1. 会議録本文
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000・会議録情報
五月二十八日
吹田愰君委員長辞任につき、その補欠とし
て松岡滿壽男君が議院において、委員長に選任
された。
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平成八年五月三十日(木曜日)
午後五時八分開議
出席委員
委員長 松岡滿壽男君
理事 瓦 力君 理事 浜田 靖一君
理事 町村 信孝君 理事 佐藤 茂樹君
理事 平田 米男君 理事 田口 健二君
理事 前原 誠司君
麻生 太郎君 大野 功統君
高橋 辰夫君 中谷 元君
中山 正暉君 野田 聖子君
平泉 渉君 渡瀬 憲明君
石井 一君 今津 寛君
大石 正光君 河合 正智君
神田 厚君 月原 茂皓君
渡辺浩一郎君 大出 俊君
五島 正規君 早川 勝君
東中 光雄君 山花 貞夫君
出席国務大臣
外 務 大 臣 池田 行彦君
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 臼井日出男君
出席政府委員
防衛庁参事官 小池 寛治君
防衛庁長官官房
長 江間 清二君
防衛庁防衛局長 秋山 昌廣君
防衛庁教育訓練
局長 粟 威之君
防衛庁装備局長 荒井 寿光君
防衛施設庁長官 諸冨 増夫君
防衛施設庁総務
部長 大野 琢也君
防衛施設庁施設
部長 小澤 毅君
外務省総合外交
政策局長 川島 裕君
外務省総合外交
政策局軍備管 河村 武和君
理・科学審議官
外務省アジア局
長 加藤 良三君
外務省北米局長 折田 正樹君
外務省条約局長 林 暘君
委員外の出席者
国際平和協力本
部事務局参事官 國方 俊男君
安全保障委員会
調査室長 下尾 晃正君
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委員の異動
五月二十二日
辞任 補欠選任
大野 功統君 伊吹 文明君
熊代 昭彦君 田中眞紀子君
高橋 辰夫君 保岡 興治君
中谷 元君 佐藤 剛男君
同日
辞任 補欠選任
伊吹 文明君 大野 功統君
佐藤 剛男君 中谷 元君
田中眞紀子君 熊代 昭彦君
保岡 興治君 高橋 辰夫君
同月二十八日
辞任 補欠選任
赤松 正雄君 松岡滿壽男君
河合 正智君 星野 行男君
吹田 愰君 赤松 正雄君
同日
辞任 補欠選任
星野 行男君 河合 正智君
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五月二十八日
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
九八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/0
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001・松岡滿壽男
○松岡委員長 これより会議を開きます。
この際、一言ごあいさつを申し上げます。
このたび、安全保障委員長に選任されました松岡滿壽男でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
皆様方の御協力をいただきながら、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。(拍手)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/1
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002・松岡滿壽男
○松岡委員長 内閣提出、自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を求めます。臼井防衛庁長官。
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自衛隊法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/2
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003・臼井日出男
○臼井国務大臣 ただいま議題となりました自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
自衛隊とアメリカ合衆国の軍隊との間の物品または役務の提供を行うための枠組みにつきましては、これまで日米間で検討を続けてきたところでありますが、今般、日米間で合意に達し、四月十五日に、日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の署名が行われたところであります。
本協定は、共同訓練、国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要な物品または役務の自衛隊とアメリカ合衆国の軍隊との間における相互の提供に関する枠組みを設けているものでありますが、本協定に定める物品及び役務の提供を実際に自衛隊が行うことができることとするためには、自衛隊法を改正することが必要であります。
この法律案は、総理府の長たる内閣総理大臣等は、本協定の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、アメリカ合衆国の軍隊に対し物品を提供することができることとし、防衛庁長官は、本協定の定めるところにより、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、アメリカ合衆国の軍隊に対し役務を提供することができることとすること等を内容とするものであります。
以上が、自衛隊法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/3
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004・松岡滿壽男
○松岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/4
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005・松岡滿壽男
○松岡委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田靖一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/5
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006・浜田靖一
○浜田(靖)委員 松岡委員長、就任御苦労さまでございます。まさにこの日米安保、そしていろいろな意味での危機管理を考えなければいけない時期に大役に御就任されたわけでございます。我々もともに汗をかいてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをする次第でございます。
ただいま防衛庁長官からお話のありました自衛隊法の一部を改正する法律案、これはACSAの協定の締結にかかわる法改正の一つとしてここに出ておるわけでございます。ここのところずっと日米の関係のことで両大臣にはいろいろと御苦労願っておるわけでございまして、そしてまた、クリントン大統領の訪日に当たり、日米安保共同宣言が発表されたわけでございます。
無論、それは今後の日米の同盟の強化、それから政治経済面における関係の強化を図ることが目的であり、また安全保障面においては、今後日米安保体制の信頼性の向上を図るための具体的な施策を実施することが本当に重要なことになってくるわけでありますけれども、今言ったように、この日米安保共同宣言に対する総括をした中で、両大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか。ぜひとも一度ここで改めてお話を伺っておいた方がいいのではないかな。それがすべてこのACSA、そしてまた、その後に続く問題に対しての一つの指針になろうと私は思いますので、ぜひとも両大臣からお話を例えればと思いますので、どうぞ一言、詳しくお話をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/6
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007・臼井日出男
○臼井国務大臣 先般発出されました日米安全保障共同宣言は、我が国の安全、そしてアジア太平洋地域の平和と繁栄を図っていく上で、日米安全保障条約を中核とする日米同盟関係が今後ともこれまで同様に重要な役割を果たしていくことが確認をされたわけでございまして、将来に向けての両国のあり方、協力のあり方につきまして具体的に示しているものと考えております。
この共同宣言は、これからの両国の協力関係の出発点とも言えるものでございまして、そこに示されました協力の道筋を一つ一つ実現していくことが極めて重要だと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/7
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008・池田行彦
○池田国務大臣 ただいま防衛庁長官からも御答弁がございましたように、先般の日米首脳会談において発出されました日米安保共同宣言におきましては、これまで日米間で安全保障分野における非常に緊密な対話が持たれてきました。その成果を踏まえまして、日米関係の中核をなします日米安保体制が二十一世紀に向けて依然として日米同盟関係の上で重要な役割を果たすのだということを改めて再確認いたしまして、その上で、未来に向かっての両国の同盟関係のあり方について内外に宣言したという意味で、非常に大きな意義があったと思うのでございます。
また同時に、日米両国民に対するメッセージという文書も発出されたわけでございますが、そこにおきましては、ただいま委員も御指摘なさいましたように、安全保障はもとよりでございますが、政治経済あるいは文化その他の面においても両国間の関係、協力をさらに推進していくことの重要性もうたわれましたし、また、コモン・アジェンダといいますグローバルな環境その他の課題についても両国は共同して対応していこうといったことも確認されたわけでございます。
そういった意味で、この両宣言は、これからの日米関係、そして両国が国際社会において果たしていくべき役割、そういった観点から申しまして非常に大きな意義を有する宣言であった、このように認識している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/8
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009・浜田靖一
○浜田(靖)委員 両大臣おっしゃられましたように、大変これは重要な宣言であり、また非常にタイミング的にもいいタイミングだったと私は思うわけでございます。我が東アジア地域においていろいろな意味で不安定要素もあるわけでございますし、やはり日米関係というものが強固であることがこの地域の安定につながるものと私自身も考えておるわけでございます。そして、今回締結をされましたACSAでありますけれども、今にして思えば、この部分の協定というのがいまだになかったということが、私に言わせると少々不思議なぐらいな気がするわけでございます。
そこで、ことしの四月十五日に日米間でACSAが署名され、終わったわけでありますけれども、その新聞等の報道で、ちょっとこれを読ませていただきますけれども、これが国会で承認され、それに伴い自衛隊法が改正されたならば、米軍機が自衛隊基地におりることを不時着とみなし、人道的支援を口実に給油を行うといった苦し紛れの措置をとらなくても済むようになるという報道がそのときになされたわけであります。
これも今申し上げましたように、今までACSAがなかったためであろうと思うわけでございますけれども、今回のACSAの締結の具体的な意義をいま一度実例に即して御説明願えればと思うのでありますが、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/9
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010・池田行彦
