1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
平成七年三月七日(火曜日)
午後五時開会
—————————————
委員の異動
二月二十八日
辞任 補欠選任
下村 泰君 西川 潔君
三月六日
辞任 補欠選任
山口 哲夫君 大脇 雅子君
続 訓弘君 風間 昶君
三月七日
辞任 補欠選任
小林 正君 中村 鋭一君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 岩本 久人君
理 事
鎌田 要人君
岩崎 昭弥君
釘宮 磐君
有働 正治君
委 員
石渡 清元君
鈴木 貞敏君
関根 則之君
服部三男雄君
松浦 功君
上野 雄文君
大脇 雅子君
篠崎 年子君
渡辺 四郎君
風間 昶君
中村 鋭一君
浜四津敏子君
西川 潔君
国務大臣
自 治 大 臣
国 務 大 臣
(国家公安委員
会委員長) 野中 広務君
政府委員
警察庁長官 國松 孝次君
警察庁長官官房
総務審議官 山本 博一君
警察庁生活安全
局長 中田 恒夫君
自治政務次官 小林 守君
自治大臣官房長 秋本 敏文君
自治省行政局長 吉田 弘正君
自治省財政局長 遠藤 安彦君
事務局側
常任委員会専門
員 佐藤 勝君
説明員
大蔵省銀行局中
小金融課金融会
社室長 振角 秀行君
—————————————
本日の会議に付した案件
○市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)
○古物営業法の一部を改正する法律案(内閣提出
)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/0
-
001・岩本久人
○委員長(岩本久人君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る二月二十八日、下村泰君が委員を辞任され、その補欠として西川潔君が選任されました。
また、昨六日、山口哲夫君及び続訓弘君が委員を辞任され、その補欠として大脇雅子君及び風間昶君が選任されました。
また、本日、小林正君が委員を辞任され、その補欠として中村鋭一君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/1
-
002・岩本久人
○委員長(岩本久人君) 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は前回既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/2
-
003・釘宮磐
○釘宮磐君 大臣、予算委員会で大変お疲れのことと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
まず、合併特例法の問題に入ります前に若干、東京協和問題に関しての知事への機関委任事務の問題についてお伺いをしたいと思います。
今回の件に関しまして大蔵大臣は、信用組合への指導監督責任は第一義的には機関委任された都の責任であると繰り返しておられます。鈴木知事はこれに対して、人ごとのように言われても心外である、このように言っているわけであります。
そこで、まず第一にお伺いしたいのは、国の機関として処理する行政事務、いわゆる機関委任事務の責任は最終的にはどこにあるのか。都道府県知事か、それとも主務大臣か。都知事に責任を負わせるような大蔵大臣の発言はいかがなものかというふうに思うわけでありますが、自治大臣としての見解をまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/3
-
004・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 一般論として申し上げますれば、機関委任事務は法律またはこれに基づきます政令によりまして都道府県知事、市町村長、その他の地方公共団体の機関に委任された国の事務でありまして、都道府県知事等は法律またはこれに基づく政令の定めるところによりその事務を管理及び執行しなければならないものであります。一方、主務大臣は都道府県知事等が当該の事務を適正に管理及び執行するよう必要な指導監督を行わなければならないものとされておるところでございまして、機関委任事務につきまして都道府県知事及び主務大臣がただいま申し上げた立場でその職員を果たしていくべきものだと考えております。
今回の問題につきましてそれぞれ議論のあるところは私も承知をしておるわけでございますけれども、正常に機能しておるときには当然都道府県知事が第一義的であると思うのでございますけれども、しかしそれが異常な状態になり、その主務大臣が所管する官庁にそれが伝えられた後は、並立して双方がその解決に向かうべきであろうと存じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/4
-
005・釘宮磐
○釘宮磐君 この問題について大蔵省にお伺いをいたしますが、地方自治法の百五十条では、機関委任事務については都道府県知事は主務大臣の指揮監督を受けることが規定をされております。武村大蔵大臣は都知事と首脳会談で三百億円の支援措置のてこ入れを諮ったわけでありますが、これは本条の指揮監督権の行使と考えていいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/5
-
006・振角秀行
○説明員(振角秀行君) 大蔵省から御回答申し上げたいと思います。
法制度としては、今、自治大臣から御説明があったように、地方自治法上は当局に指揮監督権というのはあると思っておりますけれども、この問題につきましては、第一義的には東京都が鋭意取り組んでこられたところであります。当局としましては、地方自治を尊重しつつ、検査等につきましては東京都から協力依頼が一昨年からありましたので緊密な協力をしてきまして、それ以降は一体的に経営の破綻に関する再建策について協議してきたところでございます。お互いの協議の中でそういう要請等もやってきたわけでございまして、指揮監督というものではないというふうに理解しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/6
-
007・釘宮磐
○釘宮磐君 都道府県には信用組合の監督権限を実行するには十分な人的能力がないのではないか。一都道府県に数個あるにすぎない信用組合に対して二、三年に一度の検査を行うだけであるにもかかわらず、検査そのものは専門的で厳しいものを含んでいます。他の金融機関に対する検査は大蔵省が行っているのに、乱脈になりやすい小規模な信用組合だけを都道府県が検査する。実際、都道府県が行う事務として果たして適切なものかどうか疑問に思うわけであります。
大体なぜ金融機関の中で信用組合だけを機関委任事務として自治体が検査しなければならないのかその理由を説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/7
-
008・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 今回の信用組合の問題について申し上げますと、信用組合は、御承知のように、地域に根差した中小企業の皆さん方がそれぞれ出資をされまして信用組合を組織されておるわけでございますので、そういう意味におきまして都道府県に機関委任事務が行われておると存ずるのであります。
今日、金利の自由化あるいはバブルの全盛期等にはそういう意味におきまして信用組合が信用組合のあるべき限度を超えてその金融等を扱い、あるいは高金利で扱うような状態が出ましたために今問題になっておるような不良債も抱えることになり、救済措置を講じなければならないような事態になったわけでございまして、そういう状態があったからそれぞれ関係の地方公共団体におきましても私は信用組合の機関委任事務のあり方について多くの悩みを持っておるのは現実だと考えるわけでございます。
だからといって、私は中小企業の皆さん方が地域に根づいた信用組合として今日まで営々として育ててこられた問題を直ちに、今こういう異常な状態が出たからといって、地方分権が言われておるときに、これを国に返上すべきと考えることには慎重でなければならないと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/8
-
009・釘宮磐
○釘宮磐君 今回は余りの不祥事件であったので、また情報の開示がおくらされ世論の支持を失ったためにこのような状況を迎えているわけでありますけれども、全国の信用組合で同様の不良債権増加に対する支援策として、九五年度には都を含めれば二十都道府県で八百億円の低利ないしは無利子融資が行われる見込みとなっているようであります。結局、最終的には大蔵省の指示で動かざるを得ないのが自治体の姿ではないのか。今回も信用秩序という大蔵省の判断で緊急避難的措置をとったものであります。
このように、行政目的の決定権限は国が持っていて、負担と責任は地方に負わせるような機関委任事務というのは地方自治の進展にとって無益有害なものであり、機関委任事務は解消されるべきである。特に、信用組合は信用金庫と同時に発生した協同組合であり、昭和二十六年、一般金融機関的な色彩の強い市街地信用組合が信用金庫となったものであります。信用金庫同様、国がすべて面倒を見たらどうなのか、自治大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/9
-
010・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 今日まで、それぞれ全国にあります信用組合につきましてそれなりの救済策を講じたり、あるいは合併、吸収等の措置が都道府県の主導によって行われてまいりましたことは私も承知をしておるところでございます。
がしかし、今回見られるような異常な事態は私ども具体的に承知をしないわけでございます。特に今回の場合、恐らく東京都が一昨年、長い間の経過もあるようでございますけれども、長期信用銀行が支援を打ち切った後の異常さについて大蔵省に共同して指導、監査をお願いし、その指導、監査の結果が得られた時点で処理をされておったとするならば、私はこのような大きな債務を抱えることも、またこのような救済策に至らずとも、それぞれ関係都道府県が今日まで信用組合の救済に当たってきたと同じような処理ができたのではなかろうかと思うときに、なぜ一昨年のあの検査の最初のときにこれが行われなかったかをまことに残念に思うわけでございます。
とは申せ、そのことによって今日いろんな問題を派生はいたしておりますけれども、釘宮委員が今おっしゃいましたように、これをもって私は先ほど申し上げましたように委任事務すべてを国に返上すべきであるというような解釈をとることは慎重にするべきであり、地方分権全体の推進についてこれから国会の法案御審議をいただき、そしてそれぞれその中において、委員会におきまして個別具体的に合理的、効率的な機関委任事務のあり方等も議論をいただくわけでございますので、そういう中において位置づけられ、議論を求めていっていただくべきであると考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/10
-
011・釘宮磐
