1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年四月二十二日(月曜日)
午後三時二分開議
出席委員
委員長 甘利 明君
理事 逢沢 一郎君 理事 自見庄三郎君
理事 塩谷 立君 理事 古賀 正浩君
理事 西川太一郎君 理事 増子 輝彦君
理事 小林 守君 理事 石井 紘基君
浦野 烋興君 小此木八郎君
尾身 幸次君 岸田 文雄君
久野統一郎君 谷川 和穗君
丹羽 雄哉君 額賀福志郎君
野田 聖子君 野田 実君
石井 啓一君 上田 勇君
上田 清司君 佐藤 茂樹君
柴野たいぞう君 千葉 国男君
土田 龍司君 宮地 正介君
吉田 治君 石井 智君
岩田 順介君 佐藤 泰介君
松本 龍君 吉井 英勝君
後藤 茂君 牧野 聖修君
出席国務大臣
通商産業大臣 塚原 俊平君
出席政府委員
通商産業大臣官
房長 中川 勝弘君
通商産業大臣官
房商務流通審議
官 大宮 正君
委員外の出席者
警察庁生活安全
局生活環境課生
活経済対策室長 園田 一裕君
文部省初等中等
教育局中学校課
長 加茂川幸夫君
商工委員会調査
室長 石黒 正大君
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委員の異動
四月二十二日
辞任 補欠選任
野呂田芳成君 久野統一郎君
小池百合子君 上田 清司君
星野 行男君 柴野たいぞう君
山名 靖英君 千葉 国男君
大畠 章宏君 岩田 順介君
同日
辞任 補欠選任
久野統一郎君 野呂田芳成君
上田 清司君 小池百合子君
柴野たいぞう君 星野 行男君
千葉 国男君 山名 靖英君
岩田 順介君 大畠 章宏君
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四月十二日
著作物の再販制度維持に関する請願(石橋大吉
君紹介)(第一七四七号)
同(櫻内義雄君紹介)(第一七四八号)
同(西岡武夫君紹介)(第一七四九号)
同月十六日
著作物の再販制度維持に関する請願(鈴木俊一
君紹介)(第一八八四号)
同(小澤潔君紹介)(第一九四九号)
同(藤尾正行君紹介)(第一九五〇号)
同(伊藤公介君紹介)(第二〇〇二号)
同(竹下登君紹介)(第二〇〇三号)
同(中村時広君紹介)(第二〇〇四号)
同(宮下創平君紹介)(第二〇〇五号)
中小業者を守る諸施策の推進に関する請願(松
本善明君紹介)(第一九五一号)
は本委員会に付託された。
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四月十二日
石油製品の安定供給に関する陳情書
(第二〇四号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法
の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/0
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001・甘利明
○甘利委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/1
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002・吉井英勝
○吉井委員 最近、電話勧誘による被害とかマルチによる被害など、いろいろな取り組みがあった中でも依然としてこれがふえてきておる、そういう中で、消費者行政をどう進めていくのか、消費者保護をどう進めるのかということは非常に大事な課題になってきていると思います。そういうときに出されてまいりました訪販法の改正案ですから、これが実効のあるものとなっていくように、そういう立場から質問を幾つかしたいと思います。
一九九四年度の特殊販売に係る相談件数というのは、これは国民生活センターの扱い分で十万二千三百十二件ということになっておりますし、警察庁生活経済対策室の訪問販売等に関する検挙の状況というのを見てみますと、一九九四年で被疑者が二十七法人三百八十五人ということですが、被害者は何と七十万四百六十二人と、非常にたくさんの被害者が出ているということが、これは検挙された分だけでも見ることができると思うのです。
それで、通産省の消費者相談室で受け付けた苦情相談件数は七千二百八十五件ということでありますが、被害の実態に比べて通産省扱いがかなり小さいのに、実は私は驚きました。もちろんここには、相談員を引き受けたり、モニターを引き受けて頑張っていただいている人たちの御苦労というのは、私もよくわかっているわけです。ただ、通産省の取り扱いの体制というのは、これはやはり少し弱いんじゃないか、もっと強化しなければいけないんじゃないかと思うのですが、まず、この辺のところがら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/2
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003・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
ただいまの御質問の趣旨は、通産省の取り締まり体制の問題でございますけれども、まず、苦情件数が私どもの方が少ないのじゃないかという御指摘でございます。
私どもは、実は、本省と八通産局におきまして消費者相談窓口をつくりまして対応しております。ただ、御承知のように、経済企画庁に国民生活センター、それから各自治体に消費生活センターというのがございまして、これは、御承知のように全国都道府県津々浦々にございます。そういった関係で、どちらかというと一次的にはそういう自治体に行ったり、国民生活センターはそれを総合的に統括しておるわけでございますけれども、それをまとめておるということでございまして、そういったものとは別に、別途通産局なり通産省の本省に苦情が上がってくる、こういう体制になっております。したがいまして、そういう全体の、トータルとしての数字を御判断いただきたいわけでございまして、通産省の数字が幾つか、国民生活センター、消費生活センターの数字が幾つかという関係には、必ずしも競合的な関係にはなっていない、こういうふうに御理解をいただいたらいいのじゃないかと思います。
それから、通産省の体制をこれから大いに強化すべきではないか、あるいは現在の体制で大丈夫かという御趣旨でございますが、先生のところにも先ほどちょっと資料を差し上げましたけれども、私どもの体制は、職員で約百三十人ございます。それから自治体の方は、相談窓口その他、消費者行政全体で非常に数が多いわけでございますけれども、これはいろいろな予算、機構上の問題がございまして、簡単にふやすのはなかなか難しいわけでございますけれども、私ども、今回の法律改正を契機に、引き続き関係当局とも十分に話をしながら体制の整備に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/3
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004・吉井英勝
○吉井委員 それで、いろいろ相談を受けたりする体制の強化ということを努力されるということですが、警察庁調べで七十万人を超える被害者が出ているわけですね。
訪問販売法第五条の三による指示、第五条の四による業務の停止を命令し、この場合さらに公表もするわけですが、その件数というのはほとんどないのじゃないかと思うのです。この三年間の命令件数を年度別に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/4
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005・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
訪問販売法に基づきます行政的な措置の現状でございます。
まず、訪問販売と連鎖販売取引と二つに分けまして、平成五年度、六年度、七年度でございますけれども、訪問販売関係は、報告徴収が、平成五年度十五件、六年度十件、七年度三件でございます。それから、それに基づきます、訪問販売法に基づく立入検査でございますが、平成五年度が五件、平成六年度がゼロ、平成七年度が一回ということになっております。それから指示は、平成五年度、六年度はございませんで一七年度に一回、こういうふうになっております。
それから、いわゆる連鎖販売取引でございますが、これは平成五年度、六年度、七年度と報告徴収は一回ずつ、それぞれの年次で行っておりますけれども、立入検査、指示等はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/5
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006・吉井英勝
○吉井委員 今の数字を聞いておりましても、大体問題が少し浮き彫りになってくると思うのです。
この三年間をとってみましても、警察庁の検挙の状況の方からいいますと、事件数と被害人員を見たときに、九三年の検挙百六件、二十二万六千人の被害が生まれているのですね。これに対して、今おっしゃった数字で見ましても、報告徴収が十五件、立入検査五件、指示がゼロ件、命令がゼロ件ということです。つまり、直接検挙されたものというのは、実際はまだ氷山の一角なんですね。これの何倍あるいは何十倍もの多くの被害がこの分野では出ているわけです。これは九四年になりましても、検挙した事件数が百九件だが被害者が七十万人、これに対して、訪問販売に関する通産省の方の指示や命令の件数というのはそれぞれゼロ件、こういうふうな状態なんですね。
この事実は、法律を運用していく姿勢というものがやはり国民の期待するものになっていないのじゃないか。せっかくの法律をつくっているわけですから、これをもっと厳正に使っていくという姿勢が今求められているのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/6
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007・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
訪問販売法に基づく行政的な措置は先ほど申し上げたとおりでございますが、訪問販売法違反事犯のうちのいわゆる禁止行為違反の悪質なものにつきましては、経済事犯の一部として、先生ちょっと御指摘がございましたように、警察当局による取り締まりが今積極的に行われているところでございます。これにつきましては、通産省としても、情報提供、法令照会等を通じて密接な連携をとりまして、法令の厳格な運用の確保に努めているところでございます。
また、指示等の行政措置についてでございますが、これは都道府県においていわゆる消費生活条例というのが多く制定されておりまして、これに基づく報告徴収、指導等が行われていることが多うございまして、訪問販売法の規定に直接基づく報告徴収、指示等を発動するに至らずに問題の解決が図られているケースが多い、こういうふうに考えております。なお、このような場合でも、訪問販売法には罰則が備わっておりますことから、条例に基づく行政のバックボーンとして機能していると考えております。
いずれにしましても、御指摘のございましたように、今回訪問販売法をまた改正するわけでございますから、自治体、警察当局とも十分に連絡をとりながら法律の厳格な運用を図っていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/7
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008・吉井英勝
○吉井委員 指導する部分と、そして検挙する、この間に、実は消費生活の上でのいろいろな問題があるわけですね。だから、指示、命令等を出すまでに至らずに終わりました、それで全部解決しておったら、大体検挙者なんかいないですよ。検挙者が出て、しかもその事犯については七十万人もの被害者が出た。そういう間のところに実は本当にもっと、私は、この法律に基づいて指示、命令というものをやはり厳格にもって臨んでいく、そういう指導というものが求められると思うわけです。
これは地方自治体の実際の取り組みなどを見ておりましても、これまでの法律の運用による指示、命令をもっと厳格に実施して、そして効果が上がるようにやるという姿勢をとりますと、実は地方自治体の方などでももっとやりやすくなるという面があるのですね。
どういうことかといいますと、例えば消費者行政の中に、被害とか相談を受けた問題について相談の事実を客観的に、こういう相談を受けましたと。そのとき問題になっている業者名と、こういう被害が起こっている、あるいはこの地域でとか、そういうふうな客観的事実を、業者の実名と商法の実態なども含めて公表する。それが業者に対して心理的拘束を与え、また一方、被害を食いとめる上での力を発揮している、こういう実例というものがあります。
私は、東京都などのセンターの話も聞かせていただいておりますが、そういうふうに消費者への情報提供と啓蒙にも役立つという面があるわけですから、これをやろうと思ったら、やはり地方自治体などですと今度は条例に基づいてということになりますが、法律であれ条例であれ、違反しているかどうかということだけでは、これはなかなかやりにくい面があるのですよ。しかし、法律の方を厳格に実施しておれば、今言いましたようなこういう消費者相談を受けましたという実例だけでも、イエローカードからさらにレッドカードに相当するぐらいのものになってくれば、業者の実名も含めてもっと公表できるわけですね。
それは決して何か法律違反ということで公表するのじゃなくて、こういう消費者相談を受けておりますという客観的事実の紹介だけでもやりやすくなるのですね。現にそういうことは取り組まれているわけですが、しかし、それをやろうと思ったら、やはり通産省の方、法律をどう厳正に実施していくかというこの部分が非常に大事になってきていると私は思います。
産業構造審議会の答申では、自己責任原則のもと、消費者はみずから評価、判断していくことが求められるといって情報提供をうたっているわけですが、これは業者からの情報提供だけでなくて、国や地方自治体などの苦情や相談などを受けたという情報を公開、提供することも含めて、この点は非常に大事だと思います。
電話による訪問販売で、どんな業者がどんな物やサービスをどんなふうに巧みに売りつけているか、契約の上でどこに落とし穴があるか。被害相談を受けたら、直ちにその相談を受けているという事実そのものの公表だけでも、消費者も情報を得てだまされなくなるし、業者も良心的に商売する者だけが生き残っていくことができるということになります。そのためにも、法律第五条の三、五条の四の厳正実施の姿勢を強化しなければならぬと私は思うわけです。この点、改めて伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/8
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009・大宮正
○大宮政府委員 まず最初に、先生の御指摘ございましたいろいろなケーススタディーといいますか、苦情ケースの消費者への提供ということでございます。これは、実は昭和六十一年から消費者トラブル連絡協議会というものをつくっておりまして、消費者関連団体十三団体あるいは通産省関係の各課、各通産局等で定期的にいろいろなトラブルをお互いに情報交換いたしまして、そのケースを、こういうケースですよということを四半期に一度、我々いわゆる本にいたしまして提供しているというようなことをやっております。
それから、今最後にございましたけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、訪問販売法の改正を今回行うわけでございまして、それに従いまして、地方自治体あるいは取り締まり当局とも連絡をとりながら、引き続き法律の厳正な運用に努めていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/9
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010・吉井英勝
