1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年三月二十五日(月曜日)
正午開議
出席委員
委員長 二見 伸明君
理事 久野統一郎君 理事 野田 実君
理事 萩山 教嚴君 理事 長内 順一君
理事 川端 達夫君 理事 白沢 三郎君
理事 石井 智君 理事 玄葉光一郎君
安倍 晋三君 遠藤 利明君
金子原二郎君 斎藤 文昭君
田野瀬良太郎君 根本 匠君
蓮実 進君 藤井 孝男君
村上誠一郎君 大口 善徳君
笹木 竜三君 高市 早苗君
樽床 伸二君 広野ただし君
森本 晃司君 山本 幸三君
池端 清一君 前島 秀行君
中島 武敏君
出席国務大臣
建 設 大 臣 中尾 栄一君
出席政府委員
建設大臣官房長 伴 襄君
建設省建設経済
局長 小鷲 茂君
建設省住宅局長 梅野捷一郎君
委員外の出席者
建設委員会調査
室長 白兼 保彦君
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委員の異動
三月十三日
辞任 補欠選任
安倍 晋三君 山下 徳夫君
同日
辞任 補欠選任
山下 徳夫君 安倍 晋三君
同月二十五日
辞任 補欠選任
青山 丘君 笹木 竜三君
同日
辞任 補欠選任
笹木 竜三君 青山 丘君
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三月二十二日
住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第二号)
大都市地域における優良宅地開発の促進に関す
る緊急措置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二号)
二月二十七日
住宅金融公庫法第二十一条の改正に関する請願
(佐藤守良君紹介)(第二五号)
同(中島武敏君紹介)(第二六号)
尾瀬分水反対に関する請願(渡部恒三君紹介)
(第一一三号)
三月七日
尾瀬分水反対に関する請願(桜井新君紹介)(
第一八一号)
同月十九日
公営住宅に関する請願(中島武敏君紹介)(第
四八六号)
公営住宅法の改悪反対、公営住宅の大量建設に
関する請願(中島武敏君紹介)(第四八七号)
同月二十二日
公営住宅法の改悪反対、公営住宅の大量建設に
関する請願(中島武敏君紹介)(第八九八号)
は本委員会に付託された。
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二月二十二日
モノレールの建設促進に関する陳情書
(第九三号)
大滝ダムの早期完成に関する陳情書
(第一〇〇号)
海岸事業五箇年計画の策定と推進に関する陳情
書外三件
(第一〇
一号)
建設省金沢工事事務所の事業執行体制の充実に
関する陳情書
(第一〇二号)
建設省富山工事事務所の機構拡充と防災・地域
生活関連公共事業費の拡大に関する陳情書
(
第一〇三号)
有明海沿岸道路を活用した有明海沿岸地域の開
発促進に関する陳情書
(第一〇四号)
九州西岸軸構想の推進に関する陳情書
(
第一〇五号)
太平洋新国土軸・東九州軸構想の新たな国土計
画への位置づけと豊予海峡ルート等の早期実現
に関する陳情書
(第一〇六号)
高速自動車国道等の整備促進に関する陳情書
(第一〇七号)
新たな全国総合開発計画の策定等に関する陳情
書(第一〇八
号)
都市公園等の整備の推進に関する陳情書
(第一〇九号)
東京都稲城市長峰地区のマンション分譲に関す
る陳情書
(第一一〇号)
紀淡海峡を取り巻く地域の交通体系の整備に関
する陳情書(第
一二号)
紀淡連絡道路の早期実現に関する陳情書
(第一一二号)
道路整備等の促進に関する陳情書外一件
(第一一三号)
下水道整備の推進に関する陳情書外一件
(第一一四号)
治水事業の推進に関する陳情書外二件
(第一一五号)
三月五日
建設省職員の大幅増員で国民本位の公共事業推
進に関する陳情書外一件
(第一四三号)
主要幹線道路の建設促進に関する陳情書
(第一四四号)
水資源対策の充実・強化に関する陳情書
(第一四五号)
徳山ダム建設工事遅延反対に関する陳情書
(
第一四六号)
太平洋新国土軸構想の推進に関する陳情書外一
件
(第一四七号)
第二東名自動車道の事業促進に関する陳情書
(第一四八号)
四国縦貫・横断自動車道等の整備促進に関する
陳情書
(第一四九号)
本州四国連絡橋の建設促進に関する陳情書
(第一五〇号)
公営住宅法改正に関する陳情書外一件
(第一五一号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内
閣提出第一一号)
大都市地域における優良宅地開発の促進に関す
る緊急措置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/0
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001・二見伸明
○二見委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案及び大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。中尾建設大臣。
—————————————
住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案
大都市地域における優良宅地開発の促進に関す
る緊急措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/1
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002・中尾栄一
○中尾国務大臣 まず、ただいま議題となりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
住宅金融公庫は、従来から、国民の住宅建設に必要な資金を融通することにより国民の住生活の安定と社会福祉の増進に大きく寄与してきたところでありますが、二十一世紀を見据え、長寿社会への対応を図る等の政策課題に的確にこたえていくためには、公庫融資制度について諸般の改善措置を講ずることが必要であります。
この法律案は、このような観点から、今国会に提出された平成八年度予算案に盛り込まれている良質な住宅ストックの形成を誘導する金利体系への転換、特別割り増し貸付制度の延長等所要の改正を行うものであります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一に、店舗等の非住宅部分を有するマンションの共用部分の改良工事費について、その全体を融資対象とすることとしております。
第二に、住宅の規模に応じた現行の金利体系を、高齢者に配慮した住宅等一定の良質な住宅に対して優遇する金利体系に改善することとしております。
第三に、政令で定めることとされている貸付金の利率について、その決定手続を簡素化し、主務大臣の認可の上、公庫が定めることとし、あわせて、関連する貸付制度についても、その決定方法を簡素化することとしております。
第四に、毎月の返済額の増減、元利均等から元金均等への変更等利用者の多様な支払い方法のニーズに対応することを可能とするため、支払い方法変更手数料を導入することとしております。
第五に、特別割り増し貸付制度について、平成八年三月三十一日が適用期限とされているものを、平成十三年三月三十一日までの五年間延長を行うこととしております。
その他、これらに関連いたしまして所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
引き続き、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
国民一人一人が豊かさとゆとりを実感できる生活を実現する上で最も重要な課題の一つは、国民の住環境に対するニーズに的確にこたえ、住生活の充実を図っていくことであります。
大都市地域の宅地供給につきましては、厳しい経済環境が続いていること等により、計画開発の減少、敷地規模の狭小化など質的な面での立ちおくれが見られますが、これに加え、近年、緑、景観の重視や高齢者等への配慮など、国民の皆様の住宅地へのニーズは急速に高度化しており、こうした要請に的確に対応して、より質を重視した宅地政策を推進していくことが強く求められております。
この法律案は、このような状況にかんがみ、来るべき二十一世紀に向け、大都市地域において、より質を重視した住宅地の供給を緊急に促進するため、優良な宅地開発事業を認定する基準を見直すとともに、認定を受けた宅地開発事業に対する支援措置の拡充等を図り、あわせて、適用期限を延長するものであります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一に、宅地開発事業計画の認定基準を見直し、良好な住宅市街地の景観の形成のための緑の確保、公共施設のバリアフリー化など高齢者、身体障害者等が利用しやすい公共施設の整備の推進等を図ることとしております。
第二に、住宅金融公庫は、認定を受けた宅地開発事業が円滑に実施されるよう、必要な資金の貸し付けについて配慮することとしております。
第三に、二以上の宅地開発事業者が隣接または近接する区域で主要な公共施設を一体的に整備しようとする場合には、共同して、一つの宅地開発事業計画を作成し、認定を受けることができることとし、住宅・都市整備公団が認定事業者の一つとなっているときは、公団が地方公共団体にかわって主要な公共施設の整備を行うことができること等としております。
第四に、良質な住宅地を保全するため、認定事業者は、造成宅地の処分に当たって定めることとされている建築協定について、建築物の敷地、位置、用途及び意匠に関する基準を定めるとともに、新たに緑地協定を定めることとしております。
第五に、宅地開発事業計画の認定の申請に係る適用期限を平成十八年三月三十一日まで延長することとしております。
その他、これらに関連いたしまして関係規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/2
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003・二見伸明
○二見委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/3
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004・二見伸明
○二見委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/4
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005・山本幸三
○山本(幸)委員 新進党の山本幸三でございます。
私は、まず最初に今回の住専問題について大臣の御所感をちょっとお伺いしたいと思います。
きょう、日切れ法案の審議ということで行われているわけでありますけれども、御承知のように、いわゆる住専処理対策という問題が、与党そして私どもの野党との間で非常に意見の分かれるところとなり、そして、国会がある意味で不正常な状況にあるということでありますが、その中で、何とか日切れ法案、予算関連法案は通したいということで、この部分について歩み寄って今こういう委員会ということになったわけですが、大臣は今回のこの住専問題に絡む現在のこういう状況についてどのような所感をお持ちであるか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/5
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006・中尾栄一
○中尾国務大臣 住専問題についてどのような意見をと、こういう御質問かと思います。
私も橋本内閣の一閣僚といたしまして、これはほとんど全閣僚、軌一して同じ見解として打ち出しておるとおりでございまして、住宅金融専門会社をめぐる問題は、国内のみならず海外からも我が国の金融機関の不良債権問題を象徴するものと見られておりまして、その一日も早い解決が望まれているわけでございます。
今般の財政資金の投入は、我が国金融システムの安定性とそれに対する内外の信頼というものを確保いたしまして、預金者保護に資するとともに、景気を本格的な回復軌道に乗せるためにとられた措置と理解をしているものでございます。今後、債権回収が強力に進められるとともに、種々の責任を明確にさせながら早期解決が図られることが必要と考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/6
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007・山本幸三
○山本(幸)委員 住専処理対策の、いわゆる予算委員会で大いに問題になっている税金投入云々の議論については、私はここではやりません。それはしかるべきところでやるべきものだと思いますが、一つお伺いしたいのは、私は、この住専問題というのは実は建設省に大変大きな関係のある問題であるというように認識しているのですけれども、それにもかかわらず、どうも建設省は、全くこの住専問題というのは自分の問題ではないというような感じでとらえているように思えてなりません。住専問題は建設省としてなすべきことがいろいろあるのではないかと思うのですが、その点についてどのように認識しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/7
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008・小鷲茂
○小鷲政府委員 住専問題の、債権処理の問題は私どもの直接の問題ではございませんけれども、事が起こっております発端は土地が動かないというところにあるわけでございますので、この土地を流動化する、適正な不動産市場を回復するということは私どもにとっても大きな関心事でございまして、そのために、土地の有効利用を促進するための施策をできるだけ集中的に実施をして、土地の流動化に寄与してまいりたいというふうに考えております。
具体的に申し上げますると、一つには、公共用地の先行取得推進のために、平成七年度の第二次補正予算で多額の予算を確保していただいております。このうちの相当部分が建設省の所管事項でもございますので、こういった事業費の追加を受けた公共用地の先行取得が一つございます。
それからもう一つは、民間都市開発推進機構という組織がございますが、ここで土地の買い入れを従来からやっておりますけれども、ここの土地取得業務を拡充いたすことにいたしております。これも平成七年度の補正予算でお認めいただいたわけでございますが、具体的に言いますると、事業規模を五千億円追加をいたしまして、さらにはまた、従来当機構におきます保有期間が五年間ということになっておりましたが、これを十年間に延長する。それから、買い入れる土地の面積要件につきまして、従来一千平米という基準がございましたが、これを引き下げまして、五百平米以上ということにいたしております。こういう措置によりまして、円滑な買い入れができるようにという対策をとっております。
さらには、規制緩和といたしまして、宅地開発等指導要綱というのがございますが、この見直しにつきまして、指導を強力に実施をいたしております。
さらには、定期借地権制度といったものもございますので、こういったものが十分利活用されるような指導を行っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/8
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009・山本幸三
○山本(幸)委員 そういうこともあるでしょうが、私はこれは本質ではないというふうに思うのですね。
なぜかというと、住専問題、まさに住専という会社の不良債権の問題であり、それがまた金融機関の不良債権の問題ということになったわけですね。これは、金融機関あるいは住専の立場から見れば不良債権という問題でありますけれども、コインの反対側から見れば不良債務問題ですね。つまり、借りている方から見ると不良債務問題である。
この住専問題を初めとするいわゆる不良債権問題というのは、債権の側からだけ物を考えていては解決しない。債権と債務の両方から物を考えなければ解決しない。じゃ債務の方はどこかというと、一番多く不良債務等を負っているのは不動産業界ですね。それに建設業界がプラスされている。実はこの不動産業界、建設業界、まさに建設省の所管業界ですが、この業界の不良債務問題というのが解決されない限り、不良債権問題は解決しないし、おっしゃったように日本の景気もよくならないし、国際的な信用もよくならない、私はそう思います。
ところが、みんなが今議論しているのはこの不良債権の、債権のところの話ばかりでありまして、銀行の不良債権をどうする、どういうふうに処理してどういうふうに償却する、あるいはその間に立っている住専についてどうするという議論ばかりやっているのですね。これでは本当の問題の解決にならない。本当に日本の経済を立て直そうと思うならば、実は、その借りている、債務の側の問題をどうして解決してやるかということがなければ、本当の解決にならないというふうに私は思います。
その点において、私は、建設省は非常に怠慢であると言わざるを得ない。大蔵省はいろいろ批判されておりますが、批判されながらも、自分の所管業界である銀行の不良債権問題についてどうするかということを、少なくとも一生懸命考えている。それで、議論になっているけれども、公的資金も使おうというようなことまで考えている。にもかかわらず、建設省は、自分の所管の大きな業界である不動産業界、建設業界、この過剰な債務の問題、これをどう処理するのか、不動産業界、建設業界をどうして救済するのかということについて、ちっとも真剣に取り組んでいるようには思えない。
その取り組んでいることが、今おっしゃったことで済むというふうに考えておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/9
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010・小鷲茂
○小鷲政府委員 バブルの崩壊の影響を受けやすいのは不動産業界であり、そしてまた不動産に関係の深い建設業界であるということは、御指摘のとおりでございますし、私どももそのように認識しておるわけでございますが、それぞれの業界等も、苦しい中で、自分が取引をしてきた問題ということで、現在、資産の処分を初めいろいろなリストラを進めておられるわけでございます。私どもといたしましては、それぞれの企業が基本的には自己の責任においてリストラを進め、責任を果たしてもらうことが大事であるというふうに考えておるわけでございますが、全く等閑視をしているというわけではございませんで、どういう状況であるかということにつきましては、かなり業界の様子を聞くなどして注視をしているわけでございます。