○釘宮磐君 この機関委任事務については確かに地方分権大綱で整理合理化を進めることを決定しているわけでありますが、このような弊害が生じているわけですから、本来国がやるべき事務、地方におろすべき事務、これをとにかく整理をする、これが私は本来の姿であろうかと思うんです。ですから、機関委任事務をすべてなくしてしまうということはすべて地方におろすということではなくて、場合によっては国が引き揚げるということもあっていいのではないかというふうに思うわけであります。
今回の件については、私はそういった意味で、地方にそういう力がないとするならば、またこういう金融という大きな、国が責任を持たなければならないという意味からした場合に、この問題については私は国が引き取るべき事務であるというふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/11
-
012・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 私は、中小企業全体の振興策、その中における金融行政のあり方、こういうものを全般に包括して考えるべきことであろうと存じます。特に今回、国会においてこの地方分権の推進法案を御審議いただくわけでございますので、その御審議をいただいた後におきます委員会におきまして機関委任事務のあり方そのものも適切に検討が行われるものと考えておるわけでございます。
いずれにいたしましても、機関委任事務制度をめぐる議論は地方分権を推進していく重要なテーマでございまして、今回の法案審議を通じて、私は早期に法案の成立によってこれを含めた議論が行われ、そして具体的に私どもにその明示が行われることを期待しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/12
-
013・釘宮磐
○釘宮磐君 それじゃ次に移らせていただきますが、行財政改革の問題について一点だけ大臣にお伺いをしたいと思うんです。
昨年末の当委員会において野中自治大臣は私の質問に対して、行財政改革についてその実行に強い決意を述べられたわけであります。しかしながら、今回特殊法人の統合すら無意味な数合わせで終わる様子でございます。税制改革の議論で行財政改革で金を出すんだと武村大臣は再三おっしゃったわけでありますけれども、政府が十四日了承した特殊法人改革案では歳出削減や財投改革につながるような法人は対象になっておりません。
自治大臣は、このような特殊法人あるいは政府系金融機関再編のありさまについて、これでいいとお考えなのかどうか閣僚の一人としてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/13
-
014・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 特殊法人の整理合理化というのは、地方分権の推進あるいは規制緩和等、行政改革を行う上におきます我が村山内閣の大きな使命であり、またその取り組むべき重要な課題であると考えてきたわけでございます。
去る二月二十四日、特殊法人の整理合理化に関する閣議決定を行った次第でございまして、その結果についていろいろ御意見や御批判があることは承知をしておるわけでございますけれども、私は少なくとも、この十年間何一つ手をつけられることのなかった特殊法人について今日一応の閣議決定をいたしましたものは、その努力の跡が国民皆さんに評価していただけるものであると考えておる次第でございます。今後もなお不断の努力を行うことによりまして特殊法人の見直しは引き続いてやっていくべきことでありますとともに、特に政府系金融機関のあり方等につきましては引き続き検討をいたしまして早期に結論を得るように努力をしておるところでございます。
私、自治大臣を拝命いたしまして、自治省におきましては御承知のように公営企業金融公庫と消防団員等公務災害補償基金の二つの特殊法人を持っておるわけでございますけれども、一方において行政改革の大きな柱であります地方分権を推進しなければならない自治省といたしまして、二つあるから、数は少ないからやらないという立場をとらないで、困難であるけれども大胆にやっていくという、そういう決断をそれぞれの関係の諸君に求めました。そして消防団員等公務災害補償基金の民間法人化を決断した次第でございます。時まさに阪神・淡路大震災の最中であり、全国から多くの消防団員の諸君が救援のためにはせ参じて行っていただいておるときにおけるこの決断でございましただけに、断腸の思いでございましたけれども、やはり地方分権を推進するために我々は必ず越えなくてはならない大きな苦悩の選択としてやらせていただいて、関係者の御理解をいただくことができたわけでございます。
今後も私どもは特殊法人全体について、その組織の合併あるいは統合、そして廃止、さらに民間移行、この選択を行ったわけでございますけれども、特殊法人全体につきまして、その役員数のあり方あるいは役員給与のあり方、退職金のあり方、こういうもの全体について今総務庁を中心にしてやっておるわけでございまして、トータルとして私は大きな成果を得ることができると期待をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/14
-
015・釘宮磐
○釘宮磐君 昨年の税制改革議論のさなかに、この行革については武村大臣を初め村山総理も不退転の決意で臨む、そしてその結果相当の財源がそこから出てくるような、そういう答弁を繰り返してきたわけでありまして、私はそういう意味からすると今回の結果というのはまさに公約違反であると言わざるを得ないというふうに思うわけであります。この問題につきましては、また機会がありましたら質問をさせていただきたいと思います。
そこで、本来の市町村の合併の特例に関する法律案についての質問をさせていただきたいと思います。
まず、地方分権推進法と合併法との関連についてお伺いをいたします。
今回出された地方分権推進法を見ますと、事務移譲や税財源の充実確保など分権大綱の主要な内容が盛り込まれているにもかかわらず、市町村合併についての言及が全くありません。それはなぜなのか。合併問題は分権推進論議から切り離すこととされたのか。地方の根本問題を考えるに当たって、市町村そのものの規模、境界のあり方を抜きには語れないと思うわけであります。
そういった意味で、今回の市町村合併特例法の有効期限の十年間延長を図る本法律案に分権大綱の上記の表現に見合ったそれらしき何がしかの方策が盛り込まれているようではありますが、本法律案は分権推進法の一環と見ているのか、政府の両法案の位置づけに対する認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/15
-
016・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 今回、先月二十八日に閣議決定をいたしまして、地方分権推進法案をこの国会に提出をさせていただいています。
ここにもございますように、地方分権の推進につきましては、地方がその実情に沿って個性的なまた自主的な行政が積極的に展開できるように、国から地方公共団体への権限移譲あるいは国の関与等の廃止・緩和、さらには地方税財源の充実確保を進めまして地方公共団体の自主性、自立性を高めていこうという趣旨でこの法律案をつくっているわけでございます。
また、この法律案にもありますように、こういう権限移譲等とあわせまして、地方公共団体におきましても、新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい行政体制の整備、確立を図ることが必要であるということにされているわけでございます。
このような意味から、地方制度調査会の市町村合併に関する答申にもございますように、地域づくりの主体でございます市町村が積極的な行政運営を展開していくために市町村の自主的な合併を推進していくことも大切であるというようなことで、これまた合併特例法についてその改正をお願いしているところでございます。
そこで、お話がありましたように、地方分権推進法において合併について触れていないというようなことでございますが、推進法では基本方針として国と地方公共団体の役割分担、さらには国から地方への権限移譲あるいは国の関与の整理合理化等の施策を盛り込みまして、それとあわせて地方団体の整備、確立について規定をしているところでございます。
具体的には、この分権推進法の第七条で、地方公共団体が地方分権の推進に応じた地方公共団体の行政体制の整備、確立を図ること及びこれに資するため国が地方公共団体に対して必要な支援をすることを規定しているわけでございます。
ここで合併は特段例示として挙げてはございませんが、市町村合併による行財政能力の強化、あるいはそれに対する国が支援をするということについては当然にこの規定に含まれているというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/16
-
017・釘宮磐
○釘宮磐君 この合併特例改正案が本質的には従来の合併を望む市町村のみの支援という性格を受け継いていることは間違いがないわけで、分権推進とはどうも整合性がないように私は思うわけであります。分権実現によって生まれる新たな地方公共団体の役割を担うにふさわしい自治体の体制をつくり出すことはどうもできないのではないか、要するに受け皿づくりとはなり得ないのではないか、このように思うわけであります。
そこで、政府の地方分権のための合併問題、これについてはどういうふうに検討をされているのか、その方針についてお伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/17
-
018・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 地方制度調査会の答申におきまして述べられておりますように、地方分権の推進の観点からも住民に最も身近な地方公共団体である市町村が自主的な合併によりその行財政能力を強化していくことが望ましいと述べられておるところでございまして、私もそのように考えておるわけでございます。
市町村の合併は市町村の存立にかかわる問題でございまして、関係市町村や住民の自主的な判断が尊重されなくてはならないことは委員御承知のとおりでございます。
いずれにいたしましても、自治省といたしまして、今お願いを申し上げております合併特例法の改正を受け、今後、都道府県、市町村と積極的に連携し、助言、情報提供を行いながら市町村の合併を速やかに、そして可能な限り多くできるような環境を積極的につくり上げていき、それをまた地方分権の受け皿にふさわしいものにしていきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/18
-
019・釘宮磐
○釘宮磐君 今、大臣の答弁を聞きまして、この合併特例法が今後の分権推進に向けてのいわゆる受け皿になっていくように努力をしたいということであったというふうに受けとめたわけであります。
例えば、この分権推進法というのはこれから議論をされるわけでありますけれども、この推進法を進めていく中で合併特例法が実態にそぐわなくなる可能性もあるわけでありますが、その場合、今後十年間の延長期間内でも見直すことはあり得るのかどうかその辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/19
-
