1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成六年六月二十一日(火曜日)
午後六時三十分開議
出席委員
委員長 白川 勝彦君
理事 逢沢 一郎君 理事 甘利 明君
理事 尾身 幸次君 理事 額賀福志郎君
理事 伊藤 達也君 理事 古賀 正浩君
理事 大畠 章宏君 理事 河合 正智君
浦野 烋興君 小川 元君
金田 英行君 熊代 昭彦君
谷川 和穗君 中島洋次郎君
丹羽 雄哉君 野田 聖子君
青木 宏之君 土田 龍司君
豊田潤多郎君 西川太一郎君
広野ただし君 藤村 修君
矢上 雅義君 山田 正彦君
吉田 治君 佐藤 泰介君
関山 信之君 土肥 隆一君
早川 勝君 松本 龍君
和田 貞夫君 赤松 正雄君
佐藤 茂樹君 福島 豊君
五十嵐ふみひこ君 井出 正一君
枝野 幸男君 岩佐 恵美君
吉井 英勝君
出席国務大臣
通商産業大臣 畑 英次郎君
出席政府委員
環境庁大気保全
局長 松田 朗君
通商産業大臣官
房総務審議官 江崎 格君
通商産業大臣官
房審議官 稲川 泰弘君
通商産業大臣官
房審議官 光川 寛君
通商産業省通商
政策局長 坂本 吉弘君
通商産業省基礎
産業局長 細川 恒君
中小企業庁長官 長田 英機君
委員外の出席者
環境庁企画調整
局地球環境部環
境保全対策課長 松下 和夫君
商工委員会調査
室長 山下 弘文君
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委員の異動
六月二十日
辞任 補欠選任
小川 元君 鈴木 俊一君
梶山 静六君 御法川英文君
熊代 昭彦君 桜井 新君
野田 聖子君 野呂田芳成君
西川太一郎君 杉山 憲夫君
吉田 治君 青山 丘君
同日
辞任 補欠選任
桜井 新君 熊代 昭彦君
鈴木 俊一君 小川 元君
野呂田芳成君 野田 聖子君
御法川英文君 梶山 静六君
青山 丘君 吉田 治君
杉山 憲夫君 西川太一郎君
同月二十一日
辞任 補欠選任
武山百合子君 矢上 雅義君
西川太一郎君 青木 宏之君
山田 正彦君 広野ただし君
関山 信之君 佐藤 泰介君
野坂 浩賢君 土肥 隆一君
赤羽 一嘉君 福島 豊君
井出 正一君 五十嵐ふみひこ君
吉井 英勝君 岩佐 恵美君
同日
辞任 補欠選任
青木 宏之君 西川太一郎君
広野ただし君 山田 正彦君
矢上 雅義君 藤村 修君
佐藤 泰介君 関山 信之君
土肥 隆一君 野坂 浩賢君
福島 豊君 赤羽 一嘉君
五十嵐ふみひこ君 井出 正一君
岩佐 恵美君 吉井 英勝君
同日
辞任 補欠選任
藤村 修君 武山百合子君
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六月十七日
製造物責任法の早期制定に関する請願(伊東秀
子君紹介)(第二九二八号)
同外六件(富田茂之君紹介)(第二九二九号)
同(錦織淳君紹介)(第二九三〇号)
同(伊東秀子君紹介)(第二九六六号)
同(枝野幸男君紹介)(第三〇四〇号)
消費者のための製造物責任法早期制定に関する
請願(西博義君紹介)(第二九一三号)
同(山元勉君紹介)(第二九三二号)
同(山元勉君紹介)(第二九六七号)
消費者のための製造物責任法の早期制定に関す
る請願(岩垂寿喜男君紹介)(第二九三三号)
同(加藤万吉君紹介)(第二九三四号)
同(小泉昌晨一君紹介)(第三一五一号)
同月二十日
中小企業対策に関する請願(穀田恵二君紹介)
(第三三二〇号)
製造物責任法早期制定に関する請願(船田元君
紹介)(第三四二三号)
同月二十一日
消費者のための製造物責任法早期制定に関する
請願(山元勉君紹介)(第三五五三号)
製造物責任法の早期制定に関する請願(吉井英
勝君紹介)(第三六四三号)
消費者のための製造物責任法の早期制定に関す
る請願(大出俊君紹介)(第三六四四号)
製造物責任法早期制定に関する請願(川崎二郎
君紹介)(第三六四五号)
エッソ石油の福井油槽所閉鎖計画の撤回等に関
する請願(大出俊君紹介)(第三七四〇号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四
三号)(参議院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/0
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001・白川勝彦
○白川委員長 これより会議を開きます。
参議院送付、内閣提出、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。甘利明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/1
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002・甘利明
○甘利委員 本商工委員会の今国会最後の法案になりますけれども、オゾン層の保護に関する法律、これはモントリオール議定書を受けて、各国の国内での受け皿をつくるということであります。
この法律は、非常に画期的な法律であるというふうに言われております。中身もさることなが
ら、地球環境問題に関して、因果関係がはっきりする以前に手を打った。つまり、オゾン層が破壊をされて生態系に変異を生じてくる、あるいは皮膚がんがふえてくるのではないか、オゾン層を破壊する原因に特定フロン関連がある、この因果関係がちゃんと確立をする以前に、そうではないだろうかという懸念が提示をされた、その時点で各国がすぐ対応措置に走って、そしてこういった措置になったということですね。
大体、地球規模でのこういった問題については、因果関係がはっきりして、この原因はこれによるということが立証されないと、各国の利害関係が絡んでいますから、歩調を合わせるということはなかなか難しい。しかし、このモントリオール議定書を受けてのオゾン層保護に関する規制措置というのは、直ちに各国が連携をとって、今や百二十数カ国が連係をとって対応をしている、このことに意義がある、そのゆえに画期的であるというふうに言われているわけですね。
ですから、これに続く問題としては、地球の温暖化の問題がある。これもほうっておけば大変なことになる。考え方によってはこのオゾン層以上の悲惨な事態が予測をされる。でありますから、CO2の関係と温暖化の関係というのは、オゾン対フロンの関係よりも因果関係はよりはっきりとしてはいないけれども、しかし、オゾン層を守るということに対して、各国がフロン規制に立ち上がった、この前例がいいぐあいに作用をして、ブラジルの環境サミット以降、まだ正確に因果関係が確立をしていないけれども、とにかく疑わしいものについては取り組んでいこう、そういう姿勢ができた、これはまさに画期的なことだというふうに言われているわけであります。
今回の法改正は、こういった枠組みができて以降二回目の改正になるわけであります。なぜ前倒しをしたり、新規の規制物質を追加をしたりするかと言えば、それはいろいろ観測をしてみて、ある程度規制がかかってきたのにもかかわらず、オゾン層の減少の進みぐあいにブレーキがかかっていない。だからさらに規制を強化し、新規物質を追加をする、疑わしき物質を追加をするということで今日を迎えているわけでありますけれども、規制をかけながらなおかつオゾン層の減少の記録を更新しているというのは、果たして本当にこれでちゃんと効果があるのか。フロンとかハロンとか、今考えられるオゾン層の喪失にかかわっている原因以外に全く見落としていたところが、欠落をしたところがありはしないのか。いろいろと知恵を出して規制をしながら、オゾン層が破壊をされていくスピードが落ちていない、さらに記録を更新をしているということは、見落としている重大な部分があるのじゃないだろうか。そういう点をちょっと疑わしく思うのでありますけれども、その点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/2
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003・松田朗
○松田(朗)政府委員 お答えいたします。
今先生御指摘の点でございますが、これにつきましては、日本を含めまして、世界の科学者がオゾン層破壊のメカニズムの研究を行っております。世界の専門家から成る委員会というものもございまして、ここでいろいろ討議されました結果、オゾン層の減少の原因は、自然現象では起こり得ないので、人工的に使いましたフロンあるいはハロン等の大気中の濃度が増加したことが主な原因であるというのが今や共通の見解となっておるわけでございます。
確かにフロン等の大気中の濃度の増加が現在まだありまして、オゾン層の破壊は依然として進行しているという事実はございます。ただ、一方では、北半球の中緯度のところでは、最近、フロン等の大気中の濃度の増加はほとんどとまっております。大気中に放出されたフロン等のオゾン層破壊物質が、数年あるいは十年の単位で、時間をかけましてだんだんオゾン層を破壊しているわけでございまして、そういうものがまだ漂っているわけでございます。したがいまして、仮に新しいフロン等の物質を規制したとしても、既に使われて大気中に放出されているものがまだ破壊を続ける現象が残っているわけでございます。
しかし、いずれにしても、今回の規制措置を実施することによりまして、今後フロン等の大気中濃度が減少いたしまして、それに伴ってオゾン層は回復してくるのではないかと、この専門家の会議でも、現在、評価されているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/3
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004・甘利明
○甘利委員 後で質問があると思いますけれども、今回の法改正以降は政令によって規制物質の追加ができる、こういう法改正手続をしなくてもいいということになる。
この法律ができて既に二回の追加規制強化措置をしているわけですが、今回の追加措置でこれはほぼすべてクリアしたことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/4
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005・細川恒