おっしゃるように、もう少し公的な関与の度合いを強めるべきではないかという御質問でありまするけれども、とりあえず私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、現在の段階ではそれぞれの企業がそれぞれの責任において企業のリストラを進めていただくこと、そのことが大事ではないかというふうに考えておりまして、全体的な問題、つまり、土地市場全体がよくなる、土地市場の環境がよくなることが間接的には今言いましたような企業の活動にもプラスの影響を与えますので、そういったマクロ的な環境整備を進めていきたいということで諸施策を講じているわけでございます。
御承知のとおり、そうした観点から昨年末の平成八年度の税制改正におきまして、平成三年度以前のいわば土地重課を基本とする従来の税制の枠組みの見直しを税務当局にもお願いしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/10
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011・山本幸三
○山本(幸)委員 つまり、注視をしているだけで何もしない、何もしていないということのように私には聞こえます。
不動産業界についてどうするのか。これはなぜかというと、日本の銀行のバランスシートを見ますと、不動産・建設業界向けの貸し付け、これは、ノンバンクを含めて広義の不動産・建設業界に対する貸し付けば現在約百二十六兆円ある。それで、この不動産・建設業界に従事する人は実に七百万人います。この人たちの家族が三人ないし四人、四人として二千八百万人、三・五人ぐらいとして二千五百万人。少なくとも日本の人口の五分の一ぐらいはこの業界に何らかの意味で関係していて、そしてこの業界は非常に傷を負っている。そのために将来の生活設計というのは不安である。この人たちは確実に財布のひもを締めていますね。
それから、先ほど対策として譲渡所得税の重課を緩めたというお話がありましたが、幾ら税制度でこの土地重課を緩めても、私はきかないだろうと思います。なぜならば、そういう土地を買う人はだれか。そういう土地を買って開発をし、それを利用し、顧客に提供する役割を担う業界はだれかというと、これは不動産業界なんですね。これはいろいろな形があります。ディベロッパーもあるし,小さい宅建業者もあるでしょう。しかし、土地を買って開発をするという重要な任務を担うこの業界の体力が落ちているときに、彼らが新しい土地を買って何らかの開発をしようということを考えても、今事実上できない。そういうときには、税制が幾ら緩和されてもきかない。この問題をどうして解決するか、これを真剣に考えなければ経済はよくなりません。
私は、住専問題で一番抜けているところはそこだと思っています。税金の投入の話ももちろんあるけれども、実体経済をよくするという観点から見れば、もっと問題なのは何かというと、十五年かけて回収をしようというシステムにしたところだと私は思っています。
つまり、今もおっしゃったけれども、基本的には待ちの姿勢でしかない。将来土地がまたもとに戻って、そして状況がよくなるだろうということだけを待っている。この住専の処理の政府案も、何が一番問題かというと、住専から借りた人たちが持っている土地を十五年間塩漬けにするということなんです。本当はもっとやるべきことがあった、しかしそれをしていない。こういう問題は十五年もかけてはだめなんです。アメリカがやったように二、三年でやるというシステムでない限り、やる意味がない。
では、この問題をどうして解決するかということです。不動産業界は、大変言葉は悪いけれどもイメージが悪いですね、悪徳不動産業者。あるいは、建設業界も例のゼネコンの問題があった。そういう意味で非常に社会的なイメージが悪い。したがって、そこを救済するなりリストラするなりというような話をするとなかなか受け入れられない、そういうことがあります。
しかし、善悪の感情と経済を立て直すということとは別の問題なんです。経済を立て直すという観点から見れば、日本経済は土地が動くようにならなければ絶対よくなりません。そして、その土地が動くようになるためには、土地を買う人、土地を提供する人が自由に動けるようにしなければいけない。
それをやるためにはどうするかというと、本来はそういう不動産業界、建設業界に金を貸している銀行が、金融界がみずから乗り込んでリストラをし、そしてその過剰債務の問題を解決しなければいけません。そのリストラをやるときには、いろいろなやり方があるでしょう。恐らく一番端的な効果的なやり方は、過剰債務の部分を銀行に債権放棄させるということが一番手っ取り早いです。
先日、予算委員会で末野興産の社長さんとか桃源社の社長さんとか出てこられて、世の中のひんしゅくを買った。外車を乗り回して遊びまくって、しかし借金は返さないという意味でひんしゅくを買った。しかし、私はとんでもないと思うけれども、同時に、なぜそういう状況になっているかということも冷静に分析しなければいけないと思っています。
なぜそうなのか。簡単に言うとこういうことですね。銀行から彼らは百億借りた。そして、その百億で当時百億の価値のある土地を持った。それがバブルがはじけて今三十億になってしまった。銀行は、とにかく百億貸しているのだから、金利を含めて早く返せ、返せと言っている。早くその土地を処分してでも返しなさいと追い詰める。しかし、彼らはそれをするか。しない。なぜしないか。銀行がどんなに追い詰めて回収、回収と言ったって、もし今その土地を売ったとしても三十億しか入りませんね。その三十億は銀行に返る。しかし、依然として彼らは残り七十億の借金というのを背負うのですね。そういう状況にあるから何もしない。やるだけ損。とにかく、どうでもしてくれ。十五年間あるんだから、そのうちまたバブルができて少しぐらい戻るかもしれぬ、それまでは煮てでも焼いてでも食ってでもいいから好きなようにやってくれ、おれは知らぬ、もう自分の好きなように生きるという状況になっているんだろうと私は分析しています。
今回の住専の処理策も、せっかく金融機関は、母体行、一般金融機関含めて、政府案でも五兆二千億円債権放棄ということになりました。これは私どもが言っている処理策によればもっと違う数字になるかもしれませんが、とりあえず政府案の数字で言いますと、せっかく金融機関はそれだけの債権放棄をしたんだ。ところが、それは債務者の側から見ると、その分、債権放棄してくれたかというと、そうじゃない。住専処理機構に債権は一〇〇%移ることになっている。つまり、依然として住専処理機構は、あなたの借金は百億ですよということを債務者に対して言い続ける。そして、それをとにかく百億回収しなければいけませんねということで、検察や警察の人も入れて大いにやりましょうという話をしている。どんなに頑張ってもできない。何をやろうとできない。
私だったらそういうやり方はしない。私だったら、末野興産の社長さん、桃源社の社長さん、ちょっといらっしゃい、ちょっとお互いに話をしょうじゃないですか。あなたのところに百億貸しているけれども、あなたの持っている土地は今三十億ですね、それに暴力団がいろいろ絡んでいるかもしれぬ、いろいろ面倒くさいみたいだ。あなたに二、三カ月猶予をやるから、全部きれいにしていらっしゃい。変なのが住んでいたら、それも追い出していらっしゃい。いろいろな担保が複雑に絡んでいたら、それを整理していらっしゃい。そして、その三十億分を持っていらっしゃい。そして、それを提供したらあなたに対する借金はすべて消してやりましょう。そうしたときに初めて彼らは動く。なぜならば、お互いにメリットもあるから。これが本当は一番いい債権債務の処理のやり方なんですね。
アメリカでは、融資の形態がプロジェクトファイナンス、プロジェクトについてのファイナンスですから、そのプロジェクト自体がだめになってしまうと自動的に銀行に担保が入って、そして処理をして、債権放棄して残った担保を売って処分してキャッシュフローが入るということになっている。ところが、今回の住専の処理策を見ても、十五年間にわたって一〇〇%債権を主張して、ああでもない、こうでもないというふうにやると。しかしこれは、できないことをやろう、やろうと口で言っているだけだから、何もしなくても、ああできませんでしたと言えば済む話になってしまって、本気で動かない。日本の銀行は十五年間は待つことができる。
今、日本の銀行は史上最高の業務純益を上げていますね。これほどもうけている業界はない。しかし、本来銀行というのはそんなにもうける必要はない。預金金利をちゃんと払うだけもうければ、それ以上もうける必要はない。ところが、銀行は、本当はそういう不動産業界のところへ乗り込んで処分をして、だめなところは損として確定するというような作業をしなければいけないのに、日本の銀行はそういう努力をしません。しないで済むように制度として認めてしまった。今、日本の銀行ほど腹の底で笑っている連中はいない。欧米の銀行だったら、こういう事態になったら、不動産業界、建設業界に乗り込んでいって、その会社の資産、負債全部チェックして、売れるものは売って処理しなければもたない。欧米では直接償却しか無税で認めない。だから、乗り込んでいってやらざるを得ない。
ところが、日本の銀行は間接償却を無税で認めちゃった。大幅に、債権買取機構をつくって、そこに勘定を移すだけで、机の上に座って帳簿上の操作をするだけで、その差額については無税償却を認めた。あるいは今度の住専の処理でも、買い取り機構に帳簿上で移すだけで、その差額は無税償却で認める。つまり、五兆二千億円のうち二兆六千億円は無税で認めるということをやるのですね。公的資金は、政府案で言っているのは六千八百五十億円だけではない。この二兆六千億円も上乗せになる。これだけ国民が銀行に対して仕えながら、しかも、同時に超低金利という犠牲を強いられながら、しかし日本の銀行は、この業界のリストラに、本当の問題の解決である不良債務問題の解決に乗り込もうとしないのですね。これは私は、住専問題の最大の問題だと思っている、あるいは不良債権問題の最大の問題だと思っている。これを解決しなければ、住専処理をしたら景気がよくなる、国際的な評価が得られる、そんなことはあり得ない。全然問題は解決しません。今やろうとしていることは、銀行という単なる金融仲介機関、実体経済をやっている部分とは関係ない金融仲介機関のバランスシートだけをよくしようということだけやっている。これは、大蔵省は自分のところの業界だから一生懸命やっている。
そこで、話はもとに戻りますけれども、建設省は、自分の所管の不動産業界、建設業界、この不良債務問題というのを真剣に解決しようという努力をどうしてしないのか。私は、建設省は大蔵省と大いにやり合って、あるいは銀行業界と大いにやり合って、不動産業界、建設業界に対する過剰債務の問題を早く処理しろ、思い切って債権放棄もしろという取り組みをすべきだと思うし、そうしない限り、土地を利用し、開発しようとする分野が決してよくならない。
先ほど出ましたけれども、公共団体が土地の先行取得をするとか、民都機構が買い入れてやるといっても、しょせん素人。まあ、民都機構の場合はディベロッパーとやるときもありますが、そういう素人が土地を買ったって本当の開発はできない。本当にやろうとするならばプロに任せるべきだ。そして、プロができるようにしない限り、土地は動かないし、経済はよくならない。
この点について、建設省として、大蔵省なりあるいは銀行業界と、そういう債権放棄を求めてなぜそういう交渉をしなかったのか、今後そういうことをやろうとする気はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/11
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012・小鷲茂
○小鷲政府委員 お答えを申し上げます。
先週でございますが、平成八年度の地価公示の結果が発表をされまして、五年続きの下落という結果が発表されたわけでございます。これをめぐりまして、新聞紙上等でもいろいろな方がいろいろな御意見を言われておりまして、今後とも今のような調子で下がり続けるのではないかという意見もありますし、実体経済に触れていらっしゃる方の中には、住宅地を中心とし、そろそろ底値感が出始めてきているということをおっしゃる方もいらっしゃるわけでございますが、いずれにいたしましても、確たる先の見通しが持ちにくい状況ではないかというふうに思っております。そういう状況の中で、今後この土地問題をどうするのかということが、大変大きな話題といいますか、政治的な課題にもなっておるわけでございます。
ただいま先生がおっしゃいましたのは、こういう問題については時間をかけずに処理をすることが大事ではないか、例えばアメリカのように、債権処理をきちっと短期の間に処理をするということが大事ではないかということをおっしゃられたわけでございます。具体的に言いますると、必要に応じて金融機関が債権放棄をするというようなことをやれば実体経済が時間をかけずに動くのではないか、こういう御指摘であったかと思います。
そしてまた、そういった背景の問題といたしまして、アメリカの金融の仕組みと日本の金融の仕組みの相違についてもおっしゃられたわけでございまして、確かに私どもも、アメリカのこういう開発に対する金融システムが、よく言われますプロジェクトファイナンス方式、つまり、開発のプロジェクトごとに金融がついて回る、こういう仕組みであるのに対しまして、日本の金融の仕組みが、いわゆるコーポレートファイナンス、プロジェクト単位ではなくて企業単位に貸し出しが行われる、こういうところに大きな差があり、それが結果として債権処理の問題についても相違を来しておるのではないかというふうに言われていることは、承知をいたしておる次第でございます。
アメリカの場合には、今言いましたように、プロジェクト単位で債権関係を処理するわけでございますので、プロジェクトについての見通しがなければその段階で区切りをつけるということがやりやすいわけでございますが、日本の金融の場合には、先ほど言いました企業単位で金融を行うということの関係上、プロジェクトが失敗をいたしましても企業そのものに返済能力があるとするならば依然として債権の問題が残る、こういうことで、おっしゃられるような債権放棄がなかなかしがたいという仕組みになっておるようでございます。
私どもといたしましても、まさに所管の業界が苦しんでおるわけでございますし、関係する労働者の方々もたくさんいらっしゃるわけでございますので、なるべく円満にこういった問題が解決されることが望ましいと当然思っているわけでございます。そういう意味で、いろいろな御意見があるということは承知をいたしておりますし、本来必ずしも私ども得意の分野ではないわけでございますので、まだまだ相当勉強しなきゃならぬというふうに思っております。御指摘のような点も踏まえて、今後大いに、しかも時間の問題もございますので、当面、早急にいろいろな勉強を深めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/12
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013・山本幸三
○山本(幸)委員 それは、そういう債権放棄を目指して、大蔵省なりあるいは銀行業界と鋭意交渉するということを確認されるということですか。そうであれば、住専問題で十五年間かけて処理するというスキーム自体を、建設省として、そんなのは待てない、本当に問題を解決しようとするなら、二、三年で、そういう債権放棄をも含めたシステムを使ってやるべきだというように申し入れをする覚悟でおられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/13
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014・小鷲茂
○小鷲政府委員 先ほども申し上げましたけれども、日本の金融の仕組みは、アメリカと違いまして、企業の能力そのものに信頼を置いて債権債務関係が成立しておる。こういう関係上、企業そのものに返済能力が残っているケースの場合に直ちに債権放棄ができるかどうかということになりますと、大変難しいのではないかというふうに私ども感じております。
いずれにいたしましても、先ほど言いましたように、いろいろな可能性を研究してまいりたいということでございますので、今の段階で大蔵省に要求するかどうかということにつきましては直ちにお答えがしにくいところでございますので、御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/14
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015・山本幸三
○山本(幸)委員 そういう難しい問題があるなら、法律が必要なら、我々は幾らでも協力をしますよ。しかし、住専の処理というのは、債権処理して、債権放棄して、一応放棄してしまうわけですね。放棄してしまった後、処理機構に持ってくる。あるいは、そのほかのノンバンクの処理で、まだ生きている企業について債権放棄をするという例は幾らでもある。これは、本当にそれが問題なしにできるかどうかということについては、若干の疑問もないわけではありません。
例えば、上場企業のときに特別利益とか寄附金の問題が出てくるかもしれない。そうであれば、住専と同じように、そういう特別立法を考えてやるということも私は一つの大きな対策になるというふうに思います。むしろ、これから云々というよりは、本来は、そういうものが建設省から上がってこなければおかしかった。これから大いに、必要なら立法も含めてその方向でやられる覚悟ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/15
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016・小鷲茂
○小鷲政府委員 繰り返した御答弁になって恐縮でございますが、いろいろな議論があるわけでございまして、ただいま先生がおっしゃったような御議論がほかの方から言われておることも承知いたしております。
いずれにいたしましても、そういった関係者の方がたくさんいらっしゃる。しかも、本来でありますと私どものプロパーの領域の問題じゃないということもございますので、いろいろな方々の御意見を拝聴し、さらに研究をし、その上で対応につきましては十分考えていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/16
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017・山本幸三
○山本(幸)委員 それじゃ間に合わないと言うのですよ。
