1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成七年五月二十三日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十八日
辞任 補欠選任
大渕 絹子君 村沢 牧君
竹村 泰子君 細谷 昭雄君
五月二十二日
辞任 補欠選任
野別 隆俊君 篠崎 年子君
細谷 昭雄君 渕上 貞雄君
都築 譲君 和田 教美君
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出席者は左のとおり。
委員長 青木 幹雄君
理 事
大塚清次郎君
佐藤 静雄君
稲村 稔夫君
菅野 久光君
星川 保松君
委 員
井上 吉夫君
北 修二君
高木 正明君
吉川 芳男君
篠崎 年子君
谷本 巍君
渕上 貞雄君
村沢 牧君
風間 昶君
刈田 貞子君
林 紀子君
喜屋武眞榮君
政府委員
食糧庁次長 阿部 修君
事務局側
常任委員会専門
員 秋本 達徳君
参考人
全国農業協同組
合中央会常務理
事 高野 博君
有限会社長谷部
商店代表取締役 長谷部喜通君
消費科学連合会
事務局長 伊藤 康江君
和光大学経済学
部教授 持田 恵三君
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本日の会議に付した案件
○農産物検査法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/0
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001・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る十八日、大渕絹子君及び竹村泰子君が委員を辞任され、その補欠として村沢牧君及び細谷昭雄君が選任されました。
また、昨日、都築譲君、野別隆俊君及び細谷昭雄君が委員を辞任され、その補欠として和田教美君、篠崎年子君及び渕上貞雄君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/1
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002・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 農産物検査法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、全国農業協同組合中央会常務理事高野博君、有限会社長谷部商店代表取締役長谷部喜通君、消費科学連合会事務局長伊藤康江君、和光大学経済学部教授持田恵三君、以上四名の参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多忙中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。
農産物検査法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の法案審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
それでは、これより順次御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。
御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十五分とし、その順序は、高野参考人、長谷部参考人、伊藤参考人、持田参考人といたします。
すべての方の御意見の開陳が済みました後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
それでは、これより各参考人に順次御意見をお述べいただきます。
まず、高野参考人からお願いいたします。高野参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/2
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003・高野博
○参考人(高野博君) 全中の常務の高野と申します。本日は発言の機会をお与えいただきましてありがとうございました。
それでは、農産物検査法の一部改正案につきまして私の意見を申し上げさせていただきます。
まず最初に、基本的な認識でございますが、主要食料であります米麦につきましては国による検査が実施されてまいりましたが、これは国の買い入れに必要であるばかりでございませんでして、生産者にとりましても自主流通米等の公正で円滑な取引の基礎となっております。本年十一月からはいよいよ新食糧法に変わりまして米麦が流通していくことになりますが、私どもは国による検査は引き続き必要であると考えております。
次に、その理由といいますか必要性でございますが、一つには国による全国同一の検査によりまして大量の米が、要するにまとまった米が全国的に円滑に流通することが可能になっておるということでございます。もし、例えば検査がいろんな形で認められたといたしますと、地域的な検査結果が出てまいりまして、そうなりますと米の流通は勢い青果物のように毎回現物を確認しながら取引をしなければならないということになりまして、大変煩瑣で複雑な流通になることは必至でございます。そういう意味で、現在の検査制度は大きな役割を、今も申し上げましたように大量の米を全国的に円滑に流通させる面で果たしておると考えております。
二番目に、こういうことによりまして生産者それから取扱業者ともども公正な流通といいますか、同じ規格に合格したものは同じような形で流通していくという公正さが保たれるということでございまして、これも大きな役割を果たしていると考えております。
それから三番目に、こういうことによりまして流通コストの節減を可能にしておりまして、流通そのものが大変合理化されておるというぐあいに考えております。
それからその次に、もう一つ大事な点でございますが、消費者に対しまして信頼できる精米といいますか、そういうものを供給するための基礎になっておるということでございます。検査されました米は精米所に行くまでは氏素性がはっきりしているわけでございまして、ただし精米されました後はなかなか何県産の何年産のどういうものが精米されたか、ブレンドされますとわからなくなってくるというところに幾つかの課題は残しておりますが、しかし、少なくとも精米所から先のところを解決すればいい、それまでははっきりしている、そういう意味で消費者に信頼される精米供給の大きな基礎になっておるということでございまして、この意味からもその必要性があるというぐあいに考えておるわけでございます。
検査の問題につきましてはいろいろ意見があるわけでございまして、自主検査でもよいのではないかというような意見もあるようでございますが、今も申し上げましたように、自主的に検査いたしますと品質に地域差が出てまいりましてトラブルも発生いたしますし、流通の円滑化が妨げられてまいりますし、消費者に対する品質保証の面でもいろいろとそごが出てまいりますので、結論といたしましては、今回の農産物検査法の一部改正案に基づいて検査が実施されるということに賛成でございます。
なお、検査に当たりましては検査の効率化や生産者の出荷実態に配慮した利便性の向上などを図っていただきまして、スムーズな検査をお願いしたいと考えております。
それから次に、計画外流通米の任意検査のことについて発言させていただきます。
新食糧法は自主流通米と政府米から成る計画流通米を基本的なパイプとして安定供給を図る仕組みになっておりますが、それ以外にいわゆる計画外流通米というものがあるわけでございまして、これは現在農家消費等に含まれております縁故米とかあるいは特別栽培米など、生産者と消費者が直接結びついた流通が主体になっていくんだろうと推定しているわけでございますが、計画外流通米については検査を義務づけずに任意検査ということになったわけでございます。これにつきましては、いろいろ実態を考えます場合に、計画外流通米が多様なところで多様な形で発生する、小量ずつ発生する、発生する日時もなかなか確定しがたいということを考えますときに、こういう措置をせざるを得ないというのは理解できますので、やむを得ないというぐあいに考えます。
ただし、問題なのは、現在の一〇〇%義務づけられた検査制度のもとでもいろいろ議論のあるところでございますが、先ほど申し上げましたように、精米までは氏素性がはっきりしています。精米から先になって消費者に渡っていく段階では、みんな検査米を使っておりましても表示どおりの精米が果たして供給されているのか、いわゆる格上げ混米ですね、そういうことが広く行われているという推測があるわけでございまして、私自身もそう考えておりますが、そういう中に、今度は未検査の計画外流通米が流通の中に常時入ってくると。果たしてそういうものが、現在でさえいろいろ消費者に渡る品物と中身が一致しないという状況が広くある中で、氏素性のはっきりしないものが仕組みとして流通の中に入り込んでくるということになった場合に、今言ったような問題が一体どうなっていくのか、ここら辺は大変大きな問題でございます。
したがいまして、検査を受けた米とそうでない米につきましては、その後の流通の中で区別した取り扱いがなされるべきだと考えるわけでございまして、消費者に信頼性のある品物、お米を供給していくために、検査を受けていない計画外流通米につきましてはその旨の表示、または産地、品質等の表示を行わないとか、しかるべき区別された取り扱いが行われるべきだと考えております。
それから、関連いたしまして精米表示の問題でございますが、検査制度を保っておりますのは、消費者にやはりはっきりした品物を渡していくというのが大きな前提になっているわけでございまして、その立場からしますと、精米表示の問題は大変重要な問題だと考えております。
現行の表示制度はあるわけでございますが、第一の問題点は、都道府県ごとに表示につきまして差異があるということでございまして、これほどたくさんの人が移動しておりまして全国各地で米を買うという実情を考えますと、できるだけ表示については全国的に統一の方向が模索されてしかるべきだと考えております。
第二の問題点でございますが、現行の必要記載事項の中で特、上、中というような分類がなされておりますが、消費者の声を聞きますと、なかなか内容が不明確であるという意見も多うございますので、産地、品種、年産等のはっきりした内容を必要的記載事項として処理したらどうかという考えを持っておりますので、しかるべき検討がなされることを要請したいと考えております。
それから、ミニマムアクセス米の表示につきましても、それなりに明確な表示がなされて消費者が承知の上で購買するということが可能になるように措置していただきたいと思っております。
第三の問題点は、表示制度をいろいろ決めるのはいいんですが、決めても表示されたものと実際の中身が合っているのかどうなのか、これは最大の問題点でございまして、チェックできなければ、表示制度、表示の仕方、そういうものをどんなに決めても、そうやっていますと言われて間違いを指摘できなければ制度としては死んだも等しいわけでございまして、ここら辺をどのように担保していくか、いろいろ工夫はあると思います。
例えば卸精米等は穀物検定協会が駐在しておりましてチェックできる体制になっておりますし、帳簿もしっかりしております。そういうものを主体に流通を組み立てるというふうに誘導することだって可能でございますし、新たに小売屋さんとして参入される方はそういうぐあいにはっきり、氏素性のわかった商品を流通させていく方を優先して許可していくということもできるわけでございますし、いろいろ方法はあるわけでございますので、表示と中身が一致する仕組みということを全力を挙げて御検討いただきまして、少なくとも今までみたいな形では私は極めて不十分だと。さっきから申し上げましたように計画外流通米等々全体としてわかりにくくなる部分がふえてまいります中では、この精米表示の部分は現行に満足せずに大幅な改善を目指した検討をお願いいたしまして、十一月の新食糧法の施行に間に合うよう早急に具体化することを要望したいと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/3
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004・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) どうもありがとうございました。
次に、長谷部参考人にお願いいたします。長谷部参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/4
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005・長谷部喜通
○参考人(長谷部喜通君) 私は、品川区の二葉一丁目で米穀店を営んでおります長谷部喜通と申します。本日は、当委員会にお招きをいただき、意見を述べさせていただく機会を得ましたことを大変ありがたく、御礼申し上げます。
最近、異常気象とか、また作柄が非常に変動、激変いたしまして、その中で米の生産、流通、消費をめぐる情勢が大きく変化しているわけでございます。また、昨年のように米不足で輸入米を併売しなきゃならないというような中で、その後遺症もいまだに尾を引いているような中で、我々小売業者は大変今苦境に立たされております。
そういう中で、十一月から施行される新食糧法の新たな米管理システムにつきまして、今までは単線的と申しますか、結局はこれ法律上で言えば単線的でありますが、現在までもいろいろ問題になってきたいわゆる自由米ともやみ米とも言う米も正規の米と一緒に現実には流れてきたわけですけれども、やはりそういうものをいつまでも置いておいたんではいけないということから今回の新法の中で計画外流通米というのも認めたんではないかと私は憶測をしているわけでございます。
この新しいシステムに移行するに当たりまして、流通業者の競争はますます激しくなるとともに、国民の主食である米に対しましてもやはり関心は品質、安全性、また良食味志向とか、また安定的な価格と供給、こういうものの要求が高まっているように感じられるわけでございます。
さて、農産物検査法の改正に関して個別に意見を述べるわけでございますけれども、審議されているこの法律案の一部改正というものを見ますと、時宜を得た適当なものであろうと思いますので、私は賛成をいたしたいと思います。
そこで、これから個別の事柄について幾つか意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、この検査の必要性というのは、先ほども御意見ございましたように、これは私が申すまでもなく国民の主食であり、年間を通じて平均的、大量に消費されておりますから、生産面、流通面等、円滑に安定的な確保、またこうしたシステムがぜひとも必要であるということは申すまでもございませんが、統一的な規格等、一定の格付をするという検査システム、この検査を実施することによってやはり信頼感、それと安定感、効率的な面等、取引とかまた価格形成の上において大変必要になってくることと思います。
さらに、その検査システムの有効性と信憑性を高めるためにも、公正申立てある第三者機関で検査を行うということが大変いいのではないかというふうに思っておりまして、やはりそれには国が関与する、現在も行われている国営検査が望ましいというふうにも考えております。
検査内容、規格においては、産地、産年、銘柄、等級、品位など検査の中で設定されております事項について、我々が目安とするものはやはり検査の結果でございまして、ただ、全国に百六十五品種もあるという産地、品種、銘柄が統一された基準や規格がないままに取引をされたり個別に検査されたりすることになると、流通には混乱を来し、非効率になるということは明白じゃないかと思います。
また、設定されている規格の内容につきましては、今後、流通実態の変化や消費者、実需者のニーズに対応した見直しを図っていただくとともに、流通過程での品質の変化に伴う品位の検討が必要ではないかと思います。
そういう中で、やはり義務検査については、消費者に対して計画的、安定的な供給を図るためにも、計画流通米の検査は義務づけるのは当然でございます。計画外流通米の検査については任意とされておりますが、これとてやはり積極的に検査可能な道を開くことを検討していただきたいと思います。それはなぜかと申しますと、先ほどの御意見にもございましたけれども、このことは後の精米表示の中で大変重要になってくるからでございます。
検査体制については、最初に述べましたように公正中立なそういう国の機関で検査されることによりまして信頼性が確保され、円滑に取引が実施されることと思いますので、その方向に努力をいただきたい、かように存ずる次第でございます。