○細川政府委員 今回の規制対象物質の追加によりまして、現在、最新の科学的知見に基づく限り、オゾン層保護のための対策というのはほぼ尽くされたものと私どもとしては承知をしておるわけでございます。
規制対象とすべき物質の範囲につきましては、従来からUNEP、国連環境計画のもとに設けられております科学アセスメントパネルで検討が行われてきておりまして、今回の新規物質の追加が一昨年決められたばかりでございますので、現在、規制物質の追加に関しましては具体的な検討が行われているわけではございませんけれども、今後とも同パネルの動向には注意をしてまいりたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/5
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006・甘利明
○甘利委員 一つの法律ができて、それがたびたび改正をされる。必要性があるからやるというのはわかりますけれども、余り頻繁に、短期間にぐるぐるその形を変えるというのは、いかにも見通しが悪いなという感じがするんですね。こんなのは最初からわかっていたんじゃないだろうか。
これで完全にあとはクリアできますかと今申し上げたのは、例えば、今少量で使われている物質で、問題もあるけれどもまあこの程度だったらいいやと思っていたところが、それがだんだん工業用、産業用に拡大使用されるようになって、これじゃやはり困ってしまうから変えるんだとか、次から次へいろいろなものが追加されてくる。しかも、それが今度は政令追加になりますと、なかなか国会の監視が行き届かない。
そうすると、例えば、今これは規制されてないからこれを使って業を営もうとか、あるいはこれを使って業を興そうとかいろいろ考えている人たちがスタンバイしようと思ったら、ああ、これは使えませんよ、だめですよと。もう設備投資してしまったら、やはりこれはだめでしたと。この間はいいと言ったじゃないか、いや、あのときはよかったんですよ、三月たったら変わったんです。こういうふうにころころ変わるようになりますと、業としている人たちとか、あるいは業を興そうという人たちの見通しが立たない。金は突っ込んじゃったはいいけれどもだめになっちゃった、そういうことになりはしませんかということです。
今伺ったのは、これでちゃんともう大体めどはついたんですね。来年になったら、やはり忘れたのが一つありました、これは問題ないかと思ったけれども、やはりやめさせます、そういうようなことになってしまったら、それを使用したり利用したりしている人たちにとって、本当に先の計画が立たぬということになると思うのですね。ですから、ちゃんと見通しを立ててくださいよと。思いっきみたいにやらないでくださいね。将来やる必要があるんだったら、今から警鐘を鳴らしておいた方がいいですよと申し上げているんですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/6
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007・細川恒
○細川政府委員 先ほど申し上げたとおりでございますが、この物質の追加は、我が国だけで決めるおけではございません。国際的に科学的な検討をなされた上でございまして、先ほどのお答えのとおりでございますが、最新の科学的知見に基づきます限り、ほぼ尽くされたものというふうに私どもとしては承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/7
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008・甘利明
○甘利委員 冒頭に、画期的な措置であると。それは因果関係が本当にかっちりする前から、未然予防という観点から世界じゅうが手を組んで立ち上がった。これが実は若干遅きに失した部分もあ
りますけれども、少なくとも今までの対応よりはよくて、未然防止措置には役立っていくだろうという期待をしている。これが地球温暖化についても、因果関係がまだそうはっきりしていないCO2規制の問題についても、かなりのコンセンサスができ上がってきている。この先鞭をつけたことに意義がある。そこで、大体そういう関係であろうという推測のもとに規制をしていく。その一方で、その推測が間違いなかったというような研究をしていく。いわゆる科学的知見を確認していくわけですね。その作業が同時に必要なわけですね。
ついででありますから、CO2と温暖化の関係についてはかなり解明をされてきているのですか。というのは、CO2規制はかなり産業の成長力規制になりますから、この点は大体そんなものだろうけれどもやろうやというほど、そんなにいいかげんな措置じゃ困るわけですね。そういう懸念が強いという段階でスタートするというのはそれでいいのですけれども、ちゃんと因果関係は科学的に確認できるように作業を進めるということも同時進行していってもらわなければならないと思いますが、温暖化についてはどのくらい解明されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/8
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009・松下和夫
○松下説明員 地球温暖化につきましては、IPCC、地球温暖化に関する国際パネルがございまして、そちらで報告書が一九九〇年八月に出されています。そうした科学的知見に基づきまして、地球温暖化に関する気候変動枠組み条約が一九九二年に採択されまして、ことしの三月に発効しております。その条約に基づきまして、現在、取り組みが国際的に進められているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/9
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010・甘利明
○甘利委員 モントリオール議定書には、非締約国との貿易の規制の項目がありますね。非締約国との規制物質の輸出入の禁止がうたわれているわけであります。締約国は百三十六カ国だか八カ国だか、ほとんどの国はこの枠組みに参加をしている。参加していながら、参加してない国とのことを相当きつく規定をしているのですね。ということは、締約をしていない国で、このフロン、ハロンを、規制物質を生産、消費をしているというかなり重大なところがあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/10
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011・細川恒
○細川政府委員 八七年に採択をされましたモントリオール議定書において規制対象となっております特定フロン及び九〇年の改正議定書によりまして規制対象となりましたトリクロロエタンなど、この二つにつきましては、締約国においてほぼ全量が生産をされておるわけでございます。
それから、今回新たに規制対象に追加されることになりましたHCFC、HBFC及び臭化メチルでございますが、これは九二年改正議定書ということでございまして、この締約国は現在のところ二十カ国でございますけれども、急速に締約国がふえていくというふうに考えております。したがいまして、締約国で十分な規制が行われるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/11
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012・甘利明
○甘利委員 私が今の質問をしましたのは、締約国になりたくてもできない国で、フロンを使った製品をつくっていて、しかし、入れないがために輸出ができない、そういう事態が起こりはしませんかということをちょっと懸念をして申し上げたのでありますが、それはそれで結構でございます。
今回追加措置等がなされて規制の強化がなされているわけですけれども、今回の追加措置で影響を受けるであろう業界はどんなところがあるか。そして、その業界に対してどういう対応策をとっていかれるのか。特に中小企業を中心に若干の懸念が予測をされますので、その辺の御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/12
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013・細川恒
○細川政府委員 今回の規制によりまして、先ほど申し上げたところですが、HCFCとHBFC及び臭化メチルの三つが加わることになります。それに伴いまして関係業界への影響ということでございますが、必要がございましたらさらにその個別業界についても申し上げます。
まず、HCFCでございますが、これは特定フロンの代替品として開発が進んでおるわけでございますけれども、この規則に当たりましての基準づくりにつきまして、特定フロンなどからの転換分がある程度織り込まれているということで、かさ上げがなされております。加えまして、二〇三〇年までは生産が認められております。そういうことから、産業界による代替品への転換、回収再利用の推進などの努力を通じまして、議定書の規制基準の達成は十分可能と考えておるわけでございます。
それから、二つ目のHBFCでございますが、これは代替ハロンですけれども、これは消火剤であります特定ハロンの代替品として開発されておりますけれども、我が国におきましては生産も消費もされておりません。したがいまして、規制対象への追加ということによる影響はないものと考えておるわけでございます。
最後に、臭化メチルでございますが、用途の大半が、農業として土壌薫蒸、検疫薫蒸に使用されておるわけでございますが、当面、生産数量の九一年の水準での凍結を行うのみでありまして、加えまして、代替品への転換が困難な検疫薫蒸用途につきましては、規制の適用除外が認められております。
こういったような事情から、代替品の開発、普及の促進、有効利用の推進などを通じまして、議定書の規制水準の達成は十分可能と考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/13
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014・甘利明