○池田国務大臣 今回、自衛隊と米軍との間の物品・役務の面での相互の協力協定、いわゆるACSAが締結されまして、ただいま国会に御審議をお願いしているところでございますが、ただいま委員も御指摘になりましたように、実は、この問題が提起されましたのは昭和六十三年でございます。その当時、米国の方から、自衛隊と米軍の間の物品や役務を相互融通するような枠組みを考えようじゃないか、こういう話がございました。
それ以来、政府といたしましては、我が国の自衛隊のあり方、または日米安保条約のもとでの日米の協力のあり方、そういったものを踏まえまして、どういうふうな分野でそういった物品・役務の面での協力が可能であるか、あるいは必要であるか、適切であるかという観点、そういうことをいろいろ検討してきたわけでございます。
また、一方におきまして、我が国と米国との間の協定と全く同じものではございませんけれども、ある意味では共通した面もございますこういった物品・役務に対する協定が米国と他の国の間にもかなりございます。十幾つございます。そういったものもいろいろ参考にしながら、日米間の協定には必要でないもの、あるいは適切でないものは何か、ぜひ日米間の協定でも対象にすべきものは何か、そういったことをずっと検討してまいりまして、今回合意に達し、御審議をお願いしているわけでございます。
もしこの協定を御承認いただきますならば、どういう面で変わってくるかという点でございますが、御承知のとおり、今回の協定では、日米の共同訓練、そしてPKO活動、さらに人道上の国際的な救援活動、その際の米軍と自衛隊の間における物品・役務の協力というものを対象としているわけでございます。
そういうことでございますので、今申しましたような三つの活動におきまして、従来以上に、例えば共同訓練の場合でございますと、日米間の共同行動が円滑に行われるというようなこと、あるいはその行動が効率化いたしまして、双方にとって効率化あるいはコストの低減という効果もあろうと思いますし、いわゆるインターオペラビリティーというものも向上すると存ずる次第でございます。
そういったことを通じて、将来、あってはならないことでございますが、もし万一、日本誘致などということになった場合に日米共同対処が必要になるわけでございますが、そういうときに円滑に共同対処ができるような体制もこの訓練を通じてできていく。そういった面でも、今回の協定は有用であろうか、有効であろうか、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/10
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011・浜田靖一
○浜田(靖)委員 ありがとうございました。
そこで、今お話がありましたけれども、今度は長官に、防衛庁の方にお伺いをいたします。
ACSAが締結されたわけですけれども、その以前、要するにACSAがないときに、日米共同訓練のときにいろいろと不便なところもあったとお聞きをしております。今回のACSAの締結によってまた日米安保体制の信頼性がより高まったとは思いますけれども、防衛庁としては、今後さらにどんな点を改善していかなければならないとお考えになっているか、どのようにお考えになっているかをお聞かせ願えますか。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/11
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012・秋山昌廣
○秋山(昌)政府委員 日米安保体制のもとでの日米間の信頼性の向上を図るためにどういったことを今後考えていくのかという御質問と考えますが、信頼性を向上させ、日米安保体制を有効に機能させていくために、これは新防衛大綱にも書きあらわしたところでございますけれども、四つの事項を考えているところでございます。
第一番目が、情報交換あるいは政策協議、こういったものの充実でございます。二番目が、共同研究並びに共同演習、共同訓練あるいはこれらに関する相互協力の充実、こういったものを含む運用面における効果的な協力態勢の整備というところでございます。それから三番目が、装備、技術面での幅広い相互交流の充実。そして四番目に、在日米軍の駐留を円滑かつ効果的にするための各種施策の実施などに努める。
そういったようなことを今後念頭に置きまして、日米安保体制の信頼性の向上を図るための努力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/12
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013・浜田靖一
○浜田(靖)委員 昨年の新防衛大綱の中ではそのように書かれておりまして、まさにこれが土台となっているわけでございます。
そこで、今度はACSAの現行の対米支援の方法との関係についてちょっとお聞きしたいのです。
今回、自衛隊法を改正して内閣総理大臣等に物品・役務の提供の権限を付与することとなるわけですが、現在、我が国として米軍に対する後方支援、物品・役務の提供はどのようなことができて、またどのようなことをやっておられるのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/13
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014・荒井寿光
○荒井政府委員 現在、米軍に対します後方支援でございますが、主な例といたしましては、自衛隊法百条に基づいて夜間離着陸訓練支援のために物資や人員を硫黄島へ空輸するというようなこととか、物品管理法二十九条に基づきます日米共同訓練時における燃料の貸し付けなどを行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/14
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015・浜田靖一
○浜田(靖)委員 いろいろな後方支援等を行っておられるわけであります。
今度このACSAができて、そして、この改正案が成立した後に、それらの支援措置は一体どうなるのかということをお聞きしたいのであります。それと、これがほとんど適用されなくなるのか、その辺のところについてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/15
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016・荒井寿光
○荒井政府委員 現在行っております後方支援で、例えば燃料の貸し付け、こういうものにつきましては、ACSAの協定のもとで行われることになります。しかしながら、夜間離着陸訓練支援のための空輸の実施などはACSAにおいてカバーされませんので、これは引き続き後方支援として行っていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/16
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017・浜田靖一
○浜田(靖)委員 そのように使えるものと使えないものとあるわけでございますけれども、いずれにしても、内容的こま非常にはっきりと、どうも今までいろいろなものを拡大解釈してできることにしてきた部分があると思うのですね。それが、何か今回のこのACSAによって、少しだけすっきりしてきたような気がするわけでございます。
そこで、今の質問に続いて、今度は適用の範囲について少しお伺いをしたいと思うわけであります。
先ほどお話にありましたように、ACSAは日米共同訓練、PKO、人道的な国際救援活動に限定されているわけでありますけれども、交渉の過程においては米軍の単独訓練も検討されたようにお聞きしているわけでありますが、そのようなことが検討されたのか。
それからまた、今回単独訓練を含めなかったのは、これは憲法の禁ずる武力の威嚇や集団的自衛権の問題に触れるということが気になっていたとは思うのですが、これが含まれなかった経緯及びその理由をお聞かせ願えればと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/17
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018・池田行彦
○池田国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、今回の協定締結に至る日米間の交渉の過程におきましては、いろいろな米軍の活動あるいは自衛隊の活動あるいは共同の活動、そういったものを考慮いたしまして、どういった面でこういった物品・役務の相互協力が必要かということでいろいろ検討してきたわけでございます。
そういった中では、もとより我が国の憲法上、自衛隊というものが他国とは性格の違ったものになっている、そういうことも考慮いたしました。また、いろいろな米軍の活動にかかわって我が国が協力する分野について、憲法上の制約もあり得るかということも当然その考慮の中にあったわけでございます。
それだけではなくて、たとえ憲法上可能であるとしても、現時点で一体何をするのがいいだろうか、まず何が必要だろうかということについて、双方でいろいろ意見の交換をいたしまして、日米双方でニーズが高いと思われる分野をずっと絞っていったということでございます。
そういったことでは、先ほど委員御指摘の米軍による単独訓練ということも、これは話題にはなりましたけれども、最終的には、先ほども申しましたように、日米の共同訓練、PKO、国際救援活動、この三つの分野が最もニーズが高いものであるということで今回の合意に至った、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/18
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019・浜田靖一
○浜田(靖)委員 ありがとうございました。
確かにいろいろな部分で御苦労をなされてここまで積み上げられてきたわけでございますので、十分に承知をしておるわけでございますけれども、ただ、中にはやはりもう一歩というようなお考えの方もいらっしゃるわけでありまして、その意味では、今後の課題ということで承っておきたいと思うわけでございます。
その次に、日米共同訓練の中で、PKO、人道的な国際救援活動という国際貢献の分野においても日米の協力がなされることは、世界の平和と安定に寄与する上においても大変喜ばしいというのは先ほど申し上げたのですが、PKO、人道的な国際救援活動については、ACSAでは、日本が米軍に対しPKO、人道的な国際救援活動における物品・役務の提供を行う場合においてはPKO協力法に従って行われるとされているようでありますけれども、これは、日本が参加しているか否かにかかわらず、米軍の参加するPKOがPKO参加五原則を初めとするPKO協力法の認めるPKOでなければ提供はできないということになるのかどうか、ちょっとわかりづらいかもしれませんけれども、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/19
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020・池田行彦
○池田国務大臣 今回の協定で、PKO活動に関連してその協力を行う際には、我が国の自衛隊が参加しているPKO活動の際に、それに関連して物品・役務を提供するということはもとよりあるわけでございますが、我が国の自衛隊が参加していないが米軍が参加して行っているPKO活動等に対して物品・役務の提供をするということも可能な規定になっております。
ただ、理論上は、論理上はそういうことになっているわけでございますが、実際問題として後者のケースが具体的にあるかと申しますと、そう多くはない、めったにないのではないか、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/20
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021・浜田靖一
○浜田(靖)委員 ありがとうございました。
また、これは確認になるかもしれませんけれども、先ほど来ずっとお話を伺っていますと、我が国の防衛大綱、昨年、新防衛大綱ができたわけでありますが、今回のこのACSAの協定が我が防衛大綱の趣旨に大変沿っているように思うわけでありますけれども、これに対してはどのような御感想をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/21