020・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 市町村合併のあり方についてのお尋ねでございますが、今後、地方分権推進法が制定をされまして、それに基づきまして国から地方への権限移譲あるいは関与の是正あるいは財源の充実等が地方分権推進計画の中に盛り込まれるような格好になろうかと思います。
一方、合併の問題につきましては、合併特例法の法律案によりまして自主的合併を進めていくというような状況になるわけでございますが、その推進状況等を踏まえまして、なお市町村の合併の進みぐあい等も考慮をしながら、その時点時点で適切な方策を講じていくべきというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/20
-
021・釘宮磐
○釘宮磐君 それでは次に、改正案のねらいについてちょっとお伺いをしたいわけであります。
特例法は、四十年の制定経緯から、建前上、市町村の合併については国や県は口出しをしない、地方自治の本旨に従って市町村が自主的に合併しようとするなら、合併の障害となるような問題について問題を軽減しようという形式をとってきました。
今回、地方分権の推進の一環という面が強く出て、法の趣旨について定める第一条中の「市町村の合併の円滑化を図り、」が「自主的な市町村の合併を推進し、」に変えられております。
今回の改正案は、期限切れの法律の単なる延長なのか、それとも法の性格を抜本的に変えるものなのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/21
-
022・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 今回の法律案では、自主的な市町村の合併を推進するというふうに規定をしております。従来の規定とそこの規定ぶりを変えているわけでございます。
これは、従来と同じく市町村の合併は自主的に行われるべきものであるということの立場は維持をしつつも、従来の法律が単なる合併の障害除去ということにとどまっていたのに比べて、今回は市町村の合併に向けた環境の整備を積極的に進めるというような趣旨を明示してこの規定を盛り込んでおります。したがいまして、それぞれの特例措置等についても従来とは変わった措置にしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/22
-
023・釘宮磐
○釘宮磐君 特例法の建前は市町村のあくまで自主的な合併であったはずでありますが、自主的な合併なら本来「推進」という言葉は不要であります。今回は特に「推進」という言葉が入ったわけですから、今の答弁で私も理解はできるわけですけれども、そうなりますと、いわゆる国、都道府県、民間団体、こうしたものが市町村以外にも推進者としての主体性を持つということになると思うのでありますが、今回の改正がそういう政策的な合併の推進の趣旨を含んでいるというふうに理解してようございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/23
-
024・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 今回の合併特例法は、あくまでも市町村の自主的合併ということにはいたしております。しかし、そういう中で合併について今自主的な動きも随分地域地域でございます。また、住民あるいは地域団体からもそういうような声も上がっております。そういうことを踏まえまして合併が進むような環境を整備しようということにいたしておりまして、その一つとして住民発議制度というものも今回の法律案には盛り込んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/24
-
025・釘宮磐
○釘宮磐君 今、住民発議制度のお話がございましたので、具体的な問題について少しお伺いをしたいと思います。
改正案では、住民の参加への配慮から、法定の合併協議会の設置について住民発議ができるようになっております。これは住民の意思を尊重しているように見えるわけでありますが、本当のところはどうなんでしょうか。
私は、五十分の一の有権者の署名というのは随分少ないようにも思えるわけであります。そんな市町村の存亡を決めるようなアクションを市町村長に義務づけるというのはいささか酷なのではないのか。
また逆に、せっかくの住民発議が生かされる可能性というものがどうなのか。関係市町村長一人がだめだというようになればそれで終わりでありますし、市町村長の意見が協議会設置について議会に議案を出すことで一致しても、全部の市町村の議会で可決されなければそれで終わり。仰々しい手続を開始させてしまう割には五カ月間の期限内に設置の決定ができる可能性は極めて少ないのではないか、これは住民発議制度として問題があるというふうに思うわけであります。五カ月間その周辺地域を騒がせたあげく否決され、膨大なエネルギーを消費させることになるわけであります。
いずれにしても、住民発議制度をクリアするのは非常に難しいのではないのかなというふうに私は思うわけですけれども、その辺のところの見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/25
-
026・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 今回の法律案で住民発議制度を創設しておりますが、これは合併について住民の意向が反映して、住民のイニシアチブで合併が進むようにという趣旨で設ける規定でございます。
今、五十分の一の署名では少な過ぎるのではないかというようなお話でございますが、実はこの五十分の一にいたしましたのは、一つはこの制度は、さっきも申しましたように市町村の自主的合併を推進するための制度であるということでございまして、この住民発議という直接請求を契機として合併に対する論議が巻き起こるということが望ましいと考えて、そのための署名数については余りハードルを高くすることはいかがかというふうに考えたことが一つでございます。
もう一つは、この請求の内容は、合併の前段階でございます合併協議会の設置ということを請求する内容でございます。そこにとどまるということでございます。そういうことからも五十分の一というふうにしているわけです。
さらに三番目には、この合併協議会を設置するに当たりましては、最終的には関係市町村の議会の議決を要するというようなことにしておりますので、そういうようなさまざまな観点から五十分の一というふうにしているわけでございます。なお、この五十分の一というのは、現在の直接請求の条例の制定・改廃の請求というのも五十分の一というふうになっておりますので、そういうことも考えながら五十分の一としたわけでございます。
これによりまして合併が進むかどうかという話でございますが、住民のイニシアチブでそういう意向が出されますと、やはり一つの大きな合併を進めるべき機運にはなってくるのではないかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/26
-
027・釘宮磐
○釘宮磐君 ハードルを低くしたというお話でございますけれども、五十分の一の有権者の署名ということについては確かにハードルが低いのでありますけれども、その後の手続というのは決してハードルは低くないというふうに私は思うのであります。
したがって、この住民発議制度というものを議会にかけていくというよりも、私はそれは住民投票を起こす起点にするという方がより実現性としては高いのではないか、このように思うわけですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/27
-
028・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 単なる住民発議にとどまらず住民投票までも導入すべきではないかという御趣旨だろうと思います。
確かにそういうお考え方もあるかと思いますが、実は、市町村の合併につきましてその是非を住民に問うという場合に、合併の形態あるいは合併後の市町村の姿、それからその他の諸条件を総合的に勘案した上で判断されるべきものであるというふうに思いまして、単純に一つの案だけを示してその判断を求めるという住民投票になじむかどうかという疑問があることが一点。
それから、合併は当然相手方になる市町村の存在が前提となるわけでございますので、一方の市町村の住民投票だけによって直ちに合併が実現するというような手続を構成することはなかなか難しいということもございます。
さらに、現行法とか過去の立法例におきましても、例外的な場合にのみ住民投票が活用されているというようなことを考えまして、今回の改正におきましては住民投票の制度を導入するということは見送ったものでございます。
なお、この住民投票等の住民参加制度のあり方につきましては、これまでもいろいろ指摘をされておりまして、今後地方行政全般の問題として引き続き検討をしていくべき課題であると考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/28
-
029・釘宮磐
○釘宮磐君 私は、この住民発議制度を決して否定するものではありませんけれども、非常にハードルが高いというふうに思うわけであります。
そういう中で、今回の改正案の中に議員の在任期間の特例が新たに追加されております。今までもそういう措置があったわけでありますけれども、今回その後行われる選挙でも定数を増員して選挙区を別にして行うことができるようにされるというようなことが盛り込まれているわけでありますが、こうなりますと最長で八年間特例が続くことになるわけであります。こうした変則的な事態を長く続かせるということは決していいことではない、自治体というものは本質的にあいまいな制度をつくってしまってはいけないというふうに思うわけであります。
私は、こういう制度が一つの呼び水になると言われていますけれども、それより前のハードルの方がもっと高いのにこういう特例をつくるということについてはいかがなものかというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/29
-
030・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 合併した場合の旧市町村の議員の在任特例、あるいは新しい市町村の議員の定数の特例というものは現行の特例法にもあるわけでございますが、さらに今回の改正でその充実をしているところでございます。これは、合併によりまして旧市町村の役場が廃止される等によりまして、人口流出の進行等によってその地域が寂れるのではないかというようなことが懸念される、そういう地域からの代表者が選出されるような、いわばそういう地域の代表制を確保するという観点からこの議員の定数あるいは在任特例の拡充を行っているわけでございます。
言ってみれば、議員の定数、在任につきましての特例措置はあくまでも合併後の一定期間に限られた経過的な特例措置ということでございまして、地域の実情に応じながら合併関係市町村において住民の意向を十分に踏まえて特例措置の適用を選択するものであるというふうに考えておりますし、合併後の市町村の均衡ある発展を配慮するという見地から当該地域からの代表が選出されるような、そういう仕組みを拡充していこうというようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/30
-
031・釘宮磐
○釘宮磐君 ちょっと私よく理解できないんですが、先に進みます。