次に、本日の関係と密接に関連する、先ほどからも言われております表示でございますが、米袋に表示されている表示が、すべてと言いませんが、大方の消費者が精米を購入する際の判断基準となる重要な役割を担っているわけでございます。表示に対する消費者の信頼を確保するためには、やはり表示は簡便で明確なことがその基本じゃないかと思います。
その意味で、単品で販売するものは別といたしましても、多くの銘柄をブレンドする場合の構成内容を余りにも具体的かつ詳細に記載する表示制度を仕組みますと、やはり非効率でありコストアップにもつながるのではないかという危惧もするわけでございます。また、消費者の信頼を損なうことにもなる結果が生まれるんではないかというような感じもするわけでございます。
販売業者だけではなく、消費者においても客観的かつ重要な判断基準としては産地、品種、産年があり、いわゆる三点セットと言われておりますが、単品販売の場合は現在任意的表示事項となっております。しかし、これはやはり消費者ニーズにこたえるためにも必要的表示事項としてはいかがかと考える次第でございます。
このブレンド表示につきましては、米の安定的な価格、供給に必要不可欠な手法であることは申すまでもなく、小売業者といたしましても昔からブレンド技術によって単品よりもおいしい米をつくるという、そういうこともあるわけでございますので、ブレンドが悪であるというような印象は払拭していただきたいということでございます。ブレンドについてのよさというものをある程度教示をし、またブレンド米というのを現在差別化するために自社の独特のブランド米として売り出すというような、そういう傾向もございますので、ひとつブレンドにつきましては、二種類ぐらいのブレンドなら容易に表示ができますけれども、もう多種のブレンドをした場合にはこれは表示不可能でございます。そういう面もやはり考慮していただく必要があるのではないかと思っております。
表示と内容の一致につきましては、新食糧法下の登録業者としては一層自己責任を求められるわけでございます。やはり商売というのは、これは物を売るには基本的には自己責任において販売するという、今PL法というのもできておりますけれども、売る人が責任を持って販売するという、そういう体制から始まっていくのじゃないかと思いますし、この精米表示はいずれにいたしましても、我々としては消費者の信頼を得るためにはあくまでも努力をしていかなければならないと思っている次第でございます。
時間も余りございませんが、最後に外国産米の検査につきましても、いろいろ安全性等もございますので、関係者各位が納得される御検討をいただいて、いい方向に持っていっていただきたいと思います。
意見といたしましては以上でございますが、同法律案がスムーズに成立されますことを御祈念申し上げまして、私のあいさつといたします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/5
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006・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) どうもありがとうございました。
次に、伊藤参考人にお願いいたします。伊藤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/6
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007・伊藤康江
○参考人(伊藤康江君) 伊藤でございます。私ども消費科学連合会というのは昭和三十九年に設立されました消費者団体でございまして、以後いろいろな消費者問題について運動を進めております。その中で、やはりお米というのは私どもの運動の中の重点課題でございます。そういった観点から、きょうは検査法の改正について意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
まず、法が改正されるということでございますが、これは新食糧法の制定に伴い、当然その改正は必要だというふうに思っております。
次に、法律の目的なんですけれども、先ほどからいろいろ意見が出ております正確性とか公正性が必要なことは当然でございます。
それから第二番目に、円滑な取引に資するということも必要だというふうに思っています。この円滑な取引という場合、ともすれば事業者間のことを考えがちでございますが、事業者間だけではなく、事業者と消費者というものも当然含むんだということを目的規定の中で明白にする必要があるんではないかというふうに思っております。どうして事業者と消費者の間の取引も含むんだということを明確化していただきたいかと申しますと、それに伴って品質の改善という点、表示の改善ということが強力にこの法律の中でやはり出てくるんではないかという期待を持っているわけです。
第三番目に、検査の対象なんですが、先ほどからいろいろ出ております計画外流通米をどうするかという問題なんですけれども、私どももこれまでは自由米、やみ米というふうなことで検査されているのか検査されていないのか、わからないままに価格などを中心に購入していたというのが現状でございます。ですから、本来でしたら、そういう商品が流通するに当たりまして、品質の検査をきちっとしないものが流通してはならないはずだというふうに思っております。
これは、食べ物、食品だけではございません。家電製品にしろいろいろなものがあるわけですが、ここはやはり工場出荷の段階できちんと品質検査をして、そして責任を持って事業者が出す、これが本来の商品流通のあり方だというふうに思っています。ですから、未検査米が出てくるということについては、本来の商品流通からいえばおかしい話ではないかというふうに食べる側にとっては考えられます。
ただし、いろいろ今御意見が出ておりましたけれども、じゃ全部強制検査にするかといいますと、今後規制緩和の問題もありまして、自由な競争、自由な流通ということから考えれば、この点については私どもはっきり強制検査にすべきだとか、そうでなくてもいいとかということはちょっと言いがたいというところが現在の状況でございます。これまでの自由米の経験で言えば、例えば年間三百万トンぐらいも流通しているということが報道されておりました。私どもも聞いておりましたけれども、計画外流通米がどのくらいの量になるのか、計画流通米に多数いけば検査の対象となるわけですから、これは消費者として安心できるかなというふうに思います。そのバランスが今後どうなるかを見きわめて、検討の課題として残していただきたいというふうに思っています。
それから、計画外流通米の中に含まれる特別栽培米のことですけれども、これは私は従来どおり生産者と消費者の信頼関係における取引で十分だというふうに思っております。
聞きますと、例えば有機栽培米というものを特定JASに組み込もうかというふうな意見も出ているそうでございますが、私は農水省のやっております有機農産物ガイドラインを作成しました委員をしておりまして、非常に規格をつくるのは難しいわけです。そんな中でJAS規格とするとますます難しくなるんではないか、どういう規格内容にするか、そしてそれをどう担保するかということで非常に難しい問題が出てくるんではないかと思います。この特別栽培米については消費者も生産者も今の制度で十分満足しております。ですから、計画外流通米のうち特別栽培米は現状のままでよろしいんではないかというふうに思っております。
次に、検査規格のことなんですけれども、成分規格を今後導入していこうという検討会の報告がございますけれども、この点については私も賛成でございます。
と申しますのは、今まで消費者はお米を何を基準に選びますかというアンケートをずっともう昭和四十三年ころからやっているんですが、トップに出てくるのは味ということです。ですけれども、現在の検査方法では味のファクターというのが盛り込まれていないというふうに感じております。見かけ、粒の大きさであるとか乾燥度とか、それから破砕米がどのくらい入っているかとか、そういうことが中心で味のファクターが入っていないというところは大変検査規格としては問題ではないかと思いますので、ぜひ成分規格の考え方を入れていただきたいというふうに思っております。
検査規格の第二番目なんですが、玄米品位規格というのがございます。これももう少し簡素化していいんではないかというふうに思っています。余りにも細分化されているんではないかというふうに思います。できたら、検査官の勘とか経験でやるんではなくて、なるたけ科学的な要素を導入して品位規格を決めていく方向が望ましいんではないかというふうに思っています。
それから次に、持続可能な農業という言葉がアジェンダ21あたりでずっと言われておりまして、日本でもその方向を目指して生態系農業の推進というふうなことが言われているわけなんですけれども、例えば現行の品位規格では着色米というのがありまして、着色米が千粒に幾つあってももうこれは等級が下がるというふうな制度になっておりますけれども、これは非常に農業を使うこと、農業を多投しなければならない農作業になるといった点では、なるべく農業を使わないでできる米づくりということを考えて品位規格を決める必要があるんではないかというふうに思っています。
それから次に、検査実施者でございますが、これは私は、今は国の検査が必要だという御意見が大変強うございましたけれども、消費者から考えると、今後は国の検査ではなくて第三者機関、民間への移行を図るべきだというふうに思っております。
それはどういう理由がと申しますと、例えば今は行政改革の推進だとか規制緩和とかと言われておりますけれども、そういった面からいえばいつまでも国が検査をするというのは矛盾しているんではないかというふうに思っています。
食管制度のもとでは国が事業をされていたわけですから、事業者が商品の検査をして、そして責任を持って出すというのが当然のことでしたわけですけれども、食管法から新食糧法になって国はもう事業から手を引く、一部は除いて手を引かれるわけですから、国民の税金を使って検査をするということに私どもは納得するわけにはいきません。大変おかしい話ではないかというふうに思っています。
商品をつくって流通させる場合は事業者の責任になるわけです。例えば広告にしても、事業者みずから広告して、そして消費を拡大していこうというのが当然のことだと思いますけれども、事お米に関しては消費拡大は国の予算でしております。これは非常におかしい話ではないかというふうに思っています。小売店がなさる広告は小売店の力で、そして卸がされていることは卸がやっていらっしゃいます。これは当然事業者が自分の商品を消費拡大のためにやられるので、これは当然のことだと思いますが、国全体としての消費拡大費用を税金の中に盛り込んでいるというのはどうも納得いかない話だというふうに思っています。
もう少しつけ加えて理由を申し上げれば、例えば食品についても、今度食品衛生法が改正されました。そして、外国の指定機関の検査も受け入れるというふうになるわけでございます。ですから、国がやらなければ信頼できないというふうな考え方はもう日本の国では持っていらっしゃらないんではないかというふうに思っています。そういった観点から、信頼性、公正公平な検査を国にのみ期待することはないんではないかというふうに思っています。
それから、電気用品なども現在、安全性、三角ティーマークといいますけれども、あれも国家のテストから民間のテストへ、それをよりどころとしてやってもいいというふうな方向に行っているわけです。
それから、もう少ししつこく加えさせていただければ、アメリカなどの例も参考になるのではないかと思います。例えば信頼性は国でないとないというふうな話でしたけれども、ライセンス制度にすればいいというふうに私などは考えております。ライセンス制度にしてきちんと指定機関がやればそれで信頼性は担保できるのではないかというふうに思っています。
日本はとかく民間は信用できない、国は信用できるというこの思想というのは、民間が例えば不正といいますか間違ったことをした場合、ライセンスを取り消すというような厳罰がない、そのために民間の機関が信頼できないまま進んできたという面がございますので、人も組織もライセンス制度にして、そしてそれが不当であればライセンス取り消しをするという厳罰措置の形をとれば信頼できる方向で進むんではないかというふうに思っています。
五番目に、まずこの表示のこと、これは消費者にとって重要な事柄ですけれども、これまでの検査法で実施されている検査というのは消費者の選択の基準には役立ってきておりませんでした。
先ほど私は検査法というのは事業者間取引のための検査だなということを申し上げましたけれども、ほかの参考人の方もおっしゃいました精米所まではそれは信頼のままやってくるけれどもそれ以後についてはやはり信頼性が揺らいでいるということは、検査法が末端消費者へ生かされていなかったということではないかというふうに思っています。ですから、今後は、検査法でされる検査が末端消費者の選択の基準に生かされる方法を考えていかなければならないと思います。
それで、何を表示するかですけれども、最低今のところ考えられるのは、銘柄と産地と産年というふうに思っています。これを必要表示事項にして、ただし任意表示事項のところも誇大表示にならないように、不当表示にならないように、やはりきちんと見ていく必要があると思います。
それから、表示と中身がどうなっているかということなんですけれども、これはやはり責任者認証マークみたいなものを最も消費者に目立つような方法で、マーク制度みたいな何かわかる印をつけていただけたらいいというふうに思っています。
それから、表示制度で内外無差別、これは、私は輸入品だから、国産品だからという差別は必要ないと思います。一つの商品として同等に扱うべきだというふうに思っています。ですから、銘柄と産地、産年を最低必要表示事項とするということになりましたら、外国のものもそういうふうにしていただきたいと思います。さきの緊急輸入の場合は、例えば中国とかアメリカとかオーストラリアとかというふうに、産地にしても大きいくくりで表示されていました。これは臨時ですからやむを得ないとしても、今後は計画的に輸入されるわけですから、中国にしてもあんな広い国です、日本が小刻みに県を書いているのにあんな広い国を書かないというのはおかしいのではないかというふうに思っています。ぜひ内外無差別の表示制度にしていただきたいと思います。
それから最後に、安全性の確認なんですが、これまで私どもはお米の安全性について、農水省はどんな検査をされてそれがどういう結果だったということを長い間、何十年の間見させてもらったことがございません。ですから、消費者の間で有機農産物とか無農業米とかという要望があり、そしてそれにこたえるために、にせものでもそうすれば売れるからということでにせ表示が横行してきたというふうな現状がございます。ですから、定期検査をきちんとして、自分たちの売るものをきちんと検査して安全確認もしないで売っている、そのこと自体が非常におかしい話で、自信があれば全部検査したものを出して、全国統一的に検査をして、そして情報を公開していただきたいというふうに思っています。
それから、この場合、縦割り行政という言葉がありますけれども、厚生省と農水省と別々にばらばらにやっていたらこれは非常に非効率的ですので、厚生省との連携を十分とって、できたら一本化して安全性の確認をし、そして情報を公開していただきたいというふうに思っています。
私の発言は以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/7
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008・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) どうもありがとうございました。
次に、持田参考人にお願いをいたします。持田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/8
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009・持田恵三
○参考人(持田恵三君) 和光大学の持田でございます。本日は参考人として御指名いただきまして大変光栄に存じております。
本日のテーマであります農産物検査の問題でございますが、参考人の方々が皆さんおっしゃられるようにこれは流通と不可分の関係がございまして、したがって、このたび新食糧法の実施に伴って検査法が改正されるのは当然でございます。その改正の基本的な内容についてはほぼ妥当なものと考えております。しかし、その細部の点について若干の意見を申し述べさせていただきたいと存じます。
まず第一に、国営検査の問題でございます。