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022・臼井日出男
○臼井国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、昨年十一月に新防衛大綱、そして新中期防を策定いたしたわけでございますが、従来我が国を守るというこの一本の柱から、さらに二本の柱を加えたわけでございます。御承知のとおり、一本は、我が国周辺のより安定した安全保障環境構築への貢献、こういうものを立てさせていただきました。いま一本は、大規模災害等各種事態への対応、こういうふうな柱を加えさせていただきまして三本の柱にさせていただいたわけでございます。
こうした中で、我が国がアジア太平洋地域の安全のためにより貢献し得るためには、日米安保条約というものをより高めた上で、日本の自衛隊とアメリカが展開をしている米軍との協力関係がより密接に、効果的に行われるということは至要だと思っておりまして、委員御指摘のとおり、まさにこの点においては私どもの将来の方向に合致しているものと理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/22
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023・浜田靖一
○浜田(靖)委員 私もそう思うわけで、今回のACSAの実現によって自衛隊のPKO部隊が世界各地の米軍基地の補給地点として利用できるようになったということでございますので、まさにその意味では長官の言われるとおりだと思うわけでございます。
もう一点、PKOに関連してでございますけれども、今回のACSA締結によって、現在自衛隊が派遣されているゴラン高原のPKOに関して、具体的にこれをどのように活用されるか、お考えになっておられればそのお考えをお示ししていただきたいと思います。PKOの本部の方からお見えいただいていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/23
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024・國方俊男
○國方説明員 お答え申し上げます。
ただいま御審議いただいております日米物品役務相互提供協定が発効した場合には、自衛隊の部隊が国際平和協力法に基づきまして国連平和維持活動または人道的な国際救援活動のために国際平和業務を行っているときに、必要に応じまして、本協定に定めるところによりまして、米軍から当該業務に必要な物品または役務の提供を受けることができるほか、それらの活動を行っている米軍に対しまして、国際平和協力法に基づき定められます実施計画上の国際平和協力業務として行うことのできます範囲内で、本協定に定める物品または役務の提供を行うことができることになるわけでございます。
他方、ただいま先生から御指摘のございましたゴラン高原において行っておりますPKO活動につきまして、具体的にこの協定を適用するということにつきましては考えておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/24
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025・浜田靖一
○浜田(靖)委員 現在、ゴラン高原で活躍をしている自衛隊員の皆さん方がいらっしゃるわけでございますので、一応確認の意味でお話を伺ったわけです。今後、これをできるだけうまく使って、本当に適切なPKO活動が行われるようになれば、それは大変意義深いことであろうと思うわけでございますので、ぜひともまた御検討を重ねていただきたいと思うわけでございます。
さてそこで、また例え話になるわけでありますが、朝鮮半島情勢、中台情勢の緊張によって、これはあくまでも例えばの話ですが、難民が日本に押し寄せて人道的な国際救援活動が行われることになった場合、今回のACSAは適用対象になるのかどうか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/25
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026・池田行彦
○池田国務大臣 委員も例えばという仮定の上で御質問なさいましたけれども、今例示されました仮定のようなケースで一体どういう行動あるいは活動が行われるのかは、ちょっと必ずしも具体的にそのイメージがわいてこないわけでございます。
今回の協定におきましては、国際救援活動あるいはPKOが対象になっているわけでございます。しかし、そういったものが御例示のようなケースで、一体そもそもそういった活動が展開されるかどうか、何ともお答えしようがないわけでございます。
ただ、一方におきまして、今御指摘のようなケースも含めまして緊急な事態が発生した場合に、在外の邦人の避難あるいは避難民をどういうふうにするかという問題につきましては、これはよくその対応ぶりを検討しておかなくてはいけないということで、これから文字どおり、従来もある程度検討はしてまいりましたけれども、検討、研究を急ごうとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/26
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027・浜田靖一
○浜田(靖)委員 確かにお答えしづらいことだとは思うわけでありますが、ただ、これは頭の端には置いておかなければいけない問題だと思いますので、ぜひともまた御考慮願いたいと思うわけでございます。
これは、またちょっとPKOに絡んで。今回、PKOがACSAの対象になったことは先ほど来お話があるわけでありますが、それに関連して、今のいろいろな自衛隊の活動状況を見ますと、我々にとっては誇りに思う活動が大変多いわけでございまして、いろいろなPKO活動においてすばらしい功績を残されておることも国民の皆さん方も十二分に認識をしているわけでございます。そしてまた、災害活動とか、そういうものに対する活動、国際貢献という意味でも、大変国民からも期待を受けているところがあるわけでございます。
その観点からも、前々からいろいろな御議論があるわけでありますが、PKO等を自衛隊の本来の任務にすべきではないかと考えるわけでありますが、その点についての御見解をいただければと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/27
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028・秋山昌廣
○秋山(昌)政府委員 御質問は、自衛隊法第三条の絡みのお話であろうかと思います。
御案内のように、自衛隊法第三条は、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ公共の秩序の維持に当たることがまさに自衛隊の本来の任務であると規定しているところでございます。
一方、自衛隊の部隊等に国際平和協力業務や国際緊急援助活動を行わせることは、まさに自衛隊が長年にわたって蓄積してきた技能、経験、組織的な機能の活用を図るものでございますので、自衛隊法第三条の改正を要しないという考えのもと、自衛隊法第八章に規定されている他の業務と同様の位置づけといたしたものでございます。
他方で、今委員から御質問の中にもございましたように、国連の機能の充実に伴いまして、国際貢献活動が多く行われる中で、国連平和維持活動が大変重要になってきております。そして、自衛隊も既に多くの活動に参加してまいりました。我が国が国際社会の責任ある一員として存立していくためにも、こういった自衛隊の活動は大変重要であると認識しております。他方で、国内外からも高い評価を得ているのではないかというふうに考えているところでございます。
したがいまして、国際平和協力業務を自衛隊の本来の任務とするかどうかということにつきまして、こういった状況を踏まえた上で、これは、もちろん防衛庁を含めた政府部内はもとより、民主手続に従った国民的な議論を経た上で決定すべきものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/28
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029・浜田靖一
○浜田(靖)委員 確かに局長言われましたように、今後我々も大いに議論をしていかなければならないと思うわけであります。
今までの功績というのは本当にすばらしいものがあって、現在も、日本を代表してゴラン高原において我々の同志である自衛隊の諸君が懸命に努力をしておるわけでございます。その点はやはり我々もしっかりと認識をして、多くの皆さん方にそのことを語りかけることによってまさに信頼の醸成を図って、自衛隊のさらなる充実というかPKO活動を含めたすべての活動を理解をしていただけるような努力をしてまいらなければいけないと思いますので、ぜひとも今後その題材を無にせずに、関係当局、また我々も含めてやっていただきたいというふうに思うわけでございます。
今度は役務の提供について御質問をさせていただきたいと思います。
今回の自衛隊法の改正案では、物品を提供することができるのは内閣総理大臣またはその委任を受けた者であるということに対し、役務を提供することができるのは防衛庁長官に限られているというふうになっているわけでございますが、なぜ役務の提供は防衛庁長官に限られるのか、そしてまた、その委任を受けた者に権限を与えない理由は何なのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/29
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030・江間清二
○江間政府委員 お答え申し上げます。
ただいま御審議をいただいております自衛隊法の一部改正法案につきましては、確かに御指摘のとおり、物品につきましては内閣総理大臣等が、それから役務につきましては防衛庁長官がそれぞれ提供することができるというふうな規定の仕方をいたしております。
これは、実は物品の提供につきましては、その対象となる物品が物品管理法における物品と同一の概念のものでございますものですから、物品管理法の規定の趣旨に倣いまして、物品の管理機関の長でございます各省各庁の長またはその委任を受けた者をその実施上の責任者とするのが適当であろうという考え方に立ちまして、そうなりますと、防衛庁の場合には総理府の長たる内閣総理大臣またはその委任を受けた者ということになるものですから、一項でそういうふうな規定の仕方をしたわけでございます。
一方、役務の提供につきましては、これは自衛隊法の八条におきまして、自衛隊の隊務を統括する指揮監督権というのが防衛庁長官でございますので、防衛庁長官が役務の提供をすることができるという規定にしたわけでございます。さらに三項で、「前項の規定による役務の提供に関し必要な事項は、政令で定める。」というふうに三項を入れてございます。
この三項で実は予定をしておりますのは、防衛庁長官が指定する者に委任することができるというような規定、あるいはその他役務提供に関し必要な事項は防衛庁長官が定めるというような規定を政令に譲って規定をしたいというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/30
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031・浜田靖一
○浜田(靖)委員 ありがとうございました。
今お話にありましたけれども、三項における役務に関し必要な政令で定める事項とは何か、具体的に御説明願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/31
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032・江間清二
○江間政府委員 ただいまお答えしましたことと重複をしまして恐縮でございますけれども、現在のところ政令で規定を予定しておりますのは二点ございます。まず一つは、委任をする者を規定をしたいということ。もう一つは、その他役務の提供に関し必要な事項は防衛庁長官が定めることという包括的な委任規定と申しましょうか、そういうようなものを政令で規定をしたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/32
