1. 会議録本文
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000・会議録情報
本国会召集日(平成六年一月三十一日)(月曜日
)(午前零時現在)における本委員は、次のとお
りである。
委員長 松岡満寿男君
理事 大野 功統君 理事 住 博司君
理事 長勢 甚遠君 理事 穂積 良行君
理事 岩田 順介君 理事 宮本 一三君
理事 石井 紘基君 理事 河上 覃雄君
加藤 卓二君 粕谷 茂君
金田 英行君 木部 佳昭君
佐藤 孝行君 田澤 吉郎君
額賀福志郎君 松下 忠洋君
岡崎トミ子君 五島 正規君
田邊 誠君 村山 富市君
愛野興一郎君 古賀 正浩君
鴨下 一郎君 石田 祝稔君
山名 靖英君 大矢 卓史君
寺前 巖君 西岡 武夫君
岡崎 宏美君
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平成六年六月一日(水曜日)
午後零時十二分開議
出席委員
委員長 松岡滿壽男君
理事 赤城 徳彦君 理事 大野 功統君
理事 住 博司君 理事 長勢 甚遠君
理事 大石 正光君 理事 宮本 一三君
理事 岩田 順介君 理事 東 祥三君
加藤 卓二君 愛野興一郎君
大矢 卓史君 古賀 正浩君
西岡 武夫君 池田 隆一君
永井 孝信君 山元 勉君
坂口 力君 山名 靖英君
錦織 淳君 寺前 巖君
岡崎 宏美君
出席国務大臣
労 働 大 臣 鳩山 邦夫君
出席政府委員
労働政務次官 河上 覃雄君
労働大臣官房長 征矢 紀臣君
労働省労政局長 齋藤 邦彦君
労働省労働基準
局長 石岡慎太郎君
労働省婦人局長 松原 亘子君
労働省職業安定
局長 七瀬 時雄君
労働省職業安定
局高齢・障害者
対策部長 渡邊 信君
労働省職業能力
開発局長 松原 東樹君
委員外の出席者
労働委員会調査
室長 松原 重順君
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委員の異動
二月九日
辞任 補欠選任
寺前 巖君 志位 和夫君
同月二十二日
辞任 補欠選任
松下 忠洋君 熊代 昭彦君
岡崎トミ子君 伊東 秀子君
同日
辞任 補欠選任
伊東 秀子君 岡崎トミ子君
同月二十八日
辞任 補欠選任
村山 富市君 池田 隆一君
三月十四日
辞任 補欠選任
熊代 昭彦君 山下 元利君
同日
委員山下元利君が死去された。
四月一日
辞任 補欠選任
額賀福志郎君 中山 正暉君
同日
辞任 補欠選任
中山 正暉君 額賀福志郎君
同月二十二日
辞任
鴨下 一郎君
同日
補欠選任
三原 朝彦君
同月二十六日
辞任 補欠選任
金田 英行君 藤尾 正行君
三原 朝彦君 玄葉光一郎君
同日
辞任 補欠選任
玄葉光一郎君 三原 朝彦君
同月二十七日
辞任 補欠選任
三原 朝彦君 玄葉光一郎君
同日
辞任 補欠選任
玄葉光一郎君 三原 朝彦君
同月二十八日
辞任 補欠選任
穂積 良行君 赤城 徳彦君
愛野興一郎君 岡島 正之君
岡崎トミ子君 永井 孝信君
五島 正規君 山元 勉君
石田 祝稔君 冬柴 鐵三君
三原 朝彦君 宇佐美 登君
五月十日
辞任 補欠選任
石井 紘基君 石破 茂君
河上 覃雄君 東 祥三君
同月十七日
辞任 補欠選任
冬柴 鐵三君 坂口 力君
同月十九日
辞任 補欠選任
石破 茂君 大石 正光君
同月二十日
辞任 補欠選任
岡島 正之君 愛野興一郎君
同月二十四日
辞任 補欠選任
大矢 卓史君 中野 寛成君
六月一日
辞任 補欠選任
中野 寛成君 大矢 卓史君
宇佐美 登君 錦織 淳君
志位 和夫君 寺前 巖君
同日
辞任 補欠選任
大矢 卓史君 中野 寛成君
錦織 淳君 宇佐美 登君
同日
理事穂積良行君四月二十八日委員辞任につき、
その補欠として赤城徳彦君が理事に当選した。
同日
理事石井紘基君及び河上覃雄君五月十日委員辞
任につき、その補欠として大石正光君及び東祥
三君が理事に当選した。
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五月二十日
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第五七号)(予)
同月三十一日
雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出第一九号)
四月十二日
六十歳定年制未到達企業に対する指導強化に関
する請願(寺前巖君紹介)(第一〇二二号)
中小企業退職金共済制度の拡充に関する請願
(志位和夫君紹介)(第一〇二三号)
パート労働者の保護に関する請願(寺前巖君紹
介)(第一〇二四号)
ハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善に関
する請願(井上一成君紹介)(第一〇二五号)
同(緒方克陽君紹介)(第一〇二六号)
同(大畠章宏君紹介)(第一〇二七号)
同(岡崎トミ子君紹介)(第一〇二八号)
同(小林守君紹介)(第一〇二九号)
同(鉢呂吉雄君紹介)(第一〇三〇号)
同(濱田健一君紹介)(第一〇三一号)
同(細川律夫君紹介)(第一〇三二号)
同(村山富市君紹介)(第一〇三三号)
同(大畠章宏君紹介)(第一一一一号)
同(小林守君紹介)(第一一一二号)
同(佐々木秀典君紹介)(第一一一三号)
