1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年六月五日(水曜日)
午前十時開議
出席委員
委員長 中川 昭一君
理事 斉藤斗志二君 理事 中谷 元君
理事 遠藤 乙彦君 理事 河村たかし君
理事 高木 陽介君 理事 山崎 泉君
理事 小沢 鋭仁君
荒井 広幸君 川崎 二郎君
岸本 光造君 佐藤 静雄君
佐藤 剛男君 自見庄三郎君
野田 聖子君 野中 広務君
福永 信彦君 宮崎 茂一君
遠藤 和良君 神崎 武法君
北橋 健治君 古賀 一成君
高橋 一郎君 日笠 勝之君
冬柴 鐵三君 大出 俊君
田中 昭一君 横光 克彦君
矢島 恒夫君 吉岡 賢治君
佐藤謙一郎君
出席国務大臣
郵 政 大 臣 日野 市朗君
出席政府委員
郵政大臣官房長 谷 公士君
郵政大臣官房審
議官 品川 萬里君
郵政省郵務局長 加藤豊太郎君
郵政省貯金局長 木村 強君
郵政省簡易保険
局長 天野 定功君
郵政省放送行政
局長 楠田 修司君
委員外の出席者
経済企画庁国民
生活局国民生活
政策課長 薦田 隆成君
文部省初等中等
教育局中学校課
長 加茂川幸夫君
郵政大臣官房財
務部長 寺西 英機君
逓信委員会調査
室長 丸山 一敏君
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委員の異動
六月五日
辞任 補欠選任
川崎 二郎君 佐藤 静雄君
野中 広務君 福永 信彦君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 静雄君 川崎 二郎君
福永 信彦君 野中 広務君
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六月五日
テレビの字幕放送の拡充に関する請願(中谷元
君紹介)(第二七六四号)
同(大野由利子君紹介)(第二七九六号)
同(大出俊君紹介)(第二八六六号)
同(塩谷立君紹介)(第二八六七号)
同(山口那津男君紹介)(第二八六八号)
同(栗本慎一郎君紹介)(第二八九四号)
同(田中昭一君紹介)(第二八九五号)
同(野田実君紹介)(第二八九六号)
は本委員会に付託された。
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六月四日
簡易生命保険積立金等の貸し付け及び償還方法
の改善に関する陳情書
(第三二四号)
日本電信電話株式会社のあり方等に関する陳情
書
(第三二五号)
TBS問題に関する陳情書
(第三二六号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出
第六三号)(参議院送付)
郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する
寄附の委託に関する法律案(内閣提出第六四号
)(参議院送付)
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第六五号)(参議院送付)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/0
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001・中川昭一
○中川委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、郵便貯金法の一部を改正する法律案、内閣提出、参議院送付、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案及び内閣提出、参議院送付、簡易生命保険法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。日野郵政大臣。
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郵便貯金法の一部を改正する法律案
郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する
寄附の委託に関する法律案
簡易生命保険法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/1
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002・日野市朗
○日野国務大臣 初めに、郵便貯金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、要介護者である郵便貯金の預金者の利益の増進を図るため、要介護者が預入する定期郵便貯金について、利率の特例を定めようとするものであります。
次に、この法律案の概要について申し上げます。
要介護者が省令で定めるところにより預入する定期郵便貯金について、利率の特例を定めることとしております。
なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
次に、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、天災その他非常の災害に際して行われる民間の発意に基づく被災者の救援の充実に資するため、郵便振替の加入者がその口座の預かり金の寄附を郵政大臣に委託する制度を実施しようとするものであります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
まず第一に、郵政大臣は、天災その他非常の災害があった場合において、寄附の委託を受けることを必要と認めたときは、寄附の委託を受けることができる期間を定めることとするものであります。
また、郵便振替の加入者は、その期間内に、その口座の預かり金の全部または一部について払い出しの請求をするとともに、その払い出しに係る金額を、民間の発意に基づく被災者を救援する事業を行う団体に寄附することを郵政大臣に委託することができることとするものであります。
第二に、郵政大臣は、寄附の委託があった場合は、寄附の委託を受けることができる期間が経過した日において、加入者の口座から払い出しの請求に係る預かり金を払い出し、当該払い出した金額を取りまとめ、民間の被災者を救援する事業を行う団体を公募してその申請を受けた上、寄附金を配分する団体及び配分する金額を決定することとするものであります。
なお、郵政大臣は、寄附金を配分すべき団体に対し、守らなければならない事項を定めることができることとするとともに、寄附金を配分すべき団体等の決定をするには、関係行政機関の長と協議し、かつ政令で定める審議会に諮問しなければならないこととするものであります。
また、郵政大臣は、寄附金を配分した団体に対し、配分した寄附金の使途について監査を行うこととするとともに、寄附金を配分した団体が守らなければならない事項に違反したときは、配分金の全部または一部の返還を求めることとするものであります。
第三に、郵政大臣は、寄附金を配分団体に交付するまでの間、資金運用部に預託することができることとし、預託した結果生じた利子は、寄附金に充てることとするものであります。
また、郵政大臣は、寄附金に関する経理状況を公示することとするものであります。
なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。
次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この法律案は、近年における保険需要の動向にかんがみ、簡易生命保険の加入者に対する保障内容の充実を図るため、所要の改正を行おうとするものであります。
その内容は、主たる被保険者または配偶者たる被保険者のいずれか一方が死亡した日から年金を支払う夫婦年金保険を設けること、この夫婦年金保険については、加入申し込み時に被保険者の健康状態について告知を受けるようにすること等であります。
なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日からとしております。
以上が、これら三法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/2
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003・中川昭一
○中川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/3
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004・中川昭一
○中川委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。荒井広幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/4
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005・荒井広幸
○荒井(広)委員 委員長初め、大臣、皆様にはおはようございます。
朝のあいさつをするというのは非常にすがすがしいことでございますけれども、郵政省、郵便局では、それぞれの職場において、一声運動、声かけ運動という、まさに本当に人間関係の大切なあいさつ、会話を基調にしているわけでございますが、その皆様方が、阪神・淡路の大震災につきましても、被災された方々に全国からの心配のいろいろな物品をお届けしょうと責任感を持ち、一生懸命努力をしていただいた姿を今でも思い出すわけであります。
早速お尋ねをいたしたいと思いますが、災害ボランティア口座、この具体的な仕組みについてお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/5
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006・木村強
○木村政府委員 お答えをいたします。
災害ボランティア口座は、国内の非常災害発生時に、被災地におきまして被災者の救援事業を行いますボランティア団体を支援するため、郵便振替口座の加入者がその口座の預かり金をボランティア団体に寄附することを郵政大臣に委託する制度でございます。
具体的に申し上げますと、災害が発生し、非常災害対策本部等が設置されました後、速やかに国民・利用者の方に周知をいたします。災害の規模、性格等にもよりますが、おおむね一ないし三カ月程度を考えております。寄附金を募ります一方、ボランティア団体の公募の受け付けも並行して行いまして、できるだけ早くボランティア団体に寄附金を配分できるような仕組みといたしております。
なお、寄附金の配分方法につきましては、ボランティア団体へのヒアリングなどをいたしまして、そのニーズを把握しました結果、活動資金調達のめどが立てば十分活動ができるというようなお話でもございましたので、寄附金の募集期間の終了後できるだけ速やかに審査事務を実施をいたします。そうして、非常災害対策本部等関係行政機関との協議、審議会の諮問、答申も含め、一カ月程度で寄附金の配分決定まで行い、ボランティア団体への配分等の通知をできるだけ早くということで考えております。
なお、配分は、そういった救援事業が終わりました後に、その中身を見届けて配分をするという仕組みにしてございます。
なお、制度の実際の運用に当たりましては、さらに被災地の地方公共団体あるいは社会福祉協議会等とも連携を図り、被災地のニーズやボランティア団体の意向等にも十分こたえるように適切に運用してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/6
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007・荒井広幸
○荒井(広)委員 ただいま御説明にございましたけれども、また同時に五月三十日の本会議での趣旨説明に対する質疑応答の中で大臣がこのように申されておられるわけです。寄附金の配分に当たっては、被災地の地方公共団体を含め関係行政機関と協議を行うとともに、郵政審議会の審議を経ることにより、公平かつ公正に配分団体及び配分金額を決定することとしています。
実はここは非常に重要な部分だと思いまして、何といいますか、適正な運用といいますか、これについて郵政省に対する信頼というものが逆に言えば試されているとも言われるわけでございますけれども、どのようにこのボランティア団体の適正な選択をすることにしているのか、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/7
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008・日野市朗
○日野国務大臣 今先生お話しになりましたように、これをどのように配分するかということがこの制度に対する信頼を確保することになりますし、それから郵政省に対する信頼もまたそこにかかってこようかというふうに思っております。
特に、国民の善意の浄財であるということから、対象とするボランティア団体を考えていかなければならない。それで、法律に定めている事項として、まず第一に、政府組織から自立をして主体的な活動を行うものであること、それから二番目に、団体の活動が自発的な役務の提供によって成り立っていること、三番目に、営利を目的としない民間の団体であること、これを一応法定事項として定めさせていただいております。
それから、海外のボランティアのときの基準があるわけでございますね。これも一応引かせていただいて、日本国内に事務所を有すること、代表者が定められていて意思決定及び活動の責任の所在が明確であること、過去の実績またはスタッフの数から見て申請された事業の遂行能力があること、暴力団等公序良俗に反する団体、政治団体及び宗教団体でないこと、こういうことを考えております。それから、余りいろいろ、小さなところとか力のないところが出てこられても困るという配慮もありますから、社会福祉協議会等の登録団体またはその推薦団体であることというような基準を定めさせていただいております。
また、寄附金の配分決定に当たっても、自治省、厚生省等関係行政機関と協議を行うほか、郵政審議会への諮問、答申という手続きを経て行うことにいたしておりますし、それから被災地の公共団体、社会福祉協議会等の関係機関とも十分な連絡をとるということによりまして、適正なボランティア団体の選定が十分できるもの、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/8
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009・荒井広幸
○荒井(広)委員 今の御説明のように、まさに郵政省の信頼というものに基づいてこの口座がつくられるわけでございますから、その意味におきまして、国民の皆様方の、多分大勢の皆様方の善意が集まるものと思いますので、それが有効に使われますように、公平そして公正な団体の選定、配分というようなことについて、ぜひとも重ねて慎重に、また適切にお願いを申し上げたいと思います。
そうして考えてまいりますと、これは今までも議論があったところでございますが、国際ボランティア貯金というのが既に、郵政省のすばらしい制度としてあるわけでございまして、これにも大勢の方の善意が集まって使われているわけでございます。こういうようなことは官営としての郵政省の役割として非常に重要だと私は高く評価をしているのですが、国際ボランティアの場合は貯金という形でのその中の利子を使う、こういうことでございました。
今回の災害ボランティア口座は、先ほどから御説明にあったような形式をとるわけでございますけれども、なぜ改めて郵便振替を利用した制度をこの災害ボランティア口座に取り入れたのか、この点をお話しをいただきたいと思うわけです。
私、個人的にすれば、国際ボランティアのような貯金の使途の拡大という方法もあったわけでございまして、いろいろ議論はありましたけれども、そちらもまた捨てがたいところではありますが、なぜ郵便振替であるのか、この点を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/9
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010・木村強
○木村政府委員 先生御指摘、かつ大変お褒めにあずかりましたが、海外のボランティア団体に対します援助につきましては、既に国際ボランティア貯金という仕組みがございます。これは継続的、安定的に支援していく必要があろうということで、その基金につきましても、毎年三月末、一年に一回でありますけれども、通常貯金の利子が積み立てられますときにそういったものを使ってやる仕組みということで発足をさせていただいたわけであります。
今回の災害に対応するボランティア活動の支援策、私ども郵政省で何かできはしないか、ニーズが非常に強いものがあるということで、検討したわけであります。
先生御指摘のように、この際、国際ボランティア貯金の使途を拡大するといったような方法があるではないかということにつきましても、我々議論をいたしました。
その議論の過程でありますけれども、もし国際ボランティア貯金の使途を拡大するという方向を歩みますときに、現在の低金利下の状況におきましては、利子の一部ということでありますと非常に寄附金額が少なくなるということで、国際ボランティア貯金も、本年度交付いたします額が、超低金利下のために、昨年配分をいたしました額の半分程度になるというような事態でもございます。そういった状況の中で、この国際ボランティア貯金の仕組みを使うということでは、現在の超低金利下ではなかなか十分な寄附額が期待できないのではないか。
あるいは、既に国際ボランティア貯金、利子の二〇%ということでありますけれども、その場合にさらにということになりますと、二〇%を超えるような負担に国民の善意を募る必要も出てくるのではないかということになりますと、果たしてこれを三〇、四〇%にもするということで、善意の皆様方の御賛同が得られるかどうかといったようなこと。
あるいは、国際ボランティア貯金の二〇%分につきましては、既に発足後五年等を経過しておりまして、海外からも非常に期待をされておるということで、海外のこういった継続的、安定的な事業のために相当な期待感が国際関係でも強まっておりますので、この一部をもし国内の災害ボランティアにという話になりますと、国際的な期待感も喪失する可能性もある。国際関係の安定化というものにも、あるいはがっくりさせるというようなこともあろうかということもございます。
しかも、今回の対象の中身が、災害が発生したときのボランティア団体に対する支援策であるというふうに考えますと、災害というのはいつも起こるわけではございませんで、私ども、このようなお話を提案いたしましたけれども、本来ならば大災害はないにこしたことはないわけであります。万が一起こった場合に、何かボランティアの方々に郵政省がお役に立つことができないかという発想でございますので、もし、そういった災害という点に着目をいたしますと、やはり突発的に起こるものでございますし、その際に機動的に対応する仕組みが必要である。額も、貯金の利子の一部ということではなくて、はっきり言えば無制限、五百円でもいいですし一万円でもいいという形で、災害の規模、性格に応じて速やかに送金ができる手段、たまたま郵政省も、貯金だけではなくて振替という決済手段も持ち合わせておりますので、そういう観点からいたしますと、振替という手段を使って、災害というもののために国民の善意の皆様方のニーズにこたえるにはこの方法がふさわしいのではないかということで、振替制度というものを使った仕組みとさせていただいたわけでございます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/10
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011・荒井広幸
○荒井(広)委員 木村局長さんのお話にあったことを私なりに言葉に変えますと、ボランティア団体に寄附したいという国民の皆さんの善意とボランティア団体との橋渡しをする、こういうことだろうと思いますし、またそれぞれの皆様方の、今NPOのいろいろな話も出ているわけでございますけれども、ボランティアの意識、こういったことをやはり高めていくというようなことにも、啓蒙としてもまたつながるのではないかというふうに思います。
また、継続的、安定的に支援していくというのが国際ボランティアの性格であるから、そこにまたなじまない。こういう問題点といいますか、性格の違いはあろうかと思いますが、私は、最後に局長さんがおっしゃったところで言うと、災害はいつも起こるわけではないのでということではありましたが、私たちは、少なくとも五年前に、あの土石流が発生をいたしました雲仙がありました。そして一年前にまた阪神・淡路の大震災があったわけです。そんなに起こるわけではないとはいいながら、災害というのはいつ起こるかわからない。そんな中で、日本国民の皆さんも我々も、備えあれば憂いなしという気持ちを持っていることだけは間違いないと思うのです。備えあれば憂いなしというようなその気持ち、そして、自分でなくともどなたかがまた困ったときに何かお互いに助けられないかというようなところでの、郵政省としての、官としての役割として、さらに御検討を、いろいろな形を考えていただきますように、これは御要望を申し上げたいと思っておるわけでございます。
さて、今の災害ボランティア口座というのは、あの阪神・淡路の大震災のときに、郵便局の皆さんが、自分も被災者でありながら、あるいは局舎ももう壊れていながら、何とか全国の皆様方の肉親の、いろいろな御関係の方々のお気持ちを伝えたいということで、いろいろなお骨折りをいただいた姿を、冒頭に申し上げましたように、今も我々は目に焼きついているわけですが、そういうようなところからこの口座の発想も生まれたものというふうに私たちは思っているわけなんです。そういうことで、全国津々浦々にある郵便局というものが、まさに全国それぞれの期待や悩みに対して一番接して、よく理解しているということでもありまして、ここを我々はやはりこれからの時代に大切に使っていく必要があると思います。
これからの時代というのはどんな時代かと言えば、これはまさに少子・高齢社会だと思うのです。この少子・高齢社会においての郵政事業のあり方、役割というものは今までにも増して重要でありますし、新たな展開をしていかなければならない、私はこのように強く感じているわけでございます。
そこで、今回実施する要介護者に対する定期郵便貯金の金利の優遇サービスのようなものですね。このようなものを郵政省はやっていくわけですが、果たして銀行の方は、民間の方はどの程度やっておられるのか、もし調べておられたらお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/11
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012・木村強
○木村政府委員 民間金融機関におきまして、要介護者を対象に定期預金の金利優遇を行っているというところがあるというふうには私どもは承知しておりません。
それから、先生のかねてからの御関心もございましたので諸外国の例ということで外国の状況も調べましたが、寝たきりの者等に対しまして貯金の金利の優遇をしているようなものは、諸外国の郵便局では実施していないということでございます。
なお、特定の預金者に対する金利優遇として、民間金融機関の中には、年金を自行の口座で受け取っている方が預入する定期預金に対して金利優遇を行っているということで、広く要介護者全般ではなくて、自分のところで年金の口座を持っている人に対して、一定の金利を優遇するという商品は、民間金融機関にもあるということは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/12