○吉井委員 今も御紹介しましたように、地方自治体の取り組みの中でも、相談を受けた事例についてただのケーススタディーじゃなくて、余りにもひどいものについては業者の実名も含めてその相談事例を紹介しますと非常に効果が上がるし、ただ、それをやっていくには国の方の姿勢がやはりきちっとしていないとこれはなかなか大変ですから、今お答えいただきましたが、ぜひ厳正な実施という点では強力に進めていただきたいと思います。
次に、物品やサービスに関して情報を所有しているのは業者であり、消費者の方には何もない上に、電話では商品を見てさわって判断するとか全くできないわけです。これでは商品情報に関してあるいは役務に関する情報で、対等の関係で契約が成立するということにはなかなかならないし、トラブル発生というのは、もともとこういうところがら出てくるわけですね。
虚偽の情報や不十分な情報で消費者が契約を迫られたら、その契約について消費者の自己責任原則で解決しろといったって、なかなかそれは通用するものじゃないと思うのです。商品、サービスの情報提供を大前提にして、その上で消費者の十分な検討と判断が、情報量の面でも情報の正確さの面でも時間的な面でも保証されるということが、公正な契約が結ばれる上で最低限必要な要件だと私は思います。
この点で、日弁連の指摘にもありますように、クーリングオフの期間の始まりは、業者が書類を送って、それが消費者に届いたことをやはり電話等できちっと確認させる必要があると思うのですが、その後消費者が法定書面に、契約を承諾する、これを記載して返送した日、つまり契約書が返送された日ですね、消費者が契約した日。私は、ここからが始まりとするのが契約というものの概念からして当然だと思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/10
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011・大宮正
○大宮政府委員 ただいまの御質問の点はいわゆるクーリングオフの起算日の問題だと思いますけれども、これは実は産業構造審議会等の場でも議論されておりまして、御指摘のようなクーリングオフの起算日を消費者が書面を送り返した日とした場合のケースでございますけれども、消費者が書面を返送するまではクーリングオフ期間が進行しないために、消費者からいつでも解約の申し出ができるということになるわけでございます。もっと言いかえますと、例えば消費者が商品を非常に長い間使用した後にも、書面をその後返送すればクーリングオフが行えるなど、実質的なクーリングオフの期間の大幅な延長という格好になりまして、取引の安定性ということが著しく害されることになり、非常に不適当である、こういうふうに判断したわけでございます。
それで、先ほどもお話がありましたけれども、電話勧誘販売におけるクーリングオフ制度は訪問販売におけるクーリングオフ制度と同様の趣旨でございまして、電話勧誘を受けた場合に消費者は主体的な意思形成を行いにくいという弊害を除去するために設けられるもの、あるいはその意思形成の過程に瑕疵があったということを治癒するために行われるものでございまして、かかる観点からは、消費者がみずからこのような意思形成の過程の瑕疵を具体的な契約内容として明確に確認することが可能となる時点、すなわち書面を受領した時点をクーリングオフの起算点とすることが適当である、こういうふうに判断した次第でございます。
先ほどお話ししましたように、その点は産構審でも議論いたしましたけれども、今申し上げたような理由によって答申では採用されなかったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/11
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012・吉井英勝
○吉井委員 契約書類ができてもいないのに、電話で契約したからとして業者が書類を発送をし、受け取ったときからもう契約は成立しているんだ、業者はそういう立場に立つ。しかし一方、消費者の方は、まさにその電話について、職場だ何だといういろいろな事情がありますから、とにかく早く電話を切りたい、だからあいまいな返事、とにかく切るということでやる。そこに、正式に契約が成立もしていないのに成立したとみなす業者側と、実は成立していない、まだ契約していないという消費者側との、トラブルの一番多いケースの一つというのは、まさにこの部分ではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/12
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013・大宮正
○大宮政府委員 今先生から御指摘ございましたように、そういったトラブルがあるわけでございますけれども、むしろ私どもは、基本的にこの訪問販売法の仕組みといいますのは、民法のいわゆる例外、特例規定ということでございます。
したがいまして、今言ったようなケースを救済するために、無条件でいわゆるクーリングオフを書類受領日から八日間認める、こういう制度になっておるわけでございまして、先生おっしゃいましたように、例えば本人に契約締結意思がない、こういう場合には、そもそもこれは一般的といいますか民法の原則に戻りまして、これは諾成契約といって、現在為替でもいろいろな取引をしているわけでございますけれども、電話で契約が成立するわけでございますから、そこはその意思がないということを明確に言っていただければ、それで民法上の救済が得られる。しかも、その場合には挙証責任は事業者側にございまして、事業者が契約の成立したことを証明しない限り、契約の成立は第三者側からは認知されないということでございますので、そういうクーリングオフ規定でもって救済し、それでも問題がある場合はこれは民法の原則に戻るしかない、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/13
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014・吉井英勝
○吉井委員 この点につきましては、これは実際に書類が届いているかどうかというのは、必ずしもよくわからないことが非常に多いわけですね。今、ダイレクトメールその他いっぱい入ってきますから、それと同一の扱いをしてしまっていてわからない。しかも、もともと電話では契約していないと本人がそう思っている場合に、大体見ることが余りないわけですね。しかし、そのクーリングオフの期間が過ぎてしまっておった。こういうふうなトラブルはやはり何としても避けるべきであって、私は、そういう点では、これは消費者保護という観点に立って対応を考えるべきものだというふうに指摘しておきたいと思います。
次に、電話勧誘の被害の中で、商品、サービスの契約は解除できても、クレジットの方が別のクレジット会社との契約になっていて、経済的負担からは消費者が逃れられないという悲劇が多いという、こういう点では先日の参考人陳述の中でも、電話勧誘の六〇%がクレジット契約を結んでいて、電話勧誘業者との契約は解除できても、クレジットが残って救済されない例が非常に多いという指摘もありました。この点では、電話勧誘販売の解約が同時にクレジットの解約に連動するように考えるべきだと思いますし、この点についてはぜひ指導を強化するように検討されたいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/14
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015・大宮正
○大宮政府委員 ただいまの御質問は、いわゆる電話勧誘販売によりまして、例えば資格講座等の役務提供契約についてクーリングオフをしたという場合に、クレジット契約が解除できないではないか、こういう御趣旨の質問だろうと思いますけれども、実は、私ども調べておりますけれども、通常、クーリングオフの期間である八日以内にはクレジット会社から役務提供事業者に対して金銭の支払いは行っておりません。また、万が一支払いを行ったとしても、購入者が役務提供事業者との役務提供契約をクーリングオフした場合においては、クレジット会社は購入者との委託契約も解除しているのが通例でございまして、御指摘のようなトラブルが生じておる事例というのは承知しておりません。
ただ、いずれにしましても通産省としては、クレジット会社に対して割賦販売法等により従来より所要の指導監督を行っておりまして、仮に御指摘のような問題が生じた場合には適時適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/15
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016・吉井英勝
○吉井委員 その点については、強力に指導されたいと思います。
次に、マルチ商法については、これは我が党は禁止を主張してまいりましたが、もともと本来禁止すべきものでありますが、今回の改正、強化というのは一歩前進であり、これは必要なものだと思います。
今度の法案の十八条の二ですが、これは電話勧誘販売にしろあるいはマルチにしろ、主務大臣に対して申し出することができるということになっておりますが、その申し出があったとき、これは直ちに機動的に調査をして、そして措置をとるようにと、これが直ちに対応するということが非常に大事になってくると思うのですね。そういう点で、通産省自身の体制と関係機関との連携強化が非常に大事なところだと思うのですが、どのように進めていくというふうに考えていらっしゃるか、そこを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/16
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017・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
ただいまの御質問は、主務大臣に対する申し出規定に関する御質問でございますけれども、当省といたしましては、従来より本省及び全国八カ所の通産局におきまして消費者行政の体制整備を図ってきたところであり、さらに都道府県、警察等の関係行政機関や民間団体等とも密接な連携をとり、法律の厳格な運用に努めてきたところでございますし、また、今後とも努める旨は先ほどお話ししたところでございます。
今回の改正で新たに設けられました主務大臣に対する申し出規定に基づく申し出につきましても、迅速に調査を行いまして機動的に行政措置の発動等を行うため、関係行政機関と連携を強化しつつ、さらに一層の体制整備に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/17
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018・吉井英勝
○吉井委員 このマルチ商法につきましては、どんな商品を売るのか、それからどんな組織構成になっているのか、それから統括的な位置にいる人とのマージン率がどうなっているかなどを含めて、末端の人にもよく情報がきちんと徹底するように、やはり業者にこういうことについては公表させなければいけないというふうに思うわけであります。
そういう点で、マルチに関する組織構成なども含めた情報の開示、提供の徹底ということについて、どう取り組まれるかについても伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/18
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019・大宮正
○大宮政府委員 ただいまの御指摘にございましたいわゆる消費者への情報の提供でございますけれども、これは連鎖販売取引につきましても書面交付ということを事業者に義務づけておりまして、今回の答申では、その書面交付の内容についても充実を図るようにということを言われておりまして、例えば特定利益に関する事項などについても、これは今きちっとは書いてありませんけれども、そういったものをできれば産構審で議論をした上で追加していこうというふうな方向で検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/19
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020・吉井英勝
○吉井委員 マルチについては、要するに普通の人は一体それがどんな組織構成になっているかとかよくわからないまま、おいしい話でという、それで被害を受けるということにもなりますし、被害者が加害者にもなっていくという問題があるだけに、今取り組んでいらっしゃるということですが、この点の情報の中身の徹底について、ぜひ強化を図られたいと思います。
次に、被害は青少年と老人の被害なんかが非常に多いわけですが、サンフラワー事件の被害者は二十代の若者が中心で二十八万人が売りつけられたということ、ゴールデンウィンド事件も二十歳になったばかりの若者を勧誘しての羽毛布団販売で十七万人が被害者というふうに、若者の被害も非常に多い。
そこで、小中高校での実践的な消費者教育を、実際の被害予防、救済に役に立つようなものとして、学校でそういう消費者教育を進めていく必要があると思うのですが、この点については文部省の方の見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/20
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021・加茂川幸夫
○加茂川説明員 学校におきます消費者教育についてのお尋ねでございます。
契約などにつきまして正しい知識を身につけ、さらに主体的に判断して適切に行動できる自立的な消費者を育成することは、学校教育におきます大きな課題の一つととらえておるところでございます。このため、従来から、小中高等学校を通じまして、例えば社会科でありますとか家庭科でありますとか、そういった教科を中心に、子供たちの発達段階に応じて適切な教育を行ってきたところでございます。
具体的には、現行の学習指導要領におきましても、例えば小学校三年の社会科で消費生活について学ぶようにしておりますし、六年の家庭教育でも、物の選び方や買い方について考えて適切に購入することができることといったことが指導事項として位置づけられておるところでございます。また、中学校でも、社会科公民分野で消費者保護を取り扱う際には、近年におきますクレジットカードでございますとか訪問販売等を初めとする取引や契約の多様化の実態を踏まえて指導することを新たに示しておるところでございますし、同じように技術・家庭科の領域でも、消費者としての自覚を持つようといったことが指導内容として取り上げられておるところでございます。
こういったことを通じまして、学校教育におきます消費者教育も、その発達段階に応じてこれまでも取り上げてきておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/21
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022・吉井英勝
○吉井委員 私は、この分野は、一般的にこういうカリキュラムでということだけにとどまらないで、やはり具体的なケースを学習の教材にしてといいますか、本当に実際の被害の予防に役立つ教育ですね。それから被害者救済、まあ被害を受けないようにするのが一番大事なのですが、その救済の方途等について、これは特に若者の被害が大きいだけに、学校教育の分野でもっと強化を図られたいと思います。
それからもう一つは老人の被害。私も、年寄りがおいしい話に乗ってしまってというので身内の方でおりますが、やはりお年寄りの皆さんについても、地域の公民館、老人集会所等で、社会教育活動なども含めて、本当にわかりやすいPRなども含めて、こういうマルチ商法あるいは電話勧誘などに被害を受けないように、老人被害を食いとめるためにも取り組んでいただきたいと思うのです。
