1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成六年六月七日(火曜日)
午後三時十分開議
出席委員
委員長 粟屋 敏信君
理事 石橋 一弥君 理事 谷 洋一君
理事 平林 鴻三君 理事 穂積 良行君
理事 吉田 公一君 理事 米田 建三君
理事 北沢 清功君 理事 山名 靖英君
越智 通雄君 金子原二郎君
栗原 裕康君 中馬 弘毅君
西田 司君 蓮実 進君
平泉 渉君 今井 宏君
小坂 憲次君 小平 忠正君
野田 佳彦君 吹田 愰君
増田 敏男君 山崎広太郎君
五十嵐広三君 池田 隆一君
小林 守君 畠山健治郎君
長内 順一君 佐藤 茂樹君
石田 勝之君 穀田 恵二君
出席国務大臣
自 治 大 臣 石井 一君
出席政府委員
自治政務次官 倉田 栄喜君
自治省行政局長 吉田 弘正君
自治省行政局公
務員部長 鈴木 正明君
自治省財政局長 湯浅 利夫君
自治省税務局長 滝 実君
委員外の出席者
地方行政委員会
調査室長 前川 尚美君
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委員の異動
六月七日
辞任 補欠選任
今井 宏君 野田 佳彦君
同日
辞任 補欠選任
野田 佳彦君 今井 宏君
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六月六日
消防法の一部を改正する法律案(内閣提出第六
八号)(参議院送付)
同月七日
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案(内閣提出第五一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七〇号)
地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う
関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七
一号)
────◇─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/0
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001・粟屋敏信
○粟屋委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智通雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/1
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002・越智通雄
○越智(通)委員 きょうはこうした質問の時間をお与えくださいまして、お認めいただきました粟屋委員長初め理事諸兄の御厚意に感謝いたします。
私は、昭和六十二年に地行に属しておりましたが、他の委員会の委員長を命ぜられまして、一年足らずで去ってしまいまして、いわば戻り新参でございますが、その間に数年たちまして、大分事情も変わっているだろうし、数字も動いていると思いますので、きょうは少し基本的なところからいろいろ教えていただきながら、本日出されております地方自治法の改正案その他について質疑をさせていただきたい、このように思っております。
冒頭からちょっと言いにくい質問ですけれども、大臣にお伺いいたしますが、知事さんの汚職がかなり続いております。愛知県の副知事も、奥田さんとおっしゃったかと思いますが、辞表を出されたということですが、昨年は茨城県の知事さんが事件を起こして、今なお勾留されております。宮城県の知事さん、そしてその前には、たしか平成元年ごろでございましたが、新潟県の知事さん、地方自治体のトップの方々、この方々に、このようなかなり派手なと申しますか汚職事件が出ておりますけれども、地方自治体を監督される立場の大臣としてどのような御所見をお持ちか、伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/2
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003・石井一
○石井国務大臣 御指摘の問題は、自治省また自治大臣といたしましてはまことに遺憾千万のことでございまして、深い反省とともに、さらに綱紀の粛正をしなければいかぬという気持ちでいっぱいでございます。
今地方分権というふうなことが言われておりまして、今後さらに行政の権限あるいは財政等を地方へお渡ししなければいかぬというこのときにこういう事象が次々に出ておりますということは、基本的な問題を問いかけられておるというふうなことにもなるわけでございます。もちろん御案内のとおり、中央におきましても、昨日予算委員会におきましてゼネコンの集中審議をやったというふうなことでございますから、これは地方のみならず中央におきましても反省の求められておる問題であり、日本の政治土壌といいますか、体質全体について問いかけられておる問題ではなかろうかと思います。
そういうふうな観点から、政治改革関連法案なりそれに含まれております腐敗防止、連座の強化、資金の透明性等につきましても、本院におきましていろいろ議論をしてまいったことでございますが、地方の首長の綱紀粛正という問題に関しましては、大変大きな社会的な問題を投げかけておりますので、今後さらに引き締めて、こういう国民の不信が増大しないようにやらなければいかぬということを強く心に期しておるところでございます。
自治省の立場で、深くおわびも申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/3
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004・越智通雄
○越智(通)委員 そうしたときに、私自身から見ると、お役所としての自治省は、地方団体に対して一体どういうスタンスをとるんだろう。本当は、そのようなことがあったら、まことにけしからぬ、もっともっと厳しく地方団体を監督する、もっともっと細かく地方団体を指揮指導するという考え方になるのか、あるいは地方分権、地方分権と言われているように、なるべく中央からのコントロールはなくして、もっともっと権限を与えて、もっともっと自由にやりなさい、子供の育て方でいえば、自由放任の方がいいと思っているのか、親がもっとしりかり、あっちの塾に行きなさい、こっちの塾に行きなさいという育て方がいいと思っているのか、そこら辺の自治省のスタンスが私は大変解せないんですね。口で地方分権と言いながら、実は陰で相当ひもをつけておかないといかぬと思っているんじゃないかな。
現に、四十七都道府県知事の中に自治省の先輩が、私の計算では四分の一から三分の一ぐらいいらっしゃるわけですね。自治省にいた方が知事さんないしは副知事さんに行っている。副知事さんの中には、いずれ知事ということで行っている人もいるんですよ。いわば予備軍もいるんです。それを入れたら相当な数になるんですね。これはむしろ事務当局でいいですけれども、一体自治省の本来地方自治体に対する基本スタンスというのはどういうところにあるんですか、もう一遍教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/4
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005・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 地方自治体の首長が公共工事に関連いたしまして、昨年不祥事件が生じたということは、まことに遺憾なことでございます。
このことにつきましては、大臣から基本的なお考え方をお話し申し上げましたが、私どもといたしましても、事務次官通知をもちまして、地方公務員の公務員秩序の確立ということで綱紀粛正についての通知もいたしております。あわせて行政運営のやり方についても見直しあるいは改善をする必要があろうかということから、公共工事のあり方、入札・契約手続の改善につきましても、建設省とも協議をいたしまして、その中で一定の改善方向を打ち出しまして、既に地方団体にも通知をしているわけでございます。もともと、こういう不祥事件というものは個人個人の自覚にまつ面が非常に大きいと思いますが、あわせて行政運営の改善も必要であるというふうに思っております。
そして、今まさに地方分権ということが大変言われている中でございます。こういう事件が出てきますことは、ごく一部の団体であるにせよ、やはり全体の地方分権の動きにいろいろ水を差すようなこともあるので、まことに残念なことだと思っております。そういう中ではございますが、地方分権というものは、やはりこれからの国と地方のあり方を考えて、特に身近な行政は身近な地方団体の責任で、その手によって行うということが最も望ましいという見地から、これを進めていくということにしているわけでございます。
そういう中でも、やはり問題は、分権を進めましても、いろいろな問題が生じてはいけないわけでありまして、まさに分権ということになればなるだけ、地方団体の責任と自覚が要請されるわけでございますので、そういう点でこの問題に対処していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/5
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006・越智通雄
○越智(通)委員 行政局長のおわびみたいな御答弁ですけれども、本当言うと、やはり中央と県との関係というのは、本当にそんなに任せて大丈夫だとしんから思っていらっしゃるのかな。これは非常に心配なわけですね。
まして、今ちょっとお触れになりましたけれども、今度は、じゃ、都道府県と市町村の間だって、本来の地方分権からいったら、もっと自由にしなきゃいけないんでしょう。東京で容積率を上げてくれと言うと、区長がようやり切れなくて、みんな、それは東京都の通達があるからなんてやっているんですよ、実際問題は。都道府県と市町村の関係も自由化というか、分権していかなきゃいけないということを、もう一遍伺っておきますが、それでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/6
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007・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 我が国の地方制度は都道府県と市町村の二層制になっているわけでございまして、市町村が基礎的な地方公共団体として住民の身近な行政を処理していくということでございます。そしてまた、県は広域的な行政体として広域的な見地から仕事を進めていくというふうになっておりまして、それぞれの分野が相協力しまして、その団体が協力して一体として住民サービスの向上を進めていくというようなことでございます。やはり市町村の自主性、自律性というものは当然尊重されていくべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/7
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008・越智通雄
○越智(通)委員 都道府県と市町村の二層制というお言葉を使われましたけれども、二層制というのは今後ともそれでいいと思っているんですか。それとも地方の行政主体は市町村だと思っているんですか。それとももっともっと都道府県を強くされようとしているんですか。
実は、私が予算委員会で昨年十月四日に細川内閣に聞きました。細川さんが知事の御出身だし、官房長官の武村さんが知事の御出身だから聞きましたが、余りはっきりしませんでした。細川さんは、どちらかというと小さい小さい村にもそこに歴史があるんだからそれを守っていきたいというような言い方をされましたけれども、自治省が考えている日本の地方公共団体の理想像というかビジョンというのがはっきり出ていないのですよ。ですから、そこら辺、何かお考えがあるんだったら、きちっとぜひ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/8
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009・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 先ほども申しましたように、都道府県と市町村がございまして、それぞれの役割分担につきましては地方自治法二条にも規定がされているわけでございますけれども、市町村がまず身近な地方公共団体として、基礎的な公共団体として、住民生活の身近な行政はその団体の事務としてこれをやっていくということが大変必要なことだというふうに思っておりますし、都道府県については、市町村ではなかなか処理できないようなものを広域的な団体としてこれを処理していくということで、両方が相まって地方自治を充実していくということになるのだろうと思います。
特に最近地方分権の推進が言われておりますが、そのことは、市町村だけあるいは都道府県だけということではなくて両方とも、都道府県も市町村もそれぞれの役割に応じて事務権限の充実を図っていくし、また財源の充実も図っていくということだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/9
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010・越智通雄
○越智(通)委員 今の説明、もう一遍後で聞きたいと思うのですよ。二層制の方がいいんだみたいなことを言っているけれども、東京都の処理のときだけは、東京都と特別区は二層制だからまずいとあなた方言っているのですよ、本当は。それは後でやりますけれども。
大臣にお伺いしておきます。
小沢さんはおたくの党の代表幹事でしょう。代表者でしょう。市町村が主体だとおっしゃっているんでしょう。そして市町村が今三千二百八十だったかありますね。多過ぎる、一割ぐらいにしろ、一億二千万人を三千からの市町村で割ったら四万人になってしまう、一単位が。それではいけないから三百ぐらいで割れ、たまたま小選挙区と同じ数字になりますけれども。そうすれば一単位四十万ぐらいでいいじゃないかという議論をされ、本に書かれていると私ども認識していますけれども、そういう小沢さんのお考えは石井大臣などは御賛成なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/10
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011・石井一
○石井国務大臣 私は小沢一郎氏と全国の自治体の問題について議論をしたことはございません。
ただ、あそこに指摘をしております問題は、私の想像でございますけれども、三千三百という単位の中に何か二百名の村というのが二つあるというふうにも聞いておりますが、そのように千差万別の市町村の状態のまま、今いろいろな行政の面で広域化してきておる。恐らく、そういう状況の中でいろいろやりにくいだろう、スタッフの面でも予算の面でもというふうなことから、おおむね三十万なり四十万という単位があればその辺の問題についてはある程度画一的に問題の処理ができやすいだろうということを言っておるわけであって、それが絶対的であるということの主張のようにも私は思っておりません。
ただ、それとは考え方は違いますけれども、自治省に入ってみまして物を調べておりますと、いわゆるパイロット計画等々の問題とか中核市に関する構想あるいは広域連合などというのもどちらかといいますと、それぞれ考えの発想は違いますけれども、やはり今の三千三百の市町村ではまとまりが悪いのでそれを少しでも有機的につないで、そういう中から住民のニーズが十分達せられるようにしようという、そういう発想でありますから、今回のいろいろのそういう問題提起、例えば知事なりなんなりに権力が集中しておるというふうなことを今後どう排除するかという問題と、それからもう一つ、住民のサイドに立って行政をスムーズにする、現在の時代の要請に合うようにどうするかという、この二つのある意味ではちょっと二律相反するような問題でございますが、これを同時に決着していくというのが今後の地方自治の目的ではなかろうか、そういう認識を私はいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/11
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012・越智通雄
○越智(通)委員 まさにその点はそのとおりなんですけれども、実態は、大臣、それはなかなか変えにくいかもしれませんが、三千三百の中は、実は数も多いけれどもばらつきも大きいわけですね。三千三百と計算すれば、政令指定都市まで入っているとするならば、一番大きい横浜市は三百三十万人ですよ。十六区あるんですよ、横浜の中に区が。一つの区で四十五万人いる区があるんですよ、横浜市緑区。僕の選挙区ではないけれども、同じ関東だからよく知っています。
これは行政局にまず聞きたい。片や、市になるときは五万人なければいかぬと言ってやった市が、今一番小さい市は何万人ですか、三万ぐらいじゃないのですか。三万で切ったのですか、当時。五万で切って。それを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/12
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013・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 市町村の、特に市の人口規模でございます。まさに千差万別でございまして、三百万人を超える横浜市から非常に少ない市までございます。
市の成立要件としては、現在五万人でございます。かつて三万人という当時もございました。しかし、三万人で市になった市がその後いろいろな事情で人口減少を来してきまして減ってきている団体も数多くありまして、今一番少ない市の人口は七千八百三十六人というのがございます。これは北海道の歌志内市でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/13
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014・越智通雄
○越智(通)委員 私の選挙区でいえば、それは一種の町会の単位ですね。
このままでいいのではなくて、市町村の合併を促進する法律というのがあってやってきたわけで、それが昭和三十年代、一生懸命やりました。その後余り進んでいないようで、来年の三月三十一日には期限が切れるんでございましょう。やはり市町村合併という旗印はもう一遍掲げ直して、どういうようなタイプの市町村が望ましいかというモデルというかイデアルチップスというか、そういうものをもうちょっと示してやらないと、三百三十万と七千五百人でそれが同じ市でございます、こういう格好で行政が行われていること自身、大変不思議だな。変革とおっしゃるならば、何でも見直そうとおっしゃるならば、ここらこそ一番先に見直してもらわなければいかぬ。
殊に市町村の場合には、そこに実は全部議会があるわけですね。そして住民の自治が行われている仕組みになっているんだけれども、その自治の仕方が必ずしも十分でない。各都道府県、各市町村を見てくると、投票率は軒並み下がっているのですよ、ここ十年、二十年で。昭和二十年代には八割から九割の投票率があったのです、こう見ていくと。昭和二十六年、県会議員の投票率八三%、知事も八三%、市長の投票率九〇%。それが平成三年では、県会議員が六〇%、知事が五五%、市長さんが六六%。二〇%から三〇%下がっていますよ。それだけ幸せになったというか何か知りませんが、地方自治の根本である住民参加というのがこんなに薄れてきている中で、しかしそういう小さな単位でも全部議会を持っている。その議員の数が結構多いわけでございましょう。そこにやはり一つのフィクションといいますか、問題点があるんじゃないか。
今市町村会議員の数だけで六万二千人いるのですよ。県会議員が二千八百人、三十倍ぐらい、二十何倍かの市町村会議員さんがいる。議員さんが本当に働いて、その議員を通じて本当に地元の住民の声がそうしたコミュニティーに反映できるような仕組みになっていないのではないかと思うから、今回出されている地方自治法の改正案というのは、ちょっと失礼な言い方だけれども、家でいえばペンキを塗り直してごまかしているような感じがしまして、もっと根本にさかのぼってお考えいただかなければいけない非常に大事なところで、まして合併法の法律の期限が来ているこのときなんですから、基本的なものを出していただくというわけにはいかないんでしょうかね。局長さん、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/14
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015・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 地方分権の推進あるいは地方自治の拡充ということで常々私ども努力してきたつもりでございますし、また関係の地方団体からの要請も非常に強いわけでございます。
国から地方への権限移譲でございますとか、国から地方への関与の是正でございますとか、地方の財源の充実というようなさまざまな課題がございます。一つ一つなかなか大きな課題でございます。これは全体として進めていかなければならない最も重要な課題だというふうに認識をしておりますし、特に先般は、国会の方でも地方分権の推進についての決議も各党間でしていただいております。また政府の方におきましても、行政改革推進本部の方に地方分権部会というのをつくりまして、これがこの一年かけまして地方分権の大綱方針というものを年内につくっていこうというふうにもしております。
そういう中で、今回は地方自治法の一部改正案を国会に提出して改正をお願いしているわけでございますが、これは二十三次の地方制度調査会から昨年の四月に答申がございまして、最近多様化してきている広域行政需要に的確に対応するシステムをつくって、そこに国や県からの権限移譲が直接できるような広域連合をつくろうというのが一つ。それから、さっきもお話がありましたが、市町村の規模能力は千差万別でございます。今政令指定都市については一定の権限が付与されておりますが、そこまでいかない人口規模の都市についても、政令指定都市に準ずるような都市については政令指定都市に準じた事務権限の強化をしようというようなことにいたしまして、基礎的な具体策として住民サービスの向上を進めていこうというような内容の答申をいただきまして、これを具体化いたしまして今回国会に御提案申し上げて、本日も御審議をお願いしているわけでございます。
地方分権全体の中でのまずは第一歩ということで位置づけられるのではないかというふうにも考えておりまして、一つ一つ具体の問題を解決していくということが大変重要であろうというふうに考えている次第でございます。そういうことで、いろいろなことを検討しながら今後とも地方分権の推進については努力をしてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/15
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016・越智通雄
