1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成六年五月三十一日(火曜日)
午後零時十分開会
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
林 寛子君 田村 秀昭君
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出席者は左のとおり。
委員長 和田 教美君
理 事
松浦 孝治君
堀 利和君
泉 信也君
矢原 秀男君
委 員
伊江 朝雄君
鹿熊 安正君
河本 三郎君
二木 秀夫君
溝手 顕正君
山崎 正昭君
穐山 篤君
喜岡 淳君
櫻井 規順君
渕上 貞雄君
田村 秀昭君
山田 勇君
高崎 裕子君
下村 泰君
国務大臣
運 輸 大 臣 二見 伸明君
政府委員
運輸政務次官 星野 行男君
運輸大臣官房長 黒野 匡彦君
運輸省運輸政策
局長 豊田 実君
運輸省航空局技
術部長 北田 彰良君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 啓雄君
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本日の会議に付した案件
○運輸事情等に関する調査
(運輸行政の基本施策に関する件)
(平成六年度運輸省関係予算に関する件)
(中華航空一四〇便の名古屋空港における事故
に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/0
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001・和田教美
○委員長(和田教美君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、林寛子君が委員を辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/1
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002・和田教美
○委員長(和田教美君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
まず、運輸行政の基本施策に関し、運輸大臣から所信を聴取いたします。二見運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/2
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003・二見伸明
○国務大臣(二見伸明君) 運輸大臣の二見伸明でございます。
第百二十九回国会に臨み、運輸行政に対して所信を述べる前に、一言再就任のごあいさつを申し上げたいと思います。
委員の皆様におかれましては、平素から運輸行政の推進に格段の御理解、御支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。
運輸は国民生活と密着しており、豊かで活力ある社会を築き上げていくために期待される役割はまことに大きいものがあると考えております。私といたしましては、これまで先輩各位が積み重ねてこられた実績を踏まえ、運輸行政の基本であります交通安全の確保に万全を期し、国民の皆様の期待にこたえるよう運輸をめぐる多くの課題に積極的に取り組み、問題の解決に最大限の努力をいたす所存であります。
委員の皆様の絶大な御支援、御指導を心からお願い申し上げ、就任のごあいさつといたしたいと思います。
続きまして、第百二十九回国会に臨み、運輸行政の諸問題に関して所信を述べたいと思います。
先般、名古屋空港において中華航空機の事故が発生し、多数のとうとい生命が失われましたことはまことに遺憾であります。事故の犠牲になられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々には心よりお悔やみ申し上げます。また、負傷された方につきましては一刻も早い御回復をお祈り申し上げます。
我が国をめぐる経済社会情勢は、国民意識の高度化、多様化、国際化の一層の進展、高齢化社会への移行の一方で、地球環境問題を初めとする環境制約が増大するなど大きな変革の過程にあります。また、最近の景気の状況につきましては、一部に明るい動きが見られるようになりましたが、さらにこれを順調な回復過程につなげることが重要であります。
このような時期において、国民一人一人が豊かさとゆとりを実感できる社会を実現していく上で、日常生活や経済活動の基盤となる運輸の果たす役割はまことに大きなものがあります。私は、このような運輸の使命の重要性を認識し、交通安全の確保を基本としつつ、陸、海、空にわたり二十一世紀に向けた交通体系の形成と安定的で質の高い運輸サービスの提供を目指した運輸行政を積極的に展開してまいります。
