1. 会議録本文
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000・会議録情報
平成八年三月二十七日(水曜日)
午後一時五十分開議
出席委員
委員長 大木 正吾君
理事 熊代 昭彦君 理事 宮路 和明君
理事 渡辺 省一君 理事 今井 宏君
理事 倉田 栄喜君 理事 弘友 和夫君
理事 山元 勉君 理事 宇佐美 登君
大野 功統君 唐沢俊二郎君
久野統一郎君 佐藤 信二君
塩谷 立君 鈴木 俊一君
津島 雄二君 虎島 和夫君
石田幸四郎君 石破 茂君
鹿野 道彦君 塚田 延充君
野田 佳彦君 五十嵐広三君
田口 健二君 金田 誠一君
松本 善明君 岡崎 宏美君
出席国務大臣
外 務 大 臣 池田 行彦君
国 務 大 臣
(内閣官房長官) 梶山 静六君
出席政府委員
防衛施設庁施設
部長 小澤 毅君
外務大臣官房長 原口 幸市君
外務省アジア局
長 加藤 良三君
外務省北米局長 折田 正樹君
外務省条約局長 林 暘君
委員外の出席者
内閣委員会調査
室長 松下 英彦君
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委員の異動
三月二十七日
辞任 補欠選任
加藤 紘一君 久野統一郎君
同日
辞任 補欠選任
久野統一郎君 加藤 紘一君
同日
委員糸山英太郎君が退職された。
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三月二十六日
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三三号)
同月二十七日
非営利の芸術団体・市民文化団体の法人制度の
実現等に関する請願(安倍基雄君紹介)(第九
一七号)
同(荒井聰君紹介)(第九一八号)
同(井出正一君紹介)(第九一九号)
同(池端清一君紹介)(第九二〇号)
同(石井紘基君紹介)(第九二一号)
同(石破茂君紹介)(第九二二号)
同(石橋大吉君紹介)(第九二三号)
同(衛藤征士郎君紹介)(第九二四号)
同(大野功統君紹介)(第九二五号)
同(大畠章宏君紹介)(第九二六号)
同(大原一三君紹介)(第九二七号)
同(河合正智君紹介)(第九二八号)
同(金田英行君紹介)(第九二九号)
同(神田厚君紹介)(第九三〇号)
同(岸本光造君紹介)(第九三一号)
同(北沢清功君紹介)(第九三二号)
同(久間章生君紹介)(第九三三号)
同(小池百合子君紹介)(第九三四号)
同(小坂憲次君紹介)(第九三五号)
同(木幡弘道君紹介)(第九三六号)
同(穀田恵二君紹介)(第九三七号)
同(坂上富男君紹介)(第九三八号)
同(坂口力君紹介)(第九三九号)
同(坂本剛二君紹介)(第九四〇号)
同(笹木竜三君紹介)(第九四一号)
同(志位和夫君紹介)(第九四二号)
同(田中昭一君紹介)(第九四三号)
同(田邊誠君紹介)(第九四四号)
同(樽床伸二君紹介)(第九四五号)
同(近岡理一郎君紹介)(第九四六号)
同(土肥隆一君紹介)(第九四七号)
同(富田茂之君紹介)(第九四八号)
同(中島武敏君紹介)(第九四九号)
同(中島衛君紹介)(第九五〇号)
同(中谷元君紹介)(第九五一号)
同(中村正男君紹介)(第九五二号)
同(長浜博行君紹介)(第九五三号)
同(根本匠君紹介)(第九五四号)
同(野田聖子君紹介)(第九五五号)
同(野田実君紹介)(第九五六号)
同(野中広務君紹介)(第九五七号)
同(野呂田芳成君紹介)(第九五八号)
同(濱田健一君紹介)(第九五九号)
同(早川勝君紹介)(第九六〇号)
同(東順治君紹介)(第九六一号)
同(広野ただし君紹介)(第九六二号)
同(藤井孝男君紹介)(第九六三号)
同(古屋圭司君紹介)(第九六四号)
同(松沢成文君紹介)(第九六五号)
同(松本善明君紹介)(第九六六号)
同(宮崎茂一君紹介)(第九六七号)
同(村田敬次郎君紹介)(第九六八号)
同(保岡興治君紹介)(第九六九号)
同(山岡賢次君紹介)(第九七〇号)
同(山中貞則君紹介)(第九七一号)
同(吉田公一君紹介)(第九七二号)
同(米田建三君紹介)(第九七三号)
同(愛知和男君紹介)(第一〇二二号)
同(青山二三君紹介)(第一〇二三号)
同(荒井広幸君紹介)(第一〇二四号)
同(小里貞利君紹介)(第一〇二五号)
同(木村義雄君紹介)(第一〇二六号)
同(熊代昭彦君紹介)(第一〇二七号)
同(志賀節君紹介)(第一〇二八号)
同(嶋崎譲君紹介)(第一〇二九号)
同(田中昭一君紹介)(第一〇三〇号)
同(谷垣禎一君紹介)(第一〇三一号)
同(寺前巖君紹介)(第一〇三二号)
同(渡海紀三朗君紹介)(第一〇三二号)
同(西銘順治君紹介)(第一〇三四号)
同(平林鴻三君紹介)(第一〇三五号)
同(星野行男君紹介)(第一〇三六号)
同(吉井英勝君紹介)(第一〇三七号)
同(若林正俊君紹介)(第一〇三八号)
同(小此木八郎君紹介)(第一〇六〇号)
同(越智伊平君紹介)(第一〇六一号)
同(大口善徳君紹介)(第一〇六二号)
同(加藤万吉君紹介)(第一〇六三号)
同(金子一義君紹介)(第一〇六四号)
同(坂本三十次君紹介)(第一〇六五号)
同(田中昭一君紹介)(第一〇六六号)
同(田中恒利君紹介)(第一〇六七号)
同(竹下登君紹介)(第一〇六八号)
同(橘康太郎君紹介)(第一〇六九号)
同(戸井田三郎君紹介)(第一〇七〇号)
同(中村時広君紹介)(第一〇七一号)
同(鉢呂吉雄君紹介)(第一〇七二号)
同(日笠勝之君紹介)(第一〇七三号)
同(細川律夫君紹介)(第一〇七四号)
同(細谷治通君紹介)(第一〇七五号)
同(町村信孝君紹介)(第一〇七六号)
同(三原朝彦君紹介)(第一〇七七号)
同(持永和見君紹介)(第一〇七八号)
同(山下八洲夫君紹介)(第一〇七九号)
同(渡瀬憲明君紹介)(第一〇八〇号)
祝日みどりの日の昭和の日改称に関する請願
(高村正彦君紹介)(第一〇二〇号)
部落解放基本法制定こ関する請願(中井洽君紹
介)(第一〇二一号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第三三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/0
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001・大木正吾
○大木委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。池田外務大臣。
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在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
する外務公務員の給与に関する法律の一部を
改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/1
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002・池田行彦
○池田国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。
改正の第一は、兼館としての在アンドラ、在サンマリノ、在ボスニア・ヘルツェゴビナ及び在リヒテンシュタインの各日本国大使館の新設並びに実館としての在済州日本国総領事館の新設についてであります。
改正の第二は、以上の新設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めるものであります。
改正の第三は、欧州共同体日本政府代表部の名称を欧州連合日本政府代表部へ変更することです。
なお、本法案は、在外公館の新設が含まれており、法案成立後に行う相手国政府との協議その他の諸準備に相当の時間を要しますので、できるだけ速やかな法案改正が必要であります。
以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/2
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003・大木正吾
○大木委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/3
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004・宮路和明
○宮路委員 自由民主党の宮路和明でございます。
ただいま議題となりましたところの在勤法の関係についてまず御質問をさせていただきたいと思うのですけれども、今池田大臣から三つの改正点のお示しがございました。その中で、済州島に新たに日本国の領事館を開設されるということについてお聞きをいたしたいと思います。
日韓関係は、両国まさに一衣帯水の関係といいましょうか、そういうことであり、また、長い長い交流の歴史というものを持っておるわけでありますけれども、にもかかわりませず両国の関係、最近またややエキサイトしたような状況、ぎくしゃくした状況、そういうものが見られるわけであります。こうした中で今回済州島に総領事館を新設されるということは大変意義深いものじゃないかな、私こう思っておるわけであります。
外務省とされて、今回この済州島への総領事館の新設、どういうねらい、目的を持ってそういうことにされたのか、また、どういった業務をこの総領事館において展開していこうというふうに考えておられるのか、その点をまず最初にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/4
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005・加藤良三