最後に大臣、きょうお聞きいただきました第五条の三とか第五条の四などを含めて、やはり通産省の取り組む姿勢ですね。非常に厳格に、厳しくこういうのを適用してやっていく。それがいろいろな団体の取り組みを励ますものにもなりますし、それはまた、被害者をふやさない、被害者への情報提供がさらに進んだり、公開が進んだり、あるいは悪徳業者にはブレーキがかかっていく。つまり良心的な業者しか生き残れない、そういうことにもつながっていくと思うのですね。そういう点で、最後に大臣の取り組む決意というものを伺って、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/22
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023・塚原俊平
○塚原国務大臣 消費者啓発を積極的に推進をするということ、関係業界の指導をする、そして訪問販売法の厳格な運用をする等々をもちまして、先生の御指摘に沿ったような形で厳格に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/23
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024・吉井英勝
○吉井委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/24
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025・甘利明
○甘利委員長 続いて、佐藤泰介君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/25
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026・佐藤泰介
○佐藤(泰)委員 まず、マルチ商法について伺います。
今回の改正は、七六年の本法の制定時、八八年の改正時の、行為規制法ながら実質的な禁止法であるという本法の立法趣旨を今回の改正でも踏襲し、さらにそれに向かって規制が拡充されたものであることが四月十一日の当委員会で確認されました。そのためには、禁止行為を定めた法十二条の摘発、起訴が私は重要になってくると思います。摘発にまさる啓発なしであって、その意味では、法十二条の重要事項が法律に書き込まれた点は、これまで法十二条違反での起訴がほとんどされなかった点から、評価をしたいと思います。
また、十一日の参考人聴取で、前日本弁護士連合会消費者問題対策委員会委員長の宇都宮参考人は、法十二条の改正で法十二条違反による摘発がより可能になるかという私の質問に対して、可能になるという意見を述べられました。この点について、通産省の見解を伺いたいと思います。
またあわせて、不実を告げる行為についてはもうけ話がつきものであります。先ほど申し上げたように、今回の改正が実質禁止法であるという立法趣旨を踏襲し、法十二条をより明確にしたものだとすれば、具体的な問題として、必ずもうかりますよと言って勧誘した場合、法十二条の一項四号、特定利益に関する禁止行為に該当すると思うが、この点もあわせてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/26
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027・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
まず、第一点の御質問でございますけれども、現行法の第十二条においては何が重要事項であるかが法文上明確でございませんで、取り締まりが有効に行えないという御指摘が警察当局からもございました。今回の法改正におきましては、商品の種類、特定利益、特定負担、契約の解除に関する事項といった重要事項を可能な限り列記をいたしまして、構成要件の明確化を図ることとした次第でございます。これによりまして、今後、連鎖販売取引に係る悪質な勧誘行為につきましては、より抑止力が発揮されるとともに、一層効果的な取り締まりが行われるものと期待しているところでございます。
それから、第二点目の、必ずもうかりますよと言って勧誘した場合に、これは十二条の第一項第四号で言う特定利益に該当することになるのか、あるいはこれに該当する不実告知になるのかどうかという御指摘でございますけれども、これはなかなか、この間もちょっと私、この場でも御説明しましたけれども、その状況によってあるいはそのケースによって相当いろいろと違ってまいるわけでございまして、具体的に、例えば考えられるケースとしては、先生の御指摘がありました第十二条第一項四号の場合と、それから第十五条の指示の前提となる第十五条の一項の二号の「連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供して」云々ということで、指示さらにはいずれ罰則の対象になるわけでございますけれども、どちらに該当するかという問題でございますけれども、これはケース・バイ・ケースにおいて判断するほかはないのかな、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/27
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028・佐藤泰介
○佐藤(泰)委員 先ほども申し上げたように、やはりもうけ話がつきもので、消費者がだまされていくという場合がマルチ商法には多いわけで、せっかく法十二条が、この内容が盛り込まれ、柱が立てられてきめ細かく定められたわけでございますから、この法十二条の改正が絵にかいたもちに終わらないように、今後の期待をしたいというふうに思います。
次に、この法十二条違反についていま一点お伺いしたいと思いますが、現行法では組織のトップクラスのみが被疑者対象となっている点を、今回の改正で組織の全構成員が被疑者対象となっています。となると、末端の加盟者は何が何だかよく理解しないまま上位クラスの者の言うとおりに不実の告知をする、つまりうそをついてしまうかもしれません。その場合、罪の度合いは、当然上位クラスの方がはるかに大きい、またそのシステムを企画、実施した会社幹部はさらに責任が大きいと私は考えますが、この点はどうでしょうか。
また、法十二条が組織の全構成員を対象とすることとなったことにより、これまでの消費者啓発をより一歩進めたことにする必要があると思いますが、何か新たな啓発を考えているのかどうか。これは地方自治体にも加わってもらわなくてはならないと思いますが、この点を、二点あわせてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/28
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029・大宮正
○大宮政府委員 まず第一点の御指摘でございますけれども、御指摘のように、この法律上で言います統括者あるいは勧誘者の責任が大きい場合も非常にあると思います。しかし、これは法律的には、最終的には罰則の量刑という問題として司法当局が御判断をされるものであろうか、こういうふうに考えております。
また、具体的な事例に即して考えるべき問題ではございますけれども、統括者等がみずから違反行為を行っていない場合でも、いわゆる刑法の共犯とかあるいは教唆罪というものに該当する場合には、そういった対応によって処罰されるということは考えられるわけでございます。
それから第二番目でございますけれども、新たに禁止行為の対象がいわゆる下位加盟者まで広がったという点で、それについてPRを大いにすべきだという御指摘でございましたけれども、本改正案におきましては、連鎖販売取引の禁止行為の対象者の範囲を、従来の統括者、勧誘者だけでなく、広く連鎖販売業を行う下位加盟者に拡大することに伴いまして、加盟者となった一般消費者が加害者としての取り締まりの対象になることも御指摘のとおり想定されるわけでございます。このため、改正内容の周知徹底に当たっては、パンフレットを通じて、一般の消費者が加害者とならないために注意を喚起し、今先生御指摘のありましたように、その点についても大いにPRをしたい、こういうふうに考えております。
また、事業者団体、これは日本訪問販売協会でございますけれども、こちらに対しても、今御指摘のあったような観点から、各事業者で販売員に対し改正法の内容を周知するよう指導していくこととしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/29
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030・佐藤泰介
○佐藤(泰)委員 従来もそういう啓発活動はやってみえたと思うのですけれども、とりわけ私が今お聞きしたがったのは、その被疑者対象が拡大していくことによって新たな啓発が必要になるというふうに思うのですよね。今の答弁は、大体従来もやってみえたことではないかと私は思うのですよ。今答弁されたことは、従来はやっていなくて、改正があったから今から始める、そういう答弁の中身ではなかったように思うのです。
この改正に合わせて、被害者が加害者となっていく、これがピラミッドの下の方まで罰則がかかるわけですから、従来にかわって一体どういう点で消費者啓発をしていくのか。新たなその啓発活動といいますか、今言われたのは、一般的に大体今までもやってみえたことだろうというふうに私は思うのです。今までそういうことをやってこなくて、これが改正されるから今回はやるということではないような答弁に思いましたが、その点、もう一度お願いできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/30
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031・大宮正
○大宮政府委員 ただいまのいわゆる広報活動、啓蒙普及活動でございますが、実はこれまでも、これはこの場でも何度かお話をいたしましたけれども、地方自治体あるいは学校、商工会議所、商工会あるいは事業者団体に対しまして、やはり消費者行政をきちっと啓蒙普及していくということで私どもやってまいりました。ただ、その中で、例えば電話勧誘販売とか、今回のいわゆる連鎖販売取引の規制の対象が下位加盟者に広がっていくという新しい法律の改正を行いましたので、私どもとしては、そういう従来の体制の中で引き続きPR、それから、先ほど申し上げました事業者団体、日本訪問販売協会に対して、事業者を通じて各販売員に対し、今回はそういう法律の規制の対象になりますよということは、これは新たな内容を含めまして周知徹底するように指導していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/31
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032・佐藤泰介
○佐藤(泰)委員 では、消費者啓発が大変重要になってくると私は思いますので、さらなる徹底をお願いしながら、次に移りたいと思います。
私は、今回の法改正の上程については、全体的には評価をしますが、通産当局がこの問題に対して決して素早く対応したものではなく、むしろ遅過ぎたと指摘したいと思います。
例えば、我が党の岡崎トミ子議員が九一年四月の衆議院物特委において現行販売法による強力な運用を求め、九二年からは和田貞夫議員が現行法の限界を指摘し、法の強化、改正を求めて現在に至った経緯があります。我が党だけでなく、他の党からも同様の指摘が国会でやられています。また、各地の消費者団体の法改正、強化要望も幾度となく事務当局に伝えられたと聞いています。ところが、事務当局はすぐさま腰を上げていません。
今後のこともありますので聞いておきますが、一体どういう条件のもとになれば法規制なり法改正をしなければならないと考えるのか。私たちの国会での指摘とか地方公共団体の声とか消費者団体の声は、通産事務当局の行政運営にきちっと反映されているのかどうか。また、今国会、この委員会での質疑さらにはこの委員会での参考人の皆さんの意見陳述が、改正法案が成立した後、それらの質疑なり意見陳述が法運用にどのように反映されていくのか、この点もお聞きをしたいと思います。
さらに、本法は権限が都道府県知事に移譲されています。しかし、全国規模で展開するような悪徳業者は、一都道府県で対応できるものではありません。九三年の参議院予算委員会では、通産省の商務流通審議官が、何か事は都道府県に任せ切っているような発言をしたこともあります。これに対し東京都から、その直後、全国レベルで展開するようなマルチ業者の問題は通産省で対応してほしい旨の要望が出されていると思います。
今回、通産当局が法第十八条の二を新たに設けた点は、こうした問題について通産省が先頭を切って取り組むという姿勢を示したものと高く評価をしたいと思います。しかし問題は、具体的にどのような体制でこれに臨むかが問題であろうというふうに思います。
消費者等から申し出があっても、長時間を要してしまっていたのでは意味がありません。先ほども吉井議員からも質疑がありましたが、おおむねどれくらいで必要な調査、適切な措置をとろうと考えているのか。私は、適切な措置をとり、法十八条の二に基づいて、改正後も被害の状況、脱法行為の実情等、法改正の実効性を絶えず検証し、実態を把握して、実質禁止法であるとの立法趣旨にかなうよう絶えず行政運用を見直し、法運用では対応できず法の限界を生じた場合に、その手直しをちゅうちょしてはならないと思います。無店舗販売の取引形態が激しく変化する時代にあって、この訪販法の改正が八年から十年のスパンでの改正では、その期間が長過ぎるのではないかということを私は思います。
このことを考慮して消費者重視の行政展開をすべきだと考えますが、この最後の点については大臣の見解をお伺いしたいと思います。
質疑時間が終了いたしましたので、以上、お答えをいただいて、私の質問を終わります。
〔委員長退席、自見委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/32
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033・大宮正
○大宮政府委員 ただいま御質問ありました点、何点かあったわけでございますので、私の方から数点お答えしたいと思います。
まず第一点でございますけれども、今回の電話勧誘販売等の改正の経緯でございますけれども、もともと電話勧誘販売というのは、いわゆる当事者同士が向かい合うのではない非対面の取引でありまして、電話を切ればいいではないか、それで取引から離脱ができるのではないかというような意見もありまして、パンフレット、テレビ等による広報活動により消費者の注意を喚起する一方、消費者トラブル情報を消費者へ提供するなどの消費者啓発を行うとともに、関係業界に対して自主規制による適正化等について指導してまいったところでございます。しかしながら、先生御指摘ございましたように、電話勧誘販売の方法、やり方は非常に巧妙、執拗になっておりますし、消費者トラブルもどんどんふえておりまして、平成六年度以降は、多くの地方自治体、消費者団体から訪問販売法改正に係る要望が通産省に寄せられております。
こうした状況のもと、消費者啓発や業界の自主規制による適正化努力のみでは被害の未然防止に十分対応し得ないということを判断いたしまして、先般もここで申し上げましたけれども、産業構造審議会の消費経済部会にも諮りながら、新たな消費者保護のルールの設定が必要と判断いたしまして、今回、本法案を提出させていただいた次第でございます。
通産省といたしましては、今後とも取引の実態、苦情相談の実態、さらにはこの委員会の場あるいは消費者の皆さん、いろいろな意見をお聞きしながら、必要な場合には適宜適切に法改正をお願いしてまいりたい、こういうふうに考えております。
それからもう一つ、法十八条の二の「適当な措置」「必要な調査」は、どういうふうにどれぐらいの期間を想定しているのかという御質問でございましたけれども、これは個々の申し出の内容により異なっておりまして、ケース・バイ・ケースでなかなか一律には申し上げられませんけれども、先ほどもお答えしたのでございますけれども、関係各方面とも十分に連絡を図りながら、できるだけ迅速な対応を行うように努めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/33