先ほど申し上げたように、住専の問題にしろ、十五年もかけるというのは、要するに待ちの姿勢でいくということなんですね。十五年間、末野興産や桃源社が、あるいはそういうところが持っている土地が塩漬けになる。現在非常に低金利で、都心の賃貸料も落ちたとはいえ、ある程度もらえるようになった。今そういう賃貸料収入は、かつてないほど純ざやになったのですね。
そうすると、今土地を買って開発するという投資行動は非常に魅力がある、ペイする行動なんですね。それがどんどん行われるようになれば、まさに土地が動いて、建設業界も鉄鋼業界も、あるいはそういう建物の内部を装備する業界、家電業界も息を吹き返す可能性がある。
ところが、そういう土地がせっかくいい投資案件になるにもかかわらず、出てこない。なぜならば、十五年間かけてとにかく一〇〇%返せなければ許してやらないということでどんどんやるわけだから、できるだけ値切るようにするでしょう。何にもしない、そういう状況にある。
これは国民経済的に見ると非常にむだなことをやっているのですね。本来ならば非常に魅力のある投資案件として動くべき土地が、十五年間も塩漬けされてしまうということを決めた。あるいはまた、それにひっかかっていないような土地を買って開発をしたい、そう思っているけれども、そのプロの担い手たる不動産業界はそういうリスクをとることができない。
不動産業界でもいろいろあります。大手の不動産業界は、これは含み益もあるというようなことでまだ待つことができる。しかし、資産は広げてしまっているから過剰なリスクをとることがなかなかできない。それから、そのほかの準大手以下のところは、営業利益は、収入は出ているけれどもほとんど金利負担等でつぶされていて、本当に新しいプロジェクトに乗り出すことができない。もう金利を支払うだけの収入もないようなところは、本当はつぶした方がいいのです。そういう整理を建設省としてはやって、そして生き残るところはできるだけ生き残れるように、そしてリスクをとれるようにしてやる。それも、短期間にやってやらないと日本経済の立て直しに役立たない。
したがって、そんな悠長な、今から検討して、いろいろな人の意見を聞いてなんということを言っている暇はないんだ。もしそんなことを今まで知らなかったというなら、今まで勉強不足と言うしかない。何をやればそういうことができるのかということぐらいはきちっと押さえて、そして、そういう業界の本当の問題を解決してやろうということをやらなければ、そういう業界を監督している役所とはいえないのじゃないかというような気が私はするのです。
この点、しつこいようですけれども、短期でなければだめだ、住専で十五年も待っていたら本当に、ほかのノンバンクでも何もしなかったら土地は動きませんよ。日本経済なんか絶対よくならない。幾ら税制を緩めてもきかない。これは建設省としては本当に本気で取り組むべき課題だと思いますけれども、もう一度、いかがですか。
〔委員長退席、川端委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/17
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018・小鷲茂
○小鷲政府委員 十五年間というのは長過ぎるというお話が繰り返しございましたが、現在の債権債務関係のすべてが十五年間塩漬けになるということではないと思っておりまして、住専処理の案におきまして、住専処理機構という会社が設立されることが予定されておりますが、この会社が設立されますると、そこに債権が譲渡され、債権の回収が始まるわけでございますが、その際に、債権の回収の可能性につきまして直ちに吟味が行われるはずであろうというふうに承知をいたしております。その結果、回収見込みのないものにつきましては、債権者同士が任意に話し合いをして最終的な処理案をつくる、ないしは法的な手続によって最終的な解決を目指すというものもあろうかと思います。それと同時にまた、将来におきまして可能性のあるものにつきましては、その可能性を具体的にどういうふうに実現していくのかという方策が検討されていくものと思います。
その最長の期限が十五年ということではないかというふうに思うわけでございますが、それにしても、その辺の処理の見通しにつきまして相当時間がかかるのではないかという御懸念のもとに、早急な解決を目指せ、こういう御指摘ではないかというふうに思うわけでございますが、私どもといたしましては、そういう御議論があるということは十分承知いたしておりまするけれども、せっかく住専フレームができたわけでございますので、処理機構によりまして具体的に個々の案件についてどういう選別がされていくのかといったようなことも見合わせながら、全体の検討を進めざるを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
そういった意味で、個々の問題につきましては、今言いましたような個別の問題として解決を図っていくことが一つの方法でございますが、それと並行して、市場環境全体についての環境整備をやるというのは私どもの大きな任務ではないかということで、そういった方面についての環境整備につきましていろいろな施策を講じておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/18
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019・山本幸三
○山本(幸)委員 今の御答弁だと、どうも私が言っているような短期的に思い切った手を打とうという気はなさそうでありますが、そうであれば、この住専処理対策は、私は税金のことは言いませんよ、それはよそでやってもらいますが、これは全く日本経済のために役に立たない対策だと言わざるを得ない。今、処理機構に移してそれで十五年はかからないように一生懸命やるのですとおっしゃいましたけれども、どうしてそれができるのか。
世の中で非常に誤解されているものは、銀行が融資をした、あるいは住専が融資をした、そのうちどれだけ担保をとっているか。みんな世の中の人は、一〇〇%くらい担保をとっていると思っているかもしれませんが、全然違うのです。例えば、都銀の貸出金残高に占める担保をとっている不動産担保融資の比率というのは、二一・三%にすぎない。しかも、これは第一担保もあるし、ほかの金融機関も入っていろいろ難しい。せいぜい二割か三割しか担保になっていないのです。本当に、これは担保になっていればすぐ売れるかもしれませんね。
しかし、これもほかの金融機関が絡んでいるとそう簡単にはいかない。なぜならば、百億の借り入れを受けて今三十億になっちゃった、メーンの銀行からは三十億を借りた、七十億はほかの多数の銀行団から借りたというような状況があった場合に、これはメーンの銀行がさっさと担保を処分して自分のところだけ、三十億だけ返しちゃう、取っちゃうというようなことをやろうとしても話はつかない。これが難しいのです。そこをうまくやるためには、両方、メリット、デメリットが合うような歩み寄りをしない限りできないのですね。
これは、今局長は、住専処理機構にやってそういう回収をやるから十五年はかからないとおっしゃいましたけれども、本当にそんな簡単に、二、三年でできるというふうに考えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/19
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020・小鷲茂
○小鷲政府委員 不良債権の担保土地の実態につきましては、実は、私どもも正確には実態を承知しておりません。いわゆる伝聞なり個別にお聞きするような情報で判断をするわけでございますが、おっしゃるように、いわゆる多重担保土地が多いということが一つの大きな障害になっておる。そのほかにも、形状その他が必ずしも良好な土地でないものが多数あるといったようなことも言われておりますので、おっしゃるとおり、担保土地がそう簡単に処理できるというふうには考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、関係者の最大の関心はそこに行くはずでございますので、やはり時間と競争ではございますけれども、そういう個々の問題について関係者の意見調整が必ず追求されるというふうに理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/20
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021・山本幸三
○山本(幸)委員 どういうふうに理解していいのかちょっとわかりませんが、私の理解からいえば、どうも建設省は思い切ってそういう短期決着を図るというような気持ちはないようだ、このことについて私は大いに問題がある。
いずれ、住専の問題がどのように決着をつけられるのかわかりませんが、別途改めてその点については別の場でまた議論をさせてもらいたいと思いますが、そういう建設省の、私の理解の立場でいえば、不良債権債務問題は日暮れて道遠し、日本経済は決してよくならない。せっかく有利な投資条件があるにもかかわらず、思い切った処理策をやろうとしない。本当は銀行にそれをやらせなければいけないのです。しかし、そういう気持ちもなさそうだということのようです。これは大いに問題があるということで、今後ともまた議論をしたいと思います。
そこで、ちょっと議論を変えますが、本題の住宅金融公庫の問題に入りたいと思いますけれども、実は住専と住宅金融公庫の問題について関係があると言われている。つまり、住専は住宅ローンをやるということでできたのだけれども、その本来の住宅ローンの仕事というのを母体行なり金融機関がやるようになってその仕事がなくなっちゃった、その結果、不動産取引にどっぶりとつかり込んで、そしてバブル崩壊の結果、過大な不良債権を抱えるようになったというように言われているわけです。
八〇年度から九〇年度、これは九四年度の数字が最新なので、その間における個人向け住宅ローンの残高というのがどういうふうに推移したかを見ると、住専八社の個人向け住宅ローン残高というのは八〇年度の末に三兆二千六百億円ありました。そして、これは住宅ローン市場全体の七・八%を占めていた。ところが、これがどんどんシェアが低くなってきまして、八五年度末には、かつて七・八%あったのが五・二%になり、そして九〇年度末にはまた半分の二・六%になる、九四年度末には、住専八社の住宅ローン残高の市場全体に占める比率というのはわずかに一・七%に落ちた。
この間、銀行はどうなったかというと、いわゆる全国銀行、都銀、長信銀、信託、地銀、第二地銀の全国銀行ベースで見ると、八〇年度の末には全国銀行のシェアは三八・九%ありました。これが九〇年度末には三八・三%になり、九四年度末には三四%になった。それほど変わっていない。
一方、住宅金融公庫のシェアは、八〇年度の末には二四・七%であったのが、九〇年度の末に三四・五%になり、九四年度末には実に四一%のシェアを占めるようになった。住専の仕事を奪ったのは銀行じゃなくて住宅金融公庫じゃないかというようにも言われているのですけれども、この点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/21
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022・梅野捷一郎
○梅野政府委員 お答えいたします。
ただいまの住専の変遷と公庫との関係でございますが、このたび公表されましたいろいろな住専関係の資料があるわけでございますが、住専の個人向けローンの残高が減少して、事業者向けのローンが急速に増大したというのは、大体昭和六十年代ということだろうと思いますが、この時期におきます今御指摘の分野におきます新規の貸付額のシェアで見ますと、全国銀行が急激に拡大いたしまして三〇%後半のシェアということになっている一方、逆に住宅金融公庫は、むしろその間の新規貸付額というもののシェアは低下をいたしまして、二〇%前後ということになっているわけでございます。
こういう点を勘案いたしますと、住専を現在の不良債権の原因となっていると言われる事業者向けの貸し付けに向かわせたのは、直接金融公庫との関係があるというふうに読むのは、いささか違うのではないかというふうに私ども考えているところでございまして、平成四年、五年に公庫のシェアが確かに拡大したわけでございますけれども、住専の融資は既に平成三年度にはもう急減をしていたわけでございまして、その時期の前後からしましても、いわゆる住専問題と公庫との関係という面では、特別な関連はないというふうに私どもは理解しているところでございます。
〔川端委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/22
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023・山本幸三
○山本(幸)委員 その辺は本当にそうなのかということはまだまだ疑問の余地なしとしないわけですけれども、いずれにしても、住宅金融公庫のシェアというのが平成四年、五年、六年、七年、非常に拡大していることは事実ですね。平成六年度の公庫の利用率というのは、実に四二・七%を占めるに至った。こういうように住宅金融公庫のシェアというのが非常に拡大した、このことは実はいろいろな問題を生じているというふうに思いますが、こういう四割、もう五割に近いようなシェアを住宅金融公庫が占めるようになったということについて、好ましいと思っておられるのか、あるいは問題があるというふうに思っておられるのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/23
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024・梅野捷一郎
○梅野政府委員 私どもは、住宅金融公庫の役割というのはやはり一般の特に住宅金融、もう一七の大きな役割を担っていただいておりますのは民間の都市銀行を初めとする市中銀行だと考えておりますけれども、それぞれが、先ほどの住専との数字のところでも、先生御指摘の数字と私ちょっと御説明申し上げた数字、若干すれ違いな点もあったように思いますが、その資金の性格というものがかなり、例えば貸し付けの年限が違うというようなことなものですから、先はどのような数字になるわけでございますが、いずれにしましても、住宅金融公庫につきましては、できるだけ一般の世帯の家計の状況に合わせた長期安定的な金融というものを運営していくという役割を担っているというふうに理解しているところでございます。そういうものを通じて、国民が求めるもの、あるいは住宅政策上必要なものについて役割を果たしていくという考えでございまして、いたずらに住宅金融公庫のシェアでありますとか貸付額をふやすという趣旨で考えているところではないというふうに考えているところでございます。
住宅というものが経済の中での大きなシェアを占めておりますので、そういう面での金融公庫の運営ということも当然必要かと思っておりますけれども、今申し上げましたような二つの点から金融公庫の役割というものを理解しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/24
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025・山本幸三
○山本(幸)委員 そこで、まず基本的なことからお伺いしたいのですけれども、それでは日本の住宅の現状というのは一体どうなっているのだろう。本当に足らないのか、あるいはもう既に必要なものは満たされているのか、あるいは日本の住宅というのはどういう特徴があるのだろうかというようなことについて、基本的なところをちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/25
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026・梅野捷一郎
○梅野政府委員 現状のといいましょうか、住宅の状況でございますけれども、戦後いろいろな努力を国民を中心に行ってこられたわけでございますが、何段階かのステップを踏みながら今日に至っているのだろうというふうに理解しているところでございます。
ただいまも先生御指摘にございましたように、例えば住む場所としての数の充足がどれくらい整えられるか、こういうことを最も重要な観点として努力を積み重ねてきた時期があるわけでございまして、そういう面で見ますと、既に今日では少なくとも世帯数と住宅の数という比較から見ましても、そういう段階はおおむね乗り越えておるという実態だろうと思っております。
また、その住む場所、それにつきましては、できれば内容が、現在の生活、これからの生活により的確な住宅としての質を充実させていくということがあろうかと思います。これにつきましても、従来から、この十年あるいは十五年特に中心に据えてまいりましたのは、少なくとも家族の生活を受けとめる場所としての住宅として、規模を中心とした質の目標を掲げてきたわけでございますし、これからはさらに一つ一つを解決して、いきなりということではございませんが、それぞれ重なっているわけではございますけれども、例えばより高齢社会に対して耐えられる、それを受けとめられるような内容の住宅に質を高めていくとか、そういう幾つかのステップを踏んでいくというふうに考えておるところでございまして、今日の住宅の状況は、そういう目で見ますと、規模で見た質、あるいはこれからの例えば例に今挙げました高齢社会に対応する質というような面で見ると、まだまだこれから大いに力を入れて取り組まなければいけない実態にあるのではないかというふうに理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/26
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027・山本幸三
○山本(幸)委員 おっしゃったように、日本の住宅の戸数というのは四千六百万戸もう既にありますね。世帯数は四千百万ですから、住宅の戸数という点から考えれば、世帯数との比率でいえば五百万戸もう既にオーバーしている。あいているところがかなりあるという状況ですね。ただ、狭いとか遠いとか、あるいは寒いとか暑いとか、いろいろな問題を抱えていることはもちろんあるでしょう。
ところで、日本の場合は、人口が一億二千万人で、毎年新規の住宅の着工というのは大体百五十万戸ありますね。アメリカは、人口は日本の倍、二億五千万人の人口で、新規の住宅着工というのは百二十万戸ですね。どこが違うんだろう。中古の流通が相当違う、あるいは日本の場合は住宅のライフサイクルが非常に短い。日本の場合は一戸の住宅を十八年で捨てていく、十八年で住宅をどんどん食べてしまう、そういう言い方だ、言うと。それに対して、アメリカは平均四十年、イギリスは六十年という統計上の数字になる。