○加藤(良)政府委員 委員御指摘のとおり、韓国と日本との関係は、自由主義、民主主義、市場経済といった基本的な価値を共有し、それからまた安全保障上の利益もともにする間柄でございます。
まず第一番目に、在済州島の総領事館において行わしめたいその業務というものは、査証発給などの領事業務、それから広報・文化活動、こういったことを通じて人的交流の拡大や相互理解の増進というものを図りたいと思っておりますし、また、この総領事館ができることによって邦人保護の問題にも対処がより効率的にできるようになるのではないかと思う次第でございます。
御案内のとおり、平成三年の一月から在韓国大使館の出張駐在官事務所を済州島に設置はいたしておるわけでございます。しかし、済州島から我が国を訪問する人は大変多くて、駐在官事務所での査証発給件数が、これは平成六年の数字でございますが、年間一万二千三百五十一件に達しております。これは実は、大使館、総領事館を含む全在外公館の査証発給件数のうち十三位に相当いたします。それからまた、これも同じく平成六年の数字でございますが、年間約十六万人が我が国から済州島を訪問する人の数でございます。そういうことを考えまして、今般ぜひこれを設置させていただきたいと存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/5
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006・宮路和明
○宮路委員 今の加藤局長のお話では、査証の発行、それから広報・文化活動、それから邦人の保護の問題、こういったことが業務の主たるものだということで説明があったわけでありますが、そうした、特に文化・広報活動というのはまた重要な任務だ、業務だというふうに思っているのですが、その結果、日韓の友好関係にどういった貢献といいましょうか、効果を及ぼしていくというふうに考えておられるか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/6
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007・加藤良三
○加藤(良)政府委員 委員御指摘のとおりでございまして、我が方といたしましては、観光だけではなくて、済州島で開催されます各種の国際会議、それから文化、スポーツなどの行事、これに参加する人も大変多いわけでございます。また、済州島そのものにおいて、これは人口五十二万ぐらいのところでございますけれども、我が国に対する関心は非常に高うございます。広報・文化事業の拡充を求める声が多数寄せられております。
それで、そういう意味での済州島側の関心にこたえるのみならず、日本にとりましても、きめ細かな広報・文化活動を行って、相互理解という、非常に大事なものだと思いますが、相互理解の増進を図るということが日韓協力関係の基礎を固めるということにつながろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/7
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008・宮路和明
○宮路委員 この法律の成立後、相手国との協議も必要だということのようでございますので、ぜひその点スムーズに進めていただきまして、そしてこの新しく開設される総領事館が日韓の友好関係の増進にぜひ寄与するものとなってもらうよう特段のお取り組みを願いたい、こう思うものであります。
次に、日韓の漁業問題についてお聞きしたいと思います。
先ほど日韓関係、大変エキサイトしたといいましょうか、ぎくしゃくした関係が最近見られるということを申し上げましたが、日韓の漁業関係も、これまでどちらかというとアンハッピーといいましょうか、不幸な関係を続けてきているのじゃないかというふうに私は思うわけであります。
昨日、たまたま国連海洋法条約の承認案件、そしてこれに関連した法律案、八本ですね、閣議決定を見たわけでありまして、そして国会に提出されたというふうに承知をいたしております。
日韓の漁業関係は、昭和四十年の両国国交正常化に伴いまして漁業協定が締結されまして、以来、これをベースに両国の漁業が展開されてきた。そこで昭和五十二年に、二百海里時代の到来を迎えて、我が国として漁業の二百海里水域を引く、こういうことになったわけでありますが、韓国とのそうしたこれまでの経過を考える中で、東経百三十五度以西の海域について二百海里の漁業水域を設定せず、また二百海里を設定した漁業水域についても韓国にはこれを全く適用しない、こういうことでやってきたわけであります。
ところが、韓国側の操業がいろいろな問題を引き起こしまして、その後両国間で話し合いをして、自主規制措置を設けたりしてそうしたトラブルの発生を極力抑えようということでやってきたわけでありますけれども、一向にそれがおさまらない、ますますこの問題がエスカレートしていくということでありまして、その結果、我が国の沿岸漁業者は大変な痛手をこうむり、それこそ筆舌に尽くしがたい苦労を長年にわたって味わってきておるわけであります。
そこで、今回の海洋法条約の批准に当たって、我が国の漁民の皆さん、漁業者の方々こぞって、この排他的な経済水域をぜひとも全面的に設定し、そしてまた全面的にこれを適用してもらいたいという願いはまさに切実なものであるわけでありまして、私どもも絶えずそうした漁業者の皆さんの強い強い悲願を聞かされ、また訴えを聞かされておるわけであります。
そういったことで、海洋法条約の締結及び海洋法制の整備についてという先般二月二十日の閣議了解、これに当たりましても、私ども、党内の特に水産にかかわりの深い人々の意見を集約して、そしてこの閣議了解にこれを反映させようということで、それこそ政府の方と行ったり来たりの物すごい激しい話し合いといいましょうか、やりとりをさせていただきました。
その結果、そうした我々のあるいはまた全国の漁業者の願いを込めてこの閣議了解の三項が設けられ、そして韓国及び中国との漁業関係に関して、海洋法に関する国連の条約の趣旨を十分踏まえた新たな漁業協定が早期に締結されることとなるよう、速やかに交渉を開始し、合理的期間内にこの結論を得るように鋭意努めるものとするという、こうした文面が閣議了解の中に盛り込まれることになった、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。
そしてさらに、先ほど申し上げた条約の承認案件、それから関係法案の閣議決定、国会提出ということに当たり、与党三党が合意をいたしまして、そして政府の方に強い申し入れを行わさせていただいたところでございます。
これも「日韓・日中漁業協定の取扱いについて」ということであるわけでありまして、「日韓漁業協定については、本年中に改定方針の合意を得ることを基本とし、一年以内を目途に交渉を進めるものとすること。」そして二が、「積極的に協議せるも、その改定方針の合意が得られないと見通される場合には、」排他的経済水域漁業法及びいわゆるTAC法の「関係規定が、その一年後には全面的に適用されることとなるよう対処するものとすること。」というようなことで三党合意を見、そして政府の方にそうした取り組みをしてもらうよう、改定交渉をやってもらうよう申し入れをさせていただいた、こういうことであるわけであります。
そこで、外務大臣にお聞きをいたしたいわけでありますが、こうした閣議了解あるいはまた三党合意の申し入れ、これを体して日韓の漁業協定交渉にどういうぐあいに当たっていかれるのか、その基本的な方針というものをまずお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/8
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009・池田行彦
○池田国務大臣 宮路委員御指摘のとおり、昨日閣議におきまして国連海洋法条約並びにその関連の法案を決定いたし、国会へ提出させていただいたところでございます。
これに至りますまでには、委員御指摘のとおり、政府部内においてもまた与党におかれましても、非常に多方面にわたり関係方面の要望を踏まえながら熱心ないろいろな御審議があった、それを踏まえて昨日提出させていただいたわけでございます。
そして、先ほど御指摘のございましたように、二月二十日の閣議了解において政府としての基本方針は決定させていただいているわけでございますが、これから韓国との漁業関係についての取り運びをするに当たりましては、その基本方針にもございますように、この新しい国連海洋法条約、この条約の趣旨というものを十分に踏まえた新たな漁業協定を早期に締結されるように、日韓両国の協議を速やかに開始して、合理的な期間内に結論を得るように全力を傾注してまいる、こういう所存でございます。
そして、なおまた御指摘のございましたさきの与党政策調整会議におかれまして、三党としての取り扱いについての申し合わせが行われ、それを我々政府としても承っております。
外務省といたしましても、与党三党より示されました本件に関する考え方、お考えというものを十分に体しまして、早急に韓国との間の協議を進めてまいりたい、こう考えておりまして、もう既にその協議の開始を韓国側に申し入れまして、その回答を待っておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/9
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010・宮路和明
○宮路委員 今のお話ですと、交渉の開始に向けてそのスタートをもう切ろうとしている、こういうことでございますが、「合理的期間内に」という閣議了解のこの点は一年以内、こういうふうにも言われておるわけでありますし、また、さきの三党合意の中でも「本年中に改定方針の合意を得ることを基本とし、一年以内を目途に交渉を進める」、こういうことであります。