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034・塚原俊平
○塚原国務大臣 ただいま審議官の方からも御答弁ございましたが、地方自治体、取り締まり当局等の関係機関、消費者団体等とも緊密に連携をとりつつ、取引実態、消費者被害等の実態把握に努めた上で適宜適切に対処し、訪問販売法の目的である購入者等の利益の保護及び取引の適正化を図ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/34
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035・佐藤泰介
○佐藤(泰)委員 ありがとうございました。
法改正をせっかくするわけでございますので、この法改正がより実効性を上げ、消費者重視の保護になるように、その実効性が上がることを期待し、我々もまたそういう努力をしていかなければならないという決意を申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/35
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036・自見庄三郎
○自見委員長代理 次に、石井紘基君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/36
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037・石井紘基
○石井(紘)委員 統一教会による霊感商法というのは大変被害件数も多くて、社会的な大きな問題になっております。たくさん事件、事例があるのですが、そのうちの一つ、二つを簡単に紹介してみたいと思います。
九五年一月十九日午後、統一教会の信者である中村朋子さんという人が、渋谷東急本店前の路上で通行人であるAさんにこういうふうに語りかけた。「最近、何かよいことがありましたか。額に心眼相が出ていますよ」と声をかけた。そこに鈴木麻理子さんという、偶然を装ってこの人が合流して、三軒茶屋にある、これは私の選挙区でありますが、そこのライオンズマンション二〇一号室に誘い込んで、同所で三時間にわたって、右両名でこのAさんという人にこのようなことを言った。「先祖の因縁のため、このままでは大変なことになります。転換期をよい方向に向けるため、善は急げです」というふうに執拗に迫って、ひすいの念珠、数珠ですね、これの代金名下に金四十一万二千円を支払わせた。この形式上の売り主は、これは会社なんだと思いますが、白寿堂であった。さらに右両名は、「もっと偉い、日本でも数少ない家系図鑑定の先生が特別に見てくれるそうですから」などと、再三右ライオンズマンション二〇一号室に誘い込んで、山田先生と称する信者において家系図をもとにAさんを畏怖せしめ、よって二月二十四日、先祖の霊界解放式をしてみせた上で写経・物資の行、心の行を迫り、よって献金名下に金七十万円を支払わせた。さらに二月二十四日から、心の行として世田谷フォーラムに通わせながら、再三印鑑の購入を迫り、右鈴木、中村に希いて右ライオンズマンション二〇一号室で印鑑三本セットの代金名下に金十二万五千円を支払わせた一日寿堂というのが形式上の売り主であるというのが一つの例。
あるいは、たくさんの中からもう一つだけ申し上げますと、九五年十一月二十七日午後三時ごろ、統一教会信者前田みゆきは、表参道駅前路上で、通りかかったBさんという人に、「ちょっと済みません。転換期ですね。何かよいことがありましたか。はっきり心眼相が出ていますよ」と声をかけ、右前田の話を気にかけたBさんを、十一月二十九日、三軒茶屋のライオンズマンション二〇一に誘い込み、同所で約四時間にわたって、右前田が姓名判断の鑑定士、鈴木が助手役として同席し、前田においてBさんに対し、「絶家の家系ですね。色情因縁の相が出ています。そのためにあなたも兄弟を早く亡くし、御主人も兄弟に恵まれなかった。あなたが両家を支えていく使命がありますね。転換期をよい方向に向けるため、善は急げです」などと述べた上、「出家する気持ちで修行を積みましょう。お金がかかります。四十日間初水行をしてください。四十万、七十万、百二十万の念珠のどれか、授かるといいですね」などと告知して執拗に購入を迫り、よってひすいの念珠の代金名下に金七十二万一千円を支払わせた。これも、売り主は形式上白寿堂。さらに右前田は、「もっと偉い、日本でも数少ない家系図鑑定の先生が特別に見てくださるそうですから」などとして、右ライオンズマンション二〇一号室に誘い込み、山田先生と称する信者において家系図をもとにBさんを畏怖せしめ、よってさらにBさんに出捐を迫ったものである。こういうようなものは、これは何日かかっても挙げ足りないぐらい、膨大にこういう事件があるわけであります。
この手法を見てみますと、好意的に見ても、これは路上で布教といういわば宗教活動ですか、私はこれは宗教活動ではなくて商売だと思うのですが、そういうことでもって、「心眼相が出ている」とかなんとか言って誘い込む。それで、もちろんこれは布教ではないですから、そのときは宗教団体の名称も何にも告知しません。そしてあるところへ連れてくる。そこで正体を隠したまま、指輪を買いなさいとか、数珠を買いなさいとか、つぼを買いなさいとか、そういうようなことをやって買わせる。
これの一つの問題は、この路上で誘い込むのと、こっちの店だかマンションの部屋の中で、室内で売るのと、これは一つの行為、一体の販売行為なんですね。だからこそ、これは訪販法の範疇になるわけです。
そうすると、どうやって誘い込んだのか。これはちょっとしたうそとか誘いの言葉とかと違うのです。これは宗教的な勧誘の仕方で、しかもこれは宗教団体と言われるものがやっているわけですから、しかも同じような語り文句で誘い込んでいるわけですから、まあ商売用のマニュアルというようなものがあって、それに基づいて誘い込んで売っているわけですから。
先般も宗教法人法の改正がなされましたけれども、宗教活動と仮にしても、この宗教活動というものと商行為というものとは、これは帳簿も分けて、経理も別にするわけですね。祈祷料だとかお布施だとかそういうものは別として、営利を目的とする分野についてはそういうふうにしてちゃんと税金も納めなければいかぬ、こういうふうになっているわけです。
これを一体として、宗教的なものの布教活動めいたものと、物を売りつけるという行為とを一緒くたにしてしまって、しかも正体を明かさない。それで、ずっと何カ月か長いこと物を買わせたりなんかして、借金をさせたり、そうやっていくうちに、実は何々教会ですということをわからせる。そうすると、もう借金もできてしまっていますから、今度はまた、借金返済というよりも労務の提供というような形で、自分も同じような勧誘販売をするということになるわけです。
ここにはそういう不告知の問題と、それから宗教との問題、混然一体となった販売活動という問題と、それからまた連鎖商法という問題があるわけですが、まあ順次ひとつ、連鎖商法の部分はいいですから、その前に言った二つの点について見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/37
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038・大宮正
○大宮政府委員 それではお答えいたします。
今先生から御指摘がありましたのはいわゆる霊感商法というものでございますが、これについてはいろいろなパターンがございまして、必ずしも明確な定義がないわけでございます。例えば、先祖のたたりで不幸になりますよといったようなことを言いまして消費者の不安をあおって、高額な印鑑とか数珠等の販売を行うような商法を一般的に言うのではないかというふうに理解しておりますけれども、実は、こういったものにつきましても、国民生活センターに寄せられた相談件数は平成六年度において一千件を超えておるわけでございます。
このような販売活動のうち、いわゆる訪問販売法に規定されております訪問販売等の契約で行われる場合、今先生の御指摘あったケース、これは具体的なケースを詳細にお伺いしないと正確には言えないわけでございますけれども、例えば、いわゆる路上でアンケート調査をしてくださいと言ってお店へ連れ込んで物を売る、これをキャッチセールスと言っておりますけれども、それに類似するものでございまして、そういったものは形態が訪問販売法に該当すれば、しかも商品が訪問販売法の指定商品に該当するものについては、宗教法人であろうとそうでなかろうと、販売活動を行う場合は訪問販売法の規制対象として書面の交付、クーリングオフ等の消費者保護措置の適用があるところでございまして、当然そういった買わされた方は書面交付、クーリングオフの権利があるということでございます。
いずれにしましても、この布教活動と勧誘行為と非常に難しい問題でございますけれども、今後とも関係行政機関とも密接に連携をしながら訪問販売法の厳格な運用を行いまして、被害者救済に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/38
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039・石井紘基
○石井(紘)委員 いずれにしても、さっき言いましたように不実なのですから、実際誘うときには宗教のことをかたっているわけですから。そして連れてきて、そしてそこで売るわけですが、それはただ単なる、私の友達がちょっと印鑑を売っているんだけれども、いい物だから見に行って買わないかとか、あるいはちょっとお茶飲みに寄ってみないかとかいうのとは全然違うのでありまして、これ一体が一つの商行為なのですね。販売行為なのです。
ですから、そういう宗教めいたことでもって、何か心眼相があらわれているから、あるいは色情がどうだこうだとか言って、そして誘ってきて売るというのは、これは目的不告知であり、不実であるということではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/39
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040・大宮正
○大宮政府委員 まず、今先生から御指摘あった点でございますけれども、先ほど申し上げましたように、訪問販売法の対象商品、例えば先ほどお話ししました印鑑とか数珠とかつぼなどは、これは訪問販売法の指定商品になっておりまして、当然そういうものをいわゆるキャッチセールス的な方法で売れば、これは訪問販売法の規制の対象になるということでございます。
それから、宗教、布教と一体になって行った場合にそれが不実の告知に当たるかどうかということでございますけれども、一般的に事業者がキャッチセールスを行う場合でありましても、売買契約の締結について勧誘を行うため、路上において威迫困惑、不実の告知等を行えば取り締まりの対象となるものでございます。宗教活動に伴って行われる売買活動については、どの時点からが売買契約の締結についての勧誘であるのか、また何が不実であるのか、必ずしも明確でないわけでございます。したがって、取り締まりは非常に難しい現状にはございますけれども、法の目的等踏まえ、適切に対応していきたい、こういうふうに考えております。
それから、これは訪問販売法の問題ももちろんございますけれども、基本的に、例えば民法上の問題あるいは刑法上の問題もございます。例えば詐欺あるいは脅迫といったものであれば、民法では取り消しができますし、それから、今言ったようなことで、刑法上でも詐欺罪、脅迫罪の刑事的責任が問われることもあるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/40
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041・石井紘基
○石井(紘)委員 この印鑑はいい印鑑ですよと言って売るのではないのですよ。このつぼは何か秘伝のものですよとか、芸術的な価値の高いものですよとか言って売るのではないのですよ。あなたの相にはどんな相があらわれているとか、先祖がどうだからと言ってそれを買わせるのですよ。これは不実の告知ではないのですか。そういう、適切に対処したいとかいうのではだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/41
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042・大宮正
○大宮政府委員 ただいま御指摘のありましたように、いわゆる宗教活動とか布教活動というのは、今先生御指摘になったような要素を常に含んでいるケースがございまして、私どもも先ほど申し上げましたように、ケース・バイ・ケースで不実の告知になる場合もあるしそうでない場合もあり得るのではないかと。一般的には、おっしゃるようにそういう場合には不実の告知ではないかと思うのでございますけれども、これはやはり最終的には司法当局においていろいろな状況を判断して解釈されることになるのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/42
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043・石井紘基
○石井(紘)委員 誘い込んだときには全然違うことを言っておいて、連れてきてその場でというと、そこは室内に連れてくる、オフィスに連れてくる、あるいは店舗に連れてくるわけですから、そうすると、そこでのやりとりだけだということになればこれは訪販法は関係ないのですよ。訪販法というのは外で客を引っ張ってきてやるから、だからここで何を言ったか、どういう約束で来たのか、どういう理解がそこで生じたのかというようなことが一つの、一体となった販売行為なのですよ。そのような答弁ではちょっとこれは、大分この法律というのはまだまだ問題が多いかなというような気がいたします。
以上です。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/43
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044・自見庄三郎
○自見委員長代理 次に、石井啓一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/44
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045・石井啓一
○石井(啓)委員 新進党の石井啓一でございます。
訪問販売法の改正の最後の質問でございます。今まで大分全般的に質問がありましたので、重なる質問があるかと存じますが、質疑時間の中で全般にわたりましてお尋ねをしたいと存じます。
まず、大臣にお尋ねをいたしますが、パソコン等のニューメディアを利用した取引でございますけれども、今回の電話勧誘販売に関しましてはこういった取引については対象とされていない。この委員会におきます政府委員の説明では、パソコン通信、ファクス等を利用した場合、契約意思が不安定なまま取引する実態は今のところない、また苦情件数も少ない。ただ、今後動向を見守る、そういう趣旨の答弁がございました。この認識は基本的に理解できるわけでございますけれども、しかしながら、パソコン通信等の普及は大変私どもの想像を絶する勢いになっておりまして、通信販売以外にもパソコン等を利用した新商法が生まれ始めております。
実際に、昨年の十一月十六日付の読売新聞で報じるところによりますと、パソコン通信でマルチまがい商法が行われている。どういうことかといいますと、大手パソコン通信の掲示板に、知人や友人を新電電が行っているサービスに加入させるともうけマネーがもらえます、こういうお知らせが掲示をされておりまして、友人を一人新電電が行っているサービスに加入させると五百円の報酬がもらえる、十一人目からはまた孫の分ももらえる、こういう新手の商法も出てきているような状況でございます。また、今後パソコン通信等を利用して双方向の取引というのが行われる可能性も十分あるわけでございます。