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033・浜田靖一
○浜田(靖)委員 ありがとうございました。
ACSAの協定によりますと、物品だけでなく役務についても第三者に移転する場合には事前に提供国の同意が必要であるというふうになっておりますけれども、どのような場合に役務について第三者移転ということが生じると想定されているか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/33
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034・荒井寿光
○荒井政府委員 役務の提供といたしましては、例えば修理や整備のノウハウなどの情報が提供されたり、あるいは訓練業務といたしまして指導員が派遣される際に訓練マニュアルのような情報が提供されることが考えられますので、このようなノウハウ等の情報とか訓練マニュアルのような情報が第三者に移転されることが具体的な例として考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/34
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035・浜田靖一
○浜田(靖)委員 ありがとうございます。
そこで、ACSAの協定とちょっと別の問題になりますが、今度はちょっと別個の話になるわけですが、ACSAの協定と国連憲章との関係についていろいろとACSAの第一条の四項にも書かれておりまして、物品・役務の使用は国連憲章と両立するものでなければならないとありますけれども、具体的にはどういうことなのか、具体例を挙げて説明をしていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/35
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036・折田正樹
○折田政府委員 委員御指摘のように、この協定の第一条四に、本協定により提供した物品・役務を使用する場合には国連憲章云々と書いてございますが、これは、国連憲章第二条に定める加盟国の行動の原則を含め、国連憲章に従うことを日米両国政府が念のため確認したものでございます。
国連憲章におきましては、第二条におきまして、国連憲章一条に掲げる目的を達成するに当たっての行動の原則を規定しております。例えば同条三では、国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない、それから同条四では、武力による威嚇または武力の行使を慎まなければいけない、さらに同条五では、国連の防止行動または強制行動の対象となっているいかなる国に対しても援助の供与を慎まなければならない旨の規定があるわけでございます。
なお、日米安保条約、日米相互防衛援助協定にも国連憲章と矛盾する行為を行わない趣旨の規定が置かれておりますように、日米間の安全保障にかかわる条約において、このようなことを確認するのは例があることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/36
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037・浜田靖一
○浜田(靖)委員 ありがとうございました。
今回のこのACSAも含めて、我々が考えなければならないのは、この日米安保関係において、我々がしっかりと日米関係を強固なものにしていくということが大変重要なことであろうと思うわけでございますし、当然のごとくこれに関連をしてガイドラインの見直し等もあるわけでございます。
このACSAの協定の中にも、私がこれから本当は質問しなければいけないことが多少あるわけでありますが、しかしながら、時間の方が大変少なくなっておりますので、また、他の先生方が御質問になられると思いますが、この中には、確かにいわゆる武器輸出三原則の問題とか後方支援の問題、それから有事の適用等、いろいろ問題はあるわけでございます。ただ、もう時間がございませんので、私は、今回あえてこれには触れないで、他の議員にお任せをしたいと思うわけであります。
とかく我々は、この日本の国の防衛とか安全保障に対する考え方というのが、どうもついつい日米安保だけにとらわれて、なかなか世界に目が向かないところもあるわけです。逆に言うと、日本はアメリカに何ができるのかということがついつい頭の先に残ってしまって、それではアメリカは日本に対して何をしてくれるのか、今回のこのACSAに関して言えば、お互い対等な部分で協定を結んで相互に理解を深めて、今後、お互いの信頼醸成を深めながら実際に実のある相互運用を図っていこうということがこの協定の意味だと思うわけでございます。
とすれば、必然的に我々がやっていかなければならないことは一つでございまして、安全保障も確かに、この言葉も難しいわけでありますが、国民の皆さん方には危機管理と言えば非常にわかりがいいと思うわけでありまして、もしも何か事があったときにいかなる責任を政府がとれるのか。また、この国会で議論が行われて、そういうものに対してもどんどん議論を深めていくということが非常に重要なことだろうと思うわけであります。
ここ数年の間にいろいろな政治の世界の変革もございました。その中で、この安全保障のお話、危機管理のお話というのは大変自由な論議ができるようになったわけでございまして、そういう意味では、大変なチャンスがここに到来をしたと私は思うのであります。
ぜひともこれを機会に、我々が今まで言ってはならなかったこと、そしてまた、タブーはないはずでありますが、しかしながら、いまだにそのタブーが存在をしているわけでございまして、我々はそのタブーを打ち破って、本当の意味で安全保障、危機管理というものを考えていくべきだろうと私は思うのであります。
その意味においては、着々と両省庁の皆さん方が積み上げてくださっておる議論があるわけでございますので、私たちもそれを十二分に理解をした上で今後も議論を深めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
とかく、ここのところの国民の皆さん方の感じを見ておりますと、確かに阪神・淡路の大震災があって、危機管理の問題等も大変叫ばれるようになりました。しかしながら、これは政府としてしっかりとしたマニュアルがあってこれに対応する、どなたが総理大臣になられてもそれに対応できる、そして、いろいろな対処の方法がそこに存在をする、それを持っておることが一番安心な状態であるわけであります。
まさにこの危機管理というのは、安全保障の世界でも同じことが言えると私は思うのでありまして、その意味では、なければいいけれども、あった場合はどうするのか。あったときに、いや、それは考えてなかった、ごめんなさいと謝って済む問題ではない。
私は、政府の皆さん方、これまで歴代の総理大臣の方々はよくやってこられたなと思うわけでございます。というのは、いざというときのマニュアルが何もなくて、今まで何もなかったからよかった。しかしながら、あった場合には一体全体どのように対処していいかわからないという状況で、今日、世界の冷戦構造が終わった中で、小さな部分ではいろいろな問題が起きる可能性があるわけであります。
その意味では、今後、本当に我々は切実にそのマニュアルづくり、いわゆる有事法制、これは我々は別に戦争をやろうと思ってそれをやるわけではなくて、いざというときのための保障としてここにマニュアルをつくっておく必要があるのだろうと私は思うのであります。
その点に関してはいろいろな御意見の方がいらっしゃるかもしれませんけれども、我々が勇気を持って議論をして、率直にその部分に踏み込んでいかない限り、本当の意味での安全保障というものを国民の皆様方に御理解をしていただくのは無理のような気がするわけであります。
私の時間もそろそろなくなってまいりまして、今大演説をしてしまいましたので時間がなくなりましたけれども、ここでその点について両大臣に一言ずつコメントをいただいて、私の質問を終了させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/37
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038・臼井日出男
○臼井国務大臣 今委員御指摘のとおり、このACSA法案というのは、何かあった際に我が方から米軍に対して支援をする、この場合はもちろん有事の際ということではなくて共同訓練等々でございますが、我が方からの供与、提供というふうなことに見られがちでございますが、先ほど委員がお話しいただきましたとおり、現在、私どもPKOでもって遠隔の地まで出ておりますが、そうした際には、まさに米軍から物品・役務等を提供していただく。こういう機会がないことを願うわけでございますが、あるかもしれない。
そういう意味におきまして、今まで油等の提供について慣例的に行われてきたものを、お互いに提供できるように明確化したということは、将来の我が国の安全の確保のために大変意義深い、こう考えているわけでございまして、今後ともこれらの取り決められましたことを一つ一つ誠実に実施していくように努力をいたしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/38
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039・池田行彦
○池田国務大臣 委員御指摘のように、我々の生命財産あるいは生活を脅かすようないろいろな事態があり得ると思います。そういったものを危機と呼ぶならば、我が国がいわゆる戦乱の状態に置かれたというのは危機の最たるものかと思うわけでございます。
そういったいろいろな危機的な状態に対してどういうふうに対処するかということは、我々として、また国として当然考えておかなくてはならないことでございます。だれしもそういうことを望まないわけでございますけれども、望まないからそういった場合に対応しなくていいということではございませんので、これはきちんとやってまいらなければいけないと思っております。
もとより、我が国はあくまで平和に徹していくという道を歩んできたわけでございますし、そういった憲法を持っておるわけでございます。そういったことを踏まえながら、しかし、我が国がいかにみずからは平和に徹すると申しましても、やはり危機的な状態に立ち至らされる可能性はなしといたしませんので、そういった点についてはいろいろ検討もし、対応をしてまいりたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/39
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040・浜田靖一
○浜田(靖)委員 どうもありがとうございました。松岡委員長の初めての委員会でこのような時間をたくさんいただきまして、質問させていただきまして本当にありがとうございました。
今後とも、安全保障委員会で本当に真摯な気持ちでそういった議論を重ねていくことが大変重要だと思いますので、我々も一緒に頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/40
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041・松岡滿壽男
○松岡委員長 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/41
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042・大出俊
○大出委員 昨晩連絡をいただきまして、きょう質疑をやる、こういうお話でございましたので、代役を引き受けることにいたしました。
時間がなくなるといけませんので。池田外務大臣、大体最後までおいでになると思うのですけれども、私の方の時間がなくなる可能性がありますので、外務大臣、きょうは随分忙しい一日だったのだろうと思うのです。昨晩からけさにかけて新聞あるいはニュースにいろいろなことが載っておりますので、いろいろな質問が出ておったのだろうと思う。これもその中の一つだと思いますけれども、最初に承っておきたい。