このことを考えてみると、どんどん、景気が悪くなったらまず住宅だ、住宅金融公庫の枠をふやせということでやってきた。そして、長く、しっかりとしたものとして使えるような住宅をつくるという観点よりは、とにかくつくることが先決という形でやってきた。しかも、どういうわけか知らないが、戦後、公団住宅ができてそういうふうになったと言われているのですが、二LDKとか三LDKとかいう定型が常識のようになって、そういうある意味で定型化された住宅が提供される。本当に、住んでいる人がこれは自分の住宅だ、これは住みやすいと思ってつくったようなものじゃない。私自身もそうですが、畳の上にじゅうたんを敷いてベッドを置いて生活している。もともとそういうふうにつくられちゃったものだからしょうがない。そういう形で、結局、住宅ローンをとにかく借りてそれを払うという、ある意味で言うと、住宅ローンの上に寝ているというような感じでやる。そして、平均で十八年たってしまうともうぽいと。これをこのところずっと続けてきた。
特にまた、景気対策ということで、どんどんいけいけということでふやしてきた。住宅をどんどんこの短期間に建てるということは、それは景気のためにきかないとは言いません、きく分もあるでしょう。しかし、そのことが本当に国民生活の質を向上させることになっているのか、あるいは地球全体のことから考えてもいいことなのか。
例えば、そんなにどんどん住宅が建てられるようになると、南洋の木材をどんどん輸入しなきゃいかぬ。まさに、そういう木材を伐採して、どんどん日本が輸入して使っている。地球環境上からも問題がある。そういう観点はないのか。あるいは、十八年でどんどん回していくというようなことではなくて、本当に、アメリカやイギリスのようにストックとしての住宅というものを考えるようにどうしてならないんだろうかというように、私はこういう数字を見ながら感じているわけですが、なぜ日本は十八年でアメリカやイギリスは長いのか、その辺について、もし教えていただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/27
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028・梅野捷一郎
○梅野政府委員 御指摘のように、日本の住宅が実質的に大変短い期間で更新をされているという実態にございます。
それはいろいろな理由があると考えておりますが、一つは、今日までの社会的状況で申し上げますと、やはりそれぞれ大きな戦争をしたわけではございますけれども、日本におきまして、もともと木造住宅であったということもございまして、相当数が焼失をした段階から戦後の住宅建設が進められたわけでございますが、大変な世帯の分化、小さく分かれていくという動きと、それから人口が大変大都市に集中をするということに見られますような地域間の人口の移動が、諸外国に比べますと大変大きなうねりとなって続いたということがございまして、どうしても住宅の数というものを重視せざるを得ないという社会的背景の中で、我々も、また現実にお住みになる国民の皆様方も、なるべく早く、とりあえず落ちつける住宅をという環境が戦後は特に続いてきたというのが背景にはあろうかと思っております。
また、先ほどの話にも出ていますように、日本の木造住宅というものが、安定的な状況の中でいえば、木材というものは、リサイクルという一つの自然循環の中に組み込まれているやり方でございます。そういう一つの、これは非常に古くからの日本の住宅のあり方かと思いますが、普通の、一般の住宅については、耐久性の高いものというよりは、そういう資源を循環させながらやっていくというような歴史もあったように思うわけでございます。
私どもは、今日の状況においては、そういう考え方は脱却をして、できるだけ耐久性の高い、耐用性の高い住宅というものをきちんとストックとして積み上げていくということにより一層力を入れていくべきだというふうに考えているところでございまして、今回御審議をお願いしておりますのも、そういうものを、先生から見ますとややおくれたということになろうかと思いますが、金融公庫の制度そのものにも、中核に据えたいということで御審議を煩わしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/28
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029・山本幸三
○山本(幸)委員 住宅を、今度の公庫法の改正で、高齢化とか、耐震性のあるものについては基準金利でいきましょうというようなことにするということですね。ただ、私が非常に気になるのは、そういう基準というものをつくって、そして、それで融資条件を決めていく。一つの問題は、その基準を満たしているかどうかということをだれが正しく認定できるのか。結局のところ、住宅公庫も恐らくよくわからないからある程度定型的な基準を持つようになるんでしょう。そして、それにのっとっていれば認められるけれども、そうじゃないというふうになるとだめだという話が起こってくる。私は、そういう裁量の余地がある裁量権というものをそういう公庫が持つということが本当にいいんだろうかということが非常に疑問に感ずることがあります。
それからもう一つ、いわゆる今度は金額じゃなくて、金額というだれもがわかるものじゃなくて、いわゆる性格の判断ですね。非常に価値判断が入る。今は確かに高齢化対応とかあるいは耐震性とかいうことで言っていますが、本当にいい住宅をつくるときにその基準だけでいいのか。自分自身の経験も含めて本当にいい住宅とは何なのかということを多くの人はよくわからないなりに、結局、そういう住宅業界が提示するもの、あるいはその住宅業界も、住宅金融公庫がある程度の基準をつくってそれにのっとって非常に均質的なものが提供されて、これが住宅ですよという感じで日本人は来ているんじゃないか。
私の経験を申し上げますと、かつてアメリカに留学したときに、カナダの友人のところに訪ねていって、モントリオールでしたが、その御両親が持っているこれはまあ大きなマンションでしたけれども、バチカン市国の持っているマンションで、その家に入った途端びっくりした。とにかくどでかい部屋がばあんと一つあって、そうですね、この部屋のちょうどあのカーテンの角ぐらいの大きな部屋があって、もう走って回っても大丈夫なぐらいの大きな部屋がある。そして、そのほかには寝室が三つか四つある。そういう感じの住宅でしたけれども、ある意味で言うと住宅という感覚を何か脳天をぶち抜かれたような感じで、常識とは全く違う。
しかし、そういうまさに全く違うようなものもこれからは、本当に長い期間いい住宅として考えるならばあり得るんじゃないか。あるいは、これからマルチメディアと言われているそういうときに、もう子供部屋までパソコンができるように光ファイバーか何かで配置するというようなシステムをつくる。あるいは、今我々の常識では、過去の知識ではわからないけれども、全く新しい感覚の住まいというものが本当はより望ましいんじゃないか、そういうものが当然出てくる可能性がある。そういうときに、この住宅市場の金融の大宗を担う住宅金融公庫がこういうものですよという基準をつくることによって、そういう努力が阻害されてしまうんじゃないかなという気がいたします。
いずれにしても、これからは、まさに日本人は、つくって、短く使って、すぐまたかえるという感覚を少しストック重視に変えていかなきゃいけない。そして、先ほど申し上げたように、既に最低限の量という意味では満たされている。そして、その自由度が大いに通用するようになるためには、私は、余り公的にこれが基準ですよというようなことがその住宅市場のメーンの流れとして行くような姿は避けるべきではないか。むしろ、いろいろなアイデア、いろいろな試みがなされる住宅を、そして長く使えるような住宅を考えていくときというように方向転換すべきじゃないか。
その意味では、むしろそういう自由なものができるような民間の金融機関がそういう住宅市場の主たる担い手となるべきである。で、住宅金融公庫は、むしろそういう民間金融機関がそういう融資をしたそれについて保証してやるとか、あるいはその融資の債権について次の債権の流通の担い手になってやるとかという形で、むしろ住宅金融公庫の役割というのは、民間金融機関を主体にして別の方向に進むべきではないかなという気がしています。
なぜならば、時間がないのではしょってお伺いしますけれども、住宅金融公庫の非常に大きな問題は構造的に赤字体質を持っているというところです。これは、まさに財投金利よりも低い金利で長期、固定で貸すということをやる限り続く。そして、その赤字のたまった分について特別損失という形で将来に先送りするということを繰り返してきている。私は、行政改革がいろいろ言われておりますが、これからの日本の将来の最大の問題は、財政が硬直化していくこと、このことをあらゆる角度でなくしていくようにしなければ、本当に長い目で見て、将来の年金の支払いとかいうことを考えたりしても日本はもたないというふうに思います。
その意味で最後に、住宅金融公庫の役割として、もう民間の金融機関と争うような融資のところでは控えていく、あるいは、今後赤字は、特に特別損失などというものはもう今後は一切出しませんという形で運営をするというようにしてもらいたいと思いますけれども、その点についてお伺いして、最後の質問にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/29
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030・梅野捷一郎
○梅野政府委員 先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、私どもも金融公庫をいたずらに拡大をするという考え方に立っているわけではございませんで、当然ながら、民間の金融機関と協調し、民間金融機関の特色を生かしていただく部分については積極的にその分野を担っていただくという前提で私どもがやっていくべきだと考えているところでございます。
今後、民間の金融機関が、それぞれの民間金融機関にはそれ相応のまた制約もございますので、どういうビヘービアでこの住宅金融についてお取り組みいただけるかということは、当然私どももできるだけのお取り組みを期待しているところでございます。
それで、金融公庫は、何度も申し上げますけれども、一般の世帯を中心として、その家計の特質とローンというものができるだけマッチしたそういう部分を分担するというつもりで運営しているところでございますし、また、るるお話がございましたように、今日まで来たこの住宅事情の状況の中では、より質の高い、あるいは長く生活を支える住宅につながるようなそういう役割を政府系の金融機関としては受け持つべきであるというふうに考えているところでございまして、そういう役割を常に整理をしながら、民間の金融機関と金融公庫との役割分担を適切に運営していくように努力をさせていただきたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/30
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031・山本幸三
○山本(幸)委員 どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/31
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032・二見伸明
○二見委員長 次に、笹木竜三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/32
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033・笹木竜三
○笹木委員 新進党の笹木竜三です。質問を始めさせていただきます。
まず最初に、先ほど趣旨説明、提案理由説明もあったわけですけれども、今回の住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案、これについての根本的なねらいといいますか趣旨について、もう一度大臣から御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/33
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034・中尾栄一
○中尾国務大臣 先ほど説明させていただきました趣旨という点であろうと思いますが、今回審議をお願いしている住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきましては、今後の長寿社会、質の高い住宅ストックの形成等に対応し得る融資体系にすることといたしまして、一つは、公庫融資を住宅政策としての誘導機能を強化して、そして金利体系を良質な住宅ストックの形成に向けて改善をすること、第二番といたしましては、今後も引き続き住宅融資を促進することを主なねらいとしているところでございます。
具体的に申し上げますならば、従来の規模別の金利体系を見直して、高齢者に配慮した住宅等一定の良質な住宅に対しまして最優遇金利である基準金利を適用することと同時に、二番目をあえて特筆するとするならば、特別割り増し貸付制度の適用期間を五カ年計画期間である平成十二年度末まで延長するという点などを改正の内容としている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/34
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035・笹木竜三
○笹木委員 今、質の高い住宅をということと、公庫の政策誘導機能を強化、そういったお話がおりました。具体的に、高齢化社会に対する対応、省エネあるいは耐久性の高い住宅、そういったことを誘導しようという趣旨が非常に強いと思うわけですけれども、このことについて、従来も、例えば高齢化社会に向けての融資メニュー、割り増し融資等あるいは耐久性についても省エネについてもあったわけですが、今回さらに金利面も踏み込んでやっていくということについて、事務方の方で結構ですが、高齢化、省エネ、耐久性、この誘導について、趣旨をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/35
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036・梅野捷一郎
○梅野政府委員 金融公庫のいろいろな住宅の質を充実させていくということにつきましては、従来からもいろいろな割り増し融資制度を通じて取り組んできたところでございますけれども、例えば高齢化社会に向けての公庫としての取り組みといたしましては、これまでもそれを特別な割り増し対象にしたわけでございます。例えば、高齢者に対応できるような構造工事をする場合には百万円の割り増し融資をいたしますとか、あるいは高齢者と同居する場合には四百五十万円の割り増し融資をして、そういうものがよりアクセスしやすいようにするというようなことをやってきたわけでございまして、例えば高齢者関係でいいますと、平成六年度でいいますと約九万件ぐらいの実績がございます。
そのほか、今お話ございました省エネルギー関係の取り組みにつきましても、いろいろな省エネ型の住宅に持っていく場合の割り増し融資をいたしますとか、例えば省エネルギーの断熱構造化の工事をする場合には外壁の断熱工事五十万円の割り増しをいたしますとか、開口部が大変熱損失が大きいわけでございますけれども、そういうものを断熱構造にする場合には五十万円の割り増しをするというようなことで取り組んできたところでございますが、今日の状況になってまいりますと、これからの住宅というものは、先ほども御指摘がございましたけれども、長くストックとして活用できる基礎的な条件というものは当然のことにできるような体系に持っていこうということで、特に住宅金融公庫の融資をお受けになる場合につきましては、それをいわば必須条件の一つとして取り上げていくという体系にできるだけ組みかえていこうということが、今回の改正案の第一点の大きな趣旨になっているところでございます。
いずれにしましても、新規に投資していくこれからの住宅でございますから、できるだけアクセスのしやすい、準備のしやすい環境条件、これは一つは資金調達でございますので、その点を優遇的な条件をつくって、今後の住宅に長く耐えられる性能にアクセスしていただけるような条件にしたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/36
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037・笹木竜三
○笹木委員 今お話ありましたけれども、例えば高齢化社会に向けてのこれまでの割り増し融資のメニューとして、高齢者対応構造工事あるいは高齢者用設備設置工事、少し前ですと高齢者用トイレ・バスユニット等設置工事、こういったものがいろいろあるわけですけれども、それぞれについての量的な実績をもう一度お話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/37
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038・梅野捷一郎
○梅野政府委員 お答え申し上げます。
集計が終わっております六年度の実績によりますと、高齢者対応構造工事というのが七千二百件ほどございます。それからトイレ・バスユニット、この関係が四千三百件ほどございます。それからホームエレベーター、これはなかなかまだ普及が進んでおりませんが、三百件ほどの融資がございます。それから高齢者の同居住宅、これは二世帯住宅というようなことで大いに皆様方にも関心が高いわけでございますが、これに伴った割り増し融資をいたしましたのが約八万件強ほどございます。
以上のような数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/38
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039・笹木竜三
○笹木委員 先ほど九万件とお話しになったのは、これは高齢者に向けての公庫の融資メニューすべてについて今までの実績として、単年度じゃなくてすべての累計として九万件と、そういうことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/39
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040・梅野捷一郎
○梅野政府委員 ただいま申し上げました個別の内訳の合計がおおむね九万件だということで申し上げた、合計でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/40
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041・笹木竜三
○笹木委員 平成六年度でということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/41