こういったことを踏まえますと、ニューメディアを利用した取引につきましては、その動向を十分に注視していただきまして、消費者保護が後追いにならないよう、状況に応じ迅速な対応を講ずるべきというふうに私は考えますが、大臣の御見解を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/45
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046・塚原俊平
○塚原国務大臣 パソコン等のニューメディアを利用した取引は、既に訪問販売法上は通信販売としての広告規制の対象にはなっております。今先生から御指摘がございましたように、最近のパソコン等ニューメディアの発展というのはすごくて、この前もある大手の新聞社、はっきり言ってしまえばアエラの編集長が今度パソコンのいわゆるネットワークの編集長になりまして、親しい人だから左遷されたのだろうと思ってからかってやったら、本人は大変な栄転で大喜びをしているという現実を見ましても、これは私どもの想像以上にこのメディアの進み方はすごいと思います。
ですから、ただいま御指摘がございましたように、注意深くその動向を見守りまして、迅速かつ適切に対応できるように対処いたしてまいりたいというように考えております。
〔自見委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/46
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047・石井啓一
○石井(啓)委員 その点につきましてはよろしくお願いをいたしたいと存じます。
それでは、まず電話勧誘販売につきまして、具体的な項目についてお尋ねをしたいと存じます。
まず、今回の審議においても指定商品制について何人かお尋ねがございました。今回も電話勧誘販売については指定商品制がとられているわけでございますが、そもそもこの訪問販売法におきまして、訪問販売と通信販売と、今回電話勧誘販売が新たに指定商品制がとられているわけでありまずけれども、一方、連鎖販売取引ではすべての取引が対象になっておりますので、その理由について確認をしておきたいと思います。御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/47
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048・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
まず、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売につきまして指定商品制を採用しておりますのは、やはり規制は必要最小限度にとどめるべきであるという考え方のもとに、例えば八百屋、魚屋、米屋、酒屋などの、一般消費者が通常、訪問販売等によって平穏のうちに取引を行っているものについてまで規制をかけるのは適切ではないというような理由によるものでございます。
一方、連鎖販売取引につきましては、これは法律にも書いてございますけれども、特定利益を収受し得ることをもって誘引し、特定負担をすることを条件として行われ、しかもその特定利益、特定負担が組織内の他の加盟者と密接に関連するという取引形態そのものの特殊性に着目して行われる規制であることに加えまして、これもこの場で何度も御議論をいただいておりますけれども、悪質な連鎖販売業については、商品等の種類のいかんにかかわらず実質的にこれを禁止していこうという考え方に基づきまして指定商品制を採用していないものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/48
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049・石井啓一
○石井(啓)委員 ところで、今訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、それぞれなるべく規制を排除する、規制をかけないというお話でございましたが、私は、訪問販売、通信販売、この二つと電話勧誘販売とでは若干性質が異なるのではないかというふうに認識をしております。
と申しますのは、電話勧誘販売につきましては、一つは商品、権利、役務そのものよりも勧誘手段に問題がある。例えばプライバシーを侵害しやすいとか生活の平穏を侵しやすい、そういう勧誘の手段に問題があるということがございます。二つ目には、訪問販売、通信販売に比べますと、あらゆる業種で容易に利用できる勧誘形態でありまして、今指定商品制をとっているわけでありますけれども、悪質業者によって指定された商品以外の商品なり、権利なり、役務が脱法行為として行われる、そういう危険性も多々あるということから、この委員会でも何回か出ておりますが、いわゆるネガティブリスト方式にこれをしてはどうかという意見がございます。
私は、改正後の状況も十分見まして、今後の課題としてこれは真剣に御検討いただきたいと思いますが、見解をお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/49
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050・大宮正
○大宮政府委員 いわゆる電話を用いた取引は、実は簡易迅速という利点を有しておりまして、まさに先生のおっしゃるとおり今広く行われておるわけでございまして、実は消費者のニーズにもこたえているという面があるわけでございます。実際の取引実態を見ても、電話という勧誘手段そのものに問題があるというわけではなくて、電話を用いて行われる個々の勧誘行為の中に不適切なものが生じているためにトラブルが発生しているというものでございます。
指定商品に関してネガティブリスト方式にすべきという意見があることは私どもも承知しておりますけれども、先ほども申し上げましたように、規制はやはり必要最小限度であるべきじゃないかというようなこと、それから、今後新たに健全な形で行われるかもしれない商品、権利、役務等の取引についてまで、民法の一般ルールを超えてあらかじめ規制をかけておくことはいかがなものかな、こういうふうに判断したわけでございます。
実態的にも、現在の指定商品の範囲で問題のあるものはすべてカバーされていると考えておりまして、今後消費者相談の状況等も注視しながら、問題のある商品等が生じた場合には迅速に指定することで対処してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/50
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051・石井啓一
○石井(啓)委員 政府の見解は大体従来どおりでございますけれども、しかしながら先ほど申し上げましたように、電話勧誘販売につきましてはあらゆる業種に極めて容易に利用しやすい、そういう特質がございますので、今後の法改正の状況を見ながら迅速に御指定をいただくということではありますけれども、その指定の状況等によりましては、やはりネガティブリスト方式ということも真剣に御検討いただきたい。要望をしておきたいと存じます。
続きまして、電話勧誘販売の行為規制でございますけれども、今回の法改正によりまして、まず一つは氏名等の告知義務が課されました。二つ目には拒否者に対する勧誘の禁止、三つ目には契約締結上の重要事項の不実告知の禁止、四つ目には威迫困惑的勧誘の禁止、これが図られたところでございますけれども、産業構造審議会の答申を拝見いたしますと、さらに具体的に三つの行為規制について言及がされております。
一つは、消費者が求めた場合、事業者の住所、電話番号等を明示すること。二つ目には、顧客の意思表示を妨げるような形で行われる長時間の電話勧誘を禁止すること。三つ目には、深夜及び早朝の電話勧誘等の禁止。この必要性がこの産構審の答申でも言及されておりますので、私はこれらの行為につきましても、具体的に行為規制に加えるべきではないかというふうに考えます。
さらに、被害実態を見ますと、いわば職場への執拗な電話が多い。職場というのは、やはり上司、同僚の目がございますので、なかなか断りにくい状況にある。こういうことで、断りにくくなって契約してしまう。こういう事例が多いことから、職場への勧誘電話の禁止ということも行為規制に加えるべきではないか。
以上、この四点についてさらに行為規制を加えるべきではないかというふうに考えますが、御見解を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/51
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052・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
まず第一点でございますけれども、消費者が事業者の連絡先を知らないことで問題が生ずる場合というのは、例えば申し込みを行った契約について考え直すために改めて問い合わせをしたいときとか、あるいはその申し込みを取り消したいというときなどが考えられるわけでございます。このため、実は改正法の第九条の六及び第九条の七の規定の中の、これは省令でございますけれども、契約の申し込みもしくは締結が行われた場合には、事業者はその住所、電話番号等を記載した書面を交付しなければならないということになっておりまして、必要な連絡先を消費者に開示することにしております。
さらにその上で、勧誘する電話においても、住所、電話番号等を明示する義務を事業者に課することにつきましては、実態的には事業者は住所、電話番号等の連絡先を問われた場合には、通常はこれを告げておるというふうに承知しておりますけれども、法律上の義務を課してまでそういった法律上の義務とするかどうかということについては、必要性に乏しいのではないか、こういうふうに判断したところでございます。
それから第二点目の、いわゆる迷惑行為及び長電話の電話勧誘の禁止でございますけれども、今回の改正案では、第九条の五におきまして、契約を締結しない旨の意思表示をした者に対していわゆる再勧誘の禁止といいますか、勧誘をしてはいけない旨を規定しておりまして、実質的には電話による長時間の勧誘の継続は禁止されるということになっております。
契約に際して交渉に要する時間は個々の状況によって異なりまして、場合によっては、時間をかけてより詳細に説明を行うことが消費者の利益となることもある場合もあるわけでございますから、法律で一律に一定時間以上勧誘してはならないと規定することよりは、むしろ先ほど申し上げましたように、第九条の五によって実質的に禁止をしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
それから第一二点目でございますけれども、深夜・早朝の電話勧誘でございますが、これは、こういった時間に電話をしますことは、それ自体が消費者に不快の念を抱かせますものですから、一般的には嫌がらせは別としまして行われているものではなく、被害実態もそれほど多くないというふうに認識しております。また、国民の生活様式が多様化して、生活時間帯が深夜、早朝に及ぶ場合もある中で、一律に電話勧誘を禁止すべき具体的な時間帯を設定することは困難である、こういうふうに考えております。
このため、迷惑を覚えさせる仕方での勧誘を行ったような場合などを主務大臣の指示の対象行為といたしまして、相手方を困惑させること等を規制し、深夜・早朝電話勧誘についても、個々の事例に即して、その時間帯に電話をすることがその消費者にとって迷惑となるかどうかというような認定を柔軟に行うことにより対処したい、こういうふうに考えております。
それから第四点目でございますけれども、職場への電話勧誘でございますが、職場への電話勧誘に係るトラブルは、職場への電話勧誘自体によるものではなくて、むしろ、職場への電話勧誘を執拗に行って消費者が断りにくい状況をつくるという勧誘方法に起因するものでございます。したがいまして、今般、契約を締結しない意思を表示した者への継続勧誘、再勧誘を禁止するとともに、個々の勧誘行為の不適切性を法規制により排除することとしたものでございます。
また、電話勧誘を従業員が受けることを認めるか否か、これは事業者の職場管理の問題でございまして、必要に応じ事業者が従業員にその是非を指示すべきもの、こういうふうに考えておりまして、国が法律によって一律に禁止することは適当ではないのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/52
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053・石井啓一
○石井(啓)委員 法律で一律に禁止するのはどうかという全般的なお答えでございますけれども、例えば、今回も第九条の九「禁止行為」の二項で、「威迫して困惑させてはならない。」と、威迫困惑行為の禁止というのが挙げられておりますが、ここで法律上明文するのはともあれ、例えば今私が申し上げました四つの行為というのは、実際は執拗な勧誘行為でありまして、威迫に当たるかどうかわかりませんが、困惑させられるような行為であることは間違いないわけでございますから、この九条の九の威迫困惑行為の中身がこういうことであるということを、例えば通達等でお示しになる、こういうお考えはあるのかないのか。私はぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/53
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054・大宮正
○大宮政府委員 今御指摘ございましたように、威迫困惑の中身は具体的にどういうものかということは、これは当然私どもも通達で明らかにするつもりでございますが、いわゆる御指摘あったような長電話とかあるいは深夜・早朝の電話については、むしろ具体的にその迷惑を覚えさせるような仕方でない勧誘というところの方で読んでいくというふうに考えております。というか、具体的に消費者がどういうふうに感ずるかということが基本的に問題になるわけでございますから、先ほど申し上げましたように、二十四時間働いている方は夜電話してもらわなければお話ができないという方もいらっしゃいますので、これは、そういう具体的なケースに即して判断したい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/54
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055・石井啓一
○石井(啓)委員 具体的なケース等々に即して、実質的に消費者が迷惑をこうむらないような形で、指導等よろしくお願いをいたしたいと存じます。
それでは続きまして、クーリングオフの起算点の問題でございます。
先ほども吉井委員の方から、このクーリングオフの起算日につきましては、法定書面を受領した日から、法定書面に署名捺印し返送した日に変えるべきではないかというふうな意見がございました。政府の答弁といたしましては、実質的にクーリングオフ期間が大幅に延長されると契約の安定性が損なわれるということでありますが、確かにそういう面もあろうかと思います。
ただ、私も懸念をいたしますのは、被害の事例では、消費者が電話を受けまして、結構ですとか、はいはいというあいまいな返事をした場合、業者が一方的に契約をしたと解釈をして、契約内容の書面を送ってくる場合が多いわけでありまして、この場合、受け取った消費者は契約したというふうに認識をしていないわけですから、その送ってきた書面を放置しておく場合がある。クーリングオフ期間を過ぎてしまうケースが多く想定されるのではないかというふうに考えたわけです。