そういうような大きな目標というものがもうぴしっと示されているというふうに理解するわけでありますが、その辺の見通しといったものについて現段階でどういうふうに考えておられるか、その点、また外務大臣にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/10
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011・池田行彦
○池田国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、我が国の政府といたしましては、まず早急にその交渉を始めたい、こういうことで韓国に申し入れしているところでございまして、韓国側から早期に回答があり、まず交渉のテーブルに着きたい、こう思っておる段階でございますので、今見通しがと、こういう御質問でございますが、それはちょっとまだ申し上げられる段階ではございません。
いずれにいたしましても、政府の基本方針は合理的期間内にということでございますし、また与党の申し合わせが、委員御指摘のようなそのタイミングの中での交渉の妥結、そういったものを求めておられるということは十分承知しております。そういったことを体しながら、政府としても極力早急に円満な解決が得られるように全力を傾けてまいるということを今の段階では申し上げさせていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/11
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012・宮路和明
○宮路委員 今の段階では見通しは立たない、こういう今のお話でございますが、大臣御承知のように、これについては一年以内ということをしっかりとそういうことが明記されておるわけでありまして、そして先ほどの三党合意におきましても、その第二項で、積極的に協議しても、その改定方針の合意が得られないという場合は、その一年後には関係法律、排他的な経済水域における漁業法、それとTAC法の関係規定が全面適用されるように、そういうぐあいに対処するということを言っておるわけであります。
これは、日韓の漁業協定の中で、第十条の第二項でありますが、「この協定は、五年間効力を存続し、その後は、いずれか一方の締約国が他方の締約国にこの協定を終了させる意思を通告する日から一年間効力を存続する。」こういうことでありまして、一年前といいましょうか、日韓いずれかがこの協定を終了させる意思を相手方に通告したら、その一年後にはこの協定は失効するんだ、こういうことをこの十条第二項が言っている。このこととまさに関連したこの三党合意の第二項、こういうことであります。
それを受けて、この法律におきましても、附則においてそのことがしっかりと、特定国あるいは特定の海域を指定してこの関係規定の適用を除外するといったことに対する歯どめとして、適用除外は、政令で期間を定めたときはその政令の期間まででこれはもう終わっちゃうんだ、こういうことをきちっと関係法令の中で附則を入れて、ちゃんとそこもまたしり抜けにならないようにきちっ
とたがをはめた、こういうことになっておるわけであります。
したがって、何が何でもこれは一年以内ということで協定をしっかりやってもらわぬことには、その見通しを立ててもらわないことには、後はもう待ったなしの状態になる、こういうことであるわけでありまして、その辺はそりした覚悟を持ってこれに取り組んでいただかなければならない、こういうことになろうかというふうに思います。
それで、そうしたまさに交渉にずるずるといかないようなそういう期限のきちっとついた交渉でありますので、そういうことをこれは踏まえて交渉をやっていただかなければならない。そしてまた、仮にこの期限内にそうした決着を見ないというふうなことになりますと、今申し上げた日韓漁業協定の第十条第二項の発動というふうなことに当然これは帰結していかざるを得ない、こういうふうに思うんですけれども、その点どういうぐあいに考えておられるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/12
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013・池田行彦
○池田国務大臣 交渉に当たりまして、妥結の見通しがないままにいたずらに長い時間をかけてやるというのは、それは避けるべきだというのはそのとおりでございますけれども、しかし、やはり我々としては、韓国との間で十分に、しかも早急にその結論を得るように精力的に話し合いをいたしまして円満な解決を図っていく、これが基本でございます。
委員御指摘のようないろいろな関連があり、法律あるいは政令等の組み立てもそのようになっているということは、十分承知はしております。そしてまた、与党の中でのいろいろな御審議の経過も十分承知はしておりますが、今まさにこれから交渉を開始していこうという段階で、仮にその交渉がうまくいかなかったらどうするかという点について私の立場から申し上げるのは、これは物事の円満なしかも早期の解決を図る観点から申しましても、控えさせていただいた方が適切かと考える次第でございます。
しかしながら、いずれにいたしましても、与党の御議論を集約されました申し合わせというものの趣旨を十分に体して交渉に当たり、円満な、しかも早期の解決を図ってまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/13
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014・宮路和明
○宮路委員 交渉の始まる前からうまくいかなかった場合を想定してどうこうというのは、確かにそういう外務大臣のお立場も理解できないことはないわけでありますけれども、円満な解決が、これはなかなか今までやってきてもにっちもさっちもいかない、そういう本当に長年の苦渋といいましょうか、そういう本当に苦悩といいましょうか、そういうものを前提として、こうした強い姿勢で何としてもこれに臨んで交渉、決着を目指すべきである、これは国民の声なんであります。ですから、そこは腹をくくって、そして後はもう絶壁だ、断崖だというようなことでこれはやってもらわないと、この問題はなかなか解決するものではないというふうに思うんですよ。
ですから、ぜひそうしたことでやっていただき、そして万が一に一年たってもうまくいかないというときは、それはまさに日韓漁業協定の十条二項の発動だということをひとつ念頭にしっかり入れてやっていただきたい、強く要請を申し上げたいと思います。
そして、最後に、日韓両国間には、言うまでもなく竹島という領土問題を抱えておるわけであります。韓国は、現に竹島を今実効支配し、また最近は警備体制といいましょうか、そういう点も大幅に強化をしているというふうにも聞いておるわけでありますが、こうした状況を放置しておっては、このEZの設定やあるいは適用問題もうまくいかないといいましょうか、支障を及ぼすということになるのではないかというふうに懸念されるわけですね。この問題にどう対処されるおつもりか、外務大臣にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/14
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015・池田行彦
○池田国務大臣 竹島についての我が国の立場は、御承知のとおり一貫したものでございます。ただ、この排他的経済水域の問題につきましては、竹島の領有権にかかわる問題とは切り離しながら協議をして進めていこう、こういうことで、今月の初めにバンコクで行われました橋本総理と金泳三大統領との首脳会談で決められたところでございますので、政府としてはそのような方向で進めてまいりたい、こう考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/15
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016・宮路和明
○宮路委員 いずれにしましても、今度の海洋法条約の批准に伴うEZの設定、適用、これは絶対に、国民の強い願いとして、今までとは違った大いなる決意を持って取り組んでいただき、そしてこれまでの長い懸案をやはりこの際何としても解決してもらいたい、こういうことでありますから、ひとつ格段のお取り組みを強くお願いを申し上げて、要請申し上げて、私の質問を終えたいと思います。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/16
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017・大木正吾
○大木委員長 次に、弘友和夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/17
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018・弘友和夫
○弘友委員 新進党の弘友和夫でございますけれども、まず初めに、今議題となっております名称位置給与法について何点かお尋ねしたい、このように思います。
ただいま大臣から趣旨説明があったわけでございますけれども、今回の改正につきましては、大使館の新設が兼館で四件、四カ所、そして領事館の新設が実館で一カ所。
今、韓国の済州道の実館の件については質問があったわけでございますが、私は、韓国の済州道に領事館を設けるということにつきましては大変結構なことじゃないかと思うのです。