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013・荒井広幸
○荒井(広)委員 まさに今の調査のところは重要だと思うのです。世界的にも例がないということでありますし、また銀行関係でもそのようなことを特に要介護者としてはやっていない。
私、調べてみましたけれども、都市銀行は全行ですが、またその他もやっているようでございますけれども、年金受給者を対象とした金利優遇商品というのはあるのですね。これは自分の銀行で年金の自動受け取りをしている方々に限って金利を優遇しようということなんですが、預け入れの金額は百万円でありますし、また定期の一年物ということで、取り扱い期間もことしの一月からことしいっぱいぐらいまでということなんです。私はこれに疑義を挟むものではなくて、評価をいたしますけれども、これは、実は大切なところは二点あると思うのです。
郵政省としてこの要介護の貯金の問題を議論したのが概算のときですから、既に今から考えますと十カ月以上前になるわけなんですね。そういう中で議論をしていて、どうやらそういうようなものと、それから連立与党としても何とかそういう配慮ができないかというようなことも低金利の中で要請したこともあるような気もいたしますが、結局郵便局がやるようになってから、やはり一月ぐらいから始まるのです。私はここが問題だと思っているのですね。やはり国民の皆様方に必要とするものを創造的に、そしてどんどんと挑戦していくという姿勢が民間金融機関に欠けている、私は今までも思っておりましたけれども、非常にそれは思うのです。しかも、みんな預入金額は一緒ですし、取扱期間も一緒。言われたからやっているみたいな話でございます。
こういうことでは私は、国民は幅広い選択を求めている時代です、介護に対して不安があったり、年金生活に不安があったりしても、いろいろな選択肢を提供するというのがまさに市場原理のはずなんです。それが機能していないということの私は証明だと思うのです、大臣。ですから、郵政省が国民の皆さんに必要なものをまず発案してやろうとするから、その後に引きずられて民間の金融機関がやっているということを私は言わざるを得ない。ここに私は、やはり郵政省にさらにしっかりしていただきたいというものがあるわけです。
もちろん、これからの社会において、高齢化そして少子化ですから、当然に国としてどの範囲をやるのか。自助、共助、公助、こういうことを常々言われておりますけれども、そうした全体像をしっかりつかまえることももちろん当然なんですけれども、やれるところから手をつけていくということは非常に重要な政策であろう、こういう郵政省の役割であろうというふうに思っているわけでございますので、どうぞそういった視点におきましても、いろいろと官と民のあり方などということを言われますけれども、国民が望んでいることを提供してそれがなぜ批判を受けるんだというような気持ちでぜひともこれからも頑張っていただきたいと思うのです。
そこで、なぜ郵政省が要介護者に対してこのような措置を講ずることにしたのか、改めてお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/13
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014・日野市朗
○日野国務大臣 今先生御指摘いただきましたように、これは郵政省としては、自分たちが持っている制度、これでできるだけ国民の皆さんにお役に立てるようにという姿勢はこれからもずっと貫いていかなければならない、このように思っております。
これから本格的に少子・高齢社会が進展をしていくわけでございまして、寝たきりの高齢者と要介護者を抱えた家庭などというのは、非常に精神的な負担も経済的な負担も高うございます。それに少しでもお手伝いをしていくということでこのような制度を考えたわけでございまして、これはいずれ社会保障を考えるに当たっても自助も共助も公助もいろいろ考えて、トータルに考えていかなければならない問題でございますけれども、まずそういうことは、トータルには必要であるけれども、郵政省としても自分たちのこの郵便貯金という一つの制度を利用して、その事業の中の努力でできる範囲で、一般の預金者よりも要介護者の方々を利率で優遇するというようなことをやって、自助の分野における一つの選択肢といいますか、そういったものを提供しようとしているわけでございます。
ほかの銀行と比べるのもなんですが、預金をこっちに集めようというようなことではなくて、もっときちんとそういった方々に対してお役に立てばということでやっているのだということでひとつ御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/14
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015・荒井広幸
○荒井(広)委員 続きまして、そういう視点に立ちますと、やはり国営・非営利、そして官と民との立場を考えて、民を圧迫しないというような大前提のもとで、国営の金融機関である郵便貯金の今後の商品・サービスの改善にどう積極的に取り組むのか、この点をお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/15
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016・木村強
○木村政府委員 ただいま大臣が申し述べましたとおり、郵便貯金というのは国営で、非営利で、かつ個人の専門の貯蓄機関だという位置づけでございます。これからも、自由主義社会でございます経済の発展という意味では民間の活力というのが必須の要件でございます。しかしながら、民間は、やはり基本的には営利追求というのがその行動原理でございますので、ここでは尽くせない、先ほど申し上げましたような個人金融という分野で、非営利という国営の存在意義がこれからますます出てこようというふうに考えております。
基本的には民間の状況も、我々も政府の一機関でございますから日本全体の経済の状況というものとのバランスはよくにらみながらも、なお私どもに要請される国民のニーズというものをよくつかみながら、これからの新しい時代を展望して、新商品、新サービスを積極的に展開をしていきたいという気持ちでございます。
いずれにいたしましても、民間金融機関とは一味違った、国営らしい商品の開発というものに努めて、さすが郵貯であるというような評価で、私どもで働く職員の士気も高まっていこう、このように考えております。それぞれの、官民、立場は違いますけれども、持ち味を生かしながら利用者ニーズに積極的に対応していこう。せっかくの郵便局の、国有の財産というものを国民の皆様に生かしていくように、そういう観点から、これからも商品の開発等について知恵を出してまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/16
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017・荒井広幸
○荒井(広)委員 全くそのとおりだと思います。そのとおりなんですが、この郵政研究所で出した本の中で、九四年に郵政研究所が十一月に実施したアンケートが紹介されています。「家計における金融資産選択に関する調査」というものを行いましたら、なぜ貯金するのかということの最大が「病気、災害、その他不時の出費に備えるため」、その次に四三・三%で「老後の生活に備えるため」というふうに言っているのですね。そして、平均貯蓄目標額は一千八百七十九万四千円である。これは目標です。そして「貯蓄の必要性」については「公的年金だけには頼れないので、老後に備えて貯蓄を増やす必要がある」、こうする世帯が七六・九%あるわけです。
実は大臣、これは非常に大きな問題を含んでいると思うのですね。国のサービスとして、介護、福祉、医療、年金、こういった意味で、十分に皆様方にということもこれは難しいと思いますけれども、我々政治の方にかなり不備があるということもここに言えるわけでございまして、だから、自分の防衛として、自己防衛で、自助で頑張ろうというわけですから、ここに原点があるわけでございます。その原点の、国民の皆さんの要望にこたえるということが、まさにこれは、民間であれ官営であれ、当然に行う責務である。そのときに果たして先導的に、そして貯蓄専門の郵貯でありますから、そういうような性格などを通じてどのようなサービスを提供できるかということは、まさにこれから少子・高齢化の中で新たな意義と新たな分野が求められている。
私は、官と民の補完という言葉を使う方がいますから、その言葉で言うと、官と民と言ったら、民というのは民間金融機関を言っているのです。そうではなくて、今申し上げましたように、国民の民であるはずなのです。民間金融機関のためにやるのではありません。国民の民のためにやるのでありますから、そうした視点で、国民の皆様方が求めていることを政治が十分に行えない反映としてこういったものが求められているということに、我々は真摯に対応していかなければならない、このように考えているわけでございます。
最後、二つだけ質問を残しました。一つは、夫婦年金保険の改善の趣旨が先ほど御説明があったわけですが、今回は、簡保の中で、要介護高齢者の問題に対して、積極的に簡易保険としても今のような趣旨からも取り組むべきであるというふうに私は考えているのですが、現在の取り組みをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/17
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018・天野定功
○天野政府委員 人口の高齢化が急速に進展しておりまして、介護を要するお年寄りの問題が大きな社会問題になっております今日、国営の簡易保険としましても、この問題に適切に対応するために、これまでにも商品やサービスの改善に取り組んできたところでございます。
例えて申しますと、商品面では、昭和六十三年の九月に、一定の要介護状態になった場合に保険金を支払う介護保険金付終身保険を新設し、また平成七年四月には、要介護状態になった場合に年金を割り増して支払う介護割増年金付終身年金保険を新設したところであります。
さらに、加入者福祉面では、平成三年に、寝たきりとなった場合に安心して暮らせるように、看護婦さんや介護福祉士を常時配置して、あるいは車いすのまま入浴できる浴槽などを備えた介護機能つき終身利用型加入者ホーム、私ども、カーサ・デ・かんぽ浦安といっておりますが、そういったものを設置し、平成五年からは、かんぽ健康増進支援事業により、在宅介護技術講習会などを実施したところでございます。本年度の取り組みといたしましては、要介護高齢者向きの加入者福祉施設の設置、介護ボランティアセミナーなど、介護ボランティア活動を支援するプロジェクトを積極的に取り組む予定でございます。
このように、簡易保険といたしましても、今後とも加入者福祉ニーズに対応しました商品・サービスの提供等を通じて、要介護高齢者問題に対しまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/18
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019・荒井広幸
○荒井(広)委員 今御説明をいただきましたけれども、一つ一つ取り上げてみると、ああなるほどな、いやこういうこともやっていただきたいな、こんな話がどんどん出るのだろうと思いますが、役所サイドから説明されると、現場ではいいことをやっているのですが、かえってわかりづらい話になるというようなこともありますので、またPRの方、そして郵便局を通じていろいろな意見を吸い上げて、それをまた反映していただきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
特に、十三兆円の融資があるわけでございますから、そういうものを少子・高齢化の中できちんと使っていく。これは、民を圧迫するのではなくて、こういうふうなある意味で二〇二五年までの、異常事態という表現をすると何か問題があるかもしれませんけれども、特別な状況です。その間には、官と民の競争的共存があっていい。これはまさに日本しかないわけでございまして、こういうことは非常にいいことだなというふうに私は思っているわけでございます、そういう考え方です。そういうことを柱に立てていただきたいと思います。
時間がなくなりましたので、最後に、地方公共団体に融資されて簡保資金が使われているわけですけれども、ぜひとも、従来型の社会資本の整備、生活の向上ということじゃなくて、今後は、特に今申し上げたような福祉インフラ整備のために簡保資金の融資拡大をしていくべきだと強く思いますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/19
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020・天野定功
○天野政府委員 現在ですが、平成七年度末現在、約十三兆円の簡保資金が全国の地方公共団体に融資されておりまして、公営住宅、学校、公園、下水道等、住民の身近な分野に役立たれているわけであります。
現在、人口の高齢化が、先ほど申しましたように、諸外国に例を見ないように急速なテンポで進んでいるわけでありまして、今後は長寿福祉社会の実現に向けた、先生御指摘のような福祉インフラ整備としての高齢者向けの各種福祉施設の整備が特に重要になってくるものと考えております。
私どもとしましては、このような社会福祉分野における地域社会のニーズを全国の郵便局を通じまして把握いたしまして、例えばデイサービスセンター、老人福祉センターなどのインフラの整備のための簡保資金の地方公共団体融資を積極的に行いまして、地域のニーズに沿った形で町づくりに貢献していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/20
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021・荒井広幸
○荒井(広)委員 それでは、なおマルチメディアの方も郵政省やっているわけですから、そのような形でのインフラもあわせて進めていただきますようにお願いをしまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/21
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022・中川昭一
○中川委員長 山崎泉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/22
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023・山崎泉
○山崎(泉)委員 社民党の山崎泉です。日ごろ私が考えておることに対して、まず大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
預金と貯金についてでございます。
一昨年の東京協和、安全両信用組合の経営破綻以来、金融機関の経営破綻が続いております。また、今日的には住専問題など、我が国の経済、金融はなかなか厳しい、難しい状況に陥っております。この大きな原因は、民間の金融機関の多くがバブルに踊って住専向けの不動産関連の融資にのめり込み、多額の不良債権を抱え込んだことにあるというふうに思います。したがって、私どもは、喫緊の課題として、我が国経済の血管とも言える金融システム安定のために必要な措置を講ずるとともに、民間金融機関のあるべき姿について、根本的に立ち返って考え直す必要があるというふうに思います。同時に、民間金融機関と対をなす郵便貯金についても、その根本的なあり方について再認識したいというふうに考えております。
大臣は、郵便貯金は貯金を扱う機関であり、預金を扱う機関とは同列に考えることはできないという考え方を持っておられるというふうに伺っております。そこで、貯金という言葉をキーワードとして、貯金を扱う金融機関として郵便貯金はどのような役割を果たしているのか、またどのような姿勢で事業運営に臨んでおられるのか、大臣のお考え方をお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/23
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024・日野市朗
○日野国務大臣 非常に大きな問題でございます。
預金という言葉と貯金という言葉、二通り使い分けているわけでございますね。銀行なんかの場合は預金というふうに使いますし、郵便局は貯金、農協なんかも貯金。実際、では制度的に使い分けているとすれば、そういった金融資産の呼び名というような感じで使い分けているわけでございますが、そう大きな取り扱い上の違いというものはあるかということになると、私はこれはそう大きな取り扱い上の差はないと思うのでございます。
しかし、私もこうやって考えてみまして、何で我々の先人たちは預金と貯金を使い分けたのかなというふうに思うのでございます。そうすると、やはりそこには、銀行等における預金というものが、間接金融でございますか、そこに集まっていって、そこからさらにいろいろなところに投資されていくという、非常に営利性が強いといいますか、そういうものと、それからつめに火をともすようにして蓄えるというような言葉なんかもありますし、日本人の場合、お金が、できるだけ働いて得た所得は自分たちで貯蓄をするという国民性があるわけでございまして、そういう二つを先人たちは意識されながらやはりこれらの制度をつくっていったのではないかというような感じがいたします。
預金を英語訳で言いますと、デポジット、こう言うわけですね。それから、貯金の場合はセービングズと言っておりますが、デポジットの方は本当の預金でございますけれども、セービングと言う場合は節約とか倹約とか、こういう意味を中に持っておるわけでございまして、一般の庶民が、将来のために、老後のためにということで一生懸命、本当につめに火をともすようにして蓄えたもの、それを郵便局の方でお預かりをして、そしてこれを堅実な運用をしていくということではないのか。いわば庶民のたんすがわりとでもいいますか、そういうふうにして貯蓄をお手伝いをしているのだというふうに私は思います。
でありますから、貯金をお預かりしている郵便局としては、これはあだやおろそかに扱えるものではございません。これは本当に、そういう庶民の方々の気持ちを大切にしながら、いろいろな、お預かりするについても、全国津々浦々の郵便局を通じて、貯蓄手段というものを全国に公平に提供をするということ、それからその資金についても財政投融資という形で社会資本の整備とか国民生活の向上とかに貢献するような使い方をしているということでございまして、投機性というものは非常に薄い、そしてまた、そのようにやっていいのだと私は考えているわけでございます。
いずれにしても、そういった庶民の皆さんのお金をお預かりするという責任の重さを十分に受けとめながら、庶民感覚、これを忘れることなく今後の事業の運営に当たるべきもの、こう心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/24
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025・山崎泉
○山崎(泉)委員 ありがとうございました。
今のようなお話を聞いておりますと、郵便貯金は、貯金を扱っておる金融機関として、庶民がこつこつとお金を蓄えようとする気持ちにこたえて、全国あまねく公平に貯蓄手段を提供しておるということになろうかというふうに思うのでありますが、その全国あまねく公平に手段を提供しておる、本当に民間金融機関ではできない店舗と申しますか、山間僻地まで郵便局は配置をしておるわけであります。預金として資金を集め、そしてバブル期にリスクの高い投資につき込んで失敗した民間機関と違って、郵便貯金が貯金という言葉の意味を踏まえた堅実な運営を今行っておる、今後も行っていくという趣旨の大臣からのお話がありました。ぜひそういうふうにして頑張っていただきたい。私どもも現場ではそういうふうにして頑張ってきたということをつけ加えておきたいというふうに思います。
いずれにしましても、郵便貯金と民間の金融機関は、一見同じような業務を行っているように見えますが、実は貯金と預金という言葉の違いに代表されますように、その制度運営姿勢は大きく異なっておるわけであります。したがいまして、民間金融機関にない役割を郵便貯金が果たす存在として、今後もますます御努力をしていただきたいというふうに思います。
大臣はフランス語がお上手だという話も聞いておりまして、今何か横文字を言われました。そしてさっと書きましたが、私は発言が下手ですから言いませんが、確かに貯金というのは節約、倹約、そして一方の預金というのは、語源を調べてみると、リスクが伴う、危険が伴うということでございますから、趣旨が全く違うということでございます。そういう本来の言葉の意味も踏まえまして、大臣を先頭に、郵政省が一生懸命、郵政省としての置かれた立場をしっかりと今後とも貫いていただきたい、こういうことを要望として申し上げておきたいというふうに思います。
大臣、ありがとうございました。今参議院が行われておりますから、後は大臣の御自由に、退席なりされてください。
郵政省の方にお聞きをしますが、その意味においても、今回提出をされておるいわゆる災害ボランティア口座、極めて郵便貯金の本質的な性格からして、また時宜にかなったものであるというふうに私は考えております。
我が国においては、これまで政府主導、集権型、企業中心の社会構造が経済発展を進める上で大きな成果をおさめてきました。近年においては、規制緩和、地方分権等への取り組みや労働時間の短縮など、市民が社会をみずから構築をしていくための枠組みづくりが始まり、個人、企業、ボランティア団体において、その意識や姿勢の変化、社会活動の活発化など、自覚と責任を基盤とした市民社会が今動き始めております。特に、先ほどの荒井委員も申しておりましたが、昨年一月の阪神・淡路大震災、本当に多くのボランティア団体の活動が高く評価をされました。こうした国民の善意が大きなうねりとなってボランティア活動が活発化することは、我が国がより活力があり、豊かで安心できる社会を構築していく上で必要なものであるというふうに考えます。
さきの本会議での質問の中に、ボランティア行政全体に関する戦略・理念、ボランティアの基本的な法的位置づけを欠いたまま一省庁の施策は突出して実施されるべきでないという趣旨の発言を私はお聞きをしました。私は、ボランティアの支援、ボランティア活動の促進のための施策については、政府が一元的に行うのでなく、個人や企業も含めた社会全体で取り組んでいくことが必要であり、また地域社会に根差した対応が必要となることから、地方公共団体の役割も大きく、多元的な取り組みが必要である、こういうふうに考えております。
災害ボランティア団体に対する支援策として、この災害ボランティア口座を郵政省が先行して行うという理由を、大方私自身もわかっておるつもりでありますが、再度改めてその理由を郵政省からお聞きをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/25
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026・木村強
○木村政府委員 先生御指摘のとおり、ボランティアの支援、ボランティア活動の促進のための施策につきましては、政府だけが一元的に行うのではなく、各地方公共団体や個人、企業も含めた社会全体で、それぞれの特質を生かした方法により多元的に取り組んでいくことが望ましいというお考えにつきましては、全く同感でございます。