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042・梅野捷一郎
○梅野政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/42
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043・笹木竜三
○笹木委員 それで、さらに省エネについて、これについての量的な実績はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/43
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044・梅野捷一郎
○梅野政府委員 省エネ関係についても幾つかのメニューがございます。そのメニューに沿って申し上げますと、省エネルギーの断熱構造工事関係が六万一千件、先ほど申し上げました開口部の断熱構造工事が二万件強でございます。それから、暖冷房関係の省エネ設備をやっていくというものが約二万四千件でございます。それから給湯器がございますが、これも省エネ型の給湯器を特に設置していただいているものが、これは全体の数も多いこともございまして、十六万七千件ほどございます。それから、太陽熱温水器、これも対象になっているわけでございますが、これが一万二千件強でございます。それから、いわゆるソーラー住宅、これは一千件強でございます。
以上のような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/44
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045・笹木竜三
○笹木委員 それで、今ちょっとお話が出たのでついでに質問するわけですけれども、省エネについて、今ソーラーですとか太陽熱についてはお話ありましたけれども、例えばこれは資源エネルギー庁管轄でやっているのですか、コージェネレーションとか、省エネとして非常に注目をされております。発電効率を高める効果もある、廃熱を利用して、それをまた電気とか熱に使うということですけれども、こういったものはもうほとんど実用化の技術は完成されている、しかしまだまだ普及が思うようにいかない。こういったものに対する対応というか連携というのはあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/45
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046・梅野捷一郎
○梅野政府委員 省エネ関係というのは、私どもいろいろな形で実際に取り組んできているわけでございますが、全体といたしましては、いわゆる省エネ法は特に住宅の分野が大変重要でございますので、省エネ法においては、全国をその気候に合わせまして六つに区分をいたしまして、それぞれに目標とするような基準を設けてできるだけ御努力をいただく、また金融公庫においてもその区分に従っていろいろな対応をしていくということで進めているわけでございます。
金融公庫につきまして見ますと、太陽光発電の環境共生住宅割り増しのソーラー住宅工事というような形でも百五十万円の割り増しを適用しておりますし、太陽熱の温水器の設置工事については二十万円の割り増しをするというようなことで対応しているところでございます。
八年度につきまして、建設省におきましても、コージェネレーションシステムの住宅への適用については従来からもいろいろな形で取り組んできたわけでございますが、改めてさらに本格的に調査を行おうということで、他省庁とも連携をとりながら取り組もうというような予定にいたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/46
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047・笹木竜三
○笹木委員 今、省エネということでエネルギーのことを考えてみますと、二〇三〇年ごろには中国とかインドとかが日本のエネルギー消費に匹敵するかあるいは追い抜く、そういうこともよく言われます。それで、エネルギー政策に対する貢献ということで、これは資源エネルギー庁も科技庁もよく国際貢献を言うわけですけれども、一方では石油以外、石油代替のいろいろなエネルギー、原子力も含めて開発をして研究をして、それを技術移転もしていこう、こういった貢献は非常に大事だと思うわけですけれども、率直に感じているところを言いますと、例えば長期需給の見通しですとか、あるいは原子力の長期見通し、こういったものを見ても、例えば日本国内だけで考えてもあと三十基、四十基本当に立地が可能なのか、いろいろ不安もあります。
そんな中で、新進党としてはこういったエネルギーの見通しについて複線的な計画をもっと出していくべきだと主張しております。具体的には、省エネをもっと盛んにやって、例えば原子力の立地が計画どおり達成できなくても、今までほとんど達成をしていないわけですけれども、達成できなくてもその分を省エネでどうやって補っていくか、複線的な計画をつくっていくべきだ、そんなことも言っているわけです。
例えば、アジアに対する貢献、世界に対するエネルギー面での貢献ということを考えましても、この省エネの面が非常にこれから重要になってくると思います。そういった問題意識から考えると、技術の開発も非常に大事だけれども、もう既に実用化が可能な技術をどう普及させていくか、これが非常に大事になってきていると考えます。
こういった住宅の新築あるいは改築の場合に、それに対して先ほど政策誘導という話がありましたけれども、これをもっと本格的にやっていく必要があると思うわけですけれども、先ほどの実績を聞いても、あるいは割り増し融資の額などを聞いても、他の省庁との連携がどうなのか、現状ではまだまだ足りないのではないか、そんなふうに感じております。
資源エネルギー庁とか科技庁とか、そういうところを含めてそういった連携の場というのは持っていくお考えがあるのかどうか、お話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/47
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048・梅野捷一郎
○梅野政府委員 私どももこの省エネルギー問題というのは、先ほど申し上げましたように、民生部門の中で建物とりわけ住宅の占める役割あるいはシェアというものは大変大きいわけでございますので、従来からこの問題を何とか前進させたいということで、一つの指標を明らかにするとともに、基本的にはそれに基づいて、今御審議いただいているような融資制度もできるだけ連動させていこうというようなこともやっておりますし、また、地方公共団体がみずから直接建てたり、あるいは住都公団が整備するような住宅につきましてもそれぞれ取り組んでおりまして、この公的セクターにおいては、我々の内部では連絡会議というようなものも設けて一生懸命取り組んでいるところでございます。
もともと、いわゆる省エネ法というものができた際にも通産省さん、資源エネルギー庁を中心に進めてきたわけでございますが、私どもも、この省エネ法も両省が共管をいたしまして、出発のところから通産省と共同でこの問題に取り組んできたという点がございます。当然これからいろいろな、まだ具体的なものを持っておりませんが、他の省庁ともそういう面での協力ができる点があれば、積極的に私どもも参加をしてやりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/48
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049・笹木竜三
○笹木委員 まだまだ足りないと思いますので、ぜひそれに今後取り組んでいただきたいと思います。
さらに、例えば高齢化への対応にしましても、省エネへの対応にしましても、自治体レベルでは都市計画といいますか、町づくりの一環としていろいろな対応があります。そういった地方自治体での町づくり、都市計画の施策との連携、まず現状についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/49
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050・梅野捷一郎
○梅野政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、住宅とか建物直接については、そこに公共団体が私どもと住宅あるいは建築部門の立場から一緒になってやっているわけでございますけれども、特に今日私どもが取り上げております中に、いわゆる環境共生というような言葉で表現をされている領域に取り組んでいるわけでございます。
私ども、当初は建物、住宅を、環境と省エネルギーを含めまして、ともに生きるという環境共生住宅というようなところから出発したわけでございますが、今日では私ども建設省も、挙げて町そのものがそういう省エネを含めた環境を十分内部目的として取り組んだ、そういう取り組みをやっていこうということで強く取り組んでいるところでございます。当然これには各地方公共団体が同じ考えで御参加をいただくということが必要でございまして、私どものそういう考え方を随時地方公共団体にも指導をさせていただいているという実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/50
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051・笹木竜三
○笹木委員 高齢化についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/51
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052・梅野捷一郎
○梅野政府委員 高齢者対策につきましては、それぞれ私どもの若干の補助金も用意をいたしまして、高齢者対策を進めるための全体のマスタープラン、住宅をどういう形で高齢社会でしていくのかということと、それから、具体的に私ども、例えばメニューとしてシルバーハウジングというようなメニューを持っております。住宅をつくる際にサポートの機能を入れていくというようなメニューを持っておるわけでございますが、そういうものを具体的にどういうスケジュールでどれぐらい取り組んでいくかというような計画をおつくりをいただく。そういうことで個別の問題も当然お取り組みいただいているわけでございますが、町全体、所管のそれぞれの公共団体全体の町を、地域をどういう形で住宅の面からも高齢社会に対応していくかということを、今申し上げたような形でお取り組みいただこうというようなスキームで努力をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/52
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053・笹木竜三
○笹木委員 高齢化に対応した住宅ということで、公庫を通して一軒一軒に対していろいろ誘導していく、これはもちろんわかるのですけれども、高齢者の方であれ、住む立場からしたら、これはやはり町づくりの一環としてその町が変わっていくことがどうしても必要なわけです。自治体については町、村、市単位でいろいろなそういった計画があるわけですけれども、まだまだ連携が非常に弱いと感じます。政策誘導を高めていくということであれば、そういった面についての新しい機能を考えていく必要が今後の課題としてどうしても必要だと思うわけです。
あるいは、耐震とか耐久性とか、そういった場合でも、これはアメリカの場合ですけれども、阪神の大震災のときいろいろなことが議論されて、その後建設会社ですとか電力会社が盛んにアメリカの南カリフォルニアに視察に行っている。何を視察に行っているかというと、もう日常から、もちろんその地震についての、日常の体に感じられない小さな地震についてもいつもコンピューターに入力して、どういうような活断層の関係でどこの地域に揺れが一番大きく伝わっていくか、そういったことも既に入力をしているわけですけれども、町、それぞれの区域で、この地域は例えば耐震構造がどのぐらいか、強いか弱いか、そういったこともすべてマッピングが事前にされている。地震が起こったときにヘリコプターで見にいく前に、今言ったCUBEシステムというわけですけれども、そのシステムで、どこの地域に一番被害が多くなっているだろうか、そんなことをヘリで見にいく前に大体予測がつくようなシステム。これは、何回もそれをぴたりとかなり地域的に当てているわけですけれども、そのシステムが今非常に注目されているわけです。
こういった耐震ですとか耐久性、そういった面で考えましても、一戸二戸の住宅に対して政策誘導していくということだけではどうしても限界がある。自治体では、そういったいろいろな町単位での計画が今新しいものも出てきているわけですし、先ほど山本委員の方からも話がありましたけれども、例えばマルチメディアに対応したそういった住宅、集合住宅、あるいは町づくり、景観、こういったことを考えると、質の高さということで景観が非常に重要な要素になってくると思うわけですけれども、これも町全体として変わっていく必要が非常に強まっていく。現状としてはそういった機能が非常に弱い、ほとんどないと思うわけですけれども、今後、そういったことにさらに取り組んでいく具体的なお考えがおありかどらか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/53
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054・梅野捷一郎
○梅野政府委員 お答え申し上げます。
私どもは、いろいろな町全体として、あるいは個々の生活、これはもう相互に関係するものだという考え方で、省を挙げてそれぞれの部局が共同部に今取り組んでいる実態にございます。例えば、先ほど阪神のお話もございましたが、あの地域の復興にいたしましても、できれば町づくりと個々の住宅の復興をできるだけ広くやりたいということで、従来のケースに比べますと相当思い切った区域の設定も町づくりの中でやっていこうというようなことで、いろいろな事業手法を駆使してかけている。例えば区画整理でありますとかいろいろな仕組みがございますけれども、それをできるだけ広くかけてやっていこうというふうにとらえているところでございます。
それから、どうしても、今回の法案との関係で申し上げますと、いろいろな町づくりの一つの全体の動きの中にやはり最終的には個々の建物がついてきていただくという、多少語弊がございますけれども、対応できるようなそういう道具立て、条件整備もしておく必要があるという趣旨から、私どもはこういう、例えば公庫融資の場合にも、そういう町全体としての動きの中で高齢者対応あるいは省エネ対応、耐久性というようなことがよりスムーズに御対応いただけるような条件をできるだけ整備をしていこうということで、これは個々の側からのアクセスの一面であるというふうに理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/54
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055・笹木竜三
○笹木委員 ここで大臣にさらにコメントもいただきたいと思うわけですけれども、今お聞きしていて、一つは、例えば省エネ等について、これはさらに通産省とかとの連携が必要だということで、省エネ型の建築の普及ということで必要だということでお話ししました。もう一つは、高齢化への対応にしても、これは実際にそこに住む高齢者にとっては、町全体が変わっていかないとなかなか本当に質の高い住宅にはなっていかない、地域にはなっていかない、生活も質の高い生活にはならない。どうしても町づくりとの連携、一軒一軒に対する誘導だけではなくて、その新しい町づくり、都市計画に対する連携というか誘導、これが必要になる。景観の面でももちろんそうだと思うし、耐震とか耐久性という面でもそうだ。
今そういったお話について伺ってきたわけですけれども、ぜひ今後、この政策誘導機能を重視して強化していく。先ほどお話がありましたけれども、こういった線に沿って町づくりとの連携、各自治体との町づくり、都市計画の政策との連携機能をさらに強化していく。省エネ等についても、他の省庁との連携をさらに密にしていく、これがどうしても質の高い政策という面では必要だと思うわけですけれども、それについての御意見というか、コメントをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/55
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056・中尾栄一
○中尾国務大臣 先ほど来質疑のやりとりを聞いておりまして、非常に関心の深さとまた造詣の深さも感じた次第でございますけれども、特に町づくりというのは、日本の国は諸外国よりこのような形で明治以来果敢に取り組んできたとはいうものの、社会資本やその他においてはおくれておりますことはもう論をまたないわけでございまして、それだけに、先ほど委員御指摘の高齢化社会、二十一世紀に向かっての町づくり、住まいづくり、あるいはまたその都市づくりの一環としてもっと機能のよい、住みよい、住んでよかったなというような社会をつくっていくという御指摘に対してはまことに同感でございまして、例えば一つ省エネの問題もその中に付加されておられましたが、これは私もちょうど通産をやっておりましたころに、省エネの問題等も通産の方でも主軸的にやっていこうというようなことで、エネルギー庁ではございましたが、これまた真剣にその問題に取り組ませていただきましたが、実質それに対応して、ある意味において果敢なまでにある程度の財政を使ってもということになりますると、建設省の役割はさらに深いものと思います。
またさらには、二十一世紀を目指してのマルチメディア構想というようなものも篤と、もう言われて何十年かたつわけではございますが、委員の御指摘のとおり、また委員もそのことに対しては造詣深く、本まで出しておられることもよく熟知しておりますし、その点におきましては、十分に次の課題である。
今やパソコンからさらにインターネットの時代、さらにはまた、そういう意味においては、各戸を衛星で中継で結んでいくという情報産業の時代と相まっても、これは新しい分野における新都市づくりというものが対応すべきことかなということで、絶えず都市局長等を中心に話し合っている課題でございまして、私も心からそういう点においては推進力の一端を担っていきたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/56