毎年この法案が出てくるのですが、例えば昨年はパラオ大使館の兼館が一件ということで、一貫性といいますか、基準があるのかどうかということを思っているのですが、例えば、ソ連の崩壊によって、ロシアを初めとして今十二のNISの諸国がある。これが独立して国際社会に承認されたわけですけれども、今はロシア、ウクライナ、ウズベキスタン共和国を除いてすべて兼館になっているということで、大使館等の新設については、設置基準というのはどういう基準でやっておられるのか。例えば今回のリヒテンシュタイン公国というのは一九二四年に国家承認をされておる。それで今大使館を兼館で設置するというのが出てくるわけですね。
というように、そのときそのときの必要性に応じてだとは思うのですけれども、そういう設置基準というのをある程度明確にしていく必要があるのではないかなということが一つ。
それから、これは毎回論議になりますけれども、在外公館の国有化につきまして、現在六一%、こういうふうに伺っておりますが、今後の国有化計画はどのようになっているかということについてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/18
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019・原口幸市
○原口政府委員 お答え申し上げます。
大使館、総領事館等の我が国の在外公館の設置につきましては、一般論といたしまして、当該国また当該地域にかかわる政治、経済、文化等の諸分野における我が国との関係の緊密度、それから国際社会における経済的あるいは政治的重要性、さらには在留邦人数及び本邦企業の進出状況、第三国の在外公館の設置状況、あるいは当該国の要望等を総合的に勘案した上で、その緊要度を慎重に判断することといたしております。
実館を設置するに当たりましては、主として邦人の進出状況、相手国世論対策の重要性、我が国との経済関係、情報入生地としての重要度、それから地方分権の程度、それから最寄りの公館等により対応できない困難があるかどうか、あるいは主要諸国の公館設置状況、相手国よりの要望等を勘案の上、総合的にその重要性を判断してきております。
また、我が国としては、ある国との外交関係を開設する場合には、特別な事情のない限り、少なくとも兼館の大使館を置き、もって当該国との友好関係を図ることにしている次第でございまして、現在までのところ、今回のこの法案を御承認いただきますと、兼館を含めまして百八十八の公館ができ上がるということでございます。
それから、国有化の状況でございますが、在外公館の施設、具体的には事務所及び公邸でございますけれども、これは日本外交の第一線にあって任国政府との交渉あるいは情報収集等の外交活動を実施していく拠点でございますし、また、内乱とか騒動等の緊急事態に際しましては、邦人保護を初めとする危機管理の拠点となるものでございます。
このような認識から、事務所、公邸を問わず、在外公館設置につきましては、機密保持あるいは警備対策の見地より、国有化を進めていくことが望ましいと考えておりまして、外務省といたしましても、種々の制約のもとで、適当物件の購入あるいは建物の新築を漸進的に行ってきておりまして、公邸につきましては六一%の国有化が達成できております。
他方、在外公館の事務所につきましては、その機能、役割を十分果たすためには、任国あるいは任地の首都の中心部に位置することが望ましいわけでございますが、好立地であればあるほど新設であれ購入であれ物件の国有化ということが困難な場合がございまして、借り上げで対応せざるを得ない場合がございます。そこで、こちらの方は今のところ三二%と低い状況になっておりますが、なお一層努力して、こちらについても国有化をさらに進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/19
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020・弘友和夫
○弘友委員 必要があって設置される、それを総合的に勘案してというのは、なかなかあいまいじゃないかなというふうに思うので、今後ぜひある程度の目安といいますか、そういうものも決めていただければな、このように思います。
次に、在外職員の定員の関係についてお伺いをいたします。
いつも論議されることでございますけれども、我が国の国際的な地位と責任の増大だとか、また国際化の進展に伴って外交関係事務もあらゆる分野において急激に増加しているわけで、こういうことに対して、そういう需要にこたえるためにも定員拡充というのが非常に大事じゃないかな。
そういうことで、いわゆる五千人体制を目指すということで外務省としては来られたと思うのですが、今回の定員増によりまして、ことし五千人体制が、そういう悲願が達成されたと言えるのではないかと思いますけれども、兼館が多いとかいろいろなことも含めまして、五千人体制ではやはりまだ不十分なのではないかな。今からの国際化に向かって本当に外務省の役割というのは大きい。そういう意味において、新たな目標を立てて一層の、今行政改革の時期ではございますけれども、新たな目標を立ててやるべきではないか、このように思いますけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/20
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021・池田行彦
○池田国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国の外交は昨今その重要性をますます増大しておりますので、定員を初めといたします外交の実施体制を整備していくということは大変大切であると考えております。
そういった観点から、これも御指摘ございましたように、かねてから五千人体制ということを一つのいわば目標として拡充に努めてきたわけでございます。平成八年度の予算の政府案におきまして百六十名の新規増員が確保されておりますので、その結果、八年度末で見ますと、外務省定員は五千五人ということになる見込みでございまして、一応これまでの目標というものは達成されたということにはなるわけでございます。
しかしながら、現在の外交の実態ということから見ますと、要員の確保には引き続き努める必要がある、こう考えておるところでございまして、現に平成三年の七月に出ました第三次行革審の第一次答申におきましても、行革審というのは、どちらかというと定員とか機構とかいうのはスリムにしていけ、そういう観点からいろいろ検討されるところでございますが、外務省の体制につきましてはさらなる整備拡充が必要であるという御答申をちょうだいしておりますし、また、平成三年十二月にいただきました外交強化懇談会の報告書におきましては、速やかにその時点から千人程度の増員を図るべし、こういった御提案をちょうだいいたしておるところでございます。
そういったことも踏まえまして、私どもといたしましては、厳しい行財政事情ではございます、そういったことでいろいろ配慮しなくちゃいかぬ点はございますけれども、外交の重要性の一層の増大にかんがみまして、今後とも定員増に努めてまいりたい、こう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/21
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022・弘友和夫
○弘友委員 時間の関係で、官房長官もお見えでございますので、次の質問に移らせていただきます。
沖縄の米軍基地の問題について質問をいたしたいと思うのですが、昨年の九月四日に起きました米軍人の三人による少女暴行事件、これをきっかけに沖縄の基地問題が、大田県知事の代理署名拒否問題と絡みまして大変政府・与党の姿勢が問われる大きな問題となっているわけでございますが、政府はこの沖縄県の米軍用地強制使用のための代理署名を求めて、前村山首相が大田沖縄県知事を相手取って起こした職務執行命令訴訟の判決が去る二十五日に福岡高裁那覇支部で言い渡された。これで、きょう大田知事はこの代理署名を再度拒否をいたしまして、最高裁に上告することを先ほど報道があっておりましたけれども、これに対しまして官房長官、記者会見もされていたようでございますけれども、これに対してどういうお考えなのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/22
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023・梶山静六
○梶山国務大臣 沖縄の基地問題について沖縄県民の怒りというか、昨年の事故以来大変高まっていることは大変残念な状態でございます。そして、過般の裁判の結審を得て知事の署名を求めているわけでありますが、昨日も防衛施設庁長官が大田知事にお会いをいたしまして要請をした結果、その要請にはこたえられない、沖縄県民の思いを考えるならばそういう措置をとることができないということで、お話を受けられないという結論をちょうだいをしたわけであります。そして今、最高裁に上告をされた話も聞いてまいりました。
大変残念な事象でございますが、いずれにいたしましても、この状態を一日も早く脱却をするために全力を挙げて力を尽くし、御理解をちょうだいをし、そして個人の権利とそれから国家の利益、そして国家が日米安保条約で果たすべき義務、この間をいかに処理をするか、これからも懸命な努力を払ってまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/23
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024・弘友和夫