○甘利委員 先ほど質問をしましたけれども、規制をする方は簡単なんですね。これはオゾン層の破壊に何らかの影響があるとみんなで確認すれば、規制物質に挙げればそれで済むのです。使っている方というのは、ある程度の長期的な見通しのもとにそれを使って仕事をしよう、それを使った設備機器を導入しよう、長い間のローンを組んで設備投資計画でやっていく。そこのところにこれは問題があるからどんどん追加しろといった場合には、産業界、特に中小企業においては対応措置、スムーズにほかのものに転換ができる措置とか、あるいは転換をしていく場合に設備投資にお金がかかるのであるならば、その捻出をどういう形でか支援をするとか、あるいはその設備のままで使える代替物質の開発を急ぐとか、いろいろな措置をしてあげないと、決める方は簡単ですけれども、決められた方はそう簡単ではないのでありますから、これから政令措置で新たに加わる場合は、どうも国会はそういうところを見逃しがちになりますから、そこは十分な配慮をしていただきたいと思います。
そこで、この一連の規制は、製造とそれにかかわる移動の規制ですよね。既にあるものを使ってはいけないということではないでしょう。既に生産されているものの使用を禁じてはいませんよね。そうすると、このつくってはいけない物質が相当あふれているはずなんですよ、使っているんだから。製造が中止になったけれども、使用は中止にはなっていないわけですから、現存する規制対象のフロンやハロンの量というのは相当あると思うのですけれども、その管理とかあるいは回収体制というのはどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/14
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015・細川恒
○細川政府委員 関係業界団体で把握しておるところの数字から申し上げたいと思うのでありますが、カーエアコン、家庭用冷蔵庫及び業務用冷蔵庫に使用されております特定フロンの総量でございますけれども、それぞれ約三・二万トン、三・六万トン及び一・六万トンと推定をされておるわけでございます。
このうち、例えばカーエアコン用の特定フロンの回収につきましては、各自動車会社、エアコン機器などの自動車部品会社の協力により行われておりまして、当省としても、今後とも関係団体、企業などに協力を要請しまして、特定フロンの回収再利用を促進してまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/15
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016・甘利明
○甘利委員 つくる方の規制はかなり把握ができるのですけれども、つくってしまって市場に出たもの、既に使われているものだって、一斉にそれが空気中にばんと放出されてしまったら、これはえらいことになりますから、その管理体制という
か使っている間の管理、それから使い終わってしまったときの回収、あるいは再利用するのか廃棄するのか、その辺の終末までの管理体制というのがしっかりしていないと、つくる方にばかり目はいっていたけれども、つくった後の使用管理あるいは回収については目が届かなかった、こういうことではまさにざる法になりますから、その辺はしっかり目配り、気配りをしていただきたいと思います。
質問時間を大分残しておりますが、大体わかりましたので、私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/16
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017・白川勝彦
○白川委員長 次に、中島洋次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/17
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018・中島洋次郎
○中島(洋)委員 自民党の中島でございます。
私、畑大臣に対しましては初めて質問する機会を与えていただきましたものですから、オゾン層保護の質問に入る前に、産業政策の基本的な事項についてもちょっとお聞きしておきたいと思う次第であります。
それは日米包括協議の問題でございます。この日米包括協議は大変に幅広い分野にわたるものであります。今回のオゾン層保護のための環境技術協力も包括協議で合意しているということだそうですが、その成果については後ほどお聞きするとしまして、やはり現在喫緊の課題となっておりますのが優先三分野、政府調達と保険と自動車、この三分野があるわけであります。このうち通産省所管は何といっても自動車分野でございますので、今回は時間もないものですから、この自動車分野に限ってお聞きしたいと思います。
この分野は、留意しなくてはいけないのは、昨年どことしとでは取り巻く環境が一変しておる。去年までは日本が大変に競争力が強かった。しかし、ことしに入りましてからこの競争力が逆転しておるわけであります。アメリカ側が大変に競争力をつけておる。そういった中で、アメリカの交渉担当者は、環境の変化にかかわりなく、大変強硬に押してまいります。これは秋の中間選挙の関係もあるのかもしれませんが、大変強硬な態度で押してきているというふうに聞いております。
こうしたこの一年間の環境の変化を受けまして、少なくともこうした分野での変な妥協といいますか、数値目標の導入といったものは何としても避けなくてはいかぬと私は思っております。これは政府調達分野なら私は理解できる部分があります、これは政府が約束できますから。しかし、民間の経済取引とさらに自主的な計画づくりに対しましては、これは政府が介入すべきものではないと思いますし、そうでなければ日本の政府が実施計画の達成に責任を持つことにもなりかねませんから、これは羽田政権がおっしゃっている自由貿易の観点、規制緩和の観点からもおかしいと思います。これは前の熊谷通産大臣も私と同様の考えであったと私は信じておりますし、現在の政府もそういう態度で交渉しておるんだと信じておりますが、改めて何点か確認しておきたいと思います。
まず第一点として、先月のこの商工委員会におきまして、同僚議員からの質問に対しまして畑大臣は、客観基準についてこういった答弁をされております。客観基準という分野におきましては、数値目標を構成しないことの確認というのがあります、客観基準は目的達成に向けた進展を評価するものであり一具体的な客観的基準の内容は、各分野ごとに今後議論する、こういうふうにおっしゃっているわけであります。
この客観基準というのはかなり漠然としたものでありまして、答弁なされましたように、目的達成に向けた進展を評価するものとおっしゃいましても、この目的達成に向けた進展、その努力の経過を拘束するものになりますと、これは結果的に数値目標と変わらないという見方も評論家の中で強くあるわけでございます。
そこで、この客観基準、数値目標につきまして、第一点として、少なくとも民間調達分野におきましては、数値目標あるいはそれと同様と受け取れる基準の設定には応じるべきではないのではないか。そして二点目として、民間の自主計画に政府が介入したり保証するということはすべきではないのではないかと思いますが、この二点について大臣の率直な御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/18
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019・畑英次郎
○畑国務大臣 ただいま中島先生から、いわば一つの山場を迎えております日米包括協議の問題につきまして、問題点の御指摘を賜っての御質問をいただいたわけでございます。
協議再開に当たりましては、何といっても数値目標は置かないということの中での再開であるわけでございますから、御指摘がございましたとおり、客観基準そのものが結果において数値目標にかわって使われるという意味合いのものになったのでは、管理貿易にもなります。実は私自身も、通産大臣になりました直後にポーランドの東西経済担当閣僚会議に出席をいたしましたときに印象深く残っておりますのは、ドイツを初め諸国の方々が、日米間で変な取り決めはしてくれるな、それが世界貿易に大きなひずみを与えますよ、自分たちも重大関心を持って物事を見詰めておる、あるいは日米間でまとまったことは我が国においてもそういうような適用をやってもらわなくては困りますよというような御指摘を賜っておるわけでございます。
さような意味合いからも、あくまでも管理貿易につながるような客観基準の決定等々もしてはならない。例えば、客観基準を一つという項目に絞りますと、それが数値目標に置きかえられる。これはいささか荒っぽい言い方ではございますけれども、通信簿の中に甲乙丙丁があって、丙が一つあった、それによって直ちにいわゆる制裁規定の方に連動するというようなことをあらしめてはならない。客観基準といいますものは、やはり幾つか項目があって、それを総合的に、その進捗の度合い、お互いの物事を判断する一つの材料にしていく、さような意味合いで問題点を明確にしながら協議の詰めをやっていかなくてはならぬぞということを、実はただいま御案内のとおり次官クラスあるいは課長クラスが交互に連日のように頑張っておるわけでございますが、督励をしながら、注意深くチェックをしてまいっておるような次第でございます。
そしてまた、御指摘がございましたとおり、民間サイド、特に自動車分野、部品分野につきましては、通産サイドは何といっても民間部門でございますから、民間の自主的な取り組みを我が方が担保をするというようなことがあってはならないというように考えるわけでございまして、この辺は双方の業界それぞれが話し合いの中で御理解を深めて物事の進展を図る。
この御指摘賜りました二つの項目につきましては、さらに重大な関心と、後々他の国々から指摘をされるような問題点を抱える姿の中で決着を図ってはならない、かようにも考えておるわけでございます。WTOの発足を来年に控えまして、さような意味合いで国際的な貿易のありようといいますものをこの機会に日本がきちっとしたルールの中で物事を解決をしていかなくてはならない、そういう責任をも感じさせていただいておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/19
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020・中島洋次郎
