1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年六月十四日(金曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 簗瀬 進君
理事 荒井 広幸君 理事 熊代 昭彦君
理事 斎藤 文昭君 理事 田端 正広君
理事 堀込 征雄君 理事 横光 克彦君
川崎 二郎君 久野統一郎君
島村 宜伸君 中谷 元君
萩山 教嚴君 穂積 良行君
細田 博之君 大野由利子君
太田 昭宏君 富田 茂之君
渡辺浩一郎君 左近 正男君
松本 龍君 東中 光雄君
出席政府委員
自治省行政局選
挙部長 谷合 靖夫君
委員外の出席者
衆議院法制局第
一部長 早川 正徳君
衆議院法制局第
一部第二課長 郡山 芳一君
自治大臣官房審
議官 牧之内隆久君
自治省行政局選
挙部選挙課長 大竹 邦実君
自治省行政局選
挙部管理課長 山本信一郎君
自治省行政局選
挙部政治資金課 鈴木 良一君
長
特別委員会第二
調査室長 田中 宗孝君
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委員の異動
六月十四日
辞任 補欠選任
鈴木 俊一君 中谷 元君
額賀福志郎君 細田 博之君
北側 一雄君 富田 茂之君
同日
辞任 補欠選任
中谷 元君 鈴木 俊一君
細田 博之君 額賀福志郎君
富田 茂之君 北側 一雄君
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五月十七日
衆議院の小選挙区比例代表並立制撤廃、公職選
挙法改正に関する請願(山口鶴男君紹介)(第
二五八三号)
六月十二日
衆議院の小選挙区比例代表並立制撤廃、公職選
挙法改正に関する請願(山口鶴男君紹介)(第
三七四九号)
同(山口鶴男君紹介)(第三八五四号)
は本委員会に付託された。
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四月十二日
定住外国人の地方参政権の確立に関する陳情書
(第二二二号)
同月二十六日
定住外国人の地方参政権の確立等に関する陳情
書外一件
(第二五七号)
六月四日
定住外国人への地方参政権の付与に関する陳情
書外三件
(第三四二号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604219X00419960614/0
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001・簗瀬進
○簗瀬委員長 これより会議を開きます。
公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
この際、公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来各政党間において協議が行われて、合意がなされたところであります。本委員会といたしまして、理事会において御協議をいただきました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を委員長から御提案いたしたいと存じます。
それでは、起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。
平成六年の公職選挙法の改正により、衆議院議員の選挙制度が小選挙区比例代表並立制に改められ、政党中心、政策本位の制度とされたことに伴い、小選挙区選挙、比例代表選挙のいずれにつきましても、政党等に大幅に選挙運動の手段が認められることとなっております。
しかしながら、このような選挙運動のあり方については、各党においてさまざまな論議が行われております。すなわち、小選挙区選挙におきましては、一選挙区当たりの有権者数、面積は、ともに従来のいわゆる中選挙区と比べおおむね二分の一以下に縮小され、また一選挙区当たりの平均世帯数も約三十四万世帯から約十五万世帯に減少していること、それにもかかわらず、選挙運動につきましては、基本的には従来と同じ数量のものがそのまま候補者個人に認められるとともに、候補者届け出政党にも同様の数量の選挙運動が認められること、これらの選挙運動を従来より短縮された十二日間の選挙運動期間において行うこととする制度は、過大な選挙運動を惹起することとなり、社会生活にも多大な影響を与えるおそれがあると言わざるを得ないことなどであります。
本案は、このような論議を背景として、衆議院議員の選挙制度について、政党中心、政策本位の選挙の実現を図るという基本的な考え方を維持しつつ、公正で金のかからない選挙の実現に資するため、選挙運動の方法や数量に関し合理化を図ることとして取りまとめたものであります。
次に、その主な内容について御説明申し上げます。
第一は、小選挙区選出議員の選挙において候補者届け出政党が使用することができる自動車または船舶及び拡声機についてであります。