○弘友委員 大田知事も、私も日米安保条約の必要性というのは十分に理解しているつもりでございますけれども、やはり今までの歴史的経過といいますか、このまま放置しておけば沖縄の基地機能というのがむしろ強化されたり固定化されたり、そういうことで懸念をして、やむにやまれぬ思いで大田知事は拒否をされているわけでございますけれども、三月三十一日にこの強制使用契約の期限は切れる。読谷村にあります米軍の楚辺通信所、これは今後強制使用手続というのをやられるとは思うのですけれども、三月三十一日にこの期限が切れる。では、その結果が出るまでの間というのは国が不法占拠という結果になるわけですけれども、これを国が継続使用しても直ちに違法状態にならないという法的根拠、条文に照らしましてどういうものによって不法占拠にならないのか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/24
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025・梶山静六
○梶山国務大臣 大変難しい法解釈の問題については、私はその問題に必ずしもはっきり答えることができないと思いますが、今委員御指摘のとおり、三月二十一日限り、現行の賃貸借契約が終了をいたしまして、四月一日以降はその占有につき権原がない状態になることは、これは御承知のとおりであります。
しかし、過去二十年にわたって土地所有者との間で賃貸借契約に基づき適法に使用をしてきたものであり、当該土地を引き続き米軍に使用提供することは、安保条約及び地位協定上、日本の義務に当たるわけでありまして、我が国及び極東の平和と安全のためにも必要だという国家的な要請があるわけであります。
目下、駐留軍用地特別措置法に基づき、土地使用の権原を得るための所定の手続をとり、引き続き適法に使用し続けるための努力を今払っているところであり、土地所有者に対してはこれからも借料相当の全員の提供をし、土地所有者に損害を生ぜしめない措置をこの経過の間にとってまいりたい。こういり状況を考えますと、土地所有者との間での法的な紛争状態にあるとはいいながらも、必ずしも、この当該土地が土地所有者に返還されない状態について直ちにこれを全部違法である、こう言うのには当たらないのではないのかなという私見を私は持っております。
いかにしても、あとう限り早い機会に国で使用することのできる立場を獲得をしたい。その間の状態を直ちに違法である、不法占拠であるということのみで処置ができるかどうか、大変疑問のあるところだという感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/25
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026・弘友和夫
○弘友委員 今のお答えは、政府の考え方であって、条文に照らして違法じゃないということじゃないと思うのですね。解釈といいますか、そういうことで果たして、地主の方がこれは財産権の侵害だということで訴えられて裁判になるということも起こり得るわけですし、また、今防衛施設庁の方で何かフェンスを張っているというふうに報道もされておりましたけれども、じゃ直ちに四月一日以降、地主の方がそのフェンスを乗り越えて自分の土地に行くのだということで行動を例えば起こされたときに、警察なりがそれを排除するという、これはどういうものに基づいて排除ができるか、どうですか、そこら辺については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/26
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027・梶山静六
○梶山国務大臣 私は、状態としてそういうことにならないことを希望いたしますが、確かにその周辺地区にいわば不穏な動向があるということで、フェンスを張っているという事実を今聞いております。しかし、あの地域全般を見ますと、ほとんどが、いや、その地点を除いて全部米軍に提供されている地域でございまして、その間にいわば袋的な土地所有権が一つ問題を起こしている、そういうことでございますから、直ちにこれを全部、そこへ堂々と行くのがいいのかどうなのか。そうすれば、その他の土地を使用することがそれじゃ認められるかというと、これもって、私は個人のあれと国家のあれを同一視はいたしませんけれども、全く袋とじになっているという現実もお考えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/27
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028・弘友和夫
○弘友委員 今いろいろ御答弁ありましたけれども、法的なきちっとしたものがない。それによって苦慮されているというのはわかりますけれども、そういう事態も起こりかねないわけでございます。
なぜこういうことになったのか。というのは、復帰以来、今までやはり沖縄の県民の立場に立って我々が本当に物を考えてきたかどうかということが今大きな問題になっているわけですね。それで、国土の〇・六%にすぎないこのわずかなところに七五%の米軍専用施設がある、それが放置されてきたということがやはり今の状態になったということを我々は本当に考えていかないといけない。
それにつきましては、橋本総理もこれは勝訴とは言えないということは言われておりますけれども、同じある報道によりましたら、自民党の組織広報本部長亀井静香さん、沖縄でこういうことを言っている。「知事も県議も衆議院議員もだれを選んでも構わないというような、得手勝手なことをしても、ちゃんと沖縄に国の金が入ってくると思うのは間違いだ。予算を沖縄に入れるにはそれなりの体制をつくらねばならない」、自民党が勝たなければ沖縄は地獄に落ちる、こういうことを言ったというふうに報道されているわけです。
この間、地方分権の委員会に対しまして、正式な部会かどうかわかりませんけれども、政府の役人さんを呼んで、昔だったら知事が勝手なことをしたら即首を切れるのだというようなことを言ったという報道もされております。
やはり、本当にこういうことが、要職にある、政府のあれじゃありませんけれども、一方では言われている、片一方では協力してくれというようなことでは、本当に沖縄県民はたまったものじゃない、こう思うわけですけれども、この発言に対して、個人の発言と言われるかもしれませんけれども、官房長官、どういうふうに思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/28
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029・梶山静六
○梶山国務大臣 残念ながら、今お話しの亀井議員の発言が、どこで、どういう状態で、どういう文言で行われたか承知をいたしておりません。
ただ、私が言えますことは、委員前段で御指摘のとおり、戦後五十一年、沖縄戦争があり、沖縄が戦火にさらされ、その後長い間占領の中にあって、基地問題に悩み、それから沖縄がいわゆる日本の中に復帰をした後においてもそのままの米軍の基地がある。そして我々の、日米安保のいわば機能を沖縄が一手に背負っている。その痛みを私も知らないわけではありません。しかし、我が国の置かれている現況、こういうものを考えれば、日米安保条約の有効性、必要性、これは当然認識をいたしますし、その中核をなすのが米軍であることもまた事実であります。
ただ、沖縄にだけ基地が偏在をする、このことをどう痛みを分かち合うか、これからともに考えていかなければならない大変重要な問題であるという気はいたします。確かに、今まで問題を若干でも先送りをしてきたという無念さを今私は感じているわけであります。あとう限り的確にこれから対応できるような努力を払ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/29
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030・弘友和夫
○弘友委員 それで、四月の半ばにはクリントン大統領が来日される。この沖縄の米軍基地の返還や、または整理縮小について話し合いが行われると思うわけでございますが、先日、今、中国の軍事演習とかいろいろな状況の中で、あの橋本総理の発言は、交渉が非常に難しいような、困難なような報道もされておりましたけれども、どういう姿勢で、どういう手順で臨まれようとしているのか、外務大臣、ひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/30
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031・池田行彦
○池田国務大臣 沖縄の基地については、ただいま官房長官からも御答弁ございましたように、日米安保体制の維持、そのための基地の確保という観点から申しますと、やはりその必要性はお認めいただかなくちゃいけない、御理解をちょうだいしなくちゃならないわけでございます。
他方におきまして、沖縄の県民の方々に、非常に長期にわたり、また非常に大きな御負担を強いておる、こういうことは、我々としても、政府としても本当に真剣に考え、少しでもその御負担を軽減しなくちゃいけないということで、今全力でこの問題の、基地の整理統合・縮小というものに取り組んでおるところでございます。
御承知のとおり、昨年、そのための特別行動委員会というのをつくりました、SACOと申しておりますが。それのワーキンググループをこれまで既に五回開きまして、基地の運用上の問題、地位協定の運用上の問題についてもいろいろ討議いたし、そちらについてはかなり進展が見られておりますが、基地そのものの統合とか縮小の問題につきましても、ここのところ特に日米共同で努力をしております。
そういったことでございまして、結論はこの秋に出すということになっていますけれども、御指摘の四月のクリントン大統領の御訪日というのは一つの大きな節目でございますから、それまでに極力その作業を促進いたしまして、できるだけそこでの段階である程度成果を出したい、こう思っております。
