1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成七年二月八日(水曜日)
正午開会
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委員氏名
委員長 青木 幹雄君
理 事 大塚清次郎君
理 事 佐藤 静雄君
理 事 稲村 稔夫君
理 事 菅野 久光君
理 事 星川 保松君
井上 吉夫君
浦田 勝君
北 修二君
高木 正明君
吉川 芳男君
谷本 巍君
野別 隆俊君
細谷 昭雄君
村沢 牧君
刈田 貞子君
都築 譲君
矢原 秀男君
井上 哲夫君
林 紀子君
喜屋武眞榮君
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委員の異動
一月二十六日
辞任 補欠選任
矢原 秀男君 風間 昶君
二月二日
辞任 補欠選任
風間 昶君 横尾 和伸君
二月三日
辞任 補欠選任
横尾 和伸君 風間 昶君
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出席者は左のとおり。
委員長 青木 幹雄君
理 事
大塚清次郎君
佐藤 静雄君
稲村 稔夫君
菅野 久光君
星川 保松君
委 員
浦田 勝君
北 修二君
高木 正明君
吉川 芳男君
野別 隆俊君
細谷 昭雄君
村沢 牧君
風間 昶君
刈田 貞子君
都築 譲君
井上 哲夫君
林 紀子君
国務大臣
農林水産大臣 大河原太一郎君
政府委員
農林水産大臣官
房長 高橋 政行君
農林水産省経済
局長 東 久雄君
農林水産省経済
局統計情報部長 今藤 洋海君
農林水産省構造
改善局長 野中 和雄君
農林水産省農蚕
園芸局長 日出 英輔君
農林水産省畜産
局長 高木 勇樹君
農林水産省食品
流通局長 鈴木 久司君
農林水産技術会
議事務局長 山本 徹君
食糧庁長官 上野 博史君
林野庁長官 入澤 肇君
水産庁長官 鎭西 迪雄君
事務局側
常任委員会専門
員 秋本 達徳君
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本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○農林水産政策に関する調査
(平成七年度の農林水産行政の基本施策に関す
る件)
○青年の就農促進のための資金の貸付け等に関す
る特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○農業改良資金助成法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○農業に関する技術の研究開発の促進に関する特
別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/0
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001・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
去る一月十七円に発生いたしました平成七年兵庫県南部地震により、多数のとうとい人命を失いましたことはまことに痛ましい限りでございます。犠牲者の方々に心から弔意を表します。
ここに、犠牲者の御冥福を祈り、黙祷をささげたいと存じます。
御起立を願います。黙祷。
〔総員起立、黙祷〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/1
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002・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 黙祷を終わります。御着席願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/2
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003・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 委員の異動について御報告いたします。
去る一月十八日、西岡瑠璃子君が委員を辞任され、その補欠として細谷昭雄君が選任されました。
また、同月二十六日、矢原秀男君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/3
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004・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
本委員会は、今期国会におきましても、農林水産政策に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/4
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005・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/5
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006・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 農林水産政策に関する調査を議題といたします。
平成七年度の農林水産行政の基本施策について、農林水産大臣から所信を聴取いたします。大河原農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/6