また、我が国経済の本格的な回復に資するため、去る二月八日に決定されました総合経済対策等を推進してまいります。
以上申し上げました基本的考え方にのっとり、当面する諸問題につきましては、次のとおり所要の施策を推進してまいる所存であります。
まず第一に、運輸関係社会資本の整備を通じた豊かな国土づくりであります。
鉄道につきましては、鉄道整備基金による補助の拡充等により、都市鉄道及び幹線鉄道の整備等を推進してまいります。
特に、整備新幹線に関しましては、去る二月八日、整備新幹線の見直しについて大蔵大臣、自治大臣及び運輸大臣で申し合わせを締結したところであります。これに従い、当面、北陸新幹線高崎−長野間等三線五区間の整備を着実に推進するとともに、未着工区間について整備新幹線建設推進準備事業を推進してまいります。
また、都市鉄道につきましては、通勤通学時の混雑緩和による快適な通勤環境の確保、優良な宅地の供給等を図るため、特定都市鉄道整備積立金制度の改善や助成制度の拡充により、既設線の複々線化、地下鉄新線の建設等を推進してまいります。
次に、空港につきましては、第六次空港整備五カ年計画に基づき、三大空港プロジェクトとして新東京国際空港の整備、東京国際空港の沖合展開の完成、関西国際空港の開港に向けた整備を引き続き推進するとともに、地方空港につきましても新設、滑走路の延長等の所要の整備を図ってまいります。
特に、関西国際空港につきましては、万全の体制で本年九月四日の開港を迎えられるよう努力するとともに、全体構想の具体化に向けて調査検討を進めてまいります。
また、成田空港問題につきましては、昨年九月から地元で開催していただいております成田空港問題円卓会議の場などを通じ、地元の方々と空港と地域との共生等についての議論を深め、成田空港についての地域のコンセンサスを得る努力を尽くしているところであり、話し合いによる解決に全力を傾けてまいる所存であります。
港湾につきましては、第八次港湾整備五カ年計画に基づき、輸入関係インフラとしての外貿ターミナル、モーダルシフトを推進するための内貿ターミナルの整備を推進するとともに、市民に開かれた豊かなウオーターフロントの形成等を推進してまいります。
また、海岸につきましても、第五次海岸事業五カ年計画に基づき、着実にその整備を推進してまいります。
地域住民の日常生活を支える地域交通の維持整備につきましては、都市におきまして都市バスの活性化対策を推進するとともに、地方におきましては地方バス、離島航路に対する助成等を行ってまいります。
以上のような交通施設の整備に当たっては、乗り継ぎの利便性の確保にも配慮するなど、利用者の視点に立った施策を心がけてまいります。
第二に、豊かさとゆとりを実感できる国民生活の実現であります。
まず、大都市圏、特に首都圏における厳しい鉄道の通勤混雑の緩和対策につきましては、既に述べました都市鉄道の整備に加え、ピーク時の需要の平準化を図るため、経済界、労働界等の協力を得て設置されました快適通勤推進協議会を中心に、時差通勤、フレックスタイム制の拡大に積極的に取り組んでまいります。
また、二〇二〇年には国民の四人に一人が六十五歳以上になることが見込まれる社会の急速な高齢化及び障害者の自立と社会参加の要請に適切に対応するため、高齢者、障害者の方々が安全かつ身体的負担の少ない方法で円滑に交通施設を利用して移動できるよう、国費を用いた助成制度の創設等により、鉄道駅におけるエレベーター、エスカレーターの整備等をさらに強力に推進してまいります。
ゆとりある国民生活の実現にとって、観光の果たす役割もますます重要なものとなってきております。このため、各地方ごとに観光振興に関する具体的施策の提言を行う観光立県推進会議や地域伝統芸能等を活用した全園芸能フェスティバルを開催するとともに、魅力ある観光地づくりを目指して、オートキャンプ場を初めとする観光基盤施設整備を推進してまいります。
また、国民の十分に満足のいく充実した余暇、レジャー活動を実現するため、連続休暇の普及拡大や充実した休暇を過ごすための環境の整備を進めてまいります。
さらに、気象情報に寄せられる国民の要望の多様化に対応し、時代の要請に適合した気象サービスの高度化を推進してまいります。
第三に、運輸産業の活性化を通じた運輸サービスの向上であります。
許認可等の規制につきましては、経済社会情勢の変化に応じるとともに、安全でより安くより快適にという利用者の声を十分に反映した運輸行政を展開するため、そのあり方を常に見直す必要があると考えております。このような許認可事務の改革は、今後の運輸行政、そして我が省のあり方の根幹をなすものであり、新しい時代をつくっていくとの意気込みを示すという姿勢で推進してまいります。