今御指摘のように非常に難しい問題もございますので、具体的な個別の事案についてどうこうということは、残念ながら申し上げられる段階ではございませんけれども、大統領が御訪日の時点に向かってこれからも最大限の努力を進めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/31
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032・弘友和夫
○弘友委員 時期的な問題もございますし、個別な問題について今論議するのはちょっと時間もございませんので、基本には、先ほど申しましたように、本当に今まで、切り捨てられていたと言うと語弊がございますけれども、置き去りにされていたその問題について、沖縄県民の皆さんの本当に気持ちを酌んで、ぜひともこれは基地の縮小整理について強く臨んでいただきたい、このように思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/32
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033・大木正吾
○大木委員長 次に、松本善明君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/33
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034・松本善明
○松本(善)委員 今同僚委員からも質問のありました、三月三十一日で期限切れになります米軍の楚辺通信所内の一部の土地の四月以降の問題でありますが、新進党の議員も不法占拠ということでお聞きになりました。今官房長官が答えられた答弁は、昨日参議院の内閣委員会でも答弁をされているのと同趣旨でありますが、官房長官は、四月一日以降、この占有について権原がない状態になるということ、これは認めておられるわけであります。ただ、それを違法とは言えないのではないかというのだけれども、どういう権原があるかということ、同僚委員も聞かれましたが、それについては全く答えていないということなのです。
防衛施設庁は直接の担当なので、一体この問題についていかなる法的な根拠、何法に基づく何の権原ということが言えるのかどうか、はっきり答えてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/34
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035・小澤毅
○小澤政府委員 お答えいたします。
ただいまも官房長官の方からお答えございましたように、四月一日以降につきましては、先生御指摘のように、占有につき権原がない状態、いわゆる賃貸借契約に基づきます使用権原についてはない状態ということになることは御指摘のとおりでございます。
そこで、そのような状態について民法上の観点から、また条約上の観点、いろいろなところを総合的に勘案いたしますと、先ほど来官房長官等からも御説明ございましたように、賃貸借契約については、過去二十年間にわたって所有者との間で円満な使用が続けられてきたこと、また一方、その土地を引き続き、楚辺に係る土地でございますけれども、米軍に提供することは、安保条約上の、六条の義務であるのみならず、我が国の、極東の平和と安全のため必要である、さらには、現在職務執行命令等の手続等まで行いまして、目下駐留軍用地特措法に基づきます使用権原の取得のための手続をとっておるところでございますし、また、四月一日の状態におきましては、我々としましては収用委員会への裁決申請が、さらには、楚辺通信所に係りましては緊急使用の申し立てまでできるのではないかというふうに考えておるところでございます。またさらには、四月一日以降、所有者の方々に対しましては借料相当額の全員の提供ということは行うという予定にしてございます。
これらを勘案いたしますと、先ほど官房長官からも御答弁ございましたように、直ちに違法であるというふうな状態には当たらないのではないかという考えについては、我々も思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/35
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036・松本善明
○松本(善)委員 同じことを皆言っているのだけれども、いかなる法律に基づくいかなる権原であるかということは答えないわけですよ。それは根拠がない、それならそれで今はっきり言ってほしいのです。法律上、いかなる法律に基づくいかなる権原だということについては答えられないのだというならそれでいいのです、権原がないということはそういうことなのだから。そういうふうに言うのかどうか、はっきり。繰り返しの答弁は聞きたくありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/36
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037・小澤毅
○小澤政府委員 お答えいたします。
個々の法律の条項に照らしてということでございますけれども、仮に賃貸借契約でございますれば民法上の問題、また、提供については地位協定、安保条約上の問題というふうに感じておりますし、また、全員の提供といいますものは財産権の保障等の問題、この辺、いろいろ総合的に判断すべきものというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/37
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038・松本善明
○松本(善)委員 権原がないということはもう言ったわけですよ。それは、そういう法律上の根拠がないということを裏返しに言っている。ただ違法でないということを言っているだけだ。
これは非常に大事で、県の収用委員会の定例日、四月の十二日だというふうに聞いていますが、それは許可が出ないということもあるわけですよね。必ず許可が出るとは限らないんですよね。
一体どういう理由でフェンスを張ったりそんなことができるんだということの説明ができなかったら、これは法治国家じゃないですよ。そこは物すごく大事な問題であります。大臣にも閣僚として後から聞こうと思うんですが、よく聞いておってください、そのやりとりを。
それで、この問題についてはかって、一九七七年に法律の期限切れになったときに、やはりこの内閣委員会で問題になっております。法制局長官は、そのときは管理権、所有者に対する善良な管理者の義務、民法上というのはそういうことになるのかもしれません、所有者に対する善良な管理者としての管理義務、管理権というようなことを言っている。
そういうことは今も言うんですか。それとも、このときに法制局長官の言っている立場というのは変わるんですか。このときは、積極的な使用はやってはいけませんと、はっきり法制局長官は言っています。フェンスをつくるなんていうのは積極的な使用ですよ。この内閣法制局長官の真田秀夫氏の答弁、今内閣はこれを踏襲しているのか変更しているのか、何と考えるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/38
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039・小澤毅
○小澤政府委員 お答え申し上げます。
まず第一点の、フェンスをただいま、三月の二十六日から建設工事をさせていただいております。これはあくまでも提供地内に建設しているものでございまして、そのような土地については、我々は、地主の方々との賃貸借契約に基づいて米軍施設に提供されていること、その中でやっておるものでございます。特に法的な空白との関係というわけでは、何ら問題はないというふうに我々思っております。
一方、もう一つ、昭和五十二年のいわゆる空白の四日間と言われた、当時の法制局長官の御答弁との関係につきましては、当時はやはり、公用地暫定使用法の五年の期間が切れまして、その間、ちょうどそれを延長するためのいろいろな法的な手続が国会等でとられておったというふうに我々は承知しております。
その段階におきまして、衆議院で、いわゆる地籍明確化法で公用地暫定使用を五年延長するというふうな法案が通りまして、参議院の御審議の段階でちょうど五月十五日を迎えてしまったということで、それの審議の日程上、十五日までに参議院を通過することができなかったという段階の中での法制局長官の御答弁だと思います。
それとまた、当時の土地につきましては、いまだ地籍明確化法という法律をちょうど策定している段階でございます。そうしますと、いわゆる我々が今やっております駐留軍用地特措法というものは適用がなかなか難しい状態にあったということもございます。そのようなことをいろいろ勘案されまして、法制局長官の当時の見解がなされたというふうに我々承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/39
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040・松本善明
○松本(善)委員 長々言ったけれども、何も答えていないんですよ。管理権ということを言うのか言わぬのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/40
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041・小澤毅
○小澤政府委員 お答え申し上げます。