この災害ボランティア口座につきましても、このような観点から、非常災害時におきましてボランティア団体に対して国民の善意を広範囲にかつ同時に募るという要請、国民のニーズが非常に強うございまして、そういった要請にこたえるために、郵政省の所掌の範囲で、郵便局が津々浦々にございます、こういった特質を生かそう、ネットワークの特質だと。あるいは、郵便局というのは税務署だとか警察署とは違って権力的色彩のない公共的な役所でございます。そういった郵便局のネットワークなり性格というものを生かしてやろう。それからまた、我々は独立採算で事業を営んでおりまして、一生懸命職員が汗水を垂らして得た利益というものは積立金としてこれは預金者に還元をしよう。そこに還元をするために汗水を垂らしておるということでございますので、こういった企業努力の範囲内でできて、しかも国民の皆様のニーズにこたえられる、国民の財産をうまく活用しようじゃないか、こういうニーズが目の前にあるということでございましたので、私どもは、そういった国民の皆様のニーズというものにこたえよう、こたえられる仕組みは郵政省として何かあるのかなということで知恵を絞ったということでございまして、そういった国民の善意の皆様とボランティア団体との間に立って橋渡しを行っていこう、こういう役割が果たせるということでこのような提案をさしていただいたわけであります。
また、先行実施だということにつきましては、そういうニーズが目の前にあるわけですから、我々はやはり行政であります、一歩一歩、一つ一つできることを積み重ねていこうという気持ちで、現実に、世の中に、動かしていくあるいは期待にこたえていくという役割、国民からの負託というものがあるわけですから、これにこたえていくためには、郵政省が先行したというようなことではなくて、これはもう政府全体として意識統一をして、ここに本法案を提案さしていただいておるわけでありますから、全体の中で公助、自助、共助と、それぞれの役割でできるところから解決に持っていこうということで、このような一つ一つの積み重ねが全体としてのこれからの問題にも一つの前進を見るんではないかということで、私どものできる範囲で精いっぱい立場を踏まえてやっていこうというのが今回私どもが提案さしていただきました趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/26
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027・山崎泉
○山崎(泉)委員 今の答弁にありますように、私はそういう姿勢というのは非常に重要なことだというふうに考えております。大賛成であります。
そこで、国民にとって今身近な、そして大きな問題として考えなければいけないテーマとしては、高齢化の進展に伴って派生する介護の問題があります。これについては、マスコミ、テレビ、新聞、特集を組んでないという日がないぐらいあります。近年、我が国の国民の平均寿命は飛躍的に伸びてあるのはもう御案内のとおりでありまして、そしてまた、少子化も進展をしております。これまで考えられなかった高齢者介護という新たな問題を惹起しております。六十歳代の子供が八十歳代の親の介護に当たるという、高齢者が高齢者を介護するといった日本の社会の現状が今現実に生まれております。
現在、公的介護保険の導入など新たな高齢者支援システムについての議論が盛んにされておるわけでありますが、簡保の方にお聞きをしたいんでありますが、高齢化社会を踏まえた今、簡保事業のこれまでの取り組み、今後どういうふうなことに取り組んでいくのか、先ほどもお答えあったみたいでございますが、再度お答え願いたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/27
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028・天野定功
○天野政府委員 先生ただいま御指摘のように、我が国では人口の高齢化が世界の例を見ないようなスピードで進展しておりまして、この高齢化の進展に伴いましてひとり暮らしの高齢者の数が二百万人を超えるなど、大変老後の生活に対する収入面での不安も増大しております。これからの本格的な高齢化社会におきましては、ゆとりある老後の生活を送るためには、公的保障だけでは十分ではなく、国民一人一人の自助努力が必要不可欠になっております。
このため、自助努力を支援する手段としての生命保険、個人年金サービスを国民に広く提供するという簡易保険の役割がますます重要になってきていると認識いたしているところであります。
簡易保険といたしましても、国民の自助努力を支援する観点から、高齢化に対応しました商品・サービスの提供をいたしているときではありまして、具体的には、介護機能つき終身利用型加入者ホーム、いわゆるカーサ・デ・かんぽの開設、かんぽ健康増進支援事業の実施、さらに、介護割増年金付終身年金保険の創設などを行っているところでございます。
今回の夫婦年金保険の改善も、夫婦の一方が亡くなり、ひとり暮らしになった場合の収入減に対応できますように、国民の自助努力による老後の生活設計の支援を図ろうとするものでありまして、まさに高齢化の進展を踏まえた法改正であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/28
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029・山崎泉
○山崎(泉)委員 夫婦年金保険の改善、本当に私は、今の高齢化社会に対応した一つの事業としての大きな位置づけであるというふうに理解をしておりまして、ぜひまたこれ、郵政事業としてこつこつと、一つ一つニーズに合ったような施策を実施をしていっていただきたいというふうに思います。
そこで、もう一点お伺いをします。
生命保険というのはいわゆる公的保障の補完のための自助努力、こういう位置づけ。それで、これを見てみると、世帯平均払込保険料は六十三万八千円です。所得控除額が現在最高で五万円です。生命保険料控除の所得控除限度額は、昭和四十九年、現行の限度額に引き上げられて以来二十数年間据え置き。こういう状況を考えると、私は、昨年、非常に税制の問題でいろいろな動きがありましたが、この生命保険料の控除というのは高齢化社会に向けて自助をサポートする唯一の制度である、したがって、堅持または拡充、拡大すべきであるという考え方に立つわけでありますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/29
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030・天野定功
○天野政府委員 高齢化の進展に伴いまして、任意の生命保険あるいは個人年金が、必ずしも十分でない公的保障を補完しまして、老後の暮らしの安定を図るための自助努力手段としてますます重要になってきているというふうに認識しております。
このように、国といたしましても、国民各自の自助努力を期待せざるを得ない状況にある中で、先生御指摘のように、現行の生命保険料控除は、国民の暮らしの安定のための自助努力を国がサポートする唯一の税制でございます。
しかしながら、現状においては控除額は低い水準に据え置かれているところでございます。
平成八年度税制改正に関する政府内及び与党内の御審議では、当制度の見直しの論議があったとも聞いておるところでございますけれども、国民の自助努力を支援する当制度の充実こそが重要であるというふうに考えておりまして、私どもは今後とも関係方面に御理解を得るよういろいろ努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/30
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031・山崎泉
○山崎(泉)委員 私もサラリーマン時代には本当にこの五万円というのが楽しみで、そしてやはり生活の糧になったというふうに自分自身の生活の実態からそう受けとめております。ぜひ五万円は十万円、こういうふうに郵政省としても努力をしていかなければならないし、私も議員の一人としてそういう方向に頑張っていきたいというふうに考えます。
もう一点、簡保事業についてお伺いをします。
高齢の加入者を初めとして、多くの参加者による地域活動を支援すべきと考えるが、現在実施をしておるかんぽ健康増進支援事業の現状と新たな展開についてどのようにお考えなのか、お考え方をお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/31
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032・天野定功
○天野政府委員 かんぽ健康増進支援事業についてお尋ねでございますが、この制度は、我が国の急速な高齢化社会の進展に伴う国民の健康への関心の高まりを踏まえまして、平成五年度に簡易保険の加入者福祉活動の一環として開始したものでございます。
具体的な制度の中身は、財団法人簡易保険加入者協会が実施いたします加入者の健康の保持、増進のための健康づくり事業、成人病等予防事業、介護支援事業の三分野のプロジェクトに対しまして、簡易保険福祉事業団を通じて助成金を支給するものでございます。
事業開始以来、プロジェクトの件数、参加者ともに年々増加してまいりまして、平成七年度には一万件を超えるプロジェクトに総額十八億円の助成を行い、約二百万人の参加を見ているところでございます。本年度におきましては、近年におけるボランティア活動、高齢者介護に対する関心の高まりを背景といたしまして、介護のボランティア活動を支援するプロジェクトに積極的に取り組んでいきたいと考えております。
具体的には、全国にモデル地域を十二カ所指定しまして、先ほどの簡易保険加入者協会、郵便局及び社会福祉協議会などと連携を図りまして、在宅介護教室、介護ボランティアセミナーなど、各種プロジェクトを実施することといたしております。
今後とも、町内会などの地元各種支援団体と連携を図りまして、地域に密着した草の根のプロジェクトの支援を行うことによりまして、加入者の健康増進にお役に立つとともに、あわせて、地域社会の活性化にも貢献してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/32
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033・山崎泉
○山崎(泉)委員 最後に一点だけ簡単にお伺いをしますが、民間生保で今回の夫婦年金保険と同様なものが発売をされておるのか、民間の状況も踏まえまして御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/33
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034・天野定功
○天野政府委員 民間生保におきましては、夫婦の一方に万一のことがあった場合の配偶者に年金を支払う仕組みといたしてましては、類似の商品を発売している会社があると承知しております。しかしながら、民間生保の商品を子細に見ますと、単品の商品でなく、年金に特約として付加するもの、それから、保険料払い込み期間中に夫婦の一方が死亡した場合に年金を支払うものでありまして、働き盛りの被保険者が主たる対象となっている。さらに、年金の支払いは終身でなく一定期間に限られているといったようなことから、私どもの新タイプの夫婦年金保険とはその性格、内容が異なるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/34
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035・山崎泉
○山崎(泉)委員 いろいろな新商品なり制度改正をすると、すぐに官が民の圧迫だというようないろいろな御指摘を受けるというパターンが繰り返されておるわけでありますが、今のような夫婦年金保険の制度の比較を見ても、郵政省が先取りをしたと言えば先取りかもしれませんが、民間生保でできない部分を郵政省が補完をしておるというふうな考え方を私は持っておるわけでありまして、どうぞそういう意味で、補完という立場の中で、民業圧迫をしない、そういう姿勢を持ちながら、今後、いろいろなことを言われておる少子・高齢化社会に対して、貯金事業も保険事業も郵便事業も全力を挙げて国民の皆さんにサービスをあまねく公平に提供されていくように御努力を願いたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/35
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036・中川昭一
○中川委員長 午前十一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時六分休憩
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午前十一時四十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/36
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037・中川昭一
○中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。遠藤乙彦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/37
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038・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 郵政三法の質疑に入る前に、大臣に一つお伺いをしたい件があります。
それは、先回五月三十日の逓信委員会、TBSの参考人質疑のあったときのことでございますけれども、与党の委員の方から、放送における政治的公平の問題ということで、一般論として問題提起がありました。これに対して大臣の方は、あえて固有名詞を出して、TBSの「ブロードキャスター」に岩國哲人さんが出演をしたことに触れまして、非常に厳しい言葉でこれを批判をされたわけであります。若干その大臣の言葉を使いますと、大臣は、ビデオ自身をみずから見たという前提のもとに、「やはりこれは非常に問題が多いと思います。」さらには、「これは著しく政治的な公平を欠くと思います。」また、「私は、極めて遺憾なことであった、こう思っております。」こういう大変非常に厳しい言葉を使って非難をされております。
実はこれは、大臣の発言は、私ども会議録を取り寄せまして精査をいたしましたが、これは、率直に言って極めて異例の事態、異常な事態であると私たちは受けとめておりまして、ゆゆしき問題であると考えております。
そこで、まず大臣に見解を求めたいわけでございますけれども、このように、非常に問題が多い、著しく政治的公平を欠く、極めて遺憾であると発言をされておりますが、具体的にこの番組のどの部分がそういったことに触れている、そう考えておられるのか、放送法のどこに照らして具体的に問題があるのか、遺憾に思うのか。この点をぜひ具体的に御指摘いただき、説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/38
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039・日野市朗
○日野国務大臣 放送法は、放送番組が政治的に公平であることを求めているわけでございます。放送事業者が政治上の諸問題を取り扱う場合においては、どの党を取り扱うにしても、不偏不党という立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、いろいろな意見を取り上げて放送番組全体としてのバランスをとる必要があるという趣旨を私は申し上げたつもりなのでございます。放送事業者においても、そのようなことは十分に認識をして報道に当たってほしいという旨、これは放送事業者に対して私の方としてはお話をしているつもりでございます。
具体的に、特定の番組について、これが放送法違反ということを私が考えて、そして発言を行ったつもりはございません。私は、かねていろいろなところでも申し上げているわけでありますが、放送事業者においては、表現の自由というものを重く受けとめてもらいたい、そして、この放送法違反とかなんとかいうことのないように、自分みずから襟を正して放送に当たってほしいということを私としては申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/39
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040・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 いや、今のは、質問の答えになっていないと思うのでございます。
私は、この政治的公平とは当然の前提として、各局ともそれぞれの方針を持って臨んでいるわけでございまして、今回の「ブロードキャスター」につきましても、TBSとして独自の判断の上から問題ないということでこれをやったと説明をしておりますし、私どももそのように感じております。
しかしながら、やはり大臣が、非常に問題が多い、著しく政治的公平を欠く、極めて遺憾なこと、これほど強い調子で、強い表現で言う以上は、当然具体的な事実があって判断すべきであって、単なる漠然とした印象で物を言うのかということを申し上げたいのです。ぜひとも具体的に、どこがこういった問題点に当たるのか、どこが遺憾なのか、明確にこれは指摘していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/40
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041・日野市朗
○日野国務大臣 先ほど申し上げましたように、私の発言というものは放送事業者に対して向けられたものでございます。私は、番組の内容の一つ一つ、それを取り上げたつもりはございませんで、公平を欠いているかどうかということは、つまり出演をさせたかどうかという一事にかかっているわけでございまして、その内容、放送の内容の一つ一つを私は問題にしているつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/41
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042・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 要するに大臣は具体的にテレビを見て判断されたわけでございまして、という以上は、当然、具体的にどの部分が問題で、放送法のどこに、あるいは具体的にどういう基準に照らして問題であるという、そういった具体的事実なしにそういうことをおっしゃるとすれば、これは非常にまた問題であると思うわけなのです。大臣の立場にある方が、こういう一般的印象だけで、漠然とした印象でこういう極めて重大な発言をされることは、むしろ極めてゆゆしき事態、そのこと自体が問題であり、極めて遺憾であると思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/42
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043・日野市朗
○日野国務大臣 番組を、私、確かにビデオでは見させていただきました。
いろいろ政治家の方がテレビに出演されることはあると思うのですよ。そのときは、やはり政治的なテーマ性を持って出演をするわけでございますね。私も、それは、テレビに出させていただいて、テーマ性を持っていろいろ討論をしたり、私なりのコメントを申し上げるということは過去にもあったことでございます。
私は、番組の中で、ではテーマ性があの番組の中で貫かれていたかといえば、そのほかにもいろいろ話題がありまして、いろいろな話題を述べているわけでございまして、一般の政治家はテレビに出していただいてそういう話題についてそれを話させていただけるかというと、そうは実はいっていないわけでございますね。私は、国会議員といえども、かなり皆さんすぐれた見識をお持ちなのであって、テレビや何かでもどんどん出て、そして自分の、政治の問題に限らずいろいろな問題についてお話をする機会が与えられていれば、私はこうは申し上げないのでありますが、やはりそうではないのでございまして、当日の番組を拝見している限りでは、自分が奥さんに対してどう考えているかとか、歌手の方の、松田聖子さんですかな、についてどう思うかなどという発言までやっておられるわけでございますね。
私は、それはそれなりに、岩國さんがお話しになった内容、それは岩國さんの見識をお示しになった、それは内容としては立派な内容だったと思っているのです。ただ、問題は、ほかの人がそう扱ってもらえないようなところにそういう方を出して、そしてそういう扱いをされたという、その放送事業者に対しての私は物を言っているわけでございまして、各党派であるとか各個人であるとか、そういうことを問題にしているわけではないのでございます。そこはひとつ御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/43
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044・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 政治家の中でも、本当に普通の人と、非常にタレント性のある人もいるわけでして、タレント議員と言われる人もおりますし、またその人自身が非常に話題性のある存在という人も多々いるわけで、そういった方々は、普通の議員とは別に、かなり頻繁にテレビに登場することはあるわけであって、一々それを、放送法で照らして問題があるとか、政治的に偏っていると言うことはおかしいのだと思うのですね。例えば松田聖子についてコメントすることがなぜ政治的公平を欠くのかということも今あるわけでございますけれども。
ちょっと大臣の今のお答えを聞いても、大臣がここで、非常に問題が多い、著しく政治的公平を欠く、極めて遺憾であるといった表現をされたことに当たる具体的事実はない。極めて一般的な印象に基づいて、あるいは若干ひがみっぽく言ったのではないかと勘ぐればとれるわけでございまして、要するに、大臣の今の御答弁からうかがうにしても、そういった具体的な事実、放送法のどこに抵触するかということはやはり言えないということがわかるわけでございます。極めてこれは問題が多いと私は考えるわけでございまして、いずれにしても、大臣の発言は極めて漠然とした印象で物を言ったとしか私には受けとめられませんので、この点はまずそういうふうに理解をしておきます。
続いて、それでは今のことを前提としまして、大臣がこういう発言を公式の場ですることが適切かどうかという点を問題にしたいと思います。
私としては、委員の方がこういう問題提起をされるのは、それは自由だと思います。それはもうお互いさまでございますし、別にどの政党に属しているからということはない、別に構わないわけでございますが、大臣というのは極めて重要な立場にあるわけです。特に、放送法に基づいて、放送法に違反した場合にはこれを処分する権限を持った人物でございますし、しかも、これの発言を行った場がTBSのオウムのビデオ問題に関連して参考人質疑をやっている場であって、いわば悪乗りする形でTBSの番組を厳しく批判したということは非常に問題がある。これは、大臣が、個人的発言と後ほど修正をされておりますが、個人的発言といっても、それはあくまで大臣の言葉で発言したことに変わりはないわけであって、大臣がそういう立場をわきまえずしたということは非常に問題がある。特に、大臣の主観的意図は別として、大臣がこういった発言をされることは、関係当事者にとってみれば、これはあくまで権力をバックにした威嚇であり、おどしであるというふうに受けとめるわけであって、当然その後の行動に影響があることは間違いないわけです。