○越智(通)委員 今局長さんのお答えを聞いているとますます一時しのぎの工作をされているような気がしてしようがないのは、都道府県の次に政令指定都市があった、法律上は五十万人以上と書いてあるのに、百万人以上ということで今やっている。仙台市がやっと上がった、クリアしたというかハードルを越えた。その次に中核都市というのをまた今度はつくろうとしているんでしょう。その下に今度は普通の市町村があるんだ、こう言っているんです。だから、県が一番でっかくて強くてというか、それから政令指定都市があって、中核都市があって、普通のがある。それで市の横の方に一部事務組合があって、事務組合がより広くより多目的になったものが広域連合だ、こう言って出しているんでしょう。この構図は物すごくわかりにくいんですね。我々は勉強してやっと理解はしていますけれども、一般の国民にこれは一体わかるのだろうか。
その中で、二つ聞きたい。あなたの話を聞いていると、地方分権の行き先は、権限の渡し先は市町村段階で、県じゃなくていいんですね。これは地方分権をやっている方に、どっちへ渡すんだと言うと、県か市か、ともかく中央官庁が離すと言ってから、おまんじゅうの顔を見てからどっちが分けて食うか決めるんだ、こう言うんですから、わからないんですよ、大臣。地方分権といって、だれにその権限を渡すつもりでお話しなさっているんですか。局長さんでいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/16
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017・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回の自治法の改正では、指定都市に準ずる都市であります中核市について事務権限の強化を図ろうというものでございますが、地方分権の推進といった場合、国からの地方への権限移譲というのは何も市町村だけではございませんで、国から県へということも当然あるわけでございまして、先ほども申し上げましたが、両方ともそれぞれの機能が十分発揮できるように事務機能を充実していくということだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/17
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018・越智通雄
○越智(通)委員 そこら辺が基準も何もないんですよ。どういうものは県に渡してどういうものは市町村に渡すんだ、まだ地方分権のどれをするかは決めてないと。細川内閣ができてもうかれこれ十カ月、中身が詰まっておらぬ。ここら辺は私は非常におかしいなと思って見ているわけです。
そしてもう一つ聞きたかったのは、一部事務組合とおっしゃる。一部事務組合というのは独自の収入を持っているわけじゃないんです。支出だけはかかるんです。一部事務組合というのは県にはないんだから、結局は市町村の分でしょう。市町村が横に幾つかが連なる。そうすると、結局は市町村の収入でもって一部事務組合というものは賄っていく。だけれども、一部事務組合をつくればそこに経費はかかるのですよ。議会をつくれと書いてあるでしょう。議会をつくっている人たち、僕らも知っている。その議員さんは全部兼職ですよ。行くと日当をくれるんだよ。こっちの市議会議員で、歳費というんですか報酬というんですか、ちゃんともらっている。しかし一部事務組合の議会を兼職しているから、そこに行くとまた別途くれるんですよ。
一部事務組合の経費を見ていくと、一年間に一組合で実際には何百万円かかかっておる。こんなものをたくさんつくらせて、今たしか二千二百八十ぐらいですか、ある意味では多いですよ。二千二百八十あるといったら、四十七都道府県に分ければ五十個以上あるんですから。東京は二個しかありませんけれども。失礼な言い方だけれども、地方の方は交通が不便だとかいろいろなことからやっていらっしゃるのかもしれませんが、かなり多い。そういうことでやっている。
さらにそれを多目的にしようと言っているんでしょう、今度の広域連合は。福祉のための事務組合だ、いや清掃のための事務組合だ、一々やっていたのではたまらないから束ねてしまえと。どんどん多目的にしたら、これは実際には市町村そのものじゃないですか。収入だって市町村の収入をつぎ込んで動かしているんだから。広域連合というのは一体どのくらいの数にしてどこまでやらせるつもりですか。これはまさに市町村合併の、何というか、穴があいてしまったみたいな格好で、私から言うと、はっきりしたビジョンが出てないと思われるんですが、局長、どういうふうなお考えでこの広域連合を進めているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/18
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019・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回御提案申し上げております広域連合でございますが、現在の一部事務組合について、いろいろ限界もございます。例えば一部事務組合については直接国や県から権限が移譲できないということとか、あるいは一部事務組合の方で関係の構成団体の方に、そのイニシアチブで規約の変更、事務内容を変更することを要請することができないというような問題等もございます。
そういうような問題を是正して、現在の一部事務組合よりも広域連合はより構成団体からの自主性、自律性を持ったような関係の団体をつくっていこう、広域連合の方では広域計画というものをつくりまして、それによって構成団体も広域行政を進めていくというようなこととか、あるいは事務権限の移譲については直接国や県から受けられるということ、それから規約の変更についてもみずからのイニシアチブで構成団体に要請ができるというような仕組みをつくっていこうというようなものでございます。
そういう中で、広域行政というものをより的確に適切に運営できるような仕組みをつくっていこうということでございまして、言ってみれば枠づくりでございます。制度をつくりまして、その活用をするのは、どういう事務を想定してどういう団体がつくるかというのは、まさにそれぞれの地方公共団体の置かれた状況が違いますから、その状況に応じてこの制度を活用していただければいいというふうに考えているわけでございます。
それから、先ほど市町村の合併の話についてもございましたが、この問題につきましては、お話にもございましたが、現在の合併特例法が来年の三月で期限が切れるというときを迎えまして、今いろいろと地方分権に関連いたしまして合併の話も方々で出ております。また、現に地方団体の方でもそういうような動きが出ているところもあるわけでございます。
これらを踏まえまして今後どうしていくかという問題があるわけでございまして、私ども自治省の方に自主合併についての調査研究委員会というのをつくりまして、そこでいろいろ御論議をいただいたということでございます。
その中で、合併につきまして、当然、市町村の共同意識の醸成とかあるいは市町村とか住民の自主的な判断は前提としなければならないけれども、合併というのは、地域の一体的な整備とか行財政水準の向上ということから有効適切な方策であるというような報告書もいただいております。そしてまた、この報告書の中で、さらに、今の合併特例法の特例措置についても見直しをするということも必要であろう、さらには、住民の発議制度ということも導入したらどうかというような御提言もいただいているわけでございます。
現在、二十四次の地方制度調査会がこの四月から発足をしておりますが、その中でもこの合併の問題についていろいろ専門的な立場から御検討いただくことになっておりますので、その答申等も待ちまして、来年三月で切れます合併特例法の後をどうするかということについても十分検討してもらいまして、市町村が合併を選択した場合には円滑にこれが進むように進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/19
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020・越智通雄
○越智(通)委員 期限の切れる合併促進法はぜひ延長してもらわなければいかぬ。しかし、その中身はよく見直してもらわなければいかぬ。目標は、合併がより進むように見直してもらわなければいかぬ。これはもう、大臣よろしくお願いいたしますよ。
ただ、合併はなぜいいか。企業の場合もそうですけれども、リストラができるんですよ、本当は。スケールメリットができて、人数を減らしていかなければならない。一部事務組合とかこれからやる広域連合というのは、実は人がふえているのです。リストラの逆なんです。増員になっているのです。地方公務員は今三百三十万人、この中には公営企業の関係の四十万人も入っているのです。これは年々、平成の言葉を聞いてからふえているのですよ。平成五年が一万六千人ふえているのです。県庁の方で、都道府県で二千数百、三千入減ったんだけれども、市町村組合のところで一万九千人ふえている。市町村組合というのは、実は組合を市町村の計算に一緒にぶち込んでありますけれども、私が持っている別の資料によれば、まさに一部事務組合でふえている。今後広域連合をやつたらまたこれはふえますよ。
三百万人が一万人ぐらい年々ふえたっていいじゃないか。私はそうじゃないと思うのですね。もともとこの三百万人の中で一番大手はだれだと。教育公務員でしょう。百三十万人いるんでしょう。今、小学校、中学校の義務教育の生徒が減ってきているのですよ。四十人一単位だか四十五人一単位だかで計算して、教師の数を計算したら減るんですよ、本来は。減る要素ですよ。にもかかわらず、地方公務員がふえている。余り直接の比較にはなりませんけれども、国家公務員は大臣御存じのように五十万人台ですからね、実際には。
すると、この一部事務組合、それを大きくしたような広域連合、そして今、地方財政が厳しい中でますます人件費をふやしていくという方向で改正をされようとしているのですけれども、自治省、失礼ですけれども、これはわかっていてというか何というか、将来をどうお考えになってやっているのか。公務員の数、どのようにお考えになっているのですか。総定員法がないのはいい、幸いにと言ってはおかしいけれども、総定員法はつくりにくいですよね、恐らく地方公務員では。それはよくわかるのですよ。国家公務員みたいな総定員法をつくりにくいのはわかるけれども、しかしそこは、何かきっちり自治省は考えていかなければいけないんじゃないですかね。どうお考えですか。これはだれだ、公務員部長かな。
〔委員長退席、吉田(公)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/20
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021・鈴木正明
○鈴木(正)政府委員 地方団体の定員の管理の問題でございますけれども、言わずもがなでございますけれども、基本的には、地方団体で自主的に適正な定員管理に取り組むというのが基本でございますが、自治省といたしましては、これまで、人口とかあるいは産業構造上同じような団体、いわゆる類似団体と言っていますが、そういうところの団体別の職員数の状況などをまとめて発表したり、あるいは定員モデルと言いまして、都道府県あるいは都市、町村、それぞれ段階ごとに物差しとなるようなモデルを開発してそれを示して、地方団体の方で、自分のところをそれに当てはめてみてどういう状況になっているのかということを、そういうモデルを開発してお示しする。そういうことで、そういうものを活用していただいて定員管理の適正化に役立ててもらう。当然、国の第八次の定員の計画というものを参考にしながら適正化を進めていくように指導をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/21
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022・越智通雄
○越智(通)委員 そのほかに八条職員の問題なんかもありますが、これは細かいから別にしましても、公務員の数があるから同時に人件費がかかっているわけでしょう。
私の見ているところでは、皆さんの方の統計では総務費と書いている。この中に人件費とか行政部費がみんな入っちゃっているのですね。平成三年度ベースで、都道府県で四十五兆の総経費の中で四兆六千億、一割は行政費ですね。通常こういうところは土木が多いのですけれども、都道府県の場合には教員がこっちに入っちゃっていますから、教育費が一番大きくて、土木が次で、その次が行政費ですよ。市町村の段階になると、土木が一位に上がって、それで二位が行政費というぐらい。これも、市町村が四十三兆の中で六兆五千の行政部費がかかっている。行政部費というのは人件費と庁費ですから、やはり大宗は人件費と見なければいけない。
これはやはり、私は、地方財政のあり方としては、人数の管理と同時に経費の管理である程度のめどをもってぴしっと抑えさせていかないと、地方財政きついきついと最後にはいろいろ大きな数字で問題になる中で足元から崩れていくように思うのですけれども、これは財政局長さんかな、どういう指導をしているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/22
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023・湯浅利夫
○湯浅政府委員 人件費のお話でございますけれども、地方団体の財政の決算を見る場合には、実は目的別の内訳で今お話しの総務費だとか教育費だとかというような場合には、それぞれの経費に人件費を割り振っております。ですから、それだけではわからないものですから、財政分析のためには性質別の内訳ということで、性質別に経費を分析することにしております。
そういう中で見ますと、都道府県分の場合ですと、平成四年度の場合、人件費が歳国会計の約三〇・六%、それから市町村の場合ですと人件費が二〇・五%、これが人件費として分析されているものでございます。都道府県の方が人件費のウエートが多いのは、義務教育の教員の給与を全額負担しているというようなこともございましてこういう格好になっているわけでございますが、いずれにしても、人件費というものは財政構造を硬直化させる一番の大きな要因だということで、極力人件費は財政面からも抑えてほしい、抑制したいということがまず私どもも考えているところでございます。
従来から、給与単価につきましては国家公務員よりも地方公務員は高いんじゃないかというような御指摘も随分ございましたけれども、ラスパイレス指数という指数で国家公務員と比較いたしますと、一〇〇をかなり超えていたものが逐年だんだん下がってきておりまして、最近ではかなりラスパイレス指数も正常な形、一〇〇に近い形になってきたというようなことがございます。
それからやはり、単価と人数を掛けると人件費になるわけでございますから、もう一つの要素は人数が問題だと思います。御指摘のように、人数は極力減らして身軽な姿で行政を行うということが望ましいことは言うまでもないわけでございますが、先ほどのお話のような、教育でございますとかあるいは警察官、消防職員、福祉の職員というようになかなか減らすことのできない分野というものもございますが、一般職員については極力減らすという方向でこれからもお願いしなければいけないなということで、これからも、行政改革におきましてはこういう定員管理というものをもっと厳しくやる必要があるんじゃないか、こういうことで今、市町村にも都道府県にもお願いをいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/23
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024・越智通雄
○越智(通)委員 今、人数のみならず、単価といいますか、そのお話も出ました。実情では、ラスパイレスが大きいと本当に困るのですよ、もうよくおわかりと思いますけれども。
警察官が警視正になった瞬間に給与が下がっているんですよ。あそこから国家公務員ですからね。地方公務員が国家公務員に切りかわった途端に一号ぐらい下がるでしょう。今で一号ぐらいかな、かつては二号ぐらい下がったんですよ。そこでやめさせられてしまうと、大体県庁所在地の警察署長さんですよ、やめさせられてしまうと、年金も退職金もこれは相当に狂うんだな。ですから、こういうおかしな現状が残っているのは困るので、公務員の給与は大体なだらかに行かないと、地方公務員から国家公務員に強制的にというか自動的に変わるのは警察ですからね、あそこのところは、とてもおかしな現象が起こっていることは、大臣おわかりだと思いますが、なだらかにすることを考えていただきたい。
そこで、今のそういうお話から出てくるのは、結局また収入の話に今度は移っていくわけですけれども、人件費が二割だ三割だということは、支出がほとんど硬直的なわけですよ。硬直的と言ったらあれかもしらぬけれども、それは当然そうだろうと思いますね。ですから、そういう地方団体の収入は逆に波打たれたのでは困るわけだ、波動したのでは。一定じゃなければ困るわけだ。
だから、市町村住民税と固定資産税が大宗である市町村段階の財政は、私の見ている限りでは大体ひらひらだ。平成四年でも赤字団体が三千三百のうちの十くらいだ。要するに少ないということです、大体とんとん。都道府県はかなりきついと私は思いますけれども、これは財政局長なのかな、都道府県の最新の数字を持っていないけれども、五年度決算は無理かね、四年度決算で一体都道府県の財政収支はどのくらいになっていますか。私の知っている限りでは、東京都ですら、全部積立金を取り崩すことによって、やっと辛うじてひらひらというか、要するにとんとんに踏みとどまったというくらいの感じで見ているのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/24
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025・湯浅利夫
○湯浅政府委員 各都道府県の、今わかっているのは平成四年度でございます、平成四年度の決算で見ますと、最近の経済の状況を踏まえまして、都道府県税が前年度を下回っている府県がほとんどでございます。特に、今御指摘の東京都のような財政力の大きい団体ほど税収の落ち込みが激しい、こういう状況になっているわけでございまして、総体でいたしましても減りまして、昭和五十年度以来十七年ぶりに決算で前年度を下回ったというような状況になっております。それに交付税を加えましても一般財源は前年度より下回っているという状況でございまして、これを地方債で補いまして、そして形式的には決算はすべての団体が黒字になっております。黒字になっておりますけれども、内容的には、地方債を大幅にふやすことによりまして収支を償う、こういう状況になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/25
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026・越智通雄
○越智(通)委員 一言で言うと実質赤字ですね。これは、当面どうそれを補給してやるかという話も大事かもしれないけれども、その基本的な構造を直すということを早急にやらなければいけない。そんな思いがあって皆さん、地方消費税なんて言い出しているんだろうと思うのですけれどもね。
今一番税収で都道府県でおっこちているのは法人事業税でしょう。法人事業税が、僕の持っている資料では六兆までいったことがあるんですけれども、今はせいぜい、平成五年度で五兆いったかいかないかというところじゃないかと思うのです。五年度の数字はまだとれませんけれども、一兆以上落ちていると思うのですよ。法人事業税というのは余り都道府県税としては適しませんね、景気で波が来るんだから。どうですか、法人事業税なんというのはもっとほかの税目とかえる、これは税務局長さんか、地方消費税を言い出した以上は、そのくらいの決意がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/26
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027・滝実
○滝政府委員 仰せのとおり、都道府県税の中での特徴が法人所得課税というもののウエートが大きいために年度によって大変収入に落ち込みを生ずる、その主たる原因は法人事業税であるということはまさにおっしゃるとおりでございまして、平成五年度と平成四年度と比べましてもそういうような状況が出ておりますし、この辺のところが本来的な課題でございます。
私どもの提唱いたしております地方消費税というのは、基本的には都道府県の税収の安定化をどうやって図るかという観点からこういうものを都道府県税として仕組んだらどうだろうか、こういう発想でございますので、おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/27
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028・越智通雄
○越智(通)委員 いや、私は大蔵省にいた人間ですけれども、皆さんの言い分をよく理解している方のつもりで、地方団体としてはやはり景気の波動を受けない税ということと各都道府県になるべく均分した税というものを考えなければいかぬ。税財源をどう国と地方とで取り合うか。殊に、地方の場合に、都道府県と市町村、この国、都道府県、市町村のどこに税源をうまく配分するかというのは税制の根本ですから、その意味ではよく気持ちはわかるのだけれどもね。
その問題に入る前に、もう一つだけ。だれか専門家がいらっしゃると思うのだけれども、法人事業税は分割基準を随分かねてから変えてきたのですよ。東京の政治家だから恨み節で言うわけじゃないけれども、相当むちゃくちゃな分割基準をやっているんだね。本社に百人いると五十人の計算です。栃木県かなんかにある工場は、百人いれば二百人の計算です。そういうことで分割しているように理解しているのですけれども、今どういう法人事業税の分割基準をとり、それは通達ですか、何ですか。そこら辺、詳しい人はだれかいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/28
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029・滝実
○滝政府委員 法人事業税の分割基準は、基本的には地方税法で定めをいたしております。業種によって多少異なるのでございますけれども、一般的な事業で申し上げますと、本社の従業員のウエートは二分の一にする、それから地方のいわば工場の従業者数については一・五倍にする、こういうことにいたしております。
これは、なぜこういうことをいたしているかと申しますと、基本的には、法人事業税でございますから、その都道府県ごとの収益と申しますか、課税標準がどこの地域に帰属するかという帰属地を探すのがなかなか難しい。その帰属地を探すのを、私どもは、基本的には敷地それから従業者数、そういうようなものを基準にして探るべきだ、こういう観点でやっておりますので、敷地の面積とか従業者数、そういうものを案分してまいりますとただいまのような数字が出てくる、こういうことに基づいてやらせていただいているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/29