地位協定の第三条に基づきます管理権は、昭和五十二年の当時も現在も同じような規定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/41
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042・松本善明
○松本(善)委員 法律上の権原がなくて管理権といいますと、だれのための管理なんだということになります。所有者のための管理ということであれば、所有者の入ってくるのを防ぐためのフェンスというのはとんでもない話なんです。だれのための管理なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/42
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043・小澤毅
○小澤政府委員 ただいま先生の方から、所有者が入るのを防ぐためのフェンスというふうな御指摘ございましたけれども、我々現在フェンスを行っておりますのは、楚辺通信所自身、今、日米安保条約の運用上大変重要な施設であるということと、いわゆるこれの四月一日以降の使用権原のなくなる状態によって無用の混乱が生じないようにという意味でつくっておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/43
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044・松本善明
○松本(善)委員 だれのための管理ですか。無用の混乱とか言ったけれども、何の権原もなしにそんなことできないんですよ。米軍が使うからといったって、どこでも日本じゅう使っていいわけじゃない。ちゃんと法律に基づかなければ基地として使えないんですよ。その管理権というのはだれのための管理なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/44
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045・小澤毅
○小澤政府委員 先ほどもお答え申し上げたかと思いますけれども、現在フェンスを建設している場所は既に施設・区域として提供されている場所でございますし、当該場所につきましては、使用者との、地主さんの方々との間で円満に賃貸借契約が結ばれている土地でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/45
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046・松本善明
○松本(善)委員 そうすると、米軍のための管理、こういうことですか。ちょっとはっきり答えてください。大事なことなんです。だれのための管理なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/46
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047・小澤毅
○小澤政府委員 当該フェンス自身が、先ほど来御答弁申し上げていますように、だれのための管理かということではございませんで、まあやはり平穏な施設の管理、維持運営ができるという立場からつくっているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/47
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048・松本善明
○松本(善)委員 やはりやっと本音が出たんですよ。米軍のために管理をしているんです。権原が全くないにもかかわらず、米軍絶対ということでこういう無法なことが許されるのか、法律に全く基づかないでこういうような不法占拠が許されるのかという、いわば法治国家としての根本問題ですよ。
それで、外務大臣に伺いたいんです。これは閣僚として、政治家として、日本の政治のあり方の問題です。もう細かい問題は結構です。
法律上の、これを占有する権原はないということは官房長官も言われている。それから、今防衛施設庁は私に問い詰められて、結局米軍のための管理だ、基地の管理だ。それは全くその権原がないんですよ。真田法制局長官が当時、先ほど紹介いたしましたのは、これは明らかに所有者のための管理、これはやや詭弁でありますけれども、そういうふうに言われたんです。ところが、はっきりと、施設管理権、それは米軍のための管理です。無法な管理を米軍のためにやるということであります。そういうことが許されていいものですか。外務大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/48
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049・池田行彦
○池田国務大臣 先ほど来官房長官あるいは防衛施設庁から御答弁ございますように、問題のその土地につきましては、これまでの賃貸借契約が終了いたしますと、その賃貸借契約に基づく占有の権原はなくなるという状態になろうか、こういうことでございます。
しかしながら、繰り返しはいたしませんけれども、先ほど四点にわたっていろいろ申し上げたような、答弁のございましたような理由を、状況を、事情を考えるならば、そのことをもって、当該土地が所有者に返還されていない状態があっても、それが直ちに違法であるということにはならないのではないかというのが政府の考えでございます。
そしてさて、今委員からの御指摘は、通信所の周囲にフェンスを設置している、これはいかなる権原に基づくものか、その管理権というのは、真田法制局長官がかつて答弁したような所有者のための善管義務に基づく管理権ではなくて米軍のためのあれではないか、こういうふうな御指摘でございますけれども、これは防衛施設庁から答弁ございましたように、このフェンスを設置しているその当該土地というのは、賃貸借契約に基づきまして今政府が占有の権原を有しておる、そういった土地でございます。そして、そのフェンスを設置いたしますのは、やはり安保条約に基づいて提供しておりますこの施設が安定的に機能を発揮できるような状況を確保する、そういったことのために行うものである、このように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/49
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050・松本善明
○松本(善)委員 フェンスがその外側にありましても、これは何のためなんだ、所有者が入ることを防ぐためでしょう。それは所有者のための管理では全くないです。それは米軍のための管理以外にない。だから、そんなに米軍は絶対的な、法律の上の立場にあるということになるんですよ。私は、外務大臣が官房長官の答弁をそのまま踏襲するという以上の答弁ができないというところが、これが今のこの無法状態を証明しているんだと思いますよ。
それで、官房長官、二十四日に報道された共同通信の全国世論調査で、沖縄の土地の「強制使用すべきでない」、過半数の五五%です。「強制使用はやむを得ない」、一四%です。大差があるんです。これを一体どう考えるのか。それで——まず伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/50
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051・池田行彦
○池田国務大臣 私どもは、沖縄も含めまして我が国にございます米軍に対する提供施設・区域、これはやはり安全保障条約の目的達成する上において必要なものだと考えております。しかしながら、その土地を提供するに当たりましては、極力国民、とりわけ当該土地の地主の方々の御理解をちょうだいして提供してまいりたい、これは当然原則でございます。
しかしながら、不幸にしてそういうことが十分でない場合には、特措法その他の法令に基づきまして所要の手順を踏みながらやっていくということは従来もやってきたところでございます。これからは極力、先ほど申しましたように、安保の必要性、そしてまた土地その他の施設・区域の提供の必要性について、従来以上に御理解をちょうだいするという努力をしてまいりたい。
今回、目下努力しております沖縄における提供施設・区域の縮小の作業も、そういった御理解の得やすい状況、環境をつくるためでもあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/51
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052・松本善明
○松本(善)委員 安保、米軍のために、そういう法治国家にあるまじきこと、無法状態が行われるということが、外務大臣によっても弁明できない状態なんですよ。それは私は、根本的に我が国の政治の中で考えなければならぬ問題だと思います。
大臣は覚えておられるかどうかわかりませんが、村山内閣のときに、日本を守るために戦車が必要なのかということの議論を予算委員会でやったことを覚えておられるかと思います。その当時の玉沢防衛庁長官ですけれども、私の聞いたのに対して、「我が国が戦車を保有していないという場合におきましては、当然戦車を中心として攻撃してくるであろう」、沖縄戦では「六百両のシャーマン戦車を投入して攻撃してきた。」
沖縄戦の話を持ち出さなければ戦車の使い方を説明できないというのは、もうとんでもない時代錯誤なんです。今日本では四十八基の原子力発電所がある。危険な大きなタンク類もある。国内での戦車戦なんというのは到底考えられません。これはもうだれが見てもそうです。だから、軍事力で国を守るというのはもう時代おくれなんですね。