したがいまして、我々、このTBSの問題を議論するにしても、大変神経を使いました、はっきり言いまして。報道の自由あるいは言論の自由という民主主義社会の基本ルールに対して国家権力が介入することがないように、またそういった印象すらも与えることがないようにということで、大変実は気を使って審議したつもりでございまして、これは各党とも共通した立場だと思っております。それなのに大臣がこういった発言をされることは、まさにこのこと自体が大変問題があり、政治的公平を欠き、極めて遺憾であると思うわけでございまして、ぜひ大臣に、この場で、行き過ぎがあったということで陳謝をしていただきたい、強くこのことを要求したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/44
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045・日野市朗
○日野国務大臣 放送というものが非常に大きな社会的影響力を持つということは、共通の認識であろうかと思います。特に、選挙に影響を与える可能性のある問題につきましては、どの党を扱うにしても、またどの個人を扱うにしても、特に慎重な対応が必要であるという趣旨を述べたのでございまして、五月二十二日の本委員会で指摘のあった番組を一例として、私の個人的な感想を述べさせていただいたわけであります。前回の本委員会においても、誤解を避けるために、念のために、政治家としての発言である旨を追加答弁をしたつもりでございまして、大臣の立場として個別の番組を批判したというつもりは、実は私には全くございません。国会の場で個人的な意見を述べたということで、誤解を招いて行き過ぎ発言と受けとめられたとすれば、私は今も申し上げたとおり、私の本意ではないのでございますが、私自身を遺憾だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/45
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046・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 いや、大臣が個人的意見と言っても、これはあくまで大臣の発言なんです、どこまで行ったって。逓信委員会でやっているわけですからね。しかも、大臣の答弁であり、またTBSの参考人招致の場でやっているわけですから、これは大変重大な意味を持つことは、大臣、自覚して当然だと思うのですよね。言論の自由、報道の自由という民主主義社会の基本的権利に対して大臣の政治的な感覚を疑うような発言だと私は思うわけでございまして、これは、大臣のそういった陳謝というものをぜひとも要求したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/46
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047・日野市朗
○日野国務大臣 大臣と政治家ということになりますと、これは、では大臣の発言というのは省内におけるちゃんとした合意が得られているかとか、いろいろこれはニュアンスがあるわけでございまして、私も政治家の一人として、いろいろこの放送の問題について、特に政治と報道の問題についてはいろいろ考えるところもございましてあのような発言をいたしましたが、私の意図するところ、これはあくまでも放送事業者が自発的に襟を正してもらいたいということで申し上げたつもりでございますが、そういう誤解を与えたとすれば、私自身も遺憾と思いますので、ひとつその点は私の立場を御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/47
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048・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 大変不十分な答弁だと思いますけれども、大臣の御発言は、趣旨はわかります。反省の気持ちがにじみ出ていることは理解をするわけでございますけれども、ただ、既に述べたことは、これは覆せないのです。これはどう読んだって極めて問題発言ですよ。非常に問題が多い。著しく政治的公平を欠く。極めて遺憾である。しかも、その言われた場がTBSの参考人招致の場ですからね。これは極めて重大だと思います。
私も、大臣が個人的意見を言ってはいけないということは申しません。ただ、それも時と場合による、ケース・バイ・ケースによるわけでございまして、こういう場において、こういう極めてデリケートな問題についてこういう発言をすることは著しく行き過ぎたものであって、これはやはり我々としては承服できない、そのように考えるわけでして、ちょっと大臣のそういうまだ不十分な答弁では納得できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/48
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049・中川昭一
○中川委員長 ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/49
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050・中川昭一
○中川委員長 速記を起こしてください。
遠藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/50
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051・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 それでは、後ほど理事会協議ということになったわけですので、本題に入って質問を続けたいと思います。
きょうは、郵政三法が議題になっております。いずれも国民生活には大変重要な案件でございまして、基本的には私ども、これに賛成の立場で質疑を進めたいと思っております。
まず、郵貯の関係でございますが、郵貯は現在二百兆を超える巨額の額になっております。絶対水準においても、またシェアにおいても非常に大きな額でございまして、民間の金融資産が一千兆を超えたと言われておりまして、そういったことからしますと、概算二割が郵貯に集まっておるわけでございまして、この郵貯の動向というのは、これは民間にとっては大変大きな関心事項であることは間違いないわけでございます。一般の国民にとってみれば、この郵貯というのは非常に信頼性の高い庶民の金融機関であるとともに、他方の、非常に今金融危機になっておりまして、中小の金融機関にとっては、郵貯の動向というのは大変気になるところでございます。
昨今、特にこの郵貯にお金が集まり過ぎているといった声も聞かれるわけでございますけれども、まず第一点として、残高二百兆円を超えた郵貯、その規模について郵政省としてはどのように考えておられるか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/51
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052・木村強
○木村政府委員 お答えをいたします。
日本経済の発展に伴いまして、今先生御指摘のとおり、個人貯蓄は年々増加をいたしております。現在は約一千兆円の時代だというふうになっております。
この中で郵便貯金が二百兆円を超したということでございますけれども、この数字自体も、そういった日本経済の発展の中の個人貯蓄の分野という全体の大きな流れの中で受けとめられるべきものだというふうに認識をいたしております。
この十年を振り返りますと、個人貯蓄、まあ郵便貯金、民間預貯金等でございますけれども、全体にその残高はおおむね二倍ということで増加をしております。十年前は約五百兆でございましたが、今一千兆、こういうことでございます。
その間、個人貯蓄に占める郵便貯金のシェアも、十年前には百兆ということでございましたが、二百兆になりましたということで、この二割というシェア自体もほぼ安定的な形で推移をしておるということでございます。二百兆円という郵便貯金の数字も、個人貯蓄全体が伸びる中で、日本経済の発展にあわせて安定的に成長してきた結果であるというふうに数字の面からはとらえられると思います。
この二百兆円も、確かに大きな数字でありますけれども、これは国民の皆様が、病気や老後の生活に備えまして長い年月をかけて一つ一つ積み重ねられた貯蓄の結果でございまして、国民の郵便貯金に対する信頼の積み重ねという側面からもこの二百兆円というのは見てとれるのではないかというふうに考えております。
私どもは、このように全体の中での二割のシェア、これからの経済の発展に伴って、民間金融機関の動向あるいは個人の貯蓄に対する選好性、こういったものの動向もよく見ながら、バランス感覚もよく受けとめて、官営である郵便貯金という役割に思いをいたして、これからも事業運営を慎重に取り計らってまいりたい、このように考えております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/52
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053・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 続いて、資金のシフトの件について伺いたいのです。
新聞報道等によりますれば、一部の民間金融機関の経営破綻等による信用不安とか、あるいはまた住専の処理が農協系金融機関に及ぼす影響を懸念してかと思いますけれども、第二地銀とか農協等から預金が郵貯にシフトしているのではないかといった見方もあるようでございますが、この点につきまして、どういう状況なのかお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/53
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054・木村強
○木村政府委員 個人貯蓄に占めます郵便貯金のシェアというのは、今申し上げましたように、相対的にはこの十年間、二割程度ということで、ほぼ安定的に一定の形で推移をしております。
郵便貯金の残高をこの平成七年度末で見ますと二百十二兆九千九百五十七億円ということで、対前年比一〇七・九%の伸びということでございます。
この伸び率でありますけれども、これは昨今の民間の金融関係におきます混乱等の中ではありますけれども、ことしの対前年比一〇七・九というのは、昨年、一昨年、これも七%台の伸びが続いておりまして、特にことしこの傾向に異変を来したということではございません。安定的に推移をしておるということでございます。
直近の数字で、五月末の残高につきましても対前年同期比で見ましたけれども、昨日記者クラブで私ども発表させていただきました数字でありますけれども、この五月末、本当の直近の数字を見ましても、対前年同期比一〇七・八%ということで、安定した形ということだろうと思います。
ただ、内容は、通常貯金、最近の超低金利下というものを反映いたしまして、郵貯のメーン商品は定額貯金ということでありますけれども、この伸びは対前年比一〇〇%を切っておりまして、むしろ通常貯金という流動性の高いものに選好されておるということで、これは、通常の金融機関の選好と郵便貯金が特別変わった動きにあるというふうには見ておりません。
郵便貯金にシフトというお話もよく聞かれるわけでありますけれども、直近のデータはまだ民間金融機関の方で出ておりませんけれども、少なくとも平成七年の四月から十二月までの間のデータを日銀等の公表された数字で見ます限り、まず増加が顕著であるというのが都市銀行であります。それから外貨建て外債、まあ円安が一つの要因にもなっておりますけれども、比較的金利が高いということで外貨建て外債、それから公社債投資信託、現金、たんす預金といいますか現金で持つといったような分野の伸び率が非常に顕著であります。これがまず第一番で、伸び率の顕著な分野でありまして、その次に郵便貯金が安定的に推移しておる、こういうランクになりまして、二番目に今先生御指摘ございました地方銀行、第二地銀あるいは信用金庫、農漁協等が来るわけでありますけれども、これも増加はしておるわけです。ただ、伸びが、これまでよりもその伸び率は鈍化をしておるということで、いずれにいたしましても、伸びておるということには間違いございません。
それから、信託とか公社債、これは減少いたしておりまして、特に信託のビッグであるとか、それから公社債関係のワイドであるとか、これは五年前の集中満期が昨年の年末に来ましたものですから、それでがたっと引きおろされたというようなことで減少いたしております。
当然、信用組合も減少いたしておりますが、これはコスモとか木津、両信組の経営破綻が相当程度影響しているものだろうということで、木津信用組合の場合にも一千万を超える大口というのが七七%あったということでございまして、郵貯は一千万未満の小口でございますから、信用組合のお金が減ったのも、大口の預金が引き出されて減った、このように私ども受けとめております。
いずれにいたしましても、私どもとしましては、自由化が進展をいたしておりまして、国民の皆様が貯蓄に対する選好性を非常に高めておられる、多種多様な分野に、商品もどんどん開発されておりまして、単に郵便貯金であるとか銀行という分野だけではなくて、個人貯蓄、個人金融資産というのは、保険の分野もございますし、株の分野もございますし、いろいろな分野が多様に広がっております。
こういった中に選好性を求めて選択をされておるということで、最近の金融機関の混乱状況を反映して、郵貯のみにどかっと来ておるということではなくて、まあ雪が降り積もると言ってもよかろうかと思いますけれども、多様な分野に冷静に、均等に降り注ぐように各分野に金融資産が移っておる、こういうことだろう、このように考えております。
したがって、この最近の状況を反映して、郵貯に特にどかっと集まっておるということではなかろうというふうに判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/54
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055・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 最近、全銀協などからの公的金融の縮小とか郵貯の民営化といったことを提言した報告書が出ていることは御存じと思いますけれども、私も、いわゆる民業圧迫論というのは必ずしもよくわからない点もあるわけなのですが、郵政省としては、こういった報告書につきましてどのように理解し、考えているのか、郵政省の見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/55
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056・木村強
○木村政府委員 民業圧迫という言葉が一部のところからちらちらと、これはこれまでにも出てきておったお話でありますけれども、今申し上げましたように、シェアの分野におきましても郵貯が民業を殊さら圧迫しておるという状況ではなかろうというのが一つの認識であります。
それから、業務純益といいますか、民間の利益の分野でも、民間の利益が非常に減って郵貯の利益が伸びたということでもなくて、むしろ民間の最近の超低金利下を反映いたしまして業務純益が非常に大きいということも新聞等でも報告されておるところでありまして、そういった収益面でも、特に民間が郵貯に圧迫を受けておるという、我々が民業を圧迫しておるというような事実関係はなかろうというふうに考えております。
私どもも、昨今の状況でありますから、節度と品位を持って、国営郵貯らしく、大臣が先ほどからもお答え申されておりますように、堅実に、やはり貯金という趣旨に照らして事業の経営をしなければいかぬということでございまして、現場の末端職員に至るまで、私どもそういうことをよく頭に入れながらかじ取りに努めておるという現状でございます。
四月、五月、全銀協なりあるいは地銀協から郵貯についての記述をした報告書が公表されておりますけれども、公的金融システム議論全体が取り上げられてきておるというような意味では、一昔前は郵貯だけがけしからぬ、民業圧迫であるというような議論だったのが、金融の仕組み全体について、民間の全銀協であれ地銀協であれ少しおっしゃっているかなという雰囲気は受けますけれども、ただ、郵貯については、特に新しい観点で郵貯の問題を問い詰めておられるということは今回の報告書でもないというふうに見ております。従来から指摘されておるような表現というものが見られております。
ただ、この全銀協、地銀協、確かにいろいろな報告を出されるのは、それぞれの考えでお出しになられると思いますけれども、私どもは、今の事業の経営につきまして、やはり国民の皆様から支持を得ておる、十分しっかりとした信頼を得ておるという気持ちで、職員が一丸となって、誇りを持って、今の金融の混乱期に対しましても郵貯が国営として立ち向かっておりまして、そういう面では、全体の経済が早く立ち直っていくようにという気持ちで、国営郵貯としてもそのような気持ちで毎日取り組んでおるわけでありますので、いたずらに民業圧迫論あるいは郵貯批判論が出てくるということに戸惑いを見せるものであります。そういった方面には我々の考え方なり事実関係をよくお話をいたしまして、これからも我々の仕事についても理解を持っていただけるようにさらに努めてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/56
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057・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 郵貯が節度ある運営をしているということは理解をいたしました。
そこで、ただ、やはりこれほどの金融不安、いつこれが解決するとも言えない、また非常に構造的不況が長引いておりまして、こういった状況において郵貯の果たす役割というのは非常に難しく、また重要な点があるかと思いますので、この郵便貯金が今後果たす意義、役割、これを大臣にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/57
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058・日野市朗
○日野国務大臣 今局長の方からもお話をしましたが、郵便貯金というのは非常に大事な役割を果たしていると思うのでございます。
日本の国民というのは貯蓄性向が非常に強い国民でございまして、私は、これは国民としては一つの美徳であろう、このように実は考えている一人なのでございますが、そういう国民の中にあって、郵便貯金というのは、全国各地に郵便局が二万四千ほどございまして、そこで国民の皆さんが安心してお金を便利に預けられるというふうな形が整っているわけで、そういう国民の皆さんの、老後のためにそれからあすの生活のためにというような貯金を預かっているわけでございまして、私は、これは庶民金融機関としていわばいかりの役割、アンカーでございますね、こういう役割を果たしていると思うのでございます。そして、そういった資金が財政投融資などを通じて民間の金融機関では貸さないようなところにも安定資金として供給をされている、これもまた一つの金融機関の中のいかり、アンカーの役割をしているんだと思うのでございますね。
こうやって社会資本の充実とか国民生活の向上に貢献をしている、これは国営の事業として、小口の個人とか地域の利用者の立場を重んじながら、国民に信頼されて、期待されて、そしてやっているわけでございまして、私は、このような立場をきちんと守りながら適切な事業運営をこれからも進めるべきもの、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/58
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059・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 郵貯への国民の期待は非常に大きいものがあると私も理解をしております。そういった中で、非常に金融不安が問題となり、また構造不況の時代でございますので、ぜひとも利用者のニーズにこたえて大いにその役割を果たすよう、ぜひ郵貯にさらなる期待をしたいと思っております。
そこで、この一部改正の方に入るわけなんですが、要介護者へのこの優遇金利の制度、これは趣旨は結構であると考えております。
ただ、では具体的にどれほど要介護者への支援になるのか、実質的な面を考えますと本当に微々たるものでございまして、特に今の極めて低金利の時代にあっては、ほとんどこれは焼け石に水と言っては何ですけれども、ほとんど実質的効果があるかどうか疑問視されるところでございます。
例えば百万円預けていたとしても、今の状況ですと、優遇金利をもらったとしてもせいぜい数千円の単位でございまして、郵便局にタクシーで行って帰ってくれば終わってしまうというような段階ですから、そういった意味で、これは実質的な支援というよりも、気は心ということで評価をしたいと思っておるわけでございます。
そういったことを前提にしまして、具体的な適用に当たっての問題でございますけれども、この金利の優遇の対象者については、常時に介護を要する者であって、かつ原則としてホームヘルプサービスなどの公的福祉サービスを利用している者というふうになっておりますけれども、ただ、実際のホームヘルプサービスというのは今非常に不足しております、大臣も御承知だと思いますが。また、新ゴールドプランにおきましてもホームヘルパーの増員を計画はしておりますけれども、だれでもこのサービスを簡単に受けられるといった状況でないことは皆さんよく承知しているかと思うわけでございます。他方、大家族でこういった介護をしているケースもあるわけでございまして、多くのこういった要介護者の方は家族からそういったサービスを受けることをむしろ期待する面もあるわけでございまして、そういった面では、この要介護者への優遇金利の運用に当たっては、ぜひとも公平性を確保していくことが大事かと思っております。
その点で、この要介護者の認定方法それから利用者間の公平性の確保について、どういう考えをしておられるのか、郵政省にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/59
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060・木村強
○木村政府委員 定期郵便貯金の金利の優遇等につきまして、これは郵便局で国民の皆様とじかに接するわけでありますから、その手法は簡便に、しかもお役所仕事ではなくて、せっかくの中身でありますから、その趣旨が十分伝わる温かい施策として利用者の方に受けとめられるように、このような形でこれから運用させていただきたい、このように考えております。