農産物検査は、基本的には市場流通の必要に基づいて農産物の品質を保証するものでありまして、流通業者がそれを信用することによって取引を円滑にするものでございます。さらに、場合によっては消費者の消費に対する判断の基準とするものでございます。この要求を満たすためには、検査による品質評価が客観性を持つこと、また統一性を持つことが不可欠でございます。そのためには国営検査が私は望ましいと思っております。
戦争前の米穀検査というのは明治の末からずっと始められてきたわけでありますが、これはみんな府県営検査という形で行われておりました。戦前の府県営検査というのはやはりそれなりの弊害が随分あったと私は思っております。例えば一つの例で申しますと、それぞれの県が自分の産米を高く評価させたいために、産地間競争の手段として検査を使っていくというような非常におかしなことが行われていた、また、基準がそれぞれ違っていたという問題もございます。そういう意味ではやはり国営が望ましいというように思います。
民営化する、つまり協会による検査といったものをするという考え方もないわけではございませんし、それはそれで決してだめだとは思いませんけれども、それが成立するためにはやはり長い間の信用、組織のきちっとした信用ができるような歴史がなくてはできないことでございまして、現在ではそういう条件はないものと思います。そういう意味では国営しかないんじゃないかということでございます。
それからもう一つ、義務検査と任意検査の問題でございます。
改正法では、計画流通米のみが義務検査で、計画外流通米というのは任意検査ということになっております。計画外流通米という性格からしてこの点はもうやむを得ないものだと思いますけれども、しかし生産者と消費者が直接に取引するようないわゆる産直米、特別栽培米と今言っているようなものについては、これは両者の信頼関係が基礎にあるわけでございますので、ここでは検査といった形で何らかの行政が間に入る必要はないと思っております。
しかし、計画外流通米といえども、その大部分は市場流通をするものというふうに思われますので、本来は流適合理性の面からも検査を受けるのが望ましいと思われます。それを法令によって強制することはどうも適当ではないとは思いますけれども。しかし、いずれにしろ、その場合検査を受けた米が未検査の米よりも市場で高く評価されるということになれば、要するに高く売れるということになれば進んで検査を受けるというように当然なるはずでございます。そういう方向で計画外流通米も大部分が検査を受けるということが望ましいと思っております。
ただ、この点は新食糧法のもとでの流通のあり方と非常にかかわってくるわけでございます。つまり、計画外流通米というものが一体どういう位置に位置づけられていくか、これはまだよくわかりませんけれども、そういうこととかかわってくるわけでございます。
計画外流通米が一応届け出制ということになっておりますけれども、これがどれだけ守られていくか。また、これを守るべき規制力がどう働いていくかということによって非常に違ってくるのではないか。つまり、届け出をしたくないような形になっていけば、あるいはそういった状況のもとでは任意検査の希望はだんだん少なくなっていくでありましょうし、届け出がオープンであり何ら規制を感じないということであれば、任意検査の方も希望がふえていくのではないかというふうに思われます。
第三に、米の検査等級の区分でございます。
等級区分については、端的に言えば、私はもうちょっと一等級の区分をふやした方がいいのではないか。つまり、現在において一等級というのは七三%を占めている。実は七三%というものが、実際にこの中の品質差がほとんどなくて、つまり流通上有意の品質差がないということであって七三%になるんならこれはそれで構わないと思うんですけれども、もし有意の品質差が中にあって、それを無理して一つにくくっているという形になるのであるならば、やはりもっと分けた方がよろしいんではないかということであります。
つまり、例えば一等、二等、三等というものをただ一つ等級をふやして、今までの一等のある部分を二等にするというような形になると何か下げられたというような感じになるかと思いますので、それは表現の仕方の問題でございまして、一等級の中の特にいいものを特一という形で上げることもできるわけであります、そういう表現をすることも。そういう形で分けることが必要なんではないかというふうに思っています。それは一等級の中の品質のばらつきの問題とかかわってくるわけであります。
いずれにしろ等級区分というのは、単に品質区分にすぎないわけでございまして、それをどう評価するかは市場の問題であり、ユーザーの問題であります。したがって、細かくするとよくないかいいかということにこだわるのは余り意味がないのではないか、それが一つの考え方でございます。
第四番目に、消費者対応の問題でございます。
今後の食料政策はますます消費者への視点が必要となってくるということは言うまでもないことでございます。これはもう教科書みたいな話で申しわけないんですが、そもそも食料政策というのは消費者に安全で安い食料を安定的に供給するということが基本的な目的でございまして、したがって農産物検査という問題もその目的に従属しているものと考えます。
ところで、検査との関係で言うならば、近年とみに消費者が神経質になっているのは安全性の問題でございます。昨年の外米輸入に当たって安全性が非常に厳しく問われたわけでございますが、輸入米に限らず、国内農産物についても農業等の残留といったような安全性の検査が必要になっております。今現にある程度やられているわけであります。
現在、安全性の検査というのは先ほども言われたように厚生省の仕事でございまして、しかし、少なくとも米麦については安全性の検査も農産物検査と一体で行われるのが望ましいのではないか。何といっても全体としての能率がいいということが一つございますし、サンプルも多くとれる。そういう意味で合理的であるというふうに思っております。これは厚生省との関係がございますから、ここで私が言ったからそうなるわけではないと思いますけれども。
米穀検査というのは、殊に生産現場における検査でございますから、そういう意味で、残留農薬等の問題に関してもそこで検査するのが一番適当であろうというふうに思います。輸入米麦についても、産地の規格だけではなくて独自の規格化がもし必要であるとすれば、その際に、同時に安全性検査も行うということが合理的ではないかというふうに思うわけでございます。
それから消費者対応のもう一つは、有機栽培米とかあるいはそういったものに対する検査、つまり、それは間違いないということを国で保証するという話であります。これは農産物検査よりもJASという問題かもしれませんけれども、米麦に関しては食糧事務所で行うことが望ましいのではないか。それから、何といってもそういった特別栽培米といったもの、あるいは有機農産物といったものは生産現場に密着した話でございまして、生産現場に近い食糧事務所が一番適しているのではないかということであります。
消費者対応のもう一つの問題は、先ほどからよく出ておりました精米表示の問題でございます。これには二つのねらいがあると思われます。
一つは米の品質を精米検査によって表示すべきであるという一つの考え方。それからもう一つは、精米の内容にごまかしがないということを保証するという話でございます。
現在、消費者が米に求めている最大の品質というのは、食味と安全性ということになると思います。安全性については既に申し上げましたけれども、食味については検査という形で果たして保証される問題であろうかどうかということを私は疑問に思っております。近年、食味といったような理化学的な検査が行われるようになっておりますけれども、食味というのはあくまでも主観的な問題でございまして、うまい米というのは多くの人がうまいと感じるものがうまい米なわけでございまして、必ず少数の反対の人がいるわけです、そうじゃないと言う人が。だから、すべての人に当てはまるものというのはないだろうと思っております。
また、食味を一定の数字であらわすとかえって混乱を招くのではないか。例えば規格や品質というのはあくまで客観的に表現された性質、品質でございまして、それをうまいと感じるかどうかというのはあくまでも主観的な問題だというふうに考えます。という意味で、食味の表示ということは、大体それは不可能でありますし、そのための検査ということも不必要であると思っております。
同じことは、いわゆる三点セットという問題に関しても言えるのではないか。精米表示の問題というのは、消費者の小売白米に対する不信から起こっているわけであります。例えば新潟のコシヒカリとして売っている米が果たしてそうなのかどうかということに対する不信感が根強く根底にあります。事実、そうじゃないことが多いということが、まあまあこれは常識でございます。それからもう一つは、混米という問題がございます。混米というのはいわゆるごまかしてはないかという根強い不信感が昔から消費者の中にあるわけであります。
そういう意味で、先ほどもどなたかが言われたように、精米の混米の内容を公的機関が保証するという発想が出てくるわけであります。これを貫くためには精米の内容を客観的に明らかにし得る、つまり後で検査してみて、その原料米は何だということを明らかにし得るような条件がなくてはならない。しかし、白米にした場合には、それを検査によってそのもととなる原料米を特定することはほとんど不可能だということであります。
だから、三点セットという形での表示をさせるとしても、結局それが正しいかどうかということはわからないということになります。ということは、余り意味がないということになるわけであります。もし精米について一定の表示の保証が可能であるとすれば、それは産地で精米したいわゆる産白と言われるようなものを消費者に直送するような場合に、それが間違いなく特定の産地の特定の品種であるということを、産地で食糧事務所なりなんなりが保証するということは意味があると思います。
こういう問題が出てくる基礎には、実はこれは私の長年来の持論でございましてそれを繰り返すことは恐縮でありますけれども、白米の売り方に問題が根本的にあるのではないかというのが私の持論でございます。
小売白米が現実には三点セットで表示されて売られているわけです。例えば新潟のコシヒカリだ、宮城のササニシキだと、まあ新米は当然新米でしょうから、そういう形で売られているわけでございます。それが実は信用できるかどうかということだと思うわけであります。こういった売り方というのは、うまい玄米、つまり新潟のコシがうまいということであれば、その玄米の銘柄がそのまま白米の銘柄になってしまっているということであります。それがうまい米の表示として現在通用してきている。
また、今のは単品の販売でということに一応なりますけれども、必ずしも単品ではなくても混米、混米というのは先ほども言われたように決して避けることができないやり方でありまして、これは大都市の場合は殊にそうでありまして、ほとんど全国といいますか多くの地域からさまざまな銘柄の米が集まってくる。しかも、大都市においてそれを一年使っていかなければならないという条件のもとでは、これは避けがたい操作でございます。どういう玄米を使っているか、原料を使っているかと。そういった混米の内容を、それとこれとこれとを合わせたものでございますという形で表示するのは、これは先ほど長谷部参考人が言われましたように、そういったブレンド自体がやはり白米商のノウハウでございまして、正確にそれを表示させろということはちょっと無理なのではないかということでございます。
味の問題というのは、先ほど申し上げたように基本的には消費者の選択の問題であります。だから、むしろ味の問題を論ずるならば、白米市場が消費者の選択しやすいような形になっていくことが一番重要だと思っております。新潟のコシヒカリ的な売り方、つまり単品による売り方というのは、これで全部やっていけということは現実には難しいわけです。つまり、ある時期だけは新潟のコシヒカリがあったけれども、翌月からは宮城のササニシキしかないとか、そういった売り方になってしまうわけですね。そういったことは、そもそもやっぱりマーケットのシステムとしてはあるいは売り方としてはかなり無理があるということになります。
そういう意味では、やはり混米というのは避けがたいし、その混米の内容を表示させること自体がかなり無理であるということになるわけであります。だから、新潟のコシヒカリというような単品でうまい米であることを表現しようとするから今言ったような無理が発生するんであるというふうに、私はむしろ白米の売り方の問題だということを申し上げているわけであります。
だから、白米という商品が消費者にとって選択しやすい条件を持っていることが大切なわけであります。その内容を公的機関が保証する必要は余りないんではないか、安全性なんかの問題はまた別ですよ。だから、消費者はむしろ自分の舌を信頼して何を買うかを判断すればいいわけでありまして、政府がお墨つきを与えることが決してプラスにはならない、本当のお墨つきになるかどうかもわかりませんし。
選択しやすい条件というのは、現在の東京などの大都市の場合、余りにも多様な白米が出回っているということが問題だと思うんですね。つまり小売店がたくさんあって、それぞれの店でこれは新潟のコシヒカリ幾ら幾らと売っているという形のあり方の問題であります。むしろ比較的限られたブランドの白米が競争しているという条件こそが本当は望ましい、消費者にとって選択しやすい。
例えば、私は白米メーカーという言い方をするんですが、Aという白米メーカーがつくった四千円の米と、こちらのBというメーカーがつくった四千円の米とどちらがうまいか、あるいはどちらが安いかという形で選択していくことになると初めて選択が可能になってくるわけでして、今のように余りにも多様な白米が出回っていれば全部食べ比べることは不可能でありますし、そういう意味ではなかなか消費者の選択が働かないというのが白米市場における今一番問題だろうと思っております、これは前からそうなんですけれども。
それで、最後に結論的に申し上げますと、検査の問題というのは、要するに自由市場における公正な競争条件を確保するのに役立つように運営されるべきだというのが私の基本的な見解でございます。検査を、例えば規制とか統制といった手段にすべきではない。それは必要な場合もあります。例えば、先ほど申し上げたように安全性の問題、これはまた別の話でございます。うまいまずいといったたぐいの話をそういう中にひっくるめるべきではない。自由で公正な競争、つまり競争の有効性を担保するものとして検査というものをとらえる必要があるのではないかというのが私の考え方でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/9
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010・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) どうもありがとうございました。
以上で参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
これより参考人の方々に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/10
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011・大塚清次郎
○大塚清次郎君 ただいまそれぞれ四人の参考人の方から非常に含蓄のある御意見を賜りました。そこで、そういうものを踏まえてこの法律を私どもは審議をいたすわけでございますが、限られた時間でございますので二人の参考人にお伺いしたいと思います。
まず、高野参考人にお聞きしたいわけですけれども、実は計画流通米、計画外流通米、それから義務検査、任意検査、こういう手法が今度の検査法ではとられるわけでございます。
そこで、非常に私どもが心配しておりますのは、計画外流通米の全体における比重、比率、こういうものが非常に高い比率になっておる。今後、新食糧法が施行されてこの法律の中で運用されていく場合、どうかするとこれが非常にさらに拡大することになっていかぬとも限らぬ。そうなってくると、この検査法の目指すその方向がスポイルされていくという心配、懸念については、全国ベースで米のことについてただいままでいろいろ実務の上でやってこられた高野参考人、その点についてはどうなんですか、心配がないかどうか。
それからもう一つは、今度は持田先生にちょっと伺いたいと思います。
先ほどのお話の中に、安心、安全な、そしてまた選択の自由がきく食料を消費者に提供していくためにやっぱり今安全性の問題が非常に問題になる、これは厚生省の所管になっておりますね。これに農水省がこの法律で少し補っていこうという仕組みに今度の法律はなっておると思うんですが、やっぱりある段階では私は一本化すべきじゃないかと、直ちにはできないと思いますが。安全性の問題、それから今の国のやっておる食料検査、また今度やろうとしておる品位の検査あるいは理化学的な検査、そういったようなものを縦割りの中でやっていくということは対消費者という立場からはいかがなものかと。