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030・越智通雄
○越智(通)委員 敷地の基準を入れているだけで工場の方には余計行くわけです、本当は。本社よりよっぽど広いのだから。それに、おまけに人数まで換算率を掛けているので。私は、そんな無理してまで法人事業税を維持することはないじゃないか。無理をしているということはその税が地方税として余り適当でないということなんですよ。その証拠だと思うのですね。地方税に余りなじまない性格だ。どうしても都会に集中してしまうという傾向があるものだから、それをどうやって広げようかと思うから無理なことをおやりになっているように思うので、そういう点からも法人事業税はどうも向かないな、こう思っているのです。
それからもう一つ、地方の税収をもっと安定させるのだったら、固定資産税、あれは評価で余りあんなにいろいろやらないで、むしろ税率を自由にした方が、税務局長さん、僕はいいと思うのですよ。固定資産税にだけかな、ほかにもあるかもしらぬけれども、つくられている標準税率という制度はいかにも不自然ですよ。税の根本は、どの課税物体にどの課税主体がかけるかというのはさっき申し上げたあれだけれども、あとは最高スピードの制限だけあればいいのですよ。最高税率は、固定資産税はたしか千分の二十でしょう。なのに、千分の十四というのが標準税率だと書いてある。いいですよ、単にそれが訓示規定ならば。そうじゃないのだ。
地方財政法であなた方は書いたでしょう、標準税率以下の税収のところでは起債を認めない。これはおどかしですよ、まさに。だから、ほとんどの市町村がいっぱいいっぱい取っていますよ。ないしは、それ以上取っている。これはもっと自由化した方がいいと思う。千分の二十以下なら何ぼでやったって、地方分権と言って、規制緩和とおっしゃっていうんなら、そんなところまで、さっきから言っているおたくのスタンスだよ、手とり足とり、おどかし半分に規制することないと思う。おたくに、昔使っていた、昭和二十年代につくった要綱だか通達があるんだよ。それでがちがちに書いてあるために、以来、いまだに千分の十四が生きているんだ。どう思いますか、税務局長さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/30
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031・滝実
○滝政府委員 確かに固定資産税につきましては、標準税率を千分の十四にいたしまして、制限税率を千分の二十一、こういうふうに定めさせていただいております。(越智(通)委員「二十一ですか」と呼ぶ)最高税率が二十一ですね。条文では百分の二・一、こう言っているわけでございますけれども、そういうふうに定めております。
もともと、地方税法で規定する場合に、基本的には三つの税率を使っているわけですね。一番多いのが標準税率、要するに、それが一つの軸であって、幅がありますよというものがございます。その幅を限定するために制限税率という上限を定めているというのが、制限税率の意味でございます。それからもう一つは、そういう標準税率、制限税率の組み合わせでなくて、一定税率、もう既に地方税法できちんと決めちゃっている、こういうものがございます。例えば利子割のようなもの。そういうような、いわば一種の流通税のようなものは、やはり経済的な中立性を保つということが必要でございますから、どうしても一定税率ということにならざるを得ない。こういうことで、利子割なんかはそういうふうにさせていただいております。
それで、問題の固定資産税のようなものについては、いろいろな御意見があろうかと思うのでございますけれども、やはり日本の場合には、どうも隣近所が気になる、こういうような感覚で、これはやはり一つの標準税率のようなものを定め、それによって多少地域の独自性を出すならば、制限税率の範囲内でそれなりの自由度を保つ、こういうような仕組みしか残らないんじゃないだろうかな、こういうことでやらせていただいているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/31
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032・越智通雄
○越智(通)委員 固定資産税というのは、今度評価を上げたからもっと上がると思いますけれども、一年間に七兆以上あなた方取るわけだね。市町村段階の税収は十九兆、二十兆でしょう、年間に。そうすると、個人の市町村住民税が七、八兆で、固定資産税が七、八兆、常識的に見れば。今度はもっと上がると思うんだ。これは、今は平成四年ぐらいのベースの話ですから。評価を上げたのならば税率をもっと自由にしなかったら、現に裁判が起こっているでしょう。もっと地方の自治団体の、各団体の自主性に任せてやるということをもう一遍考え直してくださいよ。そうしないと、固定資産税、まだ上がるんだから。三年に一遍じゃなくなっちゃった。今のやり方は、三年に一遍上げる計算をして、毎年上げるということなんだから、評価は。そうでしょう。
平成六年の通達がこの間来た。固定資産税というのは、申告納税になれた人から見ると、あれは典型的な賦課課税だからね。ある日突然に来るんですよ。そんなこと言ったって、見に来ればちゃんと帳簿を見せてやるようになっているんだから、見に来ないおまえが悪いんだと幾ら言ったって、見に行く人なんてほんの一つかみ。実際には、通達が来て、あららというわけだよ。おれのうちの分かな、隣のうちと間違えているんじゃないかなと思うぐらい、数字が違っていてもしようがない。裁判を起こしている人なんていうのは、ことしは珍しいケースですよ。今までそんなに毎年裁判は起きているわけじゃない。ところが、これは来年も上がるんだ、僕の理解では。そのときに、固定資産税の評価のし直しなんていうのができないのならば、標準税率を自治体の判断に任せる、そのぐらい考えてほしいと思います。強く強く要望しておきます。
そこで、地方消費税の関係でもう一つだけ聞いておかなきゃいけないのがある。実は、国税に比べて地方税は徴収コストが高いんですよ。徴収コストは、やはり税務局ですかね、御担当は。僕の理解では、百円取るのに二円かかっている。国税は百円取るのに一円なんです。百円取るのに二円かかったのは、僕らがもっと若くて、大蔵省にいたころの、まあ三十年ぐらい前の国税もそういう感じはしていましたがね。
国税庁の職員というのは、この四十年間、五万人なんです。それは千人単位の波動はありましたよ、ふえたり減ったりは。大体五万人ちょっと。私の理解しているのでは、都道府県、市町村を込めて地方公共団体の税務関係職員は八万人はいると思う。それで、税収は全部で三十五、六兆だ。国税が五十数兆です。人数は五割増し以上いて、税収が三割引きぐらいなんだから、四割引きか、コストがどうしても高い。このコストをやはり下げることを十分考えなきゃいけない。
そのさなかに、実は消費税というのは、やりよういかんですけれども、一番手間暇のかかる税金ですよ、これは。もし地方公共団体にコストがかからないように、手間暇かからないようにしようと思ったら、納税者にうんといろいろ書類でもつくらせて何かやらせない限りはできませんよ。あえて言えば、納税者が税理士さんを専門に雇って、税理士さんに払う分だけは税金に上乗せして負担するぐらいじゃないとできない税金じゃないかと僕は思うんですが、税務局長さん、今お考えの地方消費税というのはどんな段取りで幾らぐらいのコストで取れると思っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/32
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033・滝実
○滝政府委員 国税と地方税を比較した場合に、大まかに申しまして、先生御指摘のように、国税は申告納税主義、地方税は賦課主義でございますから、基本的に地方税は賦課業務に大変な事務量を要する、こういう税金でございます。反面、国税はほとんどが申告納税でございますから、納税者が事務負担を負う、こういう性格をもともと持っているわけでございます。
そういう意味で申しますならば、例えばただいま話題になっております固定資産税につきましても、土地、家屋、すべて地方団体側が評価をする、こういう仕組みでございますから、その作業量というのは膨大な作業量を要しますし、事務費もかかる、こういうことで、今仰せのように、地方税全体として百円の税収を上げるのに大体二円三十銭のコストがかかるということは仰せのとおりでございます。
そこで、お尋ねの地方消費税でございますけれども、これも、今の国税たる消費税は基本的に申告納税主義でございますから、納税者に事務負担がかかっている、こういうことで大変地方税と違うところでございます。私どもの今考えております地方消費税は、基本的には国税たる消費税に事務手続上はすっかり乗っていかざるを得ないだろう、こういうことを考えておりますので、そういう意味では地方団体側のコストも、それから納税者側のコストもほとんどかからない、こういう仕組みを考えさせていただいている。これは現行の、既に厳として存在している消費税を前提とする限りにおいては地方消費税はそれに乗らざるを得ない。これを変えた格好にいたしますと、納税者が大変手間取る、こういうふうな制約がございますから、そういう意味では、コストのかからない税ということで私どもは構築させていただいているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/33
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034・越智通雄
○越智(通)委員 これは相当問題ですね。
もう一遍お伺いしますが、それは、例えて言うと、今の所得税の資料を税務署からとって、翌年住民税の課税をして、一年ずれずれでやっていますよね。あれなんかまさにコストがかからないやり方ですよ、本当の話は。そのかわり、私も一遍、残念ながら落選したことがありますがね、これは本当言って、落選して収入がなくなってから前の年の税金払うのはつらいね。そういう状況になりますよ。これ、地方消費税、翌年かけるつもりで言っているのかな、それとも同じ年にかけようと思ったら、まさにそれは国税に対する付加税で、税務署に取ってもらって、そのうち半分おれの方にくれろという話になっちゃいますよ。どっちをお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/34
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035・滝実
○滝政府委員 これはやはり納税者の事務コストを考えた場合には、現年課税でいかざるを得ないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/35
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036・越智通雄
○越智(通)委員 これは、きょうは自治法の改正案ですから、いずれしっかり議論しましょう。地方消費税論議が内々、方々でやられていますけれども、きょう御出席の各党ともこの問題をどこまで御理解の上で乗れるか、これは大変問題だと思います。
それでは、時間の都合で、税務局の方からもう一遍行政局の方に戻らさせていただきまして、さっきの広域連合が今度の法改正に載っていますからもう一遍詳しく聞きたいのですけれども、広域連合というのは、市町村同士だけですか、市町村と県がやってもいいんですか、ないしは、その地域は隣接していなければいけないのですか、うんと飛んでいてもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/36
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037・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 広域連合制度は、今回、普通地方公共団体、特別区が構成団体になれるという仕組みにしております。したがいまして、県同士で広域連合をつくる場合、あるいは市町村同士で広域連合をつくる場合、県と市町村で広域連合をつくるというケース、さまざまございます。県を超えて市町村同士でやるというものもございます。
観念的に言えば、飛び地といいますか、区域が離れていても、同じような広域行政の必要がある、共通の共同処理をする事務があるという場合には、これも否定されるべきものではない。しかし、それが実際につくられるかどうかというのは、まさにその地域地域の状況でございまして、そういう需要がなければ当然飛び地でつくるようなことはないわけでございますし、本当にそういうものがあれば、そういう場合にも法制上はできるという仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/37
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038・越智通雄
○越智(通)委員 今ちょっと気になることをおっしゃったのですけれども、普通地方公共団体がとおっしゃったでしょう。では、東京都の特別区はできないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/38
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039・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 特別区もできると申し上げたわけでございます。特別区もその構成団体になりますから、市町村だけでなくて、特別区同士で広域連合をつくることもできますし、特別区と他の市町村あるいは都とつくるということもあり得るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/39
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040・越智通雄
○越智(通)委員 大臣、私は、実は特別区を外してくれと言いたいのですよ。今度の改正法から「及び特別区」という五文字を削ってください。東京のことは別途別の法律でやってほしい。大臣も首都移転論の方でしょう、国土庁長官もされていましたし。首都移転という格好で、国政で東京都の将来を今決めようとしているのですよ。
そしてまた、大臣がおやりになっている小選挙区の関係で、東京都を二十五に割るのですよ。委員長代理、あなたのところだって実際には切られるのですよ。五つの区、大田、私のところの世田谷、吉田さんのところの練馬、足立、江戸川、行政区が選挙区では横切られるのです。区議会議員以下の選挙区になるのです。そういう東京にとっては大変な折り目節目で、おまけに、首都機能を東京から六十キロ以上先へ持っていくという法案が国会決議にまでなっているこのときに、広域連合という格好で特別区を入れて、これで何とか東京都はしのいでいけ、こういうやり方には賛成できない、私はこう言っているわけですよ。
この意図しているところはよくわかるのですよ。一番今困っているのはごみ処理です。自区内処理というのですけれども、二十三区でごみ焼き場がない区が十以上あるのです。ごみ焼き場はあるけれども、ごみ車といいますか、自動車をとめられないというところもあるのですよ。半分はないと言ってもいいでしょう。
それで、今まで一生懸命東京湾に埋めてきたわけですね。もうその東京湾もいっぱいいっぱいです。ちょっと位置を間違えると千葉県にしかられたり、新しく埋め立てるところをつくろうと思ってもなかなか大変だったり、そこをこういう格好で処理しようとするから、一体どうなっているのだと。
飛び地ということも、頭の体操というか、理論上のことで言ったのではないのですよ。産廃業者は、今東京と神奈川と静岡で契約しているのです。東京のごみを静岡へ持っていって埋めるつもりでやっているのですよ。広域連合をつくってもいいのかなと、それを法制的に可能にするためにやっていらっしゃるならば、そういう関係者は喜ぶかもしれないけれども、東京の将来のビジョンというものなしにそんなことをやられたらどうなってしまうのだろう、これが心配なんです。
大臣にわかっていただくつもりで、ちょっと三分ばかり歴史を申し上げますよ。
江戸が東京になったのは一八六八年ですから、百二十五年前なんです。七月十七日です。それで明治になったのです。それで、旧江戸が大体東京になったのですけれども、さらに多摩のところまで合併されたのは明治二十六年です。これは多摩川の水利権のためにとったのですよ。だから、ちょうど百年です。百年のお祝いもしました。私の選挙区でいえば、昭和七年に荏原郡から世田谷区、要するに市があそこまで広がったということです。
府と市というのは、今でも大阪府、京都府にあります。東京もそのうちの一つだったのです。そして、市がだんだん広がっていった。だけれども、このままでいいのだろうか、府と市の関係は難しいなという論議は実は昭和十年から起こっているのです。いろいろな審議が行われているのです。
そうしたら、たまたま戦争になったわけですよ。昭和十六年十二月八日。これはやはり帝都防衛のためには一緒にしなければいかぬということで、昭和十八年に東京都制というのが、法律が通ってしまった。知事さんはまさに政府の任命で来たわです。だから、これからというと、戦争が終わったときにもとに戻せばよかったのかもしれない。今だって京都、大阪は府と市があるのに、なぜ東京だけは府と市という関係かとれないのか。当時の古い方に聞くと、もうともかくあのときはサーベルを鳴らして迫られたから府と市が合併しちゃったんだ、こういう話でした。
そうして、焼け野原になりましたね。焼け野原になって、昭和二十二年に区をもう一遍つくり直すときにどうやって区をつくったか。僕は自治省のOBの方に聞いたら御存じなかった。我々東京の人間は、親代々というか、聞かされているから知っていますけれども、十キロ平方で区切ったのです。焼け野原なんだから、人がいないんだから、何人に一カ所というわけにいかないのですよ。十キロ平方で、真っ四角に区切ったわけじゃない、大体昔のあれでね。ですから、昔の区の名前が大体十キロを頭にやったから、大森と蒲田を一緒にしたから大田区というのですよ。
僕が育った小石川は隣が本郷だ。大学がたくさんあるから文京区というのですよ。だけれども、そのときには、そういういろいろな歴史的関係もあったけれども、基準は何だったかというと、面積なんですよ。人口じゃないのです。その区を、この自治法では「特別区」と書いて、国法の中に書かれちゃっているんだ。普通の市の区画じゃないのですよ。
区長さんが昭和二十二年のときには公選だったのです。そして、各区は市と同じ権限をもらったのです。それが二十七年にひっくり返ってしまったのです。区長は一種の任命制で、区議会の承認を得ればいいということになってしまったのです。早く言えばお役人が区長さんになったわけですよ。そして、市と同じ権限が取り上げられて、東京都の内部の一部だ、こうなったのです。だから、我々は、固定資産税は区に払っているのじゃないのです、都に払っているのですよ。東京都知事さん、あの方は市町村長であり、知事なんです、二十三区に関しては。なぜこういう仕組みをおかしいと思わずにこんなに置いているのでしょう。
我々は昭和四十年-五十年運動して、昭和五十年にやっと区長さんだけ公選になった。それで、昭和六十一年に東京都と区が、やはり昔の、昭和二十二年と同じように区は市と同じにしようやと合意したのですよ。そして、それを持って方々にお願いに行ったのだ。自治省に行った。自治大臣のところに僕はこんなのを積み上げた。やっている方々に案内しろと言われるから、自治大臣のところに連れていって積み上げました。江崎さんの時代だから、相当昔ですよ。
ところが、平成二年に地方制度調査会が、たしか柴田護さんが会長だったと思うのですけれども、答申を出された中に特別区の性格というのがあるのですよ。これが全く、僕らからいうと、何と言えばいいのでしょうかね、まやかしなのですね。吉田さんなんて都議会議員をしていたのだから、わかっていて今笑っていらっしゃるのだと思うけれども、時間がかかるけれども読ませていただきますよ。「今回の改革によって、特別区の処理する事務の範囲が拡充され、かつ、都との関係においてその自主性、自律性が強化されることとなるので、当調査会は、住民に最も身近な地方公共団体であるという意味において、特別区は、都の特別区の存する区域における基礎的な地方公共団体であると考える。しかし、特別区は、都においてのみ存する制度であり、」これは勝手に法律でそう書いてあるだけなのですけれども、「このような改革の後においても、大都市の一体性確保の見地から、機能、税財政などの面において、一般の市町村とは異なっているので、なお特別地方公共団体であると考える。」東京都の一部だと戻されてしまったのですよ。
少しは改革します。何が一番先に始まったかというと、ごみの収集を東京都がやらないで区がやれと言われたのです。東京都清掃局というのがございまして、これが収集もし、処理もするわけです。それを、特別区、おまえがやれ、これで幾らか自治権がふえてよかったじゃないか、だけれどもおまえは東京都の一部だ、こんな答申を出されたわけですね。私どもは大変不満なのです。
東京に農業協同組合というのがございます、JAと今言っておりますけれども。昭和六十年までは七十七あったのです。最終的にこれを十四にいたします。この十年間でやっています。練馬もそうですよ。私どものところだって、七つあるのを一個にするのですよ。そうしなければ二割になりませんよ。私の世田谷、目黒のところでは七つが一つになる。杉並も大田も入れて、そのくらいやっているのです。何でだ。農協さん、JAさんというのは、今や金融機関として食っているわけでしょう、都市においては。スケールメリットがなかったらやっていけません。たくさん機械を入れて、コンピューターを入れていろいろな機械化していくのに、支店が三つか四つじゃペイしませんよ。二十も三十もあった方がいいのですよ。お客さんの便利にもなりますよ。どんどんやっています。JAがやっていて、何で区はできないのですかね。
そして、さっき申し上げたように、選挙区の仕組みでは三多摩なんというのは、あそこに市がたくさんあるのですよ。十七でしたかね。そして町が十三ある。実際には昔の郡部みたいに間が畑だという状態じゃないのですよ。まさに家並みがずっとつながっているのだ。これが東京の三多摩と沖縄の現象ですよ。自治大臣もいらしているでしょうからおわかりでしょう。これは合併するのに、地方の山の上の方にこっちの村があって、あっちの丘の上にまた違う村があるという話じゃないのですから、できるのですよ。だから二十三区をまとめたい。私はここに地図まで書いてある。
私の越智通雄の試算では、百万人の都市を二十三区の中に七つつくると、実際問題、ちょうどうまくはまるのですね。二十三区に人口は八百万人です。練馬を杉並とくっつけると一番大きくなって百五十万くらいになりますけれども、ほかは大体百十万くらい。なぜかというと、百万超さないと自治省は政令指定都市にしないから、百万が七つできるのです。そして、いわゆる三多摩は今三百五十万人です。これまた大体三つに区切れるのですよ。百万都市三つぐらい。そういうものにつくって、大きくぽんと東京都庁というものはむしろ監督指導の格好で上に乗っけたいという思いでやっているさなかに、こういうものが出てきて、広域連合でとりあえずごみのことだけ何とか処理しようかというから、非常におかしいじゃないかという思いであえて質問の時間をいただいたのです。