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007・大河原太一郎
○国務大臣(大河原太一郎君) 農林水産委員会の開催に当たり、まず、関西地方を襲った兵庫県南部地震により亡くなられた方々とその御遺族に深く哀悼の意を表しますとともに、負傷された方々や避難生活を続けておられる方々に心からお見舞い申し上げます。
私自身といたしましても、地震発生の連絡を受け、直ちに、被害状況の調査と必要かつ万全の対策を講じるよう指示いたしました。被災地域において緊急に必要な食料等の救援物資の提供体制を整備するとともに、いち早く神戸市に食料等供給現地対策本部を開設し、実情を掌握しながら、救援物資の円滑な供給確保に努めているところであります。
また、地震による農林水産業への被害の大きい淡路島につきましては、被害状況の現地調査と必要た対策の検討を行わせております。
今回の地震の被害は、農林水産物の生産、流通、消費等多方面に及んでおります。私は、農林水産行政を預かる者として、また、食料の安定供給に責任を持つ者として、対応に万遺憾なきを期するよう全力を尽くしてまいる所存であります。
それでは、農林水産行政の推進に関し、私の所信の一端を申し上げます。
農林水産業は、国民生活に不可欠な食料等の安定供給という大切な使命に加えて、地域経済・社会の安定と維持発展、国土や自然環境の保全など極めて多様で重要な役割を果たしております。また、国土の大宗を占める農山漁村は、生産の場であり、かつ、農林漁業者と地域住民の生活の場であることはもとより、伝統に裏づけられた個性に富む地域文化をはぐくみ、緑と潤いに満ちた生活・余暇空間を国民全体に提供するという機能を有する国民共有の財産であります。
こうした役割や機能を持つ我が国の農林水産業と農山漁村をめぐる状況は、我が国経済の国際化、高度化、人口や産業の都市への集中といった諸情勢の変化の中で、従事者の減少、高齢化の進行、山村等における過疎化だと近年大きく変貌しております。
特に、本年四月からのウルグアイ・ラウンド農業合意の実施により、我が国農業・農村は新たな国境措置のもとで厳しい環境のもとに置かれることになると認識しております。
このような中で、今後の農林水産行政を推進するに当たっては、長期的展望のもとに、着実に魅力あふれる農林水産業と活力ある農山漁村を実現していくとともに、国土の均衡と特色ある発展を図ることが重要であります。また、このような取り組みこそが、総理が施政方針演説で述べられた「創造とやさしさの国づくり」に通ずるものであると確信しております。
このため、農林水産省といたしましては、昨年八月の農政審議会報告「新たな国際環境に対応した農政の展開方向」を今後の政策推進の指針としつつ、農林水産業の二十一世紀に向けた飛躍を図るとともに、農山漁村が多様で活力ある地域社会として発展することができるよう努めてまいります。
以下、平成七年度における主要な農林水産施策について申し上げます。
まず、農業の振興と農村地域の活性化についてであります。
ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴う影響を極力緩和するとともに、我が国農業・農村の自立と持続的発展を期して、昨年十月に決定されたウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策大綱に基づき、関連対策の着実な推進を図るとともに、農業の体質強化と活力に満ちた農村地域の建設を図るため、以下のような各般の施策を積極的に展開してまいります。
第一は、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の着実な推進であります。
「新しい食料・農業・農村政策の方向」、いわゆる新政策が目指す効率的かつ安定的な農業経営が生産の大宗を担う力強い農業構造を実現するため、育成すべき農業経営への農地利用の集積、その安定的営農展開のための負債対策、土地改良負担金対策の推進を図るとともに、就農支援のための無利子資金の貸し付けによる新規就農者の確保、国境措置の変更に伴う各作物の特色に応じた対策を推進します。
また、効率的かつ安定的な農業経営による生産展開のための基礎的条件の整備を図るため、高生産性農業基盤の整備の重点的かつ加速的な推進を図るとともに、地域の農業生産の高度化等のための諸施設の整備、生産現場に直結した新技術の開発を進めます。
さらに、ウルグアイ・ラウンド農業合意の影響が特に大きくあらわれるおそれのある中山間地域等農山村地域の活性化のため、新規作物の導入推進のための無利子資金の貸し付け、生産基盤と生活環境の一体的整備、地域産品・地域資源等に関する情報の発信拠点の大都市における整備を図るとともに、農地保全活動を推進します。
また、以上の施策とあわせて、暮らしやすく、開かれた農山村地域を建設するため、道路等アクセス条件の改善、上下水道等の整備、情報通信の高度化の促進、医療、保健、福祉水準の向上、教育、文化施設の整備等、各種の施策が関係各省庁において講じられることにたっております。
第二は、担い手に焦点を置いた効率的かつ安定的な農業経営の育成であります。
経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営の育成に資するため、経営改善に向けての融資制度を含む総合的な支援策を講じるとともに、次代の農業を担う意欲と経営能力にすぐれた青年農業者等の育成確保対策の充実強化、農山漁村の女性、高齢者の地位向上、一層の能力の発揮等に資するよう対策の充実を図ります。
また、担い手への農地利用の集積に資する農業生産基盤整備を推進するとともに、新たな農業構造改善事業の発足により、担い手を中核とした地域農業の生産体制の確立を図ります。