まず利用の認定方法でありますけれども、利用申込書を郵便局にお持ちいただきます。そしてあとは、このサービスを受けようとする者が要介護者であることを証明する医師の診断書、この二つが絶対要件でございます。
それから、原則としてホームヘルパー等の公的福祉サービスを利用していることを証明する書類を提出をいただきまして、最終的な認定を速やかにして対応したい、このように考えておりますけれども、今先生おっしゃいましたようなホームヘルプサービスなどの公的福祉サービスを利用していることを一つの条件というふうにいたしましたのは、この施策が、特別な配慮を必要とする方に政策的に一般の方とは違った形で金利を優遇するというものでございますから、関係方面との調整の中で、昨年末我々が概算要求をいたしましたときにはこの項目は入っていなかったのですが、昨年末の関係当局との大臣折衝の過程の中で、やはり福祉の分野に十分なノウハウを持ち、かつ公正な判断を下せる公的機関を関与させるべきではないか、その方が施策の適正な運用を図ることができるのではないかという強い主張がございまして、私どもとしましては、適正な運用という観点からは、なるほどこれも一つの理由であるというふうに判断をいたしまして、このような扱いを提案させていただいたところであります。
しかし、実際にこれを運用する私どもといたしましては、このホームヘルプサービスなどの公的福祉サービスというのを機械的に当てはめますと、先生御指摘のとおり、この公的福祉サービスの状況につきましては、例えば地方公共団体間におきましては、この実施の状況とか内容に大きな差がございます。それから、同じ地方公共団体と申し上げましても、離島と本土といった、同じ地方公共団体の中でも地域によっては格差があるというような、公的福祉サービスの提供状況が本当にまちまちである、こういう実態。
それから、先生これも御指摘ございましたように、家族介護をしている、家の中で介護をしておるといったような方は何も公的なサービスを受けなくてもいいじゃないか、むしろそれが本当の実態だろう、まだ今のところは。そういう雰囲気もございます。こういうことの場合には、家族介護を一生懸命やられて、しかも公的福祉サービスを受けていないという理由から我々の要介護のサービスが受けられないということではちょっと不公平だなというようなこともございますので、形式的に公的福祉サービスの利用を要件とするということは必ずしも適切でないというふうに判断をいたしまして、運用に当たりましては十分弾力的に、例えばこういった公的福祉サービスを受けておられない方であっても、郵便局の人が本当の実態がわかる、あるいは民生委員の方々がこうだよというような話があるとかいうことで、事実関係としてそういう要介護者であるということが判断できれば、これについては柔軟に対応して、血の通ったサービスが提供できるということで考えております。
いずれにいたしましても、運用については、やはり適正な、公平な扱いをしなければなりません。と同様に、運用に当たっては血の通った施策ということで、バランスをとりながら責任を持って運用に努めていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/60
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061・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 今の御説明にありましたように、ぜひともこの公平性の確保、また弾力的な運用、何よりも血の通ったサービス、これが一番この制度で大事な点だと思いますので、もしこの点に欠けますといろいろな批判が出てくると思いますので、これは、いわば最大限の力点を置いて運用に当たっていただきたいことを強く要望しておきます。
さて、この要介護者に対する定期郵便貯金の金利の優遇についての商品性に関してですけれども、平成七年度の郵便局モニターアンケート調査で、郵便貯金に関する商品・サービスの利用状況について見ますと、通常貯金については七八・六%、定額貯金については六二・二%となっておりまして、一方、定期郵便貯金の利用率は一一・七%と非常に低い数字になっております。こういった状況の中で、同じ定期性預貯金である定額郵便貯金をこの制度の対象としなかった理由は何か。非常にこれを不可解に思いますけれども、ぜひこの点につきまして説明を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/61
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062・木村強
○木村政府委員 要介護者に対します金利の優遇の対象となる郵便貯金でありますけれども、これも、当初私ども、概算要求の段階で郵政省として要求を関係当局にいたしました際には、すべての郵便貯金を対象とするということで要求をいたしました。その後、大蔵当局との折衝過程の中で、最終的にはこれは大臣折衝という中で政府部内の調整が図られたわけでありますけれども、今御提案をしておりますように、定期郵便貯金を対象とする措置とするということになったわけであります。
御指摘のとおり、定額郵便貯金は、郵貯残高の約八八%を占める主力商品でございまして、貯金を使っておられる方々が、通常貯金とこの定額貯金が大勢であるということは十分承知をいたしております。しかし、今回の施策につきましては、先ほど来申し上げておりますように、行政として関係方面と調整を図りながら一歩でも二歩でも前進をしていく、目の前のニーズにこたえていくということが私どもの最大の願望でございました。
そういう意味では、流動性の面から見ましても、定期郵便貯金は、預け入れ期間一月から最長四年までございまして、一カ月単位の刻みができるような商品でございます。しかも、金利自由化以降、定期貯金と定額貯金を比較いたしますと、定額貯金は流動性が富んでおるということで金利が低うなってございまして、むしろ定期貯金の方が金利が高いということでございますので、要介護者の方が利用されるとなれば、四年の範囲で定額貯金と流動性についてはそう変わらない商品で、かつ金利は定額より高い定期貯金について対象、加えてこのサービスをスタートさせるということが何よりも大切であろう、このように考えたわけでございまして、商品性の改善その他は、これからのニーズ等もよく見ながら、あるいは民間金融機関の動向等にも配慮しながら、郵貯として今後ともニーズにかなった努力というものはしていく所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/62
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063・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 ぜひとも早急にこの定額郵便貯金を視野に入れて検討していただきたいということを強く要望をしておきます。
次の点ですが、災害ボランティア口座の件でございます。
これは、私自身も大出大臣のときにこの制度を提唱したこともあります。特に、国際ボランティア貯金、非常に好評である、ぜひともこういった考え方を災害にも適用すべきであるということを申し上げた経緯がありまして、当時の大臣からも前向きに検討ということで御返事をいただきまして、その後こういう形で実現したことにつきましては、郵政当局の努力を多とするものでございます。
そこで、改めて大臣に、この災害ボランティア口座の創設を考えた経緯とねらいにつきまして、改めて郵政省側の見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/63
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064・日野市朗
○日野国務大臣 先生からもこのボランティア口座の創設ということについてはいろいろアドバイスをちょうだいしていたということでございますが、さらに具体的にこの作業に取りかかったという経緯を申し上げますと、昨年の阪神・淡路大震災におきまして、被災者を救援するためにいろいろボランティアの方々がお集まりになりまして、非常な活躍をされた。本当に頭の下がるような活躍をされたわけですが、しかし一方で、やはり経済的な基盤が弱いという団体でありますと、せっかくいい仕事をされながらそこから手を引かざるを得ないというようなこともございまして、こういったことを契機に、ボランティア活動の有効性を高める、そのための環境整備というものが政府として取り組むべき課題とされているわけでございます。
また、昨年の二月、先生から、国内のボランティア団体支援のための新たな制度創設という御提案をいただきまして、また一方で、国際ボランティア貯金の配分を受けているボランティア団体からも、国内で発生した非常災害時におけるボランティア活動についても支援の措置をとってもらいたい、こういう御要請もございました。さらに、郵便局には、阪神・淡路大震災で被災者の救援活動を行うボランティア団体に対して寄附をしたい、しかしどうやったらいいかわからぬという方々もいっぱいおられたわけでございますね。
もう郵政省というのは全国津々浦々に郵便局を持っておりまして、そういうときには、やはりここは郵便局が活動しなくちゃいかぬ場だ、こういう感じもするわけでございまして、そういった状況を踏まえて、寄附者の善意、これをボランティア団体に速やかに伝えることができる方法として、郵便振替口座を利用した仕組みでこの災害ボランティア口座を創設しようということで、現在ここまで仕事を詰めてまいりまして、法案の御審議をお願いしているところでございます。
この制度の実施が大規模な非常災害発生時におけるボランティア団体の活動の活性化、そしてそれに伴う被災者の救援活動の充実につながるものと大いに期待をしておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/64
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065・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 質問時間もちょっと限られておりますので、絞って質問していきたいのですが、このボランティア口座の話ですが、今回は災害を対象にしていただいたわけですけれども、ボランティア団体は、非常に有益な活動を幅広くやっております。したがいまして、将来的にはその配分の対象を災害時以外の場合にも拡大すべきだろう、当然こういった意見があると思います。私も、ぜひその方向で検討してもらいたいと思っておりますけれども、この点につきましてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/65
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066・木村強
○木村政府委員 今回の災害ボランティア口座は、災害時だということで対象が限定をされておる、ここからまず始めようということであります。先生今御指摘ありましたように、国内におきますボランティア活動全般に対しましてこれからこういった制度を設けるべきではないかということは、当然これからの私どもの課題にはなろうというふうに考えますけれども、現在、この災害以外の問題についての取り組みにつきましては、私どもこのように考えております。
支援対象が余りにも広範囲にわたっております。災害以外に国内でも相当ボランティア活動は進んでまいりまして、多種多様な面でボランティア活動というのが見られるようになりました。そういう面で非常に広範囲にわたっておる。善意の寄附をされる方の立場から見ましても、どのようなボランティア活動に寄附金が配分されるのかわからないといった状況の中では、寄附金が集まるのかどうか、実効性に疑問がある。
それから、平時におきますボランティア活動は、一般的には各ボランティア団体の資金計画に基づき実行されるものでありまして、常時寄附金を配分するということになれば、ボランティア団体に依存心が生じまして、支配、介入というような、昔労働組合法なんかにもありましたけれども、金を出せば自主性を損ねるよというようなこともございます。
そういう面でも、災害に限って、そういうときをとらまえて、国民の皆さんの善意を渡そうという機運が高まったときに、災害に集中してやるというのが今のニーズに一番かなったやり方だろうというふうに私ども考えまして、このような案をつくらせていただいたということでございます。
これからボランティア活動は、あくまで政府だけではなくて地方公共団体、あるいは民間の方々が混然一体となって取り組んでいく課題だというふうに認識しておりますので、そういう情勢をよく見ながら、郵政省がこれをやるんだということでなくて、国民の皆さんが、やはりこの面についても郵便局のネットワークをひとつ使いたいんだ、役に立つんだというようなことになっていけば、その時点でよくニーズを酌み取って適切に、臨機に対処したい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/66
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067・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 続いて、夫婦年金保険につきまして御質問します。
新しいタイプの夫婦年金保険によりますと、年金支払い開始後間もなく受取人が死亡した場合、払込保険料総額に比べて受取年金総額が少なくなってしまって、加入者にとって不利になるのではないかといった点が指摘をされておりますけれども、この点につきましてはどういうことなのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/67
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068・天野定功
○天野政府委員 御指摘のように、年金の支払い開始後短期間に受取人が死亡した場合、その後何ら年金を支払わないこととすれば、払い込まれました保険料総額に比べまして、支払われた年金の総額が少なくなりまして、加入者の損失感が大きくなるわけであります。
そこで、新タイプの夫婦年金保険につきましても、現行の夫婦年金保険と同様に保証期間といったものを設けまして、年金支払い開始後、保証期間内に残された配偶者が死亡をしたときは、その相続人に対しまして、残存期間中継続して年金の支払いを行う仕組みとしているもので、そういった方向で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/68
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069・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 最後に一点だけ、これは大臣にお伺いをしたいのです。
昨今の景気の低迷と低金利によりまして、生命保険の経営が大変厳しい状況にあると一般的に言われておりますが、この簡保の経営は大丈夫かということを率直に聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/69
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070・日野市朗
○日野国務大臣 景気の低迷と低金利で、保険業界というのは今非常に苦境に陥っているというふうに思います。
簡保については、平成五年以降、剰余金が対前年度比二〇%減少を示してはおります。しかし、経営面でいろいろ努力をしまして、平成七年度においても五千億円弱の剰余金の発生が見込まれております。その大部分は加入者へ分配の予定でございます。
このような状況の中で、健全経営確保のために、平成八年の四月から、現下の低金利に対応して予定利率の引き下げ等による保険料の改定を行うとともに、引き続き事業運営の一層の効率化を推進して、お客様の信頼にこたえる健全な事業経営を確保してまいりたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/70
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071・遠藤乙彦
○遠藤(乙)委員 簡保の健全な運営を期待しまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/71
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072・中川昭一
○中川委員長 古賀一成君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/72
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073・古賀一成
○古賀(一)委員 新進党の古賀一成でございます。
せんだっての代表質問で郵政三法の質問をさせていただきましたけれども、まだ納得がいかないといいますか、再度指摘を申し上げさせていただきたい、あるいは確認をしたい面を含めまして、質問をいたしたいと思います。
質問通告をいたしておりました問一、問二という順番と若干違う形になるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
まず冒頭にお聞きしたいのは、今遠藤委員の方からも質問がございました国際ボランティア貯金の件でございます。
いわゆる災害という場面に限って国民は協力してくれるだろう、それは阪神大震災がはっきりと教えてくれた。あるいは、国民の皆さんに国際貢献をしてもいいという気持ちもあるということが国際ボランティア貯金でも立派に証明された。そういう二つの理由で、今回この災害ボランティア口座法といいますか、この制度に相なったと思うのですが、私は、趣旨は本当に立派なことだと思うし、賛意を大いに表するものであります。
また、今大臣からお話がございましたように、全国津々浦々にある郵便局、これを駆使して全国の善意を集めるのだ、我々はそれだけの実績とネットワークを持っておるのだ、これも非常にいいことだと私は思います。
ただ、それだけに、私は、制度の組み立て方というものにどうも疑問をまだぬぐえないという気がいたしまして、その点を冒頭にお聞きしたいわけであります。
つまり第一点は、この制度は、災害が発生したときに、東京で、つまり郵政省の貯金局で審議会に諮りながら交付をする。恐らく想像するに、災害が起これば非常災害対策本部が設置されて自動的にこの制度が発動するという仕組みになっております。そうしますと、現場で、救援活動とか、あそこの火がまだ燃えているとか、自衛隊が出動したとか、いわば場合によっては修羅場と言ってもいい状況が起こっているときに、ボランティア団体が、実はこういう制度があるからひとつ申請しようという話になってくると思うのですね。そうしますと、災害が長引いて二週間もしたころ、あそこはもらったけれどもうちのボランティア団体はどうしたんだ、おい事務局長と、まあ事務局長がボランティア団体にいるのかどうかわかりませんが、何とかしろとかいって、結局、もらう者ともらわざる者が区別されるのではないか。
それも、審議会という、委員の選任がどう行われるかまだ定かではありませんけれども、災害というのは極めて即地的、現場そのものが問題だ。しかもそれが修羅場の様相が続いておるかもしれない。そういうことから見ると、私はこういう、ばたばたと災害時に、下手したら早い者順で資金が交付されるかもしれないような制度ではなくて、むしろ国際ボランティア貯金のように、皆さん頑張ってくれと、あとは公正に、時間を置いてしっかり評価をして、公平に、年度末といいますか三月末に交付をする、そういう落ちついた制度の方がいいのではないかという感じが非常にしております。それが第一点でございます。
これは余計なお世話かもしれませんけれども、実際の運用ということから見て私は逆に、これはいい制度だよと思って郵政省がつくられたが、結果としては、一部のボランティア団体から、何で差別をしたかということにもなりかねない制度じゃないだろうか。
そういうことで、せっかくつくられるのであれば、今後伸びていく、評価される、あるいは本会議でも申し上げましたけれども、真に正しいボランティアをエンカレッジするという制度に育ててもらいたいと思うのです。
したがいまして、この点について私は一つ疑念を持っておりまして、この点、本会議でも申し上げましたけれども、どうお考えになるか、これは郵政当局の御判断をお聞かせ願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/73
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074・木村強
○木村政府委員 ただいまの御指摘であります。
具体的に災害が発生をし、非常災害対策本部等が設置されましたときに、速やかに国民の利用者に周知するということであります。災害の規模、性格等にもよりますけれども、おおむね一−三カ月程度を考えております。そして、寄附金を募るという行為を、一方では速やかにいたします。他方、ボランティア団体の公募も同時に郵便局で受け付けをするということで、善意の方からの募金とボランティア団体の公募とを同時に受け付けるということでございます。
資金の配分といいますのは、そうはいいましても、現実に現場で災害が起こっているわけですから、ボランティア団体が救援事業を行っておるわけでありますから、そのときに、救援事業がいつごろまでに終わってこうするという概略を公募の段階でいただくことになっております。
なぜかといいますと、この施策を現実化していきますときに、ボランティア団体等にヒアリングをいたしました。結果によりますと、今ぱっと行ってやるのだからすぐ活動資金をくれということじゃなくても、資金調達のめどが立てば十分活動ができる。確かに臨機のときですから、今神戸に行った、すぐ百万円をくれというわけにはなかなかいかぬでしょう。しかし、これとこれとこれという仕事をやるのだ、それで、結果的にそういう仕事をやったということがはっきりすれば、精算払いという形で事業完了後にお金をいただきたいのですというようなお話を承って、こういう仕組みにいたしておりまして、これもボランティア団体の意見を十分聞いた結果でございまして、とにかく少しでも活動資金がいただけるのだなと。
それから、ボランティアですから、百万円要ったら百万円全部もらうよということではボランティアの趣旨にもならぬだろうということで、全額ということでもない。少なくとも、先生が本会議でも御質問されましたように、ディスカレッジのないように、あの人だけはもらっておれたちはもらえないということのないように、できるだけ広く、しかも災害対象の範囲も拡大をして、阪神・淡路のときには社会福祉協議会も相当範囲を広くボランティア活動を支援したそうでありますけれども、できるだけ幅広い対象の中で、できるだけ数多くのボランティア団体に、額につきましてはやる事業の内容によりますけれども、公平に行き渡るようにということで、全額もらわなければだめだということではなくて、全体が公平に少しでももらえるという心証を持って現地に飛ぶというような仕組みがこれでできればということで、その辺はボランティア団体とも十分意思疎通をしたつもりでおります。