過疎債の特例についてであります。
現在、広大な地域を持っている市町村では、静岡市やいわき市のように大きな都市の周辺部では過疎問題を抱えております。しかしながら、これらの地域は例えば合併をする際に過疎債の特例を設けなくとも合併のメリットが非常に大きいということで機運は盛り上がると思うのであります。
私が指摘をさせていただきたいのは、過疎町村同士が合併した場合、合併前より財政が豊かになるというわけではないわけでありまして、この過疎債の特例だけでは過疎地域の積極的な合併の呼び水にはなり得ないというふうに思うわけでありますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/31
-
032・遠藤安彦
○政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。
確かに、過疎団体同士の合併が過疎を脱却するということにはならないということは御指摘のとおりだと思います。ただ、私ども今回の合併に関する財政措置を考えますときに、やはり合併をした場合に、町づくりの観点から、過疎の団体であってもかなり積極的に仕事ができる、合併をとらえてそういう町づくりができるような財政システムというのをやはり提供してやる必要があるのではないかという観点から財政措置を考えたわけでございます。
したがいまして、一つは、従来の合併算定がえが五年でありましたけれども、激変緩和期間を加えて十年にするということ。それから、これまでの合併では合併市町村の建設計画というのをつくるわけでありますけれども、この建設計画についてしかるべき財政措置がなかったというようなこともあるわけでありまして、今回町づくりの観点から地域総合整備債という起債を許可いたしましてこれらの建設計画をやりやすくする、しかもこれについては既定の元利償還金に対する交付税措置に新たに合併補正も加えてこの元利償還金の措置率をおおむね七割ぐらいまで、これは一つのめどでありますけれども、高めようというようなことで、非常に財政の貧弱な団体に対してもそういう合併の建設計画が執行しやすくなるというようなことで財政支援措置を講じようとしているものであります。
そういった観点から、過疎同士の団体も、ひとつこの合併というものを契機に自分たちの町づくりというものをやってみようというように自主的に決定されたところにはしかるべき財政措置が行われるというような制度に仕組んだつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/32
-
033・釘宮磐
○釘宮磐君 どういう合併が望まれるかということには今のところ三つあると思うんです。
その第一は将来の政令指定都市への昇格の足場づくり、二つ目には地域一体的な発展を目指した既存の県庁所在地や地方中心都市など有力な市と周辺町村が合併する中核市づくり、三つ目が弱小町村の大同団結による行財政基盤の強化、効率的な自治体運営の推進、この三つが考えられると思うんです。
私は、この三つのうち最初の二つは正直言ってほっておいても合併は進んでいくというふうに思うわけであります。それだけメリットもあるわけでありますけれども、問題は三番目の弱小町村、過疎の問題、これを本当にこれから地方分権の受け皿として合併を進めていくような財政措置、これはもう過疎町村というのは谷あり山ありというような中で非常に合併は難しいわけであります。例えば、その間に優先的にトンネルを掘ってつなぐとか、そういうふうなことがない限り私は難しいのではないか、このように思うわけでありますが、その点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/33
-
034・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 合併の形態については、今御指摘がありましたように、政令都市を目指すような合併もございましょう。それから、広域市町村圏の中心市がその機能を強めるという意味での合併もございましょうし、またそれ以外の地域での市町村の合併ということもございましょう。いろいろなケースが考えられると思います。
そういう中で、特に先生がおっしゃいました第一、第二以外のパターンの合併についてうまく進むかどうかというお話でございます。今回もこの合併特例法で、市町村の自主的な判断にはよりますが、合併を選択したらこれが合併が進むように財政措置についてもかなり手厚い措置を講じているところでございますし、住民発議制度の方もしているわけでございます。
そういうことで、合併が進められるところはぜひ進めてほしいという気持ちは持っておりますが、一方、どうしてもやはり合併しにくい、なかなか事情で難しいという地域もあることはあろうかと思います。そういうところにつきましては、実は市町村のそういうところの行財政能力の向上をどうするかという問題があるわけでございます。実は昨年、地方自治法の一部改正をさせていただきまして、それで広域連合制度を創設いたしましたが、その導入をするということも一つの方法だと思いますし、あるいは広域市町村圏の一層の充実、活用ということを考えていくのも一つの方法と思っております。なお、都道府県や広域市町村圏の中心市が補完代行できるような仕組みということについても引き続き検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/34
-
035・遠藤安彦
○政府委員(遠藤安彦君) 一点だけ補足させていただきたいと思うんですが、御指摘になりました第三番目の形態の合併というのは、やはり都道府県の役割というのが非常に大きくなってくるのじゃないかというような気がいたします。
そういう意味で、私どもは財政措置としては、合併市町村の建設計画の中に都道府県が実施する事業も入れて、その都道府県の実施する事業については先ほど申し上げました地域総合整備債の充当率を上げてそういった事業をやりやすくするという財政システムを提供しているので、都道府県の役割というものも私どもは期待しているというように御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/35
-
036・釘宮磐
○釘宮磐君 最後に、これは大臣にお伺いをしたいと思うのであります。
地方分権が現在政治の最重要課題ともなりつつある中で、いわゆるパイロット自治体、さらには市町村の広域圏連合制度や人口三十万以上の中核都市、こういったものが自治体の規模として一般化してきておるのは御案内のとおりであります。私は、そういった意味でこれからの市町村のサイズというものはある程度自治省の中に私はあるのではないのかなというふうに思うのでありますけれども、そういったときに必ず問題になるのが過疎の問題であります。
私のふるさと大分県は全国で過疎率ナンバーワンでありまして、私も県会議員の時代に過疎の問題というのは、過疎の問題を解決できたらノーベル賞をやるなんていう話もあるぐらい、やっぱりこの過疎の問題というのはなかなか難しいわけであります。
この問題について、大臣は地方自治の経験が非常に深いわけでありますけれども、これから例えば合併をしていくというような際にどういうことが呼び水になって地方分権の受け皿となり得るのか、その辺のところを、これは特に通告はしておりませんけれども、大臣の所見をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/36
-
037・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 私が自治大臣という立場で御答弁申し上げる前に、ひとつお許しをいただきたいと思うのでございますけれども、当初私も第二十四次地方制度調査会の委員の一人でございました。その際に私が委員会で発言をいたしましたのは、一つには明治以来市町村という階級的呼称がそのまま残されておると。現在では、北海道の歌志内に見られますように、人口七千で市と呼ばれて、一たん三万市制の特例やあるいは五万の市制をしいたら、その条件がもうなくなっても市は市である。そして町の中でも、国勢調査がきちっと終わってしまうまで五万を超えておっても町のままである、あるいは人口四万を超したような村もある。何一つ市町村というあり方について今まで論議がされておらない。何か村といえば暗いイメージで見られてみたり、村であるからそこに工場が来なくなってみたり、むしろそういうところがより過疎化の促進に私はつながっておるのではなかろうかと。だから、そういう市町村という呼称そのものを考えるべきであると。
あるいはどうしてもそれができないとするならば、むしろ市の規模というのを二万ぐらいに大胆に考えてみたらどうか。二万ぐらいならある程度の過疎的な市町村も寄って、そして今日、道路交通・通信網の整備がある程度完備されたところであるから一つの市になって、そして六つの町村が一緒になったら、一人の市長ができれば六人分の市町村長の給料を取るわけでもありませんし、あるいは議員の数、行政委員の数、こういうものを考えてみましたら、行政効率を上げる上では非常に大きな効率を上げることになるわけでございます。
また、過疎市町村につきましては、少なくとも市町村長が知恵を出せば今日ほど仕事ができる、私今からでも市町村長をやってみたいなと思うほど非常に魅力のある町づくりを知恵を出し努力をすればやれる、そういう時期はないと思うほど、ふるさと創生を初めとす谷町づくり債等、さまざまな施策が講じられておるわけでございますので、こういうことを市町村みずからが努力してくれるならば、私は地方のそれぞれの特性を生かして、そして国の施策や府県の施策と相まって過疎の脱却をすることは可能であると。
大分におかれましても、一村一品運動等、非常に名高い事業もやってこられたわけでございますので、これから地方が主役であるような、そういう仕事というものを私どもはまた自治行政の上でも行っていかなくてはならないと思っておるわけでございます。
いささか私見になりまして恐縮でございますが、私の考えておったところを申し述べました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/37
-
038・有働正治
○有働正治君 最初に大臣にお尋ねしますが、昭和六十年、一九八五年三月二十六日の参議院の本委員会の市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議によりますと、「本法は、その定める期間をもって廃止するよう万全を期すること。」と明記しているわけであります。
今回の法律案は、新しい装いを凝らしつつも、より合併促進を強力に図るという内容だと私は理解しているわけであります。十年前の附帯決議、国会の意思、立法府の意向を無視することになると思うわけでありますが、この点についての見解と責任なり、大臣、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/38
-
039・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 現行の合併特例法は、御承知のように、市町村の合併に関する必要な特例措置について実際の合併の動向にあわせて見直すべきであるという考え方で時限立法として制定をされているものでございます。
十年の時限法ということで、それぞれその当時における社会的、経済的な諸条件、あるいはこれを背景とします行政に対する社会的な要請や地方公共団体の状況等を総合的に考慮して、制定以来、昭和五十年、そして昭和六十年と二度延長をされて今日に来ているわけでございます。