同(吉岡賢治君紹介)(第一一一四号)
同月十九日
ハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善に関
する請願(大畠章宏君紹介)(第一一五三号)
同(佐々木秀典君紹介)(第一一五四号)
同(大畠章宏君紹介)(第一一八四号)
同(嶋崎譲君紹介)(第一一八五号)
同(田中昭一君紹介)(第一一八六号)
同(田中恒利君紹介)(第一一八七号)
同(早川勝君紹介)(第一一八八号)
同(横光克彦君紹介)(第一一八九号)
同(大畠章宏君紹介)(第一二六二号)
同(北沢清功君紹介)(第一二六三号)
同(田中昭一君紹介)(第一二六四号)
同(土肥隆一君紹介)(第一二六五号)
同(池田隆一君紹介)(第一二九二号)
同月二十六日
ハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善に関
する請願(渡辺嘉藏君紹介)(第一四八三号)
五月十一日
ハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善に関
する請願(竹内猛君紹介)(第一七三七号)
同月十九日
ハイヤー・タクシー労働者の労働条件改善に関
する請願(竹内猛君紹介)(第一七五四号)
は本委員会に付託された。
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二月二十八日
労働災害過労死の認定に関する陳情書外一件
(第六七号)
労働基準法の改正に関する陳情書
(第
六八号)
介護休業法の早期制定に関する陳情書
(第六九号)
雇用対策の推進に関する陳情書
(第七〇号)
季節労働者の雇用と生活安定に関する陳情書外
一件
(第七一号)
四月二十五日
介護休業法の早期制定に関する陳情書外三件
(第一三七号)
失業対策諸事業の存続活用に関する陳情書
(第一三八号)
季節労働者冬期雇用援護制度の存続に関する陳
情書
(第一三九号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
理事の補欠選任
国政調査承認要求に関する件
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
労働関係の基本施策に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/0
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001・松岡滿壽男
○松岡委員長 これより会議を開きます。
理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
理事穂積良行さん、石井紘基さん及び河上章雄さんの委員辞任に伴いまして、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/1
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002・松岡滿壽男
○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に
赤城 徳彦さん 大石 正光さん
及び 東 祥三さん
を指名いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/2
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003・松岡滿壽男
○松岡委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
労働関係の基本施策に関する事項
労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項
以上の両事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。
つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/3
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004・松岡滿壽男
○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/4
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005・松岡滿壽男
○松岡委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、労働大臣から所信を聴取いたします。鳩山労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/5
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006・鳩山邦夫
○鳩山国務大臣 労働大臣の鳩山邦夫でございます。
労働委員会の御審議に先立ち、今後の労働行政についての所信を申し述べ、委員各位を初め、国民の皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