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057・笹木竜三
○笹木委員 ぜひそれをお願いしたいと思います。
それともう一つ、実績についてさらにお伺いをしたいわけですけれども、例えば阪神の大震災がありました。量的こま住宅金融公庫の誘導が非常に貢献もしてきたのだと思いますけれども、先ほど山本委員の方からもありました耐久性、そういった面でどうなのかという質問もあったわけですけれども、少なくても一般の民間のローンに比べて、こういった震災時の防災、こういった面では、質の面でも、これまでの活動としても当然実績が確保されていないとおかしいと思うわけです。その実績、阪神大震災のときの防災の実績で結構ですが、事実をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/57
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058・梅野捷一郎
○梅野政府委員 まあいろいろなとらえ方があろうかと思いますが、阪神の大震災におきます例えば、大変大きく壊れた住宅、金融公庫の融資を受けたものとそれ以外のものというものを調べますと、公庫融資を受けた住宅ですと六・四%ぐらいの数でございますが、その他の一般の住宅が一六%というようなことで、明らかに公庫融資を受けた、それなりの内容をチェックしながら、あるいはそれなりの資金を活用しながらお建てになった住宅の方が被害が大変少ないというような実態にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/58
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059・笹木竜三
○笹木委員 今、防災のことについてはわかりました。
それと、耐久性ということではまだまだ現状ではおくれているのだということで、先ほどの質問にもありましたが、アメリカの場合ですと大体四十年ですか、イギリスの場合ですと日本の三倍近く、五十年から六十年の間、日本が十八年、二戸の住宅に対してそのぐらいの期間しか使われていない。
先ほども質問があったわけですけれども、こういった問題に対して、今回のこの改正によって、どういうふうに踏み込んで、耐久性という問題、使用年数についてもさらに長くなっていくように誘導されようとしているのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/59
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060・梅野捷一郎
○梅野政府委員 耐久性の問題につきましては、今も先生から御指摘ございましたように、少なくとも現状におきます日本の住宅は、そういう意味では大変問題が多いというふうに私どもは認識しておるところでございます。
一つには、どうしても日本の古来の様式によります住宅の一つの特色といいましょうか、弱点といいましょうか、そういう面もないわけではございませんが、今後は、いずれにしましても、耐久性という問題を大きく考えるべきだ。この場合に、物理的な面が当然一つございますし、それから今日建てかえが非常に多いという中には、必ずしも物理的な耐用年数が来ていないにもかかわらず建てかえていくという問題もございます。そのことも実は大きく影響しているわけでございますので、できるだけ長期にわたって使えるような規模、あるいはそれぞれの、例えばバリアフリーになっているとか、いろいろそういう面に力を入れながら、また、物理的な問題についても、今回の制度の改正の中で耐久性を基本的な選択対象の一つに加えているということでございます。特にシェアの多い木造住宅等で申し上げますと、基礎あるいは隅柱について、そういう耐久性に基本的に影響するところについてはきちんとした内容のものにしていただこうという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/60
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061・笹木竜三
○笹木委員 わかりました。
それで、今ずっと高齢社会に対応する建築あるいは省エネに配慮した住宅、耐久性の高い住宅について、その誘導策についてお伺いをしてきたわけですけれども、これまでのこの割り増し融資のメニュー、高齢化に対するものと省エネについてのものと先ほどお答えいただきましたけれども、今回のこの改正案によって、これまでの割り増し融資はどのように位置づけられていくのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/61
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062・梅野捷一郎
○梅野政府委員 ただいま予算の方での御審議もいただいているわけでございますけれども、高齢者向けの関係でいいますと、戸当たり百万であるとか五十万であるとかということになっておったわけでございますが、平成八年度の予算案におきましては、これらを統合拡充をいたしまして、長寿社会対応の住宅割り増しという形で戸当たり百五十万円ということで内容を盛り込んでいるところでございます。それから設備の関係も、全体を統合拡充をいたしまして、戸当たり百万円ということで対応いたしたいというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/62
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063・笹木竜三
○笹木委員 省エネについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/63
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064・梅野捷一郎
○梅野政府委員 省エネルギー関係につきましては、先ほど申し上げましたような数字で、八年度も予算案の中に取り込ませていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/64
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065・笹木竜三
○笹木委員 それで、お伺いしたいわけですけれども、統合拡充してそのままやっていきたいんだというお話ですけれども、単年度で結構ですけれども、この割り増し融資によるもの、まあ計算すればいいことでしょうけれども、高齢化と省エネについて全体でどのぐらいの予算を使っておられるのか、大体で結構ですから、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/65
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066・梅野捷一郎
○梅野政府委員 まことに申しわけございませんが、今手元にその分だけを取り出した集計を持ち合わせておりませんので、後ほどまた御説明をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/66
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067・笹木竜三
○笹木委員 それと、今回の政策誘導によって、新たな基準金利の適用基準に適合する住宅の割合、数ですけれども、大体どの程度と見込んでおられるかについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/67
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068・梅野捷一郎
○梅野政府委員 現在までの動向から類推をするわけでございますけれども、従来が、基準金利でお貸ししました総額のシェアが三〇%強でございますし、また中間金利の部分が二〇%弱で、合わせまして五〇%ぐらいということになるわけでございますが、私どもとしては、今回百二十五平米というこれらの区分をどけましてこういうことをやるわけでございますが、いずれにしましても、省エネあるいは高齢者、そういう問題にお取り組みいただくものが過半にはなっていくだろうというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/68
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069・笹木竜三
○笹木委員 それで、もう一度お伺いしたいわけですけれども、この割り増し融資は今後も——今回政策誘導ということで、今までの実績等、最初の質問でお伺いしました。量的な実績としても進みぐあいが非常に遅いのじゃないかと私は思うわけですけれども、それに対して、この改正によって金利による誘導、さらに強い誘導をするということで結構だと思うわけですけれども、それでもなおかつ、今までのを総括して、余り広がっていないな、特に高齢化についての対応については思うわけですけれども、それも引き続きずっと続けていく意味についてはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/69
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070・梅野捷一郎
○梅野政府委員 お答え申し上げます。
金利によります優遇につきましては、融資額全体を対象にするということのために大変強い政策誘導機能が期待されるものでございますから、今回、長寿社会などに対応した良質な住宅ストックの形成を推進するためには、従来の住宅の床面積から質という区分に転換をしようということをしたわけでございます。
一方、割り増し融資につきましては、当該工事を実施するために、いわばコストアップ分になるという、これに対して融資額を増加させるために実施しているものでございますので、金利による優遇とは別に、今後とも融資額そのものを拡大するという意味で必要であるというふうに考えているわけでございます。そういう意味で引き続きということで考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/70
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071・笹木竜三
○笹木委員 そういう割り増し融資のコストについてもいろいろ検討しながら考えていくべきなんだと思いますけれども、基本的に、なかなか公庫からの融資を受けたいという人全体にこたえているという状態でもないわけですし、なるべく重点的にやっていくことが必要。しかも、なるべく予算は、さっき言ったような都市計画とか町づくり、そういったものと一体的に使っていくことがさらに効果があるのじゃないか。幾つか象徴というか成功例というか、モデルをはっきり目に見えるような形でつくっていく、これが非常に普及するのには大事なことだと思うわけです。
はっきり言ってちょっと中途半端といいますか、今までのままその同じ制度を続けていくというよりも、踏み込んで新しい誘導をされるということですから、ぜひさっきお話ししましたそういったことに、都市計画とか自治体との連携にむしろお金を使っていただきたい、そう思うわけです。これについてのコメントもいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/71
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072・梅野捷一郎
○梅野政府委員 私ども建設省全体といたしましても、町づくりあるいは長寿社会、それぞれ政策大綱というようなことで省を挙げた取り組みの姿勢をまとめておるわけでございます。その中でも、いずれのテーマにつきましても、個々の努力というものだけでは実現できない。先生おっしゃるように、地域あるいは町づくりの中で個々の努力が生きていくような、そういう取り組みで今後は進むべきだというふうに考えているところでございます。
また、そういうものが実際に国民一人一人に御理解をいただくというためには、当然そういうものが身近に目に見えてくるということが必要かと思っておりますので、モデル的な事業というようなものを特に進めているわけでございます。
特に高齢社会の関係で申し上げますと、既に公的な住宅、公団、公営、幾つか公的な住宅がございますが、それらについては、新しいものについてはすべてをバリアフリーでやるという取り組みはいたしております。これらはかなりの数でございますし、また場所も、あちこちに団地があるわけでございますので、そういうところで具体的に目に触れる先導的な取り組みをさせていただいている。
また、シルバーハウジング・プロジェクトというような、かなり団地全体を、あるいは運営の面も含めまして、そういうプロジェクトも進めているところでございまして、こういう実物のプロジェクトとあわせながら、今先生の御指摘のような点で、先ほども大臣申し上げましたように、町づくりと個々の努力というものが一体となって進めるような努力をさらに進めさせていただきたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/72
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073・笹木竜三
○笹木委員 ぜひそれをお願いしたいと思います。限られたコストの中でやるわけですから、むしろそういった面により多くの予算を使っていくべきだと思います。
さらに、今度の新しい基準金利、新しい基準の設定によって住宅建設のコストアップ、これが大体どのくらいになるのか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/73
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074・梅野捷一郎
○梅野政府委員 お答え申し上げます。
今回の改正で考えておりますのは、高耐久あるいはバリアフリー、省エネルギー、それらを少なくとも一つというとらえ方をいたしておりますので、最も熱心にやっていただける場合にはそれらをすべてお取り組みをいただくということになろうかと思いますが、いろいろな条件もございますので一概に申し上げにくいわけでございますが、おおむね七十万から二百万ぐらいの幅になるのかなというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/74
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075・笹木竜三
○笹木委員 わかりました。この改正案そのものについての質問の中で、今言った新たな基準全利、高齢化に対する対応の住宅、省エネに対する住宅、それと耐久性の高い住宅、これについては以上にします。
最後に、ちょっとあわせて幾つか住宅金融公庫についてお伺いしたいと思います。
先ほどの委員の方からも質問がありましたけれども、民間との役割分担をどうするのか、それでいろいろな議論があります。例えば補給金の負担、金利の逆ざやの分、これがどんどんふえている、ふえていくのではないか。九二年で三千九百四十億円ですか、九三年で四千四十五億円、年一%以上の逆ざや。毎年貸付残高がふえ続ける。数兆円規模でふえ続けていくとすると、単純な計算で考えるとこの補給金の負担がどんどんふえていくのではないか、こういった心配もよく主張される方がおられます。
それについて、実際の数字と、今後そういうふえ続けていく不安があるのではないかという声に対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/75
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076・梅野捷一郎
○梅野政府委員 補給金につきましては、全体の融資の戸数でございますとか金利の全体的な推移でありますとか、いろいろなことが影響いたしますので一概になかなか確実な見通しが立ちにくい面もあるわけでございますが、私ども、現在の状況で考えておりますのは、この二、三年を中心に、大変な経済環境の中で住宅の景気対策としての役割を大いに担ったという点もございまして、その影響によります変動がかなりあろうということで、特別損失制度の延長等も昨年お願いいたしたわけでございますけれども、長期的に見ますと、これまでもいろいろな、例えば段階金利制というようなものを取り入れるとか、いろいろな工夫をさせていただきまして、そういう対応も進めてきたところでございます。
また一方では、このところ急速に、民間サイドでも公庫とはまた別の意味での大変特色のある商品も開発をされてきているところでございます。金利などの単純な比較でいたしますと、公庫よりも低いような金利を組み合わせたような商品も出してきているわけでございますので、一概に、過去のように、何かあるとすべてが公庫に依存してくるという環境ではないというふうに考えているところでございまして、おおむね我々が対応できる範囲で推移していくのではないかというふうに理解しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/76
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077・笹木竜三
○笹木委員 要するに、補給金の額そのものは余りふやさない方向で全体を考えていく、民間との役割分担もそういうような基本方針で考えていく、そうお答えいただいたと思ってよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/77
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078・梅野捷一郎
○梅野政府委員 私ども、基本的にそう考えております。一年とか二、三年とかという単位ではどうしてもいろいろな変動がございますけれども、中長期的に考えますとそういう理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/78
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079・笹木竜三
○笹木委員 それともう一つ、よくいろいろな方々が心配されるのは、金融公庫から融資を受けた方々のローン返済の延滞の増加、代位弁済の件数の増加していること、それについての心配もよく聞かれます。これについてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/79
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080・梅野捷一郎
