1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年三月一日(金曜日)
午前九時三十一分開議
出席委員
委員長 久間 章生君
理事 石原 伸晃君 理事 大島 理森君
理事 金子 一義君 理事 青木 宏之君
理事 北側 一雄君 理事 村井 仁君
理事 永井 哲男君 理事 錦織 淳君
柿澤 弘治君 岸田 文雄君
熊代 昭彦君 栗本慎一郎君
小泉純一郎君 中村正三郎君
中山 利生君 福永 信彦君
松下 忠洋君 村田 吉隆君
山中 貞則君 井奥 貞雄君
上田 清司君 太田 昭宏君
谷口 隆義君 中田 宏君
中村 時広君 藤井 裕久君
宮地 正介君 吉田 公一君
網岡 雄君 関山 信之君
早川 勝君 細谷 治通君
田中 甲君 佐々木陸海君
小森 龍邦君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 久保 亘君
出席政府委員
大蔵政務次官 鉢呂 吉雄君
大蔵省主計局次
長 伏屋 和彦君
大蔵省主税局長 薄井 信明君
大蔵省銀行局長 西村 吉正君
国税庁課税部長 内野 正昭君
委員外の出席者
法務省民事局参
事官 升田 純君
文部省初等中等
教育局小学校課
長 上杉 道世君
通商産業省産業
政策局商政課取
引信用室長 半田 力君
大蔵委員会調査
室長 藤井 保憲君
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委員の異動
三月一日
辞任 補欠選任
衛藤征士郎君 福永 信彦君
佐田玄一郎君 松下 忠洋君
同日
辞任 補欠選任
福永 信彦君 衛藤征士郎君
松下 忠洋君 佐田玄一郎君
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本日の会議に付した案件
平成八年分所得税の特別減税のための臨時措署
法案(内閣提出第六号)
租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/0
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001・久間章生
○久間委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、平成八年分所得税の特別減税のための臨時措置法案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷口隆義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/1
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002・谷口隆義
○谷口委員 新進党の谷口隆義でございます。
まず初めに、今回の租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御質問いたしたいと思います。
これは、先日の予算委員会でも私、申し上げたことでございますが、先日、短期地価動向調査の結果が報告されておったわけでございます。報告内容を見ますと、やはり地価がずっと下落し続けておるわけでございまして、今回、この租特の一部を改正する法律案で土地税制を改正されておられるわけでございます。
まず初めに、大臣に御質問いたしたいわけでございますが、一つは、この土地基本法の精神、利用、使用の観点から土地の地価水準がどうあるべきかということ。また一方では、今現在問題になっております住専の問題、金融機関の抱えておる不良債権の問題、この不良債権が、地価がどんどん下落すると損失がどんどんふえていくというような状況になっておるわけでありますが、この土地基本法の精神、また地価について、大臣御自身がどう考えていらっしゃるか。どうあるベきか、今現在高いのか低いのか、このあたりが妥当であるというようなことなのか、御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/2
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003・薄井信明
○薄井政府委員 実務的な面について私からまずお答え申し上げますが、地価のここ数年の流れは、バブルの後、下落を続けてきているわけでございます。御指摘のように、最近の状況を見ますと、都市部の商業地においてはまだ下がっている状況が見受けられます。ただし、地方の住宅地等については下げどまっている気配も見えてきているというような状況かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/3
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004・久保亘
○久保国務大臣 今、地価の傾向について主税局長がお答え申し上げましたけれども、土地基本法の精神は、土地の流通、取引がふえればよいということではなくて、土地がその公共性にかんがみて有効に生かされるということを目指したものだと考えております。そういう立場から地価対策は考えられるべきものと思っておりますが、現在の地価が高いのか低いのかということについては、今主税局長も申し上げましたように、一概にそのことを論ずることは非常に困難な問題であると思っております。
地価の対策というものは、土地が本当に有効に公共性を持って活用されるかどうかという立場から考えられるものということを重ねて申し上げたいと思います。
〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/4
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005・谷口隆義
○谷口委員 バブルが崩壊いたしたわけでございますが、現実、大都市圏の商業地の地価は、あるところはもう既にバブル発生前の地価より下回っておるというところもあるわけでございまして、私がなぜこういう質問をしたかと申しますのは、一つは、政府の一つの方針を明確にしていただきたい。今回の税制改正、土地税制の中に、一方では、バブルが発生した折の抑制税制と申しますか、こういう税制が残っておる。一方では、バブルが崩壊して、先ほど申し上げましたように金融機関の不良債権がどんどんたまっておる。こういうような状況で、一貫した方針がないというところが極めてやはり問題ではないかというように思うわけでございます。
この後に御質問するわけでございますが、例えば、新規取得土地等に係る負債利子の損金算入の課税の特例と申しまして、これは、新規に土地を取得した場合に四年間損金処理できないという特例でございますが、このような特例がまだ残っておる。こういう状況の中で、先ほど申し上げた、一貫した政府の方針をぜひ持ってもらいたいというように要望するわけでございます。新規取得土地については後ほどまた質問させていただきますが、その前に、土地譲渡益課税についてもこのたび改正が行われておりまして、超短期、これは所有期間が二年以下でございますが、この三〇%の分離課税が一五%の追加課税に、短期、二年から五年が、従来二〇%の追加課税が一〇%の追加課税になった。長期については、五年
超でございますが、一〇%の追加課税が五%の追加課税に、このような改正案でございます。ひとつこの譲渡益課税につきましても、これはやはりバブル発生前の状況に戻すべきではないか、私はこのように考えておるわけでございます。
一つは、バブル期に抑制税制として入れたこの超短期、二年以下という考え方ですね、これは抑制税制そのものであると思うわけでございますが、こういう超短期の考え方はもうなくしたらいいのではないか、私はこのように考えております。また、五年超の長期ですね、本来これは十年ということなんですが、五年超の長期の追加課税につきましても、今回五%の追加課税というようになっておりますが、これは必要がないのではないか。土地の流動化の観点から、一年から五年の間の短期についてのみ追加課税を行うべきではないか、このように考えておるわけでございますが、御見解をお願いいたしたいと思います。
〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/5
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006・薄井信明
○薄井政府委員 御指摘のように、法人の土地譲渡益につきましては、五年超であれば今回の改正では五%、二年から五年の間ですと一〇%、そして二年以下ですと、二年に満たない場合には一五%という追加課税のシステムに今回提案させていただいております。
そのうちの、まず超短期につきましての御指摘でございますが、これは発足しましたのは、昭和六十二年の改正で発足いたしました。その際には三〇%の追加課税ということで発足したわけですが、その趣旨は、御存じのように短期的な土地売買、土地転がしというものを抑制しなければいけないという気持ちが入っておりまして、そういう意味では、平成二年の秋に議論しましたいわゆる土地税制改革の一環として行った税制の見直しとは別に、早くからこういう観点が導入されていたということが指摘できると思います。このときの考え方は、赤字法人を利用して土地転がししてその土地譲渡益を消していくというようなことを抑制していくということでございまして、その後、平成三年の改正では、むしろこれをさらに強化して分離課税に持っていきました。
そこで、今日の状況は当時とは違うというのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、今回、分離課税という極めてきついシステムを解除して追加課税に持っていかさせていただいております。かつ、税率を三〇から一五に下げさせていただいております。ただし、これを完全にフリーにしてしまうには、土地税制改革時の考え方からして、やはりこういうシステムは置いておかないとまずい問題がまだ生じ得ると考えております。
それから長期の五%についてでございます。これは平成三年から一〇%で動き出しておりましたものを今回は半分にしているわけですが、個人、法人を通じまして、譲渡所得課税につきましてもしかるべく一般の譲渡よりも重い負担を土地譲渡についてはお願いすることが地価の形成には適切であると考えております用地価水準が確かに下がってきてはおりますが、今後の地価形成の要因としてこのシステムはとっておきたい。ただし、譲渡以外の、例えば保有に関して負担がしっかりしてきておりますのでそれとの関係、あるいは土地をめぐる状況の変化を踏まえまして、今回一〇を五にさせていただいているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/6
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007・谷口隆義
○谷口委員 この譲渡益課税については、私も先ほど申し上げましたような見解を持っておるわけでございまして、また十分検討をお願いいたしたい、このように思っております。
次に、先ほども申し上げました新規取得土地等に係る負債利子の損金算入の課税の特例。これは、昭和六十三年十二月三十一日以後に取得した土地等に係る負債利子の損金算入を制限する特例でございまして、地価の高騰による土地の思惑買いや租税負担の回避を抑制するために、政策的見地から導入されたものである、こういうようになっておるわけでございますが、これも今の状況から考えますと全く不必要と申しますか、あのバブル期のような状況に今はないわけでございますので、聞くところによりますと、これによる税収もそんなにないというようなことを聞いております。
このようなバブル抑制税制、極めて制裁的な意味合いの強い税制は、これはぜひやめていただきたい、このように考えておるわけでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/7
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008・薄井信明
○薄井政府委員 新規取得土地につきまして借金でそれを買っています状況の場合に、その負債利子の控除を四年間とめるというのがこの仕組みでございまして、その趣旨は、御指摘の面があるわけですが、同時に、土地を取得してそれを法人所得に結びつけていくというときに、一挙にその利子を落としていいのかどうか、こういう考え方もその背景にはございまして、やや制度の仕組み方は違いますが、アメリカ等においてもそういった考え方はあると聞いております。
そういう意味で、確かに導入したときの状況では今周りの状況がなくなっているという面はあろうかとは思いますが、しかし、土地の仮需要を抑制するという趣旨からのこの制度につきましては維持していきたいと考えております。ただし、その内容につきましては、活用された土地についてまでこれを厳しく適用するのはいかがかということで、今回一部その面につきましては改正を提案させていただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/8
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009・谷口隆義
○谷口委員 税による制裁、ペナルティーというのはなるべくやらない、自由な中での取引が行えるような状況を生み出していくことが極めて大事なんだろうと思います。私の個人的な見解でございますが、これはもう本当に税制として極めて偏った形の税制ではないかというように思っておるわけでございまして、ぜひ廃止の方向で御検討をお願いいたしたいと思っております。