我が国経済は、一部に明るい動きが見られるものの、総じて低迷しております。こうした中で、雇用情勢は引き続き厳しい状況にあり、今後についても厳しい雇用調整の増加が懸念されるところでございます。
一方、中長期的に見ると、労働力供給の伸びの鈍化、高齢化の急速な進展、産業・雇用構造の変化等大きな構造変化が見込まれるとともに、就業形態も多様化しております。また、勤労者生活について見ると、その生活実感において、我が国の経済水準に見合ったゆとりや豊かさを享受できていないという問題が指摘されております。
こうした状況に的確に対応し、二十一世紀に向けて我が国経済社会の活力を維持し発展させるため、次の事項に重点を置きつつ、働きがいとゆとりと安心のある社会の実現を目指して、積極的に労働行政を推進してまいる所存でございます。
第一は、雇用情勢に即応した雇用対策の推進であります。
最近の雇用失業情勢については、有効求人倍率、完全失業率ともに依然として厳しい状況にあります。このような厳しい状況に対応して、去る二月に決定した総合経済対策や、平成六年度予算において雇用支援トータルプログラムの実施等、
積極的な雇用対策を盛り込んだところであります。言うまでもなく、雇用の安定は労働者にとって生活の基礎となるものであります。労働省としても、これらの施策を積極的かつきめ細かく実施してまいりたいと考えております。
また、雇用を取り巻く諸情勢の変化に的確に対応し、雇用の円滑な継続を援助、促進するとともに、失業中の生活の安定、再就職の一層の促進を図っていくことが必要であります。このため、高年齢雇用継続給付及び育児休業給付の創設等を内容とする雇用保険法の改正案を今国会に提出いたしておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
第二は、高齢化の急速な進展など今後の構造変化への適切な対応であります。
急速な高齢化の進展に対応するため、二十一世紀初頭までに、少なくとも六十五歳まで現役として働けるような社会の実現を目指していくことが重要になっております。このため、一、六十五歳までの継続雇用の推進、二、労働者派遣を活用した雇用システムの創設等を内容とする高年齢者雇用安定法の改正案を今国会に提出いたしておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
また、急速な高齢化の進展等に伴う在宅介護需要へのきめ細かな対応を図るため、家政婦紹介所の団体と企業の提携を促進するとともに、介護労働者に対する職業講習の拡充等に取り組んでまいります。
さらに、高度な産業・雇用構造実現のための対策を講じるとともに、ホワイトカラーに対する教育訓練の充実を初め、構造変化に適切に対応した職業能力開発施策の積極的な展開を図ってまいります。
第三は、ゆとりが実感でき、安心して働ける勤労者生活の実現であります。
ゆとりある勤労者生活を実現していくため、一層の労働時間短縮が求められております。このため、政府目標の年千八百総労働時間の早期実現に向け、週四十時間労働制の実現などを内容とする改正労働基準法の周知徹底を図る中で、完全週休二日制の普及促進などに努めてまいります。特に、四十時間制の猶予対象となった中小企業等ができる限り早期に四十時間制に移行できるよう、奨励金制度の活用などにより積極的に支援・援助を行ってまいります。
また、職場における安全と健康の確保に向け、総合的な労働災害防止対策の一層の推進を図るとともに、健康の保持増進対策、快適な職場環境の形成等を推進してまいります。あわせて、的確な労災補償の実施に努め、重度の障害を負われた方々に対する介護施策の充実を図ってまいります。
さらに、中小企業の魅力づくり対策を推進するとともに、大都市圏の通勤混雑を時差出勤、フレックスタイム制の普及により緩和し、快適な通勤の実現を図るなど、勤労者福祉の充実のための施策を積極的に推進してまいります。
第四は、働く女性を初めとする勤労者の多様な個性、能力が発揮できる環境の整備であります。
働きがいと豊かさを実感し、多様な価値観が実現できるようにするためには、勤労者の個性、能力が十分に発揮されるような環境を形成することが必要であります。
このため、女子学生の就職問題への対応を含め、雇用の場における男女の均等な機会の確保に努めてまいります。
また、昨年十二月に施行されたパートタイム労働法及び指針の周知徹底に努めるとともに、事業主等の自主的な取り組みを促すための助成金の創設を図るなど、パートタイム労働対策を推進いたします。
さらに、本年は国連の国際家族年でもあり、育児休業法の定着や介護休業制度の法制化問題の検討を初め、職業生活と家庭生活の両立支援対策を一層充実してまいります。
第五は、障害者雇用対策の推進であります。
障害者の雇用については、引き続き雇用率制度の厳正な運用を図るとともに、重度障害者対策を中心とした障害者雇用対策をさらに推進する必要があります。このため、一、きめ細かな職業リハビリテーションの実施体制の整備、二、通勤手段、住宅・福祉施設等の職業生活環境の整備を行うこと等を内容とする障害者雇用促進法の改正案を今国会に提出いたしておりますので、よろしく御審議をお願い申し上げます。