先ほど吉井委員に対する答弁では、そもそも民法の特例であるから、消費者が契約をしていないとはっきり意思を持っている場合は民法上の救済措置があるのだ、あるいはその挙証責任は事業者側にあるのだ、こういう御答弁でございましたので、確かにそういうことかとは思いますけれども、しかしながら、そういうふうに考えてみますと、現行法でもそれはできるのでありますね。今回改正をいたさなくても民法における救済措置というのは得られるわけでありますが、それにもかかわらず被害の実例が多いという現状がございますので、その辺も踏まえて、こういった事例に対してどういうふうに対処すべきとお考えなのか、御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/55
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056・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
まず、クーリングオフの起算点の問題につきましては、先ほど御説明したとおりでございまして、今石井先生からも御指摘のあったとおりでございます。
これは、署名捺印した後ということになりますと、実は、消費者がそれを怠りますといつまでたってもクーリングオフができるということになりまして、非常に取引の安定性が損なわれるということでございまして、これはなかなか難しいのじゃないか、こういうふうに判断したわけでございます。
それじゃ現状との関係でどうなるのかということでございますけれども、電話勧誘販売におきまして、例えば消費者の契約意思があいまいなまま事業者が契約の成立を主張してきた場合などには、消費者側は、仮に契約が成立していたとしても、これはクーリングオフという制度は民法の特例として、事由のいかんを問わず、要するにこれは本法では受領日でございますけれども、受領日から八日間は申し込みの撤回あるいは契約の解除ができる、こういう措置で救済されるというか、そういう制度をつくったということでございます。
それから、その際に、第九条の六及び第九条の七の書面交付につきましては、契約上の重要な書類として十分に消費者の方にも注意を払っていただく必要がございますし、こうした点については消費者啓発の中で今後とも周知徹底をしていくこととしたい、こういうふうに考えております。
ただ、先生おっしゃいましたように、本人がそういう意思がないという場合には、これは基本的に民法のルールでは諾成契約でございまして、本人がその意思がない場合には契約が成立しないわけでございますから、これは民法上の、契約を成立させる意思がなかった旨を明確に主張すれば、契約成立の立証責任が先ほど申し上げましたように事業者側にあることから、実務上契約が成立したと認定されるケースはほとんどないというふうに考えております。このような場合には、クーリングオフ期間内であるか否かにかかわらず、そもそも契約不成立によりまして消費者が救済されるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/56
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057・石井啓一
○石井(啓)委員 今政府委員が御答弁された救済措置というのは、私の問題意識では現行法でも実際はできるはずなのに被害が多いというのは、消費者の無知といいますか、情報を知らないのに乗じて悪質な業者がいろいろやってくる、そういう実態があろうと思います。
また、今後懸念されるのは、消費者が知らないことにさらに乗っかって、今回、法改正に悪乗りして、もう書面を送ったじゃないか、あなた、送ったから、クーリングオフ期間が過ぎたからもうできませんよ。こういうふうに、一方的にこれを悪用してくる可能性もあるわけです。いろいろ悪知恵を働かしてきますでしょうからね。こういった点も非常に私は懸念されますので、この点については実情等十分に注意していただいて、消費者啓発はもちろんのことでありますけれども、悪質な業者に悪乗りをされないように厳しくやっていただきたいと思います。
では続きまして、いわゆる二次被害でございますけれども、一度被害に遭った人に対して、前の被害の救済のように見せておきながら再度金銭を支払わせるという、けしからぬことでございます。
神奈川の消費生活コンサルタント連絡会でおまとめになった事例をちょっと見てみますと、例えば、ちょっと読み上げてみますと、「五年前に行政書士の通信教育の契約をしたが、特に必要な資格ではなかったため、取得せずにいた。その後いろいろな業者から勤務先に資格にかかわる電話勧誘が次々とあり、仕事にも支障がではじめ非常に迷惑していた。そんなとき、ある業者から、出回っている名簿から自分のデーターを抹消するためには、四十万円が必要と脅された。業者の説明に不明の点はあったものの、これでしつこい勧誘から解放されるならばと思い承諾してしまった。しかし、その後に送られてきた契約書は、行政書士の資格取得講座申込書となっていた。すでに登録したので解約はできないという。」
こういう事例等々、何といいましょうか、人の弱みにつけ込んでといいますか、勧誘すると断り切れないような消費者の性格であることを事業者が利用した大変な悪質な事例でありまして、私は許せない思いがございますけれども、この裏には、いわゆる顧客の名簿が、特に電話勧誘に一回応じたという顧客のリストが業者間で売買されている、こういう実態があるわけでございます。
今回、通産省等におかれては、業界の自主的な取り組みが重要というふうにされておりまして、いろいろな措置もおとりになるようでありますけれども、しかし、悪質な業者というのはいわゆるアウトサイダーが多いわけでありまして、私は業界の自主的な取り組みではなかなか実効が上がらないのではないかと大変懸念をする次第でございます。
したがいまして、電話勧誘者の保持する顧客リストあるいは個人情報の不正利用に対する規制につきましても、政府としてこれは検討すべきではないかというふうに考えますが、見解を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/57
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058・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
電話勧誘販売事業者の保有する顧客リストや個人情報の乱用について法的規制を行ってはどうかという御指摘でございますけれども、利用実態の正確な把握や利用のあり方等の検討など、今後、課題も多うございまして、慎重な対応が必要であろうか、こういうふうに考えております。
しかしながら、当省としては、電話勧誘販売事業者の保持する顧客リストや個人情報が乱用されることは消費者利益の保護の観点から問題があるというふうに考えておりまして、検討すべき重要な課題であるというふうに考えているところでございます。
このため、平成八年度予算におきまして、事業者の自主的な取り組みを促す基盤整備として、顧客名簿の取り扱いに関する基準の作成等について検討するための予算を計上しておりまして、学識経験者、消費者等の御参加を得て、顧客リストや個人情報の乱用を防止するためのルールづくりを検討してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/58
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059・石井啓一
○石井(啓)委員 前半のお答えは非常に慎重であり、後半は重要な課題というふうに受けとめているということでございましたので、私は、通産省としてもいろいろお惑いがあるのかなと思いますが、ぜひ重要な課題と御認識をいただきまして、真剣にお取り組みをいただきたいと要望をしておきたいと存じます。
それではもう一つ、今回、電話勧誘販売の中で適用除外の条項を設けていらっしゃいます。第十条でございますけれども、特に第十条第三項二号で政令委任されております適用除外事項について、具体的にどのようなケースを想定されているのか、御説明をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/59
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060・大宮正
○大宮政府委員 御質問の点でございますけれども、通例の取引形態として電話勧誘販売による販売または役務の提供が日常生活において支障なく行われている取引まで規制することは、この法律の趣旨ではございませんし、また、規制対象とした場合、かえってこれらの取引に無用の混乱を生ずるおそれがあるわけでございます。
このため、例えば既に訪問販売につきましては、こういった趣旨から法第十条第二項第二号におきまして適用除外を設けておりまして、例えば現に店舗において販売を行っている販売業者が定期的に住居を訪問するいわゆる御用聞きの場合、それから二番目に、過去一年間に一定以上の取引がある顧客への訪問販売、それから第三に、事業所への訪問販売であって、その事業所の管理者による承認を受けた場合などを政令で指定しているところでございます。
改正法第十条三項第二号は、電話勧誘販売についても日常生活において支障なく行われているケースを政令で定め、本法の適用除外とするものでございます。今後、具体的には消費経済審議会の場において、訪問販売のケースを参考としながら、電話勧誘販売に係る取引及び被害の実態を踏まえ、消費者、事業者等とも十分な議論をしつつ検討してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/60
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061・石井啓一
○石井(啓)委員 それでは引き続きまして、連鎖販売取引についてお伺いをいたしたいと存じます。
これまでの当委員会におきます政府委員の答弁では、連鎖販売取引に関します法規制の考え方は七六年の制定当時と同じである。すなわち、悪質なマルチを全面的に禁止するのは立法技術上難しいわけでありますが、より広い網をかけて悪質な行為を規制することにより悪質なマルチを実質的に禁止する、こういう規制の考え方は変わらないということでございましたので、私は、この悪質なマルチは実質的に禁止するという点につきまして、この際、重ねて大臣の御決意を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/61
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062・塚原俊平
○塚原国務大臣 ただいまお話がございましたように、昭和五十一年、一九七六年の訪問販売法制定当時の国会審議において、今の点が一応明らかにされております。この点につきましては何ら変わりございませんし、あくまでも、立法当時、悪質なマルチを実質的に禁止をするという前提のもとに、なおかつより有効な形をとるということで、このようなルールづくりをしたというふうに私ども理解をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/62
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063・石井啓一
○石井(啓)委員 それでは、この連鎖販売取引の特定負担についてちょっと質問をさせていただきたいのですが、これまでもこの特定負担について取り上げられましたが、連鎖販売取引かどうかが非常にあいまいといいますか、わかりにくくなつているのは、特定負担の解釈がわかりにくいためということがございます。
現在、特定負担二万円という要件を免れるために、例えば二万円未満に設定をいたしたり、あるいは時間差を設けようとしたりする業者も多いわけでございますが、連鎖販売取引かどうかの大きな要素は特定負担を求めることでございますので、この二万円という額にかかわらず、特定負担を求めるものはすべてこの連鎖販売取引の対象とすべきではないかというふうに私は考えます。すなわち、特定負担の額を現行の二万円から大きく引き下げるべきだと考えますが、御見解を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/63
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064・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
現在、訪問販売法施行令第七条におきましては、先生御指摘のございましたように、特定負担の基準は、「商品の購入の総額若しくは役務の対価の支払の総額又は取引料の提供の総額が二万円以上であること」とされております。
これは、前回もこの委員会でちょっと申し上げましたけれども、昭和五十一年当時被害の多かった勤労少年の小遣いが生活費を含めて二万円程度であるというアンケート結果に基づきまして、警察庁等関係機関とも十分協議の上二万円と定めたものでございます。現在これに該当する調査はございませんけれども、平成六年現在で昭和五十一年と比べた物価上昇率は一七〇%でございまして、昭和五十一年当時の二万円は現在約三万四千円になるという試算でございます。
したがって、特定負担の基準金額は漸次引き下げられているのと同じ効果があるものと考えられておりまして、むしろ、本来であれば当該金額の引き上げを検討しなければならないのじゃないかというような議論もあるところでございます。しかしながら、消費者保護の観点から特定負担の金額を引き下げるべきであるという考え方も根強いことにかんがみまして、現在の特定負担の水準を維持することは妥当であると考えております。
なお、御指摘のありました脱法防止の観点からは、特定負担の最低金額が問題なのではなくて、むしろ何が特定負担に当たるかが問題である、こういうふうに考えておる次第でございます。
今回の産業構造審議会答申においても、時間的格差のある契約であっても、実態的に同一の契約であると認定できる場合には、その契約に係る負担の合計額が特定負担についての政令で定める基準に該当すれば、これは二万円でございますが、該当すれば、連鎖販売取引に該当すると解釈すべき旨の解釈のあり方について御指摘をいただいておりまして、この趣旨を今後通達等により周知徹底したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/64
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065・石井啓一
○石井(啓)委員 そもそもの法の考え方からいきますと、なるべく広い網をかけて、それで悪質な行為を取り締まるという考え方でございますから、私は別段その二万円という額にこだわる必要はないのではないか。むしろ、その二万円というのが表に出ているために網にかかりにくくなっているようなこともあるのではないかと私は考えておりまして、この点を指摘しておきたいと思います。
もう一つ、実質的に何が特定負担かが問題だ。確かにそういうことでございますので、これは通達でお示しになるということでございますが、実質的にその連鎖販売取引の脱法行為が広まらないように、この点について特段の御努力をいただきたいと存じます。
続きまして、法第十二条の禁止行為でございますけれども、従来、重要事項の不告知または不実の告知というのが禁止行為になっていたわけでありますが、重要事項が何であるのかあいまいであるという指摘があったわけでございます。
今回の改正において重要事項が法文上明示されたことは、私は評価いたしたいと存じまずけれども、さらに、今回改正法の第十二条第一項第五号において「重要なもの」というふうに挙げられておりますが、過日の参考人質疑においては、この「重要なもの」の中身について、一連の連鎖販売業の加盟者数あるいはその段階数、さらにはその各段階における収支の実情等、こういったものが「重要なもの」に該当するようにしてほしい、こういう要望がございました。
私は、確かにこれらの事項というのは消費者が連鎖販売取引を契約するか否か判断する際の極めて大切な事項であり、消費者に対する情報開示という点から、今言った事項について具体的に通達等でお示しになってはどうかというふうに考えるわけでございますが、見解を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/65