次に参りまして、私もこの二十年近く、公認会計士、税理士として税の実務の世界でやっておったわけでございますが、その中でいろいろ当時から問題になっておったことがございます。これは消費税の各種届出書及び承認申請書の提出時期の問題でございまして、消費税の各種届出書及び承認申請書の提出による効果が納税額に与える影響は大きいわけでございまして、届出書の提出の是非の判断はこれは極めて重要な問題になっております。
消費税の各種届出書及び承認申請書につきまして、現行のように、その適用を受けようとする課税期間の開始日の前日までに行う場合は、その提出の失念により納税者が思わぬ不利益をこうむる場合が多いというように聞いておりますし、私自身も経験したことがございます。また、この提出時期の錯誤により納付税額について思わぬ差異が出ておるというようなことは、これは極めて不合理である。このような観点で、提出時期につきましては、納税者がその適用を受けられないことにより不利とならない時期とすることが適当である。少なくとも、その適用を受けようとする課税期間の前課税期間の確定申告書の提出期限までとすべきである。要するに、課税期間終了のところではなくて、提出期限までに延長すべきである、このように思うわけでございます。
これにつきましては予算上の措置も要らないわけでございますので、消費税の本質と申しますか、益税のことをおっしゃるわけでございますが、例えば簡易課税、また免税業者の届け出等につきましては事務処理が非常に繁雑であるというようなことも加味して、そのような観点から提出期限まで延長されるようぜひお願いいたしたいというように思っておるわけでございますが、それにつきまして御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/9
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010・薄井信明
○薄井政府委員 既にこちらが申し上げることまでおっしゃっていただいてしまったわけですが、消費税の仕組みの中で各種届出書の提出期限が、課税期間開始前に行わなければいけないということにつきまして、もうちょっとずらして、二、三カ月ずらせないかというのが御要望のポイントでございました。
幾つか理由があるんですが、その一つは、消費税というものが、転嫁して最終的には消費者の負担をお願いするという考え方をとっている税金でございますので、一例を挙げれば、課税事業者が免税事業者に変わるというようなときには、最初の数カ月にせよ、値づけの問題で課税事業者として値づけをしているとすれば、御指摘のように益税の問題が生じるといったようなことがありますし、また、簡易課税の制度につきまして申し上げれば、簡易課税制度というのは何のためにあるかというと、仕入れについての事務処理を簡素にするというところにありまして、税負担を低くすることに主眼があるのではないと思っております。
あわせて申し上げますれば、我が国の消費税は、ヨーロッパの付加価値税に比べましてまだ経験が浅いということと、これまで長らく物品税の世界におりましたものですから、いわば中小企業特例というものがまだ存在しております。大きな問題にもなったわけでございます。そういう意味で、さらにこれを緩める形で対応することについては問題が多いと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/10
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011・谷口隆義
○谷口委員 問題が多いとおっしゃるのですが、これは実務の世界では非常に前から問題になっておることでございまして、ぜひ検討をお願いいたしたいというように思います。
時間がないものですから、次に移ります。
同族会社の留保金課税でございますが、これは設けられてから以降、かなり期間を経過いたしておるわけでございます。このような税制は、中小企業の留保金を減少させると申しますか、自己資本を減少させる。そういう意味では、経営基盤の弱い中小企業について、本来の税額にプラスしてこのような留保金課税が行われるわけですから、追加的な負担を強いるというようなことになるわけでございまして、これが設けられた時代の状況と今の状況は大きく変わっ七おると私は思うわけでございます。そのような観点から、この留保金課税を考え直していかなければいけないのではないか、このように考えております。これにつきまして、御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/11
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012・薄井信明
○薄井政府委員 簡潔に申し上げます。
御指摘のように、非常に沿革の長い税制でございまして、ある意味では、個人所得課税、法人所得課税の接点のようなものでございます。そういう意味で、個人所得課税の最高税率の水準だとか、あるいは株式の譲渡益課税の取り扱いだとか、法人税率の水準などとの関連で検討を続けていかなければいけない基本的問題だと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/12
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013・谷口隆義
○谷口委員 主税局長おっしゃっていただきましたので、ぜひこの留保金課税につきまして廃止の方向で検討していただきたいというように考えております。
次に参りまして、消費税に係る課税の適正化ということについてお聞きいたしたいと思います。これは消費税法の政令になるのでしょうか、簡易課税制度のみなし仕入れ率の問題についてお聞きいたしたいわけでございます。
現行のみなし仕入れ率は四段階になっておるわけでございますが、これを今回五段階にしようというようなお話のように承っております。これは、現行、第四種事業と申しますか、この中には、飲食業、サービス業、運輸・通信業、不動産業、このように業種があるわけでございますが、このうち、サービス業、不動産業、運輸・通信業の三業種につきまして第五種事業として、みなし仕入れ率、現行六〇%を五〇%にする、これは平成九年の四月一日以後に開始する課税期間、このように変更するというように聞いておるわけでございます。
それにつきましてお聞きいたしたいわけでございますが、まず、みなし仕入れ率を、先ほど申し上げましたように五段階でやろうというように今考えていらっしゃる。それで、その根拠を出されておるわけでございます。これは平成五年度のサンプル調査でございます。全国十一の国税局から抽出した二千二百社について、決算書等を基礎にしてその課税仕入れ率を計算した資料というようになっております。
これを見ますと、先ほど申しました三業種はほぼ五〇%前後になっておるわけでございますが、一つは、このサンプル数が極めて少ないというようなことであります。御存じのとおり、日本におきます法人は二百五十万社ある、このようにも言われておるわけでございますが、そのうち、国税局から約二千二百社をサンプル抽出したものをベースにして、今回このような五段階になっておる。こういうサンプルの抽出のやり方、極めて母集団が少ないわけでございまして、これは極めて問題があるんじゃないか、このように思うわけでございます。
また、例えばこの中の不動産業で申し上げますと、御存じのとおり、バブルが崩壊して、どんどんどんどん賃貸収入が減少いたしております。大幅に減少いたしております。賃貸物件はふえるにもかかわらず、賃貸収入は減っておるというのが現状であります。
このような現状の中で、みなし仕入れ率というのは簡易課税でございますから中小零細企業が対象になっておるわけでございます。このようなところが今回みなし仕入れ率が六〇から五〇になるということは、課税対象金額がふえるということなんですね。現実は賃貸収入が下がっておって、むしろ利益率が下がるといいますか、原価率が上がっておるといいますか、そういうような状況の中で課税対象金額がふえる。
また、今政府の考えておられるのは、来年の四月一日から税率をアップしようと考えておられる。これは、この実務の状況からしまして極めてどうも合致しておらない、私はこのように思うわけでございますが、このようなことについての御見解をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/13
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014・薄井信明
○薄井政府委員 消費税を導入した際にいろいろ御議論があった中に、中小企業特例、つまり事業者側の特例が大き過ぎるではないかという消費者サイドの大きな批判があったわけでございまして、特に平成二年、三年にかけての与野党の協議会ではこの点が大議論になりました。
その際に、当初私どもが通させていただいた消費税法では、みなし仕入れ率は八〇%と九〇%でやっていたわけですが、これはいかにも甘いということで御指摘を得まして、政令事項として、当時、六割、七割、八割、九割という四段階のみなし仕入れ率が適当であるという指摘を受けました。その際に、このみなし仕入れ率には、政令事項にしたことでもあり、状況に応じて常に見直すべきである、そのことが消費税を負担する人にとって説明がつくことだという御指摘をいただいております。
今回、平成九年四月から税率を上げるに際して、やはり消費者のこの厳しい目を考えた場合に、仮に、いわゆる幅が、余裕があり過ぎる部分があるならば、これを是正することが適切であると考えまして、平成六年以降私ども研究を続けまして、御指摘のようなサンプル調査をした上で、実情にあわせて、今回五〇%というものを設けさせていただきたいと思っている、これが今回の改正の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/14
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015・谷口隆義
○谷口委員 一つは、私は前にも申し上げたのですが、このみなし仕入れ率は政令事項になっているんですね。政令事項というのは、これは本来国会で審議する対象に、通達、政省令はなっておらない場合が多いわけでございます。今回これを取り上げておるわけでございますが、これは極めて大きな問題であります。
みなし仕入れ率がどのような方向に動くかというのは、これは納税者の側に立ちますと極めて大きな問題であります。ですから、こういう問題につきましては、本当に私はもっと国会でいろいろ議論をやるべきである。今回たまたま、これはきのういろいろなお話の中からわかったわけでございますが、そのように強く訴えたいと思います。
それと、今おっしゃいましたこのみなし仕入れ率は、さっき申し上げたように平成五年のサンプル調査なんですね。ですから、ここへ来まして急激に収益状況が悪化しておるという状況がこの中
には加味されておらない。先ほど申し上げました不動産業あたりは、平成五年度におきましてもかなり収益性が悪くなっておるわけでございますが、これ以降またどんどん落ち込んでおるというのが現状でございます。それにもかかわらず、課税対象金額が、今度のこの見直しの結果六〇%が五〇%になる、一〇%ふえるということなんですね。これは、実勢からしまして逆の動きではないか、このように私は考えておるわけでございます。
それにつけ加えて、先ほど申し上げましたように、来年の四月から消費税をアップする、率はまだ決まっていないようでありますがアップするわけでございます。こういう状況の中で、これは私は極めて問題なのではないかというように考えております。
大蔵大臣、今私が申し上げましたこのみなし仕入れ率の問題、先日も御答弁なさっておられましたが、これは四月の一日から上がるわけであります。大臣自身は、この消費税は反対の立場で社会党におきましては引っ張ってこられた方でございます。ですから、先日の答弁を聞いておりますと、御自身はやはり反対だというようなお話でございましたが、法定されておるのでやらざるを得ない、こういうようなお立場であるというように私は受け取ったわけでありますが、今私が申し上げましたみなし仕入れ率、今回上げようとされているわけでございますが、このような状況につきまして、大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/15
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016・薄井信明
○薄井政府委員 大臣の前に一言、事柄の整理をさせていただきたいと思います。
簡易課税制度といいますのは、本来的な課税でやってもいいわけなんですが、中小事業者の事務の簡素化ということから簡易課税制度ができておりまして、仮に簡易課税制度で設けられているみなし仕入れ率では適当でないという方は、実態に合わせて申告していただくという道が残されているということを申し上げておきたいと思います。
それから、平成五年のデータではございますが、これを毎年のように変えていくことがまた適当かどうかということや、この調査にかなりの日時を要するということ、そういうこともございまして、今回の提案になっているということです。
それから、その後の経済状況ということは、確かに全く無視はできないかと思いますが、いわゆるみなし仕入れ率でございますので、ここにはそう大きな問題は、適正な転嫁ということがされているならば、差異はないのではないかなと思っておりまして、むしろ平成九年四月から税率を上げるということを国民に御理解いただくためにも、平成三年の議員立法で簡易課税制度が政令事項になったこの考え方を踏まえますと、今回直すべきところは直しておくことが国民に対する義務を果たすことになるというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/16