このような観点から、鉄道のグリーン料金、寝台料金や路線バス、国内旅客船、国内航空の営業政策的な割引運賃等の認可制から届け出制への規制緩和、自動車検査等の緩和及び既に実施されているタクシー運賃・料金の多様化を含む五百を超える規制緩和項目が行革推進方策として取りまとめられたところであり、これらの着実な実施に努めてまいります。
また、運輸産業が経済社会情勢の変化に適切に対応して今後とも健全な発展を遂げられるよう、次のような施策を講じてまいります。
まず、海運につきましては、内航海運業におきまして構造改善対策や内航船の近代化を推進し、また外航海運業におきましても、近代的な外航船舶の整備の促進、日本船への混乗の推進等により我が国商船隊の国際競争力の向上を図るとともに、経営基盤の強化を図ってまいります。
船員問題につきましては、船員の雇用の安定と確保のための対策を推進するとともに、船員のゆとりある生活の実現に資するため、労働時間の短縮等の労働条件の改善を図ってまいります。
造船業につきましても、国際競争力の維持強化、産業の魅力化、国際的な協調体制の確立を通じて基盤整備を図るとともに、特に経営基盤が脆弱な中小造船業につきまして構造改善を推進してまいります。
また、航空につきましては、景気後退による需要の伸び悩み、国際線の一層の競争激化等により深刻な経営状態にある我が国航空企業の競争力向上のため、その方策について検討を進めているところであります。
また、国際民間航空機関の決議等を踏まえ、旧騒音基準適合機の運航禁止、航空機の操縦者に係る技能証明制度の整備等の措置を講じてまいります。
さらに、貨物運送取扱事業につきましては、複合一貫輸送の進展状況を踏まえ、わかりやすい一貫運賃制度の導入により円滑な物流の進展を促進してまいります。
国鉄改革の残された課題である国鉄清算事業団の長期債務の処理問題につきましては、昨今の厳しい経済情勢等の中で、関係者の御協力を得ながら、その保有する土地の処分につき最大限努力するとともに、JR株式につきましても、昨年度に引き続き売却、上場を実現すべく準備には万全を期してまいります。
第四に、国際化の一層の促進と国際社会への貢献であります。
国際的な相互依存関係が進展する中で、我が国が今後ともその経済力を維持し、外国との安定的な貿易を確保するとともに、新たな国際間の人と物の移動、交流ニーズの増大に的確に対応していくためには、国際交通網の一層の整備充実が強く求められております。
このため、既に述べました空港や港湾の着実な整備を進めることにより旅客交通及び貨物流通にわたる国際輸送ネットワークの整備を図ってまいります。特に、国際航空につきましては、関西国際空港の国際ネットワークの充実のため、米国等の国々との間で航空交渉を引き続き進めるとともに、国際航空運賃につきまして、市場原理を反映したより弾力的な運賃政策を進めてまいります。
さらに、貨物の流通の円滑化のため、港湾または空港及びその周辺に設けられる輸入促進地域等において、総合輸入ターミナルを初めとする輸入促進に寄与する施設の整備を着実に推進してまいります。
国際コンベンションの振興は、国際交流の増大による相互理解の増進や地域の国際化、地域経済の活性化のために極めて有意義であります。このため、世界観光大臣会議を開催するとともに、国際観光振興会の活用を図りながら、総合的な国際コンベンション振興策を講じてまいります。
また、外航客船旅行に関しましても、その健全な発展を図るための施策を引き続き推進してまいります。
国際社会への貢献につきましては、開発途上国の要望を十分把握しつつ、鉄道、空港、港湾等の輸送インフラ整備、人材養成や環境保全に関する協力を引き続き推進してまいります。
また、ガット・ウルグアイ・ラウンドでの海運継続交渉に適切に対応するとともに、日米運輸技術協力、二国間運輸ハイレベル協議等を通じて円滑な国際運輸行政の推進を図っていく所存であります。
特に、日米間の経済問題につきましては、引き続き自動車基準認証に関し米国車に対する型式指定取得の促進を働きかけるなど、対外経済改革要綱を踏まえ、日米包括経済協議に適切に対応する所存であります。また、観光につきましても、観光交流の一層の促進を図るため、日米観光ハイレベル協議を開催して具体的な方策を協議するなど積極的に取り組んでまいります。
第五に、環境対策の推進であります。
環境問題につきましては、窒素酸化物の問題といった従来型の公害問題に加え、地球温暖化、オゾン層破壊等の長期的な視点から着実に進めるべき地球環境問題への取り組みがますます重要となってきております。
このため、自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法に基づくトラック、バス等に対する使用車種規制等の的確な実施、低公害革の導入普及などの施策を総合的に進めるとともに、環境負荷が少なくエネルギー効率も高い鉄道や海運へのモーダルシフトを推進し、省エネルギー、省資源で環境に優しい交通体系の形成を進めるほか、地球環境問題への取り組みに資するため、観測・監視体制の強化を推進してまいります。