ただ、先生が申されましたように、これは具体的に災害が起こって、発動して、我々がやってみて、そして現場のニーズとボランティア団体のニーズと全体を総合勘案しながら、また至らないところがあれば改善をしていくという心構えは常に持っておりますので、完璧な制度ではないかもわかりませんけれども、現実にいつ、あした起こるかもわからぬわけですから、そういう面では少しでも早く提案をして、御審議をいただいて、我々としてはその準備にかかれる。そしてやってみて、もし過ちがある、あるいはこの点はもう少しこうやった方がいいということがあれば謙虚に承ろうという気持ちでおりまして、これは私ども、役人だからやるというような気持ちではなくて、ニーズがあるから郵便局でおこたえをしていこうということで、役所が権限意識で問題提起をしたということでは決してございませんので、御理解のほど、よろしくお願いしたい、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/74
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075・古賀一成
○古賀(一)委員 今後の運用で、いこじにならず制度改善をしていくというお話でございまして、当然そうお願いしたいわけでございます。実際問題として、精算をするからあらかじめボランティアも動いてくれるだろう、あるいはできるだけ幅広く多くのボランティア団体に渡す、一般論としてはこう言えても、実際のところ資金には限度がありますから、やはりちょっと運用を誤ると、何だという可能性が非常に高い制度であろうと思うのです。
先ほど遠藤議員から質問がございました、将来、災害以外への拡大ということまで今度考えてくるのであれば、後ほどるる申し上げますけれども、こういうスキームではもう成り立たないわけでございまして、私は、災害というのは極めて即地的で現場的な問題であるゆえに、これから制度は十分検討して変えていくのだという広い心といいますか、それは持っていただかないと、結局逆の効果になるのではないかということで、再度お願いを申し上げます。
もう一点、この制度に潜む大きい疑問点がございまして、これは大臣に、再度で恐縮でございますがお聞きしたいのです。
災害という問題は、今言いましたように即地的な問題なんですね。また、ボランティアという問題も、これまた極めて地方的で現場的で多元的で、いわゆる中央の一つの基準というものの枠を超えた活動とか存在であると思うのです。そうしますと、災害とボランティアというものをくっつけた制度について、津々浦々から国民の善意を集めるということに関しては非常に地方分権的といいますか、集める分野については分権的なんですが、配る段になるとどうも、審議会だ、東京で局が審査するんだということで、極めて補助金配分的だ。つまり災害という面で、もう一つはボランティアという面で一番地方分権的であっていいものが、それが、これまでのこういう中央集権、補助金配分的な仕組みで使われているのは何か非常におかしいというかもつたいない。つまり、地方分権ともう何十年も言われてきたけれども、全然、突破口が実際に開かれていない。まさにこういう問題こそ、地方優先の仕組みをつくり上げる、あるいは完全にできなくてもいい、ささやかでもいい、新しい制度ができたという、それをつくる最大のチャンスではなかったか、私はこういうふうに思えてしようがないのです。
したがいまして、今資金の配分の運用の問題についてお聞きしましたが、今後ボランティアは、後ほどるる申し上げますけれども、恐らくいろいろな面で地域的にも制度的にも広がってくると思うのですね。我が新進党はNPO法案というものをもう既に国会に出しておりまして、今座られました河村議員なんかも廊下で国会議員に会うたびに、NPOはどうなったんだと与野党を超えて指摘して歩く。これが今たなざらしということになっておりますけれども、本当におかしいと思うのですよ。そういうことから見ますと、私は、基本法制については後ほどちょっと触れたいと思いますけれども、この地方分権的な仕組みというものに今後一つ一つ改善していくという必要性を大臣はお感じにならないのか、ひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/75
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076・日野市朗
○日野国務大臣 ボランティアというもの、災害も多種多様でございましょう、ボランティア活動というのもやはり一つの枠にはめるということはなかなかできない。いろいろなそれぞれの創造性、自主性、それから何よりも、人々の内部から盛り上がってくる自分たちの善意を生かそうというエネルギー、そういったものが凝縮してボランティア活動になっていくわけでございます。
それで、こういうものは決して一元的に論ずることはできないということは先生もおっしゃるとおりでありまして、これは公的な部分で、地方公共団体であるとか個人企業、そういったものも含めて、社会全体がそれぞれの特性を生かしながら多元的に取り組んでいくべきものであろう、私はこのように考えておるわけでございます。
ですから、非常災害時において、ボランティア団体に対して、国民の善意を全国から郵便局のネットワークを通して集めてくると同時に、そういった善意であるからこそボランティア団体に公平、公正、迅速かつ効率的ということでシステムを考えているわけでございます。そういう幾つかの基準で配分をするということで、審議会に諮問をした上で配分を行っていくということを考えているわけでございまして、決して補助金的な発想をとっているわけではございませんので、地方の公共団体それから社会福祉協議会などとも連携をとりながら、どうやったら最も効果的に一番いい方法で配分ができるかというようなやり方をやっていこう、こういうことなんでございます。
郵政省としては、ボランティアというものの特質を生かした、先生おっしゃる即地それから即応的対応が可能な仕組み、できるだけそれを可能にしていこうという趣旨でこれを考えさせていただいたということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/76
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077・古賀一成
○古賀(一)委員 今お聞きしましたのは、地方分権的な仕組みをさらに付加するといいますか、構築するというか、あるいは制度の仕組みを根本から変える、そういうお願いというか指摘をしたつもりですが、ちょっと満足のいく答えでなかったと思うのです。
今後、審議会ということでスタートするという法案になっていますけれども、これは極力運用の中で、まあ郵政省の所管業務の中で集めた金だからやはり貯金局のみで、もちろん関係機関の協議はあるのですが、そういう今までの既存の、中央集権と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そういうシステムじゃない、やはり地方の生の声を聞くという、運用の仕方は山ほどあると思うのですよね。それは私は、要望でありますけれども、強く強く念頭に置いて今後の運用を組み立ててもらいたいというふうに、これはもう質問しませんけれども、お願いをしておきたいと思います。
その関連で……(発言する者あり)今のはNPO法案のことでございまして、これは本当は大臣に、郵政省にだけ言うわけにいかぬものだからあれですけれども、彼を代弁しまして言いますと、一番重要なのは、本当はこういう郵便振替という手法で一部局がやるというマターじゃないのですよね。ボランティアとは何ぞや、これからの高齢化社会、そういうものを含めてどう行政としてこれを位置づけ、どこまで支援をすべきか。余り干渉してもいけない。特に、基本は法人格の付与、そして税制上どうこれを位置づけるか、これだと思うのですね。
これは、郵政省にNPO法案の審議の行方を聞くわけにいかぬものですから、新進党を代表しまして、特に河村NPO法案座長を代弁しまして、与野党、特に与党三党おられますから、ぜひ審議をお願いしたい。これは質問ではございませんが、申し上げたいと思います。
それで、この一環で、災害ボランティアが今度こういうことで制度創設になるかもしれない。そうした場合に、結果としてどういう団体から申請があって、どういう団体に幾ら交付した、そしてこの団体はこういう活動をした者であるということを私は告知すべきだと思うのですよね。
そして、現在ございます国際ボランティア貯金。もう本当に年々国民の善意が集まって、大したものだと思いますけれども、まずは国際ボランティア貯金について、いわゆるその口座を開いた方々にどういう結果報告をどういう形でしておられるのか。私はこれは大変重要な問題だと思うのですが、お聞かせを願いたいと思います。
〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/77
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078・木村強
○木村政府委員 国際ボランティア貯金制度が創設されましてもう五年近くなっております。まさに、今ディスクローズといったようなお話がございますように、郵便貯金もどのようにその資金が財政投融資等を通じて地域に還元をされておるかというのも一つの課題であります。そのような意味で、郵便貯金に善意の寄附をしたお金がNGOを通じて国際貢献にどのように役に立っておるのか、お金を出した立場からするとその行方を知りたいというのはもっともなことでありますし、これにきちっとこたえていくという仕組みが大切であろう、このように考えております。
そこで、私どもといたしましては、官報掲載で、配分団体、その額というものが決定いたしましたら速やかにするようにいたしております。これは、官報でありますから少しかたくなりますけれども、一応役所としてやるべき基本はここだということであります。それ以外に、新聞広告や、「国際ボランティア貯金通信」といったような私どもの情報誌を発刊をいたしまして、こういうもので寄附金の配分状況を周知をいたしております。
また、寄附金の配分を受けたNGOの活動状況の成果等につきましても、ビデオの作成あるいは放映、それからパネル展の実施、それからNGO活動状況報告会ということで、九州なら九州というようなことで、先生の地元も含めまして全国何カ所かに年何回というようなことで報告集会を行っております。
それから、国際ボランティア貯金シンポジウムということで、ボランティアの周辺のいろいろな動きもございますから国際ボランティア貯金だけにも限りませんけれども、国際ボランティア貯金は我々の施策ですから、それをメーンにしたそういったシンポジウムの実施等も行っておるということで、国際ボランティア貯金に託されました預金者の善意がNGOの活動を通じて海外で実を結んでおるんだということを実感できるような施策ということで取り組んできたところであります。
これをさらに充実させようということで、ことし、ボランティアポスト構想ということで、ボランティア郵便局、ボランティアポスト、こういうことで四億五千万ほど予算が成立をいたしました。
これで郵便局がやはりこういうボランティア活動の拠点になっていくだろう。国際ボランティア貯金はそうだし、災害ボランティアもそうだし、大体ここに行けばその情報がわかるというような、あるいは我々がやった、あるいは預金者の皆さんがやっていただいた国際ボランティア貯金のお金が、例えばカンボジアではこういうふうに使われたんだ、あるいは井戸を掘るためにこういうふうにやられているんだというようなことがアクセスできるようにといったことで、ボランティアポスト構想と銘を打ちまして、例えばP−SATなど衛星通信ですぐアクセスができるように、あるいは郵便局に行けば、パソコンをぽんぽんぽんと打てばすぐに自分の知りたい、例えばカンボジアならカンボジアのNGOの状況がわかるように
といったような施策を本年度からスタートをさせようということで、今実施に向けて取り組んでおります。
これは国際ボランティア貯金というものの施策の一環でありますけれども、今回の四億五千万の予算の中には、この災害ボランティア口座を法案として認めていただきました場合にも、こういったボランティアポスト構想の中に預金者のための周知といいますか、情報の還元といいますか、ディスクローズといいますか、こういうものに取り組んでいこうというふうに考えております。
災害ボランティア法にもありますように、配分団体とか配分金額は、これは官報掲載できちっと公示をいたしますけれども、今申し上げましたように、国際ボランティア貯金と同様な施策で、ボランティア口座に加入された人々、個別、個人にまでその成り行きがわかるようにという施策をとってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/78
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079・古賀一成
○古賀(一)委員 今、国際ボランティア貯金、今度の災害ボランティア、そしてボランティアポストといいますか、そういう話まで出ました。そうしますと、先ほどの話じゃありませんが、NPO法案は当面まだ審議されていないという状況の中で、郵政関係でこのボランティア法制が小さくとも積み上げられてくるのです。
そこで、やはりこれは、それ自身はいいことなんです。いいことなんだけれども、じゃ、それがトータルとして、全体としてボランティアの本質というか、そういう面から見て正しい組み立て方なんだろうかというのを、私は、去年このお話を聞いたときからちょっと直観的に思ったのです。
極端に言いますと、非常に意地悪い見方をしますと、郵便貯金でこういう災害ボランティア口座、ひいてはもっと広い意味でのボランティア口座に広がってくる。ボランティア団体は勢い、郵便局を通じてか、あるいは郵政局か、ひいては郵政省に大体ボランティアの情報が集まる、名簿も集まる。こういうことになると、実質上全体の、厚生行政あるいは消防行政もあるかもしれない、もっとすそ野が本当に広いボランティアの活動分野が、一省一局突出で、結局、整合性ある体系がそこで、善意でやっているとは思うのですが、全体としてはちょっと跛行するといいますか、バランスを欠いた制度になるのじゃないかということを非常に心配をしております。
そういう意味で、交付をした団体あるいは申請のあった団体は公表してくれという意味は、情報を郵政省が全部名簿を集めてインクローズするのではなくて、公表するということがやはり開かれたボランティアというものを育てるだろうということで、それをぜひお願いをしたい。それは絶対条件だと私は思うのです。
そういう中で、次に経済企画庁にちょっとお伺いをしたいのであります。
今議論しておりましたとおり、郵政省の方でボランティア制度が着実に国民の評価を得ながら拡大をしつつある、こういうことなんです。でも、これはもうるる申し上げるまでもなく、大変すそ野が広く、場合によってはこれからの日本の新しい可能性を秘めた分野じゃないかと思うぐらい私は大きい問題だと思うのです。
実は、きょう遠藤先生も先ほどおられましたけれども、遠藤議員、河村議員、私、あと何人かで、この前ある本を書きまして、大臣に渡しましたけれども、「日本破局のシナリオ」。これじゃいけないということで、今度またメンバーをふやして日本再生という議論を実はきのう、おととい、夜遅くまでやったのです。
そこの中でやはり議論になったのは、財政は厳しい、途上国の追い上げも厳しい、低成長は恐らく引き続き余儀なくされるだろう、超高齢化時代が来る、介護のニーズが高まるし、国民のミーイズムというか何でもお国に頼もうという精神的構造もなかなかそう変わらぬ、どうするのだこの日本は、という感じの中で、やはりNPOあるいはボランティアというものが、うまく仕掛ければ一翼を担っていく。もっと極端に言えば、先進国にありがちな日本の、ミーイズムとか自分だけよければとか、そういう風土を変える可能性も持っておると思うのです。そういう意味で、日本の財政なりあるいは教育なりあるいは福祉なり、もうすべての分野でこれは大きい可能性を持った分野私はだと思うのです。
そういう意味で、これを政府としてどうとらえられておるのか。これは、例えば郵政省だけとかあるいは大蔵省だけとか、そういう問題ではないだろうと思うのです。やはり総合調整を経企庁が行っておると聞いておるのでありますけれども、どこまで進み、そして今後、どこまでやろうとしているのか、私は政府の御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/79
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080・薦田隆成
○薦田説明員 お答え申し上げます。
ボランティアの位置づけ及び政府の取り組みという点についての御指摘かと思います。ボランティアというのは、今さら申し上げるまでもなく先駆的でかつ多元的な価値を確保する役割を担っておるというふうに考えておりまして、ボランティアは行政の対応に厚みを増し、また国民に多様な選択肢を提供する。そういう観点から、今後の我が国の経済社会におきまして、重要な役割を果たすものというふうに認識しております。このため、政府といたしましても、ボランティアとか市民活動団体の自主性を尊重しつつ、その活動の環境整備を促進していくということが極めて重要であるというふうに考えております。
経済企画庁におきましては、総合的かつ分野横断という観点から、今後とも我が国における市民活動団体の活動の実態、あるいは諸外国における諸制度の実態等についての調査を行うとともに、関係する役所が多うございますから、関係省庁と連携を図りながら、普及啓発等ボランティア活動の支援方策を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/80
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081・古賀一成
○古賀(一)委員 ただいま調査を進めておるという話がございました。それはそれで必要なことでございますが、私は実は細川、羽田両政権で経済企画庁政務次官として働かせていただいたということで、経企庁に頑張ってもらいたい、こういう愛着も非常に強いわけでございます。いろいろ経済企画庁が今まで担ってきた物価問題とかあるわけでありますけれども、私は調査は調査でやっていただきたい。関係省庁とこれまでの経済計画づくりみたいに文書を大事にして作文をまとめるというようなことではなくて、これは経企庁そのものの問題である、国民生活局があるわけでありますから。調整官庁が頑張る時代だと思うのですね。
〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕
したがいまして、これは、経企庁にとっては経済計画を策定するよりももっとおもしろくて重要な課題だろうと私は思うのです。したがいまして、これは恐らく私がとやかく言おうと言うまいと、この問題は年々大きい問題になってくると思うのですね。したがいまして、経企庁におきまして、ぜひこれは本腰を入れて、経企庁の最重要課題の一つということでお取り組みをお願いしたい、このように申し上げたいと思います。
時間も迫ってまいりましたけれども、もう一点。その中で、今大人のそういう災害という話が出ておりますけれども、もうかねてよりボランティアというと、子供と教育というのを私は常に考えてきたつもりでございます。とかく塾だ、偏差値だ、受験戦争だ、そして今の子供はゲームで遊んで、いわゆるおたく族みたいにこもりがちだ、こういうのが実態であろうと思うのですね。
〔委員長退席、中谷委員長代理着席〕
ところが、やはり一番重要なのは、高齢化社会になればなるほど、私は団塊の世代でありますけれども、我々が、六十五とか助けてもらわぬといけない立場になったときに、日本は世界一の、地球未曾有の高齢化社会になるわけで、そのときに子供に頑張ってもらわないとたまらぬ、こう思うのです。そういう意味で、教育というのはやはり体験だと思うのです。本当の意味での教育というのは、経験をさせる、体験をさせる、そのチャンスを与えるということが私は一番重要な教育の本質ではないか。そして、そこで見出された個人の才能とか、そういうものを引き出すというのもまた教育の大きい使命だろうと思うのです。
そういう意味で、これからの日本の社会構造あるいは経済レベル、水準といいますか、国民の価値観等々つらつら考えたときに、今こそ子供にやはりボランティアというか、地域を考えるというか、地域そのものを体験してもらうとか、そういう仕組みをつくらないと、私は日本はもたないのではないか、かように思うのです。
現在のところ、ボランティアというものが、小中高あるいは大学、高等教育まで含めてどう仕組まれておるのか、私は大変関心が深うございまして、勉強は不足しておりますが、お聞かせ願いたいし、ボランティア教育の先進国と言われるアメリカでどこまでのことがやられておるのか、ぜひお教えをいただきたいと思います。文部省の御答弁をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/81
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082・加茂川幸夫
○加茂川説明員 ボランティア教育についてのお尋ねでございます。
先生おっしゃいましたように、これからの教育におきましては、子供たちが豊かな心を持ち、たくましく生きる人間に成長するよう教育を充実することが重要であると考えておりまして、そのためには例えば他人を思いやる心、あるいは感謝の心、公共のために尽くす心を育てることが大変重要になってくると考えておるところでございます。また、子供たちの生活経験の希薄化等の問題もございますので、子供たちが体験を通して、例えば高齢者あるいは障害者についての正しい理解を深めたり、さらには勤労のとうとさ、また社会に奉仕する精神といったことの考えや態度を培うことは大変重要なことだと考えておるわけでございます。
そこで、学校教育におきましては、こういう認識に立ちまして、現行の学習指導要領、これは学校がカリキュラムを組む際の国の基準でございますが、この学習指導要領の中でボランティア活動に関しまして、小中高等学校を通じてでございますが、主としてクラブ活動あるいは学校行事の中で、今申し上げました勤労のとうとさでありますとか社会奉仕の精神などを培う体験的な活動として位置づけられておるところでございます。
クラブ活動で申しますと文化的、体育的といった活動に並びまして奉仕的な活動というのが位置づけられておりますし、学校行事の中でも儀式的、学芸的といったものと並んで奉仕的な行事というものが位置づけられておりまして、いわば学校教育の中にボランティア活動に関することがちゃんと盛り込まれておるという現状にございます。一方、特に義務教育の段階でございますが、道徳教育という分野におきまして、社会への奉仕の気持ちを深めたり、公共の福祉あるいは社会の発展のために尽くす心や態度を育成することといったこともしっかり位置づけられておるわけでございます。
また、特に高等学校におきましては、これはボランティアに関する教科科目を学校の設置者の判断で設置することができるようになっておりまして、具体にそういう取り組みも県によっては進んできてございます。そういったさまざまなことで小中高等学校段階ごとにボランティアに関する取り組みがなされておるわけでございます。
一部例を申し上げますと、具体には地域の実情または学校の実態にもよるわけでございますけれども、地域の清掃活動に参加する、美化運動を行う、もしくは老人ホームでの奉仕活動などを行うといった取り組みが具体的に各地でされているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/82
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083・古賀一成
○古賀(一)委員 アメリカの制度の話が出ませんでしたけれども、もう時間がございませんので、後ほど個別にお聞きしたいと思います。
実態を見れば、こういう学習指導要綱に書いてあります、その余地といいますか道は開かれていますということですけれども、これはもっと強く、私は、アメリカに似てといいますか、一種の上級に進学する条件みたいな位置づけまでしないとならぬ話だろう、かように思います。