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017・谷口隆義
○谷口委員 大蔵大臣、ちょっと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/17
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018・久保亘
○久保国務大臣 今主税局長が御答弁申し上げたことでよいのではないかと思うのでありますが、今谷口さん御発言になりましたことで、私は消費税について、いろいろ私の政治家としての考え方もございます。かつて、このことに対してはそういう立場から廃止を主張をいたしました。今でも私は、やはり税というのは逆進性をなくし、そして税制の持つ欠陥というのは絶えず改革が加えられていかなければならないと思っております。特に消費税等につきましては、いわゆる付加価値税としての改革すべき点、あるべき姿というものに対して努力を加えていくことは、これは政治、行政の責任であろう、こう思っております。
そういう立場で、これまでも消費税の内容の改革については、何回か国会においても御論議の上決められてきたことだと思っておりまして、来年四月一日から税率がアップするについては、消費税の制度そのものに関する検討も四つの検討条項の中に加えられているわけでありまして、そのような立場に立って今回大蔵省として内容を改革をしたものでありまして、御理解を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/18
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019・谷口隆義
○谷口委員 いずれにいたしましても、この九月末までに見直しをされるということであります。私が大蔵大臣に質問したことには答弁されてないんですが、要するに、みなし仕入れ率の問題を今私は問題にいたしておりまして、薄井局長の御答弁では、それなら原則課税にしたらいいじゃないかというお話がありましたが、これは簡便法といいますか、簡易課税は簡易課税として認められているわけでございますから、この存在を認めた上での、前提での話をやらなければいかぬ、私はこのように考えております。
ですから、今回のこのみなし仕入れ率の見直しと申しますか変更は、これは極めて実態と合致しておらない、むしろ逆の動きをいたしておるというようなことを強く感じておるわけでございます。一つは、平成五年度の極めて少ないサンプル数から抜き出してやっておる。現状は、それと逆に収益率がどんどん悪化いたしておりまして、また、先ほど申し上げましたように、来年の四月にはアップする、課税対象金額が増加し、率が上昇する、こういうようなダブルパンチになるわけでございますので、この問題は極めて重要であるというように思っております。もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/19
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020・薄井信明
○薄井政府委員 確かに、率によりまして簡易課税を受けにくくなるケースが出てくるわけですので、私どもも慎重にサンプルを選び、また慎重に一つ一つの分析をした上で今回の数字を出させていただいております。みなし仕入れ率というものがいわゆる収益率とも直接リンクはしない面もあるわけでございまして、今回、六〇を五〇にするということが、六〇のままに置いておくよりは制度の適正化に資するという考え方から変更をさせていただきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/20
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021・谷口隆義
○谷口委員 私が申し上げていることは十分主税局長も理解されておると思いますが、平常時と申しますか、経済が余り大きく変動しない状況の中ではこういうようなことも認められるんじゃないかと思いますが、今回、収益動向と全く逆の動きをみなし仕入れ率の動きがやっておるということは、これは極めて問題であるというように私は考えております。ぜひ見直しをしていただきたいというように考えております。
時間がありませんので、この問題につきましてはこのあたりで終わらしていただきます。
次に、現在、御存じのとおり二月十六日から三月の十五日まで、確定申告期間になっておるわけでございます。私も、先日、税理士会が主催されております特設会場におきまして、確定申告の状況を視察してまいりました。また、国税職員の方といろいろお話をいたしまして、そこでいろいろなお話があったわけでございます。
一つは、今回の住専問題におきまして、六千八百五十億という我々の血税が投入される、これが大体一人頭五千五百円、二次損失を合わせますと、この二次損失はどんどんどんどんふえるというような方向にあるようでございます。これを入れますと、一万円を超える国民一人当たりの負担、このように言われております。そういうことで、国民は非常にこの住専の問題につきまして怒り心頭にきておるわけでございまして、アンケートの調査を見ましても、大多数の方が反対というような状況で、中には、一人当たり一万円ということを引っ張り出して、一万円納税拒否運動というようなことが起こっておるというようなことで、これは現実にそのようなことのようでございます。また、この申告の現場に来られますと、大体窓口の国税職員の方に抗議なり怒りを訴えられる、このように聞いております。
私はそういう実務の状況が非常によくわかるものですから、今おっしゃっている訴えがよくわかるわけでございますが、そのような非常に過重な負担に耐えながら国税職員の方々もやっておられる。大変なストレスの中でやっておられるわけでございます。そういうような状況を十分考慮に入れて国税職員の方に対する対応をやらなければい
けないのじゃないか、私はこのように思うわけでございますが、今私が申し上げました状況につきまして、大蔵大臣の御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/21
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022・久保亘
○久保国務大臣 今、確定申告の期間のちょうどさなかにございまして、国税庁の職員の皆さんが大変御苦労をいただいていることはよく承知をいたしております。ぜひひとつ健康で、しっかり国税庁の任務を果たしていただくように、心から願っているわけでございます。
私がいただきました御質問の趣旨では、税務署で苦労している職員に対して、大臣みずから激励をすることをやらないのかというような御趣旨であろうかと思うのであります。私もそのようなことができればそうしたいと思っておりますが、御承知のように、今予算委員会、大蔵委員会で私も誠実に御質問にお答えしてまいりまして、両委員会に出席をいたしました時間は百五十時間を超えております。そういう中で、なかなかそのような時間をとれないことを非常に残念に思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/22
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023・谷口隆義
○谷口委員 私も今予算委員会と大蔵委員会に所属いたしておりますので、大蔵大臣のおっしゃったようなことは非常に理解できるわけでございますが、これは三月十五日まで確定申告期間がございますので、できましたら、一度現場に赴いていただいて激励をお願いしたい、このように考えております。
それと、これは昨年の十月でございますか、国税庁が「税務署の窓口サービス及び税情報」について全国の国税モニターにアンケート調査をされたわけでございます。この調査結果によりますと、税務署の窓口サービスについて八割近い方が評価いたしておるわけです。一般的に、税務署は非常に怖いところである、なかなか行きにくいところである、このような見方をされる方が多いわけでございますが、その中でこの窓口サービスについて非常に高い評価をされておる、このようなことでございますが、一方で、税務署の施設、また設備が非常に今老朽化いたしておるというようなことでございます。こういうことにつきましても、納税者の立場、また国税職員の立場から見直していくといいますか、改善をしていかなければいけないのではないか、このように考えておるわけでございますが、これにつきまして御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/23
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024・内野正昭
○内野政府委員 お答えいたします。
先生御指摘のように、税務署の窓口のサービスに対しまして大変高い評価をいただいておりまして、本当にありがたいことだと思っておりますが、税務署の庁舎につきましては、御指摘のように、施設、設備等につきまして老朽化をしているものがあるのは事実でございまして、従来から、納税者サービスの向上ですとか職員の執務環境の整備の観点等から改善に努めてきたところでございます。大変厳しい財政事情のもとでございますけれども、関係当局の理解を得ながら、今後とも引き続き庁舎環境の改善に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/24
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025・谷口隆義
○谷口委員 私は、我々が与党のときにも税制改正大綱をつくる立場で参加させていただいたのですが、やはり納税意識が我が国は他国に比べて低いのではないか。一つは納税教育と申しますか、租税教育が、例えば小学校の教科書に納税について載っておるとかいうようなことが必要なのではないか。納税というのは忌むべきものではなくて社会共通の経費であるという認識が乏しいのではないかというように私は考えておるわけでございまして、そういう意味で、納税教育といいますか、租税教育を進めていく方向で考えていかなければいけないのではないかというように考えておりますが、きょう文部省来ていただいておりますか。これに関しまして御見解をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/25
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026・上杉道世
○上杉説明員 お答えいたします。
学校教育におきましては、国民の納税の義務の重要性にかんがみまして、従来から、児童生徒の発達段階に応じて、小中高等学校の主に社会科におきまして租税の役割及び納税の義務について指導いたしております。現在の学習指導要領におきましても、次のとおり内容の充実を図っております。
小学校では、従来から第六学年の社会科において、日本国憲法の学習と関連して、国民の守るべき義務の一つに納税の義務があることを理解させることとしております。また、地方公共団体や国の働きを学習する際には、租税の役割についても取り上げるよう配慮するよう示しております。また、中学校の社会科におきましては、国民生活と租税の関係についてより明確に理解させるため、社会保障の充実、社会資本の整備などに関して、租税の意義と役割及び国民の納税の義務について理解を深めることとしております。また、これを受けまして、それぞれの教科書においても関連の記述がなされておるところでございます。
文部省といたしましては、今後とも租税教育の充実に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/26
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027・谷口隆義
○谷口委員 ありがとうございました。
そういうことで、これはなかなか時間のかかると申しますか、期間のかかることではあると思いますが、こういう観点で租税教育をぜひ進めていただきたいというように考えております。
次に移りまして、先日、これは二月二十八日でございましたが、独立系のノンバンク、エクイオンが商法に基づく会社整理の申請を行ったというような報道がなされておりました。今、住専の問題が極めて大きな問題で、国会の予算委員会におきましては議論もピークに達しておるわけでございます。我々与野党の議論の中で、今回の住専処理案が極めて拙速であって不透明であった。国民に十分理解できないまま、政府は六千八百五十億というこの多額の血税を八年度の予算に計上して、これを無修正で行おうといたしておられるわけでございます。
このような状況の中で、また次の問題としてノンバンクの問題が、これは従来から言われておったわけでございますが表面化いたしてまいったわけでございます。この問題もまた極めて重要な問題になっておるわけでございます。
帝国データバンクの情報によりますと、上位八十二社の借入総額は六十二兆四千億円あって、金融関係者の話では、このうち最低でも二割から三割は不良債権になっておるのではないか、そうしますと大体十二兆から十八兆ぐらいが不良債権になっておる、このようなお話であります。また、今回の住専におきます農林系金融機関、これは五・五兆円を融資いたしておるわけでございますが、ノンバンク、住専以外のノンバンクに系統金融機関は七兆七千億の融資を行っており、大半が不動産事業に流れておるのではないか、このようなことで、住専の問題よりも極めて大きな問題になるだろうという指摘がございます。