また、大規模海洋油汚染事故に対する国際的な協力体制の充実や、船舶からの油流出の防止、大気汚染物質の排出低減のための研究開発を引き続き推進してまいります。
さらに、タンカーの油濁事故による損害賠償の充実を図るため、船舶所有者の責任限度額の引き上げ等の措置を講じてまいります。
また、物流部門につきましては、環境面からもその効率化が求められているところであります。このため、既に述べましたモーダルシフトを推進するとともに、トラックの積み合わせ輸送の推進、物流拠点の整備、共同集配のためのシステムの構築により、物流の一層の効率化を進めてまいります。
第六に、安全な生活の確保と次世代に向けた技術開発の推進であります。
交通安全の確保は運輸行政の基本であり、事故防止に万全を期すことは最重要の課題であります。しかしながら、道路交通事故死者数は六年連続して一万人を超えており、まことに憂慮すべき状況にありますし、また昨年は大阪市交通局の新交通システムの事故が発生し、本年四月には冒頭で申し上げましたように多数のとうとい命が奪われた中華航空機の事故が発生しております。
このため、第五次交通安全基本計画に基づき、陸、海、空にわたり交通安全施設の整備、輸送機器の安全性の確保、適切な運行管理の確保等の施策を推進するとともに、小型船舶及び自動車の安全基準の拡充強化、航空衛星システム整備の着手により、交通安全の確保に最善の努力をいたしてまいる所存であります。また、交通事故被害者の救済対策の充実に努めてまいります。
次に、災害対策につきましては、気象観測・予報、地震観測・予知及び火山観測等の気象業務体制や海上防災体制の充実に努めてまいります。
特に、雲仙・普賢岳につきましては、観測・監視体制を継続し、防災対策に万全を期すこととしております。また、昨年の北海道南西沖地震による津波災害の経験から、より一層迅速な津波警報の発表に努めてまいります。
海上保安体制の整備につきましては、船舶の航行安全体制の確立、警備救難体制の強化、海洋調査の充実強化を図るため、巡視船艇、航空機等の整備、海上保安通信体制の整備を行うとともに、船舶交通の安全確保を図るため、航路標識の整備を引き続き推進してまいります。
また、将来の運輸政策の実現に資する技術開発につきましては、安全の確保を基本としつつ、利用者の多様なニーズに適切に対応し、着実に推進していく必要があります。このため、超電導磁気浮上方式鉄道、テクノスーパーライナー等の研究開発を進めてまいります。なお、二十一世紀に向けて鉄道の技術開発を推進していくため、取り組むべき技術開発課題、その推進体制について検討を進めているところであります。
このほか、運輸行政をめぐる課題は数多くありますが、私は、長期的展望に立ちつつ、各課題の解決に向けて積極果敢に取り組んでまいる所存であります。
以上、運輸行政の当面する諸問題につき述べましたが、これらは申すまでもなく委員各位の深い御理解を必要とする問題ばかりでございます。終わりに当たりまして、重ねて皆様の御支援をお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/3
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004・和田教美
○委員長(和田教美君) 次に、平成六年度運輸省関係予算に関し、説明を聴取いたします。星野運輸政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/4
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005・星野行男
○政府委員(星野行男君) まず、一言ごあいさつを申し述べさせていただきます。
去る五月十日付で運輸政務次官に就任をいたしました星野行男でございます。何分よろしくお願いを申し上げます。
ただいま大臣からお話がございましたように、豊かさとゆとりを実感できる国民生活を実現していく上で、さらにまた、多極分散型の国土形成を進めるためにも運輸行政の果たす役割は極めて大きなものがございます。
もとより微力ではございますが、大臣を助けて運輸行政の推進に全力を傾注してまいる所存でございますので、和田委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻を切にお願いを申し上げる次第でございます。
次に、平成六年度の運輸省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず、一般会計につきまして申し上げます。
歳出予算総額は、他省所管計上分と合わせまして一兆七百三十一億四千八百万円を計上いたしており、このほか、いわゆるNTT事業の償還財源分といたしまして所要の金額を計上いたしてございます。
なお、平成六年度予算におきましては、新たに都市・幹線鉄道整備事業及び航路標識整備事業を公共事業関係費として位置づけることといたしております。