と申しますのは、厚生省の安全に対する検査というものもあるにはありますが、これだけの多様な食品をあの程度の検査の仕組みで実は賄い得るかどうかと。せめて米麦を中心にいたし、いわゆる国民の主食になる米麦あるいはそういったような何品目が、今ある食料検査の対象品目ぐらいはやっぱり農水省の中で安全性も含めてひとつ引き取ってやっていくというようなことにしていくと。
これが将来、先ほど伊藤参考人からございましたようにいわゆる国営検査、それから民間にこれを委託する、民間にやらせる、ライセンス方式にするということも時の流れの中でこれは選択していかなきゃならぬと思うんですが、基本的にはやっぱりそういう流れにしないと、所管は厚生省だけれどもやっぱり厚生省では対応できないんじゃないか、私はそう思うんです。そういう点についてのひとつ先生のお考えを伺いたい。
以上二点、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/11
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012・高野博
○参考人(高野博君) 計画外流通米のことでお尋ねがあったわけでございますが、計画外流通米の中には、先ほどもちょっと触れましたが、今まで消費者、生産者の間で結びついております特別栽培米、こういうものももちろん入っていくわけでございますし、それから農家が縁故米といいますか自分の息子や娘さんに送る米というのも入っていくわけでございますし、そのほか直接生産者が消費者に売っていくという米ももちろん今後入ってくるわけでございます。
私どもも、その計画外流通米がどんな姿をとっていくかということを非常に懸念しているわけでございますが、やはり主食を安定的に流通させるためには、もちろん計画外流通米もあっていいわけでございますが、計画流通米が基本として流通するということでなければ主食の安定的な流通の確保が非常に難しいわけでございます。これはもう先般のお米の事情を見ていただければおわかりのとおり、少し不作になりますと、私どもが十キロ五、六千円で売っていたお米が五キロ五、六千円になってしまうというようなことがもう目の前に起こったわけでございます。
そういう意味からいたしましても、計画流通米をきちっと担保していく、その中で計画外流通米も一部認めていくということが考えられなきゃならないし、そういう方向に国の指導もしていただきたいと思っているわけでございます。
特に検査の問題と絡んで申し上げますと、先ほども申し上げましたように、今でさえも何々県産コシヒカリ、何々県産ササニシキと言いながら、そうでない形で格上げ混米が相当の部分で行われていると考えられるわけでございまして、そこに全然検査も受けていないものがさらに入ってきました場合には一層それが複雑になりまして、チエックも難しくなりまして、結局消費者によく内容のわからないものが別の表示で、内容がわからなければわからないで流通すればいいんですが、それをごまかして表示してということはこれはもう許されないと考えていますので、特にそういうことに対して配慮した取り組みあるいは指導が必要だと思いますし、要望したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/12
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013・持田恵三
○参考人(持田恵三君) 安全性の検査の問題でございますが、今、大塚先生が言われたことは全くそのとおりだと思います。
大塚先生も言われたように、厚生省の仕事はたくさんございまして、何も米麦ぐらいは農水省に任せてもいいじゃないかというのは私の素人の考えなんですけれども、そういう意味では、殊にこれから高齢化社会に向かって厚生省の仕事は山ほどあるわけでございまして、食品に関しては専らそういう安全性の問題も農水省に任せてやったらいいのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/13
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014・大塚清次郎
○大塚清次郎君 ありがとうございました。これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/14
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015・稲村稔夫
○稲村稔夫君 四人の参考人の先生方、きょうは御出席をいただきまして大変ありがとうございました。私、社会党の稲村と申します。よろしくお願いいたします。
まず、四人の方それぞれに共通でお考えをお聞きしたいと思いますのは、米というものは我が国で非常に特殊な消費のされ方をしているという形になっております。よその国、例えばドイツで芋が主食、ジャガイモが主食と言われても米のような使われ方はしていないわけでありますから、そういう意味でいきますと大変特殊な利用の仕方を我が国民はしている、こういうことになろうかと思います。
それだけに、量の確保の問題、これは非常に重要な課題になってきておりまして、ちょっとした天候の変動というのがすぐに影響いたします。それからまた諸外国との関係も、米のマーケットというのは大変厳しい状況にあるというふうに言っていいと思います。要するに、実際に貿易される量というのは全体の米の生産量からいうと非常に限られたものになっております。したがいまして、我が国が一たん大きな不作に見舞われたときなどは大変大きな波紋を国際的にも巻き起こす、こう言っていいと思うんです。
私がこんなことを申し上げましたのは、実はそういう国民に不可欠な主食でありながら量的に一体どれだけ必要なのかということ、これがなかなかわかりません。そうすると、生産量についても輸入量についてもいろいろと過不足が起こってきて、これがまた大きな問題になります。そのことは、私どもも不足の点については経験をしたばかりであります。
ということでまいりますと、検査というものを通じて一定程度の量的な把握というものも可能ではないだろうか、こんなふうにも考えますから、その辺、検査と量的な確保との関係をどのようにお考えになっているか、それをお伺いしたいと思います。
それから、時間の関係がございますので私の方からそれぞれお聞きしたい問題を先に申し上げます。後で一括してそれぞれからお答えをいただければありがたいと思います。
高野参考人には、特に現行の表示制度の問題、これは都道府県ごとに違いがあるというふうに今お触れになりました。都道府県ごとの違いというのが具体的にどういう形で出ていて、それが現在どのような影響を持っているかということについて、そしてそれが新食糧法になってどういうふうに期待をしておられるかということをお聞かせいただければありがたいと思います。
それから、長谷部参考人はブレンド表示について特に小売の立場からということでお触れになりました。私も決してフレンドがすべて悪だというふうには申し上げるつもりはございませんけれども、これは表示とのかかわりでいきますと、実際に消費者が要求をする表示とのかかわりでいったときにブレンドというのをどういうふうに考えたらいいのか。現在、さっき持田参考人から言われました不信感というのがかなりあるわけですね。やっぱり不信感というものを払拭する表示制度とのかかわりというものを考えなければいけない。そういう時期が来ているんじゃないだろうかなというふうに思いますけれども、その辺は実際にお売りになっているお立場からどのようにお考えになっておりますか。
それから、伊藤参考人にお伺いしたいと思いますのは、国営検査についてはどうも税金のむだ遣いになるんじゃないだろうか、私の言い方が少し悪いかもしれませんけれども、これは言ってみればもう自主検査等々に任せて、要するに売る方に責任を持ってもらったらいいじゃないかという観点でお話しいただいたように思うわけであります。
しかし、これは私は、食品衛生法と比べながらいろいろとお話しになりましたけれども、あるいは電気製品等の関係などもお触れになりましたけれども、全国であれだけたくさんいる生産者、その生産者の一人一人が例えば安全についての責務をどういうふうに果たしていけるかということを、これはやっぱり一定程度の統一的な基準があって、そしてそれに対するそういうチェックがないとなかなか私は守り切れないんじゃないか、これは工場生産の場合とはかなり違いがあるんじゃないだろうかというふうに思うんですけれども、その辺どのようにお考えになっていますか。
最後に、持田参考人にお願いいたします。白米の売り方についての持論をお話しいただきました。しかし、そういたしますと、お米屋さんはブレンドのノウハウもこれは技術として持っているものをそう全部はなかなか公開しないだろうと。こういうことになってまいりますと、実際に消費者が判断をする物差しはどういうふうな物差しが当てられるんだろうか。少し具体的な何か御提案がございましたらお聞かせをいただきたいと存じます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/15
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016・高野博
○参考人(高野博君) まず最初に、検査によって、あるいは検査制度によってといいますか、米の発生量あるいは生産量ということになりましょうか、それの概略の把握が可能になる、そういう意味もあるんじゃないのかという御意見だったと思います。
基本的にはもちろんそういう役割を持っていると思いますが、一番問題なのは、平成五年産米みたいに例えば平常一千万トンとれる米が国内で七百万トンしかとれないとなった場合にどうなるかということなんですね。この場合に、計画外流通米は自由ですよということになっている状況のもとで、生産者が出来秋から逐次自分の知っているところにどんどん売り出し始めた。生産者が売るだけじゃないんですね、業界がどっと買いに入るんです。これは両方相まってフィーバーするわけです。それで、検査を受けない計画外流通米が相当量流れてしまう、事前に。
こういうことは非常にあり得るケースなんですね。常識的に考えて、七百万トンしかとれない年が来たら恐らくあっという間にそうなるんじゃないかと私ども思います。現行二万二千円の米が三万円ぐらいでどんどんなくなってしまう。どこに行っちまったんだということになるんじゃないかと危惧するわけです。
ですから結局、要は計画米を検査していく立派な仕組みをつくっても、実際にそれをどう運用していくかというところを行政がきちっと担保しないと、あっても本当に意味のないものになってしまうというぐあいに危惧するわけでございまして、そこを先ほどから何回かお願いしているわけでございます。
それから、精米の表示制度でございますが、今は食糧庁長官が定める基準に従って、具体的な表示についてああしていいよこうしていいよ、ああしろこうしろというのは都道府県知事が策定する、配給責任は知事にあるということになっております。
そうなっておりまして、その基準には、例えば品質区分は必ず書きなさい、特、上、中の品質区分は書きなさい、あるいは原料構成は書きなさい、それから正味重量はもちろん書きなさい、精米年月日はもちろん書きなさい、それから販売価格と業者名を書きなさい、こういうぐあいになっているわけですが、そのほかにも、いろいろ書いていいこともありますよ書いてだめなこともありますよと。
そこら辺のところを含めて、基本的な事項はこんな形で袋のどこにどう書け、任意の事項はどう書けというのは知事が決めるという仕組みになっておるわけでございまして、そこはそこで問題があるんですが、特に私どもが懸念しますのは、こういうことを書きなさい、あるいは書いていいよということを決めることは構わない、たやすいといいますか決めてもいいんですが、そういう袋に入っている米が、書いたからにはちゃんとそうなっていますかと。なってなきゃ書かないでください、ブレンド米だけで売りなさい、あるいは業者名をとってペケペケ業者米だけで売りなさい、書いた以上はちゃんと責任を持ちなさいと。
これは最低限どんなことがあったって守ってもらいたい、守らなきゃいけない。うそを言っちゃいけない、だましちゃいけない、これはもう当然だと思うんです。そこを私どもは言っているわけで、決めるのもいろいろ注文がありますが、それ以上に、決めた表示をした場合にはきちっとそれが担保されなきゃいかぬ。
そこで、どこが問題かといいますと、卸さんの精米工場は五、六百ありますが、これは帳簿もきちっとしていますし、穀物検定協会の職員も駐在しているところもたくさんあって、これは容易に書類の面からも実態の面からも検査できるんですが、小売屋さんの場合は六万軒も八万軒もありますから、その中で半分とか六割近くは自分で精米なさっているんですね。その方々の場合は自分で表示して自分で検定して出荷されているんです、精米工業会に参加しながら。
ですから、そこに本当にまじめにやっておられるちゃんとした方もたくさんおられる、しかしそうでない方もまたたくさんおられるということでございますので、私どもの主張は、できないことを義務づけて表示させるということではございません、表示したからにはきちっと守られる、保証できるものが表示を認められる、そういう仕組みをつくってもらいたいということを希望しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/16
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017・長谷部喜通
○参考人(長谷部喜通君) 稲村先生からブレンドのことについて御質問があったように思いますが、どうもこんなにブレンドということに対して先生方を初め何か不信感を持っていらっしゃるということは、非常に私残念に思うわけでございます。今も高野さんから、卸業者は大丈夫だけれども小売にはどうもおかしいのがいるというようなお話も出ております。これにも少しは反論したい気持ちもあります。
とにかく、東京の例を申しますと、マル政、いわゆる政府米で十六県から米が入っております。それから、自主流通米になりますと三十道府県から入ってきております。これを我々はバランスよくと申しますか、年間を通じて消化する、いわゆる消化せざるを得ない職業になっているわけでございますので、ある銘柄ばかりを取り上げたのではこれは原料が足りないわけでございます。
それと、銘柄を表示しろ表示しろと言って、米屋はどうもそれをいい加減にやっているんじゃないかということでございますけれども、このように新潟のコシヒカリとか宮城のササニシキとか、もう全国各地から銘柄が台頭しております。まずコシヒカリについては、東北を除いて九州まで生産されております。
多種多様なそういう品種が生産されている中で、これは生産地のいわゆる農業団体において、この銘柄をやはり自分の県のいわゆる差別化と申しますか、そういう中で宣伝をしてきたわけですよ、消費者にテレビ等を使って宣伝をしてきている。それで消費者がそれに飛びついてきたわけです。それは販売業者としては売れるものを売るのが当たり前のことで、テレビで宣伝してもらって、これをお客さんがちょうだいと言えばそれを結局売ることになるわけですが、そういうことでいわゆるセット販売というかそういう産地の特別なものが取り上げられているということは事実でございます。
そうでありますけれども、ブレンドをすることによって、先ほども触れましたけれども非常に食味がよくなるんです。ことしあたり、新潟新潟と言うけれども、新潟のコシヒカリは入札市場においても余り価値が出ておりません。その反面、ことしは福島県とお隣の長野県、両方とも新潟県に接しているところですけれども、非常にその両県のお米が評価を受けて、最近の入札市場では高値を呼んでいるという事情もありますので、私たちはいわゆる国の施策によって生産されているお米をバランスよく販売している業者であって、ごまかしの販売をやっている業者ではないということ。
それともう一つは、東京都におきましても、東京都米穀小売商業組合におきましても、穀物検定協会の御指導のもとに自主検査というものをやっておりまして、自費で検定料というものを穀物検定協会に払ってみずからが自主検査を行って、その中で東京都内で四百人近い自主検査指導員というのを養成して、それは一〇〇%とは言えませんけれども努力をしております。しかし、その努力をしている反面、東京都内にも千軒近いいわゆる我々の組合に加入していない業者もいます。そういう業者がみんな好き勝手なことをやっているわけです。