そこで、まずお聞きいたしたいわけでございますが、今回のこの住専の問題は大蔵省の所管の問題でございました。ノンバンクの問題は、住専であるとか消費者金融であるというのは、これは大蔵省の所管でございます。片や、リース会社、また信販会社は、これは通産省の所管であるわけでございます。このような状況の中で、両省の一元的な管理が現在行われておるのかどうか。そうでないと極めて問題なわけでございますが、それにつきまして、大蔵省、また通産省の御見解、御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/27
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028・西村吉正
○西村政府委員 ただいま谷口委員から御指摘ございましたように、ノンバンクと申しましても、その融資残高は八十九兆円に上りまして、都市銀行、地方銀行に次ぎ、信用金庫や第二地方銀行よりも大きな規模の存在になっているわけでございます。国民生活や経済活動と深いかかわりを有しているわけでございますが、その内訳を見ますと、これは全体で約二万の業者が存在するわけでございますけれども、消費者向けの貸金業者であるとか信販会社であるとか、事業者向け貸金業者あるいはリース会社、さまざまな業容があるわけでございます。
私ども大蔵省とのかかわりから申しますと、こ
のいろいろな仕事の態様の中で、貸金業、お金を貸すという観点から、貸金業規制法における貸金業者としての側面から、私どもが行政的に関与をしているわけでございます。しかしながら、他の事業の側面に関しましては、またそれぞれの行政のお立場からの監督、御指導をしておられる、こういうことになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/28
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029・半田力
○半田説明員 お答えいたします。
通産省が担当しておりますリース、クレジットと申しますものにつきましては、例えばリースは、機械とか自動車などをいわゆる賃貸、メンテナンスするという総合サービス業でございます。また、割賦販売というのは、物を売るときの分割払いでございまして、これはいわば、相手方を信用いたしまして物品の提供を行う、掛け売りにかかわるものでございます。これらは通常の商取引には少なからず伴って行われます。これにつきましては、他人の金銭を預かるとか、他人に金銭を貸し付けるという金融とは異なる性格のものであると認識しております。
リース、クレジット会社、まあ名称が何でございましても、それが一方でノンバンクと称せられる貸金業務を行っている場合がございますが、貸金業務につきましては、先ほど銀行局長がお話しいたしましたとおり、貸金業の規制等に関する法律ということでございまして、大蔵省が専管で監督されてございます。すなわち、既に、リース、クレジット会社の行われる貸金業務につきましては大蔵省の一元的な検査・監督に服しているということでございます。
〔委員長退席、石原委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/29
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030・谷口隆義
○谷口委員 今、一元的な管理というような御答弁でございましたが、これは今後極めて大きな問題になってくるのだろうと思います。もう既に今、データを見ますと、経営再建中のノンバンク、これは例えば日貿信であるとかオールコーポレーション、また日本リース、アプラス等が、再建中といいますか非常に経営危機に陥っておるわけでございますので、今後またこの問題が大きくなってくる。そういう意味におきまして、例えば大蔵省主導でこのノンバンクにつきましても管理をするというような方向で、お互いに省庁間で十分な連携がとれないというようなことのないようにやっていただきたい、このように思うわけでございます。
次に、エクイオンでございますが、先日予算委員会に提出していただきました貸付先実名リストにおきまして、当社は第一住宅金融の大口貸出先の第二十二番目に、貸付残高が九十一億円で記載されておるわけでございます。これは全額が不良債権、このようになっておるわけでございますが、そのリストの横に米マークがついてあって、損失見込みはゼロ、このようになっておるわけでございますが、今般このように会社整理の申請が行われたわけでございます。損失額は拡大するのではないか、このように思うわけでございます。
ですから、私が申し上げたいのは、この提出された貸出先のリストが、損失見込みゼロ、こういうように大蔵省の調査の結果認識されておるわけでございますが、それはそうではなくて、どんどん拡大しておるのではないか、このように考えるわけでございますが、これにつきまして御答弁をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/30
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031・西村吉正
○西村政府委員 今御指摘の事実はおっしゃるとおりでございますが、この調査の時点におきますこの内容につきましては、当時、再建計画において、関係の銀行間の多くの同意がこの処理に得られているということから、三分類にとどめるというような考え方で調査の結果をお示ししているわけでございます。したがいまして、八月の時点におきます関係者の間のこのエクイオンに対する見方というものと、現段階におきましてノンバンクの処理を行おうという動きが出てきた中での関係者の見方の差というふうに御理解をいただきたいわけでございます。
なお、御指摘のように、地価の動向、経済の動向に従いまして、住専の資産の内容というものに影響があるのではないかという御指摘があるのは私どもも承知をいたしておりますが、私ども、最新のデータに即しまして、我々の及ぶ限り正確な実態を把握しようと努力したところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/31
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032・谷口隆義
○谷口委員 これはやはりどんどん損失が拡大いたしておる、こういうようなことだろうと思います。
この住専七社の整理で、住専からの融資が受けられなくなった不動産会社など大口貸出先が倒産する、その結果、倒産した貸出先に融資をしておったノンバンクの経営が行き詰まって連鎖倒産するのではないか、このように言われておるわけでございます。
現に、このエクイオンでは、第一住金の九十一億の融資を受けておるが、同時に、エクイオンの貸出先のうち、五社程度が住専の大口貸出先と重複しておる、このようにこの社長がおっしゃっておるわけでございます。住専の整理が一層ノンバンクの経営を圧迫する、どんどん連鎖倒産がふえるというように考えられるわけでございますが、これに対する政府の対応はどのようにお考えでございましょうか。
〔石原委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/32
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033・西村吉正
○西村政府委員 これは大変に重要な御指摘であろうかと考えております。
ノンバンク、これは住専をも含めまして、広い意味でのノンバンクの不良債権の処理というものが、金融機関の健全性の問題と非常に深いかかわりを持っているというのは御指摘のとおりでございまして、例えば主要銀行二十一行をとってみますと、先般私どもが公表いたしました不良債権額、二十一行合計で二十三兆八千億でございますが、このうち、住専を含みますノンバンク全体で十二兆円ございます。すなわち、二十一行の不良債権の半ばがノンバンク、住専向けの債権であるということから見ましても、このノンバンク問題、住専を含みますノンバンク問題というものが、金融機関の健全性、銀行経営というものに非常に重要な課題であるということは全く御指摘のとおりかと存じます。
そこで、今回の住専処理との関係でございますけれども、私どもといたしましては、このノンバンク問題、あるいはもっと広く不良債権問題の中で、住専問題というものが非常に関係者の権利関係が錯綜しておりまして、当事者だけではなかなか解決が難しい課題である、こういうことから、今回この処理に行政としても尽力をする必要があると考えた次第でございますが、このような意味で、不良債権問題のネックとなっておりましたこの住専問題が解決されるということになりますと、ノンバンクを含みます不良債権問題の処理が促進されるという側面があることは御指摘のとおりでございます。
その不良債権問題の処理が促進されるということが、金融機関の健全性というものにプラスの方向に働くということを私どもはかたく信ずるところでございますが、しかし、そのプロセスにおいては、その処理に大変な苦労が伴うということもまた事実でございます。このような苦労の多いプロセスを乗り切っていかなければならないということを、我々は前向きに受けとめたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/33
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034・谷口隆義
○谷口委員 もう時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、住専の処理を進めていきますと、それにかかわる形でノンバンクの経営の圧迫ということが当然出てくるわけであります。そういうような状況の中で、この連鎖倒産といいますか、こういうことがないように万全の体制をしいてやっていただくようお願いいたしたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/34
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035・久間章生
○久間委員長 次に、上田清司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/35
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036・上田清司
○上田(清)委員 新進党の上田清司でございます。きょうは、租税特別措置法の一部を改正する法律案について若干の質疑をし、その後、先般来の住専の続きをやらせていただきたいと思います。
まず、土地税制、証券税制等については、昨年度から我々新進党が提案していた形に、より近づいた形で今回提案されているということについて正しく評価させていただきたいと思いますが、昨年度になぜやらなかったのか、なぜ今年度になったのか、この点について承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/36
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037・薄井信明
○薄井政府委員 土地税制につきましては、長らく議論を続けさせていただいてきております。土地をめぐる状況を見きわめることと、それから土地税制を平成二年秋に議論し、その後毎年のように議論してきておりますが、土地というものの位置づけにつきまして、土地基本法によりまして新たな姿ができたわけでございます。
その中で、単にバブルだから地価を下げるためということではなく、地価の形成に土地税制全体がプラスの影響を与えるということでパッケージの税制を講じたわけでございますので、これを変更することについては慎重な議論が必要であったということでございます。
また、繰り返しになりますが、土地をめぐる状況が大きく変わっている中で、今申し上げましたような土地税制の基本をどう踏まえて実情に合わせていくかということが議論の材料であった、そのことに時間を要してきているということでございまして、政府税調におきましても、秋から年末にかけて相当深い議論をさせていただきました。そういうことで今回の提案になったということを御理解賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/37
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038・上田清司
○上田(清)委員 どちらかといえば、議論はずっとなされてきたわけですから、私は政治の決断が欠けていたのではないかなというふうに申し上げておきます。
そこで、課税の適正化等についての部分で、公益法人等に対する課税の適正化について若干の質疑をさせていただきます。
今回、収益事業を行わない公益法人等について、小規模法人を除いて収支計算書を所轄税務署長に提出する特例制度の導入を図っておられるわけですが、この提案理由について、中身について承りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/38
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039・薄井信明
○薄井政府委員 公益法人等につきましては、これも長らく議論を続けさせていただいてきております。現在のスキーム、法人税法上のスキームを基本に置きつつ、例えば軽減税率がこのままでいいのかとか、いろいろと議論をしてきておりますが、その中に、ここ数年出てまいりました問題といたしましては、公益法人等が、いわゆる収益事業をしない限り、全く税務署に報告もしないということでいいのだろうかということが政府税調あるいは与党税調で指摘をされてきております。