実は、先週でございますが、ある小学校である慰霊祭がございました。参りました。その慰霊祭の便所とか水回りを父兄と先生が日曜日に掃除しているわけですよ。私はそのとき愕然ときまして、今の子供は自分たちが汚した便所もお父さん、お母さんに日曜日にやらせているのか、これではとてもじゃないけれども地域のためとかそういうものを考えて、ましてや他人の心、高齢化したおじいさん、おばあさんを面倒見ようなんて気になるはずがないなと思ったのですね。
だから、やはりこれは、まあこの委員会でとやかく言う話ではないのですけれども、ボランティアの重要性という問題をやはり子供にいかに体験させるか。子供に強制するのはよくないという議論もありますけれども、思想は強制できなくても、そういう機会というものはやはり強制しないと、できないと思うのですよ。それは、せっかくの機会でございますので、私は文部当局に質問を申し上げました。
残り時間も少なくなってまいりましたので、前回の本会議で質問できませんでした簡易生命保険法改正につきまして、若干の質問を申し上げたいと思います。
聞くところによりますと、年金保険の契約状況の中で、夫婦に関するものは非常に少ないという話。今回の新保険は、長たらしいわけで、夫婦がそろってこの名前を聞いたらちょっと目をぱちくりするような名前なのですね。配偶者死亡後支払開始夫婦年金保険という新保険でございますけれども、これが今回法律改正で提案された新商品でございます。
まず、年金保険の保有契約状況ですね。終身保険、定期保険そして夫婦保険、大体どういうシェアになっておるのか。また、その中でも、これまでの既存の夫婦年金保険もあるわけでございますが、これは大体どういう状況になっておるのか。御説明をお願い申し上げたいと思います。
〔中谷委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/83
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084・天野定功
○天野政府委員 年金保険の契約状況でございます。
平成七年度末の保有契約件数は、全体で五百十四万九千件となっております。その内訳を見ますと、終身年金が百二十四万六千件、定期年金が三百七十五万九千件、夫婦年金が十四万四千件で、シェアとしましては、夫婦年金は二・八%という状況でございます。
また、夫婦年金保険の平成七年度の新規加入状況を見ますと、件数で二千件という状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/84
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085・古賀一成
○古賀(一)委員 額としては非常にシェアも小さい、加入件数も、最近二千件というお話がございまして、少ないわけでございます。この夫婦年金保険が他の年金保険に比べて非常に伸び悩みであるというのも事実だろうし、全体のシェアも小さい。これの極端に少ないという理由はいかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/85
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086・天野定功
○天野政府委員 現行の夫婦年金は、終身タイプの保険であるわけでありますけれども、夫婦のいずれか一方が生存している限り年金を支払うものでありますから、保険料が通常の終身年金よりは三割程度高くなっております。それから、高齢化社会の到来によりまして個人年金に対するニーズは高まっているわけでありますが、特に公的年金の支給までのつなぎ資金としての定期年金のニーズが高まっているといった事情、そういったことから夫婦年金保険が他の年金保険に比べて契約件数が少ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/86
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087・古賀一成
○古賀(一)委員 たくさんの商品が民間にもあるし、外資系とか中小関係の生保もいろいろな商品を出してきておる。今、簡保でありますけれども、簡保の中でもたくさんの制度がある。高齢化の、特に介護なんかを思えば、先ほど質問しました郵便貯金の金利上乗せという制度も今度はある。そもそもが介護保険金付終身保険もある、介護割増年金付終身年金保険というのもあるということで、いろいろな制度がたくさんあるわけであります。
これはちょっと通告してませんでしたけれども、こういう新商品を法律なりで出されるときに、いわゆる市場調査、どういうところにニーズがあって、あるいはアンケートをして新しい商品の希望を聞いたとか、そういう市場調査というのはやられるわけでございましょうか。何かたくさんのものが幾つも幾つも出て、介護が今ブームになっているから我が省としてもちょっと先取り的につばつけようかというようなことでないのかなという疑念も思うのでありますけれども、いわゆる商売ベースでと言っては変ですが、いわゆる新商品の開拓をやるときに、そういう調査というか、分析を行っておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/87
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088・天野定功
○天野政府委員 私ども、新しい商品を用意する場合に当然市場の調査を行うわけでありまして、今回も、改正法案に盛られている新タイプの年金を用意するに当たりましても、市場調査を行ったところであります。その結果、これは約三千ぐらいのサンプルの回収があったわけでありますが、この新タイプの夫婦年金に対しまして、約七割の方から加入したい、あるいは加入を検討したいという回答を得ているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/88
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089・古賀一成
○古賀(一)委員 もう時間もあと一問ということで終わりそうな時間になりましたので、最後の御質問を申し上げたいと思います。
最後は、いわゆる介護の関係でございます。
これは遠藤議員の方からもお話がございましたけれども、本会議でも申し上げましたが、今厚生省を中心にいわゆる公的介護保険の議論が進められておりまして、これは各省を巻き込んで、国民を巻き込んで、あるいは審議会を巻き込んで議論がされつつございます。現在の厚生大臣、きのうの新聞ですか、やはり今国会で出すという議論もありますし、審議会でいろいろな議論が併記され、厚生省の案が出され、またそれが修正になるとか、ちょっと迷走ぎみでございますけれども、そういう機にこの制度が、その本体の公的介護保険の帰趨について国民的論議もようやく幾つか出て議論が始まったというこのときに、今回出されるわけであります。
これはこれで、いや実は一つの介護の柱なんだということであるなら、それで私は大いに納得するわけでございますが、先ほどの年金保険の関係もございますし、とりわけ郵便貯金で利率上乗せというスキームになっておるわけでございますけれども、いかにも、先ほど百万円という例がございましたけれども、百万円だったら月百何十円なのですよ。それから見てどこまでこの制度を、とりあえずこれでスタートするけれども、小さく産むけれども、将来は郵貯金利上乗せというシステムをもうちょっと拡大していくんだ、あるいは要介護者の基準も考えてもっと使いやすくするんだという方針なのか。とりあえず介護が今問題になっておるから郵便貯金の金利上乗せという手法でひとつ郵政省も出そう、そういう旧来の発想なのか。そこら辺をちょっと、その原点をお伺いをいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/89
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090・木村強
○木村政府委員 郵政省が郵便貯金事業あるいは為替振替事業等の中で取り組んでおりますことにもかかわるお話でございます。
私どもも事業経営ということで非常に着実にいたすわけでありますけれども、やはり国民への利益還元というのが基本で私どもの事業は存立をいたしておるわけです。したがいまして、国民のニーズをよく受けとめて、これにふさわしいもの、特に非営利でありますから、民間金融機関ではなかなか出せない一味違った、そういうものを提供してニーズにこたえていくというものが、まさに国民が郵貯に望まれる、郵貯に負託されておる内容だろうということで、私ども、常にそういう自戒のもとに事業経営に取り組んでおるわけです。
そういう意味で、私ども職員あるいは預金者の皆様方と一緒になってつくり上げたこの財産を国民に還元する方法として、これからやはり大きくは少子・高齢化の社会であろう。もちろん今までもお話が出ておりますように、税金でこれをどう持っていくかというのは公助の世界でありまして、厚生省中心で、今政府部内でも取り上げられております。国会でも議論になっておりますけれども、そういうものと、それから我々はあくまで自助という分野で、あるいは共助という分野で、郵便局でその選択肢を提供しようということで、これを強制するものではなくて、そういう商品を品ぞろえをしておいて、国民の皆様が使おうと思われれば、自発的な形で御利用になるという手段は、これからも時代の感覚に応じて開発していくべきであろう、このように考えておりまして、この福祉定期貯金というのが、今超低金利下の中で四・一五%ということで非常に好評を得ていますが、これも弱者のための施策だ。これは低金利のときの激変緩和主義ということで、我々が大蔵省と交渉いたしまして実はつくり上げた制度なのです。官民共通の制度でありますけれども、今回のこの要介護者の施策というものは、専ら福祉的観点に立ちまして大蔵省に問題提起をいたしまして、このようにお話をしております恒久的措置だ。したがって、今のような低金利の状況だけでなくて、これから高金利になってもやはり経済的負担は一定のものがあろうということで、気持ちだけでも、自助努力の範囲内で、しかも、企業努力の中で提供できるものをつくっておくということが、新聞等でも大臣折衝の結果載りましたけれども、ささやかなプレゼントだというところに郵便局の果たす役割があるんだろうというような気持ちでこれからも取り組んでまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/90
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091・古賀一成
○古賀(一)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/91
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092・中川昭一
○中川委員長 矢島恒夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/92
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093・矢島恒夫
○矢島委員 民間ボランティア支援の問題でお聞きしたいと思います。
災害時に民間ボランティア団体の活動を支援しようというこの法案については、私たちもその趣旨に賛成するものであります。ただ、運用の仕方で、この民間ボランティア団体の活動を阻害するといいますか、そういうようなことがもし起こるとすれば、これはこの法案の趣旨に反することになると思うのです。
そこで、その一つの懸念として、いわゆる配分の問題。民間ボランティア団体は自発的な組織でありますから、そういうところに、財政的な援助をしてやるという口実で団体の活動に介入するようなことがあったらいけない、あってはならないと私は思います。
この法律案を見ますと、第三条の三項だとか、あるいは第三条の四項から六項までとか、配分金の使途についての監査などの規定も盛り込まれております。私は、民間ボランティア団体の活動に対する介入とならないよう運営することが重要だと考えますけれども、その点についてのお考えをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/93
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094・木村強
○木村政府委員 ただいまの先生の御質問につきましては、全くそのようなことだというふうに考えております。この制度の本質、原点を常に踏まえまして、先生御指摘のようなことのないように、ボランティア団体の自主性、自発性を損なうことがないように、適切な運用に努めていくという気持ちでいっぱいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/94
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095・矢島恒夫
○矢島委員 ぜひそのようにお願いしたいと思います。
もう一つの懸念というのは募集の問題なんですが、阪神・淡路大震災では、赤十字を初めとして、さまざまな団体が義援金、カンパを集めて救援活動を行ってまいりました。この義援金やカンパの送金に郵便局も大いに利用されて、大きな貢献をしたと私は思うわけですが、こうした機関やボランティア団体にカンパや義援金を送ろうと郵便局を訪れた方もたくさんあるわけです。そういう人たちに今後、郵政省もボランティア支援振替というのがありますよと窓口で勧誘するとすると、その人が送金しようとしたボランティア団体の活動を、簡単に言いますと妨害するようなことになってしまう。言葉は適切でないかもしれませんが、横取りするというような事態が起きてはまずいわけであります。こうしたカンパというのは、やはり国民の自発的な善意によるもので、強制されるものでは決してないわけです。
そこで、郵政省としては、やはりこういう制度を設けますと、ボランティア支援振替でこれだけボランティア団体に援助をすることができました、こういう実績を上げたくなるだろうとは思うのですけれども、ボランティア団体独自のカンパ活動の妨害だとか、あるいはカンパの強制ということになりますかな、そういうようなことが、窓口で宣伝、勧誘を行うときに出てくるということは十分注意していかなければならないことだと思いますが、その点についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/95
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096・木村強
○木村政府委員 この点につきましても、先生の御指摘のとおりであろうと思います。集まりました寄附金、あるいはどのような団体に配分するかは当然ディスクローズをする、法律にも書いてございますように、基本的には官報をもって最低限いたしますが、ディスクローズをしていこうというふうに考えております。
今お申しがありましたような義援金、今回の阪神・淡路では三百六十億円ぐらい集まりまして、これは郵便局で手数料を無料にしたりしておりますけれども、日赤等に集まって、それが地方公共団体を通じて被災者に、個人に行くというルートは今できておるわけですね。これに加えて、今回の措置というのは、ボランティア団体に行くルートはなかったということで、寄附をしようとする方が、おれはその被災者個人にやるというのは、今までもルートはあります。ところが、ボランティア団体にやりたい、やる場合にも、どのボランティア団体がいいのか、どこが働いているのかわからぬというようなときに、郵便局に持ってきでいただければ、その善意が通ずるようにという新しいルートをつくったわけですから、これまでの日赤等に配分をされておりましたルートとは別のルートであるという認識を十分我々も窓口等職員に徹底をいたしまして、これを横取りしてこっちだということのないように、あくまで自発的に窓口においでいただいたお客様にきちっと趣旨を御理解いただくということは、責任を持っていたします。その結果強制をしたり、実績を上げるというようなことは一切いたしません。本質に従った運用をしてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/96
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097・矢島恒夫
○矢島委員 ぜひそういう方向で運用していただきたいと思います。
その次に、郵便局の窓口での欠損金問題でお尋ねしたいわけです。
郵便局で窓口を閉めてその日の収支をやってみたらお金が合わないという場合、多くなるときもあるだろうし、欠損、少なくなるときもあると思うのです。私、現金が不足した場合の処理についてお聞きしたいと思うわけです。
この不足した場合の仕方として、任意弁償というのと欠損金という二通りの処理の方法があると聞いているわけですけれども、それぞれ平成六年度ぐらいまでは出ているというお話ですが、一年間どれぐらいの件数と額になっているか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/97
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098・寺西英機
○寺西説明員 平成六年度の任意弁償の件数は四十八万三千六百十八件でございます。金額にいたしまして十一億一千八百三十一万円でございます。
それから、欠損金の件数でございますけれども、これは千四百四十九件でございまして、金額は四億六千七百七十二万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/98
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099・矢島恒夫
○矢島委員 任意弁償は四十八万以上になっておりますが、欠損金の方は千四百四十九件ですか、任意弁償の件数の方が圧倒的に多いわけですけれども、この任意弁償というやり方はどういう法的な根拠で行われているのか、教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/99
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100・寺西英機
○寺西説明員 任意弁償につきましては、要するに担当者が自発的に任意に欠損金を補てんするものでございまして、これはあくまでも事実行為としてやるものということでございます。これでやられますと、国といたしましては欠損がなかったものとして取り扱っていく。これはあくまでも、欠損金にするか、任意弁償にするかということは本人の選択でございまして、強制とかそういうことは一切いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/100
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101・矢島恒夫
○矢島委員 この今お答えいただいた任意弁償額、平均一回当たりの金額を計算してみますと、大体二千三百円ぐらいだろうと思うのですが、現場の話を私聞いたのですが、数万円規模の任意弁償も少なくないというのですよ。というのは、やはり高額の収入印紙か何か一枚なくなれば、相当額も大きくなるわけですね。中には三十万円近くを任意弁償した、こういう話も私聞きました。不足額のほとんどが、平成六年度の今の数字でいきますと、つまり九九・七%がいわゆる任意弁償という便法によって処理されている。正規の手続であるところの欠損金処理、この方が額も件数も非常に少なくなっている。
そこで、私、窓口の担当者からも聞いたのですが、正規の手続であるこの欠損処理ということをやろうとしますと、先ほど、任意である、あくまでも強制されるものではないというお話がありましたけれども、この手続をとりますと、監察の調査がまず入っています。大変周りも迷惑するのだ、だから不愉快な思いを周りの人たちがやるというようなことは避けた方がいいのじゃないか、こういう言い方で上司から説得されたという話も聞いたわけです。
現金亡失には、おつりの数え間違いというのがあるでしょう。あるいは、犯罪というものに関係するようなケースもあろうかと思うのですが、おつりを数え間違えたといっても、可能な限りそういうミスを防ぐための対策というのもこれまた必要だろうと思います。ところが、職員が自腹を切って帳簿の穴埋めをして、これで一件落着だ、こういう現場に実際問題としてはなっているのだというわけですね。これほど安直でその場しのぎの解決方法はないと思うのですよ。しかも、今お話にありましたように、法的根拠というものが特にあるわけではありませんから、いわゆる便法としてやっているのだ。こうした解決方法が長年続いてきたわけですね。ですから、こうした安直なその場しのぎのまさしく便法というのは、もはや改めるべきときに来ているのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/101
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102・寺西英機
○寺西説明員 現在、会計法第四十一条におきまして、「出納官吏が、その保管に係る現金を亡失した場合において、善良な管理者の注意を怠つたときは、弁償の責を免れることができない。」という会計法の規定がございまして、これは、現金を取り扱う方に対しましては、要するに軽微な過ちまで含む相当重い責任になっております。
そういうことで、最終的には会計検査院で責任があるかどうか検定するわけでございますけれども、本来の窓口で現金のちょっと過払いというものもここで言う善管注意義務違反ということになるのが大体の傾向でございます。そういう面で、当該職員も、会計検査院に行けば当然これはなるということで支払われているというのが現状ではないかと思います。そういう意味で、この制度自体会計法で決められた制度でございますので、これを今どうこうするということは、郵政省としてはちょっと考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/102
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103・矢島恒夫
○矢島委員 そういう状況のお話がありましたけれども、先ほどの御答弁のように、一年間に四十八万件、全国の郵便局数で割り算すれば大体一局平均二十件ぐらいになりますか。そうなりますと、窓口業務に携わっている職員ということになりますと、大体この任意弁償を経験していると言えるような数だろうと私は思うのですが、どうも現金亡失問題がなかなか前向きの解決を見ていないというのは、この任意弁償というやり方そのもの、ここに問題があるのじゃないかと私は思うわけなんですよ。
というのは、この問題は、本委員会で昭和五十年ごろ論議されたと思うのです。その結果、五十五年から百円未満の欠損金については弁償しなくてもよくなった、こういうわけです。この改善というのは、まあある程度の現金亡失というミスは、窓口業務上やむを得ないということを当局も認められたのだと思うのですね。しかし、この欠損金の件数を見れば歴然としておりますが、ほとんどこの欠損金としての処理がされていない。限度額が百円未満というのが実情に合わないからじゃないかと思うのですね。十六年前と比べて物価も上がっていますし、それよりも何よりも、郵便局が扱ういろいろな商品・サービス、これは相当の数になってきておりますから、その当時と比べたら飛躍的な増加をしている。こういう変化がこの十六年間起きているわけですから、ここの改善を怠ってきたら、窓口での現金が不足したときに職員が自腹を切る、いわゆる任意弁償というものがどうも常態化したままになっているんだというのが今日の状況ではないかと思うのですね。