○中島(洋)委員 大変に率直な御所見を賜りまして、ありがとうございます。
私がこうした時期にあえてこうした質問をしましたのも、今大臣が述べられましたように、大変大事な時期を迎えている。自動車分野は、今月二十四日、二十五日もまた課長級協議をするそうでありますが、私が今大変大きな山場ということで懸念しますのは、どうもタイムリミットが設定されているのではないかという心配をするわけであります。
大臣は、先月の商工委員会の答弁におきまして、まだまだこれからが本格的な詰めの段階であり、ようやく入り口に入ったところである、大変難しいものもまだまだ持った姿のままでの協議再開である、こういう受けとめ方をしているとおっしゃっていますが、大臣が御答弁されたとおり、まだまだ難しいものがたくさんある。私は、これは性急に結論を出すのは危険なものがあるのではないかという気がしておるわけでございます。
一部の報道に、来月のナポリ・サミットがこの
協議のタイムリミットなのではないか、こういうことで日米の政府に暗黙の了解があるのではないかという報道もされております。確かに、せっかく再開した協議ですから、テンポよく交渉のスケジュールを進めていくことが肝要であるかと思いますが、この結論をタイムリミットを区切ってつくり出すということはすべきではない。私も、先日、アメリカ大使館の経済担当公使にお会いする機会がありましたので聞きましたら、アメリカ大使館としてはこの問題にタイムリミットはないと明言されておりました。そういった中でこうしたタイムリミットというような報道が出るのは大変不思議な気がしております。
ぜひともお伺いしたいのは、アメリカ側からいついつまでが期限というような要請があったのかどうか、また、日本側はタイムリミットを念頭に置いてやっているのか、この二点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/20
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021・畑英次郎
○畑国務大臣 第一点でございますが、アメリカ側からそういった意味合いでの期限を切ってという話はございません。そしてまた、我が方からもそういうようなことを提案しておる姿でもございません。
ただしかし、一つの節目といいますか、たまたま来月の八、九、十でございましたか、サミットの会合が持たれる、そういうことを一つの節目にお互いがベストを尽くそうではないかというような意味合いでの取り組みはさせていただいておるわけでございますが、この期限をいついつまでにということは絶対にあらしめてはなりませんし、何といってもこの問題は、先ほど中島先生御指摘の基本的なスタンスといいますものを曲げて下手な妥協をすることがあってはならない、かような意味合いでの取り組みを引き続き続けてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/21
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022・中島洋次郎
○中島(洋)委員 お時間をちょうだいして、オゾン層の保護とはちょっと関係ありませんでしたが、大変重要な時期に差しかかっております包括協議の問題についてお聞きしましたところ、大臣から大変に率直な有意義な御答弁を賜りまして、ありがたく思います。
それでは、今回のオゾン層の保護に関する法律の改正案についての質問に移らせていただきたいと思います。
まず、本法案の意義と申しますか、確かにオゾン層を保護するという目的があるわけでございますが、さらに言えば、通産省が主管して本法案を提出した、そのことの意義をちょっと考えてみたいと思うわけでございます。
この法律は、産業界といいますか、各業界の理解と協力、そして各業界ごとの努力をいただかないと達成できないものであるかと思います。そういった各業界の協力がこの法律の大きなかぎとなってくると思うわけでございますが、そういった中で、理想ばかり言っていては産業の実態とかけ離れた面が出てくるということも一面事実であるかと思います。私は、やはり中小零細企業の現状というか実態をよく考慮して、技術的な実現可能性をも踏まえて規制の実施に努めることがぜひとも必要であると思いますが、通産省が主管官庁として本法案を提出する意義につきまして、大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/22
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023・畑英次郎
○畑国務大臣 実は正直申し上げまして、私自身も最初この法案の話を伺いましたときに、いわゆる環境保全といったことに一〇〇%ウエートをかけるとすれば、環境庁という役所が主管をした方がより完全な対応ができるのではないかなということを考える反面、ただいま中島先生御指摘のとおり、この分野におきましては、既にかかわり合いのお持ちの事業主あるいは中小企業、産業界等々あるわけでございますので、やはりこれを通産省が主管の官庁として担当するということは、そういった産業分野の方々の例えは体質、構造改善等々の問題、あるいはまた対応策についての支援措置等々、こういうものの生きを期しながら、あるいはまた手助けをさせていただきながら問題の展開を図っていく、さような意味合いで通産省に与えられた責任ではないかなというように考えるわけでございまして、さような意味合いの認識を持ちながら、本法案の成立を図り、御期待にこたえていかなければならない、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/23
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024・中島洋次郎
○中島(洋)委員 全くおっしゃるとおりであるかと思います。実際こうした特定フロンあるいは代替フロン関係を使用しているユーザー側というのは、中小あるいは零細企業というのが大変多いかと思います。そういった中小零細企業が多いゆえに、この実態把握というのも大変難しい面があるかと思います。中小企業または零細企業を含めて、こういった特定フロンなどからの代替品あるいは代替技術への転換状況を通産省は現状でどれぐらい把握されているのか、お教えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/24
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025・長田英機
○長田政府委員 中小企業の代替品への転換の状況でございますが、これは従来からいろいろな広報活動を通じて推進してきたわけでございまして、その詳細な実態というのは明確な数字としてわからないのでございますが、私どもが平成五年度に調査しましたところによりますと、大体四、五割の中小企業が転換済みになっている、そういうような調査結果がございます。これではもちろん十分ではございませんので、なおこれから普及啓発、推進を図って、万全を期してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/25
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026・中島洋次郎
○中島(洋)委員 今回、五割ということもおっしゃいました。これまでは比較的混乱なく代替品への移行が進んでいるのかもしれませんが、まだまだその移行は十分ではないというのが実態であるかと思います。こうした不況もありまして、中小企業にとっては、移行するにしても、これはなかなか負担が大きいのではないかという気もいたします。そうした中小企業の代替品または代替技術への転換がスムーズにできるよう、これは情報面も含めて、通産省の役割というのは大きいものがあるのではないかと思います。
関連して一点ちょっとお聞きしておきたいのですが、先ほど同僚議員が、これから新たな物質が規制対象になるのではないかという質問をしましたところ、通産省の方では、今のところこれがすべてではないかということをおっしゃいました。それに関連して、新たな規制対象はないにしましても、既に規制対象となっているものが前倒しになっていく可能性はないのかというのをちょっと確認しておきたいと思います。
業界の方からいろいろ聞きますと、トリクロロエタンですか、あれも当初は規制の対象になるとは考えてなくて、フロンの代替品として使っていたら、突然規制になったということがあります。さらに、HCFCは今回規制対象となっていますが、何かヨーロッパとか先進国では、これの全廃をさらに前倒しするという意見もあるように聞いております。さらに、先ほどもちょっと同僚議員が質問しましたが、CO2ですか、これはオゾンの破壊には結びつかなくても、温暖化の要因になるという専門家の調査結果もあるそうでございます。
先ほどの質問に関連しまして、新たな規制対象がなくても、これは前倒しということはないのかどうか、ちょっと確認しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/26
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027・細川恒
○細川政府委員 規制の期間の前倒してございますが、そのような予定も現在のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/27
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028・中島洋次郎
○中島(洋)委員 これは日本だけで決められないかもしれません。各国がまた話し合って決めることかもしれませんが、私は、今の時点で確約しろということではなくて、そういった情報というのは中小企業にはなかなか伝わらないわけでございます。
ですから、私がここで申し上げておきたいのは、そういった情報面、さまざまのことを、啓蒙活動も含めて、中小企業にどんどん新しい情報というのを伝えることが必要なのではないか。そうしませんと、そういった中小企業に、新たな規制対象が加わるのではないかとか、あるいは前倒しになるのではないかとか、いろいろな不安がありますと、新たな代替品の設備投資もひょっとしたらむ
だになるかもしれないというふうになりますともう進みませんので、そういった不安がないならないということもきちんと中小企業に伝えることが大事なのではないかと思います。