私ども、確かにいろいろな面で、必要があって優遇をしているわけでございますが、全く税務署に報告もないということは、これはいかがなものかということで、今回収支報告書を、収益事業を行っていない法人からも出していただくというシステムにさせていただいたということでございます。
ただし、これは中小零細の方々にそういう作業をしていただくということも行き過ぎかと考えまして、年間の収入五千万円ということを頭に置いて今回の提案をさせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/39
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040・上田清司
○上田(清)委員 それでは、収益事業をしない公益法人の収支報告書を見る体制というのは所轄の税務署にできているのか、その準備ができているのか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/40
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041・薄井信明
○薄井政府委員 確かに、初めてのことでございます。これからその体制につきましても十分対応していくつもりでございますし、この制度を始めますのは初めてのことでございますので、来年の一月以降に始まる事業年度について出していただきますので、その体制を準備する期間は十分にあるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/41
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042・上田清司
○上田(清)委員 時間が少しありますので、ぜひその点も、やられるのであればきっちりした体制をつくっていただきたいというふうに思います。
それで、これは政令で定められているわけですが、寄附金に係る特例で、いわば損金扱いにできる二七%を二〇%に改正する案でございますが、この点についての提案理由を承りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/42
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043・薄井信明
○薄井政府委員 現在の公益法人等に対する課税の方式といいますのは、収益事業を行っていた場合に課税する。その場合に適用する税率は軽減税率二七%を適用する、こうなっております。もう一つ、公益法人等につきましての優遇点としまして、収益事業から上がった所得の二七%を本来事業に移しても、これはみなし寄附金の枠内ですよということに今はなっております。事実上その分の税率が軽減されているという状況になっております。この点について議論が長年されてきておりまして、たしかおととしてすか、この率は三〇%でした。これを二七に一割カットしたわけですが、今回この二七をさらに二〇までカットすることによって優遇度合いを軽減するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/43
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044・上田清司
○上田(清)委員 だから、なぜなのですかということを聞いたんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/44
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045・薄井信明
○薄井政府委員 これまでの議論の流れを申し上げますと、公益法人等に対してどこまで優遇すべきかということについてはいろいろ議論がありまして、諸外国の例を見ますと、いわば本来事業について税金をかけないというのは一般的ではありますけれども、日本のようにみなし寄附金の控除額まで設けている国はございません。日本で設けているのには設けているなりの理由はございますが、これはだんだん縮小していくことが、他の法人との関係を考えたときに適正な方向だと考えているのが今回の提案理由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/45
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046・上田清司
○上田(清)委員 外国にない云々ということと、あるいは他のバランスということですが、できたときのそれなりの歴史的な意義、経緯というのがあると思うんですが、その点についての話はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/46
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047・薄井信明
○薄井政府委員 公益法人税制については戦後の長い沿革がありまして、最初にできたときは、収益事業については一般の法人と同じ税率がかけられておりました。その後、一般法人については税率が上がる中で公益法人等については税率が据え置かれるということで、税率について乖離が生じてきている。この乖離は次第に縮めていくことが必要だと考えております。今度のみなし寄附金の枠の縮小も、この税率の縮小の考え方と軌を一にするというふうに御理解賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/47
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048・上田清司
○上田(清)委員 大蔵大臣、私ども新進党の方で昨年の十二月八日に本会議場でも趣旨説明をさせていただいたんですが、NPO法案、非営利団体の活動を支援しようという提案をさせていただいておりますし、与党三党においてもずっと御検討をされておられるような経緯については御承知ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/48
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049・久保亘
○久保国務大臣 新進党におかれて、昨年の十一月七日に国会に、市民公益活動を行う団体に対する法人格の付与等に関する法律案を御提出になり、継続審議となっておりますことを承知いたしておりますし、また、与党NPOプロジェクトチームにおいて、税制改正の前提となるNPOの法人格制度に関して、プロジェクトチームとして調整中であることを承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/49
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050・上田清司
○上田(清)委員 そこで、与党三党におかれてもそうだと思いますし、私たちもそう思っておりますが、要は、これまでの日本の政治社会なり行政体系というのが、官を中心に、補助金を通じてある意味では刺激を与えながら民の活動を活発にしていくという思想が流れていたわけであります。まさしくこの補助金行政とか許認可行政というのが、大変恐縮ですが、元主計局次長の中島さんに見られるような、ある意味では破廉恥な行為も招きかねないような政治文化あるいは行政行動様式というものをつくってきた。そういう部分とはまた違う、民間のイニシアチブによってより公のために、より公益のために活動する部隊についてさまざまな点から支援をする。
例えば、法人格がないがゆえにその活動する拠点としての基地が、賃貸などの契約ができないとか、そういうさまざまな問題が出てきておりま
す。また、公益活動をするに当たっての資金活動も、いわば仲間内の寄附あるいは賛同する人たちの寄附によって行われる。それが原点でありますがゆえに、多くの寄附を望むために、諸外国でも相当な税額控除の導入を図っておりますし、また、日本においても特増法人みたいな形で、学術研究あるいはより高いレベルでのさまざまな公益活動については税制上の優遇をなされているわけでありますが、むしろ考え方として、積極的にこういう公益法人の活動に力をかしていく、そういう方が正しいんじゃないかというふうな考え方を私は持っております。
同時に、このNPO法案で提案しましたように、さまざまなそういう公益活動をする諸団体が積極的に法人格が取れるような仕組みというものをつくってあげる、それを政府においても積極的に支援するという体系を考えたらいいんじゃないか。
私は与党三党の法案も見させていただきましたが、社民党も当然これに加わっておられますし、大臣としても書記長という高度な立場の中で当然御指導をされていたと思いますが、改めてこの公益活動、市民活動、また公益法人の役割についての意義を大臣に承りたいというふうに思います。二点お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/50
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051・薄井信明
○薄井政府委員 先に税制面だけ申し上げて、大臣に答弁をお願いいたします。
NPOにつきましては、各方面でボランティア活動が増加してきておって、こういった団体の活動を促進するための環境整備を図ろうという動きが高まっていることは私どもも承知しております。御指摘のように、まずは法人格を取得して活動しやすくするということが中心的な動きとして今動いているようにも見受けられます。
私ども税制の立場からこれを考えさせていただきますと、どういう形で法人格を認められるのか、あるいは設立した後、経済活動を行われる場合にその目的との関係をどう見きわめていくのか、ある意味で、私ども、どういう団体がどういう活動をするかについて今わからない状況にございます。
その辺についてきちっと状況を見据えて税制面の対応を考えるということになろうかと思いますが、その場合には、税金というのは皆さん普通に経済活動している方からもいただいているわけでございまして、そういう意味では、一般法人とのバランス、現在公益法人にどういう課税をしているか、あるいはその他の法人についてどういう活動にどういう税制面の対応をしているか、このバランスも考えないといけないと思います。NPOの重要性とは別に、税制面のバランスを十分慎重に考えさせていただく必要があろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/51
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052・久保亘
○久保国務大臣 NPOの活動は、今もう国内にとどまらず国際的にもその活動は広がっております。福祉、環境、町づくりといったようなことはもとより、特に昨年一月の阪神・淡路大震災に対する市民活動団体の活躍は非常に注目されたところであります。
そういう中で、これらのNPO活動を支援する一つの道として税制上の支援措置というのが考えられないかということで、各党においていろいろと、その前提となります法人格付与の問題について御検討になり、新進党の法案も提出されているということだと考えております。私どもは、そういう各党の御論議が一層深まることを注目いたしております。
税制上の支援措置についてどのようなことが考えられるかということにつきましては、今主税局長の方から、その問題点等についても申し上げました。こういった問題も含めて、各党並びに国会における論議が深まることをぜひ期待をいたしております。新進党の方でも、この支援措置に関しては、今、法案を準備するに当たっての問題点等を党税調において御研究中と承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/52
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053・上田清司
○上田(清)委員 必ずしも私の期待する御回答ではありませんでしたが、要は、NPO法案、この背景と今後の社会のあり方について、御賛同いただける部分が多分にあるというふうに私は思っております。
そういう中で公益法人の課税の適正化、課税の適正化というと大体色分けしながら云々ということですが、悪いものに関してはきちっとやろうということですけれども、いいものに関しても強化するというような中身になりかねないということもぜひ注意深く見ていただいて、そして、本当に日本の社会というのが、一元的な、何となく許認可行政や、あるいは補助金行政的な形でいく社会じゃなくて、もっと民間のイニシアチブが生かされるような多元的社会をつくっていく、そういう方向というのがいろいろな形の中で今できておりますので、それを伸ばす方向で、今後も公益法人についての課税の適正化を研究して、また実施していただきたいということを強く要望しておきます。
次に、先般住専の問題と絡めて議論をさせていただいたわけですが、ちょっと不可解なというよりも、重大な疑惑とも思われるようなことが出てまいりましたので、緊急に、これは質問通告をしておりませんでまことに申しわけありませんけれども、ちょっと伺いたいことがございます。
それは、農林系統の金利の支払いについてはいつまでやっておられるのか。常識的に見れば、四月にこの住専処理法案ができるわけですからスタートするというふうに私はある程度理解しておりますが、三月まで金利支払いをされるのかなと思っておりますけれども、これは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/53