今回の改正でございますが、これは従来の改正と違いまして、単に期限を延長したというようなことではございませんで、今回は地方制度調査会の答申を踏まえまして、前回の延長後に生じました例えば国土の均衡ある発展や地方分権という我が国の内政上の重要課題への対処の必要性でございますとか、住民の側からの自主的な合併の取り組みが活発化しているというような諸条件を勘案いたしまして、大幅な内容の見直しをした改正になっておりまして、単純延長でないということでこれをやっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/39
-
040・有働正治
○有働正治君 それはわかっているんです。私の質問に明確に答えて、長々答弁しないでいただきたい。
大臣、国会の意思、その趣旨からいってどう考えられるかということについて明快にお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/40
-
041・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 私は、その当時の国会の御意思がどういう経過を経てこういう附帯決議になったのか詳細に承知をしないところでございますけれども、しかしむしろこれをもって市町村合併というものが完全に行えるような熱意を持ってやれという、そういう御趣旨がこの附帯決議にあらわれたのではなかろうか。けれども、その実を十分上げることができなくて今日に及んで、地方制度調査会におかれましても、新たなる踏み込んだ、従来と異なった合併推進の答申を行っていただき、今日の法案提出に至ったと承知をする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/41
-
042・有働正治
○有働正治君 やはり立法府の意思というのは十分尊重するということが大事であるわけですけれども、その点についての真摯な見解というふうには受け取ることができません。
政府は、九三年の臨時行政改革推進審議会答申で、私どもから見ますと国際貢献国家づくりのために地方自治体を再編成して、国の支配がやりやすく、大企業本位の開発も進めやすい大規模な行財政能力を持つ自治体をつくっていく方向を打ち出しました。昨年三月、「平成五年度市町村の自主的合併の推進方策等に関する調査研究報告書」では市町村合併に県のイニシアを求めるなどあくまで合併推進を主張して、昨年十一月二十二日の第二十四次地方制度調査会答申で、市町村の自主的な合併を推進していくべき、行財政上の支援措置を拡充整備すべき、あるいは都道府県がより重要な役割を果たすことを期待する云々と要求したわけであります。
そこでお聞きしますけれども、先ほどの国会決議の私どもから言えば廃止せよとの意思、意向に逆らってまで、新たな装いを凝らしてまでこれを推進しよう、法案を出そうというねらい、端的にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/42
-
043・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 今回の改正は、過去と違いまして、単純延長でなくて内容を充実しての改正でございますが、この改正に当たりましては、先ほども申しましたように、地方制度調査会の答申をもとにしております。
調査会の答申では、市町村の合併は地域の一体的な整備、市町村の行財政基盤の強化あるいは豊かな高齢社会を迎えるための社会福祉等住民に身近な行政サービスの充実等を図るための有効で適切な方策であると提言をされたところでございます。そしてまた、市町村の合併は関係する地域の将来やあるいは住民の生活に大きな影響を及ぼす事柄であるので、その推進に当たっては住民の共回生活意識の醸成や関係する市町村及び住民の自主的な判断が尊重されなければならないというふうにも指摘をされているわけでございます。
私どもは、このような状況を踏まえまして、自主的な合併を推進し、合併の効果が一層確実に発揮されるように行財政上の支援措置を講ずべきであると考えまして、今回このような内容を盛り込んだ法案を取りまとめまして御審議をお願いいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/43
-
044・有働正治
○有働正治君 合併を進めて自治体の規模をただ大きくすればよいということにはならないと私は考えるわけであります。憲法と地方自治法の精神を貫いて住民の身近な市町村、自治体の自治権を広げるということが非常に大事だと考えるわけであります。
全国町村長大会の意見は、受け皿論に立つ強引な合併推進には反対との態度であります。政府の合併推進の動きに対し規模が小さい市町村は危機感を募らせまして、この昨年の全国町村長大会で受け皿の整備の見地から国の主導により全国一律的に市町村合併を推進することは適切でないとの見解を打ち出したわけであります。
この見解について、大臣はどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/44
-
045・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 地方制度調査会の答申においても述べられておりますように、地方分権の推進の観点からも、住民に最も身近なところの地方公共団体である市町村が自主的な合併を行うことによって地域づくりの主体としてその行財政能力を強化していくことが望ましいと私も考えておるところでございます。
しかしながら、市町村の合併の推進というのはあくまでもそれぞれの市町村の住民の自主的な判断が前提となってなされるものであります。市町村の合併の意義や効果を住民がよく理解した上で合併を選択できるようにしていく必要があると考えまして、今回の改正の趣旨もそのような前提に立って行ったものでございます。
町村長大会の決議は私も承知をしておるところでございます。この決議は、国の主導により全国一律的に市町村合併を推進するようなことは適切でなく、市町村がみずから自主的に住民の自主的な判断によって行われるようにするべきであるということを決議されておるわけでございまして、今日御審議をいただいておる法案と全くその趣旨を一にするものだと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/45
-
046・有働正治
○有働正治君 具体的なねらいと実態について、具体例を挙げて私はお尋ねします。
昨年三月に合併協議会で決定されました茨城県の勝田市と那珂湊市の新市建設計画の中には、「合併の必要性」の中で常陸那珂地区開発計画をどのように位置づけ、「建設の目標」の中で常陸那珂地区開発計画の推進をうたっているわけでありますけれども、この点ほどういうふうに位置づけられているか、端的にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/46
-
047・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 茨城県の勝田市と那珂湊市の合併により誕生いたしましたひたちなか市の新市建設計画におきまして、「合併の必要性」の一項目といたしまして、「常陸那珂地区開発を踏まえた一体的まちづくりへの対応」を挙げているのでございます。
この中で、常陸那珂地区開発は、旧勝田市、旧那珂湊市二市はもとより、茨城県及び北関東地域の発展にとって極めて重要なプロジェクトであり、二十一世紀には旧二市の区域に首都圏、北関東地域から人、物、情報、資本の集積することが想定されていること、地域社会に対して大きな経済的インパクトを与える常陸那珂地区開発をより一層促進するとともに、推進体制の確立、周辺地域の一体的な整備、開発に伴う経済効果の平等な享受等を図るために旧二市が一体の都市として取り組むことが求められていることが記述されておりまして、また「建設の目標」の中では、新市は常陸那珂地区の開発を今後ともより一層促進するとともに、都市基盤、生活環境の整備などのその他の施策とともに新しい時代の潮流の中で二十一世紀を展望して一体的な発展を図り、また茨城県や北関東地域の発展に貢献するリーディング都市の形成を目指すことが大切であると記述されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/47
-
048・有働正治
○有働正治君 中心は、いろいろ長々抽象的なことを言われたけれども、この常陸那珂地区開発計画というのは、東京電力と電源開発の火力発電所建設、工業団地造成、国営常陸海浜公園、港湾整備、これらを中心とする千百八十二ヘクタールの開発計画ということになっているわけであります。この計画は、刑事被告人であります竹内元知事や県地方課の強引な推進によりまして、常陸那珂地区開発促進を最大の理由とするものであります。
勝田市、那珂湊市の合併の経過の中で、勝田市の清水市長が一時は市長選挙絡みで合併をみずから断念したと言われていましたのに、日立製作所などが清水市長に対しまして選挙での支持、推薦を検討せざるを得ないという形で最後通告を突きづけたことが方向転換のきっかけ、このことが指摘されているわけであります。
こういう市町村合併につきまして、日立製作所など大企業が強引に進めたということ自体、自主的な合併云々ということからいって相入れない要素があるのではないかということが指摘されているわけでありますが、この点、大臣、いかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/48
-
049・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 御指摘のひたちなか市の合併の際の大企業の合併推進の動きにつきまして私は具体的に承知をするわけではございませんが、ひたちなか市の合併につきましては、地域の事情に基づいて関係両市が住民の意向を十分尊重され、議会がこれまたそれにこたえられてその決定をされたものと承知をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/49
-
050・有働正治
○有働正治君 そんなきれいごとじゃないのであります。実態というのはそういうものでないというのを自治省としてもよく認識する必要があると私は強く指摘しておきます。
こういう合併推進の背景にこうした財界、大企業からの大規模プロジェクト推進のための広域行政要求などがあるという点であります。
例えば、大宮、浦和、与野三市の合併構想は中核都市づくりと大規模プロジェクトであります埼玉新都心計画を大きな目的としたものであります。仙台市、名取市の合併構想は東北の中核都市づくりと大規模プロジェクト、仙台空港と仙台港の一体的整備計画を目的としたものでもありました。それから、東京秋川市、五日市町の合併は圏央道や秋留台開発を推進するためのものということが大きな理由とされているわけであります。
これらの具体的な合併構想のねらいはこうした大規模なプロジェクト推進にあるというのも現実的な要因である、これが多いわけでありますが、この点、自治大臣、どう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/50
-