一昨年十一月の時期に、私が調べた資料などを読みますと、START協定ができて以来、ソビエトは核ミサイルを減らしている状況ですね。ICBM、SLBM、航空機搭載用の核は、アメリカもソビエトも八千台なのです。誤差はありますけれども、ソビエトの方が五、六百発多い数字でございます。
今、ミサイル防衛計画、アメリカのTHAADミサイルについて、これは延期したのですね、ペリーの記者会見で。そのときに、START条約の批准という問題があるので、つまり、あのときの交渉の中身からすると、迎撃ミサイルをつくること自体を抑制すべきである、そういうふうになっていますから、そういう意味で延期した。それによってソビエト側の批准も早くなってうまくいくのではないかという見方をみんながした。そういう時期があるのです。
そういう意味で、この際、START協定をめぐるソビエトの批准の状況、核ミサイルの処理の状況、電話でお願いしておいたのですが、わかればお知らせをいただきたい。
あわせて、けさの新聞にございますが、これはソビエトではありませんでロシアでございますが、ロシア軍の潜水艦弾道ミサイルの処理に処理費を十億円拠出する、日本が。この問題につきまして、ウラジオストクに処理施設その他をつくる云々というのが前からあるわけでございますが、前に百億なんて言っていましたから、その内訳になるのだろうと思うのです、この十億円というのは。そこらも含めて、これは今後どういうふうに扱っておいでになるのか、将来質問をしたいと思っておる問題もございますので、お答えおきいただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/42
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043・池田行彦
○池田国務大臣 まず、後の方の御質問の点でございますけれども、御承知のとおり、旧ソ連の時代に、核物質の処理に我が国として協力をするということで、たしか一千万ドル、当時の金額で百十七億円ということを取り決めをしたと思います。
その後、ソ連が崩壊いたしまして複数の国家に分かれたものでございますから、ロシアのほかにウクライナその他の国も対象にしたわけでございますが、たしか一千万ドル相当のうちの七〇%をロシアに割り当てる。そして、具体的には今御指摘のございました原子力潜水艦の解体、核の関係をどうするかといった問題等、四つの分野にわたってこれを割り振りましていろいろ事業を進めていると存じます。
そして、今御指摘の点は、たしかかなりその作業が進んでおりまして、今処理施設をつくるという方向で米国の技術指導のもとにロシアでいろいろ設計といいましょうか、そういう段階に至っていると思うのでございますけれども、その大枠が決まりましたら具体的な我が方としての協力が進んでいくことになると思います。
なお、詳細は、私も今ちょっと御通告を存じませんでしたのでこの程度しか申し上げられませんけれども、必要ならば政府委員から答弁させます。
それから、その前の御質問でございますけれども、これは委員御指摘のとおり、今、米ロ間の相互の核軍縮の作業といいましょうか、そのプロセスは着々と進んでおるわけでございまして、そういったプロセスがさらに進んでいくことを期待しているわけでございます。
具体的に、先ほどの御指摘といわゆるTMD等々の関係につきましては、私余り不正確なお答えをしてはなんでございますので、恐縮でございますが、政府委員から答弁させていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/43
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044・河村武和
○河村(武)政府委員 まず、ロシアの核の数字について、私たちが把握しております公表資料に従いまして御説明させていただきたいと思います。
本年一月現在でございますけれども、いわゆる旧ソ連四カ国全部を含めまして、SLBMに配備されているものが二千五百二十、ICBMに配備されております弾頭が五千百八十一、核搭載航空機に配備されておりますのが九百二十四、合計八千六百二十五という数字を私たちは公表資料から得ております。
STARTのIが発効いたしましたのが九四年十二月でございましたけれども、そのときの数字は、総体だけで申しますと九千四百二十八の核弾頭が配備されておった、こういうことでございます。
それから、第二点目のいわゆる旧ソ連の核兵器解体の関係でございますけれども、先ほど大臣百十七億円と言われました。ドルにしますと一億ドルでございますけれども、これを四カ国に分けまして、ロシアにつきましてはそのうちの七〇%を提供する、こういうことにいたしました。
ロシアと随時話し合いをしてきておるわけでございますけれども、話し合いの中で大体四つのプロジェクトにこのお金を充てようか、こういうことでございます。
一つは液体放射性廃棄物貯蔵処理施設の建設ということでございまして、これは極東における液体放射性廃棄物の海洋投棄を防止するために貯蔵処理施設を建設するということでございますが、ことしの一月に建設のための契約が署名されまして、本年中の施設の建設に向けて詳細な設計を行い、必要な資機材を調達中、これが現実に非常に進んでいる一つのプロジェクトでございます。
そのほかに三つございまして、一つは核物質貯蔵施設の建設ということでございます。核兵器の解体から生じます核物質を長期貯蔵する施設をアメリカ、ロシア、日本、三カ国の協力で建設しようかという話が進んでおりますけれども、先ほど大臣からも申しましたとおり、ロシアが設計を今行っておりますので、この設計の大枠が固まりました時点で三カ国間で役割分担を協議したい、このように考えております。
残る二つでございますけれども、一つはミサイル液体燃料の処理ということでございまして、特に極東にございます潜水艦発射弾道ミサイル、いわゆるSLBMの解体から生じます液体燃料、この液体燃料の処理を支援するためこ、液体燃料の一時保管とか輸送のためのコンテナという機材等を供与するということで話をしておりますけれども、実施のための具体的な枠組みについて協議しているということでございます。
それから最後に、緊急事態対処のための機材の供与ということを従来から話しておりますけれども、これは核弾頭を解体しました場所から貯蔵施設に移送する際に事故が発生するおそれがあるということでございますので、こういう場合に備えまして、無線機でありますとか放射線測定器等の機材を供与するということで日ロ間で協議している、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/44
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045・大出俊
○大出委員 これは廃棄物の海洋投棄などを何回かやっていますからね、ソビエトの時代に。ロシアになってもこの前一遍ありまして、これは、あるところで私はそれだけはやめてくれと言ったことがあるのです。
そういう意味では、原子力潜水艦の廃棄物の共同処理、ウラジオストク等に施設をつくって共同処理をやるという方向に進む、私はこれは非常に画期的なことだという気がいたしまして、国際的な協力をし合うという一つの大きな例ができる。そういう意味で、きちっと承っておいてと思ったものですからお聞きしたわけでございます。ぜひひとつこれは金がかかっても進めていただきたい。旧ソビエトの八割の核がロシアでございまして、そういう意味で、計数も全部調べてありますけれども、ぜひ御努力願いたいとお願いをしておきたいと存じます。
もう一つ外務大臣に承っておきたいのは、これは皆さん承知していないとか答えられないとおっしゃるのかもしらぬと思うのですけれども、北京の大使館にAさんという方が、沖縄出身の方、日本に九歳までいた方ですが……。
実は私は、昔の話ですが、昭和三十三年に、当時総評という労働組合のナショナルセンター華やかな時代に筆頭副議長をやっていまして、第六次帰国船を北朝鮮の清津の港で迎えて、一次、二次、三次、四次、五次とお帰りになった方の調査をしてくるという使命をいただきまして、中国の安東から汽車で新義州に入りまして清津で帰国船を迎えて、五次までお帰りになった方、端からずっと歩いて生活状況その他を調べた時期がある。新潟から送った桜の苗木を五十本、大同江のこっちの公園に記念に植えてきたわけなんですけれども、その調査をいろいろやったときに、驚くようなことがあるのですね。相当な方々が北に帰っているのですね、帰国船で。
ですから、この種のことが起こってきても全く不思議でない、これを見ましてとっさにそういう気がしました。だから、いまだに私はその時代の知り合いがございます。いろいろなことを聞いています。したがって、この種のことがまた何かの機会に起こりかねないという気がするのですよ、今の状況の中で。
その場合に、これは立場が違えば見方が違うのだけれども、北にすれば、日本の大使館に駆け込んだのを韓国へというのは余りうれしくないのでしょうな。日本の大使館に駆け込んだらそれを韓国にというのは、北からすれば余りうれしいことではないかもしれない。これは推測ですがね。
日本はそういう亡命というのは引き受けないということになっている。そこのところを外務大臣に、亡命を申し出てきた人たちがいた場合に日本はそれはお断りをする。その理由、過去の例が全くないか、そこのところをちょっと一言、どなたか専門家の方で結構ですが、答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/45
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046・池田行彦
○池田国務大臣 まず、先ほどの答弁で、円ドルの換算をとんでもない、一けた大きく間違えまして失礼いたしました。
さて、ただいまの御質問でございますけれども、今回の事件と申しましょうか出来事は、五月七日に北朝鮮の科学者であるという人物が北京にございます我が国の大使館を訪ねてまいりまして、韓国への亡命の意図を表明した、こういうことがございました。
そして、現在、その人物は第三国と申しましょうか、要するに日本、中国、韓国、北朝鮮以外の地域に滞在している、このように承知しております。そういったことでございますので、これは我が国への亡命を求めたというケースではないわけでございます。
しかし、今委員御指摘のとおり、あのような状況の北朝鮮のことでございます。それで、現に各地でいろいろ亡命の動きが出ておることでございますので、将来いろいろなことも起こる可能性は排除できないと思うわけでございます。
ただ、そういったときに一体どう対応するか、これは予断を持って申し上げるわけにはいかぬわけでございますけれども、我が国にもし、これは北朝鮮からというわけじゃございません、いずれの国からにしろ、亡命を求めてきた者がある場合にどう対応するかということでございますが、これは法務省の管轄でございます出入国管理法、そして難民の関係の法律がございますが、これで対応することになっておりまして、これまでの運用では、私の承知しておりますところでは、すべてこれはノーというわけじゃございません。やはりその者の置かれている状況とか、それから我が国のナショナルインタレストの関連をどう考えるか、もろもろの状況を勘案いたしまして判断していく、こういう取り扱いになっておると思います。
ただ、これまでの取り扱いでは、我が国におります外国人の亡命の要請に対してただいま申しましたような運用になっておるわけでございますが、在外でそういうことが起こりました場合には、今申したような取り扱いには必ずしもなっていないようでございますので、これからどういうふうに対応してまいりますか、これはやはり関係の省庁ともよく研究はしていかなくてはいけないことだ、こう思っております。
これもあってほしくない話ではございますが、だからそういったことは忘れておくというわけにはまいりませんので、委員の御指摘も踏まえまして、今後適切に対応できるようにしてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/46
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047・大出俊