それで、東京都の中で、お米に関するいわゆる米穀課というのはなくなりましたけれども、東京都内の六千軒ぐらいあるそういう米の販売所の監督をやっている東京都におきましては、いわゆる職員は女性を入れて恐らく六、七名ぐらいしかいません。これではとても手が回りません。そこで、東京食糧事務所の御支援を得て巡回指導とかいろいろやっているんだと思います。
思いますが、そういう状況の中で、それじゃ卸は一〇〇%信用できるかといいますと、私はあえてこれも間違い。これは事務員がいてちゃんと人員がいます。私らみたいな家族労働でやっていますと、その日によっては帳面つけられないというそういう日がありますから、たまたまお役所の人が行きまして、帳面見せなさい、こうやったら、何だこれだめじゃないか、つけてないじゃないかと、こう言われて、どうもということになるかもしれませんけれども、職員のいるところは専門の事務屋さんがいますから受け払い台帳全部できます。はっきり言って、お米を張り込み口に張り込んでいてちゃんと検査して、これとこれでこれ間違いないという担保は私は一つもとってないと思います。帳面上の担保だけですから、これもそんなに私は一〇〇%だというようなことも言えない、そういうふうに理解をしているわけでございます。
だから、そういう面もひとつ御理解をいただきまして、これからの表示問題、検査の問題にしましても、ひとつ今まで東京でもやっているような自主検査というそういうものも広くやはり育成をしていただき、また助成をしていただく必要があるんじゃないかと思います。今度十一月の新法から全く素人の人たちが手を挙げれば米屋ができるという、来春になると思いますけれども、なるわけでしょう、全くの素人が米を売るんですから、これをちゃんとしていくということは容易なことじゃないわけです。
だから、もう既存の我々米屋というのは、まず店頭精米が悪のようなことを言われる場合がありますけれども、ちょっと振り返ってみてください、配給時代からこれは本当に新鮮な米を、精米機を動かして家庭の米袋を集めて毎日つきたての米を配達してきました。その習慣がいまだに残っておりますから、この土曜日は一トン二百ぐらい販売しまして昨日は九百キロぐらいですか販売しておりますけれども、少なくとも私の家に疑心を持って買いに見えているお客さんは全くいないと私は断言できるんです。それは、いわゆる販売する人の自己の責任において、それで消費者との対話において信頼関係を持てばそんな心配は全く私はないと思う。
だから、これから出てこられるいわゆる新規参入をされる方たちがどういう販売方法をするかというところにひとつ目を向けていただいて、店頭精米で毎日精米をしている、私の主張はその店頭精米がこれからの米屋の生きる道だというくらいの主張をしておりますので、その点もひとつお含みの上、御理解いただきたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/17
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018・伊藤康江
○参考人(伊藤康江君) まず、私への質問の前にちょっと先ほどからのお話に触れたいと思うんですが、じゃ一体消費者は何を信用したらいいのというふうな印象を大変受けました。
これでは困るんであって、消費者の自己責任ということが最近言われておりますけれども、それであれば情報は完全に開示していただきたい。そういう表示制度にしていただかないと、消費者はみずから自分の責任で商品を選べないんではないかという感想を持ちましたので、ぜひ関係者はよろしくお願いいたしたいと思います。
それから、私への質問ですが、ちょっと私の意見の述べ方が下手だったのかもしれませんが、私は自主検査にしたらいいというふうに申し上げているわけではございません。今、国家公務員が検査官で検査しておりますね、これは違うんではないかということを言っているわけでして、民間人でもいいんではないかというふうなことを申し上げているわけです。
ですから、そこにはちゃんとした基準も要ります。それはやはり全国統一的な基準が要るわけです。だから、先ほどから言われるように、各都道府県でばらばらでは困るではないかというような御意見がありましたけれども、そういうふうにならない工夫というのはできると思います。国で基準をつくって、それにのっとっていろいろなところで検査するということであれば、何も各都道府県でばらばらの結果が出てくるということではないんではないかというふうに思っています。
それで、それを実施する組織についてもきちんと、今例えば食品の安全検査をするのなどは全部指定検査機関というのがございます。どこがやってもその検査結果を受け入れるということではないわけですね、指定された検査機関、指定されたというのは要件がありまして、それに合格していないと指定検査機関にはなれないわけですから。そういう制度をつくればいいんではないかということで、はっきり言えば、税金をどうして使うんでしょうかということなのでございまして、自主検査ではないということです。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/18
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019・持田恵三
○参考人(持田恵三君) 消費者は何を信用して何を基準で買ったらいいかという話になるわけでありますが、その前にちょっと一言先ほどの補足をさせていただきますと、やはり私も精米検査が全然必要じゃないということを言っているわけではなくて、精米検査は、例えば米そのものを検査しても無意味だよということを言っているだけでありまして、今やられているように、例えば検定協会なりなんなりが帳簿を調べるというような形で検査することはやっぱりある程度現在の段階では必要だろうと思っております。それを先ほど言い忘れたんですが、ただ、いわゆる玄米検査をするような形での検査は精米に対しては無意味だと言っているわけでございます。
それじゃ消費者は一体何を判断の基準としたらいいかという御質問でございますが、私は端的にもう結論的に言えば、自分の舌を信用しなさいということ以外にないんです、はっきり言って。それ自体自己責任だと思います、その点はまさに。
どうも政府に何か判を押してもらいたいという感じが一般的にどうしてもあって、そうすると安心していられるというわけです。場合によっては政府ではなくてマスコミに判を押してもらう。テレビに出てくればおいしいんだろうという、そういうような形での消費者のパターンというのは僕はどうも感心しないんです、基本的に。だから、それはむしろ自己責任の方に持っていくべきであるというふうに思っております。基本的にはそうだと思っております。
だから、三点セットというような形での表現が結局無意味になっていくのは、実際それが守られていくことはまずないんじゃないかなと、簡単に言えば。それでまた、単品販売そのものが先ほど言われたようにそもそも無理があるんであって、だから単品販売はだめだと言うんじゃないんです、小売白米についてはブレンド販売が基本だと思っていますけれども、一部単品販売があってもそれは構わないし、その場合には恐らく産直的な販売が一番信用できるわけです、新潟から直送してくるというような。これは新潟のコシヒカリであるということ、そういうものについてはもちろん産地で検査できるわけであります。
そういうものについて望む消費者はそういうものを高くても買えばいいことでありまして、一般的な小売白米というのはどうしてもブレントせざるを得ないし、ブレンドになる。そして、ブレンドした結果について消費者が自分の舌の責任において判断すればいいんだろうと思うんです。
店頭精米は私は問題が本当にあると思うんですけれども、それも自由で、やれる限りにおいては別に構わないわけですけれども、しかしいずれにしろ、あそこの米屋さんの四千円の米はまずい、こっちの方がおいしいという判断は、それは消費者がすべきことであって、だから先ほど申し上げたように、やたら数が多くては選択しにくいという意味でもう少し白米の銘柄が絞られた方がいいんではないかというふうに常々思っているわけであります。そうしないと判断の余地が非常に難しくなってくる。
それからもう一つは、舌について信用しようということの意味は、例えば御承知のように官能審査で味を見るわけでありますが、十人なら十人が検査をやりますと、普通まずいと言われている米に一番おいしいといって印をつける人が一人ぐらいは必ず出てくる。これは別に僕は構わないと思います。
ところが、日本人的な発想だと、みんながおいしいと言っているのに私がまずいと言うのは何か恥ずかしいとか、ちょっとおかしいんじゃないかというような気になる。食べ物についてはもう主観的な問題ですからそんな必要は全然ないんで、私はそういう人は得な人だと思っているんです。安い米がおいしいと思ったら安い米を買えばいいわけですから、そういう人は随分得な舌を持っている方だと思っています。
そういう意味で、つまり何か横並び式にみんな、政府がこれはおいしいんだよという形で判を押すという発想はどうも私はなじまないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/19
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020・刈田貞子
○刈田貞子君 きょうは、参考人の皆様大変お忙しい中、ありがとうございます。
私も二十分ほどしか時間を持っておりませんので、まず四人の参考人の方々に質問の方を先にさせていただきますので、順次お答えをいただきたいと思います。
まず、高野参考人にお伺いをいたします。
今回の農産物検査法改正の問題について、六条で検査規格のことが書かれておりますが、そこの三項で、もし検査規格について廃止あるいはまた変更等が行われるときにはというようなことが一つ新しく盛り込まれているわけでございます。
実は、この検査規格の問題がいろいろあろうかと思います。今行われている現状、あるいはまたこのたび設定される検査規格がベターと思われるかどうか。この検査規格に関してひとつ御意見があればお伺いさせていただきたいというふうに思います。
それからあわせて、今回の制度運用面の改善の中で、検査業務の効率化、合理化ということが言われておりますけれども、一方で、生産現場では集荷あるいは出荷の現状に合わせた検査体制でやっぱり対応してほしい、こういうこともあるわけでございます。したがいまして、こうした検査業務の効率化の推進というような事柄に対して、現場ではどのようなお考えを持っておられるのか、このことを伺いたいと思います。
それともう一つ、先ほどの御発言の中で計画外流通と計画米との問題を大変大きく取り上げられました。だから、基本的にはこうした問題は流通の中でしっかり区別していく必要があるという御発言をなさいましたけれども、米に色をつけるわけにはまいりませんので、基本的に何かいい工夫ができるのでしょうか。もし御提案があれば、そんなところを伺わせていただければ、これは絶対に必要なことだと私も思っております。
それから、長谷部参考人には、先ほど来いろいろおっしゃっておられまして、私も先ほど伊藤参考人がおっしゃられましたように、しからば消費者は何を信じればいいのかという問題になるわけですけれども、確かに商品づくりとか、あるいはブレンド技術とかいうふうなことが言われて久しいわけでございます。ブレンド技術などというものを私たちは聞いて大変久しいわけです。それからまた、商品づくりというようなこともしばしばずっと聞いてまいりました。
これは、私もこの委員会で前にも発言を何回もしてまいりましたけれども、東京の真ん中で単品の米が流通していたら、私はそれを床の間に飾ってみたいものだと。東京ではどのくらいの種類のものがブレンドされて、そしていわゆる米と称して流通しているかわからないのであるということを何回もここの委員会でも発言しているわけです。ブレンドを私は否定しているわけではないんですけれども、そうするとおいしい米ができていい米が消費者に提供できるというのは、それは実は提供する側の皆さんの言い分でありまして、消費者にしてみれば、どんな米がどのくらい入っていて、しからばそれは価格と妥当なものなのかどうなのかということをやっぱり知りたいわけです。
それで、先ほどから過度な負担を要するような細かい表示の対応には応じられないというお話がございましたけれども、どのくらいの表示あるいはどんな具体的な表示だったらできるのかというようなことをぜひ教えていただきたいし、御意見を言っていただきたいんです。
実は、事務所に一つなぜかこの袋があったものですから持ってきてさっきから眺めてみたんですが、これは大きな卸が、五十馬力以上のところがやっているとみえまして三点セットもきちっと書いてあります。新潟県産コシヒカリで、そして六年産米で、それで使用割合一〇〇%と書いてあるわけです。しかしながら、原料米のところで一類を八〇%以上と書いてあるわけであります。そういたしますと、コシヒカリを一〇〇%利用してはいるけれども、その区分の割合の中に一類でないコシヒカリも使っていますよという読み方でよろしいのかどうなのか。
これは東京都流の表示であります。私は神奈川県の表示が割合好きなんですけれども、先ほど来語が出ているように各県全部表示の仕方が違いますものですから、これは東京都流の表示なんです。しかし、読み方はなかなか難しいわけでありまして、こうした問題を今後の改正の中できちっと私はやっぱり協議していかなければならない問題だと思っておりますので、どの辺までの表示ができるのか、現場としてぜひおっしゃっていただきたいというふうに思います。
それから、伊藤参考人には、先ほど高野参考人にも申し上げましたような検査規格の問題で、先ほど品位の問題に触れられました。
実は品のある米なんというのは都会では通用しない話でありまして、品位とは何だという話になるわけで、私もIASの委員会に長い間置かせていただいた時期に、品位という問題について随分問題にしたことがあるんです。形状、色沢なんていったって、これが一つの物の判断に果たして入るのだろうかどうなんだろうかという問題で、玄米の品位規格の問題について、先ほど科学的な検査もできるではないかというお話もありましたが、このことについておっしゃっていただきたいのと、それからもう一つは、成分規格についての取り入れは賛成であるというふうに言われました。しかしながら、今回の理化学検査によって得られた成分検査をどのように扱っていくのか。消費者として御希望を述べていただきたいというふうに思います。
それから、最後に持田参考人にお伺いいたしますことは、先ほどいわゆる等級区分のことをおっしゃられましたが、私も、今八割近い一等米が流通している中で、この一等米の存在というものについてはかなりいろいろ疑念を持っております。しかしながら、余り米の価格の問題が参考人の皆様の発言の中に出てこなかったわけですけれども、実はこうした等級というのは価格と密接にリンクしているわけでございまして、価格の問題と等級の問題をどういうふうに考えていけばよろしいのか。この問題は消費者にとりましても生産者にとっても大切な問題だと思いますので、その問題をひとつおっしゃっていただきたいのと、あわせて、実は私は今回の法改正に当たりましていろいろな調査をしてみましたところ、今業界も消費者の間でも既に食味値というようなものが大変に大きな一つのウエートを持って動いているんです。そして、食味値が幾らだからしたがって価格はこんなものであるという参考データがもうぺーパーになって流れているわけであります。八五は幾ら、その参考商品名はこれというようないわゆるぺーパーがいっぱい流れているわけです。
こうなりますと、一等が幾らで一類が幾らでという米の価格、こうしたものは今後どんなふうに流れていくんだろうかというふうな問題にも大変疑問を持ちまして、ますます消費者としては、エンドユーザーとして値段と食味が今一番関心事だと思います。残念ながら安全性というものは目に見えません。したがいまして、確認できることは経験則によって食味を、そしてまた値段が目の前で確認できる。このことがやはり選択肢になっていくと思うので、この辺についての御意見を述べていただければ大変参考になるかと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/20
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021・高野博
○参考人(高野博君) 最初に検査規格の点で御質問がありましたが、もちろん今の検査規格が改正の必要のない絶対的なものだとは言えないと思います。ですから、細かい点でいろいろ検討すべき事項はあろうかとは思いますが、大きなところでは、現在のところ私どもは検査規格について改正の必要があるとは思っておりません。それが第一点でございます。