051・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 大規模のプロジェクトがそれぞれ地域の一体的な整備の上に大きな役割を果たすということで、関係市町村において合併を行うことのこれが一つの要因となってくるというのは私は否めないことだと思うわけでございます。むしろ、そういうものが誘発的に市町村の合併を促進する諸情勢をつくり上げ、そして総合的に市町村のそれぞれの住民が自主的に判断をされまして合併の道筋があけられるとするならば、それはまた新しい市をつくっていく条件の一つになり得るのではなかろうかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/51
-
052・有働正治
○有働正治君 やはりそこに一つの大きな要因もねらいもあるということを、大臣、事実上裏づけるような発言だと私は解しました。
政府の説明では、条例の改廃請求も五十分の一でありまして、ともに議会の判断が入ることで共通点があるとされ、合併協議会の設置の請求だから五十分の一でよいと説明されているわけであります。しかし、地方自治法のリコールなど直接請求制度は住民の署名が三分の一必要とされているわけであります。
合併請求は条例の改廃請求とは性質が異なるわけであります。合併のような自分たちの自治体の存続そのものが問われるような重大問題を条例改廃問題と同じレベルで扱うことは私は問題があると感ずるわけであります。住民こそ主人公という地方自治の大原則に照らしても、これは重大な問題があると指摘せざるを得ません。
合併問題は何よりも住民の圧倒的多数の意思、合意が前提条件であり、この住民合意の立場に立つならば、五十分の一の署名で発議することは地方自治の原則に背くことになりかねないという点を私は危惧するわけでありますが、大臣、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/52
-
053・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 議会制民主主義を基本として認め、その上においてなお今日まで合併が円滑に進んでこなかった諸条件を考えたときに、何らかの形で住民の発議による制度をつくることによって合併が少しでも進むような方向を認めていくということが今回の法の新しい一つのあり方であろうと考えますときに、この五十分の一の署名というのはいわゆる合併の協議会をつくり上げる、そういう設置に当たる前提条件をつくるわけでございますので、そのものが合併を決定するわけでも何でもないわけでございますので、議会の審議に付する前提条件をつくるための住民の発議権を認めたものでございますから、これが新しい制度として非常に合併促進への道となるならば、私は今回の法の存在価値は大きいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/53
-
054・有働正治
○有働正治君 装いを凝らした合併促進法だと端的に言えば言えると思うわけであります。
地方自治法による合併の手続は、市町村の廃置分合及び境界変更によることとされ、まず二百五十二条の二第一項の規定により合併協議会を置き、市町村建設計画の作成その他市町村の合併に関する協議を行い、当該市町村の議会の議決を経て都道府県知事に申請し、知事は都道府県議会の議決を経て合併を定める。市の新設、廃止の場合は、自治大臣に事前協議、知事は合併を自治大臣に届け出、大臣は告示、関係行政機関の長に通知するというわけであります。
そこで、合併に関する住民の意向を聞く住民投票などの手続は制度化されていないわけでありますが、これを制度化すべきではないかという意見、要求もあるわけであります。この点について大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/54
-
055・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 先ほど釘宮議員の御質問に行政局長がお答えをしたとおりでございまして、市町村の合併の是非を直接住民に問いかけ、そして住民投票にかけるというのは、私は議会のそれぞれの存在を無視したやり方であろうと考えますし、現在提案を申し上げておる住民の発議制度がベストであろうと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/55
-
056・有働正治
○有働正治君 合併による議員定数の問題でありますが、合併によりまして議員定数削減で住民を代表するその数が減り、代表制の後退となるという問題が指摘されているわけであります。
茨城県のひたちなか市の場合、旧勝田市では法定定数三十六、旧那珂湊市では三十、合計六十六でありましたが、合併後特例の法定定数三十六となりまして三十議席減となったわけであります。住民を代表する議員の数が半分近く減ると代表制の後退となりかねないという厳しい指摘もあるわけで、ここは十分考慮した対応が求められていると思うわけでありますが、大臣、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/56
-
057・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 具体的な例でございますので。
ひたちなか市の場合は、法定定数はおっしゃるように合併前三十六、三十でございますが、現在、減数条例を両市ともしいておりまして、平成六年の十一月一日の合併時においては合わせまして五十一人でございます。
それで、この合併につきましては在任特例を適用しまして、平成七年の十月三十一日まではそれぞれの議員が在任するということにいたしております。平成七年十一月一日からのひたちなか市の議会の議員の定数は、地方自治法九十一条一項の規定を適用した場合には、特段仮に減数条例を設けないといたしました場合には三十六人となるわけでございます。
御承知のように、市町村の議員の定数は人口規模に応じて定められているわけでございます。合併前の定数より減少するということにはなりますが、同じ程度の人口規模を持つ他の市町村と同様の取り扱いになるわけでございまして、これによって特段民意が反映しにくくなるということにはならないのではないかというふうに思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/57
-
058・有働正治
○有働正治君 やはり代議制の後退になるという現実的な問題もあるわけで、そういうことにならないように留意すべきであると思うわけでありますが、大臣、その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/58
-
059・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 私は、現在の市町村の規模を、さらに現在の道路交通・通信網等、三十数年にわたって飛躍的に発展してきた今日段階における合併を促進するための法案をお願いする立場にあるわけでございます。そういう立場から考えますときには、一方において地方分権を考えますときに、地方みずから行政改革を断行することによって、みずからがスリム化することによっての効率化を図っていかなくてはならないわけでございます。そういう点で、議会の議員が適正規模になっていくというのも、私は一つの効率化の道であろうと考えておるわけでございます。
意図的にこれによって定数が減少をされたということではないわけでございますし、今日それぞれ地方公共団体の実情を眺めてみましても、議員定数を減少していく状況が非常に顕著にあらわれておるわけでございますので、そういった点も配慮いたしますときに、今回のこのひたちなか市の合併による定数というものが異常な状態であるとは認識しないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/59
-
060・有働正治
○有働正治君 最後に、やはり大臣が言うような状況でなくて、実際上はより定数が滅らされて住民の意向を反映するという点でいろいろ問題も起きているということは厳しく指摘しておきます。
時間になりましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/60
-
061・西川潔
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
私は、市町村合併につきまして、我が国が歩んでおります高齢社会から超高齢化社会へという流れの中で、この市町村合併がどういう役割を担っていくのかという観点から質問をさせていただきたいと思います。
私も、全国津々浦々いろいろと声をかけていただきまして、最近では福祉の講演などでお伺いする機会が多いわけですけれども、先週は大臣の出身地であります京都府の園部町というところにもお邪魔をしてきたところでございます。
私たちが大体講演させていただく場所は、大都市であれば立派な市民ホールでありますとか体育館、市町村になりますと町立会館や公民館ということになるわけですけれども、大方の場合は入場者、座席なんかを見ますとそれぞれの人口の規模というのがわかるわけです。そして、終わりますと、時間が許せばなるべくその地域の施設にお邪魔をいたしますが、大都市よりも町や村の方がお邪魔しやすい、行きやすいと申しましょうか、ごく自然に伺わせていただくことができるんです。
例えば、役所があって会館があって、そして老人ホームがあるという、距離だけの近さということではなしに人と人との結びつきというんでしょうか、地域自体の一体感と申しましょうか、これからお邪魔するぞということではなしにちょっと寄せてもらおうかなという、そういう連帯感みたいなものを感じるわけです。特に私なんかの場合は、もう四十年以上大都市に住んでおります、大阪でお世話になっているわけですから余計にそう感じるのかもしれませんが。
大臣は、町長も経験をなさっておられる、また福祉に大変造詣が深いということで、これはこの前もお伺いしたと思うんですけれども、質問というよりもぜひ御感想をお伺いし」たいなと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/61
-
062・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 西川委員が大都市とあるいは小さな市町村とそれぞれを多かれましての御感想を今承ったわけでございます。
私は、もう釈迦に説法でございますけれども、これから深刻な少子・高齢化社会を迎えていくわけでございます。そういう中において、それぞれ私どもは好むと好まざるにかかわらず老人福祉の問題、あるいはこれの介護をどのようにして人材確保をやっていくか、あるいは特別養護老人ホームを含めた福祉施設をどのように設置していくかということを考えますときに、おのずから市町村の財政というものがこれを支える状態でなければならないわけでございます。
しかし、国の財政が余裕があり市町村の財政が余裕があって、小さなコミュニティーでもそれを支えられるような条件づくりができることは全くそれによってベストでありますけれども、今日的な状況を見ますときに、納税者である人たちが少なくなっていき、そして介護を受ける、給付を受ける人が多くなってくるということを考えましたら、今からやはり市町村の規模を大きくして財政の効率化を行うことによって、そのことによってより福祉施策が進んでいくような条件づくりというのはやっておかなくてはなりません。