このような施策の展開に加え、国際化の進展に対応し、国際的な相互理解の推進と国際協力・交流の展開、技能実習制度の適正かつ円滑な実施等を図ってまいります。また、外国人労働者問題についても、雇用管理の改善など適切な対応を図ってまいります。
なお、三月に米国で開かれた雇用サミットの議論を引き継ぎ、坂口前労働大臣に御出席をいただいたわけですが、六月のOECD閣僚理事会、政務次官が出席予定でございます、七月のナポリ・サミットでは、成長と雇用の問題も議論されることから、私としても、世界的に深刻な失業情勢に十分な関心を払い、この問題の解決に寄与できるよう努めてまいります。
さらに、安定した労使関係の維持発展を図るため、労使の円滑な話し合いが促進されるよう努めてまいります。
以上、当面する労働行政の重点事項について私の所信の一端を申し述べました。委員長初め、委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/6
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007・松岡滿壽男
○松岡委員長 次に、労働政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。河上労働政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/7
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008・河上覃雄
○河上政府委員 労働政務次官に就任いたしました河上覃雄でございます。
経済社会が急速に変化する中で、働く方々の雇用の安定と労働条件の向上を図り、真に豊かでゆとりある勤労者生活の実現を目指す労働行政は、ますますその重要性を増すとともに、的確かつ迅速な対応が求められております。
私は、鳩山労働大臣とともに至大を尽くしてまいる所存であります。委員長初め、委員各位の一層の御支援、御協力をお願い申し上げまして、私のごあいさつとさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/8
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009・松岡滿壽男
○松岡委員長 次に、平成六年度労働省関係予算の概要について説明を聴取いたします。征矢労働大臣官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/9
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010・征矢紀臣
○征矢政府委員 お手元の資料に従いまして、平成六年度労働省関係予算案の概要について御説明申し上げます。
初めに一ページ目でございますが、全体の予算規模について御説明申し上げます。
労働省所管の一般会計につきましては、四千六百五億円で、前年度に対し二百八十四億円の減となっておりますが、これは欄外の(注)四にございますように、雇用保険国庫負担の労働保険特別会計への三百億円の繰り入れ特例措置によるものでございます。
労働保険特別会計につきましては、全体で五兆二千九百五十五億円で、前年度に対し二千四百五十三億円の増となっております。これを勘定別に申し上げますと、労災勘定は二兆三千十二億円で、前年度に対し五百四十七億円の減となっております。他方、雇用勘定は二兆九千九百四十三億円で、前年度に対し三千億円の増となっております。
次に、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計の石炭勘定でございますが、労働省関係分は百五十九億円で、前年度に対し一億円の増となっております。
これを二ページにおきます主要事項別に見ますと、大きく六本の柱から成っております。以下、その主要な内容につきまして、新規事項を中心に御説明申し上げます。
まず、三ページでございますが、第一は、雇用情勢の変化に即応した対策の推進と高齢化等今後の構造変化への適切な対応でございますが、その一として、雇用の安定を図るための対策の機動的
な実施でございます。
今後の雇用の見通しは、景気の動向によるところが大きいところではありますが、ここしばらくは厳しい状況が続くものと考えられることから、雇用の安定に万全を期すための対策の実施が重要な課題となっております。このため、昨年十二月に策定した雇用支援トータルプログラムに基づき、企業の雇用維持支援の強化等による失業の予防、離職者の再就職促進等及び地域雇用対策の強化等による新たな雇用機会開発への支援など、積極的かつきめ細かな雇用対策を推進していくこととしております。
その二は、雇用をめぐる社会経済の変化に対応した雇用保険制度の改正でございます。
四ページでございますが、急速な高齢化の進展や女性の職場進出が一層進む中で、職業生活の円滑な継続を援助促進するとともに、失業中の生活の安定、再就職の一層の促進を図っていくための雇用保険制度の整備充実が重要な課題となっております。このため、雇用継続給付として、高年齢雇用継続給付及び育児休業給付の創設、求職者給付の改善、再就職手当の拡充などを行うことといたしております。
その三は、五ページでございますが、六十五歳までの雇用機会の確保等高齢者対策の総合的展開でございます。