さらに、畜産、畑作、野菜、果樹・花片など、それぞれの生産部門に応じて、各種の施策を総合的に展開するとともに、生産者、生産者団体の一層の主体的取り組みを基礎に、地域の自主性の尊重を旨として、水田営農活性化対策を着実に推進します。
第三は、中山間地域等の農山漁村地域の活性化であります。特に、国土や自然環境の保全に寄与している中山間地域の活性化は、国土の健全な発展を図る上で極めて重要であります。
このため、地域における起業支援、都市等に比べて立ちおくれている生活環境と生産基盤の一体的た整備、都市との交流促進等総合的視点に立った地域活性化の支援措置として、山村振興等農林漁業特別対策事業の創設、地域条件に応じた生産基盤整備等を推進する中山間地域総合整備事業の拡充等の施策を講じるとともに、中山間ふるさと・水と土基金の充実、グリーン・ツーリズム等都市との連携による地域おこしの活動の支援等を行います。
第四は、新技術の開発普及の推進等であります。
農林水産業に関する重要政策課題に対応するため、農業の生産性向上、環境問題等への取り組みを強化するための研究を推進していくことが必要であります。
このため、次世代を担う画期的な水稲品種の育成、革新的な農業機械等の開発、実用化とその利用促進等を推進するとともに、ゲノム解析研究を初めとする基礎的、先導的研究を強化します。
また、効率的かつ安定的な農業経営の育成等に資するため、農業に関する総合的な普及指導体制を確立するとともに、統計の整備と行政の情報化を推進します。
第五は、環境問題への積極的な対応と国際協力の推進であります。
農業が有する環境保全機能と物質循環型産業としての環境に優しい特質を最大限に活用することができるよう、地域合意に基づく環境保全型農業の総合的な推進を図るとともに、家畜ふん尿処理施設の整備、堆厩肥の利用促進等畜産環境対策の強化、再資源化技術の開発等食品産業における環境対策の総合的推進を図ります。
さらに、熱帯林を初めとする森林保全対策、砂漠化防止、農地保全対策等地球環境保全対策の拡充を図るとともに、開発途上国への技術支援等に関する企画調査の実施だと、農林水産分野における国際協力を推進します。
第六は、食品の加工、流通及び消費対策等の推進であります。
食品産業の競争力の強化と国産農産物の利用拡大との両立を目指し、農業生産から加工、流通、消費を含めた一連の流れであるフードシステム全体としての高度化を図るとともに、農産加工対策など食品産業の経営基盤の強化、技術開発、卸売市場の整備、食品産業の活性化等を推進します。
また、食品の安全性確保対策の充実、食品の日付表示の適正化のための点検指導の実施等消費者対策の充実を図ります。
このほか、農林漁業金融公庫資金の充実等にも努めてまいります。
次に、林業の振興についてであります。
緑と水の源泉である森林は、地球環境を保全する上でも、豊かな国民生活の土台を築く上でもかけがえのない重要な役割を果たしており、国民の森林・林業に対する要請も、水資源の涵養、国土の保全、保健休養の場の提供等ますます多様化、高度化してきております。一方、このような森林・林業、木材産業を取り巻く情勢は、森林を守り育ててきた山村の過疎化、高齢化の進行、木材価格の低迷等依然として厳しい状況にあります。
このような状況に対処し、林業、木材産業の活性化と緑豊かな森林・山村の整備を図るため、住宅資材の標準化等木材供給低コスト化のための総合的な対策を推進するとともに、森林の流域管理システムを実行段階に移し、流域林業の新たな展開を図ります。
さらに、良質な水の安定的供給、豊かで美しい環境の整備、安全で快適な国土空間の創出のため、造林、林道、治山の各事業を計画的に推進します。
また、国有林野事業につきましては、国有林野事業の改善に関する計画に即して、経営改善を着実に推進します。
次に、水産業の振興についてであります。
水産業は、健康的で豊かな日本型食生活を支える水産物の国民への安定的供給、漁村地域における主要な就業機会の提供など、多様で重要な役割を有しております。他方、現在、公海漁業に対する規制の強化等に加え、近年の漁獲量の減少、価格低迷等による漁業経営状況の悪化、就業者の減少や高齢化による漁村活力の低下等、内外ともに難しい局面を迎えております。
このような中で、二十一世紀に向け新たなニーズに対応した水産業の振興と活力ある漁村の形成を期して、中小漁業者の経営改善に向けた取り組みを支援するために必要な低利の短期運転資金を貸し付ける漁業経営改善促進資金の創設等、水産制度金融の総合的な充実強化を図ります。また、漁業生産構造の再編整備を弾力的、効率的に進めるとともに、国内水産物の競争力の強化等を図るための広域的な協力体制、流通加工施設の整備を図ります。
さらに、漁業生産基盤、漁村生活環境の整備を推進するとともに、我が国周辺水域の漁業振興を図るため、資源管理型漁業の一層の推進、定着化を進めます。
以上のようだ農林水産施策を展開するため、平成七年度の農林水産予算の編成に際しましては、今後の農林水産政策の着実な推進の第一歩として、十分に意を用いたところであります。
また、施策の展開に伴って必要となる法制の整備につきましては、今後、当委員会の場におきましてよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
以上、所信の一端を申し上げましたが、私は、魅力あふれ、活力に満ちた農林水産業、農山漁村の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう切にお願いを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/7
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008・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 以上で所信の聴取は終わりました。