大臣改めて、自治省は首都移転とかなんとかおっしゃるならば、そうした後の東京都はいかにあるべきかというビジョンをお示しになる義務というかあれはあるとお思いになりませんか。検討されていますか、伺います。
〔吉田(公)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/40
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041・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 東京都制、都区制度の問題についていろいろ御指摘が今ございました。幾つかの問題があろうかと思いますので、私の方からまず事務的にお答えをさせていただきたいと存じます。
まず、そもそも今回の自治法改正で特別区が広域連合をつくることができるということになっておりますが、そういう規定を外して、特別区は外すべきじゃないかというような御指摘がまずあったかと思いますが、これは現在特別区につきまして、地方自治法上、原則として地方自治法の第二編の市に関する規定が適用されるということにもなっておりますし、現在の一部事務組合、これについても特別区は設置をすることができるというような規定がございます。そういうことから、ほぼ一部事務組合と似たような広域処理体制でありますこの広域連合についても、特別区がこれを組織するということは残しておいた方がいいだろうというふうに考えているわけでございます。
この広域連合は、何もごみというものを想定してつくっているものではございませんで、いろいろな事務、それぞれの地方都市で処理をしようという事務について、団体が特別区の場合はそれぞれの特別区がお考えをいただいて、それによって、その判断によってこの広域連合をつくるということになるものでございますので、そういう中で適切な運用をし、また活用をしていただければありがたいというふうに思っているわけでございます。
それから次に、東京都制の問題について歴史的な沿革等についてお触れになりまして、現在東京都の中で特別区を設けているのはどうかというお話でございました。その沿革につきましては御指摘のとおりでございまして、昭和十八年に東京都制というものができまして、それから戦後昭和二十二年に、従来の都の区、三十五区ありましたのを統合いたしまして二十二区ということに相なりました。それから二十七年には一部改正がありまして、区長の直接公選が今度は知事の同意を得て区議会の選任という形になりまして、それが三十九年の法律改正で四十年の四月からはまた特別区について事務の拡充が行われ、さらに四十九年の法律改正で五十年の四月からは区長公選が復活したというふうになっております。六十一年にまた都区合意というものもありまして、その都区制度の問題についていろいろの協議が調いまして、それをまた地方制度調査会の方で検討するということになったわけでございす。第二十二次の地方制度調査会でございます。
この場合に、特別区を含む特別地方公共団体というものはどういう性格かということで、二十二次の地方制度調査会でもいろいろ検討、審議がなされました。
この特別地方公共団体というのは、市などの普通地方公共団体とは異なりまして、その構成、目的等において特殊的でありまして、その存在も普遍的、一般的でないものとされている。特別区についても、大都市の一体性を確保する見地から、一般の市町村と比べてその機能が異なっているので、都との関係についてはその内部的な団体として限定もあるというふうにされております。
二十二次地制調の方でも、特別区は一般の市とは異なって普遍的な制度とまでは言えないということ、それからまた答申案に基づく改革がなされましても、事務処理についての特例とか都区財政調整制度の税財政上の特例が残るというようなこともありまして、普通地方公共団体という位置づけもなくて、特別区は特別地方公共団体に位置づけるべきであるというふうに地方制度調査会の方で答申がされたわけでございます。
しかしながら特別区の機能の充実を図るべしということで、当面する問題についてはこれを実現すべしという答申があったのは御指摘のあったとおりでございます。そういう中で、今この問題については、都と区、特に清掃の問題がございますので、組合等も入りましてその協議が進められているという段階でございます。それからまた特別区について再編整備をすべきではないかというお話もございましたが、この点につきましては、第二十二次の地方制度調査会の答申におきましても、最近の社会経済の目まぐるしい変動に伴って地域の実態が著しく変化しているというような状況にかんがみると、本来、都区制度の改革を行う際には、特に人口減少等の著しい都心地域の特別区の再編を初めとして、周辺地域もあわせて特別区の見直しを行う必要があるというような指摘もされてきているところでございます。私どもとしても都区制度における課題の一つであるというふうに考えておる次第でございます。
ほかにもいろいろあったかと思いますが、幾つか御指摘がありましたものについて、事務的なものと調査会の審議の経過等について御説明をさせていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/41
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042・越智通雄
○越智(通)委員 局長のお答えいただいた歴史は、もうこっちは百も承知なんですよ。今一番聞きたかったのは、将来についてどうするつもりかということを聞きたかったのだ。特別区というものを全く前提にして物をおっしゃっているんですけれども、特別区というのはやめられませんか、こういうものは。
一つの都市の中のことを特別地方公共団体と法律にこんなふうに書いてあるというのは、非常に異例な状態だと私は思うのですよ。よその国、例えばロンドン、パリ、その他にも区はありますよ。パリなんというのは番号がついています。あれは渦巻きに番号をつけるのですよ、パリの場合には。これは全く内部団体です。ところが日本の場合には、ついすぐそばの横浜で四十万を超す区があってもそれは内部だ。東京の千代田区、五万人ですよ、夜間人口は。横浜市の中に十六ある区の中で十万人を切っているのは西区だけ、七万五千。あと全部十万以上。一番大きいのは緑区、四十五万。川崎だって、川崎市の中に区は七つありますけれども、十万を切っている区はないんです。ところが、これは内部だ。なぜこれが問題になるかというと、私のところなんかは川一つ向こうは川崎なんですよ。川崎の区と世田谷区が広域連合をやろうとすると、だめだという。なぜかというと、川崎の区は特別区じゃなくて権限も何もないから川崎市に行け、こう言うのですよ、市役所に行けと。向こうの方が大きかったりするのですよ。場合によっては私どもは、川向こうじゃなしにもつと向こうの山の方がいい場合もあるのですね。実際には学校の寮が向こうの方に建っている場合もあります。向こうというのは、要するに箱根のそばといいましょうか。
仮に法律改正がこのまま行われていたら、一体、広域連合ができるときにどういう問題点があるか。逆に言うと広域連合というのは、もし東京都が使うとしたらどういうあり方があるのか。二十三区の中で幾つかがまとまるという、そんな案は実は余りメリットが出てこないのです、実際には。周りと組むことになってしまう。
私の計算では、周りに市がたくさんあるのです。この二十三区の中をどうしなければならぬということと同時に、外側との縁もまさにたくさんあるのです。埼玉県沿いが一番多いですけれどもね。いや、朝霞だ何だって、みんな道路一本間違えたら人の選挙区に入ってしまうのですよ、知らないのが宣伝カーに乗っていると。そんなところですよ。川を渡ったらわかるというところはまだいいのです。川のないところというのはあっという間によその県に入ってしまう、本当の話が。私の計算では十幾つあるのです。町田でちょっと間違えると大和市に入ってしまう。たくさんあるのです、そういうところが。
本当はそういうところに住んでいる人というのは何だというと、埼玉都民、千葉都民。千葉県の知事の名前を聞いたら知らないのです。それで東京都は鈴木がいいとかだれがいいとやり出すんですよ。お住まいになっているのは千葉県、埼玉県。埼玉都民、千葉都民というのです。そのことも含めて、僕は国としてはここでビジョンをつくるべきだと思います。
それはそうとして、しようがない、東京で広域連合をつくるときにやはり聞いておかなければいけない。
これをつくるときに許可が要るのでしょう。だれが許可するのですか。県の中の場合には県知事だと書いてある。それはわかる、原則だ。県をまたぐのです。相手が県のときは自治大臣と書いてある。県をまたぐけれども、こっちは県庁とやるつもりはない。できれば川崎市の区とやりたいのだけれども区とやらしてくれないというから、じゃ川崎市長かと。川崎市長と東京二十三区のどこかの区がやったときには、おたくの方では、特例でそういう難しいものは自治省に書類を持ってこさせるという話もあるのだけれども、一体どういう許可をする、ないしその場合の条件というのはどうなっておるのですか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/42
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043・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 特別区が都県をまたがって他の県の市、具体的に今川崎の例を御指摘になりましたが、都県をまたがって他県の市と広域連合を組織する場合にはどういう手続でいくかということでございますが、これは次のような手続が法律上は定められているわけでございます。
つまります、広域連合を設置しようとする特別区の区長と相手方の市長とが、事前に協議によりまして、広域連合の規約案を作成をいたします。そして次に特別区と市の議会におきまして、広域連合の設置それから規約の内容について同意する旨の議決をするということでございます。それを経まして、特別区とその市の議会においてこの議決が行われました場合には、区長と市長は協議によって広域連合の規約を定めて、自治大臣に対して広域連合の設置の申請を行うということでございます。自治大臣の許可を得て広域連合が設置をされるという一連の手続になります。
市町村や特別区の広域連合の設置の許可というのは、原則として都道府県知事が行うわけでございますけれども、数都道府県にまたがるようなケース、東京都と神奈川県にまたがるようなケースについては自治大臣が行うというふうになっております。
なお、自治大臣が許可をする場合にどういう基準でやるのかというお話もございましたが、これについては、広域連合の許可申請の内容が地方自治法に定める手続あるいはその要件を満たしているかどうかということが第一点、それからまた、規約の内容が適法であるかというようなこと、さらには広域連合を設置して必要な連絡調整を図りながらその事務の処理を行うことが地方行政の運営にとって適当であるかどうかというようなこと、また、広域連合の設置が制度の趣旨に適合しているかというようなことを総合的に判断をいたしまして、そういう見地からこの許可をするということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/43
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044・越智通雄
○越智(通)委員 はっきりしないのです。一番恐ろしいのは、やはり自治省にお百度を踏まないとやれない、でき上がったときには事務局長さんは自治省からもらわなければうまくいかない、そんなものをつくられたのではかなわないなということがあるわけですよ。
その事務局ができると、広域連合ができると、やはり金がかかるのですよ。どういう割り振りで分担するのですか、それは。だって、参加する地方公共団体の普通の財源から持ち出す以外にないでしょう。広域連合は、別にほかに、賦課金とか何かを取るわけでもないと思うのだけれども、どういう運営になるというお考えなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/44
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045・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 広域連合は、お互いに協議をして規約を定めて広域連合を設置するわけでございますが、もちろん、その広域連合はいろいろな事業を実施をしていく上で経費が要るわけでございます。これは、基本的にはそれぞれの構成団体の分賦金によって賄うということに相なるわけでございますが、事業の実施をするということになりますと、その事業財源として、地方債を起こすということも可能でございますし、また、施設等を持ちましてその使用料、手数料を徴収するというようなこともあるわけでございます。そういうさまざまな財源によってこれを運営していくということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/45
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046・越智通雄
○越智(通)委員 それがまた怖いですね。事業をやるから将来入る収入を目当てに借金してもいい、これも大変怖い話ですね、実際問題は。そして、そういう事務組合というのは主体がはっきりしないものですから、ぐるぐる変わってしまうと、大臣おわかりと思いますけれども、後は野となれ山となれでやられたらかなわないし、それを厳重に監督するという議会ができることになっているのでしょう、法律上は議会が。事務当局に聞くけれども、いまだかつて一部事務組合で専門の議員がいたことはないのでしょう、みんな兼職でしょう。一体、一部事務組合が二千七百だか二千八百だかあるときに、議員さんが何人いて、その中に兼職ではない人はいるのですか。どこの組合ですか、そういうのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/46
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047・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 広域連合の場合も一部事務組合の場合も、議員については、兼職禁止ではなくて兼職ができるというような規定になっておりますので、これは、実際にはそれぞれの議員の選出方法については、一部事務組合については規約で定めますし、それから、広域連合の場合も、規約によって直接選挙でやるか間接選挙でやるかによって議員が選出されるわけでございます。
これを兼職をするかしないかということでございますが、今の一部事務組合の場合、実態をつぶさに承知しているわけではございませんが、おおむね議員は構成団体の議員と兼ねているというのが一般的であるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/47
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048・越智通雄
○越智(通)委員 行政局長さん、だめですよ。つぶさに知らないと言われては困りますよ。つぶさに知ってもらわなければいかぬわけだ。二千何百という事務組合に議員さんがいたら、相当の数がいるはずなのだ。
私どもの理解しているのは、本当に日当だけもらってやっているのですよ。悪いけれども、そうなると、何といいますか、責任感のある仕事にならぬのですよ。県会議員さんなんかでも、県庁等が絡んでいる場合に行きますよ。県会議員さん一人だけで議会費が三千万円ぐらいかかるのだよ、議会費というものを県会議員の頭数で割れば。逆に言えば、相当もらっているわけだ。そのほかにやる仕事になるのですよ。
だものですから、広域連合という制度としては何かうまくいくようにおっしゃるけれども、とんでもないものができやせぬかな、そして後から、いや、えらいものができてしまったものだな、合併なんかするときに逆に、かえって妨げになるといいますか足手まといになるといいますか、そういうことになりやせぬかということを非常に心配するということを申し上げているわけなのですよ。
それでは、こういう制度をつくるという以上は、局長さん、おれのところもやりたい、あそこもやりたいというその目星のところがかなりあるのですか、言ってきたところが。広域連合をやらせてくれろと言ってきたところがどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/48
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049・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 広域連合の設置の趣旨については、先ほど来申し上げておるとおりでございまして、多様な広域行政需要に的確に対応できる仕組みをつくっていこう、あわせて国からの権限移譲の受け皿にもしようというようなことでこれをつくっていくわけでございまして、その活用状況は、まさにそういう一般制度をつくりまして、その活用をそれぞれの市町村、県あるいは特別区というところでこれを活用していただくことを期待しているものでございます。
そういう中で、どういうものができるかというのはまさにそれぞれの地域によって異なるわけでございますので、あらかじめこういう事務を想定して、特定の事務のためにつくっているというものではございませんので、この制度ができましたら大いにこれを活用していただきたいというふうに思っているわけでございます。
その場合に、広域連合をつくりますと、当然のことながら、団体の運営としてやはり民主的な運営ということが必要でございますので、議会というものも存在をすることになるわけでございます。これは、現在の一部事務組合でもそうでございますが、一部事務組合の例について全体をすべて承知しているわけではございませんが、私ども抽出して調べたところによりますと、議員は、多くの場合に構成団体の議員と兼職をしているというのが通例でございます。
また、議会でお金がかかる、経費がかかるということは、それはあるわけでございますが、議員の報酬にいたしましても、一般の市町村の議員とは全然違うわけでございまして、例えば議員の報酬についても、全く無報酬でやっていてその費用弁償として日当なり旅費が出るというようなケースでありますとか、あるいは報酬は出ますけれども年間で数万円というようなケースとかさまざまでございますが、一般の市町村なり県と同じような日程でその議会が行われているわけでもございませんので、その報酬というのもそんな極端なものがあるというふうには考えていないわけでございますし、今後できます広域連合についても、もちろん経費の効率化ということがあるわけでございますし、そう多額の経費を要するということにはならないというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/49
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050・越智通雄
○越智(通)委員 依然として、広域連合はだれがどういう格好でやるのか、僕にはイメージが浮かんでこないのですよ。
同僚議員と話をしましたら、越智君、広域連合に反対しないでくれと。何でだと言ったら、今ある一部事務組合を統合するのに便利だからと。大臣のお国表でですよ、山の中の方。あるのですか、そんなに一部事務組合が。港神戸から裏の奥までありますからね、おたくの県は。それで、何の理由だと言ったら、一部事務組合がいろいろな種類ができてくると、それを統合するのにこの規定を使いやすい、多目的のところですね。そういう意味のようでございました。
もしそうだとすれば、一部事務組合の制度そのものをもうちょっとうまく動くようにしてやれば、それで済むわけですよ。一部事務組合のほかに広域連合という仕組みをつくる。そうなると、一部事務組合として今まで動いていたところが、単なる名称変更じゃない、実際にいろいろ異動もしなければならぬかもしれない。むしろ一部事務組合の運営を、幅広くというか、いろいろなやり方をフリーにというかフレキシブルにさせる改正で済んだ話じゃないのかな。広域連合というものを新しい制度として入れなければいけなかったのかなと。
だから、どんなところで、どういう地方で、どういう目的でこれが使われると思っていますかと伺ったのだけれども、今、具体的なというか個別的なお話はなかったものですから、もし私の言っている質問に何か答えられるのでしたら、局長、そこをはっきりしてほしいのですよ。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/50
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051・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 一部事務組合については、現在多数あるわけでございます。特に、広域行政の典型的な方式としてこの一部事務組合が活用されております。例えば広域市町村行政を推進する中で、これは協議会でやっている場合もありますが、一部事務組合としてやっているところが多いと思います。そういうものが、今回のこの広域連合制度ができました場合には、従前の一部事務組合が改組をしてこの広域連合になっていくということは十分期待ができるわけでございますし、また、いろいろ一部事務組合が複数存在している場合、それを統合してこの広域連合というようなことも出てくるというふうに思っているわけでございます。
そこで、広域連合について、それなら一部事務組合の改正ですればいいではないかというようなお話もございました。しかしそれは、今回の広域連合制度というのは、一部事務組合とはまた違ったような要素が幾つかございます。
例えば、国や県から直接に権限の委任を受けられるというような規定でございますとか、あるいは所掌事務を含む規約の変更をみずからのイニシアチブで構成団体に要請することができるというようなこと、さらには広域にわたる計画、広域計画というものをつくって、それに従って各構成団体が行政を処理していくということとか、その広域計画に基づいて、広域連合の方から構成団体に勧告をすることができるというような規定等もございます。そういうようなこと等がございますし、また選挙の仕組みにつきましても、規約で直接選挙または間接選挙ということを規定しているというようなこと、さらには直接請求の規定も設けているというようなことで、幾つかの特色がございます。
そういうことで、やはり一部事務組合とは違ったものでございますので、これとは別の制度として広域連合というものを法律上規定をするということにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/51
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052・越智通雄
○越智(通)委員 大臣、段々に聞いていただいたので、私が言っている気持ちというか、おわかりいただいてきたと思うのです。