本格的な高齢化社会の到来を迎えて、少なくとも六十五歳まで働けるようにすることが重要な課題となっております。このため、六十五歳までの継続雇用を推進するとともに、高齢期における雇用就業を支援する事業の創設、ホワイトカラーを中心とした高齢者のキャリア、技能を生かせる就業機会を提供する新しいシステムの構築等によりまして、六十五歳までの雇用の確保を図るほか、シルバー人材センターの増設等高齢者対策の一層の推進を図ることといたしております。
次は、七ページでございますが、高度な産業・雇用構造を実現するための対策の推進等でございます。介護労働力確保対策の推進につきましては、今後の急速な高齢化の進展に伴う企業の従業員の在宅介護需要への対応を図るため、在宅介護需給安定事業の推進、介護労働者能力開発事業の充実等を行うこととしております。
次に、八ページでございますが、構造変化に適切に対応できる職業能力開発対策の推進につきまして積極的な展開を図っていくこととしております。
第二は、九ページにございますゆとりが実感でき、安心して働ける勤労者生活の実現でございますが、その一は、労働時間の短縮を初めとする労働条件の改善でございます。
年総労働時間千八百時間の早期実現に向けて、週四十時間労働制の実施を図るための改正労働基準法の普及促進、時間短縮の取り組みのおくれております中小企業に対して、地域の企業集団単位で時短への取り組みを推進する地域時短推進事業を実施することとしております。
その二は、職場における安全と健康の確保及び的確な労災補償の実施でございます。
十ページになりますが、労働災害防止対策を推進するため、労働災害が他産業に比して多い建設業、特に、死亡災害の占める割合が多い専門工事業者に対しまして、専門工事業者安全管理活動等促進事業を実施するとともに、重度被災労働者及びその家族に対する在宅介護に関する支援として労災ケアサポート事業を実施することとしております。
その三は、十一ページにございます快適通勤の実現等勤労者福祉の充実でございます。
これにつきましては、首都圏を中心とします通勤時の混雑緩和に向けて、運輸省ともども快適に通勤できる環境の具体的整備を図ることを進める
こととしております。
次に、十二ページにございます中小企業の魅力づくり対策も推進することといたしております。
第三は、十三ページでございますが、多様な個性、能力が発揮できる環境の整備でございまして、その一は、男女の雇用機会均等の確保等女性が能力を発揮できる環境の整備でございます。
このため、特に女子学生の募集、採用における就職問題への対応や男女の意識差から生ずる職場の諸問題解消等を含め、男女の雇用機会均等の確保対策を推進することとしております。
その二は、勤労者の職業と家族的責任の両立支援対策の充実でございます。
中小企業におきます介護休業制度の導入促進のための中小企業集団における仕事と介護支援トータルプラン事業を実施するとともに、十四ページにございますファミリー・サポート・センターの設立など、勤労者の仕事と育児を両立をする環境整備を行うこととしております。
その三は、パートタイム労働法の円滑な施行等パートタイム労働対策の総合的な推進でございます。
このため、中小企業短時間労働者雇用管理改善等助成金、事業主団体短時間労働者雇用管理改善等助成金の創設を行うこととしております。
また、十五ページにございます若年者の働きがいの実現に向けた対策も推進することといたしております。
第四は、十六ページにございます障害者等に対する対策の推進でございまして、その一は、重度障害者の雇用促進を中心とする障害者対策の積極的な推進でございます。
このため、福祉部門と雇用部門との連携により、職業リハビリテーション・ネットワークの構築を図るなどにより障害者の職業的自立を促進するための地域障害者雇用推進総合モデル事業の拡充、重度視覚障害者の職域拡大を図るための職業適応指導等を行うこととしております。
その二は、十七ページにございます特別な配慮を必要とする人々に対する職業生活援助等対策の推進であり、それぞれきめ細かな対策を引き続き実施することといたしております。
第五は、十八ページにございます国際社会への積極的貢献でございますが、国際的な相互理解の積極的推進と国際協力等の展開を引き続き積極的に進めることといたしております。
また、十九ページにございます技能実習制度等の円滑な実施とともに、外国人労働者問題への適切な対応を図ることといたしております。
以上をもちまして、労働省関係予算案の概要の説明とさせていただきます。
何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/10
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011・松岡滿壽男
○松岡委員長 以上で大臣の所信表明並びに労働省の平成六年度予算の概要についての説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/11
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012・松岡滿壽男
○松岡委員長 内閣提出、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。鳩山労働大臣。
