながら、将来の高度情報社会に向けて世界におくれないように、あるいは今後世界に寄与できるようなそういう通信基盤の整備に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくまた御指導をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/38
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039・岡利定
○岡利定君 大変力強いお話を承りまして、ありがとうございました。いずれにしましても、我が国の電気通信の健全な発展のために大臣の的確なかじ取りをよろしくお願い申し上げる次第でございます。
いろいろと基本的な事項についてお聞きしたいことも多いんですが、時間もございませんので、法案を中心に局長にお尋ねいたしたいと思っております。
まず、今回の法案改正のポイントになるわけでございますけれども、電気通信サービスがなくてはならぬものであるということで、一たん障害が起きると大変だということはもう申し上げるまでもないわけでございます。釧路沖地震の際のような大災害の場合に、被害者の方の生命、財産を守るため、あるいは知人の安否の確認といったような場面が起こりますと、ああ電話が通じておってよかったなということを身にしみて感ずるわけであります。しかし、平素この信頼性とか安全性の問題というのはユーザーの立場で余り直接感じないというような場面もあるわけでございます。しかし大変重要な問題であるということで、事業法でもこの事業許可などを行うときにはそういう安全性のしっかりしたシステムをつくりなさいというのを技術基準で義務づけておるというのがあるわけでございます。
そういう意味からは、安全性、信頼性の確保のために事業者みずからがやる場面というのは当然あるわけですけれども、それ以上に今回税制面あるいは金融面の支援を含めてこれを推進しようという必要性なり、社会的背景なりというのをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/39
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040・白井太
○政府委員(白井太君) 先ほど来の先生のお話に再三出ておりますように、世の中のいろいろな活動というのが電気通信にだんだん依存する度合いを高めてきておりまして、それだけに何か事故あるいは災害等で電気通信が中断をするというようなことになりますと非常に大きな影響を及ぼす心配があるわけでございます。これは例えば適切ではないかもしれませんが、一、二日前にニューヨークで起きました貿易センタービルにつきましても、けさのニュースなんかを見てみますと、まずとにかく電話線の回復を急がなきゃいかぬということで大変工事を急いでいるというようなテレビの画面をちょっと見たりもいたしたわけであります。そうしたものがとまってしまいますと、もう本当に経済活動というものがストップしてしまうというようなふうに非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。
ところで、そういうこともありまして、電気通信を事業とする事業者に対しましては、法律上は現在は技術基準というのを守っていただくということを条件にして事業をやっていただいております。ただ、そこの技術基準で定められておりますものはいわば最低限の基準というようなものでありまして、実際にはもっと本当はその安全性、信頼性というのを確保するために事業者にやっていただいた方がいいということがたくさんあるわけでございます。この法案でもっていろいろ支援措置を講じさせていただきたいと考えておりますのがそのようなものでありまして、これから世の中がずっと進んでまいりますと、あるいは今回お願いしているような施設ももう事業者に義務づけるというようなこともいずれは必要になってくる時代もやってこようかと思いますけれども、何せ相当お金がかかるということもございますので、これを一気に技術基準として義務づけるというようなところまで持っていくというのも大変難しいという事情がございまして、まずは事業者の方に信頼性を確保するということが大事だということをできるだけ御理解をいただいて、国も支援をするという姿勢をお示しすることによって、事業者の方ができるだけ積極的にそうした信頼性確保のための措置をとっていただくことをぜひお勧めしたいということで今回のような法律案をお願いしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/40
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041・岡利定
○岡利定君 そういう意味で、万々一の災害が起こったときにもその障害による損害を出さないようにということで、直接な利益に結びつきにくい場面であるということから、何といいますか、もちろん事業者も努力するのは当然でありますけれども、国家的な支援も含めて積極的にやっていこうという施策だろうというようにお聞きして、結構なことだと思うわけです。
そこで、法律の今度は支援措置の対象になる設備というのが洞道と回線切りかえ装置ですか、そういうようになっておるというように理解しておりますが、それを対象にした理由というのはどういうものであるのか。それ以外にも安全性、信頼性を高めるためにもっといろんな施設なり設備なりというのがあるんじゃないんだろうかと思います。
そういう意味で、まず一つは、当面その二つに限った理由。それからほかにそういうものの対象とするものがあるのかどうかということと、私は電気だとかガスの事業に対する支援措置というのを調べてみたんですけれども、電気通信よりかなり手厚い支援措置がとられておるような気がいたしておるわけでございますけれども、その辺さらに今後の安全性、信頼性支援措置としていろいろなことが考えられると思いますけれども、お考えがあればお聞かせいただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/41
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042・白井太
○政府委員(白井太君) 私どもとしていわゆる支援対象施設としてまず頭に浮かびますのが、ただいま先生がおっしゃいましたような回線切りかえ装置でありますとか、洞道といいます今電気通信回線を収納するトンネルのようなものでございますが、そのようなものをまずは思い浮かべるわけであります。そのほかにも、例えば商用電源が停電になったというようなときにも電話のために必要な電力を供給するための非常用の電源設備でありますとか、あるいはかなり広い範囲にわたりまして何か事故が起きないか、あるいは正常に通信回線が働いておるかどうかというのを常に監視するようなセンター設備でありますとか、そのようなものも私どもとしては一応頭に浮かべております。
それで、これらの対象設備の種類については必ずしも具体的に法律に文言として書いてあるわけではございませんので、私どもとしては、必要な設備が新たに出てくるというようなことになりますと、それらを支援の対象施設としてどんどん加えていくということを毎年毎年実は積み重ねていかなければならないというふうに思っておりますが、先ほど来申し上げておりますような施設については、実は現に通信事業者の方で徐々にこうした施設の整備に取りかかりつつあるものでありまして、逆に言えば需要が現実化しているものでありますので、まずはこのような設備の整備をとにかく少しでも促進させていただくということをお願いしたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/42
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043・岡利定
○岡利定君 今後とも内容の充実にぜひ御努力いただきたいと思います。せっかくの支援措置でございます。これを生かして電気通信事業者が信頼性向上のために積極的に取り組んでいただくことを強く期待いたします。
また、電気通信設備の設備投資というのはほかの産業に比べて波及効果が大きいというようにも聞いております。洞道の整備というのは、電気通信産業だけじゃなくて建設業界にも大きな波及効果を持つというようなことも伺っておるわけですが、そういう意味で景気回復策としても大変有効であるということで、早急に実施をしていただきたいなと思う次第であります。
郵政省の確かな行政展開を期待し、かつ要望いたしまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/43
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044・常松克安
○常松克安君 やっと大臣が胸を張っていろいろおっしゃる。本当にうれしくございます。どうぞ指名されるまでもなく言いたいことはどんどんおっしゃってください、郵貯の方を別にいたしまして。
大臣の所信、過日伺いましたけれども、それを基本にしていろいろとお伺いをさせていただきます。「情報通信ネットワークは、社会経済の神経とも言うべき重要な社会資本」、こういうふうに位置づけていらっしゃるわけであります。
さて、今回提出されたこの法律案、安全性並びに信頼性の向上に相努めるためと。私は逆にお聞きしますが、では何を安全でないとお感じになっていらっしゃるのか。何を信頼性がないとお感じになっていらっしゃるのか。だから対策をお立てなんですか。まずそこからお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/44
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045・白井太
○政府委員(白井太君) 多少法律の用語として私どもがどう考えているかということからちょっと申し上げさせていただきたいと思いますが、一般に私どもの言葉の使い方といたしましては、安全性というのは、端的な言い方をいたしますと、人とか物に危害を与えないというようなことを一応イメージしております。それから今回法律案の中で用いております「信頼性」という言葉につきましては、本来の通信の使命に従いまして、必要な情報が相手方に誤りなく伝えられるというようなことをイメージして「信頼性向上」というような言葉を使わせていただいておるわけであります。
したがいまして、ただいまの常松先生のお話に即してお答え申し上げるということになりますと、信頼性が確保できてないというのは、相手方にその通信が通じないとかいうようなことを私どもとしてはイメージするわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/45
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046・常松克安
○常松克安君 きょう私がここで大臣に提言申し上げたいのは、これは非常にこれからの大きな国益の基本である。もっともっと大きな基本政策というものを自信を持ってお立てになって、そしてこういうふうな支援対策はどうだと、これはわかるんですが、何だか知らないけれども、あっちの隅こっちの隅をこにょこにしまして、そうしておいて対策だ、支援だと。もっと大きなものが郵政にあって、三大事業プラス一事業、大きなこれからの問題で取り組んでいただきたいというふうな考えで、細かいことをこれから実証を並べてまいります。
まず、今の「信頼性」でございますけれども、昭和五十九年十一月に世田谷で地下ケーブルが火災を起こした。大変な大混乱であった。こういうところから、こういうふうな信頼性というものを現実欠いてはならぬということで対策をお立てになった。