東京の問題は、後でもう一遍申し上げますけれども、この広域連合の制度の中に潜んでいる問題は、実は、自治省が地方団体をフリーにしているようでいて、その許認可権というか、広域連合をつくるときの許認可権その他を使って、もしかしたら今の都道府県を横につないだ一つの影響力を行使する場ができてくるのですよ、これは実際には。可能性があるという意味ですね。道州制という格好ではありませんけれども、県と県がやり出したらこれはかなり難しい話になりますよ。これは県知事さんに対して物を言う団体になりますからね。南九州か何かでどんとやられたりしたら、使えなくはない、やれるのですからこの規定は。ですから非常に私は心配しているのです。
そして、今のお話のように、国からそこへいろいろな権限まで付与されるんだ。県に行かない権限が広域連合に行ったらどうなるのですか。どっちが強くなるのですか、それは。広域連合というものは県庁の集めたお金を分担金でもらって賄っているのに、県庁にはできない権限が広域連合に来る。今そう言ったでしょう。国から直接権限をもらえると言ったでしょう。非常に難しい格好になると思いますね。
実は、地方自治というか地方制度というか、先ほど来申し上げたような首都移転の問題も小選挙区の問題もありますけれども、自治省は今まであるものを何か変えようとしている。もしこれが本当の、先ほど申し上げたペンキの塗り直しだけだったら、広域連合という格好までは持っていかなくても済む話ではないかなと私は思うし、もし本格的に改造することをお考えになったら、こんな、何というかよくわからないようなやり方で持ち出すんじゃないということで、まあこの法案はよほどよくもう一遍本当は考え直してもらいたいし、あるいは運用の面でよほど慎重にやらないと、今までやってきた地方制度が思わぬ方向に行く。企図した方向に変わっていくのならいいのですよ。思わぬ方向に変わっていきやせぬか、このことを感じていますので、広域連合制度の運用について、大臣、どうお考えになっているか、もう一遍御自身から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/52
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053・石井一
○石井国務大臣 ただいまの御議論を聞いておりまして、さすがは、まあ東京都の問題はさておきまして、大蔵省の基礎に総務庁長官をたびたびやられましたそういう観点から、非常に示唆に富む問題点の指摘がたくさんあったと思います。
今後その問題を具体的に詰める必要があると思うのですが、私は、いろいろ調べてみましたら、昭和三十年前後に一万五千あった市町村を三千三百にした。しかし、その後、昭和五十年代では十年間でたった四件、昭和六十年以降十四件と、こういうような状態でありますから、昭和三十年以来三十年間この合併問題はどこか棚の上へ上がってしまっておったということでしょう。そして、本年末にこの特例法の期限切れがある、こういうことなんでありますから、私は、まずこのことに関してしっかりとした展望を持つべきではなかろうかという感じがいたします。^世界各国を見ましても、いろいろの地域があろうかと思いますが、これだけばらばらで、これがまた日本のいいところで、地方の自主性、自律性を尊重したからそうなったんだとは言えるかもわかりませんが、余りにもどんな尺度も当てられないような状況ではないか。二百人の村が二つある、そして千人以下の町村が三十五ある、二千人以下の町村が百二十七ある。しかし、こういうことがあるから今言っている中核市構想とか広域連合の構想が出ているのではないでしょうか。
東京の場合は、もう人があり、道もなく、余りにも逆転現象が起こっておりまして、そこからの弊害を御指摘されたわけで、日本列島のウナギの寝床のようなところには細かい市や町や村がもうばらばらになってしまっている。そして、それぞれに町長がおり、市長がおり、議員がおりして、まあむだな経費もありますけれども、行政的にもう今のスピードに合わなくなってきている。これを強制的に市町村の合併をさせることができないので、そこで知恵を出して、自治省の方は中核市構想なり広域連合の構想を出した。しかし、今のような逆転現象の起こっておる大都市においては非常な弊害なり、あるいは危惧というふうなものが出てきておるわけで、まずそのいい面は評価していただいて、前向きに御検討をいただいてもいいのではないかなという感じがするわけでございます。
ただ、大都市の問題は、これはもうまくら言葉で私なども言ってきましたが、一極集中を排し、多極分散型国土を形成するというこの話の中から、一極集中がもう過重に重なり合ったための問題で、そこから首都圏の移転の問題なりその他の議論というものが出てきておるわけでありまして、これは別の対応をしていく必要があると思います。
私は、何も広域連合を東京に当てはめる必要はない。まず自治省の視点というのは、遠い寒村その他の地方に当てていくべき構想ではなかろうか。そして、例えば町村合併等については、地方制度調査会にももう少し慎重に、この特例法が切れる時期に、もう少し前向きな検討を出していただいて、東京で今のような行政で、今ずっと言われました話を聞きまして、なるほどこれはやはり何らかの改善が必要だ。だから、越智委員の言われているように、七つの指定都市にするのがいいのかどうか、こういう角度から検討しませんと、マンモス東京の悩みというのはいつまでたったってどうにもならないというふうなことがあろうかと思います。
一々お話を聞いておりまして、地方の公務員に対する問題でございますとか、あるいはそのほか財政の問題等々、まあ私もいつまでやっておるかわからぬですよ。不信任でも出てきたらこれはすぐにやめなければいかぬということになる。しかし、ある程度の時間を与えられるとすれば、今のような合併の問題もあり何もある、ひとつ真剣に取り組ませていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/53
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054・越智通雄
○越智(通)委員 最後に希望を申し上げさせていただきます。
私は、やはり市町村の合併というのは促進していただきたい。ただ、小さな村落にはそれなりの歴史があり、文化があるから、それをごちゃまぜにすることによって消してはならない、その気持ちもまたよくわかります。しかし、それは適用するケース、ケースの問題だと思いますが、私が先ほど申し上げましたような、市と市がくっついていて、どこでまたいだかわからないようなところは、もうやってもいいんじゃないか。
そういう意味で感じるのは、東京の三多摩とか、人の県のことを言っては悪いけれども沖縄なんかへ行くと、ここ何市と聞かないとわからないくらい本当に市と市がくっついておりまして、そういうところはもっとインセンティブというかメリットを与えればやってくれるんじゃないかな。
実は、地方自治が非常に意識が下がっています。この間の東京の中野の補欠選挙では投票率一九%でした。こういうことではもう地方自治は存立していないみたいなものでございまして、大変嘆かわしく思っているのですが、ぜひ市町村の合併を推進していただきたい。
その法律を直す過程で、特別区というのは自治法に書かれているわけですよ。我々の地元の話をしているみたいであれなんですけれども、国法に書かれているから非常に困ってしまっているので、特別区の制度をもう一遍ぜひお考え直しいただきたい。市町村と同じというところからこの分だけ外すという規定なんです、全部。特別区はこういうことができると書いているんじゃないのです。市町村の機能についてこれとこれはだめよとしか書いてないのです、この法律は。とてもおかしな法律を東京都の区にだけつくられている。ここをお考え直していただいて、特別区が合併といいますか、要するにもう一遍統合といいますか、やっていけるような法律にしてもらわないと、現状のままで特別区自身の合併はなかなか彼らからは声が出しにくい。困っているのはわかっているのですよ。区境なんかでうんと困っているのはわかっているんだけれども、出しにくい。
この現状から見て自治省に強く要望しておきますが、新しいというか延長のときの合併促進法の中には特別区の問題も、何かそっちの観点から光を当てればいろいろな書きようがあると思うのですよ。ぜひ手をつけていただきたい。このことを強く要望して、ちょっと時間が早うございますが、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/54
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055・粟屋敏信
○粟屋委員長 畠山健治郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/55
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056・畠山健治郎
○畠山委員 質問に入ります前に、この二法案につきましては、与党当時に事前審査を行い、連立与党として同意をした経緯がございます。その意味で、我が党は責任を持って成立に基本的には同意をいたしたいというふうに思っておりますが、現在の立場と今後の積極的な地方分権の推進という立場から、そしてまた妥協して合意したというような部分もございますので、その点をも含めて論点を整理させていただきたい。そういう観点から、少し年がいもなくて理屈っぽい質問になろうかと思いますが、お許しをいただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。
まず、地方自治の基本問題についてお尋ねを申し上げたいと思います。
地方分権の意義ないしは定義についてまずお尋ねを申し上げたいと思います。
八一年に始まる第二次臨調あるいはそれ以後の行革審や地方制度調査会、そして民間あるいは有識者の提言等において、地方分権はもはや共通用語となっております。しかし、その意義や定義となりますと必ずしも明確ではないと思います。
私は、後発国家である我が国が経済的に発展していく過程で主導的役割を担った政治行政の一元的推進体制を、自治体の自主性の強化を基本に多元的政治行政体制に再編することで憲法が定める地方自治の本旨を具体化することが、地方分権の直接的意義ではないだろうかと考えております。
さらに言えば、政治と社会経済が極めて不即不離の関係にある我が国では、この再編は政治行政にとどまらず社会経済の多様化をも視野に入れたものでなければならないと存じます。これを抜きにしては地方分権は完結し得ない点で、他の先進国が標榜する地方分権とは趣を異にしておるのではないかと考えております。
この点につきまして大臣の所見を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/56
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057・石井一
○石井国務大臣 地方分権という言葉は、使う人により極めて多くのとらえ方があるように感じられますが、私といたしましては、高齢化の急速な進展等そのときどきの社会経済情勢の変化に対応しながら住民福祉の向上を図り、個性豊かな地域づくりを進めていく地方公共団体の自主性、自律性を強化していく上での基本理念であると認識いたしております。
我が国の近代化そして戦後の発展を進める上でこれまで経済効率性の追求のみを主眼に制度を組み立ててきましたが、成熟社会を迎えた今日、根本的に発想を転換し、各地域がそれぞれの個性を生かした多様性のある地域づくりができるよう、国と地方の関係についても地方分権という観点から、来るべき二十一世紀にふさわしい多元的政治行政体制に向けて改革していくことが重要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/57
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058・畠山健治郎
○畠山委員 では次に、地方分権と自治権拡充についてお尋ね申し上げたいと存じます。
ただいま指摘いたしましたような意味からいいますれば、八〇年代前半まで言われてまいりました地方権拡充論と地方分権とは、意味内容において同義とは言えないのではないかと思います。つまり、自治体に対する行財政権限の強化は、地方分権にとって必要要件ではあっても十分要件ではないはずだと思います。でなければ地方分権はかくも大合唱とはならないと存じます。
したがいまして、従来と異なる対応がなければ地方分権は進まないと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/58
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059・石井一
○石井国務大臣 一九八〇年代前半のいわゆる地方の時代と言われたころの論議としては、御指摘のように集積的なシステムへの転換という発想が中心となっておりましたが、その後そのような発想に加えて、さらにふるさと創生等自主的な地域づくりに見られるように、地域の総合的な行政主体である地方公共団体の自主性、自律性の強化がより一層要請されるようになってきたと考えます。
今日求められておる地方分権の推進の議論は、単に地方公共団体に対する行財政権限の強化にとどまらず、地域の問題は地域みずからが解決できるような国と地方の抜本的な改革を含む政治経済システムの再構築にまで及んでいるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/59
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060・畠山健治郎
○畠山委員 次に、地方分権法の条件について承りたいと存じます。
行革審が昨年基本法の制定を政府に答申したのも、従来のような行財政権限の拡充とは異なる認識をしているからではないかと存じます。であれば、求められる基本法もそれに相応した法内容を備えていなければならないと考えます。
私は、少なくとも基本法には三つの内容が法定化されている必要があろうかと存じます。その一つは、地方分権の主体、中央及び都道府県、市町村の新たな役割分担の基本、役割分担に基づく中央、地方の新しい関係のあり方であり、二つには、地方分権を進めていく手法であるかと思います。そして三つには、行財政上の諸制度の見直し基準であろうかと存じます。
分権部会の議論は全くこれからでありましょうが、大綱を定めるのが任務でしょうから、大臣の考え方がございましたならば、所見をお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/60
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061・石井一
○石井国務大臣 基本法に盛り込むべき事項としては、御指摘されましたように、地方分権の主体、中央と地方の関係のあり方、またそれを進めていく手法、さらに諸制度の見直しの基準、これが当然議論されるものと考えておりますが、基本的な考え方としては、国と地方の役割分担を明確にし、住民生活に身近な行政は思い切って総合行政主体である地方公共団体にゆだねることが必要であり、その場合、国、地方間の事務配分に見合った適切な財源配分を行うことも同時に必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/61
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062・畠山健治郎
○畠山委員 それでは、次へ進ませていただきます。自治体の参加についてお伺いいたしたいと存じます。
中央、地方の新しい関係の問題でございますが、新しい役割分担に基づく両者の関係は当然対等関係であり、その上に両者の協力関係を築く、ここに基本法制定のもう一つの意義があろうかと存じます。となりますと、当然のこととして、地方の国政参加が構想されても何ら不思議ではないと存じます。むしろ当然のことと考えます。地方分権を 進める手法において地方の参加は不可欠であり、新しい協力関係を築くためにも現行地方自治法に定める意見具申権をさらに発展させる参加制度が必要かと存じますが、お伺いを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/62
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063・石井一
○石井国務大臣 国、地方を通ずる行政を円滑に推進させるためには、地域を代表し、また実際に多くの行政の実施の任に当っている地方公共団体の立場が国政に適切に反映されるような制度が確立されることが必要であり、また、このことが国政の円滑な推進にとっても有意義であると考えられます。
第二次行革審の「国と地方の関係等に関する答申」においても、このような観点から、地方公共団体の立場を総体として代弁する地方公共団体の長などの全国的連合組織の国に対する意見具申等について提案がなされておるところでございます。昨年六月に議員提案により地方自治法が改正され、意見具申権が制度上規定されたところでもございます。
この制度が適切に運用され、真に国と地方公共団体の相互信頼の上に立った協力関係の一層の促進に役立つことが期待されるところであり、この制度の運用状況も見ながら国政への地方の意見の反映のあり方について今後とも検討を続けてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/63
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064・畠山健治郎
○畠山委員 次に、地方自治法改正案の基本問題に移らせていただきたいと存じます。
その一に、地方自治法の改正と地方分権との関係についてお伺いをいたしたいと存じます。中核市制度及び連合の二つの内容から成る今回の改正案については、まず地方分権との関係で幾つか御質問申し上げたいと存じます。
第一に、地方分権との関係で、確かに第二十三次地方制度調査会答申では、地方制度の改革を一歩一歩進めていくことも地方分権の推進のために極めて重要とし、その方策として中核市制度と位置づけております。また、地方制度の多様な選択の一つとして連合の位置づけをしているが、これらと地方分権とはどのように関連をするのでありましょうか。
地方分権の突破口としてたくらまれたパイロット自治体制度は後退し、今度はこのような制度改正となれば、地方分権とはまるで地方の制度いじめかとの印象は免れないかと存じます。しかも、特定都市あるいは特定自治体の連合ということであれば、地方分権とは、部分的かつ段階論となりかねません。基本的な関係を明らかにしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/64
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065・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 地方分権の推進と今回の地方自治法の一部改正法との関連等についてのお尋ねだと理解をいたしますが、地方分権の推進につきましては、これは大臣からもお話ございましたように、行政事務というものは、できるだけ住民に身近な地方公共団体の手によって、その責任において行われるということが望ましいわけでございまして、具体的には地方団体の自主性、自律性を確立するということが地方分権の道であるというふうに考えているわけでございます。
そういう中で、今回地方自治法の一部改正をお願いしておりますが、これは、昨年の第二十三次地方制度調査会から答申がございました広域連合制度及び中核市制度をその主たる内容としているものでございます。広域連合制度は、最近多様化してきております広域行政需要に的確に対応するとともに、国からの権限移譲をできるような体制を整備するということでございますし、また中核市制度につきましては、政令指定都市に準ずる一定の規模能力がある都市につきましてその事務権限の強化を図って、できる限り住民の身近なところで行政ができるようにしようという内容でございまして、いずれも地方分権を推進する具体的な方策であるというふうに考えているわけでございます。
それから、このほかに、抜本的な地方分権の推進ということが当然必要になるわけでございますが、この問題につきましては既に行革審の最終答申におきまして地方分権の推進が大きな柱として取り上げられておりまして、これをもとに二月十五日には中期行革大綱というものが閣議決定をされまして、その中で地方分権の推進を重要課題として位置づけまして、国・地方の関係等の改革に関する大綱方針、通称地方分権の大綱方針と言っておりますが、これを平成六年内を目途に策定をし、その後直ちに、これに沿って地方分権の推進に関する基本的な法律の制定を目指すということとしているところでございます。そして、このため五月二十四日には行革推進本部の方に地方分権部会というものが設置されて、三十日にはその第一回の会合が行われて、今後、この大綱方針の取りまとめについて鋭意努力をしていくということになっているわけでございます。
また、四月の二十八日には第二十四次の地方制度調査会が発足をいたしまして、ここでも地方分権の推進についていろいろ御審議を賜ることにいたしておるわけでございます。
自治省といたしましては、当面、まずは今回提出をさせていただきましたこの法律案の成立をぜひさせていただきたいと思っておりますし、今後の行革本部の地方分権部会の取りまとめでございますとか、あるいは地方制度調査会の審議によって、抜本的な地方分権が進むように努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/65
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066・畠山健治郎
○畠山委員 次に、連合の受け皿論について御質問を申し上げたいと存じます。
地方分権に必ずと言ってもいいくらい割って入る問題が受け皿論でございます。中核都市はそれ自体、既に一定の機能を有する都市でありますから、必ずしもこの受け皿論の範疇とは考えませんが、連合は明らかに受け皿論の範疇ではないか、こう言われても仕方がないと思いますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/66
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067・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 広域連合が受け皿論とどういう関連があるかというお尋ねかと思いますが、広域連合は、今までも申し上げておりますように、最近多様化してきております広域行政需要に適切に対応するとともに、かねてからその必要性が指摘をされてまいりました国等からの権限の受け入れ体制を整備するということを意図して答申が出されたものでございます。今回、これに沿って具体化をしようということで法律改正をお願いしているところでございます。
この広域連合の制度の創設によりまして、地方団体の側から具体的に必要な権限を移譲することを国に対して要請することができるということにしているものでございまして、まさに国と地方の事務配分のいわば突破口にもなり得るものであるというふうに考えておるところでございます。