それから第二点目に、検査の運用改善といいますか効率化、合理化のことでございます。かなり前までは、昔の話で恐縮でございますが、例えば検査についても、一日何俵ということでそれ以上はやってもらえないとかそういうこともございましたが、最近はそんなことはなくて十分対応していただいております。また、生産者の方も一時期に大量に一遍に持ち込むというようなこともあっていろいろ問題を起こしたケースもございましたが、そこら辺は現場で計画的にうまく検査するような方向になってきておりますので、その延長線上で取り組んでいったら解決できる問題だと考えております。
それから、計画流通米と計画外流通米が流通の中でまぜこぜになってしまって、そこら辺どんなふうに考えたらよいかという御指摘でございますが、結局そこら辺は、最終的には今議論されています商品といいますか精米の表示にどんなふうに結びつけていくかというところに帰着すると思うんです。
先ほどから申し上げておりますように、できないことを表示で義務づける、これは意味がないわけでございます。ただし、いろんなことを表示したからには内容に責任を持つ、これも当然でございますので、そこを混乱しない議論が私は大事だと思うわけでございまして、そこで表示の中に、例えば原料構成について検査合格品を使用しているのかしていないのかというようなことを表示させるのかさせないのか。そういう形でこういう問題は議論していく余地があるんじゃなかろうかと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/21
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022・長谷部喜通
○参考人(長谷部喜通君) 御質問のいわゆるブレンドによる食味でございますが、その価値がどのくらいあるかということについては、これはなかなかあらわしにくいものでございます。
私たちは精米をするたびに、全部とは言いませんけれども、やはりこれはと思うものにつきましては試食というのをやっております。それによって食味の、自分自身での、いわゆる家族ぐるみでの判定をやっております。
それから、多くの消費者が求めるものはやはり味がいいんだなということ。我々は会話をして米を買っていただくケースが大変たくさんあります。そのときに、お米屋さん、この間のお米はおいしかったよというのを参考にして、ああ、あれとあれとのブレンドをしたのはやっぱりうまいんだな、ことしはどこそこの産地の米はうまいんだなと。これはその年によりまして大変差がございます。ことしのいわゆる北陸のお米は相当高温障害を受けておりまして、我々の業界ではそんなに人気は出ておりません。
そういう中で、我々でブレンドという中での試食によって判定をしているような状況でございます。これはもう自分の舌でもやるし、お客さんからの意見も入れながら、これはへまなことをやりますと我々は致命傷なんですよ、お客さん逃げたらもう飯食っていけないわけなんだから。まず根本的にはお客さんをごまかすような、そういうことはだめ。昔はありましたかもしれませんね、あの配給時代なんというのは。今日そんなことやっていたら、こんな競争の激しい中で到底それはだめ。
それで、さかのぼりますけれども昭和四十年ころに、オリンピックの当時には、皆さんも御存じのように豊作も続いて国内産米でほとんど間に合うようになりましたね。そのころに、やはり準内地米というのが、まだ相当政府の在庫があったわけですよ。ブレンドの悪印象というのは、そのときに結局はセットで、この間の外米の販売じゃないですけれども、八国産米なら二を今度は準内地米をということで、いわゆるそういう強制売却というのもあった。その中で米屋が、やはりもう食料豊富になってきたものだからそういう外国の米を売れないと。だけれども、粒が似ている、加州米とかそういうものは日本の米に粒が似ているものだから、ついそこで混米をしたのがマスコミにばれちゃって、それで今度は税務署が入りまして全部修正申告をやられた。そういう経緯があるんです。そのころから、マスコミ報道されたものだから、もうブレンドといえばごまかしだな、そういうふうな印象が今日続いてきているような気が私はしてならないのでございます。
そういうわけで、ブレンドについては我々は、その価格が出てこないというお話がありましたけれども、それは仕入れた品種によって、価格によって、それから算定して白米の価格を出しておりますし、家庭用は家庭用でということになってきますけれども、消費者は外食産業の中でも米を消費しているわけです。そのほとんどの外食産業に行っている米というのは、何と何とをブレンドしてみてこれがいいかといういわゆるみんなで食味やって、これは価格もこんな程度でああ味もいいやということで外食産業なんかにもたくさん行っているわけですよね。ですから、そういうもので私はブレンドというものに対して、余り疑いをしないで育てていくのがこれからの米の流通じゃないか、そんなふうに私自身は考えているわけです。
それから、どのくらい表示ができる限界があるかといいますと、これ大体一ロットで少なくとも五千枚から六千枚の袋をつくるわけです。これは大型の卸売業者ではできるかもしれませんけれども、我々の店頭精米じゃそんなに袋をそのたびそのたびには、これはもうはっきり言って不可能です、何種類もの米をね。それは確かに必要なことであろうが、私はやはりそれはお客さんとの対話の中で、これはこことこことが入っているんですよというような話だとか、プライスカードで店頭で表示はしていないけれども、これはこうですよという、いわゆる良心から発したそういう伝え方である程度は我慢していただけるんじゃないか。何もかもこれだけ流通の規制緩和をやっていながら、末端の小売の段階だけ規制してもこれは絶対に守れない。
それと、先ほども言いましたように、新規参入で米の販売には関係ない人が米はもうかるだろうといってみんな手を挙げて米を売るのが相当出てきますよね。洗濯屋さんも売れば、ガソリンスタンドでも売れば、八百屋さんでも売ればでね。これを取り締まっていくためには、監視するためには大変なことだと思うんですよ。だから、先ほども高野さんおっしゃいましたように、これはやっぱり守れるものじゃなければ、守れないものを幾ら押しつけてみたって私は将来性がないというふうに今感じております。
それから先ほどの袋ですが、八〇%は特だというのはこれは何だと。私も当初これ決まったときに、だれがこれを決めたんだと、私も割とはっきり物を言う方ですからね。いや、これはみんな食糧庁だとかいろんな団体が集まって合意の上で決めたんだと。だけれども、八〇%と書いてあるでしょう。そうすると、お客さんがあと何が入っているんだと言うんです。そんなことから、今回も特、上、中というこの表示はどうも消費者に受け入れられないからやめようという話になったんではないかと思いまして、これはこれでもう立ち消えになると思います。これにはやはり消費者が疑問に思う点が多分ありますので、これまでだと思います。これからはこの表示はなくなると思います。私たちもこれはちょっとおかしな表示だなという気もいたしておりました。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/22
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023・伊藤康江
○参考人(伊藤康江君) また余計なことをちょっと発言したくなってしまったんですけれども、今消費者がどこでお米を買っているかというと、長谷部さんがおっしゃいましたような小売屋さんで買う人はもう半分切っています。私ども毎年毎年調査しているんですけれども、もうだんだん小売店での購入の比重は低くなっているわけですよね。そんな中で、おっしゃるように会話をしようとか対話をしようといっても、もうそういう時代ではなくなったというふうに思っておりますので、ぜひ文字として書くことも必要で重要に考えていただきたいというふうに思っています。
そこで質問なんですけれども、例えば成分規格を導入した場合、どういう形で生かしたらいいかということですね。
私が考えております成分規格というのは、昨年の冷害のときに外国産米、長粒米と日本米、短粒米の大きな違いというのは、例えばアミロースの含有量だとかそういう言葉が出ておりました、たんぱく質含有量と。こういうものというのは例えばモチ米とウルチ米の違いというところも、大きく基本的なところでそれが違っているわけですね。
ですから、基本的に大きく違う成分を私は強制表示とかというところまで考えておりません。それを消費者が一つの選択の基準にしてくれるだろうなというふうに思った方はそれを検査してそこへ表示をする。ですから任意表示でいいと思っているんです、生かしてもらうと。消費者は、それが書いてあってこういう数字が出ていたこのお米を買ったらやはり自分の口には合っていたということであれば、引き続きそれを購入することができる。それが選択の一つになるんではないかというふうに思っています。
それから、もう一つは品位規格の話ですが、本当に品位というのはおかしいですね、何かお化粧しているみたいで、そして位であって、何かどうも位というのも順位の位なんだけれども、ちょっと抵抗があるのでこれはぜひ変えた方がいいと思います。
科学的な視点を導入してほしいと申し上げたのは、これは今、例えば破砕米だとか先ほど申し上げた着色光だとか死水とかこういうものが何%含まれていると何等だという、こういう決め方をするらしいんですけれども、実はそれを色彩選別機というのにかければ直ちに等級は変わるということになるらしいんです。ですから、そういう直ちに機械化すれば等級が一足飛びに変わるような規格ではだめではないかなというふうに考えているわけです。そういうちょっとした選別機みたいなのを使っても変わらないところへ規格の基準を置いておくべきではないかというふうに考えていたわけです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/23
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024・持田恵三
○参考人(持田恵三君) 等級区分と価格の問題でございますが、これは御承知のように、何かを基準として、これは一等米の場合幾ら高くなる、二等米は幾ら安くなるというような形で等級間格差いうのはできているわけですね。
これはあくまでも生産者に対して支払うときの話でございまして、ただ私も米価審議会にちょっと関係したことがございまして、そのときの話では、一応はマーケットで、つまり流通業者の評価等を参考にしながら決めているということになっていて、一応その意味ではマーケットにおける評価等を反映しているものだというふうに思っておりますけれども、それは確かにその点一つの盲点でございまして、大変重要な指摘だと思います。つまり、マーケットにおける評価と、果たして今の表示が決めている等級間格差というのは正しいのかどうか、これは絶えずチェックしていかなければならない問題だと思うんです。基本的にはマーケットにおける評価が本来の評価でございますから、それが農民に返っていくという形であるのが私は本来の筋だと思っております。これは答えになっているかどうかわかりませんが。
それからもう一つは食味値。食味計というのがたくさん出回っていて、食味値が出ていてそれに従って価格が決まっていくような形になっている、全くそのとおりなんです。ただ僕は、食味計について実は詳しく知らないものですからよくわからないんですが、どういう内容によってどうやっていくかということは。ただ、理化学的に出てきたものを一応官能審査的に調べてうまいと言われているものと比較しながらつくっていくんだろうと思うんです。それはそれでも構わないんだけれども、食味値が高いからうまいんですよ、だからこれだけ値段が高いんですよというような形で説得させられるというのはどうかと思うんですがね。
だから、僕が最初に言ったように、食べ物というのは自分の舌を信用する以外にないんで、食味値が幾ら高かろうが何だろうが、自分がまずいと思ったら食べなきゃいいわけでありますし、値段が高いと思ったら買わなきゃいいんだと。
だから、そういう形で出てくることがむしろある意味じゃマイナス、ゆがめていくんじゃないかと思うんですがね。つまり何だか高いと言われているからおいしいんだろう、だから高くてもしょうがないやというような、すべてマスコミに載るとそういう形になっていきまして、テレビの宣伝で言っているからおいしいんだろうというような形になっていくのが一番消費者にとってマイナスだと思うんですがね。
消費者自身が自己責任において味を選べばいいことであって、値段を選べばいいことであって、余り外から影響されて、それは国の検査も同じなんですが、私の考えといったらそうなんですけれども、そういう形で判をつかれて、だから納得させるというのはどうも余り感心しないなというのが私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/24
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025・星川保松
○星川保松君 前の方からいろいろと質問がありましたので、私の質問は余りありませんが、高野参考人には、生産者から検査についての改善点などがおありのようでありますが、具体的にどういう御要望があるのか、お聞かせを願いたいと思います。
それから長谷部参考人には、これからお米屋さんが手を挙げればだれでもできるというような状態になるということでありますが、それには、長谷部商店さんのように自分で精米をして販売をするという販売店もありましょうし、それから袋詰めになったものをただ並べて売るというような店も出てくると思うのでありますけれども、小売店でもそういう二種類のあれが出てくると思うんですね。自分で精米をして売るというのはそう簡単には始められないのではないかと思うんです。袋詰めになったものを仕入れてきてただ並べて売るというのが多分たくさん出てくるんじゃないかと私は思うんですけれども、その点はどのようにお考えなのか。
それから、今までのいわゆる玄人としてしにせの米屋さんは信頼第一にやってきたけれども、今度新たに開業する方はどうなるかわからないというふうなニュアンスのお話でしたが、それらに対してはどういう対処をしていくべきかとお考えか。お考えがありましたらお聞かせを願いたいと思います。
それから最後に、持田参考人には産地精米という大変ユニークなお話をお伺いしたわけでありますが、こうした場合は、産地から今度小売段階まで車で流通等、その時間がかかるわけなんで、その点についてはどのような方法をお考えなのか、そのことについてお伺いしたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/25
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026・高野博
○参考人(高野博君) 検査そのものの改善につきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、検査の効率化、合理化ということで従来から要望いたしておりまして、先ほども申し上げましたが、最近は少なくなっております。かつては例えば検査数量ですね、一日何俵までというふうなことで制限を受けたというようなこともございましたが、最近は現場の話し合いの中で逐次改善されていい方向に向かっておりますので、引き続きそういうことで御協力、御指導を国の方にあるいは検査機関の方にお願いしたいということでございます。
それから、検査と関連いたします事項では、これも先ほどから発言させていただいておりますが、せっかく生産者のところできちっと新しい検査法に基づいて検査されたものが、精米所に行くまでで終わりになってしまっている。それから後があいまいだということで、あいまいだと言っているんじゃないですよ、あいまいになってしまったんでは生産者としてもこれは泣くに泣けないわけなんですね。何でここまでまじめにずっとやってきたんですかと。ここから先はがちゃがちゃとまぜこぜになってしまって何が何だかさっぱりわからない。それはそういうものもあってもいいが、きちっとしたものも売っていただきたいということを何度もお願いしているわけでございます。
やはり精米の場合、二つの売り方があると思いますね。一つはブランドといいまして、何々商店の米ということで、産地なんか一切言わずに自分のブランドで売っていく、それで信用を築いていくという売り方が確かにありますよ。やっている米屋さんもたくさんあります。ダイヤという米もありますし、パールという米もありますし、ゴールドという米もありますし、それはそれでいいと思いますよ。それはそれでやってもらって結構。
ただし、現実にはもう一つ大きな潮流として、年産、産地、品種を書いた三点セットの米も相当やはり定着しているわけですね。それは消費者が選択の基準としてそういうものを欲しがっているということなんですよ。相当の部分でそれは現実のものになっているわけですから、そういうものはそういうものできちっと担保されなきゃいかぬ。特に大事なのは、うそはやめてもらいたい。違う形でやる場合、表示しないでもらいたい。表示したからにはきちっと守っていただきたい。その体制をぜひつくってもらいたいということでございます。