自治省消防庁にお伺いします。
高速道路上におけるところの救急車の無線が通じないところは何カ所あるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/46
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047・朝日信夫
○説明員(朝日信夫君) 常松議員には、高速道路におきます救急業務の実施状況につきまして各地で実地に御視察をいただいております。そうした中でも、御承知のように、山間部あるいはトンネルなどで救急隊と消防本部相互間の通信連絡に支障のある箇所が各地で見られるところであります。ただ、具体的な全国の箇所数ということでは把握をしておりませんが、救急業務の円滑な運用上、こうした通信連絡体制の整備というのは非常に大事な問題でありますので、私どもとしましても道路公団等と力を合わせながらその対応に努めてまいる必要があるというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/47
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048・常松克安
○常松克安君 大臣、まことに細かいことで申しわけないんですが、現実問題といたしまして、電波法のときに厳しく糾弾いたしますが、生きるか死ぬか、その間わずか七キロでございます。ある一カ所検分してまいりました。そうしますと、通じないものですから、患者をストレッチャーに積んで走ること走ること。そして、通ずるエリアのところまで出てその患者の状況を伝えなきゃならない。これが国民生活にふさわしい今日の通信情報網でありましょうか。一つの例でございます。
第二番目には、ここに「神経」という字が出てまいりますものですから、じゃ国の立場において血管とは何かといったら、道路だとおっしゃいます。道路は、本年をスタートといたしまして五カ年計画で七十六兆円を確保したかのように聞きます。そうしますと、医学上からいきましても神経細胞というのは血管の約十倍の延長線があるという。そうしますと、神経としての高度通信ネットワークを郵政省として、国益としてこれを十カ年計画、二十カ年計画で百何十兆はどうしても必要だと。それに対して財源的な問題もありましょう。しかし、目標として定めるという位置づけがないと不明確になってしまうんじゃなかろうか。大事な大事な道路であり、次は神経だと。神経なんて裸線でおいたらさわられて痛うてしょうがないです。でありますから、ここで問題になってくるのは光ケーブルであり洞道という展開になってくるわけでございます。そういうふうな言葉の意味をひとつ感じていただきまして、今度は逆に自治省にもう一度お伺いいたします。
立場を変えまして、せんだって地方拠点都市地域の整備という法律が各省庁の合意ででき上がりました。その中で、総合的な高度情報通信体系の整備に努めること、賛成多数でこれはたしか政府に対しての決議文が出されております。先ほど御指摘のあったとおりであります。釧路のあの地震のときはどうだったか。小さな都市が情報情報と言われてもパンクして入らぬというんです。これは災害であり、待っているわけではございませんので無理からぬ点もございましょうけれども、こういうふうなことにおいて、自治省といたしまして、平成五年度こういうふうな情報通信整備に対して何百億円の予算をつけられたのかお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/48
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049・滝沢忠徳
○説明員(滝沢忠徳君) 地方拠点都市地域の振興整備に当たりましては、ただいま委員御指摘なされましたように、附帯決議にもございます総合的な高度情報通信体系の整備といいますものは、地方拠点都市地域の一体的振興の促進、そしてまた地方拠点都市地域における情報受発信機能の充実という観点からも重要な問題であるというふうに認識をいたしてございます。
私ども自治省といたしましては、従来から情報の地域間格差を是正し、情報通信技術の活用によります地域の活性化を図りますため、地方単独事業の支援という形で地域の情報化に努めてきたところでございます。御指摘がございました地方拠点都市地域の総合的な高度情報通信体系の整備につきましても、地方団体が行います単独事業につきまして積極的に支援をしていく所存でございます。
さらにまた、御指摘がございました平成五年度の関係についてでございますが、地方団体が単独で行います情報基盤の整備につきましては、地域総合整備事業債、これは元利償還経費を一部交付税で措置する起債でございますが、これを充てることができることとされておるわけでございまして、平成五年度におきましてはその大幅な増額を図ったところでございます。
数字を申し上げますと、いわゆる地域総合整備事業債の特別分とそれからふるさとづくり事業分がございます。合わせまして前年対比で三千億円の増額を図っておるわけでございまして、こういった地域総合整備事業債を活用することによりまして、地方公共団体の要望に対しては適切に対処してまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/49
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050・常松克安
○常松克安君 また方向を少し変えます。
情報ネットワークのために整備が必要だとよく言います。ところがもう一つ重要な視点があるんだ。どこの文章を見てもこの視点が抜けておるんです。私の考えは、国家の危機管理という上に立っても、この情報通信の位置づけをはっきり明確化せにゃならぬわけであります。せんだってサミットの例を出しました。国際空港、これの危機管理はどうなんだ。これはもう情報というものなくしては危機管理はでき得ないわけでございます。あるいはJRが脱線事故を起こしたらどうするんだ、このときにも非常に大きな視点になってくる。現実問題として、東京都内の直下型地震については、万々一にこの東京都内の幹線がだめな場合は、迂回路は既につくられました。これは皆さんの鋭意努力の結果であります。
そういうふうにして、今この字句を見せていただきますと、災害というふうになってきた場合は、医療関係間の情報通信というものの確保に関してと、こういうふうな一番大事な視点なんですが、いかがでございましょうか。
いま一つどうしても欠落しているのは、これからの時代、危機管理という問題、この問題の視点というものが国民生活の安定、国家としての国益に通ずる、こういう考えを持って提起したいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/50
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051・白井太
○政府委員(白井太君) 体系的な形で電気通信についての危機管理というものをきちっと総合的に考えて対策を講じるということをやってきたかという御指摘については、私どもは率直に申し上げて反省しなきゃならぬところが非常に多いと思います。むしろどちらかと申しますと、ありていに言えば対症療法的にある部分について対策を講じるということをやってきたというふうな形が多かったと思うわけであります。そういう意味では、特に国民の生命、財産を守るというような立場から電気通信というのが総合的にどういうふうになきやならぬのか、あるいはどういう対策を講じていかなきゃならぬのかということは、私どもとしてもこれから一生懸命勉強していかなきゃならぬテーマではないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/51
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052・常松克安
○常松克安君 よろしく御検討のほどをお願いいたします。
さて、先ほども出ましたけれども、アメリカ、ヨーロッパ、EC含めてでありますけれども、国を挙げて情報通信のインフラに取り組みをいたしております。世界がなぜそういうふうに国挙げてのことをやる理由は何なのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/52
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053・白井太
○政府委員(白井太君) 多少抽象的なお答えになって申しわけございませんが、やはりこれから世の中というのはますます情報化が進むであろうということがまず共通の認識としてあるのではないかと思います。そのような世の中に向かっていくということを前提として考えますと、まさにそうした情報の流通というものが円滑にいく、あるいは情報に対しての国民の需要というのをきちっと満たしていくということをしていかなきゃならぬわけでありまして、そのためにはこれからの技術開発動向も踏まえて新しい通信網の整備をしておかなきゃならぬ。しかも、その通信網の整備というのは大変お金もかかるし、また期間もかかるということから、ある意味では国家的なプロジェクトというような位置づけをしながらそうした通信網の整備を図っていく必要があるというふうな認識がそれぞれの国にあるのではないかと推測をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/53
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054・常松克安
○常松克安君 まことにもって御明快であります。
いま一つ。この世界じゅうを動かした発信地は日本であるということであります。なかんずく、NTTの会長が二〇一五年までには各家庭に光ファイバーをと、このように提起、提案、民営化に向けての発言をされた。これはすごい大きな世界各国への衝撃的なものを与えた。なぜかならば、当時にあっての認識は、半導体並びに光ファイバーの日進月歩の科学における日本の位置づけが世界をリードしているからであります。日本がそこまで言うんだから、それにおくれをとっては相ならぬ、こういうふうなことの示唆もあったかのようにうかがえます。
よって、先ほど申されましたとおり、ゴア副大統領は五兆七千六百億円、これを基本的に投入する。では、日本の郵政省は高度通信に何兆円投入するような基本計画があるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/54
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055・白井太
○政府委員(白井太君) 先ほど来国の例のお話がございましたが、大変皮肉なようではありますけれども、アメリカの方で非常に新しい通信網の整備が必要だということが言われた背景としては、今常松先生がおっしゃいましたように、むしろ逆に日本が一つの目標としてあって、日本に負けないようにしようというようなお話があったということを私どももお聞きしております。
ところで、私どもの予算はということになりますと、率直に申し上げまして、今日まで通信網の整備というのはそれぞれ通信業を営んでおられる事業者の方が主としてこれに当たるということを基本的な考え方として進めてまいりましたので、国としてはこのための予算というのを特別に実は組んではいなかったわけであります。しかし二、三年前から、金額的には不十分でありますけれども、いわゆる公共投資の予算をもって通信網の整備に充てるということも少しずつ取りかかってきつつあるところでありまして、金額的にこれだけの金額を充てているというほど大きなものではございませんが、そうした必要性がだんだんと関係のところにも理解をされてきつつある段階ではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/55