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066・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
改正法第十二条第一項第五号におきましては、「連鎖販売業に関する事項であって、連鎖販売取引の相手方の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」について「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならない。」というふうに規定をしておりまして、今先生が御指摘あったように、この「重要なもの」につきましては通達で明らかにしたい、こういうふうに考えております。
具体的な事例に即して申し上げますと、総括的に言えば、取引をするための意思決定の要素になるような事項が重要なものということでございまして、これは私ども法律をつくる過程でいろいろな議論をしてまいりましたけれども、故意に事実を告げない行為というものに関する重要事項と不実のことを告げる行為に関する重要事項、これは必ずしも一致していないのではないか、こういうふうに考えております。
それで、故意に事実を告げない行為というものにつきましては、相手方が当該事実を知らずに取引を行うことがその者にとって不利になる事項が「重要なもの」でございます。例えば、統括者等の経営が破綻に瀕している場合に、財産状況等を告げないことなどが問題になるというふうに考えております。ただ、一連の連鎖販売業の加盟者数、段階数、各段階における収支の状況等については、そのことを知らずに取引を行うことが必ずしもその人にとって不利になるということは言えませんで、それを告げないことが直ちに本条違反になるものではないというふうに考えております。
一方、不実のことを告げる行為、すなわちうそをつく行為でございますけれども、重要な事項の範囲は、故意に事実を告げない行為に比べましてより広く考えるべきでございまして、御指摘の連鎖販売業の加盟者数、段階数あるいは各段階における収支の状況等について不実のことを告げた場合には、これは一般的に違法行為になると考えておりますし、こういったことを解釈通達において明らかにしていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/66
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067・石井啓一
○石井(啓)委員 わかりました。今の御答弁では、不実の告知については重要事項に該当する、不告知については必ずしも該当しないのではないかというふうなお答えでございましたけれども、この点につきましても、ぜひよく御検討をいただきたい、このように思います。
続きまして、情報開示ということでございますけれども、やはり自己責任原則ということを大分この産構審の答申でもうたわれておりますけれども、もとより、消費者が自己責任原則を果たすためには、消費者に取引条件等に関する適正な情報が開示されていることが、これはもう大前提でございます。
そういった意味で、産構審の答申では、「連鎖販売取引の契約に際し、一般消費者等に対し当該取引に係る情報開示を図るため、十四条の交付書面について、記載事項の拡充と様式の統一化等について検討を行うべきである。」こういう指摘がされております。
この件につきまして、通産省としてはどのような対応を具体的におとりになるのか、御説明をいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/67
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068・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
連鎖販売取引におきましても、基本的に消費者が自己責任原則のもとでみずから契約の適切さについて判断をすることが望ましいわけでございまして、こういった観点から、取引条件等に関する情報開示が重要であるというふうに認識しております。このため、産業構造審議会消費経済部会答申におきましても、訪問販売法第十四条の交付書面について、記載事項の拡充等について検討を行うべきである旨指摘されております。
具体的な記載事項につきましては、現在十四条で規定されているほか、通産省令で定められているところでございますけれども、今後、省令改正に向けて、追加的に開示が必要な情報等について検討してまいりたいというふうに考えております。例えば具体的な例といたしましては、特定利益に関する事項などを新たな記載事項に加えたい、こういうふうに考えております。
それからもう一つ、様式の統一化の問題も産構審で言われておるわけでございますけれども、これにつきましては、各事業者によって取引の形態、取り扱う商品等がさまざまでございまして、なかなか簡単ではないというふうに考えておりますけれども、可能な限り工夫をすることを考えたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/68
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069・石井啓一
○石井(啓)委員 消費者に対する情報開示ということで極めて大切だと思いますのは、その取引が連鎖販売取引であるかどうかが消費者にわかるということが私は極めて大事ではないかというふうに考えます。
先日、この委員会におきまして小池委員の方から、十四条の交付書面に危険であるということを明示してはどうかという質問がございまして、政府の答弁では、連鎖販売そのものが危険であるというのは行き過ぎではないかという御答弁がございました。私もそれはそうなのであろうというふうに思いますけれども、しかしながら、悪質なマルチ商法による消費者被害が後を絶たないということ、あるいは、今回の法改正におきましては、いわゆる連鎖販売業を行う者もその取り締まり対象になっている、いわゆる一般の消費者も取り締まり対象になるわけでございますので、情報開示の一環として、連鎖販売取引については連鎖販売取引であるということを明示してはどうか。すなわち、法十四条の交付書面で連鎖販売取引であるというふうに書かせる、あるいは、十二条の重要事実の告知義務の中に連鎖販売取引であるということをきちんと口頭で言わせる、こういうふうにしてはどうかというふうに思うわけでございますけれども、これについて御見解を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/69
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070・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
連鎖販売取引に係る消費者被害といいますのは、訪問販売法上の単なる定義である連鎖販売取引という名称が告げられないこと自体に問題があるために生じているものではございませんで、個々の取引の特定負担、特定利益、商品情報等の契約内容が適正に告げられていないことや、勧誘方法に問題があることによって生じているものでございます。したがって、これらを適正化すべく、連鎖販売取引に係る規制を設けるとともに、近年の被害実態に合わせまして、今般さらに規制の実効性を上げるため、禁止行為の対象者の拡大、罰則の強化等の改正をお願いしているところでございます。
このため、取引についての単なる法律上の定義でございます連鎖販売ということを告げないだけで例えば指示、命令、罰則の対象とするというのは、これは法律的にはいささか行き過ぎたものではないか、こういうふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/70
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071・石井啓一
○石井(啓)委員 これはそもそも論にもかかってくるわけでありますけれども、法律の建前からすると、連鎖販売取引についてはいろいろ義務事項あるいは禁止行為等定めておりますので、例えば連鎖販売取引が危険であるとか云々ということ自体は私はやり過ぎだと思うのですけれども、連鎖販売取引であることを書かせること自体は、この法の趣旨からいっても私はそんなにおっしゃるほど行き過ぎなものではないのではないか。むしろ、連鎖販売取引であれば堂々とそれは明示してやっていただきたい。逆に、消費者の方も注意喚起を十分にしていただくという意味から、私はこれは有力な手段ではないかというふうに考えておりまして、今どちらかといいますと消極的な御答弁があったわけでありますけれども、私は、今後もこれは真剣に御検討いただきたいと要望をいたしますと同時に、今回の答弁でもって、将来かたくなにおやりにならないということはお考えにならないでいただきたいと御要望を申し上げておきたいと存じます。
さらに、罰則についてですが、特に行政罰でございますれども、現行法ではいわゆる業務の停止命令を出した際にはその旨を公表する、このようにされておりますれども、一歩進めまして、第十五条で指示処分をした場合も公表できるようにしてはどうかというふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/71
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072・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
改正訪問販売法第十六条第二項の規定によりまして、主務大臣は同条第一項の規定に基づき業務停止命令等を行ったときはその旨を公表しなければならないこととされております。これは業者に対する社会的制裁を行うことに加えて、事業者名を広く消費者に知らしめて被害の拡大防止を図るためでございます。
他方、主務大臣が指示を行った際には、その旨を公表しなければならないこととはされておりませんけれども、これは公表はできないという趣旨ではないというふうに我々は認識をしております。すなわち、公表については実質的な社会的制裁の意義を有するものでございまして、もとよりその手続については慎重を期すべきでございますけれども、公表規定が存在しないことをもって、消費者利益の保護の観点から特に必要があると認められる場合にまで主務大臣が公表を行うことを妨げられるものではない、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/72
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073・石井啓一
○石井(啓)委員 今の点については大変前向きな御答弁をいただきましたので心強い限りでございますが、そもそも連鎖販売取引については行政処分が少ないという実態もございますようでありますから、ぜひこの点についても、しっかりと適正な執行についてよろしくお願いをいたしたいと存じます。
それでは、全般的な問題に移りますが、今回新たに第十八条の二といたしまして、主務大臣に対する申し出ができる、そして適当な措置をとることを求めることができるという条項、あるいは主務大臣はそれに対しまして必要な調査を行い、事実であると認めるときは適当な措置をとらなければならない、こういう新たな条項が出てまいりまして、私は、この条項が盛り込まれたことによりまして、主務大臣のこの法律に対する姿勢が従来よりはっきり映し出されておりますので評価ができるわけでございますが、この第十八条の二が新たに設けられた背景なり理由なりを御説明いただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/73
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074・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
ただいま御指摘ございましたように、産業構造審議会の場においてもこの点は指摘されておりまして、消費者保護の徹底を図る上で機動的に行政による措置を行い、法律の実効性を担保することが必要である。そのためには、情報収集等について一般消費者と一体となった取り組みが不可欠であるということでございまして、既に消費生活用製品安全法あるいは家庭用品品質表示法等の例に倣いましてこのような申し出規定を設けることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/74
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075・石井啓一
○石井(啓)委員 今回、みずから措置をとるというふうな御決意で主務大臣の義務規定を設けられているわけでありますから、そういう御決意でいらっしゃるとは思いますけれども、法改正によりまして、よりこの法律の適正かつ機動的な執行をお願いをいたしたいと存じます。
続いて、警察庁にお伺いをいたします一
今回の改正によりまして、悪質な電話勧誘販売あるいは連鎖販売取引につきましてはより摘発が容易になっておりまして、今通産省当局の方から十八条の二に関しましていろいろ御説明があったところでありますけれども、警察当局においても、これまでもやっていただいているとは思いますが、これまで以上に、悪質な商法の取り締まりに対しまして厳正かつ機動的に執行していただきたいと存じます。
警察当局の御方針を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/75
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076・園田一裕
○園田説明員 お答え申し上げます。
警察といたしましては、今回の改正の趣旨を踏まえまして、消費者被害の未然防止と拡大防止の観点から、法令に違反する悪質な行為に対しましては、関係機関と緊密な連携をとりまして早期の把握に努めますとともに、厳正かつ的確な取り締まりを行ってまいりたいと考えております。また、消費者の方々がこれらの事犯の被害に遭わないためのきめ細かな広報啓発活動も積極的に推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/76
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077・石井啓一
○石井(啓)委員 ところで、これまでの被害実態を見ますと若年層が非常に多いということから、学校教育における消費者教育の充実が重要でございます。これまでの審議におきましても指摘されてきたわけでありますけれども、学校教育の中で具体的な教育をやるべきであろう。例えば被害事例について、具体的にこういう悪質な商法による被害の事例があるのだとか、あるいはクーリングオフ制度はこういう内容になっているとか、あるいはいざというときの相談窓口はどういうところにあるのですよ、こういう具体的な内容について学校教育の場で教えてはどうか、こういうことが指摘をされております。
もっともなことでございますけれども、私が文部省に確認をいたしましたところ、そもそも学習指導要綱というのは非常に大綱的なものでございますから、今回の法改正に伴ってすぐに学習指導要綱を変えるということはないということでございますし、また、個々の出版社が出している教科書の記述の内容について、文部省が具体的にこういう事項を書け、ああいう事項を書けということは、なかなかこれは指導できないといいますか、指示することはできないということでございました。確かにそういうことであろうかと思います。
そこで、私は御提案を申し上げたいのでございますけれども、都道府県の消費者行政の担当部局と各都道府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会、これで十分連携をしていただいて、例えばいろいろな各県の消費者生活センター等で出されている啓発資料を学校に対して参考資料として御配付されてはどうか、それを通産省としてもバックアップしてはどうか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点についてはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/77