私は、我が国の平和と安全を確立するためには、軍事力や武力じゃなくて、積極的な平和外交を展開をして世界の平和を確立をする、その中で日本の安全を守るという以外にはないんだ、それが恒久平和と民族自決を尊重する日本国憲法と国連憲章の立場だと思っております。
そういう立場でちょっと今の外交交渉を聞きたいんですけれども、整理縮小問題で総理大臣は、現実は厳しい、秋までに一定の方向ということで全力を尽くしたいというふうに述べたということが、沖縄の大田知事との会談の結果報道されています。橋本総理は、これまではクリントン大統領の四月の訪日時には成果を上げたいと言っている。そのときと比べますともうずっと後退です。
それで、外務大臣に聞きたいのは、私たちは、米軍の四万七千人体制を維持するという立場では米軍の基地の整理縮小はできないということを言ってきました。総理の発言も我が党の主張を裏づけることになったと思いますが、外務大臣、一体この四万七千人体制を維持して基地の整理縮小ができると今でも考えていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/52
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053・池田行彦
○池田国務大臣 まず、委員の御質問の前提として、軍事力ではなくして積極的な平和外交で国を守れ、こういう御指摘がございましたけれども、それは我々も軍事的な力、防衛力ですべてが解決するとは思っていません。それは、もとより積極的な外交、その他のいろいろな国民全体としての努力の上に立って我が国の安全も可能になる、こう考えております。
しかしながら、その努力の一環として、やはりみずから国を守るための自衛隊の存在、あるいは日米安保体制というものも必要である、これが世界の現実の中での日本の安全を守る立場である、こういうふうに考えておることをまず申し上げさせていただきます。
それから、具体的に沖縄の基地の整理統合・縮小の問題でございますが、これは繰り返し申し上げておりますように、今我々も最大限の努力をしております。そして総理の御発言も、先ほど後退ではないかと言われましたけれども、総理御自身、何とか沖縄の県民の方々の御負担を少しでも、より多く軽減できないかということで、我々にその作業に全力を傾注するように繰り返し御指示、督励をしておられるところでございます。
さて、それで四万七千人体制を前提にしながら縮小ができるか、こういう点でございます。
この四万七千人体制というものについてもいろいろ考え方がございますが、私どもは、少なくとも現在の日本の周辺、あるいはアジア太平洋全体の状況を考えた場合に、アジアの地域において十万人の体制、そして沖縄を含む我が国において四万七千人の水準を維持するということを米軍が言っておるのは適切であると考えておる次第でございます。しかし、これから将来にわたって大きく安全保障環境が変化すればこれは変わり得るということは、日米の当局者もこれまでも何度も言っている、こういうことを申し上げておきます。
そして、現在そういうことでございましても、仮に、駐留のプレゼンスのレベルは下げなくても、ありとあらゆる創意工夫を凝らすならば、そして基地の合理的、効率的な使用という点からもいろいろな配慮と工夫をしていくならば、私どもは沖縄県民の方々の御負担をかなり軽減することは可能であると考えております。そして、現在SACOの特別行動委員会の作業グループにおきましては、各施設・区域についていろいろ論点の整理、あるいは問題点の洗い直しを日米共同で精力的にやっておりまして、その論点は今、ある程度煮詰まりつつあると申し上げていいと思います。
そういったことでございますので、来月のクリントン大統領御訪日の時点におきまして、それまでにはできるだけの成果が上げられるように、これからも精力的に取り組んでまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/53
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054・松本善明
○松本(善)委員 外務大臣、長々と一生懸命説明されましたけれども、やはり基地が整理縮小されるという展望は、そういう見通しがあるというふうには御答弁の中では到底受けとめられないです。
昨年十一月のフジテレビによる日米合同世論調査によりますと、米軍駐留は日本と米国にどちらに利益か、日本側の回答では、米国の利益四六%、日本の利益五%ですよ。米軍は日本から撤退すべきかという設問に、撤退すべき四四%、撤退すべきでない三一%という結果であります。
この世論にこたえようとするならば、やはり四万七千人体制を削減、縮小するという立場をまずとらなければならない。それでないと基地のたらい回しということになる。
それで、沖縄の県道一〇四号越えの米軍実弾訓練の本土移転問題で一問質問して終わろうと思います。
政府は本土の九つの基地を候補地として調査しているようでありますが、基地所在地の周辺自治体を初め、広範な自治体で移転反対の意見書や決議がされております。候補地の一つであります宮城県王城寺原演習場の場合は、県内の十市町村議会が反対意見書や決議をしております。福島県の布引山演習場の場合も、県内十七市町村が反対決議をしております。
その一つを紹介いたします。王城寺原演習場所在地の大衡村議会ですが、
米軍が駐留するとなれば、民生安定上ゆゆしき問題となることは当然であります。終戦直後のアメリカ進駐軍の行動からみても、婦女子の安全問題、性風俗の乱れ等、教育上、治安維持上の心配があり、この際我々としては米軍は出来るならば撤退、また基地は返還縮小されるよう、政府に対し強く望むものであります
米軍の撤退、基地の返還縮小を政府に要求している。
これは念のために言っておきますが、残念ながらここの議会は我が党の議員はいないのです。多くの議員は、いわゆる保守系と言われる人たちであります。こういう人たちを含めて、米軍の基地の撤退、基地の返還縮小の要求が決議をされているのです。これが今の反対運動の広がりなんですよ。
ほかの九つの候補地の基地周辺の自治体も基本的に同じです。時間がありませんので紹介しませんけれども、この演習場が所在する県市町村議会や住民が反対するという地元の意思は、当然尊重されなければならないと思いますが、防衛施設庁はこの問題についてどう考えているか、聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/54
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055・小澤毅
○小澤政府委員 お答え申し上げます。
県道一〇四号線越えのいわゆる分散、移転につきましては、まだ現在日米間で作業班等を通じまして鋭意検討中ということでございます。したがいまして、まだ最終的な結論は得ていないというところでございます。
いずれにしましても、自衛隊施設を含みます防衛施設の安定的使用のためには、地域住民の方々の理解と協力を得るということは不可欠でございます。その観点から、特に我々は、米軍基地につきましては、日米安保条約の目的達成との調和を図りつつ地元の御理解と御協力を得て、一〇四号線に絡んででは、沖縄県民の負担ができるだけ軽減されるよう今後とも関係自治体、関係住民の皆様方と誠心誠意お話し合いを続けていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/55
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056・松本善明
○松本(善)委員 基地問題は基地のたらい回しては何ら解決されませんので、沖縄県民を初め日本国民の願いにこたえるために、政府は米軍の四万七千人体制を削減するという立場でアメリカと交渉すべきだ、それでないと基地の整理縮小はできないということを強調すると同時に、先ほど申し上げました沖縄の問題については、土地の使用の法的根拠がないということは明白でありますから、土地の所有者に土地を返還する、それが法治国家として当然のことだということを強調して、質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/56
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057・大木正吾
○大木委員長 これにて本案に対する質疑は終局をいたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/57
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058・大木正吾
○大木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/58
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059・大木正吾
○大木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/59
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060・大木正吾
○大木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/60
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061・大木正吾
○大木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/113604889X00419960327/61
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