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054・西村吉正
○西村政府委員 これは農林系統へということに限りませず、現在の住専という経営形態が続いております限りは、契約に従いまして、金利の支払い等債権債務関係を処理していくということになるわけでございます。
したがいまして、年度内の金利の支払い等の債権債務の処理は、従来の契約に従って行われることが予定されざるを得ないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/54
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055・上田清司
○上田(清)委員 そこで、農林系統並びに一般行の金利支払いの原資はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/55
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056・西村吉正
○西村政府委員 原資と申しますか、現在の経営状況の中で、その支払いに充てる財源が見出されるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/56
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057・上田清司
○上田(清)委員 私が伺いたいのは、一次ロスの中にその金額が入っているのじゃないですか。承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/57
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058・西村吉正
○西村政府委員 そういう意味で申しますならば、直接にその金額が入っておるということではございませんけれども、私どもが御提案いたしております考え方の中で、六兆四千百億の内訳といたしまして、資産の損失六兆三千七百億に加えまして、千四百億の損失、累積赤字の見込みというものが計上されております。
その千四百億というものの中に、千四百億というものは、予算委員会でも明らかにいたしましたように各社ごとの三月末の欠損見込みを合計したということになるわけでございますが、その三月末の住専七社の欠損見込みを出すに際しましては、それまでの金利の支払い予定ということをも勘案いたしている、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/58
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059・上田清司
○上田(清)委員 そうすると、三月末に農林系統で六百億金利支払いがあるかと思いますが、その部分は一次ロスの中に入っているということであれば、結果的に、農林系統の負担は五千三百億じゃなくて四千七百億になりますね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/59
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060・西村吉正
○西村政府委員 それは負担というものの考え方になろうかと思いますけれども、自分たちの得べかりしものを得た上で、どれだけの負担をするか、あるいは系統の場合は贈与をするか、こういうことでございます。これは系統に限らず、契約関係が続いている以上、そのようなことになるのは契約の性格上いたし方のないことだと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/60
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061・上田清司
○上田(清)委員 契約の性格上いたし方がない、こういうことを一言も言っていないじゃないですか。実は、この五千三百億という贈与がありま
す。しかし、この六兆四千億の中に、今後まだ支払わなければいけない農林系統あるいは一般行に対する利払い、そういう数字を今まで一度だって挙げていないじゃないですか。では実際の負担はどうなんですかという議論をしてくれば、今言ったように四千七百億ですという話になってしまうし、実際の一般行の数字は何億になるのですか。何兆何千億になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/61
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062・西村吉正
○西村政府委員 それは、今、住専というものは従来どおりの経営形態で生きているわけでございます。
今、金利の支払いという点で御指摘がございましたが、例えば職員の給与というようなものも同じような概念に属するものでございまして、今住専に属している職員に給与を支払いますと、それはその住専の経費として負担になっているということはいたし方のないことでございます。
同じような意味におきまして、この住専という会社が存続している以上、借りているお金に対して金利を払うというのは法律的な義務でございまして、もしこれを一方的に支払わないということにいたしますと、裁判に訴えられた場合には勝つことが見込めないということでございますから、そういう経費、給与の支払い、金利の支払い、あるいは建物の借料、そういうものは今年度末まで見込んだ上で、その段階での損失の見込み千四百億円を計上している、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/62
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063・上田清司
○上田(清)委員 要は、その千四百億の損失の見込み計上について、どういう見込みなのかをもう一回きちっと数字で出してもらいたいというふうに思います。これはぜひ理事会でも御検討をお願いします。委員長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/63
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064・久間章生
○久間委員長 後日理事会で検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/64
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065・上田清司
○上田(清)委員 後日じゃなくてすぐにでも。
それから、今の議論の続きです。それはそれでやります。
では、債権放棄額の約三兆五千億の枠組みをつくった期日はいつなんですか。どこで切ったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/65
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066・西村吉正
○西村政府委員 現在私どもの念頭にございますのは、この処理案を決めました十二月の段階での状況を前提といたしましてこの枠組みを想定しておるわけでございますけれども、しかしながら、これが最終的に決まりますのは、それぞれの住専が住専ごとに処理計画を定めまして、それを関係者の正式の意思決定プロセス、すなわち取締役会等できちんと手続を経まして処理計画が最終的に固まる、その段階における計数が最終的な計数になるわけでございます。
ただ、私どもは、そういうものを現段階においては、十二月の段階で把握いたしました計数をもとに想定をしている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/66
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067・上田清司
○上田(清)委員 西村局長は、私がこのスキームを談合と念書と取引によってつくられたものだと言うときには、いやしっかり皆さん方から協力していただいて合意していますと言うし、それでこういう話を詰めていくと、今度は、各行の取締役会、そういうものを通じて最終的になっていきます。二枚舌ですよ、それは。まあそれはいい。考え方でいろいろまたお話が出ると思いますが。
実は今、委員長、理事の御了解をいただきまして、週刊ポスト九六年三月八日号に、「母体行の住専各社への貸出額の推移」ということで、大蔵省でも出していない配分まで全部出てきておりますが、各住専の政府案による債権放棄額、ともあれこの総額だけは随所に資料として今まで出ておりました。
ちょっと手違いで、これも政府委員室の方に御指導を賜りたいと思いますが、北側委員の資料要求と私の資料要求が同じだということで、理事会で扱っているから出ないということを言われましたけれども、全然北側委員の資料要求と違う私は資料要求をしておりまして、結果的には政府委員室のメンバーの皆さんの取り違いによって、きょう大蔵省の方から資料が出なかったので、やむを得ず週刊ポストのこの数字を使わせていただきますが、この最後の部分ですね、九五年十二月末の三兆六千五百億、あるいは九月末の三兆六千八百八十二億、あるいは九五年三月末の三兆七千六百八億、こういった数字は大蔵省で把握している数字と同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/67
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068・西村吉正
○西村政府委員 ちょっと私そのときの資料を今手元に持っておらないのですが、先般、予算委員会での、これは北側委員の御質問、どなたの御質問だったかちょっと失念いたしましたが、この約三兆五千億という母体行の債権放棄額の住専ごとの内訳を示せという御質問がございまして、そのときお答えをいたしましたのですが、そのときの記憶をたどりますと、今ここにお示しの三兆四千九百七十三ではなくて、三兆五千億を上回っております、当然のことでございますが。
私そのときにお答えしましたのは、日本住宅金融は八千二百億、それからハウジングローンが五千四百億、ここまでは大体合っておりますが、住総については八千九百億と申し上げたと存じます。それから、第一住金が二千四百億、住宅ローンサービスが二千八百億、総合住金が二千億、地銀生保住宅ローンが五千二百億と申し上げたように存じます。合わせて三兆五千億でございますけれども。この数字が、この週刊ポストの基礎になっている数字がどこから出たものか存じませんが、私どもが理解しているものと若干異なっているように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/68
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069・上田清司
○上田(清)委員 局長の後ろに控えておられる方々、九五年の十二月末の数字の三兆六千五百億はどうですか、わかりませんか、九五年十二月。十二月に決めたのでしょう、閣議決定で要請を。その要請を決めたときの数字も把握していないで議論なんかできるわけないでしょう。だから、今知らないなんて言わせませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/69
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070・西村吉正
○西村政府委員 失礼いたしました。
私、今御質問の趣旨が、この政府案による債権放棄額の問題かと存じましたので、そのような政府案による債権放棄額の数字に関してお答え申し上げたわけでございます。
九五年十二月末の数字で申しますと、三兆六千五百億に相当いたします数字が三兆五千九百六十三億でございますから、ほぼ一致しておるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/70
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071・上田清司
○上田(清)委員 九百六十三億違いますね。一致していないですよ。九百六十三億多いじゃないですか。なぜ三兆五千億になるのですか、三兆五千九百六十三億が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/71
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072・西村吉正
○西村政府委員 ほぼと申しますのがどの程度の範囲かということでございますが、私今申し上げましたのは、委員のお示しいただきました九五年十二月末の計数三兆六千五百億は、我々の把握いたしております数字では三兆五千九百六十三億だと申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/72
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073・上田清司
○上田(清)委員 そうしますと、閣議決定で各母体行、一般行、系統に要請したこの算出の基礎になった数字が三兆五千九百六十三億、このように理解してよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/73