まあ、いわゆる受け皿論といいますのは、地方分権の下地を整備するという側面もあろうかと思いますが、広域連合というのはそういうことではなくて、すべての地方団体、さまざまな規模能力がありますが、そういうものがすべて受け皿として等しくなければなかなか権限が移譲ができないという主張に対して、こういう広域連合をつくることによって、むしろそこがきちんと国からの権限の移譲を受けられる仕組みをつくれる、そういう手段にもなるというふうに考えているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/67
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068・畠山健治郎
○畠山委員 どんなお話があろうとも、受け皿論と受け取られても仕方がないというふうに思っております。そこで、受け皿論の妥当性についてお尋ね申し上げたいと存じます。
自治体の規模や能力を問題視し、地方分権を否定ないし時期尚早視するのが受け皿論であろうかと思っております。もちろん三千三百余の自治体が能力を等しくしているとは思っておりませんし、少なくともハードの面では一定程度進み、ソフトの行政が重要視されるという国民的ニーズを把握する点では、もはや中央の集権的行政では限界ははっきりしてきたと思っております。ここに地方分権の促進の背景があるのであって、中央の政策立案能力の限界であって、受け皿論に乗るべきではないと思うが、御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/68
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069・石井一
○石井国務大臣 地方自治法が施行されまして半世紀にもなろうとしておる今日、地方の総合的な行政主体としての自治体が自主的、主体的な施策を積極的に展開しておる。それは国民も評価をしておるものであると碓信しております。
したがって、受け皿論としては、いわゆる都道府県についてはもう基本的に能力は十分備わっておるという認識をいたしておりますが、一方、市町村について、その規模が千差万別であり、組織体としての能力の差があることは否定できませんが、最近、特に高まりを見せた自主的な地域づくりの経験を積むことによって、ノウハウ、人材などの蓄積も相当なされてきておると期待しております。また、分権の進め方としては、規模能力に応じた事務権限の移譲という方法もあり得る、そういうふうに考えております。
いずれにいたしましても、地方公共団体の能力が地方分権を進める上で一般的に障害になるという時代は過ぎたという認識のもとに、地方分権の推進を実行することに意味がある、実行段階である、そういう形で進めさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/69
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070・畠山健治郎
○畠山委員 次に、中核都市の基本問題に話を進めさせていただきたいと思います。
その第一に、中核市と都道府県機能についてお尋ねを申し上げたいと存じます。
中核市については、都道府県からの権限移譲を主なる内容としておりますが、中央から地方への権限シフトのないまま都道府県、市町村間の権限移譲がなされるというのでは、今後の府県機能は一体どうなるだろうか。今日、府県機能の空洞化が心配されておるわけでありますが、市町村に対する権限移譲とともに、府県機能を強化し、そこで府県、市町村による地域行政を完結させる、これこそが重要であろうかと存じます。この点では知事会は、先導性、総合性、広域性に加え行政技術の高度性を強調しておられます。府県の今後のあり方を明らかにしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/70
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071・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回、自治法改正で中核市制度の創設を提案を申し上げておるところでございますが、中核市の処理する事務というのは都市における市民生活に直結する事務でございまして、この事務を一元的に処理できることにすることによりまして、都市の行財政運営の合理化に寄与するものであるというふうに考えております。市町村の規模能力はまちまち、千差万別でございますので、地方団体の規模能力に応じて事務を最も適切に処理できるように配分しようということでございます。こういうことで今回この広域連合を御提案申し上げておるわけでございますが、これによって広域的な地方公共団体としての都道府県の性格あるいは役割というものは、基本的には変わるものではないと考えております。
中核市を含めた都道府県と市町村の事務配分のあり方をどうするかというのは、これは国と地方の事務配分全体を見直し、国から地方への権限移譲を推進するという大きな枠組みの中で考えていくべき事柄というふうに思っております。また、そういう中で、都道府県と市町村がともにそれぞれの役割分担をしながら、相互に密接な協同関係のもとに望ましい地方行政が展開されるということが期待されているというふうに理解しておるわけでございます。そういう意味でも、これからも国から地方への権限移譲についてさらに努力をしてまいらなければならないと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/71
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072・畠山健治郎
○畠山委員 次に、中核市の要件と根拠についてお尋ねを申し上げたいと存じます。
中核市の指定要件でございますが、人口三十万以上、面積百平方キロ以上となっておりますが、これは全国市長会の提言に合っていると思いますが、その根拠は一体何でございましょうか。特に、中核機能と面積とはどんな関係があるのか理解できないわけでございます。その点をお尋ね申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/72
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073・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 中核市の指定要件のお話でございますが、人口三十万人以上、面積百平方キロメートル以上ということになっております。これは、地方制度調査会で御審議をいただきましてそういう答申が出ておりまして、これを踏まえて、これを法制化しようというものでございます。
まず、人口三十万人ということでございますが、なぜそうしたかということでございますが、これは一つには、中核市は保健所設置市ということになるわけでございます。ところで、現行の保健所設置市の基準は人口三十五万人以上ということになっておりますので、これらの点を考慮する必要があるということが一点。それからもう一つは、今お話がございましたように、全国市長会からも人口三十万人以上の都市等に対して現行の指定都市程度の事務配分を行うべきとの提言がされているというようなこともございます。
それから面積の方でございます。百平方キロメートル以上としたわけでございますが、これは、指定都市のうち最も面積が小さいのが川崎市でございまして、これが百四十二平方キロであるということを考慮いたしまして、これに準ずる行政需要のまとまりが必要であるということを考慮したということでございます。さらに言わせていただければ、現在指定都市は十二ございますが、人口の平均は百五十万人、面積の平均は五百平方キロということでございますが、中核市の人口要件を三十万人というふうにいたしておりますので、これを勘案いたしますと百平方キロメートル以上というのが適当であると考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/73
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074・畠山健治郎
○畠山委員 では次に、中核市と中核機能について伺いたいと存じます。
その他「政令で定める基準」として、昼夜間人口比率が一〇〇を超えることとされております。このような数値基準を定めるとするならば、なぜ政令とするのでしょうか。条文を明記したらよいのではないだろうかと考えますが、いかがでございましょうか。
また、県庁所在都市も加えるべきだという意見も多いやに伺っておりますが、その点についてもお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/74
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075・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 その他「政令で定める基準」ということで、これは政令の方で昼夜間人口比率が一〇〇以上であるということにいたしたいと考えているわけでございますが、これを、そういうことであれば法律に明記すべきではないかというお尋ねでございます。
これを法律に規定するということになりますと、その算定方法につきまして法律上詳細に定めなければならないというようなことになるわけでございます。しかし、このような具体的な規定は一般的には政令へ委任しているというのが通例でございますので、そういうことでやる方が適当であると判断したものでございます。なお、昼夜間人口比率ということについては法令上の用語として使用した例は見当たらないものでございます。
それから、中核市に県庁所在地も加えるべきではないかという御意見でございますが、今回の中核市は、指定都市以外の市で、規模能力が比較的大きな市についてその事務権限を強化しようというものでございます。やはりこの場合、市の規模というのは、人口なり面積によってあらわされるというふうに考えておりまして、人口と面積、そして人口を補完するものとして、その周辺地域における中核性というものを要件としているわけでございます。
県庁所在地の規模能力も、これも非常に大きいところから小さいところまでいろいろあるわけでございます。そういうことで、県庁があるということだけで一定水準以上の行財政能力があるということには直接的には結びつかないというふうに考えられますので、そういうことで、県庁所在地というものだけで中核市ということにはなかなか判断できないのではないかというふうに思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/75
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076・畠山健治郎
○畠山委員 次に、指定要件の性格についてお伺いをしたいと思います。
この点で指摘されるのは、結局、中核市なるものの社会経済的定義がはっきりしていないからだと思います。人口と面積要件は、指定基準の一要素であっても、中核市そのものを定義づけるものではないと考えます。と同時に、説得力がないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/76
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077・石井一
○石井国務大臣 行政事務は、しかし、できるだけ住民に身近なところで処理をされることが適当で、総合行政主体である地方公共団体の手によって行われるのが必要だと考えております。
このような観点から、平成五年四月十九日、第二十三次地方制度調査会から、「社会的実態としての規模能力が比較的大きな都市について、その事務権限を強化し、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにして、地域行政の充実に資するため、」中核市の制度を創設することが適当である旨の広域連合及び中核市に関する答申が出されたところでございます。
自治省といたしましては、この制度の創設は地方分権の推進の具体的な方策である、そういう考え方からこれを推進してまいりたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/77
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078・畠山健治郎
○畠山委員 それでは次に、政令指定都市と中核都市の関連についてお尋ねを申し上げたいと思います。
政令指定都市に準ずる性格を持つ中核市ができるから、今後、政令指定都市制度は一体どうなるでしょうか。もともと妥協の産物として生まれた指定都市制度であるとするならば、これは当初あったような特別市とするのか。また、どのような制度にせよ、一定の時期に見直さざるを得ないとすれば、都道府県機能との関係がさらに問題となろうと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/78
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079・石井一
○石井国務大臣 畠山委員御存じのとおり、指定都市は、大都市の固有の問題、行政需要に対処するために昭和三十一年に創立され、その後平成三年まで次々に指定が行われまして、現在十二の都市が指定されております。
ただ、指定都市の問題として各界から指摘されております問題点は、一つ、その行政区は、巨大化した大都市行政の分権の担い手として広範多岐にわたる機能を営むことが求められていることから、今後、都市内分権を進め、コミュニティー自治権の拡大などについて検討していく必要があるのではなかろうかという点、次に、人口配分により都道府県会議員の定数が指定都市にも割り振られていることから、道府県の権限の所在と議会の議員の選出区域とが整合的ではないのではないかという問題点、それからもう一つ、道府県から指定都市に移譲されている事務は主として福祉、衛生分野であり、特に大都市行政上不可欠な都市計画や交通行政等の分野については限定された事務となっておるのではないか、そういう議論が提示されておるというのが現況でございます。
いずれにしましても、指定都市制度のあり方については、今後中長期的な課題として検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/79
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080・畠山健治郎
○畠山委員 それでは次は、中核市への権限移譲についてでございますが、移譲される事務の目玉商品ともいうべきものは保健所事務ただ一つであります。それだけなら地域保健法の改正でも十分ではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/80
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081・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回の改正で中核市をつくろうということは、都市の規模能力に応じて適切な事務移譲をしていこうということでございます。指定都市と同じではないけれども、それに準じるような都市について一定の事務権限を強化していこうというようなことで、できるだけ住民に身近な行政は住民に身近な都市でできるようにしようということで改正をお願いしているわけでございます。
今お話もありましたように、この中核市への権限移譲の中で、保健所の事務というのは大変重要な事務になることはそのとおりでございますが、しかしそればかりではございませんで、ほかにも福祉関係の事務でありますとか、あるいは衛生関係の事務でございますとか、町づくりの関係の事務というものが代表的な例として、これは地方自治法に基づいて移譲されるということになります。さらに個別法で、都市再開発法でありますとか都市緑地保全法等の事務についても一括して移譲されるということになっているわけでございます。
これらの事務は、現在都道府県から指定都市に移譲されている事務について、中核市にもこれを移譲するかどうかという見地から検討したものでございまして、さらに将来的には、法律の制定、改廃が行われるということがあります場合には、それに基づく新しい事務というものが、今回の事務移譲の内容に照らして、それらの事務についても移譲をするということも考えられるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/81
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082・畠山健治郎
○畠山委員 それでは先に進まさせていただきます。都道府県の承認についてお伺いを申し上げたいと思います。
中核市の申請に当たりまして都道府県の同意が義務づけられておりますが、都道府県の同意と申しますと議会の承認ということだと存じます。これをあえて法定化する積極的な意味は一体どんなことでしょうか。実態的には府県と市町村はこれに限らず協議しておるわけでありますから、積極的法定化には何か別の意味があるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/82
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083・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 別の意味があるわけではご ざいませんで、中核市の決定に当たりましては、当然当該市の意向というのが尊重されるわけでございます。ただ、事務の移譲ということで、都道府県の事務が移譲されるわけでございますので、それが県と移譲される市との間で相互に意思の疎通が十分行われ、いろいろな調整が行われるということが重要であるということから、市が中核市の申し出を行うに当たりましては、都道府県の同意が必要であるということを要件としたものでございます。
また、この都道府県の同意につきましては、議会の議決を要するということにしてありますが、これは団体意思を確認するという意味で、やはりその手続を明確化しようとするものでございまして、都道府県とこの中核市が協調的に仕事をする上でこういう措置が必要であると考えたものでございます。
また、指定都市の指定については、都道府県の同意については法律上の規定は確かにございませんけれども、実態といたしましては、最近の指定につきましては、当該都道府県の同意を前提といたしまして運用しているという実態にもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/83
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084・畠山健治郎
○畠山委員 次に、広域連合の基本問題についてお伺いをさせていただきたいと存じます。
法改正の基本問題でございますが、広域連合のそもそもの発端は、地方制度調査会における成田メモであったと思います。その意味するところは、現行府県・市町村制、またこの制度のもとでの一部事務組合では広域行政需要に対応できない。したがって、広域行政主体としての連合が必要ということでありました。その考え方の当否は別といたしまして、この考え方及びその後の地方制度調査会答申からすれば、この広域連合は、自治法にいう「地方公共団体の組合」の上位に位置するものではないだろうか。したがって、地方自治法第三編第三章「地方公共団体の組合」に関する第二百八十四条第三項として広域連合を加えているのは、法改正形式としては適当とは言えないのではないかと存じますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/84
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085・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回の広域連合の位置づけでございますが、これはどういう位置づけをしようかということで、私ども、特別地方公共団体の自治法上の位置づけで、特別地方公共団体との関係を総合的に検討をしたわけでございます。
そういうことで、この広域連合というものが、基本的には、複数の地方公共団体がその団体の事務とかあるいはその機関の権限に属する事務を広域にわたって処理するために設置をする特別地方公共団体であるということが一点と、それから、広域連合により処理する事務については、これを組織する地方公共団体の方は当該事務を処理する機能を失うということになるわけでございまして、これはまさに現行の「地方公共団体の組合」を設置した場合と基本的に同様な効果を持つということでございますので、地方自治法第三編第三章の「地方公共団体の組合」の一類型として制度化を図ることが適当であるということで、これを制定するということにしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/85
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086・畠山健治郎
○畠山委員 次に、特別地方公共団体と普通地方公共団体の関係についてでございます。
それぞれの概念は必ずしもはっきりしておらないわけでありますが、自治省は一体どのようにお考えでしょうか。少なくとも「地方公共団体の組合」は一般には特別地方公共団体として見て差し支えないと思いますが、それでよろしいでしょうか。
そうであるとすれば、広域連合の長及び議員を住民の直接選挙にした場合、その連合はあくまでも一部の事務を行う団体だとして特別地方公共団体と言えるのかどうか、どうも理解しがたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/86
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087・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回、広域連合は特別地方公共団体として位置づけているわけでございます。普通地方公共団体と特別地方公共団体の関係はどうかというお尋ねでございます。
御承知のように、これは地方自治法の第一条の二の規定によりまして、普通地方公共団体は都道府県と市町村、それから特別地方公共団体は特別区、地方公共団体の組合、財産区、地方開発事業団とされておりまして、特別区、公共団体の中にはさまざまな種類がございます。
普通地方公共団体はその目的において一般的であり、またその存在が普遍的であるということに対しまして、特別地方公共団体の方はその目的において特殊的でありまして、また存在が普遍的でないというような違いがあるとされているわけでございます。
なお、普通地方公共団体と特別地方公共団体の区別につきましては、議会の議員あるいは長の選出方法が直接選挙によっているかどうかということ、直接公選であるかどうかということとは直接には関係がないということが言えるかと思います。例えば、現在の特別区につきましても、その議会と長については直接公選ということになっておりますが、これは特別地方公共団体ということに位置づけられておりまして、また、かつての特別市も同様に特別地方公共団体とされていたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/87