そういった情報面も含めて、これは資金負担も中小企業にとっては大きなものであります。そういった資金面、それから技術面、それから情報面も含めまして、通産省が考えている助成措置、特段の助成措置が今回の場合必要であるかと思いますが、その助成措置についてどういったことを考えておられるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/28
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029・長田英機
○長田政府委員 実は、助成措置に関しましては、私どもは平成四年度から本件に対応すべき措置を講じておりまして、例えば、中小公庫や国民金融公庫の特別の融資制度、あるいはメカトロ税制を拡充いたしまして、税制上、代替設備を対象にするというようなことを平成四年度から着手いたしました。
さらに、平成五年度におきましては、省エネ・リサイクル支援法という法律が制定になりまして、この法律の中で、設備近代化資金面の優遇あるいは信用保険の特例等が行われました。
それからさらに、先生御指摘の広報面につきましては、平成五年度から、各県の地域情報センターあるいは中小企業事業団の方で広報予算を計上して、大いに情報提供をやることにいたしました。
なお、平成六年度予算案におきましても、この地域情報センター、中小企業事業団の広報活動の充実ということを計画しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/29
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030・中島洋次郎
○中島(洋)委員 これは、そういった中小企業の負っております資金面、技術面、情報力、そういった面でのハンディキャップを補いながらスムーズに移行していくことが肝要かと思いますので、ぜひともその点をよろしくお願いしたいと思います。
また、啓蒙活動という面におきまして、これは使用した側というか、中小企業の側だけでなくて、消費者、一般消費者についても、広報活動というか啓蒙活動が私は大事ではないかと思います。
例えば電化製品、これは電気冷蔵庫とか家電製品におきましては、もう技術的にはオゾン破壊ゼロというんですか、そういった冷蔵庫などをつくる技術は日本の各メーカーはあるのだそうであります。ただ、これはやはり価格が多少は上昇する。そうしますと、消費者の選択というのが一つの決め手になってくるというふうにも言われております。
電機工業会のアンケートによりますと、そういった環境対策に熱心なメーカーについて一般消費者はよい印象を持つという方が七五%いて、断然多いんですが、よい印象を持っても、実際に製品を買う際には、企業のそういった取り組みにかかわりなく、関係なく物を買うという方が六割いるということであります。家電製品については端的にこういった数字が出ているわけでございますが、フロンを代替品、代替技術にかえていきますと企業は負担増になりまして、そういった企業がつくる製品のコストの上昇も招く事態があり得ると思います。
そういった中で、消費者側の理解、先ほども申しました家電の例のように、多少は値段が高くても環境にいいというか優しい製品を買うといった意識改革も求められてくるのではないかなという気がします。そういった消費者側に対する啓蒙、広報活動をどう考えておられるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/30
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031・細川恒
○細川政府委員 御指摘のように、国民各層の理解と協力を得ることが何よりも私どもも重要と考えております。
当省といたしましては、こういった観点から、随時、政府広報や消費者向けのパンフレットを通じまして、国民各層に対し、オゾン層保護対策の必要性や代替品を使用した製品の購入、回収再利用への協力の重要性を広報してきておりまして、当省の外郭団体でもありますオゾン層保護対策産業協議会、これはメーカーとユーザーから成っているわけですが、それを活用いたしまして、関係事業者向けのセミナーの開催、パンフレットの配布などを行っておるわけでございます。
また、特に毎年七月をオゾン層保護対策推進月間として定めておりまして、全国各地におきますセミナーの開催、パンフレット、ポスターの作成など、官民挙げまして啓蒙普及活動に集中的に取り組んでおるわけでございます。
毎年七月一日にはオゾン層保護対策推進に関する協力要請会議を開催いたしておりまして、通商産業大臣から、特定フロンなどのメーカー、ユーザー業界に対しまして、オゾン層保護のための取り組みを推進するように要請を行ってきております。ことしもそういう予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/31
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032・中島洋次郎
○中島(洋)委員 時間もなくなってまいりましたので、最後に、この法律は生産を抑制する、生産を規制するということでございますが、使用する面についても法律に規定があります。この改正案では第十九条に「特定物質を」「使用する者は、その使用に係る特定物質の排出の抑制及び使用の合理化に努めなければならない。」という努力義務規定がありますし、その努力が足りおければ指導及び助言が行われるということでございます。
これは産業界が自然保護を求められているということで、産業界も社会的責任としてそれは当然のことでありますが、産業界が自然保護のために設備やまた企業の内容を転換していくために、混乱なくスムーズに移行するために、努力はもちろん大事でございますが、この努力義務規定を通産省はどういうふうに運用されるのか、これも心配される点がありますので、この点を最後にお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/32
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033・細川恒
○細川政府委員 十九条の義務づけの話と理解をさせていただきましたので、そのとおり申し上げたいと思います。
オゾン層保護対策といたしましては、製造された特定フロンなどのオゾン層破壊物質がすべて大気中に放出されたといたしましても、オゾン層の保護が図られるように厳格な供給規制が行われてきているわけでございますが、こうした蛇口段階での規制に加えまして、特定フロンなどの回収を促進するということは、生産全廃後も必要となります補充用の特定フロンなどを確保する観点、さらに特定フロンなどの排出を抑制し、オゾン層の破壊を軽減する観点から望ましいと評価をしておるわけでございます。
そういうわけで、具体的な特定フロンの回収を促進するための方策として、通商産業大臣の諮問機関であります化学品審議会の分科会でこの点の検討をいただきまして、報告をいただいたわけでございます。その報告に従いまして、回収可能な特定フロン等の使用分野の大半は市場メカニズムによる回収の進展が期待できる、それから環境保全の観点からのものでありましても国による規制は必要最小限の範囲及び内容とすることが望ましいということにかんがみまして、使用分野の特性に応じて回収を図ってまいりたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/33
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034・中島洋次郎
○中島(洋)委員 どうもありがとうございました。
これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/34
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035・白川勝彦
○白川委員長 次に、和田貞夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/35
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036・和田貞夫
○和田委員 オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の改定に伴う国内法の改正でございますが、この法律の第二条「定義等」を見てまいりますと、現行では「この法律において「特定物質」とは、議定書附属書A及び附属書Bに掲げる物質をいう。」と極めて明確にうたわれておる。
ところが、改正案では「この法律において「特定物質」とは、オゾン層を破壊する物質であって政令で定めるものをいう。」として、政令にもっていこうとしておるわけであります。この政令にもっていこうとした理由を挙げてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/36
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037・細川恒
○細川政府委員 九二年十一月に採択をされました改定モントリオール議定書では、新規規制物質としてHCFC、HBFC、臭化メチルの三物質が追加されておるわけでございます。
政令で今後定めたいということにつきまして
は、次のような点からでございます。
今申し上げました議定書の変更のために我が国においても特定物質の定義の変更を行う必要があるわけでございますが、物質数がふえてまいりますと、他の法令におきましても、規制対象物質は政令指定とするのが一般的でございます。例えば、水質汚濁防止法あるいは大気汚染防止法といったようなものもそうでございますし、国際条約関係で申し上げますと、ワシントン条約も国内法で同様な扱いをしているというふうに理解をいたしておるわけでございます。
さらに、規制物質の追加は国会の承認を待って行うものでございまして、特定物質はかかる議定書の改正により定められました規制物質をそのまま指定するということでございます。
そういうことにかんがみまして、今次改正案を提出いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/37