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056・常松克安
○常松克安君 先ほどから私、便々と申し上げておりますように、小さな民間企業だとかそういうふうな方々に、国が大きな計画を立てて、それをこうせよああせよと言うのは、これは圧迫にもなりますから、そうじゃなくて、国全体としては、共同でもいい、こうあるべきだ、国益なんだと、こういうふうな位置づけであらねばならぬということを強弁しておるんでございます。細部についてはいろいろまた皆さんが専門にお考えいただければいい。これはこれからの国の国是だ、この位置づけがやはり二十一世紀を見据えてあるべきだと、こう申し上げておる。その辺のところはよく御理解をいただきたいと思います。
今度は、もう少し下がって、じゃ現実はどうなんだと。東京都内の下水道と光ファイバー通信の比較はどうなっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/56
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057・白井太
○政府委員(白井太君) 実は私、東京都内のことは不勉強で存じておりませんが、全国のNTTのケースについてでありますが、光ファイバーの回線全体に占める比率でございますが、いわゆる加入者線と言われております各家庭あるいは事務所に引き込まれる回線ということで見た場合には全体の二〇%、それからNTTの回線全体で見ますと、もう少し率が上がりまして、三〇%近い数字が現在の光ファイバー化率であったと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/57
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058・常松克安
○常松克安君 局長は物すごい勉強家ですね。どこから聞いても者お答えになるんですからお見事です。大した方です。あとは予算をきちっとしてください。一九九〇年を基準にいたしまして、東京都内の下水道は八九%、光ファイバーは三〇%と学びました。
では、もう一度違った面でいきます。世界がそのようにインフラに物すごく力を入れている。一九九〇年を基準にして芯キロメーターのアメリカ対日本、それから世界における我が日本の光ファイバーの設置はどのような位置づけになっておりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/58
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059・白井太
○政府委員(白井太君) 細かな数字は私存じませんでしたけれども、いわゆる世界の主要国と言われる国におきましては、情報通信のインフラストラクチャーの整備ということで、光ファイバーのような高速の電気通信網の整備をするということの計画を立てて、実際に実行に移しつつある段階だというふうに承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/59
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060・常松克安
○常松克安君 突然なことを言って失礼いたしました。これまた、申し上げて、間違っておりましたら局長の方から指摘してください。あなたのはでたらめですよと、後ほどで結構ですからおっしゃってください。
そういうふうな調査の段階でいきますと、やはり一九九〇年を基準にいたしまして、アメリカが七百二十四万芯キロメーター、日本が百六十一万芯キロメーターです。ただし、人口割だとかいろんなことをいたしてまいりますとこれがやはり違ってまいりまして、アメリカなんか三一・八%、日本が一三・八%、このように学びました。
これは、私が先ほどから申し上げておりますように、光ファイバー、半導体、レーザーあるいは光通信システム、世界に誇る最高の水準を保っておりながら、世界の方がそういうふうに進んでおって、日本の位置づけは、世界に比べた順位は第五位でございます。こんなに差がついておる。こういうふうなことを考えてみたら、どこにそのネックがあるんだろう。先ほど神経神経と申し上げましたが、神経は裸であっていいのか。やはりこれは銅線じゃなく光ファイバーという日進月歩の科学の証でございます。
ここでひっかかってくるのは何かというと、一つを言いますと洞道であります。洞道一メーターについて今建設費が幾らとされているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/60
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061・白井太
○政府委員(白井太君) 平均いたしまして、一キロについて約十五億円だと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/61
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062・常松克安
○常松克安君 そのデータの基準はちょっと古いんじゃないでしょうか。もう少し最近、昨年ぐらいになってきますと、一キロメーターじゃなくて一メーターで約百九十八万という。しかし、これは土地の軟弱だとかいろいろありますから、私はこれはこうだという限定した申し上げをいたしません。いずれにしても、一メーターつくるのに約二百万もかかる。これは大変なことであります。
それから、収益性ということを考えますと、これはただどんどん穴を掘って埋めたら何でも便利だからといったところで、問題は光ですから、光を通信に変えるこの技術がまた大変であります。何でも先がびゅっと電話にすぐつながるわけじゃございません。その手前でそれを音声に切りかえる。また音声から光に乗っけるわけであります。最先端の技術というものは、郵政省の皆さんの御尽力によって、皆々汗をかいていらっしゃることはお見事であります。そういうふうなところにかかわってまいりまして、この洞道というものが非常に大きな財政的な負担にもかかわってくるわけであります。
さて、第一は国の事業だというふうな位置づけをお話しさせていただきました。第二番目には、世界に比べて遅々としておくれているのはどこがネックなんだと。そういうふうな一部のとり方でありますけれども、洞道。それに対して、これはまた過日の質問の繰り返しになっちゃうんですけれども、公共事業という位置づけをしていただけますかと。例えばの話、電力あるいはガスと同じような支援体制の税制を比較対照したらどんな差がついてしまっていますかと。あれこれ集計いたしまして百七十九億円というもの、そういう先生の指摘ならこういうふうな数字が今日言えますと。
そうしたら、これからそれいけじゃんじゃんといったところで、今既にこういうふうな問題というものを抱えながら、精査できないままさあ次と言ったところで、果たして公共事業の位置づけがあったとしても、収益性は少ない、いろいろな視点からしてこれが進んでいくんだろうかという心配があるんです。この精査が果たしてどういう形でできるんだろうかという心配を私持つわけでございます。お教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/62
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063・白井太
○政府委員(白井太君) 過般の当委員会の御質疑のときに、特に電力、ガスなどの他の公益事業部門と比較をしてNTTなどに対する税制の優遇措置というのが大変見劣りするではないかというような御指摘がございました。そして、この点については多少数字も挙げながら、そうした事実は認めざるを得ないということを申し上げたつもりでございます。
ただ実際の話といたしましては、このような現行の制度を少しでも改善してNTTなど電気通信事業にとりましての税制上の優遇措置を確保するというためには、どうしても相手のある話でもあるということでありますので、私どもとしては関係の省庁等と詰めた話をして少しずつそうしたものについての改善措置を広げていくということをやらざるを得ないということであります。そういう意味では、洞道などの設備についても、今回この法律を通していただきますとやっと一部税制の優遇措置が講ぜられるということになるわけでありまして、今後そうした方向に向かいまして、できるだけ公益事業としての電気通信事業についての優遇措置の充実を図るということをやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/63
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064・常松克安
○常松克安君 例えて申しますと、この法律案が臨時措置法と、こうなっておりますね。臨時なんです。いつ消えるかわかりません。第二番には、それをどういうふうに資金の手当てをするか。日本開発銀行法、この中を見ますと「当分の間」と、こうなっておるんです。不安定ですね。国税ということになってきますと、前回指摘いたしましたように、特別償却も租税特別措置法による二年間だけの特例ですね。あるいは固定資産税の特例も地方自治法による二年間。
局長、ちょっとお尋ねしますけれども、地方税法におけるところの本則と附則の違いはどこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/64
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065・白井太
○政府委員(白井太君) 実は法律的なお答えはちょっと私にはする資格がないんですが、感じの問題として申し上げますと、本則というのはどちらかというと原則というようなニュアンスが強いのではないかと思います。附則というのはどちらかというと臨時というか、あるいは特別のというか、暫定的なというような感じがやっぱりあるように思うわけであります。先般の御審議のときにも申し上げたことでありますけれども、もしこれが本則に入っておりますと、毎年毎年各省庁と私ども税制改正のお話をいたしますときに一年二年の延長をするというようなことをしなくてもいいわけなんですが、これが附則に盛られているということから、毎年末新たな税制改正の問題について政府の中で調整を行いますときに、いつも大蔵省、自治省等とこうした問題についていろいろなお願いをするということをやってこざるを得ないということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/65
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066・常松克安
○常松克安君 さて、ここで大臣の政治決断を求めます。
今いろいろな角度から余り委員会にもなじまないような小さなことまで提示いたしてまいりました。今おっしゃるとおりであります。一つ例をとりましても、本則、附則、附則は二年間限定であります。不安定なんです。ほかはもう一たん載ったら本則ですからずっと永久に何も言わぬでもいい、交渉せぬでもいい。いい悪いは別にいたしまして、こういうふうな財政支援の限られたものの中にこれあり、そして、先ほどからるる申し上げておりますところの国家的な事業ということ、これは基本政策をお定めになっていただきたい。