本件に対する質疑は後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/8
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009・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 青年の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法案、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案、農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法案、農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。大河原農林水産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/9
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010・大河原太一郎
○国務大臣(大河原太一郎君) 青年の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法案、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案、農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法案及び農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
まず、青年の就農促進のための資金の貸付け等に関する特別措置法案につきまして御説明申し上げます。
農業は、国民生活に不可欠な食料の安定供給という基本的な使命に加えて、国土や自然環境の保全、地域経済・社会の維持発展など極めて多様で重要な役割を果たしております。
しかしながら、近年、農村における高齢化の進展等から、農業の担い手不足が顕在化しており、青年農業者の確保の重要性が増大しております。特に、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴い、我が国の農業経営を取り巻く環境が一層厳しくたっていくことが懸念される中で、農業が果たしているさまざまな機能を発揮させ、その健全な発展と農村の活性化を図っていくためには、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営の担い手となることが期待される青年の就農を促進していくことが急務であると考えております。
このため、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の一環として、無利子の就農支援資金の貸し付けを中心とした特別措置を講ずることにより、青年の就農促進を図ることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、新たに就農しようとする青年が作成する就農計画に対する認定制度であります。
都道府県の就農促進方針に即し、新たに就農しようとする青年は、就農計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、その認定を受けることができることとし、このような認定就農者に対し、重点的に就農支援措置を講ずることとしております。
第二に、都道府県青年農業者育成センターの指定であります。
都道府県知事は、就農支援資金の貸し付け、新たに就農しようとする青年に対する情報の提供等一定の就農支援業務を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人を、都道府県に一個に限り、都道府県青年農業者育成センターとして指定することができることとしております。
第三に、就農支援資金の貸し付けてあります。
都道府県青年農業者育成センターは、認定就農者が就農計画に従って就農するのに必要な農業の技術または経営方法を実地に習得するための研修その他の就農準備に必要な資金を無利子で貸し付けることができることとしております。なお、認定就農者が条件不利地域に就農した場合については、償還期間の特例を設けることとしております。
このほか、認定就農者に対し農業改良資金助成法の特例を設けるとともに、都道府県における就農支援体制の整備が図られるよう、所要の措置を講ずることとしております。
続きまして、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
近年、農業をめぐる情勢は著しく変化しており、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴い、我が国の農業経営を取り巻く環境が一層厳しくなっていくことが懸念されております。特に、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域においては、ウルグアイ・ラウンド農業合意の影響が集中すると考えられますが、これらの条件不利地域においては、規模拡大による対応が困難であることから、地域の特性を生かした新規作物の導入等により、農業経営の改善を図っていくことが急務であると考えております。
このため、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の一環として、条件不利地域において新規作物の導入等による農業経営の改善を図るための無利子資金の貸し付けを行う等の措置を講ずることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、条件不利地域における農業経営の改善を促進するため、特定地域新部門導入資金を創設することであります。