私のいささか小さな経験を申し上げますと、小さな町であるために、隣の町に老人ホームがあるのにどうしても自分の町でもっくらなきゃならぬ、あるいは境界が接しておるのにやっぱり学校は持たなきゃならぬ、保育所も持たなきゃならぬ、こういう市町村の境界にこだわったために非常にむだな施設をつくってきた嫌いがあるのではないか。あるいは西川委員がお歩きになりまして、今それぞれ公民館とか文化施設の問題についてお触れになりましたけれども、やはり全国、自分の町はやっぱりこういうものを持ちたい持ちたいということで非常に箱物もたくさん持ち過ぎまして、そしてその利用も効率的でない部分もあるのではないか。
こういうことを考えたときに、やはりもう少し市町村の規模を広げて、そして財政の効率化をやることによって、先ほど申し上げたような少子・高齢化社会を踏まえた財政のあり方を私どもは考え、そういう中において市町村合併の視点というものも考えていくべきであると存じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/62
-
063・西川潔
○西川潔君 そしてまた、近年高齢化を背景に各自治体ではその対策に非常に今月を入れておられます。新聞でもそうですし、テレビでも大変ユニークな試みを我々は聞いたり目にしたりすることができるわけです。
そんな中で、山形県の西川町というところがございますが、ここは人口が八千三百八十人、高齢化率が何と二五%、山形県下でも最も高齢化が進んだ町でございます。こちらの取り組みは、保健、医療、福祉の一元化をねらった総合計画を立てまして、町役場の隣の中心地に「ケア・ハイツ西川」という特別養護老人ホームと老人保健施設をあわせ持った施設を建設したわけです。さらに、町立病院がありまして、保健センターを渡り廊下でつないでいるわけです。特養で体が悪くなればすぐ隣の町立病院のお医者様に診ていただく。病院で必要な治療が終われば今度は老人保健施設へ参ります。そして自宅へ今度はお帰りいただく。また、日がわりで各地域のお年寄りをバスで送迎いたしまして今度はデイサービスを利用していただく。あとは在宅サービスをいかに充実していくかが課題ということでございますが、これらが一体に行われますと我々が本当に希望する理想的な姿であると思うわけです。
そしてまた、兵庫県の淡路島に五色町というところがございますが、私もお伺いをいたしまして勉強させていただきました。人口はこちらは約一万人ぐらいで、高齢化率がこちらもまた二五%です。町長さんは斎藤さんという方でなかなか実行力のある、本当に福祉に力を入れておられる方ですけれども、保健、医療、福祉の一元化、そしてまたICカードを五十歳以上の町の皆さん方に、あるいはゼロ歳から八歳までの子供に、また来年度内には全町民に導入が予定されているというふうに聞いております。そのカードを持つことによりまして、例えばお年寄りが用事で外へ出ておりましても、急病で救急車を呼ぶと車内でそのお年寄りのこれまでの病歴、投薬の内容などの連絡がすぐにできるわけです。もう病院に到着するまでに連絡をすることができるわけです。あるいは医療機関と家庭をケーブルテレビで結びまして、双方向機能を利用いたしまして、通常の往診や在宅ケアに加えてテレビで医師や保健婦に相談をすることができるという先進的な取り組みがこちらは行われているわけです。
こういった取り組みを拝見したり、そしてまたお伺いすると、実に住民の隅々にまで目が行き届いた行政が行われているんだなという実感を持つわけです。これは小さな町だからこそ可能なことなんだろうか、またそのメリットではないかという印象を強く持つんですが、こういう点は大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/63
-
064・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 御指摘のように、西川町や五色町のような大変小さな町でありながら、また厳しい財政事情の中でも保健あるいは医療、福祉が一体となって町づくりに取り組まれておる市町村があることを私も承知をしておるわけでございます。このような小さな市町村におきましても十分効果を発揮することが証明をされておるわけでございます。これはしかし、単に財政的な裏づけがあるだけでなく、市町村と住民が一体となって取り組んでおるところに私は大きな要素があり、その特徴を生かして大都市とは異なった連帯感があるからできるのであり、行政サービスが十分適用されておると思うわけでございます。
今後、可能な限りこういう一体的な町づくりが行われることを私どもも期待し、また支援をしていきたいと思っておるわけでございますが、よりこれからの深刻な時代を考えますときに、なおやはり市町村の規模はある程度大きくなっていかなければ財政的に耐えられない時期をやがて迎えてくるという一面、私どもはこの法律の成案をお願いする側面を否むことができないと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/64
-
065・西川潔
○西川潔君 住民の隅々まで目が行き届く、あるいは一体感、連帯感という人と人との結びつきが密接しているという点では住民にとっても確かにメリットであると私も思うわけです。しかし、我が国でも今後地方分権が進んでいく方向に向かいまして、また福祉分野においては既にその動きが始まっているわけですけれども、そうした分権が進めば進むほど、当然ながら市町村が担う役割と責任が重くなることは言うまでもございません。そうした中で、現在の市町村、その数三千二百という姿のままで今後も果たしてその役割と責任をすべての市町村が担えるんだろうか、そういう心配をいたします。
そのことを改めて強く感じたのが昨年の全自治体に提出が義務づけられました地方老人保健福祉計画でございました。高齢者福祉の地方分権と評された一方で、日本の地方行政に大きな問題を投げかけたと指摘する声も強くございます。
例えば、一部の市町村では限られた人数で窓口行政をこなしながら、そしてまた福祉だけではなく他の担当も駆けつけまして、そうした中で計画の策定を義務づけられたということで悲鳴を上げていたというケースも多く、そういうことも私らもたくさん耳にいたしました。そしてその結果、計画の策定を委託する市町村があらわれたわけです。ある県では三分の一以上の市町村が計画づくりを業者に委託したとそのころ大変新聞でも報道されたわけですけれども、こういう点、大臣はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/65
-
066・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 国がある程度施策を先行させて市町村のあるべき方向を義務づけた大きな一つの例でなかったかというように私ども自身、反省をしなければいけないと思っておるわけでございます。
今後、やはり市町村がより自主的に、しかも地域のニーズに応じてやっていけるような体制を私どもは行財政両面から支えていくべき立場にあろうと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/66
-
067・西川潔
○西川潔君 昨年の六月の地方自治法改正案の審議の際に私も質問させていただいたわけですけれども、ゴールドプランの実現のための福祉施設の設置が行われるためには、例えばデイサービス一万カ所設置のためには住民が一万二千人で一カ所となります、特別養護老人ホームについては一カ所五十床といたしまして二万五千人で一カ所、したがいまして福祉サービスを一体的に、また効率的に進めるには自治体の再編成についても考える必要があるのではないでしょうかこう申し上げました。
当時は石井大臣でございましたが、福祉、広域行政を考えたときに、合併特例法の期限が切れる際に新たな角度から検討していく必要があるのではないかというふうに御答弁をいただいたわけですけれども、今回の法案に当たりましてはどのような検討をいただいたのかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/67
-
068・吉田弘正
○政府委員(吉田弘正君) 今回、合併特例法の改正をお願いしているわけでございますが、先ほど来お答えしておりますように、合併につきまして従前と環境も変わってまいりました。自主的な合併ではございますが、それが推進できるような仕組みを考えていこうということでございまして、あらかじめ数値目標を示すようなものではございませんが、あくまで自主的合併ということで、しかしそれが進みやすいように財政的な援助措置を講ずるとか、あるいは住民の発議制度を設けるとかいうようなことによって市町村が合併を選択した場合にうまくその効果が発揮できるような、そういう仕組みを考えて今回の合併特例法の改正をお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/68
-
069・西川潔
○西川潔君 先日、二月十七日に行われました地方分権及び規制緩和に関する特別委員会におきましては、参考人として静岡県の金谷町の孕石町長が次のような意見を述べられました。
地方自治体は一つの効率のよい単位を求めて構成していったらどうなのか。特に福祉の観点からすると、経験上、給食サービスや在宅のホームヘルパー等を考えると、大体人口二万五千人がいいのではないか。特別養護老人ホームを考える場合は、その倍の五万人に一つぐらいの割合が一番経済的かつ効率的等の観点から見てよいのではないかと思っているというふうにお伺いをいたしました。そしてまた、保健、医療、福祉のかなめは総合病院、医療であるべきであり、その単位は大体十万ないし十五万の町の人口単位に施設があればその地域の住民に対して保健、医療、福祉のトータルサービスが実現できるのではないかということでございました。
合併につきましては、地域社会の一体性でありますとか経済効率優先の行財政能力、あるいは行政改革によります事務の簡素化、効率化というようなさまざまな評価基準があると思いますが、住民サービスの基本に立った市町村の役割ということを考えますと、その基礎に置かれるのは教育、福祉、医療に関する行政需要に適応するかどうかが特に重要なのではないかと考える次第です。この点は自治大臣はどういうふうにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/69
-
070・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 今、委員が例示をされました、私は福祉をそれぞれの視点で考えた場合に、その人口規模というのは参考人がおっしゃったようなことが当然考えられるべきことだと存じております。
市町村の合併というものは、行財政を効率化させることによりまして、市町村自身が将来を展望して、地域のそれぞれの持つ課題についてこれからやっていかなくてはならないわけでございます。
そういう点を考えますときに、豊かな高齢化社会を迎えるための社会福祉等住民に身近なサービスの充実を図るという視点におきましても、今回お願いを申し上げておる法案は行政の効率化において大きく資するところがあろうと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/70
-
071・西川潔
○西川潔君 ありがとうございました。
福祉の観点からいつも御質問をさせていただくわけですけれども、確かに望ましい人口規模というのがあると私は思うわけです。今回の地方制度調査会の答申にございます合併は地方主導で地域の実情に基づき関係市町村や住民の意向が十分尊重されて行われるべきである、これは大変重要な柱だと思うわけです。