次に、特別会計につきまして申し上げます。
自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳出予算額七千六十四億一千七百万円を計上いたしており、このほかに一般会計への繰り入れといたしまして八千百億円を計上いたしております。
港湾整備特別会計につきましては、NTT事業の償還財源分を除きまして、歳出予算額四千九百九十三億五千百万円を計上し、自動車検査登録特別会計につきましては四百五十二億六千万円を、空港整備特別会計につきましては、NTT事業の償還財源分を除きまして、五千百十億一千六百万円をそれぞれ歳出予算額として計上いたしております。
また、平成六年度財政投融資計画中には、当省関係の公団等分といたしまして二兆五百四十五億円が予定されております。
以下、平成六年度予算におきますところの主要な事項につきまして御説明を申し上げます。
まず、鉄道整備の推進につきまして申し上げます。
整備新幹線の建設につきましては、北陸新幹線高崎−長野間等の建設を引き続き推進するとともに、未着工区間につきまして建設推進準備事業費の増額を図り、その事業を推進することといたしております。
また、地下高速鉄道、ニュータウン鉄道等の都市鉄道の整備に対する補助及び新幹線以外の幹線鉄道の活性化等のための補助につきまして制度の充実を行い、事業の推進を図ることといたしております。
日本国有鉄道清算事業団につきましては、用地の処分等を適切に行い、長期債務等の処理を円滑に進めるため、必要な助成及び財政投融資を行うことといたしております。
次に、空港の整備につきまして申し上げます。
空港整備事業につきましては、第六次空港整備五カ年計画の四年度目といたしまして、関西国際空港の本年九月の開港のための整備を完了させるとともに、全体構想調査を推進させるなど、引き続き三大空港プロジェクトを最優先課題として推進するほか、航空ネットワークの充実を図るため一般空港等の計画的整備を図り、あわせて周辺環境対策及び航空路施設の整備等を促進することといたしております。
次に、港湾及び海岸の整備につきまして申し上げます。
まず、港湾整備事業につきましては、第八次港湾整備五カ年計画の四年度目といたしまして、輸入関係インフラとしての外貿ターミナルの整備、モーダルシフトを推進するための内貿ターミナルの整備等に重点を置きまして、計画的な事業実施を図ることといたしてございます。
また、海岸事業につきましては、第五次海岸事業五カ年計画の四年度目として、高潮、津波及び海岸侵食の脅威等から国土を保全するため、海岸保全施設の整備等を計画的に推進することといたしております。
次に、地域における公共交通の維持整備につきまして申し上げます。
まず、地域住民の生活に不可欠な路線バスの運行を維持するとともに、バス事業の活性化を推進するため、これらに要する経費の一部を補助することといたしております。
また、離島住民の生活に不可欠な離島航路の整備、近代化を図るため、離島航路事業の欠損補助の制度の改善を行うとともに、新たに船舶の建造費用につきまして補助することとしております。
次に、交通施設利用円滑化促進対策等につきまして申し上げます。
交通施設の利用円滑化に資するため、特に整備が急がれております鉄道駅における障害者対応型のエレベーター等の整備を促進するため、新たに助成を行うことといたしております。
また、観光交流の拡大、観光の振興を図るため、国際観光振興会による国際コンベンション振興事業等の実施及び観光基盤施設の整備を推進することといたしております。
次に、海運、造船及び船員雇用対策につきまして申し上げます。
まず、海運対策につきましては、外航船舶の整備を促進するため、日本開発銀行からの融資等を行うとともに、船舶整備公団により離島航路を含む国内旅客船及び内航貨物船の共有建造等を行うことといたしております。
次に、造船業基盤整備対策につきましては、船舶技術の高度化等を図るため、テクノスーパーライナー等の研究開発事業に対する支援を引き続き推進するとともに、国際水準並みの延べ払い条件で船舶輸出を行うために必要な日本輸出入銀行からの融資を行うことといたしております。
次に、船員雇用対策につきましては、減船に伴う漁業離職者等に対する職業転換給付金の支給を初めとする船員雇用対策を推進することといたしております。
次に、国際社会への貢献につきましては、運輸分野における国際社会への貢献を一層促進するため、開発途上国への調査団の派遣、研修員の受け入れ等を行うことといたしております。
また、貨物流通対策につきましては、日本開発銀行等からの所要の融資のほか、物流効率化の推進に必要な調査を行うことといたしております。
次に、運輸関係の技術開発の推進につきまして申し上げます。