○梅野政府委員 公庫住宅融資保証協会の代位弁済の件数を見ますと、昭和六十二年度の七千七百四十五件をピークに平成二年度までは減少傾向にございました。しかし、平成三年度以降平成五年度まで増加を続けてまいりましたが、平成六年の九月からの融資率の上限を八割までとする、そういう貸し付けの運用によりまして、運用をできるだけ適正化するというようなことを強化したこともございまして、平成六年度においては八千百九十三件ということで横ばいの状況にございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/80
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081・笹木竜三
○笹木委員 ふえていくという不安に対しては、それは大丈夫だと考えてよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/81
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082・梅野捷一郎
○梅野政府委員 先ほど申し上げましたのも一つでございますけれども、住宅ローンの事故の防止については、いずれにしても無理のない資金計画というものがベースになるわけでございますので、窓口におきます指導をさらに適切に実施をしていく。その中でも、具体的には融資上限を八割というようなことで、従来よりもきちんとした運用をしようということで進めておりますので、大きな影響、悪い形への変化にはならない、適切に運営できるものというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/82
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083・笹木竜三
○笹木委員 それと、さらにこれは大事なことでお伺いしたいわけですけれども、これまでの実績について決して否定するわけではありませんけれども、やはり基本的な方向性としては、これからもっと民間により多くを任せていくべきじゃないかという議論が常にあります。私も基本的にはそうだと思っているわけです。
それで、この公庫の仕事を、国が直接住宅ローンに利子補給をするとか、あるいは他の国のように税制で対応するとか、そういった方向性にだんだんシフトしていくべきじゃないか、それを基本的な戦略として考えるべきじゃないかという議論が根強くあるわけです。それについての見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/83
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084・梅野捷一郎
○梅野政府委員 利子補給をして金融公庫が特別な住宅融資をいたしておるわけでございますが、これはやはり国民の一般的な世帯を対象に、中心に据えてやっているわけでございまして、家計の実情に応じた、それに最もふさわしい長期・安定的な融資をしていく、そういうものに、その対象者に即して利子補給という、いわば長期、安定、低利という組み合わせでベースをつくっているということでございまして、どのような機関から借りた場合にも利子補給をするという形に直ちに転換するということではない。私どもは、やはり公庫という、今日まで来ておるベースになる仕組みを十分活用すればいいというふうに考えているところでございます。
また、税制というような問題も、一般の民間金融で借りた場合の問題もあろうかと思いますが、税制そのものも、例えば所得税で申し上げますと、所得税そのものをたくさんお支払いになっている方については税制上の対応の範囲はそれなりに大きいわけでございますけれども、今日の私どもが特に中心として考えるべき世帯の方々については、必ずしも税という対応だけでは的確な対応はできない。
御案内のとおり、住宅に対しましては、金融と税制というものをそれぞれの特色に合わせて組み合わせながら住宅政策を構成させていただいているわけでございますけれども、今後とも、金融と税制というのはそれぞれ特色と限界を持っておるわけでございますから、それをいかにうまく組み合わせ、適切に運営していくかということで考えるべきものだというふうに考えるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/84
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085・笹木竜三
○笹木委員 今の、例えば支払い利息に対して所得から控除することについては、所得の低い方はどうなのかというお話、そういう面はあると思いますけれども、それであれば、直接利子補給をそういう方々にすれば済むわけですし、長期の安定的な金利、これも別にもとがあって可能になっているわけですから、その分を民間に対していろいろバックアップの仕方も当然可能になってくると思います。何よりも、実際の融資業務は民間金融がやっているわけですから、今後どうしても、公庫そのものが重点的に特化していく部分がどうなのか、さらに明確に考えていく必要があると感じるわけです。
もう時間がありませんので、最後に、先ほどもお話がありました段階金利制、それをとって公庫から民間への借りかえも若干ふえたりもしている、あるいは民間の金融も自由化している。こういう状態の中で、住宅金融公庫法そのものは、設立したときには、「一般の金融機関が融通することを困難とするもの」、これに対してというふうに最初のところで定義がされているわけです。重点特化して住宅金融公庫が仕事を担っていく、そのことが、大きい転換が必要だと思うわけですけれども、最後に、民間とこの住宅金融公庫との役割分担について大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/85
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086・中尾栄一
○中尾国務大臣 役割分担についての御質問でございますが、住宅金融公庫の公的融資とまた民間住宅ローンとは基本的に相互に補完し合い、補充しながら国民の円滑な住宅取得というものを支援すべきものであると考えておる次第でございます。
住宅金融公庫は、変動金利が中心の民間住宅ローンと協調しながら、景気の動向には左右をされない、長期、固定の低金利の住宅資金を安定的に供給すること、また住宅の質向上を積極的に誘導する重要な役割を果たすべきものと認識しておる次第でございまして、今回の法改正におきましても、良質住宅ストック形成を促進する金利体系に改正するなど、住宅金融公庫を政策融資としてその誘導機能を強化することとしている次第でございます。今後とも公庫と民間ローンとが適切に補完し合うように配慮してまいりたいと私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/86
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087・笹木竜三
○笹木委員 どうもありがとうございました。
きょう質問させていただきました一つは、他省庁との連携あるいは自治体、町づくりとの連携、さらに民間との役割分担、これをもっと明確にしていく、もっと踏み込んでやっていただきたい、そのことがお話ししたがったわけです。ぜひ大臣にも役所の皆さんにもそのことをより突っ込んでお考えいただきたいと思います。
どうもありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/87
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088・二見伸明
○二見委員長 次に、中島武敏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/88
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089・中島武敏
○中島(武)委員 私は、きょうは初めに住宅金融公庫法の改正案について質問をいたします。
改正案では、百七十五平米以下で、長寿社会対応住宅また耐久性の高い住宅、さらには省エネルギー住宅という三つの要件のいずれかを満たす住宅は基準金利、現在は三二%ですが、その他の住宅を中間金利とする、これは現在は三・一五%です。百七十五平米を超えたものを大型金利、これは現在は三・一五%ですけれども、こういうふうに改めました。
このことによって、従来は基準金利が適用されていた百二十五平米以下の住宅建設は、三つの条件のいずれかを満たさない限り、より高い中間金利が適用される。現在の低金利のもとではその差は〇・〇五%であるので、借り手の方は負担は少額なんですけれども、経済情勢の変動によって法定金利上限ぎりぎりまで金利が上昇する場合が想定されます。そうなりますと、基準金利五・五%、中間金利六・五%となりますと、その差は一%ということになります。
百二十五平米以下の実績を調べてみると、九四年では個人住宅建設で三七・〇七%、四割近く、四割を切っておりますね。それから、高層住宅建設では九九・八五%と、大多数が百二十五平米以下になっております。仮に法定限度額いっぱいいっぱいの一%の金利差になると、返済額はどれぐらいふえるのか。要件に合った住宅を建設しないとかなり負担が重くなるのじゃないかと思うのですけれども、この点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/89
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090・梅野捷一郎
○梅野政府委員 お答えいたします。
ただいま先生御指摘のように、今回の改正によりますと、百二十五平米以下の住宅がすべてが従来どおり基準金利の適用になるということではないということは全くそのとおりでございますが、長寿社会への対応その他、今後の基礎的な必要なものの一つを取り込んだ住宅というものを前提にしているわけでございますし、極端に高い水準を考えているわけではないということから見ますと、大半の住宅が対応できるものと考えているところでございます。
また、この百二十五平米以下の住宅というものを最優遇金利として設定したのは、当然のことでございますが、従来は、いわゆる一次取得者、最初に住宅にアクセスされる方々というものは、総体的に比較的小さな住宅にアクセスされるというようなこともあって、こういう体系を組み立ててきたというふうに考えているわけでございますが、そういう方々に対しましては今回の法改正によりましても、さらにアクセスがしやすいということも考慮いたしまして、「はじめてマイホーム加算」を二百万円をさらに三百万円へ引き上げるとか、あるいは計画的なアクセスができるように住宅宅地債券の積立者に対する力をもっと入れるとか、そういう形で、いわゆる一次取得者というものがこういう体系の中でも十分追随していただけるようなものと、セットで今回考えているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/90
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091・中島武敏
○中島(武)委員 今、金利差一%の負担額、マンション百二十五平米以下ということで限度額は一千四百四十万円、これだけ借りたという場合にどうなるかということなんですけれども、年額で十一万九千九十二円八十銭、これだけの違いが出てくるのですね。月に直しますと九千六百六十二円四十銭、こういう違いが出てくるのです。私は、その九千六百六十二円というのは決して勤労者にとってどうでもいいというような金額じゃないと思うのですね。
そういう点では、今住宅局長から答弁のあったようなローン加算その他の措置を考えているということについては了解できるのですけれども、今申し上げたようなことですから、さらにもっと何か考えてみなければいかぬのじゃないか。私は、良質な住宅をつくるということについては大いに賛成なんです。賛成なんですけれども、しかしやはり、そういう今申し上げたように月に一万近く払い方が多くなるというような人たち、こういう人たちについてさらにもうちょっと考える必要があるのじゃないかなという気がするのですが、重ねての答弁……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/91
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092・梅野捷一郎
○梅野政府委員 ただいまの先生の御指摘は、確かに借りた金額を一定にして金利差という比較で比較をいたしますと、そういう数字が出てくるということはそのとおりでございますけれども、私どもは、こういう先ほど申し上げたような仕組みとあわせて考えれば、例えば先生の今御指摘のありました千四百万あるいはそれ前後の資金というものと、今回の基準金利の対象となる住宅の内容とは、おおむね対応することになるのではないか。したがって、ゼロか、そういう方が全く出ないのかというと、比較の上では当然出てくるかと思いますけれども、私どもとしてはやはりそれなりの、むだな住宅をつくるわけではなくて、こういうことは基礎的な条件でございますので、何とかぜひやっていただこうということで、先ほど来申し上げますような一次取得者というものが最も条件が厳しゅうございますので、その点についてはできるだけの対応をしたという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/92
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093・中島武敏
○中島(武)委員 重ねてさらに考慮を、いろいろ考えてほしいということを申し上げて、関連がありますので、阪神・淡路大震災にも係る問題について、住宅問題についてお尋ねいたします。
被災後一年以上経過しましたけれども、いまだに四万六千三百世帯、十万人近い人々が仮設住宅に暮らしております。これらの人々に住宅を確保することは、最低限かつ緊急の課題だと思うわけです。
具体的にお尋ねしたいと思いますが、現在の計画では、低廉な家賃の災害公営住宅は、わずか二万四千戸、これだけ建設するということになっているのです。ところが、兵庫県が発表いたしました住宅被害状況によりますと、全壊・全焼戸数は十八万八千世帯なんです。相当な戸数が全壊あるいは全焼ということになっております。
それで、兵庫県が仮設住宅に入居している方々に対してアンケート調査を行った。御存じと思いますけれども、入居世帯約四万六千世帯のうち三万一千三百世帯から回収がありました。そして、それによりますと、県営住宅、市営住宅などの公営住宅の入居希望者が一万五千八百八十世帯に及ぶのです。つまり五〇・七%なんですね。大臣、それぐらい多くの方が公営住宅を希望しているんです。私は、十八万八千世帯の半分とは申しませんけれども、二万四千戸しか今のところ考えていないわけですから、これではちょっと及ばないんじゃないかなという気がいたします。
新聞報道を見ておりますと、橋本総理大臣は二月十九日の午前、首相官邸に建設大臣をお呼びになったようでございまして、建設大臣もおいでになったんじゃないかと思うのですが、阪神大震災の被災者の住宅問題について、恒久的な住宅の確保策を検討するように指示した、こういうふうに報道されております。
それで、大臣に伺いたいのは、建設省としてはどんな検討を行ったのか、そして、災害復興公営住宅の建設戸数をふやさないとならないと私は思うのですけれども、この問題について大臣は、やはりこのままでいいとお考えなのか、いやそんなことはない、もっとやはりふやさなければいかぬとお考えになっているのか、その辺を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/93
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094・梅野捷一郎
○梅野政府委員 先生御指摘のように、現在、いわゆる公営住宅、災害復興公営住宅等ということでございますが、二万四千戸ということでございます。これは兵庫の全体で新規に供給する十一万戸の内訳として、地元で当時からいろいろな調査をしたり、その後の検証をしたりしながら組み立てた数字でございます。それに対しまして、その後もいろいろな、仮設住宅に入居しておられる方々が最終的に今度どういう住宅を御希望になっておるのかというようなことについても、現在さらに詳細な調査を進めていただいておるところでございます。
従来の推計なり計画について、私どもは十分こういう数字でいけるのかなということで現在も考えているところでございますけれども、なお具体的な個々の罹災者の方々の意向というものを調査をしておるという状況でございます。
また、総理からもいろいろお話があったということにつきましては、ちょっと大臣の方から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/94
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095・中尾栄一
○中尾国務大臣 今手帳を見て思い出したのでありますが、総理と打ち合わせを申し上げたのは事実でございます。
ただ、問題点はそれだけでなく、御案内の日米関係等の問題が極めて、非常に向こうも関心を持っておる、こちらもまた、関心と同時に対応しなければならぬ、こういうことで打ち合わせをさせていただきましたが、なかんずく総理の御関心そのものが強く委員の御指摘のところにもございまして、そして、住宅復興については、兵庫県側が地元地方公共団体及び国と協力して、地元の被災状況を踏まえながら十分検討を行い、そして、その結論において「ひょうご住宅復興三カ年計画」を作成したところでございます。
国としましても、この計画の円滑な実施を強力に支援するために必要な措置を講じまして、現在これらの住宅の積極的な建設に鋭意取り組んでいる次第でございます。
先ほど局長の言葉にもありましたように、現在の災害復興住宅の計画戸数、二万四千戸というものを十分に頭脳に詰め込みながら、全体がこれを討議すべきことだ、こういう認識で、この計画は被災状況を十分踏まえて作成されたものではございますが、現在、兵庫県が応急仮設住宅の入居者の実情についての調査を行っているところでございまして、その結果や住宅復興の状況等に応じまして、今後とも適切に対応してまいるというのが私どもの考え方であり、取り組んでいる姿勢でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/95
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096・中島武敏