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038・和田貞夫
○和田委員 極めて御都合のよい答弁であると思うのです。言いかえれば、国会の審議を経なくても政令の改正で事足りる、こういうようにしようというこの法律の立て方なんですね。
確かに一面では、議定書が改定されるごとに国内法の改正をやるまでもなくいち早くという、例えば環境のサイドからいうならばそのことは手をたたくでしょう。しかし、我が商工委員会は中小企業を抱えておるわけでございますから、どのような物質が追加されたのか、どのような物質がその対象につけ加えられたのか、全然わからない間に事が済んでしまうというような結果になるじゃないですか。
我々は、やはり中小企業を抱えておる行政の分野としては、そのことは極めて気がかりであるわけなんです。いい面もあるけれども、しかし、我々の立場からいうならば極めて不満なんです。もう一度お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/38
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039・細川恒
○細川政府委員 政令で今後やらしていただきたいという理由につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、特定物質の追加はモントリオール議定書の改正が必要でございます。今後とも改正議定書の批准の段階で必ず国会で御審議いただくことが必要でございます。
さらに、今次改正案では、法文上も、国内法として、第二条第四項におきまして、特定物質の定義はモントリオール議定書の規定に即して定めることとされておりまして、モントリオール議定書において定められた規制物質をいわば機械的に本法の特定物質として定めることといたしておりますので、御理解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/39
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040・和田貞夫
○和田委員 極めて得手勝手な言い分ですよ。確かに議定書の改定については国会でその承認を得ることになっております。しかし、国会の運営というのは常任委員会に分担をされているでしょう。我々は外務委員会の方に行って委員外発言でやってくれ、委員の差しかえでやってくれということを言われるのですか。
この点についてはやはりきちっと報告をしてもらう。たとえ政令に移行するということを私たちが認めたといたしましても、先ほど申し上げましたように、中小企業を抱える行政を担当するわけでございますから、議定書の改定がどのような改定になっているのか、どのような物質が追加されるようになったのか、どういうような内容に改定されたのかということをやはりつまびらかに知りたいわけなんです。そして議論をしたいわけです。そして要請もしたいわけなんです。
このことについて、私はやはりその間のことを考えるならば、外務委員会で議定書を審議するんだからそこへ行って勝手に審議してこいというんじゃなくて、もう少し我々の審議権を保障する、こういう考え方に立って、政令移行後はひとつ親切な善処方を私はお願いしたいと思うわけでございますが、大臣の方から御答弁をいただきたい。
〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/40
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041・畑英次郎
○畑国務大臣 ただいま和田先生御指摘の点は、私自身も、通産省の所管でこの法の改正を行うという意味合いの中にございましては、ただいま先生御指摘のとおり、産業界あるいはまた中小企業に対する対応策、そういうものも同時並行的に、あるいはまた継続的にやっていかなければならないという重要な問題点を抱えておるというように考えるわけでございます。
さような意味合いにおきましては、ただいま先生が御指摘をされましたような意味合いの対応、これから政令によって対応します場合におきましても、商工委員会の御関係の先生方には、ただいま先生から御指摘がございましたような意味合いで、すぐ御連絡を申し上げ、資料も提供をし、そしてまた御意見等々を伺う場を必ずつくる。きょうはこういうような意味合いで記録に残していただいて、先生御指摘の御懸念を解消しながら万遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/41
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042・和田貞夫
○和田委員 今大臣から御答弁いただきましたので、ぜひとも政令移行後もそのように我々にいち早く知らせていただいて、そして意見を述べる機会をぜひとも保障していただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。
さらに、この議定書改定の検討作業の際に、これは外務省に任せきりなのか。あるいは通産省として、産業面の立場に立って、中小企業者の立場に立って、あるいは技術面を研究するという立場に立って、どの程度かかわってこられたのか、お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/42
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043・細川恒
○細川政府委員 モントリオール議定書の改正に当。たりましては、通産省といたしまして、議定書の改正内容により中小企業者を初めといたします我が国関係事業者がこうむる影響などを十分検討いたしまして、国際会議へのみずからの出席、外務省との十分な連絡調整などを通じまして、検討の結果を議定書の改正内容に反映をさせてきたところでございます。
今後におきましても、中小企業者を初めとする我が国事業者の状況などを十分踏まえまして、必要な場合には積極的に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/43
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044・和田貞夫
○和田委員 率直に申し上げて、フロンなりあるいは中小企業が七〇%使用されておりますトリクロロエタン等々の物質が大気を汚染し、オゾン層に穴をあけておる、そういうことになっておるわけでございますが、そういう物質以外にやはりオゾン層に影響をもたらす原因というのは、科学的に、皆さん方の研究者の立場からいって、そのことが単にその物質だけだというような解釈を真に受けるということでいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/44
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045・細川恒
○細川政府委員 規制物質の追加につきましては、国際的な場におきまして、科学的な知見をもとに検討され、合意をされた上で追加されるわけでございますが、現在の最新の科学的知見に基づく限り、オゾン層保護のための対策としての物質の追加ということにつきましては、ほぼ尽くされたものと私どもとしては承知をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/45
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046・和田貞夫
○和田委員 この物質以外に、例えばロケットの打ち上げによる原因もその中に手伝っておらぬかとか、あるいは成層圏を飛行する超音速旅客機等の影響というものもないだろうか、あるいは火山の随所の爆発というものも影響がないだろうか。そういうようなものは全く無視をするということに値するのかどうか、そのことをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/46
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047・細川恒
○細川政府委員 なかなか難しい問題でございますが、今お話してございますもろもろの要素につきましても一応国連の科学アセスメントパネルで検討中ではございますが、物質の追加ということの可能性につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/47
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048・和田貞夫
○和田委員 物質以外のものについては、そうとりたてて値するような段階でないというように受けとめていいわけですね。
そこで、中小企業問題について一つお尋ねしたいと思いますが、この特定フロンを使用しておるのは大企業が大体七〇%である。したがって、大企業の場合は資力もあるわけでございますので、削減スケジュールは、移行のめどが立ちつつある、こういうように聞いておるわけです。
ところが、トリエタンはその使用の七〇%が中
小企業である、ほとんどスケジュールが進捗していない、転換が非常におくれておる、こういうように聞いておるわけなのですが、先ほどの質問者の答弁で、中小企業庁長官が、半分くらいは転換しておる、こういうように言われたわけでございますが、朝日新聞の四月の十日号を見てみますと、トリクロロエタンを一九九〇年では約二十万トン使用しておった、ところが、一九九三年、去年は消費量が十四万トン、そのうちの七〇%が中小企業である、こういう記事を見たわけでございますが、五〇%設備が転換しておるというのは余りにも甘い見方じゃないですか。もう一度お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/48
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049・長田英機
○長田政府委員 特定フロンなどにつきまして、中小企業における使用実態、これは数が多うございますから、極めて正確に把握するということはなかなか難しいのでございますが、私が先ほど申し上げました数字は、十県ほどの県が調査しましたものを合計いたしましたところ、大体四、五割程度転換が進んでいるというような平成五年度の調査の結果を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/49