まず、二十一世紀における高速交通機関として重要な役割を果たすことが期待されております超電導磁気浮上方式鉄道の技術開発費につきまして補助を行うとともに、造船業基盤整備対策として既に申し上げましたように、テクノスーパーライナーの研究開発促進事業等に必要な経費の一部を補助することといたしてございます。
次に、海上保安体制の充実強化につきまして申し上げます。
まず、船舶の航行安全体制の確立、警備救難体制の強化等を図るため、巡視船艇の建造及び航空機の整備を推進し、広域的哨戒体制の整備を進めるとともに、船舶交通の安全確保を図るため、航路標識の新設及び改良を推進することといたしております。
次に、気象業務体制の充実強化につきましては、まず、台風・集中豪雨雪対策等観測予報体制の強化を図るため、静止気象衛星業務の推進等を行うとともに、地震・火山対策の強化を図るための観測施設の整備を進めることといたしております。
以上申し述べましたほかにも、運輸行政の要請であります交通安全対策、環境対策等各般にわたる施策を推進するために必要な予算を計上しているところでございます。
以上をもちまして、平成六年度の運輸省関係の予算につきましての説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/5
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006・和田教美
○委員長(和田教美君) 以上で運輸行政の基本施策に関する運輸大臣の所信並びに平成六年度運輸省関係予算に関する説明の聴取は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/6
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007・和田教美
○委員長(和田教美君) 去る四月二十八日、中華航空機事故に関し、本委員会として視察を行いましたので、委員長より報告をいたします。
本委員会は、中華航空一四〇便の名古屋空港における事故の重大性にかんがみ、去る四月二十七日の理事懇談会の合意に基づき、二十八日現地調査を行いましたので、その概要について御報告申し上げます。
まず、冒頭に当たりまして、改めて、このたびの悲惨な事故の犠牲者に対しまして心から哀悼の意を表しますとともに、御遺族に対しましては謹んでお悔やみ申し上げ、また、負傷者の一日も早い回復を心からお祈り申し上げます。
さらに、懸命な救難活動に当たられた消防署員、自衛隊員及び空港職員並びに医療機関の方々、その他関係者の方々の御尽力に深く感謝の意を表する次第であります。
このたび現地調査に参加されました委員は、松浦理事、堀理事、泉理事、矢原理事、高崎委員、下村委員、そして私、和田教美の七名であります。なお、当日は、衆議院運輸委員会及び衆議院交通安全対策特別委員会の各委員も現地調査をともにいたしました。
中華航空機事故は、去る四月二十六日の午後八時十六分ごろ、名古屋空港において発生し、二百六十四名の犠牲者と七名の負傷者を出した最悪の事故でありました。
私どもは、まず、国内線ターミナルビルにおきまして、空港長から事故の概要、救難体制及び事故対策等について説明を聴取いたしました。これに対して、衆参各委員会委員長または理事から、負傷者の負傷の程度、航空事故調査委員会の調査終了のめど、外国の航空会社に対する安全指導、航空事故調査委員会の調査により事故につながる問題点が発見されたか否か、名古屋空港の国際空港としての手狭さが事故の背景にないかどうか、外国人犠牲者の身元確認状況等について質問が行われました。
これらの諸点につきましては、それぞれ航空局及び空港当局から答弁がありました。特に、航空事故調査委員会の調査については、継続中であるが、航空局としても航空事故調査委員会に援助を行っており、早期に調査が終了するよう要請している旨の発言がありました。
次に、私どもは、滑走路末端の事故現場を視察するとともに、自衛隊小牧基地格納庫内の遺体安置所において弔いをいたしました。
現地調査の概要は以上でありますが、政府及び関係機関におかれましては、原因究明を可及的速やかに行い、また、このような悲惨な事故の再発を防止するための措置を引き続き講ずるとともに、亡くなられた方々に対する十分な補償措置、負傷者に対する医療に万全を期していただくよう強く要請いたしまして報告を終わります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/7
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008・和田教美
○委員長(和田教美君) 次に、中華航空機事故について、航空事故調査委員会等の経過報告の概要を聴取いたします。星野運輸政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/8