そういった意味で、この問題は大変難しい課題ではあるわけですけれども、超高齢化社会を迎えるに当たりまして、また地方分権が進んでいく中で、どういった姿の地方自治のあり方が必要であるかということを全国レベルで見詰め直す必要があるのではないでしょうか。
そのためにも、自治大臣には内閣にあってはリーダーシップをおとりいただくことをお願いしますとともに、これを最後の質問といたしますので、大臣の御決意をお伺いして終わりにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/71
-
072・野中広務
○国務大臣(野中広務君) 昭和二十八年に合併促進法ができました際には市町村の規模を最低八千と決めまして、そして国及び特に都道府県が積極的に関与して、ある意味において府県がそのあるべき市町村の単位までも示して合併を促進して全国市町村が三分の一になったという経過があるわけでございます。
しかし、今日的状況を考えますときに、そういう国なり府県が強力に関与して、そして住民のある程度自主性を尊重しないで合併を慫慂するというのは、私は地方制度のあるべき方向ではないと考えますし、地方制度調査会もまたそのことを十分踏まえられまして市町村の自主的な住民の意思が反映できる合併を言っておられるわけでございます。しかし、その一端において住民発議制度を設けられ、あるいは府県がある程度調整的な役割を果たすこと、さらには国が積極的な財政支援を行っていく等を従来の合併促進の法律よりは踏み込んでやっておられるわけでございます。
私どももその地方制度調査会の趣旨を受け、本法律案のまた内容を十分認識を新たにいたしまして、そして国がなし得る支援を十分に果たしてまいりたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/72
-
073・西川潔
○西川潔君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/73
-
074・岩本久人
○委員長(岩本久人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/74
-
075・有働正治
○有働正治君 私は、日本共産党を代表しまして、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、有権者の五十分の一の署名で合併を請求できる住民発議制度を導入することが、住民が主人公という地方自治の大原則、すなわち市町村の合併問題は何よりも住民の圧倒的多数の意思、合意を前提とするべきであるという地方自治の原則に反するからであります。合併のような自分たちの自治体の存続そのものが問われるような重大問題を条例改廃問題と同じレベルで扱うことは許されません。
また、趣旨規定に自主的な合併を推進する旨を規定することは、自主的と書き込むことでこれまでの上からの強引な合併のあり方への反省を迫られる側面とともに、合併推進と書き込むことで強引な合併推進のてことなる側面を持っており、法律が動き出せば上からの、あるいは国の主導で現行の自治体の体制を再編成することを制度化するものとなるおそれがあるものであります。
第二に、市町村建設計画の内容に、都道府県が実施する合併市町村の建設の根幹となるべき事業に関する事項を加えることや都道府県に必要な調整を行わせることなど、都道府県のイニシアを発揮させるような改正点は、国が新しい装いのもとに、都道府県を下請に使って上からの市町村合併の推進の役割を果たさせるものとなるからであります。
第三に、この法律が歴史的に見ても産業基盤整備のための合併促進の役割を果たし、広域市町村圏における広域合併に活用されてきました。しかも民主的な合併手続が法的に保障されておらず、特例措置の内容自体が不十分な結果、住民負担の増大や議員定数の削減など合併による自治の原則の切り捨て、マイナス面が大きな弊害となりました。今回の改正でも、住民発議制度など新しい装いを凝らしていますが、中核都市づくりと大規模プロジェクトなど大企業の経済的、社会的要求にこたえるための合併促進に利用されるなど特例法の問題点は基本的に変わらないのであり、到底賛成することはできないのであります。
最後に、昭和六十年三月二十六日の本委員会で全会一致で決議された市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議のとおり、本法はその定める期間をもって廃止すべきであることを指摘し、私の反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/75
-
076・岩本久人
○委員長(岩本久人君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/76
-
077・岩本久人
○委員長(岩本久人君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/77
-
078・岩本久人
○委員長(岩本久人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/78
-
079・岩本久人
○委員長(岩本久人君) 次に、古物営業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。野中国家公安委員会委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/79
-
080・野中広務
○国務大臣(野中広務君) ただいま議題となりました古物営業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は、近年における窃盗等の財産犯の発生状況及び古物営業に係る業務の運営の実態の変化を踏まえ、並びに現下における規制緩和の要請にこたえるため、公安委員会の許可を必要とする営業の範囲を見直す等古物営業の許可に関する規定の整備を行うとともに、取引の記録について帳簿への記載に加えて電磁的方法による記録を認めるなど古物営業に係る業務についての規制の簡素合理化を図るほか、窃盗等の財産犯の防止及びその被害の迅速な回復を図るため必要な規定の整備等を行うことをその内容としております。
以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
まず第一に、目的に関する規定の整備についてであります。
これは、この法律の目的を、盗品等の売買の防止及びその速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もって窃盗等の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することとするものであります。
第二に、定義に関する規定の整備についてであります。
その一は、近時、窃盗等の被害に遭った商品券、乗車券、郵便切手等が換金処分されるケースが増大していることにかんがみ、公安委員会の許可を必要とする営業にこれらの証票等に係るものを加えるため、商品券等の一定の証票のうち使用のために取引されたもの等を本法の対象となる物品とするものであります。
その二は、例えば大型の船舶のように、窃盗等の被害に遭い換金処分される蓋然性に乏しく、また現実にもそのようなケースのない物を本法の対象となる物品から除外するものであります。
その三は、古物の買い取りは行わず古物の売却だけを行う営業、または自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行う営業は、盗品等を取り扱う蓋然性に乏しいことを考慮し、古物営業に含まれないこととするものであります。
第三に、古物営業の許可等に関する規定の整備についてであります。
その一は、複数の営業所等を有する古物商等が増加していることにかんがみ、古物営業の許可は、同一都道府県内については営業所等ごとに取得しなくてもよいこととするものであります。
その二は、許可の基準、許可の手続等に関する規定の整備についてであります。
これは、許可の基準及び許可の取り消しに関する規定等を整備するほか、手続の簡素化を図るための措置として、営業内容の変更に係る許可制度を廃止し、届け出で足りることとし、また二以上の公安委員会の管轄区域内に営業所を有する古物商等に係る法人の役員の変更等については、そのいずれか一の公安委員会に対する届け出で足りることとするものであります。
第四に、競り売り及び行商に係る許可制度の廃止についてであります。
競り売り及び行商のうち、競り売りについては許可制度を届け出制度に、行商については許可制度を廃止するとともに、行商をしようとする者は古物商の許可証等を携帯していれば足りることとするものであります。
第五に、管理者に関する規定の整備についてであります。
古物商及び古物市場主は、営業所または古物市場ごとに管理者を選任しなければならないこととするとともに、管理者の解任の勧告に関する規定等を整備するものであります。
第六に、氏名の確認等及び帳簿への記載等に関する規制の緩和についてであります。
その一は、古物商が古物の買い受けを行う際の義務につき、相手方の氏名等を確認する方法のほか、相手方が署名した文書を受領する方法も認めることとするとともに、少額の取引をする場合及び自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合については、この義務を免除するものであります。
その二は、古物商が古物の売買等を行う際の義務につき、帳簿へ記載する方法のほか、帳簿に準ずる書類へ記載する方法または電磁的方法により記録する方法も認めることとするとともに、売却等の際の帳簿等への記載等の義務については、特にその必要のある古物に限ることとするものであります。
第七に、行政処分に関する規定の整備についてであります。
これは、軽微な法令違反行為については、営業の停止命令等に至る前に指示を行うこととするとともに、古物営業の許可を取り消し、または古物営業の停止を命じることができる場合の要件を整備する等所要の規定の整備を行うものであります。
第八に、盗品等に関する情報の提供に関する規定の整備であります。
これは、公安委員会は、盗品等の売買の防止等に資するため、盗品等に関する情報の提供を求める者に対し情報の提供を行うことができることとするものであります。
その他、この法律案では、手数料に関する規定の整備、罰則の整備等所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、所要の経過措置等を設けることとしております。
以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概略であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/80
-
081・岩本久人
○委員長(岩本久人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時五十二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113214720X00519950307/81
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。