それから、これも先ほどと重なりますが、結局計画外流通米が認められたということになりまして、検査もそれが任意検査になったということで、いろんな米が計画の中で今まで以上にバラエティーに富んだ流通がなされていくだけに、一層表示の問題が大事になると思います。
そこをあいまいにしてしまったら、何がなんだかわからないものが流通する可能性が、業者の方もたくさんふえできますので、そういうことになってはいけないと思います。結局、きちっと検査を受けたものだけが表示できる、受けていないものは受けていなくて流通してもいいんですが、それは検査を受けたという表示はしてはいけません、そういうぐあいに区別する。差別じゃなくて区別するという仕組みを、合理的なものを見つけ出してやっていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/26
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027・長谷部喜通
○参考人(長谷部喜通君) 御質問からちょっとずれて始まりますけれども、またお隣にちょっと反論するようなものもありますが、末端の小売業者というか販売業者はどうも消費者との接点にいますもので、いろいろ厳しい条件がございます。
しかし、それではいわゆる農業団体の全国の農家が全部まじめかと言えば、私たちの精米所に入ってきて精米するときに、張り込んでいたら後の方からはすごい米が出てきたり、いろいろなそういうものはありますし、検査を受けてきた米で私のところで色彩選別があるからいいじゃないかと言うけれども、生産者がいいものを責任持って出すのがこれはもう農家の責務だと私は思うんです。それを私たちのところで色彩選別かけたらいいじゃないかと。色彩選別機を導入するとどのくらいのお金がかかりますか。何百万とかかって、その金が全然直接には見返り来ないわけですよ。
だから、そういうものを我々に負担させるよりも、やはり農家自体が責任持って、一俵何万円というものを売るわけですから、これは責任持って農家もそれはやってもらわなきゃいけないんですけれども、これは農家の段階においてもブレンドをしたものが出てきていると私は思います。これは絶対ないとは断言できない。そういうこともありますので、これはみんなが守らなきゃいけない。
それと、先ほどの御質問に入りますけれども、まず新規参入業者が入ってきて、我々はこうだという問題になってきますけれども、これはいい人もいるでしょう。一口には言えないです。だけれども、やはり米の販売に素人が、いや洗濯屋さんだ、八百屋さんだ、ガソリンスタンドだと、みんなこれ売るわけでしょう。
それと、私はもう一つ言いたいのは、計画外流通米を販売するには登録も何も要らないんですよ。そういうお店もこれから生まれできます。消費者はどういう選択をするんですか。いまだに無許可で販売しているところへ米を買いに行っている消費者が結構いるわけですよ。あれだけPRをしながら、この米は許可がなくて売っていますよ。私の家のそばでも茨城コシヒカリ五キロ千九百八十円、我々は原価にもならない、そういうものを売っている。これは消費者を欺瞞しているんですね。こういうものが全く野放しにされている中で、今度は手を挙げれば売れる、計画外流通米ならだれでも売れるという、それだけの規制緩和をしている中で、末端を徹底的にといっても、私は不可能だと思うんです。そういう中で、まず私たちは店頭精米によって他の販売業者との格差をつけるといいますか、精米によってのいわゆる特異性を出したい、それによって生きる道を考えていきたい。
先ほども伊藤さんからおっしやられましたように、今や米の販売シェアは米屋さんはもう五〇%を切っていますよという統計があるという話でありましたけれども、一般消費者のそういう購入状況を調査した場合にはそうかもしれませんけれども、全体的な販売量になってきますとやはり七〇%ぐらいは行っております。それはなぜかというと、今私たち米屋が生きるには少なくとも業務用を三〇%、四〇%は持っていないと、いわゆるトータルしての仕入れメリットが出てきませんので、そういう中でのいろいろ策がございます。
そういう中で、一つはっきりこれだということは私たちはどうも申せませんが、とにかく何回も申しますように、もう自分の生命をかけて、自分の生活をかけてこれから残っていく米屋はやっていきますので、その点、表示の問題にしても至らないところがあるかもしれませんが、先ほどのように我々の団体でもって少なくとも消費者の信頼を得るために自主検査を継続できればなと、それにはやはり国の援助も多少はいただいてもいいんじゃないかというような気持ちも持っております。
確かに、生産する人、消費する人、その中間で販売する人、それぞれの意見の違いがあることは当たり前で、皆さん一緒の意見になることはないわけですから、その辺をひとつ御判断いただいて、最終的には多くの販売業者が守れるような、守る大守らない人をつくったんではこの社会だめですから、確かにちょっとは不満があるけれども、まあこの程度なら守れるだろうなというような線を打ち出していただいて、検査以降の表示の問題等につきましてもひとつ御討議願えれば幸せだと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/27
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028・持田恵三
○参考人(持田恵三君) 産地精米の問題でございますが、私があの場合産地精米について申し上げたのは、要するに、今の新潟のコシヒカリといったような単品販売、これはそもそも余り感心しないんですが、それが現実に行われていて、それを非常に求める。つまり本物かにせものか、本物であることを保証しろというような傾向が消費者にある限りにおいて、一番安心できるのは新潟から直送してくる米が一番安心できる。しかも、新潟の魚沼の農協がそこで自分で精白したものを東京へ直送すればそれは一番間違いない。その場合、恐らく間を飛ばしまして小売店なり消費者が直接受け取ることになるんでしょう。そうすれば一番安心できるという意味で申し上げたのが一つ。
それから、そういう売り方をすることが、例えば産地の、特に銘柄米を持っている産地に関しては利益になるだろうということで、そういうものもあり得るということを申し上げたわけでありまして、そういうことを保証できるのはやはり産地での検査によってそれは保証できるだろうということを今申し上げたわけであります。
それから、今の御質問の一つの趣旨は、そういった場合、精米と食べる間の期間が離れてしまう、要するにまずくならないかというお話だろうと思いますけれども、現在、実際にそういう流通が行われているわけですね。例えば新潟の農協から、あるいは農協じゃなくて地元の業者なんかが自分のところの産地で精白したものを消費者へ直接宅配便かなんかで送ってくるというルートでの流れが現にあるわけでございまして、それと同じことになるわけです、もっとそれよりは早くなるか遅くなるかどうかわかりませんが。
実は、我が家では福井の方のある産地から直送の米をとっておりました、それは向こうで農家が集まってやっているところから。その場合は真空パックで送ってきていますね。これは味が変わらないんだと称しているんだけれども、本当かどうかわかりません。ただ問題は、いずれにしろそういう場合にも二十キロ送ってくるんです。二十キロ以下では輸送の問題がありますから受け付けない。二十キロだと、うちの家族なんかじゃ何カ月食べるかわからないというようなことになりますし、そういう意味では確かに今言ったような問題というのは恐らくあるんだろうと思います。ただ、そういう意味では産直よりも小売店の方が精米と消費者が食べる間の期間をむしろかえって短くできる、大量に入ったものを分けることができますから。
これはついでに申し上げますと、やはり現在とにかく各家庭の消費の単位が小さくなってきている。五キロから売っていますけれども、本当は二キロ、一キロというぐらいにならないと、今言ったような精米と消費との間の期間の短縮がなかなかできなくなってくるというふうに思うわけであります。
ついでにもう一つ実は申し上げたいんですが、これは今の質問に直接関係ないんですが、とにかく米の問題になるとどうしてこんなに味の問題にうるさいんだろうというふうに実は思いますね、本当に正直言って。私は、長年米の研究しているんだけれども、自分が味覚音痴なせいかどうかは知りませんが、そんなに大差はないと思うんです。コシヒカリならコシヒカリの間は、北陸のコシなら大体似たようなものであって、それほど差がないんじゃないかと思うんです。だから、それほどあげっらうほどの味の差が一体あるのかどうかということ、それをシリアスに考える必要があるのかどうかというのが根本的な疑問でございます。
今の精白の問題も同じでございます。夏の間は一週間しかもたないとか、冬場なら二週間たってもいいというようなことを言われますけれども、そんなに一体差があるのかどうかということがそもそも根本的に疑問なわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/28
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029・林紀子
○林紀子君 参考人の皆様、きょうはありがとうございます。私も時間が大変短いので、最初にそれぞれ四人の皆様方に質問をさせていただきまして、その後順次お答えいただけたらと思います。
まず、高野参考人にお伺いしたいのは、計画外流通についてはコントロールも罰則もないので、大きな資本が買い占めにかかったらどうなるかは大きな問題だというふうに御発言なさったというものを私も見せていただきました。全中は今JAグループのRICE戦略を組織討議し、計画流通米の確保、出荷積み上げ運動、こういうものを呼びかけているということです。
そこで、お聞きしたいのは、計画外流通米を出さないようにするためにどのような対応をされるのか、またこの点で政府に対してどういう御要望をお持ちか、また計画外流通米についてもJAとして取り扱うのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
それから、長谷部参考人にお聞きしたいのは、計画外流通米の検査義務を今回外してしまうわけですが、検査米と未検査米が混然と流通することになるわけですね。未検査米の表示の問題、また検査米と未検査米とのブレンドの場合の表示の問題、消費者への信頼確保ということでも小売店でもいろいろ困惑をされているところがあるんじゃないかと思いますが、この点についてどうお考えになっているのか。
また、先ほど自主検査というお話ありましたけれども、国に援助をというお話ありました。具体的にはどういうような援助ということをお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
それから、伊藤参考人にお聞きしたいのは、米の問題をちょっと外れて申しわけないんですが、表示ということでお聞きしたいのです。
最近、水産物の表示に関してのガイドラインがどのくらい定着しているかどうかという水産庁がアンケート調査をした結果が公表されているわけですが、それによりますと、消費者の関心の高い解凍物か養殖物か、また産地はどこか、こういった表示は非常に低い。そして、その理由としてスーパーや百貨店などでは、義務化されていない、また手間がかかる、こういうことを理由に挙げているということですが、先ほど来表示は消費者の知る権利というお話もありましたので、この辺の問題についてスーパー、百貨店などがきちんと表示をしていないということについてどんなふうにお考えになるのか。
あわせて、加工食品の表示についてですけれども、この四月からこれまでの製造年月日の表示から期限表示に切りかえられましたね。一カ月半ぐらい施行後だっているわけですが、今の時点で消費者としての経験からどういうような見解をお持ちかという二点をお聞きしたいと思います。
それから、持田参考人に対しましては、今回の新食糧法によって小売業者は許可制から登録制になった。先ほど長谷部参考人からも大変だというお話がいろいろ出ておりますけれども、卸の統合や営業の譲渡、そして丸紅や伊藤忠、住友商事などの商社の参入が進んで、廃業に追い込まれた卸まで出ているというふうに聞いております。
また、輸入米の取り扱い業者には外資系のカーギルジャパンやトヨタグループの商社、豊田通商も参入するという報道もありますけれども、このような流通業界、特に商社などの急激な動きについてどういうような見解をお持ちか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/29
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030・高野博
○参考人(高野博君) 計画外流通米については先ほども触れましたが、確かにいろんな方たちが計画外流通米取り扱いに参入してくるということは考えられるわけでございます。これも先ほど申し上げましたように、特に例えば足らなくなったときだけ急に買い占めに入ってくるというようなことで、流通全体が大きく混乱してしまうというようなことも危惧されます。
私どもはそういうことのないように努力するつもりでございまして、御存じのことと思いますが、これからの米の生産については生産計画を立てることにしております。余分なものをつくらないし、足らない形では困りますので、需給をあわせて生産計画を毎年立てることにしています。それに基づきまして計画流通をどうする、計画外流通をどうするというような流通計画も立てます。その流通計画に従いまして農業協同組合と農家の間で米の流通について契約を結びます。こういうぐあいにずっと話し合いを進めながら計画内の米の流通を組み立てていきますので、その過程で十分農家の方々と農協と話し合いながら計画流通米を担保していくということをやっていきたいと考えております。
私どももそのように努力いたしますが、計画生産をしない、計画外にどんどん売った農家じゃなくてきちっと計画生産して計画流通に乗せた農家がいつも損する。要するに計画的にやらなかった方がいつももうける、やった方がばかを見るということでは制度が続きませんので、きちっとやった人たちにそれなりの対応を、あるいはメリットが受けられるという仕組みというものを国の方にも考えてもらいたいということで、計画流通米を法律で強制するということ以上に経済的な誘導策でこれを太いパイプとして確立してくださるよう前々から要望しておりますが、まだ決まっておりません。今後の折衝になりますが、そこのところをぜひ引き続き要請していきたいと考えております。
それから、計画外流通米につきましては、例えば特別栽培米みたいな形で生産者から直接消費者に行っているお水もございますが、これはつくるのは農家は得意でございますが、流通は流通なりにいろいろ手間もかかるものでございまして、農協がお手伝いをするというケースもふえてきております。そういうぐあいに個別の今申し上げましたような形で発生してくる計画外流通米につきましても、十分話し合いをしながら私どもとしては取り扱っていきたいと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/30
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031・長谷部喜通
○参考人(長谷部喜通君) 小売業者が計画外流通米をどのように考えているか、どう扱うかということであると思います。それには我々も本当にこういう計画外流通米をどうしていいかわからないという、やはり先ほども申しましたように表示にかかわる問題であって、困っているところでございますので、でき得る限りこの計画外流通米を検査に導くようなひとつ努力をしてもらいたいというのが本音でございます。
しかし、我々が農家から直接買って消費者に販売するということも今度は可能でございます。さっきからブレンドの話が出ていますけれども、それじゃ計画外と計画流通米とブレンドして、それをこれはこれだけですよ、これもブレンドと似たようなもので何%入っておりますというのもなかなか表示がしにくいわけでございます。また、計画流通米で検査を受けた米が我々のところに入ってきて、計画外流通米が入ってきて両方を我々が鑑定した場合に、また試食もしてみて、これは計画外流通米の方がおいしいという、先ほどからも結局最終的には食味ということも出ておりますので、そういう面で本当にこれ御答弁ちょっと難しいんですけれども困った問題だなということです。これは先ほどからも言うように規制緩和をやって、もう農家なんかはそうやって自由にできるようになって、末端の我々が販売するときにあれもやれこれもやれといっても、これはちょっと難しい問題だし、検査を受けないものをどう表示するか、いわゆる担保がないわけですから、その辺もひとつ先生方で御討議されていい道をやはり開いていただきたいと思うので、ちょっと答弁になりませんけれどもお許しいただきたいと思います。