ところが、一部漏れ承るところによると、洞道をじゃんじゃん公共事業でつくって、そしてそれを使う業者に貸し付けて、十カ年償却でその借り賃をもらう。業者の方から見れば、無鉄砲なこと言わんといてくれ、ちゃんと言われるまでもなく我々としては永遠の方針を持ってするので、ここからつけるあそこからつけると振り回されておったならば大変事業の進行の妨げになる、こういう一面もあります。
ですから、一概に位置づけを私はここで論議するものじゃありませんが、まず大臣として、閣議決定、要するに国の方針として中長期展望に立ったものを考えていくことが情報社会の提供並びに国家としての危機管理にふさわしい決断ではなかろうかと思いますので、六分間ございますので、六分ふわっと皆使っていただいて結構でございます。どうぞおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/66
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067・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 高度情報化社会に向けての基盤整備のあり方についていろいろ傾聴に値すべき御意見を伺わせていただきました。これからいろいろな基盤整備を進めていく上におきましても、過去の慣例にとらわれていますとなかなか公共投資もしにくい面もあるようであります。今後国としても、そういう国全体を考えて公共投資の面で、資金的な調達の方法、これも考えていかなきゃならぬと思います。
同時に、世界に向けて先導的な刺激を与えた面もある、その日本がおくれをとってはならないということもあるものですから、そういう面についてどういう行政の対応があるか、また民間等の企業がどのような意欲を持って取り組む支援体制を組むことができるか、そういう面からも現在省としてどのような総合的な支援体制があるかということを積極的に検討して取り組んでいきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/67
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068・常松克安
○常松克安君 質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/68
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069・野別隆俊
○委員長(野別隆俊君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後一時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/69
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070・野別隆俊
○委員長(野別隆俊君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、電気通信基盤充実臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/70
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071・高井和伸
○高井和伸君 電気通信基盤充実臨時措置法の関連で、まず第一に大臣に基本的な点でお尋ねしておきたいと思いますけれども、電気通信網というネットワークは、私から見れば日本を基本的に支える社会的共通資本、インフラの非常に重要な一つだろう、こう考えております。そういった事業が今民間レベルで行われておりますが、こういった事業に対する郵政省の対応というのは基本的にどうあるべきかというお考えについて、まずお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/71
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072・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) これからそういう情報社会においてインフラを整備する上におきましても、郵政省としては本腰を入れて取り組んでいきたいと思っておりますが、今いろんな整備が民間主体で行われておる。最近は公共投資の面におきましてももっと国が積極的に関与していくべきではないかというような意見も各方面から出ておりますので、郵政省としては、そういう民間だけではできない分野、さらに、国が積極的にそういう体制を整備することによって民間も非常に活発になっていくという分野においてどのような行政としての支援体制ができるか、また公共事業という区分けにつきましても、従来の考え方から、もっと情報通信分野において積極的な公共投資が行われる方法がないものか、それは資金調達の方法を含めまして鋭意検討して、将来公共投資としてもっとこの情報通信分野の基盤整備に向けて支援体制がとりやすいような方策を検討していきたい、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/72
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073・高井和伸
○高井和伸君 今度は少し各論的な世界で電気通信局長さんにお尋ねしたいんですけれども、昭和六十年に電気通信事業法ができて新しい電気通信行政が始まった。そして現在まで約七年ぐらい経過しました。民間企業が参入して競争原理が導入できて、NCCと言われる会社がたくさんふえて、先ほどの質疑の中で、大変思いは前に行っているけれども経営的にはかなりいろいろ問題が出てきているというような流れの中で、私から見れば日本の電気通信のインフラは、今大臣がおっしゃられたんですけれども世界一級じゃないかと一応思うわけです。六十年から現在までの実績を踏まえて総合的に評価すると、世界各国のトップレベルと比べて日本は那辺にありやという質問しますとどのような御回答をいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/73
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074・白井太
○政府委員(白井太君) お答えが非常にしにくい御質問がと思いますけれども、私ども心情的に見ますと、我が国における電気通信のレベルあるいは電気通信網というのは世界から見てもトップレベルの水準にあると申し上げたいわけであります。ただ、別の見方をいたしまして、次の世代に向けて新しい通信網の整備という点ではどうだろうかということになりますと、今まで比較的通信網が整備されておった、あるいは電気通信のレベルが非常に高かったというようなことも、むしろ逆に裏目に出てと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、新しいものへの取り組みが少しおくれているんではないかとどうも思えるわけでありまして、その点では、次の二十一世紀に向けての通信網の整備についてはよほど強い気構えを持ってかからないと、下手をすると今度は逆に我が国はおくれてしまうということにはならないのかなという心配を個人的にいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/74
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075・高井和伸
○高井和伸君 きょうは電気通信基盤充実臨時措置法のしかもその一部を改正する法案という局限されたテーマが中心になっておりますけれども、今、日本全体では総理の今国会における施政方針演説にもございました生活大国づくりというのが非常に大きなテーマになっているというときに、電気通信分野においてそういったものとリンケージした場合に、イメージとして二十一世紀を迎えるときの基本的な枠組み、どこまで到達するレベルというようなことでいろいろ御努力なさってイメージもつくっておられると思ってはおりますけれども、よく聞きますと、いろんな面でまだそこまでいっていないというような話も事務当局の方からも聞いております。
特に私が心配するのは、先ほど大臣がおっしゃられたように、社会資本としては、大きなこういったプロジェクトは非常に長期の視点でやっていかないといけないんじゃないか。先ほど常松委員がおっしゃったように、支援の仕方が非常に細か過ぎるんじゃないかというようなことがありまして、二十一世紀初頭における電気通信の基盤としてはどのレベルにセットして、そこへ郵政省はどう持っていくか、こういったような行政的な枠組みというのはできているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/75
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076・白井太
○政府委員(白井太君) いろいろなアイデアは出ておるということは申し上げられるわけですけれども、しかし行政としてきちっとした計画を持ってそういう枠組みをつくり上げているのかということになると、残念ながらそういうところまでは至っていないと申し上げざるを得ないと思っております。
多少将来への願望というようなものを含めまして、今、二十一世紀に入ってまいりますとかなり広帯域の通信網が少しずつ整備されつつある段階であるとか、あるいは利用の面を見ましても、そうした通信網を利用した新たな利用が展開されておるはずだというようなことを希望的な観測も含めて言われる向きもありますけれども、実はそれが行政的にきちんとした形で計画を立ててそういうものが進められておるかというと、そこまでいっていないと申し上げざるを得ない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/76
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077・高井和伸
○高井和伸君 ちょっと古い話になりましたけれども、かつて三鷹市で、電電公社と言われたころに非常に実験的な意欲的なCATVを中心とした作業が行われたというふうに記憶しております。どうやらその成果は余り広がらずに、それなりの成果をいろんな面でとらえられたと思いますけれども、その裏側には技術革新というのですか、高度な技術の進展とともにどういう体系をつくるかということで、そういった面での先取り的な要素が大変強いんだろうと思います。そういったときに、基盤充実臨時措置法の本体の方では、きちっとした高度通信事業整備というようなことを人材研修というようなことでいろいろやっておられます。
そこで、一つだけイメージとして教えておいていただきたいことは、技術革新のテンポというものは、先ほどどうも日本は将来的にやや立ちおくれてしまうのではないかという予感をお持ちだというお話でございましたけれども、技術面におけるレベルというものからいって日本というのはどのぐらいの地位にあるのかというとちょっとおくれがちだと、そういったときに、郵政省としてはそういった技術向上のためにどういった方面にどう力を入れているのかという点を総括的にちょっと述べていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/77
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078・白井太
○政府委員(白井太君) 私どもが仕事として受け持っております電気通信の分野というのは、技術の専門の先生のお話を伺いますと、技術の開発ということではまだ未踏の分野と言ってもいいということをおっしゃる先生もいらっしゃいまして、まだまだ技術の開発の可能性というのが非常に多くある分野だと伺っております。