現行法では、都道府県ごとに、届け出候補者数が三人を超える場合、その超える数が五人を増すごとに自動車一台または船舶一隻及び拡声機一そろいを追加して使用することができることとされていますが、その超える数五人を十人に改めることといたしております。また、拡声機には、携帯用の拡声機を含む旨を明らかにすることといたしております。
第二は、小選挙区選出議員の選挙において候補者届け出政党が頒布することができる通常はがきの枚数についてであります。
現行法では、都道府県ごとに、三万五千枚に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数とされていますが、この三万五千枚を二万枚に削減することといたしております。
第三は、ビラについてであります。
小選挙区選出議員の選挙において候補者届け出政党が頒布することができるビラの枚数は、現行法では、都道府県ごとに、七万枚に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数とされていますが、この七万枚を四万枚に削減するとともに、各小選挙区において頒布することができるビラの枚数は、候補者を届け出た小選挙区ごとに四万枚を限度とすることといたしております。また、新たに、候補者届け出政党が頒布するビラの規格について、一定の制限を設けることといたしております。
比例代表選出議員の選挙において名簿届け出政党等が頒布することができるビラについては、現行法では、選挙区ごとに、三種類以内とされていますが、これを二種類以内に制限することといたしております。
第四は、ポスターについてであります。
小選挙区選出議員の選挙において候補者届け出政党が掲示することができるポスターの枚数は、現行法では、都道府県ごとに、千五百枚に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数とされていますが、この千五百枚を千枚に削減するとともに、各小選挙区において掲示することができるポスターの枚数は、候補者を届け出た小選挙区ごとに千枚を限度とすることといたしております。
また、比例代表選出議員の選挙において名簿届け出政党等が掲示することができるポスターの枚数は、現行法では、七百五十枚に当該選挙区における名簿登載者数を乗じて得た数とされていますが、この七百五十枚を五百枚に削減するとともに、新たに、その種類を三種類以内に制限することといたしております。
第五は、小選挙区選出議員の選挙において候補者届け出政党が行う政見放送についてであります。
現行法では、候補者届け出政党が行う政見放送の時間数は、都道府県ごとに、届け出候補者数に応じて定めることとされておりますが、さらにきめ細かく届け出候補者数に応じて政見放送の時間数を定めることとするよう、所要の措置を講ずることといたしております。
第六は、小選挙区選出議員の選挙において候補者届け出政党が開催する政党演説会及び比例代表選出議員の選挙において名簿届け出政党等が開催する政党等演説会についてであります。
現行法では、開催回数についての制限はありませんが、新たに、これらの演説会を同時に開催する場所の箇所数について、政党演説会にあっては、都道府県ごとに、二に当該都道府県における届け出候補者数を乗じて得た数以内に制限するとともに、各小選挙区においては、候補者を届け出た小選挙区ごとに二を限度とすることとし、また、政党等演説会にあっては、比例代表選挙の選挙区ごとに、八以内に制限することといたしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
なお、この法律は、公布の日から施行することとし、改正後の公職選挙法の規定は、この法律の施行日以後初めてその期日を公示される総選挙から適用することといたしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
—————————————公職選挙法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604219X00419960614/1
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002・簗瀬進
○簗瀬委員長 この際、発言の申し出がありますので、これを許します。東中光雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604219X00419960614/2
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003・東中光雄
○東中委員 公職選挙法の一部改正起草案に反対の意見を申し上げます。
本案の内容は、衆議院議員の選挙運動に関して、第一に、政党の選挙運動用ビラの枚数と種類を削減し、ビラの郵送による頒布の禁止を初め、小選挙区選挙における政党のはがきや政党の選挙運動用ポスターの枚数を削減するなど、政党の文書図画による選挙運動への制限をさらに強化するものであります。第二に、小選挙区選挙における政党カーの台数を削減し、小選挙区選挙及び比例代表選挙において政党が開催する政党演説会、政党等演説会の同時開催を大幅に制限するものであります。