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074・西村吉正
○西村政府委員 これも今まで何回か御答弁を申し上げておることでございますが、この住専七社、それぞれ生きている会社でございますから、先はどのように給与の支払いとか金利の支払いもございますし、それから債権債務関係も、生きております間処理をしなければなりません。その処理に際しましては、私どもは、第二次再建計画におきまして残高維持というような原則は関係者の間で合意されているところでございますが、しかしながらその第二次再建計画の合意の内容におきまして、優先弁済を認めるということで合意されているものがあり、その中に、担保をとって仮に破産手続がなされても返済を受けることに法的になっているものもございます。こういうものは取り扱いを異にするものがあるということは従来も申し上げてきたことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/74
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075・上田清司
○上田(清)委員 この金額の差、約一千億というふうに私は理解するわけですが、これはある意味ではまけてあげたというのですか、そういう認識をしたことはないのでしょうか、政府として。政
府としてというか大蔵省として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/75
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076・西村吉正
○西村政府委員 これはまけてあげたという性格のものではなくて、契約に基づいて法的に処理した場合にこのような処理をせざるを得ないものであるという認識でございまして、私どもとしては極力残高維持という考え方に沿って、債権債務関係が維持されるようにという基本的な考え方に立ちつつも、どうしても処理をせざるを得ないものについては、厳格に法的に考えた上で、払い戻すものは払い戻さざるを得ない、こういう考え方で処理してきておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/76
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077・上田清司
○上田(清)委員 西村局長、毎日みたいに新聞に出ておりますね。借り手がどんどん詐害行為に近いような、いわば資産隠しというのでしょうか、身内に売ったりそういう形で、現に国民が六千八百五十億負担しなければならない、そしてその貴重な税金を少しでも軽くするために回収する仕組みを皆さん方がつくろうとしている、その中において、毎日のように何らかの形で、詐害行為に近いような形で大事な債権物件というものが流れている。そういう事態について考えると、同じように各母体行も、実はこの中身そのものはもう去年の九月ぐらいにでき上がっていて、何らかの形で債権放棄をしなければならない、その債権放棄の中でできるだけ自分たちの持っている部分を減らしたい、こういう動きが現実にあったと私は理解しております。そして、そういうことを大蔵省が黙認した、私はそういう理解をしているのです。
大臣、どうですか。御感想で結構ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/77
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078・西村吉正
○西村政府委員 恐らく今の御指摘は、例えば二月十日の新聞報道等にありました、母体行の一部が抜け駆け回収を行ったというような報道をお指しいただいていると存じますけれども、先ほど申し上げましたように、法律的に見てもどうしても支払わざるを得ないようなもの以外は厳格に取り扱うように関係者も考えていると思いますし、先般報道されました案件につきましては、このようなことはないというふうに私どもは報告を受けております。したがいまして、お目に触れました報道のようなことが現実に起こっているというふうには必ずしも私ども理解はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/78
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079・上田清司
○上田(清)委員 なかなか優しいお言葉であります。私はそう思いませんが。
それでは、この問題について最後にちょっと確認しておきますが、先ほど申し上げました農林系統に支払う利子の部分は一次損失の中に入っているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/79
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080・西村吉正
○西村政府委員 先ほど申し上げましたように、今年度末の各社の損失見込み、各社合計の千四百億というものが、算出する過程におきましてそういう経費が支出されるということを見込んでいる、そういう意味では計上されているというふうにお考えいただいても結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/80
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081・上田清司
○上田(清)委員 そういうふうな形で御説明されると国民はみんなわからないのですね。本当は、実は農林系統の負担は四千七百億ですよということをきっちり言う方がより理解できるのですよ、何でも。皆様方はできるだけ物事をわかりづらくわかりづらくされる。
私、申し上げたでしょう、去年のちょうど二月十五日の大蔵委員会で詐欺事件の話をしながら。たまたま偶然、繰り入れ法案の質疑を次の日私はする予定だったのですが、その前の日に詐欺事住専門の弁護士のお話を聞く機会があって、詐欺の手口というのは、物事をできるだけわかりにくくわかりにくくして、相手がもう嫌になったところでもっともらしく見せると。それでお笑いになったのですよ。武村大蔵大臣もお笑いになったし、局長もお笑いになった。それと同じようなことをしばしばされる。おまけにこのスキームというのはたくらみという日本語の意味もあるのですよ、ついでに申し上げるならば。そういったくらみを余りされないように申し上げたい。もうこれは返事は要りません。
それから、江田議員との討論がずっとなされてきましたいわゆる損害賠償請求権について、局長の意見も若干言葉が変わってきておりますが、それをまた言っても、ああでもないこうでもない、結局何でもない話になってしまいますので、私は申し上げますが、具体的に問います。
先ほど申し上げた詐害行為ともとられるような、きょうも朝どこかの新聞に、借り手の大手が親族に売買しているというようなことも出ておりました。私は、事実上の詐害行為だろうと。これからまた何らかの形で刑事的な事件になっていくかもしれませんが、この保全ができない状態をどう思われるのか。私は、そういうのは何らかの形で保全しないと、さっき言った国民の税金がどんどん減っていく、あるいはどんどんふえていく、そういうふうな思いを感じておりますので、なぜ保全ができないのかを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/81
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082・西村吉正
○西村政府委員 御指摘の保全というのが、現在住専が仕事をしている中で処理をされていっている債権債務関係、それを今の段階でなぜとめられないのかという御指摘でございますならば、今の段階、予算も法律もお認めいただいてない、住専処理機構というものも設立されてないという段階では、住専そのものはまだ普通の会社でございますので、それを強制的に、法律的に何らか政府が関与するという手段は持ち合わせないわけでございます。
しかしながら、住専処理機構が発足をいたしまして、その後厳格に法的な責任あるいは損害賠償請求等を追及していく過程におきましては、そういう過去の問題をもさかのぼりまして、どういう問題があったのか、その結果どういう損害が発生したのかというようなことをも調査し、追及していくということは可能であろうかと存じます。
なお、先ほどちょっと私六兆三千七百億と申し上げましたが、六兆二千七百億の間違いでございました。おわび申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/82
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083・上田清司
○上田(清)委員 過去にさかのぼって場合によっては追及できる可能性があるので、大目に見ておこうというようなつもりもないとは思いますが、私は具体的に要請する必要があると思います、住専各社にも母体行にもそういうことを許すなと。それをもっと徹底しなければいけないと思いますし、何よりも、住専に対してあるいは母体行に対して閣議決定でああいう要請をされるのですよ、とにかく債権放棄しろと、有無を言わせずに。なぜそれができるか私は不思議なんですけれども、その理由も申し上げましたけれども、一方ではそうして民間に強い要請をして、こういう詐害行為みたいなことに関しては何の要請もしない。私は割り切れないのです。具体的な要請をしているのですか、それともしてないのですか。してないとすれば、あしたにでもきようにでもやってほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/83
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084・西村吉正
○西村政府委員 ちょっと普通の破産事案というようなものとの違いというものを申し上げますと、普通の会社の破産事案というような場合には、債権者というものはいろいろな立場の方々がいろいろな要求をしてこられる。それに対してどう対応するか、その詐害行為をどう防止するか、こういう関係かと存じます。住専の場合に債権者というのはだれであるかというと、これは金融機関でございまして、母体行であり一般行であり系統である。その人たちが住専に対してお金を貸している、総額約十三兆円という債権を持っている、この関係が主な債権関係でございます。したがいまして、詐害行為が起こるとすれば、もとより個々のものを売った人というような関係がないわけではございませんが、大きく言いますならば、金融機関がどういう詐害行為を働くか、こういう問題でございます。
先ほど委員から御指摘がございました抜け駆けの回収をするというようなことはけしからぬではないか、これはごもっともな御指摘でございまして、私どももそういうことのないように、当然母体行、一般行、系統は心得ておると存じますし、そのようなことが可能性がございましたら私どもからも注意をいたします。
なお、各住専に対しまして現在の権利関係をきちんと保全するようにという点に関しましては、今の、一般の民間会社の一つであるという住専の立場ということからも制約はございますが、住専
各社の責任者に対しましては、このようなスキームが既に検討の過程に入っているのだからこの債権債務関係をきちんと保全するように万全の注意をしてほしいということは、私どもから要請をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/84
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085・上田清司
○上田(清)委員 先ほどもちまっと出ましたけれども、過去にさかのぼって刑事的な追及や民事的な追及をしていかなくちゃいけない、あるいは可能性があるというようなことも言われたわけですが、私はちょっと具体的に聞きたいのですが、今回の処理スキームの中で損害賠償請求権が行使されるとすれば、例えば日本住宅金融の庭山元社長の私有財産すべてはぎ取ることが可能なのか。まず一点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/85
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086・西村吉正
○西村政府委員 個々の経営者に対してどういう要求、請求ができるのかということは、これはそれぞれの事案で、例えば法的にどういう責任があるかということを確定した上での問題でございましょうし、あるいは、御指摘の中には道義的責任をどう感ずるかというような観点も含まれておろうかとも存じますけれども、そういう道義的責任という問題になりますれば、これは法律的な処理とはまた別の観点から検討されなければいけない課題だろうと存じます。
しかし、いずれにいたしましても、もし法的な責任があるということになりますれば、それは刑事、民事を問わず、厳格に責任が追及されるということは、これはだれということではなくて、例外のないことであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/86
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087・上田清司