それで、私どもの電気通信についての研究開発ということでありますが、郵政省の組織内にも通信総合研究所というのがございまして、これはどちらかというと基礎的な研究に重点を置いた研究をやらしていただいております。その研究の中では、これは最近になりましてからではありますが、私どもフロンティア研究と呼んでおります。これは世界的にもそういう呼び名で呼んでいるようでありますが、まさに未踏の分野の研究開発、例えば生き物の神経の働きを研究することによって、そうした原理を通信に応用できないかというような、その種の非常に未踏の分野の研究開発も含めてそのような取り組みをいたしております。
それからさらに、基盤技術研究促進センターというのを通じまして、民間が行う研究開発ではありますけれども、これに対して間接的に産投会計からのお金を出資として出すとか、あるいは融資という形でお金を融通するとかいうような道も開いておりますし、さらに昨年は通信・放送機構法の一部を改正いたしまして、通信・放送機構を通じても研究開発にいろんな支援ができるような方途を講じたところであります。やはり国の財政というのが極めて厳しい状況にありますものですから、直接研究の仕事などに携わっておられる方からいたしますと、研究費が足りないとかあるいは研究要員、要するに人間の頭数が足りないとかというようなお話もしばしば伺うところでありまして、こうしたものについてもできればやっぱりもっと力を入れていくということが必要ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/78
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079・高井和伸
○高井和伸君 少し細かい問題になりますが、通信・放送機構のお話に触れられましたけれども、行政としての支援体制をしっかりしなきゃいかぬ、それからもう一つは公共事業の問題で、区分としてもっと取り込んでいかなきゃいかぬのではないか、資本調達の方法としても大いに考えるべきだと三本の柱を今大臣もおっしゃられましたけれども、通信・放送機構はこのうちの特にどれを目指しているのかというと、これは生まれたときは衛星の方のコントロールが中心だったようでございますが、どういう期待感を持って郵政省は今この通信・放送機構にどう位置づけをされようとしているのか、その点を一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/79
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080・白井太
○政府委員(白井太君) 実は、通信・放送機構と申しますのは郵政省が所管しております認可法人の一つでございますが、一般会計の分野での唯一の認可法人でございます。
ところで、国がいろいろな政策について民間の活動を支援する場合には、補助金などを交付する場合は別でございますけれども、国が直接例えば出資をするとかあるいは融資をするとかということはせずに、今申し上げたような認可法人を介してこれを行うということを基本的に政府の方針としてとっておるわけであります。
そこで、私どもの一般会計の各分野での政策支援を行おうというときに、そうした支援をする受け皿、つまり認可法人がこの通信・放送機構しかないものですから、実はこの通信・放送機構の仕事を次々と追加するというような形で各般にわたる支援措置を通信・放送機構にやってもらうようにしてきております。例えば、地方で受信障害があるようなときに受信の共同アンテナを立てるようなものに対して支援をするというようなものも追加をいたしたりしましたし、それから通信・放送関係の新しい事業を始めるというところについて支援をするという場合につきましては、円滑化法という形で法律をつくりまして、やはりこれも機構を通じて各般にわたる支援措置を講ずることにいたしました。それから、午前中の御議論にもありましたように基盤法もそうでありまして、その辺の支援措置について実は一貫した原理というのがないといえばないわけですが、結局、一般会計の通信・放送の分野で特に政府の支援が必要なものについて、この機構を通じていろいろな支援策を講じているというような申し上げ方しかできないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/80
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081・高井和伸
○高井和伸君 そういう側面で、今回の信頼性向上施設の支援の問題で、六条の債務保証するという条文は、通信・放送機構法に置かなくて電気通信基盤充実臨時措置法に置くというのは、やっぱり臨時的な十年間の暫定の基盤充実の法律だから、恒常的な通信・放送機構法の中に置く規定よりは、こっちの臨時の基盤法の方に置いておくということで、まあちょっとわかりにくい立法なんですが、この六条を充実臨時措置法に置いた理由は直接的に言うとどういうことになるんですか。今のようなことだろうと思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/81
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082・白井太
○政府委員(白井太君) 基本的な考え方は先生のおっしゃったようなことでございます。つまり、特例法という法律をつくりまして、その法律でもって通信・放送機構に仕事の追加をするというやり方をやっているものと、それから昨年の通信・放送機構法の一部改正のように、研究開発の関係の仕事につきましては、通信・放送機構そのものの仕事を追加するということで機構法の目的も直したり、あるいは業務そのものを機構法の業務として追加するというような機構法自身の改正を昨年は行いました。
実は、こうしたやり方についてもう既に二、三年にわたりまして当委員会でもいろいろな御議論がございまして、特例法としてやるというのはどちらかというと余り好ましいやり方ではないのではないかというような御指摘がございました。と申しますのは、通信・放送機構法だけを見ただけではそうした業務が追加されているということが法律に出てこないものですから、どうもそれは余り好ましいやり方ではないというような御指摘がございました。
ところで、基盤法の場合は本来業務としなかったわけですが、これはまさに先生がおっしゃいましたように、一応臨時的な法律だというようなことから、特例法としての位置づけをいたしまして臨時措置法でもって機構の仕事を加えたと。このたび改正をお願いしておりますのは、その基盤法を改正するということで、基盤法の仕組みそのものに乗っかるということにいたしましたのでこのような格好になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/82
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083・高井和伸
○高井和伸君 時間がありませんので簡潔に答えていただきたいんですが、今の六条における債務の保証というのは、これは通常の保証であって、連帯保証でも何でもない単なる保証なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/83
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084・白井太
○政府委員(白井太君) 私ちょっと正確なお答えになるかどうかわかりませんが、まさに事業体がお金を借り入れたり、あるいは債券を発行したりすることについてのその債務を保証するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/84
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085・高井和伸
○高井和伸君 行政手続法が今般制定を検討されておりますが、今回の臨時措置法の中にある信頼性向上施設の整備を行う電気通信事業者に対する計画の認定という概念は、今予定されている法律に載ってくる行政手続の一種として見てよろしいわけですね心そのとおりだと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/85
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086・白井太
○政府委員(白井太君) 行政手続法についての作業の進捗状況、私ちょっとつまびらかにしておりませんので正確なお答えできませんが、一般的な原則としてこうしたものについても適用があるというような決まりの仕方になりました場合、当然そういうことになろうかと思いますが、ちょっと今具体的にどうかは承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/86
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087・高井和伸
○高井和伸君 あと一つ。ちょっと水を差すようなことになるかもしれませんけれども、今度の支援対象施設の中に洞道というのがございます。これは非常にいろんな面でいいような感じですけれども、東京都内で電気の配線をやっている会社の方に聞いた話ですけれども、地下に入れちゃうと災害時に復旧は大変難しい、どこで故障しているかわからぬと。上の電信棒だったらすぐわかる。いわゆる道路上の電柱における配線の方がよっぽど保守管理はしやすいということを言っておられました。
というのは、東京都区内に工事車が来たりいろいろするのはみんな川向こうだということを言っておられました。埼玉の方からだとか神奈川の方からやってきてやるんだけれども、東京のトンネルの中というのはどこで事故が起きたかわからぬ。復旧の方法としては、工事代金も高いし保守管理も大変難しいし、部分的にしかできないでしょうから、土の中どうするかといったときに大変重大な問題を含んでいるということを言われたことがありますので、御披露して私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/87
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088・青島幸男
○青島幸男君 いろいろお話を伺っておりまして、私も今回の法律は実に時宜を得たものだという認識を持っているわけでございます。我が国の情報ネットワークの水準というのは国際的に見てどうなんだというお話が今もありましたけれども、ドイツだのアメリカだのイギリスだのという話を聞きますと、やっぱり信頼性においても普及度においても我が国の方がずっと進んでいるのではないか。さまざまな外国との通話の中で、あるいは通信の中で愚痴を聞いたりするんですけれども、おおむね向こう側に原因があって、割合こっちのものはしっかりしているんだというお話を承って非常に心強く思っているんです。
先ほどからのお話ですと、一応そういう基盤ができておるし、安定したサービスが行われておるだけに、むしろそれにあぐらをかいてしまって先に進むことを怠りがちだというようなお話を承りましたけれども、それではいけないわけでして、一歩でも二歩でも先んじて、ますます先進国に範となるべきことをしていかなきゃいけないんじゃないか。そのためにこういう配慮が必要だろうということはよくわかるんです。
私も常々考えますが、戦前も電話通信なんかにおいてもかなりの水準を保っておりましたけれども、国土が灰じんに帰しましたあのころから考えますと、よくまあここまで通信網なんていうのが復興できたもんだと思って、実際に方々遠距離に電話かけたりしますと非常に便利にできていますから、よくここまで来たもんだなという認識を持つんです。