これらはいずれも、政党の行う文書図画、演説会による政策宣伝活動、言論活動という選挙運動の中心的手段への規制を強化するものであります。そもそも、政党本位、政策中心の選挙と称して小選挙区比例代表並立制の導入を強行しておきながら、一度の選挙も実施しないで、政党の政策宣伝活動、言論活動への制限を強化しようとするのは、国民を欺くものと言わなければなりません。
もともと、国民の代表を選ぶ選挙制度は、議会制民主主義と国民主権の大原則にかかわるものであります。有権者が正当に投票権を行使するためには、政党、候補者の政策を知り得ることが不可欠であります。そのために、政党や候補者の政策宣伝活動、言論活動は最大限に保障されなければなりません。
本来、選挙運動に係る制限は、買収、供応などの不正の防止に限定すべきものであります。今回の改正の言論活動等に対する制限の強化は、憲法が保障する選挙の自由、政治活動の自由、言論、表現の自由、国民の知る権利を侵すものであり、暗やみ選挙に一段と拍車をかけるものだと言わなければなりません。
提案の趣旨弁明において、基本的には従来と同じ数量の選挙運動が候補者個人と候補者届け出政党に認められ、これを短縮された十二日間の選挙運動期間に行うことは過大な選挙運動を惹起すると言われておりますが、そもそもこの前提が問題であります。
従来、政党の法定ビラは、その枚数、頒布方法について基本的に制限していなかったのであります。ところが、今回の小選挙区制度導入の際に、政党及び政党等の選挙運動用ビラの頒布方法を郵送、新聞折り込み、演説会場等に制限したのであり、従来と同じではないのであります。
頒布方法を制限し、従来認められた全戸配布や駅頭配布を禁止しておいて、今度はさらに、郵送代などに金がかかることを口実にしてビラの郵送頒布を禁止する、枚数や種類の制限を強化する。これほど手前勝手な理屈はないと思うのであります。金のかからない選挙を言うのであれば、金権選挙を生み出す小選挙区制そのものをこそ廃止すべきであります。
また、本案は、小選挙区選挙における候補者届け出政党の活動を制限することに重点が置かれています。候補者届け出政党の行うビラ、はがき、ポスター、演説会などを量的に制限するとともに、その活動に小選挙区ごとの枠をはめることは、都道府県の区域内での政党の選挙運動という制度の建前を崩して、全体として小選挙区候補者中心の選挙へシフトさせようとするものであって、小選挙区制を強化していくという改悪につながるものだと考えます。
最後に、こうした重大な制度改悪について、与党三党と新進党が、実務者による密室協議で決定したものをそのまま国会の委員会に持ち込み、委員会提出法案とすることによって、審議も行わずに、会期末に駆け込み成立を図ろうとすることは、議会制民主主義からいってゆゆしい問題だと考えております。
以上、反対意見を申し述べます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604219X00419960614/3
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004・簗瀬進
○簗瀬委員長 これにて発言は終了いたしました。
これより採決いたします。
公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604219X00419960614/4
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005・簗瀬進
○簗瀬委員長 起立多数。よって、そのとおり決しました。
お諮りいたします。
本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604219X00419960614/5
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006・簗瀬進
○簗瀬委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
この際、御報告申し上げます。
本日の理事会におきまして、お手元に配付のとおりの申し合わせを行いましたので、私から申し上げます。
申合せ
衆議院議員の選挙運動については、候補者、
候補者届出政党、名簿届出政党等の三者がその
主体となるが、候補者届出政党及び名簿届出政
党等が行う選挙運動については、各政党等がそ
の主体であるとの自覚に立って、政党中心、政
策本位の選挙を実現するよう良識に基づいて行
うものとすること。
また、選挙運動方法のあり方については、本
委員会において、政治改革の本旨に基づき、今
後とも検討すること。以上でございます。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時十六分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604219X00419960614/6
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