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088・畠山健治郎
○畠山委員 次に、広域連合と道州制の懸念についてお尋ねを申し上げたいと存じます。
市町村間あるいは市町村と都道府県で広域連合を組織した場合、現行二層制の地方制度においてどのように位置づけられるのでしょうか。特に現在の中央、地方の制度の関係のもとでは、府県を超える広域連合というのは想定していないのではないかと思います。中央、都道府県、市町村という三層の行政制度では、府県を超える広域行政とは、すなわち中央の行政という考え方に立脚しているからであると言えるのでありましょう。自治省がもしそのように考えているとするならば、府県を超える広域連合は、道州制への過渡的制度か三層制への制度を構想していることになろうかと思われますが、そのようなお考えがおありでしょうか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/88
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089・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 この広域連合につきましては、先ほど来申し上げておりますように、多様化しております広域行政需要に的確に対応するとともに、国からの権限移譲の、権限の受け入れ体制を整備するということでこの制度化をお願いしているところでございます。その広域連合は、特定の事務の処理を想定してその制度化を図るということでなくて、一般制度としてつくっていきたいということでございます。
その中でそれをどう活用していくかということについては、それぞれの地方団体に御判断をいただいて、自主的にこれを活用していただくということになろうかと思います。その場合に、現在の一部事務組合と同様に県を超えるような広域連合ということも考えられる、想定できるわけでございます。
この広域連合制度については、さっき申し上げたような趣旨でつくったわけでございまして、何も道州制というようなものを導入しよう、そのステップにしようということを意図しているものではございません。あくまでも、こういう制度をつくりましたら、都道府県や市町村、特別区がそれぞれの広域行政需要の実情にかんがみまして自主的に御判断をいただいて、この広域連合を設置していただきたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/89
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090・畠山健治郎
○畠山委員 連合の設定と国の関与についてお尋ねをいたしたいと思います。
広域連合の設定に当たりましては、都道府県が加入する場合、国の関与、つまり省庁協議は限定的にすべきであって、設定そのものの可否については国は関与すべきでないと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/90
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091・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 広域連合は、国の権限または事務の委任を受けることができるということにいたしております。また、広域連合の協議会には国の地方行政機関の長が参加できるというような規定も設けているわけでございます。まさに国との関係を念頭に置きながら構築した制度というふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
広域連合の設置に際しましても、その処理する事務が国の施策とか事務といろいろ関係を有することになります場合には、国の関係行政機関との調整を図るということが、広域行政需要に対する円滑な対応ができるということにも資することが多いと考えられるわけでございます。
そこで、少なくとも都道府県が加入して相当程度の広域にわたる事務を処理するというような広域連合につきましては、その設置等について国の関係行政機関の長へ協議するということにしたものでございまして、地方団体の自主性を損なったり自治を侵害するものではないと考えているものでございます。もとより、この協議を受ける国の関係行政機関の長は、地方自治の本旨を尊重して協議に応じていただくべきであるということは言うまでもないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/91
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092・畠山健治郎
○畠山委員 時間がありませんから先を急ぎます。
事務権限の委任についてお尋ねを申し上げたいと思います。
広域連合に対して、国は権限または権限に属する事務を委任することができると規定していますが、現時点で委任可能な事務についてどのように想定していらっしゃいますか。例えば産業廃棄物処理事務等は可能性があるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/92
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093・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 これは、先ほど来申し上げておりますように、特定の事務を想定してこの制度をつくっているものではございませんので、ケース・バイ・ケースによってどういう事務が共同処理されるか、またそれに関連してどういう国の権限が委任されるかということは、制度が動いて、その段階で関係省庁が、広域連合の処理する事務や組織、あるいはこれを組織する地方団体とか当該広域連合の区域における行政需要の状況等を総合的に判断して、それを勘案いたしましてこの権限の移譲を行うということになろうと思います。
したがって、現在の段階で国からの広域連合に委任される事務、権限について一般的に挙げるということはなかなか難しいということになるわけでございますが、例えば、お話がありました廃棄物処理を行う広域連合において、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく厚生大臣の廃棄物処理センターの指定権限というようなものを、法令の定めるところによって広域連合の長に委任するということもあり得ることだとは考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/93
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094・畠山健治郎
○畠山委員 広域連合からの事務、権限の委任要請についてお尋ねをいたしたいと思います。
府県が加入するものにあっては国に、府県が加入しないものであっては府県に事務、権限の移譲をするよう要請することができるとなっておりますが、これにこたえるか否かは要請を受けた団体の判断にまつということになっております。
この点について、まず府県、市町村間の関係では、一九七〇年代の府県からの市町村への委託に見られますように、両者の話し合いが基本になっておりますから一定の前進が想定されますが、問題は国であります。国というよりは、要請された各省庁が現実的にこたえ得る可能性は皆無ではないでしょうか。しかも、委任するに当たってはその都度法改正を行うことになっている以上、省庁が要請に応ずる可能性はないでありましょう。自治省はどのような見通しをお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/94
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095・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回の広域連合の考え方は、全国一律に広域連合を設立するわけではございませんで、あくまでも地域の具体的な広域行政需要に応じて広域連合が設置されるということになるわけでございます。そこで、国からの権限移譲につきましても、個別にこれを行われるということが想定されるわけでございます。
国が実際に権限移譲の検討を行うに際しましても、特定の広域連合において処理することが可能であるかどうかということに眼目が置かれて具体的に判断が行われるということになりますので、権限移譲の実効性も高いのではないかというふうに考えております。
このようなことから、自治省としては、広域連合が事務処理するに当たりまして、国からの権限または事務の委任を受けることが広域行政需要への対応にとって適当であると広域連合が判断する場合には、国に対する要請を行うことによって権限等の委任が行われるということは十分期待できるというふうに考えております。
先ほども申しましたように、この要請がありました場合には、要請を尊重して国の方でも真剣に検討が行われるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/95
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096・畠山健治郎
○畠山委員 拒否理由の公開についてお尋ねをいたしたいと思います。
広域連合からの申し出に仮にこたえられないとしても、少なくともその拒否理由を公開する必要があるのではないでしょうか。請求権と拒否権、それをつなぐ理由のディスクロージャーぐらいの制度化はしてもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/96
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097・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 この権限または事務の委任の制度は、要請を受けた国が当該要請を契機といたしまして権限の委任について具体的に検討することによって権限あるいは事務の実効ある委任が進められるということを目的としたものでございます。要請を受けた国の方においては、当該要請を尊重し、委任の可否について十分検討する必要があると考えております。
しかしながら、国においていろいろ十分に検討をした結果、結論的にやはり権限の委任を行うことが適当でないというような判断をする場合もないわけではないと思います。そういう場合には、広域連合からの要請を契機として国が主体的に権限の委任の可否を判断するという仕組みをとっておりますこの制度の性格上、その理由をそのたびごとに公開することを法的に義務づけているものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/97
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098・畠山健治郎
○畠山委員 中を若干飛ばさせていただきまして、一部事務組合職員の身分についてお尋ねをいたしたいと思います。
一部事務組合が広域連合に移行することを本改正案は妨げておらないわけでありますが、そしてまた、現実的にこれは十分想定されますが、その場合、事務組合は一たん解散ということになる以上、そこに働く固有職員の身分もなくなってしまうのではないでしょうか。したがって、移行する場合の固有職員の身分保障が必要であり、国鉄廃止、清算事業団のような事態は性格上からも許されることはあり得ないと思います。自治省としてはどのように担保するつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/98
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099・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 現実問題として、一部事務組合が改組をして広域連合になるということは今後あり得ると思います。法制上の仕組みとして、この広域連合と一部事務組合は同じく地方公共団体の組合ではありますが別の制度でございますので、また、一部事務組合から広域連合への移行の規定を特に設けているわけでは、法律上の特例を設けているわけではございません。そういうことから、一部事務組合から広域連合にするためには、一たん一部事務組合を解散して、改めて広域連合を設置するという手続になろうかと思います。
したがいまして、この一部事務組合の職員は改めて広域連合に任用されるということになるわけでございますが、共済制度上は引き続き構成団体の職員を組合員とする組合に属することとされておりまして、また、給与、勤務条件等を定める条例についても、従前の一部事務組合と均衡を図りつつ定められるというふうに考えられます。条例準則どおりに退職手当条例を制定し、設置の日から遡及適用するということになれば、退職手当についても特に問題を生ずることもないということで、実務上支障が生ずることはないのではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/99
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100・畠山健治郎
○畠山委員 最後になりますが、本改正案第七十四条の四の四項において「選挙権を有する者が身体の故障又は文盲により」とあるのは適切な言葉とは考えられません。四項の規定は全く新しく条文化されたものであることを考えますと、この「文盲」なる表現は避けなければならないと思います。ぜひ適切な対応をしていただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。
最後になりますが、大臣、時代の流れは地方分権を大胆に進めよということだというふうに思っております。どうかひとつ地方分権によりまして、真の民主主義を地方の時代によって築いていただきますように、大臣の御活躍を心から御祈念を申し上げながら終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/100
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101・粟屋敏信
○粟屋委員長 穀田恵二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/101
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102・穀田恵二
○穀田委員 私は、まず法案の背景となります地方制度についての自治省の基本的な見解についてお伺いしたいと思います。
先ほどもるるお話がありましたように、また法案の提案理由にありますように、この法案は昨年四月の地方制度調査会の答申を受けて法案化されたものです。
そこで、その答申を見てみますと、「地方自治制度の根幹に関わる制度改革については、国・地方を通ずる行政構造の基本的なあり方、住民意識や行政需要の動向等幅広い観点からの具体的論議が行われることが必要である。」こういうふうに書いていまして、さらに「同時に、これまで答申において指摘した国と地方の事務の再配分、権限移譲、国の関与の整理合理化や現実の行政需要に対応するための地方制度の改革を一歩一歩着実に実現していくことも、地方分権の推進のためには極めて重要なことと考える。」こう書いています。この基本的な考え方に立って広域連合や中核市制度を創設することが適当だとした答申を出したわけですね。
そうしますと、これを読むと、将来の「地方自治制度の根幹に関わる制度改革」のわかりやすく言えば過渡的な問題として出しているのかどうか、そういうふうに受け取れるわけだけれども、自治省はこの法案をそういう位置づけで出しているのでしょうか。まず、その基本的な見解をお聞きしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/102
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103・石井一
○石井国務大臣 御指摘になりました沿革、経過につきましては申し上げませんが、御指摘のとおりでございまして、今後、第二十三次地方制度調査会が出しましたその答申に従いまして、例えば「地方公共団体に関する国の関与の是正に関わるものから、道州制の導入等現行の地方自治制度の根幹に関わる制度改革に至るものまで」多方面なものが出されてきたわけでありますけれども、その答申の中で例に挙げております道州制の導入のように、現行の都道府県制といった地方自治の根本的な仕組みを廃止して新たな制度を創設するような改革を指しておる、そういうふうに考えております。
そうすると、その過渡的な問題につきましてはどうかということでございますが、この答申というものは、地方分権を推進するのに確かに有益な手法である、こういう考え方から自治省はこれを提案しておるわけでありまして、これが今後定着するか、あるいはまた過渡的な状況として、抜本的なものにするかは今後の運用による、こう申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/103
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104・穀田恵二
○穀田委員 途中ちょっと聞きそびれたのですけれども、最後の運用のいかんはわかるのですが、今引用されて、「道州制の導入等現行の地方自治制度の根幹に関わる」、つまり道州制の導入によって、今お話をちょっと聞きますと、私の勘違いでしたらあれですけれども、現在の都道府県の廃止を意味するものなんですか。今ちらっとおっしゃったんだけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/104
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105・石井一
○石井国務大臣 必ずしもそこまで道州制を視野に入れて話をしておるわけではございません。ただ、例えば、さっき越智委員もいろいろの問題を提起されまして、確かに現行の制度をその延長線上に完結させていくというのがいいのか、こういう過渡的、中間的なものを出していくのがいいのか、あるいは抜本的なものにするのかというのは、今後の問題だというふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
別に他意はございませんから、ひとつ素直におとりいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/105
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106・穀田恵二
○穀田委員 といいますのは、私は、道州制の問題をそういうところまで、今の大臣のお話だと後半の方の話を引用されて、もう既に言ってあるから、もうそこまでいくのかなというふうに一いや、ですから、前半の方を聞いているものですから、前段の文章の中に、道州制の導入等根幹にかかわることについて議論は展開されたということと存じ上げておりますが、今のお話だとそこへ突っ込めたように聞こえましたので、それは確認しておきたいと思うのです。
そこで、先ほど越智委員やまたそのほかの議員からもお話がありましたように、やはり今の考え方の根本というのは、現行府県制と市町村制から成る二層制というものについてどう考えるのかということが改めて問われていると私考えるのです。先ほども行政局長からそのことについて、維持するんだというふうなことを出してみたり、いやそれは、全体としてはどういう方向なのかというのはもう一つよくわからないものですから、そこはもう一度確かめておきたいと思うのです。その辺はいかがでしょうか。行政局長の方から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/106
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107・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 二層制の問題に関連してのお尋ねでございますが、現在の我が国の地方制度は、御承知のように都道府県、市町村という二層の地方公共団体を基本として広く定着をしているところでございます。
市町村については、先ほども申し上げましたが、住民に最も身近なところで行政を行う基礎的な地方公共団体というふうに位置づけられておりまして、自主的、自律的にその施策が展開できるように充実を図っていくことが重要であるというふうに考えている次第でございます。
一方、市町村を包括する地方団体としての都道府県は、広域的な団体でございますが、実態的にも意識の面でも定着の度を高めているということも考え合わせますと、都道府県、市町村相協力して連携をしていこうという現在の仕組み、この基本的な枠組みは意義を失っていないのではないかというふうに考えているものでございます。
もちろん、社会経済情勢の変化に対応して不断に地方制度のあり方を見直していくということは一方では必要なことでございまして、今後の住民サービスの向上とか広域行政への対応など早急に検討すべき課題に対応して、まず当面、二十三次地方制度調査会から答申もございましたこの広域連合とか中核市制度について、その創設の導入を図ることを内容といたしました地方自治法の一部を改正する法律案を今回御提出を申し上げたというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/107
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108・穀田恵二
○穀田委員 定着している、意義を失っていない、そうかと思うと今度は見直していく、見直していく必要もあるんだ、こう言うのですね。
私が言っているのは、今回の意味づけとの関係は、後半の方はわかりました。しかし問題は、中心軸としてそういう現行二層制についても、例えば地方自治制度の根幹にかかわる制度改革を意味することの一つとして、結局のところ一層制に再編成するということが含まれているのか、それとも引き続き現行二層制については維持していくという根本的立場に立っているのか、そのことについてお聞きしているのです。
先ほどのお話ですと、こう言っているんですよ。定着している、意義を失っていない、かといって、新しい答申もあるんだから見直していく。要するに今の段階ではどういう立場に立っておられるのかということについて、簡潔に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/108
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109・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 都道府県は定着をしているわけでございますので、都道府県、市町村ということは基本的には維持されるべき問題だと思っております。
ただ将来的に、この地方制度というのは、社会経済情勢が変わってまいりますので、不断に検証をしていく必要があるということもあわせて申し上げているわけでございます。