○上田(清)委員 しばしば江田議員から御指摘があったように、この処理スキームで本当に損害賠償ができるのかという議論がありました。特に、議論の中では、譲渡の時点で賠償の金額や具体的内容が特定される必要はなく、賠償の相手や不法行為の事実がある程度特定されれば足りるというようなことを二月九日の予算委員会で西村局長は発言されて、どうもちょっと都合悪くなってきたなと思ったら、今度は二十六日に、「包括的に譲り受けることが可能であり、」というようなお話をされて、政府ですり合わせた結果、債権の譲渡に関しては特に特定して明記する必要はない、包括的にやればいいと。
本当に包括的にやっていいのかどうか。そのすり合わせをだれとされたのか。政府部内でされたということですが、多分法務省の民事局あたりでやられたのでしょうが、この辺について、西村局長にも伺いたいし、法務省のどなたか来ておられれば、こんな解釈でいいのですよということを承りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/87
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088・西村吉正
○西村政府委員 事柄が法律問題でございますだけに、厳格に御答弁を申し上げなければいけないというような気持ちから、あるいは私が御答弁申し上げたことがわかりにくかったり、あるいは必ずしも適切でない場合があったりしたかもしれません。その点はおわび申し上げますが、私ども、この問題に関しまして今の段階できちんと答弁を申し上げますならば、住専処理機構が住専から損害賠償請求権を譲り受ける際には、必ずしも不正の事実等を特定したものに限る必要はなく、住専の保有するその他の損害賠償請求権も含めて包括的に譲り受けることが可能である、こういうことでございます。
それでは、具体的にどんな方法で契約を結ぶのか、こういうことでございますが、特定できるものについては、これはできるだけ特定して記載するということが望ましいのは当然でございますが、特定が難しいものについても、例えば、その他住専が何年何月何日現在保有する損害賠償請求権を譲渡するというようなことを記載することによりまして、網羅的に譲り受ける方法が考えられる、こういうふうに考えておるところでございます。
なお、この点については、私ども、法律的な御専門でございます法務省とも意見を交換し合いながらこのように対処をしたいと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/88
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089・升田純
○升田説明員 ただいま銀行局長から答弁されたとおりでございまして、私ども法務省民事局では民法を所管しておりまして、その中に債権譲渡に関する規定が設けられているわけでございます。住専処理法案の策定の過程におきまして大蔵省の方から本件につきまして相談を受けたことがございまして、民事法の立場から一般的な解釈について意見を申し上げたことがございます。
なお、ただいま委員御指摘の損害賠償請求権につきましての債権譲渡、これの特定の問題につきましては、問題の場面が二つございます。
一つは、債権譲渡契約は有効であるか無効であるかという問題と、債権譲渡を債務者あるいは第三者に対抗するためには対抗要件というものが必要でございまして、この場合には通知ということになろうかと思いますけれども、その場合の特定の問題がございます。
まず、前段の債権譲渡契約の有効無効の問題につきましては、先ほど来議論になっておりますように包括的に譲り受けるということも可能でございまして、例えば、住専がいついつ現在有する損害賠償請求権一切を譲渡するというようなやり方でも有効であろうと考えております。
対抗要件の問題につきましては、やはり債務者にそういうことを知らせておかなければいけない、そういったいろいろな機能がございまして、そういった機能にかんがみますと、通知に記載される債権につきましては債務者の特定というものが必要であることは当然でございますけれども、それに加えまして、他の債権と識別することが可能な程度に特定して記載するということが必要でございますけれども、それではどの程度具体的に特定しておく必要があるかということは、個々の事案によって異なるということになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/89
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090・上田清司
○上田(清)委員 今、法務省の升田参事官のお話にもありましたように、個々の部分についてかなり、そのときそのときでわからない部分があるというふうに私は受けとめたのです。
そうなってきますと、やはりこれは何年までにさかのぼって責任追及ができるか、あるいは損害賠償請求ができるかということもあらかじめ線をきちっと引いておかないと、いよいよ過去にさかのぼって、その過去とはどこなんだという部分が出てきますので、いわゆる住専絡みの、いわば損害賠償請求権も含めた、あるいはこれは民事にかかわる部分が多いわけですが、刑事も含めて大体どこまで線を引くつもりでおられるのか、承りたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/90
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091・西村吉正
○西村政府委員 お尋ねの点が、今から過去にさかのぼるということでございましたら、これはいわゆる時効がいつ完結するかというような問題だろうと思いますが、これは住専が特別な取り扱いを受けるということが、今の法律の中ではまだそういう扱いを受けておるわけではございません。一般的な法律関係の中で他の事案と同様に処理されるというのが現段階における私どもの理解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/91
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092・上田清司
○上田(清)委員 それはわかっているんです。だから、仮にこれが成立するとすれば、スキームができて機構ができたらどこまでさかのぼることができるのかという、それも時効になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/92
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093・西村吉正
○西村政府委員 ちょっと私、正確に御質問の意味を理解してないかもしれませんが、もしこの住専処理機構ができまして、譲り受けた後、ある事案についてどれぐらいさかのぼれるかという問題を御指摘しておられるとすれば、それは一般の法律上の取り扱いと同様の時効によるものであろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/93
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094・上田清司
○上田(清)委員 そうすると、損害賠償請求について通常の法的処置で今すぐやった方が便利じゃないですか。すぐ取りかかれるわけですから。できてから動き始めるとその分だけ時効の部分が足りなくなるわけですね、足りなくなるという表現が適切かどうかはともかく。何らかの形で、そこに法律で特別に明記する必要があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/94
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095・西村吉正
○西村政府委員 そういう損害賠償請求あるいは責任の追及、いろいろな問題を厳格に追及できる
ように、」日も早くこの住専処理機構を設立いたしましてそのような問題に取り組みたいと考えておりますけれども、しかし現在の住専のままでありましても、そういう問題をもちろん処理できるわけでございますから、それは現在の住専という枠組みの中においてもそういう問題に取り組んでいくということは一般の会社と同様であろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/95
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096・上田清司
○上田(清)委員 今の議論は全くおかしいですよ、局長、今でもやれますと。今でやれないからこういう話にしているんじゃないですか。ちょっと今の議論はおかしい、私はそう思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/96
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097・西村吉正
○西村政府委員 もとより、住専処理機構をつくりまして、新たな権限が与えられたり新たな法律関係が成立したりする中で、より厳格にそういうものを追及していくということを目指しているわけでございます。今回の処理案はそういうことを目指しているわけでございますけれども、それでは、そういうことが成立するまでは何もできないかということに関しましては、一般の法律の枠組みの中ではありますが、そういうことを普通の会社と同様の手法でやることは可能であろう、そういうことを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/97
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098・上田清司
○上田(清)委員 最後に大蔵大臣、まことに恐縮ですが、先ほどの一千四百億の部分の中に農林系統の支払い利息が入っていたということについて、これはずっと御存じだったですか。これだけお答えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/98
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099・久保亘
○久保国務大臣 内容については銀行局長が申し上げましたが、私は予算委員会においても再三お答え申し上げておりますことは、母体行の責任、この負担は、三兆五千億と債権全額放棄という二つの条件が満たされなければならないということを申し上げております。そのような立場で考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/99
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100・上田清司
○上田(清)委員 全然回答になっていませんよ、今のは。委員長、わかるでしょう。大臣、まことに恐縮です、全然回答になってないんです。今のは全く的違いの発言ですので、もう一度お答えをお願いいたします。——いや、大臣に聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/100
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101・西村吉正
○西村政府委員 事実の問題でございますので私からお答えをいたしますが、先ほど申し上げましたように、契約関係に基づきましてどのように債権債務関係が処理されていくか、そういう枠組みに応じまして現在の提案申し上げているケースが成り立っている、そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/101
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102・上田清司
○上田(清)委員 大臣、お答えよろしくお願いいたします。認識です。細かい数字の問題じゃなくて、認識を、あったかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/102
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103・久保亘
○久保国務大臣 内容については銀行局長がお答え申し上げたと私は先ほど答弁いたしております。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/103
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104・上田清司
○上田(清)委員 時間かもしれませんが、知っているのか、知っていたのか知らなかったのかを聞いているんです。これは大事な問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/104
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105・久保亘
○久保国務大臣 恐縮ですがという御質問でありましたから私もそのとおりお答えしたのでありますよ。銀行局長がお答えしたとおりでありますということですから、それ以上何を申し上げることがございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/105
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106・久間章生
○久間委員長 時間が参りましたので。
これにて両案に関する質疑は終局いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604629X00919960301/106
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