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078・大宮正
○大宮政府委員 お答えいたします。
いわゆる学校教育における消費者の啓蒙普及でございますけれども、これは現場の指導につきましては文部省において適切に行われているものと承知しておりますけれども、学校教育における消費者教育の重要性にかんがみまして、通産省としても従来より関係団体との連携のもと、その支援に努めているところでございます。
具体的には、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会が、毎年度、全国百十の高等学校等に講師を派遣し消費者教育を実施しておりますし、また日本消費者協会が、学校の先生方と懇談会を開催するとともに、全国五千五百の高等学校に消費者教育に必要な情報を冊子にまとめ年四回配付することによりまして教育現場に情報提供を行うとともに、パソコン通信により消費者関係情報を学校において取り出せ、授業に活用できるようなサービスを新たに開始したところでございます。
今後とも、先生の大変貴重な御指摘も踏まえまして、消費者取引の被害を未然に防止するために、消費者啓発資料の配付を含め、引き続き学校における消費者教育に対する側面的支援を実施してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/78
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079・石井啓一
○石井(啓)委員 ぜひその点についてはよろしくお願いをいたしたいと存じます。
それでは、いわゆる割賦販売についてお尋ねをいたしますが、実は先日、参考人陳述で非常に大事なことが述べられました。と申しますのは、電話勧誘販売というのは実質的にはクレジット契約をほとんどしているということなわけでありますけれども、電話勧誘販売で資格取得などの役務について、サービスについてクレジット契約をした場合、現行の割賦販売法では商品のみが対象になっていて、役務、サービスについては対象としていない、したがって、電話勧誘販売に対して、事業者に対してクーリングオフを行使してもクレジット契約は残るのではないか、こういう懸念が指摘されました。これは私は大変重要なことだと思いますので、こういつたことに対してはどのように対処するというふうにお考えなのか、確認をいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/79
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080・大宮正
○大宮政府委員 ただいま御質問ございました、いわゆる電話勧誘販売と同時にクレジット契約をした場合、クーリングオフをしてもクレジット契約が残るのではないか、こういう御指摘でございますけれども、これは先ほどもちょっとお答えいたしましたが、通常、クーリングオフの期間である八日以内はクレジット会社から役務提供事業者に対し金銭の支払いを行っておりませんで、また万一支払いを行ったとしても、購入者が役務提供事業者との役務提供契約をクーリングオフした場合においては、クレジット会社は購入者との委託契約も解除しているのが通例でございまして、御指摘のようなトラブルが生じた事例は私ども承知しておりません。
しかし、いずれにしましても通産省としては、クレジット会社に対して割賦販売法等によりまして従来より所要の指導監督を行っておりまして、仮に御指摘のような問題が生じた場合には適時適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/80
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081・石井啓一
○石井(啓)委員 わかりました。ではその点についてはよろしく御指導のほどお願いしたいと存じますが、それに関連してもう一つ申し上げたいことがございます。
いわゆる割賦販売の場合、これは消費者と事業者と割賦販売の事業者と三者がいるわけでございまして、いわゆる抗弁権の接続でございますね。従来、事業者に対する抗弁権は割賦販売事業者に対して接続できる、商品の場合はできるわけでございますけれども、役務の場合はそれがなかなか、現行はできないという規定になっておりまして、この件についてどうするかというのが実は懸案として残っております。これについてはどういうふうにお考えなのか、確認をしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/81
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082・大宮正
○大宮政府委員 ただいま御指摘ございましたのは、いわゆる割賦販売法について役務提供契約が対象になっていないために、商品の場合と違って抗弁権の接続が認められないのじゃないか、こういう御指摘でございまして、実はこの問題は、この商工委員会でも過去に何度か御議論されたわけでございます。
これは、法律的に役務提供におきます抗弁権を接続することにつきましては、役務提供の場合は提供される役務に瑕疵があるかないか、例えば外国語教室に例をとりますと、教え方が下手であるとか、あるいは、エステティックサロンにおいて期待した効果がなかったというような、消費者の主観的な判断、さらには、場合によりましては消費者自身の努力の度合いによって結果が大きく左右されるということでございまして、商品の取引に比べて瑕疵の存在の客観的判断が困難であるという問題があると私どもは考えております。
このため、抗弁権の接続に関する法的措置の導入に当たりましても、このような消費者の抗弁すべてを接続することがいいのかどうかというような法律的な問題がございまして、むしろ、私どもは、こういった問題を実態的に解決するために、過去においても研究会等を催しまして、エステティックサロンや外国会話教室等の業種については、その支払い方法としてクレジット契約を利用することが多いことから、通達を出しまして、業界を指導しているわけでございます。
これは、平成四年の五月と十月に出ておりますが、例えば役務提供事業者を加盟店とする場合における審査の厳格化等といったような加盟店管理の強化の問題、それから、継続的役務提供事業者が倒産等の事由により役務提供ができなくなった場合には、利用者への支払い請求を停止するなどの措置をとるよう指導を行ったところでございます。
この通達発出以降、多くのクレジット会社は継続的役務提供事業者と新たな加盟店契約を行うことに相当慎重になっておりまして、管理も厳格にやっておりますし、また、クレジットを利用したいわゆる消費者への役務未提供等によるトラブルは減少しているもの、こういうふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/82
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083・石井啓一
○石井(啓)委員 それでは最後に一言申し上げますが、今回の訪問販売法の改正は、確かに従来の被害実態等を踏まえて一歩前進であるという面では、私は評価いたしたいと存じますが、先ほども申し上げましたように、この法改正を踏まえて、法律の適正かつ機動的な執行をぜひとも関係当局においては十分連携の上、お願いをいたしたいと存じますし、また、悪質な商法というのは常に新たな悪知恵を働かせて生じてくる、それをまた新たに取り締まる、こういういわば追いかけっこ的な要素が十分にございますので、今後とも被害実態等に応じて迅速な対応を要望いたしまして、私の質問を終了いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/83
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084・甘利明
○甘利委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/84
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085・甘利明
○甘利委員長 この際、本案に対し、塩谷立君外二名から、自由民主党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけの三派共同提案による修正案が提出されておりますので、提出者から趣旨の説明を求めます。塩谷立君。
―――――――――――――
訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法
の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/85
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086・塩谷立
○塩谷委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明いたします。
修正案はお手元に配付されているとおりであります。
修正案の内容は、消費経済審議会に係る施行期日につき、原案では「平成八年四月一日」としていますが、既にその日が経過していますので、これを「公布の日」に改めようとするものです。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/86
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087・甘利明
○甘利委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/87
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088・甘利明
○甘利委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、塩谷立君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/88
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089・甘利明
○甘利委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決された修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/89
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090・甘利明
○甘利委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/90
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091・甘利明
○甘利委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、西川太一郎君外五名から、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党、市民リーグ・民改連の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、提出者から趣旨の説明を求めます。西川太一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/91
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092・西川太一郎
○西川委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
訪問販売等に関する法律及び通商産業省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行にあたり、特殊形態取引等における消費者被害の拡大防止に万全を期すると同時に、健全な消費経済の発展を確保する見地から、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 本法の適切かつ機動的な執行体制を確保するため、地方自治体の消費生活センター、国民生活センターとの一層の連携強化を図るとともに、迅速な苦情処理と機動的な行政措置発動のための体制を整備すること。
二 消費者に対し、悪質商法の手口や商品情報等の情報提供及び今回の改正内容の周知徹底に努めるとともに、被害が若年層に多いという実態にかんがみ、学校教育、社会教育における消費者啓発の一層の充実を図ること。
三 電話勧誘販売事業者等の事業運営の健全化を図るため、業界団体等に対し、自主ルールの策定ないしその遵守の徹底に努めるよう指導すること。
四 パソコン通信等のニューメディアにおける消費者取引については、今後その動向をよく把握し、必要な場合、迅速に対策を講ずること。
五 連鎖販売取引の定義について、通達等によりわかりやすい解説をする等その明確化を図るとともに、悪質な事業者の再犯の抑止ないしはその根絶に向けて本法の運用を厳格にし、取締りを強化すること。
なお、禁止行為の対象が下位加盟者に拡大することを踏まえ、今回の法改正の趣旨・内容の周知徹底を図ること。
六 商取引の国際化、高度化が進捗するなか、取引形態のさらなる多様化に対応し、政府及び関係機関における消費者教育の充実を図るとともに、経済フロンティアの拡大に資する健全な新規ビジネスの可能性を不当に阻害することがないよう留意すること。
以上であります。
附帯決議の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/92
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093・甘利明
○甘利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/93
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094・甘利明
○甘利委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、塚原通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塚原通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/94
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095・塚原俊平
○塚原国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/95
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096・甘利明
○甘利委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/96
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097・甘利明
○甘利委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/97
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098・甘利明
○甘利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時十八分散会
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604461X00919960422/98
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