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009・星野行男
○政府委員(星野行男君) それでは、中華航空機事故につきましての経過報告を申し述べさせていただきます。
去る四月二十六日に発生いたしました中華航空機事故につきましては、皆様御承知のとおり、死亡者が二百六十四名に上るまことに痛ましい事故と相なりました。この場をおかりいたしまして、改めて亡くなられた方々に心より哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々に対しましては心よりお悔やみを申し上げる次第でございます。また、加療中の方々に対しましても、一日も早い御回復を願うものでございます。
政府といたしましては、さきに本委員会において御報告申し上げましたとおり、事故発生後、運輸本省に運輸大臣を長とする事故対策本部を、総理府に運輸大臣を本部長とする中華航空機事故対策本部を設置するとともに、前運輸大臣も現地を訪問するなど、速やかな対応をとったところでございます。
また、事故発生時の救命救助につきましては、消防、自衛隊、警察等の関係機関に直ちに出動していただき、多大な御努力をいただいたところであり、ここに重ねて関係者の方々に御礼を申し上げる次第でございます。
また、現大臣も五月六日に現地に向かい、直接事故の実情を把握するとともに、御苦労いただきました関係方面の代表の方々にお礼を申し上げた次第でございます。
さて、事故原因の究明についてでございますが、航空事故調査委員会では、事故直後から調査官を派遣いたしまして、事故に至るまでの航空機の機体及びエンジンの状況、事故時の気象の状況、事故現場における航空機の破損の状況、航空機の痕跡等について精力的な調査を続け、去る五月十日にこれまでの調査結果の経過報告を行いました。この報告は事故原因を特定するものではございませんが、操縦室用音声記録装置、飛行記録装置等の解析結果といたしまして、事故機は着陸進入中機首が急激な上向きの角度となり、失速し墜落に至った過程を公表するとともに、このような過程を生じる可能性のある操縦操作上のシナリオの一つ等を明らかにいたしたものでございます。
これを受けまして航空局は、事故機と同型の航空機を使用する日本エアシステム社に対し所要の安全指導を行うとともに、関係機関を通じて、台湾航空当局より中華航空に対しましても所要の指導を行うよう要請をいたしたところであります。
また、五月十二日、フランス航空当局から、在来型のA30〇型機の一部についても類似の特性を有する自動操縦システムが装備されている旨の連絡がありましたため、航空局では同日、日本エアシステム社及び台湾航空当局に対しまして、追加して同様の措置を講じたところであります。
さらに、昨日、航空事故調査委員会から、事故機を操縦していた機長及び副操縦士の遺体からアルコールが検出されたことが伝えられたため、事故原因との関連は明らかにされていないものの、酒精飲料等の影響下における航空機の操縦を禁止している航空法の規定を踏まえ、その趣旨の徹底を図るよう、我が国定期航空運送事業者等に対し指導を行うとともに、その旨台湾当局に対し関係機関を通じて通報を行ったところであります。
今後は、さらなる事故原因の究明を進めるため、航空事故調査委員会において、操縦士の操縦操作、航空機及び搭載機器の機能等のすべての面にわたりまして調査及び解析を進めることといたしており、また航空局におきましてもそれに応じて必要な措置をとってまいりたいと考えております。
次に、補償問題等の被災者対策につきましては、中華航空と遺族との間で話し合いが行われることになると思いますので、当面、中華航空の誠意ある対応を見守りたいと思います。運輸省といたしましても、必要がありますれば適切な支援を行ってまいりたいと考えております。
以上、今回の中華航空機事故につきまして御報告を申し上げましたが、航空機事故というものは一たび発生いたしまするとまさしく大変な事態を引き起こすものであり、運輸省の使命は安全の確保であること、二度とこのような事故を引き起こすことのないよう安全には万全を尽くさなければならないということを改めて深く認識しているところであります。
このような観点から、今後とも事故原因究明及び再発の防止等につきまして万全を期してまいりますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/9
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010・和田教美
○委員長(和田教美君) 以上で経過報告の聴取は終わりました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/112913830X00319940531/10
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