特定地域新部門導入資金は、地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域において、農業の経営の改善を促進するために普及を図る必要があると認められる作物等を導入し、新たな農業部門の経営を開始するのに必要な資金とすることとしております。なお、本資金が条件不利地域を対象としていることにかんがみ、従来の農業改良資金よりも長い償還期間及び据置期間を設定することとしております。
第二に、特定地域新部門導入資金につきましては、一定の要件に該当し、都道府県の指定を受けた市町村が貸し付けを行うことができることとし、政府は、当該貸付事業に必要な資金の全部を貸し付ける都道府県に対し、これに必要な資金の一部を貸し付けることができることとしております。
続きまして、農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法案につきまして御説明申し上げます。
ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴い、本合意が我が国農業・農村に及ぼす影響を極力緩和するとともに、農業・農村を二十一世紀に向けて持続的に発展させ、将来にわたって我が国経済社会における基幹的な産業及び地域としていくために必要な対策を、重点的、計画的に実施していくことが求められております。この一環として、農業に関する技術の研究開発の分野につきましても、国、都道府県及び民間の研究勢力を結集し、生産現場に直結した新技術の開発を強力に推進することが喫緊の課題となっております。
このような情勢に対処するため、生物系特定産業技術研究推進機構に、緊急かつ計画的に行う必要のある農業に関する技術の研究開発の業務を行わせることにより、民間の研究開発能力を活用するための特別の措置を講じ、農業に関する技術の向上を通じて、効率的かつ安定的な農業経営の育成及び地域の特性に即した農業の振興を図ることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一に、農林水産大臣は、生物系特定産業技術研究推進機構に行わせる研究開発等の業務の計画的かつ効率的な実施のための基本方針を定め、これを機構に指示するとともに、公表することとしております。
第二に、機構の業務として、民間の研究開発能力を活用することによってその効果的な実施を期待できる農業に関する技術の研究開発を行うこと等を追加することとしております。
第三に、機構は、農林水産大臣の認可を受けて定める基準に従って、研究開発業務の一部を民間に委託することができることとしております。
第四に、機構は、研究開発業務に関し、農林水産省の試験研究機関または都道府県に対して、助言、協力を求めることができることとしております。
最後に、農業経営基盤強化促進法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
近年、農業をめぐる情勢は著しく変化しており、また、ウルグアイ・ラウンド農業合意に伴い、我が国の農業経営を取り巻く環境は一層厳しくなっていくことが懸念されております。
こうした我が国の農業をめぐる急激な環境の変化に対応するためには、従来を大幅に上回るペースでの農地の流動化を進め、効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担うようだ農業構造を実現することが緊急課題とたっております。
このため、ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策の一環として、一昨年の農業経営基盤強化促進法の改正で整備された農地保有合理化事業について、その積極的な推進が可能とたるよう、農地保有合理化法人に対する支援の強化を図るとともに、育成すべき農業経営に農用地の利用を集積するため、農地保有合理化法人による農用地の買い入れ協議制度の創設等の措置を講ずることとし、この法律案を提出することとした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、農地保有合理化事業について、その積極的な推進が図られるよう、農地保有合理化法人に対する支援を強化することとしております。
具体的には、農地保有合理化法人に対し、農地保有合理化事業等の実施のための助成、農地保有合理化事業等の実施のために必要な資金についての債務保証等を新たに実施することとしております。なお、支援措置を行う法人を農地保有合理化支援法人として位置づけ、必要な監督を行うこととしております。
第二に、所有者から農業委員会に売り渡しの申し出があった農用地について、担い手への集積を図るため、農地保有合理化法人による買い入れが必要である旨の農業委員会の要請を受けた場合において市町村長が特に必要と認めたときは、農地保有合理化法人は買い入れ協議を行うことができることとしております。
何とぞ、これら四法案につきまして、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/10
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011・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 以上で四案の趣旨説明の聴取は終わりました。
四案に対する質疑は後日に譲ります。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X00119950208/11
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