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050・和田貞夫
○和田委員 トリエタンの新洗浄剤への転換の切りかえが昨年の五月から急速に鈍化しておる、以降一向進んでおらぬ。その理由は、景気のダウンで洗浄剤の需要が減った、投資資金がない中小企業が代替化で動かなかったという理由を挙げておるわけでございますが、昨年の五月から転換が非常に鈍化しておる、こういう状況であろうと思うわけでございます。
ところが、中小企業が、申し上げましたように、資金が枯渇をしておる。それに加えて、例えば過去にモニタリング物質とされていた代替フロンや代替ハロンが、せっかく転換をして二年たったら、また議定書の改定があって規制対象に追加されたというような例が過去にあるわけなのです。そういうような点は極めて中小企業にとっては大きな打撃であるわけです。
そういう点で、先ほど申し上げたように、議定書の改定の作業の中に積極的に通産省としても入っていって、そしてその見通しというものを立てて、一刻も早く国内向けに情報を送って、そしてその見通しの上に立って中小企業を指導してもらわないとまたこのことを繰り返すのじゃないかというようなことも一つの理由になって、中小企業が転換に非常におくれをとっておるということになっておるのではないか、こういうように思うわけでございますが、いかがでございますか。
〔額賀委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/50
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051・長田英機
○長田政府委員 私は、先生のおっしゃる点につきまして、こういう規制についての広報、PR、普及を徹底的に行わなきゃいけない、それからさらに転換をしようとする中小企業に対しまして必要な支援を行わなければいけないという御指摘は、もうそのとおりだと思うわけでございます。
そういう点から、中小企業庁といたしましては、実は平成四年度から中小企業金融公庫に特別の貸付制度をつくりまして、これはもちちん現在も動いておりますが、さらに税制上の特例措置も平成四年度からつくりました。そしてさらに、平成五年度におきましては、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法という法律の中に、このトリクロロエタン、フロンを対象にいたしまして、信用保険あるいは近代化資金、さらに組合が行ういろいろな補助金、そういうような助成をやっているところでございます。
また、先生御指摘の広報活動につきましても、中小企業事業団あるいは各県の情報センター、いろいろ機能を充実いたしまして、現在、取り組んでいるところでございますが、先ほど申し上げましたように、私どもの調査ではまだ半分ぐらいが転換したということですから、これからさらに実態把握あるいは転換指導に、この助成措置とあわせて、一生懸命取り組んでまいりたいと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/51
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052・和田貞夫
○和田委員 残念ながら時間が参りましたので、もっと議論をしたかったわけでございますが、意見としてひとつ申し上げておきますが、今長官からお話がありました金融面の措置あるいは税制面の措置をやっていると言われても、この物質を転換するための設備転換というのはやはり大変なんです、こういう不況の中でございますので。したがって、例えば近代化資金の利用をやれといっても、その設備の二分の一しか利用できないわけでしょう。あとはやはり高い利息を払わなければいかぬわけです。
したがって、この点については、議定書によってこの国際的な約束を守っていかなければいかぬということで中小企業にお願いをしなくてはならぬわけでございますから、二分の一があるいは二分の一近い設備転換しかできていないわけでございますけれども、あとわずかの期間にそのスケジュールに合わせて全部転換をさすようにしていかなくてはならぬ。そうすると、この二分の一の無利子の融資を全額無利子にするとか、あるいは補助金を出してでも達成を図るかというような思い切った措置というものをぜひとも加えてもらわないといかぬのじゃないか、こういうように思うわけです。近代化資金の二分の一を、全額近代化資金を利用できるようにしてもらうか、それが無理であれば、特別の補助金という制度でその達成のために努力してもらいたいということを私は意見として申し上げておきたいと思うわけでございます。
そしてさらに、この法律の施行に当たりまして、先ほど大臣の方からお答えをいただいたわけでございますが、この議定書の検討作業の中で、国内産業への影響等も慎重に配慮して、関係者の意見を聞いて、ぜひとも積極的にこの議定書の改定の作業の中にも通産省としては挙げて加わっていただいて、そして中小企業のためにひとつ頑張っていただきたい、こういうように思うわけでございますが、その点についての大臣の最後のお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/52
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053・畑英次郎
○畑国務大臣 先ほど来和田先生から御熱心な問題点の御指摘を賜ったわけでございます。何といっても通産省という立場でありますがゆえに、さらにまた御指摘を賜りましたこの関連の業界に対する対応策、あるいはまた中小企業、零細企業に対します金融支援の問題等々、今御指摘いただきました問題点を念頭に置きましてこれからも努力を積み重ねてまいりたい、そしてまた万遺憾なきを期してまいりたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/53
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054・和田貞夫
○和田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/54
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055・白川勝彦
○白川委員長 次に、岩佐恵美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/55
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056・岩佐恵美
○岩佐委員 地球環境の保全は重要な課題であります。オゾン層保護法の改正案に賛成をする立場であります。
ただ、同時に、法の実施と今後の規制の進め方については考えるべき問題があります。持ち時間が大変短いので、まとめてお伺いをしたいと思います。
まず第一は、大企業の海外進出とフロン規制の問題であります。
近年、自動車、電機等の大企業の海外進出が進み、電気冷蔵庫などの生産も急速に海外に移行しています。日本の家電メーカーは、代替フロンの冷蔵庫の開発、製品化を行い、半導体などの洗浄剤でも代替フロンヘの移行が進んでいます。しかし、発展途上国は特定フロン等の全廃時期が一律十年間猶予されており、これを利用した海外生産が行われることが心配されています。
現に、タイで「日本は自国でフロンの使用量を減らし、発展途上国では逆にふやしている」と糾弾されたことがありました。三菱商事に至っては「その国の最低限の環境ルールを守ることは必要だが、何も先進国と全く同水準の規制をしなくてもいいのでは。コストダウンなど経済性を追求する企業本来の特性が薄らいでしまう」とまで発言しています。こうした企業利益第一主義の態度では、到底地球環境は守れないと思います。大臣の御所見を伺いたいと思います。
第二に、大企業の海外進出については、公害輸出を厳しく規制すべきであると思います。
日本政府は、米国とともにタイ、マレーシア、インドネシアとの三国とはそれぞれ三極オゾン会議を設置し、民間企業の自主的な努力に期待をかけていますが、三菱化成系のエイシアン・レア・アース社のマレーシアでの放射性廃棄物事件を挙げるまでもなく、自主努力では環境保全は達成できません。規制策を設けるべきだと思います。この点について伺いたいと思います。
第三に、特定フロン、トリクロロエタン全廃と中小企業対策について伺います。
特に、究極の洗浄剤とも言われているトリクロロエタンの使用用途は金属洗浄が圧倒的ですが、大部分は中小企業が使用していると言われています。小田切力オゾン層保護対策産業協議会事務局次長によれば、通産省はその使用実態さえ把握していないというではありませんか。代替措置が円滑にいかなければ、九五年にはユーザーがパニックを起こしたり、廃業に追い込まれ、日本の機械産業の存立基盤を揺るがすことになると指摘をしていますが、我が国の産業、経済への影響として具体的にどのようなことを考えておられるのか伺いたいと思います。
第四に、まず中小企業の使用実態調査を早急に行うべきだと思います。
第五に、代替措置への転換は遅々として進んでいないのではないでしょうか。特定フロン、トリクロロエタンの代替措置への各種助成制度の実施状況、利用状況はどうか、具体的に示されたいと思います。
第六に、代替洗浄装置の設置に一台五百万円から三千万円もかかると言われます。この不況の時期にとても自力では対応できません。中小企業の代替措置のための予算総額は幾らか。貸与制度の抜本的拡充を含め、もっと思い切って予算措置を拡大すべきだと思いますが、その点について伺いたいと思います。
第七に、トリクロロエタンの価格は、既に九三年は九一年の二倍になっています。二月の化学品審議会答申では「価格に関する監視」をうたっています。パニックが起きないよう、どう価格の抑制について指導されるのか伺いたいと思います。
第八に、これまで自動車、電機などの大企業は、部品メーカーや下請中小企業に過剰な洗浄を押しつけてきました。今回の特定フロン、エタンの全廃を機に、脱フロン、脱エタン対策を口実にして、大企業による下請の切り捨てや不利な取引条件の押しつけがあってはならないと思います。どのような監視、指導をされるのか。