今言われました電気通信分野での科学技術の発達について、我が国も一生懸命やってきてはいるんですけれども、どうもアメリカあたりが進んでいるというのは軍事技術として非常に先鋭的に進んでいる部分があるんじゃないか。戦争前ですか戦争中ですか、レーダーにしましてもコンピューターにしましても、いち早く敵を捕捉してせん滅すべきだということで、情報収集の手段の最高の手だてとしてレーダーをこしらえたりコンピューターで解析をしたりしていたわけですけれども、それが非常に先鋭的に進みましたので水準を非常に高く維持したりすることができたんだ。
しかし一方では、軍事機密ということがございますのでささいなことでも表へ漏らさないようにというので、切磋琢磨といいますか、総合的にそういう基礎研究を集めて先へ進めるということよりも小さい殻に閉じこもっている可能性が大きい。ですから、アメリカあたりで軍事機密に属するようなコンピューターの部品が秋葉原で数千円で売っているというような現実があったりするというようなこともありますし、また我が国の家庭電気器具なんかにも非常にコンピューターの組み込まれたものが多くなったりしていまして、軍事機密ということで囲ってしまわないで各民間の企業が競い合ってそういうものに取り組もうとする、オープンにしていこうというような考え方が多くの方々の知恵を集めて進んでいるということも考えられると思います。
それからもう一つ、局長が先ほど言われましたけれども、基礎的な研究に専ら力を入れてもらうようにしたい、こういうこともおっしゃられました。どうも我が国が科学技術の分野において、人が発明したものを上手に活用するのはいいんだけれども、革命的な発明、発見の点で少しおくれをとる面があるんじゃないかと言われる面がありまして、まさに局長おっしゃられたように、動物の神経などに範を求めて極めて革命的な新しいものを開発していこう、基礎研究の中からそういうものを生み出していこうというようなことにお力を注ごうとしているということは、まさにそのとおりだと思います。
私ども考えまして、従来型と申しますか、音の波を電気の波に変えて、それを銅線に伝えて向こう側に行くというような理解をするんですよ。それから、音の信号を電波に乗せて向こう側へ届けて、それをまた再生するというところまではわかりやすいんです。それから先ですね。音を数値に置きかえて、それを光のケーブルに乗せて向こう側へ届けて、それをまた解析して音にして直すんだというようなことになりますとだんだん理解度が怪しくなってくるんですね。ましてや、カラーの映像を電波に乗せてとんでもない遠くへ届かして、それをまた再生してだれもがスイッチを入れれば見られるということにつきましては、甚だ理解力がおぼろげになってくるんですね。大臣笑っていらっしゃいますから、相当の理解力をお持ちなんだったら理解できるように御説明いただきたいと思うんです。
その辺が大変に難しいところですけれども、しかしいずれにしましても、産業にしましても、生産から在庫管理から流通まですべてこの情報によって操作されているし、効率よく行われている。それから経済にしましても、動かしているのは実は情報なんじゃないか。外交問題なんかにつきましても、情報が一番大きな意味合いで相互間の信頼を深めたりあるいは情報交換し合ったりということで、産業にしましても、経済にしましても、外交につきましても、情報ネットワークというものは非常に大きな意味を持っているので欠くことのできないものだということ、そういう認識を私は持っているので、今の法律は時を得ているんだということを先ほど申しました。
まさに科学技術は日進月歩でございまして、これから先の将来展望ですけれども、通信の手段が一般の民衆なりあるいは産業部門なりで活用されるようなことを想定できるのかという、大変未来的な難しい質問かもしれませんけれども、局長のお考えがあったらお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/88
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089・白井太
○政府委員(白井太君) 最初におわびしておかなければいけないんですが、実は私は技術のことは本当に素人でございますのでこの辺についての的確なお答えというのはする資格は全くございませんが、一般的にこれからの通信がどういうふうになっていくかということで、ほかの方がどういう見方をなされているかということを一つ二つ申し上げたいと思います。
一つは、やはり個人個人が通信の主体になるということがますます進んでいくだろうということを言う方が多いようです。パーソナルカードなどという言葉で言われておりますけれども、言ってみれば、家庭に電話機があるということではなくて、通信をする電話機のようなものをポケットに入れて個人個人がみんな持ち歩いていくというような時代が来るだろうということ。
それからもう一つは、通信の手段というのが電話からファックスになったりポケベルになったりいろいろしておりますが、そういうものがもっともっといろいろ種類がふえてくるだろう。これは何か通信手段が多様化するというような言葉で言われる方も多いようですが、そういうことも言われておりますし、それからさらにはグローバル化というような言葉で、国境を越えていろいろ通信が世界的に広がっていくだろうというようなこと、現象面としてはそういうようなことが言われるように思います。
それからこの通信の手段ということにつきましては、先ほどの御質問にもお答え申し上げたんですけれども、まだまだこれは未踏の分野でどんどんと新しい手段というのが開発をされていくだろうというふうに言われておりますので、何十年かたちますと、ハイビジョンと言われるような非常に鮮明な画像を送ったり、あるいは立体画像みたいなものも送れるような通信網というのが整備されるとか、あるいは人工衛星を使いましてどこの国へ行っても一つの電話で通話ができるとか、ファクシミリが送れるとか、そういうことが可能になるような時代がやってくるだろうというふうなことを言われる方が非常に多いようにお聞きしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/89
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090・青島幸男
○青島幸男君 いつの日かそういう時代が私も来ると思いますね。というのは、私ども子供のころ手塚治虫さんの漫画なんか見てますと、将来は高速道路というのができて、そこに未来型のランプがついて、夕方になると自動的についてとかというのを漫画で見ました。あのころ先鋭的な劇画だの漫画だのお書きになる方が既にそういうことを予想しておりましたし、ジュール・ベルヌの例をとるまでもなく先見性を持った人はかなりいました。そういうふうに考えると、それが次々に実現していくということについては日ごろ大変な驚きを持ってはいるんです。
光ケーブルの問題ですけれども、光ケーブルというのは非常に可能性を多く持って、情報量を多く送ったり受けたりできるのは確かなんですけれども、あれも従来型の銅線と同じようにA点からB点まで連絡したい場所の間を埋めたり延ばしたりしていかなきゃなりませんわね。これはやっぱり手間暇かかります。従来型の手間暇から考えると、情報量は格段の差がありますけれども基本的には同じようになるんですね。しかし確実性はありますね。秘密保持の分野なんかもそうですね。電波で携帯用の電話なんというのは普及してまいるかもしれませんけれども、あれは周波数さえ上手に探し当てれば人の通話をそのままよそで傍受することができますね。しかしそれも、いろいろコンバーターを使ったりしてかぎをかけるといいましょうか、特定の相手にしか受信できないような操作をすればこれは可能なわけでして、手間暇かかる管理からすると、そういう方面の技術が進めば光ファイバーに頼らなくていい時代が来るのかもしれないというふうにも愚考するわけですけれども、それも一つの選択肢なのかもしれません。
いずれにしても未来のことはわかりませんけれども、そういうふうに複雑多岐にわたっていくであろう、だからこそ先見性を持って、人間性を損なわない程度に、あるいは損なわない方向に向けて検討していかなきゃならない時期も来るでしょう。
そのことは、郵政当局としては実に重大な局面に今いるんじゃないかという気がするんですけれども、そういうふうな考え方、非常に形而上的なお話で申しわけないんですけれども、大臣はどういうお考えをお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/90
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091・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) 私もこの技術の進歩には驚くというか、理解できない程度にすごく進んでいる。これをどうやって今後将来の我々の生活に生かしていくか。いろいろ説明を伺っているんですけれども、科学的な技術的な説明を受ければ受けるほどわかんなくなってくるというのが実情なんです。
光ファイバーとかあるいは従来のメタリックファイバー等を見ていますと、確かに光ファイバーの情報量の多さ、あるいは軽くて重量もない、小さな容量でいろいろ配備されていく、いろんな利点があると思いますが、そういう科学技術者のすばらしい研究意欲というものをもっと伸ばすような、そして同時にこれをどうやって実際の我々の生活に生かしていくような基盤を整備していくかということだと思います。ともかくすごい速度で進んでいる。こういうものをどうやって理解し、それを我々そしゃくして、機械に使われないで自分たちが人間を豊かにしていくように使っていくか、それが基本ではないか。機械に振り回されてはしょうがない。また、科学技術に振り回されてはしょうがない。やっぱりこれを使うのは人間であるという観点で整備していかなきゃいけないと思います。
今、昔からのお話を青島さんからされましたけれども、私も今思い出してみて、小学校のころ、あのSPレコード、あれは二分か三分で終わっちゃう。LPレコードができたとき、私はLPわからなかったんです、買うまであのSPの何枚もが自動的にどんどん手でかえないでひっくり返っていくのかなと思ってレコード屋へ行った。そうしたら、一枚のLPレコードが同じ大きさで三十分入っちゃう、一時間入っちゃう。
今度は、いろいろ郵政省で講義を聞いて、アナログからディジタルだと説明を受けるんだけれどもなかなかぴんとこない。アナログ、ディジタル、私余り片仮名好きじゃないんだけれども、日本語に直してもわからない。そこで自分なりに考えたのは、LPレコードはアナログだと、今のCDはディジタルだと。これでぴんときましたよ。こんな三十センチぐらいのアナログのLPレコードじゃ片面三十分しか音楽は入らない。ところがディジタルのCDだとこんなわずかなので一時間入るんですよ。すべてそれは数字とかなんとかでやっているということで、わずかな容量でいろんな情報が詰まっていると。光ファイバーにしてもそうだと思うんです。
軽量化していろんな情報がたくさん隅々まで行き交うというそういうすばらしい世界、我々の頭の水準じゃ理解できない世界でありますけれども、どんどんこれが実生活において知らないうちに使って便利になっているということでありますが、要は、最後は人間がこういう技術に振り回されないで実際豊かな生活に生かしていく。人間らしさ、これを常に忘れないでこの高度情報化社会に向かっていろんな基盤整備をしていかなきゃならないなということを痛感しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/91
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092・青島幸男