それから、自主検査に対して国の助成というかそういうものも必要じゃないかというのは、これはちょっと口幅ったい言い方ですけれども、我々がそういう商業団体をつくってやっているということは、それだけいわゆる行政庁において労力が少なくて済むわけです。そういう面からもひとつそういうものを成長させないと、お役所ばかりで全部監督指導するというのも難しいですから、そういうことをやるためには、今も穀物検定協会に対して我々の懐から検査費を払っているものでございますから、幾らかやはりそういうのを助成するためには何らかの援助がいただけないかということでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/31
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032・伊藤康江
○参考人(伊藤康江君) 質問、二点ございました。
まず、水産物のガイドラインの件ですけれども、これは長い間私たちが要請していてガイドラインができたという経緯もございます。事業者というのは勝手なもので、都合のいいことはたくさん書きます。例えば天然ブリとかいい方は書きますけれども、養殖ハマチというふうに書かない。都合のいいことは書いて都合の悪いことは隠すという、これが従来行われていた行為なんです。そういった面でガイドラインができたのは一歩前進というふうに思っておりましたが、このガイドラインで規定した項目というのも、これも私は随分不十分だし、対象商品、これも限定されております。これも不十分だというふうにずっと思っておりました。
そして、今御質問にありました実施状況なんですけれども、表示というものは、例えば店頭表示をどうするかという問題があります。店頭表示というのは、加工食品のように規格、基準を決めてそして強制表示にするのが大変難しい、こういった点で今の水産物のガイドラインは店頭表示なんですから、この辺をひとつ問題にしなければならないと思います。
それからもう一つ、ガイドラインであって義務化ではない。これは店頭表示と義務化、この問題をどうするかということをきちんと整理していかなければ本当に役に立つ表示は推進されないんではないか。私は、これは国でやるのは非常に無理だろう、もしやるのでしたら地方自治体ではないかというふうに思っております。
それから、加工食品の日付表示の件でございますが、四月一日から実施されております。これまで製造年月日は義務化で、期限表示は任意というかサブでした。それが転換して期限表示が義務化される、この辺については私どもは評価したいというふうに思っております。
ですけれども、だから製造年月日は要らないというふうには言い切ることはできません。どうしても製造年月日も要るものもあるのではないかというふうに思っています。特にデータがございません。例えばこの食品はできて五日間の間にどういう劣化を進めているかというふうなことを事業者は企業秘密で見せてくださいません。そして、製造年月日は要らないんだよ、賞味期限だけでいいよと、こういうふうに言われても消費者は納得できないんではないかという点です。
それからもう一つ、農水省が、賞味期限を書くものについては製造年月日の併記はしないようにという行政指導をされております。この点についても消費者としては大変納得いかないことです。これは事業者の自由に任せていいんではないかと思います。規制緩和の中でなぜそこで行政指導が出てくるのか、私たちは大変理解に苦しむところです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/32
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033・持田恵三
○参考人(持田恵三君) 新食糧法のもとで競争が激化して、今までの卸さんなり小売さんなりで困るところが出てくるだろうというお話はそのとおりだと思いますけれども、これは競争市場の中では競争があるのはやむを得ないことでございます。ただ、私は新食糧法というのは本来三十年前に施行すべきものだったと思っているんですが、今まで三十年間そういう競争を抑える形で流通業者を保護してきた、そのツケが今一挙に出てくるということで非常に厳しい状態になるだろうとは思います。ただ、それはある程度はやむを得ないのじゃないかということが一つ。
それからもう一つは、その中で当然米屋さんにしろ卸売にしても形態が変わっていかざるを得ない、新しい中で。これはもう前からある程度そうなっているんですけれども、長谷部さんがここにおられるところで大変恐縮ですけれども、小売屋さんも米の専門店だけではだんだん生き残れなくなっていくだろうというのは、これはしょうがないんだろうと思うんです。関西ではもうずっと二、三十年前から既に小売店の総合食品店化が進んできているように思ってますけれども、そういう形で生き延びていくことになるんだろうと思います。どうしても米だけ売って米だけで生きていけというのはなかなか、そういう店もあると思いますよ、そういう専門店もできると思いますけれども、それはかなり無理だと思いますし、卸商についても同様でございます。卸商は例えば今までのように左から右へと政府の米を動かしてマージンを取っているだけではもうやっていけるはずはないので、それを全部消費者が負担しろというのはこれはむちゃな話でございまして、やはり卸商もそういうふうに変わっていかざるを得ない。
私は、どこでどう変わっていくかということは、前からのこれも持論なんですが、要するに米の流通全体の中で中軸をなすものはどこかというと、白米メーカーだと思うんです。要するに大型集中精米という形で今行われているのは、これは大体主として卸商が持っているわけですけれども、ああいうのが中心になっていくはずだと思うんです、将来ともに。したがって、卸商もただ左から右へと流している卸のマージンだけでやっていくことはできない。だから、先ほどから申し上げているように、つまりそういった白米メーカーがつくったブレンド米が恐らく米流通の主役になるであろうと私はずっと前から思っているんですが、なかなかならなかったのは、今でもある程度なっているんだけれどもならなかったのは、結局食管法のせいだと基本的には思っております。だから、そういう流れがどうしても出てこざるを得ない。
それで、林先生の御質問の一つの趣旨は大資本が入ってくるのではないかということだろうと思いますが、私はそれは入ってくる可能性があると思う。それはどこに入ってくるかというと、今申し上げたような白米メーカーとして入ってくるだろうと思う。そうしないともうからないと思うんです。要するに、資本が入ってくるのはもうかるから入ってくるわけでして、ただやたら何でも手を広げればいいというわけじゃありませんから。どこでもうかるかといえば、それはブレンド米をつくってそれを小袋詰めにして小売店に出していく、そこのところが一番もうかるだろうと思いますし、そこに入ってくるんだと思う、入るとすれば。ただ、それも今までもう既にたくさん進出がありまして、そういった競争の厳しい中で新しい設備をつくって入っていくということはなかなか難しいだろう。ただ、既存の卸商を買収するというような形で入っていくかもしれません。
ただ、私は大資本が買い占めをやって独占価格を消費者に押しつけてくるというようなことは余り実は心配していない。つまり、競争が担保されていればそういうことは起こり得ないですから。買い占めをやって独占するから非常に高い価格がつけられるわけです。例えば米の大資本が入ってきて魚沼のコシヒカリを全部買い占めちゃったという形でつり上げるということは可能でしょうね、魚沼のコシヒカリ程度だったら。新潟のコシヒカリを全部買い占めるのは不可能だろうけれども。それはできるだろうけれども、しかしそんなことやってもうかるとは全然思いませんね。
要するに、私が前から申し上げているように、米というのはやっぱり代替関係が非常にあるものでありまして、魚沼のコシヒカリでなきゃだめだということはないんですね。だめだという人もいるでしょう。料亭とか特別なところではうちは魚沼のコシヒカリしか出しませんよというところもあるでしょう。それは高いのを買えるなら買えばいいんですよ、一万円だろうと二万円だろうと買えばいいわけであります。そういうことは別にどうということないんです、一般大衆の問題ですから。大衆に関して見れば新潟のコシヒカリでなくたって富山だっていいし、あるいはブレンド米だって結構食べられるということであればそんなに、日本の米全体を大資本が買い占めることはできませんから、これは政府が一方にありますし、政府がいつも二百万トンなり百五十万のストックを持っていればいつでもそれを放出できるんですから、そういう意味での独占は起こり得ないと思っております。輸入に関しても同じでありまして、そういう心配は私は余りいたしておりません。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/33
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034・喜屋武眞榮
○喜屋武眞榮君 私は、四名の参考人の方々に同じ質問を一問だけお伺いいたします。
と申しますのは、今後本改正法が施行された場合に、運用上特に留意すべき点ほどういうところだとお考えなのか、それぞれお一人三分以内で御所見をお聞かせください。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/34
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035・高野博
○参考人(高野博君) 今度の検査法の改正でございますが、検査法の改正によりまして実施されます検査そのもの、それについて運用上特に大きな支障が出てくるというぐあいには考えておりません。
ただ、その検査のやった役といいますか検査に絡んでといいますか、それについてはいろんな問題が出てくることが想定されるわけでございまして、例えばその点については、検査が任意検査になりました計画外流通米について適切な処置がなされない場合に、制度そのものを大きくゆがめていく可能性があるというようなこととか、特に農産物の検査が、消費者の方にきちっとした品質として流通がつながっていくというところについて、これも十分配慮された新たな仕組みが適用されていかないと極めて農産物の検査は意味が薄いものになってしまう。
先ほどから申し上げておりますが、そのような幾つかの関連した問題点というのは大いにあるわけでございまして、そこの点については今後十分私どもも自分たちの意見を申し上げていくつもりでございますが、議論されていい方向が出されていけばよろしいんじゃないかと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/35
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036・長谷部喜通
○参考人(長谷部喜通君) まず、いわゆる新食糧法が施行されて運用されていきますと、まず我々の小売業界は両極端に分かれていくと思います。
それはなぜかと申しますと、競争原理が導入される、しかも普通の競争原理じゃなくて、先ほどからおっしゃいますように、もう幾ら販売店が出るかわからないという中で、そうすると先ほども言うように私たちは差別化を図って生き残っていかなければならないというふうに思っております。我々の業界の中でもまず四、五年のうちには三分の二は厳しい状況に追い込まれて、行く末は廃業ということにもなるかもしれませんが、しかし利点もたくさんあります。
法律が変わったからといって、私たちは業界の指導の立場もやっておりますのでやっぱりハッパをかけなきゃいけない。米屋だから米を売らなきゃならない。それにはやっぱり努力をする、その努力のしがいもたくさんあるわけでございますので、そういう中で私は努力をしていかなきゃならないと思いますが、いわゆる検査法を含めたこの新法、これがスタートいたしますと、先ほどから何回も私が申し上げておりますように、とにかくあれもこれもとたくさん出てくる中で消費者が迷うんじゃないかというような感じがしてならないのでございます。
それから、先ほど持田先生からいいアドバイスもいただきましたが、私の考えとしましては、いわゆる米屋はコンビニエンス化しないとこれからはやっていけないぞというそのコンサルタントのアドバイス、実は十数年前にこれが盛んに打ち出されて、その結果、コンビニエンス化した業者が全部だめになっております。それはなぜかというと、仮にそこで、町の中でコンビニエンス化していろんな品ぞろえをして売っておりましたけれども、百メートル隣に大型のスーパーができたらもうそれで全滅ですね。そんなような弱体ではいけない。やはりそのために、大変申しわけないんですけれども我々は米専業で生きるのが最大の道である。米専業で生きるにはやはりたくさん出てきた他の小売業者に差別化をするような商売をしなきゃいけない。
そういうことで、これは弱気と強気とが両方混在しておりますので、ひとつそういう点で、我々は自分みずからが生きていかなければならないので、消費者を大事にしながらこの新法を有意義に生かしていきたい、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/36
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037・伊藤康江
○参考人(伊藤康江君) 御質問は検査法を運用するに当たってどういう点をということでございますね。
私ども、これからのお米流通の状況を考えると、先ほどからいろいろ意見が出ておりますように競争が激化するだろう、そしていろいろなところでいろいろな形で販売されるだろうということが予想されるわけです。本来でしたら、いろいろの販売方法があっていろいろな選択の仕方ができて、その中で私たちは価格と品質と相応のものを選択できればこれが一番望ましい状態だというふうに思っておりますのですけれども、そこにちゃんとした選択ができないのでは、せっかく自由化したメリットが消費者に反映できないんではないかというふうに思っています。ですから、多様化した流通の中で多様化した商品を適正に選べてこそ消費者利益だというふうに思っています。
そういった点ではこの検査法は、運用上、今私が申し上げた多様化した流通と商品をうまく消費者が選択できるための検査法になってほしいなというふうに思っています。検査規格を決めるときにいろいろな立場の人、高度な専門家ばかりでなく、やはり一般消費者の意見や、それから生産者、生産者も有機農産物をつくっている方、そうでない方、多様な方々を含みながらこの規格をつくり、そしてそれがひいては消費者の選択に役立つ運用をされていただきたいというふうに思っています。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/37
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038・持田恵三
○参考人(持田恵三君) 御質問の趣旨は検査法だけでございましょうか。検査法に関してはもう既に何回も申し上げたことなんですが、要するに新法と検査法というのは一緒にかかわってくるわけですけれども、この関連で見ますと、検査法をいわば新法における、何といいますか新法というのは基本的には規制緩和でありますけれども、その規制緩和自体を少しチェックしようという一つの流れがあって、そういう方向で使おうという流れと、そうじゃない方の流れと二つの流れがどうもあるような気がしているんです。
私は先ほども一番最初に申し上げたように、米穀検査というのは自由で公正な競争、つまり競争の有効性を担保することが一番大事なことですから、そういう意味で規制の方向でそれを使われることには賛成できない。したがって、本来の経済学的な意味での理論的な側面で使っていただきたいというふうにも思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/38
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039・青木幹雄
○委員長(青木幹雄君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
本日は、長時間にわたりまして貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後零時四十九分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113215007X01119950523/39
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