そういう面では、やはりいろいろ会計法上の問題等もおっしゃられました。あるいは、善良なる管理者の注意義務のことも先ほどお話がありましたが、こういうものも、いろいろ具体的なマニュアルをつくるなどなど、いろいろな形で改善していく必要があるのじゃないかと私は思うのですけれども、大臣、この限度額、今私が話しましたが、百円というので、これは民間のほかのどの金融機関を見ましてもそういう例はないのですよ。私が調べた範囲では、大体千円未満と三千円未満、ここはもう全部何の責任も問わないという形で処理している銀行が圧倒的に多いのですね。そういう面からも、もうそろそろこの実情に合わせていろいろ考え直す時期が来ているのじゃないかなと思うのですが、大臣のお考えをちょっと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/103
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104・日野市朗
○日野国務大臣 今御指摘ありました任意弁償の件でありますが、これはあくまでも自分の意思で自発的に弁償している、こういうことにしているわけでございます。先生おっしゃったような考慮も働いているのかもしれませんね。例えば、監察が入ってあれすると面倒だ、周りも迷惑する、えい払っておけという、これもあるのかもしれません。しかしながら、自発的に、そこは内部的に処理をしている実情だということも、この自発性というところに重みを置いてひとつ御理解をいただきたいところなのでございます。
それから、百円未満の欠損ということでございますが、これも国の少額債権の債権管理との均衡ということも考えなければいけませんで、例外として百円未満の欠損については弁償責任の認定を留保しているわけでございまして、一つの便法とでもいいますか、そういうことでやっているわけで、では、それを引き上げろということになりますと、ほかとの均衡ということもまた考えなければいかぬということがございますので、今のところはまず難しいのではなかろうか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/104
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105・矢島恒夫
○矢島委員 本庁の方で見ている限り、これは強制するものじゃなくて任意なんだ、あくまでも任意だ、それは言葉は任意弁償ですから、そのとおりなんですよ。大臣も、ちょっと気持ちの上ではというお話で、監察が入ったり面倒なことになるからというようなこともあるかもしれないとおっしゃったけれども、そういうことを口実に、現場では、必ずしも皆さん方が考えているように任意で、こういうふうな形でなくて、面倒だからひとつやってしまおうかという方向がやはり強いのですわ。
なぜ強いかというと、例えば八十円の欠損だということになると、これは百円未満ですから責任は問われないわけですよ。しかし、八十円ぐらいだったら出してしまおうという形で入ってきているからこういう件数になっているのですよ、具体的な数字として出ているのは。その辺はそろそろ考えなければならない時期に来ていると思うし、またやはり民間との状況を比べてみますと、やはり百円未満というのは、簡単にポケットから、ああ五十円足りなかったとこう出して、これは任意弁償という形でどんどん処理がいくというので、これだけの件数があり、これだけの金額になっているわけなんですよ、ここは。そういう点を今後少し検討をしていただかなければならないのではないかなと思うのです。
そういう時期に来ている点で、何かの検討の仕方というのはあるのですか、これは。やはり決められたことで、先ほど大臣も御答弁になったので大体わかったのですが、何か言いたいことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/105
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106・寺西英機
○寺西説明員 会計法令に係る問題でございますので、これ自体を直すというのは非常に難しいと思いますけれども、それよりもまず、職員自体が過誤による取り扱いをしない、そういう欠損が生じないということが第一だと思いますので、そういう面での職員指導とかあるいはそういうための機器等の配備とか、そういうことを中心に取り組んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/106
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107・矢島恒夫
○矢島委員 確かに、その点は私も重要だと思うのですよ。
例えば、窓口の配置については十分訓練するとか、あるいは今一人でやっているのを複数にしてそういうミスが起きないように考えてみるとか、先ほどちょっと言ったんですが、善良なる管理者の注意義務、こういうものを具体化したマニュアルをつくるとか、いろいろな方法はあると思うのですよ。やはりそういうことの手だてをつけた上で、できるだけこういう欠損金がないような方法をぜひ考えて研究していただきたいと思うのですね。
簡保問題で次にお聞きしたいと思います。
平成八年の四月から簡保の保険料が全体で五・八%引き上げられました。平成六年度の一〇・三%に続くものであります。景気の低迷、金融、経済環境の悪化による運用利回りの低下ということがその理由として挙げられているわけですけれども、そうした外部環境の問題だけなのかということですね。運用上問題が全くないのかという点なんです。
例えば、外国債権投資については、外債は八四年から始まったと思うのです。この投資が十年物に投資されているとすれば、現在その償還が始まっているわけですね。相当の評価損が現実の損失になっているのではないかと思うのです。その償却のために運用益の一部を充てる必要が生じてきているという状況ではないかと思うのですが、その辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/107
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108・天野定功
○天野政府委員 簡保資金の運用環境は、先生ただいま御指摘のように、景気の長期の低迷と未曾有の低金利の影響によりまして、大変厳しい状況になっているわけであります。
外債の運用につきましては、これまでも評価損をめぐっていろいろ御論議があったわけでありますが、最近における円安傾向でこの評価損も大分変わってきておりまして、平成六年度末決算では九千億を若干超える評価損でございましたが、この七年度末におきましては、これはまだ決算前でございますので正確な数字を言える段階でございませんが、二千億円台まで減少しているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/108
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109・矢島恒夫
○矢島委員 多少は円安傾向の中でいい方向へ行っていると言いますが、八〇年代と比べたらまだまだ到底そんなことが言える状況でないということは、いただいた資料からも十分判断できます。
毎年の利子というのは、これまでの配当に回しているのではないだろうかということ。そうであれば、現実となった損失というのは、これからの運用で償却しなければならないのではないかと思うのですが、そういうふうなことでよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/109
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110・天野定功
○天野政府委員 先生の御指摘のとおりで結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/110
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111・矢島恒夫
○矢島委員 それでは次に、簡保福祉事業団の運用事業特別勘定についてお聞きしたいと思います。
この勘定は株式を含む指定単で運用されている。この間大変な赤字続きだ。決算公表時に毎年マスコミが取り上げてきておりますけれども、九四年度決算は取り上げられておらないのです。赤字が縮小したと言えるのかというと逆で、過去最高だった。この運用収入低下というものは決算の数字にきちんとあらわれております。しかし、問題はそれだけにとどまらないのではないかと思うのです。
例えば、これは日本経済新聞の十二月八日です。こういう記事があるのですね。「旧指定単は三千億円を上回る株式含み損を抱えて身動きがとれない状態なので、その利払い負担の一部も新指定単が負う。」ことになると。指定単で運用している株式は相当の含み損を抱えているのではないかと思うのですが、それはどれぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/111
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112・天野定功
○天野政府委員 指定単運用に係る資産の含み損益についてのお尋ねでございますが、これにつきましては、現在公表を差し控えているところでございます。
その理由と申しましては、まず簡保特会の資産評価といいますものが、国の会計の一般原則に基づきまして原価法を採用しているため、指定単運用に係る資産の評価につきましても、時価評価を行う仕組みとなっていないということが一つあります。また、指定単運用につきましては、長期的な視点から運用して成果を上げるものでございますが、株価は絶えず変動しているものでありますから、当然指定単の資産、株が多いわけでありますけれども、絶えず評価損益も変動するわけでありまして、これを一時点で見てその損益を評価するのはいかがなものであるか。このような、価格が絶えず変動するものにもかかわらず、債権のように償還期限があるのとは違いまして、株式の場合には損益の実現化というのは不明瞭でございまして、そういった不明瞭な損益が公表されるとなりますと、指定単を委託しております信託銀行の運用姿勢に影響を与える可能性がございまして、その結果として、本来の長期的な見地からの指定単運用の成果が得られなくなるおそれがあるということから公表を差し控えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/112
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113・矢島恒夫
○矢島委員 大臣、外国債権の評価損、これが実現してくるというような問題だとか、あるいは今の株式の含み損、公表されている数字をいろいろ使いましてやってみますと、大体相当な額になるということが出てまいります。
こうした外国債権投資や株式投資というのが、簡易保険の積立金の運用に関する法律の第一条ですか、確実、安全、有利というものですね、これに逸脱しているものがあるのではないかというふうなことで、私、これまでこの簡保問題のいろいろな一部改正案が出るたびに本委員会で取り上げてきたわけですが、大体私が取り上げてきた懸念というのが現実の問題になってきているのではないか、こう思うような今日の状況なんです。
ただ、そうした運用上の問題について、いわゆるディスクローズの問題ですけれども、今答弁になられたような、どうしてもこれ、金融界のいろいろな状況からできないというのもあるだろうと思うし、この部分は、そうはいっても、今まではまだ公開していなかったけれども、この程度は公開すべきだとか、この問題は、いわゆる外国債やあるいは株式投資の問題だけに限らず、郵政省全体の中でもやはりいろいろな情報を提供する、開示していくということは非常に大切だと思うし、また、国民はそういうことの中でいろいろな納得をしていくのだろうと思うのですね。
ぜひそういう方向で、私も、例えばいろいろな審議会の内容なんかも公開すべきだということを何回も言っているのですけれども、そういうような問題も含めて、ひとつ情報開示の問題についての大臣の御見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/113
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114・日野市朗
○日野国務大臣 一般論でお答えをさせていただきます。
今、指定単について局長の方から答弁ございましたが、私は、あれはある程度やむを得ない、このぐらいは先生にも御理解いただけると思いますから、一般論でお話をさせていただきますが、政府としては、平成三年の十二月に行政情報公開基準を申し合わせまして、郵政省としてもその適正な運用を図ってきたところでございます。また、現在、行政改革委員会では、本年末の意見具申を目指し、行政情報公開法について審議中でございます。
郵政省では、郵政事業の貸借対照表、損益計算書を毎会計年度国会に報告しているほか、独自にディスクロージャー誌の発行やインターネット、パソコン通信を通じた情報提供を行い、積極的な情報公開に努めてきたところでございます。
今後とも、政府の方針に従って可能な限り適切な情報公開に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/114
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115・矢島恒夫
○矢島委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/115
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116・中川昭一
○中川委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/116
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117・中川昭一
○中川委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/117
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118・中川昭一
○中川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/118
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119・中川昭一
○中川委員長 ただいま議決いたしました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対し、斉藤斗志二君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。小沢鋭仁君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/119
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120・小沢鋭仁
○小沢(鋭)委員 ただいま議題となりました郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
郵便貯金法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。
一 要介護者に対する金利の優遇措置等の実施に当たっては、政府全体の福祉政策との関係にも配意するとともに、これらの諸施策と調和をとって行うこと。
一 定期郵便貯金の利率の特例を定めるに当たっては、郵便貯金事業が国営・非営利の貯蓄機関であることを踏まえ、要介護者が利益を十分に実感できるものとなるよう努めること。
一 要介護者としての要件を定めるに当たっては、不公平が生じないよう配慮するとともに、本措置の円滑な運用に努めること。
以上のとおりであります。
この附帯決議案は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び市民リーグ・民改連の六派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/120
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121・中川昭一
○中川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
斉藤斗志二君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/121
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122・中川昭一
○中川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
この際、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/122
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123・日野市朗
○日野国務大臣 ただいま郵便貯金法の一部を改正する法律案を御可決いただき、厚く御礼申し上げます。
本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
まことにありがとうございました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/123
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124・中川昭一
○中川委員長 次に、郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/124
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125・中川昭一
○中川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/125
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126・中川昭一
○中川委員長 ただいま議決いたしました郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案に対し、斉藤斗志二君外五名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を聴取いたします。河村たかし君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/126
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127・河村たかし
○河村(た)委員 ただいま議題となりました郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案に対する附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
まず、案文を朗読いたします。
郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。
一 本制度の実施に当たっては、政府全体の災害対策、ボランティア活動の支援策等との関係に配意するとともに、これら諸施策と調和をとって行うこと。
一 寄附金の処理に当たっては、被災地の立場に立った配分に留意するとともに、寄附金が郵便振替の加入者の善意に基づくものであることにかんがみ、加入者の意向等が反映されるよう適切な運用に努めること。
一 ボランティア活動支援に対する国民の意識や本制度実施後の諸状況を総合的に勘案し、災害発生時により迅速なボランティア活動への支援ができるよう本制度の充実に努めること。
以上のとおりであります。
この附帯決議案は、自由民主党、新進党、社会民主党・護憲連合、新党さきがけ、日本共産党及び市民リーグ・民改連の六派共同提案に係るものでありまして、案文は、当委員会における質疑等を勘案して作成したものでありますから、各項目についての説明は省かせていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/127
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128・中川昭一
○中川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
斉藤斗志二君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/128
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129・中川昭一
○中川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
この際、日野郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。日野郵政大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/129
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130・日野市朗
○日野国務大臣 ただいま郵便振替の預り金の民間災害救援事業に対する寄附の委託に関する法律案を御可決いただき、厚く御礼を申し上げます。
本委員会の御審議を通じて承りました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきましては、今後の郵政行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
まことにありがとうございました。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/130
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131・中川昭一
○中川委員長 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/131
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132・中川昭一
○中川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/132
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133・中川昭一
○中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604816X01019960605/133
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134・中川昭一
○中川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時五十九分散会
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