○青島幸男君 まさに私もそのとおりだと思います。機械に使われているんじゃしょうがない。何を発明しようと、究極は人間がいかに高い理想に燃えながら幸せ多く生きるかということですね。そういうことから考えますと、そういう情報ネットワークのありようを管理、確保、それから上手に運営していこうということのために資金面で協力を図るというのは非常に時宜を得ているということは先ほども申し上げました。
しかし、歴史的に見ましても、あらゆる分野で、金は出すけど口は出さないよというようなことがあっても、なかなかそのようにいったためしがないわけでありまして、金を出す以上は何だか差し出がましいことを言ってくる。一番心配されるのは、国家権力というものをかさに着て、ある種恣意的な方向性とかそういうものを、資金面で面倒を見るんだからということでそういう考え方あるいは傾向が出てくるということを私は一番恐れますし、それはいささかもそういうようなところへ行かないようにというのがやっぱり一番大事なありようじゃないかと思います。ですからそういう考え方は慎んでいただきたい。先ほど大臣言われましたように、ついには人間の幸せにかかわることとして考えていかなきゃならないという御決意を承りました。決してそういう方向で検討するようなことはとらないという御決意のほどを承りまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/92
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093・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) いかなる技術の進歩も、高度情報化社会になっても、人間自身が人間らしさを感じない社会というのは無味乾燥になると思いますので、その点は心していかなきゃならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/93
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094・及川一夫
○及川一夫君 これまでどちらかというと、電気通信事業に何を求めるか、国民生活の関係、産業、経済との関係などを含めてさまざまな御意見が私は出ているように思います。それはそれとして十分理解できる問題ですが、問題は、それを受けて立ってまた具体化する、そういう企業というか事業というか、そういう人たちの立場に立って何を考えるか、何が問題かということをどうしても取り上げていかなければならない問題ではないかなというふうに私は思います。
そういう前提に立つと、既に電気通信事業が民営化されてからもう七、八年たっているという状況にありますので、恐らく問題点が一つもないなどということはあり得ないし、競争的な電気通信事業ですからそれなりに問題点というものが浮き出てきているのではないか、こう思います。しかも、その問題点を一つ一つ取り上げて、果たしてこれはいいことなのか悪いことなのかという議論をしていきますと、恐らく一時間、二時間じゃなかなかもって結論めいたものも出てこないし、相当広範囲にわたって、国内だけではない、国際的な状況を踏まえて電気通信事業というものを見ていこう、あるいは情報産業全体にわたって取り上げていこうということになると、これだけでも一日、二日お互いに論じ合ってもいいくらいの問題が私はあるように思います。
そういう前提に立ちますから、ここですべて短時間のうちに済まされるということはありませんれども、ただ、民営化されて七、八年たっている現状の中で私は第一にお聞きしておきたいのは、電気通信の今日考えられる問題点、これはいかなるものなのかということをまずもって知りたい。また、省としてどういうふうにとらえておられるかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/94
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095・白井太
○政府委員(白井太君) 及川先生の御質問にお答えする前に、ちょっと午前中の私のお答えの中で間違っていた点がございますので訂正をさせていただきたいと思います。
二点ありますが、一つは及川先生の御質問に関係する部分ですが、電気通信基盤充実臨時措置法の対象となるいろいろな施設の整備計画について、この金額、平成三年度から平成五年度までを一千億円と申し上げましたが、これはちょっと別の数字でございまして、平成三年度から平成五年度までの投資予定額は全部で七千百億円ということでありますので、大変申しわけございませんでした。おわびして訂正をさせていただきます。
それからもう一つは、常松先生の御質問に関連する部分でありますが、光ファイバーの整備状況について、全国的な数字だということで二〇%あるいは三〇%という数字を申し上げましたが、ちょっとこれも間違っておりまして、平成三年度末における光ファイバーの整備水準は全国で八・五%でございますので、おわびして訂正をさせていただきます。
及川先生の御質問は、昭和六十年に制度改革がなされて八年余りが経過しているわけでございますが、今日どういうことをこれからの検討課題ということで考えているのかというお尋ねだったかと思います。きちっと郵政省として何か見解をまとめたというものではございませんが、電気通信の仕事を受け持っております私どもが平素どういうことについて検討が必要だというような意識でいるかということで、二、三、御紹介をさせていただきたいと思います。
一つはNTTの問題でございます。
NTTについては実はいろいろな問題がもちろんあるわけでありますが、一つはNTTの市内網と言われています各家庭まで行っている電話網であります。この電話網というのは当然のことでありますけれどもあらゆる通信事業者の方が共同で利用する。つまりNCCといいますか、新規事業者の方の電話も結局は各家庭まで行くときにはNTTの市内電話網というのを通じて各家庭に通信がなされるという意味で、いわゆる市内網と言われておりますのは共通的な通信網ということになっております。そうなりますと、NTTとNCCとの競争というのはどうあるべきかということについて、やはりもう少し突っ込んで考えてみるべきではないだろうかというようなことを私どもは思っております。
それから、二つ目と言っても別に順序があるわけではございませんが、いわゆる競争政策という問題についてでございます。
昭和六十年の制度改革の一つの大きい柱というのは、市場原理を導入して競争政策を取り入れたということにあるわけでありますが、新規参入をしたいというか、新しく通信事業を始めたいという方が非常に多かったということも背景にあろうかと思いますけれども、第一種の通信事業者に限って申し上げましても、NTT、KDD含めますと現在八十社ございます。その八十の会社がある分野では地域で分け、あるいは通信の手段、例えば衛星を使う事業者の方、あるいは自動車電話の事業者の方というような通信手段によって区分けをしたり、いろいろなことをしてそれぞれに一応の分野を決めて八十社の事業者の方がこうした事業を展開しておるわけであります。別の委員の先生からの御質問もありましたように、最近においては合併をするというようなことが出てきているというようなこともありまして、このように細かく分野別に分けて競争しているというのがこれからいいのかどうかということもやはり御議論にはなるのではないかと思います。
さらには、国内と国際という区分けがなされておりますが、これについてももう少し考えてみるべきテーマではないかというような御指摘をされる方が多いように思います。
それから、これも先ほど来何人かの先生方からお話が出ておりますが、いわゆるインフラ整備と言われる情報通信基盤の整備のあり方というのをこれからどう考えていくのかというようなことも非常に大きなテーマだと思っております。
そのほか、研究開発の問題でありますとか、あるいは人工衛星をめぐる通信とか放送の問題でありますとか、あるいは移動電話、これが非常に技術の開発もこれから進んでいくということで、どのようにあり方を考えたらいいかとか、通信と放送というものはどういうふうに考えたらいいのか、いろいろなそうした意味で私どもが検討というか勉強しなきゃならぬテーマというのは大変多いものがあるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/95
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096・及川一夫
○及川一夫君 大臣にもお伺いしたいんですが、この前NTTが来年度の事業計画を社会に明らかにしたときに、例えば三万人の要員削減をやるということを表明してありますね。その理由は何かというと、確かに今日的な経済不況の問題もあるでしょう。しかし、根本的にはやはりNTTの収支が悪化をしているということからきているし、片や競争にどう勝つかということになると、勝つために能率あるいは効率というものをよくしていかなければいけないというようなことがあっての発想だと思うんですよね。
それはそれとして受けとめるんですけれども、とにかくとみに最近NTTの経常利益がどんどんと下がっている。下がっていっているのは競争して下がっていっていると言えばきれいなんでありますけれども、結局は競争するといっても料金の違いがやはり決定的な意味を持っているわけですね。NCC、NTT、民営化されて発足当初から常にNTTは料金が高い。特に市外通話ですね。そしてNCCは料金が安い。したがって、競争しようと思って市場に出せば、これはどなただって安い方に流れるのは当然ですよね。私自体だって安い方にいきたいんだけれども、もうどなたもわかっていることですからはっきり言いますが、NTT出身ですからぱっと変わるわけにいかない。もう少し変な意味で言えば、それが当落に影響するなんというようなことになりかねないものだと私は思いますよ。だから意地になってでもNTT料金で対応したい、しなけりゃいかぬ、こう私自身は思い込んでいるんですから、それはそれでいいんです。
問題は、料金の値下げをなぜNTTができないのか。何回かしてきていますよね。下げればまたNCCが下げる。NTTが下げなければますます差がつくから、赤字覚悟で料金の値下げをしなければいけない。簡単に言えば値下げ競争ですよね。値下げ競争をすると、これは民間の企業に多く見られることなんだけれども、結果的にはお互い首を絞めることになるという結果が出るんですよね。
そこで思い出したのが、例えばKDD、国際通信関係でも、四社か三社かと言われた時代に、発足するときに郵政省は三社体制をとったという記憶でおるんですが、余り競争が激しくなるとそれこそ企業は倒産することも考えられる。果たして通信に倒産というのがあっていいのかどうかというような議論が交わされたことも覚えているわけですね。
そこで、ちょっと白井局長にお伺いしたいんだが、私新聞でちょっと見たんですよね。料金の値下げをすることはサービスの向上だ、結構な話だと。しかし、財政がそれによって圧迫をされて悪くなるということが計算されるのに、料金の値下げをやることについてはいかがなものかという意味の発言をされた新聞記事を見たことあるんですよ。言ってることは決して間違いじゃないんだが、しかし現実に競争しているという中では、それだけの発言で終わるんだろうか、いいんだろうかということを率直に感じますよね。一体あの発言はどういう意図のもとに出されたのかということをちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/96
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097・白井太