○大出委員 これは我が党で最近よく使われる言葉の中に、何か韓半島有事みたいな想定をして難民対策というようなことをおっしゃるのだけれども、これは言葉の使い方は非常に難しいのです。難民条約というきちっとした条約があって、この前国内法も改正したのだから、改めてこの種の方――難民というのは、震災に遭ったからといって難民じゃないのだ、戦争があって逃げるというのは難民条約上の難民じゃないのだ、これはきちっと整理されているのだから、日本も対応を改めて考える時期だろうというふうに思っているものですから、御検討を願いたいという意味のことを申し上げたということなんです。これは御承知おき願いたいと思っております。後でまたこの問題はお聞きする機会があると思うのであります。
そこで、もう一つここで承っておきたいのですが、きょうは余り時間を急がずに聞いておりますのであれですが、例の日米防衛協力ガイドラインについて日米間で話し合いをなさる。昨晩、けさの新聞にいっぱい出ているわけでございますが、このいろいろな解説を読んでみますと、焦点になっているのは、ずばり申し上げるけれども北朝鮮有事なんですよ。それが、新聞などでもそうですが、全部表に出ているわけですね。
日本とアメリカの間のいろいろなやりとりの中で、かつて、十八年前はソビエトだった。今は、そうじゃない、地域紛争が多発しているのだが、何かあったら朝鮮半島なんだ、そういうことなんです。
もちろん、これは、マルタ会談で冷戦終結を米ソが宣言をした。その前にベルリンの壁が破られている。年を越えて、アメリカのチェイニー国防長官が冷戦終結後の新しい方針をぴしっと出したわけです。ここから冷戦後のアメリカの方針が始まるわけです。
ここで問題は、北の問題をしきりに言うけれども、それを利用した物の考え方はやめてもらいたいと私は思っているのですよ、アメリカにも。前にアメリカへ行ってさんざん言ったこともあるのです、チャールズ・フリーマンさんなんかには。つまり、そういう考え方でなく、もっと冷徹に進めてもらいたいと。
そういう意味で言うと、アメリカとの間でガイドライン問題、防衛協力問題の話をこれから始めましょう、クリントン・橋本龍太郎会談があったのだからと、こうなんですね。その中心に出てくるのですね、北朝鮮が。
それなら、一体、北の今の状況をどういうふうに外務大臣率いる外務省は見ておいでになるのか、臼井長官率いる防衛庁は、軍事問題という面で北をどういうふうに見ておられるのか。これは実は重大な問題なのですよ、焦点に据える限りは。いいかげんでは済まないのです。これはアメリカの方針が変わったら変わりましたでは済まないのです。
そこで、不思議なことがある。長い私の経験からすると、一月から三月にかけまして必ず出てくるのです、アメリカの在韓米軍司令官、この司令部周辺、もう一つはアメリカの中央情報局、CIAが。CIAの長官が韓国へ行って在韓米軍司令官と何々をしたとか一月に出てきまして、途端に北の話が出てきて、軍事的に危険だとかなんとか、やれ崩壊――崩壊なんというのは今に始まったのじゃないですよ。これは今まで何回も出てきている。それが今度は、アメリカ議会筋にそういう形のレポートが入れられていく、議会の聴聞会なんかにどんどん出てくる。必ずこういうことになる。これが繰り返されているのです。
そうすると、不思議なことが起こっているのは、皆さん御存じのように、板門店の停戦ラインをオーバーして北朝鮮の武装兵士が入っていかれた。今のは四月五日ですけれども、その前の三月二十九日に、金光鎮さんというのでしょうね、北朝鮮の第一国防次官、戦争は不可避で、休戦ラインのこれ以上の維持は困難で、朝鮮半島の平和協定交渉、これは停戦協定だけですからね、平和協定交渉を当事者の米国と北朝鮮が開始すべきときだ、これは三月二十九日にこう言った。越えて四月になったら停戦ラインに武装兵士が入ってきた、こういうことなんです。
ところが、大変な緊張状態だと日本の新聞も書いたのだけれども、このときに、つまり警戒態勢のグレードを上げたのは韓国だけなんです。韓国軍だけなんです。アメリカは何もしない。議会で十何人以下の人が質問しているが、そういうことは絶対ない、そういう心配は全くないという答弁で終始一貫、アメリカは。韓国だけは警戒態勢のグレードを一つ最高に上げていった。こういう状況ですよ。アメリカは一つも驚いていないですね。
この大きなギャップを皆さんは一体どういうふうに見ているのか。崩壊説が出てくると大騒ぎになるが、どうごらんになっているのかという点を、ここで外務大臣、防衛庁長官、お二人から聞いておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/47
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048・池田行彦
○池田国務大臣 まず、ガイドラインの見直しについて、このところ新聞がいろいろ報道している。それは私も承知しておりますけれども、報道のように我が国の政府あるいは米側が考えておるか、あるいはそういうふうなことで例えばこの間の会合は進んでおるかというと、必ずしもそうではないということをまず申し上げておきたいと思います。
ただ、大出委員はもうとっくに御承知のことでございますけれども、現在ございますがイドラインというのが、いわゆる第一項目と第二項目で、第三項目の極東有事に関する部分はないということがございます。したがいまして、今始めようとしておりますがイドラインの作業というのは、第一項、第二項につきましても、その後の情勢の変化に伴う見直しはいたしますが、極東有事の関係についてもやろうということでございます。
しかし、だからといって、これは北朝鮮あるいはどこか特定の地域における事態というものを前提にして考えているというものではないということはまず申し上げておきたいと存じます。
それにいたしましても、北朝鮮の情勢、いろいろ困難な情勢のようでございます。それをどういうふうに外務省として見ているかということでございますが、まず私ども、経済、社会の状況につきましては、これは非常に困難な状況にあると思います。昨年は特に異常気象に基づく大水害というようなこともございまして、その事態がさらに苦しくなりましたけれども、そういうことがないとしても、非常に経済の運営が失敗したと申しますか、うまくいきませんで、基本的に国民のニーズにこたえるような姿になっていない、特に食糧の問題で。
それからエネルギーの問題も、かつてのように、かつてのソ連あるいは中国あたりから十分な供給を受けられるというような情勢でなくなりました。現在では、中国から若干の、少量の支援はあるようでございますけれども、必ずしも十分でないということもございまして、大変苦しい経済的な事情にあるというのは、そのとおりだと思います。
ただ、例えば食糧についても、どの程度不足するかというのは、これは見方が随分違いまして、これは何とも言えないところでございます。それからまた、これは見る人間によって違いまして、例えば、私どもは米国人と話してみますと、米国の方というのは少なくとも窮乏した経験がございませんから、これは大変だ、もうもたないと考えるわけでございますが、私は委員よりは大分年下ではございますが、戦中から戦後にかけての強烈な飢餓の経験、記憶は鮮明でございますので、またそういった状態の中でもいかに耐えてきたかということも覚えておりますので、厳しい状態ではあるけれども、今直ちに本当にカタストロフィーと申しましょうか、破局的な状況になるとまではまだ言い切れないのではないか、こう思っております。
それから政治の面でございますが、金正日書記が今最高の指導者ということになっております。しかしながら、今、形の上での地位といたしましては、軍の最高の地位にはついておりますけれども、政府あるいは党の方は、まだそこには公式についていないわけでございます。そういうこともいろいろございますけれども、全体として見るならば、今、やはり金正日書記、そしてまた、それを取り巻く勢力が一応諸権力あるいは政治的な指導権を掌握しているのではないか、こう思っております。少なくとも、いろいろな困難な状態はありますけれども、今、この体制に対抗し得るような他の勢力があの国内で出てきているということは言えない、こう思うわけでございます。
それから、軍事情勢につきましては、これは防衛庁長官から御答弁いただくのが至当だと存じますので、私はあれこれ申しませんけれども、ただ、委員御指摘になりましたように、この三月から四月にかけていろいろな発言がございましたり、あるいは板門店その他の場所でもいろいろな北朝鮮側の行動がございましたけれども、その意図は一体何かということについてはいろいろな見方がございましたけれども、これは基本的には、北朝鮮が他の国と、つまりは韓国との関係、あるいは米国との関係、あるいは日本との関係、中国との関係で、いろいろな交渉をやりたい、あるいはやりたくない、そういった交渉を行う場合のバーゲニングパートと申しましょうか、その地位を有利にするためといった意図が一番強かったのではないかと思います。
そういった意味で、委員も御指摘になりましたけれども、米側では北朝鮮の状態について、いろいろなことがございましたけれども、米当局者の方ではあの三月末から四月にかけての情勢について余り際立った対処といいましょうか対応をとらなかったということがあるのじゃないかと考える次第でございます。
最後に、我が国の政府あるいは外務省として北朝鮮との関係をどう進めるかということでございますが、我が国は北朝鮮との関係が不正常な状態のままでございます。これを正常化しなくてはいけないということは、これは当然でございます。
それから、一方におきまして、我が国の安全の観点から申しましても、朝鮮半島情勢の安定というのは、これは極めて重要なことでございますから、何とかあの半島情勢が安定化に向かうことを期待しております。
そのためには、いろいろなことがございますが、中心はやはり南北間の対話を通じての努力であろうと思います。そして、当面の事柄として申しますと、これも委員御指摘のように、現在の状態は、北朝鮮と国連軍、あるいはそれに参加していました米国との間では少なくとも停戦の状態でございまして、最終的な戦争の終結、平和協定には至っていないわけでございますから、これをという話が北からもあるわけでございますけれども、この点につきましては、先般、四月の半ばに行われましたクリントン米大統領と金泳三韓国大統領との会談の際に、両大統領の共同提案として、米韓、そして北朝鮮と中国の四者協議を進めていこうという話がありまして、今それを呼びかけておるわけでございますが、今北朝鮮が、まだこれは拒否はしておりませんけれども、これを受け入れるかどうかということは未確定の状態でございます。
我が国といたしましては、当面は、ともかくこの四者協議に北朝鮮の参加を促し、そこから安定化の道が開けていくことを期待しております。そしてまた、その後の状況の変化いかんによりましては、先ほど申しましたように、我が国としても関係の正常化あるいは半島の安定を求めるという見地からいろいろな面で対応していく。その中には北朝鮮と直接話していくこともあろうと思いますけれども、少なくとも、当面は、四者協議を何とか動かす情勢に持っていくということで、米韓とも緊密に連絡をとりながら対応していこう、こういう姿勢を持しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/48
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049・臼井日出男
○臼井国務大臣 質問にお答えをする前に、先ほど委員お話ございましたが、私どもガイドラインを新しくつくり直す、これにつきましては、特定の国を対象として行うものでないということだけはお話をさせていただきたいと思います。
委員御指摘の、北朝鮮側で停戦協定を維持できない、こういう発言があったことは承知をいたしておりますが、これがいかなる目的でそうした発言になったかということは、私は実は余り承知をしておらないわけでございます。
しかしながら、昨年来、北朝鮮が、経済状態あるいは食糧事情が極めて厳しい中にもかかわらず、軍備に対して極めて強い維持発展に努めているということは事実でございまして、昨年も通常の軍の動きでない幾つかの動きが我々側にもわかっているような状況でございます。
こうした状況ではございますが、米側といたしましては、ああした発言があったにもかかわらずウォッチレベルを上げなかったというのは、実態として大きな動きというものは見られなかったがゆえにウォッチレベルを上げなかった、こういうふうに私どもは理解をしております。
先般も私が訪ロをいたしました際に、グラチョフ国防大臣と会談をした際に、グラチョフ国防大臣もああした際に米側がウォッチレベルを上げなかったということを評価をするという発言をいたしております。