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高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/12
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013・鳩山邦夫
○鳩山国務大臣 ただいま議題となりました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現在、我が国においては人口の急速な高齢化が進展しており、これに伴い、労働力人口の高齢化も急速に進み、二十一世紀初頭には労働力人口の四人に一人が五十五歳以上となることが見込まれております。他方、高年齢者の雇用失業情勢は極めて厳しい状況にあり、今後、ますます深刻化することが懸念されております。
しかしながら、我が国の高年齢者は少なくとも六十五歳くらいまでは働くことを希望しているなど就業意欲が極めて高く、また、今後、若年・中年層を中心に労働力人口が減少に転ずること等から、我が国経済社会の活力を維持し、高年齢者が生きがいを持って暮らすことのできる社会を築くためには、六十五歳に達するまでの雇用機会を確
保することが喫緊の課題となっております。このため、今後は、企業における六十五歳に達するまでの継続雇用制度の導入を促進するとともに、高年齢者がその希望に応じ多様な形態により就業し得るための施策を推進していくことが求められているところであります。
この問題につきましては、雇用審議会及び中央職業安定審議会における昨年十月以来の検討の結果、同年十二月に雇用審議会から答申を、また本年一月に中央職業安定審議会から建議をいただき、法的整備の方向が示されたところであります。政府といたしましては、これらの答申及び建議に沿って、六十五歳に達するまでの雇用機会を確保する対策を推進するための法律案を作成し、中央職業安定審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
第一に、六十歳定年の完全定着を図るため、事業主が定年の定めをする場合には、高年齢者が従事することが困難な業務として労働省令で定めるものに従事している以外の者については、当該定年は六十歳を下回ることができないことといたしております。従来は努力義務規定になっておりましたものを、六十歳以下の五十五とか五十六という定年は設けることができないとするわけであります。
第二に、企業における六十五歳に達するまでの継続雇用の推進を図るため、労働大臣は、必要があると認めるときは、事業主に対し、継続雇用制度の導入または改善に関する計画の作成を指示し、また当該計画の変更または適正な実施に関する勧告をすることができることといたしております。これも従来からある制度ですが、労働大臣のそのような権限を追加して、より充実させようと図ることでございます。
第三に、六十歳以上の高年齢者に対し、多様な形態による就業を促進するため、労働者派遣法の特例を設けることとし、その事業の派遣労働者が六十歳以上の高年齢者のみである場合には、港湾運送業務、建設業務その他一定の業務を除き、労働者派遣事業を行うことができることといたしております。労働者派遣事業の例外として、原則自由とするわけでございます。また、この場合において、派遣期間を原則として一年以内とすることといたしております。
第四に、労働大臣は、六十歳以上の高年齢者に対し、その職業経験から得られた知識及び技能を活用できる短期的な雇用機会を提供することを目的とする公益法人を高年齢者職業経験活用センターとして指定するとともに、この高年齢者職業経験活用センターの健全な発展を図ることを目的とする公益法人を全国高年齢者職業経験活用センターとして指定することとし、高年齢者の希望に応じた雇用機会を提供するための体制を整備することといたしております。
第五に、労働者はみずから進んで高齢期における職業生活の設計に努めることを法の基本的理念に追加するとともに、労働者が職業生活の設計を行う機会を確保することについての事業主の配慮に関する規定を設けることといたしております。また、公共職業安定所は労働者の職業生活の設計について必要な助言または指導を行うことができることといたしております。
この法律の施行は、第一の部分を平成十年四月一日から、第三の部分を公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から、第四の部分を本年七月一日から、第五の部分を本年十月一日からとし、これ以外の部分を平成七年四月一日からといたしております。
以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/13
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014・松岡滿壽男
○松岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112905289X00119940601/14
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