○中島(武)委員 大臣、適切に対応してまいりたいという最後の言葉、前にも私質問したことがあるのですけれども、県の計画では、私の感じでは間違いなく不足するだろうと思うのです、二万四千戸では。やはりそのときにはちゃんとふやすというお気持ちなんでしょうね。そうでないと、問題は、いまだに、一年が過ぎても仮設住宅の中で苦しんでいなければならない、そういう方々がいるというのは、全く早く解決しなければならない問題なんですね。それで、非常に希望も強いわけですよ。
だから、ぜひひとつ、これでは足りないんだということがわかった段階では、積極的にそれを満たすように、住民の皆さんの要求を満たすように頑張ってもらいたいと思うんだけれども、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/96
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097・中尾栄一
○中尾国務大臣 先般の建設委員会でも、委員との質疑応答の中でも、私もそのとおり思っておりますし、また委員のような剛直にして腕力の強い人に、とてもこの私自身がいいかげんなことを言うわけにはいきませんから、これは鋭意建設省挙げて全力で取り組むつもりでございますから、よろしくどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/97
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098・中島武敏
○中島(武)委員 その大臣の決意を伺って、次の問題にいきます。
今度は優良宅地開発法の一部改正、この問題についてなんですけれども、法改正に当たって、日本共産党として、認定事業地が二十六カ所ありますが、このうち二十三カ所を調査いたしました。
それで、その中で明らかになったことは何かというと、多くのところで市町村の意向が反映していないということが明らかになりました。確かに、形式的こま市町村の意見を聴取することになっておりますが、調査してみますと、何とやはり、自治体の町づくり計画とかマスタープランなどと無関係に、宅地開発事業者の計画が建設大臣の認定ということで、そのお墨つきをもらったという格好で持ち込まれてくるのですね。
例えば、これは横須賀市の長浦町、それから田浦港町地区の集合住宅計画なんですけれども、東急不動産が計画を立てて、そして建設大臣が認定したものなんですけれども、市には形式的な相談があっただけなんですね。それで、非常に大きな開発であります。十九ヘクタールの大きな開発でありますし、地域の町づくりに非常に密接に関連するのです。そういう点で、事実上自治体の頭越しに計画をつくるというのは、これは非常に問題があるんじゃないかと思うのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/98
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099・小鷲茂
○小鷲政府委員 優良法の認定対象団地について、地元市町村の意向が反映されていない実態があるという御質問でございますが、制度的には、本法の五条で、建設大臣が認定をしようとします場合には関係都府県の知事の意見を聞くということになっております。またさらには、都府県が意見を述べようとするときには関係市町村の意見を聞かなければならないということで、市町村の意見が反映される仕組みにはなってございますが、運用の実態を申し上げますと、実は開発が許されるか許されないかという別途の法体系がございまして、例えば都市計画法に基づきます開発許可でありまするとか、この優良認定を受ける事前の段階のいわば自主的な開発調整の手順があるわけでございまして、実際上は、そういう事業の当否をめぐる事業調整の手続の上で市町村の意見が調整をされると、こういう実態にあるわけでございます。
したがいまして、一般の場合にはその段階で十分意見調整がされ、そちらの方面の許可の見通しがないと私どものこの法律に基づく認定を下せないという実態でございますので、私どもとしては、それぞれ市町村長の意見が組み込まれておるというふうに理解をいたしているわけでございます。個別の問題について一々承知しているわけではございませんが、一般論としてはそういう仕組みになって処理されておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/99
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100・中島武敏
○中島(武)委員 仕組みは仕組み、実態は実態なんですよ。実態はなかなか大変なんです。
もう時間もないから余りこのことで時間をつぶしたくないんですけれども、横須賀市は開発指導要綱を持っているんですね、もう御存じと思いますが。普通はまず市に話が来てやりとりするんだけれども、今申し上げたところは事前に市に相談はなかったんです。国の認定を受けてから話があったんですね。これはちょっと違うんじゃないか。やはり、結局頭越しにやっているんですよ、市の。こういうことは改めてもらわないとやはりだめだというのが自治体の意見なんですよね。担当者の意見なんですよ。
それから、指導要綱では、住民が反対しているところは市としては開発しないということにしているんです。ところが、そういう指導要綱があったってこれは死文になっちゃうんですね。地方自治体の開発許可権というものについて事実上ぼかしてしまうということになりゃせぬですか。そういう点から私は、やはりこの点はよく気をつけてもらいたい問題だ、気をつけてもらいたいといいますか、実態がそうなっていないと。やはりその開発許可権に対して干渉ということに実態的にはなっているということを指摘しておきたいんですね。
それで、もう一つお尋ねしますけれども、現在非常に開発が進んでいるところは自然破壊が伴っているというのが、これはかなりの共通事項なんです。例えば飯能市。ここでは西武鉄道による開発がやられているんですけれども、周辺は非常になだらかな丘陵地で、御存じの方もいらっしゃると思うんですけれども、近くの小学生が遠足に行く天覧山なんかがあるんですよ。ところが、西武がどんどんどんどん開発をやるわけですね。で、緑がなくなってきちゃっているんですよ、緑が。それで、東京周辺の貴重な自然を宅地開発で壊してよいのかという問題が起きてくるんですね、これ。それで、緑の保全は二十一世紀の全地球的課題であると言われておりまして、私もそう思うのですね。そういう点からいうと、やはりこの二十一世紀の大事な課題をこの法案は台なしにしちゃうんじゃないか、こういうふうに思えてならないんです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/100
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101・小鷲茂
○小鷲政府委員 ただいま個別の事案を引き合いに出されましてお話がございましたけれども、特に環境の問題につきまして問題が起こり得るとすれば、多くの場合には市街化調整区域で大規模に行われるようなケースではないかというふうに思うわけでございますが、市街化調整区域の場合には、先ほど言いましたように、都市計画法を基本とする別途の調整手続がございまして、そのスクリーンを通して来るということでございます。その過程で必要な調整はされるものというふうに私ども理解をいたしておりますし、しかも、その段階で市町村の意見も適切に反映されるものという
ふうに理解をしているわけでございますが、今回の優良法の規定そのものに即して考えますると、むしろ従来よりも緑を残すような団地を奨励していこう、こういう意図のもとに改正をお願いしているわけでございますので、従来よりもこの改正法によりまして事態が悪化するという心配はいたしておらないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/101
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102・中島武敏
○中島(武)委員 緑を重視している改正そのものについては私は否定の立場ではありません。それは改善の立場だということは、重々そういう立場なんです。だけれども現実に、個別の問題、個別の問題と申しますけれども、これはみんな個別の問題なんですよ。今まで大臣が認定したのは二十六カ所あるんです。みんな個別なんですよ。個別に点検しなかったら、どうなっているかというのはわからないんです。そんな漠としたものじゃないんですから。個別だからいけないということじゃない。個別だから大事なんです。そこを点検せんきゃいかぬ。
そういう点で私はさらに申し上げたいと思うんだけれども、自治体負担がふえるという問題があるんですよ。これまたどうかということをお尋ねしたいんですけれども、多くの自治体は、開発指導要綱で事業者に道路、下水道、学校、保育園などの建設費の負担を求めておりますが、現在、規制緩和の波に洗われまして、行き過ぎた開発指導要綱の見直しが進められているために、事業者に負担を求めづらい状況になっている。多くの自治体で人口増に伴う負担増に懸念が表明されておりますが、この点について、自治体負担がふえていくことについてどんなふうに措置をしたらよいとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/102
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103・小鷲茂
○小鷲政府委員 従来、御指摘の宅地開発等指導要綱をめぐりまして、その負担が適切であるかどうかという議論がなされておりまして、行き過ぎている事例が散見されるわけでございますので、これについて是正措置のお願いを随分久しきにわたってやってまいったわけでございます。
それで、私どもが是正をお願いしておりますのは、どう見ても宅地開発事業者が負担するのはおかしいというふうに見られるものが中にございますものですから、そういうものについてお願いをしているつもりでございます。
例えば施設をつくりますときに、必ずしも開発地区の住民のみが使うものでないような、地区外の人が利用するようなものまでつくれと、こういうことを言われますので、それは、つくること自体については調整の余地があろうけれども、その費用負担につきましては応分の費用負担についての協議があるべきではないかと、こういう趣旨でお願いをいたしているつもりでございます。
それで、そういった過度の指導が実質的には一種の規制的な効果を発揮しているということで、規制緩和という視点からも、その見直し、是正につきましてお願いをいたしている次第でございます。したがいまして、過度に市町村が負担を強いられるといりことじゃなくて、従来宅地開発事業者にむしろ無理強いをしていった部分があるならば、そこの点について是正してほしいと、こういう見直してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/103
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104・中島武敏
○中島(武)委員 これはもう時間がないからだんだんおしまいに近づけなきゃいかぬのですけれども、自治体負担がふえるという問題だけじゃないんですよ。売り出されている土地、家屋の分譲価格ですね。これ、ごらんください。もう七千万、八千万。八千万じゃ売れないからって七千万ぐらいに下げたとか、かなり遠いところでも六千万円とか、あれは勤労者用なのかなという疑いが起きてくるようなところもたくさんあります。やはり適切な価格でないといかぬのじゃないかということを指摘して、これはもう最後になりますけれども、聞きたいことが一つあるんです。
今も、緑の協定の問題、緑地協定とかあるいは建設協定、今度法律で強調をされておりますよね、新しく設けた。それから、かねてから建築協定なんかも非常に重視しておられる。
それで、実はその具体的なことで一つ最後に聞きたいんですけれども、これは富田林なんです、富田林。大阪の富田林市の津々山台四丁目、五丁目の例なんですけれども、その建築協定の内容は、建ぺい率五〇%、それから容積率一〇〇%、それから、地階を除いて二階以下にして、かつ勾配屋根、道路に面する垣やさくの構造は生け垣かパイプフェンスで見通しをよくすると、非常に細かく規定されている。まあ言ってみれば、第一種住居専用地域並みの内容なんです。で、入るときは、これでよいところに住めるなというふうにみんな期待したのですね。ところが、すぐ近くに実はマンションの計画が持ち上がってしまって、日照問題が持ち上がって、それで幾らかセットバックしてこの問題は解決がついたようなんですけれども、その隣もまたこれから開発する、その隣もこれから開発するというような土地を抱えているのですね。
そうすると、ここでしっかりしてもらいたいと私が思うのは何かというと、やはりこういうことはあらかじめ予測できるわけですから、事前に緩衝地帯というか、あるいは環境保全ゾーンといいますか、そういう土地を確保する、そういうことによって本当に一種住専並みにしたところがちゃんと担保できる、保全される、こういうふうに建設省としては指導するべきじゃないか。この場合だったら住都公団ですよね、建設省から住都公団を指導する。全国にもこういうところは、市街地においては結構あるのです。だから、そういうところについても同じような考え方で問題の改善を図っていく必要があるのではないかということを最後にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/104
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105・小鷲茂
○小鷲政府委員 ただいまの事案は、富田林市で住都公団が施行いたしております金剛東ニュータウンのことではないかというふうに思いますが、この事案は、ただいまおっしゃられました大変厳しい、質の高い建築協定を施行地区内の方々が結ばれたにもかかわらず、公団の開発地区外で中高層が建つということで環境が脅かされる、こういう事案でございます。
ただ、私どもは、この事案はかなり特殊なケースなのかなというふうに思っておりますのは、本来この土地は二種住専の地域でございましたけれども、隣接する区域内が非常に広い一種住専地域でございまして、大変環境がよいということもありまして、市の指導もあって一種住専並みの建築協定をつくった、こういう経緯があるわけでございます。
確かに、区域内外であるとにかかわらず、いい町づくりを進めるという観点からは問題が残ったケースでございますので、一つは、当初の計画の段階でいい町がつくれるといったような検討を十分行うということが基本的には大事なんじゃないかなというふうに思っておりますので、そういう視点から、今後公団並びに関係市と十分調整を准めるようにいたしたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/105
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106・中島武敏
○中島(武)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/106
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107・二見伸明
○二見委員長 これにて両案に対する質疑は終息いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/107
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108・二見伸明
○二見委員長 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の一部を改正する法律案に対し、日本共産党から討論の申し出がありましたが、先刻の理事会で協議の結果、御遠慮願うことになりましたので、御了承願います。
これより両案について順次採決に入ります。
まず、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/108
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109・二見伸明
○二見委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
次に、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/109
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110・二見伸明
○二見委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中尾建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/110
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111・中尾栄一
○中尾国務大臣 まず、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げる次第でございます。
審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。
ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)
引き続きまして、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。
審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。
ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/111
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112・二見伸明
○二見委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/112
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113・二見伸明
○二見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/113
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114・二見伸明
○二見委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十六分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604149X00419960325/114
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