○政府委員(白井太君) 今年一月に入ってからだったと記憶いたしておりますが、率直に申し上げまして、NTT側で記者会見がありましたときに、遠距離の料金を値下げしたい、値下げするとかなりの減収になってNTTの財務が赤字になってしまうので、そのためには市内料金を上げることが必要だというような趣旨の発言がなされたそうでございます。この点は新聞にも一部出ておったわけですけれども、実はそうした記者会見でのNTTの方の御発言をもとに私に対して、一月の中旬でしたか、今度は私の記者会見の席でいろいろプレス関係の方からの御質問が集中したわけでございます。その一部分が結局ああいう記事になったわけでありますけれども、私として申し上げたかったのは、もちろん値下げというのは一般的には利用者にとっては大変好ましいことなんですけれども、ただ、値下げといっても、料金を決めるということについては法律上適正な原価を償うということが基本になっておりますので、それは下げれば下げるほどいいという建前では別にございませんということを記者会見のときに申し上げたわけです。それが私の発言の仕方がまずかったのか、必ずしも真意が伝わるというよりも、何か部分的につなぎ合わされてああいう記事になったような印象を私は持っておりますが、経緯としてはそういうやりとりがあったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/97
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098・及川一夫
○及川一夫君 問題としては大きなことではございますけれども、それだけでもって終わるものではないんだと思います。
もっと構造的なものがあるはずだということを前提にして考えていきますと、先ほど局長もNTTのあり方の問題とか、あるいは競争政策のあり方の問題とか、国内と国際の区分問題とか、インフラ整備の問題や研究開発の問題、それぞれ課題があるわけですね。したがって、すべてを申し上げるのには時間もないし、また、本来の法案の意味からすると、関連はしますけれどもやや本筋じゃないということですから、ある意味できょうのところは遠慮をしたいというふうに思いますが、ただ大臣、現状、僕はこのことだけは知っていてもらいたいというふうに思うんです。
今、確かに競争になっていますけれども、規制下の競争ということに実はなっているんです。例えば、あまねく公平にNTTはしなければいけないということになると、いかなるところにも電話を引いて、市外回線も全部引かなきゃいかぬということになりますし、片やあまねくという条件がないと、好き勝手にもうかると思うところに回線をつけなさい、そして事業をやりなさい、言われる方からいえば損をするなと思うところには線を引かなくてもいい、こういう問題が一つあるわけですね。あまねく公平というのは当然なことだと思うが、競争という理念だけから考えればそういったことが一つの大きな問題になっていく。
それから、競争競争と言うけれども、料金上の競争、つまり料金が安ければよろしい、サービスは向上された、こういうものと、それからいろんな意味でのサービス、これを向上させる競争と二つあると思うんですが、今現実にはもう料金上の競争に集約されている。こういったことで果たしていいのかどうかというような問題。
それから、競争されているのは俗に言う市外回線ですよね、長距離回線と言われている。したがって、市内回線ネットワークというのは、よく郵政省は独占独占と言うんだけれども、私から言えば、これまで競争のエリアに入れたらまずもってNTT以外の事業者は自分で回線を引かなきゃいかぬわけですね、東京なら東京の中に。住宅まで全部引かなきゃいかぬ。これでは社会資本の二重投資ということになるんじゃないかという当時議論があって、そして、市内ネットワークというか市内回線というのは、これは競争にしないでNTTの持ち分にしたということになっている。
しかし、現実の電話というのは、市内ネットワーク、そして市外回線、長距離回線というものがなければサービスは成り立たないわけですから、やはり市内ネットワークというのは非常に大事な要素なんですね。これに対する投資額も相当なものだと私は聞いている。一兆八千億の年間の投資額のうち八〇%はこの市内ネットワークに対する、競争分野でないところに投資をしないと良質な通話ができない、通信ができない、こういう条件に立たされているわけで、そういったものをどういうふうに考えるかという問題もあるだろうと思うんですね。
それから、これは大臣は長い政治生活をやってきているから多少なりとも御存じだと思うけれども、もともと電信電話公社のときには、今郵政省、政府が指導しているような事業部制なんというのはないわけですね。全部ひっくるめて収支を計算して黒か非かということになっていた。そういう中で市外料金はやや高くして、そして市内料金は低くして、番号案内は無料にして、公衆電話も公衆全般が使うんだから安くしてというような形で運営されて、市外回線のサービスでもってある程度ほかのゼロであるとか安い面を補ってきた、こういう経過になっているんですね。
ところが、民営化するときにそれは全部総括していないんですよね。民営になってから事業部制だということになって、市外、市内、番号案内、公衆電話あるいは基本料金というふうに立てられできますと、当然事業部制ですから独立採算ですわね。独立採算を前提にしてやればコスト主義になるから、結果はもう明らかなんです。
例えば、電話番号案内というのがあるけれども、あれはゼロだったんです。無料だったんです。しかし、当時二万名ぐらいの電話交換手がおったということになると、それはどこから持ってくるかといえば、別のところでやってきたわけでしょう。番号案内が独立採算ということになったら、ゼロですから何としても有料化しなければならないということになって、今現実にはたしか三十円ということになっている。しかし、それでコストに見合っているかというと見合っていない。こういう問題が実はそれぞれにあるわけですよね。だから、そういう構造上の問題というやつを本当の意味で整理してあげないと、なかなかもって公正な競争というところにいくような形にはならないんじゃないか、私はこんなふうに実は概括的に言うと思っている。これが一つ。
それから、もう一つは国際通信の問題ですね。これは我が国だけと言ってもいいんじゃないでしょうか、国内と国際通信を別々の企業にしているのは。国営であろうと民営であろうと他国の場合は大体一緒なんですね。そして、世界的な通信戦略というものを決めて、そして今や世界に乗り出してきている。今や情報化社会だ、世界経済を握るには情報を先取りしなきゃいかぬ、そのためには通信というのは重要だよと。そのためには通信でいかに主導権を握るかということで、とりわけイギリスのBTなどという民間会社はそういう発想で実は二十二億ドルほどのいわば投資というものも考えて出されてきているわけですよね。
そういうふうに考えると、今のKDDで二十二億ドルに匹敵するような国際投資というのはできるだろうかどうだろうか、あるいは国際的ないろんな通信技術上の要請にこたえていけるだろうかどうだろうかというようなことを考えると、運用の問題はともかくとして、通信という技術も運用もさらに建設もというような立場からいえば、この国際という問題に対してどういうふうに対応するかということも現実問題としてはあるんではないでしょうか。
例えば、今タイで建設工事をやっているというふうに聞いていますけれども、これはNTTがやるべきであるということで郵政省から了解をもらってやっているというふうに私は聞いているんですけれども、事ほどさように、今の法律では国際のコの字がつくとNTTは何にもできないんですよ。郵政省の了解をもらって初めて乗り出すことができるという形のものなんですね。
一方、株価の問題があるでしょう。株価について何とかして上げることはできないかということで自民党の先生方も、ささやかでも我々もいろいろ考えてみた。しかし、方策方策がすべて公正取引委員会を意識しなきゃいかぬし、あるいは独禁法違反になるし、商法上の違反にもなってくるということでどれもこれもうまくいかないんですよね。国内法でも規制がかかっている。そして、回り回って戻るのは、やはり株の値というのは、この企業が、産業がこれから発展性があるのかどうか、あるいはすばらしい企業だというふうに言われる企業なのかどうなのかということが株の値段を決めていくんだよということになると、NTT自体の業績あるいは収支関係等がよくならなければ株の値段も上がっていかない、こういうことに私はなってくるんだろうと思うんです。
そんなことからいえば、どうもこの国際という面では象徴的にKDD、こうなるけれども、KDDで補い切れない国際的な課題がある。そのことを先ほど白井局長も触れたんだろうと思います。
一応きょうはこの二点について、大臣どんなふうに考えられているか、ちょっとお聞きしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/98
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099・小泉純一郎
○国務大臣(小泉純一郎君) いろいろ将来にわたって検討しなきゃならない点を御指摘いただきましたけれども、サービスは確かにだれもが望むところでありまして、料金も安ければ安いほどいい。しかし、これが過当競争になって採算を度外視して低料金でいいかというと、これは事業会社もまた国民も、ひいては両方ともプラスにならない。ですから、この競争の面についてはやっぱり企業の健全性を考えた競争をしなきゃいかぬ。過ぎたるは及ばざるがごとしということでありますが、もう何事も過ぎてろくなことはありません。
料金のあり方等については、たしか六月ごろには事業別収支の結果も見えてくるようであります。そのときに判断をしなきゃならない問題である。ただし、合理化も進めていただかなきゃならぬ。財務状況の不健全なままでいたずらに料金を値上げしちゃいかぬと言うこともできないでしょうし、その点は財務状況等を見ながら、なおかつ合理化の努力を見ながらこの料金問題については判断していかなきゃいかぬものと考えております。
また、国際と国内の問題でありますが、日本みたいに分けている国はどっちかというと少ないようであります。それには各国の事情とか歴史があると思いますから、将来国内と国際を分ける必要はない、両方やらせるか、あるいは今みたいに国内、国際を分けた方がいいかという点も含めてこれは長期的な検討が必要ではないかと思っております。いずれにしましても、今後の通信分野における競争というものは、NTT初めNCC等の健全な競争が行われるような環境を整備するということが郵政省としても大事ではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/99
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100・及川一夫
○及川一夫君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/100
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101・野別隆俊
○委員長(野別隆俊君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/101
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102・野別隆俊
○委員長(野別隆俊君) 御異議ないと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112614816X00419930302/102
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