最後に、以上の中小企業対策についての大臣の決意をお伺いして終わりたいと思います。
時間が限られておりますので、簡潔にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/56
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057・畑英次郎
○畑国務大臣 ただいま大企業という名前を挙げての御指摘を賜ったわけでございますが、いわゆる産業活動においてもそうでございますが、これからの人類そのものとしての大きな課題といいますものは環境問題ではなかろうかなというように考えますし、なおまた、先般話し合いがなされましたガット・ウルグアイこフウンドにおきましても、次なる地球規模の人類としての課題は環境であるというような意味合いのものが位置づけられておりますことも御案内のとおりであるわけでございます。
さような意味合いにおきましては、企業の大小を問わず、そしてまたそれぞれの国の人種を問わず、すべてのお立場での環境問題といいますものを大きく取り上げて問題解決に当たっていかなければならない。今回のオゾン層の問題につきましても、これはやはり人類滅亡に直結するというような意味合いの危険性を持っておる問題でありますだけに、これからもさらなる対応が急がれる、かように考えるわけでございます。
そういう中にございまして、中小企業等々に対しましては、御指摘がございましたとおり、その転換等々につきまして、金融面、税制面から、あるいはまた広報活動、啓蒙活動等々、我が方におきましてさらなる努力を傾けまして遺憾なきを期していかなければならない、これを痛感させていただいている次第でございます。
先ほど来御指摘がございました各先生方の御意思、御懸念を十分念頭に置いて、これからも取り組みを進めてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/57
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058・細川恒
○細川政府委員 価格の御質問がございましたが、価格につきましては、八九年から九三年までの間は上昇傾向にございましたけれども、九三年以降は低下傾向にございまして、安定的に推移しているものと理解をいたしております。今後とも引き続き市場実態の把握に努めまして、必要に応じ適時適切な情報提供等を行いたいと考えております。
もう一点御質問がございました特定フロン、トリクロロエタンの我が国産業界、経済界への影響でございますが、九二年十一月に全廃時期の前倒しか決定されたところでございますけれども、これまでのところ、生産、消費の削減が順調に進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/58
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059・長田英機
○長田政府委員 四点の御質問があったと思います。
まず第一に、中小企業の使用実態調査を早急に行うべきではないかという点につきましては、先ほど来申し上げておりますが、平成五年度に調査しましたところ、大体四割から五割の中小企業が転換済みでございます。ただ、これは十県についての数字でございますので、先生御指摘のとおり、これからもなお実態の把握に努め、さらにその転換の指導をやっていく必要があると思います。
それから、代替措置の進捗状況、各種助成制度の実施状況でございますが、進捗状況は、今申し上げたように大体四、五割がというようなことでございます。
各種助成措置は、融資、補助金、設備近代化資金等いろいろございますが、今一番典型的な低利の融資に例をとってみますと、中小企業金融公庫の低利融資で、この二年間で百七十件でございます。これは必ずしも多いものではないと思いますが、これからもなお一層普及啓発してまいりたいと思います。
それから、代替洗浄装置も価格が非常に高いというようなことで、中小企業は大変だということでございます。中小企業の予算につきましては、中小企業の情報センターに対する情報提供、中小企業事業団の情報提供に対する補助、それから技術開発の補助金等々、これは今フロンだけではないのでございますが、環境関係だけで今申し上げました補助金を合計すると十一億六千万円ぐらいになります。そのほかに先ほど申し上げました融資、さらに設備近代化資金の制度がございます。それから、先生が特に御指摘になられました設備貸与制度につきましても、特定フロンの代替装置は事業の対象になっております。
それから、下請の関係でございますが、何と申しましてもやはり下請企業がその転換を早く行っていくということが重要だと思いますので、これについて、いろいろな助成措置、それから普及啓発を行ってまいりたいと思います。ただ、何かトラブルがある場合には、下請振興協会でいろいろあっせんの労をとって、問題解決を図っていきたいと思います。
少々長くなって失礼しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/59
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060・岩佐恵美
○岩佐委員 御協力ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/60
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061・白川勝彦
○白川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/61
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062・白川勝彦
○白川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
参議院送付、内閣提出、特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/62
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063・白川勝彦
○白川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決まりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/63
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064・白川勝彦
○白川委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、尾身幸次君外四名より、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党及びさきがけ・青雲・民主の風五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者より趣旨の説明を求めます。大畠章宏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/64
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065・大畠章宏
○大畠委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、モントリオール議定書の改正により特定物質の政令による追加等が行われる場合には、オゾン層保護のためのその必要性、国内産業への影響等に十分に配慮すること。
以上であります。
附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/65
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066・白川勝彦
○白川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/66
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067・白川勝彦
○白川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決まりました。
この際、畑通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。畑通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/67
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068・畑英次郎
○畑国務大臣 ただいま御議決のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法案の実施に努めてまいりたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/68
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069・白川勝彦
○白川委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/69
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070・白川勝彦
○白川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/70
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071・白川勝彦
○白川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後八時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904461X00919940621/71
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