いずれにいたしましても、こうした緊張状態が一日も早く解消されまして、DMZ周辺が安定をする、平和協定のもとで安定をするということを私どもは期待をいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/49
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050・大出俊
○大出委員 皆さんがガイドラインの見直し問題の中で朝鮮の問題を取り上げていると言ったのは、新聞にと私は申し上げているのです。ここにもございますけれども、麗々とこんなに書いているのですよ、新聞に。
池田さんが言うようなことならば、どこを対象になんて一切考えていないというのだったらば、マスコミの皆さんに、君たち、そんなにあおるなよ、けしからぬじゃないかと言わなければいかぬですよ、両大臣で。そうでしょう。それを逆に、どうも味方みたいにお考えになっていたのではまずいのです。そんなことじゃないんだというようなことならば、そうおっしゃったらいい。これだけ大きく載せられると、一体、北をどう考えているんだと改めて聞いてみる気になるわけでございます。
長くなり過ぎることは避けたいと思うのですが、ここで申し上げたいことはいっぱいあるのですけれども、本題は自衛隊法の改正でございますから、これは外務大臣にも防衛庁長官にも、将来法律がひとり歩きされては困るので、きちっと物を申し上げておく必要がある。時間がたくさんはありませんから、幾つかの点に限られると思うのですけれども。
そこで、今の次官、村田防衛次官、こんな勝手なことを言われては困る。これもまた新聞記事だと言うかもしらぬけれども、これを見ると、幾つかの新聞がみんな同じように書いている。
ACSA、皆さんACSAと言っているんだけれども、これは後で聞きますけれども、私はこの表現を使わないことにしているのです。
今回の物品役務相互提供協定で、次官が「有事、平時とは言っていない」。確かに有事とも平時とも言っていない。「現実に起こらないとわからない」。これはとりようによっては、共同訓練以下じゃないんだよ、有事のときにひょっとすればと言わんばかりにとれる。それから、日本有事のみならず、極東有事の際の日米共同訓練時に自衛隊が米軍に対して燃料提供といった後方支援を実施する可能性があることを示唆した。
これは、目下私は野党じゃないものだから防衛庁の責任ある方に物を言いにくいけれども、直接表に出したくないからベトナム戦争のときの例を挙げて、有事なんか起こりはしないけれども、五十年間起こらないものは起こりはせぬけれども、有事だというときに演習をやろう、物品役務提供協定をフルに使って全部日本側から差し上げた、そうしたら韓半島へ戦争に行った、そういうふうにすりかえて物を使われるということはという話をしたら、根本的にそんなことは初めから考えておりませんというお答えが返ってきた。私はそうだと思うのですよ、その衝に当たっておやりになった方々の気持ちは。外務省の審議官にしても、防衛庁の審議官にしても、これはそうだと思うのです。
そこで、これを見ると、まだほかにも物を言っているのですね。「共同訓練への対応は日本の判断だ」と次官が言った。対応は日本の判断だと言ったということになると、何か起こったときに、訓練といって渡す、これは日本の判断だ、こうなるのです。こういういいかげんなことを言われては困る。
なぜかという理由を申し上げますが、私も、この問題については随分長い間勉強もさせられた。きのう、きょうじゃないのです。
ここに、七年ちょっと前、一九八八年三月十五日にアメリカの上院の軍事委員会で公聴会が開かれまして、当時のヘイズ太平洋軍司令官が、特にNATOの相互支援法――アメリカ流に言えば、これは後方支援じゃないのですよ、ロジスティックスなんですよ。NATOロジスティックスサポートなんですよ、どれを見ても。それは、みんな戦争をする軍隊を持っている国だから、後方支援なんて言っていないですよ。兵たん支援なんですね、兵たんの中に全部入っておるわけですから。カンボジアのときにマニュアルが出てきた。日本だけは後方支援と言ったけれども、あのマニュアルは兵たん支援、ロジスティックスなんです。ただ、NATO兵たん支援法を改正したときに、NATO以外に拡大をした。しかし、NATOという名前を消さなかったということで、専門家は、この表題に相互兵たん支援法と補給品役務融通協定と書いているのです。
このヘイズさんが何を言ったかというと、特にNATO相互支援法の日本への適用拡大の意義について次のように証言をしているんですね。この中身によると、NATOの相互支援法の日本への適用拡大につき重要な進展が図られつつある、今、日米間で。現在、協定締結のための話し合いが進行中であり、この協定の締結により、我々はお互いの兵たん面における相互運用性を、これが問題なんですが、賢明なやり方で、つまり、お互いに国内法がある、アメリカにも兵たん支援法という法律がある、日本に日本国憲法があるのはわかっているわけですから、そういう立場をお互いが持っているけれども、お互いが賢明な判断をして何とか結ぶ努力を続けている、非常に意義があることだと議会で証言している。
今回の問題も同じことが言えるのですよ。交渉の経過はそれなりに耳にしていますが、やはり制約があることははっきりしている。今のヘイズさんの証言が七年前ですよ。だから、私もこれは随分長いこと取り組んできているわけです。そういう意味で、お互いに制約があることを、与党の中もそうですよ、池田さんのところと私どもとの間にいろいろなものがあるのは私もわかっている。そういう中でどうまとめるかということで、ヘイズさんのおっしゃるとおり、賢明な判断をお互いがしてまとめる努力をしていると言っているとおりに、やっとまとめたわけです、真っ正面からけろという意見がうちの中にはたくさんあったけれども。
だから、そこのところは、せっかくまとめた上に立って、次官たる方が勝手なことを言ってはいかぬですよ。そのお互いの努力というものをきちっと認めて物を言う気になってくれぬと、将来もあることだから。そんな村田さんみたいなことを言っていると、一つ間違ったら――池田さんが去年の暮れに、三党防衛調整会議で、私が座長なんだけれども、あなたは怒って飛び出しちゃったけれども、そういうことでは困るので、ぜひそこのところは、防衛庁長官、次官に言っておいてくださいよ。みんなお互いが努力して、苦労してまとめているのに、勝手にこんなことを言ってはいかぬじゃないかと言っておいてくれないといかぬ、こう思うのです。
それで、さっき私はあえてACSAと言わないと言っている意味は、この協定にちゃんと書いてありますけれども、条文が違うのですよ。これは二千三百四十一条と二千三百四十二条というふうに、二つは別なのです。片っ方がアクイジション、一方的にいただきますという協定です。片っ方がクロス・サービシング・アグリーメント、つまり、これは相互の義務、権利があるということです。二つになっておるわけですから、分けた結び方をアメリカもしているわけですよ。そのために、これを一生懸命やっている国会図書館の専門家がおいでになりますが、この専門家の書いているものを見ても、この専門家が米側の資料をずっと見てみたけれども略称ACSAという形で使われている略語は見当たらなかった、アメリカにはないと言う。日本流にACSAというふうなまとめ方をした略語は、アメリカの公式な文書にはない。ないものを日本だけ使ったっておかしな話になるので、そこらはきちっとすべきものはしておかなければいかぬというふうに思っているということだけつけ加えておきます。
さて、中身ですが、非常に大きな問題は協定の方にある。この協定は外務大臣の所管だと思いますけれども、協定の第一条は、「この協定において、「後方支援、物品又は役務」とは、後方支援において提供される物品又は役務をいう。」。そして一条の二、これがこの問題の唯一絶対の条件ですけれども、「この協定は、共同訓練、国際連合平和維持活動又は人道的な国際救援活動に必要な後方支援、物品又は役務の日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における相互の提供に関する基本的な条件を定めることを目的とする。」、つまり共同訓練、国連平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要な後方支援、物品または役務の提供なんですよということを協定にきちっとうたっているわけです。これ以外のものではない。間違いないでしょうね。村田さんみたいなことを言う人が出てくるから、これ以外のものはあるはずがないので、何か別にあるならあれだけれども、外務省所管だが、ないでしょうな。これでいいのでしょうな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/50
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051・池田行彦
○池田国務大臣 ただいま委員御指摘のとおり、この協定の第一条第二項に書いてございますように、この協定は、共同訓練、国際連合平和維持活動または人道的な国際救援活動に必要な後方支援、物品または役務の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における相互の提供に関するものでございまして、対象はこれに限定されるわけでございます。ほかのものはございません。これは英文の正文で見ましても、日本文の正文で見ましても、変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/51
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052・大出俊
○大出委員 この五のところに「この協定に基づくアメリカ合衆国軍隊による後方支援、物品又は役務の提供は、合衆国法典第十編第百三十八章により与えられた権限に基づいて行われる。」、つまり今の権限ですね。このアメリカ合衆国法典、USC、同法は全部で十一条から成る。この合衆国法典第十編の百三十八章の中に、二千三百四十一条から二千三百五十条まで条文が組まれている。さっき私が二つ挙げましたが、きちっとしているのです。そこに基づいてこの協定が結ばれて、アメリカの現行法がこれをサポートしているわけですから、アメリカも承知なんです。その上で、共同訓練、国際連合平和維持活動、そして人道的な国際救援活動というふうに限定していることを承知で結んでいるということなんですから、これ以外にあるはずがない。そこのところを明確にしておいていただきたい。今のは池田さんに御答弁いただきましたから、再答弁はいただきません。
もう一つ大きな問題は、この第二条の二のところ、「この条の規定に基づいて提供される後方支援、物品又は役務は、次に掲げる区分に係るものとする。」という中で、たくさんございますけれども、「部品」という項目がある。この「部品」の中には武器部品を含むということになる。そして、第六条は、「この協定に基づいて提供される後方支援、物品又は役務については、提供当事国政府の書面による事前の同意を得ないで、一時的であれ又は永続的であれ、いかなる手段によっても受領当事国政府の部隊」、共同演習の相手国であるアメリカ軍、あるいはPKOで一緒にやっているアメリカ軍、あるいは人道的な国際救援活動でも一緒になったとすればアメリカ軍ということに限られているわけです。「受領当事国政府の部隊以外の者に移転してはならない。」と明確になっているわけです。
ここで問題は、アメリカ軍に対して共同演習で必要になるであろう武器の部品。武器部品というのは、何と何と何か、どういう想定か。
これは後の方の一覧表にあることはあるのですが、「付表」というところがございます。「付表」に「部品・構成品」というのがございます。「付表」に区分がずっと並んでいますが、「部品・構成品」の中に「軍用航空機、軍用車両及び軍用船舶の部品又は構成品並びにこれらに類するもの」となっているのです。つまり、ここで言う「部品」とは、この「付表」に言うこれを指すという理解でいいかというところを確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/52
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053・池田行彦
○池田国務大臣 委員御指摘のとおり、二条第二項に申します「部品」あるいは「構成品」でございますが、これは「付表」にございます「軍用航空機、軍用車両及び軍用船舶の部品又は構成品並びにこれらに類するもの」、これを指すわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/53