先ほどの地方制度調査会の答申におきましても、最近の論議として、道州制の導入等現行の地方自治制度の根幹にかかわる制度改革論議がこの地方分権に関連してさまざま展開されているということも述べておりますし、こういう地方自治制度の根幹にかかわる制度改革については、国・地方を通ずる行政構造の基本的なあり方とかあるいは住民意識や行政需要の動向等幅広い観点から具体的に論議が行われることが必要であるという指摘もございますので、そういう中で今後の問題に対応してまいりたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/109
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110・穀田恵二
○穀田委員 当面は維持しつつということですね。
そこで、お聞きするのですが、この改正案によって、地方自治を強化するという立場からすれば、現行の都道府県、市町村、それぞれにおいてはどういうメリットがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/110
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111・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回の中核市制度は、規模能力が比較的大きい都市について、その事務権限を強化する、そして、できる限り住民の身近で行政を行うことができるようにしようというものでございます。権限の移譲を受けまして、関連する事務を一括してみずから処理するということによりまして、都道府県が行う以上にこの中核市が住民に対して迅速かつ十分な行政サービスが提供できるということが何よりもメリットになるのではないかと考えておるわけでございます。
広域連合制度は、多様化しております広域行政需要に適切に対応するとともに、さっきから申しますように、国からの権限の受け入れ体制として整備を行おうとするものでございます。具体的には、先ほど来言っている一部事務組合にないようないろいろな仕組みをこれによって創設していこうということにいたしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/111
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112・穀田恵二
○穀田委員 今の中核都市その他についてのお話はわかるのですが、要するに、そういうことを一つ踏み出すことによって、現行の都道府県、それから、例えば都道府県の中にいて中核市に存在する方々は、そういう行政需要、行政のメリットを受けられるでしょう。そういう点でのサービスを受けられるという点では前進でしょう。ただ、私が申しましたのは、都道府県の中に中核市でないものも当然いますわね。ほかの市町村もいるわけですから、現行の都道府県それからそうでない市町村、これはどういうメリットがあるのかな、つまり、地方自治の強化の観点からしたらどうなのかということをお聞きしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/112
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113・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 中核市については、該当する団体はまさに権限が充実するということがございます。
それ以外の市町村がどうか、あるいは都道府県がどうかというお話でございますが、中核市制度のほかに、広域連合制度を今回提案をしておりまして、この広域連合制度をつくることによりまして、地域のそれぞれの多様化している広域行政需要に的確に対応できる仕組みができるわけでございますし、そこに国から直接、権限が移譲できるという体制が整備されるわけでございますので、そういうメリットがあるというふうに理解をしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/113
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114・穀田恵二
○穀田委員 そうすると、構図としてはこうなるわけですか。
つまり、中核市ができることによって、権限移譲をされて、ここは行政サービスが前進をする。残りのところは、例えば、県があって、県と市町村の二つが、二つという言い方は悪いですけれども、それらを含めて全体として広域連合でくくることができるから、それらの点でもサービスないしは自治が拡大するだろう、こういう構図ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/114
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115・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 広域連合のメリットは今申し上げましたようなことでございますので、中核市も入って広域連合というケースも考えられるわけでございますので、中核市の場合には中核市だけの意味合いしかないというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/115
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116・穀田恵二
○穀田委員 そこで、この間議論になっていますのは、一つの中心問題は権限移譲という問題ですね。これは、私も見てみますと、例えば朝日新聞の五月九日付の「花も実もある分権を目指そう」という中の「中核市は府県からの権限移譲だけで、国からの分権は全くない。これでは府県の空洞化を招きかねない。府県と市町村という自治体がもつ自治の総量が増えなければ、本当の分権とはいえない。」こんな意見もございます。
そこで、それがどうかという問題もありますし、先ほどのお話を聞いてみましても、こう言っています。二百九十一条の二、「要請することができる」という規定です。先ほどそれに答えて行政局長は、国によって尊重し検討が行われる、しかも、その場合、必ずしもそれが保障があるというよりは、国が主体的に判断するものだということもあわせてお述べになりました。そういう意味でいいますと、広域連合への国からの権限移譲と申しましても、「要請することができる」という規定で、権限移譲が具体的に伴うという保障はまだないわけですね。その辺を先ほどの御答弁との関係でもう少しお話ししていただければと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/116
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117・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 二点お尋ねかと思いますが、一つは、今回の中核市への権限移譲は都道府県の事務権限を移譲しているだけではないかということでございます。これは、先ほど来申しておりますように、市町村の規模能力が千差万別でございますが、そういう中で、指定都市に準ずるような都市について、その事務権限をまず強化していこうということがあるわけでございます。
さらに、国から地方への抜本的な権限移譲の問題につきましては、これは当然これからの問題としてやっていかなければならないわけでございますが、まず、一歩一歩その地方自治の拡充強化、地方分権の推進ということを進めるという意味で今回のこの法案をお願いしているわけでございまして、今後は、先ほど来申し上げておりますように、第二十四次の地制調の御審議でございますとか、行革推進本部の地方分権部会で大綱方針をつくってまいりますので、そういう中で十分論議がされると思いますし、自治省としても、一層地方分権の推進に努力をしていきたいというふうに考えているものでございます。
それからもう一点は、広域連合への国からの権限移譲について、広域連合側から国に対して要請できるというような規定になっているが、この規定の趣旨いかんということ、あるいは実効性があるのかというお話でございます。
これは、広域連合が事務を処理するに当たりまして、国等からの権限の委任を受けることが広域行政需要への対応にとって適当であると広域連合が判断することが想定されますから、広域連合が国に権限の委任を「要請することができる。」という規定を設けているものでございます。
この要請の制度は、先ほども申し上げましたが、国などがこの要請を契機といたしまして権限の委任について具体的に検討をすることによりまして、権限の実効ある委任が進められるということを企図しているものでございまして、要請を受けた国は、これによって何らかの作為義務を負うというものではございませんが、委任の可否について十分検討することが期待されるものでございます。
それから、これも先ほど申し上げましたが、広域連合は全国一律に設けられるというものではございません。地域のそれぞれの具体的な需要に基づいて、その広域行政需要に対応するために設置されるものでございますから、国の権限の移譲に当たりましても、当該権限を特定の広域連合において処理することができるか否かに着目をして検討を行うということになりますので、すべての地方団体に一律に権限を移譲する場合に比べまして、権限移譲の実効性というのが高くなるのではないかと考えているものでございます。
せっかくこういう制度をつくりました以上は、広域連合に対する国からの権限の移譲が今後順調に進むように私どもとしては期待しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/117
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118・穀田恵二
○穀田委員 私は、もう一つ保障がはっきりしないなというのが率直な実感です。
時間が来たということですが、なぜこれをしつこく言っているかといいますと、実は、地方制度調査会の答申でも、国から地方への権限移譲が行われておらずに極めて遺憾と言わざるを得ないと何度も指摘しているものですから、そういう趣旨を体してやってほしいというように思うものですから。
しかも、実際はどうかといいますと、国から地方への関係でいいますと、別表の整理──これは「地方自治法別表に掲げる機関委任事務の項目数の推移」という資料が調査室からも出ていますけれども、それを見ますと、逆に機関委任事務がふえているということになるのです。そういう点からいっても、機関委任事務は整理するというのが政府の立場じゃないか。こんなことまで本来相談にあずかっているわけだから、そういうものも含めて認めるのはどうかということだけ、最後にその見解だけお聞きして、発言を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/118
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119・吉田弘正
○吉田(弘)政府委員 今回、別表改正を行っておりますが、これは御案内のように、これまで各個別法で機関委任事務ができた場合にこれを別表に規定するということになるわけでございます。これは、機関委任事務につきましては、国と地方の適切な機能配分の観点から、基本的にはその数は必要最小限にとどめるべきであるというふうに考えているわけでございますが、そういう見地から、これまで一連の行政改革によりまして各省が所掌する機関委任事務について見直しを行いまして、整理合理化ということも進めてきたわけでございます。
それから、今回の改正法によって別表に掲げる機関委任事務は全部で五百六十六項目ということになるわけでございますが、実際に法律として、特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律、いわゆる中山間新法でありますとか、特定中小企業集積の活性化に関する臨時措置法等の新法の制定に伴いましてこの項目数がふえているということもあるわけでございます。
いずれにいたしましても、新法の制定に当たりましては、可能な限り機関委任事務を増加させないというようなことで、既存の機関委任事務についてまでも絶えず見直しを図るということで、その合理化に努めてまいりたいというふうに思っております。
それからもう一つ、その権限移譲がなかなか進んでいないのじゃないかというお話がございました。これにつきましても、私どもも、いろいろ地方制度調査会の答申もございますし、あるいは行革審の答申もありますので、そういうことについて国の各省でそれぞれ見直してほしいということを申し上げておりまして、そういう中で数次にわたって一括法の整備等で一定の権限等も移譲されましたが、まだまだ十分でないという点はありますので、さらに私どもも努力をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/119
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120・穀田恵二
○穀田委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/120
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121・粟屋敏信
○粟屋委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/121
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122・粟屋敏信
○粟屋委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/122
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123・穀田恵二
○穀田委員 私は、日本共産党を代表して、地方自治法の一部を改正する法律案及び同法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、反対の討論を行うものです。
反対の第一は、広域連合の導入は、都道府県や市町村行政の空洞化を招くとともに、行政への住民参加を制限し、地方自治の後退につながるものだからであります。
国からの権限移譲はともかく、都道府県知事等から権限移譲が大幅に行われた場合、広域連合それ自体が事実上、都道府県や市町村にかわる新たな行政主体となりかねません。また、広域連合は、その長や議会の選挙の規定が置かれていますが、議会については構成団体の議会で、長については構成団体の長による投票で選挙するなどの間接選挙とすることができる規定になっており、行政への住民の声の反映を制限するものになっています。
第二に、導入は、第二臨調発足以来財界などが一貫して要求してきた道州制の導入や大型市町村合併など、地方制度の抜本改編の地ならしをするものだからであります。
今回の広域連合制度は、新行革審答申を受けたものであり、その意味では地方制度の本格的な再編成を準備するものと言わざるを得えません。新行革審が提唱した連合制度は、その審議に加わった関経連の宇野会長が、道州制への過渡的措置として提案したもう一方の府県共同体が都道府県連合制度という名称で盛り込まれたと発言していることからも明らかなように、その制度の導入が最終目的ではなく、新たな制度改編の呼び水としての性格を持つものでした。
また、最近の市町村合併では県が重要な役割を果たしていますが、都道府県が加わる広域連合は、市町村合併の新たな推進母体をつくることにもなります。来年の合併特例法の期限切れを控えて、自治省は合併についての住民発議制度の導入を検討しているが、広域連合は、こうした上からの合併促進の動きと一体のものと言わなければなりません。
第三は、国からの権限移譲を伴わない中核市制度の導入は、都道府県の空洞化につながるとともに、中核市を中心にした住民無視の開発や周辺市町村の合併を促進し、都道府県内での一極集中と過疎化をさらに加速するからであります。
中核市への権限移譲は、住民により身近な自治体への権限移譲であり、それ自体としては反対するものではありません。しかし、地方制度調査会答申も指摘するように、国からの地方への権限移譲があって初めてその効果が発揮され、地方分権に役立つのであります。ところが、改正案には国からの地方への権限移譲は全くなく、あるのは都道府県から中核市という地方団体の間での権限の再配分でしかありません。ここには国から地方へという事務と権限の移譲という地方自治拡充の要素は全く見られません。
候補として挙げられている二十七市の中には、周辺地域を含む大規模な開発プロジェクトを、それも専らゼネコン主導方式で進めようとしているところが少なくありません。中核市の指定は、こうした住民の意向を無視した大規模開発を一層促進するとともに、福祉など市民に身近な行政を後退させ、人口の過密化など新たな都市問題を激化させかねません。
機関委任事務は二年間で二十件もふえ、地方自治の拡充どころか国の統制が強まっているのが現状であります。新たな広域行政主体を事務権限の移譲の条件にするのでなく、現行制度のもとでの国から地方への権限移譲を促進することこそ、憲法の地方自治の原則を実効あるものにするものであることを改めて主張して、討論とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/123
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124・粟屋敏信
○粟屋委員長 これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/124
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125・粟屋敏信
○粟屋委員長 これより採決に入ります。
まず、地方自治法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/125
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126・粟屋敏信
○粟屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/126
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127・粟屋敏信
○粟屋委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、平林鴻三君外四名から、五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。山名靖英君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/127
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128・山名靖英
○山名委員 私は、この際、自由民主党、改新、日本社会党・護憲民主連合、公明党及びさきがけ・青雲・民主の風の五会派を代表し、地方自治法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
地方自治法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、地方自治の充実強化と住民福祉の一層の向上を図るため、次の諸点について、善処すべきである。
一 今年度末で有効期限が到来する市町村合併特例法については、地方分権の推進という観点から、市町村の自主性を尊重するとともに、その合併が円滑に行われるために必要な改善措置について所要の検討を行うこと。
二 地方分権を進めるためには、国と地方との役割を見直し、国から地方への権限移譲、地方税財源の充実強化等地方公共団体の自主性、自律性の強化を図ることが重要であるが、都道府県のみならず、住民に最も身近な行政主体としての基礎的な地方公共団体である市町村の権限とその自主財源の充実にも努めるよう配慮すること。
三 広域連合制度の運用に当たっては、広域連合の自主性を尊重するとともに、これを構成する地方公共団体の性格、規模等に十分配意し、慎重かつ適正を期すること。また、その推進に当たっては、個別の事案の実情に適合するよう留意し、地域住民の意向を尊重するとともに、住民福祉の向上に遺憾なきを期するよう、万全の配慮をすること。
なお、広域連合の創設に伴い、現行の一部事務組合が廃止・縮小される場合においては、当該一部事務組合の職員の処遇について配慮するなど所要の措置を講ずること。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆様の御賛同をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/128
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129・粟屋敏信
○粟屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/129
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130・粟屋敏信
○粟屋委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、石井自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石井自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/130
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131・石井一
○石井国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/131
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132・粟屋敏信
○粟屋委員長 次に、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/132
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133・粟屋敏信
○粟屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/133
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134・粟屋敏信
○粟屋委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/134
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135・粟屋敏信
○粟屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112904720X00519940607/135
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