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054・大出俊
○大出委員 そこで、武器でございますから、輸出貿易管理令であるとか関連法規がございます。そこらのこともございますが、これをどうするかということなんです。
そこで、当時、外務省の側から御提案をいただいておりましたのは、武器輸出三原則を適用除外したいということなんです。武器輸出三原則を適用しない扱いができないかということです。なぜならば、米軍ですからね。これは先例がないわけではない。
どういう先例があるかというと、武器技術供与の協定をつくったときに先例がございます。私もこの議論に参加している一人でございますけれども。つまり、今まで戦後、アメリカからライセンスその他を含めてたくさんの技術を日本は供与を受けてきた。だから、事アメリカというふうに限定されるのだったら、武器輸出禁止三原則に入れようがない。なぜならば、アメリカからあれもこれも技術供与を受けているのだから、日本の技術を向こうに供与する場合に、米軍なら米軍、あるいはアメリカならアメリカと限定されれば、これは首を横には振れない。
ただ問題は、そこから第三者に移転をされると日本の武器輸出三原則の輸出しないという原則に抵触をすることになるということで、実はこのときに、ここに条文もございますけれども、つまりこの武器輸出三原則から外して特別な取り扱いをすることにしたわけです。
ところが、ここで問題は、アメリカ側は殊さら、これは武器技術供与のときにわかったのですけれども、日本よりもむしろアメリカ側が大変に厳しく第三者への移転を全面的に認めたくないという認識だというのです。ある意味では日本以上に。そこに出てきた問題が、何らかの取り決めをしないと、知らないうちにどこかほかに行っていたということだってあり得るというわけです。
だから、もしそういうようなことが起こるとすれば、こういう理由でこういうものを、こういう内容でというものをきちんと必ず文書で出せということをぴしっと協定上義務づける。そうしないと、こそっとどこかへ行っていた場合に困る。もしこそっと行っていれば、協定でそうなっていれば、なぜ出さなかったかという責任がきちっと追及できるということになるという論理なんですね、このときのいきさつというのは。
そこで、私、ここで一つ知らないことがあったのです。対米武器技術供与取り決めというのがございまして、この取り決めまで私はよく知っているのです。ここにも参考としてこの協定という取り決めが載っているのですが、この取り決めの下に細目取り決めというのがあるのを私は知らなかった。この細目取り決めを見て、大抵のことはわかっているはずだが、これは私がミスったなと思っているのです。
したがって、この協定も、ここに参考ということで「との間の手続取極」とあるんだけれども、恐らくこの下に細目取り決めか何かまたおつくりになるんだろうと思うのです、所管の省庁で。そこで、念のために、どういうふうにそこを考えておられるのか。
つまり、あらかじめ日本から供与したものをアメリカ側がほかに持っていくには文書で日本の事前の了解を得なければならぬというのは、大原則はとにかくほかへ持っていってはいけない、だめだ。おまえさんのところはアメリカだから、アメリカ軍との共同演習だからおまえさんのところにやるんだ、ほかは一切だめですよという大原則。しかし、横並びで考えると、今の技術取り決めもあるので、念を押す意味で文書で出しなさいよということになっているんだ、逃げ道じゃなくて。これは文書を出せば逃げられるんだというんじゃないんだ。初めから認めない。こういう原則が考えられてこういう取り決めになっているんだ。経過を追ってみるとそういうことなんです。
そこのところをきちっとしておいてもらわぬと、将来問題が起こるといけないので、ここのところは答弁しておいてください。それで間違いなければないでいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/54
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055・折田正樹
○折田政府委員 この協定に基づきます物品及び役務の提供は、自衛隊及び米軍の間の共同訓練等三つの事柄に必要な物品または役務を提供し合うものでございまして、米軍が自衛隊から提供された武器等を第三者に移転する必要が生ずることは通常想定しがたい、通常は想定し得ないということでございますけれども、特別の事情によって米軍が第三者への移転を希望する場合においても、我が国政府による書面による事前の同意がない限り協定上これを行い得ないというふうに規定しているわけでございます。
そして、仮にこのような事前同意を米側より求められる場合には、政府といたしましては、この協定の趣旨及び国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則等の基本理念を踏まえつつ、具体的事例に即して慎重に対処していく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/55
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056・大出俊
○大出委員 大筋そこだけ確認をさせていただいたのですが、残り二、三分残っているようでございます。
ここで一つ承っておきたいのは、残念ながら時間がなくなりましたが、十八年前につくっているガイドライン。このガイドラインには前提条件があるのですね。この前提条件は今度はどうされるのか。前提条件といいますのは、
(1) 事前協議に関する諸問題、日本の憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は、研究・協議の対象としない。(2) 研究・協議の結論は、日米安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。
ここはなかなか難しいですよ。ここは疑義があるのですよ。
「日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられる」一致しているのだけれども、解釈が違う場合があり得るのですよ、ここは。「日米安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。この結論
は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」つくってもいいのだが義務づけはしない。ここのところは一体どうなるか。
この後の「研究・協議事項」というのがあるのですが、これがさっき池田さんからお話があった、つまり、大筋三つあるのだけれども、その大筋三つを分けたわけですよね。所管を分けたというか、主査を分けたというか、わかりませんが。侵略の未然防止のための態勢、これが一。二番目は、日本有事の場合の共同対処行動。この未然防止のための態勢の中には、インターオペラビリティーだとかシーレーンだとかいろいろなものが入ってくるのです、未然防止だから。それから、日本有事の場合の共同対処行動。この二つは防衛庁中心なんです。三つ目は極東有事の場合の日米間の協力、これは外務省所管なんです、中心なんです。
ところが、これは当時のいろいろないきさつがあるので、私はフォローしたこともあるのですけれども、二回やったのですかな、やめちゃったのですよ、当時。二つ理由があるのですね。各省庁が、あんなことを言われたって困ると。全部絡んでしまいますからね、三番目の問題になると。そこへもってきて、東西冷戦でしたね。ソビエトは、日本がそんなものを研究しているのだなんということになると、相手はわかっているのですからね。さっき北朝鮮のものはそんな特定なことをなんて言っているけれども、そんなことを言ったって、九州に上陸する作戦なんか図上演習みたいなことを防衛庁はやっているのだから、そんなことはわかっているのだけれども、つまり、まずいなというので、二つそういう理由があってやめているわけですね。
そこで、今私が申し上げた前提になるもの、ここのところは今回はどうなるのか。前回は一九七八年、昭和五十三年十一月二十七日、日米安全保障協議委員会、この下部組織の防衛協力小委員会で研究したわけですが、今回もこの例によるのかというのと、中身の公表は今までも全くされていないのだけれども、同じように考えているのか、これだけ答えてください。それで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/56
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057・秋山昌廣
○秋山(昌)政府委員 今委員御質問の中にありました、現在の日米防衛協力の指針に関する前提条件につきましては、若干形式的なことを申し上げますと、ガイドラインそのものではなくて、ガイドラインを策定するに当たっての考え方ということでございます。
これにつきましては、その後の日米協力の進展状況、あるいは昨年末決定されました新防衛大綱の日米安保体制についての考え方、それから、さらに言えば、本件に非常に関係のある問題でございますけれども、現在、日本の周辺におきまして日本の安全保障に重要な影響を与える事態に対する研究というものが政府の中でも進んでおります。そういったいろいろな状況を考えまして、今前提として御指摘のあった点についても、今後検討していく一つの対象であろうというふうに考えるところでございます。
それから、前回といいますか現在の指針が、今御指摘ございましたように、五十三年十一月二十七日に日米安全保障協議委員会に小委員会から報告され、翌日に閣議に報告されたところでございますけれども、今回新しく見直すガイドラインについて、これをどういう取り扱いにするかということは、今後政府の中で検討していく課題であろうかと考えております。
それから、現在のガイドラインは、御指摘がございましたように、一項、二項、三項とあって、それぞれについてその指針に従って研究を進めていった。三項についての研究は率直に言って余り進んでいないというのは御指摘のとおりでございますが、現状からいたしまして、現在のガイドラインに言うところの三項も含めました一項、二項、三項、あるいはその他というものについて見直しをしていく、それに基づいて従来のやり方によれば研究も進めていくということになろうかと思います。
ガイドラインにつきましては、もちろんまとまれば当然のことながら報告をするということになろうかと思いますが、それに基づく研究につきましてどういう取り扱いにいたしますか、これについては、例えば先ほど申し上げました政府部内で進めておりますところの重要事態研究、それとの関係もあろうと思います。その公表の仕方あるいは討議の仕方というものについては、今後また検討していくべき課題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/57
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058・大出俊
○大出委員 ありがとうございました。
一方的に申し上げておしまいにしますが、今のガイドラインその他の研究、これは、昨年の新防衛計画の大綱でも閣議決定文書でも、それから沖縄等のプロジェクトの文書でも、その後の与党三党の共同発表の文書でも、憲法並びに関係法令に従いという同じ表現で全部書かれているのですよ。これを、梶山さん流に憲法並びに個別的安全保障云々とか、小細工が過ぎる。
だから、この種のところをみんな御了解の上でつくったことでございますから、こういうことでぶち割れるような騒ぎにならぬように、十分慎重に対処を願いたいと申し上げて、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/58
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059・松岡滿壽男
○松岡委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、明三十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後七時七分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113603815X00719960530/59
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